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1976-10-28 第78回国会 参議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十八日(木曜日)    午前十時四十分開会     —————————————    委員異動  十月十九日     辞任         補欠選任      岡田  広君     岩本 政一君      山本茂一郎君     丸茂 重貞君  十月二十日     辞任         補欠選任      岩本 政一君     岡田  広君      丸茂 重貞君     山本茂一郎君  十月二十五日     辞任         補欠選任      中村 利次君     木島 則夫君  十月二十六日     辞任         補欠選任      秦   豊君     森中 守義君      木島 則夫君     中村 利次君  十月二十七日     辞任         補欠選任      森中 守義君     秦   豊君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中山 太郎君     理 事                 加藤 武徳君                 林  ゆう君                 野田  哲君                 秦   豊君     委 員                 石破 二朗君                 岡田  広君                 源田  実君                 世耕 政隆君                 山本茂一郎君                 吉田  実君                 上田  哲君                 片岡 勝治君                 矢田部 理君                 太田 淳夫君                 峯山 昭範君                 岩間 正男君                 河田 賢治君                 中村 利次君    国務大臣        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       西村 尚治君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  坂田 道太君    政府委員        内閣総理大臣官        房審議室長    渡部 周治君        人事院事務総局        職員局長     中村  博君        総理府人事局長  秋富 公正君        宮内庁次長    富田 朝彦君        防衛庁参事官   水間  明君        防衛庁参事官   岡太  直君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛庁人事教育        局長       竹岡 勝美君        防衛庁装備局長  江口 裕通君        外務省アメリカ        局長       山崎 敏夫君        外務省欧亜局長  橘  正忠君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        行政管理庁行政        管理局管理官   門田 英郎君        大蔵省主計局給        与課長      足立 和基君        林野庁業務部長  須藤 徹男君        労働省労働基準        局補償課長    溝辺 秀郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国の防衛に関する調査  (国の防衛問題に関する件) ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (元号問題に関する件)  (国家公務員のいわゆる天下りに関する件)  (地方事務官制度に関する件)  (特殊法人の役員の給与等に関する件)  (林野庁林業作業員の職業病に関する件)     —————————————
  2. 中山太郎

    委員長中山太郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  秦豊君の委員異動に伴い理事に一名の欠員を生じましたので、この際、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中山太郎

    委員長中山太郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事秦豊君を指名いたします。     —————————————
  4. 中山太郎

    委員長中山太郎君) 国の防衛に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 秦豊

    秦豊君 外務省はお見えですね。  ミグ25の返還問題、外務省側答弁を踏まえて防衛庁側にいろいろと伺いたいと思います。  ミグはいつ返還されるのか、これは確かに一つ国民的な関心であろうと思いますが、われわれから見る限り、どうも大詰め大詰めと言って、いやに長くて一体どうなっているのか、何が一体こじれているのか、まとまるのかまとまらないのか、いつごろになりそうか、すべてぼやけてよくわかりません。外務省側にまず伺っておきたいんですが、いやに大詰めが長いように私には受け取れます。一体何が煮詰まっていないのか、何が争点か、ネックか、この辺どうなっているんですか。
  6. 橘正忠

    政府委員橘正忠君) 先生御存じのとおり、ミグ返還につきましては、去る九月二十九日ニューヨークにおきまして小坂外務大臣先方グロムイコ外務大臣に対して返還の方針を伝えました。その後、それを受けまして十月二日にわが方から、返還と申しますか、引き渡し日本側としての考え方をソ連側に伝えました。それに対しましてソ連側から、向こうから言えば引き受け——引き渡しを受けるその話し合いに入ろうという反応を示してまいりましたのが一週間たった十月の九日以降でございます。したがいまして、ある意味ではソ連側反応自体もかなり間を置いて反応してきておるということでございまして、その後引き渡しの具体的なやり方、これは引き渡し場所とか、どうやって点検といいますか、照合といいますか、確認といいますか、そういうことをやるか、あるいはどういう人間がその際ソ連側として必要であるかといったような、非常に細かい引き渡し技術的な点についての話し合いが行われております。かなりそうした細目にわたる技術的な話でございますので、ソ連側においても細かい点を一々モスクワに指示を仰ぐなり、あるいは訓令を受けるなりという手続が必要であるように思われます。したがって、そうした話し合いは現在も続いて行われておりますので、やがてまとまることを私どもも期待しておりますが、現段階ではまだ確定的な、いわば引き渡しシナリオと申しますか、そういうものが細目まで詰まっておらない段階でございます。したがいまして、いつという時期は、そうしたシナリオが確定次第向こうとしても決まってくることと思いますが、ただいまはそのちょっと手前の段階でございます。したがいまして、ただいまそうした具体的な話し合い細目内容についての御説明は差し控えさしていただきたいと思いますが、その点御了承お願いいたします。
  7. 秦豊

    秦豊君 橘局長、確かに所管の範囲が外交ですし、デリケートですし、ブレジネフ演説もありましたし、いろいろ気を使われることは当然だと思うが、国民皆さんがやはりお知りになりたいのは、たとえば十月三十一日は日曜日です。日曜日には日立港に入ってくるソ連船があり得るわけですね。ところが、十一月の四日を過ぎると日立港はあのあたりのバースの状態を含めてラッシュになる、大変込むわけですよ。ならば常識的に、防衛庁がかねがね言っているように、まあ七十二時間ぐらいあれば引き渡しがすべて終わるんじゃないかと、百里を出発点にして。ならば、十月三十一日から十一月四日ぐらい、まあその前にもちろん合意して、橘さんの言葉をおかりすればシナリオが確定して、そうして十月三十一日から十一月四日の間に日立港から引き渡しというあたりが常識的な線じゃありませんか。そういうことを仮にあなたがこの委員会でお述べになったとしても、何も私はモスクワを刺激するとはとても思えませんがどうなんでしょう。
  8. 橘正忠

    政府委員橘正忠君) 先生御存じのとおり、わが方としては十月十五日以降いつでも用意の整い次第日立港で引き渡す用意があると先方に申しておったわけでございます。その後、先ほど申し上げましたような具体的な細目についての話し合いが進行中でございます。したがいまして、いまの段階では私どもも両方のシナリオが決まり次第早く向こうに引き渡すことが適当であろうと思っておりますが、ただいまのところでは、具体的な日取りを予断するといいますか、そういうことは差し控えさしていただきたいと思っております。  なお、先方に対しては、御指摘のとおり三日ぐらい前には予告をしてほしいんだということを申しております。予告というのは、日立港に向こうから配船すべき貨物船といいますか、引き取りの船、そういうものの入港の日取りといったものを含めて三日ぐらい前には予告してくれということを申してございます。
  9. 秦豊

    秦豊君 こうでしょう、橘局長。いまは百里の基地ソ連技術団やいろいろ来て梱包をあけて、特にコックピットなんか、それで点検してハラショーだと言って引き受けるわけじゃなくて、やっぱり日立港なら日立港の特定の空間に場所をつくってできれば点検をしてもらいたい、あとはお引き取りを願いたいというのが日本側の常識でしょう。ソ連側は一時百里基地点検させろという要求をした形跡もあるようだが、具体的にはもうあれじゃないですか、機体点検作業をどこでどうやるかがポイントでしょう。それがまとまればもうすっといくんじゃないですか、どうでしょうか。
  10. 橘正忠

    政府委員橘正忠君) ただいま先生がおっしゃいました点などを含めてのいま話し合いを詰めておる段階でございます。
  11. 秦豊

    秦豊君 含めてったってそれしかないでしょう、焦点は。焦点幾つもありゃしない、一つ、これでしょう。それで、十月三十一日から十一月の第一週ぐらいまでに日立港からということはあり得べきケースとしてはどうなんですか。
  12. 橘正忠

    政府委員橘正忠君) 細目についての話し合いがまとまり次第先方配船等手配をすると考えますので、いっその細目がまとまるかということにかかっているように存じます。ただいまその点は、まことに繰り返しになって恐縮でございますけれども、予断は差し控えさしていただきたいと思います。
  13. 秦豊

    秦豊君 霞が関の今の感覚とどうも私隔たりがあって、この程度のことがなぜ、あなた方の好きな言葉で言えば国益外交的配慮にデリケートにかかわっていくのか全く理解ができない。けれども、あなたに幾ら詰めたところで私の持ち時間を割愛しなければなりませんから、まあよろしいでしょう。  そこで、防衛庁側に伺いたいんですけれども、多分今週早々ではないかと思いますが、十月二十五日ぐらいに空幕松井保夫技術部長から、何かの報告坂田長官ほか最高幹部皆さんミグ25についてお聞き取りになりましたか。
  14. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 先般、松井技術部長から経緯につきまして簡単な報告がございました。しかし、内容等についてはいずれ上申をいたしますということでございました。
  15. 秦豊

    秦豊君 私は、去る十四日の当委員会において坂田長官との質疑応答の中で、幸いにして坂田長官がまことに妥当な前向きの姿勢をおとりになって、ただし、国益を害しない限り、ミグ25についての国民的関心にこたえるために当委員会中間報告をいたしますという答弁をされて、まことに私は適切であったと思いますけれども、そうすると松井技術部長からお聞きになった報告というのは、その準備の一つになるわけですね。
  16. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) そのとおりでございます。  で、ミグ返還につきましては、防衛庁といたしましては、現在航空自衛隊百里基地におきましてすべての梱包を終わり、外交レベルにおける返還交渉が固まり次第にいつでも輸送できる態勢にございます。  それから、ミグ25型機の機体調査の結果につきましては、何らかの……
  17. 秦豊

    秦豊君 そこまでは、まだ伺っていませんから。  大変御丁重で痛み入るんだけれども、まだそこまでは、しばし待たれよというあたりですが、長官、この松井さんというのは、技術のこれは責任者であって、恐らく長官伊藤防衛局長官房長装備局長江口さんと、幕僚長あたりも御出席になって、経緯を簡単にさっと聞いたにしては一時間も時間がかかっているし、やっぱりかなりうがったというか、詳しい報告があったんでしょう。長官が言われたようにさっとしたようなものじゃなくて、まあぼくに求められて中間報告しなきゃならぬとなってもすぐそれが下敷きになるような、かなりデテールにわたったものではなかったんですか、どうでしょう。
  18. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) デテールにわたるものではございません。常識的な経緯を伺ったわけでございます。  で、まあ申し上げられるようなことは、非常に私が指示いたしました、たとえば米国の軍人あるいは技術者、そういう方々必要最小限度に限定をして、しかも私の——というのは松井部長でございますが——指令並びに監督のもとに作業を進めましたということでございまして、その調査は、あの短時間においては最善を尽くしました、特に昼夜兼行で二十四時間やりましたということでございまして、入れかわり立ちかわりわが方の技術者関係が取りかかっておるわけでございまして、機体調査についてはもう二十四時間ぶっ通しやったという報告でございました。それから、梱包にいたしましてもあるいはその取り扱いにいたしましても、非常に慎重に丁寧にやってあります。でございますから、これを向こう側でお引き取りになってお調べになりましても、非常に丁寧にやったことはおわかりいただけるだろうと思いますという報告でございます。
  19. 秦豊

    秦豊君 そうするとこうですね、防衛庁長官とされては、いわゆる中間報告的なものを私どもにという場合は、松井技術部長報告はもうこれ以上なくても、もう先日のリポートで十分だというぐらいの内容だったんですね。
  20. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) それはもう少しあるいは聞かなきゃならぬこともございましょうけれども、しかし、調査内容はやはり外交上の配慮もございますから、私どもとしてそれを公表するということはできないと思います。しかし、国会で御報告を申し上げまする大体の様子はこれでつかめたと思います。
  21. 秦豊

    秦豊君 それから、肝心なポイントですが、私の要求に対して中間報告はいたしますと、その原則は変わっていないと思うが時期の問題がポイントですね、そうなりますと。やっぱりミグ機体日立港を出るまでは、国会当該委員会に対しての中間報告はできませんか。できないとおっしゃるならばその根拠と理由をやはり伺っておかないとだめです。どうなんですか。
  22. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) それはただいま外務当局からお答えになりましたような基本的な姿勢から考えまして、私ども先生お答えできることは、ミグ25型機の機体調査の結果につきましては、何らかの形で適当な時期に国会における報告を行う必要があろうかと思います。しかしながら、外交上の配慮を含め広くわが国益を考慮して、時期及び内容については慎重に検討の上決定いたしたいというふうに考えております。
  23. 秦豊

    秦豊君 長官ね、注文も込めてお願いしておきたいんですが、この中間報告がタイプで打った一枚程度のまあ木で鼻をくくったような内容ではないことをまず期待します。それが一つと、それからジェーン空軍年鑑のを切り取ってきて張りつけたような、あるいは調査の結果空軍年鑑数字が少し訂正されているという程度の、まるで航空ファンに与えるリポートのような、雑駁な内容でないことを注文しておきたいし、まあ性能諸元の推測がもし機微にわたり相手を刺激するというならば、やはり今度のミグ問題以来、いわゆるミグ脅威論というのは私も人に質問したし、さまざまな観点からの論議がなされた。それを長官潜在的脅威という答弁に逃げ込まれたけれども、ならばミグ25と、そのいわゆる脅威論を踏まえて防衛庁としてはどういう評価総括をなすったのか、こういうポイントはやっぱり国民的関心からして当然踏まえらるべきであると思いますし、それから、これを契機にして日本防空体制についての摂取すべきものというふうな観点に立った、日本の今後の防空体制ミグ25というふうな総括も必要でしょうし、それからラムズフェルド長官がかつて述べられたようなミグとはこういう飛行機だという、いわば総合的評価坂田版というふうなものも当然包括されるんでしょうね、この程度のことはどうでしょう。
  24. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 私といたしましては、ただいま申しましたような外交的考慮を踏まえて、御報告を申し上げたいと思いますが、やはりわが国民がこのミグ25に対しましてかなり強い関心を持っておりますので、その要請にはこたえなければならないというふうに思うわけでございます。しかし、一々その性能それ自体を細かく数字をもって云々ということは、これは差し控えたいというふうに思います。先般もお答えいたしましたとおりでございますが、先生のきょうお述べになりましたような大体の趣旨はかなえられるというふうに思っております。だから、まあ先生は少しベテランでいらっしゃいますから御満足あるいはいかれない程度になるかと思いますけれども、一般の方々にああそうかというようなところまではお話ししなければならないんじゃないかというふうに思っております。
  25. 秦豊

    秦豊君 その際、たとえば今日的尺度ミグ25を評価するんじゃなくて——今日的尺度を当てはめれば過小評価になると思う。だけれどもミグ25の運用というのは高高度の迎撃機だということになると、やっぱり一九六五年当時初飛行して七〇年から七一年ごろまでに実戦配備を終わった機体だということ、一世代前の機体だということ、それから運用、こういうものを踏まえた中間報告になるんでしょうね、どうなんですか。
  26. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) そういう歴史的背景は別といたしまして、現にこのミグ25戦闘機ソ連基地から飛び立ちまして、わが主権の存在します函館民間空港に領空侵犯して強行着陸したわけでございますから、もうそれだけでも私の言う潜在的脅威ということは成り立つわけでございますが、それを人及びその機体につきましてある程度おわかりいただけるように立証いたしたいというふうに思っております。
  27. 秦豊

    秦豊君 性能機微にわたると途端にもうノーコメントになりそうですけれども一つだけちょっとヒントをください。空軍年鑑はもう市販されていますからにだれでも購入できます。あの空軍年鑑ジェーンにさまざまな諸元がありますね、性能諸元が、ペイロード、推力その他含めて。あれを基準にしてかなり意外な点が幾つかありましたか、それとも大体ジェーンは正確無比ですか。意外な点が何かありましたか、驚かされるような点、どうなんですか。この程度はいいでしょう、長官
  28. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) その点はひとつこの御報告のときまでに十分先生の御質問趣旨を踏まえましてお答えを申し上げたいというふうに思います。
  29. 秦豊

    秦豊君 それではこれは聞き流してください。それで、これが荒唐無稽かどうかだけお答えください。  つまり、全幅は十四メートル、全長が二十二・三メートル、全高は五・六メートル、翼面積五十六平方メートル、自重十五トン四百二十キログラム、総重量が二十六トン六百六十キログラム、燃料のキャパシティー、容量が一万二千八百七十リットル・プラス十一・二五リットル掛ける二ないし四、実用上昇限度二万二千メートル、航続性能一千五百ノーチカルマイル、ただし機内燃料のみ増タンなし、離陸距離二千百メートル、着陸距離九百メートル、武装AA6、AAM四基というふうな、これはひらめいた私の直感で、別に私百里基地へ行っていませんので素人の直感ですけれども、これははなはだしく荒唐無稽で児戯に類するような数字でしょうか、それとも当たらずといえども遠からずなのか、いわく言いがたいのか、この辺どうなんですか。
  30. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 荒唐無稽だとは思っておりません。しかし、当たらずといえども遠からずとかなんとかいうことまでは申し上げられません。
  31. 秦豊

    秦豊君 あなたの中間報告からはこういう要素は全部割愛されていると思います。しかし、ならばせめて、私がいまさっき途中で要望を申し上げたことだけは含まれるそうですからそれは期待したいと思いますが、かなり丹念なリポートをください。それが国民的な関心と疑問にこたえる道だと思います。重ねてお願いをしておきます。  それから、今過のエビエーション・ウイークが、東京でももう配られていると思いますが、エビエーション・ウイークの中にベレンコ証言が載っているのは御存じでしょうか、防衛局長
  32. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 申しわけありませんが、まだ読んでおりません。
  33. 秦豊

    秦豊君 それはぜひお読みください。それを踏まえて質問をしたかったんですけれども、その中でベレンコアメリカ関係当局の追及に対し次のようなことを述べており、それが日米安保沖繩に絡むから質問をしたいと思いますが、アメリカのある責任者ベレンコに対して、なぜあなた方の飛行機がわれわれの予想より早く極東配備されたのかという設問をしました。そうするとべレンコは非常に興味のある答弁をしています。これは、沖繩米軍配備し、日本嘉手納ベースに駐機を認めている恐らくは三機のSR71超音速戦略偵察機、たまたまこれは有名な会社の製品ですね、ロッキードエアクラフト、このロッキード社製SR71の配備に対する対抗策であるということをかなり明確な言葉で述べているんです。あいまいに濁していません。これが今週のエビエーション・ウイークにちゃんと明記されています。それをぜひ資料としてお読みになった上で研究をしていただきたいのですが、そうなりますと、これは日米安保の絡みで認められたSR71の駐機配備、このことがソビエト側を刺激した。つまり脅威というのは絶えずぼくは相対的だと思うんです。日米がこうしたからソビエトはこうする、つまり鏡の面のようなものだと思う、私は。光と陰だと思う。だからこの場合、ミグ25が確かにわれわれの予測より早かったが、これがSR71の配備に対応する一連の施策の一つだということを、それはランクは低いかもしれない、一パイロットにすぎないかもしれないが、ベレンコがこれを認めたということは私はやっぱり一つの重要な示唆を投げていると思う。まずこの点について坂田長官どうお受け取りになりましたか。
  34. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) この点は一遍現物を入手いたしましてしさいに研究いたしてからお答えを申し上げた方がいいと思います。一般的に申しますと、私の言う世界軍事情勢というのは、やはり潜在的脅威というものがどういうものであるかということを各国が競争をいたしまして把握をし、それに対して意思が加わってそして顕在的な脅威になってきた場合、それに対抗措置を考えるということでいろいろの軍用機等の開発が行われておると思うのでございまして、これはどっちが先でどっちが後というものじゃない、相互の関係、それが残念ながら現在世界を占める一つの傾向ではなかろうかというふうに思っております。
  35. 秦豊

    秦豊君 ここではこの問題はそうくどくは申しませんけれども、少なくともベレンコ証言が物語っていますのは、たとえばわれわれがFXを考える場合でも何でも、あるいは日米安保にあなた方はのめり込んでいる、われわれは反対しているのだが、やはりこういう非常に敏感な反応が絶えず極東正面にあるんだということだけは防衛最高責任者としてぜひとも厳格に踏まえていただきたい、こう思うわけです。こういう脅威配備があるから次の対抗策があるというのが絶えず循環していくわけですからね、その点は厳しくひとつ踏まえていただきたいと思います。  FXの話に入る前にほかの細かいことをちょっと伺っておきたいと思うんです、FXは時間がかかりますから。  十月二十九日というと明日ですね、あした国防会議があるとしますと、ポスト四次防の例の大綱、これが確定を見ます、恐らく。付表がつきますね、付表にはどんな内容が記載されますか、もうでき上がっているでしょう。
  36. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 付表には、現在の兵器体系のもとで、いわゆる欠落のない基盤的防衛力というものはこういう姿のものであろうというような形の付表がつくことになっております。
  37. 秦豊

    秦豊君 そんなぼあっとしたものが出るんですか。本文じゃなくて付表というのは非常に細かいものですよ。数字があるんではありませんか、伊藤さん。そんなのは答弁じゃありませんよ。付表というのはそのためにつけるのでしょう。本文がアバウトだから、せめて付表で補うというのが常識じゃありませんか、それは答弁になっていません。再答弁求めます。
  38. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) それはいま国防会議で御審議いただいておりまして、あした決定するわけでございますので、あした以降発表されることになっております。いまその付表の数字を申し上げるというわけにはまいらないわけでございます。
  39. 秦豊

    秦豊君 じゃ一つだけ聞きます。その付表の中には早期警戒機AEW、ホークアイE2C、これは一飛行隊、たとえばスリーポイントとすれば——ポイントはわかりませんが恐らくスリーポイント、六ないし十五機の購入を希望するというふうなことぐらいは出てくるんですか、どうなんですか。
  40. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) その具体的な早期警戒機というような形では出ておりません。しかし、前々から私どもが希望しておりました低高度に対する機能の部隊として出てまいっております。
  41. 秦豊

    秦豊君 あなた方は、非常にそういう点は、あしたあした、万事あした。けれども、これは質問に対する答弁としては、もうでき上がって出していてもうそろそろあしたの朝になれば配られるだけの資料についてもこのように答弁を渋る。いまの防空体制に関連があるから聞いているんだけれども、とにかく、数は別として、じゃ早期警戒機のことも付表には含まれる、これぐらいは明らかにしていいでしょう。どうなんですか。
  42. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 先生がいまおっしゃいますように、付表の中にそれは出てまいります。
  43. 秦豊

    秦豊君 結構です。  それから坂田長官、トルドー首相がやってまいりましたですね。あのときにPXL絡みのお話は、あなたとの間に交わされたか、三木総理との間に交わされたか、あるいは別な方との間にそういうことがあり得たのか。あり得たとすれば、それはCP140オーロラの平たい言葉で言えば売り込みに関する、願わくばその購入方を日本において考慮されたいというふうな意味の話し合いが行われましたか。
  44. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) これはもう全くございませんで、ただおじぎをして私は防衛庁長官坂田道太でございますと言っただけでございまして、何ら応答はございません。
  45. 秦豊

    秦豊君 ではダンディーなあのトルドー首相はセールスマンにもならず、あなたは流暢な英語で御自分のお名前を名のられて表敬訪問で終わったわけですね。
  46. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) そのとおりでございます。流暢な英語でもなく、日本語でございました。
  47. 秦豊

    秦豊君 御謙遜だと思います。  前回の委員会でCP140オーロラの調査、これはあり得るという非常にきっぱりした答弁が披瀝されたわけですが、その後時間もたちますし、防衛庁側において、トルドーさんも来たし、表敬で終わったは別事件として、どうなんですか、カナダへの調査団は煮詰まりましたか。もしそうだとすれば、時期を含めて御答弁を願いたい。
  48. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) 先般の委員会で申し上げましたように、なるべく早い機会に出したいというのが私どもの考え方でございます。カナダ政府の方にもそういうことを外務省ルートを通じてお願いをしておりまして、先方からもおおむね御了解は得られておると考えております。ただ、いろいろの手続あるいは先方との調査日程の打ち合わせ等がございますので、はっきり申し上げていまのところまだ日程が確定しておりませんが、極力早い機会に、年内に間に合わしてまいりたいと考えております。
  49. 秦豊

    秦豊君 装備局長、これは後で触れるFXの上申、予算化とも絡みますが、対潜哨戒機の予算化は、年度がずっと向こうにしたって、やはりいろんな日程の都合もあるから来月中なんていうのは可能性が強いんじゃありませんか、どうなんでしょう。
  50. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) これも相手方のあることでございますので、私どもの方の希望通りに事が運ぶかどうかはやや疑問でございますが、気持ちといたしましては来月中、あるいは若干ずれるかもしれませんが、大体それぐらいの感じのところで進めてまいりたいと思っております。
  51. 秦豊

    秦豊君 わかりました。  違った問題ですが、十九日、日本ではこれは二十日の読売新聞の大阪版の夕刊一面トップなんですけれどもアメリカ国務省のハメル次官補、東アジア・太平洋担当、この方がワシントン郊外のフォートメイヤーズ将校クラブで開かれた日米協会年次総会で演説をしています。もちろん北東アジアとアメリカの戦略です。そこで明らかにアメリカとしてP3Cの導入をきっぱりと求めております。ロッキード事件とは切り離してP3Cの導入を期待すると、強い期待を述べております。私はこの問題は質問しません。その中に気になる表現があるし、うちの委員会で聞いている答弁と全く違うことを大胆に言っていますので、これを質問したいと思うのですが、これは日米防衛協力小委員会に関連したハメル発言です。ちょっと引用すると、「確立された制約の中で、日米間にもっと効果的な協力と調整があり得るはずだ」という前置きをしまして、去る七月に発足を見た日米防衛協力委員会のほかに「別の方法(複数)が検討されている」とハメル氏は述べたという、こういう報道でありまして、なお読売のワシントン支局駐在の荒川特派員によると、これは「新たな日米防衛分担の検討が、日米間で進められていることを明らかにした。」と、こうなっているのですが、これは大変意外な報道で、外務省サイドにも確めてみたら、確かにハメル氏がこういう演説をしたということは外務省も確認をしております。防衛庁はまず御存じですか。
  52. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) そのことは知っておりますけれども、それは向こうが言ったことでわれわれは関知せざることでございます。  それから、私どもの方では安保条約の問題につきましては、昨年シュレンジャー前国防長官と私との間に合意をいたしました年一回最高責任者同士会ということと、それからいま一つは、安保協議委員会の中に新しい日米防衛協力小委員会を設けるということを合意いたしまして、そしてそれが発足をしておる。この小委員会を通じまして研究協議をいたしたいというふうに考えておるだけでございます。
  53. 秦豊

    秦豊君 坂田長官が幾ら関知しないときっぱりおっしゃったって、これは民間人の発言じゃないのですよ。ハメル次官補という公人の、いわゆるアメリカ国務省高官の発言として、そんなに無作為な無原則なことを気楽に発言するはずがない。  では長官、複数チャンネルの開設ともとれるような——日米防衛協力の煮詰め方について協力委員会だけでもさまざまな問題があると私は思っているのに、この報道のハメル発言によれば、複数チャンネルの検討がすでに日米間で進められているという報道なんだが、これが誤報でないとすれば、長官御存じないかどちらか。現実に本当にあらゆるランクを通じてこういうアメリカ側の提案はないのですね、話し合いはないと断言できますね。
  54. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 私は承知いたしておりません。
  55. 秦豊

