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1976-10-12 第78回国会 参議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十二日(火曜日)    午前十時三十八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         上田  稔君     理 事                 安孫子藤吉君                 金井 元彦君                 小山 一平君                 神谷信之助君     委 員                 井上 吉夫君                 夏目 忠雄君                 安田 隆明君                 秋山 長造君                 野口 忠夫君                 山崎  昇君                 阿部 憲一君                 多田 省吾君                 市川 房枝君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    天野 公義君    政府委員        警察庁長官官房        長        鈴木 貞敏君        自治大臣官房長  近藤 隆之君        自治省行政局長  山本  悟君        自治省財政局長  首藤  堯君        自治省税務局長  森岡  敞君        消防庁長官    林  忠雄君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        国土庁長官官房        災害対策室長   山本 重三君        自治省行政局公        務員部長     植弘 親民君        自治省行政局公        務員部福利課長  桑名 靖典君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査  (地方行財政に関する件)  (消防に関する件)  (警察に関する件)     —————————————
  2. 上田稔

    委員長上田稔君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方行政改革に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 山崎昇

    山崎昇君 最初に、大臣から二、三の見通しについてお聞きをしたいと思いますが、第一は、もうすでに、国の予算もそうでありますし、地方財政計画もそうでありますが、でき上がりましてから半年を経過しているわけですが、当初予算等政府から説明ありました五十五年までの中期計画というのが修正する必要があるのかないのか、あのとおり考えていいのかどうか。これは自治大臣でありますから、本当は国の経済等については大蔵大臣等に聞くのが筋だとは思っておりますけれども地方財政との関連もありますし、また、あなたは閣僚の一人でもありますからお聞きをするわけでありますが、第一に、この見通しがほとんど変わりないのかどうか、まずお聞きをしたいと思います。
  4. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 中期計画につきましての御質問でございますが、実は明年度におけるわが国の経済見通しや、国、地方を通ずる税制改正問題等、現段階ではまだ見通しの困難な段階にあるわけでございます。したがいまして、明年どうなるかということはまだ的確には判定できないわけでございまして、現在のところは中期計画の線に沿っていくということには間違いないわけでございますが、そのとおりいっているかどうかということにはまだ疑問があるわけでございます。
  5. 山崎昇

    山崎昇君 それはしかし大臣、おかしいじゃないですか。民間だって九月期決算がもう終わっているんですよ。それから政府予算編成の順序からいけば、八月中ぐらいに概算要求を出して、すでにもう大蔵省では実務的には査定の段階に入っているようです、もちろん閣議決定するのは十二月でしょうけれども。そういう意味からいけば、ある程度の見通しがなければおかしいと思うんですよ。いまになってまだ見通しが困難でありますとかどうでありますとかということは答弁にならない。ですから、私は細かなことを聞くわけではありませんが、当初予算であなた方が言ったような見通しが、いまの段階としてそのとおりで行かざるを得ないと思っているのか、多少修正しなきゃならぬと思っているのか、その点ぐらいの見通しがなければ、あなた方どうやって予算編成をするんですか。そういう意味で再度これは聞いておきたい。
  6. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 九月決算の結果がわかりますのが大体十二月でございます。そして現在のところは大体の線で行っているわけでございますけれども、来年度について的確な見通しが困難であるということでございます。
  7. 山崎昇

    山崎昇君 私は一銭一厘間違いなくあなたに述べよなんて言っているんじゃないんです。もちろん的確なという言葉はありましたけれども、ある程度のやっぱり閣僚としての見通しがなければならぬのじゃないでしょうか。そしてその上に立って、まあ新聞報道を見ればいろんなことが報道されるものだから、あなただってある程度の見通しがあっていろんなことをしゃべって新聞報道等があるんでしょうから、しかし国会の場になると見通しがないとか困難でありますとかという答弁だけでは、それは筋道が通らぬと思いますよ。ですから、あなたの見解でもいい、そんな細かなこと京で私聞こうと思っているわけではありません。しかし、少なくとも最近は、経済で言うならば多少不況の脱出が明るい見通しだとか、あるいは雇用にいたしましても失業が減りつつあるとか、いろんなことを述べられているわけでしょう。そういう意味で言うならば、やっぱり自治大臣としても、地方財政責任者ですから当然それらについての見解がなければおかしいと思うんです。重ねてこれは聞いておきます。
  8. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 基本的には経済も順調に回復基調になってきておりますし、それからまた、地方財政の動きについても大体順調にまいっているという前提の上に立って的確な御判断ということを御質問されますと、先ほど申し上げましたように、来年度はこうこうこうなるということはちょっといまのところは申し上げにくい段階ではございますけれども大筋においては大筋の上を歩いておりまして、現段階では補正を組むという必要もございませんし、あるいは若干の要件が出てきた場合におきましても予備費等で処理できるというような見通しに立っているという段階でございます。
  9. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると大臣あれですか、いまの段階では、当初あなた方が見込んだ線は、変更するいまの要素もないしまた考えとしてもそういうことはない、したがって、多少の起伏はあるでしょうけれども、当初見込んだ路線に従って進んでいきたいんだと、こういうことになりますか。その点は、地方財政計画についても大体そういう筋道になりますか。そうすると、あなた方が当初見ました中期収支計画も、大体五十二年度はいまの段階で見るならばあの方向で行かざるを得ないんだと、こういうことになりますか。
  10. 天野公義

    国務大臣天野公義君) おおむねおっしゃるとおりでございます。
  11. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、九月期決算は十二月でなければ的確なことはわからぬとあなたはこう言うのだが、これから自治省地方財政計画なり地方債計画なり、ある程度見通しを立てていまから準備されると。そういう意味で言うならば五十二年度予算関連をしてまいりますが、いまの段階でどの程度のことを考えられておるのか、いまの段階での考え方をひとつ聞いておきたい。
  12. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) ただいまのところは、大臣申し上げましたとおりに、おおむね当初計画に見積もりました線を順調に歩いているのではないかと考えております。九月におきます、これは都道府県だけでございますが、補正予算等状況を見させていただきますと、去年の決算見込みに対しまして、たとえば税収入あたりは一三%ぐらいの伸びを見込んでいらっしゃるようでございます。もちろん九月の会社の決算の結果は、大臣申し上げましたように十二月の初めごろにならぬとはっきりいたしませんので、最終的にどんなかっこうになるのか的確なことは申し上げかねますが、おおむね順調であると。したがいまして、明年度、五十二年度の収支不足等の問題につきましては、ほぼ九月決算等が明確になります時期、つまり十一月の末か十二月の初め、そのくらいになりますと、あの中期計画ごらんをいただきました一兆九千という財源措置所要額、これがどのくらいのものになってくるか詰まってくるだろうと思います。そういう状況でいま検討中でございます。
  13. 山崎昇

    山崎昇君 いま財政局長から答弁ありましたが、いまの段階で五十年度決算見込み府県の話が出ました。税収でも一三%ぐらい補正予算の模様を見れば伸びそうだと、こういう話だった。そうするとあわせて、一体市町村ではどういう状況になっておると把握されておるのか、市町村段階説明をひとつお願いしたい。
  14. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 市町村の九月補正状況はまだ残念ながら私ども手元で取りまとめるに至っておりませんが、一般的に県の地方課等を通じて事情を聞いております状況では、これも地域的な問題はございますがおおむね順調に推移をいたしておりまして、むしろ税収等府県よりは若干上向きぐらいになるのではなかろうかと、こういうように感じております。
  15. 山崎昇

    山崎昇君 それからあわせてお聞きしたいのは、五十一年度の地方交付税について、先ほど多少経済状況が明るい要素に向かっているというお話もありました。そういう意味で言うならば、私どもいろいろ聞いてみますというと、地方税も、その根拠になります国税三税も多少伸びていくのではないだろうか。したがって、当初に組んだあの交付税を少し上回るのではないかという話も聞いておりますが、その点がもし明確ならば、いまの段階におきます増収の状況等についてお聞きをしたいと思う。
  16. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 御指摘のとおりの状況でございまして、五十年度分の地方交付税精算額、これも若干出てくると思います。いまの計算では約六百億見当、五百九十数億になろうかと思いますが、こういったものが見込まれますので、これは五十二年度の交付税に加算をしていただくつもりで準備をしております。それからことし五十一年度分の交付税見通しでございますが、これは国の方の所得税伸びがどうなるか、これが非常に大きな要素になりますが、これが順調に伸びますならば若干の精算増が出ようかと思います。ただ所得税次第で、現在のところは的確な見通しは立てておりません。
  17. 山崎昇

    山崎昇君 いま大体国並びに地方大筋の現状なり見込みについてお聞きをしたわけですが、そこで、先般の予算委員会でもかなり議論になりました交付税率引き上げについてお尋ねをしておきたいと思いますが、これは予算委員会でもわが党の森中委員から、六条の三の第二項についてはすでに有権解釈としてはもう確立されておる、したがって、三木総理答弁その他等を入れましても、この六条の三の第二項というものを一体法律どおり守るのかどうかがもう焦点であると、こういう質問になったと私は聞いているわけなんですが、この点について自治大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  18. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、現段階では来年度の地方財政状況を的確に推定をするということは困難であることを申し上げたわけでございますけれども、しかしながら、来年度はやはり相当の財源不足が生ずるということはどうしても否めない事実となってくるのではないかというふうに思います。そうした場合に、地方交付税法の第六条の三の第二項の要件を満たすような場合が出てくるということになりました場合には、これはやっぱりわれわれは相当の決意をしなければならないということではございまして、そういう場合には、必要と認める場合には、地方交付税率引き上げも含めまして地方財政につきまして万全の措置を講じていきたいと考えているわけでございます。
  19. 山崎昇

    山崎昇君 先ほど大臣にも、それから財政局長にもお尋ねしたのだけれども、もちろんいまの段階で的確には述べられないとしても、大筋としては、当初予算当時あなた方が述べました中期計画なり中期収支計画に沿っていかざるを得ないと、こう言う。そうすると、来年もまた、あなた方の計画で言えば、五十二年度で一兆二千億円ぐらい、五十三年度で約一兆四千億円ぐらいの財政赤字になることはもう予定されているわけです。そうすると、仮に多少の経済伸びがあって所得税等変更があったとしても、これがまるまる埋まるなんということはあり得ないわけです。多少の増減はあったとしても、来年もまた当初から赤字であることはもう間違いがない。そういうことになれば、もはやこの六条の三の二項というものは発動する以外にないのじゃないでしょうか。必要があればなんというのは詭弁じゃないでしょうか、そんなのは。いままで有権解釈としては、大体「引き続き」というのですから二年になる、「著しく」というのは大体一〇%ぐらというのがあなた方見解であり、国会でもそうかなあという意思になっている。あと残されておるのは何かと言ったら、行政制度の多少の改革をする道が残される。もう一つは、交付税率引き上げるという道しかない。そうなれば、当然来年度に向けてはこの六条の三の二項というのは発動する以外にないのじゃないでしょうか。これが自治省の任務であり、そしてあなた方の決意でなければならぬと思うのです。重ねて自治大臣見解を聞いておきます。
  20. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 六条の三第二項に該当するのではないかというおそれが非常に強いわけでございます。そうした場合には、やはり先ほど申し上げましたように、必要と認める場合には、この交付税率引き上げを含めて万全の措置を講じていきたいというつもりで腹づもりをいたしているような次第でございます。
  21. 山崎昇

    山崎昇君 必要と認める場合って、どこにありますか、そんなものは。法律上の要件じゃないじゃないですか、そんなものは。法律上の要件というのは明確じゃないですか、ここにあるのは。「地方財政若しくは地方行政に係る制度改正又は第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」ということであって、行政ベース判断材料なんてありませんよ、ここに要件として載っているのは。自治大臣が必要と認める、認めないなんという問題じゃないですよ、これは。だから、予算委員会でも、有権解釈はもう行政ベース国会も確定しているのではないか、六条を発動するかどうかだということに議論はなっているのじゃないですか。あなたが必要であるとかないとかなんという判断のは材料ない。幅はない、もうそんなものは。当然これは六条の三の二項というのはやらなければならない。ただその場合に、あなた方がもし幅を選ぶとすれば、行政制度改革というものも一つある、「又は」ですからね。どっちをあなた方が選ぼうとするのか、どっちも両方やるというのか。もうそれしか選択はないのじゃないですか。ですから、問題はもう自治大臣の決断にかかってきている、こう私ども判断するのですよ。重ねてあなたの見解を聞きたい。
  22. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 御説のとおりでございまして、明年度赤字が見込まれ、明後年度赤字が見込まれる、こういう事態は六条の三の第二項に該当する、私どもはそう思っております。いま御指摘いただきましたように、そういう場合には行財政制度改正または交付税率引き上げ、こうでございますから、私どもとしてはぜひ両方を併用したい、できるだけやはり税制改正そのほかのものも含みまして地方自主財源を増強していきたい、それで不足な分については交付税率等引き上げも含めて完全な措置をしていきたい、こういう願望でおるわけでございます。中期計画でもうごらんのとおりに、こういった事態は、国、地方を通じて非常に多額の財源不足になっておりますので、制度的な面で必ずしも一挙に全部解決するかどうか、この点についてはいろいろ問題があろうかと思うわけでありますが、長期的な見通しに立ちながら、いま申し上げましたように、行財政制度改正、それから交付税率引き上げ、こういうものもあわせ含めて措置をしていきたい。そういう意味大臣も、必要があればと、こう申し上げたのだと解釈をいたしております。
  23. 山崎昇

    山崎昇君 重ねてお聞きしますが、必要があればではないのです、これは。法の趣旨は、あなた方に必要があるか、ないかなんということの選択を許しているような規定じゃないですよ。やらなければならぬのは、もう引き続いて赤字であることはいまあなたが述べた。それから、したがってこの六条の三の二項を発動しなければならぬということもいまあなたは述べた。じゃ、六条の三の二項を発動する場合にどういうものがあるかと言えば、いまあなたの言うように、行政制度改革もあるでしょう。交付税率引き上げも、「又は」ですから両方の場合もあるでしょう。  それなら重ねて聞きます。大臣、あなたに聞きますが、一体行財政制度改正というのはどういうものをあなたは描くのですか。自治大臣として当然、こういう事態に来ているのですから、どういうものということを——それはそのままいくか、いかないかはありますよ。政治情勢もありますよ。少なくともあなたの見解としてはどういうものを制度としては考えるのか、この場で明らかにしていただきたい。
  24. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 税制改正であるとか、負担区分の問題であるとか、いろいろな問題が考えられます。なお、基本的には、地方財政のあり方につきまして現在地方制度調査会において御審議を願っておるところでございまして、その意見等も勘案してまいりたいと思っております。
  25. 山崎昇

    山崎昇君 そんな悠長な時代じゃないのじゃないですか、あなた。もうすでに五十二年度予算編成は目の前ですよ。仮に九月期決算が十一月の末ぐらいでなければわからぬとしても、あと一月ですよ。さらに、法の趣旨から言って、当然自治大臣としては、行財政制度をやるというなら、具体的にたとえば財政制度ならどうする、行政制度ならどうするというある程度のあなたの考えがなければおかしいのじゃないでしょうか。単に地方制度調査会がどうしておりますとか、あるいは項目別超過負担がどうでございますとか、そんなことはもうわかり切っている。後でこれは聞きますがね、少なくともあなたの考え方として、どういう内容でどうしていくかということぐらいは、私はそれができない場合もあるでしょう。そのままいく場合もあるでしょうから、その点は何も政治的に後でどうしようという意味はありませんが、少なくともこういう国会の場で自治大臣としての見解だけは述べておく必要があるんじゃないでしょうか。そうでなければなかなか議論がかみ合わないし、これだけ各界からいろいろなことを言われている時期に、一体国会は何しているということになる、自治省は何をしているということにもなる。そういう意味では、あなたのひとつ具体的な見解を聞かしてもらいたいと思います。
  26. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) ただいま五十二年度税財政に対します自治省主要検討事項または要望事項でございますが、まず第一に、地方税につきましては、各種方策を講じまして、あわせ用いましてこれの充実増強というものを図っていきたい。それから地方債関係につきましても、必要な資金をぜひ確保するための措置、それから民間資金等にかなり依存をしなければならぬ事態も想定されますので、そういったものの消化促進策、あるいは地方団体で共同して民間資金等確保ができますような措置を講ずる方策、こういったようなことを検討をさしていただいております。  それから行財政運営の問題につきましては、国庫負担制度等の問題に絡みまして、それにつきましては、ただいま御指摘超過負担の解消問題でありますとか、あるいは国の新規施策に対します所要財源確保問題でありますとか、各種国庫補助負担金の見直し問題であるとか、こういったようなことを考えておるわけでありまして、それにあわせまして所要地方交付税の額を確保する、こういうことを、これは率の引き上げを含めての問題でございますが、あわせ用いまして明年度財源不足に的確に対処をしていく、こういうつもりでおります。
  27. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、私は確認しておきたいと思うが、来年は六条の三の二項は発動いたしますと。中身地方行財政改革も伴うかもしれない。しかし、これだけでいま予定されております赤字が直るとは、私はどうも見通しとして暗いと思う。そういう意味で言うならば、あわせて二つやるか、どっちかになるかと考えられるのだが、つまるところは、五十二年度予算関連をしてこの六条の三の二項を発動いたします、中身はどうなるかわからぬが発動いたします、こういう確認になると思うが、いいですか、大臣。それは大臣から答えてください。
  28. 天野公義

    国務大臣天野公義君) ただいま政府委員からお答えをしたようないろいろな施策も加味し、そしてさらに交付税の問題も含めまして検討してまいりたいと思っております。
  29. 山崎昇

    山崎昇君 いや、検討でなく、いま財政局長説明やらあなたの答弁によると、六条三の二項に従ってあなた方はいろんなことを考えるというんでしょう、これに従って。だから、六条の三の二項に従ってやるということになれば、内容的には行財政制度改正交付税引き上げと、両方になるのか、片一方になるのか、いろいろこれから変化があるでしょう。あるでしょうが、問題は六条三の二項に従ってやりますということになるんでしょうと言うんですよ。いいですね、そういうふうに。
  30. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 先ほど申し上げましたように、それらを全部ひっくるめましてやっていくつもりでございます。
  31. 山崎昇

    山崎昇君 ひっくるめましてって、何をじゃひっくるめるんですか、あなた。いま聞いているのは六条三の二項の発動について私は聞いているんです。そしてあなたの方の答弁は、中身行財政制度改正も書かれております、交付税引き上げもありますと。そしてそれじゃその中身は何ですかと言ったら、いま財政局長から、地方税見通し地方債資金確保、あるいは国庫負担超過負担あるいは所要財源確保等々の説明がありました。あわせて交付税率引き上げも入ってくると、こう言うから、それならば私は確認として、六条の三の二項を発動してそれに基づいて所要改正を行うんですねと、こう私は理解をしておきたいというのです。いいですね、それで。間違いありませんね。
  32. 天野公義

    国務大臣天野公義君) それらを含めましていろいろ対処してまいりたいということでございます。
  33. 山崎昇

    山崎昇君 全くしかし、いろいろ含めましてって、何を含めるんですかね、それ以上に。しかし私は、先ほど来一連の政府側答弁で、六条の三の二項は発動になる、やり方としては二つになるのか一つになるのかいろいろある、あるけれども、これに根拠を置いて、この法律規定に基づいて自治省としては地方財政の問題を考えていきますと、こう理解しておきますから、端的に聞いておきます、いいですね。
  34. 天野公義

    国務大臣天野公義君) そのように私も御答弁を申し上げている次第でございます。
  35. 山崎昇

    山崎昇君 そこで次にお聞きをしたいのは、最近、私の手元にも持ってきておりますが、全国知事会、それから市長会、それから革新市長会、それからその他自治労もそうでありますが、地方自治問題に関連をして実務当局から見た目、そしてまた理念的な問題等も含めまして、地方行財政改革についていろんな提言がなされています。これについて自治大臣はどういうふうにされようというのか。細かな内容はきょうは聞きません。少なくともあなたの姿勢だけきょう聞いておきたい。
  36. 天野公義

    国務大臣天野公義君) いろいろな提言がなされていることはよく承知をいたしております。その中でとれるべきものはとり、検討すべきものは検討してまいりたいと思っております。
  37. 山崎昇

    山崎昇君 もちろん基本的にはそうでしょう。これはそうすると、ここに私は持ってきているだけでもこれだけあるわけですが、あなたの方にももちろん行っているでしょう。これには財政もあるし、行政もあるし、それから自治体の理念をめぐる問題もあるし、大変これ内容的には広範囲にわたる問題でありますから、きょうはやりませんが、通常国会等で私はこれは内容的に詳細にやりたいと思っている。そうすると大臣、これだけの問題にかかわる問題は、もちろんそれぞれ、その局その局で専門で検討されると思う。しかし、相互に関連をしてくる問題もあると思う。そういう意味では、主としてどこがこれの、何と言いますか、窓口と言いますか、官房になるんでしょうかね、そういう問題になってくると。あるいは政務次官のところがこれは窓口で総合的にやるというんですかね。そういう点はあなたの方の対応の仕方というのはどういう対応の仕方になってくるのでしょうか。
  38. 山本悟

    政府委員山本悟君) 御質問の点でございます。確かに自治省を見ましても各局にわたる問題でございますが、主といたしまして、御案内のとおり地方制度調査会といった政府の諮問機関におきましても同様の議論をいたしているわけでございまして、これらもそれぞれその内容等に応じまして、官房を含めまして各局と連絡をとりながら対処をいたしている次第でございますので、こういった各種提言につきましても、それぞれのところの各部局を中心にしながら最終的には官房でも取りまとめる、こういうかっこうで十分自治省といたしましては対処できると存じております。
  39. 山崎昇

