○原(茂)
委員 私の趣旨に沿って配慮しながらと言っても、その配慮が、いまの法規上なかなかできない。それでついに警官に過失がなかった場合には、やむを得ないというので泣き寝入りをさせられているという者に対して、国家賠償の精神に のっとっても、この種のものに、やはりきちっとしたけじめをつけることをしないと、警察官の取り締まりがおろそかになるおそれがあると思いますから、時間の関係上これ以上申しませんが、この点は、ぜひ十分な検討をしていただいて、どういうふうに変わってきたのか、変えようとしているのかを、結論が出たら、また私並びに
委員長にも
報告してもらいたい。
それから、前回に引き続きまして、軍人林の問題についてお伺いしたい。
二月二十三日だと思いますが、
会計検査院所管のときに、アウトラインどころか相当の質問を申し上げ、そうして、その資料の要求もしてまいりました。幸いに資料は出されましたが、これは後ほど申し上げますが、大事なところが資料として十分にこたえていない。したがって、もう一度資料の要求をします。
ここで、先ほども
大臣とちょっと話したのですが、なかなか歴史の古い大変な問題なので、よくのみ込めないだろうと思いますが、この間、現地の視察を実はやってまいりました。視察をしたときに、この記念会の趣旨に反対をする側の十一カ村の入会権を守ろうという方々の陳情も受けました。その人々から、記念会をボスがもうけようとして、こんなことをやっているのだ、その手先になって原が動かされているのだというような、きわめて厳しい文書まで私はもらいまして、これじゃ問題の解決ができないだろうなと感じました。
相異なる立場のものがある場合、その二つを同時に解決することは不可能だと思います。特に今度の軍人林の場合はとてもじゃありませんが、ああいった考え方と、そうでない考え方と同時解決は不可能である。特に入会権を守ろうといっても、入会権に関しては国も県も否定をして今日に至った。したがって、演習場として賃貸借が行われて使われているという状態でございますから、同時に問題の解決は不可能だろうと思います。かといって、入会権を一方的に否定をされて泣き寝入りをせよということも、ちょっとそこに何か矛盾があるように思いますので、入会権は非常に大事な問題でありますから、この問題に関する配慮、あるいはその結果、どうするかという手当て等に関しては、やはり別途に考えるべきだと思います。私も別途に考えていきたいと考えます。
きょうは前回に続きまして、この記念会の借りている軍人林の四十四ヘクタールについて質問をしたいと思うのですが、概略を申し上げた方がいいと思いますから、もう一度簡単に申し上げます。
この件は、明治の御料林から、やがて恩賜林となりまして、
昭和二十四年、
米軍の北富士演習場に接収をされるようになりました。
昭和四十八年からは、自衛隊が使用するようになりました。その間、演習場面積が大幅に減少いたしまして、民有地の大部分はすでに返還になりましたが、県有地は、ほとんどそのまま演習場となっているのが現状であります。記念会の借りております五十二ヘクタールも、そのうち八ヘクタールは、すでに返還されまして、四十四ヘクタールが演習場の中に入って、今日使用されているというのが、いわゆる置かれている軍人林の所在であります。
前回も問題にしましたが、県の行政財産である部分林あるいは県の施業地、これは県が県会なり恩賜林組合と話し合って承認を得て合意を得た上で、国に使用許可を与えることは可能だし、それが現に行われています。
問題になるのは普通財産、すなわち貸し地の部分です。この四十四ヘクタールも民有財産であり、貸し地なんでありますが、この契約期限は五十六年で切れるようになっています。従来も、ずっと更新してまいりましたから、今後のことはどうなるかわかりませんが、当然更新しなければいけませんが、とにかく一応いまは、五十六年で契約期限が来るという状態になっております。現在、記念会などいわゆる借地権者の同意をとって県が代行して国との契約者になっている。県は代行者であります。そういう方法で今日までずっとやってまいりました。
ところが不思議なことに、記念会など借地権者は、これまで一度も同意書というようなものを県や組合に出した覚えがない。この点が一つの問題であります。いわゆる利用権者の同意を正式に書面によってもらっていないままに、県と恩賜林組合とが、ある種の権利を主張して、国から払われる相当額のうちから半分以上のものを、自分たちの手数料みたいに取り上げているということが、問題の核心なんであります。また、契約内容や国からの借地料などが、どういうものであるという
