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1977-04-07 第80回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月七日(木曜日)     午後三時二十五分開議  出席委員    委員長 山田 太郎君    理事 佐々木義武君 理事 中村 弘海君    理事 石野 久男君 理事 日野 市朗君    理事 貝沼 次郎君 理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    竹中 修一君       玉生 孝久君    塚原 俊平君       与謝野 馨君    渡辺 栄一君       近江巳記夫君    瀬崎 博義君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      宇野 宗佑君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     小山  実君         科学技術庁研究         調整局長    園山 重道君         科学技術庁原子         力局長     山野 正登君         科学技術庁原子         力安全局長   伊原 義徳君  委員外出席者         外務省国際連合         局外務参事官  小林 智彦君         水産庁研究開発         部開発普及課長 井村 幸二君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(原子力安全性  確保及び原子力船むつに関する問題等)      ————◇—————
  2. 山田太郎

    山田委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。貝沼次郎君。
  3. 貝沼次郎

    貝沼委員 現在、再処理問題が非常に重大な問題になっておりますが、この再処理問題そのものにつきましてはまた後日討議をする時間があるやに承っておりますので、それのたとえば安全性であるとかそういった問題については後日に譲って、本日は、この再処理問題に対する外交、このやり方、こういうものについて質疑をしてまいりたい、こう思っておるわけであります。  そこで、再処理問題の外交にかかわらずいろいろな外交が行われるたびにやはり私どもは思うことは、外交する以上は自分たちの意思を通さなければならないというのが当然でございます。相手のあることでありますから、これはそれなりの態勢を構えてやらなければなりません。その態勢内容というのは、やはり相手を説得させるだけの論理並びにその論理を支持する後ろの態勢といいますか、そういう協力関係といいますか、こういうものがやはり必要ではないかと思うわけでありますが、この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。
  4. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 すべからく外交は、やはり大きな国論というものをバックとして進めなければならない、かように存じております。特に今回のアメリカとの間におきましては、わが国の将来のエネルギー、言うならばこれの死活がかかっておると私たちはそう判断いたしておりますので、こいねがわくはこうした問題に関しましても党派を超越いたしました外交が展開できることを政府といたしましては望んでおるということでございます。
  5. 貝沼次郎

    貝沼委員 私は、そういうような論理並びにバック態勢というものが非常に大事だと思いますので、現在の日本の再処理外交といいますか交渉といいますか、こういうものが果たしてそういうふうになっておるかどうか、こういう点を実は検討してみたい、こう思うわけであります。  そこで、初めに、日米首脳会談の際にカーター大統領福田首相に手渡した米学者らによる原子力問題の研究報告書、私は、概要ですが、いま写しを持ってきておりますが、この報告書精神、それから核不拡散条約、いわゆるNPTでありますが、この精神に違うところがあるのかどうか、同じなのか、この辺の認識はいかがでしょうか。
  6. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 同じところは、核は非常にこわい存在だからこれをみだりと拡散すべからずということがフォード財団レポート精神であり、また同時にNPT精神だと思いますが、違うところは、NPTにおきましては明らかに平和利用、これは支障を来してはならない、特に持てる国と持てない国、つまり核兵器を持つ国と持てない国との間の差別があってはならない、これがうたわれておるわけでございますが、その点に関しましては、フォード財団レポートを読みます限り、それをそのまま実行しようとするならば第四条に大きな背反を来すのではなかろうか、こういうふうに解釈いたしております。
  7. 貝沼次郎

    貝沼委員 要するに、NPTの方は核を持っておる国、いわゆる核を軍事的に持っている国とそれから非核保有国、こういうものとの区別はないという考えですか。私は、むしろあの場合には核兵器を持っていない国が持ってはならないというような意味の趣旨が強くにじみ出ているような感じがしますけれども、その点の認識はいかがですか。
  8. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 NPTのほうは、いわゆる核を持たない国が平和利用にその核を利用しようとすることについては支障を来してはならない、こういうふうに書いておるわけであります。つまり、差別をしちゃいけませんよ、こういうふうに書いておるわけでございます。もちろん、フォード財団レポートの方はいろいろ書き並べてありまするが、最終的には核の平和利用そのものを否定いたしておらないわけでございますが、しかし、にじみ出ているところのものは、明らかに資源が豊かなアメリカとして他の国々が核を持つことは非常に危険だという思想から私は出ているものである、こういうふうに解釈しているということであります。
  9. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、アメリカ原子力政策が近く発表されるらしい。報道によりますと、政府筋が五日明らかにしたという記事で、一つは、使用済み核燃料の商業的再処理及びプルトニウム商業的利用は無期限に凍結する、それから二つ目には、原子力平和利用では、プルトニウムを使わない別の核燃料サイクル研究に力を入れる、三つ目は、核燃料濃縮ウランでありますが、これの増産体制確立する、こういうふうに報道されておりますが、この点はこのように受けとってよろしいかどうか。または、もしこういうような内容政策が出るとするならば、これはNPT精神と比べて果たしてどのような認識で受け取られるのか、この点を伺いたいと思います。
  10. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 率直に申しまして、アメリカも、日本を初めとする主要国に、一応自分たち国内政策としてやがて決定するであろう政策は大体次のようなことであるということを口頭で伝えてまいりました。これは先月末のことでございます。そして四月一日までにそれぞれそれに対する各国のコメントをちょうだいしたい、こういうふうに言ってまいりましたので、わが方といたしましても、そのコメントをすでに出しております。しかし、現在まだアメリカが正式に決めて発表しておらない段階でございますので、どういう内容であったか、あるいはわれわれがどういうふうなコメントをしたかということに関しましては、やはり外交上の問題もございますので、しばらくの間公表することをわれわれといたしましても差し控えたいと存ずる次第でございます。一応われわれといたしましては、大体いま貝沼委員のおっしゃったような内容が実はレポートの中にも書かれておりますし、さらには、その中においてアメリカは、ひとつ日本が不自由を来さないように濃縮ウランだけはたっぷりつくりますからいまの体制のまま進んでくださいよ、再処理はやめてもらった方がいいんじゃないですかというようなことは、いままでの経緯上いろいろと話題になっておったことは事実でございますが、しかし、そうしたことが書かれている以外に関しましては、私はここでははばかりたいと存ずるのでございます。  私たちの基本的な考えといたしましては、きょうあすにでも発表されるであろうアメリカ政策はあくまでもアメリカ国内政策ですから、それに対しましてわれわれがどうのこうの言うような立場にない、私たちはこういうふうに考えております。しかしながら、そうしたことがやがては多国間の間において議論をされ、さらには多国間の中におきましても、それぞれ日米日独、あるいは日英とか、そういうふうな二国間の話し合いの中にも当然これらが影響を持つであろうということだけは私たち考えざるを得ないのではないかと思います。しかし、あくまでも国内政策であるという立場で、そこにはきちっとしたラインを引いておきたい。だから、われわれの主張はわれわれの主張として、それがいかなるものであろうとも従来の主張どおりわれわれはそれを貫徹していきたい、これが今日の政府立場でございます。
  11. 貝沼次郎

    貝沼委員 NPT精神、それからカーター大統領のいろいろな政策のもとに流れておる精神、核の不拡散、こういうことは、これは当然のことだと私は思うわけであります。これをゆがめるようなことは絶対にあってはならないし、また、あったら非常な不幸だと思っておるわけであります。  それからもう一点は、これはわが国立場というものがありまして、そこに非常にむずかしい面があると思うわけでありますが、やはりこういうような核の不拡散という非常にりっぱな大義名分といいますか、こういうものを掲げてきておるわけでありまして、それに対して日本の国が日本だけは特別に例外的に何とかというようなことだけでは、恐らく世界じゅうから見るならば、何をやってるんだということで笑われるだろうと思うわけであります。言葉はよくありませんけれども、むしろ日本のエゴではないかと言われるかもしれません。また、そういうふうに思われてもいけません。そこで、やはりこのカーターアメリカ政府に対する説得力のある論理、要するに全世界国々に対して日本はこういうふうに主張する、そしてアメリカもあるいは他の国々も、なるほど日本論理はりっぱである、それならば日本は認められてしかるべきではないかというような説得力のある論理というものを持って外交に当たらなければ、ただ頼む頼むと言うだけではいけないと私は思うわけであります。きのうあたりの大臣答弁を聞いておりましても、何も拝みます、頼みますというようにはやるなというふうに強く言っておるようでありますけれども、それだけでは相手は納得いたしませんし、また交渉に当たる人は非常に大変でありますから、その辺のところを、そういう説得力のある論理というものをお持ちなのかどうか、どういう論理でいこうとなさるのか、この点についてお答えを願いたいと思います。
  12. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 現在のところ三つございます。これはもうすでに福田カーター会談において総理が明らかにされたところでございます。  第一点は、核の不拡散そのものに関しましてはわが国も当然賛成である、現に非核三原則を持ち、さらにはNPTに参加をしておる国、さらには世界にまたとない唯一被爆国であるという、そうした点からいっても、われわれは核というものが拡散されることを決して好むものではない、むしろそれを積極的に防いでいきたい、そのためにはやはり持っている国と持たない国の間に差別があってはならぬ。にもかかわらず、今回のアメリカの御意向というものは、われわれ大国においては十二分にその核の安全を保障し得る措置、体制、またそうした精神が生かされるが、他国においてはそのことが保障されないじゃないかというふうな言い分が果たして正しいのであろうか、こうしたことが第一点でございます。  第二点におきましては、やはりNPT精神というものを私たちは尊重しながら、その第四条に具体的に書かれておりますように、やはり不平等があってはならない、われわれはグローバルな問題とはいえ、平等性確立ということが必要である。そして私たちは第一項に示したような態度において、精神においてあくまでも核の平和利用をこいねがう国民であるから、この点に関しては一点の曇りもないので、それを明らかにいたしておきたい。むしろ米国はせっかくこれだけの多数国条約を結ばれた言うならば発起人であるが、その方が第四条をどういうふうに解釈なさっておるのか、第四条に関してさらに世界的な話し合いのもとにもっと積極的な面をつくるとか、あるいは規制に関してさらにグローバルな点においていろいろ考えようというのならばまた話は別だけれども、全く無視して、そしてあなたの国の平和利用には水を差したい、あなたはそれだけの資格がないと言わんばかりの態度はいかがなものであろうか、これが第二点でございます。  第三点は、もちろん資源小国日本でございますから、たくさん石炭を持ち石油を持って、あるいはまたウラン鉱も持っておるアメリカとわれわれを比すべくもないわけでございます。この点におきまして、日本として生きる道は、ただただ独自の核燃料サイクル確立によるところの、言うならば自主技術開発、それに基づくところのわれわれの国民生活の安定しかないのだ、そうしたことがひいては世界経済にも現在日本が寄与しておると同じように、今後も世界経済日本アメリカと歩調を合わせながら寄与し得るではないか、ところがその息の根をとめようとするのであろうか。  こういう三点が福田カーター会談におきましても強調されまして、われわれもこれを一つの基準といたしまして、現在、外交に臨んでおるところでございます。
  13. 貝沼次郎