    山崎昇君 そこで自治大臣の姿勢として私聞いておきたいんだが、たとえば、これは新聞報道でありますから私も必ずしもこのとおりかどうかわかりませんが、きょうの読売新聞の報道によれば、先般地方制度調査会でやられました住民の自治意識の、何と言いますか、向上の問題等を主力にしまして、地方自治の日を設けるだとか、あるいは地方議員の半数改選だとか、いろいろありました。そういうものに関連をしてあなたの談話として、何か地方制度各種改革に着手せよということで事務当局に指示をしたという記事がきょう載っています。そうすると、いま行政局長の方から、地方制度調査会の論議もあるし、あるいは各局にわたるからいろいろ提言されたものについては検討すると言うのだが、あなたのこの談話と、それから提言されておりますこういうものとどういうふうに関連をしてくるのか。いまの段階ではもらっているけれども全く無視しちゃって、中央からながめる自治制度をつくり上げようというのは、検討だけやるという意味にもとれる。その辺のことは自治大臣の姿勢の問題として私は聞いておきたい。  特に私は重要視をしなけりゃなりませんのは、全国の知事会でも市長会でもそうでありますが、第一線で現実的に行政をやっている、自治体を運営をしているその中から、経験から、あるいは理念的な面も含めまして具体的にいろんな提言がなされております。そういうものにあなた方が対応するという自治大臣の姿勢というのはこの新聞記事からは私はなかなか受け取ることができないんだが、自治大臣自治省というのは一体どういう存在なのか。こういう方々の提言を全部もちろん入れればいいけれども、そうならぬ場合もあり得るでしょう。中央から見た目もあるでしょう。しかし、自治省は何かそういうものはもうもらっただけであって、中央サイドからの自治体改革といいますか、そういうことだけに目が向いているんじゃないだろうか、そういう気がしてならないのです。そういう意味では、この新聞報道の真意と、重ねて自治大臣に、こういう具体的な提言、経験に基づくこういう提言についてどういうふうに処置されていこうというのか、改めてひとつ聞いておきたい。
  40. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 御提言の中には貴重なものもありますし、それからまた、直ちにそれを採用するというわけにもいかないようなものもあるのではないかと思っております。したがいまして、これはいろいろな問題があるわけでございまして、今後も個別の内容に応じまして関係省庁とも協議していかなければなりませんし、また、当方に関係のある問題におきましては関係部同等で詰めていってもらわなければならない面もありますし、また、審議会等にお諮りをして結論を見出していく、こういうものもあろうかと思います。
  41. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、自治大臣の姿勢としては、これから地方行財政問題等々をやる場合に、すべて実現をそれはできないかもしれぬが、あなたの基礎としては、こういう各団体から出されているものを主力にやるという、主力にですよ、中心的に検討して地方自治の確立というのを図っていくというのか。あくまでもいままでやってきたように、中央から見た目でこの地方自治体の改革というものをやろうとするのか。もちろんあなたの答弁としては、両方兼ねますとこう言えば優等生だと思う。しかし、少なくとも自治省というのは私はこういうやっぱり経験に学ぶべきじゃないだろうか、こういう提言というものは一番大事にすべきじゃないかとこう思うものだから、重ねてあなたの姿勢を聞いておきたい。
  42. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 重要な参考御意見として尊重してまいりたいと思っております。
  43. 山崎昇

    山崎昇君 それじゃ重要な参考意見とあなたは考えるというのですから、これはきょうはやりませんが、いずれ細かに私は一つ一つあなたの見解を今後問うていきたいと思いますから、事務当局にあなた答弁させずに、大臣としての見解をその際は問うていきますから、いまから準備をしておいてほしい。こういう問題についてはぜひひとつ参者というより、これは生きた教材ですから、現実に行われているんですから、その中の矛盾解決、そして自治体の確立というんですから、私は最大のこれは教材だと思っています。そういう意味では、この教材にのっとって自治体改革というものを自治大臣が進めるように、ひとつ重ねて要望しておきたいと思います。  その次に、皆さんに、というより政府にお聞きをしたいのは、先ほど経済あるいはその他の問題で、大筋は当初の考えと余り変わっていないという意味で、補正予算というものについては考えないというさっきの答弁。しかし、最近の世論でありますとか、あるいは与党の一部にも、ここまで来ればやっぱり補正予算というのは考えなきゃならぬじゃないだろうかという説もあるように私ども聞いております。特に今度の災害、冷害等の問題と絡んで、いまの予備費、あるいは第二予備費と言われました千五百億円の公共事業費ではもうどうにもならぬのではないか。あるいはまた、各自治体におきましては、いまの地方交付税ではもうどうにもならぬのではないだろうか。こういう意味等もめて、補正予算というのは具体的に考えなきゃならぬ段階にあるんじゃないかという説もかなりあるようであります。先ほど大臣からは、補正予算考えておりませんというような答弁があったんですが、しかし、そういう状態じゃないんじゃないかという気持ちを私ども持っているんですが、どうですか。重ねてこの補正予算考える余地がないかどうか。あるとすれば、大体どういうこと等を中心にしてやらなきゃならぬと思っているのか、その点ひとつ聞いておきたい。
  44. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) ただいまの地方財政を主にいたしました状況、今後の追加財政需要等の見込みでございますが、御指摘いただきましたように、まず災害復旧、これに大変なお金が要ります。それから、もう一つは追加需要としては給与改定の問題があるわけでございます。この二つが主たる需要の増加だろうと思います。  災害につきましては、ただいまのところ査定等が進んでおりますのですが、ただいまの状況ではこれを三、五、二の比率で初年度復旧をいたします国費の関係、こういったものにつきましては、例の御指摘をいただきました千五百億を活用して一般予備費を若干使用する、こういうことをもって完全な措置ができるんじゃないか、このように国庫当局は申しております。したがいましてその場合、私どもは災害の復旧ができればよろしいわけでございますから、国の方の財政措置ができますならば、その裏負担については完全に地方債をもって措置をする。この地方債は後々元利償還を交付税ベースで見てまいりますので、そういった地方債措置するということで災害復旧には対応し得ると思います。  それからまた、災害に伴いますもろもろの細かい財政需要につきましては、特別交付税を、災害分を十二月に交付をいたしますようにこの前法改正を認めていただきましたので、こういった額をもって対処をしたいと考えております。  それから、給与改定関係でございますが、これは先生御案内のように、五%はすでに先組みをして渡してございますし、それから予備費として三千億、これもすでに八月の交付税の決定の際に具体的に配分をいたしてございますので、そういった両方の財源措置をもって足りる、このように考えております。したがいまして、他に景気回復だとか何だとかという意味での公共事業の特別の増加、こういうものがない限り、補正措置は必要がない。ただいまで十分対処していける、このように考えておる次第でございます。
  45. 山崎昇

    山崎昇君 そこで大臣、本当は災害対策とか冷害は、これは農林だとかあるいは国土庁だとか、あるいは建設省だとかというところにお尋ねするのが私は筋道であろうと思っているのです。しかし、現実的に私ども町村に行ってみますというと、やっぱり町村長が頭痛はち巻きでやっておるわけでありますから、そういう意味で言うならばこれは自治大臣にもやっぱりお聞きしておかなきゃいかぬなと思っていまお尋ねするわけです。  そこで、いま財政局長から一連の財政対策等についてのお話がございまして、これだから補正予算は要らぬだろう、こういうお話なんです。しかし、御案内のとおり千五百億もの公共事業費一つをめぐりましても、やっぱり性格上災害復旧というのは困難ではないかという説もある。あるいは激甚災害をやりましたり天災融資法をやりましても、その裏負担といいますか、そういうものについては交付税だけではもうどうにもならぬ段階にあるのではないかとさえ言われておる。  特に問題は、台風等によります災害復旧の場合はもちろん災害復旧費でいいのだけれども、東北、北海道の冷害なんかの場合は災害復旧でありませんから、したがって、これは新たに事業を起こすか何かの方法をとらないことにはどうにもならない。そういう意味で言うならば、この特交だけではどうにもなりませんし、それから多少経済が好転しているから幾らか歳入が見込めるのじゃないかなんという程度のものではどうにもならないという状況にあります。そういう意味で、私ども東北、北海道を回ってみますというと、問題は、ほとんどと言っていいぐらい稲は実っていないのです。立ったままです。そうすると、この冷害という問題について、やはり自治省としても各省と相談するでしょうが、もっともっと何かの対策を講じなければ来年田植えができない。それからことしの冬をどうやって農民は生活を過ごすのだろうか。そういう意味では、各自治体はもちろん減収という問題が出てまいります。したがって、それもいま既存の特交だけでは私はなかなかいかない問題があるのじゃなかろうか。そういう点等総合して考えるというと、やっぱり時期はもちろん十二月になるか一月になるかは別にいたしまして、相当程度思い切って補正予算を組んでこの冷害なり災害対策に対処しなければ、これは大変なことになりはせぬだろうか、こう思うのですが、そういう意味で、ひとつ冷害問題と関連をしてもう一遍補正予算というものについてお考えを聞いておきたい。
  46. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) ただいま御指摘がございました冷害、大変大きな問題でございまして、これに対応いたしますために、農民に所得を与えるといった意味での問題も含めまして問題があることはよく承知をいたしております。このための処置といたしまして、まず救農土木事業等の実施が必要だという事態があるわけでありますが、この救農土木事業の実施につきましては、ただいま関係各省寄りまして、国庫負担事業として補助事業として実施をする、こういう体制で検討が進んでおりまして、被害額等が明確になり、各地域にどの程度の救農土木事業の必要性が生ずるか、これからの検討だと思いますが、恐らく実施をされるだろうと思っております。そういうことになりますれば、当然その救農土木事業に要します地方の裏負担、この分につきましては追加の必要がありますので、これも災害復旧事業と同様に地方債を充てまして、これは後々災害復旧事業並みに元利補給等の措置も講じなければならぬと思いますが、そういう地方債措置をとる必要があろうと思っております。  それから、その他の冷害等に伴いまして必要なもろもろの雑支出、これは冷害もまた災害と同様に特別交付税の配分の際に基礎を立てまして、十二月の配分の際にこれを処置をしていくという体制をぜひとりたいと思っております。要は、そういったものを全部含めまして、国の現在の予備費と千五百億の特別予備費、この範囲で賄えるかどうかというところに問題があろうかと思います。その点はちょっと私ども、国の方で必要があるない、それで足りる足りぬ、ここは申し上げかねますが、国が財政措置をしましたものの裏負担、これは私どもとしては責任を持って完全に措置をしていく、こういうつもりでおるわけでございます。
  47. 山崎昇

    山崎昇君 これは自治大臣予算委員会じゃありませんから、補正予算案を迫るということは、少し私も筋がそう通っているわけでもありませんし、そう多くのことは申し上げられない。しかしやっぱり閣僚の一人でありますし、それからこれだけの、ある意味で言うならば都道府県で今度の災害がなかったというのは千葉県と新潟県だけであって、あとの四十五はほとんど災害だと、こう言うんです。それから町村を回ってみるというと本当に深刻な状況にあります。そういう点から考えると、やはり自治大臣が率先をして、いま政府考えておる程度のことでこの災害や冷害対策ができるという判断をしているのかどうかということをぼくら疑問に思うものですから、そういう意味であなたの見解を聞いているわけです。しかし、いまの財政局長答弁ではほとんど地方債でやるらしいですな。これは将来、元利その他、国で見ますという考え方のようでありますから、とりあえずは借金しなさい、それであとは国で何とかいたしましょうと、こうなると思う。これはしかと私の方で確認をしておきますが、この冷害、災害等におきます地方債、特別起債と言いますか、そういうものについては後々その自治体にめんどうかけません、国で全部それはやりますと、こういう趣旨の特別起債だというふうに私は理解しておきたい。そう思っていますが、それが一点。  それから重ねて聞きますが、救農土木事業といったって、たとえばこれは緊急失対でやるというのか、あるいはまた別な何かでやるというのか、これからそれは各省相談してやるんでしょうけれども、一体、自治省としてはどういうものが一番いいとお考えですか、いまの段階で。きょうはそれは見解だけ聞いておきます。
  48. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 災害復旧事業におきます地方債負担に充てました地方債、これは先生御案内のように、従前からもその取り扱いをいたしておりますが、基準財政需要額にその償還費を算入する、九五%算入でありますが、そういうかっこうで当該団体に迷惑をかけない措置をとる、これはいままでも制度でございますし、今後もそういうふうに扱いたいと思います。  それから救農土木事業の種類でございますが、救農土木事業でございますから、できるだけ事業費の多くの部分が労賃その他のかっこうで農民に還元をされる、こういう事業が望ましいと思っておりますので、これは各省それぞれの事業費目の中でできるだけそのようなものを選ぶということで各省相談してもらっておるわけでございますが、たとえて申し上げますと、間伐であるとか山の枝払いであるとか、農道であるとか、そういったなるたけ人力をもって行い得る事業の種類、こういうものを選んでもらいたい、こう考えております。
  49. 山崎昇

    山崎昇君 そこで重ねてお聞きしますが、いま一部地方債でとりあえずはやっておく、後で国が元利その他めんどうを見る、こういうことになるという説明であります。そこで、今度またこの特別起債という形で起債措置にいけば、これまた地方では現実の資金繰りその他で大変なことになってくるだろう。たとえばどの程度のことまで、それじゃ国で預金部資金を導入するという考え方を持つのか、あるいは縁故債でやれというのか、そういう内容にもちろん入ってくると思う。それはどの程度のことまで、まだ金額全体がわからぬから無理かもしれませんが、ただ、大筋としてどういう方向に向かっていくというのか、その点一つまず聞きたいということ。  それからあわせて、この起債の問題が出るたびに、これもきょうの読売その他でありますが、来春は地方団体金融公庫というものをぜひ開設したいという積極的な姿勢のようでありますが、大蔵省が反対しているようであります。一体いままでの段階で大蔵ともしやり合った点があればその経過、それからあなた方としては本当にこれはやるという強い決意で臨んでおるのかどうか、その点をこの起債の問題と関連をしてお聞きをしておきたいと思います。
  50. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 災害復旧事業の裏負担になります地方負担に対する起債、これはできるだけ政府資金をもって充ててもらう、こういう体制で進みたいと思います。いま御指摘のように、総額がまだ決まりませんので的確な表現はできませんが、考え方としては、できるだけ政府資金、これをもって充ててもらうという決意でおります。  それから公営企業金融の改組問題でございますが、これは先生御案内のように、やはり民間資金をできるだけ活用する、せざるを得ないと、こういう体制である場合にはぜひこれを改組をして、地方団体の共同の代替発行機関、こういうかっこうに改組をいたしたいというかたい決意を持っております。私どうしても、できるだけこれが実現をするように、できるだけ強力な努力をいたしたいと思っております。大蔵省とは、本年もまあ幾度かは折衝いたしておりますが、現在の時点では、去年大蔵省が申しておりましたのと同じような理由で必ずしも賛成の態度を表明いたしておりません。今後強力な折衝が必要かと思いますが、私どもはなおこれにつきましては渾身の努力を払いたい、このように考えております。
  51. 山崎昇

    山崎昇君 これは地方制度調査会の決議もあり、衆参の地方行政委員会の決議もあり、また地方団体もこぞってこれは要望している内容でもありますから、したがって、大蔵との折衝もあるでしょうが、ひとつこれは来年度ぜひ実現できるようにかたい決意で臨んでほしいということを私からも要望しておきたいと思います。  そこで、これらに関連をして、最近また新聞紙上をにぎわしております問題に土地税制の問題があります。この点も自治省は何か反対をしておるというふうに大変新聞をにぎわしておるわけでありますが、今日まで国土庁なり建設省ですか、と折衝した経過並びにこれらについての今後のあなた方の考え方等をこの機会にお聞きをしておきたいと思います。
  52. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 現在の土地税制につきましては、昭和四十八年度にいわゆる土地重課という観点から、国税といたしましては譲渡益に対する重課制度を設け、また地方税といたしましては保有及び取得課税の重課を通じて投機的な土地の売買を抑止をする、こういう制度改正をいたしたわけであります。地価もある程度鎮静化しておるということから、これにつきまして改正をしてはいかがかという御意見が実は各界から出てまいってきております。私どもといたしましては、土地税制検討する場合の基本は、一つは地価の抑制を続けていくのにどういう対策が必要か一つは宅地の供給促進のためにどういう税制が妥当か、この二点から考えていかなければならぬと思います。逆に申しますと、現在の土地税制がその二点から見て大きな阻害要因になっているのであればそれはやはり直さなきゃならぬだろう、こういうふうに考えておるわけでございます。  細かい点は別にいたしまして、基本的な枠組みといたしましては、私どもは現在の土地税制はその二点から申して大きな阻害要因になっていない、かように考えておるわけでございます。そういう意味合いで、基本的な枠組みは堅持をいたしたい。ただ、税制のことでございますから若干の運用面でのいろいろなひずみもないわけではございません。それらにつきましては関係省庁といろいろ検討もしてまいりたい、かように考えております。
  53. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、これは私のいま手元にありますのはきのうの新聞報道でありますが、大体この新聞に出ているような趣旨といまの答弁で私はそう間違いがないんじゃないかと思うのですが、いずれにいたしましても、いまの段階自治省としては、地価の抑制という面からと宅地供給という面から両方考えても、この税制は国土庁が言っているような方向にいくいまの段階ではない。したがって、いま言っておりますような土地税制の緩和ということには反対だという態度をいまお述べになったと思うんですが、これは大臣、そのとおりでよろしゅうございますね。
  54. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 基本的にはそのとおりでございます。
  55. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、いま税務局長ですか、何か若干のひずみ等があるやに答弁がありましたが、その点は多少弾力的に考えねばならぬという話でありますが、あなた方が把握している、言うならばそのひずみというのはどういうものですか。
  56. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) それがひずみであるのかどうかはこれからの検討問題でございますけれども、その新聞でも出ておりますように、優良宅地造成ということで造成をいたします土地については徴収猶予をして、それが庶民に分譲されます段階で課税免除をするわけでございます。その徴収猶予をいたします最初の時期が、通常開発許可がおりてからというふうになっておるわけでございますが、しかし、それも必ずしも一律ではございませんで、市町村によってかなり幅があるという実態であります。それらにつきまして、いろいろな各方面からの問題を検討しながら、いまのままでいいのか、あるいはもう少し実態に合うような決め方ができるのか、その辺のところはひとつの検討課題ではないかと私としては考えております。
  57. 山崎昇

    山崎昇君 これは大臣から基本的に反対だという態度が正式に表明されましたからそれ以上申し上げませんが、ぜひこの点は慎重にひとつ扱ってもらいたい。そうしませんと、今日までいろんな形で、大変土地が住宅建設をする個人に渡るようなことになっておりましたが、現実はそうでない。むしろ土地の価格の高騰だけ招いて、結局は夢であったということにすぎなかった。そういう意味で、私はこの税制改正というのはよほど慎重にやりませんと、事、意図とまるっきり違った結果になっちゃう。そういう意味で、いま大臣から重ねて強い決意がありましたからそれを了解をしておきたいと思うんですが、今後ともひとつその態度で貫いてもらいたいと思います。  そこで、次に公務員問題で二、三お聞きをしておきたいと思うんですがね。実は今月の二日から国家公務員の場合には、週休二日制に入ったと報道されました。事実、新聞等を見ますというと、休んでいるのが報道等もされております。そこで、地方公務員の週休二日制というものについて自治省はどういうふうにされるのか。これは大臣が週休二日制等の閣僚協議会の一人でもありますから、そういう意味でお聞きをしておきたい。
  58. 植弘親民

    説明員植弘親民君) 先生御案内のとおり、公務員の週休二日制についてどうするかという問題は、四十九年でございましたか、人事院の給与勧告の際に意見の申し出がございまして、民間でも何らかの形でやっておるものが半分以上ということでその申し出がありまして、それに基づいて関係閣僚会議でも検討を行ったところでございます。その後いろいろ社会経済の変動がございましたために、試行してはどうかということになりまして、関係省庁では、閣僚会議の御意図も受けまして、一体それでは試行するにはどうしたらいいだろうかということでいろいろ検討してまいりました。その結果、予算ないしは定員の増加を伴わない、そしてまた純粋にトライアルを行うのであって、本実施とは一応切り離すのであるといったような条件をもとに、それでやってみようかということになりまして、ことし大体半年ぐらいかけまして各省庁検討したわけでございます。そうして先生御指摘のように、大部分の政府機関が十月の二日からでございましたか、始めております。  そこで地方公務員はどうかということになりますと、すでにこの委員会でもお答えしてございますが、国家公務員につきまして何らかの形で週休二日制というものが行われるならば、地方公務員も同じようにやらしていただきたい。いわばそういったような公務員に対する措置というものは、国家公務員と地方公務員の間に差異があってはならないという基本的な態度でございまして、したがいまして、国家公務員につきまして何らかの形でトライアルをやるならば、地方公務員にもトライアルをやってもいいのではないか、こういうふうに考えております。  もちろんトライアルでございますから、まあ非常にラフな言い方を申し上げますと、国家公務員でやった結果を見て、国家公務員に実施するということが決まるならば、その段階地方公務員も同じようにしたらいいじゃないかという意見もございますけれども、やはり国家公務員といいますか、国の行政機関の組織なり定員なりあるいは機能なりというものと、公務員の属する地方団体の組織なり定員なり機能、こういったものはまた若干の相違がございますから、地方公務員についてもトライアルをやってみるべきではないだろうか。  しかし、その場合にどういう方法でやるかといいますと、やはり国家公務員において行いますトライアルの方法というものを十分参考にして、それと大体同じような形でやってみるべきではないだろうか。そうなりますと、国家公務員、各省庁がそれぞれの立場で各職種ごとに検討いたしておりましたから、その案が出てまいりますので、その案を地方団体にお知らせすることによって、それぞれの地方団体が自分の団体に適合したような形でトライアルをやってもらってはどうだろうか、こういうことで、閣議でそういう決定が行われましてから、私ども地方団体にも通知をいたしてございます。  それで地方団体では、前からいろいろとそういうような立場で検討しているところもございましたし、その通知を受けましてから検討を始めたところもございますが、もうすでに数団体におきましては十月一日からやっているところもございますし、いまどういう形でやることがその団体に最も適合しているかということを検討しているところもございます。いずれにいたしましてもトライアルでございまして、その趣旨といたしますところは予算をふやさない、定員をふやさない、そしてあくまで本実施とは切り離して、週休二日制をやるとしたならばどういったような問題点があるか、こういったものを十分検討していただくということで、各団体ともいま検討中というのが実情でございます。
  59. 山崎昇

    山崎昇君 自治省は、こういうものになるというと各自治体に検討さしておりますとかと、よけいなことはあなたの方で目玉に指を突っ込むぐらいぐりぐり地方自治体にやっておって、こういう問題になるというとほとんど何もしない。一体それはどういう態度なのか。たとえば私の承知する限りは、閣僚協議会で決めたのは七月二十七日ですよ。そしてそのときに自治大臣も当然閣僚の一人である。十月の一日から試みにやりますということがそのときに決まっておった。そうして、十月の二日から現実的に中央の各省はそれに従って実施している。いまもあなたの方は、一体地方自治体はこれからどうなるものやらという、何にもない。そんなばかな話はないじゃないですか、あなた。私はこの方法がいいと言っているのではないですよ。必ずしも了解するものではないけれども、少なくとも中央で一日からやるということがもう予定されて、着々各省が準備をしているときに自治省は何もせぬじゃないですか。そういうことはぼくはやっぱり自治省の態度として責めておかなければいかぬと思うのですよ。特に私はこの週休二日制という問題は、ことしの人事院のあの報告を見ても、やっぱり一昨年人事院が言っておりますように、民間はいま週の労働時間が四十二・三時間ですね。年間八十六日の休日だという。そうして、六八・九多の民間企業が週休二日制をやっていると人事院が報告をしているわけです。だから、私はせめてこれが基準でなければならぬと思う考えの一人なんだけれども、とりあえずは政府のやっておりますことさえまだ地方自治団体ができないなんということはどうも納得ができない。そういう意味でいまあなたに聞いているわけです。だから、仮に年間八十六日民間で休日だといえば、年間五十二週ですから日曜日が五十二回ありますわね。それから国民の祝日というのが十二あるから、問題はやっぱり二年前に私どもがある程度の決めをやりましたように、隔週ごとに土曜日休みにして初めて民間とのバランスがとれるということになる。しかし、それよりもずっと後退している内容だから、私は必ずしも了解するものではないが、せめて政府と歩調を合わせて、なぜこれがあなたの方で大変好きな指導というものができないのですか。そういう問題になれば自治体はどうなっておりますかなんて、そういう答弁では私は納得ができない。そういう意味で、一体これはあなたの方の考えとして、各自治体に対して、国がこうなっているからせめてこれぐらいのことはやりなさいと言うのか。それは自治体に対する入り過ぎだから、こういうことでございますよという程度に終えるというのか。その辺のことをもう少し明確にしていただきたい。
  60. 植弘親民

