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1977-05-25 第80回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年五月二十五日(水曜日)     午後一時七分開議  出席委員    委員長 鈴切 康雄君    理事 加藤 六月君 理事 左藤  恵君    理事 野中 英二君 理事 井上  泉君    理事 太田 一夫君 理事 青山  丘君       石橋 一弥君    瓦   力君       中村 弘海君    野田  毅君       前田治一郎君    久保 三郎君       草野  威君    寺前  巖君       伊藤 公介君  出席政府委員         総理府総務副長         官       村田敬次郎君         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      室城 庸之君         運輸政務次官  石井  一君  委員外出席者         運輸省航空局首         席安全監察官  吉田泰二郎君         運輸省航空局監         理部長     永井  浩君         運輸省航空局監         理部監督課長  小林 哲一君         運輸省航空局飛         行場部長    梶原  清君         運輸省航空局技         術部長     官川  晋君         航空事故調査委         員会事務局長  増岡 廣行君         参  考  人         (日本航空株式         会社社長)  高木 養根君         参  考  人         (全日本空輸株         式会社代表取締         役副社長)   清水 教雄君         参  考  人         (東亜国内航空         株式会社専務取         締役)     大木 良孝君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 五月二十一日  国鉄常磐線金町駅等駅前自転車置場設置に  関する請願小林政子紹介)(第六五八八  号)  国鉄関西線及び近鉄本線弥富駅前自転車置場  設置に関する請願田中美智子紹介)(第六  五八九号)  国鉄東海道本線豊橋駅前自転車置場設置に関  する請願田中美智子紹介)(第六五九〇  号)  国鉄東海道本線三ヶ根駅前自転車置場設置に  関する請願田中美智子紹介)(第六五九一  号)  国鉄武豊線石浜駅前自転車置場設置に関する  請願田中美智子紹介)(第六五九二号)  名鉄本線知立駅前自転車置場設置に関する請  願(田中美智子紹介)(第六五九三号)  名鉄犬山線西春駅及び徳重駅前自転車置場設  置に関する請願田中美智子紹介)(第六五  九四号)  名鉄線本星崎駅前自転車置場設置に関する請  願(安藤巖紹介)(第六五九五号)  国鉄東海道本線愛知御津駅前自転車置場設置  に関する請願安藤巖紹介)(第六五九六  号)  国鉄東海道本線東刈谷駅前自転車置場設置に  関する請願安藤巖紹介)(第六五九七号)  国鉄東海道本線安城駅前自転車置場設置に関  する請願安藤巖紹介)(第六五九八号)  名鉄三河線豊田駅等駅前自転車置場設置  に関する請願安藤巖紹介)(第六五九九  号)  国鉄岡多線新豊田駅前自転車置場設置に関す  る請願安藤巖紹介)(第六六〇〇号)  近鉄名古屋線戸田駅前自転車置場設置に関す  る請願安藤巖紹介)(第六六〇一号)  名鉄線呼続駅前自転車置場設置に関する請願  (安藤巖紹介)(第六六〇二号)  国鉄飯田線一宮駅及び江島駅前自転車置場設  置に関する請願安藤巖紹介)(第六六〇三  号)  東武野田線馬込沢駅等駅前自転車置場設置  に関する請願柴田睦夫紹介)(第六六〇四  号)  東海道本線豊田踏切道改良促進に関する請願  (田中美智子紹介)(第六八三五号)  愛知弥富町中踏切及び近鉄弥富駅前踏切道  の改良促進に関する請願田中美智子紹介)  (第六八三六号)  名鉄線踏切道改良促進に関する請願田中美  智子君紹介)(第六八三七号) 同月二十三日  名鉄常滑線寺本駅等駅前自転車置場設置に  関する請願田中美智子紹介)(第七六〇一  号)  国鉄中央線勝川駅等駅前自転車置場設置に  関する請願安藤巖紹介)(第七六〇二号)  名鉄河和線植大駅等駅前自転車置場設置に  関する請願安藤巖紹介)(第七六〇三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 五月二十五日  理事青山丘君同月十九日委員辞任につき、その  補欠として青山丘君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  交通安全対策に関する件(航空交通安全対策  に関する問題)  昭和五十一年度交通事故状況及び交通安全施  策の現況昭和五十二年度において実施すべき  交通安全施策に関する計画      ————◇—————
  2. 鈴切康雄

    鈴切委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員になっておりますので、その補欠選任を行うのでありますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鈴切康雄

    鈴切委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事青山丘君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 鈴切康雄

    鈴切委員長 交通安全対策に関する件について調査を進めます。  本日は、航空交通安全対策に関する問題について、参考人として、日本航空株式会社社長高木養根君、全日本空輸株式会社代表取締役社長清水教雄君、東亜国内航空株式会社専務取締役大木良孝君、以上三名の方々に御出席をいただいております。  参考人各位には、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  昨昭和五十一年においては、件数の増加に伴い、航空機事故による死傷者は若干増加いたしましたが、昭和四十七年以降は、事故件数横ばい傾向に伴い死傷者減少傾向にありました。これはひとえに関係者努力のたまものであり、国民とともに深く感謝するところであります。  しかし、最近ハイジャック事件、ジャンボ機のオーバーラン、外人パイロット飲酒操縦などの事故が起き、国民に多大の不安を与えたことはまことに遺憾であります。  本委員会におきましては、国民の負託にこたえ、交通安全対策一環として航空交通安全対策に関する問題について調査を進めておりますが、特に本日は、一つには事故防止のための安全対策、二つにはハイジャック防止対策三つ目には航空機安全運航のための空港施設に対する航空会社要望などにつきまして、関係者皆様から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  なお、御意見の開陳は、議事の整理上、高木参考人清水参考人大木参考人の順で、お一人約十五分程度まず御意見をお述べいただき、その後は委員の質疑にお答えをいただきたいと思います。  それでは、高木参考人からお願いいたします。
  5. 高木養根

    高木参考人 ただいま御指名をいただきました日本航空の副社長高木でございます。ただいま委員長から御指示のございました件につきまして、私から意見を簡単に申し述べさしていただきたいと存じます。  大別しまして、事故防止のための安全対策、二番目としましてハイジャック防止対策、三番目としまして航空機安全運航のための空港施設に対する航空会社としての要望、この三項目につきまして概要を御説明申し上げます。  まず、事故防止のための安全対策につきましては、第一に、使用する航空機整備作業がございます。  これは飛行点検あるいは飛行整備と申しますが、毎飛行前に機体点検及び必要な修理、保守を行います。この作業は、運輸大臣によって認可されました整備規程に定められました作業点検表を使用して行い、作業項目ごと実施完了確認されます。この確認は、所定資格を持つ整備確認者によって行われます。  一方、運航管理者との打ち合わせを終了しました運航乗務員は、駐機中の航空機に到着をいたしますと、機長指揮のもとでこの航空機運航に供し得る状態にあることの点検確認を行います。  まず、航空日誌により前の飛行での状況整備側点検作業状況等確認いたします。次いで、運輸大臣によって認可されました運航規程に定められた手順に従いまして、航空機の外部、機内、これを点検し、また、システム等作動状況運航支障のない状態にあることを点検いたします。さらに、搭載燃料の量、搭乗旅客の数あるいは貨物、手荷物の量に基づきまして、搭載管理担当者が作成しました重量重心位置計算書により総重量及び重心位置制限の値の中にあることの点検も行います。また、搭載制限品の有無についても確認されます。そしてふぐあいな点が発見されますと、整備確認者搭載管理担当者連絡をしまして、適切な処置をとることになっております。  このように整備の面からの点検に加えまして、さらに運航の面からの点検実施いたしまして、その航空機運航に供し得る状態にあることを確認しなければ、機長飛行実施をしてはならない、そういうことになっております。  第二に、運航管理体制についてでございますが、まず飛行に先立ちまして運航管理者運航乗務員飛行前の打ち合わせが行われます。  これは、まず第一に、飛行航路、高度、必要燃料所要時間等を計算した飛行計画、二番目に、気象情報と予報、三番目に、通常関係者の間でNOTAMと言われております航空情報、四番目に、航空管制に関するもの、五番目に、使用航空機材とその整備状況、六番目に、貨客の数量及び航空機運航重量に関するもの、七番目に、ハイジャック等保安防止体制に関するもの、最後に、規程類の改廃に関するもの等が主な内容でありますが、機長運航管理者との間で見解の相違がある場合には、より安全度の高い方をとることに定められております。  また、この打ち合わせのときに、運航管理者は、運航乗務員飲酒乗務防止のための確認をいたします。  なお、この後引き続き運航乗務員は、客室乗務員飛行計画概要を説明いたしまして、また飛行中の緊急事態発生の場合の措置も含め、客室業務が円滑に実施されますように必要な指示を行うことになっております。  次に、先ほど触れました飲酒乗務防止も含む運航乗務員服務基準の遵守につきましては、基本的には乗員各自の航空機安全運航という公共的使命に対する自覚と責任において、主体的になされるべきものであることを積極的に指導いたしております。  服務基準にかかわる航空法社内各種規程類記載事項につきましては、入社時やその後の移行、昇格等各種訓練の場を通じ周知徹底を図るとともに、日常管理としては、各機種ごと主席や副主席中心とする会議を定期的に開催し、日常運航上の諸問題も含む指導教育意見交換の場としており、技術指導生活指導を行っております。  また、飛行前におきましては、運航乗務員相互確認及び相互注意体制一環として、一、乗員各人心身業務支障のないことを相互確認すること、二番目に、確認機長確認書への署名を行うこと、三番目に、運航管理者はその署名確認しなければ航空機出発させてはならないことを規定しております。  さらに、運航乗務員については運航乗務員服務規律委員会、また客室乗務員については綱紀確立委員会設置しておりまして、必要な審議及び周知徹底を図っております。  次に、運航乗務員採用につきまして現状を御説明申し上げますと、まず、日本人につきましては、機長採用源としての経験者が皆無に近い状態であるため、直接機長としての採用は行っておりませんで、要員採用してこれをセカンドオフィサー、副操縦士機長へと順次仕上げていく方式をとっておりまして、現在は航大卒業者のみを採用しております。  外人機長採用につきましては、当社が直接雇用するのではなく、IASCO社を通じて必要とする人数を提供を受けておりますが、その際、一定の技術的条件とともに、人間面でも当社乗員としてふさわしいことを採用基準としております。  外人乗員日常管理については、特に区分して扱ってはおりません。各種規程類等につきましては、邦文、英文で発行し、また、組織上も現在の機種別路線別組織の中で担当路線に応じて日本人主席、副主席のもとに所属せしめております。  さらに、この組織上の配置をより実効あらしめるため、また、外人固有の問題に対応するため、各乗員室長の下に序列の高い外人機長室長補佐として任命、配置しております。  事故防止のための安全対策につきましては、以上でございます。  次に、ハイジャック防止対策について御説明申し上げます。  まず、検査体制ですが、国内空港では、エックス線透視手荷物検査装置金属探知器携帯用金属探知器を使用しております。ただし、国際線のみの名古屋、新潟、鹿児島では金属探知器のみを使用いたしております。  そして、これら検査場所には、業務を委託した警備会社ガードマンが配置されて検査実施するとともに、常時警察官の立ち会いを受けております。  検査に当たるガードマン服務基準につきましては、一般的な事項警備会社が定めておりますが、航空会社としては、身元確実で資質がある十分訓練されたガードマンを配置することを要求し、また、業務内容としては、一、検査に関する旅客の案内、二、エックス線透視手荷物検査装置のテレビの監視、三、エックス線検査で不審な手荷物旅客の承諾を得まして開披検査をすること、四、金属探知器通過により不審な場合は、旅客了承を得まして所持品検査する、五、その他必要な事項実施することを要求しております。  これら検査に当たっての検査基準は、昭和四十八年八月二十九日ハイジャック等防止対策連絡会議において策定されまして、同年八月三十一日閣議了承となった「ハイジャック等防止対策要綱」によるものであります。  社内管理体制としては、担当役員のもとに航空保安室を置いて、安全検査を初め航空保安業務総合企画管理担当せしめ、また、各空港支店保安担当管理職を配置して、ガードマンによる安全検査日常直接的な指導監督に当たっております。  なお、本件につきましては、運送約款を定め、運輸大臣の認可を受けて実施しております。  一方、飛行中の機内において乗務員がとっている防止対策には、次のようなものがございます。  一、操縦室ドアは確実に施錠する。客室乗務員操縦室に立ち入る必要があるときは、事前に機内のインターホンにより連絡し、機長の許可のもとに操縦室よりの開扉を待つように定めております。二番目に、また、旅客搭乗前、機内不審者がいないことを確認することを指導しております。三番目に、さらに万一不審な乗客が発見された場合、常時注意を払うとともに、必要に応じ座席ベルト着用のサインを点灯して、その乗客が離席しないようにする等の措置を講ずるよう指導しております。第四に、もし旅客から機長メモ等を渡すように依頼されたときは、内容確認を行うよう指導しております。  ハイジャック防止対策につきましては、概略以上でございます。  安全問題につきましては、絶えず検討し、改善努力を全社的に推進していくべく、安全に関する全社的な組織として、社長を長とする総合安全推進本部を設け、さらに、直接安全を担う運航整備運送の三本部の総括を担当する役員を長とする三本部安全委員会総合安全推進本部下部機関として設け、これらを中心として絶えず安全対策のレビューと改善努力しております。  最後に、航空機安全運航のための空港施設に対する航空会社としての要望について申し上げます。  会社としましては、個々の空港施設について、乗員に対し具体的意見を求め、検討を行い、その結果を当局の空港整備事業計画に対する要望事項提出の際反映させております。これには、空域の効果的な利用航空交通管制及び航空保安施設充実強化等についても含まれておりますが、主な要望項目としては、一、滑走路上での滑りどめ対策として滑走路みぞ切り実施、二、航空保安灯火充実、三、鳥害対策推進、四、レーダーの活用による空域の有効な利用促進が挙げられます。  以上をもちまして、御説明を終わらせていただきます。
  6. 鈴切康雄

  7. 清水教雄

    清水参考人 私は、全日本空輸代表取締役社長をしている清水教雄でございます。職務担当は、整備航務運送の三本部を総括して担当しております。  皆様にお礼を申し上げたいと思うのですけれども、いつもわが社の飛行機に乗っていただいて、いろいろと本当に御指摘をいただいて、ありがとうございます。この席上お礼申し上げます。  続きましては、先ほど委員長が申されたように、最初安全対策、二番目はハイジャック対策について、三番目は空港施設要望について御説明申し上げます。  お手元に差し上げてあると思いますけれども、「安全・保安体制について」というこの紙にざっと書いておきましたが、わが社の概況を申しますと、運航規模は、路線で六十七路線持っております。一日当たり運航便数が四百四十便で、一日当たり提供座席数が六万七千五百八十六席でございます。保有機数トライスター十八機のほかに、全部で八十一機持っております。従業員総数は大体九千名でございます。そのうち男子が六千三百名、女子が二千七百名ほどおります。その中で、現場関係担当している整備関係概略三千名、それから乗員関係訓練生を含めまして大体千四百名、スチュワーデスが千四百名ほどおります。総数の三分の二ほどは現業部門に従事しております。  早速安全対策について御説明申し上げます。  安全運航と申しますのは、航空会社の死命を制するものでございます。決してこれでいいということはないと思います。一日たりとも一瞬たりとも怠りなく努めなくちゃいかぬと思っております。その精神で、私は進めております。  安全運航推進組織について申し上げます。  現業運航業務は、航務本部整備本部運送本部の三本部責任体制実施されており、本部間の横のつながりの問題につきましては、総合安全推進委員会が常設の委員会でありまして、総合調整を図っております。  それから次は、フライト前の機体検査体制についてであります。飛行前の航空機検査体制は、整備担当によるものと乗員によるものに分かれます。  乗員によるものは、機長による最終的な確認で、飛行記録点検機体の巡回、目視点検であります。整備担当によるものは、各整備工場に所属する運航整備課によって実施され、毎日の運航完了後行われる飛行点検故障修理、それからその日の最初飛行前に行われる飛行点検より成り立っており、これらの項目実施することによって、その日の運航が保証されています。さらに毎飛行間で、次の飛行に対しての点検及び突発的故障に備えて飛行間点検が行われています。実際の作業確認は、整備責任者である運航整備課長指揮のもとに、整備規程に従って、認定された有資格整備士担当しています。  なお、以上の点検のほかに、運航整備を支えるものとして、機体飛行時間によって決められた間隔で行われる定時点検と、製造会社などの情報によって行われる特別点検及び修理、改造があります。このことは「整備現況」というのに詳しく書いてありますから、ひとつお願いします。  それから次は、運航管理体制について。  運航安全対策については、日ごろから努力を傾けているところでありますが、去る一月、航空局長から乗務規律確立についての指示に従い、所要措置を講じました。その主なものは、次のとおりであります。  一、飛行前のパイロットに対するブリーフィング運航管理者は、気象状態及び航空情報確認飛行計画の承認といった技術的な事項のみならず、運航乗務員心身状態についても機長情報交換を行い、飛行支障のあることが懸念される場合は、乗務管理担当部門に通報しています。そうした事態を招くことを未然に防止することにしています。  次は、運航乗務員服務基準について。乗務員心身状態に関する健康管理については、日ごろから自主管理徹底を周知してきましたが、さらに自主管理だけでなく、飛行前のブリーフィング時においても、運航乗務員相互間で忌憚なく心身状態に関する情報交換をし、健康状態確認実施するよう定め、確実に履行いたしております。  次は、アルコール感知器設置ブリーフィング時の確認の過程で飲酒についての確認が必要となった場合の対応策として、アルコール感知器東京、大阪の主基地初め、海外基地など合計十六基地に配置することにいたしました。  次は、運航乗務員採用昇格基準について。採用に当たっては、定期航空運送事業乗員として必要な学力水準航空適性を持っているだけでなく、将来の機長としての人格識見身体条件を兼ね備えているかどうかについて重点を置いて、厳正なる試験検査を行っております。  採用試験に合格した訓練生に対しては、所定訓練審査を行った後、プロペラ機の副操縦士、さらにはジェット機の副操縦士に移行させております。また、この後の機長への昇格に際しましては、その職務の社会的な重要性から、人格識見技量ともに優秀な者を選抜するため、社内運航乗務員資格審議会という機関で慎重に討議、検討を加えた上、機長要員を決定しております。この審査に当たっては、本人の経歴、評価、職制による審査表だけでなく、今後とも良好な健康状態を保持し得るかどうかについても、会社が委託している医師の意見書参考にするなど、総合的に検討し、その適否を決めております。  次は、ハイジャック防止対策について。  去る三月十七日当社便札幌発仙台行きの七二四便と、東京発仙台行きの八一七便で起こりました二件のハイジャック事件では、御心配をかけましたことをおわび申し上げます。  その後の処置について。かかる事態を二度と起こさぬという決意のもとに、三月十七日の事件直後に、運送本部長名当社便の飛ぶ全空港に対し、検査体制強化指示いたしました。その後三月二十四日には、契約警備会社を呼んで、検査強化指示するとともに、運輸省、警察庁の協力を得て、再教育訓練実施してまいりました。また、五月十八日、この委員会羽田空港視察のとき御指摘を受けました、高松空港などプロペラ機の就航する地方空港検査体制につきましても、検査の励行を指示するとともに、係員を高松空港へ派遣し、検査体制についてのチェックを実施いたしました。  ハイジャック防止策については、各空港ごとに設けられております保安委員会(警察、空港事務所空港ビル警備会社航空会社)に参画し、航空保安にかかわる情報の収集、提案など行っておりますが、決められた検査を忠実に、しかも確実に行うことが一番の対策であると信じます。しかしながら、検査に行き過ぎのないよう、特に接客態度に留意するよう、警備会社に対して今後とも指導いたしてまいる所存でございます。  フライト中の機内におけるパイロット等乗務員のとっている防止対策について。運航業務規程に基づき、スチュワーデス出発前、挙動不審な者がいた場合、直ちに操縦室連絡をとることになっております。操縦室への出入りにつきましては、乗員スチュワーデスの間で、出発前のブリーフィング時にその都度合図を決めて行っております。  最後に、空港施設に対する要望でございます。  空港航空保安施設整備につきましては、すでに第三次空港整備五カ年計画の二年度を迎えており、御当局の御尽力により、航空機運航の安全向上、高速大量輸送時代に対応した施設整備が進められております。  また、長年の懸案でありました大阪国際空港のエアバス就航も実現し、関係者の御努力に深く感謝する次第であります。  今後の空港等の施設整備については、次の三点を要望したいと思います。いずれも航空局にわが社の意図を提案してあります。そのことを速急に実施していただいたら結構かと思います。  航空保安施設については、就航率の向上のために、管制システムを充実させるとか、空港の拡張をするとかそういう問題、また環境問題もお願いしている次第でございます。  大体以上が、私が要望することでございます。以上をもって終わります。  どうもありがとうございました。
  8. 鈴切康雄

