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1977-04-22 第80回国会 衆議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年四月二十二日(金曜日)     午前十時七分開議  出席委員    委員長 大野  明君   理事 小此木彦三郎君 理事 加藤 六月君    理事 増岡 博之君 理事 宮崎 茂一君    理事 坂本 恭一君 理事 渡辺 芳男君    理事 河村  勝君       愛知 和男君    井上  裕君       小沢 辰男君    大坪健一郎君       北川 石松君    小泉純一郎君       谷川 寛三君    戸沢 政方君       永田 亮一君    原田昇左右君       藤本 孝雄君    古屋  亨君       三塚  博君    井上 普方君       太田 一夫君    久保 三郎君       兒玉 末男君    田畑政一郎君       草野  威君    宮井 泰良君       薮仲 義彦君    小林 政子君       中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 田村  元君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       松下 康雄君         運輸政務次官  石井  一君         運輸大臣官房審         議官      真島  健君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 杉浦 喬也君         運輸省自動車局         長       中村 四郎君  委員外出席者         科学技術庁長官         官房参事官   佐伯 宗治君         国土庁計画・調         整局総合交通課         長       八木 純一君         大蔵省主計局主         計官      塚越 則男君         大蔵省主計局主         計官      宍倉 宗夫君         厚生省児童家庭         局障害福祉課長 山内 豊徳君         通商産業省立地         公害局石炭課長 清滝昌三郎君         資源エネルギー         庁長官官房参事         官       小林  惇君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道副         総裁      天坂 昌司君         日本国有鉄道常         務理事     田口 通夫君         日本国有鉄道常         務理事     小林 正興君         日本国有鉄道常         務理事     高橋 浩二君         日本国有鉄道常         務理事     篠原  治君         日本国有鉄道常         務理事     馬渡 一眞君         日本国有鉄道常         務理事     橘高 弘昌君         日本国有鉄道常         務理事     吉武 秀夫君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 四月二十二日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     愛知 和男君   佐藤 文生君     谷川 寛三君   関谷 勝嗣君     戸沢 政方君   古屋  亨君     大坪健一郎君   堀内 光雄君     原田昇左右君   三塚  博君     井上  裕君   箕輪  登君     小泉純一郎君   斉藤 正男君     井上 普方君 同日  辞任         補欠選任   愛知 和男君     小沢 辰男君   井上  裕君     三塚  博君   大坪健一郎君     古屋  亨君   小泉純一郎君     箕輪  登君   谷川 寛三君     佐藤 文生君   戸沢 政方君     関谷 勝嗣君   原田昇左右君     堀内 光雄君   井上 普方君     斉藤 正男君     ————————————— 四月二十日  国鉄運賃の再値上げ反対等に関する請願(伊賀  定盛君紹介)(第三七四五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改  正する法律案内閣提出第一一号)      ————◇—————
  2. 大野明

    大野委員長 これより会議を開きます。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田一夫君。
  3. 太田一夫

    太田委員 最初に、これは五十二年四月八日「国鉄通信」第五九三号、これに「「経営改善計画」(案)提出さる」というので、この一冊は全部二十三ページまでそのことで埋まっていますね。つい二、三日前これが届きまして拝見をいたしました。  そこで、これは大臣にお伺いいたしますが、日本国有鉄道法五十四条の三、これが基礎となりまして経営改善計画運輸大臣に四月四日に提出いたしましたと最初に書いてあるわけですが、実は五十四条の三というのは五十四条の二を受けておりますね。五十四条というのは、在来ありました「監督上の命令及び報告」ということでありますね。ここで運輸大臣国鉄に対して必要な命令ができるし、報告をさせることもできる、これで済んでおるはずだが、昨年の七十七国会においてこれが追加されましたね、五十四条の二とか三とか四とか。それは非常に大事なことなんですけれども、残念ながらいま一般国会議員に配られておるところの、あるいは国会議員が求めることのできる小六法なり六法からはこの五十四条の二、三、四というのがなかなか見つからぬわけです。一番大事なことなんですが、多くの人の理解を得なければならぬのですが、この五十四条の二と三と四というところを広く国民各位に理解せしめる方法というのは何か考えられたことがあるのかないのか。
  4. 住田正二

    住田政府委員 法律条文一般方々に御理解いただくという方法としては、官報で告示するというようなたてまえになっているわけでございますが、運輸関係者方々にわかるためには、私どもといたしましては鉄道六法というようなものを監修いたしまして、これはもちろん有料でございますけれども関係者方々に購入していただく、新しい一九七七年版には昨年の改正はすでに収録されておりますので、運輸関係者方々鉄道小六法をお買いいただければこの条文はわかることになると思います。
  5. 太田一夫

    太田委員 その一九七七年版というのはいつごろでき上がるのですか。
  6. 住田正二

    住田政府委員 先ほど鉄道六法と申し上げましたけれども、岩波で出しております六法全書にも収録されております。鉄道六法の方はことしの二月ぐらいに出ていると思います。六法全書の方も、多分本年早々に出ているのではないかと思います。
  7. 太田一夫

    太田委員 六法全書、特に鉄道六法という専門的な六法は、局長、毎年買わないと時代の趨勢におくれをとりますか。
  8. 住田正二

    住田政府委員 確かに御指摘のように、六法全書にいたしましても鉄道六法にいたしましても、これは毎年発行いたしまして、条文が変わりますとそれを収録するということになっております。したがって、それをお買い求めいただかないとわからないということでございますが、しかし、一般法律というものは国民の皆様が常に座右に置いて、すぐ読んでわかるような制度といいますか、仕組みというのはなかなかあり得ないわけでございまして、やはりそういう問題に関心をお持ちになっておられる方々が、いま申し上げたような鉄道六法であるとか六法全書をお買いいただいて、それを読んで御理解いただく、それ以外に国民のだれでもすぐ座右条文がわかるというような仕組みというのはちょっと考えにくいのではないかと思います。
  9. 田村元

    田村国務大臣 立法府で、つまり国会で毎年たくさんの法律がつくられ、あるいは改廃されるわけであります。でございますから、やはり六法全書を見るということは、一番新しい六法全書を見るということになろうかと思いますが、念のために調べましたら、有斐閣昭和五十二年版六法全書に出ております。
  10. 太田一夫

    太田委員 だから毎年買わなければいけないのかと言うのです。しかも国鉄のごとく、日本国有鉄道法などというのが、運賃の値上がりがあるが性格が変わるということについては重大な国民関心の的であらなければならない。けれども、それが広く周知されるという手段について運輸省並び国鉄当局には努力の跡が見られないと私は思うのです。変わっていないのですか。五十四条に二、三、四をつくったということは、在来性格において変わっておらないということをわれわれは確認してよろしゅうございますか。
  11. 住田正二

    住田政府委員 いま御指摘の五十四条の二以下の規定は第五章の二の中でございまして、「経営健全性の確立」ということで昨年の通常国会臨時国会を通じまして非常に御議論いただいた問題でございます。これは国鉄再建のために必要な条文としてここで御審議いただいたわけでございまして、従来の日本国有鉄道法とは性格がかなり変わってきているわけでございまして、この点につきましては、去年の審議の経過をお考えいただければ十分御理解いただけると思います。
  12. 太田一夫

    太田委員 大臣お答えしていただきたい。  いままでの国有鉄道性格が大いに変わっているということは本当ですか。
  13. 田村元

    田村国務大臣 従来の臨時法恒久法である日本国有鉄道法に組み入れた、こういうことでございます。
  14. 太田一夫

    太田委員 ここに表現されておりました文字そのものは、国鉄性格を変えるということまでは言っておりませんよ。国鉄性格が大いに変わっておるということになると、これは大問題だ。株式会社にいつかなったのですか。
  15. 住田正二

    住田政府委員 先ほどお答えいたしましたのは、日本国有鉄道法性格が変わったという意味です。日本国有鉄道性格が変わったわけではないので、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、従来日本国有鉄道再建特別措置法という形で国鉄再建を考えておったのを、その法律を廃止いたしまして、日本国有鉄道法の中に取り入れたという意味日本国有鉄道法性格が変わってきた、そういうふうに申し上げたわけでございます。
  16. 太田一夫

    太田委員 これは大臣に答えていただきたい。  大臣、あなたは昨年の暮れの閣議了解の中に加わっていらっしゃったはずでありますね。だから、閣議了解のあれからさらに具体的な再建計画目標というのが少し変更されて、実は題目が、関連事業の拡大というようなことがふえたということはあると思うのです。けれども、その性格そのものが変わったなんということになれば、国鉄法の第一条、第二条を変えてもらわなければならぬ。第一条の目的のところにはそんなことはないです。何も変わってない。在来どおり、国が経営しておる事業を、能率的な運営で、公共の福祉を増進するように国有鉄道をつくるのだ。二条のその性格、その法人格は「公法上の法人とする。」とはっきりしておる。これは変わっておらない。ただ、再建をしなければならぬというところから、いささか企業の物差しとか企業倫理というものを持ち込まれたということだけでしょう。バランスを合わせるために、貸借の数字を合わせるために企業手法が少し導入されたということじゃありませんか。性格は変わっていないのでしょう。
  17. 田村元

    田村国務大臣 去年の閣議了解というのはいつのことですか。実は私が就任しましたのは去年の十二月二十四日でございますので、いつのことを指しておっしゃるのか……。
  18. 太田一夫

    太田委員 ことしの一月二十日、ついこの間のことです。
  19. 田村元

    田村国務大臣 そうですか。わかりました。いずれにいたしましても、さっき申し上げましたように、臨時法規定恒久法の中に織り込んだということの違いはありますが、国鉄そのものは変わっておりません。
  20. 太田一夫

    太田委員 そうですね。確認をしておきますけれども企業的手法を導入したことに対して何も私はいかぬと言っておるわけじゃない。国会も通っておりますし、それから逐次議論されておる中身においても、多分に公法上の法人、いわゆる国の分身としての国鉄という性格そのものを表面に出すことはあったけれども、このごろではそうではなくて、その鉄道をどうやって今後長もちさせることができて発展させることができるかということのために、皆さんはそこで新しい手法を生み出された、それはわかるわけですね。だから一番問題なのは、したがって五十四条の二、三、四という昨年の改正案というのはかなり重要な意味を持ちますので、今度かわった議員各位もいらっしゃることでありますから、鉄道六法なり運輸六法というのは新しいのをひとつお配りをいただきたいと思うのであって、お配りいただいておるのを見たら、それは変わっておらないからおかしいなという話であります。  そこでちょっと聞きますが、われわれのようにこの運輸審議を続けておる者から見ると、何事もなしに少しずつの変化というのが、抵抗なしにああそうだったそうだったと自然に受け取られておりますけれども、はたから見ると不思議なことが実は非常に多いということは事実だと思うのです。これはあるそういうことに関心を持つ人の批評でありますが、国鉄というのは経営上の責任をとる役員というのがあるのですね。この役員というのは国鉄法にあるのですから、国鉄法にあるとおりに総裁国会において任命される、だがその他役員運輸大臣認可を得て任命されるのでしょう、そういうことになっていますね。それで運輸大臣にお尋ねしたいと思うのです。  非常な困難な時代ですから役員が重い任務を背負っていらっしゃるし、そのために一年三百六十五日が三百六十五日じゃなくて、くたくたにお疲れになるだろうということも想像できぬわけじゃないが、さかのぼってこの四年間に役員は延べ三十六人が就任をしていらっしゃる。総裁が三代目で、四年間に磯崎さんから藤井さんになり、そしてまた高木さんになっておるわけであります。したがって、副総裁も同じく山田さんから井上さんとなり、今度は天坂さんとなっております。四年間ずっと続いて役員の位置にあられるのは非常勤の井深さんだけだ。常務理事で続いて今日任務をとっておる人は一人もいない。次から次へと目まぐるしくかわるというのは、いかなる意味でございますか。
  21. 田口通夫

    田口説明員 御説明申し上げます。  先ほど御指摘のように、四年間で確かに総裁、副総裁は三名、理事は三十名以上というふうにかわっておりますけれども、思い出していただきたいのは、昨年の三月でございますが藤井総裁井上総裁加賀谷常務それぞれ任期途中でやめられまして、急遽新しいメンバーで私どもも再編成したわけでございまして、それぞれそれまでの任期を申し上げますと、役員二十三名について平均三年五カ月の任期でございます。役員任期法律で決まっておりますように三年で、もちろん再任もございますが、責務を十分果たしてから退任するということでございまして、昨年の三月がございませんでしたらおっしゃるような現象も当然あり得ることだと思いますけれども、すでに事情は十分御賢察のとおり、三月に総裁、副総裁筆頭常務加賀谷常務が退任いたしましたので、私と天坂総裁を除きましてすべて非常に若返ったということでございます。
  22. 田村元

    田村国務大臣 ちょっと誤解があるといけませんので私から訂正さしていただきたいと思いますが、総裁国会じゃなくて内閣任命、その他の役員総裁任命大臣認可、こういうことでございますので、これだけちょっと誤解のないように願いたいと思います。
  23. 太田一夫

    太田委員 では大臣、あなたはその認可ということについて、大臣認可によって総裁任命するのでしょうね。それは国鉄法にあるのだからそのとおりでしょうが、認可ということは、いまお答えにありましたように、総裁がかわれば役員が全部かわるのだという原則でもどこかにあるのですか。
  24. 田村元

    田村国務大臣 そういう原則はございません。ただ、いいのは長く置いておけばいいし、そうでない者は早くやめさせればいいということでございます。
  25. 太田一夫

    太田委員 そうすると、いままでの国鉄再建に当たってきた人の中にいい人は一人もないということですか。みんな任期は短い、三年ちょっと。石の上にも三年と言うけれども、三年しんぼうしてやらせてみたらみんなだめだ、じゃ新しい人を、こうくるのですが、任期が短いじゃありませんか、いまの例から。その短いのを私は指摘している。さっさとやめさせられるというのはどういうわけだ。
  26. 田口通夫

    田口説明員 誤解があるといけませんのでちょっと御説明申し上げますが、昨年の総裁、副総裁もみずからおやめになったわけでございまして、加賀谷常務以下も、三名ですけれども、みずから辞表を出してやめられたということでございまして、決してやめさせる、やめさせないということではございませんし、もちろんそれぞれの常務は職責を痛感いたしておりまして、みずからの職務が残っております場合は、職務のある限り、責務を果たして退任するということになっておりますので、先ほど申し上げましたように、三年の任期であるにかかわらず、平均いたしまして二十三名の常務が三年五カ月という形の勤務をいたしております。
  27. 太田一夫

    太田委員 いまあなたの御答弁も、国鉄というものを客観的に無意識に見れば、そのとおりなんですよ。何もあなたのおっしゃったことが違っておるわけじゃないと思いますけれども、もう何ともならない危機的状態だと、何回か国鉄経営危機を訴えられて、さあわれわれも努力するから、政府も何分の努力を、国民も何分の負担を、こうおつしゃったでしょう。それを何回か繰り返していらっしゃる。そのわれわれも努力するというわれわれとは一番役員会のトップクラスが、三年の任期が過ぎたればさっさとやめていくのが原則だということは、無能であったのか、不適当であったのか。それとも余りにもくたくたになってしまってどうにもしんぼうできないから、これ以上任務に耐えることができないからおやめになったのか。それとも在来総裁がかわればかわるとか、あるいは三年でかえるのが原則になっておって、幾ら有能な人でも四年とはやらせない、こういう慣行があるからそうなっておるのか、経営責任というのはだれがとるのだということですね。余りにも三年五カ月平均では短いのではないかと言っているのです。これは常務理事からお答えいただくのではなくて、少なくとも総裁なり大臣から答弁してもらいたい。
  28. 田村元

    田村国務大臣 経営というのは余り短くてはいけませんね。それははしにも棒にもかからぬのは早くやめてもらわなければいかぬと思いますけれども、有能な人はある程度長く、これは大臣でも同じことが言えるわけでございますが、長くその衝にあって慣熟していただく、そうして抱負経綸をほしいままにしていただくということは好ましいことだと存じます。
  29. 高木文雄

    高木説明員 私も、本来経営責任に当たる者は相当期間お引き受けするということでなければいかぬのではないかと思うわけでございます。ただ、過去の例を見ますと、結果としては残念ながら非常に短くなっております。その一つの原因は、大量輸送、そして安全に輸送を続けるという非常に重要な任務があるわけでございますが、不幸にして、公社発足以来いろいろと大きな事故がございました。事故責任を負っておやめになった総裁もあります。また経営上の問題でおやめになった方もあるわけでございまして、二十五年の間に私で八人目ということになっております。過去の事実はいささか短かった点もあるのではないかと思います。ただ、先ほど来担当常務が御説明申し上げましたように、最近のここ一年の間といいますか、現在の常務勤務の実態が非常に短くなっておりますのは、先ほど常務が御説明しましたような、昨年の春に数名の方々がそれぞれ責任を感じられておやめになったということから生じておるものでございまして、総体的には私も、御指摘のようにもう少しじっくりと腰を落ちつけて仕事をするような雰囲気がなければいかぬのではないかと思っております。
  30. 太田一夫

    太田委員 これは総裁にしても、鉄監局長にいたしましても、監督官庁としても、しょせんは役人の世界というものを直視し、その中で育っていらっしゃった方ですから、そういう発想基本に、官界というものの一つの慣習ですか、規則と申しますか、そういう長年の人積み上げというものがあると私は思うのです。常識化されたものがね。けれども私が申し上げるのは、この五十四条の二以下、昨年改正されたことによって、この中に出てくる思想というものは、発想転換大臣がしばしば好んでお使いになります発想転換を中心とした経営改善基本方針ですよ。役員が三年でさよならというのは、無責任体制の見本であると思うのです。一つの例だと思う。しかも私は三年五カ月というものをそのまま信用するにしても、中の役員担任仕事というのがまたかわっておるでしょう。田口さんでも、この前のときには営業のことでここでずいぶん御答弁になったのに、今度は任務がかわってきましたね。大体人の使い方というのですか、責任をとってもらうと申しますか、常務理事というのは最高指揮官であるはずですね。それが肩書きをもらっただけでちょんと床の間に座るということはどういうことですか。これで五十四条の二、三、四のような基本方針が花が咲くとお考えになりますか。咲かないのですよ。これはいままで済んだことですから、私はとやかく言いませんが、指摘しておきますよ。非常な危機において役員が次から次にかわるというのは、これが仮に民間の企業等にあったら株価に影響しますよ。大変ですよ。株主が承知しませんよ。国鉄というのは、国有鉄道と言うけれども国民国鉄だと考えてもらわなくちゃならぬ。国民責任を持っていただくという点からいいまして、次から次へと役員がかわる、メンバーがかわるだけでなく、仕事担任も目まぐるしく変わるというようなことじゃ国鉄再建思いも寄らぬ、私はそう思いますから、いま指摘をした次第であります。  そこで、発想転換の中の私が主としてお尋ねしたいことについて触れます。  それは、国鉄のお出しになりました改善計画によれば、「問題の所在解決方向」という基本的考え方の二にありますね。「現状認識」の次、「問題の所在解決方向」の中のオに「関連事業を積極的に拡大し、鉄道の利用を促進するとともに、関連事業収入増加を図り、国鉄収入の重要な柱の一つに発展させていくこととする。」というのがありますね。あなたのおっしゃる発想転換関連事業収入増加を図り、国鉄収入の重要な柱の一つに発展させていく」、旅客収入貨物収入のほかに関連事業収入、言うなら雑収入をふやそうというのでしょう。五十二年度計画によれば雑収入は九百二十六億円、全体の収入の割合三%ですね。これはどこまでふやすのですか。収入の重要な柱の一つに発展させていくという目標の終点というのは、この九百二十六億全体収入の三%に当たる雑収入をどこまで持っていくということですか。どれくらいにするということですか。
  31. 篠原治

    篠原説明員 お答えを申し上げます。  ただいまの御質問は、運輸雑収入でございますが、運輸雑収入の中にはわれわれはいわゆる関連事業のような努力をいたしますものと、もう少し性格が違っておるものとございます。たとえば預金に対します利子でございますとか、駅の共同使用料でございますとか、宿舎料金とか、たくさん入ってございますけれども、このうちの大宗をなすものはいわゆる付帯事業収入でございます。これにつきましては、先ほどお話がございましたように、発想転換をいたしまして努力をいたしてまいるということでございます。ただ、われわれいろいろ考えてまいりますけれども発想転換をいたしましていろいろ努力いたしましても、特に土地絡みの問題につきましてはかなり懐任期間が長うございますので、この一、二年間でどれだけの付帯事業収入の増大が図れるかということにつきましては、ただいまのところ定かに申し上げる自信はございませんが、ただいまのところ、資産活用懇談会を設けまして議論いたしましたり、内部の組織を強化いたしましたりしまして内容の詰めを行っているところでございます。
  32. 太田一夫

    太田委員 これは総裁でわかりますか。あなたの方の経営改善基本計画において「国鉄収入の重要な柱の一つに発展させていく」とお書きになりましたが、「国鉄収入の重要な柱」ということになると、関連事業収入というものはどれぐらいのウエートを持つのか、どれぐらいの大きさを持つものとあなたはお考えなのか。
  33. 高木文雄

    高木説明員 現在の段階で何%までふやすことができるかというところまでは明確にお答えできません。その理由は、従来からしばしば御指摘を受けておりますように、国鉄は非常に多くの土地を持っておるわけでございます。面積については、日本で製紙会社と並ぶような大きな土地持ちだということになっております。しかしその土地というものは、軌道用地あるいは駅舎用地、ヤード用地等輸送業務に使うんだという観念がしみ込んでおるわけでございまして、現在レールを敷いてないところでも将来レールを敷いて使う計画があるというようなことで、すべての土地と言ってよろしゅうございましょう、ほとんどすべての土地について、これは鉄道輸送業務に使うんだという観念がしみ込んでおるわけでございます。それを改めまして、将来仮に鉄道用地として使うものでございましても、暫定的に他の用務に使うことによって多少とも収入を上げるというような考え方も必要でございましょうし、駅周辺の土地につきましては、単に国鉄国鉄だけの都合でそれを将来に向かって使うというだけではなくて、その都市の、あるいは町の発展をむしろ妨げているような場合がございますので、それを町、都市の御要望に応じて使うというような考え方が必要であろうかと思います。その趣旨で、鉄道の用地をどの程度輸送のために使うか、どの程度を他の目的にも回すことにするかというあたりの物の考え方を少し転換していく必要がございますので、昨年の暮れ以来、民間の方のお知恵をかりるということで、資産活用懇談会というような形式のものを私のプライベートな諮問機関として設けまして、各委員方々に現在御検討いただいているところでございます。したがいまして、それを活用することが非常に重要ではございますが、何%まで行き得るかということについては、そうした基本的な考え方の整理を経た上でございませんといけませんので、私はいまの段階で数字でお示しすることはお許しいただきたいと思います。  ただ、一つ申し上げなければいけませんのは、輸送の方はいま収入より経費の方が上回っておる状態でございますが、いまお示しの大体数%にすぎませんこの資産の活用の方は、ある意味ではネットの収入に近いものでございますので、率としてはそれほど高くなくても、経営に及ぼすメリットとしてはかなりのものがあるわけでございまして、その文言をどうするかと考えましたときに「重要な柱」というふうな言葉を使いましたのは、数字的に率としてはそれほど高くないけれども、その質といいますか、同じ収入の中での質としてかなりのウエートを持ちますから、「重要」という言葉を使ってもよかろうかと思ってそういう文言を使ったということを付言させていただきます。
  34. 太田一夫

    太田委員 総裁御就任以来、文字の使い方が変わってきたことは事実だと思いますね。この文字というものは、私も日本人であって日本語がよくわからないのですけれども、いままでは経営の合理化、今度は経営の改善となってきた。この合理化と改善とどこが違うか。私はふつつかにして日本語のこういう比較もどうも十分できませんが、さらにあなたの方は今度は「国鉄経営の健全化」という考え方に立って、「今後の国鉄経営は、思い切った旧弊の打破と新たな発想により、企業マインドを重視した合理的経営を指向する」とこの経営改善計画の六ページにありますね。「企業マインド」というのは何ですか。かたかなは読めるのですが理解ができない。
  35. 高木文雄

    高木説明員 国鉄の使命は、何といいましてもやはり輸送にあるわけでございます。それで、輸送の場合に従来から言われておりましたのは、まず第一に重要なことが安全でございます。そして伝統的にタイムテーブルがよく守られるという意味で、確実といいますか正確といいますか、そういうものを国鉄としては従来から誇りとし、また大事なものとして育ててきたと思います。それからもう一つはやはりスピードを上げていくということで、たとえば新幹線のような仕事を進めるということであった、そして国民の皆様に時間価値を高めるようにサービスを提供していくということであったと思います。  その場合に、問題は経営の実態との関連でございますが、サービスを無限に上げてまいりますと、つまり、経費との関係を考慮しないでサービス向上にだけ努めるということに行き過ぎますと、経営としてはどうしてもうまくいかないということになります。国民の皆さんからは駅舎をたくさんつくってほしいとか、あるいはもう少し電車をたくさん走らせてほしいとか、あるいはまた列車のサービスが悪い、たとえば冷房化率がまだ低いとか、いろいろ御指摘があるわけでございまして、これは当然のこととしてそういう御要請にこたえていかなければならぬわけではございますが、その場合に全くコストのことを無視していったのではいかぬのではないか。余りコストを無視してやりますとやはり経営がおかしくなり、その結果としてまた運賃を上げさせていただかなきゃならぬとか、補助をいただかなきゃならぬとか、そういうことになっていくと思います。その意味で現場でいろいろ物事を判断いたしますときにも、そうした収入と経費との関係を十分結びつけて考える心構えというものが必要ではないかと思います。  また、広告というような問題を一つとらえてみましても、広告によって少しでも付随収入を上げていくということは経営にとっては非常にプラスではございますが、国鉄の場合には余り見苦しい広告をいろいろな場所に掲出することはよろしくないというような観念が非常に強うございましたので、たとえば一例を挙げますと、新幹線では広告を一切しないということで今日まで来たわけでございますけれども、まあ、そこらは物の考え方でいろいろ御批判もありましょうと思いますが、ここまでまいりますと、新韓線といえども広告を出させていただいてよろしいのではないかというような考え方に切りかえつつあるわけでございまして、具体的にはそういうことを頭に置いてこの書契を使った次第でございます。
  36. 太田一夫

    太田委員 これは、鉄監局長住田さん、いかがですか。いま、企業マインドというところから、古い考え方から脱皮して、収支という、収入に対してその裏の支出ということも考えなくちゃならぬというお話がありましたね。安全、正確、迅速という三要件は国鉄の古い古い理念ですね。この三つは、もう国鉄だけが持っているところの古い旗印ですよ。これは旧弊じゃないですよね。総裁のおっしゃった、旧弊を打破するとここにこういうことが書いてあるが、旧弊じゃない。これはあくまでも守らなければいけない。  さらに、コストの問題を放置しておいて無限大なる借入金によって運営するようになるのは恥だというお気持ちがある。もう今日、そうでしょうね、無限大な借入金をもって、借入金も金なりという思想は確かにやめてもらわなければならない。だから国の責任が重くなるのですよ。そうなるなら広告収入を取るという精神は支出に対して目を向けておるわけだ。支出に対して目を向けておるが、あなたたちの目を向けておるものはいつも人件費でしょう。人件費が多い人件費が多い。そしてわずか三%の関連雑収入あたりに目を向けて、これを重視する、それをふやそう。それは追いつかないわね。一番問題は借入金の利息払いでしょう。ことしの五十二年度の予算にも四千百三十三億円、建設関連が六百二十一億円ありますから、全部合わせて四千七百五十四億円、これは何ですか、ローカル線の赤字も貨物の赤字も問題にならぬような猛烈な数字を利息として払う。利息に対するあなたたちの考え方は、批判することさえタブーだという気持ちでしょう。国鉄にはその気持ちがある。けれども、コストという支出に対して目を向けて収入の増大を図るというのは、基本的にいいことですよ。別に悪いことだとは言わない。私も勧める、同感です。  そこで、利息の問題については、余りに重い利息の圧力に対して国鉄はどうお考えになるかということをこの際ちょっと伺っておきたいし、監督官庁住田局長に伺いたいのは、そういう猛烈な赤字を出して、言うならばもう何ともならないというようなことまでしばしば言われておる国鉄役員は、任期三年や三年五カ月でくるくるかわっていく。その人たちが一般のもうかっておる企業と同じように役員賞与ももらっていらっしゃる。役員賞与というのは、ちょっと思い出しましたけれども、赤字会社に役員賞与なんて、本来商法の適用を受けていらっしゃるところならばないわけですね。これは国鉄法というものがありますから、それは別に賞与をもらって悪いとは言いませんよ。けれども、その最高の責任の機関である役員会の構成メンバーというのは、給料はよろしいけれども、賞与、ボーナスというものはあり得ないでしょう。コストというものに考えるなら、それぐらいのこともおっしゃってもらわなければいかぬ。これはどうですか、利息の問題は国鉄から、役員賞与の問題は運輸省から、お答えをいただきたい。
  37. 高木文雄

    高木説明員 現在の国鉄経営の中で非常に問題がございますのは、借入金が多いということであることは御指摘のとおりだと思います。一般企業等に比べましても借入金のウエートが非常に高い、したがって利子負担が高いということは非常に問題だと思います。そこで五十一年の法律改正なり運賃の改定の機会に過去債務のたな上げをお願いをいたしたわけでございまして、過去債務について、その全部ではございませんけれども、相当大きな金額について利子を全部一般会計の方で見ていただく、元木につきましても非常に長い期間無利息のお金をお借りすることになったわけでございまして、この点は従来と全く違う考え方で政府の方でお考えいただいたわけでございまして、ただその金額の多寡等についてはなお問題が残ってはおりますけれども、従来から見ますると、そこは非常に助けていただいたというふうに思っております。  ただ、残念ながら今日でもなお単年度で赤字が生じておりますので、これをどうするかという問題が起こるわけでございます。でき得れば、いろいろ新しい投資をいたします、レールを敷きますとかあるいは車両を取りかえますとかいう場合に、全部借入金に依存をいたしませんで自己資金でやっていきたいわけでございますが、昭和四十年代の中途から、すでに償却前赤字が生じておりますために、償却によりまして、自己資金によりまして一部の設備改良の原資に充てることができなくなってきているわけでございまして、そこまで追い詰められておる次第でございます。この問題は、今後にわたりまして経営改善の中心課題として取り組んでいかなければならないと思っております。  それから、賞与の問題は、これは私ども、私自身賞与をいただいておりますので大変申し上げにくいわけでございますけれども、これは株式会社の場合にはやはり総会で株主から一定の枠のボーナス財源をお認めいただいて配分をするという形になっておりますが、私どもの場合には株主制度になっておりませんから、やや一般の公務員の場合と同じような形での賞与をいただいておるわけでございまして、そのかわりそれは、黒字でありましても赤字でありましても、そのときそのときの経営の状態に応じて配分率を変えるというような制度には実はなってないわけでございます。具体的には、ただ、昨年から、このような現状でございますので、ごく一部でございますが、一部と申しますのは一割でございますが、まあ私どもいまのところはルールで定められております賞与額を辞退させていただいているという状態で一年以上経過をいたしておりますが、それはまあ私どものささやかな気持ちのあらわれとしてお受け取りいただきたいと思いますが、現在のところは、制度がそうなっておりますので、私としましても、その辺がまずまずのところではなかろうかと思って、やっておるわけでございます。
  38. 住田正二

    住田政府委員 先ほどの御質問の範囲を少し逸脱するかもしれませんが、先ほど来、役員任期が短いとかあるいは担務がよくかわる、あるいは関連事業収入についてどう考えているかというようなお話がございましたが、御質問の基本的な考え方は私企業との関係を意識しておられるのではないかと思いますが、私どもといたしましては、確かに、御指摘のように、国鉄一般企業並みに役員任期についてもやはり長いことが望ましいし、また、担務がかわるということになれば、再建をやる際に責任を持って仕事が進められないということで、私企業並みの体制をとるということについては、ぜひ必要なことではないかというように考えております。  また、関連事業収入について、先ほど、経営改善計画について重要な柱である、そのパーセンテージについて国鉄の方としてはまだ目標が決まってないということでございますが、私どもといたしましては、やはり私企業、この場合私鉄になりますが、私鉄の場合には、収入に占める関連事業収入の比率が、平均いたしまして大体五・三%ぐらいの比率になっております。営団のように六%を超えるところもありますけれども平均いたしますと五・三%。現在国鉄が二・一%程度でございますので、私鉄並みにするような方向に持っていくことを期待をいたしているわけでございます。  また、金利につきまして、金利負担が非常に大きいということの御指摘がございましたけれども、先ほど国鉄総裁からも御答弁申し上げておりますように、過去債務をたな上げをやるとか、あるいは特別利子補給金を出すとか、あるいは工事補助金を出すということで、国鉄全経費における現在の金利負担というのは大体八・五%でございます。それに対しまして私鉄の場合は一四・九%、約一五%近い比率、経費の中に占める金利の比率が一五%程度になっておりますので、国鉄の現在の金利負担が八・五%ですから半分より多いのですけれども、私鉄と比べて金利が国鉄経営の負担になっておるということは考えられないのではないかと思います。  また、御指摘のように、経費全般について抑えていくことが必要であるわけでございますが、そのためには、いろいろな赤字原因があるわけでございまして、赤字原因についての徹底的な解明と、それに対する具体的な対策というものが必要であるわけでございます。たとえば人件費をとりましても、私鉄の場合には経費の中で現在四六%ぐらいの比率でございますけれども国鉄の場合には、人件費の占める比率が五六、七%になっておるということで、一〇%近い開きがあるわけでございますので、そういう点が従来いろいろ問題になっております貨物の問題だとかあるいはローカル線の問題、そういう問題について今後いろいろ対策を講じて、経費面の節減も図っていく必要があろうかと思います。  また、役員賞与の問題でございますが、先ほど総裁からお話がございましたように、国鉄の場合は企業と違いますので、いわゆるボーナスという性格ではないわけでございますけれども、ただ外部から見ますと、赤字の国鉄が何でボーナスみたいなものを払っているんだという御批判はあろうかと思います。しかし、これは総裁以下役員の判断で決める問題でありまして、先ほど総裁からお話がございましたように、自主的に一〇%を返上するということでおやりになっているわけでございまして、運輸省として、それがいいか悪いか批判する立場にはないというように考えております。
  39. 太田一夫

    太田委員 利息は大したことはないなどというお話はいかがなものですか。きょうは利息の話をやるのが本当じゃないけれども、あなたの方でことしお決めになりました経営改善計画というものに基づいて私はお尋ねしておるわけなんで、そのことから言うなら、元本返済を含めて収入の三〇%にも当たる八千億を超える元利払いというのは小さなものじゃないですよ。この利子の負担、たとえば昭和三十九年、赤字がそろそろ問題になったころからの利息の支払いというのは三兆円近い金、そんなにたくさんの金を払ってきて、そしていま行き詰まった行き詰まったと言うけれども、これは国の責任というものが大きいのであって、国としては相当反省しなければならぬと私は思う。当面、五十二年としても、三〇%の元利償還金がある。これを私は指摘しておるわけです。  そこで、企業マインド企業マインドと改善計画に書いてあるから、企業マインドというのは何だと言うと、いま局長は、国鉄企業じゃありませんから賞与というのは別に定めるんですと言う。利益金なくして役員賞与を決めるなんて、そんなことは企業マインドという物差しから見たらおかしいという指摘を私はしておるのであって、都合のいいところは企業マインドであり、そうでないときには国家の分身である、「公法上の法人とする。」という国鉄法に立脚するということは許されぬと私は思っておるだけの話です。この議論をやっておると、私時間がなくなってしまう。けれども、そういうことですよ。総裁、あなた何か所感ありませんか。企業マインドと、あなたお書きになったのでしょう。判を押されたでしょう。局長は、国鉄企業じゃないなんて言う。国鉄企業じゃないそうです、事業体です、国鉄は国家ですね。何か所感ありませんか。
  40. 高木文雄