    秦豊君 それではFXの話に入りますが、FXに入る前にFX絡みの話ですが、先日の委員会で私が資料要求をした資料に対する回答は誠実に回答いただいた。それは、私がこの前問題提起したF4EJのルックダウン能力の問題について、航空自隊衛が導入当初から、ウエスチングハウス社の技術部門から提携先である三菱電機を通じてF4自体としてはルックダウン能力に限界がある、したがってAMTIと言われている装置をF4EJの射撃管制装置であるAPQ120というものにつければ能力は飛躍的によくなる、ではそれを日本の航空自衛隊としてファントムを導入するときには装着したらどうかというプロポーザル、提案があったのではないかと言ったら、当委員会では答弁があいまいであって、したがって正確に答えてくれと言ったらこの資料、二十七日付できのう回答もらいました。回答が来たこと自体は非常に誠意があってよろしいのですけれども、私の認識では、現在航空自衛隊が使っているF4ファントムはルックダウン能力において欠陥がある、F4ファントムはあえて私なりに言わせていただければ欠陥機である、こういう私は認識を持っている。だからこそあのミグ25、ベレンコ事件発生の当日に、スクランブルした二機のファントムのうちの一機が捕捉しながら間もなく見失った、こういう事件に結びついているという根強い私は疑問を持っておる。ファントムは欠陥機である。だからこそ欠陥機を承知しているからウエスチングハウスがプロポーザル、提案をしたんだと。ところが防衛庁側の態度は、アメリカ空軍も結局私の申し上げたAMTIというのを採用しなかったから日本も採用しなかったんだと、こういう答弁でとどまっているんです。ところが、ホークアイあたりを多数配備しているアメリカ防空体制、練度、それからシステムは、少なくともいまの日本の練度よりは高いし、システムとしても完備されているアメリカとこの日本の状態を単純に比較をして、アメリカ空軍が採用していないから日本も採用しない、何事の不思議があるかと言わんばかりの態度、取り組みは私は明らかに問題があると思う。この改善を怠ったからこそミグ25の事件のときにあのような欠落を来したのではないかと私は思い込んでいるんですよ。これについては防衛庁側はどのようにお答えになれますか。
  56. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) いま御指摘がありましたように、提案がございまして、当方といたしましても検討したわけでございますが、何分にも未確定要素が多いということでございまして、当時としては採用というようなことまで踏み切る段階に至っておらなかったわけでございます。現にその後アメリカ空軍におきましても、結局まあAMTIと申しますか、それの採用は行われておらないわけでございます。しかしながら、いろいろな問題がございますし、現在FXの採用の際にも、いわゆるルックダウン・ケーパビリティーという問題がございますので、そういった問題の一環という意味におきましても、いま検討をしておると申しますか、そういったものの広い範囲の中では、F4の問題に絡みまして私どもの方も検討しておる状態でございます。
  57. 秦豊

    秦豊君 失礼だが、江口さんの答弁のピントがシャープでありません。意識的にずらしていらっしゃる。私が聞きましたのは、F4ファントムEJ、ジャパンのJでしょう、日本固有の考えがあっていいんじゃありませんか。つまり、アメリカアメリカのあり方、背景、実力、システム、これと日本は明らかに段差がついているんですよ、格差が。だから、アメリカ空軍が採用しなかったから日本はルックダウン能力——ケーパビリティー、あなたの言葉で言えば——に欠陥、限界があるんだが目をつぶったということになりますよ。F4ファントムのルックダウン能力には限界と欠陥があるということはお認めになりますか。
  58. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) これは、兵器はあくまで相対的なものであろうと思います。当時の状態としてF4が欠陥があったかどうかということにつきましては、これはいろいろな考え方がございますし、われわれとしてはそうは思っておらぬわけでございます。それからまた、非常に特殊な場合につきましては確かにそういった欠落があり得る場合がございます。現に、最近のミグ等においてはそういったことがあったわけでございますけれども、それのみでもって、これがそういった面に非常に劣るというふうに私どもは考えておるわけではございません。ただ、しかしながら将来のいろいろな進歩等を考えますと、やはりもう一遍再検討する必要はあるというふうに考えておるわけでございます。
  59. 秦豊

    秦豊君 江口装備局長、欠陥がある、反省すべき点がある、乗り越えなきゃならぬ点があるから検討するわけでしょう。そうでしょう。そうじゃありませんか。F4ファントムが十全ならば次のFXは必要ありませんよ。F4ファントムのルックダウン能力が十全であり完璧であれば、ミグ25を一度発見、即座に見失うということはあり得ませんよ。そうじゃありませんか。あなたの答弁はその点であいまいです。どうですか。
  60. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いま先生がおっしゃいましたように、確かに一時二十二分だったと思いますが、一度つかまえまして三十秒後に見失っております。しかし、いま先生がおっしゃいますように、それはただ欠陥だからということでは必ずしもないと思います。で、このレーダーでつかまえた時期、それから相対的な位置等から見て、いわゆるファントムの能力としてはつかむことはできたけれどもそれをフォローすることができなかったということでございますし、また、あるいはもっと早くあれがスクランブルをいたしましてもっと条件のよいところでフォローしておれば、フォローすることも可能であったかというような気もいたしますので、欠陥であるということにはならないと思います。現にまた、104に比べましてそういった意味の能力はあるということであのときも選定をいたしたわけでございますので、四十四年の時点で、あれを採用しました時点ではそれなりの能力は評価されておったというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  61. 秦豊

    秦豊君 防衛局長、じゃこういうふうに聞きましょう。今度のミグ事件ですね、一時二十二分からのこの事件、これはたまたま江口さんがおっしゃったように特殊な不幸なハプニングであった。一般的には能力は十分なんだと、ルックダウン能力は。こういうふうにおっしゃれますか。
  62. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いま十分とおっしゃるのは何に比べて十分かということでございまして、たとえばいま私どもが考えておりましたFXなんかに比べれば能力は劣るということは事実だろうと思います。
  63. 秦豊

    秦豊君 十分という意味は、たとえばプロポーザルがあったAMTIを補強したレベルですね、これが最高として比較して私は言っているんですけれども、私はあなた方お二人の答弁からは、F4ファントム、いま主力戦闘機でもけれども、これがルックダウン能力において全然遺憾がない、心配がないという心証を私は持つに至りません、お二人の答弁だけでは。私はやっぱり、私の持論によればあなた方がFXにもうやけに性急に信念的にのめり込んでいくというあり方に全面的に反対しておるんだけれども、そんなことをする前に、F4ファントムEJを換装する、ルックダウン能力を強化するというふうなじみちなことを考えるのも、また坂田理論の基盤的防衛力構想の一つのあらわれではないかとさえ私は言いたいわけであって、やはりFXにのめり込む前にやることはないのか、たとえばF4ファントムの改装、レベルアップはあり得ないのか、技術的に。この点はどうなんですか。
  64. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いま先生がおっしゃいますことはまさにそのとおりでございまして、現有の戦闘機というものを改善して、そして有効性が確保できるということであれば、それはまた当然のことでございますし、また現在私どもそういう検討は技術関係で検討いたしております。しかしながら、一方におきまして一九八〇年代の飛行機というものを考えながら、やはりこのままのファントムの持っている能力だけでは足りないというようなことも考えておりまして、一方には新しい時代の飛行機に対処できる新しい飛行機、それからいま持っている飛行機の改善ということでどういう形で持っていくかということも検討いたしておるわけでございます。
  65. 秦豊

    秦豊君 いいでしょう。  いまファントムは何機実戦配備されていますか。それから、ことしの予定生産機数はおわかりになりますか。ちょっと参考にしておきたいと思いますが。
  66. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 八月末の資料でございますが、ファントムが八十六機配備されております。八十六機でございます。
  67. 秦豊

    秦豊君 予定生産機数は何機でしょう、ことしの。
  68. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) ことしの取得予定は、取得ベースで申しますと十二機の予定でございます。
  69. 秦豊

    秦豊君 十二機ですか。  FXの問題に移りたいと思います。FXの上申は常識的にはおくれているという言葉が妥当すると思いますけれども、十一月、来月じゅうぐらいには終わらないと、予算化との絡みで話にならぬと思いますが、いつごろになりそうかということと、なぜおくれているのか、機数の詰めが詰まらないのか、この辺どうなんですか。
  70. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 本来ならば、来年度の予算でお願いするに当たりましては八月末の概算要求時までに決定しなければならなかったわけでございますが、その意味では確かにおくれております。しかしながら、この機種決定の作業は、FX調査団が参りまして、その性能あるいは運用上の問題等についてはきわめて参りました。しかしながら、その後の問題といたしまして、価格の問題あるいは調達方法の問題、これは空幕の判断だけではなかなか最終的な詰めができないわけでございます。そのことをいま内局と最終的な詰めを行っておりまして、それに基づきまして上申が出てくることになろうかと思います。で、いま先生がおっしゃいましたように来月中というようなお言葉でございましたが、私どもはもう少し早く、少なくとも来月の中旬ごろまでには一応決定する必要があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  71. 秦豊

    秦豊君 この前江口装備局長にちょっと伺って、まだ段階が早いというふうなことで、値段が、何機導入するか、いつからライセンスに変わるか、それもまだ煮詰まっていないからFXの価格のことはなかなかシャープにならないと、これはある程度わかります。わかりますが、この間の委員会からもう二週間もたっていますから、その後、一定の想定でまず何機か完成機を輸入する。さんざんたたき台にして、そうしてライセンス生産に大体移行するめどをあなた方は持とうとするでしょう、業者も三つ決まっていますから。それで、業者からはリポートが出ているが企業機密だからそれは出せないと、それもまあ一応この段階ではいいでしょう、一応。しかし、そろそろ時間もたちましたから、あれから装備局長の手元でさまざまに精密な作業をされて、F15にもうしぼっていいと思います、一機種に、そうでしょう。そうすると、F15、想定される生産の段階、機数——機数は防衛局長によればこれから詰めるんであって、三十二になるのか幾らなのかわかりませんけれども、とにかく値段がこの前の委員会よりはシャープに把握されておりますか、お差し支えなければ明らかにしていただきたい。
  72. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) 実はその点につきましても目下検討をいたしております。で、シャープという意味でございますが、われわれの方といたしましては、その機数あるいはスコードロン、そういったものの関連からいろんなケースを想定いたしまして、その詰めはいたしております。しかし、この値段が一体どこになるかということはいまの段階では少し差し控えさしていただきたいと考えております。
  73. 秦豊

    秦豊君 それに関連して質問したいことがあります。つまり、あなたの方でぴしっとしないと予算要求になりませんから、当然の常識ですが。それについて、F15については私は入間の航空ショーに行って、向こうアメリカから来た技術者にも話を聞いてみました。そして、そのときに気になることも聞きましたし、その後アメリカ軍事委員会の内部資料も到着をしたようですから、それを踏まえてちょっと質問したいと思いますが、F15についてのアメリカ軍事委員会の内部資料ですね、スタッフがつくった、これは把握されておりますか。
  74. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは実は私どもまだ承知いたしておりませんで、この間週刊誌にも書いてございましたので、現在照会をいたしております。
  75. 秦豊

    秦豊君 あの週刊誌は非常にダイジェストですね。かなり詳しいものだと思います。この中に、入間で聞いた話を含めてお話しすると、いまはたとえばF14というのがあり、15があり、16があって、常識的には16が全然安い、15の半分ぐらいじゃないかなんて雑駁に言われています。ところがこの資料を見ると、F15はこれからさまざまな性能向上をアメリカ軍部から要求をされていまして、それがだんだん加わってくるようになっているんですよ。日本が導入するころにはいまの価格よりかなりはね上がるという想定になるんですね。そういう懸念をまず装備局長としてはお持ちになっていらっしゃいませんか。
  76. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) 何分にも、いま軍事委員会の資料というものを私ども入手いたしておりませんので、その辺の事情を定かにすることができないわけでございます。しかしながら、要するにいまある数字というものをベースにして考えませんと、いろいろの積算等が現実には進まないという問題がございます。したがいまして、私どもの考え方といたしましては、現在アメリカで使われております飛行機、それを一応ベースにいたしまして、それでまあわが方からの若干の特殊仕様というものがございます。それを加味いたしまして検討しておるという状態でございます。
  77. 秦豊

    秦豊君 このアメリカ上院軍事委員会の内部資料によると、なぜそういう懸念があるかといいますとね、F15計画というのは一つの悲劇であるというちょっとバタ臭い表現をとっているんですが、なぜ悲劇かというと、ラーニングカーブ効果というか、どんどん生産機数がふえてだんだん逓減するという効果はF15の場合最も少ないということをアメリカ上院の有力な軍事専門委員たちが指摘を始めていると、こういう資料なんですよ。これについてはどう思われますか。
  78. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) くどいようでございますが、実はその資料を私存じませんので、まことに御答弁にならないわけでございますが、まあ確かにいろいろな飛行機、たとえば従来既存機種として相当大幅に活躍しておるもの、あるいはまあ相当程度配備されかかっているけれどもまだ必ずしも十分ではない、さらにいまおっしゃったような性能面の要求が加わってくる可能性もあるものもある、あるいは全然まだ、イニシアルステージと申しまして最初の段階で、まだ十分な量産体制もないと、いろいろなケースが今回の場合にはあるわけでございます。したがって、そういうものを踏まえてどこの時点で押さえていくかという問題になろうかと思いますけれども、初めに戻って大変恐縮でございますが、何分その先方の情報というものを私ども確固としてつかんでおりませんので、いまその程度にしか申し上げられないということでございます。
  79. 秦豊

    秦豊君 それでは角度を変えて防衛局長に伺いますが、小松さんたちが行って、帰ってきていま整理して、コンピューターに打ち込んで、まとまる、上申すると、いまのお話では十一月末じゃなくて中旬だということになるそうですが、その際に、F15のミサイルシステムの問題についてのトラブルの懸念というふうなものについては、小松さんのチームから答申がありましたか、調査報告の中にそのデータは含まれていましたか。
  80. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 私、その報告をまだ全部読んでおりませんので、具体的にそれに載っていたかどうかはわかりませんけれども、この間そういうのが記事で出ておりましたので、その点について特に聞いてみました。そうしましたところが、小松調査団が行って現実に調査をし、乗った限りにおいてはそういう問題はなかったということを説明を受けたわけでございます。
  81. 秦豊

    秦豊君 防衛局長ね、小松団長からどうお聞きになりましたか。調査チームが乗ったのは複座に乗ったんですよ。複座のF15ですよ。私が問題にしているのは実戦配備の単座のF15ですよ。小松さんたちが乗ったのは複座、これ練習用、用途が違うんです。第一席が一つ多いんです。これに乗って大丈夫大丈夫と言ったって話にならないんですよ。架空のものに乗って、そして大丈夫だというリポートを送るということは大きなすりかえですよ。乗った飛行機は複座に乗ったんでしょう、練習用に。違いますか。
  82. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) その点につきましても聞きましたところが、乗りましたのは複座のTF15でございます。しかしながら、このTF15とF15はいまおっしゃいましたように複座になっているという違いだけでございまして、性能的には全く変わりがない。すなわち、たとえばFCSなんかは全く同じものを載せているというふうに説明を受けました。
  83. 秦豊

    秦豊君 それでは防衛局長装備局長にお願いが一つあります。それは、この内部資料の真ん中のあたりに出ておるわけですけれども、F15についての重大な疑念として提出されています。これはアメリカの民間人じゃなくて軍事委員会のスタッフだから、不勉強な議員よりは鋭いと思います。その専門家が何人かで討議した結果をまとめています。だから無視できないと私は思います。それによりますと——お答えできなければ調べて正確に回答していただきたい。なぜならば、いまあなた方はF15でもうぴしゃっと自信を持って取り上げて決定しようとしておるんだから、税金使おうとしておるんだから、非常に重要な問題ですからこれは調べて正確に納得のいくように回答していただきたい。  まず、スパローミサイルの発射テストをF15はさんざんやったんですけれども、空前のミスが次々に起こっていると、これはなぜかというと、F15の翼につけられているのは六百ガロンの増タンクなんだけれども、この増タンクにスパローミサイルがぶつかるということが実験の結果明らかになりテストは失敗に終わった、こういうケースが再三ならず起こっている、注意を喚起すると、こういう表現なんですけれども、そうしますと、この増タンクとミサイルがぶつかるということは、これは初歩的な問題であって、たとえばミサイル発射の前に増タンクをどこか海中にぽんと、陸上は危ないから海に投げ捨てるというふうなことになると、長い距離を持つ要撃戦闘作戦においては機能のある部分をあえて犠牲にするというふうになるわけである。よく空戦映画にあるように、まあドッグファイトのような場合、零戦時代に増タンクをぱんと景気よく空中にはね飛ばしてそれっというわけじゃなくて、ミサイルのこれは話をしているわけですけれども、こういう場合に、外部燃料タンクなしには長い作戦行動ができない、F15の能力は厳しく限定されるおそれなしとしない、かくて上院軍事委員会のスタッフとしてはこの点についての厳格な回答を要求すると、こういう内部資料が出ているんです。これはいま資料をお持ちでないからこれ以上意地悪く言いませんけれども、これについて小松リポートは明らかに問題提起をしていたのか、この点には全く触れていないのか、このような事故は本当に実在したのかどうか、架空のことかどうか、正確にひとつ御答弁を願いたいと思いますが、それもなるべく早く、お約束は願えますか。
  84. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いま先生がおっしゃいます、その詳しくということになりますと手持ちの資料がございませんけれども、私が昨日あの週刊誌をもとにしまして聞きました範囲におきましては、このミサイルの取りつけ位置につきましては五十回ほど風洞実験をやってその発射の実験をやっているようでございます。それから、八発のミサイルを実射しておりまして、そのことをFX調査団が向こうに参りましたときも聞きまして、その間何の事故もなかったということを確認いたしておるようでございます。それから、いま先生がおっしゃいましたけれども、ドロップタンクをつけたまま発射するケースが、これは全くないことはないかと思いますけれども、一般に、先生も御承知のようにドロップタンクをつけましたときにはそちらの燃料から先に使います。したがいまして、早くそれがなくなりますので、空戦をやる場合には通常はドロップタンクというものは落とした形で戦闘するというのが通例のようでございます。
  85. 秦豊

    秦豊君 それから、恐らくこれもこの委員会、この場では無理ですから追加してください、私に対して。アメリカ空軍が、いまF15のたとえば燃料能力の増進というので、アメリカ空軍調達事務所、USAFという略称ですが、これは江口さんの方でお調べ願いたいと思いますが、ここから新たな要請が出ている。三千七百三十万ドルをかけて能力を高めろという要請が出ているそうですが、一体こういう調子で次々にアメリカ軍部から要請が出ると、日本に導入されるころになるX年X日というのは、もうF15の価格は、いま江口さんや伊藤さんがお考えになっているよりもはるかに、次々といろんな注文が出まして改善された果てのコストアップしたものが日本に導入されるわけですから、いまここである架空の、裸のF15の価格を基準にして予算要求をされるということは大変私は雑駁になる、ラフになるというおそれを持つんですよ。そこで、現在アメリカ空軍の調達事務所を中心にして、そこがさまざまな一線部隊やテスト部隊の要請を吸い上げてメーカー側に出しているようですから、F15については一体どんな改善要求が出ているのか、それを織り込んでこちらに回答をしてもらいたい、どんなのが出ているのか。それから江口さん、装備局長の方には、それを踏まえてF15の価格はいつごろこの委員会で、まあ閉会は別として、いつごろ明らかになるのか、その辺のめどもちょっと伺っておきたいんだが、どうでしょう。
  86. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) 先ほどもお答えいたしましたように、われわれの方といたしましては、現有の配備機と申しますか、たとえば15をとればそういうものを中心として検討しております。それに対しまして日本サイドの、わが国としての仕様というものも当然に要求をいたしております。  いまのその要求性能との関連でございますが、これは米国側の考え方でございまして、期間的にも相当長い期間にわたって将来の方向として出てくるものであろうと思います。したがいまして、われわれがそれをいまそのままの形で受け取るかどうかということもまだ検討をしてみなければならないというふうに考えております。いずれにしても、しかしながらその要求性能がどんなものが出ておるかということは至急われわれの方としても先方に問い合わせてみたいと思っております。ただ、どこまでその確度を持って申し上げられるか、あるいは、これはあらかじめお断りいたしておきますが、マル秘のものかもわかりませんので、その辺はひとつお含みをいただきたいと思っております。  それから価格の点でございますが、これも先般申し上げましたように、当然これは予算要求ということになりまして、五十二年度の政府原案の上には当然そのベースになってまいりますので、最大限度その際には当然明らかにさしていただくわけでございますが、考え方等につきましては、やはり先般も申し上げましたようにその都度申し上げてまいりたいと思っております。
  87. 秦豊

    秦豊君 イスラエル空軍と日本の航空自衛隊、全く違いますから何も直輸入しませんけれども、イスラエル空軍は、結局たくさん買うのはF16の方を機数をふやして、F16を待つ間に二十五機のF15イーグルを導入しようというような、何か二段構えのような選択をしたようですね。ところがそれをした理由が、アメリカ空軍からもらったデータによってイスラエルの国防当局が最終的に決定した。そのデータというのは、小松調査団なんかはそういうデータを持ち帰ったのかどうか、イスラエルには与えて日本には与えなかったのかどうか、その辺も関心のあるところですが、アメリカ空軍の航空システム部というところから示された特別調査というデータがあるそうです。それによると、F16はF15の価格の半分であり、F16は空対空機動力においてよりすぐれている、高荷重の維持、旋回能力にもすぐれているし、五百海里分の燃料を使用した後では三二%加速性能においてすぐれている等々のいろんな実際的なデータを全部あれして、そしてイスラエル側の選択にゆだねた、その結果イスラエル側は戦闘範囲も当然広くなるし、15はつなぎでほどほどにしておいて、主力はF16を大量に購入するという選択になったようですが、こんなことはもちろんあなた方がF15一本にしぼられたこの段階になっては参考にも何にもなりゃしませんと思いますが、データぐらいは収集されているんでしょうね、どうですか。
  88. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) そのイスラエルと同じものかどうかは存じませんけれども、そのシステム関係の勉強はしてまいっているようでございます。それで、イスラエルがいま仰せられましたようにとりあえず二十五機のF15を購入を決めたというようなことは聞いておりますけれども、まあ一つは、このF16という飛行機は全天候性の問題が多少あるのではないかというようなこともございますので、日本の場合にそのままそれが適用されるというふうには考えていないわけでございます。
  89. 秦豊

    秦豊君 じゃFXはこれぐらいにして、お願いした資料は正確にこちらに伝達されることを期待します。  全然変わった観点に、時間がさして残されていませんので触れておきたいと思いますが、陸上自衛隊の何か大規模な演習が予測されていますね。十二月九日から一週間、東部方面隊と東北方面隊が、何をなさるんですか、演習というんですか、なさる予定があると聞いていますが、それは間違いでしょうか。師団規模というのは別に驚きませんが、方面隊規模というのはこれまでに何回もあったんですか、それとも初めてでしょうか。あるいはこれはいまどきどんなことを想定された、何を目標にした演習なんでしょうか、どうでしょう。
  90. 水間明

    政府委員(水間明君) 確かに十二月に予定しております。
  91. 秦豊

    秦豊君 いつからでしょうか。
  92. 水間明

    政府委員(水間明君) 十二月九日から十五日まででございます。方面隊規模で、東北方面隊と東部方面隊対抗の指揮所演習ということで計画しておりますが、これは初めてでございます、規模といたしましては。方面隊対抗の演習としては初めてでございます。
  93. 秦豊

    秦豊君 何を想定され、何が目的なんですか。
  94. 水間明

    政府委員(水間明君) 大規模の部隊同士が対抗して戦うということを、指揮所をつくりまして、両方の指揮所がそれを演練するというのが目的でございます。つまり、大きな部隊が戦う場合の方面隊の指令部でございますが、指令部同士の指揮のぐあいを演練するのが目的でございます。
  95. 秦豊

    秦豊君 そうするとあれですか、テクニカルタームでCPXと言われている指揮所演習ですか。それで実際にはどれぐらいの部隊が動くんですか、人員としては。
  96. 水間明

    政府委員(水間明君) 実際に部隊は、動くという一般的な意味では動きません。ただ、通信とか、それから指揮連絡をいたしますので、合計六千名ばかりの人員がこの演習に参加はいたします。ただ、部隊が行動するというようなことはございません。
  97. 秦豊

    秦豊君 わかりました。それはそれでいいと思います。  伊藤局長でしょうか、ちょっと唐突ですけれども、参考のために聞いておきたいんですが、いま皆さんは統幕の機能強化をお考えになっていらっしゃいますか。統幕の機能強化というと、具体的にはどういうことが焦点になるんでしょう。あるいは作業として煮詰まったのか、これからおもむろにお始めになるのか、それが一つ。その場合には、機能強化に随伴して統幕学校のようなセクションもその検討の中に入っているのか、この辺どうですか。
  98. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 統幕の強化という具体的な構想まではまだできておりません。しかしながら、この統幕につきましては、御承知のように過去におきまして強化するような改正があったこともございます。たとえば、二つの自衛隊にまたがる部隊ができたときにはその指揮は統幕議長がするというのが、たしか三十五年か六年ごろの改正でそういうこともできております。で、いま重要なことは、この日本防衛に当たっては陸海空の統合運用というものが非常に重要視されなければならないと私どもは考えております。そのためには、特に統幕の調整機能というようなもの、あるいは指揮通信機能というようなもの、情報なんかもそこに集まるというような形で統合運用ができるような体制にしたいというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、その統合運用をどうやってやればよいかという研究がまず大事でございますし、それに伴う統合運用のやり方の教育というものも大事になってくるかと思っております。しかしながら、まだ具体的にどういうところをどういうふうにやるかというのは方針として決まっておりませんで、いま勉強をしている段階でございます。したがいまして、その統幕との関連において統幕学校が直ちにどうこうするというふうには考えておりません。
  99. 秦豊

    秦豊君 しかし、そんなにあなた方のんびりしたお仕事じゃないんだから、いろんな教訓を踏まえられて統幕の機能強化の必要を痛感されたんでしょう。それでいま煮詰めている段階ですね、それがもしまとまったらいつごろから強化された統幕が誕生するんですか。
  100. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 強化された統幕というのは、その強化という言葉が、何といいますか、統幕議長の権限を直ちに強化するとか、そういうことではなくて、統合運用をやるのにいま問題点というものはどういうものであるか、そういうものをどういうふうにすれば解決できてスムーズに統合運用ができるかというような点をいま研究し検討しているということでございます。
  101. 秦豊

    秦豊君 来年の予算に関連するかどうかはわかりませんが、自衛隊当局とされては、たとえば基地の整備、それから、それに関運した工事あるいは航空基地関係では整備、補給等々だと思いますが、一部の民間受託の構想がおありですか。それで防衛白書にもちらちらと、それそのものではないが似たようなことも何かあるし、ぼくもいつか聞いたことがあります。予備自衛官をそういう方面には積極的に優先的に使って、新たな職場を確保することにもなるし、何かぼくの申し上げたような分野での民間受託会社ないしその構想はおありですか。
  102. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) それは、いわゆるこの人員というものをふやすことができませんし、また一方におきましては、本来自衛官がやるべき仕事のほかに、自衛隊を支えるためにいわゆる民間に委託してできる業務があるのではないかということで調査をいたしております。そしてまた現に一部のもの、たとえば航空隊の基地等におきます給食関係の仕事なんかは委託しているようなこともございます。そういう範囲を広げるということにつきまして検討はいたしておりますが、具体的に来年度の予算でどの部分をどうするかというところまではまだ煮詰まっておりませんので、来年度は具体的な要求としては出ておりません。
  103. 秦豊

