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1976-10-21 第78回国会 参議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月二十一日(木曜日)    午前十一時四十五分開会     —————————————   委員異動 十月十三日     選任          後藤 正夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         上田  稔君     理 事                 安孫子藤吉君                 金井 元彦君                 小山 一平君                 神谷信之助君     委 員                 井上 吉夫君                 後藤 正夫君                 細川 護煕君                 赤桐  操君                 秋山 長造君                 野口 忠夫君                 多田 省吾君                 市川 房枝君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    天野 公義君    政府委員        警察庁刑事局長  土金 賢三君        警察庁警備局長  三井  脩君        自治大臣官房長  近藤 隆之君        自治大臣官房審        議官       石見 隆三君        自治大臣官房審        議官       福島  深君        自治省行政局長  山本  悟君        自治省行政局選        挙部長      佐藤 順一君        自治省財政局長  首藤  堯君        自治省税務局長  森岡  敞君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        文部省管理局教        育施設部助成課        長        倉地 克次君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査  (警察に関する件)  (地方行財政に関する件)  (選挙に関する件)     —————————————
  2. 上田稔

    委員長上田稔君) ただいまから地方行政委員会開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十月十三日、欠員の補充として後藤正夫君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 上田稔

    委員長上田稔君) 地方行政改革に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 小山一平

    小山一平君 まず最初に、国家公安委員長である天野さんにお尋ねをしたいと思いますが、総選挙もいよいよ目前に迫ってまいりました。ロッキード事件政治不信を増大いたしまして、わが国議会制民主主義基礎を危うくしていると思います。この際、政治家は謙虚にえりを正し、政治不信政治家不信の風潮に対処しなければならないはずだと思いますが、ロッキード事件で逮捕され起訴されている政府高官と言われる人物が、こぞって立候補すると言われております。私はこのようなことはますます政治不信政治家不信を深めるものと思うのでございますが、国家公安委員長であり自治大臣である天野大臣はこのことをどのようにお考えか。これは大臣政治姿勢を示す上で非常に重要なことだと思いますので、率直な見解をお聞かせ願いたいと思います。
  5. 天野公義

    国務大臣天野公義君) ロッキード事件が各界から批判をされ、また政治不信の原因になっていることは御承知のとおりでございます。御質問のように、逮捕されそして起訴された方が立候補を声明されておられますけれども、これは政治道義の問題でございます。立候補が制限されているわけでもございません。したがいまして、立候補することは自由でございます。しかし、政治的な道義というものをその方々がどう判断をされるか、それに対して国民がどういう判断を下されるのかという問題になろうかと思います。
  6. 小山一平

    小山一平君 法律的にはそういうことだと思いますが、しかし、政治不信、そしてまた政治家不信という、こういう憂慮すべき傾向を何とか改善を図らなければならない、こういう立場でこういう問題をとらえるならば、大臣個人としては、法律的には許されることであろうとも、これが望ましいことと考えるのか、当然のことと考えるのか、遺憾なことと考えるのか、こういう率直な御意見をお尋ねしているわけです。非常にお答えにくい質問ですけれども、これはやっぱり大臣基本的な政治姿勢を示すためにはその見解を明らかにしていただくということが大切ではないかと、こういうことでお尋ねをしているわけです。
  7. 天野公義

    国務大臣天野公義君) おっしゃる意味もわかりますけれども、先ほど申し上げましたように、当人、立候補される方々のみずからの政治道義の問題でございますし、そしてまた選挙に当たりましての国民批判がどう出るかということになろうかと思います。
  8. 小山一平

    小山一平君 それ以上のことをお尋ねしても無理だと思いますが、でき得るならば大臣が、こういう問題に対して率直に、個人的には大変遺憾なことであるとおっしゃるならば、大臣を私は高く評価をし、尊敬をすることになるだろうと考えたわけですが、これはこれでやめます。  それから、四十九年の参議院選挙史上最大金権選挙であったと言われておりますが、まあ文書違反とか戸別訪問とか、こうした小物は容易に挙げられるけれども、悪質な金権選挙の大物はなかなかっかまえがたいのが現実だと思います。しかし、そうであればあるほど選挙違反の摘発は厳しくなければならないはずですが、いよいよ差し迫まった総選挙に当たって、この選挙違反取り締まり方針というようなものをどのようにお立てになっていらっしゃるか、お答え願いたいと思います。
  9. 天野公義

    国務大臣天野公義君) この前の参議院選挙金権選挙ということが非常に批判をされまして、私どもも、一議員ではございましたけれども、何らかの選挙に対する制度改正が必要である、かように思っていた次第でございます。これに基づきまして公職選挙法改正並びに政治資金規正法改正が行われたわけでございまして、今度の総選挙が行われます場合には新しい選挙法が適用されるわけでございます。また、政治資金規正法の方はいま執行をされている最中でございまして、この両々相まって政治的な金権選挙というようなもののないように、公正な選挙が行われるように、こういうことをねらいといたしているところでございます。さきに、私といたしましても、この当然行われるであろう衆議院議員の総選挙に対しましては厳正公平な明るい選挙ができまするように訓示をいたし、各警察方面にも、明るいきれいな選挙ができるように、また、違反者に対しましては適宜対処できるように、こういうことを要望しているような次第でございます。
  10. 小山一平

    小山一平君 次に、平和な市民生活や平穏な社会秩序を守るのは警察の重要な任務でございますが、最近、暴力団抗争暴力団員発砲事件等が頻発をいたしまして、善良な市民社会を暗くしています。警察に対して、暴力団に弱いのではないかなどという批判や不安のあることも事実でございまして、さる新聞報道などによれば、暴力団の警戒に当たっていた警察官暴力団差し入れの食べ物を食べたとか、テレビの便宜にあずかったなどという報道もございます。私は、決して警察当局暴力団に特に弱いなどと思いたくないのでございますけれども、このようにますます暴力団跳梁ばっこをしている現実の中で、警察当局暴力団取り締まりにどのような方針で臨んでおられるのか、ただいまの暴力団の実態というようなものはどのような姿であるのか、そんなことについてもお答えをお願いをいたします。
  11. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 最近の暴力団抗争事件というようなものが新聞に出ておりまして、私どもも非常な関心を持ち、暴力団取り締まりにつきましては厳重にやっていかなければならないという決意をいたしているところであります。  全国の暴力団勢力は、三十八年をピークといたしまして減少を続けてはおりますけれども、大規模広域暴力団は依然として根強い勢力を持っておりますし、これが一つの帯となって、それを中心として暴力団抗争事件が起きております。特に最近は暴力団拳銃を発砲するというふうなことでありますので、拳銃等の問題について特に重大関心を私どもは持っておりまして、改造拳銃取り締まりあるいはまた拳銃密輸等については、水際でこれを処理するように税関当局にも協力方を申し入れているような次第であります。  また、暴力団資金源になりますような麻薬覚せい剤取り締まりにつきましても、これまた大いに努力をいたしているところでありまして、今後ともその資金源封圧等につきまして強力な取り締まりをやらなければならないわけでございます。  このような暴力団による不法行為は、おっしゃるように、平和な市民生活に多大の脅威を与えると同時に、法秩序への重大な挑戦でありまして、断じて許すことはできないわけでございますので、今後とも全力を挙げてこの暴力団の取り締りに邁進していきたいと考えている次第であります。
  12. 小山一平

    小山一平君 ロッキード事件で有名な児玉譽士夫に対して暴力団の影が薄気味悪くつきまとっておりますね。そうして、脅迫、暴行、麻薬、殺人、詐欺、汚職疑獄に至るまで暴力団ばっこをしているという傾向がある。これは平和な市民社会やあるいは平穏な社会秩序を根底から破壊をする憂慮すべき事態だというふうに思いますが、いま国家公安委員長から厳しくその取り締まりに当たるという見解が述べられましたけれども、実際問題として、私の見るところではますます跳梁ばっこ傾向にある。暴力団などという職業が公然とまかり通る、胸を張っておれは暴力団員だと言って街頭を闊歩をするなんていうことは全く言語道断だと思うのですけれども、今後の取り締まりによってこの暴力団というようなものを鎮圧するというか、壊滅するというか、そういうことができるのかできないのか、どういうふうにお考えでいらっしゃいますか。
  13. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) 暴力団取り締まりにつきましては、ただいま大臣から御答弁がありましたとおり、大臣の指示のもとに全力を挙げていま対策に取り組んでいるわけでございますが、昨年九月から第三次頂上作戦によりまして検挙した暴力団員は五万九千人に及んでおりますが、このうち、いわゆる組長とか幹部、こういうものが約千人に及んでおります。こういうことで、われわれの目的はあくまでもこの暴力団組織を壊滅するということを、ただいま御指摘のようにこれを目標にし、また目標にするだけでなく、究極の目標だということでなく、現にそういった暴力団一つ一つをつぶしていくという対策をとっておるわけでございます。現に、大阪において拳銃乱射事件等がありましたわけでございますが、町を大手を振って歩けないようにするということで、外勤警察官あるいは機動隊、こういったものも動員いたしまして職務質問を四六時中これを厳重にしまして、町を暴力団員大手を振って歩けない、あるいはまた、町を歩くときに拳銃をふところに入れて歩くというふうなことも最近は考えられますので、そういった点について職務質問を徹底して、町の、市民の安全を図るということに努めておりますほかに、あらゆる法律を活用しまして、暴力団の先ほど申し上げました検挙と、それから資金源ですね。資金源には、いろいろ覚せい剤とかあるいは売春とか、あるいは総会屋とかいろいろありますが、あるいはばくちの問題とか、こういうあらゆる法律を活用して資金源封圧し、同時に拳銃を摘発してその武装を解除し、そうして暴力団に対しましてあらゆる積極的な攻撃をかけてこれを壊滅していく。現に大阪におきましても、組長に対しましてそういった強い姿勢をとりまして解散を迫っておりまして、もうすでに数件解散を宣言した組も出ておりますが、こういつたことで、あくまでもその組織を壊滅するということで取り組んでおるわけでございます。
  14. 小山一平

    小山一平君 ぜひひとつ徹底的な取り締まりを進めていただきたいと思います。  最後に金大中事件捜査についてお尋ねをいたしたいと思います。この事件も大分古い事件でございますけれども、白昼堂々拉致され、事もなげに韓国へ連れ去られるという、いとも不思議とも思える事件でございまして、わが国主権が著しくじゅうりんされたことは御承知のとおりです。この事件にはKCIAが深くかかわっていることを疑う者はありませんし、今日、日本においてKCIAの大変な活動が展開されていることも疑う余地がございません。したがって、この事件について警察当局捜査に大変な苦心を要したことが推察できるわけでございますけれども自民党政府金大中事件をきわめて政治的に不明朗な決着をつけました。日韓の癒着の裏面が想像されますし、最近マスコミによって、日韓関係ロッキード事件以上に汚職疑獄があることが取りざたされております。警察当局金大中事件について苦心惨たんしてかなり具体的に解明する基礎捜査がある時期に進んだと聞いておりますが、このような政府による政治的決着によって、どうしようもない壁にぶつかる結果になったものと推察されます。警察当局はこの政治決着をどう受けとめていらっしゃるのか、この政治決着によって捜査は打ち切られたのか、いまも続行しているのか、ある時点で捜査がかなり進んだ内容はどの程度のものであったのか、それらの点についてお尋ねをいたします。
  15. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 金大中事件はまことに遺憾な事件でございましたが、その事件につきましては、被害者及び参考人がともに日本にいないという悪条件のもとにもかかわらず捜査を重ねました結果、金東雲元書記官が犯行に加担した容疑が濃厚であるなどが明らかとなりましたが、他の共犯者等についてはいまだ特定するに至っておりません。今後引き続き国内における捜査を推進して真相解明努力する所存でございます。
  16. 小山一平

    小山一平君 もう自民党政府韓国政府との間でこの事件決着がつけられたいまとなっては、いろいろ捜査を進められても、実際問題としてその解明は不可能なのではないかというふうに思いますが、そうではありませんか。
  17. 三井脩

    政府委員三井脩君) ただいま大臣からお答え申し上げましたように、外務省がいわゆる外交的決着ということで処理をいたしておりますけれども、私たちといたしましては、この事件真相解明するということで鋭意努力し、現在も捜査態勢を維持し努めておるところでございますが、御指摘のように、この事件につきましては、金東雲それから彼と一緒にグランドパレスの部屋で会談をしておった人たち、こういう人たちがいずれもわが国内におらない。金大中氏自身はもちろんでございますけれども、そういう悪条件があるわけでございます。しかしながら、捜査といたしましては、外交的決着といったようなことが一つのわれわれの捜査の推進にとりましては悪条件ではございますけれども捜査というのは常にむずかしい条件が多々あるわけでございますが、そういう条件の中で、国内におけるたとえば共犯——国内において直接間接手を貸したというような者の存在が推測されるわけでございますので、こういうような点につきまして捜査を続けておる、こういうことで努力をいたしておるところでございます。
  18. 小山一平

    小山一平君 政府外交的政治的決着をつけたことに対して警察当局大変不満、憤慨をされたということを聞いておりますが、そう解してよろしゅうございますか。
  19. 三井脩

    政府委員三井脩君) 韓国政府に対しまして、外務省を通じてわれわれとしては、直接、金東雲金大中氏、それから当時これらと接触した人たちについて取り調べた結果を通報を願いたい、こういうことをしばしば言っておったわけですけれども、それが、それに見合うわが方で調べた結果はこうであるということは通報しておったわけです。それに対する回答はなくて、大したものはなくて、結局昨年不起訴処分にしたというような結果でございまして、これは大変われわれとしては不満足であると。しかしながら、捜査は、いま申しましたような捜査にとっての条件はよくありませんけれども、われわれのできることは大いに力を入れてやっていきたい、こういうことでございます。
  20. 上田稔

    委員長上田稔君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時八分休憩      ——————————    午後一時十四分開会
  21. 上田稔

    委員長上田稔君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方行政改革に関する調査について質疑を行います。
  22. 小山一平

    小山一平君 今度は、大臣並びに自治省に対して行財改革についてそれぞれお尋ねをしてまいりたいと思いますが、次の機会には関係省庁出席も求めていろいろ質問をいたしたいと思っておりますけれども、きょうは自治省だけに総論的にそれぞれお尋ねをしてまいりたいと思います。  最初自治大臣お尋ねしたいと思うのですが、先日の私の要望に基づいて、「当面する地方行政の諸問題について」という所信の印刷物をちょうだいいたしました。大変模範答案だと思います。そこで、大臣がここで述べられているような方針実行に移していくには、地方自治に対する基本的な考え方、こういうものがなければならないと思います。なかなか行財改革と一口に申しましても、これは容易ならざる難問題でございまして、と申しますのは、憲法第九十二条に初めて地方自治規定ができました。この憲法で明示をしている地方自治の本旨、この概念的な規定は大変困難でございますけれども憲法に新たに地方自治規定がなされたその意義目的、こういうものを土台にしっかり据えない限り、私は行財改革というものは非常にむずかしい、こう思うのです。理屈っぽいような御質問になろうかと思いますが、自治大臣から、憲法規定をされている地方自治についての基本的な考え方、この憲法にこうして地方自治規定ができたという目的意義、こういうようなものに対しての見解をまずお尋ねをしておきたいと思います。
  23. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 戦前は中央集権的な色彩が強かったわけでございますが、戦後におきましては、その地方自治重要性というものが改めて重要なものであるというふうに塗りかえられた結果、憲法にも規定され、地方自治重要性というものが改めて認識をされたのではないかと思います。で、地方自治制度は発足以来三十年になろうといたしているわけでございますが、最近の社会経済の情勢の変化の中で、国民の期待にこたえ、住民福祉の着実な向上を図るためには、新しい時代に即応した地方公共団体行財政運営確立していかなければならないと思います。このため、今後とも地方財源の確保や歳出の節減、合理化行政の簡素、合理化等を図り、地域住民生活に密着した自主的で責任ある地方行政が実現されるよう、地方公共団体行財政基盤の強化に努めてまいりたいと思っております。そうすることが憲法にあります自治の尊重につながっていくものであると、かように考える次第であります。
  24. 小山一平

    小山一平君 私は、憲法地方自治規定ができたという一番の重要なことは、かつての中央集権的官僚制と申しますか、の欠陥を排除して徹底した地方分権民主化を図っていく、こういうことだと思うのです。地方公共団体存在と、そしてまた地方分権確立国家構造基本制度として保障していく、こういう思想がこの憲法上の地方自治規定である。これを土台に据えることがまず大事ですけれども、私がいまなかなか行財改革というものは困難だと申し上げたのは、御承知のように各省庁セクト主義、これは中央集権思想と一体のものでございまして、この思想地方分権とは相反する立場でございますから、私が大臣にお聞きをしているのは、いま私が申し上げたように、地方自治確立と申しましても、地方財政確立と申しましても、それは地方分権を進めていくという基本でなければならない、こう思うのですが、この点について大臣見解お尋ねいたします。
  25. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 地方自治が重要視されることは、これはもう前提として言うまでもないところでございます。しかし、地方がばらばらになってしまいましてはこれはかえって弊害の出るところでありまして、やはり地方のいろいろな問題を公平な立場で見ていく機関ということも必要であろうかと思います。そうすると、そこに中央の持つ意義があると思うのでありまして、中央の方が出しゃばらないように、地方中央とが弁証法的な関係でうまくこれが運営されるということが一番望ましいことではないかというふうに考えております。
  26. 小山一平

    小山一平君 大臣のそういう御答弁では、これは大変私は危険だと思うのですよ。私は何も国家中央をないがしろにしていいとか、これを無視して地方万能制度を追求するなどという考えは毛頭ないわけです。しかし、かって旧憲法時代日本は余りにも中央集権であり過ぎた、その弊害というものが反省をされて、そして国家基本構造を国と地方自治と、こういうふうに分けて地方分権制度確立していく、こういうことが土台であったはずです。ですから、この基本姿勢に立たないと、これからいろいろ具体的な御質問をしていく中で触れてまいりたいと思いますが、なかなか大臣がここにお書きになったような内容のものを実行に移していくことも、これはとうていその実績を上げることは困難であろう、これは私の考え方でございますが、そういう意味で、に規定された地方自治というものはこれは地方分権という考え方、これが基本である、このことだけは大臣にしっかり持っていただかないと、これからの自治省でいろいろお考えになっているような行財改革を実現していくということはできませんよ。もう一度お願いします。
  27. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 先ほど申し上げましたように、地方自治を尊重するということが前提でございまして、その前提の上に立ってやはり中央地方とが、これが緊密な連絡をとるなり、あるいはまた不均衡にわたるようなことの著しくないようにやっていかなくちゃならない問題であると、かように申し上げたような次第でございます。
  28. 小山一平

    小山一平君 これはきょうは貴重な時間、できるだけ節約するようにという要請もあるのに、大臣がそんな答弁をされていると、このことで時間がかかって実は困るのですけれども、どうして、地方自治確立を図るということは地方分権の充実であるというふうなお答えができないですか。
  29. 天野公義

    国務大臣天野公義君) ちょっと私の言っていることが御理解願えない点があるようでございますが、住民生活福祉等にいろいろ密接な関係をするところが地方自治体でございます。したがって、地方自治体を尊重する、あるいは地方行政を尊重する、そういう前提の上に立ってということを申し上げているわけでございますから、御了承願いたいと思います。
  30. 小山一平

    小山一平君 かつては中央にさまざまな権限が集中していたのです。この権限をあるいは財源地方分割をして、地方地方責任範囲を設定をして、そして国の行政地方行政が両々相まって進展を図る、こういうことでしょう。国の権限地方分割、移譲をして、そこに地方自治体というものを育成をしていくということは、これは地方分権じゃありませんか。地方分権という言葉がどうしてそんなに恐ろしのものででもあるかのように、そういう言葉は使いたくないと聞こえるようなことにこだわるのは、大臣、おかしいじゃありませんか。地方分権でいいじゃありませんか。いろいろに言いつくろって、その言葉だけは口にしないように努めるなどというのはおかしいと思いますよ。
  31. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 先ほどから申し上げておりますように、地方を尊重する、あるいは地方分権が重みをなしていく——同じ意味合いで申し上げている次第でございます。といって、地方だけで中央は要らないというわけにはいかないわけでございまして、地方を尊重しながら、やはり中央中央としての職責があるし、そこらはうまくやっていかなくちゃならないと、まあこういうことでございます。
  32. 小山一平