  9. 大木良孝

    大木参考人 東亜国内航空の専務取締役をしております大木良孝でございます。担当は、安全推進委員会委員長それから整備関係、技術関係を担当しております。  東亜国内航空は、現在使用機YS11とダグラスのDC9、両機種を使っております。YS11が三十一機、それからDC9十五機を使用しております。  YS11につきましては、すでに使用し始めてから十二年、DC9につきましては三年六カ月経過いたしまして、すでに長年の実績によりまして運航面、整備面につきまして、双方とも技術的な知識経験も豊富に蓄積されまして、パイロット並びに整備員の技能面でも質的、量的において大幅に向上いたしております。人材の幅につきましても相当厚みができてまいっております。現在わが社の総人員は五月一日で二千五百八十五名、そういう人員でございますが、このうち乗員が、機長及び副操縦士の総計が三百五十八名、整備員は間接人員を含めまして八百三十名、スチュワーデスは三百八十名おります。整備員の八百三十名のうち現場の直接人員が約六百名、このうち百八十二名が整備確認者でございます。  日常運航の安全につきましては、社長以下全員が日夜心を砕いているところでございますが、安全を支えるものは、何と申しましても、まず人間でございますので、第一の安全対策教育訓練徹底ということで進めております。  まず、パイロット等乗務員につきましては、さらに日常業務面での技術向上に努めておりますが、そのほか、なれによるミスの防止ということについて、特に精神教育並びに実地教育を重視して行っております。また通常の定期審査に加えまして、緊急事態におけるとっさの対策に、シミュレーター、模擬装置によって徹底的に訓練実施いたしております。  次に、整備部門につきましても、従来から整備士の国家試験資格という面で教育に力を入れてまいりましたが、現在ではこれに加えて機械、エンジン、電子機器等の専門コースごとに社内にグレードを定めて訓練を行うほか、実地指導を行い、技能の向上を図っております。この結果、整備能力の面でも大きく飛躍をいたしまして、当社のジェット機の一年間における整備要因によるおくれや欠航は、昨年平均で〇・五九%にとどまりまして、これはDC9のユーザーの世界的水準の中で一番高い部類に達しております。  運送関係につきましては、単に旅客に対するサービスの向上のほかに、空港における旅客の安全確保ということにつきましても重点を置いてまいりまして、業務を行う上の規程類にも安全管理に関する項目を逐次追加改定しております。社内業務監査の機会には細かい点について点検を行っております。  その他職員の安全意識の高揚につきましても、安全サービス向上月間を設けて、全社的行事で安全管理体制を自主点検し、安全意識の啓蒙を行う等の努力を払っております。特に昨年十月八日には、羽田において社長陣頭指揮のもとに、実機によって大がかりな事故処理演習を実施いたしてきております。  安全確認のための会社組織としましては、安全推進委員会を設けまして、運航の安全面の問題の解決に当たっております。そのほか社の内外の事故の事例、時々の事件をニュースとして取り上げて、全社員に注意を喚起する等の安全意識の啓蒙を図っております。安全推進委員会委員長は私が担当しております。おかげをもちまして、現在のところ安全運航の実績を上げているところでございますが、今後とも物心両面からさらに万全の対策を考えていく所存でございます。  以上が、東亜国内航空の安全につきましての基本的な考え方でございますが、次に、事故防止のためにフライト前の機体検査体制概要、それから運航管理体制概要、それからハイジャック防止対策の現状について概要を御説明申し上げます。それから最後に、航空機安全運航のための航空施設についての当社からの要望を申し上げたいと存じます。  これから申し上げますことは、お手元の資料に、一応現状並びに要望事項について御説明しておりますので、それの概要を申し上げたいと思います。  フライト前の機体検査につきましては、まず、整備面では、飛行機の発着整備といたしまして、飛行点検飛行間点検飛行後の点検、こういうもので、主として燃料、それからオイル、それから油圧系統、それから空気関係、こういうものの補充の状況、それから機体内外の外部から見える部分の状況をまず点検いたします。それから着陸装置あるいはフライトコントロール関係について主要な点検整備面でいたします。そのほか、航空日誌に記載されている乗員から指摘されている問題について特に注意して点検をするということでございます。  それから機長は、運輸省令で定めます、航空法七十三条に基づきまして出発前に機体の内部並びに外部についての点検をいたしまして、そのほか重要システムについての作動点検をいたします。それから操縦室の内部点検を行います。経由地において特に問題がない場合は、その部分をある程度省略するということがございます。  それから、運航管理者飛行前のパイロット等に対するブリーフィングについて申し上げますと、航空法並びにこれに基づき会社が定めております規程に基づきまして機長及び運航管理者の合意を得る手段として、出発の一時間前に機長運航管理者からブリーフィングを行いまして、気象状況、保安施設の状況、それから危険品の搭載、運航の安全にかかわるもの、その他のもの等について情報提供いたします。  それから運航管理者は、パイロット心身状態運航の安全に支障を及ぼす点があるかどうかということを一応確認いたしまして、もし異常がある場合には必要な処置をとるということにしております。昭和五十二年四月二十五日に、この分についての規程を改定いたしまして明文化いたしました。  運航の承認か発効した場合には、機長指揮下の乗務員に対して、さらに運航管理者から受けた情報提供してブリーフィングを行います。  それから次に、パイロット服務基準でございますが、パイロットは、多数の人命を預かる重大な責務があり、常に高度な技量・能力の維持向上が要求されますから、航空法並びにこれに基づく会社の関係規程により、航空身体検査証明の維持、乗務前所定時間内における飲酒・薬品使用・潜水の禁止、視力の保護のための外出制限等、健康管理のため、日常生活において厳しい自己規制を課しております。  乗務に際しては、このほかに、乗務時間の制限、勤務時間の制限、着陸回数の制限等、安全確保のための諸施策が講じられております。  そのほかに、今日のように航空機の非常な大型化並びに高度化のために、パイロットの技量的な問題のほかに、人格、品性についての情操の向上、そういうものも必要でございますので、定期的に機長研修を行い、そういう面を特に重点的に高揚を図っております。  パイロット採用並びに昇格についてでございますが、昭和四十六年以降五十二年までの状況を申し上げますと、採用のソースとしては航空大学生、それから自社養成、防衛庁割愛、民間養成、その他ということでございますが、航空大学卒業生が三〇%、自社養成が二〇%、防衛庁割愛が一五%、民間の養成所が一五%、その他が二〇%というような割合になっております。  操縦士昇格につきましては、航空大学卒業生を例として申し上げますと、採用後、学科教育、それからシミュレーターによる訓練、YS11による実機訓練、副操縦士実習等で約十一カ月の訓練を経まして副操縦士となります。副操縦士として約五年間、飛行経験としまして約二千七百時間以上の経験を必要としまして、その後、操縦士昇格任用試験を受けまして、機長になるためには三千時間以上の飛行経験を有している者から操縦士を任命する、こういうことでございます。  次に、ハイジャック対策でございますが、当社はジェット機とプロペラ機と合わせて三十八空港及び休止しております空港が一つございまして、全部で三十九になりますが、お手元の資料で十八ページ、十九ページに挙げてございますが、そのうち十五空港がジェット機の就航しておる空港でございます。二十四の空港につきましては、プロペラ機が就航しております。  ジェット機就航の空港十五のうち十四につきましては、国庫補助によりましてエックス線の透視検査装置、金属探知器によるハイジャック防止検査を行っております。あとのジェット機の残りの一つの三沢につきましては、本年度の予算で国庫補助を受けまして、目下エックス線の検査装置を設置すべく準備中でございます。これは八月から一応使える状況になる予定でございます。プロペラ機の就航の空港につきましては、現在、金属探知器携帯用金属探知器を備えてガードマンもしくは総代理店の職員により検査を行っております。  ハイジャック防止の検査当たりまして、私どもは大体三つ重点を考えております。ハイジャックの絶対発生しないように厳重な検査を行うということ、それから検査徹底を図る余り利用客に不快感を与えないようにすること、それから三番目に、出発便がおくれたりしないようにするということ、この三点に注意を払って、現在、ハイジャック防止のために十分注意をしてやっております。  最後に、航空機安全運航のための空港施設に対するわが社からの要望を申し上げたいと存じます。  資料の二十七ページに挙げてございますが、わが社は現在全国三十九の空港飛行しておりますが、ジェット空港はそのうち十五空港にすぎません。残りの二十四空港はYS11型機が就航しており、また二十四のうち離島空港というのは八空港ございます。ジェット空港に比べまして千二百メートル〜千五百メートル級の空港は、関係施設がすべて不十分でございます。つきましては、ジェット化の早期実現をお願いするとともに、現状につきましても改善を図っていただきたく、次のように御要望申し上げたいと思います。  第一番目、空港整備について。  現在までに整備された大型空港については、地域的な偏在が見受けられます。全国的な視野に立った空港整備をお願いいたしたいと存じます。  二番目に、地方自治体の設置管理になる第三種空港の大型化につきましても、国がその促進について積極的な指導及び施策を講じていただきたいと存じます。  三番目に、ジェット空港滑走路は、今後原則として、みぞ切り、グルービングを行うように聞いておりますけれども、YS11型機用の滑走路についてもグルービングをお願いいたしたいと存じます。  次に、航空保安施設整備についてでございます。  YS11型機で就航しております空港に最低限VASIS、VOR/DMEを設置していただきたい。  二番目に、ジェット機用に整備する空港には、ILS、アプローチライト、VOR/DMEの設置をお願いいたしたい。  三番目に、航空交通管制の自動化推進並びにVOR航空路網及び航空路レーダー網の完備を早急に実現をお願いいたしたいと存じます。  そのほか、空港における救難及び消防体制を充実強化していただきたい。  以上が空港施設についての要望でございます。  時間、少し超過いたしましたが、終わります。
  10. 鈴切康雄

    鈴切委員長 以上で各参考人からの御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 鈴切康雄

    鈴切委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上泉君。
  12. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それぞれの航空三社の参考人の方には、まことに御苦労でございます。  航空の安全のために、なお一層の御精進をお願いしたいと思うわけですが、きょういただいた各航空三社の資料だけを見ますと、何かしら日航さんの方の資料は、日航と言えば日本の航空会社の顔のような存在ですが、その顔のような存在の日航さんの資料が一番お粗末で、乗務員管理というようなことに重点を置いたような資料が出されておるわけですが、副社長さんは、こうした東亜国内航空さんの資料あるいは全日空さんの資料をごらんになって、おたくの資料、りっぱだ、こういうお気持ちで説明されておるのですか。
  13. 高木養根

    高木参考人 お答え申し上げます。  ただいま御批判いただきまして、まことに恐縮でございます。私、実は本日の全日空さんあるいは東亜国内航空さんの資料を拝見しておりません。ただいま御説明を伺いましたけれども、資料そのものは拝見しておりませんので、ちょっとお答えいたしかねます。
  14. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それは別に各社の秘密に属することではないんだと私は思うのです。それぞれ飛行場は、日航さんが使うところは全日空が入らぬ、東亜国内航空が入らぬというわけではないですから、それぞれ同じ飛行場を使用するわけでありますので、日航さんの方は政府出資の航空会社の顔として他の二社とやはり協議して、航空の安全等についての連絡会議とか、何かそういうふうなことをなさっておるのか、それぞればらばらにやっておられるのか、その点、まずお答え願います。
  15. 高木養根

    高木参考人 ただいまの御質問でございますが、私どもとしては、航空の技術の問題につきましても、あるいはハイジャック等の保安の問題につきましても、全日空さんあるいは東亜国内航空さんとは、いろいろ協議をしながら取り組んでおるということを御報告申し上げます。
  16. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それはやはりハイジャック等、その他のことについても、それぞれそういう施設については共用しているのですから、安全対策ということについては、それぞれ各社が緊密な連携をとって、ともに事故撲滅のために協力をし合うことが必要である。わずか三社しかないのですから、近距離航空を含め四社ですけれども、少なくとも三社でありますので、三社が緊密な連絡をとって、安全対策というようなものについては、少なくともある線までは、東亜国内にしても、全日空にしても、日航にしても、共通なものがなければならないわけですけれども、しかしあなたのところは、これは文字だけの羅列であって、忌憚なく言わせていただくならば、非常に不誠意きわまる提出の資料だ、こう私は考えるわけであります。それは私どもが不誠意だと言ったところで、これは日本航空という巨大な企業にとって痛くもかゆくもないかもしれませんけれども、やはり政府出資の、日本の航空会社の顔としての位置づけをしておる日本航空としては、ふまじめだとは言いませんけれども、もっとまじめに考えていただきたい。いま他の会社の資料は見ていないからどうとも言えない、こういうふうに言われるわけですけれども、これはいまでも資料がありますから、ぜひごらんになっていただいて、うちの資料は交通安全の委員会に出す資料としてはまことに不十分だと思うのか、あるいはこれで結構だと思うのか、その点また後で御返事をお聞かせいただきたいと思います。(発言する者あり)それは六月さんなんかは航空のベテランでありますし、そういうことであるから結構、結構と言いますけれども、私どもは全く航空については無知というか、ただ乗るだけであって、あとは各航空会社に安全を託する以外に道はないのです。たまには日航さんに乗る場合もあるし、各社に乗るわけですから、やはり各社が安全対策、安全施設、そういうようなものについては、場所が共通でありまするから、これはひとつリーダーとなって、各社の連携プレーを深める、こういう御意思をお持ちになっておられるのか、あるいは持たねばならないとお考えになっているのか、その点、まず高木参考人さんからお返事を承りたいと思います。
  17. 高木養根

    高木参考人 重ね重ねの御指摘を受けまして、恐縮に存じます。  先ほど一言申し上げましたように、一般の航空の安全技術の問題、あるいは特にハイジャックの問題等につきましては、三社で従来も協力して協議をやっておりますし、航空技術安全協力会議というものがございまして、技術の問題、安全の問題についていろいろ協議、検討しております。  そういう場におきまして、三社は本当に協力をしてやっているということで、ただいまの先生の御指摘につきましては、従来ともそうでありますが、今後もますます、先生おっしゃいましたように、もちろん、まだほかに定期をやっている会社もあるわけでございますけれども、特に本日ここに来ております三社、これが日本の主要な航空会社でございますので、この三社が本当に力を合わせて、技術の進展の問題あるいは安全の確保の問題について協力一致をして、いままでもやってきておりますし、なお一層今後はそれを推進してま、いりたい、そういうふうに存じております。
  18. 井上泉

    ○井上(泉)委員 どうもありがとうございます。  そこで、全日空さんと東亜国内航空さん、これは国内地方空港の関係が非常に多いのですから、特にその点における連携が非常に必要だと思うわけです。これは一事が万事ということではないと思うわけでございますけれども、同じような天候の中でも、全日空さんの飛び立つ条件と東亜国内さんの飛び立つ条件が違うということは、これはパイロットの技術によって違うものであるのか、あるいはその技術の判定の資料、基本になるものが全日空さんと東亜国内さんとで違うのか、そこは私は承知をしませんけれども、やはり乗る側としては、この天候で東亜さんは飛んだが全日空さんは飛ばないがどうしたことだろう、全日空さんは飛んだが東亜さんは飛ばないがどうしたことだろう、そういう疑問が地方空港の場合には往々にしてあるわけです。そういう点について、やはり同じような安全運航のための連携という形のものが必要ではないか、そういうように私は考えるわけですが、その点について全日空さん、東亜国内航空さん、それぞれ御意見を承りたいと思います。
  19. 清水教雄