    説明員植弘親民君) 私の説明が少し舌足らずだったのかと思いますが、十月一日からやるといいましても、各省庁が、各省庁別にやはり現業を持っている、非現業を持っておりますから、いろいろの試行計画をつくったわけでございます。それを人事院と協議いたしまして、そうして大体のものが固まってからやろうということで、まだ協議中のところが二、三省庁あるわけでございます。したがって、私どもといたしましては、その各省庁がやっております試行計画案をできるだけ早く地方団体に送るということで送りまして、それで地方団体では検討してくれと。したがって、新聞にも出ましたが、一、二の団体では国と違った形でやるところもあります。それは早くから検討をしておったところです。私どもはできるだけ国に合わしてくれと言ったのでございますけれども、いろいろと前から検討したことですからやらしてもらいたい、トライアルではないかということもございました。そこでいま私どもとしては、いま言ったように、決してやるなという意味ではございません。トライアルはやっていただきたいのですが、やはりそれぞれの団体に、たとえば国にない、消防はどうするかとか、警察官はどうするのかといったようなこともございます、地方の場合。病院でございますと、たとえば国の場合、先生御承知と存じますけれども、国立病院の場合と、文部省関係の大学付属病院の場合の病院の扱いは試行計画も違うのです。そうすると、県立病院だとか市立病院なんかはどういうかっこうにすればいいかとかというのは、やはり国のものも参考にしながらそれぞれの団体に適合した方法でやるのが一番いいだろうという意味で、私どもは人事院なり総理府あたりから入手した資料はもう直ちに送ってあります。そうしてそれを参考にしながら試行計画をつくってくれと言っているわけです。決してその意味では、若干のタイムラグがありましたことは率直に認めますが、これは職員団体の代表とのお話し合いでも、やはり国との関係を考慮して参考にする必要があるので、おくれることは了解してほしいということは私どもは前もって申し上げておりますし、決して試行計画をやらせないというような意図で指導しているわけではございませんで、国のものも参考にしながらそれぞれの団体がそれと余り離反しないようにトライアルをどうしてやっていくか、こういう立場でございますので、その点は御理解賜りたいと思います。
  61. 山崎昇

    山崎昇君 基本的に、大臣、あなたは閣僚の一人であれですから、この週休二日制の問題の閣僚の一人でもあるわけですからね。  そこで大臣にお聞きしたいんですが、人事院の報告にありますように、週四十二・三時間である、年間八十六日の休日である、七割までそれをやっている、こういう民間の基本的に問題と、いま政府のやろうとしております試みのやり方というものとに私はもう全く開きがあり過ぎる。したがって、この人事院の報告というものについてあなたはどういう見解をとるのかということが一つ。  それから参考までに言えば、アメリカの政府職員二百七十万というんだそうですが、すでに週休三日制になっているとぼくら聞いている。それから日本と同じような経済状況にある西ドイツの場合には、先般西ドイツ労働総同盟の代表の方が私のところへ参りましていろいろ話を聞いてみました。もう週の労働時間が三十九時間を切っていると言われている。大体日本と同じような経済状況である。そういうこと等を私ども参考にすると、せめていま政府のやろうとするこの週休二日制だって、私から買うならば本当にナンセンスみたいなものだが、それでもかなりなタイムラグがあって、地方自治体の場合は、私はこの間来からあっちこっち行っておりますけれども、ほとんどのところはまだ手にもついてないという状況にある。そういう点を判断しますと、あなたは週休二日制の閣僚の一人なんだが、一体今後早急にこういう問題についてはどういうふうにされようとするのか、大臣としての考え方をお聞きしたい。
  62. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 人事院の考え方は尊重してまいります。  それから週休二日制についての基本的な考え方は、週休二日制が実現できるように、そして国も地方公共団体も国民に対するいわばサービス機関でありますから、国民に対するサービスの衰えないように十分配慮をしながら、その方向に向かって進めていかなければならないと思っております。
  63. 山崎昇

    山崎昇君 大臣、あれですか。人事院の考えを尊重すると言ったら、いま人事院が正式に報告したこの内容をある程度やらなきゃなりませんよね。しかし、いま政府のやっていることは全く違う。週休二日制なんというのは週に二回休むから週休二日制なんです。いま政府の試みにやろうとするのは、一年間に三日ぐらい土曜日に休んだってこんなものは週休二日制でもなんでもない。そして勤務時間の短縮を伴っているわけでもない。ですから私はいろんな批判は持ちますが、少なくとも人事院の考えを尊重してあなたはやりたいと言うなら、せめてことしの人事院勧告の中に触れているこの報告ぐらいのことはやらせなきやならぬのじゃないでしょうか。それがあなたの基本的な考え方でなければならぬと思う。しかし、いま試みに入ったばかりだからとりあえずは来年の三月ぐらいまでいまいってみて、来年度以降はこの人事院の考え方を尊重してやると言うのならまたそれも私は一つの方法だと思うんだが、一体そういう方向をあなたはとるかどうか、聞いておきたい。
  64. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 先ほど公務員部長答弁を申し上げておりましたが、そういうようないろいろな努力を積み重ねていきながら、支障のないように目的に向かって進んでいきたいということだろうと思います。
  65. 山崎昇

    山崎昇君 あなたね、本当に何を考えてどうしようというのか、雲をつかむような答弁で納得できませんが、時間も過ぎていますから、次にお伺いしておきたいと思うのです。  それじゃお聞きしますが、私は、この間来、コンビナートの問題でありますとか、二、三実態調査に行きました。その際に、各市役所、あるいは町村も一部そうでありますが、その主として消防関係の方々から、消防体制の整備というのが全くおくれている。とりわけ財政的裏づけについてはもう皆無に等しいと言うぐらい極端な人もおりました。そういう意味では、消防職員の定数というものについて基準があるやに聞いておりますが、まず、その基準はどういうふうにして決めているのか、それからまずお聞きをしておきたい。
  66. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 消防力の基準自体が、人口とかその他の市町村状況に応じまして、これだけの規模の市町村であれば消防車が何台、はしご車何台という決め方をしております。一応一台の消防車に何人という定員がございます。これは二交代制の場合は、実際に必要な者はその倍要るということで、一応その車両、その装備、それに伴う定員ということでこれは算出できるようになっております。  ところが実際問題としては、たとえばはしご車、化学車それから普通の消防車とある場合に、これに全部専任の定員が張りつくということは、実際問題としては余り必要はないだろう。化学車が出るときに一般消防車は出なくぬ済む、あるいは出ても、三台のうち二台出ればいいというような問題もございますので、交付税その他ではじく場合には、そういう、たとえば消防車と化学車の間で乗りかえをするというようなことで、兼任という形で定員がはじき出されるわけでございます。そこで、消防力の基準に基づく定員というのは車両ごとにできておりますし、設備の基準はその町の規模でできておりますけれども、実際にはその乗りかえが可能であるという範囲で交付税上の基準というのは決められております。
  67. 山崎昇

    山崎昇君 それがそもそも誤りなんだね。私ども行って聞きますと、たとえばはしご車をやっている者に化学車やれったってできないと言うのですよ、現実的には。それはただ運転だけならどの自動車でもいいでしょうけれども、だんだんだんだん災害が複雑になってくるし、大型化していく場合に、そういうことではとうてい消防の運営はできないというのが第一線の諸君の意見ですよ。  加えて、いまあなたいろいろ具体的に言いませんでしたが、基準等については、人口だとか一台の消防車に何人乗るとかあるそうでありますが、私どもが聞いている限りでは、現実的には三割くらいだというのだね、人員で言うならば。ほとんどいまのままでいったら、たとえばそれはいつ起こるかわからぬ地震等の場合は別にいたしましても、もしも大きいような災害があった場合等は、とてもでないけれどもいまの消防ではどうにもならぬというのが第一線の諸君、特に、何といいますか、署長というのですか、司令というのですか、そういう方々の私どもに対する訴えですね。そういう意味で言うならば、いまあなたがいろいろ述べられたのだけれども、それであなた方は、中央におる者は一体運営できるとお考えになっているのか。  それから財政的にはこれは固有事務だということで交付税でやっているのでしょうけれども、ほとんどこれではどうにもならぬという考え方が出されておる。ですから、最近この消防の充実強化という問題がずいぶん言われているのだけれども、そういう財政的な裏づけについてどういうふうにお考えになるのか、これも突っ込んでひとつ聞いておきたい。
  68. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) いまの先生の御指摘のとおり、はしご車と化単車は兼任できないかできるかという問題、これはある意味では程度問題ではないかと思います。運転は恐らくどの車でも同じ人間ができるでしょう。しかし、普通の消防車に乗って普通の火災のときに出場する者のうちで、特定な人に教育訓練をして、はしご車のフォームの操作も覚えてもらう。それから同様に、同じ人間ではなく、今度は別の人間にいろいろ化学的知識その他も訓練をいたしまして化学車を動かせるとすれば、その全員兼任できるか。望ましいとすれば、それは全員専任の車に乗っていることが望ましいし、それこそ本当の大災害でもあれば、兼任ではなくて、全車同時に出場するということもそれは考え得るかもしれませんけれども、結局は全体として程度問題で、どの程度まで兼任で間に合うか、どの程度まで専任を必要とするかということが調整のかぎであると思います。したがって、いま先生が基準の三分の一にも満たないとおっしゃいましたけれども、私の方で把握しております数字は、とにかく全員、全部専任というような形で算出したものに対しては、私の方はそれでも七か八割割は充足しておると思っておりますけれども、五割ぐらいであるという声も実は聞いております。消防の立場からすれば全員専任にしてもらって、しかも町じゅう全部災害があるときに全員出動できるような体制にすること、これ自体もちろん望ましいことでございますけれども、現実にはなかなかそういう事態が起こりませんと、それに対する充足の意欲というものも、いま御指摘のとおり市町村の固有事務でございますから、市町村に自主的にやっていただくのでございますけれども、従来はそれに対する充足の意欲が相当高くて、毎年相当充足されてまいったわけでございますが、この一、二年はやや頭打ちになっている傾向がある。たとえば交付税上では、標準団体の十万の団体を言いますと、この二年間に一年目が六人、二年目が十人というように、交付税上の算定は非常に上げてもらっております、財政当局と交渉いたしましてですね。ところが現実には、標準団体に近い十万団体の二十の平均値をとってみますと、そう人員がふえてきておらないという現象がございます。これは交付税上でも財源措置をそれだけしてもらったし、ふやしてもらいたいというのが消防庁の希望でございますけれども、現実には従来どんどんふえてきたものがここやや頭打ちになっているということは、これは一つには地方財政の影響もございますし、消防当局と人事、財政当局の折衝で人事、財政当局が渋くなっているということもあり得るかと思いますが、火災全体を見ましても、火災件数、それから火災の損害額というのがこの一、二年やっぱりやや頭打ちの傾向がある。全体的に消防力の充実というのは、ほぼ何と申しますか、まだ完全に満足とは言いませんけれども、望みに近いところに達してきているということもその一因をなしているのではないか。しかし、こちらとしても大きな災害、いつあるかわからないわけでございますから、消防庁としては、できるだけ財政的な裏づけも当方の財政当局とよく折衝いたしまして十分やっていただくとともに、各地方団体に対しては、本当に非常のことを考えて、できるだけ人員、装備を充実してもらうよう今後も指導を続けてまいりたい、こう思っております。
  69. 山崎昇

    山崎昇君 そこで、私ども行っていろいろ実情を聞きますと、たとえば昔の消防団当時は、その部落とか、その地域、地域にほとんどその人が固定をしているというんですね。だから、たとえばいざ火事のときにでもよくその地理、その他よく知っておって、そして同じ人が出てきてやるというんです。ところが、いまそういう地域性という、もちろん消防団そのものが減ってきていますから、そういうことがもう不可能であるということ。したがって、一般的に採用する人はそういうところに住んでいないわけですから、改めてこの人は招集しなきゃなりませんね、いざ何かあった場合には。ですから、そういう勤務体制と地域性というものがもう根本的にかつての消防団時代とは異なってきている。そこへもってきて、いまのようにあなたの方は中央から見てただ統計数字上でそういう説明になるんだけれども、現実的にぼくらは行って聞くと、三割ぐらいしか充足できないというんですね。これはどこという町村を言うとまた問題が起きるでしょうから言いませんが、実はそういう状況にあるということ。  もう一つは、これは消防も警察もそうでしょうけれども、こういう消防の職員というのは、仮にその日が休日であって勤務しない日であったとしても、実際は休めないんですね。なぜかと言ったら、何時にはどこにいます、何時にはどの辺にいますということを全部署長に届け出て、そしていざ何かあったときには招集に応ずるような態勢にしてなきゃならぬわけですから。そういう意味で言うならば、ほとんどこの諸君というのは有給休暇ももう満足に取れやせぬし、言うならば勤務から解放されたという感覚にならない。そこへ消防職員の給与というのはきわめて低い状況にあるとぼくらは聞く。ですから、こういう問題と関連をして、勤務体制の問題、勤務内容関連をして、消防職員の待遇といいますか、処遇といいますか、そういうものについてひとつどういうふうにお考えになるのか。  さらに、一回出動すると百円ぐらいの特勤が出るらしいです。これは百円であの火事場に駆けつけるわけですけれども、これは私はどういう基準で百円ということをやっているのかよくわかりませんけれども、ひとつ納得のいく説明を願いたい。  それからまた、救急車で行っておりますが、これも、実際私も救急車に三月の末乗った一人でありますからわかりますが、消防署の職員というのはもういても立ってもいられない気持ちだと思うのですね、片方は病んでいるわけですから、そして自分では何もできないわけですから。ただ、輸送の任務だけ負わされているわけです。そういう点を考えるというと、わずか百円かそこらが実は災害出動あるいはまた救急の出動の際の手当だとぼくらは聞いているわけなんです。一体これはどういう考え方でその程度にしているのか。それから、その点についてはもう少し私は、やっぱり消防職員というのは制度がある程度体系づけられてからまだ日にちがたっておりませんから、いろんな面でおくれているのじゃないかと思うのですが、その点について聞いておきたい。
  70. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 御指摘のような消防職員の勤務の特殊性、私たちもつくづく感じておる次第でございます。そのためにも、待遇ということにはできるだけ改善を加えるというのがわれわれの任務だと実は思っております。現在は交付税上は、消防職員は公安職員つまり警察官と同じ給料表を使うように考えまして、それに基づいて算定しております。全体的には、消防職員の年齢が全体の平均として一般職員よりもあるいは警察職員よりも若いということがありまして、平均給料額はそれほど高く出ておりませんけれども、待遇といたしましては公安職員と同じ待遇にしてもらいたいということで交付税上も算定しておりますし、地方へもそういう指導をしております。現在の実情を申し上げますと、公安職の給料表を適用しておりますのはちょうど半分、消防職員の数にいたしまして半分でございます。五一%。それから一般職の給料表を適用しておりますものが四九%という数字が私の方に出ておりますが、四九%の方は一般職をまるまる一般職並みでなくて、号俸の調整とかあるいは特殊勤務手当その他で優遇はしておるということで、待遇面でも一般職員よりはある程度高いということは確保しておりますが、おっしゃるような気の使い方その他からすれば、これで十分とは実はまだ思っておりません。できるだけ今後も改善してもらいたいと思っております。  それから出動手当でございますけれども、これは交付税上の算定としては機関員が一回三百六十円、一般は二百六十円という算定をしておりますが、これは先生も実情を御承知と思いますが、町村によってばらつきがございます。それではなはだしいところは出動手当なしなどというところも、消防団の場合は無料奉仕をやっておるところもあるのですが、非常に安い金額で出ていることは事実でございます。  それで、個人的な気持ちを申し上げさしていただければ、まさにこういう公共奉仕の精神でもって、金の問題でなく、安い出動費でも不満なしに飛び出していくということ、これは現在の社会としては本当にとうとい奉仕的精神だと思っておりますけれども、消防を所管する役所はそういうことを言ってはおれませんので、文句を言わずに一生懸命やっていただくのなればなおさらのこと待遇の方は踏ん張ってよくしてもらいたいということで、財源措置の面でも毎年財政当局と折衝いたしまして改善してもらうと同時に、府県を通じての地方の指導では、できるだけせめてそういう待遇の面でよくしてあげてくれということで指導を今後も続けてまいりたい、こう思っております。
  71. 山崎昇

    山崎昇君 人口二十万ぐらいの都市で、実際に出動している者に聞くと一回百円だと言う。そうすると、いまあなたの説明のあった管理職程度の人が三百六十円で一般が二百六十円と交付税上で見ておるといったって、半分以下ですね。下手すると四分の一ぐらいですね、これは。こういうものしか現実に見ていないんですよ、二十万都市ぐらいで。ですから、私は何でも金の問題だけで解決できるものではないけれども、しかし少なくともやっぱり行って何かの状況によっては命がなくなる場合もあり得るわけですから、そういう意味で言うならば、この間の国会で公務員災害補償法で特殊公務員というので警察、消防は五割増しにしたんですから、少なくともこういう点はやっぱり改善してもらいたいし、それこそあなた方の言う早急に指導してもらいたいと思う。そうしませんとこれは本当に大変ですよ。この点は申し上げておきたいと思う。  それから、この間の国会で石油コンビナートの災害対策も特別立法等で決まったようであります。ところが、これも私ども行って聞いてみると、こういう言葉を使っておりました。石油コンビナートの災害対策をやるには三点セットが必要だ。三点セットとは何かというと、高いところに対する放水車、第二が大型の化学車、第三は消火液の輸送率だと。この三つがそろわないと、とてもじゃないけれどもコンビナートの災害対策なんかできない。ところが、この三つをやるにはどうしても人口十万ですか、基礎が。あるいはタンクの大きさその他があるんでしょう。ところが、それに近いところでは財政的裏づけがないから、最も危険だと住民から訴えがあっても自治体ではどうにもできないという状態になっている。そういう意味で言うならば、このコンビナートの災害対策というのは、法律ができたばかりでこれから整備されるんだと思うんだが、しかし、災害は待ってくれないわけですから、こういう点の早期の整備というものをどういうふうにお考えになるのか、聞いておきたい。
  72. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) この三点セットというのは、ことしの予算では三十セットの補助枠を予算で計上いたしまして、いまそれをおっしゃるような地元に装備してもらうように各団体に要請してまいっております。ただ、確かにその三点で七千万円ほどの、相当高額なものであることは間違いない。補助額は半額でございます。半額に対して、残りの地方負担の半分のうちの九割はこれは起債で見る。したがって、全体として三百五十万一般財源があれば七千万のセットがそろえられる。財政的にはこの程度のものであれば十分整備してもらえるものということで補助枠はとったのですが、現実には、ことしの地方財政その他が非常に苦しいことから、この売れ行きが非常に伸びておりません。三十セット全部を消化すべくいま一生懸命努力しておりますけれども、あるいはことしには何セットか残るかもしれないと思っております。引き続きことし、来年と、さらに補助枠をとりましてその整備に心がけるわけでございますので、恐らくこの一、二年のうちにはいわゆる必要な地域、一定以上の大きさのタンクのある地域にはこの三点セットは完全に整備できるものと考えておりますし、そちらの方に向かって努力をしております。  で、売れ行きが少し悪いというのは、単なる三百五十万の地元負担だけではなくて、実はさっき定員の問題もちょっと出ましたけれども、こういうセットを購入する場合には、消防当局は必ず全部人間を、専任を整備してくれという要求を出す。それに対して人事当局、財政当局は足踏みしているという面も考えられますし、それから、実情を聞いてみますと、三点セットだけなら買えるけれども、置く場所がない、車庫がないというようなことで、車庫もひとつ補助対象にしてくれというような要望も出ているわけでございます。これらはまあいろいろ相談の余地はあると思いますので、車庫を補助対象にするというのはことしは不可能でございますけれども、人間の問題の融通性の問題、場所の問題、そういったものでできるだけ実情に合うように府県を通じて指導をして、いまの三点セットを、この一年の間には必要な地域に全部そろえたいというつもりでがんばっております。
  73. 山崎昇

    山崎昇君 特にコンビナートの災害対策の場合には、何か現地に災害対策部というんですか、本部というんですか、そういうものを専任に置くという指導になっているようですね。しかし、それを置くとするならば、いま言うように、この三点の、仮に放水車にしても大型の化学車にしてもあるいは消火液の輸送車にしても、通常の消防署に置いてない。石油コンビナートの近くに置かなくちゃいかぬでしょう。そうすると、こっちの人間と融通せいと言ったってそんなのはできるわけじゃない。ですから、こういう特殊な車と人間というのは、やっぱり専任を置いて、それはいつ起こるかわからぬ災害ではあるけれども、それに備えるのが消防ですから、そういう意味で言うならば、いまあなたの方のやっていることというのは、実際それはもう第一線の諸君から言わせるならば、中央は一体何を考えているんだろうかと。そして何か事故が起きたら、一番先にやられるのはこの諸君です。自治体です。あなたのところまで文句は来ないのだ。そういう意味で言えば、この三点セットさえここ一、二年でなんて言っているのんびりしたことにはならないのじゃないですか、もし、こういうものが起きた場合の悲劇さから考えたら。そういう意味で言うならば、財政的裏づけというのはやっぱりきちっとして、それから人員もきちっとして、それからまあことしじゅうというふうにもいかぬでしょうが、来年の春なら春、夏なら夏までに全部それが整備できるような指導をするとか、そういうことでなけりゃ私は実際は災害対策にならぬじゃないか、こう思っているんですがね。どうでしょうかね。
  74. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) この三点セットというのは、コンビナートのある地元市町村でそろえてもらいたいということで補助枠もとったわけでございますが、一方、タンクを持っている企業にもこれを整備する義務づけをしておりまして、つまり企業自体が自衛消防としてそれを持つ、と同時に地元の市町村もその三点セットを持つという両面作戦でいっております。で、企業自体が持つ期限が三年以内に持つという形なっておりまして、当方としては企業に先に持たれるよりも、それは市町村の方は義務制ではございませんけれども、補助枠をとってまず市町村で整備してくれ、それで企業のそれに対する整備意欲も高めてくれということで指導しておるわけでございますけれども、ただいま御説明しましたように、ちょっとその整備意欲というのが人員か何かの問題に絡んで緩んでおりますので、この交付税の人員については特別の財政需要として、コンビナートの規模に応じて、最高大きいところでは十人分ぐらいまで措置してもらうようなことも実施しておりますし、おっしゃるとおり一、二年——一、二年というのんきなことをとおっしゃいますけれども、これだけの大きなものでございますから、なかなか非常に短い期間の整備はむずかしいわけで、企業にも一応三年間に整備しろと言っております。少なくとも企業におくれることがないように、そして災害は本当にいつ起こるかわかりませんので、その整備には今後も努力を傾けてまいりたい、こう思っております。
  75. 山崎昇