    小山一平君 まあ十分納得のできるところではありませんが、まだ二十六日も二十八日もあることですから、このことでそういつまでも時間をつぶすわけにはいきませんから、前へ進めさしていただきます。  七月十日に、自治事務次官による「昭和五十二年度の地方財政措置について」という、これは要請書と言うのですか要望書と言うのですか、これが各省庁に出されております。私は、自治省の積極的なこの取り組みについては大いに評価をいたします。そして、これは昨年来、昭和五十二年度を期して行財政制度の抜本的改革、その関連において地方交付税の引き上げ等を検討をしていく、こういう経過がございました。この事務次官による要望書は、いま申し上げたように五十二年度を期して行財制度の抜本改革、同時に、それの関連における地方交付税問題等を前進をさせよう、こういう目的のものであろうと思いますが、それでよろしゅうございますか。
  33. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 御指摘のように、五十二年度以降行財政制度改革に取り組まなければならぬ時期が到来をしておるという認識を私どもも持っておるわけでございます。したがいまして、従前も国庫補助負担金等の不備な点の是正については各省に求めてもまいりましたけれども、この際、五十二年度以降新たな制度改正の一環と申しますか、その一つの役割りを担うという願いも込めまして、各省にいろいろな注文をつけた次第でございます。
  34. 小山一平

    小山一平君 私が先ほどこの、要望内容は評価いたしたいと申し上げましたのは、たとえば全国知事会では、「新しい時代に対応する地方行財政に関する今後の措置についての報告」という文書を出していますね。また、全国市長会は「低経済成長下における都市政策に関する提言」、全国革新市長会においては「地方行財政改革への提言」、自治労においては「自治体行財政改革たちの一〇の提言」、こういつたようなさまざまな要望、提言がございます。これらをいろいろ検討してまいりますと、ことし自治省がお出しになられたいろんな要望内容などというものは、これらの提言や要望事項というものをかなりくみ上げ、尊重をし、意見の一致を見たような形で取り組まれておりますね。  そこで、まず第一は行政事務の再配分、これはもうかねてからの懸案の問題でございますが、まずこの中には地方に移譲すべき事務、国と地方との責任分担を明確にすべきもの、機関委任を廃止すべきもの、事務処理の簡素化を図るべきもの、こういうように幾つかに分類されると思いますが、さて、五十二年度を期してこれらの行政事務の再配分が具体的にどんなふうに実施されるとお考えになっておりますか。
  35. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 御指摘のとおり、各種、各団体からの御提案、それと自治省としての意見というものが、ただいまお述べになりましたような点におきましては一致をしている面が多数あるわけであります。ただ、同時に行政事務の再配分の問題は、御案内のとおり、非常に戦後二十四、五年からの長い経過を持っている問題でもあるわけでございます。一括して再配分というかっこうに取り組んだ場合には、たびたびそういったような提言がなされ、かったとえば、地方制度調査会等におきましても何度も具体の問題につきまして膨大なる御提言があっても、なかなかいろいろな事情によって実行できていない、こういうようなかっこうで現在まで至っておりますことは、先生よく御案内のとおりであろうと思います。そういうような事態を踏まえまして、具体に個々のものにつきまして法令改正その他というような機会をつかまえまして、常に自治省立場といたしましては地方自治の本旨の尊重という立場からの主張を繰り返してきているわけでございます。そういうような経過と状況を踏まえまして、明年度におきましても各種のいろいろ提言されております中にございますことを、またこの提言等の中には具体に細かく指摘をされておる面もあるわけでありまして、ああいったものはそれぞれ各省庁にそういった意見の方向で折衝をいたしまして、できる限りの具体化を図ってまいりたい、こういうように現在思っているところでございます。
  36. 小山一平

    小山一平君 さっきも大臣とのやりとりの中で私が指摘をしたのは、実はこういうところにもかかわってくるわけです。いま申し上げたように、国の事務であるものを一部を地方に移譲をする、いま国の方へその権限が集中をしているものを責任を分割をして明確化を図る、いま委任している事務も廃止するものもある、事務処理を簡素化して地方のいろんな手続等というようなものを合理化していく、いずれもこれは地方権限の強化にかかわるものです。ですから、関係省庁セクト主義中央集権のがんこな思想に武装をしている限りはこうした課題というものは前進できない。だから、今日まで長い間この問題が検討されながら実現していないのは、私が指摘したようなところにあると思うのですよ。そこで、大臣にもがんこに、いまここに存在をする中央省庁セクト主義中央集権的な考え方、これを徹底的に是正をするという前提を築かないと、一口で言えば行政事務の再配分、まことに簡単なことが具体化することができない、こういうふうに思うのですよ。そこで、いまいろいろ努力をされていることは私もよく知っておりますが、五十二年度で実際にいまのような再配分、どの部分でも具体的に改善できる部分というものはほとんどいまの段階ではないのじゃないですか。そんなことはありませんか。
  37. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 私ども努力の不足あるいは力不足ということを御指摘いただきまして御鞭撻賜りますことは大変ありがたいわけでございますが、御指摘のとおりに非常にいろいろな壁がございまして、個々のいろいろ具体に指摘されておる問題につきましてもなかなか思うような進展というものはむずかしい状況があることは御指摘のとおりでございます。ただ、私どもといたしましてはあらゆる機会あらゆる立法あらゆる政令、そういったような各種の機会をつかまえまして、個々具体の問題につきまして常にそういう立場での主張を繰り返し、納得のいくまで論議を進める、こういう覚悟でやっておりますので、御了承を賜りたいと存じます。
  38. 小山一平

    小山一平君 自治省とすればそういう努力をされておることも承知をしておりますし、これからもお願いをしなければならないわけでございますが、いずれ関係省庁等にこういう問題について具体的に議論をいたして懸案の課題が前進できるように私どもも取り組むし、自治省にもぜひその姿勢努力をしてほしいというふうに思います。  次には財源の再配分の問題でございますが、国、地方間の税源配分というものがはなはだしく不均衡である、こういうことが害われておりまして、それを是正をして国と地方を五〇対五〇になるように調整すべきである、こういう意見が私はかなり定着、ということはオーバーかもしれませんけれども、かなり貴重な考え方としていまとらえられていると思いますが、自治省としてはどういうふうにお考えですか。
  39. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 国と地方との財源配分につきましては以前からいろいろ議論がございます。また、最近におきまして、いまお話がありましたように、国税と地方税の配分、現在国税が七〇%、地方税が三〇%という比率でございますけれども、それを五〇%ずつにすべきではないか、こういう御意見も一部にございます。私どもは、地方公共団体が自主性を持ち自立の精神に基づいてかつ責任を持ちながら地方行財政の運営をやるというためには、やはり実質的な地方税源というものが多くなければならないという気持ちは常日ごろから持ち続けております。  ただ、いまお話に出ましたように、国税、地方税の配分を五〇%ずつにするということになりますと、先ほどお話のありましたように、事務配分というものを一体どうするのかという問題が一つ関連がございます。さらには現存の地方交付税とか国旗補助負担金というものをそのままにしておいてそういうふうなことをするのかどうかということになりますと、これはなかなかそう簡単な問題ではございません。五〇%論の中身はいろいろございますが、たとえば国庫補助食掛金を思い切って削減するのだというふうなこともその中に含まれて説かれておる場合が多いようでございます。国庫補助負担金をそういうふうな形で削減するといたしますと、個々の地方公共団体に与える影響というものがどういうことになるか、かなり詳細な吟味が必要だと思うのでございます。  そういう意味合いで、地方自主税源のウエートを高めるということは、税制を考えます場合、常に大事な事柄として大きな課題として考えておりますけれども、一義的に五〇%・五〇%が妥当だという結論には東急にはなかなか立ち至らない、かようにいま考えている次第でございます。
  40. 小山一平

    小山一平君 五〇対五〇が適当だという意見は、いま御指摘のように、さまざまな制度の調整の上に立って自主財源を強化をして、そして地方自治体の独立性といいますか、自立性を強化する、こういう発想であろうと思いますね。ですから、そういう立場に立って、自治省がただ短絡的に五〇対五〇がいいとか悪いとかという意味でなしに、地方財源の強化を図ってその自主性を高めていく、地方自治の機能を高めていく、こういうお考えで、取り組んでいらっしゃる、こう解しておいてよろしゅうございますか。
  41. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 基本的には地方の自生税源を拡充強化してまいりたい、こういう気持ちで取り組んでおるわけでございます。
  42. 小山一平

    小山一平君 それから、地方財源一つとして法人事業税について外形課税を導入すべきである、こういう議論がずいぶん繰り返されてきておりますが、どうですか。もうそろそろその導入を図るという方向へ踏み切ってもいいように思いますがいかがですか。
  43. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 法人事業税に外形基準課税を導入するという問題は、事業税の性格から申しましても、また、都道府県税収入の安定性を確保するという見地から申しましても、私どもは大変大事なことだと思っております。昨年の税制調査会におきましてもこの問題を真剣に御論議いただきました。しかし、最終的にはなお結論が煮詰まりませんでした。煮詰まりませんでしたゆえんのものは、一つには現在まで法人の利益、所得の中から事業税が支払われておりますので、その負担に比べますと相当大きな変動が生じる。最も端的に申しますれば、いわゆる欠損法人も相当の事業税負担をしなければならないということにつきまして、納税者、事業の方からそれだけ大きな税負担の変動が出ることはこの経済情勢のもとにおいてはなかなかのみにくい、率直に申してそういう考え方が非常に強いわけでございます。そういうふうなことから、引き続き検討すべき事項として持ち越されております。自治省といたしましては、明年度の税制改正までの間にいま一度税制調査会に真剣な御論議を賑わして何らかの結論を得たいという気持ちで取り組んでおることを申し上げたいと思います。
  44. 小山一平

    小山一平君 これは地方団体にとりましては、まあ小さな企業などは別といたしまして、従業員の多い、あるいは企業の規模なども大きいという場合には、赤字であればろくに税金を払わぬでもいい、利益が出なければろくに払わぬでもいいと言われても、その企業がそこに存在するために地方団体はいろいろな財政投資はこれは必要なわけですよ。税金が入らなくても入っても、その企業があるための必要な財政投資というものがこれは避けられないわけですね。そうであるとしたら、当然企業はそれに見合う負担をするのが当然ではないか、これが地方の側から見れば出然のこととして主張する根拠になっているわけですね。そういう点についてどういうふうにお考えですか。
  45. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) まさしく、地方公共団体立場からあるいは地方財政立場から申しますと、いま御指摘のありました点が法人事業税に外形基準の課税を導入することが望ましいという基本的な論拠であると思います。  ただ、一方におきまして、事業に対して利益から税金を払ってもらうのではなくて、一定の外形基準によって払っていただくということは、当然それは経費として考えるということでございますから、転嫁を予定しなければなりません。それは製品価格に当然転嫁していく税であるという考え方に立つわけでございます。ところが、法人事業税という形で徴収されます現在の税が転嫁が十分前提できるのかどうかということにつきまして、やはり納税者の立場からいたしますとこれまた議論が出てくるわけでございます。その辺のところが、法人事業税の外形基準導入について十年以上も議論しておりますけれども、なかなか決着がつきにくいというむずかしさの最大の問題点だと思っております。  しかし、事業税の性格なり、先ほど申し上げましたように、あるいは収入の安定性から申しますと、何らかの形でいまの所得のみの課税標準という形ではなくて、何らかの形で外形基準による税負担を求めるという仕組みを導入することが私どもとしては望ましいと、かように考えておる次第でございます。
  46. 小山一平

    小山一平君 どうも、こういう問題の言いわけに、それが製品価格に転嫁されて消費者にとってマイナスになるおそれがあるといったようなことをよく言います、租税特別措置法でもそうですけれども。そう言って、国民生活を守るというようなことに言いつくろってこういう問題に反対をしていくという場合が私は多いように思うのですが、しかし、どの程度の外形課税をかけるかということは、これはいろいろ研究しなければ結論は出ないと思いますけれども、しかし、常識的に考えられる外形課税の部分が消費者に重大な圧力になるほどの価格に転嫁するなどということは、これはちょっとごまかしもはなはだしいというふうに思うのですよ。小さな企業、中小企業などを考える場合には、製品価格に転嫁などということを抜きにしても、いろいろ考慮を払わなければならない要因はございますけれども、私はそう思うのです。ですから、地方自治体がその企業があるために余儀なくされる財政負担については、当然、応分の企業負担がなされるのはあたりまえのことだ、こういう立場から、この辺で、特に地方財政の危機に立っている今日でございますから、この決着をつけてもいいのじゃないか、こういう主張をしているわけです。自治省とすれば、いろいろ関係方面で問題はあっても、外形課税という方向というものは当然導入すべきものだ、こういうお考えであると考えてよろしいですね。
  47. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 先ほども申しましたように、私どもは、十数年来、この問題は税制調査会に持ち出しまして議論をしていただいております。基本的な立場といたしましては、外形基準課税を導入する、前向きに取り組むという姿勢で各方面の御理解を求めるように努力を進めておる状態でございます。
  48. 小山一平

    小山一平君 大臣、いま自治省考え方というものが明らかにされました。これは長年の懸案です。ところが、いま言ったように、企業優遇というか、癒着というか、そういうような立場からこれに反対をする、こういうようなことのためにいま地方自治体は大変迷惑をこうむっているわけです。大臣として、自治省方針というものをあらゆる努力を払って実現していく方向でがんばってほしい、こう思いますが、どうですか。
  49. 天野公義

    国務大臣天野公義君) ただいま政府委員から御答弁を申し上げたような筋合いでございます。税制調査会で今後また御議論を願っていく大きな問題の一つであろうかと思います。今後とも実現に向かって努力をいたします。
  50. 小山一平

    小山一平君 次は、きょうの新聞を見ても、所得減税は見送りだと、こういうふうに報じております。そうすると、勤労国民にとってはこれは実質的な増税に等しいものでもあり、あるいは間接税の増徴だとか、またさらに加えて付加価値税の導入なんという問題が出てきておりますね。そこで、今日税金の不公正、こういうことが問題になり、国民の間では税金が非常に不公平であるという不満がございます。そこで、公平であるべき税金が大企業や大金持ちを優遇しているのではないかという不信感を取り除くような措置が講ぜられない限り、私はいかに経済事情が悪い時期だといっても国民の納得は得られないと思うのですよ。ところが、貸倒引当金だとか退職給与引当金、特別措置法に基づくさまざまな準備金、受け取り配当の益金不算入といったようなことによって、大企業ほど実質税率は低い。これはもう紛れもない事実でございますね。医師の社会保険診療報酬の特例、また地方団体にもろに影響している産業用電気の非課税の特例措置、枚挙にいとまがございません。私は、こういう時期において租税特別措置の抜本整理というものを断固として進めるべきである、こういうふうに思うのですが、ところがこれは企業の自民党への政治献金との表裏の関係もあることは明らかでございまして、この整理の困難ということは当然つきまとうわけでございます。まあ、きょうは大蔵省が来ておりませんけれども自治省として、租税特別措置の抜本整理、こういうものにどのようにお取り組みになっておられるのか。
  51. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 国税、地方税におきます非課税あるいは課税標準の特例その他各種の特別措置につきましては、実はいろいろごらんいただきますと中身が非常に多岐にわたっております。いまお話のありましたようなものの中でいわゆる不公平と観念されているものももちろんないとは申しませんが、しかし、たとえば資源の確保でありますとか、技術の開発でありますとかあるいは公害防止、あるいは勤労者の財産形成、あるいはまた住宅政策というふうな、あらゆる角度からの広範多岐にわたる特別措置が税制上のインセンチブとして設けられておる、これは私は否定できないと思うのであります。ですから、特別措置がすべて間違ったものであり、整理さるべきものだというのはもう少し吟味をし直さなきゃいかぬのではないか。確かに特別措置は公平を乱しております。しかし、その公平を乱すために必要な政策目的というものとその公平を乱すこととのバランスというものを考えて吟味をするということではなかろうかと思うのであります。中小企業対策とか農業政策とかいうような観点から設けられております特別措置までひっくるめて議論をするのはいかがかという感じがいたします。  それから、いまお話の中にありましたたとえば法人税における退職給与引当金でありますとかいうふうな問題になりますと、これは企業会計上定着してまいっております損金経費扱いのものでございますから、それを一挙に企業会計とは別の形で税務計算上仕組みを変えるということにつきましては、なかなかこれは問題が多いと思います。受け取り配当の問題につきましては、法人税を一体どう考えるのかという基本問題も絡みます。  いずれにいたしましてもそういう非常に広範でありかつ内容が複雑でございますが、今後の税制のあり方といたしましては基本的には公平の確保に重点を置く、そういう意味合いで特別措置は可及的に整理をするということが望ましいのではないかという気持ちを強く持っております。そういう意味合いで内容の吟味を重ねながら特別措置の整理、合理化に前向きに取り組んでいきたい、かように考えておるわけでございます。
  52. 小山一平

    小山一平君 私も、たとえば中小企業の保護だとかあるいは勤労者の財産形成の援助だとか、特別措置によっていろいろ政策的に対処していくもの、そのものまで不当だなんということを言うほど不見識なつもりはありませんよ。ただしかし、たとえば銀行などにおける貸倒引当金、現に大蔵省は千分の十から千分の五にしようと考えているじゃありませんか。これが銀行協会の圧力を受けて千分の八に妥協したじゃありませんか。診療報酬については、常識として大体五五%ぐらいの控除が適当であろうというのが定説になっているのに、七二%据え置きである。武見けんか太郎におどかされれば、だれもがこれは不公正税制の最たるものだと認識をしていながらこの改革ができない。こういう不当なものについて勇気を持って抜本的整理を図るべきだということを私は主張しているわけです。これ、来年度を目指して、一体この特別措置の整理についてどの程度のことをいまお考えになっておりますか。やる決意でやっておりますか。
  53. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 実は昭和五十一年度の税制改正におきまして、国税におきましてもまた地方税におきましても、かなり全般的な見直しを行ったところであります。その結果、地方税につきましては平年度で役五百億円の増収を期待するような整理合理化を行いました。これは地方税独自の整理とそれから国税の整理によるはね返り増収を含めてでございますが、そういう意味合いでは、いままでと違いまして五十一年度、かなり思い切った整理をやったという気持ちを私ども持っております。しかし、明年度におきましても引き続きまして同様な観点から整理合理化を進めたいと考えておりますけれども、その具体的な内容につきましては、実は税制調査会、これからの審議でございます。いま御指摘のありました、たとえば貸倒引当金のようなものにつきましては、大蔵省当局は千分の五という目標に進むように努力をするということで前向きに取り組んでおられると私ども理解をしております。  医師の問題につきましては、厚生省で御承知のように基本的な診療報酬との問題も含めまして議論をする場所をつくられたわけでございます。その辺の御論議の結果を受けて進められていくものだと考えております。  その他利子所得とか配当所得に対する特別措置などにつきましても、私どもとしては積極的に取り組んでいくということで考えてまいりたいと思います。
  54. 小山一平

