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1977-04-26 第80回国会 衆議院 運輸委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月二十六日(火曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 大野  明君   理事 小此木彦三郎君 理事 加藤 六月君    理事 増岡 博之君 理事 宮崎 茂一君    理事 坂本 恭一君 理事 渡辺 芳男君    理事 石田幸四郎君 理事 河村  勝君       北川 石松君    佐藤 文生君       関谷 勝嗣君    永田 亮一君       藤本 孝雄君    古屋  亨君       堀内 光雄君    三塚  博君       太田 一夫君    久保 三郎君       兒玉 末男君    斉藤 正男君       田畑政一郎君    草野  威君       宮井 泰良君    薮仲 義彦君       米沢  隆君    小林 政子君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 田村  元君  出席政府委員         運輸政務次官  石井  一君         運輸大臣官房長 山上 孝史君         運輸省海運局長 後藤 茂也君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 杉浦 喬也君         運輸省自動車局         長       中村 四郎君  委員外出席者         議     員 久保 三郎君         大蔵省主計局主         計官      宍倉 宗夫君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     田口 通夫君         日本国有鉄道常         務理事     高橋 浩二君         日本国有鉄道常         務理事     篠原  浩君         日本国有鉄道常         務理事     馬渡 一眞君         日本国有鉄道常         務理事     吉武 秀夫君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   平岡 治郎君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 四月二十五日  辞任         補欠選任   内海  清君     米沢  隆君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方陸上交通事業維持整備法案久保三郎君外  三十八名提出衆法第二四号)  中小民営交通事業者経営基盤強化に関する  臨時措置法案久保三郎君外三十八名提出、衆  法第二五号)  交通事業における公共割引国庫負担に関する  法律案久保三郎君外三十八名提出衆法第二  六号)  中小民営交通事業金融公庫法案久保三郎君外  三十八名提出衆法第二七号)  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改  正する法律案内閣提出第一一号)      ————◇—————
  2. 大野明

  3. 久保三郎

    久保(三)議員 ただいま議題となりました地方陸上交通事業維持整備法案中小民営交通事業者経営基盤強化に関する臨時措置法案交通事業における公共割引国庫負担に関する法律案並びに中小民営交通事業金融公庫法案について、提出者を代表し、提案の理由並びにその概要を御説明申し上げます。  まず、地方陸上交通事業維持整備法案内容について申し上げます。  高度経済成長の中でのモータリゼーション進展は、全国的に過疎過密現象をつくり出し、国民生活に重大な影響を及ぼしております。  とりわけ交通の分野における混乱は際立ったものがあります。すなわち大都市の通勤地獄交通の渋滞、地方における生活路線休廃止、そして絶えることのない交通事故と公害の激増、そして地方交通企業の倒産、交通労働者の離職等深刻な事態に直面しております。  中でも過疎地を含む地方における公共輸送の衰退は、地域住民から通勤通学手段を奪い、雇用と教育に制約を加え、あるいは二重生活を強い、ひいては自家用車の激増に拍車をかけ、交通事故激増にもつながっております。そればかりではなく、ほかに交通手段を持たない老人、子供、主婦及び身体障害者等交通から疎外され、その生活は一層苦しいものがあります。またこうした交通事情過疎現象を起こさせております。  このように見てまいりますれば、これら地域における交通維持整備し、地域住民生活をいかに守るかは、当面する交通政策の重要な課題と言えましょう。これに対し現に行われている国及び地方自治体政策は徹底を欠き、多分にびほう的であります。これは公共輸送確保はそれぞれの当該企業責任にあり、国はその規制や監督だけが責任であるとする古い制度的観念と、住民生活を守り、足を確保すべき立場にある地方自治体には、交通に対する積極的な権限のないことにも起因しております。  こうした状況のもとでの公共輸送は、地方住民にとって、与えられるものであっても、住民の要求するものではなく、情勢の変化に会えば一方的に運行休廃止となり地域住民生活は無視されております。  このような地域における公共輸送改善し、住民生活を守るためには、従来の政策を抜本的に改め、それぞれの地域において総合的な地方交通維持整備計画を、利用者地域住民等の参加のもとに民主的に策定し、地方自治体がその中心となって推進する必要があります。これが本法案提出理由であります。  この法案は、すでに申し述べましたとおり経済的社会的な変動により、輸送需要が低下して陸上交通事業経営が困難になった地域輸送確保を図るため、特別な措置を講じ、その地域における住民の福祉と陸上交通事業従業員の雇用安定を図ろうとするものであり、都道府県知事をして、該当すべき地域における国鉄を除く鉄道軌道乗り合い旅客自動車事業維持整備計画を立てさせ、その実施によってその目的を達成させようとするものであります。  この維持整備計画には当該地域における輸送需要の見通し及び陸上交通事業維持整備目標輸送施設整備改善のほか、目標達成のため必要にして適切な方法を定め、当該地域における陸上交通事業維持整備を図り、進んで関係地域住民日常生活利便確保しようとするものであります。  また、この維持整備計画策定に当たっては、あらかじめ関係市町村長、関係する陸上交通事業者とその企業従業員の代表、さらには利用者意見を聞かなければならないこととし、民主的な計画の樹立とその推進を図ることにし、またこの場合には当該陸上交通事業従業員の雇用安定についても配慮すべき旨規定いたした次第です。  この維持整備計画実施に当たって、都道府県知事関係陸上交通事業者に対し、輸送施設整備改善等維持整備計画で決めた事項実施について勧告し、これを受けた地方陸上交通事業者はこれを尊重し、その実施に努めなければならないことにいたしております。また、国及び地方公共団体は、これを実施する交通事業に対し、そのために必要な資金確保あるいは税制上の優遇措置を講じ、計画の円滑な実施をいたさせようとするものであります。また都道府県知事は、地域における陸上交通事業維持整備を円滑に行わせるため、必要により関係陸上交通事業の合併、譲渡、管理の委託、業務運営調整等について、あっせんすることができることといたしました。  さらに維持整備計画目標達成のため、地域住民生活に必要不可欠の生活路線運行確保による欠損について十分に補助できるよう制度化し、予算措置を図ることにいたします。  運輸大臣及び建設大臣陸運局長または都道府県知事が、維持整備計画に係る地域陸上交通事業路線休廃止等住民利便を減少するおそれのある処分をしようとするときは、関係市町村長意見を聞かなければならないこととし、地域住民の意向を無視しての処分をさせないこととしました。  なお、都道府県知事維持整備計画策定するに当たっては、都道府県議会議員関係市町村長及び学識経験者のうちから都道府県知事都道府県議会の同意を得て任命する者をもって構成する地方陸上交通事業維持整備審議会に諮問することとし、計画策定に万全を期した次第です。  次に、中小民営交通事業者経営基盤強化に関する臨時措置法案について申し上げます。  最近におけるインフレ物価高、そして過疎過密の激化という著しい経済社会変動の中で、公共輸送を担当している交通事業者のほとんどが経営の悪化に悩んでおり、なかんずく中小と言われる民営交通事業経営は深刻な事態に追い込まれております。これら中小民営交通事業の背負っている財政的重荷を軽減し経営基盤強化することは、他の施策とともに公共輸送確保のため必要な施策であります。このため借入金利子支払い猶予する等の措置を講じようとするものであります。  この法案は、資本金または出資総額が五億円以下の鉄道軌道及び一般乗り合い自動車路線トラック事業経営する中小民営交通事業で、前に申し上げました地方交通事業維持整備計画の対象となったもののうち必要なものに対し、政府がこれら事業者にかわって一時利子支払い肩がわりすることによって事業経営再建に役立たせようとするものであります。  政府利子支払い肩がわりしようとするものは、政令指定した金融機関から中小民営交通事業者が借り入れた昭和五十二年三月三十一日現在の借入残高について、承認の日から五年間にわたって行い、当該中小民営交通事業者は、肩がわりを受けた利子相当額を元本の返済に充てなければならないことにし、債務の軽減をいたし、財政基盤強化を図ろうとするものであります。  政府によって利子支払い肩がわりを受ける中小民営交通事業者は、五年間の猶予期間経過後、十年間の間に肩がわりを受けた利子相当額指定金融機関に支払うこととしますが、利子支払い猶予期間中、その決算の額が資本金または出資総額に対し政令で定める率八%以上の利益を生じた場合は、その年度猶予利子分当該中小民営交通事業者が支払うものとし、また、その利益政令で定める率十二%以上の場合は、その年度猶予利子分及びその率を超えた額の二分の一に相当する額の猶予利子分指定金融機関に支払わねばならないことといたしました。支払いを受けた金融機関はこれを国庫に納付いたします。  さらに、当然なことではありますが、この制度適用を受けている中小民営交通事業者に対し、運輸大臣が経理や事業内容改善について勧告することができることとし、単に利子支払い猶予にとどまらず、経営基盤強化を図ろうとするものであります。  次に、交通事業における公共割引国庫負担に関する法律案について申し上げます。  従来から行ってきております交通事業旅客貨物に対する運賃割引のうち、その交通事業の営業上必要とする割引のほか、国の政策に起因する運賃割引があり、これらは法律によるものもあるが、その多くは慣行により行われてきたものでありまして、一部を除いて大半はそれぞれの交通事業内部補助方式にゆだねられ、一般利用者負担において実施しているところであります。  しかるに、最近の経済社会の激変によって公共輸送を担当している多くの交通事業経営が悪化し、これを維持し継続することに困難を来しております。このように経営の悪化せる事業国家政策遂行責任まで背負わせることは、まさに不公正であり、また交通事業の健全な発達により国民の足を確保することにも支障があります。これら国民産業政策文化政策社会政策等の要請による公共割引について、国庫負担の原則を打ち立て、費用負担区分を明確にしようとするものであります。これが本法案提出する理由であります。  この法律適用により公共割引実施した場合に国庫負担を行う交通事業は、日本国有鉄道の行う鉄道連絡船及び自動車運送の各事業地方鉄道法軌道法による交通事業一般乗り合い旅客自動車並びに貨物定期航路及び旅客定期航路事業とし、国庫負担をいたす公共割引としては、一、国鉄国鉄運賃法によって割り引く身体障害者及びその介護者割引額、二、交通事業者通勤定期乗車券及び通学定期乗車券運賃普通旅客運賃の十分の七より低くしたものについて、その差額、三、国が運輸審議会に諮り、交通事業者に対し産業政策文化政策社会政策その他の政策上の必要から運賃割引政令で定める場合の割引額といたします。  なお、国会法により国会議員が利用する国鉄に対する費用は別途国が負担することといたします。これによって、交通事業の不当な負担を解消し、事業の健全な発展により公共輸送確保を図るとともに、交通機関の機能を利用し国家政策の円滑なる遂行を期そうとするものであります。  次に、中小民営交通事業金融公庫法案について申し上げます。  最近における交通事業経営、中でも中小民営交通事業経営は、インフレ物価高に加えてモータリゼーションの急速な進展により大きな打撃を受け、いずれも深刻な経営危機に立たせられております。特に過疎地中心とする地方における多くの中小交通事業は、従業員に対する賃金の遅欠配を初め、人員整理、さらには会社更生法適用を申請するなど、公共輸送維持するに大きな支障を来しております。このように極度に悪化した経営改善し、地域における公共輸送確保するためには、各種の施策遂行が強く要求されているところであります。なかんずく中小民営交通事業経営に必要な長期かつ低利の資金を供給することは、当面の経営危機から抜け出し、健全な経営に発展させるための必要な施策であり、これら中小民営交通事業が、ともすれば一般金融機関から円滑に資金の供給を受けられない現状に照らし、かつその公共性にかんがみ特別な金融制度の設立が強く望まれているところです。これが本法案提出する理由であります。  中小民営交通事業金融公庫は既存のこの種金融公庫に準ずることといたし、この金融公庫によって資金の融資を受けられる中小民営交通事業は、資本金もしくは出資総額が五億円以下の会社協業組合等政令指定した組合または個人の経営による鉄道軌道、バス、ハイヤー・タクシー、路線及び区域トラック運送事業船舶運航事業外航及び特定を除く)並びに通運事業といたします。  この公庫資本金政府全額出資二百億円とし、資本金の二十倍を限度とする債券の発行及び政府からの借入金によって貸付業務を行うことにいたします。  この公庫が融資する資金はこれらの経営者当該事業に必要な施設整備のためのもの、または運営のための必要資金を貸し付けるものであり、また、中小企業等協同組合のほか商工組合、内航海運組合等政令で定める組合もしくはその連合会に対し、業務運営に必要な資金を貸し付けることができることといたしました。  以上で四法案説明を終わります。(拍手)
  4. 大野明

    大野委員長 これにて趣旨説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 大野明

    大野委員長 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案について、本日、日本鉄道建設公団理事平岡治郎君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大野明

    大野委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。     —————————————
  7. 大野明

    大野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺芳男君。
  8. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 私は、国鉄財政危機について心配をしている一人でありますが、まさに事態は容易でないと思っています。しかし、昭和三十九年に東海道新幹線が開業した年に国鉄が初めて赤字決算を出したということは、ある意味では私は歴史的な出来事のような気がいたします。世界に誇る新幹線が開通をした、喜んでいる年に赤字決算になるということは、まさに国鉄の今日あることがどうも予想されるような気が、今日になっていたしておるところであります。しかし、それ以来毎年毎年赤字が累積されまして、五十年度までには、資料によりますと、六兆七千七百九十三億円も借入残高があると言われています。昭和四十四年に国鉄財政再建措置法がつくられましてから、再建計画が幾度か書きかえられてまいりました。一昨年の十二月三十一日に国鉄再建について閣議了解事項が決められまして、本年の一月二十日に一部修正がされましたが、去る四月四日に国鉄運輸大臣提出した経営改善計画、言ってみればこれは大変な大合理化計画ですが、大変無理な計画であると私は判断をいたします。このような無理な計画が短時日にやれるというわけではありませんし、混乱をするでありましょうし、国鉄財政赤字の主な原因として、この合理化計画は、運輸省も言っておりますように、ローカル線二千二百億円の赤字貨物輸送一千八百億円の赤字を目のかたきにしていると思っています。すでに今日まで、ローカル線なりあるいは貨物合理化は何度となくやられてまいった経緯があります。この経営改善にもありますが、ローカル線約二千四百駅のうち五〇%がすでに無人化をされております。さらにこれを無人化しようというのであります。そしてまた、約六百駅の貨物駅を徹底した統廃合する。重ねて言いますが、そう簡単にできるというものではありません。国鉄公共事業でありますし、地域住民国民のまだまだ大きな期待があるからであります。運政審中間報告で四つの方式が示されていますが、私はこれらの問題についても相当議論も闘わされるでありましょうし、地域住民の理解も得なければならないでありましょうし、当然慎重を期して進めなければならないと思っておりますが、運輸大臣国鉄総裁、それぞれこの経営改善計画についての基本的な考え方をお伺いをいたします。
  9. 高木文雄

    高木説明員 国鉄再建につきましては、かねがね三つの柱が中心になるというふうに考えられております。一つ政府の行財政上の援助であり、一つ運賃の適時適正な水準の維持ということでありますけれども、それにもまして重要でございますのが、国鉄自身企業努力といいますか、経営の基本的な心構えというものであろうかと思っております。  ただいま御指摘がありました経営改善計画というのは、国鉄自体がどのような心構えでこの再建に取り組んでいくかということのアウトラインを示したものでございまして、いずれにいたしましても、労使ともどもみずから自分のところの企業をどうやって成り立たしていくかということに取り組む姿勢を示したものであるつもりでございます。その場合に、具体的にはかねてから各方面から御指摘を受けております個別の赤字原因と申しますか、いまお触れになりました貨物の問題とか地方ローカル線の問題とかいう問題に具体的に取り組んでいかないことには、企業努力と申しましてもきわめて抽象的なものに堕するおそれがあるわけでございまして、その意味で、今回の経営改善計画におきましてはなるべく具体的にそれらを示したいという考え方を持ったわけでございますが、まだ必ずしも各項目ごとに煮詰めておりませんので、いまのところは、まず貨物中心にどういうふうに進めるということをある程度明らかにしたつもりでございます。  今後いろいろ作業をどんどん進めまして、また労使間の話も進めてまいりまして、それらの個々の問題について、主たる赤字原因について対策を個別に積み上げてまいりたいと思っております。
  10. 田村元

    田村国務大臣 先般四月四日に提出されました経営改善計画は、国鉄再建について国鉄自身がその経営努力でなし得る問題点についての考え方を示したのであります。私どもとしましてはおおむねこういうことであろうと考えておりますが、これを評価しておりますが、しかしながらこの経営改善計画は、先般も申しましたように、言うなれば経営改善計画概論であります。これを基礎にして国鉄がこれから考え、計画を練っていくということ、そして実行していくということになるわけでありますが、この経営改善計画というものと政府助成というものとをうまく整合せしめない、その足らざるところを政府の方で補っていきたいと考えております。一応妥当なものとこれを見ております。
  11. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 抽象的な改善計画の面もございますが、いずれにしても大変なことだと実は感じております。いま総裁から言われましたが、歴代の運輸大臣が口ぐせのように、国鉄財政再建は三方一両損だと言ってきたのですが、この三方一両損運輸省の役人も言われておりますが、国鉄合理化をどんどん進めろ、国鉄利用者の皆さんには運賃値上げはがまんしてもらおう、政府は応分の助成策をとる、こういうことが三方一両損だということを言われてまいりました。私はこの考え方は大変大事なことが一つ抜けておると思っています。  今日、国鉄財政危機が各方面から大変な議論になっていますが、本来ならば、こういうふうな状態になるときには民間会社では縮小再生産の形をとっているのが一般的なケースです、しかし現在とられている設備投資計画というのは、昭和三十二年の第一次国鉄設備計画から五回にわたっていろいろ改定してまいりましたが、現在の十ヵ年計画が五十七年に終わることになっていますが、投資計画が十兆五千億円、このことだけは減らさないであるのですね。この投資計画はしかも順調に進められているというか、もっと金をつぎ込もうとしておるわけですね。これは後で申し上げますが、新幹線建設あるいは鉄道建設公団に仕事をやってもらう、いろいろありますが、これはもう今日の状況ではほとんど借金でしょう。この借金が累積をされてすべて国鉄の肩にそのままツケで回ってきている。これでは三方一両損を幾らやれやれと言ったって、がまぐちの口は大きな口があいているんだからどんどん出ていくんだから、国鉄財政再建ができないじゃないですか。  この投資計画について大臣は今後どういうふうに考えていくか。私の意見は、こんなにめちゃくちゃにどんどんやってもらっては困る、こういう意見でございますが、投資計画についても国鉄財政再建と見合ってもっと縮小すべきじゃないだろうか、こんなふうに考えておりますが、いかがですか。
  12. 住田正二

    住田政府委員 ただいま御指摘がございました前の計画投資額の十兆五千億という数字は、一昨年の再建対策要綱をつくったときに消えております。現在決まっております計画は五十年度前期の五カ年計画でございまして、これにおきます国鉄投資計画は約五兆円と見込まれております。前の計画が十年間で十兆五千億、今回が五兆円ということで数字がちょうど半分ではございますけれども、前回の計画をつくりましたときから工事費等が非常に高騰いたしておりますので、実質的には工事規模は縮小されているとお考えいただいて結構ではないかと思います。また、この五兆円の投資に当たりましては、いま御指摘がございましたように、この投資によりまして国鉄経営に圧迫を与えないように十分配慮をする必要があろうかと思います。したがいまして、投資に当たりましては十分採算性というものを考慮して重点的に投資をやってまいりたい、さように考えておるわけでございます。
  13. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 鉄監局長そういうふうに抽象的にうまいことを言っているけれども、実際はそんなことじゃないですよ。これから申し上げますが、予算を見ればわかる。私は、この三方一両損にはそれぞれ限界があると思っています。国鉄合理化は、一般の製造会社と違いまして、徹底的な合理化をやるといっても、交通事業でありますから、そう民間のようにボタンを一つ押せばすべてが製品として上がってくるというわけにはまいりません。でありますから、合理化にも限界があると思っています。運賃値上げについても、昨年十一月六日に五〇%大幅に値上げをしましたが、これも予想よりは大分落ち込んでいるのです。新幹線などは、けさの新聞によると東海道新幹線は飽和状態であるから中央新幹線をつくるかなというふうなことを無責任に言われているような気がいたしますが、ともかく新幹線も非常にすいています。運賃の値上げによって在来線の急行に移行しているという乗客が非常に多くなりました。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕  私は経験をしているからです。政府がどしどし助成をしろと国鉄運輸省が要求しても、そう簡単に大蔵省はよろしゅうございますと言うわけにはまいりますまい。そういうことになりますと、しょせん借金をすることを減らしていく以外にはない、財政再建中心にするならば、どうしてもこういうことに考えざるを得ないと思うのです。  私は、いま鉄監局長が回答されましたけれども、どうしてもこの工事費の問題については気にかかって仕方がありません。在来線や新幹線改善計画をやるというならばこれは仕方がない、どんどん投資をするということについてはもう一度見直していただけないかと思うのですが、いかがですか。
  14. 住田正二

    住田政府委員 確かに御指摘のように、今日の国鉄財政の現状からいって今後どしどし投資をするというような態度でいくことは非常に問題があろうかと思います。ただ考え方の問題かと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、他の公共投資と比較いたしますと、国鉄投資は相対的には少なくなってきているわけでございます。特に、その少ない投資につきましても今後十分採算性というものを重視して投資をいたしたいと考えておりますので、いま直ちに五兆円の計画を改めるということは考えておりませんが、今後の再建の進め方に当たりましては、いま御指摘の点は十分頭に入れてやっていきたい、さように考えているわけでございます。
  15. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 国鉄の工事費をめちゃくちゃに減らせというふうな無謀なことは私は言いません。国鉄の工事費をどんどん減らすというふうなことになれば、国鉄に関連する、大は新日鉄を初めとして中小企業の皆さんが、昨年運賃値上げの前に大騒ぎをしたようなことが起こるでしょう。それは承知をしています。しかし、もう一つ福田内閣として景気浮揚策としてできるならば国鉄投資の対象には一番いい。電電公社や郵便局とは違う。このことも私も知っています。  だから、国鉄にはどんなに赤字になっても工事をやれ、新線建設をやれ、新幹線建設をやれ。だれが考えたって青森新幹線、あの盛岡から青森に行く、あるいは津軽海峡を渡っていくと北海道新幹線、日本海側の新幹線、北陸新幹線です。あるいは物議を醸したあの長崎新幹線なり、ないしは鹿児島へ行く新幹線をつくるということになっていますが、東海道新幹線や山陽新幹線のようにお客がどんどん乗るわけじゃない。一時間に何本走らせるかやってみなければわかりませんが、少なくとも半分以下だろうと思う。そうすれば、国鉄の全収入の四〇%以上を占めている新幹線、いまの新幹線ほど収入は期待はかけられない。こんなことは国鉄のことを研究すればわかっている。  でありますから、私は景気浮揚策の経済政策の一環としてやられるというふうにも考えていますが、ともかくそれにしても赤字赤字と大騒ぎする状態にあるから、責任ある立場の人は考え直さなければいけないと思うのです。一般会計から出せばいいのですよ、問題は。私は、文句言うわけではないが……。  ところで、国鉄がいま新幹線関係では東北新幹線をやっておられますが、いままで約六千七百億円工事費を使った。これから五十五年度開業目標として約一兆四千億円金がかかると言われています。これは、当初の建設費用から見てどのくらいふえておりますか。これから工事をやるわけでありますから、大体の見通しを持たれておるようでありますが、この点についてどうなっているか、ひとつお伺いをいたします。
  16. 高橋浩二

    ○高橋説明員 当初と申し上げますのは、四十六年に御認可をいただいた時点では、東京から盛岡まで八千八百億円ということでスタートいたしました。その後非常に物価の高騰等がございまして、ただいまのところでは約二兆七百億円という予定で工事を進めております。
  17. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 大変な工事費の増額になりますから、二倍半ですね。これからそういうことを覚悟してかからなければならぬ、こういうことになりましょう。だから、私は工事費の問題を大変心配をいたしているわけであります。  きょうおいでをいただきました鉄建公団の平岡さんにお伺いしますが、いま鉄建公団が工事線をやっておりますのはAB線で二十五線ございますね。いままで工事費を使ったのが二千百五十七億円、これから見積もりとして見るのが大体三千六百四十億円になると言われています。この中で気仙沼線が工事完了ということになっていますが、二十五線、これはすべて赤字路線ですね。国鉄経営を移管をする、赤字もしょってやってくれ、こういうことになりますね。この見通しといいますか、当面国鉄財政が収支とんとんにしようというのは五十四年というものも短兵急な話ですが、鉄建公団AB線をいま建設しておって、ここ二年間に完成するところがありますか。
  18. 平岡治郎

    平岡参考人 AB線で現在建設しておりますうち、気仙沼線はこれは五十二年度に完成いたします。そのほか久慈線、盛、それから鹿島、智頭、内山、こういったものは大体五十五年度ごろまでに完成いたす予定でございます。
  19. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 まだまだ進捗状況が非常に、工事に取りかかって間もないというふうなものもあるようですね。いまこの二十五線がすべて完了するのは一体見込みとしてどんなふうに考えているのですか。予算の配賦状況もあると思いますが、一度目安としてどんなふうに考えておりますか。
  20. 平岡治郎

    平岡参考人 AB線、現在運輸大臣から工事命令を受けて工事をやっておりますのが四十線ございます。そのうち御指摘のように二十五線については工事をやっておりますが、十五線につきましては一時中止あるいは未着工になっております。この四十線全部を今後完成するのに約五千億ほどの建設費が必要かと思われます。
  21. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 CD線が八線区ありまして、これも二千二百八十二億円もう使っている。また、これからの予定としても二千四百七十二億円ある。あるいは津軽海峡の海底トンネル線、これも約四〇%進捗している。あるいは上越新幹線、成田新幹線——成田新幹線なとは全くとうも大臣、これはなかなか困難のようですね、金をつぎ込んでおっても沿線が皆反対しておるのですから。いまの状況を見てきわめて困難であるが、金を使っていますね。  こういうふうに次々と出ていますが、鉄道建設議会とそれから国鉄の事情をよく知っている国鉄からも出ておりますけれども、ともかく片方では目のかたきにしているローカル線八十一線区ですか、できたらば線路を外したいなどという、矛盾があるのですね。こういうことは一度整理をしないとどうも私は納得できません。片方では建設をしている。全部赤字路線新幹線、これは鉄建公団が上越新幹線なり成田新幹線をやっておりますが、ともかくこういうことについて一遍相当見直しをして、本当に国鉄財政が健全化をされていくならば、これから一体どういうふうにやるか、計画的にどういうふうにしていくか、このことがまず先決だと思うのです。これは鉄建公団の平岡さんに尋ねても、私の方はそういうふうに決められましたからやってますと言われればそれまでの話です。だがしかし、鉄道建設公団にしても、この線路はどうしても地域住民のためにどんどんやっていく方がいいということはわかっておることでありますから、責任ある立場ですから、これは重点線区とかなんとかという選択というものは当然のこととしてやっていかなきゃならぬと思うのですね。運輸大臣にこの見直しと、平岡さん、重点的に物を考えていくというやり方はいままでも考えられてまいりましたか、今後の考え方をひとつお伺いをいたします。
  22. 田村元

    田村国務大臣 運政審の答申がこの秋に出てまいるでありましょうから、その時点で、AB線も含めまして整理をしなければならぬことは当然かと思います。
  23. 平岡治郎

    平岡参考人 先ほど申しましたように、AB線四十線工事命令が出ておるわけでございますが、社会情勢その他いろいろのことを勘案いたしまして、十五線につきましては現在工事を進めておりません。残る二十五線について工事を進めておりますが、その中でも特に地方幹線となりますような山陸縦貫鉄道であるとか智頭線、そういったものには毎年三十億前後の建設費を投入いたしまして、重点的に工事を進めております。
  24. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 平岡さん、御苦労さんでございました。  貨物関係を中心にこれからお尋ねいたしますが、わが国の交通関係の運賃は、長い間、国鉄運賃を基準にして決められてまいりましたが、航空も私鉄もトラックもそうでしたけれども、昨年の十一月、五〇%の値上げの結果非常にアンバランスが出て、国鉄離れが予想以上にひどくなっています。しかし、まあそれはそれとして、値上げ後の旅客と貨物の収入状況が、落ち込みから大分回復してきているようでありますが、前年度の同月から見て、この五カ月間どのような状態になっておりますか。
  25. 高木文雄

    高木説明員 数字を申し上げます。  昨年十一月、これは改定直後でございますが、一年前に比べまして一二六%、それから十三月が一二一%、一月が十三〇%、二月が一三三%、三月が一三三%でございます。三月だけ金額で申しますと、一年前が千五百二十八億円、これに対して二千二十六億円ということで一三三%でございまして、やや足取りが期待したほどではございませんけれども、だんだん回復の傾向を歩んでおります。
  26. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 いま提案をされています九月からの一九%の値上げとか、あるいはまた大変議論になっておりますが、国鉄運賃の関係で弾力化方式、法定主義の緩和、こういう問題が、昨今の五〇%の値上げから予想以上の落ち込みになって、今日の経済情勢ではなかなか困難であろう、値上げをするときにもう少しきめ細かくやったらいいという反省があるようでありますが、たとえば大臣認可でやっておりますグリーン車料金、あるいは特急、急行料金、寝台料金、つまり料金関係、あるいはまた手小荷物などもございますが、グリーン車料金の見直しをやろう、あるいは急行料金、新幹線の特急料金などもっときめ細かく配慮をしていく必要があるのではないか。いままで新幹線は隣の駅まで行くのに六百円だったが、それが九百円になった。これは高くなったなということで乗らなくなってきた。ですから「こだま」はすいているということになると思うのです。それだけではないと思っていますが、ともかくそういう現象が起きている。こういう料金関係について見直しを考えておりますか。
  27. 高木文雄

    高木説明員 ただいまも申し上げましたように、渡辺委員よく御存じのとおり、昨年度の値上げのときには、名目で五〇%強でございます値上げをお願いいたしました。その場合の実収としては、三七%程度の実収増ということを見込んでおったわけでございますが、現段階では、大分回復してまいりましたものの、三三%というあたりの水準におるわけでございます。さらに、その水準が見込みより下回っております内容を見てみますと、ただいまお触れになりましたように、新幹線中心としたグリーンの乗車効率が余りよろしくないということがございますし、それから寝台の乗車効率が余りよろしくない、また一部の地域におきます特急のグリーン料金等においても平均のところまで増収が図られていない、実現できていないという実態にございますので、したがいまして、それからの問題について何か反省をすべきではないかということをいまいろいろ検討をいたしております。何分本年は不幸にして大きな雪害に遭遇をいたしまして、列車の輸送そのものが非常に不安定になった時期が三月の頭のところまで影響をいたしました。不安定輸送のためにお客さんに非常に敬遠をされた部分もあるわけでございまして、必ずしも運賃なり料金なりの体系だけによってこういう結果が出ているとも言い切れないのではないかと思っております。しかし、ただいまお触れになりました点は非常に問題のある点でございますので、私ども内々、でいろいろの数字を見比べまして、どうしたものかということでいま考えておるところでございますけれども、一面におきましては、最近のところかなり回復もしておりますので、それらをもうしばらく見た上でいろいろ判断をいたしたい。研究課題ではございますが、決断をするとか決心をするとかいう段階にはまだ至っていないというのが今日のところでございます。
  28. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 新幹線の「こだま」の落ち込みなども私は経験していますが、いま総裁が言われましたこともございますから余り細かいことを取り上げるのはやめますけれども、たとえば熱海駅の出札口で見ておりますと、従来は新幹線の窓口に行列をしているんです。ところがあの値上げ以降は、あそこは落ち込みが特にひどいところですが、今度は在来線の急行の方に行列をしているんです。あの姿を私は実は所用があって見たのですが、そういうことを考えてみますと、熱海−東京間というのは新幹線と急行といっても三十分も違わないわけでありますから、そういう意味では短距離関係というのは落ち込んでいると私は思います。いずれにしても、経過を見てということでございますから、もう一度慎重に考えていただきたいと思うのです。  現在国鉄の黒字線区は、営業係数でいきますと新幹線、山手線、高崎線が一〇〇以下でございますが、そのほかは主要幹線を含めてすべて端的に言えば営業係数から見れば赤字だ。これはこの数年間にこういうふうに落ち込んできたわけでありますが、国鉄の収入を上げるということについて、先ほど言われましたように、ローカル線貨物だといろいろ言っておりますが、それも改善計画はある程度必要だと思いますけれども、特に在来線の主要幹線が赤字になっていることについて実は私なりに気がついていることがあるわけです。  たとえば東海道線に乗ってみて、約三時間ぐらい各駅停車に乗った経験を最近しましたが、貨物線と旅客線と分かれている地域まではいいですね、あの湘南地域まではいいのです。あれから向こうへ行くと同じ線路を走らなければならない。フレートライナーが先に行っちゃうんです、人間が乗っている各駅停車よりは。これはだれが見ても気分が悪いです。あそこの駅へ行って十分待つ、ここへ行って五分待つ。  こんなことでは、貨物輸送の営業改善というか何とか収入をふやそうという努力は認めます、だがしかし、荷物の方が人間より優先をしている輸送形態というのは、どうも納得いきません。ですから、そういう意味でお客が減るとかなんとかということばかりではないと思いますが、ともかく東海道線を初めとして特に太平洋ベルト地帯の幹線あるいは東北線にしてもまだ新幹線が開通しておりませんし、私が見たところ幹線だけでも約十五、六ありますね、こういうところの営業係数を引き下げるという努力は、ダイヤ改正だけとは言えませんけれども、もう少し、十分な検討はされていると思いますが、すべて幹線区の営業係数を引き下げるためのいろいろな努力が必要だと思いますが、この点はどうでございましょう。
  29. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 確かに先生御指摘のように現在東海道線あるいはそのほかの線区で若干の旅客列車が貨物列車に追い越されるというような実態はございます。ただ、列車はそれぞれ目的を持っておりますので、たとえば旅客で言いますと、寝台列車は朝のいい時間帯に着きたいとか、あるいはビジネスでありますと会議に間に合うとか、あるいはできるだけ早くというような目的、貨物についても同じように、鮮魚列車あたりでしたら市場の開始時間に間に合うとか、コンテナの作業時間あるいは構内作業ということで、いろいろな列車が競合して入っております。  そこで、先ほどのお話にありましたように、東京の入り口というような非常に錯綜しておるような区間については、旅客と貨物がそれぞれ別線を走っておりますので、そういう事態は起こらないわけでございますが、複線の中でいろいろな列車を入れるということになりますと、いま言ったような実態が若干起こるということはやむを得ないんじゃないかと思うわけです。ただ、ダイヤの考え方として、一般的に言いますと、どちらかというと旅客の方が幾らか優先して入れておるのが昔からの実態でありますし、いまお話のありましたような収入の確保その他から考えまして、旅客輸送のさらに増収を図るという意味におきまして、今後も勉強していきたい、かように考えております。
  30. 高木文雄

    高木説明員 確かに、御指摘のように、貸物の赤字とか地方交通線の赤字とかいうことだけに目を奪われておってはいけないわけでございまして、旅客で幹線でなお非常に多くのところで赤字が出ておるというのは非常に問題であるわけでございます。  そこで、運賃の改定もさることながら、そういう面におきましても増送増収を図るということは考えなければならないわけでございまして、私ども関心を持っておるところでございます。全体として、非常に競争関係になってまいりましたから、その辺、各地域ごとの実態に即しつつ、どのようにしてお客さんによけい乗っていただけるか、当方の経営から言えば増送によって増収が確保できるか、これからダイヤの面につきましてもいろいろと工夫をしてまいらなければならぬと思っております。  ただいまの点は非常に重要な御指摘であると思っておりまして、一つの線路の上をいろいろの目的のものが通りますので、なかなか組み合わせがむずかしいわけでございますが、御注意をいただきました点は、日ごろから私どもも気にしている点でございますので、今後ともそのような心がけを持ってまいりたいと思っております。
  31. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 短距離のローカル線合理化合理化といって、ばかの一つ覚えのようなことを言っていることも意味はあるけれども、主要幹線のお客が乗るということは、金額的には大変増収になるわけですね。ですから、この点、運輸省かどこか知らぬけれども、何でも合理化をやれやれと言っているからやるんだか、国鉄内部でどうしてもやらなければならぬと言っているか、その点私はよくわかりませんけれども、それはもう主要幹線の収入を上げるということは大変な増収にはなると私は思っているから、相当見直していただいたらどうかなと思っているわけです。  次に、国鉄の今日の貨物輸送の実態を見てみますと、大企業のほとんどが専用線を会社内に引き込んでいます。この専用線は、全国で、資料によりますと二千九百三十一ヵ所ありますが、この専用線から出る貨物が全体の輸送量の約五九%を占めているというのが五十年度の実態のようでございます。しかし、最近、運賃値上げ後、大会社がトラック会社をつくってみたりあるいはトラック輸送に切りかえているのが大分多いようです。  端的に申し上げますが、一つの例を言いますと、ある金属の関係の会社が、あるいは製紙会社が、全部切りかえた。トラックに切りかえている。そのトラックはほとんど白トラ。しかし国鉄の現場の担当の職員が、それはひどいじゃないか、国鉄にも出してくださいよ、再三お願いをした結果、国鉄にも品物を買ってもらっていますから、それでは三分の一輸送しましょう、国鉄の貨車を入れてもらいましょう。こういう努力を現場ではしている。  トラック運賃の関係は後で申し上げますが、私は、この専用線をせっかく引いて、この中でほとんど使用していないというのもあるかと思うのですね。何かのときに国鉄を利用しよう、都合のいいときには自分たちは勝手に安い方へ回そう。幾ら自由経済だといっても、大会社がこういうことをやっておったのでは、それは国鉄は何だかんだ言ったって赤字になりますよ。融通がきくとかきかないとかいう問題じゃない。べらぼうに運賃を値上げするというなら別だ、そうじゃないです。  とにかくそういう実態でありますから、専用線関係について一度よく見直して、余りひどいのは、ここ数年、運賃値上げをする前からやっていない、線路はさびている、それでも国鉄の保線の皆さんに線路の保守をやらしている、そんなものは引っ外したらいいだろうと思っているのですよ、私は。貨物の経験がありますから、知っているのです。こんなことについて、どうですか、一度専用線の検討をしていただけませんか。
  32. 田口通夫