    山崎昇君 その次に、これ大臣にまずお聞きしたいんですが、消防職員の団結権についてあなたはどういう見解を持ちますか。
  76. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 先立って一応状況を御説明申し上げます。  この消防職員の団結権問題につきましては、これは相当長いいきさつで、先生も十分御承知のものだと存じます。本来、消防の職務というのは各種の災害から国民の生命、財産を守る、命令一下一刻の猶予もせずに火の中に飛び込むというきわめて公共性の強い警察類似の職務と私たち思っています。ILOも、結社の自由委員会においてILOの八十七号条約を批准するときに、この消防については警察、軍隊と同様に扱いたいというわが国の要望に対して、それでよかろうという意思表示をしておるわけですが、その後、ILOの中で条約勧告適用専門家委員会というものがややこれと異なる結論を出したような経緯がございまして、これに対しましてわが国の態勢としてはこれをどうするかということで、御承知の第三次公務員制度審議会においてこのILOのその専門家会議の意見も含めて議論していただきました。で、結論として全会一致で、当面現行制度によると、今後ILOの審議状況も留意しつつさらに検討するものと、こうされております。現在はこの結論に従いまして、当面現行制度によるとし、今後ほかのいろいろな問題の解決とにらみ合わせまして、長期的に慎重に対処したい、これが現在の政府の態度でございます。
  77. 山崎昇

    山崎昇君 もちろんあなたの方もこれは検討されていると思う。私の方も、私もまた社会党ではスト権の責任者でありますからいろいろ検討さしてもらっている。  そこで、まあ一番私は実務的に参考になるのは、やっぱり前の最高裁長官の横田さんの報告だと思う。これはあなたの方もごらんになっているでしょう。これは昭和四十八年の七月の六日に日本労働協会等で報告が出されている。それによると、いまあなたから説明のあったようなことを日本政府の意思として述べられているが、それは採用されない、国際的には。そして、ILOでは与えるべきだという勧告をもう出している。そういう意味で言うと、あなた方は全く労働者の権利だとか、こういうものについては一歩も前進するという考え方がない。そして、この横田善三郎さんの報告によれば、国際的には警察と消防はもう任務が違う。警察的と思われておるのは三つしかない。海上保安庁と入国監視宮と監獄の職員と、この三つはこれは警察的な任務と考えてもいいと。したがって、その国の政策として団結権をとらなければ国際条約違反とはならないという見解を示しているようです。しかし、消防についてはもう警察と全く違う。だからそういう意味では、ここにも持ってきておりますけれども、消防については団結権を与えるべきだという結論でありますということが報告されている。  なぜこういう国際的な感覚だとか常識だとか、あるいはこういう専門家が、まして日本から行っておりますのは前の最高裁の長官です。こういう方々が出て議論して、国際的に認められているそういう権利というものをあなた方は認めようとしないのか。そしてさらに言うならば、これによりますというと、大変残念だけれども、消防職員の団結権を認めていないのは世界でたった四つしかないという。恥ずかしいじゃないですか、あなた。日本とナイジェリアとスーダンとキプロス、この四カ国しかないというんだ。あとの国はみんな認めているというんだ。ましてこの報告によりますというと、軍隊や警察までに認めているのは十幾つかの先進国があります。こういうことを考えると、消防職員の団結権というのはいつまでもそんな検討だとかどうだとかというのではなしに、やはり与える、団結をさせるんだと、こういう意味であなた方としては進むべきじゃないかと思う。これは政策の問題も入りますから、私は大臣決意を聞いておきたいと思います。実務的に問題があれば後で聞くから、大臣決意を聞いておきたい。
  78. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 消防職員の団結権の問題は、公務員制度審議会の答申及びILOにおける経過もありまして、これらを踏まえまして慎重に検討しながら対処していきたいと思っております。
  79. 山崎昇

    山崎昇君 国際的な常識はもう出ているじゃないですか、あなた。検討も何もないじゃないですか。専門家会議でもそうだ。じゃあなたの慎重に検討してどうするというのはいつまでどうするという意味ですか。大臣としての見解を示してください。
  80. 天野公義

    国務大臣天野公義君) いま申し上げたとおりでございまして、慎重に検討してまいるつもりであります。
  81. 山崎昇

    山崎昇君 慎重にって、専門家会議の結論も、LLOでも勧告が出されてから何年たっていると思いますか、あなた。あなたの慎重というのは、じゃどうするんですか。いつまでにどうするということを明確にしてくださいよ、それは。ただだらだらだらだら検討してますの、どうでございますのというだけではこの問題は終わらない。私は何も方図もないことをあなたに言っているわけじゃないですよ。さっき申し上げたように、本当に先進国として恥ずかしいですよ、あなた。日本だけじゃないですか、こういうものを認めてないのは。参考までに、ここの横田さんの報告によりますと、警察について認めているところだって十九ある。大きな国としては西ドイツ、イギリス、フランス、オーストラリア、ベルギー、デンマーク、先進国と言われるところは警察すら団結権を認める。軍隊のストライキ権を認めているところさえある。私は一気にそんなことを言っているつもりはない。少なくとも国際的なこういう常識に従うべきだ、勧告に従うべきだ。そういう意味で、ひとつ大臣決意というものを重ねて私は聞いておきます。
  82. 植弘親民

    説明員植弘親民君) 労働基本権問題の中で消防職員に対する団結権をどうするかという問題は、先生御指摘のように非常に大事な問題であることは言うまでもございません。若干の経緯につきましては消防庁長官から御説明ございましたが、いま先生のおっしゃいました横田先生がお話しになったという問題につきましても、四十八年の三月の専門家委員会の報告書を出した後の労働協会かどこかのお話だったと存じます。そういう経過も私ども承知いたしておりますが、問題は、先ほども申し上げましたように、わが国がILO八十七号条約を批准するかどうかにつきまして非常な経緯がございまして、特にこの団結権の範囲をどうするかという問題につきましては、長い経緯がございましたことは私が申し上げるまでもなくよく御存じと存じます。労働省が設けました三者構成によりますところの労働懇談会におきましても、消防は警察と同視すべきものであるという立場でわが国の意見が統一されました。そこで、二、回にわたりまして結社の自由委員会に対して、四十年のILO八十七号条約批准前にILOの意見をただしたわけであります。そのILOにつきましては、第九条の精神によって同視すべきものということを公式にわが国に通告しております。そういう立場から、わが国では当時の国会の審議におきましてもその点を明確にいたしまして、自衛隊や警察と同じように消防職員についての団結権を禁止したわけであります。  御指摘のように、四十八年の三月のILOの条約勧告適用専門家委員会、横田先生が筆頭委員になっておられましたが、このときに、おっしゃるように、日本において消防職員に団結権を認めていないのは八十七号条約に抵触するのではないかという意見が出されたことは事実でございます。そしてその四十八年六月のILO総会におきましても、その総会の中に設けられました条約勧告適用委員会におきまして、この専門家委員会のレポートの審査が行われております、日本案件といたしまして。しかし、この問題はいろいろと経緯のある問題であるから、国内問題として日本が解決すべきであるということで、ILO総会としては、その勧告に従って日本は団結権を認めるべきであるという勧告はいたしてございません。  その後、そういう経過がございまして、わが国ではちょうど当時三者構成によりますところの公務員制度審議会がございましたから、この専門家委員会のレポートなりあるいは総会、あるいは総会の条約勧告委員会の報告を公務員制度審議会にも御報告いたしまして、そこで慎重に御審議をいただいたわけであります。その結果が四十八年九月三日に出ました第三次公制審の結論でございます。  そういう意味におきましては、その後におきましてはILOはどうかといいますと、なるほど労働側から消防職員については団結権を認めるべきであるというアピールがILOに対してなされておりますが、その後における総会なりあるいは条約勧告適用委員会では議論は双方とも出しておりますが、少なくともILOが日本の消防職員について団結権を認めるべきであるという結論を出したことはございません。結局日本がいろいろな労働基本権問題の一環として慎重に検討すべきである、国内問題として解決すべきであるということが総会の結論でございます。そういう意味におきまして、いま大臣からお答えのございましたように、いろいろな労働基本権問題の一環として慎重に検討するというお答えになっておるわけでありまして、いま政府といたしましては、先生の御指摘のようないろいろな労働基本権問題を含めた上でどうするかということは検討するということで、ILOはそれを了承していると私どもは理解しているところでございます。  それからもう一つは、四カ国しかないという点がございました。なるほどレポートによりますと、八十七号条約を批准している国においては四カ国しかないと書いてございますが、たとえばフランスの場合は軍隊が消防をやっておりまして、これは認めていないとか、それから八十七号条約を批准していないところもいろいろございます。そういうようなことで、四カ国たまたまレポートに出ておりますが、もっともっと消防職員にも団結権を認めていない国もあるということについては御理解賜りたい。付け加えさせていただきます。
  83. 山崎昇

    山崎昇君 そんなことじゃないですよ。明確に結論出されているんだ、これは。政府は何回か、警察と消防は同じだからそれは国内でやりますということをILOにあなた方の意見として出されているが、それは受け入れられないんだ、国際的には。そうして専門家会議でも最終結論だとこの人は述べているんだ、横田さんは。私はいまここに持っているんだ。「消防職員につきましては、この種の労働者の除外を正当とするような性質のものとは考えられないといっています。消防職員の職務は、団結権を除外してもいいという性質のものとは委員会は考えないというのです。ここでは、はっきりと消防職員については、団結権を認めるべきものであるという結論を出しているわけであります。」と述べている。だから、日本政府というのは国際的なこういう専門家の結論だとか、国際的な常識に、あなた方は何といいますか、逆らうといいますか、ほとんどこういうものを素直に見詰めない、こういう態度は私はやっぱり改めるべきだと思うんですよ。いまさらあなたにILOの持っている性格その他を言うまでもないと思うけれども、少なくともこういう点についてはきちんとしてもらいたい。だから、いろいろ国内で問題が起きるんじゃないですか。そして国際的な専門機関で議論したのは、さっき申し上げた警察と類似的だと考えられるのは、いろんな資料を見た結果言っているのは、入国監視官と監獄の職員と海上保安庁はやむを得ぬだろうとこう言っている。消防は全く別問題として認識しているんですよ。これは大臣もひとつ消防については、あなたは先ほど来から検討しますの、慎重だのと言っていますけれども、これだけ国際的な常識の問題でもあるから、きちんとした結論は少し早く出してもらいたい。このことだけをひとつ私の意見として要望しておきたいと思います。  それから次にお聞きをしたいのは、八月の十日に人事院勧告が出たわけです。これはもちろん総理府の所管でもあり、また財政問題と絡みますから、大蔵大臣見解もあるでしょう。しかし、これまた自治大臣というのは、公務員問題の閣僚の  一人ですから、一体この人事院勧告の処理というものを、いつ、どういうかっこうでやられるというのか。あなたとしてはどういうふうに筋道を立ててこの問題の処理をしていこうというのか、自治大臣見解を聞きたい。
  84. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 人事院の勧告につきましては、政府は従来からその勧告を尊重するたてまえをとってきております。したがいまして、今回の勧告につきましてもできるだけ速やかに所要措置がとられることが望ましいと考えておるわけでございます。できるだけ早く所要措置がとられることが望ましいと考えております。
  85. 山崎昇

    山崎昇君 できるだけ速やかにって、あなた、国会召集されてきょうはもう半ばですよ。あと何日もないんですよ。そんな悠長なことでいいんでしょうかね、八月十日に出されたものが。私は勧告の内容についての批判は別にして、これはまた別な機会にやる時期もあるでしょうからそれは別にいたしまして、一体、閣僚の一人としてどうするんですかね。なるべく速やかにとか何とかと言っているけれども、あなた自身は、どういう時期に、どういう方法でどうする、それは大臣としてきちんとしてくださいよ、もう。何かウナギ問答みたいに、どこをつかんでいいかわからないような答弁ではなしに、事務当局に聞いているのじゃないんですから、あなたの決断を聞いているんですからね。きちんとしてもらいたい。
  86. 天野公義

    国務大臣天野公義君) できるだけ速やかに所要措置がとられるようにやってもらいたいと思っております。
  87. 山崎昇

    山崎昇君 聞くところによれば、十五日の閣議で決定をして、そして二十日ごろ国会に給与法案を出すというような話もぼくら聞いているんですが、大体それで間違いありませんか。
  88. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 日のことはまだ聞いておりません。できるだけ早くということで皆考えているようでございます。
  89. 山崎昇

    山崎昇君 大体そのくらいの見当でそう間違いないですか、どうですか。
  90. 天野公義

    国務大臣天野公義君) そこまでのことはまだ聞いておりません。
  91. 山崎昇

    山崎昇君 聞いてない。そうすると、あなたとしては、いま私の方から具体的に述べたのだけれども、せめてそれぐらいのことはしたいという気持ちですか。
  92. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 十五日という日を限定するということは聞いておりません。しかし、できるだけ早く処置をしたいというみんなの希望がありまして、準備をしていると思っております。
  93. 山崎昇

    山崎昇君 あなたは給与担当の閣僚の一人なんだよね、閣僚協議会の。だから聞いているんですよ。そして御案内のとおり、国家公務員は、なるほど給与法が通ればそのまますんなりいくと思うんです。これはまあ財政特例法との関連もあるでしょう。地方公務員はそれから各議会を開いて、条例の問題がございますから、どうしてもいまから言うと、十二月県会なり市会なりになりますね。ですから、この問題の処理を誤りますと、これだけいろんな物価が上がってきて、ことしは所得税の減税もありませんでしたしね。給与がまた各自治体、来年持ち越しなんということになると、これはやっぱり職員の士気にも影響してくる。そういう意味で、内容は別として、この問題はやっぱり地方公務員も含めてあなたは判断しなきゃいかんでしょう。そこで、あなたは言いにくいだろうと思うから、私はいろんな情報をとってみるというと、これもあんまりいいことじゃありませんが、何か十五日くらいには財政特例法が参議院本会議になりそうだ。そこで十五日の閣僚協議会を開いて決めて、十五日の閣議決定で給与法の取り扱いを決めるんだという趣旨のことがかなり流れている。そしてそれが決まれば、もう八月十日に出ているんですから、もういまさらこれを法案化するのに時間がかかるなんということはあり得ないと思う。そういう意味では、私は、二十日ごろに国会提案という話がかなり伝わっているんだけれども、大体そこら見当でそう違いはないという意味であなたの見解を聞いているんですが、どうですか。私の考え方とそう違わないでしょうか、どうですか。
  94. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 先ほどから申し上げておりまするように、まだ事務的な連絡もございません。できるだけ早く所要措置がとられるように私どもも希望しておるところでございます。
  95. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、あなたとしては、せめてそれぐらいのことをやりたいと思っていますか、どうですか。あなたの見解を聞いているんです。あなたとしては、まあ結果としてはおくれるかもしれぬけれども、せめてあなたとしてはそれぐらいの見識を持っていいんじゃないですか、あなた、自治大臣大臣だもの。局長ならいろんなことを配慮していろんなことを言うでしょうが、あなた、大臣ですもの。ましてや給与問題を扱う関係閣僚会議の一人でしょう。だから、せめて自治大臣としては、閣僚会議の大臣の一人としては、せめてそれぐらいのことはやりたいと思っていますという程度のことは答弁できませんか。
  96. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 関係閣僚かもしれませんが、担当閣僚ではございません。できるだけ早く所要措置がとられることを希望しているわけでございます。
  97. 山崎昇

    山崎昇君 本当に情けないものだね。自治大臣というのはそれぐらいのことしかできないのですかね。だから、この前も言ったと思うけれども、評論家に言わせれば、自治省というのは大臣が弱くて役所が強いというのはそこらにもあるんじゃないでしょうかね、少し皮肉っておきますが。そういう意味で、もう少し大臣はやっぱり定見を持ってあなた答弁をしてくださいよ。何でも周り近所を全部見て、その上に乗っかるような姿勢はやめてもらいたい。もう少しきちんとした態度で大臣というのはやっぱりやってもらいたいと思う。  きょうは公務員問題は、本当は改めてまた賃金構造についてはやるつもりでおりますが、きょうはもう時間がありませんからあんまりやりません。ただ、これは公務員部長に一点だけ聞いておきます。  私がいろいろなところをオルグ、あるいは市町村等に参りますというと、私がある程度賃金は専門だということもあって、私に聞くのです。どうして府県が七等級制で、市町村は五等級だの四等級と自治省は指導しているのだけれども、これは山崎さん、どういう根拠があってこういうことになるんでしょうねと質問を受けるのだけれども、私、これは答えられないのだよな。そこで、あなたも賃金専門だと言うからお聞きしますが、科学的根拠というものを聞いておきたい。
  98. 植弘親民

    説明員植弘親民君) 私も専門じゃございませんのですが、少なくとも先生よく御承知かと思うのですが、地方公務員の給与のそういった意味の基本原則は地公法の二十四条にございまして、まあ釈迦に説法で恐縮ですが、第一項に職務給の原則があり、第三項に、均衡の原則と私ども言っていますが、そういうのがございます。この二つがやはりいま先生のおっしゃるような等級を決める場合の基本の原理だと私ども考えております。そうなりますと、一体、等級を地方団体でどの程度のものにするかというのは、結局、職務給の原則なり均衡論からいきまして、その団体の規模だとか、担当している業務、機能、定員、こういったようなものを総合的に判断して考えるのが適当であろうということになると思っております。したがって、まあ何と言いましょうか、一足す一が二になる式な科学的根拠はございませんが、科学的根拠に近いものとして申し上げるならば、いまの一項と三項ということで、私ども実はどうすべきであるか。これは確かにおっしゃるように、賃金構造論では非常に大きな問題でございます。そこで、先生も御承知と思いますが、四十流年に、当時におきましては最も日本で権威と考えられておりました峯村先生なり金子先生方の研究会を開いていただきまして、どうすべきかという研究をお願いしました。そうしてそれからその御答申をいただきまして、今度は実務的に現在金子先生の下で専任でやっています孫田さんですか、ああいう方々、いわゆる実務的専門家、人事院のいまの角野次長だとか、こういった方にもお集まり願って研究会を開きまして、そうしてそういった構造論の研究をしていただきまして、その結果を、先生もよく御存じのように、四十七年の通達としてお示ししたわけでございまして、そのときに、府県につきましてはおおむね構造等から言って七等級が適当であろう。しかし、実態によっては八等級にすることもよかろうというようなことで通達を出しましたところ、実際は八等級に全部なっちゃっているわけです。理論的に言いますと、一項と三項から議論してまいりますと、大体国というものと地方というものを考えてきますと、地方は、その組織なり機構なり所掌範囲なり、行政の対象である国民の数なりといったいろいろなものを考えていくと、七等級ぐらいじゃなかろうかということになってくる。実際は、そこは団体なりによってもう特一等をつくってもいいということが書いてございます。ところがこれがみんな八等級。今度は市町村にまいりますと、同じような論理で進んでいきますと大体五等級ぐらいでいいのかというのが、実際どうも七等級、六等級がふえているといったような状況でございます。結局は、やはりいま申し上げました基本は職務給の原則、責任の度合い、複雑困難の度合い、こういった職務の本質論から言ってどういう構造をとるべきか。そこで国を基準としてそれぞれの地方団体を見ていくとおおむねそういうことでいいだろうと、こういった結論をいただきました。そこで私どもといたしましては、先生のおっしゃいますように、本当に科学的というものはございません。そういういわば日本における賃金の専門家の研究でございますから、それはやはりそれが現実的でもあろうということで指導さしていただいておるのが実態でございます。
  99. 山崎昇

    山崎昇君 結局何にもないということだ。国が一番よくて、都道府県は一枚落ちで市町村は二枚落ちる。言うならば、将棋で言えば角落ちみたいなものだ。簡単に言えばそういうことですよ。図を描いてごらんなさい、あなた。どうして国の機関に勤務する君が一番よくて、都道府県の者が一枚下でなければならぬかというところに問題があるのですよ。これはいずれやりますが、いまあなたの説明だけ聞いていても、これは科学的な根拠も何もない。ただ勝手にやっているだけにすぎない。それが金科玉条みたいに、それによって統制しようなんというあなた方の考え方自体が間違いだ。各自治体がどういう判断をしようが二十四条でやればいい。だからこれは改めてやりますけれども、そういう形であなた方は自治体に指突っ込んでぐりぐりかき回すようなやり方というのはやめた方がいい。それだけの何も根拠もないんだ、正直に言って。ですから、その点はきょう多くのことを言いませんけれども、この点はあなた方の指導だとか、助言だとかなんというよりも、いまやもう行政介入だ、自治体に対して。指導なんというものじゃないです、もういまやっていることは。私は先般山梨県に行ったら、たとえばこれは山梨県の人の報告でありますから正確でないかもしれぬけれども、松浦さんが、事務次官が行って、町村職員のラスパイレスは八〇ぐらいにしたいんだという発言をしたと言われている、こう言われている。ぼくら報告を受けている。勝手気ままにあなた方は、町村の賃金はこれであるべきだ、こうであるべきだというやり方をしている。そういう基本的な考え方というのは改めるべきですよ。職務はむしろ自治体の方が重要かもしれない、やり方によっては。ですから、そういう意味であなた方の説明は私は納得しませんが、考え方だけきょうは聞いておきます。  そこで最後に、時間がなくなりましたが、せっかくきょう福利課長がおいでになりましたから、地共済で一言聞いておきます。  共済の運営については、私は単に短期だけでありませんで、実は長期、宿泊経理、業務経理、これは全般にわたっていずれ共済組合の本質論で一遍質問してみたいと思っている項目ですが、きょうはあなたにおいで願ったのは、何か短期が赤字でいろいろお困りのようです。そこでお聞きをしておきますが、共済の短期の実情をきょうは説明だけ聞いておきたい。
  100. 桑名靖典

    説明員(桑名靖典君) 共済組合の短期経理の現況を申し上げます。  共済組合の短期経理につきましては、昨今とみに赤字が増してまいりまして、地方職員共済組合について申し上げますれば、昭和五十年度の決算におきまして単年度で六十五億の赤字が生じているわけでございます。四十九年度からの繰り越し金が五十億程度ございましたので、差し引き十五億ばかりが五十一年度に繰り越されているわけでございます。  昭和五十一年度におきましては、従前の財源率、すなわち千分の六十四・六を、年間の収支を図りますために千分の十程度上げて均衡を図るべきところでございましたが、千分の七程度しか上げることができず、この上げ幅では昭和五十一年度においても相当の赤字が生ずることが当初から予想されていたわけでございます。  そこで昭和五十一年度におきましては単年度で約五十億近い赤字が生じますので、前年度からの繰り越し赤字を加えまして、累積赤字は六十二億程度に達するものと予想されております。これは、事業規模六百億に比べまして一〇%を超える赤字でございますので、日々赤字が累積をしている現状でございまして、この現状は速やかに改める必要があるのではなかろうかという感じがいたします。そこで、昭和五十一年度中に六十二億の赤字を解消いたしますためには、財源率を千分の十八程度上げなければ、いま申し上げました赤字は解消することができず、もし引き上げの時期がおくれればおくれるほど上げ幅は大きくなりまして、昭和五十二年度以後におきましても、これを処理することが非常にむずかしくなってくるのではなかろうかと、こういうことが予想されるわけでございます。  いま申し上げましたのが地方職員共済組合の現況でございますが、市町村職員共済組合あるいは他の地方公務員の関係共済組合につきましても、昭和五十一年度当初におきまして、相当程度財源率は引き上げたわけでございますが、年度間の医療費の増高、あるいは予定されました収入の予想等と勘案いたしまして、相当の赤字が見込まれるのではなかろうかという感じがいたしているわけでございます。
  101. 山崎昇

