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1976-10-22 第78回国会 参議院 物価等対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十二日(金曜日)    午後一時二分開会     —————————————    委員異動  九月二十四日     辞任         補欠選任      藤川 一秋君     望月 邦夫君  十月二十一日     辞任         補欠選任      前川  旦君     福間 知之君      山中 郁子君     近藤 忠孝君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中村 登美君     理 事                 斎藤栄三郎君                 鳩山威一郎君                 田中寿美子君                 山田 徹一君     委 員                 増田  盛君                 望月 邦夫君                 福間 知之君                 田代富士男君                 近藤 忠孝君    国務大臣        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       福田 赳夫君    政府委員        公正取引委員会        事務局審査部長  野上 正人君        経済企画政務次        官        西銘 順治君        経済企画庁長官        官房参事官    岡島 和男君        経済企画庁国民        生活局長     藤井 直樹君        経済企画庁物価        局長       喜多村治雄君        経済企画庁総合        計画局長     宮崎  勇君        経済企画庁調査        局長       岩田 幸基君        資源エネルギー        庁石油部長    古田 徳昌君        中小企業庁次長  西山敬次郎君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        農林省畜産局牛        乳乳製品課長   中島 圭一君        食糧庁総務部長  二瓶  博君        通商産業省産業        政策局消費経済        課長       内田 禎夫君     —————————————   本日の会議に付した案件連合審査会に関する件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (物価及び景気の動向とその対策に関する件)  (石油価格に関する件)  (消費者保護条例等に関する件)  (牛乳製造業者と卸売及び小売業者間との協定  に関する件)  (麦価問題に関する件)     —————————————
  2. 中村登美

    委員長中村登美君) ただいまから物価等対策特別委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  山中郁子君及び前川旦君が委員辞任され、その補欠として近藤忠孝君及び福間知之君が選任されました。     —————————————
  3. 中村登美

    委員長中村登美君) 西銘経済企画政務次官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。西銘経済企画政務次官
  4. 西銘順治

    政府委員西銘順治君) このたび経済企画政務次官を拝命いたしました西銘順治でございます。顧みまして浅学非才、諸先生の御指導、御鞭撻をもちまして職責を全うしたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)     —————————————
  5. 中村登美

    委員長中村登美君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案について逓信委員会に対し、また国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案について運輸委員会に対し、それぞれ連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中村登美

    委員長中村登美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 中村登美

    委員長中村登美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  8. 中村登美

    委員長中村登美君) 当面の物価等対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 福間知之

    福間知之君 私は、質疑に入る前に、副総理である経企庁長官に二、三所信を伺いたいと思います。  いま御案内のとおり、景気中だるみが云々され、あるいはまた物価問題の見通しに困難性が加重し、さらには政局全体が国民に大きな不信を与えている時期だと思うのであります。聞くところによりますと、副総理は、昨日、自民党さん内部動きとはいいましても、政権を担当している与党の重要な位置からいたしましても、その中の実力者の一人として、この時期に党の総裁に候補として擬せられるというふうなことが行われたようであります。また、聞くところによりますと、与党自民党は月末に臨時党大会を開催されるということでありますが、このような動きは一体今日の時局にかんがみてどういう意味を持っているのか、重要なポストにあられる副総理所見をお伺いしたいと思うのであります。
  10. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今日は政党政治でありますので、内閣施策を推進する、その上におきまして、与党が厳然としてこれを支持する態勢になければならぬ、これは申し上げるまでもないことかと思います。その与党が昨今いろいろ総裁に対して所見を抱く、こういうことになりまして、それじゃいかぬ。やっぱり挙党体制を整えなければならぬ。そういうようなことで挙党体制確立協議会というものが生まれまして、大体これに自民党の七割ぐらいな人が参加しておったのですが、昨日総会を開きまして、第一派閥解消、第二大同団結、第三新指導者、   〔委員長退席理事鳩山威一郎着席〕 こういうことを決めたわけであります。私は、そういうことが実現すれば、内閣を支える力が強大になるわけですから、また政権をずっと支えてきた、また今後も支えるであろうと、こういうふうに思います自由民主党が、そういう派閥解消というような、とにかく二十年来叫ばれてきてついにできなかったこれを断行することになる、私にその先頭に立てと、こういうようなお話なんで、大変結構なことだ、私は勇躍その任務をお引き受けした、こういうことでございます。
  11. 福間知之

    福間知之君 私はどうも腑に落ちないのでございますが、派閥解消大同団結、新指導者必要性という挙党協考え方を受け入れて、勇躍何をどうしようと考えておられるのか、少し聞き取れなかったのですが、しからば私は、いままで副総理も現三木内閣の主要な、ナンバーツーという主要な閣僚として長年——長年と言っても語弊がありますが、三木内閣発足以降いわば閣内に位置してこられたわけであります。その間に、いわば内閣一体性という面からいきましても、この三木内閣をいま現出しているような   〔理事鳩山威一郎退席委員長着席〕 そういうひ弱な状態に持ち込むのじゃなくて、もっと強力なリーダーシップが発揮できるような内閣、いわば自民党内閣として守り立てていくというようなことができなかったのかどうか。その点私は、副総理であられて——何もきのうさようなられたわけではない。ずいぶん長い間の経歴を持った福田総理でございますので、なぜそれができなかったのか、それが一つであります。  それからさらに、いまのお話で、派閥解消、あるいは大同団結、新指導者というこういう考え方は、それなりに挙党協内部で掲げられた一つの大義名分だと思うのですが、新聞の報道によりましても、一番いま大事な問題は、三木内閣といえ何といえ、われわれ国会全体がやはり国民の大きな不信を買っている最大の問題であるロッキード事件解明の経過一つとりましても、副総理は、まあこれは三木さんの専売特許じゃない、むしろ私自身がずっと以前からより根本的な解明についての考え方を持っている、こういうようなことをおっしゃっておられるようでございます。しかし、しからば先国会から休会中を含めて国会ではこの問題について真剣に取り組みがなされてきました。本国会が始まってからは政府のいわゆる中間報告をめぐって与野党でのかなりの意見の確執があり、なかんずくその中で灰色高官の氏名の公表ということが一つのポイントであり、さらにまた議員の証人喚問という問題も与野党一つの重要な対立点になっている、どれ一つとりましても政府あるいは与党がそういう点についてまさに徹底解明を口にする限り、議長裁定の実施を主張する限り割り切ってもらわなきゃならぬ問題であります。それは三木さんであればできないんで福田さんならばできると、こういうふうにおっしゃるのかどうか。  あるいはまた三つ目には、三木さんに対して少なくとも福田総理がどういう認識といいますか、考え方を持っておられるのか。たとえば第三者が言っているような表現三木さんに対してはどうも虫が好かないとか、あるいはもっと自民党というものを大事にしてもらわなきゃ困ると、野党に色目を使い過ぎるんじゃないかと、あるいは新しがり屋で政策安定性がないと、こういうふうな見方を三木さんに対してしている向きがあるとまでおっしゃっておられるんですが、しからば副総理三木さんに対してナンバーツーとして、閣内三木さんに継ぐ地位の人物としてどのようにいま考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  12. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まず第一に、改革いままでなぜできなかったのかというようなお話ですが、これはまあ自民党改革という問題になりますと、何といっても中心は派閥問題なんです。これは私はわが自由民主党のガンだと、業病だというくらいに思うわけです。これは自由民主党結党のときからすでにこの問題はあったわけで、派閥解消は天の声だなんて言われてもうすでに二十年になるんですが、私どももその間派閥解消をしなきゃならぬと、こういうので党風刷新運動というようなことを提唱したことがありますがね、なかなか受け入れられない。しかし今度は私はそれができると思うんです。できると思いますのはこれはロッキードです。およそ大きな政治上の改革というものはこれはむずかしいものですがね。私、経済面でもそうだと思いますが、経済の運営につきまして、もう高度成長じゃいかぬ、安定成長に移らなきゃいかぬと言っておったんですが、それがなかなか実現されない。しかし今日安定成長論で国論は統一されたわけです。そういうふうになっている。なぜかというと、これは石油ショックなんですよ。今度私は、このロッキード問題は政治上の改革の好機としてとらえるべきである、そういうふうに存じまして、このロッキード事件反省の上に立てば多年叫ばれてできなかったこの派閥解消問題、これも私は実現できるんじゃないか、そう思っております。なかなか改革は叫ばれておったけれどもいままでは困難であった、こういう状態であります。  それから、三木さんに対してどういうふうに考えておるかというようなことでございますが、いろいろ三木さんに対する信頼感の薄れというものがあるんです。それを集約しますと、いろいろの立場からそういうこの信頼感の薄れというものが出てきておりますけれども、今日自民党の中で七割ぐらいの人が信頼感に動揺を来しておる、この事実を私は非常に重要視しておるわけなんです。私は、そういう状態であれば、政党内閣ですから、これを支える支持勢力、これが強靱でなけりゃならぬ、それが動揺しているということではこれは強力な施策の遂行はできない、内閣もいろいろ考えてもそれが実行できないと、こういうようなことになっちゃうわけです、これは申し上げるまでもありませんが。内閣におきましては私はもうけさも閣議案件に署名をしておる、内閣の仕事として三木さんにどうのこうのということはありませんけれども、党を統率する体制、これが非常に残念な体制になっておる、こういうふうな所感でございます。
  13. 福間知之

    福間知之君 いまおっしゃられましたように、二十年来の懸案であった派閥解消なるものは天の声だ、それは私も異論がありませんし、あるいはロッキード解明は、この際、日本の長年のやはり将来にわたっての政治改革契機であると、これも私も基本的には同感であります。なるがゆえに、ロッキード事件もしたがって徹底的に解明をするという必要があるし、そのための手だてを、仕掛けを国会国会として行っていかなきゃならぬと思うんでありまして、これは私はこの質問の趣旨とは少し別に、ロッキード問題解明についていまぶち当たっているこの与野党の壁というもの、副総理は一枚も二枚も手をかして早くこの解明を急がないと臨時国会もうじき終わるんですからね。それはそらごとじゃなくて、きれいごとじゃなくてぜひひとつ手をかしていただきたい。また、三木さんにも進言すべきことは進言してもらいたい。これは余分なことですけれども、私は強く党としてもお願いをしなきゃならぬと思っておる。ましてや総裁になられようとしている方ですから、これは余分ですけれどもつけ加えておきたいと思います。  私はその派閥解消というのは天の声であるし、また国民の声だと思うんですけれども、昨日の挙党協ども言うならば派閥連合、融合といいますか、横縦連合だと私は思うんです。それを解消をすると一その協議会から推挙され、そして仮に総裁になられたとした場合に、あるいはまたそれが即総理につながるという可能性を持っているということを考えた場合に、それを解消するということば何か自己矛盾のように感ずるわけです。即座にそれを解消するんだというのであれば私は筋が通ると思うんですけれども挙党体制確立協議会がいわば世にいわれるところの反三木グループ横縦連合として、アンチ三木体制の頭として副総理を担ぐということでございまするから、まさしくこれは私は掲げるところの派閥解消とは自己矛盾もはなはだしいんじゃないか、私見をもってするならば、そういう挙党協などはもう解散せいということで、あなたが、三木さんと私は話し合う仲にあるんだから、副総理なんだから、そうしてこの大会の持ち込み方、後の人事の問題についてもやるという見識を示されてこそ私は福田さんというものが男が一枚上がるんじゃないか、こういうふうに考えるんですけれどもね。これはもう別にお答えを特に求めたいとは思いませんけれども、こういう状態でいくならば、本当に福田さんが仮に総裁になられても大した政治改革政党近代化などは期待できないということを多くの国民はもはやこの時点で察しているのじゃないかということを私感ずるわけであります。むしろ私はそれよりもより基本的なことは、このロッキード問題を一つ契機として混迷を続けてきた政党、互いの内部、さらにはまたその結果としての政局、この臨時国会だって、私は先般来大蔵のメンバーとして例の財特法の審議にも当たってきましたけれども、やはり開会自身がまあおくれてしまった、それはここ三、四カ月の自民党の内情がもたらした私は結果であると思うわけですけれども、またいま重要な運賃値上げ電電値上げの問題にしても時間が限られている、結果としてこれは国会開会がおくれたということに起因するわけであります。こういうふうに考えてみますと、ロッキード事件を柱としましてこの政局を転換するためには、前総理大臣その他の何名かの自民党与党の幹部がすでに逮捕され、起訴されているわけでありますから、まさに政治的道義的責任は単にその個人じゃなくて、党の立場からいっても重大だと私は思います。しからば、潔くこの際は政権をおりて、そしてまさに選挙に基づく議会制民主主義政党政治の大道を歩むべきではないか。社会党に天下を譲って国民に信を問うという挙をとることこそ、私は福田総理が催された政治改革の最も必要な最低の条件ではないのか。西欧の各国民主主義国を見ても例はたくさんございます。物価が一〇%も上がったらもう内閣の二つや三つは吹っ飛ぶのが、いわば通常の民主主義国家でなければならぬと思うのであります。ところが、そういうことは、日本ではついぞ行われたためしもないし、ましてこれだけの金権腐敗政治が横行している中で、総理大臣までやった人間が逮捕されているという中で、単に自民党という小っちゃなコップの中のあらしの中で首をすげかえたところで、私は政治近代化というものはとうてい期待できないんじゃないか。むしろ国民に対してより大きな失望と政治に対する不信、結果として社会的なデカダンスというものを横溢させる結果になるんじゃないかということを恐れております。最後に所感をこの点お伺いをして、この質問は終わりたいと思います。
  14. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 福間さんによその政党のことを大変御心配いただきまして感謝いたします。ただ、申し上げておきますが、お話の筋は私全く同感ですね。つまり、ロッキード事件というもの、これはもう一つ事件じゃないんです。やっぱり自由民主党が二十一年政権の座にある、その政権の座にあった長期政権のたるみ、おごり、緩みというものがその根底にある、そこの根っこから吹き出した一つの芽が、これがロッキード事件である、こういうふうなとらえ方をいたしておるわけなんです。ですから、ロッキード事件というのは事件として徹底解明しなきゃならぬが、私の考え方から言えば、これはロッキード事件の解決、対処、それはもう事件としてこれを厳正に処理するというところだけにとどまってはならぬと、こう思うんです。その根っこをえぐり出す、こういう姿勢でなければならない、こういうふうに思うわけですが、それ、えぐり出しということは何だと言えば、私は自民党長期政権、その結果出てきたおごり、たるみ、これに対する反省、その反省の上に立っての改革、そういうことだと思うんです。まず私は、自由民主党は、連帯の責任として国民にこの事件についての陳謝をすべきである。陳謝と言ったって、ただ単に頭を下げる、ただ言葉だけじゃいかぬ、その陳謝しるしを示さなきゃならぬ。これは政党政治責任政治でありますから、その観念の上に立ってその陳謝しるしを実行しなけりゃならぬ。これが自由民主党の再出発、それにつながってくるんだ、こういうふうな考え方をいたしておるわけなんです。お話の筋につきましては、私は私のそういう考え方と同じようなことと理解いたしましたが、この上ともそういう考え方で私は自由民主党改革問題に取り組んでいくんだというふうに御理解願います。
  15. 福間知之

