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1977-04-27 第80回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月二十七日(水曜日)     午後一時十一分開議  出席委員    委員長 鈴切 康雄君    理事 左藤  恵君 理事 野中 英二君    理事 井上  泉君 理事 太田 一夫君    理事 新井 彬之君       井上  裕君    石橋 一弥君       瓦   力君    北川 石松君       野田  毅君    前田治一郎君       井上 一成君    吉原 米治君       草野  威君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      室城 庸之君         防衛庁長官官房         防衛審議官   渡邊 伊助君         運輸省自動車局         整備部長    犬丸 令門君         建設省道路局長 浅井新一郎君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   広谷 干城君         警察庁交通局交         通規制課長   福島 静雄君         運輸省自動車局         保障課長    伊藤 嘉之君         運輸省航空局飛         行場部環境対策         第二課長    川井  力君         海上保安庁警備         救難監     山本 了三君         自治省行政局行         政課長     鹿児島重治君         日本国有鉄道自         動車局長    藤井 智明君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 鈴切康雄

    ○鈴切委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川石松君。
  3. 北川石松

    北川委員 交通対策特別委員会質問機会を与えられまして、深く感謝をいたします。  私は、政治は継続をしなくてはならないし、また絶えず進歩しなくちゃならないという見解の上に常に立ちまして、本日は、衆参両委員会が開かれているので、大臣出席がないということの一つ幸い性と、また各省のそれぞれのポストにおられる方が常に情熱を持って実施をされるという点について、皆さん方見解を聞く機会を得たことを非常にうれしく思うのであります。  去る四月六日に本委員会において質問をいたしまして、数日どころか三日目に再び落石事故を生じたということが新聞報道されまして、私はまことにびっくりすると同時に、これは今後よほどの対策を立てなくては、善意の第三者が天災ならざる人災といいますか、天災と人災のミックスの中で一命を失っていくというようなことがしばしば起こる形が生じては困るということを思うのでありますが、静岡県磐田郡水窪町の町道における国鉄定期バスのあの事故当局者はどのように把握しておられるのか、質問いたしたいと思います。
  4. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  御指摘町道白川線水窪町の落石事故でございますが、その前に、お話がございましたような一般国道三百三号線、岐阜県久瀬村の事故が三月二十三日にあったのに引き続きまして、十数日置いてこういう事故があったわけでございます。  このような事故発生防止をより一層強化するために、御指摘のように、四月六日には、衆議院の当交通安全対策特別委員会決議がございまして、その趣旨を十分踏まえて、再度道路管理者に、「防災対策の推進について」という通達を実はこの四月二十一日付で出しておりまして、所要の措置を講じてまいっておるわけでございます。  特に五十二年度予算の執行に当たりましては、昨年度、八月に実施いたしました総点検の見直し結果を十分に検討しまして、実情に即した対策を積極的に講じてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  5. 北川石松

    北川委員 当委員会が上越線の脱線事故、また、いまおっしゃった国道三百三号の事故決議をしたばかりのときに起きている。委員会でそんなに言われても、そのような問題はなかなか容易に防止できないのですという通り一遍の答弁で片づけられるとも思いまするが、こういう事故の絶滅を誓った政府——じゃ、通達を出したが、その通達に対する反響はどのようにあったのか、お聞きを申し上げたい。
  6. 浅井新一郎

    浅井政府委員 今回の事故は二つ続いたわけですが、これは原因としましては、今冬の異常豪雪による雪解けで岩が緩んだというようなことと、また、自然風化と相まって突然落下したというようなことが原因の一部であろうというふうに思うわけでございまして、共通したものがあるわけでございます。一連の事故というふうに考えておるわけでございますが、その間にいろいろ御審議いただきまして、今後の姿勢として、安全対策特別委員会からいろいろな御注意をいただいておるわけでございます。  その趣旨に沿って、十分今後の姿勢を強調する意味通達を出したわけでございますが、その中身といたしましては、一つには、決議文趣旨を十分に伝えるということで、これを添付いたしまして、その趣旨を十分解説して伝えるということと、今冬の異常豪雪等の影響によりまして新たな落石のおそれが予想されるわけでございまして、五十一年度に実施した総点検後の沿道状況変化等把握して、実情に即した対策を講ずるように配慮すること、それからもう一つは、特に定期バス路線でこういう事故が起こったわけでございますので、定期バス路線危険個所については、重点的に対策を推進するようにというような骨子の通達文になっておるわけでございます。これは、つい先日、四月二十一日付で出したわけでございまして、これに対する反響としては、まだ受け取っていないわけでございますけれども、この趣旨に沿って、五十二年度事業から対策を真剣に講じていくように指導してまいりたいと考えておるわけでございます。
  7. 北川石松

    北川委員 通達反響はまだ把握しておらぬということなんですが、どの地域、どの方面に大体何通ほど出されたのかというぐらいは、報告してもらっておいた方がいいと思うのですが……。
  8. 浅井新一郎

    浅井政府委員 通達は、あて先としましては、都道府県知事指定市の市長地方建設局長北海道開発局長沖繩総合事務局長日本道路公団総裁、首都、阪神高速道路公団理事長あてになっておるわけでございますが、ただ、都道府県に対しましては、管下道路管理者に対しても、この旨を周知徹底するように通達の中で付言してございます。
  9. 北川石松

    北川委員 いま都道府県知事指定市長管下道路管理者に出した、こういうふうにおっしゃっている。これについては、大体、こういう事前というものを防止する。同じように道路があり、同じように、日本の地形が昔からずっとそのままで来ておるところなのに、しかし昔は事故も少なかった、いまの方が事故が多い、こういうことは、一つ行政指導面において、建設省建設省だ、運輸省運輸省だ、農林省農林省だ、自治省自治省だというたてまえというか、縦割りというか、縦の連絡だけであって、横の連絡行政的な緻密さが欠けておるのではないかという憂いを持つ一人なのでありますが、いかがでございましょうか。
  10. 浅井新一郎

    浅井政府委員 御指摘のように、この種の事故頻度から申しますと、最近かなりふえてまいってきておるわけでございます。昔は比較的少なかった事故というふうには考えられるわけでございますが、これは、何と申しましても道路交通が非常に急増してまいってきているということから、そういう危険な山間部交通量もふえてまいっておりますので、落石頻度は同じでも、交通量がふえますと、こういう事故に遭遇するチャンスは当然ふえてまいるわけでございまして、そういうことから事故がふえてまいってきておるのだと思います。  しかし、それならそれで対策はもっと手厚く、むしろ落石頻度を抑えるようなことでやっていかなければならぬわけでございまして、私どもも、そういう姿勢で対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、御承知のように、日本山間部の地質というものは、非常に複雑怪奇でございまして、ほかの国にも見られないような変化の多いものでございまして、それに対する万全の対策というのは、まだなかなか十分なものができてないような状況でございます。私どもとしては、今後も点検等を通じまして、点検範囲を逐次広げることによって対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  行政の間の壁と申しますか、そういうようなことが何か原因になっているのじゃないかというようなお話でございますが、こういう問題につきましても、関連の部門、たとえば私ども建設省の中で言えば河川局砂防部でございますが、そのほか国鉄等も同じような問題を抱えているわけでございますので、十分連絡をとりながら、また技術の交換をしながら、対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  11. 北川石松

    北川委員 もちろん、交通が繁雑になって大きなバスが常時走れば、地響きといいますか、それの振動によりまして、及ぼすところも大きいと私は思います。前向きで対処してもらいたいと思います。事故原因となった約六トンの巨岩というのは、十メートルのところから落ちた、こういうように当時報道されておるのです。ここは果たして落石危険区域であったのかどうかということをお伺いしたい。
  12. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、今回の事故は六トンの巨岩が十メートル上の山腹から落ちたわけでございます。こういう事故が想像できたかどうかということでございますが、実は昭和五十一年度に実施しました総点検の際は、これは水窪町道白倉川線でございますが、——先ほど白川線と申し上げましたが、白倉川線でございます。この路線対象道路として調査されております。ただ、その結果、危険個所としましては、この路線で四カ所が確認されておるわけでございますが、当該個所につきましては、当時は危険個所としては判定されておらなかったものでございます。
  13. 北川石松

    北川委員 当該個所は、危険個所としてなにされておらなんだという点において、やはり対策がなかったと思うのです。しかし、私は、先ほども申し上げましたように、行政の横ということは、たとえば都道府県知事に出しておる、都道府県知事は、各都道府県知事管下にある各市町村に対して、こういう通達をもらっておる、各市町村においてもよろしく協力願いたいというところの動きをした都道府県があるかどうかということをお聞き申し上げたい。  ということは、たとえば十メートルも上から六トンの岩が落ちる。このところは落石が雪の解けるなだれとか、そういう現象の一つとして起きているとおっしゃっておるが、この地域は恐らく雪の関係はないと思う。ただ、冬、激寒零下何度になりました場合の土というものは非常にいてつくのですね。いてついて、土そのものの形を変えるのです。そして今度いてた土が常温に返ったときは、その土の粘り気というものは全くなくなって、ふやけてしまう。こういうことを昔の人はみんな知っておるのです。だから、山へ行くとか、あるいは道を歩きながら、あっ、ここの土はふやけておるな、ここに石があれば危ないなということで自分の善意の中で行動しておる。それを必ず実践しておった。そういうように、善意でそういう事故発生を防げるような空気を各都道府県でつくっていただきたいということをお願い申し上げたい。これに対してはどうですか。
  14. 浅井新一郎

