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森下委員 原子力の
平和利用の問題は、あと一問で終わりたいと思います。
実は、昨年の五月末に、NPT、いわゆる核防条約を国会で批准をしたわけでございます。自民党の一部と共産党が、これに反対をしたというようなことがございましたけれ
ども、この核防条約が調印されたときに、
日本がジュネーブにございます
世界軍縮
会議の一員に入りたいというようなことで、これに調印しないと、入れてやらないというようなことがあったと聞いておりますけれ
ども、そういういきさつで、自分の手かせ足かせをするような核防条約に入れられた。
私は、これは非常に不平等条約であって、
アメリカとかソ連だけが核をたくさん持ち得る、そして、できるだけ、ほかの国には持たさない、身勝手な条約でございますけれ
ども、
世界の百カ国近くが、もうすでにこれに入ってしまっておる。その裏には、やはり核防条約第四条の
原子力の
平和利用の発展は、締結国の奪い得ない権利であるということが書いてございまして、
平和利用のためには、むしろ協力するというような保障があるわけでございますけれ
ども、今回の
アメリカのやることは、まことに核防条約に違反をしているというふうに実は思うのです。
これだけではなしに、昨年の十月十四日に、もっとひどい事件が敦賀の
原子力発電所で発生しております。すなわち、英国の
核燃料公社専用船レーベンフィッシャーという船がございますけれ
ども、
日本が英国から
核燃料を入れておりまして、それを処理するために、結局英国に返す、そういう条件が入っておると思うのです。そういうことで、英国に委託をして再処理を行うために、この船に使用済みの
核燃料の積み込みをしておった。そのときに、米国の大使館から中止命令がかかって大変なことがあったように聞いております。何日か後には出航できたようでございますけれ
ども、ああいう状況を見ましたら、まだ
日本が
アメリカの占領下にあったのかというような感じさえしたわけでございます。
この核防条約の第四条の
考え方は、先ほど申しましたけれ
ども、
原子力の
平和利用は、加盟国の基本的権利であり、条約のいかなる条項も、この基本的権利に影響する解釈を行ってはならない、こういうことを考えましても、このレーベンフィッシャー号の事件は、米国の、条約第四条違反である。だから、
カーター大統領の再処理禁止も、
日本の
原子力平和利用の基本権利を侵害するものである。いろいろ
日本の再処
理事業が採算に合おうが合うまいが、これは
日本のやることでございまして、
アメリカのせっかいは御勘弁願いたい、このように実は思うわけでございまして、
福田総理が先般渡米したときも、この問題が非常に激論の種になった、争点になったように実は聞いております。
そういうことで、
原子力の
平和利用という問題は、将来の
日本の
産業に非常に大きな影響を及ぼします。国内で使用する分、また
知識集約型の商業製品として輸出する場合にも非常に障害がある、このように思っておりますので、この点、
日本型の安全な
軽水炉をつくっていただくことによる早期
開発、それと同時に
高速増殖炉に対する見直し、これを
一つお願いをいたしまして、次の問題に移りたいと思います。
次は、
海外援助の問題でございまして、先ほど
大臣から四十九
年度の歳入
歳出の
説明がございましたが、四十九
年度の
海外経済協力費の予算規模は、大体七十五億三千六百五十三万円余、こうなっておりますね。そのうちで、六十七億四千五百四十万円使っておる。この使途は、
日本貿易振興会の出
資金とか、
海外経済協力費の
補助金、こういうものが出ておるわけでございまして、やはり非常に高度成長してまいりました
日本といたしましては、
海外から資源を買いまして、これを加工して、
海外で買ってもらう。これで
日本という国は立っておるわけでございますから、
世界じゅうと仲よくしなければいけない。
だから、時によれば
海外援助という形で、ときには無償であったり、またときには有償であったり、また、ときには技術協力という形で、協力することによって、好意的に資源を分けていただける。南方あたりの木材なんかも、いままで乱伐いたしまして相手国から非常に苦情が来た。それから、これからは
開発輸入といいまして、向こうで植林するから切らしてくれ。植林費はこちらで全部持ちましょう。これも
一つの
開発、また援助の行き方でございます。