    高木説明員 お言葉ではございますけれども国鉄は公共企業体ということで組織されておるわけでございますので、私企業とは全く違う性格のものであり、公共目的を追求するということを使命とするということが基本になければいけないと思うわけでございます。だからといって、非常に俗な言葉でございますが、よく親方日の丸と言われますが、それに堕してはいけない、そこに陥ってしまってはいけないのでございまして、いかに公共企業体であり、公共目的を持った、それを使命とした企業体でございましても、具体的に仕事をしてまいります場合には、民間のいろいろやっておられますことをお手本として、そこに企業的な精神というものを持ち込みつつ運営していかなければならないわけでございます。企業マインドと申しましても、国鉄性格を根っこから変えてしまって、私企業と同じようにしていくという意味ではないわけでございます。心組みと申しますか心構えと申しますか、そういう意味で民間のやっていらっしゃることをいろいろお手本にしてやっていきたい、やっていくべきであるというのが、そこに企業マインドというような言葉を使わせていただいた理由でございまして、さればといって私企業と全く同じになってしまうということではないことは御了解いただきたいと思います。
  41. 太田一夫

    太田委員 役員賞与一〇%減らしておるとおっしゃったのだけれども、そんなことは美談じゃありませんよ。もらうものはどんどんもらいなさいよ。払うものも従業員に対してどんどん払いなさいよ。そこなんです、あなたたちに私の言っておきたいのは。都合のいいときには企業であり、都合の悪いときには国鉄であり、そういう使い分けというものは私はわからないということを言っておるわけでございまして、何も私は商事会社になれなんて言っておりませんよ。商事会社になったら国鉄法違反です。そこのところをはっきりしてもらわなければいかぬ。けれども、あなたたちが実際上の具体的計画をお定めになるに当たりまして、経営改善計画企業マインド企業マインド、発想転換発想転換とおっしゃるから、しからばと私が突っ込んでお尋ねをしたわけです。民間会社は借金が多いから国鉄も借金の多いのはあたりまえなんて言ったら、運賃値上げをしなければバランスは合いませんよ。利息が諸悪の根源です。諸悪の根源は天文学的借入金とその元利償還金にある。  そこで、そのことはちょっとやめて、「国鉄通信」の二十ページにソフトな記事がありますね。「一枚のキップから」というのがある。東京駅に初めて「一枚のキップから」というポスターがあったときに、私はあれを見て何だかわからなかった。あれは頭のいい人が考えたアイデアですね。「一枚のキップから」、何のことかと思いましてここを見ますと、これは収入をふやすつもりでこの企画をお立てになったのですね。旅行者の層を広げていこうというのですね。これによると「今まで旅行層の中核であったヤングだけでなく、“花の中年層”にもはたらきかけて、旅行層の幅を広げていこうというもの」すなわち見る旅、する旅、未知の旅を目指すというのが「一枚のキップから」というキャンペーンの精神でございますね。総裁、あなたがお書きになったにしてはなかなかりっぱなものですね。「花の中年層」というのは何歳から何歳でございますか。
  42. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 「一枚のキップから」というキャンペーンは、前にポスト万博ということで、いままで「ディスカバージャパン」というキャンペーンをやってきたわけでございますが、それはそれなりに成果を上げてきたと思うのですが、これはどちらかといいますと一般的なムードを盛り上げまして、旅行というかあるいは生活の多様化にマッチするようないろいろな企画をやりますけれども、全体として旅行のムードというものを盛り上げて増収に寄与したいということでやったわけでございます。それ以来何年かたったわけでございますが、こういう国鉄の現状でもありますし、かねてから少し態様を変えようというようなことも考えておりましたので、ここで「一枚のキップから」ということでその「ディスカバージャパン」に加えましてもう少し具体的な宣伝活動、増収活動をやろうということでやったわけでありまして、いまの花の云々というようなことは、あらゆる年代、あらゆる階層に対してという意味でいろいろな言葉を使っておるわけでございまして、特別に何歳から何歳までというふうに規格づけをしたということではございません。
  43. 太田一夫

    太田委員 あらゆる階層というのが「花の中年層」に当たるわけですか。その「花の中年層」というのは非常に言葉がよろしいから、おっ、と、こう思いますね。おれも中年層かと言えばみんなこれに当たるわけですね。主観によるんですね、これ。客観じゃないんですね。そこで伺いますが、あなたの方は週刊新潮というのに「3分停車」という広告を出していらっしゃるが、あれはなんですか、新潮社と国鉄とは何か関係があるんですか。
  44. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 週刊新潮に出しておりますが、これは特に国鉄と関係があるわけではございませんで、昭和三十二年に国鉄があのページを広報のために使うということで契約をいたしたわけでございまして、当時は新聞社系の週刊誌がほとんどでございました。初めて雑誌社系の週刊誌ができましたときにその週刊新潮を使ったわけでございます。
  45. 太田一夫

    太田委員 それは一カ月幾らかかっているんですか。
  46. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 一回当たり十八万でございますので、一カ月四・三ということで八十万ぐらいになるわけでございます。
  47. 太田一夫

    太田委員 一年に百万円ほどの「3分停車」をやっていらっしゃるわけですが、これによって増収が期待されたのでありますか。
  48. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 ただいま一カ月に直してお答えいたしましたけれども、年間で申しますと九百五十万でございます。それで、実は先ほども広報という意味で申し上げましたので、どちらかと申しますとPRという方を中心に考えております。しかし、その中には当然旅行に関します情報提供というような内容のものも入れてございますが、考え方のもとはPRの方を中心にしてまいりたいということから始めたページでございます。
  49. 太田一夫

    太田委員 先ほどの私の数字も百万と申しましたが、年に一千万近いですね。一千万近いPRの費用を投じて新潮社に「3分停車」を昭和三十二年ごろから契約をしていらっしゃる。発想転換はこれにはどういうふうに及びますか。
  50. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 このページそのものをやめるかどうかという点が一つございますが、実は最近になりましてこれらのページに非常に類似した形で各企業がおやりになっておるということは、そのやり方そのものに効果があって、それを私ども先に出しましたので大変恐縮でございますが、それに類似したかっこうで最近数種類のそういうページができております。その意味ではやはり非常に効果のあるページではないかというふうに考えております。  それから実は「3分停車」という題名が昭和三十二年以来ずっと続けておりますが、これはちょっと古くなりますが、昭和四十六年にその意味で名前を変えたらどうかということがその当時検討されまして、それに対して募集をいたしました。実は半月ほどの間にそれに対しまして三千件ほどの応募がございました。ということはやはりそれだけ関心を持たれておるということだと思いました。それと同時に、そこに応募されました三千件の中で、やはりどうも「3分停車」にまさるものはない、そのようなことでございまして、その後引き続いて「3分停車」という題名も継続をいたしておるわけでございます。  発想転換と申しましても内容をいかによくするかということにかかっておると存じます。実は最近、若干うちの内部でもその内容についてさらに検討しなければならぬという、ただいまそのような議論をいたしておるわけでございまして、もう少し読んでいただいて、そうかと思われるような表現なり内容を探してまいりたい、しかし、このページそのものは継続してまいりたいというふうにただいま思っております。
  51. 太田一夫

    太田委員 「3分停車」もそういう意味において話題を呼ぶとするならば、それなりに何か国鉄が存在しておるなということがわかるわけなんですね。国鉄というのがあるということ。一体何を書いてあるかというと、ことしのこの間の四月の週刊新潮に「背番号は「50」」と書いてある。野球にひっかけて「背番号は「50」」というのですが、上越線特急「とき51号」とか、信越線急行「軽井沢53号」とかいうのは臨時列車ですからすいていますよということをここで宣伝をなさったわけですね。これはそれなりになかなか小わざのきいた宣伝かなと言えば言える。しかし毎週毎週これをおやりになるから、中には別にそんなことを聞かぬでもいいようなことを書いてあるのですね。博多まで開通をすることになったとき、五十一年二月の「3分停車」には博多まで開業すると、ホームに列車の時刻表の表示があるが、あれがもしもおくれたときにはコンピューターの計算によりまして何分おくれということがすぐにそこに表示されるという、まことに的確に運行状態を正確にキャッチすることのできる案内サービスのニューフェースを用いましたからどうぞよろしくと書いてある。迅速、正確、安全という点からいって、正確なら、おくれることに重点を置いてコンピューターまで買わなければならぬわけじゃないでしょうけれども、とにかく、案内サービスのニューフェースです、どうぞよろしく、というので、みんなこれを読んだ方が、さようしからば、ひとつ広島の駅のホームへ行って、どこかにそれが出てくるかなんて、一日じゅう立っておったという人もないでしょうね。「どうぞよろしく」これなんかどうも独善的なもののような気がしてしようがないが、交通公社が出しております「旅」という本がありますね。あれは四百円か五百円で売っておると思いますが、これはかなりおたくの方のと言ってはおかしいのですが、あれで国鉄さんの宣伝をやっていらっしゃるのでしょう。違うんですか。
  52. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 「旅」という雑誌は交通公社独自の編集によりますものでございますが、旅行そのものについての情報を提供するという意味におきましては、当然国鉄にも関係のある話でございます。私どもは「旅」そのものに国鉄から直接お金を出したりそれから編集に参画するという形ではいたしておりません。
  53. 太田一夫

    太田委員 常務さん、だから国鉄は、宣伝も何もかも自分で全部やろうというときに、そのことについてよしあしを一遍考えてほしいと思うのですね。「3分停車」をお続けになるのは別に困るということじゃありません。ありませんけれども、妙な金を使うこともないでしょう。たまたま早く昭和三十二年ですか週刊新潮ができたから契約されて、一年一千万円近い広告費を出しておるとおっしゃいますけれども、いま週刊誌の中で一番よく売れているのは新潮じゃないでしょう。花の中間層が一番よく買うのかな。ヤングだけでないということになるならば、ヤングと言っては何ですが、一番よけい売れておるというのは、ヤングを代表して、女の雑誌、女性用雑誌ですね。女性セブンというのがあるのです。この女性セブンというのはこれはまた実に若い層ですね。この層はもう忘れちゃったわけですね。もうヤングは済んだからこれからは花の中間層。いや、花の中年層だというわけですか。そこで私は女性セブンというのも見せていただきました。これはりっぱな国鉄さんの第五列ではなかろうかというほど宣伝がある。この中に「旅に出よう」という特集ページがありまして、それは保存版として保存をされていくほどりっぱな写真がある。たとえば高山というところを紹介をいたしますのに何ページ使っていますか。十一ページ前後を費やしまして、そこの有名旅館から地元産物あるいはローカル料理に至るまで全部細かく紹介をいたしまして、さらに風景などというのは「3分停車」の軽便の機関車とは違ういい写真が載っています。見てくださいよ。これまで宣伝している。こういう層に対して、あなたたちはヤングはもうすでに終わったから、これからは花の中年層だとおっしゃる。これは発想転換もちょっとよく気をつけてくださいよ。年間一千万円のむだな費用を使っていらっしゃる必要はない。そんなことを言いながら、四千億からの利息の問題は、企業なら利息を払うのはあたりまえだ、借金があたりまえ、人件費が高い人件費が高い、どうもわからない。  そこで、運輸雑収入の五十年度実績というのが監査報告等に報告されておりますね。ちょっとこの内訳を念のためにお知らせくださいませんか。
  54. 篠原治

    篠原説明員 五十年度の運輸雑収入の内訳を申し上げます。  公舎使用料が二十八億円、車両使用料が十四億円、駅共同使用料が十五億円、雑人と申しまして、いろいろございますがこれが六十三億円、預金利子が八十億円、それから先ほど私が申し上げました付帯事業関係の収入が三百一億円、その他六億円、これが五十年度の運輸雑収入の合計五百七億円の内訳でございます。
  55. 太田一夫

    太田委員 そこで付帯事業収入三百一億とおっしゃいました。相当大きなウエートを占めておるわけです。そこで付帯事業についてお尋ねをいたしますが、鉄道弘済会というのはあなたの方の投資会社であるのですか。
  56. 篠原治

    篠原説明員 鉄道弘済会は投資会社ではございません。昭和五年にできました財団法人でございます。
  57. 太田一夫

    太田委員 その鉄道弘済会から営業料金として昭和五十年度は幾ら収納されましたか。
  58. 篠原治

    篠原説明員 五十年度の収入は七十六億円でございます。
  59. 太田一夫

    太田委員 それは定額制でありますか、歩合制でありますか。
  60. 篠原治

    篠原説明員 弘済会から収受いたします内訳は、いろいろございますけれども、大体売り上げ歩合制でございます。売り上げに応じて何%というふうに決まっております。
  61. 太田一夫

    太田委員 そうすると、弘済会は出資会社でもない、関連事業でもないが、売り上げの何%かで八十億近い営業料金というのを収納していらっしやる。東京駅にあります大丸は幾ら営業料金を納めていますか。
  62. 篠原治

    篠原説明員 大丸は国鉄とは直接関係ございません。鉄道会館と申しますところの旧駅ビルがございますが、昔の民衆駅と称するものでございますが、その鉄道会館がテナントとして大丸を入れている。したがいまして、大丸からは鉄道会館が家賃としてしかるべき金額を収受している、こういうことでございます。
  63. 太田一夫

    太田委員 鉄道会館というのはあなたの方の投資会社ですか。
  64. 篠原治

    篠原説明員 投資会社ではございません。
  65. 太田一夫

    太田委員 鉄監局長、あなたは詳しいでしょうが、その鉄道会館と大丸という関係はどうなっておるとお考えですか、国鉄との三つの関係を。
  66. 住田正二

    住田政府委員 ただいま国鉄から御答弁申し上げましたように、国鉄鉄道会館に直接出資をいたしておりません。これは当時日本国有鉄道法の中に投資条項がなかったために出資ができなかったわけでございます。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕 したがって、国鉄鉄道会館に土地を貸しているという関係になります。鉄道会館が国鉄の土地の上に建物をつくりまして、それを大丸に貸している。したがって、大丸が鉄道会館に家賃等を払うという関係になっていると思います。
  67. 太田一夫

    太田委員 弘済会と同じように、構内用地を借用して営業しておることは事実なんですね。鉄道弘済会は売り上げの何%を払う。大丸は払わない。そんな目と鼻の先でどうして矛盾したことが起きるのですか。
  68. 高木文雄

    高木説明員 鉄道弘済会には駅の構内の土地と申しますか場所と申しますか、そういうものを提供いたしまして、そこで新聞とか雑誌とかたばこを売る。そういうたばこを売ったり新聞を売ったりするのは、ある意味ではお客様のサービスになりますけれども、財団法人としての鉄道弘済会としてのメリットは非常に多うございますから、いわゆる構内営業料金という名前のもとに、場所代といいますかそういうものを徴収しているわけでございます。鉄道会館の場合にも、本来ならば、最近でございますならば、恐らく国鉄が出資をいたしましてそういう法人をつくりまして、何らかの形で国鉄が強い監督をするといいますかそういうふうにしただろうと思いますが、御存じのように、出資条項が認められましたのが昭和四十六年度でございましたものですから、鉄道会館ができるころにはまだ出資条項がございませんでしたので国鉄と資本関係のない単純な株式会社に土地を貸した。そして土地借料という形でだけ、つまり国鉄としては資産活用収益を上げておるという形になっております。鉄道会館だけでなくて全国的にそういう点は、設立当時の法規なり物の考え方なりに従いまして組み立てられておりますので、いささかばらばらになっておるわけでございます。そこで、それがいいか悪いかということについては、今後検討してまいらなければなりませんが、事実関係はそのようなことでございます。
  69. 太田一夫

    太田委員 この前総裁運輸委員会において、昨年度であったと思いますが、そういうオイルターミナルとか飼料ターミナル、セメントターミナルというようなところに膨大な土地をただで貸しておるという質問に対して、そういういろいろ複雑なことがあるのを初めて知った、これからはそれに対して何とか解決しなければならない、正していかなければならぬと思いますというようなお答えをたしかされたように聞いているのですが、以来半年過ぎてしまっておるわけでございます。一年近くになりますか、半年は過ぎておる。いまなおあなたには定見がありませんね。何とか整理しなければいかぬと思うがということで、忙しいので忘れてしまわれましたか。
  70. 高木文雄

    高木説明員 オイルターミナルの問題はいろいろ御指摘がございまして、いろいろ研究をいたしました。一部と申しますか、オイルターミナルについてはいままで無償で貸しておりました土地を新たに徴収することに改めたわけでございます。  それから、その他のもろもろのいろいろな態様の土地貸し付けがございますが、それらについて検討をいたしました。そして従来どおり無償にすることにしたものもあるわけでございます。  いまのオイルターミナルの事例につきましては、担当常務理事から詳細御説明をいたさせます。
  71. 田口通夫

    田口説明員 オイルターミナル、セメントターミナル、飼料ターミナルあるいは液体化成品センターというふうに物資別基地をつくりましたのが四十二年度でございます。それ以降、これを相当発展させてまいりまして、現在では約二十数ヵ所の基地になっております。  もともとこれを発想いたしました根拠と申しますかメリットといいますか、それはそれぞれ分散しております各駅の、たとえば油の取り扱い、これはドラムカン等で扱っておったものを一つの基地に集約をいたします、それからそのためには四十三トンのタンク車というような大型貨車を開発いたします、そういうことによって鉄道の持っております集約的な大量輸送を可能にするという趣旨でこういう基地をつくってまいったわけでございますが、その結果、それぞれ非常にメリットを上げまして、国鉄の貨物の確保についても相当の貢献をしたわけでございます。  そこで、物資別ターミナルの基地の性格はどういうものであるかを申し上げますと、要するにこれはドラムカンをタンク車にするために数駅のドラムカン着駅を一カ所に集約したということでございますので、これは基地のたまたまタンクがありますところは駅の一部でございまして、本来ならばドラムカンの場合は国鉄がホームをつくり、そしてそれをトラックに積みかえる設備を国鉄でするわけでございます。タンクの場合も、国鉄がホームとか上屋と同じようにそれをつくって荷主に提供するということが本来でございますけれども、たまたま国鉄の資金事情もございまして、できれば民間の資金を活用することがいいんじゃないか、しかも荷主さんにも資金的援助をしていただければそれだけ荷主さんも国鉄に固定化するだろう、こういうことで荷主さんと国鉄とが話し合いをいたしまして通運会社をつくりまして、そしてタンクの整備及び荷役設備の整備を図ったわけでございます。そのために、そのタンクとは何であるか、これは一般貨物の上屋であり一般貨物駅のホームであるという考えのもとに四十二年度以降一切用地使用料を取っておらなかったわけです。これは汐留でもたとえば混載ホームがございまして多くの通運業者が混載をホームに置いておりますけれども、その用地使用料を取っていないのと同じようにタンクも取らなかったわけであります。  しかしながら、いま総裁が申し上げましたように、一方四十二年以降着々とこういう鉄道に適した輸送というものが非常に繁盛いたしましたために各通運会社も利益を上げることができるようになりまして、現在黒字でございます。また、オイルターミナルにつきましては配当までいたしております。  そういう状況の中で、国鉄は御存じのとおり特に貨物輸送については収支のアンバランスで苦しんでおるということで、この前の国会のときに前運輸大臣発想転換を図ります、何とか検討いたしますというような御趣旨の発言もされ、また御当局から私の方へも一つの指導がございまして、何とかこの経営危機を打開するためにひとつ発想転換をしようじゃないかということでいろいろ検討いたしました結果、やはりタンクの中にも一般の上屋あるいはホームと同じように保管的な機能もないことはない。それで一応各通運会社と話し合いをいたしまして、通運会社も了承しました上で、五十二年度から土地使用料の一部を取るということで今日、いま総裁が申し上げましたように決意をいたしておる次第でございます。
  72. 太田一夫

    太田委員 ターミナルの単独の話を聞いているわけじゃない。オイルターミナルのほかに五十年度の経営の結果損益を出している表を見ますと、セメントターミナルは三千三百万円の利益、飯田町紙流通センターは六千万円の利益、東京食品ターミナルは二千六百万円の利益、日本飼料ターミナルは二千三百万円の利益、東京液体化成品センターは千三百万円の利益と、これらはそれぞれ物資別ターミナルの九社の中では利益を出しておりまして、五十年度において赤字を出しておるのは大阪鉄道倉庫だけであります。  そういうことから考えて、これはここにいらっしゃる住田局長も当時今後は十分検討させていただきますとお答えになったはずでありますから、その全体を私は聞いておる中で、いまたまたま鉄道弘済会、鉄道会館、皆さんの言われる関連企業という投資会社と投資会社でない株式会社、私はいま事業体を尋ねておるわけであります。  旅客ターミナル施設、これは全部株式会社、これに対してもなかなか皆さんの方がもうかるまでにいっておらない。臨海鉄道もそうで、全部出資をしただけであるということでございますが、鉄道会館と弘済会と比べてみて、弘済会は少なくともいま年間において七十六億とおっしゃいましたね。八十億近い金を納めており、二千億近い売り上げだということですね。大丸は目の前でありながら鉄道会館という皆さんのコントロールのきかないところを経由するために——何ですか、国鉄に寄与するのはわずか五億五千七百万円とはどういうわけですか。大丸のフロアは恐らく想像だけによりましても一万坪を超えておるでしょう。地下になお千三百坪くらい、高架下にも三千坪ほどの売店を鉄道会館は、テナントか直営であるかは別としてやっていらっしゃって、売れておるじゃありませんか。だったら、売り上げの何%かを取るということは弘済会と同じようにできませんか。これは鉄監局長に一遍お尋ねをいたします。
  73. 住田正二

    住田政府委員 確かに、弘済会とかあるいは最近つくりました国鉄の投資会社、駅のターミナル会社等と、鉄道会館であるとかあるいは新宿の駅ビルであるとかを比較いたしますと、先生の御指摘のようにかなりの差があることは事実でございます。ただこれは、先ほど来総裁あるいは私から御説明申し上げておりますように、設立当時の法律的な問題もあったわけでございまして、これをいま直ちに直すというのは、言うまでもなく、直接国鉄鉄道会館に出資をして直接大丸に貸すといいますか、弘済会と同じように直接国鉄の土地を貸すというような形に持っていくことは、法律的に非常に問題があるのじゃないかと思います。これはやはり鉄道会館あるいは大丸と国鉄とが十分話し合って徐々に契約を改定していくということ以外に、国鉄の方から強制的に、一方的に契約を変えるということも法律的にむずかしいわけでございますので、徐々に直していくということを期待する以外にはないのではないかと思います。それ以外の、先ほど御指摘がございましたセメントターミナルあるいは飼料ターミナルにつきましては、赤字であろうと黒字であろうと国鉄としては取るべき使用料は当然取るべきではないかというように考えております。
  74. 太田一夫

    太田委員 これは国鉄総裁、あなたから一遍お答えください。  弘済会の売店というのはki。skと書いてありますから、ホームにあるとこれは弘済会の売店だなとすぐわかりますね。さらにそのほかにも売店がありますね。他の構内営業、古くから駅の弁当などをやっていらっしゃった人たちがいろいろと売店を持っていらっしゃいます。そういうのもあります。こういうところがそれぞれ構内で営業していらっしゃいますが、これに対する扱いというのは、私が聞いた分では、弘済会だから特別安くするとか、他の何々弁当株式会社だから安くするとか高くするというような差別はありませんね。やはり売り上げの何%というパーセントを決めまして、それがABCぐらいの駅の格差もありますから、若干の調整がされているようです。この四月から何か全体的にそのパーセントの見直しをしようということで、第一線の方ではいよいよ四月分から上がるようだといううわさが流れておりますから、皆さんの方はもう少し上げてくれとおっしゃっておると思う。弘済会は皆さんのあれでしょう。投資会社じゃないとおっしゃる。財団法人ですね。財団法人ということは、利益を上げる必要はないですよ。もうける必要はないが、このごろどうも売り上げが落ちてきて、経営は必ずしも昔のように好ましくないようでありますが、これを上げようということが少し流れているわけです。しかし、そうならば、同じように鉄道会館の直営する売店についても、——これは大丸も場合によっては鉄道会館が経営する百貨店だと見られるんですね。それから、下の新幹線の乗り場の待合所ですか、改札口近くの高架線下、あの各種の売店が全部鉄道会館の直営であるとするならば、あるいはテナントであるとするならば、委託店であるとするならば、これはどれだけの売り上げをしておるか知りませんが、幾ら取り上げるべきか——取り上げると言うとはなはだ恐縮でありますが、幾らちょうだいするかは、総裁、よほど真剣にいま直ちにお考えになっていいじゃありませんか。それだけ苦しんでいらっしゃるところが、「一枚の切符から」というときに、鉄道会館についてあなたはどれくらいの認識、それからあれに対してどれくらいの関心をお持ちですか。もう一回ひとつお答えをいただきたい。
  75. 高木文雄

    高木説明員 鉄道会館は、私の方から見ますと、単に土地をお貸ししている株式会社であるというだけの関係になっておるわけでございます。それで大丸その他のいろいろなお店は、鉄道会館から施設といいますかスペースを借りて、そしてそれの借料を払う。その借料を払う場合の計算基準としては、売上高というものが一つの基準になっておるわけでございまして、鉄道会館はその収益で過去のビルの償却をし、なお利益がございますので、株主さんに配当をしておるという関係になります。現在、他の場所におきますところのいろいろなやり方と比較してみますと、私の方は、鉄道会館について、あの敷地についての資産の活用の仕方としてはどうも余り上手ではないと考えます。したがって、何らかの方法でもう少しあの土地から多くの収益を上げる努力国鉄としてしなければならないと思います。  ただその場合に、具体的にどうしたらよろしいかといいますと、先ほど来申しておりますように、四十六年の改正国鉄が出資をすることができるようになったわけでございますから、本来ならば、まず国鉄鉄道会館の株主となるということを通じて、鉄道会館はいま黒字でございますので、その収益が国鉄に及んでくるような仕組みにだんだん変えていくのが望ましいと思うのでございますが、鉄道会館としては相当な含み益がございますので、鉄道会館の立場ではこれまでの株主さんの立場というものを考えなければならないわけでございます。これは上場はいたしておりませんが、鉄道会館の株式の価値というものは恐らく額面よりはかなり高いものになっておるという関係にございますから、私どもが資本参加をさせてほしいと申しましても、現在の鉄道会館の立場からいいますと、それは既存の株主の不利益になりますので、なかなかそう簡単に出資を受け入れてもらえないといいますか、私どもが株主になることを許してもらえないという関係になるわけでございます。しかしそれにいたしましても、日本の玄関である東京駅の問題でございますし、日本で地価の最も高い土地の一つと言っていいところを貸しておるわけでございますから、そこらをもう少し工夫していかなければならない。この種の問題は必ずしも東京駅の前の鉄道会館だけでなくて、四十六年以前に建てられました民衆駅というものについて、つまり国鉄が資本参加をしておりません民衆駅につきましては各地にたくさん実はあるわけでございまして、これを漸次新しい方向に切りかえてまいりたいと思いますが、さりとて、既存の利益といいますか権益といいますか、民間の方の株主さんなりその他の方のお立場を侵害するということもできませんので、漸次地区別にお話し合いを進めながら、私どもの土地の収益を図ってまいりたい。しかしそれには相当時間がかかる問題ではないかと思っておりますが、方向としてはそういうふうにして是正の方向に進んでまいりたいと思っております。
  76. 太田一夫

    太田委員 大臣、いまの問題について監督官庁担当大臣としての所見を……。
  77. 田村元

    田村国務大臣 私は、個々の問題については知識を持っておりませんからわかりませんが、一般論として申せば、発想転換経営の改善ということは、当然あらゆる面で洗い直しをしていく必要があるということだと思います。でありますから、私は一つ一つの現実を握ったわけでもなければ、証拠を握ったわけでもありませんが、ただ、国鉄がいろいろな土地を貸しておるとか、そういう面において一般の私鉄あるいは企業等に比べるときわめて安いというようなことも聞いておるわけであります。それは結局、関連企業について、あるいは関係企業について国鉄自身の商売気が非常に薄いということだろうと思いますし、ある意味においては癒着があるのじゃないかということまで言われております。これは私が聞いた程度でありますが。でありますから、企業マインドという言葉がいいか悪いかわかりませんが、私は企業マインドという言葉は正しいと思っております。国鉄といえども特殊の企業には違いないのですから。でありますから、そういう点で一遍すべてを洗い直してもらいたいというふうに考えております。
  78. 太田一夫

    太田委員 要望しておきますが、大丸あるいは土地貸しといった鉄道会館の営業に関する資料というのは、残念ながら余り多くを私は持っておりません。したがって、あなたの方にお調べになった資料があるとするならば、その皆さんが御検討なさるための資料だけで結構ですから、一度後でお知らせをしていただきたいと思う。  それで、大ざっぱに言いまして、とにかく大丸のビルというのは敷地面積だけでも千三百坪ぐらいあるでしょう。それから高架下に三千坪ぐらいあるでしょう。あの一等地にそれだけの土地を自由にさせておいて五億や五億五千万円、六億弱とは何事だというのはこれは常識でしょう。株式取得ができなかったら土地賃貸料の引き上げだってできるじゃありませんか。これはどうなんですか。
  79. 篠原治

    篠原説明員 ただいまの鉄道会館のお話でございますけれども国鉄がいまから出資いたすということはそう簡単ではないと思います。ただ、いまの先生の御指摘は、現在のままと申しますか、国鉄が出資しないままの形でありながら構内営業料金の増徴ができないかという御指摘だと思います。先ほど来大臣総裁からも御答弁がございましたが、実は私どももいろいろ洗い直しをしている過程でございます。ただいまの料金は土地貸付料金と申しまして、当会館は昭和二十七年に設立されましたので、したがいまして昭和二十七年の時点で土地を貸し、その後いろいろ土地の価格が上昇いたしますにつれていろいろな上昇カーブを描きながら地代を上げてまいったということでございますけれども、これは国鉄だけじゃございませんで日本じゅうでございますけれども、土地価格の上昇に見合わないで、いわゆる漸進改定率と申しまして、これは全国そうでございますが、一〇〇%上がりましても地代は三〇%、こういうような漸進改定率という制度が一般に流行してまいりました。それを何回も重ねてまいりました関係上、ただいまの時点で考えますならばいささか安いという結果が出ていることも事実でございますので、私どもはそれを見直そうとしているわけでございます。  実は、これも必ずしもできるという自信はございませんけれども、会社と話をいたしておりまして、土地代金といいますか、いま構内営業料金と申しますけれども、土地代金的な要素が主力になっておりますものを売上金に比例した構内営業料金をいただく、売上歩合制と申しますが、そういう制度に相なるべくは移行いたしたい、かように考えて折衝中でございます。なお、四十六年に政令改正が行われまして、わが方で出資が許されましてから当方で設立いたしました会社は、全部構内営業料金は売上歩合制になっております。売り上げがふえれば自動的に構内営業料金がふえてまいるという仕組みになっておりますので、鉄道会館等につきましても、でき得ればそういう方向で制度を改正いたしたい。ただ、相当大きな抵抗もございますので、来年四月一日を期して一〇〇%実施できるかどうかについてはいささか問題がございますけれども、そういう方向で関係の方々とただいま御相談中でございます。
  80. 田村元

    田村国務大臣 御参考までにちょっと申し上げておきたいと思いますが、私は鉄道監督局長に命じてあることがございます。それは、何らかの形で国鉄が契約をしておる案件、これは弘済会もあります、鉄道会館もあります、あるいは広告関係もあります、あるいは土地を貸しておる関係もあります、いろいろな面がありますが、一遍これを全部調査しなさい。そうして不当に安い契約があるとするならば、これを一般社会並みに是正しなきゃならぬ、そういうこと自体が国鉄再建一つの大きな要素になるだろう、こういうことで、まあ、率直に言ってこれは癒着もあるかもしれませんから、厳しく調査をするようにということを先般来命じてございます。いまその作業をしておる最中でございます。
  81. 太田一夫

    太田委員 いまの大臣常務理事のお話によって将来の方向はある程度想像ができますが、それはぜひテンポを速めていただきたい。常務理事からは相当大きな抵抗があるという発言があったし、場合によっては何か癒着という問題も出るかもしれぬということですが、私はそういうスキャンダルとして物事をとらえていま皆さんに答弁を求めようと言っておるわけじゃない。国鉄再建方向として発想転換をおやりになり、そうしてまた関連事業収入の増大を図るということが大きな柱だとおっしゃるから、しからば、世の批評家たちの口の端に上っているところのいろいろな不当な事例というものは一遍全部見直してみる必要があるのではないかということを御指摘申し上げておるわけです。これは運輸省もしっかりしてもらわなきやならぬし、国鉄もしっかりしていただきたいと思います。目の前のことですからね。電話なんておっしゃらないで、場合によっては直においでになってお調べいただくこともお話しいただくこともいと簡単な話であります。  そこで、時間がなくなってまいりましたから、弘済会に関連をいたしましてお尋ねをいたしますが、弘済会というのは当初の設立の趣旨は、殉職された職員の子弟が気の毒だからその家庭の子弟を救おう、あるいは何か家計、生活の困窮化を救うという意味において設立されたものだ、こう聞いております。その後、世の進展とともにこの事業活動が非常に広範化していきます中で売店がどんどんできる。どれぐらいもうかったか私も存じませんが、もうかった時代があったでしょう。いまの鉄道会館にも弘済会は株主として投資をされておるはずですね。それからもう一つは、何ですか福祉施設に対してもなかなか思い切ったことをやっていらっしゃったわけですね。秦野にあります弘済学園、これは精薄児が収容されておりますね。札幌におきます南藻園、これは一般的な孤児が収容されておる施設でありますが、こういう福祉事業というものにそれぞれ相当金を出していらっしゃる。ところが世の中がだんだん変わってまいりまして、このごろはもうそうはもうからなくなってきた。弘済会は財団法人ですから、利益を上げて配当しなきゃならぬ理由はありませんから、福祉活動に精力を出されることはりっぱなことだと私は思いますが、もう持ち扱いかねていらっしゃると思う。  そこで、厚生省から山内障害福祉課長においでいただいておりますから、この際ちょっと伺いますが、こういう施設は国としておやりになることはできないものであろうか。財団法人という民間組織でつくったものはやはりそこで守りをしなきゃならぬものでしょうか。
  82. 山内豊徳

    ○山内説明員 御説明いたします。  鉄道弘済会が設置していらっしゃる福祉施設の中には二種類ございまして、一つは、児童福祉法でございますとか老人福祉法といった社会福祉施策の範疇外の、まあ駅を利用なさる方の旅行の援護施設とか、そういうものもございますが、いま先生の御指摘のように、北海道にございます養護施設あるいは精薄の子供の施設などは、全国的に見ますと、このような財団法人あるいはそれぞれの沿革のございます社団法人などで経営されておりますものが二十カ所前後ございまして、それぞれ役割りを持って経営していただいております。そこで、社会福祉制度として公の援助を全く差し上げてないわけではございませんで、先生御案内のように、国と地元の都道府県が、措置費といいまして、子供一人当たりあるいは利用している老人一人当たり幾らという経費を国が十分の八、地方団体が十分の二援助しているのが実情でございます。御指摘の二つの施設だけでも、国がそういった形で制度として御援助申し上げております額が年間五億を超えておるわけでございます。ただ、それに法人としてのやや上積みいたしました経営をしていただいておるのは事実でございますけれども、そういったわけで、全国三百なら三百ございます精神薄弱の子供の施設の中には、こういった形で民間の法人でやっていただいておるものもございますし、それにも県や国がつくっております施設と同じように、いま申しました社会福祉制度からの運営費の補助を差し上げているわけでございますので、私どもの立場だけを申し上げますと、それぞれの沿革のございます法人にはやはりそれぞれの施設としての予算もございますので、今後ともぜひお願いしたいというのが率直なところでございます。
  83. 太田一夫

