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1976-10-12 第78回国会 参議院 内閣委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十二日(火曜日)    午前十時四十八分開会     —————————————   委員氏名     委員長         中山 太郎君     理 事         加藤 武徳君     理 事         中村 太郎君     理 事         野田  哲君     理 事         秦   豊君                 岡田  広君                 源田  実君                 世耕 政隆君                 寺本 広作君                 八木 一郎君                 山本茂一郎君                 吉田  実君                 上田  哲君                 片岡 勝治君                 矢田部 理君                 太田 淳夫君                 峯山 昭範君                 岩間 正男君                 河田 賢治君                 中村 利次君     —————————————    委員異動  九月二十九日     辞任         補欠選任      河田 賢治君     塚田 大願君  九月三十日     辞任         補欠選任      塚田 大願君     河田 賢治君  十月一日     辞任         補欠選任      中村 太郎君     林  ゆう君  十月二日     辞任         補欠選任      八木 一郎君     中村 太郎君  十月七日     辞任         補欠選任      岡田  広君     迫水 久常君  十月八日     辞任         補欠選任      迫水 久常君     岡田  広君  十月十二日     辞任         補欠選任      中村 太郎君     石破 二朗君      河田 賢治君     星野  力君     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 加藤 武徳君                 林  ゆう君                 野田  哲君                 秦   豊君     委 員                 岡田  広君                 世耕 政隆君                 中村 太郎君                 山本茂一郎君                 片岡 勝治君                 太田 淳夫君                 峯山 昭範君                 岩間 正男君                 河田 賢治君                 星野  力君    国務大臣        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       西村 尚治君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       荒舩清十郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  坂田 道太君    政府委員        内閣法制局第一        部長       茂串  俊君        総理府総務副長        官        橋口  隆君        行政管理政務次        官        増田  盛君        防衛政務次官   中村 弘海君        防衛庁長官官房        長        亘理  彰君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛庁装備局長  江口 裕通君        外務省条約局外        務参事官     村田 良平君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○調査承認要求に関する件 ○国の防衛に関する調査  (国の防衛問題に関する件)     —————————————   〔理事加藤武徳委員長席に着く〕
  2. 加藤武徳

    理事加藤武徳君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告申し上げます。  去る一日、中村太郎君が委員辞任され、その補欠として林ゆう君が選任されました。また、去る二日、八木一郎君が委員辞任され、その補欠として中村太郎君が選任されました。
  3. 加藤武徳

    理事加藤武徳君) ただいま報告いたしましたとおり、中村太郎君の委員異動に伴い理事に一名の欠員を生じましたので、この際、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 加藤武徳

    理事加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。  それでは、理事林ゆう君を指名いたします。     —————————————
  5. 加藤武徳

    理事加藤武徳君) 次に、調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を行うこととし、この旨の調査承認要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 加藤武徳

    理事加藤武徳君) 御異議ないものと認め、さように決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 加藤武徳

    理事加藤武徳君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。     —————————————
  8. 加藤武徳

    理事加藤武徳君) それでは、総理府総務長官西村尚治君及び行政管理庁長官荒舩清十郎君から発言を求められておりますので、この際、順次これを許します。西村総理府総務長官
  9. 西村尚治

    国務大臣西村尚治君) 先般の内閣改造によりまして、はからずも総理府総務長官沖繩開発庁長官を拝命いたしました西村尚治でございます。まことに微力でございますけれども、一生懸命勉強いたしまして職責を全ういたしたいと思っておるのでございますが、特に総理府といたしましては、今国会で諸先生、格別にお世話にならなければならない大事な案件を抱えておる次第でもございますので、どうかひとつ何分よろしく御指導、御鞭撻を賜りまするよう心からお願いをいたしましてごあいさつといたします。
  10. 加藤武徳

  11. 荒舩清十郎

    国務大臣荒舩清十郎君) 荒舩清十郎でございます。  今回行政管理庁長官を命ぜられましたのでございます。何分にも足らざる者でございますが、委員長を初め、委員各位の御支援、御鞭撻をいただきたいと思う次第でございます。よろしくお願いをいたします。
  12. 加藤武徳

    理事加藤武徳君) 次に、総理府総務副長橋口隆君、行政管理政務次官増田盛君及び防衛政務次官中村弘海君から発言を求められておりますので、この際、順次これを許します。橋口総理府総務長官
  13. 橋口隆

    政府委員橋口隆君) このたび総理府総務副長官を拝命しました橋口でございます。どうぞよろしく御指導お願い申し上げます。
  14. 加藤武徳

  15. 増田盛

    政府委員増田盛君) このたび行政管理政務次官を拝命いたしました増田盛でございます。今後とも何とぞよろしくお願いいたします。
  16. 加藤武徳

  17. 中村弘海

    政府委員中村弘海君) このたび防衛政務次官に就任いたしました中村弘海でございます。微力ではありますが、責任を全うする所存でございます。委員会の諸先生の今後ともの御指導、御鞭撻お願い申し上げましてごあいさつにかえます。
  18. 加藤武徳

    理事加藤武徳君) それでは、あいさつはこれで終わります。     —————————————
  19. 加藤武徳

    理事加藤武徳君) 国の防衛に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  20. 秦豊

    秦豊君 きょうは内閣委員会としましては久しぶりに国の防衛に関する一般質問ということですから、いまかなり緊要性が出てまいりましたFXですね、この問題を中心にして午前中担当したいと思います。もし時間のゆとりあらばミグ25の調査問題、これについて若干防衛庁側の意向を聞いておきたいと、こう思います。  最初に、これは防衛局長になるのか、どなたが妥当なのか、多少幅があるようですけれどもFXの問題については、あすが国防会議であり、現空幕長任期切れもほどなく迫っている。周知の事実ですね。一体上申はいつごろになるのか、この時期になってかなり空幕単位で大きな迷いが出ているのか、まさかUターンとは思わないが、上申自体はいつごろになるのか、めどをまず伺っておきたい。
  21. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) FX選定作業につきましては、空幕調査団が帰ってまいりまして、その性能あるいは価格問題等を含めまして検討いたしておりますが、近いうちに大臣に対する専門的助言者としての上申が行われるというふうに承知いたしておりますが、その期日についてはまだはっきり決まっていないようでございます。
  22. 秦豊

    秦豊君 それでは答弁とは言えません、伊藤さん。大体あなた方は、やることはさっさと進めているじゃありませんか。たとえば、空幕では先般たしか九月三十日だと思うが、空将以上の高級幹部を五階の会議室に集めて、恐らくはF15という線で、示達でもなく了解でもなく話を詰めたはずですね、あるいは話を出したはずです。皆さんの中の作業はどんどん進んでいる。委員会質問をすると、時日までは明らかにできませんと、こういうことじゃ委員会でせっかくあなた局長として顔を出してですよ、国民多くの疑惑、疑問に答えようという姿勢が基本的に欠け落ちていると言わざるを得ない。  では、いまの空幕長任期の中で上申が行われ得るのか、あるいは次の空幕長にまるでこれは引き継ぎのようになるのか、そのぐらいは防衛局長として把握されているでしょう、どうなんですか。
  23. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 空幕がいろいろ調査をし勉強をしているというのは事実でございます。しかしながら、幕僚長交代との関係でその時期が決まるというふうに私どもは承知していないわけでございます。これは次の航空自衛隊主力戦闘機選定でございますので、問題点というものはとことんまで解明しなければなりません。したがいまして、空幕の判断でこの上申が行われるものでございますので、いまの時点で、内閣あるいは、いわゆる関係の者としていつ出るというようなことを断定的に申し上げられないというのが実情でございます。
  24. 秦豊

    秦豊君 伊藤防衛局長、ことごとく不満ですよ。いまあなた、あなたはマスメディアの報道をあなた自身スクラップして相当集めて検討している。大方の報道はもうF15がほとんどの見出しになって突っ走っている。あなた方の中の作業もそうじゃありませんか。断定をあなたに求めているんじゃなくて、おおよそ上申がいつごろになるのか、当該最高セクションである防衛局長のあなたが、答弁もしたくない、答弁もできない、この状態ははなはだ不満です。大体あれですか、年内には、ではできるんでしょうね。それとも意外におくれるんですか。
  25. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは前から、大臣からも御答弁申し上げておりますように、来年度の予算ではこの機種装備について追加要求をしたいという考えでございます。したがいまして、もちろん上申そのものが年末になるというようなことはないと思います。しかし、いま先生がおっしゃいますように、あしたかあさってか、あるいは幕僚長交代前か後かということになりますと、その辺はまだ定かではないということでございます。
  26. 秦豊

    秦豊君 それはあれですか、防衛局長、まあ伝えられるところによるとF15のオクターブが高いんだけれども、この段階になって、たとえばミグ25ショック、これは長官に聞いたってショックなんかありませんと平然とするかもしれませんが、その問題は後にしたいと思うが、しかし、この段階になって、たとえば四次防はインフレの敵で積み残しを余儀なくされた。今後またきょうの朝刊の報道あたりでも散見されるように、あのデータがどの程度精密かは別として、値段の問題が絡みついてきた、ネックになりそうだという段階で、上申を急がないで、ユニホームの感覚と合理性の中でもう一回再検討をしてみたらどうだろうというふうな基本的な迷いがあるために上申めどがつかないのか。作業は煮詰まっており、ほとんど迷いがなく15でコンクリートになりつつあるんだが、ただ上申の日にち、Xデーだけは答弁ができないのか、その辺の背景というか、事情はどうなんですか。
  27. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) それはこの前の第二次の調査団が帰った後、空幕としては作業詰めております。そしてまた、いろんな形でいろんな報道がなされているというのも事実でございます。で、そういう形で詰めておりますので、まあこの間の空将会議におきましてもいろいろ議論がなされまして、空幕自体としては一つの方向というものはだんだん固まりつつあるというのは事実だろうと思います。しかしながら、御承知のようにこのFXという飛行機はかなり費用もかかるものでございますから、したがいまして、従来考えていたような勢力そのものを持つことができるのか、あるいはまた、ある程度縮小してこの防空任務というものを果たせるようなことになるのか、そういった点の最後詰めをやっているというのが現在の段階だというふうに私どもは承知いたしておるわけでございます。
  28. 秦豊

    秦豊君 そうしますとこうですか、伊藤さん。いまさらしかしこの段階年内——予算要求と絡みますね、これは。そうでしょう。それはお認めになった。ところが、常識的に言って十二月の上旬じゃ遅過ぎます。十一月。もうこれは十月の中旬ですからね。で、政府・与党の臨時党大会もあるし、どうなるかわかったものじゃないが、そうするとやはり大きな政局の余波を受けないときにFX上申ぐらいはしておきたい。ポスト四次防の大綱にも関連する。ならば月内、十月じゅうというのは、これはもう常識中の常識的な観測ではないんですか、それが一つ。  もう一つは、この段階まで来ますと、あなたせっかくおっしゃったけれども、もう一回、14と15と16を並べてどれが妥当か改めてなんていうゆとりはもう与えられていない。あなたが答弁の後段で言われた機数をどうするか、空幕はといえば六個飛行隊、ばんと欲しいと、とても無理だと、じゃ装備をする年数はどれぐらい、まず当初に買う機数はどれぐらい、完成機はどれぐらい、あとはライセンス生産技術開発費負担はどう、こうなるわけでしょう、順序としては。その辺含めて重ねて答弁を求めておきたい。
  29. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 来年度の予算追加要求をするのには、やはり十一月中には上申といいますか、防衛庁の意思というものは決定し、国防会議にも一応の御説明はしておく必要があるだろうと考えております。したがいまして、航空幕僚長からの上申というものは、少なくとも十月中には行われるというふうに期待をいたしております。  それから、現段階において、なおかつ16、14、15というものを並列的に調査をしているという段階ではございません。先ほどお答え申し上げましたように、空幕が選ぶ機種というものが、価格の面では差はございますけれどもかなり高くなっているというのは三機種とも同じでございます。したがいまして、そういうものの編成、それが防空任務にどういうような形で実行できるのかというようなことについての最後詰めが行われているというのが実情でございます。
  30. 秦豊

    秦豊君 きょうの私の次の次ぐらいの質問から、私は少なくともF15候補機想定機としてあなた方に聞こうとしている。あなた方は、決まってもない仮定の問題にはお答えできないという、これは吉田茂が開発した答弁のパターンなんだけれども仮定の問題にはお答えできないで逃げようとするだろう。しかし、それはもう現実に許されなくなっていると思う、あなた方の部内作業から見るとですよ。だからぜひとも答弁をしてもらいたいと思うが、いま防衛局長がおっしゃった一番終わりの部分ですね、あれを装備局長に聞いておきたいと思うんですが、あなた方は、小松チームが帰ってきて、まあその前から資料を収集して、そしてF14と15と16を比べてしぼる場合、やっぱり価格という点は重要なぼくはファクターだと思うんですよ。非常にこれはリアルに踏まえなきゃいけないでしょう。それならば、装備局長段階では、14、15、16は、たとえばアメリカ軍部に納入する価格日本の場合は、当然ライセンスという段階が絡まってくるから変わってくるのは常識だと思う。だけど、いま14、15、16の価格がどうもいままでの国会審議の中ではぼやけているし、報道の中でも鮮明でないと思う。これをこの機会に当委員会で明らかにしていただきたい。
  31. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) 次期のFXにつきましては、確かに価格問題が重要なファクターになることは否定できないと思います。ただ、現在、価格につきましては費用効果段階でなお検討しておる最中でございます。ただ、先ほど御指摘のありました、きょうの紙上あたりに出ております価格でございますが、これは必ずしもわれわれのベースに合っているかどうかということになりますと、若干ベースの違いもございます。しかし、一応きょうあたり出ておりますのは、一九七六年の米上院歳出委員会議事録として出ました価格、すなわち14で五十八億程度、15で四十五億程度、16で二十七億程度というようなことが一部の紙上にきょうは出ておるというふうに私ども読んでまいりました。大体その価格の水準はどの程度になるかということでございますが、恐らくこれ以下のものにはもちろんならないわけでございまして、それはいま先生の御指摘になりましたやはりライセンス生産の問題がございます。ライセンス生産の問題は、一にかかりまして国内で、つまり日本でつくります機数との相関関係におきまして、当初設備いたしますその設備の割り掛けと申しますか、そういったものがどの程度見込まれるかということでございまして、これはやはり最後になってまいりますと、一体、全体としてどの程度機数にするかということの相関において決まってまいる問題でございます。まだ価格についての詰めが最終的にできておらないということは、そういう意味で申し上げておるわけでございまして、これから機種決定に至りますまでの間に、やはりそういう点は十分詰めてまいりたいと考えております。
  32. 秦豊

    秦豊君 いまの答弁不満ですね。本当にそっちからくる答弁はことごとく不満江口さん、こうじやないですか。いまごろ三機種並列費用効果運用仮想敵機なんという段階でORしているわけじゃないですよ。だってF15にしぼられつつあるんだから。ほとんどしぼられているんだから。公表しないだけで、もう一つの結論なんだから、あなた方の。いまごろ並べて、のんびりオペレーションズリサーチとか、コンピューターと対話とか、そんな段階過ぎていますよ。そんなの答弁じゃない。またあなた方は、特にあなたは装備局長なんだから、最終的に詰めねばならぬとか言うけれども、少なくとも費用効果なんというのんびりした段階は突き破って、まさにもっと細々した、たとえば技術負担料問題あたりまできて、近くメンバーをワシントンかどこかに送ってアメリカ側ともっと詰めねばならぬ、そういうのは詰めと言うんですよ。ぼあっとアバウトに、あなた概論みたいなもう詰め段階過ぎているんじゃありませんか。だから、それはもちろんより細かい問題は残っている、これは理解できる。できるが、いままでのところ14と15と16を比べたら、防衛庁担当局長としてはどれくらいの値段になっているぐらいは把握してしかるべきであるし、それは国会委員会審議の中で、やはりFXといえば重大な国民的関心事にある。そうでしょう。われわれは基本的に反対の立場にある。当該委員会ではそういういわゆる原則論をぶつけていては実態的でないから、あえて百歩譲って議論をしている。しかし、やっぱり運用の面とか、あるいはソビエト空軍の趨勢とかいうことは、FXをしぼり上げていく場合の大きなファクトだとぼくは思う。だから値段の点も重要だと思う。だから、いまの答弁では納得できないから、どの辺まで値段を把握しているか。もちろん百機ライセンスした場合の値段と三十何機という場合、違うことはもうわかっている。それはわかるから、もっと具体的な数字を明らかにしてもらいたい。
  33. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) これも大変ふまじめというふうにおしかりを受けるかもしれませんけれども、現在価格検討をやっておりますのは、やはりいま御指摘になりましたように、数段階に分けまして、数種のカテゴリーに分けまして、それぞれのカテゴリーにおいて検討をいたしておるという段階でございます。たとえば、いまありましたような百数十機では幾らで、百七十機では幾らであるとか、あるいは百機では幾らであるとかというような、そういう数字、各カテゴリーを置きまして、それとの相関においてやっております。で、そういう意味で、これは実は逆にそういうふうな数字の決まることが値段を決めるということになるわけでございまして、結局費用効果と申しましても、個々性能あるいは個々単価ごとに比べる場合と、それからさらに全体のつまり枠がございます。資金枠というのは当然出てまいりますから、そういう枠の中から選ぶとすればどういうことになるか、その際の価格は大体どれぐらいになるだろうかということにまたはね返ってくる問題でございます。そういう意味で、最終的にはいまどこの価格ということは申し上げられないということでございまして、その辺の事情はひとつごしんしゃくをいただきたいと思っております。  ただ、大まかな、これもアバウトになりまして大変恐縮でございますけれども、一応そのめどといたしましては、少なくともきょう出ておるような、さっき申し上げました一九七六年の米上院歳出委員会議事録数字あたりよりはやはりかなり高くならざるを得ないということでございまして、現段階においてはひとつそのあたりで御勘弁をいただきたいというふうに考えております。
  34. 秦豊