    浅井政府委員 御指摘のありましたようなメカニズムで事故が起きるというケースは十分考えられるわけでございまして、凍結、融解が繰り返される間に岩の間にすき間ができるとか、それからそれを一応支えていた土の粘り気が確かになくなって、それが原因になって落ちるというようなことが当然考えられるわけでございまして、これは事故一つの大きな原因だと思います。  そういうものを従来経験的にいろいろ積み重ねまして、危険個所を判定することをいろいろやっているわけでございますが、これについては、やはり正直に申しまして、まだ点検方法範囲等については未熟なものがあると思います。こういう問題を契機に、従来やっております都道府県点検方法パトロールの仕方、危険個所の発見の方法等につきましては、ますます連絡をとりながら十分効果的な方法考えてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  15. 北川石松

    北川委員 過ぎ去ったことだから、時間を費やすのはなんだと思いますが、危険個所のようにかねてから予想されていたという個所がある。道路管理者あるいはバス運行責任者は、これに対してどのような対策考えておられるか。
  16. 犬丸令門

    犬丸(令)政府委員 運輸省といたしましては、バス事故防止のために、いろいろな対策のうちで特に道路状況把握というのは、このようなケースにおいてきわめて重要であると考えておりまして、従来から事業者の自主的な道路状況把握について指導してまいったところでございます。国鉄の場合におきましても、各自動車営業所におきまして、営業所長道路担当者指定いたしまして、道路状況把握に努めておるわけでございます。  この道路担当者の業務といたしましては、全路線を計画的にパトロールをして道路状況把握する、もしくは道路管理者との連絡を十分にとるということをいたしておるわけでございまして、特に風水害もしくは乗務員から異状があったといったような報告があった場合に、その都度また道路パトロール実施する、さらには、異状があれば道路管理者連絡をとって、場合によっては運行を中止するといったような措置を講ずることにしておるわけでございます。  そこで、当日の措置でございますが、当日、運行管理者は朝六時のラジオのニュースで、当日の朝は小雨でございましたが、気象情報を聞いておりまして、雨はそう激しくはないということを確認いたしております。しかしながら、点呼時点におきましては、落石注意の指示は出ていないけれども、昨夜から雨が降っておるから、その辺のところは十分注意して運行するようにということを言っておりますし、当該路線水窪−有本一〇一キロにつきましては、八時半から一時間にわたって道路パトロールをして、異状のないことを確認しておったわけでございます。  なお、事故が起きました一時二十七分、この時点で、当該運転手は朝一番の当該路線バス運行しておりましたところでございまして、事業者サイドにおけるところの路線状況道路状況把握という点につきましては、可能な範囲の努力はしておったと私ども考えております次第でございます。
  17. 北川石松

    北川委員 バス運行しておる運転手は、私は非常にショックであり、気の毒であったと思うのですね。そういう点で、こういうことを未然に防ぐということで先ほど通達を出したと言う。その反響はどうですかと聞いたって、まだ反響把握しておらぬと言う。じゃ、各都道府県知事に出しながら、知事は何ら実際の形に、行動に移していないと私の方は見ざるを得ない。こういう点について、時間がないので、また改めて委員会において、その通達を出された後の各都道府県知事のその後のこれに対する対処はどうされたかということは聞かしていただくことにしたいのです。  そこで、この中学生二名の死亡、十七名の重軽傷者ですか、これに対する慰謝というか、あるいはこれに対する損害賠償、こういうことについてどのようにされましたか、お聞き申し上げます。
  18. 伊藤嘉之

    伊藤説明員 お答えいたします。  今回の国鉄バス落石事故被害者に対する損害賠償問題の一つといたしまして、当該国鉄バスに付されております自賠責保険の支払いという問題があろうかと存じますが、今回の事故原因等具体的な事実関係につきましては、目下警察当局におきまして調査中でございますので、その調査結果を待ちまして、早急に自賠責保険の適用について判断いたしたいというふうに考えております。
  19. 北川石松

    北川委員 前途有為な中学生ということを思うときに、やはり政治責任ということを皆見るであろう。厳正な、しかも情のある政治というものが、そういう被害を受けた人たちに、私は、形になってあらわれなくちゃならぬと思うのです。こういう点において、その責任ということにおいてのはっきりしたところの把握警察庁はしておられるかどうか、お聞き申し上げます。
  20. 広谷干城

    広谷説明員 お答えいたします。  事故原因につきましては、現在、関係者の取り調べを一応終わったところでございますけれども、何分にも落石という事故でございますので、落石がなぜ起きたかという点につきましては、これは科学的な鑑定を待ちませんと、その原因を追及することができないわけでございます。  そういう意味で、現在、落石原因につきまして専門家鑑定を依頼いたしておりまして、その結果が出るのを待っておるところでございます。ただ、科学的にこれを鑑定していくと申しましても、いろいろな作業があろうかと思いますので、なおしばらくの時間が必要かと考えております。
  21. 北川石松

    北川委員 落石原因について、いま警察庁調査していると思うのです。やはりいろいろな科学的な面から、真実の上に立った判定がなくちゃならぬと思いますので、時間を要することも必要であろうと思いますが、なるべく速やかに私はこの被害者たちに補償の処置を講じていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  以下足らざるは、次の機会にお願いをいたしまして、先日の四月十八日に東京湾を視察いたしまして、船舶規制、特に東京湾日本一のふくそうをきわめておる、航行の安全を期するための視察をしたのでありますが、これについて、いろいろの角度、いろいろの形で東京湾海上交通指導、そういうところの機構を見せていただいたのでありますが、観音崎レーダー、これに入ってくるところの交通規制のでき得る範囲内、またそれ以上に必要であろうというものが私はたくさんあると思うのであります。つまり本牧に装置をしなくちゃいかぬ、そういう点において当局はどういうふうにお考えであろうか、一応所信をお聞きしたいと思います。
  22. 山本了三

    山本説明員 東京湾に入ります船舶の安全に関しまして、海上保安庁は常にその危険性に思いをいたしまして、いろいろな施策を講じております。  その一環といたしまして、四十五年から観音崎情報機構というものを考えまして、レーダーを含む海上安全のための施設整備を開始いたしました。  現在のところ、観音崎レーダーを中心といたします船舶航行状況把握が可能な施設を完備いたしましたけれども、この範囲はおおむね湾口から本牧を含む地点まででありまして、いわゆる東京湾南部に該当いたします。東京湾の安全といたしましては、もちろん東京湾全体をカバーする、そういった施設の完備が必要でございます。  そこで、海上保安庁といたしましては、数年前に、横浜港に入港いたします船舶管制のために、本牧本牧レーダーを設置し、それから川崎には川崎港に入ります船舶管制のために川崎レーダーを設置いたしました。この本牧レーダー観音崎の方に映像を引き込むといいますか、そういうことをいたしますと、大体東京湾の中部がこのレーダーによってカバーされます。したがいまして、そういう設備をいたしますと、大体東京湾の三分の二ぐらいがこの管制センターコントロール下に入る、そういうことになります。  その後、東京湾の北の浦安にもう一つレーダー局をつくりまして、これが完成いたしますと、東京湾は一応全部必要な情報観音崎に入ってくる。したがいまして、東京湾に入ります船舶に対して、必要な情報が与えられるし、必要な管制の仕事ができる、そのようになろうかと考えております。
  23. 北川石松

    北川委員 いまの構想をお聞きいたしまして、その時期を大体いつごろにする考えを持っておるか。またその場合、管制対象船舶がどういう内容のものを管制できるのか、そういうことをお聞きしたい。
  24. 山本了三

    山本説明員 本牧レーダー観音崎に引き込みますのは、五十二年、本年度いっぱいでそういう作業をやろうと考えております。それで浦安レーダーにつきましては、これは設置場所関係等ございまして、五十四年度になろうかと思います。したがいまして、東京湾海上交通センターが一応あらゆる設備を完了するのは、もう一つおくれまして、五十五年度いっぱいになろうかと、いまのところは考えております。  なお、こういうことをやりますと、一応現在のところ、私ども管制対象といたしておりますのは、長さが二百メートル以上の巨大船並びにこれに準ずる船舶ということでございますが、近くこれを一万トン程度までには引き下げたい、そういうことを考えております。最終的に私ども考えておりますのは、三千トンまでの船舶を一応この交通センターコントロール下に置こう、そういうことを考えております。
  25. 北川石松