報告を一遍も受けたことがないのであります。利用権者に全然
報告していない。こういうことも今日まで見逃されてきた事実であります。
やがて最近になりまして、これに記念会が気がついた。おかしいじゃないかというので、再三にわたって防衛
施設庁あるいは県、恩賜林組合に、一体どういう
金額で国からおり、それが幾らで県へ、県から組合へは幾らでという数値を示してもらいたいというので、再三にわたって、その明示をする要求をしたのですが、明瞭にこれを示していただけないで今日に至りました。
ついに私が、ほかのことからこれを知りまして、前回取り上げるようになったわけであります。どう考えても常識上の不正だと考えて、その不正を排除し、正しい形に戻すことが政治の本務でございますから、当然のこととして、このことに手をつけ始めた動機は、そこであります。同時に
会計検査院に対しても、何とかしてというので審査請求をいたしましたが、これも明瞭な、これを解明するだけの答えを得られないまま今日に至っている。前回に申し上げたとおりであります。
いま申し上げたように、半分以上のものを県や恩賜林組合が取っちゃう。実際の利用権者である、借地権者である記念会というものは、約一五%程度しかもらっていない現状というのは、常識上考えても、あるいは他の建物がある、家を借りている、あるいは土地を借りて家を建てるといったような借地権というものとの比例をいたしましても、まさにもう非常識も非常識も、考えられないような状態の、俗に地元ではピンはねと言われているものが、そのまままかり通って今日に至ったわけであります。
しかし、ただ理由なしにまかり通るわけじゃない。県には県のとるべき根拠があるだろうというので調べてみますと、法的根拠というのは、ほとんど見当たらない。県が約五一%取り上げるんですが、その法的根拠というのは、ほとんど幾ら調べても出てこない。これは前回の資料要求のときに、この点がはっきりするようにというのでお願いをしたのですが、満足な資料を出していただいてない。では、何を根拠にやっているんだろうというので調べてみますと、過去の歴史的な経緯と慣例による行政
措置なんだ、こう言うんであります。慣例も大事ですし、あるいは歴史的な経過というものも大事には違いないのですが、それがほかに何らの根拠もなしに、ただ県なら県が勝手に決めた、いわゆる過去の歴史的な経緯と慣例による行政
措置なんだというだけで、それがまかり通るようなことがありますと、かつての大名時代の政治と何ら変わらない。大変なことだと思うのですが、これが一つの大きな問題。
しかも県は、記念会などから借地料を毎年取っている。借地料を逆に取っている、貸しているんだから。だから記念会は借地料を払っている。その上に、県林務部の答弁によりますと、貸し地の賃貸料、
交付金について次のように言っている。地代相当額を取り、残り
金額を地元に
交付する、そうしてきたんだ、こう言うんであります。地代とは言わない。地代相当額を取り、そして残った
金額を地元に
交付しているんだよ。これだけしか明瞭な答えが得られないで、今日に至りました。まさに、われわれが考えると借地料の二重取り、ダブルパンチ、こういうことを県がやっているとしか思えないのであります。
さて、恩賜林組合の方の、いわゆるピンはねと言われている、その手数料みたいなものを取る根拠は一体何だろう。これを調べるのに大変な苦労をしましたが、県の資料をようやくひもといてみますと、四十九
年度分として県から恩賜林組合に渡された貸し地部分の借地料の
交付金、これを具体的に調べる以外にありませんからやってみますと、国からの賃貸料
交付金は、部分林、県の施業地という富士の山頂に至るまでの、あの壮大な土地をひっくるめて県からの
交付金総額を、それを割りまして、そうしてべらぼうに安い単価を出して、坪当たり幾らという
計算のもとに支払いをしている。
しかもその上に、四十六年からは、特に手数料条例なるものを恩賜林組合がつくった。恩賜林組合というのは、一部
事務組合という法的な根拠もあると思いますから、こういった条例をつくることは可能だと思います。四十六年に、その条例をつくりました。その条例によりますと、国から
交付された賃貸料から手数料を三〇%の範囲内で徴収することができると決めた。それを実行に
移して四十六年以来、今日に至っている。
本件において、さらに問題なのは、これは
会計検査院は特に聞いておいてもらいたいんですが、記念会が五十一年五月三十一日に、組合から受け取った賃貸料
交付金、これは五十
年度分。五十一年五月三十一日に、組合から受け取ったその賃貸料
交付金というのは五十
年度分。いいですか、五十
