○井口
説明員 お答え申し上げます。
この
海洋法会議の草案は結局意見の集約として出てきておるわけでございまして、いま申された春会期の
海洋法会議の単一草案の解説でございますけれ
ども、これは結局
委員長が各種の意見を要約しまして、自然延長という
考え方が経済水域二百海里の外になお主張されているということで、経済水域とは別に「
大陸棚」という章を設けてありまして、その章で二百海里以遠の
大陸だなの自然延長の外縁までが
沿岸国の主権的権利に属するということを書いてあるわけでございます。その後、実はその春会期の終わりに、第二
委員長が大勢として自然延長が有力であるということを言って、夏会期にはむしろ自然延長の外縁を客観的、
技術的に決める基準をつくりたいということで書いてあるわけでございます。これも
外務委員会には前にお渡ししてあるはずでございます。そして夏会期が開かれまして、その結果第二
委員長が、もはや広い
大陸だなすなわち二百海里以遠の
大陸だなの主張、これが
海洋法会議成立のためのパッケージディールであるということで、二百海里以遠の自然延長は認められなければならない、ただ、後進国のために二百海里以遠の自然延長の収益を分与するという提案をいたしまして、実は夏会期はもっぱら収益分与の点に議論が集中したわけでございます。これも第二
委員長の
報告に出ているわけでございます。
なお、経済水域と
大陸だなとの
関係におきましては、これは一昨年でございますが、単一草案が……(加地委員「時間の
関係がありますから簡潔にお願いします」と呼ぶ)一昨年単一草案ができますときに、経済水域と
大陸だなとの
関係につきましては、四十五条において経済水域内の
沿岸国の権利は本
条約の
大陸だなの
規定を害するものではないという
趣旨の
規定が挿入されておりまして、これは
大陸だなの自然延長派の主張によって入ったものでございます。
そして、今度は、昨年のニューヨークの第五会期の終わりに、改訂単一草案におきまして「
海底及び地下に関する経済水域内の権利は本
条約の
大陸棚の
規定に従って行使される。」という表現に改められまして、経済水域の
海底が
大陸だなの権利、義務の
規定の適用を受けるという
趣旨が書いてあるわけでございます。したがって、この経済水域というものが
大陸だなの主張を包摂するというのではなくして、むしろ
大陸だなは別個に存在するということで、経済水域の
海底も
大陸だなの権利、義務が適用されるという
趣旨の
規定が現在の改訂単一草案でございます。