    小山一平君 いずれにしても国民大衆の目から見て税金がきわめて不公平である、大きいもの、力のあるものが優遇をされて、まじめに働く大衆が厳しい税金で苦しんでいる、こういう認識、不信感というものがますます高まっておりますから、ひとつぜひ自治省立場で、この抜本整理について取り組んでいただくことを申し上げておきます。  次は、地方財源の中でもこれはかなり重要なものでございますが、国有資産等にかかわる交納付金、このあり方ですけれども、今日のあり方は一方的に天下り的につかみ銭が来るといったような感が非常に強く出る。明朗を欠いていると私は思うのです。一体その資産の評価が実際にはどうなのか、そして交納付金算定の基礎はどういうふうなものによってそれが算出されたものなのか、こういうことを地方団体はほとんど知ることができません。その額が多いとか少ないとかということは別として、交納付金の算定基礎になる資産の評価の実態はどうなのか、算定の基準はどうなのかということぐらいは公明正大にすべきである、こう思いますが、この点自治省としてどうお考えですか。
  55. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 国有資産等に関しますいわゆる交納付金は、大きく分けまして、国有財産の中での他に貸し付けている資産を代表といたします交付金というもの、それから三公社の納付金というもの、この二つに分かれるわけでございます。国有財産や公社の資産につきまして市町村が全部評価をするということは技術的にこれはほとんど不可能に近いことでございます。そういうふうなことから、現在交納付金法におきましては、原則といたしまして、交付金については国有財産台帳価格を用いるということにいたしております。ただ、付近の固定資産税と非常にバランスを失します場合には、付近の固定資産の評価額とのバランスを考えて台帳価格を修正して用いると、こういうことになっておるわけでございます。御案内のように、台帳価格は五年ごとに評価がえされますので、おおむね固定資産税の評価額とのバランスは確保できておると私ども考えておるわけでございます。  納付金の公社資産につきましては、これも公社のいわゆる帳簿価格を用いております。ただ、公社の帳簿価格につきましては、昭和二十九年に資産再評価が行われましたが、その後再評価が行われておりません。そういう意味合いでは国有財産の台帳価格とかなり違った面がございます。ただ、公社の帳簿価格というものは、これは御承知のように取得価格で全部つけられております。したがいまして、たとえば土地について申しますと、ことし取得した土地はことしの時価で帳簿価格がついております。しかし、固定資産税の評価額は御承知のように低いわけでありますので、全体としてながめますならばバランスがとれておるというふうに私ども考えておるわけでございますけれども、なお公社の納付金の基礎になります帳簿価格ないしは評価額につきましては種々御議論もございますので、いま少しく適切な方式を考えられないかということで現在いろいろ勉強しておる段階でございます。
  56. 小山一平

    小山一平君 私の申し上げたいのは、その金額が多いとか少ないとかというのでなしに、地方自治体が、それでは自分のところへ来る納付金について、その国有財産の評価は幾らになっておりますかと聞いてもそれを教えない。これは非常に不満の意見として私の聞いているところです。地方自治体が自分の関係するものについてその評価の実態、台帳等の資料を見せてほしいと申し入れをすれば見せていただけますか、いま。
  57. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 国有財産につきましては、これはそれぞれの資産の価格を国有財産台帳価格に載っけておるわけでございますから、それは必要があれば、市町村から、要請をすれば当然閲覧ができると思います。公社の、たとえば国鉄のようなものになりますと、これは御承知のように、鉄道施設の納付金は各市町村ごとの鉄道の延長で案分しておりますから、区域内にある延長で案分しておりますから、全体としての鉄軌道用施設の資産価格があって、それの延長案分になりますので、そういう意味合いでは、その地域内にある施設の評価額が即納付金の算定標準のもとになっている価格ということにはならない、こういう問題があることは御理解願いたいと思います。
  58. 小山一平

    小山一平君 それでは、地方団体が自分の県や市町村にかかわる国の資産などの実体評価などの資料、こういうものが見たい、こういうときには見せてもらえるということを確認をさしていただければそれで結構です。それでいいですね。
  59. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) いま申しましたように、交納付金法の二十条におきまして、国有財産台帳等の閲覧の請求の規定がございますので、御指摘のように取り扱うことができるように法制上もなっております。
  60. 小山一平

    小山一平君 それだけ確認しておけば結構です。  次は地方交付税でございますが、最初お尋ねしたように、五十二年度をめどに行財改革等を進める、その内容との関連において地方交付税問題を検討される、こういうことになっております。そこで私に言わしていただけば、この改革によって地方財源が拡充をされて、交付税の引き上げをしなくて済むように具体的に措置がされれば別ですけれども、この改革がきわめて不十分である場合には、当然地方交付税法第六条三に基づいて交付税の引き上げというものが行われるのが当然である。来年度はその年に当たっている。これが法律に基づく当然の姿勢だというふうに思いますが、そういう認識でよろしゅうございますか。
  61. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 御指摘のとおり、長期にわたって著しい財源不足が生じますと、行財政制度改革または交付税の率の変更、こういうことでもって対処すべきことが法定をしてございますので、御指摘のように、いずれかの方向で対処をしていくという基本原則をとるべき時期が明年度以降到来をする、このように私ども考えておりますのは毎々申し上げておるとおりでございます。なおその際にも、こういう時勢でございますから、制度改正が一挙に一挙動で全部でき上がって、国、地方合わせて十分な財源が確保できるかどうか、この点につきましてはいろいろ問題点もあろうかと思いますが、この期間がたとえば一挙動でできなくてある程度期間かかるといたしましても、そういった改革の状況等を踏まえながら、交付税の率の引き上げもその中の一つの大きな要素として含みながら取り組んでいく、こういうことは毎々申し上げておるとおりでございます。
  62. 小山一平

    小山一平君 私が先ほど来いろいろ申し上げてきましたのは、自治省が大変努力をされて行財改革に取り組んでいらっしゃるけれども、なおなお壁が厚くて、この改革の進行というものは非常に困難である、こう言って私は間違いがないように思うのですよ。そういたしますと、来年度は交付税率の引き上げということは必至である。これが私の見当違いで、行財改革が大いに功を奏して地方財源が拡充をされるというようなことになれば話は別です。だが、これは私は大変困難である、と考えると、来年度の地方交付税の引き上げというものは必至のものとなってきたと。いまはっきり自治省お答えもむずかしかろうけれども、大体私の推定で間違いないと思いますが、いずれにしても、間近に迫った明年度の予算編成でございます。大体私の考え、そんなものでしょうね。
  63. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 御指摘のように、明年度の具体的な財源不足額がどの程度の額になってくるのか、それから今後の行財政の改革、こういったものがどの程度、どういったテンポで進んでいくのか、こういう点、大きな前提問題がございますが、ともかくこの財源不足に対処いたしますためには六条の三の精神をもって立ち向かいたいと思っておりますので、交付税の率の引き上げも含めて検討し、財源の充足を図っていきたい、こういう決意でおりますことを申し述べさしていただきます。
  64. 小山一平

    小山一平君 まあこれで、私の判断では明年度の地方交付税の税率の引き上げは必至のものとなったと、私なりに解しておきたいと思います。  次は国庫支出金でございますけれども、交付額の零細な補助金等は整理すべきであるというのはこれは、長年の懸案になってきておる。地方団体も、零細な補助金など欲しいなどと言っていないことも御承知のとおりです。そうすると、財政難を唱えている折でございますから、地方団体もそういうものは整理した方がいいと、こういう意見であるとすれば、当然零細な補助金の整理というものは行われるべきものでありますが、来年この整理ができますか。
  65. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 零細な補助金を整理をして、こういったものをトータルでまとめて一般財源に振りかえていく、これが正しい処置だということは私どもも常日ごろそう思っておりますし、地方団体の御意見も集めながら、関係各省ないしは大蔵省、こういうものにもそういう要求をしてまいっておるわけでございます。現実にこれを整理をいたします場合には、関係各省と大蔵省との予算査定の関係になってまいりますので、いままでもかなり大蔵省にも努力をしていただきまして整理に御尽力はいただいておるようでありますが、必ずしもすっきりしたかっこうで皆整理をしていくという事態にはなかなか立ち至っていない。これにはいろいろ各省関係との問題もあろうかと思っております。しかし、それはそれといたしまして、私どもとしてはやはり零細なものは整理をして一般財政に振りかえる、ないしは残るとしても、これをメニュー化をしていく、あるいは統合していく、こういう方向で対処すべきことだということはかたくそう信じておりますので、今後とも各省にも、大蔵省にもその旨の申し入れをなお強く迫ってまいりたい、こう考えております。
  66. 小山一平

    小山一平君 私が、当然なし得べき改革もなかなか容易でないということを先ほど来繰り返し申し上げておるのですけれども地方団体もそんな細かいものは整理をしてくれ、要りません。国も財政難で困っていますと言っているのに、この整理ができないというのはなぜであるかと言えば、重ねて申し上げるようですけれども、これは各省庁セクト主義、そして地方団体をわずかばかりの補助金でいろいろコントロールしようという中央集権的な思想ががんこに存在をするからです。こういうことを何度でも指摘をせざるを得ないことになるんですよね。これは来年ある程度この整理ができますか、困難ですか。
  67. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 御指摘のように、整理がむずかしい理由、各省のセクショナリズムもございましょうし、また、一応地方団体の方においても、やはり場合によりますが、何とか残してほしい、そういう補助金が欲しい、こういった事例もありますこと等もいろいろ集まりまして、なかなか整理がむずかしい事態が事実としてはあるのだろうと思っております。私どもとしては、これはできるだけ整理してもらうという基本方針に立っておりますので、先ほど申し上げたように、今後もそのことを強く迫ってまいりますが、どこまで、幾ら切れるかということは、先ほども申し上げましたように、大蔵省と各省との予算折衝の段階、ここで決定いたします。したがいまして、私どもに決定権限が直接にあるわけではございませんで、側面から整理をしていってもらいたいということを強く迫っていく、こういう態度を続けたい、こう考えておるわけであります。
  68. 小山一平

    小山一平君 自治省の方には積極的に取り組んでほしいと申し上げておくより仕方ありませんけれども、いま申し上げたように、こういうばかばかしい、当然のことさえもいよいよとなると実行が困難である。これはなかなか、自治省努力をされている行財改革というものがどんなに困難な課題であるかということを如実に証明していると思いますね。ひとつ努力のほどを希望しておきます。  それから、自治省の要請の中に、先ほどちょっと話の出たように、類似ないし同一の補助目的に係る補助金については、統合ないしメニュー化の推進を図って弾力的に対象事業の選択ができるようにすべきである。これも大変地方団体共通に要望している課題でございますが、このことについて五十二年度、何らかの具体化の道が開けますか。
  69. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) いままでも農林省関係の補助金等におきましてかなりそういった措置がとられてまいりましたし、ことしもまた幾つかそういう話も出ておりますので、進歩するだろうと、こういう期待を強く持っております。
  70. 小山一平

    小山一平君 それから、国庫補助あるいは負担金の不当な内容によって超過負担が生じていることは御承知のとおりですが、今日までも超過負担の解消ということはずいぶん叫ばれてもきたし、さまざまな措置も講じられてきておりますが、補助単価の改善などはかなり前進を見ておりますけれども、まだまだ補助対象、規模基準等々に至っては非常に立ちおくれているのが現実です。ことしの自治省の要請の中にも、こうした超過負担の解消を図るようにという強い意見が述べられておりますけれども、財政的な問題もあり、大蔵の査定などもあることでしょうけれども、来年の予算の中では超過負担の解消ということがかなり前進する、こういうふうに見てよろしゅうございますか。
  71. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 超過負担の解消は、御指摘のように、最近におけるわれわれの最も強い念願の一つでございます。したがいまして、このことにつきましては、先生もいま御指摘のように、各省庁に対する申し入れにも非常に具体的にお願いをしておりますし、また、各省庁もかなりそういった意見も取り入れて予算要求をしていただいておるやに承っております。また、私ども直接大蔵省にもお願いをしまして、各省庁からこういった面について是正の要求が出てきた場合にはできるだけこれに応じてほしいという申し入れもいたしておりますし、原則的には大蔵省もそういった態度をもって予算査定に当たるという態度でいていただいておるようであります。したがいまして、ことしも、五十二年度も、超過負担の解消という面に対してはかなりの進捗を私どもも期待をいたしております。特に、超過負担の中でも、明確な超過負担として位置づけることのできます単価差につきましては最も重点を置いてこれを直したいと思っておりますし、こういった面では、いままで標準設計とか標準規模の規定のないようなものについてもできるだけこれは標準設計等を設定をして適実な単価を算定をするようにしてもらおうと思っておりますし、補助政策に関連をいたしますものではございますが、対象差、数量差、こういった問題についても時勢に合った進捗を見るようにこれも強く要請をいたしておるところであります。効果は出るものと期待をいたしております。
  72. 小山一平

    小山一平君 まあ、いずれこの委員会においても、この次には主な関係省庁にも来てもらっていろいろただしてみたいと思いますし、私どももいろいろ努力をいたしますが、自治省の御努力もお願いをしておきます。  次は地方債についてでございますが、御承知のように、地方債依存度が非常に増大をしておりまして、将来の財政運営上きわめて憂慮すべき現状にございます。特に政府資金の構成比が低下いたしておりまして、地方団体にはさまざまな問題を生じております。こういう中で、自治省地方団体金融公庫構想というようなものがあるものと思いますが、この地方団体金融公庫は明年度は実現する、こういうふうに判断してよろしいですか。
  73. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 御指摘のように、今後地方債を活用すべき分野はますます広くなってまいると思います。したがいまして、所要の地方債資金、これも増大をするだろうと思います。しかし、これに対応いたします政府資金におきましてはおのずと限度がございますので、できるだけ政府資金を地方債に当ててもらうように、高率に当ててもらうようにすることが第一義ではございますが、そのように努力もいたしますが、事実問題として政府資金をもって当て切れない、ないしは政府資金の充当率が思うとおりにならない、こういう分野については、やはり民間資金の活用ということによって資金を確保していく、こういう必要があることは御案内のとおりでございます。しかし、その民間資金を活用するにつきましては、これまた地方債の消化の面におきまして各種の問題があるわけでありまして、弱小な地方団体等においては必ずしもその確保が意のままにならない、こういう状況もあろうかと思います。  そこで、今回考えております公営企業金融公庫の改組は、そのような民間資金の消化対策の一番大きな柱の一本として、地方団体にかわって一部地方団体の縁故債をまとめて代替的に債券を発行することによって資金を確保する、そして地方団体に対して融通をする、こういう機関に改組をしたいということを念願にいたしておるわけでございます。そういう意味で、公庫が特別の公庫債を発行して得た資金を地方団体の一般会計の地方債の資金に融通をしていく、この道を開きたいということでございます。こういう時世でございますので、私ども、この地方債問題の一番重大な柱の一本といたしましてこれを今後実現方を強く迫っていくつもりであります。各界にもお願いを申し上げたいと思っております。が、いままでの例からいたしますと、必ずしも国庫当局におきましてはこういった面についていままでは賛意を示されていなかったのが過去の例でございます。ことしこういった特別の事態になっておりますので、何としてでも説得をして賛意をいただきたいと思っておりますが、事柄は折衝のことでございますので、ただいま断定的なことは申し上げる段階ではございません。しかし、何とかして実現をいたしたい、このように考えております。
  74. 小山一平

    小山一平君 それから、最初その構想の中で、当面の融資枠などをどの程度にお考えになっておるかどうか。  それから、先日の委員会の論議の中でも、この地方債に対する金利軽減の措置として、公営競技事業の一部を納付をしている地方財政法第三十二条の二に基づく財源によってそういう措置をとられる、こういうお話がございました。私は当然それは結構なことだと思うのですが、この問題は市川先生も大分熱心に主張されておるところでもあり、私もたびたび取り上げている問題でございますが、これも地方団体にとってはこれほどの不公正はありません。かねてからこの収益を基準財政収入額に算入すべきであるというような主張もずいぶんございますけれども、なかなか抵抗に遭ってそれができない。こういうことを考えてまいりますと、この公営競技事業の収益金というものをもっと——そんなわずか一部を納付させて金利の軽減を図るなどということから一歩踏み出して、それも大切ですけれども、この財源に充てることができるぐらいの制度を私はつくるべきだというふうに思うのです。これもなかなか厚い壁があって容易でないことは承知ですけれども、まあ自治省が人件費問題なんかで示したように、あの熱心さと強引さをもってこれに当たるならば、これぐらいのことはできる実力は十分備えているはずだと私は思うのですよ。  そこで、まず昨年度——五十年度における公営競技事業の総売上高と収益金の総額がわかったら教えてください。
  75. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) まず、明年度に、先ほど申し上げました公営企業金融公庫の改組構想、これをもちまして公営企業金融公庫から地方自治体の一般会計の方に融通をする地方債原資、これは四千億程度を一応見込んでただいま要求をいたしております。これに対して所要の公庫の公募債等を発行して対処していく、こういう考え方でございます。  なお、これに対しまして、ただいま御指摘のように、利率の引き下げに公営ギャンブルの納付金を活用しよう、こういう構想を持っておりますのも御指摘のとおりでございます。公庫が実勢金利等を基準に置きながら公募債を発行いたしてまいりますと、どうしても公庫の取得いたします金利はかなり高いものになる可能性がございますので、こういった納付金を活用しながらできるだけ軽減をしていく、こういう措置をあわせとりたいと思っておるわけであります。  それから公営競技の納付金でございますが、先生御承知のように、従前は売り上げ金の〇・五%でございましたものを、五十一年度——ことしは〇・七%まで引き上げましたし、これは引き続いて引き上げまして五十四年度までには一%まで、つまり従前の倍まで引き上げるつもりにいたしております。このことによりまして、現在の情勢で納付率一%の場合約三百億円ぐらいの納付金の額が出てまいりますので、当分の間としての公営企業金融公庫における利下げ、これはこの前講じていただきました法的措置を活用いたしますと十分こなしていくことができるのではなかろうかと思っております。  なお、これ以上の公営競技につきましての収益金の均てん化、これにつきましてはなおいろいろ検討すべき問題が多いと考えております。私どもも前向きにこれに取り組んでいきたいと思っておりますが、ただいまやっております特別交付税あるいは地方債、こういった面での調整の活用ないしは今後指定期限等が到来をいたしました施行権者、こういうものの変更いたします場合の施行者の均てん化、こういう措置もあわせ講じ、今後の推移を見ながら均てん化というものを逐次強化をしていくように努力をいたしたい。こう考えております。  それから売上額でございますが、四十九年度の実績で売り上げが約三兆円、収益が三千三百億と、この程度に相なっております。
  76. 小山一平

    小山一平君 わかりました。  そこで、何と特定の地方団体が年間三千三百億もの収益を上げている。特交でいろいろ操作をすると言うけれども、特交の総額じゃありませんか。特交が全国の地方団体にどれほど重要な財源であるかということを考えるならば、それに匹敵するそれ以上の財源というものが自由財源として放任されるなどということは、自治省地方団体に対してこれは当然許されることのできないことじゃありませんか。三千三百億も収益金があって、たった三百億納付して金利のカバーに使うから大変結構なことだなどということは私は許されないと思いますよ。そしてこの法律を見れば、たとえば自転車競技法を見れば、第一条の一を見ても、もうこのような公営競技を特別に許可しなければならないなんていう条件はありませんよ。みんな同一になっておるでしょう。そうして第二項においては、「自治大臣は、必要があると認めるときは、前項の規定により市町村を指定するにあたり、その指定に期限又は条件を附することができる」、こういうふうに書いてある。条件を付すればいいのじゃありませんか。そうしてこういう不当な財源を特定の自治体に保障をして許していく、こんなことが何年たっても改善できないなどということは、これは大変私は間違っていると思います。これにはなかなかむずかしい問題があることも十分承知でございますけれども、ひとつ自治省としてこの大改革に、自治体の人件費で強引にやっているぐらいな熱意を示して取り組むべきである。どうですか。
  77. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 御指摘のように、かなりの金額が一部の団体に収益として偏っておるという点が種々の問題点を引き起こしておるところである、これは私どもも全く同じ認識に至っておるわけでございまして、特に小規模な団体等でその身の丈に比べてかなり大きな金額の収益がある、こういったようなケースにたくさん問題があるのは御指摘のとおりであります。したがいまして、私どもとしては従前からこういったギャンブル収益の均てん化措置というものについていろいろ考慮もし、努力もし、不十分というおしかりを受けてはおりますが、逐次強化をし実現をしてきておる経緯をたどっておるわけであります。何分にもこのギャンブル収益の関係には従前からのいきさつ等もございますし、ともかくできる限りのところを実際問題として努力をして、できる限りの推進を図っておるというのが現状であるというように御了解をいただきたいと思うわけであります。なおこれについての努力を継続をするということはもちろんでございます。
  78. 小山一平

