運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-05-12 第80回国会 衆議院 決算委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年五月十二日(木曜日)     午後一時七分開議  出席委員    委員長 芳賀  貢君    理事 丹羽 久章君 理事 葉梨 信行君    理事 森下 元晴君 理事 原   茂君    理事 林  孝矩君       宇野  亨君    櫻内 義雄君       染谷  誠君    津島 雄二君       西田  司君    早川  崇君       村上  勇君    高田 富之君       玉城 栄一君    春田 重昭君       安藤  巖君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      園田  直君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官・沖繩開発庁         長官)     藤田 正明君  出席政府委員         内閣官房内閣調         査室長     渡部 正郎君         人事院事務総局         任用局長    今村 久明君         内閣総理大臣官         房広報室長兼内         閣官房内閣広報         室長      島村 史郎君         総理府賞勲局長 川村 皓章君         総理府恩給局長 菅野 弘夫君         総理府統計局長 吉岡 邦夫君         沖繩開発政務次         官       國場 幸昌君         沖繩開発庁総務         局長      亀谷 禮次君         沖繩開発庁総務         局会計課長   隈   健君         沖繩開発庁振興         局長      井上 幸夫君         大蔵政務次官  高鳥  修君         大蔵省主計局次         長       松下 康雄君         大蔵省理財局次         長       吉岡 孝行君  委員外出席者         内閣官房内閣審         議官      中嶋 計広君         内閣総理大臣官         房参事官    久保田眞苗君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 秋山 雅保君         厚生省援護局調         査課長     柏井 秋久君         海上保安庁警備         救難部警備第二         課長      甚目  進君         会計検査院事務         総局第一局長  前田 泰男君         沖繩振興開発金         融公庫理事長  岩尾  一君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 四月二十八日  辞任         補欠選任   宇野  亨君     島村 宜伸君   染谷  誠君     藏内 修治君   山口 敏夫君     甘利  正君 同日  辞任         補欠選任   藏内 修治君     染谷  誠君   島村 宜伸君     宇野  亨君   甘利  正君     山口 敏夫君 五月九日  辞任         補欠選任   三池  信君     西田  司君 同月十二日  辞任         補欠選任   春田 重昭君     玉城 栄一君 同日  辞任         補欠選任   玉城 栄一君     春田 重昭君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十九年度政府関係機関決算書  昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十九年度国有財産無償貸付状況計算書  〔内閣所管総理府所管総理本府、沖繩開発  庁)沖繩振興開発金融公庫〕      ————◇—————
  2. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより会議を開きます。  昭和四十九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、まず、内閣所管について審査を行います。  内閣官房長官から概要説明を求めまます。園田内閣官房長官
  3. 園田直

    園田国務大臣 昭和四十九年度における内閣所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  内閣主管歳入につきまして、歳入予算額は、九百八十五万円余でありますが、収納済歳入額は、一千三百四十六万円余でありまして、歳入予算額と比較いたしますと、三百六十万円余の増加となっております。  次に、内閣所管歳出につきまして、歳出予算現額は、六十六億九千八百一万円余でありまして、支出済歳出額は、六十四億六千二百八万円余であります。  この支出済歳出額歳出予算現額に比べますと、二億三千五百九十二万円余の差額を生じますが、これは人件費等を要することが少なかったため、不用となったものであります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いをいたします。
  4. 芳賀貢

    芳賀委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。前田会計検査院第一局長
  5. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 昭和四十九年度内閣決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めたものはございません。
  6. 芳賀貢

    芳賀委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  7. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。原茂君。
  8. 原茂

    ○原(茂)委員 先に官房長官にまとめてお伺いをいたします。  簡単な問題から、先にちょっとお伺いしますが、例の元号問題について、いままでいろいろ論議をされてまいりましたが、結論的に言いますと、政府立場は、世論動向を見た上で、これに対しては最終的な決定をするという受け身態度でおありのようですが、その世論動向を見て決定をするときは、結局法制化をするのか、あるいは内閣の告示でやるのかということも含めて、動向を見た上で、それも決定をするということなのかどうかが一つ。  それからもう一つは、この種のものを決定するのに、いろいろな歴史的な配慮も、あるいは現在の社会情勢配慮することも必要だと思うのですが、単に世論動向というものを受け身で待つという態度なのか、それともこうしたものを各界の代表に、ある種の委員会といいますか、審議会といいますか、期限を切って論議をしてもらう。各界の意見というものが積極的に吸収できるように、そういう何かをつくっておやりになるというお気持ちはないかどうか、この二つに分けて、最初にお伺いしたい。
  9. 園田直

    園田国務大臣 ただいまの御質問は、内容並びにこれを国会で御相談をして決めるか、内閣の方で政令みたいなもので決めるか、それも含めて、まだ検討中でございます。  第二番目は、国内ばかりでなく、確かに国際的な問題等もございますので、各界、各方面あるいは世界の世論等も積極的に聞いて、早急に決めたいということを考えております。  これは所管総務長官所管でございますので、詳しいことは総務長官にお聞きを願いたいと思います。
  10. 原茂

    ○原(茂)委員 じゃ、総務長官にもうちょっと細かくお伺いすることにいたしますが、次に南硫黄島の新しい島が頭を出しそうだ、出した、出さない、いろいろやっていますが、この問題の連絡会議みたいなものを内閣官房につくられたと聞いておりますが、そうなっていますか。
  11. 中嶋計広

    中嶋説明員 御説明申し上げます。  南硫黄島東南方でございますが、新しい島ができる可能性がある、そういう火山活動が活発に行われているという個所がございまして、もしここに新島ができますと、これはわが国としても、積極的にわが国領土にするように取り組んでいかなければいけないということで、昨年の十月、関係省庁が集まりまして連絡会議をつくっております。  連絡会議におきまして、一つは何よりも早期発見に努めることが必要でございますので、海上保安庁防衛庁がお互いに協力をいたしまして、通常業務を行うとともに、この地域の水域の調査に当たりまして、新島発見に努力をする。新島状況につきましては、調査の都度連絡会議報告をいただくということを一つ決めております。  それから第二点といたしましては、もし仮にここに新島ができましたような場合には、関係省庁がそのときの状況に応じまして適切な措置を速やかにとっていく。もちろん、わが国領土にするために必要な措置をとるということになるわけでございますが、関係省庁がそのときの状況に応じまして、速やかな措置をとっていくということを申し合わせております。  そのような状況になっております。
  12. 原茂

    ○原(茂)委員 先に説明を聞いて結構なんですが、その取りまとめみたいな中心的な官庁はどこになったのです。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員長 政府答弁については、まず担当大臣答弁に立って、不明な点や補足すべき点を政府委員が発言を求めて答弁するように。
  14. 園田直

    園田国務大臣 では、私から……。  関係各省は、内閣官房、それから防衛庁、外務省、水産庁、運輸省、海上保安庁、自治省、こういうことになっておりますが、この連絡中心内閣官房がいたしております。  なお、御承知のとおりに、島の所有権というのは、一番最初発見した国のものだとなっておりますので、この点については十分いろいろ配慮をして、他の国に先駆けられないように注意をいたしております。
  15. 原茂

    ○原(茂)委員 内閣官房中心的に取りまとめるようになったということで非常に安心したのですが、中心的なものがないと、どうしても責任ある、はっきりした指揮命令系統というものがないものですから、この種のことで、いたずらな遅滞を生ずるおそれがあると心配していましたが、それは結構だと思うのです。  そこで、お伺いしますが、たとえばソ連艦船などが日本と同じように関心を持って調査活動などを行った事実があるようですが、これは日本領海上の問題からいくと、どうなるのですか。アメリカだろうが、ソ連だろうが、どこが来てここに遊よくして常に監視をしているというようなことがあっても、やむを得ないのか。何かそういうことを、違った法的な根拠によって排除するというか、何か国際的にも意思表示ができるのか。いや、来るものはしようがないのだというようなことになるのか。  またもう一つは、冒頭申し上げたように、領海との関係においてどうなるのか、これをひとり……。
  16. 園田直

    園田国務大臣 ソ連観測船付近を遊よくしたという情報は入っております。  その他の事務的なことについては、事務当局から御報告いたさせます。
  17. 中嶋計広

    中嶋説明員 ソ連艦艇南方方面調査に出かけているというニュースはございますけれども、どの海域において、どのような調査を行っているのか、その辺の詳細な報告は私どもの方に参っておりません。  いずれにしましても、公海上におきまして調査活動が行われており、公海上におきまして調査活動を行っている限りにおきましては、わが国としまして、それに対して何らかの措置をとるということはないかというように考えております。
  18. 原茂

    ○原(茂)委員 これは硫黄島を中心にして調査活動が行われていると思うのですが、いよいよ領海十二海里というのが国際的にも、日本でも、決定が間近に行われます。現在の三海里の上からは一体どうなるのか知りませんが、一海里は、この間委員長に聞いて初めて知ったのですが、一・八キロぐらいになるのだそうですから、大した調査でないのでしょうが、その十二海里の範囲内でこういった観測を行うようなことが続いたら、今後法的には一体どうなるのですか。
  19. 園田直

    園田国務大臣 詳しいのがおりませんので、いますぐ呼びますから、これはしばらく後に回していただいて、御勘弁を願いたいと思います。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 海上保安庁においでいただいていますので、ついでにお伺いするのですが、ソ連艦艇がちょいちょい日本領海付近で長期の演習をするとか、あるいはまた銚子沖などを見ましても、三隻の母船団中心にした大量の漁船が、何をとるか知りませんが、漁獲のためにやって来るとか、現に行われているようですが、こういう問題は、最近日本の沿岸全体を見ましたときに、特にソ連でいいのですが、ソ連はいま私が申し上げたようなところだけの問題なのか、他にも演習を名目にした艦船の出没があったり、あるいはいま言った漁船団の遊よくがあったりというようなことが、どのくらい行われているのですか。海上保安庁で、こういうものをチェックをしているだろうと思うのですが、それをひとつお伺いしたい。
  21. 園田直

    園田国務大臣 いま呼んでいるそうでございますが、よろしゅうございますか。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 済みません。総理府長官のときに来てもらうようになっているのだそうです。これは後に譲りますから、結構です。  それでは、島の問題は後にしまして、この間の新聞にも出ておりましたが——これも両方にひっ絡んでいますから、総理府関係だよということになるおそれがありますが、例の「論展」の問題を知りまして、これを中心にお伺いしたいのです。  内閣がいま広報PR活動をやっているのですが、内閣官房でもやっていると思うと、総理府の方でも広報室があってやっているというように、政府PR活動は一貫していないように思うのですが、何かの理由があって、別途に管理をしたり、実際の衝に当たることになっているのか。なぜ一体一貫して一つ場所でできないのか、それをひとつ長官からお伺いしたいのです。
  23. 園田直

    園田国務大臣 御指摘のとおりでありまして、調査広報、こういう問題が直接内閣の中の調査室、それから総報長官所管しております広報関係と分かれておるわけであります。分かれておるだけなら結構でございますが、場合によっては、費用の面やその他の面で重複をしたり、むだがあったり、いろいろあるわけでございますので、ただいま私のところで広報調査室を一括して、そういうむだがないように、しかも成果が十分上がるように早急に検討している最中でございます。御指摘のとおりに私も考えております。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは早く一括すべきだと思います。むだがあってはいけないと思います。  そこで先にお伺いをいたしますが、内閣調査室情報調査委託という事業を行っているのですね。PR中心に考えたときに、それが必要になるから、おやりになるのだろうと思うのですが、委託している団体名を見ますと、共同通信あり、ラジオプレス内外情勢調査会などずっとたくさんにあるわけです。この調査を依頼したその成果は、どういうふうに集約されて利用されているのか、こういうものは内閣調査室以外にはわからないのでしょうか。  要するに、相当国費を使ってこういった委託をされているのですが、人あるいは物によっては、われわれが見たって、ずいぶん参考になるようなものもあるのじゃないかと思う。国会立場で、せっかく使われているこういうものですから、調査室が勝手に取捨選択をして、これはどうも余りPRの役に立たないからというんで蔵入りをする、あるいはこれは利用しようという選択をなさるのは、調査室のどなたがやるのか知りませんが、そこで選択をしちゃったら、われわれがもし見たら非常に有用だと思うようなものまで、国費を使っていながら全部日の目を見ないという危険がありゃしないかということを考えたのですが、その点は、その心配はないのでしょうか。こういう調査の結果は、びしっと全部われわれの目に映るようにされているのかどうか、これを先にお答えいただきたい。
  25. 園田直

    園田国務大臣 内閣調査室で行っておりまする情報収集あるいは情報整理、こういう問題は、いま御指摘のとおりに団体委託したものと、それからまる抱えといいますか、こちらの方でそういうものをつくってやっているものと二つに分かれております。そこで、委託した方がわりに組織も広く成果があるものでありますが、調査室でつくった一本のものは、なかなか経営していくのに大変であります。いろいろ問題等も起こっておりますから、この点は整理をしようと思って、いま一部人員の削減を行っております。  その両方を含めて内閣調査室が集めました情報は、私が就任以来、毎日報告を受け、目を通しておりまして、所要なものはそれぞれ各方面にやっておりますが、広く国会の方々に提供するというところにはまだ及んでおりませんが、御指摘のとおり今後は御請求に応じて、あるいは御請求がなくても、これは各位に見ていただいた方が有利であるという情報は、今後十分注意して、直ちにそういうようにしたいと考えております。  詳細については、内閣調査室長が来ておりますから、室長から答弁をいたさせます。
  26. 原茂

    ○原(茂)委員 室長にお答えいただく前に、一諸にあわせてお答えいただきたいのですが、いま長官から答弁ただいて一歩前進であると思うのですが、これだけの大がかりな委託をされましたら、長官が責任を持ってセレクトなさることは非常にありがたいし、いいと思います、いいと思いますが、それだけでなくて、必要があるからよこせじゃなくて、全部がわれわれの目に、恒常的にあそこへ行けば見られるというような公開した設備といいますか何かで、この種のものは必要があったときには、われわれが行って見て、いつでも利用できるようなことまで近い将来考えないと、私はもったいないような気がするんですね。  後で申し上げますが、たとえば「論展」なんかの内容を見ますと、私は今度初めてこれを見たのですけれども、何にも国会議員には来ないのかと思って、ひがみながら調べてみたら、「今週の日本」は来ているんですね。この「論展」というのは来てないのです。今度初めてこれを取り寄せてみたんですが、なかなか中身はいいですよ。非常に参考になりますよね。普通の、そんじょそこらで買った週刊誌月刊誌を見たって見にくいし、これはまた非常によくできていますし、内容もいいものです。ところが、これは後で聞きますが、廃刊になるそうです。全体でどのくらいかかっているんですか、九億三千五百八十万ですかをかけて、五十年度もおやりになった。四十九年度は八億四千九百万もかけている。ぼくもこれを見ただけでも、ちょっと見てみたいなと思う資料があるのですが、われわれは手が届かないんですね。  ですから、こういうものを公開して、一定の場所にあって、いつでも見られるようにするとか、また長官が言われたように、これは国会議員に見せた方がいいというものは、全部に配ってもらうというようなこともいいでしょう。いいんでしょうけれども、やはりもっと公開という立場で、この資料を思い切ってわれわれに寄与できるようにすべきじゃないかと思いますが、それを含めて渡部さん、ひとつお答えいただきたい。
  27. 園田直

    園田国務大臣 ただいまおほめの言葉をいただいて恐縮しているわけでありますが、そういう「論展」を初め各内閣の方でやっておる情報収集または雑誌、そういうものをむだを省くために極力締めよ、私がこう言ったので、一律に締めておる関係で、廃刊と決まったわけじゃないと思いますが、そういうことなら、所管総務長官でありますから、私、もう一遍総務長官相談をしまして、そういうものは援助してやって、そして議員の方にも全部見ていただくように、その他の問題も、いまのようにありがたい御趣旨でございますから、喜んで——一つは、内閣調査室というのは、何かおかっぴきの残りで、野党や共産党の悪いところを見つけて歩くというような印象を与えておりますから、そういう印象を除くためにも、集めました情報は、なるべく皆さん方に見ていただいて、きょうのおほめがまた二つ、三つになるように努力するというお誓いを申し上げます。直ちに着手いたします。
  28. 原茂

    ○原(茂)委員 最後に長官に、そういうふうにぴしっと言おうと思ったら、長官の方でおかっぴきみたいなことでは、だめだと言ったからいいんですがね。そういうふうになっていますね。何も左の方だけ調査するんだなんという、うわさどおりに推移してはいけないと思いますし、また、そうじゃなさそうですね、これを見てますと。ですから、もっとわれわれにも寄与するように、 いまおっしゃった大胆な手を打っていただくようにしたいと思います。  それから、いまの「今週の日本」について具体的にお伺いをいたしますが、これは総理府広報室というんですか、そこで、たとえば「今週の日本」という週刊紙、何と言ったらいいんですかね、こういうものを出しているんじゃないかと思うのですが、これは政府広報活動目的にして設立されたことは間違いないと思いますが、いかがですか。
  29. 島村史郎

    島村政府委員 今週の日本社は、いま先生が御指摘のように、政府広報を主として行うということを目的として設立された会社でございます。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 これは休刊ということに新聞は書いていますが、休刊にはしないんですか、休刊になるんですか。どっちですか。
  31. 島村史郎

    島村政府委員 これは、会社の方で休刊にするということを、いま一応考えておるわけでございます。私どもといたしましては、ここに広告費を実は出しておるわけでございますが、私どものいろいろ検討しました結果、いま現存するいろいろの雑誌の媒体を使った方が、より広く国民にお知らせすることができるのじゃないかということで、一応私どもの方といたしましては「論展」に広告を出すということをやめるという判断をいたしたわけでございます。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 ですから、政府がそれをやめると言うと、「論展」は、実際には経営不可能じゃないですか。廃刊になってしまうことに通じるんじゃないですか。
  33. 島村史郎