    秦豊君 そうするとあれですか、素朴に投げ返しますけれども装備局長、いわゆる一般的報道の中では、15が一番高いと、もちろん14との精密な価格比がないのだけれども、一応15は高い飛行機だ、戦闘機だ。日本の金にして六十億円を超えるのではないかと。ただしこれはいわゆる完成機装備の一〇〇%充足を見たものじゃなくて、いわゆる飛行機一機ですね、裸で一機という場合に俗に六十億円なんというリポートが飛び交っているが、これは全く見当外れですか。
  35. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) これはややしさいに申し上げますと、いわゆる完成機の場合は、先生御存じのとおり恐らく当初の数機が完成機輸入ということになってまいりまして、これはいわゆる新しい米国の法律の動きによりまして恐らく政府べースの、つまりFMSの導入というようなことにならざるを得ないと思っております。しかしながら、その場合は当然のことながらこれはライセンスではございませんので、要するに向こうの価格がそのままもろに出てくるということになるわけでございます。しかしながら、その以降の後継機につきましては、やはりライセンス生産の問題がかかってくるということになります。したがいまして、価格と申しましてもそれぞれの段階によりまして出てくる価格が違っております。端的に申しまして、いま六十億程度というような御指摘がありましたけれども、恐らく最初のころにはそこまでいくかどうかということは疑問でございます。しかしながら、だんだん導入——導入と申しますか、つまりつくってまいりますケース1、ケース2と、こういろいろ契約してまいりまして時間がたってまいりますので、その際にはやはり物価等の上昇ということは避けられない問題でございまして、そういう際にはあるいはそういった事態もあり得るというふうにお考えいただきたいと思っております。
  36. 秦豊

    秦豊君 ここにアメリカ議会の資料があるんですけれども、それをちょっと引用さしていただくと、仮にですよ、仮に、あそこはライセンスじゃなくいわゆるまともな生産で、月産九機とした場合、F15を。この場合、装備はサイドワインダーのAIM9Lというのを四発、それからスパローのAIM7Fというのを四発、この八発含めて日本の金にいきなり換算すると三十九億一千二百万円になるのではないかと、私ども調査ではそうなっているんですよね。それが基準になると、日本ではライセンス生産、もちろん機数がかかわってくるが、ライセンス生産をすると三割五分ぐらいの値上げになるのではないか。しかも、巷間伝えられつつあるところによると、技術開発費負担分がどうも思ったより多くて、一機分に押しならすと六億円を超えるのではないかとも情報が飛んでいますよね。そうなると、六十億は優に超えるのではないか。これは素人の観測ですけれども、これについてはいかがですか。
  37. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) この辺になりますと、いまの段階でどうだということはなかなか申し上げられませんし、従来のお答えの繰り返しになりまして大変恐縮でございますけれども価格を動かすファクターといたしましては、いまの完成機、アメリカでつくりますベースのものと、それからライセンス生産で国内でつくりますものと、それからさらに、いま御指摘のような一体どの価格をとるか、つまりフライ・アウェー・コストをとるのか計算価格をとるのか、あるいは装備をとるのか、いろいろございます。そういったつまり範疇の問題と、それから時間的な経過といたしまして毎年の物価上昇率というような、そういったいろいろなファクター、それから最後には先ほど申しましたような全体の機数幾らにするかという枠から来る問題でございます。そういった関係がございまして、実はいまの段階でこれを大体どれぐらいと申し上げることもある意味ではいささか危険ではないかと思っております。つまり、機数が大幅に変わればこれは非常に変わってまいるわけでございます。ですから、いま先生の御指摘価格が大体どのレベルの価格の範疇を御指摘になっておりましたかは実はちょっとまだ定かではございませんけれども、大体アメリカの一九七七会計年度の、たとえばF15につきましてのフライ・アウェー・コストというものは、一応私どもの把握では千百万ドルという数字でございます。これは約三十四億程度でざいまして、いささかちょっといま御指摘数字と違っておりますけれども、しかし、私どもの公表数字として把握しておりますのはいまのような数字でございます。ただしかし、この数字がやはり、この後にいろんな初度部品でございますとか、あるいは地上機材でございますとか、あるいは訓練費というようなものを入れてまいりますとどんどんふくらんでくることは事実でございます。そういう意味で、いま六十億という数字を御指摘になっておりますけれども、まあある場合においてはそういうことに年度の経過においてはなり得る可能性も十分あると、この程度でひとつ御勘弁いただきたいと思います。
  38. 秦豊

    秦豊君 これは伊藤局長にも伺っておかねばなりませんが、あなた方は内局を守っていらっしゃる。けれども空幕はもっと実態的な作業をしているんです。御存じでしょう。たとえば、とても百機じゃ国民世論が納得しない、国会がうるさい、ならば運用の最低必要を満たすためには、空幕はいま、私の調査によると少なくとも最初この完成機体は二機と。これはぼくの調査だから、とんでもない、荒唐無稽だという答弁が用意されているかもしれぬが、われわれの調査によると完成機体は二機、練習機型四機をまじえて合計六機ですね、これをまじえて当初三十四機から三十六機を導入できないものであろうか、せめて、という願望とプランニングをやっているんですよ、空幕は。そうなんですよ。そういうことは装備局長防衛局長もつとに熟知していらっしゃると思う。あとはどうするんだというとね、あとはまさに坂田理論の単年度方式、ローリングバジェット、世論の動向を見ながら、余り鋭く反撃を受けなければなし崩しに装備を増強するという、お手の物の、お得意の新理論ですよ。十年ぐらいかけてなんて言っているがこれはわかったものじゃない。そうしてそのときにはファントムの補充という、減耗したファントムを次々に埋めていくんですよというなかなかうまい解決方法があるんですよ、あなた方には。絶対困らない、あなた方は。予算が窮屈でも応用問題、解いていく。それが優秀な局長とか、優秀な装備局長とか、ユニホームの任務だと思っているらしい。とにかく、私の調査では空幕はその程度まで具体的に詰めています。首振っていらっしゃるけれども伊藤局長は。  で、私はそう思っているんです、私の調査データでは。ならば、当然それに対応して装備局が、仮に三十四機とすれば、このうち裸で完成輸入が二機あるいは六機とした場合、あとはライセンスとなった場合には、たとえば技術負担料その他幾らになるか、これはもう大体ラフスケッチで出ると思うんですけれども、こういう空幕作業順序というのは把握されていますか。
  39. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) ただいま先生のおっしゃったような作業というのは、実は私は存じておりません。そしてまた、いま先生がおっしゃったような形で、少なくとも三十何機というものをとりあえず入れたいというような形でこのFXというような大きなプロジェクトというのは決まったことはいままで一度もございません。御存じのように、104のときにはいわゆる百八十機、それからDJを入れまして二百機というものを一括して国防会議で決めていただいております。そしてまた、ファントムの場合にも百四機というのを一括して決めていただいておるわけでございます。したがいまして、それを、ではどういう形で予算化していくかという技術的な問題としてそういうことはあり得るかと思いますけれども、とりあえず三十何機入れておいて、そしてあとはなし崩しにいくというようなことは、従来の経験からもそういうことは考えられませんし、また今後もそういうことはあり得ないというふうに私は考えております。
  40. 秦豊

    秦豊君 いままでとこれからは質が違うんですよ、背景が違うんです。ではあなた伺いますがね、国防会議が、今度ですよ、一括いままでどおり百機欲しいと、百機。包括的承認を与え得るだけの国防会議ですか、時期ですか。そんな甘いこと許されませんよ。ぼくは伊藤さんのおっしゃっている方がちょっと実態的でないと思います。いままではいままで、これからはあなた基本的に違うんです。だから坂田理論が出てきたんです。久保さんの置きみやげがあるんです。そうでしょう。  では観点を変えて伺いますけれども、どうでしょうか。今度上申される場合には当然一機種にしぼる、まあ15なら15にしぼる。同時に、やや長いタームの整備計画が上申に含まれるのか、初年度の購入計画は含まれるのか、運用の重点等は当然加味されているのか、その程度のやや肉厚になった上申なのか、もっとあっさりした事務的な頼りないものなのか、どういう上申になるんですかね。
  41. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 上申の内容についてもまだ決まったというふうに私どもは受けとめておりませんけれども、新しい戦闘機機種あるいはそれを選定した理由、そういったようなものが空幕としての上申として出てまいると思います。それをいわゆる今後の防衛力整備の中でどういう形で、いわゆる防空体制というものを向上させる中でそれを何機ぐらい、何スコードロンぐらい、そういうものはもちろん空幕の希望も出てまいりますでしょうし、また私どもの方の考え方も議論もいたしまして、最後大臣の判断をいただくという順序になろうかと思います。
  42. 秦豊

    秦豊君 ちょっと質問の順序を変えねばならなくなったのは、つまり装備局長がほかの委員会との重複があるようですね。だから、ちょっと順序悪くなるけれども、あなたに伺っておきたいことは、後ほど長官にも伺いたいと思うが、特にあなたに集中します。  このいまの委員会では、アバウトだけれどもまあこの程度で勘弁をしてくれという答弁を繰り返しされると思います、きょうはね。ではいつごろになればFXという、最大国民関心事のポスト四次防の防空体制の大きな一環を担うであろう最も突き出した部分の最新兵器の値段、これはわれわれ野党議員も重大関心なきを得ません。こういうものはわれわれが質問をすれば、いつごろならば、こんなアバウトなものじゃなくて、ぴしっとした、たとえば想定機数、年度。それからその場合は、あなたに要望しておきたいが、一種のライフ・サイクル・コストですね、これがなくていきなり裸で導入して一機幾らなんというのは、国会論議としてはなじみませんよ。その後の、いわゆる装備後の訓練維持を含めたいわゆるライフ・サイクル・コストを含めて、導入しようとするF15一体どれぐらい国民の税金を使うんだ、どれぐらいむさぼるんだという知識と情報と数字と根拠をわれわれに示めさなかったら、とても納得できないでしょう。野党は幾ら反対したって、マスコミは幾ら批判したって、もう上申防衛庁議、国防会議まっしぐらというわけにはいきませんよ。坂田長官のこれは持論ですからね、新兵器の導入、新機種の決定、装備計画の充実、そうして防衛構想の前進のためには国民合意に絶えず留意すると、これが坂田式ですから、よもや国会の論議を素通りしてはあなた方の意図は実行できない。そうでしょう。いつごろならばライフ・サイクル・コストを含めて内閣委員会にそういう精密なリストを提出できますか、それだけ聞いておきたい。
  43. 江口裕通

    政府委員江口裕通君) これはどの段階において、いわゆる一般的にいま御提示のありましたような資料を公開できるか、公表できるかということは、まさにこの機種決定の基本問題にかかることでございまして、あるいは私がお答えしていいことかどうかはいささか疑問で、これは内閣の全体の責任かもわかりません。ただしかしながら、少なくともと申しますか、遅くともと申した方がよろしいと思いますが、いわゆる来年度予算の御審議をいただきます際には、当然これはわかっておらなければいけないというふうに考えております。そこにおきましては、私どもの現在考えておりますところのFX計画というもののわれわれなりの——日本政府としての考え方というものを御審議いただくわけでございますので、その際には当然申し上げなければならないことであろうかと考えております。ただしかしながら、その過程におきましては、まあいろいろ御指摘がございますけれども、現在いわゆるフィードバックをいたしまして——ある数字を出して、それをさらに全体にはね返らし、そしてそれをフィードバックすると。それから対米関係のいろいろな問題もございます。そういうことで常に流動的であることはこれはひとつ御賢察を賜りたい。それから同時に、対米関係等につきましては、逆にある程度こちらの意向がはっきりしてまいりませんと、向こうの方も親身になってこの数字のすり合わせをするということにはなりませんので、そういうことで、徐々に日を経るに従って数字が詰まってくる、こういう種類のものでございます。で、プロセスといたしましては、そういうことで適宜と申しますか、逐次いろいろ数字の中身等は申し上げてまいりたいと思いますが、いまはっきり申し上げられますことは、遅くとも来年度予算のときには当然その点はつまびらかにさしていただきたいと、かように考えております。
  44. 秦豊

    秦豊君 そんなわかり切った答弁は期待外なんだが、国の防衛一般質問のときにその都度しつこく詰めていきたいと思います。  それから、坂田長官、ちょっとあなたにぜひお伺いしておきたいんですけれども、この防空体制というのは、これはシステムですね。そうでしょう。だから、システムとしての防空という言葉も当てはまるし、それから防空システムと言いかえてもよろしいですね。私はそういうふうに考えている。それから、ミグ25の直接的なショックとか、ミグ25が残したものとか、教訓とか、一般評論的にあげつらうのではなくて、坂田長官は、歴代長官の中ではユニホームが喜ぶぐらい該博な情報を収集して、例の精密なカードシステムで相当知識を集積して、それでやはり蓋世練達の感がある。そういう長官からぜひとも伺っておきたいのは、やはりミグ25を踏まえて、これからの日本の防空体制はぼくはシステムだと思うから、FXというふうな一つのシステムの一環だけが著しく不均衡に突出をするというあり方は私は妥当を欠くという持論の持ち主なんですよ。その前になすべきことがたくさんあるんじゃないかということを、これから具体的なポイントをとらえて質問をしていきたいんだが、長官としては、その点をどういうふうに把握をしていらっしゃるのか。  それからもう一つ、これからの日本の防空システム、防空体制と言ってもいいと思いますが、これは限られた原資で、世論やジャーナリズムや野党のしつっこい追及の中で、しかもあなたの出された新しい方策、いわゆるローリングバジェット、単年度方式、こういう原資が窮屈になる、そういう中であなたのいわゆる国民合意を背にしながら装備を量から質に転換をし、そうしてすき間のない、切れ目のない防衛力を整備するということはしかく容易ではありませんよ。その場合には、AEWも、それからバッジの予備機の導入も、あるいは新バッジシステム、あるいはレーダーサイトの抗たん性の問題等々を含めて、一体乏しい原資でそれを整備していこうとするからには、優先順位ですね、一種のプライオリティー、それはどういうふうに踏まえていらっしゃるのか、あわせて伺っておきたい。
  45. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 先生おっしゃるように、やはり防空というのはやっぱりシステムとして考えなきゃならないというふうに思います。そういう意味から考えますと、まず第一には、いま私どもが御提案申し上げようとしております基盤的防衛力構想というもの、これが防空を含めて日本防衛についての欠落なき機能、そういうものを一応国防会議で御承認いただいて、それに基づいて今後ポスト四次防でどういうふうな整備計画を立てていくかということがあって、そしてその初年度をどうするか、二年度をどうするかということかと思うわけでございます。で、先生指摘のとおりに、それは非常に容易ではないということは私どもも承知をしておるわけでございますが、一応そういう機能的なすき問のない防衛構想の中で防空というものをどう位置づけたらよいかということがまず決まりますれば、それに基づいての防空のシステムについての整備計画も出てまいりますから、その中で、どうやってこれを、年度あるいは長期的に整備していくかということはおのずと出てくるというふうに思うわけでございまして、やはり先生指摘のとおりに、国民の理解と支持と協力のもとにそういう整備計画は進めていかなきゃならない。つまり、著しく民生を圧迫するような防衛費であってもなりませんし、また、他国に脅威を与えるようなものでもなりませんので、そこはおのずから国防会議なりあるいは政府内閣といたしましても、それにつきましては十分配慮をいたしまして決めていくということでございます。そして、そのものがやはり国会の場におきまして、先生方のような専門的な鋭い御質問にも答えられ得るものでなければならない、まあこういうふうに考えておるわけでございます。  防空につきましては、確かに低空で非常な高性能の、しかもスピードを持ったものが侵入をしてくるというのは世界各国の共通の課題であろうかと思うわけでございまして、直ちにこれがAEWがなければだめだというようなものでもないわけなんで、その前提としてAEWを買い込む、あるいは配備をする前提としてまだなすべきことはたくさんあるということは先生の御指摘のとおりでございます。しかし、機能ということから考えますと、やはりAEWというものは必要であるということは考えておるわけです。しかし、おのずとそれにつきましては順序というものがあろうかというふうに考えるわけでございます。
  46. 秦豊