    福間知之君 余りこれ以上長くやっていると時間がなくなりますのであれですが、まあいずれにしても早く政治不信解消するということについて、特に政府そして与党責任は私は大きいと思います。何も私、いまの三木内閣を擁護するような意味合いで申し上げているわけじゃないのです。厳粛な、国会に席を置く者の一人として申し上げておるわけでありまして、でなかったら、何ぼ物価特別委員会やっても何をやっても、要は国民政治に対する社会に対する信頼感安定感というものがなければ、物価政策だって経済政策だってうまくいくものではないというふうに思うわけでありますから、早く事態の正常化ということが望まれるわけであります。  次に、少し景気の問題と物価の問題についてお伺いをしたいと思います。  最近景気中だるみだとか、あるいはまた日銀の表現をかりれば、落ち込みとか言われておるわけですけれども、いわゆる生産在庫出庫等の指標から見てそう言われておるのでしょうが、その実態を簡単に御報告をいただきたいのと、それはどういう理由に起因しているのかということをお聞きしたいと思います。
  16. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ことしになりましてから、景気というか経済活動、これは非常に活発化してまいりました。特に一−三月が非常にすばらしい勢いで、これを年率に換算しますと、一−三月の成長は実質で一三%、つまり高度成長期にもめったになかったような発展、景気上昇ぶりだったのです。それはどういうことかといいますと、輸出がにわかにふえ出した。昨年は御承知のように非常に輸出のふるわなかった年でありますが、ことしになってにわかに輸出伸びるようになってきた。これは一つは、昨年は世界的に貿易の落ち込む年でございましたが、ことしになって各国とも景気浮揚、これが見られるようになり、その影響を受けて、世界経済全体として貿易伸びるということになり、わが国もその一環といたしまして輸出を伸ばす、こういうことになったことが一つと、そういう中でアメリカでは経済が活況になってぐる、そういうことでありますので、特殊な消費資財、これが伸びる、特に非常にストックが薄れました自動車、それからテレビなどの家電ですね、こういうものの需要が多くなってきたわけです、つまり品薄れになってくる。そこでそういう商品の在庫補充を急速にしなければならぬという事情がある。そういうようなことから対米輸出伸びるのです。この一−三月の伸びというものは、わが国輸出伸びはこれは大変なものでありまして、前の年に比べて倍になるというような勢いであったわけであります。それがまた四−六にも、勢いは鈍化するものの尾を引いておる。また設備投資これが昨年は惨たんたるものでありましたが、ことしはやや企業間に動意が見られる、こういうような状態になりまして、非常に緩やかでありまするけれども設備投資は再開されるということになってくる。それから一般の国民消費、それから住宅への投資、これは着実にずっと動いてくる、こういうような関係でありまして、ことしの上半期は大変調子いい景気上昇状態だったのです。ところが夏になりまして、これは例年夏というのは景気のふるわない年でございますけれども、ことしもまたそのような状態でありまして、八月の生産あるいは出荷、こういうものが落ち込むと、こういうような情勢になり、その勢いが多少また九月にも続くんじゃないかというふうに見られる。そこでいま中だるみ景気中だるみ論というようなことが言われておりますが、輸出はこれから在庫補充アメリカにおいて終わるというようなことになりますので、輸出勢いは鈍化するけれども、一−三月に非常に高くなったその水準も続けていく、あるいは多少まだふえていくというような傾向でありますので、これが景気を引っ張る力、これはかなり多いと思うんです。そこから設備投資も、いまアンケート調査なんかを見ておりますが、これも経済動きの模様ながめというような情勢でありまして、これも先々は緩やかにふえていくというふうに見られるのであります。それから国民消費個人住宅投資、これがさらにこれから落ち込むんだというような傾向は見られません。したがいまして、本年度全体といたしますと、これは本年の初めに皆さんに御報告申し上げたとおり、ことしは五%ないし六%の成長を目的とする、こういうふうに申しておったんですが、大体その線を動いておる、こういうふうに見ておるわけであります。
  17. 福間知之

    福間知之君 そうしますと、いまの後段で述べられたところでは、特に景気刺激のための財政金融政策等必要性というものは経企庁長官としてはさしあたって必要ないと、こういうふうに受け取れるんですが、そうでございますか。
  18. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいまのところ、特に政策を変更するとか、あるいは政策を補強するとかという必要は認めておりません。しかし、これは経済は生き物でありますから、いつ何どきどういう変化が起こってくるかもしらぬ。その変化があれば、それに対応いたしまして、いつ何でもこれも機動的な対処をするという構えでありまして、いま私どもが一番注意しておりますのは、八月生産が落ちた、出荷も落ちた、雇用の状態も足踏みになったと、こういうようなこと、これが八月、それが尾を九月にも引きますが、いわゆる夏やせと、こういうようなものでなくって、これが恒常的なものであるのかどうか、こういう点、これはよほど注意しなけりゃならぬ、こういうふうに思っています。よくその辺を見ておりますが、見た結果、これは少し購買力を補強する必要があるなと、こういうふうに考えますれば、それは随時そのときに対策を考えなきゃなりませんけれども、ただいまのところ新しい手段を必要とするというふうには考えておりません。
  19. 福間知之

    福間知之君 最近の個人消費、なかんずく百貨店の売り上げ等の伸びが鈍化しているということ、さらには設備投資も確かにいま動意はあると、こういう表現を使われているんですけれども、現実の統計ではやや弱含みになってきているということ。また、輸出にしましても一時のやはり勢いというものには少し変化が出てきておる。これは仕向け地先の国内的ないろんな日本に対する反発等も手伝っているようでございますし、あるいはまた為替レートの問題も何がしかの影響があるとは思いますが、総じて通産省、日銀当局あたりでも、最近に至っては財政投融資の拡大を通じてでも少し景気を浮揚させる必要があるんじゃないか、公共投資を拡大する必要があるんじゃないか、あるいは一部には所得減税等も顧慮することが望ましいんではないかというふうな意向まであるんでございますが、私はやはり、いまなお千件を超すような中小企業の倒産とか、あるいはまた全国各地方におけるミクロの経済の実態というものを見れば、これは先般も各地方銀行が地域の経済動向を発表していますけれども、これはなかなか福田総理のおっしゃるように、マクロの指標でもって景気が着実に回復しているということをそのまま実態の経済としては言い切れないのじゃないか。確かに、いまから後半は国の資金の散布、また赤字公債の発行等が景気浮揚に一定の影響を投げかけることは確かでありますけれども、通産省、日銀当局等と経企庁の見解というのはまだ整合されていない、こういう見方でよろしいわけですか。
  20. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 通産省もいま景気動向調査をやっているところです。十月十五日現在で一体どういう状況であるかということを企業ごと調査してみるということになっておりますが、そういう調査もしてみる。それから他のいろいろな角度の調査もしてみますが、とにかく末端ミクロまで好景気だというような実感、これはそう簡単なことじゃないと思うんです。何しろあれだけの大きな打撃を受けて、いま三年目の途中である、こういうような時期でありますので、さあ景気がよくなってきたなあと、こういうふうに皆さんから言ってもらうという状態はそう簡単には来ないと思うんです。しかし、国全体として見るときに、これは大体あの経済見通しで申し上げた線を動いておる、こういうことは申し上げ得ると思うんです。景気だけのことを考えてやれば、これは景気をつけるということはわけはないんです。これは財政のこともそう顧慮する必要はない、あるいはインフレのことも考える必要はない、景気のことだと、こういうことならわけはありませんけれども、そういうわけにいかない。財政のことも考えなければならない、物価のことも考えなければならない、国際収支のことも考えなければならない、そういう考えなければならぬ他の要素とのバランスの上に立って景気をどういうふうにするか、こういう問題でありますので、そうはかばかしく一挙にというわけにはいかないということで、いまどういうふうな対処をするかということ、まあ、経済景気物価動きがどうなっているかということを慎重にながめておる、こういう段階でありまして、まだ政府部内の景気観についてのすり合わせはいたしておりません。
  21. 福間知之

    福間知之君 この間、経企庁なり大蔵省なり通産省なりが何か合同でヨーロッパの方へ派遣をされて、欧州先進諸国の言うならば中期経済計画の調査を行われたと聞くんですが、できれば私、その報告書を実はいただきたいものだとかねがね思っておったんですけれども、それぞれの国によってこのオイルショック以降三年をけみして、今後のいわば経済の減速成長時代に対応するエコノミック計画というものがつくられつつあるのは当然のことですが、たとえばドイツ、特に比較したいのはドイツ、イギリス、アメリカ、フランスとわが国と、そこらあたりになるのですけれども、そういう主要な諸国とわが国の先般発表された企画庁の中期経済計画五十年代前半と本質的にはどういう点で同じであり、どういう点で違っておるのか、主な点でよろしいですが、御報告をいただきたいと思います。
  22. 宮崎勇

    政府委員(宮崎勇君) いまお話がございました欧州に派遣いたしました調査団と申しますのは、経済審議会の企画委員会の石原委員長が団長になりまして、各省から混成された調査団でございます。その調査の目的は、今回の日本経済計画で実効性を高めるために、その推進体制を強化するということがうたってあるわけでございますが、で、それに際しまして各国が一体長期的な政策の運営をどのようにやっているか、あるいはそれを当面の経済政策の運営とどのように結びつけているかということを調査するために派遣したわけでございます。で、その調査団が訪問いたしました国は五カ国でございまして、自由主義圏もございますし、共産圏といたしましてポーランドがございます。同じ自由主義圏の国でも、たとえばフランスと西ドイツ、これ両方とも訪問しておりますけれども、やや経済運営あるいは経済の見通し計画ということについての考え方が違っております。したがいまして、一概にどういう性格であるかということは簡単に申し上げられませんが、いずれの国も中期計画ないしは中期の経済展望というのをつくっておりまして、そういう作業をいたしております主要な目的は、現在各国とも内外の経済情勢が大変流動的で、不安定要因を持っている、したがって、そういう中で確固たる政府経済政策の指針を持っておく必要があるというのが一つの目的でございます。それから、その政府が持っております政策指針に基づいて、民間に情報を提供すると申しますか、民間それぞれ経済活動を行うわけでございますけれども、その場合の指針を与えるという点でございます。それから特に最近の中期的な経済計画あるいは展望で特色になっておりますのは、いずれの国もこの不景気の期間に大変財政収支が悪化しておりまして、この財政収支を長期的に見て、どのように健全化させるかということが中心になっております。その取り組み方はいろいろ違いまして、たとえばフランスのように財政の均衡を来年図るというようなものもございますし、西ドイツのように五年かかって均衡を回復しようというような国もあります。それぞれ違っておりますが、以上のような点が今回の報告の中心でございます。なお、資料ということでございましたけれども中間報告がございますので、後ほど必要であればお届けさしていただきます。
  23. 福間知之