    島村政府委員 結局、一応「論展」というものを、要するに言葉の問題でございますけれども会社の方といたしましては現在休刊ということで考えておるわけでございますが、これが永続するということになれば、廃刊ということになりますし、会社の方では、現在休刊ということで考えておるわけでございます。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 この「論展」の配付先は、どういうところへ配付しているか。これは有料でもくろんだんでしょう。店頭販売したって売れないしというので、お手上げになっているんだろうと思うのです。これが実際には一万部刷られていた。創刊当時には、これは十万部の目標で、この事業をおやりになったわけですね。政府もそのつもりでやってきた。ところが実際には、一万部しかいま刷ってない。その一万部のうち、恐らく二千何百部程度がいろいろの何か、これは必要だろうというようなところへ買われたりしていて、残りの七千何百部というものは、ただで配ったんじゃないですか。そうでしょう。主にどういうところへ配ったんですか。  これはひがむわけじゃないですけれども、さっきも長官に言ったのだけれども、七千何百部配ったうち、原茂なんか一冊も来てないんですからね。ところが、いま見てみると、私なんかある程度これを評価していますよ。どこへ配ったのかを聞きたいんですよ。相当の金をつぎ込んでいて、一体だれが選んで、どういうところへ七千五百部配っているのか。ただで配っている。ですから、編集費から何から全然商売にならないのですから、これはとっくにつぶれちゃいますよ、こんな経営をしていたら。これをよくもいままでやってきたものですが、しかも、その配付先が、だれが選んでどういうところへ配付したのか、それをまずちょっと聞かせてください。
  35. 島村史郎

    島村政府委員 大体配付先といたしましては、一万部のうち三千六百部ぐらいを店頭で販売いたしておりまして、あと残ります六千三百部ぐらいのうち、二千五百部を大体各界の、要するに有識者の方にお配りをいたしております。それから図書館に千三百部ばかり配付いたしております。それから企業、団体に二百部ばかり、各省や県、市町村等に千三百部ばかり、研修所等に大体二百部ばかり、その他六百部ばかり配付しておるわけでございます。
  36. 原茂

    ○原(茂)委員 二千五百部ぐらいは各界有識者に無料で配付した、その各界有識者というのは、だれなんです。どういうのが各界有識者なんです。国会議員を抜いたほかに各界有識者というのはだれなんです、二千五百人というのは。だれがそれを選んだのか、さっきから聞いているんです。
  37. 島村史郎

    島村政府委員 各界有識者は私どもいろいろ文化人とか評論家とかそういう方のリストがございますので、(原(茂)委員「文化人てなに」と呼ぶ)いろいろ学者の方とか、それからいろいろな評論家の方、それからマスコミ関係の方、そういう方のリストがございますので、それを中心に御配付を申し上げておるわけでございます。
  38. 原茂

    ○原(茂)委員 そのリストの中に国会議員は入っていますか。
  39. 島村史郎

    島村政府委員 若干の国会議員の方は入っておられるかと思いますけれども、全部にはお配りする余裕がございませんので、なにしておりません。
  40. 原茂

    ○原(茂)委員 たとえば、長官とか芳賀委員長なんか、その有識者の中に入っているのですか。
  41. 島村史郎

    島村政府委員 ちょっと手元にその資料がございませんので、個別の具体的な配付先については、ちょっといま何とも答えられませんけれども、一応私どもとしては、そういうものを配付いたしておるわけでございます。
  42. 原茂

    ○原(茂)委員 もうちょっと用心深くしゃべればよかったんじゃないですかね。原茂なんか有識者に入っていないと思うと、むっときますからね。ここにいる委員は、みんな有識者に入っていないんじゃないかと思うんですよ。うっかりすると園田長官も入っていなかったりしてね。芳賀委員長なんかも入っていないおそれがある。私の聞いた範囲で、この「論展」というのは余り来ていないですね。  しかし、これはいい雑誌だけれども、ちょっと寸法が半端ですよね。だから、ずいぶん高いんでしょうね。こんなものは、いわゆる規格でできないから、ずいぶんむだが出ますよね。しかし、むだが出るほどいいあれですよ。読みよくて、内容もいいように思いますがね。それだけは本当にいいと思うのだけれども、普通、経営をしていくのには、およそお大名経営でやった本でしょう、確かにこれは。  会計検査院においでいただいているのですが、会計検査院も、この種の検査はしていると思うのですが、一体、PR効果という、PR目的にして出資しているのですから、そのPR効果に対する検査をされた結果、どんなふうに判定をなさったのか、ちょっと会計検査院……。
  43. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 この「論展」につきましては、昨年度検査をいたしたわけでございます。五十年度でも八千二百七十二万という、かなりの額が出ておるということからしたわけでございますが、われわれが検査しまして感じたことは、これは四十九年三月に発刊されまして、三年間のうちに十万部を売って、そしてその普及、PR効果を高めよう、こういうプランであったわけでございます。そういたしまして、また広告料の算定の基準も大体十万部売れるということで算定されておった、このように考えたわけでございますが、実際見ましたところが、ただいま総理府の方から部数の話がございましたが、われわれが検査いたしましたときには、もうちょっと少ないような印象を持っておったわけでございますけれども、有料で売り上げされたものが大体一回平均で五百冊ぐらいしかない。それから有識者に配付されておりますのが二千五百部、さらに会社の方で廃棄処分にしてしまっているのが、ちょっと見受けられまして、結局一万部以上伸びない。これでは政府の方で言っておられる計画とは、はるかに遠いものではなかろうか、ひいては広告料も高いという結果になるのじゃなかろうか、こういうような考え方から、PR効果が余り上がっていないというぐあいに踏ん切りまして指摘をした、こういうことでございます。
  44. 原茂

    ○原(茂)委員 いま会計検査院のおっしゃったように実際には有料が五百くらい、有識者に配付されたものが二千何百くらい、残りの大部分が、うっかりすると廃棄処分になっているというようなことを実際に検査の結果つかまれたという。その前に御説明聞いたのと、大分違うのですけれども、これは余り内容がよくないから、体裁よく隠そうと思って言ったのですか。検査院の方が間違っているのか、あなたの方が多少体裁つくって言わないと余りひどいので、本当のことを言いにくいから、少し数字をごまかしたといいますか遠慮したのか、そういうことなんですか。うっかりすると検査院の検査が間違いですか。
  45. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 申しわけございませんが、ちょっと訂正させていただきます。  私、二千五百部有識者に配付していると申し上げたわけでございますが、五十年の十月号以降は、五千部配付してございます。
  46. 島村史郎

    島村政府委員 結局店頭販売はいま申しますように、三千六百部くらいでございますが、それを店頭に配付いたしましても、返本が実は来るわけでございます。さらに返本したものを、いま図書館とか学校とかそういうところに無料配付しているというのが現状でございます。
  47. 原茂

    ○原(茂)委員 じゃ会計検査院の言ったように、やはり有料で実際に売れるのは五百部くらいなんですね。ほとんど売れないから返ってきちゃって、それを図書館やなんかに送ったということでしょう、大体。
  48. 島村史郎

    島村政府委員 大体そういうことでございます。
  49. 原茂

    ○原(茂)委員 これは冒頭にお伺いしたのですが、結局実際には、いまのところは休刊だと会社は言っているんだとおっしゃっているのですが、政府としては、現在の十万部を何とか売ってPR活動をしてみたいと言っているのですが、目的はほとんどだめだというので、もう廃刊という方に決意もしているし、見通しとしては、そう思っているのじゃないですか。
  50. 島村史郎

    島村政府委員 大体三年くらいかかりまして、いろいろ販売の努力をいたしたわけでございますけれども、やはり現在の月刊誌週刊誌の非常に競争の激烈な中におきまして、この一万部というのを、さらにふやすということは非常にむずかしいという感じを私どもは実は持ったわけでございます。それで現在は、私どもむしろそういう一万部、一万人の方を対象にいたしまして広報をいたしますよりは、たとえば「文芸春秋」に広報をいたしますと、大体七十万部というような数字が売れております。それから「家の光」ということになりますと、これは農村向けでございますけれども、毎月百十万部というふうな販売部数がございます。私どもといたしましては、そういう一万人の方に読んでいただくよりは、むしろ百十万あるいは七十万というような広い方にお読みいただいた方が、政府広報のあるべき姿ではなかろうかというように判断をいたしまして、現在その「論展」への広告の出稿をやめるというふうに判断をしたわけでございます。
  51. 原茂

    ○原(茂)委員 政府がやめるという判断をしたことは、もう廃刊に通ずる。政府廃刊にするしないの決定権はないにしても、廃刊に通ずるというふうに考えていいわけですから。いまおっしゃったのは、これが廃刊になるという新聞報道あるいは憶測が正しいと私は思うし、よもやに引かされて、これに余り引っ張られていってもPR効果はないですね、一万のうち五百やそこらを売っただけでは、とてもだめですから。  ただ、そうしますと、いまの週刊誌なり「家の光」なりというものを利用して今度はPRをしていこうと思うと、予算は、いまとは違って大分たくさんなければなりませんね。現在政府広報関係に使っている予算では、ちょっと思いつきはいいのですが、実際に実行するのはむずかしいでしょう。予算が相当多くなりますね。これはどうお考えになりますか。
  52. 島村史郎

    島村政府委員 たとえば「文芸春秋」に出します場合に、いま会計検査院からも申されましたけれども、当初、私どもといたしましては、たとえば十万部くらい売れるのじゃなかろうかということで、順次売りますためには、若干割り高の広告費を出しているということになるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、それを一定の経費において、さらに最大の効果を上げるためには、そういう既存の媒体を使った方がいいということでございまして、そのために特に予算が、かえるというようなことは、実は考えていないわけでございます。
  53. 原茂

    ○原(茂)委員 それから「今週の日本」は、いま十七万くらい出していますね。それからあとは沖繩のがありますね。これは何部だか知りませんが、これも「論展」と同じような結果になるという心配がありますか、どうですか。
  54. 島村史郎

    島村政府委員 「今週の日本」及び「サンデーおきなわ」につきましては、現在さらに検討を続けておるわけでございますが、現在のところ、私どもこれをすぐ取りやめるということは、まだ考えておりません。
  55. 原茂

    ○原(茂)委員 現在のところは取りやめることを考えていなくても、十七万部のうち、また内訳を聞いても、しようがないと思うのですが、このまま続けていかれるのかどうか疑問の状態ではないかという考えがしますが、少なくとも「今週の日本」それからもう一つ「サンデーおきなわ」こういうものは実際にやっていけるかどうかという結論は急ぐべきだと思うのですね。ずるずるっとやっておいて、「論展」方式で、ついに手を引かざるを得ないという状態になることは好ましくありませんよ。  少なくともこういう新聞形式をとって、沖繩では「サンデーおきなわ」あたり見ているかどうか知りませんけれども、この種のものはずるずるっといかないで、転身するなら転身する、廃刊なら廃刊というものを早期に結論をつけなければいけないと思いますね、国費を使ってやるものについては。そういう見きわめを検討して、どちらにするかということは、近い将来におやりになるべきだと思いますが、どうですか。
  56. 園田直

    園田国務大臣 いまのようなものが、ほかにもたくさんありまして、中には週刊誌等に何か標語みたいなものを出して、そして「総理府」と書いて、意味があるのかないのか、映画等を見に行きましても、ときどき出てくる。これはPRの効果はほとんどなくて、逆に「総理府」という文字が出ただけで逆効果を生むのではないかという点でも、金を使っているところもございます。  それからまた、印刷物にいたしましても、政府広報ということが主になり過ぎまして、閣僚とか総理の写真が順番に出てくるような週刊誌みたいになっておって、われわれが見てもおもしろくない、こういう点もあります。中には、これは非常にいいものだが、なかなかうまくいっていない、こういう点もございます。  これは総務長官所管でございますから、総務長官一つ一つ検討して、いま原委員がおっしゃいましたような点も十分腹に入れて、そうして整理すべきものは整理をし、しなくて役に立つものは役に立てるということで一々検討してみたいと思いますので、御了解を願いたいと思います。
  57. 原茂

    ○原(茂)委員 これは早急に結論を出した方がいいと思いますね。具体的に検討すべきじゃないでしょうか。  それから、長官のおいでになるうちに、長官二つ伺いいたします。  一つは、この間大変御苦労をなさって、領土と魚は別だというので、ソ連へおいでになりました。それが引き続き今日のような鈴木・イシコフ会談につながって、現在ある程度の展開を見せていることは御存じのとおりです。それも長官などが特使としておいでになったようなことが非常に重要な一石となって、いまの事態にまでようやくこぎつけた、このように私は思いますし、長官も多分そう考えていると思う。  御苦労を多とするのですが、あの行かれた当時、ここにおられる委員長ども議員団の副団長として行かれたわけです。当時のソ連長官に対する扱いは、従来国際的に見ても、私どもが遠くで見ていて、何かひっかかるものがあるのですが、長官がどうもいま交渉中にちょっと言えない、うまく話がついてしまったら言えるけれども、いまちょっと言えないのだということがあれば、そのことは言わなくて結構ですが、しかし、あの当時のソ連の扱いは、国民感情からいっても何かお感じになるのじゃないかなという感じがします。とにかく現在の目的を達成することも大事なんですが、行かれたあの当時の扱いに関する長官の感想、それから議員団が行ったときの扱いも長官は御存じだと思いますが、これに対する感想をひとつ先にお伺いしたい。
  58. 園田直

    園田国務大臣 私が参りましたときには、まず出迎えはイシコフ漁業相が出迎えたわけであります。  私は、出かける前に任務を二つもらって参りました。一つは、鈴木・イシコフ会談の中断になった会談を改めて開くということではなくて、あれを継続して再開する、もう一つは、両者の会談は漁業問題に限る、この二つを向こうと相談をして帰ってこい。その際、私は総理の親書を持って参りましたから、もし相手がお会いにならないで、外務大臣その他であったならば、自分は会わないで引き返します、国益も大事でありますが、国の誇りも大事でありますから、その際は、私の任務は果たさないで帰ることを御了解願いたい、こういうことで出ていったわけであります。  そこで、飛行場にはそういう出迎えで、これは総理大臣代理に対し——私には別でごさいますが、国際慣例からは、いささかおかしいのではないかと思いました。  ホテルは、いろいろいい悪いは別として、格式のあるホテルが、ソ連の国でもあるわけでありますが、私の泊まりましたホテルは、一般のツーリストホテルでございました。これは後で釈明がございました。そういうことでございましたけれども、しかし、まあまあ私から言いますと、向こうと相談の上、相談がついて出向いた総理大臣代理ではなくて、向こうは納得しないのに無理やりにこちらが押しかけて行った押しかけお客でありますから、そう一方的に相手を責めることもなんだろうし、こちらも大事なときで、やむを得ず打ち合わせなしに飛び込んだわけでありますから……。しかし、その後滞在するうちに、飛行場に出迎えたのは漁業大臣としてではなくて、ソビエト政府を代表して行ったのであるから御勘弁を願いたいなどと言って丁重なごあいさつもありましたし、それからホテルの方も、だんだん滞在するうに、いい部屋に直されまして、最後には最高の部屋に直され、そしてコスイギン閣僚会議議長とお会いした後は迎賓館にすぐ呼ばれたわけでありますから、まあまあ最初は悪くても、後では大体並みにはされたかなと思っておるわけであります。  いずれにしても、私の方は総理大臣代理ではありますが、無理やりに、向こうが会う会わぬは決めないで飛び込んだわけてありますから、この点は、こちらもいささか考えて、そうそう怒るべきことではなかろうと思います。  国会議員団の訪ソに対しては——私に対する態度はまあまあ両方の理解が足りなかったということですが、訪ソ議員団に対する向こうの方針は、友好善隣の道を尽くした国の最高決議機関である国会議員に対しては、まあこちらの連絡の仕方が悪かった点もあるかもわかりませんけれども、必ずしも上等ではなかった、こう思っております。
  59. 原茂

    ○原(茂)委員 議員団には、ここに証人がいておっしゃるのだから、それが本当なんでしょうけれども……。  そこで、あと二つ伺いしたいのです。  いま鈴木・イシコフ会談が行われていますが、ソビエトは結局領土問題の解決を日本が考えているほどには解決をしようどころではない、解決済みだという態度をいささかも変更する様子はない、今後どんなにわれわれが領土問題に関して交渉を持ちかけても、それは非常にとびらが厚くて、恐らく打開は困難だろうというような感じですか。それとも交渉、たたきようによっては、領土問題に関する話し合いのテーブルにソ連が着いてくる可能性もあるというようなお感じでしょうか。内閣の大番頭としてどうですか。あそこまでおいでになった感じを今後のために、ひとつお伺いをしておきたい。それが一つです。
  60. 園田直

    園田国務大臣 政府の責任者の私が見通しを申し上げることは、どうかと思いますけれども、せっかくの御質問でございますが、領土に対しては相当壁は厚い、こう判断をいたします。ただし、わが方は、相手がどうであろうと最終段階はブレジネフ・田中会談、その後の共同声明によって、大戦後未解決の問題は処理して友好条約を結ぼう、こういうことになっているわけでありますから、共同声明とは条約、協定の次にくるべき二国間の重要な約束でありますから、これに基づいて北方四島に対する問題については、われわれはあくまで粘り強くこれを一歩も譲ってはならぬ。しかし、相手の壁は相当強い、現在の段階における国後、択捉という島の戦略的価値からも、向こうは強いのだろうと思いますけれども、これはなかなか向こうはかたい、こう思います。
  61. 原茂