    秦豊君 非常に丁寧めいた答弁なんですけれども長官ちょっと焦点がぼあっとしているんですよ、ソフトフォーカスなんですね、失礼ですけれども。ということは当然ミグショック——ショックととらえていいのじゃないですか、正直に。かなりろうばいした面もあるし、あなたに情報が届くのに果てしなく時間がかかったんだからいいじゃないですか、正直に認めて。それはいい。だけれども、いま予算要求、江口さんの言われたように当然来年度予算までにはいろいろ決めなきゃならぬ問題が具体的にあるでしょう、いま言ったようなぼあっとしたものではなくて。たとえば、やっぱり窮屈かもしれぬし反発があるかもしれぬし、E2C、グラマンのはアメリカのいま議会で調査の対象になっている。黒い疑惑がまつわりついている。ならばロッキード特別委員会であなたの言われたように、新しい機種を導入する場合、兵器を導入する場合にはいやしくも一点の疑惑があってはならないと、これはあなたの持論です。正当な常識、健康な感覚と思う、そうでしょう。じゃ、グラマンはすでにそういうべっとりした黒い疑惑が、利権のにおいがしみついている。防衛庁は関知せずなんという短いコメントを出してもぬぐわれるものじゃありません。これをどうクリーンにするか、どうクリアにするか、これからの問題ですね、そうでしょう。ならば、予算要求に絡めて窮屈であろうけれども、やはり防空体制整備の優先順位としてはFXなんだと正直に言われたらどうですか、優先順位はやっぱりFX、15だ、欲しいんだ、必要なんだと。必要なんだというならばなぜ必要か、なぜ15でなければならぬかということを堂々と、資料と根拠と論理と運用構想と価格の精密なのを添えて、この国民の世論の代弁機関たる国会にあなた方が報告をし、正面から論争すべきですよ。なるべく隠そうとする。下手するとすぐ機密、そうすると、ユニホームは一〇〇を知り得る、長官はせいぜい七五ぐらい、そうでしょう。ミグ25に脱出装置がついてないなんというナンセンスな話が閣議で出る。権威ある一国の最高の機関でミグ25に脱出装置がないなんという、どこかの雑誌の受け売りのようなこと。あなたらしくない早とちりが出る、そうでしょう。だから、堂々と訴えるべきは訴えられたらどうか。その場合やっぱりあれですか、システムとしての日本防空体制のためには、やはり一番優先順位は精強な戦闘機、やっぱりF15戦闘機なんですか。その次には地上のレーダーサイトであり、それを補完する早期警戒機、AEW若干機の導入であり、あるいはバッジシステムの補強なんですか、大体そういうふうに理解していいんですか。
  47. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 先生が前段におっしゃいましたように、防空システムとしてとらえた場合には、一つこれだというふうには言えないんじゃないかと思うんですね。つまり総合的な一環としてとらえなければ防空システムとしてとらえられないんだと思います。でございますから、あくまでも次期戦闘機といたしまして、いまのファントムにかわるもの、あるいはそれより優秀なものは当然それだけの位置づけがあると、そして104というものがだんだんなくなってくるということになれば、それに新しい次期戦闘機選定をする、あるいは配備をするということが全体の防空システムということからいって当然なことであって、もしそれをやらなければ、それだけそこが穴があくということになる。さりとて、それじゃ次期戦闘機だけかと言われても、そうじゃないんで、やはりその前にバッジシステムもございますし、あるいは基地もございますし、あるいは低空に対しまするレーダーサイトの十分な機能ということも必要でございますし、今回の基盤的防衛力構想で私が言っておりますように、単に次期戦闘機の正面だけじゃないんだ、抗たん性も必要なんだ、あるいは後方支援の体制も必要なんだ それが正面と後方と持久力というものがバランスしたようなもの、小さいながらもある侵略事態に対しては即応体制を持ち得るものでなければならない、こういうふうで、少なくとも理屈の上では先生おっしゃったようなことを前提といたしまするとそういうふうに私は考えているわけです。しかし、これはまことに茫漠としておるわけでございます。しかし、茫漠としておりますけれども、少なくとも十二月の末の段階で次期戦闘機を決めなきゃならないという段階になりますと、いまちょうど先年がいろいろ細かく御指摘になりましたことについてもわれわれはちゃんとした考え方を持って、そして先生方にお答えができますような形にはいたさなければならない。つまり、そういう国民の批判にたえられないようなものであってはならないというふうに私は考えておるわけです。それでありまするがゆえに、いま防衛局長なりあるいは装備局長からお答えをしておりますものはその段階に至るまでのことでございますので、しかし、その問であっても、十二月の末に発表いたします、御批判を仰ぐものにさほど影響のないような形で、でき得る範囲内のことはできるだけ皆さん方に御披露を申し上げるというのが、やはり防衛庁としての今後のやり方ではないかというふうには考えておるわけです。しかし、それがどういうものであるかということについてはいましばらく御猶予を願いたいというふうに防衛局長装備局長も申し上げておるわけでございます。ただし、あした開かれます国防会議にはFXの問題は出てまいりません。このことだけははっきり申し上げておきたいと思います。
  48. 秦豊

    秦豊君 少しわかろうとぼくもしているのですけれどもね、長官のおっしゃることを。こういうことなんですか、AEWの前になすべきことがある、これは長官と私の見解一致します。私なんかはFXの前にやることがあるという論者ですから、それはいまから議論しましょう。  それから、少なくともAEWは五十二年度予算要求には出てこないわけですね、それだけははっきりしているんでしょう。
  49. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) そのとおりだと承知をしております。
  50. 秦豊

    秦豊君 そうすると、出てくるのはFX予算要求、これは必須ですね、不可欠ですね。それからレーダーサイトの抗たん性強化のための若干の措置、あるいは少しいま運用しているらしい移動警戒隊、移動式のコンパクトなレーダーの問題、あるいはOHレーダー、水平レーダー、散乱波レーダー、この研究開発に関する研究開発費、いまメーカーも三社ぐらいやっていますね、つまり低空侵入の欠陥にこりて。そういう問題は入るんですか。つまり、いわゆる私の言う防空体制強化の中に、仮にAEWは明後年、FXは来年度出る、それからレーダーサイトの抗たん性強化、その他出そうな具体的なアイテムというか、的ですね、それはどういうものが出そうなんですか。
  51. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いまおっしゃいましたのは何らかの形で出ていくと思いますが、同時にまた、レーダーの中で非常に古いものがございます。したがいまして、これは四次防の当初からやっておりますレーダーの換装でございますが、三次元レーダー、これなんかも来年度一カ所ぐらい出てくるのではないかと思います。これは非常に多額なものでございますので、毎年一カ所ぐらいずつ予算化して実施いたしておりますが、その抗たん性の問題につきましても、たとえば機関砲を装備する。それからまあ三次元レーダーにいたしますときには従来のようなああいう完全に外に出ているような形ではなく、半地下式というような形もとりますので、そういうものも逐次やっているというのが実情でございます。しかしながら、いまおっしゃいました抗たん性の問題、それから低空域の問題等につきまして、AEWにつきましては三次防の時代から私どもその必要性というものは考えておったわけでございますが、まだ具体化するところまでは至っていないというのが実情でございまして、いま先生がおっしゃいましたようなこと、それからさらにレーダー、そういったものが出てくるというふうに考えております。
  52. 秦豊

    秦豊君 そうすると、当然北部重視、沿海州の向こうに国がありますから北部重視、そして新型三次元レーダー、または違ったレーダーに逐次転換をしていく。それはこれからあなた方の言う十年間の中で毎年一つぐらいは必ず重点指向で出てくるというふうに理解していいわけですね。おおよそどれぐらいでそのレベルアップを終えられる目算なんですか。
  53. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 現在もうすでに、たしか八カ所であったと思いますが、終わっております。北部重視ということではなくて、先ほど御指摘ございました移動用の警戒レーダーをそこで代替させながらやっているのでございまして、恐らくあと四、五年もすると全体のものが変わってくると思います。しかし、同時にレーダーというのは、またそれなりの寿命があるわけでございますから、そういう新しい型のレーダーというものを研究開発をしながら、またかえていくという作業もあるわけでございまして、これはいま先ほど先生が御指摘になりましたように、FXがいま緊急の問題かというお話でございましたけれども、十個飛行隊というものを維持していくためには、飛行機そのものがフェーズアウトしてまいりますので、それに合わせてやっていくというために、来年度の問題としてはこのFXというのが大きなものとして出てきているということでございますので、全般的にとりあえずこれだけをやっておくというようなものではなくて、交換しながら、また性能を上げていくという性格のものであろうというふうに考えております。
  54. 秦豊

    秦豊君 少し具体的な問題に変わります。  ソビエト空軍は、すでにフィアレスというコードネームのミグ27を開発しまして、実戦配備しつつあると。まだ一枚の写真もないそうですが、あるいは実戦配備寸前だというふうな私ども調査結果。今度はもう可変翼だし、低空性能重視、ミグ25よりはるかに近代戦型というふうな足も長い戦闘機がすでに開発を終わって実戦配備の寸前だそうですが、そこで防衛庁の基本的な考え方を聞いておきたい。たとえば、あなた方は恐らく15、15と言って、これはもう15なんですよ。そうしますと、今後の傾向としまして、いまのミグ27フィアレスを含めまして、ソ連空軍というのは攻撃力の主体を戦闘爆撃機に移しつつあると。大型の高々度用の爆撃機じゃない。これはソビエトだけじゃないかもしれない、B1を考えれば、アメリカの。各国の趨勢かもしれない。そうすると、日本に侵攻が予想される、あっては困るが予想される機種というのは、いまのミグ27がレンジがわからないけれども、大型の高々度でなくて、小型の戦爆機が低空から、しかも高速で侵入をし、目的を達し、マッハ二・五、三・二で退避するという状況設定が考えられる。こういう趨勢について意見を同じゅうしているんですか。
  55. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いま先生がおっしゃいましたように、次期戦闘機というのは、いわゆる一九八〇年代の性能の航空機に対応するという形で私ども選定しなければならないと思っておるわけでございます。その時点になりますと、いままさに先生がおっしゃいましたような形のいわゆる戦術戦闘機というものの性能が向上し、そしてまた爆撃能力を持つというふうに私どもは想定いたしておるわけでございます。これは御承知のように、超大国のアメリカとソ連というものが軍事技術というものについては非常に進んでおりますので、しかも世界的に見ますと、この二つの国の軍事技術の影響力というものは、次第に、そう間を置かないで各国がそういう方向に進んでいくということは予想されるわけでございますので、いま先生がおっしゃいましたような、いわゆる侵攻機の能力というものを想定いたしまして、これに対応できるものという観点から選定作業をやっておるというのが実情でございます。
  56. 秦豊

    秦豊君 そこはやっぱり前半は意見が同じですが、後半はあなた方はどうしても15がこびりついているから無理な論理になるんですよ。その論理には説得性がない。なぜかといいますと、それならば、意見を同じゅうした部分だけにこだわれば、いわゆるこれからは完璧な高々度用の全天候型の精強な能力よりは、低空または中程度の高度で一〇〇%すばらしい性能の発揮できる要撃能力のある戦闘機を重視すべきじゃないんですか。ところがあなた方は恐らく15を上申されるであろう、一本にしぼって。ところが、高度一万二千メートルの性能を調べてみると、F15は二・五マッハですね、マッハ二・五。F14の場合が二・三四マッハ。それからF16の場合がマッハ二です。そうすると、もう高度一万二千を想定するとばらつきがある。一番早いのはやっぱり15じゃありませんかと、それ見なさいと言いたいかもしれないが、われわれがいま論議している低空の場合を考えてみると、どの機種だってせいぜい一マッハから一・二マッハではないんですか。これはもう常識的なデータでしょう。ならばですよ、大差がないじゃありませんか。なぜF15だけが日本の防空にとって、伊藤さんの言葉をおかりすれば八〇年代の仮想敵国の——仮想敵国ということはあなた方は使わぬから、対象国の予想機種の出現に対して最も有効かつ適切な機種なのか、その辺の根拠と理由を、少なくとも一野党議員たる私を一〇〇%論破し、完膚なきまでに粉砕し、私を通じて国民の皆さんの間にある疑念を晴らせるだけの用意がなければ、FX、15、一機六十億なんて言えませんよ。なぜF15でなければ対処できないのかというのを、十全の論拠をもってまず私に教えてもらいたい。また論破してもらいたい。なぜ15でなければならないんですか。
  57. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 15でなければならないというふうには申し上げていないわけでございまして、FXの中の対象機を調査します段階におきましては、それぞれ能力を持っております。そしてまた、いまおっしゃいましたように、一万五千メートルでは二・五マッハでございますけれども、低空におきましてはもちろん一マッハあるいは一マッハ以下ぐらいのところで有効であるというようなことはございますが、これは低空を飛んでまいりますときには、どんなに速い飛行機であっても二マッハとか二・五マッハで飛んでくるということはあり得ないわけでございます。したがいまして、高々度で飛行してくるときには非常に速いものに対応できるもの、そしてまた低空でまいりましたときには、いま速度ということもございますけれども、同時にまたこれをとらえますレーダー、FCSの問題もございます。そういう観点からいたしますと、15でなければならないということは必ずしも言えないと思います。それぞれの飛行機がそれぞれの能力を持っておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、まあ費用効果と言うとちょっとわけのわからないようなことを申し上げるようでございますけれども、何機生産する場合に価格としてはどれがリーズナブルであるか、そしてまた、それぞれやや特徴もございます。それからまた、信頼度といいますか、いままで使われている状況、そういうものも調べる必要があると思います。そういういろいろな観点から検討いたしまして、最後機種大臣に御判断をいただく、そのための作業をやっているということでございます。
  58. 秦豊

    秦豊君 恐らくね、伊藤さんもそれは正直なところだと思いますよ。14と15と16を比べて、絶対にこれでなければ軍事的合理性なし、後で内局が後悔するぞなんていうものじゃないですよ、これはね。特にAEWとのコンビネーションを考えた場合には、運用上大差なしというのがむしろクールな判断じやないですか。だから、空幕から来る日本語がどうなるか知りませんよ、恐らく望ましいとか、あってほしいとか、まあ日本語は工夫するでしょう。それで何か米価審議会の両論併記じゃないが、何か付帯意見なんかも出て、あとはもう長官以上、国防会議というふうになると思うんですけれども、もう一つ15でなければならぬとは日本語は使えないだろうが、15が望ましいという上申に落ちつくに決まっています、恐らく。その場合、ぼくが疑問なのは、素朴なこれは疑問なんですけれども、AEWを、これはまあ来年度の話じゃなくても八〇年の前には、必ずこれはスリーポイントか、あるいは二ポイントにしぼるか別として、大体十機か十数機導入する、三方面に。そうなると、AEWとのコンビネーションと、地上の若干のレーダーサイトとのシステム、文字どおりシステムを考えた場合に、私はどの機種を導入しても運用上大差がないと思うんです。その中で、とりわけあなた方が15に決定的に傾きつつある理由は一体本当はどういうことなんですか。
  59. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) どうも先生は15に決まっているという前提でお尋ねになりますので、大変お答えしにくいところがあるわけでございますけれども、まあ私どもはいままで何回か、いろいろな場合に、ヘリコプターあるいは戦闘機を含めまして機種選定をいたしてまいりました。その都度、やはり性能的なものが一つ問題になります。それから価格というものも問題になります。と同時に、やっぱり運用者である、オペレ一ターである航空自衛隊のパイロットの意見、これは操縦しやすい、あるいは安定性がある、そしてまた整備上も非常にほかのに比べて容易であると、そういったのももちろん一つ選定の理由になるわけでございます。で、私どもの従来の経験からいたしますと、やはりその過程におきましては、航空自衛隊なり海上自衛隊の中でもいろいろ議論があるわけでございますけれども、やはりこのユーザー側の意見というものは尊重しながら、そして決定するというようなことになっていくのではないかというふうに私は考えておるわけでございます。
  60. 秦豊

