運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1977-02-23 第80回国会 衆議院 決算委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十二年二月二十三日(水曜日) 午前十時二十三分
開議
出席委員
委員長
芳賀
貢君
理事
天野 光晴君
理事
丹羽
久章
君
理事
葉梨 信行君
理事
森下
元晴
君
理事
北山
愛郎
君
理事
原 茂君
理事
林
孝矩
君
理事
塚本
三郎
君
井出一太郎
君 宇野 亨君 櫻内 義雄君 染谷 誠君 野田 卯一君 早川 崇君 村上 勇君
山崎武三郎
君 高田 富之君
馬場猪太郎
君
春田
重昭
君 安藤 巖君
永原
稔君
出席政府委員
大蔵省主計局次
長 松下 康雄君
委員外
の
出席者
経済企画庁調整
局経済協力
第一
課長
愛甲 次郎君
大蔵省理財局特
別
財産課長
松岡 宏君
会計検査院長
佐藤
三郎
君
会計検査院事務
総局次長
柴崎 敏郎君
会計検査院事務
総局
第一
局長
前田
泰男君
会計検査院事務
総局
第二
局長
高橋 保司君
会計検査院事務
総局
第三
局長
小沼 敬八君
会計検査院事務
総局
第四
局長
松田 賢一君
会計検査院事務
総局
第五
局長
東島
駿治
君
決算委員会調査
室長 黒田 能行君
—————————————
委員
の異動 二月十八日
辞任
補欠選任
春田
重昭
君
矢野絢也君
同日
辞任
補欠選任
矢野
絢也君
春田
重昭
君 同月十九日
辞任
補欠選任
春田
重昭
君
矢野
絢也君
同日
辞任
補欠選任
矢野
絢也君
春田
重昭
君 同月二十一日
辞任
補欠選任
春田
重昭
君
浅井
美幸
君 同日
辞任
補欠選任
浅井
美幸
君
春田
重昭
君 同月二十三日
辞任
補欠選任
西田
司君
山崎武三郎
君
山口
敏夫
君
永原
稔君 同日
辞任
補欠選任
山崎武三郎
君
西田
司君
永原
稔君
山口
敏夫
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
昭和
四十九年度
一般会計歳入歳出決算
昭和
四十九年度
特別会計歳入歳出決算
昭和
四十九年度
国税収納金整理資金受払計算書
昭和
四十九年度
政府関係機関決算書
昭和
四十九年度
国有財産増減
及び現在額総
計算
書
昭和
四十九年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
(
会計検査院所管
) ————◇—————
芳賀貢
1
○
芳賀委員長
これより
会議
を開きます。
昭和
四十九年度
決算外
二件を一括して議題といたします。 本日は、
会計検査院所管
について審査を行います。 まず、
会計検査院所管
について
概要
の
説明
を求めます。
佐藤会計検査院長
。
佐藤三郎
2
○
佐藤会計検査院長
昭和
四十九年度
会計検査院主管一般会計歳入決算並び
に
会計検査院所管一般会計歳出決算
につきまして、その大要を
説明
申し上げます。
会計検査院主管
の
歳入
につきましては、
予算額
六百四十一万余円に対しまして、
収納済歳入額
は、六百九十四万余円であり、差し引き五十二万余円の増加となっております。
収納済歳入額
の主なものは、
公務員宿舎貸付料等
の
国有財産貸し付け収入
六百五十八万余円であります。 次に、
会計検査院所管
の
歳出
につきましては、当初
予算額
四十一億五百六十万余円に
補正予算額
七億九千二百十四万余円を加えた
予算
現額四十八億九千七百七十五万余円に対しまして、
支出済歳出額
は、四十七億六千五百三十八万余円で、その
差額
一億三千二百三十六万余円を
不用額
といたしました。
支出済歳出額
のうち主なものは、
人件費
四十二億八千四百十六万余円、
検査旅費
二億六千二百二十八万余円、
施設整備費
三千八百九十万余円となっております。 以上、はなはだ簡単でございますが、
昭和
四十九年度における
会計検査院関係
の
決算
の
説明
を終わります。 よろしく御審議のほどお願いいたします。
芳賀貢
3
○
芳賀委員長
次に、
会計検査院当局
から
検査
の
概要説明
を求めます。
前田会計検査院
第一
局長
。
前田泰男
4
○
前田会計検査院説明員
昭和
四十九年度
会計検査院
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果、特に違法または不当と認めた
事項
はございません。 以上、簡単でございますが、
説明
を終わらせていただきます。
芳賀貢
5
○
芳賀委員長
この際、
昭和
四十九年度
決算検査報告
中、特に重要な
事項
について
会計検査院当局
から
説明
を求めます。
佐藤会計検査院長
。
佐藤三郎
6
○
佐藤会計検査院長
昭和
四十九年度
決算検査報告
に掲記した
事項
につきまして、その主な
事例
を御
説明
申し上げます。 まず、
不当事項
のうち、収入に関するものでは、
租税収入
に関するものが主たるものであります。 すなわち、麹町ほか百六十七税務署で
納税者
の
申告書
の
記載内容
に対する
調査
が十分でなかったり、
法令
の適用や税額の
計算
を誤ったり、
課税資料
の活用が
適確
でなかったりしたため、
所得税
、
法人税等
の税金の
徴収額
が不足しているものが
合計
で九億四千七百八万円、
徴収額
が過大になっていたものが
合計
で一億二千百七十九万円ありました。これらの過
不足額
につきましては、本院の注意によって、いずれも
徴収
あるいは還付の措置がとられております。 次いで、
支出
に関するものでは、まず、
工事
の
実施計画
及び
設計
並びに物品の
調達計画
が適切でなかったため、不
経済
になったものがあります。
一つ
は、
航空自衛隊
第三
補給処
において、
各種通信電子機器
の
電気波形
、
電気
の波長でございますが、
電気波形等
の観測に使用する
計測器
であります
オシロスコープ
という機械がございますが、これの
故障品
四十六台、約二千八百七十万円かけて
修理業者
に
修理
させておりました。 ところが、これらの
オシロスコープ
は三十六年から四十五年までの間に購入した
真空管使用
のものでありますが、近年では、その
オシロスコープ
も、テレビなどと同じように
真空管
でなくて、
トランジスタ使用
または
トランジスタ
、
集積回路併用
の、性能がすぐれている
新型式
のものが
開発
、市販されておりまして、その
価格
は
真空管
を使っているものより大幅に安くなっておりまして、
真空管式
のものの
修理価格
より安いこととなっております。
修理
を実施することなく、むしろ新しい型式のものを購入すれば、新品が購入できて、しかも、その
価格
も
修理
より約五百五十万円節約できたと認められるものであります。 もう
一つ
は、
農林省東海農政局青蓮寺開拓建設事業所
が
工事費
九百三十万円で実施した
農業用水たまり池
の
維持管理用道路
に設置する
擁壁工事
について
検査
いたしましたところ、
逆T字型構造
の
擁壁
は、自動車などによる路面の荷重を考慮しない
構造設計
となっておりました。しかし、この
道路
には
工事資材
の
搬入トラック
などが通行しますので、路面の荷重十トンを考慮した丈夫なものとしなければ破壊の危険が予想されますので、この
設計
では適切とは言えません。また、現実の仕上がりを見ましても、
擁壁
の一部分は、
コンクリート打設
の際、
設計
で定めた以上に水を増量したため、当初
設計
の強度よりさらに低いものとなっておりました。結局、
擁壁
に要しました
工事費
六百万円は、
工事
の目的を達していない不
経済
なものとなっていたものであります。 もう
一つ
は、
日本国有鉄道大阪工事局岡山工事事務所
、
広島新幹線工事局
、
下関工事局
、同
福岡工事事務所
が三十三億二千百二十七万円で実施いたしました
山陽新幹線岡山
−
博多間各所
の逆
L型防音壁工事
四十
工事
について
検査
いたしましたところ、
夜間作業
に必要な照明の臨時の
電源設備
を
工事費
三千百三十六万円で設置することとしておりますが、これら
工事個所
には、すでに
軌道保守作業
の
夜間照明用
の
電源
として五十メートルごとにコンセントが設置してありますので、請負人にこれを利用させるといたしますれば、臨時の
電源設備
は必要なく、約三千十万円が節約できたものであります。 次に、
工事費
の
積算
が適切でなかったため、
契約額
が
割り高
になったものがあります。 これは、
日本国有鉄道新幹線総局
が
工事費
六千八百六十八万円で実施いたしました
大阪運転所
の
事業用水設備改良工事
について
検査
いたしましたところ、
給水管等
の配管は
ネジ接合
を一部実施するほか、大半は
ビクトリック・ジョイント
による
接合
、あるいは
フランジ接合
の
方法
で
施工
することとなっておりますが、
配管布設費
の
見積計算
に
当たり
ましては、すべて
ネジ接合
による
作業能率
を
もと
にして費用を算定しておりました。 しかし、
ネジ接合
の場合は
ネジ切り
、
ネジ込み等
の複雑な
作業
を要するのでありますが、これに比べて
フランジ接合
は、管と管とを
接合
するとき、管の
端末部
に溶接した
フランジ同士
を突き合わせ、四本ないし十二本の
ボルト
で締めつける簡易な
方法
でやられますので、
作業
は簡単であり、また、
ビクトリック・ジョイント接合
は、管と管を
接合
するとき、
接合部
に溶接した
鉄リング
を
金属製
のカラー二個をはさんで二本の
ボルト
で締めつけるという
方法
で、これもまた非常に簡単な
作業
でございます。それで、
ネジ作業
による
作業能率
を
もと
にして
計算
しているのは適切でなく、このため、
契約額
が約千百二十万円高くなっているというものであります。 次に、
工事
の
施工
が
設計
と相違しているのに、これを容認して
工事費
を支払った
事例
があります。
日本国有鉄道下関工事局福岡工事事務所
が
工事費
十億三千二百五十四万円で契約した博多の
車両基地新設
に伴う周辺の
道路
及び水路のつけかえ
工事
のうち、四十九年度までに完成している部分の代価五億八千八万円を支払っておりますが、これについて
検査
いたしましたところ、
設計
では、
アスファルト舗装道路
について
路床土
を、
シャモット
と申しまして
ボタ山
の土でございますが、
シャモット
で厚さ六十センチに置きかえ、その上に
舗装体
として砕石、鉱滓、
アスファルトコンクリート
を七十センチの厚さで
施工
することとしていたのに、実際は六十センチのところを
シャモット平均
三十五センチでやっている、
舗装体
は七十センチのところを平均三十九センチでやっているというふうに、
設計
より大幅に不足し、しかも不均一に
施工
されていまして、
道路舗装
としての強度が著しく不足しておりまして、千六百六十八万円
相当分
の支払いが不当となっております。 このほかに、なお、在来の
水門取り壊し費用
の
計算
を誤っているなどのために、結局二千二百十万円が余分に支払われているものであります。 次に、
保険金等
の
支給
が適正でなかったものといたしましては、
労働省札幌
ほか百四十七
公共職業安定所
におきまして、
失業保険金
や
就職支度金
を
支給
するに当たって、
支給
の原因となる事実、つまり離職などについての
調査
が十分でなかったため、必要のない
支給
をしていたものが
合計
四千九百五万円ありました。 次に、
補助事業
の実施及び
経理
が適切でなかったものについて申し上げます。
一つ
は、
建設省
の
補助
を受けて都道府県や
市町村等
が実施しております
道路
、河川の新設、改良、
災害復旧
などの
公共事業関係
の
工事
について検討いたしましたところ、
工事
の
設計
が適切でなかったため完成した
護岸擁壁
が不安定なものとなっているもの、
計算
を誤って
工事量
を実際より多く計上したもの、練りまぜや
締め固め
が十分でない粗悪な
コンクリート
で
砂防堰堤
をつくるなど、不良な
工事
を
施工
していたものが十五件、
国庫補助金
にして三千二百六十四万円ございました。 もう
一つ
は、
公立小中学校
の
児童生徒
が急増した
市町村
が
公立小中学校用地
の取得に要する経費に充てるため
地方債
を起債した場合は、その
利子負担
を軽減するための
助成金
を自治省が交付しておりますが、取得した
用地
を幼稚園、
保育所
など、
生徒急増対策
の
学校用地
以外の用途に使用していたり、せっかく取得した
用地
を売却したり、
起債額
より低額で
用地
を取得し、その
起債額
の余剰の
資金
を他の用途に充てるなどしていて、助成の対象とすべきでないと認められるものに交付されているものが、十三の市で
国庫補助金
にして千七百八十二万円ございました。
支出
に関するものにつきましては、以上のほか、国の
会計職員
の
不正行為
に関するものがございます。 これは、
運輸省航海訓練所
の
会計課出納係長
として
小切手
の保管や交付などの
事務
に従事していた職員が、
債権者
の
預金口座
への振り込みをする際、架空の
預金口座
を起こして、そこに
小切手
を振り込んで引き出すという
方法
で、六千四百八十八万円を領得していたものであります。 この
不正行為発覚
後、
航海訓練所
では、正規の
債権者
に
未払い額
を支払っておりますが、その際に支払った
遅延利息
を含めますと、国の受けた損害は六千五百三十八万円になっております。 以上、
不当事項
の主なものについて御
説明
申し上げましたが、次に、
会計検査院法
第三十四条、三十六条の
規定
により
意見
を表示しまたは
処置
を
要求
した
事項
の主な
事例
について申し上げます。
会計検査院法
第三十四条の
規定
により、
会計経理
の是正、
改善
について
処置
を
要求
した
事項
のうち、まず
下水道工事
における
薬液注入費
の
積算
について申し上げますと、
建設省
の
補助
を受けて
下水道事業
を実施している
地方公共団体
では、
管渠布設個所等周辺
の
地盤強化
や
湧水防止
を図るための
薬液注入工事
を多数実施しておりますが、その
工事費
の
見積計算
に当たって、
薬液注入費
については
建設省
が定めた
標準注入量
一日
当たり
千八百リットルを基礎として算定しておりました。しかし、これらの
薬液注入工事
の
施工
の
実態
を
調査
したところ、いずれも一日
当たり
千八百リットルを相当上回る高い
能率
で
施工
されており、
建設省
が定めた標準を適用している各
地方公共団体
の
見積計算
は
割り高
なものとなっております。したがって、
建設省
で
施工
の
実態
を十分
調査
検討して、各
地方公共団体
の標準歩掛かりの内容を改正させ、
見積計算
の適正を期する必要があるというものでございます。 また、
日本国有鉄道
の
工事用品
の
準備要求等
について申し上げますと、
日本国有鉄道本社資材局
及び
北海道
ほか八
地方資材部
では、
昭和
四十八、四十九両年度中に、
車両改造
や
電気関係工事等特定
の
工事
の
資材
に充てるための
工事用品
を多数購入しておりますが、この
工事用品
の
準備要求
に当たって、それを使用する
工事
の規模や施行時期等を十分把握しないで
所要数量
を算定して購入したため、四十九年度中に使用されるに至らなかったものが
相当数
ございまして、このうち約五十一億円
相当分
は、五十年九月現在、五十年度中に使用される見込みが立っていない状況であります。しかも、これらの大部分は、
要求
した
工事
に限って使用される
特定用品
であるため、他の
工事
にそのまま転用することは困難なものでありました。 したがって、今後は、この
種工事用品
の
準備要求
に当たっては、
関係局所等
との連絡、調整を密にしまして、
当該工事
の施行時期、
規模等
を
適確
に把握するとともに、数量を
必要最少量
にとどめるよう配慮するなどして、
資金
の
効率的運用
を図る必要があるというものでございます。 次に、
会計検査院法
第三十六条の
規定
により、
法令
、制度、
行政
の
改善
に関して
意見
を表示したものについては、