    秦豊君 残された時間では中途半端になりますから、一応問題点だけを出しておいて、次の機会にもし防衛に関する一般質問の時間が与えられればそこで詰めたいと思いますが、時間的に中途半端をあえて覚悟して、問題点だけを出しておきますが、先般参議院の委員会において与党の秦野議員が提示した問題、つまり災害、この場合には秦野議員が意味されたところは地震ですけれども、地震の予知体制の完備という観点に立ったなかなかユニークな論戦が行われました。適時適期であったと思っているんですけれども、私があなた方に聞きたいのは、国土の安全保障というか、国土の保全というか、あるいは自衛隊法等でも言っているいわゆる災害救助というか、こういうことに絡んで、いま東海、駿河などに大規模な地震エネルギーの蓄積とか、その不気味な予兆とか、さまざま伝えられている中で、皆さんも不安を持っていらっしゃると思いますが、そういう中で自衛隊のあり方、体制というのは、一体どういうことを想定して、どういうふうに準備がなされているのか、またなそうとしているのかということは、私は重大な国民的関心事であろうと思います。警察庁だけでは足りない、消防庁だけでは足りない、警視庁だけでもだめ、民間の力は弱い、一体どうするかという問題にもかかわってくると思います。その前提としまして、防衛白書の七十四ページを拝見すると、いろいろなことを書いてあるが、あなた方が正面装備の充実に費やす熱っぽい筆調に比べると、国土の保全とか災害派遣なんというのは非常に物理的に小さくて一ページもない。このあたりがいまの自衛隊的であると私は言いたいんですけれども、この七十四ページにある「救援対処の要領」というのは、一体これはどういうことを意味されているんですか、この辺からまずちょっと答えてほしい。
  104. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いま先生のお話ありましたが、実はあした決定していただきます防衛計画の大綱の中でも、災害派遣の対処というものにつきましては非常に重要であるという御指摘をいただきまして、それに基づきまして、部隊の配置等も、全国どの地域でも直ちに災害派遣等が行われるような配置を考えるというような御指摘もいただいておるわけでございますが、そういう意味で、特に坂田長官が就任されましてから災害対処につきましては重視されまして、機材等につきましてもいままで以上に予算を計上し、その災害派遣体制の整備に努力しているわけでございます。ここに書いてあることでございますけれども先生も御承知のように、たしか昭和四十五年にこの大震災対処の問題が政府としても取り上げられまして、それに基づきまして四十六年、大震火災が発生した場合の自衛隊の災害派遣計画というものを作成いたしております。そしてこの計画は、中央防災会議でも決定しております大都市震害対策推進要綱の方針にのっとってできているわけでございますが、自衛隊といたしましても、昭和四十九年以来、いわゆる大都市に災害が起こったときの対処の方法、いわゆる人命救助その他の対策といたしまして、たとえば東京で行いましたときには、どこの部隊を何万人ここに派遣して救援に当たるというような計画を持っております。で、四十九年には東京を中心にした災害派遣の演習をいたしました。これは震度七か八かの震災が起きたときに、たとえば東京における火災あるいは水害、そういったものを全部コンピューターではじき出しまして、どの地区はどういう被害が起きるだろうということを想定いたしましたいわゆる指揮所演習でございますが、これをやりました。今年は大阪地区でこういった災害の演習などをいたしまして、いわゆる各地で起きました災害に対します救援対策というものは年々それぞれの部隊において勉強し、演習し、計画を立てているというのが実情でございます。
  105. 秦豊

    秦豊君 おっしゃったのは、七四年の八月二十六日から九月一日で、四十九年度陸海空各自衛隊共同大震災対処演習というものだと思いますが、それですね。それは非常呼集の演習もなすったわけなんだけれども、この非常呼集訓練と並行して、いまあなたのおっしゃったCPX、指揮所演習が実施されたと思うんですが、その規模とその想定、どんな想定に基づいたか。それから図上演習を行われたと思うが、その内容は明らかにできますか。
  106. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは、いわゆる想定は関東南部地区、すなわち東京、神奈川、千葉、埼玉の大震災時、マグニチュードは六・九というものを想定いたしまして、いま私が申し上げましたように、その被害状況をコンピューターではじきまして、そして陸海空の自衛隊が共同で初動対処要領を演練したものでございます。で、このとき、八月二十六日から三十日まで、それからさらに九月一日の研究会を含めまして六日間やったわけでございますが、市ケ谷駐とん地を中心といたしまして指揮所演習を実施いたしました。その際に、非常呼集を含めまして参加しました人員というのは約四千二百人でございます。それから、車両が約五百両、航空機が六機、こういうような形でその四十九年度は実施したわけでございます。ただ、そのとき、実際どのぐらいの人、艦艇を出したかということでございますが、想定上は陸上自衛隊が約五万三千人災害派遣をいたしております。それから、海上自衛隊が艦艇が約六十隻、航空自衛隊の航空機が約四十五機という規模でございました。
  107. 秦豊

    秦豊君 それは、大地震と二次災害によって一千二百万人が被災する、首都圏ですよ。その場合に自衛隊は関東に部隊を集中して対処をする、こういう想定を意味されますね。
  108. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) それは、いわゆる関東地区でそういう災害が起きたときには部隊を各地から集めまして必要な災害派遣をするという考え方でございます。
  109. 秦豊

    秦豊君 それから、関連しますけれども、このような大規模な訓練、演習と言ってもいいと思いますが、行われる場合の陸上自衛隊の主力になる普通科、それから特科、それから、機甲科というかどうか、機甲科。これはどんなことをやるわけですか。
  110. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは、災害派遣のときに主として現在自衛隊がやりますのは、まず人命救助がございます。それから、道路を啓開いたしましていわゆる自衛隊以外の救援活動が十分できるような、そういうような活動をいたします。それから、人員をその被災地から安全な地帯に運ぶ輸送、それから、物資を輸送いたしまして救援に当たる、そういうようなことが主たる任務でございます。
  111. 秦豊

    秦豊君 こういう場合は隊員はどんな装備をして出動するんですか。戦闘装備ですか。
  112. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 戦闘装備とおっしゃいますと——いわゆる災害派遣に必要な装備でございますから、たとえばブルドーザーを持っていきましたり、それから船を持っていきましたり、それから給食のための装備がございます。そういうものを持ってまいりましたりしまして、いわゆる武装というものは一切していないわけでございます。
  113. 秦豊

    秦豊君 いままで皆さんが行われた演習、訓練というのは、すべて関東の南部地区でマグニチュード七・九、大規模な地震が発生したときが前提になっているわけですね。つまり関東大震災程度がやっぱり基準になっているわけですか。
  114. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 先ほど私数字を間違えましたが、四十九年度にやりましたときが関東大震災程度のマグニチュード七・九という想定のもとに演習を実施いたしました。
  115. 秦豊

    秦豊君 自衛隊法の第七十八条をちょっとごらんになっていただきたいんですが、自衛隊法の第七十八条には「間接侵略その他の緊急事態に際して、一般の警察力をもっては、治安を維持することができないと認められる場合には、」治安出動をすることができると確かに明記されています。ここで言う「その他の緊急事態」というのはどんな場合を指すんですか。皆さん方が演習を積まれた関東大震災ケース、マグニチュード七・九というふうなことは当然「その他の緊急事態」に該当しますか。
  116. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これはそういう災害のときというものは想定いたしておりません。やはり警察力で治安が維持できなくなるような事態ということでございますから、そういった災害が直ちにこの治安出動というふうには私どもは考えていないわけででございます。
  117. 秦豊

    秦豊君 そうしますと、四十四年の七月十五日の参議院当内閣委員会において、「その他の緊急事態」というのは具体的に言うのはむずかしいけれども、過去の事態をとらえてみると、たとえば「関東大震災的なことが緊急事態の典形的な種類ではなかろうか」と、皆さんの先輩である宍戸防衛局長答弁しているが、矛盾しますね、政府側、方針、解釈を変えられたんですか。
  118. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) それは当時の防衛局長がどういうことをお考えになったのかわかりませんけれども、私ども関東大震災のときの状況というものは本でしか知りませんけれども、治安状態が非常に悪くなったという点に着目して言われたんだろうと思います。しかし、私どもは震災があった、災害があったから直ちに治安が悪くなるというふうには考えておりませんので、大きな災害に対する災害派遣の事態で治安出動というふうなことは念頭に考えていないわけでございます。
  119. 秦豊

    秦豊君 ちょっと不満です。宍戸さんはあなたの先輩、いやしくも公職、防衛局長。四十四年の議事録、すぐお調べになって、解釈を時代の変化とともに変えられたのか、その辺は変えられたんならそれで結構ですから統一されて後刻回答を願いたい。  最後に、時間がありませんからこれは資料として提出要求をしたいんですが、先ほど皆さんが述べられた四十九年度陸海空各自衛隊共同大震災対処演習、このもとになったのが四十六年三月の南関東大震災災害派遣計画、それから、第一師団災害派遣計画、四十六年十一月大震災災害派遣計画、これを資料として今後の研究用のために提出を願いたいし、なし得ればその際に行われた大型コンピューターを使われた図上作戦、この結果も資料としてあわせ御提示願えれば勉強になります。可能ですか。
  120. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) そのような資料整えまして差し上げたいと思います。御報告申し上げたいと思います。  この大震災あるいは災害等について注目すべき御発言がございましたので、非常に私どもはありがたく思っておるわけでございます。と申しますのは、私はこの委員会でも申し上げたと思いますけれども国民の生命、財産、安全を守るということは、単に直接侵略あるいは間接侵略を問わず、大震災あるいはその消防力あるいは警察力をもってもどうにもならないという場合は、都道府県の要請をまって出動をし、そして国民の安全を守るという任務がわが自衛隊にはあるんだということを、私就任いたしましてから強調をいたしておるわけでございます。また同時に、三木総理からも、特に大震災に対しては自衛隊は十分の備えをしておいてもらいたいという指示もございまして、特に私はこれに関心を持って考えておりますし、今後の基盤的防衛力構想の中でもこの災害対策というものは一つの大きなウエートを持たせておるということだけを申し上げておきたいというふうに思います。
  121. 秦豊

    秦豊君 最後に、基盤的防衛力、それからいま坂田長官発言、結構です。結構という意味は、承っておきますよ。けれども自衛隊のあり方に関連してこの辺非常に詰めなきゃならぬ問題がたくさんあるんです。これは機会を改めます。  終わります。
  122. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、非常に時間も短いので、二、三伺いたいと思います。  まず第一点としまして、先般の当内閣委員会で議論をいたしましたミグ25の問題ですけれども、この点ちょっとお伺いしておきたいと思います。  これは、まず私はミグ25のいわゆる知り得た情報についての中間報告という問題については、先ほど同僚議員から質問ございました。詳細な報告は何もございませんけれども、私はこのミグ25の事件に関連をいたしまして、知り得た知見というのはすべて自衛隊のみに帰属すると、こういう日米両国の現場の責任者とも言うべき在日米軍司令官と航空幕僚長との覚書、この覚書が交わされている、これは両国で確認した確認事項であるから信頼すべきである、そういうふうな答弁が先般の当内閣委員会でもございました。  私はこの問題について再度お伺いしておきたいんですけれども、この確認事項は、これは法的な拘束力というのはあるんですか。
  123. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは、当時いわゆる外交関係の文書という形ではないけれども、それぞれ防衛庁におきましては大臣の命令に基づきましてそういうことを確認したわけでございますから、自隊衛関係は当然それを守りますし、アメリカ側も国防省の命によって第五空軍の司令官がそれを受けて確認したわけでございますから、アメリカ側も当然にそれを守るというふうに考えてああいう確認を行ったわけでございます。
  124. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは外務省アメリカ側はどこら辺までこの確認書を確認しているんですか。これは要するに覚書、メモですね、正式の条約とかそういうものではないわけですね。ですから、要するにアメリカとしては、国防省の命によってといまおっしゃいましたが、国防長官はこのことをきちっと確認していらっしゃるのか、そこら辺のところはどこら辺までこの覚書という中身が周知徹底されているのか、そこら辺のところはどうなんですか。
  125. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) いま防衛局長から御答弁もありましたように、この在日米軍司令官がこの了解事項を確認いたしましたのは、米本国の了承を得てやったということはわれわれに明確に伝えてきております。
  126. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、ですから本国の了承を得てというのは、こちらの現場の人がそう言っているわけで、実際に本当に確認されているんですかね。私はなぜこういうことをきょうこれから言うかといいますと、先般のこの委員会で、私はこの確認事項というのはもう何にもならないのじゃないか。いわゆるこういうミグ25の解体によって知り得た中身というものは、現実にアメリカ技術者もいっぱい来ておりますし、そういう人たちから全部漏れるんじゃないか。現実に向こうは軍人、軍属ですし、そういうような意味からも、そういう人たちが知り得た中身というものはすべて現職の軍人ですから、当然私は在日米軍の司令官に報告する義務があると、逆に言えば。ですから、そういう人たちは在日米軍司令官に報告をしているのじゃないか、そこから完全に漏れるのじゃないかということをずいぶんこの委員会でやったわけです。いやそういうことは全くないと、もうこの覚書によって信頼すべきである、こういう答弁が繰り返しありました。ここら辺のところ、外務省、一応どういうふうにお考えですか。
  127. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 在日米軍司令官としては、その上級機関の許可を得て、この覚書といいますか了解事項を確認したのだと思いますから、したがって、上級機関としてはその内容に反したことを、在日米軍司令官及びその指揮下にある米国軍人に対して命令し得る立場ではないというのがわれわれの考えでございます。したがいまして、米軍人が知り得た情報につき在日米軍司令官あるいはそれ以上の上級機関が報告しろということを命ずる立場にはないというふうにわれわれは了解しております。
  128. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはそうでしょうね。そうでないと困るわけですが、もうちょっと詰めてお伺いしておきますが、この確認事項というのは、これは日本側は、一応われわれにも文書でこういうぐあいに三つの項目に分けてきちっと手元に来ておりますが、しかも防衛庁長官がこの中身を確認していらっしゃるわけですから日本側は間違いないと思うんですが、米側はこれは文書になっているんですか。ただ口頭での約束なんですか、あるいは署名捺印してきちっとした文書になっているのか、これはどうなんですか。
  129. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは確認事項といたしまして、文書によって相手にも渡しておりますしこちらも持っております。
  130. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 としますと、私たちがこの間から非常に危惧していた問題、現実に「国防総省専門家筋」ということで、ワシントン六日アメリカ総局発、これはある新聞ですが、この中身が全部ぽろぽろ出ているわけです。この報道によりますと、「米国防総省の情報専門家筋はこのほど、函館に着陸したソ連ミグ25戦闘機の分析調査の結論として「米国の戦闘機よりも技術開発面で遅れている」と次のような点を明らかにした。」ということで、この中身を一つ一つ読んでみますと、少なくともこれは全く現場へタッチしていないとわからないような中身がずっと列挙してあります。たとえば一として、「ミグ25を調査した結果」、調査した結果というのですから全く現場にいない者がこんなことを書くわけないし、聞くわけないし、「同機の性能についても、ソ連技術についても、大きな驚きはなかった。しかし、日ごろとかくコストの高くかかる技術を強調しがちな米軍部に対し、ソ連が在来の軍事技術を生かすことによっていかにコストを最小限にしようとしているかを知らせた点で有益であった。一、ミグ25は、米軍当局の予測したよりもはるかに重い。電子装置は予想以上進歩しているが、それでも米国よりも一時代も二時代も遅れている。一、低空または中空では、思ったよりも動きが遅く、米国の戦闘機には対抗できない。ミグ25はほかの戦闘機と空中戦をするようにつくられていないのは明らかである。むしろ高空における迎撃あるいは対爆撃機用でその役割においてはおそらく世界で最も速く、また最も高く昇れる戦闘機であろう。一、国防総省の結論としては、ミグ25は十五年前の技術を基礎に作られ、米国が六〇年代初期に開発していた高速用超音速爆撃機の迎撃用に設計されたものだ。」、こういうふうに、これはもう一つの報道によっても大体同じような意味のことを書いておりますがね、これはやっぱりミグ25の解体によって知り得た中身というのが、自衛隊の知り得た知見というのは自衛隊のみに帰属するなんというのは、これは実際問題怪しいんじゃないか、そんなばかなことはないということで先般のこの委員会で議論をしたわけです。現実にこういうふうに報道されているということは、これはこういうふうなものが全く予想記事じゃないという私は判断をしているわけですが、防衛庁としてはこういう問題についてはどう考えていらっしゃるわけですか。
  131. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 私たちが知見いたしました情報というもの、調査結果というものは、まだ私のところにございまして、それは渡っておりません。それはあくまでも推測としか言いようがございません。   〔委員長退席、理事加藤武徳君着席〕
  132. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや大臣ね、現実にじゃ大臣の手元にはまだ来ていないんですね、そうですね。そうしますと、日本側は大臣の手元にはまだ来ていないわけです。ところが、米側はすでに、そういうふうな調査に携わった人たちが現実にもう帰っているわけでしょう。そういう人たちから結局漏れているということです、私が言いたいのは。だから、こういうふうな確認事項なんというものは法的な拘束力があるのかと私聞いているんです。現実にこういうぐあいに漏れているんじゃないか、これは防衛庁としてもほうっておけませんよ、実際問題こういう約束は破られているわけですから。日本側だけ自己満足して、要するに向こう側にはツーツーと漏れている。これはもう初めから私たちが指摘していることなんですけれどね。そんなことはないとおっしゃっても、現実にこういうふうな報道がなされているということは、これは防衛庁としても一体どういうことなんだと、やっぱり確認する必要があると思うし、何らかの措置をしないと私はいけないと思うんですけれども、こういうふうな調査結果が長官の手元に来ていないということだけでは私は答弁にならないと思うんですよ、どうです。
  133. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) それは先ほども委員の御質問に答えたわけでございますが、技術部長から聞きました経過を聞けばそれが非常に正当である、私がいま先生お答えいたしましたことが正当であるということが裏書きされるものでございまして、その調査内容というものはまだ向こうでは入手しておりません。それははっきり申し上げられるわけでございます。ただ、二、三のミグを取り扱いました人たちが出入りをしておりますから、その意味合いにおいて、大体かっこうはこうだ、エンジンがどうだというような、そういうような玄人による推測といいますか、そういうことは恐らくあると思います。しかしながら、実際それをはかりましてどういうふうな長さであり、どういうような口径の入り口がありというような綿密な調査結果というものは向こうは入手していないというふうに私は思っております。それは私のところにあるということでございます。
  134. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣のおっしゃられる意味はよくわかります。それは詳細な問題はそれはそうでしょうね。しかしながら、この約束というのはそれだけの約束じゃないでしょう。私はミグ25の問題については、たとえば実際問題、外観だけでも、あるいはエンジンそのものの中身、全体はわからなくてもおおよそのことをつかむということは向こうは非常にいろんな観点から知りたかったわけでしょう。そういうような、たとえば一般的に知りたい現実に見てさわって知り得た情報というのがありますね。防衛庁が現実に詳細に調査をしたその中身というものはありましよう。しかしながら、アバウトでつかんだ情報というのはやっぱりありますね、現実に解体に当たった人たちの耳から漏れますね。これは当然米軍のそういう解体に当たった人たちというのは、現実の問題として何日もいたわけじゃないわけです。要するに最後までいたわけじゃないと私は思っているわけですが、実際問題、そういうようなところからすると、防衛庁長官のおっしゃる、防衛庁が最後まできちっと分析し、調査した詳細な資料は確かに防衛庁は持っているかもわからない。しかしながら、アバウトのやつは全部向こうへ行っている、こういうふうに私は思うのですけれども、ここら辺のところはどうなんですか。
  135. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) このミグ戦闘機というものは、一たん函館から百里基地に輸送をいたしました。輸送をするに必要最小限度機体の解体といいますか、尾翼を取ったり垂直尾翼を取ったりいたしました。それからまた、危なくないような状況で持っていったというようなことをいたしました。それから先、一応もう少し解体をいたしまして、そして再度それを組み立てるわけであります。そして火を入れるわけです。そうして調査をして、システムとしてこれを見ないと、一つの部分部分を調査しましても何らの、と言えばあるいは言い過ぎかもしれませんけれども、全体の機能、性能というものはわからない。しかし、おっしゃるように常識的な意味においての、おおよそ専門家としてこれは推測がつくというようなことはあると思いますけれども、しかしながら実際上われわれが軍事的にあるいは技術的に問題にし得るのはむしろそういうものじゃなくて、確実な実測等に基づいた資料でなければ資料たる価値はないという意味において知見いたしましたものは渡してないということでございます。
  136. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私はこの問題は非常に重要な問題で、これは今後いろんな問題と絡んできますので、もう一点方角を変えてあれしたいと思うのですが、日本側は納得しておっても向こう側は全く違うことを言っているということは現実にあるわけですね。ですから、そういうような意味で、私はきょうは先般のダレス証言をちょっと取り上げてみたいと思うのです。  これはきょうアメリカ局長お見えになりましたので、あわせて当時の会議録等も全部調べてみました。それで、この新聞報道を見て私たちは非常にショックを受けています。何でかといいますと、当時の国会で、われわれに答弁をした当時の総理大臣なりあるいは条約局長なりそういう方々答弁と、ダレスさんの先般議事録を公表されたわけですけれども、その中身とは、それこそ百八十度食い違っている。こういうことが現実にもうあるわけです。これは私はどうしようもない問題だと思うのですけれども、たとえばダレス証言では明確に「日米安保条約は米国に何らの法的義務も課していない。同条約は日本および日本周辺に軍隊を駐留できる権利をわれわれに与えたが、日本に対しては何の保障も与えていない。相手側の相互的な約束がなければ、こちらも約束しないというのが米国の政策である。」、こういうぐあいに述べているわけです。当時バンデンバーグ決議もありましたから、当然日本が米国の防衛義務だけを負わせる、そこだけを責めるというわけにはいかなかったと私は現実に思うんですけれども、そういう点も現実に委員会で責めているわけです。取り上げられているわけですね。その上での答弁なんです。それで、そういう点を現実に責めて、旧安保の第一条はアメリカが義務として日本を保障するという条項になっていないということもあわせて指摘をしているわけです。それに対して当時の西村条約局長は、前文、第一条、第四条を総合的に考えて、日本が外国からの武力攻撃を阻止するため軍隊を置いてほしいとの希望を述べ、米国がこれを承諾をする、この関係の中には日本防衛してやるという約束が当然含まれている、こういう答弁なんです。あるいは、次に続いて、あるいは第四条から見て米国が日本防衛の責任を負っていると断言できる、こういうふうに答弁をいたしております。しかし、この答弁とダレス長官の今回の公開された内容とは全く相反しています。ですから、私はこういうふうな当時のいろんな事情はあったにしても、日本側説明する中身と、米国の議会で説明する中身とはまるっきり違っている、これは非常に私は問題だと思うんですけれども、この中身を第一条からずっと読んで一つ一つ見ても、ただ日本基地米軍が使用できるということだけで、結局は日本を守るという中身は全くないわけですね。それで、前文、第一条、第四条なんというものを現在の立場で検討してみましても、そういうところから日本を守るなんということが推測されるなんということは考えられない。これは要するに当時の局長のこじつけじゃないか、こういうぐあいにも判断できるわけです。こういうふうなことを、これは外務省どういうふうにお考えなんですか。
  137. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 旧安保条約に関しましては、その条約がはっきりと日本防衛の義務を規定しておるかどうかということは、確かに当時においてもいろいろ論議された点でございまして、私が手元に持っておりますものによりますと、当時の衆議院の安保特別委員会の昭和三十五年四月十三日の堤ツルヨ議員に対する政府側の答弁では、この旧安保条約は米軍に区域の使用を認めているが、米国の日本防衛義務をはっきりと規定していなかった点において重大な片手落ちであったというふうな説明もされております。したがいまして、この点については新安保条約締結の際に、政府としてはこの点をはっきり規定するということを一つの大きな主眼として交渉をし、そして現行安保条約ができたものと考えております。
  138. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、私はこれは新安保になったからといってぱっと逃げられては困るわけです。そこのところは、新安保になってからの問題点もこれから指摘をいたします。指摘いたしますが、当時としてはやはり、会議録、私の手元にありますのは昭和二十六年の旧安保の日米安保条約特別委員会の会議録です。昭和二十六年の十月二十九日、十月三十日、それから十月十八日、これらの会議録を読んでみますと明確にうたっているわけですね。第四条から見ましても、合衆国は日本に対する防衛の責任を負っているということは断言できると、こういうふうな説明です。非常に厳しいはっきりした説明の仕方をしているわけです。しかしながら今度のダレス証言は全く違うわけですね。  さらに、私はこれから問題をあれしていきたいのは、当時の政府としての日米安保の提案理由の説明です。これによりますと、軍備を有しないわが国としては自己の防衛、ひいては極東の平和のために何らかの集団的防衛の方法を講ずることがぜひとも必要であり、これが日米安全保障条約を締結する理由である、こういうぐあいに述べておりますから、こういうように述べている以上は、口が裂けてもアメリカ日本を守らないなんということは言えないと私は思うんですよ。そういうふうに考えてみますと、そこで一番の問題は何が問題かといいますと、日本防衛するということよりも、米軍日本に駐留させるという権利ですね、これが旧安保の非常に大きなポイントだろうと私は思うんです。米軍日本に駐留さしておく、そして日本に駐留することによって間接的に日本はそのいわゆる抑止力を持つことになる。そうなんでしょう、そのとおりですね、そういう説明をしておりますから。そうしますと、米軍極東戦略の拠点を日本に確保する、これは当然私は当時考えられたことであろうと思うし、そうでなくちゃならないと思うんです。そうなんでしょう、実際問題。
  139. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) このダレス証言に関しましては、われわれは当時確かに承知しておらなかったわけでございますが、いまわれわれの現段階においてこれを読んでみますと、ダレス長官はほかの場所でこうも言っておるわけでございます。ちょっと長くなりますが引用いたしますと、「しかし現実問題として米軍部はソ連がドイツや日本を制圧しようと動けば、自動的に全面戦争開始の知らせとなろうとみている。米軍部は、ちょっとの間もこういった行動を黙認することはないだろう。ドイツおよび日本に軍隊を駐留させているのはこのためである。もしソ連やほかの共産圏がドイツや日本に侵略するなら戦闘が起ころう。これは公式にそう定められているわけではないが、ただドイツおよび日本駐留の米軍には共産軍が侵入してきた場合には戦うよう指令が出されていると信ずる。日本および日本周辺の米軍の駐留は抑止力となり、朝鮮のような事態にはならないだろう。」、こう書かれております。したがいまして、確かに日本防衛義務というものは、そう明確に書かれているかと言われればその点は必ずしもはっきりしていなかった点があるかと思いますが、現実の問題として、日本米軍が駐留しておる以上、その日本に対する攻撃があった場合には当然米軍が動くことになり、日本防衛の役割りを果たすことになるということはダレス長官も言っておったわけであります。ただ、条約上の権利義務の問題として、義務ははっきりと法律の明文で書かれていないということを当時の米国の議会に対して説明しておったものと考えております。
  140. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いま局長がお読みになった項目は私が初めに取り上げた項目のその次にあるわけですよね。ということは、私は、それじゃ初めたとえば日本を守る義務はないと、バンデンバーグ決議からいってもないと明確に言った後で、ただしソ連日本に、というように明確にソ連ということも出しているわけですよ、いま局長がおっしゃったように。ソ連日本を攻めてきたら、日本にいる米軍は黙っていないだろうと、そういうような意味では確かに抑止力になるでしょうね。しかし、今度はその次がまた問題じゃないですか、局長、そうしますと。ソ連日本に攻めてきた場合には米軍は黙っていないだろうと、ただ、日本を守るなんという言葉は全くないわけですよ、それでその次に出てくる言葉は何が出てくるかといいますと、ここにもございますように、結局在日米軍は、中国に対してでもウラジオストクに対してでも、その基地を使って、在日米軍は在日基地から旧満州とかそういうところを爆撃できると、こういうふうにその次にまた出てくるわけです。そうしますと、いわゆるアメリカ極東戦略というものがここで明らかになってくるんじゃないですか。要するに、日本米軍が駐留しているのは、日本を守るという意図よりも、これは日本基地を中心にして極東に発進していくと。これはいま私が議論しているこの問題は、われわれがいままで国会で聞いた問題とはまるっきし逆の話をしているわけです。そういうような意味では、私はこれはただ単に局長が言うように、いまの私の発言に対してこういう発言もあるという、それだけでは答弁にならない。私はやっぱりこの問題は、当時米国がアメリカの議会に対してした説明と、日本側のいわゆる皆さん方がわれわれにした説明とはやっぱり食い違っている。それは当時食い違わざるを得なかったんだという事情はありましょうけれども、確かに現実に食い違っているということを明確にしていただかないと、これからの議論ができなくなってくるわけです。これはそこら辺のところ一体どういうふうにお考えなんですかね。
  141. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 御承知のとおりアメリカにはバンデンバーグ決議というものがありまして、日本がそのバンデンバーグ決議に沿ったような規定を入れることが当時の日本としては非常に困難であったという事情もあったわけでございます。そういう点もございまして、この点が必ずしも明確でなかったと思いますが、ただこの旧安保条約におきましても、米国の「軍隊は、極東における国際の平和と安全の維持に寄与し、並びに、」、ちょっと飛ばしまして、「外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために使用することができる。」というふうになっておったわけでございまして、「使用することができる。」というふうな表現にはなっておりますが、その使用する目的としては、日本に対する武力攻撃を阻止するためとともに「極東における国際の平和と安全の維持に寄与」するという目的は書かれておったわけでございます。したがいまして、極東における事態の推移いかんによっては、米軍がアジア大陸に対しても使用できるというふうなことは確かに書かれておったわけでございまして、それに基づいて、まあそれを具体例として示してダレス長官はそのような証言をいたしたわけでございます。それ自体はそれほど間違っておる証言であったとは思いません。
  142. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いま局長がお読みになったのは第一条のところですね、そうですが。
  143. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) そのとおりでございます。
  144. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは局長ね、要するに駐留軍の基地を使用する目的を述べているところですね。そうしますと、これは新しい安保になりましてもやっぱり同じようなことがありますね、新しい安保になりましてからも、ここのところの形は変わりましたけれども日本の安全に寄与するためというのが入ったでしょう、新しい安保はそうですね。ところが今度、旧安保の方はそういうのは入ってないじゃないですか。要するに、「この軍隊は、極東における国際の平和と安全の維持に寄与し、並びに、一又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によって引き起された日本国における大規模の内乱及び騒じょうを鎮圧するため日本国政府の明示の要請に応じて与えられる援助を含めて、外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために使用することができる。」、大分違うじゃないですか、これは。確かに最後の方に「日本国の安全に寄与する」なんということはありますけれども、これは内乱、騒擾をも含めてですよ。ですから、要するに新安保との違いがここに明確にうたわれているわけでしょう。そういう点からいきますと、旧安保というのはやはり日本基地を提供するということが主眼ですね。ですから、私は新安保との違い、一遍そこのところをちょっと説明してみてください。
  145. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) この旧安保におきましては、先ほど申し上げましたように、第一条におきまして、軍隊の使用する目的が二つある。一つ極東における国際の平和と安全の維持に寄与するものであり、第二の目的は内乱その他の問題を含めて外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために使用することができるということになっておるわけでございまして、この立て方自体は新安保においても引き継がれておると思うのでございます。ただ、新安保において非常に違いますことは、第五条におきまして、アメリカが、日本に対する武力攻撃があった場合には、日本とその共通の危険に対処するように行動するということを明確にしておることでございまして、いわば現行安保の第五条においては、アメリカ日本防衛する義務を明確に規定しておるわけでございます。この点が旧安保においても意味されておったとは思いますが、明確に義務として規定されていなかったという点においていろいろ論議があったことは事実でございまして、そういう事実をも踏まえて政府が安保条約の改定に踏み切って、米国の日本防衛義務を明確にしたということは言えると思います。
  146. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 局長ね、私は確かにその点はそのとおりであろうと思います。しかし、旧安保では事前協議の制度もありませんでしたし、いまおっしゃったような新安保の五条の条項もございませんでしたね、バンデンバーグ決議で指摘された問題です。そういう点では新安保の方が一歩前進はいたしております。しかし、考えてみますと、旧安保が日本を守るということよりも、ダレスが言うようにやはり基地を提供するということに主眼が置いてあったということは確かなんでしょう。
  147. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 旧安保がその一条において米軍を駐留する目的というものを中心に書かれておったということは事実でございます。しかし、この点は当時の西村条約局長答弁いたしておりますように、前文とか一条とかその他の条項を全体として読めば、アメリカが現実に日本を守ってくれるということを確信するということを答弁しておったわけであります。しかし、それはいわば条約上の義務ではないではないかということを言われれば、この点は確かに明確に書かれていないことは事実でございまして、それであればこそ旧条約を改定して現行条約が締結されるに至ったものと考えております。
  148. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そのとおりだと思うのです。現実の問題として、この当時と現在とは事情も変わってきておりますからこれ以上言いませんけれども、そこで、現在私は引き続いて問題と考えますのは基地の問題ですね、基地使用の問題。これは、現在は米軍日本に駐留している目的というのは、安保条約の条項から言いまして、日本の安全に寄与するためというのは一つあります。それからもう一つは、極東における国際の平和及び安全に寄与する。この二つが大きな柱になっているわけですね。しかし、私は旧安保の場合は、その極東というこちらの方に大きなポイントが、ファクターがかかっておった、そういうふうに考えるわけです。現実にこのダレスの発言の内容から見ましてもそういうぐあいになっておりますよ。そうしますと、現在、アメリカ日本防衛する、あるいはアメリカの核のかさに入っておる、こういうように言っているけれども、実際は、本当にアメリカ日本を守るということについて深刻に考えているのかどうか、いや本当に日本を守ってくれるのか。これは私は非常に重要な問題だと思うのです、実際問題。現在、基地の使用の問題でも、たとえば具体的な問題としてわれわれ事前協議という問題を相当議論してまいりました。たとえば日本基地からベトナム戦争における兵器の補給とか、在日米基地の使用のあり方、あるいはプエブロ号事件や近くは板門店事件、こういうような事件がぱんぱんいままで起きてまいりましたですね、そういうふうなときに在日米基地からその都度出動しているわけです。こういう問題について具体的にはっきりした形で事前協議が行われたなんという話は聞いていないわけです。あれは事前協議すべき事項じゃないとか、何とかかんとか言っていままで逃げてきました。これは結局旧安保の時代から米軍の中に流れている、いわゆる日本基地を自由に使うと、私はそうあってはならないと思うんですよ本当に。そのために安保条約の事前協議の条項が新たに加わったわけですからね。そういうような意味から、私はまだまだ日本基地というものが旧安保時代からの考え方というのがずっと続いているんじゃないかと、そういうふうに考えるわけです。こういう問題についてどういうふうにお考えかというのがまず一つ。  それからもう一点は、この日本を守るという問題について、これは佐藤・ジョンソン共同声明というのがありますね、これだけなんです、実際問題日本を守るなんていうことを具体的に聞いたのは。安保条約の中身を遵守するという形になっていますけれども、「大統領は、米国が外部からのいかなる武力攻撃に対しても、日本防衛するという同条約に基づく誓約を遵守する決意であることを再確認した。」、これは一九六五年の一月、共同声明の中、米国の決意というものがこういうふうに出ている、共同声明の中にあるわけですけれども、もうこれだけなんですね。実際問題こういうふうなものが、ダレスの証言を聞きまして、われわれ国会説明する中身と、米国の議会で報告している中身と食い違っているんじゃないか、そして、その旧安保時代からの日本基地を使う米軍の精神というのが、自由に使えるという考え方がずっと脈々と流れているんじゃないかと、非常に私は不信を持つわけですけれども、こういう問題についてはどういうふうにわれわれの不信を解いていただけますか、あるいはどういうふうにお考えなのか、できるだけ詳細に説明を願いたい。
  149. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) 先ほどから申し上げておりますように、旧安保におきましても、また現行安保におきましても、米軍日本基地を使用する目的は大体二つあったわけでございまして、一つは何といっても日本の安全に寄与するためであり、第二は極東における国際の平和と安全の維持に寄与するためであったわけでございます。これは両方とも重要であるというふうな認識に立っておったと思います。そういう意味において、旧安保であっても現行安保であっても根本においては異なっていなかったと思います。ただ、旧安保におきましては、日本防衛の義務が条約上の義務として明記されていないという点において若干の問題があるということは事実でございまして、そういう事実を踏まえて現行安保が結ばれまして、その第五条において日本防衛の義務が明確に規定されたというふうにわれわれは考えております。しかし、それははっきりしておるのかということを峯山委員は仰せられるわけでございますが、この点はいまも御引用になりました佐藤・ジョンソン共同声明においても引用されておりますが、さらに最近では、三木総理が昨年の八月に訪米されましたときに三木総理大臣とフォード大統領との間の共同声明が発表されまして、その第四項においてアメリカ側はさらにこの点について明確に規定しておるわけでございます。この関係部分を読みますと、「大統領は、総理大臣に対し、核兵力であれ通常兵力であれ、日本への武力攻撃があった場合、米国は日本防衛するという相互協力及び安全保障条約に基づく誓約を引続き守る旨確言した。」と、こういうふうに述べておるわけでございます。したがいまして、アメリカ日本防衛義務に関しては何らの疑点はないものとわれわれは考えております。  それから、ちょっと補足いたしますが、極東の平和と安全の維持という問題と日本の安全という問題は、やはりこれは非常に密接に関連しておるわけでございまして、日本の安全だけを書いておってはむしろ日本の安全そのものが守れないという認識は昔からあったわけでございます。したがいまして、その認識を受けてこの新安保におきましても、日本の安全に寄与するのみならず、極東における平和と安全の維持に寄与するという目的のために米軍がいるということが、日本の安全を本当に守る抑止力になっているというふうにわれわれは認識しておる次第でございます。
  150. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう時間が来ましたのでもう一点だけお伺いしておきます。  このダレス証言極東の出動の問題ですね。これは、たとえば「駐留米軍はわれわれが欲すれば、共産中国に対してもウラジオストクに対しても使用できる。」また、米空軍は在日基地から旧満州を爆撃できると。これはこの問題と関連をいたしまして、在日米基地からの出動に際しても日本との協議などは一切必要とせず、全くみずからの一方的意思によって自由に行動し得る、こういうふうに明確に述べているわけですね。しかも、これに関連をいたしまして、当時この問題について、極東の安全のために米軍が出動するという場合でも日本政府の完全なる同意を必要とするのかどうかと、こういう質問に対しまして、当時の吉田総理は、当然両国の話し合いで決めることである、こういうぐあいに答弁をしているわけです。これは両方の中身は全く違うわけですね、百八十度違う。片一方は同意なしにいけると、片一方は同意が必要だと、こう言っているわけです。これは実際どういうことなんですか。
  151. 山崎敏夫