    秦豊君 伊藤さんにはなはだ恐縮ですよね、決まってもいないものを何か架空の議論をしている。だけど、たまによろしいじゃありませんか。ということは、もう九月三十日に、あなた方、航空自衛隊では、さっき申し上げた、二十人以上とぼくは思いますけれども空将以上を集められて、幕僚監部の五階会議室で長い時間をかけていますよね、びっしり密度の高い議論をしているわけですから。あれはもう15ですよ。だから国会の場で、それはもちろん決まってないにしても、もう話をしてもいいと思います、むしろすべきだと思います。その観点でこの論議につき合っていただきたい。15を踏まえてですよ。  それで、アメリカ空軍がF15を選ぶというのはぼくは一つの必然性があると思うんです、根拠が。それは、少なくともF15はTACの所属である。戦術空軍ですよ。進攻作戦です。要撃防空じゃない。局地防空じゃないですよ。だから、進攻して制空権を確保するというときに、まあむしろ随伴的に格闘戦闘があったり対地支援がある、これはあたりまえですね。それはわかるんだけれども、しかし、現実にアメリカ空軍は、局地防空軍のADCの場合は制式機はF106のはずですよ。ところが、大分古びてきた、役に立ちそうにないので今度はF14、それからほかの一つ二つの機種をどうやらリストアップして検討をやっているらしい、どういう検討かわかりませんが。それならば私はわかるんです、F15を彼らが選ぶ理由は。しかし、日本の防空を考えた場合に、なぜF15が最も望ましくなりつつあるのか。あなたは肝心のデータを要求すると、これはソビエトを刺激する。この前の委員会でもそうでしょう、ぼくが少しいらいらしたでしょう。ところがそれは、秘密というか機密というか、対ソ配慮とは言わなかったが、出ない。国会議員は何もつかめない。どんどん既成事実は進行する。不満といら立ちが残る。きょうも恐らく、何で15がいいかと言ったらあなた答えができますか。お答えできますか。いやあなたは素人で秦豊は何も知らないんだと、われわれはこういう情報を持っている、こういう根拠を持っている、だから15がいいんだよ、というのがあったらお示し願いたい。
  61. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 先生に納得していただけるようなところまで実は私もまだ完全に勉強している自信はございません。ただ、いま先生がおっしゃいましたけれども、ちょうど同じような戦術戦闘機としての議論というものは、あのファントムのときにもあったわけでございます。御承知のように、104というのは、いわゆるマッハ二を飛ばせるために、完全にああいったロケットに羽をつけたような形のものをつくりました。したがいまして、ミサイルなんかもサイドワインダー二発以外のものを積みますともうマッハ二は出ないというような状況であったわけでございます。そういうのを改善いたしましてあのファントムというものができ上がったわけでございますが、あれはまさに戦術戦闘機であったわけでございます。で、あのファントムを選定いたしますときには、ほかのいろいろな機種も調べましたけれども、戦術戦闘機でありながら要撃戦闘機としての性能、これも当時といたしましては非常にすぐれておった。そこに着目をいたしましてファントムの採用が決定いたしております。で、F15、14、16を調査いたしますに当たりましても、もちろんその要撃能力というものに着目をしているわけでございます。したがいまして、アメリカでF106の後継機として検討しておるというのも事実のようでございますけれども、これもアメリカの場合の防空軍はやはり要撃能力というものに着目していると思うわけでございます。で、私どももそういった形で、この14、15、16というものを比較するに当たっては、日本のオペレーションの立場から見て要撃能力、そういったものを重視して検討しているというのが事実でございます。
  62. 秦豊

    秦豊君 やはり防衛局長ね、あなた方の答弁に当たる基本的な限界というか、なるべくデータは出そうとしないこんな答弁するからいけないんであって、要撃能力、ならば14と15と16の要撃能力を示してください。
  63. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは具体的に、じゃどういう場合にどうやるかというのは、いわゆる空幕でウォーゲーム等をやったのがございます。それはたとえばFCSの能力とか、そういうものをずっと比べているわけでございますけれども、実は私まだそこのところ詳しく聞いておりませんので、ちょっと御説明できないわけでございますけれども、そういったものを比較総合しまして、要撃機としてまあ航空自衛隊が望ましいと思うというようなのが長官に対する上申という形で上がってくるというふうに考えているわけでございます。
  64. 秦豊

    秦豊君 防衛局長ね、あなたは防衛局長であってもちろん装備局長ではないけれども、やはり防衛局長の私はミニマムな一つの職能というのは、空幕が持っている情報と同じ水準と量でなければいけない。量質ともに完備しなければならない。最も最新の情報と、そうしてORの結果と各国の趨勢と日本運用と、これがなかったら、ぼくは防衛局長一つの責任が全うできないと思うんですよ。いまあなたの質問にはどうも答えられませんと。空幕はもう答えられるのですよ。そうじゃありませんか。答えられると思うから上申するんですよ。一本にするんですよ。15なんです。あなた防衛局長として、何か空幕防衛局の間がまるで海の向こうのような隔たりを感じますね。こんなことではぼくは不安でしようがない。しかも、まだこの段階でとあなたはおっしゃるけれども国防会議は、長官のおっしゃるようにあしたFXは素通りですよパスするんだ。だけどね、いやしくもこれはもう恐らく一月か何かの間に15で突っ走ろうとする体制があなた方サイドではできるんですよ。そういうときに防衛局長が、あなたの質問にはこれ以上はどうも、何だか詳しいことはどうも、申しわけないというふうな答弁では、決して変な小手先の片言隻句をとらえた言い方ではなくて基本的に私は納得がいたしかねる。幾ら聞いていても、やっぱりF15が何で望ましいのかなあ、さっぱり茫漠として私なんかの頭ではわかりません。なぜだろう。全然私の疑問は氷解できません。しかも基本的に、ならば私ども調査一つを申し上げたいと思うんですけれども、あなた方はORをなすったと、空幕は。仮に16の航続の場合ちょっとあいまいな点があるんだけれども、仮に北部方面で稚内のところで会敵をしたと、要撃をするという事態、この不幸な事態を想定すると、千歳を発進して超音速に加速して稚内を目指しますね。それで14も、15も会敵して、いわゆるあなたの用語で言えば要撃をして戦闘速度をアフターバーナーでふかす、帰ってくるというときに、戦闘は二分間くらいしかできない、F15だったら。千歳発ですよ、稚内、二分間くらい会敵して作戦して、さて急いで帰らなきゃならぬという場合に、機内燃料だけでは足りませんよ、F15は。タンクを持っていかなければだめですよ。タンクを持っていかなかったらどこまで行けるのかな。千歳にはもちろん帰れますよ。だけど、千歳がもし爆撃をこうむっていて着陸できない場合には、三沢に行こうかしらんと思う、あるいはもっと南に行こうかしらんと思う、ところが、それは不可能であるという程度のレンジです。こういうケースはソビエトを相手にした場合たくさんあると思うんですよ、望ましくはないけれども。それに比べて14の場合には、機内燃料だけでもっと南、松島のかなり南まで南下することができるのではないか。一つとらえても、あなたは要撃能力は非常にすぐれていると言わんばかりだったが、私は稚内北方のある想定を考えただけでも非常に不安が残る。一事が万事とは決して言いません。私の持っている情報などは非常に寡少であって、あなたの情報、うずたかくデスクに積まれている情報に比べれば何百分の一でしかないだろうから自信はないけれども、これ一つをとっても、ぼくは15が望ましいという有力な証左にはならぬと思うのだが、どうなんですか。
  65. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 一つのデータによって、ある個所だけの比較ということももちろん必要でございますけれども、そのほかのいろんな形の比較というものもまた必要になるわけでございます。いま先生がおっしゃいましたように、その増槽がなければ稚内の上で二分で帰ってくるというようなお話でございますが、実は、私もまだそこのところ詳しく詰めておりませんけれども、たとえばORの問題にいたしましても、あるいは飛行性能の問題にいたしましても、彼らのいままで勉強したものについて私なりにも疑問を呈してお互いにディスカッションをするというようなことはやっております。で、15に決まっているのではないかというふうなお話でございますけれども、いろんな形の報告の中には、それぞれの部門についての比較検討というものがなされておるわけでございまして、そういう意味で、私もいままでにはそれなりに勉強いたしておりますけれども、そこのところだけをとらえてこうじゃないかと言われても、ちょっと私もはっきり記憶いたしておりませんので、さらに勉強してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  66. 秦豊

    秦豊君 一つだけを取り上げましてそれがすべてだというような乱暴な議論は私はきらいです。ただ一つを取り上げてもというニュアンスで申し上げたわけですが、だからあなたが私を納得させるためには、15で突っ走るとおっしゃるけれども、いまハイ・ロー・ミックスという概念が仮にあるとしてですよ、日本にもありますが、防衛庁のユニホームの感覚はいつもハイをとるのですよ。FXの場合には、14、15、16を並べれば、ハイの頂点にあるのは、装備から言えば14かもしれないが一応相対判断として15が浮かび上がった。これをだから仮にハイととらえる。ローは16ですよ、軽快な、ちっこい、安い。ところが、ローは絶対とらない。ほとんど絶対という言葉を使ってもいい。もうすでに趨勢がそこに行っておるんですよ。だからぼくは15を一応前提にして、御迷惑であろうけれども防衛局長、言いたくないだろうが、これを前提に議論をしているのです。やはり私は、当委員会は国の防衛に関する委員会ですから、少なくとも内閣委員会の論議ぐらいではもっと突っ込んだ15論議をぼくはなすべきではないだろうか。しかも、当今まさに喫緊ではないだろうか。国民の皆様にあなた方お得意のアンケートをとってみればいい。わかりませんよ、恐らく。第一あなた方は情報提供していないのだから、任せなさいと胸をたたいたって納税者の皆さん納得しませんよ。だから、私は、きょうの委員会で終わるわけではないけれども、いままで少なくとも午前中の論議の中では、防衛局長の御答弁ははなはだしく粗漏であり、不満であるということを失礼ながら申し上げておきたい。  それからもう一つ観点を変えて質問したいのですけれども、このFXを考える場合に、ユニホームの皆さんの空幕の感覚というのは、何か零戦の後遺症というのか、零戦の尾てい骨というのかな、何か零戦感覚というのがまだ脈々と受け継がれているのじゃないですか、帝国海軍の。ということは、何かドッグファイトというのかな、組んずほぐれつというふうな中東戦争の戦訓とか、いろいろ言っているようだけれども、それがむしろ過大になり、その格闘戦闘の戦術思想というのが今度のFX選定の場合に、むしろ私によれば妨げ、邪魔になっているというふうな素人っぽい考えをしているのですが、防衛局長はどうとらえていますか。
  67. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) ファントムあるいは104の選定のときには、そういったいわゆる空中における格闘というものは、マッハ二あるいはそれ以上の飛行機についてはないだろうというのが前提でございました。そしてまた、一九七〇年代というものはそういう方向で来たというのも事実でございます。しかし、一九八〇年代を考えた場合の翼面荷重その他の飛行性能問題等から推定いたしまして、やはりそういった格闘の面というものも一応考慮に入れなければならないというのが、従来の超音速機の選定の場合と違った一つのポイントであることは間違いないと思います。したがいまして、それだけといいますか、それの後遺症といいますか、零戦の後遺症というほどの形では私はとらえておりませんけれども、やはりそういうものも将来の航空機の性能としては考えておく必要があるというような判断もいたしておるわけでございます。
  68. 秦豊

    秦豊君 もう一つ御教示を願いたいのですけれども、また同時に、この際に明らかにしてもらいたいんですが、たしか私の記憶違いでなければ、私がまだ取材をしているときのあの取材生活の中でメモにとったことがあると思うんですが、空幕がF4ファントムを選定するときの取材メモを読み返して見ると、空幕はたしか、ファントムは複座であるから監視、哨戒、乗員訓練等に最適であり、今後の防空戦闘機は複座が主流であり、運用を考えればわが国も複座でなければならないと、こういうふうなことをたしか力説をした時期があると思うのですよ、ぼくの取材の過ちでなければ。それから幾年もたっておりませんですね。ところが、なぜ今回は一転して単座のF15が急速浮上しているんですか。戦術的な何かあったんですか。
  69. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) ファントムは確かに複座でございましたが、あのときの利点の御説明の中にあるいはそういう御説明もあったと思います。同時にまた、104のときには単座であるためにDJというものを別に購入しなければならなくなったという問題がございます。そういうふうなことで、複座であるということの利点というものを御説明した中にそういうこともあったかと思いますけれども、複座であるということが戦闘機の絶対の要請であるというふうには当時も考えておらなかったわけでございます。
  70. 秦豊

    秦豊君 それから、これは念を押すまでもないと思いますけれども、今度のFXはたしかF104の代替機のはずですね、ファントムではありませんね。
  71. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これはファントムのときにも、じゃ86の代替機かという議論がございましたけれども、私どもは何にかわるものとしてこのFXを考えるかという考え方はとっていないわけでございます。十個飛行隊というものを維持していく、そして現実の問題として86はもう間もなくなくなりますし、やがて104というものがフェーズアウトしていく時期を迎えるわけでございます。そのときに、その十個飛行隊を維持していくのにどういう飛行機でそれを補っていくかという観点からやるわけでございますので、具体的な時期的な面からいくと、104のフェーズアウトの時期に合うわけでございますけれども、104の代替機というような形ではとらえていないわけでございます。
  72. 秦豊

    秦豊君 やっぱりそれは私と食い違うし、ちょっと論旨明快ではないのではないですか。やっぱり、たとえばファントムでもあったし、104Jでもあったんですけれども、あの児玉譽士夫の暗躍した時期ですね、あれから何年もたって次々に改装型が出るでしょう。F15の場合だって、恐らくぼくはペンタゴンの要請によって、かなりモデルチェンジというより具体的な性能諸元が変わったやつがどんどん出てくると思うんです。だから、八〇年代の防空ということに対して、あなた方が十全の責任を全うしようという観点でFXを選ばれていると思うんだけれども、私はむしろ素朴に原点に返って、F15クラスの導入というのは、FXじゃなくて、FXXでも十分に間に合うし、むしろその時期の方が日本運用とか、あるいは恐らくそのころはミグ28ぐらいが出てきているかもしれないけれども、あなた方が想定される対象国の新しい実戦配備機に即応し得る要請、飛行機、これがむしろ装備できるのではないか。だから、さっきも申し上げたけれどもFXの前になすべきことを十全になすという姿勢の方が私は正しい防衛行政ではないか、防衛政策ではないかと思うんだが、その点はどうですか。
  73. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) FXXの時点ということでございますけれども、私どもがこのFX選定作業の中で非常に従来と違っているなと感じたのは、このFXというものの耐用命数といいますか、そういうものが、たとえば104とかファントムに比べますとさらに長くなっているという事実でございます。ということは、将来のことを見通しての開発機であると同時に、またそういったいわゆる航空機製造の技術というものが上がってまいりまして、安定性といいますか、信頼性といいますか、そういうものが非常に伸びているということが一つございます。しがたいまして、FXXの時期というものまで待つということになりますと、たとえば104のJをつくっていかなきゃならぬとか、またファントムをつくっていかなきゃならぬとかいうことが、いわゆる十個飛行隊を維持していく中で新たな問題として出てくるわけでございます。そういうような意味で、この104のフェーズアウトが始まり、飛行隊が減る時期に合わせてやはりFXというものを装備したいというのが航空自衛隊の希望であり、防衛庁の考え方であるわけでございます。
  74. 秦豊