これは共存共栄の趣旨にのっとって、こういう金を惜しみなく効率的に使うことは当然でございます。中には、いろいろはっきりしないような投資もあるようでございますけれ
ども、きょうは、そういう問題に私は深く触れません。
その中で、中東地域は非常に雨の少ない砂漠の多いところでございまして、この地域をひとつ緑化しようというような
考え方が通産省に前々からございましたし、現にもう
補助事業としてそれをやっております。そして、これは非常に結構なことでございまして、非常に予算も少ないし、民間の協力も得ておるようでございますけれ
ども、こういうものは民間の協力よりも、むしろ国家
事業として進んでやるべきである、実はこのような
考え方を持っておるのです。
世界の陸地の四分の一は不毛の土地、砂漠だと言われております。その四分の一のうちの半分は、いわゆる熱帯砂漠でございまして、水さえあれば、すぐに緑ができる、ジャングルになるわけでございます。だから、ああいう中東のイランにしても、アラブ首長国にしても、リビアあたりにしても、サウジにしても、
石油はあるけれ
ども、残念ながらわれわれには緑がない、だから黒い水の
石油と引きかえに緑をいただけば、われわれは
石油はなくなってもいいのだ、そういうくらい、あのベドウィンである砂漠の民は緑に対する執念が非常に強うございます。いろいろ
石油をいただくためにお上手を言ったり、目先だけの
利益では、何千年もの間砂漠にしがみついて、しかも水を求めて生き抜いてきた民族にとっては、ちゃんちゃらおかしいという感じが私はすると思うのです。
そういう
海外援助というものは、相互扶助の精神にのっとって、やはり心と心のつながりがなくてはいけない。そういうところで一番ああいう砂漠の民の心をとらえるのは緑化
事業でないか。
日本なんかの緑化
事業は
一つの林政であるし、水資源という
一つの
政策問題でございますけれ
ども、砂漠の国の緑化というものは
一つの国土
計画でございます。その点、通産省の指導で現在やっております緑化のやり方につきまして、ちょっと私の
考え方は違うわけでございますけれ
ども、いわゆる農業と森林
政策を一緒にしているような感じが私はするのです。
農業でございますと、食糧
政策で、お米をつくるとか、ナスビをつくるとか、キュウリとか、トマトをつくる、これでございましたら、別にそこを
開発して農地をつくる必要はない。インドあたりで、効率のいいところでつくって飛行機で運んであげてもいいわけでございますけれ
ども、森林
政策、いわゆる砂漠を緑にするということは、その土地の風土を変える、そうして
国民の心までも温和に、豊かにしていく、いわゆる国土づくりでございますから、その後で農業が入ってくるわけです。たとえば、金をかけて森林をつくりますと、そこには、いままでの砂漠に腐植土ができる。いろいろな虫もつくし、小鳥も飛んでくる。潤いもできる、こういう順序で森林造成、いわゆる緑の造成というのは大きな国土
計画である。
私もそういうところの大統領、いわゆるルーラーにお会いしましたけれ
ども、彼らの言うのは、そういうことをひとつ
日本の技術でやってくださいという要望が非常に強いわけでございまして、そういう面には、ひとつ
海外協力、
海外援助を思い切ってやるべきである。社団法人の
日本沙漠開発協会には、通産省の方から
補助金が、微々たる
金額でございますけれ
ども、いっておりまして、これは主として農業
開発でございます。アブダビのアルアインというところに、五十ヘクタールばかりで現在やっておりますけれ
ども、これはこれとして、やはりそれを基盤にして、
フランスがやっておりますように、大規模な緑の造成を砂漠でやるべきである。そうして産油国の方々の心をとらえることによって、
日本にない
石油を分けていただく、これが私は
海外援助の本当の姿であるように思います。
イランでも、もうすでにやっております。リビアあたりでは、もうすでに関東平野ぐらいの大きな森林が人口造成されておるようでございます。これはもちろん
日本じゃなしに、
フランスかどこかがやったんだろうと思いますが、やはり
日本の森林技術、林業技術は非常に優秀でございますから、ひとつ通産省でも国策としてこの点に努力をしてもらいたい。そして
海外援助の実を上げていただきたい。そうして、
日本にない
エネルギーの確保のために全力を挙げていただきたい、このように要望いたします。
そこで、せっかく
参考人の
山口専務
理事さんがおいでになっておりますので、いまのアブダビでやられております、いわゆる
事業の進捗状況、将来の見通しですね、それについて簡単で結構でございますけれ
ども、御答弁を願えれば幸いだと思います。