    福間知之君 それに関連してこういう点はいかがですか。これはさしあたってわが国でも、私たちは関心が深いのですけれども、いずこの国も失業は過小ではない、高度成長時代に比べれば過大になっている。今後についても容易にこれを減らすことができないということ、結局わが国もいままでにない百万人水準の失業者を抱え、潜在的な失業者を入れれば、その三倍近くなるとも言われるのですが、わが国でも完全雇用の確保ということは一つの至上命題でもあります。そのことと物価の上昇ということとが非常に関連があるように思うわけであります。各国のそういう計画の中にも、物価の推移について一定の見込み率というものがあると思うのですね。それといわゆる就業比率というものの変化、雇用比率の変化というようなものですね、わが国のそれと比べていかがですか。
  24. 宮崎勇

    政府委員(宮崎勇君) 調査の対象となりました五つの国でそれぞれ事情が違いますが、ただいま御指摘になりましたように、各国とも片一方で雇用を拡大しなければいけないという目標を持っておりますと同時に、物価を安定しなければいけないという目標を持っているわけでございます。最近のところは、このいずれの国も物価の方は昨年の二けた台の上昇からだんだんおさまってまいりましたけれども、御指摘のように雇用状況がなかなか改善しないということで、その五つの国だけの合計という数字は手元に持っておりませんが、たとえばOECDの先進国全体の失業率をとってみますと、昨年の暮れが五・五%程度で、ことしの夏が五%程度、来年順調に景気が回復いたしましても、四・五%程度にしか下がらないという意味で、景気の回復に必ずしもテンポを合わせて雇用が改善されていないという問題が各国に共通しております。したがいまして、その雇用だけを改善するということであれば、積極的な刺激政策をとってもよろしいわけですけれども、その刺激政策をとることによって物価が上昇すれば、過去二年間の世界経済の経験が示しておりますように、かえって需要を後退させるということで、やはり回り道のようであっても雇用を拡大するためには、ある程度インフレーションを収束させるということが前提であるという意味で、当面に限って言えば、もちろん国によって若干ニュアンスは違いますけれども物価安定ということを大変強調しているという報告を受けております。
  25. 福間知之

    福間知之君 その物価安定の問題と、雇用促進という関連、これは資料を見れば参考になると思いますから、ぜひ中間報告を出していただきたい。  それに関連しまして、わが国の場合に、先ほど来も述べましたような、赤字公債の発行が五十四年度まで続いていくという中で、先般経企庁としても、大蔵省等と並行してこの財政危機を克服するために、安定成長経済下の財政のあり方なるものの一文を発表されておりますね。そういう見解の中で、いわば税の体系というものについて、経企庁なりに一定の考え方が述べられているように思うのです。まあ名目で一三%程度の安定成長下においては、今日のわが国の税体系は、かなり抜本的に変革をしなければならないというふうな前提に立ちまして、向こう十年間の国債依存度が二八・九%の高水準で推移するのじゃないかというふうな見通し、これは現在の建設国債を含めた三〇%、赤字国債一五%という依存度に比べてほぼ同じだと、こういうふうな解釈ができるのですが、それを償還していくためにも、国債費だけで六〇年度には公共事業費に匹敵するような規模に償還費や利払いがふくらんでいく、これはまあ結局国の財政の硬直化の促進、あるいは結果として増税の必要ということにつながっていくんだというふうな見方で、結果は、結論としては、たとえば付加価値税などの消費税の導入を含めて、大体国民所得に対する税負担率三・六%ぐらいになるのじゃないかというふうなことが財政のあり方という見解の中にあるのですけれども、私は、いま消費物価、公共料金のいわば上昇、一方においてことしの春の賃金等のふえ方もはかばかしくない、実質的にはこの秋、勤労者の家計はかなりの出血になっているというふうな事態からしましてね、一方、国の財政というものはかなりの負担増になるというふうな、いわば何となく国民としてもやりきれない実はいま生活感情ではないか。つけ加えれば、それに政治不信があって、将来の一つの希望というものが損なわれている非常に不幸な状態にあるんじゃないか。考えますと、まあ税調あたりでも真剣に議論が行われていますが、一体、経企庁のこういうふうな財政展望の裏づけとしての一部税制改革の意向というものの中に、具体的にはどういう手段を考えられているのか。たとえば個人、法人に対する所得課税あるいは資産課税あるいはその他の間接課税等々の中で、わが国においては一体、三・六%のいわば税を増加させなきやならぬという裏づけとして直接税、間接税含めてどういうふうな方向に移行していくべきか、経企庁としては一定の判断を私は持っていられると思うんですが、お伺いしたいわけであります。
  26. 宮崎勇

    政府委員(宮崎勇君) 本年の五月に閣議決定されました昭和五十年代前期の経済計画におきましては、ただいま先生御指摘のように、租税負担率を現在から五十五年度の間に、国民所得に対する負担率でございますけれども、三%引き上げるということが出ているわけでございます。この三%引き上げの根拠は、今後減速経済の中で財政が大変苦しくなるわけでございますけれども、一方におきまして社会資本の充実、特に生活環境を中心にしました社会資本の充実をしなければいけないという要請と、それから社会保障をこれまた充実、整備していかなければいけないという問題がありまして、それを確保しながら、同時に現在でも、御指摘のように、大変大幅な赤字になっておりまして、国債費が大変大きくなっているわけでございますが、これをこの計画期間内に解消するということを目標にして計算いたしますと、税負担が約三%ほど、四十八年−五十年度の平均が二二・七%でございますが、これを約三ポイントほど上げなければいけない、こういうことになっているわけでございます。実際にその三ポイントを、内容をどういうふうに考えているかということは景気の状況にもよりますので、一体、どの程度自然増収があるかということにもよりますし、仮に自然増収だけで賄えないということになりましても、経済情勢が経過年次中に変化をいたしますので、この計画の段階ではどのような項目において税収増を図るかということは詰めておりません。今後の景気動き、あるいは税制調査会その他の機関において十分に長期的な観点と短期的な動きをかみ合わせて審議されるものと期待しております。
  27. 福間知之

    福間知之君 いまおっしゃられたような税負担率を三%引き上げると、こういうことになりますと、確かにいまアメリカ、ドイツ、イギリス、フランス等に比べて、いわば国税、地方税合わせた、いうところの租税負担率は日本は低いのですね。これは低い。三%程度上がってもこれは低いかとは思うのです、数字の上ではですよ。しかし私は、所得だとかあるいは税金の実額というものの高低よりも、それはやはり生活の内容、中身という、その国、その社会における人々の文化的、経済的そのレベルというものの実態の比較ということは、単に金額、貨幣だけではできないと思うのです。したがって、名目上の所得とか税額だけではできないと思うのです。だから、一概に租税の負担率だけでの高低で私は云々するというわけにはいかない。こういう前提で、いまあなたのおっしゃったように、今後の景気回復、税収の自然増というようなことも前提としながら、その三%には必ずしもこだわらないと、こういう見解を持っていただいたと思うのですけど、事実三%ふえますと、国民一人当たりの負担は、四十九年度の二十四万四千八百円から、五十五年度には五十万八千八百円ということで、実に二・一倍にはね上がるわけであります。ふえる額も二十六万四千円ということで、現在の倍以上になるということでございますから、私は、その三%というのもかなりの増税ということになる。これが一つ。  それから二つ目には、しからば、その三%あたりを目指さなきゃならぬという考えの中に、先ほど言った直接税、間接税等の中身をどのように改めていくことが望ましいとお考えかどうかです。この点のお答えがなかったわけであります。
  28. 宮崎勇

    政府委員(宮崎勇君) 第一の、税及び税額負担の負担率が上がってくるという問題でございますが、先生御指摘のように、私ここに二、三の国の租税負担率を持っておりますが、いずれを見ましても日本の方が低くなっております。しかし、それぞれの国の事情がございますんで、これを三%上げるということが容易だと、あるいは国民に御迷惑をかけないというふうには申し上げませんが、ただ、先ほどもお答え申し上げましたように、片一方で生活環境の改善を中心にした社会資本の充実をやらなければいけないとか、あるいは社会保障の整備をやらなければいけないというようなことを考えますと、三%程度は上がらざるを得ないということでございまして、いま、こだわるこだわらないというふうに申し上げますのは、景気変動が、経過年次でございますんで、ストレートには必ずしもこういう方向でということではございませんが、いずれにしても、そういう歳出面あるいは国債の発行などを考えてまいりますと三%程度は上がらざるを得ないということでございます。  その中の直接税、間接税を一体どういうふうに考えるのかということでございますが、これまた景気にかかわり合いがありますし、経過年次における物価の上昇が一体どのような負担になってくるのかというようなことを機動的に考えなければいけませんので、この計画の段階では、直接税が幾ら、間接税が幾らかというようなことは計算はいたしておりません。今後の税調あたりで詰められることだと思いますが、間接税につきましては、現在の税体系の中でもその地位がだんだん低下をしてきているわけでございますけれども、今後の所得水準あるいは物価の状況などを見まして、直接税等の負担感というものを考えて将来決められるべきものだというふうに考えております。
  29. 福間知之

    福間知之君 いますぐに間接税を具体的にどうこうするという、もちろん結論はないだろうと思いますけれども、もう少し検討を進められているのかなというふうにも考えておったのでお聞きしたのです。  副総理にお聞きしたいんですが、いま税調でもそういういわば新しい税体系というふうなものを中期的な展望で考えるということとあわせまして、五十二年度についてどうするかということもあわせて検討は進んでいるようです。たばこの、あるいはまたお酒類の従量税から従価税への移行だとかいうことも検討の対象になっているようですけれども、これまさに消費税の増大ということにつながるわけであります。またわれわれは、富裕税だとか、あるいは利子配当所得の税制の改正とか、租税特別措置のやっぱり抜本的見直しとか、いろんなことがぜひとも必要だと、いずれにしても総見直しは必要だと、こういうふうに考えておるんです。  ところで副総理ね、来年度に向かって私は、多少の減税などをやることが、この一年間政治国民に与えてきた不信感なり、あるいはまた経済の再建に、あるいは物価の安定に協力をしてきた各界各層の皆さん方にもこたえる一つの国の手だてとして、さらにはまたより直接的には生活の安定確保ということにもつながるわけですから何とかできないものかと。先般、関西の労使で持たれている産業労使会議等でも大蔵省に陳情があったわけですし、きのうは民間の主要な労働組合の政策推進会議が首相官邸でやはり物価、減税、雇用、経済政策等についての要望、陳情が行われました。ことしの賃上げで上がった分が実質的にはこの秋でマイナスになっているという、家計のむしろ支出増につながっているということからしても私はそういう余裕が、余裕というか工夫がいまの国の財政の中でできないのかどうか。アメリカの例を出すまでもありませんけれどもアメリカは去年に引き続いてことしも減税を打ち出しました。アメリカでできてできないことは日本でないのだ。大概アメリカのやれることは無批判的に追随する日本の癖があるのに、そういう点では全然一顧だにしないかたくなな姿勢がいままで続いているんです。ぜひこれは副総理をして私は政府部内はもちろん、自民党としても考えてもいいことではないか、こう思うんですが、経企長官としてはあれですか、こういう財政状態ではそういう所得減税はもうとても考えられないというお考えなのかどうか、御所見を承りたいと思います。
  30. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 減税、減税とおっしゃいますが、所得税減税のことですね。所得税減税につきましては、これは考え方といたしまして私は一般の所得税減税、これはなかなかこれを考える余地というものは少ないんじゃないかと思うんです。先ほどから宮崎総合計画局長からも申し上げておるとおり、これからわれわれの社会保障、これを充実しなきゃならぬとか、あるいは生活関連の諸投資を行わなきゃならぬとか、そういう国家のやらなきやならぬ仕事がどんどんどんどんふえていくんです。そういうことで租税負担が五年間で三%もふえなけりゃならぬと、こういうその中で一般的に税が高過ぎるんだ、そこで所得税の減税をするんだという、私はそういう考え方はなかなかむずかしいんじゃないか、そう思います。  ただ、検討に値する問題とすれば、特殊な意味を持ちまして、あるいは福祉関係の立場から手直しというか、そういうような程度の所得税の法の改正をするとか、あるいは教育減税、教育減税ということがずいぶん言われておりますが、そういうような立場でありますとか、あるいは物価が上がった、そこで実質的な家計が非常に圧迫されている、こういうような意味を持っての所得税の減税でありますとか、何か特殊な意味を持って手直しをするのだということは私は観念的にこれは考えられないことはない、こういうふうに思うのですが、そういう手直し的な意味の減税、特殊な意味を持ちましての多少の修正、こういうことになればこれは財政のそのときそのときの状況との見合いの問題だと、こういうふうに考えるのです。ですから一般的にこの所得税減税、これはむずかしい。
  31. 福間知之