    ○田口説明員 専用線につきましては、従来いろいろと私ども一般荷主以上に関心を持ちまして、と申しますのは、定量でかつ大量出てまいりますので大事にしてまいりましたが、いま御指摘ございましたように、確かに赤さびがつきまして使ってない専用線もございます。私も知っております。そういうものにつきましてはやはりどんどん撤去をするなりという形で、本当に利用していただけるものについては一層サービスをする。利用していただけないもの、さびておるようなものについては撤去をする。現在、全国で約七百名の国鉄貨物センターの要員がおりまして、御存じのとおり、全国で百カ所以上の支所を入れましたセンターがございますので、十分その方面に調査をさせまして善処をしたいと考えます。
  33. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 十一月に貨物運賃も五〇%値上げしたのですが、この運賃値上げの際に、従来車扱い貨物の品物によっては運賃計算で減トン制度がございました。それを一、二、三級に整理をして、減トン制度を廃止しましたね。紙などは恐らく三級の適用をすると思うのですが、たとえば国鉄が製紙会社からの要請によったか、あるいはこちらの方から積極的に開発したか知りません、その経緯はわかりませんけれども、たとえばパワムというのがありますね。紙輸送の専用の貨車です。まことに便利。これは十年か何か前にやっているんです。一生懸命大企業の製紙会社から輸送しておった。ところが、この減トン制度が廃止されましたから、たとえば十二トンで計算をしたのが今度は十四トンになったんです。でありますから、紙が逃げていった。小口混載なども車扱い計算になりました。増収だけが頭に先に立っていますから、荷物が逃げる、こういうふうな、陸上輸送にしても内航海運にしても、まさに無政府状態といいますか、どこでも取り締まっていないような状況ですから、安くすればそちらへ逃げるような状況があることは私も知っています。ともかく、いろいろ減トン制度がありました。これは余りいいことではないと思うのですが、貨物輸送にせっかく専用線をつくってあって、そこから出ていってしまう。この減トン制度は見直しはできませんか。
  34. 田口通夫

    ○田口説明員 実は経緯を少し申し上げますと、昭和四十一年三月前までは等級表に一級、二級、三級、四級、五級というふうに出ておりまして、そして減トン表示をいたしておりました。  たとえば綿ですと、中型貨車を使いますと二トン減トンであるというふうに減トン表示をいたしておりましたけれども、四十一年三月以降は実重量主義と申しますか、貨物一トンの実重量を運ぶのに、貨車は自重を持っておりますので全体では幾らの重さになるかということを、十五トン貨車を基準にして計算いたしまして、どうしても大型車がたくさん載せられるわりに自重が少ないということで、大型車についてはマイナス二トンあるいはマイナスートンというふうな減トン制度をとってまいったわけでございます。  いまの先生の御指摘は、この制度と少し違いまして、たとえば紙をパワムで運んだ場合には、従来は十一トンであったじゃないか、それが十四トンになっておるのは何かということでございますが、現在でもパレットを御使用いただきますと、その分だけパワムの容積がパレットによって少なくなりますので、十一トンの運賃で運びますけれども、それを御利用いただきませんとそれだけ容積が広がるものでございますので、十四トンの運賃を取っておるというようなことでございまして、今後も、減トン制度につきましては荷主さんの要望を十分聞きながら対処してまいりたいというふうに考えております。
  35. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 一つの例を申し上げますと、たとえば沼津−大阪間が四百六十キロありますから、往復九百二十キロ、十一トン車で一級貨物運賃で計算しますと、値上げ前の国鉄のレールの運賃が二万六千五百円、両方の集配の料金が二万六千円、合計五万二千五百円になる。国鉄運賃が五〇%上がりましたから貨物が大分トラックに逃げたわけです。そして青ナンバーあるいはナンバー貸しないしは白トラックなどが横行しておりまして、まさに混乱状態にあります。  自動車局長にお尋ねしますが、一月十日に名古屋陸運局でトラック運賃の値上げ約二〇%が認可された。一月十三日にトラック協会では各業者を集めて、今度はこういう運賃になったからこれで輸送しよう、こういう申し合わせをしました。私の知人にトラック業者が幾つかございますが、この会場を出た途端に、こんなことでやったらばだれも荷物はとれぬわ、これが実態ですね。それで、一体どれが基準になって、青ナンバーにしても——白トラックはまだいじめられていますが——運送しておるかというと、値上げ前の運賃であなたのところは輸送してくれぬかと必ず荷主が言う。それでなかったらほかへ頼むよ、いやならよしなさい。そこに白トラックが勝手に行くわけです。工場によってはけんかが始まっておるところがある。警察が過積みなどを取り締まるから、朝の四時ごろに工場の門をあけて、どんどん積むというような状態になっておる。何も手がついていない。青ナンバーの認可はするけれども、あと過積みなんか警察で取り締まるけれども、白ナンバーが一体どのくらい動いておるかということはあなた方はわかっておりますか。  こんな混乱状態にあるから、国鉄経営努力とかなんとかいうことじゃない。大体、こんなめちゃくちゃにトラックが多いのは日本だけだ。これは特徴なんですよ。そんなことは皆さんわかっておるでしょう。こういう状態です。しかも過積みをやっておる。ダンピングはどんどんやっている。このことについて皆さん方が承知をしていないはずはないと思うのです。対策を立てられないですか。たまには汐留の駅の入り口に行ってみなさい。手配師がいるんだ。おい、君はどこへ行くんだ。静岡へ帰ります。油代で行くか、キャッシュで。これがいまやられていることじゃないですか。国鉄職員が見て困っている。しゃくにさわるけれども、しようがないんだ。こんなことを放置しておって、片方じゃだめだ、いいだなんて——いいとは言わぬけれども、やっておるという状況についてはどうしても納得できない。もっと輸送秩序を回復するために、この白トラにしても青ナンバー貸しにしても、陸運局を通じて対策がないですか。白トラックを厳罰にしろ厳罰にしろということだけを言ったって、これはだめなんですね。十五日か二十日ハンドルを持ってはいけないなんということだけでは済まないのです。この点について、どうですか、運輸省としてどういう考えを持っておるのですか。
  36. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 ただいま先生から営業用トラックあるいは白トラの違法行為について、こういう現状であるということを強く御指摘受けたわけでありますが、私どもといたしましては、トラック業界に対しましても、トラックが戦後から今日まで非常に輸送量なりあるいはトンキロの面で伸びてきた、その陰に非常に質的な面の充実を怠ってきておるわけでありまして、したがいまして、第一に違法白トラ対策といたしましては、やはり取り締まりの強化ということが必要であろうと思います。警察当局の協力を得つつ、街頭取り締まりなり随時の事業監査ということを行っておるわけであります。五十二年度からは貨物輸送監理官という制度を陸運局等に設けまして、この力と、それからトラック事業者団体の同様の趣旨からの自主的な監視組織というものをこしらえまして、相呼応して取り締まり体制というものをさらに強くしていこう、こう考えております。  しかし、根本的には取り締まり体制の強化で解決いたしませんので、私どもの方としては、やはりトラック事業者としては非常に零細であり、小規模事業が多いわけであります。したがって、何とか経営基盤強化していかなければならぬということで、四十八年ごろから近代化、集約化を目指しまして、構造改善事業というものに取り組み、その成果もある範囲で上げてきております。そういたしまして、一つ経営基盤強化でございますし、また自家用トラックに対しまして営業用トラックのサービスがそこに非常に格差があるというような形に持っていきまして、そうして自家用から荷主を誘導してまいるということが必要だろうと思います。したがって、サービス水準の向上なり輸送効率の向上を図りまして、経済的地位を高める。こういたしますとそれによって、荷主に対する、従来から経済的弱者というようなことを言われておりましたが、これの地位の相対的向上ということが図られるだろう。  それからまた、トラックの場合には非常に機動性に富んでおりますので、荷主のニーズと申しますか、要請が非常に多様化してまいっております。これに対して、やはり先取りしていくと申しますか、営業用トラック自体がそれに積極的に取り組みませんと、そこにはやはりまた自家用トラックが営業類似行為をやる原因が出てくるということで、そういった面につきましても、荷主のニーズの多様化に対応する体制をトラック事業者にもとらせるようにしていきたい。そういったいろいろな措置を考えて実行に移す努力をいたしたい、かように思っております。
  37. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 言葉は、自動車局長、そのとおりだと思います。ただしかし、そういう程度ではいまのような混乱状態を収拾するというわけにはいきませんよ。あなたも十分承知の上で、困るからそういうことを言っているのじゃないですか。  実はいろいろとトラック協会でも資料を出しました。その中で、これは原価計算をしているから、資料の限りではまともだと思うのですが、沼津−大阪間を走る場合に、人件費その他諸経費、法定費用を合算して十万八千円、十一トンのトラックを走らせるとかかる。実際はしかし八万八千円しか収入はない。運賃を払ってくれるところは八万八千円だと言う。これは赤字ですね、原価計算でいって。トラック協会の資料ですよ。差し引き二万円赤字。沼津−東京間往復三百キロを貨物を運搬した場合、収入は五万一千円、先ほど申し上げました諸経費は四万七千円で、差し引き四千円の黒字になる。だから、遠くへ行くと損だな、こういう話です。そこで地場トラックが非常に動いたり、あるいは白トラックが動く原因がありますが、実際には十一トン車に十一トン積んでいるわけじゃない。公式の席だから、皆さん、そうですかと言うかどうか知らぬが、実際のことを言えば、二トンも三トンも、極端なのは五トンぐらいよけい積んでいる。ときどき新聞に出るように、ハンドル時間を十時間も持たせられるというふうに青ナンバーの営業会社がやっている。過積みは普通だ、常識だ。これがいまのトラック輸送じゃありませんか。そこで、愛知県の警察などは非常に取り締まりが厳しい、あそこを通るときには気をつけろ、静岡県の方が緩やかだなんというふうなことが言われている。ですから、こういう過積みをやっているから、実際のトラック協会の計算からいけば赤字になっておってもやっていけるわけです。こういうことを無視をしてやらしておるということは、無視をするというよりは放任をしているということについては、どうしても納得いかない。過積みなどということは、内航海運はまだひどい。運賃も決めていない。ですから、総体的な運賃制度なりあるいは荷物を積むということの基準なりというものを決めて、行政機関ですから、それは自動車局長一人だけではやれないと思いますが、ともかくこの際ですから、やらなければいけませんよ。自由競争というのは、だれが考えてもそういうめちゃくちゃなことを排除してから、本当にサービスがどこがいいかということで公正な競争をやることが自由競争です。これを放任していることはよくないと思う。どうですか。
  38. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 私どもの方としては現状をそのまま是認しているわけでございませんで、先ほど申し上げましたように、量的にここまで国内物流を担うようになったトラック業界でございますので、その質的な面においても荷主なり国民サイドから信頼されるような地位にならなければいかぬということは、昨年来、私、直接都道府県単位の事業者団体の責任者にも申し、その浸透を図っております。決して放任してそのままにしているというような状態ではございません。過積載の問題にしましても、運賃ダンピングの問題にいたしましても、これらを通じまして、いま申し上げたような趣旨でトラック業界にも働きかけております。  それから荷主団体に対しましても、運賃等におきましては、これを設定する場合には、その前に事業者団体と荷主団体との話し合いというのが行われているわけでありまして、それで決められてくる結果のものに対して荷主団体の方はさらに値引くということはわれわれとしても非常に遺憾でありまして、荷主団体の方にもトラック運送の正常化が図られるような協力を今後も求めたいと思っております。  過積載の問題にいたしましても、実態を調査してみますと、トラック事業者あるいはトラック運転者の問題というのはもちろんあるわけでありますが、低運賃を求められる結果、どうしてもそこに積載量をオーバーした荷を積んで、そうして輸送するという形態もありますので、いま言ったような意味合いにおきまして、トラック事業者団体なり荷主団体に対しても、正常なトラック輸送、輸送秩序を維持するというたてまえから呼びかけをさらに行っていきたい、かように考えております。
  39. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 実際はそういうふうになっていないのですね。あなたの方はそういう認識をしておったら間違いです。荷主団体とトラック協会と話してそれが決まるようにあなた方が思っておったら大変無責任だよ。そんな状態じゃないです。だから言っている。この際もう少し例を言いましょう。  御存じだと思いますが、たとえば最近四トン半の、ロング車と通称言うトラックが非常に売れている、ここ二、三年。自動車局長さんですから、あるいは関係の人は知っていると思うのですが、なぜ売れているか。十一トン車で運んではどうも償却ができない。四トン半の車で六トンか八トン積んでいった方が、よほど車の値段も安いから償却ができる。これで四トン半のロング車が売れているのですよ。白トラの場合でも四トン半は三百五十万円前後じゃないですか。これでは個人が持ってやっていける。あるいはあなた方のところで、トラックが五両書面上であると青ナンバーをくれる。少し銭出すから、あなたのところでナンバーを、増車をしてくれ、そうしてみんなやっている。これが実態ですね。だから局長さん、あなたが言うのとは実際は違うのだよ。運賃の関係だって違う。それで荷物の奪い合いをしている状況なんです。  この四・五トンが非常に活躍をして近距離輸送の主力をなしていると私は思っています。もちろん路線トラックなど大きな会社は違いますよ。零細業者が多いです。それは白トラックなんだ。でありますからますます混乱をしていく。こういうことについての動向などについては、皆さん知っておってやっておるかどうかわかりませんが、これらの問題について十分注意をしていかないとどうにもならぬじゃないですか。  陸運局で、ハイヤーでもトラックでもバスでもそうだけれども、青ナンバーを渡す、増車をする、改めてトラックの営業認可の申請をする、そういう場合に、これもおかしな話でしょう。いままでどういうことをやっていたか、実績があるかと言うんだ。書面にはそう書かなければならぬ。つまり白トラックでやっていたか、どういうふうにやっていたか。いきなりできないなんという、荷物がないところで、おまえのところ、やれるか。こういう会社の荷物を運びますというのでやっているのです。  これも揚げ足取りのような話だが、現実の話が、いままでの仕事の実績を書かなければ青ナンバーを渡してくれないんでしょう。つまり白トラックで運送しておったことを認めるというか、それを承知の上で認可をしているでしょう。こんな話もおかしな話でしょう。世の中というよりも制度がひっくり返っているか、運用がひっくり返っているでしょう、あなた方。こういうことについて改善しろと言っても、いまさらどうとかいう話になるかもしらぬが、矛盾を一つ一つ解決していくのが運輸省の任務でしょう。この点はどうですか。
  40. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 営業用トラックの免許を受ける際に、その実績ということで自家用トラックとしての営業行為をやっておったことが反映されるということにつきまして、そういう運用が行われているといたしますれば、これは大変間違った方向だと思いますので、是正いたしたいと思います。  それは、免許申請に当たりまして推定輸送量、どれだけの輸送があって、そうしてそれを的確に遂行できるかというようなことを審査いたしております。その際に、恐らくその推定輸送量というものについての追及をいたしていくと、結局そこで従来こういうことをやっておったという話が出てくるんじゃないかと思います。もしもそういうことでありますならば、従来の自家用自動車としての営業行為につきましては適切な処分をいたす、こういう考えで進みたいと思います。そういたしまして、その後の経過によってその営業が必要となるならば、それに対して審査して処理をいたしていく、こういうふうにいたしたいと思います。
  41. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 これを議論をしていますと、自動車局長、時間が来るからまたいずれ話をしましょう。そんなことを言っておったのじゃ本当は困るのです。  それで、次に移りますが、国鉄の貸物輸送量は、四十年度で二億トン、四十六年度で一億九千万トン、五十年度で一億四千万トンというふうに減ってきました。五十一年度の輸送量はまだ集計されているかどうかわかりませんが、どのくらいになっていますか。
  42. 田口通夫

    ○田口説明員 まだ正確にはつかんでおりませんが、概数で申し上げますと、対前年一〇〇%、大体一億四千二百万トンが一億四千百万トンぐらいになると思います。
  43. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 そうすると、五十年度よりは多少上向いてきたということになりますね。  これは国鉄の当局の皆さんの方がよく知っておるから、なんですけれども、最近私が見る目で、レールの上に乗っている貨物の動き、これはセメントとか石灰石、石油、石炭、飼料あるいは肥料などいわゆるバルキー貨物といいますか、この輸送が主力になっていますが、しかし、その他一般車扱い貨物も輸送量の約半数を占めているわけです。この貨物の動きを見ておりますと、一般車扱い貨物は、運賃の値上げなどによって長距離輸送は国鉄のレールに乗っていますね。よく国鉄再建の何とかという書類を見ると、中距離輸送を中心になんてばかの一つ覚えのように書かれていますが、最近の事情を見ておりますと、中距離関係はとられていますね。長距離がレールの上に乗っていることは私も見て承知をいたしておるところです。中距離関係の荷物がレールの上に載っているのは、端的に申しますれば、沼津からたとえば荷物を出す。私は、静岡県を見てきたのですが、あそこは生産地ですから出す。その荷物は中距離の場合、着地へ行って帰りの荷物がないところは必ずレールに載っている。沼津でも静岡でも、汐留に来て、こっちに荷物があるから絶対に載らない。白トラックでも、何か知らぬけれども、いろんな連中が、帰りに油代で帰れ、こう言って強制される。空で帰るよりいいから。つまり帰りの荷物がないところは国鉄に載っているわけですね。これは間違いない。そのほかにいろいろありましょう。  しかし、私がどうも見たところ、そういうふうな気がいたします。コンテナ関係はそれぞれ顧客があるわけでありますから、これは別でございます。そういう貨物の動きを見ますと、鉄監局長にこれから言うつもりでありますが、貨物の安楽死なんというふうなことを平気で言われては困る。いまの状態で貨物が落ち込んだところまで落ちたという、これは私の推定ですが、認識をしているのですが、どんなものでしょうか。
  44. 住田正二

    住田政府委員 私が、貨物安楽死論を唱えたというようなお話でございますけれども、私の書いたものをお読みいただいたと思うのですが、私はそういうことを言ったことは一遍もございません。むしろ逆でございまして、現状のまま国鉄貨物を放置いたしますと、いわゆる貨物安楽死論に負けてしまうのではないかということを憂えているわけでございまして、そのためには、国鉄貨物について、少なくとも貨物の固有経費程度のものについては収支均衡を図る必要がある。貨物赤字については、もしこれをカバーいたしますと、二つの方法しかないわけでございまして、一つは国が助成するということか、あとは旅客の方に赤字負担してもらうという二つの方法しかないわけでございます。貨物について赤字を国がめんどう見るという考え方は、もちろん世界でもとっておりませんし、日本でもとうてい考えられない。一方、旅客の方に負担させるということも、旅客の利用者からの反発がある。どちらもできないということになりますと、いわゆる安楽死論というものが出てくるわけでございます。したがって、その解決策として考えられるのは、少なくとも旅客に迷惑をかけない。したがって、貨物の固有経費だけで少なくとも収支均衡をとるということが必要であるわけでございまして、そういうことをしなければ、安楽死論に負けてしまうということを言っておるわけでございまして、私が安楽死論を唱えているわけではございません。
  45. 田口通夫

    ○田口説明員 現在の輸送量がほぼどん底といいますか、底であって、これからは緩やかな安定経済成長に即応した需要が出てくるのではないかという御質問のようにお聞きいたしましたのですけれども、いま鉄監局長申されましたように、やはり貨物負担を旅客に負わせるということは、できるだけ早い機会にこれは解消すべきであると考えておりますし、そのためにどうしても固有経費に少なくとも見合う営業をやっていきたい、収入を上げていきたい。そういうために今回、昨年の十二月二十日に組合提案をいたしました、今後の貨物営業についてということを一応提案したわけでございますが、今後合理化、近代化だけで固有経費を賄うということはなかなかむずかしゅうございますので、ある程度のまだ競争力のあるもの、ないもの、いろいろ勘案いたしまして、弾力的に運賃改定も適宜適切にやっていくといたしますと、現在、五十二年度予算ですでに御存じでございましょうが、一億三千万トンという貨物輸送量になっておりますし、そういう点から考えますと、現在よりは一割五分ないし二割ぐらいはダウンせざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  46. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 ついでですから鉄監局長、揚げ足を取るわけじゃないけれども、あなたが安楽死論を考えていない、述べたこともない、こう言われたのですね。重要な地位にあるから私は申し上げますが、あなたが経団連との会合で述べておることはずいぶんひどいことを述べておりますね。これは資料をいただいております。経団連からもらっている。これはこういう席でなんですけれども、貨物の問題を取り上げても、あるいは合理化問題を取り上げても、合理化か破産か、値上げか破産かなんというふうなことを昨年の十月の四日ですか、これは一文だけを取り上げたらなんでしょうが、大体あなたが言うのは極端過ぎる。ずいぶんひどいことも言っているような気がいたします。これは企業合理性とかマインドとかいろいろ言われているが、これが本当の考え方とすれば、端的に言えば公共性の否定になりませんか。こういう席ですから一々主なところを読むというわけにはいかぬ。申し上げませんが、公共性の否定というのがあなたの頭の中にあるような気がしますが、そんなことはありませんか。
  47. 住田正二

    住田政府委員 国鉄貨物というのは、改めて御説明申し上げるまでもなく、他の交通機関と非常に厳しい競争関係に立っておって、国内の貨物輸送のシェアも十三%程度に落ちているわけでございます。したがって他の交通機関との競争関係という面から見れば、やはり国鉄貨物部門につきましては、経済合理性に基づいて企業マインドでやるべきであるというのが原則であろうと思います。  公共性という意味はいろいろな意味があると思いますけれども、国鉄貨物公共性というものは国鉄だけにあるわけではないので、航空についても、トラックについても、内航海運についても、すべて運輸機関というものは公共性を持っているということでございまして、その点について国鉄だけが他の交通機関と違うということはないわけでございます。ただ、これは単に国鉄だけの問題ではないと思いますけれども、国民が最低必要である、いわゆるシビルミニマムの見地からどうしても確保しなければならぬというような輸送があるとすれば、それはやはり企業性といいますか、経済合理性で処理できない問題でしょうから、それについては何らかの対策を講じる必要があると思いますけれども、一般的に申し上げて、国鉄貨物については他の交通機関と同じように考えていいのじゃないかというように考えております。
  48. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 これはそういう議論をすると時間がないから本当になんですが、あなたは民営鉄道とか国有鉄道とかというのを混乱しているのじゃないですか。そういう発想じゃだめですよ。ぼくはそう思う。しかしいずれの機会にまた私はそういう議論はやらしてもらいますが、国有鉄道ですから、公共企業性というのは一番あなたのところで力を入れていかなければならぬ、思想的に持っていかなければならぬのじゃないだろうか。何だかんだ言っても、私が一番初めに申し上げましたように、運賃制度だって国鉄がまず基準になってきている。提案されているように、毎年毎年上げるような形になってきたらば、これはもう公共性の否定ですよ。だから私は国鉄が確かに独占性がないことはわかっている。それだけですべてを同じだという考え方には、どうしてもこれは納得できない。  海運局長にお尋ねしますが、内航海運の貨物運送の関係についてはおたくは把握されておらないですか。資料いただきましたが白になっていますね。
  49. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 内航海運は海運局が所管をしております。実態は十分に把握し、適切なる対策をとっております。
  50. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 海上運送法の十九条の六ですか、内航海運について賃率を定めて公示をするというふうにも規定をされていますが、これは内航海運については運賃は決められておりませんね、自由になっていますね。どういう根拠ですか。
  51. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 内航海運業法の第二十八条に、内航海運業者及び第三条二項の届け出をした者は、海上運送法第十九条の五の規定による届け出をしなくてもよい、こういう規定がございます。内航海運については、賃率表の届け出その他自由運賃制となっており、海上運送法の運賃認可等の条文は適用されておりません。
  52. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 これは陸上と同じように、内航海運の貨物輸送にしてもあるいは旅客関係についても非常に過当競争のような状況にありますね。私は、やはり秩序維持のためには、トラック輸送が全国十地域に分けてそれぞれ運賃を決めていますが、内航海運の今日のような状況をやはり秩序あるものにするためには運賃を決める必要があると考えていますが、いかがですか。
  53. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 内航海運について、トラックでやっているように運賃政府がたとえば認可制度にするといったようなことにつきましては、私どもただいまの考え方は内航海運の実態に照らしまして適当でない。また、内航海運を健全に育成し他の交通分野との間で適当な分野にそれぞれ発展を図るという意味で、政府がとるべき政策の重点というものは、むしろ内航海運の組織化であるとかあるいは現在行っておりますところの船腹調整であるとか、そういったようなことに重点を置くのが適当である。船は、御承知のように路線を決めて走るものではございませんで、水さえあればどこにでも走っていく。したがいまして、またそのトラックあるいは貨物と比べまして、一つの運送用具の大きさが非常に大きいのが常でございます。運賃の金額というもので通常定型的に決められるものではございませんし、何日かかって揚げるとかあらしが起こっておくれるとか、そういった非常に複雑な状態で海運の取引というものが行われております。また、そういうような海運の特性というものから見まして、海上運賃については戦争中あるいは戦後の特殊な時代は別といたしまして、運賃そのものの取り決めについては取引の実態に任せる。内航海運業法に標準運賃という制度もございますけれども、これもあくまでもガイドラインでございます。これが海運についてのただいま私どもが考えておる基本的な考え方でございます。
  54. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 そういうことについて理解できないわけではありませんが、たとえば外航船舶の関係で多少委員会でも前の法案を審議するときにも議論になりましたですね。たとえば便宜置籍船、チャーターバック、特にひどいのはマルシップだ。このマルシップなんというのは特にひどいじゃないか、こういうことで議論にもなりましたが、こういう関係があって内航海運を決めたってしようがないじゃないか、また守られないじゃないか、陸上でもそうじゃないかというふうなことなんですか。現実に私も困難なことはわかっています。わかっていますが、実はここ数年、非常に内航海運の貨物輸送量がふえてまいりましたね。船もふえたのでしょう。そんな関係もありますけれども、ともかく一番心配をしているのは、トラックなんという比じゃなくて大変な過積みをしておって、下手をすると沈没をするんじゃないかなんていうようなことも言われていますが、私自身は率直に申し上げまして、内航海運についてはよくまだ勉強も足りませんけれども、いまのような状況を、過当競争をまず整理することが大事だ、それからやっていくということになるのですか。それとも、定期の関係だって全部決めているわけじゃないのですね。決められるものは決めて公正な競争をするというふうにやることの方が、私の基本的な考え方になっていますけれどもどんなものでしょう。
  55. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 最近の内航海運の貨物輸送量、トン数で見ましてもあるいはトンキロで見ましても、その絶対量は四十八年をピークとしてむしろ漸減傾向にございます。五十一年、五十二年はあるいは若干上向くかもしれませんけれども、基本的には内航海運貨物輸送量の絶対量は増加はしていないというのが実情でございます。  一方、内航海運の船腹量もまた四十八年をピークにいたしましてほとんど横ばい状態にございます。この船腹量について申し上げますならば、これは先ほども申し上げました内航海運組合法に基づきます内航海運組合が、政府の認可を得て行っておる船腹調整規程の実施ということが相当に効果を上げておるという事情にございますし、こういったようなことが内航海運については恐らく必要なことであり、その結果として現在われわれが知っております限り、内航海運業者の個々の運賃取り決めの場におきますいわば地位の向上ということにつきましては、十年前この海運二法ができますときに比べて雲泥の差がございます。つまり強くなっておる。したがいまして、ただいま取り決められております内航海運の運賃というものは、不当に低いあるいは惨めなほど低いというような状態から脱却をして、ほぼ適正なる水準を保っておる、このように私どもは承知しております。
  56. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 それでは、次に移らせていただきますが、白バス対策についてお伺いをします。  最近バス会社なども、九州の方やあるいは東北の方まで遠出をするようにずっとなってまいりましたし、特別な五十五人乗りの普通のバスを三十人乗りぐらいに改造して寝て行けるような状況にもなってまいりましたし、いろいろバス会社自体も知恵をしぼって過当競争に耐え抜こうというふうなことをやっておりますが、最近特にレンタカー会社やリース事業者が急速にふえ出して、労務提供をしてはいけないということになっていますけれども、現実にはやっておって全国的には大変な問題になっていますね。これは統計によりましてもそうでありますが、昭和四十五年ごろから見て、五十一年には四百二十八業者、約三倍半、車両にして千二百五十四両、これは約四倍ぐらいにバスのリース業者がふえておりますね。レンタカーも四十五年から見て約三倍、業者も今日二千三百二十一ですね。車両にしても六千六百三十九両、マイクロバスが大幅に増加しています。最近労務提供もしたりして各地の観光地で摘発されていますね。大体この摘発された状況を見てみますと、青森県、大分県、宮崎県、和歌山県の各県以外はいずれもこれは何らかの形で摘発されていますね。これは陸運事務所なりが摘発したかあるいは業者間でやっているか、いろいろなケースがあると思いますが、余りこれはひどいですね。最近のバス協会の資料なども拝見しますと、行政機関ではなかなかできないからわれわれが監視をして摘発をしょう、こういうことを通達を出しているわけです。私は実はバス協会も、トラック協会の会長も呼ぼうと思ったら、自民党の代議士だからこれを呼ぶわけにはいかないと思いまして、遠慮しましたけれども、ともかく大変この違反行為が多くて悩んでおるというふうに言われていますが、これは自動車局長、どういうふうに現状の改善策を考えておりますか。
  57. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 ただいま先生申されましたように、最近リースなりレンタバスの増加という傾向は大きくなっておるわけでありますが、これにつきましては、許可をいたします際に労務提供を伴うような行為はやらないんだということを条件にいたしておりますので、そういった状態に立ち至った場合にはこの許可を取り消すとか、あるいは車両の使用を停止させるという処理をするわけでございまして、対策といたしましてはやはり取り締まりを関係機関と協力いたしまして強力に実施していくということと、もう一つ、最近貸し切りバス事業者が、大型貸し切りと称しまして大型バスを用いて従来からやってきておりますが、マイクロバスに対する需要というものがあるわけでありますので、私といたしましては、貸し切りバス事業者が積極的にマイクロバスを取得しまして、そうしてそれを選好しておる需要者に提供するという方向もあわせて考えていかなければならぬというふうに思っております。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕
  58. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 御答弁もわかりますが、現実には取り締まりもできるわけでなし、らちがあかない。いろいろやっておることについてひどいという業者間の通告で、陸運事務所なり陸運局はそれだけの人間がないからなかなか手が回らないというのは私もわかっています。ただしかし、私がこれは一番心配しているのは、これら労務提供をやってもぐり営業をしていることについて、これ自体がけしからぬことでありますが、一たん事故が起きたときに補償能力がない。あるいはその土地に暗いか明るいかはいろいろあるでしょうが、遠くの方へ走っていくのがたくさんある。伊豆半島の状況を私が聞くところによりますと、たとえば富士急行それから伊豆箱根のバスそれから東海自動車のバス、このバスが貸し切りバスだけで三社で、大会社ですが、約四百五十ぐらいあるんです、合わせると。その地元をよく知っているバスが伊豆半島なりあるいは富士山の周りを回る貸し切りバスというのは約四十台。一割ぐらいです。あとはみんな来るんです。そしてこれら白バスが、実態を全部警察官のように調べるというわけにはいきませんが、常にシーズンになると最低十両、二十両ぐらいが回っている。あるいは遠くから来る。これではたまらぬ、こういうことが言われているわけであります。私はそのこと自体もどうかひとつ、トラックのときにもずいぶんきついことを申し上げましたけれども、この白バスの取り締まりについてはちゃんとバス協会が、資料を見ますと先ほど言った県以外は全部挙がっているんだから、めちゃくちゃなんですから、トラックと同じなんです。だからこの面の対策をお考えをいただきたいんです。繰り返して言いますが、事故が起きたときの補償能力はない、そして土地が不案内だ、こういうものに営業行為をさせるということはよくないです。しかもトラックの場合もバスの場合も、こんな白バス、白トラの場合もそうですか、何としても罰則が軽いから、まあ仕方がない、運が悪いわというふうな状況ですから、このことについても少し規制措置も考えざるを得ないんじゃないでしょうか。罰則がきついからとまるということになるかどうかわかりませんが、いろいろな考え方を検討ができませんか。
  59. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 レンタカーなりあるいはリースのバスによって、労務提供をあわせ行って営業行為が行われているという場合に事故等が起きた場合に、補償能力なり、あるいは不案内な土地へ不特定多数人を連れていくというのは危ないじゃないか。御趣旨のとおりであろうと思います。したがって、先ほども申し上げましたが、バス事業者団体でそういうことに自主的な監視の目を光らすということは必要だろうと思いますが、私どもとしてもこれを取り締まっていかなければならない。しかしバス事業者といたしましても、世間にそういった小単位と申しますか、マイクロバスで旅行したいという需要があるわけでありまして、既存の貸し切り事業者においてそういう面につきまして積極的に乗り出していく。その場合に運賃問題といたしましては乗務員等の関係でコスト等は余り変わらないわけであります。したがってそれを積極的に開拓することをきらうという面があるわけでありますが、そういった世間に需要がある以上、それをくみ上げていくということが対策としても必要だろうというふうに考えております。  それから違法行為についての罰則のお話がありましたが、やはり私としてはこれに対する車両の使用停止というのは六ヵ月以内でできることになっております。現在十日ないし三十日ぐらいで、初めての場合には処分をいたしておりますが、そういった点についても今後厳しく措置をしていくということを考えてまいりたいと思います。
  60. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 時間も大分たちましたが、トラックの状況、いま白バスのこと、マイクロバスのこと、つまり、簡単に言えば脱法行為をやっている、こういうことについていろいろ実態を申し上げましたが、大臣、端的に申し上げまして運輸省は大変許認可事項が多いですね。書類を出してこれを認可するなり営業許可するなり、そういうことは社会秩序を保つために必要だと思うのです。条件がそろっているとこれはすべて、パスポートじゃないけれども出していく。ですから、歯どめがないのですね。歯どめがないどころか、いろいろなものが横行をするということになっておりまして、私は、白トラックに対していけないいけないと言うだけが能ではないと思うのです。これらを糾合して何か個人タクシーのようなものをさせるか、その意図に押し込んでいくこともあるでしょうし、あるいは白バスなどについてはそうたくさん業者もあるわけじゃないのですから、手が届くところはやる。許認可のいろいろな行政的な措置についてこう混乱をしておったのでは困るわけでありますから、何か歯どめと対策というものがあるんじゃないだろうかと私自身も考えてみたが、これはなかなか大ぜいの知恵をかりなければできないと思うのです。これは大臣、一度ひとつ御検討をいただきたいのですが、いかがでしょうか。
  61. 田村元

    田村国務大臣 許認可事項そのものを一遍考え直してみなければいかぬと思うのですよ。それは、一つには許認可事項という事柄の整理ということですね。それからいま一つは、許認可をするいまの手順の問題ですね。そういうふうに、許認可事項については私は一遍徹底的に洗い直した方がいいのじゃないか、こういうふうに思うのです。国鉄運賃を審議するということから派生した白トラ対策であり白バス対策であるということであってはいけませんけれども、それはそれ、これはこれということで、またこれは与党、野党を問わずお知恵もかりなければいかぬ、また現実に現場の声にも謙虚に耳を傾けなければならぬと思いますが、これはぜひ一遍整理をしてみたい、こう考えております。
  62. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 大臣いま言われましたが、国鉄運賃に関連をしていると言えばいる、いないと言えばいない。これは業界なり業者が白バスでもトラックの問題でも前々から言われておるものですから、総合交通政策と一言に簡単に言うけれども、中身はなかなかむずかしいです。運賃政策だってあるんです。許認可事項の規制事項だっていろいろあるだろう。そういうものがなくて、すべて何でも野放しに置いては総合交通政策はだれが考えても立ちっこないでしょう。でありますから、私はそういう問題も派生をして申し上げて、ひとつ行政面で対策を練ってもらいたいということで大臣にお願いしたわけでありますから、どうかひとつよろしくお願いします。  自動車局長おられますので、実は先ほど言い忘れましたけれども、白バス、これを前提として申し上げると、零細業者ですが旅行業者が利用するのです。これは届け出制で資格のあるものでなければだめなんですが、まさに一人一業者なんていうのもございますけれども、こういう天下公認の旅行業者が、それが零細であろうと何であろうと、そういうものを使うということは、許されないことだと思うのです。一番手っ取り早く手が入るのはそういうことですね。この点はひとつお考えいただけませんか。
  63. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 白バスに関連しまして、旅行業者があっせんをする際にそういった形態を伴うということはわれわれも存じ上げておりまして、直接私の方で旅行業者に対して所管いたしてはおりませんけれども、ただいま先生申されたような趣旨を当局に伝えて、善処してもらいたいというふうに考えております。
  64. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 大分時間がたちましたので最後に大臣にお伺いしますが、確かに現在国鉄貨物輸送量が減っています。しかし、私が先ほど申し上げましたように底に来たのじゃないかなという気もいたしていますが、経済の動向などとも関連をいたしますから必ずしも先行き見通しがどうなるかはわかりませんけれども、ただ、これからの経済の中でエネルギー問題が非常に重要視されてまいりますから、そういう意味では鉄道は、国鉄に限らず私鉄の場合でもそうでありますが、省資源、省エネルギーとよく言われておりますように、時代はいまのような状況とは違って厳しくなってくると思うのです。そういう意味で私は、原油の値上がりなども将来あるかもしれませんし、貨物もレールの上に戻ってくるということも、いまの混乱状態からはどうも甘いかどうかわかりませんが、そういうことも想定をしなければならぬと思っています。閣議の了解事項にもありますように、貨物輸送については、現在の輸送機能の維持を前提として何々しかじか、こういうふうに合理化をするというふうに言われています。どうかひとつ国鉄は輸送の安全保障体制のために残しておかなければならぬというふうなことで、無責任なことを言われているようなことを私も聞いたことがございますが、そういう意味でなくして、やはり二万一千キロを超すような営業線を持っておるわけでありますから、ひとつ大いに重視をしていただいて、将来の展望についても、ひとつ大臣国鉄の健全な経営のためにも何でも合理化ばかりを進めるというふうなことは私は余り賛成できません。ただしかし、これだけの財政危機になっておりますから、やらなければならぬことはやらなければならぬと思います。きょうは貨物輸送中心に私はお尋ねをいたしましたが、そういうことについてどうかひとつ十分考慮に入れて考えていただきたいと思うのです。
  65. 田村元