    清水参考人 ただいまの井上さんの質問に対してお答えいたします。  気象状態が悪い場合、機長の個人差によって運航したりしない理由があるのではないかという御質問かと思います。  気象が悪いときは時々刻々とずっと変わりつつありますから、到着する空港に対して連絡を非常に密にしております。電話連絡したりしてやっておりますが、機長資格の差は、やはり私どものところで決めております。機長になりたての者と、三百時間以内の者と、三百時間以上たった者と、その差によって、ある程度気象条件の異なった条件で飛ばしているような状況でございます。やはりなりたての者に対しては、ある程度高度も高く、視程ももっと広くというぐあいに思っています。三百時間プラスの者に対しては、もう相当のところまで行けるようになっております。その空港で許される範囲のところまでは飛ばしております。クラスワン、クラスツー、クラススリーというぐあいにやっておるのでございますけれども、何さま安全が第一でございますから、気象が悪い場合には無理するなということを、私常に申しております。悪天候の場合には思い切って引き返せということも常々申しているような次第でございます。  簡単でございますが、お答え申し上げます。
  20. 大木良孝

    大木参考人 ただいまの御質問にお答えします。  基準につきましては、東亜国内航空と全日本空輸とは全く同じでございます。ただ、天候と申しますと、ローカル空港で、特に山があるとか、そういうところでは時々刻々変化いたしますので、わが社の便だけで申しましても、何便か飛ぶうちで、あるものは欠航になるし、あるものは飛ぶ、こういうことはございます。  それから、機長の経験時間について、当社では三百時間以下の者はございませんで、全部三百時間以上の者でございますので、そういう区別はしておりません。
  21. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そのことにつきましては、なお一層安全を重視して、たくさんのお客さんが待っておるから、少々の悪天候でも飛んでしまえということはよもやないと思いますけれども、なお、そういう離着陸については、慎重に配慮をお願いしたいと思います。  そこで、私は日本航空さんにお願いするわけでございますけれども、私が、資料が非常に不備だ、こう言ったのは、おたくの資料は全部管理がどうの服務規律がどうのというようなことが中心になっておるわけです。もちろん飛行機を動かすのは操縦士であり、あるいは整備するのは機関士であり、整備士であるわけですけれども、飛行機というのは機長だけで動くものではないし、またたくさんのお客さんを積んでおるのでありますから、いわゆる地上勤務員も、あるいは機上の服務員も同じように三位一体でなければいかぬじゃないか、こういうように思うわけです。  そこで、労働条件等はどういうふうに規定をしておるのか、そうした点についての資料が全くないので、そのことをいまここでお聞きをすると時間がたちますので、その点は省略をいたしますが、そういう点について、また後日資料等を提出していただくことができるかどうか、日航さんにお伺いしたいと思います。
  22. 高木養根

    高木参考人 お答え申し上げます。  先生のいまの御要望の資料がどういうものであるか、私、実はただいまのお話だけでは十分に理解いたしかねるのでございますけれども、必要に応じまして、監督官庁を通じて資料の御提供を申し上げるということもできるかと思います。
  23. 井上泉

    ○井上(泉)委員 監督官庁を通じてというと、ぼくがここで言ってもだめですか、運輸省へ言わないとあなたはそれを出してくれない、こういうことですか。
  24. 高木養根

    高木参考人 先生のいまお話しになりました内容、どういう資料ということがよくわからないのでございますが、後日、いま申し上げましたように、監督官庁と御相談をしまして、必要に応じて御提出をする、こういうことでひとつ御了承をお願いしたい、このように存じます。
  25. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは、私は日航さんになにしますが、操縦について、たとえばおたくのボーイング747のような高価な飛行機を飛行訓練に使用するのは採算に合わないということで、実機訓練は省略をして、乗員訓練用のシミュレーターを導入して、飛行時間を減らしていく方向に各社とも動いておる、こうあなたの会社の野田重役が述べておるわけですが、金をかけずに、実機の使用を少なくして、安全運航の基本である操縦士の教育をそういう形でやって、果たして安全運航という点から言って万全であるのかどうか。これは陸上の自動車でもやはり実技の時間というものがあり、かなりの時間実物についてのなにが必要ですけれども、あなたの方の会社は、採用する方が優秀な方かどうかは知りませんけれども、訓練としてはこうした訓練の仕方というものはどうも不十分ではないか。たとえば実際の飛行機を使用するのは多くても五時間ぐらいにしよう、理想的に言えば、実際の飛行機は使わぬでよろしい、こういうふうに言っておるのですが、安全運航の面で、こうしたことをしても別段心配ないですか。
  26. 高木養根

    高木参考人 ただいまの先生の御質問についてお答え申し上げたいと思うのでございますが、確かに過去の時代から現在に向かい、将来に向かって、だんだんとシミュレーターによる訓練量がふえまして、実機による訓練量が減っていくのじゃなかろうかということ、一口で申し上げますと、そういう感じでおるのでございますけれども、その大きな理由の一つは、航空機自体も技術革新で、ただ大きいというだけでなしに、装備その他非常にすぐれた航空機ができてきておるわけでございますけれども、シミュレーター自体も非常に進んだ、りっぱなシミュレーターが出てきまして、結局実機による訓練とシミュレーターによる訓練というものの訓練としての値打ちに非常に差がなくなってきた。ある場合には、実機で行いますには非常に危険であるような訓練も、シミュレーターならできるというような面もありまして、ある面ではシミュレーターで訓練する方がさらに訓練徹底して行える、こういうこともあるわけでございます。  しかし私どもは、少なくとも当面あるいは近い将来、実機訓練を全部やめてしまって、シミュレーターだけでやろうというような考えは持っておりませんで、いま申し上げましたように、その訓練内容、目的等によりまして、シミュレーターも大いに使いますけれども、同時に、実機を使った方がその訓練の目的その他からいって、より適切であり、有効であるという場合には、実機を使った訓練もやっておるわけでございます。  ただいまのは一つの傾向を申し上げましたのですが、私どもが実際に訓練につきましてどういうふうにシミュレーターを使い、どういうふうに実機を使うかというようなことにつきましては、航空当局の御指導と御承認を得て行っておるということを御報告申し上げたいと思います。
  27. 井上泉

    ○井上(泉)委員 この点については、また後で運輸省の方にお尋ねをしたいと思います。  それから、これは直接的には安全対策とは関係ないのですけれども、たとえば日航さんでは、大阪−マニラの運賃が往復十六万九千円、ところがチャーター便になると、往復で計算すると一人六万円くらいに運賃を割引している、あるいはまた旅行業者にやらせると三泊四日で四万二千七百円というような非常に低料金でやっておるわけですが、それだけの運賃でも採算に合うものであるのか、あるいはまた航空会社として自由に許されておるのかどうか、それを直接やっておられる日航さんの方の御意見を承っておきたいと思います。
  28. 高木養根

    高木参考人 大変遺憾なことなのですけれども、確かに御指摘のようなことがございまして、今後そういうことが再び起こらぬように社内も指導していきたいというふうに存じております。言いかえますと、チャーターを実施するに当たりまして運賃の割引を行ったという事実がある、こういうことでございます。
  29. 井上泉

    ○井上(泉)委員 割引しても経営が心配なしにいければそれは結構ですから、それは一つの旅行会社とか何かということでやるだけでなしに、一般の利用者にも運賃の割引ぐらいは考えられてしかるべきだと思うので、私はあえて質問を申し上げておるようなわけであります。  そこで、あなたが技術担当の方かどうかは承知をしませんけれども、アンカレジの航空事故で、これは新聞では。パイロットが酒を飲んでおったというようなことだけが表面に出てきて、その辺の調査がまだ終わっていないようですけれども、ああいう場合に、六百キロもする大きな牛を何十頭か何百頭か知らぬけれども積んで、ああいうふうなものが動く、どうかした拍子に発作的に動くのかもわからぬが、そういうことについての原因究明というようなものも考えるべきであると同時・に、そういうことのないように、牛が一頭ほたこえても他のものに及ぼさぬような、ああいう物量の輸送については、そういうふうな安全対策を考えられるということが必要ではないかと思うわけですが、あのアンカレジの事故の原因の中でそういう点も考えられておるので、その点について日航の御意見を承っておきたいと思います。
  30. 高木養根

    高木参考人 私、副社長をしておりまして、ただいま先生から、技術を担当しておるのかどうか知らぬが、こういうお話がございました。実は私どもの会社では、副社長は一人でございますので、特にどの担当ということはございませんが、元来、私はいわゆる事務系統でございまして、技術の方は素人でございますけれども、素人なりに一応副社長という職責に応じてただいまの先生の御質問にお答え申し上げたいと存ずるわけでございます。  確かに生きている牛は、生きておるから動くということは当然考えられるわけでございますけれども、あの運送実施するに当たりまして、ダグラスDC8の貨物機でございますけれども、内部を八つの区画に分けまして、私どもこれをペンと言っておりますが、さくでございますね、さくで区分けをして、その中にそれぞれ数頭ずつの牛を収容するということで、もちろんある程度動く余地はあるわけでございますけれども、そう大きく動くことはないという仕掛けにいたしまして、牛を運んでおります。このさくにつきましても、アメリカのFAAの検討と承認を得て用いられております。そのさくをさらに強化したものでございまして、飛行中の前後のいわゆるGのかかり方は大体〇・五ぐらいと承知しておりますが、私どもで使っておりましたさくは、中間の部分におきましてもGの〇・七一までには耐え得るということで、私どもとしては、当然十分に安全に運び得ると考えておったわけでございます。なお、この私用につきましては、航空局からも使用前に審査を受けまして、その強度については確認を受けておる次第でございます。  また、この事故につきましては、もちろんあらゆる角度から検討しなければなりませんので、アメリカのいわゆるNTSBと言われております航空安全の担当のところで、あらゆる角度から事故調査が現在行われているわけでございまして、もちろんこのペンの強度その他についても、その調査の対象ではあると考えておりますが、きわめて非公式でございますけれども、いままで得ております情報では、特にこの点が問題になっておるというふうには伺っておりませんので、その点もあわせて御報告申し上げます。
  31. 井上泉

    ○井上(泉)委員 航空安全推進連絡会議という会議が航空関係の労働者の間でつくられておるということは、御承知なさっておるかということが一つ。  さらには、くどいようでありますけれども、ただ、乗務員あるいは飛行機に乗る者、地上におる者、その労務者を管理する形で安全対策を考えるのではなしに、直接操縦桿を握っておる者、あるいは機体点検しておる者、そういう労働者の直接の意見を絶えず安全運航をする上において受け入れる用意がなくては、安全対策は実効が上がらないと思うわけですが、日航は外人のパイロットが非常に多いとかいうようなことがよく指摘をされ、私どもも新聞で承知してから日航さんにそんなに外人のパイロットがおるのかなとびっくりしたくらいです。日本の国技の相撲にも高見山という外人の関取もおるから、私は何も外人だからといって、これを否定するものではないのですけれども、こうした外人のパイロットと比較して、待遇条件だとか、あるいは国際的に見て、日航の従業員の労働条件とかいうものがいささかも遜色のない労働条件の中に置かれて勤務をしておるという自信といいますか、誇りというものを日航さんはお持ちになっておるのでありましょうか。後がありますので簡単に。
  32. 高木養根

    高木参考人 航空安全推進会議という、いわば航空労働者でつくられております組織がありますことは承知いたしております。  それから航空運送業というのは、たとえば商社なんかと違いまして、同じ技術部門でも地上の整備部門、飛行機を実際に飛ばします乗員の部門、あるいは同じ乗員でも飛行機を飛ばす意味での技術者としての運航乗務員でなしに、客室でサービスをしますところの客室乗務員という者もおりますし、販売に専念しておる従業員もおる、一方では、飛行場でお客様あるいは荷物をお扱いしている従業員もいる、そのほか一般の管理部門の人間もいるということで、いわば複雑な総合的な業務でございますので、先生からもお話がございましたように、私どもとしても、会社の全分野で働いておる職員同士、あるいは経営層と職員層の間の十分な意思疎通というものが、航空運送の安全のためにもきわめて大事な問題であるということは十分に承知しておるつもりでございまして、かねてそういう線で努力をしておるつもりでございます。  それから先ほど、最後に外人の機長についてのお話がございまして、特に待遇について、主として機長でございますので、日本人機長と外人の機長について待遇その他で大きな懸隔がない、自信を持って大体匹敵すると言えるような処遇をしておるのかという御趣旨と承わりましたけれども、これは一口に申しまして、多少の差はございます。ございますけれども、比較のしようによりましては、特に日本人の場合には、アメリカ人に対する給与の制度と違いまして、夏とか冬の臨時給与というようなものもございますので、年間収入というような点で比較をしますと、決して大きな差はない。あるいは比較の例のとりようによりましては、たとえばDC8のキャプテンにつきましては、外人の機長よりもむしろ日本人機長の方が年収においては高い例もあるということを申し上げて、お答えにしたいと思います。
  33. 井上泉

    ○井上(泉)委員 働く者にとりましては給料がその者の値打ちの評価になるわけなので、あなたの説明によると、そう心配するほどのことはないということでありますが、それが事実ならば私も安心をいたします。その点についての差異があるかどうか、外人のパイロット日本人パイロットの給与の違いをぜひ資料として出していただきたいと思うわけであります。  それから空港施設についていろいろ要望をされたわけですが、たとえば羽田空港では大型の格納庫が日航さんが二つと全日空が一つで、いろいろ整備をやっておるわけですが、いまの状態の中でジャンボとかDC10とかトライスター整備が十分に行われているのかどうかということも心配であるし、また東亜国内航空の場合は、ジェットの格納庫がないということを聞くわけですが、この点についても整備上、安全上問題ではないかと思うわけです。こういう点について問題があると言うたら大ごとだから、問題があるとはよう言わぬと思うけれども、東亜国内さんでは、格納庫がないことについてはどういうお気持ちか、なくても何ら不自由はないのですか。
  34. 大木良孝

    大木参考人 現在、東亜国内航空は、格納庫を東京に二つ、北海道の千歳空港に一つ持っております。東京の格納庫は、YS11のオーバーホールとタイムチェック用に一つの格納庫にドックを二つ持っております。それから、二番目の格納庫は、主としてDC9の、ジェット機のタイムチェック用に現在使っております。DC9のオーバーホールはまだ本年は発生しません。来年度以降になると思います。現在のところ、ジェット機としてはDC9を使っておりますので、現用の格納庫に入りますし、支障は来しておりませんというのが現状でございます。
  35. 井上泉

    ○井上(泉)委員 現在はそうだが、将来もそこまでのことの心配をする必要はない、こういうことですか。
  36. 大木良孝

    大木参考人 私が申し上げましたのは、現用機種においては支障を来しておりませんということでございます。  将来機種が変わりまして、大型機が入ってくる、DC9より大きいものが入ってくる、こういう場合には、また新たに別途考える必要があるかと思います。
  37. 井上泉

    ○井上(泉)委員 これまた日航さんにお尋ねするわけですけれども、日航さんに主として尋ねるというのは、前段申し上げましたように、日航さんが日本の航空会社の顔ですから、お尋ねするわけです。  羽田で乗員訓練センターをつくって乗員訓練を行っておる。それは現在のジャンボ機の乗員訓練と当初の訓練計画とは違ってくるのではないか、こういうように思うわけですが、この点についての不備はないのでしょうか。
  38. 高木養根

    高木参考人 ただいまの御質問にお答え申し上げます。  ジャンボの747を導入しました当初は、非常にベテランの機長以下乗員が移行したということもありまして、シミュレーター訓練が十二時間、実機訓練が六時間ということでやっておりました。しかし、現在は747への移行も大分ふえまして、シミュレーターで二十時間、実機で八時間というような訓練になっておりまして、国内、国際では差はございませんけれども、そういうことで、導入の当初に比べますと訓練時間がふえております。  それから、先ほど羽田の乗員訓練センターのお話もございましたのですけれども、先生も御承知でいらっしゃると思いますが、日本の国内では実機訓練というのはなかなかできませんので、乗員訓練センターとは言っておりますけれども、羽田で行っておりますのは、座学とそれから、CPTと私ども言っておりますが、コックピット・プロシージュア・トレーナーというもの、あるいは先ほどお話のございましたシミュレーター、こういうものについてあそこで行っておりまして、実機訓練は、アメリカに持っていきまして、アメリカのモーゼスレークという空港を使ってやっております。訓練のうちの定期訓練というようなものについては、これは審査も含みますので、東京とか沖繩で若干行っておりますが、主要な訓練はいま申し上げましたように、外国で行っているというのが実情でございます。
  39. 井上泉

    ○井上(泉)委員 だんだん時間がなくなってきましたが、国内航空の場合、私は高知、大阪の方を利用する方ですが、高知空港の場合なんかは一日に乗降客三千人以上ある空港なんですが、それにしては空港の安全施設というものが不備です。高知空港には全日空さんと東亜国内さんと一番入っておるわけですが、ジェットのところはいろいろ施設をするけれども、たとえばVORとかいうようなもの、その他誘導の施設とか全部ジェットのところへは備えるけれども、地方空港には——将来ジェットになるのが、ここ五年やそこらでジェットになるような見込みはないのですが、そういうまでの間にやはり地方空港整備、そういうローカル空港というものは地域の、過疎地の住民にとっては非常に重要な役割りを背負っておると思うのですが、こういう施設については、航空会社がどうというわけではないのですけれども、地方空港整備についてはもっと要求があってしかるべきだと思うのですけれども、これは飛ばしてやるという気持ちでやっておるのかどうか、ひとつその辺の見解を承っておきたいと思います。
  40. 清水教雄

    清水参考人 井上先生の御質問にお答えします。  おっしゃるとおりでございます。やはり地方空港はさびしいところがございますもので、その都度、毎年政府御当局には要望を出しております。今回は高知空港にもかさ上げをしていただいてグルービングもしていただくようなことを聞いております。あそこも先生御存じのように、拡張問題も起こっているものですから、その辺もぜひ促進願いたいと思います。  以上でございます。
  41. 井上泉

    ○井上(泉)委員 ここでは、きょうは拡張問題は言いませんが、そこで私は運輸省にお尋ねするわけです、運輸省は優秀な政務次官がおいでになっておるのですから。航空安全推進連絡会議の方から民間航空の安全を確保するための要請書、こういうものを出しておるのですが、あなたはこれをごらんになったことはあるでしょうか。
  42. 石井一

    ○石井(一)政府委員 実は率直に申し上げまして、就任いたしましてまだ数ヵ月でございますので、これを十分に拝見いたしておりませんが、本日質問の御通告がございまして、省内でこれを拝見いたしたというのが事実でございます。  これを通読いたしまして、なるほど働いておられる人々のお立場では、当然こういうことは御要求になるものだということがたくさんございます。運輸省としましては、技術部長がこれらの人々と四、五回直接お目にかかり、御要望を拝聴し、それぞれの担当者と現況、今後の対策等について説明をしておる。そうして、この御要望は非常に多岐にわたっておるので、貴重な意見として承って、今後行政上処置をしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  43. 井上泉