    秦豊君 防衛庁の選択、オプションですね、基本的なこれは考え方なんですけれども、どんな精強なFXを備え導入しても、いまかなり換装——性能アップが進んでいるようだけれども、レーダーシステムの体制が現状のごとくならば、どんな精強なFXも無用の長物ですよね。ならば、防衛庁としては基本的な理念として、このレーダーシステムは、伊藤さんが言われた言葉をかりれば、まあいま八つ終わって九つ目が来年の予算要求と。三次元レーダーもOHもというふうなことでずっとやっていって、移動警戒隊を含めてそういうことをやりながら要請にこたえるというんだが、私が聞きたいのは、レーダーシステムは現状程度、つまりレベルアップを織り込み材料にして現状程度でしておいて、なおかつより精強な、たとえばF15クラスの導入の方をよしとするのか、あるいは戦闘機は、もうそれはあなたの場合あり得ないと思うが、現状のファントムの改装型、4EJ、まあH、I、J、Kでもいいから、そういうファントムの次々にアップしたものを装備するぐらいで、むしろ基本的にはレーダー網の新型化、水準向上というふうな選択の道の方がよしとされるのか、まあ両方という答弁もありましょうけれども、どうでしょうか。
  75. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 地上のレーダーにつきましては、レーダーそのものが古くなっておりまして——私先ほどちょっとお答えしたので間違っておりましたので訂正さしていただきますが、現在まで七カ所終わっておりまして八カ所目を五十二年度でお願いしておるわけでございます。そういうことでやっているわけでございますけれども、このいわゆるバッジシステムといいますか、レーダーと結ぶあのシステムというものは、直接飛行機の方との結びつきというものはデータリンクによりまして結びつくものでございますから、そこで結びつくことによりまして新しい飛行機というものもそれなりに十分活躍できるというふうに考えております。と同時に、ファントムを改装してやっていけばいいというお話もございますが、もちろんできる部面もございますし、そういうことも検討いたしたわけでございますが、たとえば航空機が積んでおりますFCSといいますか、そのレーダーを含めましたシステム、こういうものが、実際はいま対象になっておりますFXはどの機種もかなり進歩いたしております。そしてそれがやはり一九八〇年代の防空戦闘機としての非常に意味を持ってきておるわけでございますので、そこの一番重要なところがなかなか改装によっては解決できないというような問題もございますので、私どもといたしましてはFXを採用したいということを考えているわけでございます。
  76. 秦豊

    秦豊君 これは答弁できませんかね、バッジですね、バッジはいま恐らく六時間から八時間程度の稼働が精いっぱいじゃないんですか、どうなんですか。
  77. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは実際はそうではございません。バッジというのは、最初つくりましたときにはまあ二十四時間の稼働というものがすぐにも可能であるかというふうに私どもも考えたわけでございます。ところがああいう精密な機械でございますので、やはり運用いたしますと整備をしなければなりません。これを毎日毎日やらなきゃならないものでございますから、現実の問題として、最初にオペレーションを始めた時期は八時間でございました。その後御承知のように、コンピューターをデュアルにいたしたり何かいたしまして、能力としては一応二十四時間できることになっておりますが、いま完全に二十四時間やっているかどうか、はっきり私は記憶いたしておりませんけれども、かなりの時間、いわゆる八時間とか十二時間とかいうものではなくやっているというふうに考えております。
  78. 秦豊

    秦豊君 伊藤さんね、バッジがいま何時間ぐらい稼働しているかぐらいは正確にやっぱり把握してくださいよ。お願いしますよ。頼りがいのある防衛局長になってもらいたい、その意味ではね。  で、いまあれですか、防衛庁としては新しいバッジシステム、新バッジシステムを導入するような構想とか、あるいはプランとかいうものはちらついているんですか、どうなんですか。
  79. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 大変失礼いたしました。いま聞きましたら、二十四時間のオペレーションをやっているようでございますから、デュアル化いたした後そのとおりになったというふうに御理解いただきたいと思います。  それから、新バッジシステムというものにつきましては、実はまだ私どもは構想も持っておりません。しかし、バッジそのものも、これは永久に使えるというふうには考えておりませんので、やはりいまのバッジというものが性能を向上するためにはどういうことをすればいいかということは研究をいたしておるというのが実情でございます。
  80. 秦豊

    秦豊君 ではその前に、バッジ、いま二十四時間稼働で結構ですけれども、予備システムですね、予備セットという言い方はちょっと当たらないと思いますが、予備、スペアを導入するプランはおありですか。スペアはまたおありですか。
  81. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) バッジシステムに変えましたときに、マニュアルというのはそのまま残してございます。したがいまして、バッジというのは早く情報を伝達するシステムでございまして、それが壊れた場合にやはり従来のマニュアルというのが、多少時間がかかりますけれどもそれなりの意味を持っているわけでございます。したがって、そのマニュアルというのも生かして使えるような体制をとっておりますので、特にその予備のものとかいうものは考えておりませんが、先ほど申し上げましたように、DCにコンピューターをデュアルで入れました、それによって二十四時間の稼働というのが可能になったということで、特にその予備というものを考えていることはございません。
  82. 秦豊

    秦豊君 そうしますと、最初のバッジ導入のときに専門的に活躍をした、いま防衛部長だと思いますが、その方がまあヒューズの副社長に会ってみたり、それはまあ面会を申し入れたのがヒューズの方らしいから防衛部長の責任じゃないようですがね。あるいは富士通とかIBMとかユニバク等の幹部社員クラスがしげしげと出入りをしているようだが、じゃ全くそれは結びつかない動きなんですね、勝手な動きですね。
  83. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) その出入りしているというのは私も聞いておりませんけれども、現在のバッジシステムを運用していき、そしてやはり性能を上げていくという研究はやっていると思います。しかし、それが装備計画を持ってどうこうしているということは全く現在ではございません。
  84. 秦豊

    秦豊君 それは予備を含めて、さっきの御答弁どおり予備を含めてですね、いまのシステムで十全なんですね、そういう意味ですね。
  85. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) それはコンピューターのデュアル化が終わった時点で一応完成したというふうには考えております。
  86. 秦豊

    秦豊君 FXの問題はことごとく私と伊藤局長との話ではかみ合いませんですね。で、上申が出て議論するというのも意義なしとはしませんけれども、かなり蓋然性の強い、ほとんど既成事実化されつつある問題については、もっとフランクに、しかもあなたのお手持ちの資料がなければ空幕から、たとえ上申以前であろうとも——それが私は防衛局長としての責任を当該委員会において全うするゆえんじゃないかと思いますよ。その点についてははなはだしく失礼ながら不満ですよ。だけど、もちろんきょうで終わったわけじゃないから、またやります、何回でもやりますけれどもね。  最後に坂田長官に。時間がまだ少しありますが、ミグの問題は実はやれなかったんです、きょうは。だが、一つだけ伺わしてください。  ミグ25の調査結果は、衆議院の加藤議員の質問に対しては、公表しないと。あの方は与党だから、はい、そうですが。ぼくは納得しませんね。なぜなのか、なぜ、だれに対して秘密を守ろうとするのか、なぜなのか、これが一つ。  それから、日米間には日米安保でなしに技術情報交換協定のようなものがあるのか、それに基づいてミグの情報提供を要請されたのか。  最後にもう一つ、この事件の発生当日はたしか六日ですよね。その六日にミグ25の調査データの提供について、事件発生当日にラムズフェルド国防長官から特に坂田長官あての依頼が何らかのルートであったのかどうか。この問題だけを伺いたいと思うんです。時間が切れるでしょうから、次の委員会に持ち越しますけれど、どうでしょうか。
  87. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 防衛庁といたしましては、ミグ25型機の調査の結果得られた情報をいかに利用するかということは、わが国の国益に照らしまして判断する所存でございます。公表することについては考えておりません。
  88. 秦豊

    秦豊君 なぜですか。
  89. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) やはりこれはわれわれ、いま直ちにこれを公表するということが、国際関係におきましても私はいいことではないというふうに判断をいたすわけでございます。  それから、ラムズフェルドからはございません。  それからもう一つ情報交換、これは、この調査結果というのは、いままだかなりの時間がかかると思います。綿密な調査結果を私のところに報告をしてまいりますのはかなりの時間がかかると思うわけでございます。で、この情報の交換というような問題につきましても、私はこれは日本政府と申しますか、あるいはわが自衛隊で知見いたしました資料というものは保持すると、帰属するということにいたしておるわけでございますが、将来何らかの形で、必要に応じてはあるいは同盟国との関係でございますから、あり得るということは申し上げておきたいというふうに思います。
  90. 秦豊

    秦豊君 残り時間若干ですけれども長官日本主体の調査なんて大みえ切れるような調査実態ではありませんよ、ミグ25については。それから、ギャラクシーを含めて、米軍のミグ屋を含めて、あれは役務提供だよというふうな安直なものでもありませんよ。厳重にオフレコードにしながら、なぜじゃアメリカ側からのみ一方的に情報がこぼれているのか、不思議千万ですよ。またあなたが最初答弁された、なぜ調査結果を当該委員会内閣委員会に報告ができないのかということについても理由のところが非常にあいまいであったから、きょうはいたし方なく時間を守りますが、次の質問の機会にそういう問題を含めてあなたの見解をただしたいと思います。  きょうはこれで終わります。
  91. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) ちょっとだけ。  先生はもう全部アメリカと共同してやったような、あるいは向こうに筒抜けみたいなお話でございますけれども、そうではございませんで、これは綿密に私たちの方で調査をいたしまして、しかも必要最小限度の向こうの技術屋さんを借りただけでございます。しかも毎日の作業にいたしましても、そういうふうにわれわれのコントロールのもとに行っておるわけでございますから、その点はひとつ御安心を願いたいと思いますし、それから、そういうふうにお考えになっておるとすると間違いございますから。恐らくそれは若干の技術屋等も入っておりますから、その大まかな意味において知見いたしましたことはあるいは行っているかもしれません。全然ないとは申し上げません。それからもう一つは、ベレンコ中尉も向こうで尋問をいたしておりますから、その結果としての情報は入っておるかと思いますけれども、それは漠然とした調査で、私たちが握っておりまする綿密な調査というものはまだ向こうには渡っておりません。そのことだけは申し上げておきます。
  92. 秦豊

    秦豊君 その安心論以降はあさってやります。
  93. 加藤武徳

    理事加藤武徳君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      —————・—————    午後一時三十四分開会   〔理事加藤武徳委員長席に着く〕
  94. 加藤武徳

    理事加藤武徳君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  午前に引き続き国の防衛に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  95. 峯山昭範

    峯山昭範君 私はミグ25の問題についてお伺いしたいと思います。  もうすでに予算委員会やいろんなところで相当議論されておりますので、基本的な問題は飛ばしたいんですけれども、きょうは長官いらっしゃいますので、日ソ友好という問題ですね、これはもう非常に私たち大事に考えているわけですけれども、そういう点から考えてみまして、防衛庁としては、この日ソ友好という問題についてはどういうふうに解釈していらっしゃるか、それから、今回のミグ25の及ぼす影響というのは、現実にいろんなところに出てきているわけですけれども、そういうような問題に対して、防衛庁としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、この点ちょっとお伺いしたいと思います。
  96. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 私はミグの問題につきまして、こういう考え方をとったわけであります。  一つは、ミグ25型機のわが国に対する領空侵犯及び強行着陸の背景状況を解明するために必要な調査を行う。これが一つ。  二つ目は、調査に当たっては、自衛隊の能力が不足する場合は、それを補う必要最小限度の範囲内において、自衛隊の主体性のもとに米軍から技術要員及び機器を調達する。  その三は、調査に当たっては、対外的影響等に配慮し、外務省とも密接な調整をとりつつ慎重かつ迅速に実施する。  こういうわけでございまして、第三項に申し述べておりますように、対ソ関係につきましても、わが国の外交というものが日ソの友好関係を維持するということでございますので、十分外交関係に配慮をいたして調査を行い、そして外務省当局から返すということでございましたので、それに迅速に対応するように調査を終え得るという、そういうふうに考えておるわけでございます。
  97. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣大臣のいまのお考えはわかるわけですけれども、現実にもう影響があらわれているわけですね。漁船の拿捕の問題とか、いろいろ波及して影響があらわれそうな形勢にもあるわけですね。こういうような事実関係については防衛庁としてはどういうふうに認識し、かつ、このミグ25の問題と関連をしまして、どういうふうに解決していくべきであるか、こういう点について防衛庁としての基本的な考え方を持っていないと、やはり問題だと私思うのですけれども、これはどうです。
  98. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 私どもといたしましては、これらの調査をやるということは、国際法上も許容される範囲内のものであるし、また、日本の独立国として領空を侵犯したこの軍用機に対しまして調査をすることは当然なことであり、われわれの主張というものは決して一方的なものではない、少なくとも世界に通用する道理であるというふうに思うわけでございまして、これはいろいろの外交交渉等を通じて解決できるものであるというふうに考えておるわけでございます。
  99. 峯山昭範

    峯山昭範君 私たちも、防衛庁のいまの姿勢そのものに、やはり全般的に是認できない問題がいろいろあるわけです。そこできょうは幾つかの問題点について解明をしておきたいと思います。  まず、機体の問題ですけれども、機体を解体できるという法的な根拠ですね、これは先般の予算委員会でも社会党の森中議員の方からこの問題が出されまして統一見解等が出ましたけれども、そこで、この解体できるという法的な根拠、基本的な問題を再度ここで明らかにしていただきたい。
  100. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 国際法上から見まして、領空侵犯した飛行機については、その被侵犯国が管轄権を持っておりまして、その機体の取り扱いに係る最終措置をとるまでの問は保管を行い、それから領空侵入及び強行着陸の背景状況、なかんずくその当該飛行にその国の安全を侵害する意図とその事実があったか否かを解明するための機体の調査を行うことは許容されるというふうに国際法上考えられます。  そこで、防衛庁がこの保管の責任を十一日から持つことになりまして、外務省が最終処理の方針を決められる間、防衛庁が保管することになったわけでございます。その間保管の仕方に、函館にそのまま置いておくというのが警備上もまた必要な調査を行う上にもいかにもふぐあいでございましたので、この飛行機を安全なところに運び、そして最終処理が決定するまでの問、必要な調査をし保管をするというために、防衛庁としては自衛隊の基地に持っていきたいと思ったわけでございます。したがって、その際、輸送に必要な範囲での解体を行ったということは、防衛庁が保管の責任を全うする上で必要だと考えまして実施したものでございます。
  101. 峯山昭範

    峯山昭範君 いまの局長の統一見解のところですが、いまの話だと国際法上も許されると、そういうふうな話だったですね。私はこの間の質疑を聞いておりまして、これは私の感覚としては、国際法上は国家責任の問題を生ずる領空侵犯は国家の意思による侵犯行為でなければならない。したがって、国内法上いわゆる領空侵犯という事実があったんだから、その事実に基づいて機体の保管、調査及びそれに付随した行為を許される、こういうふうになっているんだと、そういうふうな、私は報道機関等の資料からしかわからないわけですが、そういうわけじゃないんですか。いまおっしゃったことは多少違うように私は思うんですがね。国際法上も許されるというふうないま答弁だったと思うんですが、そうなんですか。
  102. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは当時予算委員会の過程におきましても申し上げたことでございますけれども、国際法上からも当然許されるというふうに私どもは考えているわけでございます。
  103. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは、そこの問題については、私たちが知る限りの事件とは多少一致しない点がございますので、この問題については次回の十四日の委員会で詳細に明らかにしたいと思います。それで、私がきょう明らかにしたい問題の中身はちょっと違う点にありますので、その点はおいて質問をします。  そこで、ミグ25の解体調査の状況ですが、これは現在どういう状況になっておりますか。
  104. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 御承知のように、外務省がソ連側に申し入れておりますのが、十五日以降しかるべき港で返還するということでございます。したがいまして、私どもの方は一応調査が終わりまして、船で運べるような形に解体し、梱包をしている作業を進めている段階でございます。
  105. 峯山昭範

    峯山昭範君 そこで、解体作業に従事した例の米軍の皆さんですね、これは一体どういうふうなメンバーで、どういうふうな方々がそれに従事されたのか、この点明らかにしてください。
  106. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) この解体作業というのは二つございまして、米側の協力を得ました解体作業というのは、函館から百里に持ってまいりますときの解体作業に技術要員と機材を借りました。で、現在行っておりますいわゆる解体作業といいますか、輸送のための解体作業では米側の協力は得ておりません。  で、その解体作業に協力してくれました米側の技術要員というのは常時十名前後おったわけでございますが、軍人も、それから中にはシビリアンもおりますけれども、その個々の人名等については申し上げるのを差し控えさしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  107. 峯山昭範

    峯山昭範君 それじゃ人名は結構ですが、函館から百里に持っていくための解体ですね、そちらの方にいま十名前後という話がございましたけれども、そこら辺のところもう少し詳しく、これは函館から百里に持っていくための分解に必要な技術者であったのか、あるいは百里に持ってきてからの調査には全くそういう人たちは従事していないのかどうか、そこら辺のところはどうです。
  108. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) それは二つございます。  まず最初は、解体に必要な技術を借りるというものでございました。それから百里に参りましてからは、ダブった者もおると思いますが、この調査のために必要な技術要員というものも協力を得ておるわけでございます。
  109. 峯山昭範

