○林(義)
委員 健康を守ることも確かに大切なことであるし、健康を守るのは重点にしなければなりませんが、そこで先ほどの
議論に返るのですけれ
ども、ディザイアラブルである、アクセプタブルである、トレラブルである、その中で、ディザイアラブルな
基準においてやっておるわけですね。果たしてそのディザイアラブルなということは、健康を守るという、どちらかというとこれはトレラブルな
基準になるだろうと思います。それ以上のものをいま
基準として設定をしておるわけでありますから、そこまでやっていくというのは、明らかにこれからの経済運営をどうしていくかという問題と、それから、
日本の置かれた国際的な環境の問題、
日本が産業構造として加工貿易国になっていかなければならないという点の
判断、そういったものも加味したことで考えていかなければ、長期計画の中で非常に大きな、まさに長期計画の経済運営において、トレラブルではない、むしろアントレラブルなものになるかもしれないという心配を実は私は持っておるわけでありまして、この辺の詰めをやはりしていただかなければならないと思うのです。先ほど申しましたように、ざっと二兆円に近いようなランニングコストがかかる、こういうふうな話である。これは一体どのくらいのことかといいますと、米、麦、野菜、魚の小売店の売上額を足しますと大体二兆円くらいになるわけであります。そのくらいの大きさで、経済全体の
数字からいいますと、六%の中の一・九%である、寄与度にすると〇・三%。私は、寄与度という非常にいい
説明資料があると思うのですけれ
ども、逆に言いますと、それだけの大きな投資というものをするわけでありますから、そこは、
人間の健康のためにそれだけ使われておるのだということは十分に私はPRをしていいし、同時に、それをどういうふうな形でもってスムーズに調達をしていくかということが非常に大きな全体としての運営の問題になるだろうと思います。これだけ経済が不況でありまして、公共事業もずいぶんやっていかなければならない、それにしてもなかなか景気の上昇というのは見込まれない、そういった時期に全体がやはりもう一遍バランスというものを考え直してやっていく必要があるように思うのであります。
時間がもうないですね。――それでは、ひとつこの次の
質問の布石として申し上げておきますが、最近の新聞で、やはり電力需給が非常に危なくなってきておる、電力というのは、設備投資をいたしまして相当の予備電力を持っていないと、大変ピーク時になりましたり故障があったり何かしますと困る、こういうことでございますが、二つだけお尋ねしておきます。
脱硝
技術というものを、これから窒素酸化物対策、
NOx対策のためにやっていくわけでありますけれ
ども、これをやっていくということになりますと、脱硝
技術そのものについて費用がかかるわけであります。いま挙げられておるところの千五百くらいの煙突がありまして、これは
環境庁の
検討委員会においても大体その辺をお認めだろうと思いますけれ
ども、そこをもし脱硝設備を全部やりますと、脱硝の設備を動かすために、電力であると三百二十万キロワットくらいの発電所が要ります。三百二十万キロといいますと、原子力発電百万キロにいたしましても、原子力発電所を三つくらいすぐつくらないと実は間に合わない。六十万キロワットの新鋭火力をつくりましても、五つや六つはすぐつくらないと間に合わないという
計算になりますし、それから、アンモニアを使うわけでありますから、燃料といたしましては灯油というものが要る。灯油の消費というのは二千二百万キロリットルくらいでありまして、
年間の全消費量の二七%くらいが脱硝
技術のために灯油が消費されなければならないという
数字もあるようであります。これは非常に単純な
計算をしたらそういうことになる。御承知のとおり、灯油というものは、常に冬場におきましては値段がどうだこうだということでありますが、そんな灯油を使うということになれば、灯油の値段はやはりどうしても上げざるを得ないというのが経済
原則になるだろうと思うのです。どこから灯油を輸入して持ってくるとかなんとかいうような話はできませんし、
日本全体の産業構造、社会構造にも大きな変革を来すものだろうと私は思うのです。そういったことを企画庁の方でどういうふうに考えられるのかということが第一点。
第二点は、新聞に出ておりました記事でありますけれ
ども、北海道なんかはそろそろ危なくなる。当
委員会でも
議論されましたし、
委員長も
質問に立たれた伊達火力がなかなか動かない。話を聞きますと、何かことしの暮れか来年の暮れくらいには、もしもいまのままで伊達火力ができないということになれば、北海道の電力事情は非常におかしくなりまして、多くの工場でストップをしなければならないということになる。そうした点。それからまた、中部地方では、この前置調審でお決めになったという渥美火力の問題につきましても、なかなか問題の解決がついてない。そういった問題が私はこれから出てくるだろうと思うのです。
安定成長の
時代におきましては、私は、そういった問題をどう解決をしていくかということは、
国民全体のコンセンサスをどうつかまえていくかというところにあると思いますから、確かにいままでのような高度成長
時代、あるいはそれに続くところの高度成長のひずみ是正というだけで問題が片づかない点を多分に持っておると思うのです。北海道は実は製油所も余りないわけでありまして、非常に地域エゴ的なことを言いますと、北海道の電力は全部とめてしまったらどうだ、できなかったらできないままにしておいたらどうだ、そのかわり北海道電力の社長さんはやはり責任をとってもらわなければならない、経営も変えてもらわなくちゃならない、そういう責任はあるでしょうけれ
ども。そういった事態に追い込まれないようなことを考えに入れると、やはりやっていくことが必要でありますし、その辺をどういうルールづくりをしていったらいいのか、私は問題だと思います。
総理も言っておられますように、資源有限
時代である。資源有限の
時代というものは、やはり一番大きく出てきましたのは石油の問題であります。そうした有限のものをどう使ってやっていくか。それをうまく使っていくということは、単にそれを、無限にあったときだからといって、それを使って健康のために、先ほど申しましたように三百二十万キロワットの電力を新しくつくったり、一
年間の三分の一にも当たるような灯油を使ったりして対策をやっていくのが果たして正しいのか、また別の
やり方もあるのではないか、第二、第三の
方法だって考えられるのではないだろうかというような気がしてしようがないのであります。
そういった問題を、
環境庁は
環境庁だけの
立場において、経済企画庁は経済企画庁だけの
立場において、
通産省は
通産省だけの
立場において
議論しておったのでは、解決の
方法はないと思うのです。やはりこれは政府全体が挙げて統一的に考えて、新しい知恵を見出してやるところに私は新しい方向づけが出てくるだろう、こう思うのであります。
あと、電力の話はまたこの次のときにやらせていただきますけれ
ども、とりあえず以上三点、最後の問題は
長官からお答えいただくことにいたしまして、
公害対策に要する電力、灯油等の費用等について、それから発電所の建設に伴うところの公害問題について、それぞれ経企庁の担当の方からお答えいただき、最後に
長官から基本的な姿勢についてお答えをいただきたいと思います。