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井上(一)
委員 そこで私は、国際人権規約の批准は、早急に
関係機関と協力をして批准に向けて
努力をするというお答えを信じて、在日韓国人に対する問題でお伺いをしていく、そして具体的な事例をもって、いかに人権が守られておらないか、いわゆる人権擁護の立場に立って御
質問をいたしたい。
先ほどコピーを渡したわけであります。私はここにその原本の写真を持参しておるわけですけれ
ども、韓国語でありますから、
日本語に訳したものをコピーして、重要部分について説明を加えながら
質問をいたします。
いま韓国でたくさんの学生諸君が、スパイ行為だという名目のもとに獄中につながれておるわけです。私はあえてきょうは、李哲(イ・チョル)君の問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。
彼は優秀な韓国青年であり、そして
日本で国際人としての勉学に努めておったわけでありますけれ
ども、母国韓国に帰って逮捕された。それがどの
ような名目で逮捕されたのかという起訴状の写しがこれであります。私はいまコピーをお渡しをいたしましたけれ
ども、その中でとりわけ一九六九年の九月下旬に北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国に密出国をしたということが一つの起訴事実の中に書かれております。二点目には一九七三年の八月初旬、これまた夜の十一時ごろに朝鮮民主主義人民共和国に行った。これを朝鮮民主主義人民共和国との触れ合いあるいはまたその
ような
機会を持ったという一つの事実にしておる。もう一つ、死刑の判決を受けるまでに至った一番大切なポイントですね。起訴状を少し読みます。「釜山に居る駐韓
日本総領事館に勤務している具光信の家に電話をかけ、本人と通話出来たら
日本語で『神戸に住んでいる』」云々、いわゆるスパイ行為をここで立証して死刑の判決を受けているわけなんです。
いまの三点について、一九六九年の九月下旬、九月二十九日に本人は東京の新宿から熊本の吉本さんに対しての手紙を出しているわけなんです。この手紙には新宿局の九月二十九日の日付印まであるわけなんです。これが北朝鮮に渡航した、密出国をしたということを否定する一つの材料である、証拠である。七三年についてはいま獄中で本人が携帯をしておる腕時計、これは熊本の大洋デパートで購入をしているわけなんです。添付をしておきましたが、大洋デパートが八月四日にその腕時計については販売をいたしましたということが証左されているわけなんです。またそれについての保証書もそこに私は御提示をしたわけであります。なかんずくそのスパイ行為の具光信、釜山の駐韓
日本総領事館に勤務している、このことについて
外務省は公式文書をもって、具光信なる人物を雇用していた事実はないという書面を正式に出しているわけであります。東京第二弁護士会の会長あてに出されているわけなんです。
この
ように無実の青年が、そして全くでっち上げとも言えるべき要因のあるその
ような起訴状で韓国青年がいま寒い獄中におるのだ、こういうことなんです。とりわけ
日本の総領事館に勤務する具光信がそのパイプであった。こういうことについてひとつ
外務大臣、この問題について李哲君に対する人権を擁護するためのあらゆる手段を講ずる用意があるかどうか。また李哲君の人権を守るために
外務省なりの
努力が必要と私は思うのですけれ
ども、李哲君に対するこの人権を守るためのお
考えを聞かせていただきたい、こういうふうに思うのです。