○野津
政府委員 先ほども申し上げましたように、公費負担の導入、各
汚染源の
被害発生への寄与度に即した合理的な
費用負担のあり方というのが基本的な問題点として提起されてきているところでございます。
この公費負担の導入という問題につきましては、先ほども申し上げたのでございますが、指定地域内におきましてのいわゆる自然有症率というものがあるのではないか、したがいまして、この自然有症率の者につきましては当然公費で負担すべきではないかという議論があるわけでございます。
〔水田
委員長代理退席、
委員長着席〕
この問題につきましては、すでにこの
制度発足当時から問題があったわけでございまして、十分な議論が行われました結果、自然有症者におきましても、それら
汚染地域に置かれる場合、その疾病の増悪と申しますか、発作の頻度がふえるという問題も起こるはずであるということ、さらには、その自然有症者の方を大気
汚染の
影響による方と自然有症による方とに分けることは非常に困難であるということもございました。また、先ほど申し上げましたように、この
制度そのものが一つの割り切りで、一つの定型的な形での処理をしていくという前提をもちまして、これについての公費負担の導入につきましては、もうすでに発足当時から一つの割り切りを行ってきたところでもございますし、また現在この考え方を改めるという考え方は持っていないというのが現実の状況であるわけでございます。
次に、各
汚染発生源の
被害発生への寄与度に応じた合理的な
費用負担のあり方が基本的な改正ということになって、要望が出ているわけでございますが、それとあわせまして、実は当面の課題の中にいわゆる地域収支における不均衡の是正という問題も出てきているわけでございます。ただ、この
制度は、御案内のとおり、全国的な規模によります、
汚染者が負担するという原則があるわけでございまして、指定地域内と指定地域外における
汚染負荷量賦課金の賦課料率に九対一という差がある、こういう考え方で処理がされてきた、割り切りがあったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、二年半を経過いたしまして、過去の実績等をながめてまいりますと、その地域における納付金と申しますか、患者さん方に支払われます七つの補償給付の金額と、その地域における固定
発生源の支払っております
汚染負荷量賦課金の間に相当な乖離が出てきているということが現実の問題となってきたわけでございます。
ただ、この
制度そのものは、全国的な規模におきまして
汚染負荷量賦課金を課するという形になっておることが前提であるわけでございますので、その地域収支の問題につきましては、いま申し上げたような形での相当な乖離が出てきたという点につきましては、私ども、これは是正する必要があるのではないかという考え方を持っておりまして、その地域における寄与度というものを考慮いたしまして、五十二年度からの賦課料率の中に指定地域と指定地域外における関係は九対一という考え方は残しておるわけでございますけれども、指定地域内のそれぞれの地域における補償給付費と賦課料率との間のアンバランスを是正していくという考え方をもちまして、指定地域を五つのランクづけをいたしまして、それによって賦課金を納付していただくという形をとったわけでございます。
そのほか、当面の問題といたしまして、賦課対象のすそ切り点の引き下げということが言われてきているわけでございます。現在、指定地域におきましては、排出量は、硫黄酸化物の五千ノルマル立米が最下限になっておりまして五千ノルマル立米以上、また指定地域でないその他の地域におきましては一万ノルマル立米以上のものに賦課金をかけているわけでございまして、これがいわゆるすそ切りという形になっているわけでございます。
この考え方の基本的な問題といたしまして、すそ切りを下げていくということになりました場合に、これの徴収に要する
費用は、
汚染負荷量賦課金を超えて非常に非効率的な徴収をしなければいけないという問題があったわけでございます。したがいまして、一応このすそ切りをつけておるわけでございますが、一方の考え方といたしましては、いかに零細
発生源でございましょうと、大気
汚染には寄与している部分があるという考え方もございまして、これらの賦課金を取ることによりまして
汚染を減らしていくという形での一つのチャージの形がとられないかという
意見もあるわけでございます。この問題につきましては、先ほど申し上げましたように、賦課金とその徴収に要する
費用のバランスも当然考えなければならないところであろうと思っておるわけでございます。ただ、いま申し上げましたような、これらの弱小煙源がやはり大気
汚染にも寄与していることを自覚していただくというところにつきましては下げるという問題も考えられるわけでございますが、この辺につきましては、現在いろいろと関係方面との議論等も繰り返しているところでございますけれども、完全な結論を得るまでには至っていないというふうなところがあるわけでございます。
また、そのほか賦課料率の算定に当たって徴収所要額などの見積もりを厳正に行え、こういうことでございますが、これにつきましては従来とも、翌年度に必要な
費用につきましてはできるだけ厳正に計算することが必要であるということを前提といたしまして、十二月の末までかかりましてできるだけ現実の数字というものを把握してから翌年の賦課金を決めるということを行っているところでございまして、これにつきましては従来から厳正に
実施してきているというふうなところであるわけでございます。
また、いわゆる窒素酸化物につきましては、賦課の対象物質としないこと、こういうふうな御
意見もあるわけでございますけれども、この問題につきましては、窒素酸化物によります健康
影響というものが科学的に詰められる必要があるということが一つございます。
またもう一つは、この窒素酸化物につきまして、いわゆる窒素酸化物を対象としました賦課を行おうとするに当たりまして、現在の状況を見てまいりますと、各燃焼
過程におきます窒素酸化物の
発生しますいわゆる排出係数というものにつきましては、非常に数多いバリエーションがございまして、この排出係数を一律に決めるということは非常に困難なような状況にあるわけでございます。
これらの両面をもちまして、現在、窒素酸化物につきましていかなる形でこれを考えていくかということにつきまして検討を進めておるというふうな実態でございます。