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宇野国務大臣 もうずっとお話をしてまいりましたとおりに、私たちといたしましては、
核燃料棒をつけたまま決して現在の「
むつ」は不安定なまた安全を欠くような
状態でないということをはっきり申し上げておるわけであります。しかしながら、
長崎の県の方は抜いた方がよりベターだ、こうおっしゃっておる。これは科学的な
安全性ではなくて、社会的な
安全性を考慮された上のことであろう。政治というものはそうした面をもまた考慮しなくちゃならない面があるから、党の
特別委員会が今後いろいろとAにするかBにするかを御
検討なさるであろう。しかしながら、あくまでも国家というものが現在厳然とあるわけで、
政府も厳然とあるわけですから、やはりその最高の
機関がこれは安全だということは何らかの機会にはっきりして、国民の御了解を得なくちゃなりません。私は、それだけの
一つの下敷きをこしらえることが必要だ、こう思っております。
ただもう感情的に、あるいはイデオロギーだけで反対だ反対だという
人たちもいらっしゃるかもしれませんが、私は、
被爆県民の
気持ちは十二分に尊重しなくてはならないであろうし、また、漁民の
方々のお
気持ちも十二分に尊重しなくちゃならないでございましょうが、いやしくも科学技術を預かっておる最高の
責任者といたしましては、そうした感情に対しましても、やはり核そのものについての
安全性というものを常にはっきりさしておく必要があろう、私はこういう精神で今日臨んでおるわけであります。それを国民のほとんどの
方々が
受け入れていただいたらいいのですが、国民の
方々の中にはまだまだいろんな問題がひそんでおる以上は、やはり政治的にも極力
トラブルを起こさない方が賢明でございますから、そうした意味合いにおいて、この問題に対しましても決して私はのらりくらりと逃げておるんじゃなくして、いろんな
方々の顔を想像したり、またお
気持ちを想像しながらこの問題に取り組んでおるわけで、何といたしましても「
むつ」は
佐世保で
修理をしていただきたい。そうして今後十年の間にやはり生命を与えていただいて、これが将来の日本の
原子力船時代の第一ページを飾る、それだけの歴史をつくっていただきたい、それをするのが私の
責任だ、こう思って現在必死の努力をいたしておるわけでございます。
したがいまして、法案に関しましても、私は速やかにこの法案が皆さん方の御審議の上で可決され、そうして成立することをお望みする次第でございます。いやしくも提出いたしたものがこの国会においてひょっとすると危ないかもわからぬ、そのときはというような仮定の問題を私は考えるべきではない、こう考えておりまして、きのうも提案理由の説明をした生々しい今日でございますから、その今日にひょっとしたらどうだろうというような情けないことでは国務
大臣は勤まらない、こういうふうに思いますので、その仮定の質問に対しましては、私ははなはだ残念でございますが、ひとつ私の信念だけを披瀝申し上げましてお
答えにかえたいと存じます。