    ○井上(泉)委員 運輸は大変広範な業務でありますが、この航空関係につきましては、負傷とかいうようなことよりもむしろ死につながる事故ばかりでありますので、この航空関係の要求書の各項目につきまして、できるだけ早く回答をお願いすると同時に、同じく推進連絡会議からアンカレジの事故についての公開質問状が二月の七日に出されておるわけです。これも二月七日からもう四月近くなるわけですが、公開質問状ですから、これは早く明らかにすることが必要だと思うのですが、この質問状に対する回答というようなものは運輸当局としては一体いつごろされるおつもりであるのか。その点と、さらに同じく運輸大臣あてに、日本航空の地上事務系職員の乗務の研修制度の撤回を求める要請書というものも出されておるわけですが、こうした国民から要求があったものについては返事をするということが親切な政治の姿ではないか、こういうように思うわけです。この間田村運輸大臣は、高知の子供のはがきで阿佐線を早くつけてくれと言うたから早くつけますというようなことを言って、新聞で大々的に紹介をされたわけですが、こういうような本当に大事な国民的な課題にこたえる、住民側の国民を代表して出された要請書なりあるいはまた公開質問状等については、運輸当局がそれをふところへしまい込む、書類の中へ押し込むとかいうことでなしに、やはり回答をきちんと与えるということ、そこで解決できなかった場合には、回答が不満足であった場合には、その不満足な回答に対してはどうだ、こういうことで次の話し合いがなされ、それでだんだんそういうことの積み重ねの中に安全対策というものが十分に練り上げられてくるわけですが、こういう住民の要求というものに運輸省としては誠意ある態度で臨んでいただきたいと思うので、その点について再度政務次官の御見解を承っておきたいと思います。
  44. 石井一

    ○石井(一)政府委員 御指摘はごもっともでございますし、本日は各担当の部長も全員そろっておりますので、よく承ったと思います。私も帰りまして早急に答弁するべきものは御答弁を申し上げる、こういうことをお約束したいと思います。ただ私、素人としてあの要望を拝見いたしておりますと、雇用関係の問題、労務関係の問題等々たちどころに解決できない性格のものもたくさんあるようでございますから、中には中間報告なり基本的方針ということを示すにとどまるということもあろうかと思います。  それからアンカレジの事故に関しましては、詳しくは技術部長からお答えすべきでございますが、わが方としましては、直ちに調査員を二名派遣し、あらゆる措置はとっておるわけでございますけれども、まあ属地主義と申しますか、現在アメリカの調査にゆだねられておるという現状でございまして、それに対する正式の最終の報告というものがまだ来ておらない、こういう状態でございますので、われわれといたしましては、いまだその御要望に沿いかねておる、こういうのが現状かと思いますが、これもひとつできるだけ措置をとってみたい、こういうふうに考えます。
  45. 井上泉

    ○井上(泉)委員 まだいろいろと参考人の方には御質問申し上げたい事項もあるわけですけれども、私の時間が参りましたので、これで終わるわけであります。質問の過程の中において、あるいは御不都合な言辞を弄したかもしれませんけれども、それはひとつ航空の安全のためという国民的要求ということで御寛容をしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  46. 鈴切康雄

    鈴切委員長 次に、野中英二君。
  47. 野中英二

    ○野中委員 きょうは航空三社の皆様方には、大変お忙しい中を当委員会のために御出席賜りまして、厚くお礼申し上げる次第でございます。  各社がともに交通安全のために日ごろ大変御精進を賜っておりますその成果といたしまして、昨年は大過なく過ぎてまいったわけでございます。  そこで私は、交通安全の問題をハードの面とソフトの面で区別をして質問をいたしたいと思っておりますが、特にハードの面よりもソフトの面の方がこのごろの事故を顧みますと多いんじゃなかろうか、そういう気がいたすわけでございます。したがって、ソフトの面を主体として質問をしてまいりたい。  そこで、三社三様にお聞きしても結構なんでありますが、時間を省略するということで、日本航空高木参考人に質問をいたしますが、ほかの二社の方も対岸の火として、これはわが社のことではないというのではなくひとつ考えていただく、そういうふうに思っておるわけであります。  そこで、航空三社が口をそろえて飛行場の整備ということを言っておられましてまことに同感でございます。  その中でひとつ航空局の方に質問をしておきたいのであります。私、素人でございますが、三社ともにみぞ切りというようなことを言っておりましたが、これによってどれぐらい停止距離というものが短縮されるのか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
  48. 官川晋

    ○官川説明員 ただいま野中先生の方からみぞ切り、通称グルービングと言っておりますけれども、滑走路の長手方向に対しまして直角に凹字形のみぞを切っていくわけでございますけれども、これは米国において非常に普及しておりますし、制動効果に対して非常に効があるとされております。私たちの方も、これを本格的に使いましたのは山形空港、これは滑走路長が千五百メーターでございまして、ここへ全日空のB737ジェットを昨年から就航させたわけです。  このみぞ切りにつきまして、確かに制動効果はありまして、私たちの方は、当面米国での資料はいろいろ入手しておりますが、みぞ切りの効果は、むしろ滑走路長が短くて済むというよりも、方向性の維持ということと、それから雨あるいは雪が降った後よく起こる、英語でまことに申しわけないですけれども、ハイドロプレーニング現象という氷滑りの現象、この二つに対して非常に効果がある。目下のところは、先生の御指摘になりました、どのくらい滑走路長が制動効果によって縮まるかということは、まだ実際に資料が集まっておりませんので、現実の私たちの経験としてそれは考慮に入れておりませんので、いま言いましたとおり、方向性の維持とそれからハイドロプレーニングという、そういう事故防止に非常に役立つということで、すでに福岡空港あるいは松山それから引き続いて名古屋東京と続々とこれを実施していきたいと思っております。
  49. 野中英二

    ○野中委員 続いて運輸省の方に御質問しておきたいのであります。  この技能証明、この資格の問題でありますが、これには定期運送操縦士であるとかあるいは一等航空通信士、一等航空士、二等航空士だとかございますけれども、これはいまどれくらい発行をしておりますか、人数です。
  50. 官川晋

    ○官川説明員 人数の方はただいますぐ調べますので……。
  51. 野中英二

    ○野中委員 それでは、それはよけいなことだったのですから……。たとえば、一等航空士といっても、一等航空士の中にそれぞれ、トライスターを操縦する、あるいはDC8を操縦する、その資格があるんでしょう。
  52. 官川晋

    ○官川説明員 トライスターあるいはYSでもそうでございますけれども、通常操縦をいたしますのは定期航空事業用操縦士、これが操縦できるのでございます。それから、その次に上級事業用操縦士というランクがございますけれども、これがただいま申し上げました、定期航空などを使っております際に、通常、副操縦士が取得するものでございますけれども、必ずしも上級とは限らなくともいいということでございます。ですけれども、機長は定期航空事業用操縦士の免状を持っていなければならないということでございます。
  53. 野中英二

    ○野中委員 それは航空法第二十五条にさよう書いてございますが、私が質問したいのは、その後段であります。  この二十五条に、資格について「運輸省令で定めるところにより、航空機の種類についての限定をする」と書いてある。限定なされておられますか。
  54. 官川晋

    ○官川説明員 機種限定というものがついておりまして、そこで書いてあります定期航空事業用操縦士といっても、たとえばDC8あるいはB747とか、おのおのその機種によって限定を付与して、その限定を付与された者だけが操縦できるというふうになっております。
  55. 野中英二

    ○野中委員 そこで高木参考人にお尋ねを申し上げますが、おたくの操縦士は何名おられるのかわかりませんけれども、この機種別操縦士の人数をひとつお知らせ願いたいと思います。
  56. 高木養根

    高木参考人 お答え申し上げます。  まず、ボーイング747でございますが、まず外人の方から先に申し上げます。機長が五十三名、それからDC8につきまして五十九名、ボーイング727につきまして一人、合計百十三名、これが五月一日現在でございます。——ちょっとお待ち願います。
  57. 野中英二

    ○野中委員 それでは時間がもったいないですか  ら、ちょっと調べておいてください。
  58. 鈴切康雄

    鈴切委員長 参考人に申し上げます。資料で出してください。
  59. 野中英二

    ○野中委員 これでたとえばDC8から747に昇格するのか落ちるのかぼくはわかりませんが、その場合にはどれくらい時間がかかるものなのか、どういう資格が必要なんですか。
  60. 官川晋

    ○官川説明員 DC8の機長に副操縦士から昇格いたしますには大体一年半程度のものが必要でございます。それからDC8で機長をやった後、逐次DC10あるいはB747という機種へ移行するわけでございますけれども、この間の機長昇格は私もちょっと不確かでございますが、通常二、三カ月程度の訓練資格を取れる、そういうふうに存じております。  それから、先ほどの操縦士の数でございますけれども、日本航空日本人のB747は百三十七名、外人五十四名、それからDC8で日本人機長二百二十三名、外人五十九名、それからDC10につきまして日本人四十三名、外人はゼロでございます。それからB727につきまして日本人は十一名、それから外人は一名でございまして、そのほかにビーチクラフト、小型機を持っておりますけれども、これは日本人七名、計日本人が四百二十一名、外人百十四名というところでございます。
  61. 野中英二

    ○野中委員 そこで、この数字から見まして、大変日本航空外人機長が多いのでございますけれども、この外人機長採用に当たって、どういう基準で御採用になっておるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  62. 高木養根

    高木参考人 お答えを申し上げます。  ただいま御指摘ございましたように、日本航空には、機長につきまして約二割外人の機長がおるわけでございますけれども、この外人の機長採用します場合の一応の基準、これはいわば両面といいますか、人間的な面と技術的な面と両方ございまして、技術的な面でいいますと、DC8を操縦するその限定を持っておる者につきましては、  一応年齢は三十五歳から五十歳までの間の者、それから総飛行時間が七千時間以上、その七千時間以上のうち機長としての飛行時間が三千時間以上、それからDC8の機長の時間が千時間以上、なお、そのほかにジェット機の機長として二千時間以上、それから航空身体検査証明書の第一種を持っておるという条件。それからDC8の限定を持っていない場合には、年齢とか機長の総飛行時間、これは同じでございますが、大型の四発のジェットの機長時間を千五百時間以上持っておる者、これがいわば技術的な条件でございます。  そのほかに当然でございますけれども、やはり大ぜいの命を預ける機長でございますから、人間的にもりっぱな者でなければならぬということで、これらの条件に合った者でも、できるだけ会社責任ある者が会いまして、十分に人間としての試験をし、さらに状況によりましては、その前に勤務をしております会社等にいろいろな照会をする、こういうようなことをして、一応これはよかろうということになりましたならば、先ほどもちょっと話に出ましたモーゼスレークに行きまして、ここでローカルの試験をしまして、実地のフライト試験をしまして、それでいいということになれば一応採用して、それから訓練をしていく。  ですから、そういう外国で機長の経験を持っておった者でも、日本航空での外人機長として実際に就航ができる、乗務ができるということになるまでは、日航に入りましてから約八カ月のいろいろな訓練その他を経まして、その間に十分な審査を経て乗務を開始する、こういうようなことになっております。
  63. 野中英二

    ○野中委員 私は排他的に外人操縦士というものを考えているわけではないのでありますけれども、果たして日本人操縦士との和合あるいは日本人乗員との融和、こういうものが図られているのだろうか。それは習慣も違う、言葉も違う、そういう障害をどうやって克服なされていくか、そういう訓練をなされているか、そういうしつけをなされているか。  第二点としては、今後、外人機長を減少させて日本人機長をふやしていこう、将来は外人機長は皆無にしたい、そういうふうに考えておられるのか、この辺をちょっと確かめておきたい。
  64. 高木養根

    高木参考人 ただいま先生から二点について御質問があったというふうに私理解をいたします。  まず、第一の点でございますけれども、これは一面におきまして、この航空の仕事につきましては、いわば英語は国際語になっております。そういうことで、日本航空におきましても、操縦室内でのすべてのやりとりは大体英語で行われるということにもなっておりますし、特に、私ども国際線を主にしておりますので、日本航空乗員の皆さんは英語については相当達者でおられる。そういう意味で、融和をするのに言葉の上では特に支障はないというふうに考えておるわけでございます。  さらに、人員の配置上外人だからといって特別なことをしないで、結局それぞれの主席あるいは副主席の下に配属しております。そしてなお念のために、それぞれの室長の下にいわゆる補佐役と言いますか、英語でアシスタントディレクターと言っておりますけれども、経歴の古い外人の機長をそれぞれつけまして、お互いに融和するようにということで指導させております。  そういう意味で日本人と区別しておりませんので、いろいろな乗員の会合にはやはり外人も出てきて、お互いに忌憚なく話し合いをするように、また主席、副主席はそれぞれ自分の部下に配属された外人について、技術指導はもちろん、生活指導についても責任を持ってやるということで融和をさせるように努めております。  それから第二の点につきましては、私どもとしても当然と言いますか、やはり日本のナショナル・フラッグ・キャリアでございますから、できるだけ早く日本人機長に置きかえたいということはかねての考えでございます。  ただ、実際問題といたしまして現在、日本では機長の候補者を社外から採用するということは事実上できません。そういうソースがございません。したがいまして、社内で若い要員採用して、これをだんだんとセカンドオフィサー、コーパイロットというふうに仕上げまして、そして最後機長にする、こういうことでございますので、機長にするのに非常に時間がかかります。  それからなお、四十七年の非常に申しわけない連続の事故の後に、会社としましても、運輸省の御指導もいただきまして、結局、機長というのは、単にいわゆる技術的な基準を達成すればそれでもうすぐ機長にしてもいいということではなしに、やはりあくまで選ばれた者が機長になるのだという考え方で、人格的にも十分に日本航空機長となり得るという者を機長に育てていこう、こういうことも考えておりますし、あるいは機長を養成するためのいわゆる場というものも非常に限定がございますので、なかなか思うように日本人機長が仕上がってまいりません。  そういうことで、基本的には、できるだけ早く外人機長日本人機長によって置きかえたいということを考えてはおりますが、何せまだ百十名程度の外人機長がおりますので、これをすべて日本人機長で置きかえるためには、まだまだある程度の年数がかかるのじゃないかということを予想しております。
  65. 野中英二

    ○野中委員 全日空にちょっとお伺いしておくのでありますが、いま申されましたように、なかなか機長の人材というものが見つからない。そのときに、経営の合理化を図ろうということで、今度はトライスター以上の大型機をとにかく購入したいというので調査団を派遣する。これは要するに会社運営ということからいけばそれで結構でしょうけれども、人材がそろっていないのにやるという危険性はないのでしょうか。そのための人材養成というものはできておられるのでしょうか。
  66. 清水教雄

    清水参考人 野中先生の御質問にお答えします。  ただいまトライスター、ボーイング727、ボーイング737、YSというぐあいに段階を追ってやっているわけでございますが、トライスター乗員もいま、もう余っております。それからB2のキャプテンも余っております。B3も同じでございます。それからYSの方は少しウイークの点があるところは、B2、B3の古いキャプテンをYSにおろして、そのままやっております。それからまた副操縦士もたくさんおりますし、訓練生もまだ余っているような状況でございますから、早くこの方々を上げて時間を乗せたいというのが私の気持ちでございます。いま、副操縦士の方で、大体平均三十四時間かそこらだと思います。キャプテンも四十時間そこそこでございますから、訓練生飛行機に乗れぬで困っているような状況でございます。こういうわけでございますから、早くこの方々を満足させたいというのが私の気持ちで、何機選ぶかまだ決めておりませんけれども、次の機種を選んでも差し支えないと思っております。  以上でございます。
  67. 野中英二

    ○野中委員 日本航空の方からいただきましたこの資料の三ページに「運航管理者は、運航乗務員飲酒乗務を防止するため、飲酒の有無を確認する。」と書いてありますが、これは航空法第七十条によって規定されていることでありまして、当然のことであります。ただ、それをいかに確認をするかということが問題なんで、それをどうお考えになっているか、あるいはまた、それによって処罰をされた人がどれくらいいるのか、ちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  68. 高木養根

    高木参考人 お答え申し上げます。  この一月のアンカレジの飲酒事故、まことに申しわけないことでございまして、もちろんその前から、先生の御指摘もありましたように、法の七十条を基礎にしまして、会社でも飛行前の十二時間以内は酒は飲んではいかぬという規定をつくっておるわけでございます。  その後、さらにこれを徹底せしめるために、十二時間以前でも実際に飛行支障を生ずるような飲酒は認めない、許さないということに強化をしまして、それから単に飲酒だけでなしに、航空機運航支障のあるような状態では乗務をしてはいかぬということもさらに定め、それから乗員相互間で飲酒をしてないことを確認をし、さらに、みんながお互いに飲酒をしてないということを確認したことに機長がサインをする、署名をする、この署名をして、初めて運航管理者がその飛行機を出すことを認める、こういうことにしております。  それから、仮に飲酒について疑わしいというような状況が出てまいりました場合には、現在国内九カ所、海外二十八カ所に配備をしております。いわゆるアルコール感知器を用いまして実際に調べて、それで全然反応がないということであればよろしいのですが、反応があるような場合、すなわち飲酒しておる者が乗務員のクルーの中にあったような場合には、そのままでは飛行機は出さないということで、いわゆるディレーセットするなり乗員をかえるなりする、そういうことで従来以上に、もちろん基本は乗務員一人一人の自覚といいますか、自己管理ということが中心でございますけれども、その自己管理をいわば助長するというような形で、そのような規定を改めてつくりまして、それによりまして、今後いわゆる飲酒をして乗務するというようなことが絶対に起こり得ないように取り計らっておるわけでございます。  それから、なお過去において飲酒して乗務をした、あるいはしようとしたということで処罰をされた者があるか、こういうお尋ねでございますけれども、過去においてはございません。
  69. 野中英二