    北川委員 東京湾の船が大体いままで私が承ったところによりますと、三十七万隻というようにお聞き申し上げておるのです。そのうちの三五%が千葉港と東京港に入港する、こういうように聞いておるのですが、いま構想の中で、大体二百メートルの巨大船が入ってくる、ところが、だんだん一万トン、三千トンまでを管制集中の中に入れていきたい構想を持っている、こういうようにおっしゃっておる。五十四年度に大体完成をしたいと言われると、いまから三年後なんですね。  そうすると、三年後にやはり観音崎本牧浦安という形で、東京湾南部、北部を完全に掌握されるということが大切だと思うのであります。そういう点を考えましたときに、予算措置ということはやはり必要だと思うのですね。予算がなくては実現ができませんので、その点の予算についてもどのように考えておられるかということをお伺いしたいと思います。
  26. 山本了三

    山本説明員 海上交通センターに必要な予算措置でございますが、先生指摘のとおり、海上保安庁としては、相当な金額を必要といたします。四十五年から五十一年度までにわれわれが一応必要といたしました金額は約二十一億でございます。  それで、これから先、本牧レーダー観音崎に引き込み、かつまた、浦安レーダー局をつくり、あるいは東京港のいわゆる港内の管制用設備あるいは千葉港の管制用設備、こういったものを完成いたしますと、約二十六億から七億程度予算を必要とすると思います。相当多額の予算になりますけれども海上保安庁としては、極力この線に沿って努力してまいりたい、このように考えております。
  27. 北川石松

    北川委員 いま、二十数億の予算を必要とする、こういう見解を承ったのでありますが、来年度にやはり大幅に予算計上をしておかなければ、大体五十四年度と言うと、いまから三年向こうである。いま十三万隻が千葉東京へ入っているのですが、これは日本一のふくそうする港と言われておりますけれども、まだまだふえると思うのですね。  そういう点で、設備がだんだん実際よりおくれていくということが、今日までの政治の形で随所に、この問題ではなく、いろいろな地域でもあらわれておるのですね。飽和状態になってしまう。でき上がったときはもう過去のものになっていくということのないようにということを思いますときに、どうしても早くこの計画を実施の形に持っていきたい。そういう点で、当局者は、鋭意予算措置についても前向きで努力していただきたいと思いますが、どうでございますか。
  28. 山本了三

    山本説明員 先生の御趣旨に従って、海上保安庁としても努力してまいりたいと思いますが、先ほど御答弁申し上げました浦安レーダーでございますが、予定いたしております場所が現在まだ埋め立て中でございまして、そういった関係で五十三年度いっぱいはその土地ができ上がるのに必要であろう、そのように考えております。したがいまして、機械的にどうしても五十四年度ぐらいになると考えておりますが、なるべく早く完成させたい、そのように考えております。  なお、先ほど私ちょっと答弁を間違えておるところがございます。本牧レーダーは横浜港の管制用と申し上げましたし、川崎レーダー川崎港の管制用と申し上げましたが、本牧レーダー川崎はリピーターで引き込んでコントロールしている、そういうことでございますので、同じ本牧レーダーが横浜にも活用され、川崎にも活用されておる、そういう実情でございますので、訂正いたしておきます。
  29. 北川石松

    北川委員 日本一のふくそう地帯である浦賀水道中ノ瀬航路というのは、現在では大体いまの流れの中の規制ができる、あの視察させていただいたコンピューターというか、名前がちょっといますぐ出てこないのですが、すばらしい近代的な計器を、これは委員長と一緒に見せていただいて、非常に感慨を深くしたのですが、これがやはり完全に生かされるように、今後、浦安本牧も鋭意実現に努力するところの処置を前向きでやっていただきたい、このように思います。  と同時に、いまたまたま東京湾のことを質問申し上げ、お願いしておるのですが、西の方に行きますと、大阪、神戸、瀬戸内海、あるいは明石海峡、これは私たち常に目の当たりに見ておるところなんですが、非常なふくそうを呈しておる。これに対してどういうお考えを持っておられるか、あるいはどういうビジョン、どういう構想を持っておられるか、お聞き申し上げたい。
  30. 山本了三

    山本説明員 先生指摘のとおり、ただいま東京湾に出入港いたします船舶の安全のために、観音崎海上交通センターを設置して、その整備を図っておるわけでございますけれども東京湾に次ぎまして船舶がふくそうし、あるいは危険物等が多数運航されておるというところは、地域的に見ますと、備讃瀬戸から水島航路に入るあたりが恐らく東京湾に次ぐのではなかろうか、このように考えます。また、大阪湾、大阪港あるいは明石海峡、それに伊勢湾に入ります伊良湖水道、こういったところも、備讃−水島に次ぐ船舶のふくそうし、あるいは危険な海域であろう、そのように考えております。  私どもといたしましては、東京湾でつくります情報機構といいますか、交通センターといいますか、これがある程度完成いたしますところで、よく検討いたしまして、やはりこういったものが必要である、こういったものがなければ、さっき申し上げたような海域における交通の安全は確保しにくいというような見解に到達いたしますれば、これまた当然にそういった海域にもそういったものをつくるように努力していかなければいけない、そのように考えておるところであります。
  31. 北川石松

    北川委員 いま大阪湾、瀬戸内または伊勢湾の交通の安全性に対して答弁を願いました。大変うれしく思いますが、これは実施の形に持っていっていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思うのでございます。  次に、これはもう皆さんも御承知のとおりに、最近わが国は、領海法及び二百海里問題で、いかにして日本の領海また二百海里を完全になし遂げていこうかというところの問題が論議されておりますが、この二百海里法がなにされますると、対象海域というのは約三百八十万平方キロとなって、日本の領土の十一倍に達すると言われておる。これをいかにして海上保安庁が警備管理体制をとられ、そしてやっていくためには——現在、巡視艇は二百十五隻、また巡視船九十五隻、航空機三十四機ということは運輸委員会でもよく言われておるのですが、現在、海上保安庁の持っておる、事をなし遂げるだけの現有勢力と言うと変でありますが、三海里時代のそれだと思うのでありますが、考えも及ばなかったものが突然出てまいったと言っても過言でないと思うのです。二百海里時代に対処していくためには現在の形で十分であろうか。であるならば、どういうお考えを持っておられるかをお聞きしたい。
  32. 山本了三

    山本説明員 領海が三海里から十二海里に拡大され、漁業水域二百海里が設定されますと、領海警備あるいは漁業水域の警備、こういった仕事が相当大きな量の仕事になろうかと思います。海上保安庁といたしましては、先生指摘のとおり、現在のところ、巡視船が九十五隻、巡視艇二百十五隻、合わせまして船艇が三百十隻であります。航空機は三十四機。これだけの勢力で、現在海上保安業務を遂行いたしておるわけでございますけれども、ただいまのような状態になりますと、そういった仕事の増加が当然に考えられます。  しかし、考えてみますと、二百海里の漁業水域が設定されました場合におきましても、外国の漁船が入ってまいります海域なりあるいは漁種なり漁期なり、こういったものが当該国との漁業の話し合いの中で確定するということになろうかと思います。そうしますと、おのずから二百海里の漁業水域の中でもパトロールを必要とする重点海域、これが限定されてまいります。  そういったことになろうかと思いますので、海上保安庁といたしましては、現在のところ、現有しております船艇、航空機を重点的にそちらの方に振り向ける。現在遂行いたしております仕事が、若干はその方面に手抜きになるかもわかりませんけれども、必要があれば、いま申しましたような領海警備ないし漁業水域の警備の方に重点的に振り向けるということをまず考えてまいりたいと思います。と同時に、私どもの九十五隻の巡視船艇の中には、相当老朽化したものがございます。したがいまして、こういった老朽船艇の代替を行いまして、性能アップあるいは船型の増大、そういったことを考えてまいりたいと思いますし、新しい事態に対応いたします警備に必要な船艇、航空機の早急な増強を図ってまいりたい、そのように考えております。  ちなみに申し上げますと、五十二年度の予算に計上されております増強、代替の主なものはヘリコプター搭載巡視船が一隻でありますし、三百五十トン型の巡視船が五隻、三十ノットの高速巡視艇が二隻、大型飛行機が一機、中型飛行機が一機、中型ヘリコプターが一機、それに新しく美保に航空基地につくりたい、そのように考えております。  しかし、これは五十二年度の計画でございまして、私どもといたしましては、さらに必要な船艇、航空機の増強を計画中でございまして、関係省庁と極力詰めまして、早急に整備を図ってまいりたい、そのように考えているところでございます。
  33. 北川石松

    北川委員 ただいま五十二年度計画を聞かしていただいたんですが、この間ちょっと乗った船、東京湾の突風二十メートル近いところを乗り切ったあの船は、何トンで、何メートルの長さですか。
  34. 山本了三

