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政府委員(
香川保一君) ただいま御
指摘の問題は、かねて私どもの法制審議会の民法部会身分法小
委員会におきまして検討していただいておるわけでございますが、先生御案内のとおり、いろいろの考え方があって、それについて一体国民各層はどういう御意見をお持ちかということで、この前に中間
報告を発表いたしまして意見をいただいたのでございますが、非常にバラエティーに富んでおりまして、率直に申し上げまして国民の皆さん方がどういう方向を志向しておられるかということはいささかつかみかねておるわけでございます。何分問題が単に形式的にたとえば相続分を現在妻の三分の一を二分の一に上げるというだけで事足りる問題でもなかろうというふうなことで、できるだけそれぞれのケースの実態に即したような相続
関係が形成されないと、本当の意味の妻の地位の向上というふうなこと、ひいては婦人の実質的地位の向上も図り得ないというふうな観点から、現在法制審議会におきまして、
家庭裁判所にあらわれたいろいろのケースをもとにいたしまして、それから外国の立法例の検討もほぼ終わりまして、現在いろいろな案についてさらに審議を重ねていただいておるわけでございます。
妻の相続分の
関係は、いま申しましたように、単にその相続分を二分の一に上げるというふうなことももちろん検討の課題でございますが、もう少しきめの細かい、たとえばただいま論議されておりましたような住宅の問題もございますし、それから何といいましても生活をあれしていくための金の問題もあるわけでございまして、そういったきめ細かい相続
関係をやはり法律的に
確保しなければならないというふうなことで相当具体的な問題の検討に入っております。
それからもう一つお挙げになりました寄与分の問題でございますが、これは率直に申し上げまして、現行制度はもちろん、将来の問題としても、この寄与分の算定、裁定をする機関といたしましては
家庭裁判所ということにならざるを得ないわけでございます。果たして現在の
家庭裁判所の機能でもって私どもが庶幾しておると申しますか、本当の実態に即したような寄与分の
関係が適切にしかも迅速に処理されるかどうかという問題が一つ施行の問題として大きな問題があろうかと思うのであります。ここのところが
充実いたしますれば、これは当然ケース・バイ・ケースでやっていただくことでございますので、基本的な問題は
解決するのでございますが、この点につきまして最高裁の家庭局ともいろいろ御相談申し上げ、そして東京
家庭裁判所の
裁判官にも実は身分法の小
委員会にも大幅に
委員、幹事として入っていただきまして、その問題を検討していただいておるということなのでございます。見通しとしまして、まあできるだけ早く、いいことは早いにこしたことはないわけでございますが、ちょっと問題が拙速というわけにもまいらぬことでございますので、ただいまのところ、いつまでに成案ができるかということは、ちょっと私としても責任を持ってお答えしかねるのでございますが、率直に申しまして、従来の身分法小
委員会準備会における議論というのは、どうしても事柄が大げさに申しますれば人生観、世界観の問題につながることでございますので、そういった理念的な議論がむしろ多かったことで今日までまだ成案を得てないというふうな
傾向にあったことは否定できないと思うのでございますが、最近その点もいろいろお願い申し上げまして、もっと現実的な具体的な議論に入っていただいておりまして、相当テンポ早く成案が得られるのではなかろうかというふうに期待いたしております。