    ○野中委員 いまいみじくも高木参考人の方からアンカレジの問題を引例されたわけでありますが、一月十三日に日航の貨物機がアンカレジにおいて事故を起こした。そしてアメリカの運輸安全委員会においては、当座新聞で報じておりましたことは、機長飲酒運転である、こういうことを報じておりました。また最近では貨物の積み方がいけなかったんだ、牛の積み方がいけなかったんだというようなことも、われわれは仄聞をしているわけでございます。いずれにしても、事は、とにかく飛行機が落ちたことは事実、乗務員が死んだことも事実であります。とにかく、いわゆる日本の航空界の顔と言われる日本航空というものが、多くの乗客からもう乗るのはいやだと言われるだけでなくて、牛からももういやだと言われるようじゃ、もうおしまいだと私は思うのです。  こういうことで、私は、あえてこの安全性を強調する、ソフトの面から追及をしているわけでありますが、この間も実は羽田へ参りまして、このブリーフィング状況を見ましたけれども、あれで一体安全を本当に期せられるだろうか。あるいは乗務員相互間において確認をするということになりますが、これは友人同士が、おまえはこうだというようなことはなかなか指摘できない。そういうところに、私はその監督がどこまで行き届くかということに対する疑問を抱くのです。とにかく事故は再び繰り返さない、これが事故防止の最大原則です。その点について、もう一度確認をとっておきたいと思います。
  70. 高木養根

    高木参考人 ただいまの先生の御指摘でございますけれども、乗員同士、乗員というのは、この場合運航乗員という意味と拝察しますけれども、運航乗員同士であっても、お互いに運航乗員同士だから、まあまあというようなことはないというふうに私は信じたいのでございますけれども、さらに、あの事故以後、御案内のように、運航管理者というものにはっきり権限を与えまして、運航管理者が、先ほども御報告いたしましたように、機長がお互いに飲酒のあれはないということで署名をしない限り飛行機を出さない、こういうことで実際にその点での管理をやるわけでございますので、従来に比べればさらにその点は管理が厳重になった、こういうふうに申して差し支えないのではなかろうかというふうに存じます。
  71. 野中英二

    ○野中委員 もう時間がございませんで、特にハイジャックの問題については前田議員が質問することになっておりますので、時間がないので急いでやりますが、いまだにこのアンカレジの事故が判明しない。しかもこれはアメリカに単にお任せしているんだ、こういう運輸当局の考えでしょう。当時、私は非常に残念に思ったことは、とにかくこれだけわれわれが航空安全あるいは交通安全、こういうことを強調しながらも、あるいは運輸省は耳にたこができるぐらいに聞いているはずなのに、航空事故が起きたときに、航空事故調査委員会というものが、委員が一人もいなかったという事実は否定できますか。その後これを一体補充したのですか、お答え願いたい。
  72. 増岡廣行

    ○増岡説明員 お答えいたします。  若干経緯のようなものも入りますが……(野中委員「急いでやってくれ、つくったかつくらないか」と呼ぶ)二月の二十二日に再任がなされまして、現在は通常の状態になっております。
  73. 野中英二

    ○野中委員 こういうことは、運輸省、帰りがけに追い打ちするわけじゃないが、こういう委員がいない調査委員会などというものをつくっておいてはいかぬよ。びしっとやるべきことはやっておかないと、事故が起きたときには追及される。今後注意してください。  さて、次にお伺いしておきたいことは、井上さんが先ほども質問しておりましたが、大変私耳にすることは、団体旅行の運賃のダンピングということを聞くのでございますが、事実でしょうか、参考人にお聞きしたい。
  74. 高木養根

    高木参考人 ただいまの御質問でございますけれども、先ほども私、本当に残念、遺憾でございますけれども、御指摘のようなことがあるということを申し上げたのでございますが、部分的にございます。非常に残念でございますがございます。
  75. 野中英二

    ○野中委員 運輸省にお尋ねをしたい。  この運賃及び料金の認可、百五条、これはおたくで運賃を許可しているわけだな。そうですね。
  76. 小林哲一

    小林説明員 航空局で認可しております。
  77. 野中英二

    ○野中委員 この認可をしておって、こういうダンピングが行われていても、あなたは黙認しているの。
  78. 小林哲一

    小林説明員 まことに遺憾でございますけれども、特に東南アジア方面、チャーター関係で一部ダンピングが行われていることは事実でございます。私どもといたしましても、そういう事実をつかんでおりまして、なお調査をいたしておりますけれども、法律違反でもございますし、これが蔓延いたしますと、航空の安全にも響くことでございますので、できるだけ早くやめさせるように、これからも厳重に指導監督をいたしたいというふうに思っております。
  79. 野中英二

    ○野中委員 これは法律違反だと知っていてやらしておくのがありますか。百五条の二項の二号にも三号にも書いてあるんだ。しかも、特定の旅客及び荷主に対して不当な差別的取り扱いをしてはならないと書いてあるじゃないですか。差別待遇をやらしているのですよ。一般の乗客と、このダンピングを行って行った人の格差というものはどう大きいか、こういうことを考えると、すぐに是正させるようにしなければいかぬと思いますよ。これに返事は要らない、必ずやると答えるんだから。  私がいまこれを質問いたしましたのは、私は、本当言うと、安い旅客運賃でサービスをするというのがいけないということを言っているのではないのです。実はこれが交通安全につながるからであります。どう考えても、いま外人に機長を頼まなければならないというように、人材が払底している。しかも日本航空のごときは、マンモスの経営であります。人員がもう多過ぎて、どうやって管理していくかという人事管理の問題が大きいときであります。したがって、私は、いま幸いにして国鉄も評判が悪くて、航空会社はもうかっておって、どの会社の決算も黒字のようでありますけれども、経営者としてはこれに浮き浮きしてはならない、この浮いてきた、利潤を上げた金を、技術者あるいは人材の養成というものに使っていかなければならない、都合によっては、これを所得控除できるような財政措置を講じてまでもこの人材養成をして、そして交通安全というものを期していかなければならぬ、こう思うのでありますが、高木参考人にお伺いしたいと思います。
  80. 高木養根

    高木参考人 ただいまの先生の御指摘、私どももまことに心に強く感じるわけでございまして、これは何も航空に限らぬと思います。私どものような交通運輸に従事しておる者は当然のこと、安全については、何ものにも増して根本に考えなければいかぬことでございまして、ましてや航空におきましては、万一事故が起こった場合には、非常に大きな惨事になるということでもありますので、私ども、本当に身にしみてこの安全の問題に力を注ぎたいと思っておりますので、ただいまの先生の御教示は深く心にとめまして、今後も努力をしていきたい、このように考えます。
  81. 野中英二

    ○野中委員 大変お粗末な質問をいたしましたけれども、帰するところは、ソフトの面で安全を期するための万全を各社ともにぜひ尽くしていただきたい、こういうお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  82. 鈴切康雄

    鈴切委員長 次に、草野威君。
  83. 草野威

    ○草野委員 本日は、参考人の方々には、お忙しいところをおいでいただきまして、また非常に貴重な御意見を聞かせていただきまして、まことにありがとうございました。  先ほどからいろいろとお話を伺っておりまして感じますことは、飛行機の事故というのは、自動車事故と違って、一たん事故が起きますと、そのほとんどが全員死亡につながるという非常に危険度の高い事故でございますので、いままでのお話の中で、安全対策につきまして数々のお話を伺いましたけれども、この事故防止対策につきましては、これでいいというものはないわけでございまして、どうぞひとつこれからも安全運航ということにつきましては格段の御努力を、これは航空会社だけではなくて、関係者の方々一同にお願い申し上げたいわけでございます。  そこで、私がまずお伺いしたいことは、これは全日空でございますけれども、ことしの二月初めに、大阪空港の近くの上空におきまして、全日空機と自衛隊機が百メートル内外まで接近するというニアミスを起こした、こういうことがごく最近になりまして報道されたわけでございますが、まず、事故になったわけではございませんけれども、このニアミスという問題につきまして、全日空の方から感想なり、また運輸省当局に対する要望なり御意見なり、また全日空側のこれからの対策みたいなもの、そういうものがありましたら、お伺いをしたいと思います。
  84. 清水教雄

    清水参考人 草野先生の御質問に対してお答え申し上げます。  御質問の内容は、ことしの二月九日に大阪上空で発生した異常接近の状況及びその措置についてだと思います。  機長から提出された異常接近報告書の内容は、次のとおりでございます。  YS11型機、私のところで番号はJA八七八二というのですが、大阪−仙台便でございます。相手機はC46。大阪を離陸後、レーダー誘導により航空路ブルー10を高度一万三千フィートに上昇中、高度九千フィートを通過した直後の十四時十七分ごろ、C46を左前方至近距離に視認したが瞬間右方に飛び去りました。機長は、直ちにこの旨を東京コントロールに通報。当時の飛行視程は約一マイル程度だったと聞いております。  異常接近の防止対策として、会社はいかように考えているかという御質問については、当社としましては、空港周辺の空域及びふくそうしている航空路については特別管制空域とすることの促進をいたしております。二番目は、レーダーによる航空機誘導の強化。三番目は、有視界飛行方式によって飛行している飛行機についての情報提供等の支援の充実等が必要であると考えられるので、航空局に対しこの旨を要望しており、その一部は実現の運びに至っております。  一方、社内的には、社内刊行物等を通じ、操縦士に対して異常接近防止に関する教育を図っています。大体そういうところで、全操縦士に対してはこういうことがあったぞ、こういう処置もとったからということを通報申し上げておきました。  以上でございます。
  85. 草野威

    ○草野委員 幾らりっぱな施設や優秀な機器を備えても、それを取り扱うのは人間でございますので、その人間のちょっとした不注意のミスからどういう惨事にもなりかねないわけでございます。  そこで、運輸省の方見えていらっしゃると思うので、お伺いしますけれども、この事故につきまして新聞等で報道されていることは、東京の管制官のミスだということになっているそうでございますが、運輸省当局は、常々日本の空も米国並みになった、こういうことで、非常に優秀な機器に対する信頼を置いておられたと思いますけれども、今回のこの事故の場合には、管制官がコンピューターに情報をインプットする際に何かミスがあった、こういうことが新聞で報道されておりまして、私どももこういうことを新聞で見まして、本当に驚きました。こんなに優秀な機械があってもこういうミスが起きる。幸いにして直接事故につながらなかったからよかったようなものの、もし事故につながったら大変なことだと思うのです。  運輸省におかれましては、事故原因とか、そういうことについて簡単に全日空の方からお話がありましたけれども、この事件の詳細、またこれからの対策、このミスにおける処置、そういうものについてどのようにされたか、お答えいただきます。
  86. 官川晋

    ○官川説明員 まことにどうも申しわけなかったのでございますけれども、本年の二月九日、正確に十四時十九分、発生場所は六甲インターセクション北方四マイル。先ほど全日空清水社長が言いましたとおり、グリーン3とブルー10の交差するところでございます。ここにおきまして起こった事件でございます。  全日空七三三便、これは大阪から仙台へ向かいましたYS11型機で、もちろん計器飛行、IFRで飛んでおります。それから、片方のグリーン3を通ってまいりましたのが、美保から入間へ向かっておりました航空自衛隊のC46輸送機でございまして、これも計器飛行方式、IFRで飛んできた。  全日空機は、大阪空港を離陸して、航空路ブルー10を北上中、管制指示によりまして、六甲インターセクション上空で高度八千フィートから一万三千フィートに上昇を開始しました。九千フィート付近を上昇中、同一高度を航空路グリーン3に沿って東の方に向かって巡航中の航空自衛隊機と雲の中で約五百フィート、約百五十メーター以内の距離に接近したものでございます。  両機長からの調査の結果によりまして、東京航空管制部において、美保から航空路グリーン3経由大津に向かっておりました航空自衛隊機を、航空路グリーン4上を飛行中であると錯覚したことから、全日空機に対して、先ほど申しましたグリーン3上の六甲インターセクションでニアミスを起こしたという点が事故概要でございまして、その当時の飛行視程は一ないし二キロメートルでありまして、両機とも回避操作をとる余裕がないまま互いに通過した。接近距離は五百フィート程度であったと思われます。これは明らかにニアミスに該当いたします。  まことにどうも申しわけないことをしたわけでございます。この場所がたまたま東京航空管制部の管轄空域内でありましたけれども、航空路レーダーの範囲外にあったために、手動によりますストリップによるマニュアル方式により行われておったので、改善措置といたしまして、六甲インターセクションを管制上の特別な取り扱い個所といたしまして、同地点上空における航空機状況をより的確に把握できるようにするとともに、六甲上空を通過する飛行機については、すべて厳重に運航票を作成いたしまして、二度とこういうことが起こらないようにするということでございますけれども、先ほど先生おっしゃいましたとおり、管制官の方がグリーン4を通過していると、しかし実際はグリーン3を通過していた、この錯覚によったもので、当該管制官及び東京航空管制部に対しても、今後このようなことのないようにということは、厳重に注意をしておきました。
  87. 草野威

    ○草野委員 じゃ次に、伺います。  これは日本航空さんにお伺いしたいわけでございますが、今月の七日、羽田空港に着陸しようとしたキャセイ航空機と、それから日航機と見られる航空機、これがやはりニアミスに近い状態を起こした、こういうような報道がされております。  これは報道によりますと、今月の七日午後の九時ごろ、台北発羽田行きのキャセイ航空、トライスターでございますけれども、これが千葉県の大多喜町の上空でレーダーの誘導によって降下している最中に、前方から飛行機があらわれた、これが日本航空飛行機らしいということでございますが、幸いにしてこれも事故にはつながらなかったわけでございますけれども、キャセイ航空側の発表によりますと、高度差が約百五十メートルというような状態でございますので、キャセイ航空の発表をそのとおりとすると、これも完全なニアミスという状態になるわけでございますが、このことにつきまして、われわれもそれ以上の詳しい報告をまだ聞いておりませんのでわからないわけでございますので、日航さんの方から、この事故状況だとか、またこの問題に対する御意見だとか、そういうことがありましたら、お伺いをしたいと思います。
  88. 高木養根

    高木参考人 お答えいたします。  ただいま御指摘の、いわばニアミスといいますか、これにつきましては、実は日本航空機長の方からはその相手の飛行機を目視したということがございませんので、いわゆるニアミスに該当するようなこととしての報告がございませんでした。  そういうことで、後でそういう事実を知ったわけでございますけれども、ニアミスのようなことがあれば、会社側としても機長の報告に基づきまして、それぞれしかるべき処置をとっております。この件につきましては、ただいま申し上げましたように、日航側ではその相手の飛行機を視認しておりませんので、その事実をつかんでおらなかったわけであります。
  89. 草野威

    ○草野委員 そういうお話でございますけれども、何しろキャセイ航空の方では、突然目の前に約百五十メーターくらいの距離に飛行機があらわれた、こう言っているわけでございますね。日本航空としては、機長の方がそういうことを全然知らなかったか、わからなかったか、知りませんけれども、そういうことでございますので、これはやはりちょっと心配なんですね。なぜこういうことが起きるかということですね。  運輸省の方、この問題について、日本航空の側では、操縦士の人が全然その相手の飛行機に気がつかなかった、だからこういうことがあったかどうかも全然わからないということなんですね。この事実関係についてひとつ御報告願いたいと思うのです。
  90. 官川晋

    ○官川説明員 お答え申し上げます。  五月七日午後九時二分ごろ、キャセイ航空五五〇便、これは台北から東京に向かっておった飛行機でございますが、これが東京国際空港に着陸のため東京ターミナル管制所、これば羽田の進入管制所でございますが、これのレーダー指示によりまして降下中、御宿付近の高度約一万フィートにおいて前下方の雲の中からあらわれてくる他の航空機の降下を視認いたしまして、双方とも左旋回によって回避したという事件でございます。  それで、最接近時は、キャセイ航空の機長から、五月十七日に当方の首席安全監察官の方へ文書を持ってまいりましたけれども、キャセイ航空の言うところでは、水平距離で八百メーター、高度差は百五十メーターであったというような報告書がキャセイ航空の方から当航空局へ出されたものでございます。  私どもの方で調べました結果、相手機は、ただいま先生おっしゃいましたとおり、当時東京国際空港を離陸して上昇中の日本航空六二便、これは東京−ロサンゼルス行きでB747でございましたけれども、ただいま高木社長からありましたとおり、まだ、運輸省は直ちに、キャセイ航空から異常接近報告が届きましたと同時に、日本航空の六二便機長に対して、その事実の機長報告書を運輸省の方に提出するように目下求めておりますけれども、機長が帰ってきたのはたしか先週だと思いまして、それの結果について、まだ運輸省としては正式に報告を受けておりません。  それから、新聞その他でいろいろのことを言われておりますけれども、これもまだ調査中なので、結果としてはまだ出てきていないということでございます。ですから、ただいまのところは、出てきておりますのはキャセイ航空側からだけの報告書であるということで、調査中であるということであります。
  91. 草野威

    ○草野委員 調査中でまだ詳しいことはわからないというようでございますが、キャセイ航空の方でもまるきりうそを言っておるわけではありませんので、やはりこういう事実があったんじゃないだろうかというふうにわれわれは想像するわけですね。もしキャセイ航空側の報告が事実であったとした場合、これはやはり異常な状態なんですかね。また、どうしてこういうような状態が起きたのか、こういう状態が起きたということは、どういうところが手落ちなのか、こういう点についてひとつお伺いします。
  92. 官川晋

    ○官川説明員 先ほどの報告以外に、ただいま報告を受けましたところでは、その後管制機関で、当方の東京進入管制所で、ターミナル管制所でございますけれども、ここで調べましたところでは、レーダー誘導をキャセイ航空並びに上昇中の日本航空に対して行ったわけでございますけれども、現在までの状況では、キャセイ航空と日航機との間隔は約三・五海里あったということでございますので、先ほどのキャセイ航空の水平距離八百メーター、高度差百五十メーターというものからは大分大きな数字になっておりますので、それやこれや思い合わせますと、いままだ調査中で確言はできませんけれども、先ほどの高木社長の話だと、まだこの報告は正式に運輸省聞いておりませんけれども、日航側のキャプテンの方はそういうことを経験していない、視認していないという話だったので、ここのところはなお深く調査をしてみませんとわかりませんけれども、現在のところ、羽田のレーダーその他の記録を調べてみたら三・五海里両方の間に距離があったということでございます。
  93. 草野威

    ○草野委員 詳しい調査状況ばわかり次第また御報告をお願いしたいと思います。  次に、移ります。  これは騒音の問題なんですが、羽田空港へ着陸する飛行機ですが、モノレールの上空を越えて、そして住宅街に入り込む、これは完全な違反になるわけでございますけれども、この件について、昨年たしか夏から秋にかけて調査が行われて、その結果、約二割の飛行機がそういう違反を犯しておる、こういうようなことが発表になっております。これは気象条件が特に悪いとき以外はそういうような進入はしてはならない、着陸はしてはならないということになっているそうでございますけれども、ともかく去年の調査の時点におきまして、三百三十六機のうち六十六機、約二割がこういうような違反をしたというような調査結果が報告されておるわけでございます。この中には外国の飛行機ももちろん、それからまた国内飛行機も入っているそうでございますけれども、これは住民にとりましては大変な大きな迷惑になるわけでございますが、決められているにもかかわらず、なぜ再三こういうことが起きているのか。日航さんにひとつ代表してお答えを願いたいと思います。
  94. 高木養根