    小山一平君 大分前進させているとおっしゃるけれども法律にちゃんと百分の一以内を納付きせることができるように書いてあるのに、まだその百分の一にも到達しないじゃありませんか。まあほんのちょっぴり〇・二ほど前進をさせたということですから、この問題の大きさに比べてその改善のいかに小さいか、こういう認識に立ってひとつ御努力を願いたいと思います。  時間も迫ってまいりましたが、大臣いなくなっちゃって困るのですが、おしまいの方の問題として、地方債のことでもう一つだけ聞いておきます。  現在のように地方債の許可制度は事業別の個別許可方式をやめて、もちろん公債比率などの適正なものを設定をして総枠配分方式にすべきである、こういう主張があるし、またこれが実現できれば各省庁の事務の合理化、簡素化などというものはもうはかり知れない効果を上げることができるし、またそれによって自治体の自主性を高めることができる、こういうことであろうと思うのです。私は野方図に地方債を認めろとかなんとかということを申し上げません。しかし、同じ金額の地方債を許可するとして、いまのようにまるで各省各庁ががんじがらめに細かく分けて許可権を行使をする、こういう不合理はやめるべきだ、こう思いますが、このことに対する自治省の御見解をお伺いします。
  79. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 総じて地方債の許可制度でございますが、これはただいまのような金融財政状況のもとにおきましては、やはり地方債の資金を獲得をいたします各公共団体間の資金配分の公平あるいは他の財源措置と絡んだ財政運営の問題、こういったものと関連をいたしますので、先生も御指摘のように、全体としてどの程度のものを認めていくか、これについてはやっぱり許可制度が必要なんだろうと思っております。  なおその許可制度を行います場合の具体的なやり方を簡素化をしていく、これはもう私どもも大賛成でございまして、そういう考え方で取り組んでおるわけであります。ただいまいろいろ御指摘がございましたが、ただいまの地方債の許可制度の中にも、全くの枠配分というかっこうで、ほとんど事務の簡素化が完全に図られておりますものもたくさんあるわけでありまして、たとえば公共事業等の裏負担に対する地方債の配分等は全く枠配分をいたしておるのであります。ただ地方債の中には、各その費目ごとに構成をされておりますその原資の配分の問題、そのほかの問題がございますので、単独事業、そのほかにつきましては一部一件審査のかっこうをとらざるを得ないものもあるわけであります。しかし、こういうものにつきましてもできる限り、具体的にはいま単独事業等も県ごとに一定の枠を配分をいたしまして、県内の各市町村ごとの配分は都道府県知事の裁断に任せる、こういったような措置もとっておる分野がたくさんあるのでありますが、そういった措置を通じて、実際の許可の手続の簡素化、これについてはなお検討もし、これを進めさしていきたい、こう考えておるわけであります。
  80. 小山一平

    小山一平君 最後に地方事務官の問題でお尋ねいたしますが、これは大臣に聞きたいと思っていたのですが、もういませんのでやむを得ません。  地方事務官制度を廃止して地方公務員にするという問題は、すでに十数年前から臨時行政調査会、地方制度調査会、行政監理委員会等々から一致して出されている意見ですね。そして昭和四十九年には衆参両院の地方行政委員会で超党派で、五十一年三月三十一日を目途にして地方公務員とすべきであるという決議をしておりますね。それを受けて三木総理も、七十七国会には解決するというふうな発言をしております。ところが、この問題が関係省庁の反対に遭って全く決着のめどが立たない、こういうありさまであります。国の設けている各委員会の意見も国会の決議も総理の公約も一切無視するという、これは省庁の役人の反乱とも言うべき私は姿だというふうに思うのです。国会の軽視、また上司の方針を忠実に守るべき立場を忘れた暴挙、私はこれは全く許せないと思うのです。ここに自治省からもらった資料がありますが、これを読むと、あたかも国会であんな決議をしたのは全く不当なことだ、無責任で認識のない連中の決めたことだと言わぬばかりの主張を述べているでしょう。一体これはなぜかという問題にまた立ち戻らざるを得ないわけです。一体この決着について、自治省としてはどういうふうに見ておられますか。
  81. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 地方事務官の廃止問題に関しましては、ただいま質問の中にございましたような経過並びに現在の状況に立ち至っているわけでございまして、自治省といたしましては全く残念至極というような気持ちでいるところでございます。この問題の根の深さというのは、ただいま御指摘のようなところにあると私ども存ずるわけでございまして、その打破、打開というものにこれからも最大の努力を払っていかなければならないと存じているわけでございます。  最近の経過につきましては、例の昨年秋から本年春にかけましての事務と政治との接点としての政務次官会議というようなところの御努力その他のことも積み重ねがあったわけでありますけれども、なお現在まで打開の道が、方途が開けていないというような状況でございまして、非常に経過のあるむずかしい問題でございますが、自治省といたしましては、なおこの衆参両院の附帯決議あるいは特別決議の方向に沿いまして努力を重ねてまいりたい、かように存じているところでございます。
  82. 小山一平

    小山一平君 これは先ほど来何遍も繰り返してまいりましたように、地方事務官制度を廃止をして地方公務員にするということは、これはやっぱり国の権限地方に移譲することですよね。これに反対する姿勢は、これはその根本に中央集権に固執をする思想ががんこに存在をするからです。私はこんなあたりまえのことが実行できないようでは、先ほど来指摘をしているように、行財制度の抜本改革などというものはこれはとてもできるものではない、こういうふうに憂慮するわけです。なぜかと言えば、いま課題になっている行財制度改革はいずれも、あるいは地方財源を移すとかあるいは国の行使している権限の一部を分割して地方に回すとか、こういうことでしょう。これは地方分権確立をするという道筋です。これは中央集権の概念とは全く相反するものであるからだと私は指摘をしたいんですけれども、きょうは大臣もおりませんからまたの機会に大臣考えを聞きたいと思いますし、また関係省庁の傲慢な見解に対していろんな論議を交わしたいと思いますし、またここにいる同僚議員の皆さんも、これほど国会がばかにされて、甘んじているわけにはまいらないと思いますので、皆さんの御協力をいただいて、こういう問題の解決にみんなで取り組んでいただきたいという乙とを希望を申し上げて終わります。
  83. 多田省吾

    ○多田省吾君 大臣いらっしゃるまで、教育施設についてまずお尋ねいたします。  人口急増市町村では非常に短期間に急激に人口増があるわけでございますが、特に義務教育施設とかあるいは廃棄物処理施設とか、さらには公共下水道整備といったようなものが非常におくれておりまして、緊急の必要に迫られているわけです。特に義務教育施設は地方自治体にとって非常に深刻な問題でございまして、地方自治体ではその義務教育施設の財源地方債に求めているわけでございますけれども、国の起債条件の枠が狭いので思うようにいかないわけです。根本的にはこれは地方自治法の二百五十条のいわゆる「当分の間」ということが戦後三十年間続いてきたわけでございますが、これを改正する時期に来ているのではないかと思いますが、いかがですか。
  84. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 人口急増地域につきまして、特に義務教育施設、これが大変重要でかつまた焦眉の急に迫られておる。このことはよく私ども承知を、いたしております。そこで、こういった人口急増地域における義務教育施設の整備につきましては、用地取得に要する経費に補助を出すとか、そのほか国庫補助率を引き上げてもらうとか、こういった国の補助金の強化充実、これを図っていただいておる、まあそれが逐次進んでおるというのは御承知のとおりでございます。  そこで事業を実施する場合でございますが、これはいずれにしろ、国と地方との負担区分によります公共事業というかっこうで義務教育施設が補助事業というかっこうで実施をされますので、この裏負担につきましての地方債は半ば自動的に地方債措置をする、こういう仕掛けに現在もしてございます。補助金が決まりますとそれに対応した裏負担分は自動的に枠配分で起債がまいります。したがいまして、現在御指摘の二百五十条による許可制度、こういう仕組みはもちろんございますけれども、事実上その仕組みによって制限をされるという事態はないわけでございまして、そのように私どもとしても事柄を重要視をいたしておりますし、また自動的に起債配分ができるような措置をとっておるところでございます。
  85. 多田省吾

    ○多田省吾君 したがってその二百五十条の「当分の間」というものにとらわれないという現実がある以上、それははっきり法律の上で改正した方がよろしいのじゃないですか。
  86. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 地方債の許可制度の問題でございますが、これは先生御案内のように、いろいろ現在の金融財政事情では問題がございまして、単純にフリーにするというわけにもまいらない要素がたくさんございます。財政運営の問題もございますし、他の財源措置との関連もございますし、地方団体間の資金確保能力というような問題もございますし、低利良質の資金をできるだけ弱小団体に配分しなきゃならぬといったような問題もございます。そこで、許可制度は存続をさす必要があると私ども考えておるわけでありますが、この起債の手続についてはできるだけ簡素化をしていきたい、こういう趣旨で考えておるわけでありまして、その趣旨に基づいて義務教育の施設の起債の許可は手続的にはもう一番簡単な方法にしてございます。こういうことであります。
  87. 多田省吾

    ○多田省吾君 いま局長がおっしゃったように、学校の建設では一番地方自治体が困っておるのが用地の取得の問題でございます。最近ではもう人口が密集してきておりますし、複数の共同地主から買収せざるを得ないという複雑な状態になっております。で、現場の地方自治体では、その年度の十月ごろまでに地主との間で用地の取得の話し合いが決まらないと国として起債の発行を認めないというのが実情のようでございますが、これはどう考えておりますか。
  88. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 人口急増地帯の用地の起債でございますが、これは御案内のように、一部につきましては国庫補助金の支出もできますように文部省にお願いをし、その制度を開拓をしていただいておるわけであります。なお、その裏負担ないしは実際に土地を買収するときに必要な実額との差、こういうものについては地方債の措置をしておるわけでありますが、用地取得の地方債につきましては、その年度内に地方債を許可する時点に間に合いますれば、いずれもこれを取り上げるというかっこうにいたしておりますので、必ずしも御指摘のように九月末とか十月末、そこで話がついていなければ一年じゅう取り上げない、だめだという措置にはいたしておりません。
  89. 多田省吾

    ○多田省吾君 局長はそうおっしゃいますけれども、いろいろ実地に当たってみますと、十月ごろまでに地主との話し合いが決まらないとどうも起債の発行を認めないというように言われちゃう、こういう実情があるようでございますが、その点は全然報告が入ってませんか。
  90. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) いまも申し上げましたように、決してそのような措置はとっておりません。ただ事務の手続上の必要がありますので、まとめてヒヤリングをいたします、何回か。その場合に十月ごろまでに一応まとまったものを持ってこい、こういうように言うことはもちろんあると思いますが、十月末にまとまっていないから年度じゅうだめといったことを言った実例はございません。
  91. 多田省吾

    ○多田省吾君 これは実例をまとめてまたお伺いをしたいと思います。  次に、千葉とか、神奈川とか、埼玉あるいは東京周辺、人口急増で最も深刻な悩みを抱えている地帯でございますけれども、人口急増地域の財政事情に伴って必要となった義務教育施設についての公債費は、公債比率の算定項目から除外するということはできないのかどうか。
  92. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 御指摘のように、ただいま地方債の許可をいたしますときには、公債比率が非常に上がってきた場合には起債の発行を慎んでもらうという取り扱いをいたしております。原則的に公債比率が二〇%を超してまいりますと制限がだんだんくるわけであります。しかし、御指摘のように、人口急増地域の義務教育施設というのはごく特別の事情でうんと必要になっておる事態のものでありますので、これは特別扱いをしなければなるまいと思っております。いままではまだそこまでの事態になっておりませんでしたので具体的な必要がございませんでしたけれども、今後はこういった義務教育施設の起債分については、交付税の中で、御承知の事業費補正という方式で起債償還費の一部を交付税で見るという措置をとっておりますので、そういったものについて起債制限の比率の中から外していくというような措置をとれば、義務教育によって起債の額が大きくなった結果新しい起債ができなくなる、こういう措置が起こらずに済む、そういうやり方についていま検討をいたしております。実現をさしたいと思っております。
  93. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に高校の問題ですが、これは義務教育にはいまなっておりませんが、都道府県にとってはこれは大変な問題になっております。高校一校の新増費は、用地を含んで四十億円とかあるいは四十五億円とかかかるわけでございますが、本年度から国庫補助の予算が四十二億二千九百万円ですか、来年度も文部省あたりでは倍以上要求するというようなことを言っておりますけれども、特にこの五年、十年を考えますと、神奈川とか千葉とか埼玉とか、あるいは関西方面においてもあるいは中京等においても、大変大都市圏の高校不足というものが大変でございまして、将来全入制をとるというようなことになればなおこれは公立高校の建設は必要かと思いますが、文部省の分野かもしれませんけれども、どのくらいの国庫補助を来年度は見込んでいるのか、ちょっとお聞かせいただきたい。
  94. 倉地克次

    説明員(倉地克次君) いまお尋ねの件でございますが、本年度初めて公立高校並びに私立高校の新増設につきまして補助金がついたわけでございまして、公立の方は約四十億、私立の方は約二億ということでございます。私ども考え方としては五十一年度の考え方と変えておるわけじゃございませんけれども、なお一属地方公共団体の実態に即した高校新増設の事業量に即そうということで、大幅にその事業量を伸ばした要求を行っている次第でございまして、来年度は公私立合わせまして約百五億の補助金を要求いたしておる次第でございます。
  95. 多田省吾

    ○多田省吾君 今年度が四十億で来年百五億、倍率から言えば二倍半というようなことで、大変努力したというように文部省はおっしゃるかもしれませんけれども、実際の額から言えば、これは大変少ないというふうなものになりますね。この辺はやっぱり文部省のみならず、自治省等もがんばっていただいて、やはり県立高校等の増設についてはこれは重要な問題としてひとつ努力していただきたい、このように思います。  特に義務教育の小学校、中学校等の学校用地の確保ということについては、あらかじめこの地方が人口が急増するだろうということは大体予測できるわけでございますから、そしてその地帯においては非常にいつも困難な用地確保の状態になっているわけです。で、あらかじめ学校用地の替行取得ということとその資金手当てを考えるということ、これを国としてやるべきじゃないか、このように思いますが、これはどのように考えておりますか。
  96. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 先ほどの高等学校の問題でございますが、これは従前からもかなり多額の地方債の枠を設定をいたしましてその充実に資しておるわけであります。特に生徒急増等の事態がありますものについては、文部省からお話がございましたように、国庫補助制度も新設をしてもらってその一助としてもらう、こういうつもりでございまして、明年度におきましても六百数十億といったような、現在のところ、地方債計画の案を立てて、折衝いたしておるところであります。  それから義務教育の用地でございますが、これが大変実質的な問題として必要なことは御承知のとおりでございまして、これに対しましても従前から地方債を準備をしてまいりましたが、人口急増地域には特に補助金を導入をしたという経過は先ほど申し上げましたとおりであります。五十年度では、義務教育施設の用地分は約七百億ぐらいの地方債を準備をいたしましたし、五十一年度では八百五十五億、こういったような金額が用地分の地方債として発行されております。  これの資金でございますが、従前は、かなり高率の政府資金を充当することができたわけでありますが、最近、御承知のように地方債の総枠がふえてまいりましたのに伴いまして、政府資金の充当率が必ずしも伸びてまいりません。非常に遺憾ではございますが、そういう実態がございますので、用地取得分のかなりの分を民間資金によらざるを得ないと、こういう実態も生じておるところでありますが、いずれにいたしましても、こういったものの消化につきましても十分努力をして、遺憾のないように消化ができるように努力をしていきたいと考えております。
  97. 多田省吾

    ○多田省吾君 いま、市場公募等の発行団体は二十二団体が認められているわけでございますが、その許可の基準は何であるか。また、市場公募債の発行団体を拡大してほしいという要望が非常に強いが、これをどう考えるか。この二点をお聞きします。
  98. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) ただいま御指摘のように、市場公募債を発行し得ます団体は二十二団体でございます。これの許可の基準と申しますか、正確に基準と申し上げていいようなものは実はございません。いままで扱ってまいりましたのは、毎回発行し得ます市場公募債のロットの問題等がありますが、かなりの額を継続して出せるかどうか、それから何よりも当該地方団体がその市場公募債を発行する団体となることを希望するかどうか、こういったようなことを基準に置いておるわけでありまして、もちろん、指定市とそれから都道府県、こういうところに一応基準は置いております。余り小さい市町村は適当でないと思っております。まあそういう状況でございます。  なお、今後したがいましてこの二十二団体がもっとふえてしかるべきではないかという御指摘に対しては、私どももそう考えております。希望があり、また発行し得るロットがかなりある、こういうような状況でありますならば、関係方面とも相談をしてこの増加は図っていきたい、こう考えております。
  99. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、税制問題で若干お尋ねしたいと思います。  明年度以降の税制改正また中期税制のあり方について、いま現在、政府の税制調査会で審議中でありますけれども地方関係についても来週あたり集中的に審議するというような模様でありますが、自治省はこの地方関係、あるいは税制調査会に対して、諮問までいかないけれども、こういう考え方であるというようなことは言っていると思いますが、明年度以降の税制改正に臨む基本的態度についてまずお伺いしたいと思います。  それでマスコミ報道なんかによりますと、自治省は来年度の税制改正で利子配当所得の源泉分離課税を、まあ本当はわれわれは総合課税にせよと要望しているわけですが、大蔵省なんかも総合課税の方に向かって働きかけているとは思いますけれども、この税率をちょっと引き上げる程度でまだ分離課税を続けるような意向もあるようでございまして、その間に自治省では、この分離課税が続くようだったら個人住民税を上乗せするようなことを何だか要望しているというようなことが報道されているわけでございます。  それから土地保有税の問題でも、最近建設省、国土庁あたりが財界の要望に基づいて緩和したいというような意向があるようですが、自治省は当然これは強く反対するものと思いますけれども、こういったものも何らか税制調査会において審議してもらうとかということが言われておりますが、この辺も含めて、ひとつ明年度以降の地方税に関して、また税制調査会に対する働きかけというような面についてひとつお伺いしておきたいと思います。
  100. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 現在税制調査会におきましては、いま御指摘のように、いわゆる中期税制のあり方についていろいろ御検討願っております。中期税制と申しますのは、ここで考えておりますのは、昭和五十年代前半、たとえば昭和五十五年度程度までの期間を見通しての税制の基本的なあり方でございます。それを検討いたします場合には、今後の経済成長や国民生活のレベルがどうなっていくかということについての一定の見通しを立て、その中で占める公共部門の役割りをどう考えていくかということを考えながら検討していただかなくちゃならぬわけでございますが、これにつきましては、御承知のように先般閣議決定いたしました昭和五十年代前期経済計画におきまして、経済成長率でありますとかあるいは公共投資の分量でありますとかあるいは社会福祉の伸ばし方でありますとかいうことについて一定のスケルトンがすでに描かれておるわけでございますので、この経済計画を基本にし、これを踏まえて中期税制のあり方を御検討願っておるわけであります。  経済計画においては、御案内のように、この計画で予定しておりますような今後の公共部門の役割りを果たしていくためには、税及び税外負担率を昭和四十八年‐五十年度の平均に対して計画最終年度までに三%程度引き上げることを予定しなきゃならぬだろう、そのためには、「税負担の公平を確保しつつ、現行税制の仕組みの中での増収を図るとともに、経済情勢の推移に応じて将来における新規財源について検討を進める」、こういうふうに指摘されておるわけでございます。  税制調査会におきましては、この考え方を踏まえていま御議論願っておるわけでございますが、現行税制は、御承知のように、所得課税、資産課税あるいは消費税、流通税という間接税、各般の税目によって構成されておるわけでございますので、それらの各税目につきまして、計画で考えておりますような方向を踏まえて検討いたします場合に、どのような改革案が考えられるかということを非常に幅広く御検討を願っておる段階でございます。いわば現行税制の総ざらえという形で御審議を願っておる段階でございます。なおそれが十分済んでおりません。地方税につきましては、いまお話のございましたように、来週あたりに御審議を願うことを予定しております。  地方税制につきましての基本的な私どもの立ち向かい方といたしましては、端的に申しまして、地方税源の充実強化を基本として考えていきたい、そのための具体的方策を、現行税制の中で、あるいは現行税制を越えて、新たな税源を考えるとすればどういうふうなことが予定されるのかということを御検討願いたいと考えておるわけでございます。   〔委員長退席、理事安孫子藤吉君着席〕  それから、あと御指摘のございました利子課税とかあるいは土地税制の問題でございますが、利子課税につきましては、基本的にはいわゆる所得税なり住民税という人税としての所得課税でありますから、総合課税が望ましい、これはもう申すまでもないところでございます。負担の公平を確保するという観点から申しまして、あくまでも総合課税が望ましいわけでありますが、ただ、いまの預金のいろんなシステムをお考えいただきますと、総合課税という制度をつくれば直ちに的確な利子所得の把握ができて負担の公平が確保できるかと申しますと、無記名預金もあれば架空名義預金もいっぱいあるというふうな状況でございますので、現実問題としては、かえって負担の不公平を助長する結果になるということすら昨年の税制調査会で指摘しておるわけでございます。そういう意味合いで、総合課税に移行いたしますためには総合課税が本当にできるような環境を整えなきゃならない、預金のシステムにかなり思い切ったメスを入れてもらわなきゃならない、こういう問題が一つあるわけであります。私ども住民税について考えておりますのは、源泉分離選択課税制度が仮に存続されますと、これは課税技術上住民税は課税できないわけであります。総合申告が出ないわけでありますから、課税できません。そこで現在これは課税対象から外れておる。総合課税に直ちに移行すればそれはもちろん結構なのでありますけれども、それができないで源泉分離選択制度が当分の間残るという前提でありますれば、それに上乗せをして住民税の課税をする、あるいはその他何らかの方法によって、少なくとも住民税分を地方税源として確保する、そういう具体的措置は来年度ぜひとりたいものだと、かように思っておるわけでございます。  土地税制につきましては、宅地供給の促進、地価の安定ということをねらいとする政策税制でありますので、基本的に土地税制が緩和をされるというふうな状態になることは、再び地価に大きな問題を生じましょうし、また宅地供給の促進にいい結果を与えないということも懸念されますので、基本的な枠組みは私どもはぜひ堅持をしてまいりたい。運用面での若干のいろんな問題はもちろんあるわけでございますが、それらについてはもちろん一つの検討課題でございますが、土地税制の基本は、緩和をするという考え方ではなくて、堅持をするということで対処をしてまいりたい、かように思っておるわけであります。
  101. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうすると、今度から、源泉分離選択課税ということが続くならば住民税分も上乗せしてもらいたいということでございますが、そうなりますと、国税の所得税と一緒に徴収しても構わないということになりますか。
  102. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) そこのところが非常に私どもも頭を悩ましておるところでございまして、昨年の税制調査会でも、たとえば県が徴収をして市町村に配ったらどうだとかという意見だとか、あるいはいまお話しのように、国で徴収して地方公共団体に配ったらどうだとか、こういう意見もあります。その辺の具体的な方法をどう取り扱うかということでございますが、現在の住民税の仕組みにすっぽりきちんと取り込むということは、源泉分離選択制度というものの特殊性から申しまして、これはやはり困難があると思います。そうしますと、何らかの便法を考えなきゃならないだろうと思うのであります。そういう意味合いでは、住民税そのものには仮にならなくとも、現在取りはぐれております地方税源は地方税源として十分確保するという仮に便宜措置をとりましても具体的方策をぜひ結論を得たいと、かように思っておるわけであります。
  103. 多田省吾