    福間知之君 来年度。
  32. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 来年度といえどもむずかしい。しかし特殊な意味を持っての何らかの税制上の手直しというようなことになりますれば、これは財源とにらみ合わせて、その財源状況が明らかになった時点で結論を出す、こういう性格かと思います。
  33. 福間知之

    福間知之君 じゃ、ちょっと最後に。来年度、もう日にちが余りないのですね、それについてはどうですか。
  34. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私いま来年度のことを申し上げておるのです。そういうつまり来年度の予算は年末にこれは編成するというたてまえでありますが、その時点における財政の状況を見て判断すべき問題である、こういうことでございます。
  35. 田代富士男

    田代富士男君 きょうは時間が限られておりますが、福田総理に最初に、いま問題の一番中心者でございますからそういう点を最初にまとめてお尋ねをしたいと思いますが、昨日来から福田総理挙党協の推薦によりまして総裁になるという、こういう発表がされております。で、率直にお聞きいたしますが、テレビでも私は聞きましたが、三十八歳の年齢でありますと、こういう発言をされてがんばるということでございますから、総裁になれる確信があるのかないのか、端的に第一番目に聞きたいと思います。それから、そういう総裁に推薦をされたということはあくまで挙党協の推薦でございますから福田総理の今後の行動はあくまで挙党協にコントロールされた行動になるのか、それとも推薦を受けた以上は国のため日本の将来のために自分自身ですべてそういうコントロールされることなく切り開いていく、そういう立場でいかれるのか、ここらあたりを明確にしていただきたいと思います。  第二点には、三十一日に臨時党大会が開かれますが、この臨時党大会総裁候補としての人事大会として総裁候補として闘う決意であるのか、それとも臨時大会でのそういう決意といいますか、闘いというよりもむしろ総選挙後の首班指名に戦略の重点を移して闘う決意であるのか、こういう点も所信を明らかにしていただきたいと思うのでございます。  三番には、三木派の内部からは、こういうことを副総理という立場の人がこのときに、大事なときにこういう行動をするということは慎むべきであるし、そういう行動をやるならばやめるべきではないかというようないろいろな意見が出されておりますが、現時点におきまして福田総理としてやめて所信を貫いていく決意であるのか。また、ただいまは党内にも三木総理に対する不信感が七〇%を占めているということでございますが、福田総理自身も七〇%の不信感であるのか一〇〇%の不信感であるのか、ここらあたりを明確にしていただきたいと思います。  それから四番目には、いま決意発表されるときに派閥解消ということを大きく取り上げられております。二十年来の悪弊であるということでございます。これは総論においての発言であるのか、各論に至るまでもそういう決意であるのか。もしそれであるならば総裁候補といたしまして第一番目に、福田派の派閥解消というものを一番最初に宣言すべきではないかと思うのでございますが、これに対するお考えをお示しいただきたいと思います。  五番目に、ただいまいろいろ同僚の質問に対しまして、こういうことは党サイドの問題であって、副総理として内閣においては三木さんと一緒にやっておりますから——けさでございますか、昨日の署名等にはいたしましたということでございますが、私は、党サイドとかこういうことでなくして、福田総理の行動というものは国民のためにという、国民を基盤にした立場に立つべきではなかろうか。もし、いま閣内にいらっしゃるならば、問題になっている灰色高官名の発表等をこれは副総理として総裁を補佐する立場から鮮明にやるべきであると強く宣言もし、これをやらすべきではないかと思いますが、私の質問の時間は非常に短うございます、そういう意味におきましてまとめて大きい問題五点質問しましたが、よろしくお願いします。
  36. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まず、自民党総裁になるつもりなのかならないつもりなのかと、こういうお話でございますが、私は、こういう重要な職は、これはかき分けておれがおれがと言って、そうしてそれに、その地位につくという、そういう行き方、これはもう排撃しなければならぬ、こういうふうに考えております。しかし、推されて、そうしてあなたでなければならぬ、ぜひ頼むと言われた場合に、これはたじろぐ、引っ込むという姿勢もまたよくない、こういうふうに思いますので、私は、全党員が福田やれということになればこれは勇躍してその任につく、こういうふうに申し上げます。  それから第二は、今後の私の行動、これは挙党協を踏まえてやるのか、あるいは自分自身でやるのか、こういうお話でありますが、もし私がただいまのように、ただいま申し上げたように、全党から推されて自由民主党総裁になるといいますれば、この総裁としての立場において私の識見をもってやっていく。もとよりこれは、自由民主党全体の支持を得なければならぬということは、これはもう当然でございます。  それから第三に、党大会は、これは人事大会にするのかどうか、こういうお話でございますが、私は、この党大会というものは、これは田代さんも御承知と思いまするけれども、これはまあ非常に重大ないきさつを経てこれを開催する、こういうことになってきたんです。いわゆるこの党大会をシャンシャン大会なんかに終わらしちゃ相ならぬ、こういうふうに考えております。つまり、この大会の性格というものは、ロッキード事件の後を受けまして、このロッキード事件自由民主党の連帯責任である、自由民主党全体として国民に謝罪する、その謝罪として自由民主党は再出発するんだ、こういう性格のものにすべきである、こういうふうに考えております。  それから、私の内閣における立場、つまり私はいま党の大同団結のための運動、これの代表者にはなりましたけれども、同時に、内閣総理大臣兼企画庁長官であります。私は、まあそういう党の立場ではありまするけれども、同時に、国政につきまして大事な立場にあるわけでありまして、この国政につきましては、これはあくまでも国政が順調に進むようにということを念願をいたしておるわけであります。ただいまこの時点において私は内閣における立場を去るというような考えはありません。まあ党内における状況はこれからいろいろ変転すると思いまするけれども、その変転する環境の中で私の進退は慎重に決めていきたいと、こういうふうに考えております。ただ、その私の進退がどういう立場に置かれようとも、いま当面する国政の大問題は何といってもこの国会に御審議をお願いいたしております国鉄、電電の両法案、この法案につきましては全力を挙げて努力をするということをはっきり申し上げます。  それから、私が記者会見で三木総裁に対し七〇%の人の信頼が動揺しておると、こういうふうに申し上げたが、福田さんも七〇%三木さんに対して不信を持っているのかと、こういう御質問でございますが、ただ、そのちょっとパーセントの置き方が、何というか、つり合いがとれないような感じがするんですがね。まあ、いろんな意味で三木さんに対する信頼が動揺しておると、それを総合しますと全党員の中の七〇%ぐらいの人が三木さんに対して疑いを持っていると、こういうことを申し上げたわけなんですがね。私は、その七〇%に及ぶ人々がいろんな立場から、まあ信頼動揺ということになっておるんですが、それを集計すると七〇%になると、七〇%の人の信頼が揺らいでいるということを申し上げておるんで、その七〇%に及ぶ人、その個々の人がどういう気持ちでそういうふうになってきたかということについては、私は、私の所見は申し上げませんけれども、その結果においてとにかく七〇%に及ぶ人の信頼が党総裁として揺らいできたと、これはもう重大な問題だと思うんです。まあ政党政治、これはやっぱり政党を基盤として施策を実行すると、こういう立場ですよ。ですから、やはり党内の人心、これを背景として政治施策を進めなきゃならぬ。それをまた進めることが、これが民主政治だと、こういうふうに思うんですが、まあそういう圧倒的に多数の人の信頼が揺らいだということ、この事実です。この事実につきましては、私は非常にこれを憂えておる、こういうことでございます。  それから、派閥解消は総論だけでなくて実行するのか、こういうお話ですが、これはもうね、私はもう本当派閥解消というのはきのうも演説しましたが、これはもう明治維新の版籍奉還、廃藩置県にも似た、これ重大にしてかつ困難なことだと、こういうふうに思うんです。これはもうぜひ、しかし困難であるけれどもやってのけなきやならぬ。これができなけりゃ自民党は再出発と言えないと、こういうふうに思うんです。まあそういうことを提唱した以上、私は自由民主党総裁に仮に選ばれるということになれば、私はもう率先して福田派というものの解散をすると、こういうことはここにはっきり申し上げておきます。  それから、私が私の立場について党サイドの立場閣内における立場を分けておるが、たとえば灰色高官なんかの問題につきましては、総理にこれは十分進言、補佐をしなけりゃならぬ立場じゃないかと、こういうようなことですね。私は灰色高官問題、これにつきましては、これは政府としてこれを積極的な立場でその氏名の発表等をするということはなかなかむずかしいんじゃないかと思うんです。事件解明、これはもとより政府がやるべきことで、もうやっております。しかし、このいわゆる政治責任——刑事責任を超えて政治責任の問題とすると、まさに私は国政調査権の発動としてこの問題を明らかにするという性格のものじゃないかと、こういうふうに思うんです。国政調査の必要上、政府に御要求があるという場合におきましては、政府はこれはできる限りこの調査に協力すべきであると、そういうふうに考えておりますが、その協力をどういうふうにするかということにつきましては、私はまだその内容を申し上げることはできません。できませんのは、この問題の具体的な内容というのは私どもに全然知らされてないんです。これは総理大臣と恐らく法務大臣が御承知なんだということかと思いますがね、私などは事件の捜査結果の具体的内容というものは全然つんぼさじきに置かれておるわけですから、これはお答えすることができないと、こういうふうに申し上げておきます。
  37. 田代富士男

    田代富士男君 これで質問を終わろうと思っておりましたが、ちょっといまの副総理の答弁を聞いておりましたらもう一度確認したいことがありますが、三十一日の臨時党大会はシャンシャン大会に終わらしてはならないと、自民党の再出発ともいうべきものにしなきゃならないということでございますが、私がお尋ねしたのは、人事大会としてお臨みになるのか、それとも臨時大会でのそういうものよりも総選挙後の首班指名に戦略の重点を持ってお臨みになるのかと、こういうように聞いておりますが、ここはうまいぐあいに外された答弁になっておりますが、恐らく一番言いにくい点かと思いますが、そこが一番聞きたいところなんですが、まさにシャンシャン大会にしてはならぬということですから、この点を明確にしていただきたいことと、それから派閥解消はこれはもう当然のことであると、これは口で言うことはやさしいんですが、じゃ、さて事務手続等はやるのかやらないのか、そこまで決意していらっしゃるならば、そういう解散の手続等の、それもいろいろ時間もかかるでしょうが、おおむねいつをめどにこういう行動をやられるのか、目安でも結構でございますから、やるということでございますから、事務等の手続、解散の手続等を他派に先駆けてやるということでございますからお示しいただきたいと思うのでございます。  それから、灰色高官の問題ですが、政治責任として国政調査権の立場から明らかにすべきであるということですが、三木総理は、おれはシロであると、自分だけシロを言っていらっしゃるわけだ。そうすると、ほかの国会議員は何百人というのは、まだ灰色になっているわけなんです。こういうような三木総理のああいう発言は補佐をされる副総理としていかがなものでしょうか。ああいう自分だけ、おれはシロだと言われるような、だからこういう総理ではあかぬから、今度おれが総裁になってやろうという御決意じゃないかと思いますが、その三点、ひとつお願いをいたします。物価の問題よりもこちらになってしまいまして申しわけないけれども、これもはっきりしないことには後の質問ができないわけなんです。やっぱり副総理の決意を聞かないことにはできませんから……。
  38. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 党大会は人事大会であるかどうかと、こういうことでございますが、これはもう非常に第二義的なことに属することになっておるわけなんです。私どもはこの大会、これはあくまでも国民に対する謝罪とそれから党の出直し、それを決める大会だと、こういうふうに考えておるわけです。出直しの内容の問題なんですね。その出直しはとにかくいろんな派閥解消初めいろんな問題がありますけれども、それから謝罪、謝罪は一遍の国民に対する言葉上の問題じゃない、態度をもって示すと、こういうこともあります。そういうことに関連をいたしまして人事的問題も出てくるわけなんでありますが、そういうふうにもうねらいというものは、これはもう党の出直し、謝罪、出直しというところにあるんだというふうにお考え願いたいんです。関連して人事問題も出てくる、こういうのですが、その戦略目標をどこに置くの、タイミングで置くなんというのは、これはここで私から申し上げることは遠慮さしていただきます。  それから、派閥解消、これは具体的にやります。ただ言葉だけじゃありません。これは派閥解消といいますと、非常に広範な問題を処理しなきゃならぬ。第一には何といっても人事ですよ。この人事を、いまは何といっても派閥人事ということになっておりますが、これはもう本当に全党的な立場において適所適材に人材を配置する、こういう全党的な立場での運営でなきゃならない。それから党の運営につきましてもそうなんです。これもいま派閥運営と、こういうふうになっておりますけれども、これはもう全党的立場において機関を中心にしてこれを運営するというふうにしなきゃならない。それから党の組織ですね。これは何といってもわが自由民主党は長い間国民政党ということを呼号してきておるわけですが、これは一部の国民しかまだ包容しておりません。そして、そういう背景の中で派閥連合と、こういうような組織になっておりますけれども、これを名実ともに国民政党、そういうふうに切りかえをしなきゃならぬ、こういうふうに考えております。それから党の財政、これも派閥をやめるということになれば、やっぱり派閥財政というものからこれは中央集権的な財政、これへの転換が行われなきゃならぬ、いろんな問題があるんです。  それからさらに、これは田代さんなんかにも御協力を願わなければなりませんけれども、やっぱり何ですね、派閥ができる根源として私は選挙制度という問題があると思うんです。衆参両院にわたって金のかからない選挙制度ということもこれは考えていかなきゃならぬ、こういうふうに思いますが、そういうもろもろの問題を含む派閥解消でありますのでこれは非常にむずかしい。ですから、二十年来叫ばれてついに実現しないで今日に至ったんですが、私どもはそれを今度やってのけようという決意をしたんですよ。決意をいたした以上もうできることから、看板おろすなんて一番やさしいことです。事務所を整理する、これだってむずかしい問題じゃありません。そういうことはこれはできることからどんどんやっていきますから、一番むずかしいのはやっぱり選挙制度でしょうね。これは各党の御協力を得なきゃならぬ、こういう問題もありますから、それは選挙法問題は別として、おおむねわが党だけで決意さえすればできるという諸問題は、遅くも一年のうちにはこれを片づけていきたい、こういうふうに考えております。
  39. 田代富士男