    高木参考人 お答えをいたします。  当社の機種はもちろん、ただいま先生御指摘のモノレールの内側に入らないようにということに  ついては、十分に承知しておるわけでございますけれども、私のこれから申し上げることが表現の仕方が、あるいは不適切であるかもしれませんけれども、機長を初め乗務員としましては、何といいましても乗客の安全ということをまず第一に考えますので、そのときの気象状況その他によりましては、もちろん可能なる限りモノレールの内側に入らないというアプローチの仕方を当然するわけでございますけれども、時によっては多少内側に入るということもあろうかと思います。その場合の基本的な考え方は、まず第一に飛行機を安全に、乗客を安全に飛ばせ、そしてアプローチをし、接地する、こういうことにありますので、その辺をぜひ御了承をいただきたい、そのように思います。
  95. 草野威

    ○草野委員 これはいまのお話にもございましたように、気象条件等いろいろな問題もあると思います。したがって、どうしても安全に着陸しなければならない場合に、そういう上空を通って着陸した、こういうことでございますが、この件につきまして運輸省側も航空会社にいろいろと警告を発しているそうでございますけれども、実際にいまのとおりであるのかどうか、いかがでしょう、その点は。
  96. 官川晋

    ○官川説明員 ただいま先生のおっしゃるとおり、羽田空港のC滑走路の北側15に向かって着陸する場合に、モノレールの内側で進入して着陸するということは、各航空会社、これは外国航空会社を含めまして厳重に警告しておるところでございますが、実際問題として時によって入る。主としてジャンボ機あたりが多いわけでございます。  私たちの方としましても、これにつきましては、やはり進入指示灯をさらによく整備して、パイロットの方々に対して無理のない飛行コースで飛べるようにするために、昭和五十二年度の予算をもちまして、羽田の東京国際空港の北側着陸に対します滑走路進入指示灯の設置を行って、より一層、地域住民の方々に対しても安全なように、かつパイロットに対しても安全なる操縦上の助けとなるようにする予定になっております。
  97. 草野威

    ○草野委員 この騒音問題は住民が一番神経をいら立たしている問題でございますので、これは航空会社につきましては、決められたことは決められたとおりに十分に守っていただきたい。これはお願いでございます。  この騒音問題につきまして、現在の羽田空港の過密ダイヤということで近々成田空港の開港という問題が控えているわけでございますけれども、この成田空港の問題につきましても、やはりいま一番大きな問題点は騒音対策のことであると思いますが、この成田空港における騒音対策ということにつきまして、特に航空会社の方でいま考えておられること等ございましたら、ひとつ伺わせていただきたいと思います。これは日本航空さんにお願いします。
  98. 高木養根

    高木参考人 お答えいたします。  実は、成田空港の場周経路その他、どういうふうに飛ぶかということについてはまだ決まっておりませんので、この飛び方その他について会社として、これは当然航空局でいろいろとフライトを行われまして、今後決められることになると思うのですけれども、そういうことで、現在のところ具体的にどうこうということを申し上げる段階に至っておりませんのですが、ただ、私どもとしては、いま先生も御指摘がございましたように、飛行場周辺の住民の皆さんにとっては、騒音問題というのは非常に大きな問題でありまして、当然のことながら、われわれキャリアとしても避けて通ることのできない非常に大きな重大な問題でございますので、大変抽象的なお答えになって恐縮なんですが、できるだけ飛行場周辺の住民の皆さんに御迷惑にならぬように今後努力していきたいということを申し上げさしていただきたいと思います。
  99. 草野威

    ○草野委員 時間がありませんので、次に行きます。  ハイジャック防止対策の問題でございますが、これは全日空さんにお伺いをしたいと思います。この防止対策によりますと、現在は第一種、第二種の十七空港におきまして航空会社がそれぞれ安全検査機器等設置して検査業務をやっておられるわけでございますが、この器材と要員の費用ですね。これについては、現在のところ国が二分の一補助するという体制でございますけれども、この防止対策、これからも完全にするということになれば、十七空港以外の空港でも当然必要ではないか、そのように思うんです。現在のところ、その他のローカル空港では金属探知器だけを設置しておる、こういう状態ですね。果たしてこれでいいのかどうか。やはり他のローカル空港についても、完全なエックス線の検査装置等含めてやるべきではないか、私どもはそのように思うんです。こういうものに対する御意見。また、そうしますと、当然要員や器材に対する費用という問題も出てくるわけでございますが、こういうものに対して、国に対して何か御要望がございましたら、御意見を伺いたいと思うんです。  それからもう一つ、日航さんに伺いたいわけでございますが、外国でのハイジャック防止対策、こういうものにつきまして、何か国に対する要望等がございましたら、御意見を伺わしていただきたいと思います。
  100. 清水教雄

    清水参考人 草野先生の御質問にお答えいたします。  先生がおっしゃるとおりでございます。私ども心配しているのでございますが、現在のところは、地方空港にはガードマンを配置いたしておりますが、そのほかに総代理店の職員を一応つけまして、それと一緒になってやらしているところでございます。御心配になっておるのは、ジェット機空港に使っているエックス線の問題も含んでおるんじゃないかと思っているのでございますけれども、この問題については御当局とも御相談し、また他の会社とも相談しなければいかぬところもあるものですから、相談して善処したいと思っておりますが、よろしゅうございますでしょうか。  以上でございます。
  101. 高木養根

    高木参考人 お答え申し上げます。  現在、私どもが寄港しております。外国の空港におきますハイジャック防止体制でございますが、ほとんどの国が、国の法令等によりましてハイジャック防止の体制が決まっております。そして、そういう制度がありながら日本よりも簡易であるというようなところは、現在私どもが寄港しておるところではございません。  ただ、バンコクだけは、こういう政府の手によりますところのハイジャック防止のための定めがございません。ございませんが、私どもが承知しておりますところでは、近いうちにこれは空軍がその仕事を受け持つようになるんではないかというふうに聞いておりますが、いずれにしましても、各地におきまして、大体日本におけるものよりも、程度として低い防止体制というのは全然ないということでございます。  そこで、先生から何か政府に対しての希望というお話でございますが、これは恐らくそれぞれの政府ということかと存じますけれども、場所によりますと、非常にやり方が厳重なために、飛行機がディレイをする可能性があるというようなことがございまして、お客様あたりから、そういう面に関しての苦情が出るというようなことがございますので、私どもとしては、飛行機の運航がスムーズに行われますように、防止のための施設、これについては、十分なものを政府として配慮していただきたいということを考えております。
  102. 草野威

    ○草野委員 時間が参りましたので、これで質問を終わるわけでございますが、先ほど東亜航空さんの方からのお話の中で、グルービングの問題とか、それから空港における消防体制の問題とか、お話しございました。  このグルービングについては、YS11型用の滑走路にも実施してもらいたい、こういうようなお話でございましたけれども、非常に効果があるというようなお話もさっき運輸省の方からもございました。全部一遍にというわけにもいかないと思います。まず、どこからこういうことを実施したらいいか、そういう点の要望がございましたら、ひとつお聞かせいただきたいと思います。  それからもう一点、消防体制について、いまこの白書を見ましても、かなりの体制がとられておるようでございますが、これらの消防体制ではまだ不十分ということであるのかどうか。もし問題があれば、具体的にこういう器材をもっとふやすべきだとか、またどこの空港の消火体制が不十分であるとか、御意見がありましたら、お聞かせをいただきたいと思います。もう時間がなくなりましたから、簡単にしてください。
  103. 大木良孝

    大木参考人 お答えいたします。  ローカル空港地方空港の施設につきましては、先ほど要望事項で申し上げましたとおりでございますけれども、とりあえず私どもは、三十九空港のうち十五空港がジェット機発着の空港で、その他はYS使用の千二百ないし千五百メートルの空港が大部分でございます。そういう意味で、少なくともジェット化できる状況にひとつ改善をお願いいたしたい。  それから、さらにグルービングにつきましては、たとえば地方空港では、島の台地の上に飛行場があるとか、そういうところが非常に多うございますので、安全を期する意味では、先ほど航空局の技術部長のおっしゃったような意味で、YS11の空港にもそういうグルービングを実現していただきたい、こういうことでございます。  それから消防体制は、特に地方空港におきましては、空港そのものに大きな消防施設がございませんで、町の消防署に依存するところが大変多うございます。特に離島においては、そういう傾向が多いわけで、町と空港と離れておる場合には相当時間がかかる、こういうことになりますので、そういう意味で、消防体制をぜひ強化充実していただきたい、こういうお願いでございます。
  104. 草野威

    ○草野委員 では、以上で終わります。  ありがとうございました。
  105. 鈴切康雄

    鈴切委員長 次に、青山丘君。
  106. 青山丘

    青山委員 まず冒頭、お尋ねしておきたいと思うんです。  近年、とみに航空機の安全性は向上しております。したと思います。しかし、いかに安全装置か多重化したと言っても、あるいはその装置が近代化、改善されたと言っても、依然として事故の原因の多くが人間の過ちによっているのではないか、その辺の御見解を冒頭、まず伺っておきたいと思います。
  107. 高木養根

    高木参考人 お答えをいたします。  一口に言えば、確かに事故の非常に大きな部分が人間の過ちによっておるということは、先生御指摘のとおりだと存じます。
  108. 青山丘

    青山委員 まず、日航さんにお尋ねをしておきたいと思います。  航空機が大型化して複雑化すればするほど、多くの人たちの協力が安全運航に必須なものとなっていくであろうと思います。日本航空では、国内の他社と違って、機長はすべて管理職だと聞いております。中でも外人機長を全機長のほぼ二割雇用しておられると聞いております。百十数名の外人の機長採用して、特にアメリカの多くの航空会社と同じように、セカンドオフィサー制をとっておられると聞いております。  このような体制で、人間関係をよくするために、これまで会社としてはどのような努力をしてこられたのか、伺いたいと思います。
  109. 高木養根

    高木参考人 お答えいたします。  先生の御質問には二つの面があるかと思います。  一つは、いわゆる企業としての全体の人的関係、人間関係というものがあるかと思うのです。これは、先ほどの他の先生の御質問の中にもありまして、私お答えしたことなのですけれども、航空運送事業といいますのは、確かに、たとえば商社のような仕事と違いまして、いろいろな方面で専門に働く人が一体になりまして、一つになりまして、初めてこの航空運送というものが実現できる、そういう意味で、運航乗員の皆さん、客室乗員の皆さん、あるいは整備に当たられる皆さん、あるいは販売に当たられる皆さん、あるいは空港において旅客、貨物を取り扱われる皆さん、あるいは一般管理人の皆さん、これが、たとえば運航の皆さんと整備の皆さんだけが安全に関係あるという、こういうことではなしに、やはり会社の仕事に従事しておる者みんながそれぞれ安全を肩にしょっているのだということで、みんなが本当に一致団結して、お互いに十分な相互理解のもとに信頼し合って仕事をしなければ安全に影響していくのだという意味で、全社的な人間関係、これをやはり確立しなければいかぬということを考えておりまして、そういう面でかねがね努力をしているつもりでありますし、今後もさらに努力を続けたい、このように考えております。  それからもう一つは、乗員の中における人間関係ということも先生恐らく御指摘になったのじゃなかろうか。といいますのは、先生は外人機長の問題を言われましたし、それから日本航空では、日本人機長は全部管理職にしておる、あるいは国内の他の二社と違ってセカンドオフィサー制度をとっておるというような具体的な御指摘がありましたので、そういう意味で、運航乗員の考え方における人間関係ということも先生御指摘になったと思いますので、その面で申し上げますと、まず、この外人機長と他の日本人運航乗員、これとの人間関係、これも先ほどちょっと他の先生の御質問にも出ましたことなのですが、私どもとしては、特に国際線も非常に大きな分野としてやっておりますし、それから航空用語というものが大体国際的にも英語であるというような面もありまして、乗員の皆さんには特に語学力というものを非常に重視をして、特に英語につきましては非常に重視をしておりますので、外人の機長と一緒に乗務をする他の日本人乗員の方、すなわち副操縦士あるいは機関士、セカンドオフィサーというような方が、外人機長と一緒になってクルーを組んで乗務をされる、そういう場合の人間関係、これにつきましては、技術的な面はもちろんでございますけれども、人間的な触れ合いという面でも、語学的に特に障害があるというふうには考えておりませんし、また外人機長日本人乗員の中に入ってくるという面でも、先ほど申し上げましたように、外人の乗員日本人主席、副主席の下につけておりますし、その上の室長に対しては先任の外人乗員を、いわゆる室長の補佐という意味でつけまして、十分に日本人、外人相互の間の意思疎通を図るということで、いろいろな会議、会合等にも分け隔てなく出席をしてもらって、お互いに意思疎通をするというような努力をしております。  それから、機長管理職にしておる考え方でございますけれども、これは私どもの歴史では昔はそうでなかったのですけれども、私どもの考え方として、特に機材が大型化してきたというようなことも一つの要因でございますけれども、何といいましても、いまや少なくとも百名以上、多ければ五百名になんなんとするお客様の命をお預かりして、発地から着地へお運びするというような、非常に大きな責任を持っておる機長につきましては、これば単なる操縦士ということでなしに、本当にいわゆる機長である、コマンダーであるという意味で、あるいはその預かります飛行機にしましても、いまや百億を超えるような非常に大きな資産でございます。こういうものを責任を持って預かるというような機長につきましては、これは当然管理職であってしかるべきだ、こういう考え方でやっております。  それから、他の二社と違いまして、セカンドオフィサーの制度を導入しておる理由でございますけれども、これはもう私ども導入しましてからほぼ十年ぐらい経過しておりますが、当時、ただいまのようなふうに大型機が急速に導入されてその分野が拡充していくであろうという判断を持ちまして、その大型機というのは単に飛行機が大きくなるというだけでなしに、いわゆる技術革新の本当の技術の最先端を行くような技術でつくられた飛行機でございますので、そういうことも加味いたしまして、できるだけ乗員になった最初の仕事から、すなわち、そういう意味でセカンドオフィサーということなんでございますけれども、早くこの大型機になれてもらうというようなこと、これが将来の、いわゆる飛行機をコマンドしていく上で非常に意味のあることではないかというような考え方から、このセカンドオフィサーというものを導入したのでございまして、私どもとしては、今後もそういうことでやっていきたいと考えております。
  110. 青山丘

    青山委員 外人機長との関係のことをちょっとまた繰り返させてもらおうと思いますが、具体的に人間関係をやはりよくしていかないと、人の協力が安全な運航に必須な条件になってきておりますから、日本人と外人との関係ももちろんありますし、日本人同士の関係もありますので、日航さんとしては人間関係をよくしていくためにこういう努力をしておるという具体的な努力の経過がありましたら聞かしていただきたい。
  111. 高木養根

    高木参考人 ちょっと、繰り返しになって大変恐縮なんでございますけれども、要するに外人機長、特に機長ですね。機長以外の外人の乗務員というのはごく数人にすぎません。これはフライトエンジニアあるいはナビゲーターあたりのごく数人でございまして、大体機長でございますが、この機長を、先ほど申し上げましたように、それぞれ主席乗務員あるいは副主席乗務員の下につけまして、あるいは室長の下にアシスタントディレクターということで、いわゆる室長補佐というようなことで先任の外人の乗務員をつけて、お互いの融和を図るというふうにやっておること。それから、いろいろな乗務員会議、会合に分け隔てなく出席してもらって、お互いに意思疎通をしてもらうということ。それから、特に、主席というよりは具体的には副主席ということになると思いますけれども、その副主席からそれぞれ配属されておる、自分の部下になっておる外人乗員に対して、技術上でも生活上でもいろいろ指導をしてもらうということが具体的な措置でございます。
  112. 青山丘

    青山委員 今後もそのような方針で進んでいかれるというふうに受けとめておきたいと思います。  それから、先ほど言われた外国人と日本人との関係、物の見方、考え方、風俗習慣、かなり違うのじゃないかと思うのですね。その辺の問題はいままで余りなかったのか。もちろんいまおっしゃったように、まず意思の疎通を図っていくために英語の語学力をうんとつけていく、そういうことによって、まず言葉での障害を取り除いていく、そういう努力。それから会議、会合に分け隔てなく出ていく。大体、外人の機長日本人乗務員との間の問題は、そのあたりでいいのかどうか、ちょっとお聞かせください。
  113. 高木養根

    高木参考人 お答えいたします。  基本的に申し上げますと、先ほどどなたかの先生にもお答えしたのですけれども、日本航空としても、最終的には、機長は全部日本人に置きかえたいということは考えておるわけでございます。これは一番望ましい姿でございます。  ただ、現在の、外人を二割も機長として働いてもらわなければならぬこの状況では、外人の場合、日本人と生活、風習その他考え方、確かに元来は違いがあるわけでございますから、それは決して無視することはできないので、むしろ逆に、そういうことがあるからこそ、その辺を考えて融和をしてもらうという努力をしなければいかぬということになるわけです。  そういうことで、これも先ほどもお答えしましたように、外人機長採用する場合にも、実際に一定の基準のもとに、その基準に合っている者にまず会社責任者が面接をして、日本人の仲間に入って十分にやっていけるかどうかというようなことも含めまして見た上で、実際に技量を見て、いろいろ訓練をして、実際に乗務を開始するまでは数カ月、ほぼ八カ月くらいは日航の中で訓練をするということをして、初めて乗務をするということになりますので、そういう意味でも、元来が外国人であって生活、信条、風習、慣習、いろいろなものが確かに違うわけでございますので、その違うところに注目をして、いかにうまく一体化し、融和してもらうかいうことで、必要があって当分の間はやはり外人機長はどうしても、日本航空としてはもちろんだんだんと減らしていくつもりではありますけれども、まだまだ相当の年数働いてもらわなければならぬ。働いてもらうからには本当に融和し、一体化して働いてもらわなければならぬという意味でそういう努力をしていきたいし、そういうことで効果は上がる、こういうふうに考えております。
  114. 青山丘

