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1976-10-14 第78回国会 参議院 文教委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十四日(木曜日)    午前十時六分開会     —————————————   委員の異動  十月十四日     辞任         補欠選任      宮之原貞光君     前川  旦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山崎 竜男君     理 事                 久保田藤麿君                 内藤誉三郎君                 久保  亘君                 小巻 敏雄君     委 員                 志村 愛子君                 高橋 誉冨君                 中村 登美君                 藤井 丙午君                 松永 忠二君                 宮之原貞光君                 内田 善利君                 白木義一郎君                 須藤 五郎君                 中沢伊登子君                 有田 一寿君    国務大臣        文 部 大 臣  永井 道雄君    政府委員        人事院事務総局        給与局長     茨木  廣君        文部政務次官   渡部 恒三君        文部大臣官房長  井内慶次郎君        文部省初等中等        教育局長     諸沢 正道君        文部省大学局長  佐野文一郎君        文部省学術国際        局長       今村 武俊君        文部省体育局長  安養寺重夫君        文部省管理局長  犬丸  直君        文化庁長官    安嶋  彌君    事務局側        常任委員会専門        員        瀧  嘉衛君    説明員        大蔵省主計局主        計官       佐藤徳太郎君        厚生省児童家庭        局障害福祉課長  山内 豊徳君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育文化及び学術に関する調査  (当面の文教行政に関する件)  (昭和五十二年度文部省関係予算概算要求に  関する件)  (私立坂元学園の経営に関する件)  (特殊教育に関する件)  (放送大学に関する件)  (ローマ字教育に関する件)  (教育課程の改善に関する件)  (主任制度問題に関する件)     —————————————
  2. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  教育文化及び学術に関する調査を議題といたします。質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 かぜを引いておりましたし下痢もしちゃったんで、声が小さいので、大変申しわけないと思いますが聞き取りにくいと思いますが御了承いただきたいと思います。  私はせんだって南米各国を回って歩いてきたんですが、各地を視察しまして、その中で一つの大きなショックを受けたことがございます。それはどういうことかと言いますと、メキシコで大使館の運転手が二人おりまして、一人は約二十年故国を離れている、一人は三十年、こういう二人でした。それで私の両わきへ座って雑談をしていたときに、私は、あなた方二十年、三十年もたったら故国日本へ帰りたいと思いませんか、とこう聞いたところが、初めはなるほど帰って非常にうれしかった、ところが、最近ではだんだん日本へ帰るのがいやになりましたと、こう言われたから、それはどういうことですか、と聞いたところが、まあ親は粗末にする、国旗は粗末にする、隣近所は冷たくなる、おまけに国鉄はストをやる、先生方までストをやる、ああいうような冷たい社会、人心のすさんだ社会、こういう日本になってしまったら私はもう日本へ帰るのが年ごとにいやになって、もう私たち——二人ともですね、メキシコの土になりたい、死んだらメキシコで骨になりたい。こう言われまして、私は非常に偶然としました。一体、故国というのは美しいもの、なつかしいもの、そこへ帰りたくない、そこへ骨を埋めたくない、そのような故国日本にしたその大きな責任といいますか原因教育にありはしないかと、文教責任ではないかと、こう思いますが、大臣の所見を承りたいと思います。
  4. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私もメキシコで教えておりまして、家族を連れて外国仕事をいたしましたのが大体十カ年程度でございますから、ただいまの運転手さんといろいろ体験をともにしている点がございます。わが国教育に非常に問題があると思いますのは二点あると思います。まあ社会の問題をただいま御指摘になりましたが、社会のことはさておき、わが国教育について申し上ずましょう。  まず第一点は、このわが国試験地獄というものが大変に強烈でございまして、そこで外国相当メキシコの場合は日本人学校もある程度整備しておりますが、日本人学校でなく、たとえばロンドンの英語学校に行くというような場合にも、わが国に帰りますと普通の学校に行ってもさらに受験塾が必要であるというような状況でございますので、親と一緒に子供が動いているというと、非常にふるい落されやすい。このことから生ずる不安というものが海外で活動している数十万の日本人の両親にあるということは否定できない重要な問題でございますから、私はこれは何とか受験体制というものを是正しなければならない、かように思っております。  第二点は、日本人日本語を話すということであります。この問題につきましては、明治の初期、初代の文部大臣であった森有礼日本語を廃止して日本式英語というものを国語として採用することを一時期考えたわけでありますが、これについては立ち入った議論になりますので避けさせていただきますが、最終的には日本人日本語を継続すべきであるという結論に森文部大臣は到達されたわけであります。今日世界の約百五十に及びます国々の中で、いわゆる先進工業国というふうなところでは、英語国というのは別にアメリカだけではなくて、人口おおよそ十億人に及んでおりますし、また、スペイン語系というのもまず三億人を超えております。さらに、ロシア語系というのも非常にふえておりますし、中国系は自国だけを数えましても八億人。さような状況の中にありまして、発展途上国におきましては、旧来からの宗主国言語教育というものが行き届いておりましたためにそうした国際語を用い得るということがあるのでありますが、わが国だけが一億人以上の人口を抱えて日本語によって自給自足の文化を形成しているという事実がございます。そこでしかも、その国が同時に外国において大いに発展しなければならないということでございますから、わが国の場合に、その複雑な日本語を維持しながら国際的活動をやっていくことが必要であるという意味においてきわめてユニークな国である。これは私は、簡単に解き得ないいわばわが国が背負っていろ歴史的な課題であると考えるわけでございますが、この二つの点が教育上問題である、ただいま御指摘がありました中で私はとりわけ重要であると、かように考えているわけでございます。
  5. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 それは私も、この前いわゆる試験地獄、そういう競争というものが人の心をむしばむということをお聞きしました。しかし私は、さっき言った親を粗末にするとか、あるいは国旗を粗末にするとか、あるいは隣近所が冷たくなるとか、そういうことは言語の問題と、あるいは試験だけの問題じゃなくて、そこに私は、小さい子供のときからの学校教育が本質的に行われているか、いなかったということが私はやっぱり大きな原因一つだと思うんですがね。  ずばり言いまして文部大臣は、もう論じ尽くされた言葉ですが、教育者労働者であるのか、聖職であるのか、あるいはいまはやりの灰色であるのか、それをひとつずばり言ってどうお考えですか。お聞かせいただきます。
  6. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) その前に申し上げますが、私の家では家族で、そういう意味でただいまの問題についてのいわば苦悩というものを経験してまいったわけでありまして、そうしたものが国民的課題としてだんだんに解決されていかなければいけない。  もう一つ申し上げますと、わが国において教育者労働者であるか、ある聖職者であるかということが政治的な論点になりまして、非常な争いになっているということも余り他国に例を見ないことでありまして、私は、かような論議はさほど必要でないのではないかという考えを初めから繰り返し申し上げているわけでございます。教育者労働者的側面もございますし、また当然教育者というのは他の労働者と違いますから、教員としてこれは聖職的と申してもよろしく、また専門家的とも申してよろしいのですが、そういう側面を持っている。そこで、そういうものについていろいろな考えというものを持ちながらも話し合っていけるはずであるが、この問題について相当白熱した、対立した把握になってきているということが残念ながら他の国に余り例を見ない姿になっていると私は考えているわけでございます。
  7. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 私はメキシコばかりじゃなくて、ブラジルでもそのほかでも言われたことですが、やはり日本人が古来の美しい——逆に彼らが日本を離れていますから考え方がおかしくなっているかもわからないのですが、何か昔の日本の美しい姿というものを失っていくことが本当に何か恐ろしいというか、惜しいというか、そういう気がするというのですね。  それで、とにかく教育にしましても、いまの日教組中心教員大部分ですから、その日教組委員長が今度は総評の議長ですから、早く言えば日本を率いる革新の一番の中心人物ですよ。そういう方と相談をしながら対話協調をしながらこれからも教育をやっていくつもりであるか、そういうことは参考意見としては聞くけれども文部省文部省として独自の見解でずばずば文教行政を進めていくつもりであるのか、ひとつお伺いをします。
  8. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) そのものずばりで申し上げますと、私は対話協調でありますが、対話協調の相手として重要なのは、日教組委員長ではなく普通の先生方であると思います。また日教組委員長も余り私を大事であるというふうにお考えになるのではなく、どちらかというと、現場先生方を尊重なさる。また現場先生方子供たちを尊重する、私どももそういう考えで臨んでいきたい。まあ、組合というものができますと当然そこに委員長というものもできるんでありましょうが、槇枝委員長ともお話をいたしましたが、槇枝委員長先生としての体験を積まれた後に専従になられまして二十数年を経た、まあ三十年に近いそうでございます。私も教員をいたしておったのですが、文部省に入りまして二年ほど現場を離れまして、こういう現場を離れた者同士が教育についてあれこれ議論することは余り適切でないから、まあ槇枝さん現場中心に話をいたしましょう、というふうに申しますと、これはある本にも載っておりますが、槇枝さんも全く同感ですという御意見でございます。  したがいまして、国会におかれましても、私は、そういう点では組合とか文部省ということよりは、現場先生という方向に、そして現場子供たちというところに議論を集中してまいりますならば、対話協調こそが今後の教育行政の根本であるという信念は私が就任いたしましたところと毫も変わるものではなく、また教育世界に敵があってはならない、私はかように考えず、むしろ敵ありとするならば、私の心中にあるという考えもいささかも変わるものではなく、むしろ強まったというのがこれまでの私のこの仕事についてまいりました経験に基づく実感でございます。
  9. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 まあ話は今度は別になりますけれども、初めて文部大臣が就任したとき、文教部会で、私は、違法者を厳重に処罰する考えがあるかどうか、違法者を厳重に処罰できない、うやむやのような処置をとるならば、永井大臣は長居無用であると、そのとき言ったことがありましたが、一体いまの違法者処置はどうなっているか、ひとつお聞かせ願いたい。
  10. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 教育界ストライキが起こりまして、そしてまたこれを処分いたします。このことはストライキの方も処分の方も望ましいことではございません。したがって、両方がなければよろしいのですが、残念ながら私が就任いたしましてから力が足らない面もあり、私は、ストライキが起こったということを認めざるを得ません。ストライキが起こりました場合には、法に照らしまして、ストライキは決して望ましくない、また処分も望ましくないけれども、厳正にこの法を執行いたしていくという方針は、これもまた私が就任いたしたとき考えたことであり、その方針に従って今日まで臨んできているわけでございます。
  11. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 まあよく話はわかりましたけれども、とにかく処分が現実にぴしりと行われていないのは事実です。そして五十万を超える日教組人たちが、とにかく社会主義社会のよき担い手として青少年を育成するんだという考えのもとに教育されたんでは、これは革新勢力というものはどんどん伸びていく、革新勢力がどんどん伸びていった場合どうなるか、私は政治的混乱というものが必ずくる。政治的混乱が起こった場合に、タイ国の二の舞ではないが、クーデターが日本に展開されないとは予見できない。それは私は、日本において最も不幸な状態である、そういう状態というものを私たちは避けることに全力を尽くさなければならない。そういうことになると、私は、やっぱり偏らない中性なりっぱな教育採用する必要がある。  教員採用問題について初中局長に伺いますが、どのような具体的な考え方を持って進めているかひとつお伺いいたします。
  12. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 現在、各都道府県におきます教員採用は、まず教員免許状を持っておる、あるいは確実に取得できる見込みのある、こういう人方につきまして、第一次の選考を行うわけでございます。そして、その選考に合格した人々を採用者名簿に登載いたしまして、順次そのうちから必要に応じて採用をしていく。こういうたてまえになっておるわけでございまして、したがいまして、第一段階としては、教員としての資格、つまり免許状を持つということが必要であり、その免許状を持つためには、大学において必要な単位を取らなければならないわけでございますから、その過程において必要な単位として教育実習をやるということが掲げてございます。そこで、教育実習において教員として必要な技術、あるいは心構えというものを十分に体得していただくしうことになっておるわけでございますが、現状においては、必ずしも教育実習が十分でないという点がございます。そこで、採用者名簿に登載されたといいましても、必ずしも全部の方が教員として適格かどうかという点には問題なしとしないわけでありますので、あとは個々の教育委員会において、それらの有資格者について、だれを採用するかということにつきましては、本人に対する面接等によりまして十分にその方の人格、識見、能力というものを判別していただいて、そのうちから教員として適格であると判断されたものを採用していただく、こういうふうなことが厳正に行われることを私は期待しておるわけでございます。
  13. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 私はそういう単位とか、資格ももちろん必要な条件ですが、私は一番大事な条件というのは、本当は教員人柄じゃないか、人物じゃないか。違法なことをしてから罰するよりも、違法なことをしないような人間教育について専念するような、力いっぱい教育にぶち込むような、そういう人間を私は採用するということがより重大じゃないか。そうすると、単なるペーパーテストや、単なる学校成績だけでは判定できない面がたくさんある。会社でさえ、社員を採用するときには、隣近所に行って、その人柄を聞きますよ、家庭状況も聞きますよ。大事な子供を育成する教員採用する際に、単なるペーパーテスト、単なる単位、単なる試験そういうことだけで判定するのは私は、まずいのじゃないか。もっとそういう人物判定人柄判定教育者として本当に適切であるかどうかという、そういう判定に立つべきだと思うのですが、どうですか。そういうのを見分ける方法、お考えをひとつ伺いたい。
  14. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいま御指摘の点はわが国教育の本質に迫る非常に重要なものであると私考えます。単に教育者に限らず、わが国教育はいわゆる選抜中心にいたしまして、その選抜のための適切な方法として、いわゆるペーパーテストに傾斜いたしてまいりましたために、中学校から高校への進学高校から大学への進学に当たりまして、ペーパーテストに傾斜をいたしまして、人間に他に必要な、ただいま人格というお言葉がございましたが、知恵だけに限らない、徳もございます。情操も必要である、あるいは体育というふうな経験も必要である。かようなものがわが国中学から高校への進学、また高校から大学への進学においても非常に疎んぜられてきているということは、非常に私は憂慮すべき御指摘の点であると思います。したがって、まさに核心を突かれた問題であると思います。私どもは、いまこの問題につきまして、何とかしてそれを変えていかなければいけないということで、これも詳細にわたりますから省かしていただきますが、大学入試制度高校の選択の方法を改めていく、さらにその中で教員になります者につきましては、一層いわゆるペーパーテスト的に傾斜してしまったのでは、いわゆるいま御指摘人格というところにいかない。要は知、徳、体育、バランスのとれた人柄というところにまいりません。これをどうするかということで、これは、私はこの任につきましてから、アメリカ合衆国も大量の教員を養成しておりますので、前の厚生教育長官に会いまして、一体どういう方法考えているかと——アメリカ合衆国もうまくいっていないそうです。なぜかというと、非常にたくさん教員を養成いたしますために、実習というものを、前はしっかりやっていたのですが、このごろは疎んじられるようになってまいったということであります。  私は、長い間には何とかしてわが国小中高先生方の中に、実習というものに相当のウエートを置いた養成方法、そうしてまたそれに基づく成績というものによって採用していくというところに行くのが一番ただいまの人格というふうなことを、具体的な評価の場合に当たって理解していくのに適切な方法であろうと思っているわけでございます。まず、その第一着手といたしまして、東京学芸大学に本年から教育実習研究センターというものを設けまして、ただ、そのセンターにいわゆる大学教授になってもらいますというと、これはまた理屈だけを教えますから、現場出身先生東京学芸大学の教官になってもらいまして、そうして、その方たちが学生に、お医者さまで言えば、臨床経験を十分積んだ人ということですが、その人が教えていく。明年度概算要求の中で岡山大学に類似のものをつくる考えでございます。現状におきましては、先ほど初中局長が申しましたように、まあそういう実験をわが国の数カ所においていよいよ始めていくわけでございますが、それだけではとても間に合わない。それを広げ、全体的に広げたいのですが、なかなか簡単にできないということでありますから、就職をした人に実習というものをまず課しまして、そうしてそこでもって本当に全体的な教師として完成していただく。そこで、これは初中局長中心につくった案でございますが、明年度概算要求には、いわゆるオリエンテーション研修といいまして、少なくも十日間は実習をやる、そういうところで板書のやり方も考えますし、あるいは子供の接触の仕方というようなことも経験に基づいた先輩から勉強してやっていく。こういう方法にいたしませんと、ただいま核心をつかれた御質問だと私は申し上げたんですが、それが本当に弱くなってきておりますだけに根気よくその方向を目指して、中学高校大学、特に教員養成大学というものの改造というものを目指して進んでまいりませんと、一挙には解決できませんが、先生が提出されました課題というのは、これは本当に全力を挙げて関係方面において努力をいたさなければならない問題だと、私はかように考えいる次第でございます。
  15. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 大変御丁寧な答弁でよくわかりましたが、新採用の問題はそうですが、現在すでに教員になっている者で一番大きな欠陥は何であるかというと、やはり私は教えようという情熱とか意欲とか、こういうものだと思います。再教育を計画されると思いますが、再教育を計画される場合に、それはいろんな技術的なもの、あるいは知的なもの、同時に私はそういう人間教育者としての本当の純粋な気持ちを呼び起こすようなそういう講師、そういう講師によって一生懸命おれは教育するんだ、そういうふうな再教育方法なり手段なりを初中局長考えているかどうか、具体的にまたそれはどういうことになっているか、ひとつお話し願いたい、こう思います。
  16. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 初中局長から詳細申し上げますが、これもまたまことに重要な問題でありますので私からあえて申し上げさしていただきたいと思います。  何と申しましても、お医者様の場合でも学校を出たてのお医者様というのはいいお医者様ではなくて、それだけでは不十分でありますから、それからのいろいろな現職教育が必要であります。他のすべての職業において私は同様であろうかと思います。そこで先生方先生になられた後、これが大事である。現在、文部省考えてきておりますのは、いろいろな形における研究校というものをふやしていくというのが一つ方向でございます。その研究校は、ですから、たとえば英語教育をやっていくという場合に、若干他の学校とは違った方法も含まれるかと思いますが、それに力を注いでいく。英語、理科、算数、道徳、こういうものがございます。中には指導要領というものに必ずしもよりませんで独自な方法でやったらいい、こういうものも含まれておりまして、本年度予算の中ではそうした研究校の数がわが国全体で千三百校に及んでおります。明年度はこれをさらにふやしてまいりたいと思います。指導要領に必ずしもよらないというものの数について申しますと、本年度は二十、来年度はこらを四十五にいたしたい。  その他のものについて詳細な数字は初中局長から申し上げますが、ですからオリエンテーション研究があり、またさらに進んだ先生方の中にいろんな形での研究をやっていく。また去年から話題となりました主任というのも、私は実は繰り返しこれは教育指導なんだということを申し上げてきたつもりでございますが、どうもこれが管理強化ではないか、あるいはまたこれに反対すべきではないかという角度からおとらえいただいた向きが各方面にあるのですが、そうではないのです。そうではなくて、これは長期的に実は主任だけではなく、校長先生教頭先生というふうな方々も学校教育においては本当に教育指導というものをやっていく、これは他の職場におきましても絶対に必要なことでありまして、事実行われている。そこで、教師というものが本当に理想的な教師になりますのには、これは最終的にしかその段階に到達し得るものではないでございましょう。生涯学び続けて初めてその教師に到達し得るということでございます。  ほかにもう一つ文部省として力を入れてまいっておりますことは、最近も報道されましたいわゆる偏差値業者テストであるとかあるいは塾教育というふうなものを見ますというと、実は現在のわが国においては学校教育の主体性というものがすでに失われて、そうして外側の業者学校教育を支配しているという現状でございます。で、これは初中局長中心にいたしまして本年度から全国的な調査をやりまして、ここであえて御報告を申し上げておきたいということは、わが国の四十七都道府県の中で業者ストによって支配されない県は一つもございません。かような憂うべき状況であるということがわかった。しかし、先生というものは自分が問題をつくるということが重要な教育活動なんです。その重要な教育活動をまさに先生は放棄しているということがわかったんであります。だから私は、与野党の方々に、いま教育問題なんかで政争をしている時間はないということを申し上げている。それを文部省は見つけました。いま初中局長中心にさらに考えておりますのは、この業者ストというものに打ちかつためにどうやって学校教育の主体性を回復していくか、このことのためにいま私どもは、いろいろ各都道府県においてまた教師の中から自主的な努力が生まれつつありますから、それを調査して集める、そうしてその積極的なものを活用したいというふうに考えているわけでございます。  現状を見ますとかような状況であって、教師というものはそれは子供のために自分が問題をつくる、考えてやる、それこそがまさに生きがいでございますが、それもそういう状況になっている。また塾調査も行ってきておりますが、何とか学校の主体性というものを回復し、その中における先生方の主体性というものを回復する、このことを眼目に置いて私たち教育行政に当たっているわけでございます。  詳細必要でございましたらこれは政策の展開について初中局長から御説明申し上げます。
  17. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 時間がありませんから、なくなるとあれですから結構ですが、そういうような人柄のいい、子供にいい影響を与えるそういう教師を養う、そういう魂を植えつけるそういう再教育は、やっぱり再教育における講師を、それだけの講師を選ぶ必要がある。堕落させるような精神的に低い者は人を高めることはできないわけですから、やはり私は教師の精選については十分考慮されたい、これが一点。  それからちょっといままでの問題と違いますが、こういうようなりっぱな先生現場に送ってりっぱな教育をしたいということになりますとね、いわゆるそういうことでりっぱな人材を教育界に確保したいというので、人確法というものが発足したと思うのですよ。それで現在、第三次の待遇改善案がこれは問題になっていると思うのですが、衆議院の内閣委員会でごたごたしているとかなんとか話聞きますが、現在どうなっているのか。とにかくあれほど騒いで全国を震撼させ、教育問題で巻き込んだ大きな問題がそのままうやむやになるようなことでは困るので、はっきりと結末をつけてもらう、そういう努力がどの程度なされているかお伺いしたい。
  18. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 人確法の問題でございますが、これは御案内のとおり、私どもは第三次給与改善の法案成立というものをお願いをいたしているわけでございまして、この内容というものは義務教育教員特別手当の額の引き上げを図るものでございます。さらに、その中に同時に女子教員に対する育児休業、その場合の育児休業給の支給という事項が規定してあるものでございますから、文部省はこれは早急に法案を成立さしていただきたい、かように考えているわけでございます。そのように関係方面にお願いを申し上げている次第でございます。
  19. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 ちょっといまの点、何か聞くところによると一般職よりも教職員の方がおくれる、分離されておくれるのじゃないかということを耳にしますが、そんなことはないでしょうか。
  20. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 教員の特別手当の引き上げの給与法の改正は、御指摘になりましたように、継続審議になった法案でございますし、全公務員に対する夏の人事院勧告に基づく給与法の改正案はまだ法律案として国会に提案されてないように聞いております。そこで、私どもといたしましては、前国会に継続審議になりましたこの教員に対する特別手当引き上げの法案の方をぜひ早急に審議していただきたいということで、関係の方々にお願いを申し上げておるわけでございますが、現段階においてはまだ衆議院の内閣委員会においても具体的に取り上げておりませんので、いま申しました点に今後早急に審議していただくよう期待をしておると、こういう段階でございます。
  21. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 これはまた全然話、別なんですがね、私は、アンデス山脈のインカ帝国の遺跡を見て回ったんです。そのときに三万か四万もいるインディオというか、インカ帝国の軍人が十二、三名のスペイン人によって征服された。そのいきさつを聞いたところが、まあインカ帝国の人たちの武器というのは弓とか、石を投げるとか、あるいは木刀で撲殺するとか、そういうものであった。ところが、スペイン人は鉄砲を持っていた。そして、銃によって酋長が一発で殺されて、とにかく十三、四名の人によって何万というインカの兵隊が降伏してしまったという話を聞きましたがね。そうなると、ちょうど竹やり三百万本だなんて威勢のいいことを言って、原爆一発落とされたらまいってしまった日本状況とよく似ているんですが、やっぱり私は、あそこで科学というものが非常に大事だというものを感じたんですよ。インカ帝国の科学というのはいわゆる芸術、科学、たとえば織物とか石とかいう文化はすばらしいものがありましたよ。天野コレクションで見せてもらいましたがね。そんなものはちょっとクモが巣をつくるのがうまかったり、ハチが巣をつくるのがうまかったりするようなもので、それは決して民族の生存には大した関係持たないんだ、やっぱり科学的な、技術的なそういう面が、そういう文化が大事なんだと。日本における科学、文化というものはやはりこれは決して現在のところは劣ってないから、劣らしてはいけないと思うんですが、これは宇宙開発みても、日本の宇宙開発と米ソの宇宙開発見たら、幼稚園と大学ほど違うと思うんですよ。そういう日本状況です。それで私は、教科課程の改定においてどういうふうになっているか、まだ詳しくは見ておりませんけれども、科学教育をもっともっと重視していかなければ、日本民族の将来というものは大きな問題があると、こう思ったんですが、御見解を賜わりたい。
  22. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 全く同感でございます。わが国においてノーベル賞、科学ノーベル賞を受賞された方は三人でございますが、お三人の体験を聞きますと何と言ってもよかったのは受験地獄がなかったことだと。まず、湯川先生は宿題がなかったのがよかったというのが小学校の思い出であり、朝永先生の場合には、裏の山に行っていろいろな石を集めたのが理科的なものへの関心というものを、そして創造的な考えを生むようになった第一歩である。江崎玲於奈氏の場合には、小学校教育で理科のときに実験を楽しむことができた。これはやはり三つ子の魂百までということがございますが、私は、それであるだけに何とかしてこのわが国学校教育の中から、大変画一的な方向に向かってまいりますところの受験教育というものを緩和いたしませんというと、民族の将来の発展、とりわけ創造的な科学者を生み出していくということは大変むずかしいことに相なっていくのが現状であろうと考えます。  そこで、教育課程審議会におきましてはまさに会長の高村先生はこの考えに完全に私は同感を示していただいたものと考えておりますが、やり方といたしましては、とにかくこの受験体制の塾とか業者スト、こういうものを減らしていくんですが、学校の中ではゆとりを持たせる、ゆとりを持たせて基礎的なものはがっちりやっていく、そうして先生子供も両方とも創意工夫のある教育をやっていく、この地盤を小中高でつくっていく。言うならば大学はつけたりなんです。そこでいい地盤ができていた人間大学にくれば本当に伸びていく、ところがそこまでで芽を摘まれた人間が幾ら大学にきて名教授に習ったって伸びやしないんですから。ですから、小中高のそこの教育わが国の科学というものを今後振興いたしていきます地盤を培っていく上で一番大事である。高い木というものには深い根がある。私はわが国が将来発展いたします上で根が浅くなりつつあるということは、小中高教育にあらわれていることを何よりも憂えるものの一人であります。  さて、大学につきましてはそういう状況の中で国際的な刺激というものがあって、そうして外国人の教授というものも招いてこういう人たちから刺激を受ける。また大学の中でそれぞれの大学が排他的になって東大は東大である、早稲田は早稲田であるというようなことではいけませんから、共同利用研究所というものを強化して、お互いにこれも立場を超え、自分の所属する集団というものを超えて協力し刺激し合うという政策をつくり上げているわけでございます。  さらに大学院の段階にまいりますと、本年度通していただきました新しい法律に基づきまして、総合大学院とか連合大学院という方向で一層刺激し合う、あれこれございますが、そういうふうな方向で何といっても高い木の基礎である深い根、それをつくる上で小中高教育のところにもっと創意工夫のある教師子供関係をつくり上げる、これが第一。  そして、上のところでは日本人の組織がお互いに閉鎖的にならない、さらに外国人の刺激も受ける。かような考えで何とかしてわが国の科学教育、科学の実際的な研究というものを進めてまいりたい。予算の上でもいろいろ措置をいたしておりますこと、これ必要でございましたら学術国際局長が申し上げますが、全般的には文部省総がかりでかからなければ解けない大問題でございますので、以上のような考えで臨んでいるわけでございます。
  23. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 同感同感でファイト失っちゃいましたけど、私はいまの問題で非常にいい答弁だと思いました。まだ私感じたことは日本のトヨタの会社をペルーで見たことがあるんです。そうしたら、自動車輸入するけれどある制限があって、輸入するけども部品は全部国内産、ペルー国内産を使う。自動車の性能は非常に低いというんだ、落ちるというんです、日本のものに比べて。しかし、国内産の部品を使うことによって国内の部品がどんどんよくなって性能は徐々によくなりつつある、こういうことですね。これはブラジルでもそうでしたよ。これは世界各国がそういうことになりますと、日本の高い技術と技術水準を彼らの安い労働賃金でやった場合には、日本は将来どうやって日本経済というものを生きていくのか。いままではアメリカの高い技術と技術水準というものを日本に持ってきて、それで日本の安い労働力で展開したのが日本のいわゆる経済成長の大きな原因一つだと思いますが、これが逆に今度は朝鮮にしろ台湾にしろ日本の労働賃金というのの十分の一だと思うんですよ。そういう国々が日本の技術を導入して安い資源とそして安い賃金でぐんぐん進められたら、これは将来競合できなくなるんじゃないか。日本は経済の華々しいのはいまが頂点じゃないか。そういうんじゃなくてずっとこれからも発展させるためには、いま言ったとおり日本の科学水準というもの、技術水準というものをやっぱりぐんぐん上げていく必要があるということで、一層のこれは科学教育のあるいは技術教育の向上に努力してもらいたい。これは質問じゃありませんからお答え要りません。  次に、私は、全然これは話は別ですが、米が日本で大体千三百万取れて、千二百万トンぐらいしか消費していない。百万トン余り余っている。こういう中にあって、学校における米食給食というものがどういう状況であるか御説明願いたいと思います。
  24. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 米食が、古米、古々米も余る、ところが小麦を輸入しておるというような状況でございますから、学校の米食給食というものを強化をいたしていくということは、文部省の基本的な方針でございます。まあ、そのためには、これも三つ子の魂百までということがございましょうが、それであるだけに、日本人の食生活というものを再認識をいたしまして、米食の習慣というものを推進しなければいけない。学校給食に米食を入れることを規定の上でも本年度から決定いたしたわけでございます。現在、しかし、これはいろいろ設備の問題や、また人員の問題等もございますから、一挙に全部変えるというわけにはまいりませんから、今日、めどといたしておりますのは、週二回程度の実施というものをめどにいたしているわけでございまして、その詳細必要でございましたら申し上げますが、目標はそこに置いているわけでございます。
  25. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 結構です。  私は、米が余っているという問題以外に、もう一つね、アンケートとったのをちょっと見ましたが、お弁当持たせてやるのは余り希望してない奥様方が多いようなんです、アンケートでは。しかし、私は自分の体験からして、本当はもう自分でお弁当つくって、愛情込めた弁当をつくって子供に持たしたやる。「雲のじゅうたん」なんか見てる暇があったら、その方が私は教育的じゃないかと思うのです。私事で申しわけないけれども中学一年生のときにけんかしたことがあるんです。けんかには負けませんでしたけれども、後でこのお弁当食べるときに、このお弁当を母親がつくってくれたんだっけな、母親がね、何してんだろうなと思ったら、涙がにじんできてお弁当の中に落っこったんですよ。塩辛い弁当を私はかみしめながら、もう二度とけんかすまいと。それからもうやったことありませんけれども、そういうわけで、私は給食というよりも母親のつくる弁当それ自体に大きな、私は、教師がけんかやめろよと言うよりもよっぽど強い教育力があるということを考えてね。まあ、アンケートをとったら大して希望がないからこんなものだめだと言うんじゃなくて、教育的な見地から、それがよかったらこういうことはいいんじゃないかなと奨励して勧めるような立場を当局でとったらどうかなということを考えまして、これはお願いでございますから答弁要りません。  時間がありませんから、もう一つ最後にお伺いいたします。  これは、私らはアマゾン川の下流にあるベレンというところへ一番最初着いたのですが、そこで、総領事館からいろんな話を聞いて、私たちいろいろ座談をやったんです。座談をやって、いろいろな座談をしたときに最後に、私は小さくなっていたんですが、教育問題どうなってますか、教育問題どう考えてますか、こう言ったらね、ここで俄然熱意を帯びちゃいまして、もう私たち外国に来て一番困る問題はその問題です。何とかして内地へ帰っても、ちゃんと内地の人たちと同じように勉強できるような、そういうような施設がこちらにほしいと。現に私はじゃ、見せてもらおうと見せてもらいました。町はずれの個人の住宅を買ったところで教育されてましたが、庭もなければ何にもない。本当にこれじゃ大変だろうなと思ったんです。さらにまた、現地の人たちは、われわれはそんな日本へ帰るつもりはないんだから、現地にいるわれわれの教育考えてほしい、現地の教育を見てもらいたいということもあったので、それからエアタクシーに乗ってアマゾンの上流のトメアスというところまで行ったんですが、そしたら、学校見たらまるで倉庫のようなものですね、本当に学校らしい学校じゃないですよ。これは気の毒だな、満豪開拓者がこんなところに入ったのかなと思うほど惨めな学校でしたが、私は、やはり向こうへ行って苦労している日本人が一生懸命やっているとしたら、これはそういう国際的なそういう機関があると思いますけれども、そういう機関を通しても、私は、日本人の移民が、自分たちの子弟がやっぱり内地の子弟と数段の差があるような教育じゃなくて、ある程度同じくらいの、あすこに研究所がありますが、研究所はりっぱなものですよ。その研究所、このくらいの建物とこのくらいの施設が欲しいなと思いましたが、そういう点、外地の問題ですからむずかしい問題でしょうけれども、外務省、文部省連絡をとりながら十分やっていただきたいと思います。現状とそれから今後の努力しようという点をひとつお伺いしたいと、こう思います。
  26. 今村武俊

