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鶴園哲夫君
農業従事者の百五十日以上
農業に従事している人、その
数字が出ておりますが、半分以上というのが女子なんですね、女性なんです。それから、百日から百四十九日間
農業に従事する人というのを見ましても女性の方がはるかに多い。だから、中核的
農家とおっしゃったのは十五歳以上五十九歳までの男子で、そして一年に百五十日以上
農業に従事する者という話なんですね。それをとった場合には、もう本当に四百九十五万からの
農家の中のほんの一部しかならぬじゃないかと思うんですね。これは六十歳以上が非常に多いわけですから、男の場合は百五十日以上
農業に働く人が四分の一は六十歳以上なんです。ですから、いまおっしゃるように、実際具体的に農村に入り、集落に入ってみればだれが
農業を本気にやろうとしているのか、だれが本当に
農業を守っていこうとしているのかということが明らかになると思うんですよね。ですから、おっしゃるように、具体的な
農家というものを取り上げなければならないというように思うんですけれ
ども、せっかくこういう五年に一回の
農業センサスをやられる機会にそういう問題もとらえられたらよかったろうと思うんですけれ
ども、この
数字の中からはそういうものは出てこない。
私は、いまの問題についてはその程度にいたしまして、その次にお尋ねをしたい、あるいはまた提案をいたしたいのは、いま申し上げましたように女性の
農業従事者数というのが出ておりますが、これを見ますというと、百五十日以上でも女性の方が多いですね。それから百日から百四十九日というランクでもはるかに女性の方が多いです。六十日から九十九日というところでも女性の方がはるかに多い。こういうことで、少なくとも六十日以上
農業に従事している者は女性の方が非常に多い、こういう
数字が出ているわけなんですね。しかも、先ほ
ども申し上げましたように、女性だけで
農業専従している
農家数というのが一二%を超しておる。第二種兼業
農家というのは六二%になっておるわけですが、恐らくこれはほとんど女性が主導している、あるいは主宰をしている
農家ではないかと思うんですね。そういう点から言いますと、五割近いものは、あるいは五割を超すようなものが主婦主導下の
農家、六割近いものが主婦主宰の
農家、こういうふうに、言えるんじゃないかと思うんです。全体の
農業の従事者の中でもいま申し上げたように、どのランクをとってみても女性の方が多い。
もう一つ問題は、この女性が
農業の従事者の半数以上占めておるわけなんですけれ
ども、一般の産業で言いますと、十七、八から三十五、六までのところに八〇%ぐらいの女性がいるわけですね。
農業の場合は全く違いまして、三十五、六から六十以上のところに八〇%の女性がいるわけです。ですから、一般の産業とは全く違って、女性が多いんだが、その女性もぐっと年配のところですね、中年から老年のところに八〇%の女性がおると、こういう
状況になっておるわけですね。そういう中で、最近
農業に働いている女性の人たちの健康の問題がえらく問題になりまして、いろいろ研究が行われていますね。この間も私農村の人たちと会いましたら、三十人ぐらい集まった。えらい元気そうな若い、三十から四十前後の主婦の方たちでいらっしゃる。いや、たくましいなと言うと、いや、体はがたがたなんですよと言うのですね。いろいろ聞いてみますと、なるほどと思うのですね。ですから、
農業は何か機械が入ったら軽労働になったというような感じがあるのじゃないかと思うのですが、そうではない。機械を使ってもやっぱり圧倒的重労働です。その重労働を女性がやっている。しかも、いま申し上げたように三十七、八ごろから——四十ぐらいからちょっと多いかもしれぬ、六十というところに圧倒的に多いわけですね。これが耕運機を使い、なにを使って
農業やらざるを得ない。これはえらいことだろうと思うのですね。それからこの五、六年の間顕著に発達をしました施設
農業、施設
農業の中の施設園芸というようなものも非常に女性が多いわけですが、わりあいと若い人たちがやっていらっしゃる。壮年の人がやっているのだが、しかし、臨時に雇うところは皆主婦を雇っているわけです、
農家の主婦を。その人が来て臨時に働いている、雇用労働で働いているのですね。そして、施設園芸というのは体の上にいろいろ問題があることは御承知のとおりですね、炭酸ガスがえらく多いわけですから。大変な湿度があって大変に温度が高い。その中で中年から六十にかけての御婦人がお働きになるわけですから、これはえらい話です。
そういう中で私は、一体
農業白書というのが出るのだけれ
ども、ことしで十五回目、歴史を重ねて十五回目の
農業白書が出たのだけれ
ども、そういう
農業を支えている婦人労働についての分析が全然行われていないというのは大変遺憾に思うわけです。一体どういうふうに
考えていらっしゃるのかということですね。この間五十年の二月にセンサスをやりましたね。すべての
農家に当たっているわけです。ここに表があるわけです。それと県の保健所があります。保健所が診察をしている。その保健所の表というものと全部を突き合わせている、センサスと。そうすると、施設園芸を主としている
農家の主婦は一般の農村の主婦よりどういう病気があるのか、あるいは機械で作業している主婦はどういう病気があるのかというような、これを全部突き合わせてやっているお医者さんがいます。また
統計情報部の職員がいる。それを見ますと、これは大変な憂慮すべき健康がむしばまれているというふうに思うのですね。だんなさんの方は機械化やってあるから大したことないというのですが、これは機械を使っても重労働ですね、
農業は。その中で、四十前後から六十にかけてのこれだけの農村の婦人労働を、
農林省が白書の中でもっと健康状態がどんなにむしばまれているのかということを検討する必要があるのではないかと私は思うわけなんです。その点についてひとつお尋ねをしたいですね。御意見を伺いたい。