    田村国務大臣 私は貨物という点について若干、将来に対する展望として陽気に考えているのです。と申しますのは、貨物というのは、もちろん合理化もしなければならぬでしょうけれども、合理化だけに頼っておってもどうかと思いますが、いずれにしましても、国鉄のやり方いかんでは貨物はもうかるのじゃないかという感じすらいたしております。たとえば民間のようにセールスをうんとやるとかあるいは特約代理店のような形でトラック業界と手を握っていくとか、いろいろなやり方があるんじゃなかろうか、そんな感じがいたすのでありますけれども、いずれにいたしましても、貨物部門を解決することはすなわち国鉄を解決すると言っても過言ではないのでありますから、国鉄を督励いたしまして、とにかく知恵と努力を十分に発揮しなければならぬと思いますから、御趣旨のほど私も十分理解できますので、努力をいたしたいと思っております。
  66. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 終わります。
  67. 大野明

    大野委員長 薮仲義彦君。
  68. 薮仲義彦

    薮仲委員 ただいま大臣から御答弁ございましたけれども、国鉄再建というのは現在の重要な政治の課題でもあり、今回その法案が、国鉄再建のための赤字をどうするか、運賃法定制の緩和あるいは運賃の値上げ、日本国有鉄道法の六条を改正して投資を拡大するとかあるいは国鉄自身経営努力さらには国の助成強化等により何らかの解決の方途を見出そうということはわかりますけれども、このような運賃値上げという問題をする前に、やはり国鉄自身の持っている巨大な赤字要因を除去しなければならない、赤字要因を除くことがまず第一義的に大事なことだと私は考えております。そういう意味から、この赤字の要因が何だ。これは何回も論議されておりますように、地方閑散線の問題、貨物の問題あるいは長期債務等による利子支払いなど、いろいろな赤字要因が考えられておりますけれども、私は、きょうは問題を一番重点的に貨物にしぼって、大臣並びに総裁に伺っておきたいと思うのでございます。  ただいまの御答弁のとおり、大臣貨物に対して非常に希望、期待を抱いていらっしゃるということでございますが、この貨物というものが、このような日本の省資源といいますか、省エネルギーという時代を迎えた点においては、また環境破壊、公害、交通渋滞等を考えたときに、やはり日本の将来にとっては国鉄貨物というものが非常に有効な手段として残さなければならないんじゃないか、育てなければならないんじゃないかという基本的な考えを私は持っておりますので、まず冒頭に大臣並びに総裁国鉄、なかんずく貨物を本当にどのようにして再建するのかというその決意、大臣には決意を伺いたいと思いますし、総裁には決意と同時にそれではその赤字貨物をどうやって黒字にしていくか、その具体的な方策についてまず冒頭に伺っておきたいと思います。
  69. 田村元

    田村国務大臣 先ほども申し上げましたように、国鉄再建貨物部門の解決でもってその目的の多くは達成せられると言っても過言ではないと思います。それだけに貨物に対してわれわれは悲観的であってはなりません。先ほど私も渡辺さんの御質問のときにひやっとしたのですが、本当に住田君が安楽死論を言ったとしたら大変だぞと思って聞いておりましたら、安楽死論に負けてはならぬということを言ったのであるということでありましたので、内心大変うれしく思ったのでありますが、私は、悲観的になってはならないと思います。先ほど申し上げましたように、貨物部門は率直に言って今日をもって最低にしなきゃなりませんし、これからこれをむしろ商売繁盛の方向へ持っていかなければなりません。そのためには努力が必要でございます。いま国鉄では貨物再建のための努力を必死になって模索中であろうかと思います。  私どもも素人なりに自分の意見国鉄に申してみたいと存じますが、いずれにいたしましても、先ほど申したように、セールスをうんとやったらどうだろうかあるいは国鉄貨物がどんどんと集まってくるような、そのような方途をもっと講じる必要があるのではないだろうか。それからまた、先般も私は、国鉄貨物に最近頼らなくなったという、つまり国鉄貨物を利用しなくなったという業者の方々の意見を聞いてみましたところ、まあいろいろと理由はあるようでありますが、その大きな理由一つに、どうもストライキもやはり大きな影響があるようでございます。そういう点でやはり労使が真剣に相談しなくてはならぬ、そういうこともあろうかと存じます。  いずれにいたしましても、私は、貨物悲観論でなく、貨物楽観論、必ず貨物再建するのだ、そういう考え方の上に立って、国鉄に対して大いに物申し、指導監督もいたしたい、このように考えておる次第でございます。
  70. 高木文雄

    高木説明員 長期的には、いまの私どもの持っております鉄道の特殊性というものを十分生かしていくならば、日本の物流の中において国鉄がお役に立ち得るものだと確信をいたしております。  一つには、全国に網の目のようにレールがつながっておりますから、それは大量定形輸送には非常に向いておるという特性を持っておるということはございます。  第二には、エネルギー効率の面から見まして、非常に省エネルギー輸送が可能であるという意味において、十分お役に立ち得る本来の性格を持っておるというふうに思っております。ただそれは、やや長い目で見ての話でございまして、当面の問題といたしましては、現在、いわゆる固有経費という言葉で呼んでおりますが、固有経費をも現在のところは収入で賄えないという状態でございまして、こういう状態では国鉄経営全体にとりましてどうしても貨物がお荷物になりますので、この状態から脱却をしなければいけないわけでございます。  それがためにいま具体案をいろいろ立てておりますが、大きな柱といたしましては、何といいましても安定輸送を確保する。お客さんの方から、いつ着くかわからないというようなことを言われたのではいけませんので、安定輸送を確保するということについて、ちょっといま大臣が触れられましたストの問題もございますけれども、それ以外に、先般も雪の関係でかなり北海道−本州間の輸送障害が起きました。こうした問題についても、何らかの対策をとることによって、お客さんから不安定だということを言われませんように、一段と工夫を要すると思っております。  それからもう一つは、やはり、いまの作業のやり方を少し変えるという必要があろうかと思います。御存じのように、ヤードで貨物の車をつないだり放したりすることあるいはまた各貨物駅におきまして放したりつないだりすることに大変多くのコストがかかりますので、これを省力化といいますか簡素化といいますか、そういう形をとる必要があろうかと思います。  それから三番目には、どうしても専用線のような場合をのけますと、トラックに比べまして戸口から戸口という輸送という点ではウイークポイントを持っておりますので、必ずしも自動車と競争をする、お客の取り合いをするということではなくて、トラックとの間で適当に役割りを分割して分かち合う。トラックで駅まで運んでもらってまた駅からお客さんのところまで運ぶという、両端のトラック輸送と真ん中のレール輸送とをうまくつなぐという措置が必要であろうと思います。その点においてやや欠くるものがございますので、もう少し通運業者を初めとしたトラック関係者との間の協調態勢といいますか、ともに仕事をするという姿勢をとっていく必要があると思います。  それからもう一点、非常に重要な点は、どうも長年鉄道の場合には待ちの姿勢にありまして、お客さんから運んでほしい、積んでほしいということで、それではということで貨車を回すというような姿勢が昔から強かったわけでございますが、いまや全体として需要よりもむしろ輸送力の方が、海運、自動車まで加えますと大きくなってきておりますから、したがって逆にそれぞれの輸送手段がお客さんを取り合うような状態になってきておりますから、私どもの方の職員が積極的にセールス活動といいますか、お客さんを引っ張ってくる、誘致する、お願いするという姿勢がなければいけないわけでございまして、こちらが荷物が来るのを待っておる、お客さんが見えるのを待っておるという姿勢ではいけないというふうに考えております。  そういうようなことを通じて、決して単なる合理化というようなことではなくて、総合的な物事の考え方の切りかえを行うことによって、とりあえず一日も早く固有経費が収入をオーバーしないような状態をまずつくり上げる、そして長期的には、先ほど申し上げたような姿勢で臨むというふうに現在考えております。
  71. 薮仲義彦

    薮仲委員 まあ具体的なお話は概略御説明いただいたのですが、私が一番総裁に望みたいのは、やはり国鉄四十数万の職員あるいは貨物に従事している十七万人の職員が一番気にしているのは、総裁が本当に貨物再建するのかどうか、その固い決意をまず私は具体的な前にもう一度重ねて質問いたしますから、決意を伺いたい。  特に、先ほど大臣は、貨物に対して悲観じゃなくて楽観だ、いわゆる明るい見通しを持っておるというふうに私は善意に解釈いたしますが、現在のこの貨物の置かれた事態というものは、悲観論、楽観論というよりは総裁の立場としては真剣勝負であり、本気になってこれと取り組んでいただきたいと私は感ずる次第でございますけれども、重ねて総裁のこの貨物をどうするのかという決意を、まず伺っておきたいと思います。
  72. 高木文雄

    高木説明員 一言で申しますれば、とにかくいまの貨物を絶対守り抜かなければならぬということでございます。ただ、ここ数年間、荷物の量が年々減ってまいりました。五十一年は、先ほどの渡辺委員のお尋ねに担当常務からお答え申しましたように、初めて五十年度やっと横ばいということで減る姿勢がとまったわけでございます。そのことは、ある程度私どもの職場に勢いがついてきたということを意味するものと思います。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕 今度はその状態を、横ばい状態のまましばらく維持しながら持ち上げていくということにしなければいけないわけでございまして、それがためには、しかし同時にそれが経営にとって圧迫になってはいけませんから、固有経費を収入の範囲内でとどめることができるようにするということは、つまり先ほどお話が出ておりましたように貨物をつぶさざるを得ないという事態にしないようにするための措置でございまして、その意味におきまして、そういう具体的措置を講ずることを通じて貨物を十分維持できる道を発見し得るというふうに考えておるわけでございます。  私は、この貨物の問題というのは国有鉄道にとりまして非常に重要な問題であると同時に、また経営収支の立て直しという意味においても重要な問題である。両方の面から考えまして、貨物の問題を今日の再建問題の中心課題といいますか、相当大きなウエートを置いた問題として考えたいと思っております。
  73. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうかその決意で赤字要因の除去に全力を尽くして当たっていただきたい、このことをまず冒頭お願いいたしまして、国鉄再建の方向でございますけれども、一つは、いまの総裁のお話の中に出てまいりませんでしたけれども、具体的な課題として貨物の集約という方向が決められているわけでございますけれども、この貨物の集約という問題になりますと一番問題はやはりいままでのユーザー、荷主さんの方、いままで国鉄を親しく使っておった方が、集約されることによって逆に国鉄から離れていってしまうのじゃないか。いわゆる荷主さんに対して、集約をなぜするか、どれだけ荷主さんにプラスなのかというような、正しい理解というものが果たしていままでなされてきたのかどうか。先ほど来当委員会で論議されておりますように、逆にむしろ国鉄離れが進んでいるのじゃないか、こういう点が考えられますが、また本年度もそういう合理化の方向が検討されるとすれば、ではそれをどのように正しく理解してユーザーさんが国鉄を離れないようにするか、この点は私は非常に大事な点だと思うのでございます。  それからもう一点伺っておきたいのは、閣議了解でいま総裁が言われた固有経費を均衡するということをうたってございますが、この五十五年度に固有経費が必ず収支均衡できるのかどうか、またこれが現在の国鉄に課せられた至上課題なのかどうかですね。と申しますのは、後で論じますけれども、やはり国鉄の本来の使命というものは、公共性といいますか、あの国有鉄道法の第一条に出てくる国民の福祉に寄与するという面、経済の合理性、企業の問題だけではなくして、国鉄に課せられている公共の福祉という観点を忘れてはならない。そうしますと、財政収支の中で当然考えられるのは、国鉄負担すべきかどうか、これは国に負担してもらわなければならないのじゃないか。これはここでは問いません。後で問いますが、いわゆる収支均衡だけ達成できたけれども、公共福祉というか国民福祉の観点から見たら、国鉄国民にとっては縁遠いものになってしまった。大量定形化の荷主さんには役に立つけれども、本当に親しみやすい国鉄ではなくなった。収支均衡だけ追い求めることが至上課題なのか、経済効率だけではなくてやはりそういう問題を真剣に考えておくことが大事じゃないかと思うのでありますが、この点についてお願いいたします。
  74. 高木文雄

    高木説明員 つい数年前までは、貨物を取り扱っております貨物駅の数が全国で大体二千五百駅ぐらいあったわけでございますが、その中で実際上取扱数量の少ない駅を漸次減らしてまいりまして、現在大体千五百から千六百駅ぐらいまで減ってきたわけでございます。その千駅を減らします過程におきまして、ただいま薮仲委員から御指摘がございましたように、いささか国鉄の都合を中心に考え過ぎたきらいがありました。したがって荷主さんに御迷惑がかかったということは否定できないんではないかと私は思っております。  ただ国鉄の場合には、いまも申しましたように専用線があります場合は別といたしますと、戸口と戸口とをつないでいるわけではございませんので、真ん中を鉄道で輸送しておりまして両サイドはトラックに依存しておるわけでございますから、先ほどちょっと触れましたように、鉄道とトラックとの協調関係をスムーズにいたしますればさしたる御迷惑をお客さんにかけることなくしてなお貨物駅を集約することができるのではないか。ただ駅の数を減らせばよろしいというだけではまずいわけでございまして、お客さんの御不便が増大しないようなことを考慮しながら駅を減らすことによって、要するに作業のやり方を変えていくことによって経費の節減を図りつつ、しかもお客さんに対するサービスは落とさないように工夫をしていく。その工夫については、いままでやってきたやり方よりは一段と変えていかなければならないということで、いま個々の具体例について研究をいたしておるところでございます。  したがいまして、もし余り当方の都合だけを考えまして駅をただ減らしていくという形をとりますと、それはいま御指摘ありましたようにお客さんから、まあ国民国鉄といいますか、公共の役割りを持った国鉄という本来の使命から逸脱することになりますので、その点はよほど注意をしてかからなければならないと思っております。  それから、固有経費で収支の均衡を本当に図ることができるかどうかということでございますが、もし固有経費で収支の均衡が図れないという場合には、結果として旅客の方の収入で補いをつけるかあるいは財政に依存をするかということになるわけでございますが、旅客の方に貨物赤字をいわばかぶっていただくということは、いい悪いを別にしてなかなかできにくい情勢になってきております。旅客の方も他の輸送手段との間の競争が激しくなってきておりますから、旅客の方の運賃体系を貨物の方の赤字分までかぶることができるようにするほど、いわば独占的な状態ではなくなってまいっておりますから、現実には、もし固有経費を賄えない場合にも旅客の方に持ってもらうということはできないだろうと思います。  それでは、今度は財政の援助に依存できるかということになりますと、結果的には、貨物輸送費が安いということは国民経済にとってプラスでございまして、物価対策としていいわけではございますけれども、全輸送量の一三%しか運んでおりませんから、そのことを考えますと、鉄道に補助をしてもらうということについては財政のたてまえからいって相当問題があろうかと思います。したがいまして、旅客にも持ってもらえない、補助もそう簡単には出してもらえないということになりますと、何が何でも固有経費だけは収入で賄うようにがんばっていかなければならぬということでございます。  それがためにはどうしたらよろしいかといいますと、何度も同じことを申し上げて恐縮でございますが、作業のやり方を変えることによってコストを低下させていくことが一つと、それから何とか営業活動を活発にしてお客さんを多くする、お客さんが多くなりますれば、だんだん単位当たりのコストが下がってまいるわけでございますので、そういうことを通じて何が何でも固有経費で収支の均衡を図るということにしなければならないという意味でございます。まあこの点については、果たして五十五年までにそうできるかどうかということについて大変疑問を寄せられる向きも多いわけでございますけれども、今日の段階ではとにかくそれを実現するために全力を挙げていくということに国鉄内部での物の考え方を結集してまいりたいと思っております。
  75. 薮仲義彦

    薮仲委員 最善の努力を払っていただきたいと思いますが、いまの総裁の御答弁の中で三点ほどちょっと重ねて伺っておきたいと思うのです。  いわゆる駅を集約したときに荷主の方に不便をかけないという問題です。集約した駅へいらっしゃるのは通運の方あるいは直接いらっしゃる方もありますけれども、駅舎の改築とか、本当に集約したことによって通運の方も喜んでいるという現実が各所で見られたのか。私の聞き及ぶ範囲では余りそういう現実にはないようですね。いままで駅舎の近くに通運があったけれども、今度ば隣の駅に行かなければならないといいますと、通運としては非常に不便を感ずる面があります。この点については今後現場の意見を聞かれて、今後集約する駅については、いま総裁いみじくも言われましたけれども、通運の方もその集約に納得のできるような形、これは駅舎の改築等を含めて取り組んでいただきたいと思います。  第二点目は、ぜひとも検討していただかなければならないのは、荷主さんの側、通運の側もそうですけれども、いわゆる横持ち運賃、集約されたことによっての運賃をどうしてくれるのか。これは損害をこうむるのは最終的には荷主さんであり、通運の方もそれによって荷主さんが国鉄離れしていくということで、双方が苦しんで、また国鉄さんもそれだけ荷物が載らないという悪循環を繰り返すわけです。この横持ち運賃について総裁としては何らかの措置を講ずる必要があるのじゃないか。  また通運の駅からの集貨範囲というのは十キロなんですね。ところが、いま駅からの居住地域というのは十キロ範囲ではなくなった。昔と住宅の構造が大きく変わっております。大きな団地が突然できるわけです。ところが、そこは通運の区域外です、巨大な団地が国鉄に荷物を載せることができません、こういう現実の問題は貨物の第一線の方は痛切に感じていらっしゃると思う。やはり特定の巨大な団地に対して通運が業務をできますというような改善を、小さいことかもしれませんけれども、荷物をどうやって載せるかという観点に立てばこれは非常に大事な問題です。巨大な団地に対して通運ができますというようなことも考えられてはどうかと思いますけれども、いかがでしょう。
  76. 高木文雄

    高木説明員 御説明、ちょっと二つに分けて説明さしていただきたいと思います。一つ貨物の問題でございます。もう一つは、ただいまお触れになりましたのは、いわゆる私どもの言葉では手小荷物と言っておる問題でございます。  貨物の方の問題につきましては、いままで荷主さんの近所に駅がありました。その駅が今度なくなるということになりますと、おっしゃるように横持ち費用がふえるという問題があります。駅を減らしましても、通運業界といたしましてはたくさんの駅にそれぞれ支店を持っておるわけでございますが、各駅に人を配置しておかなければならない。しかし貨物の量がそれほど多くございませんので、どうもどの支店も経営収支がうまくいってないという問題がございますので、貨物取扱量の少ない駅についてある程度の集約を行うことについては、通運業者の方にはそれほど抵抗がないわけでございます。ただ問題は、そうしますと一番近い駅からのトラック経費で済んでおりましたものが、横持ち経費がふえるという問題がありまして荷主さんの方にはマイナス要素が出てまいりますので、そこをどう調整するかということでございます。それを何か工夫せいという御指摘でございますが、私どもその点は気がついてはおるのでございますが、いま具体的に、それをどういう方法によって私どもと通運業者との間で負担を分け合って、荷主さんに及ぼす影響を小さくしたらよろしいかということについては、なお通運業者と私どもとの間でよく話し合いをしなければいけませんが、まだその点が具体的に詰まっておりません。それは貨物集約を進めます上において残された幾つかの問題中非常に大きな問題として認識をいたしておるわけでございます。  それから、二番目の問題の、たとえば団地ができたときの手小荷物の送配の問題でございますが、これは最近各地からそういう御要請を承っておりまして、新しい団地ができたときに、その近所にある駅で、旅客駅で手小荷物の扱いがなされてないので、隣りの駅まで持っていかなければならないので困っておるというお話が、しばしばいろいろな陳情といいますか、御要請といいますか、そういう形で出ております。この新しく団地ができた問題をどう処理したらよろしいかということについては、どの程度の基準によるかという問題がございますけれども、非常に大きな団地ができたような場合、そして手小荷物の扱い量が非常に多くあるというような場合には何か考えなければならないかもしれないというふうに思っておりますが、その前に、実は手小荷物につきましても輸送の仕方を変えたいというふうに思っておるわけでございます。  実は、貨物の問題とかローカル線の問題に比べますと、世の中では余り指摘を受けてはおりませんけれども、手小荷物の赤字というのがまたかなりこのごろ巨額になってきておりまして、概算で千億前後というような大きな金額になりつつございます。そこで、手小荷物の扱いにつきましても、これまたお客さんの方には御迷惑をかけないようにしながら集約を進めていかなければならない。簡単に申しますと、フロントの仕事はいまのとおりにしておきまして、内部での輸送を必ずしも全部レールによらない方法というのを考えなければいけない。現在東京でも一部そういうことを始めております。トラックによる代行輸送という形式でそういうことを始めておりますが、そういうものを全国的に広げていかなければならないと思っております。  一方においてそういう手小荷物についての仕組みを変えるということがございますので、それの中に組み入れまして、先ほどお触れになりました新しい団地ができた場合の新規の手小荷物扱い駅の増設ということをその中の一環として織り込んでまいりたいというふうに考えております。
  77. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうかこの横持ち料金、非常に荷主さんにとっては負担になってまいりますので、今後、ただいま総裁の御答弁のように何らかの形で荷主の方にマイナス要因とならないような方向だけは早急に確立なさって、駅集約という問題に取り組んでいただきたい、このことを重ねて要望をいたしておきます。  ちょうどいま閣議了解事項の問題を話しておりますので、これに関連してもう一度だけちょっと確認しておきたいのは、閣議了解の中で昭和五十五年度までに五万人の合理化ということがうたってございますが、貨物部門では何人を目標にして考えられるのか、また貨物部門のどういう部門にそういうことをなさろうとするのか、また、こういう方の配置転換ということが出てくると思うのでございますが、私が一番申し上げたいのは、今日このような不況な労働条件の中です。非常に労働条件が悪化している中で、このようないわゆる整理を目指した合理化案が出てまいりますと、働いていらっしゃる皆さんにとっては、自分の将来ないしは家族全員にかかわる問題ですので、非常に大きな不安の要因となって、また労使の間が好ましい環境にはならない。  先ほど総裁が心配なさった問題が重ねて起きなければと、私は懸念する意味から申し上げるのでございますが、国鉄のいま働いていらっしゃる方の年齢構成が非常な高年齢層であるということは理解いたしておりますけれども、この人員削減という中で、当然新幹線の方へどうのこうのという御答弁があろうかと思いますが、私が申し上げたいのは、やはり働いている人が、長年国鉄でともに生き抜いてきた方なんですから、不安のないようなことを明確に話し合いの中で示すということが非常に大事な点じゃないか、私はこう考えるわけです。この点いかがでしょう。
  78. 高木文雄

    高木説明員 貨物の経費を収入で均衡するように、まずコストを減らすということの具体的なやり方につきましては、過日、運輸大臣へ御提出して御承認を得ました経営改善計画の中にも明らかにされておりますように、列車キロ、つまり毎日走ります貨物列車の走行でございます。現在一日平均五十五万キロぐらい走っておりますが、この五十五万キロの列車キロの約二五%を減らしたい。したがってまた使います貨車も減らす。貨車を減らします、あるいはまた機関車も減らしますということによりまして、貨車、機関車がかなり老朽をいたしておりまして修理費にかなりの手間のかかるものを廃車の方に持っていくということを考えております。  さらに駅と貨物ヤードの配置体制を見直しまして、駅につきましてもヤードにつきましても、五十五年度までに現在の大体三分の二程度の規模に縮小をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。しかし、そういうことをいたしますためには、既存のヤードを逆に大きくするとか、あるいは構内作業の自動化を図るとか、また、貨車あるいは機関車の修理をいたします工場のようなところがございますが、それの機械化等を通じて省力化を図るとか、そういったことを相当総合的にやらなければならないと思っております。  現在、貨物の仕事に直接従事しております職員の数は大体七万人弱でございます。もし全体の七万人弱の諸君が、駅の数が減りますとかあるいは列車本数が減りますとかいうことの比率で人数を減らす、言ってみれば少ない人数で能率的に仕事をすることができるということがうまくいきますと、計算の上では、貨物関係のいまの七万人弱の諸君のうち一万五千人前後の諸君の労働力がなくても済むという計算上の数字は出てまいります。ただしかし、これは具体的に一つ一つの駅について、あるいはヤードについて、もしくは列車編成について細かく詰めてまいりませんと、そういう人数で処理可能かどうかはわからないわけでございまして、現在、大まかなところは昨年の暮れから組合との間でもぼつぼつ話を始めてはおりますけれども、非常に細かいところについては、まだ部内の作業も詰まったというところまでいっておりませんので、その作業中でございます。  その場合に、現実にそこに従事している諸君、特に長い間勤めてきた諸君の職場を奪うことになるのではないかという御注意は、大変私どもにとりましてもありがたいわけでございます。その点につきましては最後にお触れになりましたように、ちょうど現在高年齢の諸君が職員の大体五割近くを占めておりますので、それらの諸君がいわば定年になって私どもの職場を退いていきます機会に、その補充をしないで済ますというような形を中心に置きまして、多少はいままでの勤務先から別の勤務先へ移ってもらわなければならないとか、あるいはAの職種からBの職種に移ってもらわなければならないということも出てまいりましょうけれども、ある意味ではちょうどいい機会といいますか、退職者が多い機会でございますので、その補充を余り進めないということによって職員諸君の受けるショックを大きくしないようにしながら、この体制の切りかえをやってまいりたいと思っております。いずれにいたしましても私は、現在私の方におります諸君をこの貨物の集約の関係でだれかがやめなければいかぬというようなことはたとえ一人といえどもない、そういう範囲内において切りかえをやっていくというふうに職員諸君にも言っておりますし、広く皆さんにも申し上げている次第でございまして、職員の心情をおくみ取りいただいて大変ありがたいわけでございますが、私どももその点は十分に気をつけてやってまいりたいと考えております。
  79. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうかただいまの総裁の御決意のように、働く仲間のただの一人も、不安な気持ちでこれからの仕事をしなくても済むように、さっき大臣がおっしゃった、希望に燃えてその貨物の仕事に取り組んでいけるような方向づけだけはきちんとして、安心して国鉄とともに仕事をしようということだけは将来ともに考えながら、行政の運営を図っていただきたい。これはくれぐれもお願いをいたしまして、次の問題に移らしていただきます。  先ほど来総裁がおっしゅっている発言の中で、大量定形化というお話が出てまいりますが、いわゆる国鉄の目玉としてフレートライナーという方向を出し、あるいは戸口から戸口へという一貫輸送体制のためのコンテナということが図られました。しかしこのフレートライナーの輸送実績を手元にいただいてございますけれども、実際はフレートライナーの本数は昭和四十四年度十二本から昭和五十年度百二十本、十倍にふえているわけです。列車本数が十倍にふえて、確かに表の上では取扱量は十二本が百二十本になったのですから、量はふえております。しかしその積み取り比率、積載の効率はどうかというと、逆に四〇%、五〇%という、いわゆる載せられる荷物の一〇〇%は積んでいないという現実の数字がここに出ております。国鉄の一番の目玉として始まったフレートライナーあるいはコンテナというものがこういうことであっては、やはり赤字要因をさらに増すことになりますので、この積み取り比率が下がっている原因は一体何なのだ。また宣伝の上ではこれが一番目玉の商品でもあろうかと思いますけれども、私はそうは思ってないのですが、やはりこのフレートライナー、コンテナというものの対策というものは大事じゃないか、このように考えます。どうやってフレートライナーへ荷物を載せるのか、これの対策をお伺いしたいと思います。
  80. 田口通夫

    ○田口説明員 御指摘のように、フレートライナー自体は輸送トン数といたしまして、四十四年度から四十九年度には約六倍という形でふえておりますけれども、御指摘のとおり列車キロ当たりの効率の低下というのは、現在四十九年、五十年、五十一年とたちます間に非常に低下をいたしておるわけでございます。そこで、フレートライナー自体は確かに小量物品を全国の五十足らずの基地間で集約をいたしまして、相互に発着をさせて一個列車で基地から基地へ行く。その場合にもちろん路線業者も参加いたしますし、通運業者も参加をいたしまして基地までの道路輸送を担当してくれておる。こういう形で、物資別輸送とは違った意味の、石炭とかあるいは石油とかそういうものとは違った、比較的一般庶民も利用される形を四十の基地にしほりまして相互に発着をさしておって、現在効率は落ちておりますが、目玉商品として今後も伸ばしていく一つの努力をいたしておるわけでございます。  そこで、今後どういう形の努力をしていくのかという御質問だと考えますけれども、やはりまず一つは、すでに大分努力をいたして金をつぎ込んでやりましたけれども、かつてフレートライナーに載せるコンテナをC10という、これは形式ですけれども、それをC20に変えることによりまして容積を同じ五トンでもたくさん積める——コンテナには五トンのコンテナで五トン分積めないものもありますし、まず容積を二割増加した。これをフレートライナーのみならず、古いコンテナをどんどん取りかえていきますときに容積増を図って荷主さんの便益に供してきた。これは特に現在フレートライナー自体五%程度のライナー料金を取っておりますけれども、これが一般化されてきたという形で、ライナー料金も少し反省しなくてはならぬということを考えております。  それから現実のPRの問題として、御指摘ございましたように、確かに私どもPRが下手でございまして、どちらかといいますと、貨物といいますのは七百人の貨物営業センター中心で、日々荷主さんのところを回りましていろいろと情報の提供をし合っているという形のPR、要するに個別的PRをやっております。一番いい例が、名前は申し上げませんが、かつてある大きな工場に助役がずっと常勤いたしまして、現在金沢から大阪まで一トン当たりトラックでこれぐらいの輸送をされておりますけれども、これをこういう輸送方法にすれば二割ぐらいの輸送費低減になりますよというような非常に念の入った個別的なPRの方法もやっておるわけでございまして、これが全国ですべてやれれば非常にすばらしいことでございますけれども、なかなかまだ理想どおりにいっていない。  もう一つは、先般、ちょうど三月の民間企業並びに官庁の転勤時期におきましては、国電のみならず一般の列車の広告にコンテナの運賃その他につきまして御案内を申し上げるようなPRをするというようなことでやってきておりますが、まだ本当にややもすれば個別的なものに走り過ぎて一般の多くの方々に利用されるコンテナについての宣伝は下手だ、これをもう少し専門的にいろいろと勉強いたしまして、たくさんの人になじんでいただくようなPRをしてコンテナの利用を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  81. 薮仲義彦

    薮仲委員 いまの問題に続いてですけれども、コンテナに載っておる荷物は、トン数で言うと全荷物の総トン数の八%ですね。あとの九二%というのが車扱いという現状です。ここで私はちょっと総裁にお伺いしてみたいと思うのです。いわゆるこれからの貨物再建の基本的な姿勢なんですが、国鉄が一番宣伝しているフレートライナー、コンテナには八%しか載らない、実際は宣伝もされていない車扱いの方へ載っておる。ここでいろいろな問題を提起しますけれども、総裁は中長距離の都市間貨物輸送のような形、あるいは大量定形化だけということを言っております。やはり先ほど来PR不足だと言っておりますが、もっと親しまれるというか、それじゃ国鉄を使えばどういうメリットがあるのかという宣伝が具体的になされているかどうか、そういうことを含めて基本的な取り組み姿勢なんですが、私、ちょっと国鉄には関係ないのですが、一つ例を挙げます。  私は静岡なんです。焼津という町に四時ごろから朝市が立つのです。その朝市の経営者の方が集まって言っておったのですが、朝市にはいろいろな物が出荷されるわけです。大量定形的に出ていくのはスーパーなんですね。もう一つ出ていくのは、背中にしょいこをしょったお母さん方が朝市に来て、品物を仕入れて、国鉄さんに乗って山奥まで行って売ってくる。この二つのケースがあるのです。経営者はどっちを大切にしているかといいますと、スーパーとか大型店は大量定形化でどさっと買うけれども返品もどさっと返ってくる、そして景気の変動をもろに受けると言うのです。ところがあの背中にしょったお母さん方は荷物を買っていってくれて、雨が降ろうと雪が降ろうと、寒かろうと暑かろうと売れ残ったためしが一度もないと言うのです。  私はここに経営に対する一つの大きな姿勢があると思うのです。これにはいろいろな考え方があると思いますから、あえて私は自分の考え方を押しつけませんけれども。  また、運輸大臣も選挙をやっていらっしゃると思うのです。地元に帰れば大きな支持団体がごそごそあると思うのです。でも田村大臣が今日大臣としてりっぱに政治の場にあるのは、そういう巨大な支持者だけで今日の大臣があるわけではないと思うのです。地元に帰られれば山奥で名もないおじいさん、おばあさんがとにかく大臣が大好きですよ、だれが何と言おうと大臣でなければだめですと言う人がぽつりぽつりと必ずいると思うのです。大量定形だけじゃないと思うのですね。やはり名もない庶民が大臣をきちっと守っているから今日の政治基盤があると思うのです。  今日の国鉄が大量定形化と言うことは結構です。でもいろいろな商売をやる方がやはり必要なのはヒューマンリレーションです。一対一ですよ。国鉄が本当に親しまれ、大衆に愛されるならば、大衆は自分に必要なものをむげに切り捨てるようなことは絶対にしないと私は思うのですね。何か合理化人員整理みたいなぎすぎすした感じだけ、そういうイメージはこの辺で払拭した方がいいと私は思うのです。  後で申し上げますけれども、たとえばスピードでいったら、トラックと競争しよう、あるいは飛行機と競争しようと言ってもだめな面が数多いのです。  ではここで国鉄はどうやって生きるのだ。やはり国民に親しまれよう、そして愛されよう、自分のそばにいてくれるのだ、頼りになるのだ——さっき総裁が言ったけれども、確実だ、安定性がある。もう一つここで必要なのは、安いという問題がなければならないでしょう。速いのはトラックで、遅い、安定的に送るのは国鉄でどうですかとか、いわゆる荷主のニーズについてこたえられるか、この点は私は非常に大事だと思うのですね。これは後で具体的に指摘しますけれども、特に国鉄が使いにくいという苦情があるわけです。むずかしい理論よりも使いやすい国鉄に努力しなければならないと思うのです。たとえばライナーをつくりました、こういう汽車が走っています、お載せください、これも商売でしょう。でもトラックがなぜ荷物が多いかというと、荷主の要求に対応できる。国鉄はできませんとおっしゃるかもしれないけれども、そこの壁をどうやって近づけていくか。さっき朝市の例と、選挙の例を挙げて失礼でしたけれども、こういう姿勢の中に国鉄再建に取り組むべき姿勢が、国民大衆の中に根差した輸送をしよう——確かに不況かもしれませんけれども、一億一千万の国民の持っておる物流は動いておるのです。それをなぜ国鉄赤字かというのは、載せられなかった点にあるわけですから、そういう点の姿勢をどうお考えか、お考えを伺います。
  82. 高木文雄

    高木説明員 御指摘のように貨物の扱っておるもので圧倒的に数量の多いものは車扱いでございます。やはり大量で定形的な荷物を毎日のように決まったところを運ぶのにレールは適しておりますので、したがって、そっちの方のウエートがおのずから高くなることは避けられないと思います。  それともう一つは、コンテナは開発されましてからまだ十年ちょっと、十五年前後というところでございますので、何としましても七十年、八十年の歴史を持っております車扱いよりはお客さんへのボーリングの程度といいますか深入りしている程度が歴史が浅いということから、思うようにはなかなか伸びていっていないわけでございます。  と同時に、いまお触れになりましたように、どうもサービスがよくないといいますか、お客さんとの接触度が十分でないということがあるわけでございます。それはまさに御指摘のとおりだと思います。  ただ、コンテナにつきましてはやはり相当多くの部分を通運業界にお願いをして、通運業界が集貨をして、そして一つのものに仕立てて持ってきていただくというものが大宗を占めておるわけでございまして、私どもの貨物のフロントサービスが直接集めてくることのできる量はそう多くはない。人数の問題からいいましてもなかなかそれだけの人を配置することが因難だという現状でございます。ところが通運の方の立場といたしますれば、全部が全部レールのために集めてくるわけではないわけでございまして、トラックで運ぶ部分も一緒にあるわけでございますので、必ずしも私どもの思うようなぐあいには荷物は集めてもらえないという実態になっておるわけでございます。その場合に、全般的に私どもと通運業界との間にいままでどうも少しぎすぎすしたものがあったことを否定できないわけでございまして、その意味におきましても、国鉄サイドと通運とが競争関係という感じではなくて本当の意味での協調関係を保っていくようにしなければ、ほかのケースでもそうでございますけれども、コンテナの場合でもなかなかうまくいかないということになるかと思います。しかし、これは抽象論を言っておってもいけないのでございまして、もっと突っ込んで通運の皆さんといろいろお話をするようにいま指導はいたしておりますが、何分これは長い経緯だのバックグラウンドだのがございますので、すぐにあしたからうまくやりましょうというわけにもいかないのでございますけれども、しかし方向としましては、やはり通運業界との提携をよほどうまくやりませんと、コンテナのお客さんを私どもの方のレールに載せていただくというのにもぐあいが悪いというふうに思っております。  もちろん、私ども自身のフロントサービスによる面につきましてもいろいろと工夫をこらさねばいかぬと思ってはおりますけれども、それだけでは限度がございますので、いま申しましたようなことで通運業界との提携ということをコンテナについても一段と深めてまいりたいと思っております。
  83. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま総裁が言われた点は、私は国鉄再建の上に立っては一番大事な点だと思うのです。国鉄さんが一番宣伝しているフレートライナー、いわゆるコンテナでございますけれども、これには区域、路線の業者で十五条の認可を受けた者は載っけられますけれども、一般車扱いというのは通運業者しかそこへ荷物を集めてこられない仕組みになっているわけです。そうするとやはり国鉄の荷物の大宗を支えているものは通運の方によらなければならない面がどうしても出てくる。いまいみじくもおっしゃいましたけれども、ではなぜ通運業者が国鉄に荷物を載せないのか。国鉄さんはまあこうやって日本国有鉄道、普通の企業でしたらこれは何回も倒産だとよく言われますけれども、通運業者にとっては、いわゆる企業経営維持できない荷物というものは受けつけられないし、利潤を計上していかなければ企業運営していけないという面があるわけです。通運の方の荷物を、では具体的にどうやったら国鉄貨物に載せられるのか。駅から駅の間しか輸送できません、駅から戸口までは通運です、これが国鉄の一番のネックなんですから、ここで、そういう抽象論に終わっているんじゃなくて、一歩踏み込んで、ではどうすれば通運の方が国鉄に荷物を載せようとするのか、その具体的な対策が、こうしますと確かなものが検討され、ここに載ってこなければ、国鉄再建は始まらないんじゃないか。国鉄再建というのは何かと言ったらやはりあのオンレール、国鉄のレールの上に荷物を載せなければしょうがないんです。載せることが再建であり、収支の均衡なんです。五十五年度までに収支を均衡させますと言うけれども、その一番の原点は何かと言えば、やはり収益を上げなければならないんですから、それは荷物を載せなければならないんです。荷物はどこから来るかといえば、駅の両端部分からしか来ないんです。そうすると、通運業者が喜んで載せましょうということがここで明確にならなければ、五十五年に収支を均衡させますなどと言ったって絵にかいたもちで、単なるお話で終わってしまうと思うのです。やはりここで総裁が通運の方とじっくり話し合って、唇歯輔車とかいろいろなことを言われましたが、そういう言葉だけじゃなくて、本当に通運の方が喜んで一緒に仕事をしましょうと言うような具体的なスケジュール、方針が示されてこなければ、いつまでたっても荷物は載らないと思うのです。その具体的な対策について、もう少し突っ込んで御答弁ください。
  84. 高木文雄