年度分だと言って支給してきたんです。国と県から払われましたそれが、四十九
年度分と実はなっていることを発見いたしました。国と県からは四十九
年度分だと言って渡されている。にもかかわらず、五十一年五月三十一日に、これは五十
年度分だよと言って組合から記念会へ払われた。
すなわち、国、県と恩賜林組合では、一
年度ずれている。これも大きな問題であります。この四十九
年度分を防衛
施設庁が県に払ったのは、五十年四月二十五日なんです。県が組合に払ったのは、五十年の五月二十八日であります。恩賜林組合へ払ったのは、五十年五月二十八日であります。それが記念会に払われたのが五十一年五月三十一日なんです、いま申し上げたように。明瞭にずれはおわかりだと思います。
またその上に、国から県に対して五十
年度分は、すでに五十年の八月二十八日に支払われていることがわかりました。国からの五十
年度分というのは、すでに五十年の八月二十八日に、県へ支払われている。にもかかわらず、一年以上経過している時点でも、記念会は組合から支払いを受けていない。当然その間利息もつくはずだが、一体それがどうなっているのか、どうなるのか、もちろん不明だし、答えは得られません。
記念会などの組合からの借地料というものは、組合を通して県に払っているのが、今日までのずっとしきたりであります。これには、いろいろな事情があって、そうなりました。現在それを認めて、国も、県も、組合も、記念会も、その慣例に従って金銭の授受を行っている。記念会の借地料というものは、年額九万九千八百六十七円払っているんです、記念会が今度は組合に。組合から県に払う。いわゆる記念会自身は、自分は借りているんだというので、借地料を払っているんですね。いま考えると、ずいぶん安いような
金額ですが、とにもかくにも九万九千八百六十七円年額払っている。
ところが、そのうち県に入っているのは、どのくらいだろう、組合から。これを調べてみますと、六万七千五十八円しか払っていない。恩賜林組合は県に対して六万七千五十八円だけしか払っていない。つまり記念会は、組合によって借地料の約四七%を勝手に組合の取り分だとして水増しして請求をされたそれを、組合に払って今日に至った。一体この四七%が何の理由で取られたものか、それが妥当なのかどうか、非常に問題のあるところであります。
当然これに対する不当な分け前を、一日も早く直して返してもらいたいという要求を記念会が出して、いま地元民が結束して、皆さんに対しても、その正当な解決に対する、あるいは不当に取られてきた今日までのものを返してもらおうじゃないかという運動、今後は是正して正当なものを記念会に払ってもらおうではないかという考えになって、いま国会でも論じられるような問題になったというのが今日までの経過であります。
そこで、いまどういう状態が周りにあるかと言いますと、ある意味では恩賜林組合は高圧的な、私が行っても大変な決議文を突きつけるような状態、これには入会権というものを不当に無視されている、否定されたという、解決しなければならない問題があることは前段に申し上げたとおり。これは別途にやらなければいけないと思います。何らかの方法で解決をすべきだと思いますが、とにかく何か恩賜林組合というのも、ある意味ではいたけだかになって、記念会におどしをかけるような、圧力をかけるような状態での、いわゆる対立の状態が恩賜林組合との間には起きてしまいました。
県はどうか。県はだんまりであります。何を言っても答えない。真相は何一つ知らせてもらえない。前回の
委員会で皆さんにもお願いをし、いろいろ調査して、こういう資料を要求しましたが、当然これにも満足な答えが出てこない。県に対してはほとんど手がつかない。防衛
施設庁は一体どうだ。一目でわかるような、インチキとは言いませんが、われわれが見て、こんなものではしようがないという資料を平気で出してくるにとどまっている。逆に悪く言えば、何らかの意図をもって、どちらかに偏って、われわれをごまかそうとしているような意図すら、勘ぐってみれば勘ぐれるような状態としか受け取れない回答しか出ないという状態が現状であります。
そこで記念会では、国費が正当に支払われていないからというので、先ほど言ったように、
会計検査院に対する審査請求を行った。これに対しても、前回にも満足なお答えがありませんでした。では、その後よく調べていただくということで、きょうはある程度の
会計検査院からの答弁がいただけると思いますが、これもいままでのところ、満足な審査請求に対する答えを出していない。五十二年、ことしの三月末、国と県との契約更改の時期が来ていると思うのですが、一体今日防衛
施設庁は、県との間に五十二年三月末、
