○加賀美
政府委員 エジプトと米ソ両国との
関係の御
質問でございます。
まず第一に
ソ連との
関係について若干申し上げますと、すでに先生御存じのとおり、大体一九七〇年ごろまで、つまりサダト大統領の就任直後までは、エジプトと
ソ連との
関係は非常に友好できわめて緊密であったということが言えると思います。ところが七一年五月にサダト政権が
ソ連派の連中を追放した、それから七二年七月に
ソ連軍事顧問団の引き揚げをさせたということから、
ソ連、エジプト
関係は冷却いたしまして、特に最近七六年三月に至りましてエジプトが
ソ連・エジプト友好協力
条約というものを廃棄したということになって、きわめて冷たい
関係になったということが言えるわけでございます。こういう
ソ連、エジプト
関係が悪くなってまいりました背景には、
ソ連のエジプトに対します軍事
経済協力、それから特に七三年の第四次中東戦争当時の
ソ連のエジプトに対する協力ぶりというものがエジプトの望むような形でなかったということに対するエジプトの不満があったということが言われております。
しかしながら、その後、七六年十一月にはブルガリアにおきまして
ソ連、エジプト両外相会談が行われましたし、それからジュネーブ和平会談の早期開催という問題、それから両国
関係の
現状、将来をめぐる協議というようなことが行われましたほか、今後
ソ連、エジプト双方の共通の関心事である諸問題をめぐる意見交換を継続すべきであるというようなことにつきまして、
ソ連、エジプト両国間で合意が成立した。それから来る六月にも両国の外相会談が開催されるというような運びになっております。したがいまして、
ソ連、エジプト
関係が若干改善するという余地が生じつつあるように見受けられます。
こういった両国間の
関係を修復していこうという動きの背後には、やはり
ソ連といたしましても、ジュネーブ和平
会議再開という問題を控えまして、和平
会議の共同議長国である
ソ連としてその責任もあるということで、エジプトとの
関係を改善していくことが望ましいという考慮があるのではないか。それからエジプト側におきましても、
ソ連に対する債務の問題であるとか、それから
ソ連製武器の部品の供給再開問題というような問題もございますので、
ソ連との
関係を改善していこうという必要があるというふうにエジプトも
考えておる、そういうことが言えると思うわけでございます。
他方でアメリカとの
関係でございますけれども、アメリカの方は、一九七三年の戦争の結果切れておりましたエジプトとの間の外交
関係を七四年二月に再開いたしました。それから七四年六月にはニクソン大統領のエジプト訪問があり、それからサダト大統領が七五年の十月とことしの四月にアメリカを訪問して、急速な緊密化の動きが見られたわけでございます。ちなみに七六年におきますアメリカのエジプト援助は大体十億ドルというような数字が出ております。
このようなアメリカとエジプト
関係の急速な緊密化ということは、サダト大統領も公に述べておりますように、中東紛争の和平
解決のためにはやはりイスラエルを説得していかなければならない、それができるのはアメリカだけである、そういう基本的な判断に立っておる。それでアメリカといたしましても、こういったエジプトの期待にこたえてエジプトヘの
経済援助を促進する、それからジュネーブ
会議早期再開ということへの努力を行っておる、そういうふうに
考えております。