    政府委員(山崎敏夫君) これもダレス長官はいわば法律論として日本の同意は必要としないということを言っておったものと考えますが、実際の問題として相談はあるだろうということを当時の吉田総理は述べておったものと考えます。また、当然であったと思います。しかしながら、その点に関してもはっきりとしたアメリカの約束を取りつけることは必要であるという観点から、その点を明確化するために、御承知のとおり現行安保におきましてはその第六条の実施に関する交換公文というものが締結されまして、それに基づいていわゆる事前協議制度が設けられたわけでございまして、その際に、アメリカ側が日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域を使用する場合には、日本国政府と事前協議を行うということを明確に約束したわけでございます。したがいまして、アメリカのそういうふうな戦闘作戦行動に関しては、日本政府の意思に反して行動することはないということはここに確約されておる次第でございます。
  152. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これで終わりますけれども、私は、旧安保時代からのそういうふうな、結局事前協議については全く必要ないという米国の考え方、これは法律的にはないんだというダレスの考え方、日本国は、法律には決まっていないけれども当然あるだろうという期待、こういうようなものが、結局新安保では確かに事前協議の条項が入りましたけれども、現在の在日米軍のいろんなあり方や、いろんな情勢を見てみますと、事前協議という問題が問題になるたびに空洞化されつつあるんじゃないかというその疑念ですね、これを払拭することは最近なかなかできないわけですよ。その払拭できない原因というのは、もともと旧安保でそういうふうな実態が現実にあり、かつそういうような中身が語られているということを聞くにつけ、われわれはこの事前協議の条項というのは非常に重大であるということを感ずるわけです。時間がございませんのでこれ以上の議論はいたしませんが、次の機会にやりたいと思いますが、いずれにしましても、今後こういうふうな問題は、われわれ国会で議論する場合と、また向こう報告する場合と中身が違うというのは非常に困るわけです。このミグの場合も、私はこの確認事項の中身にしましても、なかなかすっきり納得したというところまでいきませんけれども、本日はこの程度で終わっておきたいと思います。
  153. 加藤武徳

    理事(加藤武徳君) 本件に関する午前の調査はこの程度にとどめます。  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後一時休憩      —————・—————    午後二時四分開会
  154. 中山太郎

    委員長中山太郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  午前に引き続き、国の防衛に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は御発言を願います。
  155. 岩間正男

    ○岩間正男君 きのう行われた国防会議で、ポスト四次防の防衛計画の大綱の文案が最終的に了承され、二十九日に開かれる国防会議で正式に決定されるそうですが、私は、そこできょうは、このポスト四次防の防衛構想について幾つ質問をしたいと思います。  まず第一に、ポスト四次防の防衛構想は、さきに防衛庁長官防衛白書において提起した基盤的防衛力構想が採用されていると思うがどうですか。
  156. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 昨年の十月に長官指示をいたしました線に沿いまして、防衛の大綱というものの内容を検討いたしまして、このほど国防会議で審議をしていただいておるわけでございます。御指摘のとおり、二十九日の国防会議及び閣議において御決定になるものと期待をいたしておる次第でございます。いまのお話の防衛白書にも、その考え方につきましてはすでに申し上げておるわけでございます。
  157. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間が余りありませんので聞かれた要点にぴしっと答えてください、時間が制限されて困っているから。  だから、基盤的防衛構想がこれで採用されていると、それはいいですね、そのとおりですね。  そこで、この基盤的防衛力構想では、後方装備の充実、抗たん力の強化といったことが強調されて、いわゆるバランスのとれた防衛力ということが非常に強調されています。そこで伺いたいんですが、そうすると、戦闘機とか艦船とか戦車といった正面装備はポスト四次防では量的にはどうなるんですか。つまり、これ以上ふやさないというのか、また質的にはどのように強化されるのか、正面装備でポスト四次防で計画されているものにはどんなものがあるのか、陸海空それぞれ答えていただきたいと思います。
  158. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いま大臣から御説明いたしましたように、防衛計画の大綱というのは、従来の一次防から四次防までの防衛力整備計画とは内容をやや異にいたしております。といいますのは、一次防から四次防までの計画といいますのは、三年間なりあるいは五年間の期間を区切りまして、その時点で考えられます脅威に対してわが自衛隊の能力というものがどの程度必要であるかということをまず算定いたしまして、それにどのような形で毎年近づいていくかというのが計画の内容でございました。ところが、このたびの防衛計画の大綱は、いま大臣が御説明いたしましたように、基盤的防衛力というものを本旨といたしまして御決定いただくわけでございまして、この内容は、その脅威対処論から一歩を進めまして、現在のような平和な状況のもとにおいて平和を維持するために必要な防衛力の機能面、それから体制といいますか、力、そういったものを、このような形で持つのが最もすきがなく、奇襲あるいは小規模の侵略といったものに対応できるであろうという考え方をお示しいただきまして、その範囲の中で質を向上し、それから装備を整備していくという考えに立っておりますので、毎年の予算を伴う整備計画というものは、毎年予算の決定に先立ちまして国防会議で御審議いただきましてこれを予算の上に乗せていただくという形になりますので、計画の大綱の中に、いま申されました主要装備品が何両とか何隻とかいう形で入っているものではございません。
  159. 岩間正男

    ○岩間正男君 従来との比較ですね、ですからポスト四次防では正面装備がどうなっているかということをお聞きしておるんですよね。で、量的にふえるのかふえないのか、現状維持なのか、そこのところをまず明らかにしてもらいたい。それから、質的にはどうなのか。まあ質的な強化があるということはいま答弁があったと思います。これはいいとして、それからさらに、この正面装備の場合には陸海空それぞれふえるのか減るのか、現状維持なのか、この点お聞きしているんですから。その前後のことは私たちも了承しておるんで、そこのところ答えてください、具体的に。
  160. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 量的に申しますと、全くふえないというわけではございませんけれども、おおむね現状でございます。おおむね現状でございますと申し上げるのは、あるたとえば航空機のようなものにつきましては、現在の計画に基づきますと、いま持っているものよりも多少減るというところもあるわけでございまして、量的にはほとんどふえない、質的な向上を考えているというのが実情でございます。
  161. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは全貌がもっと細目別に発表されないとわからないわけですけれども、まあふえないんだと、しかし、あるところはふえるところも出てくると、こういうような御答弁なんですけれども、この点については大体どういう構想なのか。いま概略は聞きました、全くふえないというのではないがおおむね現状維持だと、こういうことなんで、非常に抽象的なんですね。もう少しこれは具体的に陸海空にわたって聞いているんです。陸ではどうなのか、空ではどうなのか、海じゃどうなのか、これはどういうふうに考えていますか、三つ。
  162. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 今度の防衛計画の大綱でお示しいただきます基幹部隊の数その他につきましては現状と変わりがございません。ただ、前前から私どもが検討いたしまして必要であるということでお願いしてまいりました、たとえば、いわゆる早期警戒機能のようなもの、そういったものは多少ふえると申し上げました分野でございます。
  163. 岩間正男

    ○岩間正男君 じゃ具体的にこっちがお聞きしましょう。  四次防までの装備では、たとえば海では艦対艦ミサイル艦というようなのはなかったんです。ところがポスト四次防ではこの艦対艦ミサイル、SSMですか、の搭載艦を建造する計画を持っているんではないですか、これは何隻計画として持っておられますか。
  164. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 艦対艦のミサイルといいますのは、最近の兵器の近代化に伴いまして、水上打撃力の面ということでこの必要性は前から考えられていたわけでございます。したがいまして、質の向上の中でこの艦対艦のミサイルを装備した艦艇を今後建造してまいりたいと思っておりますが、いま具体的になっておりますのは、五十二年度、ただいまの概算要求に出しております護衛艦の二隻につきましては艦対艦のミサイルを搭載する計画でございます。したがいまして、一般的に申し上げますと、今後の護衛艦を建造する場合には、必要な艦艇につきましては、艦対艦のミサイルを搭載することになろうと思います。
  165. 岩間正男

    ○岩間正男君 だから、装備の進歩によって、それに即応するというような形で実際はこれはふえる、そういうことが今度出てくるわけですね。だから一般論で、全くふえないというものではないがおおむね現状だというようなことで、これは抽象的に答弁されていますが、具体的に調べるとそういうものが出てくる。  さらに、ナイキやホークはポスト四次防の中でさらにふやしていくというようなことはないんですか。
  166. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) ナイキ、ホークの防空ミサイルにつきましては、量的にふえるということはございません。
  167. 岩間正男

    ○岩間正男君 それではその次ですが、PXLの場合ですね、これはポスト四次防で装備することになっているんじゃないですか、どうですか。
  168. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いま先生がおっしゃいましたPXLにつきましては、御承知のように現在対潜哨戒機の部隊を十六個隊持っております。この勢力を維持していく考えでございますが、その中のP2Jというのが間もなく除籍になってまいります。それを補うためにつくるのがPXLでございまして、それは量的にふえるというものではございません。
  169. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはPXLの構想というやつが具体的になっていないので、この辺の比較検討はちょっとできないのですけれども、これももう少しこの作業が進展した中でお聞きしたいと思います。  防衛庁の基盤的防衛力構想では、あたかも必要最小限の自衛力でがまんするかのような印象を受けるわけですが、また艦船とか戦闘機などの正面装備はこれ以上強化しないかのような印象を受けるわけですが、実際には量の上でも、特に質の上では著しい変化が行われる、こういうことは言えるわけですね。ことにPXLの場合をとってみても明白だと思う、いかがですか。
  170. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いわゆるこの装備品というのは、相手に対抗できるものでなければならないわけでございます。したがいまして、P2Jが減耗してまいりますのに対応いたしまして、PXLを考えますときには、現在の潜水艦の能力その他を考慮しまして性能の高いものを選ぶということでございまして、質的な向上というのはそういう意味でございます。
  171. 岩間正男

    ○岩間正男君 結局いまのやつは、装備の量といっても、それはもう防衛力そのものじゃないですね、これはたとえばP2JをP3Cに仮にしたとする、そうすれば非常に能力は違ってくるわけですから、同じ数でも実際は非常に戦闘力を持つ、こういうことになるわけです。だから、ここのところは非常にくらまされておるように思う、それだけ見ていると。数は同じだから、それを代替したからいいんだ、こういうことでは議論は成り立たないと思うんです。だから、ポスト四次防の目玉兵器だけ見ても、これはFX、それからPXL、それからAEW、それに艦艇の近代化で予定されているもの、これだけでもポスト四次防では必要最小限の自衛力などというようなものではないのではないか、予算的に見てもこれは相当莫大なものになるんじゃないですか。この点がどうもはっきりさせていないんですけれども、この点をもっと明らかにする必要があると考えます。
  172. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) ポスト四次防の中で新しい装備品が入ってくるというのは、これは先ほど来申し上げておりますように、軍事技術の向上に対応するものでございまして、いま先生がおっしゃいましたP2Jという飛行機も、実はそのP2Vにかわる飛行機として三次防の期間にこれは整備したわけでございまして、同じようなことは、当然今後の防衛計画の大綱の方針に従いまして、更新、近代化をしていくことになるわけでございます。なお、大綱の中には、防衛費につきましては、いわゆる財政経済事情に従って適正な防営費でこれを装備し運用するということが書かれてございますので、その方針に従いまして必要なものを最小限装備してまいるという考え方でございます。
  173. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは予算的に検討すればわかるんです。ポスト四次防、これは単年度のローリング方式をとるらしいけれども、五カ年の計画にするとこれは十兆円を超えるんじゃないですか、これはもう明らかに十兆円を超えると思います。また、事実陸海空の三幕僚監部がポスト四次防といってまとめた要求案、これを見ますと、十二兆六千億円、こうなっていると思うんです。予算の上から見てもポスト四次防で自衛隊は著しく強化されていく。ですから、数の問題でこの問題をはぐらかしちゃまずいんじゃないか。実際は、先ほど私が申しましたように戦闘力の増強にはなっている、こういうことは確認していいわけですね。それから予算の点どうですか、いま私が数字を挙げましたけれども
  174. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いわゆる五カ年計画というのは策定いたしておりませんので、その予算の規模がどのくらいになるかということは申し上げられませんけれども、予算のふえるというのは、これは毎年度の国家の予算もふえておるわけでございます。仮に人件費にいたしましても十数%ずつ上がっていけば、これは五年たちますと二倍になるわけでございますから、そういった意味で物価の値上がり、あるいは人件費の値上がり、さらには、いま申し上げましたように新しい要求にとたえるべき装備品ということでございますから、予算の伸びというものは、これは当然あろうかと思います。しかしながら、それが経済、財政事情問題を圧迫しないという範囲にとどまるということは従来と何ら変わりがないものだと私どもは理解しておるわけでございます。
  175. 岩間正男

    ○岩間正男君 当然増は、これはまあ物価の変動でそれは計算されますけれども、それだけじゃないでしょう、能力が非常にこれは質的に変化をするんだから。だから、数は変わりはなくとも結局はこれは防衛力が膨張する、こういう事態になると思うんですね。だから、この点がとにかく量では変化がないんだという言い方は非常に単純だし、それから国民にはいかにもそのように聞こえるけれども、実質的には防衛力そのもので見ていきますとそうはなっていかないのではないか。予算もこれはどうしても増強せざるを得ないと、その増強したのを国民の目から実際は隠すような役割りを果たしているんですね。だから、量的には正面装備は増強しないんだと言っても、具体的にお聞きをしてみますとそういうことになる。  次に、ポスト四次防で防衛庁が強調している後方支援とか、抗たん性という点についてお伺いしたい。これは具体的にはどういうことを指しているのか。いわゆるバランスのとれた防衛力ということで四次防までで欠けているというのは、具体的にはどういうことですか。
  176. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いま御説明いたしましたが、正面の問題といたしましては、早期警戒機能というようなのは欠けていると思います。これは正面の問題でございますが、後方支援の問題となりますと、まあ弾薬の問題もございますし、また各種の施設の問題もございます。それから、レーダーサイトの防護の問題もございます。航空基地の滑走路、それから弾薬庫等の抗たん性といった問題もあるわけでございます。したがいまして、後方支援体制の強化ということは、正面とバランスがとれておりまして、そして安定的に防衛力を発揮できるような内容のものにするということでございます。で、これは坂田長官もたびたび御発言になっておられますように、従来はこの正面の増強ということに非常に一生懸命になってきたために、そういった意味の安定的に防衛力を発揮できるという体制が必ずしも十分でなかったという反省が一つでございます。したがいまして、いま申し上げましたような機能を整備することによって、小さくても十分に実力を発揮できるというような防衛力をつくり上げていきたいというものでございます。
  177. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあバランスがとれないと、後方で欠けていると、抗たん性も欠けていると、こういうような問題では、早期警戒管制機、対潜探知機能、それから統合自衛骨幹通信回線、こういうものも欠けている点だ、こういうことらしいのですが、そう考えてよろしいんですか。
  178. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 欠けている中の主なものというふうに御理解いただいて結構だと思います。
  179. 岩間正男

