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神谷信之助君 だれから見てもその道の練達の士であるという人を選びたいということですね、これからは。いままでのところを見ますと、本当にわれわれは問題だと思うのですね。名古屋商工会議所副会頭、いいですか、これは岡谷鋼機社長でしょう。それから
日本航空開発株式会社の社長は
日本鋼管常務、日航専務、同会長ですよ。あるいは、まあ挙げたら切りがないですね、
日本商工会議所の会頭は富士製鉄の社長、新日鉄会長ですね。こういう
方々と、そのほかありますよ、数人ですね。それについて三谷さんがいろいろこの間
質問をすると、いろんな苦しい
答弁をなさっているんですよ。「「
地方制度に関し学識経験のある者」というのは、
地方自治体に勤務の経験のある者も経験のある者でございましょうし、
地方自治に
関係のある学問を専攻される学者も学識のある者でございましょうが、同町に広い常識を持ちまして、広い視野から物事を
判断できる人格すぐれた方であればこの基準に入るという
考え方でございます。」と、こう言っています。いま言いました広い常識を持ちまして、広い視野から物事が
判断できる人格すぐれた方、これがいわゆる財界の
人たちを選んだ基準になる、林さんの説明は。おかしな話でね、私はそういう人生経験豊かな方というのは何も財界の代表、財界の出身だけに限らないと思います。文化人にもあるいはすぐれた芸術家の中にもおられるでしょうし、あるいは学者の中でも、
地方制度に
関係なくて理工系の学者の中にも非常にすぐれた人もおられるし、人生経験の豊かな人もおられるでしょうから。あるいはそういう名前の知れない、そんな著名な人でなくても、一億一千万の
国民の中には人生経験豊かなしかもまたすぐれた人格の持ち主はたくさんある。それがそういう範疇で財界の代表が数人出ている。これはどう
考えたって、何というか、説明がつかぬわけですよ。
そこで、いま、だれが見てもその道にすぐれた方だというようにおっしゃいましたから、そういう点で少し私の意見も申し上げておきたいと思うのですが、こういう
地方制度というのは、特に最近は御
承知のように
住民運動もうんと広がってきて、そして
住民の要求も多岐にわたってきております。来年は
地方自治制度三十周年を迎える年なんです。それだけにこの
地方自治についての
国民的な理解や
関心も高まってきている。ですから、これからの
地方制度をどうさらに一層発展をさせるかということを議論をする。したがって、それにふさわしい構成を
考えなきゃならぬ。それには私はいろいろな
立場の、あるいはいろいろな意見の持ち主がおられると思いますが、できるだけこれを広く吸収できるようにするということがひとつ望ましいのではないかと思うのです。たとえば国会
議員の場合でも、
議員の数に比例をして各党の代表が国会
議員の
立場からこの
委員会に参加をしているように、いろいろな意見の相違も含めましていろんな
立場の人が参加をできるようにする必要があるだろう。たとえば
地方制度に関していろいろな研究機関もあります。都政
調査会とか、それから
自治体問題研究所もあります。あるいは市政
調査会もある。
地方自治研究所もある。あるいは都市問題研究会、そのほかにもありますが、こういったいろいろな専門的な
組織で常々と都市問題や
自治体、
地方自治問題、あるいは
地方制度問題を研究している団体もある。こういうところにも、これらの
地方制度はどうあるべきかということについて議論を闘わせるにふさわしい
方々もたくさんおられる。
それからまた、
地方制度を担っていくのは多くの
地域住民が
基礎でありますが、
自治体首長、それから議会、と同時にそこで働く
自治体労働者というのも非常に大きな役割りを果たしているわけです。この労働組合
組織である
自治労も、
地方自治研究集会を毎年のように持って
自治制度について全国の職場の経験をもとにして討論をしてきておる。したがってこういう
人たちの代表も当然加えて、そしていろいろな広範な意見がこの
調査会に結集をされて、そして議論を闘わせる、こういうことが一番望ましいのじゃないかと、こういうように思うのですね。
こう見ますと、たとえば官僚、こういう経験者も、大体昔の内務省官僚、あるいは戦前は特高の指導に当たった警保局長の経験者もおられますね。そういうような人まで含めて官僚経験者というのは約八名から九名、一番多いグループをつくっていますよね。こういうのを見ますと、どうも
委員の選考が、
自治省といいますか、あるいは
政府にとって都合のいい人を選んでいる。
自治省の意見や
政府の意見に反対の者は選ばない。これは
調査会の総会を見ましてもそうです。主として反対の意見が多く出るのは国会
議員の野党側の
委員である。あとは、一般的な
質問のときには反対的な意見が出ますけれ
ども、いざ採決といったら皆賛成です。
自治省から言えば賛成に態度を変えています。そういうことでは本当に
地方制度の
改革について、あるいは展望について正しく討論をし、そしてその方向を見つけるということにはならない。この点ひとつ強調しておきたいと思うのです。
次に運営の問題ですが、そういう
立場の、あるいはいろいろな意見の違う人も、
立場が違えば意見も違うのはあたりまえですから、それが集まって議論をする。そこでは討議を通じて、あるいは事実に基づいて一致点を求めるのは当然のことだと思うのです。一致点を求めるために議論を尽くす必要があるわけです。しかし、一致をしない部分も予想されますから、その場合は私はそういう一致をしない部分についても併記をして、そしてそれらの幾つかの意見について、総理に答申という形をとっておりますが、まあ答申をして、そしてその中からどの意見を選択をするかというのはこれは総理の責任である、こういうように私はすべきだと思うのです。ただ多数決で
一つの意見にまとめてしまわないといかぬ。答申を多数決で
一つの意見にまとめることが一体どんな値打ちがあるのか。その答申が総理
大臣の
方針を拘束することができないのはあたりまえじゃないですか。やるかやらないかという選択権は総理が持っている。だとするならば、その答申の中に一致する部分はこれだけ、しかし現在の段階で一致しない部分はこれとこれとこういう意見ですと。選択はこれは政治の責任、国政の責任を持つ総理が選択をする、こういうことでなければ私は
意味がないと思うのですが、ところが
自治省のつくっている政令では、過半数で決める、そして可否同数のときは会長が決める、こういう多数決で行うことを決めている。ですから、総会でいろいろ議論があって、少数意見も併記すべきだという点を主張しますと、会長は、そういう意見もあるけれ
ども、これは政令でそうなっている、多数決で決めると、こう言って突っぱねる。これが現在の運営の状況であります。この点について、この政令を
調査会の性格からしても私は変える必要があると思うのだけれ
ども、
自治省の
見解はいかがですか。