多目的ダム建設事業
の
負担金
の
割合
に関するものがございます。 これは、
建設省
及び
北海道開発局
が施行しております治水、上水道、
電源開発
などの多
目的ダム
の
事業費
の
負担割合
については、
特定多目的ダム法等
の
関係法令
及びこれに基づく
建設省等関係行政機関
との協議に基づいて
ダムごと
に
計算
して決定することとなっておりますが、このうち、
電力会社
が
負担
する
電源開発分
の算定を見ますと、次に述べるとおり適切でなく、ひいて国が過大な
事業費
を
負担
する結果になっておりました。 すなわち、
電源開発分
の
負担割合
の
算定基礎
となっております
山元発電単価
は、
電気料金
の
算定基礎
となった九
電力会社
の
総括原価
を
基準
として算出することになっておりますが、現行の
山元発電単価
は四十年度の
総括原価
を
もと
にして算出したまま据え置かれていて、この
総括原価
は近年大幅に上昇しているのであります。それから、それにより適正な
山元発電単価
を定めるとすれば、
電源開発分
の
負担割合
は増加し、これに対応して国が
負担
する
治水分
の
負担割合
は減少することになるわけであります。したがって、速やかに
関係行政機関
と協議の上、
山元発電単価
を改定し、
事業費負担
の適正を期する必要があるというものでございます。 最後に、以上申し述べました
不当事項
、
意見
を表示しまたは
処置
を
要求
した
事項
のほかに、
検査
の結果、本院の注意により当局において
改善
の
処置
を講じたものについて、その主な
事例
を御
説明
いたします。 まず、
船舶所有権保存登記
の
登録免許税
に関するものであります。 これは、
法務省
では、
船舶所有権保存登記
の際には、
登記
時における
船舶
の
価格
に所定の税率を乗じて
計算
した
登録免許税
を課税することとなっておりますが、この
税額計算
の
もと
になる
船舶
の
価格
は、
登記事務
を担当するそれぞれの
法務局等
が本省の定めた
基準
に従って
計算
しておりました。しかし、この
基準
は十数年以上も前に改定されて以来そのままとなっていて、
コンテナ船
、カーフェリー、水中翼船など
トン当たり船価
の高い
新型船
があらわれ、しかも全体的に
船価
が著しく高騰している現在では、もはや
実情
に合わず、結局
登録免許税徴収額
が低額になっていると判断されたので、注意したところ、
法務省
では、
基準
を改定したというものでございます。 次に、
校舎等
新営
工事
における
鉄筋加工組み立て費
の
積算
に関するものがございます。 これは、
文部本省
及び筑波、
東京工業
、滋賀各大学が施行した
校舎等建築工事
において、次のとおり
工事費
の
見積計算
が適切でなかった点がありましたので注意したところ、文部省では
積算基準
を
実態
に合ったものに改めたものでございます。 すなわち、
鉄筋工事費
については、継ぎ手や端部の
フック加工
を必要とする
丸鋼
の場合を想定して
所要労務費
を
計算
していましたが、近年では、
異形棒鋼
が普及しておりまして、これは特に力がかかる
個所
以外は
フック加工
を必要としないので、
丸鋼
に比べて
加工度合い
が少ない、したがって、
労務費
も少なくて足りるというものでありまして、
本件
各
工事
の
設計
でも、これを採用しているものであるから、これを使用する場合の
労務費
を
計算
すべきであります。 また、
コンクリート打設費
については、時間
当たり
四十
立米
を処理できる
コンクリート
の
ポンプ車
を使用することとして
計算
していましたが、近年では、
ポンプ車
は五十
立米
から六十
立米
と大型の高
能率
のものが
一般
に使用されているものでありますから、
現場条件
、打設量に応じて、これら大型のものを使用することとして
積算
すべきであります。 最後に、
飼料用小麦
から生産するふすまの
歩どまり
に関するものについて申し上げます。
食糧庁
では、輸入した
飼料用小麦
をふすま六〇%を生産することを条件に
製粉業者
に売り渡しており、この
売り渡し価格
は生産されるふすまや
小麦粉
の
販売価格等
に基づいて決定されております。しかし最近では、従来の低品質の
飼料用小麦
の輸入が困難になり、
飼料用
にも
食糧用
と同品質の高価なものを充てているという事情もございまして、売り払い
価格
は
輸入価格
を大きく下回る状態になっておるのであります。このような状態を踏まえて考えれば、
飼料用小麦
について、ふすまの
生産条件
である
歩どまり
を多少下げて、つまり多少下げますと、今度ふすまより
販売価格
の高い
小麦粉
の
生産量
が逆に増加することになりますが、そうすることによって
飼料用小麦売り渡し価格
を高くし、国の
負担
を軽くすることを考慮すべきであると考えて注意したところ、
食糧庁
では、
飼料用小麦
のふすま
生産歩どまり
を五五%に下げることとしたのであります。 以上、まことに概括的ではございますが、
昭和
四十九年度
決算検査報告
に掲げましたもののうち、主な
事例
について申し述べました。 私
ども会計検査
の衝に当たるものといたしましては、以上のような
事例
が根絶し、適正な
会計経理
の執行が確保されんことを常に希求しているところであります。ましてや、近年の
国家財政
が
歳入欠陥
により、大量の
赤字国債
の発行を余儀なくされるに至っておりますとき、
経理
の
適正性
、国の
事業
、投資の有効かつ
経済性
に基づき、
検査
の
充実化
にますます努めねばならないと痛感いたしております。
決算委員各位
の御批判をちょうだいしつつ、今後とも懸命に期待される
検査
の道に専心いたす覚悟ではございますが、この際、せっかくの機会をお与えいただきましたので、私の所信を述べさせていただきました。
芳賀貢
7
○
芳賀委員長
これにて
説明
の聴取を終わります。
—————————————
芳賀貢
8
○
芳賀委員長
これより
質疑
に入ります。
質疑
の申し出がございますので、順次これを許します。
原茂
君。
原茂
9
○原(茂)
委員
三点についてお伺いしたいと思います。 最初に、
海外経済協力基金
の融資の中のソウルの
地下鉄借款
について。 これは
御存じ
のように、四十八年九月に当
決算委員会
におきまして、もう少し突っ込んだ
調査
をするようにという
要求
をいたしておきました。それに基づいて
調査
はしたようでございますが、お聞きするところによりますと、
韓国政府
に対する
検査権
がない問題、それから
製造業者
、
輸出業者
に対しても
検査権
が及ばないというようなことから、
日本
の
地下鉄
に売る場合には三千六百万とか四千二百万であるものが、あちらで実際に売られた
値段
というのは六千三百万、一体どうしてそんなに違うのかということの詳しい
検査
が、まだ当時は
権限
が及ばない等の
理由
で
説明
はなかったわけですが、その後、このまま放置はできないというので、突っ込んだ
調査
をされているはずでございますが、一体なぜそんなに高い
値段
で
輸出
がされるようになったのか、その
差額
は一体何に相当するのか、
調査
をなさった結果を具体的にひとつ
説明
していただきたい。
東島駿治
10
○
東島会計検査院説明員
お答えいたします。 先ほど先生おっしゃいましたように、四十八年の
衆議院決算委員会
でこの問題が起こりまして、その後私
ども海外経済協力基金
の
特別検査
をやりまして、
本件車両
が国内の
地下鉄
に比べて非常に高いということは、どういう
理由
によるものかということを特別に
検査
したわけでございます。 その際、先ほ
ども
お話ございましたように、
貸し付け
の相手方でございます
韓国政府
に対しましては、私
ども
の
検査権限
がございませんし、また
車両
を
輸出
しました
輸出業者
、
車両
をつくりました
メーカー
についても、私
ども
の
検査権限
が及ばないために、
貸し付け先韓国政府
の
本件
に関する
経理状況
とか、あるいは
本件車両
の
設計
、
仕様
また
メーカー
の
製造原価
というものについて、どうしても把握できない
関係
で、その当時からつい最近まで結論を得ないまま推移したわけでございますが、
御存じ
のとおり先般
予算委員会
でも取り上げられまして、新たな
資料
もその当時提出されましたので、それらを中心として再度見直しの
作業
にかかっているわけでございます。 ただ、先ほど申し上げましたように、
車両
の
設計
、
仕様
とか
原価計算書
というようなものがなかなか入手できない、また技術的にも相当高度の
総合技術
を駆使した
車両
でございますので、実際のところ、
作業
は難渋しているというのが
実情
でございますが、われわれとしても、できるだけ早く
実情
を明確にしたいということで努力しておりますので、もうしばらく時間をおかしいただきたい、このように考えております。
原茂
11
○原(茂)
委員
もうしばらく時間をかすと、具体的にはどういうことが行われて、どの程度がわかりそうだという見通しなんですか。前の
理由
のように、
製造業者
その他に
調査権
が及ばないんだということが、ぴしっといまでもそのままで、四十八年九月以後調べたその結果及ばないと言ったんだが、どういう工夫かをした結果、この点とこの点が具体的に
調査
ができるようになったという何かがあるのかないのか。何もないなら、また時間がたっても
調査権
が及びません、非常に難渋はしましたが、何にもわかりませんでしたという答えにならざるを得ないと思う。具体的にと私が
要求
したのは、その後一体どういう打開の道を講じて何と何が
調査
ができるようになったのか、見通しは、この程度までは、いつごろまでに
調査
ができると思うとか、そういう具体的なものをひとつ答えていただきたい。
東島駿治
12
○
東島会計検査院説明員
私
ども
、先般の
予算委員会
でいろいろ比較の対象になりました都営
地下鉄
の問題あるいは営団
地下鉄
、それからこの
車両
によく似ております交直両用の国鉄の
車両
でございますが、これらにつきましても、私
ども
ができる範囲でいろいろの機関に頼みまして
資料
をとりまして、おのおのの性能、規格そういうものを分析いたしまして、それらについての契約
状況
、それから
価格
の上昇の
状況
、時点修正とかそういうものをやりまして、一応比較する物差しにつきましては、ある程度できたわけでございますが、これを当てがう
本件車両
の
仕様
といいますか、ゲージだけは広軌の一メートル四三五というゲージであるということはわかっておりますが、たとえば交直両用のための変圧器がどういうものが入っているのか、あるいは整流器がどういうものであるか、あるいは非常に寒地のために特に
工事
をしたというものについて、どういう程度になっているかということを、何とか基金
当局
に調べていただいて、その
資料
をわれわれがいただければ、われわれとして、ある程度つくりました物差しをそれに当てて
価格
としてどうであるかということを検討したいということで、基金
当局
ともいろいろ打ち合わせしておりますけれ
ども
、なかなかその辺の
資料
が入ってこないということでございます。 それともう
一つ
非常に重要なことは、これが一回きりの発注であるということで、聞くところによりますと、詳細
設計
については
メーカー
にやらしている。したがいまして、その
設計
費その他が
本件
の
価格
にどの程度割り掛けられているか、あるいは一回限りの
輸出
であるということで商事会社がどの程度のマージンを掛けているか、その辺のことになりますと、とても私
ども
の手に負えませんので、大体技術的な面でどの程度差があるであろうかということを、いま鋭意詰めているという
状態
でございまして、これもまあ泣き事でございますが、
本件車両
の
設計
、
仕様
というものがはっきりつかめれば、この問題としても相当進展するのじゃないか、このように考えております。
原茂
13
○原(茂)
委員
設計
、
仕様
がつかめればという前提があって、それをまだつかんでないのにいろんな機関に頼んで、類似の物の
製造原価
その他を物差しとしてつかみつつあるのだと言うのですが、
設計
、
仕様
というものがわかってないのに、物差しをつくるといってもつくりょうがない。それがわかっていないで一体何を目安に、いろんな機関に頼んで類似のコストを物差しとしてつかもうとしていると言うが、大体つかもうとしたって、その前の
設計
とか
仕様
というものがどんなものだかつかめていないような
説明
を後になってしていましたね。それじゃ物差しのつくりようもないのじゃないですか。
東島駿治
14
○
東島会計検査院説明員
私
ども
として先ほど申し上げました物差しというのは、
地下鉄
の
車両
ということで、そう大して変わる物じゃないじゃないかということを
一つ
の前提としているわけでございます。 それと、交直両用の電車である、あるいはゲージが
日本
で現在使っております
地下鉄
は大体一メートル六七という狭軌のあれでございますが、向こうのは広軌である、それから車体の大きさが大きいというようなことは、この前の
予算委員会
でもある程度わかりましたので、そういう物に似通った国内のあれがどういう
仕様
になっているか。これは私
ども
検査権限
の及びます
地下鉄
とか国鉄、そういうところからいろいろ
資料
をもらいまして、国鉄で一番似た
車両
はどういうものであるから、それがどういう機器がついているかとか、それから、これの大体の原価の内訳はどういうことになっているか、それからATSとかいろいろ制御機器がついておりますが、これがどの程度の制御機器がついているかということで、
本件
の
車両
の制御装置とかモーター等が、どういうものがついているかということさえわかれば、この物差しがすぐ利用できるというふうに考えております。
原茂
15
○原(茂)
委員
いま問題になっている
概要
がどういうものであるかは
検査
院長も
御存じ
ですね。要するに、非常に大きな疑惑を持たれているわけですね。二千万円になんなんとする、少なくとも二千万という
差額
があるのだが、それが政界に、特定の政治家に、あるいは高官と言われる者にバックペイされているんじゃないだろうかという大きな疑惑の
もと
に、この論議がずっと
予算委員会
あるいは私
ども
の
決算委員会
でも行われてきたわけです。いまこの問題を取り上げるのは、この大きな疑惑、グローバルな疑惑、何だかわかりませんが、その疑惑があるんだという前提に立っていることはわかっていますね、
検査
院。 こういうような問題の疑惑が生じたときには、あるいは疑惑が生じそうなときには、
会計検査院
というものが、やはり国の税金を
もと
にして海外
経済
協力などを行う場合には、何らかの
方法
で
メーカー
に対して直接その
仕様
なり
設計
なり、あるいはその原価なりを提出せしめることができるようになっていないことは間違いじゃないかと思うのですが、全然その道がないのでしょうか。
メーカー
に
権限
が及ばない、確かにそうでしょう。だが、
もと
を正せば、この海外
経済
協力というものは国のお金であり、だから
会計検査院
の
検査
が必要になるということだけは、基本的な問題として事実なんですから、それに関与して
輸出
がされた、問題が起きたとか、疑惑が生じたような場合には、この
海外経済協力基金
により受注をしたもの、それに
関係
して注文を受けたもの、
輸出
したもの、いかなる業者といえ
ども
、
会計検査院
あるいは国が命令をしたときに、その原価なりあるいは
仕様
なり
設計
なりを提出しなければいけないということになっていないらしいのですが、そうならないと、いつも
会計検査院
もグルになって、何か疑惑があったとき、その疑惑を解明するどころか、非常に困難を感じていますとか、
権限
が及びませんとかいう逃げ口上で逃げてしまって、結局この疑惑解明、国民の知りたい疑惑解明に対して、何ら
検査
院としては機能しないという結論にこの問題いまの
状態
だとなってしまいそうなので、私は心配するのです。 やはり国家の政治の表裏に対して何らか国民的な疑惑の生じたときに、それこそ
会計検査院
がここにある、
検査
