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1977-03-11 第80回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年三月十一日(金曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 北側 義一君    理事 内海 英男君 理事 塩谷 一夫君    理事 野中 英二君 理事 渡辺 栄一君    理事 中村  茂君 理事 福岡 義登君       有馬 元治君    江藤 隆美君       大塚 雄司君    坂本三十次君       谷川 寛三君    中尾 栄一君       中島  衛君    渡部 紘三君       井上  泉君    伊賀 定盛君       沢田  広君    下平 正一君       渡部 行雄君    谷口 是巨君       古川 雅司君    西村 章三君       瀬崎 博義君    甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 長谷川四郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 田澤 吉郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         国土庁土地局長 松本 作衛君         建設政務次官  小沢 一郎君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設大臣官房会         計課長     加瀬 正蔵君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 中村  清君         建設省河川局長 栂野 康行君         建設省道路局長 浅井新一郎君         建設省住宅局長 山岡 一男君  委員外出席者         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部施         設課長     田中 和夫君         運輸省自動車局         整備部車両課長 北川  清君         住宅金融公庫理         事       立川 宗正君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     沢田 光英君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     有賀虎之進君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     今野  博君         参  考  人         (宅地開発公団         総裁)     志村 清一君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 三月十日  辞任         補欠選任   瓦   力君     古井 喜實君   住  栄作君     森山 欽司君   岡本 富夫君     矢野 絢也君 同月十一日  辞任         補欠選任   井上  泉君     井上 普方君   下平 正一君     沢田  広君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     井上  泉君   沢田  広君     下平 正一君     ————————————— 三月七日  中央自動車道高井戸インターチェンジ廃止等  に関する請願大久保直彦紹介)(第一一六  〇号)  国道三二二号の計画変更に関する請願鍛冶清  君紹介)(第一一六一号)  尾瀬分水広域的運用に関する請願始関伊平  君紹介)(第一一六二号) 同月八日  人口急増地域における下水道整備河川改修等  の特別措置法制定に関する請願草野威君紹  介)(第一二二二号)  同(伏木和雄紹介)(第一二二三号)  尾瀬分水広域的運用に関する請願中曽根康  弘君紹介)(第一三四〇号)  不動産管理に関する法律の制定に関する請願(  受田新吉紹介)(第一三四一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 北側義一

    北側委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、日本住宅公団総裁南部哲也君、理事沢田光英君、理事有賀虎之進君、理事今野博君、宅地開発公団総裁志村清一君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 北側義一

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見は、質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  4. 北側義一

    北側委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷口是巨君
  5. 谷口是巨

    谷口委員 最初に、建設大臣に伺いますけれども、本日の報道によりますと、経済政策関係閣僚会議が開かれて何か決定された事項があるように聞いておりますが、その内容について御説明を願いたいと思います。
  6. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 きょうの閣議それから経済対策関係閣僚会議におきましては公共事業早期執行をやってもらいたいというようなことでありますが、大体そのとおりに進んでおります。たとえば五十一年度の予算につきましても、もう大体、完了いたしますし、次の補正予算にいたしましても、もう大体、目鼻がついておりますし、また、やがては五十二年度の予算も通過させていただけるものと考えまして、これらの発注に対しても準備万端整えてあります。そういうようなことで、私の方に対する公共事業というものは大体そのような方向づけをしてありますと申し上げておきます。  さらにまた、住宅建設につきましては公庫の融資の円滑化とか、住宅金融公庫の五十二年度の個人住宅貸し付けについて、すでに三万戸分については決定をしておりますけれども、四月半ばまでに大体九万戸分についての募集をやりたい、こういうようなことでございまして、したがって、これに対しましては公庫分七万六千、五分五厘のもの、それからマンションの分が五・五で六千それから、さらに八千戸分、合わせまして九万戸分を速やかに、なるべく早く解決がつくような方法をとってもらいたい、こういうようなお話がありましたので、私の方は全部、万全を期して、その期間までには、なにできますということを申し上げてまいったわけでございます。
  7. 谷口是巨

    谷口委員 いろいろお話を聞いたわけでありますけれども、予算早期執行ということは、おっしゃるとおり非常に大事なことであります。そのことについて、五十一年度の予算も、ほぼ終わっているということでありますし、補正予算も、あらかた、めどがついた、こういうことでございますけれども、先般来の大臣お話を聞いておりますと準備万端すべて整った、いわゆる早期予算執行について、五十二年度の予算執行についても準備万端整えてあるとおっしゃるけれども、どういうことを指して準備万端と言うのか、簡単で結構ですから説明してください。
  8. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 発注方法あるいは資本の分担、これらが万端を整えてある、こういうことでございますから、大もとになるものにつきましては大体つけているというわけであります。それから、よく御質問が出てまいります中小関係の問題、発注の問題、これらに対しましても五十二年度は、いままでとは違って小さいものは小さいもので企業体をつくるとか、あるいは中小の方はジョイントをもってやらせるとか、専門専門部門をつけまして、そして、それを完成させるように進めていく、こういうように準備してあるわけであります。
  9. 谷口是巨

    谷口委員 大臣お話を信頼いたしまして、ひとつ予算執行については早期お願いをいたしたい、このように思うわけであります。  政府住宅建設景気浮揚対策の大きな目玉としてとらえていくことは当然のことでありますけれども、五十二年度の住宅建設予算についても、金融公庫執行は、もうすでに終わったのが一月に三万戸ということでございますね。また四月に九万戸を募集して、五十二年度予算の約五七%を募集しようとしていらっしゃるようでございますが、こうしたハイペースの予算執行というのは従来なされたことがないわけであります。今回は非常に特例の場合でありますが、それが実行されたとして、それでは、その後、後半の金融公庫の動きを、どのように回転させていくのか、その辺の見通しを念のために伺っておきたいと思います。
  10. 山岡一男

    山岡政府委員 金融公庫個人住宅貸し付けは、全体で二十四万四千戸計上しておるわけでございます。そのうち、先ほどお話がございました三万戸分については、すでに一月に募集を終了しておりまして、新年度に入って着工するということになります。残りのうち九万戸を、とりあえず募集するわけでございますが、秋になりますと残り八万五千戸というものを募集するということで予定を立てております。
  11. 谷口是巨

    谷口委員 ひとつ早期執行をぜひ期待をいたしたいと思います。  次に、住宅公団について伺うわけでありますが、宅地分譲について、その条件がどのようになっているか、簡単に御説明を願いたいと思います。
  12. 今野博

    今野参考人 住宅公団宅地分譲条件でございますが、条件といたしまして、まず、お金支払い条件がございますが、これは即金払い割賦と両方がございます。割賦の場合には頭金幾ら、それから割賦金幾らと、こう決めますが、その割賦金を決める場合に、御本人の平均月収基準にいたしまして、その五・五分の一の額、これは大体一八%に相当いたしますが、五・五分の一の額に割賦月数を乗じて得た額を割賦金額といたします。そちらの方を算出いたしまして、残り頭金としていただく。支払い条件としまして、そういうことでございますが、その場合に割賦の利息は年九%でございます。  それから、償還方法元金均等半年賦償還ということに相なっております。  さらに、そのほかの分譲条件でございますが、これは二年以内に自己の居住する住宅を建設していただくという条件一つございます。さらに、五年間は他に譲渡を禁ずる権利制限をいたしておりまして、これは五年間の買い戻しの特約登記をいたしております。  大体そんな条件宅地分譲をやっております。
  13. 谷口是巨

    谷口委員 いま、頭金について、三年割賦の分の残り頭金という答弁だったように伺うのですけれども、決まったことによりますと、頭金は総額の三〇%というふうになっているように私は承知しておりますが、再度、答弁を願います。
  14. 今野博

    今野参考人 お答えいたします。  頭金は三〇%以上というふうに決めてございます。
  15. 谷口是巨

    谷口委員 頭金三〇%以上ということについては、いろいろ想像する基準があると私は思うわけです。三〇%以上ということは非常に意味が深いのでしょうけれども、庶民立場から見ると、私たちとしては三〇%が一つ基準となるように受け取るわけであります。この計算でいきますと、たとえば年収二百四十万ぐらい、月収二十万といたしますと、この人が現実八百万円ぐらいの宅地分譲を受けた場合、三年割賦状況と、それから頭金状況計算をして出していただきたいと思います。
  16. 今野博

    今野参考人 お答えいたします。  譲渡代金八百万ということでございます場合に、月収が五十一年の三分位の中位というふうに仮定いたしますと大体、平均月収が二十四万六千円ということに相なります。これに先ほど説明申し上げました五・五分の一を掛けまして、仮に三年といたしますと三十六カ月、これを掛けますと百六十一万が割賦金に相なります。したがいまして、そのパーセンテージは大体二〇%で残りの約八〇%強が頭金ということに相なります。
  17. 谷口是巨

    谷口委員 この話を聞いておりまして非常におかしいなと思うのは私だけではないと思うわけであります。いま国民の大半がマイホームを求めたい、住宅を欲しいという要望が非常に強いわけでありまして、それを受けて住宅公団も設立されておるわけでありますね。そういう状態からいきますと、いま仮に月収二十万の勤労所得者八百万ぐらいの宅地分譲を受けた場合、頭金の八〇%すなわち約六百四十万ぐらいのお金をそろえなければ、この土地が買えないということになるわけですね。そして月収の中から約四万近い三万何千円というお金を毎月毎月、三カ年間払っていくわけであります。こうなってくると、庶民が受け取っております。月収の五・五分の一を超えてはならないということと頭金三〇%以上ということから考えてみて受けるイメージと、非常に実は違うというのが現実だと思うのですけれども、その所見を伺いたいと思います。
  18. 今野博

    今野参考人 おっしゃるとおり三〇%という数字と、現実の七五なり八〇という。パーセンテージは大分、開きがございまして、まことに、おっしゃるとおりであると私個人そう思っております。  実は、ただいま申し上げました割賦期間三年につきましては、従来も譲渡金額の高額な場合には、それを延ばした例もございまするし、将来、五十二年からも、そういう方向償還期間延長、三年をたとえば五年にするとか、あるいは、もう少し延ばすとかいうようなことについて、弾力的に運用もしたいと思っておりまするし、関係機関とも十分、御相談をしまして、できるだけ毎月の償還金額を少なくしていく、あるいは割賦金額の方を大きくしていく、したがって頭金の額を比率を少なくするというような方向で努力していきたいと思っております。
  19. 谷口是巨

    谷口委員 公団では、一般勤労所得者平均月収というものは、おおよそ、どこら辺に基準を置いておられることになりますか。
  20. 今野博

    今野参考人 公団としてということではなくて、宅地サイドお話を申し上げるわけでありますが、大体、三分位から四分位にかけての方々を対象にしておるわけでございます。先ほどお話し申し上げました三分位となりますと、大体二十四万六千円が五十一年の三分位の中位平均月収でございますし、四分位になりますと、三十万八千円が第四分位の中位平均月収だと思っております。  大体、宅地をお求めになる方々は、やはり若干の蓄えもお持ちの方が多いようでございまして、頭金どうこうという話は余り切実な問題として私ども聞いておりませんけれども、しかし一般的に、おっしゃるとおりなようなことは、もう十分認識をしておるつもりでございます。
  21. 谷口是巨

    谷口委員 三分位の中位が二十四万六千円、四分位の中位が三十万八千円、こういう方々が一体いまの物価高の中で毎月毎月、貯蓄をしていって、八百万円の中の六百五十万円ぐらいの頭金を打てるような貯蓄があると認識をなさっておりますか。
  22. 今野博

    今野参考人 お答えいたします。  そういうつもりで申し上げたわけじゃございませんで、やはり土地をお求めになる方は若干の蓄えをお持ちになっておるということは事実でございます。さらに、土地分譲につきましては金融公庫の方とも連動しておりまして、そちらからの融通もきくということでございます。
  23. 谷口是巨

    谷口委員 話を聞いておると、非常につじつまが合わないような感じが私はするわけでございます。あなた方みたいな、おえらいところには話が来ないのでしょうけれども、私どものところには、実情にそぐわない制度である、われわれ一般庶民のためには手が届かない制度ができているという声が殺到しているわけであります。だから、いま、お話を聞いておりましても、もしこれが民間会社でありまして、ああいうキャッチフレーズで広告をして出発をしたとすると、まさに、これは誇大広告になり、いわば一般を欺瞞したような状態になる、不当広告になるような感じ内容であります。  したがいまして現実には、先ほどお話を聞いておると、譲渡金額のいかんによっては年限を延ばしたりなんかした実例があるとおっしゃるけれども、実例があるということは、あなた方も現実に、そういうものが必要であるというふうに受け取っておられると私は思うわけです。そうなってくれば、もっと現実に沿うように年限にしても、あるいは金利にしても、はっきりと、これは変えていかねばならないと私は思うわけです。なし崩しで変な運用をするんじゃなくて、現実条件を変えねばならない方向検討すべきだと思うけれども、もう一度、質問をしておきます。
  24. 今野博

    今野参考人 割賦年限につきましては、先ほどお話し申し上げましたように原則は三年になっておりますが、これを延長するという方向で前向きで本当に検討もいたし、実行いたしたいというように考えております。  金利につきましては九%でございます。実は現在、住宅公団土地部門で借りております民間資金金利が九%でございます。それに合わせて九%にしておりますが、やはり、これも市中金利等も考えまして前向きで検討していきたいと思っております。
  25. 谷口是巨

    谷口委員 かなり具体的な方向が出てきたわけでありますけれども、ただ、それだけでは納得できないと思います。一体、何年ぐらいをめど期間延長するのか。たとえば金利にいたしましても、市中金利の方が期間が短い場合には安いわけです。金利が高くなるのは年限が長くなった場合なんです。これも一つめどをつけなければいけないと思いますが、いま、どのようなことを考えていらっしゃるのか。いま考慮中なんて、そんな悠長なことを言っているときじゃないでしょう。どういうところをめど検討していくのか、はっきりした数字を出していただきたい。
  26. 今野博

    今野参考人 実は五十一年、今年度でございますが、首都圏でやりました宅地分譲割賦期間を五年にいたしました。したがいまして、五十二年も大体その線でいくというつもりでございます。  金利につきましては、いま何%ということは申し上げかねるわけでございまして、これは関係するところもずいぶん多うございますので、十分検討さしていただきたいと思います。
  27. 谷口是巨

    谷口委員 大体いま出てきた年限延長が、三年を五年にするというところは、ほぼ決めていらっしゃると理解をしてよろしいわけですね。それならば明確に、五年にしても十年にしても、変更していかなければならないと私は思うわけです。また、これに加えて一般庶民上物をつくるわけです。上物だって恐らく八百万から一千万ぐらいの金がかかるわけです。  そしてまた、先ほど金利の問題ですけれども、大蔵省で調べてみましても民間のローンでも大体十年もので八・七%です。二十年もので大体九%の金利です。これは金利の取り過ぎです。もし公団一般勤労大衆相手にしない、要するに金持ちの相手をする公団であるならば、これでも許されるかもしれないが、一般庶民実情は、先ほど、あなたがおっしゃったように、はるかにぐっと下です。その中で貯金を一生懸命やってみても、そう、たくさんできないというのが現状なんですね、庶民は。それからいくと金利についても、もう少し明確な返事を私はいただきたいと思います。いかがですか。
  28. 今野博