年度末における契約更改に対してどのようにしているかは、きょういまお答えをいただきたいと思いますが、万が一利用権者等に対して、いままでと同じような状態で、県、組合、記念会という状態が、そのままの形で放置されているそのことに問題があることは知っているのですから、それに手を触れずに、ただ契約は更新しましたというようなことになりますと、相当の問題だと思いますし、新たに問題が起きているその最中に契約を更新するなら、その問題に対して一体どういう見解を持ち、どういう手当てをし、日本の国民同士が相争うような、しかも長い間むだな時間と体力を消耗して、現地に行ってみるとわかりますが、大変な苦労をお互いがしている。このむだをそのままにしておきながら、何年もたっている。
五十二年三月末、
年度末において同じような契約を更改したというなら、一体どういう確信があってやったのか、あわせてお聞きをしたいし、また今後どうしようと決意をされて契約更改をしているのかを、ここでまず第一に明瞭にしていただきたいと思います。
そこで、ついでに申し上げますが、一体どの程度ピンはねといわれる状態が行われているのかを数字でちょっと申し上げてみます。四十九
年度に国の
交付額に対して県のとった率は五一・九一%、約五二%であります。それから国の
交付額に対して恩賜林組合がとった率はどのくらいか、三二・三六%であります。したがって残り、記念会、利用権者が実際に手取りとした額はどのぐらいかというと一五・七三%、一五%強であります。五十
年度、第一が五二・九二%、県のピンはねはまたぐっと多くなった。組合の方は三一・七三%、四十九
年度よりちょっと減ってまいりました。したがって残りが、記念会へ入りましたのが一五・三五%であります。これは私どもなりに、全部一括一単位として、あの広大な土地を単価
計算をしているんだという防衛
施設庁の答えに従って
計算をすると、こういう数字が出てくるということを申し上げたわけであります。
そこで、何回も言うのは大変ですから、いままでの、これがどういうことなのかというのを、もっとくだいて申し上げでみますと、だれがだれということを言いませんが、たとえば甲と乙とが、土地をはさんで長い間賃貸借という形式で使用していたという場合の、甲とはいわゆる記念会であり、それから乙とは組合であり、丙とは国であります。記念会と組合と、県と国を一つにしたものが、一つの土地をはさんで、いまのような争いを続けてきた場合における平たく言ったときの考え方はどうなるのだろう。
いままでるる申し上げましたから、大体おわかりだと思いますが、たとえば賃貸借という形式で使用していたその土地、たまたま丙、たとえば防衛
施設庁はどんなに多くの金を出してもよいから、その土地を使用する必要に迫られたとしますと、そこで丙、いわゆる防衛
施設庁、国は、その金がだれのふところに入るべきだろうということを全然現在のところは考えずに、とにかく欲しい、演習場に金を使わなければいけないというので、それがどんなに多額であろうとも、
施設庁の場合には金を出していく。その出された金は甲、すなわち記念会の土地使用が中絶させられる代償として支払いがされるお金なんです。したがって、その金が甲、記念会のふところに入るのは当然なんです。
ところが、その金が余り多額でありますから、何となくピンはねみたいなものが行われたように思います。しかし、丙がどんなに多くの金を出しても、国がどんなに多くの金を出しても、その土地を使用しなければならなかったから出した金なんですから、どんなに多く記念会、甲にそのお金が入ったって、運がいいといいますか、これはもう当然のことなんです。非常に常識より多過ぎるから、中に入って、だれかがピンはねしていいという理屈にはならないということは、おわかりだろうと思うのであります。
必要があれば、法的に根拠を挙げて、いまの不当であるということを申し上げることができますが、必要のない限り、それはいま省かせていただきます。
そこで、私がいま申し上げましたその経過の中で、特にこの資料に対して
委員長にも要求いたしますが、これでは不十分でございまして、大事なことがわからないという点で、新たに資料の再提出をお願いいたしたいと思いますが、これから、これを読み上げてみますから、その資料をぜひお出しいただくように、しかも緊急に出していただきたい。
要求資料の一は、「接収時より現在に至るまでの
年度別賃貸借契約書、使用許可書及び当該土地に対する関係権利者の同意を証する一切の書面」という要求をしたのに、
昭和四十六
年度以降についてしか提出していない。要求どおり直ちに再提出をしていただきたい。また、今回提出しなかったその理由も書き添えていただきたい。