    峯山昭範君 それじゃ函館の解体に従事した人数は何人で、実際に現実に中身の調査に携わった人数は何人かわかりますか。
  110. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは、来た人間がしょっちゅう同じ人がずっとおったわけではございませんけれども、大体調査が終わる段階まで技術要員として来ておった者は十名前後でございます。
  111. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは局長、十名前後とおっしゃいますがね、私、何でこんなことをしつこく質問しているかと言いますと、たとえば国家公務員法でいえば百条の守秘義務というのがございますね、自衛隊法でもちゃんとあります。そういうような秘密を保持するという意味から言いますと、前後なんという人数の説明では許されないはずですね。たとえばどの作業には何人、どの作業には何人と、名前まで私は言えとは言いませんが、そこら辺のところははっきりしておいていただかぬと、これは今後の私の質問でも困るわけです。もう少しはっきりしてくれませんか。
  112. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) ちょっと私、毎日毎日何人来ておったというのは、報告受けておりますけれども、きょうちょっとその資料を持ってきておりませんけれども、全体を通じて来ておったのが十名前後ということを申し上げましたのでございますが、たとえば一、二の例を申し上げますと、解体をするとき一番最初に必要であったのが自爆装置の調査ということでございました。その専門家は三人だと聞いております。それから、解体をするためのいわゆる解体の作業の手順、その方面の専門家もおりまして、これがたしか五、六名だったというふうに聞いております。そういう者が出たり入ったりということでございますが、大体函館におきまして十九日以降二十五日までおりましたのがその八名ないし九名でございました。それからギャラクシーが参りましたときに乗っておりましたのは、たしかこの飛行機を運航するために乗っておったのが十五、六名だったというふうに記憶いたしておりますが、そういうような形で来ておるというようなことでございます。
  113. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、まず一つずつお伺いしていきますが、こういうふうな、たとえば自爆装置のために函館にやってきた三人、あるいは解体作業のためにやってきた五、六人、こういうふうな人たちというのは、まず選定はだれが選んだわけですか。
  114. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは実は、十一日に私どもの方が保管責任を負うようになりましてから、このミグ25を自衛隊の基地に運びたいということをまず考えました。そのために、自衛隊でどういうことができるかということを検討いたしまして、自衛隊の力では陸海空の輸送というのがほとんど不可能だということがわかりました。したがいまして、十三日ないし十四日ごろから、一体米軍にはこういうものを余り解体しないで輸送する能力があるだろうかというようなことも問い合わせたりいたしておりました。で、米側の方はそういう能力は持っているというようなことでございまして、ただ私どもは、この飛行機のいわゆるコックピットの中を見まして自爆装置があるということはわかりましたけれども、実は米側にはミグの専門家という者がおりますので、その者は従来からのミグ17、19等についての専門知識はございます。したがいまして、そういうものを参考にしながら協力をしてくれる能力を持っているということでございましたので、そういう解体のために必要な知識を持っている者に協力をしてもらいたいと思いまして、向こうはそういうものを差し出してきたというのが実情でございます。
  115. 峯山昭範

    峯山昭範君 結局、これは局長の方から米軍のどこに申し入れしたわけですか。その申し入れをして、そして米軍のどこがその人を選んで、そして自衛隊に派遣してきたかですね、そこら辺のところはもう少しはっきりしてくれませんか。
  116. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは実は私が直接申し上げたわけではございませんで、空幕長を通じまして在日米軍司令官のガリガン中将、これは空軍の人でございます。その人と話し合いをさせておったわけでございます。
  117. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうすると、それではこういうふうな作業員のいわゆる身分はどういうふうになっていますか。
  118. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 身分というのは、いわゆる在日米軍の中にそういった専門家がいるわけではないと思います。したがいまして、その在日米軍司令官の指揮下に入りまして、在日米軍司令官の命を受けまして日本の指令、監督のもとに作業に協力しなさいということで参っておるのでございます。
  119. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは、向こうのそういう係官が日本にやってきて、要するに米軍の方から派遣があるわけですね。そして自衛隊の指揮下に入るわけでしょう。その指揮下に入ったときにはどういう身分なんですか、その人たちは。
  120. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 正確に申しますと、指揮ということではないわけでございます。で、防衛庁は、防衛庁設置法のあの役務調達によって彼らに来てもらっておるわけでございますが、その間、アメリカの軍人はアメリカの軍人としての身分を失っているというものではございません。
  121. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですけれど、それじゃ、アメリカの軍人がやってきてそして調査をしておる、あるいはその解体作業を進めると、そういうことじゃないわけでしょう。これは要するに自衛隊にそういう能力がないから、いまちょっとおっしゃった設置法の五条の四号に基づいてそういう人たちの派遣を要請して来てもらったわけなんでしょう。これはそうなんですね。もう一遍答弁お願いします。
  122. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) このことにつきましては、外務省とも協議いたしまして、この五条の四号によりまして、役務調達によって向こうの軍人が来て、防衛庁が行っております解体、調査にその防衛庁の自主的な指令、監督のもとに働くという条件で来てもらっているわけでございます。
  123. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、そういう作業員は、実際にそういう作業をやっているときには、要するに簡単に言いますと、どういう身分かと、もっとそれをわかりやすく言いますと、そういう人たちは日本の法律には全く縛られないのか、あるいは米国の法律のままなのか。要するに自衛隊に雇われて来ているわけでしょう、早く言えば。そういう人たちは、やはり私は日本の自衛隊法なり設置法がきちっとあるわけですから、その法律に基づいて来てもらったからには、少なくともその作業をしている間、その作業で雇用されている時間というのは、少なくとも日本の自衛隊法なり国家公務員法なり、そういうふうなものの規制をきちっと受けるのか受けないのか、こう言っているわけです。
  124. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) ただいま防衛局長がお答え申し上げましたとおり、この防衛庁の要請に応じまして、いわば一定の条件のもとで米軍の技術要員、あるいは機器についての役務調達が行われておるわけでございますが、この場合の技術要員の地位と申しますのは、これも先ほどの答弁にありましたように米軍人としての地位をそのまま保有しておるわけでございます。したがいまして、いわばこの役務調達と申しますのは、これは非常に俗な例を申し上げて恐縮でございますが、たとえば防衛庁が物資の輸送をいたします場合に、国鉄とかあるいは日通にその役務の調達を求めるという場合と同じようなことでございまして、そういった役務の提供をいたしますところの米軍人の地位は変わらないことはもとより、国家公務員法その他の適用がもとよりないということでございます。
  125. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということになるとこれは大問題ですね。法制局の見解がそういう見解であるとすれば、まず第一に設置法の第五条の第四号を適用して、そしてこういうふうな米軍の技術者を日本に持ってくること自体が問題じゃないですか。国鉄輸送の物資とは全く違いますよ。これは長官、少なくともこれは何が一番問題になっておるかと言いますと、このミグ25に関する秘密ということが問題になっておるわけでしょう、実際その中身の技術の。この秘密が漏れるか漏れないか。要するに、私が初めに質問しましたように日ソ友好という問題について自衛隊はどう考えているのだと、こう私は質問しました。当然大事であろうし、今後もその点は重要視していかなければならぬ問題ですね。私は、なぜ人数も一人一人確認をするかといいますと、少なくとも米軍の軍隊員であろうと何であろうと、ただ単に普通の荷物とは違う。意思のある人間です。その人間を自衛隊は少なくとも臨時的に雇い入れるわけですよ。雇い入れるわけですから、雇い入れたときに得た秘密というものは少なくとも自衛隊法なり、国家公務員法のたとえば百条、自衛隊法にも秘密の保持の項目がありますね、そういうようなものは当然私はそういう人たちにも課せられて当然じゃないか。そうでないならば、これはソ連の皆さん方が騒ぐのは当然だと私は思うのですよ。そこら辺のところきちっとしないと私は納得できませんね。いまの法制局の見解というのはこれはどういうことなんですか。私はそういうような、たとえば荷物と同じなんという感覚は——なぜこんなことを言うかといいますと、もしこれがいまおっしゃったようなことで、設置法第五条の四号でそれが許されるならば、今後日米安保というものは自由に解釈されて幾らでも日本が米軍を雇い入れて何でもできるということになりますよ。こんなばかなことはないですよ。私は納得できませんね、いまの説明は。もう少し詳しく説明してください。
  126. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) ただいまの点につきまして御答弁申し上げますが、防衛庁設置法第五条第四号のいわゆる役務の調達につきましては、もとより限界がございます。すなわち、一般的に申し上げまして、たとえば防衛庁設置法とか、あるいは自衛隊法その他の関係法令の趣旨から見まして、本来的にもっぱら自衛隊員が担当すべき性格を有する業務につきましては、もとよりこれは他の者の役務によりこれを行うことはできないわけでございますが、たまたま今回の問題の役務の調達につきましては、これは輸送とか、あるいは輸送のための技術的な解明についての業務とか、あるいは機体調査のうちのいわば技術的な事項に関する部分の業務につきましての役務の調達でございまして、これが先ほど申し上げました、いわゆる通常の運送業務、あるいはまた技術的事項の調査の場合と同じでございまして、こういった面で、他のものから調達をするということはこれは許されない性格のものではないと考えております。したがいまして、その意味におきまして、防衛庁設置法の五条四号の規定を根拠といたしまして、このような役務の調達を行うことは別段支障はないというように法律的には考えております。
  127. 峯山昭範

    峯山昭範君 それじゃ百歩譲ってそうであったとしても、そこで知り得た秘密というのがありますね、これは全くあなたの言い分だと、要するに国家公務員法なり自衛隊法の規制を全く受けないというのですからね。ということは、そこで知り得た秘密というものは、ただ解体だけの、輸送だけの問題ではないですよね、そのほかの問題にも関連いたします。これはその後の解体作業にも従事しておりますし、そこら辺のところを私ははっきりしないと、実際問題あれじゃないですか、自衛隊で、たとえば一人一人の人間をどういうぐあいに選んでどうしたのか、きちっとチェックして、その出入りだって十分注意をして、そうしてきちっと自衛隊自身が慎重に取り扱わなくてはいかぬ問題です。当然私はそうだと思うんですよ。そこで知り得た秘密についても当然きちっとした法的な根拠に基づいて取り決めを行うなりきちっとすべきだと私は思うんです。それを、日本の法律の全く影響受けないという考えは私は納得できません、それだけでは。これはどうなんです。
  128. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) その点につきましては、実は米側の協力を得る段階におきまして、私どもはその主体性を確保するために米側と確認した事項がございます。その中に、先ほど来申しておりますように、米軍が協力をしてくれる場合には自衛隊の指令、監督下にその人及び物を置くんだということと、それから輸送及び調査の過程でその作業の関連で得られた知見というものは自衛隊のみに帰属するんであるということ、さらにこの輸送作業調査作業に関して要した費用というものはこれを支払うということを確認いたしたわけでございます。その中で得られた知見というものは自衛隊のみに属すということでございますのを、いわゆる米軍の方と私の方で確認したということは、彼らも米軍の者でございますので、帰った後もやっぱり米軍の指揮に従って、指導方針に従ってこの知見されたものは自衛隊のみに属すという方向が確認されるというふうに理解しておるわけでございます。
  129. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは、この「ミグ25の解体にかかる日米間の確認事項について」ということですね、いまおっしゃったのは。そうしますと、このいわゆる確認事項というのは、これはどういう法的根拠があるんですか。
  130. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 法的根拠は、先ほど来申しておりますように役務調達によってやるわけでございますが、その役務調達にするに当たっての条件といいますか、契約条項といいますか、そういう内容のものというふうに理解いたしております。
  131. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、この覚書、確認事項は、防衛庁設置法第五条第四号に基づいてなされた確認事項であるから、要するに、いわゆるきちっとした法的根拠があると、これは法制局もそうお考えですか。
  132. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) その点はそのとおりでございます。
  133. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、少なくとも防衛庁設置法の第五条の上で、その法的根拠に基づいてこういう確認事項があるとするならば、そこで確認された内容というものは少なくともその一つ一つについて国内法の規制は受けるでしょう、やっぱり。たとえばこの守秘義務の問題にいたしましても、この自衛隊の指令のもとに置くという問題におきましても、自衛隊の指令は受けないなんてさっき言ってたじゃないですか、伊藤局長は、この問題については。米軍から派遣された人たちは全部自衛隊の指令のもとという話じゃなかった、先ほどの答弁は。それから、先ほどの守秘義務の問題については、法制局の部長は、この知見の問題について国内法の規制は受けないとおっしゃった。しかしながら、この問題については、たとえば自衛隊法で言いますと、自衛隊法の「秘密を守る義務」というのがあるでしょう、そこにぴたっとくるじゃないですか、これ。自衛隊法五十九条の「秘密を守る義務」、これがそのまま当てはまるじゃないですか。なぜそれじゃこういうようなのが当てはまるのかというと、私は当然、この自衛隊に雇用された期間というのは、少なくとも一般の自衛官と同じような資格あるいはそういう法的な根拠に基づいたあれでないと——これは今後の問題もあるから私は言うんですよ。これは日にちが短くて二、三日で済んだからいいかもわかりません。しかしながら、いまの五条四号に基づいて一カ月も二カ月も三カ月も一年も雇用しなくちゃいけないということがあり得るわけだ、現実の問題として。その場合は、やはり設置法に基づいて出てきたその人たちというのは、少なくとも日本の法律に基づいて仕事をするなり応援をするなり、そうでないとおかしいと私言っているんですよ。これはどうなんです。
  134. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) ただいま御指摘のございました自衛隊法の五十九条、秘密を守る義務に関する規定がございますが、この義務を課せられた者は、この規定にございますように、あくまでも自衛隊員についての秘密を守る義務の規定でございます。先ほども防衛局長から答弁申し上げましたように、今回のこの作業の関連で得られる知見は、自衛隊のみに帰属するというこの条項は、あくまでもこの関係当事者間の合意に基づくものでございまして、その合意の一環としてそのような条件が付せられたものでございまして、この自衛隊法の五十九条等にはかかわりのないものと考えております。ただし、もちろんこれは合意に基づくところの条件でございますから、当然その当事者はこれを遵守すべき義務があることは、これは当然でございます。
  135. 峯山昭範

    峯山昭範君 そんなんじゃ納得できませんよ、あなたがそんなことを言うんなら。要するに五十九条は自衛隊員だと、であるならば国家公務員法第百条かってやっぱり同じように当てはまるんです。あれは国家公務員でないといかぬ。しかしながら、国家公務員でなくたって、少なくとも国家公務員に準ずる仕事をして得た秘密というのは同じようにかかるわけでしょう。今回の場合も同じじゃないですか。これは今後のこともあるから私ははっきりさしておきたいんですけれども、この問題は、少なくとも自衛隊が米軍のこういう技術者を雇って、そしてそこで得た秘密でしょう。当然私は、ただ単にそれが自衛隊員ではないからかからないと、それでは納得できませんよ。これはそこで得た秘密というものはツーツーでそれじゃアメリカへ行っちゃうじゃないですか。現実にぼっぼっぼ漏れちゃうじゃないですか。ということは日米協力と言われてもしようがないじゃないですか。そんなことじゃ大臣、これはソ連側が言うのももっともということになりますよ。私たちは、そこら辺のやっぱりこの秘密というものは、自衛隊法上もいろんな面で規制をして、そしてよそへ漏れるものじゃないんだ、それは法的な根拠もこういうぐあいにありますと、そういうぐあいにきちっとしてないと、こういう解体をし、調査をし、そこら辺のことは全部ツーツーで向こうへ行っちゃう、それではいわゆる日ソ友好ということを考えているとは言えない。そこら辺のところまではやっぱりもうちょっときちっとしてもらわないと困る。もう少し具体的な答弁をもらいたい。
  136. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 先ほど先生は、私がその指揮のもとに入らないとお答えしたように言われましたけれども、いわゆる軍事的な意味での指揮権というのは非常にこれは厳密に解しております。いわゆるコマンドというもの、これは、アメリカの軍人が身分を持っている限り自衛隊のコマンドのもとに入るということはないわけでございます。しかしながら、いわゆる指令といいますか、コントロールでありディレクション、そのもとには入るということは確認されております。そしてまた、そのもとにおいて得た知識というものは自衛隊に属するんだということをはっきり確認いたしておるわけでございます。で、いま先生がおっしゃいます中で、一緒にやったのではないかというお考えが非常に御疑問として強く述べられておりますけれども、実際に私どもが米側からかりました協力というものは、先ほど申し上げましたように、解体の段階では自爆装置の関係、それから解体技術の関係がございました。それから調査段階におきましては、機材等、それからその機材をオペレートする技術要員、そういうものが主体でございまして、実際に航空自衛隊調査団というものが中心になって調査をいたしておりますので、そういった意味での共同調査というのは全くなかったわけでございます。
  137. 峯山昭範

