○原(茂)
委員 ぜひそうお願いしたい。
ここで、
処理小
委員会にも中央審議会にも、あなた方は一番大事なものとして、あっせん案をお出しになってきた。県のあっせん案なるものをお出しになった。これが一番大きなよりどころだったのです。山梨県出身の衆参両国
会議員全員が、このあっせん案を一、二、三、四項まで示して、三年間もすったもんだやった組合への払い下げ先を変更して、このあっせん案に基づいて県へ払い下げることに決めた。これが唯一のよりどころで、皆さんは審議会あるいは小
委員会にこれを
資料として出した。これに答申が出る大きなウエートがかかっていたわけであります。そこで、あっせん案に対して、少し一緒に
検討をしていただきたい。
これは読み上げません、皆さん持っていますから。一項から五項まであります。
私は、あっせん案そのものが、一体何を意図しているのかが問題だと思う。大蔵
当局は、あっせん案を唯一の武器として、県への払い下げ適正化を図っていることは事実ですね。唯一の武器にしています。その問題点は、
事態収拾策としての県への払い下げあっせん案と、現実の県の払い下げ地
利用計画に基づく払い下げとを意図的に混同させている。
いいですか。
事態収拾のために必要だというので、あっせん案を出した、そのあっせん案という性格と、それから県が持っている払い下げ地の
利用計画、その内容が適正であるということとは違う。そのことは、あっせん案は審議していない。いかにもそうであるのに、このあっせん案なるものが、県の払い下げを受けた後の、この国有地の
利用計画の内容までが正しいと、山梨県出身の全衆参国
会議員が考えているような装いで、小
委員会なり中央審議会に提出され、
説明をされていた。この二つの問題は、区別しなければいけないと思います。
ですから、あっせん案賛成イコール県の
利用計画賛成ということではないんですが、いかにもそうであるように、審議
委員なり小
委員なり、審議をされる皆さんに受け取られていたと思います。あっせん案は、社会党議員も名を連ねているが、県がその後それを具体化させる過程では、社会党は必ずしも同じ
意見ではなく、昨年九月の県の林業計画発表後の定例県議会での発言、さらに十月末の渡辺孝基質問状によって、あっせん案に対する解釈の違い、具体化された県の計画に反対の態度までが証明されています。その後十月と五月にですよ。あっせん案に対して、何でもかんでも無条件で社会党の国
会議員がみんな賛成したんだ、こういうふうな受け取り方を審議会の諸君に持たせることは間違いだという意味の
指摘であります。
なぜかと言いますと、この渡辺孝基なる人は、あっせん案が出たときに、あっせん案に対するいわゆる質問状を出しているんですね。これはいろいろありますが、
一つだけで結構だと思うのですが、「国有地二百十ヘクタールの払下げに係るあっせん案の運用及び解釈について」照会をしますというので、書留で内容証明で、配達証明つきで出しているんですね。自民党の国
会議員、社会党の国
会議員、全部に出しているんですよ。その回答が全部あるんですよ。しかも、内容証明、配達証明で全部回答が来ている。自民党からも社会党からも、全部渡辺孝基氏本人に来ています。
渡辺孝基氏は何を質問したかと言いますと、
「1、あっせん案第一項に「払下げ先は山梨県」とあるが、これは、あっせん案第五項により富士吉田市外ニケ村恩賜県有財産保護組合(以下「保護組合」という。)への払下げを前提とした県の一時預りと解してよいか。
2、当該地域における従来からの地元住民の入会権益は、県の一時預りとなっても継承されるものと解してよいか。
3、県への払下げ時点で、あっせん案による保護組合の行う林業整備
事業の実施にあたり県は、前項の権益を公示するため保護組合に対し地元の納得する、いかなる権利
関係の設定を考えているか。
4、あっせん案第三項に「県が整備計画を策定し」とあるが、この場合策定にあたつては、予め地元と協議し、その同意を得る用意があるか。
5、あっせん案第四項の諸懸案については再払下げに先行して行なうことを原則とし、その解決にあたつては一市二村の首長並びに保護組合長と協議して取りまとめるものと解してよろしいか。
6、あっせん案第五項の林業経営の定着した時点の判断は誰がするか。
7、あっせん案第五項の「県の事情変更の申請」とは保護組合へ払下げることを
大蔵省に申請することと解してよいか。
8、県が一時預りとして、国から払下げを受ける場合、その払下価格は林業経営のため林地素地価格により、再払下げの場合においては、国からの払下価格によるものと解してよいか。
別項として県は、入会協定を早急に締結するよう国にあっせんすべきであると考えるかどうか。」というのを、まず田辺県知事と、それから有泉演対協会長に質問状を出しているんですね。