    貝沼委員 ただいまの三点につきまして考えてみますと、このアメリカカーター政権の行動に対して、実は影響を受ける国はたくさんあるわけでありまして、その国々もいろいろなことを恐らく主張しておるだろうと思いますね。そして、それらの国々日本の国との違い、これはどこにあるかと言えば、恐らく日本唯一被爆国であるという点だけだろうと思うのですね。あとは、平等であるとか、あるいはアメリカ日本は非常に仲のよいパートナーであるとか、いろいろなことを強調されておるようでありますけれども、唯一被爆国ということだけでほかの国とは差がある。そうすると、日本主張というものを、たとえばアメリカが認めたとする。認めたとした場合に、ほかの国からも日本と同じように、われわれだってちゃんと平和利用に限定して、とにかく絶対に核兵器なんか持たないからというようないろいろな話をして、そして恐らく話がいくでありましょう。そしてついに、何か核拡散に該当するような事件がもしどこかに起こったような場合、非常にぐあいの悪いことが起こるのではないか、こういう心配が実はアメリカでもあるし、みんなしておるわけですね。  したがって、そういうようなことのためにやはりもっと、いま日本政府がやっておるように、日本だけ特別に何とかということであるならば、それだけの日本の理由というものがもっとしっかりしていけなければならないと思うのですね。たとえばセーフガード問題一つにいたしましても、この核のたとえば濃縮から原発に入りまして、それから今度は再処理工場に行く、再処理工場からどういうようなセーフガードをやるか、そしてそこからできたプルトニウムに対して今度はどういうような方法をもって絶対安全性というものを確保していくのか、対外的には不拡散というものをどうやっていくのか、さらにそれがまた原子炉に入る、その原子炉においてどうするのか、また出てきてというようなその流れについての、ほとんどどこの国の人が見ても、なるほど日本やり方はほとんど完全である、これならわれわれは文句言えない、日本だけが認められてもいたし方ないというような説得力のあるものを具体的に示さなければ、私はなかなかアメリカだってうんとは言えないんじゃないか、こういうふうに思うわけでありますが、そういうような具体的な方法あるいは具体的なやり方、こういったものについてございますか。
  14. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 現在、そうしたことをお互い専門家が集まりまして、事務レベルではございますが、いろいろ検討しようじゃないかというので、第一次交渉団がこの間出発したわけでございます。  と申し上げますと、カーター大統領信念に近い核不拡散のそうした理念あるいは政策、これはどこから生まれたかというと、カーターさんみずからが福田総理に言われたように、この本から出ました、この本をよく読んでいただけば私の主張がわかりますと言って渡したのが、フォード財団レポートでございます。これは貝沼先生もずっと目を通していただいたと思いますが、われわれが目を通しましても、おかしいじゃないかというふうな点が多々発見されるわけでございますが、そうした面におきましては、決してあのレポートの価値を私は損傷したり軽視するものではございません。りっぱに二十一名の専門家がお書きになったものですから、これは貴重な一つの資料である、こういうふうに私は評価はいたしておりますが、しかし、やはりそこに、持てる国、大国アメリカの何か独善的なものが現ににじみ出ていることは、これはもう隠すべくもないところだろうと思います。  そうした点に関しまして、やはりこの点はちょっと違いますねというふうなことを、お互い親善ということで大きな路線の上に乗っておるわけでございまして、決してかたき同士ではないわけでございますから、十分に詰めてきなさい、われわれの疑念とするところは十分にアメリカさんの説明も聞きなさい、こういうふうにして出さしておるわけでございまして、そうしたものが、詰めている過程において、先ほどから申されましたような点が明らかになってくることを私たちも期待いたしますし、われわれはそうしたことを解明しながら、私たちのそれに対するところの意見も持っておるということでございますので、何分にも現在は交渉中でございますから、私が、こういう方法がある、ああいう方法があるということだけはひとつ、やはり慎みたいと存じますが、十二分に相手言い分も聞き、こちらの言い分をはっきり言うというふうな方法で現在交渉を続けておるという段階でございます。  したがいまして、われわれとしても、もちろん日本主張というものがこれはもう世界からも認められるような主張であるという立場を貫くように努力いたしております。
  15. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで、いま交渉中だから発言は控えたいということでありますが、私がいまこういう議論をしておりますのは、日本の将来というものを考えた場合に決して禍根を残してはならないし、また日本の国益というものを損なうような結果になってもならないというような、日本という国の大きな立場から実は話をしておるわけであります。  けさの読売新聞報道によりますと、「政府、米に新提案」という記事が載っておりまして、「IAEA査察強化」というようなことで幾つか載っております。一つは「核物質軍事転用に目を光らせている国際原子力機関を組織、技術面で強化するため、日米間の専門家協議を開催する」、それから二つ目には「さらに、日米両国のほか、英、西独、仏など関係国国際会議を開き、IAEA査察強化策を探る」というようなことがここに出ておるわけでございますが、大体いま長官考えられておることは、これと当たらずといえども遠からずというような内容のものと考えてよろしゅうございますか。
  16. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 けさのその新聞記事に関しましては、政府は一切関知いたしておりません。したがいまして、それが妥当か妥当でないか、私といたしましても今日ただいまはそのことに関しまして全く何の持ち合わせもいたしておりません。
  17. 貝沼次郎

    貝沼委員 こういうようなセーフガードという問題については、秘密にするというようなことはむしろおかしいんじゃないか、日本主張として、こういうように安全性あるいは不拡散については責任を持ってこうやっておりますよ、日本の皆さん、どうぞ御理解いただきたい、そして御声援をいただきたい、こういうようにもしやられるなら、国民的な合意というものをバックにして本当は当たらなければならないはずなんですね。ところが、それについて長官は、いまそれは交渉中だから私は言えませんとか。それでは、日本の国におる人間は、一体何を交渉しておるんだろうか、何かこそこそ取引でもやっておるのと違うかというようなことを思われてもまた心外でありましょう。  こういうようなことを考えたときに、要するに、どうせわかることでありますから、もう対外的に、こうしていけばわが国方向としては絶対、アメリカだって他国だって認めざるを得ないのですよという、そういう具体的なものを持って進まなければならぬということを私は言っているわけです。ところが、いまの答弁ではそれが私はどうもわかりませんし、また、国民的合意の形成もむずかしいように思われるし、また、事務当局でいま検討しておるという——アメリカでの話でしょうけれども、いろいろ検討しておるということでありますから、はっきりした方向というものはどうも感じられないのじゃないかというような気がするのでありますけれども、この点について……。
  18. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 これはやはり、現在行っておりますのは、御承知のとおりに向こう担当官が国務省のシャインマンさんという、日本で言うならば課長クラスお方でございましょうか、そのお方に見合う人たちをひとつ派遣をしていただいてお互いに専門的な事項に関して事務家レベルとしての仕事をしよう、こういうような向こうからのアプローチもあったわけでございますから、そうした線でやらしておりますので、それらのクラスの人がいまのところこの大問題をああするこうするという権限は私は与えておりません。また第二次が行かれますが、この第二次も恐らく国務次官補のナイさんが相手でございましょうから、それに見合うような方に出発をしていただきまして、いろいろと詰め合わせはするでございましょうけれども、しかし、それに対しましても私はまだまだ権限を与えようとは考えておりません。  と申し上げますると、確かに日米間の問題ではあるが、昨今われわれといたしましては、やはり他国の反応というものも十二分に認識をしておく必要がございますから、欧州の動きというものをじっとながめ、あるいはまた、意見を交換しておる部面も一部あるわけでございます。あるいはまた、アメリカ国内におきましても、このフォード財団レポートに対しましては相当な批判がございまして、御承知かも存じませんが、ここ一両日のワシントン・ポストあるいはニューヨークタイムズには向こう人たちの反対という声明がでかでかと載っております。こんな大きなもので載っております。わが国新聞の半面ぐらい。そして、マイ・プレジデント、われわれは同意しがたいということをはっきり言って載せておるという段階であって、そういう段階においてアメリカ政府は、やはりカーターさんとしても、自分信念はこうだったけれども、実際他国からの反響も大きいし、あるいはまた、自分政策信念として持っておったが国内からも大きいじゃないかということにおいて、それをしゃにむにあのレポートどおり進まれるか進まれないかということに対しても、やはり私たちは機敏に交渉を通じながら相手の出方というものを待つのが外交だと思うわけでございます。  われわれは国論を背景にいたしたいのでございます。そのためには、ある時期が来れば、貝沼委員がいま申されたとおりに、なるほど政府のやっておることはわれわれの死活に関するのだから、これはわれわれ国民が応援しなくちゃならぬというふうな段階を私も迎えるであろうと思いますから、それまでこういう手だ、ああいう手だと言うことが果たして外交上よいかということを考えますと、まだまだそういう熟さざる、言うならばお互いに事務的に論議をし合ってもらっているという間でございますから、したがいまして、いろいろともう御忠告なりあるいは御意見は重々私はありがたく拝聴いたしておるわけでございますので、だからここで言えということに関しましては、しばらくお待ち願いたいと思うのでございます。  もちろん、おっしゃるとおり、日本といたしましても、外交というものは一〇〇%こちらがいけば相手は面目まるつぶれでございましょうし、向こうが一〇〇%点数を上げればこちらの面目はまるつぶれでございましょうし、こういうものが外交でございますから、したがいまして、これがどういうふうになるかということはこれはなかなか予断を許さないわけであります。われわれといたしましては、やはりわれわれの主張の一〇〇%を獲得すべく努力をしなくちゃならないわけでございますので、そういう意味合いにおきまして、いまやヨーロッパにおいても非常に大きな反響を呼んでおりますから、われわれもそうした点におきましては油断なく、仰せのとおりひとつ強力なバックアップを得るような大議論を振りかざすというその幕をいずれの日にかは迎えるであろう、だからそのときには私たちといたしましても、当然国会の各党の皆さん方の御支援もちょうだいいたしたい。それが大きな国論として拡大することを望みながら、そういう時期も待っておるわけでございますが、いまのところはきわめて事務的に、きわめて静かに、お互いが帳面の見せ合いをしておるのか、あるいはつき合わせをしておるのかという段階でございますから、まだまだ大上段に振りかぶってこうだと言って進むのが是か非かということもまた判断をしなくちゃなりませんので、その点はひとつ御理解を賜りたいと存ずる次第でございます。
  19. 貝沼次郎

    貝沼委員 大臣のおっしゃること、わからぬわけではありませんけれども、そういう大義名分のいわゆる論理、そういうものが、やはり交渉段階においてバックがあるかないかというのは影響するわけでありまして、交渉が終わってからバックができても、これは本当は余り影響しないのですね。そういうような認識に立っておるものですから、やはりすぐあせって飛びついているのじゃなしに、じっくりと態勢を構えてやらなければいけないのじゃないか。  それから、先ほどからどういう論理でいくんだということについては、なかなか納得できるようなことは得られないわけでありますが、次に国内問題、いわゆるバックの世論、国論でありますが、こういうことを考えた場合に、果たして全部結集できるような態勢にあるかどうかということですね。これは結論的には、私は非常に現在までの行政というものが影響してくると思うわけでありますが、たとえば核燃料、ことにウランの燃料の供給、どのようにしてこれを世界各国から集めてくるか。果たしてこれが、たとえば軽水炉で使うだけでも何年分ぐらい日本は確保できるのかというようなことを考えていきますと、本当に日本原子力発電というものは成り立つんだろうかという疑問を抱くことすらあり得るような状況でしょう。  この燃料関係について、たとえば白書に書かれてありますところを信用すれば、六十年以後はほとんど見通しはないし、それからどうも最近ではカナダも非常に硬化してきておるし、あるいはその他の国々についてもずいぶん問題があるようでありますけれども、この点について事務当局から実情を報告願いたいと思います。
  20. 山野正登

