○久保(三)
委員 大型船の錨泊の指定ですね、これは港則法ではやっておるが、あなたが
説明したとおりだけであるから、もっと具体的にこれをやったらどうですかという
提案なんですよ。
法律の
内容を聞いているんじゃないのです。
それから
釣島水道か何か知らぬが、では
事故の
原因を調べてからわれわれもやりましょうね、いずれにしても問題のある点でありますから。
時間がないから先に行きます。
海上保安庁は、
昭和五十年の十月十六日から十二月二十七日の間に特定港に入港した
外国船舶千五百三十七隻及びそれらの用船会社、運航会社、
代理店等五百三十九社からいろんなアンケートをとったということであります。これは詳細なアンケートのようでありますから、貴重な文献でありますので、私の方に資料としていただきたいということがまず
一つ。忘れないうちに申し上げます。
そこで、この調べの結果によりますと、日本近海におけるところの
外国船の
海難というのはかなり目立ったものがありますね。千トン以上の
外国船の
海難の発生率の推移というのでありますが、これでまいりますと千トン以上全体でいくと総隻数全体の大体六〇%以上が、言うなら
外国船にかかわり合いのあるものですね。全体じゃなくて一万トン以上のものに限ると七割にもなっているというのです。これは見逃すことのできない
一つの問題だと思う。
それじゃこれらの船籍はどうかと言うと、これはほとんどが便宜置籍船と言われるものです。大韓民国が一番多いわけです。その次にはパナマ、その次にはリベリア。これは言うならば、日本のオペレーターが便宜置籍船として使用するものが恐らく大半だと思っております。だから冒頭お願いした資料を見ればわかると思うのでありますが、最近の海運界では国際競争力ということだけで便宜置籍船、最近はマルシップというようなものまでできているわけです。しかもこの間
事故を起こしたものもみんなそういうたぐいのものです。これは海運局から次長さんおいでですね、運輸
委員会でもちょっとお話ししましたが、こういう船の
事故というのがかなり多い。その
事故の多いだけが問題じゃなくて、問題の解決に困っているわけです。
これは三光汽船がオペレーターなんでありますが、
昭和四十九年に起きた事件でありまして、和歌山県の潮岬沖合いで室戸のマグロ
漁船がリベリア船籍の貨物船と
衝突して、その結果沈没してしまった。それで人間も死んでいるわけです。これは
海難審判所へ出ているのでありますが、結局さっき冒頭に言ったように、
衝突されて沈没した船、第十一昌栄丸というのだそうでありますが、これの不当運航によって発生したものである。しかしながら、オーシャンソブリン号といういまの便宜置籍船、これの不当運航もその
一つの、
原因であるというふうな裁定が出ているのですよ。だからそういう意味で、損害賠償を請求しているわけですね。裁判になっている。これはたしか昨年の十月下旬のNHKのスタジオ102に出たことがあるのです。どういうことが出たかというと、ぶつけられて沈められた船の船主は、もはや立ち上がることができなくて、どこかの宿屋の番頭になって暮らしているという話で出ているわけです。結局問題の解決が非常にむずかしくなっている。三光汽船は、おれはオペレーターで用船しただけだ、
船舶所有主の責任であるというようなことで裁判が恐らく長くなっているのだろうと思うのです。便宜置籍船というのはみんなそうなんですね。それじゃ
船舶所有主はどこかと言うと、ペーパーカンパニー、いわゆる幽霊会社が全部——幽霊会社と言ったら失礼かもしれないが、その所在もわからぬような会社が全部である。結局はオペレーターなりその他の者が本当の責任者でありながら便宜置籍船ということで税金を免れ、あるいは低賃金の
船員を雇って、利益ばかりじゃなくて、
海難が起きたときの損害を免れようということなんですね。これはもはや単なる海運の問題じゃなくて、総合的な日本の海運をどうするかという問題の中で処理しなければならぬ問題だと思うのです。
そこでお聞きしたいのだが、時間もありませんから簡単にお答えいただきたいと思うのです。便宜置籍船というか、
船舶のそういう場合の責任の所在というのはどんなふうになっているのですか。
それからもう
一つは、海運局の次長にお尋ねするのだが、そういうオペレーターが持っているところの便宜置籍船、いわゆる
外国用船の
船舶所有主の責任が明確でないものは日本の港からシャットアウトする、そういうような強硬な手段はとれないものかどうか。極端なことを言うようでありますが、責任をしょえないものが日本の港に出入りされたのでは、日本国民はこれははっきり言って、困ります。オペレーターそのものが責任を負うというのならオペレーターが責任を負うということがはっきりしていればいいのです。しかし、いなければやはりそういう
方法でもとる以外にはないと思うのだが、どうでしょう。
海運局から先に聞いて、あとは
保安庁からもお聞きしましょう。いかがでございます。