○瀬崎
委員 再処理工場そのものの認識については大きな開きがありますから、ここで話を詰めるわけには私はいかないと思う。先ほ
ども言いましたように、幸い二十七日には集中審議が実現しますからその場に譲りたいと思います。が、しかし、やはり国民が誤解をされてはいけないから、あえて二、三の点だけを私は触れておきたいと思うのです。
といいますのは、この再処理工場から環境に放出されます放射能物質については、クリプトンとかトリチウムなどが普通の
原子力発電所とは比較にならないほど多量であるということはもう明らかでありますし、
安全審査でも相当緩い
審査をしていることも事実であります。トリチウムで言えば、大体再処理工場一日分の放出量が百万キロワットクラスの
原子力発電所のほぼ一年分に匹敵するというふうなことであります。これについては、かつての前田
科学技術庁長官がこの
委員会で、そういう放出をゼロにするように努力をする、そういう開発をするとおっしゃって、確かにその開発は行われております。が、しかし、それだって現在まだまだ完成にはほど遠い、こういう状況ですから、もし動けばそういうきわめて有害な放射能物質が環境に放出されます。さらにまた、プルトニウムやウランを抽出した残りはいわゆる死の灰でありまして、これはいまのところではステンレスのような容器に入れて半永久的に地下に保存する以外に保存の方法がない。アメリカなどではその液が地下に漏れたとかなんとかいうことで大変住民の反発を招いた、こういう例も出ておることも事実であります。それをガラスで固めるとかあるいはロケットで宇宙へほうり出してしまえなどという信じられないような、荒唐無稽な話が出るほどに未確立な
技術分野でもあるわけでしょう。
ですから、そういう点で軽々しく、日本の再処理工場はもうあらゆる
技術的な難問を突破したのだというふうな話でいろいろな
論議を進められること自体に大きな問題があるし、アメリカの今度のカーター政策の背景には、御承知のフォード財団の研究調査結果も根拠になっている。宇野長官は、カーターさんはキリスト教の中でもバプティスト派に属して戒律が厳しい派だからこういうことに対してきわめて潔癖なんだろう、こういう話ですが、そういうものではないと私は思いますね。きわめて矛盾した政策ではあるけれ
ども、その根底にはやはり
一定の科学的な調査も
裏づけられている。このことはやはり見てとっておく必要があると私は思うのです。
そこで、わが国の場合でも、私の経験している範囲内の
委員会の審議を見ただけでも、
原子力で体どういう点が未解決の問題として残されているのか、どの点で
専門家やあるいは国民の世論が分かれているのか、この点はおのずから明らかになると思うのです。だから、国会審議を真に政府が尊重するという気になられるならば、その同じ土俵の上に上がる条件もまた生まれてくると思う。たとえばでありますが、
原子力発電の
安全性と経済性、この点についてもこの国会
論議がはっきりと対決
状態で残っております。プルトニウムリサイクルの可否についてもそうであります。核燃料の供給問題についても、いまはアメリカ一辺倒の軽水炉をまさにトイレのないままつくっちゃって、しかも濃縮ウランしか使えない
状態に追い込んでおりますが、こういう問題についても
意見が大きく分かれます。さらには、日米
原子力協定問題も、この間私も改定しなくちゃいけない論理になるのじゃないかとお尋ねしたことがありますが、これも
問題点の一つです。
安全審査体制が最大の問題になったのも御承知だと思います。いま政府が出している
原子力行政の改正なるものは、これはわれわれ国会が審議したのとは全く違った
方向に行っておるということも申し上げておきたいのです。これも未解決の問題なんです。さらに大きくは、
原子力発電そのものの将来展望とか日本のエネルギーの将来に関してどういう位置づけをとるべきかという点でも決して問題が解決されたわけでは全くありません。したがって、この問不破書記局長提案の最後の
部分にあるのでありますが、こういう未解決の問題について、本当に同じ土俵の上で
論議しようとおっしゃるならば、これはやはり
専門家の知恵を大いにかりなければなりません。そういう点では政府側の意向を体した学者や
専門家だけではなしに、政府の
見解、政策に批判的な立場の
専門家や学者、中立的な立場の人々、そういう人々をやはり、どういうところにどういう形でかは私たちも余り手を詰めたようなことを言ってはかえって土俵はつくりにくいですから、申しておりませんが、とにかく集まってもらって、そういう英知を結集することが国民的合意を得ていく上では絶対欠かせない手続ではないか、こういう提起をしているわけであります。
この点についても、宇野長官が本当にそういう国民合意を目指していらっしゃるというなら、当然
検討されてしかるべきだと私は思っているのですが、
見解を伺っておきたいと思います。