    ○原(茂)委員 いまついでにお伺いしようと思ったのですが、先に立たれましたので、もう一つ伺いするのですが、「論展」は実際に廃刊だ、そのほかに政府PRをこれからおやりになる。そのPRの中に対ソ問題——漁業問題はもちろんです、北洋漁業問題も大事ですが、領土問題等に関しても、広くもう少し国民のコンセンサスが、日本として、国民的な意思というものが十分理解した上で芽生えてくるような、そういうPRというものを政府は考えていますか、いませんか。  反ソ宣伝などはする必要はありませんけれども、少なくとも領土に関しては、社会党の場合は、御存じのように、あのサンフランシスコ条約そのものに反対したんですから、全千島列島が日本領土だ、こう主張すれば主張できる立場にあります。全然あれに反対したわけですから。政府立場から言いますと、あの条約を結ぶ、さかのぼってはヤルタ協定まで持ち出されて、南千島はどうのこうのと言ったところで、結局千島は放棄したということを是認せざるを得ない立場にあると思います。  歯舞、色丹はもちろんですが、国後、択捉に対しても、これは当然日本領土だという主張をなさっておられるのですが、その根拠を、国民全体がわかるように平たく——この種の問題で必要があったときに、ただ政府がこういう折衝をした、こういう主張をしたと言うだけでなくて、これこそ国論というものが非常に大事なんで、このPRをいろいろなふうにお考えになるのでしょうが、これからこれに対して重点的に、いわゆる国民的なコンセンサスをつくるような正しい意味のPRをされる意思があるかどうか。私は緊急に検討すべき問題だと思うのですね。  長官ども選挙区でいろいろお話しして、わかるのかどうか。私どもが選挙区に行って話しても、特に山の中ですから、海や魚のことは余り関心を持っていませんから、二百海里の問題を話すのは、ずいぶん重たいです。特に北方領土中心にした北洋漁業の重要性などを説いても、これがいまの領土問題に絡んでくるというようなことに言及しますと、聞いている人がチンプンカンプンでわからないというような顔になってくるのですね、見ていると。  これはやはり日本の国民自体が、北方領土に対して社会党はこう言っている、自民党はこう言っている、共産党はこう言っている、ソ連はこう言っているとかというようなことすら余り頭に入っていないところへ持ってきて——ソ連との領土問題は、いま非常に大きな問題として、何といってもこれから打開しなければいけない問題ですから、それをしようというのに、後ろを向いたら国民の方がチンプンカンプンで、ほとんどこれに関心がないというような状態であって、皆さんが幾ら苦労をしたって打開は困難だと思いますね。  したがって、政府がせっかく金をかけてPRをされるなら、反ソではなくて、正しい領土権の認識を国民が持つようなPRというのは、どんなに力を入れてもいいと思うのですね。やるべきだと思う。これについては、これなんかにも余りありませんね。この一月号にもない。この時局において、大事な領土問題のPRはもっと大胆にされていいんじゃないかという気がしますが、そういう方針をこれから実行に移すかどうか、ひとつ決意をお伺いしたい。
  62. 園田直

    園田国務大臣 いま原委員から御指摘のとおり、日ソ漁業交渉及びその他の問題にしましても、相手がどのような気持ちでおるかということも大事でありますけれども、一番大事なことは世論の統一でございます。そこで、そのために感情的にただ反ソ、反共をあおるという意味の運動は、正直に言って百害あって一利なしでございまして、正しい姿を認識していただくということが一番大事だと考えております。向こうと折衝して、私自身が考えましても、われわれもソ連の方を理解しない点が非常に多い、ソ連の方も日本の実情をわかっていない、こういう点が一番大きな問題になっておると思います。  従来も、特に北方領土問題につきましては、総理府の中に一つの機関を置きまして、民間団体連絡をしつつ進めておりますが、これをさらに理論的に、学問的に、北方領土日本のものであるということを国民に認識をさせ、その経緯等を承知してもらう、こういうことを主体にした領土問題のPRを展開していく必要は間違いなしにある。必ずこれを実行する考えであります。
  63. 原茂

    ○原(茂)委員 それはひとつぜひおやりになるように……。  最後にお伺いしたいのは、先日七カ国首脳会議に福田総理以下まあ必要な人五十人ぐらいが、その他の人も行ったかもしれませんが、行かれました。その内容をお聞きするのではなくて、前にたとえば田中総理が、三木総理が、あるいは佐藤総理があの種の会議に出席するときに、飛行機などは自分が乗る以外に予備、スペアに一機、要するに二機チャーターをして行かれたということを聞いていますが、今度福田総理のときには、そういった二機で行ったんですか、一機だけのチャーターで行かれたのか。その費用は前回、前々回のときと、今度とではどう違うのか、それをちょっと先に答えてください。
  64. 園田直

    園田国務大臣 今度参りましたのは、一機だけのチャーターでございます。
  65. 原茂

    ○原(茂)委員 前のときと今度のときと、費用が相当違うのですか。
  66. 園田直

    園田国務大臣 いまの事務当局に聞きましても、数字ははっきりわかりませんが、概略で四千万ぐらいかかっているそうでございまして、前三木総理がおいでになったときと、費用の額は余り変わっていない。物価が上がっている関係だと思いますが、それ以前のことは詳しくはわかりません。
  67. 原茂

    ○原(茂)委員 実際には二機チャーターはしない、一機で行ったと言っても、いつどこで、事故あるいは飛ばないようなことがあったときでも、そのときそのときに、ちゃんとその地域で別のスペアが用意されていて、飛べるようなことにしてあって行ったんですか。そんなことは全然手配しないで、一機だけでストレートにたあっと行ったんですか。
  68. 園田直

    園田国務大臣 借りたのは一機だけでございますが、日本航空として、万やむを得ざる場合でも事故がないように、それぞれの計画はしておったようでございますが、別にスペアは借用はいたしませんでした。
  69. 原茂

    ○原(茂)委員 別に金のことを惜しんで聞いているわけではないので、前にスペアを一緒に連れていったという状態なのに、少しどうかなと思ったんですが、恐らくそれは日航の方で、何があってもという配慮はしていたと思うのです。  私がここで長官にお伺いしたいのは、今後ともその種の必要があったら、政府はいつでもチャーターをしていく、政府の専用機みたいなものは持たない、アメリカの大統領が持っていたり何かするようなことは、日本ではしないでやっていくんだという考えなのかどうか。今後のことを、ひとつまずお伺いしたい。  続いてお伺いしますが、政府自体が持って、政府の必要に応じて長官が行く、だれが行くという、国内を飛行するときの飛行機なども、将来とも日本は用意しない、持たない、こういう考えでいますか。あるいは何か検討をしているのですか。これをひとつお伺いします。
  70. 園田直

    園田国務大臣 いままでは総理の海外旅行とか国内旅行は、わりに数が少なかったわけであります。先般よその国から国賓を迎えましたが、ごらんのとおりに、日本の経済援助の話もあったわけでありまして、助けてくれという方が特別機二機でやってくる、助ける方はチャーターの飛行機で、時たま行くという事柄等も考えまして、今後はむしろ特別機を準備した方が、頻度その他からいってもよろしいし、それからやはり主権者でありますから、福田個人は別として、総理としての体面、あるいはまたよその国のように重要なお客さんとか、あるいは大事な用件で旅行するとか、こういう場合には特別機を出す、場合によっては、今度の日ソ交渉などで与野党を通じておいで願うときには、こういうものを使うというようなこともこれあり、今後検討してみる必要があるのじゃなかろうかと思って、与野党の方にもひとつ相談してみようがなということで、まだ具体的にはいっておりませんが、そういうつもりで検討いたしております。
  71. 原茂

    ○原(茂)委員 結構です。検討してください、私は持つべきだという意見ですから。  それでは、これで終わります。     —————————————
  72. 芳賀貢

    芳賀委員長 次に、総理府所管総理本府等、沖繩開発庁及び沖繩振興開発金融公庫について審査を行います。  まず、藤田国務大臣から総理本府等及び沖繩開発庁について概要説明を求めます。藤田国務大臣。
  73. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 昭和四十九年度における総理府所管一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  総理府主管の歳入につきまして、歳入予算額は、四百五十九億七千五百三十四万円余でありますが、収納済歳入額は、五百十二億八百八十三万円余でありまして、歳入予算額と比較いたしますと、五十二億三千三百四十八万円余の増加となっております。  次に、総理府所管歳出につきまして、歳出予算現額は、二兆四千二百八十二億七千六百三十四万円余でありまして、支出済歳出額は、二兆三千五百三十三億七千二百四十四万円余であります。この支出済歳出額歳出予算現額に比べますと、七百四十九億三百八十九万円余の差額を生じます。この差額のうち、翌年度繰越額は、六百三十四億七千五百七十八万円余であり、不用額は、百十四億二千八百十一万円余であります。  総理府所管歳出決算のうち、警察庁、行政管理庁、北海道開発庁、防衛庁、経済企画庁、科学技術庁、環境庁、沖繩開発庁及び国土庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち総理本府、公正取引委員会、公害等調整委員会及び宮内庁関係につき申し述べますと、歳出予算現額は、五千七百四十九億九千二百四万円余でありまして、支出済歳出額は、五千六百四十億四十三万円余であります。  この支出済歳出額歳出予算現額に比べますと、百九億九千百六十一万円余の差額を生じます。この差額のうち、翌年度繰越額は、百三億百九十五万円余であり、不用額は、六億八千九百六十五万円余であります。  翌年度繰越額は、恩給費でありまして、これは旧軍人遺族等恩給の請求の遅延及び軍歴の調査確認に不測の日数を要したこと等のため、年度内に支出を終わらなかったものであります。  また、不用額は、不発弾処理の交付申請が少なかったことにより、不発弾等処理交付金を要することが少なかったこと等のため生じたものであります。  以上をもちまして、決算概要説明を終ります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。  次に、沖繩開発庁の件について申し上げます。  昭和四十九年度における沖繩開発庁歳出決算につきまして、その概要を御説明いたします。  沖繩開発庁歳出予算現額は、四百六十九億二千四百四十五万円余でありまして、このうち、支出済歳出額は、四百三十四億三千四百十万円余、翌年度へ繰り越した額は、三十一億三千五百九十九万円余、不用となった額は、三億五千四百三十五万円余であります。  まず、歳出予算現額につきましては、当初予算額七百六十二億七千六百五十六万円余、予算補正追加額八十二億五千百七十九万円余、予算補正修正減少額一千四百二十三万円余、予算移替増加額五百十六万円、予算移替減少額四百十億九千六百八十七万円余、前年度繰越額三十四億五千五百二十七万円余、予備費使用額一億二千八百二十四万円余、流用減額八千百四十八万円を増減しまして四百六十九億二千四百四十五万円余となったものであります。  支出済歳出額の主なものは、沖繩の振興開発のための財源として、道路整備特別会計、治水特別会計、国有林野事業特別会計、港湾整備特別会計及び空港整備特別会計へ繰り入れた経費三百八十億一千七百九十四万円余であります。  次に、翌年度へ繰り越した額三十一億三千五百九十九万円余は、財政の執行の繰り延べ措置として公共投資関係事業について施行時期の調整をしたことにより、年度内に支出を完了しなかったこと等によるものであります。  また、不用となった三億五千四百三十五万円余は、退職手当の必要額が予定を下回ったこと等により生じたものであります。  以上をもちまして、昭和四十九年度沖繩開発庁決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。
  74. 芳賀貢

    芳賀委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。前田会計検査院第一局長
  75. 前田泰男

    前田会計検査院説明員 昭和四十九年度総理府所管決算のうち、歳入並びに総理本府、公正取引委員会、公害等調整委員会及び宮内庁関係歳出につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めたものはございません。  次に、昭和四十九年度沖繩開発庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めたものはございません。  以上でございます。
  76. 芳賀貢

    芳賀委員長 次に、沖繩振興開発金融公庫当局から資金計画、事業計画等について説明を求めます。岩尾沖繩振興開発金融公庫理事長。
  77. 岩尾一

    ○岩尾説明員 沖繩振興開発金融公庫昭和四十九年度の業務の概況につきまして、御説明申し上げます。  沖繩振興開発金融公庫は、沖繩における産業の開発を促進するため、長期資金を供給して、一般の金融機関が行う金融を補完し、または奨励するとともに、沖繩の国民大衆、住宅を必要とする者、農林漁業者、中小企業者、病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係の営業者等に対する資金で、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通し、もって沖繩における経済の振興及び社会の開発に資することを目的として、昭和四十七年五月に発足いたしたものであります。  昭和四十九年度の事業計画は、当初七百八十二億円の予定でありましたが、年度中に、中小企業金融対策として五十五億円、住宅資金として十五億円をそれぞれ追加しまして、八百五十二億円に改定されました。これに対しまして、実績は八百二十七億九千万円余であります。  次に、貸付残高について御説明申し上げます。  昭和四十八年度末における貸付残高は、千百二十九億七千万円余でありましたが、昭和四十九年度における貸付額七百九十七億七千万円余が加わり、一方貸付回収金百五十六億八千万円余がありましたので、差し引き千七百七十億七千万円余の貸付残高となっております。  次に、昭和四十九年度の収入支出決算について御説明いたします。  昭和四十九年度における収入済額は、八十七億三千万円余、支出済額は、八十五億二千万円余でありまして、収入が支出を上回ること二億円余となっております。  まず、収入の部におきましては、本年度の収入済額は八十七億三千万円余でありまして、これを収入予算額九十一億四千万円余に比較いたしますと、四億一千万円余の減少となっております。この減少いたしました主な理由は、貸付金利息収入等が予定より少なかったためであります。  次に、支出の部におきましては、本年度の支出予算現額九十四億三千万円余に対し支出済額は八十五億二千万円余でありまして、差し引き九億円余の差額が生じましたが、これは借入金利息等が予定より減少したためであります。  最後に、昭和四十九年度における損益について申し述べますと、本年度の総利益百三億円余に対し、総損失は九十九億六千万円余でありまして、差し引き三億四千万円余の償却引当金繰り入れ前利益を上げましたが、これを全額滞貸償却引当金及び固定資産減価償却引当金に繰り入れましたため、国庫に納入すべき利益はありませんでした。  以上が、昭和四十九年度における沖繩振興開発金融公庫の業務の概況であります。  何とぞよろしくご審議のほど、お願い申し上げます。
  78. 芳賀貢

    芳賀委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  79. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。安藤巖君。
  80. 安藤巖

    ○安藤委員 私は、婦人の差別の解消の問題、それから地位向上の問題について、総理府にお尋ねしたいと思います。  御承知のように、一昨年メキシコで国際婦人年の世界会議が行われまして、そこで世界の行動計画というものが採択されたわけです。それを受けて、日本では「婦人の社会的地位の向上をはかる決議」が国会でも採択されました。これに基づいて国内の行動計画がつくられたわけです。ところが、国内のこの行動計画につきましては、いろいろ批判があるわけです。  一、二を申し上げますと、婦人の労働権が明記されていないではないか、あるいは婦人差別を温存させてきた政治の責任というものをはっきりさせていないで、個人あるいは社会の婦人に対する偏見が大きな原因であるというようなことが書いてあって、政府の行うべき具体的な措置があいまいになっている。あるいは保護抜き平等論というものが出てまいりまして、これに同調した形で母性保護の後退に道を開くものではないかというような議論がなされているわけです。  こういう批判があるわけですけれども、同時にこの計画なるものは、非常に抽象的な文言が連ねられておって、非常に言葉自体はすばらしいのですけれども、果たして具体的にこれを実現してもらえるのかどうか、婦人の差別の解消、地位向上に役立つのかどうかというふうに私は非常に危ぶむのです。たとえば、この行動計画の中を見ましても、雇用問題については「指導計画を樹立する等、早急な是正を図る。」とか、あるいは「条件整備に努める。」とかいうふうにあるわけですけれども、「早急な是正を図る。」「条件整備」これをいつまでに確立するのか。そのめどは、どういうふうに立てておられるのか。たとえば今年度、昭和五十二年度も一カ月以上もたっているわけです。だから五十二年度では、どの辺までこれを実施していくのか。そういうめどは一体立てておられるのかどうかということと、その内容についてお伺いしたいと思うのです。
  81. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 先生御承知のように五十二年二月一日に、この国内行動計画を発表したのでありますが、そのとき、おっしゃいましたように、抽象的文言によらざるを得なかったわけであります。そこでことしの、五十二年の九月末ないし十月初旬を目途といたしまして、前半五カ年、これは十カ年計画でございますから、前半五カ年の計画を策定するとともに、その五カ年の間の年間目標をそれぞれ策定することにいたしておりまして、現在鋭意その検討を進めておるところでございます。
  82. 安藤巖

    ○安藤委員 そうしますと、五カ年、五カ年というふうにおやりになって、その内訳として年次計画というお話ですけれども、年次といいましても、五十二年度は始まっているわけです。しかも二月に、これを御発表になったわけですから、相当具体的なものが出てきているんじゃないかと期待しているわけですけれども、その具体的な年次計画は、まだつくられてはいないのでしょうか。
  83. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 ただいま申し上げましたように、五カ年目に、どれとどれと何をどの程度まで完成させるか、十カ年目は憲法第十四条にうたわれているような平等の権限を持てるようにする、これが最終目標でございますし、その五年目までということについては、いま議論を闘わしておるわけでございます。しかし、これはもう日限を延ばすわけにまいりませんので、いまの九月末、あるいは十月初旬というふうに区切っておるわけでございます。ですから五十二年度におきまして、上半期はそういうことであるいは費やされていくかと思いますけれども、下半期におきましては、年次計画というものがはっきりできてくる、このように考えております。
  84. 安藤巖

    ○安藤委員 そうしますと、九月、十月までにおつくりになるという計画で、たとえば指導計画はこういうふうなものをつくるとか、あるいは雇用の問題については、この程度まで婦人の差別についてはなくするとかという具体的なものは、いまはできていないけれども、九月、十月の段階にはできてきて、それを下半期で実施していく、こういうことになるわけでございますか。いまのところは、そういう具体的なめどというのは、まだできていないわけでございますか。
  85. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 実は国内行動計画に含まれておる項目については、政府がすでに実施していることもたくさんございます。ですから、そういう面におきましては、五十二年度予算というものは、もうすでに決まっておりますので、これは、もうそれでやらざるを得ない。たとえば保育所の増加であるとか、そういうふうなものは財政措置を講じなければできないことでございますから、そういうものは、もう五十二年度中に極力進めていこう、これは年次計画を策定するしないは別にいたしまして、すでに政府が手をつけているものを極力進めていく。そして後半に至りますと、年次計画がはっきりいたしますから、どのように五十二年の後半には、別途にやっていくかということが出てくると思います。  ですから前半においては、すでに決まっております政府の国内行動計画と合致いたしております点を大いにやっていこう、こういうことでございます。
  86. 安藤巖

    ○安藤委員 非常に盛りだくさんの内容があるわけでございますが、たとえば賃金の格差が男性と女性との間に相当あるということは、しばしば指摘されているわけですね。昭和五十年度の政府資料によりましても、賃金の関係で、婦人は男性の五五・八%だというふうに出ているわけですけれども、たとえば、この五五・八%を七〇%に引き上げるとか、こういう具体的な目標はまだできていないのですか。あるいは昭和五十二年度の下半期には、これを六〇%までに引き上げるとか、あるいは五十二年度では、これを七〇%までに引き上げるんだというようなことで具体的にその差を詰めていく、こういうような計画はまだできていないようですけれども、そういうふうにきちっと計画到達目標を立てておやりになるのかどうかということをお伺いしたい。
  87. 久保田眞苗