    高木説明員 実は、昨年の夏でございましたが、通運の責任者とお会いをいたしました。通運としても最近、全体としての貨物の量が減っておりますので、国鉄経営に困っておりますのと同様に、通運自体としてもなかなか経営がむずかしくなってきておる。また通運業というものも労働集約型産業でございますから、最近のように、以前に比べまして人件費が上がってまいりますと、やはり通運自体の経営もむずかしくなってきておる。そこで、国鉄の事情と通運の事情とは基本的には非常に似通っておりますので、相ともどもに提携をしていかなければならないということで、基本的には意見は一致をいたしておるのでありますが、それを具体的にどう実現していくべきかということに関しましては、私どもの方は私どもの方で各地方の管理局長に指図をいたしまして、また通運の本社は各地方の支社長に指図をいたしまして、地域ごとに通運と私どもの管理局との間で担当者が顔を合わせていろいろ相談をする機会をつくる。本来ならば、いままでもそういうことが当然行われておらなければならなかったわけでございますけれども、先ほどちょっと触れましたいささかぎすぎすした関係がございまして、そういう機会を持つことがこれまで少なかったようでございますので、まず、しょっちゅうお互いに情報交換をするといいますか、意見の交換をするといいますか、そういう場をつくることから始めております。  それじゃ、具体的にその成果としてどういうことになっていくかという点でございますが、この点につきましては、やはり通運は通運としてそれぞれの通運業者の立場といいますか、経営の立場からいってなかなかそう一挙に切りかえがきかないということでございまして、気持ちの上では従来とは少しさま変わりに、国鉄と提携しながらやっていこうという気持ちは持っていただいてはおりますけれども、それが実際の数字になってあらわれるというところまではまだ時間がかかるわけでございます。具体的には、細々したことではございますが、たとえばいろいろな貨物の営業割引等についていろいろなお申し出も地域ごとに出ているようでございます。そういうものを積み上げていくことによって、漸次通運とのパイプを円滑にしていくことができるのではないかという希望を持っております。残念ながらいまここで、具体的にこういう方式でこうやって、何百トシ、何千トン、何万トンの荷物をこういうふうにふやしましたという例を申し上げる材料を持ち合わせておりませんで、抽象的なことで恐縮でございますが、具体的に各地域ごとにそういうふうな情報交換を通じて進めておるということを申し上げておきたいと存じます。
  85. 薮仲義彦

    薮仲委員 具体的な通運と国鉄との関係改善の取り組みに対してのお話がいただけなかったわけでございますが、次に私は、それでは具体的な例で後ほど、こういう点はどうかということを一つだけ提案させていただきたいと思うのですけれども、その前に先ほど来、親しまれる、愛される国鉄といいますか、国民にもっと利用されやすい国鉄になったらどうかということをお話ししておったわけでございますが、その話の続きの方を先に整理をさせていただきたいと思うのです。  国鉄が扱う貨物等でございますけれども、PR不足もあって、まず一番入り口で正確に理解されていないんじゃないか。というのは、いわゆる国鉄が輸送する貨物と荷物という簡単な違いですが、この貨物と荷物の違いということも、一般大衆に正しく理解され、その上に立っているのかどうか。たとえば駅集約という言葉が出てきますと、何か国鉄が自分から遠くへ行ってしまったような感じもしないでもない。しかし実際はそういうものじゃないはずです。一番さっき総裁は、手小荷物の赤字も相当なものがあるのですよとおっしゃった。じゃ、その手小荷物の赤字を解消するために一体何をどうやっているのだ。駅舎です、どうです、いろいろ言うけれども、さっき総裁も言われたように、積極的にPRし、セールスしという、その辺のところが待ちの姿勢だとおっしゃったけれども、この辺が非常に問題じゃないか。じゃ、手小荷物を集める努力をどうすべきか、あるいは貨物を集めるための努力をどうすべきか、これをやらずに待っておったんでは、ますます国鉄離れが進んでしまうと私は思うのです。  そこで、この間総裁は言われておったのですが、例をちょっと挙げますと、「一枚の切符から」のキャンペーンというので、総裁はにこにこ笑っていらっしゃった。花の中年層というのです。見る旅、する旅、未知の旅、こう言われておった。これは私も国鉄の駅を歩きますと、きれいなポスターがかかっておって、ああそうだなあと思って夢を描きます。一枚の切符からこんなに夢が開くんだなというので、このキャンペーンはよく理解できるのです。ならば、同じように貨物経営改善のために、これだけすばらしいアイデアがあるのですから、こういう努力をおやりになったらどうかということを一つ申し上げたい。  たとえば手小荷物も、国鉄があなたのそばにおりますよ、ふるさとの香りを東京の息子さんに、あるいは東京の心のこもったおみやげを田舎のお母さんに、というようなポスターが一枚ぐらい出たって悪くはないと思うのですね。荷物が来ません来ませんじゃなくて、いまは宣伝の時代ですよ。いま一般の電車に乗っても、いわゆる路線あるいは業者が、戸口から戸口という宣伝をしている。ならば、国鉄は荷物が来ないなんて言っていないで、どうぞ国鉄を、春の便りは国鉄でというような気持ちで、総裁少し考えたらどうですか。花の中年層に働きかけてというのでしょう。だったら、全国民に働きかけて、赤字を解消するために庶民の荷物を集めたらどうですか。さっき選挙のことを運輸大臣に言いましたけれども、やはり荷物を庶民から集めて手小荷物ぐらいは黒字にしてみせますぐらいの決意があったっていいじゃないですか。赤字になるとすぐ集約します、合理化します、待ちの姿勢じゃなくて逃げの姿勢じゃないですか。商売がそんな逃げの姿勢で勝てるわけがない。荷物があるのですから、いらっしゃい国鉄へ、と言ったらどうですか。そういう宣伝を総裁は苦手かもしれませんけれども、国鉄の優秀なスタッフがいらっしゃるから、「一枚の切符から」以上のキャンペーンをおやりになる気持ちがないかどうか、これを一つ。  それと、これは貨物局の方をいじめるわけじゃないのですよ。私が貨物についてのいわゆるパンフレットを下さい、こう言ったのです。どんなのありますか、そうしたらこれを下さったのです、この分厚いのを。私も運輸委員ですから一生懸命見ます。それで説明は、国鉄に乗る貨物は専門家の方が主でございますから、こういうのをお見せするんです、こう言うわけです。私がトラック業界にトラックのパンフレットを下さいと言ったら、これをくれたんです。これは字は少ないのですけれども、よく絵が書いてあって、私みたいな素人にも使いやすさがよくわかるのです。私は、ここにも国鉄さんの大きな待ちの姿勢があると思うのですよ。確かに専門家に言えばいいのはわかりますよ。でも荷物を出荷するたとえば会社の社長が、国鉄を使えという気持ちはあっても、こんな分厚いのを見たってちょっとわからないですよ。やはりこういうのをちらっと出して——私はいただけなかったけれども実際はあったのかもしれませんが、でもこういうような積極的なユーザーさんに働きかける姿勢がなければいけないと私は思うのです。だからさっきも言ったように、ライナーをつくりましたというのではなくて、やはり荷主さんの要望も聞いて、名札積極的におやりになるようなお気持ちはございませんでしょうか。いかがでしょう。
  86. 高木文雄

    高木説明員 最初のお尋ねの、手小荷物についてもう少し宣伝をして大いにお客さんサービスをしたらどうかということでございますが、これは大変お答え申し上げにくい問題でございます。と申しますのは、外から見ていただきますと、手小荷物と貨物とどこがどういうふうなのかということはちょっとわかりにくいわけでございますが、国鉄の職員の頭の中では非常に明快に手小荷物と貨物とは物が分かれて考えられておりまして、手小荷物というのは要するにお客さんに対するサービスだという感じでございます。旅客に対するサービスという感じでスタートをしてきておるわけでございます。それで採算をとるとかなんとかということよりは、むしろ先ほどお話がありました御出身地から郷土の季節のものを送ってもらうとか、あるいは旅行のときに大きな荷物をいわゆるチッキという形でお預かりするとかという形でありまして、貨物の方は本来運送業という感じでございますけれども、手小荷物の方はそういうサービスとして発達をしてきたわけでございます。  そこで、そのサービスを今後伸ばすべきかどうかという問題があるわけでございますが、これは実は非常に手間がかかるといいますか、本来的に非常に採算が引き合わない仕事でございまして、昔から、国鉄がこういうふうに赤字になります前から、全体としてそんなに経営状態が悪くない時代におきましても、手小荷物というものは引き合っていなかったものなのでございます。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕 おっしゃるように地域との関係を密接にするという点から申しますと、手小荷物についてもお客さんサービスあるいは地域住民の方に対するサービスという観念を持って臨むべきかもしれませんけれども現在の私どもの経営の面からいいますと、余りそれを拡大することも望ましくない状態にあるわけでございまして、この手小荷物問題は今後どういうふうに取り組んだらいいか考えなければならないわけでございますが、まずもって、手小荷物につきましてもいまのような余りにも人力に頼っております行き方、フロントでお客さんからお荷物をお預かりをいたしまして、職員がそれを手に持って、あるいは肩に担いでプラットホームまで運びまして、そして荷物車にそれを積みまして荷物車の中で仕分けをいたしまして、またそれを順番に送っていくというやり方はどうもうまくいきませんので、もう少し小口のものを扱うのに便利なような輸送形態に切りかえていきたいということをいま考えておるわけでございまして、フロントサービスは従来どおり駅でお扱いいたしまして受け取りますけれども、輸送につきましては、必ずしも全部レールでない方法を少し考えてみたいということで、いま進めておる次第でございます。  第二に、旅客につきましては、いわば非常にスマートな宣伝がいろいろ行われておるけれども、貨物についてはパンフレット一つとってみてもまことにやぼったいじゃないか、こういうお話でございますが、それはまさに御指摘のとおりでございまして、旅客につきましては、非常に伝統的に、お客をどうやって集めるか、招致するかというようなことが昭和の時代に入ります前から進められておったわけでございまして、すでに明治時代の末には、国鉄自体がホテルを経営するというようなことまでやっておったわけでございます。そこにあらわれますように、長い歴史の中におきまして、明治の時代にすでにホテルを自分で経営するというほど旅客の方の物の考え方は、お客さんを集める、つまり観光事業というものを自分が中心になって進めていくんだという精神がございました。単に国鉄だけのことでなしに、全体として観光事業をみずから進めていくという精神が横溢をいたしておるわけでございます。ところが、貨物の方は全く物を運びますということでございますし、かつ明治の初めから昭和の三十年代までは、どっちかといいますと輸送力が足りないということで、待っておりましてもお客さんから早く運んでくださいといって頼まれておったという時代が続いてまいりましたものですから、貨物系統の諸君はお客さんを集めてくるということに対してきわめて苦手でございました。  そういう意味で、顧客誘致といいますか宣伝といいますか、そういうことにつきましても、旅客の仕事に従事しております諸君と、貨物の仕事に従事しております諸君の体質が非常に違うわけでございます。そうしたことが、今日あらゆる輸送手段がふえましたときに、急激に貨物の方がダウンしてきた大きな原因になっていると思います。その意味では貨物のフィールドにおきましても、大口のお客さんでなしに一人一人の国民の皆さんに何らかの方法でもう少し呼びかけるような体質を持ち直さなければならないというのは、まさにポイントをつかれた感じであるわけでございまして、気持ちとしてはそういう方向に切りかえていきたいと思いますが、率直に言いまして、貨物担当の職員の方は今日までそういう訓練を受けておりませんので、しばらく時間をかしていただかなければならぬと思います。  それからもう一つは、貨物についての宣伝をしますのに非常にむずかしいのは、私の方は幾らで運びますよということは明確でございますけれども、両側のトラック代金が幾らになりますかということであるとか、あるいは包装費が幾らかかりますというようなことが、私どもでは受け持っておりませんので、やはりそこのところは、直接お客さんとの接触に関する限りは、通運業者その他のトラックの関係の方々のお知恵を拝借しませんと、お客さんが知りたいのは戸口から戸口まで幾らですかということになりますので、宣伝一つやりますにも私の方だけではなかなかできにくいという事情があるわけでございます。
  87. 薮仲義彦

    薮仲委員 総裁、たとえば他のトラック業者が列車のあの中づりや何かやっているのをちょっとごらんいただくとわかりますけれども、そんな料金の算定まで書いた広告はございませんでして、荷物というのは近くに送るのもあれば遠くに送るのもあれば、地球の裏側に送るのも荷物でして、どれにしようかなんていう選択は送る人がやるわけです。ただ、私がさっきから言っているのは、国民に親しまれ、愛されという、もっと身近にいますというこの心理的な面ですね。国鉄を非常に遠くへやってはいけないと思うのです。国鉄はそばにいるんです、もっと温かいんです、頼りになります、国鉄に荷物を頼むことが他の輸送手段よりも安心なんですという安心感、こういうものを国鉄国民に親しまれる中で育てていってこそ、それが本当の、将来の国鉄のあるべき姿だ。だから、赤字だからやらないというのは企業性だと私は言ったでしょう。企業性の問題だけをやっちゃいかぬのだ。国民福祉、公共性ということが非常に必要な面であり、むしろその公共性というのを冷たくしないで、温かく、親しまれるという身近な国鉄に模様がえをなさったらいかがですか。特に「一枚の切符」の場合は、国鉄で行かれる場合もあるし、並行して走っていれば、残念ながらこっちの方がいいですよという選択もある。車で行く場合もあるのです。他の輸送手段は非常に得をしているかもしれない。しかし貨物の宣伝をやれば、もろにこれは国鉄さんのプラスのメリットが相当あることでもありますから、もう一度御検討いただきたい。このことは非常に大事なことだ。いまは宣伝の時代なんですから、わかりやすい、いま高校生や子供さんが何を一番読んでいるか、総裁、よく知っているでしょう、余り活字の多いのは読んでいないのですよ。ならば、もっとわかりやすく国鉄を理解させる方が好ましいのではないか。そういうことで、次に移りますけれども、この点はよく御検討のほど重ねてお願いいたしておきます。  先ほど通運との関係ということで私が申し上げたかったのは、ここに資料として、鉄道車扱い、区域トラック、路線トラック別の「国鉄貨物とトラックとの運賃比較」を私もらっております。この表のとおり厳格に運賃適用されていれば、これには通運料金も入っておりますが、当然安いはずなんです。たとえば二百キロで、鉄道車扱いがトン当たり四千六十七円、区域トラックが四千二百円で、この辺ではトラックの方が高い。さらに路線トラックにいきますと何と倍近い八千三百二十円。鉄道の特性を発揮できます六百キロ以上、こうよく説明なさる。この辺は、鉄道車扱いが六千五百三十三円、十トントラックは八千七百円、路線トラックに至っては一万二千九百六十円なんです。この表が厳格に適用されれば、だれでも当然国鉄に荷物を載せようかな、こう思うのです。なぜ載らないのか、ここに問題があるわけです。これを整理しないで、幾ら言ってもこれは問題だと思うのです。  さらに、運賃法定制緩和という問題が出ておりますが、仮に物価の上昇が一〇%でした、一五%までは上げますということで合計二五%、もしも法定制緩和になって、そんなことはないとおっしゃるけれども、仮に二五%上がったとした場合の運賃比較を出してもらったのです。そうしますと、二百キロなんというのは四千五百三十四円、六百キロになると七千六百十六円、これだけ上がってくるわけです。そうすればますます荷物は載りませんよ、これだけ上がってしまったら。いまだって載らないのに、もしも運賃値上げがされたら荷物がもっと逃げる。だから、私が結論として言いたいのは、貨物は、今度の運賃値上げあるいは法定制の緩和によって運賃が上がったときに値上げで再建できるのかどうか、これをごらんになってみれば、値上げによってむしろ国鉄貨物はますます窮地に陥るのではないか、こう思うのですけれども、総裁いかがですか。
  88. 高木文雄

    高木説明員 国鉄は、よく御承知のとおり、全体として独占性を失ってきたわけでございまして、競争産業になってきたわけでございますが、いろいろな統計で、旅客についてはそれでもなお三割が私どものレールを使っていただいているということであるのに対しまして、荷物、貨物につきましてはすでに一三%という低いシェアに落ちておるわけでございます。そのことは、旅客に比べまして貨物の方がより競争産業的要素を持ってきていることを意味しますし、現在の料金体系からいいましても、ただいまお示しのように、運賃を改定し得る可能性が狭まっておるということはいま御指摘のとおりでございます。現在でも貨物は大変赤字になっており、どうやって固有経費で収支とんとんにするかという当面の目標を持っておるわけでございますが、それには一方におきまして輸送のやり方を変えることによって経費の切り詰めを図ることが先決でありますと同時に増送増収を図ることが非常に重要であるわけでございます。増送増収のためにはやはり運賃水準をどうするかというのは非常に問題でございます。昨年の十一月の値上げのときには旅客も貨物も一様に上げさせていただいたわけでございますが、今後につきましてはその点はよほど気を使っていかなければならない。どうしたら一番多くの収入を上げることができるかということに心を配らなければいけないわけでございまして、貨物についてそう簡単に二割三割というような改定ができるというふうな楽な環境ではないことは、私もよく承知をいたしておりますので、その辺はよほど細かにいろいろなことを調べた上でないといけないというふうに考えております。
  89. 薮仲義彦

    薮仲委員 じゃもう少し具体的に申し上げましょうか。  私は二、三の区域トラック業者の方に実勢運賃はどうなっているんだということを聞いてみました。実勢の運賃はこの認可料金じゃないんですね。たとえば東京−静岡、約二百キロですが、これの区域の認可料金は、ただいま申し上げましたように、十トン車ですと四千二百円ぐらいですね。ところが実勢運賃はどうなっているのかというと、三千円か三千二百円が実勢の運賃です。これは業者の方が実勢をお話ししましょうと言ってお話しになった。またたとえば東京−名古屋ですと三百キロ見当ですが、認可運賃が十トン車で五千三百円、こうなりますが、実勢の方は四千二百円でやっております。これは中間的な料金をいま申し上げているのです。ということは、十トン車四千二百円の認可料金が実際は三千円前後で走ってしまう、往復になると認可料金の一〇%アップぐらいでやるのです、帰りは安くしますというようなことを言っております。こうなると確かに国鉄離れ、国鉄でなければならないものは載っていますけれども、実勢運賃すらこうです。こうなってくると、もしもこれで仮に値上げしたらますます国鉄から荷物が逃げていってしまう、私はこれではいかぬと思うのですよ。  そこで、時間がもうなくなってきましたから、この問題もっと突っ込みたいのですが、いまトラック業界が運動を起こしていますね。トラック業界全体で運賃に対して運動を起こしている。国鉄総裁は御存じないでしょうけれども、こういう運動が起きているわけです。この問題はむしろ運輸省の方に伺った方がいいと思うのですが、トラック業者がいま全国的な形で運動を起こしているのを御存じですね。認可運賃完全収受運動ということをやっておられますね。
  90. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 トラック業界におきまして認可運賃を適正に収受していくことが経営の安定につながるということで、いま先生お示しのように、適正運賃収受の運動を展開いたしております。
  91. 薮仲義彦

    薮仲委員 いまおっしゃったように、全国のトラック業者がいま何を悩んでいるかというと、過積みあるいは過当競争、不当な悪い労働条件でみんな悩んでいる。しかも認可料金をもらえなくて困っておる。これはトラック業者自身も非常に困って、何とかしてほしいと言って、運動をさらに延期してことしの九月まで展開しよう、何とか荷主さんから適正な認可料金をもらおうじゃないか、この運動を起こしているわけです。ということは、荷物は積んでいるけれども、トラックの方も悪い労働条件、安い運賃で苦しい生活を余儀なくされている。しかも、それが翻って今度国鉄財政も悪化させている。こうなってまいりますと、トラック業界が行っております認可運賃の完全収受ということは、運輸省全体としてどうしても解決しなければ、トラック業界もまいってしまうし、国鉄貨物赤字が解消しないと思うのですね。この辺は運輸大臣がどのような行政指導をしておられるか、御答弁願います。
  92. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 私どもといたしましては、トラック事業は非常に数多く、また小規模事業でございます。したがって、荷主に対しまして、力関係から申し上げますと非常に弱い立場にある。そこで、荷主との関係におきましてどうしても低運賃を強いられる。それのしわ寄せと申しますか、落ちていく先が労働条件の問題なりあるいは安全運行、過積載、そういうところにつながる可能性があるわけでございますので、何としてでも荷主に対する力を強くしようということで、小規模事業につきましては近代化、集約化を目的としました構造改善事業をやっておるわけでありますが、適正運賃につきましても、認可運賃について上下一〇%の幅を設けております。したがって、何としてでもその範囲にはおさめた運賃を収受できるようにしようということで、私どもも業界を強く指導し、業界も先ほど先生の申されたような運動の展開に入ったわけでございます。
  93. 田村元

    田村国務大臣 先ほど局長から申しましたように、どうしても零細企業が多うございますから荷主から圧迫を受ける、そういうことでありますので、局長に対していろいろと検討を命じておりますが、たとえば共同集金制のようなものを検討したらどうかということも実は指示いたしております。外国でやっておるところもあるようでございますから、そういうものを一遍視察してくることも一つの方法ではないかということも申しておるのでありますけれども、この問題に対しては自動車局は非常に神経質に検討をいたしておるということを聞き及んでおります。
  94. 薮仲義彦

    薮仲委員 まだまだ抽象的な域を出ないわけでございますけれども、私は先ほど来何点か指摘しました。国鉄再建のネックになるのは、荷物を載せるという通運との関係、そして国民との間の親近感、さらにはこういう競争条件を整備しなければ、いつまでたっても国鉄再建というのはなし得ないのじゃないか。他の競争手段整備という問題は、競合関係にあり、しかもそれが適正な認可運賃で行われているならば当然国鉄に荷物が移るであろうものが移らなくなってくる、こういうことの対策は運輸行政の中で、国民の皆さんに運賃値上げを要求する以前に運輸省として整備をして、こういう形でおります。しかし、この部分はやはり必要なんですという話ならば私は理解は得られると思うのでございますが、特にトラックに荷物をとられるとられる、国鉄不要論というようなことまで一部にはささやかれている今日、この問題が国鉄再建の一番のネックであって、いまのような形であって再建しますということでは私は納得できませんので、しっかりとした指導の方向をもう一度求めます。
  95. 住田正二

    住田政府委員 先ほど来国鉄貨物の問題について御議論をいただいているわけでございますが、これまでのこの委員会の国鉄貨物問題の議論というのは、国鉄貨物は大企業に奉仕している、そのために国鉄貨物赤字になって国鉄の全体が赤字になっているという議論中心であったわけでございますけれども、きょうは非常に中身に入った御議論をいただいておるわけでございますが、先ほど渡辺委員にも御答弁申し上げたわけでございますけれども、本来国鉄貨物問題というものは、国鉄が経済合理性に基づいて企業マインドでもって処理すべき問題ではないか。運輸省といたしましては基本的な方向を示す、後は国鉄がいろいろ計画を立てて実行してもらう、必要に応じて行政上、財政上の支援を与えるというのが運輸省の立場ではないかと思います。  私どもといたしましても、ただいま問題になりましたトラックの過積み問題あるいは労働条件の問題等については、やはり国鉄貨物問題に影響を与える要因であるとして部内でいろいろ話をいたしまして、本年度からは貨物輸送監理官というものを各陸運局に配置してもらうという措置をとっているわけでございます。また国鉄貨物に対する財政上の援助という問題も、問題としては取り上げ得る問題かと思いますけれども、私どもが外国の例を調べてみまして、貨物に対して財政上の援助を与えているという例は、例外としてはありますけれども、一般的にはないわけでございます。イギリスなどの例では、たとえば工場に引く専用線について助成をする、その助成によって荷物を集めるというようなことで、助成をやっている例はございますけれども、一般的に貨物に対して助成をしておりませんし、イギリスの労働党内閣が昨年出しましたいわゆるグリーンペーパーの中でも、貨物に対して助成する経済的、社会的理由はないというようなことも言っているわけでございまして、私どもとして現在の国鉄貨物について財政上の援助を与えるというような理由を発見することが非常にむずかしい情勢でございます。別に国鉄貨物を全部放任するということではございませんけれども、やはり国鉄貨物についてはまず企業マインドで、企業として成り立つということを前提に努力をしてもらいたい。そうでないと、先ほど申し上伊ましたように、結局旅客に負担を負わせるということになるわけでございますので、そうなると、いわゆる安楽死論というものが出てくる可能性もある。そういうことでとにかく国鉄貨物が旅客の負担にならないように、しっかり計画をつくってやってもらいたいというのが運輸省の態度でございます。
  96. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間がありませんので、こちらの質問に的確に答えていただいた方がいいわけなんですよ。私が聞いたのは、他のトラック業者の運賃がこのように実勢運賃は安過ぎます、これに対して運輸省がきちっとした行政指導をしなければ、国鉄貨物からますます荷物がなくなります、これは国鉄再建の一番の重要な課題です、どうするのですかと聞いたのですよ。
  97. 中村四郎

    ○中村(四)政府委員 適正運賃を下回っている運賃収受が現実として行われておるということにつきましては、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたようにどうしても認可運賃の範囲内におさめようということで、業界に対してもこれを指導し、それから私どもとしても事業監査なりあるいは街頭取り締まり、五十二年度からは貨物輸送監理官という制度を設けてこれを是正していこう、こういうことになっておるわけであります。しかしこれだけでは単に取り締まり面の強化ということになるわけでありまして、基本的な問題としては、事業者の体力をつける、そして荷主に対して共同して、大臣先ほど申されたような新しい組織等も研究いたしまして対処していきたい、こういう考えでございます。
  98. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま問題提起しましたことは、国鉄再建貨物については非常に大事な点でございますので、どうか運輸大臣初め関係当局の皆さんの御努力で改善されるように重ねて要望して、次の問題に移らしていただきます。  先ほど来、国鉄再建のために必要な営業体制ということをずっと言っておるわけでございますが、フレートライナー、コンテナというような物資別専用列車というのがございますけれども、やはり国鉄貨物の大宗は一般車扱いであるということは総裁御認識のとおりであります。ただし、ここで大事なことは、さっきいみじくも総裁がおっしゃった安定性、確実性ということは国鉄貨物の中に要求される重要な課題だろうと思うのでございます。  そこで、ちょっと具体的な例を一つ挙げます。われわれ貨車を見ておりますと、走っておるときは相当速いなと思っておるわけですが、実際トータルしますと、貨物のスピードというのは非常に遅いんですよ。ある人は九キロとか十キロとか、このような指摘がございますが、それが非常に安定性、確実性ということの障害になっていることも事実のように私は感じるわけです。私もダイヤをいただいたのですけれども、本当に苦労しいしい——きょうは時間がありませんから、静岡だけ言いますから。私がちょうど静岡にいるから静岡を中心として見た方が楽でしたから。まあ聞いてください。  たとえば大阪の梅田を本日十一時ごろ出発した列車が静岡県の富士に着くのに何時間かかるか、これは総裁に聞いても無理でしょうけれども、御専門の方いらっしゃれば、その列車は大体おわかりになると思うのです。それから、静岡県の富士を夕方の十九時に出発して岡山県の東福山駅へ着く列車がございます。この貨物列車の所要時間は大体何時間ぐらいでありますか。また、静岡の焼津は魚で有名ですが、ここから東京へ行く列車が十四時に出ます。東京の汐留に何時間かかっていくか、いま列車を三本ほど挙げましたけれども、所要時間をちょっと言ってみてください。
  99. 田口通夫

    ○田口説明員 梅田を出まして富士に何時間かかって到着するか。御説明申し上げますが、まず答えだけ申し上げますと三十八時間十分でございます。なぜこんなにかかっているかといいますと、(薮仲委員「時間だけで結構です」と呼ぶ)そうですか。次は、富士から岡山の東福山が三十三時間二十分でございます。それから、焼津から汐留まで三十時間四十分でございます。
  100. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま具体的に時間を聞きましたけれども、三十八時間十分、三十三時間二十分、焼津—東京が三十時間以上かかるわけですね。これは新幹線で行けば一時間ちょっとで行くわけですけれども、普通の在来の旅客に乗っても三時間、四時間というのが、一たん貨物になるとこのように三十八時間、三十三時間、三十時間、たとえばきょう出ればあさってということですね。きょう載せるとあさって着くわけです。これでは幾ら競争しましょう、お客さんの御要望にこたえます、どうぞ国鉄に荷物をお載せくださいと言っても、魚を積んで東京へ行ったら腐っていたということはないでしょうけれども、これでは荷主さんも安定性、確実性という面ではちょっと困るのじゃないか。これらの荷物はヤードヤードで旅客がどんどん通って置いてきぼりを食うわけです。そうすると、いま言ったように三十八時間、三十三時間、三十時間というような時間になるわけです。  ここで貨物再建論のもう一つに、荷主の要望に合わせるような——大体荷物というのは夕方出てくるわけです。こういうような面、荷主の二ーズに合わせるような時間帯ということも考慮が必要でしょうし、所要時間も問題だと思うのです。確かにいま旅客優先ということはわかります。でも、貨物再建するというのだったら、ダイヤを組むときに、五十三年と五十五年には大改正をいたしますと言うけれども、どのようなダイヤを組まれるかまたわからない。私はそのときのためにいま具体的な時間を申し上げたのです。国鉄に荷物を載せるためには貨物の方ももう少し温かくしていただいた方がいいのじゃないかと思いますけれども、総裁いかがでしょう。
  101. 田口通夫

    ○田口説明員 いま御指摘のとおり、確かに大変たくさんの時間がかかっております。  しかし、ぜひ御理解いただきたいと思いますのは、貨物列車がたとえば吹田から新鶴見まで動きます場合、非常に効率いい列車でありますと千二百トンいっぱいで引くわけです。これが私どもの理想とする国鉄の適合した輸送体系だというふうに考えております。しかしながら、具体的に発生いたします貨物は各駅で一車、二車というふうに集まってまいりまして、これをそれぞれ集めるローカル列車というのがございまして、これが一つの新鶴見という大きなヤードに着くまでにかなりの時間を要するわけでございます。それでも千二百トンも引いておりませんで、せいぜい平均して三百トン程度、個々に集めてまた解放いたしたりいたしますので、そういう実態で、ローカル列車で時間がかかる。そこでようやく吹田ヤードに来まして、千二百トンを引くためのいろいろの作業を経まして、千二百トンとして新鶴見へ出ていくというような形になっておりまして、列車のスピードが、旅客から追い抜かれるのでおくれるということもありますけれども、三十三、三十四時間かかります大部分の原因は、途中駅の解放、連結ということに時間がかかっておりまして、これは今後作業ダイヤその他ある程度見直しながら改善はしていきたいと思いますが、国鉄の現在の集結輸送の一つの性格といいますか、そういう形の中で生まれた時間でございまして、このためにも、私ども、個々のローカル列車をできるだけ自動車に取りかえて、自動車の小回りのきく速達をやってもらう、そして大きな基地から大きな基地へは動く道路としての鉄道を御利用願うという意味で駅集約というものも進めていくことによって、運賃問題その他は、先ほど総裁申しましたように、いろいろ頭を使っていけば結構やっていけるわけでございますので、輸送のあり方というものを鉄道だけでやるのではなしに、トラックの機能も十分に利用するという形の中で、大きな問題として三十三時間、三十四時間の問題を解決していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  102. 薮仲義彦

    薮仲委員 いまの問題はこれからの大事な課題だと思いますから、きょうはその辺にしておきますが、荷主さんの要望、物流等をよく考慮なさってダイヤの改正は進めていただきたい、こう重ねて要望しておきます。  次に、これは総裁にちょっと提案して伺っておくのですが、われわれ、創業当初新幹線貨物計画もあったことは伺っておりますけれども、現在の東海道新幹線貨物を扱えるような状態になっておりません。しかし、あれの中でエアメールのような形があったらなというような感じがしないでもないわけでございますが、これからの新幹線の中に、今度上越とか東北新幹線計画されております。この中に夢の超特急貨物のようなものを考えてみる気持ちはないのかなという気がするわけですね。東海道新幹線をやるときに、やはり非常に話題になったことがありました。しかし、実際は旅客の方が多くて貨物を載せる余裕はございませんということでした。上越、東北になりますと、多少の物流に余裕があるのではないかという気持ちがしないでもありません。ああいう列車で、ああいうことで非常に積みおろしが不便だとか、いろいろなあれがあるでしょうけれども、ふるさとの特産物を送るような形で新幹線の中に貨物が積めるかどうか、またそういうお気持ちがないのか、その点を一言だけ伺っておきます。
  103. 高木文雄

    高木説明員 新幹線につきましては、二つほどそういう輸送の問題がございまして、一つの問題は、荷物を新幹線で速いスピードで運ぶことを考えたらどうかということが一つ。もう一つは寝台、夜行をどう考えるかという問題があるわけでございます。  前者につきましては、どうもやはり積みおろしに相当時間がかかりますので、そういうスピードのどうしても遅くなりますものを走らしますことは、他の旅客のための列車の運行にどうしても支障が参るようでございます。また、荷物車を新幹線の中に一両なら一両つけるということになりますと、その積みおろし時間のために各電車の駅にとまっておる時間がどうしても長くなるという問題がございまして、いまのところどうもうまくいかないというのが結論でございます。  また、夜の時間帯を使うということにつきましては、二つの面でちょっと問題がありまして、一つは、現在新幹線が騒音ないし振動ということでいろいろ沿線住民に御迷惑をかけているわけですけれども、夜走らないということで何とかお許しを願っておるわけですが、夜新幹線が走ることになりますと、騒音、振動問題が全く新しい問題として沿線住民を刺激するということになるという点が一つと、現在夜間に保守作業をやっております。路盤にいたしましても、架線にいたしましても、十年以上経過しまして、大分傷みが出ておりますので、維持のための保守作業の重要性というものがかなり高まっておるわけでございまして、その意味で、夜の時間帯が保守作業に充てられているということは、夜でございますから皆さんの目に触れることはないわけでございますけれども、いまの新幹線を大事に使っていく上において相当重要な要素になっております。そういう点で、御提案ではございますが、いまのところ荷物あるいは貨物新幹線に載せるということは、現実的な問題としてどうもうまくいかないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  104. 薮仲義彦