院があるために、その種の問題は徹底的に解明ができたという一面がなければ、私は、
会計検査院
の存在価値そのものを非常に軽いものにしてしまうし、何か
検査
院の力というものに対する国民の信頼は薄れてしまうというように思うのですが、この種の問題が、いまお聞きになったとおりのやりとりで、結果的にはいつになったら——最低でも二千万円の差がある、その差というのは一体何だったのかということを、われわれが調べよう、国民が知りたいと言ったときの、少なくともコストは幾らなんだ、韓国の
要求
した
仕様
というものは、こういうものだった、それを
日本
の
車両
業者、
メーカー
がつくったときのコストはこうだった、せめてこれだけがびしっと明瞭になれば、一体あとはどうなったんだということを、政治的なあるいは法的な解明をこれからしていくことができるのではないか。 一番大事なコストがどうなんだということに対しては、知れば知れるはずだ、知らなければいけないし、それだけの権威を持って、いわゆる国民の税金が海外
経済
協力という基金の名において使われている限り、それに関与し、かかわるものに関しては、徹底的に
検査
院の
権限
というものが機能した、したがって、これがわかったというものが出ない限り、
会計検査院
なんか、国民的な視野からいって、何と頼りないものだろう、こういうことになりはしないかと私は思うのです。 何かそういう
方法
を講じないでいいでしょうか。現在のままで
権限
は及びません、海外
経済
協力で国民的な大きな
資金
というものが流れていった問題に、いかに疑惑が生じても、私たちは、もうこれ以上やりょうがございません、
仕様
もあるいはどんな原価であったかということも、つかみようがございませんということを言いっ放しで、メーファーズだ、手を上げっ放しで、これから行ってしまうんでしょうか。それとも何かの工夫をこらし、あるいは必要があるなら法の改正を行ってでも、
会計検査院
というものの
権限
が
メーカー
に及ぶよう、
海外経済協力基金
を中心にした取引等にあって、疑惑等あるいは不当が感じられたときには
調査権
が及ぶというようなことにしないことには、
検査
院があっても、国民的な信頼にこたえるような
方法
にはならないのじゃないか。院長どうですか。
佐藤三郎
16
○
佐藤会計検査院長
ごもっともな御
意見
と先ほどから拝聴いたしておりますが、要するに業者の
調査
の問題でございますが、これを
検査
するということは、
権限
問題といたしまして法律で決められていませんと、私権侵害という非常に大きな問題を生じます。それで、そこら辺をどういうふうに立法するか、これは慎重に考えなければならぬことだと思います。 現に、
会計検査院法
では、納税人の帳簿も割って入って見るということは、できないたてまえになっております。あくまでも税務署を督励して、税務署を通じて
資料
をとるという構成になっております。そういう法体制の
もと
で、一民間の私的契約に割って入るということは、私権との
関係
でどうかということを、ひとつ考慮をいただきたいと思うのでございます。 それはそれといたしましても、現在このような事態になっておりますので、私
ども
といたしましては基金を督励して、そして原価
計算
調書なり何なりをとりませんと、議論がいま非常にデリケートなところに来ておるんですね。差が一千数百万円とか云々とか言われまして、非常にデリケートなところに来ておりますので、そうなりますと、原価
計算
の積み上げをやっていきませんと、恐らく議論が詰まらぬと思うのです。そういうものを任意に聴取できるかどうか、そういう点をひとつ努力したい、こう考えておる次第でございます。
原茂
17
○原(茂)
委員
院長の言うように、法政正あるいは法定が必要だとすれば、これは別途に考えなければいけませんし、ぜひそういうことを考えて、新たに法定をするならする必要があると思うのですが、それはまた別途考えるとして、基金をただ督励しておると言うが、基金そのものが皆さんから督励されて、原価のわかるような
資料
の入手に、いま努力をしているのでしょうか。さっきの
説明
では、そういう
説明
はなくて、御自分で物差しをつくりつつ、いろいろな苦労をしながら
仕様
だのその他を入手しようとしておるというお話でしたが、基金の督励をした、その基金が一体皆さんの要望するものを何とか
メーカー
その他から入手するようにしているのかどうか、それが
一つ
。 もう
一つ
は、いまの院長の話で、やはり私権侵害というようなものに
関係
してくる、法律上の問題も起きてくるから、にわかに、それがいま
検査
院ではできないといったときに、では、基金が海外
経済
協力を行うに当たって、前もって
メーカー
のコストその他をきちっと基金に提出するように、初めから契約のときにできていないのでしょうか。私は、そういうことができるように契約にはなっていると思うのですが、その点をお調べになって、どうですか。二つ答えてください。
東島駿治
18
○
東島会計検査院説明員
お答えいたします。 まず、第一の問題でございますが、基金の方には、先般の
予算委員会
でも問題になりましたし、そのとき対象になりました都営
地下鉄
との
差額
について疎明する責任がございまして、鋭意やっているようでございます。私
ども
も常に連絡をとりまして、そういうはっきりした判断の
資料
になるものがあれば、こちらにも提出してもらうように言っておりまして、これについては、まだ現在のところ、われわれの手元に入っておりませんが、
仕様
を比較してこれだけ違うという
資料
が出ますと、われわれとしても、ある程度的確な判断ができるのじゃないか、このように思っております。 それから、第二の点でございますが、
貸し付け
の相手方に対しては、その
経理状況
とか、それから投資効果の見積もりその他について相当の
資料
を
要求
して、基金として、それを
調査
することになっておりますが、その先の、融資先が契約した相手方の
経理
あるいは
製造原価
というようなものについて、果たして基金がそこまで
要求
できるかどうかということについては、なかなかむずかしい問題があるのじゃないかということで、基金の方にも、どうしてそれをやらないかというその根拠について、われわれとしても、いろいろ尋ねているような
状況
でございます。
原茂
19
○原(茂)
委員
その第一の方は、いつ目鼻がつく予定ですか。期限は、いつごろですか。 それから、第二の問題に関しては、基金を目下督励しているようですが、基金の方から明確な回答の来るのは、いつごろになりそうですか。両方とも期限を。
東島駿治
20
○
東島会計検査院説明員
お答えいたします。 第一の問題につきましては、本日
予算委員会
で基金の総裁が答弁されることになっておりますので、本来なら、もう私
ども
の手に入っていなくちゃならないところでございますが、現在のところ、まだ入っておりません。これは非常に近い将来、まあ、きょうあしたじゅうくらいには入るんじゃないか、このように考えております。その
内容
はどうなるか、これはまた検討しなくちゃいけないと思いますが。 それから、第二の問題については、まだいろいろ、今後の借款契約あるいは政府間のいろいろの協定等もございまして、基金としても研究したいということを言っておりまして、これについては、ちょっといまのところ、いつまでということについては明確なお答えができないような
状況
でございます。
原茂
21
○原(茂)
委員
これはまた
佐藤
さんにお答えいただきたいのだけれ
ども
、この種の問題、いまのようなやりとりでおわかりのように
権限
が及ばない、それから
経済
協力基金を
貸し付け
た貸付先がどっかへ注文した、受けた
メーカー
が基金に対して、それを出すか出さないか、それもはっきりしない。したがって、その二つがはっきりしないものだから、この種の問題の解明が実はいつもうやむやになってしまうのですが、
会計検査院
として、まず第一に、
海外経済協力基金
というものを扱っていく以上、国のお金が動く以上、これに対しては融資が適正であるかどうかといった
検査
のときに、その融資が適正に使われているかどうかを含めて今後は
検査
をしなければいけないというたてまえに立って——これか
一つ
。そのために、法改正が必要だというならば、どういう点でどういう法改正をしたらいいとお考えになるかを、二つに分けて、ちょっと院長に
意見
があったら参考に聞かせてください。
佐藤三郎
22
○
佐藤会計検査院長
いまの御質問でございますが、海外
経済
協力の借款に係る問題というのは、非常に対外的な影響の大きい問題でございますので、したがって、それは
方法
としては、簡単に申しますれば交換公文の中に、この融資については
日本
の
検査
院の
検査
を受けろというようなことを入れれば、これはまた簡単なことかと思うのです。しかしながら、そういうことが果たして、借款という友好
関係
を増進しようというたてまえでなされる行為について、主権の一端がそっちに伸びていくというようなかっこうのものが入っていいかどうか、これは外交感覚上非常に問題だろうと思うのです。したがって、いまのところは法改正というようなことはちょっと考えつかないのですが、要するに、そういう疑惑があったら疑惑を晴らすように、お互いに協力してもらうというような線じゃなかろうかと思うのですが……。
原茂
23
○原(茂)
委員
さわらぬ神にたたりなしみたいに、余り突っ込んでやけどなんかしたくない、そんなお気持ちもあるのじゃないかと思うのですが、少なくとも多額の
経済
協力基金が
貸し付け
られるわけですから、それに対して、この種の問題が好個の例として起きた以上は、外交辞令的にも余り国交を損なわない範囲で、しかもできる限り、いままでの経験を生かしながら、
会計検査院
としては、こうしたらある程度の解明がこの種の問題にできるんだがということを積極的に献策もし、献言もし、ある意味で、そういったことに対する関心を非常に強くお持ちになるということが
検査
院としての前向きの姿であるし、
検査
院のいわゆる権威を高めるゆえんであろうと私は思うのですが、いまの院長の答弁を聞いていると、冒頭申し上げたように、何か余りに外交上どうだろうどうだろうというようなことで、引っ込み思案といいますか、余り深く突っ込んでは考えないというような姿勢がありありと見えるような気がするんですね。 そうでなくて、
検査
院というのは、もっと積極的に、自分の本来持っている使命を完全に果たしたいということから、行き過ぎてもいいから、こういう
方法
でこうしてみたい、こうしなければということが提言されるような
検査
院でなければいけないというふうに私は思う。海外
経済
協力で国交上の問題があるから、どうもむずかしいのじゃないかと言ってしまえば、もうそれまでなんです。 しかし、いま一例として交換公文の中に、この種の問題が起きたら
検査
院の
検査
を受ける、あるいは一度貸与したものは、そのお金の使途として
日本
の
メーカー
に発注された場合にはとかいろんな
条件
をつけて交換公文の中に入れることが、外国を傷つけないのだったら、あってもいいじゃないかという御
意見
がありましたが、これも
一つ
の参考になりますから、今後私
ども
なりに、この種の問題の解明ができるように、これから考えていきたいと思いますが、
会計検査院
の態度としても、もう少し積極性がないと、いまのような答弁で何となく、まあまあいま持っている
権限
、持っている手段、その範囲内でできることだけをやっていく、そうじゃなかったら、非常に困難は感じたけれ
ども
、時間切れでございますとか、どうもこれ以上は不可能でございますとか、こういったことで終わってしまう従来のあり方、いまこの問題に関しても、そういった姿勢がありありと見えていることに対して、非常に私は不満だと思うのです。
検査
の
概要
について文書をいただきましたこの問題について、先ほ
ども
ちょっと触れたんですが、融資が適正に行われているか、
資金
交付の時期や金額は適切かということの検討をしたことになっているんですが、融資が適正に行われているかどうかのほかに、その
資金
が適正に使われているかどうかというようなことは、これは海外協力ですから、いま言ったように非常にむずかしいのかもしれませんが、国内においては、少なくともその融資が適正に行われているかどうかのほかに、適正に使われているかどうかを
検査
をしていると思うのです。この国内における適正に使われているかどうかを、やはり海外の
経済
協力においても、いまの持っている
権限
や、あるいは法律上の立場から、できる限りのことは融資が適正に使われているかどうか、行われたかどうかじゃなくて、使われているかどうかの
検査
も今後はやるべきだと思うのです。やれる範囲でやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
佐藤三郎
24
○
佐藤会計検査院長
ごもっともなことでございまして、国内、国外を問わず、融資したものが、そのとおりに使われているかどうか、これは国内等でございますと、タービンを一台買った、
電力会社
の融資こういったものについては、どんなタービンをいつ納入したかという、その納入のあれをとりまして、それでもって
資金
を出しているんですね。そういうふうなチェックをしております。 海外
経済
協力の場合は、これはいわゆる船荷証券で確認していると思うのですが、それでそういうものが出たかどうかを確認しておるのでありまして、私の方もそういった証拠書類を控えてございますが、こういったものを確認しつつ、その使途どおりに使われているかどうかということを
検査
しておりますが、今後とももちろんそういうことをやらなくちゃならぬ、こう考えております。
原茂
25
○原(茂)
委員
たとえば国内で官庁がある種の品物を買うときに、A、B、C、D社から買うと一千万円、それをE社から二千万円で買ったということが
検査
の結果わかるわけです。そのときに、なぜ一体このE社は二千万円、ほかの四社は一千万円なのに、その二千万円を買ったのかということは、会計
検査
上当然これは
調査
をし、
不当事項
なりあるいはその他として指摘をし、これを改めさせるようにしているだろうと思うのです。 同じように、海外
経済
協力をやったときにも、それと同じような
検査
の仕方、
調査
の仕方ができるようにしなければいけないというのが、私のきょう最初から言っている
目的
でございますから、
検査
院としても、その種の問題を一体どういうところをどの程度変えたら、もうちょっとできるのかということの検討はしていただきたいし、われわれもその検討をこれからしていきたいと思うのですが、これからそういう検討をしていただけますか。
芳賀貢
26
○
芳賀委員長
この際、
委員長
からも申しますが、ただいまの原
委員
の質問は、
会計検査院
の
検査
並びに
調査権
の
権限
の範囲に及ぶ問題ですから、この際、
会計検査院
として公式の見解というものを明らかにされるべきだと思います。
佐藤三郎
27
○
佐藤会計検査院長
こういう問題が、次から次に起こっている現状を踏まえて、私
ども
としても、このままではいいと思っておりませんし、何らかそういうものを打開する
方法
についてなお検討いたしたい、こう考えます。
原茂
28
○原(茂)
委員
じゃ、それはお願いします。 その次に、北富士演習場の払い下げについて、大蔵省からも来ているようですが、国有地払い下げ問題になっているわけです。細かいことはお伺いしません。もう言い古され、論議し尽くされた問題ですが、一体いつ、これの払い下げが決定になるのですか。
松岡宏
29
○松岡
説明
員 お尋ねの北富士返還国有地でございますが、現在、国有財産中央審議会、その中におきます返還財産処理小
委員
会におきまして、この処理のあり方につきまして審議を続けているところでございます。 御承知のように、
昭和
四十八年の三月三十日に閣議で了解がございまして、山梨県及び演習場
周辺
地方公共団体
に林業整備の
目的
のために払い下げを行う、こういう方向が打ち出されております。そういう大きい方向に沿いまして、現在審議会の審議を進めている最中でございますが、なるべく早い機会に結論を得まして払い下げに移行いたしたい、こういう考えでございます。
原茂
30
○原(茂)
委員