    ○山野政府委員 ただいまわが国の確保いたしております天然ウランは大体十四万トンばかりでございまして、お説のとおり、昭和六十年代の初期までのものは確保済みでございます。  今後、引き続きウランの確保を図りますために、私どもといたしましては、ただいま主として長期契約に頼っておったわけでございますが、これに加えまして、日本も積極的に海外に参りまして自分で探鉱し、あるいは海外の企業と共同で探鉱いたしまして、いわゆる開発輸入というものの比率を将来はできるだけ高めてまいりたい。とりあえずは全所要量の三分の一程度は開発輸入という方法で確保するといったふうなことを考えておるわけでございます。  これに加えまして、また関係省におきましては、ウランを海水中から取るといったふうなかなり先行的な研究等もしておられまして、そういったふうな努力を結集しまして、将来ともこの天然ウランの確保を図っていきたいと考えております。
  21. 貝沼次郎

    貝沼委員 そんな答弁は私はわかっているのです。ですからここで、要するにいま白書に書いてある範囲ですね、あなたのおっしゃったのは。この後状況は変わっておるわけでしょう。たとえばカナダは今年に入ってからウランの供給はストップすると言ってきておる。そのほか、たとえばオーストラリア、これは七月に積み出す予定だったウランの引き渡しができなくなった。それで、その後四国電力や九州電力、中部電力がいろいろ御苦労して話がついたようでありますけれども、要するにそういうような状況ですね。あるいはオーストラリアの状況は政治的な変化があったために非常にむずかしい状態になっておるというようなことを、まあ時間がありませんから一々挙げられませんが、詳細に検討してまいりますと、いま局長がおっしゃったようななまやさしいものではない。その上に今度はこのカーターの話が出ておるわけでありますから、各国ともそれは渋るということは私は当然だろうと思うのですね。  そういうような中にあって、一〇〇%輸入に頼る日本の国——一〇〇%じゃない、それは一年分ぐらいは日本にあると言うかもしれませんけれども、そういうような状況において、それでも手放しで、安心して日本はこれから原子力発電が最も有効なエネルギーとなっていくのですよというようなことがいままでのように大きな声で言えるのかどうかということなんです。こういうようなことについては国民は非常に不安を持っておる。したがって、この点について、いやそうではありません、こういうようにウランは買うところがございます。こういう場所から、どれだけのものが入ってくるから、絶対に間違いはございませんというようなものはできておりますかということを聞いておるわけです。
  22. 山野正登

    ○山野政府委員 最初に、個別の問題についてまずお答え申し上げておきますが、カナダとは御承知のとおり、現在協定につきましていろいろ話し合いを進めておるところでございまして、ことしの一月末の日本における交渉に引き続きまして、それ以降外交チャンネルを通じまして交渉いたしておりまして、内容につきましてほぼ原則的な了解に達しておるわけでございます。あとはこの両者間の協定の形式上の詰めを行うといったふうな段階になっておりまして、私どもも近いうちに決着を見る問題だと考えております。  それから、オーストラリアにつきましては、これは御承知のとおり、フォックス委員会がまだ第一次の報告を昨年の秋に出したばかりでございまして、第二次の報告は出していないわけでございますが、そういう関係もございまして、しばらくウラン開発といったふうなものがストップしておる状況にあったわけでございますが、最近の情報によりますれば、政府のストックパイルから品物を出して、従来の日本への既契約分にも応ずるといったふうな話もあるというふうなことでございます。  長期的に見ますと、確かに手をこまねいておりましては、ウラン資源というものも有限でございまして、わが国の所要量が安易に入手できると私どもも考えておるわけではございませんで、これは必要な関係国との経済協力等を増進しまして基盤をつくるとか、あるいは国内におきまして成功払い融資等の助成策等を講じて、関係の探鉱会社の探鉱開発意欲を増進するとか、各種の施策を講じまして、おっしゃいますように長期的な確保に努力したいというふうに考えております。
  23. 貝沼次郎

    貝沼委員 ですから、そういうようにウランの購入ということが非常にむずかしくなってきておる。先ほど局長は、海外にもいろいろとウラン探鉱をして云々という話がありましたけれども、これは、たとえば十九件のウラン探鉱をしたけれども、成功したのはニジェールだけでしょう。そんなにものすごくあちこちで成功している話じゃないですね。しかも、これはフランスと折半でしょう。こういうようなことを考えると、いま局長が答えるような、努力さえすれば何とかなるというものでは必ずしもございませんよ。したがって、こういうような問題について、国民は非常に不安を持っておるということです。  私どもは、単にそういうものを開発すればいいという前に、もっとじみな、その基本となる、たとえば安全性の問題とか燃料の問題とかあるいは立地条件の問題とかこういうようなものをもっと厳密に検討する必要があるのではないかということを常に主張してきたわけですね。たとえば原子炉自体にしてみたって、そんな長く使えるものではありませんし、そして、それが使えなくなった場合にどうするかというと、壊したらまたいろいろなものが出てくるわけでありますから、その処理の方がややこしい。むしろつくり直した方がいいというようなこともありますということで、いろいろな問題を含んでおる。燃料の問題でもそういうような心配が非常にある。  したがって、図民的な合意というものを得るためには、こういう問題もはっきりしておかなければならない。そういう具体的な政策というものを国民の前に提示すべきである、こういうふうに考えるわけでありますが、長官はどのようにお考えでしょうか。
  24. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 さような意味で、二年前でございますが、つくり上げましたものが長期のエネルギーの需給計画、しかし残念にして、その後、石油の方もそうなまやさしいものではなかろうし、なかんずく原子力発電に関しては計画どおりいかないというふうな問題もございますから、したがって現在見直しである。ひとつこの見直しの機会にやはり整合性、実行性のあるプランというものを国民の方々に提示をいたしまして、そして本当に深刻な状態をやはり御認識賜りたいと思うのでございます。  よくエネルギー問題のときには、単に石油が何億何万キロリットルあるいはまた原子力が何千万キロワットあるいはLNGがこうだ、そのほか火力がこう、水力がこうというふうな話だけの数字の議論に終わっておりますが、私は、その数字の裏打ちをするものが成長率だ、こういうふうに考えております。したがいまして、今日、わが国は六%の安定成長を続けていくべくお互いに努力をしているわけでございますが、十二年間たてば、六%の成長率は倍になる。これはもう所得倍増論のときにも議論されたとおりでございますので、したがって、わが国の産業基盤が倍になればそれだけのエネルギーが必要で、そのエネルギーが得られなかったら、残念ながら六%の成長率は得られないから、そのころになれば五%もおぼつかない。あるいは時と場合には三%になっていいのでしょうかというところから、私は、やはり国民それぞれの方々にお話を申し上げていかなくちゃならないのじゃないか。  そういうふうな整合性あるいは実行性の伴う問題としてこのエネルギー問題を取り上げまして、その中の火力、水力、いずれにいたしましても、立地というのはいろいろとむずかしい条件がございまして、これを克服していかなくちゃなりませんが、それを克服するためにはやはり政府が努力をしなくちゃならぬし、今日まで、政府の努力にいささか欠くるところありはしなかったであろうか、こういうふうに反省もいたしておりますので、したがいまして今度の国会におきましても、予算委員会においても当委員会におきましても、野党の先生方からいろいろな面における、安全を中心とした問題の貴重な御意見を拝聴し、さらにはまた、地元との関連の問題も拝聴し、さらには、はっきりともっと主張すべし、政府がいいかげんな、むにゃむにゃ言っているからだめであって、やはりわが国のエネルギーはこうなっているのだということをもっとはっきり主張をして、そうしてやはりそれを推進するような力を持て、リーダーシップを発揮せよ、こういういろいろな声を聞いておりますので、そうしたお声を中心といたしまして、どういたしましても、五十年の十二月に発表いたしましたこの計画は、われわれといたしましては、はっきりと国民がもうはだで感じてもらうような計画に見直しをいたしまして、そうしてひとつ国民的な合意のもとにわが国のエネルギー問題が解決し得るような方途を講じたい、こういうふうに思っておりますので、いずれそういうことを御審議賜る場合がございましょうけれども、今日といたしましては、鋭意それを目的として進んでおるわけでございます。
  25. 貝沼次郎

    貝沼委員 いまの大臣答弁は、非常に失礼な言い方ですけれども、非常に正直な答弁ではないかと私は思います。したがって、いままでの政府やり方が、ややもすればそういう傾向にあったということを認識なさっておるわけでありますけれども、このことが、実はこういう対外的な問題が起こったときに足を引っ張るわけですね。したがって、いままで私どもが安全性の問題やあるいはエネルギーの計画の問題やそういうことについて常に主張してきたことは、こういうような場合に非常に苦境に立たないためにいろいろやってきたし、また、当然それは人命という立場から考えて必要なことでありますから、まず開発ということよりも大事なところを、安全性やあるいはそういう問題をきちっとすべきであるということを言ってきているわけですね。それを幾らか聞き流して——聞き流してと言うと言葉は悪いかもしれませんけれども、怠慢のところもあった、こう思うのです。  エネルギーの計画の話がいま出ましたので申し上げたいと思いますが、たとえばこのカーター政策が出ましてから、日本と非常によく似ておる西独、ここにおいてもやはり同じようなショックで受けとめておるだろうと思うんですね。向こうはユーラトムに入っておりますから、その点、幾らかいいかもしれませんけれども。そして、三月二十三日、もう西独はきちっとエネルギー政策を発表しているわけですね。ところが日本の場合は、これからいろいろ研究して、やがて発表できる日が来るでありましょう、こういうことですから、何となく私はのんびりしているのじゃないかという感じがいたします。この点についてはいかがでしょうか。
  26. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 確かに仰せのとおりの面が多々あったわけでございます。われわれはそうしたことを率直に認めまして、そして先ほど申し上げたような体制で今日までの非を補い、さらにまた、足らざるところを伸ばしていきたい、かように存じております。
  27. 貝沼次郎