それに対して答えが来ています。この答えが——これは公式文書ですよ。
「第一項について
「県の一時預り」と理解してよい。
しかし、地元保護組合への再払下げには、林業整備
事業の実績が積み重ねられることが必要であると理解願いたい。」これが第一項に対する回答ですね。知事、演対協会長両者の正式の回答であります。
「第二項について
当該地域に対して従来から地元住民が使用、収益してきた入会慣行は、所有権者が変っても承継されるものと考える。」第二項で明瞭にこう言っているんですね。
「第三項について
保護組合が行なう林業整備計画の実施に当たっては、明確な法律
関係が設定されるべきであると考える。
そのためには、地元
関係者の意向を十分に伺い適切な法制的な措置を講じたい。
第四項について
貴見のとおりとご理解願いたい。
第五項について
貴見のとおりとご理解願いたい。
第六項について
定着した時点の判断は県が行うものと考える。
第七項について
貴見のとおりとご理解願いたい。
そのためには、保護組合を中心として一市二村が一致協力し、理解と協調を深められたい。
第八項について
国からの払下げ価格は、林業経営が可能な林地期望価を希望し国と折衝する考えである。
地元保護組合への再払下げの際の価格は国からの払下げ価格を基準といたしたい。
別項について
早期に締結されるよう最大の
努力をいたす所存である。」
特に、この九つ目、これは非常に大事ですよね。「入会協定を早急に締結するよう国にあつせんすべきであると考えるがどうか。」と言ったら、田辺知事が正式文書で演対協会長も一緒に「早期に締結されるよう最大の
努力をいたす所存である。」というのですよ。どうでも国と県は一緒だとは言えない。あなた方が、払い下げを受けるのに、いろいろな問題が起きている。原がとやかく言う、うるさいからというので、知事もまあまあそんなことはありませんと、何だかんだと言って答えているかもしれない。ところが、実際に残っている文書というのは、全部そうじゃない。これは公文書です。
そこで「「国有地二百十ヘクタールの払下げに係るあっせん案の運用及び解釈について」と題する県、演対協の回答に関して、県選出国
会議員への質問状」を今度出した。この知事や、あるいは演対協の会長から、こういう回答がありましたから、そこで渡辺孝基氏が、入会組合の一員ですが、公式に質問状を出したのですね。
「田辺知事、有泉演対協会長は、地元三市村長および吉田
恩賜林組合長らから、七月二十八日づけで照会のあった「国有地二百十ヘクタールの払下げに係るあっせん案の運用及び解釈について」に対して、翌七月二十九日、両者連名で、「あっせん案」の運用と解釈について回答しています。
ところが右回答書には、「あっせん案」提出の当事者である貴職らの署名は
一つもなく、したがって右回答書の内容に、当事者たる貴職らがそもそも同意しているのかどうかすら不明であります。」
選出国
会議員に対して言っているんですね。署名をおまえたちしていないけれ
ども、どうなんだ。
「そこで、「あっせん案」提出の当事者として、次の十点につき責任ある回答を文書をもってなされたい。」というのを選出国
会議員に出しているのですよ。
「一、貴職は右回答書に示された「あっせん案」の運用、解釈について、「あっせん案」提出の当事者として、同意を求められたのかどうか。求められたのなら、いつ、どのような
方法で、それがなされたのかを明らかにされたい。
一、同意を求められていないのならば、右回答書は「あっせん案」提出当事者以外の県、演対協による勝手な運用と解釈にすぎず、当然、「あっせん案」提出当事者の責任において、即刻、その無効を県知事、演対協会長に宣告すべきとおもうがどうか。
一、閣議了解の払下げ目的は地元民生安定のためであり、政府も神沢浄議員の質問主意書への回答で、そのことを再確認している。したがって、貴職らの「あっせん案」の運用と解釈も、当然閣議了解の
趣旨にそって、地元民生安定のためを基本にしてなされなければならないとおもうが、「あっせん案」の当事者として貴職の見解を明らかにされたい。
一、右回答書は、「あっせん案」の「払下げ先は山梨県」とあるのは、吉田
恩賜林組合への再払下げのための「県の一時預り」と理解してよいとしているが、貴職の見解も同じなのかどうか。
一、前項のように解する場合、当然次のごとき問題が生ぜざるをえない。すなわち、吉田
恩賜林組合への直接払下げが駄目になったのは、社会党北富士小
委員会の、同組合への払下げは、地元民生安定にならず、閣議了解に反するとの