    山崎昇君 これは、きょうここであなたの説明だけが聞いてどうこうするわけではありませんが、もちろん、それぞれ運営審議会なり、いろんな機関があるでしょうから、そこでも相当議論される問題だと思いますから、議論してもらいたいし、それからいま私もお話聞きましたから、私どもなりに国会議員としても検討しておきたいと思います。まあ、いずれ別な機会に、共済組合全体について私は議論する中でこの短期の問題もやってみたいと思いますから、その際に意見を述べたいと思いまして、きょうは実情だけ聞いておきたいと思います。  以上で私の質問を終わりたいと思います。
  102. 小山一平

    ○小山一平君 関連。  この際、自治大臣に一言お尋ねしておきたいと思いますが、大臣がこの委員会で正式に御答弁をされるのはきょうが初めてです。しかし、新聞などでちらほら大臣の方針というようなものが示されております。まあきょうもいろいろ質疑応答がございましたが、大臣地方自治に対処する基本姿勢であるとか、あるいは今日的財政危機下にある地方自治にどう処していくとか、こういうような所信表明というようなものをまだ私どもは聞いていないわけであります。これからの委員会の中で十分お尋ねをしていきたいと思いますが、まあ大臣も新大臣としての方針を述べたいとお考えだろうし、私どももそれを聞かなければなりませんので、そうしたいろんな問題を含めた大臣の所信表明とも言うべきものを文書をもって出していただくことが適当だと思いますが、いかがですか。
  103. 天野公義

    国務大臣天野公義君) わかりました。まとめて御提出をいたします。
  104. 上田稔

    委員長上田稔君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時四十分まで休憩いたします。   午後零時三十九分休憩      —————・—————   午後一時四十八分開会
  105. 上田稔

    委員長上田稔君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方行政改革に関する調査について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  106. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 初めに、まず新しく自治大臣に就任なさいました天野先生にお伺いしますが、これから安定成長に即応した地方行財政、これに課せられたいろいろな課題がございますが、これに対処して大臣としてどのような決意をお持ちになりますか、承りたいと思います。
  107. 天野公義

    国務大臣天野公義君) いまお話しのように、日本の経済が低成長の方向に移行をいたしてきているわけでございまして、したがって、地方団体も高度成長時代のような安易な行財政運営のあり方ということはできなくなっていることは言うまでもないところでありまして、この厳しい情勢におきまして抜本的な見直しを進めまして、これから新しい時代へ適応するような方策を立てていかなければならないわけでございます。特に最近の地方行財政をめぐるいろいろな問題は厳しいものがあるわけでございますが、その中でも住民福祉の着実な向上を図っていかなければなりませんし、また、いろいろな公共施設等も充実をさしていかなければならないわけでございます。したがって、地方財源の確保等、地方行財政政策の充実に今後ともなお一層力を尽くしていくということが一番大きな柱になるわけでございます。と同時に、地方公共団体にあってもこの厳しい現実というものをよくわきまえてもらって、ぜい肉をできるだけ切り落とすことができるところは切っていただき、節約すべきところは節約をしていただいて、いたずらに住民負担が多くならないようにみずからも努力をしていかなければならないと思います。国の方も地方の方も、この新事態に対処をして住民の要望にこたえながら効率ある行政を行っていってもらいたいものだと、かように思っておる次第であります。
  108. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまの大臣の御決意を承りましたから、ひとつその決意を貫いていただきますようお願いいたします。  なお、いま問題になっています行政改革の問題についてもお伺いしますけれども、これなども大臣がおかわりになる都度にいろいろと御決意の中にもあったり、また、さらに各方面からもこれに対する要望が常にあるわけでございますが、依然としてやはり思い切った行革というものができないわけでございますが、ぜひ大臣にお願いしたいことは、最近の社会情勢に対応した新しい国と地方との基本的な関係を樹立すること、これがぜひ必要だと思いますので、これを強く大臣にお願いするとともに、この問題について、行政改革の問題についてどのように取り組まれるおつもりか、お伺いしたいと思います。
  109. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 行政改革の問題はいつでも取り上げられて、そして問題になっているところでございますが、実際手がけてみますとなかなかむずかしい問題がありますし、そこには歴史的な流れの問題もございます。いま国と地方との問題やあるいは出先機関の問題や制度の問題と、いろいろと検討いたしているわけでございますけれども、今後ともとるべきものはとり、そしてまた検討すべきものは検討するということで、慎重かつ迅速に答えが出ていくような方向で考えていきたいと思っておる次第であります。
  110. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いま大臣からもいろいろな出先機関等についてのお話もございましたが、具体的にいま大臣の触れられました国の出先機関の整理合理化、これにつきまして、たとえば地方債の事務手続を例にとってみましても、自治省のほかに財務部にも手続が必要になっておる。地方が積極的に事務処理の簡素合理化に取り組んでも、こうした国の出先機関があることによって時間と経費が大変ロスになっておるわけでございますが、国の出先機関については、本当に必要なものだけに限って廃止するよう根本的に見直すべきであると、このように思いますけれども、これについてどうお思いですか。
  111. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 原則といたしまして、できるだけ地方自治団体に事務を移譲して、合理化、迅速化の方向で進めていきたいと思っております。
  112. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 これはずっと歴代の大臣も、約束されたりあるいは実行なさろうとしたけれども、ついに今日までペンディングになっていますが、これの一つとして地方事務官制度の問題、これの廃止はすでに決まっておるわけでございまするが、一向実行されませんで、もはや許されないような時期にあるということは大臣もお引き継ぎ中でもって御承知のことと思いまするが、この問題についてはどんなふうにお考えになりますか。
  113. 山本悟

    政府委員山本悟君) 地方事務官制度の廃止の問題につきましては、ただいま御指摘がございましたように、たびたび御議論を賜り、かつ御決議もいただきまして、方向をお示しいただいているところでございますが、その方向の趣旨に沿いまして、政府といたしましては廃止のために関係省庁間で鋭意調整もやってまいったというような経過があるところでございます。特に昨年の十月から本年の春にかけましては、関係省庁の政務次官によりますところの調整会議も十数遍にもわたりまして開催をお願いをいたしまして、この問題の打開を図ってまいったところでございますが、遺憾ながら政務次官会議におきましても結論を得られなかったというような経過で今日まで至っているわけでございます。自治省といたしましては、国会の委員会におきます附帯決議もございますし、特別決議もございますわけでございまして、この御趣旨に沿いまして今後とも関係省庁との協議の促進を図ってまいりたいというように決意をいたしているわけでございますが、何分非常に経過のある問題でございますので、さらに一層御意思のあるような方向での解決ができますように、ひとつ御鞭撻を賜わりたいと存じているところでございます。
  114. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この地方事務官の例を一つとりましても、なかなか行政改革ということはむずかしいことでございまするし、またその中でも、国の出先機関の整理合理化ということもなかなか至難のことでございます。もちろんこれには各省庁間の勢力争いというか、なわ張り争いといいますか、それも大きく災いしているというふうにも思っておりまするが、ぜひこれは今度新大臣の手によって一つでも二つでも実現さしていただきたいと、こうお願いする次第でございます。  それから地方地方負担を伴う事務、事業の抑制についても、地方財政の悪化の折から地方も強くこれを要求しておりますが、来年度の予算にはどんなように反映しておりますか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  115. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 明年度予算編成に当たりまして、各省庁に対しまして、私ども地方団体が希望いたしておりますいろんな措置を非常に具体的に各省にお願いをしてきております。それに対しまして、まあ全部が全部とはまいりませんが、おおむね当省の意向をくんでいただいて、現在各省庁で大蔵省に予算要求をしていただいておると、こういう状況でございます。細かな項目はもう何十にもわたるようなものでございます。今後、予算編成に当たりまして各省庁と大蔵省との折衝がございますので、いろいろ問題はあろうかと思いますが、私どもは各省庁にぜひ地方団体が希望いたしておりますような事柄の実現、これを求めていきたいとこう考えております。  なお御質問の中に、これから新しい事務と申しますか、新しい地方負担を生ずるような仕事、これが社会情勢の変化に伴いましていろいろ出てきかねないわけでありますが、こういうものに対する財源措置、これをどう考えているのかといったようなことも含まれておると思うわけでありますが、このような厳しい地方財政状況でございますので、各省が新たな義務的な事業、事務を地方団体に頼むという場合には、従前のように単純に地方交付税で財源措置してあるからそれでその財源は自分で持ってくれというようなかっこうにならないで、新たなそのために要します経費について的確な財源措置、こういうものを考えてもらうように、具体的には相応の国庫負担をするなり、あるいは使用料、手数料、そういった財源の確保を図るなり、そういったことを兼ね備えて新たな仕事というものを要求してほしいと、こういうことも強く要請をいたしておる次第でございます。
  116. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまのお話ですが、安定成長時代に合わせた改革案づくりの年とも言われておるようでございますけれども、この時代に合わせた改革案づくりにつきまして、自治省では何か一、二いいアイデアでもお持ちになっていらっしゃるでしょうか。もし、あったらお漏らし願いたいと思います。
  117. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 中期計画でもごらんをいただきましたように、ただいまのところ、国、地方を通じましての財源の絶対量が施行いたしております行政需要に対して不足をするというような事態かと考えておるわけでありまして、所要の財源増強につきましていろいろな措置がこれから必要になろうと考えておるわけであります。もちろん、その額はかなり膨大な額でございますので、早急に一挙にこれを解決するといったようなことになるのかどうか。これについてはいろいろ御議論があろうかと思いますが、考えられます財源増強についてのあらゆる措置検討し、実行に移すべく努力をしたいと思っております。具体的には、その具対策につきましては、地方制度調査会等の御審議も賜っておりますし、また、税制面においては税制調査会等の御審議も賜っておるわけでありますが、私ども基本的方向としては、地方財源の増強という方向に意向を志向いたしまして、できるだけの努力をしていきたい、こう考えておるわけであります。
  118. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうしますと、結局財源増についていろいろと御検討のようでございますけれども、五十二年度には二兆円に上る財源不足が見込まれていると言われておりますが、この辺についてのお見込みはいかがですか、財源不足等について。
  119. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 御指摘のように、中期計画におきましては明年度一兆九千億余り、約二兆円近くの財源不足が生ずる見込みを立てております。これは、その後の経済情勢や財政需要のあり方等に若干の変動がございましょうから、この数字は若干変動するとは思いますが、ただいまのところ、まだ昭和五十一年度の産業界等の決算状況等も判明をいたしておりませんので、なお若干の詰めをいたしたい。ある程度見通しが立ちますのは十一月の終わりごろか、十二月の初めぐらいになろうかと思いますが、見通しをもう一遍立て直してみたいと思っております。  しかし、いずれにいたしましても、いまの状況でございますので相当程度の財源不足になるだろうと、財源不足が全然消えてしまうということは考えられない、このように思っておるわけでありまして、地方財政計画を策定します上で必要となります所要財源不足額、これに対しては何としてでもこの補充措置をとって、明年度財政運営は少なくともこれによってそごを来すというようなことにならないように努力をしたいと、こう決意をいたしております。
  120. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうすると、二兆円か一兆九千億ですか、それは相当減るという、多少明るい見込みもお持ちになってるようないまお口ぶりでしたけれども、しかし、それにもかかわらず、やはり非常に財源が不足しているということから考えますと、地方税の減税ですね、これはもう全然いまの段階では考えられませんか。御意見承りたいと思います。
  121. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) このような非常に厳しい財政状況でございますので、私どもといたしましてはできる限り地方税源を充実確保したい、こういう希望を持っておるわけでございます。したがいまして、個々の税目につきましてはいろいろの問題があるいはあろうかと思います。また、御議論があろうかと思いますが、基本的な考え方としては、税源確保という立場からできるだけ減税はしばらく御勘弁をいただきまして、何とかして税源の充実にもっぱら意を用いたい、こういう気持ちを根本的には持っております。
  122. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうすると、できるだけと言うのですから、結局はひとつ減税はせずに押し通そうというふうに理解いたしますが、さきにも御質問もあったんですけれども、例の地方交付税の問題ですが、これは財政問題で一番基本的な問題になると思いまするが、いよいよ来年度から交付税の税率の引き上げ、これが必要になってまいりましたが、これについてのお見通しをもう一度ひとつ伺いたいと思います。
  123. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 先ほども申し上げましたように、中期見通しに基づきます地方財政財源不足状況が五十二、五十三、五十四といった年度にどのように動いてくるか。これにつきましてもう少し詰めた検討が必要であろうと思っておりますので、そういった状況に合わせて財源補充の策を考えなければならぬと思っております。もちろんこのような事態でございますから、地方交付税法の六条の三に該当しますような時期、こういうその時期に該当するという認識を持ちまして財源不足に対処していきたいと思っておるわけでありますが、やり方は、先生御案内のように、行財政制度でどのような改革を行っていくのか、それに絡めて交付税の率、これをどう考えていくのか、二つの方向からこれをあわせ用いる必要があろうかと思っております。その場合に、また交付税の率等の問題でございますので、長期的な見通しのもとではどう対処していったらいいのか、こういうことも当然あわせて検討しなければならぬと思っておるわけでありまして、今後五十二年度以降の財源不足状況等をもっと詰めました段階におきまして、交付税の率にどの程度、制度改正にどの程度、あるいはそのほかの措置等にどの程度持っていくか、こういうことを分類をし、それぞれ大蔵省とも折衝してその実現を期してまいりたい、このようなつもりでおるわけであります。
  124. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 何かけさの新聞なんかでも、大蔵省のまあこれは事務当局でしょうけれども交付税引き上げについては絶対反対だというようなことを言っておりますけれども、これはまあひとつ私ども同じことを繰り返すようですけれども、ぜひことしは、今回は大いに皆さんの、自治省側の御意向を通して、いまのような三二%というような税率を大幅に変更していただきたいと、こういうふうに期待しているわけでありますが、新大臣におかれましても、ぜひその実現のために絶大なる御努力を、要望いたします。  大臣も、もちろん交付税をお上げなさることについて非常に消極的だというようなお気持ちはおありにならないでしょう、国の財政の方が大事であるからと。いかがですか。
  125. 天野公義