    貝沼委員 それからもう一点は、やはり国内議論の一番大きいところは、先ほどから申し上げておりますように、安全性の問題なんですね。ことに、原子力発電所それ自体を見ても、非常におぼつかない状態ですね。たとえば、事務当局にお尋ねいたしますが、現在の原子力発電所、稼働しているのは何基のうち何基ですか。そうして、先日七基について定期検査を行ったはずでありますが、このうち異常を来したのはどれくらいありましたか。また、そこに働いておるいわゆる作業員でありますけれども、この作業員の被曝というものがまた最近大きな政治問題になってきておるわけでありますけれども、こういうものに対する具体的な対策はございますか。  こういうようなことが非常に大切だと思うのです。特にドイツにおきましては、先般判決などがありまして、もうとにかくどんな小さな確率でも事故が起こるということについては決して見逃してはならないという厳しい判決がなされております。したがって、日本政府答弁は、いままで常にドイツを引き合いに出してきましたけれども、ドイツのそういうような状況というものは同じように日本にも実はあり得るんだという、そういう認識が私はあると思うのですが、こういうような点、あわせて、時間がありませんので御答弁願います。
  28. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 ただいま稼働中十三基の商用原子力発電所のうち、たしか七基が定検中だと承知をいたしておりますが、その異常が発見されたということにつきましては、定期検査のときにいろいろふぐあいのところを発見、修理するというのがその定期検査の目的でもございます。非常に大きな、周辺に影響を与えるような異常が発生したということではないと私は承知いたしておりますが、たとえば給水管の給水ノズルのクラックの問題とか、あるいは燃料体の多少の異常の問題などが幾つか出てきておるのは御指摘のとおりでございます。  それから、従業員の被曝につきましては、平均いたしまして年間一人当たり大体三百ミリレム程度でございますので、法令に定めております年間五千、三カ月間三千ミリレムに比べますと、一けた低いところにあるわけでございます。  しかしながら、この従業員の被曝問題につきましても、できる限り低く抑えるべきであるというのがまた御指摘のとおりでもございますので、長期的な対策といたしまして、従業員被曝の低減化ということにつきましていろいろ努力をいたしております。たとえば作業方法を改善いたしますとか、あるいは構造自身の改善をいたしまして、無用な被曝を避ける、そういうふうな手は着々と打っております。  なお、従業員被曝の被曝線量を中央で登録管理をいたしたいということで、五十二年度にそういうセンターも設立する予定で準備を進めておる次第でございます。
  29. 貝沼次郎

    貝沼委員 ぼくはそんなことを聞いているんじゃないのです。時間がもうありませんから進みますけれども、要するに、これだけの事故があったんじゃないかとか、定期検査のときはどうとか言いますけれども、それはほかのときにはとめられないから定期検査をやっているわけでしょう。そのたびにちょこちょことめておったらこれは商売にならないわけですから、定期検査で一切を見ているわけですから、そのとき事故があるということはやはりあったということですね。ですから、そういうようなとにかくいいかげんな答弁というのは私はもう聞き飽きておりますから、それはもう必要ない。要するに、そういう非常にはっきりしない答弁というものは、むしろ国民の疑惑をかき立てる、こういうことを指摘しておきたいと思います。  それから、たとえば濃縮の問題とかいろいろあるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、ただいま私は、その交渉する論理、それから燃料の問題、あるいは安全性の問題、エネルギーの問題、濃縮技術の問題、自主技術開発がおくれておるというようなことももう本当にやりたかったけれども一々できませんが、そういうようなことをきちっとしなければ、国益と称するようなこういう国論の形成はできませんよ。それなしにいま一生懸命アメリカ交渉しても、それは足元を見られるだけであって、実際はうまくいくかどうか私は疑問です。そこにいままでの行政当局の責任というものがあるのじゃありませんか、ということを私は言っておるわけでございます。  そこで、この点はもうそれを指摘するだけにいたしまして、たとえば三月三十日の予算委員会におきまして、このアメリカ態度につきまして、核平和利用を妨げないとする核不拡散条約の前文と四条に違反するのではないかという質問に対しまして、外務大臣は、同じ見解だと述べて、政府として米国の主張条約に反するものであるという判断を示しておりますが、これを認めたのならば、その後どういうような行動をとったのか、手続をとったのか、交渉においてどういう行動をとるのか、この点について伺っておきたいと思います。
  30. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 あのときの御質問に対しまして、外務大臣は率直に、違反だと思うと答えたわけでございますが、われわれも、現在そのことを機会あるごとに申し述べておるわけでありまして、当然これは多国条約でございますから、したがいまして、ほかの国々も、これに参加している国は同じような意見を持っておるのではないだろうか、こういうふうに思います。恐らくこうした問題等々も、今回の事務的レベルにおきましても、私は主張してこいとはっきり言っておりますから、やがては私の出番となり、さらには多国間のそういう会議を持たれるというときには、この問題はこの問題として訴えていかなければならない、かように存じておる次第であります。
  31. 小林智彦

    ○小林説明員 長官の御説明を若干補足させていただきたいと思います。  三十日の衆議院予算委員会での大内先生の御質問に対しまして、外務大臣が同感であると答えられたわけでございますが、その際の大臣の了解は、御質問の趣旨を、もし米国の原子力政策が、その内容いかんによってわが国原子力平和利用促進に障害を来すようなものであれば、平和利用の促進をうたった第四条の規定、その精神に照らして問題があるというふうに理解されて、その趣旨に同感である、同じ見解だと答えられたのですが、実は法律的にこの第四条の解釈上どうかということは、米国の政策というものが現段階で明確に打ち出されているわけではございませんので、まだその第四条に照らしてどうであるかどうかということを法律的に議論する段階ではないわけでございます。  ただ、この第四条に照らしまして、もし、ここに規定されているように、平和利用というものが、アメリカの出てくるであろう政策によって阻害されるようなことがあれば、その場合に違反の問題が生じ得るというふうに理解されて答弁されたものでございます。  この点、補足させていただきます。
  32. 貝沼次郎

    貝沼委員 そういう答弁をするといけないですよ、そういう答弁は。と申しますのは、私はここにちゃんと議事録を持っているのです。あなたのおっしゃるのはこういうふうに曲げておるのです。これは、私は先ほど速記の方に行きまして議事録をちゃんともらってきておるのです。ですから、そういういいかげんなことを言ってはいけません。  それから、もし平和利用考えるならばと言いましたけれども、そんなこと外務省は考えておってどうするんですか。日本の国は平和利用に徹するということは、先ほどから大臣は何回もそれこそ言っておるわけでしょう。平和利用以外に、何を考えるという余地があるのですか。そんなことを外務省が考えておるようで、一体外交交渉というのはできるんですか。私はそれはまことに心外な答弁だと思いますよ。日本の国に平和利用以外の何があるのですか。考える余地すらないんじゃありませんか。そういうことをむしろ主張しなければならぬと思う。どうですか。簡単に一秒ぐらいで。
  33. 小林智彦

    ○小林説明員 全くお説のとおりでございます。外務省といたしましても、その点については従来から十分米国側に主張してまいってきております。
  34. 貝沼次郎

    貝沼委員 それからもう一点、大臣にお願いしたいのですけれども、同じ日ですけれども、総理大臣が、わが国を含む関係各国と米国との意見調整に触れて、米国の言う四月二十日までに調整できるかどうか、主要国首脳会議にもつれ込むのではないかと感じる、こう言っているのです。ですから、いま長官は、アメリカと一生懸命折衝しておると言っておるけれども、総理自体は、もう二国間じゃだめらしい、これはもうロンドンまで行かなければだめらしい、もうおりちゃっているような感じなんですね。  こういうような閣内不統一が、意思統一がなされていないということはきわめて遺憾な、へんてこりんな問題じゃないかと私は思うわけでございます。この点、いかがですか。
  35. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 そう御解釈なさらないで、わが国アメリカとの間にはやはり原子力協定という二国間の協定がございます。これは先ほどもちょっと貝沼さんがお触れになられましたように、ドイツとはまた違う、ユーラトムとはまた違う内容でございますが、そうした協定が現に存在する以上は、その協定に基づく共同決定をせざる限り再処理工場はホットランにも入れないというのは御承知のところでございますから、したがって、そういう交渉をしていく。していくが、恐らく二国間の話はするけれども、やはりNPT問題等々を通じまして多国間にこの問題は展開するんじゃなかろうか。だから、その前に日本だけがおりてしまったんだということでは決してございませんので、恐らくむしろ多国間の会議の方に持っていった方があるいはこの問題は解決しやすいかもしれぬ、こういうふうに御判断をなさりながら、そのためにはいま日本アメリカとの間にすらこれだけの問題があるんだということをできたらクローズアップするという意味も二国間の交渉の中にあると思いますので、総理がいま断をされて、もう二国間の話はだめなんだ、決してそんなことはゆめゆめ考えておられません。  昨日も私、中間報告に上がりましたが、徹底してがんばってくれよと、むしろ総理の方がもっともっとはっきりした立場で言われたので、この間カーターさんと出会わられたときも、言うならば語気鋭く迫ったということがカーター大統領にも後々非常にセンシチブであったというふうな表現を用いせしめるほどやはり迫力のあったものだと思いますので、総理のその日の御発言はそういうふうに御解釈なさらずに、われわれといたしましても、やがてはこの問題は多国間の議題に入る、しかしアメリカ日本との間の問題はやはり詰めるだけは詰めなくちゃならぬという意味でございますので、そういうふうに御理解賜りたいと思います。
  36. 貝沼次郎