報告が大きな理由とされているが、なぜ「県の一時預り」をへれば、同組合への払下げが可能となるのか。「あっせん案」の当事者として、その理由を、閣議了解の払下げ目的である地元民生安定との関連で、具体的に明らかにされたい。
一、右回答書は、「あっせん案」の「林業経営が定着した時点」の判断は県がおこなうとしているが、貴職の見解と同じなのかどうか。
一、前項に関連して、吉田
恩賜林組合への再払下げの時期を決定する「林業経営の定着」とは、具体的にどのような
状況をいうのか、それは払下げ目的である地元民主安定と当然関連があるとおもうが、「あっせん案」の当事者として貴職の見解を明らかにされたい。
一、右回答書は、「あっせん案」第四項の「諸懸案については、県が地元の協力を得て解決にあたる」の中に記されている「地元」とは、地元一市二村の首長、吉田
恩賜林組合長だとしているが、貴職も同じ見解かどうか。とくに「諸懸案」たる桧丸尾問題、土丸尾などの開墾永小作権問題、梨ケ原の牧草地問題の当事者たる忍草入会組合や新屋開墾永小作権者連盟と、県が直接話あわずに「諸懸案」が解決できると考えていたのかどうか、「あっせん案」の当事者として貴職の見解を明らかにされたい。
一、右回答書は、国有地二百十ヘクタールにおける地域住民の入会権益について、「従来から地元住民が使用、収益してきた入会慣行は、所有権者が変っても承継される」としているが、貴職の見解も同じかどうか。
一、前項の見解にたてば、「あっせん案」によって、県が払下げをうける場合、当然、諸懸案の解決や県の策定する林業整備
事業にあたっては、「従来から地元住民が使用、収益してきた入会慣行」を侵さないような
処理がなされるか、あるいはそれを消滅、制限させるため買上げ、借上げ等の必要な法的措置がとられるか、そのいずれかになると思うが、貴職の見解を明らかにされたい。
昭和五十一年八月三日 富士吉田市下吉田一二五六 旧十一ケ村の入会を守る会 代表 渡辺孝基」という質問を、書留郵便の配達証明で全議員に実は出しているのです。
これに対して自民党の議員連盟の回答が寄せられています。
「
昭和五十一年八月三日付で「国有地二百十ヘクタールに係るあっせん案の運用及び解釈について」貴殿からご照会がありましたので、次のように
お答えいたします。
今回のあっせん案は、ご承知のように有泉演対協会長から行詰った国有地の払下げ問題を収拾するための方策として提示してほしい旨の要請をうけ、県選出国
会議員の連名で提示したものであります。
もともとあっせん案とは、
事態打開のための対策でありますから、細部に亘ることなく、大筋の
事項に限られることは当然であります。
従って、この解釈または運用は、あっせん案の大筋をそれることなく、法令の範囲内で行われるならば差支えないものと考えます。
今回のあっせん案の提示後受諾までの間に、その一部の解釈または運用について応答があったことは承知いたしておりますが、以上の
趣旨で取り運ばれたものと理解いたしております。
以上、
お答えにかえますが、よろしくご理解願いたいと存じます。
昭和五十一年八月二十日」これは金丸信、内田常雄、中尾栄一、中村太郎。
それから、社会党の国
会議員団から回答を出しています。
「過日、貴殿より御照会のありました、国有地二百十ヘクタールに係るあっせん案の運用及び解釈について
お答え申し上げます。
あっせん案は県演対協会長の要請に基き、行詰った国有地払下げ問題の収拾方策として提示したものでありますが、もとよりあっせん案の基本は、閣議了解の払下げ目的である地元民生安定を図ることに在ることはいうまでもありません。
従って、あっせん案はその具体策に過ぎませんので、その運用・解釈は当然基本に副って行なわれるものと了解しております。
多忙に紛れて御返事が遅れましたが、以上
お答えに代えます。」これが小林信一、金丸徳重、神沢浄というので、実はこの回答が出されているのであります。
したがって、社会党の県
会議員団は、私が今日まで主張してまいりましたような、いわゆる地元民生安定が閣議了解の基本線である。この払い下げが民生安定に沿うかどうか、払い下げた後の県の林業整備
事業が一体民生安定に直結するかどうか、同時に、現に生活をし、問題になっている、いわゆる桧丸尾、土丸尾における忍草入会権の問題、あるいはまた新屋の開墾永小作権の問題、この四十ヘクタール、三十ヘクタール、あるいは実測はもっと多くなりますが、これに
関係して生活をしている諸君に、ただ、上畑をずっと三十六年も開墾してきたのに、これを畑をやめちゃって林業整備だ、県の計画によると、そこに林をぶっ立てて、五十年後に林が大きくなったら、それを切って買い取ってやります、これが一体民生安定になるかどうかというような問題を、幾多の例を挙げて、いままで言ってまいりました、というような、そういう民生安定に通ずるかどうかという、このことが基本なんだということを、社会党の国