    ○久保田説明員 雇用上の不平等の問題についての計画は、ただいまつくっておるところでございまして、その内容としましては、若年定年制、結婚、妊娠退職制その他女子であることを理由とする差別をすべて取り上げまして、これを指導計画に載せて、全国的に行政指導を強化していくという方向で進めております。したがいまして、まだその指導計画の内容は明らかになっておりませんけれども、早急にいま策定中でございまして、これを必要な審議機関にかけた上、役所が全面的に活動を開始するという予定になっております。
  88. 安藤巖

    ○安藤委員 そうしますと、いま私がお尋ねしている賃金の格差の問題は、現在のところ、到達目標というものもできていないということですね。しかし、その賃金の問題一つとりましても、先ほど私が申し上げましたように、来年度は七〇%に縮めるというような具体的な計画はお立てになるべきではないかと思うのですね。  それからもう一つ、それに関連して、特に政府関係の職員については、これはまさに政府自体がお決めになるのですから、何年度までには、こういうふうな賃金格差にいたしますという計画は、簡単にお立てになることができるんじゃないかと思うのですけれども、こういう点についてはどうでしょうか。
  89. 久保田眞苗

    ○久保田説明員 御指摘の賃金格差で、女子の賃金が業種によりまして、男性の五割、六割といったような状況にございますことにつきましては、これが直ちに男女の平等に反するというふうには考えられないわけでございます。なぜならば、これは賃金の平均値をとったものでございまして、勤続年数、年齢、家族状況あるいはその仕事の職種、それから事業所の規模、それからフルタイマーであるか、パートタイマーであるかというようなことの要素がすべてかみ合って、このような賃金格差の問題としてあらわれております。  したがいまして、これにつきましての監督ないし行政指導を行います場合には、これが女子であることを理由として、賃金の金額についての定めに差別があるかという観点からの指導はできますが、このような賃金格差の問題は、当然女子の労働条件の向上を全般的に図っていくという中で解消されるべきでございますし、また使用者への指導も徹底していくわけでございますけれども、この賃金格差が雇用の状況と絡みまして、いろいろな要因から影響を受けてまいりますので、直ちにこれをストレートに五〇%から七〇%にするというような目標値を決めるのは、かなり困難な問題だというふうに考えております。
  90. 安藤巖

    ○安藤委員 賃金の問題は、労働条件の中で相当大きなウエートを占めるわけですね。これは申し上げるまでもないと思うのです。  そこで、いまおっしゃったようないろいろな問題があろうかと思いますけれども、統計的に見た場合でも、先ほど私が指摘しましたように、相当な格差があるわけですが、これは同じ職種で同じ職場で働いておっても、女性なるがゆえに差別を受けているというような事態がある点については、後から具体的に申し上げて御見解を伺いたいと思うのですが、そういうようなものについては、もちろん女性なるがゆえにということで、いろいろな指導の問題、あるいは職場の配置転換の問題、あるいは同じ職種でも仕事の中身の問題で差別をつけられる、そのことによって賃金にはね返ってくるということもあるわけですからね。そういうような点についても、しっかり配慮していただきたいというように思うのです。  そうすれば、そういうことを是正することによって、賃金にはね返ってくるような問題も、原因の事実を是正することによって、賃金そのものの格差を是正するということもできるわけですから、それは政府部内の職員については、もう早急にやっていかなければならぬというふうに思うわけです。  と言いますのは、この行動計画の中に、これは一般の民間の使用者に対しまして、採用とか、職場の配置、あるいは研修訓練、それから「昇進昇格等において、婦人に男性と同等の機会と待遇を与えるよう、雇用管理の積極的改善」を提案するというふうに、民間企業に対して、こういうようなことを言っておられるわけです。だから、そのためには、まず政府自身が率先してこれを行われないと、政府の方はやっていないじゃないか、うちの方が、どうしてそんなに一生懸命やらなくちゃならぬのだという議論だって出てきかねないと思うのですね。だから、そういうふうに国家公務員の関係につきましては、前向きに積極的に先頭を切ってお願いしたいというふうに思うのです。  それで、具体的にどういうふうに第一年度の昭和五十二年度に改善されているかと思いまして、私、これは電話ですけれども、幾つかの省庁にいろいろ確かめてみたのですよ。特に省庁の名前は挙げませんけれども、これは口頭で婦人の採用については配慮するようにというようなことを聞いているにすぎないというのが、私が聞いた範囲のすべての回答だったのです。それから、これは各省庁の人事課の任用担当者の人に聞いてみたのですけれども、婦人行動計画の問題についてお尋ねしますと、あああれですかという程度で、余り強い関心を持っていないという印象を私は受けました。  それで具体的な回答の内容は、一、二例を挙げますと、任用について前やっていたことと、今年度特に変わったことはない。それから、欠員が女性であるものについては、女性を補充をするということにはしている。それから、タイピストあるいは秘書などは、女性を採用するということになるけれども、そのほかの職種で下から男性を希望する——秘書なんかも入ってくると思うのですが、男性を希望するというような声が上がってくれば、男性を採用せざるを得ないというような回答がきているわけなんです。  こうしますと、せっかく計画をおつくりになったけれども、なかなかしっかりした指導がなされていないのじゃないか、口で言っているばかりじゃないかというような印象を受けざるを得ぬと思うのです。先ほど採用の問題についてもお話がございましたし、それから行動計画については  「政策決定への参加」という項目がございまして、そこに「公務員については、婦人の登用等について、十分配慮する。」ということもうたってあるわけなんですが、私がいまお聞きするところでは、先ほど御紹介いたしましたような回答しか戻ってこない。そうすると、まさに旧態依然たるものではないか。これでは、民間会社の方に女性を差別しないでほしいということを言われても、効果は上がりっこないのじゃないかと思うのですが、この点について、どういうように考えておられるかお伺いしたいのです。
  91. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 まさにおっしゃるとおりでございまして、こういうことは政府部内においてできることでございますから、率先してやるべきことだと思います。  昨年の二月に、婦人問題企画推進本部におきまして、行政機関における婦人の登用等について本部決定をいたしました。そして事務次官会議等の申し合わせを行いまして、また特に採用の時期には各省庁の人事課長会議、それからまた特に事務次官会議等において、改めて特に女性の採用については配慮願いたいということを要請した次第でございます。  そこで、上級職について申し上げますと、これは甲、乙等がございますが、昨年度は十六名しか婦人の方は上級職に採用いたしておりませんが、本年は合わせまして二十七名採用いたしておる、かようなことでございます。  それから政策決定への参加ということになりますと、審議会だとかそういうものへの婦人の参加ということもございますが、これも同じように次官会議等を通じまして、審議会へ婦人の参加を要請いたしております。この間も対外経済協力審議会におきまして、従来までは御婦人が一人も参加しておりませんでしたけれども、新しく参加を求めまして一名御婦人がお入りになった、このような経過もございます。
  92. 安藤巖

    ○安藤委員 いろいろ採用についてのお話をいまお伺いしまして、一部是正されたということは、私も聞いておりますけれども、受験制度で最初から受験資格は男性のみということで、女性には受験資格すら与えないで、全く門前払いというような職種もあるわけですね。ところが、この行動計画によりますと「女子の受験制限職種の見直しを行う」というようなことがはっきりうたってあるわけです。  それで、これは昭和五十年九月十二日付で、労働省の婦人少年局長から人事院の任用局長あてに要請がありまして御承知と思うのですが、国家公務員試験における男女平等を可及的速やかに確保するよう適切な措置をとられたい、というのがあるわけです。これに対して、具体的にどういうような措置をとられたか。いまおっしゃったのは、その一部じゃないかと思うのですけれども、たとえば国税の専門官というような職種がございますが、これは別に男性ばかりでなくても、女性でも十分働いていただく職種ではないかと思うのですが、この受験資格も男性に限るというふうになっているわけなんですね。だから、これは早急に是正されるべきではないかと思うわけです。  それからもう一つ、いろいろな職種の中に、たとえば飛行場の航空管制官というのがございます。日本にはまだいないわけです。ところが外国では、女性の航空管制官もあるという話も聞いております。こういうふうに女性に受験資格を与えるということで門戸を広く開放するということは考えられてしかるべきではないかと思うのです。たとえば、いまお伺いしました国税専門官あるいは航空管制官というようなことへも女性の登竜部門といいますか、進出部門として窓口を広げるということはお考えになっておられないのかどうかお伺いしたいと思います。
  93. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 そういうふうな分野にできる限り女性の登用を図っていきたいし、新しい門戸を開放していきたいというのが、この国内行動計画の本旨でございますから、それはもう先生のおっしゃるとおりでございます。  ただ、やはり肉体的な構造が女性と男性とは違いますし、その体力なり何なり違いがあるわけでございますから、それぞれ向き向きの分野があることも間違いのないことでございますので、やはり男性向きの分野とそうでない分野、ただいま言われました航空管制官、これなんかにいたしますと、必ずしも男性のみに限るということではないと思いますが、大変集中した注意を払い、相当な体力を要する仕事だと思うのです。そういう意味におきまして、さてどうかなということはございますけれども、門戸開放につきましては、国内行動でうたっているとおりでございますから、そのとおりに努力をいたしていく所存でございます。
  94. 安藤巖

    ○安藤委員 いま御答弁ただきましたように、とにかく門戸を開放していただかなかったら、どういうような条件で、女性の仕事として向くのか向かないのかということを判断していただく材料すら得られないと思うのです。ですから御答弁ただいたように、御努力をしていただきたいと思うのです。  そこで実は、総理府内部で、男性と比べて女性に対して相当な差別待遇が行われているという実態を聞いているのです。これは総理府の中の統計局の場合でございますけれども、普通勤務して、最初八等級から行くわけですね。それで男性ですと、大体十年くらいで係長になって五等級になるという話を聞いているのです。その点はどうですか、事実なんでしょうか。
  95. 吉岡邦夫

    吉岡(邦)政府委員 係長になるのは入りましてから早い者で十年から十一年、人によって、さらに十五、六年かかる者もございます。
  96. 安藤巖

    ○安藤委員 ところが女性の場合ですと、主任になっても五等級になれないという人が相当いるという話を聞いているのです。二十五年以上勤めて、それでもまだ主任になっていないという人が二十六人くらいおるという話も聞いておるのですが、これも事実でしょうか。
  97. 吉岡邦夫

    吉岡(邦)政府委員 いま主任のお話でございますけれども、主任制度ができましてから、まだ十年たっておりません。元来、主任制度ができたのは、いま御質問にございましたように、長年たっても、なかなか係長になりにくいという問題を含めて、長期に勤めておる方の処遇の問題として出てきたわけです。この約七、八年の中で主任が現在統計局では二百四十七ございまして、これは係長に準ずる処遇として、大体係長と同じ等級でございます。その中で、まだ六等級でいる者が五、六十人ございますけれども、こういうような者を逐次五等級に持っていくという方向で作業を進めておるところでございます。
  98. 安藤巖

    ○安藤委員 そういうふうに、積極的に前向きに進めていただきたいと思うのですが、もう一つの例を挙げますと、進めていただくのを、もっとスピードを上げていただくという趣旨でお話しするのですが、女性の場合、五等級に上がれないで六等級のままで、二けたの十号俸から二十一号俸というような六等級にとどめられたままでいる女性というのが相当の数いると聞いております。  私が聞いたところによりますと、女性は二百八十人以上おる。ところが、そういうふうになっている人は、男性ではたった一人しかいないというふうに聞いているのです。だから、これは相当ひどい差別じゃないかという気がするんですね。こういうふうに差別が政府部内の中で行われているということが一番問題じゃないかと思うのです。だから、民間企業もしっかり男性と女性と差別するなと一生懸命政府の方が旗を振られても、これはなかなか実行されないことになっていくのじゃないかと思います。  ですから、いま長官からも御答弁ただきましたが、差別をなくするように行動計画の中身を、言葉だけではなくて、具体的に実行していただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  99. 芳賀貢

  100. 玉城栄一

    玉城委員 当初の予定時間が少し縮まりましたので、スピーディーにお伺いしてまいりたいと思います。最初沖繩開発庁長官にお伺いをいたします。  沖繩開発庁は、昭和四十七年五月十三日に、沖縄開発庁設置法、法律第二十九号で設立をされておるわけであります。その詳しいことにつきましては、御案内のとおりであります。いずれにいたしましても、復帰と同時に沖繩の格差是正、本土並み引き上げ、振興開発等を目的として設立された、私は率直に言って、いわば沖繩のためのお役所である、そのように理解をしておるわけであります。  そのためには、当然将来に向かっての施策とともに、過去の問題解決が両々相まって並行して行われるこどが前提とならなければならない、そのように考えます。しかし、ややともすれば、私のこれまでの率直な感じでございますけれでも、沖繩の過去の問題が複雑多岐にわたるために、開発庁内においては、これをいとい、身を挺して、その解決に当たろうという気風が何か薄いような感じがするわけでありまして、長官の基本的な沖繩開発庁を指揮される所信を、まず最初にお伺いをいたしたいのであります。
  101. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 玉城先生からそういう御批判を受けたということに対しましては、大変恐縮をいたす次第でございます。過去五年間、この五月十五日をもって五年間が終わるわけでございますが、沖繩開発庁としましては、できる限りのことはいたしてきた、しかしながら、なかなか戦後の問題といいますか、地籍の不明確な点もございますし、また不発弾の問題等いろいろございまして、また大きな基地が沖繩県の中にあるというふうな問題もございますし、諸種の問題が絡み合って複雑な問題になっております。  おっしゃるように、思うように解決ができなかった点も多々あることだ、こういう反省はいたしておりますが、しかし、その反省の上に立ちまして次の五カ年、振興開発十カ年計画の後半になりますけれども、これには全力を挙げてやるつもりでおります。そのような意味で、過去も反省し、将来に対しては大いに励むつもりでおりますので、御了解願いたいと思います。
  102. 玉城栄一

    玉城委員 そこで、私の質問に入ります前に、例の食管制度の米麦の沖繩関係の特別措置につきまして、まだ正式な発表をいただいておりませんので、簡単でよろしゅうございますので、その後の経過を御説明をいただきたいと思います。
  103. 亀谷禮次

    ○亀谷政府委員 お答え申し上げます。  先般、沖繩復帰特別措置関係の法案の改正が国会を通過させていただきました後、政府部内におきまして所要の政令改正を去る五月十日の閣議におきまして、内容としては六件の案件になっておるわけでございますが、改正が決定したところでございます。これは御案内のように、さきに国会で成立をみました特別措置法の一部改正法律の内容に基づくいわゆる国税関連の政令、それから、ただいま御質問のございました米の政府売り渡し価格等、国税関係以外の復帰特別措置の期間延長を内容とした諸政令の改正でございます。  内容としましては、ただいま御質問にございましたが、米の政府売り渡し価格及び麦の標準売り渡し価格につきましては、かねてから県知事初め地元からの強い延長の御要請もあり、農林省におきましても、県から十分実情聴取を行いまして、また現地における調査も行いました結果、県民の負担の急増を避けるために、県知事の要請どおり三年の調整期間を五年延長し、八年とすることとなったものでございます。
  104. 玉城栄一

    玉城委員 それでは、次の質問に移ってまいります。  そこで、本日は決算委員会でございますので、過去の実績を検討し、将来の指針をその中から見出していこうという本委員会の本旨にもかなうかと存じますので、その所信を承りたいのであります。開発庁長官並びに大蔵政務次官、同時にまた、政府・自民党の首脳という立場からも、その所信を承りたいわけであります。  去る大東亜戦争の末期において、本土決戦の代理戦として、わが国唯一の戦場としての沖繩決戦が行われました。よく御案内のとおりであります。当時、旧軍は超緊急措置として沖繩各地に多くの飛行場を建設をいたしました。沖繩守備軍であった第三十二軍は、当初飛行場設営軍と言われるほど十数万余の将兵並びに住民、老幼婦女子に至るまで動員をして、いわば人海戦術によって、各島々において急ピッチで飛行場を建設をしたのであります。  当時、第三十二軍の高級参謀でありました八原博通という方の書いた「沖繩決戦」という本があります。これは映画にもなって、ごらんになっておられるならば、当時の模様がわかるのじゃないかとも思うのであります。この三十二軍のスタッフは、ほとんど航空関係の参謀が主であったわけです。当時、陸軍の飛行場づくりの神様と言われるような方も、そのスタッフの中に入っておったわけです。  その当時の八原高級参謀の書いた「沖繩決戦」という本の中に、当時の模様が詳しく記述されておるのでありますけれども、三十二軍の防衛守備範囲と申しますのは喜界島、徳之島も入っておったわけでありますが、そこは除きましても、これは飛行場ですが、あの小さな伊江島で、陸軍飛行場で東飛行場、中飛行場、西飛行場、三つ。それから沖繩本島で「陸軍北、中、南、東飛行場。海軍小禄飛行場。のちに陸軍は首里北側に、海軍は糸満北側に、それぞれ飛行場建設に着手した。」沖繩本島関係で七つ。それから宮古島で「陸軍東、中、西飛行場。」三つ。それから石垣島関係で「陸軍飛行場。海軍第一、第二飛行場。」合わせて三つ。それから、南大東島に海軍飛行場と、合わせて大体十七の飛行場をあの沖繩県内の小さな島々に当時三十二軍は建設をしたわけです。  その模様につきまして、「各島嶼、適地があれば全部飛行場にしてしまう。伊江島のような小島に大飛行場を造るかと思えば、沖繩島には至る所、多数の飛行場を建設する。」「ただ無闇に飛行場を多く造ればよいといった、がむしゃらな考えが」当時あったということと、その飛行場をつくる際に、「使用器材も円匙、十字鍬に類する原始的なもので、人力主体とならざるを得ない。そこで勢い、島民を大々的に動員した。その数は徳之島約二千、沖繩約二万五千、宮古約五千、石垣約三千に達した。各飛行場とも、市民、学生の勤労奉仕者が雲集して作業する光景は壮観であり、またわが島を守らんとする県民の心意気がしみじみと感ぜられた。この人海戦術と軍民の熱意とにより、牛歩の如く遅々としながらも、各飛行場はどうやら概ね計画通りにできあがりつつあった。こうした飛行場建設のみを任務とする第三十二軍」云々と、こういうふうに当時、昭和十九年、飛行場づくりに専念しておったわけであります。  そこで、もちろん旧軍は、当時沖繩におきまして、軍用地というものは全く持っておらなかったわけです。したがって、当然民有地をもって、その用地に充てたわけであります。言うならば、国家存亡をかけた緊急避難的な措置として民有地の取得は、そのような状態が解除された段階においては、そのもとの民有に返していくべきが当然であろうと私は思うわけでありますけれども長官のお考えを伺いたいと思います。
  105. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 一般的には、おっしゃるとおりであろうと思います。ただ、いろいろとお話を各委員会で、沖繩特別委員会内閣委員会等で伺っておりますと、読谷飛行場のことが出るのでございますが、ただ、読谷飛行場の場合には、現在国有地となっておりますけれども、なお大蔵省の方で、いろいろと調査中であるということでございます。  聞きますれば、坪当たり二円というふうなことで、軍が買収したというふうな証人もあるとかというふうに聞いてもおりますし、また、全然軍に無料で接収されたんだというふうな証人もおるということも聞いております。その辺のことを大蔵省の方で現在調査中であろうかと思いますが、一般的な事柄といたしますと、軍が無料でそれを接収しておったということになれば、持ち主が明確化するならば、それにお返しすることは当然のことだと思います。
  106. 玉城栄一