    今野参考人 先ほどお答えしたとおりでございますが、前向きに検討いたします。
  29. 谷口是巨

    谷口委員 建設大臣にお聞きしますが、以上のような状態でございますけれども、やはり明確に、これは数字の訂正、それをしなければならないと思いますが、実際に運用がそのようであれば、どうですか大臣見解は。
  30. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ただいま公団からのお話のように、金利の方の問題になってきますと、公団建設省だけでなかなか解決がつけられない問題なんでございまして、これらについては、いまも御答弁のように前向きで検討を加えますとおっしゃっておるとおりでございますが、年限については、いま公団の方からお答えを申し上げて、大体その程度にまで持っていきたいんだという御意見のようでございますから、私たちも、これから御意見を十分承って、できる限りの努力をいたします。
  31. 谷口是巨

    谷口委員 いろいろ伺いましたけれども、締めくくりといたしまして年限延長は確実である、それも最低五年ぐらいの延長になるということ。それから金利についても関係各方面と打ち合わせをして、できる限りの低金利に下げていく、そういう方向であるということを私は確認したつもりでございますが、それでよろしゅうございますか、大臣
  32. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 いま、お答えを申し上げましたとおり、まだ公団の方と十分詰めてはおりませんが、大体、御期待に沿えるような方向づけだけはいたしてまいりたいと考えます。
  33. 谷口是巨

    谷口委員 話を進めますけれども、次に、住宅公団運用について伺いたいのですけれども、さきの予算委員会質問の中で、わが党の正木政審会長が一部、触れて要求したのですが、その結果、出たと思いますが、公団問題対策委員会メンバーこれが決まったように新聞に実は出ておりました。それから、もう一つ公団法の中に管理委員会というのがあるわけですね。この二つのメンバーの、簡単な内容で結構ですが社会的地位、これらもひとつ、お答え願いたいと思います。
  34. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 まず、公団住宅問題対策委員会構成メンバーについてお答え申し上げます。  先般も大臣、御説明申し上げましたように、これは省内に事務次官を長として構成をいたしました委員会でございまして、副委員長技監を置き、そのほか官房長、各局長をもって構成をするものでございます。
  35. 谷口是巨

    谷口委員 管理委員会メンバーは。——それでは後で言ってください。  たとえば、いま言われたメンバーについて私は非常におかしいと思うのです。実際に住宅に困窮している、そういう人たち実情がわかるのは、もちろん、お役人もわかるでしょうけれども、実際に困っている、そういう人たち代表を中に入れてこそ初めて生きた運用ができると、われわれ庶民側から見れば考えるわけです。このことについて先ほど答弁がありませんでしたけれども、管理委員会についてもメンバーを調べてみましたけれども、これはちょっと庶民とは言いがたい立場方々が入っているように私は思うわけです。そうなってくれば、この管理委員会にしても公団問題対策委員会メンバーにしても、私は、もっともっと根本的な考えを変えて、そのメンバーの中に庶民代表を当然、入れるべきだと思うのですけれども、そういう見解について、ひとつ大臣
  36. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 官房長がちょっと足らなかったと思うのですけれども、建設省内につくられている公団問題の研究につきましては、そのほか一般の中から一、二名をお願いをして、ただ、そういうおっしゃるような集団の中からという意味ではなく、その面に十分研究をしている方々、よく中身を知っている方、こういう面から一、二を加えて今後の運営に当たっていくということが決定されておるわけでございまして、大体、私の方で研究というのは、公団を今後どういうような方向にしていったらいいだろうか。ますます今後、公団運営が大きくなり、困難になる点もあるだろう。したがって、これに対するサービスという言葉はどうかと思いますけれども、サービスという点にも欠陥はないか、あるか、こういうような面を十分に知る必要がある。そこで、よく私たちが言う良好な住宅というのであるなら、そういう観点において研究を進めて、その方向づけをしていこうではないか、こういうことで研究する機関を設けた、こういうことでございます。でありますから、まさに、おっしゃるような民間から、この中に加わっていただいて、そして、ただ民間から入ってもらうけれども、よく世に言う一般民間の中の大きな会社だとか何か、そういうものじゃなくて本当の純粋な方つまり、よく内容を知っている方を選んで行おうではありませんか、こういうことになっておるわけであります。
  37. 谷口是巨

    谷口委員 いまの大臣答弁で趣旨は、よく了解いたします。現在までの、たとえば、この管理委員会メンバーを見ましても、大阪市長の大島さんだとか、あるいは岩佐さんだとか高山さんだとか弘世さんとか志賀さん、こういう方々は、いろいろな一般状態にも通じていらっしゃると思うけれども、住宅公団法の第一条にうたっておる、いわゆる「住宅に困窮する勤労者のために耐火性能を有する構造の集団住宅及び宅地の大規模な供給を行う」という、こういう趣旨からいくと、ちょっと、これだけじゃ完全に機能を発揮できないような恐れが多分にある。先ほど大臣答弁を聞いて、このメンバーについても検討して、いまのメンバーではなく、ほかに入れるというふうに私は受け取りますが、よろしゅうございますね。
  38. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私が答弁申し上げたのは官房長と同じに、つまり建設省内において次官を長として、そして各局長、部長、それに対する官房長が加わって、一応、発足はしましたけれども、この中に、いろいろの体験をなさっている方、それは名誉職にある人という意味は全然とっておりませんので、十分体験をしている方を、この中に加わってもらおうじゃありませんか、こういうような考え方で発足をした、こういう意味でございます。
  39. 谷口是巨

    谷口委員 じゃ、そういう方針で早急にメンバーもお考えいただきたいと思うわけであります。  時間が迫ってまいりますので先へ進みますが、次、宅地開発公団について伺います。  この宅地開発公団については、昭和五十年九月に住宅公団が分離して発足したわけでありますけれども、その公団設立の目的について簡単にひとつ御説明願いたいと思います。
  40. 大富宏

    ○大富政府委員 お答えいたします。  住宅公団のほかに、三大都市圏、非常に住宅不足でございますので、こういった住宅不足に対応いたしまして、宅地開発公団は大量の、しかも大規模の宅地開発をやりまして対応したいということで、住宅公団と違いますのは上物はつくらない、つくりました宅地の卸売をもっぱら主目的と考えております。
  41. 谷口是巨

    谷口委員 その公団が発足して今日まで一年半ぐらいを経過しただけですが、その業務内容の実際について、どのようなことをなさっているか、簡単に御説明願いたい。
  42. 大富宏

    ○大富政府委員 御指摘のとおり、この宅地開発公団は七十五国会で成立いたしまして、発足が五十年の九月という年度の中途でございまして、五十年度予算五百五億でございましたけれども、ほとんど使っておりません。支出が十三億でございます。大半は五十一年度に繰り越したわけでございます。五十一年度も、やはり五百億の事業資金をもちまして、五十年度の繰越額四百六十五億を入れまして、予算現額は九百六十四億ということでスタートいたしておりますが、現在やっております仕事は、五十一年の四月に、住宅公団が買っておりましたところの茨城県の竜ケ崎地区につきまして約七百ヘクタール、これは区画整理でやろうとしておりますが、これを住宅公団から引き継ぎまして、それの事業化に現在、鋭意努力いたしているところでございます。大体、土地区画整理事業の認可を、ことしの八月ごろにはいただいて事業化に乗り出したいと思っております。  そのほか、大体この宅地開発公団は、衆議院の建設委員会の附帯決議の際に、おおむね三百ヘクタール以上という大規模な事業を行うものとして設立をされたものですから勢い、こういう開発地点を選定するにいたしましても、地元の市町村あるいは地方公共団体その他と非常に協議を進めなければいけない、なかなかエンジンがかかるのが遅うございます。いろいろと候補地を目下、選定いたしまして、公団設立の趣旨に合うような事業に進みたいと思っております。
  43. 谷口是巨

    谷口委員 時間がありませんので要約いたしますが、予算の面でいっても私たち非常に憂慮をしておるわけであります。五十年度の予算も大半は五十一年度に繰り越した。そして五十一年度の予算も、われわれが承知する段階では、ほとんど使われてなくて、また繰り越しをするのではないかと思います。この問題を含め、また五十一年度の予算と五十二年度の予算を比べてみますと、二百九十何億ですか、これに非常に減額されてきておるわけですが、その予算を消化するめどはあるのですか。
  44. 志村清一

    志村参考人 お答えいたましす。  私ども発足して一年半、これと目に見えた仕事が進んでおらぬことを大変、残念に思っておりますが、先ほど計画局長から申し上げましたように、竜ケ崎の仕事が五十二年度から本格的に着工に至ることができる、かように考えております。また新聞紙上などにも、いろいろ出ておりますが北千葉のニュータウン等につきまして、県と御一緒に参画をしながら、やったらどうかというふうな話も、いま進めております。また、そのほか関東地区におきましても幾つかの地点、関西につきましても幾つかの地点につきまして相談を進めている段階でございまして、ただ何せよ仕事が非常に大きなものでございますし、関連する事前の打ち合わせなくしてやりますと、後から、どうしようもなくなる性質の仕事でございますので、十分に事前の調査をしながら進めたいと思っております。予定どおりまいりますと、いただきました予算を消化できるのじゃないか、そのように努力したいと思っておりますが、何せよ大変、大きな仕事でございますから、いままで、うまく進まなかったことを残念に思っておりますが、これから努力いたしたいと思っております。
  45. 谷口是巨

    谷口委員 開発の規模が三百ヘクタール以上となる、そういう状態からいくと、この三大都市圏こういうところに通勤可能な範囲内で、あるとは、ちょっと考えられない実情なんですね。実際に、いままで行った実績を見ると、いろんな方面から検討して、とても三百なんてできっこない、大体七ヘクタールぐらいが標準ではないかという感じがするわけであります。このままいくと、これは無用の長物にならざるを得ないような危険性を多分に持っておるわけですね。これはひとつ十分に今後がんばっていただきたい。  それから、もう一つ、お尋ねしておきたいのは竜ケ崎の土地でありますけれども、大体三・三平米十万円という、いわば、そういうキャッチフレーズで出発しているわけでありますが、現実幾らになりますか。
  46. 志村清一

    志村参考人 お答えいたします。  私どもの公団が発足いたすための法案の御審議の過程におきまして、大体十万円程度というお話があったわけでございますが、その当時におきまして十万円ということでございますので、何年かたちますと、やはり、いろいろ物価が上がってまいりますので、また国民の所得も上がってくるので、多少スライドということになろうかと存じますが、竜ケ崎につきましては、そのような目標に、できるだけ近づけるように努力いたしたいと思っておりますが、先ほども計画局長から申し上げましたように、この事業は区画整理でございまして、地主さんと一緒にやらなければならぬものでございますから、計画がまだ固まっておりません。しかし私ども、いろいろ試算をいたしましたところ、十万円ではなかなかできません。売り出すのが五十六年ぐらいが初めかと思いますけれども、十五、六万ぐらいになるんじゃないかというふうに考えておりますが、できるだけ努力をいたして安くお分けできるようにいたしたいと思っております。
  47. 谷口是巨

    谷口委員 まあ庶民を非常に喜ばせた一つのスタートであったわけでありますけれども、公共的な機関ですらも、いま三・三平米十万円という値段では、もう供給できないという、いわば最初の宣伝とは全く違う結果が出てきておるわけです。また一つ庶民の夢が破れたことになることを指摘しておきます。  最後に、時間が迫りましたので簡単に聞きますが三全総の問題です。  長官、もうすでに論議されましたので簡単に伺いますけれども、いま新幹線が着工されておるのがいわゆる上越新幹線と東北新幹線ですね。ことしの冬でもおわかりになるように、長官は東北の出身だそうでございますから、よくおわかりでしょうが、私は九州ですから、よくわかりません、その辺は。だけれども非常にあの積雪で列車が渋滞し、あるいはストップし、いろいろしておりますね。そうなると今度の新幹線についても、また雪が降ったらストップするんじゃないですか、どうですか。これは鉄道監督局長、来ておられますか。
  48. 田中和夫

    ○田中説明員 御指摘の雪の問題でございますが現在、国鉄、公団で技術開発をかなり進めておりまして、かなりの成果を上げてきておりますので、東北、上越等につきまして非常に寒冷地、積雪地でございますが、かなり自信を持って運営できるんではないか。ただ、これは実際にかなり厳しい地域でございますので、今後、実験を重ねて、さらに万全なものにいたしたいということで現在、鋭意努力をしております。
  49. 谷口是巨

    谷口委員 非常に技術改革が進みまして積雪についても、あるいは豪雪についても、かなりな自信がおありなような、そういう新しい装置が開発されているようでございますが、もし、そんなに、りっぱなものができておるのなら、いまのあの新幹線の関ケ原付近にも、おつけになったらいかがなんですか。
  50. 田中和夫

    ○田中説明員 お答えいたします。  いま開発いたしておりますのは、関ケ原でも、すでに実施しておりますような散水装置で雪を消すという方向と、もう一つは、特に東北の方につきましては非常に気温が低うございますので、これについては雪をため込む方式、それから都市内につきましては、やはり散水をして消すという、まあ地上側の対応と、それから、さらに車両側の方につきましても、新幹線の床下のいろいろな機器がございますが、これに雪が付着いたしまして暖かいところで落ちる、これがまたバラスをはねるという問題がございまして、これにつきましては車両の改造を、いま進めておりまして、新しい車両については、そういう方向で考えていきたい。いろいろ複雑な機器が入っておりますので、なかなかむずかしい点がございまして、現在線の方の改良というのは、なかなかむずかしい点がございますので、今後の新しいものについて適用するようにいたしたい、かように考えております。
  51. 谷口是巨

    谷口委員 対策を聞きましたけれども、お話を聞いておると、すべて、うまくいくような話でございますね。現実そのときになると、うまくいきませんでしたというのが、いままでのやり方ですね。十分ひとつ御注意願いたい。  最後に長官、締めくくりにお聞きしますが、長官の所信表明の中に、三全総についてでございますけれども「その策定に当たっては、地方公共団体の意向をも十分に反映させてまいる考えであります。」こう述べられておりますが、私、実は九州でございますので、特に一点お尋ねしたいのは、実は九州新幹線について長官、御承知でございましょうが、たとえば長崎までの問題の分で、これは決められた場合、整備計画線に入る場合、それこそ九州全体挙げ、また長崎県全体挙げて再三再四、陳情を繰り返して整備計画に入れられたという経過があるわけであります。そういう、あの動きは、まさに長官が言われた、この所信表明の中のこれに当たると思いますが、そういうことについて一言、所信を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  52. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 三全総と新幹線の関係でございますが、新幹線については、ただいま新幹線整備法にのっとる全計画の二七・七%の進捗率なんでございます。今後、新幹線の問題といたしましては、これは環境問題あるいは公共投資の規模、配分という問題がございます。それから、さらに建設単価の上昇あるいは国鉄再建問題等があるわけでございますから、それなりに非常に大きな問題を抱えておると思うのでございます。しかし三全総は、すでに先生御承知のように、国土の均衡ある発展を図るためには地方圏へ人口の定住構想を考えなくちゃならぬということを考えますと、私は、全交通体系の中でも新幹線の役割りというのは非常に大きいと思うのです。ですから、これはただいま東京−博多間は営業しておりますが、先ほど御指摘のように東北あるいは上越、ただいま御指摘の長崎線の問題等、これから工事を進めてまいらなければならない、また、これから計画を進めていかなければならぬ問題がたくさんあるわけでございますが、私は、三全総の先ほど申し上げました人口定住化という大きい日本全体の長期計画からいいますと、それなりに新幹線は大きな位置づけをしているということだけ、お答えいたしたいと思います。
  53. 谷口是巨

    谷口委員 答弁を伺いましたけれども、それでは政府の方針を天下りに一方的に押しつけるということじゃなくて、地元のいろんな、そういう熱意は十分に参酌して、すべてが行われる、このように解釈をいたして、よろしゅうございますね。
  54. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 十分に地元の意向を聞いて三全総を作成いたしたいと思います。
  55. 谷口是巨

