○
松本(操)
政府委員 ただいまの
先生の御
指摘にごもっともな点がございますので、いまの
冨田常務の返事と関連してお答えいたしますと、まず
航空機のパイロットというものは
相当高度の熟練労働者でございます。また、最近のように機材が大型化してまいりますと、場合によっては五百人といったような大ぜいの人間を自分の腕一本で支えていく、こういうことにも相なるわけでございますので、単なる技量の面のみではなくて、精神的と申しますか人格的と申しますか、そういう点においてもしっかりした人でなければいけないというのは当然のことであります。したがいまして
機長になるための資格要件というものも、これはかつてニューデリー等の
日航の
事故がございましたときにその資格要件というものを厳しくいたしまして、
機長というもののありようというものをそこで反省することを求めたわけでございますが、しかしただ単にそういった精神的な訓辞のみではやはり効果というものにおのずから限度があろう、そういうことでございます。そこで、いま話題になっております
アルコール検知器のようなもの、これを一体どうするのかという点について私
どもは
かなり内部的に議論がございました。ございましたけれ
ども、その
過程において実はパイロットの側から、われわれは
相当高度の熟練労働者でありかつパイロットとしての
責任と自覚において乗っているのだから、そういうふうなものまで持ち出してきてくれなくてもいい、十分自分たちで管理をする、こういうふうな強い意見もあり、またそのことを
文書にして私
どもの方に持ってまいった方々もあったわけです。しかし私
どもは、そういうふうな単なる
自己管理あるいは精神訓話的なものだけで済むものならば今回の
事故はあるいはあり得なかったかもしれないというふうな感じ、及び七十二条違反の
疑いというのは非常に大きな問題であるということを重視いたしまして、先ほど申し上げました
航空局長が一月二十九日に出しました通知の中にも「
飲酒等により
航空機の正常な
運航ができない
状態にないことを客観的に
確認するための
チェック方法」を可能なものから実施に移せ、こういうことを具体的に指示をしたわけでございます。その結果、
関係のキャリアにおいて、それぞれのいろんな
感知器がございまして、精度の問題でございますとかあるいはどの程度のところで反応を出してくるのか、いろいろな点がございましたが、
各社それぞれの評価に任せたわけでございますが、
日航は先ほど来
冨田常務から御
答弁申し上げたようなことで、ある特定のものを
使用することにしてその
配備も終わった、その用い方についても一応先月の終わりごろには全部周知徹底をした。ついては、これの
使用につきまして、私
どもといたしましては、いやしくも安易に流れることのないように、必要なときには必ずこれが活用されるように、客観的に
確認するための
チェックの
方法について可能なものから実施に移せということを私
どもも指示をしました以上、その実行につきましては、私
どもも
日航を含めまして十分
関係各社を監督しつつ、今後再びこういうことが起こることのないように特段の注意を払ってまいりたい、このように考えております。
次に、
運航管理者の権限につきましては、もともと
運航管理者そのものは
航空法上にその
規定がございます。国家試験も受けておるわけでございます。ただ、従来どちらかと申しますと、
運航管理者はフライトプランと申しまして、飛行機がどれだけ荷物を積んでいるからどういう高度で何ノットで飛ぶというふうな面にのみ
運航管理者の任務というものが実は傾いておったわけでございますが、これをこの際、この
事故を契機といたしまして、これも先ほどの一月二十九日に出した通達でございますが、「
運航管理者は、
航空機の安全な
運航に関して
機長と全く同水準の
責任を有すべきであることに鑑み、その職務が適確に遂行されることを担保し得るような制度を
確立すること。」こういうことをきわめて具体的に通達の中に盛り込みまして、その結果、
関係の
各社内
規程というものを
改定せしめた、こういうことでございますから、
先生御
指摘の趣旨につきましては、十分に今後生かされていくもの、また生かしていかなければならない、こういうように考えております。