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1976-10-19 第78回国会 参議院 商工委員会資源エネルギー対策小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十月十九日(火曜日)    午後一時八分開会     ————————————— 昭和五十一年十月七日商工委員長において本小委 員を左のとおり指名した。                 熊谷太三郎君                 剱木 亨弘君                 斎藤栄三郎君                 吉武 恵市君                 阿具根 登君                 竹田 現照君                 対馬 孝且君                 桑名 義治君                 加藤  進君                 藤井 恒男君 同日商工委員長は左の者を小委員長に指名した。                 竹田 現照君     —————————————    小委員異動  十月十九日     辞任         補欠選任      剱木 亨弘君     福岡日出麿君      桑名 義治君     相沢 武彦君      加藤  進君     小笠原貞子君     —————————————   出席者は左のとおり。     小委員長        竹田 現照君     小委員                 熊谷太三郎君                 斎藤栄三郎君                 福岡日出麿君                 阿具根 登君                 対馬 孝且君                 相沢 武彦君                 小笠原貞子君    政府委員        資源エネルギー        庁石炭部長    島田 春樹君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    参考人        北海道炭礦汽船        株式会社取締役        会長       萩原吉太郎君        北海道炭礦汽船        株式会社取締役        社長       斎藤  公君        日本炭鉱労働組        合中央執行委員        長        里谷 和夫君        北海道炭礦汽        船職員組合執        行委員長    佐々木仁三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○資源エネルギー対策に関する件  (北海道炭礦汽船株式会社幌内炭鉱再建問題  に関する件)     —————————————
  2. 竹田現照

    ○小委員長竹田現照君) ただいまから商工委員会資源エネルギー対策小委員会を開会いたします。  小委員異動について御報告いたします。  剱木亨弘君、桑名義治君が小委員を辞任され、補欠として福岡日出麿君、相沢武彦君が選任されました。     —————————————
  3. 竹田現照

    ○小委員長竹田現照君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  北海道炭礦汽船株式会社幌内炭鉱再建問題に関する件の調査のため、本日、参考人として北海道炭礪汽船株式会社取締役会長萩原吉太郎君、北海道炭礦汽船株式会社取締役社長斎藤公君、日本炭鉱労働組合中央執行委員長里谷和夫君、北海道炭礪汽船職員組合執行委員長佐々木仁三郎君の出席を求め、意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 竹田現照