    谷口委員 終わります。
  56. 北側義一

    北側委員長 西村章三君。
  57. 西村章三

    ○西村(章)委員 住宅政策、宅地問題にしぼって、お尋ねをいたします。  自分の家が欲しい、しかも少しでも、ゆとりと値打ちのある自分の持ち家が欲しい、こういう願いは国民すべてが持っております。しかし、現実には土地も家も非常に値段が高くて、どうにもならない。まして、この経済の不況と低成長という悪条件の中で所得が伸びずに、住宅の価格と需要者たる勤労庶民の所得格差というものがどんどんと開いていく、いまの所得では年々、家が建てづらくなるんではないか、かように心配をされておるわけであります。こうした勤労者の悩みといいますかジレンマというものをよそにいたしまして、土地代あるいは建築費、公共負担、こういうものがさらに手が届かなくなってきた。中でも三大都市圏におきます土地代、用地費に含まれるいわゆる公共公益施設負担は、この数年、急激に増大をしてきております。  たとえて申し上げますと、あるサラリーマンが、いま仮に土地一千万円、建築費七百万円で一千七百万円の家を建てようという場合に、宅地の利益率二七%といたしましても、宅地原価七百三十万円に対しまして、いわゆる公共負担というものは、民間平均の四八%といたしましても三百五十万円だ、こういうことになるわけであります。宅地のみで見た場合に、いわゆる宅地原価の約半分は公共公益負担ということに相なります。現在、サラリーマンの平均的年収といいますものは二百八十万円前後だ、こう言われておりますし、昨年度の実績におきましても、マイホームを買った人々の年収分布といいますものは、二百万円台が約三分の一、三百万円台が約三分の一、両方で三分の二まで占めておるわけであります。年収二百八十万円前後の勤労者が、言うならば一生一代の願いを込めて一千七百万円の住宅を購入した場合に、自分の年間総収入を上回る三百五十万円、この社会費用というものを負担しておる現状、これはまさに勤労者の負担能力の限界を超えたものだ、かように私は思うのであります。  建設大臣、いろいろと実態は御承知だろうと思いますけれども、こういうことにつきまして、勤労庶民の気持ち、あるいは住宅に対する欲求というものを、どのように受けとめられますか、まず承りたいと思います。
  58. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 最近の宅地開発につきまして、公共公益施設、こういうような整備費用の大部分が事業者負担ということになってきている。したがって、この中にも当然、公益あるいは公共でしなければならぬようなものまでが押しつけられてきているというのが実態であります。でありますので、これらについて先ほど答弁申し上げたように、たとえば公団のあり方について、もう少し検討を加えようというのも、こういう面を国で見るべきものも、どうやって、これらを見ていくことができ得るか、どうやったら幾分でも事業費の負担を安くすることができるだろうかというようなことを研究するために、つくられたわけでありまして、したがって、これが最終需要者に必ず負担をかける、でありますから、おっしゃるような高値になっているということでございます。したがって建設省といたしましては、宅地供給価格をなるべく、どうやって抑制するか。どの観点から今後これを事業者負担というものの軽減に努めていくかというような点については、あわせて、いま、いろいろ研究をしておるのでございますが、何とかして一日も早く、この実態から離れなきゃならぬというか、除去できるものは除去していきたい、こういうようなことで、最終末端の需要者に負担をなるべく、かけないような方法を、いま考えている、こういうことでございます。
  59. 西村章三

    ○西村(章)委員 大臣が、そういう実態を知っておられ、庶民の悩みを解消するために前向きに努力しよう、こういう考えを持っておられますことは、庶民にとっては、まだ救いだと思います。  私は基本的に、非常に値段が安くて、しかも質と環境のよい住宅、これを国民に提供することは、国と地方公共団体の責務だと考えております。その意味では、これら関連公共公益施設の整備というものは、本来、地方公共団体が行うべきものであります。ただ、昨今の地方自治体の財政事情からいいまして、特に人口急増都市におきましては、宅地開発に合わせて適時に、あらゆる公共公益施設というものを整備し得ない事情というものも承知をいたしておりますし、また住宅宅地購入者といえども、施設整備費用というものは一定の受益範囲の中で当然、負担すべきものだと考えております。しかし、それはあくまでも受益の範囲内、言うならば利益を直接的に享受をする限度内でありまして、最近における傾向というものは、その範囲というものが非常にエスカレートしてきております。道路、上下水道、学校こういった根幹的なものから、最近では火葬場、墓場、バス、清掃車の購入、果ては都市計画道路、都市公園の建設、また地方自治体によりましては使途不明の開発協力金こういったものに至るまで拡大をされてきておるわけであります。土地原価に占める、これらの負担率は四八%ないし五〇%と言われておりますが、このことは過日の当委員会で、わが党の渡辺委員が、五十坪の土地を買うのに百坪分買わなければならぬではないか、こう質問されたように、今日の現状は明らかに需要者の負担能力の限界をはるかに超えたものだ、かように申し上げられるわけであります。  これは、なぜ、こういうことになっておるのか。結局、開発に伴う、いわゆる負担区分というものが明確でないからであります。結局は関連公共整備費の大半は需要者に転嫁をされ、しわ寄せをされて過大な負担を強いられる結果となる。ここで現行の、この弱い者いじめといいますか、あるいは力ずくの負担区分これにつきまして、どのような考え方を持っておられるのか。さらに、もう一歩進めて言いますならば、適正な負担区分を求め建設省は、その方向性を検討するなり、あるいは将来に向けて普遍的な要綱基準の作成のための誘導政策といいますか、こういうものをおとりになるお考えがありますか。この点について、お伺いをいたしたいと思います。
  60. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ただいま、その区分制につきましては、もう、はっきりしておるのでございます。しかしながら調整区域、市街化区域、こういう問題になってまいりますと、どうしても調整区域の方を使うようになってまいります。そうすると、これだけの条件が整わなければ、これだけの条件をやるかやらないか、これが優先する。昔のように、どうも人口のふえることを喜ぶことでなくて、余り人口のふえることを歓迎をしないような時世に変わってきたものですから、そういうような結果が、おっしゃるような結果になってくる。あと細かいことは、いま局長の方からお話し申し上げますが、大体、調整区域をいま、われわれが使おうという、これに対して調整区域なんだから、これだけのものをのめ、のんでくれるならば私の方でやろうじゃありませんかという条件が出る、その条件をのまなければ、なかなかやっていかれないということでございます。したがって、そういうような点について、その調整区域についても私たちの方でできる面があるならば、なるべく末端の需要者に負担のかからないような方法を、どうやればよいか、先ほど申し上げたような方法を考えておる、こういうことであります。細かいことは政府委員から申し上げます。
  61. 大富宏

    ○大富政府委員 基本的には、ただいま大臣お答えをいたしましたとおりでございますが、まず御指摘のように最近住宅地開発をする場合に非常に関連公共公益施設の負担が次第に大きくなってきているとお述べになりましたとおりでございますが、若干データをお示ししますと、住宅金融公庫が融資しているものにつきましては、規模によって小さいものから大きいものになるに従って負担区分が大きくなっていく。公庫平均でいたしますと四五・五%が公共負担になっております。民間になりますと、これが四八・八%になる。住宅公団でも三〇%から五五%になっているということで、これは一体、何を意味するかといいますと、開発規模が小さいという場合には、既成市街地で既存の公共公益施設に依存して開発ができる。ところが規模が大きくなればなるほど都心から遠ざかるわけでございますので、勢い、そういった社会資本の整備の不十分なところ、したがって、そういうようなところで宅地開発をすると言えば、やはり町づくりの要素となるようなものまで全部そろえぬとだめだ、こういうことになるわけです。しかし、そういう社会資本整備の行き届いてないところでは、本来は素地価格が安いはずでございますけれども、わが国の場合は、すっかり素地価格が高くなっておる、したがって公共負担をすればするほど、でき上がりの価格が高くなってくる。言われますように最終需要者の負担が大きくなるし、ひいては土地価格をつり上げる要因になっておるということでございます。  そこで、お述べになりましたように、こういう関連公共公益施設の負担区分ルールというものを本来はっきりすべきじゃないか。先ほど大臣が言われましたように、調整区域における開発は本来これは開発者が全部持ちなさい、しかし、市街化区域のものにつきましては、それぞれの管理者がこれを負担するというのが原則でございます。しかし現在、人口急増市町村なんかのような地方財政状況を見ますと、一時に多量の公共負担がかかる。そうしますと、そこを、なおかつ、どうしても市町村負担で、せよということになりますと、やはり人口はこれ以上ふやしたくない、そういう地方財政負担にはこたえられない、したがって、開発者が負担をするならば開発を認めてやろう、こういうようなかっこうで勢い事業者負担になるということが一つと、もう一つは、関連公共公益施設といいましても、いま、お述べになりましたように火葬場とかなんとかいう非常に細かいもの、ピンからキリまでありまして、どこまでが開発者が負担して、どこまでが管理者が持つべきかという区分が明確でない。それから地方財政の財政力によっても違います。それから社会資本整備の状況にもよってということで、一律にこれを、どこまでが管理者が負担して、どこまでが開発者が持つべきかというのは画一的に決められない。ケース・バイ・ケースで判断せざるを得ないというのが実情ではなかろうかと思うわけでございます。  そこで、これに対する対策といたしましては、規模が大きくなればなるほど、そういう負担が大きくかかるということでございますから、四十二年の五省協定以来、立てかえ施行制度を充実していく、それから補助事業をなるべく、こちらに誘導して補助率を上げていく、あるいは地方公共団体が起債を起こすという場合には、その利子補給をする、こういう制度を拡充いたしておりますので、今後とも、そういうところに力を入れて、なるべく地方公共団体の負担が過重にならないように、しかも最終需要者にしわ寄せがいかないような施策をとりたいと考えております。
  62. 西村章三

    ○西村(章)委員 おっしゃるとおり、この問題は広範かつ非常に複雑な問題であります。自然的な条件なり、あるいは地元市町村の置かれた状況によって異なりますので、画一的にいかないことは、よく承知をいたしております。しかし、むずかしい問題でありますけれども、野放しに放置することは許されない問題でございまして、負担区分の基本というものを踏まえつつ、宅地開発の諸条件の変化あるいは地方公共団体の財政事情も考えて、実態に即した負担区分を定めて、これらを集積する過程を通じて、合理的で明確な負担区分ルールというものを形成するように、さらに努力をしていただきたい、かように要望をいたしておきます。そういう中で、宅地の円滑な供給、地価の安定のためにも公共負担の解決というものが必要であります。ただいまのお話のとおり、本委員会の昭和四十七年の決議によっても鋭意、努力をされておるようであります。この問題を、いまごろ、なぜ持ち出したかと申し上げますと、その後、この要綱に便乗するといいますか、やや悪乗りするといいますか、言葉が適切でないかもしれませんけれども、そういうきらいのある面もさることながら、今後、将来にわたる住宅計画の基本にかかわる重大事であるからであります。  この問題は、お説のとおり個人民間の持ち家だけではなくて、公団、公営の建設も、この関連公共整備負担というものが、いわば一つの大きな隘路になっております。特に三大都市圏においては顕著であります。いろいろと例がございますが、さらに昨今の住宅価格と所得との乖離あるいは税金問題、開発規制、開発事業の困難性から、宅地供給の見通しは非常に今後、暗いのではないか、こう言われております。極端な例を申し上げる人では、本年が宅地供給の山であって、来年度から供給量がどんどん減る、二、三年先には建設適地というものが激減して、再び地価の高騰というものが誘発をされるのではないか、こういう見方もございます。そのような事態になりましては、新規宅地需要いわゆる六万六千ヘクタールが必要と言われる第三次の五カ年計画の達成に大きな影響をもたらすのではないか、こう思うのでありまして、今後の、その辺についての宅地需給の見通しについて、お考えを聞かしていただき、その対応策というものをお聞かせいただきたいと思います。
  63. 大富宏

    ○大富政府委員 第三期住宅五カ年計画八百五十万戸に見合う新規宅地としては六万六千ヘクタールを見込んでおります。第二期住宅五カ年計画の実績は六万七千六百ヘクタールということでございますので、ほぼ、これに見合う数字ではございますけれども、御指摘のように四十七年以降、四十七年をピークといたしまして宅地供給量は逐次、減少しておる。ことに、この六万六千ヘクタールの約五〇%、三万四千ヘクタールというのが三大都市圏でございます。いろんな意味で、こういう三大都市圏におきましては宅地供給条件が非常に厳しくなっておりますので、このまま推移すると、私どもの期待するような供給は、なかなか、むずかしいのではないかと思っておるわけでございます。これに対しまして、住宅公団等の公的機関なり、あるいは民間優良宅地なりの供給を促進し、いま、お述べになりましたような一番ネックとなっております関連公共公益設備に対する施策を十全にするということで万全を期してまいりたいと思っております。
  64. 西村章三

    ○西村(章)委員 いろいろとお伺いをしたいことがありますが、そこまでの自信を持って今後の見通しを述べられ、さらに、それに向かって努力をするということでありますので、一層の御努力をお願い申し上げておきたいと思います。  それから次に、最近、大都市で非常に問題になっておりますミニ開発、これについてお尋ねをいたします。  これは国土法の届け出の対象とならない、いわゆる二千平方メートル以下の宅地あるいは都市計画法の開発の許可の対象とならない一千平方メートル以下の宅地というものを、一区画当たり六十平方メートル程度に分割をいたしまして、ここに庭つき一戸建ての小住宅を建設しているものであります。中には宅地面積が三十三平方メートルという極端に狭いものまでできております。一千平方メートル以下を、いわゆるミニ開発、五百平方メートル以下をゲリラ開発、こう呼んでおるようでありますが、しかも最近は、その方法というものが非常に巧妙かつ悪質になってきたということであります。もちろん、このねらいは開発規制を免れて負担金から逃れよう、こういうことなんです。  たとえて申し上げますと、ここに実例があります。最近の実例でありますが、ある都市におきましては三百平方メートル以上か十戸以上の開発は許可が必要と規定されているのにつけ込みまして、実は一万九千平方メートルの土地に二百三十戸の二階建て木造建て売り住宅というものを建設するのに、十一回にわたって四十数カ所の建築確認申請が市に出された、こういう例があります。それも、それぞれ違う個人名義であったために指導要綱に該当しなかったのでありますけれども、実際に入居した人と申請名義人は全く別だ。そのために、これが調査をされまして、一つ会社を中心とした、いわゆる細切れ開発であったということがわかったわけであります。また、さらに要綱が五戸以上となっている別の都市におきましても、四戸分が同一業者名義、もう一戸は他の個人名義にして売買契約書を付するというような、要綱に触れない申請ケースというものが非常に多くなっておる状況でございます。  この細分化された宅地に建蔽率すれすれの木造小住宅、これを建築することは防災上からも非常に問題が多い。同時に、宅地の細分化は今後の都市環境整備というものを非常に困難にいたしますし、都市のスプロール化、スラム化に拍車をかけることになります。また、ある意味では地価を再びつり上げる結果にもつながる懸念があります。また、この問題は国の居住水準の向上、こういう見地からも、きわめて好ましい問題ではございません。むしろ逆行する問題であります。  そこで建設省は、このミニ建設についての内容、実態というものを、どの程度、把握をなさっておられるのか。まず、この点についてお聞きをし、速やかに対処すべき問題だと私も思いますが、これについての対応策というものをお考えでございますか。
  65. 大富宏