    薮仲委員 総裁のおっしゃったのは、東海道新幹線のダイヤを想定してのお話だと思うのでございますが、私が申し上げているのは、上越、東北新幹線ですね、あちらの方のダイヤは東海道新幹線ほど、それほどお客さんが乗らないのじゃないかということを前提にしてお話ししているのでございますから、どうかそちらの方をどうするのかということを考えながらもう一度御検討いただきたい、これだけ申し上げておきます。  大蔵省の方、お戻りになりましたか。——時間が遅くなってどうも済みませんでした。簡単な、基本的なことだけ何点かお伺いしておきたいと思うのです。  先ほどの委員の方の法案の提案の中に出てまいりましたけれども、国鉄財政再建の中で必要な措置として、財政的な措置といいますか、負担区分というものが非常に大事な点だろうと思うのです。国鉄の能力を超える部分についてどうしなければならないか、その点はなかなかできにくいことかもしれませんが、いわゆるいま大蔵省等の御見解を伺えば、受益者負担利用者負担という形での問題が提起されます。ここで何点かちょっと問題だと思うのは、たとえば国鉄は現在総合原価主義を貫いておるわけでありますけれども、山手線、高崎線、新幹線等は、営業係数からいけば料金はもっと安くなるなという考えが成り立ちますし、逆にローカル地域は相当運賃を上げなければならないが、これは公共福祉の面から無理だろう。あるいは、先ほど来問題になっております定期だとかあるいは社会保障関係のあのような割引について、民鉄もこのことは国が負担してほしいということを言っておりますが、こういう問題はやはりこれから古いようで新しい財政再建の道じゃないかな、こう思うわけです。そして、利用者負担しておりますよ。国の財政支出は、道路には二兆一千億です。国鉄には一兆八千億です。もうそろそろ国鉄の方への出資が逆転します、こういうふうにおっしゃった。でも、これも考えてみますと、やはり地方自治体負担している部分あるいは農林省が負担している部分の道路部分も相当あるわけですから、そういうトータルの面で見ますと、国鉄の線路から下の部分の負担についてもう少し考えていただかなければならないのではないかというようなことも検討していただければ、こう思うわけでございます。  また、受益者負担という言葉でもう一点は、たとえば私が東京から新宿まで乗る。その間、あなたが乗ったのだから払いなさい。これは確かに受益者負担です。鉄道の場合は確かに、新宿から今度は目黒に行きますと言えば、受益者負担で払うわけです。ところが、道路の場合はいわゆるガソリン税でイコールフィッティングになっておりますよという御説明でございましたけれども、いわゆる林道であるとか町村道まで入っていけば、ガソリン税が還元されない道路にも自動車は随時に入っているわけです。無制限に自動車は走れるわけです。こういうことを考えてみますと、やはり何らかの形で将来負担区分ということが問い直され、一つの方向性が打ち出されてしかるべきじゃないかなと考えておるわけでございますが、この点いかがでしょうか。
  105. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 大変に広範な形でのお話、御質問でございまして、答弁としてちょっとまとまりがないことになるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。  まず、基本的な問題として負担区分の考え方でございますが、私どもといたしましては、毎回申し上げておりますように、国鉄の経費につきましては、まず受益者負担というのが何といっても原則である。再建をするためにはもちろん企業経営努力というのが必要である。そして受益者負担をやっていく。それでもなおかつうまくいかない——実際そういう現状になっておりますが、そういったことで、国鉄の能力を超える負担という分については補完的に財政助成をしていくということで、財政の立場というのはあくまでも補完的なものであるというのが基本的な考え方であろうかと思っております。ただ、現在財政が四千五百億円近い助成をいたしているわけでございます。その助成をするにつきましては、それぞれの項目につきましてそれぞれのルールというものをつくってやってきておるわけであります。したがいまして、たてまえの問題としての負担区分というのは先ほど申し上げましたようなことであり、それから個々の問題につきましてはそれぞれまたルールがある、このように考えてございます。  それから道路との比較でございますが、道路とかそれから航空とかそれから港湾とか、国鉄と競合する交通機関がいろいろあるわけでございますが、この辺に対する国の助成とそれから国鉄に対する助成とを比較をしていろいろ議論がなされるわけでございますけれども、これは技術的になかなかむずかしい問題が幾つかあるわけでございます。たとえば道路の場合でございますと建設費だけをとらざるを得ない。建設費に対する助成はございますが、運行費に対するものは全部運転者持ちであるというようなことがございます。  飛行機の場合につきましても、飛行場と管制につきましては国の施設がございますけれども、飛行機そのものそれから飛行機の乗務員、そういったものについてはもちろんこれは利用者負担だというような仕組みになっているわけであります。  国鉄の場合はどうかと申しますと、建設、つまり路盤の問題と運行の問題と一緒くたになっておりますので、その辺のところの比較がなかなかむずかしゅうございます。それから、国がお金を出しておると申しましても、そのお金に特定の財源があるものとないものとあるわけであります。しかもその特定の財源というのが法律上の特定財源と、それから実質的にその利用者負担している財源とございます。  たとえば自動車の場合で言いますと、自動車の重量税というのは、法律上は一般財源でございますが、とにかく自動車が負担しているじゃないかという議論もございます。極端になりますと、自動車の物品税についても広義の自動車の利用者負担ではないかという議論もございまして、どの範囲をとってみたらいい議論ができるのかという点がなかなかむずかしい問題がございます。  それから三番目に、外部経済をどう取り込むかという問題がございます。たとえば道路の場合でございますと、御承知のように排気ガスを出します。こういった公害の問題、これも結局は自動車利用者負担すべきでないとかあるとか、そういった議論がございまして、なかなか比較がむずかしいわけであります。  そういったことで、御質問の通路費の問題につきましてもそういった他の交通手段との比較という観点からだけで議論をすることにつきましてはなかなかむずかしい面があろうかと思っております。そうして、それでは通路費についてどう考えるのかということがあろうかと思いますが、これにつきましてはかねてから御答弁申し上げておりますように、基本的には通路費はそれぞれの交通手段利用者がやはり負担すべきものではないかというふうに考えておるところであります。  それにいたしましても、国鉄に対する財政的な助成を今後どういうふうにして進めていくのかということにつきましては、現在で据え置いてそのままでいいのかどうかということについては、やはりいろいろ今後の問題もあろうかと思いますし、今後国鉄財政を進めていく過程におきまして、それぞれ必要な措置があれば、その時点時点におきまして検討は続けてまいりたいと思っております。
  106. 薮仲義彦

    薮仲委員 いまの問題はまた改めて検討させていただきますが、本日は、私は国鉄再建の中の貨物に焦点を当てて何点か総裁並びに大臣鉄監局長の御意見を伺ったわけでありますが、どうかきょうここで論議されました問題、十分じゃなかったにしましても、それを踏まえて貨物赤字を解消していただく、全力を尽くしていただきたいと心からお願いをする次第でございます。  最後でございますが、一言総裁運輸大臣から、もう一度貨物赤字に対する御決意を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  107. 高木文雄

    高木説明員 冒頭に申し上げましたように、一方において輸送の方式を変えることによりまして経費の節減を図ってまいりたい。それから、基本的に安定輸送の確保に努力をいたしたい。三番目に、営業活動をいろいろ活発にいたしたいということを申し上げましたが、なかんずくいまの三番目の点についていろいろときめ細かく御指摘をいただいたわけでございます。待ちの姿勢というものをだんだん改めなければならない、あるいは積極的なPRを進めなければならない。また、他の通運業者その他の集貨といいますか、お客さんと直接接触する部面の仕事をしていただいている方々との連携協調を図らなければならないというような点を多々御指摘いただいたわけでございますが、私どもも、いずれも非常にむずかしい問題ではございますが、基本的に現在国鉄の姿勢の中で欠けている点でございますので、そういう点を御激励によって大いに進めてまいりたい、何とかそれで五十五年度までにこういう経費で収支均衡ができるような努力を、これは大変な骨が折れることだと思いますけれども、重ねてまいりたいと思います。  いろいろ御注意いただきましたことを大変感謝をいたす次第でございます。
  108. 田村元

    田村国務大臣 先ほども申しましたように、国鉄再建貨物再建なくしてとうてい達成できない、これは基本的な考え方としてわれわれは受けとめなければなりません。  いま総裁が申しましたように、いろいろと御忠告を承って、またお知恵を授けていただいて、貨物部門がりっぱに立ち直りますように、私も国鉄に対して厳しく物を申し、指導監督をしていきたい、こう考えております。
  109. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  110. 大野明

    大野委員長 小林政子君。
  111. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、法定制緩和問題について最初にお伺いをいたしたいと思います。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕  法定制緩和が財政法第三条に違反しないという政府の主張の唯一の論拠は、厳重な要件がつけられているというものでございます。ところが、その厳重な要件というものは、実際には全く歯どめの役割りを果たさないざる規定であるということを私はまず冒頭に言わなければならないと思います。  第一に、認可だけでやれる値上げの限度ですが、単年度赤字の場合は物価等上昇率プラス一五%となっていますが、物価の方は、いまの自民党政府のやり方では、実際、まさに歯どめがないわけです。将来、かつてのような、あの石油ショックのような狂乱物価の状態があらわれた場合には、仮に三〇%の卸売物価あるいは小売物価の上昇、それに伴う平均賃金のアップがあった場合には、実際には四五%までの値上げがやれるということ、いまの法律ではこういう解釈になるわけです。この点は間違いございませんか。
  112. 住田正二

    住田政府委員 現在御提案申し上げている法律は上限を決めているものでございますので、その上限まで必ず上げるということではございません。  いま御指摘のように、仮に狂乱物価ということで三〇%、四〇%というような大きな物価変動があった場合に、それにプラスして一五必ず上げるということではなくて、そのときにおける物価情勢等を勘案いたしまして適切な値上げ幅にとどめるということになるわけでございまして、そこまで必ず上げるという意味では決してございません。
  113. 小林政子

    ○小林(政)委員 上限を定めたものだということでございますけれども、結論は、しかし、法律ではっきりとうたわれているように、この限度額を設けたということは言われましても、物価次第では大変な値上げというものもやろうとすれば自由にできる、こういうことになるわけですね。そういったことで歯どめということに一体なるのかどうなのか。大体いままで政府は物価をいろいろと抑制するなどと言ってきましたけれども、政府の見通しどおりになったことがいままでありましたか。運輸大臣、あなたはこういう法案に対して、これを出される以上、物価についても完全に責任を負うということをお約束されるのですか。
  114. 田村元

    田村国務大臣 私は単なる運輸大臣にすぎませんから、物価について責任を持つという大みえは切れませんけれども、しかし私どもの内閣が必ずや物価を抑制し得るということを信じておりますし、私どもの内閣において物価を中心に最重点的な施策として努力をいたしておりますので、それはまあオイルショックのようなことが来ればこれは世界じゅうのことでございますから何とも申せませんが、今日のような状態で推移するならば物価は必ず克服される、このように信じております。
  115. 小林政子

    ○小林(政)委員 大臣はいま物価に責任は負えないということですね。しかし大臣としてやはり責任を負わなければならないのは、国有鉄道運賃法の第一条、ここに運賃原則が定めてございますけれども、第四号に、賃金及び物価の安定に資するということが書かれています。物価上昇より高く運賃が決められていく、上げられていく、こういうことでは物価の安定に資するということになるのかどうか。この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  116. 田村元

    田村国務大臣 先ほど局長がお答えしましたように、あくまでもあれは上限を示したものでございまして、当然物価との関連を重視しながらこの方式を扱わなければなりません。でありますから、物価に対して一番神経質になってこの問題を取り扱う必要があることは申すまでもございません。
  117. 小林政子

    ○小林(政)委員 私はいまそのようなことを聞いたのではございませんで、毎年物価上昇率以上に実際に運賃を引き上げるという仕組みに制度上なるわけです。私はこのことが国有鉄道運賃法の第一条第二項四号の精神に結局合致するのかどうなのかという点をお聞きしているのでございまして、その点について御答弁をいただきたいと思います。
  118. 住田正二

    住田政府委員 国有鉄道運賃法第一条第二項には四つの基準が示されているわけでございまして、いま御指摘の基準は一つの基準でございます。私どもといたしましてはその四つの基準を総合的に勘案して決めるわけでございますが、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、特に物価に配慮して上限の範囲内で運賃の幅を決めていくというような扱い方をいたしたいと考えているわけでございます。
  119. 小林政子

    ○小林(政)委員 上限の範囲内でということでございますけれども、この問題はここで繰り返しても仕方がございませんので、結局今度の法案運賃原則という法の根本と全く矛盾するもので、実際には物価値上げの牽引車の役割りを果たすものではないか、このことを私は指摘をして次に入りたいと思います。  それでは、単年度収支が赤字の間は物価上昇変動率プラス一五%というふうになっておりますけれども、政府は五十四年度には黒字に転換するとおっしゃっています。したがって、プラス一五%が認められるのは五十四年度までである、このように解釈してよろしゅうございますか。
  120. 住田正二

    住田政府委員 現在定められております再建対策要綱では、おおむね五十四年度までに収支均衡を図るということにいたしておりますので、その目標が達成されまして五十四年度に黒字が出た場合には、以降一五%の値上げはできなくて五%の値上げが上限となるということでございます。ただし、一度黒字体質になりましても後でまた赤字体質に戻るという場合には、また一五%が限度になるということでございます。
  121. 小林政子

    ○小林(政)委員 五十四年度までに黒字に転換をする、おおむね転換の目標をそこに置きたいということですけれども、それだったら、少なくとも五十四年度までに具体的な経営の見通しを持っていらっしゃるはずですね。五十三、五十四両年度にそれぞれ何%の運賃の値上げというものを行おうとしているのですか、また国の助成などについてもどれだけ予定していますか、経費の方についてもどのくらいの増加ということを見込んでいらっしゃるのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  122. 住田正二

    住田政府委員 今回の再建要綱の考え方は、従来の国鉄財政再建と異なっております。従来の再建の考えは十年という比較的長期の期間計画でございまして、最終年度に損益面において黒字が出るというような考え方でやっておったわけでございます。それに対しまして今回の再建考え方は、国鉄が現在抱えておりますいろいろな赤字要因というものを分析検討いたしまして、それについての対策を講じて、できるだけ早い機会に収支均衡を図ろうという考え方でやっているわけでございます。当初といいますか、一昨年度末に決めました再建対策要綱では五十二年度に収支均衡を回復するという考え方でございましたけれども、その後の経済情勢等の変化によりまして、これを、先ほど申し上げましたように、おおむね五十四年度に収支均衡を図るということに変えたわけでございます。そういう前提で今後国鉄が努力をし、また適時適切な値上げをし、さらには政府が適切な助成をすれば、おおむね五十四年度に収支均衡がとれるというように考えているわけでございます。
  123. 小林政子

    ○小林(政)委員 おおむね五十四年度までに収支の均衡を図るということで、いろいろと試算などもされた上でこういった目標を出されたのだろうというふうに思うわけですけれども、裏づけが結局あるはずでしょう。それとも全く裏づけもなく、希望だけでもって述べられたということなんですか。運輸大臣、たしか大臣もこの趣旨説明の中で、収支均衡の目標年度をおおむね五十四年度にするとおっしゃったというふうに私は記憶しておりますけれども、目標とする以上、当然計画があり裏づけがあり、その中から大体この目標が出たというのは、私はこれは当然のことだと思うのです。もう一度大臣からお答えいただきたいと思います。
  124. 田村元

    田村国務大臣 おおむね五十四年度ということは、五十四年度ということに硬直的に考えるということではなくして、一つの目安としておおむね五十四年度ということを目標にしたわけでございます。そして国鉄の営業努力がどこまで実りますか、いまのところまだ案をつくっておるところでございますから何とも申せませんけれども、そういうものと相まって、しかもこれからわれわれが組み立てていきます助成策等々というものと相まちまして何とか実現をいたしたい、このように考えておるわけでございまして、いまから何年に何%というふうにきちっと決めていくことはむしろかえって無理がある。それは運賃にのみ頼ってしまうということになりますから、私どもは総合的な判断でこれを扱っていかなければならない、このように考えております。
  125. 小林政子

    ○小林(政)委員 どう何回聞いても五十四年度を目途として、目標年度としていっているのですから、当然これの裏づけを、運賃はどうするのか、あるいは国の助成はどうするんだ、あるいはこの国鉄の経費等はどうなる見通しだということを、やはり裏づけを持って決めるということは、私はこれは当然のことだと思うのですよ。こうすれば可能だという根拠なり計算ですね、そういうものが当然私はあるはずだというふうに思いますけれども、それを私はぜひひとつ聞かしていただきたい、このように思います。全然ないのですか、立ててもいないのですか。おかしいじゃないですか。
  126. 住田正二

    住田政府委員 現在御提案申し上げている法案では、物価変動率等に一五%足した率を上限といたしておるわけでございまして、この一五%を計算する場合においては五十四年度収支均衡という前提で一応の計算をいたしているわけでございます。
  127. 小林政子

    ○小林(政)委員 本当に無責任だと思います。運賃値上げは白紙委任してください、そうすれば自分たちはこれを黒字にしていきますよ、こういうことをおっしゃっていながら、それじゃ白紙委任をしてくださいよ、そのかわり私たちはこうこうこういうふうにやりますよ、こういうものをきちっと示すのが私は当然のことじゃないかと思うのです。先日、運輸省財政課の方のお話を伺いましたけれども、内部ではこの問題について試算検討をされているということを聞いておりますけれども、ぜひそれをひとつ出していただきたい、このように思います。
  128. 住田正二

    住田政府委員 たびたび恐縮でございますけれども、昭和五十四年度におおむね収支均衡するという前提のもとに現在の法案提出いたしているわけでございまして、そういう意味では私ども内部で検討はいたしております。  しかし、実際上来年度幾ら運賃値上げをするとか、あるいは幾ら来年助成額をふやすということは、まだ決まっているわけではございませんので、現段階で申し上げられないということでございます。
  129. 小林政子

    ○小林(政)委員 ともかく、五十四年までにそれじゃ収支とんとんになるのか、実際試算のしようも、委員会が、どういう実態になっているのかというのをはっきりさせるということも、審議をするということもこれじゃできないでしょう。白紙委任だけはひとつよろしくお願いします。後は適当にやりますからお任せ願いたい。大体物価上昇率プラス一五%ないし五%、こういうことだけでお任せを願いたいということは、これは私は納得ができません。こういう問題について審議をしろと言う方が無理だと思うのですよ。私は資料を、ぜひひとつ委員長にお願いをいたしまして、運輸省からこの委員会に、審議を行うことができるような試算をひとつ御提出を願うように委員長にお願いを申し上げたいというふうに思います。
  130. 田村元

    田村国務大臣 これは、ことし一九%九月から上げる。来年それじゃどれだけ上げるか、それはどれだけお客様が乗ってくださるかということで大きな影響がございます。また、経済環境が急速によくなるということにでもなれば、また事情も変わってくると思います。でありますから、いま白紙委任ということをおっしゃいましたが、白紙委任じゃございませんので、上限を決めた、言うなれば条件づきでお預けを願いたい、こういうことでございまして、来年になってまた本年の収入状況、それから来年自体の見通し、そういうものをいろいろと勘案して上限一五%、——五%ですぐに計算することは、黒字にならないからちょっと無理かもしれませんが、しかし上限一五%の以内でこれを操作していく、こういうことでございますので、いまから五十三年は幾らにするのだ、五十四年は幾らにするのだ、だからイコール幾らだというようなことではございませんので、もちろん運輸省の内部でいろいろと計算をいたしております。いたしておりますけれども、それは経済状況がこのようによくなったらこれだけで済むだろう、あるいは国鉄経営努力がここまでいったらこういうふうになるだろう、そういうことはそれは検討いたしておると思いますけれども、実際にわれわれが決めたスケジュールとしての試案は、委員会にお出しするということは不可能でございます。
  131. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、やはり目標年度というのを、五十四年度に収支均等になるように均衡を図りたい、こういうことでしょう。ですから確かにおっしゃるように、ある程度の試算をしてもぴたりとそのようにいくかいかないかということはともかくとしても、考え方を示す一つの方法として大体この程度の計算でやればこうなっていくということは、委員会に出されて私は当然のことだと思うのです。私は、ぜひこの点はひとつ資料を提出をしていただいて、その検討されている試算でもいいと思うのです。これをわれわれの審議の過程の中で十分審議が行えるように、これを委員長の方からもひとつ皆さんにお諮りをいただいて、資料要求をお願いいたしたいと思います。
  132. 宮崎茂一

    ○宮崎委員長代理 小林君に申し上げます。  資料提出の件につきましては、理事会で協議いたします。
  133. 小林政子

    ○小林(政)委員 私はぜひひとつ、資料が出てまいりましてから改めてこの問題については質問をいたしたいというふうに思いますので、質問をこの点では保留いたしたいというふうに思います。  五十四年の収支均衡ということが言われていますけれども、果たして五十四年に均衡になるのかどうか、私もこの問題についていただいた資料などをもとにして試算をいたしてみました。  五十三、丘十四年の両年で経費の増加を——こういうことは仮定の問題ですからではありますけれども、しかし増加を一〇%と押さえ、こんなことは実際にはあり得ないと思うのです。もっと経費は増加する。しかし、経費の増加を一〇%に押さえて、運賃の方はもう最高で二五%、そうして国庫補助も二〇%ふやしたとして計算をいたしてみますと、約二千億近くの赤字になるのですね、五十四年度。これは収支とんとんじゃないのです。二千億近くの赤字になります。これは昨日も資料を要求をいたしたのでございますけれども、国鉄当局にも私がいま言ったこの仮定でどうなるのかという計算をお願いをいたしましたけれども、五十四年度の損益は一体どのような状況になりますか。
  134. 住田正二

    住田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、収支予想については不確定要素が非常に多いわけでございますけれども、一応いま先生の御指摘がございましたような数字で、幾つかの計算があると思いますけれども、一つの計算をしてみますと、五十四年度では一千億の黒字が出ることになります。いまの御質問の趣旨が、小林先生の御指摘数字で計算いたしますと赤字でございますけれども、私どもで実収率その他をいろいろ勘案して計算いたしますと、黒字になるということでございます。
  135. 小林政子

    ○小林(政)委員 私はいま、五十三、五十四、両年度の経費の増加を一〇%に押さえて、そして運賃の方は二五%、そして国庫補助も二〇%という想定で試算をしてみますと、約二千億近くやはり赤字になるのです。いま鉄監局長、千億程度の赤字が出てくるということを言われましたけれども、入る方は、収入の方は最大限にこれを押さえて、出る方は最小限にこれを見積もって、そしてなおかつ五十四年には赤字なんですね。ここに試算のあれを持っていますけれども。結局物価変動率プラス一五%の値上げが、これで五十四年度に終わるということはあり得ませんし、もっともっと続くということがこのことが一つは明らかにしておりますし、それだけじゃなくて、黒字になった、転換した後も、先ほどお話のあったように再び一円でも赤字が出たら、実際に一円ということはあり得ないでしょうけれども、実際に十億や百億ぐらいだったら経理上幾らでも御操作ができるわけですから、そういう場合にはその翌年度、再び物価上昇率等変動率にプラス一五%、こういう値上げができる、このように解釈をすべきだというふうに思いますけれども、この解釈で正しいのですか。
  136. 住田正二

    住田政府委員 先ほど申し上げましたように、一度黒字になってもその後赤字になれば上限として物価等変動率に一五%を加えた率が上限になるわけでございます。  それから、先ほど説明がちょっとあるいははっきりしなかったかもしれませんが、先生の御指摘のような計算でやりますと確かに赤字になりますけれども、計算の基礎いろいろむずかしいわけでございますが、実収率といいますか、逸走率をどう見るかとかあるいは自然増収をどう見るかというような点だけを考えてみますと、私どもの計算では十分先生のおっしゃったような前提で考えましても黒字になるということを申し上げたわけでございます。
  137. 小林政子

    ○小林(政)委員 結局さっきの蒸し返しをやっておられるようですけれども、私はこれはひとつ資料を提出をしていただく、その上でもってもう一度はっきりとさせたいというふうに思っておりますので、そのようにしてもらいたいというふうに思います。  今回のこの法律によって、単年度の黒字が続いたとしても、運賃の値上げというものはとまるわけじゃなくて、結局今度は物価上昇率プラス五%、こういうことになるわけですけれども、大臣政府が勝手に値上げができるこの特例条項がストップするまでという、すなわち累積赤字が二兆五千四百四億円に減るまで一体どのくらい、何年ぐらいかかるというふうにお考えになっているんですか。
  138. 住田正二

    住田政府委員 一応五十七、八年くらいには累積赤字が解消できるのではないかと考えております。
  139. 小林政子

    ○小林(政)委員 政府のことし五十二年度末の予算による累積赤字は二兆五千四百四億円のたな上げ分を除いて累積赤字そのものは一兆三千二百九十六億円さらに五十三年度以降の赤字分がこれに加わりますから、これが単年度黒字に転換するまでは二兆円、約二兆円前後になるのではないか、このように思いますけれども、相当これは二兆円前後ということになりますと、毎年毎年年間千億ぐらいのもうけを上げる、こういう企業民間会社でも数社にすぎないほどの膨大な利益を上げるということになりますけれども、しかしそれでも二十年かかるんですね。あるいは年間五百億円の利益を上げるというふうに仮定すればこれは四十年かかるんですよ。このような二十一世紀までずっと運賃値上げ国鉄政府が勝手にやられる状態というものが続くのですけれども、これが本法案の中に貫いている「当分の間」の意味なんだ、こういうことは私はいただけないと思いますし、これが厳重な要件とおっしゃる中身なんですか。私はこの法案は非常に問題であるというふうに考えますけれども。
  140. 住田正二

    住田政府委員 閣議了解をお読みいただきますとおわかりいただけると思いますけれども、収支均衡いたしました段階におきまして、五十一年、五十二年、予定どおり行きますと五十四年までに発生いたします累積赤字につきましては、その段階で一部は国が肩がわりをするなりあるいは一部は現在持っております積立金を取り崩すなりあるいは今後の国鉄の営業努力によって解消するということで、区分をいたすわけでございますので、それまでにたまりました赤字を全部将来の運賃によって回収するということではないわけでございます。
  141. 小林政子

    ○小林(政)委員 ともかく私はそういう内容も具体的な資料を出していただいてないので、五十三年、五十四年のこの出てまいりました赤字が、具体的にそれをどう処置をとろうとしているのか、こういうことは何一つこの委員会には具体的な問題として報告もされていませんし、また資料も出されていないんです。私はこういうことでは審議できないと思うのですよ。やはりこういう内容をはっきりとさせるためにも資料を出してもらいたいというふうに思いますけれども、累積赤字が二兆円前後に具体的になることは事実なんです。これを一体今後どうやっていこうかという計画委員会には報告されていない。私はいま御答弁の中で、それこそ年間一千億のもうけを上げるのか、それとも五百億も利益を上げる会社の例を挙げましたけれども、一体それらの問題も含めてどういうふうな解決策を図ろうとしているのか、この点をまず明確にしてくださいよ。
  142. 住田正二

    住田政府委員 先ほど申し上げましたように、本年一月二十日の閣議了解では、累積赤字の処理といたしまして、「昭和五十年度赤字のうち当初の予定を上回るもの及び昭和五十一年度以降収支が均衡するまでの間に生ずる赤字については、収支均衡を達成した時点において、国鉄経営努力運賃改定、国の援助等により適切な措置を講ずる。」ということをうたっているわけでございます。したがいまして、収支均衡する時点におきまして、そのときにおける国鉄財政状況あるいは将来の営業の見通し、また国の財政事情もあると思いますが、そういう点をいろいろ勘案いたしまして、この赤字が将来の国鉄負担にならないような適切な措置をしたいと考えているわけでございます。きょうの段階でどういう状態であるか予想が困難でございますので、幾らの赤字が出て、そのうち幾らはどうする、幾らはどうするということはきょうの段階では申し上げることができないわけでございます。
  143. 小林政子

    ○小林(政)委員 一体それはだれがその時点で判断するのですか。実際この三本の柱で、一つ運賃値上げで、一つ国鉄経営努力で、もう一つ財政援助で、そのときどきの情勢に応じて判断をして、そして解決をしていくのだ、こういうことは抽象的で具体性も何もありませんし、どのような状況のもとでどういうふうに判断するかという点は全く明確にされてないのですね。一体こういう問題はだれが判断するのかという点も含めて、法律の体系としても私は非常に問題だと思うのです。まして国鉄再建のための法定制緩和だと言いながら、いつまでかかってどのような見通しなのかということもはっきりしない。また、いままでの審議の中ではっきりしているのは、半永久的に値上げが続けられる。この点は累積赤字が解消するまでと言うのですから、もう相当長期にわたってこの値上げが続けられる。実際これでは事実上法定制が外されることになると思いますし、運賃値上げが妥当かどうかの審議がやられるのは今度は国会じゃなくなるのでしょう。運輸審議会で行う、こういうような結果になるわけでございますけれども、私はこの問題についても大きな問題点があるというふうに思いますが、いかがですか。
  144. 住田正二

    住田政府委員 先ほど申し上げましたように、五十四年度でおおむね単年度の収支均衡が図られた以降、最終的にどういうふうに処理するかはもちろんその段階で決めることになるわけでございますけれども、累積赤字の解消はおおむね五十七、八年ごろには可能であろうというように考えておりますので、半永久的にこの暫定措置が続くというようには考えてないわけでございます。また、五十四年度収支均衡時点において債務のたな上げその他の措置を講ずるわけでございますが、債務のたな上げをするために法律改正が要るわけでございますので、その段階では当然法律を国会に提案いたすことに相なると思います。
  145. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は本国会で、大臣の所信表明に対する質問の中でもこの運輸審議会の問題に触れましたけれども、法定制緩和との関連で改めてこの問題についてお伺いをいたしたいというふうに思います。  昭和四十八年の国鉄運賃値上げの答申に際して、当時の運輸審議会の会長が、大臣が困るような答申は出せない、こう述べられたということが報道されたことを私は記憶いたしておりますが、まさにそれが本音だったのじゃないか、このようにすら私は思っております。事務当局の方に、現在の運輸審議会委員のお名前と経歴をまず明らかにしていただきたいと思います。
  146. 山上孝史

    ○山上政府委員 運輸審議会委員は、津田寛さん、吉田善次郎さん、白井勇さん、宮崎清文さん、杉本行雄さん、内藤良平さん、それに中村大造さん、以上の七人でございます。
  147. 小林政子

    ○小林(政)委員 いま挙げられましたこの杉本さんは、元運輸省札幌陸運局長さんですね。
  148. 山上孝史

    ○山上政府委員 そのとおりでございます。
  149. 小林政子

    ○小林(政)委員 審議会は定員七名でございますけれども、結局いま挙げられました方々の中で高級官僚出身の方が五名、そしてしかもそのうち三名の人は運輸省出身です。官僚以外の二名のうち一人は自民党の国会議員の方でございます。私は再び運賃原則を持ち出しますけれども、国鉄運賃法の第一条の運賃原則には、第一に公正妥当ということを掲げています。公正妥当な運賃を決めようとすれば、その審議をする機関のメンバー構成も当然公正妥当でなければならないというふうに思います。大臣、いまの運輸審議会のメンバー構成がこのような状態で公正妥当とお考えでしょうか。国民の声を正しく反映する構成になっているというふうにお考えでございましょうか。大臣から答弁をお願いいたします。
  150. 田村元

    田村国務大臣 いまの運審の委員学識経験者として大変りっぱな方々だと私は思っております。公正妥当な人事であると考えております。御承知のように運審の委員は両院の同意を得て内閣総理大臣が任命をいたすものでございます。それだけに、中半な人を運審の委員にするということはあり得ないことでございます。
  151. 小林政子

    ○小林(政)委員 どのように御答弁されましょうと、私は聞いておりまして本当に、意見を求める側の運輸事務次官が意見を言う側に回っている、高級官僚ばかりで実際の利用者である国民各層の代表は入っていない、こういう審議会が唯一のチェック機関ということが言えるのかどうなのか。これが実態なんです。私も前に指摘したようにこの運輸審議会は審議がすべて非公開です。そして、官房長に言わせると、自由な発言ができないからだということで非公開にされたということでございますけれども、国民の前で堂々と言えないようなそういう後ろ暗いことを審議しているのだ、こういうことではないと思うのですね。これが自由な発言という言葉の意味なんですか。これらの点も含めて御答弁をお願いいたします。
  152. 田村元

    田村国務大臣 国民の前に知らせてはいけないという、いわゆるガラス張りに反するという意味のことではございません。守秘義務というものがございます。認可事項等につきまして外に漏らしてはならない守秘義務というのがございます。お医者さんに守秘義務があるあるいは税関係の人に守秘義務があるというのと同じようなことでございます。でございますから、その点では非公開ということが原則としてもこれは仕方がないことだと存じます。大体、先ほど申しましたように運審の委員は非常にりっぱな方々でございまして、中には国会で全会一致で、小林さんの方の共産党も御賛成になられて推薦され、承認されておるという方もあるのでございます。そういうことでありますので、私どもは必ずや公正妥当な審議が行われ、結論が出されるもの、このように信じております。  なお、運審は運輸省の自由になるじゃないかという御意見でございますけれども、なかなかそうじゃございません。運審はなかなかむずかしいんです。運輸省もその点では苦労をすることも多かろうかと思います。それほど公正でございます。
  153. 小林政子

    ○小林(政)委員 運輸審議会は、国民生活にきわめて重要なかかわりを持つ運賃問題などを取り上げている機関でございます。したがって、多くの国民の中からは、運輸審議会はもっとガラス張りにすべきである、そしてその構成メンバーも、公正妥当な審議内容にふさわしいメンバーを消費者も含めて選ぶべきだ、こういうような意見もいまでは大きな世論になってきているわけですしかもその審議会は、従来から審議の内容は守秘義務だとおっしゃるけれども、このような国民の重大な生活にかかわる運賃問題を取り上げることが、どこが守秘義務に触れるのかどうなのか、はっきりさせていただきたいと私は思います。
  154. 山上孝史

    ○山上政府委員 守秘義務との関係につきましては、運輸審議会の審議それ自体は公開することは残念ながらできませんが、しかし、たとえば、答申に際しまして、その答申の結論に対して参考にされた判断資料等で守秘義務にさわりがないという範囲内については、極力これを答申の際に参考資料として公開するというようなことにつきまして、運輸審議会にその検討をお願いしたいということを考えております。  なお、利用者等につきましては、公聴会という制度があります。公聴会につきましても、開催場所とかそのやり方等についてさらに工夫できるのではないかということで、運輸審議会にその検討をお願いしたいとも考えております。
  155. 小林政子

    ○小林(政)委員 法定制の緩和法案が通るというような状況になれば、結局この運輸審議会が唯一のチェック機関になる。そうだとすれば、私は、少なくともメンバー構成は一新して、消費者団体やあるいはまた農協の組織だとか労働組合だとか、こういったところの代表を加えて、国民の声が反映されるようにすべきだと思います。また、審議会会議は公開として、どんな論議がされているのか国民にわかるようにすること、また審議の経過が、結果だけじゃなくて審議の経過が詳しくわかるような会議録を作成しこれを公表すること、この三つは最小限必要なのではないか、私はこのように思いますけれども、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  156. 田村元

    田村国務大臣 運輸審議会は行政委員会でございます。いわゆる三者構成の審議会ではございません。でありますから、その点では相当厳しい束縛がございますけれども、しかし運輸審議会は公聴会等を開いて広く大衆の声を聞かなければなりません。またそういう機会を持つわけでございます。  私、実はいま鉄監局長や官房長に指示しておりますのは、運輸審議会で公聴会等を開くということは、それは当然やらなきやならぬし、本来の運審がやっておるよりもっと数多く開くがよかろうし、そういう点での配慮は必要だが、それと同時に、国鉄にこの問題で意見を聞く審議会のようなものをつくるわけでありますが、それ以外に運審でいま一度ダブルチェックをするような方法が考えられないか。たとえば運輸審議会の審議過程で利用者とかそういう一般の方々の代表と国鉄が激しく議論をする、そうして審議会はそれを十分見聞きをする、それを参考のよすがとする、そういうようなことができないものだろうか、これを検討してなるべく早く結論を出すようにということを指示してございますが、そういうような方法を講じてなるべく大衆の声を聞くということは妥当なことかと存じます。そういう努力をいまいたしておる、指示しておるということを御報告申し上げておきたいと思います。
  157. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、先ほど来からの質問を通じまして、法定制緩和には、値上げの率の点からも、政府が勝手に値上げできるという期間の点からも、また、値上げの是非をチェックするこの手続の点でも、歯どめと呼べるようなものは全くないのではないか、ますますこのような感を深めたわけでございます。つまるところ、私は、今回の法案の全内容は、煩わしい国会の論議というものを何とか避けていこう、こういうことで自由自在に値上げをやろうということに尽きるような気がいたします。非常にそういう意図を持たれているのではないか、このように思うわけでございますけれど、不思議なことに、国会での論議が大変煩わしいあるいは期間がいたずらに延びるとか邪魔になるとか、政府の方からはそういう内容については一言も説明をされていません。  そこで、改めて私は大臣に伺いたいと思いますけれども、なぜ国民を代表している国会の論議というものを避けて、そして法定制を緩和するというようなこういう措置をとるのか、国会の論議が邪魔になるというこの具体的な御説明についてお伺いをいたしたいと思います。
  158. 田村元

    田村国務大臣 国会で御論議いただくことが邪魔になるなんということは毛頭考えておりません。私も国会議員でございます。ただ、国鉄が、従来と違って、公共輸送機関としての独占性が非常に薄れてまいりました。それと同時に、適時適切な運賃値上げをすることが、財政硬直の国鉄を救う大きな道であろう、このように考えておるわけでございますので、そういう意味でこの御審議をお願いいたしておるわけでございます。決して国会で御審議願うことはめんどうだという趣旨ではございません。どうぞそこいらは誤解のないようにお願いをいたしとうございます。  また、これは当然財政法三条等の許容する範囲内でございますので、念のために申し添えておきたいと思います。
  159. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、これまでの審議を通じまして、法定制緩和が、憲法や財政法が明確に定めている財政民主主義の根幹に真っ向からこれは挑戦をするものでございます。挑戦するものであるからですけれども、そういう立場から、「法律上又は事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」としている財政法第三条を持ち出すまでもなく、国民負担を強制することになるこの独占料金あるいは国鉄運賃については、国会が審議をするということは私は当然のことだというふうに考えます。今回の法案が、議会制民主主義の否定にもつながりかねない危険な性格を持つものであるということを指摘して、時間の関係で次のテーマに入りたいというふうに思います。  次に、問題にしたいのは、貨物赤字を旅客に負担させるというこの運賃値上げのやり方についてでございます。  これまでにも、旅客運賃値上げのたびに、貨物赤字を旅客に負担させるべきではない、このように繰り返し指摘をいたしてまいりましたけれども、いまではこれは大きな国民の世論にまでなってきております。しかし、政府国鉄は、いろいろな口実を設けて旅客に貨物赤字分を負担をさせてきています。決算で出ております五十年度末までの累積赤字三兆一千六百十億円の大部分は、これは貨物赤字であると思います。この三兆一千六百十億円の貨物と旅客のそれぞれの金額の内訳というのはどうなっているのか、お伺いをいたします。
  160. 高木文雄

    高木説明員 三兆一千六百十億円というのは、五十年度末の累積赤字でございます。まだもうちょっと時間をいただきませんと、貨物と旅客の五十年度赤字の区分経理の計算が完成いたしておりませんので、貨物と旅客を区分して分析いたします数字は四十一年度から四十九年度までの分しかわかりませんので、それでお答えを申し上げます。  四十一年度から四十九年度まで、まず新幹線の黒字が八千四百四十九億円になっております。それから、在来線の赤字が二兆九千四十九億円になっております。それからそのほかに、船舶で三百八十三億円、自動車で八百三十七億円、それからこれは非常に特殊な言葉でございますがコスト、原価に当たりませんもの、非原価と称しておりますが、そういう区分に属しますものが七百八億円。そこで、先ほどの新幹線の八千四百四十九億円の黒字と、在来線の二兆九千四十九億円と以下申しましたものと全部合わせまして二兆二千五百二十八億円、これが四十一年から四十九年度までの累積赤字の合計でございます。それに五十年度の客貨その他全部合わせました、まだ客貨の区分がつきません五十年度赤字の九千百四十七億円を加えますと三兆一千六百七十五億円に相なりますが、四十年度末には繰越利益が六十五億円、わずかでございますがございましたので、それを差し引きますと五十年度末の累積赤字が三兆一千六百十億円ということになります。  そこで、小林委員のお尋ねは貨物と旅客とでどういう赤字要因になっているかということだと思いますが、その意味で申しますと、五十年は残念ながら区分が出ておりませんが、四十一年から四十九年度までで見ますと、先ほど申しました二兆九千四十九億円のうち貨物が一兆七千七百十億円、旅客の赤字が一兆一千三百三十五億円ということになっておりますので、総じて貨物赤字のウエートはどのくらいかということで見ますと二兆九千と一兆七千とを比べていただけばよろしいのではないかと思います。ただ、三兆一千六百十億円という冒頭の御質問の数字とのつながりにつきましては、五十年度の旅客、貨物の区分がつきませんので、もうしばらく決算数字の分析の結果をお待ちいただきたいと存じます。
  161. 小林政子