    太田委員 いまの話は結果的には、財団法人でこういう福祉施設を持っているのが全国にたくさんあることであるから、——二十カ所ばかりあるとおっしゃったですね。したがいまして弘済会の施設につきましても、国も都道府県もそれぞれ援助もしていることであるからそちらでなるべく持ってほしいということです。  そこで、これは国鉄に伺いますが、いかがですか。弘済会も何でもやれるという万能時代は終わったと思いますし、それから国鉄法改正によって国鉄の出資範囲も広くなってまいりましたから、この際弘済会が持っていらっしゃるターミナルビル等の株式を初めとして鉄道会館の株式等をいっそのこと国鉄の方においてお買い上げになって、そしてあなたの方が出資者として肩がわりされるということはいかがなものですか。
  84. 高木文雄

    高木説明員 先ほど担当常務から御説明いたしましたように、四十六年以前に出資ができなかったという事情で関係の弘済会その他で国鉄の身がわりみたいな形で出資をしてもらって今日に及んでいるものがございます。それをどうするかという問題があるわけでございます。ただその場合に、それぞれ現在価値からいいますと、出資額以上の価値、含み益を持ったものがありましょうから、それぞれ別個の法人でございますから、私どもが出資を額面で肩がわりするというわけにはいかない筋のものであろうかと思います。そこで黒字の場合には、あるいは含みがたくさんある場合には高くこちらが引き受けるというようなことになるのか、あるいは赤字の場合にはどういうふうに評価するのかというような評価問題が介在いたしてまいりますし、それから私どもの方も、出資と申しましてもその原資は非常に残念ながら自己資金であるわけでないものでございますから、いま一つの御示唆ではございますが、その肩がわりをどんどん進んでやるべきかどうかということについてはどうも決意がつきかねるわけでございまして、何か事情があって、たとえば既存の会社が規模を拡大するとか、あるいは建物を建て直すとか、何かそういうきっかけがありましたような場合をとらまえまして、一つ一つどのように変えていくかということに取り組んでいくのが現実的なやり方ではないか。一律一斉にやりますといいましてもなかなか数も多うございますし、事情もいろいろ分かれております。これを全部切りかえるというのはちょっといま手を出しにくいという感じがいたしておる次第でございます。
  85. 太田一夫

    太田委員 発想転換ですから、これは総裁、思い切ってあなたの方が直接コントロールできるように、出資をするということは経営にタッチしていくことでありますから、何も過半数の株式を取得しなければならぬなどということじゃない。この際気をつけることは、天下りと世間に言われる批評をはね返すことですね。いろいろなところに手を出すことはそこにOBの天下り先をつくることだと言われておったのでは、国鉄はよくなりません。その点を気をつけていただきたい。  時間がなくなりましたから最後の話になりますが、鉄建建設という大手の建設会社がありますね。これなどは事業の三割、三分の一は国鉄関係の仕事で非常にもうかっているということですね。こういう鉄建建設と国鉄との関係は、OBの天下り先としてそれがセットされておるからたくさんの事業がそこに回されていくのかどうか。それからもう一つ、各地に国鉄の直営に等しいような建設会社があるでしょう。たとえば、名古屋なんかへ行きますと名工建設というのがあります。ああいうところに対しても、これは何か特権会社ですか、投資会社、関連会社の一覧表に出てきませんが、ああいうところはどうするつもりでいらっしゃいますか。
  86. 高木文雄

    高木説明員 国鉄の土木あるいは建築の技術というのはわが国においても相当の水準のものと思います。また歴史的に非常に先駆者的な役割りを果たしてきたわけでございます。したがいまして国鉄の現職の技術者が、技術を身につけておるわけでございますので、その方々がおやめになった上でそれぞれ会社をおつくりになるという場合には、国鉄としては何ら干渉する立場にはないわけでございます。と同時に、できました会社は、もともとそういう形でかなり技術水準の高い方のやっていらっしゃる会社でございますから、私どもが土木の仕事、建築の仕事を民間の会社にお願いする場合に、一定の資格要件を備えているところにお願いするというたてまえになっております関係上、そういう資格要件を調査いたしますと、かなりそういう会社は資格要件ありという方に入ってくるわけでございますので、現実問題として、かなりの仕事をまたそこへお願いするということになります。それを外からはしばしば癒着というふうに見られる危険があるわけでございます。いささかもそういうことがあってはならないわけでございまして、私どもとしては、高い水準の技術に敬意を払うということにすぎないのでございます。と同時に、それらの会社は、歴史的に見ましても、それぞれの個人個人の方々が創設をされ、またあるいはすでに何代か代がわりをしているという事実がございますので、これに対して資産活用というような角度で何か関係をしていくというのは適当でないのではないかと思っております。  総括して申しますと、ただ癒着というようなことが起こりませんように、そっちの角度から厳格な指導監督をしておれば、いまのままで置いてよろしいのではないかというのが私のいま持っております感触でございます。
  87. 太田一夫

    太田委員 いまのままでと総裁おっしゃいます。独立している民間建設会社、株式会社、それと国鉄との間の関係は、一般の契約の原則によってそれぞれ契約するのであって、特別な癒着しておるような事実はないんだから、いままでのままでいいだろうということであろうかと思いますけれども、世間では、そういうところ、鉄建建設ぐらいになりますと大手ですから別として、地方にそれぞれ鉄道局管内ごとに一つずつ建設会社があるでしょう。関連会社とも書いてない、投資会社とも書いてない、何にも書いてない。天下り会社です。総裁、天下り会社という一覧表を出すわけにいきませんね。そういうことは、私は、従業員の再雇用先という意味に見るならば、正々常々のものなら別に結構ですよ。天下りと言われるような弊害は気をつけてもらわなければいけない。それは弘済会でもそうでありますが、直採の従業員がちっともうだつが上がらないというようなことになっては困ると思うのです。これは気をつけてもらいたいと思うのですが、私はそういう点をちょっと憂えるだけの話でありますが、よろしいでしょうか。
  88. 高木文雄

    高木説明員 その点は、私どもといたしましても、世間からいろいろ御批判を受けるようなことがあっては国鉄そのものの品位といいますか、そういうものに関係をしてまいりますので、いささかもそういうことが起こりませんように職員一同に心がけさせてまいりたいと思います。
  89. 太田一夫

    太田委員 時間ですから終わります。
  90. 宮崎茂一

    ○宮崎委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後零時四十六分開議
  91. 大野明

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。宮井泰良君。
  92. 宮井泰良

    ○宮井委員 私は、まず総合交通政策と国鉄再建計画の整合性につきましてお尋ねをいたします。  国鉄再建国鉄自身の再建努力が必要でございますが、単に国鉄事業の範囲内で解決できない問題がございます。たとえば国鉄運賃と航空運賃の問題をとりましても、国鉄運賃の値上げによりまして航空運賃よりも国鉄運賃の方が上回るということで、グリーン料金などは値下げするとか、いろいろな国民国鉄離れ、こういうことがございます。あるいはまた国鉄貨物とトラック輸送を見ましても、経営努力その他の関係、また社会情勢の変化によりましてトラック輸送にとられていくというようなこともございます。したがいまして、わが国の総合的な交通政策を確立して、その中で国鉄の位置づけ、役割りというものを明確にいたしまして、他の交通機関との輸送分野、運賃体系等の調整を図りながら国鉄再建計画を策定すべきである、このように考える次第でございます。そういう点につきまして、運輸省当局は総合交通政策と国鉄再建計画のあり方についてどのようにお考えになっておるかお伺いいたします。
  93. 田村元

    田村国務大臣 いわゆる総合交通政策というものは、昭和四十六年七月の運政審の答申、それに十二月の閣議了解というようなものもあるわけでありますが、基本的には市場原理に基づくいろいろな考え方について、いまなお妥当なものが多いとは思っております。  この総合交通政策というものの中で、各交通機関の位置づけ、いわゆる使命というものがうたわれておるわけでありますが、特に、国鉄が果たすべき役割りというのは、都市間交通とか、あるいは大都市圏交通とか、あるいは中長距離大量貨物輸送ということが強く打ち出されておるわけでありますが、このような国鉄が本来果たすべき役割り、その位置づけというものが示されておる。私は、これはいまなお妥当なものだと思っております。  もちろん四十六年の総合交通政策の中には相当修正をしなければならぬ点もあります。経済事情の大きな変化とか、あるいは省エネルギー問題とかいろんなものがございますが、この示された中における国鉄の分野というものについて、国鉄再建策と相まって、この中で十二分に国鉄の果たす役割りというものを現実化していくということが必要であろうと存じます。その意味において、そういう点に重点を置いて、これから厳しいいわゆる交通競争の中で打ちかっていかなければならぬ、その役割りを果たしていかなければならぬ、このように考えております。
  94. 宮井泰良

    ○宮井委員 そういうものを一応は見直しをしてある。しかし、なおさらに突っ込んで検討しなければならない、こういう大臣のお話でございますので、その点は十分詰めていただきたい。しかし、従来のような単なる政策手段というように感じるわけでございますが、そういうものであってはならない。もっと具体的な政策手段というものでなくてはならない、こういうことを強く要求をいたしておきます。  そこで次に、国鉄再建に対する国の助成の問題でございますが、国鉄の独占性の喪失、また財政危機の現状を考慮いたしますと、従来の受益者負担、独立採算性に固執しました運賃値上げによる赤字解消、財政再建の方途というものへは進むべきでない、こういうふうに考えるわけでございます。  今後は、国鉄国民共有の財産である、こういう認識に立ちまして、法的補助負担を強化拡大する必要がある、国の補助負担のあり方にも種々の方法ございますが、これまで政府の補助制度には一貫性がない、このように思うのです。また、糊塗的であり過ぎた。補助制度に一貫性を持たしていくべきである。わが党は資本費いわゆる工事費などレール以下の施設、こういったものは国の負担にすべきである、あるいは関連施設の投資は利子補給をしていくべきである、そういったもの、あるいはまたナショナルミニマムを維持する意味におきまして、赤字線の補助、公共負担の減額補助等に対しては、国が負担、補助をすべきである、このようにわが党は考えておるわけでございますが、現在の国の補助制度及び今後の補助制度のあり方につきまして、運輸省当局の見解をお伺いいたします。
  95. 田村元

    田村国務大臣 国鉄といえども、いかに政府関係機関であっても、やはり一個の企業であります。広義の意味における企業であります。でありますから、当然国鉄が負担すべき範疇というものはあるわけでありまして、それは適正な原価に見合うものであれば当然利用者が負担すべきもの、こういう独立採算のたてまえはたてまえとしてわれわれはやはり堅持しなければならないと思います。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕  ただ問題は、本来国鉄の負担の限界を越える面においては、公的輸送機関でございますから、国が十分の助成をしなければなりません。その意味におきまして、従来国鉄に対する助成は年々手厚くなっておることは御承知のところでございます。たとえば五十二年度におきましても、対前年比二四%増の助成をいたしておりまして、その額も約四千五百億円になんなんといたしておるわけでございます。特に第七十八回国会の衆参両院の附帯決議というものがございまして、その趣旨も十分尊重いたしておりますが、その意味で地方交通対策の充実とか、大都市交通助成に重点を置きました。それ以外に一番大きな問題として、過去債務対策の強化をも行うこととしたところでございます。  いま国鉄で、経営改善計画をつくられて、それにのっとってもろもろの改善対策を講じておられるところでありますが、運輸省としましても、それに対応して質量ともにでき得る限りの努力を、今日までもしてきましたが、これからもいたす所存でございます。
  96. 宮井泰良

    ○宮井委員 今日までもやってこられたし、これからもやられる、十分やっているというふうな大臣の御答弁でございますが、本会議等でも議論がございましたように、諸外国の例やいろいろなことがございます。また、私が先ほど指摘いたしましたように、残念ながら一貫性がない。この点も指摘しておきたいと思うのです。  過去において再建計画は三回、福田内閣になりまして四回目ですか、この間赤字補助、工事費補助等やってきましたが、今回でもまた地方バス補助ですか、新しいそういったものも出てきているようですが、毎回再建計画が出るたびに、補助のそういった仕方も違う、そういう点をもっと、どこに力点を置くかということで一貫性を持たしてもらいたい、こういったことも要望しておきたいと思います。  それから、次に新幹線建設と公害対策についてお伺いしますが、新幹線の七千七百キロ建設は抜本的な再検討を行い、現在着工中のもの、いわゆる東北、上越を含む全国縦断一ルート、これを進めておる段階でございますが、今後の新幹線建設は緩衝帯の造成、音源対策、都市部における地下、半地下構造化の推進、速度制限等万全な対策を行うとともに、環境アセスメントを実施すべきである、このように考えておるわけでございますが、当局の考えをお聞きいたします。
  97. 高橋浩二

    ○高橋説明員 ただいま私の方で工事をいたしておりますのは東北新幹線でございますけれども、騒音、振動あるいは日照の問題等、いわゆる公害の問題について、ただいま先生御提案のような方法が非常にすぐれた方法であろうかというふうには考えておりますけれども、ただいまの中で半地下というお言葉が出ましたけれども、半地下というのは恐らく完全に地下に埋没させないで、半分地下にして半分地上に出すというようなことをお考えかと思いますけれども、これは都会の中では道路が途中にございましたり横断するいろんな水道だとか電気とかいろんなものがございますので、半地下ということについては一部検討した区間では非常にこれはむずかしかろうというふうに考えております。  私の方は、基本的にはなるべく音源を小さくするように、あるいは振動源を小さくするようにというふうに努力してまいりますが、これについてはやはり現在の技術では限界がございますので、ただいま先生の御提案のように緩衝地帯を設けるというようなことが、音源に次いでいわゆる緩衝によって周辺対策にするということがすぐれた方法かと思います。ただ、この問題は、ただ緩衝地帯と申しましても、なるべくそれを道路等に有効に利用しながらの緩衝地帯というようなものの方がより有効かというふうに考えておりますので、国鉄だけでなくてそういう道路管理者あるいは公園等を管理する方々共同して、そういう緩衝地帯を設けながら新幹線を建設することをよく考えていきたいというふうに考えております。  最後に、先生言われました速度制限等というお話がございましたけれども、やはり新幹線は二百キロということを目的とした鉄道でございますので、速度制限ということは基本的には一番最後の手段だというふうに考えておりまして、そうしないでも環境基準が守れるように、そして環境が余り破壊されないような姿で建設をしてまいりたいと思います。これからつくりますものについては、十分環境アセスメント、環境の影響というものを検討いたしまして建設をしてまいりたいというふうに考えております。
  98. 宮井泰良

    ○宮井委員 環境アセスメントが十分でなかったために、東北、上越新幹線というものは非常に行き詰まっておる。これからあと五本凍結解除、これを私どもは賛成ではございませんが、解除をいたしましても同じようなことが起きる、こういうように思います。はなはだしいのは成田の方でございまして、具体的に環境アセスメント、そういった手段を明確にして進めていただきたい、こういうことを要求いたしておきます。  そこで、総論はそのくらいにいたしまして、各論的に質問をいたしたいと思いますが、私は国鉄再建というものは、先ほど申しました国のそういった再建に対する補助に力を入れる、またあるいは国鉄努力、そしてそれの足りない分は受益者負担として値上げとして国民に負担をしていただく、こういうふうにかねがね考えておるわけですが、本会議等の総理の答弁など聞いていますと、どうも順序が違うように思います。国鉄はしっかりやりなさい、そして国民もうんと負担をしてくれ、その上で足りなければ国が何とかしましょうというのは順序がちょっと違うのじゃないか、このように考えますが、そういうふうな観点でそのいわゆる三本の柱、その中の国鉄再建に対するいろんな経営努力、そういった面について今回の運輸委員会審議に際しまして私は現地を調査してまいりましたので、それに基づいて質疑をいたします。  それは、福岡県の旧志免炭鉱跡地でございます。これは、私先日現地調査に党として行ってまいりまして、これは福岡市に隣接いたします志免町にあるわけでございますが、福岡市のベッドタウンといたしましていま発展しつつあるわけでございますし、非常に利用価値が高い。それにもかかわらず、現在五十八万六千平米もの膨大な国鉄の土地が放置されたままになっておるわけでございます。しかもこの用地は町の中心にありまして、町の発展にも影響を与えておる。  そこで伺いたいわけですが、旧志免鉱業所開坑から国鉄の管理になるまでの経過を簡単に説明していただきたいと思います。
  99. 高橋浩二

    ○高橋説明員 この志免鉱業所跡地というのは、志免鉱業所自体は明治二十二年に炭鉱が開かれまして、海軍がまず管理をいたしておりました。終戦によりまして運輸省に移管され、昭和二十五年にまたこれを国鉄の方で運営をするということになったものでございます。その後、石炭自体が非常に利用が減ってまいりましたので、三十九年の六月に国鉄においてこの炭鉱を閉山をいたしました。ただいまはその後の事務処理を行っている段階でございます。  当時、閉山のときには、約百二十八万九千平方メートルの土地を持っておりました。閉山のときに約そのうちの半分を町その他に売却をいたしました。  ただいま先生のおっしゃいましたように、五十八万六千平方メートルの土地を国鉄で管理いたしております。そのうち大部分は、というのは約六割に相当するものはボタの山でございまして、これが三十一万四千平方メートルございます。残りの二十万余り国鉄の宿舎並びに運動場等でただいま残っておる、そういう状況でございます。
  100. 宮井泰良

    ○宮井委員 これは国鉄にありましては最も大きい用地であると私は思うのです。この土地をごらんになったかどうか、まず大臣総裁にお伺いいたします。
  101. 高木文雄

    高木説明員 私、まだ現場へ行っておりません。
  102. 宮井泰良

    ○宮井委員 大臣はどうですか。
  103. 住田正二

    住田政府委員 大臣もまだ行っておられないと思います。
  104. 宮井泰良

    ○宮井委員 そのように行っておられないと思いましたので、前もって現場の写真を見ていただきますとよくおわかりかと思いましたので、大臣総裁にお渡ししたとおりでございますが、開いていただきました一枚目のこの地図は写真の説明でございます。一番から七番までございまして、それぞれの写真がこの中に入ってあります。  一番などは、これは須恵町から見たボタ山の全景ですね。二番目が粕屋町から見た北側の全景でございます。それから三番、志免町の全景。四番も住宅団地あたりから全体を望んだ風景でございます。五番がグラウンドの全景であります。六番もグラウンド。七番も炭鉱のグラウンドの北側。こういうふうに順番になっておりまして、その後はコンクリートブロックづくりの住宅等ございまして、また木造住宅の廃墟、長屋が建ち並んでだれも入居者がいない。後ほどちょっと申し上げますがこういうような状況、廃墟となった長屋とかいうのを全部写真にこうしてお渡しておりますので、よくごらんになっていただきたいと思います。  それで、先ほど小さい分をお渡ししておいたと思いますが、これが旧海軍の将校クラブの跡でございます。いま小さいのをそちらへお渡ししておりますが、これは高級住宅街で周りには緑がありますし、ずいぶん一等地であります。そのまま十何年間放置されておる。それからこれはボタ山の全景であります。ボ夕山の全景がこういった三つぐらいの山になっておりまして、百メートルぐらいの高さの、これはいま三町にまたがっておる、こういう膨大なボタ山でございます。そういう状況でございまして、ただいまも少し答弁がございましたが、鉱業事業用地は当初約百二十九万平方メートルあった、しかし閉山の際に用地を処理し、現在事務所用地が二万八千平方メートルこれはグラウンドを含む、それからボタ山用地が三十一万四千平方メートル、宿舎用地は二十万三千平方メートル、導水路用地が一万三千平方メートル、その他の用地は二万八千平方メートル、これはモータープールとか洗炭場跡等を含む、計五十八万六千平方メートル、これに間違いございませんか。
  105. 高橋浩二

    ○高橋説明員 そのとおりでございます。
  106. 宮井泰良

    ○宮井委員 これらの地域の活用計画についてお尋ねをいたします。
  107. 高橋浩二

    ○高橋説明員 いま大きく分けまして、先生もおっしゃいましたけれども、ボタ山の地域と、それから運動場等のグラウンドになっているところ、それから私の方の宿舎で使っている、三つの区分けになろうかと思います。  まずボタ山でございますけれども、このボタ山自体は約七百五十万立方メートルぐらいのボリュームを持っておりまして、今日までそのうちの約二割ぐらいのものを道路あるいは港湾の埋め立て等に使用してまいりました。ただいま残っているものについてはしかしもうほとんど、このボタ山自体を材料として何かに使うということはちょっと考えられないというような事態になってまいりましたので、私の方はこれを整地いたしまして、ある高さに整地したら住宅等の用地になるんじゃないかというような検討はしておりますが、まだ具体的な案にはなっておりません。それから運動場につきましては、これは志免町からぜひ払い下げてほしいという話が前からございます。私の方も、いまじかに直接これを利用する計画がございませんので、そういうことも考えて、将来は売却ということも考えて始末をするのがよろしいんじゃないかというふうに考えております。  それから、宿舎敷につきましては、ただいま先生の御写真のように非常に古い木造のしかも相当朽ち果てた宿舎がたくさんございます。私の方はこの宿舎敷が相当広い面積でございますので、必要なものについてはこれを立体的に鉄筋コンクリートに集約をいたしまして宿舎敷をなるべく少ない面積でよけいの宿舎を、所定の宿舎をつくりまして、それ以外の土地については別途活用をしたらいいんではないかというふうに考えておりますけれども、まだこれ自体もいままでの経過で必ずしも実現に至っておりません。一部、部分的には売却等の処理をしてまいりましたけれども、全体の計画についてはまだただいまのところまとまってないというのが実情でございます。
  108. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで跡地でも、いまもお話ありましたような払い下げの考え等ございましたが、売却の対象になっておる土地というものがあるようですが、この売却方法、また具体的にどのように処分していくか、また今日までどう取り組んできたか、この点をさらにお伺いします。
  109. 高橋浩二

    ○高橋説明員 私ども原則といたしまして土地を売却する場合には地方自治体が相手の場合にはこれは随意契約等で逐次お売りできますけれども一般にはそういうわけにはまいらないということで、ただいま申し上げたように運動場等については自治体からの売却願いというものが出されております。しかし私の方はこの土地全体を、面積的にはばらばらに実は少し散らばっておりますけれども、これは志免及び粕屋、須恵、三町にまたがる土地でございますので、おのおのの町からばらばらのお願いというようなことになってはまた必ずしもいい活用方法ではないんではないかというようなことも頭に入れまして、しかもなおかつ、私の方にはここにこの土地に沿いましていわゆる地方交通線等もございまして、そういう道路網、鉄道網、その他の開発計画、それらを総合的に考えてこれを処理するのが一番適当じゃないかというふうにただいま判断をいたしております。そういう方向でいろいろ今後地元の方々ともよく御相談をした上でこの始末については処理の仕方について考えなければならないんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  110. 宮井泰良

    ○宮井委員 いまのお答えですと、町から払い下げの要求も出ておる、あるいはそういう売却の対象になっておる土地もある。しかし閉山後十三年、管理局に移管されましてから十年、それが進んでいない、こういうことでございますから、何とかしなくてはいけない。こういうものを、いま膨大な赤字を抱え国鉄再建する、こういうときでございますから、やはりそういった面が具体的に進んでいかなければいけない、このように考えるのです。で、切り売りなどは私はすべきではない、こう考えます。今日までよく見てみますと、大体一等地なんというのは切り売りをして幾つかの会社に売っておる、こういうことになっていますが、やはり一括活用というふうなことも必要じゃないか、こういうふうに考えます。したがいまして、売却は何年ごろを目標としているのか、この点をお伺いします。
  111. 高橋浩二

    ○高橋説明員 これまで長い経過、いま先生も御指摘のように十年余りの間いろいろ問題がございました。何年後に売却するということまでいまは決まっているわけじゃございませんけれども、なるべく一括して処理をしたいということは先ほどお答え申し上げたとおりでございまして、一括処理ということになりますと、なかなか地方自治体自体に財政上の問題もございます。私の方はしたがって地方自治体ということだけじゃなくて、県あるいは県の住宅供給公社あるいは住宅公団というようなそういうものも頭の中に描きながら、なるべく一括処理をするにはどうすればいいか。  しかし当然これはいま三町にまたがった土地でございますので、三町の御協力がなくてはこの始末はできないということは重々了知しておりますので、そういう方々を含めたところでいろいろ御協議を申し上げて処理をしたい。ただ私の方でいざ売却するということになりますと、従来のいきさつでは非常に安い値段で売却してほしいという要望が非常に強うございまして、私の方はそうじゃなくて、なるべくうまく活用して高く処理をしたいというのが私ども基本的な気持ちで、できるだけ早くこの計画案をまとめて処理をしたいなというふうに考えております。
  112. 宮井泰良

    ○宮井委員 三町の意見を聞きながらということもございましたのでそれは後ほど議論をいたしますが、先ほども申しましたように、十年以上たっておるのにめどが立っていない、こういう点はよく検討してもらわなければいけないと思います。  このボタ山の件でございますが、これは現状では活用できる状況ではないわけですね。したがいましてこのボタの除去が必要である。活用するにしましても問題なのはこのボタの処理が一番ネックになっておる。この除去費用というのは、私が聞いたところによりますと数十億かかると言われておるのですが、このボタの処理についてどのように考えておられるかお伺いします。
  113. 高橋浩二

    ○高橋説明員 北九州では、炭鉱の近くには至るところにこのボタ山がございます。これ自体を、先ほど申し上げた七百五十万立方メートルのようなものをそのままどこか遠くへ持っていくということは、非常に大きなお金がかかるので実現不可能かと思います。したがいまして、これを処理する場合にはやはり近くの、すぐ隣接する土地を一部買収いたしまして、そこへこの山をある高さにうまくならして、全体を宅地化するかあるいは公園その他を含めた土地に再生するという方法以外には考えられないではなかろうかというふうに考えておるわけです。私の方も一時そういうことを試算いたしまして、仮に三十メートルなら三十メートルの高さに整地をするとすれば、いま先生のおっしゃいましたように数十億のお金がかかる。しかし、それによって生み出される土地を宅地の値段で換算すれば、やはり数十億という値段になろうかと思います。これはそのときどきの工事費あるいは地価によってなかなかペイするかどうかという問題ございますけれども、そういうような、なるべくうまく土地を生み出すという方向にこれを処理するということが一番よろしいのじゃないか。それがためには、この志免を含めた三町の御協力がなければできないので、そういうことも含めましていろいろ検討をしてまいりたいなというふうに考えております。
  114. 宮井泰良

    ○宮井委員 何だかできるのかできないのかわからないようなあれですが、ある程度土地を取っていってある程度の平地にすれば住宅地になるんじゃないか、こういう御答弁ですけれども、御承知のとおりあれはかすですから、やわらかいのですね。そこに住宅を建てる場合に、簡単にわずかだけ取り除いて、そしてそれを整地すればできるという、そんな簡単なものじゃないと思うのです。どうも聞いていますとそういうことを何とかできますという御答弁ですが、本当にそれはできますか、どうですか。
  115. 高橋浩二

    ○高橋説明員 これまで取り除きましたのは、やわらかい生ボタを排除しまして、なるべくいわゆる焼けボタというものを中心に搬出をして利用してまいりました。したがいまして、残った部分の多くは、いま先生御指摘のように生ボタかと思います。したがって、ただならしただけでできるかという御質問かと思いますけれども、ならした上に少し時間を経過させて、なおかつその上に、宅地にするならば宅地に適当な土を盛るというようなことは必要かと思います。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、そういうものをよく検討しなければはっきりしたことは申し上げられませんが、私の申し上げたのは、数年前に、そういう全体のボリュームから計算をするとどのぐらいの新しい土地を買収して、どのぐらいの面積ができるかという検討はしたことがあるということを申し上げましたけれども、これとて、先ほど申し上げたように三町の御協力がなければ当然できないことなので、それらを含めていろいろ検討したいということを申し上げたわけでございます。
  116. 宮井泰良

    ○宮井委員 三町の御協力といいますけれども国鉄としては、くどいようですけれども、本当にこれを取り除いてやるというお気持ちはあるのですか、重ねてお伺いします。
  117. 高橋浩二

    ○高橋説明員 国鉄単独でいまこういう事業をやるということは考えておりません。
  118. 宮井泰良

    ○宮井委員 国鉄独自でやるということは考えていない、こういう答弁なんですね。ですから運輸省にお伺いしますが、このボタ山というのは、写真でも御承知のとおり簡単なさくをして放置されているだけです。私が行きましたときも、このボタ山のてっぺんに二人ぐらい人がおりまして、私たちが行きますと、いち早く向こう側へ隠れましたが、そのように非常に危険だということもございます。それを議論するというつもりはありませんけれども、雨によって近くの田畑に土砂が流出する。農作物の被害も出ておる。しかも、ボタは町の発展に大きな支障を来しておるのです。このボタ山というのは、いわば旧海軍が行った国策上の産業廃棄物的なと言うべきものであると私は考えるのです。地方もそのように考えている。ですから、もちろん国鉄努力しなくちゃいけませんが、国が責任を持って除去すべきだ、このように考えますが、どうですか。
  119. 住田正二

    住田政府委員 確かに昔は海軍が持っておって、海軍が石炭を掘っておった時代のものもボタ山の中に含まれているわけでございますけれども、それを含めて国鉄が引き継いだわけでございますので、やはり国鉄責任といいますか、国鉄の問題として処理すべき問題ではないかと思います。運輸省といいますか、政府の方でそれを除去するというような義務といいますか、そういうような筋合いのものではないというように考えております。
  120. 宮井泰良

    ○宮井委員 もうちょっと答弁のあれがあると思うのですが、全くそんなもの関係ない、それは国鉄の問題だという、そういうふうな非常に冷たい答弁ですが、では、国の方は全くそういうものは考えないというように確認いたしておいていいですか。
  121. 高木文雄

    高木説明員 海軍の時代に非常に長い間の時間の経過がございますし、ボタ山ができましたのも海軍時代であることは間違いないのでございますけれども、とにかく当方で引き継ぎを受けまして三十九年までやっておったという経過からいたしまして、言ってみれば途中でほうり出すわけにもいかない、これは何とか私の方で後始末をしなければいけない、後始末の方策がきちっと立ちました場合にこの経費負担をどうするかというようなことが起きましたならば、あるいは国の方にまたお願いに出ることがあるかもしれませんけれども、第一次的にはとにかく私の方で処理方式を決めなければいけないわけでございます。  ただ、処理方式を決めるといいましても、その処理方式のいかんによっては、これから先長く地元住民の方にいろいろな形の影響が出てまいりますから、先ほど来担当常務が申しておりますように、市町村の方々の御意見を承って、そしてその処理のあるべき姿というようなことも、私どもというよりはむしろ地元の方々がどういうことを希望されるか、どういう処理を期待されるか、それを十分伺わなければならない。それに大変時間が手間取っておる。三町としましても必ずしも経済的その他で力がおありになるわけではありませんから、県にも介入していただかなければならぬということになっておるわけでございまして、御指摘のようにその処理が非常に遅いといいますか、歯がゆい感じをお持ちになるのはまことにごもっともではございますが、さりとて、いますぱっと一刀両断に処理をするという名案がないという現状でございまして、何とか処理方式を見つけてまいりたいというふうに考えております。
  122. 宮井泰良

    ○宮井委員 総裁が助け船を出したわけですが、どうも国の方が冷たいと思うのですね。地方なんかも、ボタ山をちゃんと処理してくれれば国立大学を誘致するのに尽力すると町長なども一生懸命になっていますので、国の方はもっと責任ある答弁をしてもらいたいと思うのですが、その点どうですか。
  123. 住田正二

    住田政府委員 突然のお話でございましたのと、実は実情を十分把握していないということで先ほどのような答弁になったわけでございますけれども、今後関係省とよく話をいたしまして、私どもといたしましてもこの問題の解決努力はいたしたいと思います。
  124. 宮井泰良

    ○宮井委員 不満ですけれども努力するということでございますから。  そこで、通産省来られていると思いますが、ボタ山の処理について、通産省は危害防止の観点から補助、融資等の措置をとっておられるわけですが、ボタ山の処理と志免のボタ山のこういったケースの場合についての見解をお伺いします。
  125. 清滝昌三郎

    ○清滝説明員 お答えいたします。  私どもの方では、特にボタ山につきましては、集中豪雨時など崩壊いたしまして、その結果人もしくは家屋等に危害を及ぼすというようなケースが以前あったわけでございまして、そういったことで、まず危害防止というたてまえで現在対処しておるわけでございます。  御承知のように、九州地方には数百に及びますボタ山がございますが、私どもの調査では百程度はかなり危険であるというふうなものが見受けられるわけでございまして、しかもそれらは、その管理責任者がいないもしくは無資力であるというふうなケースがかなりあるわけでございまして、私どもの方では、そういった危害防止という立場から、かつまたそれを管理する者がいないというものにつきまして、まず危害防止の工事を行うべきであるということで県にこれを行わしておりまして、この県に対しまして補助金を交付しておるということでございます。  なお、ただいまお話のございました元志免炭鉱のボタ山につきましては、有資力、資力のある元鉱業権者ということでございますので、これは先ほどからお話ございますように、やはりもとの鉱業権者にこの対策をお願いするということになっておるわけでございます。  なお、一般的には、有資力のものにつきましては、石炭鉱害事業団の方から必要に応じて融資をするというふうな制度はございます。この志免の場合どうなるかということにつきましては、まだ具体的に検討しておりませんので、今後の問題であろうかと思っております。
  126. 宮井泰良

    ○宮井委員 通産省、環境庁あるいは国土庁等関連省庁ですね、よく詰めてもらいたい、このように思います。  また炭住地区というのがございまして、先ほど写真で見ていただきましたように、傾いた、たとえば長屋があって真ん中一軒だけ入ってもう両端の家は人がいない、くぎで板を打ちつけて傾いてきておる、こういうのがやたらにあるわけですが、入居状況が非常に悪い。放置されておりまして、一軒の長屋に全部入居しているというのは少ないわけです。ほとんど空き家になっておる。ですから、青少年の非行化、特に隠れた喫煙、火災の心配等もございますし、非常に町当局も困っておる。いま写真でお見せしたような元将校クラブ、こういうふうなところも十年間放置されておる。現地の管理局では非常に苦労されているようですが、土地の高度利用のずさんなところあるいは管理能力のなさ、こういうことを指摘しなくてはならないと思うのです。宿舎用地にしても二十万三千平方メートルに二百三十一戸しか建っていない。そうすると一戸八百七十八平方メートル、これは坪に直しますと一軒で二百六十六坪に当たるわけですね。非常に利用率も悪い。こういった炭住地区をどうするか、この点をお伺いします。
  127. 高橋浩二

    ○高橋説明員 最初に少し申し上げましたけれども、ただいまある宿舎というか人がいま住んでおる宿舎が二百三十戸余り、これはできるだけ集約をして鉄筋コンクリートに建て直すという方針でまいりたい。それ以外に、この地区で宿舎敷等として私の方は大体六百戸分ぐらいが要るのではないかというふうに予想いたしておりますが、それに要する面積は、いま二十万と先生のおっしゃったうち、約四分の一の五万平方メートルぐらいあればよろしいというふうに考えておりますので、それ以外の土地については、先ほど申し上げた一括して処理する中で売却するなり他の利用にするなりということを検討してまいりたいというふうに考えております。  従来のいきさつは、福岡県知事に対しまして、これらの土地全体の処理についてごあっせんを、一括して処理していただきたいということを申し入れをいたしまして、県知事もその方向で検討しようというふうな話し合いが行われた時期もございます。ただ、ただいまのところはそれは中断いたしておりますので、できるだけ早い機会にそういうようなことを考えてこの処理を進めていきたいというふうに考えております。
  128. 宮井泰良