    貝沼委員 時間がありませんので、申し上げるだけ申し上げておきたいと思います。  いままでこういう外交やり方、特にその後ろに国論バックアップというものがなければ外交というのはうまくいかない。そのためには、余りにもいままでの行政当局のやってきた、たとえば燃料の問題あるいはその他原子力発電所の安全性の問題、発電所だけじゃありませんけれども、そういう問題といろいろ私は挙げまして、いままでの行政の怠慢ということが実は大きく影響しておる。したがって、ただ進めればいい、あるいはウランが入ってくればいい、プルトニウムができればいいというようなことよりも、もっと基礎的な大事な問題に力を入れるべきではないか。そういうことなしにこれからの外交なんというものは私はできないんだ、世界から理解されることなんかできないんだということを指摘しておきたいわけであります。  それから最後に、約束してありますので一言お尋ねをしておきたいと思いますが、いま二百海里問題で日本の国は水産資源で重大なピンチになろうとしております。この点について、科学技術庁並びに水産庁から、たとえば栽培漁業、こういったものについていよいよ政治日程に上ってきたのではないか、こう私は考えますので、どの程度進行しておるものなのか、いつごろからそれがうまくいくものなのか、この辺の見通しについて答弁を願いたいと思います。  それから大臣には、実は「むつ」の問題でちょっとお聞きしておきたいと思います。  いよいよ四月の十四日が来るわけでありますが、政府が予定どおり四者協定というものを履行するか、あるいはもし延びるようなことがあれば、これはいつごろになるのか。そしてまた、撤去という言葉が使われておりますが、撤去という中身、これはどういうことをするのか。また、佐世保の話が出ておりますけれども、これがまだ決定はいたしておりません。反対の住民もたくさんおるわけでありますので、これについての感触、そしてこれが修理するだけということのようでありますけれども、それが終わった時点でまた同じ問題が起こるのではないかという心配が私はありますので、その辺についての考え方、これを御答弁願いたいと思います。
  37. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 新海洋法時代の問題は、それぞれ局長から詳しく御説明申し上げたいと存じます。  私から「むつ」だけの問題を御説明申し上げたいと存じますが、まず四月十四日、はなはだ残念でございますが、原子力船ですから、六十日以前に入港届を出しておきませんと、離れましても、六十日間海洋に漂っているということになりますので、さような意味合いにおきまして、四月十四日は若干おくれる、その点はひとつ御勘弁くださいということをはっきりと青森の当事者に先刻申し上げたような次第でございます。  そのためには、長崎県におかれましても、ひとつ四月十四日というそういうリミットがあるのだから、それを十分に考えていただきまして、速やかにわれわれが昨年の二月にお願いしたとおりにひとつこの修理港、「むつ」を回航いたしたいと思いますのでお引き受け願えませんか、こういうふうに言っておるわけでございまして、先般それに一〇〇%同意しようということで、佐世保市会におきましても市長さんの諮問を圧倒的な多数決で是認をしていただきまして、われわれといたしましても非常に感謝をいたしておるところでございます。  しかし、一方、長崎県にも同様のことをお願いを申し上げておきました。長崎県では、御承知のとおり知事の諮問機関がございましたが、その諮問機関におきましては、やはり核燃料棒を抜くのならば入っていらっしゃいというふうな答申がなされたわけであります。それを報告に来ました久保知事さんといたしましては、十四名の委員さんがおられるが、「むつ」を廃船にせよという声はどなたからも出なかったんです、また安全であるということは十分わかっているけれども、より安全だというためには、燃料棒を抜いて持ってきたらどうか、こうなったんでございます。私といたしましても、やはりこの方々の御意見、多数決でございますから、それを尊重したいと存じます、いずれ私の気持ちは県会の議を経てはっきり決定することでございましょう、四月十四日というリミットが迫っておることも十二分に承知いたしておりますから、それを勘案いたしながら長崎は県としての態度を決定いたしたい、こういうふうに来ておられるわけでありまして、私たちもただいまひたすらそうしたお答えをお待ちしておるわけでございます。  しかし、恐らく長崎県のそういう内意があったとするのならば、知事さんの決定される内容とあるいはまた佐世保市長さんの内容とにおきましては若干の食い違いが私はあると存じます。恐らく入港は構わない、しかし県の方は燃料棒を抜いた方がベターだ、こういうふうな結論になるものと、知事がそういうふうに判断なさっておるわけで、県会がそれを承認するか承認しないかは別として、現在の知事の気持ちはそういうことであろう、こういうふうに考えますと、いささか佐世保との間におきましても差があるわけでありますが、この点に関しましては、知事も、佐世保の市長さんと努力をいたしまして、お互いの県の中の出来事でございますので、極力両者の意見を統一して持ってまいりたいと存じます、なおかつそのときには、また長官にいろいろとお力添えを賜らなくちゃならないかもしれませんが、ひとつその段はよろしく、こういうふうな願い事もありましたので、もちろんこれは国といたしましてそのときは市と県との間に、私もそれはあなたたちのことだと言ってほっておくわけにもまいりませんから、これはどういうふうな結論になるやは別といたしまして、やはり極力両者の意見が一致になるということが大切であろうから、当然私は努力をしなければならない立場でございますので、そのことは今日からでももちろん私といたしましてはその努力を惜しむものではございません。そのことをお答えをして、そして現在に至っておるというふうな次第でございまして、青森に対しましてははなはだ残念なのでございますが、一応条件があるなしは別といたしまして、長崎は修理のために入ってきてもいいのじゃないか、こういうふうに考えていただいている段階でございます。  なお、母港の問題ですが、これははなはだ残念ながら、四者協定締結後半年内に決めろというのがあったのですが、この間に決められなかったものですから、これは明らかに四者協定違反だ、私もはっきり青森の方々には頭を下げておるわけであります。政府も四者協定のうちの調印をした大切な一員でございますが、他の三者に対しまして、これは明らかに間違っておって違反だ、これはもう勘弁してください。しかしながら、「むつ」がここまでいろいろ政治上の問題としてこんがらかってまいったので、いまここでまた母港がどこだ、どこだというようなことになってしまいますと、混乱を一層全国的に、あるいはまた未熟なるまま攪拌してしまっては大変でございますから、ひとつこの点は佐世保に無事入りまして、三年間修理が必要でございますから、その三年の間に決めさしていただけないか。だから、どこと折衝したこともなければ、またどこを候補地として調査をしたことも現段階ではないわけであります。これに対しましても、無責任だというおしかりもあるかもしれませんが、背景がそういう背景でございますから、この点も御了解を賜りながら、私といたしましては将来の原子力船に備えました場合に、四面海の日本といたしましては、一カ所だけが母港だというのはいかにもさびしゅうございますから、東西南北それぞれあってもよろしゅうございましょう。それが四つになるか三つになるか、そのことは別といたしまして、一応複数の母港を設けたい。それを三年の間に何とか設けて、そしていま御指摘のとおり三年目またトラブルを起こすのではないかというふうな怠慢なことはなくして、この三年の間に何とか国民の方々の御理解をより一層いただいて、そして母港を正式にきちっとしたいものである、こういうふうな考え方でおりますので、その点もひとつ御理解を賜りたいと存じます。
  38. 園山重道

    ○園山政府委員 御質問のございました漁業問題でございますが、御指摘のように二百海里時代を迎えまして、非常に漁業の問題が大変でございます。漁業そのものにつきましては後ほど水産庁の方からお答えがあるかと思いますが、科学技術庁といたしましては、漁業を初め海洋開発全般に共通する科学技術の推進を図っておるところでございます。  特に、漁業に関連いたしますものを御紹介いたしますと、五十二年度から五カ年計画によりまして第一期大陸だな計画というものを発足させることにいたしております。その中身といたしまして主なところは、一つは二千メートルまでもぐれる深海潜水調査船の開発、これは大陸だな斜面の生物資源の調査等に使うことができます。さらに有人潜水作業を三百メートルまで進めたい。これも魚礁の設置その他に活用されるものでございます。さらに、黒潮開発利用調査研究といたしまして、一番日本影響の深い黒潮について、関係各省庁協力いたしまして基本的な調査を進めたい。このように考えております。  なお、そのほか海洋科学技術センターというのがございますが、ここで海域制御システムの調査ということで、たとえば生物生産に必要な湧昇流を人工的に起こす調査といったようなものの研究を始める予定でございます。  そのほか、科学技術庁に計上されております特別研究促進調整費によりまして、関係各省庁協力いたしまして、ただいま津軽暖流域あるいはオホーツク海に対しまして総合調査を実施しておるところでございます。
  39. 井村幸二

    ○井村説明員 二百海里の時代を迎えまして、漁業は非常に大変な時代になってまいりました。現在、遠洋漁業の漁獲量の減少というような問題につきましては、今後外交努力を通じまして、漁獲実績を確保していくということでございますが、もう一方では、沿岸漁業の方につきまして、生産を拡大し、その安定を図っていくことも緊急なことになっております。そこで、農林省といたしましては、昭和五十二年度の予算におきまして、従来の沿岸関係の予算を大幅に増額をして、これに取り組んでいくということでございます。  具体的に申し上げますと、沿岸漁業構造改善事業という事業で、増養殖関係の仕事を進めていくということを中心に考えております。それからまた、沿岸漁場整備開発事業ということで、これは漁場づくりをやってまいりまして、沿岸の生産力の基盤を強化していくということで考えております。それからさらに、栽培漁業という名のもとに種苗をつくって、これを沿岸漁場に放流して、資源水準を高めていくということで考えておりまして、五十二年度におきましては、前年度に比べましてこれらの予算が約三割程度アップいたしまして、現在お願いしているという状況でございます。
  40. 貝沼次郎

    貝沼委員 時間が参りましたので終わりますが、大臣はどうぞ「むつ」問題につきましては、住民の意思を十分尊重してやっていただきたいと存じます。  終わります。
  41. 伊原義徳

    ○伊原政府委員 先ほど定期検査中七基と申し上げましたが、確認の結果九基でございますので、申しわけございませんが、訂正させていただきます。
  42. 山田太郎

    山田委員長 次に小宮武喜君。
  43. 小宮武喜

    ○小宮委員 長官答弁にもありましたように、四月一日、佐世保市議会においては大もめにもめたあげく、政府の要請どおりいわゆる燃料棒つきの受け入れを決定しております。一面また、いま長官言われたように、県の方では安全研究委員会の答申があって、また、その答申を受けて知事がどういう決断をするかは定かではありませんけれども、いまの長官答弁の中にもあったように、今月の中旬に開かれるか下旬に開かれるか知りませんけれども、こちらの方では燃料棒抜きの修理というような方向が決定される公算が大ではないか。  こういうことを考えました場合に、佐世保の受け入れの態度と県の受け入れの態度が食い違った場合に政府はどうするのか、その点ひとつはっきりしておいていただきたいと思います。
  44. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 非常にデリケートな立場になってくるわけでございますが、私といたしましては、知事がどういうふうな結論を出されるか、議会がこれにどういうふうな反応を示すかということもまだ出ておりませんので、それを先取りいたしまして、こうなるであろうということは言えないと思いますが、案ずるに、やはり両者の意見は必ずしも一致しないような感じもいたします。しかし、それは出てまいりましてから政府といたしましても十二分にその間の事情等々をしんしゃくいたしまして、そして最終的に私自身も考えていきたいと存ずる次第でございますが、非常にむずかしい問題でございますので、いまここですぐにおまえの腹を聞かせいとおっしゃいましても、これは多少地方自治体という存在があるわけでございますので、従来から国会におきましては、両者の御意見を尊重する、私もこう言ってまいりましたので、まだその御意見が片一方正式に出ておらないという段階では、ちょっと答えにくい問題であるということを率直に申し述べまして、御理解を賜りたいと存じます。
  45. 小宮武喜

    ○小宮委員 県側の態度と佐世保市側の態度が必ず同一のものでなければならないという理由はありますか。
  46. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 これは個々に知事さんと市長さんにお目にかかりますと、私みずからも、たとえばそういうふうな場合はどうなりましょうかと言いました場合に、双方が、必ずわれわれもお互いにそうした場合には話し合って同じ県のことだから極力一致した意見を持っていきたい、こういうふうに努力することをおっしゃっておるわけでございますので、したがいまして、その辺に関しましては、最初からもうそういうことは成り立ち得ないだろうということを私が早々と申し上げるということは、御両者の努力にいまから水を差してしまうということになりますので、そういう意味合いでお答えしておるわけでございます。
  47. 小宮武喜