    ○岩間正男君 そこでお聞きしますが、ガイラー米太平洋軍司令官は、去る七月十一日に朝日新聞記者との会見で、日本が空海の防衛能力、特に対潜能力の改善を重視しているのは当然だとして、対空防衛のためには空中早期警戒管制機、高度の行動ができる戦闘機、対空ミサイル、均衡のとれた指揮管制機構への統一などが重要だ。また日本から適切な海域内の海洋哨戒能力、水上、特に潜水艦の探知能力、水上、水中艦艇への対抗能力などだ。さらに、このためには対潜能力を持った航空機による洋上パトロール、潜水艦の音響探知のための手段、ホーミング魚雷のような水上、水中艦艇攻撃に有効な兵器を備える必要があるだろう。こういうふうにこれは述べているわけですね。そして、これらは日本の安全と米国との協力にとって必要だと、こう述べているわけです。  これは、アメリカ極東戦略上、日本をそれに組み込んでいく場合の自衛隊に対する要求ではないかと思います。そしてポスト四次防は、早期警戒機の装備といい、PXL、FXといい、さらに艦対艦ミサイルや統合自衛通信回線及び統合指揮所建設といい、海峡の監視、つまり対潜探知能力の強化といい、すべて米側の要求に沿って整備されているのが現状じゃないですか。ポスト四次防は、言いかえれば米極東戦略の不十分な部分を自衛隊によって補強する、こういう性格を持っているものと考えられますが、この点、防衛庁長官いかがですか。
  180. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) これは繰り返して申し上げておるように、昨年の八月の二十九日に、前のアメリカの国防長官シュレジンジャーと私と会談をいたしました際に、私が一次防から現在まで日本防衛のために必要な防衛計画がどのように進んできたか、どういう点が不足をしておるかということにつきまして説明をいたしました。しかも、日本の安全にとっては空、それから海、これは島国であるし、日本の存立のよって立つところが海外からの資源の多くを輸入し、これを加工し、これを輸出し、そしてそれによって今日の生活水準を向上させておるということから、当然の結果として日本の独立と安全を守るためには、日本国民の生存と自由を守るためには、どうしても対潜能力を高めなければならない。それにはかくかくかようなことが必要であると考える。また空についても、いま不足しておるのは、やはり低空侵入等に対する機能、これが欠けておると思う。これを、これから財政状況とにらみ合わせながら着実に防衛努力を高めていきたいと思うということを私から申し上げました。日本の国の防衛庁長官としての責任において私から申し上げましたことに対しまして、きわめて適切なお考えであるというふうに彼は同意をいたしました。そういうことでおわかりいただけると思います。
  181. 岩間正男

    ○岩間正男君 解釈の仕方はいろいろあるし、問題は解釈の問題じゃなくて事実の問題だと思うんです。私は、この前の、二カほどになりますか、三カ月ほどだったか、当委員会で米対潜戦略の柱をなしている三つのバリアの問題をここで質問しました。その中で、固定聴音機の群列が自衛隊の補完によって成り立っていることを指摘したわけです。これは同時に、安保条約の五条から考えても、実際は安保そのものにも抵触する問題だということも同時に指摘したわけです。つまり、緊急急迫のそのような攻撃がない、そういう時代の中で、すでにもうアメリカの太平洋戦略の中にはっきりこれは日本が組み込まれている。そうしてしかも、一番重要な第一線のこのバリア、その中で最も中核をなすところの固定聴音機の群列が、これは日本の海峡、三つの海峡をあのとき指摘したわけでありますが、宗谷、津軽、それから対馬、この海峡にはすでにもうこれは設置されているんですね。しかもそこには陸上局がある。陸上局があるということは、これはなかなか明らかにしなかった。この前この質問をしたら、後ろの方で官房長が言うな言うなと言っていた、どこにあるか。これもおかしいんだ。自分で言い出してから言うな言うなと、言い出した当人がびっくりして、そしてああしまったというような顔をした。そういう形や、実は秘密のうちにアメリカの太平洋対潜戦略の中にちゃんとこれは編入されている、機能を果たしている。そこでとった情報はこれはもう米軍にほとんど通知されている。全部そのまま渡っている。そういう役割りを果たしています。しかし、単に米戦略の補完は決してこの固定聴音機の群列だけではない、海空の自衛隊そのものも、この補完になるよう強化されていこうとしている点が問題だと思います。  そこで、私は以前指摘した固定聴音機の群列の問題に戻りますが、この聴音機によって得た情報が当然米側に提供されている、こういうことが答弁にあったわけです。これはどのような形で実際は提供されているのか。日米間には年に二回情報連絡会議というものが持たれているはずですが、これ以外に制服同士の間で日常的に情報交換をやっているんではないか。やっているとすれば、それはどこでどのようなクラスの制服の間で、どのくらいの頻度でやられていくのか、ここを具体的にお聞きしたいと思います。
  182. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) まずもって私からお答えをして、そのほかのことについては防衛局長からお答え申し上げたいと思いますが、日本列島周辺のいわば三海峡、津軽、対島、宗谷、これが日本の国防上、日本民族を守るためにこの防備を固めておくということは当然なことだというふうに思うわけでございまして、それらに対しまして、私どもでき得る限りの努力をするということでなければならないというふうに思います。一方、潜在的脅威といたしまして、日本海における最近の潜在的脅威の高まりというそのはかなり高いものがございまして、そういうようなことにつきましてもわれわれは注目を怠ってはならないというふうに考えておる次第でございます。
  183. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いま情報交換のお話が出ましたが、日米間では必要な情報交換は行っております。そして、情報連絡会議というのを毎年陸海空がそれぞれのカウンターパートと一年に一回実施いたしております。そのほか、陸上自衛隊、統幕及び陸海空幕僚監部は、在日米軍のカウンターパートと随時必要なときに情報の交換をしているというのが実態でございます。
  184. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は、長官の御答弁あったんですが、これは主観的にいろいろこれをどう説明するかということじゃなくて事実はどうかと聞いているんです。ことに、安保との関係で私が特に言っているのは、安保条約そのものにもこれは違反した形で実は日米共同体制が行われている、その事実を指摘したんです。これはどう言ったって、この安保そのものを持ってきたって成り立たぬですよ、実際は。  それからもう一つは、いまの情報交換の問題。そこで聞きますが、日米制服同士の情報連絡は、陸の場合、たとえば座間の在日米陸軍GZと陸幕二部との間の情報連絡が日常的にやられていることは明らかになっている。これは二部別班問題でわが党の上田、中路委員質疑をしました。これで明らかになった問題ですが、陸の場合はそうですけれども、海空では一体どのような形でこれはやられているのかお聞きしたいと思います。
  185. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いま申されましたように、陸幕の二部は在日米軍司令部のG2と情報交換を随時やっております。海幕は調査部というのがございまして、ここが情報を担当いたしおりまして、やはり在日米軍海軍司令部の情報幕僚、N2と称しておりますが、そこと交換をしたり、あるいは在日米大使館付の海軍武官等と交換をいたしております。空幕防衛部の中に調査課がございますが、この防衛部は、やはり第五空軍司令部の情報幕僚あるいは在日米大使館の空軍武官等と情報を交換をいたしております。
  186. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間も余りありませんから、それじゃ次の問題をお聞きしますが、これは別の問題ですが、十月十六日の新聞報道によりますと、十月十四日付アメリカの夕刊ワシントン・スターの報じたこととして、防衛庁の幹部がアメリカへ視察に行ったとき、ラスベガスのギャンブル場、ディズニーランド、競技場など、防衛問題とは無関係の施設や公園に何度も招待され大名視察旅行をしたということが報ぜられておるわけですが、これは事実ですか。事実だとすれば、これは招待した人はだれなのか、だれが招待したのか。
  187. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) 先生御指摘の十月十四日付ワシントン・スター紙が、米国民の税金を使って非常にはでな接待を米国軍部が外国の高級幹部に対してやっておるんじゃないかという報道が出ましたことは間違いございません。この中で、日本の場合に退役近い高級軍人が一人あるというような報道がされておりますが、従来から、米国軍から各幕の幕僚長あるいは統幕の議長がその任期中に大体一遍ぐらいの招待を受けておるようでございます。この記事に出ております、ことし、ちょうど六月下旬から七月上旬に、この十月十五日に退役されました前の角田空幕長が米国空軍の参謀長からの招聘で視察に行っておりました。その日程を見てみたわけでございますが、またそれ以外に統幕議長が最近カナダの方にも招待され、あるいは海上幕僚長が、これは向こうのセミナーの講師として招待されてことしの六月の中ごろに行ったという事例もあります。いずれもその日程を見ますと、大体二週間程度で非常に詰まった日程でございまして、それぞれ米国軍の方から一応の日程を組んでくれたその日程に合わせまして主要な施設の視察をしておりまして、私たちの方から見ますと、非常にじみなものであったろうと思います。この角田氏の場合に、たまたま米空軍の非常に重要な施設がございますけれども、その戦術兵器センターというのがたまたまラスベガス市にあったということで、そのセンターを見に行ったときにラスベガスに泊ったという事実はございます。あるいはこの角田氏の場合は、最後にアメリカをたちますときにサンフランシスコで泊まったわけでございますが、これが土曜、日曜ですから、まあせっかく来たんだからというので近くのディズニーランドに日曜日に一日訪れたという例はございます。あとの海幕長あるいは統幕議長などはそういう余裕は毛頭ございませんで、非常に詰まった日程でございましたが、決して新聞報道で言っておりますような、たとえばアラブの石油成金国の王子が、牛や馬の方が好きだから競馬場を見に行ったとかいうような、そんな非常にはでな日程では毛頭ございません。十分な必要な施設を見に行ったということ、たまに日曜日に近くにあったからディズニーランドに行ったと。ちょうどわれわれの方が招待しますと、京都をたまには日曜日に日程に組むようなこともございますけれどもアメリカには余り京都のようなところがないんでディズニーランドへ行ったというようなこともあったかもしれませんけれども、十分に各幕にこの報道を知らせまして、今後も指摘されるようなことがあってはならないように十分に自重するように戒めておりますが、実態はそういったものでございます。
  188. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは調査したんですか、調査した上での御答弁ですか、したかしないか。
  189. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) はい。行きました各人から日程その他を聞きまして調査いたしました。
  190. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、報道では過去何年にもわたって招待を受け、高級ホテルやカジノでぜいたくな供応も受けたというようなことのようですが、過去にわたってもこれは調査しましたか。
  191. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) 先ほど言いましたように、米国軍部から招待という形で高級幹部が行きますのは、先ほど申しましたように各幕僚長、統幕議長、このポストにある幹部でございまして、それが大体その任期中に一回は行くようになっております。過去の例、その件数はわかっておりますけれども、その都度どこどこへどう回ったというところまでは調べておりません。とりあえず本年行きました三人について調べたわけでございます。
  192. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは過去にわたってやはり調べる必要があるんじゃないか。それから、この金はどこから出ているのか、一体。これは御承知のように、ロッキード問題が起こってから米国における産軍の癒着問題というのは非常に大きな問題なんです。米議会でも、これはわざわざ調査委員会まで設けてこの問題が大きな問題になっている。日本でも問題になっていますが、さらにこれは輪をかけたような形で問題になっている。そういう中で、必ずこれは軍の背後には軍需会社が絡んでいる。それだから、実際はこの金が果たして軍が出しているのかどうかというのはわからないわけだ。こういう問題について、どうです。金額なんか調べましたか、過去は調べない、今度のやつは調べた。しかし、これは過去をまず調べなければならぬ。それから、金額はどうだったのか、この金の出どころはどうなのか、これについて調べる用意がありますか、どうですか。
  193. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) これは米国軍部の招待でございますので、その金の出所あるいは向こうが使いました金額の詳細、そういうものは一切私の方ではわかっておりません。また、過去を調べても、これはわからないんじゃなかろうか、このように思います。
  194. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはどうですか長官、やっぱり軍の非常にいま綱紀の問題が問われているところです、ロッキードの中で。そういう中で、実際このような招待というものは、私はこれは受けるべきではないんじゃないか、こう思いますがね。しかも、米国の招待と言っていますけれども、自衛隊の幹部がギャンブル場や高級ホテルで供応を受ける、こういうことは非常に問題じゃないかと思うんです。だから、当然これについてのはっきりした防衛庁としての方針を持つことが、今度のロッキード問題が今国会の最大の課題になっている、そして日本の金権とのつながりというものが、ことにこれは兵器輸出、ロッキード社によって大きな問題になっているやさきですから、これに対して基準をはっきり持つべきだ。そのためには調査をしなくちゃならない。過去の調査、それから金額についてもやっぱりただす必要がある。それから、これについてはっきりした方針を明確にして、そして自隊衛としての国民の前に説明できるような、そういう態勢をとる必要があるんじゃないかというふうに思いますが、これは長官のこれに対する見解を最後に伺いたいと思います。
  195. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) わが国の幹部自衛官が各国の招待を受けまして、軍事的な調査あるいは事情等を見ますことは、わが国の安全を守る責任者としまして非常に必要なことだと思います。したがいまして、やはりこれは今後も続けたいと考えております。しかし、その間にありまして、御指摘のような余りにもはでな供応その他があっては断じてならぬわけでございます。しかし、私が着任いたしましてから、いろいろ調査をして帰ってきた報告を受けますと、きわめてわが自衛隊の幹部諸君はつつましやかでございまして、先生御心配のようなことは断じてないというふうに私は確信をいたしております。特にロッキード問題が起こりましてからは、その点について私は厳しい気持ちを持っておりますので、これらの幹部の人たちが出かけますときに、特にアメリカに参ります場合においては、厳重な自粛の要望もいたしておるわけでございまして、そういうことが一切ないというふうに思っております。
  196. 岩間正男

    ○岩間正男君 最後に一言。  つつましやかだということですが、ギャンブル場とか、高級ホテルでサービス受けるのはつつましくないですね。そういうことが指摘されて問題になっておりますから、これについてはやっぱり調査をはっきりして、だれも報告書に書きませんよ、ギャンブル場に行っていろいろそういう何をやったというようなことは、これは書きませんよ。だから長官の耳に入らないです。しかし、ここのところをやっぱり厳粛に調べる必要があると思うんです。それから、これは方針としてやっぱり明確にする必要がある。それから、過去にさかのぼって調査をする必要があるんですから、その調査の結果については報告をいただきたいと思うんですが、よろしゅうございますか。
  197. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) 先生はえらい何かラスベガスで遊んだようなことをそのまま受け取っておられるようでございますが、そういうことは調べた結果ないということでございますから。ただ、ラスベガスの付近にありまする空軍のを見ましたわけでございまして、それを見るためにはホテルに泊まらなければならない。泊まるにはやっぱりラスベガスへ泊まったというだけのことでございまして、それも非常に、何かいろいろ言われるようなはでではないということは調べた結果わかっておるわけでございますから、私ども報告というものを御信頼いただきたいというふうに思います。
  198. 岩間正男

    ○岩間正男君 これだけ報道されているんですからね、これについていまのような答弁だけでは納得しかねます。それから、過去にさかのぼっての調査の結果はこれは報告してもらいたい、いいですか。時間ないからそれだけにします、その報告の問題だけでいいです。
  199. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) ことし行きました者につきましては、泊まりましたホテルも全部調べております。しかし、過去にわたりましては、やめた方もおられますからそんな詳細に調べられるかどうか、資料を出せるまで調べられるかどうかちょっと自信ございませんので確答を避けたいと思います。     —————————————
  200. 中山太郎

    委員長中山太郎君) 続いて国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  201. 野田哲

    ○野田哲君 総務長官に、きょうは元号の問題について政府の考え方を伺いたいと思うのですが、元号問題と関連をして、まず総務長官にお聞きをしたいと思うのですが、私どもの耳にもちらちら入ってくるんでありますけれども、天皇もかなり高齢に達しておられる、こういうことで、内々摂政を置くという協議が部内で行われているというやに伺っているんですが、そういう検討をされておりますか。
  202. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) 摂政を置く協議はというお話でございますが、私ども全然そういうことはまだ耳にいたしておりません。
  203. 野田哲

    ○野田哲君 十一月十日に天皇在位五十年の記念式典を政府は予定されておるわけですが、それを機会にそのことについても検討をされているやに聞いておるんですが、総務長官のところでは、まだそのような検討はないということですか。
  204. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) そのとおりでございます。
  205. 野田哲

    ○野田哲君 元号の問題について伺いたいと思うんですが、最近、元号の問題の報告が頻繁に行われておるわけでありますが、政府の方では、近々公式制度連絡調査会議を開いて元号の存続について閣議決定に基づく内閣の告示、こういう手続によってこれを行っていく、こういう報道等もあるわけでありますが、そういう運びで進めておられるわけですか、この点いかがですか。
  206. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) いずれこの問題につきましては、ただいま御指摘の公式制度連絡調査会議、ここにかけて意向をまとめて閣議ということになろうかと思います。ところでこの公式制度連絡調査会議、先生から委員会で前植木長官にお話もあった、そういう関係もあるのでございましょう、ことしの七月に会合が持たれたようでございます。ございまするけれども、まだ最終決定というところまでまとまっていないようでございまして、閣議にいずれかけなきゃいかぬと思っておりまするけれども、それまでにはまだ何回か、私になりましてからまだかけておりませんが、何回か会合を持って詰めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  207. 野田哲

    ○野田哲君 西村長官の代になってまだ公式制度連絡調査会議にかけておられないという御説明でありますけれども、基本方針としては、総理も関係の場で答えているという経過もあるし、前の長官の植木総務長官も存続という方針を答えておられるわけですが、基本的な考え方としては、内閣告示という手続で元号制度を存続をしていくと、こういう方針をもってこれから必要な会議等に諮っていくと、こういうことなんですか。
  208. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) この元号制度、まあ私どもこれは長い間国民の中に溶け込んで、もうすっかり定着しております。これはやはり今後も存続さすべき制度だというふうに、私自身は実は考えておるわけでございます。  それから、公式制度連絡調査会議、先ほどちょっと申し上げましたのをちょっと訂正させていただきますが、実はこの七月に持ちましたと申しましたのは、これは非公式な会合だそうでございまして、持ったことは持ったんですけれども正式なものではないそうでございます。非公式ですけれども、一部の人が集まってこの会はやったそうで、これだけちょっと訂正さしていただきますが、方向といたしましては、私どもはこれは存続さすべきものだというふうに考えております。もちろん内閣で正式に決まっているわけではありません。私自身としてはそう考えておるという意味でございます。
  209. 野田哲

    ○野田哲君 まだ具体的には、公式制度連絡調査会議なりあるいは閣議に諮っていないと、こういうことであったわけですけれども、これは西村長官、この手続がいつ必要かということは予測できないことなんですね、予測できないことなんです。そこで、いま政府が考えておられる内閣告示によって存続をさしていく、こういう考え方に基づく改元手続の時期とか、あるいは手順というものについてどういうふうに考えておられるのか、これを伺いたいと思うんです。  具体的に私の方からお聞きいたしますけれども、これはこういうことなんですか。まず第一に、ある時期に元号制度というものを存続をするという告示をする。そして必要に迫られたときに、次はどういう、名称といいますか呼称といいますか、この名称を必要迫ったときに告示する、その間にこの名称を決めるための必要な、どう言うのでしょうか、学識経験者等に候補名を選考してもらう、こういう手順になるんですか。何かほかに具体的な手順を考えておられるんですか、そこのところを伺いたいと思います。
  210. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) 時期はまだいつということをここで明確に申し上げる段階に至っておりませんけれども、大体方向としましてはおっしゃいますように、適当な時期に、なるべく遅くない時期がよかろうかと思いまするけれども、適当な時期に元号制度を存続するための基本的な大綱ですね、これを内閣告示をする、そうして、それで大体方向づけを決めておきまして、それでいまお話のありましたような、もし万一のいよいよ必要だというときには適当な学識経験者、前には枢密院の顧問官ですか、枢密顧問官に諮問してということがありましたけれども、いまそういう制度ございませんから、それにかわるような、何か学識経験者に御相談をして、そちらの方でどういう元号がこの次には適当かというような案をつくっていただいて、それを内閣で決定をする、そして内閣告示をするということになろうかと思います。
  211. 野田哲

    ○野田哲君 今度、いま説明のあったような手順によって必要な時期に告示をすると、こういうことであるようでありますけれども、この考え方というのは、旧憲法下では皇室典範、それから登極令、これに定めてあった一世一元、こういう制度があったわけですが、この根拠となった旧皇室典範、登極令はいま消滅をしておりますが、やはり旧憲法下の皇室典範なり登極令に定めてあった一世一元という考え方を踏襲をする、こういう考え方に立っているのですか。具体的に言えば、ある時期に政府が告示をするものについては、昭和が終わったから次はこういう元号を使うという、その時点だけのものを考えておられるのか、それとも将来ずっと続いていく、何代も何代も続いていく、こういう恒久的な制度として考えておられるのか、この点はいかがですか。
  212. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) この問題もまだ最終的に決定しておるわけでございませんので、ここで断定的に申し上げるわけにはまいりませんけれども、私の考えといたしましては、また私の考えだけでなくて、今日まで公式制度連絡調査会議の会議の模様などを聞いてみましても、昭和の後の次の元号だけでなくて、今後長く、いつまでかそれはわかりませんですけれども、当分の間、これはこういう制度として存続さすべきではないかと。一世一元ということはもう明治以来、国民の間にすっかり定着しておる事実である慣習になっておるわけでございまするので、法的な根拠はありませんけれども、それにかわるものとして内閣告示によってそれを内外に宣示する、そういう方向でどうだろうかというふうに考えておる次第でございます。
  213. 野田哲

    ○野田哲君 長官は、この元号制度について国民がなじんでいる制度だと、こういう説明があったわけですけれども、総理府——政府の方で唯一の根拠にしているのは、いつか、何人かを抽出調査をして意見の聴取をした、その数字が、昭和ということになじんでいるかどうか、あるいは日常大正とか明治とか昭和、こういうあれを使っておりますか、こういうようなことで調査をされておるわけですが、これはそういうあなたは手紙とかいろいろな日常に昭和を使っておりますかと言われれば、昭和を使っておりますと言うのは、これはあたりまえなんですよ。明治を使っておりますかと言えば、明治を使っていると言うのはあたりまえなんですよ。区役所へ行ったり、市役所へ行ったりしても、届け出用紙なんかは初めからもう明治、大正、昭和という名称が刷り込んであるわけで、それによって届けをせざるを得ないようになっているんだし、昭和二十年まではこれ以外は使うことを禁じられておったわけですから、これはそういうことでこれを使っているのはあたりまえなんです。だからそれをもって、わずかあれは三千人か——違いますか、いずれにしても大した数じゃないんですよ、これは。それをもって国民がなじんでいるというようなことは、私はこれは政府の一人よがりだと思うんです。問題は、内閣告示でこの制度をずっと続けていく、こういうやり方に対して国民にどういうコンセンサスを求めていくか、これがなければならないと思うんです。私は、これは政府が考えているほど国民はこの制度を存続させることを望んではいないと思うんです。  そこで、続いて伺いますけれども、政府が元号制度を内閣告示によって存続さしていく、こういう考え方に立っていく場合に、まず宮内庁の方へお聞きしたいんですが、古い廃止された皇室典範あるいは登極令、これによると一世一元という調度が制度化されていたわけですね、皇室典範なり、あるいは登極令によって。同時に、旧制度においては定めたその元号がそのまま明治天皇、大正天皇という形で、元号が天皇の贈り名になっておりますね。そこで、現在昭和という年号が使われておりますけれども、現在の天皇が——少し質問が失礼な面にわたりますけれども、制度上これは仕方がないと思うのですが、現在の天皇がお亡くなりになった場合には、やはり従前の例によって天皇の贈り名というのは昭和天皇ということになるわけですか、この点はどうなんでしょうか。
  214. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) ただいま贈り名につきまして現天皇の御不例があった場合という御設例でお尋ねがございましたが、贈り名、これまた一名追号とも呼んでおりますが、これはかつては法令の規定もございましたが、現在はございません。したがいまして、その追号をどういうふうにしてあれするだろうかということは一応研究をいたしております。で、これは過去の法規等の精神ということを参考にいたすことになろうと思いますが、一応の手順と申しますか、そういうことでは、新たに即位になりました天皇が定められて、その旨を告示されるということになるわけでございますが、現天皇の場合の設例を考えまするに、いま申し上げましたようによるべき法規はございません。したがいまして、過去の法令、法規等の精神をくみ、また明治天皇、大正天皇の際の先例がございますので、こうしたことを参考にいたしまして、しかしながら事柄が重要なことでございまするので、ただいまこうであろうというふうにはちょっと申し上げかねますが、   〔委員長退席、理事林ゆう君着席〕 慎重にそういうものの先例あるいは法規の精神等を参考にいたしまして検討をされるものと考えております。
  215. 野田哲

    ○野田哲君 そうすると、現在の場合は追号をどういう形で決めるかということは、根拠もないし、だから先例等を研究しながらこれから協議をすると、こういうことなんですね。
  216. 富田朝彦

    政府委員(富田朝彦君) 協議と申しますか、慎重に検討を続けてまいりたいと、こういうことでございます。
  217. 野田哲

    ○野田哲君 総務長官の方ではどういうふうにお考えになっているんですか。従来の制度のもとでは元号がそのまま追号になる、贈り名になるという制度があったわけですが、今度政府が内閣告示で決められようとしている——まあ私どもは別の意見を持っておりますが、決められようとしている元号、これは何かの元号が決まった場合に、これはそのまま従来の先例によって天皇の追号になるということをもあわせて考えた上での元号制度ということで考えておられるんですか、この点いかがですか。
  218. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) 元号の制度につきましては、この贈り名との関係を別に考えたわけではございませんけれども、いままでのしきたりが、そのまま元号が贈り名になっておることは事実でございますから、しかもこれは宮内庁といいますか、皇室の私的な問題でございまして、国事ではございませんので、私どもがそこまで立ち入って考えたり申し上げたりするのはいささか、あるいは越権かもしれませんけれども、しかし、いままでの先例からかんがみまして、結果的にはそういうことになるのではなかろうかということは考えられます。
  219. 野田哲

    ○野田哲君 私的な行為であるけれども、いままでの先例等もあるのでそういうことになるのではなかろうかと、こういうお話でありますけれども、そうすると、この追号、贈り名というのは私的なことである。しかし、元号は政府としては拘束はできないと思うんだけれども国民にこれを使わせようとしておるわけですから国民にとっては重要なことなんですが、これがいま言われたような形で皇室の私的なことにまでつながる、こういうことになるとまた角度が変わってくると思うんです。そうなると、総務長官、もし今後いつの時期か新たな元号を告示によって定められる、その名称が天皇の追号につながるということであるとすれば、元号を定めるとき、内閣告示の前には、その名称が今度使われるいまの皇太子殿下に決裁を受ける、了解を受ける、こういうことになるんですか、この点いかがですか。
  220. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) そういうことも考えられると申し上げたのでありまして、必ずなるだろうと断定するわけにはこれはまいりません。あくまで皇室内部の問題でありますから、一応今日までの先例から考えますとそういうことになるのだろうと言ってしまうのはかえっていけない。なることもある。そんな程度にしか、まあ総務長官としては申し上げられないわけでございますが、そこのところはひとつ御了承願いたいと思います。
  221. 野田哲

    ○野田哲君 しかし、これは総務長官かなり重要なことですよ、これはね。元号を国民に、まあ私に言わせれば、内閣告示によって、これを使いたくない国民にも使わせるように強制しようとしておるわけですね。強制されるという意識を持つ者も相当いると思うんです。私信なんかでは千九百何年というのを使ったにしても、区役所へ行っていろんな届け出をするとかというような場合には、これはもうやむを得ず使わされるわけです。それを政府が告示で決める。ところが、それが皇室のいま言われた私的な名称、追号にまでつながるということになれば、これは非常に重要なことなんです。しかも、追号になるということであれば、それは皇太子殿下にまで決裁を受けるか、あるいは了解を受けるか、こういうことになると一体これはどうなるんですか。
  222. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) それは全く皇室に対して強制力はない問題、全然別のことでございますので、私はただまあ最近の過去の例にかんがみて申し上げただけでありますが、皇室の方でその元号をそのまま贈り名にすることがお気に召さなければ別の贈り名をお使いになることは一向差し支えないことでございますので、摂政になられる方の同意を得てといったようなことは元号につきましては必要ないというふうに考えます。
  223. 野田哲