    ○宮井委員 未利用地の処分活用についても、もちろん慎重に取り扱わねばならないというのは私も当然であると思います。したがって、何でもかんでもやってしまえということを私は言っているのではないわけでございまして、たとえば国鉄が土地を処分する、本年度は本年一年間でこれだけのものを処分するという場合に、一括して全国の各管理局に割り当てて、あなたのところはこれだけの土地を処理しなさいよと無差別にやる、そういうふうなことはいけないと思うのですね。しかし、先ほどからも指摘いたしておりますように、対応が遅い。そういうことで、十年間放置された、活用能力がないという点から、私は、もう法体系——当委員会にも、国鉄運賃法の審議で、法体系が云々、法定制緩和あるいは運賃改定というような問題が出ておりますが、もうそれ以前の問題であると思うのですね。こういうものが放置されたままで、国鉄運賃法を審議しなさい、値上げをしてくれ、こういうことを国民の皆さんに言った場合に、どれだけ納得してもらえるかということを私は指摘しておきたいと思うのです。本格的な審議にならないのではないか。国鉄経営努力が非常に認められない。また、運輸省も、先ほども指摘しましたように、これらの土地に対する姿勢がどうも真剣でない、こういう点がございます。  私この土地を試算してみたのですが、五十八万平方メートルで、国土庁の土地の公示価格からしますと、一平方メートル平均二万円ぐらいです。もっと高いところもあります。これは公示価格で二万円ですから、売買の場合は二倍、三倍になります。一平方メートル二万円としても約百十六億、五十八万六千平米で約百二十億、金額に換算しますとこういうお金になるのですね。したがいまして、百二十億という膨大なお金が宙に浮いておる、こういう点を私は指摘しておきたいと思うのです。  それで、先ほどからもお話が出ていますように、地元自治体からも払い下げの要望等がこれは何度も提出されているのです。野球場などですね。  この地域は、御承知のとおり、炭鉱とともに歩んできた。炭鉱とともに苦労し、炭鉱とともに自分たちが生活をし、土地に対する愛着とともに町民の感情というものは非常に複雑なものがある。こういう総裁あての町からの要望書などもある。町の要望書には「鉱業所並にその周辺地域は過去数十年にわたり志免町繁栄の中心地として発展してきたところでありますが、その跡地が閉山後十三年の月日を経過した現在なお荒廃のまま放置されていることは、関係住民の不満はもとより国家的見地からも重大なる損失であるといわねばなりません。」このように、すでに国鉄総裁のところへ陳情書が五十二年一月二十一日に出ておると思うのですが、こういった気持ちをよく配慮して対処していかなくちゃならないと思うのですが、前向きに検討されるかどうか、御見解をお伺いします。
  129. 高木文雄

    高木説明員 志免鉱業所につきましては、よく御存じのとおり閉山のときにもいろいろトラブルがあったわけでございまして、その後順調に店じまいの仕事が進んでいないことは申しわけないと思っておるわけでございます。  しかしながら何分広大な面積でございますし、いまのボタ山のような始末をするのにどうしたらよろしいかというので、実際的に処理方式のむずかしいものがあるわけでございまして、先ほど来、いささか怠慢といいますかスローモーションであるという御指摘がありましたが、そういう御批判を受けてもやむを得ない実態にはなっておりますが、まあ関係者としてはそれぞれ一生懸命やってはおりますが、余りにもお荷物が大き過ぎるということで遷延をいたしておるわけでございます。私ども何とか、こういう時期でございますから、精力的に地元を中心にしてよくお話をして方向を見出してまいりたいと思います。このまま放置しておくことははなはだぐあいが悪いということはよく承知をしておりますので、もうしばらく時間をかしていただきたいと思います。
  130. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで私は御提案申し上げたい。今回私が視察しました旧志免炭鉱跡地は、わが党が調査しておる国鉄の未利用地、この後同僚の草野委員が関連で指摘をいたしますが、この問題の中でもきわめて異質なものであると考えておりますし、最も広大な土地である。したがいまして、何点か指摘しましたが、現在に至るまでの背景、経緯、地元住民の意識等簡単に解決できない複雑な問題を有しておるということも事実であると思います。したがいまして、この処理は正直言って現在の国鉄の能力では不可能と言えるかもしれません。だからといってこのままいつまでも放置することはできないはずでありまして、そこで提案したいのですが、三町いわゆる志免町、粕屋町、須恵町及び福岡県並びに国鉄門司鉄道管理局の三者による、これは仮称ですが、たとえば再開発調整委員会または土地利用計画委員会を設置して、志免の土地利用または再開発を進めることが必要であると考えるのです。この点について、前向きな答弁をお願い申し上げます。
  131. 高木文雄

    高木説明員 ただいま御提案がありました点は、一つの案だと思っております。私どもも、それと全く同じではございませんが、ややそれに似たようなことをいま考えておるところでございます。話し合いの場といいますか、研究の場といいますか、結論を出す場といいますか、そういうものをまずつくりまして、そして関係の皆さんと御相談してまいりたい。ただいまの御提案のような、ほぼそういう方向で進めてまいりたいという考えでおります。
  132. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは最後に大臣にお伺いしますが、ただいま指摘いたしましたように、この土地の活用能力がないという現状では、またこのような国鉄経営姿勢では真の国鉄再建はおぼつかない、このように考えます。単に法定主義の緩和や運賃の値上げという外的な手段によって国鉄再建を図る以前の問題があり過ぎると言わざるを得ないと思うのです。その点を厳しく指摘しておきたいのですが、この先ほどのボタ山の問題もございました。また土地の処理、一括して最後に大臣から御見解をお伺いいたします。
  133. 田村元

    田村国務大臣 国鉄が持っております不用の土地は、売却をするなりいろいろな方法がございましょう。現に使っておる土地でも、高度利用という方法がございましょう。これはぜひどんどんとやってもらいたいと思うのです。  さっきからボタ山の話をちょっと承っておったのですが、何か鉄監局長が、恐らくうちの大臣は志免を知らないだろう、こういうお答えをしたようでありますが、私はよく知っているのです。志免中学を出たのが私のクラスメートにおりまして、私は志免へよく遊びに行ったからよく知っているのであります。もっとも古い話でありますが。いま聞きますと、ボタ山のある土地は、そのボタ山のあるところだけだと地価よりむしろボタ山をならす金の方が高くつく、そういうやっかいなこともあるようでございます。いまも私は総裁にちょっと言ったのですが、ボタ山のある土地にお金をつけてまで、これはちょっと国鉄再建に逆行することでありますから、ただでもらってもらってそしてそのボタ山をもらってくれた人がきれいにならして跡を利用するということがあれば、事ボタ山のある土地はこれは生きるな、こういうことを言ったのですが、何かボタ山をならすだけで何十億円とかかるようでございます。先ほどちょっとお話のあった坪何万円というのはボタ山のない、いい土地だそうでございます。でありますので、このボタ山の土地を何とかうまく、まあたなからぼたもちというわけにもいかぬでしょうけれども、何とかいい方法があればと思って私もちょっとここで話をしておったのですが、宮井君もひとつボタ山の土地だけでもただでもらってくれるような先がありましたら、ぜひごあっせんも願いたいと思うのですが、そういうふうにボタ山をならすのに大変高い金がかかる。二、三十億かかるようでございます。そういうところで、いま一つ踏ん切りが悪い返事になったかと思います。  それはさておきまして、国鉄の持っておる土地の利用というものは、これは関連事業収入の中心でございますから、そういうところは全国にいろいろございましょうが、そういう点についてなお国鉄を督励、指導いたしたい、このように考えております。
  134. 宮井泰良

    ○宮井委員 これで質問をやめておこうと思ったのですが、大臣がボタ山をただでもらってくれと言うとまた議論を蒸し返さなければいかぬ。しかしもう時間がありませんから、何もボタ山だけと言ったのじゃないので、二万円というのはそれ以外の土地を言っているので、それはまた今後詰めていきたいと思います。  終わります。
  135. 大野明

    大野委員長 宮井君の質疑に関連して草野威君。
  136. 草野威

    ○草野委員 ただいまの宮井委員の質問に関連いたしまして、私も土地の問題を中心にして若干質問をさせていただきたいと思います。  先ほど大臣のお話の中で、国鉄企業である、特殊の企業だけれども企業である以上は企業マインドというものを追求をしていく、こういうお話がございまして、したがって徹底的な洗い直しをしてもらいたい、このようなお話を承りましたので、若干細かい問題にわたると思いますけれども、できるだけひとつ正確な御答弁をお願いしたいと思います。  まず高木総裁にお伺いをしたいわけでございますが、今回の国鉄再建の柱になっているものは、いま提出されております法定制の緩和とそれから国有鉄道法の第六条の改正、この二本を柱として提案されておるわけでございますが、今回の国鉄法の第六条の改正に当たりまして第三条の問題も非常にかかわり合いがある問題であると思いますけれども、第三条の方はそのままにしておいて第六条だけを改正する、これは一体どういう理由でございますか、まずお伺いしたいと思います。
  137. 高木文雄

    高木説明員 国鉄が従来のように運輸収入のみに依存いたしませんで、関連事業収入と申しましょうか付帯事業収入と申しましょうか、そういうことに目を向けるということにいたしたい。そのためには所要の法律改正をお願いをいたしたいと考えたわけでございます。その場合のやり方は二つの方法がございます。ただいま御指摘の三条と六条、二つの方法が具体的にはあるわけでございます。つまり、片一方は国鉄自体が輸送事業以外の事業をいろいろ営むことについて従来よりも寛大なお取り扱いを願いたい、いろいろな仕事の種類をやらしていただきたいということであり、第二は、六条関係にありますように国鉄が出資をいたしまして、その出資会社において同様輸送事業以外の事業をやらしていただく、この二つの道があるわけでございます。  当初は、両方法律を直していただいて両方の道を開いていただきたいと考えまして運輸省の方に法律改正のお願いをいたしておったわけでございますが、いろいろ議論を重ねました結果、結局六条の方の投資条項だけを改正していただくことにいたしまして、今回は三条の方は改正をお願いするのを見送ることにしたわけでございます。  その見送ることにいたしました事情は、どういう事業をいたしますにつきましてもやはり金を出すというだけではいけないわけでございまして、やはりそこに経営に当たる人ということを考えなければなりませんし、また経営に従事する人ということを考えなければならないわけでございますが、現在でも国鉄の組織は非常に膨大でございまして、正直に申しまして、私なかなか全体の管理が及ばないわけでございます。その上に輸送事業以外の事業に手を広げていくということになりますと、それぞれの事業別に、たとえばいまの国鉄でございますと、局長に当たる人とか課長に当たる人とかを置いていろいろ事業をやっていくということになろうかと思いますけれども、全体の組織が官庁的になっておりますし、一人の人に特定の事業を長くやっていただくというわけにもなかなかいかない。どうしても転勤というようなことが伴ってまいります。そうすると、事業に専念をして長くやるというのには余り適当でないように思いますし、従事する職員につきましても、本来鉄道に入った人でございますから、そういった付帯事業をずっと長くやっていくということが果たしてうまくいくかどうかということについて必ずしも自信がない。  もう一つは、どの事業をいたすにつきましてもやはり民間の方の知恵をかりる必要があると思いますので、その場合考えてみますと、投資会社をつくって、子会社のような形でございますと、民間の方にも入っていただいて一緒になってやっていくという方法があり得ますのですけれども国鉄自体でございますと、いま民間の方に、現在お勤めの民間のところをやめ国鉄へ入っていただくというのもなかなかむずかしいというようなことを考えますと、どうもそうした人事運用の面から考えましても必ずしもいま三条の方でやるのが適当かどうかについて自信が持てないという感じになってまいりましたので、とりあえずは六条だけ直させていただいて、そうして六条でやってみて六条ではどうしてもうまくいかないというフィールドが出てまいりましたならば、場合によりましたら後日また改正をお願いするということがありましても、現段階はまず六条のところでとめておこうかという決心をいたした次第でございます。
  138. 草野威

    ○草野委員 ともかくそういう事情の中で関連事業への投資拡大、これを国鉄再建の重要な柱としてこれから取り組んでいかれるわけだろうと思います。そこで、先般、総裁が参議院の分科会におきまして私鉄並みの事業をやるんだ、このような意味の御発言をされていらっしゃったようでございますが、この関連事業の投資範囲を具体的にどのように拡大をされていくのか、これについて総裁の御意見を伺いたいと思います。  あわせてもう一つ、この事業を拡大していった場合でございますが、昭和五十四年度までに収支均衡をさせる、こういう目標でございますので、この関連事業の投資拡大によってどのくらいの増収を期待されているのか、あわせてお伺いをいたします。
  139. 高木文雄

    高木説明員 もろもろの民間の企業がございますけれども、民間の企業の中で私どもと非常に性格が似ておりますのはやはり私鉄でございますから、私鉄の皆さんがやっていらっしゃるような仕事国鉄の場合にもやらしていただくというのが比較的おわかりやすい説明の仕方ではないかということから、私鉄がやっていらっしゃるような仕事をと申し上げたわけでございますが、ただ問題がありますのは不動産事業でございます。私鉄の場合には、非常に多くの場合に不動産事業を御自身でもしくは子会社でやられるわけであります。そして不動産事業によって新しく土地を開発をして、そして旅客をふやしていくというところまで話がつながっていくわけでございますが、国鉄の現状ではちょっといま不動産事業に手を出すことは適当ではないのではないかということで、遠い将来のことは別といたしまして、現段階では、不動産事業と申しましても不動産の売買、取引に関係ある事業まで拡大をすることはちょっと考えておりません。不動産の中でも現在持っております土地であるとかあるいは高架下の余裕の場所であるとかいうものを管理活用するということは考えておりますけれども、不動産売買にまで広げていくことはいまの段階では多分に投機的な面もありますし、それからまた、国鉄が地価をつり上げるというようなことになりましてもぐあいが悪いわけでございますので考えておりませんが、それ以外の点についてはいろいろターミナル事業的なものを中心に拡大してまいりたいと思っております。  それが五十四年度までにどのように貢献するかということでございますけれども、実はこれらの事業というのは、いずれも投資を始めましてから果実を刈り取るまでには相当の時間がかかるわけでございまして、本日ただいま、新しく仮にどこかで事業を始めるといたしましても、二年なり三年なりの間に大きな収穫を上げることは事実上不可能でございます。でございますから、この開発にいろいろ頭を回す、知恵を出すということにいたしましても、その知恵を出しました結果が収支均衡目標である五十四年までに成果が上がってくるということは余り期待はできない。いわゆる懐妊期間と申しますか、おなかの中に入っている期間が長いわけになりますので、五十四年度までにそれが直ちに収支に影響するということはなかなか期待はできないと考えております。ただ四十六年に改正していただきましてからこれまでも相当の投資事業をやってまいりましたので、そうしたものが漸次果実を生む事態になってまいりましたし、それからまた過去におきましていろいろ貸し付けをしておりました土地とか建物とか等の管理が不十分でありましたところを直しますれば、既存のこれまでの狭い範囲のものではございましたけれども、資産の管理あるいは活用というようなことをごくわずかでありますがいたしておりましたものにつきまして、いままでとは違った感覚で取り組みますれば、そっちの方からはいささかの関連事業収入といいますか、運輸収入というものを上げることができようかと思っております。
  140. 草野威

    ○草野委員 ただいまの総裁の御答弁で、関連事業昭和五十四年の収支均衡までの間には恐らく間に合わないであろう、こういうお話でございましたけれども、そういうことになりますと、この再建というのは今回二つの柱を立てておられますけれども、やはり法定制の緩和によって、運賃値上げによって五十四年度には収支を均衡させる、こういうことになるわけですか。
  141. 高木文雄

    高木説明員 今年の一月二十日の閣議了解で一昨年の十二月三十一日の閣議了解が一部修正されたわけでございますが、あの閣議了解の中におきましても、五十四年度をめどとして収支均衡を図る、その場合に、今日ただいまから収支均衡時点までの間にやはり単年度で毎年相当量の赤字が生まれるわけでございますが、その新しく生まれる赤字につきましては、政府側の御援助とそれから国鉄努力等によってどういうふうにかそれを解決する道をそこで決めをつけるということになっております。  そういうことで、いろいろこれからも御援助願わなければならない面もありますし、それから昨年度の法改正によりまして過去債務をたな上げしていただいたわけでございますが、たな上げしていただいたからといって、借りっ放しということではございません。これは返済をしなければならないわけでございまして、利子は助けていただきますが、元本は、いささか長い時間はかかりますが、返済をいたさなければならない。この返済の原資はどこから調達をしてくるのかということにつきましては、主として資産の活用、処分によりまして生まれますところのものから充てましょうという思想で出てきておるわけでございますので、現実にこの果実が生まれて、そしてそれが国鉄の年々の経営収支に組み込まれてまいりますのは、大部分のものは五十四年度以降でございますけれども、そういう努力をして先々収益がこうやって上がってまいりますよということを事実をもってお見せをいたしませんと、たな上げのための資金の借り入れもできないというようなことになってまいりますから、そういう意味から申しますと、この短期間の間に資産の活用につきまして具体的なものをお示しをする、どんどんそういう事業に手を広げていって、こうやって後々果実が上がってまいりますということをお示しをすることは、経営改善のために非常に重要である、そういうことがあればこそ、また先般たな上げもしていただいたわけでございますので、それに対するお答えを誠意をもって示さなければいけないという意味で非常に私は経営の改善ということにつながっているというふうに理解をいたしております。
  142. 草野威

    ○草野委員 ともかく五十四年の収支均衡までは六条を改正しても間に合わないということだけははっきりしておるわけでございますが、それでいいということではなくて、現在許される範囲の中でやはりもう少し資産の活用、適正な管理、こういうものにはひとつ御努力をお願いしなければならないと思います。  そこで鉄監局長にお伺いしたいわけでございますが、いまの総裁答弁の中で私鉄並み云々という話がございました。ただし不動産を除くというようなお話でございますが、先ほどの鉄監局長のお話の中で、私鉄の場合には約五・六か七%くらい関連事業収入がある、こういうお話だったと思いますが、国鉄の場合も関連事業の拡大をしていった場合にはここら辺を一つ目標とされていらっしゃるわけですか。
  143. 高木文雄

    高木説明員 先ほど鉄監局長の方からは、私鉄ではそういう実情であるというお話がございましたのですけれども、ちょっとお断りしておかなければいけませんのは、国鉄の場合には全国でいろいろやっておるわけでございまして、私鉄の場合には比較的都市に仕事が寄っておるわけでございます。したがって、大手私鉄と言われますような事業はほとんど三大都市圏を中心に今日まで発展してきたわけでございますので、そういった性格の違いから申しまして、数字的に言って私鉄と同じようなところまでいけるかどうかということについては、まだもう少し時間をおかりいたしませんと見当がつかないわけでございます。  ただ、反面また逆に申しますと、大変な面積の土地を明治の時代からだんだんと持ち続けてきておるわけでございますので、したがってそういう意味では隠れたる活用資産があるわけでございますから、逆に私鉄の場合よりはもう少し何か工夫の余地があるかもしれません。その辺はもうちょっと時間をおかりいたしませんと、どの程度の見当がつけられるかということの大ざっぱな見当も実はまだついていないわけでございまして、今日まではいろいろな土地等ももっぱら鉄道用に使うという前提で物を考えておりましたから、余りそういう角度から検討いたしておりませんので、しばらく時間をおかりいたしませんと、私鉄と同じようなペースでいけるか、それまでいかないか、あるいはそれ以上にいけるかということも、率直に申し上げてまだよくわかっておらないというのが正直なところでございます。
  144. 草野威

    ○草野委員 いまの総裁答弁を伺っておりまして、私も国民の一人として非常に不満足なんです。大まかな目標も立っていらっしゃらないということでございますが、総裁自身が現在の国鉄の現状は非常に危機的な存在になっている、またその存続のふちに立っている、このように認識をされていらっしゃる、そういう現在において、まだ大まかな目標も立っていない。こんなことだったら国鉄は一体どうなっちゃうのでしょう。大臣、これでいいのですか。
  145. 住田正二

    住田政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、私鉄の関連事業収入の比率が五・三%でございます。これは私鉄は不動産であるとか直営、いろいろやっておりますが、そういうものを除きまして鉄道事業だけをとらえましてみたのが五・三%でございます。それ以外に不動産で収益を上げておりますが、そういうものは除いております。国鉄の場合は二%、先ほどの総裁答弁とちょっと食い違うかもしれませんが、私鉄の場合に大手私鉄と中小私鉄と両方あるわけでございますが、私どもの数字ですとむしろ中小の方が高い、中小の方は六%くらいの比率を示しております。これは恐らく、中小私鉄の場合にはおみやげが相当売れているのかというような感じもございます。また、営団あたりですと六%を超えておるということで、平均的に見て大手十四社では五・三%ということでございます。  したがって、先ほども答弁申し上げたわけでございますけれども国鉄の場合にもできれば私鉄並みに持っていっていただきたい。たとえば私鉄十四社の中で広告収入を見ますと、二%を超えておるわけでございます。広告収入だけでも二%を超えておる。国鉄の場合には全事業で、広告を含めてあるいは構内営業とかそういうものを含めて二%程度ということでございますので、なお努力の余地があるんじゃないか。広告の例で申し上げますと、小田急等の私鉄、営団の中の広告、あるいは国鉄の中の広告、いろいろ比較してみますと、やはり私鉄の広告が一番掲載面積が広いというような感じもありますし、そういう点から申し上げまして、できれば私鉄並みの五%くらいまで持っていっていただきたいと期待をいたしているわけでございます。
  146. 田村元

    田村国務大臣 ちょっといまの御答弁では御質問の御趣旨にややずれたところがあるかと思いますから私から申し上げますが、経営改善計画の基礎を国鉄はつくりました。御承知のところであります。これを基礎にしまして、五十二年度中に国鉄はあらゆる角度から関連事業収入を得るための努力をするわけでございます。もちろん関連事業収入のみではございません。赤字要因の洗い出しも全部やるわけでございます。でありますから、いま何%というめどが立たないからそれはいけないのだ、そういう認識には私は立っておりません。むしろ五十二年度中に再建対策を経営改善計画に基づいて国鉄が立てる、その過程において可能な限りかき集めろというのが私の意見でございまして、私は私鉄並みにいけるのじゃないかという感じを持っております。と申しますのは、中小私鉄ではありますが、私自身が私鉄の出身でございます。私鉄の出身で、私のかつてのサラリーマン時代の経験、といっても乏しい経験でありますが、また今日ずっと自分の出身会社の姿を外から見ておりましても、国鉄は必ずこれはできるという確信を私自身は持っております。ただしそれには武家の商法はやめてもらいたい、こういうことでございます。三条をあえて今度取り入れなかったのも、下手に国鉄に商売をやらせたら赤字の上塗りということになる可能性もありますから。でありますから、投資対象範囲の拡大ということに持っていったわけでございまして、私は国鉄が、そういう意味において所期の目的を達成するという点においては相当な信頼をいたしておるといいますか、私自身確信を抱いておるということを申し上げておきたいと思います。
  147. 草野威

    ○草野委員 いまの大臣答弁でよくわかりましたけれども、いま大臣おっしゃったように、赤字の上塗りにならないようにということでございますが、どうぞひとつ恥の上塗りにならないようにぜひともがんばってもらいたいと思います。  そこで一つだけ総裁に伺いたいのですが、いろいろな事情はあると思いますけれども、この関連事業の増収計画、こういうものにつきまして、大体いつごろまでに策定されるか、これだけお伺いしたいと思います。
  148. 高木文雄

    高木説明員 はなはだお恥ずかしい話でございますけれども、たとえば土地とか高架下の活用というようなことにつきましても、先ほども申しましたように各部門ごとにいままで管理をいたしておりまして、貨物駅の周辺の余裕地については貨物局であるとか、それから普通の駅の場合には施設局の方で見るとか、実は管理の形態がいささかばらばらになっておりましたので、数日前に関連事業本部長という制度をつくりまして、それを別の角度から横並びといいますかくし刺しといいますか、そういう形でずっと資産活用と申しますか、運輸収入以外の収入を全部統括的に並べて見る役割りのポストをつくりまして、発足をいたしたばかりでございます。関連事業本部長には、大体少なくとも半年くらいの間にこれからどういう方法を通じて関連事業収入を拡大していくかということの目安をほぼつけてもらうように、どんなに時間がかかりましても半年以内にほぼ見当をつけるようにということで、いま鋭意やってもらっております。したがって、この秋くらいまでには大体のめどがついてくると思いますが、その場合に、それが数字にまでつながって出てくるかどうかはいまの段階ではちょっとわかりませんけれども、今日の段階で先ほど来大変逃げた答弁をいたしておりますけれども、秋になりましたならば、いまよりは大分輪郭がはっきりしてくるということだけは申し上げられるかと思います。
  149. 草野威

    ○草野委員 いまの総裁のお話を伺っておりまして感じますことは、今度新しく関連事業本部ですか、こういう体制がつくられたそうでございますが、かなり時間がかかるようですね。その時間のかかる原因の一つとして、現在国鉄が抱えている膨大な土地、その中でも未利用地、不用地だとかたくさんあると思いますが、そういうものに対すする管理体制がちょっとずさんだったのじゃないでしょうか。ずさんだったという言葉は当てはまらないにしても、管理が非常に不十分だった。したがって国鉄は、いま本社なら本社でそういう全国的にわたるいわゆる未利用地だとか、いま申し上げたような不用地だとか、そういうものに対する掌握というものが余りできていらっしゃらないのじゃないか、このような感じがするのですが、いかがでしょう。
  150. 高木文雄

    高木説明員 管理の仕方がいささか一元的でないわけでございまして、それぞれの土地は何らかの意味において輸送とつながって必要だということで過去において国鉄の土地になっておりますので、その輸送との関連が、ある場合には貨物駅との関連でございましたり、ある場合には線路を敷きますための路盤用地等の関連であったりしたために、それぞれの役割りのところが別々に管理をしておるということになっておったわけでございます。それが一点。  第二点は、管理という場合にこれをどう活用するといいますか、将来レールを敷くにいたしましても暫定的に何に使っておくか、それによってどう収益を上げていくかというふうな形で、使うという角度からの物の見方がいささか不十分でございました。土地を持っておりますといろいろときれいに、たとえば草が生えないように管理しておくとか、あるいは不法に立ち入りされないように管理しておくとかいう形での、いわゆる管理という方面についてかなり気を配った行き方になっておったと思いますけれども、それをどう使って収益、収入につなげていくかという観念が必ずしも十分でなかったわけでございまして、したがって、いろいろな現状把握をする場合の物事の整理の仕方もそういう面があったわけでございますので、もう少しどう使うかという角度からの管理ということを、同じ管理という言葉ではございますけれども、ウエートの置き方をまず変えていくところから始めなければならぬということで、昨年来大分そういう方向に向かいつつあるところでございます。
  151. 草野威

    ○草野委員 どう使うかということの前に、実態を正しく掌握するということがまず大事じゃないかと思うのです。  そこで、時間がないから急ぎますけれども、未利用地について資料をいただきました。これによりますと、現在の未利用地は約千九百七十ヘクタール、このうち事業計画のあるもの及び利用計画を検討しているものは約千ヘクタールである。売却可能な土地が九百七十ヘクタール。これは間違いございませんか。
  152. 高橋浩二

    ○高橋説明員 五十一年三月末現在の調査で、そのとおりでございます。
  153. 草野威

    ○草野委員 そうしますと、別にまた資料をいただいているのですが、この資料によりますと、ちょっと——ちょっとじゃなくて大分違うのですよ。これをひとつ説明してもらいたいと思うのですが、事業計画のある土地は一千万平米ですね。それから、ないものが九百七十万平米、こういうことですね。そうしますと、これは未利用地の全国の一覧表をいただいたのですが、こっちの資料によりますと、事業計画のあるものが現在全国で千百五十二件で三百二十万五千平米。こっちでいくと一千万平米、三分の一なんですよ。それから、利用計画のないものがこっちは九百七十万平米なんだけれども、こっちは千六百三十五万五千平米、ずいぶん数字の上で大きな食い違いがあるのですが、ここら辺のところはどうなっているのでしょうか。
  154. 高橋浩二

    ○高橋説明員 いま後から先生のおっしゃいました資料は、私ちょっとよくわかりませんけれども、先ほど最初に私の方から先生にお答えして、そのとおりですと申し上げたのが五十一年三月末現在の調べの調書でございます。  それから、事業計画のあるものとないものという大分けにいたしますと、事業計画のあるもの及び検討中のものを含めて一千ヘクタール、それから即座に売却可能なものが九百七十ヘクタール。事業計画があるとはっきりしているものがそのうち四百九十ヘクタール、それから利用計画をどういうふうにするかまだ検討中のものが五百十ヘクタール、合計一千ヘクタールと考えております。
  155. 草野威

    ○草野委員 じゃこの問題はこれぐらいにして、次にいきます。  先ほどの大臣のお話にもありましたように、土地については積極的に売却ないしは活用していくということでございますが、昭和五十年度の不用地の売却、これも資料をいただいたのですが、これは百二十八万八千平米、総額で百三億七千七百万円、約百億売っておるわけですね。昭和五十二年度、ことしは予算表によりますと二百五十億円資産を売却することになっていますが、この二百五十億というのは土地のことでしょうか。
  156. 高橋浩二

    ○高橋説明員 すべてが土地というふうには考えておりませんが、土地でなければ売る物を所有いたしておりませんので、ほとんど大部分土地で売却収入を上げたいと考えております。
  157. 草野威

    ○草野委員 そうしますと、この二百五十億でございますけれども、大体こういうことは毎年計画を立てて不用地の処分をされていらっしゃると思いますが、これは計画どおり進んでおりますか。
  158. 高橋浩二

    ○高橋説明員 先ほど申し上げました直ちに売却可能な土地、九百七十ヘクタールがただいまございます。しかし、これは仮に全部売れたといたしましても、約四百億ぐらいに相当する土地でございます。したがって、これが全部というかそのうちの五割ないし六割が売却できれば二百五十億ということになるのでございますが、従来の経験では、この土地は大部分が、売却収入のうちの八割ぐらいが地方公共団体を相手とした売却収入でございます。ただ最近、地方自治体が財政上の問題がございまして、欲しいとはおっしゃいますけれどもなかなかすぐには買えないというものもございまして、五十二年度に二百五十億の収入を上げることはこれからのわれわれの努力、並びにそういった地方自治体の財政の問題、及び一般公開入札等でも処分をいたしますので、それらを総合的にこれから努力していかなければならないという努力目標として私の方は一生懸命やっていきたいという数字でございます。ただいま四月の半ばを過ぎたばかりでございまして、まだ完全にこれがどうなるかよく把握いたしておりませんが、できるだけの努力をしていきたいと考えております。
  159. 草野威

    ○草野委員 この不用地の処分については、国鉄としては「積極的かつ計画的に処理する」このように方針を定めているわけですね。そして昭和四十八年度に努力した結果目標の百億円を達成した。四十九年度には二百億円、五十年度には三百億円の達成を過去には見込んでいたわけですね。それがことしは二百五十億円に下がっている。しかもその二百五十億円も非常に達成がむずかしい、こういうことです。  それからもう一ついまのお話の中で、この二百五十億を処分するための計画がまだできていらっしゃらないということですね。私はそういうことが非常に心配なんです。やはり年度の初めに売却処分を行う不用資産の処分計画がもう少しきちっと立っていなければ、この二百五十億なんということはとうてい達成できないのじゃないでしょうか。  それともう一つ、この二百五十億円という目標を決めたその内容ですね。もしこれが地方の管理局に、おまえのところは幾ら売れ、おまえのところは幾ら売れと、ただばらばらに目標を押しつけているようなことになっているとすれば、これは大変なことになると思うのです。どういう土地を処分しなければならないか、どういう土地を残していかなければならないか、こういうこともお構いなしに何でもいいから本社から押しつけられた金をつくるのだ、こんなことになってしまったら大変だと思うのです。そんなことはないと思うのですが、そのためにも、この二百五十億円という内容ですね、これはどうなっていますか。
  160. 高木文雄

    高木説明員 恐縮でございますけれども、その二百五十億というものは全部こことこことこれだけを売って二百五十億というふうに積み上げておるものではございません。最近の売却実績から申しますと、そこで御存じのとおり、年間大体百億円ぐらいでございますから、それに比べまして二倍半というのは目標として非常に高いわけでございます。したがって、これはなかなか容易でないとは思っております。ただ、基本的には先ほど来申しておりますように国鉄の持っております土地に対する職員の感覚は、どっちかといいますと将来輸送の、レールに関係した仕事に何か使えるのではないかということで、いわば大事に取っておく方の物の考え方が強いわけでございますので、よほどがんばって強く処理をするという姿勢で中央で指導いたしませんと、なかなかその処分が進まないわけでございまして、どんどん売れと言いましたら、将来非常に大事な土地までどんどん売ってしまうということには、お言葉ではございますけれども、決してならないと思っております。むしろ中央では、どっちかというと積極的に処分を進めることを叱咤激励することによって、やっと公平に見て未利用地と思われるものを処分するというふうに進んでいくのではないかと思っています。  ただ率直に申しまして、従来の毎年の実績が百億前後であることは、それはそれなりに意味がある数字でございますので、これを倍以上も一年間にがんばれと言っていたしました場合に、どれだけの実績が上がるかということは私自身も一〇〇%の自信はないわけでございますが、しかし、現在の経営赤字その他から考えまして、相当無理をいたしましても売れるものがあればといいますか、買っていただけるものであれば買っていただくというぐらいの気持ちで推し進めませんとなかなか進まないということで、いささか目標を高目に置いたというのが正直なところでございます。
  161. 草野威

    ○草野委員 総裁に伺いますが、昭和五十年一月に行政管理庁から国鉄に対する勧告がされておりますが、御存じでしょうか。
  162. 高木文雄

    高木説明員 確かにそういう勧告がございまして、土地の管理の仕方がよくないということで、改善措置を求められております。これは私が参りますより一年以上前のことでございましたが、それぞれの部局においてはこの方向で土地の管理の適正化を図るべく努力を始めておったようでございまして、いま私は、まだ管理の仕方が十分でないと申しましたが、実は、それ以前に比べますといささか進んでおる段階で私がいろいろと資産活用について物を言うようになったわけでございまして、大体この方向で改善しつつあるところでございます。
  163. 草野威

    ○草野委員 伺いますが、二百五十億円の土地を処分するということは大変なことだと思うのですね。二百五十億円に相当する土地の面積というのは大体どのくらいになるのでしょうか。
  164. 高橋浩二

    ○高橋説明員 従来というかこの三年間に売却いたしました、先ほどから議論がございますような百億という値段の土地面積としては、たとえば四十八年で申しますと二百六十万平方メートルで約百億、四十九年も二百六十万平方メートルで百三十億、五十年では、その面積は半分の百二十万平方メートルで約百億ということでございますので、私の方の見当といたしましても、大体百万平方メートルから二百万平方メートルぐらいで百億ぐらいの土地代になろうかというふうにいま把握しておりますが、、実は、先ほどから申し上げておる、不用地と言って整理されているものは山間僻地にある土地が大部分でございまして、これらは値段が単価的には非常に安い土地でございます。いまわれわれはこの二百五十億を達成するために、先ほどから志免の問題でも議論になりましたように、非常に低く、木造宿舎等で使っておる土地等も整理して、そしてそこの土地をあけて売却ということも考えていかなければならないなということで、むしろその方が単価的には高い土地を所有いたしております。したがってそういう点は発想転換をいたしまして、そして従来検討中というものの中から比較的単価の高いところを不用地というふうによく整理をいたしまして、そして目標をできるだけ達成をしたいというふうに考えております。
  165. 草野威

    ○草野委員 鉄監局長に伺いますが、先ほども総裁が言われたように、行政管理庁からは、「固定資産の管理運営について、必ずしも適正に行われていない事項が認められたので、運輸省は、国鉄に対し、」「所要の改善措置を講ずるよう指導する必要がある。」こんなようなことが出ているわけですね。やられましたか。
  166. 住田正二

    住田政府委員 先ほど来関連事業収入の問題あるいは土地の問題について御議論があるわけでございますが、率直に申し上げまして、私ども運輸省といたしましては、国鉄の取り組み方について非常な不満を持っているわけでございます。この前の委員会で久保委員から、運輸省の監督が厳し過ぎるというような話もございましたけれども、実はお恥ずかしい話でございますけれども、私ども監督力が非常に弱いということもありまして、国鉄の方にはいろいろ要望申し上げているわけですが、どうも関連事業問題については私どもの期待しているように動いていないというのが現状でございます。先ほど来先生から御指摘がございました、適正な土地の利用状況を十分把握していないじゃないかという点についても、私どもとしては全く同感であって、ぜひ把握をしてもらいたい。  また先ほど来議論になっておりますのは、いわゆる現在何も目的がない、使っていない土地の問題でございますけれども、むしろ問題は、現在使っているけれども余り大した使われ方がしてない土地にも問題があるわけでございます。駅周辺の土地というのは一応何かの目的で使っているということで、先ほど来の数字では除かれておりますけれども、むしろ利用するとすればそういう方が利用できるわけでございまして、そういう利用状況についても十分把握してもらいたいということを国鉄の方には申し上げているわけでございます。その点は私どももたびたび強く要望はいたしておりますけれども、残念ながらまだ私どもの期待どおりの状態にはなっていないという感じでいるわけでございます。
  167. 草野威