    政府委員(今村武俊君) 南米五カ国における在留邦人子女のための教育につきましては、在留邦人の比較的少ないウルグアイを除きまして、それぞれの国の首都あるいはその他主要な都市に日本人学校が設置されております。メキシコ一校、ペルー一校、ブラジル三校、アルゼンチン一校、計六校でございます。  ただいまお話がございましたベレンの日本人学校は五十年の四月にできまして、まだ設置以降期間も短いので恐らく先生のおっしゃるような現状になっておるのだろうと思います。それぞれの国でそれぞれの人々の努力によって日本人学校は設立されておりますので相当な格差があることは事実でございます。また日本人学校のない地域では現地校に入学して現地校で教育を受けながら日本語による補習授業を行う補習学校が設置されているところもございます。ブラジルで二校でございます。  これらの在外の教育施設に対しまして、文部省といたしましては、在外の日本人学校日本国内から教員を派遣するということが一つ。第二番目には、小中学校年齢の児童生徒に対して教科書を無償供与するということ。第三番目には、教科書以外の教材、通信教育の教材などを送付してその整備を図っており、なるべく国内における日本の小中学校児童生徒と変わりのないような教育をするように努力しておるつもりでございます。にもかかわらず、現実にはいろいろな隘路がございまして、先生のおっしゃるような事情がございましてなかなか大変でございます。  帰ってきました帰国子女の教育の問題が国内で大きな問題としてございます。従来はそのために国立大学の付属学校に帰国子女教育学級を設けて収容し、特別な教育をしたり、あるいは公私立学校について帰国子女教育研究協力校を指定してこれらの子弟を受け入れているわけでございますが、従来これらの子弟に対しまして、日本の国内の基準に照らしてハンディキャップを持っている、マイナスを持っているという点だけに着眼をしていたわけでございますけれども先生先ほどからるる御指摘のように、国際関係を抜きにしては今後の日本はあり得ない、その中で国際的に特別な違ったプラスの経験も持っておる。そういう子供たちをプラスとマイナスを総合勘案して教育するような学校を設置するために、来年度は国立学校の高等学校一校、私立学校の高等学校の新設を一校援助するという基本的な方策を立てて目下鋭意検討をしておるところでございます。
  27. 高橋誉冨

    高橋誉冨君 よくわかりました。ただ一層御努力していただきたいと思います。  で、ただ、そのときに私は感じたのは、いわゆる現地移住者というのは、もう日本言葉も忘れて、何も忘れても現地にすっかり溶け込むべきであるという考え方と、やはり溶け込んでいても、日本のよさというものは残しておくべきであるという二つの考え方があると見えまして、向こうでもそういう論で非常に花が咲きました。  以上、私の質問を終わります。
  28. 久保亘

    久保亘君 最初に、いま質疑応答のありましたことに関連しまして一点だけ文部大臣のお考えをお聞きしておきたいと思うのです。  文部大臣、ずいぶん力を込めて業者ストの問題についてお話しになりました。業者スト学校教育を支配している、教師教育を放棄している、こういう言い方をされました。私は、文部大臣の熱のあるところはわからぬわけじゃありませんけれども、そういうような非常に短い表現でこの問題を片づけられてしまうということについて非常に気になります。業者スト学校教育を支配しているというならばその原因を、もっと国の文教行政上の責任という立場からはっきりしなければ、教師教育を放棄しているという短い言葉でこの問題を集約することは危険だと思います。受験地獄についての今日のような学校教育状態をもたらした行政上の責任、それから現場教師の自主的な教育研究活動に対して、少なくとも文部省が管理的な立場からいろいろと抑圧を加えてきた事実、あるいは予備校とか塾とかいったようなものに対して、これらが各種学校として認められていく過程において、文部省はこれらの問題に対して何の指導もなし得ず、むしろ直接文部省の管轄下にある国立学校の教官たちでさえも、これらの予備校などの仕事をアルバイトとしてやることが当然となっていった。こういうような問題について文部省は私は、もっと深刻な反省の上に立って、そしてこういう原因を断つという努力に力を込めなければ、業者学校教育を支配し、教師教育を放棄しているという言葉だけでは、この問題は解決しないと思うのですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  29. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私は、学校先生方だけにすべての責任を覆いかぶせるというような印象を仮に与えるといたしましたらば、本意ではありませんから、その点は本意でないということを申し上げておきたいと思います。  まず、業者ストの関連について文部省責任を問います前に申し上げたいことは、そうした状況であるにもかかわらず、つまり業者ストが非常に勢いを持っている状況であるにもかかわらず、わが国の都道府県の中で先生方が自主的に問題をつくっておられる場所がございます。また、地方の教育委員会がそうしたことを配慮しておられるところもございます。  そこで、文部省がいわば上からこういう方向で新しくやっていくべきであるというようなことをいたしますよりも、さしあたってそういう自主的な努力が方々にございますので、そういう方々にございます自主的な努力について目下集計中でございまして、そうしてその結果を発表いたしまして、むしろそうした先生方の御努力というものを活用いたしたい考えでございます。  さらに、文部省責任はどこにあるかということでございますが、これは文部省としても、もっと早く手をつけて進むべき問題であったかと思いますが、それが進んでこなかったことは遺憾に考えている次第でございます。この春先であったと思いますが、松永議員からこの予備校問題についての御質問があり、そしてまたその予備校で国立ないしは公立の先生方も働いているではないかというような御指摘もございました。そこでいま進めておりますのは、九月から塾に通っている子供たちの実態についての調査を進めております。それから、いま調査表が一ですから、これは集計は十一月ごろになるかと考えております。  もう一つ進めておりますのは、塾それ自体の経営のあり方、その姿というものがどういうふうになっているか。これも大体調査表ができ上がりました段階でございまして、これを全国的に行う。そうして実態を把握する。これが一応業者ストないしは塾に対する対応として私たちが本年度進めてまいったことでございます。  なお、第三点といたしまして、さような方法をして調査をいたしましたところで事態が簡単によくはならない。その全体の事態をよくいたしてまいりますことはまた文部省一つの重要な責任でございますから、これにつきましては、私は就任以来四頭立ての馬車などと申してまいりましたが、やはり社会における学歴による賃金差を狭くしていくということ、これが重要でございますので、この春先に労働省との連絡会議を開いてこの問題について労働省の協力を求めました。なお、文部省がやりますあと三つの点、大学入試の改善、さらに大学格差の是正、さらにまた教育課程教育指導の今後のあり方のそうしたものについての改善、これは詳細にわたるので省かしていただきますが、その四頭立ての馬車と申しておりますものは、いま一応全部、馬は並んだ、これから走り出すところであるというところにやっとまいったわけでございまして、大変時間がかかって速やかに状況を変えることができないことは微力の結果であると考えますが、望むところはさようなところにあり、それをようやく政策の面において形を整えることができたことを御報告したいと思うわけでございます。
  30. 久保亘

    久保亘君 いまの問題に関連をいたしまして、いま全国的に教育課程の改善の研究会などが教育委員会現場との協力の関係で持たれているように思いますが、この教育課程の改善の研究会などが開かれる場合には、現場の実際に教育の実践に当たっている教師たちの意向が十分配慮されるようなことについて行政の側は最大の考慮を払う必要があると考えております。こういう問題は、ただ単に官制の形で進められればよいというものではなかろう。現場の実践に当たっている教師たちの意向が十分反映するような形にこの教育行政の側は十分配慮をしてやっていくということについては、いまからこのような問題も含めて非常に重要なことではないかと思うのですが、このことについて大臣の見解を簡単にお聞きしておきたいと思います。
  31. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) まず教育課程審議会の構成メンバーは、私の就任いたしましたとき多分二十人であったと思います。さらにそれを四十人にふやしました。現在は六十人で最終答申をやっていただいております。ふやしました大部分は現場関係の方々でございます。したがって、まず三倍増したという形で現場意見を反映する。さらにまた公聴会を何回も開きました。日本教職員組合関係の方では梅根先生にも繰り返しおいでを願ったわけでございます。  しかしここで一言申し上げておきたいのは、教育課程審議会の答申に基づいて教育課程が変わりますのは昭和五十五年、教科書の姿で変わってくるのは大分先でございます。そうすると、それまでの日本教育はどうなるかということでございますが、そこで本年度、先ほど申し上げましたように、いろいろな種類の研究校が先般来全部リスト合わせて計算をいたしますと、千三百でございます。来年度は、これがもっとふえる予定でございます。そこで教育課程だけが変わる——教科書が変わったらすぐ教育がよくなるというものでは、私はないと思うんです。やはり現在の教育課程でももっと先生の創意工夫が生かせるというふうになれば現在でもよくなり、さらにそこで教科書が変わればなおよくなるというものだと思いますから、この五十二年からはそういう研究指定校となっております、来年は千三百以上のはずでございますが、そういうところのインフォメーションの交換をもっと活発にいたしまして、そしてそこからいろいろ創意工夫が出てくるわけでございますから、そういうものをお互いに交換する。あるいは、教育委員会を通して文部省もその意見というものを吸収していく。そうして、五十五年に教科書ができてまいりますから、その場面に生かしていくというような形で進めているわけでございます。  要約いたしますというと、ですから、教育課程をただ、上の方で変えれば教科書は変わって、めでたしめでたしという考えはとっているのではなく、もう来年からもっと明確な姿で研究指定校を活用いたしまして、そこの研究成果というもの、これが将来の教育というものに生きていき、新しい教科書とのうまく関連、連動していく、そういうふうに政策を展開していくべく準備を進めている段階でございます。
  32. 久保亘

    久保亘君 時間がありませんから、教育課程の問題については、また日にちを改めてお尋ねをしたいと思います。  ここで、五十二年度文部省概算要求に対して一部報道されるところでは、大蔵省がかなり厳しい態度をもって臨むという方針のようであります。それもただ単に、財政上予算規模を圧縮するというのではなくて、文部省が国民の要求にこたえて今日まで積み上げてまいりました文教政策の根本に触れるような、なたをふるうという考え方が報道されているようであります。この点について、文部大臣のこれらの問題に対する考え方をしかと承っておきたいと思うんであります。  一つは、小中学校の教科書について所得制限により一部有料化する方針を大蔵省は検討中ということのようでありますが、この大蔵省の教科書に対する原則は、有償化する、そして、特に援助をすべき者について財政的な援助を行うという方針のようでありますから、このような伝えられる方針が現実のものとなるとするならば、これは文部省がこれまでとってまいりました義務教育に対する政策の根本的な変更になってくるわけです。この問題が一つ。  それから、育英資金の返済に五%程度の利子をつける。そして、この教職についている者については返済免除の措置がありますが、これらの特別措置を廃止するという考え方のようであります。このことも、育英事業の従来の考え方を根本から覆すものであります。  その次に、国立大学の授業料に学部ごとに段階制を設ける。特に医学、工学については、かなり大幅な値上げを行いたいという方針だと言われております。このことも、従来の国立学校の授業料のあり方を抜本的に変えることになります。  その次に、私学の経常費の助成について文部省では五十二年度概算要求についてもかなり御努力になったようでありますけれども、大蔵省は五十一年度並みに押えるために人件費の増大を極力抑制する、こういう方針のようでありまして、このことは私学の振興という立場、特に振興助成法を昨年成立させました立場からいたしますと大変な逆行であります。このようなことが現実に五十二年度の予算編成においてあらわれてくるといたしますならば、永井文部大臣の就任、在任下においてわが国文教行政が非常に大きな逆の変革を行うことになるだろう、こう思いますので、これらの問題について大臣は、不退転の決意をもって断固として、このような大蔵省の方針が現実的なものとなってまいりますならば闘うという決意をお持ちかどうか、その点についてお伺いをしておきたいと思います。
  33. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) まず、昭和五十二年度の予算につきまして、ただいま久保委員から御指摘になりました大蔵省の考えがあるということを新聞の報道等によって知ったわけでございますが、私どもの方としては、全くこれと違う、つまり新聞報道と違う概算要求を大蔵省に提出をいたしまして説明を終わった段階でございます。新聞に報道されましたようなことにつきまして、文教予算の大幅削減ということについて大蔵省当局から私どもは何事も聞いておりません。したがいまして、文部省の基本的な方針は、これは検討に検討を重ねた昭和五十二年度予算概算要求でございますから、その内容というものをまずでき得る限り実現するように努力をする、これが第一の原則でございます。したがいまして、いろいろと先生が御指摘になりましたような事柄は、これは報道されていることを承知いたしておりますけれども、たとえばその中から教科書有料というふうな問題を取り上げますと、この教科書というものを現在有料でなくしておりますのは、やはりわが国教育が義務教育である、そして義務教育の水準を保持する上から主たる教材として教科書を使用するということ、そうした考えに基づいており、またそれは憲法二十六条の義務教育無償の精神を広く実現しようとするものでございます。したがいまして、そうした考えに基づいて昭和三十八年度から全額国庫負担によって実現されてきたものでありますから、これを社会保障的あるいは就学奨励的目的のものと見るのは間違いであるというふうに考えますから、かようなことが出てまいりました場合には、仮に、まだ聞いていないのですから出てきていないのですけれども、ございます場合には、当然従来の原則を守っていくべきものと考えます。  その他、育英資金あるいは大学の授業料のあり方等いろいろございました。これもすべて私どもの方が出しております概算要求とは違うものでございますので、私ども概算要求というものをでき得る限り実現するという方向で進んでいくわけでございます。もし報道されておりますようなことが大蔵省から伝えられた段階におきましては、いま義務教育についてはきわめて明確に申し上げましたが、それぞれのものについて私ども考えを明確にいたしたいと思います。
  34. 久保亘

    久保亘君 単なる予算上の措置と財政上の措置という問題ならば私は、従来の予算編成のことを考えてみましても、文部省概算要求どおりに全部大蔵省が認めるというわけにはまいらぬだろう、こう思います。しかし、政策の基本を変えているというような問題については、文部省として重大な決意をして要求を貫徹すべき問題だと思いますので、その点についてはいま大臣の決意を伺うことができましたから私どもも十分今後この予算編成に向けて、これらの問題については重大な関心をもって見守っていきたいと考えております。  次に、私は特殊な問題についてひとつお尋ねをしたいのでありますが、先ほど教師論というような立場でいろいろお話がございましたが、私はその教師論という立場に立ってみましても、また私学の経営という教育的な経営という立場に立ってみましても、はなはだ問題が多いと思われます鹿児島の国分市にあります坂元学園の問題について、監督官庁である文部省考え方をお聞きしておきたいと思うのであります。多分、大臣はここにあります元この坂元学園、九州学院大学教授大田富蔵氏が書かれました坂元恵義——理事長兼学長であります坂元恵義氏の反道義的、反法律的、反教育的事実の調査建白書をごらんになったことがあると思います。この中に書かれてあります問題は、もう数年来いろいろと現場においては取りざたされ、しばしば争いとなってきた問題であります。これが最近になりまして、この学園の理事長兼学長であります坂元氏が、独断でもってこの大学を千葉県の船橋市に移転をさせるということを発表をいたしましたために、大変な問題となりまして、現在この学園は学生の手によって封鎖され、すでに二十数日を経過いたしております。学長がこの問題について学生と話をしようともせず、全く傍観をしておりまして、そして、場合によってはこの学園がつぶれてもいいというほどの考え方を持っておられるようであります。で、私は、この問題はいろいろな立場から争われます学園の紛争などとは全く違ったケースでありまして、一方的、独断的で、大田氏が言われておりますように、反道義的、反法律的、反教育的な学校経営に対して、学生、生徒、教職員、それに今度の事件を契機にいたしまして、在学生の父兄も含めてこの学長に反省を求め、退陣をしてもらわなければ、もうこの学園は教育の場として存続し得ないという危機感を持って争われている問題なのであります。多分、文部省は高等学校を持っております関係で、直接この関係をいたしております鹿児島県の学事担当からも事情を聴取されたと思います。また大学関係からも事情を聴取されていると思いますから、その事情聴取の結果、及び文部省としてこの学園の問題についてどういうようなお考えをお持ちなのか、その点から最初お尋ねいたしたいと思います。
  35. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) まず文部省としては、この学園の問題に非常に関心を持っております。とりわけ事態が緊迫いたしてまいりまして、そうしていまのような学生も授業を受けない、あるいは受けられないという状況であり、父母の間にも不安がある。また大田氏が書かれた文書は私も拝読をいたしました。そこで文部省といたしましては、ただいま御指摘がございましたように、高校もございますし、また地元でございますので、鹿児島県の学事文書課等において調査をしてもらいまして、そうして資料を集めているということが一つでございます。それから従来からも坂元学園の理事の方にお目にかかって、何とかこの紛争を解決するということを要望いたしたこともございます。しかしながら、それだけで不十分であるということは明らかでございますので、事態の進行を鹿児島県の学事文書課で把握してもらいながら、他方それでも解決しないときには、さらに理事長と話し合うということも考えておりますが、詳細に入ります前に、昨日、本日というところで進行していることを申し上げますと、次のとおりでございます。  本日の鹿児島新報に載っておりますが、また文部省では県の学事文書課から報告を受けているわけでございますが、昨日坂元理事長は記者会見をいたしました。記者会見には二項ございまして、理事長、学長を現在兼務しているが、この兼務は適任者があれば分離する用意がある。実は自分はこのことを数年前から考えていた、これが第一点です。それから第二点。昨日、教授、助教授を招集し、学内から学長候補者を推薦してほしい旨を説明した。これが記者会見における発言でございます。さらに父兄の方について申しますと、きょう——十四日でございますが、明後日——十六日には全父兄総会というものを招集する予定でございますが、後援会側はこの集会に参加しないよう父兄に対し電報で連絡しているという向きもございます。そこで、この父兄総会というものは、どういう姿になるかというのは、本日の段階ではいささか予測をしにくい側面をはらんでいる。  まず、本日の緊張した段階ではどういうことが進んでいるか、一つは坂元理事長が前よりはいわば進んだ形で解決の方向への自分の態度を表明されたということがあり、他方はやはり父兄総会などをめぐっては相当な対立関係が残っている。この問題は相当複雑でございますから、詳細必要なことは、先生の御質疑に応じまして、管理局長並びに大学局長からお答えを申し上げます。
  36. 久保亘

    久保亘君 それでは、いま理事会のお話がございましたので、理事に面談して紛争解決を要望したというお話でありますが、この学園の理事は五名おりまして、一人が学長を兼務いたしております創設者の坂元恵義氏であります。もう一人が学長の奥さんであります。それから学長が連れて参りました知り合いの事務局長を兼務いたしております常務理事、それかららそのほかの二人は、一人が九十一歳、一人が七十五歳の人を、この自分の親しい関係の人を理事に据えておりまして、ここでは事実上、理事会というのは、学長の完全な独断で何事も行われるという状態になっております。九十一歳の方は鹿児島市におられるのでありまして、ここまで理事会で出かけるなどということは、たまにおいでになるようでありますが、大変むずかしい状況のようであります。なお、監事には六十六歳と八十歳の方を任命をいたしておりまして、ここはもう完全にこの方の独裁的な運営でありまして、この大田建白書にもありますように、それからまたかねてのいろいろな言動の中でも、学校といえども、学園といえども、一私企業であるから、もうけにゃいかぬというのはこの方の主張のようでもあります。それでいろいろ問題があるのでありますが、まず私学の役員会の構成がこういう状態にあることは、一般的に望ましいことであるのかどうか。
  37. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 私立学校法の中に、私学の役員構成につきましては規定がございまして、親族関係者が二人以上入ってはいけないとか、そういう意味の規制はございます。同族支配になってはいけないという意味の規制がございます。あとそれ以上の、法的には何ら年齢制限とか、あるいは資格制限というものはございません。しかし、おっしゃいましたように学校の、私立学校の運営というものは、これは単なる私立学校でございますから私的な基盤の上に立っているわけでございますけれども、同時に、私立学校というものは公共性を持っている一種の公器でございますから、そのメンバーは識見のある人、あるいは有能な人、幅の広い人を連れてこなければならないということは御指摘のとおりだと思います。ただ、これは認可をいたします際に、法人の設立の認可をいたします際に文部省では指導をいたします。まず法令に触れていないかという点が一つと、それから二番目にはできるだけ適切な人を選ぶようにという指導はいたしますが、一度設立されました後で、それがまた変えられるというような場合には、認可事項にはなっておりませんので、届け出というようなことになっておりますので、直接的な法的な強制力を持ってどうこうすることはできませんけれども、指導としては、おっしゃいましたような、できるだけ適切な人を選ぶようにという方針で対処いたしておる次第でございます。
  38. 久保亘

    久保亘君 ここにその一つの問題があるということを十分承知しておいてもらいたいのであります。  次に、この大学に対して現在経常費の補助はどうなっているのか。私、時間がありませんから私の方で少し申し上げますが、私が調査をいたしましたところでは、この大学に対する経常費の助成は、四十七年、四十八年は文部省としてはここには経常費の助成を差しとめておられるはずであります。四十九年度以降は改善されたというようなことでもって大学と短期大学に対して総額で幾らになりますか、七千万ぐらいの助成が行われていると思います。それから私学振興財団の方では四十六、四十七年、二年次にわたって五億七百六十万の融資を行っていると思います。なお、これらのものは融資残として多額のものが残っていると思います。しかもここにはまたほかに安宅産業の系列会社であります安宅建設に対して数億の負債があると聞いております。こういうような経理の状況についても一切、学長以外の者は知ることができないような状況でありまして、私もいろいろ調べましてようやくこれだけのことがわかったのでありますが、四十七、四十八年度、この学園に対する経常費助成を打ち切られた原因は何でしたか。それから四十九年度復活されたのはどういう理由か、その点を御説明いただきたいと思います。
  39. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 実はこの学園の事務処理につきましては、私どもも必ずしも適切に行われておらないという感じを持っておりまして、常日ごろ指導を進めておったわけでございます。それで経常費助成に当たりましても、大学側につきましては四十五年度は創設当初でございますから当然助成の対象にならないということで、四十七年度から助成の対象になり得たわけでございますが、四十七年度学校側から辞退しております。われわれの方の指導もあって、こういう状況ではなかなか出せないぞ、というようなこともあって辞退しました。それから四十八年度は、さらに申請がありましたけれども、やはり事務処理がこれじゃだめだということで事務処理不適正の理由をもって差しとめております。それでそういう指導の後に多少の改善が見られましたので、四十九年度資格の金額の五〇%を交付しております。半分だけ交付しております。で、その金額はちょっと先生のおっしゃいました数字と違いますが、短大と大学合わせますと千九百四十四万三千円……。
  40. 久保亘

    久保亘君 いや、ぼくは四十九と五十と合わせて言ったのだ。
  41. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) そうでございますか、じゃそれはそれで、四十九年度がそれでございますね。五十年度はこれは七〇%ということでこれもまだ多少改善の余地が残っておるということで減額して支給したわけでございます。五十年度分が五千四百七十一万一千円でございます。  それから私学振興財団の方からは四十六年度に二億七千万円、四十七年度に一億九千万円貸し付けております。これにつきましてはもちろん私学振興財団の方に貸し付けの基準と申しますか、事務処理の原則がございまして、その財団の対象となる学校の法人の財政状況等十分勘案して、担保力が十分であるかどうかというようなことを勘案した上で申請の坪数、申請の金額に対して査定を加えた上で貸し付けておるわけでございます。で、いまおっしゃいました安宅産業に対する負債などというような要素も十分勘案いたした上で、その限度の中で貸し付けたものと考えておる次第でございます。
  42. 久保亘

    久保亘君 いまお答えで、四十七年度は、文部省からおまえのところにはそういう状態では助成金は出せないぞと言われて、学校側が辞退した。四十八年度は改善されないので交付しなかった。四十九年度は五〇%、五十年度は七〇%しか交付しなかったということは、この学園は、内部に経営上非常に問題があるということを文部省も数年前から——数年前からというよりは創設当初から十分承知せられておったということであります。しかし、これらの経常費の助成や私学振興財団の融資の状況について、学園の実態を関係者が検査されたことがあるのかどうか、それはどうなっておりますか。
  43. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 経常費助成を行うにつきましては、当然その必要な書類をとりましてまず第一に書類上の審査は当然いたすと思います。それから必要な証憑書類等をとりましてその段階で処理する面もございます。ただ、特に直接調査をするかどうかということでございますが、これはすべての場合に全部直接調査をして経常費助成をするということではございませんので、書類その他の上であるいは証憑書類を見た上である程度の改善が認められれば、適切であると判断すればこれを、助成金を出すというようなことをやっておるようでございまして、それで、経常費助成に対して実際に実地調査をしたということを私聞いておりませんが、財団の方で貸し付けを行う場合に、四十七年の九月それから四十八年の十月、二度にわたって調査をしておるという報告を聞いております。で、その状況等も文部省の方へももらいまして、経常費助成の場合にも参考にして、そして二年度にわたって減額ではあるが交付をしたということであると考えております。
  44. 久保亘