会議員三名ともに公式に回答しているという事実も、あっせん案は、ただ何かこう大事なところをぼやかしている、県の払い下げ後の林業整備計画そのものがいいような、そのものまで認めたような雰囲気で、この審議会なり小
委員会に出されたということは遺憾だと思う。冒頭に言った、いわゆる私の考え方から言うなら、非常に遺憾だと思います。
しかし、このあっせん案に対して、まだまだたくさん論議しなければいけない問題もありますが、時間の問題もございますから、後の問題に関しては、あっせん案に対して、また次の機会に必要があれば十分に批判もし、その真意なるものを浮き彫りにして差し上げようと思います。しかし、あっせん案の真意というものが、ここにあったということだけは、その社会党県
会議員団、国
会議員団の回答書によって、ひとつわれわれと違っていないのだということを、よく御理解いただきたいと思うのであります。
きょう私は、いままでの審議会のあり方、あるいは小
委員会のあり方、
資料の出し不足、審議が十分にされていないままに答申が出されたその前後の問題等に関し、あるいは法的にいまの入会慣行に準ずる林雑補償の問題等に関して、一体今後どのように、国は県との間にその解決を求めるのかというようなことを、るる申し上げたり
意見を聞いてまいりました。
私は、やがて関東——十六日か十七日に、先ほ
どもお話がありました審議会が、これから持たれて、払い下げの値段の問題、あるいは条件等の問題の審議に入るそうでありますが、この審議に入るに当たっては、もうかつての審議会で、少しでも手抜かりがあってはいけないと
指摘した一切の
資料というものを、この審議会にはお出しをいただく、きょうの
速記録も出していただく、十分に読んでいただいて、そして関東財産何とか
処理委員会の
委員の
先生方に十分な審議ができるように材料を全部出していただく。そして、きょう
指摘した出し不足のあれもこれもと言ったものを全部お出しいただく、そして十分に審議をしていただくということを、私はここで、ぜひ要求をしておきます。
なお、いま中央審議会が終わったから、小
委員会が終わったからではなくて、きょうの私の
質疑による
速記録、あるいはきょう
指摘をいたしました審議会に出すべきだったと思ういろいろな
資料に対して、いま答申は出されても、後から問題があったときに審議ができるように、中央審議会の
委員諸君に、あるいは
処理小
委員会の諸君に、足らなかった
資料を全部出して、きょうの
速記録もお出しをいただく、そして十分にこの問題の円満な、いい意味の、二度と成田なりその他の事件が起きないために、いわゆる政治なり
行政府があることを、今度こそ、ここではっきり示すような結論を、必要があれば、もう一度いろいろな意味で審議をすることもありますから、十分にこの
資料は、かつての中央審議会の
委員、
処理小
委員会の
委員、関東のこれから審議をする十七日の審議会に出られる
委員、これに
指摘した
資料を全部お出しいただく、十分な審議をしていただくように、ぜひお願いをしたいと思います。
また官房長に来ていただきましたが、後で、恐らくいま全部お聞きをしていただいておりませんので、次長からもお聞きを願い、少なくともこの問題が、国有地の払い下げが県にされるまでに、いま
指摘しているいろいろな問題のすべての解決を十分にして、この払い下げが県に決定されるその前に、十分に問題の芽を摘み取るように、円満に北富士における一切の問題の解決ができて、二度とこういった紛争が長く、同じ日本人である
国民に迷惑をかけるような
事態が、ずうっと続くことのないように、この払い下げを契機に、北富士の問題の一切がぴしっとピリオドの打てるような十分な
大蔵省としての配慮と
努力を、大蔵大臣が言った十分に
検討しますというその線に沿い、いわゆる地元
利用権者の意向というものが、やはりある
程度花を咲かせるといいますか、違った意味、違った
立場、両方の
立場の者を五十、五十でうまく歩み寄らせながら問題の解決が、これならできるという目鼻がついたときに払い下げを行う。
しかも年内には、その問題のめどをつけて、そうして来年の三月には北富士演習場の使用期間が更改期が参りますから、三月以前に、なるべく早い機会に、いま言った問題の解決をした上で払い下げを行い、一挙にこの演習場の永久に平和な使用ができるように配慮していただきたいという意味で、きょうは大臣においでいただいていませんが、官房長にいま私が最後に申し上げたことに対して御協力をいただく
答弁をいただいて、終わりたいと思います。