    ○小宮委員 これは先ほどから話がありましたように、もう四月十四日というタイムリミットはあるわけですよ。これは県側の態度と市側の態度が回答がある直前にお互いが調整してくるということでなくて、態度が両方から出されて、その上において食い違った場合は調整するということでしょう。そうした場合に、佐世保市に対して—恐らく巷間伝えられるところでは、いわゆる県の方は結局燃料棒抜きの修理だ、一方では燃料棒づきの修理だという回答がなされた、恐らく事前にそれを調整してくるということじゃなくて、回答があった後で調整しようということでしょう。そういうことになると、私が言いたいのは、いわゆる佐世保市と県側の態度が同一のものでなければならないかというのは、行政上は知事と市ですからその点はうまくいくのがこれは当然です、それはわれわれも期待するわけですけれども、しかし法律上から見た場合、港湾管理者は佐世保市長だという場合に、政府としてももしこれを強行しようと思えば法律はできるわけですね。しかし、それは行政上なかなかむずかしいから、それはひとつ調整をしてくださいということになろうかもしれぬけれども、その回答のあってから調整をお願いするわけですか。
  48. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 この間知事が来られましたときには、政府へ正式の回答を持ってくるときにはわれわれといたしましても市と十二分に意見を調整して持ってまいりたいと思います、こう言って別れておるわけでございますので、私もそれを期待しておるわけでございます。  ただ、付言として、それでもうまくいかないときには、大体お互いの腹がわかったというときには長官お出まし願えますか、こういうようなお言葉もございましたから、そうした場合には私が素知らぬ顔をしているわけにはまいりますまい、やはり重大なときでございましょうから、そうしたときに私はそれは決して逃げるようなことはいたしません、こういうふうにお答えしておいたという段階のままでございます。
  49. 小宮武喜

    ○小宮委員 それははっきりしてください。それでは、県と市は正式回答する以前に県と市が調整をして、国に対しては正式の回答をするということになるのか、市と県がそれぞれの立場で回答して、食い違った場合にそれを調整するという手続になるのか、その点どうですか。
  50. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 形式的であれ実質であれ、やはり双方の意見が一致して私のところに出てくる、こういうことで私はこの間知事さんとお別れいたしております。
  51. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、佐世保市としてはいわゆる燃料棒づきで受け入れるということを決定したわけですね。そうすると調整した結果でどうなるか知りませんけれども、そうすれば、改めてもし県の態度のように燃料棒抜きということに調整された場合は、政府としては佐世保の市議会に燃料棒抜きの修理を改めて要請するわけですね、どうですか。
  52. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 そういうふうになってまいりますと、あるいは不測の時間を要しまして、そして青森に非常に御迷惑をおかけするということもございますので、私といたしましては、そこら辺がどういうふうになりますか、決してまだ予測をして申し上げるわけではございませんけれども、やはり青森が四月十四日という四者協定がある以上は、それは不可能でございましょうが、できるだけその線に近い線で船を回航せしめたい、こういうふうに考えておりますので、いま小宮先生のおっしゃること十分私はわかるのでございますが、いまここでそこまで突き詰めた話をしてしまって、後でにっちもさっちも動かないというふうなことではいかがかと思われますので、それも一つの御意見である、そうしたことにも政府は対処しなくちゃならないであろうけれども、できるだけ——どちらの立場になるか私がまだ腹を決めておらないわけでありますから、そうした先を見越してのことに関しましては、はなはだ残念でございますが、ちょっと私自身の意見も差し控えたいと思います。
  53. 小宮武喜

    ○小宮委員 まだ県の態度が決定しておらぬから長官としては逃げ道があるわけですよ。しかし、現実の問題として、先ほど長官も言われるように、県側の態度は大体燃料棒抜きの方が公算が非常に大だということもさっきの答弁の中に言われておるわけです。一方では燃料棒づきで受け入れるということを決定しておるわけですよ。だから、調整するということになれば、もう新聞紙上でもいろいろ出ておりますけれども、やはり燃料棒抜きで調整がされるのではないかというようなことがもう巷間伝えられておるわけですよ。だからそういう中にあって、大臣はそれではその回答があってから考えましょう、大臣が期待するようにいまのような状態の中ではいわゆる燃料棒づきの修理受け入れというのは、調整をした場合は、これは非常にむずかしい。こういうことになった場合に、政府は佐世保市に対して燃料棒づきの要請をしてそれでオーケーという決定をしたわけだから、そうすると、やはり燃料棒抜きということになれば、改めて佐世保に対しては燃料棒抜きの修理受け入れの要請をするのが当然ではないかと言っておるのです。いろいろ仮定の問題であっても、そういうふうな仮定の問題は現実の問題としてもう出てきておると私は思うから、ただ仮定の問題であってもそういうような手続が必要だと思うがどうですかと言っておるわけですよ。
  54. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 せっかく佐世保が政府のお願いしたとおりの御決定を願って、私も非常にうれしく存じましたので、今週初めには私の名代として参事官を佐世保市長並びに議会に派遣いたしまして、お礼言上のために差し出したというふうなことでございますから、それをまだ長崎の県の意見が出ていない前に、今週早々に私お礼を申し上げておる、それをまだお礼の言葉も乾いておらないときに、いま小宮さんが申されるようなことを、かりそめにも私がそういうことになるであろうと言って答弁することが果たしていいかどうか、こういうことですから、そこはひとつ御勘弁願いたいと思います。たとえば政府がわれわれのお願いしたことと違うようなことを決定しなくちゃならぬという場合には、当然これは一つのエチケットといたしましてもその旨を政府の方から伝えなくてはならぬであろう、これはわかります。これは当然のことであろうと思います。
  55. 小宮武喜

    ○小宮委員 大臣が逃げるものだから、私の質問となかなかかみ合わない点もありますが、それでは私は意見として言います。  大臣、佐世保はこの一年二カ月、地元では賛成、反対が対立して感情問題にまで発展しておるわけです。あらゆる問題が出てきておる。そういう中にあって、あえて四月一日の市議会では徹夜市議会をやって、会期も三日間延長して、それで罵声と怒号の大混乱の中で決定をしたわけです。私は、もう先は読めておると思うから言っておるわけです。  そうすると、もし知事との調整の中で燃料棒抜きということになった場合に、先ほど言うような、改めて手続を要請するということになった場合に佐世保市民の感情はどうでしょうか。仮に、初めからそういう要請をするならばまた市議会の様相も市民の受けとめ方も大きく変わっておったはずです。それを四月一日に決定をして、まあ回答がいつごろになるか、今月中になるかどうか知らぬけれども、一カ月もしない間にまた改めて要請するようになってきたら、これは佐世保市民の感情として大きな問題が起きます。恐らく佐世保市長も、もし燃料棒抜きということになった場合は改めて政府から要請があるはずだということを市議会の質問の中で答弁しておるわけですね。また一方では、知事との調整の問題でそういうことも考えざるを得ないのではないかというようなことも言っておる。見通しは大体ついておると私は見ておるのです。  しかし、大臣は逃げ道として、県が態度を出しておらぬから何とも言えぬということを言えるけれども、しかしながら、問題がそこに来てからそういうようなことをやったって、それでは何のために一年二カ月間、ただもう市長は政治生命をかけてやってきたか、市議会でもそういうような大混乱の中でやってきたか。政府が要請したこと、それは佐世保と長崎でひとつ決めてもらえばいいことだと言ってみたって、迷惑するのは佐世保市民だけじゃないですか。ばかにするなという気持ちが起きますよ。そうすれば、仮に賛成した人でも、政府に対してばかにするなというような感情が出てくることはもう明らかなんです。そうした場合に、皆さん方が、燃料棒つきで受け入れるぐらいだから燃料棒抜きだったらもっとすんなり簡単に受け入れられるであろうというような見方をしておったら、それは大変なことですよ。やはりそういうことを常に念頭に入れておいてもらわぬと、これはいずれそういうような機会がまた来ます。もし長崎県側の態度が佐世保市側の態度と変わった、いわゆる燃料棒抜きということになった場合に出てくる問題は、燃料棒をどこで抜くかという問題でしょう、それもまだ決まっておらぬから言えませんなんて言って。しかし、現に四月十四日はあと一週間後に来る。それからまた改めて交渉を青森県側とするのか、あるいは青森県側じゃなくてほかのどこでやるか知りませんが、そうしたらいまの問題はどんどんどんどん経過をして、簡単に決まると思いますか。  そういうことを大臣考えて、ただ、県側はこうしてきますから私たちはそれを見て判断しましょうということじゃなくて、むしろ政府も、何とかひとつ受け入れてください、政府の要請どおりに受け入れてくださいという努力ぐらいするのはあたりまえじゃないですか。ただ向こうにげたを預けた、あとは両方がどういう結論を出すのか、それを見てからしましょうというような受け身の立場、他人のふんどしで相撲を取るようなかっこう。回答があってから改めて動き出すということだったら、その期間はずっと延びますよ。もし燃料棒抜きになった場合に、それがまたうまくいくかどうか。青森県だっていろいろ動きがあるようですけれども、しかしながら、それも結果は佐世保の闘争を青森に移すだけなんだ。それに対して政府としてどうするかということを、やはりもっと前向きに努力をすべきだと思うのですよ。  だから、長官考えておるように、佐世保と長崎に任せておけ、お互いが調整してくれるだろう、それに従ってわれわれは動けばいいんだというようなことでこの問題が簡単に解決すると思ったらとんでもないことですよ。だから、この点で特に長官は、むしろそういうようなことであればもっと事前に、どうでしょうか、ひとつ何とかしてくださいというぐらいの働きかけがあってしかるべきじゃないですか。それは、こう言うと反対する人もおりますよ。しかし、政府としては受け入れてもらいたいということで要請しておるわけだから、そういう違った結論が出ないように、政府の要請にこたえてくれるように努力をするのはあたりまえじゃないですか。そうしないと、佐世保市民の感情は長官考えておるようにはいきませんよ。今度改めて燃料棒抜きで提案した場合に、すんなり通るかどうか、これもおぼつかないですよ。そのことを十分長官は頭に入れておいてください。  だから、そういうようなことを考えながら、ぼくらは、もしそうなった場合に燃料棒をどこで抜くかということですよ。しかし、そのことも長官の頭の中には考えられておると思うのですよ。そうでなくて、どういう受け入れ方をしてもらおうとそれで結構ですというようなことであれば—燃料棒抜きだということはもうすでに知事が長官に会われたときも言うておるわけでしょう。その方向に決まるということも大体想像がつく。そうすると、やはり次善の策を政府考えておかぬと——青森で抜くのかどこで抜くのか知りませんけれども、青森だってなかなか抜くような状態じゃないでしょう。だから長官として、そういうような和戦両様というか、両方からどういうような回答が出てきてもそれに対応するだけの対策を講じておくべきだと思うのですが、まだ政府は何もやっていないということですか、結果待ちということですか。
  56. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 これは非常にむずかしい問題でございまして、やはり対人関係というもの、あるいは対県民感情、対市民感情、いまおっしゃるとおりだと思います。したがいまして、出口、入り口、これが同時に解決できないことには「むつ」は中途半端になるわけでございますから、私といたしましても、こうやりました、ああやりましたということはなかなか公にできません。しかしながら、やはり政府の責任がこれによってますます重くなっておるわけでございますから、御両県に対しましてははっきり申し上げまして、まだ国民感情として原子力そのものに対するコンセンサスがない時代の生みの苦しみと申しましょうか、そうしたものを両県の県民の方々に与えまして、そうしてせっかく仲よかった方々が相争っていらっしゃるということに対しては、私はやはり政府としての責任を重々痛感いたしております。  そういうことで、何とかこの問題は御理解を得ながらも、そうして出口、入り口がうまくおさまるような方途はないものであろうか、こう思いまして、実は本当に一日といたしまして拱手傍観したことはございません。やはり何らかの方法によりまして常にお互いに情報を交換し、また、お互いにこういう情勢だということに関する判断をもなしながらやっておるわけでございます。最高の責任者である知事さんがああ言っただとか、市長さんがああ言ってたということは私は申し上げませんが、この方々はやはり市民の代表、県民の代表ですから、賛否両論の上に立たれまして最終的な御判断をなさる方々であります。そうした方々を直接私が相手取ってやっておるという意味じゃございませんですよ。しかしながら、政府としては、本当に一日も欠かさずに御両県に対しましては、また御両市に対しましていろいろと、言うならば悪戦苦闘やっておるという最中でございます。その辺も非常に貴重な御意見をちょうだいいたしまして私も恐縮いたしております。極力うまくこれが解決できて、そうしてこの「むつ」の解決いかんはわが国原子力行政のあすをも占うものだと私は思いますが、御叱正をちょうだいする面も多々あろうかと存じます。小宮先生の側からの御叱正あるいはまた反対の側の御叱正、これを聞きながら、私といたしましても最善の努力を、微力ではございますが払っておる最中でございます。  ここで明らかにせよと申されましても、なかなかむずかしい問題でございます。決して政府の思惑どおり進むとは考えておりませんが、やはり御協力を賜らないことにはこの問題は解決し得ないと思っております。その点は特に御理解を賜っておる側の先生だ、私はこう思いますので、さような意味合いにおきましてもひとつよろしく——いろいろとまた重大な時期に際しましても、私は私なりに地元の意向というものを決して無視することであってはならない、こう思っておりますから、その点ももう重々考えております。特に辻市長初め佐世保の市会の方々の決意、これに対しましては、本当に私はうれしい思いをいたしておりますし、もう何度も市長にもお目にかかり市会の方々にもお目にかかりましたが、常に本当にむずかしい被爆県でありながら原子力の問題をむしろ科学技術庁長官にかわり、あるいは総理大臣にかわって議会で議論しておるんだ、ここまでおっしゃってくださっておる面に対しましては、本当に頭の下がる思いでございます。そうしたことも十二分に私も踏まえまして、今後市長、そして知事からいろいろな意味合いの御相談もあろうかと存じますので、その辺におきましては、毎日欠かさず連絡をしながら、実は青森さんが十四日だから、ひとつ県会の方も早く結論を出してください、それもお願いしておるという段階でございますので、よろしく御理解のほどをお願いいたします。
  57. 小宮武喜