    ○多田省吾君 最近固定資産税について、千葉県の流山市とか柏市の住民の方が、固定資産の評価が、たとえば宅地とか山林とか、地目の評価だけで何百倍という著しい税負担の不公平が生じているということで千葉地裁に訴えを起こすというような報道がありましたけれども、これについてどう考えておりますか。また具体的に評価額は宅地と山林なんかでは大都市近郊においてどのような違いがあるか。
  104. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 固定資産税の評価につきまして流山市で訴訟が出ておるということは伺っておりますが、その具体の案件につきましては、すでに裁判所の処理事案になっておりますので、ここで私ども評価をすることは差し控えたいと思いますけれども、一般的に評価の実態について申しますと、現在の固定資産税の土地の評価は、宅地とかあるいは農地とか山林という地目によりまして、いわゆる正常売買実例価額というものを基準にいたして評価をしているわけであります。ただ、地目は違っておりましても、用途変更は当然、特に大都市近郊などでは、山林から宅地へあるいは農地から宅地へという形で出てまいるわけでありますので、いま問題になっておりますたとえば山林につきましても、市街地の宅地の間に介在しております山林でありますとか、あるいは市街地の近傍の山林などにつきましては、その付近の宅地との評価の均衡を考慮いたしまして、いわば宅地に準じた評価がえをするということに相なっておるわけでございます。そういう措置をとることによりまして、地目の差による評価のアンバランスというものが生じないように対処をする仕組みをとっておるわけでございます。  ただ、市町村の現実の評価の実態ということになりますと、やや精粗必ずしも一律であるとは申せません。私どもといたしましては、そういう基本的な仕組みをとっておりますので、これらを十分実態に合うように運用いたしまして、地目が異なっても、同種の地域にある土地で同種の土地であると考えられるものにつきましては、評価のバランスをとり負担の均衡化を図っていくということで対処してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  105. 多田省吾

    ○多田省吾君 この点はたとえ山林であってもこの前の農地の宅地並み課税の問題もありましたように、地目が農地であっても、三大都市閥の市街化地域内であれば評価を宅地並みにしているというようなこともありますので、これはひとつよく考えて、不公平にならないようにまたお願いしたいと思います。  次に、東京都で今度事業用資産の固定資産税の公平化を図るためということで、大企業に限って固定資産税を限度額いっぱいまで引き上げることに決めたと伝えられておりますけれども自治省においては批判的だということが言われているわけでございますが、どういう点で自治省は気に食わないのか、その辺をひとつ。
  106. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 固定資産税という税は、資産の価値に着目いたしましてその所有に担税力を見出し、その資産価値に応じて負担を求める、いわゆる物税という税であります。そういう意味合いでは、一つの資産、同じような資産が所有者が違えば負担が変わるということは全然予定していない税であります。所有者あるいは種類、用途というふうな区分によらないで、同じ資産であれば単一の税率によって課税をするということを基本にしておる税であります。そういう税でありますから、税率の定め方も標準税率は一・四%という比例税率をとっておるわけでございます。したがって、東京都の御検討の内容は、私どもはまだ具体的に詳細を承知しておりません。新聞で伺っておるところでは、むしろこれから研究するんだというようなふうにも読んでおるわけでございますので、いま少しく具体的な考え方を聞いていきたいと思っておりますけれども、しかし、基本的な考え方といたしまして、いま申し上げましたような固定資産税の性格から申しますと、資産の種類であるとか用途であるとか、あるいは所有者のいかんによりまして税負担に差を設けるという考え方はこの法律は本来予定していないということを私ども考えておるわけでございます。そういうような趣旨から、五月に、最近そういうふうな検討も種々各地方公共団体で行われておるような話も、情報も伺いましたものですから、自治省基本的な考え方を各地方公共団体に御連絡申し上げ、固定資産税の運用に誤りのないようにしていただきたい、法の趣旨とするところを適切に守っていただきたいという通達を出した次第でございます。  同時にまた、固定資産税をそのような形で所有者のいかん、あるいは大法人と小法人、用途のいかんによって区分をして税負担に差をつけるというようなことをやるといたしますと、これは大変な事務量になると思います。御承知のように、固定資産課税台帳に基づいて課税しておりますが、これは土地台帳とか家屋台帳という台帳をそのまま使いましてやっと処理しておるというわけであります。そういうふうなことでございますので、たとえば零細の営業者につきまして、いまいわゆる併用住宅というようなものがございますが、自分の住宅部分とそれから店舗部分とが完全に混淆しておるというふうな場合に、それは一体どういうふうに考えていくのかというふうな問題もございますし、また資産は一人の人が永久に持っておるわけじゃありません、売買があるわけであります。ですから、私は事務量が大変になって、税務職員も大変ふやさなきゃできないのじゃないかという気もいたします。そういう意味合いで、固定資産税の税負担についての扱いは、私は私どもが出しております通達に即して適切に行っていきたいと思っておりまして、東京都につきましても必要な指導、助言はぜひ尽くしてまいりたい、かように考えております。
  107. 多田省吾

    ○多田省吾君 先ほどもほかの先生からも質問がありましたけれども、結局、東京都の新財源構想研究会なんかの報告にありますように、大企業と中小零細企業との法人税の問題を考えましても、実効税率じゃなくて実質の税率においてはほとんど変わらない。ある場合には百億円以上の資本金を持った超大企業の実質税率が、いろいろな租税特別措置によって零細企業の税率よりも低いというようなことがあるわけでございまして、私も大蔵委員時代に、二、三年前に大蔵省にその問題を質問したときも、東京都の新財源構想研究会なんかでは九段階ぐらいに分けて取っているのですが、大蔵省がやると、二段階ぐらいに、一億円以下とか以上とかに分けてしまって差があらわれないような資料しか出さないわけですが、それでもやはりちょっとした利子配当の課税の問題とか、あるいは外国における課税の問題とか、その辺は大蔵省以外は資料は握っていないからちょっと違っているかもしれませんけれども、大体において大蔵省も間違いありませんということだったわけですね。ですから、そういうことで法人の事業税なんかにつきましても結局外形課税にはまだまだなっていない。ですから、ちょっと不景気になると、東京とか、神奈川とか、大阪がぐっと落ち込んでしまうとか、いろいろそういう法人においての税制の不公平という問題からこういった問題も出てくるのじゃないかと私は考えるわけでございます。そういう意味で、東京都も大法人に限ってはこういう税金は一・七%まで取っていこうというようなことになるのじゃないかと思いますけれども、その辺をやはり大蔵省に強く要求するということではありますけれども、不公正是正ということは緊急にやらなくちゃいけない、私たちはこう思います。  次に、電気税、ガス税の減税でございますが、一昨年ガス・電気料金の引き上げがあったときには年度途中で税制改正が行われまして減税されたのですが、今回は電気が平均で二三・〇七%、ガスが西部瓦斯が二八・九八%ですか、また、東京瓦斯も十月一日から二一・三九%ですか、値上げされているわけでございますが、これは私は一昨年の例にならって、財政も苦しいでしょうけれども、年度内減税をすべきではないかと思いますし、なぜ減税しないか、その理由ですね。  それからもう一つは、産業用電気に対する非課税措置をいま続けておりますけれども、ますますこれじゃ住民の不公、平がふえるばかりでございます。五%以上という基準がありますけれども、一挙に撤廃できないなら基準を含めて改めていくべきだったと、このように考えますけれども、どうですか。
  108. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 電気税、ガス税につきましては、いまお話しのように、昭和四十九年度にいわば一度だけ年度内減税を行った経緯がございます。ただ、今回の電気料金の値上げと四十九年度におきます電気料金の値上げと比較いたしますと、電気料金自身の値上げ幅にも大きな差がありますし、また、地方財政をめぐる環境はもう質的に大変な変化を来しております。電気料金の引き上げ率は、値上げ幅は四十九年度はたしか四〇%を超えておったと思いますが、今回はそれに比べましてかなり低うございます。また地方財政は、もうすでに御承知のように、料金の引き上げによる増収分を減税する余裕というものは私どもは全くないと言い得る状態に実は落ち込んでおると思うのであります。  それからいま一つの問題は、電気税の税率は昔一〇%でございましたが、それがもうすでにたび重なる税率引き下げによりまして五%になっておる。五%ということは、ほかの物品税でありますとか、他の消費税の税率から申しまして、これは私はもう限度であると思うのでございます。五%を下回るような税率を決めるということは、よほど一般的でない税率についてはともかく、一般的なかつ財政収入として相当な重要性を持つ税につきましては、これは下げの限度であろうというふうに思っておるわけでございます。そういうふうないろいろな事情を考え合わせまして、私どもは税率の引き下げという形での減税を行う必要はないのではないか、かように考えておるわけでございます。  産業用電気に対する非課税問題につきましては、例年当委員会でもいろいろ御議論を賜っておるところでございます。昨年の税制調査会でもいろいろ議論がございます。要するに、産業川電気だけ非課税にしておるのは不公平だという議論が一方にありますと同時に、他方、産業川電気に課税すれば原料課税になるから経済全体に大変なコストアップになる、そこが問題であるからして現行の非課税基準を維持すべきだと、この両論が完全に交錯してにっちもさっちも動かないという状態に実はなってきておるわけであります。ただ、先ほども申しましたように、電気税の税率自身が一〇%から五%に下がってまいりました。半分になったわけであります。それからまた、わが国の企業の国際競争力あるいは体質というものも変わってきたわけでありますから、いままでの基準を未来永劫全然変えないということは私はいかがかと思うのでありまして、そういう意味合いで、そういう全体としての電気税の推移、それから国民経済全体の変化というふうなものを踏まえまして非課税の基準についてやはり見直しを行って、整理合理化すべきものは整理合理化するということでぜひ努力を続けてまいりたいと、かように思っておる次第でございます。
  109. 多田省吾

    ○多田省吾君 じゃ税制の最後としまして、住民税の減税のことでお伺いしたいと思います。  野党あるいは労働団体では、今年末あるいは来年度において少なくとも物価調整減税ぐらいはやるべきだ、それがまた景気回復にもなるんじゃないか、国民の実質所得は減っているじゃないかというようなことで、大分本会議あるいは予算委員会等でも遡及があり、また労働団体等からも申し入れもあったと思いますが、大蔵省は所得税については明年度は減税は行わないという考え方でいるようでございますし、そういうことで政府の税調も審議しているようでございますが、自治省はこの住民税の明年度の減税をどのように考えておられるか。もし税調の答申にお任せするなんということであれば、これは非常に消極的な姿勢と言わざるを得ませんし、昭和五十年三月の地方税法改正のときも、町の福田自治大臣から、住民税の課税最低限の引き上げ等については修正案の趣旨を尊重しつつ前向きに努力したいというような発言もあったわけです。ですから、税調に審議を願うのだったら、そのことを含めて、前大臣からもこういう発言があったのですというようなことで、やはり前向きに検討されるべきじゃないかとこのように思いますが、いかがですか。
  110. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 住民税につきましては、従来から例年課税最低限の引き上げを行ってまいりまして、物価上昇を上回る実質的な減税を行ってきたところでございますが、昭和五十一年度におきましては、地方財政の状況にかんがみまして、基礎控除等の引き上げは所得税におけると同様に見送ったものであります。ただ、住民税については、給与所得控除の平年度化により、たとえば夫婦、子二人の給与所得者の場合に課税最低限を百二十二万八千円から百三十万九千円に引き上げ、住民負担の軽減に配慮したところでございます。なお、個人住民税の課税最低限につきましては、今後とも地方財政の状況等を総合的に考慮しつつ検討してまいりたいと考えておりますが、来年度につきましては、いままでお話がありましたように厳しい状況にあることを重ねて御理解を願いたいと思います。  また、前大臣の発言の趣旨につきましては基本的には私の考えと異なるところはないので、そのような観点に立って努力をいたしたいと思います。
  111. 多田省吾

    ○多田省吾君 大臣いらっしゃらないとき、局長に現在の土地保有税の問題で、建設省や国土庁が財界の意向をくんでか、ちょっと緩和したいというような、これは表向きはいろいろ言っておるようですけれども、局長からはまあこれは堅持すべきであると。これは国民感情から言っても当然だと思いますし、こういった建設省や国土庁の圧力に屈せず、自治省はひとつこの問題についてもはっきり現在の税率ぐらいはもう当然堅持するんだということの御決意を聞きたいと思います。
  112. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 先ほど御答弁がありましたように、基本姿勢は崩さないで、われわれの基本的な意見を堅持してまいりたいと思っております。
  113. 多田省吾

    ○多田省吾君 それから最後に、大臣お尋ねして終わります。  一つは、やはり地方自治の自主性、自立性ということで先ほども小山先生からも厳しい御質問があったのですが、地方事務官制度の廃止の問題、ここにも大臣はちょっと触れておられますけれども、これは本当に強い決意で廃止の方向に取り組んでいただきたいと思いますし、そのほか機関委任事務の整理の問題とか、国の出先機関の整理の問題とかいろいろあるわけですし、こういった問題で、地方自治を強める意味でどのような御決意に立っておられるのか、これが一点ですね。  それからもう一点は財政問題で、やはり私たち地方自治の観点から言って、地方財政の危機は単なる不況のしわ寄せを受けているというのみではなくて、やはり地方財政収支のバランスが非常に壊れている。やはり国税と地方税の配分方法を早急になすべきであると。たとえば昭和四十年から五十年度、毎年とっても、国税と地方税の割合は国税が六五%−六八%程度地方税が三二%‐三五%程度と一定しておるわけです。ところが地方交付税などの地方配分税をプラスすると大体五〇対五〇と、やっとですね。ところが、国庫補助金等も含めた実質の仕草はどうかと言えば、地方の方が七三%くらいになっているというふうになって、そこにはやっぱり地方自治体が国のひもつきのような状態になっていると言わざるを得ないわけです。ですから、少なくとも国税と地方税の配分が五〇%対五〇%程度ならよろしいんですけれども、それまでいかなくても、それに近づけるように努力するということ。ですから、私たちも、まあちょっと細かい問題になりますけれども、そのためには土地増価税、これは欧米で全部やっております。こういうような土地の価格が上がったために取る土地増価税というようなものを地方税にして新設するとか、あるいは先ほどお話のあった法人事業税を早く外形課税方式にするとか、事業所税の税率を引き上げるとか、地方交付税を早く三二%から四〇%程度まで引き上げるとか、国の補助事業を標準単価計算方式から実額精算方式の導入をするとか、あるいは国の財政投融資も地方自治体に配分して、地方自治体独自の地方財政投融資が可能な姿にするとか、いろいろあるわけです、やり方は。こういったことでひとつ地方財政を健全化する意味において、大臣はどのように考えておられるのか、その御決意をお聞きして終わりたいと思います。
  114. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 地方自治の自立の問題に関連をいたしましての地方事務官等の問題につきましては、前にも御答弁申し上げましたように、従来地方事務官の問題についていろいろと協議を進めてまいりましたけれども、まだ結論に至っていないので残念でございます。これからも各省と折衝いたしまして、御決議の線もありますので、この問題の解決に向かって努力をしていきたいと考えておりますし、また委任事務その他の問題等につきましても検討を重ねまして、そして地方自治の自立に向かって進んでいきたいと思う次第であります。  と同時に、財政の問題におきましても、地方自治を充実させるという意味合いにおきまして、行財政の見直しというものを常にやりながら、地方財源の確保ということに十分配慮をし、そしてまた税源配分という問題も含めまして今後その充実に努めてまいる所存でございます。  ただし、いまの状態からいきまして、安易な増税方向は基本的にとるべきではない。現行の、現在の負担公平と均一負担ということを考えた場合に、やはり増税の方向はなるべく避けつつ、行政の簡素化あるいはまたいろいろな内部努力、そういうものもあわせながらその充実に努めることが正しい姿であるというふうに考えております。
  115. 神谷信之助

    神谷信之助君 午前中にも同僚委員の方から指摘がありましたが、ロッキード疑獄事件国民の間に非常に大きな政治不信政治家不信を引き起こしておることは御承知のとおりであります。   〔理事安孫子藤吉君退席、委員長着席〕 しかも、この捜査によって逮捕され、起訴されたところの田中角榮あるいは橋本登美三郎、佐藤孝行、これらが何ら反省をすることなしに、逆に潔白宣言などをしながら立候補の意思表示をしております。新聞の投書欄を見ましても、これに対する国民の怒りあるいは政治に対する不信、これはますます大きくなってきていると思います。しかも、その中で、単にそれだけではなしに、選挙違反の疑いのある行為が行われている状況が生まれてきています。これはわれわれ政治家たる者があるいは国政に関与する者が、そういう政治不信をなくすためにもロッキード事件の徹底的な解明と、そして賄賂をもらったあるいは金品の授受のあったそういう高官を国民の前に明らかにして、そして来るべき総選挙で正しく国民が審判ができる状況をつくるというのがきわめて大事だと同時に、そういう疑獄事件に対する反省もなしに選挙違反まがいのいろいろな行動が起こるということはますます重大だと言わなければなりません。  そこで、私は去る九月一日の参議院のロッキード調査特別委員会で、一つの事例を挙げてお尋ねをいたしました。それは、八月の三十日に水戸市の自由民主会館ホールで橋本登美三郎後援会西湖会臨時大会が開かれました。そこで橋本登美三郎の立候補の実現、そして選挙戦を戦い抜くということ、さらに十万名署名を行って、「一糸乱れぬ固い団結で政治行動を展開する所存」だというそういう十万名署名を行う、こういうことをやっていることを、当日の決議された文書及び署名文を提示をして指摘をいたしました。これは明らかに公職選挙法の第百三十八条の二項、すなわち、「何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人に対し署名運動をすることができない。」という条項に違反をするのではないか、こういう点を指摘をいたしました。これに対して、当時の国家公安委員長である福田氏は、事実を調査をして、国家公安委員長立場からも措置すべき面があれば当然措置をする、これが法に反するということであれば適正に取り締まるのは当然だというように回答をされております。  そこで、警察庁の方にお尋ねをいたしますが、これについての調査の状況あるいはそれに対する措置、現在の状態、これらについて御報告を求めたいと思います。
  116. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) お答え申し上げます。  御質問のとおり、大臣からこういう質問があったという下命を受けまして、現地の茨城県の警察調査いたしましたところ、この署名運動は、橋本議員ロッキード事件に関連して逮捕されたことに対し、これを見舞い激励する目的で西湖会の会員が署名運動を行ったとのことでありまして、現在までのところ、公職選挙法に違反する容疑事実は把握されておりません。したがって、まだ現在のところ違反としての措置はとっておりません。
  117. 神谷信之助