    久保亘君 いや私は、私立学校の経営に対して文部省が不当に行政介入をされることは避けるべきだと考えております。しかし、国費をもって助成を行い、融資を行う場合にこのような問題があるということを、文部省が経営者のやり方に問題があるということを十分承知しておられて、それが数年続いて有資格の全額交付もできないような大学であるということがわかっていながら、やりっぱなし、貸しっぱなしということでは問題が大きいと思うのであります。だからそういう点についてきちんとすべきではないか。なぜそういうことを言うかといいますとね、父母たちもいろいろな形でこの大学に金を徴収されておるわけです。しかし、それらの使途について報告を受けたことはないのです。もうここで例をお話ししますと三時間ぐらいかけないと説明できないぐらい材料があるのです。しかし、私がその中の代表的なものだけを申し上げますが、一つは、入学する学生に強制的に学債を引き受けさせております。学校債券。この学校債券の発行が、どこの認可を受けたのか知りませんけれども、領収書だけでもって、債券は納めた者に渡されないんです。ただ謄写版刷りの領収書でもって学校債券十万円ということで、全部学校に徴収されていくわけです。年利一分ということになっているようです。こういうような債券の発行について、学校法人というのは自由裁量でもってどんどんやれるのかどうか。それから、この債券の発行については、債券は現実に発行せず領収書を渡たすだけで足りるのかどうか、こういう点は監督官庁としてはどういう御見解をお持ちですか。
  45. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) まずちょっと経常費助成につきましてのその事後の措置でございますけれども、これは当然会計監査の対象になります。会計監査の対象にもなりますし、もし不正であるということになりますればこれはどしどし、国民の税金でございますから、摘発していかなければならない。そういうふうに考えておりまして、現に学校法人によってはそういう点で問題にされたところもございますし、それに対して私ども、そういう意味からは手ごころを加えるつもりは持っておりません。  それからもう一つ、坂元学園の場合になぜ、事務処理不適正であるというふうな一度判断をしておきながら、後で金額を出したか、助成金を出したかということでございますが、やはりその学校が少なくとも社会的存在意義を持って学校教育をやっておるという実態があり、そしてその出された金が不正に流れる、その金自体が会計検査に引っかかるようなことで使われる心配はないであろうということがある場合には、多少減額というようなことがございましても出すようにいたしておるわけでございます。ただし、もしそれが何か会計検査に引っかかるような不正が行われているという事実が出てまいりますれば、当然これは返還を命ずるというような措置をこれからとってまいりたいと思うわけでございます。  それで、私ども私学学校法人の経営を監督いたします場合に、やはりそれは必要最小限度、国民の税金が正しく使われるという必要最小限度にとどめたいと思っておりますので、たとえば、学債を募集するというような場合にそういったものも一々届け出さして認可を得るとかあるいは報告させるというようなことはやっておりません。ただ、全体的な財政状況については随時指導するようにいたしております。したがいまして、いまのお話のような学債のような場合に、事細かくそこまでの指導は積極的にはいたしておりません。
  46. 久保亘

    久保亘君 それじゃ一般的に——時間がないから、答えは簡単にやってください。学校債券というのは、学校法人の場合にはもう形式も何も問わず、学長の裁量で理事長の裁量で自由に発行していいものですね。
  47. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 文部省としてそういうことをしてもよろしいと言うわけにはいかないと思いますけれども、民法その他の法令上適切な形でそういうことをされることについて、あるいはそれが不当な、父兄への重圧にならないということの限りにおいて積極的にそれをしてはいけないというようなことは申しておりません。
  48. 久保亘

    久保亘君 わかりました。これは民法上のそういう問題も何にもない、現に債券がないんだから。ただ、学債として割り当てたから金持ってこい、それで領収書を出している。この大学がほかにやっていることは入学時に推選入学がほとんどなんです、この大学。私学振興寄付金という名義で、不思議なことに入っておる学生によって二万円納めさせられた者もおれば、三万円の者もおれば、五万円の者もおって、いろいろあるんです。後から学生たちはおれは五万円とられた、おれは二万円とられたという話になって、いま学生は騒いでおるわけです。  それから、授業料を納入期限を一日でもおくれたら事務室で延滞金という欄をつくりまして、一日でも納入金がおくれれば五千円ぱっと取るんです。そして、もしそれを学生が拒否すれば納めた授業料の中から五千円未納という形にして五千円を延滞金に回すということをやっているんです。そういう金がどういうふうに使われているのかということについては全くわからない。  それから合格通知を、二次試験受けたり補欠で入れてやるとかいって、合格通知をいっぱい出しておいて、納付金は返さないということで納入金を何十万円というのを取るんです。取ってしまってから、君は補欠入学であるから特別寄付金を五十万よこせ、こういうことで取り立てる。納めなければ入れない。中には非常に元気なのがおりまして、そんならもういい、私はもう学校に入らぬ、と言うと、じゃ、君はいいよ、といって、取らなかったり、それで黙って納めた人は五十万とられた。そういう経理上も、この学校の納付金についても非常にむちゃくちゃなことがやられているようであります。そうして地元の新聞にも今度の争議に関して書かれておりますが「坂元学園の坂元恵義理事長のワンマン経営ぶりには、学園内外でマユをひそめる向きが多い。」と。これは新聞の解説記事であります。「五年前、研修センター名目で約一億円をかけてつくった建物を私邸として私物化、教育施設とは認められず、邸宅として税金を追徴されるなどひんしゅくを買ったこともある。」、こういうことで、研修センターでここは学生が自由に使うところ、教師の研修の場である、学長と学生の対話の場所として使うんですということで、地元の人たちから一坪二百五十円ぐらいで買い上げた土地に一億円、数年前一億円かけて堂々たる学園本部と称する研修センターと称するものをつくって、そこに自分が住んでおるんですよ。そうして光熱費も全部学校の校経理で払わせるということをやっているのではないかと、こういうことで父兄たちは非常に不信を持っておるんです。  それだけではなくて、まあこれは私的なことでありますから、私も詳しく知っているわけではありませんが、最近になって、子供さんもおられぬ学長御夫妻が、この学園のあります周辺の市町村に自分の個人の家を四カ所も買われているんです。それで、もう父兄たちは一体おれたちが払った金はどうなっているんだろうかということで、非常に不信を持っているわけです。ことし入ってきた者には武道館建設寄付金として二万円徴収した。ところが、武道館はいつ、どこに建つのかという計画は全然知らされない。まだ影も形もないんです。そしてこの募集要項見ますと、学園に付属する霧島の家というのがあって、ここには温泉をつくってどうこうと書いてあるんですが、この霧島の家というのもいつの間にか消えていく。それだけではなくて、周辺の市町村に山林をやたらと買いまくって、そうして広大な山林を学有林として所有しているんだそうですが、一体何のために買われているのかもわからない。そんなことがいっぱいありまして、この大田建白書なるものを見てまいりますと、もう全く道義的にも教育的にも学長や理事長として、先ほど高橋先生も言われましたように、もう教師人格としてこの人は失格しているんじゃないか。だから、いま学生も父兄たちもいろいろな立場で争っているんじゃないんです。これはこのままでは子供たちがかわいそうだ、学生がかわいそうだというので何とかしなければならぬということで、監督官庁である文部省の指導を非常に強く期待している面があるわけです。  なお刑事上の問題として発展する可能性もありまして、父兄や学生の中には学長兼理事長を告発して問題にするといわれている向きもあります。それは金銭上のトラブルもありますが、それだけではなくてこの募集要項が全く虚偽の募集要項でだまされて、この学校に入れられたということなんであります。ここの中には、この学部の中のここを卒業すれば、二等航空整備士課程を終了した者はその国家試験の実技試験が免除される大特典があるということを、あっちこっち書いて宣伝してあるわけです。そういうことは全くありません。入ってきてから学生はそのことを知るわけです。高等学校の募集要項では、同じ地域にあります公立高校に合格した子供がですね、なぜここの坂元さんの付属高等学校にあえて希望して入っていったかと言えば、特典ということで二級自動車整備工場認証校である、三級自動車整備士国家試験受験資格取得、実務経歴免除と、こういうことが募集要項に書いて配られるわけです。それから、電気の電子科に行きますと、第三種電気主任技術者免除校、こう書いて配られる。ところが、入学した生徒たちはそれが全くうそであったということを在学中、卒業する段階になって知るわけであります。それでこういう虚偽のですね、募集をやってもいいのか。これが学長の全く独断によってやられている。特に、この人はそういうようなことが非常に平気なんでありまして、この大学高校を卒業する卒業生の卒業証書には、坂元学園理事長、九州学院大学学長工学博士坂元恵義と書いてある。ところが、この人の工学博士というのは最近お取りになったんでありまして、アメリカの何とか——大学などは存在しない。アメリカ国際大学とかいう、よくいろんなことで宣伝するために、おれんとこに何ぼか金を持ってくれば学位をやるというやつがあるのですね。それに何か百万円納められて、それも何か国税庁からこういうものに学校の金を使ってはいかぬという指摘をされたといううわさがあります。で、そういうとこでお取りになった学位だそうです。この工学博士という称号を募集要項にも大きく掲げられておりますし、卒業証書にも刷り込んでおる。私が聞くところでは、文部省はですね、正規の学位として文部省が認めていないものを僣称してはならないという通達をされたことがあると聞いているのですが、そういうことから考えますと、この人が全く日本で通用しない学位を、工学博士という称号を僣称してですね、それで募集要項や卒業証書に刷り込み、学生たちを欺瞞している。こういうことについて、この大学の学生たちはいま非常に問題にしているわけであります。だから、こういう先生のもとで、こういう学長のもとでわれわれは教育を受けることには非常に不本意である。だから、何とかしてですね、こういう教育者にあるまじき、学園の経営者にあるまじき立場の人たちは、監督官庁の文部省で十分にこの指導をしていただいて、是正をしてもらいたい、こういう気持ちを持っているわけであります。こういう点については、文部省は承知されておるんでしょうか。特に、募集要項の虚偽記載、学位の僣称、こういうことについて承知されておるならば、どういう指導をされているのかですね、お聞かせいただきたいと思う。
  49. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) まず、御指摘の航空工学科における航空整備士課程の件でございます。  御指摘のように、この航空整備士課程につきましては、学則変更の届け出をしないで、まず置いているということに問題がございます。さらに、運輸大臣の指定を受けていて、実技試験の免除が得られるものと受験生が誤解するような形で募集要項に記載がされている、実際は指定を受けていないという点も御指摘のとおりであります。この点については、九月の三日にこの大学の坂元理事に対して是正方を要望を私どもの方からいたしております。  それから、工学博士の件でございますが、これは四十八年に大学学術局長名をもって注意をしたこともございます。米国国際大学なるものの発行をしている、いわゆる正規の学位でない学位でございます。また、この大学自体が学校教育法に言う大学ではもちろんないわけでございます。そういった者が工学博士として表示されるということは、きわめて適当を欠きますので、これまた九月三日に坂元理事に対して是正方の指導をいたしているところでございます。
  50. 久保亘

    久保亘君 私、余り個人的なことを言うのは問題ですが、早くこの大学の紛争を解決しないと学生たちは正規に卒業できないような状態になり、大変気の毒だと思うんですね。その数年来もう積もり積もったこの学園の中の問題を文部省が正確にとらえて十分、この解決に対して文部省としてなすべき当然のことをやってもらいたい、こういう気持ちからです。この募集要項にはなおこの機材などについても、本学IBM一四一〇型コンピューター機器としてりっぱな設備がしてあるように写真が出ている。ところが、大学に行って調べてみますと、これは作動するのは一台もない。全部これはどこかの会社から中古のものをもらってきて、これを実際にそろえるとすると莫大な金がかかるのです。だから使えないものを置いておいてそういう宣伝をする。こういうものに対して学生は魅力を持って入ってくる。こんなばかげた学校経営が許されるとするならば、私たちは、監督官庁の文部省としても問題だと思うのです。で、しかもこれが私が教官から聞くのでありますが、産振の補助金で買うた教材用の自動車が学長夫人の専用車になって廃車になるまで使われた、こういう話もある。また産振の補助について、大学高校で両方補助を受けておいて買うものは一つ大学の方を検査に来るときは大学の方に持っていく、高校の方に検査に来るときには高校の方へ持っていくということをやっているのではないか。だから、何か検査があるというと、教官たちはラベルの張りかえなんかをどんどんやらされるというのです。こんなばかな反教育的な経営者がわが国大学教育責任者として許されておってはいかぬ、こういう気持ちがいたします。  ここには女子の短期大学を併設いたしておりまして、この女子短期大学ども教授陣容についてもいろいろまだ話せば問題があります。午後また引き続き同僚の議員から質問があると思いますが、自分の御夫人を、踊りのできる人だそうでありますが、この女子短大に行って踊りを教えている。そうすると、前の年は学生に示された教官組織の中で講師と書いてある。翌年は教授になっているのですよ。その一週間に一遍来て踊りを教える先生が、学長の奥さんで教授になっている。で、そういうふうなことも平気でやられておりまして、これじゃ、大田建白書なるものも私は最初はずいぶんひどいことを書いてあるから本当だろうかと思っておりましたけれども、内情をずっと聞いてまいりますと全く話にならぬ、こういうことであります。特にこの募集要項などによって、この詐欺的なやり方でこの大学高校に入学せしめられた学生生徒の中には、学長を告発する、こういう動きもあるようであります。父兄もまた最初は後援会として動いておられたようでありますが、学長が、後援会が学長に対して批判的な立場に立たないように、後援会長や後援会の主要な役員というのは、自分の親しい知人で、子供はそこの坂元学園におらない者を据えて、そして在学生の父兄は全部後援会にしていくという状況をつくっておりました。最近父兄は、これではだめだというので、在学生の父兄でもって父兄会をつくろう、そういう動きになりまして、明後日その会が持たれると私も聞いております。  こういうようなことをずっと総合的に判断をしてまいりますと、これは極端に言うならば、大学を、この学園を私物化し、そして学校法人、学園経営というのを全く金もうけの手段として考える。一般の事業家でも、資本主義の一つのやはり倫理というのがある。この人にはこれを私企業として認めてやったとしても、その倫理さえもない。そういうようなむちゃくちゃな経営がやられているということに対して父兄が怒りを感じておるわけであります。で、父兄の中にはぜひ、県や理事とお会いになったというけれども、そのお会いになった理事は学長の奥さんでしょう。学長の奥さんとしかお会いになっておらない。そういうことではなくて父兄の代表、それから金を納めた父兄の代表、子供を預けた父兄の代表、それから学園の中でそういう数々のこの不正とおぼしき学校経営を見せつけられながら、間違った方法で募集されて入って教育を受けてきた学生の代表、こういう人たち文部大臣に直接私たち意見を聞いてもらいたい。もし、文部大臣は、こういう人たちが自分たちの立場を述べたいと言われるならば、あなたの余裕のある時間でこれらの方々の事情をお聞きになる御意思がありますか。
  51. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 意思はございます。ただ私は、実はいまの募集要項の写真、学生諸君が集めた新聞記事の切り抜きのスクラップ、これ実は全部届けていただきまして、ほとんどまず、くまなく読みましたが、なおその上に御説明があるということであれば喜んでお目にかかります。
  52. 久保亘

    久保亘君 それから今度は管理局長ね、私がいま申し上げましたような事情はあなたも大体御存じのことが多いのじゃないか。これだけの実態を——まだ話せばずいぶんたくさんあります。これだけの実態があって起きているこの学園紛争について、文部省として理事長を直接呼んで厳重な指導を行うということは必要だとお考えになりませんか。
  53. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 先生指摘のように、この学園のあり方につきましては大変問題が多うございますので、時期を見まして理事長を呼んで指導するというようなことも考えてみたいと思っております。
  54. 久保亘

    久保亘君 時期を見てということは、あなたもいろいろお忙しいでしょうけれども、現にこの学校は正常な学校の運営をストップしてからもうすでに一月近くなろうとしているのです。それで場合によっては、学生たちは卒業できなくなる。そのことについて理事長は、卒業できなくなってもしょうがない。こういうようなことでうそぶいておられるわけですが、それではぐあいが悪いので、速やかにそういう措置をお取りになるべきじゃないでしょうか。
  55. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 時期を得てと申し上げましたのは遷延する意味ではございません。時期を失しないようにいたしたいと思います。
  56. 久保亘

    久保亘君 大臣の方で、学生や父母の代表の意見もお聞きくださるということでありますし、また理事長に対しても直接文部省として招致をして指導を行われる、こういうことでありますから、その結果を注目をしたいと考えております。  最後に、この事件の発端となりましたのは、学長が一方的にいろいろそういう学生とのトラブルがあったり、教官とのトラブルがあったりするもんだから、何か船橋市に私鉄の会社が持っている土地に目をつけてそこへ大学をまるごと移してやろう、こういうことでやられたのが発覚してこの事件になったわけです。そうしていままでの問題がずっと出てきたわけです。ところが、最近になって、それじゃ移転はやめた。移転はやめたが、千葉には別の大学をつくるとこの経営者が言うておるのです。いまある大学と同じようなやつを今度、千葉でもってやろうと、こういうことです。それだから、そういうものが新設が許されるのかどうか、そういう点について局長の御意見を聞いておきたいと思います。
  57. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) いまおっしゃいましたような状況であるとすれば大変むずかしかろうと思います。特に最近は特別の必要がない限り、大学の新設は認めないという方針文部省はとっておりますし、そういう状況でございます。
  58. 久保亘