    田代富士男君 灰色高官のあれはどうですか。
  40. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 灰色高官の問題は先ほどお答え申し上げたとおり、私どもは具体的な内容というのは全然これは知らされておらないんです。ですから、これはどういうのが灰色なのか、またどういう人が灰色として論議されなきやならぬような立場にあるのか、そういうことを全然知らないもんですからお答えいたしようがありませんです。
  41. 田代富士男

    田代富士男君 質問の時間があと十数分になってしまいまして、そこでまとめてお尋ねしますが、いま景気中だるみということが、ただいまも論議されましたけれども、これは最近の個人消費伸び悩み、失業、倒産、こういうような中だるみ現象が経済全体を支配しているというのが事実じゃないかと思うんです。そういう現象がすべての鉱工業生産の動向あるいは製造工業生産予測指数等に見ましてもこれは明確に出ておりますし、実質GNPを見ましても、いま副総理からお話がありましたとおりに、一月から三月期におきまして年率一二・四%の高い伸びを示しておりましたが、四月から六月期においては一転して一・一%増というように、年率で四・五%という低水準に落ちているわけなんです。失業者は出ているし倒産も出ているし、そういうことでいま民間設備投資は模様見であると副総理がおっしゃいましたけれども、こういうことの中だるみ現象が出ているわけです。このような景気の回復というものは、従来まではV字型だとかU字型だとかいろいろパターンが想定されておりましたけれども、現実においては、これ中だるみということは認めなくてはならないわけです。しかし、副総理お話聞いておりますと、まだ中だるみではございません、ちょうどことしの五月の時点でございましたか工業生産が一転マイナスに落ち込んだとき、中だるみではないかと言ったときに、そんなことはあり得ないといって一笑に付されたときがありますけれども、そういうようなお気持ちであったならばこれは大変だと思いますので、これは中だるみ現象を謙虚に受けとめて、そうしてこの対策に対するきめ細かな施策をやっていかなくちゃならないし、こういう面において謙虚にこの中だるみ現象を認めた上に、どういうパターンの景気回復がなされるのか、従来のパターンと私は違うパターンでなければならぬと思うんですが、この点について最初にお伺いいたします。
  42. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 景気はこれはいろんな要素によりまして循環するわけですね。長いのは五十年周期だとか三十年周期だとか十年周期だとか、そういう周期説を言う先生方もあります。しかし、現実の問題とすると、戦後短期的には一年、一年半の不況、それから三年がらみの好況、また一年、一年半程度の不況と、そういう循環になってきておりますが、非常にこれはまた短期的に見ますと、もっと短期的に見ますと、それは一年の、その中でも、また何も同じカーブでずっと走っているというわけじゃないんです。やっぱり一進一退というか、そういうような循環現象というものがあるんです。私どもは、この春ごろ皆さんから、これはまあ停滞現象が出てきたんじゃないかというような御指摘のあったとき、これは景気は二進一停だと、こういうふうに申し上げたわけでありますが、いまちょうど八月、これが夏場でございまして、ちょっと落ち込みを示しておるようです。それから九月にもそれが響きそうな形勢でございますが、これがそういう二進一停と、あるいは二進一退と、こういうような性格のものであるのか、あるいはこれは停滞のしっ放しだというようなことになるのかというと、私はもちの場合であるというふうには思いません。思いませんけれども、とにかく経済は急カーブではないけれども着実に伸びていくということを期待しておりますので、これからの推移をじっくりながめてみまして、もしこれが停滞現象であると、こういうようなふうに判断いたしますれば対策を講ずる。対策を講ずると言いますが、去年あたりまでは財政主軸の対策、そういうふうになっておったわけです。これはまあ今日の財政と、こういうことになると、財政主軸の対策は、とてもこれはとれる余地はございませんですが、結局、金融政策上の施策ということにならざるを得ないと、こういうふうに考えております。
  43. 田代富士男

    田代富士男君 いま停滞現象であるということを明確に把握するならば対策を講ずるという副総理お話でございますが、一般のエコノミスト屋の学者の間でも、個人消費を無視して景気回復等をやった場合には必ず失敗するぞという、こういう忠告が多々あるわけなんですが、やはりこの景気回復というものに対しましては、私は個人消費の回復ということを柱にしていかなくてはならないじゃないかと思うんです。ところが、ただいまもいろいろお話がありましたけれども、ことしの上半期の景気というものは輸出に頼んだ、そういう自動車あるいは家庭電器、鉄鋼その他の、一部のそういうような輸出中心の一時的な浮揚現象ではなかったかと思うわけなんです。だから、個人消費というものが、最終需要は五〇%以上を占めておるわけなんですから、やはりここに力を入れることを忘れてはならないじゃないかと思うんですね。だから、それに対しまして政府景気対策、財政対策はどうであったかと言えば、その個人消費の回復というものに対する対策は立てたとおっしゃるかわかりませんけれども国民サイドの立場から言いますと、国民の暮らしを冷却させる立場になったんではないかと思うんです。例を挙げますれば、政府としては精いっぱいのことはやりましたと言いますけれども、福祉関係費は切り詰められてしまった。それから国民の要望であった減税も見送られたと。そのために、実質的な増税を国民に強要された。そういう現象、それから、今回の、御承知のとおりに財政赤字に対しまして、インフレを拡大する国債の大増発によります財政危機がさらに拍車をかけている。ここで時間がありませんから省きますが、公共料金においては、ことしは値上げのラッシュです。またこの後も上がろうとしておると。そういう面から、今度収入面でいきますと、春闘のベースアップというものは物価上昇を下回るようなそういう状態であったし、夏のボーナスに至りましては、前年比三ないし四%の増という低水準であったと。こういう状況を見ますと、これだけ国民の暮らしを圧迫する政策というものが打ち出されておりまして、景気対策、財政対策をやられていて国民の生活が萎縮しないのはおかしなくらいです。しかし、やはり景気回復するには、個人消費を根本に置かなくてはならないじゃないかと思うのですけれども、こういうところから考えますれば、輸出に頼ってきた自動車、家庭電器あるいは鉄鋼等も、諸外国の実情というものは、輸出に頼ってまいりましたけれども、諸外国の経済動向を見ますと、アメリカにおきましては、鉱工業生産が、六月の一一・八%が七月は一〇・一%、前年同月比の増勢が鈍化してきております。また消費物価を見ましても、アメリカ初めヨーロッパ各地がおしなべて〇・二%から一・〇%、個人消費伸び悩みを示しておる。卸売物価においても同じような高い現象が出ているわけなんです。こういうことを考えますれば、貿易に頼っていたその貿易も、恐らくこれは行き詰まってくるのではなかろうか。そうした場合に、この個人消費の回復を柱にする施策というものに一体どのように対処していくのか。いま申されたるとおりに停滞現象と、それを素直に認めて、そうであると現実に把握するならば対策を講ずると言われますけれども、現実に、このように現実の姿として現象が起きておるわけなんですから、だからそれに応じた対策をするべきではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  44. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 先ほど来申し上げておりますが、いままだこの時点において、景気の長期停滞傾向が起こっておると、こういうふうには思わないのです。個人消費も落ち込みだ、落ち込みだというお話ですが、堅実に動いておる、こういうふうに見ております。また住宅投資も、これもまた健在である、こういうふうに見ております。それから企業収益が改善されつつあるわけでありまして、したがってそういうことを背景にいたしまして設備投資、これもだんだんと具体化してくる、こういうふうに見ます。ただ財政面が問題があるのですが、財特法の成立が立ちおくれたというようなこともありまして、これは心理的でありまするけれども、地方財政なんかにはかなり影響があったと思うのです。それから電電、国鉄、これが値上げ立法が成立しない。その関係で、これはかなりの影響があるだろうと思う。まあそういう中で、また輸出はどうだというと、これはとにかく一−三月に非常に伸びたわけです。それがさらに落ち込むのでなくて、さらにそれが伸びておるのですから、増勢は鈍化したけれども高水準で動いておると、こういうふうに申し上げて差し支えない。総合いたしまして、この景気は、まあ大体五%ないし六%実質、そういうところで動いておると、こういう判断です。しかし景気は生き物でありますから、これは動きをよく見ていなければならない。見ておって、もしこれが、長期であれだというようなことがあれば、速やかに所要の対策は講ずると、こういう考えであります。
  45. 田代富士男

    田代富士男君 いま副総理は、個人消費というものはさほど落ちていないと、そういうお答えでございましたけれども、数字の上に明確に出ているのは、勤労世帯の個人消費支出というものは、五月がマイナス一・六%、六月がマイナス三・一%、七月がマイナス〇・六%と、連続マイナスを続けているわけです。個人消費は落ちていないじゃなくして、このように落ちてきているわけです。この数字だけでなくして、個人消費の動向を最も的確にキャッチする一つの参考資料としていつも利用されているのに、全国百貨店販売額の伸び率がいつも取り上げられておりますが、これを調べてみましても六月以降は前年同月比で五・八%、八・七%、七・九%と、まあ物価水準を下回る低調ぶりです、物価水準を。こういうところから考えまして、いまおっしゃるように個人消費というものはさほど落ちてないと、その考え方自身に私は問題があると思うんです。現実にはすべての人々が——まあ時間があれば、ほかにも東京都の資料なんかたくさんここに用意しておりますけれども、最初に時間をとってしまいまして時間がありませんから申し上げませんけれども、また、このように個人消費伸びないというのは、たとえば実質賃金もこれ減少していると、年収二百万円の人が五%のベースアップをした人がどのくらいの影響を受けているかと、これも細かい数字がありますが、まあ五%ふえるということは二百十万円になるというわけなんですね。ところが、この人が二百十万円にことしの年収はなりましても、所得税あるいは住民税、厚生年金、健康保険、こういうような負担増だけで前年度よりも三万一千九百九十円になるわけなんです。そして、物価上昇分を約九%と見ますと十八万円、これだけ実質収入が減るわけなんです。合計しますと二十一万一千九百九十余円の負担増になる。そうすると、五%のアップ分を引きますと十一万一千九百九十余円の実質負担増になってしまうわけなんです。これが一般家庭の実態ではないでしょうか。まあ、こういういうことから個人消費というものは伸び悩んでいるわけなんです。で、伸び悩んでないと、これはもうとり方の違いで、これはどこまでやっても平行線をたどりますけれども、しかし、こういうところを、庶民の声を、副総理は今度総裁になろうという人であるならば、こういうところに力を入れなくちゃならないじゃないかと思うんです。ただ自民党の党内の声じゃなくして、民の声を反映できるような総裁にならなければ、福田総裁というわけにはいかないと思うんです。そういうところから、私はいまさっきも申しましたとおりに、個人消費の回復ということは景気回復の柱にしていかなくてはならないということから考えていくならば、いま中小企業の倒産等も起きておりますけれども、これにも十分な生活資金なり運転資金を供給すると同時に、やはり、いまさっきもお話が出ておりましたけれども、ここでやはり減税対策というものによりまして実質賃金の減少を水面上に浮上させるような施策を講じて生活不安というものを取るべきではないかと思いますけれども、こういう立場から私いま数字を述べましたけれども、中小企業に対するそういう施策と減税に対する施策、いまもお話を聞きましたらそういう特殊な立場の減税というものに対しては検討すべきだとおっしゃるけれども、私はいま一度ですね、特殊な立場というのでなくして、全般を見直しましてそういうように対処すべき姿勢で望んでいくべきではないかと思うのですけれども、どうでございましょうか。また、特殊なそういうような意味を持ったそういう減税には対処するというならば、いま副総理自身が持っていらっしゃるのは、まずどの辺あたりから対処しようと思っていらっしゃるのか、そこらあたりをもうちょっと詳しくお願いしたいと思います。
  46. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま景気だとか物価だとか、あるいは国際収支だとか、こういう経済の基本につながる問題は、まあまああれほどの石油ショック後の回復過程としては順調に動いておると、まあ本年度末ぐらいでまあまあ大方粗ごなしができるんじゃないか、そういうふうに考えておるんですよ。ただ、あれだけの石油ショックですから後遺症というものがある。後遺症というものはいろいろ残りますが、その中で特に大きな問題は財政ですわ。とにかく二十四兆円の財政、その中で七兆円以上のものを公債財源に頼ると、こういう状態はこれはまあ健全な姿とは言われないと思うんです。これ長続きさせるわけにはいかない。これは私は日本経済秩序を維持する上におきまして一番大きな問題はこの財政問題になってきたと、こういうふうに思うのですが、そういう中で減税で消費を刺激するかと、こういうことになると、それには財源が要るわけでしょう。やはりまた赤字公債——建設公債じゃありません、赤字公債を増発しなければならぬ、こういうことになるわけであります。しかも減税してそれが景気に幾ばくの効果があるかというと、それだけの話で、減税してそれが、購買力化するというだけの話なんです。よくいってそれだけの話なんです。ところが、同じ財源があるということになればこれは公共事業をやります、住宅をつくります、上水道、下水道だ、農村どうだと、こういうようなことになりますれば、これはまた何倍かの波及効果はあるのですね。景気対策になるのであって、もし景気対策上必要があるというなら、それはしかも財源でもあると、こういうならこれはもうまず減税じゃなくて公共投資になるわけなんです、なるべきなんですが、しかしそんな悠長なことを言っている暇はないんです。財源が一体あるかないかと、こういう問題があるわけで、個人消費政府が手段を講じて直接ことさらに伸ばしていくというよりは、とにかく景気全体を振興さして、それで個人の手持ちがふえていくという状態をつくり出すということが私は健全な行き方じゃあるまいか、そういうふうに思います。
  47. 田代富士男