    ○小林(政)委員 在来線の旅客の中には手小荷物分も含まれているのでございましょう。それを除いた純旅客分といいますと、どのぐらいになりますか。
  162. 高木文雄

    高木説明員 先ほど他の委員の御質問にもお答えいたしましたように、手小荷物はあくまで旅客サービスでございますので、これは旅客としてずっと概念をしてきているわけでございます。季節の品物を故郷から都会へ届けるとか、あるいは旅行をなさいますときに大きなお荷物をお預かりするとかいう性質のものでございますので、これはすべての面において旅客扱いをいたしておるわけでございます。
  163. 小林政子

    ○小林(政)委員 手小荷物は事実上は貨物でもございますので、その赤字分を取り除いた場合に、純旅客ということになれば具体的に幾らになるのかという点をお示しをいただきたいと思います。
  164. 高木文雄

    高木説明員 四十一年から四十九年までで、概算で大体三千億強ではないかと思います。手小荷物は相当赤字でございますから、純粋に取り上げますればそういうことでございますが、しかしこれはたとえば田舎の小さい駅なんかでごらんになるとおわかりいただけますように、改札をしたり出札をしたりあるいは列車の発車信号を送ったりする駅の職員がお荷物を受け取るということが慣例でございまして、大都会の東京とか大阪駅とかいうところは別でございまして専門家がおりますけれども、非常に多くの場合はそういうことで一人でいろいろやっているというようなことになっておりまして、これを荷物と概念するのはいささかいかがかと思うわけでございますが、強いて区分すればそれは三千三百億とかいう数字があるようでございますけれども、私どもとしては旅客概念で臨んでおります。
  165. 小林政子

    ○小林(政)委員 私がお聞きしているのは、手小荷物分を差し引くと、具体的に純旅客と私どもは常に言っておりますけれども、その分はどのぐらいになるのかということをお聞きしているわけです。
  166. 高木文雄

    高木説明員 もともと国鉄一つの仕事でございまして、本来旅客と貨物と言いましても一本のレールの上を走っているわけでございますので、旅客と貨物とを区分することすら相当問題があるわけでございます。しかし、これはいろいろな対策を立てるためには無理無理でも分けなければいかぬということでいまから数年前から分け始めたわけでございまして、その意味では旅客と貨物とは分けて考えることは必要があると思いますが、手小荷物というのはよく御存じのとおり駅で受け取りまして駅のお客さんの扱いの人がやっておるわけでございますので、その意味ではこれを分けろ分けろと言われましても事実問題として非常に無理な仮想計算になりますから、そういう計算をやることについては私どもは余り好まないわけでございますが、先ほどから申しておりますように強いてそれを非常に多くの仮定を置いて分けてみますと、三千三百億ぐらいのものが先ほどの旅客の赤字の中で手小荷物分として分けられるかなという感じの数字でございます。
  167. 小林政子

    ○小林(政)委員 いただいた資料によりますと、具体的にはっきりと損益計算の中では分けてございまして、そして新幹線の場合には八千四百四十九億円の黒字、在来線の場合には、手小荷物分の三千三百二十九億を差し引いたいわゆる在来線は八千六億円の赤字ということになりますので、それを差し引きますと具体的には純旅客分というのは四百四十三億円の黒字になる、こういう数字になりますけれども、間違いございませんか。
  168. 高木文雄

    高木説明員 数字をいろいろ並べて足したり引いたりすればそういう数字になるようでございます。ただ、その区分は非常に無理な区分でございまして、たとえば現在新幹線のお客さんが荷物をフロントにお預けになりますと、これをどうやって運んでいるかというと、新幹線で運びませんで在来線で運んでおるわけでございます。お客さんは新幹線の方に乗っていらっしゃるわけでございます。荷物とお客がそこで泣き別れになっておるわけでございます。そういうものを無理無理分けていまのような計算をすれば、おっしゃるような足したり引いたりではそういう数字になります。
  169. 小林政子

    ○小林(政)委員 ちょっと総裁、これはおたくの方からもらった資料なんですよ。こういうことがちゃんと、きちっとこういう数字が出ているのですよ。
  170. 高木文雄

    高木説明員 事前にお尋ねの御便宜から御照会ありましたときにお渡しをいたしたようでございますが、それは大変誤解を与える数字を私が知らないところで渡されてしまったということでございますので、その実態はこういうことだということを御説明しているわけでございます。
  171. 小林政子

    ○小林(政)委員 それはちょっと私は問題だと思うのですね。私の知らないところで渡してしまった、何か渡せないような資料だったのですか。
  172. 高木文雄

    高木説明員 こういう前提で計算したらこうなりますかというお話でございましたので、それでお渡ししたようでございまして、その前提を十分御理解いただいた上であれば結構でございますけれども、手小荷物の赤字だけを取り出してどうこうということは実は原価計算上そう厳格にやっておりませんので、その点の誤解のないようにお願いいたしたいという趣旨でございます。
  173. 小林政子

    ○小林(政)委員 そこまで総裁はいろいろなことを述べられるのは、結局は貨物赤字を旅客に転嫁してきたという事実がある、あくまでこういった公式の数字を出すことにすらこだわるという点からもそのようにしか私は受けとめられません。事実、私が調査したりあるいはまたいただいた資料などを見ますと、すでに累積赤字になった四十一年から四十九年までの間、純旅客という点でこれは完全に黒字になっております。それからまた、こういう計算の方法でさらにその前からずっと計算をしていけば、膨大な旅客には黒字が出ている。それを結局は逆に大きな赤字を出している貨物の穴埋めに使うということが公然といままでやられてきたとしか私は考えられませんけれども、その点について明確に御答弁をいただきたいと思います。
  174. 高木文雄

    高木説明員 誤解を受けるといけませんので申し上げておきたいのでございますが、旅客と貨物の概念区分については、私どもの事業運営をどういうふうにやっていくかという点で非常に必要でございます。ダイヤを引きます場合にどの程度旅客列車を大事にするかとか貨物をその間にどの程度走らすかということで非常に重要でございますので、かなり前から旅客と貨物の損益区分を別々にやってきたわけでございます。それに比べますと、手小荷物の分でどういう損益になっているかは今日まで余り大きな関心を持っていなかったわけでございます。それではいけないので、経営改善計画ではローカル線をどうするか、手小荷物をどうするかあるいは自動車対策をどうするかというふうに問題点として挙げております。したがって、手小荷物についても最近は関心を高めておりますけれども、貨物と旅客を分けるときのいままで積み重ねてまいりました原価計算のやり方等と比べますと、手小荷物と旅客とを分ける原価計算のやり方はいままでそれほど厳密計算をやっていませんので、その点を特にお断りをいたしておるわけでございまして、あとどういうふうにその数字をお読み取りになるかはそれぞれの方の見方であると考えております。
  175. 小林政子

    ○小林(政)委員 四十一年から四十九年までの旅客の場合には、手小荷物を差し引きますと具体的に四百四十三億円の黒字になりますけれども、貨物の場合は一兆七千七百十四億円の赤字であります。私がいま申し上げたのは、旅客では黒字を出しているにもかかわらず、貨物の一兆七千七百十四億円という膨大な赤字負担を旅客の運賃でしていたという点はきわめて重要な問題ではないか、こういうことを申し上げたわけでございます。この点について見解をお聞かせいただきたいと思います。
  176. 高木文雄

    高木説明員 国鉄の経理を健全にいたしますためにはその原因を追及しなければならないわけでございますが、その意味におきまして貨物赤字と旅客の赤字とを明確にすることはきわめて重要なことだと思っております。ただ、従来国会で御説明いたしておりましたのも、国鉄は全体を通じて総合収支として見るんだという考え方でございましたから、貨物の分を旅客がどういうふうに負担するとか、地方ローカル線の分をどういうふうに幹線が負担するかということには余り多くの注意を払っていなかったわけでございまして、総合的にそれを見るという習慣で来たわけでございます。今日はいまや独占性を失いまして、それほど全体をプールして見るということではいけないわけでございますので、分析を始めておるわけでございますから、私どもとしましても恐らく、私はまだ一年になりませんでよくわかりませんが、今日まで貨物赤字を旅客に負担していただくというような観念があったということはないのではないか。全体として数字を見ていくという観念はありましたでしょうが、旅客が貨物の分をしようとか負担するという観念は、今日までの経営の姿勢の中においてそういう意識を余り持ってなかったのじゃないかというふうに考えます。
  177. 小林政子

    ○小林(政)委員 どのように思われましょうとも、数字の上で事実ははっきりと出てきているのです。こういう不合理な点について、私たちは毎回の国会の中で貨物赤字を旅客に転嫁することに対しての不合理さを追及してきましたし、それはいまや国民の中にも大きく広がっておりますし、私はこういう立場から事実関係についてのみ答えてほしい、こういうことで質問をいたしました。それに対していまのような御答弁は、ただいたずらにそれを覆い隠すための答弁ではないか、私そういう気持ちがいたしました。  そこで、時間が経過いたしてまいりますので、お伺いをいたしたいと思いますけれども、再建対策要綱を見ますと、国鉄全体としては五十四年度収支均衡を図るとしながら、貨物については五十五年度で固有経費と収入との均衡を図っていく、こういうことになっておりますけれども、貨物原価に占める固有経費の割合はどのくらいになりますか、この数年の平均を示してもらいたいと思います。  それから、五十五年度貨物収入の予測についてはどのようにお考えになっているのか、見積もりをお伺いいたしたいと思います。
  178. 高木文雄

    高木説明員 最近の貨物の固有経費と申しますか個別経費と申しますか、そういうものと共通経費の関係を申しますと、四十五年度は固有経費が五一%、共通経費が四九%、それから四十六年が五二対四八、四十七年が五三対四七、四十八年が五六対四四、四十九年が五五対四五、五カ年平均で、固有経費総計一兆三千九百二十七億円、共通経費合計一兆二千三十二億円、したがって固有経費が五四%で共通経費が四六%ということになっております。  そこで五十五年度でございますけれども、現在五十五年度におきます貨物の固有経費がどのくらいになるかということは計算をいたしておりませんですけれども、現在の計画では大体二割近く、一割から二割の間で固有経費の節減に努めたいと思っておりますし、そういう形をとりますと、五十五年度にはまず間違いなくどうやら固有経費を賄えるだろうというような見当をつけておるわけでありまして、数字的に固有経費が何億円で収入が何億円で、よってもって収支均衡という数字はいままでは持っておりませんようでございます。
  179. 小林政子

    ○小林(政)委員 五四%程度だということでございますので、これを貨物の五十五年度固定経費を償う収入ということであるというふうに見てみますと、結局残りの共通費の部分は赤字ということに、貨物の方からはなりますので、旅客に黒字をその分だけよけいに出させるということになるんですね。
  180. 高木文雄

    高木説明員 この共通経費というのはどういうものかと申しますと、レールの保守費でございますとかあるいは架線の保守費でございますとか、そういう種類のものでございます。それがなければ旅客の方も走れないわけでございますので、これをかぶせるとかかぶせないとかという概念が適当かどうか、その辺はいささか疑問に思うわけでございます。
  181. 小林政子

    ○小林(政)委員 結局、この五十五年度貨物の収入予測ということはおっしゃいませんので、これは五十二年度予算の三千四百億円ですけれども、その予算どおりとして見積もったとしても三千四百億円、貨物赤字はこれで約三千億円近くになりますけれども、結局その分だけ旅客が黒字を生み出す、こういう計画そのものになっているわけですけれども、大臣貨物赤字を旅客に負担させるというこういったやり方について大臣はどのようにお考えになっているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  182. 住田正二

    住田政府委員 いま問題になっております貨物赤字を旅客に負担させることが妥当であるかどうかという問題につきまして、再建対策要綱をつくったときの考え方を御説明申し上げておきたいと思います。  確かに、国鉄が黒字時代におきましては、貨物赤字を旅客が負担しておったということで来ておったわけでございますが、先ほど総裁が申し上げましたように、総合原価主義というたてまえでそういう内部補助関係というものが容認されてきたわけでございますけれども、やはり内部補助にも限界がある、貨物赤字を旅客に負担させるということは旅客の利用者の立場から見ても問題がありますし、また旅客輸送自体が競争力が弱くなっておりますので、貨物赤字を背負って他の交通機関との競争をやっていくことは非常にむずかしいというように考えられますので、今回の再建対策要綱におきましては、貨物は旅客の負担にならないように措置をしたい。旅客の負担にならないということはどういうことかと申しますと、限界費用といいますか、仮に国鉄が旅客だけを運営している、それに新たに貨物輸送を始めた場合に必要な経費というものは貨物だけでカバーするということであれば、旅客には負担をかけないということで、閣議了解の中では固有経費で収支均衡を図るということを目標にしたわけでございます。  しかし、それもすぐにはできないということで、貨物部門の近代化には相当の日数が要るわけでございますので、昭和五十五年度までに貨物の固有経費における収支均衡を図りたいということでございまして、先ほど来先生の御指摘のように、この再建対策要綱というものは貨物赤字を旅客にかぶせないようにしたいという考え方でできておるわけでございます。
  183. 小林政子

    ○小林(政)委員 これは国民的な世論の立場から考えても、だれが考えても、やはりいまお話のあったように、貨物赤字を旅客で埋め合わせるというようなことについては、国民の中からも非常に大きな批判の意見が起こってきております。貨物の大半と言っても、大企業の製品や原材料の輸送、大企業に対する出血サービスのツケを結局国民に回すという運賃値上げのやり方、そして結局この運賃値上げについては政府はひとつ白紙委任をしてほしい、そしてこういう法案を出してきながら、中身を調べてみますと、このような全く不合理な内容がこの審議の中でも明らかになったわけです。  私は、再建対策というのは、結局旅客に貨物赤字分まで負担をさせるという重い負担を押しつけるやり方、これを政府は一向に改めようとしていなかった、こういうことをこの審議の中で強く痛感をいたしましたし、また、貨物の莫大な赤字を旅客に負担させるという従来とってきた方針も依然として変えられていないという点を指摘をいたしまして、次の問題に入りたいというふうに思います。  次に、第三の大きな問題といたしまして、経営改善と称して行おうとしております国鉄の大合理化が、利用者国民にとってサービスの大幅な切り下げや安全対策の手抜き以外の何物をももたらすものではない、こういうことでございますが、運賃値上げをされる、サービスは切り捨てられるでは国民はたまったものではございません。私はこの問題を手小荷物の合理化問題あるいは貨物駅の統廃合の問題あるいは安全対策という三つの点からお伺いをいたしたいというふうに思います。  金沢の金沢鉄道管理局が本年四月一日より貨物の取り扱い廃止をしようとした永見、滑川、森本、親不知の各駅について、事実上これが実施できないでおりますが、その理由について御説明を願いたいと思います。
  184. 田口通夫

    ○田口説明員 御説明申し上げます。  いま永見、滑川、親不知、森本の四駅についてお話がございまして、この四駅につきまして、まず地元関係者さらに関係組合さらには地元住民という御協力を得なければなかなか実現しないわけでございます。永見、滑川、親不知、森本につきましては、それぞれ一月の三十一日に団体交渉の提案をいたしておりまして、一方、地元関係者に対しては理解と御協力を得るために、いろいろと金沢局で現在折衝中でございますので、いまだに実施をいたしておりません。  私は、実ははっきり申し上げまして、去る十年前に東京鉄道管理局の貨物課長をいたしておりまして、浦和の貨物駅の集約をやった経験がございます。それが一つでございますけれども、とにかく関係組合と団体交渉、さらに地元との話し合い、一週間三日以上ほとんどそれに没頭されまして、一年たってようやく三複線化をするための貨物集約ができたという経験を持っておりますので、国鉄が提案したから直ちにあすから実行できるというふうに考えておりませんで、やはり地元関係者並びに関係組合と十分話を詰めながら実施をしていかなくてはならぬと思いますので、いますぐにこれが実現できるとは思いませんが、今後努力をしてできるだけ早く実現をしたいというふうに考えております。
  185. 小林政子

    ○小林(政)委員 永見駅について見ると、荷主はもとより、ここでは市長、市議会、農協、地元商工会、まさに全市を挙げて反対をいたしております。五十一年度貨物の取扱量のうち、小松製作所が扱っております貨物の約三割を除きますと、そのほかはお米とか肥料とか農機具だとか鮮魚だとか、あるいは農水産貨物、地場産業である畳床製品だとか、切り丸太など、地元住民にとっては欠かせないものばかりでございます。このような貨物を取り扱っております貨物駅を廃止するということになれば、地元住民が市を挙げて反対をされるのは、私は当然ではないかというふうに思います。地元関係者より事情を聞いてみますと、金沢鉄道管理局は、一日の貨物取扱量八十トンを基準にして、その取り扱い廃止を実施していると説明をしておるようでございますけれども、そのとおりでございますか。
  186. 田口通夫

    ○田口説明員 金沢管理局の方針については熟知はいたしておりませんが、大体そういう方向で現在提案をいたしておると思います。  それで、私ども誤解があってはいけませんので、永見の駅が貨物集約をされますと、いまいろいろとお示しになりました貨物が全部よそへ行ってしまうということではなしに、伏木まで約十キロ、これは現在十キロですと自動車のもちろん範囲でありますし、伏木に集約していただきますと、先ほどから議論を申し上げておりますように、鉄道の直行型と自動車の小回りのきく輸送によって、できるだけ早い到着もいたしますし、また総裁からも話がありましたように、集約をしたために横持ちが延びたという場合につきましては、知恵を働かして、できるだけ荷主さんの負担にならないように努力するという方針で、現在いろいろと勉強いたしておりますので、必ずしもそれが集約をされたから、地元の産業に非常に影響を与えるということではなしに、自動車、鉄道のそれぞれ持ち分を生かした輸送をここで実現したいというつもりで金沢局では提案したのだろうというふうに考えます。
  187. 小林政子

    ○小林(政)委員 五十年には、永見駅の貨物取扱いを廃止していきたいという意向を伝えられていたようですけれども、私が問題にしたいと思いますのは、五十年の実績でも永見駅は一日当たり八十三トンの荷物を取り扱っているのです。ところが、金沢鉄道管理局の中でも下奥井だとか呉羽という各駅の例を見ますと、五十年実績では下奥井では一日当たり五十二トン、そして呉羽の場合には一日当たり七十六トンと大幅に永見駅より下回っているのです。私は、これらの駅をだから廃止をしろということを言っているのではございませんので、このような金沢鉄道管理局が、この駅を対象にしていない理由はどういうことなのか、こういうふうにお伺いをいたしているわけです。
  188. 田口通夫

    ○田口説明員 御説明申し上げます。  いま貨物駅を集約いたします場合は、扱いトン数はもちろん重要な要素になりますけれども、たとえば統合をいたします駅までの道路事情は一体どういうことになっておるのか、あるいは統合駅の、たとえば永見駅の一日八十数トンが来た場合に、この設備で大丈夫であるのかどうか、それには設備改良を要するのかどうか。その他荷主の状況はどういうことであろうか、さらに通運、駅まで持って運んでまいります通運の実態はどうなのであろうか、こういう点をいろいろと勘案いたしまして、これならばそんなに荷主さんに御迷惑をかけないでやっていけるかどうか、こういう観点で選択をいたしておりますので、もちろん取扱量も重要でございますけれども、現実に国鉄から逃げてもらっては困りますので、そういういろいろの要素を勘案して金沢局では決定しておるというふうに考えております。
  189. 小林政子

    ○小林(政)委員 私の調査によりますと、この下奥井駅で扱っている貨物は大谷製鉄株式会社とかあるいは富山化学工業の三社の貨物しか扱っていないのです。そうしてまた呉羽駅の場合は東洋紡績あるいは大阪セメント、この二社で全体の九割を占めています。このように大企業が利用している駅は八十トン下回ってもそのまま残して、永見駅のように、それこそ中小地場産業や農協などの住民と深いかかわりや関係を持っております荷物駅が切り捨てられる、これが国鉄がいま進めていこうとしている貨物合理化の実際の中身ではないのか、このように考えます。  永見駅の場合、もし貨物の取り扱いが廃止されると、先ほどのお話のように、伏木駅に集約をされるということでございますけれども、永見から伏木の間はトラック輸送とならざるを得ません。これによってどのくらいの経費増となるとお考えでしょうか。  ここに私、農協と地場産業である畳床製造の山森産業さんの試算結果を持っておりますけれども、これによりますと、農協の場合は五十一年実績で、お米だとか肥料が九千二百トンありますが、これがトラックで運ばれた場合は実に一千八百四十万円の経費増になる、こういうふうに言われておりますし、また山森産業さんの場合には、五十一年度実績で畳表の発送量は千七十九トンでございますが、これがトラックで運ばれた場合、実に二百七十万円の経費増になるということでございます。取扱駅の廃止はまさに農協、中小地場産業にとって死活の問題になっています。国鉄総裁、どうしてこのような無謀な計画を地元住民が納得することができるとお考えでしょうか。お伺いをいたしたいと号います。
  190. 高木文雄

    高木説明員 永見その他の地区については、いま地元との間でお話し合いを非常に熱心にしておるようでございます。全国でそういう問題が起こっておりますので、一つ一つについては私承知しておりませんが、先ほど担当の常務からも御説明いたしましたように、あくまでも十分御理解を得て、それから先ほど申しましたように、余り大きな御迷惑がかからぬような配慮をしながらやっていかなければならないと思っておる次第でございまして、具体的事例については余り詳しく存じませんが、基本的にはそういう考えでおります。
  191. 小林政子

    ○小林(政)委員 同時に私がここで問題にしたいというもう一つは、この貨物の取り扱い廃止について、国鉄の荷主、地元住民に対する説得工作のやり方なんです。ある地場産業の荷主は、もうことしに入ってから十六回にわたって説得を受け、いつまでも反対していると十分なめんどうも見切れなくなりますよと、国鉄の担当者におどされ、あるときは夜の十時に来て寝ていると言ったら、起こしてほしい、こう言って起こされた。全く人の迷惑を無視した行動だと訴えてきています。国鉄総裁、深夜に行かされたり、いまさら話すこともなくじっと座り込まなければならない国鉄職員の身にもなってもらいたいと思います。  国鉄貨物合理化案によると、貨物近代化の実施に当たっては、利用者の理解や地域社会との調和が必要であり、そのために努力すると書かれていますね。夜十時ごろ訪問して座り込んだり、反対するとめんどう見ないぞとおどすなど、こういうことが地域住民の理解を得るというやり方でしょうか。お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  192. 高木文雄

    高木説明員 事実を存じませんので大変失礼な言葉を職員が吐いたかどうかわかりませんが、あるいはまた、夜どういう事情でお訪ねしたかわかりませんが、とにかくこれは各地とも御理解を得るのに大変骨が折れるといいますか、容易でないわけでございます。もちろん地元の方々にとっても非常に大きな変化を与えることになりますので、最後までよくお話し合いをして御納得をいただかなければならぬ。そういう意味で職員の方も一生懸命お願いに出ているものだと思います。言動その他について行き過ぎがあれば正さなければなりませんが、職員の方も一生懸命だということもまた御理解をいただきたいと思います。
  193. 小林政子

    ○小林(政)委員 結局こういう形で中小の駅が集約化を図って合理化が進められているというのが実情ですけれども、私はいま述べましたことを本当にただ聞くということではなく、それに対して真剣な検討をしていただきたいというふうに思います。  運輸大臣国鉄計画している五十五年度までの現在ある貨物の取扱駅、これは千四百九十五を千駅にするという。いま私が述べたように、国民の利用するこの中小貨物は切り捨てて、そして大企業貨物だけの駅だけを残す、こういうことになるのです。同時に、貨物駅の廃止によって中小零細通運業者も切り捨てられて、そして廃業に追い込まれるというような事態も、いろいろと私はお話を聞いております。国鉄昭和五十五年をめどとする貨物合理化計画は、まさに私は大企業貨物のための輸送体系を整備するということにほかならないのではないか。そして、そのしわ寄せは結局は国民に押しつけられてくるのではないか、たまったものではないと思います。国民生活必需品や農水産物や中小企業貨物の輸送は、本来国民鉄道である国鉄の私は使命であると考えますけれども、そういう立場からこんなむちゃな計画を再検討する必要があるのではないでしょうか。  私は最後に、少なくともこの地元の同意がなければ実施しない、これが最低限の措置ではないかというふうに考えますけれども、改めて大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  194. 田村元

    田村国務大臣 貨物は、合理化という難問題を抱えております。実は、私の選挙区でも貨物駅廃止ということで私もずいぶん反対したりして、かつて大臣になります前に悶着を起こしたこともございましたが、先ほどから小林委員おっしゃるように、旅客にしわを寄せないという貨物独自の採算ということにおいてもずいぶん国鉄にも悩みがあるのではなかろうかと存じます。そういう点で、つらい思いをしながら貨物駅の統廃合をやっておるのではなかろうかと思いますが、いずれにいたしましても、何と申しても政府の関係機関でございますから、国民の皆様に対していささかの非礼があってもならないことは申すまでもございません。
  195. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、また生活物資の輸送に非常にこれも大きな役割りを果たし、そしてさらに零細業者や中小企業にとっても欠くことのできない、先ほど来からも問題になっております手小荷物の合理化問題、この問題について伺いたいと思います。  私は先日、汐留の駅の現地調査も行ってまいりました。最近利用者、荷主へのサービスが著しく低下をしている、こういうことを聞いておりましたけれども、現場を見ていろいろと問題点があることを私自身感じて帰ってまいりました。  汐留駅扱いの事故荷物、事故を起こした荷物ですね。これが件数で五十年度は一種、二種、三種合計で七万件を超えています。荷主が受取人から連日問い合わせや苦情が寄せられています。そして国鉄当局は、この事故荷物の発生原因について一体どこに問題があると見ているのか、また、その処理状況という問題がどうなっているのか、この点についてまずお伺いをいたしたいというふうに思います。
  196. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 汐留駅の事故件数、いま七万件以上というふうにおっしゃったわけなんでございますが、直接に荷物に損傷を与えたという第一種で見ますと、四十九年で四百件、五十年で二百三十八件というふうになっておりまして、そのほかいろいろ荷物そのものに損害を与えたものではないというような二種、あるいは荷札がなくなったとかいうことで第三種というふうになっているものが合わさっての話であろうと思います。全般的に申しまして、荷物の事故件数は四十二年くらいからずっと見てまいりますと、荷物の増加に伴って次第にふえてきておりましたが、四十八年あたりをピークにして第一種の荷物事故は減少して、大体五十年で一万七千件というふうになってきております。  もちろん、こういった事故防止についてもいろいろ対策は講じておりまして、荷物のいろんな講習会をやるとか、あるいは事故が起こった場合のいろいろ御相談できるように荷物の相談所を設けるとか、そういうことでいろいろ改善をしてきておるわけでございます。総体的に申しまして、現状では大体横ばいというような形になっておるというふうに考えております。
  197. 小林政子

    ○小林(政)委員 事故が減少している傾向にあると言うけれども、実際に私がいただいた資料を見てみましても、事故は相当数やはり年々ふえてきている、こういう数字が出ております。  たとえばいまおっしゃった第一種の荷物事故につきましても、四十五年の一万四千四百八十五から四十七年一万八千六百九十三、四十八年二万五千百、四十九年二万と、五十年度の場合一万七千になっておりますけれども、それは第一種であって、第二種というのは逆に今度は相当数ふえてきておりますし、第一種、第二種、第三種を全部含めてみますと、四十五年には九十六万九千二百十一であったものが、結局五十年には百十五万九千六百七十七というふうに、事故の件数そのものも非常にふえておりますし、また取扱個数と事故件数との率でどうなっているかということを見ましても、年々これは、やはり五十年度も率がふえてきている、こういう数字をここにちょうだいいたしておりますけれども、私は、七万件を超す数というのはやはり相当大きな数だというふうに思います。取り扱い上誤った積みおろしで正しく着駅に到着しなかった荷物、これが二万四千二百三十二個も汐留駅ではございますし、配達荷物の着駅選定を誤ったものも一万八千三百三十四個、紛失は三十一個、不着は二十七個と相当数の事故が続出をしているというのが現状だと思います。こういう問題は、国鉄の安全輸送、輸送確保という点から見て私は大きな問題がある、このように痛感をいたしてまいったわけでございますけれども、このような事故が発生する原因は、国鉄当局が要員を削減した、あるいは外部への委託を行い、また小荷物の取り扱い方式を変更したことにあるというふうに私は見てまいりました。かつて一個一個の荷物を確認して授受する方式から個数方式といって個数を一まとめに授受するこういう方式に四十五年から実施をされておりますけれども、その結果、発生した事故の問い合わせについても荷主や受取人に正確に回答することができないというような状態が起こっています。また荷物を送った発駅に問い合わせても、何日のどの列車に載せたのかもよくわからない。したがって、追跡調査もできない、こういうことを私は直接現場でいろいろとお話を伺ってまいりました。一体、このような状態が起きておりますけれども、こういうことで国鉄として責任が果たせるはずはないと思います。事故防止に対して具体的にどのような対策を立てているのか、明らかにしていただきたい、このように思います。
  198. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 事故防止につきましては、まず第一番目に現場管理者の教育をやっております。毎年大体百名ぐらいの現場管理者を三回に分けまして中央学園に入れて教育をしておりまして、事故の防止を図っております。それから、市町村名が変わったりあるいは市町村の合併があったりというようなことで誤扱いの原因になることが多いのでございまして、そのために配達区域表の整備をやるということでかなりきめの細かい変更通報を現場に流しておるわけでございます。それから荷さばき場であるとか、あるいは荷物の保管場の整備ということでございますが、荷物の濡損事故であるとかあるいは破損事故の防止のためにこれらについて整備拡充を図るというようなことをやっております。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕  それから次にパレット輸送の拡大ということでございますが、パレットに荷物を入れまして、それでそのパレットの中は変わらないようにということで拠点駅から拠点駅へ持っていくということで、荷物車の中で出したり入れたりすることを回数を少なくするということによりましていろいろな事故が防げるということがありますので、パレット輸送を拡大をしていくということをやっております。  そのほかいろいろな荷主に対するPRということで、荷づくりの不備であるとかあるいはあて先の不備等による事故がわりに多いということで、もし何かございましたら電話で連絡できるようにするように改正をしたとか、あるいはポスター等チラシとかいうものを出しまして、箱の中にあて先を書いてもらうあるいは箱の上に書いてもらうというようなことで、荷札が散りましてもあて先がわかるというようなことで、事故をなるべく防止するというようなことを具体的には心がけておるわけでございます。
  199. 小林政子

    ○小林(政)委員 事故が発生したということで、私がちょうど現場に参りましたときにも、地域の荷主の方が何か御相談に見えておりました。また電話で相談に来る方もいましたけれども、そこでいろいろと私もお話を聞いたところが、ともかく発生した事故が、荷主や受取人に正確に、いまおたくの荷物は実はどこどこにありますということを言えない。荷受け人の方は自分の荷物がまだ届かないということで相当感情的にもなるということが多いというんですね。そしてそれをつい生のまま現場にぶつけてきますので、それを受けるだけでも本当にくたくたに精神的にもなってしまう。したがって荷主や受取人に正確に、おたくの荷物はこうなっておりますよということが伝えられるような、そういうことにぜひひとつ改正をしてほしい。また荷物を送った駅の方に問い合わせをしましても、何しろ個数方式ですからまとめて荷物を受け取るという制度でしょう。ですからその五百個受け取った荷物の中に問い合わせの人の荷物が入っていたのか入っていなかったのか、その次の汽車に載せられたのか前の汽車に載せられたのかというようなこともわからない。こういうようなやり方という問題で実は追跡調査をやろうとしてもなかなかやりにくくてわからない。こういう問題についてやはり具体的なそれを処理していく、そして解決を図っていく対策をぜひひとつつくるようにしてもらいたい。このことを総裁にひとつお願いをいたしたいと思いますけれども、お答えいただきたい。
  200. 高木文雄

    高木説明員 荷物の扱いは大変悩んでおるわけでございます。輸送業でございますからこれを確実にお届けしなければならぬのはあたりまえのことでございまして、何とか事故件数を減らさなければならぬわけでございますが、膨大もない数量のものでございますし、全くコストを離れた金額でいままでお引き受けをしておるという状態にあるわけでございます。しかし、そうだからと言って事故があってはいけないわけでございますので、これはさらにしょっちゅういろいろな工夫をしてまいりたいと思います。具体的には担当の方でいろいろ苦労しておるのでございますが、どうも十分うまくいっておりません。これからもいろいろ御注意をいただいた点を織り込んで、能率を考えながら、なおかつ安全にというよりは確実にお届けするということを考えてまいらねばならぬと思っております。  特に東京の場合には、配達をした場合に先方さんがお留守だとかなんとかということが非常に多いものでございますから特にいろいろ混乱があるようでございまして、何かいろいろとそういうことについて荷主さんにも迷惑をかけないように、しかしまた職員の負担も余りふやさないで済むようにしたいと思っていろいろ考えておるところでございます。御趣旨はわかりますので、いろいろ問題があることはよくわかっておりますので、研究をしてまいりたいと思います。
  201. 小林政子

    ○小林(政)委員 汐留駅でのもう一つの問題は、やはり貨物合理化計画ということで汐留駅職員の九十名が削減をされて小荷物扱いは民託に今後移していく、こういう予定になっておりますようですが、国鉄責任において輸送をしている荷物のその個数の確認など、これまで国鉄職員がやっていたチェックポイントも外してしまう。一体これで責任が持てるんだろうか。ますます事故荷物というのはこれから拡大というか、ふえていくのではないだろうかというようなことを私ば痛感いたしましたけれども、こういうことが目に見えているのになぜ委託をしなければならないのでしょうか。国鉄がやっても経営上採算が合わない。さっきも、赤字を出しているというお話ですけれども、営利を伴う民託にしてどうして収支が合うんでしょうか。私はサービスの低下あるいはその他につながるのではないかというふうに思いますし、これらの点について国鉄当局の立場から見ても、やはり汐留駅に入っている鉄道荷物株式会社と局との契約の内容なども、今後国鉄が下請化の方向をますます強めていかれているわけですから、こういう点からもひとつ資料を出してもらいたい、私はこのように思っております。  時間がございませんのでまとめて質問しますけれども、民間の私契約と違って、鉄道という国鉄との契約関係、これはそこで働いている人たちの労働条件、これもいろいろ話を聞いてまいりましたけれども、半数以上が臨時職員、臨時雇いというのですか、結局低賃金で劣悪な労働条件のもとで働かされているというのも現状でございます。労働条件そのものが低ければ、それだけやはりサービスの向上という問題にいろいろと影響も起こってくるというふうにも考えられますし、もっと根本的な対策を立てる必要があるのではないか、このように考えますので、その点も含めて質問をすると同時に、ぜひひとつ契約内容についてもちょうだいをいたしたいというふうに考えます。
  202. 高木文雄

    高木説明員 直営でやるのがよろしいか民営でやるのがよろしいか、なかなかむずかしい問題でございます。ただ、大都市のような場合には、現在なかなか適当な労働力を得にくいというような事情もありますので、総合的に、いまのところではだんだん民営でお願いした方がよろしいのではないか。民営にしたら事故が多いというふうにはつながらないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  契約内容につきましても、それは御指摘のように、そのことがもし何か悪い労働条件を押しつけるというようなことになってはいけないわけでございますので、その点は注意をしてまいりたいと思いますが、先ほど御指摘にありましたように、どうも荷物は大変大きな赤字になっておるわけであり、その荷物の赤字をどこへ持っていくんだというような問題もあるわけでございますので、一面においてやはりなるべく少ないコストでやらなければならないということと、それからいまのサービスが低下してはいけないということとのどこにクロスポイントを求めて解決していくかというのは、荷物の持っております宿命みたいなものでございまして、それは担当の方も注意をしていると思いますが、私もなおまた見直してみたいというふうに思います。
  203. 小林政子

    ○小林(政)委員 次に、私は合理化がいろいろな形でいま出てきているということを述べましたけれども、輸送の生命とも言うべき安全を脅かしている、この問題についてお伺いをいたしたいと思います。  昭和五十年度国鉄の監査報告書では、レール破損の問題について、線路故障のうちレール損傷が「全体の六六%を占めている。これは経年レールに多く発生しているので、レール管理の強化と経年レールの早期更換等の対策を強力に推進する必要がある。」このように述べられております。そとで、お伺いいたしますけれども、六十年にこの更換が必要だと考えている経年レールというのは大体何キロぐらいになりますか。
  204. 高橋浩二

    ○高橋説明員 いま先生六十年とおっしゃいましたのですが、レールの更換には原則的に三つの条件がございまして、一つは頭が減っていて形がおかしくなる、もう一つは全体の経年によりましてレールの断面が小さくなる、もう一つは繰り返し過重が何遍もかかりまして疲労していく、この三つの条件によりましてレールの更換を行うわけでございます。したがって、六十年までに何キロということはちょっと申し上げられません。在来線だけで考えてみますと、ただいま全国で三万九千キロの軌道を持っておりまして、従来の平均寿命というのは大体十三年くらいでございます。毎年毎年一年間に三千キロメートルのレール更換をただいまいたしておるというのが実態でございまして、私の方はそれで十分安全を確保いたしております。
  205. 小林政子

    ○小林(政)委員 レールには一級から四級までの等級がありますけれども、その基準は列車の通過量によって決められていますから、現在の通過量に合わせた基準にすることがいま非常に重要だと思います。しかも国鉄が行う線路補修は、等級の格づけによって力の入れぐあいが相当異なっているようですから、現在の輸送量に見合った等級に改めることが一層重要になってきていると思います。そこでお伺いをいたしますけれども、東京付近で、中央線だとか総武線、山手線、東北本線とか東海道線、常磐線などにいまだに二等級や三等級のところがあるというふうに言われておりますけれども、これら過密路線は等級を上げて安全対策に万全を期すべきだというふうに考えますが、基準改定を行うべきではないでしょうか。
  206. 高橋浩二