    峯山昭範君 私はこの問題はいまの答弁では納得できません。いずれにしても、それぞれの、自爆装置の問題にしても解体作業の問題にしても、それから調査そのものの問題にいたしましても、やはり私は、共同調査じゃないと片方では言っていますけれども、現実にはやっぱりそういう専門家が立ち入りして、しかも、米軍の軍人だけでなくて、いわゆる軍人以外の人も現実に携わっているという答弁も先ほどございましたね。そうしますと、そういう人たちの身分というものは、私は非常に微妙な響きを持ちますし、現実に微妙な立場にあるわけです、そういう人たちは。ここで秘密を漏らさない、その知見は自衛隊のみに帰属するとは言いましても、これはどういう効力があるんですか。現実の問題として、その携わった人たちがその秘密を漏らしたとしたら一体どういうあれがあります、規制があります、現実の問題として。これはどうなんです。
  138. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは先ほど来御説明いたしておりますように、この確認事項によって作業をやっておるわけです。そしてまた、シビリアンと申しましてもこれは軍属でございますので、国防省の隷下におる人々でございます。したがいまして、これは米側の国防省と、それから日本の自衛隊との信頼関係のもとにありますので、米側としましては、それを知見したところは自衛隊に属するということで漏らさないということになると確信いたしておるわけでございます。
  139. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや、それは確信していたって現実に漏らしたら一体どうなるんだと。これは自衛隊にのみ属すのだから、米軍にさえ漏らしたらいかぬということでしょう。この覚書の確認事項のこれが、法的に有効な働きをするのかと私言っているんです。この覚書の第二項のこれが実際に具体的に法的な縛り、そういう規制力があるのか。その人たちが実際に米軍自身に、よその国じゃなくて自分のところの軍隊に報告するという義務が向こうはあるかもわからない。国内法等の問題、調べてみないとわかりませんけれども、出向いた先の仕事の内容というのは自分の上司に報告する義務があったら現実に全部漏れていることになるんじゃないですか。そこら辺のところを考えてみて、知見は自衛隊のみに帰属するというこれはどういうふうな縛りをするのか、そこへ派遣した人たちを。
  140. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは在日米軍司令官と航空幕僚長の間で確認した事項でございます。したがいまして、米軍に属する者はその知見したものを報告したり、あるいは何かするということはなくて、自衛隊に提出して自分たちは帰ったということで、それ以上のことは私どもはわからないわけでございますけれども、米軍の軍紀というものを信頼しておるわけでございます。
  141. 峯山昭範

    峯山昭範君 そんなんじゃ困るわけですよ。たとえば公務員の場合は、国内の法律で言いますと、公務員をやめたってその後までずっと守秘義務というのはついて回るわけです。そういうものですよね、守秘義務というものは。自衛隊員であれば、自衛隊で知り得たいろんな秘密というものは自衛隊をやめた後もずっとついて回るんです、守秘義務というのは、現実の問題として。そういうものでないと意味ないわけです、実際言うたら。ここで書かれているこの問題は、ただ信頼関係なんていうとそれじゃ何の意味もないじゃないか。少なくとも、今後こういうような問題が再び起きないとは言えませんよ、これは。そういうことで、設置法の第五条第四号ということで、そういうふうな米軍の技術者を自由に雇い入れることができるなんということになるとこれは重大な問題になってくる。しかもその人たちが全く守秘義務というか、日本の国内法が全く適用されないということになるとこれは大きな問題になってくる。したがって、私はこの問題についてはもっとちゃんとした法律的な根拠を示してもらわないと困る。もうきょうは私の持ち時間が来ましたから、これは非常にやりにくいんですが、この次の委員会でやりたいと私思うんですけれどもね。これは防衛庁長官、どうですか、この問題実際問題、非常に短い時間ですからそこまで突っ込んでなかなかできませんが、私もうあと二、三点どうしても解明をしておきたい問題があったんですけれども、十四日の委員会に譲りますけれどもね。たとえばきょうのこのたった一つの問題にしてさえ、私はやはり国内法上一体どういうぐあいに処置したらいいのか、やはり今後検討しなくちゃならない問題を十分含んでいると私は思うんですよ。そういうような意味から、やはり私はこういうような一つ一つの問題について私たちが言っているのは決して無理難題じゃないと思うんです。常識的な考えで私は言っているわけです。しかも日ソ友好という問題を考えるからにはそこまで配慮してやらないとこの問題は解決しない、こう考えるんですけれども、どうです。
  142. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) この問題につきましては、われわれとしては最善の考え方をとってやったつもりでございますけれども、いまいろいろ御質問もございますから、十四日までにひとつ十分われわれの方でも再検討をいたしましてお答えを申し上げてみたいと思います。
  143. 岩間正男

    岩間正男君 まず、基本的な態度について申し上げたいと思います。  わが党は、ミグ25機の亡命事件について、この事件はソ連の国家意思で侵入してきたものではないにしても、不法入国、領空侵犯であるから、日本が先例や国際慣行に従っていろいろ調べるのは当然である。しかし、機体を分解したりして最高の軍事機密を調べるのは行き過ぎであり、まして日本合同で調査を進めることは、日米軍事同盟の非常な危険性を明らかにすることになるという態度をとってきました。この点をまず明らかにしておきたいと思います。  さて、私はここで主としてミグ調査の日米合同による調査問題にしぼって幾つかの質問を行いたいと思います。  まず最初にお聞きしたいのは、ミグ25の解体、輸送、調査等に関して米国との間にどのような取り決めがいつ結ばれたのか、その点を明らかにしてもらいたいと思います。
  144. 加藤武徳

    理事加藤武徳君) その答弁の前に、委員異動について御報告いたします。  本日、中村太郎君及び河田賢治君が委員辞任され、その補欠として石破二朗君及び星野力君がそれぞれ選任されましたので、御報告をいたします。
  145. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 先ほども申し上げましたように、米側に対してその能力のあるかなしかということを打診いたしておりまして、最終的には大臣の御意向に従いまして航空幕僚長と在日米軍司令官のガリガンの間で次の三つの事項を確認いたしたわけでございます。  今度のこの作業に関しまして、米軍の技術要員と機材は自衛隊の指令、監督のもとに置くということ。二番目に、この作業の過程で、及びその作業の関連で得られた知見というものは自衛隊のみに帰属するということ。三番目に、自衛隊はこの作業に関連して要した費用を支払うということを確認しているわけでございます。
  146. 岩間正男

    岩間正男君 これは二つの資料があるんですね。それで、その結ばれた主な問題と、それから日時。
  147. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いま申し上げましたように、十八日の日に、まずこの輸送に関していま申し上げました三点というものを確認し合っております。それから二十五日に、百里に参りましてから調査を始めまして、そのときに同じような内容のことを確認し合っておるわけでございます。
  148. 岩間正男

    岩間正男君 この資料によると二十六日となっておるんですがね、後のやつは。二十六日ですね。二十五日といま答弁ありましたがいいんですね、その点。
  149. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 二十六日の誤りでございました。
  150. 岩間正男

    岩間正男君 それじゃ、この二つの取り決めはどう違うんですか。
  151. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 最初の確認というのは輸送に限っておったわけでございます。すなわちギャラクシーで運ぶという輸送に関連して確認した事項でございます。それから、二十六日から始めましたこの調査関係について同じようなことを確認したというものでございます。
  152. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、先のやつは輸送の取り決め、後のやつは調査の取り決め、そうですね。
  153. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) そのとおりです。
  154. 岩間正男

    岩間正男君 それじゃ次にお聞きしますが、先の九月十八日の第一の取り決めに基づいて協力した米軍人は何名だったんですか。これは先ほども答弁あったんですが、もっと正確に言ってください。
  155. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは御承知のように十九日から始めまして、二十四日の真夜中に函館を立ったわけでございますが、その間に出入りがございまして、おりましたのが十人前後ということでございます。その内容につきましては、まず最初にその自爆装置を調査してもらうために入った人たち、それから解体の手順等についての従来の経験というものを教えてもらうというような人たちでございます。
  156. 岩間正男

    岩間正男君 それじゃ次にお伺いしますが、米軍人はミグ25調査にかかわったのは、そうすると第一の取り決めが結ばれた十八日以降ということになると思うんですが、それ以前に米軍人がこの調査にかかわったことはないんですか。
  157. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) それはございません。
  158. 岩間正男

    岩間正男君 これはまさにそのとおりですか、ありませんか。
  159. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) そのとおりでございます。
  160. 岩間正男

    岩間正男君 それじゃお聞きしますが、九月八日のワシントン・ポスト紙によると、「米政府筋が、米国防総省の専門家が、ミグ25を調査中であると述べた」、こう報道しているんですね。それから九月十四日に至って米国防総省はこの報道を一応否定している。そして、在日米軍からの連絡を取り違えたものだというふうに訂正をしておるわけです。しかし、この否定というのは非常におかしいんじゃないか、こういうことは信用できますか、これはどういうことなんだ、この問の経過は。
  161. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) その報道は明らかに間違っております。十一日に私どもの方が保管をいたしましてから、十八日にその確認ができるまでの間、私どもの方は私ども自体でこれを解体輸送できないかということをあらゆる角度から検討いたしました。船に積んで運べないものか、あるいは航空自衛隊あるいは日本の貨物の飛行機で運べないかということを検討をいたしたり、あるいは最後には陸送によってこれを千歳の基地に運べないかということも詳細に検討したわけでございます。そして、そのいずれもが不可能であるということが徐々にわかってきました段階におきまして、米側にそういう能力があるかないかということを、航空幕僚長を通じまして在日米軍の方に聞いておったというのが実態でございますので、その時期から米側が直接関与しておったということは全くないわけでございます。
  162. 岩間正男

    岩間正男君 まあどうもいまのような説明あるんですが、在日米軍からの連絡を取り違えたというようなことが一体信用できますか、在日米軍からですよ、これは大変なことになると思うんですね。これが非常に疑わしい。こういう点から、米軍人、米軍の関係者が本当に調査にかかっていなかった、こういうことがこれはなかなか信用できないと思うんです。まあいまのような説明をあなたたちされておるので、仮に在日米軍からの連絡を取り違えたということが事実であったとしても、米国防総省の専門家が日本に来ているということは否定されないでしょう。事実でしょう。いかがですか。
  163. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) それは私どもは知りません。しかし、アメリカ人がその以前にタッチしていなかったというのは、あのミグ25がありましたのが民間空港でございます。そして、あの出入りの人というのは全部空港長に届け出て私どもの方もその解体の調査をやっておったわけでございますから、そういうところから見ましても直接タッチしておったということは全くあり得ないわけでございます。
  164. 岩間正男

    岩間正男君 今度の問題では情報が非常に防衛庁はおくれた。防衛庁長官もなかなか——時間がたってからお気がつく。したがって、この問題について調査してそういうことを言っておるんですか、いまの答弁は。八日に来ていなかったという、そういうことをあなたたち調査しているんですか。多分そうだろうとか、推定とか、あるいはつじつまを合わせるための答弁じゃこれは話にならぬ。調査して、八日に来ていなかったと、そういうことがはっきりしていますか。
  165. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 私どもは、その八日に来たということは聞いてもおりませんし、全くその専門家がどういう動きをしておったとかということは知らないわけでございますが、少なくとも、とにかく私ども調査にタッチしていなかったということはもう明らかでございます。
  166. 岩間正男

    岩間正男君 これは読売新聞ですが、九月十日付夕刊です。これによると、「外務省首脳の否定発言と同時に米国務省、国防総省ともこの問題について、一段と慎重な態度を強めている。国防総省当局者は、八日の段階では「日本政府との問で、まだ最終的には合意に達していない」と述べ、米側が機体点検を要請した事実を示唆するとともに、この問題をめぐる交渉が、日米間で行われていることを明らかにしたが」、こうはっきり述べているんですよ。そうすると、八日の段階で来ていないなどという、そういう事実が全く食い違ってくると思うんですが、これはどうなんですか。
  167. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 外務省の方でどのように申されたかわかりませんけれども、私どもの方には一緒に調査をしたいとか、そういうことは言ってまいっておりませんし、また現実に、函館でその八日の時点で警備しておりましたのは警察でございますし、実際にやっておりましたのは地検が捜査をやっている段階でございます。そして、私どもの方の自衛隊の専門家というものがその捜査に当たって五人ないし七人、技術的な面から補助をしておったという状況のもとでございますので、そのようなことはございませんです。
  168. 岩間正男

    岩間正男君 防衛長官ね、いま局長のそういう答弁だけれども、だから私はよく調べてからの御答弁ですかと言ったんです。ところが調べていないじゃないですか、外務省だのその他の実情を調べていないで防衛庁だけの見解でいま述べているんですね、その点は非常にこれは食い違いがあるわけです。八日にもうすでに来ているんじゃないか、この問題が起こったとき。十八日に取り決めが結ばれたけれども、その前にもう来ておって、そしていろいろな折衝があって、そしてさきの在日米軍から国防総省への情報が間違っていたなどと途中で否定をし、そして今度は協定という段階にいくんじゃないですか。この点について、これはあなたたちは完全に事実を把握していないんじゃないかと思うんですよ。つじつまを合わせるんじゃなくて、実態はどうだったかということが非常にこの問題を明らかにする立場から言うと大切なんですね。その点どうなんですか、非常に不十分じゃないですか。
  169. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) いや、これは全くいま防衛局長が申し上げましたとおりでございまして、全然その段階までは調査に参加させておりません。もうそのことだけははっきりいたしておるわけでございまして、アメリカでどういうような報道をされたかは知りませんけれども、事実がさせておりませんから、これは日本政府の言うことを御信用願いたいというふうに思います。
  170. 岩間正男

    岩間正男君 外務省との食い違いがあり、それから、実際警察のそういう情報なんかについてもこれは十分にいままで聞いたんですか。はっきりそういうことを確かめていないその上に立って、それをやらないでいまのような答弁していたとしても、ここのところは信用できないですね。だから、もうこれはよく言われておるんですけれども、実際はもう合同調査というものをこれは予測していた、そういう形でもうあらかじめ米国のミグ25調査の専門家が日本に来ていた。  それじゃ伺いますが、この十人についていま話がありましたね、これはいつ来たんです。これは確かめましたか。
  171. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは、来た日なんかは一々確かめておりません。しかし、十九日以降参加するということで間に合って参っておるわけでございます。
  172. 岩間正男

    岩間正男君 ここが非常に問題じゃないですか。頼みもしないのに向こうから押しかけてきたというふうにこれはならないとは言えないんだね。それ、なぜ確かめない。
  173. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 向こうから押しかけてきたものでは全くございません。それは先ほど来御説明いたしましたように、十一日以降私の方で保管をし、調査をするということが政府の意思ということで、政府の意思が統一しました後、自衛隊が独自にいろいろ検討したわけでございます。そしてその間できない点というものをアメリカに対して能力があるかどうかということを問い合わせましたところが、あると。そしてまた自衛隊の要求する条件のもとで協力いたしましょうということになりまして、そして十八日の日にその確認をいたしまして協力を求めることになったわけでございます。だから、最初からできないという前提のもとにどうこうしたものではございません。輸送などもどもがまず自衛隊の力でできないかどうかということを検討いたしました。そしてまた、調査についても自衛隊が主体的にやるという方向で検討いたしました。しかし、一方には、先ほども大臣から申し上げましたように対ソ外交の問題、いずれこれは返さなければならないという問題がございました。したがいまして、あの函館でないところで調査をするために輸送しなければなりませんし、また限られた時間の中に調査をしなければならないということになりますと、それに適した機材を持っているものなんかについて協力してもらうということが非常に能率的であるという判断のもとに協力を求めたものでございます。
  174. 岩間正男