    国務大臣天野公義君) ただいま政府委員の方から答弁したとおりでございまして、地方財源を充実さしていくということが一番のねらいでございます。そのため、不足額が生じてこの条項にひっかかるということが予想されるわけでありますから、行財政制度改正や、また交付税引き上げ等いろいろ含めましてその充実に当たっていきたいと、かように思っておる次第であります。
  126. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この交付税の問題ですけれども、結局は地方において財源が不足するということ自体は、地方のいわゆる事務量、地方公共団体の事務量が非常に変化している、要するにふえているということに根本的な原因があるわけでございますから、そういうところを検討して、単に財政の表面にあらわれた数字だけでなくて、事務量の内容そのものについて検討されて、どうしてもそれじゃやはり税率としてはここまで持っていかなければいかぬなと、そういうふうに結論を出されるべきだと思うのですけれども、とかくいままではやはり国とか地方とかいうもののバランスの面で、また単に数字の上でもって、これだけしか余裕がないから地方はこれでがまんせいというような結論も出たように思いますが、どうかむしろもっと具体的に実態に即した税率の御決定を希望する次第でございます。  この一環としまして、いま申し上げましたのをもう一回まとめて言いますと、交付税の算定について、根本的には地方財政需要が伸びているにもかかわらず、それに合う財源の配分が適当に行われていないのがいわば実情でございますね。したがって、それが地方財政計画とそのまた実態との乖離としてあらわれているわけでございますが、これについて全国知事会調査によりますと、四十九年度の歳出の比較で三兆一千億円の乖離があるが、この辺について大庭はどの程度の御認識をお持ちになりますか、ちょっと伺いたいと思います。
  127. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 御指摘のように、現在地方財政計画地方団体決算の実態との間には相当の乖離がございます。四十九年度の地方財政計の画で考えますと、歳入歳出とも約一七%ぐらいの乖離があったと、このように考えておるわけであります。もっとも、この乖離の中にはいろいろな性格のものがございまして、先生も御承知のとおり、地方財政計画の性格上、実際の決算がそれを上回っても当然と申しますか、差し支えないと申しますか、そういう性格のものもございます。たとえて申しますならば、年度末に地方団体が中小企業等の融資施策を講じるといったような場合には、これは融資されました金は三月末には返還されてまいりますので、歳入歳出両建てで増加をしてまいりますので、財源所要額という面では影響がないわけでございます。このようなものは財政計画には計上しておりませんので差が出ます。それからあるいはまた、地方債にも枠外債というものがございまして、仕事が適当であり、資金繰りもつく、こういうことでありますと、地方債計画にとらわれずに私ども地方債の許可をいたしておりますが、こういう場合にはやっぱり歳入歳出両建てで増加をしてまいります。こういう点は実質上に乖離があって差し支えないわけでありますが、その他の面につきましては、やはりできるだけ乖離と財政計画の実態を詰めていく、こういうことが必要であろうかと考えておりまして、ことしもかなりの財政計画上の既定規模の是正等をやったわけでございます。  ただ、一番問題になりますのは、たとえば給与関係経費等につきまして、財政計画上は国家公務員並みのベースでしか人件費を計上いたしておりませんが、これに対しまして、実際の地方公務員のベースが若干これを上回っておるといったような面につきましては、計画を上回る歳出分がそれだけ地方財政にも影響を及ぼしてくるわけでありまして、こういった点、私どもとしては財政計画を実態に合わすように既定規模の是正をもちろん行ってまいりますが、先ほど申し上げましたような点については地方団体もまた応分の努力をしていただく、こういうことが財政の健全化を保つえんではなかろうかと考えております。
  128. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 もう一つこの知事会の調査を例にとりますと、基準財政需要額と実態との乖離につきまして、社会福祉に関することですが、都道府県決算額が四千三百三十四億円に上っていますが、基準財政需要額の合計は千九百二億円にしかなっていない。特に社会福祉費、それから人件費、これについての乖離が目立っている、こういうふうに言われていますが、これもやはり特別な措置を何らか講じなければいけないと思いますが、いかがでしょうか、その点は。
  129. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 基準財政需要額と実際の決算との対比をしていただきます場合には、多くの場合、基準財政需要額よりも決算ベースの方が上回ります。と申しますのは、基準財政需要額は、御案内のように、標準的な行政を行います場合に必要な当該行政経費の一般財源の所要額、こういう計算でございますし、それから差し引きます基準収入の方は、いわゆる標準税収入の県なら八割、市町村なら七割五分と、こういう引き方になりますので、残りの単独事業分に当たりますものは、税の二割とか二割五分の残りの分、こういったものを財源とした実際の行政運営がなされる、こういうことが交付税の仕掛け上一応そういう仕組みになっておりますものですから、基準財政需要額と実際の決算とを対比をしていただきますと、多くの場合実際の決算が広がる、大きい、こういうことだろうと思います。  なお、こういった点で極端な乖離が出てまいりました場合には、当然基準財政需要額そのもの、単位費用のあり方そのものを私どもとしても検討いたしまして、できるだけそういったものの充実に取り組んでいきたいと、こういうように考えておるわけであります。  なお、一般的に申しますと、たとえば投資的経費等におきましても、単独事業の地方財政計画での算入上額というものは必ずしもそう小さくはございませんで、四十九年度の場合を見ますと、決算に上がりました額よりも若干多目と申しますか、そのくらいの額が地方財政計画に計上してございますので、個々それぞれのものについてなお検討を要するとは思いますが、大勢的にはそのような大きな乖離はないと、こういうように考えております。
  130. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまのお話でわかりましたが、いかにも、千九百二億円というのと四千三百億というものと、半分にも片方はなっていないというようなことが異様に感じたものですからお伺いしたわけですが、わかりました。  次に、交付税を調整するということによって地方と国とのバランスをとっているわけですけれども、いまのこの交付税率を調整するということでなくて、むしろ交付税制度そのものの改正ということが必要だと思いますが、この辺について何か大臣見解をお持ちでしょうか。
  131. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 交付税制度そのものの改正という御質問でございますが、一部には、現在の地方交付税制度が国の国税三税の一定率ということでリンクをされまして総額が設定されております、このことが事態に合わなくなっているのではないか、したがって、昔の平衡交付金のような制度に持ち込むべきではないかといったような御議論もあるわけでございますが、もしそのようなことでございますならば、やはり平衡交付金におきます平衡交付金額の決定そのものの方が、現在の制度におきます交付税の総額の決定より、やはり国と地方財政との間のあつれき、争い、こういうものを非常に深刻にいたしておりました事態がございます。裏返して申しますならば、むしろ交付税制度でありましたがゆえに、ただいままでのところの事態では地方財源はむしろ順調に潤沢に確保できたのではなかろうか、このように思っておるわけでございますけれども、やはり交付税制度を根っこに置きながら、その交付税率のあり方とか、あるいはリンク税目のあり方とか、国、地方を通じましての財源配分のあり方とか、こういうことを議論をし、検討していきたい、こう思っておるわけであります。  ただ、現状におきましては、先生も御案内のように、ただいまの事態では、国、地方を通じました財源の総量というものが全般的に非常に乏しくて、全体の財政需要を賄えない。つまり国も赤字特例債が要るし、地方団体の方も起債による特例、こういうもので過ごしておる事態でございますので、この総量をどのようにマッチをさしたかっこうで確保していくか、ここから問題がスタートせざるを得ないと思いますので、大変困難な問題は含むわけでありますが、できるだけ地方財源の確保というものは取り組んでまいりたい、こう思っておるわけであります。  それから交付税制度改正問題で、基準財政需要一顧の算定方式そのほかにつきましてもいろいろ具体的な御意見がございます。こういう問題につきましては、もちろん私どもといたしましても検討を続けますことにはやぶさかでないわけでありまして、各団体等の御意見も十分聞きながら、これは毎年毎年のことでございますが、この充実については意を用いてまいりたい、こう考えておる次第であります。
  132. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 次に、警察官の人件費ですけれども地方側は国も財政負担の責任を分担すべきだと主張しておりますけれども、これに関しての大臣のお考え方を伺いたい。
  133. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 地方警察官の人件費は、昭和五十年度決算で、地方警察費総額一兆四百八十八億円のうち八千七百二十億円、八三・一%となっております。  で、地方警察官の人件費については、昭和二十三年以来地方費によって措置してきたところでございます。これを国庫負担の対象とすべきかどうかということについては、単に地方財政の問題だけでなくて、警察制度の根幹に触れてくる問題もあるわけでございまして、慎重に検討をしなければならないと思っております。
  134. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いま大ざっぱなお話を伺いましたけれども、これについて、もちろん制度上の問題ということもありますが、いままで、ごく簡単でいいですが、これについて、いわゆる国が負担するのじゃなくて、警察制度そのものを変えようというようなことについてのいきさつをちょっとはっきり説明をいただきたい。
  135. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 警察官の人件費につきまして、これを国と地方との連帯支弁金というかっこうにするかどうかという問題は、御指摘のようにかなり前からいろいろ議論がされておった問題でございますが、ただいま大臣から申し上げましたとおり、警察制度——つまり自治体警察ということに切りかえましたことに件いますこの警察制度のあり方、こういうものの根幹にも触れます問題でございますし、かつまた、この負担を移動いたしますことは、地方財政上の総額の面から、財源措置総額の面からもかなり影響の出る問題でございます。どう考えるかにつきましてはいろいろな議論がございまして、両方それぞれの主張がございます。連帯支弁にしろという向きは、警察官の定数、そのほかがいわば国の政令で決まる事項でございますから、むしろ連帯支弁金にするのが適当であるという考えでございますし、逆の主張の方は、やはり自治体警察のあり方といったような本質から考えていった場合にやはり地方自治体が負担をすべき問題だ、地方財政法の九条の根本精神からそういったことだといったような両論がございます。これは、いずれもいま決済がついておる議論ではございません。ことしの地方制度調査会におきましてもそのような議論が知事会そのほかから議題として持ち出されておりまして、いま検討を続行していただいておる問題でございます。いままで私ども拝聴いたしております段階におきましては、地方制度調査会におかれましてもまだどちらに軍配を上げるというように確たる結論が出かねておりまして、議論の最中という状況のように承っております。
  136. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまのお話ですが、参考までに自治省の御意見を聞きたいんですが、現状でいいのか、それとも改革すべきか。調査会から何か成案があるかどうかわかりませんけれども、一応お考えがあったら聞きたいと思います。
  137. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 私ども正式にどちらであるべきだという態度をただいま決定をしておるわけではございません。しかし、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、警察制度の根幹に触れる問題でもございますし、かつまたこの財源のボリュームとしても、どちらかに移せばそれだけ分一般財源のあり方をも検討しなきゃならない、こういう問題になろうかと思いますので、十分慎重に議論を尽くすべき問題だというように考えておりまして、いまだに私ども明白な結論を出す段階には立ち至っておりません。
  138. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 話が飛びますが、公社債の引受協会というのがございますが、これが去る四日に、地方債についてその問題点と当面の改善策としてのレポートを発表しておりますが、一つには地方債の発行条件の引き上げ、それから二つには発行様式の統一、それから三つ目に発行額と時期の弾力化などの実施を要望していますが、これは地方債の発行について非常に厳しい環境にあるためにいろいろとこのような案が出てきたものと思いますが、自治省の方の御見解はいかがでしょう、これに対して。
  139. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 公社債制度研究委員会という名前で公社債の引受協会が五十一年、ことしの九月に当面の改善方向につきましてただいま御指摘のような五項目ほどの項目を盛りました研究を御発表になったのはよく私どもも存じております。ただいまのような地方債における市場公募債そのほかの発行の現況におきましては、このような問題点が生じておって研究をすべき問題である、そういう御指摘をいただいた。こういうことについては、客観的な情勢からはむべなるかなと思うわけでありまして、御研究をいただいたことにつきまして敬意を表しておるわけであります。  ただ具体的な内容のそれぞれにつきましては、たとえば公募地方債のクーポンレートでございますが、五十年の十一月から八・五%というように〇・三%下がっておりまして、A格事業債のクーポンレートが八・八%、こういったような問題の指摘がございまして、公募地方のレートをもっと上げろという御指摘なのでございますが、こういった点については、国債、政保債、それからこの事業債、こういったものとのバランスなり金体体系といったものがやはり大変議論になっておりまして、一応そのバランスを配慮して決められておる状況でございますので、高ければ売れるということは一概には言えるわけでありますけれども、それだけ分のまた利子負担等のあれも出てくる問題でありますから、やはりそういったバランスの状況をも慎重に配慮して決めるべき問題だ、軽々にすぐ同じクーポンレートに引き上げなければならぬ、こういうようにまでは考えていないのでありまして、なお検討さしていただきたいと思っております。  そのほか手数料の問題とかいろいろございます。発行時期を調整をする、こういったことも非常にごもっともでありますが、さらにこの発行形式等の実務上の技術的な問題、これにつきましては、現在こういった公社債引き受け側、あるいは金融機関、大蔵省、私ども、こういったところで地方債問題研究会といったようなものを開いておりますが、そういうところの議題にもして検討をしていきたい、こういうように考えておる問題でございます。したがいまして、問題点の指摘項目としては非常にごもっともな御指摘でございますが、結論をどう持っていくかはなおそういった研究会等に諮りながら実勢に合ったように持っていきたい、こう考えておる次第であります。
  140. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 大臣も東京御出身ですが、地元のことについてちょっと聞きたいと思いますが、東京都が非常に苦しい財政事情にあることは万般御承知のとおりであると思いますが、この直面している難問題、財政問題について何かお考えがありましたら、簡単で結構ですからお伺いをしておきたいと思います。
  141. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 一般的に大都市と言わず地方自治体と言わず、ともに財政難で悩んでいるわけでございますが、御指摘のように、東京都も非常に財政難で悩んでいるということを聞いているわけでございます。基本的には、先ほど申し上げましたように、財政事情に対しましては、われわれの方も大いに努力をいたしまして財政需要を充たすように努力をするわけでございます。しかし、一部にぜい岡があったりあるいは緩みのあるというようなところなきにしもあらずと思うわけでありまして、そういうところはみずから姿勢を正すべきところは正し、締めるところは締めていってもらいたいというふふうに思っております。どこがどういうことをちょっと申し上げかねるわけでございますけれども、やっぱり基本的な姿勢というものを正してもらうということが一番大切なことではないか。それに対処していろいろお手伝いするところはお手伝いをする、こういうことになろうかと思います。
  142. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いま大臣のお話の中で、東京に限らず大都市等々につきましてもいろいろ問題があるかのように御認識のようでございますけれども、ぜい肉も切ったりというお話もありましたが、どこからがぜい肉か、私どもちょっと大臣のお考えになっているぜい肉と、私らの考えているぜい肉とぴったり一致するかどうかわかりませんが、いずれにしろ、本当に適正といいましょうか、急膨脹した大阪とか東京とかいう都市にふさわしい対策というものをこれは余り行われなかった、要するにつけ焼き刃的に、やっぱり人口がどんどんふえるから仕方がなしに道路も広げる、交通機関も整備するというようなことでもって追っかけ追っかけ来たことが、今日のような東京とか大阪とかその他の大都市の姿じゃないかとも思われるわけでございます。したがって、これからこのような安定成長の時代になりましたときに、急激なこれに対する生活環境を整備するための方途とか、あるいはまた公共施設をどんどん整備していくというようなことについては非常に困難も伴うと思いますけれども、それだけにやはりよけいなことでなくて、本当に重点的に適切なる施策を行って、いわゆる都市生活そのものが円満に行われるということを期待しているわけでございますが、それについて実はお考えを伺いたいと思ったんですが、いかがでしょうか。
  143. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) ただいま御指摘をいただきましたように、地方団体財政困窮に陥っております中でも、人口が非常に急増をしておる、こういうことに伴いまして特別の財政需要がたくさん生じる。こういった地域の地方団体が比較的に言いますと一番苦しい状況であるのは御指摘のとおりだと思います。私どもといたしましても、こういった人口急増団体に対する特別の財政措置というものを何とかして充実をしたいという考え方に立脚をしておるわけでございまして、御承知のように、最近でも四十六年度以降で、公立小中学校の用地取得に対します国庫補助制度の創設とか、あるいは小中学校の校舎建築とか、幼稚園の建築費、消防施設費、こういった関係の国庫負担率の引き上げとか、あるいは人口急増補正といったようなことで交付税の充実をやりますとか、それから用地取得そのほかに対しまして地方債の充実をやるとか、こういうことをいろいろやってまいりました。なおそのほかにも、たとえば住宅公団等が住宅を建てます場合にはまた公共施設がたくさん要って財政を圧迫をいたしますので、五省協定に基づきます住宅公団の立てかえ施行措置でございますね、こういったものを改善をするといったようなこともやってまいったわけであります。こういったことがそれぞれ効果をあらわしておるとは思いますが、これでまあ完全にそれでよろしいという事態でももちろんないと思いますので、こういった措置をなお充実をしていってもらう、こういうことを各省に要求をいたしますとともに、私ども交付税の算定そのほかを通じて、できるだけ人口増加に伴う需要の実態を反映をするよう、できるだけ努力をしていきたいと思っております。
  144. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 最後に、この間の台風十七号についてお伺いしたいと思いますが、西日本各地を荒らし回った台風でございます。被災者の方々には非常にお気の毒だと存じ上げている次第でございますが、この災害復旧に要する非常に多額の地方負担、これについて自治省の御対策といいましょうか、御配慮といいましょうか、それをお伺いして私質問を終わらしていただきます。
  145. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 災害復旧に要します地方財政負担が非常に今回は特に大変であるということは私どもも十分認識をいたしております。  まず災害復旧事業関係でございますが、これは被害額が決まってまいりますと、その否定に応じて、この復旧事業をまず公共聖業で実施をするという公共災害の方の事業施行額が各省の認証で決まってくると思います。原則的には被害を三、五、二の比率で三年間で完全復旧する、こういう立場に立ってでございますが、できるだけ初年度にたくさん復旧してもらいたいと私どもも希望しておるわけでございます。この公共災害の裏負担につきましては地方債を充当いたします。この地方債は、その元利償還を将来その団体の基準財政需要に見るということで、交付税を通じて保障していくというかっこうをとるわけでございます。  それから、公共災害になりませんちっぽけな、小さなもろもろの災害の復旧事業でございますが、これは単独災害復旧事業ということで、これもまた地方債をもって措置をする、こういうことを考えておりまして、この単独災害の復旧事業の地方債は、公共災害並みではございませんが、やはり一定率を交付税の需要に算定をする、こういうことで将来借金返しがひどい負担にならないように配慮をしていこうと思います。  こういうことで、復旧事業の方は公共事業、単独事業を通じてそれぞれ地方債の追加措置をやりまして地元負担を賄いますので、地方団体に御心配をおかけをすることはないと考えます。  それからその他に、やはり復旧事業だけでございませんで、もろもろの災害上の諸出費が要ると思いますので、これは先生も御案内のように、従前から特別交付税で一定のルールを設けておりますが、災害の被害の額に応じ、あるいは被災面積や被災住宅数、こういったものに応じまして、あるいは農作物の災害等につきましても同様でございますが、一定の基準を設けまして特別交付税を配分をする。特別交付税のこういった災害分に対応いたします配分は、この前の法律改正で十二月に行っていいことになっておりますので、十二月いっぱいにこういった算定をいたしまして、特別交付税の配付をいたしたい、こう考えておるわけであります。これでもろもろの災害に伴います諸経費の財源に充てていただく、このように考えておる次第でありまして、以上の措置を通じまして、経験的にも現年災害の復旧に対して、それほど大きな負担が、財源措置ができなくてお困りになるという地方団体は出てこないだろうと思いますし、またこないように措置をいたしたいと思っております。
  146. 神谷信之助

    神谷信之助君 まず、政治姿勢について大臣にお伺いしたいと思います。  その第一の問題は、御承知のように、今日地方財政はきわめて厳しい状況の中に置かれておることは御承知のとおりであります。こういう今日の地方財政の危機、その原因は一体何にあるのか、このことを正しく認識をするということが、この地方財政の危機を打開をして、そうして地方自治の本旨に基づく行財政の条件を整えるという上できわめて重大だというように考えております。大臣も、就任のときに各新聞記者会見で、危機に立つ地方財政の改善に努力をするということをお述べになっております。したがって、今日の地方財政の危機についてどういう御認識にあるのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  147. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 基本的には、先ほど申し上げましたように、日本の経済が高度成長を続けて、それに基づいて収入がどんどんと自然増収が上がってきた、そういう時代から、低成長といいますか、安定成長といいますか、そういう経済に推移をすることによりまして、地方財政にもそのしわが寄ってまいりました。今日では財源不足というような事態を招来しておりますし、国の方でも国債を出すというような事態になっているわけでございます。これから中期的に見ましても、中期計画にありますように、直ちに地方財政が豊かになるということは考えられないわけでありまして、依然としてしばらくの間はむずかしい財政状態が続くものと考えなければならないわけでございます。したがって、それに対処をいたしまして、地方自治体の財源不足によるところの行政需要を賄うようなことができるように、われわれとしては十分な努力と配慮をしていかなければならないわけでございます。すなわち、この地方行財政についての要望を満たすということが一番のわれわれの問題でありますし、もう一つの問題といたしましては、地方自治体においてもその新しい情勢に対処をいたしまして、やっぱりみずから正すべきところは正していくという姿勢をとっていただきまして、そうしてやるべきところはやると、こういう方向で進んでいただかなければならない、かように考えているような次第でございます。   〔委員長退席、理事金井元彦君着席〕
  148. 神谷信之助

    神谷信之助君 いま大臣は、高度成長のもとで税収などの自然増がふえてくる、ところが、それが安定成長に移ったがためにしわ寄せがあって非常に困難な状況が生まれてきたという趣旨で、今日の財政が困難になった状況についてお述べになりました。したがって私どもは、高度成長政策をとってそうして膨大な設備投資を進めていく。そして列国改造政策を進めることによって、公害や、あるいは交通難その他を引き起こすと同時に、過疎と過密という新しい矛盾を引き出す。そういう中で、過疎においてもまた過密のところの自治体においても行政需要が非常に高まってくる。この中で、自然増があったからこそ何とかやりくりがついてきたけれども、これが安定成長になったらそうではない、非常に大変なパンクの状態になってくる。こう考えますと、この安定成長にそれじゃならざるを得なかった原因はどこにあるのか。すなわち、高度成長政策をとってきたところに今日の、何と言いますか、急激な安定成長への転換と言いますか、あるいは高度成長政策の破綻、これが今日の地方財政の困難を引き起こした重大な原因ではないか。幾つか原因は挙げられると思いますけれども、その根本にはこの点がきわめて重大な原因ではないか。とすれば問題は、そういう状況の中で地方財政が困難な状況になった、その責任の大半の部分という点は、少なくとも高度成長政策をとってきた政府自身にあるのではないか、こういうように考える。この責任は一体どこにあるのかという点について大臣見解をお聞きしたいと思います。
  149. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 私は、高度経済成長というものについては考え方を二つ持たなくちゃいけないと思うのです。ということは、余りにもひどい高度成長、これはやっぱり非常な害を及ぼしてくる。日本の高度成長の歩みを見てまいりますと、政府考えていた成長路線よりもなお激しい成長路線を進んだということが言えると思うわけであります。しかし、もう少し低い成長ということもこれはいいことでございまして、ある程度の成長がなければその社会は大変になるということは最近のわれわれの体験でよく知っているところでございます。どこからか高度でどこからがどうだというその判定の基準はなかなか経済学上にもないような次第でございまして、一概に言い切ることはできないわけでございますが、ある程度安定的なそして適度な成長ということは、これはどうしても望ましいところではないかと思います。激しい高度成長のおかげで、自然増収がうんとふえてそれによって地方財政が賄われてきた、あるいは地方財政がいままでそういうことがあたりまえであった、こういうふうに考えて処理してきた場面がなきにしもあらずだろうと思います。しかし、今度はともかく情勢が一変をいたしまして、そして前のような高度成長が望めないとするならば、その基調に従っていろいろなことを考え対処していかなければならない、かように思うわけでございます。先ほども申し上げましたように、激しい高度成長時代は去ったわけでございます。その原因はどこにあるかと言えば、まあいろいろな原因があります。石油の問題あり、あるいは新しく開発できる基地が少なくなった。いろいろな原因があるわけでありますが、これからは、この安定成長の上に立ってそしてやっていかなければならないという条件の上にいろいろな問題を判定する場合には、やっぱり地方もその条件に立ってそして自分の仕事がやれるという立場に立ってやっていかなくちゃならないわけでございまして、これから厳しい財政状態の上にいろいろな仕事をやっていかなくちゃならないわけでございますから、考え方を変えて進んでいくのが当然である。これに対して、自治省の方もいろいろな面でお手伝いをしながらお互いに地方自治の充実に向かって進んでいこう、こういうことだろうと思います。
  150. 神谷信之助

    神谷信之助君 高度成長があまりにもひどいということでいろんな害を生んだ。しかし、安定成長という方向は必要な方向なんで、それに見合った自治体の運営というものを考えなければならない、言うなればそういう趣旨だろうと思うのですが、その考え方、実は私ども別に異論があるわけです。しかし、きょうこの問題で議論しようとは思いません。  しかし問題は、政府が特に六〇年代に入ってどんどんと高度成長政策をとって、それから四十七年の田中内閣ができて以来さらにそれが拍車をかけられる。そして、石油ショックによって急ブレーキをかけられる。これがそのために大変な混乱を地方自治体にもたらしたことは事実であります。で、自治体の方も五十年度、それから五十一年度について、先ほどのぜい肉を取るという話じゃありませんが、人件費について大幅な削減をするとか、それから手数料あるいはいろんな料金、これらもどんどん引き上げるとか、それからいままでやっておったいろんな単独事業も打ち切っていくとか、それこそ四苦八苦の対策をとってきていますね。それでも地方財政財源不足というのは今年度でも二兆六千億に上った、こういう事態であります。したがって、この地方財政の今日的な課題を解決をするためには、政府の方がそういう点に、非常に大きな自治体に迷惑をかけたということについての大きな責任を感じて、そうして思い切った対策、手だてを講ずるということにならないと、当面をするこの地方財政の危機を乗り切ることはできないというように私は思うんです。われわれが新大臣に期待をするのは、そういう立場からの政府閣僚内部での、地方自治の本旨を全うしていくためにもそしてまた自治体で苦労してきている関係者の努力に報いるためにも、そういう決意に立って奮闘していく必要があるだろうというように思うんですが、この辺についての決意を再度お聞かせ願いたい。
  151. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 新しい経済情勢になったわけでございますから、それを基礎といたしまして地方財政も運営できるような方向で私どもあらゆる努力をしてまいりたいと思っている次第でございます。
  152. 神谷信之助

    神谷信之助君 これはまた具体的に後ほどの問題でもお伺いしたいと思いますが、もう一つは、大臣が就任をされて、九月十六日付の各新聞の談話を見ますと、日本経済でも読売新聞でも、ロッキード事件については国民が納得できるように解明に努力をするというように述べておられます。この点はそういう決意でおられると思いますが、間違いございませんか。
  153. 天野公義

    国務大臣天野公義君) ロッキード事件は解明してもらいたいと思っております。
  154. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、解明してもらいたいということじゃなしに、三木内閣の一員として、国務大臣の一員として責任を持つ。その責任の一端を負う立場になったんですからね、その解明のために努力をしていくという主体的な意欲をお持ちだと思うんですが、その点をお聞きしているのです。
  155. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 国会でいろいろ論議がされていることもよく承知をいたしております。その論議を通じ、その結論においてロッキード事件が解明されることを望んでおります。
  156. 神谷信之助

    神谷信之助君 御承知のように、いまロッキード事件が全国の国民の非常に重大な関心になっているわけですが、同時に、福島とか千葉などのように全国の自治体の中にも汚職事件あるいはロッキードの小型事件といわれるようなものが最近は頻発をしています。その問題についても天野大臣は綱紀の粛正を強調をされています。これも日経にも読売にもそのように出ております。この点については具体的にどうお進めになるお考えですか。
  157. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 一番大切なことは公務員が自分の職責の重要さということをよく反省していただきまして、そしていろいろな誘惑にかからず、きれいな姿勢で仕事をやっていっていただくということが一番の基本だろうと思います。
  158. 神谷信之助

    神谷信之助君 公務員が、特に知事、市町村長あるいは関係をする自治体の議員、これらの人が特にえりを正さなきゃならぬと思うんですね。  そういう意味でちょっとお伺いしますが、大臣はかつて——最近は廃止されたようですが、全日空の無料パスをいただいておられたと思いますが、いかがですか。
  159. 天野公義

    国務大臣天野公義君) ずっと前から送ってきております。で、私は東京の者でございますから、率直に言いましてほとんど使ったことはございません。御好意で送ってきておりますから、私も御好意と受けとめまして、恥ずかしながらというか、礼儀といたしましてウイスキー等を返礼に贈っております。
  160. 神谷信之助

    神谷信之助君 大変これは重大な問題だと言えると思うんです。お使いにならぬものならお返し願えばいいんです。しかもあれは、全日空では国会議員のだれに配付をするかというのは秘密にしておった、そういうしろものでもあります。全部の国会議員に渡っているわけでもない、あるいは自民党の議員さん全部に渡っているものでもない。だから、これはしたがって非常に疑惑を持たれているものである、こう思うんですね。私は、この点はひとつ率直にこの機会に大臣からも釈明をしてもらいたいと思いますが、同時にもう一つ私はお伺いしたいんです。  それはいま御承知のように、国会では政府高官名の発表について重大な議論が進められています。国民の方は、世論調査を見ましても八七%が、すべての金品を受け取った政府高官の氏名は公表せよ、これが世論調査の結果として出てきております。そういう状況の中で、毎日新聞が去る五月の三十日発表しておりますが、毎日新聞社が行ったアンケートに対して、あなたは次のようにお答えになっております。一つ質問は、「ロッキード事件で金を受け取ったことが捜査当局の調べではっきりしても、時効などのため起訴されない政治家や官僚の名前を政府は公表すべきだと思いますか」、これに対する解答は、「公表すべきだ」と。すなわち、時効などのために実際に賄賂を受け取っても起訴されなかった者、これは「公表すべきだ」と、こうおっしゃった。しかし、同時にもう一つは、「ロッキード事件で金を受け取ったことが捜査当局によって立証されなくても、アメリカ側の資料で金を受け取ったとの疑惑がもたれる政治家や官僚の名前を政府は公表すべきだと思いますか」、こういう質問に対して、「公表すべきでない」とお答えになっています。この点お間違いございませんか。
  161. 天野公義

