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橋本(道)
政府委員 環境庁と
通産省とでいろいろ受け取りが違うということはある意味ではございますが、権限的に
環境庁は告示をもってやるわけでございますから、できるだけの
調整はいたします。そういうことでなるべく円滑に進めていきたいということでやっております。
非常に厳しいという
意見ですが、これは全くそのとおりでございます。世界的に最も厳しい水準であるということは間違いございません。ただ、厳しいというのは、どう言いますか、どれだけの年限で達成するかというような
関係等もございますので、数字だけを出してみると非常に厳しいということであります。
それから、厳し過ぎるかということでございますが、これはいろいろの見方があると思います。果たしてすべての場所で達成できるかと言われますと、自動車の非常に通っている沿道のすぐ横では、東京、大阪では不可能であろうということは、これは私は率直に申し上げた方が本当だろうと思います。しかし、厳し過ぎるかということに対しましては、長期の目標として維持することが望ましいという
条件から見れば、あながち驚くべき話でもないというように思っております。そういう意味で、世界に例のないことは事実でございます。よく外国と比べますが、これはWHOの中でも環境基準というのは三つの種類があって、しんぼうできる、一種のトーレラブルというのと、アクセプタブルというのと、それからデザイアラブルというのとある。
日本の基準はこのデザイアラブルということで、長い間の
努力で達成しようという
努力目標でございます。そういうことで、アメリカの基準はトーレラブルにほぼ近いというので、その両者を比べて議論をしても少し性格が違うのではないかということが
環境庁の
意見であります。
それから非科学的ということでありますが、科学的な知見がSO2の場合に比べて蓄積が乏しい、これは事実でございます。動物
実験につきましては、SO2の場合にはたくさんございます。しかしながら、疫学の方では、SO2やばいじんなどは、数十年あるいは半世紀にわたって汚し散らして、めちゃくちゃな濃度を出して、十分、世界じゅうのだれもがぐあいの悪いのをちゃんとよく知った。特に
日本では、四日市で二・五ppmというような気違いじみた濃度を出しまして、しかも西淀やあるいは川崎大師、四日市等ではまれなる高汚染をやって、補償法の指定
地域にすることについても余り文句がない、というところまでのデータがNO2にあるかというと、これはございません。これは疫学のデータにつきましては、まだ期間も非常に短いですし、汚染のレベルも、われわれはむしろ予防的な対応をしているということでありまして、まだその問題を非常に起こしそうな高さではございません。そういうことで、産業界が言うような納得のいく疫学データをよこせと言いますと、四日市や川崎大師や西淀と同じような汚染を十分繰り返してみてからでなければやってはいけないと言っていることと同じであるということで、予防の
段階においては不確かさは避け得ないという立場で、
環境庁は長期の目標として対応するということをしております。
ただ、一点を申し上げたいのは、この濃度を超えたら危ないというような誤った概念があることは、これは非常に嘆かわしいことでございまして、そのようなものでは全くございません。十分な安全性を持っているということでございますから、長期にかけてこれを達成するということであります。
最後の第三次
規制につきましては、第一次が四十八年、第二次が五十年にいたしまして、第三次
規制を現在準備を始めております。これは二月に発表いたしました
窒素酸化物の
防止技術につきましてのヒアリングの結果を公表いたしました。あれを一番基礎に置いております。五十年度から五十一年、どれだけ進歩したかということは、もっぱらあれに基づいて判断をしていくということでございます。
それからもう
一つは、これはまだ
通産省との
話し合いに入っておりません。といいますのは、五十年十二月に「
窒素酸化物対策の進め方」という長期スケジュールを出しました。これは一次、二次と三次の
関係がどうなるか、あるいは五十三年度に
考えられている総量
規制との
関係がどうなるかという点をよほど整理をきっちりしてかからなければ、実際の実現が非常にむずかしいという問題が既設の施設に対してはございます。新設に対しては相当なことができるというぐあいにわれわれは思っておりますが、既設に対しては、例の技術ヒヤリングのレポートの中でも、その
効果にまだわりあい幅があるとか、あるいはスペースが非常にたくさん要って、それのスペースがなかなかとれない。それからもう一点は、やはりランニングコストが非常につきます。従来のものとは違います。そういうことで、ばいじんやSOxの防止装置との
関係ということをよほどオプティマイズしないことには、やはり強制的にどこでもやらせるというところにはなかなか難点があるというぐあいに私
どももはっきり認識しております。そういうことで、長期スケジュールの中で三次
規制はどれだけのものをやるかという輪郭も整理をいたしまして、それから
通産省に当たりたいと思っておりますので、もう余りずれることはないと思いますが、いずれごく近いうちに
通産省とも相談に入って、そして最も合理的な
対策を進めていくというぐあいに
考えております。