    山本説明員 先生に乗っていただきました巡視艇は、長さが二十六メートルで八十五トン程度であったろうと思います。
  35. 北川石松

    北川委員 いまの五十二年度計画、それからこの間実地に東京湾内の風波の中を乗り切った二十六メートル、八十五トンの船というものは、私は海洋二百海里では用をなさぬと思うのです。私は、やはり思い切って、二百海里に対応できる船の建造計画を立てなければいかぬと思います。と同時にもちろんそういう二百海里のように広くなってまいりますと、航空機によるところのなにも必要であろうと私は思います。そういう点ではいかようにお考えでしょうか。  ということは、五十二年度計画というものは、海洋二百海里というものを頭の中に考えた計画じゃないと思うのです。私は、そういうように思いますから、その点について、もう忌憚のない御意見を聞かしてもらった方が、今後の国会におけるところのいろいろな予算その他の対応に大きな資料になると思うのです。お願いを申し上げたいと思います。
  36. 山本了三

    山本説明員 東京湾の視察の場合に、先生に乗っていただいた船は、まことに小さい船でございまして、あれは港内あるいは湾内、遠くても距岸二十海里以内の海域で行動するためにつくっておる船艇であります。これは、先ほど申し上げました二百十五隻の巡視艇の中に含まれるものでございますが、二百海里対策といたしまして、二百海里まで出動いたしまして、ある程度パトロールができるという船艇の数は、巡視船の九十五隻のうち七十二隻程度になろうかと思います。七十二隻程度の船は、十分に二百海里まで出動して、哨戒ができる、そのように私ども考えておりますけれども先生指摘のとおり、やはり二百海里の海域を十分にパトロールいたしますためには、相当の船型の大型化、これが必要であろうと思います。  五十二年度の予算でこれこれと申し上げましたが、まだ関係省庁の合意を得たというわけではございませんで、海上保安庁だけの計画ではございますけれども、私ども考えております増強計画は、ヘリコプターを搭載いたします三千八百トンの巡視船が総計で四隻欲しい。これに積みますヘリコプターは当然四機必要ですが、それと、大型の飛行機は現在どおり一応三機ということに考えておりますけれども、できれば、さらにもう一、二機は欲しいと思いますし、それから三十ノットというのは六隻、それから中型のヘリコプターを八機、こういったことを現在考えております。  そのほかに、先ほど申し上げた巡視船の中でも老朽の巡視船が相当ありますと申し上げたのですが、これらを代替いたします場合に、三百五十トン型ではなくて、さらに大きな船型に代替をしていく、そういったことが必要になってくると思います。  いずれにいたしましても、そういった体質の改善といいますか、二百海里時代にふさわしい体質の改善を早急に行いたい、そのように考えております。
  37. 北川石松

    北川委員 ただいま御答弁をちょうだいいたしまして、まだまだそれでも私は十分でないと思います。またこの問題は、海上の二法の成立に伴って国が対処していかなくちゃいけない問題であるし、本交通安全の最もの責任者である総理大臣が閣僚会議をやられたと聞いておる。そういう点についてどのような実情になっておるか、関係の方、だれかお見えだったら、答弁願いたい。
  38. 渡邊伊助

    ○渡邊政府委員 お答え申し上げます。  関係閣僚会議というような形のものではございませんで、閣議の後、関係の閣僚の方々がお話しになったことだというふうに私は伺っております。  それで、領海が広がるについて、この警備体制をどうするかという御議論は、かねてからございます。いま領海法案の審議の過程においても行われておるわけでございまして、私どもも検討はいたしました。  結果といたしまして、海上保安庁の方のお考えもございますし、いま自衛隊が直ちに前面に出るということはいかがなものか、それよりも、現行の体制では、海上保安庁がまず第一義的に取り締まりの責務と任務があるということでございますので、いまの体制の中で私ども協力できる体制にございます。現に、たとえば哨戒中あるいは訓練中に不審船を発見したというようなときには、海上保安庁の方に速やかに連絡申し上げるということで協力体制をとっておるわけですけれども、これも今後さらにもう少し前向きに協力できるということがないかどうかということも検討いたしております。そこで、事態の推移を見守る必要があろうかと思いますけれども、当面法律を改正するというようなことは、現在考えておらないわけでございます。
  39. 北川石松

    北川委員 関係閣僚会議というのは、やはり関係閣僚会議という名を打っておるように、閣僚会議を開かれた中にもちろん防衛庁長官も入っておられる、このように思うのです。それは外務省の見解、農林水産の見解運輸省見解、いろいろ見解があるのでありましょうが、私は、当面二百海里時代になったときの防衛庁の責任というものもあるんではないか、そういう点について、海上保安は海上保安庁だけでいいという形ではなしに、防衛庁法という法律の中を、法律を改めても、海上保安庁との緊密な連携をとって事故発生のないように、また事故発生すれば直ちにこれに対応できるところの形をとらないといかぬと思う。そういう点についてどうですか。あなた、わからなければいいのですよ。また次の機会にお聞き申し上げて、これは大臣見解を聞かしていただいたらいいと思うのですが、どうですか。
  40. 渡邊伊助

    ○渡邊政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、現行体制をいま直ちに改めるということよりも、むしろ事態の推移をもう少し見守るということの方が妥当ではないかという考え方を持っておりますし、防衛庁長官も、先般の外務、農林、内閣の領海法案審議の連合審査会におきまして、そのような趣旨の御答弁も申し上げております。いま私ども、上の方から伺っておる限りでは、しばらく検討課題にしたい、こういうふうに伺っております。
  41. 北川石松

    北川委員 私は、防衛庁がけんかをしたり、あるいは戦争するというような考えをみじんも持っていない。ただ、海上保安庁だけで直ちに——これは法の方が先へ走ってしまうと思うのです。領海十二海里、二百海里海洋時代になってきたときに法が先へ走ってしまう。時たま事故が起きたら何らかの形が必ず出てくるであろうということを予測したときに、政府は一体何をしておるのか、国は一体何をしておるのだ、こういう形が出てくることを心配するのです。常々国会で、いろいろ憲法問題あるいは法の問題を論議される。憲法違反ではないかとかなんとかいう法の問題を論議されるのでありますが、私は、法治国の法というものを守らなくちゃならないということは大切であっても、その運用をいかにするかということがより現実的であり、一番大切なことだと思うのです。運用をいかにするかということ。法というものは決められた一つの形であるけれども、それを運用していくところによって、私は国民の信頼と国民の安心が生まれてくると考えておる。だから、法にばかり縛られておって、憲法違反だ、憲法違反だという形だけで物を考えていった場合には、私は大変なそごを来してしまうおそれを心配するのであって、いま申し上げたように、これは日本の好むと好まざるにかかわらず、世界が大きな動きをなしておるときに対処するところの形をとっていただきたい。そういう点において、海上保安庁は前向きでいろいろの対処するところのものを来年度は予算に要求してこられるであろうし、われわれ国会においても速やかに、これは与野党を問わず、国益の問題であり、国民の幸福の問題であり、対世界的な信頼の問題になると思うので、前向きに検討し、速やかにこれが実現の形をとっていただきたいということをこいねがう一人であります。そういう点において、私は運用いかんということを考えたときに、やはり速やかに、また、暫定予算を組んででも、これに対処するところの形をとっていただきたい。  そういう点において、はっきり言うならば、きようは総理がここへ来て、交通安全のため、あるいはそういう問題に対処するためにこういうことを考えておるんだ、暫定予算を組んででもそれに対処するところの考えを持っておりますということの答弁をいただきたいような気持ちでいっぱいでありますけれども、あなたの方からよくこういう点を上司に、皆さんがお話しくださって、万全を期していただきたいということをお願い申し上げるものであります。  時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  42. 鈴切康雄

    ○鈴切委員長 次に、太田一夫君。
  43. 太田一夫

    ○太田委員 それでは最初に、来賓である建設省の方からお尋ねをいたします。  沿道環境整備事業というのが交通量の激しい指定道路の沿道に対して五十二年度から行われるというお話を聞いております。それで私も、直接的には先回お尋ねいたしました続きでありますから、東名高速道路国道一号線と、それからそのバイパスという問題に関連をいたしまして、お尋ねをいたすのでありますが、沿道環境整備事業の計画というのが地方自治体に置かれるというふうに聞いておりましたけれども、具体的に本年度からどのような内容の事業が、防音助成工事等組み込まれておるか、予算と絡み合わせてお答えをいただきたいと思います。
  44. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、沿道環境整備事業ということで、本年度から新しく環境対策の一環として、道路の外側に対する対策ということで、昨年度やりました防音工事の助成の第二段と申しますか、そういう形で従来の道路の中での対策から一歩進めた形でやろうということで、予算を組んだ次第でございます。  中身といたしましては、前にも御説明申し上げましたが、そのやり方といたしましては、沿道環境整備区域というものを一応道路上のある区間で決めまして、その区域のところで、その沿道に関して沿道環境整備計画を地方自治体がつくりまして、それをいろいろな青写真をかいて、その青写真に沿って事業を進めていくということで、青写真の中身の仕事として三つぐらい当面掲げて、仕事を進めてまいるという形をとっておるわけでございます。  その三つの仕事の形と申しますのは、一つは緩衝性建築物、これは道路の沿道に防音効果の非常に高い、細長い建物をつくりまして、その裏側に対する騒音のバッファー効果を期待するわけでございますが、緩衝性建築物と申しております。その建築を先ほどの青写真に沿ってやる場合に、当該建物の一定部分の建築に要する資金の一部を交付するということを考えております。  それから二番目に、沿道の住宅がこの青写真に沿いまして、その跡地が計画に適合して利用されるという場合に、その住宅の除却費の一部を交付するという考え方を持っております。  それから三番目には、土地区画整理事業でやるような場合に、その中にいわゆる環境施設帯という、従来からやっております道路の沿道に沿って十メートル幅ないし場所によっては二十メートル幅のバッファーゾーンをつくるわけでございます。そういうものを取り込んでやる土地区画整理事業がある場合には、それに充当する用地を先買いする必要があるものについて、施行者である地方自治団体に対しまして、土地の先買いの資金の全部または一部を交付するという形で、騒音の非常に激しいところの一定区間について、沿道を望ましい土地利用の姿に持っていくために、いろいろな青写真をかいて、青写真に沿って、防音あるいは環境効果のある形にその周辺をつくり直していこうということでございまして、これは本年度から初めて踏み出した事業でございますので、当面はモデル事業的に逐次広げてまいりたいという考え方でやっておるわけでございます。五十二年度の当面の予算としては、二十三億ばかりの事業を一応予定いたしております。
  45. 太田一夫