    久保亘君 時間が参りましたので、一応私の質問はこれで終わりますが、この問題については、先ほど申し上げましたように、問題が問題でありますだけに、ひとつ文部省としては時期を失せず、しかも解決ができるようなその努力をしていただきたいと思います。強くその点を要請をいたしまして私の質問を終わります。
  59. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、休憩いたします。    午後零時五分休憩      —————・—————    午後一時十五分開会
  60. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、教育文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  61. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 午前中、同僚の久保委員から、この九州学院大学の問題について質疑がありましたんですが、私は、久保さんの総論に引き続きまして、少し各論をやってみたいと思います。  ただ、その前に、先ほどのお話を聞きながら非常に強く感じておる点があるんです。  先ほどは、具体的には学費あるいは学校納入金の問題、研究センターの問題、あるいは募集要項の虚偽の問題、あるいはまた学長の学位の僣称の問題など、聞けば聞くほど奇々怪々な話なんですね。一体、学校法人というものはどういうものだろうか、こういう感がしてならないんですがね。一たび学校法人として認可、許可を得たならばですね、いつまでも、どういう事態が起きてもそのままでいいのかどうか、非常に疑問を私感じておるところなんです。先ほどの局長の答弁によるとですね、学則の変更をしないままにああいうものを記載されたのでは困るという是正方の要望をし、あるいは学位の僣称については四十八年に注意をしたというお話なんですけれども、注意をしただけでそれが何ら守られておらないというかっこうでそのまま放置されていいのかどうか。一体、学校法人というのはどういうものかということを私は疑いたくなるのですが、大臣これどう思われますか、大体このことについて。
  62. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 国立の場合もそうでございますが、私立の大学の場合にも文部省学校のあり方に対していろいろ指導していく場合に、文部省の権限を非常に強化するという一つ考え方もあり得るかと思うのであります。しかしながら、やはりこの大学というようなものはそれ自身の自主性において規制すべきものは規制すべきである。そしてまた、そこに良識あるという前提に基づいて現在の機構ができ上がっているわけでありますから、そこで、先ほど管理局長また大学局長から申し上げましたように、理事者がかわったりする場合にも、当初に考えられていたような考え方というものを守っていただきたい。あるいはまた学位、先ほどの学位の問題につきましても、学術国際局長からのそういう注意、これはいわゆる命令という姿ではないわけですが、そういうふうにいたしますことによって、実は大学学校法人のあるようなところは良識に基づいて御自分でやはり変えていただけると、そういう考え方に基づいて私は現在の機構ができ上がっていると思います。で、この種の問題は、そういうやり方だけで解決し得ない問題が発生する場合にどうするか。一番性急な方法は非常に文部省の命令権を強化することでございましょうが、しかし、そのことはまた他のことに援用されます場合に大学の自主性というようなものを阻害するおそれもあるわけでございますから、御指摘のように非常にむずかしい問題だと思います。  結局、われわれとして現行の構造の中でなすべきことはいまのような要望を繰り返すということのほかに、やはりもう一人の綾子さんという方の理事にはお目にかかったわけですが、今度は坂本先生御自身にもお目にかかるとか、あるいは場合によって鹿児島に文部省の者が出向いて直接いろいろこの問題に対処するとか、現行の構造の中でやはりでき得る限りのことをやっていくということが望ましいのではないか、かように考えながら先般来この問題について担当の局長と話し合ってまいったわけでございますが、現在も事態が非常に深刻であるということが日々わかるにつけてむずかしさは痛感いたしますが、私はやはり、やり方としてはその方向で進むべきであろうかと、かように考えているわけでございます。
  63. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私は、この問題は言われているところの文部省の権限強化の問題じゃないと思うのですよ。たとえば、それぞれ私立学校の建学の方針とかいろいろなものがあって、その教育方針に対して、それは文部省方針に反する、あるいは時の政権に反するとかなんだということについて介入するならこれは明確な介入ですよ。しかし、これはもう教育以前の問題でしょうが、率直に申し上げて。虚偽の募集要項をやるとか、あるいは学費の徴収、いろいろな徴収がでたらめだとか、これならば当然私はこの私立学校法に言うところの、第五条にあるところのやっぱり監督の権限の範囲内の問題だと、こう思うのです。さらにやかましく言うならば、この六十二条ですか、この「解散命令」と関連をするところのこの問題にも私は匹敵しかねない要素を持つところの問題だと思うのですよ。それを単に何回か注意をしましたというかっこうで、依然として四、五年前にやったことがそのまま残されているということで手をこまねいておって、それを何とかやれと言うと、それは文部省の権限強化ですなんというふうに、あたかもぼくらが言うようなことを逆手にとりながら答弁されたって、私は納得いかぬと思うのですよ、これは。教育方針以前の問題ですからね、これは。したがって、そこのところはやはりもう明確なんですからね。もっともっと積極的な手だてというものが果たして学校法人に対してはとれるのかどうだろうかという疑問をさえ覚えるのですがね。  それなら具体的に聞きますが、先ほどは大臣久保委員の質問に対して、学長を呼ぶという話でした。呼んだぐらいでこれは話つく話じゃないのですよ。要すれば、ぼくは抜き打ち的にでも文部省のやっぱり関係当局の皆さんが行って実情調査をするということぐらいの熱意を示さない限り、これはおきゅうにもならぬし、文部省のむしろ逆にこれは監督が怠慢だと言われたって、しょうがないじゃないでしょうかね。その点どう考えますか、大臣
  64. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいまの、文部省がなお一層乗り出していくべきであるということにつきましては、ただいま考慮をいたしております段階であります。日々事態が変化しておりますから、考慮いたしております。  なお、先ほど先生が言われた私立学校について法律上どう考えるべきか、単なる権限強化ということでなく、法に基づいてもこの種のものについてはもう少し思い切った措置が必要ではないかということでございますが、この問題に関する法制上の事柄がございますから、これについては管理局長からちょっと追加答弁をさせていただきたいと思います。
  65. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 私立学校法は、私立学校の自主性と公共性という二本の柱がありまして、その両者の調和というところに苦心が払われておりまして、一方ではその公共性にかんがみていろいろな法人のあり方についての規制する規定があるわけでございますけれども、最終的にその実効を担保する方法といたしましては、個々の事項について一つ一つその認可を受けるという形はできるだけ控えております。設立の当初の際の認可、寄付行為の変更の認可以外にはございませんで、最終的な措置といたしまして、いま先生もおっしゃいました第六十二条に「解散命令」というやつがあるわけでございます。これは最後のものでございまして、「学校法人が法令の規定に違反し、又は法令の規定に基く所轄庁の処分に違反した場合においては、他の方法により監督の目的を達することができない場合に限り、」「解散を命ずることができる。」と、これも限定をつけて書いてございます。幸か不幸か、いままで学校法人がこの条項を適用されて解散させられたケースはないわけで、多くの場合は、それに至るまでにいろいろな方法で是正を図るということでいままで推移してきたわけでございます。しかし、これは法制的には最後にそういう保障があるということが一つございます。  それから最近の経常費助成の発足とともにその関係の監督は強化されてまいりました。その関係においては補助金を受ければ補助金適正化法の適用も受けますし、それぞれの是正措置がとられるわけでございますけれども、それは最大の場合、補助金の返還命令というところにとどまっておる、それが現在の法制のあらましでございます。
  66. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 何も私は、局長にこの法律上のことを答弁しなさいといって求めているのではないのですよ。例があるんだからわかるのですよ、六十二条にね、それがちゃんと書いてあるのだから。それにも匹敵しかねまじきところのいろいろな要素を持っていますよ、この問題は。単に注意をしました、奥さんを呼んで話しました、ということで片づくところの問題ではないでしょうが。だから私は、おたくの方で積極的に行って調べなさいと言っているのですよ。現にいま学生の諸君は、ストライキ中で封鎖されておりますけれども文部省が来て本当に客観的に見てくれるというなら、われわれとしては封鎖を解くことにやぶさかでありません、とさえ言っておるのですよ、これは。ただ、学長一人だけ呼んで話を聞かれたんでは、相当ろ過されますからね。また後から私、具体的に申し上げますけれども、だから私は、いまの大臣の答弁の方から受けるところの話は、場合によっては、文部省から積極的に行くと、こういうこともあり得るのだと、こういうように理解してよろしゅうございますね、そこは。
  67. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 文部省の者がだれか参りまして調査することにつきましては、かねてから大臣とも御相談いたしておりまして、これも時期を失しない時点においてその措置をとりたいと思っております。
  68. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 その点は私は早急にやってもらいたいと思うのです。県の学事課を通して云々という、くつの裏からかいているみたいなことでは、この混乱、あるいはまた紛争というのは、これはいつまでたっても消えませんよ。それだけは申し上げておきます。  それからもう一つ、先ほどの質疑の中で私が奇異に思っておる点は、文部省が四十七年、四十八年の経常費の助成をストップした。形式的には学校から出させなかったというかっこうですけれども、おまえのところは内容が悪いからこれはだめだというのでストップしたということですね。ところがまた、私学振興財団の方は、四十六年、四十七年にいわゆる一億九千万と二億七千万の、これは補助金ですか、税金ですか、あるいは融資、貸し付けか知りませんが、金をやった。こういう答弁であったようですが、そういたしますと、それは一応形式的には文部省と私学振興財団というのは別個の世帯です。こういうものとの関連というのはないのですか。たとえば私学財団法人に対してあなた方は監督権もあるんだから、文部省自体はこの学校は好ましくないぞ、これは問題があるぞと、こう言っていわゆる経常費の助成をやらぬでおって、片一方からどんどん融資をさせるというのだったら、これは抜け道をつくるみたいなものじゃないですか。これは一体どういう仕組みになっているのでしょう、こういうのは。
  69. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 融資の実際の貸し付けの仕事も、それから補助金の実は配分の仕事も実際は私学振興財団を通じてやっております。そして、もちろん私学振興財団は文部省の監督下にあるわけでございまして、われわれの監督のもとにやっておりまして、その間の意思のそごはないように常に密接な連絡をとっております。  それで、融資の場合と補助金の場合と多少観点が違うのは、融資の場合には長期的なものでございますし、相手の対象たる学校法人の状況を見る場合にもやはり長期的に見てその担保力があるか、負債を返還する能力があるかという観点が中心になろうかと思います。経常費の場合には、毎年毎年の経常費の問題でございます。いわばフローの問題で、片方はストックの問題でございます。その違いがあるので多少判断の違いが起きてくるということはあり得ると思います。
  70. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうすると、私学振興財団というのは返還能力があるか、ないかということだけで、これは融資やいろんなものを決めるんですね。たとえば、本当に学校法人として好ましい状況にあるかどうかというのは判断の対象にならぬのですね。そういう運営ですか。
  71. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) もちろんその根拠には、そのもとには、両者の判断のもとには融資して望ましい学校であるかどうかということはあろうかと思います。根本的にその資格を持ち得ないような学校法人に対しては、融資の場合もこれを差しとめるということは当然あり得るわけでございます。
  72. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 やはりその点が非常に運営上あいまいになっているんじゃないかと私は思いますよ。ですから私は、今後の問題として、そういう点をあらかじめ、この学校とここの学校とは文部省としてはこうしている、助成金の問題についてこれはとめておるんだ。ついては、君ら融資をする場合にはどうしようと、こういう相談をしながら、大体世の中で常識的にわかるような処置をしてもらいたいと思うんです、これは。  それで、具体的に次お聞きいたしますが、この移転問題ですけれども、何か文部省は奥さんの理事さんを呼んで話を聞いたという話ですけれども、もう白紙撤回はそのまま白紙撤回になったというふうに素直に理解をされていらっしゃるんですか、どうですか。
  73. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 白紙撤回になったという以外の正式な情報はまだ聞いておりません。
  74. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 だから、素直におたくはそれを信じているだけですね、ただ。
  75. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) いまの段階では、そのことを承知しておるということで、なお詳しく調べたいとは思っております。
  76. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは学校長兼理事長ですから、ワンマンは非常にもう二転、三転しておるんですよ。日時を追うて調べてみましても、この九月の当初のころは新聞に出たようなかっこうを言い、二十日になりますと、今度は移転の計画を学校長名で掲示をすると同時に、記者会見をやっていわゆる移転の必要性をつき、現在の学校はもう分校にしますと、二十日段階ではこう言い、そして今度は、またしばらくして今度は、生徒が反対をしたから、これは白紙撤回をしますと、学生にこう言いながら、記者会見ではその日の午後、本校は千葉、分校は国分に置きたいというふうに考えておったんだけれども、しかし、用地のこともあるので、そう軽々とこの問題についてはあきらめるわけにはいかない、こういうことをやっぱり、のうのうと言っておるんですよね。しかも、父母の皆さんが騒ぎ出したときでさえも、その問題についてはこの父母の皆さんに対して、しかじかかくかくだという説明をしていない。だから、私の手元には、この九州地区の臨時総会の父母総会からこういう二転、三転するようなことで、われわれ信ずるわけにいかないと、こういうような声明書を付したところの陳情さえも上がってきておるわけなんですけれども、私は、いままでの他の先ほど来指摘されているところの問題から言って、学生が反対をしたからということで撤回をする、どうだこうだ、一月のうちに二転も三転もするようなそういう態度は一体、信じろと言って信じられるものかどうかということで、全く疑いたくなるんですよ。それをもし文部省がそのように理解をされておるとするならば、また後に問題を私は、起こすんじゃないだろうかと思いますが、その点、明確に、本当に移転をするところの腹はないのかどうか、計画はないのかどうか。移転をしても許可しないぞ、という言葉を明確に私は理事者を呼んで伝達すべきじゃないかと思うんですが、いかがなものでしょう、この点。
  77. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 理事長を呼びました際には十分その真意を確かめまして、なお客観的な材料も追及できる限り追及いたしまして、あやふやなことのないようにいたしたいと思っております。
  78. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは学校の評議員会や理事会だけでも簡単にできるものですか、一つのところの地域から本校を移すということができるものですかどうですか。それはどういう仕組みになっておるのですか、そこは。向こうに、千葉に分校を建てるというならいいんですよ、今度は逆にするというわけですからね。
  79. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 学校の移転は、これは学校教育法の施行規則によりまして、位置変更の届け出ということ、だけになっております。それから法人の事務所の位置変更ということになりますと、私立学校法によって認可を要します。したがいまして学校限りではできません。いま先生のお話は、また学校の内部で意思を決定する場合にということでございますか。
  80. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いやいや、学校の内部で意思決定さえすれば自由にできるのですかということを聞いておる。
  81. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) その点はいま申し上げたとおりでございます。学校の位置変更だけですと、これは届け出でできる、学校の意思だけでできる。ただし法人事務所の位置変更ですから、主たる事務所はこちらに来てしまって、船橋の方が本校になってしまう、法人の根拠地になるということになりますとこれは認可を必要とする、こういうことでございます。
  82. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 少なくともこれだけ問題を起こしておるところに対しては、仮に、学校長があるいは理事長がそういう意思を持っておっても、いまのところでは文部省としては認可するところの意思はないと、こう理解してよろしゅうございますか、それならば。その主たるところの本校を移すということについて。
  83. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) これは理事長の意思も聞き、仮に誌可か出てまいりました場合いろいろな条件がある。これは審議会の意見も聞く必要もあろうかと思いますので、いま私が認可するかしないかということは、私独断では申し上げられませんけれども、少なくとも大学の新設を伴うのじゃないかと思います、午前中も申し上げましたけれども。そうなりますと、いま法律の規定によって特別の必要がない限りこの五年間は大学の設置は認可しないということになっておりますので、そういう客観的な必要性を証明するのが非常にむずかしかろうと思います。きわめて困難ではなかろうか、こういう予測を持っておる次第でございます。
  84. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ですから、記者会見では、新しい学科や大学院の増設等から移転の必要がある、こう言っておるわけですよ。これはまさに私学の助成法案のあれから言っても、法から言っても、これはもちろん非常に問題になってくるし、こういうことになってまいりますと当然これは認可事項になってまいることでしょう。だから、文部省としての態度はもちろん審議会にかけなければなりませんけれども、好ましくはないということだけは明白に言えますね、いかがでしょう、大臣、こういう問題は。
  85. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 文部省の行政の指導の基本的な方針としては、この大学が、現段階において移転をするなりあるいは本校をほかに移すという問題を取り上げて文部省にその理解ないしは許可を求めるという段階でないと思います。つまりまずこの学校相当の紛争、混乱が起こっておりますから、したがって、これを解決しない限り、その次の問題に進んでいくだけの資格があるというふうに考えられませんので、まず文部省といたしましても、この学校に対しましては、現在の紛争、混乱状況を速やかに解決するというふうに臨んでいきたいと考えますし、仮に移転等の問題が起るといたしましても、それはそれができ上がった後の問題であって、並行して混乱がありながら移転をしていく、それをこちらでまた取り上げてやっていくというふうに対処すべきものではないと考えております。
  86. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 わかりました。  それから、先ほども話の出ましたところの整備士課程の問題ですね。実はこの学校が九州一円だけじゃなくて、九州外から三〇%前後もやっぱり学生が来ておるというところの魅力は、航空工学学科というものがあるというところに魅力があるわけですね。それと関連をしてあるのが、先ほど久保委員からも指摘をされたところの二等航空整備士課程の問題ですけれどもね。これは国家試験の実枝試験は免除されておるというのはこれは明らかに間違いですね、この点は。学校要覧にも出ております、これは。
  87. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 運輸大臣の指定を受けておりませんので免除にはなりません。
  88. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 実はもうきょうの連絡によりますと、この問題の告発問題がきょう提起されておるんです、すでに。それを唯一の頼りにしてきた、入ってきたところの学生から見れば、全く学校に欺かれたというかっこうになっております。だから、少なくとも私が確かめたいのは、現在のところは、そうでないということはこれは明確で、これは偽りのやはり募集要項であるということは、これは間違いございませんね。
  89. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 多少補足して申し上げますと、運輸省の担当課長名で四十八年にモデルグループの指定が行われておりますので、募集要項が完全に虚偽というわけではないようでございます。ただし、このモデルグループの指定というのは、指定を受けた学校の卒業生の八〇%以上が試験に合格したときに初めて正式の指定となるというものだそうでございます。したがって、正式な指定を受けなければ、実技の免除にはならない。そういう意味でこの学校の場合には、まだ正式の指定を受けておりませんから、実技の免除にはならないわけでございます。この点が明確でなくて受験者に誤解を与えるおそれがございますので、その点の是正を私どもとしては求めているわけでございます。
  90. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 もう一回念のためにお尋ねしますが、これは運輸大臣によるところのいわゆるモデルスクールとしての指定は受けてないんですか、受けておるんですか、今日現在は。どちらですか。
  91. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) モデルグループの指定は受けているわけでございますけれども、正式のいわゆる実技試験免除の得られる指定を受けているわけではないわけでございます。したがって、学則に実技試験免除を規定しておりますけれども、この点は明らかに誤りでございます。
  92. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それからもう一つお尋ねしますが、これもまたさっき出たところの研修センターの問題ですがね、これはいまはどういう報告がなされておるんですか。学校の付属施設として届けられておりますか、いまはどうなっておりますか、現在は。
  93. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) これは積極的な学校からの報告ではございませんが、先般、坂元理事に文部省に来ていただいたときに伺ったところによりますと、これについては現在では私的に使用しているとの指摘については、以前疑われるような点もあったとのことで、利用方法を改善し、現在までは研修目的のみに使用されていると、こういう弁明がございました。したがって、正式にこういうものをつくりましたという届け出を向こうから積極的に受けたわけではございません。
  94. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いまの局長のお話だと、現在は、いろいろ批判があったので、研修センターみたいにして使っておるという坂元理事の報告だったというのですか。これは全くうそなんですよ、これは。ここにも一つまた問題がある。これは調べてみますと、四十八年の六月十四日には「学校法人坂元学園所有地」として登記されておるんですよ、その土地やすでに建物は。しかも四十八年十月二十日の坂元学園通信によると、ここには明確に「第二グラウンド」と書いてある。しかしながら、今日はむしろその逆なんですよ。私もちょいちょいあの辺通りますし、見ますけれども、これはなるほど門柱には、それは「坂元学園本部」という門柱があるんですよ、標識が。しかし、中はそれはほとんど私邸なんです。それで、あの広大な七千三百十八平米という敷地に鉄線を回して、そうして門のところには、これは小佐野クラスですね、ちゃんとテレビカメラがあるんですよ。それで、中に来る者を、門の前に立つ者の姿が中から見える。こういう仕組みになっておりましてね、そして、それを見て、通す人か、通さない人か決めると、こういう全く厳重な大邸宅みたいなかっこうになっているんですよ。したがって、こういうものをするから、たとえば新聞あたりはすでにこれは名だけの校庭と、こう言う。だから、国分の市役所は、一体この実態はどうか、課税の対象になるかどうかということを調べた結果、三分の二以上がすでに個人的に使われているから、これは課税の対象にすべきだというので税金さえ取られておるんですよ、これ。そういうような実態なんです、これ。それを私が先ほど言うように、皆さんは学長を呼んだり、理事を呼んだりして、こうごうなっておりますと言うと、ああそうですかと。これだから、問題のあれが直らないというのです、解決ができないというのです。そこに皆さんが直接出かけて行って見なさいと私が申し上げている一つの要素があるのです。これは全く生徒や、あるいは世間を欺いていることなんですよ。こういうようなことでは、本当に学校法人としての運営をされておるのか、学校一つの商売道具にしておるんじゃないだろうかとさえ思う。これは端的に私は言えることだし、公私混同もはなはだしいと、こう言えるのじゃないかと思んですがね、この点を私は明確に次の機会までにしておいていただきたいということを申し上げておきたい。  さらに、もう時間もありませんからはしょってお聞きしますが、この施設の問題についてはどういう届けになっているのでしょうかね。たとえば、文部省に現在いろいろ報告がありましょう、それぞれの学校の。時間がありませんから、これは施設の問題では、もう先ほども久保さんから話がありましたけれども、たとえば機械科の場合を見た場合にも、たとえば油圧装置の研究などというふうに報告がされておりますけれども、これはもう付属高校の施設の、設備のものであって、そう動かないものであって、あるいは航空工作というかっこうで、航空科の中にはジェットエンジンとあるのですが、これは明確なスクラップなんですよ。あるいは製図、ドラフターという届けがあるのですけれども、これは先ほども出ましたように、産振法でもらったやつの高校のやつを、ラベル張りかえてこう置いておるという、あるいは風洞実験装置なんと言ったって、送風機しかないんですよ。もうこれ挙げると切りがないんですね。航空機機体整備実習などと言っているんですけれども、何ら道具もないんですよ、中に行ってみますればね。電子科にいたしましても、先ほど話がありましたように、本学レーダーがとらえた影像などというものがあるんだが、どこにもない。ただ、あるのは先ほど申し上げたように、テレビカメラが私宅の方に、校庭の中にあって、その玄関に来る者の姿を見る。こういうようなかっこうの中で、一体私は、この大学の施設設備の問題として、どういう届け出があって、皆さんは書類審査だけなのか、実態も見られたのか、それを疑いたくなるぐらいなのですが、そこはどう皆さんは判断しておられますか。
  95. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) ただいま書類がございませんので、届け出の施設の実態がどうなっているかという具体的な数字は申し上げかねますけれども、多くの場合、現在までは書類なり、ないし届け出のもので処理をしていると思います。それで、いま御指摘もございましたので、今度は実態をよく調べてみたいと思っております。
  96. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これもやっぱりいまのような答弁しかこないと思いますがね。たとえば大学設置基準の第三章の教員組織の問題についても、一応ぼくはかっこうは整っておると思いますがね、実在しないところのいろんな人の名前みんな並べてありますよ。私ども調査によりましても、たとえば哲学講師、文学博士平岡禎吉というのがあるが、これはもう四十五年、四十六年実在しない。法学博士鷲見美雄というのがあるけれども、四十五年も実在しないし、四十八年もおらぬ、四十九年非常勤講師と。あるいは電子科の中で教授、工博加藤安太郎というのがある、四十五年、四十六年、これはもう実在しないのですね。さらに吉田良教というのが、これも四十五年から四十九年までおりませんのです。あるいは機械科の教授工学博士棚國道之助ですか、この人も実在してない。四十五年−四十七年ずっとですね。もう一事が万事で全く届け用のものと、実際の授業をいろんなものでやっておるところの教授云々というものには実在しない人ばかりで、かっこうだけしておるんですよ、これ。これでも、ただ書類が整いさえすればその大学設置基準に合うからよろしいというやり方にも、私は、やっぱり文部省責任もこれは免れないと思うんですがね。  そういうようなことですから私は、先ほど学長を呼んで話を聞きますという答弁ではこれは無理ですよと。むしろ皆さんが行っていただいてきちんと見ていただきたい。しかも私は同時に、この文教委員会の皆さんにも新たな問題として提起しておきたいんですが、私はいままでの大学の紛争、大学問題というと、いろんな主義主張の違いとか、イデオロギーの問題、若干絡んでいろいろ賛否があるんですけれども、事この問題それ以前の問題だけに、だから私先ほど冒頭に申し上げたように、学校法人というのは一体どういうものかということを疑いたくなるというのもそれなんです。したがって、私はこの文教委員会としても、一体この日本学校法人としてのあるべき姿という問題と今日のあり方という関連からどうしても私は委員会として委員派遣をしてこれは見てもらいたいと思うんです。そのことを私はこの機会に委員長に要求をしておきますので、後刻ひとつ理事会で十分論議していただいて解決していただきたいと思います。
  97. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 後刻理事会に諮ります。
  98. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 時間が参りましたので私はそれ以上申しませんけれども、私どもも鹿児島の人間ですから、それは確かに鹿児島の恥だといってひやかされたこともありますけれども、しかし、ここは所在地がどこであろうと、事、学校教育の問題ですから、しかも、これが学校教育として教育的な立場からやられておるならいいんですけれども、何か学校を商売道具みたいなかっこうで処しておるということについては、これはもう断じて私どもは許すわけにまいりません。またこの面についての私は、文部省の強力な指導ということが一枚加わらない限り、大臣の最初の御答弁じゃないですけれども、いや文部省の権限強化になるのじゃないかということを心配されるとおっしゃるんですけれども、私はそれ以前の問題だという理解に立ってこの問題を積極的にひとつ対策を講じてもらいたい。またそういう中でなければ学生諸君も納得しないんじゃないだろうかと、こう思いますので、そこのところを再度大臣の御所見を聞いて質問を終わります。
  99. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 私学の教育ないしは研究の内容というようなものに関しまして、文部省は余り干渉がましいことになってはいけない。しかしながら、国費を使うわけでございますから国費の使い方について十分監督をしなければいけないという宮之原委員の御指摘はまさにそのとおりであると思います。したがいまして、私学振興助成法に基づきます私学経常費の助成につきましても実は相当の傾斜配分を現在行っているわけでございまして、その傾斜配分の重要な柱は経営内容が健全であるかどうかということで行っているわけで、平均をいたしますと二二、三%本年は配分をしていることになりますが、実はゼロである学校の数も相当あり、他方、内容がよろしいために三十数%に及んでいるところもあるわけでございます。したがいまして、われわれとしましては、こうした傾斜配分にもあらわれておりますような考え方で、私学は尊重いたしますが、資金を文部省が助成をするという立場にはないのでございますから、この点は明確に区別をいたしまして私学を助成する、しかしそれが企業に流れるときには強く抑制するという態度で臨んでまいりたいと思います。
  100. 松永忠二

    ○松永忠二君 質問始める前に、いまの久保、宮之原委員の質問聞いたわけですけれども、私はいまの大学の許可基準からいっても、この基準は一度通ればそれでいいというわけのものじゃない。それから学則は届け出をしなきゃいけないものである。その届け出が違っているということになればこれは十分監督する責任はある。だから、いまの法律をもってしても私は規制し得るものが相当あると思うのです。だから、そういう意味でひとつ十分にその法律を活用して適確なひとつ指導をしていただくように、決してただ私学を余分に規制する意味じゃなくて、いま規定されている法律の中で規制し得るものがたくさんあると思うので、これはもう明らかに大学の基準からいっても違反をしているし、学則も違反である、いずれも明らかだと。ひとつぜひ適確な指導が行われることを期待するし、またもう一面、委員長にも御要請がありましたけれども、私は、ただここでそういう問題を議論しただけで事足りるわけじゃない。どうもそういうような、いま聞いたような実態の大学が存在するということになれば、そういうものは存在し得ないということはやはりはっきりさせなければいけない。そういう意味では文部省が出ていくよりもかえって、委員会が出て適確にするというのも一つ方法だと思うので、ぜひひとつ一鹿児島の問題というようなことでなしに適確なひとつ処理をしていただくように、私たちも全く同感でありますので、要望しておきたいと思います。  で、私は、特殊教育の養護学校の義務設置を五五四年から実施をするに当たってこれが完全にできるのかどうか、またその関連のことで一応いろいろな疑義もあるし、確かめておきたいことがあるので、この問題にしぼってお伺いいたします。  そこで、五十四年度から養護学校の義務設置について、たとえば全国の知事会では、現在の地方財政の窮迫の状況から義務制移行の準備が完了するかどうか危ぶまれる状況であるというようなことを今度の予算の要請の中にも言っているわけであります。それからまた、全国都道府県議会議長会などでも、養護学校教育の整備状況というのを五十年五月現在で調査をしているけれども、新増設の計画を立てているのは三十一都道府県、十六県は検討中であるとかあるいは無回答であるというふうに言っているので大臣にお伺いをいたすわけでありますが、五十四年度からの養護学校の義務設置については心配なく実行できるということを考えておられるのか、またこのことについては責任をもって完全にできるという状態をつくり出す、こういう努力をするというような決意を持っておられるのか、まず大臣にその点をお聞かせを願いたい。
  101. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 養護教育の、養護学校の義務化の問題につきましては、五十四年をめどに進んでまいったわけでございますが、ただいま松永委員指摘のとおり、いろいろ地方財政上の問題も出てくるというようなことでございます。  しかし、私どもは最初の、当初の目標というものをぜひ実現したいと考えておりますので、いまどういう方法をとっておりますかというと、各都道府県の教育長に集まっていただきまして、そして都道府県の事情も聞き、そしてわれわれの政策を当初の予定どおり実現していくにはどこに隘路があるのか、そしてどこに力を注いでいくべきか、そういうフィードバックを繰り返しながら実現しようということで、いま教育委員会とわれわれの方とで相互に意見交換、そして実現の方途というものを確立するべく努力をしているところでございます。
  102. 松永忠二

    ○松永忠二君 そこで、文部省はこのことについて特殊教育拡充整備計画要項というのをつくって、それて実施をしているわけでありますが、この中に昭和五十三年度の対象者の数を六万七百五十人というふうに推定をしている。四十六年の現状と比べて三万七千二百二十五人の未措置の、つまり生徒があるというふうに推定をしているわけでありますが、ところが必ずしもそれが的確であるのかどうかという問題であります。で、これはさっき申しました全国都道府県議会議長会では五十四年の五月の対象児童が十九万七千七百五十九人だと、五十年の五月と比べて五万六千三十五人の未措置の者があるというようなことを言っているわけです。それから文部省自身も四十八年度からいろいろ関係調査もやられているわけであります。こういうことを考えてみたときに、このいわゆる対象の数というものは変更する必要ないのかどうなのか。あるいはまたそこにある出現率が〇・三七一というようなことが出ているけれども、この出現率を含めて対象者の数をやはりいろいろな調査を通じてみて、当時はそういうふうに推定したけれども、これを変更する必要があるのかないのか、この点はどういうふうに考えておられるのか。
  103. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) この特殊教育の対象になる子供を幾らと見るべきかということは、ただいまも御指摘がありましたように、従来の経験から割り出しましたそういう障害児の出現率というものを全児童生徒に掛けて、今度は出現率によって割り出した子供のうち障害の重い順に従って猶予、免除あるいは特殊学校へ入る者、あるいは普通学級へ行く者、あるいは障害児であっても普通学級へやれそうな者というふうに分けて係数を、人数を出しまして計画を立てておるわけでございますが、確かに各府県のお話を聞きますと、県によりましてつかみ方がかなり違っているところもあるのは事実でございます。  そこで、私どもは一方、従来特殊学校、特に養護学校につきましては、障害があっても親御さんの方でそれを必ずしも表に出すことを好まない、そして特殊学校へ入れようとしないというような方もあったりして、実態と予想される数字というものが必ずしも一致してないんじゃないかという点は私も同じような認識を持っております。  そこで、しかしながら計画としてはやはり一応持っていなければ、五十四年度までの発足に困りますから、従来の係数をもって計画は進めておりますけれども、いま申しましたように、現在各府県の教育長その他責任者と個別にいろいろお話をしながら問題点を詰めておりますので、その過程でいま申しましたような数字に必要な修正をした方がよろしいということであれば、現実に合わせてそういう操作もしながら五十四年度までで最善の努力をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  104. 松永忠二

    ○松永忠二君 これはもう現実に五十四年からいわゆる義務設置になるわけでありますから、その基本の数字であるわけだから、これはやはりこの数字を直す必要があるというならば早急に直さなければ、そのときに義務設置が十分できないことになってしまう。だから、やはりどうもこの数字については私も、ほかの資料を調べてみても恐らくその当時の推定としては一応の根拠持ったけれども、その後の調査によるとどうもこれはもう少し数をふやさなければいけないというものなら、それに基づいてやらないと、もう五十四年すぐ目の前にして各県計画を立てているわけですから、これはひとつ早急に直すべきものがあれば直すということにしてもらう。  あと少しその方の問題について述べますが、さて、その昭和五十四年度に対象児童生徒数は一体幾らあると考えて、そのときに猶予、免除する者の数はどのくらいあるというふうに見ているのか。それから要するに就学率はどうか。昭和五十年の五月に肢体不自由、虚弱精薄の免除者と猶予者の数は一万千二百八十一人あるわけです。しかし、これは今度の義務制という考え方から言えば免除者、猶予者の数はずっと少なくなるという考え方でいま進んでいると思うんでありますが、一体この五十四年度に対象児童生徒数は、いま話の出た六万七百五十人がまだはっきりしないというならこの数はわからぬでしょうが、しかし、猶予、免除者の数というのはどのくらいあるというふうに見ておるのかその点について……。
  105. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 昭和五十四年度におきます障害児童生徒総数のうち、いま申しましたように普通学校、特殊学級、特殊学校、それらに通い得る子供というものを差し引きまして、いわば家庭療養等というふうに考えられる子供の数が二万六千三百七十というふうに推定をいたしておるわけでございます。そこで二万六千三百七十を全部猶予、免除というふうに私どもは見ておるわけではないのでございまして、四十九年度のその猶予、免除者というのが出ておりますが、それが大体一万五千と推定されるわけでございますので、一万ぐらいの差があるわけでございます。そこで、現在もすでに三十県ぐらいのところではやっておるわけですけれども、かなり障害の程度の重い重度障害あるいは重複障害の子供さんについては学校へは来られないけれども、病院あるいは家庭で療養を受けておる、そういう方についてもなお教育の対象として可能性のあるものにつきましては、いわゆる訪問指導ということをやっておるわけでございます。訪問指導ですから、教育内容としては養護訓練等が主となるわけでございますが、したがって、その養護訓練等の訪問指導の対象になる子供さんを引きますならば、猶予、免除の対象となるであろうという子供さんは、大体現在程度一万五千ぐらいというふうに一応推定をしておるわけでございます。
  106. 松永忠二

    ○松永忠二君 その猶予、免除者の推定は正確、一応相当慎重にしてやっぱりきちっとしておかなきゃいかぬ。そうせなければ、対象児童生徒数も出てこないわけですから、やはりこれを相当しっかりつかんで、そうして、もしもとの数字に直すものがあるならば早く直してひとつ示していただきたい。  そこで、いわゆる養護学校教育の対象となる要するに、いま言う義務設置の場合のときに教育の対象となるものについてのことでありますが、これは学校教育法の施行令の二十二条の二というところに表ができているわけであります。それから、文部省学校教育法及び同法施行令の一部改正に伴う教育上特別な取り扱いを要する児童生徒の教育的措置についてというのが、昭和三十七年の十月に文部省の初中局から通達が出ているわけです。こういう中で、つまり養護学校教育の対象となる、今度のつまり教育の対象となる生徒というものを出しているわけであります。内容的に出しているわけであります。ところが、この通達を読んでみても、この内容については非常に漠然としているわけであります。局長のこの通達の中に、二つ以上の障害を合わせ持つ者についてというのは何と書いてあるかというと、二つ以上の障害を合わせ持つ者については、その合わせ持つ障害の種類、程度の軽重などを考慮して最も適切な教育的措置、盲聾学校もしくは養護学校に就学させ、または特殊学級において教育するなどを講ずることと書いてあるんで、これじゃ二つ以上の障害を合わせ持つ者といってもはっきりわからぬわけですね。  それで、学校教育法の施行令の中には何て書いてあるのか。さっき二十二条の二の表には、精神薄弱者というところにこう書いてある。「精神発育の遅滞の程度が中度以上のもの」と書いてある。中度以上のものというと、上にどのぐらいまでいくのかわからない。それから肢体不自由については「体幹の機能の障害が体幹を支持することが不可能又は困難な程度のもの」と、つまり、体を支持することが不可能、あるいは困難な程度のものを結局二十二条の二の中にあるわけです。この子供も今度の場合には養護学校へ入れるということになってくるわけです。それほど、いわゆる今度の場合に対象になる精薄、肢体不自由、病弱の児童生徒についての内容がはっきりしてないわけですね。  それについて比較的はっきりいろいろなことを出しているものがあるわけです。これは特殊教育の改善に関する調査研究会というのがあって、これが初中局長に報告をしている。この報告の中のこの調査項目を読んでみるとですね、これは非常にわかるようになってる。たとえば発達の状況で−食事のところを一つ見ても、スプーンで食物を運んでやると食べられる、その次は手でどうにかつかんで食べられる、スプーン等を使ってどうにか一人で食べられると、こういうふうに判定が出ているわけですね。これは、いわゆる今度対象になる子供と、なおもう一つ上の程度の者を含めた一つ教育の改善報告書です。  そういうふうなことを考えてみたときにですね、養護学校教育の対象となる精薄、肢体不自由、病弱児童の生徒について、この学校教育法施行令の故障の程度の文章を変える必要があるのじゃないのか。あるいはまた、そうしないとしても、たとえば児童生徒の教育的措置についてという、昭和三十七年の通達をもっと改める必要があるのじゃないのか。障害判定に当たってですね、非常にわかりやすい検査項目をつけて、この子供は大体養護学校の対象になる、さっき話をしたとおり、体を支えることができない者でも対象になってるというふうに書いてあるようなものが、いわゆる学校教育の施行令の二十二条の表に出ている。学校教育法の中の文面も非常にあいまいになっているわけですね。したがって、就学免除についてもこういう表現をしているわけです。「病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため、就学困難と認められる者」の保護者に対し、いわゆる猶予、免除ができる。「病弱、発育不完全その他やむを得ない事由」という、これだけしかないわけです。どの程度の者がいわゆる免除、猶予の対象になるのか、どの程度の者が養護学校におけるいわゆる対象児童になるのか。いまある学校教育法施行令の内容、あるいはいまの通達の内容を再検討してですね、もっとわかりやすい、判定しやすいものを、ここで明確に、通達なりあるいは施行令改正をしてですね、そうしてこの対象者を明らかにする必要があるというふうに考えられるけれども、この点について局長、どんなふうにお考えでしょうか。
  107. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) この問題につきましては、まあ問題は二つあると思うのでありまして、一つは、御指摘のように障害の程度を判断する基準をどういうふうに定めるかということでありままして、確かに御指摘のように、学校教育法の施行令等の法令の形をもって決めますと、どうしても規定が抽象的になりますので、具体的適用の問題としては非常に問題を残すわけでございます。そこで、いまの辻村会長を座長とする改善調査会の意見の中にもあるように、かなり具体的な判断の基準というのを示してもらっているわけでありまして、これをどういうふうに使うか。いま御指摘のように、さらに法令化するようなことを考えるかどうかということは今後の課題であり、さらにまた、これをもう少し現実的にさらに細かく決めることができるかどうかというようなことも検討の課題だと思います。  しかし同時に、もう一つの問題としては、そういう基準を幾らこう細かに具体的にと考えましても、特に養護学校の対象となる肢体不自由とか精薄とか虚弱児とか、そういう子供の障害の態様というものは、言ってみれば非常に千差万別でございまして、具体的子供の、個々の子供についてこのお子さんはどうかというふうに判断しないと、なかなかその目安だけではいかないという点がございます。そこで、私どもとしては、一方いま申しましたように、判断の基準を考えますと同時に、もう一つは具体的子供の就学指導という観点からそのような判断の基準を頭に持ちながら、就学指導をやれるために、各市町村、県に就学指導委員会というものをつくっていただくべく毎年予算補助をしてまいりまして、相当の府県、市町村で現在できておるわけでございます。この就学指導委員会に専門の心理学者とかお医者さんとか、あるいは現場経験者とか、そういう方々がメンバーとして入っていただきまして、そこでこの子供について、このお子さんの症状では養護学校に行くがいいだろうと、あるいはちょっとしばらく学校に行くのは無理だとかいうような判断をし、そこで指導してもらう。そういう体制を義務制実施までに全市町村に行えるように整備をしたい、こういうことでやっておるわけでございます。
  108. 松永忠二