    神谷信之助君 違反容疑の事実がないというお話ですが、その理由についてもう少し御説明をいただきたいと思います。どういう脈が違反になっていないのか。
  118. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) ただいまお答え申し上げたとおりでございまして、この署名運動は、逮捕された橋本議員に対してこれを見舞いをする、まあ激励をするという目的でそういう著名運動を西湖会の会員が行ったということでありまして、御指摘のような公職選挙法第百三十八条の、「何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人に対し署名運動をすることができない。」というその要件に直ちに違反するという容疑がまだ把握されておらない、こういうことでございます。
  119. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまの説明では納得をするわけにはいきません。その九月一日のロ特の委員会でも事前にわれわれは説明をしておるのです。それはどういうことかというと、いまの百三十八条の二項、この「選挙に関し」という内容については、最高裁が、これは当該選挙の施行されることが確定的となった場合に限らず、選挙の施行されることが予測される場合に、その来るべき選挙のためにする場合も包含するという最高裁の昭和三十年の二月十日の判決、これも指摘をしてあります。それから、署名運動の問題については、自治省の昭和二十七年九月の質疑回答の中での回答ですが、署名運動に関して、「選挙に関し」というのは選挙に際し選挙に関する事項を動機として同じであるかという質問に対して、お見込みのとおりと答えております。さらにその次、署名運動について自治省の昭和二十七年の九月の回答では、「投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて」するものである限り、直接請求、特定の者の後援会加入などその名義のいかんを問わない、こういう回答をしております。これは自治省選挙部から回答しておる。そして、あなたのおっしゃる激励あるいは見舞いの署名簿とかおっしゃるが、その署名簿には、その見舞いであるという文書にはどうあるかというと、「一糸乱れぬ固い団結で政治行動を展開する所存であります」、それで、がんばりなさい、われわれは政治行動を展開いたしますと。その署名文が決定をされたその大会では、先ほど申し上げましたように、「来るべき総選挙えの、橋本登美三郎先生のすいせん立候補の実現」、「今こそ吾々会員一同は、更に意志の疎通を図り強固な団結と不動の信念に燃え選挙戦を闘い抜くことを誓う」、この決議をしているわけです。だから、明らかに選挙立候補させ、そしてその選挙で勝利をする、得票を得る、このことを目的として、そして「一糸乱れぬ固い団結で政治行動を展開する」、このことで署名をして、そういう意思を橋本登美三郎に示すことによって激励をする、見舞いをする、こういうのです。激励だし見舞いだから違反容疑はない、そういう説明では、先ほど言いました最高裁の判決なりあるいは自治省質疑問答による回答、これらからしても、いまの刑事局長の説明では納得することができないと思うんですがね、この点はいかがですか。
  120. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) まあ調査をいたしておるわけでございますが、先ほどお答え申し上げましたように、現在のところこれは見舞い、激励する目的で署名をやっておる、こういうことで、その署名の態様等につきましても、具体的にそれが公職選挙法に違反する容疑ということについては私どもは把握できないのが現在の状況でございます。
  121. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ具体的に、これはもう保釈をされているわけですから、逮捕されている橋本に対する見舞いであり激励だということですから、すでにもう署名簿は集まっておると思いますが、どれだけの署名簿が集まったというように把握をされていますか。
  122. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) 違反容疑ということがまだ私どもの方で確認できませんので、どういった、何名というふうなことまで私どもの方ではまだ具体的にそういった容疑でもって捜査をするという段階にまでは至っておりません。
  123. 神谷信之助

    神谷信之助君 大変おかしいじゃないですか。なまぬるいじゃないですか。違反容疑でそして捜査権を発動するという、そういうところに至らなくても、事実に基づいて調査をすることを当時の公安委員長は国会で答弁をしています、調査をすると。だから調査をして、その署名の態様その他は、いま先ほどの説明では態様などを調べましたとおっしゃる。しかし、署名の態様は一体どうだ、そしてどれだけの署名が集まったのか、それはいつだれが橋本のところへ持っていったのか、これは事実に基づいて調査をしなきゃならない。しかも、それは後援会員の中だけでやっているのか、後援会員外に広めているのか、不特定多数にまで広げたのか、こういったこともはっきりしなかったら違反容疑の内容がはっきりしないわけでしょう。特定をされたそういう中だけの署名なのか、それとも不特定多数に広がった、有権者を対象にした広範な署名運動になっているのか、これらも違反の容疑の有無に関して重要な要件になるわけでしょう。これらについていま聞こうと思ってどれだけ署名が集まったんだと聞いたら、容疑がないのでそういう調査はしていないと言う。それじゃ容疑があるかないかわからぬじゃないですか。いやにこの自民党の元幹事長になるとえらい甘いじゃないですか。この点いかがですか。
  124. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) 調査はいたしたのでございますし、またもう調査して、これは今後調査しないというわけでもございません。調査はしておるわけでございますが、したがって、調査の結果、そういう見舞い、激励をする目的でそういった署名運動が行われたということは推定できたのでございますが、したがってそういうふうな調査はやっておりますが、さらにそういうふうな具体的に立ち入ってやる場合にはやはりある程度の容疑ということに基づいてやらないと、そういう具体的な捜査というか、に入るということが、なかなかそういうふうな点がむずかしいわけでございます。しかし、そういう具体的な捜査に入る前段階での調査ということはやっているわけでございますが、その段階ではそういった容疑事実がまだ把握できない、こういうことでございます。
  125. 神谷信之助

    神谷信之助君 ロッキードの事件の中間報告でも同じでして、田中のふところに入った五億円、その五億円の行き先はさっぱりわかりません、どこへ消えちゃったかわかりませんというようなことを稻葉法務大臣が平気で答弁しています。われわれ、五百円なり千円なり、毎日の——サラリーマンは五百円亭主とか千円亭主ですよね。その金をなくしたら、探さぬことには昼飯もたばこも吸わぬでしんぼうせねばいかぬ。ところが、五億円というような金がどこかへ消えてなくなって行き先もわからぬのだというようなことが、平気で言われているのです。だからいま国民は怒っているんです。この問題でもそうですよね。単なる激励や単なる見舞いではないでしょう、先ほど言いましたように。「一糸乱れぬ固い団結」ですよ。「政治行動を展開する所存」です。そういう決意をしてもらうという署名を集めているのです。その決意をもって激励をするというのです。この一糸乱れぬかたい団結で行う政治行動とは一体何か。それは橋本を推薦をして、立候補さして、そうして選挙戦を戦い抜くのだ。そういう決議に基づいてそのための政治行動をやるのだ。これがあなたどうして選挙に関し得票を得る目的での署名でないということが言えますか。その署名運動は、したがって、直接請求あるいは特定の者の後援会加入、その名義のいかんを問わないのです。だから、見舞いとか激励とか何とかいう名義のいかんを問わない。これもちゃんと自治省行政官庁の有権解釈が示されておるのです。なおこれはどうしても私は納得できない。  公安委員長、あなたいまこの議論をお聞きになってどう思いますか。やっぱり橋本登美三郎は元自民党の党員だと、もうその辺であいまいにしておってよろしい、そういう態度をおとりになりますか。それとも、そうじゃなしに厳正にもっと調査をして、こういう疑惑について国民の疑惑にこたえる、解明をしていく、そういう立場国家公安委員長としての職責を全うされるおつもりかどうか、この辺についてお伺いしたいと思います。
  126. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 今後とも調査事実に基づいて判断をしてまいりたいと思っております。
  127. 神谷信之助

    神谷信之助君 では調査をやられるわけですね、もう調査を完了したということではなしに。
  128. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) 調査は完了したわけではございません。
  129. 神谷信之助

    神谷信之助君 さらに私はもう一つ新しい事件を問題にしたいと思うのです。  それは去る十一日です、甲府市の県民会館大ホールで、「自由民主党幹事長内田常雄先生を励ます県民大会」というものが開催をされました。この県民大会は内田常雄代議士の後援会である如山会というのですか、この会などが主催団体の一つに加わり、代表者はその後援会の会長であります。そうして公開、入場無料で一般からの参加も呼びかけております。ところが、その会場で鉛筆三本一組のセットされたものが参加者に配られました。それは赤、黄、青の消しゴムつきで、それぞれに「内田常雄幹事長激励県民大会」と書かれております。主催側の発表では当日千八百人から入場したということですから、この鉛筆一組セット、市価で大体百五十円相当として考えてみても、総額二十七万円に上るであろうと考えられる。公選法では百九十九条の二に、「公職の候補者等の寄附の禁止」の条項があります。同時に後援会も、任期切れ九十日以内において当該選挙区内にある者に対し寄付をしてはならないものとすると百九十九条の五に規定をされています。それから百七十九条では、「収入、寄附及び支出の定義」が決められておって、禁止される寄付には、「花輪、供花、香典又は祝儀として供与され、又は交付されるものその他これらに類するもの」と規定されています。したがって、この鉛筆の配付というのは明白な寄付行為に当たると私ども考えます。この問題については、すでに十六日にわが党の山梨県議会が、県警本部とそして県の選挙管理委員会とに、公選法違反の疑いありとしてその調査と厳重な処置を申し入れをしております。それに対して、山梨県警本部の沢村真一郎捜査二課長は、事実とすれば問題だ、したがって事実を調べると答えております。これらについて、この問題の調査状況あるいはそれに対する措置、これについての答弁を求めたいと思います。
  130. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) ただいまの御質問の中にもありましたように、この点につきましては、現在現地の山梨県の警察におきまして事実関係調査中でございます。この調査によって事実関係が明確になりました段階で、法に照らして厳正な措置を考えてまいりたい、こういうふうに存じております。
  131. 神谷信之助

    神谷信之助君 事実とすれば、先ほども言いました公選法の違反の容疑というのはきわめて私は濃厚だと思いますが、いかがですか。
  132. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) まあ公職選挙法の所管官庁でございませんので、事実については判断いたしますが、そういう想定について捜査当局として判断するのは差し控えさしていただきたいと存じます。
  133. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ選挙部長の方にお伺いします。  佐藤部長は、先ほど言いました橋本登美三郎の西湖会の件について、九月一日の委員会では一般論としてお答えになって、その間の具体的な事実は承知をしておらないので断定的には答えることができないと。それ以来、すでに調査をされたと思います。それについての選挙部長見解、そしていま山梨県の鉛筆の配付の問題を言いました。これも先ほど該当条項を、公選法のそれぞれ各条項を申し上げました。これらについての見解を聞かしていただきたいと思います。
  134. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) ただいま前段は西湖会の問題であるようでございますが、これにつきましてはその当時お答えいたしましたとおりでございまして、私どもは現在なおその事実の詳細については承知する立場にございませんものですから、断定的なお答えは差し控えさしていただく以外にないわけでございます。  同様に、二度目にお話しありました山梨県におきます問題につきましても、現在までのところ、その行為がどのような内容のものであったかどうかにつきまして、詳細を承知しておりませんので、やはり断定的なお答えはいたしかねる次第でございます。
  135. 神谷信之助

    神谷信之助君 九月一日に私は西湖会の問題を指摘しているのですよ。きょう何日ですか。一体事実の調査にどれだけかかるのです。その委員会では、当時の国務大臣福田さんは当初は自治大臣立場答弁しております。それに対して、さらに私が今度は国家公安委員長立場答弁を求めました。自治大臣としての、いわゆる選挙部を担当している自治大臣としての立場からは、実情を調査して、「これが法に反するということでございますれば、やはり適正に取り締まりをすべきものであると考えております。」と言っております。一カ月以上もかかってまだ詳細わかりませんか。  また山梨の問題でもそうです。先ほど言いましたように、十六日には県の選挙管理委員会にも申し入れをしております。その報告をお聞きになったのか、それについての事実の報告を求めておられるのか。これらについて一体どうなんですか。
  136. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) 前段の西湖会の問題について重ねてお答え申し上げます。  九月一日の委員会で、大臣調査するとお答えになりまして、私どもにも御指示がありましたので、早速茨城県選管に照会をいたしました。しかし、当選管におきましては、新聞報道程度を越える事実については承知をしておりませんでした。私ども承知するに至っておりません。したがいまして、自後につきましては警察当局調査をお願いしているところでございます。  それから次の山梨県の問題につきましては、これも新聞報道は私ども承知いたしております。それからまたただいま御質問を通じていろいろと事実を列挙されたところでございますが、しかし、私ども当局といたしましてまだ詳細な事実について承知するに至っておりませんので、先ほど申しましたとおり、断定的なお答えをいたしかねるわけでございます。
  137. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃもう一つ、事実がまだわからないということであれば、一般論としていま申し上げたような例ですね、一般論としては一体どうなるのか。
  138. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) 公職選挙法におきましては、後援団体がする行為あるいは後援団体の場においてする行為などについての規制がございます。しかしながら、お尋ねがありました集会がどのような性格のものであったか、後援団体により開催されたものであるかどうかというようなことにつきまして、そのいかんによりまして規制が働くかどうかというようなこともございます。それらのことにつきまして、事実関係解明にまたなければならないところが多いわけでございます。また、公職選挙法におきましては事前運動に関する規制もあるわけでございます。しかし、ある行為が事前運動に当たるかどうかということにつきましては、特定の候補者の当選を目的として投票を得しめるために行ったものであるかどうかということなどにつきまして、やはり事実関係解明されなければ結論が得られないと申し上げるわけでございます。
  139. 神谷信之助

    神谷信之助君 選挙管理委員会には事実関係調査しようにも調査をする権限はないんですよ。問題は、それが事実であるとすれば、公職選挙法との関連で違反の疑いが濃いとか、そういう行為はこれは違反ではないとかということで、一般的な法解釈なりあるいは選挙部なり選挙管理委員会の考え見解、こういうものを示して、そして選挙違反現実の問題として行われないように、公明な選挙が行われるように指導するという任務を持っているわけでしょう。だから、私は事実はこうですと。しかし事実についてはあなたの方で調べるとおっしゃっても、結局は警察調査を待たなければどうにもならない。しかし、こういうことを仮にやった場合、こういう点、これとこういう要件がある場合には違反の疑いがある、該当する、そういう危険がある、しかしそうでない場合は違反ではないとか、そういう法解釈の基準というものが示されなければどうにもならぬわけでしょう。私がこれを言ったのは、九月一日のときに特に西湖会の問題を言ったのは、八月三十日にあって九月一日ですから、その集会があった二日後です。選挙違反の行為が行われてから、そうしておまえは犯罪者だと言って逮捕するよりも、これは土金さんもそうですね、犯罪を予防するのがやはり最大の任務ですから、そういうおそれのないようにやらなきゃならない。選挙部の方も、そういう意味ではそういうことを、仮に違反の容疑があるとすればやめるように勧告するなり指導するなりすると。そして犯罪の未然の防止をやって公明な選挙を推進をする、こういうようにやらなきゃいかぬと思うのですね。その点、一体どうなんですか。きわめて私は無責任だと思うのですよ、いかがですか。
  140. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) 私どもといたしましても、選挙が公明に行われるようにという考え方から、選挙法に違反する行為については極力これを絶滅しなくてはならないという気持ちでおります。したがいまして、いろいろと各方面から御照会などがございますが、その場合には、選挙法に違反する行為はもちろんのこと、違反しないまでも、これにまぎらわしいあるいは疑いを持たれるというような行為につきましてはこれを極力注意され、かつ差し控えられるようにお話しをする、こういうふうに努めております。しかしながら、今回のお尋ねの問題につきましては、すでに生起した事実でございまして、それについての判断となりますと、先ほど警察庁の方でもお話しありましたとおり、率実関係にいまなお調査を要する問題が多々あるわけでございまして、したがいまして、それに対する評価、判断ということについては断定的に申し上げることを差し控えざるを得ないわけでございます。
  141. 神谷信之助

    神谷信之助君 おかしいですよ。私はそのときわざわざこう言っているのですよ。「八月三十日にその集会が持たれた。まだつい前ですから、二日前ですから、だから、その会場におった者で、さらにそういう運動を続けられようとしているわけですから、犯罪行為の予防の意味からもこれは至急に調査をして、そしてしかるべき処置をとると、この点は迅速にやっていただけますか」、こう言って私は確認をしたわけです。すると福田公安委員長、また自治大臣である福田さんは、直ちに調査をすると。だからあのときは、集会でやったときはその場におった八百人の人が署名しただけです。それから動き出すわけです。動き出してしまったら確かに犯罪容疑があります。八百人の集まった人の中であれば、これは西湖会の会員ばかり集まっているのですから、しかも特定された人たちの間です。もしそれが拡大をする、不特定多数にどんどん広がるということで犯罪行為の疑いがより濃厚になるということであるであろうと思うから、直ちにやって、そしていまあなたがおっしゃったように、しかるべき助言なり援助をして、そして考え直してもらう、こういう援助というものを私は期待をしてわざわざそのことを言っているのです。ところが、いまの話ですと、そういうことじゃないじゃないですか。やらすだけやらして、もし悪いことをしたやつはつかまえてやろう、そういうことになってしまう。あるいは逆にやらすだけやらして、どうのこうの後から言われたってもう選挙違反じゃないと言うて、元自民党幹事長ですから、大物ですから、だから罪にもしない。そのまま調査調査でごまかしてしまう。こういうことをやったら国民にますます政治不信を招きますよ。  大臣、これどうですか。大臣、こういう問題どうお考になりますか。あなたは公明選挙の推進について責任を持つ自治大臣じゃないですか。同時に、犯罪を防止をし、また犯罪容疑があれば迅速に調査をし、そして犯罪行為があればこれを摘発をしなきゃならぬ国家公安委員長の重責も担っている。いま国民はロッキードの疑獄に対して非常に大きな不満を持ち、しかも政府が行った中間報告が何ら事実の解明もなければ、賄賂をもらった連中の名前さえいまだに明らかになっていない。しかも逮捕され、起訴された者がのうのうと立候補宣言をしている。潔白だと大きな顔して居直りの発言をしている。そうして、こういう違反行為をやっているのですよ。戦前、あの民政党と政友会の時代に、民政党、政友会、内閣がかわったら巡査までかわるぐらいに捜査自身がそういう党派、党略によってゆがめられたという話を私どもも子供のころよく聞きましたけれども、自民党の政府高官だった人たちのこういう行為については、あいまいな態度をとればますます国民は疑惑を持つんですよ。そういう人であれば、最も厳しく、びしびしとやらにゃいかぬですよ。選挙部長はどうですか。九月一日に問題を指摘して、二日前にこういうことをやっているんだから早くやりなさいよと言っても、いまだにやらない。茨城県の選管には言いましたか、調査をしています、内容はわからぬが、あとは警察調査にまっています。もうすでに署名行動は終わっている。しかも山梨の場合は、この鉛筆は内田さんが初めてじゃない。ついせんだってには自民党の金丸前国土庁長官が似顔絵入りのネクタイをばらまいて問題になったこともある。どうも有権者に物を配る、そういう買収まがいの行為が流行しているようです。こういう事態について、あなたはどういう態度をとられるんですか、明確にひとつ決意を明らかにしてもらいたい。
  142. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 西湖会の問題や山梨県の問題につきましては、事実関係調査をいたし、違反容疑があれば処置をしてまいらなければならないと考えております。  なお御指摘のように、自治大臣といたしましては、公明選挙をできるように執行の責任を持っておりますので、明るいきれいな選挙ができるようになお一層指導をしていかなければならないと考えておりますし、また国家公安委員長といたしましては、衆議院議員の総選挙がいつかは明確ではございませんけれども、十二月九日の任期満了を控えまして事前運動に紛らわしい行為が見られますので、警察といたしましては、公職選挙法が大幅に改正された経緯にかんがみまして、違反行為に対しましては法に照らして厳正な措置を講じ、明るく正しい選挙の実現に寄与してまいりたいと考えております。特に取り締まりに当たりましては、買収や選挙の自由妨害等の悪質な事犯を重点的に厳正な検挙措置を講ずるとともに、警告等の措置を最大限度に活用して違法状態の拡大防止と除去を徹底することに努めてまいりたいと考えております。
  143. 神谷信之助