    ○大富政府委員 お述べになりましたとおり、最近では開発規模が次第に小さくなってきつつあります。最近、調べた首都圏内の一ヘクタール未満の開発面積が、四十六年当時は二八・四%、三割弱であったわけでございますが、五十年度に参りますと五一・三%、もう半分以上が、この一ヘクタール未満の小さい開発規模になってまいっておるわけでございます。いま御指摘になりましたミニ開発という定義を都市計画法によります開発許可基準の千平方メートル以下に限定して考えますと、これは大阪府の例でございますが、四十九年度から五十年度上期までのデータによりますと、全体で二〇%であったものが最近では、もう三〇%にふえている、こういう状況でございます。こういうミニ開発というのは防災上、非常にゆゆしい問題であるばかりでなく、居住環境というのが悪化する、スラム化するというのが目に見えているわけでございます。  こういったミニ開発が最近どうして多くなったか。やはり原因はいろいろあろうかと思いますが、一つには開発許可が非常に厳しい。しかも開発許可の際に、いろいろな関連公共公益施設の負担がかかってくる。で、手っ取り早く、しかも売りやすい一千万あるいは一千五百万程度のミニ開発というものが安易に行われがちだという問題があろうかと思います。  これに対する対策といたしましては、お述べになりましたように現在、都市計画法の開発の許可基準が千平方メートル以上ということになりまして、これを都道府県の規則で三百平方メートルまで下げることができるということになっておりますけれども、現在、八百近い線引き市町村の中で、五百平方メートルまで下げているのが、わずかに四十一市町村でございます。三百平方メートルまで下げているのは唯一の堺市だけしかない。私どもの、こういったミニ開発を規制するという方向の政策でございますと、まず現在の千平方メートルを、もう少し三百平方メートルまで下げるという指導も私は有効かと思いますが、何はともあれミニ開発というものが非常にはやるということは、こういったものについての潜在需要が高いということでございますので、単に規制するだけではなくて、五十年に成立さしていただきました大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法なんかにありますように、まだまだ市街化区域の中には開発適地がうんと残されておるわけでございますから、そういうところに特定土地区画整理事業を推進するとか、住宅街区整備事業を推進するとかという意味の計画的宅地開発を推進する方が私は常道ではないかと思っております。
  66. 西村章三

    ○西村(章)委員 ミニ開発を放置し、進行せしめることは、やがて地方自治体そのものも後追い行政に非常に膨大な経費が必要になってくるというおそれが出てまいります。地方自治体も開発指導要綱に従ってこれをチェックするために、いろいろ知恵をしぼっているようでありますけれども、なかなか名案が浮かばないようであります。この対策についての、それぞれの内容は、いろいろとここにも例がございます。たとえば大阪の高槻市におきましては、たった一戸のミニ開発にも網をかぶせておる。これは別な立場で、やや問題があるわけでありますけれども、一つの対抗策ではないかと思います。また同じく大阪の泉南市におきましても指導要綱というものを改正いたしまして、従来の適用範囲、開発面積五百平方メートル以上を三百平方メートル以上に変える。あるいは建設戸数五戸以上を二戸以上にする。さらにアパートの一戸当たり宅地床面積等も広くして、その不良化を防ぐ、こういう措置をとっております。政府は従来から指導要綱に対しての態度が非常にあいまいであった。これは先ほど申し上げた関連公共負担の面におきましても、そうでございますし、今回のミニ開発の問題につきましても同様であります。しかし良質な住宅と良好な住宅環境、これを確保するという立場から、この際、何らかの対策というものを早急に講じなければならぬと思うのであります。この点についていかがでありますか。  また自治省とも協議をされまして、これのミニ開発歯どめのための、いわば統一的な基準というものをおつくりになるお考えはございませんか、お尋ねいたします。
  67. 大富宏

    ○大富政府委員 こういったミニ開発を、いい方に誘導する一つの手段として開発指導要綱を中心にどうだというお話でございますが、御案内のように現在、開発指導要綱は大体、大都市圏を中心にいたしまして三百六十五の市町村で行われているわけでございます。中には先ほども、ちょっと御指摘になりましたように非常に行き過ぎの問題もある。やはり非常にいい方向で施行する場合には、いい結果も出てくるのでございますが、何といいましても法令の根拠に基づかないものでございますし、どちらかというと恣意的に流れがちだという問題で、私は開発指導要綱による政策というのは若干、問題があるんじゃないかというぐあいに考えておりますけれども、当面、非常にむずかしい問題でもございますので、十分に勉強いたしたいと思っております。
  68. 西村章三

    ○西村(章)委員 要綱そのものは法的拘束力がないために非常に弱い、こういうことであります。したがって、これはもう市町村の問題ではなしに建設省一つ基準を示されて、これに向かって各市町村がそれぞれ統一的な立場でこれに対処をしていく、こういう方策しかあり得ないわけでありまして、この点について重ねてもう一度、見解を承っておきたい。
  69. 大富宏

    ○大富政府委員 十分に検討いたしたいと思います。
  70. 西村章三

    ○西村(章)委員 もう時間が余りございませんので、最後に、わが国の行政といいますものは、建設だけに限らずに、ややもすると全般的に後手後手に回るケースというものが非常に多いわけであります。そういう意味で、ただいま申し上げました関連公共施設整備負担金、あるいはミニ開発も、その意味では同様ではないかと思います。結果が出てからでは非常に遅いわけでありまして、後追い行政ではなくして先手先手と行政が指導性を発揮しないと、計画目標というものはなかなか達成できるものではございません。今後の建設行政の強力な推進方について建設大臣、私はいま申し上げておるんですが、いわゆる後追い行政ではなしに、先手をとる指導性のある行政をおやりになっていただきたい、こう思うのでありますけれども、最後に大臣の決意を聞かしていただきたいと思います。
  71. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 大体、住宅の問題宅地の問題、万全を期したというわけにはいきませんけれども、そろそろ、たとえば住宅にしても数をふやすことだけがという問題ではなく、もっと住みよい、そして環境のよい充実した家を持ってもらうように考えていかなければならなくなってきたということ、住宅問題一つとらえても、そうだと思うのでございます。ですから、これらの問題を総括いたしまして、本当に今後、来るべき要望する国民の意欲というものを十分キャッチして今後に当たっていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  72. 西村章三

    ○西村(章)委員 終わります。
  73. 北側義一

    北側委員長 中村茂君。
  74. 中村茂

    中村(茂)委員 時間が非常に短いので、端的に答弁していただきたいというふうに思うのですが、まず最初に現在の住宅事情、私は、あらゆる面で住宅政策というものが、いま行き詰まってきている、こういうふうに判断しております。  まず第一は、数はある程度、満たされてきましたけれども、その中身は狭い、悪い。満足した住宅数というものが非常に不足してきている。二番目には、家賃が非常に高くなってきたことは御存じのとおりでありますけれども、それに関連して全体的な居住費というものが、その負担が非常に高くなってきてしまった。それから住宅と職場というものが非常に遠くなって、しかも住宅の環境の立ちおくれというものが非常に目立ってきている。したがって、現在の住宅事情というものについて、どういうふうに分析し、どういうふうに把握しているかということが一致してこないと、これからの住宅政策というものについて生まれてこないわけでありますから、建設省の考えている住宅政策、住宅事情というものについて、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  75. 山岡一男

    山岡政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたとおり、第三期の五カ年計画をつくる前に住宅統計調査等で相当詳しい調査をやっております。その結果によりますと、いまお話がございましたとおり、全国の住宅戸数はすでに世帯の数をオーバーしておるのが現状でございますが、その中には劣悪な木造賃貸アパートの二戸も一戸に数えているということがございまして、中身の質の問題につきましては、お話のとおり、まだまだ劣悪である、国民の皆さんの御要望に十分こたえていないということが言えるわけでございます。特に、国民の皆さんが住宅困窮理由の中に挙げておられますのが、狭い四九・六%、老朽一三・四%、設備不完全九・二%、日照、通風が悪い六・三%、家賃が高い四・一%、煙等の公害がある三・七%、その他一三・七%というふうな統計数値になっております。したがいまして、わが国の住宅事情が、量的には一応、充足してまいっておりますけれども、客観的に資料によりましても、住宅の質的水準もある程度、上がってまいっておりますけれども、衣食等の消費生活の向上と比較いたしまして、住宅の質が相対的に立ちおくれているということは紛れもない事実でございます。したがいまして今後の住宅政策は、その重点を量から質へと転換するということが、きわめて重要であるというふうに考えております。  それから、先ほどの困窮世帯の理由の中には、高家賃が四・一%としか出ておりませんけれども、最近のいろいろな公的住宅民間住宅を含めまして、家賃の高額ということが改めて大きな問題になっていることも先生の御説のとおりでございます。  それから、最近の公団の空き家等に見られますように、立地等につきましても最大の関心が集められる時代になってきたということも言えるわけでございます。四十八年の調査以後も、いろいろな検討を加えておりますけれども、大都市への集中がだんだん鈍化してまいっております。世帯数の増加も昔から比べますと、だんだん減ってまいっております。そういうふうな感じがいたしまして、若干の数値を申し上げてみますと、まず首都圏の一都三県と他の道府県間の人口の転出入等につきまして、四十五年当時は二十七万、若干、余裕がございますが二十七万でございました。五十年は六万五千八百というふうに減ったように見受けられます。それから世帯数の増加も、昭和四十年には九十二万六千世帯ということでございましたけれども、四十五年には九十四万世帯、五十年には六十八万二千世帯というふうに、四十年、四十五年から比べますと、世帯の増加も減ってきている。そういうふうな事情を踏まえまして、先ほど申し上げました質の供給に相当、重点を置かなければならないというのが、今後の政策態度であろうかと考えておる次第でございます。
  76. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、まず数の問題から入っていきたいと思うのです。  私のところにいただいた資料によりますと、住宅建設戸数、四十六年から五十一年度までの資料があるわけでありますけれども、全部の合計として、四十六年には百六十一万戸、四十七年には百八十八万戸、四十八年に百八十七万戸、四十九年にずっと減りまして百三十九万戸、五十年に百五十二万戸、五十一年に百五十六万戸、こういう数字であります。五十一年は計画でありますから、どういう数字になってくるかわかりませんが、景気対策として公共投資が非常にいいということが言われています。しかし私は、公共投資の中でも住宅というものが、いろいろな面に対しての波及効果が一番大きいのではないか、こういうふうに思っているのです。しかし、一番多く建設された四十七年から四十八年は百八十万戸台にいっているわけですね。ところが五十年、五十一年に来て、確かに昨年も景気対策ということで、住宅建設には金融機関等を通じていろいろな政策が出ました。ことしも、それをできるだけ先へ先へ、こういうふうに考えているわけですね。しかし全体的に考えてみて、どういうふうに言ってみても、中身は別として戸数だけでいけば、将来この百五十万戸台というものが大体の線ではないか、私はこういうふうに思うのですけれども、将来見通しと戸数という問題について、どういうふうにお考えですか。
  77. 山岡一男

    山岡政府委員 第三期の五カ年計画は総体で八百六十万戸というふうに計画を立てております。もちろんマクロの計画でございますけれども、今後の世帯の増その他も見込みまして、必要にして十分な量として八百六十万戸見込んだということでございます。これを五年間で割りますと、平均で百七十二万戸ということに相なります。しかし、これにつきましては先ほど先生がおっしゃいましたように、四十九年、五十年の下がりましたものを逐次、上げていっているというような状況もございます。それらを勘案いたしまして、計画年次の中間年次の五十三年あたりに、ちょうど百七十二万戸ぐらいが達成できれば全体計画として、うまくいくのではないかと考えられます。それから逆算をしてまいりますと、先生おっしゃいますとおり百五十万戸台で六十万戸に近いようなものを五十一年度、予定をしたいし、年間平均といたしましては、五年通年では百七十万戸近くを期待したいというのが、われわれの考えでございます。
  78. 中村茂

    中村(茂)委員 戸数の面については、それを土台にして、今度は内容的な問題でありますけれども、まず賃貸住宅について考え方をお聞きしたいと思うのです。  資料によりますと、公共賃貸住宅、特に、これを直接の管理戸数でいくと二百二十八万戸、これは全戸数からいくと大体六・九%程度。ですから日本の賃貸住宅というものは、歴史的に見ても民間に相当ゆだねられてきた面があるわけであります。私は、この賃貸住宅について、もっと積極的に政府が取り組まない限り、いまの住宅問題というものはなかなか解決できないのではないか、こういうふうに思っているわけであります。  そういう意味で、ここに「現代技術評論」という雑誌へ三宅さんがお書きになった「日本の住宅問題の一〇〇年」というのがあるわけです。この三宅さんは建設省建築研究所主任研究員でありますが、私は、この文をずっと読んでみて、やはり賃貸というものを、こういう立場で考えているかな、なるほどと思ったのです。非常に長いものでありますけれども、その部分だけ、ちょっと披露してみますと、こういうふうに言っています。「この持家指向の強さをもって、家をもつことは人間の本質的要求だという発言が時に存在するのであるが、この強い持家指向は日本的住宅事情の一〇〇年の経過のなかで作られたものであって、決して本質的といえる性格のものではない。住宅にかかわる本質的な要求とは、「必要な空間を可能な支払い条件のなかで入手できる」ということであって」というふうに、言えば日本人の家というものの観念が、百年のそういう歴史の中で何か持ち家はいいんだというふうになってきている。しかし賃貸も、環境をよくし中身をよくしていけば、ここで言っております必要な空間と、また、それに対しての支払い条件、こういうものがよくなれば当然、賃貸というものについて国民も相当、指向してくるんだ、こういう言い方になっているわけですね。  確かに世論調査してみますと、持ち家で家を持ちたい、持ちたいというものがありますけれども、特に三大都市圏等大都市の場合に、もう家を持とうといっても、なかなか持てません。非常に上がっておりますし、しかもローン等で払っていっても三十年間それでくくられてしまう。そうなっていきますと、特に大都市における、これからの住宅政策というものは、やはり中身のよい、環境のよい賃貸住宅というものを公共賃貸住宅として政府が思い切った手を打っていかなければ、住宅問題というものは解決できないんではないか。そういう考え方で、賃貸住宅というものについて建設省は、いまどういうふうにお考えですか、ひとつ考え方を明らかにしてください。
  79. 山岡一男

    山岡政府委員 持ち家か借家かという問題は、住宅政策のまことに古くして新しい問題でございます。そういう点につきまして住宅宅地審議会等でも、ずいぶん論議をしていただきました。それから、さらに国民の皆さんの需要実態調査もいたしました。それらを踏まえまして、第三期の五カ年計画では全体といたしましては持ち家を六〇%、借家を四〇%というふうに計画をいたしております。それで基本的な考え方といたしましては、あくまで国民の皆さんのニーズに沿ってバランスのとれた供給を図るということでございまして、社会的流動層もしくは低所得の方々それから母子家庭、身障者家庭等につきましては、必要な量の賃貸住宅を十分に供給するということが賃貸住宅政策にとって基本的な姿勢であろうかと思います。  ただ全体といたしましては六割、四割というふうな持ち家、借家の比率にいたしておりますけれども、現実に事業主体が公的資金によりまして家をつくって国民の皆さんに供給する、たとえば公営住宅、改良住宅、公社の賃貸住宅公団の賃貸住宅等いろいろあるわけでございますが、その中でも公社、公団等は分譲もいたしております。しかし直接につくって供給するものの中のシェアといたしましては、給与住宅、借家住宅等を七一%というふうな比率で考えているわけでございます。
  80. 中村茂

    中村(茂)委員 済みませんけれども、いま最後の方で七一%というふうに言ったのは、もう一度あれしてください。
  81. 山岡一男

    山岡政府委員 第三期の住宅建設五カ年計画の中で、事業主体が公営住宅、改良住宅、公社住宅公団住宅等、実際の家をつくって供給するという事業のことを、われわれは公的直接供給住宅と呼んでおるわけでございますが、その中では七一%を借家に当てておるという意味でございます。
  82. 中村茂