    ○松永忠二君 その問題は後で私は聞きますけれども、その就学の猶予、免除はできるだけ軽率にはやらぬというのが今度のいわゆる養護学校義務設置の趣旨だと思いますね。いわゆる故障の程度によってそれなりの教育はできるだろうという考え方でやろうとしているわけです。したがって、どういう子供が就学免除され、あるいは猶予されるかということについて、これがはっきりつかまれるということは非常に重要だと思うのですね。それを抽象的に学校教育法の二十三条に「病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため、」なんというようなことを言っていたことには、それがいま言うとおり、選択することが非常にあいまいになる。したがって、私は、就学免除したり猶予をしなければできない子供について、親もわかり、いま言うとおり委員会もわかり、一般もわかるようにしておかないと、これがせっかくつくったのにかかわらず、あいまいのままに従来のように免除、猶予されるということにもなる。したがって、こういう意味でやはりこのいま言う対象になる子供、対象を除外される子供がはっきり常識的にもわかり得るように、学問的にも正確であるように、この判断はひとつ基準をできるだけ早くやはりつくってもらわないと——これもひとつ学校教育法の猶予、免除の法律の内容がこれでいいのか、どうなのか。施行会の、いわゆる対象になる施行会の表がそれで足りるのか、どうなのか。あるいは通達がそれでいいのかどうか。これをひとつ具体的に例もすでにできてきていることであるので、はっきりさせて、誤りのない、今度の義務制の趣旨を貫徹できる方法をひとつしてもらうように、特にこの点について努力を要望しておきたいと思うのです。  そこで、いま言う計画について少しお聞きをするわけでありますけれども、養護学校の設置計画というのはつまり二百四十三校つくる、それから特殊学級は千五百学級をつくるというようなことになっているわけです。都道府県の議長会では、通達を完全に実施するのには千五百億円以上建築だけでもかかると、こう言っているわけでありますが、一方こういう文部省の説明を見ると、五十年度に三十九校新しくつくる、五十一年度に三十九校新設する、こういうふうに言っているけれども、今度は文教公立予算のいわゆる公立文教施設の建設の坪数を見ると、特殊教育学校については、五十年が十八万三千平方メーターで、五十一年も十八万三千平方メーター。ちっともふえてない。それでどうして三十九校を新設することができるのか。この辺も一つ疑問のあるところですが、まずそういう問題をお聞きすることも大事だけれども、とにかく二百四十三校計画を立てて、いま五十一年度に予算計上した数は何校で、増加している実際の数は何校なのか、この養護学校と特殊学級についてちょっとその数字を言ってください。
  109. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 特殊教育の拡充整備計画という長期計画をつくっておりまして、その建物につきましては累年計画を進めてきておるわけでございます。累年整備を進めておるわけでございますが、四十七年度を初年度といたしまして、四十七年度には二十校、四十八年度は三十一校、四十九年度三十八校、五十年度三十八校、五十一年度も同じく三十八校、それから五十二年度は三十八校。それで次の年度につきましては、五十三年度のために四十校分ということを現在計画いたしております。全体で二百四十三校でございまして、全体の設置予想される二百四十六校に対して二百四十三校、そういう計画でもって現在進めております。
  110. 松永忠二

    ○松永忠二君 あなた、聞かれたことを言ってから言ってくださいよ。養護学校の設置計画は二百四十三校建てるということになっているわけでしょう。その中で五十一年までに予算計上したのは何校で、実際に建てた数は何校ですかと聞いているのですよ。それから、特殊学級は千五百学級を準備すると言っているが、予算計上した学級は幾らで、実際にできた学級は、増加した学級は幾つだか、その数だけ言ってください。
  111. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 五十年度までの数を累計いたしますと百二十七校、予算措置した数が百二十七校でございます。現実の実績は、公立が百十六校、国立も入れますと百三十校ということになっております。
  112. 松永忠二

    ○松永忠二君 それから学級は、特殊学級。
  113. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 特殊学級の増設数は、四十七年度から五十年度まで合わせまして三千九百二十九学級……
  114. 松永忠二

    ○松永忠二君 五十一年まで幾ら……
  115. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 五十年度までで三千九百二十九でございます。
  116. 松永忠二

    ○松永忠二君 これは増加した数ですか。
  117. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 増加した数でございます。
  118. 松永忠二

    ○松永忠二君 実際の数……。
  119. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) はい。
  120. 松永忠二

    ○松永忠二君 予算したのは別として……。
  121. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) これは学級増ですから、特に予算補助のことはございません。
  122. 松永忠二

    ○松永忠二君 これは計画どおり増加してないわけですよ、養護学校ね。だから、やはり用地費もない。それから、施設設備費も金がかかるというようなことで、よほどやはり努力をしていかなければ後、ずっとたまってしまうことは目に見えています。  そこで、もう一つ先生ですね、調査室の方から文部省に尋ねたならば、学校ができれば先生の数はふえるわけだから、別に先生は何人という数は書いてありません、という話なら、これはそのとおりだと思うわけですけれども、定数についてことし予算は削られたわけですわね。半分削られてしまって、それを今度は五十二年、五十三年に均分して要求をしようというのだが、特殊学級の増設に伴う教員増と養護学校の新設に伴う教員増も削られたのか、これは完全に認められたのかどうか。その点だけ聞かしてください。
  123. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 特殊学校と養護学級のいま申しました増設計画に乗った増分については削られておらないわけでございます。ただ、特殊学校全般について四十九年から始まりました第四次五カ年計画による定数増のうちで、新しい改善内容として、たとえば、養護訓練の教員を従来より配置数を増すとか、それから寄宿舎の教員定数を増すとか、こういうような改善増の計画を四十九年から五カ年計画をもってスタートいたしましたけれども、その改善増の計画に乗る数というものが五カ年間で千二百二十五名、つまり各年に直しますと二百四十五名の増ということになるわけですけれども、その点につきましては、四十九、五十がそれぞれ二百四十五名増になりましたけれども、五十一年はこれを半分として、百二十三名になっておるわけであります。これを、積み残しになっておりますので、来年の予算においてぜひ復活をしたい、こういうことで要求をしているわけでございます。
  124. 松永忠二

    ○松永忠二君 だから、増設分については認められているけれども、法律改正に伴うものについては軒並みに同じようにやられているということなんで、この点あたりも、これは文部省に言うことじゃないけれども、また大蔵省あたりに、こういう義務設置を控えての問題なんですからね、そこだけは削り落とさないというぐらいのことをやらなければやはりできないのじゃないか。  その他予算総額の問題も聞いてみたいのですが、それは別として、そこで養護学校の施設の補助は、都道府県は三分の二、それから指定都市と市は二分の一というふうになっているわけですわね。これは学校教育法の中に、第七十四条に、都道府県がいわゆる政令で定める範囲のものを、就学させるものを設置するのだという意味で、恐らく都道府県に三分の二をつけているのじゃないかと思うけれども、これは少し検討を要するのじゃないのか。つまり、いま障害児施設の危機として叫ばれているのは、一つはやはり物価とか人手不足で問題があるけれども一つは地域性が欠けている。地域のいわゆる連帯感の中でその施設が動いていかない。場所もたとえば僻遠なところへつくってしまう。それから、そういう意味から言うと、地域に養護学校があって、それが地域の人との間に連帯感を持ちながら育っていくということが非常に必要だというふうに言われているわけですね。特にその障害児の処置というのは基本的にどこが一番タッチしていかなければいけないかというと、私はやはり一番最小の単位の市町村というものが、そういう子供処置をするというところに責任があるわけだ。市町村立小中学校。養護学校だけ県立で、しかも県の養護学校が僻遠の場所にぽつんと建って県立の学校ができたということになれば、地域の人がそういう子供に対する連帯感も非常に薄くなる、熱意も乏しくなってくる。それで現実にはそうなんですよ。たとえば盲学校や聾学校は県立が六十六で、市立が三だ。聾学校は県立が九十二で、市立が四だけれども、精薄の県立の学校が八十六に対して市立が五十四あるわけだ。肢体も八十一と十八、病弱も三十九と十で、盲聾とは全然違うわけだ。  だから、こういう養護学校はむしろ、われわれも初めよく勉強しないときには県立で建てればそれでいいんだと思っていたけれども、大きな市にやはり市立の養護学校をつくっていくことは、数から言っても必要になってくるわけですね。したがって、この学校教育法の七十四条の都道府県はこういう責任がある。最初はそこに責任があるとしても、やっぱり直接にこういう子供の、いわゆるそういうことを設置する責任を市町村に移して、市町村も並行してそれができる。しかも、それは都道府県の補助率と同じものが補助率として出てくるということは、これは当然のことだと思うんです。だから、いま御承知のとおりに、指定都市がまず三分の二にしてくれと、市にしても三分の二にしてくれというわけで、その養護学校施説の補助率が、都道府県と指定都市や市町村とが違うことは、これは将来直していかなければいけない筋合のものだと私は思う。この点については、少し政治的な意味も含んでいるので大臣に、一体いわゆるこういう子供の就学を処理していく場所、猶余、免除するものはどこがやるかというと市町村がやるわけですよ。設置についてそうなっている。しかし、実際これを根づいてきちっとしてやっていくには、やはり市町村というものも、とにかく都道府県と同じように立っていかれて、同一のいわゆる補助が出るような状態にしていかないと、これは養護学校が育っていかないし、重要性も理解できないと思うが、大臣はどんなふうに考えますか。
  125. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) いまの御指摘のように、学校教育法のたてまえでは、特殊教育学校については、設置の義務あるものは都道府県というふうに規定をいたしておりまして、現実には市立等でつくられる場合もあるわけでございますが、しかし、その趣旨としますところは、このような特殊教育というものは対象児童の数が限られている。そしてまた、経費的にも非常にかかるというようなことからいたしまして、最終の責任は市町村ではなく都道府県に置くのだというのがこの制度の趣旨でございますから、私はそれはそれとして尊重いたしまして、実際の指導、運営としては、おっしゃるように必要に応じ市町村も大いにそれに関与していくということが必要であろうかと思っているわけであります。
  126. 松永忠二

    ○松永忠二君 補助率、補助率。
  127. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) いまの初中局長申し上げましたのは、責任の所在と運営の分離という考え方でございますが、同じ市の場合にも、指定都市の場合にはやはり補助率も上げていくというところに来ているわけでございますし、そしてまた、われわれがそれを要望しているわけです。さらに、小さいところまでというふうにして、そして、責任といわば運営もすべて小さい単位のところというところにまでは来ておりませんし、現段階でそういう方向に切りかえるということは混乱を生じる可能性もはらんでいる。いま義務化を進めていくことが非常に重要な課題でございますから、やはり責任の所在は一応県ないしは指定都市のようなところに置き、そして、運営はなるべくいろいろな苦しい問題を持っている子供に近い、身近なところに置くようにする、こういう方向で進んでいくべきではなかろうかというのが私ども考えであるわけでございます。
  128. 松永忠二

    ○松永忠二君 べきではなかろうか、なんというようなことじゃないかと私は思いますよ。いまとしては、そういう方向で行かざるを得ないけれども、私はやっぱり養護学校というのは、市町村でも十分、仮に県が建って悪いということは私はない、市町村も十分建てられる。しかも補助率は同一になるというふうな形をしていくし、それからまた両方に設置の責任を持たせていくというようなことをやって、いわゆる養護学校は県立で、どっか町の端っこにりっぱなものができて、障害のある子供が来ている、なんていうことじゃ、とても養護学校というのは地域と結びついてりっぱな運営はできないわけです。私は理念的にはもうそういうように変えていかなければできないときだと思うのですよ。それからまた児童福祉施設についても、そういう地域性の問題は問題にされているのであって、もう少しやっぱり進歩的な前進的なものの見方をしてもらわなければ、そういう何かイデオロギーの問題について、ただあれじゃなくて、そういう施設か設備についてももう少しやっぱり進んだ考えを持っていく、私はそういう方向——そうすると文部省はあれですか、この三分の二と二分の一というのは変える必要がないというふうに考えているのですか、補助率はやっぱり同じようにして、しっかり義務設置ができるように方向に持っていく努力をしていきたいと考えているんですか、一体どっちなんですか、それは。管理局長どっちなんです。
  129. 犬丸直

    政府委員(犬丸直君) 施設の負担率につきましては、実情を勘案いたしまして、実際上の必要が指定都市の方からかなり出てきておりますので、それを三分の二の負担にして上げるという方向で来年度の予算要求をいたしております。ただし、それは義務設置の問題についての問題とは一応切り離して、現実の問題として負担率のアップを現在要求中でございます。
  130. 松永忠二

    ○松永忠二君 義務設置のことについてこだわることはないのであって、そういうことをしていくべきであって、その後また制度を変えていくということでそういう要求をしているというならば、そういう考えであることがわかったので……。私はもう少し、大臣の答弁が、そんなことを言われていたんじゃどうしようもない。  そこで、さっき話が出た養護学校義務設置の就学指導対策というものを文部省はいまやっているわけですね。文部省は、さっきも話をした就学指導委員会の設置をやっているわけです。これは五十年度に都道府県が八一%、市が八七%、町が五〇%、村が三一%である。これは条例もしくは教育委員会の規則でできればつくりたいというし、文部省は、補助対象の就学指導委員会の構成も大体出している。こういうことで就学指導委員会というものを非常にいま重要視して、これが判定相当大きな力を持っていこうということで、市町村と都道府県との関連もいろいろのものに書いてあるわけですね。内容もこれなんかを見ると、市町村と都道府県というのはそれぞれ違う役割りをもって、しかも、なおかつ完全義務設置をやっていこうというわけです。何も都道府県がやれば市町村がやらぬでもいいということにはなっていないわけです。ところが、これもまた補助率が違うんですよ。都道府県、指定都市がつくる場合には補助率二分の一で、都道府県、市町村それが三十五万、それから市町村の場合には三分の一ということで単価も、補助率も差がついているわけなんです。これもさっき言うとおり、都道府県の就学指導委員会ができれば、それで義務設置ができる状況が、就学指導体制ができるようになっちゃいないのであって、市町村でも皆そういうものをつくってもらわなければいけないわけだ。だからせめて、それをつくる補助率を同一にするということはあたりまえのことだと思うんですよ。私が、調査室等でまた連絡して文部省あたりにちょっと聞いてみたら、市町村立三分の一とあるのは、国が三分の一、県が三分の一、市町村が三分の一を出すということで三分の一を考えたけれども、現実に県が補助しているのは一つの県だけだという話だった。もし仮にいま言ったようないわゆる就学指導委員会というのは、両方ができなければできないのです。片方で問題のあるのを上に上げて、上は上でまた検査をするというやり方。それから、決めたものは都道府県の就学指導委員会に連絡するという形を持っているわけだから。三分の一としたのは、国、県、市町村三分の一出すという気持ちでやったのか、そうじゃないのか。そうだとすれば、三分の一県が出すことについて、もっと強力に指導をしていかなきゃいけない。私は、これなんかに差をつけるなんというばかな話はないと思うんですけども、この点についてひとつ答弁をしてください。
  131. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 私どもも、予算要求の段階では、おっしゃるように、都道府県、市町村ともに二分の一の補助をしたいということで要求を考えたわけでございますけれでも、非常にまた法令の形にとらわれると言われるかもしれませんけれども、実際に養護教育の義務設置者の当事者である県については二分の一だと、しかし一般的に義務でないものについては三分の一だというような考え方で、現在予算上は二分の一、三分の一というふうに差がついておるという現実になっておるわけでございます。
  132. 松永忠二

    ○松永忠二君 考え方はどうなんですか。三分の一でいいというふうに考えるのか、それはやっぱり両方つくらなきゃいかぬのだから、制度的には片方に義務設置させているのだからということで、できるだけやって、国、県でも三分の一補助をして、同じような補助率になっていくことを望んでいるというのか、どっちなんです。これでいいというのか、直すために予算の改善もしていきたいと、努力もしてみたいというのかどうなのか。その基本的な態度を聞かしていただきたい。
  133. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 最初のわれわれの考え方は、いま申しましたように、ともに二分の一にしたいということでございましたけれども、まあ義務でないものについては、現在こういう補助金に限らず、大体三分の一というものが、たとえば幼稚園などについてもそうでございますが、あるのでございまして、したがって、この点について事実上の予算要求として今後また二分の一というふうに要求するかどうかというのは、別の問題でございますが、現段階としては私はやむを得ないというふうに考えて、来年度の予算においても三分の一ということで要求をしておるわけでございます。
  134. 松永忠二

    ○松永忠二君 どうももう少しぼくは、県でひとつ三分の一やっているところがあるというなら……。それから考え方として私は、府県に設置の義務があるからといって、府県が自分のところの就学指導委員会だけで足りるようになっていない以上に、片方で委託義務と同じようなことをやらしているわけですよ、これは。だから二分の一で、府県だけでやれるなら別ですよ。府県はもう市町村の就学指導委員会ができることを予定をしてやっているわけです。そんなら市町村から言わせれば、この財政の苦しいときに、しかも義務設置をしようという特殊教育から言えば、格段の歴史的な発足をしようとしているときに、しかもこの就学指導委員会というのは、いま、今度つくればいいというわけじゃないですよ。これからずっとこれは活動しなきゃできないものを、そんな三分の一でいくなんというような考え方じゃこれはだめなので、まあこれは検討をして努力をしてもらわなきゃだめだと思いますね。まあうんうん言っているが、大臣は努力する決意を持っておられるんでしょうか、どうでしょうか。
  135. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいま御指摘の点は確かに就学委員会、市町村の段階で重要でございますから十分検討をいたしまして、そうしてやはりそこに財政的な裏づけができますような方向で、私ども政策を次第に強化していくことを考えていきたいと思います。
  136. 松永忠二

    ○松永忠二君 そこで、今度は就学の委員会ができても、そこは要するに委員会であって、実際の判定をしたり、研究をする場所がなければできない。そこで、都道府県の教育研修センター特殊教育用というものをつくって、設置補助を始めたのが五十年です。都道府県の心身障害児に対する教育相談、検査、判定等、就学指導を適正に行うとともに、関係職員の研修、特殊教育に関する研究等を行う中心機関として、特殊教育センターの設置を促進しようということで、五十年に二カ所、単価三千万円、計六千万円を計上したわけです。こういういわゆる特殊教育センターというものがどうしても必要だということについては、今度はさっき話をした重度重症児の報告にも出ているわけです。いわゆる心身障害児に関する教育相談に応じ、適切な指導を行えるとともに、早期発見と、これに伴う指導の機会を拡大するため、特殊教育センター等の常設の専門的な教育相談機関の整備が急がれなければならない、というふうに言っている。これは私は非常に重要だと思う。そこで、一体これはいまどういう計画でどうしようとしているのか、これをひとつ聞かしてください。
  137. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 障害児の教育相談の問題は御指摘のようにきわめて重要でございます。  そこで、現在まで進めてまいりましたのは、御承知のように久里浜の国立特殊教育総合研究所、それから千葉、愛知、高知にございます特殊教育センター、そのほか都道府県立の教育センター内に教育相談部というものを設けているわけでございます。今後どう進めていくかということですが、この都道府県の特殊教育センターを設置する場合に、その施設について補助を行ってまいりましたが、この方向で進んでまいります。しかし、こういうふうにいたしましても、これは津々浦々どこにでもいわゆる相談所的センターができるというわけにはなかなかまいりません。そこで、児童相談所であるとか、あるいは盲学校、聾学校、養護学校、そういうところでもやはり相談の仕事を行ってもらうようにしたいというふうに考えているわけでございます。こうした種類の教育相談というものは、これは今後いよいよその要求が増大するものと考えられますので、大体、以上申し上げましたように、久里浜がいま非常に高度な研究中心ということになりますが、久里浜にも、久里浜の研究について研修をする宿泊施設というようなものを設けまして、そこに全国からかわり合ってきまして研修をする、またその人たちが散らばって行って、そうして都道府県の教育相談部等において働く。そういう形をとって、でき得る限り、久里浜での成果というものが、大きくは特殊教育センター、小さくは各養護学校等における相談で生かされる。そういうネットワークのような形にしたいという考えでいるわけでございます。
  138. 松永忠二

    ○松永忠二君 この点はもう少し後で聞きますが、そこで、教育相談とかなんとか、今度の義務設置の場合でも、児童が相談するということになると、児童相談所というものが、結局相当役割りを果たさなければいけない。児童相談所の業務というものには、児童に関する各般の問題につき、家庭その他からの相談に応ずる、それから児童及びその家庭について必要な調査並びに医学的、心理学的、教育学的、社会学的及び精神衛生上の判定を行うこと。それから児童及びその保護者につき、前号の調査又は判定に基づいて必要な指導を行うこと、といって、まさにいわゆる児童相談そのものずばりの法規性を持っているわけです。しかも、児童福祉法に基づいて、その児童福祉司の資格をはっきりされている。児童福祉司の資格についても、まず養成をする学校を出てきた者というのが一である。それから、学校教育法の大学や旧大学令の大学で心理学や教育学や社会学を専修した者というのが二であり、三に、医師。四に、社会福祉主事として二年以上勤めた者で、父童福祉事業に従事する者、前各号に準ずる者で児童福祉司として必要な学識経験を有するもの、というふうに出ている。しかも、所員、所長の資格もはっきり明確になっているわけです。児童相談所のいわゆる執務必携という中には、児童相談所職員構成表というのがあって、年々これを改めて、最小限のものとしてこういう構成をしなさい、というようなことを言っているわけです。私は、今度のいわゆる義務設置の場合のときの児童の判定とかなんとかいうことについて、いま言うように、実は都道府県の特殊教育センターのようなものがしつかりできていれば、これが一番いいわけだけれども、これがほとんどできてない現状の中では、やっぱり児童相談所というところが十分な活動を、働きをしてもらう、そういうことが非常に必要だと思うんだが、まず、一体それじゃ児童相談所は果たしてそれに応ずるような構成を持っているのかどうかということになってくると、実は私自身児童相談所を訪ねて、一体判定課の職員の学歴はどんなふうだかというようなことを調べてみると、必ずしもその構成がうまくいってないという点がある。しかも、児童相談所というのは、このごろどういう傾向にあるかというと、福祉事務所とくっつける傾向にある。児童相談所というのが独立機関として十分役割りを果たさせるというよりは、むしろ福祉の事務所なんかと一緒に一つの中へ入れ込んでしまっていくという、しかも人事交流をやるわけです。職員の人事交流をやるから、全然それに知識のない者がそこに入り込んできてしまって、児童相談なんかに興味のないような職員も、実は配置転換から出てくるということになる。児童相談所の役割りというのを十分果たし得るような状況ばかりだとは言えない。しかし、いま日本の法律の中で児童相談を表面から法律にうたい、構成まで規制をしているのは児童相談以外にはないわけなんです。そうなってくると、児童相談所のしっかりした役割りというものを果たしてもらう必要があるが一体、いま児童福祉司の資格の中で要するに一、二、三、四、五というのがあって、四番、五番というのはほとんど後からくっつけたようなものなんだが、一、二、三、四、五の構成は、児童福祉司の構成はどうなっているんですか。何%くらいずつ一、二、三、四、五の職員があるのか、それをちょっと厚生省の方、聞かしてもらいたい。
  139. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) お答えいたします。  現在、児童相談所に全国で児童福祉司が九百六十八名おるのでございますが、そのうちいま先生が御指摘の法律の第一号の職員が約一一%、それから第二号の大学で専門科目を修めた者が四一%でございます。両方合わせまして五二%でございます。これは五年ぐらい前に比べますと、二割程度であったものが五割を超えたという点でかなり進んできておりますが、なお残りの五割は御指摘のとおり、四号、五号の職員であるというのが実態でございます。
  140. 松永忠二

    ○松永忠二君 私、特にお願いしたいのは、一一%、四一%、この人たちと、三の医者まで私は十分あると思うんですよね。だけど四、五というのは、率直に言って児童福祉司の資格で十分だとばかりは言えない。だから、具体的に調べてみると、こういう状況に構成がないのがなかなかあるわけです。だから、その点をひとつぜひこの構成を常にあれをしてもらいたい。  で、児童相談所が現実に相談を受けている経路について統計があるわけです。昭和四十九年に、文部省の方へちょっと聞くのですが、学校からの児童相談所へ相談持ちかけたのは六・六%しかないわけです。それで児童相談所の相談をした項目を調べてみると、言語障害とか肢体不自由とか、いわゆる心身障害とか精薄の相談というのは四三・四%を占めておる。児童相談所の相談の四割以上が、ここで言ういわゆる対象児になるような子供の相談を受けている。学校から言ってきたものはその中の、全体の六・六%しかない。しかも、厚生省は、児童相談所執務必携というのをつくって、この四節に学校との関係ということを書いて、相当的確に学校関係をこれに書いてある。問題は私はむしろ文部省側にあると思う。文部省は一体これについてどういう指導をしているのか、児童相談所の活用という問題について一体どれだけの指導と内容をこの通達に出しているのか、それをひとつ聞かしてください。これは文部省の方で聞かしてください。
  141. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 児童相談所との具体的関連についてどうあるべきかというようなことを通達等を出して指導したというようなことは従来ございません。一般的に申しましてしかし、学校教育と関連の深いいろいろの施設につきましては十分連絡をとるようにということはやっておりますけれども、いま申しましたように具体的にこの問題について指導したというようなことはございませんです。
  142. 松永忠二