    ○草野委員 時間がないものでちょっとあれしますけれども、いまの不用地のことについて、百万平米か二百万平米売っていかないと二百五十億に達しないだろうということでございました。これは先日いただいた資料でございますが、昭和五十年度の期首における国鉄の不用地は全部で約千二百万平米と想定されると出ております。この内訳がずっと出ておりますけれども、このうち売却可能なものは百十九万平米しかないわけです。後の土地については売却が非常に困難を伴うもの、こういうふうになっているのですね。だから、何とか売れる土地というのは百十九万平米しかないとこの表に出ているわけですよ。それを先ほどのお話ですと、ことし二百五十億円の金をつくるためには百万から二百万平米売ろうとおっしゃるのですね。一体これはどういうことなんでしょうか。
  168. 高橋浩二

    ○高橋説明員 どうもまことに恐縮ですが、いま先生のおっしゃいました資料と私の手持ちの資料がちょっと違うもので、その資料を後でよく研究させていただきたいと思いますが、私の方で売却可能な土地というか、直ちに処分してもよろしいというふうに把握しているのは、先ほどから申し上げているように、九百七十万平方メートル所有しておるわけであります。ただこの中には、いわゆるルートの廃線敷等で非常に値段の安いもの等が非常に多く含まれておりますので、売却して比較的すぐ高額の金になるものについては、このうちの二割ぐらいのものという見当はついておりますけれども、先ほどの先生の数字はどうもちょっといまはっきりいたしません。ただ、従来つかんでおります未利用地以外に、たとえば高架化事業等が進んでまいりますと、それに伴ってその年度に発生する土地もございますので、それらも含めまして努力をしていきたいというふうに考えております。
  169. 草野威

    ○草野委員 国鉄全体に比べますと非常に細かい問題のようでございますけれども、私が申し上げたいことは、こういう問題の一つ一つをやはりきちっとしていかなければいけないんじゃないか。特に、幾ら小さいといったって、土地の場合、二千ヘクタール以上もあるわけでございますので、そういうものの管理体制が何となくずさんである、そういうような感じがしてならないわけです。こういう土地の問題については非常に重要でございますので、どうかこれを機会にひとつ十分なる管理体制を組んでいただきたい、このように要望をしたいと思います。  細かいことのついでにもう一つ細かいことを伺いたいと思いますが、これは土地じゃございません。構内の使用料金の問題でございます。広告料金の収入昭和五十年度におきまして六十七億二千百万円あるようでございます。この広告料についてなんですが、先ほど総裁から、少しでも収入を上げたいので、見苦しいのはだめだけれどもそうじゃないのはひとつ積極的に広告もやっていく、そういう意味で新幹線にもこれからは広告をつける、こんなお話もございました。非常に結構であると思います。しかし先ほど大臣から、不当に安いものがあったらこれから徹底的に是正をしていくんだ、そういうことを鉄監局長に命じている、こういうお話がございましたね。そこで一つ伺いたいのですが、国電の場合、山手線でも結構ですが、電車の中のあの中づり広告、それから横に張っている額面広告、これは一枚幾らでしょうか。たしか二日単位になっていると思いますが。
  170. 篠原治

    篠原説明員 中づり広告、これは二日になっておりますけれども、一日に換算しまして一日一枚というふうに計算いたしますと、国電全部で申し上げて百二十一円三十七銭でございます。一日一枚当たり平均いたしまして百二十一円——いまの御質問は山手線でございますか。国電全部でいま私は申し上げましたが、百二十一円三十七銭でございます。
  171. 草野威

    ○草野委員 一日一枚百二十一円ということは、二日で二百四十二円ということですか。
  172. 篠原治

    篠原説明員 さようでございます。一枚一日百二十一円三十七銭、二日で二百四十二円七十四銭ということでございます。
  173. 草野威

    ○草野委員 二日で二百四十二円ということですが、私の手元にあるこの資料によりますと、中づりの場合は二日で一車一枚あのB3の規格で二百一円、こういうふうになっているのですね。ちょっと差があります。これは国電全体です。国電全体の場合は二百一円、これは間違いないですか、間違いですか。
  174. 篠原治

    篠原説明員 どうも私の資料と違うようでございますが、いまの御質問は一日一枚ですか、二日でございますか。二日では私が申し上げましたように二百四十二円七十四銭、これは値上げいたしております。
  175. 草野威

    ○草野委員 私の方の資料は昨年の四月一日現在ですから、その後値上げされたのでしょうか。
  176. 篠原治

    篠原説明員 昨年の十月に値上げいたしております。
  177. 草野威

    ○草野委員 二百四十二円ということでございますが、これは他の私鉄、地下鉄等と比べてかなり安いのじゃないかと思うのです。  たとえば地下鉄の銀座線の場合、これは値上げしておりません、去年の四月一日現在ですけれども、同じ規格で三百十一円ですね。それから都営地下鉄の場合が三百二十六円です。それから東急の場合が三百十二円とか、このような数字が出ているわけですね。私鉄も、東京周辺を走っている私鉄を全部比べてみますと、高いものも安いものもあります。若干国電より安いものもありますけれども、しかし国電の場合はほとんど東京の中心部を走っている、いわゆるお客さんが一番たくさん乗るところを走っているわけで、一番高くても決しておかしくないわけですね。それが地下鉄や東急等と比べてもかなり安いわけですね。東急と比べても、改正する前で一枚当たり百十一円も安いわけです。これは不当に安いということになりますか、なりませんか。
  178. 篠原治

    篠原説明員 私が申し上げましたのは国鉄全線についてでございまして、これを線別に分けますといささか内容が変わってまいります。たとえば山手線にいたしますと、一日一枚当たり二百三十八円でございまして、単純平均のほぼ倍でございます。線区によりましては、たとえば総武線なんかになりますとかなり低くなってまいりますし、京浜東北線も低くなってまいります。そういうことで、山手線におきましては二百三十八円でございまして、いかなる私鉄さんよりも高いわけでございまして、全部平均いたしますと、先ほど申し上げましたように、一日一枚当たり百二十一円になるということでございます。
  179. 草野威

    ○草野委員 各線によって内容はいろいろ違うと思いますけれども、ともかくこれ全体を比較してみても安いのではないか、恐らく私鉄もその後広告代は上がっていると思いますが、去年の四月一日時点のこの表で国鉄の方ははるかに安くなっているわけですね。現在は高くなっていますか。
  180. 篠原治

    篠原説明員 ちょっと済みません。いまの御質問の趣旨がよくわかりませんでしたが……。
  181. 草野威

    ○草野委員 去年の四月一日以降、私鉄の方は広告料が改正されておりますか。
  182. 篠原治

    篠原説明員 私鉄さんも値上げいたしたと思いますし、私どもの方も十月にいたしております。
  183. 草野威

    ○草野委員 そういたしますと同じように値上げをしているわけでございますが、去年の四月一日現在の数字を比較してみた場合、国鉄の方が安いわけですよ。たとえば、さっき申し上げましたように国電の場合は、東京全線を平均した場合で二日間で二百一円ですね。それで東京周辺を走っている私鉄八社を平均してみますと、安いものも高いものもありますけれども、一枚当たり二日間で二百四十六円になっているわけですね。これは約一八%ほど国鉄の方が安いわけです。なぜ安くしなきゃならないのですか。
  184. 篠原治

    篠原説明員 広告料金でございまして、実のところなかなかむずかしい問題でございますが、五十二年三月現在で、各私鉄さんの一日一枚当たりの平均の単価と、私どもの東京の国電全部の一日当たりの平均の単価を比べますと、私どもの方は安くないと思います。ただ、先ほども申し上げましたように私鉄さんはいろいろ違うものでございますから、高いものも低いものもございますが、私どもの方といたしましても常に私鉄さんの動向を注意いたしておりますので、著しくバランスを失するような事態は起こらないように努力をいたしているつもりでございます。
  185. 草野威

    ○草野委員 時間が参りましたのでこれで質問をやめますが、いまの問題につきましてはまた後でひとつ資料をいただきたいと思いますので、お願いいたします。  ともかく、こういう細かい問題に至るまでひとつ気を配っていただいて、ただ運賃値上げだけによって再建を図る、こういうような考え方では国民から猛反発を食うことは明らかであると思いますので、どうぞこういう点につきましても十分御配慮をいただいて再建に取り組んでいただきたい、このように要望をいたしまして質問を終わります。     —————————————
  186. 大野明

    大野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について、来る四月二十七日午前十時から参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 大野明

    大野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 大野明

    大野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  この際、暫時休憩いたします。     午後二時四十八分休憩      ————◇—————     午後五時五分開議
  189. 大野明

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。河村勝君。
  190. 河村勝

    ○河村委員 この十年来、国鉄再建計画というものがもう何回か国会でも審議をされましたけれども、この計画というものはすべて途中で挫折をして、ほとんどつくられてから一年ないし二年のうちにこわれてしまって、一度も成功したためしがないのであります。それはすべて計画そのものが初めから非現実的なものであって、運賃値上げと組み合わせて、運賃値上げを合法化するためと、それから何がしかの財政援助を受けるためのその財政援助の理由づけ、その二つの目的のためにつくられたものであって、本当に地についた、これで再建が成るというような性質のものではなかったから、こわれたのはあたりまえであったと思うのです。しかし、もうここまで来ますというと、そういつまでもまたこわれましたということでは済まないのであって、国鉄もいよいよ危機——いままでも危機であったけれども、もう危機中の危機であって、今度こそ本当に再建計画というものを実際に再建の軌道に乗せるようなものでなければならないと思います。  そういう意味で、政府並びに国鉄の関係の方々にも申し上げたいことは、いままでの審議のいきさつというのは、まあとにかくつくられたものを何とか通して、それで運賃値上げだけでも成功しようというような立場からの答弁が多くて、本当にわれわれとの議論を通じて本物をつくっていこうという、そういう気持ちがなかったと私は思うのです。だから、ぜひとも今度こそ本当に国会らしく、与野党伯仲の時代にも入ったことでありますから、もちろん前々から、野党といえども国政に責任を持たなきゃならぬ立場にあることは当然でありますけれども、それがよけいに責任を持ってやらなきゃならぬ時期に来ているわけです。だから、われわれもここでもって揚げ足取りなどはやるつもりはありませんから、本当にこの議論を通じてりっぱなものをつくるという気持ちになって、あなた方も、もうでき上がったものだからこれは直せないんだということではなしに、本当によきものをこしらえようという立場から返事をしていただきたいと思います。  そういう角度からの応対を冒頭に要請をしたいと思いますが、大臣、いかがでございます。
  191. 田村元

    田村国務大臣 国鉄再建につきまして、その案をつくるということにおいては国鉄責任でありますし、また、それに対して監督の立場にあっていろいろと物を申すのも、これまた運輸省の立場であります。でありますから、われわれとしては、みずからがいま考え得る案としてはこれが最善の案だ、こういう判断の上に立っていろいろな対策を講じておる次第でありますけれども、しかし、何といっても人間がつくる案でございますから、よりよき案が出てくることだって当然あるわけであります。でありますから、その意味におきましては、私は与党、野党を問わず国会方々の、しかも練達堪能な方々でありますから、その意見、提言というものに対して謙虚に耳を傾けるつもりであります。
  192. 河村勝

    ○河村委員 そこで、再建計画を本当に現実に即したものにするためには、いま国鉄が他の競争機関と一緒に、その中で一体どういう立場に置かれていてどういうような困難な状況にあるかという、その実態認識が共通にならないと、いつまでたっても議論はかみ合わないわけです。ですから、初めにいま国鉄が、ことに運賃値上げその他を含めて一体どういうような状態にあるかということの考え方について皆さん方の意見を伺って、そこから出発をしたいと思います。  そこで、第一に運輸省の交通政策としての立場でありますけれども、もう数年来総合交通体系という言葉が大変流行しまして、総合交通体系というものをつくり上げるための交通政策ということがいろいろな角度から議論をされたわけであります。しかし、結果としてはそれが機能を発揮しなかったと言ってもいいのじゃないかと思う。国鉄について言えば、これからのエネルギー危機に備え、また公害問題を考えれば、トラックが日本じゅうを走り回るというようなことは決していいことではない。それとさらに、少し長くはなるけれども、日本の労働力の将来の不足、そういうものを考えて、国鉄にいま以上にもっと働いてもらわなければならない、そういう考え方においては一致していたと思います。思いますけれども政府国鉄を立ち上がらせるためにつくっております誘導政策ですね、そういうものはほとんどみんなだめであった。これは日本ばかりじゃなくて、西ドイツとかイギリスとかいろいろなところで法制的にトラックの輸送を制限してみたりなどして、貨物なり旅客なりをなるべく国鉄の方へ持っていこうというような誘導政策はいろいろやられたけれどもこれは成功しなくて、結局それぞれの交通機関が荷主なり何なりの、最近の言葉で言えば、ニードによりよく適合するような働きをすることによって自力でやっていくほかにはないというような結論になってきたと私は思う。運輸省としていまやれることというのは、運賃政策と、それから国鉄のようないろいろな種類の公共負担をしょっているがために正当な競争力を持てないところには、どれだけ公共負担をカバーしてやるかという財政援助の問題、この運賃と財政援助の二つの問題くらいであって、あとは本当に有効な政策は持たないんだろうと思う。わずかに協同一貫輸送をやるための法制の整備とかなんとかいうことはあるでしょうけれども、財政援助と運賃と、大体この二つしか行政的にはやることはないんだ、そういうように理解をしておりますが、いかがです。
  193. 田村元

    田村国務大臣 基本的にはそういうことだと思いますけれども、しかし、私どもが、国鉄と非常によく似た企業形態をとっております。また営業形態をとっております私鉄等を見ましたときに、やはり国鉄自身が一つ企業として、午前中にも申し上げましたが、特殊の企業であっても企業には違いがない。その立場から言えば、やはりそれなりの合理化というものはいまの二つの柱と匹敵するものであろうと存じますし、それからいま一つは、経営努力ということも当然でございますが、それ以上に、やはり労使の協調というものがなければ未来永劫だめだろうと私は思います。でございますから、そういうような総合的な諸施策を講じて、企業マインドというものも十分に身につけながらやるべきではなかろうか、このように思います。
  194. 河村勝

    ○河村委員 そのとおりでありまして、国鉄経営全体についての指導の必要性というものは当然あると私は思います。ただ私がいま二つと言ったのは、具体的な手当てとして考えられるものはその二つであろうという意味で申し上げたわけであります。  そこで、運輸省としては運賃と財政援助との関係を一体どういうふうに考えているのか、そのバランスといいますか関連ですね、今日まで一体財政援助というものはどういうものであり運賃というものはどういうものであるかということ。これから具体的な問題に入りますから、細かいことはよろしい。運賃の方は一応おきましょう。一体国の財政援助というものはどういうものであるべきかというところから今日までどのような手当てをしてきたか、それをまず伺います。
  195. 住田正二

    住田政府委員 先ほど河村先生からお話がありました総合交通体系の基本的な考え方というのは市場原理であるわけでございまして、市場原理の働かない分野についてはやはり国がそれ相応のめんどうを見る必要があるという考え方をとっているわけでございます。いままでの再建基本的な考え方も同様でございまして、国鉄が幾ら経営努力をしてみても経営能力の限界を超える部分について国が助成をするという考え方で来ているわけでございます。一例を申し上げますと、過去債務を負っていたのではいつまでたっても健全経営は可能ではないということで、五十年度末の累積赤字に相当する過去債務はたな上げをした、あるいは地方ローカル線については、暫定的ではありますけれども助成をするというようなことで、経営能力の限界を超える部分について助成をしていくというのが基本的な考え方でございます。
  196. 河村勝

    ○河村委員 それでは端的に伺いますが、財政援助もだんだんとふえてはきております。ことしはいろいろな種類の国の財政支出を合わせれば四千五百億足らずになってきているわけですね。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕 そこで、運輸省の考え方としては、今度この財政再建計画を出すに当たって四千五百億、この規模の財政的な手当てをやれば、あとは国鉄運賃値上げと、それから国鉄の内部の経営努力、この二つを組み合わせることによって、本当に五十四年度に収支の均衡が実現できる、そう考えて立案をしたものですか。
  197. 住田正二

    住田政府委員 今回の再建対策要綱は、いま御指摘のような考え方でつくっているわけでございます。ただ、今後の問題といたしましては、他の交通機関との競争関係も非常に厳しくなってきておりますので、運賃だけに頼って再建を図るということもきわめて困難な事態になってきているわけでございます。したがって、やはり徹底した合理化努力というものができませんと、国鉄再建というものは実現できないという感じでおります。  また助成の問題でございますが、現在の四千五百億だけで果たして十分かどうかにつきましては、今後国鉄がいろいろ経営改善計画をつくって、具体的な計画を立案するわけでございますが、そういう過程において、やはり経営能力の限界を超えると認められるような部分が出てまいりましたら、その段階でまた考えなければいかぬと思いますが、そういうような努力を続ければおおむね五十四年度には何とかかっこうがつくのではないかというように考えているわけでございます。
  198. 河村勝

    ○河村委員 経営努力は、それはやってみなければわからぬかもしらぬけれども、おおよそこれだけはできるはずだと思って計画の中に組み入れておかなければ、これは計画ではありませんね。運輸省の考え方だと一応四千五百億程度の規模の、これは多少変わるかもしらぬが、そういうものを前提として、ことし一九%値上げをして、来年、再来年二〇%の値上げをする、それに経営努力を組み合わせれば五十四年には再建ができる、そういうことなんでしょう。一体その中で、ことし一九%、来年、再来年二〇%という運賃値上げができるような状態に今日あるかということについて、あなたはどう考えています。
  199. 住田正二

    住田政府委員 先ほど申し上げましたように、国鉄は他の交通機関と非常に厳しい競争関係に立っておりますので、安易な値上げができるとは必ずしも考えておりませんが、国鉄の競争力の面で他の交通機関との比較において強い部分もあるわけでございますので、そういう面を中心に運賃制度についてもいろいろ工夫をこらしていけば、ある程度の運賃値上げが可能であると考えておりますので、非常にむずかしい状況にはありますけれども、何とかやっていけるのではないか。もし運賃価上げができないということであれば、五十四年度の収支均衡の達成はむずかしくなってくる、そのような感じでいるわけでございます。
  200. 河村勝

    ○河村委員 そうすると、ことし一九%、来年、再来年二〇%ずつ値上げをするという公式の発表があったけれども、これは計画の中身でも何でもない、ただ一つのアドバルーンみたいなものであって計画とは関係ない、そういうふうに理解してよろしいですね。
  201. 住田正二

    住田政府委員 先ほど申し上げましたのは、本年度に引き続いて来年二〇%あるいは二五%、再来年も二五%必ずやるということではないわけでございまして、法律規定いたしておりますのは賃率の最高限度を決めているだけでございます。その範囲内におきまして、先ほど申し上げましたようないろいろ工夫をした運賃値上げをやり、また経営努力をすれば、何とか五十四年度で収支均衡が達成できるのではないかというように考えているわけでございます。
  202. 河村勝

    ○河村委員 ことし一九%、来年、再来年二〇%というような、それは計画そのものでないにしても、そういう発想が出てくるところに、もうすでに国鉄の置かれた現状、一体国鉄がいま運賃値上げにどれだけ依存することができるかという実態認識がもともと誤っているんだろう。だからこういう暴論が出てくるのであって、昨年五〇%上げた、これがずいぶん乱暴な値上げであったけれども、逆に現在の他の交通機関との競争状態の中で国鉄運賃問題についての一つの限界をはっきりさせた。そういう意味では私は、今後の再建計画というものは逆に立てやすくなったというような皮肉な結果になっているんだろうと思います。一体、五〇%昨年値上げして以後の実際の運賃収入状態、これは最近までどういうふうになっておりますか。
  203. 高木文雄

    高木説明員 十二月から一月と少しずつ上がってきたわけでございますけれども、特に本年の状況といたしましては雪の被害が非常に大きゅうございまして、安定輸送ができなかったということが加わりましたために、単に運賃の問題だけではなくて、お客さんに対するサービスとして非常にぐあいが悪い事態が起こりました。その結果、二月なり三月なりの大体の水準は、例の三七%と申しておりました見込みにもかかわりませず、二〇%をちょっと超えるぐらいのところで低迷をいたしておりましたのですが、三月になりまして、雪の被害が取れましてから大分回復をいたしてまいりまして、三月段階が大体一三〇%ぐらいでございます。四月はいままだ進行中でございますが、まあ三月よりもさらに状況はよろしいのではないかとは思っておりますが、いつになりましたならば最初考えておりましたような一三七%という水準のところまで来るかということは、まだちょっと明確にできないのでございます。  もう一つの問題点は、現在不況でございますので、貨物の競争力が非常に落ちるのではないかというふうに心配をいたしておりましたのですが、実は相当思い切って営業割引制度を使いまして、お客さんから逃げられないように努力をいたしたのでございますが、大体貨物もおかげさまで、予定どおりには行っておりませんけれども、一三〇%くらい、近いところまでは来ましたわけでございます。どうも貨物というのは、そう急にお客さんが離れていくというのではなしに、年末であるとか年度末であるとかという契約の切れ目みたいなものがあるものですから、四月に入ってどうなるかをいま心配をいたしておるところでございます。  なお、旅客につきましても、総体的な趨勢のほかに、たとえば新幹線のお客さんの数が減っておりますとかあるいは寝台のお客さんの数が減っておりますとかいうことで、全般的傾向のほかに、かなり個々の便ごとに乗りのぐあいが違ってきておりまして、いまお触れになっておりますように、私ども運賃水準がかなり限界に近づきつつあるということを証明するようなかっこうで出てきておるということが、今後の私どもの営業上の問題として非常に注意を払っていかなければならぬ問題だというふうに考えております。
  204. 河村勝

    ○河村委員 新幹線が特に悪いようですね。航空機との関係で見ますと、もし航空輸送力がもっとあれば、もっともっと減ったはずだという数字が私は出ているように思う。だから、成田空港が開業して、それで羽田のスペースがあく、それからエアバスが導入されて輸送力がふえる、こういうものが競合すれば、これは私は、旅客輸送はそれによってまだまだ他の競争機関にとられる要素が非常に強い。  貨物については、確かに不況の影響はありましょうけれども、四月の成績はまだわからないでしょうけれども、トラックに——現実に私どもが見聞きしている中でも、すでに青森−北海道間、これは帰り車を利用するという場合が多いわけでありますけれども、青森−東京間ぐらいですらトラックに依存するものが出てきつつあるということですから、これは単に運賃だけではなくて、国鉄のストが頻発をして国鉄の貨物輸送に対する信頼性が非常に低下をしているということが大きく手伝っているわけでありますが、四月以降、ちょうど年度の切りかえの時期で、トラックに移る可能性がずいぶんある。そういうものを含めて、私は、三七%というような実収率には、旅客、貨物とも、絶対に到達はしないであろう、今後時間をかければややそれに近くなるかもしれないけれども、もう実質的運賃値上げの限界に来ているということだけは私は明確に言えるであろうと思う。実質的運賃値上げという意味は、物価調整的な運賃値上げは一般社会の動きと並行してあり得るわけだけれども、賃金で言えば実質賃金に該当するものですね、これを上げる余地というのはもうなくなっている、そういうふうに私は考えておりますが、あなた方はどうお考えであるか。
  205. 高木文雄

    高木説明員 新幹線が非常にお客さんが減っておりますけれども、実はこれはまあ私どもが災害を口にしてはいけないわけでございますけれども、関ケ原付近の雪害で、雪のために徐行運転をしなければならなかったということから、新幹線が非常に不安定輸送になりまして、一月の末から二月いっぱい、運休は余りありませんけれども、遅延時分が非常に長くなりましたために、そういうことでお客様の信頼性を失ったと思います。したがいまして、いまおっしゃるようにグリーンの東京−大阪間が飛行機よりも高いということによる影響ももちろん否定はいたしませんけれども、どうもそれ以上に非常に不安定な輸送になったことが大きく響いたと思っております。したがって、今後いろいろ料金体系につきましても御指摘のように細かい配慮が必要だと思いますけれども、まだそれほど悲観をしてはいないわけでございます。  それから、一般的にはまだかなり力を持っておるところはあるわけでございまして、現在でも線区によりましてはほとんど影響が見られないというようなところもあるわけでございまして、いま河村委員が御指摘になりましたような傾向といいますか水準といいますか、そういうことにだんだん近づいてきておる、そういう状態に非常に接近してきておることは私は認めるわけでございますが、全く余裕がないという状態ではないのではないか。ただ、いろいろな事情から昨年十一月の改定が全く一律の改定であったというふうにならざるを得なかったということが商売としては非常にまずいわけでございまして、そこらをもうちょっといろいろ工夫をすれば、御指摘のようなコスト増に伴う分以外には全く余地なしというところまでは私は悲観的には考えていないわけでございます。
  206. 河村勝

    ○河村委員 それはずいぶん甘いと私は思う。いま私が、もし飛行機に輸送力があったならば、いまの同じ運賃水準であればもっともっと航空機に流れてしまうであろうと言ったことに対して、運輸省はどう考えていますか。
  207. 住田正二

    住田政府委員 先ほどお話ございました運賃値上げの限界にすでに達しているということについては、私どもは近づいてはいるけれどもまだ達してはいないという感じでいるわけでございます。  航空と新幹線の問題が一番シビアな問題として取り上げられているわけでございますけれども、航空の輸送と新幹線の輸送とは質的に若干違う面があるのじゃないかと思います。もちろん厳しい競争関係にあることは否定いたしませんが、航空輸送というのは点から点の輸送ということではないかと思います。それに対しまして新幹線といいますか鉄道の場合には、あるエリアからエリアへの輸送ということでございますので、点の部分については確かに競争関係にありますので、いま御指摘のように大阪の空港の収容能力がふえるとか、あるいは成田ができて東京の離発着便数がふえるというような場合には、さらに新幹線のお客が航空の方に流れることが予想されますけれども、しかしそれは点と点との関係だけであって、飛行機だけではなくて東京周辺全部のお客さんが航空の方に流れるというようなことにはならないのではないかと思います。
  208. 河村勝

    ○河村委員 点と言うけれども、点というものはみんな主要都市なんで、主要都市というものが非常に大きいのだ。現に、競争関係にある航空機は最近ほとんど満杯になっている。だから、結局輸送力がないから出入りしないというだけであって、輸送力があればどんどん行くような状態にあることは否定できない。  あなた方は一九%とか二〇%とかいう値上げを計画の中に入れているものだから、このカバー法案についても物価変動率プラス一五%なんというべらぼうな案を出しているから限界に達したと言えないだけのことであって、もし国鉄に追随をしてどんどん他の交通機関も運賃を上げていくということなら、それは総体的にバランスがとれていくことは間違いないであろう。しかしそんなことをしたら、もう交通インフレですよね。まさかそういうようなもくろみを持って運輸省はこういう計画を立てておるわけではないと私は思う。それともそういうつもりですか。そうでなければ、私はもう限界であるというのが客観的な見方であろうと思う。そうじやありませんか。
  209. 田村元

    田村国務大臣 しばしば国会の場で私が申し上げておりますように、国鉄運賃を上げるから航空運賃や私鉄運賃を上げるというようなことは毛頭考えておりませんし、そういうような便乗値上げに対する思惑が企業側にあるとするならば、それは断じて認めるところではありません。
  210. 河村勝

    ○河村委員 限界に近いとか近づきつつあるとかいろんな表現がありますが、少なくとも物価調整プラス過去の累積赤字を解消していくというような、プラスアルファをつける運賃値上げというものはもはや不可能である、それは認めるでしょう。
  211. 住田正二

    住田政府委員 現在御提案申し上げております法律は、事業年度の決算で赤字が出た場合には物価変動率に一五%、事業年度に黒字が出たときには物価変動率に五%ということでございまして、当面の物価変動率プラス一五%には過去の累積赤字を解消する分は含まれていないわけでございまして、現在の赤字体質を直していくというものが一五%の中に含まれているということでございます。
  212. 河村勝

    ○河村委員 それはおかしいな。ぼくがあなたの部下から説明を聞いたところによれば、このプラス一五%の中には赤字解消のための分が含まれているというように聞いていましたがね。私に対してうそを説明したのですか。
  213. 住田正二

    住田政府委員 いま御説明が悪かったかもしれませんが、現存国鉄の単年度の収支バランスというものは崩れているわけでございます。その収支バランスの崩れを解消する分として一五%の中に一部含まれているということでございます。
  214. 河村勝

    ○河村委員 そこのところの基本的な認識が変わっていると、どうもお互いに近づく道がないわけなんだ。だから、一応運賃値上げがほぼ限界に近づきつつあるというところまでで、やや近い認識に到達したぐらいのところで一応ここはとどめておいて、先に進みましょう。  そこで、大体物価変動率を超えてもわずかなものぐらいしか運賃値上げの余力はないということであれば、単年度で財政収支がバランスをしない限り運賃値上げによって収支の均衡を図ることは事実上不可能だ。ただ、その場合、経営努力というものが片一方にありますから、経営努力は一年で実を結ばないものもあるが、経営努力によってカバーできる分はあるだろうと思う。だから大体物価調整程度の運賃値上げと国鉄のやや中期的に見た経営努力、これをプラスしてバランスがとれるような財政計画でなければならないということだと私は思う。  だから国の援助も、そうであれば今後の物価調整程度の運賃値上げとそれから経営努力で達成できない残りの分ですね、これを国でもって持たなければならない。公共負担の中身というのは細かく言えばいろいろな議論があります。地方交通線のめんどうを見ろ、あるいは工事費の補助を見ろ、あるいは場合によっては自動車を見ろとか荷物を見ろとかいろいろあるでしょうが、ここではひっくるめて議論を簡単にするために言えば、まず財政援助は公共負担のカバーとしてこれだけ出してやろう、運賃値上げは物価変動率程度は認めてやろう、残りの一〇%か二〇%かわかりませんが、これは経営努力でやりなさい、そういう大体の目安ができないものはまた財政再建計画として必ず失敗するに決まっている。  だから具体的に言えば、その方が議論しやすいでしょうから私の考え方を申し上げますと、現在四千五百億程度の国の援助があります。これをもとにして一体あとどのくらい財政援助をふやせば、あと運賃値上げと経営努力でやっていけるだろうということを試算をしてみたのですね。そうすると、毎年八千五百億くらいの財政援助をやる、そうすれば単年度で減価償却前はどうやら黒字になる。しかし償却後は赤字になる。この減価償却分の赤字の埋め合わせぐらいは国鉄労使が必死になればこれは補いがつくであろう。つまり、これが国の財政援助のむずかしさでありますが、ただ何でもかんでも援助するんではなしに、運賃値上げは物価変動率に毛の生えたぐらいしかこれからはできない、経営努力で大体このくらいの部分はカバーできるだろうというふうに推定したら、それでもできないところは、やはりいままでの広い意味での公共負担——ずいぶん長いこと国鉄をほっておいたから、そのためにできたいろいろな累積債務、累積赤字があるから、大蔵省がいろいろ算定したいままでの累積赤字は補てんしてやろう。だけど累積債務の方は、累積赤字補てん分くらいしか理論的に見るべきでないとかいろいろな理屈がついているわけですね。  それから地方交通線についても何分の一しか見ないとか何とかという理屈がありますけれども、大きく見れば、とにかく国鉄労使が精いっぱい働いて、それで運賃値上げは大体限界に来ているのだから、物価変動率くらいの運賃を今後に予定して、それで大体バランスができないような助成では本当の助成とは言えない、そういうことになるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  215. 住田正二

    住田政府委員 河村先生の考え方は一つの考え方ではあると思いますけれども、私どもの考え方と一つ食い違っておりますのは、いま八千五百億という財政援助を前提に運賃の値上げ所要額であるとかあるいは経営努力による解消額というものを考えればいいんじゃないかということであるわけでございますけれども国鉄一つ企業でございますからやはり体質を改善することが先決ではないかと思います。その体質改善に当たりまして、どうしても国鉄としてその経営の範囲内では負担できないというものがあれば、それは国がめんどうを見なければいかぬということになると思いますけれども、先に財政援助の額を八千五百億と決めてその中で努力するというのは逆ではないか。最初に、国鉄としてこれだけやればこれだけ赤字が解消してこれ以上は国にお願いしなければいかぬという点を明らかにした上で財政援助の額を決めていく。  また先ほど来御指摘のありましたように、運賃値上げについて確かに限界には来ております。運賃値上げはもうこれくらいしかできない、したがってそれ以上はどうにもならぬという点が明らかになれば、またその面での助成ということも考えられるかと思いますけれども、先にこれだけの助成をするという考え方は、私どもの考え方とちょっと発想が逆になっているのじゃないかと思います。
  216. 河村勝

    ○河村委員 私の言い方が悪かったかもしれないけれども、八千五百億を前提にしたのではないのです。運賃値上げではこれだけしかカバーできないであろう。年で見ればせいぜい二千億か二千二、三百億くらいしか運賃値上げでカバーできないであろう。それであとの国鉄経営努力では、三千五百億くらいの赤字を五年くらいかからなければ埋めていけないであろう、いかに労使ががんばっても。そういう前提に立ちますと、その残りが八千五百億というわけであって、八千五百億を前提としたのではなくて、一体運賃値上げと経営努力でどれだけカバーできるであろうということをまず計算をして、それができなければ、理由はともあれ、その分だけ国でめんどうを見ないことには国鉄再建の見込みはない。だから結局、運賃値上げの幅がどこまで可能かということをどう見るかによって、八千五百億が要るか要らないかという問題が出てくると言ってもいいくらいだ。だから経営努力運賃値上げとを両方先に見て、それでどうしても、どうがんばってみてもだめなところを試算をしてみると、私の試算によれば八千五百億くらいになる、こういうことです。だから、逆じゃないでしょう。
  217. 住田正二

    住田政府委員 私どもの考え方も、いまの先生のお話であればそう考え方は違っているわけではないと思います。国鉄として今後赤字要因等について徹底的な検討を行って経営改善努力を行うということ、それから、運賃値上げの幅についてはあるいは先生と御意見が若干異なると思いますけれども運賃値上げをやって、なおかつ収支均衡時までに相当の累積赤字がたまると思います。これについては国でその一部についてたな上げ等によって処理をする、あるいは現在も積立金を持っておりますから積立金の取り崩しをやる、あるいは将来の経営の見通しによりますけれども、将来の経営の収益によってカバーするということで、収支均衡時におきましてそれまでにたまりました赤字についてはきれいに処理をしたいという考え方でいるわけでございますので、最初から八千五百億というものを決めるか、収支均衡の段階で、恐らく一兆になるか二兆になるかわかりませんけれども、収支均衡の段階でどういう形でその赤字を処理したらいいか、そういう形の中で助成をしていくということで、先にやるか後にやるかという問題ではなかろうかと思います。
  218. 河村勝

    ○河村委員 そこが大変違うところなんですね。私の考え方は、国鉄にもう責任を負わせなさいということですね。だから国ではもうこれだけしかめんどうは見切れませんよ、だから、八千五百億と決めたら、これから先八千五百億以上もうふやさない、あと運賃値上げは大体物価変動率ぐらいしかできない、そうなればあとは国鉄経営努力でやるしかない。で、八千五百億を前提にして言えば、大体五十二年度は二千七、八百億くらいの償却後の赤字が出るはずです。しかし、このぐらいのことは、五十二年度ではなしに運賃値上げをやってもまだ若干赤字のふえる要因はある、そのくらいのものは国鉄で労使で努力すればできるはずだ、そういう考え方に立っている。  国鉄総裁、一体これは、むずかしい質問ですが、仮に八千五百億ぐらいの国の援助を前提として、ことしは運賃は値上げしないんですよ。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕 来年以降は物価変動率ぐらいは運賃の自由化をやろう、そういう前提で国鉄として国鉄労使で、あとはひとつ数年かかって絶対に財政収支均衡してみせる、そのくらいの自信はありませんか。
  219. 高木文雄