    玉城委員 当時、戦争という非常時体制、いわゆる異常な情勢の中で、先ほど背景を申し上げたわけであります。これは普通の一般的な、要するに土地取得という状態とはまた変わった、いわゆるあくまでも特殊な、そういう状態の中における土地の取得であったということであるわけです。それにつきましては、また後ほど伺ってまいります。  そこで、私は、先ほど長官は読谷の問題について触れておられたわけでありますが、この問題は後に回しまして、いわゆる沖繩県の宮古島にある旧陸軍買収に係る旧陸軍飛行場跡地の問題を取り上げたいと存じます。     〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕  それで、大蔵省の国有財産当局にお伺いをいたしますが、この土地の所在地、面積、国有財産となった年月日を御報告をしていただきたいと思います。
  107. 秋山雅保

    ○秋山説明員 宮古島の陸軍の飛行場につきましては、野原と洲鎌と二つございますが、国有財産台帳上の記載事項を申し上げて御返事さしていただきたいと思います。  まず野原飛行場でございますが、口座名は旧野原飛行場、所在地は沖繩県宮古郡下地町字川満東積間九百八十三の二番ほか。種目といたしまして、宅地、畑、原野、牧場及び雑種地となっております。それから沿革は旧軍の購入、数量は百十九万四千平方メートルでございます。  それから洲鎌飛行場につきましては、所在地が沖繩県宮古郡下地町字与那覇千四百六の一番ほか。種目といたしましては、宅地、畑、牧場、墳墓地及び雑種地でございます。それから沿革は旧軍の購入で、数量は五十二万七千平方メートルでございます。
  108. 玉城栄一

    玉城委員 現在国としては、その土地をどのように使用しておられますか。
  109. 秋山雅保

    ○秋山説明員 野原飛行場につきましては、農用地として百十万八千平方メートル、それから住宅地として一万平方メートル、それから公用、公共用、これは主として道路でございますが、五万九千平方メートルでございます。それから、そのほかが一万六千平方メートルでございます。  それから洲鎌飛行場につきましては、農用地が四十九万二千平方メートル、それから住宅が九千平方メートル、それから公用、公共用、これもやはり主として道路でございますが、これが二万五千平方メートル。  以上でございます。
  110. 玉城栄一

    玉城委員 この農用の土地は、いわゆる国有農地になるわけですね。その国有農地については、国が耕作をしておるわけですね。
  111. 秋山雅保

    ○秋山説明員 地元の耕作者に貸し付けているわけでございます。
  112. 玉城栄一

    玉城委員 それでは、大蔵省とされては、小作人と申しますか、耕作者から小作料を取っていらっしゃるわけだと思いますが、幾ら取っておられるのですか。それから、いつから取っておられるのですか。
  113. 秋山雅保

    ○秋山説明員 小作料は復帰時から取っております。それからなお復帰前、米軍当時から耕作者に貸し付けておりまして、それはまた別途取っておりますが、この点につきましては、大蔵省は関係ございません。  それから貸付料でございますけれども、沖繩におきまして、大体において復帰前から引き続き貸し付けているわけでございまして、農地法に基づく貸付料統制額というのがございますが、その一番安いもの、これは第一級から第十五級まであるそうでございますが、その第十五級というのを基準貸付料ということにしております。  昭和五十年度について申しますと、基準貸付料率は、水田十アール当たり二千三百円、畑十アール当たり七百九十五円でございます。ただ現実の貸付料につきましては、復帰前の貸付料が安いものですから、激変緩和措置というものがとられておりまして、実際には、ただいま申し上げた金額よりも大分下回っているというのが現状でございます。
  114. 玉城栄一

    玉城委員 現在の小作人の方あるいは耕作者の方というのは、いわゆる前地主と申しますか、元地主の方々が、ほとんどだと聞いておりますが、どうでしょうか。
  115. 秋山雅保

    ○秋山説明員 ただいまの野原飛行場について申し上げますと、耕作者の人は合計して百十三人おられますが、その中で旧地主であった人が七十四人、それから旧地主でない人が三十九人でございます。  それから洲鎌飛行場につきましては、耕作者が合計五十六人でございますが、そのうち旧地主であった人が三十六人、そうでない人が二十人、こうなっております。
  116. 玉城栄一

    玉城委員 旧地主の農家の方々が、この数字で大体七〇%くらいでしょうか。実は私、出身がこの島でありますので、事情はよくわかっております。実は私も今回国会に来まして、いろいろそういう島の問題につきましても、何とかお手伝いしたいという気持ちがやまやまあるわけです。  先ほど冒頭に申し上げましたとおり、いわゆる戦争という、ああいう異常事態であり、まさにああいう小さな島におきましては、農家にとっては土地というものは自分が生きていく唯一の手段とも言っていい、きわめて大事な生活基盤の手段なんです。それが、ああいう戦争協力という事態の中で、いわゆる旧軍に取得された。そして戦争が終わりますと、それは国有地だということで、戦後三十年、この方々は小作料を払って——いわば、もとの自分の土地であったわけです、自分の農地であったわけですね。そこに小作料を払って現在までやっておられるという、その方々にとりましては、きわめて情けない話であるわけです。私もこれは何とかしなくてはならないということを非常に感ずるわけですけれども総務長官、そのことについて、どのようにお考えになるのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
  117. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 取得の状況が、非常事態の中において軍が取得された。しかしながら、そこで金銭の授受といいますか、何らかのそういう無料でないというようなことが行われた関係があって、いまそれが国有財産になっておるというふうに解釈をいたしておりますが、それにいたしましても、そのような地主の方々に、早期に適正な価格で払い下げをすべきではなかろうか、過去の事情も勘案した上で。私は、個人的にはそう思います。所管のことではございませんので、他省の所管のことに口出しするようにはなりますが、個人的にはそう思います。
  118. 玉城栄一

    玉城委員 ただいまのことにつきまして大蔵政務次官にお伺いいたしますが、どのようにお感じでしょうか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
  119. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 ただいまの御意見でございますが、沖繩本島でなく、その他の宮古あるいは八重山の場合につきましては、買収当時の資料ども残っておりまして、正当に旧陸軍が取得をしたというふうに判断をいたしておる次第であります。また、土地所有権委員会という公的な機関におきまして、いろいろ御調査をいただいた結果によりましても、国有地であるという認定をされておるわけであります。したがいまして、所有権問題については、はっきりしておるというふうに私どもは考えておるところであります。  ただ所有権問題と、いわゆる旧陸軍の買収地がどのような形で今後活用されていくべきであるか、あるいは旧陸軍が取得をした経緯等にかんがみて、どのようにすべきかということにつきましては、これは大蔵省で判断をいたしますよりも、総理府なりその他関係省庁におきまして十分御協議をいただきながら御相談をいただくべきものである、このように考えておる次第であります。
  120. 玉城栄一

    玉城委員 それで実は、旧軍がその農地を接収するいろいろないきさつもあるわけですが、そこで厚生省の方にお伺いをいたしますが、この旧上野村、旧下地村の当時の旧軍の担当者が、いわゆる当時の土地所有者の農家の方々に、いろいろと約束をしておられるわけです。そのことにつきまして厚生省の方から、その証言があったと思いますけれども、ぜひその証言をこの委員会で読んでいただきたいと思います。
  121. 柏井秋久

    ○柏井説明員 御説明申し上げます。昭和三十九年十一月二十四日に、沖繩市町村軍用土地委員会連合会会長さんらから御陳情がございまして、また御要請がございまして、それを受けまして調査をした結果を、援護局長が認定書といたしまして差し上げております。これは三十九年十二月十四日付でございますが、沖繩市町村軍用土地委員会連合会の会長さんに対しまして、次の内容の認定書を送っております。  宮古島飛行場用地買収事情についての認定書  第二次大戦中日本軍が宮古島に飛行場を設定するため土地を買収するに際し、地主に対し「戦争が終れば土地は旧地主に払い下げること」を口約したことは事実であると認定する。  昭和三十九年十二月十四日             厚生省援護局長  附記 上記の認定を下した根拠は次のとおりである。  宮古島島民の生活状態を当時としての飛行場の軍事目的から見て、軍が、終戦に伴い飛行場用地を旧地主に返還するよう考えていたであろうことは容易に推定されるところであるが、今回当局が当時の現存関係者について当時の事情を聴取したところ、いずれも「戦争が終れば用地は旧地主に返還する(払い下げる)」旨の軍の考えおよび地主に対する口約の事実のあったことを申し立てている。となっております。
  122. 玉城栄一

    玉城委員 担当者の証言もお願いいたします。
  123. 柏井秋久

    ○柏井説明員 この方は三名ございまして、先ほど御指摘がございました三十二軍の高級参謀の八原博通さん、三十二軍の参謀の釜井耕輝さん、それから三十二軍経理部付の主計中尉田中護利さん、この三名の方の資料がついております。  田中さんの証言を読んでみますと、  宮古島飛行場用地の買上げについて  私は沖繩宮古島の陸軍飛行場設置について、昭和十九年四月軍経理部長の命を受けて宮古島に渡り、土地買収及び地上物件の損害補償等については直接地主側と交渉の任にあたりました。その際、土地の買収については、経理部長の指示に基づき「戦争が済んだら土地をもとの地主に有償で払い下げる」ことを地主に申渡したことは事実であります。    昭和三十九年十二月十一日こうなっております。  コピーでございまして、あとの二人の分の字句の判読がなかなかむずかしゅうございますが、大体同意義のことが記載されております。
  124. 玉城栄一

    玉城委員 この機会にぜひお伺いしておきたいわけですが、ただいまの当時の軍関係の担当者の証言につきまして、長官並びに政務次官の御心境と申しますか、お感じになられた点を、ぜひお聞かせいただきたい、このように思います。長官の方からお願いします。
  125. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 農地法との関係もこれあり、また現在は国有財産で大蔵省が管理しておることもこれありますので、そのような関係省庁相談の上でこの問題を、先ほどの証言のように検討を進めてまいりたい、かように思います。
  126. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 大蔵省といたしましては、ただいまの証言のようなことが確認されておることについては承知をいたしているところでございますが、ただ、買収当時にどのような事情で、どのような権限に基づいて、そのような約束がなされたかということにつきましては、まだいろいろとはっきりしない点があるというふうに承知をいたしているところでございます。少なくとも契約書に将来売り戻すというような特約の記載等はないということでございますので。しかし、買収当時に恐らく協力を得るために、その買収に当たった人たちが、戦争が終われば、有償でまた払い戻しをすることができるだろうというようなことを話されたことは十分あり得ることだ、このように思うのでございます。  したがいまして、ただいまの一連の御質疑を承っておりまして、全部の国有地について一律に申し上げることはできませんが、それぞれの特殊事情を十分考慮をしながら、どのようにその国有地が活用されていくことが、一番沖繩のために役に立っていくのであろうか、あるいは本来あるべき姿であるのかということを、十分今後とも地元の御意見も承りながら検討してまいりたい、このように考えておる次第であります。
  127. 玉城栄一

    玉城委員 先ほど厚生省の方のお読みになった証言の中にもありましたし、またお読みにならなかったお二人の証言の一部に「同飛行場設定のための土地買収については、貧寒な同島農民の生活の基盤を奪うことについて多少問題はありましたが、もとより作戦上の要求は至上のものとして処理を進めますと同時に戦争がすんだら土地はもとの所有者に返される旨も説示して住民の積極的な協力が得られたのでありました。」これは釜井という、先ほど私が申し上げました当時陸軍の飛行場づくりの神様と言われた参謀でありますけれども、その方の証言なんです。当時の状況から、当然その証言は私も本当であったろうと思うし、また厚生省の方も、そのことを確認をしておられるわけです。  したがいまして、先ほどこの払い下げの問題について、ちょっとお触れになっておられましたけれども、現在は、いわゆる国有地になっておるわけですね。ですから、その国有地を払い下げる場合に、何か法的なひっかかりとでも申しましょうか、そういうものがありましたら、聞かせていただきたいと思います。
  128. 秋山雅保

    ○秋山説明員 ただいまの二つの飛行場につきましては、公用、公共用として使っている場所につきましては、大体そういう方向でいくのではないかと思うのですけれども、たとえば主として農用地として使っている部分につきましては、大体において農地法の規定によって農林省に所管がえし、払い下げるというふうな道が開かれておりますので、現在私どもと農林省との間で、そういう方向で検討中でございます。
  129. 玉城栄一

    玉城委員 それでは、これは非常に大事な点でありますし、先ほど私が伺いましたのは、別に法的な問題はない、そのように理解してよろしゅうございますか。
  130. 秋山雅保

    ○秋山説明員 耕作者に農地として払い下げる場合につきましては、法的な問題は恐らくないと思います。
  131. 玉城栄一

    玉城委員 それでは、ただいまの大蔵省の方に伺いたいのですが、耕作者というおっしゃり方をしたわけですけれども、その払い下げの場合に、農地につきましては先ほど農地法の問題がありました。あるいは現在公共用に使われているというのもあったわけですけれども、そういうものも含めまして、全体的に、いわゆる元地主にそれが払い下げられるということについての法的な問題は、別にないわけですね。     〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕
  132. 秋山雅保

    ○秋山説明員 耕作者ということではなくて、旧地主ということで払い下げるためには、先ほどの厚生省の認定書にもございましたように、あの口約の内容が事実であり、かつ、買い戻し特約つきの約款であったということが、はっきり立証されるならば話は別でございますが、それが立証されない限りは、旧地主という名目で、旧地主に払い下げるということはできないわけでございます。
  133. 玉城栄一

    玉城委員 その証言が事実だということが認定をされたときには、どのようになりますか。
  134. 秋山雅保

    ○秋山説明員 認定の内容いかんによると思いますけれども、そのときはそのときでもって、私どもの方でも検討させていただきたいと思います。
  135. 玉城栄一

    玉城委員 私がなぜ先ほど厚生省の方に、その当時の関係者の証言の内容について読んでいただいたかということについては、非常に意味があるわけでして、先ほども説明がありましたとおり、厚生省は昭和三十九年十二月十四日付で、当時の関係者の証言、「口約したことは事実であると認定する。」そのように認定書までつけておるわけですね。それについて、どのようにお考えになっておられますか、お伺いをいたします。
  136. 秋山雅保

    ○秋山説明員 厚生省でお出しになった文書のことでございますので、余り詳しくは存じませんが、一応私どもでは、このように理解しております。  厚生省の方で認定書をお出しになったという御報告が先ほどございましたけれども、その認定書をお出しになる前に、沖繩市町村軍用土地委員会連合会の会長、これは桑江朝幸さんとおっしゃるのですか、その方から厚生省の方へ「証明願」というのが出ているわけですね。まず、それをちょっと読ましていただきます。  宮古島旧陸軍飛行場用地接収に関する証明願  国家総動員法に基く四年十二月二十九日  公布の勅令第九百二号土地工作物管理使用収用令によりさる昭和十八年(一九四三年)十月より昭和十九年(一九四四年)五月までの間日本政府により接収された宮古島(平良市、下地町、上野村三地区)の一、〇一二、〇九〇・四三坪(八二六・八七エーカー)の旧陸軍飛行場用地接収契約は接収時口頭の付帯条件において作戦遂行上の使用目的終了の上は直ちに元所有者へ返還する旨の買戻約款付契約であつたことを御証明賜りたく御願いいたします。   昭和三十九年 月 日       沖繩市町村軍用土地委員会連合会             会長 桑江 朝幸  右証明する。    昭和三十九年 月 日それで、この上に判こを押してください、こういう依頼があったようでございます。それに対しましての厚生省の返事が、先ほどの、口約があったことは事実であると認定する、こういうことになっておりまして、要するに、お申し出の買い戻し約款つき契約であったということまでは認定していないわけでございます。したがいまして、まだ一歩手前の段階ではないか、かように私どもとしては考えているわけでございます。
  137. 玉城栄一

    玉城委員 ちょっと戻りますが、先ほどの当時の関係者の証言について、どのような形で証言を得られたのか、そのいきさつを厚生省の方に伺いたいと思います。
  138. 柏井秋久

    ○柏井説明員 当時の関係者につきまして、文書で照会いたしたように記憶しております。
  139. 玉城栄一

    玉城委員 それでは、先ほど長官もおっしゃいまして、また政務次官もちょっとそういう感じの御答弁があったように伺いますが、当時の旧地主の関係者の方々から大蔵省当局に、現在耕作しておる国有地について返還あるいは払い下げの要請か何かが、いままでにあったかどうか、お伺いいたします。
  140. 秋山雅保

    ○秋山説明員 現在のところ、払い下げの御要求はございません。
  141. 玉城栄一

    玉城委員 それは秋山さんは知っておられないと思いますが、そういう返還あるいは払い下げの要請書が正式に来ておるわけです。大蔵省の方には、すでに提出されているということなんです。  ちょっと読み上げてみますが、これは「宮古市町村会会長 平良重信 下記のことについて、別紙の通り大蔵大臣に要望致しましたので、」云々ということで、「飛行場用地として強制接収された宮古の土地の返還要求に関する要望 大東亜戦争中、昭和十八年十月から昭和十九年五月までにおいて飛行場用地として、現在の平良市及び下地町、上野村に亘る広大な土地が戦争のためという大義名分のもとに、旧日本軍によって強制接収されましたが、用地接収に当って当時の日本政府厚生省、並びに軍の現地責任者は、目的が終了した時点で接収した土地は元の地主に優先的に返還する旨確約しておりますが、終戦後三十三ケ年の長い年月が経過した今日まで返還されておりません。」云々ということで、すでに出されているということでありまして、私の方には来ているわけですが、いかがですか。
  142. 秋山雅保