    ○太田委員 そういたしますと、その道路指定一つ要りますね。それから当該自治体が何か整備計画を立てなければいけないという前提がありますね。とりあえず、その騒音に耐えかねてどこかに居を移したいという人の家屋移転の助成、騒音ないし振動その他の公害に耐えかねて防音工事をしたいという沿道の住家の改造費の補助ということはできませんか。
  46. 浅井新一郎

    浅井政府委員 住家の改造費でございますが、御承知かと思いますが、五十一年度から、実は道路のうち高速道路道路公団あるいは阪神道路公団等の管理します自動車専用道路対象にいたしまして、その沿道で特に騒音の激しい区間につきまして、一定の基準のもとに住家の防音工事に対する助成をやることにいたしております。  これはいわゆる専用道路に限ってとりあえずやっておるものでございます。専用道路に限ったということは、専用道路が、住民の側に言わせますれば、直接道路に対する乗り入れができないにもかかわらず、被害が一方的に及ぶということ、それから専用道路に対しては、交通規制等による措置が十分とりにくいといいますか、時間によってスピード制限をするとかいうようなことが一般道路に比べてはとりにくい条件があります。そういう条件を勘案して、とりあえずそういうところから逐次予算の許す範囲で広げていこうという姿勢で始めたものでございまして、現状ではまだ一般道路まで及んでいないわけでございます。  先ほどちょっと数字を申し上げました二十三億と申しますのは、実は五十一年度から始めた防音工事助成に対する金として二十三億ばかりのものを予定しているわけでありますが、当面は、いろいろ問題になっております四十三号の周辺だとか、あるいは大都市周辺の都市高速道路に絡む防音工事の助成が中心でございまして、将来は事情の許す範囲で逐次拡大していくようなことを考えておりますが、当面こういうことでやっておりまして、今回のような一般国道でやる対策としましては、防音工事助成というのは考えてございませんで、一定の青写真に沿った土地の利用の改造に対して資金的な助成をするという姿で取り組んでいきたいと考えておるわけでございます。
  47. 太田一夫

    ○太田委員 それは地方自治体が整備計画をつくれば、それにつきまして、国として予算範囲内における助成をしようということでございましょうから、地方自治体の負担がかなり大きくなるような気がいたしますね。自動車専用道路でなくても指定された区間については、同じように防音工事をする民家に対する助成は速やかに行うべきだと考えますが、そういう制度の可能性はありませんか。
  48. 浅井新一郎

    浅井政府委員 御指摘のような一般道路の周辺におきます騒音のひどい住家の手当ての問題でございますが、御承知のように、これを一般道路までに広げますと、一般道路というのは、大体日常そこから道路に出入りしているということで、利用面と、それからまた逆に被害面と両方があるわけでありまして、そういうことから、従来は一般道路につきまして受忍の範囲というような考え方で、沿道に対する措置はとっておらなかったわけでございますが、しかし、騒音の非常に激しいところも現実にはあるわけでございまして、そういうところの対策としては、いま申しましたような沿道環境整備事業のほかに、国道等でいわゆる環境施設帯というようなことで、一定の幅をとって、その中に防音壁をつくったりして、一応騒音の軽減を図るような措置道路の構造上の対策としてやっておるわけで、そういうことで一応対処してまいりたいと考えておるわけでございます。  一般住家に対する建物の工事の助成というようなことになりますと、非常に広範囲なものになりますので、当面は非常に一方的な被害を受け、しかも非常に激しい騒音を受けている区間から始めていくということで、踏み出したわけでございまして、制度の可能性としてはないかと言われると、ないとは申し上げられないわけですが、できるだけそういうものの対策費もふやしてまいりまして、逐次こういう対策を拡大していく中で考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  49. 太田一夫

    ○太田委員 建設省考え方は、考えてみますと、一つそれをどこかで認めれば、あちらこちらで続出してくるのではなかろうかという心配があるから、いいことだけれどもできないという気持ちがいたします。しかし、これは近来の交通のふくそう等の事情を考えて、全く人道上捨ておきがたいような条件のあるところについては、自治体が整備計画をつくらなければいかぬとかなんとか手かせ足かせしないで、当該道路の設置者の責任において住民に安心を与える政策はとるべきだ、こう思います。これは、いまできておらぬものをとやかく言っても仕方ありませんが、ぜひそれはお考えにならないと、建設省道路交通に対する、沿道住民に対する配慮というものが非常に冷たいという評判を受けそうです。  そこで、運輸省にお尋ねをいたしますが、飛行場の場合は、指定された飛行場の周辺を整備するためには、その騒音の及ぶ区域、それから影響の大なる区域、区域は分けられるけれども、防音工事に対する移転の助成等、適確な措置がなされていると思いますが、現在どうなっておりますか。一度具体的な内容を御発表いただきたい。
  50. 川井力

    ○川井説明員 飛行場の周辺におきまして運輸省実施いたしております環境対策事業の概略を申し上げます。  現在、運輸省が、運輸大臣が設置、管理しております空港のうち十二空港を特定飛行場という形で指定いたしまして、この十二空港につきまして騒音対策実施しております。  騒音対策の内容でございますが、空港周辺のある地域、特に音の大きい地域でございますけれども、移転を希望する人のための補償、それから移転先の土地、住宅の提供、それから学校、病院、公民館等の防音工事、一般住宅の防音工事、それと空港直近の地域におきます緩衝緑地帯の造成工事、それと空港と住居との間を遮断する目的で、騒音の被害を受けない施設を誘致する再開発整備事業、これらの事業実施いたしております。  そのうち特に民家の防音工事に関しましては、昭和四十九年度より実施いたしまして、国費約百七十億円、実施件数は約一万二千五百件であります。五十二年度におきましては、国費約百三十億円で、約七千件を実施する予定にしております。
  51. 太田一夫

    ○太田委員 その際の防音工事と移転補償は、具体的にその当該所要費用のどれくらいを補償していらっしゃいますか。
  52. 川井力

    ○川井説明員 移転補償に関しましては、全額国費で実施いたしております。  民家の防音工事に関しましては、約九九%を国費、残り一%については、特に決まりはございませんけれども、実態は地方公共団体が負担しております。
  53. 太田一夫

    ○太田委員 道路局長さん、いまのお話は、防音工事九九%、移転補償一〇〇%という実に文句のない対策がとられております。同じ国であっても、飛行機だとそれだけのことをやるが、道路の上を走る自動車は、目の前を通ってどんな騒音や振動や公害をまき散らしても、あなたの方は地方自治体がやらなければやれない。その一部だけしかやれないという、そういうことになるのでしょうね。何か自動車と飛行機とは違いますか。
  54. 浅井新一郎

    浅井政府委員 確かに、これに対する対策の実態には相当差があろうかと思いますが、自動車と飛行機と違いがあるかというお尋ねでございますので、ちょっと考えられることを申し上げますと、飛行機は、ああいう飛行場に対して上空から騒音を一方的に、ある地域にまき散らすというようなことで、地域が一応局限されており、しかもまた騒音の程度道路とは非常に違う面がございます。たとえば九十五ホンとか、そういう非常に大きな集中的な騒音になりますし、道路の場合、またそのはかり方も違うというようなことで、騒音の質、程度が大分差があろうかと思います。それから、地域的な広がりといいますか、道路の場合は、幹線道路ということになりますと、国土全体に網として張りめぐらされるわけでございまして、一応国土全体に対する面的な対応をしなければならないという実情にあろうかと思います。  そういうようなことから、やはり対応の仕方に若干の差があるというのはやむを得ないかと思いますが、先ほど申しましたように、道路の場合は、日常出入りしておる道路から受ける騒音でございまして、やはり一応ある程度受益の範囲と申しますか、受忍の範囲、そういうものを考慮することも考えられるのじゃないか。しかし、そういうことでほうっておくということではございませんで、逐次騒音の激しいところから対応していかなければならない。膨大な経費がかかることが予想されますので、そのためには、逐次、被害の激しいところから限定的に仕事を進めて、予算を拡大して広く及ぶというようなことでやっていかざるを得ないというようなことから、先ほど申しましたような防音助成につきましては、まず自動車専用道路周辺の特に騒音のうるさいところから始め、一般道路につきましては、本年度から、先ほど申し上げましたような対策で騒音の激しいところから逐次広げていくということ、それとあわせて従来からやっております環境施設帯の整備というようなものを加えて対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  55. 太田一夫

