○川村清一君
政府全体としての
考えであるならば、いずれ機会を得て総理
大臣あるいは外務
大臣に
お尋ねします。私は、特に挙げての損害というものはないと判断をしておる。それから、
日本だけが勝手にやればよその国も勝手にやるからといったようなそういう御答弁ですが、いま世界の国で領海三海里なんと言っている国が何カ国ありますか。五指にも足らないぐらいじゃないですか。もう二百海里ぐらいの領海を言っている国もあるわけですよ。領海でない
経済水域ですが、アメリカも勝手に
経済水域二百海里を宣言したではありませんか。そしてアメリカの国会はそれを支持しているではありませんか。カナダだってそうではありませんか。そういうような国際環境の中において、
日本だけが何でその三海里を厳守しなければならないのか。それは海洋法会議で同時に国際海峡の自由航行権のようなものが決まったときにやるのでしょうが、結局アメリカなりあるいはその他の国々に追従しているのでしょう。それで国際海峡の自由航行権が決まらないというと、安保条約に基づくところのアメリカと
日本との約束事ができないといったようなことから、そういうことになっているのではないかと私は思わざるを得ないのです。それ以外には私は何も問題はないと思う。それが一体
日本の損害になるのですか。そういう国益を名目にして、そうして沿岸の漁民を泣かしておいていいなんという、そんな一体
行政がありますか。政治がありますか。
これを農林
大臣から一回聞きたいことと、これは
水産庁長官でよろしいですが、時間がないから端的に聞きますが、損害賠償処理
委員会というものがその協定に基づいて設置されましたね。そこで、これはこの協定が発行する二年前の損害からこれが効力を持って賠償申請することができますが、いろいろ書類が出ておると思います。この
委員会が発動して一件でも処理されたかどうかということをまず一点お聞きしたいことと、それから私は、これ北海道のある小さな漁業協同組合からもらってきた資料ですが、これは「漁業損害賠償請求申請書」、これを漁業損害賠償請求処理
委員会に提出するのですが、いいですか、これはある人を代表として三人分の申請書ですが、その書類がこれだけあるのです。この書類を五部つくるのですよ、五部。そこの小さな漁業協同組合の職員は、この書類をつくるのでもう全く奔命に疲れていると言っても過言でない。こういう煩わしいことをしてこの書類をつくって、そしてこれはその個人が直接損害賠償請求処理
委員会に提出する。これは町村自治体を経由するのではないのです。これは道庁を通じてここへ行くのだと思いますが、この書類を見ますと、
被害漁船の方は詳細わかりますよ、
被害を受けた方ですから。加害漁船の方は「船名不明」「船長名不明」「漁船登録番号不明」「総トン数約二千トン」「漁業根拠地不明」「漁業種類トロール船」「漁業を営む者の住所(所在地)氏名(名称)不明」、加害者の方は全部不明なんですよ。そうして添付資料がある。その添付資料には写真をつけろの、何つけろのと書いているが、十トン未満の、五トンか六トンぐらいの沿岸の小さな船が、そんな船のいつ一体網が切られたのかわからない、時期もわからなければ船もわからない、その船の写真つけろなんて、写真つけられるわけがないでしょう。こういうような申請を出してこれが処理
委員会に提出された場合に、一体損害賠償される見込みがあるのですか、ないのですか。いままで一体処理された件数があったかないかということと、今後の見通しとして損害がきっと賠償される見通しがあるかどうか。ないならば、こんなものを一生懸命つくってやったってむだですよ。私は、こんなような書類では証拠書類は何もないんですから、加害者がわからないんですから。網切られたという事実だけはある。どこの船
——まあ、これはソ連のトロール船だと思う、これは推量ですよ、船がたくさんいるから。しかし、何という船名の船で、船長が何という人で、漁船の登録番号が何番かちっともわからない。こういったような書類であっても、申請書であっても、処理
委員会ではそれを正式に受理して、そして損害賠償するようなことができる見通しが一体あるのかどうかということをはっきりお聞きしたい。
私の与えられた時間は切れましたからこれで質問打ち切りますが、ここをはっきりお答え願いたいと思います。