    国務大臣天野公義君) はっきり覚えておりませんけれども、立証されないものはこれは公表すべきではないと思いますね。
  162. 神谷信之助

    神谷信之助君 今回の問題では、ロッキード社から金を受け取った、あるいは金品を受け取った。ところが時効とかあるいは職務権限がないとか、あるいは政治献金として受け取ったとか、あるいは盆暮れのつけ届けであって慣例であったとか、あるいは金額が少なかったとかいうことで捜査の対象から外されるというものがたくさんあります。だから、いずれにしてもいま国民が知りたいのは、一体だれが、だれのふところにそういう賄賂が入ったのか、しかもそれはどういう経路で入ったのか、それは全部ひとつはっきりさしてもらいたいというわけですね。このことをやっぱりはっきりさせないことには、日本の政治の浄化も図れない。国の政治の段階でそこら辺をあいまいにしておいて、自治体に起こった汚職腐敗に対し、綱紀の粛正をどうして図ることができるか。私はそういうように非常にその点について疑問に思うわけです。これは国政においてそれだけの紊乱、賄賂政治が横行しているそういう状況の中ですから、自治体の場合でも同様のことが千葉や福島を中心にしてほとんど全県的、全国的に起こるような状況になってきている。これを断ち切るには、やっぱり国の段階、国政の段階、上の段階で正さなきゃいけない、そういうように思うんですよね。そういう意味から言うと、このアメリカ側の資料で金を受け取ったとの疑惑が持たれる政治家、官僚のお名前、これを発表する、それに対する判断は国民がやるわけです。主人公である国民が、有権者である国民がやるわけです。その政治的道義的責任の追及は、ベールに隠しておっては国民は判断はできません。だから、立証はできないけれども、資料は困る、それじゃ、それはどうもない、シロだと、支持をすることができるというように判断をするかどうか、これは国民が判断をする。そうして初めて国民の審判を受けて、日本の政治の浄化に一歩進めるということができると思うんですが、この点についてはいかがですか。
  163. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 先ほど申し上げたとおりでございまして、捜査はといいますか、検察が一生懸命お調べになったところでございます。  それからアメリカで発表されて、それでというお話でございますけれども、一方的に向こうに名前が出ていて、それがこっちで立証もされないというような不確かなものについては、私は発表すべきものではないというふうに個人的には思っております。  それから、汚職事件に関する姿勢の問題につききましては先ほど申し上げたとおりでございます。
  164. 神谷信之助

    神谷信之助君 こればかりやっておるわけにいきませんが、私はいまの大臣見解では不満であります。アメリカ側の資料に載っておるという疑惑だけで立証ができないのに発表をするのはどうかというようにおっしゃいますが、李下に冠を正さず、そういうものを明らかにし、そうしてみずから必要であれば国会に証人として出席をして、真実を国民の前に明らかにする、そうして国民の判断を仰ぐと、こういうけじめのついた姿勢をとらない限り、この真相は明らかになりません。しかもいま、十五日にやられるであろうという中間報告の内容というのは氏名も発表されない、しかも数字だけ、その範囲もきわめてまた限られた内容になる、こういうことさえ言われているわけでありますから、そういう政治のもとで今度自治大臣が自治体に対して綱紀粛正を言われても、そういうりっぱなことをおっしゃるけれどもあなた方はどうなんですかということになってしまいます。私はこの点を非常に重視をしなければならないというように思います。この見解だけ申し上げて、時間がありませんから、次の問題に移っていきます。  その次の問題は、地方財政の当面の具体的な問題であります。その最初の問題として、交付税率引き上げ問題についてお伺いしたいと思います。  きょう午前中の議論で、今日の地方財政の現状にかんがみて、交付税法の六条の三の二項を発動するといいますか、この状況にある。やはり引き続き財政が苦しくなってくる、しかも著しく差額が出ているという状況だということだと思います。で、五十年が、財源不足額が一兆九千億でしたか、それから今年度が、五十一年度が二兆六千億ですね、それで二年続きこうなってきておりますから、これは当然先ほど言いました六条の三の二項に基づく制度改正、もしくは率の改定を行わなければならない状態である。しかも中期展望を見ましても、さらに五十二年度一兆九千二百億ですか、五十三年度も一兆四百億、ケースIIの方を見ましても、同じように五十二年度が一兆八千三百億、五十三年度八千二百億の調整を要する額が出ることになっておりますから、これは当然この措置を、交付税法の六条の三の二項の定めに従えば、制度改正もしくは率の改定はやらなければならない、こういうように考えますが、その点はよろしいですか。
  165. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 御指摘のように、五十年、五十一年度と多額の財源不足がございましたし、五十二年度以降におきましても、ただいまのところ中期見通しでは相当の不足額が生ずる、こういう事態だと存じております。もちろん五十二年度以降のこの不足額につきましてはなお精査をしてみる必要がございますが、大勢としては、恐らく相当額の不足額が生ずることは避けられないのではないかと考えられます。したがいまして、五十二年度以降は、地方交付税法六条の三、こういう事態に当たる年として財源対策を考慮すべき事態に立ち至る、このように考えております。
  166. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、来年度に対する自治省行財政の重点政策、あの内容を見ますと、「特例地方債によることなく財政運営を行うことができるよう、地方交付税率の引上げ等を含め所要措置を講じ、必要な地方交付税の総額を確保する」、こういうように言われています。したがって、当然この点からいきますと、五十二年度というのは今年度行ったようなああいう特例地方債はやらない、そして交付税率引き上げも行う、恐らくそれだけでは足らないからそのほか超過負担の解消その他いろいろなことも考えなきゃならない、こういう趣旨と理解して、あるいはそのことを自治省としては来年度の重点施策の方針としてお決めになった、こういうように理解をしてよろしゅうございますか。
  167. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 特例地方債によらずと申しますのは、御指摘のとおりことしやりましたあの四千五百億のいわゆる地方財政法五条の特例債であります。こういったものによらずに財源措置ができるようにそれを目標にするという考え方でございます。特例地方債によらずに措置をいたしますが、そのためには交付税率引き上げ等も含めて諸般の制度改正措置をとるということでございまして、御指摘のとおりであります。
  168. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで交付税率引き上げ考えておられるというわけですが、現在これは大蔵省との交渉の状況、これは一体どういう段階にありますか。この点についてお伺いしたいと思います。
  169. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) まだただいまの状況では、当方で要求をいたしております諸般の状況説明、こういう段階でございまして、いろいろと話し合いなりいたしてはおりますが、折衝が具体化をするという段階にはまだ立ち至っておりません。先ほども申し上げましたように、明年度財源不足額が額として明確になりますのは恐らく十一月の末か十二月の初めか、こういったころまでには明確にいたしたいと思っておりますが、そういう段階を経てなお折衝を続けなければならぬ問題であると、このように考えております。
  170. 神谷信之助

    神谷信之助君 来年の財源の不足額一兆九千億というのは、国税で二%そして地方税で一%の税の引き上げをやらなきゃいかんわけでしょう。この点の見通し一つあるでしょう。それから今年度の税収伸びも少しは出ているようにありますが、しかし、これも業種に非常にばらつきが出ているわけですから、自治体相互間でも非常に地域的不均衡も起こっている。こういう状況を見ると、少なくとも見通しとしては、私は一兆九千億というあの不足額の一応の概算、それを上回る危険の方が強いんではないかという感じもするんですが、この辺はいかがですか。
  171. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 御指摘のように、この中期見通しは五十五年度までに租税食掛率を三%アップ——国が二%、地方が一%という前提でございますが、それで試算がしてございますので、税制改正のなり様いかんでは御指摘のようにその面での収入は不足をする事態が生ずるかもしれません。逆にまた、御指摘のように、最近の経済情勢ではことしの年度当初に考えましたより幾分か明るい事態がございますので、税の自然増等については幾らか明るい面が出てくるかもしれません。そういった事態によりましてはこの数字が変動をいたすものと、こう考えておるわけでありまして、まあ事態がどちらに動くかわかりませんので、これが多くなる少なくなるという結論は申し上げかねますが、そのような浮動要素がありますことは御指摘のとおりでございます。
  172. 神谷信之助

    神谷信之助君 しかしいずれにしても、今年度二兆六千億の財源不足額を、交付税率引き上げを行なわないで資金運用部資金の借り入れとか、それから投資的経費の起債振りかえの措置とか、それから特例債とか、いろんなやりくりをして手当てをすると、こういうふうになったわけですね。だから、来年度いわゆる特例債、赤字地方債は出さないとしても、それはやらないとしても、あと資金運用部資金やあるいは公共事業等の投資的経費の起債振りかえをするという苦肉の策、特に起債の振りかえですね、こういうところまでやってしまうというのは、しかも今年度から続いて来年もそうするということになりますと、これは大変なことじゃないか。したがって、二兆六千億から仮に特例債の四千五百億を引きましても、まだ二兆円以上今年度の場合でも財源不足がある。だから、一兆九千億、来年は少しは不足額が減ったにしても、そのような方法というのは、相当部分を交付税率引き上げによって補てんをするということをしないと起債が物すごくふえていくんじゃないだろうか。中期財政展望でいきますと、地方債の残高が五十年度で八兆六千億ですね。五十五年度では二十兆一千億、二・三倍にふえることになっています。ですから、こういう交付税等の措置を待たないで、あるいは相当大規模な超過負担の解消などをやることなしに起債措置でやりくりをするということになりますと、五十五年度にはそれ以上にもう起債がふえていくということになってきます。ますますこれは借金財政になってしまう。  こういう点を考えると、これはどうしても交付税率引き上げを来年度に向けて実現をするかどうかというのは、当面の地方財政を建て直す上では欠くことのできない、自治省としてはもうそれこそ腹をくくって大蔵省と折衝し、また大臣は閣議の中で奮闘しなきゃならぬそういう課題ではないかというように思う。もし交付税率引き上げをやらなければ、交付税法違反の責めを問われても仕方がないことになるんじゃないかと、こういうようにさえ思うんですね。あれは行財政改革と言っていますから、税率を引き上げないで地方債で処理をするということまで容認をしておりませんからね。だから、地方行財政改革までやるのならまた別ですけれども、それはやらないでことしのような処理を引き続いてやるということになればこれは交付税法違反になる、こういうことにもなると思うのですが、この辺の見解いかがですか。
  173. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 行財政制度改正または交付税率変更と、こういうことで対処をすべきだということが法の趣旨になっておりますので、そういった構えで私どもとしては進みたい、こういうように考えております。中期計画におきます見通しが五十二年度から五十五年度まで非常に財源不足に苦しむということは、国の場合も地方の場合も同じような情勢であり、かつ非常にこれが大きな額でありますので、この具体策が、こういった長期見通しも踏まえて考えてみた場合にどのようなかっこうになってくるか、これについてはいろいろ議論、激論等があろうかと思いますが、先ほど申し上げましたように、行財政制度改正または率の変更、こういうことを主眼に置きまして私どもとしては努力をしたい、このように考えております。
  174. 神谷信之助

    神谷信之助君 行財政制度改正ですが、これの方は地方制度調査会でも諮問をされて検討がやられています。しかし、適正な事務の再配分を、根本的にやろうとすればそこまでいかなきゃならぬ。しかし、これは言うはやすく実際に行うはなかなか困難であります。したがって、当面まあとりあえずの糊塗的な手段しか考えられないだろうと。特に来年度から実施をするということにはなかなかこれはもういかないだろうと。だから行財政制度改正という点では、非常に大きいこと、根本的なことは考えられない。この辺では、一体、当面五十二年度に改正ができるといえば具体的にはどんなものがあるのか、この辺はどうお考えになりますか。
  175. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 御指摘のように、行財政制度を抜本的に根っこから改正をするということであれば、事務配分の問題等からスタートをしていくべきが本筋だと思います。しかし、御指摘のように、そのような大改正が一挙に行われ得るかどうか、こういう点についてはいろいろ問題も多かろうかと、こう考えておるわけであります。しかし、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、やることのできますもの、いかに小さなものからでありましょうとでき得るものをできるだけ取り上げてこれを実現をする、こういう態勢で進みたいと思っておるわけであります。具体的に考えておりますのは、各方面ごとに問題がございますが、地方税でいろいろな税目を取り上げまして、税制改正によって地方税の充実を図っていきたいと思いますし、地方債問題等につきましては、民間資金の活用策等についていろんな方策考えたいと思いますし、国庫補助負担金等につきましては、これの合理化、充実化、超過負担の解消、こういったような問題もございますし、そういった問題をすべて網羅をいたしまして、でき得るものから逐次これを実施をしていく、こういう体制で進みたいと思っております。
  176. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで大臣、いまお聞きのように、来年度の交付税率引き上げというのは交付税法に規定をされている内容ですから、これはどうしても五十二年度は何らかの引き上げ考えなきゃならぬ。しかし現状では、御承知のように国の財政もきわめて厳しいと、こういう点での大蔵省の抵抗も非常に強いと思うんですね。非常に重大な竿頭に立つと思うんですが、この点についても、ひとつこの機会に大臣交付税率引き上げの問題についての決意をお聞きしておきたい。
  177. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 交付税率引き上げ等を含めまして行財政改革からいろいろな問題を勘案し、努力をしてまいりたいと思っております。
  178. 神谷信之助

    神谷信之助君 抽象的でもうひとつ歯切れがよくないですね。その辺に私は非常に心配をしておるわけですよ。これは本当に重大な問題になりますよ、交付税率引き上げ、税率にまで手を伸ばさないということで処理をするということになれば。この点はひとつ厳重にいま申し上げておきたい、指摘をしておきたいと思います。  そこで、地方税の問題や地方債、それから国庫補助、超過負担問題等具体的には解決をしていきたいといういまの局長の話です。特に地方税問題では、この当委員会でもしばしば議論をされておりましたが、大企業に対する例の減免措置ですね。あるいはそれの地方への遮断問題、それから地方税における減免措置の整理、特に電気・ガス税、産業用電気税の非課税措置の問題、これらは今日まで当委員会の附帯決議にも加わった内容であります。こういう点については、ひとつ自治省としても、その実現のために全力を尽くしてもらいたいと思うんです。きょうはしかしその問題には触れる時間がありませんから置いておきます。  特に国庫補助制度の適正化、超過負担の解消の問題であります。これでは、今年度の概算要求に当たって、自治省の方から次官名で各省の次官あてに補助率あるいはその対象あるいは数量その他適正化を要望しておられます。これが各省で大体どのように受けとめられておるのか。自治省が大体考えておるようなそういう補助の適正化、こういう方向に一〇〇%進んだのか、あるいは五〇%程度に終わっているのか、あるいは三〇%程度に終わっているのか、全体としてひとつまずお聞きをしたいと思うのです。後ほど具体的に一、二聞かせてもらいたいと思いますが。
  179. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 御指摘のように、この夏各省の予算要求の前に、七月十日でございましたか、当省としては、いままで問題になっておりますこと、地方団体の要求の強いもの、そういったものを網羅をいたしまして各省にその実現方をお願いをし、予算要求にも盛り込んでもらうように要請文書を出したところでございます。全般的には、これに対応いたしまして必ずしも一〇〇%ではもちろんございませんが、各省とも協力的な態度をお示しをいただいて、予算要求の中にはかなりの程度これが盛り込まれております。これが実現方に至りますまでにはまだ予算査定というもう一段階あるわけでございますから、そこでどうなるか、いま見通しは立てにくいのでありますが、ぜひこういった要求については筋を通して実現をしていただくよう各省にも強くお願いをしておりますし、私どももまたその旨を大蔵省の方にも強く申し入れをいたしておるところでございます。
  180. 神谷信之助

    神谷信之助君 少し具体的に聞きますが、特に共通事項として、特に人件費に対する国庫補助負担について、共済組合負担金、退職手当、児童手当、公務災害補償費等を含めすべての人件費を補助対象とするということ。もう一つは、用地、門、さく、へい等事業実施に必要なものは補助対象とされたいこと。さらにもう一つは、適切な標準仕様、標準設計が設定をされていない施設設備費、整備費等については、早急にこれを設定をして明確な補助金を確立をしてほしい。これが基本事項のように思うのですけれども、この点は大体各省とも了承しておりますか。
  181. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 各省によりまして若干ずつのニュアンスがございますが、たとえば人件費等につきましては、農林関係の補助職員費等につきましては補助対象範囲の拡大等を要求をしてもらっております。  児童手当、退職手当、公災、共済、こういったものも皆対象にする、こういう体制を示しておる省庁はございます。  それから門、さく、へいのたぐいでございますが、たとえば警察施設費等におきましてもこういったものが必要だということで要求の対象にしてもらっております。  それから標準仕様とか標準設計の問題でございますが、これはまだ現在のところ決定をいたしておりませんが、警察関係、保育所関係、こういったようなものについて、この設定を急ぐということで鋭意検討を続けてもらっております。
  182. 神谷信之助

    神谷信之助君 特に超過負担の比較的多いのが学校問題でありますね。それからもう一つは保育所関係が多いですね。それについて、公立文教施設の整備事業に係る国庫負担については今後とも実態に応じた適切な単価の設定と、それから校舎等の保有面積の向上を現実に即して合理的に改善をし、標準設計基準を設定をすると。それからさらに施設整備に係る国庫補助対象事業量について、特に地方公共団体の必要事業量に十分対処し得るよう大幅な拡大を図られたいということが強調されております。これは今日まで自治体の側からも非常に強い要求があった内容でもあるわけですが、これらの実現の状況というのはどうですか。
  183. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 文部省におかれましても相当私どもの要求をのみ込んでもらっておりまして、たとえば実勢に応じた単価の設定等につきましても、建築単価の引き上げ要求をしてもらっております。   〔理事金井元彦君退席、委員長着席〕 たとえば鉄筋校舎の平米当たりの単価を八万七千円から九万五千円——少し端数がつきますが、九%以上アップといったようなことをしてもらっております。  それから必要事業量の確保もかなりのアップでありまして、小中学校で一一%余りのアップ、特殊高校等につきましては三四、五%たしかアップになっておったと思います。そのような状況でございまして、これは細かにはいろいろございますが、かなりの要求をしてもらっております。
  184. 神谷信之助

    神谷信之助君 次に保育所関係ですが、これについても標準補助単価の設定、それから標準仕様、標準設計の明確な補助基準を確立せよという問題、それから整備費と同時に、これは私も前に予算委員会でも取り上げた問題ですが、保育所の措置費、これの確保について特に保母等の職員数の問題なんかも提起をされています。これらの方はどういう状況になっていますか、厚生省の方。
  185. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 厚生省の保育所につきましてはかなりの増加要求をしてもらっておりまして、補助単価の改定もアップの要求があります。それから、特にこれは先ほど申し上げましたように、標準仕様、標準設計、こういうものをつくろうではないかということでいま検討してもらっております。これはできれば一番大きな改革になろうかと思います。  それから保育所措置費の保母さんの単価でございますが、これも号俸をアップをするというかっこうの、要求が出ております。保母さんの数、職員数の改善、これについては現行どおりと、こういう要求のようであります。
  186. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまの、保母数は現行どおりですか。
  187. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) はい。
  188. 神谷信之助

    神谷信之助君 それから最後にもう一つお伺いしますが、労働省に対して、身体障害者の職業訓練校の委託費の問題ですね。これは前国会の当委員会でも私が問題にしたのでありますが、国から来る委託費とほぼ同額ぐらいを負担をしている。これは十一県ですか、設置をしておるわけですが、この点について指摘をいたしましたが、自治省の方もこれは労働省に要望されまして、当時労働省の方も、これは委託をお願いをしているわけですから、当然その費用は国が負担をするのがあたりまえだという答弁をしておりますが、こういう点はどういうことになっていますか。
  189. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) この委託費でございますが、これも対象職員数を増加をして所要の額を確保する、こういう考え方で、数の増加一六%ぐらいのアップになっておると思いますが、そのくらいの要求をしてもらっておるようでございます。
  190. 神谷信之助

    神谷信之助君 あと具体的にやっていますと時間がありませんから、ひとつお願いしておきたいんですがね。この超過負担、補助事業の補助費の適正化の自治省側の要望に対して、それぞれの各省がどういう概算要求措置をしてくれているかということですね。それが全部承認をされれば超過負担の解消にどれだけの財政的には貢献をすることになるのかというような点を資料として出してもらいたいと思いますが、どうでしょう。
  191. 上田稔

    委員長上田稔君) 資料として出せますか。
  192. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 各省ごとにわたります非常に明細な細かいものもたくさんありますので、これはなかなか完全につくり上げますのは困難かと思いますが、御指摘になりましたような主だったものですね、それにつきましての状況はできるだけ早く調製をして提出をいたします。
  193. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで大臣、これは補助単価の決定が適正でないというところからこういう超過負担問題というのが特に年来の自治体の財政問題としては重大課題になってきたわけであります。問題は、私はこの補助単価の決定あるいは補助対象あるいは補助基準、これらの決定が、それぞれ各省が決めてしまうと現場の自治体の意見が十分に反映をされない、そういう仕組みになっておるところに決定した内容と実態とがうまくいかぬ、こういう食い違いが起こっていると思うんですね。さてこの問題を解決するということが私は何より必要だと思う。同時にこれは法律などで決まった補助制度ですから、当然それに必要な補助は政府が責任を持って補助しなきゃならぬ。だから、過去にさかのぼってそれはちゃんと解消してもらいたいというのが地方六団体側の強い年来の要求でもあります。したがって、わが党は従来から過去五年間にさかのぼって超過負担について調査しようと。それは政府の関係機関の代表と、そして自治体の方の六団体の代表と、それから学識経験者の代表、そういう三者機関で調査の方法や対象も決め、そして、その超過負担が一体どれだけあったのかということを明らかにする。それを三年間でひとつ政府の方が解消していく、こういう措置をやるべきだ。そうして今後も超過負担を起こさないためにも、そういう三者委員会で補助基準なりあるいは補助単価なり、補助対象なりあるいは補助事業量これらを基準を決めていく。こうやって進める必要がある。そうしないとこの問題はいつまでたっても解決をしない。自治省の方は相当苦労して各省と一緒に共同調査をしたりいろいろなことをやっていられるけれども、そういうこそくなやり方だけでは解決しない、そういうところに来ていると思いますが、この辺ひとつ率直に言って大臣自身も御勉強いただいて、ひとつ根本的解消の方途を樹立をしてもらいたい、こういうように思うんですが、いかがでしょうか。
  194. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 御指摘の事項でございますが、超過負担解消ということで調査をいたします場合には、かなり細かな内容等々につきましても基準的な考え方の設定等が必要でございますし、そのことにつきまして、先生も、御案内のように、むしろ各省庁の方は超過負担を解消するよりは事業量を確保した方がいい、こういう態度をとらないでもない、こういう状況でもございますので、大変むずかしい問題がいろいろあるわけでございます。ただいまのところ私どもは、御承知のように、当該省庁と私どもと大蔵、この三者を入れた調査というものをいろいろ実施をしてきたわけでございますが、こういうことはもちろん今後も続けてまいりますけれども、これがすべての超過負担状況調査を網羅するというわけにもなかなかいかないのが実情でございます。そこで私どもといたしましては、地方六団体側でいろいろ超過負担の実情等をお調べになったり、御意見があったり資料があったりいたしておりますので、この中にはいろいろ議論のあるものがたくさんあるわけでありますけれども、そこと各省庁がひざを突き合わして相談をしてもらって、解決ができる修正をしていくべきもの、こういうものを予算要求の内容に反映をしていただくようにと。これが実態的には一番効果があるのじゃなかろうか、こう考えておるわけでありまして、ことしも実は地方六団体に各省庁の官房長や会計課長や当該課長等、お出向きをいただきまして、私どもが肝いりをいたしましてじっくり相談をし合う、こういう体制をとったわけでございます。したがいまして、今後ともそういった措置を通じて実質的に両方了解づくで直していく、こういう措置を続けていくべきであろう、こういうふうに考えております。
  195. 神谷信之助