要求資料の二は、「接収時から現在に至るまでの
年度別借地料、使用料及び支払い年月日」という要求であるのに、これも
昭和四十六
年度以降についてしか提出していない。したがって、要求どおりのものを直ちに再提出を求めるわけであります。
さらに、四十六
年度の備考欄に「四十六
年度まで一括処理」ということが書いてあるのですが、これはどういう意味なのかをあわせてお示しいただきたい。よくわかりません。
次に、私の方から出しました要求資料の七「接収時から現在に至るまでの
年度別借地料、借地面積、借地料支払い年月日及び平方メートル当たり単価」という要求に対して、これも
昭和四十六
年度以降についてしか提出していない。直ちに要求どおりのものを出していただき、いずれも出さなかった理由をひとつ明示していただきたい。
要求資料三は、「
昭和四十二
年度より現在に至るまでのいま申し上げた一の各財産に関する、平方メートル当たり平均単価及びその平均単価の基礎となっている林班別平方メートル当たり単価並びに当該林班の面積」という要求に対して、これも
昭和四十六
年度以降についてしか提出していない。したがって、再提出を求めます。
さらに、三の(注)に「普通財産、行政財産ともに、林班別には借料を算定していない。また行政財産については部分林・天然林別には借料を算定していない。」とあるが、これは、行政財産については国有地沿いの部分林も、富士山五合目沿いの天然林も、何ら区別なく一律に使用料を算定しているということなのかという大きな疑問が生じました。さらに、普通財産についても、同様山中湖側、新屋部落上、
吉田口登山道沿いといった地域の区別も、赤松、カラマツ、モミといった植栽木の区別、林地、原野等の区別もなく一律に借料を算定しているということにしか読めませんが、そうなのかどうかを明瞭に答えるようにお願いをしたい。もしそうじゃないということになるなら、行政財産についても、普通財産についても、その使用料、借料の割り出し根拠を具体的に、たとえば普通財産について言えば、平方メートル当たり年単価が何円の区域については、場所がどこで、面積は何ほどかというごとく明らかにするように求めるわけです。これがないと、実際には問題の核心に触れませんので、ぜひこれを出していただきたい。
五番目、要求資料四に対する提
出資料(注)一によりますと、「軍人林地区に係る土地は、富士
吉田市外二カ村恩賜県有財産保護組合が入り会いによる利用を認めている土地であって、」云々、「
貸し付けのための契約書はない」とあります。しかるに、同じ防衛
施設庁が瑞穂村日露戦役記念会に出した資料によりますと、「県有財産を恩賜林組合から転借している」と書いてある。また、
昭和三十二年十月二十六日付の恩賜林組合組合長大森直光、
昭和八年二月八日付同恩賜林組合長羽田治胤の記念会に対する証明書には、
貸し付けまたは転貸と、はっきり書いてあります。
さらに、恩賜林組合が記念会に出した「
昭和五十
年度分賃貸料
交付基準」なる文書にも「転貸地分」と記載され、
昭和四十六年三月八日付の同組合手数料条例第六条ただし書きにも演習場転貸料の文言が使用されているのであります。そして、記念会会長渡辺吉訓が恩賜林組合職員を私文書偽造で甲府地検に告訴した恩賜林組合作成の委任状にも、「恩賜県有財産転借地」となっております。
このように、防衛
施設庁は法理論上、全く相矛盾した資料を記念会と国会に提出していることになりますが、これははなはだしい国会侮辱といいますか、べっ視といいますか、許しがたいと思いますが、一体どちらの資料が正しいのか、要求どおり直ちに再提出を求めたいと思います。
もし、そのお答えが、入り会いに基づく利用であるという答えと、転貸借に基づく利用であるというふうにお答えがあるとするなら、その入り会いに基づく利用であるという第一の答えに対しては、それはどういうような調査の結果、そう判断したのか、その判断の基準の確たるものを示していただかなければいけないと思います。
県有地入り会いをがんとして否定し、部分林に対する国の借料の一部を恩賜林組合に
支出するのも、あくまで行政
措置であると言い切ってきた山梨県も、入り会い利用という
施設庁の判断に同意しているのかどうか、これもぜひお聞かせいただきたい。また、記念会の利用が「入り会い利用」であるとすれば、記念会の利用が「県有財産を恩賜林組合から転借している」という記念会への提出文書は、うそということになりますが、その
責任は一体だれがとるのか。二つ目の、転貸借に基づく利用であるという答えをもしお出しになるなら、それは国政調査権に基づく資料請求に虚偽の文書を出したことになるのですが、一体その
