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寺前委員 外務省の方は大胆にもっと正確にお伝えをしないと——国内法を準備しておられる人は、問題点は狭水道のところの航法問題で、漁業
関係者との間に
理解が
一致しないのだ、苦労したのだという
お話があったじゃありませんか。
大臣にそのことを率直におっしゃらないと、レーダーがどうのこうのと言ったって、問題の一番の焦点は違うということをみずから言われたでしょう。私はこういうのはきちんと
大臣にお伝えをすべきだ、そうでなければ、
大臣は
責任を持てないことになるから、私ははっきりその点はひとつ指摘をしておきたいと思います。
そこで、私は次に聞きたいわけですが、海上交通の問題というのが、
国際的なルールと国内のルールがそごを来した場合には衝突が起こるということを
考えておかなければならぬことになると思うのです。だから、はっきり受け入れられないものならば受け入れられないと言わなければ、これはぐあいが悪いことになるわけですね。
ところで、ここに私は海上安全船員教育審議会の会長さんあてに東京商船大学の学長さんの名前で出ている諮問に対する回答という文書を持っております。この文書を見ると幾つかのことが書かれています。「法律形式、構成はできるだけ
条約尊重の形式
表現が望ましい。」これが第一番目です。第二番目に「法第九条第二項第三項の帆船及び狭い水道等における帆船及び漁ろう船の航法規定は、法解釈上但し書き規定が主文となるものである。すなわち第十八条が一般法で、第九条が特別法である。従って特別法が一般法に優先するという適用原理の筋を通すべきものと思う」先ほどからここで問題になっている点について、この東京商船大学の学長さんの名前で出ている諮問に対する回答が、やはり同じように疑問を持っておられる。以下いろいろ書かれておりますけれ
ども、大学という、
日本においてもこれらの
分野において重要な
役割りを背負っておられるところの人から、この
条約といま進んでいる国内法との
関係においては、素直に受け取れない要素があるという御指摘が出ているということは非常に重要だ。
また、私は
日本船主協会の方々にも聞いてみました。そうすると、船主協会の方々もまた同じような問題提起をしておられます。「
条約批准のための現行海上衝突予防法全面
改正に当たり、特定の条項について当局との間に重大な見解の対立を生じ、従前からの問題点がクローズアップされる結果となった。すなわち狭い水道又は航路筋および分離航路内における一般船舶と漁ろう船との航法
関係であって、
改正法案は現行法をベースにして書かれており極めて難解で
条約のニュアンスを忠実に伝えておらず、また一般通航船にとって不利と思われる
表現方法がとられている。このため海運
関係団体と当局との間で再三にわたって
意見交換が行われたが、法案作成日程との
関係もあり、最終的に三月四日の海上安全船員教育審議会海上安全船員教育審議会海上安全部会の場において、漁業側を含め
関係者に対し本問題点の正当な解釈について周知徹底をはかることを条件に原案どおり決定をみた。」ここでも船主協会の方々の中でこの
条約に対する疑問が出て今日まで来ている。
もちろん漁業
関係者は当初から問題にしている。とすると、
国際法と国内法においてこれだけ論議を持っている内容について、果たして
日本の解釈が
国際的に通用するのかどうかということをはっきりしておかなかったならば、私は、
条約審議をするこの外務
委員会としては重大な
責任を負わなければならないことになると思う。
ですから、この検討会に直接外務省は人を派遣をして一緒になって検討されたことだから、今度は
大臣からでなくして、担当者からお聞きをしたいと思うのです。
現在の
日本の海上衝突予防法の二十六条では「漁ろうに従事している船舶以外の航行中の船舶は、」——ですから漁船以外のものは、「漁ろうに従事している船舶の進路を避けなければならない。」回避せよ、こう言っている。ただし、漁船の方は、妨害したらいけませんよ——主文は何か。漁労をしている船を避けなければならない、これが現在の主文だと思うのです。ところが
条約になってくると、狭い水道について「漁ろうに従事している船舶は、狭い水道又は航路筋の内側を航行している他の船舶の通航を妨げてはならない。」——主文は何か。要するに狭い水道では漁労しているところの船舶は他の船舶の通航を妨げてはならない。「避けなければならない」程度じゃない、「妨げてはならない」ときわめて
言葉強く指摘をしているわけであります。妨害するな、狭い水道を自由に通れるように保障せよ、これが主文で、そうして後に十八条で「各種船舶の
責任」問題というのが出てくる。狭い水道に限って言うならば、主文は何かと言ったら、漁労している船は妨げてはならないというのが主文じゃないでしょうか。
そうすると、明らかに現行国内法とこの
条約との間には、
時代の
変化によって大きな船が通るような
時代になってきているときに、細かい船がごろごろそこらにおってもらったら困るじゃないかということで、ここに、強くじゃまするなよということが主要な問題として
国際舞台で論議になったのではないだろうか、私はこの
条約と現行法とを対比してみたときに、そう
理解をせざるを得ないと思うのです。現行法とこの
条約の
関係で言うならば、私の
理解に間違いがあるでしょうか。
国際的に
一致してこの解釈が通用しているのだろうか、どういう解釈になったか、その論議の過程の文章はないかと思って探したけれ
ども見当たりませんでしたので、私はここで
関係する討議の内容について聞かしていただきたいし、その後それぞれの国々においてこの解釈問題が
一致しているのかどうか、違う国はないのか、どういうことになっているのか、説明をしていただきたいと思います。