    青山委員 ちょっと横道にそれると、これはまずいのですけれども聞いておきたいと思うのですが、外人機長の資質という点ではどうなんでしょうか、日本人機長に比較して。これはもっと進んでいくと、例の事故のところにまで結びついてしまうので、そこまでは行かないようにしますが、資質の問題で、どのように受けとめておられるのか。
  115. 高木養根

    高木参考人 ただいまもお答え申し上げましたように、いわゆる技術的な基準で、これ以上の者でなければもう日本航空としては受け付けないよという、先ほど申し上げました、年齢で三十五歳から五十歳とか、それから七千時間の総飛行時間があるとか、機長として三千時間とか、そういういろいろな技術的な基準はありますね。しかし、その基準に合っておっても、会社責任者が面接をして話し合ってみて、あるいは過去の履歴は当然わかるわけですから、前にどこかの航空会社に勤務しておればその航空会社に照会をして、そこに勤務している間にどういうことであったかというようないろいろな人間的な関係を十分に調べた上で、技術的な試験をして一応採用して、その後数カ月訓練を重ねてということで、私どもとしては、十分にその資質を見た上で実際に働いてもらう、こういうことになっておりますので、その点については、少なくとも一般的には一応十分にチェックできている、こういうふうに考えております。
  116. 青山丘

    青山委員 運航管理者訓練について、ちょっとお尋ねします。  担当路線を実地に飛行して、その航路の特性を把握していかなければいけない。実際に運航してみて、そしてその航路の特性をつかんでいく。実際にその度合いがどのくらいの頻度になっておるのですか。
  117. 高木養根

    高木参考人 お答えを申し上げます。  この運航管理者につきましては、もちろん国家試験がございまして、その国家試験に合格した者のうちから会社試験でさらに決めるわけでございますけれども、その場合に、この仕事の性質上、当然担当する路線については、実際に乗ってみて勉強する、こういうことが必要でございます。ですから、その試験に合格して発令される場合には、やはり当然まずそれを一回やる。こういうことが必要でございますが、その後、少なくとも年に一回路線を飛ぶということでございまして、それから二年に一回は、自分の担当しております路線、これは複数であることがあるわけですけれども、その担当しております路線のいわば代表的なルートでございますね、これを必ずその片道実際に乗らなければいけない、こういうことで、その技量の保持、維持といいますか、そういうことをやっております。
  118. 青山丘

    青山委員 運航管理者が実際に操縦室内に入って、そして路線踏査をやっていくことが、パイロット運航管理者との相互の理解にきわめて有効だというふうに思うのです。パイロットからも、実際はこの地点に来ると、こういう気象条件がわりあい多いんだというような情報提供できるし、あるいは。パイロットとの人間関係にもきわめて有効な面が多い。そういう意味で、実際に運航させる、実際にその航路を踏査するという頻度を拡大していく必要があるのではないか。その辺の御見解はどうでしょう。
  119. 高木養根

    高木参考人 お答えをいたします。  確かに先生御指摘のように、実際に乗ってみる、乗ってみてお互いに意思疎通をするということが非常にプラスであるということは、まさにおっしゃるとおりだと思うのでございますが、現在のところ、ただいま御説明申し上げましたように、年に一回乗るということのほかに、現在やっておりますのは、確かに先生御指摘のとおりに、この乗員運航管理者との間の意思疎通、相互理解、これはもう本当に一番大事なことでございます。そういう意味で、実際に乗るだけでなしに、お互いに意見の交換のできる場というものをつくるということが大事だと考えまして、いわゆるライン運航懇談会、こういうふうに私どもで呼んでおるのでございますけれども、乗員とその運航管理者の間で月に一回定例に懇談会を設けまして、お互いに意見交換をするということで効果を上げておりますし、また地域的に、これは国内では年二回、海外では一回という基準でやっておりますが、運航管理者会議というものをやりますときに、これは運航管理者が主でございますけれども、そこにその地域担当乗員出席してもらいまして、また、その席で運航乗員運航管理者との間の意思疎通を図るというようなこともやっておりますので、私どもとしては、現在の年に一回の乗務でやっていけるのじゃなかろうかというふうに一応考えております。
  120. 青山丘

    青山委員 各社にお尋ねしたいと思います。  運航管理者重要性にかんがみて、信頼される運航管理者の姿、こういうものをどういうふうに受けとめておられるのか。
  121. 清水教雄

    清水参考人 青山先生の御質問にお答えします。  運航管理者は、飛行の開始、継続、変更または終了について機長と同一の権限を持っており、また、運航の安全確保に重大な責任を持っております。したがって、この職務についての技量、知識等、職務遂行の能力に関する教育には万全を期しておりまして、厳格な審査を行うとともに、識見等、人格的な要素も十分審査した上で、運航管理者として社内で発令しております。もちろんこれは国家試験を通った人でございますけれども、また別に社内でもそういうことをやっておるわけでございます。  以上の状況で、訓練審査充実とともに、運航管理基地充実、及び運航管理基地以外にも必要に応じ運航管理者等を配置し、運航管理者を補助する体制をとっております。先ほど先生の質問の中にありましたが、やはり飛行機には一緒に乗ってみなくてはわかりませんです。私も出張するときによく乗っておるのです。操縦席の中でいろいろな会話をやっているのですね。それを自分のはだで聞いて、やっぱりやるべきだと思っております。そういうぐあいに私もしておりますし、当然、運航管理者にもそういう職務を負わせてやらせております。
  122. 大木良孝

    大木参考人 わが社におきましても、運航管理者は、必要な技術的知識、技能を持っているほかに、人格識見としても十分適格であるということを必要条件にしております。  それから、先ほど日本航空の方に御質問のありました事項についても、当社においても必ず年に一回、担当の所管の地域、たとえば大阪なら大阪の駐在員は所管のルートを持っております。それに必ず搭乗する、それもコックピットの中に入って搭乗するということを励行して、実際にそれを生かしております。それから、そのほかに月に一回、各支店におきまして、わが社におきましては鹿児島、福岡、大阪、東京におきましてパイロット運航管理者と地上の整備責任者との間の会合を持ちまして、その月間の全フライトについての問題点を討議する、そういうことによって意思の疎通を図るということをやっております。
  123. 高木養根

    高木参考人 お答え申し上げます。  ただいまの点でございますが、これは恐らく他社でも同じでございましょうけれども、確かに運航管理者というのは、相当の経験とやはり信念といいますか、自分の業務については本当に責任を持ち、毅然として仕事をするだけの資質がなければいかぬというふうに思います。そういう意味で、国家試験に通るということは当然の条件でございますけれども、逆に国家試験に通れば、それでは運航管理者に発令するのかといいますと、そうではなしに、これはいわばミニマムの条件でございまして、国家試験に通った者のうちで、相当運航管理関連の仕事をし、人物的にもこれはもう十分に責任を持って仕事をしていけるというふうに会社確認をした場合に会社運航管理者としての発令をするということで、これは実際に細かく調べたわけではありませんので、過去の大体のことでございますけれども、まあ少なくとも八年ぐらい運航管理の関連業務をやって、しかも国家試験を通っておる者が初めて会社運航管理者として発令される、そういうことでやっております。
  124. 青山丘

    青山委員 その業務の一層の充実について、今後このような方策をいま考えているのだということがあったらお聞かせいただきたい。従来どおりやるのだということなら、一応きょうの質問としては、それでもいいのですが。
  125. 鈴切康雄

    鈴切委員長 どなたかありませんか。——ないようです。
  126. 青山丘

    青山委員 各社にさらに教育訓練についてお尋ねします。  実際にハイジャックに遭遇した場合に、運航及び客室乗務員に対する具体的な教育訓練はどのようにやっておられるのか、三社にお尋ねします。
  127. 高木養根

    高木参考人 これは要するに、いわゆる座学でも、こういう場合にはこうするということを当然教えておりますけれども、結局機内におきまして不審な人の発見ということがまず最初になると思うのです。不審な人の発見の場合には、客室乗務員にできるだけその人から目を離さないようにしてもらうということと、それから、時に応じて、いわゆるファースン・シートベルト・サイン、シートベルトを締めてもらうということで、なるべく自由に歩けない、動き回らないようにしてもらうというようなこと、そういうような注意をしまして、お互いに不審者に十分に注意をする、こういうことから始まりまして、状況によりましては、もちろんコックピットに連絡をして、それで御承知のように、私どもでも、コックピットは運航中は必ずロックをする、こういうことになっておりますので、そのロックをすることによってなるべくハイジャックのあれを避けるように、こういうようなことを配慮しております。
  128. 清水教雄

    清水参考人 青山先生の質問に対してお答えします。  私のところも、過去六件ほどハイジャックに遭いましたものですから、その都度いろいろと勉強させられました。それによりますと、当社において発生したハイジャックについては、その都度、事後において当該乗務員から事情をよく聞きまして、再発防止の処置を研究するとともに、ほかの会社ハイジャックについても、できる限り資料を収集し、乗務員に必要なものについては、全乗務員に周知するとともに、定期訓練時においても、これらの資料及びハイジャックの対応処置を含め教育を実施しております。  なお、今後ともさらにハイジャックについては、多種多様なものがあると思いますから、それをできる限り早く収集して、また訓練内容計画に織り込んで充実したいと思っております。  先ほど高木社長から申されたように、怪しい者があった場合は、スチュワーデスから機長に対してはすぐ連絡するようにいたしております。  以上でございます。
  129. 大木良孝

    大木参考人 お答えします。  ハイジャックが起こってからの処置についての教育につきましては、機長に対しては、運航規程において、乗務員は小細工を弄することなくできるだけ不法奪取者の希望に逆らわないようにしなければならない、こういうことを基本に、スチュワーデスに対しても、早くやはり気がついてパイロットの方に通報する。通報することについては、これは暗号がございまして、秘密の暗号によって乗員に知らせる、こういうことによって早く処置をする、こういう訓練日常いたしております。
  130. 青山丘

    青山委員 質問を終わります。
  131. 鈴切康雄

    鈴切委員長 次に、寺前巖君。
  132. 寺前巖

    ○寺前委員 航空局お見えになっていますね。それじゃ、きょう私お約束の時間も二十分だし、後ちょっと私仕事がありまして、汽車に乗らなければならぬ時間もありますので、せっかくお見えになっているから、各社の皆さんにぜひともいろいろお聞きをしたいのですが、明日監督機関でもあります運輸省に聞くことにして、せっかくの機会だから、どうしても聞きたいという点だけにしほらせていただいて、質問をしたいと思います。  第一番目は、この交通の特別委員会におきまして、従来三社の皆さんにおいでをいただいて検討をやったことがあります。それはモスクワで事故が起こる、あるいはボンベイで事故が起こる、そういうところから多くの犠牲者を出した。四十八年の四月十八日の当委員会で航空三社の社長、組合の参考人を呼んで質疑を行っております。  その議事録を読みますと、安全運航の問題について、当時日航の社長がこういう発言をいたしておられます。「弊社といたしましては、以上申し上げました諸対策推進いたしまして、運航の安全確保に万遺漏なきようつとめておりますが、同時に、事業計画の策定にあたりまして、これらの要素でありますところの人員計画、機材計画整備計画路線便数計画乗員配置計画等の諸計画の間に、あるいはこれらの実施体制との間に斉合性を保持するということを十分配慮いたしまして、特に予備機については、各機種グループごとに従来よりさらに余裕のある配備をする等の措置を講じております。」こういう発言がなされております。  そこで当時予備機配置というのがずいぶん問題になっていますが、当時問題になった四十七年から五十二年の間の予備機の配置というのはどういうふうに、確保のためにより改善がされてきたのか、一番たくさん使われておるところの日航、ボーイングの747の予備機率というのをひとつ説明していただきたいと思います。
  133. 高木養根

    高木参考人 お答えをいたします。  私どもライン外引当機、こう言っておりますが、五十一年度、昨年度の747のライン外機数がこれは平均しますので、端数がつくのですけれども三・一三機、こういうことで保有機に対します率で言いますと一四%、こういうことでございます。  なお、先生がただいま御指摘になりました四十八年度、これの数字かライン外機数としては三・七機ということで、ライン外引当機の保有機に対する率は二三・六%ということであります。こういうことでございます。  ただ、ライン外引当機がこういうふうに率で言うと減っておる、これは事実でございます。四十八年度と四十九年度につきましては、四十七年の、先生からも御指摘のありましたような重大な事故がありまして、安全対策一環としまして機材品質をどうしても向上しなければいかぬということで、改修等を集中的にやりまして、一部はアメリカに持っていきましてボーイングで、あるいはユナイテッドエアラインズで改修を実施したということもありまして、予備機を非常によけいにとったわけでございます。  その結果、そのように品質を向上しましたために、スクワークの発生率も非常に低くなりまして、したがってそのスクワークを処理するために必要な引当機はだんだんと減少させることができる、こういうことになりましたし、機材品質がよくなったためにいわゆる計画的な整備引当機、これもだんだん少なくすることができるようになったというようなこと、さらには、従来はいわゆるライン外引当機といいますか予備機で充当しておりましたところの六カ月ごとの定期審査、これのための機材というものも、最近は早朝六時ぐらいから羽田で実施をするということでライン外の引当機でもこれができるようになったというようなことで、確かに保有機に対するライン外引当機数からいいますと、率は減ってはおりますけれども、いわゆる予備機としては、実質的には十分に予備機としての役目を達成しておるというふうに考えております。  その結果がいわゆる定時出発率、これが一つの評価の手段になるわけでございますが、この定時出発率は非常に向上あるいは維持をしておりまして、747につきましても、最近はやってきましたDC10につきましても、ダグラスDC8につきましても、世界的な水準あるいはそれを超えるというようなことで、定時出発率も非常にいい成績をおさめております。そういうことで、私どもとしては実質的には予備機の保有につきましては、必要に応じてこれを十分に維持しておる、こういうふうに考えております。
  134. 寺前巖

    ○寺前委員 それでは具体的に聞きます。  ちょうど私も御縁があったのですが、去る五月十五日の夜でしたか、羽田空港においてグアムからパンアメリカン航空機がやってきて、そして着陸後滑走路から脱線し、芝生の上を約三百メートル走ってとまるという、あわや海に飛び込もうという事態が一機生まれました。別の滑走路では、当日シアトルからやってきたノースウエスト航空のジャンボ機が雨でスリップをして補助滑走路に突っ込んで、三十メートルほどオーバーランするという事故が発生しました。これは当日の新聞にも載っているところであります。この日、私はたまたまこの事態を知っておったわけですけれども、B滑走路もC滑走路も直ちに閉鎖されるという事態が生まれました。そこで、問題はこのときにちゃんと予備機があったのかどうか、事実はどうだったのですか。
  135. 高木養根

    高木参考人 お答えを申し上げます。  確かにそういう事実がございまして、たまたまそのときには、代替機として投入できる予備機はなかったということが事実のようでございます。
  136. 寺前巖

    ○寺前委員 だから、予備機問題というのは、先ほど非常に強調されたけれども、十分な体制がなかったら、そういう事態のあったときに定時発着はできないという問題も出てくるし、また飛行機の整備を無理してでも出してしまうという事態も起こり得る内容として、予備機問題は非常に重要だということで、前国会のあそこで討論された内容が現実にどう生きているのだろうかという問題としてちょっとお聞きした点です。これはまた監督官庁に後日聞きますから、この質問はこれで終わっておきたいと思います。  その次に、お聞きをしたいのは、先ほどから出ておりました外人機長の問題です。飛行機の安全性の上にとって、飛行機の中におけるチームワークというのは、非常に重要な位置を占めます。習慣が違います、言語が違います。団結をする上においては、非常にむずかしい問題の非常に重要な要素を占めている。そういうところから、外人機長問題についての日本人乗務員への切りかえという問題が長年やはり一つの課題になってきていると思うのです。  そこで、お伺いしたいのは、日本航空としては、外人機長問題について、いつまでにどういうふうにしていくつもりなのか、その計画を聞かしていただきたいと思います。
  137. 高木養根

    高木参考人 お答えをいたします。  先ほども他の先生方からの御質問にもお答えしたのですが、私どもとしては、基本的には、できるだけ早く現在の外人機長日本人機長によって置きかえたいという強い願望を持っております。しかし、先ほども御説明申し上げましたようなことで、なかなか日本人機長を数多く養成することができませんで、そういう基本的な希望を持っておりましても、かなりな時間がまだかかるということで、かつては大体六十年までにこれを置きかえるというようなことを考えておりましたが、実は余り細かいことまで御説明申し上げるのはどうかと思うのでございますけれども、私どもとしても機長の養成につきましても、航空御当局の御指導と御承認を得てこれをやっておりますので、そういう意味で、かねてから機長の養成の場を広げるということをお願いをしておりまして、これが私どもとしては近くお許しいただけるんじゃないかというふうに、ある程度の場を広げることを期待をいたしておりまして、そういうことになりますと、従来の六十年というのが二年ないし二年半ぐらい繰り上げることができるんじゃなかろうかというふうに考えております。
  138. 寺前巖

    ○寺前委員 そうすると、五十七、八年までに外人機長の解消を図る計画案を持って、そして一方、日本人の養成をやっていくプランの過程にあるんだ、そういうように理解してよろしゅうございますね。
  139. 高木養根

    高木参考人 五十七、八年というお話でございますが、大体五十七年の終わりか八年、こういうことでございますが、そういうふうに御了承いただいて結構だと思います。
  140. 寺前巖

    ○寺前委員 それは、そうすると政府の方で了解しているわけですね。そういうことで、いま先ほどの話を聞いていると、御指導がどうのこうのということがあったから……。
  141. 官川晋

    ○官川説明員 外人機長日本人機長に切りかえるという日本航空の件につきまして、その養成数それからいつまでというようなおおよその話は、技術部長の私の段階で、まだ口頭でございますけれども、聞いております。  ただし、やはりいろいろな試算のやり方によって、その年数については、私たちの方では確としたものはまだ持っておりませんけれども、先ほど高木社長から言われましたとおり、養成の場を広げるということは、すでに日本航空に対して、従来機長養成の場は日本本土上空というようなことでやっておったのを、東南アジア一帯に広げまして、養成の場はすでに日本航空に対していいということをやっておりますので、それによりまして、従来に比べて約三〇%増ぐらいの養成数ができると思うのでございます。
  142. 寺前巖

    ○寺前委員 せっかくでございますので、日本航空さんがいま解消しようという計画のプランについて、当委員会に資料としてお出しいただけるでしょうか。
  143. 高木養根