    岩間正男君 それは防衛庁のたてまえとして、そして筋を立てるための説明なんでしょう。あなたいま言ったように、何日に来たかということも調べないでおいてそういうことを言ったとしたら、防衛庁の一方的な言い方となるわけだ。そうでしょう。何日に来たか。そして実際は、アメリカの情報や、その後日本の新聞なんかにも出た情報を見ると、もう九日、こういうのはちゃんと来て、そしてこれと交渉を始めている、こういうことなんですよ。ただあなたたちは都合の悪いここのところ調べないのかどうか、あるいはここのところ故意に隠しておるのかどうか、ここは非常に私は重要な問題だと思うんです。何せこれは非常に大変な秘密だ、軍事機密に属する問題。したがって、のどから手が出るほどこれは欲しい秘密情報だった。この問題聞いたら、早速これはミグ関係者が日本にやってきたんじゃないか。そして逆に、自主協力したい、そういうようなことの中ですでにこれは予備折衝が始まり、話し合いがついている。結局十八日になって取り決めという正式の形はとられた。しかし、すでにそういう問題が動いているんだということは事実じゃないですか。
  175. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) この問題はうちで調べたわけでございますから、私たちのやったことを御信用いただきたいと思うわけです。で、向こうの方でどういうふうに、いつ来たのか、そういうことは一応はありましょうけれども、それを入れたのはガリガンと空幕長との話し合いの後にやったということははっきりしておるわけですから、非常にきちんとしているというふうに思っていただきたい。その前にいろいろ報道等がなされておりますけれども、それは間違いであったということはこの一事でわかるわけでございますから御了解いただけるものだと思います。
  176. 岩間正男

    岩間正男君 そういうふうに言われても、事実はどうだという点が非常にこれは大切だから聞いているんでね、その事実が非常に食い違いがある。信用してくださいと言うけれども、調べもしていない、その上に立ってのいまのような答弁だから、これは非常に問題がある。あなたたちは共同調査でないということを盛んにいままでも言っているのですね。いまでもそうですが、変わりはありませんか。
  177. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) 先ほど申しましたように、調査に当たって自衛隊の能力が不足する場合はそれを補う必要最小限度の範囲内において自衛隊の主体性のもとに米軍から技術要員及び機器を調達するという方針のもとにやっておりますけれども……
  178. 岩間正男

    岩間正男君 共同調査ではないといまでもおっしゃっているわけですな。
  179. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) そのとおりでございます。
  180. 岩間正男

    岩間正男君 解体能力がないと言ったでしょう。調査能力もこれは余りないでしょう。それでどうして一体これを解体したり調査しようとしたのです。能力がないのにこれをやろうというのは共同調査以外にないじゃないですか、どうなんですか、それを予測しておったんでしょう、明らかに。
  181. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 能力がないというふうに御理解になっておられるようでございますけれども、このミグ25という飛行機は確かに最優秀の飛行機ではございます。しかし、これは要撃機でございますし、また私どももいまFX選定作業までやっている知識がございます。したがいまして、十年前の航空自衛隊あるいは発足当時の航空自衛隊なら全く能力がないというようなこともあるかもしれません。しかし、私どもにもこの要撃機に対する知識というものはそれなりにあるわけでございます。したがいまして、非常に長い時間をかけ、そしてまた解体もいわゆる自衛隊の能力で輸送できるほどに解体するということが可能であれば、必ずしも米側の協力というものは必要でなかったかもしれません。しかし、短い時間に余り大きく解体しないでこれを輸送するということになると、その輸送手段なり、あるいは解体をしないで調査をするということになると、それなりの機材あるいはそれのオペレーター、そういったものの協力を得るということが必要であったわけでございます。
  182. 岩間正男

    岩間正男君 いまの答弁は非常に矛盾していると思うのですね。能力があるんなら単独でやったらいいでしょう。後でいろいろ米軍との関係が非常に大きな問題になってきている。私がこの問題を聞いているのは、単にその関係だけの問題じゃない。この背後には日米防衛体制、安保体制の問題があるからこの問題聞いているわけですよ。そんな危険まで冒してなぜ一体それなら協力を仰いだのだ。能力はあるでしょう、それは何年もかかってやったら。しかし、とにかくこれらを敏速にやるだけの力がなかった、それから専門的な知識もなかった、そういうことのために、結局はそれを当てにしてこのような協定も結ばれ、そして介入を頼むというかっこうになったんじゃないですか。介入を頼むというようなかっこうになっているけれども、実際は、とにかく非常にこの問題についてアメリカは関心を持ち、そして自分から非常に積極的なそういうような動きがあったんじゃないか、そう言われても仕方がない節が十分にこれはあると思うのですよ。
  183. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) それは、アメリカが関心がなかったと申し上げればそれは間違いだと思うのです。関心はあったと思います。これはアメリカばかりじゃございません。西ドイツだってイギリスだって、同盟諸国、かなり関心を持っておることも事実でございます。しかしながら、独自でわれわれがやろうと思ったことも事実でございます。そして、これを多少時間をかけなければわが国の独自でもやれないことはなかった。しかしながら、一方におきまして外交的な配慮を考えますと、迅速にこれを返すということも考えなければならないということが頭にございましたわけでございます。それからもう一つは、余りにも細かく切り刻むということは、これはやはりソ連に対しましても申しわけない話であるというようないろいろのことから、必要最小限度の調査、解体ということでございまして、むしろ外交的配慮をしたればこそ、そういうような形になったということをひとつ御了解願いたいわけでございます。
  184. 岩間正男

    岩間正男君 必要最小限などと言っているけれども、その実態をあなたたちは明らかにしないから、必要最小限かどうかということはわかりっこない。ところが、実際は最も主要なところは何一つこれはできなかったんです。だから、米側を当てにしなければ実際できないのは事実だったと、こうはっきり考えられますよ。  次に聞きますが、九月二十六日の取り決めに基づいて調査に参加した米専門家は何人ですか。
  185. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これもそれぞれ専門家がございまして、全体を通じて何人かということは、私きょうちょっと資料を持ってきておりませんけれども、大体十人前後がその調査にも参加いたしております。
  186. 岩間正男

    岩間正男君 この次までにこれは資料を出してもらえますな。これは氏名は明らかにならない、人数だけですか。それから職務の、どういう技術を持っていたか、それから身分、そういうものはどうです。資料出してもらえますか。
  187. 加藤武徳

    理事加藤武徳君) 岩間君、委員会への資料は理事会で相談するたてまえにしておりますので、御相談したいと思います。
  188. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 全体でどのぐらいの人数が参加したかというようなことは御説明できると思いますけれども、どういう専門家がどの時点でどのようなことを調査したかということは御説明申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  189. 岩間正男

    岩間正男君 その点については、なおかつこれはあなたたちは部分的に、一部分協力などと言っているからね、したがって、当然いまのを明らかにする必要がありますよ。これは理事会でも諮ってもらいたいと思います。  それじゃ次にお聞きしますが、米軍の専門家というのは、米空軍直属のフォーリン・テクノロジー・ディビジョン、FTD、これは外国技術局といいますか、これの専門家ですか。
  190. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) ミグについての研究といいますか、調査をやっている専門家ということは申し上げられますけれども、それ以上のことは申し上げかねる次第でございます。
  191. 岩間正男

    岩間正男君 これはあなたたちの取り決めに従えば秘密を守るんでしょう。その相手の身分も、それからどんな技術を持っておったか、そういうことも知らないでどうしてこの協定が本当に有効になりますか。おかしいじゃないですか。これはFTDの所属だということは明らかですね、これは言えるでしょう。どうなんですか。
  192. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) それも私どもは知りません。
  193. 岩間正男

    岩間正男君 おかしいね。ここは内閣という防衛委員会ですよ。どういう協力を得たのか。これはまさにおかしいじゃないですか。なぜ言えないんですか、言えない理由を言ってください。
  194. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 知らないと申し上げましたのは、いま私が知らないということで、それはわかっておるわけでございますけれども申し上げるわけにはいかないということでございます。  それから、どういう点で協力を受けたかという点につきましては、先ほども申し上げましたように、その解体といいましても、やっぱり返還のことを考えますとやたらに解体はできないわけでございます。したがいまして、米軍がたまたま持っておりました強力なレントゲンといいますか、レーダーのようなもので外から見るような機材も持っておりました。それの機材とか、それをオペレートするいわゆる使う人、そういった人なんかが主体になって協力をしてくれたというふうに承知いたしております。
  195. 岩間正男

    岩間正男君 とにかく、所属も明らかにされない、それから具体的にはどんな協力したかもわからない、全部それは秘密の中に押し込めてしまうということでは、この問題は明らかにならぬと思うんです。  私の方からお聞きしますが、この外国技術局の専門家というのは、外国機の設計、材料、操縦、武器、電子装置などのあらゆる分野の専門家をそろえていると言われているんですが、そうしたメンバーが日本に来たということになると、これら専門家は、ミグの解体、輸送で技術援助をしただけではなくて、機体の材質あるいはエンジン、ミサイル発射装置、目標捕捉レーダー、電波妨害装置、それから対電波妨害装置など、すべての調査に立ち会った、こう思われる。こういう点が非常に日本では弱いところでしょう。したがって、こういう専門家、しかもこれは外国技術局、こういうところで専門的にやっているんです。その専門家の手を煩わさなければ、このような非常に高度の機密というものを明らかにすることはできなかったわけでしょう。そう考えてよろしいですか。
  196. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いま先生がおっしゃいましたような機能というものは、私ども戦闘機でも非常に重要な機能でございます。したがいまして、私どもの知識というものもそんなに低いものではございません。したがいまして、私どもの方が主体的にこれを調査するということは可能でございますが、ミグについての知識を持っている者に一部聞いたというようなことはあるかと思いますけれども、全部それをゆだねてやるというようなことは全くないわけでございまして、あくまで航空自衛隊が自主的に調査をしたということでございます。
  197. 岩間正男

    岩間正男君 末節の付属的なものだったら、これだけのいろいろな問題を抱えていることをあえて冒して、それで向こうに調査する必要がありますか。さらにこのような協定までつくって、そうしてそのもとに調査するということは、これはよほどのことなんです。これは後で聞きます、この根拠なんか聞きますけれども、そうでしょう。だから、まるでそれは一こちらの技術はこうの、相当高性能だと、日本の面目から言えば、あなたたちの自衛隊、防衛庁の面目から言えばそう言いたいところだと思うけれども、実際はどうなんです。実際は非常にそういう点が不十分だ。それから、非常に高度の機密についてこれをやはりはっきりさせるだけの力というものが足りなかった。そういうものを補ってもらったんでしょう、どうなんですか。
  198. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) これは私、この事件が起こりまして、やはり日本の独自の主体性のもとにおいてやるべきである。それからもう一つは、日本のやはり技術、これもかなり高いものでございます。それからF14、F15、F16、調査もいたしております。したがいまして、かなりの高度のものも知ることができるわけでございまして、岩間さんおっしゃるようにそんなに捨てたものではないのでございます。私どもの技術力というものも信用していただきたいというふうに思います。しかしながら、その中で一部早くやっぱり知見する必要がありましたために、そういうように細々に解体すればわかるやつだけども、それをやらないでなおかつ知見できるというようなものは、そういう機材を借りたっていいじゃないか、それはあくまでも主体性のもとにやればいいじゃないかということでこの調査を実行いたした、実施してきたということでございます。
  199. 岩間正男

    岩間正男君 とにかく日本の技術は完全なものでなかったということは認めますね、長官
  200. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) それはもう十分とは思いませんけれども、しかしながら、かなりの水準にあるということはひとつ岩間さんも認識を新たにしていただきたいというふうに思うわけでございますが、しかし、中にはやはりわれわれで不十分な点があることは申し上げておきたいというふうに思います。
  201. 岩間正男

    岩間正男君 まあ、ここだけの答弁じゃまずいのですね。だれが考えたっておかしいですよ。捨てたものでもないような技術を持っているんならそれが主体になってやれるか、そうじゃないでしょう。これはやれない。非常にこれは欠陥が出てくる。したがって、その専門家を呼ぶ。これはアメリカではそのような局までができているんですから。外国のこういう軍用機に対する専門の調査をやる局があるんです。そこへの依頼なしにはこれはできなかったということはだれが見たって明らかです。しかも、いろいろ言っておられるけれども、結局は電子機器についての調査、これは非常に技術的にも不十分なところがあって、これはいわばこのミグ25の本命なんだね、こういう問題については、非常にこれは最高機密に属するところですからね、この電子機器の問題について、米軍専門家が主体になって調査をした、こう考えられるのですけれども、そうでないとこれを反証するものがありますか。
  202. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 電子機器につきましては、もちろんなかなかわからない点もあったかもしれませんけれども、私どもの方も電子機器というものについてはかなりの知識を持っております。したがいまして、まあ教わるところが全然なかったとは申しませんけれども、米軍が主体になってやったというようなことは全くないわけでございます。
  203. 岩間正男

    岩間正男君 かなりの知識とか、捨てたものでもないとか、そういう言い方ですけれども、結局は、これはだれも信用できないだろうと思うんです。無論、全然技術がないとか、そういうことを私も言っているわけではありません。しかし、とにかく十分にこの任務を果たすことはできないということで、それで結局これはもう依頼せざるを得なかった。そしてこのような取り決めまでやった。しかもその結果は、この機密についてはあくまでこれは日本に属するものだ、こういうことをうたわざるを得なかったわけですね。だから、なるほどこの協定を見ますと、表面は自衛隊の監督、指令のもとに行うということになっています。大体、日米間の防衛文書というのは大抵こういう形をとっている。しかし実体、主体はだれか、ほとんどの文書というのはこれは米軍が主になって、そして日本がこれに従属した役割りをさせられておるというのが日本のいままでのいろいろな、あらゆる文書を見ていってそうなっているんじゃないですか。だからしたがって、このような取り決めにつきましても、これはやはりたてまえとしては、あなたたちの立場からいくといまのような主張をされるけれども、実態はそうなっていないんじゃないかと、国民はこの点を非常に疑問を持っているわけです。そうでしょう。それから、いままでの経過を見ても全くそういうことになると思うんですね。
  204. 坂田道太

    国務大臣(坂田道太君) この米軍との取り決めみたいなものをやりましたのも、やはりこの主体性を侵されてはいけないという、そういうつもりでやったわけでございまして、日本の意思に基づいて日本のわからぬところはおかりをしようということで、主体性は曲げられていない、こういうふうにひとつ御了解をいただきたいと思います。岩間さんは、どうも日本の技術や何かを余り信用されないようですけれども、そうでもないんですよ。これは全部何もかにもわれわれの方が上だというふうには私どもは思いません。足らざるところがあります。しかし、かなりな水準にあるということはひとつよく御承知おきを願いたい、御理解を賜りたいというふうに思います。もし水準が非常に低かったら、解体いたしましてまたこれをもとに戻すなんということはできないものです。これはやはり、かなりの水準があればこそできたものでございますから、これは機体を返しました後でもソ連側で見られればおわかりになるというふうに思います。また、向こうで受け取られた場合にも、やはりきちんとした形で、余り切り刻んだ形でしてはいけないというのが私の方針でございます。
  205. 岩間正男

    岩間正男君 防衛庁長官が自主的な立場をとりたいと、そう言うことはわからないわけではありませんよね。それは私もわかっているつもりだ。しかし、だからといって非常に高度な、これは世界でも問題にされるような機密です。そういうような問題を調査する、そういう一体能力が完全にあったかというとこれはなかったことは事実だ。それはとにかく米軍に依頼をしたという事実が何よりもこれは雄弁に物語っている。しかも、これは依頼した相手がどうかというと非常に専門家だ。しかもそのことを専門にしているそういう人たちだ。こういうことは明確なんですからね。したがって、こういう事態というものは、これはかなりとか、あるいは捨てたものでもないとかという表現にされているけれども、その点についてはやはり率直に語られた方が私はいいと思うのですね。わかりますよ、あなたが自主的に何でも米軍の言いなりにならなければならないんだと、そういう立場に立っていないんだと、そういうふうに主張されるその気持ちはわかる。気持ちは。しかし実態はどうかということをわれわれはいま議論しておるんですからね。  そこで時間が余りもうありませんが、この次になりますけれども……
  206. 加藤武徳

    理事加藤武徳君) もう時間は経過いたしました。
  207. 岩間正男

    岩間正男君 この米軍人が協力する、この取り決めが結ばれましたね。この九月十八日の取り決め、九月二十六日の取り決めの法的根拠、これは先ほども聞いたのですが、もう一度これは改めておっしゃってください。
  208. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは防衛庁設置法の第五条の四号にございます、自衛隊が所掌業務を行うにつきまして役務を調達することができるという条項によりまして、米側にその能力のある者の存在を聞きまして、これをこの協力を得るに当たって、大臣の指示に従いまして航空幕僚長と在日米軍司令官の間でこういった確認事項、特に自衛隊の指令、監督下に置くということ、それから得られた知見というものは自衛隊のみに属すということ、そして必要な所要経費については支払うということをはっきりさせたものでございます。
  209. 岩間正男

    岩間正男君 ちょっと、時間ないからこの次に譲りましょう。
  210. 加藤武徳

    理事加藤武徳君) 本件に関する本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十九分散会      —————・—————