○
中村(重)
委員 大臣の
住宅政策に関しての考え方を聞かせていただきますが、具体的な問題は各
局長からお答えをしていただいて結構ですが、基本的な問題は
大臣からお答えをいただきます。
プレハブ
住宅というのは非常に評判が悪い。苦情続出だ。雨漏りがする、すき間から太陽の光が入ってくる。手直しをしてくれと言っても、金のかかるような手直しはやらない。どこにそういうことの原因があるんだろうか。これはメーカーがみずから
建設をするわけじゃないのです。下請に出す。下請に対するピンはねが多過ぎるということが一つ。もう一つは過当宣伝だと思うのです。宣伝費にいま物すごく金がかかっているのですね。そうしたことから肝心の
住宅に対して金を入れない。それで、下請に出している
単価を調べてみると、千三百五十万ぐらいの建物が大体八百万程度、一千万円程度の
住宅は六百万程度の価値しかないというような状態ですね。
これは政治に
関係がないということにはならない。
建設省と通産省がプレハブ
住宅の開発に対して、メーカーに開銀から融資あっせんをやっているのです。融資に対しては
審査を両省でやっているということなんだから、これはやはり国策
住宅ということで推進をしているわけです。国はみずから国策
住宅ということで推進してきたのだから、もっと責任を持って、そのように
需要家に迷惑をかけるといったようなことのないように対処していく必要があるだろう。下請に余り低い
単価で押しつけるものだから、労働者の十二時間労働なんかはざらにあるという
状況なんです。労働
基準法も何もあったものではないということですね。
これに対する
改善策というものを講ずるのではなくて、今度は新工法としてハウス55というものを、新しい
住宅システムということで開発をしていこう。五十一
年度には
建設、通産両省で二億二千万でしょう。今度の五十二
年度の
予算を見てみると、これまた四億六千万円という
予算を計上している。鉱工業技術研究組合法という法律に基づいて研究組合をつくらせ、これに国が委託をしたという形で金を流していこうというわけなんです。
どうしてそういうことをするのだろうかというので、いろいろ聞いてみると、現在の
住宅事情の中で、トータルな
住宅の生産供給システムを開発する必要がある、高度工業化された
住宅の供給システムを実現しなければならぬ。ところが現在の
資材高の中で、五十年
単価で百平米五百万円台、六百万以内、こういうことでしょう。だから、こういうふうな無理な
建設をするのだからという大義名分から、そのように
一般会計の中から、そのお金を出してやるということだろうと思うのですけれども、これをよくよく調べてみると、新日鉄と竹中グループ、ミサワホームグループ、清水
建設グループ、そしてこの研究組合の組合長は新日鉄の稲山さんだ、こういうことなんです。いろいろと大義名分をお立てになっているんだけれども、大企業に対して国が保護政策を推進していこうとする考え方、本音はそこらあたりにあるのじゃないか。
まず考えなければならないことは、国策として推進したプレハブ
住宅の
改善というようなことから、まず積極的に取り組んでいく必要があるということではないか。このハウス55を何で考えたんだ。いろいろ大企業の働きかけもあったようでありますが、一面また、プレハブ
住宅に対する刺激的なことも考えなければならぬということのようであります。
いま政府、
建設省が特に取り組まなければならないことは、こうした規格
住宅ということも、一面からは、これを否定するわけにもまいらないかもしれませんけれども、まずそれよりも、在来工法によるところの
住宅を、いかに近代化するかということに力点を置かなければならないんじゃないでしょうか。たくさんの大工さんや左官屋さん、それから木材業に対するハウス55の及ぼす影響というものは、はかり知れないものがある。ところが申しわけみたいに、今度
建設省は在来工法に対して四千万の
予算を計上しておるようであります。そういうことで何をやろうとしておるのだろうか。
ともかく日本人の生活様式というものは、やはり在来工法が一番ぴったりすると私は思う。しかし
住宅が非常に高く、マイホームの夢がなかなか実現をしていかないということに対して、国がいろいろな面から留意することを、私は否定するものではありません。ですけれども、余りにもそうした大企業の要求というものに耳を傾け過ぎて、そうした大工さんとか左官屋さんとか、そういう庶民の願いというものを軽視しておるという感じがしてなりません。
時間の
関係がありますから、こういうことでまとめて
意見も申し上げ、お答えをいただくわけでありますけれども、以上申し上げた点の基本的な考え方について、冒頭申し上げたように
大臣から、具体的なことについては
局長から、それぞれお答えをいただきます。