    高木説明員 一つ問題がございますのは、現在私どもの方逆ざやになっておりますので、物価、賃金が仮に一〇%上がりました場合に、それに対応して収入水準をそれだけ上げていただきましても、実は単年度で赤字幅が拡大していくという問題がございます。大体百円のコストのものを七十五、六円で売っているという関係になっておりますから、現状では、物価、質金が一割上がりましたというときにはコストが十円上がるわけでございますが、その場合に、一割だからというので七円五十銭だけ上げ幅をお認めいただくという場合には、だんだんまた赤字が拡大するという問題があるわけでございます。  そのほかに実は非常に厄介な問題がございますのは、ここ十年の間に退職金食掛あるいは年金負担が非常に大きな問題となってまいります。これは国鉄責任と言えば言えますけれども、終戦直後のよく御存じの事情から大ぜいの引き揚げ者等をお引き受けしたということにもよる点があるわけでございまして、何とかこの解決方法を考えませんと、普通の、戦争によって戦前と戦後の経営が切れた企業と違う事情になっております。  そういういろいろ特殊事情が重なっておりますので、たとえばいまお示しのような数字の補助金といいますか、援助額をお決めいただいて年々そこで固定をするという方式をおとりいただいた場合に、何とか私ども労使の間で話を進めてやっていけるかどうかということになりますと、少なくともいま申し上げたような二つの要素から、なかなかそれでもなおかつ困難な事情が内在をいたしておるわけでございます。この問題はいずれまた、別途もう少しいろいろ詰めました上で、後年度において何とか片づけなければならぬわけでございますが、大変私どもとしては頭の痛い問題として内在をいたしておるわけでございます。いまこの段階である一定額をぽんと出していただいて、そしてそこで固定をすれば、あとはおまえうまくやれるかという御指摘に対しては、ここで明快にお答えできるには、実はもう少し国鉄経営状態はぐあい悪いものを内在をしておる。  と申しますのは、いまから十年ぐらい前からたとえば退職金について退職引当金制度を入れるべきであるというような御意見があって、それを前提として運賃改定をお願いした時期がございましたが、とうとうそれが実現いたしませんで、企業としてはちょっとぐあいが悪い、退職引当金も積んでいないというかっこうになっております。そしてこの十年間に二十万人の人の退職が回ってまいりますので、そこらをもう少しよく数字的に詰めてみませんと、いまのような御提案でやっていけるかどうかはちょっと明快には申し上げにくい状態にございます。
  220. 田村元

    田村国務大臣 実は先ほど来住田君がお答えしましたのに、河村さん、率直に言って少し歯切れが悪くお聞きになったかと思います。そこで、私ども実は住田君たちと相談いたしておりますのはこういうことなんです。  運賃値上げも限界があります。これはもうはっきりしております。それから経営努力によってはじき出されてくるものももちろん限界があるわけですね。無制限じゃありません。でありますから、そういうことを踏まえまして経営努力というものをとにかく徹底的にやってもらう。俗な言葉で言えば、国鉄経営者に血へどを吐く思いでとにかくやってもらう。そしてなおかつそれでも足りない。運賃値上げも限界があるのですから、その限界までは努力をする。しかも運賃値上げの従来的な一律というのをでき得る限りきめ細かく運賃値上げを組み合わせていくというようなことをやって、経営努力もうんとやって、それでなおかつ足りないという分は、当然国がめんどうを見なければならぬ。  ただ、最初から八千五百億というのを決めますと、また親方日の丸になりまして、それで八千五百億まず入ってくるからこの程度やっておけばいいだろう、これじゃ困るわけでございます。これは高木さんを前に置いて言うのは悪いけれども、やはりできるだけのことをやって、足りない分は何とかしていくというのが私は国の助成の今後のあり方じゃなかろうか、こういうふうに思うのです。  けれども、私自身として河村さんの河村私案というものを拝見しまして、非常に見識ある私案だと私は受けとめております。でありますが、実際に国鉄というものを抱えて、率直なことを言いまして国鉄とも虚々実々もあるわけです、本当のことを言いまして。でございますので、そういう立場から申せばさようなことでございます。これが住田君——どうも局長の言ったことを大臣が補足するのもおかしいのですけれども、そういうことでございます。
  221. 河村勝

    ○河村委員 親方日の丸になっては大変なんですけれども、私が八千五百億という見当をつけたのは、これでも国鉄は相当大変な数字であり、国もこれだけ出すとなったら大変だが、国鉄もこれを請け負ったら、それこそ死にもの狂いの努力をしなければならないであろうという、そういう一種の危機ラインみたいなところをねらっているわけであります。  そこで、総裁がいま運賃とコストは逆ざやだとおっしゃったが、それはだめなんですよ。もうそれは運賃が幾らでも上げられる時代は、運賃で逆ざやにならぬようにするということはできるわけだ。だけれども運賃が大体限界に達しておれば、需要供給で決まるに近いものになってきているのですから、だから逆ざや論はおかしいので、第一、八千五百億を国から出すという意味は、これによって、なお逆ざやではあるけれども、その逆ざやの差を大体五十二年度で言えば二千七、八百億、だから経営努力でカバーできるくらいの逆ざやにするということなんで、そこのところはちゃんと配慮をしてあるということ。  それから退職金については、これは退職金積立金があるなしは関係はありません。退職金というのは、いま国鉄の場合にはキノコ型の人員構成になっているから、一時的にうんと退職金がふえるでしょう。しかしこれは十年くらいで見れば、今度はうんと少なくなるはずですね。そうでしょう。だから毎年それを赤字決算する必要はないのですよね。退職積立金があると同じような決算の仕方をすればよろしいのでしょう。退職金整理特別勘定をつくってもよろしい。そういうことにして、退職金はならせば恐らく国鉄の場合一万人ですよね、一万人平均で決算をしていくという形をとっておけば、いずれはそれは後になって戻ってくる、そうでしょう。だから悪い材料ばかりじゃないはずだ。いまは頭でっかちだから給料はうんと高い。だけれども、これが七、八年の間にみんなやめて新しい人が入ってくる。給料は三分の一でしょう。だから賃金単価はうんと下がるはずだ。退職金をならして決算をして、そして賃金が単価差でトータルでどのくらい低くなるか、私も計算してみないからわからないが、これを計算してごらんなさい。相当安くなる。いい材料もある。そうじゃありませんか。  年金会計だけは別でしょう、これは公的年金一般の問題として、これだけは国鉄財政再建計画とは切り離さないとできないと私は思う。だからそれは一応別にして、その他の要件というのは、あなたのおっしゃったのはみんな理由がない、私はそう思いますが、いかがです。
  222. 高木文雄

    高木説明員 いまのは、申し上げましたように年々収入と経費とが逆ざやになっておりますから、そして逆ざやを生じないために補助金をふやして八千五百億にしてあげましょうということでありますと、つまり私が例に挙げましたコストが百円で経費が七十五円という場合に、二十五円分に対応するものを補助金でとにかく出ないようにしてあげましょうということにすれば、そうすれば今度は七十五円の一割なら一割ずつ上げていけばつじつまが合うではないかとおっしゃいますけれども、それはもちろん経営努力その他の問題がありますから、いろいろ努力によって埋め合わすことができる可能性は相当ありますけれども、二十五円部分も全く固定ということでは果たして計算のつじつまが合うことになるかどうかはいささか疑問に思うわけでございます。つまり、二十五円補助金をいただくということは、二十五円についてもスライドがないといかないわけでございまして、計算上はそうなります。しかしそのぐらいはおまえの方で努力せいと言うのなら、それもまた一つのお考え方だと思います。  それから退職金につきましては、私どもも何かそういうことを考えませんと、ある時期に異常に退職金がたくさん要りますからといって、それをそのまま、赤字でございますからまた運賃とかなんとかいうわけには、現実問題としてもいかないと思いますので、これを何らかの形で、退職給与引当金の逆経理みたいな形での繰り延べ計算みたいなことをやらなければいけないということは御指摘のとおりで、それも頭に置いておりますが、その場合に、退職給与引当金と退職給与引当金の繰り延べ勘定にしました場合の差は、一時先に払いますから、そのまた金利の問題というのが生まれてまいりますので、そこをどうするかというようなことが内在しております。  そういうことから、ぴたりこのお金であとは引き受けろ、こうおっしゃいました場合に、うまくいくかどうかということをここではっきりおっしゃいと言われても、なかなか申し上げにくいというのはそういう意味でございまして、その点からいいますと、もう少し私ども企業努力というものが、精神的なものでなくて、何か計算につながってきたものにまで、もうちょっと企業努力によってこういうふうに何百億、何千億経費を落とすことができますという計算、数字にあらわしたようなところまでいまの経営改善計画で申しておりますいろいろなポイントを上げてまいりませんと、ちょっとこれならば大丈夫ということはなかなか申し上げにくいということでございます。
  223. 河村勝

    ○河村委員 逆ざや問題は、結果的に言えば上限と言ってもぎりぎり限界ではないから、そうした国の援助が仮に一五%なら、物価変動率にその分ぐらいのアローアンスがないとだめだ、こういう意味ですね。それは理屈としてはそのとおりだ。——一五%というのはプラス一五%じゃありませんよ、ちょっと誤解しないようにしてくださいね。  そこで大蔵省の主計局に聞いておきたい。  いまあなたの方と関係なしに八千五百億という議論をしているわけですが、大蔵省の財政当局の立場として一番困ることは、国鉄再建のめどがつかない、だからだんだん毎年財政支出をふやしていくけれども、今後一体どれだけふえていくのかちっともわからぬというところが私は一番不安であろうと思う。だけれども、同時にいままでのようにいろいろな理屈をくっつけて小出しにしていくというのは、これは金の浪費ですね。部分的な手当てをしていくというと、ちょうど兵力逐次投入というのは戦争で一番まずいと同じように、逐次投入していくものだから、その間に結局赤字が累積をして、それにまた利子を含めて金を出さなければならぬとかなんとかいうことになるわけですね。だから、できることなら打ち切り補償みたいに——打ち切りと言っても毎年出さなければいかぬから打ち切り補償ではないけれども、八千五百億なら八千五百億、これは大きな額でしょうけれども、これだけ出して、あとは国鉄が、労使が請け負ってやりなさいと突っぱねることができれば、それなら私はかえって財政当局としてはうんと楽だろうと思うのです。仮にことしの八千五百億は非常に大きくても、財政規模との関連から言えば、この八千五百億というのは毎年小さくなって、なくなりはせぬけれども、だんだん負担としては軽くなる。だから、もしいま私が言ったような論理が成り立って、高木さんが胸をたたいて、これで引き受けましょうと言うのであれば、財政当局としてはかえって非常に都合がいいから、出そう、そういう気になるんではないかと私は思うけれども、いかがですか。
  224. 松下康雄

    ○松下政府委員 私ども国鉄の現状からいたしまして、財政援助が非常に欠くことのできないものであるということは認識をいたしておるつもりでございます。最近も援助の金額は急激にふえておりまして、また、昨年度の予算におきましては累積欠損額の相当部分に見合いますところの長期債務の二兆五千億余り一般会計の負担でたな上げをしますというような、私どもといたしましては相当思い切った措置をもお認めをいたしておるわけでございます。  ただ、私どもの立場といたしましては、結局国民の税金をもって支出をいたすわけでございますから、やはり支出の個々の内容につきまして、私どもとして十分に御説明のできるものにいたしたいということがございます。現在の助成のやり方でございますと、たとえば投資の関係の助成でありましても、またローカル線の問題にいたしましても、この問題につきましてここまで国鉄努力をお願いしております。しかし、諸般の情勢等から考えて、これ以上は、これは国鉄経営負担に求めることは困難でございますというようなことで、一つ一つ議論を重ねました上で助成の額を決めてまいっておるわけでございます。  そういう点から申しますと、ただいまお話がございましたようなお考えは一つのお考えであると存じますけれども、私どもといたしましては、なお先ほど運輸大臣がおっしゃいましたようなむしろ考え方の線によって、いろいろな角度から問題を十分詰めながらこれは考えてまいるようにしていきたい。  八千五百億のお話もございますけれども、八千五百億円と申しますと、ちょうど昭和五十一年度の運輸省の所管の予算全部合計したぐらいの金額でございます。運輸省の今年度の国鉄助成は約四千五百億でございますが、これは五十二年度の運輸省予算の四六%ぐらいに相当いたしております。したがいまして、運輸省は、五十二年度にその残りの約五千億円ぐらいで、公共事業も含めまして一切の運輸行政をやっておられるわけでございまして、その程度の大きさの金額の問題でございます。私どもといたしましても、国鉄の助成に当たりましては、やはり運賃負担で利用なさる方とそれ以外の一般の租税負担をお願いいたします方との間のバランスの問題も考えなくてはなりませんし、また、国の財政自体が歳入の三〇%もの特例公債に依存するというような状況でございますので、お言葉でございますけれども、極力お話を詰めながら、しかし個別に検討をさせていただきたいと存じておる次第でございます。
  225. 河村勝

    ○河村委員 財政事情が大変であることは私も知り過ぎるぐらい知っておりますし、国民の血税ですからあだやおろそかに金が出せるものでもないことをよく承知しています。しかし、これが国鉄をもうほったらかしていいものであれば別でありますけれども、これでけりがつかないで国鉄の赤字が続いていきますと、結局、さっき言ったようになし崩しにふやしていかなければならない。結果的には逆に非常に高いものになる。  運賃値上げがいつまでもできるという前提ならば話は別です。別だけれども運賃値上げが大体限界に達してくれば、運賃の上げ幅でもってカバーできる赤字というのは大体このくらいだという見当がつきますね。そして、あと国鉄経営努力にこれだけかぶせてやろう、これだけは責任を負わせよというものを一応予定をすれば、それを前提としてなお経営が採算がとれないというその残りの部分というのは、さっきあなたはそれぞれいろんな理由づけがなければ出せないとおっしゃった。そうだと思うけれども、大きく見て、国鉄経営努力をフルに見て、運賃の上げ幅もフルに見て、それでなおかつ成り立たないという国鉄であるならば、その部分は、一つ一つ必ずしも十分な理由づけができなくとも、全体として過去長年国が負わせた公共負担の累積であるというふうに私は見ざるを得ない。決して理由づけがないわけではないと私は思うのです。  であれば、むしろここでもって思い切って額を決めて、これで請け負いなさい、そうすることによって、国鉄労使は背水の陣をしいて闘わなければならない。そうでないと、私はいまの国鉄の労使関係を考えて、完全にこれでもってあとはめんどうを見ないぞと言って突っ放すぐらいのことでないと、失礼だけれども本当の合理化、生産能率の向上ということは不可能だと思う。だから私は、むしろその手法の方が国としても結果としてははるかに——いままでのような中途半端では、やってみたって結局再建はできそうもない、だけれども、何か理由をくっつけなければならないから一応五十四年度には均衡しますというような看板だけを上げて国の金を出すというよりも、はるかに国民に対して忠実である、私はそう思うのです。いかがですか。これは財政当局と国鉄運輸大臣とお三方に伺いましょう。
  226. 田村元

    田村国務大臣 おっしゃることよくわかるのでございますが、これが民間企業でございますと、これだけしてやるからあとはもう知らないよと言えるのですけれども国鉄というのは政府関係機関でございますから、これだけちゃんとしてやるからあとは知らないよと言って、また赤字を出して手を上げたときに、倒産しようと飢え死にしようと勝手にしろと言うわけにもいかず、そこいらに非常にむずかしい面があるのじゃなかろうか、このように考えますが、いずれにいたしましても私は河村さんの御趣旨のほどは非常によくわかるのであります。  問題は、八千五百億という金が妥当であるかないか、これは率直に言って私にはわかりません。これは、どのように経営努力をするのか、その結果を見なければわかりません。でありますから金額については何とも言えませんが、先ほども申し上げましたように、目先といいますかとりあえずの作業を見ましても、五十二年度中には相当具体的な経営努力の線を出してくるであろうと思います。それを見てからいまのような御意見を取り入れて今後の助成体制というものを打ち立てていく、それでもいいのではなかろうか。頭から一兆円近いものを渡すからということを言えば、恐らくそれに合わせた経営努力を今度はしてくるだろうから、これはたまったものじゃありませんから、ともかく徹底して経営努力をしてもらう、それが前提である、その上でどれだけ金額がかかろうとこれは政府の機関でございますから政府が助成をすることは当然であろう、このように考えます。
  227. 高木文雄

    高木説明員 国鉄問題、実はいろいろな問題があるわけでございまして、よく御存じのとおり、現在、企業形態をどう考えたらよろしいか、あるいは労使関係をどう調整したらよろしいかというようなことを中心にして別の場で懇談会がまた開かれておるわけでございますが、そういうふうに企業形態自体まで云々されるほど本質的な問題がいろいろ含まれておるわけでございますので、私は現在の段階では、おっしゃることは非常によくわかりますけれども、また財政との関係はちょっと別にいたしましても、いろいろとそうした国鉄自体のあり方というようなことが議論されているところでございますので、その辺等との絡みも相当大きな問題であると思っておるわけでございます。  同時にまた、企業努力を高めてまいらなければなりませんが、その場合の基本はやはり労使関係にあると思っております。労使関係という場合に、なかなかきのうまでとあしたからと急に物の考え方が変わるということになりにくい情勢にございますので、非常に残念ながら企業努力を万全に効果あるものにするためになおいささかの時間がかかる状態にございます。そこで、その辺のことにつきましても、もう少し私自身が今後労使関係がこういうふうに調整されるという見通しを持ちませんと、これだけの額を渡すからそれであとはやれというルールの中に置かれました場合にそれで行けますというところまでいままだちょっと行ってないということがございます。  そういうような諸条件から考えまして、非常に一つのお考えだとは思いますけれども、現状との関係においてなおもう少しその前に詰めていかなければならないといいますか、もう少し解決しておかなければならぬ問題がいろいろあるように思っております。
  228. 松下康雄

    ○松下政府委員 国鉄再建をなし遂げまして国民が真に必要といたします公共的な運輸サービスを円滑に供給をしていただきたいということは、財政当局としても常々考えていることでございます。運輸省、国鉄でよく御検討なさいまして予算要求として私どもの方へお持ちになってまいります考え方につきましては、私どもも謙虚に受けとめまして真剣に検討してまいりたいと思っております。
  229. 河村勝

    ○河村委員 運輸大臣がおっしゃるように八千五百億もらって、それで楽な姿勢になって怠けるというようなことでは困るけれども、では繰り返すようですが八千五百億というのはそんなに国鉄にとってなまやさしい楽なものではなくて、結構大変つらいものであるということを承知の上でこういう数字を言っているわけでありますが、しかし私も別段八千五百億というのは何か天から与えられた数字みたいに言っているわけじゃもちろんございませんので、おおよそこんな見当ではないかということを言っているわけであります。それでいま高木さんが言われたように、いまの国鉄の労使関係を考えれば私もその八千五百億もらって請け負うということは、余りはっきり請け負いますと言えないのは大変よくわかる、非常に心配です。  そこのところをどう打開するかということの考え方を少し伺いたいのでありますが、たとえば貨物輸送の貨物営業の合理化をやると言っておられる。そこで五十五年度にこういう経費で収支均衡を目指して経営改善をやる、そのために一日平均五十五万キロの列車キロを削減をする、二五%減ですね。それに伴って貨車も機関車も当然減るということですね。これは私は着想として非常におもしろいと思っています。同時に駅、ヤード等も三分の二ぐらいに減らす、そこまではよろしいのでありますが、これは繁閑をならして一番低い時期の輸送量に合わせた輸送力を設定をしておいて、あとは機動的にふやして、それで増加需要に応じようということだと思うのですが、一体それができるであろうかということなんですよ。  いま私の見るところでは、国鉄の場合に勤務時間内でできる作業ですら作業ダイヤで、労使協議で決めた作業ダイヤ以上に仕事をさせようとすると応じない。本当の細かい例外的な現場もあるでしょうけれども、応じないのが通例。だから急に需要があって臨時列車を一本仕立てようとしても、——オーバータイムじゃないですよ、オーバータイムまでいく前ですよ、その勤務時間内の余裕の手待ち時間を使って貨車を仕立て、検査をし、列車を組成し、機関車を動かす、そういうことが一体できるのだろうか。全部これは現場協議でしょう、何日かかるかわからぬ。そういうことで一体、基礎輸送力を設定して増加需要は機動的にこなすというような体制が一体国鉄にあるのだろうかどうだろうか、それを一体やれる自信があるのか、どうですか。
  230. 高木文雄

    高木説明員 確かにそういうところが非常に大きな問題でございます。そこでいろいろ企業努力あるいは経営の効率化というようなことが言われておりますが、その中で当面貨物の問題を具体的に、絵にかいたものでなくて、実施できるように本年内に進め得るかどうかというのが今後の国鉄全体の経営立て直しの一つのかぎになるというふうに思っております。  その場合、しかし、荷物が減っておる、あるいは軽引きをしておる、あるいは一つの車両の中で全部荷が入ってなくて相当部分空気を運んでおる、これでは困ったことであるということは特に貨物関係の仕事に従事している諸君の間には、口に出して言うか言わぬかは別としてひしひしとして痛感されておる、そういう状態に変わってきているというふうに聞いております。それがつまり貨物関係に従事している諸君も現在の国鉄の貨物の状態についてはいままでとは違って大変心配をしておるという状況でございますので、そこらについて十分に理解を深めることができれば私は十分できる、また、できなければならないと考えておるわけでございます。  問題はやはりダイヤで全部が組み立てられておるわけでございまして、実際仕事をしてない場合があるわけでございますが、その仕事をしてないというのは、まあいわば怠けて仕事をしてないということではなくて、実際に一日の間に一日分の労働時間を燃焼することができないようなダイヤになっているという部分が非常に多いように見受けられますので、そのダイヤそのものが一人の人が六時間なり七時間なり八時間なり、その日与えられた時間に労働を十分に燃焼し得るように仕組むことができれば相当程度むだを省くことができると考えておるわけでございます。  その他貨物以外の面につきましても同様でございまして、問題は勤務時間中に十分に労働を燃焼し得るだけのダイヤを組み得るかということであろうかと思っておりますので、そういう形で取り組んでまいりたいと思っております。
  231. 河村勝

    ○河村委員 いや、総裁、おわかりになってない。私の言ったのはそういうことじゃないです。それは鉄道作業の特性で手待ち時間ができるのは、これはやむを得なくない面もあるが、やむを得ない面が多数あります。私がいま言ったのは、そういうことじゃなくて、手待ち時間の中で臨時作業をやらせる、新しい臨時貨物列車をつくるために、オーバータイムではなくて勤務時間内の作業です、あいている時間を使ってやらせようとしても、それが自由にできないというのがいまの国鉄の現場でしょう。総裁おわかりにならなければ、担当の常務、それが一体できるかどうか。
  232. 橘高弘昌

    ○橘高説明員 いま御指摘になりましたような点というのは確かに一部現場にございまして、それが臨時作業が起こった場合にスムーズにいかない原因の一つではございますけれども、それは私どもは今後合理化に取り組むときに貨物の輸送ダイヤをいじくって、そしてある現場における密度を深めようとしておるわけでございますけれども、この臨時作業というのは、それが定常なダイヤ以外の時間帯、災害とか事故等で変動するときにその作業が行われるかどうかということで、これはどちらかと申しますと基幹輸送力と申しますか、毎日毎日の定時に動いているダイヤに必要な要員とは別な問題でございますので、それが、われわれがいま言っているのは、合理化ができると言っておりますのは、そういうダイヤそのものをいじくった結果として、たとえばいままで百人いた操車場が八十人でできるという、このもとになる要員は減らせるわけでございまして、先生の御指摘の問題は、現実に臨時作業というものが起こった場合にこれにどう対処するかということでございまして、そこでごたごたがないのが理想でございますけれども、ごたごたがあったからといってそこで人をふやせるわけではございませんので、そういう運用上の問題はございますけれども、それ自体が非常に大きな要員合理化の阻害要因になるというふうには理解しておりません。
  233. 河村勝

    ○河村委員 いろいろな合理化をやって少ない定員でもってやる、それはあたりまえです。私の言っているのはそうじゃなくて、人間を減らせという意味ではない。人間の縮減の種になるかどうかということを言っているのじゃない。貨物の輸送力を低い状態で設定する。それでいかに合理化してもやはり手待ち時間ありますよ。ところが、あなたもよく知らないのかもしれない。現実には、現場では現場の一種の作業ダイヤをこしらえてしまって、その間にどうしても間合いができる。そういうときの間合いを利用してできる作業でも応じないのだ。それをあなた方がもし知らないようなら、それではだめなんだ。検修も同じ、仕立ても同じ、そういう状態なんです。それを本当に認識しないと、本当にこれじゃやはり請負作業はできませんね、八千五百億でも。そういう実態をもう少しよく把握をしていかなければならぬ。だから私の言いたいのは、現場協議制などというものはもっと本来限定的な現場の本当の苦情処理的なものを対象にして出発したはずだ。それがいつの間にか中央でやっている団体交渉をそのまま引き写したようなことをやっているからさっぱり能率が上がらない。しかし現場の大半の仕事というものは、国鉄のような有機的な機構においてこれだけ大きなものを動かす、それは指揮命令系統によって当然業務命令として動かせることだ。命令によってやれることを全部現場協議でもって相談をしなければできぬ。そんなことをやっていたら、これはもう合理化なんかできっこないですよ。だからまず現場協議のもとを正さなければならぬ。それを一体始めているかどうか。始めてないとすれば、一体現在の状態というのはどう見ているかということです。
  234. 高木文雄

    高木説明員 御指摘のように現場協議制というのは本来あってしかるべきものとは思いますけれども、それが本来あるべき姿を逸脱している現場がかなり見られたということはいろいろな報告で聞いております。ただ、いま決して望ましい状態にあるとは言い切れませんけれども、しかし一時に比べましてそうしたトラブルも漸減をしておると申しますか、いい方向に向かいつつあるということを現場の管理者の諸君からはいろいろな機会に話を聞いております。これが今後どのようになっていくかということは、現場におります職員諸君の物の認識の問題がどうなっていくかということであり、その前提としては国鉄経営危機をどう受けとめるかということであろうかと思っております。  いまおっしゃいましたような点があるわけでございますけれども、ごく限られた例ではございますが、たとえば雪がよけい降りましたとか自然災害その他のいろいろなトラブルがありましたときに、ダイヤの乱れがありました場合にどの程度予定外の仕事にスムーズに職員諸君が従事していくかという状態は、私が承知しております範囲では四十九年、五十年、五十一年という段階で少しずつ改善の方向に向いているように聞いております。しかし、その改善テンポがまあ私どもから見ますとまだ十分でないわけでございまして、御指摘の点は私どもの悩みの最も大きな点の一つでございますが、ただ方向としては改善の方向にあると判断してよろしいのではないかと思います。あるいは私の判断がやや楽観的過ぎるかもしれませんけれども、各現場をぼつぼつ歩きましての感じはそんな様子でございます。
  235. 河村勝

    ○河村委員 現場に行って現場長の話を聞きましても、いわゆるマル生後遺症というようなものがあるのでしょう、本当のこと、自分のところはうまくいっていませんというようなことは言わないですね。それは相当割引をして聞かなければならない。だからやはりもとから正していかなければだめなんですね。だから基本は職場秩序の回復ということが一番大事だと思うのです。それには信賞必罰ですよ。それがいま全然なされていない。現場でポカ休と称する無断欠勤、遅刻あるいは晩飯になると宿で酒を飲んでいたり、そういう種類のものがいろいろある。それが全部とは言いませんよ、悪いところではね。そういうのが昇給の時期に一体どう扱われているか。現在でも勤務成績不良な者は昇給を落とすことができる。これは昇給の原資にかかわりはないはずです。しかし実際そういうものがなされたことがあるか。そういうのが全くかかわりなしに、順調に昇給し、昇職をしていくということになれば、まじめに働いている人間はばかくさくて、要するにまじめな人間は全然報われなくて、かえってあいつはばかだと言われるような状態になったらこれはだめです。だからやはり精神論ではいかないのですね。ある程度よくなってからは精神論は通ずるけれども、悪いときには精神論ではなくてけじめ、けじめをつけなければいけない。一体勤務成績不良な者を昇給で落としていますか。
  236. 橘高弘昌

    ○橘高説明員 ただいま先生御指摘のとおり、昇給交渉におきまして毎年毎年これは更改しておりますけれども、従前と同じく勤務成績不良な者は落とせることになっております。私どもの指導としては一定率の者をこれだけは落としなさいという指導をいたしております。しかし確かに御指摘のようにうまくいってない現場ではゼロのところもございますが、大半のところでは——もちろん十人のところ等につきましてはゼロというのはざらにありますけれども、かなりな職場におきまして当然何人か出るべきところではそれなりに勤務成績不良ということで落としておるのが実態でございます。残念ながら中に何件かゼロのところもございます。
  237. 河村勝

    ○河村委員 ゼロのところもございますなのか、私はその点は非常に疑問に思っています。まずその辺から始められないようでは、これだけ国も援助をし、運賃もこの幅は自由にしよう、あとは国鉄労使でがんばると言っても私は非常に心配ですよ。ですから今日の再建論を離れて、そうした形式的なしつけ、そこからまず総裁に思い切ってやってもらいたい。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕 だから現場協議制度がそういうふうにおかしくなっているならばおかしいような——中央の協約がどうなって地方の協約がどうなっているか、私はそこまで調べておりませんから知りません。だから実際、通常なすべき指揮命令系統によってなさなければならぬこと、やるべきことまで協議にかかっておるような実態があるならば、そういうものは期限が来たらば残らず破棄して、それによってトラブルが起きたらもうどんな混乱も恐れずに徹底的に処理をするという覚悟がないとだめだと私は思うのですよ。  総体的に言って私はいまの現場長は本当に意欲を持ってやっているとは思われない。みんなできることなら事なかれ主義、衝突を起こさずにまあまあ何とかかわるまでしんぼうしていようかという空気、私は外野席におる関係でかえって現場の人たちにじかにつき合う機会があるものですから、そうした空気をはだ身に感じるのです。だからそういう精神論は精神論、そうでなしに信賞必罰の本当に具体的な励行。現場協議は、制度でおかしいところがあったら破棄してやり直すというようなことで臨むべきだと思うが、総裁いかがですか。
  238. 高木文雄

    高木説明員 ただいま御指摘の点は私どものいま一番の悩みの種でございます。そこをきちっとやるということがスムーズにたくさんございます各現場に広がっていく、正常な状態が広がっていくということが先ほど来お話しの経営努力基本になると思っております。そのような心がけで臨みますことをお約束いたしたいと思います。
  239. 河村勝

    ○河村委員 きょうは大分遅いし、あと質問者がまだあるようですから、私は適当にやめたいと思っておりますが、大臣どうでしょうか。私は八千五百億に必ずしもとらわれません。それは専門的に運輸大臣運輸省それから国鉄それからわれわれも入って、一体これならばどうだというところまで詰めて考えてもよろしい。だけれども、とにかく原則として運賃値上げが物価変動率にそう大きな開きのないところぐらいしか上げる余地がなくなってきたという現実を見て、物価変動率限度は自由化する。これは私も認めてもいいと思うのですよね。いまの物価変動率プラス一五%は乱暴ですよ。そんなのはできっこないですから、こんなもの。やったら、それこそお客も貨物もなくなってしまう、そんなもの二年も三年もやれば。そんなものですから、これは抑える。ここのところが非常にむずかしいところだけれども、これは高木さん、できるでしょうかね。  後で御返事いただきたいが、もし本当に八千五百億なり何なりの、国が思い切った助成をしたという段階において、国鉄労使も、そこでそういう条件のもとで、われわれはこれだけめんどう見てもらったら、後はどんな苦労してもぜひともひとつやってやろうじゃないかという、労使が国民の前に意思表示をするというぐらいのことはできないんですか。いかがです。まず総裁から。
  240. 高木文雄

    高木説明員 ぜひそういう雰囲気ができるような環境に持っていかなければならぬわけでございますが、今日の段階で、いわば一定のルールのもとに労使休戦といいますか、そういうところにまでちょっとまだ行きつかないという、非常に残念でございますが、行きつきがたいというのが現状であろうかと思います。
  241. 河村勝

    ○河村委員 家貧しゅうして孝子出づ、国乱れ忠臣出づで、このぐらい苦しくなったらそのくらいにならぬといかぬのであって、私鉄と比べて私は一番驚くのは、私鉄の場合には休暇と祝祭日の予備員ゼロのところが多いんですよね。だから職員の予備率というのは一〇%かそこらだ。これは私はそれがそっくりそのまま国鉄でもってできることだとは思っておりません。だけれども、そういう労使間の気持ち。だから私鉄の場合だと、二徹、三徹やるわけですね。だから休みには休むのですよ。みんな休暇は二十日ちゃんととる。とるけれども、その人たちが休んでおる間は他の人がそれをカバーして、それは超勤として、そのかわり収入がふえる。そういう形で人間を少なくしてやっています。これはもう非常に何といいますか、私鉄でも上等の部類に属するところかもしれない。そこまで労使間で協力体制ができている。  一方国鉄の場合には、これは残念なことだけれども、たとえば乗務員の労働時間の換算時間というのがありますね。乗務員の実ハンドル時間プラスいろんな準備時間とかなんとかを入れて三時間半。現実にはだから実ハンドル時間というのは二時間ぐらいになっているでしょう。これなんぞも、元来できたときには給与算定の基準だったんですね。だから要するに、三時間半以上のダイヤを組めば、その分だけは超勤にしよう。実際は八時間以内だから、普通なら超勤にはならないけれども、換算三時間半以上働けばそれは収入になってはね返ってくると、こういう仕組みになっておった。  これはまだ動労が動労でない時分の話でね。非常に正常なる状態の動労であった時分の話だけれども、だからこういうのも、実際こういう時期になってくれば、実際いまそんなにきつい勤務じゃない。むしろ楽ですよね。ですから本当は三時間半超えて、いま労働時間は七時間ですか七時間半ですかそれは知りませんが、その以内だったらダイヤを組んで、そしてそれは収入としてはね返ってくる。だから本当はお互いにとってもはるかにいいんですよね、たてまえ論議を抜きにすれば、実質的にはそんなにつらい作業でも何でもなくて、そして収入もふえるという、そして人間はうんと減る、そういうような問題がございます。  これはなかなか一気に、この辺になりますとそう一遍にはいかないでしょうけれども、ぜひとも私は職場規律を正すために、さっき申し上げた昇給の際の勤務成績不良の者は落とす、現場協議は悪いものは破棄して出直す、そのくらいのところから始めてほしい。それを私は総裁に特に要請をしたいと思います。  大臣、ここでもってお互いに合意ができましたなんて言うわけにはとてもまいらないと思いますが、大体私の考えているところはおわかりであったと思います。ですから、まだ審議はこれから続いていくわけですから、これから何かの機会をとらえてもう少し具体的に、どういうふうに持っていったらいいかということを協議をしてまいりたい、そう思っておりますので、私も別段八千五百億にこだわるわけでも何でもありませんので、この辺でもって一体こういう仕組みでやったならば本当に国鉄も、それは非常につらい仕事であっても請け負ってやれるのだというような体制をぜひこの際つくりたいというのが私の念願でありまして、やったものに応じてというのも結構だけれども、やはりこの際は、私はこれだけは国もめんどうを見る、そうであればこれから後は背水の陣をしいてやってほしいというやり方の方が国鉄再建の早道でもあるし、そうでないと、いままで何回か繰り返した再建計画の繰り返しに終わるのじゃないかと思うのです。だから、ぜひその辺をもう一遍検討いただきたい。大臣に最後に答弁を伺いまして私の質問を終わります。
  242. 田村元