    ○野田哲君 まあどっちでもいいんだというようなことですけれども、結果としてそうなったときは、これはどうなんですか。かなり、皇室の私的なことと政府が告示で行う公的なことが、これはもう不可分の関係になるわけです。これはどうなんでしょうか。
  224. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) それはたびたび申し上げまするように、全く強制力も何もないわけで、皇室内部での御判断の中に、材料の中に、元号というものはそれは当然入るかもしれません。それで、これにしようじゃないかということでお気に召せばそれをお取り上げになって、お気に召さないでほかのものということであれば、御自由な立場で別な贈り名をおつけになって一向差し支えないわけでありますから、先生のおっしゃいますこと、ちょっと私、合点がいかぬのでございます。
  225. 野田哲

    ○野田哲君 これは長官ね、私はこの場限りのお答えだと思うんです。結局私はそうなると思うんです。恐らくいまの天皇の追号、これはもう昭和、これしか考えられないと思うんです。そういうことしか決められないだろうと思うんです。特に宮内庁とか皇室関係については先例というものを非常に重視されるから、結果的に私は、いま総務長官がどのようにいろいろここで答弁をされようとも、元号を決められればこれはそのまま天皇の贈り名、追号、こういう形で使われると思うんです。恐らく、政府が学識経験者等に、名称の選考について委嘱をされた学者の方々も、そのことは度外視しては考えられない、こういう立場に立つと思うんです。この点私はあいまいにできないと思うんです。この議論はここでとどめますけれども、そういう関係にあるということを私はやはり重要な検討課題として提起をしておかなければならないと思うんです。  結果的にそういうことになったとすると、この元号問題について基本的なやはり発想というものについて私どもの考え方も述べながら政府の見解を承りたいと思うんですが、国民の中に、まだ今後どういう年号を使うかということについては、それぞれ見解が違うわけでありますから、もう少し慎重に考えてもらいたいと思うんです。特にいま言われたように、国民に対しては単に年月日を表示するだけだということで事務的に国民に処理をするような手続でやられようとしておりますけれども、恐らくこれはそのままイコール天皇の追号、贈り名と、こういうことになってくると思うんです。そうして国民は、先ほどお話がありましたけれども、天皇がかわるごとに新たな年号を使わされて戸惑うことになると思うんです。これはやはり基本的な考え方というのは、天皇の贈り名、追号と結びついている、このことは、まさに天皇の統治行為そのものではないか、こういうふうに思うんです。天皇がかわるごとに、天皇の将来名称となる年号を国民にいやおうなく使わされるということは、これはまさに天皇の統治行為だと思うんです。こういうふうに、元号制度が天皇制と非常に深く、今後政府が考えていこうとする手続によっても結びついておるわけで、これは明らかに旧憲法下の天皇制と新憲法下の天皇制の違い、これを政府は受けとめていない考え方だと、まずこういうふうに指摘をせざるを得ないと思うのです。  で、この元号制度の歴史をずっと私ども勉強してみますと、中国から伝わっておる。中国、日本において時の皇帝、天皇の統治の象徴という形でこの元号が使わされている。国民はこれを使うことによって服従の意をあらわす、あるいはまた征服された属国が、いまで言う植民地が、征服している国の元号を使うことによって国としての服従の意思をあらわす、こういう歴史的な経過があると思うんです。だから、これは単に年月日を表示する符牒的なものであるということでは私はとどまらないと思うんです。この際こそ、だから新しい発想に立ってこの問題を考えるべきではないか、こういうふうに思うんですが、そういう考え方には立ちませんか、政府の方としては。
  226. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) この元号制度を存続させることが天皇の統治行為につながるといったようなお話でございましたけれども、いま私どもが考えておりまする元号制度というものは、絶対にそういうものではないのでございまして、いま旧憲法と新憲法下の相違をわきまえぬというような御指摘がありましたけれども、私どもは十分わきまえておるつもりでございまして、旧憲法下におきまする元号の制定というものは、御承知と思いまするけれども詔書によって発せられた、勅定をされておったわけです。陛下がお決めになっておったわけです。ところが、これから制定したいと思っておりまする元号制度は、これは内閣の告示によってやるわけです。そして、このことは天皇の統治行為などということには絶対につながるようなことはないわけで、天皇は新憲法下におきましてはあくまで日本国の象徴であらせられる。日本国民統治の象徴である。その象徴であらせられる陛下の御一代に元号という称号をおつけするということは、その象徴であるということと何ら抵触するものではない、だから一向に差し支えない、かように私どもは考えておるわけでございます。
  227. 野田哲

    ○野田哲君 そこのところは、残念ながらどうもすれ違いのようですね。  そこでもう一つ、事務当局の方に伺いますが、法的な面について伺いたいと思うんです。いままでの元号制度の法的根拠になっていた旧憲法下の皇室典範、それから登極令、これはそれぞれ昭和二十二年五月一日、五月二日、廃止という手続がとられていると思うんですが、そういうことで間違いありませんか。
  228. 渡部周治

    政府委員(渡部周治君) 間違いございません。
  229. 野田哲

    ○野田哲君 この元号制度のはしりになった明治元年九月八日の行政官布告というのがありますね。これはどうなっているんですか、旧皇室典範に吸収をされたんですか、どういう手続でいまどうなっているんですか。
  230. 渡部周治

    政府委員(渡部周治君) 行政官布告の効力につきましては、実は両説ございます。御説明申し上げますと、有効説といたしましては、行政官布告は明治憲法下にあっては勅令としての効力を有する独立の法令でありまして、旧皇室典範の委任に基づくものではございませんので、旧皇室典範が廃止されても効力を失うものではない。で、その内容から見ますと、国民一般に元号の使用を強制するものではございませんで、単に宣言的、告示的な意味を持っているものにすぎませんから、日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律、これは新憲法制定の際に出た法律でございますが、これの、法律を以て規定すべき事項を規定する命令には当たらない。また、天皇の一世の間は一元号とするという内容は象徴天皇制とは矛盾しませんので、現行憲法第九十八条の、憲法の条規に反する命令にも当たりませんので、効力を失効しておらないで、現在でも政令としての効力を持っているという見解が一つございます。  それから、無効説といたしましては、行政官布告は旧皇室典範第十二条と同一のことを定めておりますので、旧皇室典範制定のときにすでにこれに吸収されて失効した。仮に、旧皇室典範に吸収されなかったと見るといたしましても、行政官布告は、これと同時に出されました詔書とともに元号は天皇の勅定によるということを前提とするなどの点で、明治憲法下の天皇の性格、すなわち統治権の総攬者としての性格と密接不可分のものでございますので、現行憲法下の象徴天皇制とは両立し得ない。したがって、現行憲法九十八条の規定によりまして、その施行と同時に失効したと、こういう両説ございます。  これにつきましては、法制局に問い合わせましたところ、政府としましては現在は無効説である、現在においてはこの行政官布告は失効しておるというぐあいに判断するのが適当であるというのが公式制度連絡調査会議等における法制局の見解でございます。
  231. 野田哲

    ○野田哲君 総務長官に伺いますけれども、政府でこの年月日の表示について、一般的には昭和何年何月何日という表示を国内向けには使っている、それから外国との外交文書等については西暦を使っている、こういうことが一つの現在の年月日の表示のパターンだと思うんですけれども、国内的には政府の文書等、年月日の表示については一切ほかの年月日の表示はしていないと、こういうことですか。
  232. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) 国内における公文書においてほかの年月日の表示をやっているかどうかという御趣旨ですか。
  233. 野田哲

    ○野田哲君 ええそうです。
  234. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) 公文書には恐らく昭和の元号を例外なく使っておるはずだと思いますけれども、ちょっとそこのところは、いま急の御質問ですので、つぶさに精査してみないと言えませんが、私はそういうふうに考えております。
  235. 野田哲

    ○野田哲君 千九百何年という告示があったと思うのですが、十勝沖地震というのがありましたね、十勝沖地震のときに政府の部内に対策本部をつくられた。この対策本部の名称について、当時の官報では、千九百何年十勝沖地震災害対策本部と、こういう名称を使っておられるんですが、これは何かそこに新たな発想でも生まれたんですか、この点いかがですか。
  236. 渡部周治

    政府委員(渡部周治君) 実は突然のお尋ねでございますので、私そういうことににつきまして知識を持ち合わせておりませんが、特にこのときに西暦を用いたということは、従来の元号でやるのが適当でないという意味ではなくて、何かこういう国際的に、あるいはこの地震の名称等につきましてそういう固有名詞等があったのではないかという感じがいたしますが、これは私の現在の即断でございますので、正しいかどうかわかりません。
  237. 野田哲

    ○野田哲君 地震の名称は、あれはたしか国際的にはチリだったと思うのです。政府が告示をしておるのは、政府の部内に、あれは一九六八年ですか、十勝沖地震対策本部、こういう告示がされておるはずなんです。いま私もちょっとここで官報持っているんですが、後でお見せしますけれども、それから引き続いて、長官は郵便局のことはかなりお詳しいようですから、郵便局の消印、これはどういう表示が使われておるかは長官御存じですか。
  238. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) これもそういう御質問が出るならちょっとよく下調べをしてくるんでしたけれども、西暦を使っておるところもあります。それから、昭和何年というのはあれは、御承知のように非常に印面が小さいものですから、昭和四十年とか、昭和五十年とか、五十とか五十二というそのナンバーだけを使っておる、消印の方は。昭和の字はこれはもう当然のことということで省いてあるように思います。
  239. 野田哲

    ○野田哲君 これ長官ちょっとお見せしますけれども、いいですか。  これは私の自宅へ来たものをざっと切り抜いたんですが、最近私どものところへ来るのは料金別納が多いんで私信ぐらいしかスタンプは押してありませんけれども、ごらんになっておるように、これは西暦を使ったスタンプの方が圧倒的に多いですね、多いです。国民がふだん接する年月日の表示というのは、まず一つは郵便の日付、それから新聞も、現在では朝日新聞は西暦の方を主たる表示に使って昭和というのは括弧書きになっています。これについては特定のイデオロギーを持った団体から朝日新聞にかなり抗議が行っているそうでありますけれども、そういう状態になっているんです。  そこで、そうするとあれですか、もし政府が内閣告示によって年号を新たに定めたという場合には、この郵便局の各局で使っておるスタンプ、全部これもやりかえという考え方になるわけですか。
  240. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) この郵便局のスタンプでございますけれども、実は昭和を省いて五十一年の十月何日と、こういうのは、国内向けには大体そうなっております。国際向け、外国向けの郵便物につきましては西暦でスタンプを押しておると、大体こういう使い分けをしておるようでありますが、ただ最近は、御承知かと思いますけれども、大きな自動消印機というものがございまして、これでは国内向け、国際向け、外国向けを区別できないものですから、そういう大がかりな機械化されたところでは西暦を使っておる、これが現状だそうでございますが、そこでいまお尋ねの新しく元号を制定したときにはこれに従わせるのかというお話でございますけれども、これは別に強制力のあるものではございません。ただ、強制力はありませんけれども、行政部内はやはり内閣の告示として出しました以上これに従ってもらわなければいかぬ。あとの立法府等につきましては、政府としてこれを使うことに協力を要請するという形になるようでございます。そこで、この郵便局のこれにつきましても協力はしてもらわなきゃならないと思いますが、だからといって全部元号でやれという必要はない。今日現在でもすでにこういうことになっておるわけですから、国際向けは西暦でいって、国内向けは元号を使うということであれば大変結構だと。別に一律にこれで律してもらいたい、そういうふうな考えは持たないでいいのではないか、かように思います。
  241. 野田哲

    ○野田哲君 いま郵便局のスタンプの日付、外国向けは西暦を使って国内向けは昭和の五十一と、こういうのを使っておるという説明がありましたが、それは全然違いますよ、これは違います。そこへ切り取って張っておるだけでも——これは私の自宅へ来たのを一つの例として切り取ったんですからね、念のために総理府や長官の自宅へ最近来た郵便物を一遍見てください。間違いなく西暦を使ったスタンプを押してある方が比率としては多い。国内向けにどんどん西暦のスタンプが使われている。このことを指摘をしておきたいと思うんです。間違いありませんよ。あなたの方の説明が間違いです。  そこで長官、私は明治四十五年七月三十一日付の新聞のコピーしたものをここに持っているんですが、明治四十五年七月三十一日の新聞ですから、これはかなり貴重な資料ですけれども、大阪朝日新聞ですけれども、この新聞に「改元の影響」という記事が出ているんです。どういうことが報道されているかというと、ちょっと念のために読んでみますと、「改元の影響 今上陛下践祚と共に大正と改元あるべく治定ありたるにつき直間接に各方面に及ぼす影響少からずこの元号改称御公布と同時に一分時の猶予なく直に改正せざるべからざるは日本全国幾千箇所に及ぶ一、二、三等郵便局の消印その他諸役所の消印、収入印は更なり全国新聞紙面の年号及び各官公衙、銀行、会社、商店等の用紙類に将来の便宜を思ひて、明治の年号を刷入したる分は悉く不用に期すべく殊に銀行会社等の株券及び証券等の貴重なる貯蔵用の不用に期するものに至りては全国に亘りその数予想外の多額に登るべく当分は之らの刷り直しの為印刷業者は忙殺さるべし尚大阪郵便局に於ては逓信省よりの電命着次第一切の郵便消印面の年号を大正と改むることに決し居れりと」、こういう記事が出ているわけです。  そこで、この元号改元を内閣告示によって改元をする、こういう場合に、いま明治四十五年の場合でもこういう報道があるように、社会的、経済的に及ぼす影響というものは非常に大きいと思うんですが、この影響について予測をされておられますか。
  242. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) いま御指摘のような部門についてはまだ予測をつけておりませんけれども、しかし当然これは考えられることでございまして、印刷物その他急遽改めなきゃいかぬ、そういうような部門が数多く出てくると思われるのでありますが、そういった社会的、経済的な面への影響というものがどの程度、またどの範囲に及ぶか、こういうことは今後よく検討いたしまして、そういうことも、元号制度のあり方の結論を出します上におきまして、ひとつ参考として考えていかなきゃならないかと、かように考える次第であります。
  243. 野田哲

    ○野田哲君 先ほど郵便局のスタンプの例をお見せしたんですが、いま申し上げました明治四十五年の朝日新聞でも郵便局の日付をどうするかと、こういうことが大変話題になっているわけですが、先ほど長官は、郵便局のスタンプについては昭和と西暦と両方使っておる、これはこのまま踏襲していけばいいんだと、別に問題はないと、こうおっしゃったわけですが、問題は、いま区役所とか市町村の窓口へ行っていろんな諸届け出をやりますね。出生、死亡、婚姻あるいは印鑑届、印鑑証明、あらゆる分野の国民の日常に非常にかかわりのある届け出が行われることになるわけでありますけれども、これらには全部——明治四十五年の朝日新聞がその当時でも報道しておりますが、全部いま印刷してありますよ、小さい枠の中へ明治、大正、昭和という形で。そして必要なところだけを残してあとを消しているわけです。今度、政府の方で内閣告示によってこれを使えということになると、そういう用紙全部、今度は四種類印刷をしなければならない。いままでの備蓄をしてあるものは全部やり直しということになる。一つだけ考えてもそれだけ影響が広がるわけですよ。しかも、これは予測できない。かなりの期間置いて、いついつ天皇はお亡くなりになるから、そのとき以降はちゃんと別のこういう年号の表示を使うように印刷物等については刷り直しをして用意をしておけという予測はできないんです。これはどうされますか、具体的に。
  244. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) どうも、まあ確かにそういう影響は考えなきゃいかぬと思うわけですけれども、いま市役所等の窓口の用紙の例をお出しになったわけですけれども、これは別に改元でなくても、やっぱり刷り置いといた、あらかじめ準備しておったものを、年代がかわりますとよくゴム印などで急遽訂正したりいたしますわね、どこでもそういうことをやっておると思うんです。差し向きはそういうようなことで間に合わせてもらうといったようなことになるのではないか。どうもちょっと即答できませんけれども、そういうことで一時急場はしのげるのではないか。あといろいろ今後詰める段階におきまして、そういったことの対策も鋭意研究をしていきたいと思いますけれども、以上です。
  245. 野田哲

    ○野田哲君 内閣告示で事務的にやりたいということであれば、予測できない状態、いまのような混乱が各分野で起こるわけです。千九百何年というととであればもう予測できるわけですから、そういう社会的、経済的な問題は、ある程度は避けられないにしても、そう大きな影響を及ぼさないでも済むということもあるんです。なじむなじまないという問題がありましたけれども、これは西村長官の前の植木長官のときにも私は指摘をしたんですけれども、これはまた長官がおかわりになったので指摘をしておきますけれども、いまの小中学校、高等学校の社会の教育、歴史ですね、歴史等の教科書を一遍長官も見てくださいよ、文部省から取り寄せて。全部西暦で表示してあるんですよ、全部西暦なんです。それで括弧して安政何年とか元禄何年とか、こういうふうなのを括弧書きでつけ加えてあるんですよ。ですから、どっちがどうなじんでいるかというのは、これは長官即断できないんですよ。問題は、もうこれ以上私も申し上げませんが、一億二千万の国民にとって毎日毎日、年月日の表示というのは非常なかかわり合いを持っているんですから、内閣の部内に設置をされた公式制度連絡調査会議というごく少数の人たちと、そこが委嘱をした何人かの学者だけで、これだけ国民に大きな影響力を持つものを処理されるというのは問題がありはしないか、もっとできるだけ多くの国民のコンセンサス、合意を得るような措置がとられなければ、これは問題が残りはしないか、こういう点を私は指摘をして、この問題の質問を終わりたいと思います。
  246. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、きょうは私は国家行政組織の審査に当たりまして、特に天下りの問題についてお伺いをしたいと思います。  初めに総務長官にお伺いをいたします。特に現在起きておりますロッキード事件、これは、衆参両院に特別委員会まで設けて現在真相の解明に努力をいたしておる最中でございますけれども、私は前の総務長官のときにもお伺いをいたしましたが、今回のロッキード事件の一つの側面としまして、特にこの天下りという問題が非常に大きな弊害をもたらしているという側面があると思います。そういうような観点から、特にロッキード関係の閣僚協議会等でも特別に法律を制定してはどうかとか、あるいは行政管理庁等で、許認可の整理あるいはそういうふうな面についてもう一回見直しをする必要がある、それぞれ検討を重ねているそうでございますが、私は特にこの天下りの問題と関連をいたしまして、総務長官自身やはりこういうふうな、今回は特に運輸省を中心にいろんな事件が起きましたけれども、私はこういうふうな弊害をなくすためにやっぱり何らかの措置をとるべきである、こういうぐあいに考えております。たとえば、きょうは人事院にもおいでいただきましたが、営利企業への天下りの場合の現在の承認の実情等も検討いたしまして、たとえば営利企業への就職についてはその職場を離れてから二年間はつけないというような法律の規制もあるわけですけれども、こういうようなことも人事院としても当然私は検討を重ねていらっしゃると思います。  そこで、きょうは総務長官に初めにこの問題について、総務長官はまあ大臣就任して間もないわけでございますが、特に総理を補佐する重要な立場にあるわけでございますし、こういうふうな問題についてどういうふうに御認識をし、今後どのように処置をしようと思っていらっしゃるか、大臣の御所信のほどを初めにお伺いしておきたい。
  247. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) ロッキード事件といったような不幸な事件、こういうことを再び繰り返すことのないようにというので、まあ自民党の一員としても皆厳に自粛自戒しておるところでございますが、政府といたしましても、今後再び繰り返さないようにということで、いま御指摘のロッキード関係閣僚協議会というものをつくりまして熱心に協議検討を続けておるところでございます。さっき一、二例を引かれましたが、官民癒着、こういったことも一つの温床になっておる、そういった反省に立ちまして、許認可事項、運輸省などはもう相当な件数に上るんだそうでございますが、そういうものも今後できるだけ縮小していこう。それから、高級官僚を含めて官僚が関係企業に天下りする、こういうことについてももう少しこれをチェックと申しますか、自粛と申しますか、厳正な態度で再検討する必要があるのではないか、こういったような意見も出ております。そのほか入札制度だとか、そういうようなことにつきましてもいろいろいま議論が交わされておる最中でございまして、まとまった結論にはなっておりませんけれども、もうあらゆる面から反省、検討を加えて、こういうことを再び繰り返さないようにということで政府はいま鋭意取り組んでおる最中でございます。
  248. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは非常に私はこの許認可の問題も重要な問題でございますので、特に民間の方と癒着をして今回のような事件を起こすということは重大な問題であると思います。そのような根源を絶つためにもいろんな問題があります。そこで、きょうは天下りという問題で二、三指摘をし、今後政府の所信並びに政府の対策をただしておきたいと思います。  まず一つは、これはまあ過去何回か指摘をされたことがございますけれども、きょうは人事院が特にお見えになっておりますので、本当は総裁出席していただきたかったんですけれども都合で出席していらっしゃいませんが、一つは特に自治省関係ですね、自治省だけじゃございませんけれども、職員が天下りをいたしますね、本省から出向いたします。この出向がとにかく非常に目まぐるしくかわる。これは現在でもこういうふうな実情があるわけですか。  私の手元にある資料によりますと、たとえば昭和二十五年に入りましたAさんという人は、昭和四十一年から申し上げますと、昭和四十一年に岩手県企画部長、四十二年には公営企業金融公庫企画課長、四十三年には自治省大臣官房調査官、四十四年には近畿圏整備本部大阪事務所長、四十五年には消防庁防災救急課長というように毎年ずっとかわっているわけです、毎年ね。とにかくそれぞれ、たとえば岩手県の企画部長にしましても、企画部長なんというのは大変な役目ですよ、それが若い人がぽっと来て部長になって、一年もならないうちに次に行く、そこをまた一年もならないうちに次へ行くというように、こういう渡り鳥で次から次と、こういうようなことが現在ももしなされているとすれば−私の手元にある資料によりますと現在も同じようにそういうようなことが行われているというあれもあるんですけれども、非常に私はこういうことを許しておいていいのかどうか、こういうふうにしなければ優秀な官僚というのはできないのかどうか、私はいろんな問題があると思うんです。そういう点、あわせて御答弁願いたい。
  249. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) ただいま御指摘の、国家公務員が地方公務員に参りましていろんなポストにつくという問題につきましては、ただいま御指摘のようなものは一つの極端な例かと思いますが、自治省から各府県に出向し、そこの任務をいたしておるということは事実でございます。また、これはそれなりに意義もあることと思うわけでございますが、ただいまの御指摘のように一年ぐらいで頻々とかわるということはやや極端な例でございます。また、これは職場のいわゆる体制という意味から申しましてもいろいろと問題はございますし、その点につきまして具体的な事実は存じませんが、その御趣旨につきましては十分関係の省の方にも連絡いたしておきたいと思いますし、また、私たちといたしましては、大体公務員全体の問題といたしましていろいろの職場に各省が交流するということは政府としての一体感を保つという意味において大事なことでございますが、余りにも極端になって弊害の起こらないように、その点については十分留意してまいりたいと思います。
  250. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 こういう問題を担当しておるのはどこですか、主管は。
  251. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 総理府あるいは内閣におきまして、各省の人事交流ということはその促進を図っておるところでございます。ただ、国家公務員と地方公務員と申す問題は、ややわれわれの範囲からも外れておるところでございますが、ただいま申しましたように、やはり余りにも孤立しないように、あるいは独善的にならないように政府としての一体性を保つという意味におきまして各省間の交流ということは計画的に進めておる次第でございます。
  252. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これはやっぱり総理府がしっかりして、総理府の人事局というのは大体仕事ないんですからね。大体。大体ないんですよ。私たちいつも内閣委員会で見ていますけれども、全く仕事なくて遊んでいる、と言うとまあちょっと言い過ぎですけれども、これは私はそう思っているんです。総務長官は全然関係ないみたいな顔をして聞いていますけれども、これはちょっと考え違いでございまして、やっぱり総理府総務長官がこういうことが起きないようにぱちっと監視をし、あるいは閣議とか、そういうところでもきちっと話をしていくべきだと私は思うんです。たとえば、各省の人事交流というのは確かに大事だと思いますよ。いま私が言ったのは極端な例じゃないんです、もういっぱいあります。言いましようか、幾つもあるんですよ、これは。たとえば、もう一つ言いますと、同じく昭和二十七年に入省をしましたKさんという人は、昭和二十七年に人事院公平局審理官、昭和四十三年に自治省大臣官房調査官、四十四年に福島県人事委員会事務局長、昭和四十五年地方公務員災害補償基金調査室長と。まだ言いましようか、いっぱいあるんですよ、これ。それが一年置きなんです、全部。まあ全部とは言いません。まだほかには二年に一遍かわる人もおります。しかしながら、こういうふうなのはやはり人事の交流とはいえおかしいと私は思うんです。特に私は地方の大事な課長とか部長とか、そういうふうなところは非常に重要な役目を持ったところですから、やはりこういうふうな天下りというのは遺憾であると。こういう点については、そういうところにも総務長官がちゃんと目を光らして監視をしていく、そういう体制でなければいかぬと私は思うんですね。これは大臣どうですか。
  253. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) なかなか総理府というところは、仕事が広範多岐にわたっておりまして目が届きかねる面があるのでございますが、いまのような各省間あるいは国家公務員と地方公務員との交流の問題、ある意味におきましてはこれは非常に結構なことだと思うのでありますけれども、いま先生御指摘のような一年置きに連続して転々とするというような目に余るような事例は、私ども見ましてもちょっとこれはどうかと思われます。各省に属せざる仕事、また各省間の総合調整の仕事、これはまあ総理府のようでございますから、いま人事局長と相談しましたら、やはりこれは総理府の主管になるのでしょうなということでございます。そういうような、余りに目に余るようなことは慎しむようにひとつよく関係各省とも相談をしてみたいと思います。
  254. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ぜひとも、大変お忙しいとは思いますけれども、やっぱりポイントだけはきゅっと握っておいていただかぬといかぬと私は思うんですよ。  それから次に、天下りと同じような意味でもう一つ問題なのは、選挙も近づいてまいりましたが、高級官僚のいわゆる選挙に出馬する場合の問題ですね、これは私非常にいろんな問題があると思います。特に高級官僚の選挙出馬という問題について私は具体的に例を挙げて申し上げます。これは特に私非常に遺憾だと思っておりますのは、この高級官僚が選挙へ出ますね、そうしまして落選しますと、その人がすぐどこかの公団の理事長とか公団の総裁へぽっと行っているわけですよ、落選するとね。うまいことなっているな、うまいなあ、ああいうぐあいになるんならこれは非常にいいわけですけれどね、けれどもそれはやっぱり非常に問題がある。これは大臣、たとえば具体的に申し上げますと、昭和四十五年の四月の京都の知事選に出馬した柴田護さんは、落選するとすぐ本州四国連絡橋公団の副総裁になりましたですね。それから昭和四十三年の話ですけれども、参議院選に出て、自民党で立候補しまして落選いたしました福田繁さん、この人はすぐその後文部省の人事で国立科学博物館長。それから同じく参議院選で落選した元厚生省事務次官の牛丸さん、この方はすぐその後に厚生省の年金福祉事業団の理事長、こういうぐあいにうまいことなっているわけですわ。こんなことが逐一許されていいのかどうか。私はこういうことは非常に遺憾だと思うし、こういうようなことがたびたび許されていると、私はこの選挙というものに対する考え方、あるいは高級官僚に対する国民の目、これは非常に厳しいものがあると思います。そういうふうな意味で、こういうふうな人事という問題については、やっぱり政府としてその道義的な責任という問題から考えてみても、当然こういうふうな公的なポストというものについてはできるだけそういうようなことがないようにすべきだ、そういうぐあいに私考えるのですが、どうです。
  255. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) 公務員というものは国民全体の奉仕者である、国家公務員法にはっきり明記してございます。全体の奉仕者であるべき国家公務員、特に高級官僚が、いまおっしゃるようなことで余り国民皆さんのひんしゅくを買うといいますか、疑惑を持って見られるようなことをするということは、これはケース・バイ・ケースいろいろあろうと思いますけれども、一般論としましてはやはり自粛すべきことかと思いますので、反省すべき点は十分反省する努力をしてまいりたいと思います。
  256. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は大臣にいろいろこういうことを申し上げるのは非常に気がひけているわけです。元高級官僚でいらっしゃる大臣にこういうことを言うのは非常に遺憾と思うのですけれども、これはもう一点やっぱりあるわけです。そういうふうな問題とは別に、今度は高級官僚が直接立候補するという場合がありますね、これはもう今回の選挙でもずいぶんあります。具体的に今度は直接名前はあれですからここで申し上げませんが、これはもう五指に余るほどの人が立候補の声明をしておりますし、現実に出ております。ところが、そういう人たちが実際問題、現職中に自分の仕事に関連をして地盤を築き、後援会をつくり、あるいはもう具体的にいっぱいあるわけですね。こういうことはやはり非常に遺憾なことだと私は思うんです。現職中に貸しをつくっていて、それでやめてさあ返してもらいたい、まあ大臣はそんなことはしなかったと私は信じているわけですけれども、非常に私はこれはいかぬと思うのですね。こういうようなのは私は高級官僚の立候補の制限という問題についてもやっぱり考えざるを得なくなってくる。たとえば、国家公務員法の百三条ですか、百三条のあの民間への天下りの場合の制限と同じように何らかの措置を考えなくちゃならないという事態が発生してくるかもわからない。そういうふうな非常に大事な場面に私は来ていると思うんです。そういうような観点からも、こういう点についても私は厳に戒めなくちゃならないと思うし、また役所ぐるみの選挙なんというのは、これはやっぱり当然考えるべきだと思うんですが、こういう点についてはどういうふうに考えますか。
  257. 西村尚治