細かいことは余り聞こうと思いませんが、審議会で結論の出るのを待って、その審議会の結論に従って払い下げを行う、こういういまの答弁だと思うのですが、それがいつごろ結論が出そうなのかというめどは全然ないのかどうか、
一つ
。 それから、いま一番大きくいままでの歴史の中で 四十八年の閣議決定以来、もうとっくに払い下げ対象は、あの閣議のときにもある程度了解されているのですから、対象は決まっていた。それがいまだに決まらないには、三つも四つもいろいろな
理由
がある。 いわゆる入会権もあり、組合があり、その何組合の性格がどうで、今後の
事業
計画がどうだ、その
事業
では地元の民生安定には役立たない。閣議の了解
事項
というのは、地元民生安定というのが中心になって、この払い下げが決まっているのに、この地元の民生安定にこれではそぐわないとか、これでは沿うとか、これでは半々だというようなことが論議されていて、ついに四十八年から今日まで、地元では大騒ぎしているわ、
日本
的な関心を持っている、とにかく二百十ヘクタールという国有財産の払い下げでは、これはもうトップですから、一番大きな物、非常な関心のある、風光明媚ないい土地でもある。観光
事業
に使ったら、うんともうかる。観光だとかその他の
目的
でやるなら、二百億円くらいで払い下げる、あるいは百何十億で払い下げできる。本当の林野整備のために、林野中心でやっていくんだということになると、ただ二、三億円にしかならないというようなことから、大蔵省も、一体二、三億円をとるのか、あるいは百何十億円に払い下げるのか、中間の何かをいま見つけているのか、何かがあると思う。 大蔵省もさんざん考えた末のことを、いま審議会で論議をしている。その論議の諮問の
内容
というものを知りませんが、一体いま私の言ったうちの、たとえば二、三億円でプロパーの林野
事業
として払い下げをするのか、あるいは観光も含めた
事業
も許可して、ある一定の期限をつけて許可をして、そこで百億円以上に払い下げをしようとするのか、そうでなくて、その中間の何かを考えて、何十億円で払い下げをしようというようなことに考えて諮問が出されて、審議がされているのかどうか。二つ目に、その三つのケースの一体どれを考えているのか、それが
一つ
。 第一には、審議会の答申が出る期限はいつごろなのか、出たら、そのとおりやろうとおっしゃるのか。第二には、いま言った国有財産の払い下げですから、
価格
を中心に考えたときに、二、三億で払い下げるのか、百五十億で払い下げるのか、その中間の何十億円というものを何らかの案をつくって払い下げようと考えているのか。大蔵省の腹も、あるいはその諮問をしている方向も、二つ目には答えていただきたい。
松岡宏
31
○松岡
説明
員 四十八年の閣議了解以来、遅いではないかという御趣旨のお尋ねでございますが、御承知のように、閣議了解の
内容
といたしましては、払い下げの相手方を山梨県及び富士吉田市、山中湖村、忍野村及び富士吉田市外二カ村恩賜県有財産保護組合、この五つの主体の中のいずれかという意味で方向が打ち出されたわけでございますが、そのいずれにするかということに関しまして、地元での御
意見
がいろいろと分かれておりまして、いろいろな変遷があったわけでございます。昨年の八月あたりに、山梨県を相手にすべきであるという
意見
が、ほぼコンセンサスとしてまとまりましたので、それを受けて最終的な詰めを進めていただいているわけでございまして、いつまでにということを断定的には申し上げられませんが、近い将来審議会の答申も得られるものというふうに期待しておるわけでございます。審議会から答申が出ますれば、大蔵省といたしましては、その答申どおりに払い下げの手続を進めたいと、こう考えております。 次に、
価格
の問題についてお尋ねがございましたが、
価格
の問題は、林業整備
目的
のための払い下げとして考えられる適正な時価で処理を行う、こういうたてまえとなっておりまして、その具体的な数字がどういうことになるかということは、現在鋭意検討中でございます。 以上でございます。
原茂
32
○原(茂)
委員
それ以上答弁ができないのでしょう。これは専門の
委員
会のときに、またもう少し
資料
に基づいて細かく数字を
もと
にお伺いします。あなたでは、答弁はそれ以上しようがないだろうと思います。 次に、
最後
に
会計検査院
の定年制の問題についてお伺いしたいのですが、
一般
職が六十三歳で、総括副長が六十歳で、
課長
が五十八歳というようなことを、これはお決めになったのですか。それとも組合に提示をして審議をしようとなさっておるのですか。これは決まったことなのですか。どういうことなのでしょうか。
柴崎敏郎
33
○柴崎
会計検査院
説明
員 ただいまの定年制の問題ですが、御承知のとおり、国家公務員には定年制というのが法制上ございません。しかし、私
ども
の役所も、だんだん高年齢層の者がふえてくるというようなことな
ども
ありますし、またやめてからの就職の問題な
ども
ございます。そういったようなところを勘案いたしまして、一応役所内の申し合わせと申しますか、そういったような形で一応の線を考えてみようではないかというようなことで、いま先生がおっしゃいましたような大体そのような線で、これは
事務
局と組合との間の話し合いで、おおよそのいま言ったような線を決めまして、これにはもちろんその
基準
としては前後ということもございまして含みもございますけれ
ども
、おおよそは、そのような線でひとつお互いにやっていこうではないかというようなことで、昨年来
実施
をいたしております。
原茂
34
○原(茂)
委員
その話し合いをして、おおよそその線で話し合いがついて、じゃそうしようじゃないかというので、いわゆる退職勧奨制度といいますか、そういったものが組合あるいは
会計検査院
全体としてのコンセンサスがもう得られた、それで去年からそれを
実施
しておるのだ、これからも実行するのだということが、もうちゃんと話し合いで決まりました、こういうことですか。それとも目下話し中なのでしょうか。もしそう決まったといって、それが実際に実行されようとすると、また次の機会に申し上げますが、少し問題があると思いますが、現在はどの段階にあるのですか。話し合いがもう決まって、組合があるなら組合とぴしっと話がついて、そうして去年から実行に移していますと、こういうのでしょうか、まだ話し中なのでしょうか。
柴崎敏郎
35
○柴崎
会計検査院
説明
員 すでに、これは話し合いを終えまして、相互の了解の
もと
に実行しようではないかということで
実施
をしているわけでございます。ただ、昨年は、いま先生おっしゃったような一応の年齢的な線でございますが、これについては、昨年
実施
の段階でいきなりこれを
実施
しましても、やはりそれは問題がございますので、経過措置として、それぞれ多少の猶予期間といったようなものも、そこに含ませるというようなことでも組合との間で話し合いをいたしまして、したがいまして、いきなり六十三なら六十三というところで即日
施行
ということではございませんけれ
ども
、経過措置はございますけれ
ども
、一応の話し合いはついて
実施
に入っている、こういう段階でございます。
原茂
36
○原(茂)
委員
一応の話し合いがついた、だが急に
実施
することはどうかというようなことで、何かちょっとまだはっきりしないようですが、
会計検査院
だけがこういった年齢のランクを設けて退職勧奨制度を実行するというようなことは、他に及ぼす影響が非常に大きいものですから、われわれは、これがそのまま実行されるという段階に、まだいまはない、本当には決まっていないのだという理解をしておきますが、もしそれがそう決まるのだ、決まって
実施
するのだというようなことになる段階がいま来ているのだとしますと、党として専門的な問題にしながら、ほかとの関連がありますから、非常に大きな関心を持っておりますことだけを申し上げて、現在はまだ少し、いまのお話でも急に実行することに決めてしているのだというのではなくて、急ではいけないので、話し合いもある程度煮詰まったようではあるけれ
ども
、まあまあこうぴしゃっと決まったという段階にまだ来ていないし、そういう前提では実行をしていないという解釈を、きょうはいまの答弁で私はしておきたいと思うのですが、それでよろしゅうございますか。これで終わりますが……。
柴崎敏郎
37
○柴崎
会計検査院
説明
員 ただいまは経過措置ということで、いきなりそれをもろにかけて、それで勧奨するというようなことではございませんで、もう少し時間を置くという段階でございます。
原茂
38
○原(茂)
委員
終わります。
芳賀貢
39
○
芳賀委員長
北山
愛郎
君。
北山愛郎
40
○北山
委員
私は、時間も余りありませんので、
会計検査院
の機能と業務の運営について簡潔にお伺いしたいのですが、先ほ
ども
原
委員
の方からもお話がありましたが、今日のような行財政の
状態
では、会計
検査
のより積極的な活動というものが要請されておるというふうに考えるものであります。産業政策にしても、あるいは国民生活の問題にしても、あるいはまた貿易なり、海外
経済
協力、いろいろな公私、公のものと私のものが利害
関係
が錯綜するというふうな部面が、国の行財政の中で大きな
部分
を占めている。こういう立場からするならば、
会計検査院法
の第三十六条、
会計検査院
が
法令
なり制度なり、あるいは
行政
運営についての
意見
表示を積極的にやっていく、こういう部面を、これから
検査
院の仕事として、もっともっと活発にしなければならぬ、このように私は考えるものであります。 そういう方向で
検査
院としては今後運用をやろうとする気持ちがあるかどうか、またいままで
検査
院法の第三十六条を適用した
事項
が、何か数件あるやに聞いておりますが、何件ありますか、それをお尋ねをするものであります。
佐藤三郎
41
○
佐藤会計検査院長
院法三十六条の運用でございますが、これは
会計検査院
といたしましては、あくまでも本命は院法にうたってありますように違法、
不当事項
の指摘ということでございますが、さらにその
検査
の関連において発見せられた問題につきまして、
行政
、
法令
、制度につきまして
意見
を申し上げるような事態が見つかりますれば、これは三十六条を発動しなさいというふうに院法ができておりますので、私
ども
といたしましては、
検査
の結果そういうものが見つかり次第、三十六条を発動して、積極的に国のそういった面に貢献したいと考えておりまして、これは前よりもよほどそういう意味においては積極的に取り組んでおるつもりでございます。 それから、いままでにそういう
関係
で発見いたしましたものは六十六件でございます。
北山愛郎
42
○北山
委員
この六十六件というのは、法の三十六条を適用した件数でありますか。 それからなお、具体的に、
資料
の中にあります三十六条によって
改善
の
意見
を表示したものとして、
一つ
の具体例についてお伺いしたいのですが、これは十一月二十七日と書いてありますが、
建設省
の
関係
ですね、多
目的ダム
の
負担金
の
割合
について、いわゆるアロケーションの問題でありますが、
電源開発
が発電をしてこれを他の
電力会社
に売電をする、その原価の問題でありますが、その
総括原価
が四十年当時の原価を
基礎
にして算出しておるから安いのだ、近年大幅に経費が高くなっておる。この原価が高くなっておるから、適正な山元の発電単価に変えるのが適当である、こういう
意見
なわけですね。これを
建設省
へ出して、一体この結果がどうなったのか、これをお伺いしたいのです。
佐藤三郎
43
○
佐藤会計検査院長
いま所管の三
局長
が来ておりませんので、正確なところはまた後刻答弁させていただきますが、
建設省
の方では、その後
協議
会を開きまして、この分担金の
計算
のし直しをしておるという報告は受けております。
北山愛郎
44
○北山
委員
意見
の出しっ放しではいけないので、ここでは適正を期する必要があると、こう書いてありますが、その
意見
書がどうなったか、これを後でまた明らかにしていただきたいと思うのです。この問題は、考えようによると、相当重要な問題だというふうに考えております。この結果は後でお伺いしたいのであります。 そこで私としては、先ほど申し上げたように、もっともっと
検査
院が、単に個々の不正なり、あるいは違法なり、手続の欠陥なり、こういうものを摘発していく、
検査
していく、これも重要な役割りだと思うのです。しかし、実際の政府のいろいろな金の
支出
というものが果たして効果があるのかないのか、適法に、適正に一応
支出
されておるけれ
ども
、その
目的
とする効果がさっぱりなかったとか、あるいは逆にマイナスであったとか、そういう問題についても突っ込んで、やはり
検査
院としては効果を判定し、
意見
を述べるべきである、こういうふうに考えるのであります。 そこで、ひとつ
検査
院の考えを承っておきたいことは、租税の問題であります。よく
予算委員会
等でも問題になっております租税特別措置、これについて、やはりその
内容
の
検査
をすべきではないのか、私はそう思うのであります。 なぜならば、租税特別措置というのは、いわゆる政策減税である、一定の政策を持った減税なわけです。原則からすれば例外である。したがって
臨時
的なものであり、その政策の
目的
を持った、言うならば実質上の
補助
金と同じようなものだ、こう考えるのであります。たしか、いまの福田総理も、かつて大蔵大臣の当時に租税特別措置による減税というものは一種の
補助
金である、こういうふうな答弁をされたことがありますが、そうなりますと、やはりその
補助
金的な性格を持った政策減税である租税特別措置が、果たしてどれだけ減税をされて実行されているのか、あるいはまた、その結果その
目的
に合致しておるものかどうか、どれだけの効果があるのか、そういうことはやはり
検査
院としては調べる対象ではないか、このように考えておるわけでございますが、
検査
院の見解を承りたいのであります。
佐藤三郎
45
○
佐藤会計検査院長
租税特別措置法も相当大きな分野を占めておりますので、私
ども
といたしましても、その面の
検査
を積極的にやりたいと考えておりますし、現に重点を決めて
調査
にかかっておるものも二、三ございます。今後も大いにやりたいと考えております。
北山愛郎
46
○北山
委員
その重点を決めてやっておるというのは、どれとどれですか。
前田泰男
47
○
前田会計検査院説明員
お答えいたします。 実は、いままで租税の
検査
の中心が、違法、不当の摘出が大体重点になっておった、これは先生の御指摘のとおりなんでございますけれ
ども
、最近租税特別措置制度そのものにつきまして、いろいろな御
意見
、御批判があるということでございますものですから、われわれといたしまして、先ほど院長から御
説明
申し上げましたとおり、われわれは会社に行きまして
検査
する
権限
を持っておりません。したがいまして、税務署に集まりました
資料
をもって
検査
するわけでございます。 それで租税特別措置と申しましても、租税特別措置法だけでも六十二、それからそのほか
所得税
法、法人税法その他入れますと七十超すと思いますが、税務署の中にあります
資料
をもちまして十分に立証のできるようなものは一体どういうものがあるであろうか、また税務署内にはどういう
資料
があるであろうか、この
資料
をもって何が一体立証できるのか、こういうことを実は昨年の暮れから検討に入ったところでございまして、われわれの中では二、三これはと考えるのもあるのでございますけれ
ども
、いまのところは、やはり税務署内の
資料
がどうなっておるかということを一々検討しておる、いわば試行錯誤と申しますか、その事態である、このように御了解願いたいと思います。
北山愛郎
48
○北山
委員
お話しのように、租税特別措置には何十と種類がございまして、確かにその政策減税の減
税額
はどれだけかということが、なかなか推定できなければつかめないようなものもございます。しかし具体的に把握できるものもあるわけです。すべてとは申しませんけれ
ども
、これは大蔵省側、いわゆる主税
当局
としても、あるいは国税庁としても、当然特例でありますから、その
部分
を
調査
して、その数字が上がっているべきものなんです。 したがって、
検査
院が個々の
事業