    ○小委員長竹田現照君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 竹田現照

    ○小委員長竹田現照君) 北海道炭礦汽船株式会社幌内炭鉱再建問題に関する件を議題といたします。  参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、皆様には御多忙中のところを、本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。  本日は、ただいま議題といたしました北海道炭礦汽船株式会社幌内炭鉱再建問題につきまして皆様の御意見を承りたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  なお、委員会の進め方についてですが、最初参考人皆様からお一人十分程度意見を述べていただき、その後で委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。  それでは、まず萩原参考人からお願いをいたします。
  6. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) 本日は貴重な時間をお割きいただきまして、意見を述べる機会を与えられましたこと深くお礼申し上げます。  まず第一に、北炭再建につきましては、今朝三時四十分労使合意を見て、九時三十分再建計画エネルギー庁に提出いたしましたことを御報告申し上げます。  北炭再建案中心課題は、何といっても幌内鉱閉山するか、復旧するかであります。幌内変災から起こった問題でありますから、当然のことでございます。  私は、本日、あらかじめ失言するかもしれませんがお許しをいただきまして、感ずるところ、思うところを率直に申し上げさせていただきたいと存じます。  私は、四十七年五月、社長退任以来、北炭経営にくちばしを入れないことに努めてまいりました。経営陣の統一がとれなくなることを恐れたからであります。現に、会長室に入ったことは一度もありませんでした。それなのに、去る九月七日、重役会出席して幌内鉱全面復旧を提言いたしましたのは、北炭の将来を考えるとき、どう考えても黙っていられなかったからでございます。  一般幌内鉱復旧拡大路線と言っていますが、それはおかしいと思います。幌内鉱災害区域を閉鎖し、かわりに同鉱の常盤坑区域開発する原案縮小路線と呼び、幌内鉱災害区域復旧することを拡大路線と呼んでいますが、誤った用語は錯覚を与えるものでございます。原案は、縮小路線と言うよりは閉山路線と呼ぶべきものであります。常盤坑開発は言うべくして実行できないからでございます。いわゆる変更案は、復旧路線と呼ぶべきでございます。生産規模を拡大しようというのではないのでございます。  この二つ路線のいずれを採択したらよいか、私は二つの観点から検討いたしました。まず第一に、新石炭政策に反していないか、採算がとれるか、保安はどうか等もろもろの角度から判断いたしました。その上で第二に、資金悪化北炭経営にどんな影響を与えるかを検討いたしたのでございます。  第一点については全面復旧すべきであるという結論に達しました。そして、現在ではエネルギー庁でも、石炭鉱業審議会学識経験者の論議も、第二の問題に重点が移ったと見ております。それは北炭借入金が多いこと、現在赤字が多いことを考えると当然のことでございます。幌内鉱全面復旧が、資金状態を一層悪化させるのではないかと考えられているからだと思います。幌内鉱復旧には二百四億円という巨額資金を必要といたします。そして、北炭を一挙に悪化させてしまったのでございます。しかし、幌内鉱閉山しますと、二百二十億円の資金がかかるのでございます。揚水を終わり、遺体収容するまでに百五十億円を使った上に、閉山費用に最低七十億円を必要とするからでございます。まあ資金はほぼ同額でありますが、見逃してならないのは、全面復旧すればこの資金を十年間で回収できるであろうというのに対して、閉山してしまえば、これを回収する働き場所がなくなり、資金の回収ができないのでございます。  確かに北炭は五十二年度末までは極度に資金が逼迫いたします。それは巨額の大災害対策費に加えて、北炭の二本の柱である日産四千五百万トン以上の幌内鉱操業を中止しており、日産五千トン目標夕張炭鉱フル操業に入っていないからであります。五十二年度末に、幌内鉱復旧費二百四億円のほかに、資金不足は百三十億円に達するのでございます。この現下の苦しい状態から想像して、北炭政府に全面依存しようとしているかのように見られておりますが、私はそんな甘えた安易な考えは持っておりません。現に昨年十一月二十七日事故発生以来、本年九月末までに使った復旧費八十四億円でありますが、そのうち政府の御融資をいただいたのは十七億円だけでございます。  さて、資金対策として、北炭民間融資の元利たな上げを頼みました。六カ年以内に返済期限が来る融資額二百七十八億円のうち、すでに百八十七億円は六カ年のたな上げを了承され、残り九十一億円も近く了承される見込みでございます。またその金利二百三十六億円のうち、すでに百七十四億円は六カ年のたな上げの了承をいただいたのでございます。政府におかれましても、幌内鉱復旧に対し、何らかの御援助を決定していただきたいと存じます。そうしていただかないと、これ以上民間融資を依頼しても応じてくれるはずがないのでございます。あるいはまた担保物件がない北炭に対し、政府保証、またはこれにかわる何らかの方途をとっていただかなければ、融資の道が全く閉ざされていると言っても過言でないのでございます。  さて、九月十七日、政府北炭救済の三原則を発表されました。この三原則は筋の通った原則だと思います。本日政府に提出いたしました北炭再建案は、この三原則を踏まえて作成したつもりでございます。しかし三原則にのっとったからと言って、それだけで現在の苦況を乗り切れるものではありません。いかに努力しても、融資条件が整っていない北炭資金調達能力には限界があるのでございます。  私が率直にお願いしたいのは、北炭は今月末、三十億円の資金調達しなければならない急場に臨んでおります。速やかに政府救済策を御決定していただきたいと思います。政府救済策決定すれば、これをてことして市中銀行に御依頼する道も生まれてとようと思います。もし政府資金調達保証、またはこれにかわる方法等をお考えいただければ、これに過ぐるものはありません。政府も、北炭が独力で資金調達について非力であることを十分御承知なので、どうやって調達できるんだとただされているのでございます。御心配してくださっていることはありがたく存じますが、お小言だけいただいておりましても再建の力にはならないのでございます。またこれからどんな救済の手を打っていただきましても、時期を失ってしまっては役に立たないのでございます。  諸先生方のお力添えを切にお願い申し上げまして、私の陳述を終わらせていただきます。
  7. 竹田現照