    中村(茂)委員 諸外国と比べてみても日本の賃貸、特に公共賃貸については低い比率でありますけれども、いま局長は三期の五カ年計画の中に占めているという答弁でありますけれども、特に住宅基本法が審議されるという段階で、将来、日本の住宅というものは賃貸は大体、何%に持っていく必要があるのか、そういうことについて将来展望を含めて若干、聞いておきたいというふうに思います。
  83. 山岡一男

    山岡政府委員 先生おっしゃいますとおり、諸外国と比べてみますと、特に借家の多い国は西ドイツが六六・五%、スウェーデン五一・六%でございますが、それ以外ではアメリカが三七・一%、イギリスが四九・七%、フランスが四四・四%、イタリアが四四・一%、日本は四〇・八%というのが最近の統計でございます。  先ほど申し上げましたように、借家か持ち家かという点につきましては、あくまで国民の皆さんの将来のニーズをくみ取りまして計画をつくっていくというのが今後の姿勢であろうかと思います。基本法等を検討いたします際にも、何割と書くのがいいのか、そういうことを十分勘案しなければならないと書くのがいいのか、その辺のところは今後の問題であろうと思いまして、現在のところ何割ということについては、ちょっと考えておりません。
  84. 中村茂

    中村(茂)委員 次に進ましていただきますが、国際的なILOの段階で幾つかの勧告があるわけでありますが、直接これを批准するかどうかということは外務省の所管だというふうに思うのですが、中身が住宅問題でありますから、建設省の考え方をお聞きしておきたいというふうに思うのです。  ILOの労働者住宅に関する勧告、第百十五号というのがございます。特にこれは、この表題のとおり、労働者住宅というものについて生産の面からして、ある程度、優先的に計画し取得させていけ、こういうILOの勧告でありますが、こういうものについて将来これを批准する方がいいのか、こんなものは批准しなくてもいいのか、そこら辺は建設省として、どういうふうにお考えでしょう。
  85. 山岡一男

    山岡政府委員 一九六一年のILOの労働者住宅に関する勧告でございますが、中身といたしましては網羅的でございますが、きわめてすぐれた内容を持っているものとわれわれは考えております。特に、その基本的精神であります適正な負担のもとにおける一定水準以上の住宅の確保、それから住宅の質の向上、公的機関による住宅供給の促進等々、われわれが今回の第三期五計をつくるに当たりまして住宅宅地審議会から基本的方向づけの答申をいただきましたけれども、相当な部分について軌を一にするようなものだと思っております。第三期住宅建設五カ年計画も、その軌を一にするような答申をもとにしてつくったということでございますので、方向としては相当、一致をしておる点が多いと思われます。しかしながら、批准をするかどうかということは、先ほども先生おっしゃいましたけれども国全体の問題でございますので、建設省としての態度をここで明示するということは、いかがかと思いますので、内部で御相談をさせていただきたいと思っております。
  86. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、日本住宅公団の関連についてお聞きしたいというふうに思います。  まず最初に、長期間の保有用地、私ども遊休地、遊休地というふうに、よく言っているわけでありますけれども、皆さんのところからいただいた資料によりますと、特に住宅建設部門の遊休地は十四地区で五百六十五ヘクタール、取得金額で五百六十六億二千三百万、そこの金利額が百六億三千六百万。それから宅地開発部門では八地区で千二十三ヘクタール、取得金額で四百五億五千五百万、利息で九十四億三千三百万。膨大な土地と膨大な金額が冬眠しているわけでありますけれども、私は、この数字を見せていただいたときに、確かに土地というものは取得しておけばもうかる、ですから、どんどん取得しておけ、そういう時代を通じて、いま、それがなかなか利用できない、こういう時代になってきている。しかし日本住宅公団というのは、この土地の取得について、ここが必要だから、ここのところを、これだけ買おうということで買うのか、それとも、ここにこんなうまい土地があるから買えやといって、ひょいっと、そこを買うのか、買い方について実は疑問を起こしたわけです。先ほど件数などについて申し上げたわけでありますけれども、特に調整区域が非常に多いわけであります。宅地開発部門などについては八地区のうち六地区が調整区域、そういうことを考えていくと、もう少し土地の取得についても、いまさら遅いわけでありますけれども、真剣に将来の見通しを立てて、きちっとやっていかなければ、こんな調子では大変なことになってしまうのではないか。  そういう立場で若干お聞きしたいと思うのですけれども、特に私は皆さんからもらった資料の住宅建設部門の中で一番最初に載っているのについて調べてみました。東京都八王子の川口、これで取得したのでありますけれども、百四十三ヘクタールというのですから相当な土地であります。ここに謄本もありますが、取得する前の段階で、やはり三人ぐらい転がしているのですね。そして土地を手に入れている。それから、宅地開発部門の、やはり一番上に書いてある千葉県市原市、ここのところも百一ヘクタールでありますから膨大な土地。これなどについては、非常に不思議に思うのですけれども、四地区に分かれているのを買ったわけでありますが、その四地区とも塚本総業が地主から買って、それから業者を三つか四つぐらい転がして、最後に、また塚本総業が手に入れて住宅公団に売っている。これは前に恐らく国会でも問題になった記憶が私はあるのですけれども、塚本総業が買って、その間に三カ所か四カ所転がして、それでまた、それを塚本総業が全部手に入れて公団に渡している。こういうことは不思議でたまらないのです。もっと考えていくと、これは必要だから買ったのじゃなしに、何か押しつけられて買ったのじゃないかという勘ぐりも起きてくるわけです。こういう買う前の操作、こういう点について公団としては少しぐらい自己反省しているのですか。どういうふうにお考えですか。
  87. 南部哲也

    南部参考人 先般もお答え申し上げましたが、公団の事業を執行をする上で一番の基本は用地の取得でございます。発足以来、今日まで公団といたしましては二万ヘクタールを超える用地を取得いたしました。そのうち五千ヘクタールばかりを処分いたしまして、現在一万五千ヘクタールの用地を保有しているわけでございます。その約一割に当たる千五百ヘクタールにつきまして、長期保有ということで御報告申し上げたわけでございますが、これらのものにつきましては、今後、先ほど住宅局長の申しました第三期の住宅建設計画、これに必要な用地といたしまして明年度以降でも、なお二千五百ヘクタール以上の用地を取得しなければいけない、こういう状態になっているわけでございます。そのうち、いま御指摘のございました長期保有のものにつきましては、昭和四十八、九年の一億総不動産屋時代に、公団といたしましても非常に用地の取得に悩みまして、年間に二千八百ヘクタール、宅地開発部門でいいますと取得しなければいけないのに、実際には、その三分の一ぐらいしか取得できなかったというようなときでございまして、お説のように持ち込みのあったものにつきまして公団側としては、これに飛びついたという事態も、今日からは大いに反省している次第でございます。  したがいまして、五十年度以降につきましては、用地の取得につきましては非常に厳正な立場で、民間需要等も勘案いたしまして、あらゆる面から将来の住宅建設に大いに国民の皆さん方のニーズが喚起できるような用地を取得しようということで、しぼってきているのでございますが、現在、非常に土地の動きが鈍くなってきておりまして、再び用地取得難に陥るときが近い将来において起きやせぬかということを非常に心配しているわけでございます。
  88. 中村茂

    中村(茂)委員 私は、これが十年も持っているというようなことなしに、せいぜい二、三年ぐらいで手がついて、どんどん開発され家が建っていけば、そう心配しないのです。こういう経過を私は詰めているのではなしに、これだけの土地が、調べれば調べるほど果たして、このところに家が建つだろうかという心配が起きてくるわけですよ。先ほど言いました八王子、これについても私は東京都と八王子市に、電話でありますけれども照会してみました。皆さんはこういうふうに言っていますね。「市街化調整区域であるので、その開発計画、特に交通輸送対策については、十分な検討が必要である。現在、市と共同して開発基本計画及び周辺関連地区も含めた交通輸送対策について、昭和五十五年度使用を目途に調査研究中である。」というふうにここに書いてありますけれども、交通輸送といっても、いろいろありますが、とてもじゃないけれども、これだけのものを、八王子市でも、公団で、そういうふうに考えているのですかねというような話ですよ。しかも調整区域でありますから、こういうふうには書いてあるけれども、これが果たして実現できるかどうかということを考えていくと、東京都、市等についても書いてあるだけのことであって、実現性というものについては首をかしげざるを得ない。  それから、やはり先ほど言いました、これは宅地部門でありますけれども、市原市のやつについても、これは学校用地という問題が出てきて「協議中であり、昭和五十二年度には譲渡する予定である」というふうに書いてあるけれども、なかなか、ここまで進んでいないということを言っておりました。以下、全部同じですよ。ですから土地は持ったけれども利息はついていく。これなどについては四十四年、四十五年、四十六年、こういうところを手に入れたのですから、すぐ十年くらいたってしまう。いまでも何億という利息がついている。ここへつくったものは結局、高い家賃を払わざるを得ないものになってしまう。ここのところが、これからの住宅政策の一番の問題であるというふうに思うのです。いままでは、いろいろあったけれども、土地を買っておけば土地が上がってきたから、利息がついていても、その土地の値上がりで解消できたわい、なお、もうけたわい。ところが今度はそういうわけにはいきません。土地はなかなか上がらない。したがって、その上がった分については全部、家賃なり譲渡する人にかかってしまう。ここのところを真剣に考えていかなければ公団は行き詰まるし、ここ一、二年が大変な時期を迎えているのではないか、こういうふうに思うわけであります。時間がありませんから、私の考え方だけ申し上げて、この問題は終わりたいというふうに思うのです。  それから、いま申し上げましたように、したがって家賃問題と関連してくるわけでありますけれども、私のところに、こういう資料があります。皆さんのところでおつくりになった、いわゆる二DKこの中高層の家賃の構成でありますけれども、その中で私は特に強調したいと思いますのは、減価償却の中の工事費と利子分、特に利子分を見ますと全体の三一・二%が減価償却の中の利子分になっている。それから地代相当額これはもう全部、利子でありますから、これが二九%。それから、これから入った人が利息なり、そのほかで払っていく公租公課、これが一三%。全部合計してみますと家賃の七三・二%になるわけです。家へ入った、家賃を払っています、そのうちの七三・二%が利子というのでは、利子の家へ入っているようなものです。先ほど申し上げましたように、利子というものは一日たてば、ついているわけでありますから、ますます利子の加算分ができてきてしまう。そういうことを検討しながら家賃という問題について検討してみますと、土地代についても償却費についても、公団の場合には四分五厘の利子なんですね。七分五厘の金を三分、利子補給を受けて四分五厘の利息で計算して、これだけの家賃になって七三%という利息の家へ入っている。民間などは、もっと高い利息でやって、家賃はこれよりも高くなるでしょうけれども、そういう安い金を使って、なお、これだけの利息分の家賃の家へ入らせるというのは、考えれば考えるほど、これはもっと何とかしなければいけないのじゃないかという立場に私は立たされるわけであります。  そして、いま一番問題になっている赤羽のいわゆる傾斜家賃。これは家賃が十一万一千六百円。これを初年度を六万九千六百円にして、年々六%ずつ傾斜で家賃を上げていって、約八年で先ほど言った本当の家賃にしなければならない。それで十一万一千六百円程度になって、十年までには家賃が十二万円になって、後ずっと、それでいくというのでしょう。だから傾斜家賃というのは初めは確かに低いけれども、ずっと高くなって、十年たったときには倍の十二万円の家賃を払っていくわけですね。私が当初、申し上げましたように、これから家を持つと言ってみても、利息の中へ入っているようなものだ。ですから、この辺を根本的に解決していかないと家賃は高くなるきりだ。したがって、入る人もあれですけれども、公団自身は政府の金を使って利子補給まで受けて、特に勤労者に、いい住宅、環境のいいものを安く提供する、こういう目的でできて、確かに、それだけの金を使っているんだけれども、こういう家賃を取るような家になってしまう。ですから私どもも、これから真剣に考えていきたいと思いますけれども、そういう意味公団も、あらゆる面で、いまは行き詰まりに来ているのじゃないか、こういうことを指摘したいわけであります。この点はもう答弁要りません。  それから空き家の問題に関連してでありますけれども、空き家も先般、意見がありましたが一万一千九百六十八戸、約一万二千戸、空き家になっている。この額も五十億を超すそうであります。これだけの空き家をつくってしまって、年間五十億入るのが、それだけ入らなくなってしまう。片や、すでにできておって空き家になった分を募集すると、東京都で大体二十五万人から応募がある。それを四期やるわけでありますから、延べにして百万の人たち住宅に入りたいというふうに応募してくる。片方で一万二千戸の空き家がある。これはどういうことか。これはもう、はっきりと住宅に入りたいという人の心理をあらわしているわけであります。空き家になっているところは最近できたので相当、距離が遠いわけであります。距離が遠いということと家賃が高くなっているということ。家は確かに、りっぱになりました。中身がよくなりました。ですから大臣、聞いておいていただきたいと思うのですが、先ほど答弁の中で、数はできたから中身をよくしてくれ、こういうことを言われました。やはり住宅というものは中身だけをよくしたって、だめなんです。距離の問題が出てくる。家賃の問題が出てくる。そういうものが解決されていかなければ、入り手がなくなって空き家になるのです。二十五万人の人、東京都のように四回募集して延べ百万人もの応募者が出てくるということは、どういうことかというと、空き家は都内なんです。家は昔つくったのですから悪いんですよ。しかし近い、安い。だから延べ百万人の人が殺到する。この問題を解決していくのが、これからの住宅政策じゃないか、こういうふうに私は思うのです。これも別に答弁要りません。この問題を解決していただきたいというふうに思うのです。  そこで、二つだけ提起しておきたいと思うのです。  こういう状態解決するのは土地の提供の問題もありますけれども、都市の再開発を政府の金で相当、思い切って行って、そして、そのところに中高層の賃貸を、環境のいいもの、中身のいいものを建てていく。そして、そこのところで再開発した改良事業などにがかったものについては家賃に転稼させない、家賃に転稼させれば同じく高くなってしまうから。そういうものを国の政策として思い切ってやっていかなければ、東京都なり大都市圏における住宅問題は私は解決しないのじゃないかと思うのです。外を歩いて、ずっと見ましても、山の手あたりに行けば二階、三階ぐらいのものがマッチを並べたように見えます。ああいうところを、いろいろあるでしょうけれども、しかし問題は金ですよ。金が相当かかります。しかし、個人の負担だのどうのと言っていたら、こんなのは解決できるはずがない。決定的に政府の金を思い切ってたたき込んで、そこのところに環境のいいものを、中身のいいものを建てて、土地開発と住宅問題を一挙に解決していく手法が、政府の大きい方針として生まれてこなければ解決できないのではないか、私はこういうふうに思うのです。  そこで、そういう立場大臣と、それから土地の提供問題、これは国土庁長官答弁を得る前に、少し細かく触れておこうと思ったのですが、時間がありませんので遊休地の問題、これは私が数字を申し上げるまでもなく、これから住宅建設の計画にのせるだけの遊休地は民間を含めて、いっぱいあるわけですね。しかし、国土法にのせてやったら数は少なかった。私はいろいろと欠陥があると思うのです。だからこれを、私どもも、まだ社会党として、しっかりした方針にはなっておりませんけれども、土地債などを研究して、この放出については債券、土地債などで吸収していく。しかし、これは企業の持っているのが相当多いわけでありますけれども、欠損までは企業は放出しないでしょうけれども、もうけは、そう企業に与えないで、金が相当かかるわけでありますから、債券の発行などを考えながら、これを住宅に放出させることを、ひとつ考えなければならぬと思うのです。ですから私は、いま申し上げましたように、市街地の再開発それから遊休地の住宅への放出、この両面を政策として政府は真剣に考えていただきたいと思うのです。したがって、そういう立場大臣と長官からの答弁お願いいたします。
  89. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 お答えいたします。  遊休地の問題、ことに国土の低位利用の土地を思い切って活用するという問題でございますが、私たちも、いまお話しのような線で賛成なんでございます。御承知のように国土利用計画法については、限られた国土の中で人口が増加する、さらに社会経済情勢の変化に伴いまして国土利用の変化が起きてまいります。そこで私たちは、やはり用地の需要をある程度、抑えながら、さらに、この土地の利用を有効に活用しなければならないということで進めているわけでございます。  将来に向かっては、私たちは食糧の自給率を高めるという意味から、まず農地を確保することと、国民生活の基本である、ただいまお話しの住宅という問題に重点を置いて、この遊休地あるいはまた国土の低位利用の土地を具体的にどう活用させるかということで実はいま悩んでいるのです。実際問題は、私の数字で把握しますと非常に少ないのです。たとえば遊休地の場所などは少ないのですが、しかし潜在的に非常に多いのですね。ですから、これをどういうような把握をするかということ、また将来、首都圏の整備等とあわせて、どういう具体的な方法を進めるかということ等について、私たちも真剣に検討してまいりたいと考えております。非常に重大な問題でございますので、さらに検討させていただきたいと思います。
  90. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私は、かつては中村さんのお話のようなことを、ただいまの住宅政策が誕生するときには理想論として考えたかもしれないけれども、現在きょう、おっしゃったことはもう理想論ではなくて、現実に、そうしなければならない議論であり、また再開発の問題も、私たちは、いま、そのような考え方を基礎に持っているということだけは申し上げられると思うのでございます。したがって、後段におっしゃったような居住者の負担をなるべく軽減するというような問題は、もう本当に現実論でありますから、そういう方向に向けていきたいとは思いますけれども、すぐ、これを実行する、私がやりますということは申し上げませんが、逐次そういうような方向づけをしていかなければならぬということには迫られておるというように感じております。
  91. 中村茂