    ○小宮委員 私はどうもそういうような点が政府としてはやはり何か秘密にするとか仮定の問題だからと言って逃げよう逃げようということをいつも答弁する。やはり政府としては、こういう回答があったらこうします、こういう回答があった場合はこうしますとか、政府ももう十四日も控えておることだし、やはりそういうような二段構えの対策というものを政府自身が考えるべきなんですよ。いまのような話をしていくと、これは長官政府の要請どおり燃料棒づきで受け入れる自信を持っておるのかなと、口では言っても何ら具体的な努力をやっておると私たちは見ていませんから、そういうような意味では、自信があるのか。しかし、われわれはそうは見ておらぬものだから、だから長官にも少しはこういういやみも言うわけですけれども、やはりこれは、われわれは将来の問題を考えた場合、政府原子力行政についても——「むつ」の問題だけでないですよ、いつも何か臭い物にはふたをしようというような態度がどうもわれわれとしては納得がいかないのですよ。だから、いまの段階になったら、もうどちらの回答があっても、やはりこういうような場合、こうする、これはこうするというようなことを考えておかなければ、回答があったからさてさてどうしようかというようなことでは間に合わぬのじゃないかということを考えております。  私が言わんとすることは、大臣も百も承知のことと思いますけれども、だからそういうような政府の要請どおり受け入れられるような条件をつくることも必要なんですよ。それは皆さん何とかしてください、何とかしてくださいと言うより、そういうような環境と条件をつくっていくということも一方では政府も十分やはり考えていただかぬと、いまのような状況では必ずしも楽観できません。  知事の答申はいつごろになると思いますか。
  58. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 私と出会いましたときには、すぐにでもやりたいのだ、三月中にでも県会を開きたい、こういうふうに言っていらっしゃったのですが、その後、中ごろになるとか、ひどい情報では月末になるというようなことが報道されておりますから、これじゃ、せっかく研究委員会の意見を尊重する、そうしてそれに基づいて結論を出すとおっしゃったのだから、もう出されたっていいんじゃないですかと、失礼な言い分ですが。そうしたことも含めまして、佐世保へ御礼に参上しがてら私のところの、私の名代を過般県庁へ差し向けまして、極力早く、いろいろ事情はございましょうが、県会を開いていただきたいということをお願いに上がったということでございます。だから、いまのところちょっとまだその目鼻が立っておらないということであります。
  59. 小宮武喜

    ○小宮委員 参考までに大臣にちょっと質問しておきますけれども、いま言う安全研究委員会から、ここに、「修理港における原子力船「むつ」の修理・点検に係る安全性について」報告がありますね。これが報告書は大体、後書きまでつけて七ページまでで終わっておるわけですね。この内容を見る限りでは、こういう意見もあった、こういう意見もあったという意見が付せられておりますよ。しかし、これは大体において、方向としては安全だというような内容になっておると思うのですが、所見はどうですか。
  60. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 それは、諮問をされた知事みずからが私に対しましても、研究委員会の答申の内容はだれもが廃船をせよと言うた人はありませんし、まあ大体安全だろう、しかしながらより安全なためにはというので提言がついてございます。こういうふうに説明いたしておりますが、まあ、知事の諮問機関ですから、私もそれをずっと一読いたしまして同様な感想を抱いております。
  61. 小宮武喜

    ○小宮委員 したがって、結局報告書内容では大体において安全性は認められるというその内容になっておりながら、最後に提言というのは、それを、より安全だというような見方もあるし、また一方では、これを否定するような提言の内容にもなっておるというようにもこれは理解されるわけです。この報告書は七ページまであります。八ページ、提言というもの、これは十四人のうちで七名の人が提言しておるわけですけれども、この提言に対して、これはどういう——報告でははっきりしておる。こちらでまた何か、提言の中でこれはちょっといちゃもんをつけておるという、この提言についてのこういうような性格といいますか意義と申しますか、これはどういうふうに受けとめればいいのですか。
  62. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 これは知事が諮問されたのですから、知事が受けとめられて、それによって決断なさると思いますから、私があえて先走って批判をするということだけは、私は差し控えたいと思います。しかし、私も過般いろいろな方々にいろいろな御意見を承っておりますが、そうしたことにつきましても、やはり研究委員会というものが言うならば科学的に安全かどうかということを議論される機関だと思っておったのだから、それが出された意見というものは評価のしようによってはこういう答えではなまぬるいんじゃないか、つまり、もうちょっとすきっと安全なら安全と言われた方がいいんじゃないか、いま恐らく小宮先生ごらんになって。その方がむしろ研究委員会の答えにふさわしいのじゃないかというふうに解しておられる、これは長崎県以外の方ですが、まあ相当な方々もおられます。おられますけれども、やはりこれは長崎県知事が自分の諮問機関の答申として御判断なさるわけでございますので、私はそういう意見もいっぱいあるということを耳にしながら、知事が果たしてそれをどういうふうにお取り上げになるかということを待っておるという段階でございますので、はなはだ頼りないようなことですが、知事の諮問機関のそれもまだ結論してない前にコメントするのは、いささか行き過ぎではないか、こう思っております。
  63. 小宮武喜

    ○小宮委員 燃料棒抜きでもし答申があった場合に、それに対する対処を政府はやはり考えなければいかぬわけですよ。問題は、今後はまた際限なくいろいろな問題が出てくる。そういうことを長官が落ちついておられるというのは、よほど政府の要請どおりにこの回答があるものという自信を持っておられるのではないかというような気もするわけです。その点どうですか。
  64. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 まあ、一番いいのは佐世保の市会が御決議なさったとおり県も決定していただけば、青森の方々も、ああそうか、多少おくれたがそのままだな、出ていってくれるのだなということで、何もかもがめでたくいきましょうが、しかしながら、たとえばその逆の場合だと——いまもう小宮先生みずからが、佐世保の賛成者までがおかしいぞ、こうおっしゃるわけですから、すでにそうしたトラブルを予想されているということ等も私、いま伺いまして、こうやって、決して悠然としておるわけではなく、心の中でいらいらしながら、実は眼れない晩もある、ふっと夜中に目を覚まして「むつ」と、本当にそういう場面があるわけなんです。やはり最高の責任者といたしまして、本当に眼れぬ晩もあるという、それだけはひとつ告白をいたしまして、そういう心境のもとに、現在もう真剣になってこの問題に対処しておるんだ、こういうふうにひとつ御理解賜りたいと存じます。
  65. 小宮武喜

    ○小宮委員 この問題は、やはり明らかになった時点でまたやりましょう。私が危惧するような問題がなければ幸いですけれども、そういうものが出てきた場合は、次から次にいろいろな問題が出てきますから、いまのうちなら長官も仮定の問題と逃げられるけれども、回答があった時点では逃げられぬわけだから、そのときには徹底的にやらなければいかぬと思っております。  そこで、この安全委員会報告書でいろいろな意見が出ていますね。この問題についても私は、やはり政府としてもこういうような意見に対して政府の見解はこうだということを、長崎県民、市民の前に明らかにする必要があると思うのです。こういう意見があるけれども安全だ、安全だけれどもこういうような意見があった、少なくともそういう意見とか注文がつけられた問題については政府としても一つ一つ解明して、こういうような問題について政府はこう考えておるのだというような見解を表明するというのが、やはりこの問題——あの報告書をみんな見たら、こういうような問題は問題があるな、注文がつけられておるというようなことになると、県民が納得する上においてもこの問題は明らかにしてもらわなければいかぬと思うのです。  そういうような意味で、時間が五時三十六分までですから、それまで時間の許す限り質問してみます。  第一に、遮蔽工事について「本工事は、作業上の必要性から、圧力容器上蓋を取り外す場合があるとなっているが、」「上蓋を取り外すことなく、本工事を行えば、より安全が確保されるものと考えられる。」という意見が述べられておるということになっておりますが、いま言う上ぶたを取り外さなくて点検修理、遮蔽工事ができるのかどうか、この点の意見について所見をひとつ聞いておきたい。
  66. 山野正登

    ○山野政府委員 先ほど来大臣が申し上げておりますように、この安全研究委員会のなさいました判断につきまして、その当否を論ずるということはいささか妥当を欠くものかと思いますので、従来政府政府の所信として申し上げてきておったところを御説明するという趣旨でお聞き取りいただきたいと思うのでございます。  ただいまの上ぶたを取り外すか外さないかという問題でございますが、私ども従来は、安全性の問題というよりも、できるだけ上ぶた上部の遮蔽改修工事がやりやすいようにという配慮で、上ぶたを取り除いて、そのかわりに仮のふたをして作業するということを申し上げておったわけでございまして、この上ぶたをつけたままでの作業が全く不可能であるわけではございません。ただ、きわめて非能率になります。したがいまして、私どもの従来考えております線では、上ぶたを取り除きまして、取り除いた状況で上ぶたの上の遮蔽改修工事をし、その間原子炉圧力容器内に異物等が転落しないように仮のふたをして行うということによりまして十分な安全対策が講じ得るというふうに考えております。
  67. 小宮武喜