    高木参考人 ただいまそのように御了承いただいて結構だということを申し上げましたのですが、さらに細かく申し上げますと、これはあくまで事業計画との関連がございまして、いまも航空局の技術部長が言われましたように、養成の場を広げるということについては大体御了承を得たわけでございますけれども、今後の実際の機長の仕上がり数と、それから事業計画の関係で必要な数、こういうものがありますので、その辺について、そういう私どもとしての希望、考え方があるということは御了承いただいて結構なんですが、こういうことにつきましての資料につきましては、やはり監督官庁である運輸省を通じて御提出をしたい、こういうふうに考えております。
  144. 寺前巖

    ○寺前委員 運輸省は、もちろん検討してもらうのだからやってもらっていいと思いますが、われわれも非常に関心を持っておりますので、ぜひ資料としてお出しをいただいて、私たちの審議に御協力いただきたいというふうに思います。  最後に、先ほども質問が出ておりましたが、アンカレジ空港において発生した事件をめぐって、一面では機長がお酒を飲んでいるということがすぐに新聞紙上でばっと出ました。しかし、それが原因であるかどうかというものはまた別問題だというふうに言わなければならないと思います。そこで、また一つ出てきているのは、牛を運んでおるという問題をめぐって、牛の運び方の上の問題として問題はないのかということが一面問題になっているというふうに思います。  そこでお聞きしたいのですが、このDC8、日本航空さんが貨物機として使っておられるところの牛のばら積み空輸、この飛行機は牛のばら積みに耐えられるような、そういう設計でつくられているのかどうか、その点はどうなんでしょう。
  145. 高木養根

    高木参考人 お答えを申し上げます。  この貨物機、ダグラスのDC8でございますが、これが設計されましたときには、こういう牛のばら積みが行われるということは実は考えられてなかったと、こう思います。これは私の想像でございますが、思います。  しかし実際に、この牛のばら積みを行うに当たりまして、いろいろ重量とか、その重量をどういうふうに配分するとかということにつきまして、いわゆる積み方、ペンと言っておりますけれども、さくのようなものを中につくりまして取りつけまして、八カ所ぐらいに区分をしまして、それに何頭かずつ入れるというような積み方で、安全かどうかということについては事前に十分に検証されて、これは大丈夫であるという、こういう判断に基づいて行われておる、こういうふうにひとつ御理解をお願いしたいと思います。
  146. 寺前巖

    ○寺前委員 どこが判断をしたのか、それは知りませんけれども、そこでちょっとお聞きをしておきたいのは、この事故が発生したときにも牛の問題が問題になりましたが、あれ以後、何回牛を運んで、その間に機長の報告で異常があるという問題提起はなかったのかどうか。
  147. 高木養根

    高木参考人 お答えをいたします。  実は手元にそういう正確な数字がありませんので、非常に大ざっぱなお答えになるかと思いますが、実は牛を運んだ回数は全部で四十四回ということになっておりまして、あの事故の以後何回であるかということは、ちょっとここですぐにお答えできないのは申しわけないと思います。  それから、その牛輸送に関連しまして、いわゆる機長のレポートというものが確かに出ておるのがございます。しかし、その機長のレポートの中で、安全性に問題ありというレポートはございません。
  148. 寺前巖

    ○寺前委員 時間が来ましたので、残念ですが、これで質問を終わりますけれども、私はこれについては、四十四回おやりになったのをもう一度正確に振り返っていただいて、そして、もともと牛の輸送用としてつくられていない飛行機だから、それだけにちょっとでもパイロットが不安を感ずるようなことがあるとするならば、それはやはり全面的にメスを入れてもらう必要があるということの要望を申し上げまして、後は引き続いて、監督官庁を通じていろいろ検討してみたいと思います。どうぞひとつそのことを期待をしますので、お願いしたいと思います。  終わります。
  149. 鈴切康雄

    鈴切委員長 次に、伊藤公介君。
  150. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 航空の問題は、島国の日本にとっては、最近とみに大変重要な問題になってまいりました。私どもが羽田に参りまして飛行機を利用さしていただくたびに、こんな空の混雑の中で事故が起きないということが不思議なほど、私たち自身も大変な心配をしながら利用さしていただいているわけでございますが、きょうは参考人のそれぞれの皆さま方から、大変私たちにとっても貴重な、参考になる御意見をいただいてまいりました。また、各社からそれぞれの御要望をいただいているわけでございます。私どもで、また国の政策で取り上げ、あるいは強力に推進をしていかなければならない問題も、拝見をさしていただきますと、即、私どもが検討しなければならないような問題がたくさんあるわけでございますが、東亜航空さんからは要望書が具体的に文書で出ておるわけでありますけれども、全日空さんの方は参考人の御意見の中で出ていたようでございますが、もしできることでございましたらその要望を文書化して、ぜひ御提出をいただきたい、こうお願いをまず申し上げておきたいと思います。  日本が国際社会においていろいろな重要な位置を占めれば占めるほど、政治的な意味におきましても、ハイジャックという問題が非常に重要な課題になってまいりました。昭和四十八年八月に策定をされましたハイジャック等防止対策要綱に基づく乗客所持品検査ということが、現実にそれぞれの航空会社の中でどの程度行われているのか、適切に行われているのかどうか、それぞれの皆さんから御意見をいただきたいと思います。
  151. 高木養根

    高木参考人 お答えを申し上げます。  各空港におけるハイジャックの防止のためとっておる手段につきましては、御承知のように、結局関係官庁、航空局あるいは警察庁の御協力のもとに、われわれ定期三社が協力をしまして、いわゆる警備会社ガードマン、これは警備会社と契約をいたしまして、このガードマンによる手荷物検査あるいは金属探知器等によりまして、金属が身についておるということがわかりました場合は、お客様の御了承を得て、いわゆるボデータッチをするというようなことで、危険物を手荷物あるいは身につけておる物から探し出すということで、この防止に当たっておるわけでありますけれども、何にいたしましても、お客さんのお立場になれば、それだけの時間もかかり、あるいは体にさわられるということがありまして、必ずしも御愉快ではない、こういうことになると思います。  そういうことで、本当に有効に、完全にそういう意味の検査が行われておるかということになりますと、若干問題があるかと思いますけれども、しかし現在の許される範囲では、私どもとしては、かなり有効にこの検査が行われているというふうに考えます。     〔委員長退席、井上(泉)委員長代理着席〕  私どもの会社としましては、特に空港支店におきまして、私どもセキュリティーオフィサーと、こう言っておりますけれども、いわゆる保安担当管理職というようなものを各空港に配置をいたしまして、この者がそれぞれのゲートでの、ただいま申し上げました手荷物ないし身につけておられる品物についてのチェック、こういうことに対して、常時現場を巡回いたしまして、実際にその検査に当たっておるガードマン状況を一方で見ると同時に、これを指導する、たまたまお客様との間に何らかの問題が起これば、これの処理に当たるというふうにしております。また、たまたま巡回中でありまして、問題が起こったときに、そこにおらないというような場合には、その問題の起こったガードマンの方から連絡をすぐしてもらうようにしておりまして、そういうことで問題の解決に当たる、こういうふうにしておりますが、いずれにいたしましても、かなりの好成績を上げておるものと、こういうふうに考えております。
  152. 清水教雄

    清水参考人 伊藤先生の御質問にお答えいたします。  先ほど、日本航空高木社長から申されたのにつけ加えまして、私のところでは、幹線以外に地方空港も扱っているものですから、私の会社としては、このハイジャック防止対策要綱の趣旨に沿って、直ちに主要空港検査充実と効率化を図るために、検査機器としてエックス線の透視手荷物検査装置及び新型金属探知器を組み合わせセットとして、各空港状況により所要数を導入するとともに、安全検査業務警備会社に委託し、適確な検査実施することに努めています。また、その他の地方空港においても金属探知器設置し、検査担当者として代理店職員二名を配置し、乗客所持品検査を行っております。     〔井上(泉)委員長代理退席、委員長着席〕  特に多客期においては、次の空港では、以上の検査担当者に加えガードマンを増強、配置し、安全検査の適確な実施に努めております。特別に忙しいときに配置する場合は、秋田、富山、八丈、鳥取、米子、岡山、広島、宇部、高松、高知、北九州、奄美大島というところは特別に、またその都度配置しております。  一番問題になるのは、まことに言いにくいようでございますけれども、ボデーチェックが一番問題になるんじゃないかと思います。あれは非常にむずかしいところがあるのでございます。余り強くすればお客さんからおしかりを受けるし、それかといって、乗客の皆さんの安全を期したら緩くしちゃこれはいけませんから、その点に非常に気をつけてやらしております。その場合、私もよく経験することでございますが、ここは特別な交通安全の場所でございますから、特にお願いして申し上げたいのは、先生方ももしそういう目に遭ったら、おまえよくやっているなというところで御苦労と言うことをお願いできたらこれにこしたことはないと思うのですけれども、私の欲目かと思いますけれども、励みも出るかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  以上でございます。
  153. 大木良孝

    大木参考人 ハイジャック対策につきましては、基本的の検査要綱その他三社共同でいろいろ研究いたしまして、そのように実施しております。  わが社におきます実態並びに問題点その他について申し上げますと、先ほどの一番初めの前半の御説明で申し上げましたとおり、三十九空港のうち十四がジェット空港でございまして、あと一つ三沢空港は、六月に設備ができる予定でございますけれども、その他の二十四空港は、地方空港で設備が充実しておりません。これは先ほど全日空の清水社長のおっしゃったのと全く同じ条件でございます。  われわれとしましても、基本的の条件としては、ハイジャックが起こらないように徹底的に検査すること、これが第一番でございます。二番目に、お客様に迷惑をかけないように、不愉快な感じを持たれないようにしたいということ。それから三番目に、飛行機がおくれないようにする。  この基本三原則を守りまして鋭意努力しておりますけれども、いかんせん、地方空港におきましては現在のところ国庫補助はございませんので、現在、当社は六十四億の赤字で、しかも、航空機については償却年限も日本航空、全日空さんと比べまして非常に延長して十三年というような長い期間に償却年限を延ばして、そういうようなことで経営をしておりますので、鋭意努力をしておりますけれども、何分ハイジャック防止の施設を充実するためには費用が大変かかりますので、よろしくひとつ国の補助をお願いいたしたいと思います。  効果としましては、各空港とも、地方空港におきましては金属探知器と携帯用の金属探知器、この二つを置きまして、ガードマン並びにその代理店の人間あるいは当社の人間によりまして十分努力しておりますけれども、まだ不十分なところが相当あるように思います。  それから、特に繁忙期、これは年に四回決めております。八月一日から八月三十一日まで、それから十月一日から十月三十日まで、十二月二十日から一月十九日まで、三月一日から三月三十一日、この四ヵ月につきましては、特にガードマンの配置を増加しまして、万全を期しておる次第でございます。
  154. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 ハイジャックを事前にチェックするという意味でいまお話がございまして、金属探知器等の問題もございました、あるいは安全検査業務ガードマンに委託をしている、こういうことでございますけれども、空港において警備会社あるいはガードマン、それから先ほどお話ございましたセキュリティーオフィサー、保安担当責任者、こういう連携プレーというものが十分行き届いているのか、その警備会社に対する指導というものが十分適切にいっているのか、あるいは乗客との間におけるトラブルというような問題について十分管理が行き届いているのかどうなのか、御意見をいただきたいと思います。
  155. 高木養根

    高木参考人 お答えをいたします。  安全検査業務は、御指摘のとおりに、民間の警備会社業務委託契約を締結して実施されております。また、この契約は、検査系統の共用等の関係で国内定期航空三社の共同契約方式で行われております。そのために警備会社に対する指導というのは三社共同で、なおかつ、先ほど申し上げましたように、運輸省、警察庁という関係の機関の協力を得まして、定期的に業務研修会、これは本年は三月に実施しましたけれども、毎年年度当初で、いわば本社ベースといいますか、会社会社間ということで業務の研修会をやっておりまして、そこで全般的な指導、教育といいますか、あるいはこれを依頼するということをやっております。それが定期的に委託をしておりますわれわれが、いま申しましたように、航空局あるいは警察庁の御協力を得まして、実際に仕事をしております警備会社への業務指導、こういうことでございます。  同時に、ただいまも先生から御指摘がありました、実際のガードマンによるところの検査実施についての日常業務指導ということがどう行われているか、その連携がうまくいっておるか、こういうお話でございますが、私どもでは先ほど申し上げましたように、特に羽田の空港あたりではゲートの数も非常にたくさんございますし、一人ずつそこに張りつけるというわけにはとてもまいりませんが、そういった保安の関係の専任のセキュリティーオフィサーというものを任命いたしまして、これがゲートを順次自分の勤務時間中に巡回をして歩くということで、常時ガードマンによる検査状況というものを監督し、そして指導をする、こういうことをすると同時に、先ほどもちょっと申し上げましたように、仮にお客様との間に何かトラブルが起こったときには、その会社責任者としてこの問題の解決に当たる、こういうことで、いわば会社会社業務指導というものを定期的に行うと同時に、現場におきまして個々のガードマンの実際の仕事ぶりを、こういった会社担当者によりまして指導していくというような実態でございます。
  156. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 厳しい管理体制をぜひお願いを申し上げたいと思うわけでありますけれども、実は先ほどの質疑の中でちょっと触れられたことでありますが、フィリピン航空の羽田における事故が去る四月十八日にございましたね。たまたま実は私も当日福岡におりまして、福岡から東京に帰る飛行機の搭乗券を持って待っておったわけでありますけれども、私どもが事故が羽田で起きたということを知ってから、当初そうおくれないということでみんな待っていたわけであります。次の発表は十分後です、次の状況の発表は十五分置きですという形で、十五分、三十分ずっと待たせられて、六時間以上そのまま私ども皆さんと一緒にずっと待機をしているということになったわけでありますが、乗客の中からも見通しがわからないじゃないかという非常に激しい声が出たりして、とうとうその晩は全員福岡を飛び立つことができなかった。翌日も早朝というわけにいかなかったわけでありますけれども、こうした事故というものは、今後もないとは言い切れない。こうしたときに適切な処置が非常に必要だ。たとえば早い見通しをつけて、あるいは当日私ども十分な説明がないままに待たせられたわけでありますけれども、夜の作業というものが実際にできないのか、あるいは不可能であったのかという事実をもしおわかりでありましたらお聞かせをいただきたいと思いますし、それぞれの会社の皆さんに、今後こうした事態については極力適切な処置乗客の一人一人の方に伝達をしていただきたい、こういうことをお願いを申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。
  157. 高木養根

    高木参考人 お答えいたします。  ただいまのフィリピン航空の事故に伴います空港の閉鎖につきましては、これは私からお答えするのは、あるいは筋違いかと思うのですけれども、いま手持ちの資料なしで記憶だけで申し上げますので、はなはだ不確かで申しわけございませんけれども、結局機体の移動が非常に時間がかかったためにあのように、あれはたしか翌朝の十時ごろでしたかまでオープンできなかったということでございます。まあその辺が、足も何も全部取れてしまった、エンジンも飛んでしまったというようなことで、扱いが非常にむずかしかったのではないかと思います。  その辺につきましては、確かに先生御指摘のように、何ぼ何でも見通しが余りにもつかぬじゃないかということで、今後は、これはもちろん私どもだけでどうこうということではないのでございますけれども、関係者の間で十分に連絡をとりまして、あのような際にはできるだけ正確な情報を早くお客さんにもお伝えする、こういうふうにしたいというふうに考えております。
  158. 鈴切康雄

    鈴切委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  159. 鈴切康雄

    鈴切委員長 この際、昭和五十一年度交通事故状況及び交通安全施策現況並びに昭和五十二年度において実施すべき交通安全施策に関する計画について説明を聴取いたします。村田総務副長官。
  160. 村田敬次郎

    ○村田(敬)政府委員 昭和五十一年度交通事故状況及び交通安全施策現況並びに昭和五十二年度に実施すべき交通安全施策に関する計画について御説明いたします。  この年次報告は、交通安全対策基本法第十三条の規定に基づき、政府が毎年国会に提出することになっているものであります。  初めに、昭和五十一年度における交通事故状況について御説明いたします。  道路交通事故による死者は九千七百三十四人、負傷者は六十万人余であり、前年に比べ死者は九・八%、負傷者は一・四%の減少を示し、いずれも昭和四十六年以降六年間連続して減少しております。特に死者については、昭和三十三年以来十八年ぶりに一万人を下回りました。  鉄軌道については、運転事故による死傷者は二千三百七十一人、踏切事故による死傷者は千百三十人でいずれも前年に比べて減少しております。  海上交通については、海難に遭遇した船舶は二千六百六十五隻、死亡・行方不明者は四百六十七人で、これも過去五年間の平均を下回っております。  航空交通については、発生件数は五十六件、死傷者は五十六人でいずれも近年としては多い方でありましたが、重大事故はなく比較的平穏な年でありました。  このように交通事故が着実に減少してまいりましたのは、昭和四十五年に制定された交通安全対策基本法に基づき、国及び地方公共団体が交通安全施設の整備増強を初めとする各般の交通安全対策を強力かつ総合的に推進し、これに対し、国民もまた積極的な協力と自主的な活動を惜しまなかった成果であると考えられます。しかし、なお年間六十万人を超える死傷者を生じていることは依然として大きな社会問題であります。  このような状況にかんがみ、昭和五十一年度においては、交通事故の一層の減少を図るため、道路交通安全施設の整備を初めとする道路交通環境の整備、交通安全思想の普及徹底等を図ったほか、鉄軌道線路施設、信号保安設備等の整備踏切道の整備、港湾、航路等の整備航空保安施設等の整備など各般の交通安全施策を講じました。  次に、昭和五十二年度において実施すべき交通安全施策に関する計画について御説明いたします。  昭和五十二年度は、第二次交通安全基本計画の第二年度として、まず陸上交通関係では、信号機、道路標識、歩道、自転車道等の交通安全施設の整備、都市総合交通規制の推進踏切道の整備等を図るほか、交通事故から子供を守る母親活動の推進、シートベルト着用運動の推進、救急体制の充実等の施策を講ずることとしております。次に海上交通関係では、港湾、航路等の整備、船舶交通のふくそう海域での交通規制の推進、カーフェリー等旅客船及び小型船舶の安全な運航を確保するための施策を講ずることとし、また、航空交通関係では、航空保安施設航空管制施設等の整備推進等を図ることとしております。  以上のような諸施策により、交通事故の一層の減少を期することとしております。  これをもちまして説明を終わります。
  161. 鈴切康雄

    鈴切委員長 次回は、明二十六日木曜日午前九時四十分理事会、十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十一分散会