    ○松永忠二君 そういう点から言えば私は厚生省の方が積極的だと思うね。それからまた文部省は、これだけの児童相談所というものがある。自分のところには別に教育相談なんていうものはできるものがない、教育研究所が相談をやっている。その教育研究所の中に特殊教育の相談室をつくっているところもあるけれども、とてもじゃないが、そんなものは及ばないと。もっと児童相談所を活用してやっていくという必要があるのに、文部省側からはそういう指導は何にもない。厚生省の方が学校とのことを指導をしておる。この点についてはこの際ひとつ検討して特に活用を図るようにしてもらいたい。  それから、厚生省にお聞きをするというか要望しておるのは、児童相談所の充実について実はもっとよくやっているところがあるのですね。たとえば東京都が児童相談センターというのをこさえている。ここに百三十七名の職員の中で児童福祉司を二十四人、福祉指導二十人、心理技術十六人、保母三十四人、看護婦五人あるいは診療エックス線の技師、医師も六人もおる。いまや児童相談所というのはできるだけこういうような形で、いわゆる常時の相談に応じながら、医療も一部施行しながらしかも科学的なことによって判断をしていくという、こういうものができている。神奈川県に児童医療福祉財団というのがあって、これは飯田という人が理事長でやっているわけだけれども、この人が、障害を持って医療をしなきゃいけない子供をしかもそれで精薄であり重度である者を、その教育相談をしながら、医療をしながら治療をしながら長期のいわゆる教育相談に応じているわけだ。実はこういうものが必要なんですね。ところが、残念ながらこれには法的根拠がないものだから補助が何にもないわけで、単独でやっているわけです。いまいわゆる義務教育の養護学校の義務設置をしようとするときには、就学指導委員会をつくると一緒に、県にあったセンター的なものをこしらえて、そこでいわゆる判定もでき診断もでき、しかも中には少し治療もできて長期的にそれに応ずるものがなきゃいけない。これを文部省がつくれないというなら児童相談所にその役割りを果たしてもらい、児童相談所がまたいまの相談所というものからもう少し発展をして、医療的なものも含めたしっかりしたいわゆるセンターをつくっていくということがないと、実は単に養護学校義務設置というだけじゃなくて、重度とか重症のいわゆる子供たちは非常にこれについて困っているわけなんですよ。だから、こういう構想を、まあすでに厚生省でも言われていると思うんだけれども、ぜひひとつ考えてもらっていかないといけない。こういうことについて、また文部省自身が一体独自で何ができるのか。いわゆるさっきのようなセンターをもう少し各県別くらいにはつくらせるという努力をしていくとか、あるいはそれなら児童相談所をもう少しそういうやり方で文部省、厚生省が協力をしていくとかというもっとそういう点についての努力が必要だということを強く感じているわけです。時間もありませんからその点は申しただけにとどめて、もう少し……。  そこで、重度とかあるいは重複の障害児については、いわゆる複雑多岐だから多様な教育の場を設けなきゃできない。しかも、医療とか生活というものと結びついて教育が行われるから、それが一体となって教育が行われるということにやっていかなきゃいけないというところで、特に重症心身障害児について派遣教師の問題を文部省考えている。従来も虚弱児についていわゆる学級を病院につくらしたり何かする。ところが、今度は逆に重症心身障害児の施設の職員の人たちはどういうふうに考えているかというと、いわゆる派遣教師というよりは、むしろ福祉施設の生活訓練を主体としたものの教育というか、そういうものがむしろ必要なんであって、派遣教師というよりはむしろそういういわゆる教育考えていったらどうだろうか。しかも、いま言うとおり完全に養護学校がいきなりできてくるわけじゃないので、いわゆる施設における教育というのは相当長い期間続くんじゃないのか。そうなってくると派遣教師問題について、やっぱり厚生省と文部省の間で協議をして、いたずらに派遣教師をやることばかり考えないで、その施設の職員を派遣教師として認めていくという考え方にも立っていかなきゃできないのじゃないのか。この点をどういうふうに考えているだろうか。  それからもう一つ、今度は逆に厚生省だけですが、今度はそれじゃ仮にそういうことを考えてみるとしても、重症心身障害児のいわゆる重度加算をもらっている人たちの措置費の中には教材費が全然ない。重度障害の施設へ行ってみると、一日じゅう遊ばさせておくわけにはいかぬのだから、重度の子供でも紙にチョークで塗らせたり、いろいろなことをやっているわけです。教育という、生活指導という教育をやっているわけです。着物を着たりするとかいろいろなことを同時に、いわゆる教育の道具を使わせているわけです。ところが、教材費が措置費の中に全然含まれてないものだから、全部これは施設が出さなきゃいけないということになっているわけです。だから、私は、重度心身障害児の重度加算をするようなところにいままでは、あなた方の方はこんなものは教育の対象にはならない。そこには教材は必要がない、というふうに考えてたけれども、今度はできるだけの子供教育をやっていこうじゃないか、さまざまな形で教育をやろうじゃないか、ということになってきているので、やっぱり重度心身障害の措置費の中に教材費をつくるべきじゃないのか。派遣教師については、文部省が逆に余り固執をして、教育だから教師でなきゃできない、という考え方じゃないような考え方をもってやっていかないといけないのじゃないかということなんです。  派遣教師の問題と、それからいわゆる措置費の教材観の問題についてお聞かせください。
  143. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 先ほどのこの相談所をめぐる厚生省と文部省との協力がどうあるべきかという御質疑といい、それからいま御指摘になりました家庭訪問教師と、それから施設における教材の問題、これを考えますと、やはり私はこの養護学校教育の義務化に伴いまして、もう少し文部省と厚生省との間の協力というものを強化すべきものであるというふうに考えているわけでございます。実はたまたまちょうど二週間前に、山梨県の河口湖のそばにあります、これは厚生省の監督下にある聖ヨハネス学園に参りましたんですが、あすこの場合にもなかなか粘土が手に入らないので、紙粘土という代用品を使っているという実情を見せていただきました。そういうことを考えますと、やはり教材というふうな角度からわれわれの方の協力も必要であろうかと思いますし、それからまた、われわれの方では訪問教師については四十九年度から国庫補助を行って進んでまいっておりますし、そしてそういう訪問教師の数というものも約千四百人というところまで進んできておりますが、しかし、その方法よりも、場所によっては施設等の御協力を得るということの方がはるかに本当に有効であるという場合もあると思います。  いま御指摘の問題、先ほどからの二つの問いでございますが、やはり養護学校教育の義務化に伴って、これまで厚生省がやられてきたことと、文部省が実現いたしますことが並列いたしますだけに、新たに方々で起こってくる問題と思いますので、これをどういうふうな密な協力関係にして、そうして実際に重度重複の児童に対して役に立つようにするかということを、これは本当に積極的に考えなければいけない、かように思っているわけでございます。
  144. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) 重度の障害児施設の教育的な訓練材料費の問題でございますが、現状申し上げますと実は派遣教師を含めまして教育的な措置を受けますお子さんにつきましては、特例承認で就学奨励法に準じた学用品代その他を計上するようにしております。ただ、先生指摘のとおり、従来でも県当局にも重度の障害施設には教育材料は要らないのではないかという感じがございますので、なお、この点は課長会議その他で重ねて指導しておるところでございます。  また肢体不自由児施設等におきましては、非常に少額ではございますけれども、訓練材料費という形で措置費の中にございますけども、御指摘のとおり重度加算をただ人件費だけではなくて、そういう事業費について改正をすることは、来年度要求の中でも考えていきたいと思っております。  それからもう一点だけ、時間もございませんのに恐縮でございますが、施設職員が派遣教師の制度に対して自分たちの手でという点は、私どもも実はそれを代弁すべき立場なんでございますが、やはり中にはこれは言葉は悪うございますけども教育者に対するアレルギーみたいなものがございまして、これは私はいけないことだと思いまして、私ども、やはり協力してやる協力の仕方をやはり施設なり教育委員会と相談してやることにまず持っていかないと、いまのところでは、どうも施設職員が自分たちのやっている世界先生がいらっしゃるという印象を持ち過ぎているというのがございます。  それからもう一つは、先生御理解だと思いますけども、親の立場から、ともすれば学籍とか卒業証書という形において、福祉施設のいわゆる訓練をもってその子供教育的な生活することについてまだまだ理解がない点もございます。最近、全国団体その他ではそういった問題、重度の障害児については正しく理解しようという動きがあるように私感じておりますけども、そういった点から社会的な説明もやはり十分していかなければいけない。私は、いまやはり急がれますことは、それぞれの施設で教職にある職員の方と職員がどうやって協力して仕事をしていくかということを、やはり指導しなきゃいけないということで、非常にむずかしい点もございますけども、各施設長会その他を通じて指導している段階でございます。
  145. 松永忠二

    ○松永忠二君 時間がないからあれですが、訪問教師と派遣教師は全然違うわけです。だから、派遣教師は学級でもつくってそこへ派遣させるということですから、それを先生だけでやらぬで、そこの職員もそこのあれにする。そうしてむしろ生活指導の方はそっちの職員の方が上手なんだから、そういう人を派遣教師として、資格として認めていくとか、予算的にはどういうふうに持ち合っていくのかという、その辺を相談してもらわなければできないものがあるのじゃないか。  それから、厚生省の方で言うのは、私は教育費の、就学免除された、猶予されている子供がいるわけです、それには教育費がないわけですね。結局、そういう子供の教材費が措置費の中にないということを言っているのであって、就学したものに就学費用があるというのは、教育費があるというのはあたりまえなことです、費用が出ているのは。が、そうじゃない。従来、重度加算をもらっている者は免除されたり猶予されているわけです。そういう子供教育を免除されている、猶予されているから、教育の教材の費用は要らないという考え方が、そうじゃないということなんです。また、今度は就学免除というのは非常に少数になってくるから、そういうものも出てくるということを言っているのです。  それから、派遣教師の問題は、むしろやはり文部省側で、もう少し制度的に両者の資格をどうするとか、そういう問題を検討していくべきものと——まあ時間がありませんから、ちょうど関係したところで少し続けてもうちょっとやらしていただきますが、この精神薄弱者の通園施設というものがある、肢体不自由児の通園施設というのがある。で、この通園施設は厚生省の通園施設だけれども、通園施設は本来就学義務の猶予、免除した子供に対して、その対策としてスタートしたんだけれども、いまや幼児や、あるいは一般の生徒についてもこれやっているわけです、通園するわけです。今度、私は、しかし通園というものは家庭から通園できるわけです。そこで、つまり教育的な一定の時間はいわゆる指導を受けられるわけです。だから、むしろ学校教育条件はそろっていると言わなければいけない。というのは、通園施設に通園してきて、一定の時間そこに行っているわけだから、むしろこれは今度の場合で言うと対象になり得る子供のわけなんです。で、この通園施設についてはもう少しやはりこの際文部省、厚生省あたりでどういう子供を対象に一体通園施設にするのか、この点をひとつ十分考えていかなければいけないのじゃないのか。  それから、文部省に今度は就学猶予したり、免除されればそれですっぽかせばいいというわけじゃないでしょう。もう常に、この報告にもあるように、常に可能性を見つけて、機に応じて就学体制をつくらせる。一体、就学猶予、免除した者の教育措置は文部省は何でやるつもりなのか、それを言うとおり訪問指導員という形でやろうとしているのか。訪問指導員というのは一体どういう児童を対象にしてやるのか。現在、私はばらばらだと思う。だから、就学の免除、猶予された者を訪問教師としてやるのか。それからまた、通園してきている施設の子供には今度は義務設置的な教育ができるから、むしろそれは文部省の機関としてですね、いわゆる施設として養護学校の分校のような形で教育をすることの方が、むしろ制度的には正しいのじゃないか。だから就学猶予、免除された子供でですね、特に介助員をつくって、いわゆる通園施設へ持ってくる、いわゆる免除、猶予された者を通園施設が訪問教師でやるんだ。普通のいままでの通園の者はもう養護学校へ吸い上げる。この辺の検討がですね、厚生省、文部省の間でなされなけりゃいけないのじゃないだろうか。文部省は就学猶予免除児の指導をどういう機関でやろうとしているのか。訪問教師の指導員の対象は何なのか。それから訪問指導員の教師——人の身分確立を一体どういうふうにやろうとしているのか。  それからまた、児童相談所の予算を調べて見ると、在宅重症心身障害児訪問指導費というのがある。それからこれは児童福祉施設退所児童指導費、在宅障害児指導対策費というのがある。これが四百七万、四百八十七万、千四百八十八万とあるが、これは一体どういうことになるだろう、これから。在宅重症心身障害児の訪問とかなんとかというのは、むしろこういうことは両方でばらばらにやるのでなくて、対象児をどこで選ぶかという相談を、文部省、厚生省で区分けをするとか、文部省の負担する方の児童はどれである、それから厚生省はいわゆる負担するのはどこだと……。私は、こういうところに予算のむだというかね、重複したところがある。  この際ひとつ、いま言うとおり通園施設の問題、猶予、免除の教育機関をどうするかというような、そういう子供に対して指導員を使っているが、それをいわゆる児童相談所の関連をどうするかという問題について、この際やはり検討をする必要があるということが一つ。  それからもう一つ続けて言いますことは、特殊教育拡張計画を進めていけば、一体子供——幼児をどうするのか。文部省は、今度の計画の中に幼稚部をふやして、大体その幼児の中の対象障害の幼児を五〇%幼稚部へ入れるだけの施設をつくろうとしているわけです。厚生省は、保育所をこしらえているけれども、保育所の中の障害児の対策は一体何をやっているのか。私の調べたところによると、厚生省は、保育所入所対策児用の中で占める障害児数がどのくらいだという数はまだ調査してない。ただ、四十九年から一つの県に一カ所だけ保育所の幼児の障害児を対象としたものをつくろうとしている。この点はむしろ私は文部省の方が進んでいる点がある。厚生省の方について言うと、保育所は厚生省所管、その中に障害児があるのだが、これはもういわゆるいまの障害児教育というのは早い時期にやった方がいいわけだから、この時期にその子供をどうするかという措置は厚生省で考えてもらわなければいけないわけだ。  またこういうふうな養護の義務設置ができると、今度は中学校出た子をどうするかという問題で、労働省の関係の間に職業教育問題があるわけです。きょうはこの問題には触れないでおきますけれども、いわゆる厚生省と文部省で通園施設の問題、猶予、免除の子供教育機関をどうするのか、訪問指導員の身分、対象の生徒をどうするのか、児童相談所の持っている訪問と、文部省考えている猶予、免除のいわゆる指導との、生徒の問題等について協議の必要が出てくるし、また厚生省としては、保育所にある幼児のいわゆる障害児、これをちょうどいま文部省が幼稚部で、とにかく半分をやろうとしているその考え方とやはり並行するような厚生省の対策が必要になってきている。そういうことをぜひ考えてもらいたい。  一々回答は要りませんけれども、ぜひひとつせっかくの長い間の懸案であるいわゆる養護学校の義務設置ができたこの機会に、ひとつ政府でしなければできない問題が幾つかある。そしてまたそれはいま障害児を持つ子供たちの親たちの強い要望でもあるし、また現に重度重複の障害児教育をどうするかという問題もあるわけなので、ぜひひとつこの際両省にまたがっている問題等について整理をして、そしてこの予算的にもロスをつくらないように十分効果を上げるようにですね、強くひとつ文部大臣に要望をし、厚生省はちょうど局長はきょう来てないけれども、ひとつ課長の方から通じて積極的にやってもらい、特に初中局長も担当の局長でもあるのでぜひ、細かいことだけれども、念入りにひとつ措置をして、そして完全にひとつ安心してこの義務設置が行われるように格段の努力をひとつお願いをして、きょうは終わりたいと思います。両者の方から最後に答弁を聞かしていただきたい。
  146. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) ただいま松永委員から重要な事実をたくさん挙げて御指摘になりました点は、文部省また厚生省にまたがって検討をすべき事柄としてきわめて貴重なものであると思います。そこで、そういう猶予の子供に対してどうしていくか、訪問教師のあり方、さらに通園、また義務教育以下の子供についてこちらの方で、文部省考えております幼稚部、また厚生省では保育所でどうするか、というような非常に具体的に詳細に検討していかなければならないことが多々あるということは、御指摘によってきわめて明らかになったと思います。これは私どもとしまして、今後努力をいたしまして、両省にまたがりながら、しかも十分に明確な分業関係にしていくことによって、最終的にはやはり心身障害の子供たちに役立つように努力をいたしたいと、かように考えております。
  147. 山内豊徳

    説明員(山内豊徳君) ただいまの点、文部大臣から御答弁のとおりでございまして、厚生省としても十分対処できますよう努力いたしたいと思います。     —————————————
  148. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) この際、委員の異動について御報告いたします。  ただいま宮之原貞光君が委員を辞任され、その補欠として前川旦君が選任されました。     —————————————
  149. 内田善利

    ○内田善利君 最初に、午前中、久保委員から質問がありましたが、私もあの記事を見まして非常に驚いたわけですが、文教予算が大幅削減ということで、しかもその内容がいままでの教育に逆行するものであり、基本に触れる問題だと、そういうことで質問通告をしておきましたが、先ほど大臣の答弁で、大幅削減については文部省は何も聞いていない。文部省概算要求とは全然逆だというような意味の答弁があったわけでございますが、内容は、三十八年度から教科書の無償交付がなされておったわけですけれども、これを一部有料化を図るというような大事な問題。それから日本育英資金の給付額に利子をつける問題。それから国立大学の授業料を各学部ごとに上げ率を引き上げること、上げ率をいろいろ差をつける。それから私学の経常費助成これを、人件費の増大を極力切り詰めて抑制する。そういう四項目とも非常に重要な問題でございますが、そういう要求をしたことはないという大臣の答弁でございますけれども、これは大蔵省当局が言っている方針でございまして、これがそのまま大なたがふるわれるようなことがもしあるとするならば大変な問題だと思いますが、どのように対処されるおつもりなのか。
  150. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) けさほども申し上げましたように、これは文部省がいろいろ準備をいたしまして、昭和五十二年度を目指して概算要求をいたしましたものとは全く異なっているわけでございます。  さらに第二点といたしまして、このことを確かに私どもは新聞で読みましたけれども、しかし大蔵省の方からこの種の大幅削減ということを何ら聞いていないというのが現状でございます。したがって、文部省概算要求の線に沿いましてこれを実現してまいりたいというのがわれわれの考え方でございます。  したがいまして、ただいま先生のお問いの中にあります、仮にそうであるならばどうするかということでございますが、これは四つ五つにわたっているようでございますが、とりわけこの義務教育教科書有償というようなことは、これは考えられないことですが、その他の事柄につきましても、それこそ実際どういう案があるのか、そのことが具体的に示されましたならば、明確にわれわれの考えを述べるつもりでございますが、先ほど申し上げましたとおり、いまだ何ごとも聞いておりませんので、われわれは概算要求を実現するという、かような立場で臨んでいるわけでございます。
  151. 内田善利

    ○内田善利君 大蔵省の方、文部省担当ですね。——この記事によりますと、「教科書の無償がストレートに教育の水準向上に結びついていない。」(同省幹部)ときちっと書いてあるわけですね。ですから、大蔵省のどなたかが、こういう考えを持っておられる。こういうこともはっきりしているわけですが、しかも、内容が非常に具体的に指摘されておるわけですが、このことについて大蔵省はそういう方針がおありなのかどうか。はっきり明示していただきたいと思います。責任をもってお答え願いたいと思います。
  152. 佐藤徳太郎

    説明員佐藤徳太郎君) 先生御存じのとおり、予算編成の過程は、私ども、いま文部省御当局から概算要求の中身を聞き、また追加の説明を受けながら、私の手元で現在いろいろ検討している段階でございまして、新聞に伝えられるような方針を大蔵省として決めたというようなことは、まだございません。私のところで文部省の御要求を受けましていろいろ検討している段階でございます。
  153. 内田善利

    ○内田善利君 それでは大蔵省としてはそういう考えは全然ないということでございますね。
  154. 佐藤徳太郎

    説明員佐藤徳太郎君) いろいろの観点からわれわれのところで検討しておる段階である、かようなことでございます。——いろいろな観点から概算要求の内容についてわれわれは検討中である、現在検討中である、しかし決まった方針はございませんと、こういうことでございます。
  155. 内田善利

    ○内田善利君 決まった方針はないけれども、こういう内容については内々検討中ということですか。
  156. 佐藤徳太郎

    説明員佐藤徳太郎君) これも先生十分御存じのことと思いますけれども、われわれは各省の御要求を受けますと、その制度なりなんなりにつきまして、制度ができたときのいきさつがどうであるとか、あるいはその別の考え方ができないか、あるいは現在そういう制度がまだ有効であるのかとか、あるいは有効でないのかとか、いろいろな観点から問題点を詰めるわけでございます。それは別にその新聞に出ているような問題点だけではなくて、いろいろな観点から勉強をしながら予算編成を煮詰めていくわけでございまして、各般の問題を目下勉強中である、こういうことでございます。
  157. 内田善利

    ○内田善利君 そうしますと、大蔵省はこういうことも考えておるということのように受けとめますが、それでいいですか。
  158. 佐藤徳太郎

    説明員佐藤徳太郎君) たびたび同じお答えで申しわけございませんが、われわれとして、現在検討中でございまして、伝えられたような内容の方針を決めているということはございません。   〔委員長退席、理事内藤誉三郎君着席〕
  159. 内田善利

    ○内田善利君 じゃ、この四つのような、四つの項目にわたったようなことは、そういう方針として決めてないと、こういうことですね。
  160. 佐藤徳太郎

    説明員佐藤徳太郎君) 現在のところ決めてございません。
  161. 内田善利

    ○内田善利君 結構です。——帰られて結構です、そういう意味です。  次に、教育課程審議会のまとめが出たわけですけれども、十一月ごろ答申ということですが、この内容の中で二、三お聞きしておきたいと思うのですけれども、この中身について、授業時間の短縮、ゆとりをつくるということなんですが、週五日制についてはどのように対処されていかれるつもりか。  大体来春から国公立の学校の一部で先生の週休二日制が試行されるということですが、この新教育課程が実施された場合に、高校三年生で完全実施されるというのが昭和五十九年度ということですけれども、その時点ではこの学校六日制に変更はないのか。その辺はどのように審議が行われたのか、まずお伺いしたい。
  162. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) この教育課程審議会が、ゆとりのある充実した学校生活を送れるということを目標に、最終答申はほとんどでき上がっているわけですが、その前段階のものを先般発表されました。これとそれから、いわゆる週休二日制の問題は一応別個でございまして、教育課程審議会の審議の過程におきましては、これをつまり教育課程審議会の答申で出てまいります教育課程を、学校五日制を前提としてつくり上げるということで進んで来られたわけではないのでございます。そこで、仮に週休二日、あるいは学校五日、そういうものに移行するというような場合にはまた教育課程のある部分について検討しなければならないということも生じ得るかと思いますが、全く現段階におきましては学校が六日あるということで、その六日あるというときに一〇%程度を時間を削減する、そうしてゆとりをつくっていまのような課程で進んでいきたいということでございます。  他方、週休二日制というのは、直ちに学校五日制になるかどうか、そこがまた一つの問題でございますし、ともかく週休二日制につきましては、これは公務員としての教員の問題でございますから、文部省としては、他の公務員と若干違いますので、他の公務員の場合にはこの秋から試行——いわゆる試みに入っていくところがございますが、教育公務員の場合には、やはり学年の切れ目というあたりをいま目指して準備を進めております。その試行、試みの結果、どういうふうになるかというのは、そこで結論が出るわけでございますから、その段階で公務員としての教員の週休二日制はどうなるかということについての考え方が決まってくるんだと思います。その上でさらに、今度できますところの教育課程、これが適切であるかどうか、その段階二通りあると思いますが、週休二日で学校六日というときには恐らく何ら変更を必要としないでございましょうし、また週休二日で学校五日という場合には、あるいは何らかの検討は必要であるということになるかもしれませんが、現段階においては、私はそれについて明確に申し上げておきたいことは、この教育課程審議会の答申というものはともかく現在の学校六日制という考え方の実態の中で学校をどうしていくということでつくられたものだということでございます。
  163. 内田善利

    ○内田善利君 もう一つは、永井大臣の四頭立ての馬車論ですね。そのうちの一つがこの教育課程の改善であったわけですが、他の大学の改革と、大学入試制度の改革、学歴偏重の打破が四頭立てだったと思うんですが、この教育課程の改善だけでは、一頭の馬だけでは馬車はなかなか動かない。特に学歴社会、それから入学——大学入試制度の改革、こういった問題が片づかない限り、いろんな教育課程審議会のまとめが出まして報道されている記事を見ますと、ゆとりが果たしてそのゆとりになるのか。むしろ高校の場合は、私学との格差がうんとできてしまうのではないか、受験本位の私学の方がどんどん、どんどん大学受験のために評判がよくなって、ゆとりのある学校の方はだんだん父兄から望まれないようになってくるのではないか、というようなことなど考えますと、確かにゆとりのある学校がほしいのですが、一頭だけでは、三頭もよくならなければ四頭で引っ張っていかない限り、日本教育はよくならないのではないかと、こう思うのですけれども、もう三頭の方ですね、大学改革、大学入試制度の改革、学歴偏重の打破、ここにもやっぱり早く解決をして、大臣の言われるような四頭立ての馬車論でいくならば、非常に教育課程の審議会のまとめも前向きのまとめでございますからいいと思うのですが、この点はどのようにお考えになりますか。
  164. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 教育課程が実際に指導要領を変え、さらにまた新しい教科書ができますのは昭和五十五年でございます。しかし、これに基づきまして移行措置に入りますのは昭和五十三年でございます。というのは、現在の指導要領の部分的な変更というものによって移行措置をするわけでございます。なおまた、昭和五十二年、すなわち来年から研究指定校というものの数を相当ふやしまして、これは千をはるかに超える数でございますが、いろいろな形でやっていくということでございますから、教育課程審議会のいわば目標といたしますところは、五十五年から動き出すというのではなくて、私は来年から動くように運んでいきたいと思っているわけでございます。また事実、教育課程だけが変わりまして、さらにいい教育になるというほど事態は甘くないと思います。そこで、それと他のものを連動させませんといけないわけですが、現在、国立大学の共通入試、これは昭和五十四年をめどとして進めていくということをいま国立大学協会で考えておられますので、私どもは、それとそれこそ連動しながら予算編成をいたしておりますので、来年度概算要求の中に入試センターを設置するということを入れさしていただきました。これはおよそ三百人ほどの人が働きまして、そしてコンピューター等を置きましてもう五十四年から指導し得るということを目指しているわけでございます。ただ、これが五十四年から発足いたしますから、五十三年の移行措置というものとある程度並行するわけですが、さて大学入試という場合に、これが国立に限定されますと問題がございます。  そこで、公立、私立をどうするかということでございますが、公立大学協会からはすでにわれわれの方で国立の方がもう少し進んだ段階においては協力関係に入りたいというお申し出がございますので、それに運んでまいりたい。また私学の方につきましては現段階では団体としてそういう要求はございません。しかし有力な学校の中で学長がすでに数人、私に対してそうした方向考えているということでございますので、これをどう連動させていくかということが一つ。さらに、共通一時テストの場合はやはりペーパーテストでございますが、二次テスト段階におきまして、たとえば実技あるいはエッセイ、それからいろいろな形の、たとえば音楽の場合は音楽を調べるというような二次テストがどういう姿になるかということが非常に高校以下の教育課程と関連いたしましてまいりますので、その二次テストをとう進めるかということがこの次の問題となってまいりまして、単に五十四年から共通テストが発足するというだけではだめである。この問題に目下国立大学協会においても取り組んでいただいておりますし、また高等学校等からもいろいろな要望がございますので、これは国会などにおいても大いに御審議をいただきますとありがたいと思っていることの一つですので率直に申し上げる次第でございます。  なお、第三番目の大学改革でございますが、これは一番いわゆるラジカルな考え方は、東大の入試をくじ引きにしてはどうかとか、東大解体論なんというのもありますが、まあ私はそういうやり方をとっていないわけでございます。一面におきまして少なくも私立大学の底上げを考えている。これは財政的に、これも国会でお決めいただいた私学振興助成法に基づくものでございます。ただ、その底上げを考えていくときに、けさほどから問題になりました九州学院大学のような大学もあるわけでございますから、相当の傾斜配分というものをやはり行うことが妥当である、ということは、一方で相当伸びてくる私学があり、まあいわばやはり山もあり、高い山も低い山もあるという姿かと思います。さらに公立はなかなか、われわれとしてそれをどうこうというふうに国政上干渉しにくいものでございますが、国立につきましては、東大中心主義ではなくって、まあ少なくも、現在の予算でも旧七帝大、現在そこには相当の予算が配分されておりますが、そこにとどまらないように配慮をいたしていく。具体的に申しますと、まあ筑波大学というものがもうすでにできておりますが、そのほかに広島大学もまあ古くからの文理大、高師の伝統を持っておりますが、手狭にもなってきており、また優秀な先生方を抱えておられますから、これは西条に移転して一つの地方大学中心になっていく。まあそのほか大学全体という姿でないものでは、いろいろな大学におきまして大学院のコースを強化いたしましたり、あるいは学部、学科、そういうものを強化することもいろいろ進めてきているわけでございます。  さらに大事なことは、ただ大学だけを尊重するという考えを私はやはりこの際もう脱却すべきであるというふうに考えますので、専修学校というものを、これも国会のおかげでこの四月初めから発足いたしましたが、これはやはり意外に、つまり予想以上に要望がございまして、現段階ですでに千を超える専修学校を認可するに至りました。そしてその専修学校の卒業生というものの就職率を調べますというと、まあ大学並み、あるいはどちらかというと、元気がそれほどよくない大学よりは、よろしいということは明らかでございますので、高等教育懇談会におきましても、専修学校は広い意味の高等教育機関であるというふうにお考えをいただいているわけでございます。  さらに来年度の予算との関連で申しますと、やはり峰をたくさんつくっていくということと、大学の門戸開放ということが大事でございますので、懸案の放送大学というものをひとつ来年からぜひ発足させたいということでございます。これは最終的には四十万人を収容し得るということを目指しているわけでございますが、従来のような大学と違う。まあそういうふうな姿で、大学改革という場合、一つのものを変えて、非常にショッキングな形で大学が変わるというようなほど、わが国の高等教育制度は現在単純なものではない。そういたしますと、その全体をやはり見通しまして、私学の強化であるとか、専修学校、放送大学、あるいは大学間の協力というようなことを考えながら、全体構造を変えていく。そこで、三つのものの連動関係というのは、五十二年、五十三年、五十四年、年を経るに従いまして、私は連動関係が起こってまいりますから、試験地獄というものが一切合財なくなってしまうということはなく、やはり試験というものは続くと思いますし、競争は続くと思いますが、現在のようなペーパーテスト一辺倒というものからは次第に脱していくことができるのではないか。そうしてまた、現在よりはいわゆる実技というようなものが重んじられたり、あるいはもっと個性に合った各学校での活動、これを内申に記録したものが上級学校でも信用されるようになるのではないか、そうして競争も適正なものに移行し得るのではないかと考えております。  ただ問題は、四番目の学歴偏重をどうするかということでございますが、これは文部省がなかなか直接左右しにくい問題でございますから、労働省などともお話を続けてきているのですが、幸いたとえば本年の国民生活白書を見ていただきますというと、この十カ年間に学歴別から生じますところの賃金格差というものは、非常に狭まったということは明らかでございます。わが国の経済がこれから低成長、あるいは安定成長という段階に入ってまいりますと、いよいよその傾向は深まるのではないかという予測もあり、また、単なる名目だけの学歴よりは、本当に、実際能力を持っている人が尊重されるというような予測もございますので、私はそうした点からもいま申し上げた三つの文部省としてやるべきものは一応出発の形が整ったということでございますが、この学歴偏重のことは、われわれの方から繰り返し呼びかけていくことによって、現在の事態というものは一層進んでいくのではなかろうか。また文部省といたしましては、その呼びかけを怠ってはいけませんので、これも来年度予算の中に、国民の学歴意識に関する調査というものを含めさしていただきまして、これは相当本格的な調査を来年やりまして、これは発表する。国民の中にも相当変化を生じているのではないかと考えておりますので、これをぜひ来年は実施をいたしたい。  現状報告を申しますればさような状況で進んでいるわけでございます。   〔理事内藤誉三郎君退席、委員長着席〕
  165. 内田善利