    神谷信之助君 官僚に書いてもろうた原稿を読んでいるだけでは事態の解決はできないんですよ。そういう言葉だけではなしに、いま具体的に指摘をしたこの二つの問題について至急厳重に徹底的にひとつ調査をして、その結果について私並びに国民が納得できる説明を付して御報告していただくことができますか。やっぱり具体的にこの問題どういう態度をとるのかということが、いまおっしゃった美辞麗句が実際に実行に移され、信頼ができるかどうかになるわけですよ。何ぼ言葉の上で答弁してもらっても意味がない。
  144. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 先ほど申し上げましたように、事実関係調査をいたしまして、それに基づいて判断をしてまいりたいと思っております。
  145. 神谷信之助

    神谷信之助君 判断の結果は報告をしていただけますね。よろしいですか、大臣——だから、いまだ調査中だと言うんでしょう。まだこれからも調査していくということですね。調査をして違反の容疑があるということでいわゆる捜査権の発動に移ったということであれば、これは密行捜査もせにゃいかぬでしょうから、そう簡単に言えぬかもしれませんが、一定の段階においてそういう報告をしてもらうということはできますか。しかも、いまも大阪がおっしゃったように、選挙はもう近いんですからね、いずれにしても。だから、そういう不正行為がもしあったとすれば、選挙中に入ってやるというといろいろまた問題が起こるわけですね。告示になる前に処理をするということが望ましいわけです。そういう違反行為を野放しにしておいて、結局選挙後にこの事件が立件されるということになりましても、これはまた判断をする有権者に正しい判断をできる条件を与えていなかったことにもなりますから、問題はもう事前に提起をしているわけですから、こういった点を踏まえて迅速にひとつ調査をし、そういう疑惑を晴らす、そして警察に対する不信もこのことによって取り除いていくという点について、これは局長の方からでもいいですから。
  146. 土金賢三

    政府委員土金賢三君) 調査はもちろんできるだけ迅速に行って、もし違反があれば厳正な措置あるいはたとえば警告とか、いろいろそういう必要な措置をとりたい、こういうふうに思っております。
  147. 神谷信之助

    神谷信之助君 私はこういった問題をやっぱり早く処理をしていかなければ、それでなくてもロッキード事件によって大きな政治不信国民の間に広がっているわけですから、この点を十分注意をしてもらいたいと思うわけです。時間の関係がありますから次に移ります。  次は地方制度調査会のあり方、運営の問題についてお尋ねをしたいと思います。  御承知のように、地方制度調査会設置法の第一条、第二条によって、この調査会は総理の諮問に応じて、日本憲法基本理念を十分に具現するように現行地方制度に全般的検討を加えることを目的として設置をされております。すなわち今日の憲法のもとで、地方自治の章が新しく加えられ、そして地方自治の本旨に基づく地方制度確立と強化、これが要求されているわけであります。この問題を検討するという重要な役割りを持っているのがこの地方制度調査会であります。したがって、この調査会の委員の選任について、こういう重要な役割りを果たすことにふさわしい構成を保障するということが非常に大切であります。  そこで、この委員の選任の問題ですが、これは御承知のように、設置法の第六条で、「国会議員関係行政機関の職員、地方公共団体の議会の議員地方公共団体の長及びその他の職員」については、これは第六条で選考の範囲というのが特定されています。ところが、「地方制度に関し学識経験のある者」、これも委員に選任をすることが規定をされています。ところが、この規定はきわめて一般的、抽象的であります。したがって、この調査会の庶務を担当している——所属は、設置されているのは総理府ですね。しかし、事務を担当しているというのは自治省で、この選考——地方制度に関し学識経験のある者」についてというこの範囲、基準、これはどのような基準があり、あるいは内規があるのか、この点についてまずお聞きしたいと思います。
  148. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) ただいま先生御指摘のように、設置法におきまして調査会の委員の構成が書いてあるわけでございますが、一方、法律では調査会の委員五十人以内となっておりまして、五者構成になっておりますけれども、それぞれ何名ということは実は書いてないわけでございます。従来からの慣例によりまして、当初からそうでございますけれども、第一のグループの国会議員につきましては……
  149. 神谷信之助

    神谷信之助君 そっちは要らぬ。人数もいいです。いま言っておるのは、「地方制度に関し学識経験のある者」。
  150. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 特記されております以外の者は学識経験者ということで選任しておるわけでございまして、一定の基準、はっきりした基準というようなものはございませんで、広く地方行財政制度について学識経験のある者ということで、個別にその方に委嘱しておるという形でございます。
  151. 神谷信之助

    神谷信之助君 ところが実際に委員を見ますと、財界の代表が非常に多いのです。「地方制度に関し学識経験のある者」という範疇にある人を考えてみますと、言論界、財界、それから官僚のOB、学者、大体この四つのグループに大別されます。しかも、財界代表といいますか、財界出身の人、これは非常に多いのですが、こういう人たちがなぜ「地方制度に関し学識経験のある者」に該当するのですか。
  152. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) ただいま財界の方が多いというお話でございますが、事実数名ございます。ただ、それは現在いわゆる財界の仕事をしておられるということでございまして、これらの方々はそれぞれ地方行財政制度につきまして一つの見識を持った方であるということで、学識経験者として任命されておるわけでございます。
  153. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまの答弁ではどうにも納得できませんが、その問題に具体的にちょっと入る前に、この問題はさきに衆議院の地方行政委員会でわが党の三谷議員質問をしておることは御承知のとおりです。それに対して当時の林行政局長が三谷委員の意見を持ち帰り、伝えるというように答弁をされております。これは当時の林局長がお持ち帰りになって、自治省の方ではどういうように御検討になったのかどうか。この現在の調査会の委員の任期はこの十月の二十三日ですね、確か。だと、もう近々だと思いますがね。したがって、次期の調査委員を、どういうこの調査会の果たすべき役割りにふさわしい構成にするかという上でも非常に重要だと思うんです。そういう三谷委員質問についてどんな御検討があったのか、この辺について報告をまず求めたいと思います。
  154. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) ただいま御指摘のように、現.委員の任期は今週の土曜日でございますか、十月の二十三日に満了するわけでございます。  それから、なお前の衆議院の地方行政委員会であったかと思いますけれども、三谷委員から提言がございまして、林行政局長がそれを承ったと、速記録等によりまして私十分承知はいたしております。ただ、御承知のように現在まだ、もちろん委員改選の時期は迫ってはおりますけれども、その時期でもございませんし、御案内のように、この調査会におきましては国会議員方々が相当のウエートを占めておられまして、衆議院議員におきましては御案内のように任期満了あるいは解散というようなことが目前に迫っておるやに聞いております。そのような状況でございますので、任期満了後新しい地方制度調査会の委員をどうするかということはこれからの問題でございますけれども、全般的にわれわれといたしましてはこの調査会の重要性にかんがみまして、しかも現在地方行財政というのが一つの大きな曲がり角にきておるという時点を踏まえまして、その道の練達の士を、だれから見ても適格だというような方々を選びたい、そのように考えております。
  155. 神谷信之助

    神谷信之助君 だれから見てもその道の練達の士であるという人を選びたいということですね、これからは。いままでのところを見ますと、本当にわれわれは問題だと思うのですね。名古屋商工会議所副会頭、いいですか、これは岡谷鋼機社長でしょう。それから日本航空開発株式会社の社長は日本鋼管常務、日航専務、同会長ですよ。あるいは、まあ挙げたら切りがないですね、日本商工会議所の会頭は富士製鉄の社長、新日鉄会長ですね。こういう方々と、そのほかありますよ、数人ですね。それについて三谷さんがいろいろこの間質問をすると、いろんな苦しい答弁をなさっているんですよ。「「地方制度に関し学識経験のある者」というのは、地方自治体に勤務の経験のある者も経験のある者でございましょうし、地方自治関係のある学問を専攻される学者も学識のある者でございましょうが、同町に広い常識を持ちまして、広い視野から物事を判断できる人格すぐれた方であればこの基準に入るという考え方でございます。」と、こう言っています。いま言いました広い常識を持ちまして、広い視野から物事が判断できる人格すぐれた方、これがいわゆる財界の人たちを選んだ基準になる、林さんの説明は。おかしな話でね、私はそういう人生経験豊かな方というのは何も財界の代表、財界の出身だけに限らないと思います。文化人にもあるいはすぐれた芸術家の中にもおられるでしょうし、あるいは学者の中でも、地方制度関係なくて理工系の学者の中にも非常にすぐれた人もおられるし、人生経験の豊かな人もおられるでしょうから。あるいはそういう名前の知れない、そんな著名な人でなくても、一億一千万の国民の中には人生経験豊かなしかもまたすぐれた人格の持ち主はたくさんある。それがそういう範疇で財界の代表が数人出ている。これはどう考えたって、何というか、説明がつかぬわけですよ。  そこで、いま、だれが見てもその道にすぐれた方だというようにおっしゃいましたから、そういう点で少し私の意見も申し上げておきたいと思うのですが、こういう地方制度というのは、特に最近は御承知のように住民運動もうんと広がってきて、そして住民の要求も多岐にわたってきております。来年は地方自治制度三十周年を迎える年なんです。それだけにこの地方自治についての国民的な理解や関心も高まってきている。ですから、これからの地方制度をどうさらに一層発展をさせるかということを議論をする。したがって、それにふさわしい構成を考えなきゃならぬ。それには私はいろいろな立場の、あるいはいろいろな意見の持ち主がおられると思いますが、できるだけこれを広く吸収できるようにするということがひとつ望ましいのではないかと思うのです。たとえば国会議員の場合でも、議員の数に比例をして各党の代表が国会議員立場からこの委員会に参加をしているように、いろいろな意見の相違も含めましていろんな立場の人が参加をできるようにする必要があるだろう。たとえば地方制度に関していろいろな研究機関もあります。都政調査会とか、それから自治体問題研究所もあります。あるいは市政調査会もある。地方自治研究所もある。あるいは都市問題研究会、そのほかにもありますが、こういったいろいろな専門的な組織で常々と都市問題や自治体、地方自治問題、あるいは地方制度問題を研究している団体もある。こういうところにも、これらの地方制度はどうあるべきかということについて議論を闘わせるにふさわしい方々もたくさんおられる。  それからまた、地方制度を担っていくのは多くの地域住民基礎でありますが、自治体首長、それから議会、と同時にそこで働く自治体労働者というのも非常に大きな役割りを果たしているわけです。この労働組合組織である自治労も、地方自治研究集会を毎年のように持って自治制度について全国の職場の経験をもとにして討論をしてきておる。したがってこういう人たちの代表も当然加えて、そしていろいろな広範な意見がこの調査会に結集をされて、そして議論を闘わせる、こういうことが一番望ましいのじゃないかと、こういうように思うのですね。  こう見ますと、たとえば官僚、こういう経験者も、大体昔の内務省官僚、あるいは戦前は特高の指導に当たった警保局長の経験者もおられますね。そういうような人まで含めて官僚経験者というのは約八名から九名、一番多いグループをつくっていますよね。こういうのを見ますと、どうも委員の選考が、自治省といいますか、あるいは政府にとって都合のいい人を選んでいる。自治省の意見や政府の意見に反対の者は選ばない。これは調査会の総会を見ましてもそうです。主として反対の意見が多く出るのは国会議員の野党側の委員である。あとは、一般的な質問のときには反対的な意見が出ますけれども、いざ採決といったら皆賛成です。自治省から言えば賛成に態度を変えています。そういうことでは本当に地方制度改革について、あるいは展望について正しく討論をし、そしてその方向を見つけるということにはならない。この点ひとつ強調しておきたいと思うのです。  次に運営の問題ですが、そういう立場の、あるいはいろいろな意見の違う人も、立場が違えば意見も違うのはあたりまえですから、それが集まって議論をする。そこでは討議を通じて、あるいは事実に基づいて一致点を求めるのは当然のことだと思うのです。一致点を求めるために議論を尽くす必要があるわけです。しかし、一致をしない部分も予想されますから、その場合は私はそういう一致をしない部分についても併記をして、そしてそれらの幾つかの意見について、総理に答申という形をとっておりますが、まあ答申をして、そしてその中からどの意見を選択をするかというのはこれは総理の責任である、こういうように私はすべきだと思うのです。ただ多数決で一つの意見にまとめてしまわないといかぬ。答申を多数決で一つの意見にまとめることが一体どんな値打ちがあるのか。その答申が総理大臣方針を拘束することができないのはあたりまえじゃないですか。やるかやらないかという選択権は総理が持っている。だとするならば、その答申の中に一致する部分はこれだけ、しかし現在の段階で一致しない部分はこれとこれとこういう意見ですと。選択はこれは政治の責任、国政の責任を持つ総理が選択をする、こういうことでなければ私は意味がないと思うのですが、ところが自治省のつくっている政令では、過半数で決める、そして可否同数のときは会長が決める、こういう多数決で行うことを決めている。ですから、総会でいろいろ議論があって、少数意見も併記すべきだという点を主張しますと、会長は、そういう意見もあるけれども、これは政令でそうなっている、多数決で決めると、こう言って突っぱねる。これが現在の運営の状況であります。この点について、この政令を調査会の性格からしても私は変える必要があると思うのだけれども自治省見解はいかがですか。
  156. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 調査会にいろいろな地方行財政制度改革についての意見が反映するということはもちろん必要でございますけれども、その意見というのは御承知のように無数にあるわけでございます。そういったものの反映の方法といたしましては、現在の調査会でも、御承知のように、いろいろな方面で発表されました研究の成果等も十分活用されておりまして、先生もこの委員の一員として十分御承知のように、今回の任期だけでも八十回に及ぶ会合を開き、非常に熱心に論議が闘わされております。いろいろな方面で出されたいろいろな報告等につきましても一々ここへかけられて論議の対象になっておるというようなことで、現在の調査会というものは私どもの目から見ますれば非常にうまく運営されておる。そしてまた現在の委員方々、先生いま適当でないというようなニュアンスを込めておっしゃいましたけれども、私どもから申し上げますならば、特に私の感覚から申しますならば、地方行財政制度につきまして非常にすぐれた学識経験の方々ばかりであるというように言っていいのではないかと思います。したがいまして、時代も変わっておりますので、いろいろな方面からこの現在の人すべてをそのまま続けるという意味ではなくて、新しい観念から委員の人選というものはもちろんしなければならないと思いますけれども基本的に、いままでの人が悪かったから改めるという考えは私どもは毛頭ないということは申し上げなければならないと思います。  それから、万人がどうこうということが、どうも揚げ足をとられたようでございますけれども、人間それぞれ顔が違うように考えもいろいろ違いますので、おれはあれがきらいだからというような方がないわけでもございません。私の申しましたのは、地方行財政制度というものに対して深い識見を有し、まあこの人ならという人という意味でございまして、百人が百人というように誇張されては若干迷惑でございます。  それからなお、多数決どうこうの問題は、これは実は運営の問題、そして少数意見を併記するかどうかも運営の問題かと思います。最近の調査会の答申等におきましては少数意見も書いてあるようなのもあるようでございますけれども、今度の調査会におきましても、先生からの発言があり、相当この点については論議の上で少数意見は書かないということになったように伺っております。したがいまして、こういった会を構成いたします以上、多数意見、少数意見があるのは当然でございまして、それを答申でまとめるという場合に、一つにまとめるならば決をとる。したがいまして、政令の上でそういう場合の措置を書くというのは当然でございまして、現在の段階ではこれを削るというつもりはございません。
  157. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう時間がありませんからひとつ簡単に答弁してください。  あなたはそうおっしゃいますが、これは総理府所管の審議会等の議事手続の有無を見ますと、多数決を決めている審議会もあれば決めていない審議会もあります。だから全部決めなきゃならぬということではありません。  それからもう一つは、たとえば選挙制度審議会の設置法を見ますと、これは二条の一項で、審議項目四項目を決め、そして二項では総理に意見を申し出ることができるというのがあります。そして第三条には、「答申又は意見の申し出があったときは、これを尊重しなければならない。」と、尊重義務が規定してあります。ところが、この地方制度調査会の方はそういう規定もないのです。意見を申し述べるとも答申をするともない。諮問に応じて調査審議するだけである。それが実際に会長に少数意見も併記をせいと。それで、地方制度調査会も、すでに昭和三十二年の十月十八日の答申、あるいはその前の二十八年の十月十六日の答申、これらは少数意見を併記しているのです。そうしなさいと言っても、いや、政令で多数決で決めるとあったのだからと、こう言って突っぱねている、あなたが何ぼ言おうと。しかも、地方制度調査会自身は、答申をするあるいは意見を具申する、そういう権限もないんでしょう、設置法にもあるいは政令にも。しかし、選挙制度審議会の方はちゃんと意見具中、あるいは答申または意見具申について尊重義務まである。そして政令には多数決制がある。ところが、これは四十七年の十二月二十日でしたか、このときには答申じゃなしに報告として少数意見をずっと列挙しておる、こういう例もある。  私は、調査会とか審議会とか、こういういろいろな各層の意見を網羅をしてそしてその考え方を聞くという場合には、意見の違いがあってもいい、そういう意見をどんどん出してもらう、その根拠も明らかにしてもらう。そしてそれを諮問をした人に出したら、その諮問をした人がそれに基づいて自分で考え判断をする、選択をする、こういうものであって、調査会の委員公職選挙法に基づいて選挙されて出てくるわけでもないのです、あなた方の方で御都合のいい人を任命しているのですから。それでなくても、意見の相違がある場合には多数決で強引にやるということについては、大きな自治省の御都合機関だ、御用機関だという非難を受けやすいのだから、だからそういう構成をやったり運用をやっていたのでは、これは本当に国民的なコンセンサスを得るということは、私はできないと思う。  それの最大の例が、最近の例の地方議会議員の半数改選制の問題ですよ。これなんかも起草委員会に付託をされるまでの間、ほとんど——だれか一人意見を言ったんですよ、その話の。議論にならずに、そして起草原案の中にそれが含まれてくる。それで大問題になって激論になったわけですよ。だから、これは国民的コンセンサスを得ていないことははっきりしている。御承知のように、県議会や、あるいは各地方議会で多くの反対の意見書がずっと出ているわけでしょう。ちなみに、ひとつどういう状況で自治省の方に反対の意見、それに地方議会での状況を把握されているか、御報告をしていただきたい。簡単にひとつできるだけ、時間がもう過ぎていますから。
  158. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 半数改選に関する答申につきましての地方団体からの反対意見というのは、御指摘のように相当数参ってきております。私の手元に十月二十日現在の数字がございますが、都道府県段階で三十四件、指定市で六件、市町村で八百三十七件、その他十九件、全体で八百九十六件参っております。
  159. 神谷信之助