    ○秋山説明員 私、先ほどちょっと誤解してお答えいたしまして申しわけございませんが、耕作者の、農地として払い下げてくれという趣旨の払い下げの陳情は承っておりませんが、いま先生がおっしゃったような、要するに旧地主が返してくれという話は聞いております。
  143. 玉城栄一

    玉城委員 先ほどのおたくの御説明にもありましたとおり、当時、戦争協力ということで、土地所有者である農民は土地を手放したわけですね。戦後三十年の間、多少の入れかわりがあるわけですね。地主であり、耕作者であるわけです。一〇〇%とは申しませんよ。ですから、そういうことからしまして、耕作者あるいは旧地主ということが完全に一致しなくても、おおよそ七〇%ぐらいは同一の形になっておるわけですね。ですから、改めて旧地主、現在の耕作者ということを、しいて皆さん方がおっしゃるのであれば、そういう手続もあろうかと思いますけれども、これはもう一回確認しておきます。  売買予約でなければ、これは地主に返還しなくてもよいというふうに受け取ってよろしいのですか。
  144. 秋山雅保

    ○秋山説明員 ただいま売買予約とおっしゃいましたけれども、買い戻しの特約、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  145. 玉城栄一

    玉城委員 いや、私が申し上げているのは、当時の証言なんですね。当時の担当者が、いわゆる戦争という事態が終わったときには優先的にちゃんとお返ししますよという内容の証言なんですね。その証言について皆さん方はどのように考えているかということなんです。ですから、売買予約あるいは買い戻し請求の点について、皆さんがどのように理解しているか、まず、その辺をはっきりさせていただきたいと思います。
  146. 秋山雅保

    ○秋山説明員 その証言の内容が、たとえば法的に売買予約あるいは買い戻しということを裏づけるようなものであるならば、これは当然国といたしましても検討しなければならないわけでございますが、現在のところ、それが法的に右とも左とも言えないようなかっこうの証言ではないか、したがいまして、いまのところ白紙の状態である、かように考えているわけでございます。
  147. 玉城栄一

    玉城委員 そこで、先ほど農地法の問題がありましたので、これは沖繩振興という立場でも非常に関係がありますので、振興局長さんでも、どなたでも結構ですが、農地法の第一条を読んでいただけますか、私は六法を持っておりませんので。
  148. 井上幸夫

    ○井上政府委員 農地法第一条「この法律は、農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認めて、耕作者の農地の取得を促進し、及びその権利を保護し、並びに土地の農業上の効率的な利用を図るためその利用関係を調整し、もつて耕作者の地位の安定と農業生産力の増進とを図ることを目的とする。」以上でございます。
  149. 玉城栄一

    玉城委員 ただいまの農地法の精神と申しますか、趣旨からいたしましても、現在耕作している状況、まあその中には旧地主も含まれているわけですが、そういう現在の状況を踏まえまして、大蔵省とされては、ただいまの農地法の第一条の趣旨、精神を尊重されますか、されないのですか。
  150. 秋山雅保

    ○秋山説明員 大蔵省といたしましては、第一条の趣旨を尊重いたしまして、現在の耕作者に払い下げたい、こういう方向で農林省と現在協議中でございます。
  151. 玉城栄一

    玉城委員 私がお伺いしたかった点は、ただいまの御答弁なんですが、そのことにつきまして、政務次官はどのようにお考えであるか、確認の意味で、ぜひお答えをいただきたいと思います。
  152. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 ただいまお答えを申し上げたところでございますが、少なくとも国が正当な手続によりまして所有をいたしまして、現に国有地でございますので、払い戻しのはっきりとした特約が確認をされない限り、現在の農地法の精神に基づきまして、現耕作者に対しまして払い下げを行うということより、いたし方がないのではなかろうか、このように考えております。
  153. 玉城栄一

    玉城委員 これは沖繩県内の問題でもありますし、幸いに大臣もいらっしゃいますので、沖繩振興、特に第一次産業の振興という立場から、ただいまの件につきまして、ぜひ長官の御所信もこの機会に承っておきたいのですが、ひとつよろしくお願いします。
  154. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 先ほど来申し上げましたように、農地法との関係もあり、国有財産の方の関係もございますので、私は、沖繩の第一次産業振興のためにも、現在耕作されている方々が、その土地を所有されることが望ましいとは思いますけれども、前述のような関係がございますので、それは慎重に検討させていただきたいというふうに思います。
  155. 玉城栄一

    玉城委員 これは先ほどの政務次官の御答弁と同趣旨と受け取ってよろしゅうございますか。——よろしいわけてすね。わかりました。  それで、実は当時旧軍がその土地を取得する段階で、ただいま私が申し上げている宮古島の上野村、旧下地村、それからもう一カ所平良市というところがあります。これは海軍関係なんですが、この問題は、ちょっとケースが違いますので、後日また日を改めて、ぜひお伺いをしたいわけですけれども、その旧下地村、上野村の当時の地主、関係者の方々のいろいろなお話を私伺いましたときに、いわゆる旧軍の土地代金ですね。これを受け取ったという人もおれば、もらっていない人もいるというようなことで、当時のいろいろないきさつは、私自身も確認のしようがないわけですが、たまたまそういう関係者の中から、実は貯金をさせられたとか、したとかというようなことがあるわけです。  それで、これは開発庁の方に、ぜひお伺いをしておきたいのですが、いわゆる戦前の沖繩県の農業団体、産業組合、農業会ですね。戦後、沖繩は特殊な施政権下に置かれましたし、今度は復帰しているわけですが、戦前、戦時中の沖繩県下のそういう農業団体の、いわゆる債権債務といいますか、これが現在の農業団体にどのような形で継承されているのか、あるいはそれについて何らかの法的な措置がされているのかどうか。その点、御存じの範囲で結構ですから、お伺いをしたいと思います。
  156. 亀谷禮次

    ○亀谷政府委員 先生の御質問の趣旨は、ただいまのような戦前の農業会の権利義務につきまして、本土で昭和二十二年に農協法が施行された当時、この整理法で農業協同組合もしくは連合会に引き継がれているものにつきまして、沖繩ではどのようになっているのだ、こういう御趣旨であろうかと思いますが、率直に申し上げまして、この法規自身が、本土の整理法も農林省所管であるわけでございまして、私どもまだ十分検討をしている時間がなかったわけでございますので、いま申し上げましたように、戦前の沖繩の農業会の中身、それから、その権利義務の帰属につきまして、従来の経緯につき調査をいたしまして、農林省等の見解も問う必要があろうかと考えておりますので、しばらく御時間を賜りたい、こういうふうに考えております。
  157. 玉城栄一

    玉城委員 実は先ほどの問題と関連をいたしまして、その当時の関係地主の方々が四通の通帳を持ってきて、実は私たちは、このようにして土地代金はそっくり、こういう預金という形になっているとおっしゃっておるわけですね。それで、これは戦時中の農業会なんですね。当時の状況につきましては、もうああいう国家総動員体制で、貯蓄奨励が国民運動として行われたわけですから、国民はそれに全面的に協力するというような形で、当時旧軍が支払ったという土地代金も当然そのように預金をしたわけです。  これは正式には「下地村信用販売購員利用組合」という名義で、通帳名は「更生貯金通帳」となっておりますし、そして十カ年据え置き、これは昭和十九年から十カ年で昭和二十九年まで据え置きという形で、このように当時の関係地主の方が、その土地代金を預金したということで、そのままの状態なんですね。それで、先ほどお伺いいたしました、当時農業会、農業団体に預金をしまして、現在その預金を受け取っていない、請求のしようがないわけですね。  それで先ほど私、戦前戦中のそういう農業団体の債権債務が戦後の現在どのような形で引き継がれているのかということをお伺いしたわけでありますけれども、その点につきまして、開発庁の方へもう一回伺いたいのです。  私もちょっと調べてみましたが、法的に継承されているかどうかについて余りはっきりしないわけです。ですから、実情は、ほとんどのそういう関係者の方々、そういう団体に預金した方々は、その土地代金を実際手元に受け取っていない、そういうかっこうになっているわけです。  それで、私がなぜこの点を申し上げているかといいますと、あの戦時中の異常な、異常と申しますか戦争という非常の体制で、そういう農地を手放した。そしてその土地代金というものを、そういういろいろな関係団体に預金をさせられた。そして土地取得した軍の当時の担当者は、戦争が終わったら、それは優先的に皆さん方に返しますよ、こういういろいろな条件があるわけですね。ですから、先ほどのお答えで、私、ぜひそのとおりやっていただきたいと思うのですが、その関係者に払い下げる場合に、ただいま私が申し上げているような事情は、当然その価格決定に当たっては考慮されるべきであると私は思いますが、その点につきまして、ぜひ政務次官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  158. 高鳥修

    ○高鳥政府委員 ただいまの御質疑の代金の支払い関係につきましては、担当省庁におきましても、まだ十分把握しておらないような状況でございますので、私の方でまだ判断することができませんし、かつまた、農地としての払い下げということになりますと、価格につきましては農林省で御決定になるというふうに承知をいたしておりますので、ただいままで、いろいろお述べになりましたような事情を十分しんしゃくしながら御決定になるものと考えております。
  159. 玉城栄一

    玉城委員 先ほど私が申し上げました通帳ですが、これは個人の財産にかかわるものでありますので、払い下げの価格決定においては当然そういうものが考慮されるべきである。いわゆる土地代金が当時そういう形で預金されて、預けた団体が自然消滅なのか、債権債務が引き継がれているのかはっきりしないわけです。ですから、そういうものは当然考慮されるという御答弁がありましたので、私も安心をするわけであります。  私、先ほど申し上げましたように、そういう島の出身でありますので、ああいう自然環境のきわめて厳しい、いわゆる台風常襲地帯あるいは干ばつが非常に激しいところです。  これは最後に申し上げておきたいのですけれども、いわゆるソテツ地獄と申しまして、大正、私もそのころはいないのですけれども、よく年寄りの方々から伺ったのですけれども、きわめて厳しい自然環境の中で農作物が一切なくなった。食べるものがなくなった、ソテツの実を食べて生きなくちゃならない。そのソテツには毒があるわけです。その毒にあてられて死んだ方がたくさんいたという話も聞いたわけですけれども、それほどああいう小さな島においての畑、農地というものは、農家にとっては、きわめて重要なものなんですね。ですから、それが戦後三十数年、もと自分の土地であったものに小作料を払って——また政府自身が、悠々と小作料をいままで取っていたということも、私は政治的、道義的に非常に問題があると思う。そのことについては長官並びに政務次官に、ぜひ最後に確認をしていきたいわけです。  そういう状況の中で、沖繩が米国の施政権下という特殊な状態でなかったのであるならば、戦後間もなく、そういう土地は関係者に優先的に当然払い下げられていたであろうと私は思っているわけです。しかし、二十七年間特殊な状態の中にあって、そういうこともできなかったのかもしれませんけれども、復帰後五年になる今日、まだそういう状態が続いているということ自体に私は問題があると思います。あの戦争の中で、ああいう状態で協力をしたという状況を踏まえて、ぜひ総務長官のお考えをお聞かせをいただきたい、このように思います。
  160. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 おっしゃいますことは、よく理解できますので、そういう方向に進めていきたいということを先ほどから申し上げておるわけでございます。  先ほど大蔵省の国有財産第二課長が申し上げましたように、もうすでに農林省と話し合いに入っておるということでございますので、いまのような特殊な事情につきましても、これを勘案するよに、沖繩開発庁長官といたしまして農林省、大蔵省の方とよく話し合いをいたしたいと思います。
  161. 玉城栄一

    玉城委員 ぜひ積極的に推進をしていただきたいことを強く要望をいたしまして、質問を終わります。
  162. 芳賀貢

  163. 原茂

    ○原(茂)委員 きょうは勲章の問題を主にお伺いしますが、その前に二、三、総務長官もおいでになるうちにお伺いします。  最初に、元従軍看護婦の恩給問題をお尋ねしたいのですが、あの戦争当時、救援看護婦として従軍した者が約三万三千いたわけであります。そのうちの二千百五十人が看護婦長という立場で従軍をし、戦争が終わりましてから帰国した後、この看護婦長なる者で国家公務員に当たる職についた者だけが、その従軍当時の年限も加算されて、現在恩給をもらえる対象者になっている。一般の三万三千に及んでいる従軍看護婦は、何らこの措置を受けていない。看護婦長も、いま申し上げたように、公務員としての職についている者だけが恩給対象になっているという現状です。  いまのお話ではありませんが、全く兵士、軍属その他と同じような大変な苦労を女性として、あの戦争中やってきたのにもかかわらず、今日相当逼迫した生活の中で、何ら他の軍人などと同じような恩給制度の恩恵を受けていないこの女性たちを、そのまま放置しては気の毒ではないかというたてまえから、ぜひ何らかの方法によって、しかも年限、期間等が受給の資格要件になっていますが、女性であることも考え、これらの制限、資格等に関しても特別の勘案をした上で、何らか恩給制度の適用を受けられるようにすべきではないかと思うのですが、この点、いままで検討はされていると思いますが、長官からお考えを承りたいと思います。
  164. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 恩給局長でございますが、事務的な方から少しくお答えを申し上げたいと思います。  いま先生がいろいろ御指摘になったことは、そのとうりなのでございますが、ただ一つ、一般の看護婦さんでございましても、その方が公務員になられた場合には、共済組合の方で年限が達しておりますれば、それを通算をして出すようにいたしております。ですから、一般の看護婦さんが公務員になった場合には、全然出ないということはないので、その資格がある方については恩給と同じような計算をいたしてやっております。  それから基本的な問題として、看護婦長を含めてでございますけれども、そういう方々が後に公務員にならない場合の御指摘があったわけでございますが、この問題は大変むずかしい問題がございます。と申しますのは、恩給というのは非常に古い歴史を持った制度でございまして、これを現在恩給制度で救うということになると、いろいろのことがあると思いますけれども、百年の歴史を持った恩給制度というものは、官吏という身分を持った者に対する、そういう公務員に対する退職した場合の年金でございますので、そういう意味から申しますと、いま御指摘の従軍看護婦さんは軍属でございまして、その軍属の方、傭人相当の方でございますけれども、そういう方々のうち、国立あるいは県立等の病院にお勤めにならない、要するに公務員期間を全く持たない場合に、その方にも恩給の枠を適用するかという、大変むずかしい基本的な問題がございます。  それからもう一つは、これはバランス論かもしれませんが、戦地で御苦労されたことは、よくわかりますけれども、そういう方々のほかにも、まだ飛行場建設であるとか、その他の船舶運営であるとか、そういう軍属の方々もあるわけで、その中で看護婦さんの方々が一番御苦労がひどかったのじゃないかという感じはするわけでございますけれども、そういう恩給制度のたてまえからいって、なかなかむずかしい。さりとて、この方々が非常に御苦労されたということは私たちも十分わかりますので、恩給制度の枠の中で何とか救える道がないだろうかということを、いま鋭意検討しているところでございます。恩給制度という枠が、そういうふうに非常にかたいからを持っておりますので、その場合には恩給という名前がつかなくても、あるいは何らかの年金制度なり、その他の処置でできる道があるのではないかということも含めまして、現在検討を続けているところでございます。
  165. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 いま恩給局長が申し上げましたとおりでございますが、従軍看護婦の方々が、兵士同様に赤紙のごときもので召集されて第一線で活躍をされ、しかも、それが官吏でないということで恩給の枠内に入らない、かようなことは非常に遺憾なことだと思います。それで、実は恩給の外で、枠外で救済の道はないかということで、いろいろ研究もいたしておりますし、そのためだけの調査費ではございませんが、そのほかの目的もあって調査費もつけまして、その調査費の一環で、現在研究もいたしておるところでございます。
  166. 原茂

    ○原(茂)委員 局長でいいですが、いつごろ、めどがつきそうですか。
  167. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 非常に基本的な問題をはらんでおりますので、いつまでというふうなことは申せませんが、先ほど長官からも御答弁がございましたように、調査費という中で、これは看護婦さんだけではございませんけれども、恩給公務員の範囲あるいは通算の問題、そのほかにもいろいろ問題が出ておりますので、その中で、できるだけ早く結論を得るように勉強してまいりたいと思います。
  168. 原茂

    ○原(茂)委員 これは長官に言うのですが、いつも言うのですが、仕事をするのに、いつまでにという一応のめどなしで仕事をさせておくなんて、ばかな話はないのですね。民間の会社なんかで、そんなばかなことをしたら、やっていけませんよ。変更することはあっても、必ずめどというものを設定して、作業は進めていかなければだめですね。全然ませなしで、いつまで行ったって、五年でも十年でも構わないような態度で仕事をさせる仕事のさせ方というのは、これは長官、責任者として問題がありますね。  各省そうですが、いつも言うのですけれども、やはり一応のめどというものは置いて作業をするというようなことは、これからの行政の改むべき重大な点じゃないですか。何の仕事を聞いても、とにかくいつということは言えないけれども、鋭意努力をいたします、鋭意努力をして一応の目標はここだ、ここまでには結論を出すつもりでやっていますというふうにならなかったら、絶対に仕事なんというものは合理的に進まないと私は思うのですが、どうですか、長官
  169. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 おっしゃることも、議会答弁の常套語ではないかという意味だと思うのでございますが、いまの問題に関しましては、先ほどもちょっと恩給局長が申しましたが、従軍看護婦の方が本当に第一線で御苦労になったことは、よくわかるのですけれども、他の軍属、軍の雇傭人というふうな波及、関連するところが非常に大きいわけであります。そうかといって、大変お気の毒でございますから、何とか救済いたしたいというふうな問題がございますので、本来ならば調査費もついていることですから、ことしいっぱいで調査、研究をいたしまして、来年度予算から、こう申し上げたいところでございますが、そういう波及、関連するところが、これは実に大きいのです。何十万という人々、他の軍属、軍の雇傭人の方々に波及、関連してまいりますから、実は苦慮しておるのは、そこを苦慮しているのです。ですから、恩給の外で救済するといたしましても、そのような波及、関連がございますし、恩給のうちに入れるということになりますと、恩給の原則を変えていかなかればならないということにもなってまいる。そうなると、これはまた別な意味の波及、関連が大いに生じてくるというようなことで苦心をいたしておるところでございますから、そこで、いま恩給局長は苦しいところで、はっきりしたことを申し上げなかったと思うのです。  いわゆる常套語として使っている意味ではございませんで、本当に苦しいところがあるのです。なるたけ早くやりたいと思いますが、しからば、ことしいっぱいで必ずやります、こうも言えないような波及、関連の大きなところがあるものですから、その点は御了解願いたいと思うのです。
  170. 原茂