所なり、あるいは個人なりに行って調べるということも必要でしょうが、そういうふうに統計的に当然大蔵省が出すべきもの、ですから、そういう統計
資料
というものを大蔵省に
要求
して出させればいいのです。出させて、そして個別的に
調査
をするということをやれば、決してむずかしい
作業
ではないと私は思いますので、特に大蔵省の国税庁
関係
は来ておりませんので後に回しますけれ
ども
、せんだっての
予算委員会
で、福田総理も石橋書記長の質問に対して、租税特別措置を
決算
ベースでこれから発表します、こういうことを言明されたようであります。 そういうものを受けまして、
検査
院としても、大蔵省にその
資料
を毎年
要求
する、そしてその
内容
を検討する。この租税特別措置は、その
目的
はこれだった、しかし実際にやってみた結果は、その実績としては一向政策
目的
に合致していないのじゃないか、これはやめるべきじゃないか、こういう
意見
が当然
検査
院の方から出てきてしかるべきだと私は思うのです。そういう方向でやっていただけるかどうか、ここではっきりしていただきたいのです。
佐藤三郎
49
○
佐藤会計検査院長
いまの特別措置法に基づく減税がどの程度になっているかというような想定の
資料
につきましては、これは大蔵省側サイドのあれでございますので、どの程度の
資料
が出ますか、私から自信を持って答弁を申し上げかねるのですけれ
ども
、そういうものをとれるとすれば、もちろれそれに基づいて御説のようなことは検討いたしたい、こう考えております。
北山愛郎
50
○北山
委員
そういう消極的な態度だからいけないのです。
要求
して、どんどんとったらいいですよ。それが技術的に大蔵省ができないというのなら——そういう問題も確かにあると思います。ですが、はっきり簡単にとれるものもあるのですから、どんどん
要求
してとって、そしてこの点を国民の前に明らかにするということが必要だと思うのです。特別な減税をしておいて、しかもその政策
目的
が何ら効果がないのに、これを続けていくとか、そういうものが摘発される、これが
検査
院の仕事だと思うし、また、もちろん最終的には国会がこれを判断しますけれ
ども
、その
資料
をどんどん出させて、また個別的にも検討を加える、こういう必要があると思うのです。 ことに、
一つ
の例でございますが、例の
昭和
四十五年から五十年まで続きました長期保有の土地に対する定率分離課税の特別土地税制ですね、あれなんかについては、この政策というものが一体どんなものであったのか、マイナスであったかプラスであったか、これの責任はだれが負うのか、これも明らかにされておらないのです。 これは
予算委員会
で私、国税庁から
資料
を
要求
してとりますというと、四十五年から五十年までに、この特別税制の適用を受けた長期譲渡所得の所得金額というのは、実に十八兆六千九百九十七億円、一番多い年の四十八年は、五兆九千八百八十三億あるのです。そしてそれに対して、いわゆる定率分離課税ですから、たった一五%しか四十八年では
所得税
がかかっていない。ですから、六年間通算しますというと、何兆円という減税が行なわれておるわけですね。 ところが、これまでの減税をやって、土地成金をたくさんつくって、しかもその効果はどうであったのか。確かに土地の流通はふえた。ふえたけれ
ども
、法人買いというか、法人会社の手に移ってしまって、しかもそれが土地騰貴を誘発をして、そして逆に地価が大幅な暴騰を遂げたわけです。そしてまた今日、その後遺症がたくさん残っている。何兆円という莫大な損害を個人やあるいは企業に与えておるのです。今でも苦しんでおるわけですね。その根本になったものが、この長期保有土地の分離課税の税制なんです。だからこういうものについても、これは当然
会計検査院
あたりも十分調べて、そしてこの評価をすべきだと思うのです。 私は、一例として申し上げましたが、こういう問題なら、すぐ数字が出るはずなんです。この徴税のときに別扱いしていますから、別な申告をさせていますから、これをトータルすることは一向にむずかしくない。たとえば、利子配当なんかの分離課税についての減
税額
の推計というのは、これはむずかしいと思います。ですが、推計できないわけじゃない。しかも、それの
経済
効果についてもやはり問題がある。とにかくこの租税特別措置法、いわゆる公平でなければならない税金が、こういう政策減税が大量に行われておる、しかも必ずしもその効果が明らかでない、こういう問題をこそ、
会計検査院
は積極的に取り上げてもらいたい。再度
会計検査院長
のお考え、決意のほどを承りたいのです。
佐藤三郎
51
○
佐藤会計検査院長
効果の問題というのは、因果
関係
をどうしても結びつけなければならぬものですから、非常にむずかしい問題がございますけれ
ども
、私
ども
としてはまとまるかどうか、ともかくやってみたいと、こう考えております。
北山愛郎
52
○北山
委員
これは会計の
検査
あるいは
行政
の監察というのは、
一つ
は、財政については財政公開の原則、いわゆる財政民主主義といいますか、その現実の
実態
の姿、租税なら租税の
実態
の姿を公にして国民に知らせる、これが
一つ
の機能なんですから、悪い点、不正を摘発するとか、それももちろん大事ですが、そういうふうな
実態
がどうなっているかということを知らせる
資料
をつくって、そして国会にも提出するし、また国民にも知らせる、これがやはり
検査
院の大きな仕事だ、こういう角度でひとつ取っ組んでいっていただきたいと思うのであります。 それからなお、この種のいわゆる三十六条を適用して、もっともっと積極的な制度改革の
意見
を
検査
院として表示すべきでないかというデータは、租税特別措置以外に相当いろいろあるわけです。 たとえば最近、いわゆる新全総なり、あるいは列島改造から非常に活発になってきて、しかも各地で問題を起こしておる地域
開発
の
関係
にしても、国の機関からすれば、これに対する金融なりあるいは出資、投融資の窓口というのは、たくさんあるわけです。あるいはそれを実行する機関も幾つかある。何か不統一で、無計画で、ばらばらなんです。たとえば
日本
開発
銀行というものもあるし、あるいは
北海道
東北
開発
公庫、それぞれみな地方の
開発
、宅地造成とか、あるいは工業団地の造成、そういうものに金を出している。それ以外に地方自治体では、千以上、千二百ぐらいのたくさんの土地
開発
公社をつくって、そしてやれ流通センターである、やれ工業団地、もう全国に多数の工業団地があるわけです。そして、特に新しくつくったものについては、ほとんど企業がやってこないで、閑古鳥が鳴いているというような姿で、その公社その他の団体が、金を借りてもその金が焦げついている、土地はいつになったら処分できるかわからないという
実態
があるわけです。 それなのに、そういう
実態
を無視して、さらに国としては地方の地域振興整備公団、そういうものをつくって、千五百億も金を出して、そしてすでに既成の工業団地がある、使われていない団地、あいている団地がたくさんあるのに、そのそばにまた新しく工業団地を造成しようとしている、こういうばらばら
行政
があるわけです。 ですから、そういう面についても、やはり
会計検査院
としては、むだ、あるいは無計画、不統一な地方
開発
の
行政
あるいは財政、そういうものをひとつまとめた見解をもって
検査
をし、その結果を出してもらいたい、このように思いますが、この問題についてはどうでしょうか。
佐藤三郎
53
○
佐藤会計検査院長
そういうむだを見つけるのが
検査
院の仕事でございますので、もちろんそういう目でいままで見てきておりますし、今後もそういう目で見ていって、申し上げるべき
事項
がまとまれば申し上げたい、こう存じます。
北山愛郎
54
○北山
委員
いまの地域
開発
の問題については、いずれそれぞれの国土庁なり
建設省
なり、あるいは通産省なり、そういうときにまた具体的な例を申し上げたいと思いますが、
検査
院としてはそういう問題も積極的に取り上げてもらいたい、こういうことを特に要望いたしておきます。 それから、若干時間がございますから、先ほどの原さんの質問にも関連するのでございますが、私は
輸出
入銀行なんかについて、これも制度上政府借款の分と、それから
輸出
入金融の分と、両方の仕事をやっている。政府間の借款であれば、これは国家間の、国と国との間の権利義務の
関係
でありますから、条約でその
関係
を決めなければならぬわけです。そして、それは当然国会の議決を経なければならぬと思うのです。それを、単に
輸出
入銀行という金融機関でもって、これを処理している。
一般
の
開発
なり貿易金融と同じに対政府間の借款を扱っているというところに問題があろうと思いますけれ
ども
、
検査
院としては、
輸出
入銀行を
検査
をされて、そういうことの適当でないとか、そういう見解はお持ちにならないでしょうか。
佐藤三郎
55
○
佐藤会計検査院長
政府借款でやっておりますものは、いま先生おっしゃったように、国と全然法人格の違う輸銀あるいは
海外経済協力基金
の金を使っての話でございますので、そういう交換公文が、あるいは協定が国会の事前承認を受けないというような、そういったことは、すぐには違法であるというふうには私は考えておりません。
北山愛郎
56
○北山
委員
国と国との間の借款というのは、単に
経済
的な面だけ見ていられないわけですよ。国家間のいろいろな事情がありますから、政治的な要素もあるわけですから、その判断をしなければならぬ。それを
輸出
入銀行で、普通の金融のようなベースの中でやるということは正しくないと私
ども
は考えるわけです。 ですから、少なくとも政府間の直接借款とか、そういうことをやる機関と、それから純粋に
輸出
入金融をやる機関と、これは別建てでやるべきである。
予算
の上で、単に
事業
計画の上で、直接借款の枠はこれだけですよという枠をただ国会で認めた、それだけであちこちへ、金を韓国とかインドネシアとか、そういうところへ貸して、政府が勝手なことをするということは許されないのじゃないかと思う。そういうところに、やはり問題がいろいろ出てくるわけですから、いまお話があったような
検査
院長の考え方は、私は納得できません。しかし、どちらかといえば、これは立法上の問題あるいは国会の問題ですから、ここで院長の
意見
を変えてもらいたいというふうに迫るわけではございませんが、そのように思っております。 いずれにしても、幾つかの
事例
を挙げたわけですが、私は
検査
院がもう少し積極的な姿勢をもって臨んでもらいたいということです。そして、消極的に不正あるいは不当あるいは手続の瑕疵とか、そういうものを調べるということはもちろん重要なことであるけれ
ども
、いま申し上げたようないろいろな例に見られるように、国の
支出
の中には相当なむだがあるわけです。最もむだな見本は原子力船の「むつ」でありますけれ
ども
、百数十億、約二百億の金を投資して一体何のためになったのか。こういうようなことも、事前に十分な計画とか準備がなければ、ああいう結果になるわけですから、そういう
事例
が非常に多い。地方
開発
でも多いです。あるいは海外の投資でも、そういうケースが多いわけですから、そういうことについても、国の行財政に対して、これは
改善
すべきものである、
法令
あるいは制度、こういうものを変えても
改善
すべきものであるというふうな点について、もっともっと積極的な姿勢をもって今後臨んでいただきたい、こういうことを強く要望しまして、時間でございますから、私の質問はこれで終わります。
佐藤三郎
57
○
佐藤会計検査院長
貴重な御
意見
をいろいろありがとうございました。私
ども
といたしましては、前にも申し上げましたように、相当勇敢に物を言おうじゃないかという態度でございまして、その
関係
で、五十年度の
検査
報告でも「特に掲記を要する
事項
」というような特別な欄を設けまして、物を言う場をつくったりいたしまして、そういう方向に今後もいきたいと考えております。
芳賀貢
58
○
芳賀委員長
林孝姫君。
林孝矩
59
○林(孝)
委員
私は、
会計検査院
の
検査権限
、さらに
検査
能力の充実等について質問申し上げます。 最初に、先ほど来議論をされておりました
会計検査院
の
権限
の問題についてお伺いしたいわけでありますが、
検査
院としてどこまで
検査
できるか、その
権限
の範囲というものは、最近のように国際間に問題が波及し、あるいはまた
日本
自体が国際的な立場において非常に高い位置に位置づけられておる、こういう時代になってきて、
経済
活動もさらに国際化していく、こういう時代に対応するための問題として私は非常に重大な問題である、そのように受けとめているわけです。 そこで、この
会計検査院
の
権限
の範囲ということに対して、実際に行われている
検査
の
実態
、これについて明らかにしてもらいたいわけでございます。 たとえば、先ほど来問題になっておった対韓国の問題、それから今日まで非常に
予算委員会
等でも議論されております対インドネシアの問題、こういうことに対して今日まで
会計検査院
が
検査
をされた
実態
を、この際、明らかにしてもらいたいと思うのです。
柴崎敏郎
60
○柴崎
会計検査院
説明
員 政府の海外
開発
援助のうちで、いま先生お尋ねの韓国あるいはインドネシア、これらについての
検査
、これはほかの国の分と合わせまして
海外経済協力基金
の本部で
検査
を
実施
いたしております。その
検査
日数とかにつきましては、これはほかの国の分と一緒でございますので、必ずしもはっきりとはいたしませんけれ
ども
、いずれにいたしましても、基金の融資承諾額は、三十六年から五十年まででも、インドネシアは全体の三九%、それから韓国は全体の一七%というふうに、非常に多くの援助が行っておりますので、
検査
の
実施
に
当たり
ましては、特に練達の
調査
官をこれに充てまして
検査
をいたしております。 そこで、その中でも特にインドネシアでございますが、これにつきましては五十年、ですからおととしですが、五十年の三月二十五日から三十一日までの間、現地に
職員
二人を派遣いたしまして相手方の協力の
もと
に
調査
を
実施
いたしました。具体的に若干例を挙げて申し上げますと、たとえばインドネシアのリアムカナンの水力発電
事業
、これなどにつきまして
検査
あるいはアジア堀削株式会社の
事業
についての
検査
とかいったようなことで、インドネシアの海外援助
関係
についての
検査
を五十年に、現地について
実施
いたしております。
林孝矩
61
○林(孝)
委員
通産省の報告によりますと、
昭和
四十九年度における外国に対する政府の
開発
援助額は、
決算
ベースで八億八千万ドル、対象国は百三カ国以上に上っておる。いま五十年に海外に派遣したという話がございましたけれ
ども
、その中で、四十九年度ですけれ
ども
、対インドネシアは二億二千百万ドル、対韓国が一億六千七百万ドルと金額的にも非常に巨大な額に上っておることは事実だと私は思うわけです。それで、重大な関心がそういうところに集められているわけでありますが、現地に行く、行かないは別としても、インドネシア、韓国、この二カ国への政府援助の使途について、どういう
検査
が行われてどういう結果であったのか、これもまた非常に関心のあるところでございます。その点について、
状況
をもう少し具体的に詳しく報告をしていただきたいと思います。 それから、五十二年度の計画、これについても、あわせて答弁を願いたいと思います。
柴崎敏郎
62
○柴崎
会計検査院
説明
員
検査
の
実施
の具体的な
実施
内容
につきましては、これは
検査
の担当
局長
の方からひとつ御報告いたしますが、五十二年度、これにつきましても私
ども
の方、外国旅費についての
予算
を
予算
要求
いたしておりまして、これによって海外の
検査
をいたしたい、このように考えております。具体的にどこをどう
実施
するかということにつきましては、目下検討中でございます。
東島駿治
63
○
東島会計検査院説明員
お答えいたします。
検査
の
実施
状況
でございますが、私
ども
、
輸出
入銀行に対しましては毎年五十人目前後の
検査
を、これは本部についてやっております。 それから、海外協力基金につきましては、三十人目程度の
検査
をやっておりまして、これらの