    ○太田委員 それは局長、道路から出入りする便利があるといって、そのために道路を提供していることがいかにも沿道住民にプラスを与えておるようにおっしゃるけれども、逆なんですね。あなたの方は分離帯をつくるわ、歩道には今度は飛び出し禁止の防護さくをつくるわ、いろいろありまして、歩道の上を通って出入りすることはできますけれども、向こう側へは通れないですよ。とめられちゃっておるのですよ、逆に。昔は自由にそれがやれた。向こう三軒両隣であった隣組というのが、向こう三軒が今度はどこかへ行っちゃったわけですね。世間の交際範囲も狭められてしまう。在来の交友関係を維持しようとすれば、はるか向こうの陸橋を通らなければならない。そういうふうにしておいて、道路が住民に対してサービスを与えておるものだという恩恵者の立場に立たれるのはいかがなものかと思いますが、いまの飛行場周辺の整備機構のおやりになる事業のごとくに、そういう責任と申しますか、時代に即した思い切った対策をこれから急速にとってもらうことを私は希望しておきます。いまできておらぬことをとやかく言っても仕方がない、できるまで何回でもこれはやらせていただきますから、とりあえず要望しておきます。  それで、その道路、とりわけ東名高速の岡崎インターから名四国道に至る間のバイパス問題というのがございますね。これは、バイパスがありませんので、そのために一号線が夜昼なしに通られて、沿道の人たちが悩んでおるわけなんですが、これはどこですか、警察の方にお尋ねしますが、行政指導によって、夜間その道路を通らないように業者に協力を求めていらっしゃるという話は聞きましたが、効果があったのですか。
  56. 福島静雄

    ○福島説明員 御指摘国道一号線岡崎付近の大型車の通行につきまして、所轄の愛知県警察におきまして、輸送業界に夜間の大型車通行について自主規制を求めるという指導を行うということについては、私ども聞いております。ただ、その効果につきましてどうかということにつきましては、現在まだ報告を受けておりません。
  57. 太田一夫

    ○太田委員 まあ、なんですね、二階から目薬ということもありますが、目薬のない空っぽの薬のびんだと目薬も落ちてこないわけで、ほこりが落ちるのが精いっぱい、これはいかがなものでしょう。自主規制ですか、報告は聞いていらっしゃるということですがそれは可能性があると本当に信じていらっしゃるのかどうか。その場ごまかしの、その場だけを通る思いつきだということになっては、私は住民からますます不信の念を招くだけだと思います。  それから四十キロにスピード制限をして、夜間静かにお通りくださいと言うが、四十キロで走っておるのは少ない。そんななまやさしい状態ではない。だから、速やかにバイパスをつくって、夜間の交通の分散、言うなら、十時から朝五時ぐらいまでは当該道路の通り抜け交通を禁止するというところまで行かなければ解決しないですね。建設省さんの方も及び腰、とても金がない、うっかり甘い口を出すと日本全国に及ぶだろうというので、二の足を踏んでいらっしゃる。警察の方もバイパスがないから規制ができない。これはどこまで行っても解決の道はありませんね。バイパス計画はどうなっておるのですか。予定どおり順調に進んでおるのですか。何か聞くところによりますと、局長、経過地の用地買収費にも事欠いておるという実情だという話を聞いていますが、その用地買収、バイパス工事の進みぐあいはいかがですか。
  58. 浅井新一郎

    浅井政府委員 御指摘の岡崎市内の交通問題に絡みまして、バイパスの建設を急いでおるわけでございますが、これはルートといたしましては、現国道に並行いたしております県道の岡崎−刈谷線、衣浦−豊田線、衣浦−岡崎線、それから一般国道二十三号知立バイパス、この整備を進めて、これらのルートによって岡崎市内を通らないバイパスを完成させて、二十三号の方に流そうというような構想でおるわけでございます。  これらの路線につきましては、五十二年度の事業概要といたしましては、岡崎−刈谷線は事業費が一応一億七千万ばかりついております。この金で岡崎市の見合地区、それから同羽根地区、安城市の上條地区の用地買収及び工事を実施することにいたしております。それから知立バイパスについては、直轄で来年度十七億近い金を一応予定いたしております。これは用地買収と工事を促進するわけでございますが、一部用地買収について地元との関係で滞っている面もございます。それから衣浦−岡崎線につきましては、事業費は一応九千六百万予定いたしております。これによりまして岡崎、刈谷から乙川堤防南詰の間の用地工事を進めるということで、逐次工事を進めることにいたしておりますが、お話しのように、やはり道路全体の事業費の中でかなり重点的に張りつけましても、なかなか残事業があるということで、そう急に解決しない問題でございますので、市内対策といたしまして、先ほど言いましたような緩衝性建築物の建設とか、環境施設帯の整備等の対策を十分地元と話し合いを進めまして、効果のあるような方法実施できれば、そういう方法も並行的にやるのが妥当ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  59. 太田一夫

    ○太田委員 警察庁の福島課長、いまお聞きになった話のとおりです。  そこで、交通規制の問題をさらにお尋ねしますが、業者の自主規制ということだけに任しておりますれば、少しも変化がない。何とか大型車の通り抜け通行を禁止するということぐらい、早急にできませんでしょうか。
  60. 福島静雄

    ○福島説明員 御案内のように、国道一号線、大変な幹線道路でございまして、これが岡崎市内を貫通しているところに問題があるわけだというふうに考えておるところでございますけれども、現状では他に迂回路がないという状況でございますので、これにつきまして大型車の通行禁止をかけるということは、非常に、困難性があるというふうに考えております。今後、建設省におかれましても、迂回道路につきましていろいろ御検討のように伺っておりますので、そういった迂回道路ができるという段階におきましては、御指摘のような措置も十分検討いたしたいというふうに存じているところでございます。
  61. 太田一夫

    ○太田委員 それでは、これは警察庁の方から言っていただいた方が本当なのか、建設省が自覚していただくのがいいのか、いまの事業実施計画ではどうも心もとない気がいたしますが、浅井局長、もう少し何かテンポを急がして、警察もお手上げなんですが、あなたの方もどちらかと言うと、お手上げの傾向で、もう処置がありませんが、一番具体的な早い手は、あなたの方ができるだけ急いでくださいとおっしゃることですね。テンポを早めるように、現地の方に用意があって、それにこたえるあなたの方の予算上の覚悟があるということになりますと寸急ぐことはできると思いますが、できるだけ急いでいただけますか。
  62. 浅井新一郎

    浅井政府委員 一応私どもの方で工事ぺースについてもくろみがあるわけでございますが、御指摘のような事情も十分勘案しまして、できるだけ急ぐ方向で検討をさしていただきたいというふうに考えております。
  63. 太田一夫

    ○太田委員 衣浦−岡崎線ですか、九千六百万なんということでは、踏切除却が一カ所ありますから、とても間に合わぬじゃないですか、目に見えた工事は進まない、ひとつ何とか目に見えるようにしてくださいね。  国道一号線渋滞対策、防音工事対策のお尋ねはそれで終わりまして、あと後半のお尋ねをいたします。  これは最初に、運輸省の自動車整備部長さんにお尋ねをいたしますが、最近、行政書士と、それから自動車整備振興会とか、あるいは自動車販売連合会とか、中古車販売連合会あるいは自家用自動車協会というようなところと、自動車の販売の手続の中におけるいろいろな官庁用届け出あるいは承認を求める書類がありますが、その中で特に私お尋ねしたいのは、保管場所の証明書の手続でございます。  保管場所証明書の手続を、行政書士の領域を侵して当該業者が一方的にやっておるということで、行政書士会の方は余りおもしろくない、いろいろな書士法の改正を提案する。片方はそれでやられちゃ現状にマッチしませんから、現状を肯定しろと言って、それらの団体は行政書士会の言う書士法改正には反対だ、こういう世論の激突が起きておるということは御承知でしょうか。
  64. 犬丸令門

