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中村(茂)
委員 私は、これが十年も持っているというようなことなしに、せいぜい二、三年ぐらいで手がついて、どんどん開発され家が建っていけば、そう心配しないのです。こういう経過を私は詰めているのではなしに、これだけの
土地が、調べれば調べるほど果たして、このところに家が建つだろうかという心配が起きてくるわけですよ。
先ほど言いました八王子、これについても私は東京都と八王子市に、電話でありますけれども照会してみました。皆さんはこういうふうに言っていますね。「市街化調整区域であるので、その開発計画、特に交通輸送対策については、十分な
検討が必要である。現在、市と共同して開発基本計画及び周辺関連地区も含めた交通輸送対策について、昭和五十五年度使用を目途に
調査研究中である。」というふうにここに書いてありますけれども、交通輸送といっても、いろいろありますが、とてもじゃないけれども、これだけのものを、八王子市でも、
公団で、そういうふうに考えているのですかねというような話ですよ。しかも調整区域でありますから、こういうふうには書いてあるけれども、これが果たして実現できるかどうかということを考えていくと、東京都、市等についても書いてあるだけのことであって、実現性というものについては首をかしげざるを得ない。
それから、やはり
先ほど言いました、これは
宅地部門でありますけれども、市原市のやつについても、これは学校用地という問題が出てきて「協議中であり、昭和五十二年度には
譲渡する予定である」というふうに書いてあるけれども、なかなか、ここまで進んでいないということを言っておりました。以下、全部同じですよ。ですから
土地は持ったけれども利息はついていく。これなどについては四十四年、四十五年、四十六年、こういうところを手に入れたのですから、すぐ十年くらいたってしまう。いまでも何億という利息がついている。ここへつくったものは結局、高い家賃を払わざるを得ないものになってしまう。ここのところが、これからの
住宅政策の一番の問題であるというふうに思うのです。いままでは、いろいろあったけれども、
土地を買っておけば
土地が上がってきたから、利息がついていても、その
土地の値上がりで解消できたわい、なお、もうけたわい。ところが今度はそういうわけにはいきません。
土地はなかなか上がらない。したがって、その上がった分については全部、家賃なり
譲渡する人にかかってしまう。ここのところを真剣に考えていかなければ
公団は行き詰まるし、ここ一、二年が大変な時期を迎えているのではないか、こういうふうに思うわけであります。時間がありませんから、私の考え方だけ申し上げて、この問題は終わりたいというふうに思うのです。
それから、いま申し上げましたように、したがって家賃問題と関連してくるわけでありますけれども、私のところに、こういう資料があります。皆さんのところでおつくりになった、いわゆる二DKこの中高層の家賃の
構成でありますけれども、その中で私は特に強調したいと思いますのは、減価償却の中の工事費と利子分、特に利子分を見ますと全体の三一・二%が減価償却の中の利子分になっている。それから地代相当額これはもう全部、利子でありますから、これが二九%。それから、これから入った人が利息なり、そのほかで払っていく公租公課、これが一三%。全部合計してみますと家賃の七三・二%になるわけです。家へ入った、家賃を払っています、そのうちの七三・二%が利子というのでは、利子の家へ入っているようなものです。
先ほど申し上げましたように、利子というものは一日たてば、ついているわけでありますから、ますます利子の加算分ができてきてしまう。そういうことを
検討しながら家賃という問題について
検討してみますと、
土地代についても償却費についても、
公団の場合には四分五厘の利子なんですね。七分五厘の金を三分、利子補給を受けて四分五厘の利息で
計算して、これだけの家賃になって七三%という利息の家へ入っている。
民間などは、もっと高い利息でやって、家賃はこれよりも高くなるでしょうけれども、そういう安い金を使って、なお、これだけの利息分の家賃の家へ入らせるというのは、考えれば考えるほど、これはもっと何とかしなければいけないのじゃないかという
立場に私は立たされるわけであります。
そして、いま一番問題になっている赤羽のいわゆる傾斜家賃。これは家賃が十一万一千六百円。これを初年度を六万九千六百円にして、年々六%ずつ傾斜で家賃を上げていって、約八年で
先ほど言った本当の家賃にしなければならない。それで十一万一千六百円程度になって、十年までには家賃が十二万円になって、後ずっと、それでいくというのでしょう。だから傾斜家賃というのは初めは確かに低いけれども、ずっと高くなって、十年たったときには倍の十二万円の家賃を払っていくわけですね。私が当初、申し上げましたように、これから家を持つと言ってみても、利息の中へ入っているようなものだ。ですから、この辺を根本的に
