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島田委員 果たしてそうでしょうか。私は、その点は
内容がかなり
玉虫色であるだけに、これから重大な
外交上の
話題になるというふうに見ているわけであります。
しかし、私はここでちょっと
日本の
対ソ外交姿勢について、若干の問題の
提起をしたいのであります。
農林水産委員会で、
領海法や二百海里法あるいは
日ソ漁業問題の討議をいたしましたときにも、私は
鈴木大臣に、厳しいけれ
どもそういう
指摘をしたのでありますが、どうも対
米交渉と比べますと、
対ソ外交というのは
回数でもあるいは積極的な
姿勢の上でも非常に格差があるという気がしてなりません。これは私一人のひがみであるとすれば幸いでありますが、私はあのときにも厳しく言いましたのは、
アメリカに出かけるのと同じぐらいの精力と
回数で
ソビエトとの
外交を進めておかなければいけないのではないか。
日ソの
漁業交渉というのは連年厳しさを加えているというのは、もう衆目の一致するところであります。ことしに始まったことではないのであります。もう四年前、五年前からだんだん厳しさを増して、年を追うごとに
日ソ漁業交渉のむずかしさということはみんなから
指摘をされていた。ことしあたりは最大にして最高の厳しい
条件がつけられるだろうということは予想にかたくなかったのであります。ですから、時期が来たら魚の問題だけ持ち出して
ソビエトとやり合ったって、
ソビエトの
外交というのは、単なる魚とかそういう現象面だけをとらえた
外交の
姿勢ではありませんから、非常に厳しい。今度だって恐らく
出先の
漁業大臣ではどうにもならない中央の
訓令が行われて、ああいう二転、三転の状態をたどったと思うのです。これは不法な態度だとして
ソビエトを責める前に、私は、
わが国の
外交姿勢にやはり大いに反省をしていかなければならぬ面が
幾つかあったと思う。
いまさら私はミグ
事件を引き合いに出すつもりはございません。しかし、あなたは二月二十五日の当
委員会における
外交施政方針の中でこうした点にも触れているのでありますが、ミグ
事件そのものは国際的な慣例あるいは常識に従ったまでだとおっしゃるけれ
ども、それは
日本側の言う常識であって、
ソビエトのような厳しい
外交姿勢を持っているところには通じない。ここのところを頭に置かないで、国際慣例だ、慣行に従ってミグを解体するなんというようなことが
漁業問題にどんな
影響を及ぼすかぐらいのことは、
外務大臣としてよくおわかりだったはずなのに、そういうことも平気でおやりになった。果たせるかな、そういうようなことは口に出さぬけれ
ども、今度の厳しい
姿勢の中にそれがあったと私は思う。
私は
一つの例を申し上げているにすぎませんが、事ほどさように
対ソ外交姿勢というのは、特に対ソ
外交チャンネルの弱さというものは今回はっきりと露呈されたと思う。反省が必要だと私は思っているのであります。
そしてまた、最近あなたは本
会議でもお答えになっていますが、
日ソ外相定期
会議で、もろもろの問題をこういう
機会に洗いざらいひとつぶちまけて話し合いたいということを前向きにおっしゃった。私はこれを評価をいたします。秋ごろというようなことをおっしゃっていますが、先ほどの魚と
領土は完全に切り離されたというあなたの認識は、
ソビエトに出かけてごらんなさい、恐らく通じないと私は思いますよ。ですから、向こうから来るのを待っているんじゃなくて、こっちから——
国民は今度の
領土問題に大変ないわゆる注目をいたしました。国論としてこれぐらい盛り上がった時期もないと思います。
私
どもは、千島の
北方領土という問題は、全千島という主張を掲げて今日までその返還のプロセスも
提起をしてまいりましたが、あなたはこの二月二十五日の所信表明の中ではこういうふうにおっしゃっている。四島の一括返還、これをやりながら
北方領土問題の解決を図って後、
日ソ平和条約を締結するという、こういう
考え方を崩していないということでございます。しかし、現地ではこの
政府の
考え方は大変非
現実的だという批判が起こっているのであります。むしろわが党が主張いたしました、当面二島の返還とあわせて
日ソ平和条約の締結を図っていく。そして、
外交上の等距離
姿勢を明確にしながら最終的には全千島の返還をかち取っていくんだという
姿勢について賛成をする向きが現地には多いのであります。宮澤前
外務大臣もそのことを現地でお聞きになって帰っているはずだ。
私は若干の
指摘をしたのでありますが、こういうことを
考えますれば、あなたはいま当面大変急がれることは、
ソビエトと
領土問題について国論がこれだけ沸き起こり、そして国を挙げていまのいわゆる
北方領土問題の解決を要求するというこの機運の高まりの中でこそ初めて、
日本の
外交というものが前進する
一つの下地といいますか、素地ができ上がっていくというふうに私は理解をしているのであります。秋までと言わず、直ちに
対ソ外交のチャンネルを大きく開いて積極的に
領土問題を解決し、来年、一九七八年以降の
日ソ漁業交渉がまたぞろ
難航するようなことのないように、外務省としては
外交上のこういう下地、素地というものをきちっとつくっていくという、そういう
努力はきょうから必要だと思うのですが、この点についてはいかがでございますか。