○林(孝)
委員 いま御
説明がありましたけれども、この寄附行為の内容を見ますと、複写作業だけということではございません。「事業」として第五条に「登記、戸籍、供託の制度に関する啓発宣伝」「登記、戸籍、供託の制度に関する図書、印刷物の刊行頒布」「登記制度の運営に関してする謄写等の事業」これは三番目に入っている。四番目に「登記、戸籍、供託の運営に関与する者の福利厚生に関する事業」五番目に「その他前条の目的を達成するために必要な事業」と、非常に幅の広い事業ができることに、この寄附行為の中には明記されているわけですね。
いまの
説明を聞いておりますと、ただ複写だけだから大丈夫だ、そして今日まで問題が起こってないから大丈夫だ、こういうことに尽きるのではないかと思うのです。しかし、寄附行為で定められておる事業内容というものは、ただそれだけではなしに、いま指摘しましたように、五項目に分かれてきちっと明記されておる。そういう問題が事実指摘できるわけです。
と同時に、いま
説明のありました中に、
一つの大きな矛盾を
感じますのは、先ほどの会計法の二十九条、ここに定められてある文言から察することは、いわゆる随意契約を排除する方向というものが、この中にある、私はそういうふうに解釈をするわけです。もう
一つ、先ほど答弁の中にありました予算
決算会計令第九十九条の一号、ここにありますところの「国の行為を秘密にする必要がある」とい
うその内容、そういうときにおいて、どういう契約にすればいいかという判断ですね。
こういう会計法上の規定、それから予算
決算会計令第九十九条に見られる規定の内容、こういうものを見ますと、片方において秘密を守らなければならないという規制があり、そして実際この事業の内容を見ると、当然秘密に関する部分を知り得る立場にあって、かつ、それは公務員でもない、公人でもない立場の人、いわゆる民間人がつくっておる財団法人民事法務協会というのがその作業をしておる。それで、今日までよく守られておって、秘密が漏洩してないから大丈夫だ、だから、こういうものが存在してもいい、こういう事業が行われてもいいという結論をお持ちになっての
考え方なのか。
それとも厳密に、こういう業務については
法務省が定員法で定められております定員の枠の中で、あるいは定員が少ないというならば定員をふやして、あくまでも法務局としての独自の
仕事としてやる、そしてまた定員をふやすということが非常に困難な状態、いわゆる求人難とか言われるような、そうした状態であるとしたならば、そういう事業内容を近代化し、合理化するために機械設備等の面において改革を図るとか、そういうような方向でこういう業務をやっていくということが正しいのか。
いまの
法務省の行き方というものを伺っておりますと、そういう秘密に関する業務を民間の
一つの協会がやっておるけれども、別に問題は起こってないということで甘んじておる、こういうように私は見受けるわけですが、果たしてそういう行き方が適切な行き方なのかどうか。むしろ私は、少なくともいま申し上げました会計法の立法趣旨、また予算
決算会計令第九十九条の中身、また「国の行為」とい
うその
仕事の範囲の問題、こういうことから考えても、これは法務局の
仕事としてやるべきが当然ではないかと私は思うのです。
この点について答弁を願うわけですが、さらにもう
一つは、設立された時期の問題であります。冒頭に御答弁願ったように、
昭和四十六年に登記協会として発足して、五十年に名称を変更して現在の財団法人民事法務協会という形になっておるわけですが、この時期は過剰流動性の
時代を背景にして、いわゆる土地の売買、こうした行為が非常に多く行われ、登記業務も非常にふえた時期だと私は思うのです。その時期に、どうしても法務局で手が足りない、手が回らない、そういうところから、この財団法人民事法務協会をつくって、そこにその作業をさせようではないかということで生まれたものではないか、こういうふうに考えたりもするわけですけれども、前段のことに対する
考え方と、後段のいま指摘しましたことに対する
考え方をお伺いしたいと思います。