    ○内田善利君 それと、ゆとりということですけれども学校に三、四時間、学校にゆとりの時間を任せるということですが、これは校長が決めるのか、教員自体が決めるのか。それと、先ほどもお話がありましたが、学習指導要領に必ずしもよらない研究校がことし二十校、来年は四十五校ということですが、この学習指導要領によらない学習ということも考えておられるようですが、私は、この学習指導要領による拘束性といいますか、こういうものはなくする方向がいいんじゃないかと思うのですが、その点はどのようにお考えですか。
  166. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 学習指導要領の拘束性の問題から申しますと、そもそも学習指導要領というようなものは一切合財拘束性を持たないという伝統的な国として、アメリカやイギリスのようなものがあるわけですが、そういう国々も、たとえば国の中でいろいろな格差、あるいは国際的な情報というものを各地に伝える等の要求から、非常に、日本ほどの拘束性ではございませんが、イギリスの場合は一九四四年、アメリカの場合は五〇年代だったと思いますが、教育の中央官庁ができまして、そうして、いままでの地方教育行政という形と連絡をしているわけでございます。しかしながら、やはりもっと先生方の創意工夫を生かした方がよろしいという点では、そういう国は強い伝統があるかと思います。わが国の場合は、いわゆる歴史が違いますから、私は、古いイギリスのような形に直ちになるということが望ましいというふうには考えないわけですが、他方、創意工夫を生かすということは、非常に重要であると考えておりましたが、幸い高村象平先生教育課程審議会においてそのお考えをおとりになりまして、そこでこの一〇%はゆとりのある時間、そのときには学校でいろいろなことを考えてください。特に体育でありますとか、あるいはその他集団的な活動とか、そういうものをやるようにということでございます。これはだれが決めるかということは、やはりこれからのやり方の問題で、創意工夫でございますから、そういう考えは創意工夫が必要なんだと思いますが、やはり学校として最終的には校長先生が決めていただくのが普通であろうかと私は考えております。  なおまた、先ほども申し上げましたように、教育課程が全部でき上がったときから変わるというのは私は、本当の変化にはならないと思いますので、初中局長中心にいま進めてきておりますのは、先ほどから申し上げましたいろいろな研究指定校ですが、その中で本年度二十校、来年度四十五校、これが必ずしも指導要領によらないということでございます。そういうものをいわば実験的に考えてみる。ですからやはり指導要領というものは一つの基準としてこれは重んじられなければいけないんですが、そこで、法的拘束性というふうな言葉を使いますと、人々はともすれば間違いやすいのは、もう何もかも自分の創意工夫は必要はないのだというふうにとりやすいわけですが、実は諸先生方が創意工夫を生かして指導要領を使っていただくということに法的拘束性があるというふうにとっていただきたいわけでございます。これは現行の指導要領の第一ページにも、たとえば地域の特性、それから子供の遅進児、早く進んでいる子供についても考えてほしいというふうなことが書いてあるわけでございますが、今度の教育課程の場合には一層そうした面が強調されることになりますので、私が申し上げる意味先生方が創意工夫していくことも、先生方の専門的な役割りであり、また同時に、法的なことであるということは、教育課程審議会から出てくる次の指導要領においては一層明らかになるのではないか、かように考えているわけでございます。
  167. 内田善利

    ○内田善利君 もう一点聞いておきたいと思うんですが、いまの問題ですね、法的に拘束いたしますと、一遍特別教育活動を一時間とったことがあるんですが、そのときに現場先生方は非常に混乱いたしまして、特別教育活動を一時間同じ時間にとったわけですから、運動場を使うにも、もうみんなが一斉に運動場に出ていってどうにもならない。あるいは各学年、各クラスでいろんなことを計画したけれども、ぶつかってしまって、同じ一時間ではどうにもならなかったということがあるわけですが、そういう混乱を生ずるおそれがあると思うんですね。やはり、学校教員の裁量でこれはやっていかないと大変なことになる。各クラスごとに自由にそういう裁量時間を充てて担任の先生で、あるいは教科の担任の先生でやっていくようにしないと、自主性に基づいてやっていくようにしないと、学校全体となると混乱を生ずるんじゃないかと、そう思うんですね。特に一律になってまいりますと、やっぱり落ちこぼれ、いま七、五、三とか言われて小学校では三割、中学校では五割、高等学校では七割も落ちこぼれていくというようなことですけれども、その落ちこぼれの原因をなくしようということならば、やはり学校の担任の先生、あるいは教科の担任の先生に自主性に基づいてゆとりを与え、落ちこぼれを少しでもなくしていくという方向に持っていくべきじゃないか。このように自分で考えているわけです。で、あのような、かってあったような混乱を生じないようにすべきだということが一つですね。  それからやはり学力の低下は、こういう学習指導要領による拘束が今日のあのような低下を来たしたんじゃないか、ということも一面あるんじゃないかと思います。東京都内のある学校で、ちょっと忘れましたけれども、小学校の教材だけで中学校でテストをした。特に算数のテストだったと思うのですが、中学一年、二年、三年ともに五〇%ぐらい解けない。9−6÷3これが中学一年、二年、三年、ともに同じパーセントで解けてないということは、やはり小学校で学んだことをもうすでに中学一年から全然解けないようになってしまっている。こういうことだと思うのですね。  そういうことですから、そういう自主的にテストをやっていらっしゃる中学校もありますし、やはり学校それから先生方相当の裁量を与えていく、学習指導要領で拘束することはできるだけ避けていくというのがいいのじゃないか。このように思うのですが、その点いかがですか。
  168. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) まことに御指摘のとおりで、たとえば特別教育活動というものを、どこの学校でも何曜日に一時間ということになれば校庭あふれてしまうということでございますから、やはり自由裁量。自由裁量ということを、先ほど校長先生当然お考えになるべきだと申しましたが、この教育課程の審議会のまとめではひとつ学校考えてくれという言い方をいたしております。ということは、やはり諸先生方みんなで御協力を願うということであろうかと思います。そういたしますと、当然連絡調整というようなことも、いわば自由裁量で学校責任のある方々がいろいろ工夫をしていただくというほかないのではないかと思いますし、私はそういう方向で進み得るのではないかと考えております。  さらに落ちこぼれの問題でございますが、これはやはり今度の教育課程でそうした落ちこぼれというものがないように相当配慮されている。基礎を強めるということと、それと同時に、それぞれの子供の自主性を生かしていくということが大きなねらいになっておりますから相当この教育課程で救えるのではないかと思います。しかし、教育課程といいますか教科書と申しましょうか、これをやっぱり十分に使いこなす先生方がふえる、いまもりっぱな方はたくさんおいでになりますが、さらにりっぱな先生として完成に向かって進んでいかれるということがやはりどうしても学校の場合に最終的なかぎではなかろうかというふうに考えるわけでございます。そういたしますと、一体教員養成のいまのあり方が果して妥当であるかどうかというようなこともあり、また現職教育、これが果たしていまの姿で妥当であるかどうかという問題もございますので、これも朝、高橋委員の御質問に対して答えたことでございますが、さしあたり幾つかの実験を私どもは始めておりまして、そうした実験というものをだんだん強化していく。来年はオリエンテーション研修的なものを発足させたい、そしていろいろな研究校というもののインフォメーションをもっと交換する、こういうふうな形で教育課程が変わり、そしてまたそれをりっぱに使いこなせる先生方がふえるということがやはり落ちこぼれというものをなくしていく上で一番妥当な方法ではなかろうか、こういう考えで進んでいるわけでございます。
  169. 内田善利

    ○内田善利君 この問題についてはまた次に機会が与えられておるようですから、そのときに質問したいと思います。  次に、私の質問主意書に対する答弁を受け取ったわけですが、これでは答弁になっておりませんので、再度この機会に質問したいと思います。  まず第一点は、ローマ字教育について答弁書では「学習上混乱を起こさないように配慮しつつ、適宜指導する」と、こうあるわけですれども、具体的に何を指すのか、小学校四年生では訓令式、中学校に入るとヘボン式というような、辞典も一切これはローマ字がヘボン式になっております。小学校四年では訓令式、中学校に入るとヘボン式と、こういった混乱をどうするのか、具体的にどういう指導するのかと、こう質問しているのですが、ただ「適宜指導する」とこういう答弁なんです。具体的にはどのように指導されるのか。
  170. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) この御質問にもありますように、一般的には訓令第一号の第一表のつづり方をもって広く実施をさせたいという、こういうたてまえでございますから、小学校段階においてはまずそれをしっかり学習をさせる。しかし、現実にそれ以外のつづり方が行なわれておるということを踏まえまして、また中学校においては特に英語の教科書などでそれ以外のつづり方もこれは教えるということはまあ必要であろうかと思うし、あるいはやむを得ないという場合もあろうかと思います。  そこで、私どもといたしましては、それが教育上の混乱になっては困るということで、従来も混乱のないようにということを通達に示してきたわけでありますが、今後この問題につきましては、国語の担当者の研修会あるいは英語の担当者の研修会等を通じまして、直接国においてあるいは府県の段階におけるそういう機会にもこの趣旨が徹底するようにいたしまして、混乱を起こさないように指導していただくようにしたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  171. 内田善利

    ○内田善利君 子供自体が非常に当惑するわけですね、その点を配慮していただきたいと、こう思います。「ヂ(ジ)」にしてもdi、あるいはzi、jiと、こういうのがありまして、一体どれを使っていいのか非常に混乱するわけですが、訓令があるわけですから、訓令のとおりにローマ字を統一し、単一化していく、そういうことが私は答弁として出てくるものと思ってたわけですが、そのローマ字の統一、単一化をどう考えているかという答弁がないわけですね。これはどのようにお考えでしょうか。
  172. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) ただいまの初中局長の答弁に関連をするわけでございますが、御承知のとおり、小学校四年生におきましてはローマ字を訓令式で教えておって、中学校に行くとそうではないというお話がございました。しかし、御承知のとおり中学校では実はローマ字を教えていないわけでございまして、英語の中にローマ字が出てくるということが実際でございます。したがいまして、英語の教科書の中にマウント・フジというのが出てまいりました場合に、これは訓令式でありますとHuziでございますが、英語の教科書の中でそういう表記が出てまいりますと大変不自然なわけでございます。私もよくわかりませんが、恐らく英語的に発音いたしますとヒュージというようなことになるのじゃないかと思いますが、そういう場合はむしろ英語的な読み方が可能になりますようにFujiというふうに書いた方が英語の表記といたしましてはむしろふさわしいわけでございます。つまりそういうことはございますけれども、それは英語の教材の中でそういう取り扱いが行われておるということでございまして、国語の教科書におけるローマ字の表記においてそういう混乱があるということではございませんことをつけ加えておきたいと思います。したがいまして、表記の統一の問題につきましては、国語教育に関する限りは原則は貫かれておるわけでございまして、訓令式を基本にし、従来の標準式と申しますか、ヘボン式をこういう用い方もあるということで教えておるわけでございまして、一応の筋は教育上は通っておるかと考えております。
  173. 内田善利

    ○内田善利君 にわかに改めがたい事情について聞きましたところが、答弁書は「第一表ができるだけ尊重されることが期待される。」と、このようにあるわけですけれども、期待されるだけでこれは行政指導は行わないわけですか。
  174. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) ローマ字の用いる場面につきましては二つあるわけでございまして、一つは政府部内における使用と一般社会における使用でございます。  政府部内における使用といたしまして、日本語の文章をローマ字で表記をしたという例は私どもの今日までの調査では全くございません。したがいまして、日本語のローマ字表記について混乱があるというよりは、むしろローマ字表記自体が政府の部内におきましては存在しないということでございます。繰り返しますが、文章の表記をローマ字で行っているという事例は私どもの今日までの調査では政府の部内にはございません。したがって、使い方につきまして混乱があるという余地はないわけでございます。ただ、人名、地名それから官庁の名前等につきまして、従来のヘボン式による表記が行われている例もこれは確かにございます。現に「MONBUSHO」という文部省を紹介した英文のパンフレットにおきましては、文部省の省は、SHOでございまして、SYOではございません。しかし、これは英文の文部省紹介資料でございますから、その表記につきましては従来のヘボン式に従った表記をしたということでございまして、それ以外にそうした用い方をしている例は恐らくはないであろうと思います。正確にはそこのところを調査をいたしておりますが、官庁におきましてヘボン式が用いられております場合は、まあ大体そういう英文資料の一部としての表記の場合が私は大部分であろうというふうに考えております。  それからなお、旅券法の施行規則におきまして、日本人の人名のローマ字表記はヘボン式によるということが外務省令で記載されておりますが、これはいろいろ理由があり、沿革もあるようでございますが、一度ヘボン式で表記をいたしました人名等を訓令式にいたしますと、たとえば小切手の記帳にいたしましても、果たしてそれが同一人であるかどうかということの確認につきまして問題が起こる。これは一例でございますが、そういうことがございまして、なかなか変えがたい事情が存在をするということで従来の例を踏襲いたしておるわけでございます。  なお、文書答弁にもございますように、政府部内におけるローマ字使用の実態につきましては、さらに正確に調査をいたしておりますので、その調査の結果を待ちましてさらに検討をいたしたいというふうに考えております。
  175. 内田善利

    ○内田善利君 実態を調査中ということですが、いつごろまでにこの実態が調査できるのか。それから「内閣訓令が政府部内において遵守さるべきことは当然のことであり、その趣旨の徹底について特別の措置はとっていない。」こうあるわけですが、いま調査中ということですが、内閣訓令、告示の趣旨徹底については、いままで特別な措置はとられなかったわけですか。
  176. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 調査でございますが、先般内田先生から御質問がありました直後、各省に対しましてとりあえず電話で照会いたしまして大体の状況はつかんでおるわけでございますが、しかし、さらに包括的にかつ正確な調査をする必要があるということで、文書でもって調査をすることにしたわけでございます。ところが、そういたしますとその調査の仕方等につきまして、内閣官房あるいは内閣法制局等からいろいろ御意見等もございまして、調査様式の作成に手間取ったわけでございますが、ようやくまとまりまして九月の二十五日に各省庁にこれを発送をいたしております。回答の期限といたしましては今月の二十三日まででございまして、回答が集まりましたならば、早速に全体の取りまとめに入りたいというふうに考えております。  それから、趣旨徹底につきましては、答弁書にもございますように、格別な措置はとっていないわけであります。訓令が遵守されるべきことは当然なことでございますので、そうした措置はとっていないわけでございますが、先ほども申し上げましたように、日本語の文章の表記といたしましてローマ字が用いられるというそのこと自体が政府部内にはまず存在しないわけでございますから、したがいまして、いずれをとるか、ないしはそのことに伴って大きな混乱があるというような事態は、政府部内に限って言えば、まあ調査してみなきゃわからないということもございますが、まずはないであろうというふうな理解でございます。  ただ、いろいろ細かい問題等も出てくるかと思いますので、それは調査をいたしました上で検討をいたしたいというふうに考えております。
  177. 内田善利

    ○内田善利君 この日本語のローマ字表示については、やはり国際的にもですね、こういう混乱状態は許されないと思うんですね。ですから、国際的にこの規格について、国連の諮問機関である国際標準化機構——ISO、本部はジュネーブだそうですが、ここでいろいろな委員会が開かれて、日本語のローマ字表記をヘボン式にするとか、訓令式にするとか、いろいろ会議があったようでございますが、最終的には訓令式で再検討するということに去る五月決まったようでございますが、この点についても国際的な問題もありますので、日本の国内のローマ字表記の混乱が起こらないようにすべきじゃないかと、このように思うのですが、この点はいかがですか。
  178. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) ISOの問題につきましては、ことしの五月でございましたか、当委員会でお尋ねがあったことでございますが、私どもは基本方針といたしましては、内閣訓令を前提にして臨みたいというふうに考えております。  したがいまして、そこに方針、態度の変更というものはないわけでございまして、そうした方向で国際的な会議等にも臨みたいというふうに考えております。  国内に混乱と申しますか、いろんな方式が行われておるということにつきましては、先ほど来、るる申し上げたところでございますが、まあ、政府部内についてはるる申し上げたところでございますが、民間の使用例といたしましても、デパートでございますとか、大きな商社、電気メーカー、そういうところが社名の表示といたしましてヘボン式を使っておるということはあるわけでございますが、しかし、官庁と同様、民間におきましても日本語の文章の表記をローマ字で行っておるという例は恐らくないと思います。したがいまして、まあ、地名、人名、会社名、そういったものについての問題でございまして、ただ、それが外国人向けのものであるとかいうふうに理解をいたしますならば、それを混乱と言うかどうかはやはり問題であろうかと思います。  聞くところによりますと、虎ノ門の駅には「FOR・SHIBUYA」という表示があるそうでございますが、FOR・SHIBUYAということになると、これはやはりその場合のシブヤのシはヘボン式で書いてあるそうでございますが、FOR・SHIBUYAと言えば、それはやはり英語国民に対する一つの表示ということになろうかと思いますが、その辺になりますと、やはりそういう行き方もあり得る、英語の使い方としてはあり得るというふうに考えていいのではないかと思いますが、そういうことでございますので、私どもは内閣訓令の基本を崩すつもりは毛頭ございませんけれども、やはりその実態というものは十分尊重していかなければならない、それにはそれなりの理由もあろうというふうに考えるわけでございます。
  179. 内田善利

    ○内田善利君 私は、きょうは放送大学について質問をする予定で来たのですが、先ほどのいろいろな問題でいままでになってしまいましたが、放送大学について先ほども大臣からいろいろ構想が若干お話がありましたが、私は、この放送大学の構想をいろいろ見てまいりまして感じますことは、一番重要な問題として考えますのは、この放送大学と現在の通信制大学との関係性、それから既存の大学との関係性、これをどのように考えておられるのか。放送大学の学生と言いますか、専修生あるいはいろいろあるようですが、放送大学単位を取ると言いますか、その場合に、現在の大学生であった場合に、単位を現在在学する大学単位と放送大学単位とそういうものを加算して、累積していって資格を与えると言いますか、そういうことは考えておられるのかどうか、この点。
  180. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 放送大学はいよいよ構想が大体まとまって来年度には特殊法人放送大学学園というまあ仮称でございますが、そういうものを発足させたいという段階でございます。  で、考え方といたしましては、大学間の単位の互換というようなことはいままでも言われてきたわけでございますが、なかなかそういうことは実際にはできなかった。あるいは相当履修をして学位を取らないで大学卒業生にふさわしい程度の学力を持つ、それもいままでの大学ではできなかった。で、そこで今日の通信による大学あるいはその他の大学との関係をどうするかということでございますが、一般的な原則といたしましては、大学単位の互換であるとか、あるいは大学の履修の仕方の柔軟性というものを促進していく中心に放送大学がなっていく、そういうふうに役立ちたいということが放送大学の構想の中心にあるわけでございます。
  181. 内田善利

    ○内田善利君 そうしますと、現在の大学の学生が放送大学の講座を聞きたいと言って講座を聞く場合に、それと単位が加算されていくかどうかというこの問題はどうでしょう。
  182. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 具体的にどのように処理をしていくかということは、これから大学基準分科会の方の御意見も聞きながらさらに詰めてまいるわけでございますけれども単位の互換性というのはすでに一定の限度で実施をされておりますので、他の大学の学生が放送大学にあわせて在学をして、そしてそこで取った一般教育関係単位をその大学がみずからの大学単位として認めるということは、現行制度上もその大学が実施をするということを方針としてお決めになればできるわけでございます。そういったことは放送大学の場合には、いま大臣からお話し申し上げたように、できるだけ積極的に考えたいし、また高等教育懇談会が指摘しておりますように、異なる高等教育機関における取得単位を累積、加算をしていくという制度についても、放送大学等において検討を、その可能性を検討しろということが指摘されておりますが、そういった点についても放送大学というのは促進をしていく上での一つの大きなよりどころになるであろうというふうに考えております。
  183. 内田善利

    ○内田善利君 この放送大学は、最初は、第一期は千葉県中心だと思いますが、将来、全国的な放送大学ということになりますと、やはり教育が画一的になって国民の支配誘導、そういった教育が行われてくる危惧があれば大変なことだと思うわけですが、そういった意味で、何といいますか大学の自治といいますか、学問の自由、自主性、そういった面はどのようにお考えなのか。この構想なりこれを見ますと、そういった機関といいますか、機構といいますか、国民あるいは学生の参加した上での構想といいますか、そういった柔軟な機構は考えておられるのかどうかお聞きしたいと思います。
  184. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) これも具体的には現在基準分科会の関係委員会で検討が進められているところでございます。いずれにいたしましても、学校教育法上の正規の大学として構想をするわけでございますから、一般の大学と同じように教育研究の面についての自由、公正という点についての十分な配慮が行われる必要があることはもとよりでございます。同時に、この大学はみずからが放送事業者として放送を実施をする、そして大学教育の内容を電波に乗せて届けるわけでございますから、そういう面では放送法の適用を受けてその内容について公正を確保していくという二つの要請に同時にこたえるということが必要になるわけでございます。そういう趣旨で、この大学がいずれの要請にも十分こたえられるような形で考えられていかなければならぬということで検討しております。  で、もう一点は、この大学は、いまも御指摘がありましたように、全国の国公私立の大学と十分に連携協力をして、いわばそれらの大学の共同利用機関的な性格をもあわせ有するものとして育てていくことが必要であろうかと思います。そういう意味で、この大学の管理運営の点については既存の大学の十分な参加、関与ということが必要であるということも考え、そういった点からの検討も進めております。
  185. 内田善利

    ○内田善利君 時間が参りましたので、以上で終わりますが、放送大学の問題についてはまた次の機会に質問したいと思います。  以上で終わります。
  186. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 時間もかなり遅くなっていますので、二点ばかりにしぼって質問します。簡潔にお答えを願いたいと思います。  まず文部大臣にお伺いをするんですが、昨年の暮れから春にかけて全国的に一つ教育上の重要な問題になったいわゆる主任制度の問題に関連をしてお伺いをするわけです。この国会の中では、この文教委員会に直接審議をするというたてまえにありませんけれども、内閣委員会の方には教職員の給与の改善に関する給与法がこれは上程されると言われておるわけですね。ここのところで直接この文教に重要な関係のある教職員の問題が素通りで、ここに給与法がかけられる。これと連動をして、主任手当の問題が人事院の規則の制定というものと連動をして一つ社会問題になっているというのは、これはみな強い関心を寄せるところでありますが、それに関してお伺いをするわけです。  主任手当というのも主任制度に由来して今日問題になっておるわけでありますが、現実には主任というのはさまざまな姿で、一つ現場の知恵と申しますか、運用方法として成長をしたものだと。これに対して手当がつけられるということになれば、省令に記載をされておる主任と現に役割りを果たしておるさまざまな主任との間にきしみが出てくるということは、これは当然文部省の方でも予想もされ、それについて考慮されておるところであると思うわけですが、こういう状況について、いわば手当対象にしようとされておる——まだ発表されておりませんけれども、規則に盛られる、省令をバックにした主任というものと、各県段階で規則をすでに制定をしたところもしないところもそれぞれ主任を持っておるわけですけれども、この現にある主任との関連で具体的にどう考えておられるのか。職権等については主任相互の間に上下の区別はなく、いわばそれぞれで運用上の節として用いておるものだと思うわけですが、その点はどうなんでしょうね。
  187. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 主任というのは、小巻委員が御指摘になりましたように多種多様でございますが、制度化するに当たって考えましたのは、やはり全国的に普及をいたしておるということと、それから重要性がございまして、相当その仕事はいわばそれをやっておられる方にとってほかの仕事もありますから大変であると。そういうものをいわば制度化す主任の中に列挙をいたしたわけでございます。で、人事院に対しましても、私たち考えといたしましては、そうした制度化した主任というものはいまのような考え方でできたわけでございますから、これについての手当を御配慮いただきたいということでお願いをいたしているわけでございます。
  188. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 文部省としては、その省令で制度化したものについてのみ手当をつけるようにというような考え方でいまおられると聞くわけですが、そのとおりであるのか。それからそういう段になると、手当のつく主任と、つかない主任とが具体的には各学校の中で出てくるわけだと思うんです。まあ出ないところもあるかもしれませんけれども、一般的に出てくる。そういう場合に、その主任相互の位置関係は一体どういうものであるのか。それは全く同じものであるけれども、そのつくものと、つかないものとあるということであるのかどうか、というのを念を押しておきたいと思います。
  189. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) 実はわれわれが調べたのでは、学校によっては主任が三十ぐらいあるところがありますから、そういう場合にはこの三十の主任にみんな手当がいくということになりません。でございますから、ただいま小巻委員指摘になりましたように、手当を受けられる主任と、それからそうでない方を生じることになるわけでございます。で、それをどう考えるかということでございますが、そもそもこの主任の制度化に当たって考えましたことは、そういうふうに三十もあったりいたしまして、あるいは六つであったりいろいろありますけれども、全国的に見まして相当普及をしておるということと、また普及をしておるということは当然重要性と関連しているわけなんでございますが、そういうものを調査によって選んだわけでございます。そして教育委員会等の御意見も十分に承りました。そこで、それを制度化したわけでございますから、手当が出るという場合に、手当を受け取られる方とそうでない方を生じるのは事実でございますが、まあ手当を受け取られる方は、私は、比較的やはり時間もとられ重要な仕事に当たっておられる方が受け取られることになるのでございますので、他の先生方もその点は御了承いただけるのではなかろうか。  さらに十二月の初めに出しました文部大臣見解の中でこういうふうに私は申したわけです。学級主任とかいろいろの主任文部省が制度化した中にもありますが、こうしたものはやはりローテーションということで次から次にかわっていくというのはちょっと問題だと思うのです。自動的輪番制というものにやはり不向きな方と、向いておられる方とあるだろうと思うのです。しかしやはり先生方の専門性というものを重んじて、そして、できるだけ多くの方々がこれに参加をしていただくということは適当なことではなかろうか。さように考えましたので、十二月の初めの文部大臣見解にもそのことを書き、また、あれは十二月の末だったと思いますが、そこでも再度そのことを申しましたので、そういうふうに運営されていくことを私どもは希望いたしておりますから、たとえば、二年間ある先生が手当を受け取る主任でなくおられる、ところが二年後にはそれが逆転するという関係も生じてくるわけでございまして、こうしたことはほかの職場にも絶無ではない。やはりあり得ることでございますので、私は、学校先生方もそうした意味合いにおいて、かわり合ってお互いにやっていこうじゃないかというようなそういう意気込みというのも生じる。そうすると今度は、主任向きでない先生は、いつまでたってもどうも、何というか、給与の面で恵まれない。教頭にも校長にもならない、主任にもならない。これはどうかということでございますが、こういう方々については、やはり教諭としてすぐれていらっしゃる場合、そして主任にも校長にも教頭にもおなりにならないという場合、そういう教諭としてすぐれた方は、一等級に待遇していくということも文部省として考えて、人事院に対してこのことに御配慮をいただきたいと思っているわけでございまして、その実現というもの、あるいはそれの普及度というものがどういう姿で直ちに広がっていくかということは予断を許さないことでございますが、給与の体系というようなものの全体的な見通しについて申しますと、いまのようなことも配慮されておりますので、先生が御指摘になりました、最初の手当をもらう主任とそうでない人ということだけで、この問題が大変やっかいになるというふうに考えないで、むしろ学校全体が助け合いながら進んでいく、そうした一環としての主任、そしてその手当というふうに考える道が開かれるものと私は考えているわけでございます。
  190. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いま文部大臣のお答えは、聞かなかった部分にも触れて、平の先生といいますか、ベテランの先生の一等級あたりの問題なんかも出ているのだが、しかし、一等級にわたるということと、特殊勤務手当としての主任手当がつくということは、全く別途の問題であって、それをこういうふうに学校の中の問題を話すれば、並行してこう出てくるようなところに実際上は問題がある。やっぱり主任にならないというような人は一等級に、というふうに出てくるような位置づけでやはり主任問題が語られ、そして、この主任の中にも自主的にこれは相互交流ですね、お互いに指導し、指導されておる主任の中で、手当によって裏づけられたものが、これがいわばちょうど校長、教頭、一等級と、上位等級の職種のものに準じて現に語られておるわけであって、窮余の一策としてこの特殊勤務手当がとられるにしても、まさにいま文部大臣が言われたような姿で、現に教職員の間で分担をされて非常に円滑な関係で成果も上げておる主任の中に、省令記載の一部主任にのみ手当支給が行われるということは、これは正しい協力と団結を損なうやはりきしみを生じていくということの中身が、文部大臣のいまの答弁の中からも、その一面が語られていると思うわけですね。こういう点に目をつぶって、故意に風のないところに風波を立てるような、こういう措置をきれいに文部大臣が描かれることは、やっぱり現場相当しないと思うわけです。  現実には五つの都府県がいまなお規則を制定しない状況にも置かれており、省令を出されてしまったものと、規則の制定されてしまった分についてもいろいろ再検討しなければならぬと思うのですけれども、この中で特に文部大臣にここで御要望しておきたいのは、そういう状況の中で現に民主的に選ばれた主任は、こういう明治百年以来の最も、親にとっても、教師にとっても、子供自身にとってもむずかしい時期に仕事をやっておるわけですから、ここにやっぱり無用の風波を、もう一遍見直して、この機会にこの風波を起こさないという方向で再検討を願いたいというふうに申し上げるわけであります。また続いて、人事院にお伺いをしておきたいと思うのですが、人事院としてはこの三月十一日「教員給与の改善について」という勧告とあわせて、主任手当導入を人事院規則の改定によって実施をするという方針を明らかにされたわけであります。この手当の導入が、これが特殊勤務手当によるという問題については、私どもとしては、かなり窮余の一策、無理があるという点については、すでに前国会でもいろいろ御質問を申し上げたところであるけれども、引き続いてこの方向で進めておられる。こういうふうに聞いておるわけですが、この際に、給与法の改正を行うということと、この手当をつけるための規則改定する問題の関連について念を押しておきたいと思うわけです。この点でもともと非常に大きな問題になった件ですから、国民の目の前で国会審議、議決等が行われるというのは相当の問題だと思うのですが、これは手続的には給与法の改定の問題については、これは何も主任手当の問題にはかかわりなく提案されておるわけですね。これが実際上のこの措置においては、ことさらに給与法と手当を結びつけて、そして持ち出されておるように思うわけなんですけれども、この点について手当と給与法との関係を御説明いただきたいと思うのです。
  191. 茨木廣