検査
の
方法
としましては、融資が適切に行われているか、そのプロジェクトに対してその効果はどうであるか、それから
資金
の交付
状況
がどうであるか、そういう相当細かいところまで
検査
している
状況
でございます。
林孝矩
64
○林(孝)
委員
私が先ほど申し上げました四十九年度の対インドネシア、対韓国の援助に対する
検査
の
状況
、これを具体的に報告できますでしょうか。
東島駿治
65
○
東島会計検査院説明員
この人日につきまして、インドネシアについてどの程度、それから韓国についてどの程度という比重についてははっきりいたしませんで、その年度に承諾になったものがどれだけあるか、実際の
資金
交付したものがどうであるかという、そのベースに従って
検査
しておりまして、先ほ
ども
次長から御
説明
申し上げましたように、インドネシアは三十数%、韓国についても十何%というように、この両国が大
部分
を占めておりますので、自然、われわれ
検査
の重点もその辺に置いているという
実情
でございます。
林孝矩
66
○林(孝)
委員
話をもっと前へ進めたいわけですが、私が申し上げたのは対インドネシアの二億二千百万ドル援助ですね、これは通産省報告ですよ。対韓国一億六千七百万ドルの金額に上っておる。これに対して
検査
をしたというわけですね。その
内容
について、具体的に報告をしていただきたいということを先ほどから申し上げておるわけです。
東島駿治
67
○
東島会計検査院説明員
ただいま御質問のインドネシアにつきましては、特に重点を置いて見ましたのは、直接借款ではりアムカナンの水力発電
事業
、これは金額にして約四十二億でございますが、これをやっております。それから
一般
条件
としましては、アジア掘削株式会社の
事業
、明和インドネシアという会社の
事業
、これらについても
調査
はいたしております。 それで、これらにつきまして特に
検査
報告に掲記したものはございませんが、一部、発電機の稼働
状況
等について現地において
注意
をしたという程度の
状況
でございます。
林孝矩
68
○林(孝)
委員
その
検査
の結果、特に問題はないといういまの話でございました。ところが、その後に
御存じ
のように、先ほどからも問題が提起ございましたけれ
ども
、
地下鉄
の問題であるとか、あるいはLNGの問題であるとか、そういう重大な問題が起こって、そして
予算委員会
においても、それが議論されておる。 私、そこで感じることは、
検査
を行った、その
検査
が
会計検査院
の側で、どのように受けとめておられるかということを伺いたいのですが、いまの
状態
で、能力的にもあるいはシステムの問題、また組織上の問題とか、十分
検査
が行われ得るかどうか、十分現在の事態に対応できるかどうかという問題に対しては、どのように受けとめられておるのか、伺っておきたいと思うのです。
佐藤三郎
69
○
佐藤会計検査院長
決して十分だとは考えておりません。いろんな壁にぶつかっておりますが、その壁の問題につきましては、先ほど原
委員
からも御質問がありましたように、法改正した方がいいのかどうか、これは非常に高度のまた立法的判断を要しますので、にわかには結論出ませんけれ
ども
、それ以外に
権限
の範囲内で何かやれる
方法
がないだろうかということを検討したい、こう考えておる次第でございます。
林孝矩
70
○林(孝)
委員
その現在の
権限
の範囲内でできることはどういう範囲か、あるいはこれから法改正をして、さらに
権限
の範囲を拡大していくという前提に立つと、どこまでできるかというようなことだと思うのです。 たとえば、これも
一つ
伺っておきたいのですが、ロッキード献金問題に関して全日空あるいは丸紅に対する会計
検査
が行われた
実態
はどうであったか、いま裁判が行われているわけですけれ
ども
、裁判所に提出した、あるいは検事証拠であるとか、そういうものが果たしてあるのかないのか、その点はいかがですか。
東島駿治
71
○
東島会計検査院説明員
ロッキード問題につきましては、私
ども
重大な関心を持っておりまして、捜査の
状況
を見守りながら航空機の
価格
については
調査
をずっと続行しております。 また、最近丸紅ルート、全日空ルートにつきまして公判が開始されたのでございますが、これについても公判の進展
状況
を見守りながら、
輸出
入銀行を通して全日空に対してどういう
処置
をとるか、その
処置
によって私
ども
また新たな態度で
検査
を
実施
したい、このように考えておりまして、現在のところ、公判の進展
状況
を十分に関心を持って見守っていきたい、このように考えております。
林孝矩
72
○林(孝)
委員
それと同じように、
輸出
入銀行を通して
検査
の及ぶ範囲というものが実際にあるということですね。先ほど答弁の中で、たとえば四十八年に問題提起された対韓国の
地下鉄
の問題にしても、
権限
が民間企業に及ばない、こういう答弁が先ほどございました。ところが、いまの答弁は、
輸出
入銀行を通して
検査
の
権限
が及んでおるという答弁だったと私、解釈するわけです。
方法
を講じれば
検査
はできるということなのか、あるいは全く
権限
が及ばないというのか、その辺ははっきりしておかなければならないと思うのです。 そこで、
会計検査院法
の第二十三条に、
検査
の必要があると認めたとき左記に掲げることができるという文言がございます。その中に「国又は公社が直接又は間接に
補助
金、奨励金、
助成金
等を交付し又は貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計」、これは非常に範囲が広いと思うのです。こういう会社の場合に
検査
院の
検査
は、ここの必要があると認めるときという前提があるわけですけれ
ども
、及ぶというふうに私は解釈をするのですが、
検査
院は、どのように判断されておりますか。
柴崎敏郎
73
○柴崎
会計検査院
説明
員 いま先生がお読み上げになりました
会計検査院法
の条項でございますが、この条項はもちろん私
ども
の
検査権限
の及ぶ範囲を示した条項でございます。その条項と、先ほど来先生がお挙げになっております丸紅なり何なりのケースですけれ
ども
、丸紅については、いまの条項が必ずしも当てはまらない、このように考えております。ことにトライスターの導入の場合には、丸紅は一商社として行動したわけでございまして、しかもその発注元は、言ってみますれば全日空でございます。こういったような
関係
でございまして、その全日空に対して輸銀がトライスター購入
資金
についての融資をしていた、こういう
関係
でございますから、その意味におきまして、丸紅がいまの条項に当てはめて
検査
の対象になるというぐあいには私
ども
考えておりません。 ただ、例のロッキード問題が起こりましたときに、私
ども
がどういう
検査
をしたかということを若干御披露させていただきますと、当然融資をいたしました
輸出
入銀行に対しては
検査
を、これは定期的な
検査
のほかに、あの問題を絡めまして特別の
検査
もいたしました。その後も再三いたしております。そのほかに全日空につきましても、これはわれわれの
検査
の対象として見た場合どうかといった場合には、全日空の立場も私
ども
の
検査
の対象外である、
検査権限
が及ばないというのが全日空の立場でございますけれ
ども
、
輸出
入銀行を通して全日空の協力を得て、要するに
権限
問題からいきますと、全日空は必ずしも私
ども
の方はもろに
検査
ができないわけですけれ
ども
、問題が問題でありますだけに、
輸出
入銀行を通して全日空にその
関係
についての帳簿等の
調査
を現実の問題としては私
ども
やりました。ただ、これは全日空の了解の
もと
にやったわけでございます。
林孝矩
74
○林(孝)
委員
そうしますと、全日空の協力というものが前提だというお話がございましたが、輸銀を通して全日空の
調査
ができた。今後の問題として、そういう同じ形をとればできる範囲というものは、協力ということが前提ですけれ
ども
、いま起こっているLNG問題にしても、あるいは対韓国の問題にしても、そういう同じ
方法
を通してやればできるという可能性はあるということでしょうか。
柴崎敏郎
75
○柴崎
会計検査院
説明
員 先ほ
ども
海外援助についての、インドネシアについての
検査
の問題について若干御
説明
いたしましたけれ
ども
、インドネシアの場合も、要するにこれは外国でございます。そこで、先ほ
ども
具体的に御披露しました、たとえばリアムカナン水力発電
事業
、こういったものについて私
ども
は直接の
検査権限
はないわけでございます。しかし、これも相手方の了解と協力を得て、必ずしも
検査
という言葉は当たらないかもしれませんが、その
実態
についての
調査
をさせてもらった、こういう形で、要するに海外援助についての実効が上がっているかどうか、
実態
がどうなっているかということについての、われわれとしての確認といいますか、これをやって帰ってきたわけでございますが、こういう形で相手方の了解なり、あるいは協力なりが得られますれば、こういうことも可能であるということで、われわれはそういう形で、現在の限られた
権限
の
もと
においては、そういうような協力を得ながらひとつやっていきたい、このように考えているわけでございます。
林孝矩
76
○林(孝)
委員
そうしますと、相手方が協力をしなかった場合は、もう会計
検査
の
権限
は及ばない、こういうことになるわけですね。だから、あくまでも協力を得なければならない。ロッキードの場合は、先ほど全日空に対しても丸紅に対しても会計
検査
を行ったという御答弁であったわけですけれ
ども
、これは全日空も丸紅も協力をしたということですね。
柴崎敏郎
77
○柴崎
会計検査院
説明
員 おっしゃるとおりでございます。
林孝矩
78
○林(孝)
委員
そうしますと、会計
検査
が、現在の国際的な
経済
の頻繁に活発に行われている中で起こる問題、特に輸銀等を通して国のお金が
一般
民間企業であるとか、あるいは
事業
団であるとか、そういうところに動いておる。それが、舞台が非常に国際的である。当然いろいろな国に行って
検査
をしなければならない。その場合に、あくまでも相手方の了解がなければできないということになれば、これは十分な会計
検査
ができないという結論になってくると私は思います。そうしますと、できないものを、しかし、やらなければならないという必要があると認められる場合は、必然的にそこに
一つ
の大きな壁といいますか解決しなければならないテーマが生まれてくるわけです。当然のこととして
会計検査院
の
権限
がさらに拡大されて、そしてそうした問題解決に十分
検査
が及ぶというような能力を
会計検査院
が持たなければならない、そのように私は思うわけです。 そうしますと、どうしてもそういう
権限
を明確に法律として明記するような立法手続を今後していかなければならない、そのように思うわけですが、
会計検査院
はそうした方向が望ましいと考えられておるのか、いまの
権限
の範囲内で、非常に不満足だけれ
ども
、そこまで積極的に取り組む必要がない、そのように考えられておるのか、その点を明確にしていただきたいと思うわけです。
佐藤三郎
79
○
佐藤会計検査院長
先ほど来御
説明
申し上げているように、非常に国家間の主権が絡む問題でございますので、
検査
は確かに不十分でございます。しかし主権侵害の問題を侵しても、なおかつ、
検査
し得るような体制をとった方がいいかどうか。こうなりますと、非常に高度の政治判断を要する問題になってまいりますので、これはむしろ立法府のお考えで決められてしかるべき
事項
じゃないか、こう考えます。
林孝矩
80
○林(孝)
委員
それから、いまの主権侵害の問題等に関してでございますけれ
ども
、たとえば諸外国の
会計検査院
あるいはそれに類する機能を持つところ、こういうところと国際的な協力体制といいますか、そういうものを問題があったときに結ぶとか、あるいはふだんから結んでおくということはどうなんでしょうか。
佐藤三郎
81
○
佐藤会計検査院長
確かにそれも
一つ
の
方法
だが、ロッキードの問題では、アメリカの
会計検査院
が国会付属機関で相当広範囲な活躍をしております。
権限
も
日本
の
検査
院以上に、いわゆる
行政
監察的なことまでもやって、どんどん議会に勧告状を出しておるというところでございますが、この院長なんかとも話したことがあるのです。ところが向こうも、なかなかそう簡単には
検査
の
内容
をこちらに知らしてくれるという、そこまでのオーケーをとれないのです。その方向では私たちも努力しなければならぬとは考えておるのです。
林孝矩
82
○林(孝)
委員
たとえば、
日本
の総合商社等で外国に支店がある場合、その支店と
関係
のあるアメリカの企業の会計
検査
の中で、
日本
の企業の外国にある支店にも問題が及んだ場合、その国の
会計検査院
に対して、
日本
の
会計検査院
は
資料
を
要求
するというようなことができるようになっておるのですか、それともそれはできないことでしょうか。
佐藤三郎
83
○
佐藤会計検査院長
いまの御質問の趣旨がちょっとわかりませんでしたけれ
ども
、外国にある
日本
商社の支店でございますね、向こうの法人でなくて。支店に対する
検査
を向こうの
検査
院が
検査
してですか。
林孝矩
84
○林(孝)
委員
もう一回言います。 アメリカならアメリカに
日本
のAという商社の支店があるとします。その支店がアメリカの企業と取引をしておる。ところが、その中で会計
検査
上の問題が起こって、アメリカの
会計検査院
に摘発された。当然
日本
の支店のかかわる問題だということになった。それが明らかにされた場合に、その
内容
自体を、
日本
の国民だとか
日本
の国益だとかいろいろな意味で
日本
としても問題としなければならない、このときに、その
実態
というものを知るために、
日本
の
会計検査院
はどういう行動が起こせるのか、こういう問題なんです。
佐藤三郎
85
○
佐藤会計検査院長
いまのそういう段階でございますと、向こうの
検査
院に頼んでも、これを出すか出さないかは、向こうのいろいろな考慮の
もと
でなされることですので、やってみないとわからないというしか申し上げかねます。 それから、その商社が、そういったものに、その取引について
補助
金か何かもらっている
関係
で
検査
院法の網をかぶせられるものであれば、
日本
の法人ですから、こちらが直接乗り込めるということにはなろうかと思います。
林孝矩
86
○林(孝)
委員
それから
昭和
四十九年度の
決算
報告の中で、
不当事項
十六億五千九百万円、
処置
要求
等については百二十六億千二百万円、このように
検査
の
状況
が報告されておるわけです。私の印象として、この数字というものは九牛の一毛にすぎないと感ずるわけですね。
検査
対象は約四万千六百カ所、実地
検査
が約三千四百カ所、このようになっていて、
施行
率が八・二%という
状態
です。したがいまして、より厳格な
検査
の必要性という問題、また年々
検査
対象が幅広くなっていくという問題、複雑多岐にわたるわけでありますから、
検査
院の充実強化というものは私は急務である、そのように思うのです。当然
検査
院としても、そのことは考えられて、
検査
院の充実強化に対しては
予算
要望等もされておると思うわけでありますけれ
ども
、さらに適切な
検査
任務を実行されるためにどうされておるか、私、過去の数字を通してそれを考えてみたいわけです。
昭和
四十年度、五十年度それぞれの
検査
院の定員であるとか、あるいは
歳出
決算
額あるいは
予算額
——
予算額
については五十一年度、五十二年度でありますけれ
ども
、こういう数字を拝見した。そうしますと、たとえば
検査
院の
職員
数はこの二十数年来ほとんど変わっていないという数字が出ておりますし、国の
一般
会計
歳出
決算
額及び
予算額
というものを見ますと、三十年度は一兆百八十八億、四十年度が三兆七千二百三十億、五十年度が二十兆八千六百八億、五十一年度二十四兆二千九百六十億、五十二年度が二十八兆五千百四十二億、このように激増しておるわけです、
予算
そのものは。ところが