    国務大臣(西村尚治君) 今度の総選挙立候補者の中で、いまおっしゃいましたような事前運動まがいのことを在職中にやっている人があるといったような事例は私ども聞いておりませんけれども、しかし、毎回総選挙等に際しましては、国家公務員の服務規律を厳正に保つようにということで総理府の方から通達を出しておるようでございまして、公職選挙法あるいは国家公務員法に抵触することのないように、今後とも十分善処してまいらなければいかぬ、かように考えておるわけでありますが、ただいま先生御指摘の立候補制限、これは私の所管ではないと思いまするけれども、御質問ですから一応私の聞いておるところを申し上げますと、従来から、確かに高級公務員の立候補制限をすべきではないかという議論が各方面にあったことは事実でございます。ございますけれども、これは先生も御承知かと思いまするけれども、憲法の条文、四十四条ですか、「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。」としてあって、「但し、人種、信条、性別、社会的身分」、こういうものによって差別してはならない。この「社会的身分」といったようなところからしてどうも憲法の条文に抵触するおそれがある、そういうようなことで今日まで取り上げられていないように私は聞いておるのでございます。非常にこれは重大な問題でありまするけれども、またデリケートな問題でございまして、関係方面にも先生からそういう御意見の開陳がありましたことは伝えておきたいと思いますが、どうも私の立場としてはそれ以上のことをちょっとここで申し上げられませんので、あしからず御了承願いたい。
  258. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それは大臣、憲法の問題おっしゃいますけれども、憲法四十四条のその問題は、やはり私は公益という問題と比較考量すべき問題だと思うんですよ、結局は。ですから、そういうふうに考えてみますと、ただ単に全くできないということはないと私は思うんです、実際問題。これは公益を害するということになれば、やはりそういうふうな制限も加えるということを多少考えなければいけないということもあるかもわかりません。そういうような問題が大きな社会問題としてなってくれば考えざるを得ないということを私は言っているわけです。どうしてもせよと言っているわけじゃないんです。  さらに、私は人事院にお伺いしておきたいと思うんですが、もう一点だけお伺いして私時間ですから終わりますが、営利企業への就職の承認に関する年次報告書というのが人事院から毎年出されておりますね。これは実際問題、毎年出されているけれども、人事院の認定というのは非常に甘いんじゃないか、甘過ぎるんじゃないかと、私そう思っているわけです。そこで、先般の当委員会等でも申しましたように、今回のロッキード事件等も絡めまして、離職後二年間という問題、これはやはり私は検討していらっしゃると思うんですが、具体的に検討のあれは進んでいるのかどうか、あるいは今後どういうふうに処置されようとしていらっしゃるのか、今回のロッキード事件とも絡めまして、それでどういうふうにお考えなのか所信をお伺いしておきたい。
  259. 中村博

    政府委員中村博君) まさしく先生が御指摘になりましたとおりの問題意識を持ちまして総裁から下命されておるわけでございます。したがいまして、その点につきまして、私ども先ほど御提示になりました期間の問題も含めていろいろ事務的なる検討を進めておるわけでございます。これは先生百も御承知のように、現在たとえば承認によって民間企業へいわば天下りするという職員は、そのある年度をとってみますと、総体の離職者が三万数千のうち百数十でございまして、率にしますと〇・五三%というような非常に少ない数でございます。したがいまして、私どもの立場としては離職公務員のあり方のすべてというものを対象にするにはちょっと範囲が広過ぎる。先ほど総務長官からも御説明ございましたように、各般の検討の中で、現在の守備範囲をどうするかということでいろいろ検討いたしておるわけでございますが、これはもう先生十分御承知のように、百三条三項という人事院の承認にかかわらしめられておるゆえんのものは、二年間絶対禁止ということが憲法二十二条一項に違反するおそれがあるという国会での御審議の経過によって入ったものでございます。したがいまして、私どもとしましては三十八年から御報告を申し上げる制度をつくっていただきまして、それによっていろいろな御批判を承りつつ、とにかく法の精神に即したつもりで逐次改善を加えながら承認をいたしてきておるのでございます。しかし、なおいろいろな御批判が各般の面から行われておるわけでございますので、そのような点も含み、あわせて憲法の次元での問題も考え、また、離職後の公務員のあり方の中でどのような位置づけを持つべきものであるかという点を考えつつ、また、諸外国の例も参考にしながらいろいろ検討を進めておる段階でございます。
  260. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは私かわりまして地方事務官制度の問題についてちょっと御質問をいたします。  地方事務官の問題につきましては、私ども視察に参りました各地方自治体でこの問題が必ず出てまいりますが、身分は国家公務員でありながら都道府県知事の指揮監督を受ける、そういう職員であって、昭和二十二年の地方自治法附則第八条によって「当分の間」という例外的の措置によって設けられてきましたけれども、それから三十年たちました。この問題につきましては、すでに関係三大臣の申し合わせ事項を初めとしていろいろと検討を続けられてきました。しかし、いまだにこれは解決をされていない問題でございますし、今後この問題についてどのように解決をしていくのか、その所信をちょっとお伺いしたいと思います。
  261. 門田英郎

    説明員(門田英郎君) 先生ただいま御指摘ございました点でございます地方事務官の問題、先生御案内のとおり、非常に古くて三十年前からこの問題を解決しなければならないというふうに諸方面から御指摘を常に受けている、こういった問題でございます。正直に申し上げまして大変にむずかしい問題でございます。先生御指摘のように、過去三大臣覚書、あるいは関係各省の官房長レベルの会談、こういったことを通じて自治省あるいは私ども、それから地方事務官をお持ちの関係三省、こういったところが寄り寄り協議してまいったわけでございます。何分にも、何と申しますか、各省の地方行政機構のあり方の問題にも関連する問題でございます。また、現に地方事務官としてお働きの職員の方々各個人個人の身分の問題、処遇の問題、こういったことにもかかわる問題でございます。余談でございますが、その関係でそれぞれの職員団体の方でもいろいろと御意見が分かれているというふうないきさつもございまして、そういったむずかしい問題でございますが、政府の方といたしましても、この問題、何とか協議してまいらなければならないということで、昨年秋、十月でございましたか、それ以降、関係政務次官五政務次官が当時の官房副長官、海部副長官のところへ集まりまして寄り寄り協議を進めてまいられた、関係政務次官会議をお開きになって御協議になってきたわけであります。そういったことで、いろいろとむずかしい問題であることは事実なんでございますが、私ども行政管理庁の方といたしましても、内閣官房あるいは自治省、関係三省と協議いたしましてこの問題解決のために鋭意努力してまいらなければならない、こう考えている次第でございます。
  262. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 三月の十八日に会合がございましたね、関係政務次官会議ですか。これの会議で「検討すべき課題が残されており、結論を出すのは時期尚早」であると、こういう結論を出されてこの問題についての結論を見送ることを決めたということが報道されておりまして、事務局長の近藤鉄雄、当時は行管庁次官でございましたが、それまでの経緯、各省の見解、今後の検討課題を列記した意見書を官房長官に三月の二十五日ですか、提出をするということが報道されておりましたが、実際にこの意見書は提出をされたと思うのですけれども、この関係政務次官会議というものはその後も開かれてこの問題については詰めているのか、あるいはこの意見書を出されて一応打ち切りになっているのかどうか、その点ちょっとお聞きしたい。
  263. 門田英郎

    説明員(門田英郎君) お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の三月十八日でございますか、私、日にちについてははっきり記憶がございませんのでまことに申しわけございません。当時の行政管理政務次官、近藤政務次官からメモが提出されたということは私どもの方も承知しております。詳しい内容については実は承知していないのでございますけれども、この近鉄政務次官メモなるものの趣旨についてお尋ねがございました。この趣旨は、たとえば社会保険庁、これは労働省の職業安定機構の問題にも関連いたしますが、ライフサイクル構想というのがございます。この構想で社会保険制度全般にわたるナショナルシステム、これを根本的に再検討する必要があるということで指摘されている、そういった再検討、このシステム全体にわたる再検討の中で、この地方事務官問題をどう位置づけるべきかという観点、また地方事務官の方がおやりになっていらっしゃる事務というのは、いわば国の事務であると同時に、それぞれの現地性を持った末端における事務でございます。そういった意味で国と地方とその両方の事務のいわば接点に位する、そういった位置づけをすることのできる事務ではないか、国と地方のその接点に位置づけされるような事務のあり方、これを今後どういうふうに考えていく必要があるか、まあそういった大きく申し上げますと二つの観点、そのほかに国と地方との間の職員の人事交流、これの円滑化が必要であるというふうな御観点もあったかというふうに記憶しておりますが、大きく言えばそういった二つの観点からこの地方事務官問題について焦点を当てて根本的に再検討する必要があるのではないかという話題をこの近藤政務次官メモによって御提供になった。で、先ほど御説明申し上げました関係政務次官会議の場においていろいろと御議論があったやに承っております。
  264. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 後段の部分は。
  265. 門田英郎

    説明員(門田英郎君) 関係政務次官会議でございますが、私どもの方で承知している限りでございますが、先生御指摘になりました三月十八日の御会合があった後、三月の二十六日、それからさらに三月の二十九日というふうに御会合があったように聞いております。この三月二十九日の御会合の終わった後、当時の海部内閣官房副長官から官房長官の方に、各関係政務次官からこもごも御意見が出たその御意見を集約と申しますか、それぞれの御意見というものを官房長官の方に御報告になったと、私どもとしては以上のように伺っております。
  266. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その後の検討はされないんですか、それで打ち切りになったんですか。
  267. 門田英郎

    説明員(門田英郎君) 関係政務次官会議といたしましては、その後御会合になっているということはございませんようでございます。
  268. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 行管としてはその後どういうふうに進めてみえるのですか。
  269. 門田英郎

    説明員(門田英郎君) 冒頭に実はお答え申し上げました次第でございますけれども、行政管理庁といたしましても、この問題、まあ広い意味で行政改革の一環として推進していく必要があるだろう、何らかの形で解決を行う必要があるということは常々感じている次第でございます。したがいまして、大変にむずかしい問題でございますが、自治省、厚生省、運輸省、労働省、こういった関係各省並びに内閣官房、こちらの方と協議申し上げながら、この問題の解決、特にその自治省及び関係三省、四省庁の御協議というものを促進していくように見守っていかなければならない、こう考えている次第でございます。
  270. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ですから、それは趣旨はわかるのですけれども、実際にそういう会合をやっぱり続けていかなきゃならないでしょう。それをやっているんですか、どうですかというのです。
  271. 門田英郎

    説明員(門田英郎君) この問題につきまして、私ども実は冒頭に官房長レベルの会談ということをちょっと申し上げた次第でございますが、そういった官房長レベルの会談を私どもの方で場を提供いたしましてお集まり願うというふうなことは、従来から折に触れやってきている次第でございます。実は、先生ただいま御質問の新年度になりましてからそういった会合、官房長レベルの会合をやったかという御質問でございますが、それについては実はいまだ開くに至っておりません。
  272. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、実際には全然進展していないということですね。打ち切りになったと一緒ですね、これは。どうですか、その点。
  273. 門田英郎

    説明員(門田英郎君) これは先ほど御質問のございました関係政務次官会議、この関係政務次官会議で各省政務次官からいろいろお出しになられた御意見というのは、それぞれ事務の方でもある程度承知しております。そういった御意見も参考にしながら、ただいま各省において、もちろん自治省も含んで各省においていろいろと御検討という段階でございまして、また話が煮詰まってくるという段階では、それぞれのすり合わせ、検討、それを集まって協議していくべき筋合いのものと、かように考えております。
  274. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 しかし、各自治体から、何といっても行政需要がますますふえて、かつ複雑になってきておりますし、それに対応するためには責任を明確にしなきゃならない、あるいは住民の側のサイドに立って総合的に能率的に運営をしていかなきゃならない、そういう面から強く私ども要請をされているわけですね。特に国会においては、衆参両院の地方行政委員会で、ことしの三月までを目途としてこの地方事務官制度について廃止するという附帯決議を行っておりますし、三木総理も通常国会では法案を提出すると約束をしていながら法案提出されなかったという過程にあります。そういうところから見ますと、このまま放置されていきますと国会の会期末、いまいろいろと論議されましたけれども、総理の公約自体がここで実現されない、また実現しようとする努力が政府自体にないということは、大きなまた政治不信にもつながってくると思うのですが、根本的には地方自治をどう考えるかという観点もあると思いますけれども、これは何といっても地方自治体に対する不信感あるいは中央集権的ななわ張り意識、そういうものがあって、これが邪魔されているんじゃないかという私は感じもしますし、やはり何といっても住民生活に直接関係あるものについてはできるだけ地方自治体の行政に尽くしていくのが地方自治の本旨じゃないかと私どもは考えるわけです。したがいまして、この問題につきましては、いまのお話ですと何ら官房長クラスの会合も行われていないように聞きますけれども、早急にまた行管が音頭をとって、この問題についてはさらに協議を促進をして、できれば次の通常国会あたりにはこれが出せるのかどうか、その点ちょっとお聞きしたい。
  275. 門田英郎

    説明員(門田英郎君) ただいま先生御指摘のように、私どもの方といたしましても、この問題について、非常にむずかしい問題でございますが、何らかの形で合理的な結論が得られるように、関係省庁間で鋭意協議を急ぐべき問題であろうというふうに考えております。したがいまして、当庁といたしましても、内閣官房と御相談申し上げながら、先生ただいまおっしゃいました官房長会談の開催等を含め、関係省庁間の協議を急いでまいりたい、かように考えている次第でございます。
  276. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 じゃ時間がありませんので次に移りますけれども、政府は地震予知の対策を検討するための地震予知推進本部を、二十九日ですか、明日の閣議で決定すると言われていますけれども、このメンバーを見ますと、科学技術長官を本部長にして、文部、運輸、通産、建設、自治、国土、科学技術の七省庁の事務次官と官房副長官の八人がメンバー、こう書いてありますけれども、やはりこういったいろんな行政の一体化で仕事を推進していこうということになりますと、行管のやはり存在というのは必要じゃないかと思うんですが、行管としてはこの問題についてどう考えてみえるかお聞きしたい。
  277. 門田英郎

    説明員(門田英郎君) 地震の予知研究の推進というただいま先生の御指摘の問題でございます。この問題につきましては、従来地震予知研究推進連絡会議という各省間——何しろ関係各省多うございます。各省間の連絡組織と申しますか、そういった制度が設置されていたわけでございます。これは四十九年の秋以降設置されてきていたわけでございます。地震の予知研究というのは御指摘のように大変に重要な問題でございますので、政府内部において地震予知研究の推進のための体制というものを整備強化する必要がある、こう考えている次第でございます。ただいま先生御指摘の地震予知推進本部というふうな案も近く決定され、この地震予知研究の推進のための連絡体制、行政体制というものは一層の強化を図っていくべき筋合いのもの、こう考えている次第でございます。
  278. 河田賢治

    ○河田賢治君 きょうは時間が非常に制約されておりますし、少し遅くなっておりますので、行管の問題に多く属するのですけれども、特に特殊法人の問題の給与問題、退職金の問題、これに限って質問したいと思います。  御承知のように、最近、経済の不況、インフレ、さらには景気がなかなか立ち直らぬとかいうような問題で、昨年は総理大臣以下各大臣が給与の一定の部分を受け取らぬというような問題がありました。このとき、特殊法人なんかで理事者あるいは相当の責任者の間でそういう話があって、まあ何らかの方法でそういう減額をしたところがありますかどうか、ちょっとそれをまずお聞かせ願いたいと思います。
  279. 足立和基

    説明員(足立和基君) 特殊法人の役員の給与につきましては、民間の動向を十分反映しております特別職の給与、それから一般職の指定職、こういったものを参考としながら最近では同じような改定を行っているわけでございます。したがいまして、昨年におきましては特別職の総理、国務大臣、こういったところが給与改定を一年据え置かれまして、それに見合った措置が特殊法人の役員についてもなされております。  具体的に申し上げますと、たとえば三公社、これは公企体でございますが、特殊法人につきましては輸開銀の総裁、こういったところの給与は前年同額ということで同じように据え置かれておりますし、それから、それ以下の副総裁あるいは理事、これは各公団、公庫についてでございますがアップ率が低く抑えられてございます。
  280. 河田賢治

    ○河田賢治君 抑えられたというのは、昨年は上げないということが決まったのです、上の方は。政務次官やその他は若干他の職域との関係で少し上げたわけなんですが、つまり一番上に立つ理事とか理事長とかいうような方々が、内閣総理大臣もそういうことをやっているのなら、ひとつわしの方もかなり高給もらっているのだから少しは返上しようじゃないか、そういうような意見があったかないかということを聞いているのです。自発的にですよ。
  281. 足立和基

    説明員(足立和基君) 具体的に申しますと、昨年据え置かれましたのは総理と国務大臣のレベルでございまして、それ以下のところは若干アップがあるわけでございます。したがいまして、国務大臣と同額のところは同じように昨年据え置かれてございます。それから、その以下のレベル、たとえば政務次官であるとか、そういうところは三万円ずつ昨年は実はアップになっておったわけでございますが、同様な少額のアップを行っておる次第でございます。
  282. 河田賢治

    ○河田賢治君 どうも話が通じぬですね。私の言っておるのは、特に総理大臣並びに大臣あたりが、この際不景気なんだから、財政的にも困難なんだから、少し減額して給与の何%かを国の方へ返そうじゃないかというような話があったわけですね、どういう手続になってどうなったか知りませんけれども、そういうような自発的な意思で公団の——公団にもかなりピンからキリまでありますけれども、相当大きな公団になればかなり高給取っているわけで、世間からもずいぶん非難されるようなところもあるわけですが、そういうところで自発的に自分たちの給与を何らかの形で返却するような処置をとったかどうか、このことを聞いているわけです。なければないでいいのです。
  283. 足立和基

    説明員(足立和基君) 給与の一定の返上につきましては、特殊法人の役員につきましても管理職手当を一〇%返上いたしております。
  284. 河田賢治

    ○河田賢治君 まず、それではあなたの方が直接どういう権限でおやりになるか、私の方も勉強しておりませんけれども、この間NHKの前会長の小野吉郎さんですか、この人が高額を非常に保障されて、今度はまた新しく例の政治的な問題から名誉顧問にされた。ところが就任されて間もなく、国民から政治的にもそういう批判がある、またこの方の給与の支払い、退職金の支払い、これについてもずいぶんと各地方の人々から大分問題にされ、その結果NHKのこのやり方による名誉顧問をも辞するということがあったわけですね。ところがこの名誉顧問になられる前に、ここでの制度は、理事のときに何年勤めた、それで理事をやめたらまた退職金が出る、今度副会長になるとこれまた何年かやる。これもまた退職金も出る、今度会長になるとまた会長の退職金が出るというふうに、同じところに仮に十年でも十五年でも勤めておっても、何かその職をやめればその退職金が出るというふうなことにこれはなっているらしいのですね。まあ大体新聞社もある程度確かめたのでしょうけれども、少なくとも二千五百万円の特別慰労金が出る。これは今度はやめられたのかもしれませんけれども、とにかく月額にしても大体三年間百万円前後の月々の収入があったわけなんですね。そういうような特殊法人には、一定の理事とかあるいは理事長、あるいはまあ会長とか、いろいろな名前がありましょうけれども、そういうふうに一つずつの段階で、そのまま勤めておっても退職金のような、そういう制度がどこにもあるんですか、どの程度になっているのか、その辺をちょっと概括的にお話し願いたいと思う。
  285. 足立和基

    説明員(足立和基君) 最初にお断りしておかなければいけないと思いますが、NHKの問題につきましては政府は全く関知しておりませんので、これは別個の問題でございます。  それから、役員の退職金でございますが、現在の公庫、公団等を初めといたします特殊法人の退職金について御説明申し上げますが、これは俸給月額に在職月数を掛けまして、それに一定の率を掛けて退職金を算出することになってございます。それで、前々から特殊法人の役員の退職金が高いではないかというような御批判がございまして、御承知のとおり昭和四十五年に、それまでの百分の六十五という率を百分の四十五というぐあいに引き下げた次第でございます。この率につきましては、民間等を参考にいたしましてその役員の率を引き下げた次第でございます。  それから、いま先生が言われました、役員の期間によってどう変わるのだということでございますが、たとえば一番典型的な例を申し上げますと、ある特殊法人に勤めまして職員から役員になるという場合には、やはりその職員のところで一たん退職ということで職員の退職金が出ます。それから役員に、たとえば理事なら理事にそこでなりまして、その理事を数年務めまして、またその後、たとえば副総裁とかなんとかというようなことで昇進があったといたしますと、その理事の退職金につきましては、その理事の在職月数に応じてそこで退職金が出るわけでございます。そういうようなシステムになっているわけでございます。
  286. 河田賢治

    ○河田賢治君 確かに特殊法人には特殊法人一つの、全部独立したとは言いませんけれども、一定の限定されたあれがあるわけなんですね。したがいまして、たとえば一般会計からもずいぶん特殊法人に繰り入れる場合もありますし、あるいは資金を融通したり貸したりする場合もあるわけですね。ですから、大蔵省も恐らくこういう特殊法人のあり方についても考えておられるはずなんです。第一昭和四十二年、第一期の行政監理委員会の指摘が——これはもう四十二年ですよ——特殊法人については、単に整理、統廃合に限らずに、これと並行して、たとえば役員の数、任命方法、給与、退職金など、人事、予算会計のあり方についても全面的な改革を行う必要があり、それが国民世論の要望にこたえる道である、という行監の指摘があるわけです。これは実に昭和四十二年ですね。それで、まあ御承知のようにこの高度経済成長で、産めよふえよといろいろな公団ができました。これにならってまた地方でもどんどんできたわけですね。そして、特殊ないわゆる経理のやり方、これをやっているわけでしょう。こういうことがまかり通るにもかかわらず、大蔵省の方ではこのような行監の意思を体してどの程度の問題を、まああなたに直接聞いてもむずかしい問題かもしれませんけれども、そういう問題を内部的にも検討されたり、あるいはこれをどうしようというようなことは、大蔵省の省議であったかどうか、このことをひとつお聞きしたいんです。   〔理事林ゆう君退席、委員長着席〕
  287. 足立和基

    説明員(足立和基君) いま先生の言われました問題は非常に大きな問題でございまして、実は大蔵省といたしましても、その省議という段階ではなかなかまとまらない——まとまらないといいますか、結論が出せない。これは行管と当然絡んでまいりますし、御承知のことと思いますが、本年におきましてもその特殊法人の役員を減らそうじゃないかということで、行管が中心になりましてその案ができておりまして、それは実行に移されております。ですから、その点につきましてはちょっと私がお答えする立場にございませんし、大蔵省としてお答えするよりはむしろ行管からお答えいただいた方がいい問題でございます。  それから、私どもの給与の面で申し上げますと、先ほど申し上げましたように、役員のもちろん数が決まりますればそれに対して適当な格づけをいたすわけでございますけれども、従来は民間との比較におきまして役員の給与がなされておりました場合がございましたけれども、そういった点をかなり抑えるような形で数年やってまいりました結果、現在ではかなり民間のレベルよりは低いところに役員の給与が定まっているようなところが実態でございます。ここ数年におきましては、その決められました役員の給与を、それぞれ一般職の指定職あるいはその特別職の相当のところの同じようなアップ率を適用いたしまして給与を私ども算定いたしておりますので、現在の役員の給与はかなり適正な水準にあるということが言えるかと思います。
  288. 河田賢治