    犬丸(令)政府委員 先生指摘行政書士法改正につきましては、行政書士会の全国団体でございます組織が、行政書士法の改正を行うことによって、行政書士業務のいわば厳正化、拡大、こういったことを考えて、国会請願等を行われておるということを聞いております。  また、そういった事態になりますと、自動車使用者等に非常に負担が大きくなる、また従来の慣習にももとるものであるということで、自動車関係諸団体、販売協会でありますとか整備、自家用組合等が一体となりまして、反対の陳情、請願等を行っておりますことは、承知いたしております。  しかし、この両者は相反する内容でございますので、これらの調整を図っていく必要があると考えておりますが、いずれにいたしましても、自動車関係諸団体におきまして、現行の行政書士法の遵守については、今後とも関係団体等を指導してまいりたいと考えておるところでございます。
  65. 太田一夫

    ○太田委員 部長にはそういう客観的なあれしかないと思うのですが、これは法律のたてまえからいいまして、警察庁の方にお尋ねしますが、保管場所の証明というのは、これは当該住居を所管する警察署の方に出てきますね。そうすると、警察署というのは、本来法秩序を守る立場にあるわけです。その法秩序を守る立場にある警察署が、資格を持つ行政書士でもない、それは当該本人でもないディーラーや整備業界のだれやらというような人たちがかわりに持ってきて行うことに、唯々諾々と承認の判を押しておるということがたてまえ上あり得るのでしょうか、これはどうなっておるのですか。
  66. 福島静雄

    ○福島説明員 御案内のように、自家用自動車に関する車庫証明は、警察署長が取り扱っているところでございます。この車庫証明書の交付申請につきましては、申請者本人の意思によるものであることが必要でございますが、必ずしも本人が直接警察署の窓口に出頭して手続をするということまでは必要でないというふうに考えておるところでございます。  したがいまして、セールスマンあるいは家族、知人、さらに行政書士の事務所の所員という人が手続をする場合があるわけでございますが、特に不審点がなければ申請書を受理いたしまして、その後におきまして、書類の審査、さらにまた現価に赴きまして実地の調査点検を行いますので、それらによりまして適正な交付を図るというふうに努めているところでございます。
  67. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると、警察庁の方では、だれが持ってこようと、かれが持ってこようと、それが行政書士法に違反しておろうと、法に違反して手数料を取ってやっていようと、構ったことではない。書類さえ出てくれば、調べて適正であるなら判を押す、こういうことですか。
  68. 福島静雄

    ○福島説明員 警察といたしましては、申請者本人の意思に基づくものであるというふうに認定できるものでございますれば、適正な申請として取り扱って、自後の措置をとるというふうに行っているところでございます。
  69. 太田一夫

    ○太田委員 申請者本人の意思に基づくものであるということがあるなら、行政書士でない者が当該申請書を扱うこと、報酬を得て行うという書士法違反行為をやっている、それでも構わない、そういうことになりますね。
  70. 福島静雄

    ○福島説明員 現在、警察といたしましては、申請書が作成される手順の細部については承知いたしてないところでございまして、行政書士法に違反するかどうかという点につきましては、ちょっと私どもでは判断いたしかねる状態でございます。
  71. 太田一夫

    ○太田委員 あなたの方は、現在行政書士法に関する問題で、ディーラー側と行政書士会側とが火花を散らす陳情、請願等の闘いをしておることを御存じないのでありますか。
  72. 福島静雄

    ○福島説明員 行政書士会側と販売団体その他自動車関係団体との間にそういうふうな動きがあるということにつきましては、私も聞いて、承知いたしておりますが、現在それを直接、私どもにおきまして具体的にどういうふうに処置をするというふうなことにつきましては、特に行っておりません。
  73. 太田一夫

    ○太田委員 あなたは刑事局の所属ではありませんから、したがって、そのことが刑事事犯になるかどうかということは、あなたとしては御承知ないとしてもそれはわかる。あなたの方は少し所管が違う。けれども、私がいま言っておりますのは、いささか脱線はしたお尋ねかもしれませんが、警察庁という立場から見て、警察という立場から見て、第一線の警察署はとにかくスピード違反だとかいう道路交通法のみでなくして、ありとあらゆる犯罪の防止、秩序の維持ということを中心として活動されるのが本旨でありますから、したがって、車庫証明の事務を扱うについて、これは一体正当な書類であるかどうか、手続をしておるかどうかぐらいのことは——何でもないときはよろしいが、いまのように二つの団体が火花を散らしておるときには、ちょっと意識を働かして、これに巻き込まれては困るなあ、こうなった方がいいなあというふうなお考えが出てこなければ、いかに交通関係のみを専管している部署といえども、これはいささかどうだろうかと思いますね。  念のために伺いますが、申請人というのはだれが申請人として当たるべきであるかということについて、現状ではユーザーの場合か、あるいはディーラーの場合か、行政書士かという三つの道があるわけです。ユーザーの場合は、これはよろしいですね、本人だから。あなたも本人の意思に基づくものならば可と認めるとおっしゃった。本人ということならユーザー。本人である場合には一番よろしいでしょう。これは間違いない。それから行政書士も、それは官庁関係の書類を、報酬を取って取り扱うのを業としている者ですから、これはよろしい。行政書士法に基づいて正当である。よろしい。ディーラーが行うときに問題がある。ただならよろしい。報酬を得てやるということになったら、行政書士法十九条違反じゃありませんか。非行政書士の取り締まりというのがある。一年以下の懲役、一万円以下の罰金じゃないですか。そんな現行犯が堂々と目の前で行われておるのに、本人の意思が通じているか通じておらないかというものに、ぽんと判を押しておくなんという、それじゃ盲判にいささか似てくるような気がします。  これは大変なことだと思うが、こういう行政書士法によって、十九条では非行政書士の取り締まり、罰則つきであるということがあることは、この保管場所の申請手続に関連して、交通関係の警察官も御承知だと思ってよろしいか、思ってはいけませんか。
  74. 福島静雄

    ○福島説明員 行政書士法に明白に違反をする場合がある、つまり行政書士法では、条文を正確に記憶いたしておりませんが、業として報酬を得て行うという場合には、行政書士でなければできないというふうな規定であったかと思いますが、それにつきましては、第一線警察におきましても、承知しているところでございます。  ただ、先ほども申し上げましたように、申請書の具体的に作成される詳細の実態につきましては、警察といたしましても承知いたしておりませんので、それが直ちに行政書士法違反になるのだというふうなところまでは、現在のところ承知をいたしておらないということを申し上げたわけでございます。
  75. 太田一夫

    ○太田委員 はなはだ不徹底な話だと思いますね。保管場所の証明事務そのものが、どちらかと言うと、警察の機能として直接的な仕事じゃなくて、外郭団体の仕事に委任されてしまった。そのためにそういうことが起きるのじゃありませんか。業として第一条の業務を行うことは十九条違反、一年以下の懲役の対象になるのです。業としてということは報酬を得て。ディーラーは七千五百円、ユーザーから取りますよ。警察へ五百円出して、自分のところは七千円を手数料として取るのですよ。用紙代その他実費として七千円。これはそのことでもうけているのです。この点は現実に変な争いが各地に起きておりますから、ひとつ警察庁としても、基本的な態度を決めてほしいと思いますね。  それはどういうことかと言うと、各地におきましては、陸運事務所に対する登録事務については、当該ディーラーが委嘱いたしました書士の資格ある人によるところの団体とが書類を作成をしてやっています。ところが、車庫証明に関しては行政書士のルートを通してやるということを決めた府県が現在あるぐらいなんですね。また、あるところでは七千五百円というのを分割いたしまして、四千円はディーラーの手元へ、三千円は行政書士の手元へ、五百円は警察の手元へというようにいたしまして、共存共栄でいこうかという協議が始まっておるところもあるわけなんです。  ともあれ、いま戦国時代を現出しておりますから、車庫証明事務というのは、今後、私は相当問題になる仕事の一つであると存じますが、単に本人の意思を確かめれば云々というだけの物差しでおはかりになるのはいかがかと思う。気をつけてもらわなければいかぬ点だと思います。  先ほどあなたは、本人の意思に基づくものなら可とおっしゃるが、本人の意思を確認するというのは、どういう方法によって確認されておるのですか、ディーラーが持ってきたときに。
  76. 福島静雄

    ○福島説明員 申請書が提出されますと同時に、当該場所の権利関係があるということを証明する書類が添付されるわけでございます。それを検討して確認するということとともに、実際にその場所が当該車両を保管できる場所であるかどうかということにつきまして、現地に赴きまして、調査員が確認するわけでございます。したがいまして、これらによりまして、それが要するに本人に発する申請であるかどうかということについては確認できるというふうに考えているわけでございます。
  77. 太田一夫