解決していかないと家賃は高くなるきりだ。したがって、入る人もあれですけれども、
公団自身は
政府の金を使って利子補給まで受けて、特に勤労者に、いい
住宅、環境のいいものを安く提供する、こういう目的でできて、確かに、それだけの金を使っているんだけれども、こういう家賃を取るような家になってしまう。ですから私どもも、これから真剣に考えていきたいと思いますけれども、そういう
意味で
公団も、あらゆる面で、いまは行き詰まりに来ているのじゃないか、こういうことを指摘したいわけであります。この点はもう
答弁要りません。
それから空き家の問題に関連してでありますけれども、空き家も先般、
意見がありましたが一万一千九百六十八戸、約一万二千戸、空き家になっている。この額も五十億を超すそうであります。これだけの空き家をつくってしまって、年間五十億入るのが、それだけ入らなくなってしまう。片や、すでにできておって空き家になった分を
募集すると、東京都で大体二十五万人から応募がある。それを四期やるわけでありますから、延べにして百万の
人たちが
住宅に入りたいというふうに応募してくる。片方で一万二千戸の空き家がある。これはどういうことか。これはもう、はっきりと
住宅に入りたいという人の心理をあらわしているわけであります。空き家になっているところは最近できたので相当、距離が遠いわけであります。距離が遠いということと家賃が高くなっているということ。家は確かに、りっぱになりました。中身がよくなりました。ですから
大臣、聞いておいていただきたいと思うのですが、
先ほどの
答弁の中で、数はできたから中身をよくしてくれ、こういうことを言われました。やはり
住宅というものは中身だけをよくしたって、だめなんです。距離の問題が出てくる。家賃の問題が出てくる。そういうものが
解決されていかなければ、入り手がなくなって空き家になるのです。二十五万人の人、東京都のように四回
募集して延べ百万人もの応募者が出てくるということは、どういうことかというと、空き家は都内なんです。家は昔つくったのですから悪いんですよ。しかし近い、安い。だから延べ百万人の人が殺到する。この問題を
解決していくのが、これからの
住宅政策じゃないか、こういうふうに私は思うのです。これも別に
答弁要りません。この問題を
解決していただきたいというふうに思うのです。
そこで、二つだけ提起しておきたいと思うのです。
こういう
状態を
解決するのは
土地の提供の問題もありますけれども、都市の再開発を
政府の金で相当、思い切って行って、そして、そのところに中高層の賃貸を、環境のいいもの、中身のいいものを建てていく。そして、そこのところで再開発した改良事業などにがかったものについては家賃に転稼させない、家賃に転稼させれば同じく高くなってしまうから。そういうものを国の政策として思い切ってやっていかなければ、東京都なり大都市圏における
住宅問題は私は
解決しないのじゃないかと思うのです。外を歩いて、ずっと見ましても、山の手あたりに行けば二階、三階ぐらいのものがマッチを並べたように見えます。ああいうところを、いろいろあるでしょうけれども、しかし問題は金ですよ。金が相当かかります。しかし、
個人の負担だのどうのと言っていたら、こんなのは
解決できるはずがない。決定的に
政府の金を思い切ってたたき込んで、そこのところに環境のいいものを、中身のいいものを建てて、
土地開発と
住宅問題を一挙に
解決していく手法が、
政府の大きい方針として生まれてこなければ
解決できないのではないか、私はこういうふうに思うのです。
そこで、そういう
立場で
大臣と、それから
土地の提供問題、これは
国土庁長官の
答弁を得る前に、少し細かく触れておこうと思ったのですが、時間がありませんので遊休地の問題、これは私が
数字を申し上げるまでもなく、これから
住宅建設の計画にのせるだけの遊休地は
民間を含めて、いっぱいあるわけですね。しかし、国土法にのせてやったら数は少なかった。私はいろいろと欠陥があると思うのです。だからこれを、私どもも、まだ社会党として、しっかりした方針にはなっておりませんけれども、
土地債などを
研究して、この放出については債券、
土地債などで吸収していく。しかし、これは企業の持っているのが相当多いわけでありますけれども、欠損までは企業は放出しないでしょうけれども、もうけは、そう企業に与えないで、金が相当かかるわけでありますから、債券の発行などを考えながら、これを
住宅に放出させることを、ひとつ考えなければならぬと思うのです。ですから私は、いま申し上げましたように、市街地の再開発それから遊休地の
住宅への放出、この両面を政策として
政府は真剣に考えていただきたいと思うのです。したがって、そういう
立場で
大臣と長官からの
答弁を
お願いいたします。