    田代富士男君 この後、私、御売物価消費物価をお尋ねしたいと思っておりましたが、時間がありませんからまとめて石油の問題をちょっと尋ねてみたいと思いますが、先日の衆議院の予算委員会におきまして、同僚議員の正木委員が石油の価格の問題で質問した折に、河本通産大臣は、少なくともことしは値上げにはならないよう指導していくということを答弁されておるわけなんです。で、これは十二月にOPECのカタールにおきまして総会が行われることになっておりますけれども、そのときに一〇%ないし一五%の引き上げがあるんじゃなかろうかと予想されておりますし、昨日の新聞によりますと、イラン国王が最低一五%の値上げをということを呼びかけておるわけなんですが、当然この河本通産大臣の答弁というものはこのことも一踏まえた上の答弁であるということを私はいまも確認をさらにしておきたいと思います。  これはまず第一点でございますけれども、そこでOPECで値上げになっても、少なくともこの冬は国内の灯油の値上げを行ってはこれはまた国民の生活にしわ寄せが来ますし、ここらあたりは非常に大事な問題であります。そういう意味から、原油価格が一〇%上がりますと国内の御売物価は〇・四%上昇すると、一五%でありますと〇・六%上昇するということが言われておりますけれども、仮にイラン国王が呼びかけております最低一五%上昇したとしましても、国内の却売物価には最小限度にこれを食いとめなくてはならないと思いますけれども、ここらあたりの政府施策というものを明確にしていただきたいと思います。もし明確にできないならば努力目標だけでも結構でございますから、そのあたりをお願いしたいと思います。  それから三番目には、御承知のとおりに、国民の端的な声を申し上げますと、なぜ石油や灯油がこのように値上げされなくちゃならないのか、石油業界はもうけ過ぎているわけじゃないかという疑問を端的に抱いております。そういう意味で国民の理解できるように原価の公表を含む価格決定によるメカニズムを明らかにしないで、単に元が上がったから、人件費高騰のためにということではこれは理由にはならないと思うのです。こういうところを明確にしなくちゃならないし、先日正木委員が円高による為替差益についての質問をいたしました。だから、輸入商品については差益分を値下げして当然なのに全然それがされてないと。特に石油業界におきましては月十七億、年間二百億になるとも言われておりますし、それだけの差益があるならば、この冬を迎えて灯油が値上げするということは断じてあってはならないと思うわけなんです。こういう意味から、通産省は、あるいは経企庁も同じ関係のある部門でございますから、このような、特にことしの冬はふだん暖かいと言われました西日本も寒くなるということが言われておりますし、そういう意味から、これは灯油の値段等は絶対に上げないと、厳重監視をしていく、そういう監視制度を確立していかなくちゃならないし、もちろん私たちもこのような灯油価格の監視国民運動と言うべき、仮称、こういうものを展開していく決意でございますが、通産省としては灯油価格は九月末値段で売るようにという行政指導をしてあるということでございますが、再度確認をして、時間がありませんからまとめた質問でございますけれども、私の質問を終わりたいと思います。
  48. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 家庭用灯油につきましても、先日の予算委員会で通産大臣が答弁いたしました趣旨は、家庭用灯油の価格につきましてまず当面値上げをしないように指導するということが第一でございまして、さらに諸般の事情が許せば、できるなら値下げの方向で努力したいという二段構えの対処、措置の方法を打ち出したと了承しております。このような考え方に基づきまして、私どもとしまして、今月の十八日、今週の月曜日でございますが、早速通達を各元売会社に出しまして、九月末、ただいま先生御指摘なさいましたように、九月末現在での元売仕切り価格をこれ以上上げないということで強く指導した次第でございます。  それから、第二段階の問題としましては、これにつきましては前回の予算委員会での通産大臣の答弁でも触れられましたけれども、為替レートの今後の動向の問題、あるいは石油企業は本年の三月末現在で一千億近い累積赤字を持っておりますけれども、これの取り扱いの問題、あるいはただいま先生御指摘になりましたOPECの動き方の問題というふうな種々勘案すべき問題がございますので、それらにつきましての今後の情勢の推移を見守りまして引き続き検討したいというふうに考えている次第でございます。  それから、OPECの価格引き上げがあった場合にどうかというふうな問題でございますけれども、OPECの値上げにつきましては現段階で予断を行うのは非常にむずかしい次第でございますけれども、いずれにしましても、私どもとしましては通産大臣の御答弁の趣旨も踏まえまして、さらにOPECの値上げが今需要期中であるというふうな事情もございますので、家庭用灯油の価格が需要期中に大幅に変動するというのは非常に好ましくないということで、極力その安定のために努力したいというふうに考えております。
  49. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま石油部長からお答えしたような次第でありまして、通産大臣が予算委員会において御答弁されましたその趣旨に従いまして努力してまいりたいと、かように考えます。
  50. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 福田さんの行動につきまして幾つかの質問がございました。私は一つだけに限って端的にお伺いしたいんです。と申しますのは、三木総理はこう言っているんですね、やめる者がどうして国民に信を問うことができるのかと。これ、そのまま解釈しますと、三木さんが国民の審判を受けるんだという三木総理の声ですね。そしてまた、後受けたんだと、こういうことになると思うんです。こういう総選挙で国民に信を問うという、こういう観点から福田さんの御自分の行動をどう理解しておるのか、この点に限ってお聞きしたいと思います。
  51. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 三木総理は、自民党における立場がどういう変化がありましても私は総理大臣はやめないんだ、こういう立場をおとりになるならば、内閣立場変化はないわけなんです。これは内閣総理大臣立場というのは、内閣総理大臣がみずから欲する、あるいはお亡くなりになるという以外は、解散、総選挙の後、憲法の規定に従って総辞職を行うという以外にないんですからね。ですからこれは、おれが次の総選挙は総理大臣として執行するということになればそういうことにならざるを得ない、こういうことだと思います。
  52. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 私は、総選挙を三木さんでやるのか福田さんでやるのか、まあそんなことは自民党のことですからとやかく申しませんが、ただ国民の面から見ますと、仮に三木さんの総裁のもとに総選挙を受けたと。それが、いまの行動を見ますと、福田さんがやがてかわろうというわけでしょう。となりますと、三木さんで国民の審判を受けた自民党政府が今度すぐ福田政権にかわってしまうという、この辺はどうも国民の目から見ると理解できないんじゃないか。この辺についての福田さんのお考えを聞きたい。ですから国民の目から見れば、それは福田さんが総選挙の前に福田総裁になって、そして国民の審判を受け、引き続いて政権を担当するというならばいまの行動は理解できるんです。それがどうもそうでないようですから、そこで、そこのところをわかりやすく御説明いただきたいということなんです。
  53. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) つまり、そういうことになるかならぬかわかりませんよ、しかし、仮定の問題といたしまして、自由民主党総裁三木さん以外の人だと、それから内閣総理大臣三木さんだと、こういうことになる。それで総理大臣が解散をするとか、あるいは議員の任期が来たので選挙の公示を行うとか、そういうことになりますれば、その三木さんの手元において、内閣のもとにおいて選挙が執行されるんですが、その際、国民に対し信任を問うのは一体だれかと、こういうことになりますれば、これは自由民主党であり、社会党であり、共産党であり、公明党であり、民社党であると、こういうことになってくるんじゃないでしょうか。そういう筋のものだと、こういうふうに理解します。
  54. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 国民を基準に考えた場合にはどうも正確に理解できないということだけ申し上げて、次の質問に入りたいと思います。  私は消費者保護の観点から幾つかの質問をしたいのでありますが、まず第一に、本日の日本経済新聞のトップの記事によりますと、消費者保護の観点から、欠陥商品の規制とか、あるいは企業に無過失賠償責任を認めるとか、大幅な法改正を迫るということで国民生活審議会が近く提言するという、こういう記事がございます。これはまさに消費者を保護するという観点から基本的に私は結構なことだろうと思います。そして、無過失賠償責任を認めるとか、損害賠償の対象範囲を拡大するとか、あるいは商品の瑕疵の問題についての解決策等々あるわけです。この立法化がやがて求められると思いますけれども、これについて基本的なお考えはどうでしょうか。
  55. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま近藤さんからお話しのように、国民生活審議会におきまして消費者保護についての諸方策について相当突っ込んだ検討をいたしておるわけなんです。で、それの「提言」と、こうありますが、というよりはむしろ中間報告のような形で政府に対して報告が行われると、こういうことになるわけですが、これはあくまでも中間的なものでありまして、そう具体的にかくかくすべきであるというような形にはなっておらぬようです。それにいたしましても、速やかに実行さるべきもの、また時間をかけて検討すべきもの、さらに専門的な検討を要するも一のと、こういうような三種類に分けて中間的な報告が行われると、こういうことですが、その報告を受けまして、速やかに行うべしというものについてできるかどうか、そういうような検討を政府としてはやりたいと、こういうふうに考えております。
  56. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 この中身についてまだ考えが固まっていないようですから、これは要望だけひとつ申し上げたいと思うのです。基本的には結構な方向だと思いますが、その中に賠償責任をメーカーに限らず流通業者にも負わせるという、こういう方向が出されているようであります。それも消費者保護の点では必要でありますが、多く存在する小売業者等ですね、そこに責任だけを負わせて、負わせっ放しになってしまうのじゃいけない。ですから、そこにもし責任を負わせる場合には、その責任を負った小売段階がさらにメーカーに対してもこれはきちっと求償できるような条項をこういった中に織り込むべきである、こういったことを申し上げて、次の質問に入りたいと思います。  そこで、この中間報告にも出ておりますような消費者保護の必要がますます強まっていると思います。特に耐久消費財の関係で申しますと、最近の需要の特徴を見てみますと、耐久消費財が大切に使われるようになった、買いかえが抑制されているという状況であります。となりますと、途中で故障した場合などの修理の問題とか、こういう問題が、大変多くの要望が出てくると思うのです。そこで、これは政府の段階ではきわめて法的体制は弱いわけでありますが、具体的な事例を見てみますと、神戸市で「神戸市民のくらしをまもる条例」というのができました。その第十三条を見てみますと、「事業者は、品質、性能等を保証すべき商品として規則で定めるものを提供するときは、保証書を添付しなければならない。」、こういう規定がございます。大変積極的でありますが、これについては条例でこういったものを規制するという点で多くの問題があるようであります。これは基本的には私はまさに法律で解決しなければならぬ問題であろうと思いますが、いま積極的に出てまいりましたこういう保証書によって消費者を保護していこうという、こういう具体的なこの条例の提起について、これは政府としてはどういうお考えでしょうか。
  57. 藤井直樹