    ○小宮委員 なかなかそういった意味での、ぼくはやはり安全研究委員会と、科学技術庁なりこういうようなところの、あそこで県が質問書を出した、それに回答したという、ただ一回の質問応答だけではこういうような面が解明できていない面があるのじゃないか。だから、こういうような問題はさらに再質問する、さらに答えるという、こういうような、お互い意見の疎通を図るために質疑応答というものが何回か繰り返されていけば、大体そういうような点も理解できるのではないかと思うけれども、ただ文書で、どうですか、こうですという中で、さらに研究委員会の中ではもっと、こうはどうかとかいろいろな意見があるはずですから、そういうようなものの解明の仕方が足らなかったというようにも私は感じるのですよ。その辺はまあ今後の問題でしょうけれども、やはり十分そういった面について、皆さん方に、安全という問題についてはまだまだ、このこと自体を見ても、遮蔽工事の問題にしても、果たして研究委員会のメンバー全体が本当に十分熟知しておるのかどうかということも、これを見て、われわれこの問題何回も質問しておるわけですから感じるわけです。その点の何か足りなかった点があるのじゃないか。だからそれが意見として出てきたのじゃないかというように考えられます。  もう一つ、「本工事の実施は、原子炉の本体の変更に該当するので、安全審査は、是非これを行うべきである」という意見もつけられておりますが、見解はどうですか。
  68. 山野正登

    ○山野政府委員 一般論といたしまして、この遮蔽改修工事あるいは安全性総点検に関連する工事といったふうな工事の施行に伴う安全性というものは、いわゆる安藤委員会で私どもはチェックをしていただいておるわけでございまして、こういった工事の安全性といったような問題が安全専門審査会の審議事項になるというふうには考えていないわけでございます。もし、この言われております安全審査が原子炉設置変更に伴う原子炉安全専門審査会の調査、審議というものを指すといたしますならば、今後事業団の変更申請に基づきまして審査会の安全審査が行われることになるわけでございますが、そのときには「むつ」の設計あるいは構造、設備といったようなものにつきまして、災害防止上の観点から安全性を審議するということになるわけでございまして、工事の安全性そのものを主として審議するといったふうなものではないと考えております。
  69. 小宮武喜

    ○小宮委員 それからこの「むつ」の燃料体について、「燃料体は数年間装荷されたままになっているので、これの健全性をチェックするためのより確実な方法として、一次冷却系のイオン交換樹脂のサンプリングによる放射能測定をすべき」ではないかという意見が出ておるけれども、それはどうですか。
  70. 山野正登

    ○山野政府委員 私ども従来この一次冷却水の管理につきましては定期的に行っておるわけでございまして、従来の一次冷却水の検査結果から見まして、この燃料体は現在も十分健全に維持されておるというふうに考えておるわけでございます。そこで、いま、このいまの状態でイオン交換樹脂のサンプリング測定をしたといたしましても、現在の一次冷却水の放射能レベルから見まして、燃料体の健全性の有無について判断をするに足るようなデータといったふうなものはとり得ないというふうに考えております。  燃料体の健全性と申しますのは、従来私どもは、この燃料体をつくりますときの検査の記録あるいは燃料体を原子炉に装荷いたしますときの検査の記録、その後の一次冷却水の管理といったふうなことを通じまして、健全であるということを確認いたしておるわけでございます。
  71. 小宮武喜

    ○小宮委員 それから、この修理港における環境対策の問題ですが、この意見として出されておるのは、「周辺における環境放射能モニタリングについては、既存のモニタリング施設だけでは、不十分であるので、再検討の必要がある。」という意見が出ておるわけですが、私、これは局長、大臣、こういうような意見に対して皆さん方のそれぞれの見解はあろうかと思いますけれども、こういうような意見があるものについては、必要があるものはやはりできるだけ、より不安をなくするために、取り入れるものは取り入れるという立場で取り組んでもらわぬと、ただ、こういうような意見がある、それは必要ありません、これはだめですとか、こういうことでは困るので、やはりこういうような意見が出ておるのは、取り入れるものは取り入れて、少しでも住民の不安を取り除くという立場で取り組んでもらいたいということを私は前提にして質問しておるわけですが、特にこの環境対策の問題はどうですか。
  72. 山野正登

    ○山野政府委員 「むつ」の修理港におきます態様と申しますのは、原子炉は冷態停止状態に保っておるわけでございますが、それに加えまして、米国の原子力軍艦等と異なりまして、この「むつ」の場合には船自体、この発生源に各種測定器を備えておるわけでございます。そういう意味で、私どもかねて、地元の方々に対しても、従来のモニタリング設備で十分であると考えるという御説明を申し上げているわけでございますが、今後修理港におきますモニタリングと申しますのは、あくまでも地元の方々に御安心願うという非常に重要な役目もあるわけでございますから、その点は地元の方々の御意見も入れながら、所要の措置というものは講じていかなければならぬというふうに考えております。
  73. 小宮武喜

    ○小宮委員 さらに「放射能測定に関しては、現地において速やかに分析、評価ができる体制を整備すべきである。」と出ておりますけれども、この点についてはどうですか。
  74. 山野正登

    ○山野政府委員 もし幸いにしまして修理港受け入れをしていただくという暁には、御指摘のようなことはぜひ必要だと思いますので、前向きに考えたいと考えております。
  75. 小宮武喜

    ○小宮委員 修理港に関係する事故対策の問題ですが、意見として、「修理港における重大事故、想定事故については、安全審査の基準もなく、従って事故対策については、判断し難い。しかし、判断の基準としては、如何なる状況においても、臨界にならないことを保証する前提で、安全審査等において、十分な検討をすべきである。」として、「係留する位置が確定された後、安全審査、事故対策等、別途国の機関において」十分検討してもらいたいということが出ておりますが、どうですか。
  76. 山野正登

    ○山野政府委員 安全審査におきます審査の指針といたしましては、原子力船運航指針というものがあるわけでございまして、これに基づきまして重大事故あるいは仮想事故が発生した場合を想定しての遠隔錨地等を定めるというふうなことになっておるわけでございます。しかし、今回修理港におきましては原子炉は運転しないということになっておりますので、重大な原子炉事故といったふうなものが発生することは考えられませんので、遠隔錨地といったふうなものは設定する必要はないと考えております。  なお、「むつ」に原子炉を設置します当時の安全専門審査会の報告書におきましても、原子炉を冷態停止状態に保っております際には、停泊または仮泊する場合には遠隔錨地の設定の必要を条件としないといったふうな結果も出ております。
  77. 小宮武喜

    ○小宮委員 また、今度は「提言」の中に、多分これは「むつ」の修理に当たっての係留位置に関する問題であろうと思いますけれども、「立神岸壁は、横須賀と同じく、米軍との共用施設であり、「むつ」の受け入れ場所として、現状では適当でない。」ということが言われておるわけですが、見解はどうですか。
  78. 山野正登

    ○山野政府委員 修理港におきます修理をどこのドックで行うか、また、どこの岸壁で行うかということは、今後発注者と受注者の間で相談して決めるべき問題でございますが、私どもがこれまで調査した結果では、立神岸壁以外にも「むつ」を修理することのできるドックなり岸壁というものはあるわけでございまして、私どもは「むつ」は立神岸壁でなければ修理できないとは考えておりません。
  79. 小宮武喜

    ○小宮委員 この「提言」の中には、いわゆる米軍基地であるからまずいということもうたってあるわけですが、それでは米軍基地以外に、立神桟橋以外にほかにも適当なところがあるということですね。
  80. 山野正登

    ○山野政府委員 おっしゃいますとおりでございます。
  81. 小宮武喜

    ○小宮委員 それからまた「提言」の中で、「造船工学専門の委員二名より、「「むつ」設計時より、この十年間に船舶の大型化、高速化、日本周辺での過密化が著るしく進んでいるので、衝突時の安全性については、船の幅を含めて、再検討の必要がある。」との意見が出された。」とあるのですが、当然排水量と原子炉の安全との関係は原子力船「むつ」がつくられるときもいろいろ検討されておると思うのですね。だからわれわれもいろいろ調べておるわけですが、そういう場合に、衝突は確かに危険ですけれども、しかしながら原子炉が損傷を受けずに済む速力といわゆる排水量の関係はどうなっておるのか。これを見れば、なるほど船舶は大型化した、高速化した、日本周辺での過密化が進んできた、だから衝突することが非常に多いんじゃないか、だから非常に危ないじゃないか。さらに船の幅というのはぼくらもよくわかりませんけれども、船の幅だけ広げたってどうなるのかということもありますが、やはりこういうような問題についても、「むつ」をつくるとき、当然船型にしろ、船の排水量の問題、船の大型化の問題、そういうような問題を十分データで推定されていまの「むつ」はつくられておるものとわれわれは考えるわけです。われわれもいろいろ勉強しておりますけれども、速力と排水量の関係について一応政府の見解をお伺いしたいと思います。
  82. 山野正登

    ○山野政府委員 耐衝突構造の評価につきましては、「むつ」の設計当時におきましても当然評価をしておるわけでございますが、その当時の評価の内容をごく簡単に申し上げますと、「むつ」の耐衝突構造につきましては、設計当時において全世界の約九七・七%の船舶に対して防護能力、つまり衝突しても格納容器に損傷を与えない防護能力があるという評価になっております。これは衝突する直前に当然船は若干の減速をいたしますし、この減速と、当時の世界の衝突事故の発生頻度というものをあわせ考えまして、「むつ」が格納容器が損傷されるような衝突を起こす確率というのは二十年間に約七掛ける十のマイナス五乗という評価つまり三十万年に一回の確率であるという評価が行われておりまして、このリスク評価から安全であるというふうな結論が行われておるわけでございます。  最近におきまして、確かにタンカー等の出現によりまして大型船もふえましたし、また、貨物船、コンテナ船等も高速化してまいっておるわけでございますが、原子力船事業団におきましてこういった船の変遷に応じまして、最近予備的にこの評価につきまして再び評価のやり直しというものをやってみておるわけでございますが、それによりましても、この設計当時の評価と衝突確率においては大差ないという判断が出ておるわけでございます。  今後、これは遮蔽改修工事を進める段階におきまして、あわせてこういった安全評価というものはしてまいることになろうかと思いますので、この辺の御心配は将来ともないというふうに考えております。
  83. 小宮武喜

    ○小宮委員 まだ質問したいことがございますが、大体五時半になったようです。  これはやはり一応県の回答が出てから、私の杞憂が的中するか——そのときは大臣、逃げるわけにはいかぬわけです。その場合にこの問題はもっともっと掘り下げて、そして今後の対策の問題についてもわれわれは政府の所見をただしたいと思います。長官から、まだまだ県の態度が出ておらぬのでということで逃げられましたけれども、きょうはこれで質問を終わります。
  84. 山田太郎

    山田委員長 これにて小宮武喜君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る四月十四日木曜日、午前十時三十分理事会、十時四十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十九分散会