○渡辺(朗)
委員 この次にはそこら辺の、
わが国としての
世界の食糧需給
関係、これについての
見通しをぜひお聞かせをいただきたいと思います。
いま
手元に持ってきておりますけれ
ども、OECDは昨年、五十一年の七月二十六日に
見通しを発表しております。それによりますと、八五年までは
世界の
食糧事情、これは過剰供給の時代になっていくのではないかという
見通しを立てております。この点御留意いただき、そしてまた
わが国としての
見通しをひとつ聞かしていただきたいと思います。
なぜこの点を先にお聞きしたかといいますと、私は食糧というのは
世界緊張の大きな原因になってくるものだと思います。また人道的な立場からも、飢餓を人類が味わうことなく何とか生きていく、こういうことのために非常に重要な問題になっていることばもう先刻御承知のとおりであります。しかし同時に、実は核兵器と同じような武器の
役割りをも現在の
世界政治の中では食糧が果たしてきているのではあるまいか、こういう点を感じるからであります。早い話が、
アメリカがかつてキューバ問題で紛争を起こしましたときに、食糧の供給をストップするという問題にもなりましたし、米ソのデタントの問題も、食糧の
アメリカからの供給あるいは今後のそういう取り決めといった問題が背景にあるということを考えますと、食糧問題は単に人道的な観点のみならず、
世界戦略の、これからの
日本外交の上での大きな問題になってくると思います。その点で、この
基金の性格についてさらに突っ込んでお聞きをいたします。
附属書を見ますると、これに参画する
先進国あるいは途上国、
産油国といった
区分けができておりますけれ
ども、その中にソ連、中国が参画をしておりません。このことは外務省としてどのように問題を考えておられるのか、私はまずそのことを
一つ聞いておきたいと思うのです。ソ連、中国というのは、人口においても国土においても、
世界の
農業生産の上でも大きな
役割りを持っている国だと私は思います。ソ連、中国のみならず、ここにはいわゆる共産主義
諸国が参画をしておりません。ユーゴスラビアを除いて他の
国々は参画をしておらない。こういった参加国の構造を見たときに、
一つ懸念が出てまいります。そればいまデタント、緊張緩和の方向に
世界が向かっているのに、食糧の問題でいわゆる自由主義
諸国のみ、これが途上国に対するいわば抱き込み工作、
援助工作というものの拠点になりはしないだろうか。ソ連と中国の未参加という問題をそういうふうに懸念するのは私の取り越し苦労かもわかりません。しかし私は、外務省あるいは
外務大臣のこれについての考え方をお聞きしたいと思います。