    ○高橋説明員 線路等級は、線路の強さだけで決めておるのでございませんで、輸送の量も当然関係ございますけれども、線路の勾配をどうするかあるいは曲線半径をどうするかというものを総合的に決めたのが線路等級でございます。しかし、いま先生のおっしゃいますように、その等級に従いまして軌道の構造も一応基準を決めておりますので、輸送量がだんだんふえていくような線区につきましては等級を上げていくことも考えていくのが妥当かというふうに考えております。そういう意味で、東京付近ではいま東海道線に二等級があるのじゃないかというお話でございますが、これは東海道線の貨物線に二級線というのがございますが、東海道線自体は一級線でございます。
  207. 小林政子

    ○小林(政)委員 何といっても安全対策というのは非常に重要な問題でございますので、この点についてはひとつ一段と対策強化してもらいたい、このように考えます。  ところで、この安全対策予算の面で当初から相当切り詰められておりますけれども、この当初予算ですら厳しく計上されておりますけれども、補正予算で大幅に減額をされている。これは五十一年度補正予算で安全対策費などを内容とする保守費が三百十六億円も減額をされています。工事勘定についても、線路改良費だとか防災設備費だとか信号保安設備費などがすべて減額されていますが、これらを内容とする一般取りかえ改良費は百八十億円も、これも減額になっています。これは一体どういう理由なのか。当初予算でどのような工事を予定していたものがこの補正予算の段階で切り詰められ、減額されたのか、この点をひとつ具体的にお伺いをいたしたいというふうに思います。
  208. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 ただいまお尋ねでございました保守費の減額の分は、お尋ねの金額は損益勘定によります修繕費の分だと思います。これにつきましては、確かに昨年運賃改定のお願いをしておりました時期がずれますことによって、損益経費並びに工事経費とも減額と申しますか、繰り延べをいたしました。しかし、ただいまお尋ねの分の二百億円につきましては、実際安全に直接関係がございませんと申しますか、建物修繕費あるいは作業用器具のようなものを中心にして取りかえの時期をおくらせるという形での繰り延べをいたしたわけでございます。もちろんそういう設備につきましても寿命等を考慮いたしますれば問題がないとは申せませんけれども、多額の減収に対応するためにはやむを得ない措置であったというふうに思っております。しかし、いずれにいたしましても、直接安全に関係のあるものを抑制いたしたわけではございません。
  209. 小林政子

    ○小林(政)委員 ただいまの安全に関する重要な内容が相当削減されているという点については、個々の具体的な中身がわかる資料をぜひお出しをいただきたい。  委員長の方にその点をぜひお諮りをお願い申し上げたいと思いますので、お願いをいたしたいと思います。  いよいよ時間も経過をいたしておりますので、これまでの審議で明らかになったことは、結局、政府国鉄再建対策というものが、いかに国民と労働者に犠牲と負担を強制するものかということがはっきりいたしました。そして運賃値上げ政府国鉄の思いのまま決められる、しかも巨額の貨物赤字の穴埋めまで負担をさせられている。地方貨物駅の大合理化を行うのですから、中小企業や農業、漁業関係の貨物ば大幅に縮小され、国民国鉄とはほど遠いものと言わなければならないと思います。残るのは大企業貨物だけともなり、結局国民は大企業輸送の赤字負担することになります。  しかも、高木総裁、あなたは、経団連に対して営業割引をしていくといい、ますます国鉄を大企業のための国鉄にしていくつもりではないのでしょうか。国鉄の言う営業努力とは、安全対策費の削減であり、住民中小荷主サービスの切り捨てであるということも、審議の中ではっきりしてまいりました。このような内容国鉄再建対策運賃値上げは、断じて私は反対でございます。このような計画を推し進めるため値上げを政府に白紙委認してくれと言ってもこれを認めることはできません。政府国鉄が全面的に計画を再検討することを要求します。そして国民とともに、このような国民無視の再建対策及び法改正に断固として反対をすると同時に、改めて、資料などをお願いした点が出てまいりましたら私は質疑を行うことを要望し、本日はこれで終わりたいと思います。
  210. 大野明

    大野委員長 次は、中馬弘毅君。
  211. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 昭和三十九年に国鉄経営赤字に転落して以来、その根本原因については、少なくとも企業経営の何かを知る人あるいは学識経験者から、いろいろな機会を通じてほとんどすべてが指摘されて言い尽くされております。  すなわち、運賃法定主義を初めとする国鉄当局の当事者能力の欠如だとかあるいは硬直化した官僚的な人事制度、相互不信の労使関係、またいまや独占的輸送機関ではないのに顧客に対するサービス精神が欠けていることなど、問題は非常に多いかと思います。にもかかわらず、何ら抜本的なところにメスが入れられずに、赤字が出たら運賃値上げという安易な対応策で過ごしてきたところに大きな問題がありましょうし、その間いろいろな再建対策が出てまいりましたが、実施に移されたためしがないというようなことかと思います。今日あることはすでに十年前から予想されたことでありますが、ここに至ってようやく前向きの法案が出てきたこと、これに対しましては評価いたすものでありますが、どうもその真意が明確でないので、その点の御質問をしていきたいと思います。  まず、先ほど来問題になっております運賃決定方式の弾力化の問題でございます。  まず、従来の法定制による問題点、これは、これを改めようとされるわけでございますから、どういうところが問題であったか、その点の御認識をお聞かせ願いたいと思います。
  212. 住田正二

    住田政府委員 現在御提案申し上げております法律は、一定の限度を設けまして、その範囲内では運輸大臣の認可を受けて国鉄総裁が賃率を定めることができるということにいたしているわけでございます。これは、国鉄の現在の財政状況が非常に悪化しているということに着目いたしまして、できるだけ早く赤字体質を改善し、累積赤字を解消するための暫定措置としてお願い申し上げているわけでございます。
  213. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 従来の運賃法定主義というもののどういう点が国鉄当局なり運輸省として問題であったか、その点をちょっと整理してお答え願いたいと思います。
  214. 住田正二

    住田政府委員 この点につきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げたわけでございますけれども、やはり国鉄経営の健全化を図るためには、適時適切に運賃を上げることが必要であるわけでございまして、そういう意味では、法律の中に賃率を一々書いていくということでは、国鉄財政が非常に健全なときにはそれでいいと思いますけれども、現在のように非常に悪化した財政状況では体質の改善が図りにくいということで、暫定措置としてお願いをいたしているわけでございます。
  215. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 適時適切な運賃値上げということでございましょうが、もう少し、政争の具になっているだとか、あるいはそういうようなことから計画がいろいろ立たないだとか、国鉄当局にしましても運賃値上げのためのいろいろな国会対策の方が非常に労力がとられるとか、むしろそういうもろもろのいろいろな問題があるのではないかと思うのです。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕  そして、今度の法案の、弾力化の方式の問題でございますけれども、先ほど小林さんの方からかなりいろいろな問題が出ていましたので、ここで改めては言いませんが、むしろ五十四年均衡ということが今度の一つのたてまえになっております。そして、これは、私は、藤井総裁国鉄運賃倍増論、去年五〇%上げて、そしてことしも五〇%上げるならば、五十二年度には収支とんとんになりますよという論、しかし実際問題としては一つの政治的な判断でこれを一九%に抑え、その後一五、一五で上げていくならば、もちろん物価変動がないと考えた場合ですが、五十四年度に収支がとんとんになりますよという、この一五%の根拠というのはそうだと理解しておりますが、それでいいですね。
  216. 住田正二

    住田政府委員 先ほど小林委員にも御答弁申し上げたわけでございますけれども、従来の計画が非常に長期であったわけでございますので、その間いろいろ経済情勢の変化があって計画が挫折してきたわけでございます。そういう経験にかんがみまして、今回は、国鉄が持っております赤字体質というものをできるだけ早く解消をして、できるだけ早く収支均衡を図りたいというのが、今回の再建対策の基本的な考え方であるわけでございます。当初は、いまお話がございましたように、五十二年度で収支均衡を図りたいと考えておったわけでございますけれども、諸般の情勢を考えまして、おおむね五十四年度に収支均衡の目標年度を延ばしたということでございます。
  217. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 ですから、一五%の根拠というものは、五〇%ことし上げるのを三年間延ばしたがために、五十割る三のイコールほぼ十五と、そのような根拠と考えていいですね。
  218. 住田正二

    住田政府委員 五十割る三で十五ということではないわけでございまして、今後の経済情勢あるいは物価情勢あるいは国鉄経営努力がどう実るか等、いろいろ不確定要素があるわけでございますけれども、いろいろ前提を置いて計算いたしました結果、まあ五十四年度に収支均衡を図るという前提で考えますと、物価変動率に一五%を足した率を上限とすれば何とか収支均衡が回復されるのではないかという見通しでございます。五十を三で割ったということになりますと同じような数字が出ますけれども、考え方は五十四年度収支均衡を図るということを前提に考えた数字でございます。
  219. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 同様に百分の五の根拠といいますか、これは繰越欠損金が消滅する目標時期、先ほどの御答弁の中で五十七、八年ごろというお話がありましたが、しかしこれはまた後ほど触れますけれども、年金の問題あるいは退職金の大幅な増加の問題、こういうことは実際問題としていろいろな資料を取り寄せてみましても計画の中に織り込まれておらない。したがいまして、これはそのことの根本的な解決がない限りは赤字は大幅に続いていくと考えざるを得ぬわけですね。したがいまして、そうしますとこの百分の五というのは半永久的に続くと考えざるを得ぬのでございますけれども、その点についてはどうでございましょう。
  220. 住田正二

    住田政府委員 先ほど申し上げましたように、五%という率は国鉄の体質が黒字になった場合に適用される率でございます。したがって、いま御指摘のように退職金の問題であるとかあるいは年金の問題があって、国鉄の体質が赤字になった場合にはまた一五%に戻るということになるわけでございまして、五%の率は累積赤字の解消分に充当される分でございます。  もちろん一度黒字体質になりまして、その後いまも御指摘のような原因によって赤字が非常に大きくなるというような場合には、さらに累積赤字がふえてまいりますので、その五%の率が適用される期間が延びることになるかと思いますけれども、一応五十四年度で収支均衡が回復されれば、あと三、四年で累積赤字が解消されるのではないかというように考えているわけでございます。あるいは後ほど御指摘あるのかもしれませんけれども、退職金等の問題につきましては、前回の委員会で河村委員からも御指摘ありましたように、やはり一時に退職の人がふえるわけでございますけれども、退職金等については平均化した何か特別の措置をとったらどうかというような御提案もあったわけでございまして、そういうようなことも考慮いたしまして、できるだけ一時に国鉄財政負担にならないような措置を今後考えていきたいと思っております。
  221. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 これは一見歯どめをかけているようで、現実には歯どめにならないというのがこの法案じゃないかと思うのです。むしろ先ほど本音として、それこそ運賃の法定制度というのは問題があるんだ、これを外したいんだという本音であるならば、これは運輸大臣にお聞きしたいのでございますけれども、国鉄総裁がそれだけ信用が置けないのか、国鉄総裁がそれだけ勝手な値上げをされるとお思いなのか、むしろ全部国鉄総裁に世論に対する責任までもお与えになる方がいいんじゃないかと思いますが、その点は運輸大臣はどう思われますか。
  222. 田村元

    田村国務大臣 それができれば一番いいんでございましょうけれども、何と申しましてもつい先般までは非常に独占性の高い公共交通機関でございましたし、いかに今日その独占性が薄れたといいましても、なお全国民が利用する公共輸送機関でございます。でありますから、財政法三条の許容する範囲内で弾力化をすることに意義があるわけでありまして、もちろん外国等の先進国の中には鉄道経営者の判断によって運賃改定ができる例も多々ございますけれども、わが国においてはやはりある程度の縛りは必要ではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。高木総裁が信用できないというのではございません。私はむしろ過信に陥っておるぐらいでございます。
  223. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 国鉄というのは、これは公共企業体という名前が示すように企業でございます。企業経営者というのは一つの物の値段を決めるときに、これはいわば自分の首までもかけたような気持ちで決定するものだと思います。相手の企業との競争の問題もありましょう。製品の値段を上げたために売れなくなったり、これは企業の命運を左右するわけでございます。それほどのものでございますから、国鉄総裁にむしろ全権をお与えした方か、これは安易な気持ちじゃなくて——国鉄総裁高木さんが安易なお考えだということじゃございませんが、安易な気持ちで法律でこう決まっているからその範囲では上げようというのじゃなくて、世論に対する責任までも自分が負わなければならないといった場合に、これは容易なことでは上げられない。むしろ内部努力の方にまずは誠意を尽くされるのではないか、努力を尽くされるのではないか、かように思うわけでございます。その点について高木総裁……。
  224. 高木文雄

    高木説明員 国鉄運賃の決め方につきまして、今回政府の方から御提案願っていただいておりますような方式がよろしいか、より基本的に運輸大臣なりあるいは私どもに御一任願うような形式の方がよろしいかというのは、論理的には二つの道があり得ると思うわけでございますけれども、私どもが政府から御相談ありましたときに、今回の段階ではこういう方式でやっていただくことについて、ぜひそういうふうにお願いをいたしたいということを申し上げてこういう形になりましたにつきましては、やはり現在の国鉄というものの体質なり、それから現在の公共企業体という非常に特殊な経営形態なり、あるいは賃金の決め方の問題なりもろもろのことを考えてみますと、いまおっしゃいますように現在よりもより思い切って私企業的なものに切りかえるということについては、まだ私どもといたしましてもはなはだちゅうちょを感ぜざるを得ないわけでございます。  ただ、昨年の運賃改定の機会に非常に痛感をいたしましたのは、法律でお願いをいたすことになりますと国会の審議に手間取るとかなんとかいうことではなくて、適時適切に改定するということが大変困難でございまして、現在飛行機との関係その他で非常に競争的にうまくない事情に陥っておりますのも、やはりそういった不自由な状態に置かれていることから出てきたわけでございますので、まずは運賃改定、料金改定を含めまして適当な時期に適切に他の競争機関の運賃水準等を考慮しながら改定をさせていただけるような、弾力性を与えていただくというところから始めていただくのが望ましいのではないかと私は思っております。  ある意味では非常に憶病でございますが、より私企業的なものに一挙に全体を切りかえていくというのも一つ考え方ではございましょうけれども、まだどうもちょっとそれには早いのではないかという感じがいたしているわけでございまして、まあよく使われる言葉でございますが、当事者能力の回復というものに向かって改革を図っていくといいますか、いろいろな変更を図っていただくのについてほんの入り口という意味でありましても、今回の案は私どもにとって大変ありがたいものである、そして一挙に全部やっていただくというのは少し私にも責任が重過ぎる、こういう感じでございます。
  225. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 いみじくもおっしゃったように、本当に全責任を負っていただくならば、これは大変な御負担だと思いますけれども、しかしそれが本当の、これは個人のことを申しておるわけではございません。国鉄として全責任を負って国民の輸送機関としての責任を全うされるのじゃないか、かように思う次第でございます。  そういった観点から、今年度の一九%の値上げ、この数値の問題、これにしましても本当に真剣に考えられて、国鉄総裁がどうしても一九%だ、こうするならば今後の改善に非常に寄与するんだという確信を持ってお出しになった数字であるならば、私も高木総裁を尊敬する者といたしましてこれに全幅の信頼を寄せましょうが、この一九%というのがかなり政治的な形で決められていることは御存じのとおりなんです。そういったときに、今度の一九%値上げというのは、これは国民がそういう形では納得しないでございましょうし、またもろもろの再建対策につきましてもまだまだ実施に移された形跡も見られない、また国鉄離れの問題もございます。そういうことで、一九%の値上げにつきましては大変な問題があろうかと思います。その点について、この一九%というものについて国鉄総裁はどのようにお考えでございましょうか。
  226. 高木文雄

    高木説明員 先ほど来御説明がございますように、昨年度再建計画では五十一年度に名目で五〇%上げさしていただく、そして五十二年度に収支の均衡を図るというわけであったわけでございますけれども、現在の実態からいたしまして、とても五十二年度までの二カ年間で一挙に収支の均衡を図るということは困難であるということで、私どもの方からも何とか五十二年度収支均衡でなしに、もう少し時間をかけて均衡を図るような計画に御変更いただけぬものかということをお願いをいたしたわけでございます。  案ができましたのは昨年の暮れからことしの春、一月の段階でございますので、この秋になりましていわゆる国鉄離れと申しますか、名目五〇%値上げの影響として、結果として実収でどのくらいの水準になりますかということはまだ見当がつかなかったわけでございますし、また現在でもそれはなかなかつきかねておるわけでございますが、二カ年間で収支均衡をするという計画を変更していただくのにつきましても、二年目は全く何ら改定をしないというのでも余りにも再建に気長なことでございますし、少なくても五十一年度と比べまして、五十二年度に人件費、物件費が増加いたします分については運賃の改定によって回収さしていただく、しかし単年度赤字になっている分につきましては、赤字改善しないでそのままの状態に置いておくというぐらいのところが一つの案ではなかろうかということで、九月、一九%という数字が出てきたわけでございまして、去年以来の経緯を踏まえ、それから過去におきます四十四年なり四十八年の計画の失敗を考えますと、そう長く物事を後へ引っ張るわけにもいきませんので、まずはその辺のところを努力目標としてやらなければならないであろうということで、今後のお客さんの乗りぐあいにもよりますけれども、できましたならば九月から一九%ぐらいは何とか値上げさしていただいて、単年度収支がより悪くなる——山登りにたとえますれば、頂上に向かって歩いている途中でまたもとへ戻るというのでも余りみじめでございますので、より悪くなるということにはならぬ程度で経営をさしていただいたらどうかというような気持ちのあらわれが、九月、一九%という数字を私どもとしても一つ目標として考えることにいたした事情でございます。
  227. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 この名目一九%の値上げで、これは国鉄離れとの関係があると思いますが、平年度では実質実収はどの程度織り込んでおられましょうか。
  228. 高木文雄

    高木説明員 国鉄離れがどのぐらいあるかといいますか、値上げによります減収がどのぐらい起こるかということはなかなかむずかしい問題でございます。国鉄だけの事情ではわかりませんので、他の競争輸送機関の運賃水準との関係によって変わってくるであろうと思われますし、そのときの景気、不景気の状態によって変わってくるであろうと思われますので、名目改定率と実収増加見込み率との関係というのは非常にむずかしいわけでございます。ただ、いま見ておりますのは、過去におきます改定時にどういうことになったか、つまり逸走率という妙な言葉を使っておりますが、お客さんが離れていかれる率というものがどのぐらいになるかということについては、過去の改定時における経験値から引き出しておるわけでございますけれども、まず一九%の場合の実収率は大体一四%ぐらいであろうかということを前提にいたしまして、それを前提にして本年度予算では一九%改定による実収金額を半年間で千八百八十億円というふうに見ておるわけでございます。
  229. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 旅客におきましても、私鉄なんかの競争線があるところでは国鉄離れが出てきましょうし、貨物ではずっと傾向として起こっております国鉄離れがさらに一層激しくなるのではないか、かように恐れるものであります。そういうことで、やはり運賃値上げだけに頼るわけにいかないのは自明の理でございますが、それに対することとして、このたび投資事業の範囲拡大ということを出してきておられます。これまで投資事業をかなりやっておられます。大体五十社で百二十八億ぐらいの出資かと思いますが、こういった投資事業国鉄経営に対してどのように寄与しているか、これを、いままでのことでございますが、伺いたいと思います。
  230. 篠原浩

    ○篠原説明員 お答え申し上げます。  国鉄出資会社は、最近六社いたしましたけれども、四月になってからでございますので、昨年までの実績で申し上げますと四十六社ございます。ただ、私どもが出資いたしました四十六社は少し性格が違っておりますので、大別いたしますと二種類に分けることができるかと思います。  国鉄の輸送と一体となりまして、荷主あるいは旅客にサービスを提供して、ひいては国鉄の輸送を確保し、運賃収入の確保を図るというのが第一のパターンでございまして、いま一つのパターンは、それはもちろんでございますけれども、そのほかに用地を活用いたしましたりいたしまして客貨の運賃収入以外の収入の確保を目的としたものの二種類に分けられると思います。  後者のものは、最近四十六年に政令で追加していただきましてからできました駅ビルでございまして、その他の大半のものは第一のパターンに属するものと思います。  したがいまして、その裏の、出資会社のメリットと申しますか、成績を論じます場合には、配当金とかそういうものではなくて、その会社の設立の趣旨に沿ってどれだけの目的を果たしたかということで評価すべきものであろうと考えます。  第一のパターンは、四十六社のうちの大半でございますけれども、たとえば旅客におきましては二社に出資いたしておりますが、これらはいずれも国鉄の旅客の増倍と申しますか、旅客収入の獲得に非常に大きな寄与をいたしております。なお、二社とも八%の配当をいたしておりますので、われわれはこれは最上の部類だろうと判断いたしております。  次に、貨物関係でございますけれども、これは臨海鉄道と物資別ターミナルでございまして、合計十四社ございます。これらはいずれもとは申し上げませんけれども、これからは会社の配当でございますとかあるいは地代でございますとか、そういうものの確保よりも、むしろ輸送の整備と申しますか、によりまして近代的な輸送サービスを提供いたしまして国鉄貨物輸送確保する、ひいては運賃収入の確保に努めるということが目的でございます。  したがいまして、その効果でございますけれども、貨物の方は、最近相当輸送量が減っております中にありましても、これらの会社の扱いに属しますものにつきましては減ってもおりませんので、まずまずの成績であろうと考えます。ただ、遺憾ながら二十四社のうちで配当いたしておりますのは一社だけでございまして、あとの会社は配当に至りません。ただ、先ほど申し上げましたようにいろいろな会社の設立の経緯、目的がございますので、これらの会社すべてにつきまして配当なり地代なりをすぐ求めるということは困難であると思います。ただ昨年の運賃値上げの効果というのがございまして、だんだん経常収益の方は上がってまいっておりますので早晩配当に至るであろう、ただ全部と申し上げる自信はございません。  次に、バスターミナルが三社ございますけれども、これも少し性格が違っておりまして、利益と申しますよりも交通政策と申しますかそういう観点、あるいは都市の交通の問題、発着の場所の統合という問題からスタートした問題が多うございまして、その中に国鉄の発着場所を確保するということでスタートしてまいりました。したがいまして、三社ともまだ配当に至っておりませんけれども、二社はそれぞれ利益を出しておりますので、これも早晩配当に至るであろう。ただ所期の目的はおおむね完遂していると考えます。  最後のパターンでございますけれども、これは旅客駅の近代化をいたしまして、お客様方にサービスいたしますとともに国鉄の関連事業収入を確保する、あるいは配当収入を期待するという性格のパターンでございますが、四十六年に初めてお認めいただきましたものでございまして、それから会社をつくりまして工事をやった関係でもございますので、まだまだ開業いたしまして一番古いものでも三年でございますので、まだ配当に至っておりません。ただかつてからありますものに国鉄が後から出資いたしました一社については配当いたしておりますが、国鉄が四十六年以降国鉄主導と申しますか、国鉄責任によってつくりましたものは配当には至っておりませんけれども、いずれも所期の計画どおりの成績を上げておりまして、五十一年度決算から配当が始まるであろうとわれわれは期待いたしております。  なおまたこれは配当とは別でございまして、構内営業料金と申しますけれども、いわゆる地代的なものがございます。われわれは固定的な地代という観念ではなくて売り上げに応じた地代をいただく、それをちょうだいいたすということでございまして、それが五十年度で十億円、五十一年度はまだ確定いたしておりませんけれども、多分十四億円くらいは構内営業料金をいただけるであろうと考えておりますので、まず所期の成績を上げていると考えます。  ただ概括的に申し上げましたけれども、いずれにおきましても決して十分ではございませんので、会社にはそれぞれの設立の目的、経緯がございますので、各社一社ずつ設立の趣旨に沿った効率的な経営が行われているか、あるいは企業的な経営が行われているかということをもちろんわれわれは一社一社つぶさに検討し、トレースをすべきだろうと考えております。
  231. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 いろいろな性格の投資事業があると思いますが、今後この範囲を拡大してやっていこうとされておるのはどういう方面の関連事業でございましょう。
  232. 篠原浩

    ○篠原説明員 今度改正をお願いいたしております六条の案には四つございます。特にそのうちの二つが新しくと申しますか、われわれが最も注目しているものでございまして、一つ国鉄が所有いたしておりますところの土地、建物の高度利用でございまして、いま一つ国鉄旅客貨物の収入の増大に資するためのということでございますが、前者の方につきましては、国鉄でございますので用地が都内にも全国にもございますし、これからも貨物集約が行われましたりいろいろな関係で用地が発生すると思います。私どもは発生いたしました用地をすべて国鉄だけで何でも全部活用するというふうに考えておるわけではございません。場所によりましてはわが方だけで活用できるものもございましょうし、あるいは売却するものもございましょうし、いろいろな自治体と共同でやるものもございましょうが、われわれはとにかくだんだん発生いたしていきます土地を有効に活用する。たとえば駅ビルでございますとか、現在やっております駅ビルは旅客駅と一体となったものという条件で許されているわけでございますが、今度は旅客駅と一体とならなくても土地の高度利用に資する事業には出資が許されるわけでございますので、われわれはこれから発生いたします土地あるいは現に持っております土地を、その土地の性格に応じて、あるいはわれわれの能力に応じて土地の開発と申しますか、ビルでも貸しヒルでございますとかホテルでございますとかいろいろなものがあると思いますが、そういう事業を考えてまいりたい。  いま一つの方の問題、第二番目の問題でございますけれども、これは具体的にどこに何をつくるという計画は持っておりませんけれども、遊園地でございますとかスキー場でございますとか、いろいろな問題が考えられる。ただ最近のような情勢でございますので、何でもやれば会社がもうかるというわけでもございませんでしょうし、経営情勢が非常に厳しいわけでございますので、いろいろな角度から部外の方々の御意見を伺いながら、慎重な構えで、かつ積極的と申しますか、若干矛盾いたしますけれども、努力してまいりたいと考えているわけでございます。
  233. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 これまでの投資事業と申しますか、これは鉄道に付帯したような、たとえば先ほど御説明のありました臨海鉄道事業だとかあるいはバスターミナルだとか、全く鉄道に付属して、旅客なりあるいは貨物をより多く運ぶことに寄与していくという事業は別でございますが、それ以外の、若干なりとも収益を目的としたような事業というのが非常に効率が悪い。もちろん配当しているところはほとんどないような状況でございます。  それから取っております地代または施設利用料といったものに対しましても、何か非常に古い契約のままになっておったり、市価から考えたらべらぼうに安い値段で貸されておったりということで、いままでは国鉄に対して余り寄与していないんじゃないかと思うのです。そういうことで、この間お聞きしましたところによりますと、今後におきましては、たとえば売上高比、商店に貸した場合にはそれでやっていくというようなお話も聞きましたが、そのあたりについての具体的なことはどういうことでございましょう。
  234. 篠原浩

    ○篠原説明員 ただいまの御質問は用地の貸付料のことだろうと思います。いろいろ用地の貸し付けにはタイプがございますし、複雑でございますけれども、私どもが考えておりますことは、一般的に用地の貸し付けそのものを一遍見直してみたいという感じでございます。なおまた用地の貸し付けと申しますのは、固定的な料金にいたしますと、なかなか値上げには抵抗がございます。何年か置きに消費者物価指数を基準にいたしましたり、あるいは土地の値上がりを基準にいたしましたりいろいろいたしましても、契約の相手方と折衝いたしまして御了解をいただくのにはなかなか骨が折れる。ときたま裁判になることもございます。  したがいまして、収益の上がりそうなところにつきましては売上歩合制を導入する。さようなルールを初めからいたしますと、何年ごとに一回値上げというような手続きが要りません。売上高さえ捕捉できればあとは自動的になっていくということでございまして、先ほど私が申し上げました四十六年以降に国鉄出資いたしました駅ビルについてはさようになっておりますし、あるいは高架下におきましても、ショッピングセンター的な使い方をいたしておりますものが全国にかなりの数ございますが、こういうところは同じ高架下でございましても売上比例制の料金になっております。いままでのいろいろな経緯がございますので、すぐそちらに移行するということには抵抗がございますけれども、何らかの機会を見てそういうような売上比例制と申しますか、収益に見合う代金を自動的に収受できるというような制度の方になるべく移行させたい、かように考えております。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕
  235. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 投資会社以外に国鉄の外郭の企業が数多くございます。たとえばいまお話の出ました高架下の問題につきましても、国鉄が直接貸すのではなくて高架下会社に貸し、それがまた倉庫会社だとかあるいは商店に貸し、現実問題としてはそこからまた貸しで、末端におきましてはかなり高い権利金などが払われておりますが、こういったものは直接には国鉄には何ら寄与していない、安い地代だけだということがございます。この点について改めていかれるお気持ちがあるのかどうか。
  236. 篠原浩

    ○篠原説明員 高架下の料金につきましては、先ほど申し上げましたように、高架下でございましても、駅ビルのような、ショッピングと申しますか、そういうような駅の周辺と申しますか、お客のたくさん流動いたします場所にある、非常にもうけのいいと申しますか、そういう場所につきましては、ただいま申し上げましたように、すでにかなりな場所におきましては売上比例制になっております。それ以前の分につきましては比例制になっておらない。  それといま一つは、昭和三十九年までは高架下、先ほど申し上げましたショッピング以外でございますが、一般的な高架下につきましては国鉄が直接貸したわけでございます。土地を貸しました。裸貸しで貸したわけでございますけれども、国鉄が貸しました相手方がそこに何らかの造作をいたしまして、それにいろんな登記をいたしまして、また、また貸しをするというようなことが非常に繁に行われたものでございまして、権利関係が複雑になりましたり、管理が非常に複雑になってまいったというようなことがございまして、昭和三十九年でございますけれども、行政管理庁の監査を受けまして、これはけしからぬということで、国鉄がみずからやるか、あるいは国鉄経営意思が徹底する相手方に対して一括して貸す。そしてその会社責任においてその会社が造作をして貸す。したがいまして、その会社が相手方に貸します場合には、国鉄に納入すべき地代相当額と、設置いたしますところの造作の費用と、それの償却費もございましょう、そういうものを含めて土地と建物をくっつけた形で貸すという形になっております。それが昭和三十九年以降は、そういうふうな行管の勧告もございましたし、国鉄部内におきましても、民衆駅等運営委員会と申しまして、そういうことをいろいろ御議論いただく外部の方々の権威のある委員会がございます。そこで御議論いただきました結果、国鉄で直接やるのはふさわしくないも国鉄が造作をつくって貸すというのは、国鉄業務の範囲を少し逸脱するんじゃないだろうかという御意見もございまして、国鉄の意思が完全に通るというような関係の、そういうような意思の徹底できるような実質を備えた会社をつくりまして、そこに国鉄は一括して土地を貸す、そこでいろんな造作をいたしまして貸すという形になっております。したがいまして、ただいまの高架下の用地は、ショッピングを除きます場合には二種類になっておりまして、直接貸し付けをいたしました部分と、間接的な貸し付け、いわゆる中間会社を通してというものでございますが、ただ、国鉄が収受いたします金には影響ございませんし、別に直接貸しておりません場合に、不当に安いお金で貸しているという結果になっているというふうにはわれわれは考えておりません。
  237. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 その間接的に貸しておられる場合に、その会社は非常な収益を上げても国鉄の方に何ら直接的な収益が入ってこない、こういう問題があろうかと思うのですが、その点の御答弁をお願いしたいと思います。
  238. 篠原浩

    ○篠原説明員 会社がそれほどの利益が出まして、国鉄に用地代相当額を納入いたしましても、会社でうんと利益が出るというような事態は目下のところ起こっておりませんし、仮にそういう事態と申しますか、そのような情勢が発生するようになりますれば、そこにわれわれはもう一回考え直すべき問題があると思います。いままでのところでは、その会社がそれほどの収益の上がるようなものにはなっておりません。と申しますのは、私どもが会社から収受いたします用地代そのものが、われわれの方では一応いろんな方々の御意見を伺いながら、土地評価委員会その他の方で御議論いただきながら、最も妥当だと判断いたしますところの用地代を国鉄はその会社から収受する。会社はそれにいろんな設備をつくりますけれども、それに相当する部分と、あるいは会社の管理費を上乗せしたと申しますか、合計額を家賃として収受しているということでございますので、国鉄の土地代が安過ぎて会社に非常に利益が出るというようなことにはならないだろう。万が一そういうことがあるといたしまして、わが方の土地代が安いということになりますれば、それは当然わが方で考えるべき問題であろうと考えます。
  239. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 これはもう少し前向きに考えていただきたい問題なんでございますけれども、たとえば東京環状線あるいは大阪の環状線の高架下、これは、どこか新幹線の下でミミズを飼うという話ではなくて、むしろこれは都市の美観とも関係してくるかと思います。これがただ関係の倉庫会社に貸してあって、何か汚い板打ちがしてあるぐらいのことであったり、あるいはところによっては何も利用されずに浮浪者のたまりになっておったりしているわけです。しかし、たとえば私鉄あたりがそういうことを、最近も都市内を高架にしておりますが、その場合にはかなり自分の手ですばらしいショッピングセンターのようなものをつくりまして、またそこに非常に高い権利金で入れております。これは大きくその企業に収益として寄与すると同時に、また、町の美観としてこれはすばらしいことじゃないかと思うのですね。この点について何らかの前向きの形が国鉄としても必要なんじゃないかという気がするのです。その点のお答えをお願いいたします。
  240. 高木文雄

    高木説明員 国鉄の財産をいろいろ管理をいたしましたり活用いたしましたりするにつきましてのいままでの基本的な考え方というものについて、相当改めていく必要があると思います。高架下という場合には、高架橋自体が国鉄建設物といいますか、建築物としてつくったものでございます関係上、大部分はいわば、内部の細かいことを申し上げて恐縮でございますけれども、土木建築の方の担当の部局が管理をするというような傾向で今日まで来ておったわけでございまして、いずれかといいますと、そこからどのようにして利益を生み出していくか。利益というのは、もともとの投資は非常に大きいわけでございますから、その投資というのはレールをつくるための投資でございますから、どの程度考えたらよろしいかが問題でございますが、しかし、いずれにいたしましても、その土地柄に応じてなるべく多くの収益を上げるように考えるべきところ、いずれかというと、活用というよりは管理をする、そこに不当にだれかが占有したりしないように管理をしていくという思想が基本的に強かったわけでございます。でありますために、いまお示しのように、地域に応じてではございましょうけれども、いろいろ外装も非常にきれいにして、そのかわり大いに高く借りていただくというふうな発想法がなかなか生まれてこないわけでありまして、余りそこに新しい投資を加えてより多くの収益を上げるというよりは、そのありの姿のままでどうやって管理をするかというような方に、どっちかというと、判断基準が傾いておったということが言えると思います。しかし、今日のような国鉄経営事情を考えますならば、どのような資産でございましても、その場所柄に応じて一番多く収益を上げるにはどうしたらいいかという角度から考えるべきものでございますので、つい先ごろ、関連事業本部長という制度を設けまして、どの部局で管理しております資産につきましても、管理は従来どおりの部局で管理するにいたしましても、その基本的な物の考え方を変えることによりまして、より活用効果を上げるといいますか、国鉄経理への貢献度を高めるように見ていくというふうに考え方を変えるように持っていきたいと思います。ちょっと時間がかかりますけれども、いま中馬委員が御指摘になりましたような方向にこれから持っていこうというのが私どもの考え方でございます。
  241. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 非常に前向きのお答えをいただきまして評価しているわけでございますが、そのほかにも従来のいろんな古い契約あたりをこの際見直していただきまして、極力国鉄経営に寄与する形で進めていただきたい、かように願う次第でございます。また、経理的な問題以外にも、国鉄の余剰人員と言った方がいいかもしれません、かなり老齢化した方々がたくさんおられます。この方々により有効的に働いていただく場を与えることも、これも必要じゃないかと思います。その点、先ほどから伺っていますと、何か国鉄がやれる仕事の範囲というのが非常に限られているような、投資でなければだめなんだとかあるいは別会社にしなければだめなんだというようなお話が多々出てまいります。その点について、ちょっと法律の問題になるかと思いますが、国鉄法の第三条に「附帯事業」という言葉が出てまいります。この「附帯事業」という言葉の範囲といいますか、これはどう解釈しておられましょうか。
  242. 住田正二

    住田政府委員 日本国有鉄道法第三条は、国鉄本来の事業とそれに付帯する事業ができるということを言っているわけでございまして、先ほど総裁からもお話がありましたように、戦前はホテルを直営しておったこともあるわけでございまして、駅の中のホテルといいますか、駅の上のホテルであるとか、あるいはショッピングセンターであるとか、あるいは列車の中で食堂を経営するとか、そういうような旅客サービスに付帯する業務というものはこの三条の範囲内で読めると思います。しかし、先ほどお話にも出ておりましたが、国鉄が持っております駅から離れたような場所でホテルを経営するというようなことは、そのお客さんが国鉄に乗るお客さんばかりであればあるいは「附帯事業」で読めないこともないと思いますけれども、町の真ん中で一般の客も使うというような場合には、三条では読めなくて、今回提案申し上げております六条で出資をして経営をするということになると思います。
  243. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 先ほどの高架下とか、そういった問題はどうなりますか。
  244. 住田正二

    住田政府委員 高架下の問題につきましてもやはり「附帯事業」の範囲でございますけれども、それを直接だれかに貸すとかいう貸しビル業的なものになりますと、直ちに「附帯事業」と言えるかどうかわかりませんけれども、そこでお客さんのための食堂を経営するとか、あるいはお客さんのためのショッピングセンターをやるというようなことはできると思います。
  245. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 もちろん離れたところに何かどんどん投資をしていく、投資といいますか、事業を拡大していくというふとじゃなくて、たとえば東京駅の上だとか、あるいは大阪駅の改装の問題も出ております。ここに一つのビルを建てるといったときに、いま進めておられる話は、自治体あるいはまた銀行も入ったような第三セクターのような形であったりしますけれども、これを直営でやることに、直営といいますかね、投資じゃなくて直営と申しましょうか、これでやることについては何か法律的な問題がありますか。
  246. 高木文雄