    政府委員(茨木廣君) 三月の勧告をお出しするまでの間には、文部省さんはもちろんのこと、各関係団体の方等とも何回となくお会いいたして、人事院としてはそれらの意見もいろいろ調整をした上で勧告を申し上げておるわけでございます。そこで、法律事項になりますものについては勧告本体の勧告とし、その他のものについては、人事院規則でできますこと等については「説明」のところでそれを従来どおり敷衍いたしまして、こういうことを考えておるというふうにセットをいたして出したわけでございます。その辺のところは、いろいろ職員団体の方等とも話をしておりました過程でも、そういう主任問題についてのいろいろ御意見もございましたし、それとの関連で、一般職員について四%の特別手当のところを一%程度プラスいたしましょう、というような話から始まりまして、いや、それでは少ない、もっと全員にわたる部分に回せというような御要望もございました。そういうところをいろいろ勘案しまして二%程度のアップになるようにということで、当時の俸給表を基礎にいたしまして最高額を一万五千二百円にお願いするという法律事項としての部分を出したわけでございます。で、そういう点がいろいろ折衝の過程で絡んだ話としてもともとが出てきておったものでございますので、やはり実施の段階におきましても一緒にそれらの動向を見ました上で実施することがやはり適切であるというふうに考えておる点が第一点でございます。  それから第二点といたしましては、実質的な問題としてやはりそれらの話し合いの過程の中でも説明をいたしておりますし、昨日やきょうあたりおいでになられました職員団体の方々にもお話をしましたり、あるいはさせておるところでございますけれども、各学校の実態といたしまして、いろんな事務を分担していらっしゃる、あるいは部活動の顧問に就任していらっしゃる、それから、中には事務分担主任という意味主任という名称の方もたくさんいらっしゃる、そういう中から今度指導連絡調整等の職務を持つ者としての省令化された主任が若干ございますわけでございます。そこで、私ども考えといたしましては、そういう実態を踏まえて前から四%第二次改善の際につけました部分も、漫然と給与をやはり上げていくというわけにはまいらぬので、本俸で消化する部分があり、あるいは先生方の部分でなお給与上の評価として足りない部分についてはそういう特別手当で出しましょう、ということで出していったわけでございます。そこで、そういういろいろ公務を分担していらっしゃるという面については、さらに先ほども申し上げましたようなことで四%相当のものを六%相当程度の額に直すようにいたしましょうということで出したわけでございます、その上、それでもなおかつ、御苦労性の強いというものについては、部活動の面につきましては、五時間以上の時間を費やしたもの等について、土曜、日曜等について五百円程度の教員特殊業務手当の方をつけることにいたしましょう、それから、主任につきましては、特に困難性の強いものについては一日二百円程度、月額にいたしますれば五千円程度のものをいま、今回のものとして特殊勤務手当の中に教育業務連絡指導手当という形で出しましょうと、こういうかっこうでいまの法律事項になっておりますものの上積み的な思想で実は御説明をいろいろしておるわけでございます。そういう意味の実態的な考え方も実は背景にございまして、やはり法律事項として出しておりますものが通りました直後、それの規則化と相まって、やはりいわゆる主任手当と称するものについても処理をしていくことがやはりバランスのとれた措置ではないかというふうに考えて、勧告の際等にもそれらをセットに考えておりますということを申し上げておるわけでございます。
  192. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 それは経過において、これは文部省の方でも人確法の一環などということで主任手当を要求されていった経過がありますからね、経過において絡んで問題が取り扱われたということは、それはそういう経過は、賛否を問わず、すでに起こった問題であることはよくわかるわけですよ。しかし、こうしていよいよ給与法が上程されるということになれば、ここにあらわれてくるものは、一つは、この二%上積みの問題であり、この問題についてはこれは人確法自身に根本から反対した特別な人を除けば、これは合意の上に立つものであって、問題のあるものではありませんし、そもそも人確法附帯決議を含めたその趣旨の上に乗ってこれは出されるものですね。さらに、この給与法で同時に出されていく育児休業手当の問題にしても、額は不十分だとは言っても、長く現場の、特に御婦人の先生方の運動の実りであるわけです。これらのさまざまな経過があるものが、今度内閣委員会を通じて、しかも国民の要望を一部反映させたものが出てくる中に、手続的にはこの法的な処置と規則制定ということで関係のないものが、ことさらに連動した姿で給与法の改定を待って、こっちの方を実行するという姿に出ておるところに私は、問題があると思うわけです。この点については、もともと手続的に見て特殊勤務手当というのは省令やあるいは法律を前提に、必ず前提にしなければつけることのできない性質のものではないし、これをとらえた以上は、それはそれ、これはこれの問題で、特に結びつくものではないと思うわけなんですが、その点たてまえとしてどうなんですか。
  193. 茨木廣

    政府委員(茨木廣君) たてまえとして、その特殊勤務手当をどういう者につけるかということは、まあ勤務の実態から入っていって判断をするということに相なるわけでございます。ただこの場合、先ほど来御披露がございましたように、いわゆる主任と称する者は各学校ごとに見ますれば十幾つであろうと思いますけれども、全国的に見ますというとやはり何十という者になるという実態がございます。で、しかも学校の規模の小さなところに行きますとほとんど全員主任であるというようなものもございます。そこで、前からその中の幾つかを挙げまして四十五年ころから特殊勤務手当等の要望が実は人事院に対してはございましたわけです。ございましたけれども、そういういろいろ問題点がございまして現在まで推移をしてきておったわけでございますが、いよいよやはりそういうものについてどうこうするということになりますれば、その辺のやはり交通整理もしてもらわにゃいかぬというようなところで、直接、国の制度としてやはり手当を考えていきます場合において、そういう意味のやはり制度化というようなものがやはり前提になるということのいろいろ話し合いが文部省との間にも行われまして、そこで制度化と相まって給料の処遇の要望という形に煮詰まってまいったのでございます。そういうことで、今回省令化された主任等をつかまえていってその中で人事院の認める者というようなものになるだろうと思いますけれども、そういう者に手当をつけていくというようなふうに考えておるわけでございます。
  194. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 念を押しておくわけですが、そういう状況ですでに省令化が行われ、そうして規則制定をしようと言われるわけですが、その点についてはこの給与法の制定を待ってと、一連のものであるから給与法が出された機会にという——説明としてはわかるわけですけれどもね。そういうことであれば、まあたとえばこの国会五十日にわたって続いておりますがね、さまざまな成り行きがあったわけですね。給与法が通らないというようなことがあれば、これは給与法とかかわりなく出し得る。手続的にはそういう規則改定やってもやらないということを言われているわけです。給与法なしにはこの規則制定なしと、こういうことを言われているわけですな。
  195. 茨木廣

    政府委員(茨木廣君) その点は仮定のことを置いて御質問なされましたが、逆に言えば、もともとそういうふうに法律事項と規則事項と離れておるわけでございますから、規則だけやってしまったらいいじゃないかという御意見の方も私どもの方に実はございますわけですけれども、しかし、先ほどから御説明申し上げておりますように、一緒にやることがやはり適切であるというように考えておるところでございます。私どもといたしましては、先国会以来の継続案件でございますし、あの中にはすでに国及び地方で育児休業についていらっしゃる方が、千人を超える人数がいらっしゃるわけでございます。で、これはもともと育児休業法の本体では無給ということになっておりますが、附則で当分の間の措置としてという道が開かれておりますものを受けまして私の方としては、勧告を申し上げて政府の方から提案されておるわけでございます。そういう観点から行きますというと、やはりそういうものも一緒になっておりますので、やはりぜひこの国会でお上げしていただきたいと、その上で規則の方もやはり適切に処理をしていくというふうにさせていただきたいというように考えております。
  196. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私はやっちまえと言うておるわけじゃないですよ。あなたが挙げられたのは、私の方に該当するわけじゃないですね。もともと給与法というものとは別に——いま給与法と一緒に通したいということは言うておられるわけですね。私がお伺いしたのは、仮定の問題というけれども、ずいぶんとあり得ることですから、酒、たばこだって延びたことがあるんですからね。だから、給与法を今国会で通ることがなければ、つまり給与法を前提としなければ一切この規則制定というのはやらないのだということを言われておるのかどうか、これを念を押しておるわけなんですよ。それから、育児休業の問題について言えば、これを抱き合わせにすることによって給与法に対して、主任制を、いわば主任給を実現させないために育児休業を含めた給与法にさえも反対するような動きや、そういうものも出てきておるわけですよ。こういう点から言えば非常に残酷な問題ですね、その問題については。しかし、それは一つ意見であるわけです。本来この別途のものをわざわざここで連動さして、そういうふうになってくるところに今日の一つの問題もある。そういう点ではどうしても念を押しておきたいわけですが、この給与法を前提としなければ、人事院は、一切合財これは一括一定のもので、給与法と離れては制定することはないというふうに確認されるのかどうかということなんですよ。
  197. 茨木廣

    政府委員(茨木廣君) これは先ほども申し上げましたように、勧告を申し上げて、政府からせっかく勧告実現の法案が提案されておる。それが審議をされるかどうかという段階に来ておるわけでございますから、やはりそれが成立しない場合のことについて申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思います。
  198. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 やるとは言えないという、やらぬとは言えないということだと思うんですね。もしどうしても給与法が通らなければ、これは育児休業も含めてですけれども、この主任の手当の問題については規則制定をやらぬということであれば、いつまでたっても、また一面から言えばくっついているということでもあるわけですね。そういう不自然なことがわざわざ人事院の口から語られることこそ、私はいわばことさらに本来別途のものを結びつけて、いわば抱き合わせ販売をやるというような一つの策略の意味を持ってくる。こういう点では給与法の問題は給与法の問題として何もあなた反対する人はないわけですからね。この問題を困難にするような連動、抱き合わせの問題については私は筋を正して、この問題はすっきりされるべきだということを強く申し上げておきますし、いまあなたの答弁あったところでも、給与法がよしんば流れたような場合には、それは新しい段階として、いわばこの主任手当の問題はこれはやりませんというような答弁はできないということを言われておるわけですからね。その点はたてまえとしてやろうとすればやれるわけでありますから、現在一連のものとしてこの通過を望んで、それを待ってやろうとされておるにしても、もともとこれは別途のものだというような点について私の方で確認をしておきたいと思います。これはやっぱりやる段になれば給与法の有無にかかわらずやれるものなんでしょう、どうなんですか。
  199. 茨木廣

    政府委員(茨木廣君) それは制度のものがそれぞれ特別手当の方の制度と、それから特殊勤務手当の制度と、それぞれ違うものをつかまえてきておるということはございますと思います。しかし、先ほどからるる申し上げておりますように、もともとが、三次改善の一環としてセットをされて出てきておるものでございますし、それから職員団体との間の話し合いの中でもそういうような経過を踏まえて勧告に至ったものでございますので、やはり一緒にやることが一番適切であることはこれは争われぬ事態だというふうに、私は考えております。
  200. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 答弁が繰り返しになっておりますが、この点はそこで置きたいと思いますが、とにかく今国会で給与法を通されればそれをもってやるということを言われておるわけですね、それを待って、主任手当の問題はやる。しかし、今回給与法が通るということがなければ、それは別問題であって、その点については答弁を留保する、大体そういうふうに御答弁を確認をしておきます。  さらにあわせて人確法を一つのてこにして主任問題というのが昨年から問題になっておるわけでありますけれども、そもそも人確法では、この五段階給与等は用いないというような点についても附帯決議がありますし、あわせて教職員全般——幼稚園から事務職員まで、教育職場というものに対してよい刺激を与えるような取り扱いをしていくのだという点も国会超党派で議決をしてきたところであります。これは十分に尊重していただかなければならぬ。この点から言っても、ぼくは主任手当の問題はさまざま言われるにしても大問題だということを重ねて申し上げておきますが、あわせて職員に反対の強い、問題の多い、附帯決議の趣旨から言っても、疑義のある主任手当などに熱中をされるにもかかわらず、一面では幼稚園から事務職員までさまざまこれまた一つの進行上の問題があるわけですね。この点はよく承知しておられると思うのですけれども、前進をした措置というものはこの面においては行われていない。片手落ちではないか、と申しますか、その点についても非常に政治的ではないか、取り扱いが。こういうような点について確かめておきたいと思うのですが、事務職員の問題について一体どういう措置とどういう計画が現在あるのかということです。これは文部省の方にお伺いをしておきたい。
  201. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 事務職員と申しましても、国立学校付属の事務職員につきましては、国立学校という一つの組織の中での事務職員でありますので、比較的処遇上の問題点は少ないわけでございますが、問題は公立の小中学校の事務職員は当該学校に一人というような場合が多いわけでございます。そこで従来からこの点についてこの公立学校の、公立の小中学校の事務職員の処遇の改善については人事院にもいろいろ検討をお願いしてきておるところでありますが、現段階で私どもが各県に指導し、お願いをしてまいっている点は、一つは事務職員の任用配置にあたって、いま申しましたように一校に一人というようなことでございますので、それぞれの人の学歴とか経験年数とかいうのにふさわしいような任用配置を考えてほしい。一つは、事務職員でありますから一般の事務職員と同様に超過勤務手当の支払いについて実績に相応した支払いをしてほしいという点であります。第三点は、現実に一番問題になる点でありますが、事務職員の格づけの問題でありますが、この点につきましては昭和三十二年に初中局長より通達を出しまして、一般的に言えば事務職員の格づけとしては国の俸給表でいうところの行政職(一)の八等級から五等級までの間に格づけするのが適当だという指導をしておるわけでありますが、しかしながら追っつけてその通達にさらに加えて、しかし、実際に個々の事務職員についてその人の経験年数とか職場の組織とかいうことを勘案して、国の行政職の俸給表(一)の四等級まで格づけすることを妨げるものではないということを言っておるわけであります。この趣旨に沿って現在四等級まで格づけをしております県が十九県ほどあるわけでございますが、ほかの県ではまだそこまでの措置はしていないということでございますので、それらの点についてさらに十分配慮してもらいたいということは機会あるごとに言っておるわけであります。そして、またこの問題につきましては、いま申しましたように小中学校の事務職員の特殊な職場という関係からしまして、他の一般の行政官庁におったならばもう少し早く上の等級に昇格し得たのが、学校におるためにできないというような実態があるんではないかということも考えられますので、それらの点については事務職員の給与の実態というものをさらに詳細に調査をする必要があるという考えのもとに、ただいまその調査を始めているところでございまして、その実態が明らかになるのは年度末になるかと思いますが、さらに検討いたしまして、いま申しましたように、取り扱いにおいて一般の事務職員と比べてどうもまずいという点がありましたならば、それらの点を具体的に指摘をいたしまして、個々の県等とさらに協議をいたしまして、実質的にその処遇が改善されるように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  202. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 この十九県では大体四等級までいっておるけれども、そのほかのところでは本庁職員もしくは大規模な職場に比べて学校職員というのはやっぱり相対的に目に見えて不利な立場にあるということです。これは昭和四十九年ぐらいの調査でやられたんじゃないですか。そのとき以来かなり問題は明らかになっておる。その時期以降もまあ主任手当その他には熱中されておるわけですけれども、具体的な措置についてはいわば通知の出しっ放しで目に見えた措置は行われていない。また一面では、職員の要求としては特別手当あるいは調整手当のような姿で措置されることを強く望んでおるというような実態もあります。これが放置されているというような点も、附帯決議の趣旨からいっても私は見逃すことのできない処置の立ちおくれだと思うわけですが、現在の御答弁の中では、一つは何か、超勤手当について一般職に比較して均衡上何か特別な優遇措置を考えていく、というようなことを言われたかに聞いたんですが、それをやられるわけですか。  それからもう一つは、特に小中学校一つの職場に一人だけしかいないような立場にある事務職員について、とりわけ年齢その他で非常に長いこと五等級に滞留をする状況になっておりますが、これについても具体的な措置のために策を講じられるということになるわけですか。もう一遍、念を押しておきたいと思います。
  203. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 第一の超勤の点につきましては、実際の実働超勤以上に超勤をめんどう見ようというようなことではなくして、学校という職場でございますから、先生一般はいわゆる超過勤務の制度はいまございません。そこで、事務職員についても、言ってみれば打ち切り支給というようなことか行われることのなしように、完全に規則どおりの超勤を支払うようにこれを指導したいということでございます。  それから同じ職場に長期におりまして、しかしその一つ学校に一人であれば昇格させるのもむずかしいというような実態につきましては、先ほど申しましたように、これを他の一般の役場であるとか、あるいは教育委員会の事務局であるとか、そういうところへ配置転換をするということによって昇格の機会を持たせるように配慮するとか、そういう点を配慮してもらいたいということを言っておるわけでございます。
  204. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 配置転換をしなければいわば給与上の利益を受けることができないというのは、これは非常に問題があると思うわけですが、私の聞くところでは、事務職員問題について悉皆調査ども行われるというふうにも聞いておりますので、それが一つは、その現地にあって、そして教職員特別手当も支払っていくというこの人確法の  一環としてこの不均衡是正のための措置が行われる前提であるかというふうに見ておったわけですが、そうではないわけですか。
  205. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 先ほどの、最後に申しました事務職員の実態調査というようなものは、これからやろうとしていま準備を進めておるところでございますが、いずれにいたしましても、この事務職員の処遇の改善というのは人確法の附帯決議で院の御意思として示されたものでありますけれども、制度、法律を見ますれば、これはあくまでも人確法が学校教員の処遇改善ということをたてまえといたしておるわけでございますから、それの実施に伴って、関連して事務職員の処遇を同時に考えていこうということであり、人確法そのものの具体的内容ではないというふうに考えておるわけでございます。
  206. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 法が裁量を規制していないんですからね。だから、付帯条件をつけておるんだから、文部省がほうっておけば何も行われることはないわけですね。この点について調査等も行われるのであれば、少なくとも来年度の予算には間に合うように緊急的にやっぱり能率を上げて、年度内に調査を完了して、そして非常に不利な状況に置かれておる方々に対して救済の手を差し伸べるというふうでなければならぬと思うわけですけれども、その調査並びにその後の処置についてのいわば日程はどうなっておるのか、特に伺っておきます。
  207. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) 調査は今月の二十日までに文書調査の要綱を送りまして、年内いっぱいに調査を回収する。そして電算にかけまして検討するわけでございますので、年度末までには結果を集約できるようにしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  208. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 年度の末までには調査が完了すれば、その調査を読み上げた上で優遇の策を考えるということですね。
  209. 諸沢正道

    政府委員諸沢正道君) いま申しましたように、この調査の主眼とするところは、学校の事務職員が同じ学歴、経験年数を持つ一般の事務所の公務員と比べて具体的にどのくらい差があるものかどうかということを調べたいというのをねらいとするわけでございますから、そういう結果が出ましたならば、それぞれの任命権者である都道府県ないしは市町村に、このような差があれば望ましくないことであるから是正してほしいというふうに強力に指導をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  210. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 客観的には低位であることは従来からの調査その他で傾向としては明らかなので、それの具体的な悉皆の実態がわかっていない。このことが明らかになれば救済の手を打つつもりだと、こういうことですね。——それじゃ、その点はそういうふうに受け取っておきますが、これらの問題は遅きに失しているということもあり、速やかに関係者とも協議をされて具体的な措置をとってもらいたいと思うわけです。そういうことをやっておくことが今日の状況下で文部省に課せられた重要な任務であろうというふうにも考えますし、きょうの答弁の中には積極面もあり、この点についてがんばってもらいたいというふうに要望をしておきます。  続いて、私はきょうは高校増設に関する問題をお伺いするつもりでいたのですが、時間が十分に残っておりませんので、来たる十九日にもこの機会がありますから、そのときに引き続いてお伺いをしようと思うわけでありますが、今日、文部大臣にお伺いするんですが、高校進学率は九一・九%、これが五十年度の結果です。もうぼつぼつ五十一年度のこれの状況等も発表になる時期だと思うわけですが、これは国際的に見てもかなり高い水準であって、やり方も違うでしょうけれども、東西ドイツ等に比較をしても、これは顕著な開きがあって、非常に高い水準を示しておる。これは私の考えでは、国民の強い教育要求、そして国民の努力がやっぱり達成したところのもの、やはり日本教育水準の高さを表現しておるものだ。さまざまな問題はあるにしても、これは保障して中から充実しなければならぬ貴重な水準だというふうに考えるわけであります。しかし、これの内幕を見れば、現実には九二%というと、これは義務制でないからということを、大蔵当局その他機会あるたびに強調されるのでありますが、少なくとも子供を持つ親にとっては、義務教育も同じことなわけですね、一〇〇%以上にはならぬのですから。すでに九二%という状況になれば、父母にとっては全く、適齢期の子供を持っておる以上、義務教育と相似た状況だということ。それからそれらの国民の要求を前にした高校の設置者である都道府県にとっても、これはどうしても希望あるだけはやはり保障していこうという重要な課題になっておるわけであります。まあこういう状況の中で、特に昭和三十年代末から四年間にわたってあった二百万に及ぶベビーブームのときは、私学に対しても大きな肩がわりをさせて、これは私学の方にも無理が行きましたし、親も泣いたわけですね、こういうような状況もあった。教職員も含めて、やっぱり戦後教育進学率の上で引き上げていったということは、国民の要求と努力による達成だというふうに私は考えるわけです。これについて文部大臣、国がどれだけのことをしてきたし、いまからどうしなければならないかということで、ひとつ所見を承りたいと思うんです。私の見たところでは、この達成については国が突っぱって果たした役割りというのは大きくないというふうに見ざるを得ないと思うんですね。むしろ国が予想したよりも早いテンポでこの進学率は伸びていった。いまこれを保障するために泣く思いで各府県はやっておるわけですよ、赤字財政の中でも。本当に無理をしてやっておるわけですけれども、第二次の激増期と申しますか、この五〇年代いっぱいというのは、生徒がまた数十万人ふえてくる時期であります。しかし、文部省が政府に要求した国庫補助は、四十九年、五十年、二年にわたってちょん切られてしまう。まあ、そして五十一年ようやく実ったと思えば、これは半作になって、内容的にも恐らく文部省の目から見ても不本意な補助形態にならざるを得なかったんではなかろうかと思うわけであります。こういう点について、今日の達成をした状況と国の責務というようなものについて文部大臣の御意見をひとつお伺いをしておきたい。
  211. 永井道雄

    国務大臣永井道雄君) わが国高校教育が非常に広く普及することになり、そして進学率も高まったという、そういう実態が生じてまいりましたのは、これは小巻委員が御指摘のように、わが国の国民の間にきわめて熱烈な進学の要望があって、そのために努力をいたしたということは、重要な要因であろうかと思います。他方、やはり大学というものを控えておって、学歴が非常に尊重される、あるいは過度に尊重されるというようなことも一面働いていたということも考えられるわけでございます。しかし、それに対して国として何をいたしてきたかということを考えますと、確かに御指摘のように国民の進学の要望というものが、いわば牽引車的な役割りを果たしてきたわけでございますから、むしろ地方自治体の努力が非常にあり、また一般には私立の努力があったというふうに申し上げるのが正しいと思います。この事態に対していかにすべきかということから、ただいま御指摘のように文部省としてもいろいろ配慮をいたしてきておりますが、一つは、御指摘のような、これは四十九年、五十年は実現いたしませんでしたが、五十一年度から高校新増設というものに対する国庫補助を行う、これはまあ本年度は二百億円ふえて五百億円にふえましたところの起債と相まって、やはりこういう補助を行うということが一つでございます。しかし、他方におきまして、私立というものの数が、そこで学んでおります人たちの数が、およそ三〇%に相なりますので、そしてまたそこに経営上の問題、財政上の問題が多々ございますということにかんがみまして、本年度の私学振興助成法、これもそのことをうたっているわけでございますが、高校以下の助成に踏み切るということを、これはやはり昨年から始めてまいっており、これを飛躍的に増大させたわけでございます。まあこれらのことは決していわば先を見越して早くから行われたというふうには申し上げにくいことでございますが、いわばそういう形で実態に対応しながら、国民の要望するそうした進学の強い熱意というものの中身をよくしていくために、いまわれわれとしてでき得る限り取り組んでまいりたい、かような考えで臨んでいるわけでございます。
  212. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 これからの十年間というのは、その後の引き続く時期に比べても重要時期だろうと思うのですね。まあ、文部省の方の資料でも、たしか昭和六十年までには、大体七十万の増加を迎えなければならぬというような状況になっておると思うわけですし、これはやっぱり全般的になお残っておる進学率の増加と、それから自然増と、両方の要因でふえておる。しかし、まあ大体一〇〇%になればそれ以上は増加しないわけなんですから、この点はのべつに問題があるというわけではない。やっぱり勘どころ、節々で、これは努力は行われなければ効果は薄いものになる。たとえば二年間カットされたということは、現実にはこれを要望しておる地方自治体に対してどういうさいを与えたとか、一つずつ見ればいろんなドラマがあるわけですね。たとえば私は大阪の出身ですけれども、大阪で最も努力をして、一年に十二校建てたという年は一昨年なんですね。その年は文部省が要求を出した年なんです。あれが実っておるかどうかということは、その直後襲った税収減その他赤字転落の問題等を見合わせても、もしあそこで通されておれば、非常にタイムリーだったわけですね。こういう点で一年一年が勝負になっていくということなんです。この点についてはきょうは一応予定時間が来ておりますから、ひとつ概算要求を出す時期でもあり、一面では文部省は関知しないと言いながら、大削減というような新聞記事が出てくるというような、こういう状況の中ですから、ひとつ隔意なく、これから十年、特にその中ですでに昨年策定された五年間にわたる計画と、それを年度を追ってどう充実していくかというような問題、不本意な問題については勇気を持って毎年毎年やっぱり前年の延長ではなく、新しい要求を出してもらわなければならぬと思いますし、それらの問題について、次回にはひとつお伺いをしたいと思いますので、ひとつこの高校増設では一段と努力をしていただきたい、こういうことを申し上げてきょうの質問を終わります。
  213. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 本調査に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  214. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) この際、渡部文部政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。渡部文部政務次官
  215. 渡部恒三

    政府委員(渡部恒三君) 過ぐる九月二十日付もって文部政務次官を拝命した渡部恒三であります。  先生方の意を体して、りっぱな文部行政の推進に努力してまいりますので、温かい御指導をお願いいたします。(拍手)
  216. 山崎竜男

    委員長山崎竜男君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十一分散会      —————・—————