    中村(茂)委員 もう二点ほど簡単にお願いしたいと思うのですが、住宅ローンサービスの問題です。実は私どもの同僚が予算委員会で、この問題を質問したわけですけれども、そうしたら、この関係人たちから相当、資料をつけて投書が何通かございまして、解決してもらわなくちゃ困る、こういう立場で持ってきましたので、銀行ですから大蔵省が所管でありますけれども、住宅ローンということで建設省も、そういう上では行政上、関係がある問題ですから、大蔵省と話をして何とか、これを解決していただきたいと思うのです。  住宅ローンというのは市中銀行の資本でできている会社ですが、こういう申告があったのです。この人は住宅をつくりたいということで銀行に相談に行った。じゃ住宅ローンにいたしましょうということで八百五十万円お借りすることにした。そうしたところが最後へいって話がまとまったら、全部話はついていますからと言って住宅ローンへ案内された。それで住宅ローンから金を借りることになった。銀行で金を借りる場合には九分九厘で借りられるけれども、この住宅ローンは一割一分八厘八毛、これを二十年間で返していくと、八百五十万円金を借りたのを二千二百三十万円返していくことになってしまう。したがって、やり方で、ごまかされているような気がするし、利息が高くなって、こんなにたくさん二十年間で払わなくてはいけなくなったということで、テレビで見ていたら国会で問題になっているようなので、この損害賠償をひとつ、お願いしたいというふうに持ち込まれたのですが、そこまでは私ども困るわけですが、しかし、それが問題になったら、それを見ていて、私もあったと、こういうふうに出てきた、この状況ですね、これについては真剣に考えていただきたいと思うのです。ここのところに毎月どういうふうに納めているかというのが全部ありますけれども、これは銀行へ行って全部話がついて、ついてしまったら、さあそちらの方と言って住宅ローン、こういうことですからね。まあその人は、そういう面について疎かったのかどうか、当然、銀行で銀行の利子だ、こういうふうに思ったというのです。  それからもう一つ、時間が来て済みませんが、建設大臣主管の公益法人は社団法人が百三十五あるのですね、それから財団法人が六十。社団法人と財団法人合わせて建設省関係のこの種法人が百九十五あるわけです。私は、これをずっと見て本当にこれが必要だろうか、動いているだろうかということで非常に疑問を持ったわけでありますけれども、何かできると何々協会、何々協会といって建設省だけで百九十五、二百に近い、こういうものをつくっている。確かに建設省が直接、予算上、見ているところも若干あります。それから、その業界の会費によって、やっている部分が大部分であります。しかし、いずれにしても、これだけのものをつくってしまって、もう少し何とか整理なり、本当に必要なものだけ残していくというようなことを、これは建設省きりじゃないのですね、特に通産省なんか一番多いわけでありますけれども、こういう点を一つ指摘して、真剣に考えていただきたいというふうに思うのです。先ほど住宅ローンの問題と公益法人の問題、あわせて御回答をお願いいたしたいと思います。
  92. 山岡一男

    山岡政府委員 都市銀行の住宅ローンの金利でございますけれども、これはプライムレートに連動させようというような政策方針があるようでございまして、プライムレート九・二%の際に九%ということをやっております。絶えず、その金利が変わってまいっておるわけでございますが、いま先生のお話にございました九・九%という時代は四十九年の十月ごろでございます。四十九年の十月に都市銀行の金利が九・九%でございました。その当時の住宅金融専門会社の利息が一一・八八ということでありまして、全く四十九年十月ころのお話であろうかと思います。その後、五十年九月になりまして銀行ローンが九・七%になり、住宅金融専門会社は一一・七六%になりました。それから五十年十一月から銀行ローンが九・二%になりまして、金融専門会社が一一・四%というふうに変わってまいっております。しかし、いずれにしましても住宅金融専門会社の現在の貸付金利は十一年から二十五年もので年率一一・四%ということでございます。相当割り高でございます。これにつきましては会社が発足後、日も浅く自己資金が少ないとか、金融機関からの長期借り入れに依存しているために、やむを得ないとか、いろいろな理由もあるようでございますけれども、御指摘のとおり、住宅金融専門会社金利は決して安いものだとは思っておりません。住宅政策上、住宅ローン利用者の方々に安定的にローンの拡大をするとともに金利の引き下げを図るというのも、われわれの任務の一つでございます。十分に関係方面と協議してまいりたいと思っております。
  93. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 建設省主管の公益法人の数については、いま先生御指摘のとおりでございます。  公益法人は、申すまでもなく積極的に公益の増進に寄与し、不特定多数の者の利益の実現を目的とするものでございまして、その設立の目的の趣旨に従って運営されるべきものでございます。建設省といたしましては昭和四十七年以来、厳重な設立許可基準を定めて、許可に当たりましては厳に、これを抑制的に運用しておるわけでございますが、既存の法人につきましても、この許可基準に準じまして随時、監査、監督をいたしまして指導をいたしておるところでございます。なお、先生の御指摘もございましたので、われわれといたしましても今後その運用につきましては特に注意を払いまして、不要不急の法人については解散をするなり、あるいは直すべき点があれば直すように、強力に行政指導をしてまいりたいと考えております。
  94. 中村茂

    中村(茂)委員 最後ですけれども、簡単に内容を申し上げますと、ビーナスラインの美ケ原線の先線ということが問題になって、環境庁で国立公園の有料道路建設問題というのが問題になりまして、それが昨年、凍結されていたのが解除になって、いま県段階で、この有料道路建設について計画中でありますが、その財源にするために、道路整備特別措置法に基づく有料道路整備資金の貸し付けを、これは無利子でありますけれども、総額二〇%以上したいということで問題になっているわけであります。これを私は前のこの委員会で、こういうことが問題になっているけれども、融資するのかしないのかというふうに質問したときに、皆さんの方からの答弁は、計画が出てきたら十分検討したいと思います、こういう答弁であったわけなんです。計画がまだ県段階で審議されている段階で、聞くところによれば、すでに五十二年度予算に千二百五十万円、予算の復活が行われたというふうに聞いているわけでありますけれども、前の委員会で、計画が出てきたら、それを十分検討してしますというのが、予算に見積もっているというのは、私に答弁した中身と経過が違うのじゃないかというふうに私は思うのです。  特に私が、この問題を問題にしたいというふうに思いましたのは、無利子という融資を二〇%以上していくということになると、いま組み立てられようとしております計画は四十八億円というふうに言われておりますから、その二〇%するとしても九億の金を融資するという結果になるわけですね。膨大な金を無利子で融資するということになれば、その融資する目的なり、したことによって、どれだけの効果があるのかということを十分審議をしなければ、これだけの金を無利子で貸し付けるということにはならぬじゃないか。したがって、計画を十分検討して、そういうものに見合うようにしてもらいたいということを強く要望しておいたわけです。ところが県段階で、県ではまだ、ここのところへ無利子のそういうものを出すか出さないかを検討していて、わからないにもかかわらず、——こういう意見もあるのですよ。無利子のものを、そんなところにまで出して県民の血税を、そこまでやる必要はない。そのときに、先取りのように予算に組んであるという、その建設省のやり方について私は納得できませんので、いま、こう質問したわけなんです。簡単で結構です。
  95. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お答えいたします。  先生御指摘の道路は、霧ケ峰有料道路ということで五十二年度から事業採択の予定にいたしております県施行の有料道路でございます。この道路は御指摘のように、いわゆるビーナスラインが和田峠から扉峠まで、できておりますものを延伸いたしまして、県道の美ケ原和田線に取りつけて、さらに一部、県道を利用しながら美ケ原の台上に達する十キロばかりの有料道路でございますが、この計画につきましては、計画線について長野県が計画をすでに策定しておりまして、その大要については私どもと、それから環境庁と十分協議して、計画の大要は先ほど御指摘のように環境庁からもオーケーが出ておるわけでございます。  それで五十二年度中に事業を始める予定にいたしておりますが、事業認可は、まだ年度途中になりますが、それまでに計画の詳細を詰めまして、環境庁からも、いろいろ計画の中身につきましては注文が出ております。環境対策上の注文が出ておりますので、そういうものも十分取り入れて、十分審査した上で特別措置法に基づく有料道路事業の許可を行う予定にいたしておりますので、先生御指摘のように予算としては準備しておきまして、年度途中までに十分、計画の中身を練って許可する方針でございます。
  96. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  97. 北側義一

    北側委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十分休憩      ————◇—————     午後二時四十分開議
  98. 北側義一

    北側委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。沢田広君。
  99. 沢田広

    沢田委員 社会党の沢田広であります。直ちに質問に入りたいと思います。  建設大臣に、まず第一に、お伺いいたしたいと思いますのは、当面する、いろいろな情勢は申し上げませんけれども、本年度に当たって建設省が果たす役割りは果たして何と思っておられるのか、一言でお答えをいただきたいと思うのであります。
  100. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 一言で申し上げろということですが、公共事業という問題の中にある生活関連公共事業について全力を尽くして、その振興を図るというような考え方でございます。
  101. 沢田広

    沢田委員 そういう観点からすると、本年度の予算の割り振りというものは、きわめて道路優先の傾向を保っておるのでありまして、いま、おっしゃった答弁とは、はなはだ見解が事実と違っているのではないかと思うのであります。昭和三十八年、道路六五・一%、昭和四十一年六四・九%、昭和四十五年、この間は省略しましたが六一・四%、昭和四十九年五九%、昭和五十一年五四%、本年度も大体同じであります。それ以外は河川、下水道、公園、住宅合わしてみて一〇〇%でありますから、いま言われている答弁とは違うと思うのでありますが、いかがですか。
  102. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 道路、治山治水、都市計画によって公園だとか下水道、都市開発資金さらに住宅対策、災害関連の問題等、これらからいって割り振りという点でおっしゃって、道路優先ということでございますが、必ずしも道路優先だとは申し上げられないと思うのですけれども、何か、ほかに道路優先だというもの——私どもの方では道路優先だというふうな考え方を持っていないのです。例年によった比例からいいましても、たとえば治山治水においても、本年度の五カ年計画を一つ見ましても七兆六千五百億という膨大なものが組み立てられておりますし、都市計画におきましても、下水道問題というものは最も重要な面として取り上げておりますし、こういうことから考えるならば、道路優先で道路ばかりやっているというようには私は考えられないと思うのです。
  103. 沢田広

    沢田委員 わざわざパーセンテージを道路だけに限定して時間を節約したのですが、河川、海岸その他を含めてみましても、三十八年から高度成長時代を含めて大体一三%ないし二八%。下水道は三十八年が六・二%で昭和五十一年度が一一・九%、これは予算の配分率であります。公園は昭和三十八年が一%、五十一年三・三%。住宅は三十八年が一一・六%、五十一年が一六・七%。さっき申し上げた、いわゆる道路費につぎ込まれている予算配分率に比較すると、一〇〇%としますと建設省の全体の枠の中では、どうしても道路が優先していくという結果が出ていることは否定できないのではないか、こういうふうに思われるのですが、その点、改めてお答えをいただきたいと思います。
  104. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 お答えいたします。  いま先生御指摘の数字と私が申し上げる数字とは違うかもわかりませんが、確かに建設省関係の所管事業は、それぞれの時代に応じまして、建設省の総事業比の中に占めるシェアは変動をいたしております。御指摘のように下水道は昭和三十二年までは、ほとんど、なかったわけでございますが、いまは相当伸びております。それから道路は昭和二十九年ごろまでは、きわめてシェアが少なかったわけでございます。その後、道路財源等の整備によりまして、多いときには六〇%を占めてまいりましたが、最近は年々そのシェアを減じてまいりまして、本年度は四二・二%というように減っておるわけでございます。それから建設省公共事業全体の伸びは二一%の伸びをいたしておりますが、道路整備は一・一六倍、治山治水が一・二二倍、公園が一・二四倍、下水道一・三八倍、住宅一・二一倍、特に住宅は財政投融資を別に二五%の伸びを示しておりますので、生活関連に重点を置いて、特に道路に重点を置いたということにはならないのではないかと考えておる次第でございます。
  105. 沢田広

    沢田委員 見解の差はそのままとして改めて、また別の機会に譲りますが、河川改修の基本計画は、現在どういうふうな基準をもって、なさっておられるのか、お伺いをいたします。
  106. 栂野康行

    ○栂野政府委員 建設省の基本計画でございますが、まず流量でいきますと、いわゆる百年に一回、百分の一の洪水を基本にする、また百五十年に一回あるいは二百年に一回というふうに河川の規模あるいは、その経済的な重要性、そういうふうなことを勘案しまして決めてございます。
  107. 沢田広

    沢田委員 河川台帳等は整備されていると思っておられますか。
  108. 栂野康行

    ○栂野政府委員 河川台帳の整備でございますが、これはなかなか大変な作業でございます。しかしながら鋭意その整備をすべく、いま、やっておる最中でございます。
  109. 沢田広

    沢田委員 されてないということですね。
  110. 栂野康行

    ○栂野政府委員 されてないというわけでございませんで、鋭意、河川台帳を作製中でございます。
  111. 沢田広

    沢田委員 作製中ということは、されてないということですね。
  112. 栂野康行

    ○栂野政府委員 河川を分けてみますと、直轄河川と、いわゆる県が管理しておる県の河川と二通りあるわけでございますが、いわゆる直轄河川につきましては河川台帳が整備されておるわけでございます。しかしながら、いわゆる県にお願いしておる区間、二級河川あるいは一級河川で県にお願いしている区間でございますが、そういう河川の河川台帳につきましては、まだ十分じゃございませんが、現在、鋭意整備を続けておる段階でございます。
  113. 沢田広