    神谷信之助君 これはいまの地方財政の現状から言うなれば、非常に思い切ってそれをやるという姿勢にならないと、予算の枠、来年度予算は本年度の一五%の伸びの範囲内で抑えるという、そういう一定の枠の中で考えようとしてもこれはなかなか解決しないわけですね。だから、そういう点では大臣、私はこれは大臣のやっぱり政治力、これが非常に必要になると思うのですよ。だから、地方自治法で、憲法で、地方自治の本旨に基づいて地方自治の章条が決められている。それに必要な行政制度あるいは財政措置というのは当然やらなければならぬ。そういう立場で地方財政法もできているわけですが、そういう見地から言うなれば、この超過負担の解消、あるいはもっと広く言いますと補助制度の適正化、この問題については本当に根本的に腹をくくってやらないと、交付税率引き上げだけではこれは解決しないところへ来ているのです、余りにも不足額が大きいわけですから。だから、交付税率引き上げをやると同時に、補助制度の適正化というのが非常にいま重要な課題になっていると私は考えるので、この点ひとつ大臣の方に特にお願いをしておきたいと思いますが、よろしゅうございますね。  その次にお伺いしておきたいと思いますが、これは例の地方団体金融公庫、この内容についてお伺いしたいと思うのです。時間の関係がありますから、質問事項を一括して行いますから、この問題についてわれわれもいま検討しておるわけですが、その検討材料としてもひとつお答えいただきたい。  一つは、この金融公庫ができますと金利は一体どうなるかという問題です。資金運用部資金なり政府資金の利率と同じなのか、あるいはもっと安くしてもらえるのか、こういう問題。まあ、公営企業金融公庫の場合は特利制度がありますね。あれでもって一分ですか、低くしていますね。だから、そういう措置なんかも含めて、政府資金よりも低くするというようなそういうことも含めて考えておられるのかどうか、この辺が一つです。  それからこれができましても、政府資金とそれから地方団体の金融公庫の資金と、それからやっぱり縁故債も必要だろう、当然。このように考えます。その場合、政府資金の枠というのはどうなるだろうかという問題があります。現状は、今年度はちょっと特殊で利子補給していますが、いままでは政府資金は六割というのが一応たてまえになっていますね。だから、政府資金の六割はそのままで、そのほかにたとえば二割なら二割部分というのが金融公庫の資金になって、縁故債のシェアというのはあと残りの二割というような形になっていくのかどうか。だから、この辺のシェアの問題ですね、一つは。  もう一つは、この金融公庫をつくることによって一体どういうメリットがあるだろうかということですね。これはいまの点も含まれるかと思いますが、そのほかにメリットがあるとすればお答えいただきたい。  最後にもう一つは、大蔵省がいま非常に強硬に反対しておりますが、大蔵省の反対の理由についてひとつお聞かせいただきたい。  以上の点についてお答えいただきたい。
  196. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 公営企業金融公庫を改組をいたしまして、公営企業のみならず、一般会計に対しても一部資金融通をするようにしたい。またその原資は金融公庫が縁故債、公募債等をなかなか募集できない団体の共同代替発行機関、こういうかっこうで公営企業金融公庫債を発行することによって確保をしたい、こういう考え方が御指摘の金融公庫改組問題でございます。そこでそのようなかっこうで公営企業金融公庫が原資を確保をいたしますと、公営企業金融公庫としては、でき得べくんば、政府保証債というかっこうで現在募集をいたしておりますような公募債を発行するのが一番望ましいわけでありますが、政府保証債に一定の枠があって、それ以上の発行がなかなかむずかしいということに相なりますれば、特別公募債というかっこうで、政府保証のない金融公庫債を発行して原資を確保する、こういうこともせざるを得ないだろうと考えております。この分につきましては、おおむね実勢金利等を参考にして募集条件が決まると思いますので、それによって得ました公庫の原資そのものは金利としてはかなり高金利のものになる、これにならざるを得ないわけであります。しかし高金利のものでありましても、これを例の公営競技収益金の金融公庫への納付金がございますから、これによりまして利子の引き下げをやって、原資募集をいたしました利子率よりも引き下げて地方団体に融通をする、こういう措置をとりたいと考えておるわけであります。現在御承知のように、公営企業に対します融資分については、特利ということで七分七厘、こういったものを出しておるわけでありますが、一般会計分につきましても、そういったギャンブル資金の活用等によりましてできるだけ利下げをしていって、実勢金利よりは安い資金が回るように運用をいたしたい、こう考えておるわけであります。これは資金量と公営競技からの納付金の額、こういったものの相対による運用関係でその間の情勢は決めてまいりたい、こう思います。  それから資金のシェアでございますが、私どもといたしましては、政府資金はできるだけ地方債によけい回していただきたいという希望を絶えず持っておりますことは御承知のとおりでありまして、いままでが地方債資金に対して大体六割ぐらいの政府資金のシェア、御指摘のとおりであります。こういったものをできるだけ割らないようにという要求を大蔵省には絶えず強くいたしております。しかし、現実の問題といたしましては、去年あたりから地方債の総額がふえてまいりまして、政府資金の額はそんなにふえてまいりませんので、まあいろんな伸び率そのほかを勘案をいたしましても、なかなか地方債総額がふえた場合に、六割ないしはそれ以上の政府資金確保することは実際問題としてはなかなかむずかしい面もあろうかと考えます。そういう場合のことも兼ねて考えまして、公庫資金そのものは、地方団体にとりましては、政府資金と同じほどの低率には相なりませんけれども、融通もわりに確実にしてもらえますし、普通の、通常の金利よりは幾らか下げてもらう、こういう意味で良質の資金に相なろうかと思いますので、政府資金の枠の足りない分を補完をするとでも申しますか、そういった機能も大いに持たせたい、こう考えておるわけであります。  それから三番目にメリットでございますが、これはいろいろあろうと思います。まず第一には、今後民間資金の活用がどうしても多くならざるを得ない事態を迎えると思いますが、このまま放置をいたしますと、地方団体の中にはこういった民間資金確保ができない団体が出てくるおそれがあるわけであります。また、無理をすればめちゃくちゃに高い金利でも民間資金を借り入れざるを得ないという団体が起きてくるおそれがございます。こういう団体の代替的な資金確保の機関として公営公庫が作動してもらえば、それだけ弱小団体に対します融資の円滑化、資金確保の確実化、こういうものについて大いに効果があろうと思います。  それからさらには一般会計にも公庫の資金が融通をされますことによりまして、この利下げ分に公営競技等の収益金が利用されるということになりますならば、公営企業のいわゆる収益の均てん化、こういう面から考えてもかなり効果があるのではないかと思うわけであります。そのほか、いろいろメリットはございますが、大変メリットがたくさんあると、このように考えております。  それから四番目は、ことしになりましての大蔵省の態度でございますが、まだ正式に向こうが意思表示をなさっておるわけではございませんので、正式に反対意向表明といったことがあったわけではございませんが、いろいろ伝えられておりますところによりますと、ほぼ去年大蔵省側が問題にされましたような事柄、それが一応の理由となって必ずしも賛意を表しておられないのではないか、このように受け取っておるわけであります。  その主な理由は、やはり資金関係、資金を融通します公共的な資金の部門、これについてやはり一定のルールなり、秩序なり、そういったものが要るのではないかといったような抽象的な議論もございますし、また公庫でもって資金を集めましても資金総量がふえるわけでは必ずしもないのではないか、こういったような——これは想定でございますが、御意見もあったりしますし、なおまた、縁故債といったようなものは、むしろ地方団体ごとの特殊の金庫銀行、といったようなつながりによる縁故でやる方がむしろ楽なのであって、公庫資金になった場合に、この消化というものがやはりそう簡単にはいかないのではないか、こういったおそれもあるといったような御意見もございます。そういったようなことが巷間議論をされておる議論でございますが、まだ正式にどのような理由をもってどうだという意思表明は受ける段階に立ち至っておりません。
  197. 神谷信之助

    神谷信之助君 きょうはこの問題を深く突っ込んで議論をするつもりにはしておりませんので、一応聞かしてもらいましたが、まあいいことづくめの話なんですが、物事にはメリットもあればデメリットもあるはずなんで、私どももこれは慎重にひとつ検討する必要があるだろうと思います。特に、いま公営企業金融公庫がありますが、それでも公営企業関係の資金状況を見ますと、この公庫だけじゃなしに相当高率の縁故債を使っておりますね。ですから、十分公営企業公庫が公営企業の必要とする資金需要をまだまだ賄い切れない状況でもある。それが少し拡充され、資金も少しはふえるだろうけれども、今度は弱小自治体といいますか、資金収集力の弱いそういう自治体の期待にどれだけこたえることができるだろうか。非常にいまバラ色の夢で描かれておりますから、非常に地方団体の側も要求が強くなっているんですが、本当にそういう期待にこたえるだけのものができるのかどうか。これにはよっぽど政府の方がそれに必要な資金手当てをしないと、公募債や特別公募債だけでは、公庫証券やそれらだけではいけるかどうかという心配もわれわれは大分持っておるわけです。この辺は少しさらにまた機会を改めて議論をしてみたいと思います。  その次の問題は、御承知のように冷害、災害、ことしは非常に大きな被害を伴うものが続きました。したがって、災害に伴う財政援助の問題でありますが、自治省の方は、とりあえず災害のあったところに交付税の繰り上げ支給が行われます。さらに災害に対する財政措置としては、特交を十二月段階で支給する場合にこれで措置をするというふうにおっしゃっているわけです。ところが、ことしは災害が、この十七号台風だけでも八千億近くの被害総額が出ておりますね。その前の梅雨前線もありましたし、九号台風もありましたし、それから冷害もこれは非常に予想に反してひどい冷害になってきております。救農土木事業の問題も問題になってきておるわけですから、そういう状況で、果たして特交が現在の枠で十分なのかどうかという点に私は疑問を持つわけですね。特交については災害と同対事業については優先措置をするというようにいままでやってきておられるように聞いておりますが、したがってそれでずっといきますと、もちろん特別交付税については、交付税法の十五条で、特別の財政需要、それから収入額の過大算定、それから災害等による財政需要、あるいは財政収入の減少、その他特別の事情、五つの事情に基づいて特別交付税が運用されることになっています。そのうち、災害、冷害、それから同対、これはもう大体優先だということでこれでずっといくと、その他の要因についての財政需要に現在の特交の財源だけで十分なのかどうかという疑問を持っているんです。この辺についての見通しはいかがですか。
  198. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 災害につきまして充当いたします特交の額でございますが、御案内のように、三分の一の範囲内で十二月に措置をするということに法律改正をしていただきましたので、ことしの特別交付税の総額は三千億余りございますので、十二月に一千億見当前後のものが災害そのほかのものとして配り得る体制がとれるわけでございます。従来の経験等に徴しましても、ことしの被害額はかなり大きゅうはございますが、そのくらいの金額があれば災害等に対します財源措置、これを対象にいたしました場合に十分その要望にこたえ得ることができる、このように考えておるわけであります。  あと三月に残りの分を配分をいたすことになりますが、これは特別交付税の総額がいつも要望額に対して必ずしも十分かどうかという問題になりますとこれはいろいろ問題があろうかと思いますが、残りの額をもってそのほかの各種の特殊事情に三月に改めて対処する、こういう考え方を持っておるわけでありまして、いまのところ災害に対応する特別交付税の額としてはこれで極端に不足をするという事態は生じないと、このように考えております。
  199. 神谷信之助

    神谷信之助君 こういうことはどうですかね。資金運用部資金の借り入れによって交付税を一兆三千七百億。ふやしましたね。この分は例の百分の九十四と百分の六ということで、この分については特交の方の財源にも入るわけですね。ところが、そのほかの地方債措置をとった一兆二千五百億円分については、これは普通交付税不足分にはそれだけ充当されるけれども、本来それに該当する百分の六の部分が特別交付税の財源として入れられなきゃならぬ分がこれ穴があいておる状況になっているんじゃないかということも考えられますね。いわゆる二兆六千億の分を全部たとえば交付税でやるとしたら、当然その二兆六千億円の百分の六が特交の方へ財源として入る、こうなるんだけれども、この辺の考え方はどうですか。
  200. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) ことしは、御指摘のように交付税等の不足を補いますために一兆二千五百億の起債の増加をいたしましたので、それの六%分を特交にと、こういう御指摘でございますが、これはいままでも地方債に振りかえました額、こういったものを特別交付税の原資として、それに相応する百分の六を特交に確保するかどうかといったようなことが議論になった年もあるのでございますが、昭和四十一年度とか昭和四十七年度等がこういった時期でございました。しかしこのときも、ともかく普通交付税の方は完全に措置をしなければならぬ、まず第一に措置をしなければならぬ額として、それから特別交付税はそのほかもろもろの特殊の事情が起こった際に準備をする金でございますので、そういった性格の相違から、四十一年度、四十七年度にもその分の該当の特別交付税、こういうものは実は準備しなかったわけであります。そういった事例もございますので、ことしもそのような措置を講じなかったのであります。逆にまた考えてみますと、ことしの特別交付税の総額でございますが、去年に比べまして、いままでとりました措置によりましても約一六%程度の伸びはあるわけでございます。そういった事態から考えて、災害そのほかの特別需要に対処をするのにそう極端な困難は感じないで済むのではないかと、こう考えておるわけであります。
  201. 神谷信之助

    神谷信之助君 特交の方は災害とか同対の方でもう先へ優先しておきますからね。先ほど局長もおっしゃったように、残りであと財政需要に応じてやるのですから、だから一〇〇%は当然もう初めから満たされない。それが八割程度のやつが五割になるか、もうこれはそのときの状況でいろいろになりますからね。だからそれだけに、済んでしもうたらそれで終わりだということになるけれども、本来はもっとそういう財政需要にこたえなきゃならぬ、そういう内容も含まれておるはずだという点を私は指摘をしておるのです。この辺もひとつ特交の処理をする上で十分に考えていく必要があるのじゃなかと思いますね。  もう一つの問題は災害の問題ですけれども、たとえば今度の十七号台風でいきますと、災害対策本部を設置をしたのは、いまちょっと数字を持ってきていませんが、幾らでしたかな、九百団体ぐらいありますかね、市町村で。ところが救助法の発動をしたのは六分の一足らずなんですよね。一六%程度だったと思います。だから、救助法の発動をされていない自治体でも災害が全国的に広がっているわけであります。で、救助法が発動されているところについては、応急救助の経費については百分の五十から百分の九十の範囲内で国の補助もありますし、それで今度の十七号台風の場合は全国激甚災の指定を受けましたから、当然これに対する措置はされるだろう。したがって問題は、その救助法の発動をしなかった市町村の災害対策るあいは全国激甚災などによる一般災害としてしか見てもらえないというようなところの自治体の災害についての財政負担、これは特交の中で当然処置されると思うのですけれども、この辺は大丈夫ですか。
  202. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) ただいま私どもの方でとっております資料では、災害対策本部を設置しました府県が十八県、それから八百九十九ほどの市町村が設置をしておる。このうちに救助法適用が百四十四市区町村、このように聞いております。  ところで、その救助法を発動しなかった団体の特交措置でございますが、これは先生御案内のように、いわゆる公共土木災害等の災害被害額、復旧事業費の総額でございますね、こういうものを基準に置いて、それの一定率をまず基礎にする。そのほか、被災世帯数とか農作物の被害面積であるとか、それから死者、行方不明者、こういったものの数だとか、あるいは全壊戸数だとか浸水戸数だとか、こういったたぐいのものをずっと数値に置きまして、それに一定の額なり率等をかけて算定をしてまいりますので、この救助法を適用した市町村とそうでない市町村の差は、その救助費の補助基準額の二割、つまり救助費の直接支出額そのものだけの差でございまして、ほかの分は一定のルールによって算定をいたします。これがもろもろの経費に当たる財源ということになりますので、いままでの経験から考えましても、この特交措置でひどい財政不足に陥ってもろもろの経費の支出に困る、こういう事態は起きないだろう、こういうように考えております。
  203. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは災害が起きた年だけじゃなしに、二年、三年度ぐらいまでずっと特交措置は引き続いて当然やられるわけですか、災害復旧費、改良事業、そういった問題については。
  204. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) そのとおりでございまして、一定のルールを用いまして過年、連年災でございますね、こういった柱立てもございますので、そっちで措置を続けていたします。
  205. 神谷信之助

    神谷信之助君 次に災害に関連をいたしまして防災関係ですがね。特に自治省、消防庁の方ですが、防災無線を消防庁の方で全国的に設置をするということで取り組まれておって、五十一年度から五カ年計画ですか、ということで進めてこられました。ところが、現在地方防災計画にこれを繰り込むよう指導なさって、そして二十府県が完了したということで、いま三道県がその最中だというわけであります。今回の災害を見ますと、兵庫、香川など、この防災無線体制がまだ設置されてないところで災害が起こっているわけです。私も香川の小豆島へ行ってきましたが、向こうも道路が寸断をされて海上連絡しかできない状況になったのですね。だから隣の部落がどうなっているかということもわからない。しかも夜中のできごとであって、非常に不安でありますね。だから、災害が起こったときに情報連絡というのは非常に重要な仕事になるというように思ったのですが、ところが、これが非常になかなかそうスピードアップしない、こういうように思うのです。今日まで、五十年度まで一億ですか、五十一年から四億の予算を組んでこられた。五十二年は新たに四件八億の、要求をする。合計十六億の概算要求をするというふうに伺っておりますが、このテンポでいってもなかなかまだあとこれは二十府県余り残っていますから、テンポがやや遅いように思うんですが、この点についてどういうようにお考えですか。
  206. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 確かに災害が起こりまして通信が途絶して、有線が途絶したというときに、唯一に頼れるのはこの無線でございますので、私の方としましては、もう一刻も早く全県整備していただきたいということで一生懸命予算要求し、かつ今度は県に対しては整備をお願いしているわけでございます。しかし、テンポが遅いというのは確かに御指摘のとおりでございまして、それほど十分なスピードに乗ってこない。口を酸っぱくしてお願いしておるわけでございますが、あまり大きく進まないという理由はいろいろあると思いますけれども、大きな理由の一つには、やはり地方財政問題がございます。相当な額になりまして、平均的な市町村が七十ぐらいの府県でざっと十二億ぐらいかかるだろう。そこで、災害が来るか来ないかわからないときにこれだけの金額を出すということを財政当局で大変消極的になるという面もあると思います。しかし、補助額とその裏の実際の負担は、先ほど午前中の御説明でも申し上げましたように、裏負担の九割は起債で見るということでございますので、極力整備をしていただくようこれから進めてまいりたいと思います。  ただ、ちょっといまお話のございました香川県の小豆島の問題でございます。これは県と市町村というよりも、むしろ市町村のある部落あるいは隣の部落と役場という問題が、実際にそういう集中豪雨とかあるいは台風災害が起こったときにそれが途絶するという問題が大分ございまして、現在整備中のものは県と市町村役場のものを整備中でございますけれども、さらにもう一歩進めて、ある程度そういうおそれのある部落と市町村の間を連絡するものの整備を急ぐべきではないかという御趣旨は、もう最近大変各方面について受けております。  ただ、これにつきましては、まだ肝心の県と町村の役場ができていないということもありまして、いま直ちに国庫補助制度にいくというところまではいっておりませんが、一方、ほったらかしももちろんできないものでございます。これにつきましてはできるだけ、たとえばいままでの辺地対策事業とか過疎対策事業、山村振興事業等でそういう市町村役場と部落、これは無線とは限りませんが、有線のものもありますけれども、そういうもので整備された通信網をできるだけ活用する。さらに消極的ではございますけれども、アマチュア無線というのも大分普及してまいっておりますので、こういうのもいざというときには活用できるよう、地域防災計画にも包含して決めていくというようなことで対処してまいりたい。当面はできるだけその残っております二十府県の整備を急ぐと。予算要求は、いま御指摘いただきましたように、新規四件、継続四件、このテンポでまいりますと、二十全部整備するまでにあと五年かかるわけでございますけれども地方財政、国家財政含めて財政状況の好転その他も期待いたしまして、これの期間をできるだけ短くするとともに、次の、部落と町村の間の連絡ということについても、使える手段をすべて使って整備していこうということで努力してまいろうと存じておる次第でございます。
  207. 神谷信之助

    神谷信之助君 いま長官は七十ぐらいの自治体の場合の府県で十二億ぐらいということをおっしゃいましたね。私も防災課の方から聞いた話では十八億から二十億ぐらいの事業費だと。で、機器数については補助が四億ということで、あと残りの九割は起債でという話ですね。だからこの辺のうまみの問題もあって、もう少し補助額を増額をするなり何なりして、やっぱり誘導措置もやらにゃいかぬというように思います。  もう一つは、確かにハムの問題は非常に私重要だと思うんです。兵庫はまだ完備していないんですね。この間災害のありました一宮町に行きましたが、向こうの電電公社でしたか何かの無線機がある。それはもう古くて用をなさなかったんですね、電電公社じゃなくて何かのやつが。それで結局そこの町民の中に十人余りアマチュアのハムの人がいた。で、この人らの協力を得て連絡だとか情報だとかやっておる。こういう状況になっています。ですからこの辺の、そういうアマチュア無線の方々の協力を得た地域防災計画の樹立というのは、非常に私はこれは大事だと思う。しかしこれは都市近郊はできるんですよね。しかし、農村地域までずっとそういう状態ができるかどうかというと私は大分疑問だと思う。この辺は消防庁にひとつなにしてもらいたいと思いますが、特に国土庁、来てもらいましてお待たせしましたが、この辺の防災計画の中での無線体制ですね。有線でやっぱり事故が起こったらだめですね、だから、本当に無線の情報の網の目をどのように早くつくらすかという点で、国土庁の方も非常にこれは重視してもらわないと、国土庁の長官と自治大臣と協力して相当ピッチを上げてもらわぬと、五年先までまだ保証できないんですから、それもやっと市町村と県との間の体制ができるだけであって、孤立したそれぞれの部落の間というやつは全然まだそれから先の問題ですね。こういう状況考えると非常に心配される。この辺について国土庁の方の見解をお聞きしておきたいと思うんです。
  208. 山本重三

    説明員山本重三君) ただいま先生御指摘になりましたように、情報の収集、伝達を的確にやるためにその情報伝達の体制を整備する、こういうことが災害対策の基本でありかなめであることはもちろんでございます。そういう意味で、先ほど消防庁長官から御説明ございましたように、消防庁の方で鋭意防災行政無線の整備を進めておりますし、また地域防災計画の中におきまして、各地方公共団体あるいは部落にあります既存のそういった無線設備とかあるいはアマチュア無線というものもできるだけ活用して、地方防災計画における情報の伝達体制を整備するというふうにせっかく御努力中でございますので、われわれとしても、災害対策を進める上で一番重要な問題はやはりこの情報の体制だろうと思います。そういう面で、私どもも側面からこの体制の整備について万全の協力をしてまいりたいと思っております。
  209. 神谷信之助

    神谷信之助君 終わります。
  210. 上田稔

    委員長上田稔君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後三時五十九分散会