    政府委員(藤井直樹君) 神戸市の条例で最近保証書の添付を義務づけた、そういう内容の改正が行われたわけでございますが、私どもといたしましては、保証書のようなものができて、そしてそれにいろいろな条件等を明示していくというようなことは、消費者の便益のためにも好ましいことだと思いますが、ただ、それを実際に条例というような形で義務づけるということについては、いいかどうかということについては若干疑問をもっております。  それからもう一つの問題としまして、条例でそういうことを義務づけた場合に、条例そのものが持っております地域性が非常にあるものでございますから、全国的な流通商品にそういう形で及ぼすことになりますと、地域によって非常に取り扱いが違ってくる、ばらばらな取り扱いになったりします。非常に国民経済的に見ても合理的でないという面もあるかと思いますので、その辺については慎重にやった方がいい、そういうふうに考えております。
  58. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 問題があるという御答弁だけで、政府としてはどうしたらいいかという、ここが問題なんですね。単に神戸市がやったこと、おまえけしからぬという趣旨じゃないと思うのです。もしそうだったらこれは問題ですけれども、そうではなくて、政府がなかなかやらぬから私は市民の保護という観点でやったと思うのですが、こういういわば一つの問題提起ですね。私は具体的に言いまして、この条例だけで具体的に本当に保護はできないと思うのです。条例自身の限界という問題もありますし、また地域性もありますから、まだまだほんの一端、ある意味では問題提起だと思うのですね。ですから、それを受けて政府としてはこれをどうするのか、その方向をひとつお聞かせいただきたいのです。
  59. 藤井直樹

    政府委員(藤井直樹君) 今度の神戸の条例の対象になりましたのは耐久消費財でございまして、物資の所管官庁は通産省になるものが大分多いのでございまして、通産省の方のお考えもあるかと思います。ただ、具体的に見ますと、かなり技術的に困難な面等も見られますし、私どもとしては、条例というよりは、実際問題として保証期間、その長さがいいかどうか、内容がいいかどうか、そういうようなことについて十分的確な検討をしまして、そして事業者にそういう方向で指導していくというようなことが当面適当な措置ではないかと思います。
  60. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 いまも言われましたとおり、この神戸市条例は、いわば保証書の表示義務、事前提示義務、説明しろという、こういう義務づけでありますね。で、そのこと自身はそれで結構なんですが、問題は内容ですね。内容について、いま言われたような内容を規制し、そして消費者を保護していくという、そのことは大事だと思います。それはやっぱり条例の限界としてできないのじゃなかろうか。となりますと、これはまず手続面だけじゃなくて、内容的にもこれは充実したものをつくっていくということでは、単なる行政指導ではなくて、一歩国が踏み出して、そしてそこでこれを立法化していくという、こういうことが必要だと思うのですが、そういったことを考えておられるのかどうか、こういうのが私の質問です。
  61. 藤井直樹

    政府委員(藤井直樹君) 先ほどから申し上げましたように、当面そういう保証書というものについて、メーカーないし販売店と消費者との問の契約関係について一つの条件が決められているということ、そのことの方向はいいかと思います。それを具体的にそれでは立法するかどうかということになりますと、これは非常に影響するところが大きな問題でございますので、慎重に検討していきたいと思います。
  62. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 まあ、慎重に検討ということはいろいろな意味があるのですが、そうすると、いまの状況ですと、神戸市でひとつ打ち出しましたね。そうすると、そこの状況をまずともかく様子を見る、その効果やあるいはマイナス面、いろいろな状況は、神戸市で踏み出したそこをひとつ見てみるという、こういう趣旨なんでしょうか。
  63. 藤井直樹

    政府委員(藤井直樹君) 神戸市の場合は、五月だと思いますが、条例を公布したわけでございまして、施行はまだこれからです。現在事業者との関係でいろいろ市の方で折衝されているようでございます。実際問題としてそういう保証書の義務づけがどういうような問題を起こすか、どういう形で実行し得るのかというようなことについてやっておられるわけであります。そういうところで十分両者の間で話し合いがつくということになりますれば、それは円滑に実施されるわけです。その辺のところの様子を見てまいりたいと思います。
  64. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 この点ではやっぱり政府対処がおくれているというのは、私が言うだけじゃなくて、九月六日の朝日新聞の「今日の問題」というその最後の方でも、欧米諸国に比べて格段に対策がおくれているという、こういう指摘があります。そこで、私は、やっぱりこれは立法化の方向を目指して、自治体に任しておくのじゃなくて、やはり政府自身責任を持って進めるべきことだと思うのです。その場合に、保証書の添付を義務づける場合のプラス面はもちろんありますね。幾つもあります。だからといってやったのですが、ただ、逆にマイナス面というものもあると思うのです。その辺も心配されたと思うのですけれども、このマイナス面についてば幾つかの指摘がございます。たとえば第一に、消費者が保証書に記載されている限度を超えて責任追及することを断念する危険性がある。これは「ジュリスト」に出ておりますからあとでごらんいただきたいのですが、さらに保証書によって、小売店が現行法上負っている品質保証責任を免除、制限する危険性があるとか、三番目には、メーカーが保証書を流通支配の手段として利用する危険性が挙げられるとか、四番目には、そういう保証書が体制として整備されていない場合には不当表示を強制するような段階にある、こういう問題があると思うのです。こういう問題については、これは今後の立法化あるいはその過程においても、行政指導をしていく場合も、そういうマイナス面を十分カバーしたものとしてやっていくべきだと思いますけれども、この点についてのお考えはどうでしょうか。
  65. 藤井直樹

    政府委員(藤井直樹君) 保証書につきましては、害は法的な性格が非常に明確でなくて、いろいろな見方があるわけです。私どもとしては、当面メーカーが直接消費者に対してその使用後一定期間無料で修理をするということをいわば消費者に約束するということが主たる内容である、そういう契約であるということで理解しております。いまおっしゃいましたようないろいろな法律上の問題点というのは非常に多いわけです。これはこれからの検討していかなければならない問題だと思っております。
  66. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 法的性格としてはいま言われたようなことだと思うんですが、しかしそのいろんな副次的な効果とか、それを実施していくことによる一つの大きなプラス面、それはあると思うんですね。ですから、そういう面からひとつ漸進的に対処していただきたいと思います。保証書よりもずっと法的な効果の弱い、むしろいわばそれは政府の行政指導としてやっております補修用性能部品の最低保有期間というのがありますね。政府でもこういうものを出していろいろ宣伝しているようです。これはどういう効果をねらい、また行政指導としては一体どんな観点からやっておるんでしょうか。
  67. 内田禎夫

    説明員(内田禎夫君) お答え申し上げます。  私どもいま先生御指摘されましたように補修用性能部品の保有期間ということで行政指導を行っているわけでございますが、これはやはりすべての耐久消費財というわけではございませんが、製品が非常に成長しておりまして、あるいは成熟期に達してたくさんの消費者にいまもうすでに普及しているもの、あるいは今後普及することが十分予想される、そういった耐久消費財、そしてそれからさらに相当期間使用され、使用した後におきましても修理をして使用することによりまして、その方が経済的である、つまり買いかえるよりは修理をして使用してもらった方が経済的である、そういったようなことを選定の基準といたしまして現在家電製品三十二品目、それからそのほか石油器具あるいはガス器具等の若干につきましてそういう部品の保有期間というものを行政指導で通達を出しまして、メーカーそれから販売店に保有させるようにということでやっております。これは、現在やっておりますものは実際にまず十分に実行されているというふうに考えておるわけでございます。なお、いま対象といたしておりますもの以外にも必要なものがあれば、随時追加してまいりたいというように考えております。
  68. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 これはいままでの例ですと、実際部品がなくなってしまいまして修理したくても修理できないというような状況から出てきたという、そういう過程もあったかと思います。いまここへさらにつけ加えるべきものということで、それは大いにやってもらいたいと思います。  私はさらに中身の問題として、ここに挙がっているけれども、それが補修用性能部品に該当しないために十分な効果を発揮してないという、そういったものがあろうかと思うんです。たとえばここに挙がっておりますテープレコーダーあるいは電気掃除機、そういったものを見てみますと、たとえばここにテープレコーダーありますね。これは私の所有物ですけれども、このふたが、これは対象にならぬというんですね。そう聞いておるんですけれども、そうでしょうか。そしてやっぱりこれ、このふたないと困るんですね。この辺のものもこれは一つつけ加えてもらうべきだろうと思うんですが、どうでしょうか。それからもう一つ、たとえば電気掃除機の吸じんの装置ですね、あれもやはり対象になってないというんですよ。しかし、あれなくなってしまいますと電気掃除機の役割りを果たさぬでしょう。そういう意味では、せっかくやってもらったけれどもかなり不備な面があるんじゃなかろうか、この面は十分に充実してもらう必要があろうかと思います。私はたった二つの問題を挙げましたけれども、ほかにもそれは十分あると思うんで、そういった面をきめ細かくこれは一つ整理をしてやってもらう必要があるんじゃないかと思いますけれども、どうでしょう。
  69. 内田禎夫

    説明員(内田禎夫君) お答え申し上げます。  ただいま二つ例を先生お挙げになりましたけれども、初めのテープレコーダーのふたでございますね、それは対象になっているはずでございます。それは部品で、やはりそれがありませんと基本的な性能が発揮できないということでこれは補修用部品に加えてございます。ただ、後ほどお挙げになりました電気掃除機の集じん袋、これは実は補修用部品というものではなくて付属品といったようなものでございます。ただいま行政指導でやっておると申し上げましたのは、これは補修用部品で、つまり修理の際にその部品がないと修理ができない、それがないと基本的な耐久消費財の機能が発揮できないというようなものを指定しておるわけでございまして、その付属品につきましては、これはむしろ本体と同様でございますし、なぜ補修用部品の方をやっておるかと申しますと、そちらの方が往々にして切れているというようなことで販売店等におきましても取り扱ってくれないということが多かったという事情に着目しているわけでございまして、むしろそういう付属品的なものは当然に保有さるべきものというふうに考えております。現にこれは私ども補修用部品の保有を行政指導でやっておりますと同時に、そういった基本的な付属品については当然のことながらやるようにということで指導をいたしておりますけれども、あるいは部分的に販売店等が手持ちがないというようなことで消費者の方に御迷惑をかけていることもあるのじゃないかと思います。なおその指導を徹底させてまいりたいと思っております。
  70. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 私は、基本的にはこういった問題は単なる行政指導ではなくて、先ほど挙げた保証書の問題も含めましてやはりこれは立法化の方向で進んでいくべきだろうと、こう思います。  そこで、これは先ほどの国民生活審議会の中間報告の中にも指摘されているんですが、「事業者は強い経済主体であるのに対し、消費者は弱い経済主体であり、」と、こうはっきり書いております。そういった観点からも私はこれは大変重要なことだと、こう思います。ところが、ここで言っている事業者は強い経済主体であるのに対し消費者は弱い経済主体であるというこの指摘は、単に消費者対事業者だけにとどまらず、大きなメーカーとそれからそのもとでやっておる卸売業者あるいは小売業者の関係でも私は言えるんじゃないかと、こう思います。私が入手をいたしました雪印乳業株式会社と卸売業者の間のこれは契約書です。昭和四十一年のものですから中身は少し変わっておるようですが、基本的には変わっていないわけです。私はこの契約書を見てみまして大変驚いた、というよりもこれはメーカーが昔の封建領主のようにもう卸売業者とかさらに小売業者をがんじがらめに抑えてまさに支配しているという、こういうことを本当にこの契約書からうかがい知ったわけです。大体法律関係がほぼ対等にできている契約関係でも、これはもう実際やっておるとどんどん強い方がますます有利になってくるということは明らかですけれども、この中身見てみますと、制度的にもうその支配下に入ってしまうという、そういう状況なわけです。  これは四十一年当時の契約書の条項によってちょっと中身を御紹介いたしますと、たとえば第三条では、契約期間の問題についてこう言っておるんです。「甲」というのはこれは雪印乳業の方ですが、「その営業上の都合その他の事由により甲が必要と認めたときは、いつでも取引方法、限度額の変更、制限をなし得るは勿論、取引の一時中止、若くは締切決済要求及び解約をなすことができる。」、要するにいつでも解約できるというんですね。それに対して「乙」、これは卸売業者の方でありますが、解除せんとするときはその二ヵ月前に文書をもって予告しなけりゃならない。その後の条項によりますと、これはさらに三ヵ月に延びているようです。実際やめようと思って予告しますと、牛乳業者というのはお得意ありますけれども、やめても、そこは要するに相手あんまりしつこいからやめるのだと言うてもまた牛乳屋さんやるわけですね。で、やめてもまた牛乳屋さんやるわけです。と、この二カ月間にもう徹底的にその得意先を荒らされてしまって、これはもうどうしようもないという、そういうことでやめるにやめられない、そういう条項が実際この中身から推測できるわけであります。それから第四条を見てみますと、「甲が乙に売渡すべき商品の価格は凡て甲の建値とする。」、もう価格は一方的なんですね。最初いいと思っても、だんだんだんだんこれはもう一方的に値段を押しつけられてくるという、こういう条項。それから第六条では、要するに他の商品扱っちゃいかぬというんです。それから十条から十一条そして十四条、十六条を見てみますと、これは契約するときに担保を提供するわけです。その担保を自分の業者の方がメーカーにいわば担保物件として出すわけですね。所有権移っちゃうんです。ところが、その場合に今度は解約しようと思いましても、その解約が円満かつ完全に終了しないと返してもらえないというんですよ。大体契約解除をするときにはけんか別れすることが多いんですね。そういう場合に返してもらえないということになりますと、まさにこれはもういやな条件でもそれはもうそこについていなきゃいかぬという、こういう条項も出てくるわけであります。さらにこれが十七条を見てみますと、先ほどの契約解除!一方的にじゃなくて期間持たずに解約した場合には、これは損害賠償として五十万、この場合は五十万払え。さらに、これは六条、先ほどの、他の商品を扱っちゃいかぬ、それに違反しますと、これまた違約金払うという、もうともかく小売業者、卸売業者はどうしようもない、一方的な価格に泣いてしまう、こういう条件があるわけであります。これに対して法的解釈の問題はあると思うんです。こういう契約が有効か無効か、あるいは独占禁止法に違反しないかという問題はあると思うんです。しかし、その問題に入る前に、こういう状況を放置しておいていいのかどうか、このことをお聞きしたいんです。そこで、これは農林省だと思いますけれども、こういう問題にどう対処するのか、この御答弁をいただきたいと思います。
  71. 中島圭一