会計検査院
の
予算
規模
の比率というものは三十年度、四十年度、五十年度、五十一年度、五十二年度と見ると、たとえば三十年度は比率は〇・〇四〇%ですね。五十二年度になりますと、〇・〇二三%と逆に
予算
が減少しておるわけですね。 この二十年間の国の
歳出
予算額
が激増しているのに対して、
会計検査院
の
予算額
がこのように減少しておる。これは一体どのように考えたらいいのかというわけですね。
会計検査院
の
予算
が多くなれば、それでいいということではないと思いますけれ
ども
、やはりそこに有機的に機能しているかどうかという問題であるとか、いろんなことが考えられるわけですが、
会計検査院
のお考えというものを、この際伺っておきたいと思います。
佐藤三郎
87
○
佐藤会計検査院長
会計検査院
の機能充実につきましては、決してこれでは十分でないと思っておりますので、たとえば四十九年度においては、
予算
面で技術専門官一名の増置、
調査
の専門職である
調査
官八名の増置、それから旅費の増額というようなことで、拡充強化に努力しております。五十一年度につきましても、相当の増員
要求
もしてまいりました。しかし、非常に
国家財政
が苦しいときに、
会計検査院
だけ例外でもございませんので、その増員
要求
全部をいただくというわけにはまいりませんで、結局、さっき申し上げました数字に似たような数字で、増員、増置をしていただいておる、こういうふうなことでございます。今後とも努力いたしたいと存じております。
林孝矩
88
○林(孝)
委員
それから、財政的な面でお伺いしたいわけですけれ
ども
、
検査
院の独立性の保証として与えられている、いわゆる二重
予算
制度、この問題に対しては、過去において当
委員
会で議論されてきた議事録を拝見しますと、議論はされておりますけれ
ども
、
会計検査院
のお考えというものが、その後どのように変わったかとか、取り組みその他に関して、印象的には消極的ではないかというような印象も受けるわけですが、この二重
予算
制度に対しての見解をお伺いしておきたいと思います。
佐藤三郎
89
○
佐藤会計検査院長
おっしゃるとおり二重
予算
によって
会計検査院
は保護されております。しかし、これは
検査
上どうしても
予算
がなければ相当な支障を生ずるというようなときに、発動すべき伝家の宝刀だろうと考えております。それで、いままでの折衝経過におきましても、この二重
予算
制度がございますために、大蔵
当局
も相当な理解を示して、そして増員その他旅費の増額等にも応じてきてくれておるわけでございます。そういう話し合いの過程において、この二重
予算
制度が非常に強く物を言っておりまして、現在に至っておるわけでございますが、その間において、そうひどい——旅費を半分に削られて、それじゃ引っ込んでおれない、それじゃ二重
予算
制度を持ち出そうというような事態に至らなかったということでございます。
林孝矩
90
○林(孝)
委員
時間が来たようであります。
最後
に、
検査
院の
検査
能力の充実、あるいはまた
権限
に関する問題がありますけれ
ども
、先ほどの海外の
経済
協力の問題でもう
一つ
、
検査
院からいただいた
資料
によりますと、四十九年、五十年、五十一年に各年度二名ずつの出張で、在外公館
検査
が行われておるわけでありますけれ
ども
、問題と比較して考えますと、われわれもいろいろな
実態
調査
をして経験することでありますけれ
ども
、人員二名でどれだけの
調査
ができるか、あるいは特に海外に行って行う
調査
でありまして、日数の面でも、これで十分
調査
ができるのか、そういう疑問も持つわけですけれ
ども
、今後の問題として伺っておきたいのですが、こうした海外に出かけていっての
調査
、それに対する
検査
院の取り組みというものがこれであっていいのかどうかということに対して、
検査
院長はどのようにお考えを持たれておるか。 それから、当然それもまた
予算
の裏づけというものが必要になってくるわけです。先ほど、今日のような財政緊迫のときということを前提にして話をされたわけですけれ
ども
、私は、先ほど数字を挙げましたのは、現在だけでなしに、ずっとこの二十年間の
状態
を数字を挙げてお伺いしたわけです。その間ずっとそういう
状態
であるということで、いまだけ財政がこういう
状態
だから、こうということではないということ、この点を含んでお答え願いたいと思うわけです。
佐藤三郎
91
○
佐藤会計検査院長
会計検査院
の重要なる使命を達成するために、人員の拡充、それからそういった外国の実地
検査
を含めて、実地
検査
の拡充ということについては今後とも努力していかなければならない事態だと存じております。
林孝矩
92
○林(孝)
委員
終わります。
芳賀貢
93
○
芳賀委員長
この際、先ほどの
質疑
に関連して、
原茂
君から、
資料
要求
について発言を求められておりますので、これを許します。
原茂
君。
原茂
94
○原(茂)
委員
先ほどのソウルの
地下鉄
の
車両
の単価の問題に関して質問をしました中で、経企庁を呼んでありませんでしたので、いま改めて来ていただきましたので、
資料
の
要求
をこれからしたいと思います。 韓国から、わが国の
メーカー
に対して、数種類の電車の発注がございました。その
車両
の、できるなら
メーカー
ごと
に、概略の
仕様
と、それからアウトラインの
設計
と、細かい原価をぜひ、基金が
メーカー
から入手しつつあると思いますが、入手できた範囲のものを、今日現在で大至急にまとめていただきまして、
資料
としてお出しいただくように
要求
をしたいと思います。
愛甲次郎
95
○愛甲
説明
員 お答えいたします。
一般
的に申しまして、基金といたしましては、円借款にかかわります調達が、商社を通じまして
輸出
が行われるというようなケースにつきましては、
法令
上も契約上も、直接その
メーカー
から
資料
を
要求
するという立場にはございません。と申しますのは、基金の
貸し付け
の相手方は実は外国政府でございます。それで、その外国政府が別途の契約をもちまして
日本
企業等から調達するわけでございます。したがいまして、基金は直接の当事者でございません。そういうことで、先ほど申し上げましたような立場になるわけでございますが、もちろん事実上、その
メーカー
等から話を聞く場合もあるわけでございます。 それで、現在御指摘になっておりますソウルの
地下鉄
についても、基金の方で
メーカー
等とコンタクトして、事実上話を聞いていることもあるかと思いますが、仮に御
要求
になったような、御
要求
に該当するようなものを基金が聞いておりましたといたしましても、これは本来企業秘密にかかわるという面もございますので、これを外部に
資料
としてお出しするわけにはいかないということで、大変あれでございますが、
資料
要求
にはおこたえできないということでございます。
原茂
96
○原(茂)
委員
企業秘密というのは基金の方で決めるのですか。勝手に国ないし基金の方で企業秘密であるなどということを決めないで、相手が、これは秘密だから、ひとつ勘弁してくれと言うなら別だけれ
ども
、あなたの方で勝手に企業秘密だなんて決めつけてかかるということは、非常に何かをかばっているよけいな態度だと思うのですね。基金が
要求
したときに、一体どの
メーカー
が企業秘密だから何と何は出せないと言っているのか、それを言ってください。
愛甲次郎
97
○愛甲
説明
員 私
ども
としましては、
一般
的に企業秘密に属すると考えられているようなものにつきましては、やはりこういう場合にはお出しできないのではないか、そういうふうに考えております。
原茂
98
○原(茂)
委員
よけいなしんしゃくをしなくたって、いいじゃないですか。企業が、これは秘密だから困るから勘弁してくれと言うのなら、どの
メーカー
がどういうことを言っているのか、お聞きしたいというのです。あなたの方で
一般
の常識上、企業が何でも、原価だ、
仕様
だ、あるいは
設計
だというものを出すことは秘密にかかわるだろうと、こっちの方から想像して、だと思うから、これは出せない。こんなよけいなことを、なぜ一体国の立場あるいは基金の立場がしんしゃくしてやる必要があるのか。そんなことは、よけいなことじゃないですか。当たってみた、どの
メーカー
が何々の
理由
によって企業秘密だから断ると言っているんだというのならわかるんだけれ
ども
、あなたの方から、
一般
の常識からいって企業秘密だろうから、こういうものは出さないと思う、たとえ入手していても、基金として出してはいけないと思うなんて、ばかな、よけいなしんしゃくです。 しかも、あなた、いまこれがどんな問題になっているのかよく知っているじゃないですか。大きな、国家的な疑惑の中で、この問題が解明をされようとしているときに、基金そのものが何か入手しても、それは私企業であるから、企業秘密に属するだろうから出せません、そんなばかな態度が一体ありますか。そんなばかなことで出せませんなんていうことを承服できませんよ。企業が、かくかくの
理由
によって企業秘密であるから出せませんと言うならともかく。それなら、そのまま教えていただけばいいんです。あなたの方で勝手に、常識上企業秘密だと思うから基金が入手したとしても、基金は
委員
会に出せませんなんていうばかな答弁の仕方は認めるわけにいかないと思います。
委員長
、どうですか。それでいいですかね。
芳賀貢
99
○
芳賀委員長
愛甲
課長
に申しますが、ただいまの発言は、
説明
員として政府を代表して、当
委員
会における原
委員
の
資料
要求
を拒絶したと見ていいですか。
愛甲次郎
100
○愛甲
説明
員 御
要求
のありました
資料
につきましては、出せないということでございます。
芳賀貢
101
○
芳賀委員長
だから、あなたは政府を代表して、出せないと言っているんですか。
説明
員でしょう。
愛甲次郎
102
○愛甲
説明
員 はい。
芳賀貢
103
○
芳賀委員長
そういう
権限
はないじゃないですか。
愛甲次郎
104
○愛甲
説明
員
本件
につきましては、先ほ
ども
申し上げましたような
理由
で、
資料
としてはお出しできないということでございます。
原茂
105
○原(茂)
委員
出せないいまの
理由
をあなたは、速記録見たらわかるんだけれ
ども
、基金が入手したとしても、常識上考えて企業秘密に属すると思うから出せません、こういう
理由
でしょう。そんなばかな、よけいなそんたくをする必要がありますかと私は言っているのです。企業そのものが、これとこの件は企業秘密だから——私が
要求
している中でそうでないものがあるはずですよ。あなたの解釈のしようによっても程度があると思う。だから、程度を緩和して、どこまでならいいという、その問題もあると思いますが、
一般
常識からいって企業秘密に属するだろうから、基金はそれをたとえ入手したとしても、
委員
会に
資料
としてはお出しできませんというのは、その
理由
が、いま
委員長
の言う政府を代表した見解だとしたら、絶対に承服できない。 企業そのものが何かの
理由
によって秘密だよ、だから、これは出しません、困りますと言っているなら、その
理由
があるならやむを得ない。あなたの方でしんしゃくしてやって、常識上企業秘密に属すると思うから出せませんというその拒否の仕方は絶対いけないと思うのですよ。もう一遍答弁してください。
芳賀貢
106
○
芳賀委員長
愛甲
課長
に重ねて申しますが、あなたは
説明
員でしょう。
説明
員というのは、
委員
会に出席した場合に、政府
委員
を補佐して必要な問題について
説明
を加えるという立場でしょう。それを、
経済
企画庁を経て
海外経済協力基金
に対して、原
委員
から先ほどの質問に関連して
資料
要求
をしておるわけです。だから、あなたの判断で、それは出せませんと言うのは不穏当じゃないですか。これは議論じゃないですよ。出直してきたらどうですか。
愛甲次郎
107
○愛甲
説明
員 先ほどの
委員
の御質問に対しては、基金等が職務上知り得た企業機密に属するようなことにつきましては、その企業にどういう
理由
で出せないのかということを求めまして、それで、その
理由
を申し述べるということも、いろいろむずかしい問題があるということでございますので、やはり私
ども
としましては、そこは常識的に企業機密に属すると思われるところにつきましては、開示できないのではないかというふうに考えております。
原茂
108
○原(茂)
委員
そういうばかな解釈は絶対ぼくは認めない。企業の方が企業秘密だから、これは困るというならともかく、あなたの方で企業秘密だろうと想像して、だから出しませんなんということで政府の統一した見解だなんて
説明
しても、絶対それは通りませんよ。そんなばかなことがありますか。あなたは
車両
会社のセールスマンじゃないのだから。企業そのものがあなたの方に対して、これは企業秘密に属するから、この点はいかなる
要求
があっても
資料
その他として出さないでくださいと言っているならともかく、あなたの判断で、
一般
常識上、私企業の問題だから企業秘密に属するから出せません——あなたの判断した企業秘密が企業秘密じゃないかもしれない、企業にとってですよ。 何でも企業のことをかばって、いつも私企業だから企業秘密があるだろうという前提に立っている政府の立場というのは非常に不可解だ。何か厄介なものを出して問題を起こすよりはなるべく逃れる、逃れるためには企業秘密だ、こう言って一概に言いわけに使っているのじゃないか。企業そのものは企業秘密だと言わないのに、政府の方から勝手に企業秘密に属するのだ、そんなばかな判断ができて、まかり通ると思うのですか。そんなばかな解釈の仕方が一体ありますか。企業が何と言うか全然わからなければしようがないじゃないですか。
芳賀貢
109
○
芳賀委員長
ただいま関連して、丹羽
久章
君から発言の申し出がありますので、これを許します。丹羽
久章
君。
丹羽久章
110
○丹羽(久)
委員
ありがとうございました。
委員長
の許しを得て関連でちょっとお尋ねしますが、政府の話を聞いていると、企業の方に問い合わせも何もせずして、あなたの判断の常識論で、これはちょっと困るというような考え方というのは、事が非常に重大な問題で、原
委員
の質問は、その
資料
によっていろいろの判断ができていく、こういうことだろうと思う。その
資料
をあなたが常識的にというようなことの答弁は、恐らくこの
委員
の皆さん方も、それに対して承服できぬだろうと私は思っている。 だから、私はこの際、
委員長
にお願いしたいと思いますことは、朝の約束の時間もありますから、原
委員
には非常に納得いかないと思いますが、この
資料
提出方に対しては
理事
会を開いて、そしてこの問題を討議するということにひとつ
委員長
、取り計らいをしていただきたい。これは議事の進行の上において、そうしていただきたいと思いますから、皆さんに諮ってください。お願いいたします。
芳賀貢
111
○
芳賀委員長
ただいまの
資料
要求
につきましては、追って
理事
会において
協議
することといたします。 安藤巖君。
安藤巖
112
○安藤
委員
私は、まず最初に、
会計検査院
の基本的な姿勢の
一つ
についてお尋ねしたいと思います。
昭和
五十年度の
決算
の
検査
報告から「特に掲記を要すると認めた
事項
」いわゆる特記
事項
、先ほど院長の方からお話がございましたが、それを記載してあるわけですね。これを記載されるようになった法的根拠、これは院法のどこによっておられるのか、お尋ねしたいと思います。
柴崎敏郎
113
○柴崎
会計検査院
説明
員
会計検査院法
には、
検査
の結果の
検査
報告
事項
といたしまして、院法の第二十九条に「左の
事項
を掲記しなければならない。」ということで列挙してございますが、これは要するに
決算
の確認とか、
検査
の結果の
不当事項
とかいうようなことでございますが、そのほかに、
会計検査院法
の
施行
規則に、やはり
検査
報告についての掲記
事項
が掲げてございまして、先ほど申し上げました
会計検査院法
「第二十九条の
規定
により掲記するものの外、」といたしまして「検察庁に通告した
事項
、」とか「審査の
要求
に対し判定した
事項
」がございますが、「その他必要と認める