責任は、具体的にだれがどうとるのか、それもお聞かせをいただきたい。
六番目に、要求資料四は「瑞穂村日露戦役記念会の軍人林地区に関する、接収時より現在に至るまでの
年度別借地料、借地面積、借地料支払い年月日及び平方メートル当たり単価」を請求しているのに対して、提
出資料では、
昭和四十六年四月一日以降についてしか答えていないのは一体なぜか。
また、「県有普通財産十二林班のうち、いわゆる軍人林地区について、樹種カラマツとした場合の国の借料算定上の単価及び借料算定額は下表のとおり」として表が示されておりますが、これは答えを故意にそらしているとしか言いようがない。私の要求しているのは「樹種カラマツとした場合」どうであるかを聞いているのではない。軍人林にずばり何ほどの借地料が
支出されているのかを明らかにするよう要求しているのであります。しかし、仮に、この資料を要求に答えたものとして検討すれば、次のような不合理な点が出てくるのです。
たとえば、
昭和四十九
年度で見た場合、同表では年平方メートル当たり単価二円五十一銭、借料は百十万五千二百九十六円。しかるに、要求資料三に対する提
出資料では、同
年度の普通財産に対する年平方メートル当たり単価は四十六円四十八銭になっているのです。この単価で軍人林四十四万三百六十平方メートルの借料を算出しますと、実に二千四十六万七千九百三十二円八十銭となるわけです。同じ普通財産であるのに、このような格差が出てくるのはどういうわけか。軍人林の借料が平均借料の二十分の一とは一体どういうわけか。
さらに不思議なことに、国は借料算定額は約百十万円だと言っているのに、記念会は、県や恩賜林組合に地代相当額とか、手数料とか、全体のプール
計算とかで莫大な額をピンはねされたと言いながら、なおかつ現実には、国の借料算定額の約三倍以上の借料、すなわち三百二十一万九千三十一円六十銭を
昭和四十九
年度分として、恩賜林組合より受け取っているのである。これはどう考えても納得ができない。それどころか、記念会会長は、恩賜林組合がピンはねの道具に委任状を偽造したというので、同組合の職員を甲府地検に告訴するとともに、一方横浜防衛
施設局長に未払い借料ありとしてこれを請求、さらに
会計検査院に対しても、本件会計経理の是正を求めんとしているようでありますが、先ほど来申し上げているように、事はきわめて重大だと思います。
繰り返して言えば、こちらの要求しているのは、軍人林そのものに対し、国が接収以来、今日まで何ほどの借地料を支払っていたのかを求めているのであります。納得のいく
説明を、数字をもって具体的に明示されたいと思います。
次に、要求資料五の山中浅間神社有地に対する借地料等についてでありますが、防衛
施設庁は備考欄において「個人の財産に関することであり、相手方の了承が得られないので、借地面積及び借地料支払い年月日のみを提出する」として、借地料及び平方メートル当たり単価を明らかにすることを拒否しています。
それでは、山梨県作成の「北富士演習場問題の
概要」に記載されている山中浅間神社に対する借料は、防衛
施設庁が提供したのではなくて、山中浅間神社がその資料を提供したと解していいのかどうかも明瞭にお示しをいただきたい。また「相手方の了承が得られないので」という以上、山中浅間神社に交渉したと思いますが、いつ、だれが、どこで、どのような方法で、この山中浅間神社と交渉をしたのかも明らかにしていただきたい。
次に、国の借地料支払い額の
説明を国会が要求しても教えないということは、他に比較して余りにも高額であるために、問題になることを恐れるからではないのか、この点、
施設庁の見解を後でお示しいただきたいのですが、資料としても明示していただきたい。いずれにしても、憲法第六十二条、国会法百四条等の国政調査権に基づく資料請求に対し、「職務上の秘密」でもなければ「基本的人権を侵害」するおそれもない借料支払い額について、資料提出が拒否されるとすれば、本
決算委員会は一体何を
審議するのか。かかる防衛
施設庁の拒否理由が万一正当であるとすれば、予算で承認された借料であっても、それがどのように
支出されたか調査することもできなくなってしまうと思います。これはきわめて重大なことで、黙過することはできない。直ちに要求どおりの資料を再提出するように、厳重に要求をしたいと思います。
なお、今回、本
委員会要求の資料を、なぜ故意に出さなかったのかも、その法的根拠があるなら、それも書き添えていただきたいという、資料要求を、再度提出を願いたいと思いますが、
委員長において取り計らっていただくようにお願いをしたいと思います。