    ○太田委員 課長、それは至極寛大な、物のわかった話のように承りますけれども、実際は、行政書士法というものがあって、手数料を取って出願をするということは、一つの車庫証明に七千円の収入を得て行うということが書士法違反でないなんとだれも思わない。便宜的にそういう道を選んで、その方がもうかるし、ユーザー自身も手数が省けるからというので、そういうことで何となしにジャの道ができてしまった。私はそう思うのですよ。ですから、本人の意思なんて、そんなところでわかりませんよ。ユーザーに、この書類にここに判を押してくださいと言うだけですよ。そして場合によっては、そこに何台かもうすでに入っておるようなところをも空き地として証明願を出される場合もある。この車庫証明の厳正化というのは、私は大事な問題だと思いますが、いま厳正、非厳正の話をしておるわけじゃない。行政書士会が熱烈な反対運動を起こし、抗議行動を起こしておるときに、警察庁という法を守るべきところが、その違反行為を承知してやっておるディーラー側に味方をするというのが私は気に食わぬと言っている。もう一遍ディーラーが行う正当性を説明してください、正当性があるとするなら。
  78. 福島静雄

    ○福島説明員 警察庁といたしまして、特にディーラー側に味方をするというふうな考え方は毛頭ないわけでございますが、ただ、基本的には、本人にかわって、本人の意思に基づいて他人が申請をするということをすべて否定するという必要はないのではないかというふうに考えているわけでございます。  御指摘先ほど来御質問がございます行政書士法との関係でございますが、法令関係につきましては、所管省の判断があろうというふうに思うわけでございますが、われわれといたしましてもそちらの御見解、判断を伺い、御相談いたしました上で、必要な措置があるということであれば今後検討いたしたいというふうに考えているところでございます。
  79. 太田一夫

    ○太田委員 警察に対する質問はそれで一応打ち切っておきましょう。これは、課長、あなたがすべて責任を持っていらっしゃるわけじゃありませんから、あなたに一切の、初めからしまいまでの、マルまで答弁してほしいと思うわけじゃありませんが、きょうはあなた代表で出ていらっしゃるから、警察庁長官のつもりであなたに聞かなければならない。しかし、車庫証明という仕事はおざなりではいけません。一件七千円ですよ。ディーラーは七千円の利益を得ておるのです。自動車で警察まで行って、現地に行って調べたと言いますが、現実には、本人に、どの辺のところに車庫としての適地がありますか、ちょっと略図を書いてくださいと言って、その書いたものを持って行っていますよ。調査なんかしていません。  そこで運輸省にお尋ねいたします。運輸省としては、そういう争いが現在起きておるということを御承知だとするならば、あなたたちの方としては、今後どうあることが望ましいとかどうとかいう御意見をお持ちだろうと思うのですが、それを一度発表してほしいと思うのです。  その前にちょっとあれしておきますが、自動車局におきましては、非常に丁寧に一度お調べになった資料がありますね。自動車登録申請業務の流れというものを実にりっぱにおつくりになりました。追跡されたデータがございます。それによりますと、購入者が注文書を出す。それからいまの保管場所の証明書は購入者がこれを警察に持っていって、証明書をもらってきて、それをセールスマンに渡される。セールスマンは自賠保険、あるいは新規登録申請書等の仕事をそこでおやりになる。そしてナンバープレートをおもらいになりまして、やがてそれが納車されるということになってくる。私は、いま、登録申請のことを言っているわけじゃない。登録申請は現状から見て余り無理がないように思いますが、保管場所の証明書は、この流れが一番正しいのです。購入者自身、ユーザーが保管場所申請書をお出しになるというのが正しいのです。本人を確認するなどということはあり得ないのです。代理人がやったら必ず手数料を得ている。代理行為、行政書士法第十九条違反、一年以下の懲役だぞと言ってもらわなければ困る。そういうことを言わないから、業界が乱れてしまっておる。購入者本人が保管場所の証明書を警察に持っていっておとりになって、それをセールスマンにお渡しになるというのはいい。もし購入者がその暇がないとおっしゃるならば、世の中の秩序は守ってもらわなければいけない。報酬を得て登録関係書類をつくることは、行政書士がおやりになることですから、行政書士に依頼する。行政書士は現実にきちっと調べますよ。これこそ他人の秘密は漏らさない。ディーラーには、そういう規制はありませんよ。行政書士法には、仕事の上から得た秘密は守ると、きちっとありますよ。秘密を守らなかったら罰則ですよ。だから行政書士の存在を軽く見てはいけないと思う。否定してはいけない。何だ、物書きか、代書屋かなどと言って、ちりあくたのごとく見てもらっては困るわけです。ディーラーが行うことがいけない。  そこで、当該整備業界を指導し、当該登録関係事務を所管していらっしゃる運輸省にちょっと感想を聞いておきたい。
  80. 犬丸令門

    犬丸(令)政府委員 ただいま先生指摘のとおりでございまして、自動車の登録を行います場合、もしくは使用の本拠を変更いたします場合の車庫証明につきましては、本来自動車ユーザーの本人が書くべきものであると、私ども考えておるところでございます。昨今、行政書士会と販売業界との間でのトラブルもございますが、一方において話し合いもなされておるわけでございまして、現在進んでおりますところの両団体の認識といたしましては、車庫証明の申請書は、原則として本人が記入するように勧める。本人が記入しない、もしくはできない場合には、最寄りの行政書士に依頼するように勧める、こういったことで、大体両団体で話し合いがついておるところもございます。  今後、この辺の問題につきましては、本来の所管省でございます自治省との十分な連絡をとらなければいけないと思いますが、自治省十分連絡をとりまして、私ども運輸省といたしましても、この線に従って業界の指導に当たってまいりたいと考えておるところでございます。
  81. 太田一夫

    ○太田委員 部長のおっしゃったとおりでいいですね。現状をよく理解していらっしゃいますから、言うなら大岡裁きになっている。血も涙もあるということでなくてはいかぬです。  そこで、自治省の行政課長さんにお尋ねいたしますが、行政書士法に関係をいたしまして、改正しろ、いや相ならぬということで大変なトラブルが起きておりますが、その中で、私は特に車庫証明の事務をいま取り上げまして、これは本人が書くべきもの、そうでなかったら行政書士に任せるべきものと、はっきりしないと将来禍根を残す、この際そうしたらよかろうと私は思っておりますが、行政書士法のたてまえからいきまして、自動車販売業界が、セールスマンが報酬を得て代行するということについていかがお考えになりますか。
  82. 鹿児島重治

    ○鹿児島説明員 お答えいたします。  先ほど来いろいろお話がございましたとおり、大ざっぱに申しまして、現在行政書士が取り扱っております仕事の四分の一が車庫証明関係の仕事ということで、したがいまして、いろいろ問題が出てくるわけでございますけれども、現在の行政書士法の解釈は、これも先ほどから先生るる御指摘があったところでございますが、業として報酬を得て、他人にかわりまして書類を作成し、官公庁にこれを提出するという事実がございますと、行政書士以外の者がそういう行為を行うということになりますと、御指摘のとおり、行政書士法違反ということになろうかと思います。  そういうことで、これも先ほど運輸省の方からお答えがございましたけれども、昨年の十月でございましたか、全国の行政書士の連合団体と、それから自動車の販売業者の連合団体とで一応の合意を見まして、車庫証明につきましては、原則としてユーザーがこれを記入する、ユーザーが直接記入できないという場合には、最寄りの行政書士にこの代行を行わせるということで一応の合意を見ております。まだ下部に十分徹底するという仕事が残っておるわけでございますが、この趣旨が十分徹底されますならば、行政書士法違反という事態は起きなくなるもの、かように考えておるわけでございます。
  83. 太田一夫

    ○太田委員 ありがとうございました。私まことにうっかりしておりまして、昨年十月の両団体の和解案というものを本当は知りませんでした。このごろやかましいから大変だなと思いまして、ことしになりましてから、この問題についてどういうことになっておるだろうかと追跡調査とか、いろいろなことをいたしました。しかし地方には、依然として大変問題が起きておりまして、なかなかそうはいかない。行政書士の仕事量の四分の一を占めておったということ、実際それぐらいあると思いますけれども、ある地域におきましては、ほとんどないところもあるのです。行政書士の中においては、とにかくディーラーが余りにも職域を侵食してきてたまらない。だからSOSの形になっている。いまや弱い者は行政書士、強いのはディーラー。ですから、私は弱い者に味方をするというだけのことじゃありませんけれども行政書士の皆さんがお訴えになる気持ちはよくわかる。しかし行政書士法の改正をあのとおりにするということに同意しておるわけではありません。ですから、これは特に運輸省の自動車局において現実に即した解決案を用意されることは、私は非常によろしいし、ありがたいと思うし、そうあってほしいと思う。  ただ、警察庁の方に、先ほどから何回かの問答の中にちょっとつかえるところがあるので、念のために聞いておきますが、いま自治省のおっしゃったように、そういう合意が成り立っている、そしてその合意が成り立った後においては、違法行為がなくなるという見通しでございますから、そういうことであるなら、それが望ましいですね。
  84. 福島静雄

    ○福島説明員 先生指摘のとおりであろうと、私ども考えております。
  85. 太田一夫

    ○太田委員 時間ですから、終わります。
  86. 鈴切康雄

    ○鈴切委員長 次回は、明二十八日木曜日午前十時理事会、十時十分委員会を開会することとし、  本日は、これにて散会いたします。     午後三時十一分散会