    田村国務大臣 政治は生き物でございます。
  243. 河村勝

    ○河村委員 終わります。
  244. 宮崎茂一

    ○宮崎委員長代理 次に、兒玉末男君。
  245. 兒玉末男

    ○兒玉委員 国鉄関係の審議に入る前に、やはり運賃関係に関する問題で、けさの新聞によりますと、きのうの運輸審議会は六大都市のタクシー並びに東京都二十三区関係の地下鉄、営団、バス等の運賃値上げに関する答申が大臣に出されております。これによりますと、大体営団地下鉄が四三・三%、都営地下鉄が四三・五。なお十月三十一日までの暫定措置は幾らか低いですが、定期関係が営団、都営ともに九五・五から九七・一それぞれ引き上げることが答申され、新聞報道によると、二十六日の物価閣僚会議で一括了承される、こういうことでございます。私は、もちろん経営の形態なり諸般の事情から運審で十分討議をした結果の答申と考えますが、特にバス関係がさらに二八・六%。タクシーはもちろん運審の審議を必要としないわけでございますが、もしこれが実施をされました後は、地方都市への波及ということが十分予想されます。しかもまた、この法案がもし通れば本年九月から国鉄も上がるわけですが、これに加えて今回のこのバス、タクシー、地下鉄の値上げ問題というのは、その波及効果というのが非常に大きいんじゃないか。また、政府が策定しました五十年代前期の経済計画でも、五十五年の目標は消費者物価六%の卸売物価四%が最終目標として策定してあります。その中にも、極力経営の合理化あるいは経済性なり社会性を考慮した中で、今後の公共料金政策は慎重に対処しなければいけないということが、経企庁が出しましたこの本にも書いてあります。とするならば、二十六日に予定されている、——このような国民の足である、しかもこの影響を受ける利用者は七百五十万人と言われておりまするが、きわめて重大な課題として、私はこの際大臣のこれに対する見解、特に二十六日の物価関係閣僚会議では、当然所管大臣として御出席になろうかと存じますが、これについてひとつ慎重なる配慮を要望したいと思いますが、見解をひとつまずお伺いしたい。
  246. 田村元

    田村国務大臣 あくまでも現時点におきましては二十六日は予定でございますが、いずれにいたしましても、答申もこれありで、経済企画庁と十分打ち合わせをいたしまして、物価に対する影響、波及効果等を十分勘案いたしまして運輸省としての態度を決めて臨みたい、このように考えております。
  247. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは今回の国鉄関係の問題について質問を行いますが、実は昭和四十八年三月にこの委員会並びに国会に出されました再建特別措置法の改正の際、私は特に社会党を代表しまして若干の点について御指摘を申し上げたわけであります。  それは、特に交通関係において国鉄は「公共的公益事業として、国民の生活環境、生活水準の向上のため、より社会化の方向を目ざし、民主的な経営のもとに公共的輸送の使命達成を」図るべきであること。また、値上げ政策については、安易に値上げを通して再建を図るのでなくして「国鉄財政事情の真因である工事費の借り入れによる政策を改め、政府責任において長期負債を解消し、国鉄を真に国民国鉄とするよう、経営上、財政上の制度を改革すべき」である。さらにまた「現在の交通行政は、多元的な行政措置によりまして無計画に行なわれ、トラックの輸送など過当競争を激化させ、交通問題を大きく混乱させております。このため、巨額な国費が投ぜられる道路、港湾、空港などの整備計画を総合調整し、総合交通体系の行政措置を確立するための交通運輸行政の一元化をはかるべき」でないのか。さらにまた、投資関係におきましても「工事費への部分的な利子補給や財政資金をつぎ込み孫利子を補給するという程度では、借金に借金を重ねるだけで、問題の根本的解決にはならない。国として、過去債務は思い切ってたな上げをし、工事関係についても道路、港湾等と同様に国庫負担において進めるべきではないのか。」このような若干の問題を指摘したわけでございます。  また先ほど来御指摘があるように、現在財政再建の問題を再度根本的に検討しなければいけない。とするならば、何と申しましても、私は、日本の陸上交通の中における国鉄を基幹部門としてはっきり位置づけを行い、いままでの再三にわたるこの再建計画が破綻したことについて、抜本的な対策をこの際考えるべきであり、そのためには、これからエネルギー問題を含めて国鉄の位置づけということを明確にする必要があると思いますが、これに関してまず大臣の御所見を承りたいと存じます。
  248. 田村元

    田村国務大臣 総合交通体系の中においての国鉄の果たすべき役測り、位置づけをはっきりさせていく、これは当然のことだと思います。ただ問題は、総合交通体系というものは各交通機関がいかにあるべきかということの指針、その果たす役割りを定める一つの指針でございます。指針でございますから、あくまでも市場原理にのっとった上での役割りを果たしていくということになろうかと存じます。もちろん、国鉄が果たす役割りというものは非常に明確に示されておるわけでございます。都市間の輸送、大都市圏の交通あるいは中長距離の大量貨物輸送等、課せられておる役割りはきわめて明確でございます。でありますから、こういう点で、国鉄はその役割りを十分に果たす努力をしなければなりません。  そこで、いま基礎施設に関しまして兒玉さんから道路、港湾並みにやったらどうか、そういうふうに国の助成をしたらどうか、こういう御意見でございますが、概念的に申しますとそういうふうに皆受け取るわけでございますけれども、現実には、最も利用者負担の高い基礎施設というものは、これは空港でございます。空港はほとんど一〇〇%でございます。また道路は八十数%が利用者負担でございます。揮発油税その他で払われておるわけでございます。このように考えますと、私は、国鉄の基礎施設というものについての利用者負担というものは、こういうものに比べればまだ少ないんじゃないかという感じがいたします。しかしながら、だからといって、国鉄の基礎施設は非常に大きなものでございますし、また長期間にわたるものでございますから、国として可能な限りの助成保護を加えることは、これまた当然と存じます。
  249. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いまの後の点については、後ほどまたある程度具体的にお聞きしたいと存じますが、第二点としましては、やはり今日の物資輸送の形態というのを見ておりますと、これは鉄監局長で結構でございますが、たとえば貨物輸送というものを見ておりますと、この十年間の物資の流れの中で、特に国鉄の貨物のシェアというのは大変低下しております。そのよって来た原因というものを資料によっていろいろ調べてみますと、現在の物資輸送の中でトラック輸送部門というのがほとんど大体五台以下の零細なトラック企業で、しかも運賃体系は大変乱れております。いわゆるダンピング、過当競争、そういうことがひいては過積みなりあるいは輸送分野の混乱なりを引き起こし、これに対応する国鉄輸送等がそのような勝手な賃金体系、運賃体系で対応できない。そういう点等からも、今後のいわゆる限定されているエネルギー資源の効率的な活用という点からも、輸送分野の調整、なかんずく貨物トラック輸送関係については今後長期の展望に立ったところの、たとえば長距離輸送の貨物等は鉄道、短距離はトラック輸送、また物資別なところの非常に重複する輸送がなされておりまするが、このような問題点の調整、こういう点についてどういうふうな見解をお持ちなのか、お伺いいたしたいと存じます。
  250. 住田正二

    住田政府委員 国鉄の貨物のシェアが日本の国内輸送の中で毎年低下しているという事実があるわけでございますが、その原因としていろいろなことが言われております。私どもの見方といたしましては、やはり戦後の三十年の間に臨海工業地帯が発達した、あるいは拠点港湾が発達したということが一番大きな理由ではないかというように考えております。  臨海工業地帯が発達いたしますと、原材料というものが海外から運ばれてくる。したがって、かつて国鉄の大宗貨物であった石炭であるとか木材であるとかいうものが国鉄の貨物の対象でなくなってきたわけでございます。  また、製品が臨海工業地帯でつくられますから、臨海工業地帯から臨海工業地帯へ、あるいは拠点港湾へ運ばれるということになりますと、消費地との関係を見ますと非常に輸送距離が短くなってくるわけでございます。恐らく現在ではトラックの一日行動圏というのは百キロを超えているのではないかと思います。仮に三千トン以上入るような港を中心に半径百キロで円を描きますと、大体日本の大半が入ってしまう、長野県とか群馬県とか一部入らないところがございますけれども、そういうような状況でございますので、そういう臨海工業地帯あるいは拠点港湾の発展というものによって輸送距離が短くなってしまった、これが国鉄の貨物輸送が減退した一番大きな理由ではないかというように見ているわけでございます。  確かに、自動車にはいろいろ問題がございます。現在自動車は三千万台ございますが、そのうちトラックが約千百万台ぐらい。そのうちの一千万台はライトバンといいますか、小さな魚屋さんであるとか八百屋さん、そういうものが使っているのが大体千百万台のうちの一千万台ぐらいでございまして、大型トラックというのはその百万台のうちのまた半分ぐらいしかないということで国鉄との関係を見ますと、そう大きなシェアといいますか、量ではないわけでございます。  確かに、トラックが運賃ダンピングをやっておるとかあるいは労働条件が過酷であるとかあるいは白トラックが営業類似行為をやっているという点は問題ではございますが、それによって国鉄の貨物が減ってしまったというような関係は比較的薄いのではないかというように見ているわけでございます。しかし、白トラ、あるいは営業トラックの労働条件の過酷であるとかあるいは過積みの問題は、これは放置できない問題でございますので、今回の予算におきましても各陸運局に貨物輸送監理官というものを置きまして、そういう面の改善を図っているという状況でございます。
  251. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この前運輸委員会でもこの答弁がありましたが、監理官制度がどの程度の正常なるトラック輸送をチェックできる機能を持っているかという点はまだ問題がありますが、きょうはそれが本題ではございませんので、次に移ります。  先ほど大臣申し上げましたが、国鉄の運営というものを見ておりますと、いわゆる企業体としての使命があるのか、あるいは公共機関としての使命なのか、いわゆる公共財か企業財か、この点の国鉄の位置づけということがやはり私はきわめて大事じゃなかろうかと思う。民鉄一本のアメリカの場合におきましても、いわゆる国家大衆輸送法という法律によって相当の投資を行い、国民輸送にこたえておる。また欧州の場合でも、特に第一次大戦以降は大幅な助成によるところの保護政策をとりながら鉄道輸送の維持を図っている。こういうような世界の趨勢あるいは欧州先進国の大勢から見た場合における、まず基本的な問題としての公共財として位置づけすべきか、あるいは企業財として鉄道の存在を位置づけすべきか、この点についての見解をひとつ承りたいと思います。
  252. 住田正二

    住田政府委員 公共財という概念は余りはっきりしないわけでございますけれども、学者の説によりますと、交通サービスというものは公共財ではないということを言っておられる方もあるわけでございます。先ほど来助成の問題が取り上げられているわけでございますけれども、助成をする場合に公共財であるかどうかということの議論というのは余り意味がないんじゃないか。むしろ、公共企業体として、一つ企業体として経営がやれるかやれないかという点に助成の必要性を求めればいいのではないか。そういう点から考えますと、大体日本の考え方ヨーロツパの考えをほぼ同じではないかというように考えております。といいますのは、ヨーロッパではECの規則がございまして、助成をやる場合には採算部門と非採算部門と分けておりまして、採算部門については助成はしない、非採算部門だけを助成するという考え方をとっているわけでございます。  私どもも、先ほど来御説明申し上げておりますが、国鉄が幾ら経営努力をやってもどうにもカバーできない経費というものについてはやはり国がめんどうを見なければいかぬということで、これは言いかえれば非採算部門ということでございますので、基本的な考え方は日本の場合とヨーロッパの場合と特に変わるところはないと思います。  また、アメリカの例が出ておりますけれども、アメリカの場合もいろいろな目的で政府が助成はいたしておりますけれども一般国民税金による助成というのは例外でございまして、原則としては財政融資という形で助成をやっております。
  253. 兒玉末男

    ○兒玉委員 もう一点、基本的な点でお聞きしたいわけですが、いわゆる公共料金の政策の確立でございますが、一般会計から負担する基準、それから利益者負担あるいは受益者負担、こういうふうな負担基準というものがこの際明確にされるべきではなかろうか。国鉄の場合等は国の政策上の路線があり、あるいは行政的に輸送関係が必要だという行政的な路線、そういうふうにいろいろと工夫されるわけでございますが、そういう点等についても、その辺のいわゆる受益者負担、利益者負担あるいは公共料金としてのそういう負担区分ということがいま国鉄の場合明らかにされてないようでございますが、それの基準ということが確立をされることによって、たとえばこの線区はこのような状況においてどの程度の国の政策が必要だ、そういう基準を確立する必要があるのじゃないかと思うのですが、これについての見解を承りたい。
  254. 住田正二

    住田政府委員 負担区分の問題でございますけれども、利用者負担とか受益者負担とかいろいろ言葉が使われておりますが、この言葉の使い方も非常に混乱しているように感ぜられるわけでございます。一般法律で、道路法とか港湾法で受益者負担という言葉を使っておりますが、その場合には道路をつくったとか、あるいは港湾をつくった場合に、その付近の土地の所有者が非常に利益を受けるということで受益者負担という言葉を使っていると思います。したがって、鉄道の場合にも鉄道を開発することによりまして非常に便利になったということで、駅付近の土地に対して開発利益の還元を求めるということは受益者負担の範囲に入るかと思いますけれども、現実問題としてなかなかそういうことはむずかしいわけでございます。したがって、鉄道の場合には、交通サービスに対して利用者が対価を払うということで利用者負担という形になるのではないかと思いますが、その場合の費用負担区分の問題としては、先ほど申し上げましたように、本来交通サービスというものは私人間の取引でございますから、適正な原価を利用者が払うというのが原則だろうと思います。しかし、先ほど来申し上げておりますように、国鉄の場合にはいろいろな公共的な制約といいますか負担が課せられており、それがいわゆる非採算的な路線になっているわけでございますので、そういう面については国が助成をするというのが助成の原則であります。したがって、負担区分と言えばいま申し上げたようなことが負担区分ということになるのではないかと思います。
  255. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この具体的な点は後で、非採算線区の問題なり現在建設中の新線建設なり、そういう関連においてまたかなり細かく聞きたいと思うのですが、もう一つの点は、これはもうこの前運輸大臣との間において若干の意見の交換なり計画を聞いたわけですが、きょうは当委員会でこの法案の審議でございますので、然し返すようでございますけれども、法定制緩和に関する問題としてこれはきわめてこの法案の基本をなすものでございますので、若干の見解をお聞きしながら問題を進めていきたいと思っております。  まず第一は、「國の財政を處理する権限は、國會の議決に基いて、これを行使しなければならない。」というのが憲法八十三条。憲法八十四条では「あらたに租税を課し、又は現行の租税を變更するには、法律又は法律の定める條件によることを必要とする。」こういうのが憲法の関連条項です。それから財政法三条は「租税を除く外、国が国権に基いて収納する課徴金及び法律上又は事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」財政法第三条の特例に関する法律では、その適用する内容としてたばこ、郵便、電信電話、国鉄の四つをこれに適用する、こういうように明確に定められているわけでございますが、この憲法八十三条、八十四条あるいは財政法三条、特例法との関係につきまして、今回仮に暫定期間としてであってもこの関連においてどのような根拠、解釈でこの改正法案を提起されたのか、その点についての御見解を承りたいと存じます。
  256. 住田正二

    住田政府委員 憲法八十三条あるいは憲法八十四条と財政法三条との関係でございますが、国鉄運賃は公権力に基づいて取るというような租税とは違った性格のものでございますので、憲法とは関係ないというように考えております。また財政法三条では、国の独占に属する事業料金について法律に基づいて定めろということを規定いたしております。それで、これは先ほど申し上げましたように憲法とは直接関係はないわけでございますけれども、憲法八十三条及び憲法八十四条の精神にのっとって、立法政策上の配慮から書いてあるというように理解をいたしております。しかし財政法三条の趣旨は、料金の額をすべて法律に直接に定めるということを要求いたしているものではなくて、料金の決定について法律に根拠を置くべきことを要求しているというように解釈をいたしているわけでございます。そのような財政法の要求を満たす方法といいますのは幾つかの方法があるわけでございまして、どのような決定方式をとるかということについてはその料金にかかわる事業性格によって決まってくるのではないか。たとえば、事業の独占の度合いがどうであるかとかあるいは公共性がどうであるかというようなことを配慮して決めるということになるわけでございますが、現在の国鉄輸送につきましては、その独占性が著しく低下しているという状態でございますので、そういう点を勘案いたしますと、国鉄の料金を直接法律で決めるということを必ずしもしなくてもいいのではないかということで、今回のような法案を提出いたしておるわけでございます。したがって、今回の法案の考え方が財政法三条の要請を満たさないというものではない、十分満たしているというように考えているわけでございます。  また財政法三条の特例法でございますけれども、この法律は財政法三条の規定の適用を一部に限定したということであって、財政法が定めております以上の強い規制を運賃を決定する場合にやれということを特例法は言っているわけではない。単に財政法の適用の一部を排除しているというだけのものであって、それ以上の意味を持つものではないというように考えております。
  257. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いまの局長の見解では私は納得できません。というのは、それならば、なぜ今回暫定という言葉が入っているのか。とするならば、現在、たとえば郵政、電信電話、たばこ、これは全部国会における承認あるいは審議事項になっておりますが、国鉄だけがその例外であり得ないとするならば、ではいままではなぜ賃率の改定等が国会に出されてきたのか、その辺の関係は、客観的な情勢の変化なのか、原則として特例法が認めている以上、それは法三条あるいはさらに憲法八十四条の解釈によってこのような適用がなされてきたと私は感ずるわけです。運賃法が制定されてから今日まですでに三十年間の歴史的な経過を踏まえても、客観情勢の変化なのか、あるいは法的に拘束を受けないとするならば、その解釈上の問題で、これは私は重大な問題として指摘をせざるを得ない。それの関係はいかがでございますか。
  258. 住田正二

    住田政府委員 先ほど申し上げましたように、財政法三条というのは憲法の規定とは直接関係がない、憲法の規定の趣旨を尊重して財政法三条に、国の独占にかかわる事業についても法律の根拠を置くということを決めているわけでございます。郵便あるいは電信電話、専売というのは、これは完全に、一〇〇%国の独占の事業でございますけれども国鉄につきましては先ほど来、貨物については一三%というような数字になっておりますし、旅客についても、国内のシェアの三〇%ということで、独占の程度は著しく低下いたしているわけでございます。したがって、法律に基づいてという基づき方については、独占の度合いによって差があってしかるべきである。それで、国鉄の独占の度合い等を考慮しまして今回御提案申し上げているような形にしたわけでございまして、これも明らかに財政法三条に基づいた措置であるというように理解をいたしているわけでございます。
  259. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この問題は、私はこの前法制局長の見解も聞いて、ここに議事録を持っておりませんけれども、やはり法的な、憲法との関係はない、あるいは財政法三条との関係はないと言われるけれども、それならばいままで国会の承認を受ける、審議を受けるという根拠は何であったのか。これは、では逆に局長の見解を聞きたい、どうですか。
  260. 住田正二

    住田政府委員 法律の解釈は従来と変わっているということでは決してないわけでございまして、国鉄の置かれている情勢が変わってきたということでございます。
  261. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私は、局長最初答弁が全く憲法との関係はない、そういうふうに当時断言されました。後で客観情勢の変化ということを追加補足されたようでございますが、それならばわからぬことはないわけですね。しかしながら、やはりこれが一時的な変化であって、さらに私は国鉄の独占率というものが必ず今後近い将来、今日のエネルギー資源の状況等から判断しても国鉄輸送の占めるシェアというのが非常に拡大しないという保証はないと思うのです。そういうふうな独占的な色彩が強くなる、あるいは位置づけが高くなった場合にはどう考えますか。
  262. 住田正二

    住田政府委員 国鉄の現在置かれている情勢が変わりまして、国鉄の国内における輸送のシェアが高まるということは、今後あり得るかどうかわかりませんが、仮に仮定の問題としてあったといった場合にどうするかということでございますけれども、やはりそのときに置かれている国鉄の状態というものを十分検討しませんと、いまの段階では判断できない問題でございますが、場合によっては運賃を法定する。現在提案申し上げている法律は、御承知のように画定措置でございますから、暫定期間が終われば当然もとに戻るわけでございますので、独占がさらに大きくなるといいますか、シェアが非常に高くなる、ならないにかかわらず、暫定期間が終われば当然本則へ戻って賃率を法定しなければいかぬということになるわけでございます。ただ、その段階でやはり国鉄の置かれている状態、独占の度合い、そういうものを勘案して、今後国鉄運賃をどういう方法で決めていくかという点については、その段階で検討はいたしたいと思っておりますが、いまの段階で将来完全に従来の方式に戻るか、あるいは別な形にいくか、予想といいますか、意見を申し上げることは非常にむずかしいのではないかと思います。
  263. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この問題は一応この程度にしておきましょう。  いま一年間に国鉄を利用するお客さんは、大体五十年でも約七十億という人が利用しておるわけですよ。私はやはりこの影響というものを考える場合に、運賃の改定ということは当然国会の論議を通してやるのが、いままで過去この運賃法が制定以来一貫してきた制度でありますから、そう軽々に大臣認可事項として考えるべき筋ではないのではないかという思想に立って申し上げたわけでありまして、法律論争は後日の問題にして、これから当面の諸問題についてお伺いしたいと存じます。  先ほども申し上げましたが、再建問題が昭和四十四年、さらに四十八年、そしてまた五十年の十二月の閣議決定に基づく再建の方途が明らかにされてきたわけですが、いわゆる今日の国鉄財政悪化の原因、責任というものは、お互いにこれが明らかにされていくべきではないかと思うわけでございます。  そこでまず国鉄当局にお聞きしたいわけですが、国鉄財政は膨大な累積赤字、過去債務を抱えて大変な危機に瀕していることは、いままで同僚議員が申し上げたところでございますが、このような状態に至った原因は一体何であるのか。さらにまた、これまで、先ほど申し上げたように二回にわたる再建計画を立てたが、いずれも失敗に終わっている。ことに四十八年からの計画が破綻した原因は何であったか。こういう点についての一つの御説明を国鉄当局にお願いしたい。
  264. 高木文雄

    高木説明員 現在大変な累積赤字を持っており、それに対応して大きな債務を負っておるわけでございますが、その原因がどこにあるかということでございます。  いろいろな見方があろうかと思いますが、やはり第一は一般的に公共料金は戦後の経済政策、なかんずく物価政策との関連においてやはり低目に抑えられてきた。いい悪いは別といたしまして、事実問題としてそういうことがあったということは否定できないのではないかと思います。  それから二番目に、鉄道としての特性を発揮しがたい路線、いわゆるローカル線でございますが、ローカル線に伴います——これはもともと人口が非常に少ないところで走っているわけでございますので、経営努力が足りないような面もなかったことはないかもしれませんけれども、本来的に非常にお客さんのおられないところでも、いわゆる福祉的な意味といいますか公共的な意味で走らせる任務を持っておったわけでございまして、それについて経営収支が伴わないということがあったということが言えると思います。  それから三番目には、設備投資が十分であったかどうかということについては、これは財政事情あるいは経営事情と、鶏と卵の関係になっておったわけでありますけれども、そういう事情との関係で設備投資がやや不足ぎみであったのではないか。それによって輸送の近代化が立ちおくれます反面、他の輸送機関の急激な発展によりまして貨物収入を中心に収入の伸び悩みがあったということではないか。  そうしたいろいろな事情で経営収支が償わなくなってまいりました過程におきまして、どうしても資金不足を生じます。その資金不足をどうやって償ってきたかといいますと、主として借入金によって賄ってきたわけでございまして、また償却ができなくなりました時点から後は設備投資等も借入金で賄ってきたわけでございますので、したがってそれによって累積的に赤字がふえていった。ほかにもいろいろ見方がございましょうけれども、私どもはそういった点が大きな原因ではないかと思っております。  それから第二のお尋ねとして、その間において四十四年なり四十八年なりに再建計画が立てられたが、その再建計画がうまくいかなかった理由はどうかというお尋ねでございますが、これは現実的に当時再建計画が誤っておったということも言い切れないのではないかと思いますが、再建計画が前提といたしておりました経済情勢あるいは物価情勢あるいは賃金水準というようなものが予定と実績とにおいて大きな乖離が出てきたということでございまして、また他の輸送手段の発展によりますところの競争力の減小についての見通しが十分ついてなかったということが言えるのではないかと思います。たとえば四十八年から五十年までの間におきまして、計画と実績で収入面だけで三年間に約四千億の狂いを生じておりますが、その中身としましては、旅客で約半分、貨物で半分の見込み違いを起こしておりますし、それから経費の面で七千億を超える予想と実績との開きが出ておりますが、その中身はやはり人件費、物件費等が経済計画で見込まれましたものよりも実績は高くなった、こうしたことが計画と実績との間のそごを来した理由ではないかというふうに私どもは考えております。
  265. 兒玉末男

    ○兒玉委員 ただいま国鉄当局から諸般の情勢についての御説明がございましたが、政府としては、このような変化あるいは計画の破綻についてどういうふうな考え方をお持ちであり、またこれに対してどのような対策を講じてきたのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  266. 住田正二

    住田政府委員 いま総裁から御説明申し上げましたように、これまで二回再建計画を立てて失敗いたしたわけでございますが、その当時の再建計画は十年という非常に長い時間を前提につくっていたわけでございます。このような長い期間でございますと、その間経済的にもいろいろ情勢の変化がございますので、長い期間ではやはり無理である、と同時に前二回の計画の当時には、高度成長ということを前提に計画がつくられておったという点もあるわけでございまして、そういう情勢の変化等を考えますと、長い期間で数字のつじつまを合わせるというような考え方は適当ではないという反省をいたしております。同時に、先ほど来国鉄の方から御説明がありましたように、昔の国鉄の置かれておる情勢と現存の情勢とは非常に変わっているわけでございまして、やはりそれに応じて体質の改善を図っていかないとそういう情勢の変化に対応し得ない。したがって、従来は長期的に見れば何とかなるんじゃないかということでやってきたわけでございますけれども、やはりこの安定成長時代を迎えますと、現在国鉄が抱えている赤字要因というものを十分徹底的に検討して、それに対する対応策を立てて国鉄の体質を改善して、他の交通機関との競争に十分対抗できるというところに持っていかないと、今後の国鉄としては健全経営が維持できないというふうに見られますので、そういう点についての国鉄努力を要請いたしておるわけでございますが、同時に、それだけでは十分ではないということで、先ほど来国鉄経営の限界を超える分については国がめんどうを見るということにいたしますとともに、やはり適時適切な運賃値上げというものが健全経営一つの重要な要件でございますので、今回法律改正をお願いしておるということでございます。
  267. 兒玉末男

    ○兒玉委員 五十年前期の経済計画によりますと、五十五年が一応の目標ですが、これでは大体国鉄関係の公団を除いて五兆一千億、それからいま局長の説明されました四十八年の十カ年計画は十兆五千億の投資規模だったと思うのです。それで先ほど総裁が説明されましたように、客観的な諸情勢、すなわち物価の変動なりあるいは経済情勢の変化、さらにまた人件費の高騰等が当初の経済計画よりも大変な狂いがあった、こういう指摘がありました。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕 とするならば、五十年前期計画による五十五年までの、これは五十一年からだと思うのですが、五兆一千億と言われている規模ではまた同じ過ちを繰り返すのではないか。これについての運輸省の見解、さらにまた五十一年から新計画をしたわけですが、先ほどこれに提案されておりますように、本年一月にいわゆる再建対策の要綱が修正されていま提案されておるわけですが、このようにたびたび修正されることは、やはり抜本的な対策がとられていないというところに私は基本的な誤りがあるのではないか。この五十年前期計画の五兆一千億の計画と、五十一年の計画は一年足らずで修正をされなければいけなかった根本的な理由について、運輸省としてはどういうふうな見解をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
  268. 住田正二

    住田政府委員 第一番目の問題でございますが、四十八年の再建計画では十兆五千億という投資規模を予定いたしておったわけでございますが、今度の五十年度前期では五兆円ということで、金額的には半分でございますが、実質的には工事費が非常に上がっておりますので、工事規模としてはむしろ縮小されているというふうに御理解いただきたいと思います。  それで、その投資をどういうふうにするかということは、今後各年度の予算に当たりまして検討するわけでございますが、御指摘のございますように、単に投資をしていってさらに借金がふえるということになるとまた国鉄の財政に大きな圧迫を加えるということになるわけでございますので、今後の投資につきましては十分採算のとれるものを中心に投資をしていって、国鉄の投資が財政圧迫にならないように十分注意をいたしたいと考えております。  第二番目の、一昨年の十二月につくった閣議了解を本年の一月に一部修正いたしたわけでございますが、修正いたしました大きな点というのは、収支均衡年度を五十二年度からおおむね五十四年度に延ばしたというところでございまして、その他の点については一昨年の閣議了解の具体化といいますか、不明確な点をはっきりさせたという点でございます。五十二年から五十四年に延ばしました理由といたしましては、経済情勢、特に景気の回復が非常におくれておって、当初のわれわれ考えておったような増収を図ることが非常にむずかしいということと、また他の交通機関との競争関係が当初予想いたしておりましたのよりもさらに厳しくなったという点を配慮して二年間延ばしたということでございます。
  269. 兒玉末男

    ○兒玉委員 鉄監局からいただきましたこの資料を見ておりますと、五十一年の補正、それから五十二年予定というこの数字を見ましても、やはりいわゆる一般勘定による赤字あるいは特別勘定による累積赤字、含めて三兆三千八百二十億、債務は八兆四百七十五億、さらにまた五十二年でもプラス的な要素が約四千九百億と、累積が長期債務が約九兆円、こういうふうな数字になるようでございますが、とするならば、私はやはりいま局長の言われましたように五十四年度で均衡の収支がとれるという見通しがどういうふうな収支計算によって可能なのかどうか、この辺の見通しについてひとつ御見解を承りたいと思います。
  270. 住田正二

    住田政府委員 いまお話がございました国鉄の全債務が九兆円であるということでございますけれども、特別勘定の方に持っていっておりますのは直接国鉄の財政負担にならない債務でございます。将来逐次返していかなければならないという意味では、将来の負担にはなる可能性はございますけれども、現在の負担というのは五兆円の債務でございます。その債務が国鉄の財政にどのような負担をかけているかという点についての判断は非常にむずかしいわけでございます。  けさほど太田委員の御質問に対してお話し申し上げたわけでございますけれども、私鉄と比較してみてどうかということで検討いたしますと、今回、工事費の助成であるとか、あるいは五十一年度の赤字に見合う債務の一部についての利子補給というような利子についての助成をいたしておりますが、そういうものを差し引いたあとの利子の額が全経費に占める比率というのは八・五%ぐらいでございます。それに対しまして私鉄の場合には、十四社の平均でございますけれども、一五%ぐらいになっております。また償却の負担でございますけれども国鉄の場合には経費の中で占める比率が九・五%ぐらい、それに対しまして私鉄の場合は一〇・五%ぐらいでございまして、いずれの数字をとりましても私鉄の方が高くなっておりますので、私鉄との比較において借入金あるいは借入金の利子が国鉄経営の圧迫になっているということは必ずしも言えないのではないかと思います。  また、五十四年度の収支均衡ができるのかどうかということについては、先ほど河村委員から非常に鋭く御指摘を受けたわけでございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、これは非常に大変なことだと思いますが、国鉄経営改善努力をやり、また運賃値上げについてはかなり限度には近づいておりますけれども、いろいろ工夫をすればなお値上げの余地があるということで、国鉄労使が一体となって努力すればおおむね五十四年度に収支均衡できるのではないかというように考えております。
  271. 兒玉末男

    ○兒玉委員 労使協力の問題等は、後で国鉄の労働者の生産性の問題あるいは人件費等の占める比率の関係等、多少突っ込んだ御質問をしたいと思います。  いまの局長の御答弁では、五十四年度の目標達成は職員が努力するということに大変比重のある御答弁をなされたようでございますが、これも後ほど若干の論議をしたいと思っております。  それで、これは大蔵省にお伺いしたいわけでございますが、大蔵省、見えていますか、後でいろいろと金額の問題等も御質問するわけですけれども……。  国鉄は公共的な使命が大変高い、そういうために全国約九千二百キロでございますか、採算のとれない、営業係数が一〇〇以上の線区をたくさん抱えております。現在の国鉄で一〇〇以下のところは、新幹線と山手線と高崎線、こういうように非常に限定されているわけでございます。しかしながら、客が少ないから、赤字だから走らぬというわけにはいかない、そういうような立場から考えましても、やはり国鉄の公共的な負担に対し政府が適切な措置を講じなかった、またこのようなことが国鉄財政破綻の大きな原因ではないか、もちろん昨年の当委員会における決議に基づいて若干の前進は見ておりますけれども、この程度では同じ再建対策の繰り返しではないかというような懸念すらするわけですが、大蔵省としてこのような問題についてどういうような見解をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
  272. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 お答えいたします。  財政助成をどういうふうにしてやっていくかということにつきましては、先ほど来運輸省の方から御答弁ありましたように、四十四年のときから、国鉄再建には三本の柱が要る、一つ国鉄経営の合理化の努力である、第二に適正な受益者負担である、そうして補完的な立場から、その二つでもなおかつ国鉄再建ができないというような場合に政府助成をやっていくというたてまえでやってきておるわけであります。五十二年度、ことしの予算につきましては、御承知のように七十八国会の附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、苦しい財政事情の中から前年度に対しまして二四%の増加を図ってきているところであります。  今後どうするんだということでございますけれども、私どもとして今後とも国鉄の財政の再建にとって必要な措置はそれぞれ講じていきたいとは思っておりますけれども、何分御承知のように五十五年度にやっと特例債がなくなるか、何とかなくしていこうというような苦しい財政事情でもございますし、また国家助成というその助成するお金の源泉はいずれも国民の税金でございます。国民の中には、国鉄を利用する方もおれば利用しない方もおるといったようなわけでございますので、できるだけのことは国鉄再建のためにやってまいりたいとは思いますけれども、財政その他のいま申し上げましたような面からしておのずから限界もあろうかと思っております。
  273. 兒玉末男

    ○兒玉委員 再度大蔵省にお伺いしますけれども、先ほど国鉄総裁の説明によりますと、四十八年から五十年の収入状況を見ても、これは経営努力以前の問題として理解される点として、旅客、貨物の予定収入が四千億も狂った。とするならば、さらに国鉄経営する上においてその再生の道というのは、こういうような客観的な情勢の変化に伴うところの収入減というものについては、一体それならばだれがそれをめんどう見てくれるのか、この問題を私は再度聞かざるを得ないわけでございます。  加えまして、これは運輸省にもお聞きするわけでございますが、特に財政再建を促進する立場からするために、この前の附帯決議は「過去債務を積極的に処理することにより、国鉄の負担を軽減し、健全経営の基盤を整備する。」「地域住民の利便と自立経営上の負担の程度を勘案しつつ、地方交通線の運営費の欠損について一段と助成措置を強化するよう努める。」そのほか、後で聞きますが、このような財政再建に関する院の満場一致の決議がなされております。そういう点について大蔵省はもちろん財政事情ということを言われるわけでございますが、しょせんは、ではそういう赤字線は切ってしまえという論理にも、一時出されましたが、通ずるわけでございます。そういうような状況については大蔵省はどういうふうに理解されるのか、お伺いしたいと思います。
  274. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 先ほど総裁が御答弁申し上げた中で、四十八年度−五十年度の長期試算の実績とそれから試算との間の差の収入の減、相当大きうございましたが、そのうちの大部分といいますか、半分以上は、御承知のように運賃改定のおくれがあったことによるものであります。したがいまして、収入の減というものが全部、先ほど申し上げました額そのものが国鉄の競争力の弱体化によるものだとは考えてございません。  なおまた、今回の収入の見込みにつきましては、当時の高度成長を反映した輸送の強気な見通しとは若干趣を異にいたしまして、かた目に見積もるような努力もいたしておりますので、多少現実にいろいろな状況がございまして減収も出ておりますけれども、当時のようなことにはならないのではなかろうかと思っております。  それから二番目に、地方ローカル線の問題でございますけれども、地方ローカル線の合理化につきましては昨年来、運輸省の運輸政策審議会の懇談会でいろいろ議論をしていただいており、本年の一月になりましてから中間報告も出ております。また引き続きましてこの夏以降、さらに審議を進めていくというふうに聞いてございますので、私どもといたしましてはその結論を持ちまして改めて検討をしてまいりたいと思っております。
  275. 住田正二