    高木説明員 法律的には問題がないわけでございますけれども、現実問題といたしましては、たとえばターミナルビルをつくりますときにその資金をどうやって調達をするかということを考えますと、国鉄自身政府資金を借りてきて建てるという必要があるかどうかということになりますと、必ずしもその必要はないんじゃないか。そこで、そこへ出資のビル会社をつくりまして、ビル会社が入居者から権利金のようなものを徴収いたしますと、ビル会社自体としてはそれほど大きなファイナンスを受けませんでもビルが建つわけでございます。そういうことを考えますと、直営でやらなくてもよろしいといいますか、あるいはむしろ直営でない方が資金調達が容易であるというようなことが一つあります。その上に、ビルの管理につきましてもやはりかなり専門的な知識が要りますので、そちらの方の専門家の方に入っていただくとか、あるいはショッピングならショッピングについての知識を持っていらっしゃる方に入っていただくということを考えますと、どうも直営でやりますと、国鉄の職員になっていただくというようなことになりますと、やれ給与の問題だとか、あるいは退職金の問題だとか、年金の問題だとか、いろいろな問題が絡んでまいりまして、どうも直営でやるにはそういう人材を得るのには得にくいということがございます。  そこで最近は、駅ビルというようなものを建てます場合には、その資金調達の便宜さと、それからもう一つは人材を得るための関係、さらには、そうしたものをつくります場合にしばしば民業圧迫になるのではないかという御批判がありますので、むしろ地域の方にも参画をしていただくという形式をとった方が物事がスムーズに進むというような事情から、最近ではほとんどすべての場合に、三条によらずに六条によりまして出資をして、国鉄の発言権は大きく確保はしておきますけれども、むしろ、全部国鉄が直営するという形式をとらない方がより現実的であるということになってまいった次第でございます。これは、いま問題になっております大阪の駅ビルのような問題の場合には、必ずしも法律問題というよりは、そういう後の運営というようなことを考えました結果、大体出資会社をつくってそれでやっていくという考え方の方が通例的になっている事情でございます。
  247. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 そういった場合に、先ほどちょっと触れました国鉄の過剰人員あたりの吸収策には余りならないのじゃないか。どうも役員あたりの派遣だけになってしまいまして、どうしても、あのかなり膨大な国鉄従業員の方々、五万人削減とかおっしゃっておりますけれども、そういうような者の実際の受け入れ先というのを何か考えなければ、それこそ五万人削減といったことを計画にやられてみても、全く絵にかいたもちになってしまうわけでありまして、いま言いましたビルがいいのか、ホテルがいいのか、これは別問題といたしまして、何か現国鉄職員のままで、これは国鉄というのはいろいろな職種の方がおられます。電車を運転しておった方々がエレベーターの保守をされてもこれはできることではないかと思います、たとえばの話でございますが。そういったことで、いまの国鉄職員の方々が、ただ五万人削減というのではなくて、もう少し具体的に、場合によっては直営事業ででも、そういうものがあったならばそういうことをやる必要があるのじゃないか。かような意味で申し上げておるのですけれども……。
  248. 高木文雄

    高木説明員 現実に出資会社をつくりまして、ビルをつくる、そしてそのビル管理会社になるという場合にも、余り無理にならない程度ではございますけれども、かなり私どもの職場を退職しました職員、特にいまお話しになりましたエレベーターであるとか、あるいは冷暖房装置であるとか、電話であるとか、そういう国鉄のどの職場にもありますような施設がそういうビルの中にはございますので、そういう技術を持った人をそこでお世話をしていただくということは、余り無理をしない程度にではございますけれども、お願いをしてきておるわけでございます。その意味では、必ずしも出資会社なるがゆえに退職職員のいわば第二の人生というのにつながらないということではないと申して差し支えないだろうと思います。  ただ、困っておりますのは、何分、最近退職年齢に到達しております人数は一万五千人というような非常に大量の人数でございますし、それから新しくできますそういう式のものはごく限られた地域でございますし、また農村部ではなかなかそういうことがいま計画ができない関係がございまして、必ずしも退職者の先々のめんどうを私どもの方で見るということについては十分なことはできておりません。できておりませんが、そういう機会がありましたならば、その機会に無理をしない範囲ではお願いをいたしておるわけでございます。
  249. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 問題なのは、退職された方の吸収ではなくして、いま在籍しておられる方の吸収ではないかと思うのです。退職された方が年金ももらえずに路頭に迷われるというのであれば、それはそういったところのお世話も場合によっては必要でありましょう。しかし、そういうところに就職されて、その投資会社の給料もおもらいになり、また恩給といいますか、共済年金も減らされずにもらっておられるというところに逆に問題がありゃせぬかと思うのでございますけれども。
  250. 高木文雄

    高木説明員 二つ問題がございますが、いま中馬委員のおっしゃるお気持ちの中には、まだ退職年齢に到達していない人でも早目にやめてもらってそういうところに世話をしたらどうかというお気持ちがおありかと思いますが、実は私どもの方は、いま毎年ここのところ、これから先はさらにふえるわけでございますが、一万五千人前後の人がやめていっておるわけでございまして、それに対しまして、相当数の要員の削減を図るといたしましても、毎年一万五千人やめられます場合には、それでは足りなくなってしまうわけでございまして、相当数の新規採用をいたしておるわけでございます。それで、退職者の数と新規採用の数にいささかの差がございますので、その分だけが実人員の減というかっこうで減っていっているわけでございますので、いまの段階では、いろいろ要員の削減を図らなければならぬといたしましても、退職年齢に達しない人に無理無理やめてもらうということの必要までには至っておらないわけでございます。  それからいまの、二重取りになるのではないかというようなお話がございますけれども、この点については、いい悪いは別にいたしまして、現実の問題としては、退職しました後の行った先での給与水準というのは必ずしもそう高いものではないわけでございまして、もうすでにかなりの年齢に達しておりますし、それから現に年金もいただける状態になっておるわけでございますから、かなり低目の水準の給与で採用をお願いをしておるという実態でございまして、私はつぶさには存じませんけれども、いわば二重取りということで御批判を受けなければならないような給与水準の実態ではないと考えております。
  251. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 その件についてはまた別の機会に譲ってやりたいと思っている問題ではございますが、いずれにしましても投資事業の範囲拡大ということから一歩進めた形で、場合によっては直営事業ででも、いま言ったような直接に国鉄に経理的に寄与する、あるいは人員の吸収策になるというようなことを前向きに取り組んでいただきたい、かように願う次第であります。  次に、経営改善の諸施策についての御質問をいたします。  まず貨物の問題でございますが、これは五百駅ないし六百駅カットという問題が出ております。しかし、実際問題貨物扱いがますます減ってきておる中で、むしろこういった末端を切ることによって、言うならば葉っぱを切ることによって幹までも枯らしてしまいやしないか、この点についてはどのようにお考えでございましょう。
  252. 高木文雄

    高木説明員 先ほど他の委員のお尋ねにもお答えいたしましたとおり、いわばその葉っぱに当たる部分はある意味では私の方のフィールドではなくて、通運業者を中心とするトラック関係の方々がある程度葉っぱの部分をお引き受けいただいているかっこうになっているんじゃないかと思うわけでございます。つまり私どもは途中を引き受けているわけでございまして、戸口から貨物の駅まで、貨物の駅からまた戸口まではトラックにお願いをいたしておるわけでございます。その場合に、貨物の駅をたくさん持っておりましても、駅を持てば持つほど貨車を切り離しましたりまたつなぎましたりする仕事がふえるわけでございまして、そういたしますと、各駅に配置してあります職員の労働を十分燃焼し得るだけの仕事量がないというかっこうになります。決して怠けているとかサボっているとかいうことでなしに、だれかまとまった人数の人がいないと切り離したりつないだりということができないわけでございますが、さて、その人がそこにおりましても、八時間労働なり何なりを十分燃焼するだけの仕事量がない駅があっちもこっちもあるということになりますので、それをまとめることによって労働効率を上げることができると考えているわけでございます。その場合に、先ほども他の委員の御質問にお答えいたしましたように、そこから今度は荷主のところへ運びますのにトラックで運んでいただくわけですが、横持ち費用がふえるとかなんとかということになりますと、結果として御指摘のように葉を枯らす危険がありますので、末端の荷主さんの方に及ぼす影響を、ゼロというわけにはなかなかまいりませんけれども、できるだけ小さくすることによって、駅を減らしましても、お客さんは従来どおりトラックを経由して、レールを使っていただけるような形での整理をしていきたいわけでございまして、葉っぱを枯らしてしまっては何にもならぬわけでございまして、その辺の具体案をどう立てるかがまだもう少しよく詰めてみませんといけない点でございますけれども、気持ちとしてはそういう形での貨物駅の集約をやってまいりたいというふうに考えております。
  253. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 むしろ葉っぱを茂らす方策を考えなければいかぬのじゃないかという気がするわけです。それにしましても、先ほどから出ておりますような、むしろ積極的に荷物を集めに行くとかいうような問題もありますし、またいろいろな法制的な意味での制約もあるようであります。この間、ちょっとそういう貨物駅での話を聞いておりますと、たとえば日通とかいった通運業者がそこへ持ってくる、そしてホームのところに貨車がとまっておらなくて別のところにとまっておる、それを一般の運輸業者が手に触れることはできない、貨車をそのところまで動かすことができない、これはあくまで国鉄職員でなければ動かせないといったような問題もあります。そういうことから半日間待たされてしまったり、これを自分らでちょっとさわらしてくれたら貨物にちゃんと入れてしまうのにというようなことを申しておりましたが、そういったもろもろの細かい法制的な問題もあるんじゃないかと思います。その点について。
  254. 高木文雄

    高木説明員 それは恐らく貨車の入れかえ作業の話であろうかと思います。貨車をつないだり離したりいたしますのに、入れかえの機関車が必要な場合があるわけでございますし、あるいは機関車が必要でありません程度のものでありましても、やはり入れかえ作業というのは、本線に絡んでまいりますので、線路の安全の関係上、国鉄の職員でなければできないといういわば運転上のルールのようなものがあるわけでございまして、その点はいささか非能率であるとは思いますけれども、何といいましても私どもの方は安全ということが第一でございますので、その点は少しかたくなでございますけれども、レールの上を動かします仕事は国鉄の職員でなければできないというルールになっておりますのもまたやむを得ないのではないか。それを国鉄の職員にかわって通運業の方がレールのところまで出てきていろいろ作業をするというのはちょっと無理があるんじゃないか。そういう面ではどうも能率が悪いわけでございますが、そこを変えることは非常に無理でございますので、むしろ貨物駅の数を減らすことによって、残りました駅での労働の密度を高めることによって全体としてのコストのダウンにつなげたいというのがいまの考え方でございます。
  255. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 御説明は御説明なりにわかりますが、現実問題として、この方策をとられますならばいずれ幹まで枯れてしまうのであろうということを私はむしろ恐れておる次第でございます。同様のことが赤字ローカル線にも言えましょうし、そのほか、ただ数字の上でこれを切った方が効果的だということでなくて、むしろマイナスでもそれを持つことによって間接的に、あるいは時期的な問題で長期的にプラスになっていくというケースがあることを認識いただきたいというような気がするわけでございます。  次に、国鉄が行っておりますもろもろの公共割引制度、この割引制度をすることによって要するに得べかりし利益がどの程度失われているか、もちろんそのうちには政府負担したりそういったものがございますけれども、まずどの程度のものがそういった割引で逃げているか、これについてちょっと数字をお示し願いたいと思うのです。
  256. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 これまで公共割引制度と言っておりました制度、そのままの計算方法によりまして計算いたしましたところの数字を述べさせていただきますが、その中で通勤定期、これは平均割引率一応五割まで、その五割まで達しておりません部分の割引率との関係で一応利用人員は三十一億人、五十三億円、それから通学割引、これはやはり同じように五割というところまでの差を、現在八割を超えた割引をいたしておりますが、十三億人ほどの御利用がございまして金額が三百三十三億ということでございまして、それが合わせまして定期関係が三百八十六億円ということでございます。  あと、性格といたしましては今後なお検討を要する事項もございますが、現在までは学生割引に  つきましても一応二割の割引をいたしておりますが、これについては三十六億円、それから身体障害者あるいは被救護者割引というようなもので約十六億円でございます。それから、戦没者遺族、勤労青少年割引、それから青年学級の割引というようなものでございます。金額は二千万円程度でございます。  それから荷物の関係は、これも非常に計算方法がむずかしゅうございますが、ただいままでの計算方法によりますと一応半分、やはり定期と同じように一般の荷物と比較いたしまして半分までを超えております部分を一応公共負担額と言っておりますが、新聞につきましては十四億円、雑誌につきましては五億円、合わせて十九億円でございます。  それから、貨物の関係におきましては政策等級と申しまして、本来価格によりまして一級から三級までの等級がございますが、政策上特に三等級という一番低い等級に入れております米、バレイショあるいは鮮、冷凍魚というようなものでございますが、平均して約一〇%の割引になっておりますが、その金額による負担額が四十二億円。  以上でございます。
  257. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 こういったものは性格づけをしてそれぞれ場合によっては——ちょっとその前に、これは政府から何らかの形で出ているものはあるのですか。
  258. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 ただいま申し上げましたものにつきましては政府からいただいておりませんで、戦傷病者の負担につきましては政府からいただいておりますが、それはこの中には入っておりません。
  259. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 ということは、いまおっしゃった金額というのはすべて国鉄負担しているということでございますね。場合によっては福祉政策のものもありましょうし、あるいは教育政策のものもあるかもしらぬが、そういったものを国鉄負担しているという形になるわけですか。
  260. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 そこのところは非常に考え方むずかしゅうございますが、もし国鉄がとんとんであるということになりますれば、その場合には他のお客様が負担をしていただいたという見方もできようかと思います。現在赤字であるという状態になりました場合には、やはり国鉄負担と考えて差し支えないのではないか、これはまだ私の個人の考え方でございますが、そういう見方もあろうかと思います。
  261. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 そこが何か企業経営というような立場からするならばいわゆるどんぶり勘定と言われるところじゃないかと思うのです。むしろ、たとえば通学のものであれば、これは一つの国の教育政策であるならば文部省から、はっきり性格を分けて負担してもらうのがいいのかもしれませんし、場合によっては貨物というのが日本の産業政策であるならば、これは通産省から負担さす、あるいはそういったいろいろな福祉のものであれば場合によっては厚生省からということで、何か性格をはっきりしておかないとここのところがおかしくなるのではないかという気がするのですけれども、非常におおように構えておられますが、その点はどうですか。
  262. 住田正二

    住田政府委員 昨年の国会で衆参両院におきまして附帯決議がつけられておりまして、公共割引については政策実施官庁で措置をしろという附帯決議になっております。ただいま国鉄から御説明申し上げましたもろもろの割引の中には純粋に公共負担と言えるものと現在の情勢では営業割引として考えた方がいいものと両方あろうかと思います。たとえば貨物政策等級も公共負担の中に数えられておりますけれども、むしろ営業割引として貨物が逃げないための割引であるというふうに考えることもできるのではないかと思います。そういうような意味におきまして現在公共負担——現在といいますか、これまで公共負担と言われておったものについてこの際一遍全部洗い直してみたい、洗い直した上で本当に公共負担というものは何であるかということをまず選び出してみたい、また公共負担の中でも一体幾らまで割引することが妥当であるかという問題がまたあるわけでございます。たとえば通学割引につきましては先ほど国鉄の方で八一・二%引きという非常に大きな割引になっておりますが、私鉄の方ではもっと大きくて八七%近い割引になっております。また本日物価関係閣僚協議会で一応御承認いただきました都営地下鉄、営団地下鉄の通学割引というのは六九%ぐらいに今回改められております。また横浜市等では五六%ぐらい、また名古屋あたりでも大体その程度ということで、同じ通学割引につきましてもかなり差があるわけでございます。またバスと鉄道とを比較しますと、またバスの方は通学割引の率が非常に低くて三〇%ぐらいということで、制度自体が非常にばらばらになっておりますので、この際どのような公共負担が妥当であるかということをいろいろ検討したいと考えております。その検討した結果に基づきまして、衆参両院の附帯決議に基づきまして各関係省、政策実施官庁の方にその負担についてお願いをいたしたい、さように考えておるわけでございます。
  263. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 その点も何かはっきりと性格づけをしていただきたいという気がするわけです。  もう一つ大きな点が抜けていたのではないかと思うのですが、国鉄職員御自身がいろいろな意味で通勤用であったり場合によっては福祉政策としてでしょうけれども、年に何回か長距離のこれを無料だといった点も数字的にどの程度になっていましょうか。
  264. 田口通夫

    ○田口説明員 国鉄職員及びその家族が現在使う職員パス並びに家族割引証でございますが、家族は優待乗車証はなくしましたので割引証にしてございますけれども、それが年間どれくらい使用されておるかということにつきましてはいろいろ調査をいたしておりますが、大変むずかしい問題でございまして、いろいろの、職員につきましては臨時的なものあるいはたとえば通勤のようなものということで、なかなかつかみかねております。それから家族に対する割引証がどれくらい使われておるかということにつきましては大体使われている以上に、まず交付枚数を申し上げますと、在職一年以上は年間二十枚、在職三年以上になりますと倍になりまして四十枚、在職十年以上になりますと六十枚で、特に夏休み等につきましては一度これは調べる必要があるということで調査をいろいろいたしておりますが、それも部分的な調査に終わりまして、全体的にどれくらいという確信を持った数字を申し上げる自信は現在ございません。
  265. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 これももう少し実態をつかんでいただきたいという気がするわけです。これは私たち国会議員でも無料になっておりますけれども、これも場合によっては国会活動費として国が別な形で出すのかもしれませんし、あるいはいま言ったような家族の方々へのこういう割引証、これにつきましても性格をはっきり——これを出すことが悪いと言っているわけではないのです。やはりこれだけの金額が普通の企業であるならば福利厚生費として出しているんだということを、また通勤に使われているんであれば通勤定期代だということで明確に数字的に把握をしておかないと、それこそ先ほど申しましたようなどんぶり勘定的な、親方日の丸になってしまうのではないか、むしろこれははっきりさせていただきたい、かように思う次第でございます。その点についてちょっと、今後の方向はいかがでございましょう。
  266. 田口通夫

    ○田口説明員 私どもも実はできるだけ正確につかみたいというふうに考えておりまして、早急に家族及び家族の優待関係を、大体どれくらい使われているだろうか、これは旅客営業政策上も必要でございますので、ぜひつかんでみたいと思いますし、この割引制度につきましては長い歴史もございまして、逆に優待パスから割引に切りかえたということで半額を負担をさせているという点もございまして、私どもは今後ともこれは続けていきたいと思っておりますが、御指摘のとおり実態を知らないでは何ともなりませんので、早急に実態を調べたいというふうに考えております。
  267. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 もちろんこれをやめろと言っているわけでは、先ほど何回も言っていますようにないわけで、要するに給料のほかにどれだけの福利費用が出ているかという把握をする必要があるのではないか。ざっと考えてみましても、普通の通勤定期代、普通の通勤者の場合ですと年間に二、三万は定期代にかかります。それから家族で一回なり二回なり旅行しますならば五、六万はかかります。そうしますと、十万円近いものが、在籍四十三万人にかかっていると考えてもいいのではないか。そうしますと、これは四百三十億円という数字になりますので、これは大変な額だと思います。そういった一つの労務問題あるいは人事制度の問題、それから労使の問題、ここら辺がまだまだ改善の余地が多かろうと思いますし、その辺がはっきりしていかなければ国鉄再建ということも現実問題としては行われないのじゃないか、かように思います。  特にスト権の問題でございますが、特に福田内閣として新しくなられてからの明確なスト権の考え方というのをお聞きしておりませんので、この点について運輸大臣
  268. 田村元

    田村国務大臣 三公社五現業のスト権問題につきましては、昭和四十年以降の公務員制度議会、それに公共企業体等関係閣僚協議会専門委員懇談会、こういうところで検討をいたしておりました。その検討を踏まえまして五十年の十二月、政府の基本方針を決定して、さらに経営のあり方、当事者能力、関係法令の改正という三点について、専門家の意見を徴した上、できるだけ早急に最終方針を決定することになっております。  私は実はかつて労働大臣という仕事をいたしまして、この問題と専門に取り組みました。そういう立場でございますだけに、この問題がいかにむずかしい問題かということも十分承知をいたしております。しかしここまで作業が進みまして、いまこういう方針に基づきまして公共企業体等基本問題会議が設けられて検討が進められているところでございます。せっかくこういう機関で検討が進められておりますときでありますので、いかに関係閣僚といえどもその発言は慎まなければならない、こういう段階でございます。
  269. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 このスト権の問題にしましても、現実問題としてはストは行われておるわけでございますし、むしろ先ほどの国鉄総裁に対する全面的な御信頼のもとにすべての、運賃の決定までも自主的にやっていただくということと同じ意味で、このスト権の問題にしましても、これを付与する方向で進められることがこれがどうしても必要じゃないか、かように考える次第でございます。  そのような一つの前提条件も入ってきましょうが、今後の人事制度のあり方あたりにつきましても何か非常に硬直化した形になっております。本社採用の方々が一般の採用の方々とはかなりの現実問題として格差がある。能力的な意味ではなくて、制度的な意味での格差があります。この辺で従業員のやる気をなくしている、あるいはまた使用者側に対しての非常な反発を醸成している、こういった問題があろうかと思います。この点についての前向きの御方針を総裁からお聞きしたいと思います。
  270. 高木文雄

    高木説明員 現在、いわゆる本社採用ということで大学を卒業してきたフレッシュマンの諸君を採用している数が一年間に大体百人足らずでございます。これはいわゆる事務屋さんのほかに、土木、電気、機械等を全部含めまして、いわゆる技術屋さんを含めまして百人足らずでございます。  それから各地方の管理局で採用しております職員の中で、大学卒業資格を前提としております人の最近におきます採用数が大体三百人くらいになっております。以前は大学制度が大学といわゆる高等商業、高等工業というような系列でありました関係もありまして、そういうものが伝統的に続いてきておるのだと思っております。  自余の一万人を超えます職員諸君は、大体資格としては高等学校卒業生ということになっておりまして、これらの諸君はいろいろなステップを経まして中央学園というところで特に成績優秀な者については三年間の特別教育をやっておりまして、この制度は明治以来いろいろ形を変えてはおりますけれども、続いて今日に至っておるわけでございまして、それらの諸君で管理局長その他の重要な要職についている人も大ぜいおるわけでございます。そういうふうに長年続いてまいりました一つのパターンというものがそのままでよろしいかどうかということについてはいろいろ問題があるわけでございまして、ただいま何かそれが固定化しているということからいささか士気沈滞につながるのではないかという意味でのお尋ねであったと思います。確かに巷間よくそういうことも伝えられておりますし、その点についてはもう少し考え直す必要があろうかと思っております。  本来わが国におきます教育の姿が変わってまいりまして、高等学校進学率、大学進学率が非常に高まっております中におきまして、いまのような採用形態あるいはその後の養成形態でよろしいかどうかということにつきましては、国鉄自体の問題もございますけれども、その前に社会環境の変化に即応した人事と言い得るかどうかについて、実は私は個人的にはいささかいま疑問を持っておるわけでございます。ただ、どういうふうな人をどういうふうな形で採用し、これをまたどういう内部教育を行って将来に向かって育てていくかということは非常に長い影響を与える問題でございますので、私個人の思いつきで物事を判断してはいけませんので、少しいろいろな角度から現在検討をさせております。  いずれにしても、長年続いてまいりましたある種のパターンそのままではどうもうまくないのではないかということを考えておるところでございます。
  271. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 そういったことも含めまして、少し人員の問題についてお聞きいたします。  これはよくいわれる国鉄の非常に典型的な問題でございますが、四十五歳以上の在籍者が二十二万人にも達する、ここの問題なんです。これは先ほど私がちょっと触れましたような形で何らかの直営事業でも拡大して吸収する必要があるのではないかということと同時に、これにはこの人員の性格づけというのを国鉄としては政府なり世間に対してはっきり物を申していかなければいけないじゃないかと思うのです。ただ赤字が出たからそれをたな上げだとか、しりぬぐいだとかいうんじゃなくて、むしろここに問題があるのであれば、この非常にふくれている人員というのは旧満鉄の方、朝鮮鉄道の方々あるいは引き揚げ者の方々を多く採用したんだということであるならば、これは国の福祉政策の問題かもしれません。そうであれば、どの方がどうだということじゃなくて、一般論として、この二十二万人のうちの十万人はあるいは余分なんだ、したがってこの分は別会計で見てもらいたい、むしろそういう形で物事を運んでいくならば説得力があるにもかかわらず、ただ赤字が出たから、いいかげんだまったから、この分はたな上げだということでは国民は納得しないじゃないかと思うのです。そういう形での四十五歳以上の方々の性格づけをどうお考えでいらっしゃいましょうか。
  272. 高木文雄

    高木説明員 ただいま御指摘のございましたように、終戦直後に、かつて国会におりました方で兵役等に服している方が復員をした、それから満州、朝鮮、台湾、樺太というところの鉄道に勤めておられた方をいわば引き取ったということがございまして、一番多いときには六十万人を超えておったようでございます。それが多過ぎるからということで整理にかかったわけでございますが、問題はその整理のときに、要するに勤務年限の長い者といいますか、比較的年齢の多い人を残して後から採用した人の方にやめてもらったということのために、絶対数の問題もさることながら、人員構成が非常にいびつになったということがあるわけでございます。その後いろいろ仕事のやり方を変えたりいろいろなことをしまして、現在四十三万人の職員がおるわけでございますが、終戦直後に大ぜいの方をお引き受けしたということは、そのことが絶対数が多過ぎるということには必ずしもつながっていないということがまず言えるのではないか。と申しますのは、現在でもあるいは五年前、十年前でも毎年新規採用をやっておるわけでございますから、事のよしあしは別として新規採用をやったということは、やはり数の上ではそういう要員が必要であったということを示すわけでございます。あるいはもっと厳しくあるべきだったというような議論はいまからできるかもしれませんけれども、現実に人を雇ったということは、現在の四十何万人という数が絶対数として多過ぎるというようなことには必ずしも結びつかない。  ただその後いろいろ機械化を進めましたり、蒸気機関車がDLになり電気機関車になりあるいは電車になっていく過程において、だんだん少ない人数でたくさんの列車を走らすことができたわけでございまして、いまの数が多いか少ないかについてはいろいろ御議論がございましょうけれども、現在の数と終戦直後に大ぜいの方をお引き受けしたということとは必ずしも結びつかないのではないかと思います。  ただ年齢構成が偏在をしておるというところに問題があるわけでございます。したがいましてこの年齢構成が偏在をしておることが国鉄の経理に対してどのくらい圧迫になっているかということになりますと、これを数字的に証明することは非常にむずかしいわけでございます。いまから二十五年前、三十年前にこれだけの人数の方をお引き受けいたしましたので、それが今日何億円、何百億円の負担になっているかということはなかなか証明がむずかしいわけでございます。と同時に、このような事情は国鉄だけにある問題ではございません。他のフィールドにおいてもしばしばそういう問題があるわけでございますので、一体これをどう処理したらいいかということは放置できない問題ではございますけれども、他のフィールドの問題とも関係をいたしまして、どういうふうに解決をしていったらいいものか、私も率直に申しまして、大蔵省におりました時分にも各方面からそうした問題をどう処理していいのかという問題があるよということを言われておったわけでございまして、ちょっとこれは簡単に国鉄だけの事情でもあり得ない問題でございます。しかし現実に今後それが年金負担なり退職金負担なりという形で出てまいりますので、それがそういう形で数字化してあらわれた段階においてあるいはあらわれてくる段階においてこれをどう処理したらいいか政府御当局に御相談申し上げなければならぬ時期がいずれは来るのではないかなというふうに考えておるわけでございまして、今日の段階でそれを数字化して特別な措置をお願いするというのは、どうも私どもに証明力が十分でないという状態でございます。
  273. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 私がちょっと申し上げようとしていることは、これもただ財務会計的な意味赤字が出たからそのしりぬぐいを政府だと言うんじゃなくて、もう少し管理会計的な考え方を取り入れて、この部分は場合によっては、数字的な意味で言うならば余剰人員なんだ、こういうのを抱えているから、これは国の福祉政策で見るべきものであって、国鉄一つの理想形態を考えた場合に、これは余分なものなんだ、したがってこの分は国の政策として見ていただきたい、これがたとえばたな上げしました二兆幾らに相当するかどうかはまた別でございますが、そういう形でないと国民も納得しないでございましょうし、また国鉄の職員の方々も何か卑屈な形になってしまうのではないか、気持ちとしても何か沈滞してしまうのではないか、むしろ先ほど申しましたもろもろの負担をしていることにつきましてもはっきりさせまして、国鉄本来の姿というものを管理上でも結構ですから出して、それに向かって目標を立ててやっていくといったことがいまの時点においては必要じゃないかという気がするわけです。その意味での四十五歳以上の二十二万人ですか、いやこれを全くそのまま有効に使っているのだ、だからこれはどうしても必要なんだ、別には考えておらぬのだというお答えでは何か物足らない気がするのでございますけれどもね。
  274. 高木文雄

    高木説明員 大変お言葉を返すようでございますけれども、現在決して何かむだな人間を大ぜい引き受けて、それが余っているということではないと思うのでございます。これから大いに経費を節減するために、少ない人数でより多くの効率を上げて仕事をするようにいたしてまいりますけれども、それがためにはたとえば貨物につきましてもヤードを減らすとか駅を減らすとかあるいは貨車の解結作業をもう少し合理化するとか、いろいろなことをしなければならないということからおわかりいただけますように、決してどこかで人が遊んでいるというかっこうではないわけでございます。現にまた、過去におきましてもここ十年ぐらいの間毎年一万人近い人がやめていったわけですが、それをまた補充していっているわけですから、その事実から考えますと、決してそこに何か余った人間がいるということではないわけでございます。  ただ問題は、人員が年齢的に偏っておりますから、現在のような、大分初任給とその後の給料とが平均化してまいりましたけれども、やはり若い人と年配の方ではいささか給与水準が違うというようなことを考えますと、あるいはその給与差、比較的高年齢、よってもって比較的高給の人の数が多過ぎるということから来る、人数はいいとしても給与差があることは言えるかもしれません。しかし、それをいかに計算してみましても、しょせんは仮定計算になるのではないかと思いますので、いま管理会計的にとおっしゃいましたが、そういう考え方も一応あり得ようかとは思いますが、やはりどうもいまそういう作業をしてどこかへ持っていきましても、じゃあそれを見てやろうということになかなかならないのではないかと考えますので、同じことを繰り返して恐縮でございますが、それがより具体的に負担となってまいります年金とか共済の問題とかいう形で顕在化してくる過程においてそれをとらえていくということの方が、私はより現実的な解決方法ではないかと思っておるわけでございます。
  275. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 現実的であっても余りにも現実的過ぎて、これは二、三年後にはそれこそ国鉄は年金問題等で全くの数字的な上では破局になってしまうことがはっきりしているわけです。しかもいまのいろいろな改善計画あたりにでも、現実問題としてこんなものは織り込めもしないような数字になってまいります。そういうことに対して何らかのエクスキューズができるとするならば、こういったものは余分なんだ、こういったものは産業政策に応援していたんだとかあるいはこういったものは福祉施設なんだとかいったようなはっきりした性格分けをして、そして一つ目標に向かって、そういうもろもろのものを除いた形で行こうじゃないかという士気の鼓舞までも必要じゃないか、このように考えるような次第でございます。そういう意味で申し上げております。  それから最後になりますが、新幹線の問題についてちょっとお伺いいたします。  今度五新幹線の凍結解除、着工ということになってまいりますが、その背景と申しますか、かなり政治的な要素もあるかと思います。それについて、これは運輸大臣の方がいいかと思いますが、お願いします。
  276. 田村元

    田村国務大臣 いわゆる整備新幹線につきましては従来から工事費をつけておりますけれども、経済環境の悪化等によりましてきわめてスローダウンをいたしておりました。  今度この五つの新幹線の環境影響評価等をやることになるわけでございますけれども、別に特に政治的な意図で、いわゆるいやらしいというようなことはございません。徹底的に環境アセスメントをやろう、こういうことでございます。私ども今日まで公共事業と取り組んで代議士生活を送ってまいりました。また運輸大臣になりましてからもいろいろと空港や新幹線等を経験いたしましたが、結局十分なる環境影響評価を行って、その結果を公表し、地域住民の御理解を得て、しかも安心をしていただいて御協力を賜る、これが結局早道でございます。急がば回れとはよく言ったもので、全くこれが早道でございます。そういうことから、環境影響評価を徹底的にやりたい、同時に、新幹線を、今後仮に工事に入るにしても、その財政的な面はどうかということの検討とか、あるいは新幹線自体の効率とか、そういういろいろなものも検討いたしたい、こういうことでございます。
  277. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 現在までのところ、現新幹線、いわゆる東海道新幹線ですが、これはもちろん採算に乗っておりますけれども、旧東海道と合わせたらどうなんでございましょうか。
  278. 高木文雄

    高木説明員 在来線の東海道線それから山陽本線合わせましても、東京から博多までの新幹線と合わせまして、総合的に見まして黒字でございます。
  279. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 それにはたとえば騒音対策あるいは非常に雪に弱いといった技術的な問題もございます。そのいろいろな対策もやっております。また電波障害が起こるということで、これにも相当な対策費を使っておられますが、これは全部計算されているわけですか。
  280. 高木文雄

    高木説明員 かなりまだ黒字が残っておりますから、防音対策とか障害対策とかいうことを今後追加投資が必要であるといたしましても、その点は大丈夫だということでございます。
  281. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 技術的な意味で騒音あるいは雪に弱いといったようなこと、それから電波障害、こういったことは今度の新幹線については改良はされているわけでございますか。
  282. 高木文雄

    高木説明員 東海道新幹線ができました時点と、それから岡山から博多まで延びてまいりました時点と、それから今回のように東北、上越の建設期間と、非常に日本の中におきます環境問題の受取り方は違ってきております。東北、上越新幹線建設を始めました後に、非常に環境問題は厳重なる基準がしかれるようになってきたわけでございまして、特に振動のごときは昨年に至って初めて一つの基準がつくられてきたわけでございますので、その基準を十分頭に入れまして、また新しい技術を織り込みまして、現在東北新幹線建設に当たっているという現状でございます。
  283. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 そういったことも含めて今度の五新幹線、いずれも採算に乗るとお思いですか。
  284. 高木文雄

    高木説明員 いまの私どもの計算では、盛岡まであるいは新潟までであれば大丈夫でございます。経営的に十分引き合うと思います。その理由は、やはりそこまででございますとかなりの人口がございますから、お客さんがたくさん乗っていただけますので、十分でございます。
  285. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 ということは、それ以外のところは赤字の可能性があるということでございますか。
  286. 高木文雄

    高木説明員 いまの整備五線につきましては、いままでのようなやり方で、つまり借入金をいたしまして、そして三分五厘まで十年間利子補給といいますか、工事費の補助をいただくという前提で考えましても、何分にもこの五線とも人口が比較的少ない地帯でございますから、人口が少ないということはお客さんが少ないということでございますので、なかなかその償却を含めてそれを償還していく採算を立てる見込みが立たないという現状でございます。
  287. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 その採算に乗らないのをあえてやられるのか、それとも、これはもうはっきり日本の国土政策であるので、場合によっては国鉄負担というものがおかしいことになります。その辺は国鉄として明確な態度を政府にお示しになっているんですか。
  288. 高木文雄

    高木説明員 私どもといたしましては、どういうレールを全国にどういうふうに張りめぐらすかということは、これは交通政策の問題でございますし、また福祉というような意味もございますし、また国土計画の問題でもあるわけでございますしいたしますので、国鉄だけの都合でどこへは鉄道をつくっては困るとか、どこには鉄道をつくっていただいて結構だというようなことを私の方から申し上げる立場にはないと思っております。ただ、運営をいたしましても赤字になるものをこの際お引き受けいたすことは、私どもとしては困るわけでございますので、どうしても運営を引き受けろということであれば赤字にならない条件をつくっていただいた上でないとお引き受けいたしかねるということをいろいろな機会に申し上げておる次第でございます。
  289. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 今後は要するに東海道のようにメガロポリスを結んでいく形ではないわけでございますので、これはそのようにいまの時点からかなりはっきりした態度をむしろお示しになり、そして同時にそこにはっきりした取り決めをしておかないと、いずれまた現在の、従来の国鉄と同じような形になることを恐れるものであります。そういうことでこの際、この着工に当たりましてその点はむしろはっきりさせていただきたい、かように要望いたします。  それと、この新幹線でございますが、従来の形の新幹線を進めるのがいいのか、場合によっては、もう少し進んだものとしてリニアモーターを御研究なさっておりますね。これの開発状況あるいはこれに取ってかわる必要があるかないか、またその時期とかいったようなことについてお伺いいたします。
  290. 高木文雄

    高木説明員 リニアモーターにつきまして私は余り技術的なことはよくわかりませんけれども、まだごく初期の研究の段階でございまして、この実用化ということについてはまだ確たる自信を持っていないわけでございます。少なくとも三年、五年、七年というぐらいの期間内にこれが実用化できるという見通しを得るかどうかということになりますと、ほとんどそういう期間では無理ではないかというふうに考えておるわけでございまして、もう少し、将来は実用化の可能性があるようでございますけれども、それがためには相当各種の実験を積み重ねてみませんと、何しろスピードが速いだけに安全という問題もございますし、それから技術的には可能でありましても建設費がどのぐらいかかることになりますか、経済性の研究はまだまだいま計算してみることもできないような状態でございますので、まだ現在の段階でその実用可能性を論議するにはいささか時期が早過ぎるという感じでございます。
  291. 中馬弘毅

    ○中馬(弘)委員 時間も参りましたのでこれでおかしていただきますが、要するに公共企業体というもののあり方も含めていま抜本的に考えていかなければならない時点に参ったと思います。今後のことも含めまして、法案の細かな問題もありましょうが、それ以上の問題が国鉄にかかってきていると思います。よろしく御努力されることを切望いたしまして質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  292. 大野明

    大野委員長 次回は、明二十七日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十五分散会      ————◇—————