    沢田委員 では一級河川については整備されていると明言できますか。
  114. 栂野康行

    ○栂野政府委員 先ほど申し上げましたように、いわゆる一級河川の直轄区間につきましては整備されております。
  115. 沢田広

    沢田委員 では続いて、現在、一級河川は百九水系、一万二千九百七十一河川、八万四千九百九十二キロメートル、二級河川が二千五百七十八水系、六千四百三十六河川、三万四千二百四十九キロメートル、準用河川、九百十五市町村、八千七百七十五河川、一万五千十五キロメートル、この中で、では何%くらい台帳が整備されているわけですか。——では後で答えていただきます。  それから建設白書によりますと、五十年度には河川環境管理財団をつくって、多摩川、荒川、江戸川については調査研究をしたと言われておりまするが、その河川管理の適正化の主たる目標について簡単にひとつ、お答えをいただきたいし、あとは文書によって、ひとつ御報告いただきたいと思います。
  116. 栂野康行

    ○栂野政府委員 昨年度の九月に河川環境管理財団をつくったわけでございます。現在、先生からお話がありましたように、具体的には多摩川、荒川あるいは江戸川につきまして、そのあるべき姿というものを検討しております。河川環境管理財団の基本的な目的というか考え方は、河川の環境を、自然の保護におきましても、あるいは国民の憩いの場としましても適正に管理していく。また一つの河川におきましても総合的に、どうあるべきかというふうに考えていくということで現在、河川の整備あるいは河川の知識の普及、啓蒙、そういうものをやってございます。
  117. 沢田広

    沢田委員 続いて、河川敷の貸し付けについて、ちょっとお伺いいたします。  これは私の地元にも関係いたしておりますが、帝国観光という会社があります。御承知でもありましょうが、三百億の負債を負って倒産をいたしましたが、中小企業はこの負債によって非常に迷惑を受けたわけであります。その主たる財源のもとでありましたのが大宮国際カントリーと大宮カントリーでありました。年間おおむね一億は利潤があったと言われておるわけでありますが、いつの間にか、それが第三国人と言われておりますが西山某なる者の名前に書きかえられているわけであります。その経緯について御存じでございますか。
  118. 栂野康行

    ○栂野政府委員 西山某という具体的な名前は存じ上げませんけれども、いわゆる帝国観光株式会社が占用しておりました河川敷のゴルフ場でございます。これにつきましては昭和五十一年二月二十五日、同社から株式会社大宮カントリークラブに対する占用権の譲渡申請というものが河川管理者の関東地方建設局長になされたわけでございます。これにつきまして三月二日に、これを承認したものでございます。当該コースというものは現在、一般市民に対する開放日といいますか、週四日、一般の人が自由に使うということを実施しておりまして、大いに現在、利用されておるという現状、さらに現在におきましては河川工事上あるいは河川管理上、支障がないということで承認したものでございます。
  119. 沢田広

    沢田委員 大事なところが抜けているのですが、いつの間にか第三国人と言われております西山某なる者の名義に変更された事実について承知をなさっておられるのかという質問に対しては、お答えがないのですが、その点はどういうことなんですか。
  120. 栂野康行

    ○栂野政府委員 その譲渡申請者の名前は知っております。しかしながら、それが第三国人かどうか、その辺は存じておりません。
  121. 沢田広

    沢田委員 きわめて重要なことだと思うのであります。現在の国有財産法第十四条第七項によれば、第三国人にこれを貸し付ける場合には国会の議決がなければ貸し付けることができない、こういう規定があるわけであります。また外国人土地法第一条によれば、権利の制限というものが法律で規定されている。それがわからないで、それを貸し付けるということは不当行為じゃありませんか。
  122. 栂野康行

    ○栂野政府委員 この会社は、いわゆる日本国の法人でございます。  以上でございます。
  123. 沢田広

    沢田委員 その会社の中に第三国人を含んでおった場合も、これを含むと規定されておりますが、その解釈では回答にはならないのですが、どうですか。
  124. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 いま国有財産法の取り扱いについてお話ございましたが、河川敷の占用は河川法に基づきまして国有財産法の特例として行われているものと考えておるわけでございます。先ほど河川局長から御答弁申し上げましたように、わが国の登記法によりまして正規に登録をされた国内法人である法人を相手にして、譲渡関係を河川法でやっておるので、適法であると考えておる次第であります。
  125. 沢田広

    沢田委員 こじつけもはなはだしいと言わなくてはならないので、この場かせぎに、そういうふうに言われたのだと思うのであります。  では次に、時間が惜しいので質問を変えていきます。  この負債者に対する取り扱いとして、いま若干ダウンをしているといたしましても、少なくとも年間一億の利益を上げるというこの国有財産の河川敷を、三百億の負債を負って倒産をした。少なくとも、その半分の利益なら半分の利益ぐらいは負債者に返還をしていくような義務づけ、どういう人に、第三者に変わろうと変わるまいと、少なくとも国の財産が特定の利益を与えないような仕組み、制限、そういうものは当然、国の措置として、するべきではなかったかと思われるのですが、そういう措置はいかがでしたか。
  126. 栂野康行

    ○栂野政府委員 現在あのゴルフ場につきましては、いわゆるパブリック化、一般の人々に自由に使えるという問題と、もう一つ、週に二日であったと思いますが低料金化、いわゆる河川管理上できるだけ一般の人々が使える、また利益が少ないようにというふうな処置をとっておるわけでございまして、先ほど先生がおっしゃいました、一方が負債して倒産したから、その利益を負債者に返すというような措置につきましては、ちょっと河川管理者としましてはいたしかねたという次第でございます。
  127. 沢田広

    沢田委員 この間のいきさつその他については、これから、もう少し明快にしていかなければならないのでありますが、ほかの質問事項もあります。  いま言ったように、第三国人が会社の役員であった場合、これも含むと書いてあるわけでありまして、この点は、先ほど答弁で了承したものでもありません。外国人土地法、これは大正十四年の法律でありますが、第一条で権利の制限を受ける、こういうことにもなっておりますし、国有財産法第十四条第七項には国会の議決を必要とする、こういうふうにも規定されているわけであります。どうだかわからぬと言う、どうだかわからぬという疑義があるものを、そのまま、することについては慎重な取り扱いに欠けていたということだけは否定できないだろうと思うのであります。  さらに、この三百億の倒産されたものが、被災者といいますか、その災害を受けた者は何ら関知せずに、そのまま自動的に西山某なる会社に権利を譲渡して利益を与えていく、これは国のなすべき行為ではないだろう。少なくとも、その利益の還元というものについて、帝国観光が行った不当行為はあるにせよ、三百億で泣いている中小企業を救うような措置は、その契約事項の中に含めていくのが国として行うべき当然の措置ではなかったか、このように思うのですが、その点、承りたいと思います。
  128. 栂野康行

    ○栂野政府委員 いろいろ検討してまいりたいと思います。
  129. 沢田広

    沢田委員 次に、都市計画法の問題についてお伺いをいたします。  都市計画法は、そもそも、できましたときに、都市計画税を徴収をいたしまして十年をおおむね目途にいたしまして、国民に健康にして文化的な都市施設というようなものを整備をするという約束のもとに、これを行ったものであったと思います。その点いかがですか。
  130. 中村清

    中村(清)政府委員 お答え申し上げます。  確かに御指摘のように、ただいまお話がございましたが、市街化区域の問題であろうかと思いますが、都市計画法では市街化区域は「すでに市街地を形成している区域」と、あとは「おおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」であるというふうに規定をしております。
  131. 沢田広

    沢田委員 十分その効果を上げていないという事実はお認めになられますか。
  132. 中村清

    中村(清)政府委員 私どもは市街化区域の整備水準としまして、中で、いろいろな数値を考えておりますが、ただいま申し上げましたように十年以内に計画的に、あるいは優先的に市街化をすべき地域でございますから当然、公共投資も、それに伴って重点的あるいは積極的にやらなければいかぬというふうになっております。中で、いろいろな整備水準を考えておりますが、私ども内部で、いろいろ検討いたしまして、そういう水準に比べて現在の状況はどうであるかと言われれば、必ずしも、これは満足なものではないと言わざるを得ないと思います。ただ御承知のように、その後の経済情勢の変動等々もございまして若干おくれておりますけれども、今後、精力的に投資を集中をいたしまして、市街化区域の整備の実を上げたいというふうに考えております。
  133. 沢田広

    沢田委員 国民の側から見れば、十年でできるものと思っておったものが、ならないのですから一種の詐欺的な行為にもなるわけでありますし、なると思ったものがならなかったわけでありますから、そういうような印象を受けないように、これは要望として、これからの、ひとつ善処を特に望んでおきます。  次にいきます。建築基準法で第四十二条の「道路の定義」というのがありますが、四メートルに決定をした理由をお聞かせをいただきたいと思います。
  134. 山岡一男

    山岡政府委員 建築基準法におきましては、建築物の利用者もしくは居住者の円滑な交通その他、通風、採光等の面もございますけれども、それらを特に考慮いたしまして、必要な幅員として四メートルと定めたものでございます。大体四メートルと申しますと普通乗用車がおおむね、すれ違いもできる。それから、いざ緊急の場合には消防車も入れるというようなことでございます。
  135. 沢田広

    沢田委員 あなた、消防車の幅員が何メートルだか知っていますか。
  136. 山岡一男

    山岡政府委員 消防車の幅員は一番大きいものは二メートル五十、普通は一メートル七十というふうに承知いたしております。
  137. 沢田広

    沢田委員 限界は幅員が二メートル五十、延長は九メートル五十二。はしご車は二メートル四十八から三十四、長さは九メートル五十二から八メートル七十。普通の消防車で二メートル三十、延長が六メートル七十四から六メートル四十一、こういうことになっている。四メートルというのは、それで交差できますか。
  138. 山岡一男

    山岡政府委員 消防車二台のすれ違いは無理な場合がございます。
  139. 沢田広

    沢田委員 無理な場合があるということですが、無理じゃないのですか。
  140. 山岡一男

    山岡政府委員 一台なら通れるわけでございます。
  141. 沢田広

    沢田委員 運輸省がいると思うのでありますが、そうすると四メートルの道路というものは結局、一方通行でなければ用をなさない、こういう前提に立った四メートルだ、こういうことになると理解をいたしますが、よろしいですか。
  142. 北川清

    ○北川説明員 お答え申し上げます。  自動車の幅につきましては、道路運送車両法に基づきまして二・五メートルを限度として決めておりますが、これは道路交通条約という国際条約がございますが、それに準拠して決めておるものでございます。実際に車としましては二・五メートル以下でつくられるわけでございますが、輸送効率の向上等で、いわゆる大型トラックとかバス等がふえてきておりますが、道路幅員に応じまして通行可能な車の大きさというものは決めておるわけでございます。それで、四メートルというものについて先生御指摘でございますが、私ども車の大きさといたしましては国連道路交通条約に基づいて二・五メートルを限界として決めており、車自体は用途に応じまして二・五メートルのもの、それから一・七メートルという小型のもの、それらが需要に応じまして、いろいろ供給されておるという状況でございます。
  143. 沢田広

    沢田委員 一方通行でなければ用をなさないなという質問なんですから、その点について、お答えをいただきたい。あるいは運輸省でも、どっちでもいいです。
  144. 山岡一男

    山岡政府委員 そのとおりでございます。
  145. 沢田広

    沢田委員 そうすると現在、九尺道路とか六尺道路とか昔の道路があります。ところが建築基準法では中心線より二メートル、個人住宅を建築する場合には後退線を引かせます。しかも、これには後退線を引かせて「道路の境界線とみなす」と書いてありますが、この「みなす」ということは、どういうことなんですか。
  146. 山岡一男

    山岡政府委員 御案内のとおり、建築基準法は建築物の敷地、構造、設備等に関します最低の基準を定めるものでございます。先ほど申し上げましたとおり細街路は少なくとも幅員四メートルは確保したいというのが建築基準法の道路の規定でございますけれども、現実の問題といたしまして、すでに道路の周りに建築物が建ち並んでいるところがございます。そういうところは全部、家が建たないというのも最低基準として非常に困るということで、特別の指定をいたしました。そのかわり、新しく住宅を建築するような場合には、その中心から両側、振り分け二メートルというところを道路の敷地とする、これがずっと積み重なっていけば四メートルの道路が次第にでき上がっていくだろう、こういう趣旨の規定でございます。
  147. 沢田広

    沢田委員 憲法をごらんになっておられると思いますが御存じでしょうね、お伺いします。
  148. 山岡一男

    山岡政府委員 憲法二十九条の件だと思いますが、承知いたしております。
  149. 沢田広

    沢田委員 だから、これは無償で個人の私権が侵害されることはあり得ない、こういうことに違反することではないのですか。
  150. 山岡一男

    山岡政府委員 憲法二十九条の第一項は、財産権の不可侵を規定いたしております。それから同条の第三項は、私有財産を公共のために用いるには正当な補償をなすべきであるということを規定しております。しかしながら、これも無制限なものではなくて「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」ということも同条第二項で決めておるところでございます。  建築基準法の第四十二条第二項の規定等につきまして、これが憲法違反かどうかということにつきましては、過去にも争われた例がございます。昭和三十四年十二月十六日の東京地裁の判決によりますと「建築基準法第四十二条第二項の規定は、」「同法第四十四条第一項とともに、公共の福祉の増進に資するために設けられた規定であり、憲法第二十九条第二項の規定の趣旨に合致するものであり、建築基準法の法条により原告の本件建築物敷地に対する財産上の権利が一部制限される不利益を蒙るものであっても、これは前記のごとく公共の福祉のために加えられた制約と見るべきであるから、右規定を以て憲法第二十九条に違反するものとの主張は失当」であるというのが、東京地裁の昭和三十四年の判決でございまして、この判決は東京高裁においても支持されております。
  151. 沢田広

    沢田委員 いまの判決はケース・バイ・ケースでありますから、摂津訴訟の場合もありますし、あるいは熊谷裁判では、それが有効という判決も一審で出ているわけであります。ですから、その場所、その場合によって異なることでありますから、いまの答弁がオールマイティーな答弁であるとは理解しがたいわけでありまして、問題は、いままでの答弁を集約すると四メートルは、消防車が通るのには一方通行でなければならない、こういうことだけは結論が出たようです。そうすると中心線から二メートルを下げる必要性というものは、九尺道路であれば一方通行にすれば十分、消防車が通行できる。個人の、いわゆる権利を侵害して、なおかつ二メートルを後退させる必要性は存在しない、こういうことになるのじゃないかと思うのでありますが、この「みなす」ということは、無償で取ることを憲法違反ではないと解しておられるのですか。
  152. 山岡一男

    山岡政府委員 建築基準法が最低の基準として、四メートル以上の道路を建築基準法上の道路と定めたことが一番の基本であろうかと思います。
  153. 沢田広

    沢田委員 そうすると四メートルが最低の基準であるということは、もう一回、間違いありませんか。
  154. 山岡一男

    山岡政府委員 先ほど申し上げましたように、建築基準法の原則として四メートル以上という道路を基本にいたしておりますけれども、現に長い歴史の積み重ねで住宅がすでにでき上がっておる、しかも道幅も狭いというところにつきましては、そういうものも現に存する道路ということで指定をいたしまして、それに対しては中心振り分けということを適用しておるわけでございます。
  155. 沢田広

    沢田委員 では不法占拠をした者については有償で、国では、これを支払ったり補償をしたりして拡幅をしておるのにかかわらず、一般のいわゆる小住宅が建つ場合にだけは、無償で二メートルも後退しなければならない、その間の矛盾は感じませんか。
  156. 山岡一男

