○寺前
委員 最近、
交通安全のためにいろいろな措置をしたら、逆に他の問題になるというのが、いろいろな分野であらわれております。たとえば、人が安心して通れるようにするために
歩道をつける、
歩道橋をつける、非常に便利になる、車がだあっと集中していって、そうして公害をばらまく。新しい問題に発展する。こういう種類の問題は、いろいろな分野で考えられるわけですが、最近私のところに、京都の南部の自治体の消防長さんから近鉄に対して申し入れたという文書が来ました。それを見たときに、また他の分野でそれを強く感じたものです。というのは、昨年
運輸省が監査をやられました、特別監査ですか、近鉄京都線といいますか、電車の周辺に近郊
都市として二十五万前後の住宅がずっとできてくる。そこにあるところの踏切道というのは、確かに人命を大切にするところから踏切という措置がとられているわけですが、その踏切のために、逆に今度は、火事が
発生した、急病人が
発生した、それっという場合に消防
自動車が行けない、救急車が行けない、そのためにとんでもない事件が起こってくるという、この
交通安全が逆に新しい事件を
発生する問題として、こういう問題が
発生してくる。これは各所に見られる問題ではないかと思うのです。私は、きょうは、せっかく
大臣のお見えの時間なので、二十分間をその消防長さんがお出しになった要望書を中心にしてお聞きをしたいと思うのです。
この要望書を見ますと、こう書いてあります。これは近鉄の本社の社長さんあてに宇治市の消防長、城陽市の消防長、田辺町の消防長、相楽中部消防長、精華町消防長の五名さんでお出しになっているわけですが、「貴社京都線は沿線市町の市街地を東西に二分して縦貫し、踏切の位置や構造により大きな
交通停滞をまねき、また踏切の遮断時間も大久保踏切においては、一時間に延べ三十八分四十八秒の長時間にわたり遮断され、朝夕のラッシュ時には一回の遮断時間が最長九分十一秒にもおよび、一分一秒を争う人命救助、消防活動に大きな支障をきたすことになり、沿線住民の不安の高まる中で、私達沿線消防機関と致しましても、その実情を
調査し、
対策を検討致しました結果、下記のとおり消防活動上の
問題点を提起し、貴社のご理解とご協力をお願いしてすみやかに措置、改善が図られますよう強く要望します。」といって幾つかの点を
指摘しております。
その第一番目は、「1 踏切の遮断時間の短縮について 午前七時から午後七時までの十二時間における踏切の遮断時間は、新田辺踏切では四時間四分四十秒、大久保踏切では延べ五時間十一分四十五秒となっており、また朝夕のラッシュ時における久津川一号踏切では、一回の遮断時間は最長六分三十一秒にもおよんでいることから、災害
発生時には他の踏切も同様、人命救助、消防活動上大きな支障をきたしており、踏切の遮断時間の短縮について次のことを要望する。」「(1) 主要幹線踏切における列車の離合をなくし、遮断時間を短縮する。」「(2) 列車通過後の遮断機の昇降時間の短縮」、「2 消防出張所建設に関し費用の応分負担について」、三番目に「消防隊出動路線となる主幹踏切の警手配置について」、四番目に「水管橋の設置について」、そして最後に「災害
発生時における
対策組織の早期確立について 貴社線路内における列車
事故、線路敷火災等災害
発生時に対応できる組織を早期に確立するとともに、
現場責任者を明確にし、
事故処理の円滑化を図ること。」こういう点の要望を会社にお出しになっているわけです。
これをお出しになるようになった経過は一体どういうことなんですかと消防長さんにお聞きしますと、昨年の七月四日宇治市の小倉町の南堀池というところで五軒長屋がほぼ半焼した。そのとき宇治の消防署から五台の消防車と救急車が飛んで行った。一台が近鉄の小倉駅から桃山寄りの初めての踏切にひっかかって前にも後ろにも行けない事態となった。幸い四台は
現場に行ったので、全焼という最悪の事態は避けることができたけれ
ども、これが契機となって、いまここで言われたような遮断時間の改善をする必要があるんじゃないか、あるいはホースを踏切を越してやるところの
対策な
どもちゃんとする必要があるんじゃないか、こういうような問題に直面をした、こういう話です。
余り話が長くなってもあれですから、これでやめておきますが、こういう
状況というのは、
都市が大きくなっていくとか、昔だったらそれで済んだものが
交通が、電車の数がふえていくということになって、こういう事態が生まれているという、社会変化自体が対応させないようにしていると思うのです。こういう問題について、
国家公安委員長としてどういうふうに今日まで対応してこられたのか、あるいはどういうふうにしようとしておられるのか、そこをお聞きしたいと思います。