    ○原(茂)委員 常套語には違いないのだけれども、そういう場合の仕事の仕方というものは、やはり過去の経験に照らして波及するところが非常に大きい。だから、ことしいっぱいと思ったが、来年いっぱいだ、めどは来年に置こう、大変だけれども、そこまでにやろうじゃないかというような仕事の仕方というものが、いつでも正しいと思うのです。  これ以上言ったって、議会というところは、そういうものだということを、もう二十五年いやというほど知りましたが、いつかこんな態度は改めなければいかぬと思いますね。こんな非能率な、しかも目標なしに、期限の設定なしに仕事をしていくなんというばかなことを、いつまでもやるべきじゃない。  とにかく、これからということならば、これ以上、細かくいろいろ申し上げても仕方がないと思うので、その点は、ぜひひとつ鋭意結論を早く出してもらうように、私からも希望しておきたいと思います。  それから恩給で、もう一点お伺いをしたいのですが、恩給の出発当初からそうでしたが、今日ずいぶん是正はされてきていますが、まだ大分かつての将官、佐官と、召集されて、いやだ、いやだといって引っ張っていかれたような者、普通の兵隊ですな、職業軍人として高給をはんで、同じ国家のために奉仕するにしても、そのことを職業としていたこの将官といわれる人々と、あとから徴兵で召集で引っ張っていかれたような兵といわれる者たち、この間にまだ相当の差があるのです。その差を、もうちょっと早く縮めるというようなことをしてもらいたいという声が非常に多いのですよ。努力はしていると思います。だんだんにやっていることはわかっています。詰まってはきていますが、まだまだこれじゃ不十分だというので、この差をどこまで縮めるというのは、いまの話じゃないけれども、言えないと思いますが、年々その差を詰めるように、従来の傾向をなるべく早めて、その差をなくしていくようにしていくというような方針で今後も取り組みますかどうか、局長でもいいです。
  171. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 先生御指摘のとおり、軍人恩給で申しますれば、非常に位の高く長く行った方と、召集の方々との問題だと思います。  そこで、いま簡単に数字を申し上げますと、終戦当時でございますと、大将と兵の仮定俸給の差は十六倍ぐらいでございましたけれども、どんどん詰めまして、現在は六倍程度になっております。そのほかに、最低保障とかなんとかをやっておりますので、実質的には六倍というよりも、もっと狭まっているのが実情でございます。今後といえども低額恩給の是正というのは、私たちの大きな題目の一つでございますので、低額の恩給をできるだけ是正してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  172. 原茂

    ○原(茂)委員 目標も、パーセントも、もちろん今後にかかっているんでしょうから、それ以上追及しませんが、できるだけ、いままでの傾向を早めて、つぶしていくように、やはりすべきだと思うのですね。論理的に言ったって、少しおかしいのですからね。五倍も三倍もの違いがあることは、どうかと思う。それじゃ、それはそういうふうに努力をしていただく。  それから、勲章についてお伺いしたいのですが、この間、不幸なことに勲章を通じて青野さんなる係長さんなどを中心にした事件がございました。こういったことについて、おたくの、きょうおいでになっている川村さんが、これは一つのあだ花だよといったようなことを、新聞で見ると、大変フランクに割り切ってお話しになっていたのですが、要するに、当然多少は咲く乱れ咲き、こんなあだ花は仕方がないという、新聞記事で見るような、そういうお考えで、いまでもおいでですか。
  173. 川村皓章

    ○川村政府委員 賞勲局長でございます。  お答えを申し上げますが、先般、朝日新聞に記事が出た点での御質問と思いますが、私は、決してあれはあってならない事柄でございまして、決してその叙勲の過程において、当然咲くものという意識で、それを申し上げたつもりではございません。  なお、この点につきましては、あの事件が全体の栄典の受章者のために災いした点の方が、むしろ多かろうというふうに認識をいたしておりまして、その点は今後におきまして、いろいろ是正措置を講ずべく、目下準備をしている最中でございます。
  174. 原茂

    ○原(茂)委員 ああいうことに対する対策としては、これはあなたがおっしゃったことですが、各省の担当者を集めて厳重に注意をすることが一つと、それから、そのほかには各省庁の、いわゆる担当の係員に対して抜き打ち的に行って調査をして、そしてこの種のことが起きないようにしよう、この二つのことを、あの中で結論的には、今後の対策としてはおっしゃったようですが、この二つで今後この種のことが起きないようにしていこうというお考えですか。
  175. 川村皓章

    ○川村政府委員 お答え申し上げます。  新聞記事でございますので、私が答えたことが、そっくり正確に実は出ているわけではないということを御前提にお置きをいただきたいと存じますが、いま考えております問題は、むしろ一番大きい問題は、栄典の事務に携わる者の心構えなり、心すべきことの点の方が一番重要かと思っております。この点は、むしろ大変公平無私にやるという気持ちがなければ、何事もいけないわけでございまして、その点の一つのあらわれとして、仮に、大変おめでたいことではございますけれども、お祝いの席には、関係した者は出ないというようなところまで、あえて言っておりますのも、その一つのあらわれでございまして、そういう意味の心構えが第一かと思います。  それから第二番目の問題というのは、それぞれ制度が持っている固有の問題としまして、各省にある程度の目標数を実際に事務的な過程として流しておりますので、これが多少権利化しているというような問題もあるのではなかろうか。そういたしました場合に、これは私どもとしては、省全体としてのラウンドナンバーで実際には渡しておりまして、決してその局が幾らであるとか、極端に言うと、課が幾らであるというようなことは言った覚えはございませんし、そういうことではございませんけれども、末端の方では、やはりこれを固定化して、その員数はそろえなければならぬというような意識が仮に働くとするならば、その辺にも問題があるのではなかろうか。その辺の事務的な流れの問題として、いろいろ注意すべき問題が第二点と思っております。
  176. 原茂

    ○原(茂)委員 それから、いま私が言ったことに直接お答えがなかったのですが、各省の担当している部署に対して抜き打ち的に調査をするというようなことは、実際上おできになるのですか。
  177. 川村皓章

    ○川村政府委員 現在のところ、抜き打ち検査みたいなことは、準備をいたしておりません。
  178. 原茂

    ○原(茂)委員 そのことができるのですか、できないのですかをお聞きしているのですよ。
  179. 川村皓章

    ○川村政府委員 そのような必要をこちらが認めた場合には、やってできないことはございません。
  180. 原茂

    ○原(茂)委員 この種の問題の担当の係が各省庁にある。その省庁に対して、抜き打ち的に調査をするというのが実際にできますかね。賞勲局がそれをやろうと考えたら、やってできないことはないというのですが、できるものでしょうか。いままで、各省庁間でもそういうことをやっていますかね。
  181. 川村皓章

    ○川村政府委員 先生の御質問の意味で、たまたま新聞記事の点からの御質問でございますので、多少仮定の議論になりますが、何も受章者本人のところに行って一々取り調べるというような意味での抜き打ち検査ということなら、そういうことは、いままで現実にやっておりませんし、そこまでは私は適当と思っておりません。  しかしながら、実際に私どもがいままでの各種の勲章の審査をいたす場合に、記録等の場合で時期が切迫したような場合に、どうしても不確かな事実が記載されているような場合がございます。そのときには、そこの実際提出しましたところまで、われわれが問い合わせに行って、一々その中をもう少し詳細にいたせとか、この辺は、われわれは理解できないとか、そういう点での、いわば調査に出かけたことはございます。そういうことを新聞記者の方が、ああいう書き方で書かれてしまったものですから、そういう意味で大変疑義を生じたことかと存じます。
  182. 原茂

    ○原(茂)委員 そうでしょうね。あの新聞で、われわれが受け取るような抜き打ち調査を、汚職が再び起きないようにという前提で調査をするなんということは、なかなかできないような仕組みになっているように私は思いますから、川村さんは、それができると言ったような記事なんで、これは何新聞か知りませんが、じゃ新聞というのは、相当信用できないものだということになるのですが、どうも私は大分リラックスして、あんなことをおっしゃったのじゃないかなと思って、なるほどこれは大胆なことを言っていいなと思って読んでいたのですから、新聞が間違っておるかどうか知りませんが、別に悪い意味じゃないのです。  それで、いまのようなこともひっくるめて考えてみて、どうなんでしょうか。各省庁でそういうものを分担してやらせるというのも、それが汚職を起こすようなことになるからという意味じゃないのですが、めったにないことで、そんなことはあだ花どころか、今後は咲かないと思いますが、しかし、一元化する意味で、一カ所でこのことを全部やるということは、むずかしいものなんですか。賞勲局一カ所で、そういう部局をつくって、おやりになるというようなことができないものかどうか、それが一つ。  それから、やはりあの記事の中でおっしゃっていたように思うのですが、どうも受章者の数は四千人が限度だろう、まあ人的な能力から言っても、あるいは製造能力から言っても、四千人くらいを受章させるのが数では升だ。で、そのことに対する調査をしたり審査をしたりすること、その受け持ちの川村さんたちの人数から言っても、やはり四千人というのが升だ、こういうようなことを言っているのですが、これも間違いですかね。二つお答えください。
  183. 川村皓章

    ○川村政府委員 お答え申し上げます。  まず最初に、員数の点が四千名だと出ていた点であります。まあ新聞記事は決して全部がうそだとは申し上げないのでございますけれども、別にあそこにあった一問一答だけ答えたわけでは決してございませんので、実際には三十分くらいいろいろ聞かれて、あとは適当に、まとめは向こうで行われたというかっこうでございます。ですから、仮に四千名の問題にしても、本来勲章の栄に当たられる方というのは、厳密に言うと、あらかじめ数を限定してかかるということが果たしていいかどうか、私はむしろ数があらかじめはじけるものではないと思っております。しかしながら、今度は現実の問題として事務を運ぶ立場からまいりますと、仮に受章者が決まった場合に、勲章の製造能力もやはり考えておかなければならないし、現実に私どものところで審査をしたときに、その審査に要する時間なり、職員の数なりから現実的な割り出しは、現実にございます。  その意味で、五十二年度は予算上は年間八千人、そういうふうに予算上ついておりますので、現実にそれに基づいて勲章の用意もし、それから審査もしていくという意味で四千人が現実です、こう答えたつもりでございます。ですから、四千人に基づいて、わが方も作業計画を組むわけでございます。その意味で四千人と答えたというふうに御了承いただければ幸いと思います。  それから、一カ所でできないかという問題につきましては、本来、栄典の事務の所掌は賞勲局で行っております。しかしながら、実際に各界各層にわたっての候補者をいわば発掘するという問題、これは実は簡単でございまして、なかなかむずかしい仕事でございます。その点で、最終的には、私どもが事務の責任としては集中した審査をいたしますけれども、候補者の発見という問題では、いわば各省にお手伝いをお願いするというかっこうになっておるわけでございます。それから同時に、これは先生も御存じと思いますが、受章者は自分で自分の功績をつくるというわけでございませんので、現実にその方の御功績を書面にする意味での功績調書というのは、実際どなたがおつくりになるかという問題がいろいろございます。そういう事務的に現実に運ぶ面から、各省にいろいろ発掘をお願いし、候補者の御推薦をお願いしという形でやっておるわけでございます。  仮に、それを賞勲局で全部、全国の発掘から最終審査までやってしまえということになると、やはり現在の機構なりあるいは人員なりの多少の手当てをしないと、現実には動いていかないんじゃないかというふうに思っているわけであります。
  184. 原茂

    ○原(茂)委員 一カ所ではむずかしい、発掘の作業というのは大変だ、なるほど大変かもしれません。ですから、今後もいままでと同じように、各省庁に発掘の作業を依頼をするということであるなら、発掘の作業を依頼したたてまえというものは、周りにもわかるように、錯覚を起こさないように、けじめをぴちっとつけておかないと、いけないでしょうね、こういう問題がたまにでも起きるということは。  私は、そのことで一つ疑問があるので、もう一つ伺いしたいのは、位階勲等、その勲記勲等を、発掘されて皆さんが審議をして決定するときに、何らかの基準は置いてあるんでしょうね。何もなしで、最後は局長の決裁で、これはよし、これはだめということになるのか、あるいは基準というものが、ぴしっとあるのか。その基準が全然なしでやっていると、物差しなしでやるのですから、とてもむずかしいだろうと思うのですが、その基準があるのかどうか。  その基準というのは、われわれの目に入るものなのか。たとえば官界といいますか、皆さんの場合と、民間人といいますか、社長さんだ何だといういろんなその他の功労者があるわけですが、こういうような人々、二つに分けているのか幾つか分けているのか知りませんが、何かの基準というものは、ぴしっと置いてあるのかどうか。その基準があるかないか答えていただいて、あるとするなら、その内規みたいな、規定みたいな、これに当たったときには、これに相当するというような規定、あるいは法規上の何かを次の物差しとして置いてあるのかどうか。それが二つ目。  それから、最後にお決めになろうとするときに、非常にむずかしい問題があるかもしれません。人数が多過ぎる場合があるかもしれません。何かの場合で人を、最後に五人のうち、二人選ぶというようなときになったら、その最後の決定をされるのは、どこの部署の人が決定をされることに内規上、法規上なっているのか。三つに分けて先にお答えください。
  185. 川村皓章

    ○川村政府委員 お答え申し上げます。  最初に、いま先生の御質問の中で、前提に位階勲等とおっしゃいましたが、いま、位階の問題というのは、先生十分御存じのように、これは位階令というもので、これは亡くなった場合でございますので、これはさておきます。  そこで次は、勲等の問題ということになろうかと思います。  叙勲の基準については、現実には勲一等とか勲二等とかいうものでございまして、やはり叙勲の公平を期する意味で、昭和三十九年四月二十一日の閣議決定で叙勲基準というのを明らかにいたしております。これは大変長いものになりますので、ここで一々申し上げることは適当かどうかと思いますけれども、この叙勲基準は、おのずから基準として明記をいたしてございます。  ただ、この基準について、この基準さえあれば、直ちに各個人がすべて決まってしまうかという問題については、そうではございませんで、この基準に照らして、各人の受章については個々に勲等を決めていくという作業は、それぞれ功績調書により、その中身に照らして進めていくわけでございます。その事務が、いわば審査事務でございまして、賞勲局が事務として行っているわけでございます。  第二点として、たしか、それでは官界と、それから民間との関係を伺っておられたかと存じますが、この点については、官界なりあるいは政界なりというようなものは、国家功労に比較的直接的に仕事をしている職業柄でございますので、いわば端的にその年数等が、その規定として大変有効になってまいりますので、比較的わかりやすい基準になっております。それに対しまして、民間のお仕事というのは千差万別でございまして、それがゆえに民間の中で、国家功労にどの程度の大きさ、それから期間としてはどのくらいというような見方がなかなか細かくて、一律の基準には、なかなかしがたいわけでございます。そこで基準としては、民間の方は比較的大まかになっておりまして、この中にも民間の場合は書いてございますけれども、具体的な基準と個々のものを決めていく際の、いわば距離的なものといいますか、それは多少官界等に比べて距離が大きいと申しますか、そういう点はございます。  ただ、この場合も、問題はこれを正当に評価するという問題と同時に、等しからざるを憂うという問題もございますので、基準に照らし、比較的公正にこのことが行われるように私どもは努めるわけでございます。  最後に、人数で、仮に五人いた場合に、それを二人にするような権限は、だれが持っているんだ、こういう端的な御質問であったかと存じますが、人数の問題は、したがいまして最終的にお決めいただくのは、憲法の七条にございますように、栄典は内閣の助言によって、これを陛下が授与するかっこうになっておりますので、いわば内閣の責任で、その人数が決まるということになるわけでございます。ただし、この事務の実際の流れの面では、この辺が大変食い違うといけないということで、あらかじめ各省庁に目標数みたいなもののラウンドナンバーで示しておるというのは、大まかに言って、その数が変わらないようにという意味で目標数を示しております。ラウンドナンバーという意味は、たとえば百二十一というふうに一けたまで刻んでいるんじゃなくて、大体百五十ぐらいとか百二十ぐらい、そういうふうに丸めているという意味でございます。ですから、今度は返ってくる方も、候補者で御推薦願う方も、それが百二十一名だったら一名切るぞというふうなことは、そこではやっておらないわけでございます。  大体その近くの数がこちらに返ってまいりまして、それで個々の審査が開始をされます。審査をやっていく途中におきまして、いわば犯歴等の関係がありまして、端的に言うと、落ちてしまう方がございます。これはもう落ちっぱなしでございます。それから、審査の途中で御不幸にしてなくなられる方も、もちろん死亡叙勲に回してしまいますから、その意味では落ちます。あとの方については、それぞれ勲等が決められるというかっこうになりますので、いまの五人の場合に、二人にするというようなケースは、現実には起こらないように事務を運んでおるわけでございます。
  186. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、二つ目の質問の中に、ぼくが言ったような基準になるものを、みんなが見ることはできるのですか。
  187. 川村皓章

    ○川村政府委員 先ほど三十九年の閣議決定と申し上げまして、これはどなたでも見ることができます。
  188. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、民間であろうと官界であろうと、その基準というものがあって、その基準というものは、われわれが両方とも見ることができる。そうすると、お出しいただけるんですね。資料で要求すれば。
  189. 川村皓章

    ○川村政府委員 もちろん提出をいたします。
  190. 原茂

    ○原(茂)委員 委員長にお願いしておきますが、じゃ、この基準なるものを一度資料として出していただくようにお願いしたい。  それからまた、いまの汚職に返るんですが、ああいうことが起こるもう一つの余地は、先ほど局長が言われたほかに、一応の割り当ての数みたいなものが、発掘をおまえのところで三十名にしろ、通産省で五十名だというように数を示しますね。ところが、数に満たない。三十名と言われたけれども十名しかいないというときに、あと何とかして、少し無理があっても三十名にしようという、その幅の中に、やはり多少何か結果的にはよくないと思われるような選考の仕方、引き上げ方というものができる余地が残ってくるんじゃないですかね。  たまたま三十と言ったときに三十五や三十六だったら、まだまだ削る方だからいいんでしょう。ところが、三十と言ったときに十か十五しかない。もう少し上げないと、割り当てを受けたのに、もったいないし、何とかして満杯にしようじゃないかと言って、そこで相当無理をして、数を今度は掘り出す作業をしたときに、いま言った、後から見てよくない結果が生まれる危険があるというのも原因じゃないですか。
  191. 川村皓章