    ○河田賢治君 給与についてはさっき申しました行監からも出ております。それから、これは試案ではありましたけれども、衆議院の決算委員会でもこういう問題が当時試案として一応論議になったわけですよ。特殊法人の役員の報酬月額は、その目的や業務の内容その他の事情を考慮して、一般職の国家公務員の最高の俸給月額を超えない範囲でその基準を定めること。第二に、役員の期末手当についても一般職の国家公務員の期末手当に準じ、政令でその基準を定めること。第三、特殊法人の役員の退職手当については、国家公務員退職手当法第五条に準じてその基準を定めること。第四、各役員に支給した報酬月額及び退職手当の額を、主務大臣を通じ内閣に報告し、内閣は遅滞なく国会報告すること。こういう趣旨のあれが出ているわけです。ですから、かなり国会の中でも論議され、また世間の批判もありまして、当時一般職の国家公務員の、これは四十九年ですけれども、指定職の十二号俸の東大、京大総長あたりが六十五万円、そのとき公庫、公団の総裁、理事長というのは大体八十万円、つまり大臣と次官の間に位しているわけですね。それからまた、特別職国家公務員でも、内閣総理大臣が百二十五万で国務大臣が九十万です。それからまた、政務次官が当時六十五万ですから、かなり高い給与、公団なんかの理事なんかが皆五十五万円ですから、大体においてちょっと次官よりも低い程度、一般的に高いわけですね。高いだけでなく、計算方法も、さっきあなたが申されましたけれども、退職金が月割りにして幾らとか、さらにそれについて幾らを増すとかというような非常に高い退職手当が出ている。したがって、御承知のとおり政労協という団体が、つまり渡り歩きをする、さっき公明党の峯山君も言いましたけれども、渡り歩きの官僚が、わずか三年か四年おって、そこで二千万、多い人は五、六千万円、そういう退職金をもらって恬としてはばからずにこういうものを受け取っておる。こういう点は大いに改めなければならぬというので、これは衆議院で、案にはなりませんでしたけれども行っている。行政監理委員会もこのことをもう四十二年に指摘しているわけですね。ですから、こういう問題について余りに放任されているようです。大蔵省では御承知のとおり、今度、これはまた後の論議になりますけれども、たとえば国家公務員の特別給与の問題、〇・二カ月分削っちゃうとか、節約してもらわなければならぬと言うが、こういうところは全然ほったらかしなんですね。世間から見ても非常にこれは高額な計算の仕方なんですよ。第一この特殊法人の役員の数なんか、天下りの問題はさっき言いましたけれども大体しかし八〇%を占めておる。そしてわずか理事が二人で、これは監査役と理事長ですね、そしてあとは非常勤理事だと。そして職員が何人かというと五人しかいない、そういうところもあるわけですね。規模によって大小もありますけれども、大体係長が受け持つぐらいの職員しか持っていない、そういうところに理事だとか、やれ監査役だとか、こういうような職場もあるわけです。これは多いところもありますよ。けれども、そういうふうに非常に小さな規模で係長程度の仕事しかしていなくても、普通の官吏よりもそういうところに入れば若干上回る給与をもらっているわけですね。ですから、こういうところにやはり私たちは、今日あなた方の方で一般公務員の給与をどうこうと言う前に、まずこういうところも洗わなきゃならないというふうに考えるわけです。御承知のとおり公務員は公務員の共済年金というものが支給されますね、一定の期間勤めれば。また役員の退職後は厚生年金の支払いも受ける、こういうことがあるわけですよ。ところが、公務員の在職中を上回るようなこうした高額の報酬は何と理屈をつけても説明のしようがないと私たちは思うわけです。ですから、こういう点はやはり相当、年数やらいろんな規模やら、そういう他の問題を考慮して、これらの公団あるいは特殊法人全般を私たちはいま洗い直す一つのあなた方がやる仕事があるんじゃないかというふうに考えるわけです。これについて、政府当局でもありません、事務の方が主としておいでになるんですけれども、しかし、あなた方としてもそういう仕事をやっておられるんですから、こういう問題について一定の見解を、今後努力するとか、どういうふうにやっていくとかいうことについてお聞かせを願いたい。
  289. 足立和基

    説明員(足立和基君) いま先生の言われました天下りの問題であるとか、あるいは役員の数の問題であるとかいう問題につきましては、これは大蔵省がお答えするべき立場にございませんので、この場でお答えすることはできませんが、私ども給与担当省といたしまして申し上げたいことは、役員の給与につきましては、御指摘ございましたけれども、そのある特殊法人の役員の給与というのは、やはり職員の最高給与を若干上回るのが望ましいのではないかという観点から、現在かなり低く抑えられておりますが、逆転することがないようにということで考えております。もちろん従来から申し上げておりますが、その役員の給与につきましては民間との対比も考えておりますし、そのアップ率といたしましては一般職、指定職あるいは特別職のアップ率等を参考にやっておるのが現状でございます。  それから、ボーナスにつきまして御指摘がございましたが、これはやはり同じく現在では公務員と同じように扱ってございますので、先ほど、先生が、一般職につきましては今年度〇・二のボーナスの減額があるけれども、こういった特殊法人の役員についてはないじゃないかというような趣旨の御指摘がございましたが、こういった点につきましても、公務員と同様に措置することを考えてございます。
  290. 河田賢治

    ○河田賢治君 私も最近、これは昨年のですけれども、大蔵省で出されております財政金融統計、これはあなたの方がみんな会社から集めておられるんですから、そううそやあれはないと思うんです。これを見ましても、たとえば電気産業というのは非常に独専的な産業で資本が大きいですね。ここの役員の給料、手当というものは、まあ賞与はまたその業績によって違いますから別の問題として、普通の給与と手当を比較しましてもそんなにたくさん取っていないんですよ。これから計算したんですよ、私は。だから、個々の会社に当たっていませんからわかりませんけれども、たとえば十億以上の会社で役員が三百四人おるんですね、これが二十五億五千万円ですか、給与をもらっておる、手当を。割りますと大体八百三十八万円ぐらいなんですね。それから一億から十億のやはり電力会社ですけれども、これでも三十四人の役員がいる。これが一億五千五百万円ですか、これを割りますと四百五十五万円の年額になるわけですね。そうしますと、一般官吏のつまり特別職よりはちょっと低いところもあります。けれども、大体においてそうそう高くはないわけですね。だから、特殊法人とこれとを比べますとべらぼうに上がっているんですよ。この報告が間違いでなければ私はそういうことが言えると思うんです。ですから、この点などはやはりもう少し、民間がうそを出しているのかどうか知りませんけれども、とにかくそういうふうにして、現在高級官僚がここに渡り鳥式にいろいろと入っていって、そしてごく短期間の間にかなりの高給と、それから非常に大きな退職金をもらえると、こういうところはやはり改めませんと私は非常な不公正な政治になると思うんです。このことはさっきも言いました。  もう時間がありませんからなんですけれども、御承知のとおり、特殊法人の役員の給与というのは大体指定職なんかとほぼ同じにするというような話なんですけれども、とにかく退職金についてはさっきいろんな問題がありました。だからこれについて、現在地方でも公社などがたくさんできて、最近では栃木県で、あすこでもずいぶん、いわゆる出先機関にどんどん出向する。百幾つでしたか、新聞に出ておりました。ここでももういよいよほっとくわけにいかぬというので、栃木県で一つの大綱をつくりまして、そして基準を決めておるわけですね。余り詳しくは申しませんけれども、天下りの在職は五年に決める、それ以上はせぬと。それから、やっても給与なんかは特別に上げないとか、そういうことだの、それから年数なんかも非常に整理をして、管理職の手当とか、あるいは扶養手当等はもう特別だからこれには一切支給しないとか、こういうふうにしていろんな面でこれをいまチェックして、地方財政の危機もありますから、こういうことも考えているわけですよ。すでに地方自治体でもまじめにこういうことを考え出しているんです。中央政府がもっと敏感にこういう問題に対して私はやってもらわなければならぬじゃないかと思う。地方よりもえらいエリートの人がずいぶん大蔵省に集まっているわけですからな、少しはこういう知恵も出るんじゃないかと思っているんですけれども、余りその方が実行されないで私たちは非常に遺憾に思っているわけですが、ひとつこの点は、どうも政務次官や局長さんでもないから余り私の方も突っ込んで言うわけにいきませんけれども、とにかく現在の状況では、退職金の算定方式やなんか根本的に是正する、あるいは給与のやり方、こういうものをできるだけ世間から批判のないようにやはり行政指導としてあなたの方でできる限りはやる。また、人事院の方へもそういう問題を持っていくとか、いろいろ各関係がございますから、大蔵省だけで決めるわけにはいかぬでしょうけれども、しかし、大蔵省がやはり予算とかいろんなものは、かなり音頭取りをやるわけなんですから、この点をひとつあなたの方で是正の措置をとり、そして国民の世論の批判にこたえる、そういう方向をとってもらいたいと、こう思うんです。  一応これで私の質問終わりますが、これについてあなたの方の事務当局としてお考えのことを言ってもらいたいと思います。
  291. 足立和基

    説明員(足立和基君) 最初に先生、民間の例で数字を申されたわけで、それの比較において特殊法人の役員の現在のレベルは高いじゃないかという御指摘がございましたけれども、これは役員と申しましてもいろいろございまして、恐らく、たとえばお話しの電力であるとか、そういうところの役員の中には、役員としての全体人数で割りますと、その中にはたとえば非常勤の役員も入っておったりしてその単価が下がってくるのではないかという点もございまして、私どもも実は常に民間の動向は考えて調査してございまして、例として挙げられました電気製品のメーカーのそれぞれの役員給与、あるいは電力会社、こういうところも調べてございます。決して現在の特殊法人の役員の給与に比べて民間の方が下回っておるということはございません。かなり民間の役員の給与が現在の特殊法人の役員の給与を上回っているというのが実情でございます。それはただ事実関係を申し述べた次第でございます。先生の御指摘の、それにしても役員の給与は高いじゃないか、そういうことを十分ひとつチェックしろという御趣旨については前々から私どもも注意してございまして、現在のレベルというものは、適当とは考えてございますけれども、今後ともその民間の役員の給与の動向等も十分考えあわせながら、特殊法人の役員給与については考えてまいりたい、検討してまいりたい、こういうぐあいに考えております。
  292. 中村利次

    中村利次君 私は林業作業員の職業病に関係する問題で質問をします。  との林業作業員の職業病は、いわゆる白ろう病だとか振動病と言われておりますけれども、これは昭和四十年に職業病として認定をされておるんですが、この原因ですね、チェーンソーあるいは刈り払い機の使用等によって起こるんだと言われておるようですが、原因はどういうところにあるのか、まずお伺いします。
  293. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) お答えいたします。  振動障害は、いま先生おっしゃいましたけれども、いわゆる振動機械を使用する業務に従事することに起因する神経、骨、関節、筋肉、腱鞘等の疾患を言うのでございまして、振動、騒音、寒冷等が主な原因と言われております。
  294. 中村利次

    中村利次君 そうすると、これはやっぱり振動機を使用することに原因がある。これが昭和四十年に職業病として認定をされて今日に至っているんですけれども、その後減るどころかだんだんふえちゃって、国有林においては約三千名、民有林においては約九百と言われておるようですが、そのとおりかどうか、大体そのとおりかどうかですね。
  295. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) そのとおりでございます。
  296. 中村利次

    中村利次君 チェーンソーの使用台数は、国有林では六千三百と言われ、また民有林では十八万台と言われておるんですが、これも大体そのとおりですか。
  297. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 大体そのとおりでございます。
  298. 中村利次

    中村利次君 そうすると、まことにこれはおかしなことになるんですよ。民有林の方がはるかに振動機の使用台数が多いにもかかわらず、実際に職業病として認定をされておるのは国有林は約三千、民有林の作業者は約九百とはるかにこれは少ない。そうなると、民有林の作業員は職業病にかかっていないのかどうか、あるいはかかっているんだけれども、これは潜在しちゃて表面に出ないのかどうか。これは判断で結構です。これは労働省にもちょっと関係ありますが、民有林のあれは。
  299. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 国有林と民有林とでは、その事業の規模でございますとか、就労形態が異なっておりますので、単純に比較するというわけにはまいりませんけれども、民有林に少ないのは、作業個所が分散し、事業規模が小さいために国有林に比べて専門的にチェーンソーを使うというケースが少ない。それから、伐木から集運材、造林に至る各種作業に従事するなど、いわゆる作業の組み合わせの有無による相違が見られる。もう一つは、民有林の就労形態の多様性から受診対象者の正確な把握が困難であるというふうに私ども把握しております。したがって、民有林についても潜在的にまだおるんじゃないかという疑いは持っております。
  300. 中村利次

    中村利次君 これはやっぱり、そうなりますと大きな社会問題だと思いますね。ですから、きょうは大変短い時間ですから、私はそれを突っ込んで質問するのはいずれかの機会に譲りますけれども、まあ四十年に職業病として認定されて、四十五年には労働省の通達が出ておりますね、チェーンソーの使用は一日二時間、週五日間を限度とする。これを出された労働省は、この通達は権威あるものかどうかと聞かれれば、いや権威はあるんだとおっしゃるんでしょうけれども、これは確認の意味でどうですか。
  301. 溝辺秀郎

    説明員(溝辺秀郎君) 振動障害を防止するための作業基準につきましては、労働省では斯界の専門家の御意見を拝聴してその御意見の結論に基づいて行政通達を出したという次第でございます。
  302. 中村利次

    中村利次君 そうなりますと、やっぱり権威があるものだ、こういうぐあいに解釈すべきですね。
  303. 溝辺秀郎

    説明員(溝辺秀郎君) はい。
  304. 中村利次

    中村利次君 結構です。  そうなりますと、これまたおかしな話になっちゃうんですよ。そうすると、一日二時間、週五日を限度とすれば振動病は起こらない、振動病にはかからないというぐあいに当然これは解釈すべきことになりますが、それでよろしいですね。
  305. 溝辺秀郎

    説明員(溝辺秀郎君) 現在までの振動障害にかかった人の発症の状況その他を勘案いたしまして、基準に示された作業が確実に行われている限りにおいてはまず起こらないであろうということで通達が出されているのでございます。
  306. 中村利次

    中村利次君 それは特異体質もあるでしょうから、そういうものはこれは例外と見て、一般的な常識では、この通達が守られておれば振動病にかかることはないというぐあいに解釈していいですね。
  307. 溝辺秀郎

    説明員(溝辺秀郎君) そのとおりです。
  308. 中村利次

    中村利次君 そうしますと、現実に国有林、民有林、特に国有林の場合がはなはだしく多い。これは労働省の通達が守られていないということに原因があるということになりますね、当然。いかがですか。
  309. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 国有林におきましては、昭和四十四年にいまの一日二時間規制という規制をやっておるわけでございますが、その後も認定者が出ておりますので、五十年四月に労働組合とさらに協議いたしまして、人工林等中小径木を対象としましたものについては手工具の導入でありますとか、振動機械を使用しない作業との組み合わせとか、あるいは造材におきましては玉切り装置の導入というようなことを積極的にやっておるわけでございますが、いま先生の御質問の規制を守っていないのじゃないかというお話でございますけれども、これは厳格に守っておるのでございます。
  310. 中村利次

    中村利次君 そうするとおかしくなるんです。厳格に守っておれば専門家のあれで振動病にはかからない。これは厳格に守っておるけれども、かかるということになればどっちに権威があるんですか。労働省と林野庁
  311. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 実は、これは労働省からお答えがございましたので私どもから云々するわけではございませんけれども、国有林におきましては使用期間が非常に長うございます。歴史が長いものですから、いわゆる時間規制以前に相当使われておるという実績もございましてそういう影響も出てきておるかと思いますけれども、昨年の四月にさらに規制を強化いたしましたけれども、まだ認定者が多少出ておるということでございますから、二時間規制そのものが本当に決め手になるかどうかというのは問題だろうと思います。
  312. 中村利次

    中村利次君 これは大変苦しい御答弁でございまして、私はそういうことはあり得ないと思いますよ。だから、私は最初に申し上げたけれども、職業病として認定されたのは四十年、昭和三十年代の半ばごろから問題になっておる。そして昭和四十五年には労働省の通達があった。労働省はそういうものを一切含めて、専門家の専門的結論によって、規制が守られておれば振動病にはかからないということで通達を出しておる。ところが、その後六年たっておる。新たな人たちまでやっぱり振動病にかかっておるということで、認定をされておるわけでありますから、いまの御答弁は通用いたしません。しかし、ここでまた、するとかしないとか言ってやっていれば時間損しますから、私は必要があればこれは何回でも取り上げて今後も問題にしますけれどもね。  そこで、いま、労使間で去年もまた協定を決め直して対策を講じたとおっしゃるが、しからば四十五年に労働省の通達があったとき、この労働省通達を受けてこの規制をされたのは、当局が一方的におやりになったんですか、それとも労使で協約、協定等でお決めになってやったんですか。
  313. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 国有林では、労働省通達が出る以前の四十四年の十二月に労使間協議をいたしまして決めた基準でございます。
  314. 中村利次

    中村利次君 それを労働省がこうやったわけですか、大体同じことを。労働省の通達は一日二時間、週五日間、同じことを四十四年に決めたとおっしゃるわけですね。おっしゃるわけ。
  315. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) ええ。
  316. 中村利次

    中村利次君 それはそれで結構だが、労使間でこれは決められておると、そうすると全くこれはまたまた元へ戻っちゃうんです。しからば、労使間で決めたことは守るという、これはもう当然ですが、それは労使双方でおやりになりましたか、チェックは。
  317. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 協約締結後、直ちに二時間規制に移ったかといいますと、必ずしもそうはなっていない実態がございます。
  318. 中村利次

    中村利次君 いや、その後は。
  319. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 現在は完全に定着いたしておりますけれども、四十四年当時、十二月でございますが、労使間協議で決めて、直ちに全部が二時間規制に入ったかというと必ずしもそうでない。やはり作業員の意識の問題もございますし、定着にはかなり時間を要しておるという実態がございます。
  320. 中村利次

    中村利次君 これは、林野庁は労働組合の全林野から告発されましたよね、それには、そんな労使間で協定したことはぴしっと守ったとはなっていないでしょう。これはどうなんですか、どうもその答弁がおかしいんだ、これは。「チェーンソーを長時間使えば白ろう病にかかることがわかっておるにもかかわらず、各地の営林署長、営林局長はチェーンソーの使用を続けさせた。これは未必の故意による傷害罪」。そうすると、やっぱり協定以上の仕事をやったということになるんですよ。これはそれじゃお認めにならないわけですか。
  321. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 先ほど申し上げましたように、定着にかなり時間は要しましたが、その後確実にこの協定どおり実施いたしておりますので、そういうことで、それだけではございませんが、振動障害対策に真剣に取り組んできておるわけでございますから、今回の告訴、告発を受けるという事態に至ったことはまことに残念なことであると思います。
  322. 中村利次

    中村利次君 大体林野庁の労使関係はそれじゃどうなっているのですか。労使が協定をしてそれが定着するには時間がかかったとおっしゃる。それほどルーズなものですかね。いつごろまでそれは大体時間がかかったんですか、まことにどうもこれは摩訶不思議だ。
  323. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 協定の趣旨からいいまして、なるべく早急に定着するということを目標にして実施してきておりますので、何年もかかるというようなことではなくて実施に移されたということでございます。
  324. 中村利次

    中村利次君 定着しなかった理由は何ですか。
  325. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) これは労働組合の意思とは反対に、現場労働者がやはり使いなれたチェーンソーを、時間を制約されるというのをなかなかきらうというようなこともございまして、若干時間を要したということでございます。
  326. 中村利次

    中村利次君 それでは、作業能率を上げなければ収入に影響するから、協定はしたけれども、それを無視して——無視してと言うと言葉が強ければ改めてもいいですが、やっぱり長時間使用をやっていたと、こういうことになるのですか。
  327. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 国有林におきましてもあれでございますが、二時間といいますのは、機械のいわゆる鋸断している実動時間でございまして、従来からでたらめに長時間使っていたという実績はないわけでございます。当然八時間労働の中で機械を使用するということでございますから、むちゃくちゃに使っておったという実績はないわけでございます。
  328. 中村利次

    中村利次君 むちゃくちゃに使ったわけではないでしょう。しかし、労働省はやっぱり専門家の意見を聴して一日二時間以内、週五日以内だったら振動病にはかからないという、そういう権威ある答えを出して通達をされた。林野庁は先取りをして四十四年に労使間の協定で同じことを決めておる。そうなると、大体政府の責任からいったら、それが守られておればいま振動病騒ぎなんか起こらないはずなんですよ。はずなんです。もしそれが起こるとすれば、いまの御答弁が事実に反するのか、あるいは労働省が通達を出したが、これは労働省が通達を出したのがどうもいいかげんであるということになれば、林野庁が労使間で決められた同じ一日二時間、週五日というのもいいかげんだということになるわけですから、双方やっぱり責任を持って決めているんでしょう。責任を持って決めて、これはそうなれば白ろう病にはかからないということになれば、かかっておる事実、ちっとも減らない事実というのは、これはどう解釈すればいいんですか。
  329. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) もともとこの二時間規制といいますのは必ずしも科学的な根拠に基づいた規制ではございません。やはり過去の経験等、労使間でこの程度規制すればまず認定者が出ないだろうということで始めたものでございます。
  330. 中村利次

    中村利次君 しかし出ておることになっておるのです。だって、三千名も出た。民有林に比べると、使用台数等の比較からいったら全くこれは国民としては納得できないぐらい出ておる。これは認定の方法いろいろあるでしょう。四月十五日号の週刊新潮に「林野庁作業員の半数が「ニセ白蝋病で給与タダ取り、山でバクチ」の真相」というような記事がある。読んだことがありますが、読みましたか。
  331. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) ございます。
  332. 中村利次

    中村利次君 お読みになった。
  333. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) はい。
  334. 中村利次

    中村利次君 こういうのが、すべてがすべてじゃないにしても、やっぱりこれに類するものがありますか、ありませんか。
  335. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 私生活の面におきまして一部指導の行き届かない点があったということは認めております。
  336. 中村利次

    中村利次君 これはもしなかったとすると、厳重にこれは抗議すべきですよ。ゆゆしき問題ですよ、こういうことは。もしやっぱりこの中の一部分であっても指導が行き届かない面があったということになれば、これはどうなさいますか、責任と対策。
  337. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 医療管理につきまして医師と連絡を十分密にとりまして、治療効果に悪い影響を及ぼすような行為がないように努めてきておるのでございますけれども、いまおっしゃった点、必ずしも行き届いていない点もございましたので、さらに指導徹底を図るように長官名をもちまして通達で指示いたしまして、適正化に努力しておるところでございます。
  338. 中村利次

    中村利次君 私はこの週刊誌や新聞記事を取り上げて国会の議論にしようとは思いません。しかし、こういうものが公表をされた、そして、白ろう病は治癒復職者が一つもなくて、なおふえつつあるという、こういう重大な社会問題に対して、やっぱり林野当局がどう対処しているのかということは、これは事実をたださなきゃならない。そういう意味では、週刊誌の記事によりますと、何か酒飲んだり、しょうちゅう飲んだり、あるいはバイクに乗ったり、これは振動ですからね、あれは何でもない健康体の人でもバイクに乗るときにはああだこうだという問題がある。あるいは通院するのに車を運転したり、あるいはアユの解禁になったところが、冷えるのが一番いけないと言われるこの白ろう病の認定患者が腰までつかってアユ釣りをやっている。こういう事実はうそですか、あるいは一部そういうのがあったとお認めになりますか。
  339. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 私も具体的な事実、一つ一つ確認はいたしておりませんけれども、一部にそういうことがあったというふうに風評で聞いております。
  340. 中村利次

    中村利次君 これは風評ではいけません。少なくとも責任のある当局としては、そういうものはやっぱり調査をして、そして、事実かどうかということを明確にさせませんと、大体こういう記事を書かれること自体が私はまことに——これは労使ともにと思うけれども、そしてこれは取材しているんですよ、悪いことには。病院の先生だとか、あるいは認定された患者だとかね、いろんなものを取材して書いたもので、そういうのを風評で聞いておるというのはこれはとんでもない話で、どうですか、今後調査をする御意思がおありですか。
  341. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 先ほどの私のお答え大変不十分で申しわけないんでございますが、当時こういう調査を実際やってみました。ただし、その事実確認がなかなかむずかしいのでありまして、私先ほど申し上げましたようにはそういうことを風評で聞いたと、調査に行ったときに。そういう事実はございます。
  342. 中村利次

    中村利次君 なお、振動病の認定については、これは病院あるいは医者によって異なると、こういうことも言われておりますけれども、これはやっぱり国民のだれが聞いても納得のできるようなものでなければいけません。大体指定医というのがあるんですか。
  343. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 当局といたしましては現在管理医を指定しておりますが、その他公立病院等の診断によっても認定をいたしております。
  344. 中村利次

    中村利次君 病院についてもいろいろなやっぱり議論があるんですよ。林野庁責任持てますか、その指定された病院のあれは責任持てますか。
  345. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 認定につきましては人事院規則に基づきまして、チェーンソー等の身体に振動を与える機械を使用する業務に従事したために生じたレイノー現象及び神経、骨、関節、筋肉、腱鞘等の疾病について公務上として取り扱っておりまして、個々のケースに即して医師が所定の医学的な各種の検査を行いまして、その結果に基づいて適正に認定業務を行っているところでございまして、今後もより適正に認定が行われるように努めていきたいと、かように考えております。
  346. 中村利次

    中村利次君 どうも本当にあいまいでどうしようもありません。これは大体労使間の協定、協約というものをどういうぐあいにお考えなのか、定着するまで日数がかかったという、そんなのは、これはどう解釈していいんだかわれわれは全くわかりませんよ、これは。  それから、病院、医師等の指定についても、どこへ出したってりっぱであるという、そういう権威あるものにしなきゃいけないし、それから認定基準から治癒基準あるいは復職の基準なんていうものも全くあいまい、あるいはない。こういうことでは、大体振動病の正体は何だということにならざるを得ない。そして、やっぱり重症患者なんかは大変に苦しんでいる。そういうすっきりしたものがどうも感じられないということは、これは明らかに責任です。私は、言うならばそういう対策を労使双方で決めていながら、そういうものが守られるならば新しい患者は出るはずがないにもかかわらず、出ておるというこの事実に対して、当局が果たしてこれをどうお考えになり、どう対策をしようとしておるのか、あるいは労使がこれにどう取り組んでおるのか、これはやっぱりまともに取り組んでもらわなきゃ納得できません。そういう問題を全部私は明らかにした上で、現在使用中のチェーンソーあるいは刈り払い機等については、安全衛生が確立されるまではこれはやめたらどうかと思うんですよ。二時間と五日で本当に新しい患者が出ないんならば、また労使間でしかるべき措置を講じられるのもいいと思うんだが、しかし、ぴしっとした管理体制、あるいは労使共通でこれに対する対応も十分でないということになれば、だから告発騒ぎまで起こる。これは当局の責任であり、私は告発者だって必ずしも一〇〇%これは言い分があるのかどうか、いまの答弁を聞いた限りでは大変にどうも定着するまで時間がかかったと言うけれども、そういうものをなぜ当局に対して、長時間の使用に対して厳重抗議を行わないのか。行われたことありますか、あるかないか、それも伺いますよ。ですから、そういうあいまいな中ではこの使用を一時停止をすべきではないかということ。またロータリー、リモコンのチェーンソー等の導入の問題などもあるようですけれども、これはなぜこういうものを速やかに導入するようなことをなさらないのか。これは時間がないですからきょうはこれでやめますが、私はこの問題は十分時間のあるときに引き続いてやりますよ、これは。
  347. 須藤徹男

    説明員(須藤徹男君) 先生御指摘のように、この振動障害の医学的な究明というのはまだ十分になされていなという実態でございまして、林野庁におきましても、林業労働障害対策研究委員会でつくりました振動障害の治療への手引きというふうなものを関係医療機関に配付いたしまして、担当医師の治療上の参考にしてもらっておるわけでございますが、残念ながら、先ほどお話ございましたように治癒基準については医学的にもむずかしいということでございまして、まだ確立されていない。したがって、認定をいたしますと、治癒者が出ませんのでどんどん数がふえていくというまことに遺憾な実態になっておるわけでございまして、この治癒基準の早期確立につきまして、昨年の十一月、人事院に対しても強く文書をもって要求しておるのでございます。先ほど先生おっしゃいましたように、労使間協議したものが守られていないんじゃないかというお話でございますが、先ほど申し上げましたのは四十四年当時のことを申し上げたのでございまして、現在は確実に協議の線に沿って守っておるつもりでございます。なお、非常にむずかしい問題でございますし、国有林につきましては三千名もの認定者が出ておるというのは異常な事態というふうに私ども深刻に受けとめておるわけでございまして、やはり振動のない機械を早急に開発するということが必要でございますし、リモコンチェーンソーにつきましては、ほぼ開発が終わりまして間もなく導入されると思います。ただ、大径木がなかなか切れないという点がございます。それから、ロータリーチェーンソーにつきましては、労使間協議調いまして早速導入するという手はずになっております。
  348. 中村利次

    中村利次君 守られておるなら出るはずはないんですよ。出るというのはどこかに間違いがある、それは。
  349. 中山太郎

    委員長中山太郎君) 本件に関する本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十三分散会      —————・—————