    山岡政府委員 中心振り分け二メートルの結果、四メートルの道路ができ上がりますと、当該本人にとっても非常に有効なものでございます。したがいまして、憲法で定めております二十九条に基づく法律の中で、基準法で正当に認められたものでもございますので、正しいと思っております。
  157. 沢田広

    沢田委員 時間が惜しいのでありますが、私が質問したのは、いわゆる無断で国有地なりを占拠しておった者に、わざわざ有償で補償料を払って立ち退いてもらっている事実もある。一方は個人が無償で、その四メートルという中心線から二メートル後退しなければならない。そういうところに矛盾を感じませんか、こういうことを聞いているわけです。
  158. 山岡一男

    山岡政府委員 最初の設例のことが余りよくわかりませんけれども、実際問題といたしまして、いろいろな、みんなの関係の中には地役権というものもございます。そういうものに対しての補償は今後も必要であろうと思っております。
  159. 沢田広

    沢田委員 結論的に、この問題は、一方通行に将来はする、将来というか、一方通行という原則に立って、こういうものになったのだというふうに理解して、時間がありませんから次にいきますが、不法占拠に対して、これは埼玉県の例でありますが、五億二千五百万円も支払われて、不法占拠の松並木を取り除いて補償をした実例もあるのですよ、これは国有地でありながら五億二千五百円も。建設省も、そのうちの何割かは出しているわけなんです。そういう事実はあるのですが、時間の関係上、出しません。  次に、道路位置指定というものを、どういうふうに受けとめているか、お伺いをいたしたいのでありますが、中心より二メートルを後退させて四メートルにするというのは、期間は、どのように道路位置指定はあるのか。期間はないのか。
  160. 山岡一男

    山岡政府委員 指定が取り消されるまでは有効でございます。
  161. 沢田広

    沢田委員 そうすると、道路位置指定をした場合に今度、道路を広げるという場合、あるいは河川を広げるという場合、あるいは学校を建設するという場合、そういう公の利用をする場合についても、その地権者の同意がなければ、道路位置指定は、その土地を何人が持っていようと、その地権者の同意がなければ拡幅はできない、あるいは公共的にも使えない、こういうことになると解してよろしいのですか。
  162. 山岡一男

    山岡政府委員 建築基準法は四十五条で「私道の変更又は廃止の制限」というものを設けております。一たん建築基準法上の道路になりますと、その道路に接する敷地が、四十三条第一項これは建築物の敷地が二メートル以上、公道に接しなければならぬという規定でございますが、その条文もしくは、それに基づく条例の規定に抵触することとなる場合、すなわち両側の既存の建築物が基準法上、不適格になる場合「その私道の変更又は廃止を禁止し、又は制限することができる。」という規定がございます。この規定の趣旨に基づきまして道路位置の指定の効力は判定されるものでございます。
  163. 沢田広

    沢田委員 そうすると一般の道路でも、議会の議決をすれば道路の廃道敷もできるし、あるいは位置の変更も可能なんです。ところが道路位置指定は民法上の契約期間もない。また同時に、あるいは、いま言ったような何ら、これをチェックする機関もない。常に、その地権者が最大の権利者である。ですから、いかなるものが建築されようと、あるいは河川になろうと、あるいは道路に広げようと、あるいは公共物が建てられようと、無期懲役ではありませんけれども、永久に無原則、無期限、権利者はその契約を維持している限り、その道路位置指定は有限ではない、こういうことになるわけなんでありますが、その点、矛盾を感じませんか。
  164. 山岡一男

    山岡政府委員 収用権を認められるような公的事業でございますと、これは私有財産の収奪ができるわけでございますから、そういう関係は明らかになると思います。  ただ、それ以外の問題につきましては、やはり四十五条との関係で、その私道の廃止がいいか悪いかということは協議事項になろうと思います。
  165. 沢田広

    沢田委員 時間の関係で国土庁の方の関係にお伺いいたしますが、国土庁で国土表示価格をいたしておりますが、これは政府見解でありますか、政府を拘束するものなんですか。どういう性格か、一言でお答えいただきたい。
  166. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 地価公示法の第九条におきまして、政府等が公共用地に収用等をする場合には地価公示格に準拠しなければならないということになっておりますから、そういう意味で拘束をしておるというふうに考えております。
  167. 沢田広

    沢田委員 取得する場合ということは、売る場合も同じだと解してよろしいですか。
  168. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 売る場合につきましては、これは一般に鑑定評価を基準として判断すると思いますが、鑑定評価に当たりましても、同様に地価公示法におきまして不動産鑑定士が正常価格を求める場合には、この地価公示価格を基準としなければならないということになっておりますので、その限りにおいて拘束ないしは影響を持っておるというふうに考えております。
  169. 沢田広

    沢田委員 先ほどのところに、ちょっと戻りますが、電力事業法によれば、四メートルの道路の中の道路管理者は、個人が後退した分は個人の地権者が所有しているわけですが、電柱を立てる権利者は、いわゆる道路の管理者になるのですか。地権者の了解を得なければならないと法律では規定されておりますが、その点はどういう解釈を持っておられますか。
  170. 山岡一男

    山岡政府委員 建築基準法上の道路には私道と公道がございます。公道の場合は管理者でございます。それから私道の場合は地権者でございます。
  171. 沢田広

    沢田委員 そうなると当然その場合に電柱を立てれば四メートルは減るということになりますが、先ほど答弁と狂ってくるのですが、その点はいかがですか。
  172. 山岡一男

    山岡政府委員 電柱が一本立ちますと、厳密に言うと当該部分は四メートルを切ることになります。そういう意味では確かに四メートルを切るわけでございますけれども、最近の交通事情等から見まして、電柱一本あるから自動車が通れないということでもございませんので、そこまで厳密に四メートルを運用するということは考えておりません。
  173. 沢田広

    沢田委員 そこまで厳密に運用されないものに対して、個人住宅建築に二メートルの後退線を権利を行使する必要性はないでしょう。そう思いますが、いかがですか。
  174. 山岡一男

    山岡政府委員 建築基準法上で道路の幅員をある程度、確保いたしますのは、そこを一般の方も通られる場合がございますけれども、家を建てる本人の利便が一番強いのでございます。そういう意味から、そのような取り扱いをしても、私は違法の点はないと思っております。
  175. 沢田広

    沢田委員 では、公団住宅の共益費の関係について。  非常に公団住宅が高い、時間の関係で結論だけ言いますが、高いと言われています。この高い原因には、共益費が非常にたくさん取られる。共益費というのは地域の小学校、中学校等の義務的な経費も入っておる。それで教育基本法によって義務教育の教育負担は当然これは国なり市町村が負担するべき性格のものであります。それを共益費を住民負担に転嫁をするということは問題があるし、法律違反にもなるのではないか、こういうふうに思うのですが、その点の解釈並びに、このいまの七万円というような高額な公団住宅をつくることが、果たして国民の利益に整合性を持つのかどうか、その点、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  176. 沢田光英

    沢田参考人 公団の家賃が高額になるということで大分、問題になってきておりますけれども、この基本の問題は、もちろんコストが上がることでございます。  それから、先生いま共益費と申されましたが、恐らく関連公共費のお話だろうと思います。本来、非常に厳密な公共施設でございますれば、一般の国民が利用するわけでございますから、特定の者が負担しない方がよろしい、こういうことなんでございますが、私どもが住宅を建設する際には、そういう趣旨から、たとえば道路だとか、そのほかの公共施設、こういうものは関連公共費の立てかえということで地方公共団体に処置をしておりまして、これを家賃に入れない、かようなかっこうで処理をしてございます。  ただし、現在の地方財政その他から、なかなか、そういうことだけではおさまらずに、私どもが協議をいたす際に、負担をしてくれ、こういうお話で、先生のようなお話が出ております。私どもは、先ほど先生おっしゃいましたような家賃の低減ということに心がけておりますので、できるだけ、こういうものは少なくというかっこうで、やってございますけれども、建設を促進する意味からいいましても、現在では、ある程度の負担をしておる。そういうものは家賃に入っておるということは事実でございます。
  177. 沢田広

    沢田委員 時間の関係が参りましたので、ここは三つくらい重ねてお尋ねして終りたいと思います。いまの誤解しないでいただきたいのは、私が申し上げているのは、それを住まわれる人たちに負担をさせることが法律違反ではないかということを言っているわけであって、それは別途、立法措置を講じて、ちゃんと国でお金を出すものは出す、こういう別な措置を講ずるべきではないか、こういう質問ですから、その点また改めて御答弁を願いぜいと思うのですね。  それから、もう一つは、公営住宅法によれば選考と抽せんというのが現在あります。法律では選考と規定されていますが、ほとんどいま公営住宅は抽せんであります。そうすると、これは法に、政令に違反をして行っているのではないかと思うのでありますが、その点の見解をひとつ。これは公営住宅法であります。その点を承りたいと思います。  それから次に、住宅金融公庫についてお答えをいただきたいのでありますが、いわゆる個人住宅金融公庫法によって貸し付けを受けた場合に、一般にわれわれが連帯保証人になります。その場合に家屋なり土地が抵当に入るわけでありますが、その抵当に入った場合に、その家屋に火災保険を掛けさせる。この火災保険に掛けさせる場合には、安田火災を初めとする代表火災に指定をしている。しかし、これは法のどこにも書いてないのでありますが、二つ考えられる。一つは、連帯保証人がいるのであるから、当然そういう義務を住宅金融公庫で、いわゆる強制をする必要性がないのではないかということが、まず第一である。それから第二点は、本人が自主的に、それは協同組合法による火災共済であろうと、あるいは民間の火災保険であろうと、それは本人の自由意思に任せるべき性格のものではないかというふうな二つの解釈が生まれるわけでありますが、なぜ安田火災なら安田火災を、その指定店として強制をしなければならない法律上なり行政上の権限はあるのかないのか、その点ひとつ、お伺いをいたしたいと思います。
  178. 沢田光英

    沢田参考人 関連公共施設の立てかえ制度につきましては、これを十分、拡充すれば恐らく先生のおっしゃるように機能するかと思います。ただ現在では、これは五省協定と言いまして適用されます種目が限られてございます。たとえば学校につきましては高等学校が入っていないとか、そういう問題がございまして、私どもの方も建設省、大蔵省その他に、こういうものを拡大して、できるだけ負担を下げるようにということでお願いしておりますし、また建設省その他のところでも逐次そういうことを、いままでの経過から私どものお願いを受けて、拡大を順次してきておるわけでございます。しかし、まだまだ負担が残っておるということもまた事実でございます。
  179. 山岡一男

    山岡政府委員 公営住宅は国庫補助金を伴う低家賃住宅でございまして、入居資格の制限をいたしておる住宅でございます。したがいまして、その入居に当たりましては特目というのがございます。特目というのは、やはり身体障害者、母子家庭、特別に所得の低い人等が対象でございますが、そういう方々については選考入居を励行いたしております。それから、さらに登録制、それから点数制等の選考方法を用いているところもございます。しかし、まだ、それらの点につきまして徹低してないところは、その次の公平という意味で、非常に申込者の多い場合には、同列同等の方につきまして抽せん制を行っておるというのが実情でございます。
  180. 立川宗正

    ○立川説明員 お答え申し上げます。  住宅金融公庫法におきましては、貸し付けた建物の上に一番抵当権というものをつけさせております。これが焼けました際には、その抵当権というものはなくなるわけでございますので、それにかわるものとして火災保険というものを強制させまして、そうして債権の確保を図るというのが当然のことでございます。これは公庫法の二十四条に業務方法書を定めて、これは主務大臣の認可を得て定めなくちゃいかぬという規定がございます。その規定の中に火災保険の締結というものがございます。その業務方法書の中におきましては、火災保険の締結は融資期間中はずっと、つけなくちゃいかぬということと、債権額以上はつけなくちゃいかぬという規定がございます。これは強制的な保険でございますので、いわゆる相手方の自由な選択というのはないわけでございます。したがいまして公庫法といたしましては特約加盟制度というものを設けまして、国内の二十社に全社を相手にいたしまして、その保険を契約をいたします。この場合には強制でございまして、逆選択も起こりましょうし、それから多数の法則が働きますので、非常にその料率は安いというようなメリットがございます。しかも、これは代理店を通しませんので、そういった点のユーザーの保護ということが非常に図られておるのじゃないかというふうに考えております。以上でございます。
  181. 沢田広

    沢田委員 特に問題のあるところだけ言っておきます。大変申しわけありませんが。公営住宅法では選考と書いてある。抽せんとは書いてない。それをあえて抽せんをすることを認めるという法律根拠はどこにあるのか、こういうことを私は聞いているのです。公営住宅法では、選考基準というものを設けて選考で入居をさせなさい、こう政令で規定をしているわけですね。それが、あなたの言うのは政令違反の答弁を、ここでしているから、おかしいのじゃないかということになって、私はあえて再質問に立つわけなんですが、その点は、もう一回お答えをいただきたい。  それから住宅金融公庫の方については、火災保険に、有額で補償義務があるなら入ってもいいが、何も安田火災それ以外でなくても、当然、協同組合法の共済であろうと、それだけが補償されれば、あなたの方は十分満足されるのであるから、それに限定されることはないじゃないか、こういう質問ですから、この点について、お答えをいただきたいと思います。
  182. 山岡一男

    山岡政府委員 公営住宅の入居に関しましては、公正な選考によれということは確かに書いてございます。抽せんの場合も公正な選考の一種であろうと考えております。
  183. 立川宗正

    ○立川説明員 公庫法の一条の趣旨からいいますと、一般住宅金融を受けることが困難な人、つまり所得の非常に低い人とか、そういう者を相手にして住宅金融公庫法というのは成り立っているわけでございまして、したがいまして、できるだけユーザーに負担をかけないというのが使命でございます。そういった意味で特約制度を設けまして、先ほど申しましたように非常に安い一般の料率で相手方に適用する、このことが公庫法の趣旨に合致するものだと考えております。以上でございます。
  184. 北側義一

    北側委員長 福岡義登君。
  185. 福岡義登

    ○福岡委員 ただいまの例の火災保険の関係ですが、ユーザーの負担をできるだけ少なくするという趣旨でという、これは私ども同感でございます。ところが金融公庫でやっておられる火災保険以外に、まだ安いのがある。たしか十万円で掛金が年間百円。二百口までありますから二千万円まで、できると思うのですが、これは、たしか生協法に基づく労働者生活協同組合がやっておる火災共済があるわけです。これは市中のどれよりも安いのです。いま二十社と言われましたが、それは恐らく入っていないと思うのです。検討してみて、もし一般の保険会社よりも有利であるときは、これと契約を結ぶ考えがありますか。
  186. 立川宗正

    ○立川説明員 私、ただいま先生から、その内容について初めて伺ったわけなんで、私も不勉強でございますので実態については、よく承知いたしていないのでございますが、私どもがいままで、いろいろ調べました範囲内においては、現在の特約制度というのは、てん補範囲も、単に火災だけではございませんで風水災その他、非常に広いということと、料率が非常に安いということで、何よりもすぐれているのではないか。ですから、その制度を守っていくのが一番いいのではないかと現在では考えております。
  187. 福岡義登

    ○福岡委員 知らないのに、いまのままでいくというのは、ちょっと答弁がおかしいんじゃないか。風水害の補償もあるわけですよ。だから一般の火災保険会社よりも断然これは有利である。しかも補償も二千万円が限度。これは政府が認定しておる共済活動ですからね。だからここでは、検討してみて、そうして一般の火災保険の会社よりも有利だということになれば、全部それに切りかえるぐらいの答弁をした方がいいと思いますが、どうですか。
  188. 立川宗正

    ○立川説明員 よく調査検討させていただきたいと思います。
  189. 福岡義登

    ○福岡委員 じゃ終わります。
  190. 北側義一

    北側委員長 次回は、来る十六日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十四分散会