    神谷信之助君 本来ならこの調査会の政令、これによれば、必要に応じて特別委員会の設置もできるようになっていますね。あるいは臨時の調査委員を置くこともできる。まさに地方議会の選挙制度というのは地方自治の根幹にかかわる問題です。そういう措置までして十分に慎重に方針を決めるならいざ知らず、六団体を初め国会議員、野党側の国会議員が全部反対をしている状況の中で強引に多数で決める、こういうことがやられておって本当にスムーズに円滑な地方制度の前進を図ることができるか。私は委員会に出ておりますから非常にこのことを痛感をします。  そこで大臣、こういう点、いよいよ任期改選のときです。確かに衆議院の選挙がありますから、その改選後に恐らく考えなきゃならぬと思いますが、いま私がいろいろ問題を指摘しましたが、地方制度調査会は総理府の所管の調査会なんだけれども、ところが、大蔵次官というのは調査会の委員だけれども一回も出てこない。最後の答申を出す最後のところでひょこっと意見を言うて、それも言うただけで帰る、これが委員ですよ。私はああいうのもけしからぬと思うのです。もう常に問題になっている。大蔵次官として調査会の委員になることが義務づけられているのですから、調査会の委員として調査会に出席をして、そして審議に参加するのは当然の職責なんです。多忙だから出てこれないときがあっても、とにかく最後の答申を出す最後の採決のときだけひょこっと出てきて意見だけ言ってすっと帰る、こんなけしからぬことはない。何でそうなるかというたら、自治省が実際の事務を扱っている、こうなる。総理大臣の諮問に答える総理府所管の調査会だけれども、こんなことはもう消えちゃう。そういうような自治省の御用機関だというように言われるようなまた委員構成になっている。忌憚なく言わしてもらうと、大体そういうようになっている。私はいままでの委員の人が、それぞれ個々の人はすぐれた方々もおられるだろうと思いますよ。しかし、地方制度調査会の委員として本当に適当か、ふさわしいのかどうか、それ以外の人はないのか、最もふさわしい人かどうか、そう考えたら大いに疑問がある。  こういう問題と多数決制という運営の問題、これらを含めて意見を申し上げましたが、これらについて大臣のひとつ見解をお聞きしたいということと、もう一つは答申がありました地方議員の半数改選制ですね。これは非常に大きな反対が起こっている。いまお聞きのとおりであります。したがって、私はこれは慎重に検討をし、国民的な合意を得る必要がある。しかもそれは地方政治の根幹にかかわる問題ですから、十分検討する必要があると思うんですが、これらについてのひとつ見解をお伺いしておきたいと思います。
  160. 天野公義

    国務大臣天野公義君) ただいまいろいろなお話を承ったわけでございますが、地方制度調査会の委員をお願いするに当たりましては、今後ともりっぱな方で地方制度に貢献できるような方を選んでまいりたいと思っている次第でございます。  半数改選の問題につきましては、これは地方制度の根幹にかかわる重要な問題でございますし、反対もたくさんあるわけでございます。したがいまして、答申の線を慎重に検討を重ねて、そして結論を出していきたいと考えております。
  161. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう時間が過ぎておりますので、実は地方税源の問題、それから特にきょうは建設省に来てもらって高速自動車道路の問題、お伺いする予定でしたが、もう時間をオーバーしましたので、えらい申しわけございませんが、次回の委員会に譲らしていただいて私の質問を終わらせていただきます。
  162. 市川房枝

    ○市川房枝君 私は、自治大臣及び建設省の当局に対して次の二つについて伺いたいと思います。  一つは、自治大臣の所管事項であります選挙の施行について、いま一つは、建築基準法の改正に関連して地方の公共団体が現在実施しておりまする日照権についての指導要綱及び条例はどうなるのかということをお伺いいたします。  そこで、まず選挙についてでございますが、衆議院の選挙はもう約一カ月半の後に迫っております。関係者の方々はすでにその準備で大変なようでありますが、この選挙について私が一番心配しておりますのは、また今度、四十九年の参議院選挙と同様に莫大な金が投入される、いわゆる金権選挙となるのじゃないのか、本当によい議員が選出され、よい政党が政権を担当してくれるということになるのかどうかという点であります。大臣に伺いたいのは、今度も金権選挙となるかどうかという大臣のお見通しを伺いたい。
  163. 天野公義

    国務大臣天野公義君) この前の参議院選挙のときに金権選挙というものが非常に批判をされましたし、また、金のかかる選挙活動もしくは日常の選挙活動ということがいわばロッキード事件というような問題にもあらわれてきているものだと、かように考えているわけでございます。したがいまして、日常の選挙活動といいますか、事前活動といいますか、それも含めまして、選挙というものがきれいで明るい選挙になってもらいたいものであるということを心から希望をいたしている次第でございます。  したがいまして、政治資金規正法改正されたわけでございますし、また、選挙法改正されたわけでございます。まあこの線にのっとって明るいきれいな選挙が実現できまするように一生懸命努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
  164. 市川房枝

    ○市川房枝君 選挙に使われる金といいますと三種類ございますね。すなわち国の費用、国費、それから候補者自身が出す費用、それから政党及び政治団体と、三種類あると思いますが、この中で一般国民が直接に関係のありますのは税金である国費、それが選挙にどれくらい使われるのか、こういうことだと思います。国費は公営の拡大によって前よりも増加したと思うのですが、その今度の選挙に関しての国費の総額、それからこれを候補者一人ずつとして考えたら、これは予想で結構でございますが、どれくらいかかるのか。また、議員総数五百十一人になるわけですが、その議員一人選出するために一体国費が何ぼかかるのかということをまず伺いたいのです。
  165. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) お答え申し上げます。  選挙執行経費は総額百六十六億九千万円でございます。このほかに啓発経費といたしまして、常時啓発経費、きれいな選挙の推進経費、それから衆議院議員選挙における臨時啓発費、合わせまして十六億五千万円ございます。そこで啓発費を除きまして純粋選挙執行経費、これは選挙公営を含む経費でございますが、この百六十六億九千万円、これを候補者一人当たりで割ったらどうなるかというお尋ねでございますが、仮に候補者を九百五十人と仮定いたしまして翻りますと約一千七百六十万円ということに相なります。次に、議員一人当たりはどうかというお尋ねでございますので、議員につきましては、新定員五百十一人で割ってみますと三千二百七十万円ということに相なります。
  166. 市川房枝

    ○市川房枝君 候補者の法定選挙費用は従来の三倍ぐらいになって約一千万円だと思うのですが、その法定費用を一円でも超過すれば当選無効になるような厳しい選挙法になっているのだけれども、この法定選挙費用は一体守られるだろうかと。いままで守られていないんですが、これはばかなことを伺うということになるかもしれませんが、しかし、はっきりと公職選挙法で今度そういうふうに書かれてあるのですが、大臣はどう法定選挙費用をお考えになりますか。
  167. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 法定選挙費用を厳守して公正な明るい選挙が行われることを期待をいたしております。執行されるものと思います。(「できますか」と呼ぶ者あり)できます。私は軽くできますから……。
  168. 市川房枝

    ○市川房枝君 そうおっしゃるよりほかしようがないんだろうと思いますが……。  国費の中に、さっき御報告にちょっと出てきましたけれども、今度の衆議院選に対しての臨時啓発費というものが四億五千万円含まれている、常時啓発費は別ですが。そこで、今度の衆議院選挙に対しての啓発費、この四億五千万円はどういうふうに使われるのか。それからまた、今度の選挙はいつもの選挙とは少し違うのだと。ロッキード問題の後を受けた選挙でございますから、いままでの啓発とは多少違う内容が含まれているかどうか、それを伺いたいと思います。事務当局で結構です。
  169. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) 今度の選挙に当たりましての啓発事業でございますが、期間の前半におきましては、改正法の趣旨とか、ルールを守ってきれいな選挙を行おうということの呼びかけを中心といたします。それから期間の後半におきましては、選挙国民の政治参加の最大の機会であるということを訴えまして、一人でも多くの方々の投票参加を呼びかけるということを中心に置きまして行ってまいりたいと考えております。その公報の媒体といたしましてはテレビ、ラジオ、新聞、雑誌等を使いますし、また中央における運動、それから地方における運動、これを総合的に展開していきたいと考えております。
  170. 市川房枝

    ○市川房枝君 まあその運動の内容についていろいろありますけれども、時間がありませんからそれは省きます。  有権者を啓発する、いわゆる明るい選挙、これはさっき大臣がちょっとおっしゃいましたけれども、責任者は大臣ですね。その国民、有権者を啓発する責任を持っている大臣として、私、さっきからほかの委員の方が御質問しておられた、田中さん初め三名の逮捕、起訴者が堂々と立候補をするような、ああいうことを何と思うかと、大臣は何とお思いになるかという御質問がありましたね。それで、それに対する大臣お答えは、これはまあ私がそう聞いたのですが、それは有権者が決めるんだというようなふうに私受け取って、これは大臣答弁としては私はどうも納得ができない。啓発の責任者である大臣ならば、やっぱりそういうのは一般の社会常識から言えば望ましくない、遠慮すべきだというのが私は国民感情だと思うのだけれど、それを大臣の口からおっしゃれないというか、おっしゃらないというのか、そういう政治姿勢で一体国民啓発、何を啓発してくださるのかという疑問が起きるのですけれども、それはどうですか。
  171. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 国会議員になる方は、政治的な見識が豊かであり、節操と信念をお持ちになり、そうしてきれいなりっぱな人を選ばなければならないということはもう大前提の話でございます。で、先ほどの話に戻るわけでございますけれどもロッキード事件で逮捕、起訴をされたという方につきましては、本人の道義的責任を本人が一体どういうふうに考え、どう判断するかということが私は基本的な問題であると思います。そして、それに対して国民がどう判断するかということで、前段の問題といま申し上げた問題とよくかみ合わせて御判断を願うということではないかと思っております。
  172. 市川房枝

    ○市川房枝君 大田の御意見をお聞きしたいのです。
  173. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 大臣の意見はいま申し上げたとおりでございます。
  174. 市川房枝

    ○市川房枝君 言えないのですか。
  175. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 大臣としての意見はいま申し上げたとおりでございます。
  176. 市川房枝

    ○市川房枝君 それじゃ私は、啓発の指導者である資格はないのだと、ちょっとこう申し上げたいのですがね。  それから、啓発は有権者に対してしているのでしょう。選挙をつまり暗く汚くしているのは有権者なんだということで、さっきの終発費なんというのは目標はみんな有権者ばかりなんですよ。けれども選挙を汚くしている一方の責任者といいますか、むしろもっと大きな責任者は候補者じゃないのですか。候補者に対する啓発といいますか、働きかけというものは全然していらっしゃらない。前に自治省で一遍それをちゃんとはっきりお出しになったことがあるのですよ。たしかに篠田さんのときかな。ところがそれをどの程度おやりになったか。初めは勢いよくそれをおっしゃっていたのですけれども、おしまいには何だかどこかへ消えちゃったみたいだったのだけれども、しかし私は、やっぱりこれは、国民はそれでなければ啓発運動なんて受け付けないですよ。だから、実際お金がもったいないと私は木山は思うのだけれども、公明選挙の演説会なんてだれも聞きに来やせぬですよ。それはもう本当に選挙管理委員会の担当者の人は苦労しているのですよ。あたりまえのことなんであってね、それをそんな説教なんか聞く必要はないのだと、こういうことで、本当はこの啓発費の使い道に地方自治体では困っている。金はあるけれども、何とかうまく使ってくれませんかなんというような話を私なんかにも受けることがあるのですけれどもね。だから、全体にこの趣旨は、それは啓発費といいますが、結局は選挙で必要なことは有権者の政治意識を高めることなのであって、それは大いにやらなくちゃならぬのだけれども、しかし、いまの自治省の手による啓発運動は効果を上げていないので、金をだんだんたくさん使うようになってだんだん選挙が悪くなるみたいな結果だと私には思われるのですけれども大臣、まあさっきからの大臣の返事だとどうもこんなことを伺ったってだめかもしれないけれども、私はやっぱり明るいは選挙というものを推進される責任者とすれば、大臣自身、今度ももちろん選挙をおやりになると思うのですけれども大臣自身やっぱり選挙違反をしちゃいけないので、あるいは法定選挙費用も超過しないでちゃんと法を守ってやるという覚悟、おありになりますか。
  177. 天野公義

    国務大臣天野公義君) きれいさっぱり法定選挙費用をうんと下回りまして、明るいきれいな選挙をやってみるつもりでおります。
  178. 市川房枝

    ○市川房枝君 それなら大変結構ですけれども、しかし、それだけで、お言葉だけでは信用できないので、私ども、それじゃ大田の選挙は東京ですから、少しちゃんと見張ります。  さて、選挙の済んだ後、各候補者は選管に対して選挙費用の収支報告をすることになっており、その収支報告の大要はその府県の広報で一般の有権者に知らせることになっているのですが、ところが、その発表の仕方も私ども一般の国民は見てもわからないみたいだし、いわんや各県の広報というのはそんなに見やしないのですよ、一般は。だから、まあ公表したということにはなっていても、だからもっとこれを国民に知らせるということをしてほしいのですけれども、その一つとして自治省は、それこそ全国の各府県別というか、各選挙区で行われる候補者の選挙費用、収支報告を全部まとめて、そしてこれを印刷してほしい。前に私、自治省に伺ったときに、各県の広報、それは当然私は自治省でお集めになっているというか、各県からは当然自治省に報告があってしかるべきだというので伺ったら、自治省はそれを集めていない、そういう義務はないのだと、権利もないといいますか、ということで、ないとおっしゃるのですよ。けれどもまあその後担当の事務官の方が、やっぱりそれは自治省としてはそういうものは集めておくべきだということで、何かこのごろはお集めになっているらしいのですけれども、私は集めておくだけでなく、それを印刷して——予算がなかったらそれを売ったらいいんですよ、ほしい人にちゃんと実費で売ったらいいと思うのですが。これはイギリスの選挙ではちゃんとそれをやっているのですよ、前から。私はそれをイギリスで買ってきたといいますか、持っておるのですけれども。これは全候補者に対しての収支の報告書を、そんなに細かいものでなくてもいいのですけれどもね。そういうものが出てくると、私は有権者もあるいは一般も、選挙と金、単なる金権選挙とか何かいうのでなくて、具体的にどういうふうに金が幾ら、だれはどうなんだということがわかるから、それは啓発の方から言っても非常に大きな具体的な私はケースになると思う。今度の衆議院の選挙も、初めて何かそういうものをつくっていただけませんか。
  179. 佐藤順一

    政府委員(佐藤順一君) ただいま御指摘のありましたとおり、選挙運動費用の収支報告、その公表措置は県段階でいたしております。と申しますのは、衆議院議員の総選挙は、これはすべて立候補からそのすべての選挙手続、これが県段階で行われるわけでございます。そして、選挙運動費用の制限額につきましても県段階で計算をして発表するということで、そこで、選挙の終わった後の収支報告の公表も県段階でやる、こういうたてまえにいたしております。もちろん公表は県の広報への公表だけではなく、届け出を受理いたしましてから向こう三年間は一般住民の方が閲覧をできるような状態になっているわけでございます。こういう公表とそれから閲覧可能と、こういうことをもって現在の制度といたしましては満足すべきものというたてまえをすでにとられて今日に至っているわけでございまして、これをさらにどうするかということにつきましては、多分にやはりたてまえ論、立法論の問題にもなってくるわけでございます。私どもは、一般の方の知り得る状態に置くとすればこれをもって足れりとするのではないかという考え方をとっておりますので、ただいま最後に御意見ありましたことではございますけれども、現在のところ、そういったものを印刷するとか頒布するというようなことは考えておらないところでございます。
  180. 市川房枝

    ○市川房枝君 大臣、どうですか。
  181. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 御意見として承っておきます。
  182. 市川房枝

    ○市川房枝君 私の時間があとちょっとしかないのですが、いまのお話にもいろいろ意見があるのですけれども、別な機会に譲りまして、第二番目の問題を簡単にちょっとだけ、まあ建設省にもおいでいただいておるのですが、それは省いて自治省だけに対してちょっと伺います。  自治省は、いままで建築基準法の中の特に日照権の問題で、各自治体が、住民運動の結果、いわゆる指導要綱というもので建築の制限をある程度したり、あるいは条例として実施しているところもあるわけですが、それは相当の数に上っている私どもの方の調査がありますが、今度の建築基準法の改正、いま参議院で審議中なんですけれども、日照権についてはむしろ改悪になるのだ、商業地帯あるいは工業地帯においては日照権は全然なくてよろしいということになるようなのですが、そうすると、現在地方自治体にある指導要綱とかあるいは条例というものは一体どうなるのか、自治省はそれをどういうふうにいままでも指導をしてき、今後どういうふうに御指導になろうというのか、それを伺いたい。
  183. 山本悟

    政府委員(山本悟君) ただいまの御質問の日照権に関します指導要綱なり条例、相当数のところでそういうものができていることは承知をいたしておるところでございます。ただ御案内のとおり、日照権の問題によりまして、建築につきまして一定の条件があればだめとか、あるいはそういうような条件になってまいりますと、やはり一極の行政専務というような、住民の権利義務にも関係してまいるわけでございますので、そういうような点から申し上げますと、必ずしも指導要綱によるということが適当かどうか、われわれとしても法律論としては多少問題に思います。まあ、そういう意味から申せば、条例ということが非常にはっきりする問題だと存じます。ただ、これがやはり建築基準法というようなものに、法律に明定のない状況のもとにおきましては、ただいまのように条例がどういうかっこうで入り得るかというものがございましたし、その意味におきまして、従来その条例によってそういうことが行われたということにはそれなりの合理性があったと思うわけでございますが、法律によりまして日照権が基準法として取り上げられまして、一定の条件でこういう場合にはこうということが具体に規定をされ、かつその場合に、今度の改正案を拝見させていただきますと、条例でかえ得る限度というのが規定をされているようでございます。そういう状況になりますと、やはりその限度に応じた条例でなければ、御案内のとおり、一般的に地方団体は条例ができますけれども、これはあくまで地方自治法の十四条によりましても、「法令に違反しない限りにおいて」と、こういうことでございますので、今度の改正法がもし通りました暁におきましては、それと抵触するということになりますと、その抵触した範囲におきましての条例としてはやはり効力がなくなってくる、こう申さざるを得なくなるだろう、かように存じます。
  184. 市川房枝

    ○市川房枝君 そういうとき、地方自治体に対する指導ですね、こうなったから自治体の条例をいけないとかおかしいとか変えろとかやめろとかという、そういう指導をなさいますか。
  185. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 法令に違反をした状況にあります条例ということになってまいりますと、これはまあ当然建築ができるかできないかということに係ってまいりますれば、国民住民なりといたしましては、権利の制限の問題になりますから、当然争訟というような問題が起こり得る可能性がございます。そういうような意味で聞かれますれば、やはり法令には適合した条例でなければ困るということは申さざるを得ないと思います。  ただ、具体にどういう条例がどういうかっこうであるということは、何と申しましても建築基準関係は、これは一種の機関委任事務といたしまして所管省庁としての建設省があることでございますので、そちらの方からも十分の指導なり助言というようなことが行われ得ると、かように存じます。
  186. 市川房枝

    ○市川房枝君 建築基準法そのものが、まあ私、自分で直接日照権の問題で隣の問題があって、実際の経験を持っているのですけれども、今度の建築基準法だってそうだと思うのですが、建て主の保護だけであって、周囲の住民のことは何にも考えちゃいない。だから、建て主に常識があればこれは多少は近所の迷惑というものを考えてくれますけれども、私どもの対象だったのなんかは、自分の金で自分の地所に建築確認がおりているのに何を文句言うのかということで、全然取り合わないといいますか、それで周囲の日照権初めいろんな点でずいぶん迷惑を受けておるのですが、いわゆる地方自治の本旨から言えば、私はやっぱり地方住民の環境といいますか、生活というものが大事であって、だからそういう一つのいまの条例とか指導要綱のようなのはそれこそ地方住民の間からいわゆる起こってきたものなんであって、だからそういうものはむしろ重んじるといいましょうか、国の方で法律つくったから、それで違反だからだめだなんていうふうに押さえつけるということは、私はそれはもっと根本的ないろいろな議論がありますけれども、一応納得ができないと、こういうことなので、これはまあいまの法律が通ってしまえばしようがないのかもしれないけれども、しかし、住民の方としては、そういう住民自身の権利が侵害されれば私はそれに対する反対の住民運動はもっと起こってくると思うのですよ。だから、そういうことに対して一体どう対処するかということは、これはまあ建設省の問題かもしれないけれども地方自治体の問題とすれば、やはり自治省住民の側に立って、地方自治体の側に立って考えていただきたいのだということだけ申し上げて、私の一質問を終わります。ありがとうございました。
  187. 上田稔

    委員長上田稔君) 本日の調査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時三分散会      ——————————