    ○川村政府委員 先生のただいまの御指摘、決して御無理な議論だとは思っておりません。俗に言う、いわば員数合わせみたいな感覚の問題でございますが、現実に、先ほど申し上げましたように、私ども各省にラウンドナンバーで示しまして、それの数が少なく返ってくるのも現実にはございます。そのときに、その員数までいっぱい持ってこいというようなことは言った覚えもございませんし、それ以内であれば、私どもはそこにおいてやっておりますので、じゃ、そのおそれが末端において全然ないかという問題については、これからその辺の趣旨の問題も、私どもは注意をする問題の一つと意識はいたしておりますが、現実に、いままでの運用におきましては、全部幅いっぱいに持ってきたわけではございませんので、あらかじめその辺を持ってきた際に、幅いっぱいやったんじゃないかというふうなことは申しておりません。
  192. 原茂

    ○原(茂)委員 多分そういうふうに答弁するよりないと思うのですが、実際には相当無理に満杯にしようとして努力をしているのだろうと思うのです。やはりもう一つ突っかい棒の意味で、各省庁の発掘作業をやったその最後のリストをつくるときには、賞勲局もそうですが、各省庁においても選考委員会みたいなものをおつくりになって、そこに一応フィルターにかけるというようなことをやっているのかどうか知りませんが、そういうものは正式にありますか。
  193. 川村皓章

    ○川村政府委員 お答えいたします。  この辺の仕組みを先ほど詳しく申し上げなかった点は、後になりまして恐縮でございますが、まず、栄典に関する有識者会議というのを私ども持っております。必要がございましたら、このリストも提出をいたしますが、有識者十二名で構成をいたしております。  それで、まず、それぞれ春と秋の叙勲を開始するに当たりましては、どういう方針で、どういう分野を落とすことなく、大体どのくらいのという大まかな目標数で持ってきます。それから前までの叙勲の現状はこうなっております、そこで、この点で何か注意する点はございませんかというような点の会議が行われまして、これは具体的に申しますと、今週の九日の日でございますが、五十二年の秋のこの次やる栄典のために会議を開きました。そのようなことを最初に行いまして、実施要綱を全部決めるわけでございます。それから、それぞれ各省の段階の連絡に入るわけでございます。  それで先ほど申し上げました各省でのいわば推薦者がそろってきますと、これを賞勲局に出してまいります。その際に、各省においては、それぞれ官房の栄典部局が、その辺につきましてはいろいろ会議をされているということは承っております。  そこで、今度は賞勲局に参りますと、賞勲局は現在それぞれの担当者別、省庁別に、それぞれ担当の審査官がおりまして、いわば功績調査内容の欠落がないかどうか、さらにその中で、どういう功績を、どういう長さのものをということで審査表というかっこうにつくり直します。そこで功績事項を、いわば取り落としがないように、あるいはほかの省の問題にわたって御功績があるような場合がございますので、さらに別の省に、こういう分野にもあるかもしれませんというような問題についての問い合わせもいたします。それらを全部出しまして、それぞれ審査官という課長クラスのレベルで一回担当が集まりまして、大まかな審査の結果で勲等に間違いないかどうか見るわけでございます。その後で今度は私のところへ出てまいります。そうすると、今度は局のその省担当以外の審査官等を集めまして局議が開かれます。  ですから、これはむしろ等しからざるを憂うという立場の意味で担当外の者も出て、一つの問題で審査をいたします。ここで大体事務的に整理いたしましたものを、漸次総理府の機構に従って総務長官まで上げます。それで個別に説明をいたします。それが今度、総務長官まで終わりますと、官房長官総務長官、法制局長官という三長官会議というものに、この中身を御説明をいたします。もちろん個々ケースでございます。それで、そこで御了承をいただき、さらにその後で総理に御列席をいただきまして、総理に説明をいたしまして、それを決める、こういう段階で審査を行っております。
  194. 原茂

    ○原(茂)委員 賞勲局を中心にした手続はわかるのです。それでいいと思うのですが、各省庁の発掘した者をリストにするときに、各省庁別に選考委員会みたいなものを置いてあるのかどうかというのは、どうですか。それはあるのですか。
  195. 川村皓章

    ○川村政府委員 先生は恐らく何か——仮に通産省の例であれば、その通産省の関係の学識経験者なんかが集まって、その候補者について、これは適当、不適当というような審査をやっているかどうかという点につきましては、私ども寡聞にして詳細まで実は存じておりませんが、それぞれ省の責任において、中の会議において選考しているやに聞いております。
  196. 原茂

    ○原(茂)委員 局長が知らないなんということで、発掘作業を依頼した各省庁が、そんな選考委員会を持っているのかどうかというのがわかっていない。いまはっきり答弁されたのですが、私は規定上そういうものをやはりつくって、そのフィルターにかけてからリストが出てくるようにすべきだと思いますが、長官どうですか。そのくらいのことを何かこういう機会にやるべきじゃないか。それは長官にお答えいただくのだが、それからもう一つ。  文化勲章その他も、扱いとしては賞勲局が一手にやるというようなことはできないですか。
  197. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 各省庁でそういう選考委員会をつくっているかどうか、実は私もつまびらかにしておらなかったのですが、おっしゃいますように、つくった方がベターであることは、もう間違いございませんので、こういう問題を契機といたしまして、つくるように努めてみたいと思います。
  198. 川村皓章

    ○川村政府委員 次に、文化勲章の御質問でございますが、現在文化勲章は、文部省におきまして、文部大臣の諮問機関たる——文化勲章の年金をつける問題が別途ございまして、これは憲法十四条の関係で年金が別途になっておりますが、この審査委員会の議が行われた際に、あわせて文化勲章の候補者も選択していただくというかっこうになっておりまして、そのある程度候補者が決まったものを賞勲局に事務的に持ってまいりまして、私どもから閣議に上げる、こういう形式をとっております。  それで、この一元化をしてやるという問題は、いわば大変取り組みやすい問題のように一見見えるわけでございますけれども、実際に文化功労者ないしは文化勲章の候補者というのは、大変な学術なり芸術の分野の造詣の深い方々でございまして、これらの専門的な、それぞれ造詣の深い問題を、いわば私どもが評価をするというのは大変むずかしいことなものですから、むしろその道の御専門家に御審査をいただいて、ある程度候補者を選んでいただくのも一つの方法かという意味で、現実にそういう形で事務が進められております。
  199. 原茂

    ○原(茂)委員 この問題に関連して、にせということはないけれども、民間で大分バッジみたいなもの、盾なんかで功労をあらわすような、しかも何によっては何万円というようなことで、何とか会社がまがわしいものを売っているのですね。それを御存じですか。
  200. 川村皓章

    ○川村政府委員 この点につきましては、たしか二月だったかと記憶をいたしますが、何か大阪の方で、これは実際にある元宮様を頭に担いでいるかどうかというところは真偽はわかりませんが、新聞に、功一等みたいな功一級だか勲何等だかわからぬような意味での、何か盾みたいなものを会員制度で、金を納めると、それが何か等級が上がるというような新聞記事を見たことはございます。
  201. 原茂

    ○原(茂)委員 その会社のそれは、まだ続いていますか。
  202. 川村皓章

    ○川村政府委員 この点につきましては、その後の問題としては私ども追っておりません。
  203. 原茂

    ○原(茂)委員 これはおっしゃるとおり大阪なんですが、名称は日本経営功労者顕彰委員会。民間団体が金で勲章みたいなものを出すのですよ。こういうものが出回り始めている、金で売っている、非常に紛らわしいものが出されているというのを、おおよそ大阪でやっているらしいが、そんなもの、内容聞いたことも見たこともないような返事をしているのですが、そんなことでいいですか。それほど、こんなものはどうなってもいいものですか。  たとえば、いまこれからこの種の会社というか団体が、勲一等と全く紛らわしい勲章を売り出すというようなことがあっても意に介さないですか。まるで歯牙にもかけない態度で、どうも大阪あたりで、そんなことをやっているらしいというような態度で、一体国のほう賞制度の中心的な業務を預かっている賞勲局が、少なくとも自分に紛らわしい、似通ったものを商売としてやっているようなものがあらわれたときには、目くじら立てて調べて、できるだけそういった紛らわしいものを、少なくとも勲記、勲章を受ける人の名誉にかけても、そんな簡単に金でもって紛らわしいものが売買されることがないようにしなければと、考えませんか。全然平気ですか。これから勲二等の旭日章に似たようなものが十万円だよといって、もし売られてもいいですか。
  204. 川村皓章

    ○川村政府委員 この点は、私どもも実際には大変関心をもっておりまして、先生がただいまおっしゃったように、これは放置できないという問題のことは十分承知しているつもりでございます。ただし、これは大変むずかしい問題が背景にございまして、仮にいまの勲章と、一般で比較的手の込んだバッジとは、どこのところで差をつけるのかとか、現在の勲章は、勲章まがいのものを佩用した場合に、それぞれ適用すべき法規を持っておりますけれども、仮に勲章でないものをつけた場合には、いわば、その取り締まりの根拠というような問題も大変薄弱でございます。  それから、新聞で見たということを申し上げたので、実はわが方が、その点について無関心というふうに先生おとりになったかもしれませんが、私どもはその意味では、これは決して望ましいことではないということは明瞭でございまして、その点でいろいろ関係方面連絡はとって、決してこれが、これ以上の問題にエスカレートしないようにということは、いろいろ気を使ったつもりでございます。  その意味で先生が、こういうものを無関心でいいのかという点は、私どもは決して無関心でいるだけではない。ただし、具体的にそれを手入れするなり、取り締まるということについては、その手段は比較的薄弱な問題があるということをお答えしたかったわけでございます。
  205. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、速記録をごらんになったらわかりますが、最初答弁なんかは、どう考えたって、大変軽い、そんなものは意に介してないという答弁でしたよ。いまは、そうでないという答弁があって、あたりまえだと思うのです。  そうすると、いろいろ苦労して、何とか方法がないものだろうかといって、あの法律、この法律などに照らし合わせて、いろいろ調査をされたということになると思うのです。その結果は、どうも適当な対策がない、しかし、今度は盾やバッジじゃなくて、もうちょっと似通ったものを、この連中はやろうと思えば合法的にできるのですから、手がないからといって、ほうっておくのか。そういうものが、いま現に出てきているのですから、それを何とかして取り締まるというか、実際にはそれが商売として運営できないような法規あるいは取り締まり規則なるものを大至急に、新たに工夫をしてつくってでも、いわゆる勲章その他の権威というものを守るということが、国の立場で必要じゃないでしょうか。  手がないからといって、ここにもいろいろ調べたものがございますが、どの法規からいっても、どうもうまくいかない、何もいかない、表彰法でいくのか何でいくのかというようなことをいろいろ調べても、どうもうまくいかない。本当の勲一等のにせ物だというものを佩用したら、あるいはそれを登記の手続でもしてきたら、冗談じゃないといって、とめることができるんだけれども、どうも現在の状態では適切に取り締まる法規がない、そこまでこないと取り締まれないというようなことで引っ込んじゃったままでいていいのか。そうならば、いまの法規のいわゆる準用をどういう形でやるとか、新たに取り締まり規則をつくるとかというので、少なくともこの勲章その他の権威を守るという義務があるわけですから、これ以上賀陽宮が——元の賀陽さんなどが名前を出したり、奈良県知事が名前を出したりやっています、ということになっているのですが、これがもし、もうちょっと突っ込んで、つくって十万円だ、二十万円で売ったって、現在のままでは取り締まりのしようがないのだということになることはわかっているのですから、一歩進んで、こういう紛らわしいものに対して、それができないような何かを積極的につくろうと考え、研究をし、何らかの方策を立てない限り、私はこれをほうっておくと、もう一歩進んでいく心配があると思いますよ。これをこのままほうっておいたら、もっと大胆なものがいっぱい商売にありますよ。  だから、ただ現在の法規じゃやりようがないのだ、現在あの程度で彼らがやっている限りは、どの法律を調べてもちょっと適用しないのだ、だからしようがないのだというのじゃなくて、やはりあなた方が苦心して勲章などを与えておられる以上は、その勲章に対する権威を守るためにも、目の色を変えて積極的に前向きでこれを取り締まるという法規あるいは何らかの手当てを講ずべきだと思うのですが、いかがですか。
  206. 藤田正明

    ○藤田国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、そういうふうな研究、努力をしと、こう申し上げますと、先ほどのように常套的な答弁ではないかとおっしゃいますが、ことしいっぱいに、そういうふうな紛らわしいものを何らかの取り締まりができるように措置をとりたいと思います。次の叙勲が十一月の三日でございますから、それまでには何とかそういうふうな処置をとりたい、かように思います。
  207. 原茂

    ○原(茂)委員 だから、さっき言ったことも常套手段じゃないのだ、いまの答弁を見ろという意気込みでしたが、大変結構ですが、私は、ぜひ早くやるべきだと思います。  勲章問題は、これで時間の関係で終わりますが、最後に、海上保安庁においでいただいているのですが、先ほども質問したのですが、いなかったので的確なお答えをいただかなかったのですが、現在ソ連艦船が漁業であろうと、あるいは科学的な視察であろうと、監視であろうと、あるいは艦船そのものの訓練であろうと構いませんが、日本の近海、取り巻いている海、周辺の海において、いまたとえば銚子沖ソ連母船団が漁をしていますが、そういったような、どこにどんなものがということを、始終海上保安庁ではキャッチしているのかどうか。しているとすれば、いまの主なソ連艦船日本沿海における動きというものを例示的に三つ四つ報告といいますか、知らしていただきたい。
  208. 甚目進

    ○甚目説明員 海上保安庁におきましては、平時巡視船艇、航空機をもちまして沿岸水域の巡視警戒をいたしております。それで先生御指摘のように、ただいまソ連漁船団銚子沖でかなりな隻数操業しておりまして、私どもの把握におきましては、大体多いときで百隻程度見かけております。それから艦船につきましては、私どもは余り多数は把握しておりませんが、情報をいただきますれば、可能な限り、その行動の状況につきまして監視いたしております。特にその間におきまして、国内法令に触れないのですが、無害でないというような状況につきましては、その中止の要求をいたしますし、国内法に触れておるというものにつきましては、法に基づきまして適正に対処する、こういうことで対処しております。
  209. 原茂

    ○原(茂)委員 海上保安庁なんかあったって、余りはっきりしないのですね。日本の周りに、ずっとソ連艦艇だとか漁船団がどの程度動いているか、情報を提供してもらえば監視しますといま言いましたね。自発的に全部つかめないのですか。それが一つ。  それから、いままでに注意をして、おまえこんなことをしてはいけない、ここへ入ったのは来過ぎだとか言って注意をして追い返したり、あるいは何らかの規制をしたりということがあるのか。  その次、ちょうどソ連日本漁船の拿捕をしているのと同じように、やはりこれから三海里が十二海里になる、それを侵したようなときには拿捕しますか。拿捕した経験なんかは、いままでにないでしょうね、きっと。その三つ答えてください。
  210. 甚目進

    ○甚目説明員 お答えします。  先ほども申しましたように、巡視警戒をいたしておりますので、私どもで見かけるものにつきましては、私どもも即時対応いたしますが、よそからのいただきました情報につきましても、可能な限り迅速に対処する、こういうことでしております。  それから、わが国の周辺海域におきましては、無害でない行為をしております船を、私どもの把握におきまして、昭和五十一年におきましては二百六十九隻認めております。(原(茂)委員ソ連船」と呼ぶ)いえ、これはソ連ばかりではございません。そのうち、ソ連は四隻でございます。無害でないといま申しておりますが、俗に言います領海侵犯に当たるというふうに御理解願ってよろしいかと思います。この無害でない行為の大多数のものは、台湾の漁船が沖繩県の周辺海域で、わが領海内で操業などいたすものでございます。  それから、このうち海上保安庁が検挙いたしたものは、台湾船につきましては一隻三名を検挙しております。それから韓国船につきましては二隻検挙をいたしております。  以上でございます。
  211. 原茂

    ○原(茂)委員 ソ連のはないのですか。
  212. 甚目進

    ○甚目説明員 ソ連のはございません。
  213. 原茂

    ○原(茂)委員 注意して追っ払ったのもないのですね。
  214. 甚目進

    ○甚目説明員 ソ連につきましては、先ほど申しましたように、四隻の船がいわゆる無害でない行為をしているのを現認いたしまして、その行為の中止を求めまして、領海外へ退去を求めて、その退去の実情を確認しております。
  215. 原茂

    ○原(茂)委員 最後に、もう一つお聞きしたいのです。  日本の沿岸、領海を含めて全部、これに対して、どこが一体完全に把握しているのですか、そういった状況を。海上保安庁も常時何かやっていますが、ほかから知らしてもらったものを含めてというのは、自衛隊か何か知りませんが、何かで把握するのですか。外国船の領海の侵犯、あるいはこれからも起きるでしょうが、不当な漁獲、そういうものに対する監視が常時日本の沿岸でぴしっとできるというのは、日本では、その方法はないのですか。いまの御答弁を聞いていると、すき間だらけのような感じがするのです。
  216. 甚目進

    ○甚目説明員 私どもの方では、三百十隻の巡視船艇と三十四機の航空機をもちまして巡視警戒をいたしております。私どもの主たる対象としておりますのは、無害でない行為のものを対象としておりまして、全部でどうかという点につきましては、おのずから限界がございます。したがって、私どもの手の及ばない、目の届かないところにつきましては、先生御指摘ございましたように、自衛隊の方からの協力も得て情報をもらうか、あるいは一般船舶の方からも情報をいただきまして、可能な限り対処をしておる、こういう状態でございます。
  217. 原茂

    ○原(茂)委員 なるほど頼りないですね。もうちょっと何とかしなければならないですね。  これで終わります。
  218. 芳賀貢

    芳賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十一分散会