○有田一寿君 各種
学校に行く、専修
学校に行く等、複線型の別なコースに行くということもありましょうが、それはそれとして
教育を受けるということにおいては変わりはないということ、したがいまして率直に申し上げると、私は
高校はまず全入を
考える、それから無償、次に義務制という、こういう段階があろうと思うんです。したがって二十年後、七十年と言えば大体もう義務制六三三制もそこである程度見直され、改革されて
一つの
教育体系というものが樹立されているころではないかというふうにこれは私は思うわけなんですが、そこで、たとえば
高校無償だとか義務制というと、えらいべらぼうな金がかかるように思われると思いますが、これは
数字が違っておればこらえてください。私は、
高校の教科書を無償にして全部やった場合
幾らかかるかというと、百三十九億ぐらいですね、一年で。大したことないです。それから
授業料を全部無料にした場合
幾らだろうというと大体千二百億ですね。全部無償にしたとして千二百億。これは大きく狂わないと思うんです。五百万人として二千円を掛けていって、十二を掛ければその
数字になります。で、もちろんそういう場合には特別学級をつくって、落ちこぼれる生徒を
教育しなければなりませんから、教員定数の増がありましょう。その分を加味すればそれはもっと大きな
数字になると思います。ただ、今度
高校新増設で四十二億確保したわけですけれ
ども、この四十二億の
数字というものは、三分の一の補助です。しかも用地は別にして建物だけ。そうすると建物だけで百二十億は
都道府県と一緒になってこれは出すわけですね。そうしてそれに対象にならないもの、県単でやっているものが大分あると思うんです。これをまずお聞きしたい。
それと、申し上げたいことだけ言っておきますと、この
高校の生徒の数なんですが、なぜ私が義務制ということを申し上げるかという論拠なんです。これは振り返ってみますと、昭和四十年のこの第一次急増期、これは三十八年から四十年にかけての三年間ですが、これは一年に百八十万、それが五十年四百二十五万、五十五年これが四百七十二万、六十年五百十三万
——これは固い
数字を言っておりますから、先ほどで言えば五百四十八万という
数字が出ました。六十八年は五百八十五万ということを推計した
数字があるんです。しかし、これは根拠がないよと言われればそれまでですが、五百八十万、約六百万ですね。そうやってふえていきますが、四十年には五百七万人を収容した実績がすでにあるわけです。現在、いま四百三十四万とかおっしゃいましたね。ですから、まだ余っているわけです、現在高等
学校の校舎は。それでいまは年平均八万人増ですね、だから急増ではない。それなのに大騒ぎをするというのは、これは昨年もここで議論になりましたが、東京あるいは中京、近畿、この三圏に集中して九つの都府県、これで五十八年までに
高校生人口が二割から七割ふえる。五十五年までに四百数十校必要という
数字が出ておりますが、そのうちの三分の二は全部この三圏に集中する。一校に六、七万平米の土地が必要だとすれば、これはもうまず絶対不可能だと私は思うんです。不可能だと思うんです、
お金があっても。第一次急増期は年平均一四%の高度成長でありました。したがって公
教育費の年平均一六%の伸びも国民所得に占める比率は〇.二五%の増加にしかすぎなかった。したがって公立
高校の約百校増加したのに
都道府県の行政費に占める
教育費の比率はほとんど変わらなかった。ところが今度は違う。事業税、住民税の収入増で高度成長の恩恵に浴した大都市ほど税収の落ち込みが激しい。
高校増設を賄うことはまずできないだろう。しかも、
私学も一遍だまされたというか、第一次急増期に、いっぱいいっぱいつくって、その後空き家になった
高校が大分現在ありますから、この失敗にこりて二度と乗らないだろう。したがって、
私学の膨張を当てにすることもできない、こう思います。それとかてて加えて明治以来、これは大都市府県は富裕だった上に
私学依存や学卒者が大都市に逆に流入してきました。今後は
経済成長がなくてuターンが始まる、税収は伸びない、しかも高度成長期に流入した人口の子弟が、これがベビーブームの波と重なって
高校に押し寄せますから、したがってここで根本的な対策をお聞きしたいんです。
——ここで申し上げますから、これを批判していただきたい。
第一点高等
学校の建物は四階から八階程度の高層建築物にするというのがまず
一つ。
それから次は、過密地帯以外を選定する。これは寄宿舎
制度と通学バスを加味する必要がある。
それから設置基準を改定をしてもらいたい。五人ぐらいの定員増を図っていく必要がある。余り理想的なことばかり言っておったら何もできないということ。
それから、
私学の活用、これを本格的に
考えていかなければ、
私学では、空き家になりつつある
私学ができている、有名
私学は別ですけれ
ども。そういう事情がある。
それから、各種
学校、職業訓練施設の
高校転換も
考える必要があるかもわからない。
それから、二部制まではいま
考えたくはありませんけれ
ども、場合によっては
考えなきゃならぬ。だから、これはどちらをとるか、二部制は
教育的でないからいやだと言えば、進学率をある程度にとめて落としていくか、どちらをとるか。
それから、定時制、通信制課程をいまだめだからといってこれを捨てないということ。
以上そういうことが
考えられるわけですが、これについて
意見をお聞きしますが、ただ、四十二億を昨年大蔵省からもらったとき、その経緯から見て、大蔵財務当局としては、
義務教育を文部当局が志向しているということであったらこの予算はつけない、先がこわいからと。しかしながら、完全に歯どめをかけていきますということを、全部
文部大臣も示されたから、つい大蔵当局は乗ったわけですね。しかし乗った限りはすでに皮は破れたわけですから、今度は徹底的にこれを百億、二百億に伸ばしていかなければいけないだろうという、私はそういう感じがするわけでございます。そして最後には義務制に持っていく必要が必ずある。これはもういまのところ迷いに迷いですから、あちらからこう言われ、こちらからこう言われ、それかといって明確な答えはなかなか出ないというのが高等
学校問題ではなかろうかというふうに私は思っております。先ほどの
数字のことから、いまの高等
学校全般に対する、どうやってこれを乗り切っていくかということをお示しをいただきたい。