事項
を、
検査
報告に掲記することができる。」こういう
会計検査院法
施行
規則の
規定
がございます。これによりまして、私
ども
といたしましては
検査
の結果、
検査
報告に掲記をいたしまして、これを報告
事項
とする必要があると認めまして、特記
事項
を新しく掲記
事項
に加えたわけでございます。
安藤巖
114
○安藤
委員
そうしますと、院法の三十六条、三十四条とはまた違う趣旨ということでお伺いしていいわけですね。
佐藤三郎
115
○
佐藤会計検査院長
御説のとおりでございまして、三十四条、三十六条というかみしもを着せられるものは三十四条、三十六条で出てまいります。しかし、三十四条、三十六条のかみしもを着せるまでにまとまらない案件で、しかもこれを黙っておくにはいかがかと思う、むしろよく知ってもらった方がいいという考え方で、残っているものを掲記しているわけでございます。
安藤巖
116
○安藤
委員
ところで、地方自治体がたくさんの金額を抱えておる超過
負担
の問題につきまして、かつて院長は、五十一年の二月二日、
予算委員会
においてその超過
負担
の問題も取り上げて、いろいろな検討を加えていきたい、あるいは三十四条、三十六条というようなことででも指摘をしていきたいというような御趣旨のことを答弁しておられるのですけれ
ども
、その結果は一体どういうような成果が上がっているというふうにお考えでしょうか。
佐藤三郎
117
○
佐藤会計検査院長
超過
負担
の問題は、これは地方自治体の問題として非常に大きな問題でございますので、お説のように、しばしば議論もあります。それで
検査
院としても、この方向で
注意
して
検査
してまいっておりますが、超過
負担
の超過とは一体何ぞやというその
標準
の問題で非常にむずかしい問題を抱えておりまして、三十四条、三十六条というようなかみしもを着せて出すという段階までにまだまとまっておりません。他方、大蔵
当局
も超過
負担
の問題については、かなり是正の方向にまいっておりますので、かなり
改善
されてきていると思いますが、なおそういった面は頭に置きつつ
検査
をしていきたい、こう存じております。
安藤巖
118
○安藤
委員
そこで、先ほどお尋ねいたしました特記
事項
ですね、これを生かして超過
負担
の問題な
ども
取り上げてやっていくというようなお考えはおありでしょうか。
佐藤三郎
119
○
佐藤会計検査院長
超過
負担
の問題につきまして、そういうふうにうまくまとまれれば、特記
事項
に出しても決して恥ずかしくない問題ですから、まとまれれば出してもいい問題だ、こう考えております。
安藤巖
120
○安藤
委員
ということは、そういう特記
事項
として取り上げるにふさわしい問題であるので、これから取り上げていくことを考えているというふうにお伺いしていいわけですね。
佐藤三郎
121
○
佐藤会計検査院長
超過
負担
が何でもかんでもふさわしいというわけではございませんで、いわゆる
会計検査院
的に見まして、超過
負担
のこういうところに問題があると申しますか、どの辺から問題が出てくるか、それによって決定さるべき問題かと考えております。
安藤巖
122
○安藤
委員
ですから結論としては、超過
負担
の問題を取り上げないというんではなくて、そういう問題も、まとまれば前向きに取り上げていきたいということだというふうに伺ってよろしいかと思いますね。答えていただかなくても結構です。 それで、超過
負担
の問題だけを取り上げたのですが、それ以外の問題につきましても、
予算
の執行の効果という点から、いまおっしゃったような特記
事項
を活用して取り上げていくというようなことは前向きに検討しているという点はどうでしょうか。
佐藤三郎
123
○
佐藤会計検査院長
これは超過
負担
のその問題だけでなく、最近わりあいうるさい
補助
金の整理の問題もございますが、
補助
金等の問題についても検討いたしまして、特に零細
補助
金とか、それから各省共管にわたるような
補助
金もあるわけですけれ
ども
、そういったものについて
補助
金の効果が上がっているかどうかというような観点から
検査
しまして、そしてこれにどのかみしもを着せるか、三十四条にするか三十六条にするか、あるいは特記
事項
にするか、これは出た結論を見ましてかみしもを着せたいと思っておりますけれ
ども
、そういう前向きの姿勢で
検査
しているということは申し上げられます。
安藤巖
124
○安藤
委員
次の問題に移りたいと思いますが、先ほど韓国の
地下鉄
の問題について、いろいろ議論がなされておるわけですので、重複することは避けましてポイントだけお尋ねしたいのですけれ
ども
、
検査
院は、海外協力基金が持っているいろいろな
資料
を検討して、
調査
それから
検査
されるというふうに思うのですけれ
ども
、韓国に対する借款をして、この韓国の
地下鉄
の問題につきましては、
予算委員会
で明らかになったところによりますと、
日本
連合という団体を商社の方かつくって、そして韓国の調達庁との間に契約を締結したというふうに聞いておるのですが、この契約書というのは、
検査
院として
検査
の、あるいは
調査
の対象とすることができるのかどうかという点はどうでしょうか。
東島駿治
125
○
東島会計検査院説明員
お答えいたします。 韓国の調達庁と
日本
連合の契約書はございまして、これは
検査
のときに私
ども
見ております。
安藤巖
126
○安藤
委員
そうしますと、その契約書には、
車両
の単価は幾らというようなことなんかは記載してないものでございましょうか。
東島駿治
127
○
東島会計検査院説明員
車両
価格
については、それには記載しているというふうに聞いております。
安藤巖
128
○安藤
委員
そうしましたら、その当時その
価格
が妥当なものであったかどうかという点について、先ほどから議論になっております都営
地下鉄
あるいは国鉄の
車両
の
価格
との対比というようなことは、当時
検査
院としてはお考えにはならなかったのでしょうか。
東島駿治
129
○
東島会計検査院説明員
その当時、当初私
ども
検査
いたしましたときは、手続の問題とか、プロジェクトに沿っているかどうか、そういう点を中心にやっておりましたが、その後、四十八年に
決算委員会
で取り上げられましたので、その後また再び見直したということでございまして、そのときには、国内の
地下鉄
に比べて高いという問題が提起されているけれ
ども
、これでどう考えるかということを基金において
説明
を受けまして、その当時としましては、先ほ
ども
ちょっと触れましたように、ゲージが違うとか、車体が大きいとか、あるいは非常に寒いところであるので、そのための施設をしてあるとか、あるいは交直両用で特殊な変圧器、整流器を載せてあるというような御
説明
を聞いて、私
ども
も、当時としてはそれに対する的確な判断を下すだけの
資料
もございませんし、そのまま推移したような
状況
でございます。
安藤巖
130
○安藤
委員
そのまま推移したということですが、いまお話しになりましたように、契約は四十八年の五月に行われているわけです。それから
決算委員会
で問題になったのは、四十八年の十月です。そしてこの
検査
は、もちろん、だから四十九年三月以降に恐らくおやりになったと思うのですが、
決算委員会
で、金額に相当差があるということがはっきり指摘された後なんですね。だから、その指摘されたのを、どのようにお踏まえになったのかということなんです。いまのお話ですと、それだけの差があるということを指摘されたけれ
ども
、協力基金の方から、いまおっしゃったような幾つかの項目の
説明
を聞いて、ああなるほど、それでわかりましたということで済んでしまっているような気がするのですね。だからそのときに、そういう指摘をされた差について、先ほどから私がお尋ねしている都営
地下鉄
なり国鉄なりの
車両
の
価格
と比較してどうだということは、全くお調べにならなかったのですか。
東島駿治
131
○
東島会計検査院説明員
その当時都営
地下鉄
の問題が出ておりました。そのほかに営団
地下鉄
の
車両
について私
ども
も調べましたが、現在になってみますと、必ずしもその掘り下げが十分でなかったということについては反省しております。
安藤巖
132
○安藤
委員
反省をしていただかなくてはならぬことであると思うのですけれ
ども
、反省ということだけでは済みませんので……。 それで、いま現在の時点で、総額にして二億円もの差があって、その行方が不明であるというような疑惑が提起されているわけですけれ
ども
、先ほどからの御答弁をお伺いしておりますと、国内の
メーカー
について、いろいろ
車両
の単価について
調査
をしているというふうにおっしゃったのです。いろいろ外交上の問題もあるというようなことも言っておられるのですけれ
ども
、そういうような
調査
をすることが韓国に対して外交上マイナスになるのではないかというような御趣旨のことをおっしゃったように伺うのですが、その点は全く配慮しないで、きちっと調べるという姿勢だというふうにお伺いしていいわけですね。イエスかノーだけお答えください。
東島駿治
133
○
東島会計検査院説明員
私の方では、韓国との
関係
とは別に、純技術的な面で
調査
をしておりまして、この前の
調査
の際に不足した国鉄の
車両
の諸元とか、それからそのコスト、それぞれについてもいろいろ
調査
しておりまして、その
調査
をすることが日韓
関係
にどう影響するかというようなことは一応全く考慮しないで
調査
しております。
安藤巖
134
○安藤
委員
これは、具体的に直接国鉄
当局
あるいは営団
地下鉄
あるいは
車両
メーカー
に、院の方から当たっておられるのかどうかという点はどうですか。
東島駿治
135
○
東島会計検査院説明員
営団
地下鉄
それから国鉄につきましては、私
ども
検査権限
が十分及びますし、これについては、その
製造原価
についてもわれわれ把握できますし、これはやっております。ただ
メーカー
につきましては、現在のところ、基金を通じて
原価計算書
をいただけないかということは申し入れておりますが、基金自体も、それが得られないという答えを受けている
状況
でございます。
安藤巖
136
○安藤
委員
権限
の問題としてはともかくとして、こういうふうにいろいろ社会的にもあるいは国際的にも問題になっている問題ですので、
検査
院としても、事実上その
メーカー
に協力を求めるというようなことは考えておられないのですか。
佐藤三郎
137
○
佐藤会計検査院長
これは
海外経済協力基金
の
検査
としてやっておりまして、したがって、
海外経済協力基金
を通じてとらせるのが、私は筋だと思うのです。それで、いよいよだめだったとき、そのときに本院が直接出て、出すか出さぬか、そういう問題になるのじゃなかろうかと思うのです。私は筋を立てたいと思います。
安藤巖
138
○安藤
委員
だから、協力基金を通じて
メーカー
の方も
調査
の対象にしていきたいということに伺ってよろしいですね。
佐藤三郎
139
○
佐藤会計検査院長
そういうことでございます。
安藤巖
140
○安藤
委員
時間がありませんので、次の問題に移りますが、ロッキード事件についてお尋ねしたいのです。 先ほど、丸紅
関係
、全日空
関係
については公判が進行中であるので、公判の進行
状況
について関心を持っておるというふうにおっしゃったのですが、そうしますと、公判が終わるまで、これはじっと待っているというようなことになるのですか。これは相当な期間がかかるというふうに聞いておるのですが、その間待っているのですか。
東島駿治
141
○
東島会計検査院説明員
起訴された冒頭陳述を見てみますと、現実にロッキードから全日空に金がキックバックしているということを記載されておりますが、その金額がはっきり決まり、またその金の性格が明確になりましたときには、当然
輸出
入銀行としても返還その他の
処置
を全日空に対してとられると思いますが、私
ども
としましては、その性格、金額が明確にならない限り、これを不確定なまま
検査
報告に掲記するというようなことは現在のところできないのじゃないか、このように考えております。
安藤巖
142
○安藤
委員
金額がはっきりする前の段階に、そういう疑惑が持たれているという点について、
検査
院としては、
検査
の準備行為として事前に
調査
に着手されるというようなこともあるのじゃないですか。だから全日空の問題についても、そういうようなことをやってしかるべきだと思うのですが、どうですか。
東島駿治
143
○
東島会計検査院説明員
その後、
輸出
入銀行の
検査
の際には、その
輸出
入銀行の態度あるいは考え方というようなものについては常に話し合いをしておりますし、向こうの適切な処理をいまのところ待つような
状態
でございます。
安藤巖
144
○安藤
委員
いまのお答えの程度では不満足なんですが、そうしますと、
検査
院としては全日空も
検査
の対象にしているのだ、対象の中に加えて、いまいろいろ事情も聞いておられるというようなお答えでしたが、対象にしているのだというふうに伺っていいわけですね。
柴崎敏郎
145
○柴崎
会計検査院
説明
員 この
関係
につきましては、先ほ
ども
申し述べましたけれ
ども
、一応
権限
上は私
ども
としては直接の
検査
をする
権限
を持たない、持たないけれ
ども
、われわれの
検査
の遂行のための
一つ
の手段として全日空の協力の
もと
に、了解の
もと
に事実上の
調査
をいたした、こういうことでございます。
安藤巖
146
○安藤
委員
児玉譽士夫を国税庁は昨年の二月に告発をいたしたのですが、この告発はもちろん御承知のように、脱税をしたということでございますね。国税庁が認定した脱
税額
は十七億余円と言われているのですが、その脱
税額
が正当なのか、あるいは間違っているかというような点については、当然
検査
院の
検査
の対象になるというふうに考えてよろしいのですか。
前田泰男
147
○
前田会計検査院説明員
お答えいたします。 児玉譽士夫につきましては、四十五年から五十年までの更正決定を一応了しまして、重加算税を含めまして現在約二十六億円の脱税ということに相なっておるわけでございます。これに対しましては、われわれも事件が事件でございまするので、昨年来特別チームを設けまして、いろいろな傍証をとりながら、いまだ検討しているところでございますけれ
ども
、ただ、まだ公判が始まっていないということで、一番肝心かなめの立証するところになりますところの
課税資料
が、まだわれわれのところに届いておりません。したがいまして、これが手に入りましたら、なるべく早く結論を出せますように、現在のところは関連するものの傍証を集めているという段階でございます。そして、無論おかしなことがございますれば更正をお願いする、こういうことに相なろうかと思います。
安藤巖
148
○安藤
委員
小佐野賢治についても、いま児玉譽士夫についてお話しになったような程度の準備あるいは
調査
の対象にしているというようなことは言えるのでしょうか。
前田泰男
149
○
前田会計検査院説明員
われわれといたしましては、一応そういったような疑惑が持たれました人に関しまして、実は小佐野につきましては、いまだ課税処理がなされておりませんので、これはまだ更正決議書が出てくる段階にきておりませんけれ
ども
、しかし予想されるようなことに関しましては、一応関連
資料
を集めるという努力は現在いたしております。
安藤巖
150
○安藤
委員
これで具体的な質問は終わりますけれ
ども
、先ほど来いろいろ議論がありましたように、
会計検査院
としての、いわゆるお目付役としての職務を十分全うしていただきたい。それから特に協力基金の場合は、すべてが国あるいは国民の血税で賄われているわけですから、日韓の
地下鉄
の問題につきましても、今後とも適切、厳正な
検査
をやっていただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
芳賀貢
151
○
芳賀委員長
次回は、明二十四日木曜日午前十時
理事
会、午前十時十五分
委員
会を開会することとし、本日は、これをもって散会いたします。 午後一時二十六分散会