    住田政府委員 昨年の衆議院及び参議院の附帯決議の中で、過去債務について考えろという事項があったわけでございます。過去債務につきましては、五十年度末の過去債務について二兆五千四百億円のたな上げをいたしております。残った債務がまだあるわけでございますが、この債務が健全なものであるかあるいは不健全なものであるかという点につきましては、私どもといたしましては国鉄の経理を見ますと、債務よりも資産の方が一兆円ぐらい多いという情勢でございますので、残った債務が直ちに不健全なものであるというようには考えていないわけでございます。今後の情勢を見て判断しなければいけない問題ではございますけれども、少なくとも資産に見合っている限りにおいては不健全なものであるというふうには考えていないわけでございます。  ただ五十一年度には新たに七千億を超える赤字が発生いたしておりますので、この赤字による負担というものについての軽減措置を図るということで、特別利子補給金として百七十七億円の金を今回の予算で計上いたしておるわけでございます。
  276. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣にお伺いしたいのですが、いま鉄監局長答弁では、長期負債は健全性を欠くものばかりではないという御説明があったわけです。しかしやはり二兆五千四百四億にしても将来は返さなければいかぬ金だ。とするならば、当面のいわゆる運輸省の考えている五十四年度を目標とする収支のバランスをとるということは、もちろん企業努力なり職員の企業に対する誠意と情熱を持つことは言うまでもございません。しかし現在の客観情勢というものは、先ほどのいわゆるバス、タクシーの料金等の値上げにも見られるように、国民全体の購買力というものが非常に低下しております。いま、たとえば新幹線のグリーン等の場合において、どうしても国鉄よりも飛行機へと、こういう傾向が強いわけでありまして、本年の正月も、私は鹿児島でございますが、とにかく平年よりも伸びていないということは、やはり鉄道の料金が高いということに起因している。大衆というのは一円、十円のことでも非常に敏感なんです。  そういう点等から考えますならば、企業努力なり職員の自覚なり、そういうふうな面ももちろん必要でありますが、客観的な諸情勢から考えた場合に、やはり健全的な長期債務であっても、これに対して利子を払わなければいかぬし、あるいはまた元金を少しずつでも返していかなくてはいけないという客観的な扇情から見ますならば、この際長期債務についても格段の配慮をしてしかるべきではないか、このことが、私はこの前の運輸委員会における附帯決議の精神に沿うものじゃないかと考えるわけでございますが、これについての大臣の見解を承りたい。
  277. 田村元

    田村国務大臣 債務というものは、いわゆる累積赤字にかかわる債務、つまり不良債務といいますか、それと、資産に見合う、言うなれば健全な債務というふうに分類できるかと存じます。  国鉄の場合、累積赤字にかかわる債務につきましては、これは御承知のような措置をいたしておるわけでございますが、今日のそれ以外の債務につきましては一応運輸省としましても、資産に見合う妥当な範囲内の債務、このように判断をいたしておるところでございます。  いずれにいたしましても運賃問題、先ほど河村さんの御質問にもお答えをしたわけでありますが、運賃値上げというものにも限界がございます。それから企業努力経営努力というものも、これは最大限行わなければなりませんけれども、これも無限大ではございません。でありますから、そういうものを全部総洗いして、その上で債務についてどのようになすべきかの判断を下すべきもの、このように考えますが、いまのところ累積赤字以外の債務という点については、特に私どもは不良債務とは認めておりません。
  278. 兒玉末男

    ○兒玉委員 そこはお互いに若干見解の違うところでございますが、今度の再建計画だけはぜひ達成できるように、今後格段の御努力を要望申し上げます。  次に、なかなか問題であり、国鉄の抱えている非常に大きな課題としていわゆる地方赤字線の問題、地方交通線の負担の問題でございますが、一時はもう赤字線は切ってしまえ、こういうような論議もなされましたけれども、これは運政審の中間報告にもあるように、この問題の再検討が指摘をされてきているわけでございます。今回の再建要綱で赤字ローカル線助成として貸付金を含めて四百九十五億という金が組まれておりますが、鉄監局長、この中で貸付金というのはどういうような意味を持っているのか、それから大体五十年度、五十一年の見込みでもローカル線の赤字が二千三百二十五億程度予想されると言われておるわけでございますが、こういうふうな観点並びにまた一時地方自治体にその管理を任せるという意見等も出たわけでございますが、このような地方交通線対策では十分と言えないのではないか、このように考えるわけでございますが、この点について運輸省の見解を承りたいと思います。
  279. 住田正二

    住田政府委員 地方交通線補助のうち一部が無償貸し付けになっているわけでございますが、これは先ほど大蔵省からも御答弁がありましたように、現在地方ローカル線について今後どうすべきかという検討をいたしているわけでございますが、その検討の結果、ことしの秋ぐらいには最終答申が出されるのではないかと思っております。それに基づきまして今後国鉄が中心となりましてこの問題の処理に当たるわけでございますが、その問題の処理がついた暁には、この貸付金というものは交付金に切りかえるということにいたしたいと思っております。現在、最終的な処理がついてないということで一部を貸付金にしたいということでございます。  また現在、地方交通線につきましては、二千億を若干超える程度の赤字が出ておるわけでございまして、そのうちの約四分の一である五百億の補助金を出しているわけでございますが、これも現在の段階ではまだ、最終的にどういうような形で地方ローカル線が扱われるかということがわからないために、昨年の補助の方式を若干拡充いたしまして、昨年は百七十億程度のものを今回四百九十億にふやしたわけでございます。最終的な処理方針が決まった段階で地方交通線に対する助成の基本的な制度というものを確立したい、さように考えているわけでございます。
  280. 兒玉末男

    ○兒玉委員 地方交通線について国鉄当局の方の見解を伺いたいわけですが、現在、新線の建設中あるいは建設予定、こういう線はどういうふうな状況になっておるのか伺いたい。
  281. 高木文雄

    高木説明員 いまローカル線は赤字でございますから、新線、特にAB線の経営を私の方でさらに追加してお引き受けをするということについては、率直に申しましてできるだけ勘弁していただきたいわけでございますけれども、何分どの新線も長いバックグラウンドといいますか経緯があるようでございますし、私ども経営を御勘弁願いますと申し上げましても、持って行き場がないというような実態から言いまして、やむを得ず引き続きお引き受けをいたしておるわけでございます。  そこで、いまいたしておりますことは、鉄建公団の方にお願いをいたしまして、そういう路線を引き受けました場合に後の経営費負担が少しでも大きくなりませんように、つまりその経営をやっていくための経費がなるべくかかりませんように、たとえば路盤維持費というようなものが余りかかりませんように、あるいは少ない職員で駅等の管理ができますような設備をお願いをするというようなことを通じて、建設段階からなるべく経費が少ないようにというふうには考えております。  ただ、それをお引き受けした後どうするかということについては、これは他の交通ローカル線と同様の問題があるわけでございまして、これは政府の御指導のもと、私ども責任において処理をしていかなければならぬという点においては在来の地方交通線と同じでございます。  ただ現実問題としては、先ほどもちょっとお触れになりましたように、過去十年以上いろいろなことをやってまいりましたけれども、どうもレールを外すのだという印象が地方にしみ渡っておりますために、ローカル線問題を議論すること自体について、住民の方々といいますか地域の方々との話し合いがなかなか始まらないという状態になっておりますので、少し考え方を変えまして、初めからレールを外すというような考え方でなしに、いまのままでやるか、運輸政策審議会の御提言にございますようにバスにかえるかとかいうようなこともいろいろ考え合わせながら、どういう方法が一番地方住民、地域住民にとって好都合であるかということも十分考慮に入れながらやらないといけないのであって、こちら側だけの財政上の理由だけでは、どうもなかなか結論を出しにくいと思われますので、そういう方向で何か出口を見出したいと考えておりますが、その点については昔からございますローカル線につきましても、新線建設によって私の方に持ち込まれてまいります問題につきましても、特に変わりなく研究対象としてまいりたいと思っております。
  282. 兒玉末男

    ○兒玉委員 現在建設線に使っている金はどのくらいあるのか伺いたい。
  283. 住田正二

    住田政府委員 現在、鉄建公団でやっておりますAB線の予算でございますけれども、五十二年度は三百三十億でございます。
  284. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いただいた資料でCD線というのが九千二百八十三キロございますが、これを含めて三百三十億でございますか。
  285. 住田正二

    住田政府委員 いま申し上げましたのはAB線だけでございます。CD線は別でございます。
  286. 兒玉末男

    ○兒玉委員 CD線は幾らでございますか。
  287. 住田正二

    住田政府委員 CD線は二百六十億円でございます。これは財政融資でやっております。
  288. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いま御説明ありましたAB線並びにCD線でございますが、いずれにいたしましてもこれは完成後の営業係数をどういうふうに判断をされておるのか、おわかりでしたらひとつお知らせいただきたい。
  289. 住田正二

    住田政府委員 AB線につきましては、これまで完成して公団から引き渡された分の赤字が三十八億でございます。それからCD線の中には、御案内のように大都市交通線と貨物専用線、それから幹線といいますか、具体的には石勝線のような幹線的なものと、いろいろ性格が異なっておりますが、非常に大きな赤字を出しておりまして、五十年度全部で二百八十二億円の赤字を出しております。このうち、大都市通勤にかかわる賃借料につきましては、本年度予算で賃借料の三〇%の助成をいたしているわけでございます。
  290. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私も国鉄の出身でございますので、とにかく日本地図全体の中にある地域分布を見ておりますと、採算のとれる線区というのは恐らく皆無ではないか、いわゆる一〇〇%以上の経営指数だというように判断するわけです。とするならば当然、これが開業した場合は明らかに赤字が上積みをされる、こう十分理解されるわけでございます。これはさらに、今後の経営を圧迫する大きな要因とみなされる。  先ほど局長が言われましたように、地方線に対する対策はこれから検討を加えてその対応策について結論を出す、こういう御説明でございましたが、いま工事着手の路線が完成し、営業開始の暁においては、政府としてはそのまま何らの措置も講じないのかどうか、あるいは公団関係やそれなりの、いわゆる運用面の利息等も十分考えるわけでございまして、公団から国鉄が譲り受ける段階において、やはりこの問題は慎重な配慮が必要ではないか、私はこういうように考えるわけでございますが、運輸省としてはこれについての対策をどういうふうにお考えになっているのか、伺いたいと思います。
  291. 住田正二

    住田政府委員 あるいは誤解はないと思いますけれども、AB線にいたしましてもCD線にいたしましても、鉄建公団ができてから新しくつくらしたという線は一つもないわけでございまして、それまで国鉄がつくっておりました線を全部引き継いで工事を続行しているわけでございます。鉄建公団ができてから新しい路線として鉄建公団に運輸大臣がつくれと言って命令した新しい路線はないわけでございます。したがって、その意味では、従来から国鉄計画してきたと言うことができるわけでございますけれども、しかしその後の情勢の変化あるいは国鉄の財政の悪化ということでこの問題が取り上げられているわけでございますが、AB線につきましては先ほど申し上げておりますような地方ローカル線の一環としてやはり考えるべき問題ではないかということで、地方ローカル線の問題の最終答申が出るまでは前年度並み程度の予算で抑えておくという方針で、昨年度は三百五十億円であった予算が本年度は三百三十億円に減っているわけでございます。最終答申が出ましたら、それと同じ方向でAB線問題についても処理をいたしたいと考えております。  またCD線につきましては、貨物のための工事であるとか大都市のための工事であるということで、これは地方ローカル線とは違った問題でございます。貨物につきましては貨物の問題として国鉄の方でいろいろお考えをいただくということになると思います。  また大都市交通線については、先ほど申し上げましたようにこれが負担になっている面もございますので、公団の貸付料の一部を国が助成をしているということでめんどうを見ているわけでございます。
  292. 兒玉末男

    ○兒玉委員 国鉄にお伺いしますが、国鉄としては特に三十一線区千三百五十三キロのAB線の今後のいわゆる展望についてどういうふうな判断を持っているのか、国鉄当局の見解を承りたいと思います。
  293. 高木文雄

    高木説明員 先ほども申しましたとおり、片一方において経常的には非常にぐあいが悪いわけでございますので、私どもといたしましては悩みの種になっておるわけでございますけれども、やはり地域としては長い間の念願であり、そしてそれが最低のシビルミニマムとしての役割りを果たしておるわけでございますので、他の昔からありました在来ローカール線と同様に、にわかに経営面だけの理由で、たとえば極論いたしますならば撤去をするというような考え方をとるべきではないと考えておるわけでございまして、同じ御答弁になって恐縮でございますが、在来線の場合のローカル線の場合と同じように、何かしかしそれにいたしましても赤字を少しでも減らす方法はないか、あるいはまた他の輸送手段との何かうまいつなぎ合わせを考える方法はないかということを個別にひとつ地方の方々と御相談をしながら、出口を見出してまいりたいと思っております。
  294. 兒玉末男

    ○兒玉委員 運輸大臣、いま総裁答弁しましたように、非常に赤字を抱えながらどら息子はつくっていかなければならぬ、こういうふうな心境だと思うのですが、これは国鉄自体が、おれたちが必要としてつくるんだという発想よりも、地域住民の要請あるいは行政上の必要性、さらにはまた政策的な路線、こういうような色彩が強いのじゃないか。とするならば、今後の工事の継続についても、あるいは完全な営業行為の開始の段階においても当然その赤字ということが十分見きわめられるわけです。これらの線についても今後の地方線対策として格段の御配慮をすべきだ、私はこう考えるわけですが、大臣の見解を承りたいと思います。
  295. 田村元

    田村国務大臣 いまの兒玉さんの表現をかりて言うなれば、たとえどら息子でも親から見ればかわいいものでございます。でありますから、地域住民から見れば、やはりでき上がったものは愛着の深いものだし、つくっておるものについては夢があるわけでございます。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕 でありますから、幸いにして運政審の中間報告が出、等申がこの秋には出る予定でございますから、その線にのっとって地域住民の判断も求めて、その上でまたいろいろの対策を講じなければならないだろう、こう思いますが、いずれにいたしましても、たとえ赤字ローカル線という名前を冠せられましても、これは運輸省としてないがしろにするわけにはまいらぬと思います。
  296. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に国鉄当局にお伺いしたいわけですが、工事費との出資の関係でございますが、過去五年間の工事資金の投入はどうなっているのかお伺いしたいと思います。
  297. 馬渡一眞

    ○馬渡説明員 過去五年でございますが、五十一年度はまだ決算が出ておりませんので、昨年度補正をいたされました予算の数字を合わせて四十七年から五十一年度まで加えますと、三兆二千九百三十四億という数字になります。四十七年から五十年度までは決算の数字でございます。
  298. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これに関連して、国の出資金はこの時期に幾ら出されておりますか。
  299. 住田正二

    住田政府委員 国鉄に対する出資金の総額でございますが、五十年度末で四千五百六十億円でございます。
  300. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大蔵省にお伺いしますが、いま過去五年間の工事費と出資の関係について説明がありましたが、国鉄の投資はやはり国民の財産であり、先ほども運輸大臣があるいは局長が言われましたように、長期債務としてもこれは大半が健全な債務だ、こういうふうな見解を言われているわけでございますが、やはり私は出資の比率というものをいま一段と高めていく必要があるのじゃないか、できる限り財源は借り入れによらないで国の出資等により建設するのが妥当だと考えるわけでございますが、大蔵省の見解を承りたいと存じます。
  301. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 出資につきましてはいまおっしゃいましたようなお考えもあろうかと思います。ただ公企業の場合における出資のあり方といいますものは、一般事業会社における出資とまたちょっと別な性格も持っていることは事実でございます。つまり投資資金としての一部を出資をするということの効果でございますけれども、つまりその分だけ利子負担が少なくなるというところにその実際的な効果があるわけであります。  ところで、五十年度まで出資をしてまいったわけでございますけれども、五十一年度以降出資を取りやめておりますが、これは国鉄の二兆五千四百億円余の過去債務をたな上げをしたということで、全体の利子負担につきまして特にそれまでにないような、前例にない財政措置を講じたこととの関連もございまして、出資をいたしてございませんが、全体的な国鉄の利子負担の程度、それを見ながら慎重に判断していくべき問題であろうかと考えております。
  302. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大蔵省と国鉄当局並びに運輸省に聞きますが、出資に関連しまして、問題の公共負担の問題でございますが、これもこの前の委員会の決議として「運賃上の公共割引は、それぞれの政策実行部門の負担とするよう努力する。」こういうような決議がなされております。いただきました資料によりますと、昭和四十年から五十年までのいわゆる公共負担額は六千三百六十四億。公共企業体になってからの総累計が一兆三千三百二十一億、五十一年度の見込みは五百八十七億、総計で約一兆四千億近い公共負担が出ております。この点社会党は前々国会からも公共割引に対する国の負担についての法案も出しているわけでございますが、これについて国鉄としてはこれをどういうふうにお考えになっているのか、また大蔵省並びに運輸省としてはこの公共負担の制度について、附帯決議にもあるようにこの際やはりそれぞれの政策部門が分担することが妥当ではないかというふうに理解をするわけでございますが、これについてそれぞれの機関の見解を承りたいと存じます。
  303. 高木文雄

    高木説明員 国鉄任務といいますか仕事のやり方につきましては、片一方において独立採算ということを頭に置きながら、公共の目的に沿うように仕事をするということでございます。したがいまして、その公共という意味と、いま御指摘の公共割引というようなものとをどう結びつけて考えるかという問題があるわけでございますけれども、いずれにいたしましてもそれは国鉄自体の経営状態がかなりの水準にあるときにのみ国鉄の中で総合的に経理をして、いわばその割引分といいますか負担分といいますか、それを背負っていけるときにはそれでよろしいわけでございまして、ただいまいろいろお挙げになりましたけれども、過去からの分のすべてについて私どもとしてしょい切れないという性格のものではないのではないかと思います。ただ、最近の状態は、そのような割引を別にいたしましても赤字になっておる状態でございますから、赤字の企業が大きな顔をして割引をする、あるいは負担をするというのは、それ自体矛盾であるわけでございますので、いろいろの割引制度、公共負担制度にはそれぞれの歴史はございますけれども、私どもとしては過去の経緯はともかくとして、これから先につきましては漸次そういう負担を国鉄自体が負いますことについては御勘弁願いたいという感じが一般的にはするわけでございます。  ただ、従来公共負担という言葉で言われておりましたもののすべてが公共負担という名に値するものかどうかということは、いささか疑問があるわけでございまして、前々国会の御審議の際に公共負担問題が非常に議論になりました。また附帯決議でも御意見が表明されましたので、私どもでその後いろいろ検討いたしておりますが、一つはやはり私どもとしてはお断りいたしたい、どうしても続けろということであれば、それぞれの行政担当部局でもってその財源措置をしていただきたいという性質のものと、従来、名前は割引とか公共負担とかいう名前を使っておりましたけれども、実は実態はいわば営業割引的な性格に近いもの、こちらの仕事の都合もあって、お客さんに乗っていただく都合もあって割引をしてきたようなものもあると思います。そしてその中間に位するものと、三つに分け得るのではないかと考えておりまして、従来はいささかその問題について突っ込みが不十分であったのではないか、前々回の国会で前大臣がしきりに強調されましたように、公共負担をそれぞれの行政当局にお願いをするということにつきましては、もう少しこれからその中を性格別に分類をしていく必要がありはしないかということで鋭意検討をいたしております。
  304. 田村元

    田村国務大臣 いま総裁が申しましたように、営業政策上の割引はとにかくとして、公共性の強い割引につきましては、これは本来各行政部門において処理をしていただくべきものであります。もう大分前でございましたが、閣議の席で私から強くそれを要請いたしました。たまたま前大臣の石田労働大臣からも御助言をいただきました。この御質問は、率直なことを言って、いまさっきまでおりました大蔵省の松下君がおるときに言っていただいたらもっとよかったかと思うのでありますが、これは私どもとして今後も関係省庁に強く要請をいたしていく所存でございます。
  305. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 公共割引の問題につきましては、ことしの一月の閣議了解では全般的な見直しを行うということになってございます。運輸省の方で先ほど御答弁ございましたように、いろいろ今後見直し作業をしていただけると思います。そこで、その結果につきまして私ども御相談を受けました場合において、さらに検討をいたしたいと思っております。  なお、運輸省の方で政策実行部門の方に御相談もなすっているようでございますが、それぞれ関係の各省庁から相談があった場合には、私どもとしてもそれに対しまして検討はいたしたいと思っております。
  306. 兒玉末男

    ○兒玉委員 国土庁お見えになっておりますか。——それからエネルギー庁お見えになっていますね。  それで、国土庁、エネルギー庁並びに運輸省にお伺いしたいわけでございます。  一点は、例の五新幹線の凍結問題でございますが、これはこの前のどなたかの質問で大臣から若干の答弁がありましたが、地域においてはこれの解除に強い関心を持っているようでございますけれども、これについてどういう見解をお持ちか。  それから国土庁としては、五十年前期の計画でいま都市集中の人口や産業を地方に分散配置する、こういうことを一つの柱にされているわけでございますが、これは当然交通網との関連を抜きにして考えられないと思うのですが、これに対する国土庁の見解。  それからいまアメリカの場合においてもエネルギー資源の問題として、特に石油関係の節約問題が大きな影響を持っております。エネルギー庁のこれからの長期展望でも、日本の場合は昭和六十年段階でも石油等に依存する度合いが六〇%を超えておるわけでございます。そういう点から考えても、なかんずく、輸送部門におけるシェアは確かに二〇%足らずでございますが、今日電力関係も七〇%が重油等に依存する現状から判断するならば、今後のエネルギーの総合的な資源の活用という面においても、私はやはり、特に輸送機関であるトラックなり国鉄なりこういう点も、総合的なエネルギー対策というものを確立していかなければ大変な事態に至るのではないか、こういうように考えるわけでございますが、この点について国土庁、エネルギー庁並びに運輸省当局の見解を承りたいと思います。
  307. 田村元

    田村国務大臣 まず、私は新幹線の問題についてお答えをしたいと思います。  いわゆる整備五新幹線、これは凍結解除とよく新聞にも出ておりますけれども、いつも申し上げることでありますが、凍結はされておりません。現に、工事費はついておるわけでございます。ただ、経済動向が大きく変化をいたしましたから、そこで社会環境も変わってまいりましたので、スローダウンをしたというのが本当の意味でございます。先般も閣僚会議が開かれたわけでありますが、だからといって、整備計画までせっかくでき上がって、地域住民の方々から見れば、ここまで来たら一刻も早くやってくれ、こういう御要望が強うございます。  そこで、しからばこの整備五線については、まあやるにしたところで時代の趨勢もございます。特に、空港や新幹線というのはあちらこちらで公害問題その他で悶着も起こしておるわけでございますから、これはひとつ環境アセスメントを本格的にやろうじゃないかというので、環境アセスメント等を徹底的にやるということを決めたわけでございます。端的に言いまして、環境アセスメントを徹底的にやるということは何かばかに遠回りのように聞こえますけれども、実はそうじゃないのです。飛行場あるいは新幹線等を見ていましても、やはり環境アセスメントを徹底的にやることによって時間をかけるということは、何か遠回りのように感じられますけれども、実はそれが一番近回りなんですね。でありますから、これを徹底的にやろう、そしてまた投資効果等もこの際本格的にもう一回再検討しよう。国鉄の財政状況もございますから、そういう点も勘案しなければなりませんし、いずれにいたしましても、そのような調査を徹底してやろう、こういうことを決めたわけでございます。でございますので、地元の方々にも、その意味ではお喜びがいただけるというふうに考えております。
  308. 八木純一

    ○八木説明員 ただいま御指摘がございました人口の都市集中を抑制して、地方へ人口、産業の分散政策がとられている現状でございますが、この傾向につきましては四十五年以来、特に大都市から地方への人口が定住化に向かいつつございます。産業の分散というふうな傾向、それぞれが定着化してまいっておることは御案内のとおりだと思います。そういう観点から、これをさらに促進するための基礎的な条件を整備する必要があろうかと考えております。このためには、特に総合的な交通施設の体系的な整備ということが基本的な課題の一つであると考えております。  しからば、このような総合的な交通施設の整備に当たりましては、第一点といたしまして、全国的な幹線交通網の整備、これと有機的に結びつきました地方の交通網のバランスのとれた整備を図ることが必要かと思います。  また環境問題、資源問題等を含めまして経済社会の最近の変化に対応いたしまして、各地域の特性というふうなものを十分考慮して、地域の意向も十分踏まえて整備を進めることが必要であろうかと考えております。  特に、最近モータリゼーションの進展ということがきわめて旺盛になりつつあるわけでございまして、一方、その関連から公共的な交通機関につきまして経営上の困難が非常に深刻なものとなっているというふうに受けとめておる次第でございます。日本の厳しいこれからを展望した場合に、省資源あるいは省エネルギー、こういうことにぜひとも真剣に取り組んでいかなければならないという現状判断からいたしまして、モータリゼーションにつきましてのあり方というふうなものを十分考慮しつつ公共輸送機関の基盤の強化を図っていくということが必要であろうかと考えております。この点につきまして運輸省ともこれから十分協議をしてまいりたい、かように考えております。
  309. 小林惇

    小林(惇)説明員 将来のエネルギーの需要の問題を考えますと、特に石油でございますけれども、埋蔵量とそれから生産量、採掘量との関係で、可採年数と言いますけれども、それが徐々に低下していく傾向にありまして、一九九〇年代になりますと、石油の増産限界に達する可能性があるというふうに言われております。そのために、わが国におきましても民生、産業、輸送各分野において省エネルギーを進めていかなければいけないというふうに考えておりますけれども、特に輸送分野におきましては、省エネルギーを進めるためには輸送効率の高い大量公共輸送機関の拡充によって省エネルギーを達成していく道をとるべきではないかというふうに考えております。
  310. 兒玉末男

    ○兒玉委員 エネルギー問題はまた別の機会にかなり突っ込んだ論議をしたいと思いますが、科学技術庁もお見えでございますし、また、せっかく新幹線の問題を提起しましたので、これは若干内容からそれるかもしれませんが、地震が起きた場合の新幹線の事故、いわゆる防災対策、なかなか地震関係というのは連絡関係がむずかしゅうございまして、科学技術庁は、予報するその瞬間までが科学技術庁の任務、それから先はわかりませんと。それから先はまあ国鉄とそれぞれの機関で連絡してやりなさいというふうになろうかと思うわけですが、いずれにしましても二百キロのスピード、そして一千名近い乗客、これはいままで大体事故に遭遇してないけれども、地震国でありますし、この前、同僚の渡辺議員も質問されたわけですが、特に静岡を中心とする地域が危険地帯として予測されるわけでございますが、地震と新幹線に対する対応関係並びにこれが発生した場合の対策。それから、先般私は上越線の落石事故の現地調査に参りましたが、聞くところでは、全国千七百カ所近い危険地域があると指摘をされております。この前も静岡県のどこかの山の中で、国鉄バスの落石事故によって学童が死亡する事故もありましたが、このような防災関係について国鉄としての、あるいは科学技術庁なり国土庁の対応策をどういうように考えているのか。また、国鉄としてはこのような落石関係等の防災対策についてどういうような対応策をいま考えておるのか、この点について御見解を承りたい。
  311. 高木文雄

    高木説明員 安全対策と申しますか、災害対策という点については、国鉄は私から見ましても以前からかなり真剣に考えておると言えると思います。戦後ずいぶんいろいろな事故がございまして大量の死亡事故を出したという経験から見ましても、そういうことがあってはならぬということでございましょう、安全問題についてはかなり定期的な会合を開いて、各関係部が集まって相談をするとかあるいはまた部外の方にお願いをしていろいろ御相談するとかいうことを繰り返しやっております。  地震の問題でございますが、これは私どもとしても非常に心配をいたしておるわけでございます。過去におきます事例といたしましては、御存じのように関東大震災のときにかなり大きな犠牲者を出したわけでございますが、その後は余り大きな事故は出しておりません。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕 ただ、その当時と今日とではただいま御指摘の新幹線のように、スピードの速いものについてどのような心配が起こってくるかということが心配なわけでございます。  そこで、現在はつい最近に科学技術庁を中心にいたしまして予知についての検討が進められることになりましたので、その予知についてどういう方式でお決めになってわれわれの方へ連絡をいただけることになるのかということについての御研究がこれから進むと思いますから、それを一方において伺いながら、それを受けて私どもとしてどのように対応していったらよろしいか、いろいろの構築物、構造物の地震に対する抵抗性といいますか、耐震性というようなものについてももう一度検討してみる必要があろうかと思います。  それから、具体的に予知の制度が進みました場合に、予知を受けました後でこちら側としてどういうふうな体制で臨むかということも大至急検討していかなければならぬと思っております。ただしかしながら、何分未知の世界でございますのでいろいろと模索をしている点もありますが、未知なら未知なりにいろいろと努力をしていきませんと、新幹線はいわば私どものドル箱でもございますし、お客さんに不安を与えてはいけませんのでいろいろと詰めておきたいと思っております。  それから、落石の方はしばしばいろいろな機会に国会お答え申し上げてまいりましたが、これはどうしても、いままでも相当やってきたのでございますけれども、かなりの個所がまだ危険な状態にございますので、なかなか一遍に手が回りませんけれども、心して対策を打っていきたいと思います。その場合、特に地質的に見てもう少し研究する余地があるんじゃないか、地質の学問を活用といいますか、知恵をおかりをいたしまして、そして土砂崩れとか落石とかいうことについてもう少し事前に知る方法はないかというようなことを研究したりいたしております。これもまた十分配意してまいります。
  312. 佐伯宗治

    ○佐伯説明員 先般発足いたしました東海地域判定会の地震余知情報の連絡、通報の件であると思いますけれども、地震余知の情報につきましては防災関係機関あるいは当該地域の住民等を初めとしまして関係者に広く周知徹底させることがきわめて重要と考えられます。このために、先般発足いたしました判定会の判定結果につきましては、気象庁を通じまして遅滞なく関係者に連絡、通報されることに現在なっております。なお、国鉄への地震予知情報の通報ルートにつきましては、これは中央防災会議の役割りになると思いますが、現在検討を進めておりまして、近々決定されることになると存じます。  なお、つけ加えて申しますならば、高潮、津波警報につきましては別の特別ルートもございますようで、将来緊急事態においてはこれの活用が考えられると思います。  以上でございます。
  313. 兒玉末男

    ○兒玉委員 あとは災害委員会の分野でございますから……。  それでは最後に、時間が参りましたので、若干まとめて質問しますのでお答えいただきます。  一つは合理化と貨物の問題、要員関係でございますが、今回、貨物制度の改善が提起をされておるようでございますが、このことによって貨物輸送のシェアというものが維持できるのかどうか、それからまた、客観情勢の変化に伴って現状の施設が、たとえば汐留のヤードは要らないということで一部売り払うとか、そういうふうなことも新聞に出ておりますが、私は長い将来に立つ場合はやはりそのような処理は慎重な配慮が必要だ、また設備等についても貨物が必ず国鉄に復元するということ等も配慮した上での対応策が必要ではないかと考えますが、これについての見解。  それから要員関係についてでございますが、いつも国鉄再建の裏には何万人かの合理化ということが常に指摘をされておるわけでございますが、現在、少なくともこの十年間、四十一年以降の職員の推移はどうなっておるのか。さらに人件費が総経費に占める比率はどうなのか。それから労働生産性について、どうも先ほど来仕事をしない人が多い、こういうようなことが指摘をされましたが、仕事をしない人は、これは一定の決められた時間だけは働くのが当然の義務であります。その視点に立った場合、現在国鉄の労働生産性、人トンキロの関係ですね、この関係が諸外国と比較をした場合にどうなっているか、この点について当局側の見解を承りたいと存じます。
  314. 田口通夫

    田口説明員 まず貨物の問題について御説明申し上げます。  現在、まず基本的な考え方を申し上げますと、五十年度で貨物の赤字が全体、共通費を入れまして五千百億以上、それから貨物をやめましたらそれだけ経費が少なくなりますが、逆に申し上げますと、貨物をやっておるので追加される経費、それがおおむね千八百億を超えておるという現状でありまして、このことからできるだけ、少なくとも固有経費と言っております後者の部分を上回るようでは、貨物の赤字を旅客に転嫁するという結果になりますので、御指摘のような合理化計画といいますか、近代化計画を昨年の十二月二十日に組合に事前協議協定に基づきまして提案をいたしたわけでございます。  そこで、五十五年を目標といたしまして、ぜひ旅客の負担から独立をした貨物の体制を立て直したいということで考えておりますが、結論を先に申し上げますと、やはり適当に運賃値上げもいたしますし、約二割の人件費、物件費の削減をいたしまして、やっと五十五年に、もっと正確に申し上げますと、五十六年度から固有経費を賄うという体制になりますので、その間、私どもはやはり基本的な体質改善をやりながら輸送量は、端的に申し上げましてかなり減るだろうというふうに考えております。どれだけ減るかというのは、今後合理化はこれだけやるとしてどれだけの値上げを必要とするかということにかかわってくると思いますけれども、やはり基本的な体質をしっかりいたしまして、かなりシェアが減りましても、五十六年度以降その体質をもととして営業努力を続けていけば、貨物については将来そう悲観をいたしておらない次第でございます。  そこで、貨物はそういうことでございますが、さらに職員数がどういうふうになった、あるいは人件費に占める割合はどうかということでございますが、まず職員数から申し上げますと、昭和四十一年度の職員数が四十六万九千七百名でございまして、昭和五十年度が四十三万百名ということで、その間三万九千六百名の縮減になっております。  それから、経費全体に占めます人件費の割合を申し上げますと、四十一年度が四九%、四十二年度が四八・八%、四十三年度が四九・三%、四十四年度が五一%、四十五年度が五三%、四十六年度が五四・七%、四十七年度が五四・二%、四十八年度が五五・八%、四十九年度が五四・八%、五十年度が五四・六%という、総経費に占める割合は以上のとおりになっております。  なお、これに関連いたしまして、職員の能率は、労働生産性は、諸外国の例を申し上げますと、職員一人当たりの人トンキロでわが国を一〇〇といたしますと、イギリスの場合は三三、西ドイツの場合は四八、フランスの場合が七〇ということになっておりますし、また営業キロ一キロ当たりの人トンキロで、わが国を一〇〇といたしますと、イギリス二六、西ドイツ三一、フランス三二という形で、能率は他国に比しまして相当高くなっております。  合理化についていろいろと御批判がございましたけれども、やはり国民のためにできるだけ能率を上げた運営をするということが国鉄の求められる本質的な国民の要求だと考えておりますので、労使協調の上に立ちまして、今後十分話し合いをつけながら国鉄再建努力をしたいと思います。
  315. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これで終わりますが、一件だけ、地元の問題で恐縮ですけれども、実は五十四年に宮崎県国体がございますが、用地買収の関係で国道のバイパスがなかなか進まない。そういうことで、どうしてもいま計画中の電化の問題が強い要請として上がってきておりますが、これに対する見通しなり対策はどうなのか。  それから、大臣に対しては、大変長時間にわたり熱心な御答弁をいただきまして感謝いたしますが、これからの再建問題については多くの課題がございますが、今後大臣の一層の御健闘を期待いたしまして私の質問を終わります。国鉄答弁を求めます。
  316. 高橋浩二

    ○高橋説明員 日豊線の宮崎から鹿児島までの電化は昨年から着工をしたことになっておりますが、実は昨年はほとんど進捗いたしませんでした。本年度から五十四年度に向かいまして、まず工期の非常にかかりますトンネルの改築等を進めまして、あとは五十三年度、五十四年度の予算の実態を見て、できるだけ早く進めるようにしたいというふうに考えております。
  317. 大野明

    大野委員長 次回は、来る二十六日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時五十五分散会