○寺前
委員 後引き続いて、
理事会も行われる予定になっておりますので、この前御
質問をさせていただきました新幹線ひかり一六六号での、二月十八日午前八時ごろの走行中の列車、その
運転士がけがをした事件についての続きを若干やらせてもらって、きょうはできるだけ簡単に終わらせていただいて、また来週やらしていただきたいというふうに思うわけです。
それで、この藤原
運転士が頭を強打した事件について、その後
関係者の中へ入ってみますと、職場の中ではこういうことが言われているわけですね、一年前にそのことがわかっていたのではないだろうか。わかっていたということになると、これまたなかなかの問題だなというふうに思うのですが、私がそのことを知ったというのは、その写しがここにあるのですが、新幹線東京第二
運転所の職場でみんなが日誌を書いているのですね。その日誌の中に、川口さんという方が、三月九日付で、「証拠イン滅されていたら全てはおしまいという話」という題をつけて、ずっと
自分の当時を思い起こしての記録があるのですよ。私、これは非常に大事な問題を提起しておると思いますので、若干の
部分を読んでみたいと思うのです。
話は、今をさかのぼる事一年前。或る日、上りこだまを担当して、三八〇キロ付近に差し掛ったところ、上り線山側の三八〇キロポストの設けられた電柱に三人の作業員が取りついていたが、私の電車が接近すると、二人の作業員は、キロポストからあわてて降りたが、もう一人は、降りることができず、電柱のキロポストにしがみついていた。
キロポストが明らかに限界を犯していると見た私と走行検査掛はブレーキを使用して、速度を落し、現地点を通過した。また作業員と当該キロポストが列車に接触しないかと思い、後部反こしてこれを確認する。それとともに、私は直ちに指令電話により、列車指令に当該キロポストが明らかに限界を犯していると思われるので、直ちに相談するように、また、危険な作業は直ちにやめるようにという連絡をした。
しかし、この時、私
たちは当該キロポストが三八一キロとばかりさっかくし指令にもその様に申告した。退出点呼の際、当直助役より、あなたの申告した三八一キロポストは車両より一メートル十九センチも離れており、問題ないということでしたので、それは私の申告間違いと思うので、その前后のキロポストを調べてほしい、また、それはやってあるのかと言ったところ、助役は、その他のキロポストについては何も言っていないという返事だった。また限界測定はオイラン車によって調べるのが普通だったが、今回はどうやったのかと助役に聞いたところ、助役は電気所9には電柱一本一本の詳細な記録(データ)があり、それで調べたという話だった。私は、その記録は事実を忠実に反映したものではない筈だから、もう一度正確な現地
調査をするよう要請しておいた。
翌日、出勤したところ、川口さんの
指摘したことを電気所に要請したが、その前后のキロポストも支障ないし、また業者にも限界を犯さないよう厳重に言ってあるので、
指摘のようなことはない筈だという話だった。そこで、電気所係員は私の話を納得しないようだから、私の担当の上り列車に係員を添乗させてくれ、そうすれば、私の言っていることが事実か、ウソか判明する筈だと言った。机上のプランニングやデータに誤りがないかどうかの確認は、現地で確認するのが一番早いし、正確だ。
運転士は毎日現地を見ている。その
運転士全員がウソを言う筈がない。これを毎回出勤、退出の度に繰り返した。
しかし係員の添乗はなかなか果されず、いく日か過ぎてしまった。
そしてこの話も忘れられ、私自身も根気のつきたころ、上りのこだまに米原から電気所の助役と称する人が「川口さんですか」と名前をたずねて添乗を依頼してきた。
添乗の目的は、川口さん申告の三八〇キロポストの限界測定であると言った。私は、現地を通過してしまったら、測定できないだろうからとめて見せると言ったが、遠慮して、けっこうですと言うので、安全問題に遠慮は禁物、あなた方は遠慮しても実害はないだろうが、我々
運転士や走行検査掛、車掌等は、
運転の必要上、窓を開けて顔や手を出す。あなた方の遠慮やニュアンスとしてのサボタージュが我々の側の危険増大につながるということで、私は指令から三八〇キロポスト限界測定のため、現地臨停の通告を出させた。
モニターをしていると、指令は後続ひかりに走行こだまが三八〇キロポスト限界測定のため臨停するので、当る旨の通告を確認した。しかし現地はブレーキが間に合わず、減速したのみで通過したが、助役と共に当該キロポストと車両との間カク三十センチ以内で限界を犯していることを確認した。
以上ですが、私の方にはこの点に関する一切の記録がありません。昨年一月から使用の乗務日誌があるだけですが、これにも一切、この点に関する記載がありません。
ですから、あとは、当局側の記録に頼るだけです。したがって当局がすでに証拠イン滅を図っていれば、言った、言わないの水かけ論に終始するわけです。ということが、その職場に置いてある日誌に書かれているわけなんですね。
私は、こういうものを見て、あれだけのスピードで走るところのあり方としては一体これでいいんだろうかということをつくづく感ずるわけですが、こういう事実を知っていますか、国鉄の方。