○加賀美
政府委員 お答え申し
上げます。
中東情勢におけるエジプトの役割りがまず第一の御
質問でございますが、御承知のように、昨年秋ぐらいからこの中東和平への
国際的な機運というものが高まってまいりまして、カーター米新政権が発足いたしましてから積極的にまずバンス国務長官を中東地域に派遣する、あるいはその後中東地域から指導者をアメリカに招いてその
見解を聞くというような動きがあるわけでございます。そして、サダト大統領もこの四月にアメリカを訪問いたしましてアメリカ
政府との
意見交換をやっておるという状況でございますが、その間にありましてエジプトは、中東諸国の中でも穏健派の一つのリーダーといたしまして、積極的に和平への希望を表明し、かつ、かなり柔軟な
態度を打ち出しているということも言えると思います。その柔軟な
態度の一つと申しますのは、ジュネーブ
会議再開前にもパレスチナ国家とヨルダンとの何らかの、公式の宣言されたリンクを設けるべきであるというようなことも申しておりますし、また、パレスチナ解放団体であるPLOの
態度の柔軟化にもエジプトが
努力するというようなことを申しておるわけでございます。こういうことで、中東和平への
国際的
努力の中にあって、エジプトはきわめて積極的な、かつ指導的な役割りを果たしておるということが言えると思います。
それから、
日本とエジプトとの今後の
関係でございますが、御承知のように、
日本はエジプトの政治的、
経済的重要性を認識いたしまして、数多くの要人の交流が行われております。先生御指摘のようにこの秋にはサダト大統領の来訪ということも考えられておりますし、これまでの
先方要人の来日といたしましては、
昭和四十九年の当時のハテム副首相の来日、それから文化
大臣、人民議
会議長、政党の代表の来日、近くは昨年十月のサダト大統領夫人の来日、本年になりまして
経済協力次官ナーゼル次官の来日、さらに再びハテム統括官の来日というようなことがございましたし、わが方からは、四十八年の十二月に三木特使のエジプト訪問、それから四十九年には前尾衆議院議長、四十九年十一月には当時の木村
外務大臣、五十年になりますと小此木政務次官、昨年一月には河本通産
大臣等のエジプト訪問がございます。
それから
経済協力の実績といたしましては、商品援助その他の円借款が総額七百五十二億円に上っております。これは一九七三年以降昨年までの実績でございます。
それから、技術協力の面でもかなりの数の研修生を受け入れておりますし、専門家も派遣いたしております。
文化交流の点では、これは文化人の交流が、わが方から派遣いたしましたのが、
昭和五十年度七名、五十一年度に五名、招聘、つまりエジプト側からの文化人の招聘が五十年度には三名、五十一年度が四名という数でございます。
それから、エジプトが現地における
日本研究の促進といたしまして、
日本語講師の派遣を五十年度は二名、五十一年度に二名、それから
日本語講座成績優秀者の招待も行っております。それから、
日本語教材の援助といたしまして、五十年度に十二万六千円、五十一年度八万四千円というような実績もございます。
その他、展示事業といたしまして、五十年度に近世の
日本絵画名品展、これをエジプトで展示しておる。それから、五十一年度には平山郁夫展の開催というようなこともやっております。
そのほか、これは文部省所管でございますけれ
ども、国費留学生の招聘、それから
総理府の所管で、青少年交流使節の派遣というような交流事業をやっております。
その他、学術
調査の派遣であるとか映画、テレビフィルムの購送、そういったこともやっております。
私
どもといたしましては、エジプトの政治、
経済面の重要性ということから、中東和平への
国際努力、それに対しては
日本のこれまでとっております一九七三年十一月二十二日の官房長官談話の基本ラインがございますけれ
ども、これをもって中東和平に対する
日本の
立場とする。これはアラブ側にもかなり高く評価されておりまして、
日本の基本的
態度、すなわち中東戦争においてイスラエルが占領いたしました地域からの撤退、それからパレスチナ人の国連憲章に基づく権利の尊重、さらにその地域におけるすべての国、すなわちイスラエルを含みますすべての国の平穏に存在する権利の保障、さらにPLOが和平
交渉に参加を許さるべきであるという基本的なライン、これは
総理大臣、
外務大臣の
国会演説にも明確に表現されておりますけれ
ども、そういう基本的なラインの保持によってアラブ諸国との友好も増進する。特にエジプトにつきましては、その他
経済協力等の促進、あるいはさらに人的交流を進めていく、文化交流も含めましてそういった交流を進めていくことによって、この
日本・エジプト
関係を増進してまいりたい。そして、今回御
審議をいただいておりますこの
条約等も、今後の
日本のエジプトに対する投資の奨励になるということを念じているわけでございますが、こういう方法によって
日本とニジプトの
関係をさらに増進してまいりたい、そういうふうに考えております。