    説明員(中島圭一君) ただいま先生の御指摘のありました雪印乳業と牛乳の卸・小売店との契約書の内容についてでございますが、ご指摘のありました四十一年当時の契約書の第六条につきましては、その後四十八年の十一月ごろからこれを削除するという措置をとっておるところでございます。その他の各条項につきましては、確かに御指摘のような趣旨の内容のものがあるわけでございます。この問題につきましては、本来商取引上の当事者間の意思によって決定される性格のものでございますし、また商慣習の実態とも関連するところがあろうかと思いますが、しかしながら、われわれといたしましても、先生ただいま御指摘の御趣旨を踏まえまして、今後さらに契約の内容とか、あるいは取引の実態等踏まえまして、関係当事者間の取引関係が円滑に運営されますよう調査研究をさせていただきたいというふうに思っておる次第でございます。
  72. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 この問題は、実際に中小企業庁がこの管轄だと思いまして、そうして問い合わせたらそうでないということで、先ほどあなたの方にこれ中身をお示ししたということで、これについての解釈についてはまだ無理かと思うんです。ただ、こういう実態が相当あるんですね。そこでお伺いしたいのは、この種のメーカーと業者の関係について農林省としては常時それに対して監視する体制があるのかどうか、そういう状況を常に事情聴取してそれを行政指導していく体制があるのかどうか、この点はどうでしょうか。
  73. 中島圭一

    説明員(中島圭一君) 一般的にこの種の会社と卸売業者あるいは小売業者との関係につきましては他の局の問題になるわけでございますが、輸入関係もそれとの関連があるわけでございますが、一般的に体制があるかどうか、ちょっと私明かでないと思います。
  74. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 体制がないとなると、これは大変なことなんですね。私はここではその体制を整えることも含めて、そして具体的に私が指摘したような大変な事態なんですね。要するにやめたくてもやめられないんです。それでもう大変な高い価格押しつけられる。一方では、メーカーの方はスーパーなんかにはずっと安い値段、これ出だすんですね。実際に起きた例ですけれども、五百ccでこういう関係の契約者には九十一円で卸すわけです。ところが、スーパーには八十五円で卸すわけですね。だから、この卸売業者が実際スーパーに買いにいくなんという、こんなばかげたことも実際起きているんです。しかし、その値段について文句言えない、解約したりできない、ほかの商品扱えないというんですね。こんな実態は、これはもう大変な状況だと思うんです。ですから私は、いままで農林省としてこれあんまり十分に知ってなかったという、そのこと自身が問題だと思うんです。ですから、これは早速実態を十分調べると同時に、こういう法律違反かどうかという問題は別にしましても、こんな実態をなくしていくという、こういう観点で対処していただきたいと思いますが、いかがですか。
  75. 中島圭一

    説明員(中島圭一君) 価格の問題につきましては、独禁法等のいろいろ問題があろうかと思いますので、関係当局とも御相談したいと思いますが、一般的にこれらの実態につきましては、さらにわれわれといたしましても調査研究をさせていただきたいというふうに考えます。
  76. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 公取は来ていますかな。——私が先ほど指摘した諸点について、公取の面から見てこれはどうでしょうか。
  77. 野上正人

    政府委員(野上正人君) 御承知のとおり独占禁止法の三十八条で、具体的な事件につきまして職員が意見の公表をすることは禁止されておりますので、一般的な問題としまして答弁させていただきたいと思います。  それで仮に、競争品の取り扱い禁止があるという何があって、かつ、それが公正な競争を阻害しているという場合には、不公正な取引方法に該当する場合もあり得るのじゃなかろうか。これはあくまでも実態を調べてみなければ、現段階でどの場合がどうだというのはちょっと私自身御答弁できないのであります。
  78. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 それでは、もう一つの問題ですが、これは昭和四十八年の十二月に、牛乳価格値上げということで一斉にやったようです。それはカルテル違反だということで勧告があったようなんですが、その後実態を調べてみますと、確かにそういう勧告を受けたので、表面的にはうまくやっておるようですね、時期をずらすとかなんとか。実際には一これはきのう公取の職員の方にお示ししたんですが、こういう「価格値上げについてのお願い」という文書が実際いまでも配られておって、やり方は全く同じだと思います。たまたま時期がちょっとばかりずれているために触れないような状況になっておるのだけれども、しかし関係者は全く同じ効果を受けておる、こういう実態なんですけれども、これに対して何とかこれは対処のしょうがないものでしょうか。
  79. 野上正人

    政府委員(野上正人君) カルテルがあるかどうかというのは、これは実際調べてみないとわれわれとしても現段階でこれが違反するかどうか、ぼくはちょっと言いかねます。
  80. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 時間がないので、次の問題に移りたいのですが、これは食管財政との関係で、ひとつ福田さんの腕をふるってもらいたいところなんですが、麦価の問題です。それで、これが為替レートの関係でずいぶんいま推移の中で赤字の緩和が出ておる、こういう状況なんです。そこでまずその前提としてお聞きしたいことは、為替レートが麦の購入の場合には、輸入の場合にはちょっとずれておるようですから、その関係でどういう推移になっておるのか、また輸入価格自身がどういう推移になっておるのか、さらに海上運賃自身がどうなっているか、この点についてひとつ数字をお示しいただきたいと思います。
  81. 二瓶博

    説明員(二瓶博君) 最初に為替レートの関係、これがどう推移しておるかということでございます。そこで現在五十一年度のまだ年度半ばでございますので、現在までのところのものを申し上げますと、まず四月から九月まででございます、大体わかりますのは。四月は、これは二月の当月を含む三ヵ月の先物、これでもって大体買い付けのときに予定価格等に織り込むわけでございますので、それで申し上げますと三百五円五十銭、それから三月が三百四円、それから四月が三百一円九十銭、五月が二百円六十銭、六月が三百二円八十銭、七月が三百円十銭ということでございます。したがいまして二月に売り込んだ三百五円五十銭というのが大体四月買い付けた麦の場合はこの為替相場ということになる、こういうことでございます。  それから次は買い付けの価格の方でございますが、……
  82. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 価格を全部言わなくて、最初とおしまいでいいですよ。
  83. 二瓶博

    説明員(二瓶博君) さようでございますか、はい、わかりました。  それで買い付け価格の方につきましては、これもただいまと同じように四月から九月までが実績ということで出ておりますが、まず初めの四月が六万一千九百十六円、トン当たりでございます。それからしまいの九月でございますが、一部見込みも入りますが、九月が五万八千五百六十五円ということで、四月の水準よりは若干低くなっておるということでございます。  それから海上運賃でございますが、これは四月が十四・五二ドル、それから九月が十五・二五ドルということでございます。
  84. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 これらいずれも当初見込んだ額よりもずっと安く入っている、こういう事態のようですが、そこでこれは九月十八日付の日本経済新聞によりますと、こういった問題がありまして、思わぬ差益があって、そこで赤字が三百四十億円も減ると、こういう記事がありますけれども、この記事には間違いないでしょうか。
  85. 二瓶博

    説明員(二瓶博君) 日本経済新聞に三百四十億円ほど損失が減るという記事が出たことがございますが、これにつきましては、実は五十二年度予算要求の時点におきましてということでございますから、大体八月末までに概算要求を出すということでございますので、その時点におきまして、しかもこれは五十一年度通年ベースでどのぐらいになるんだろうかということで一応やりました際に、一応三百四十億円ほどの損失減というものが出てまいるであろうということでございます。
  86. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 そこで、福田さんにこれはお伺いしたいんですけれども、これ当初麦の予算を組むときに少し逆ざやについて水増しがあったんじゃないか、こういう指摘も当時あったんですね。そして実際そのとおりになっているんですよ。となりますと、これ全部食管赤字の方へ持っていっちゃうんじゃなくて、ひとつそういった経過を含め、そして現実にこういう状況ですと、やはり消費者の方に返すべきじゃなかろうかと思うんです。そこでまず最初にお伺いしたいのは、この売り渡し価格をこれはやっぱり下げるのが至当じゃないか、こう思うんですけれども、いかがでしょうか。
  87. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 小麦の売り渡し価格は、これは二つの見地から決められたわけです。一つは財政上の見地ですね。一つは農政上の見地です。財政上の見地からいたしますと、これは小麦の売り値を相当上げまして、そして食管赤字を解消すると、こういうふうにすべきです。それから農政上の見地から見ますと、これは米との競合、主食として米との競合の問題があるわけです。どうも米の問題を考えますときに、米と小麦の値段との均衡、これはよほど注意しなければならぬ。いま米の方が高過ぎるわけですね。麦の方との格差が多過ぎる、これを解消しなければならぬ、こういう問題があるわけですね。そういう見地から見て、年度の途中で価格構成要因に変化がある、こういう際に、どう変化があるからといって、そういう事情で決めた小麦の価格を低くするということは、その価格が決められた財政上の理由、または農政上の理由、こういうものに対しまして妥当ではないんじゃないか。またそれからさらに言えば、いま問題なのは、為替差益の問題になりますれば、そういった差益がこれからずうっと続いていくのかどうかという見通しの問題もあるわけなんです。まあ、ちょこっと一時的にできたそういう要素をとらえて非常に慎重に決められておる売り渡し価格を改定をする、これは妥当でないんじゃないかという気がするんです。
  88. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 最後に、年度途中で変えるのはむずかしい、妥当でないということであれば、この経験はひとつ来年度の決定に上げ幅を少なくするというような方向で考慮すべきじゃなかろうかというのが第一点です。  それからもう一つは、当面できる問題としては、たとえば学校給食などの関係ですね、あるいは福祉施設、病院という、ごくごく限りまして、そこでやはり恩恵を広めていくという、こういうことはできると思うんですよ。その点はどうなんでしょう。
  89. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ、やってできないことはないんですが、この小麦の売り渡し価格、これはただいま申し上げましたように、農政上の理由もある、財政上の理由もあるししますから、さあ多少ゆとりが出てきたからといって、そう安易に変えるべき性質のものじゃないんじゃないか、こういうふうに思います。さあ学校給食とかなんとかということになりますと、もう初めから特別の配慮をいたしまして決められておりますので、多少年度の途中で変化が出てきたから直ちに改定するというふうにつなげていくのはなかなかむずかしいんじゃないか、そんな感じがいたします。
  90. 中村登美

    委員長中村登美君) 大臣はこの辺で御退席させていただきたいんですが……。どうも御苦労さまでございました。
  91. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 じゃ、一言だけ。  大臣行きましたけれども、やればできるということでもありますし、こういう問題はひとつさらに考えてまいりたいということを申し上げて質問を終わりたいと思います。
  92. 中村登美

    委員長中村登美君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。   午後三時三十八分散会