    ○小委員長竹田現照君) 次に斎藤参考人
  8. 斎藤公

    参考人斎藤公君) 本日、皆様方には大変御多忙のところ、私どものためにこのような機会をお与えくださいましたことを、まずもって厚く御礼を申し上げます。  最初に、当社近年の経営面の経緯を申し上げます。当社昭和四十三年、四年ころから既存炭鉱が、炭量面からいたしましても収益面から見ても、限界に達しているという認識のもとに、当社再建のためにも、またこれら従業員収容のためにも新鉱開発が必要であると考えたのであります。  そして、四十五年十月から新鋭技術と設備による夕張炭鉱開発に着手いたしました。そして、その後予想外異常出水等に悩まされましたが、これらを克服いたしまして予定より一年八カ月程度おくれはいたしましたが、五十年六月から営業出炭の運びとなったのであります。自来坑内展開の促進と相待って、逐次操業規模を増大してまいりました。  しかしながら、この間の会社財務内容を見ますと、新炭鉱工事費が、当初見込みの百六十億円から三百四億円とほぼ倍増したと、そういうのに加えまして新炭鉱の要員を充足することになりました夕張一鉱、平和炭鉱、さらには傍系万字炭鉱閉山損失に加えまして、昨年末の幌内炭鉱の大災害によりまして、当社財務面は極度に悪化したのであります。すなわち、当社は、五十一年三月期において資本金の約六倍に当たる四百六十九億円の累積損失を計上するに至りました。一方、借入金残高は九百十億円に達したのでありますが、このうち政府肩がわり分二百十億円を差し引きますと、自己負担分は七百億円となります。そして、七百億円のうち約半分、三百億円程度が新鉱開発分でありまして、残り約半分が、さっき申し上げました営業損失に基、つくものであります。新政策実施のときに当たり、また当社正常化の一歩を踏み出した矢先におきまして、かかる幌内の大事故を起こし、未曾有の経営危機をもたらし、かたがた関係各方面に多大の御迷惑をおかけいたしました点につきましてはまことに申しわけなく、その責任を痛感いたしておる次第でございます。  次に、幌内問題について申し上げます。  まず第一に、大災害を受けました幌内炭鉱について、次の諸点から見て、復旧することが本来の姿であると判断したのであります。すなわち、遺体収容はあくまでこれを実行しなければならない。従業員生活基盤を確保しなければならない。優秀な残存している炭量は、貴重なエネルギー資源としてこれが活用を図ることが急務である。あわせて地域社会への影響も十分考慮しなければならない。  次に、復旧に当たっての保安上、技術上の問題点につきましても、いろいろと検討いたしました結果、所定の期限内の復旧は可能であるとの結論に達したのであります。  さらに、災害復旧費二百四億円を投入した場合の採算につきましても、従来の出炭実績と来年度炭価値上げを踏まえて、十分採算がとれると考えたのであります。そして、復旧の工程としては、遺体収容は五十二年六月、出炭開始は五十二年十月、本格出炭日産四千トンは五十三年四月、最終出炭目標日産四千五百トン、年産百三十万トン確立は五十四年四月と見込みをつけたわけであります。  次に、夕張炭鉱について、どのような見通しであるかを申し上げます。  夕張炭鉱につきましては、日産五千トン、年産百五十万トン体制を本年十月ごろにほぼ完成することを目標作業を進めておりまして、大体でき上ってはおりますが、幌内災害の実例にもかんがみまして、保安対策の強化、坑道拡大重点を置くべきであると考え、多少生産を落としても坑内整備に努めることといたしまして、この間幌内炭鉱復旧までの余剰人員五百七十名ほどを一時出向せしめることといたしたのであります。このようにして、五十二年二月からは四切羽が稼動し、所期の日産五千トン体制は確保される見通しであります。  以上申し上げましたとおり、当社再建路線すなわち今後の経営基盤は、夕張炭鉱原料炭年産百五十万トン、幌内炭鉱一般炭年産百三十万トン、この二つの大きな柱の上に成り立つものでありまして、五十六年度にはこの二つの山の生産をもとといたしまして、傍系空知炭鉱からの買い付け炭を加え、北炭全体としては原料炭二百八十万トン、一般炭百六十一万トン、合計四百四十一万トンの安定した経営が期待されるのであります。  しかしながら、五十一年度、五十二年度年度資金繰り窮迫そのものでございます。すなわち、この二年間は、夕張炭鉱幌内炭鉱いずれも操業率が低下いたしました上に、幌内炭鉱復旧費がかさみ、労使一体となっての自己企業努力は申すに及ばず、金融機関ユーザー等借入金に対する返済あるいは金利支払い繰り延べ等、御支援にもかかわらず、なお両年度において二百五十億円の不足資金を生じている現状でございます。  すなわち、幌内災害発生後、復旧までの所用資金総額二百四億円の見込みで、現在まで八十三億円は手当済みでありまして、このうち六十六億円は市中融資によるものであります。したがいまして、今後の支出予定分は百二十一億円となりますが、一方今年度夕張炭鉱、来年度幌内炭鉱における過渡的操業率低下に加え、体制整備のための諸費用などから、さらに百三十億の不足資金を生ずるためであります。これら不足資金調達は、本来自己責任において図らなければならないのは十分承知いたしておりますが、先に申し述べましたように、当社財務状況におきましては、これを市中銀行等のみに求めることは不可能と申さざるを得ないのであります。このような実情をおくみ取りいただきまして、幌内災害復旧について、格段の政府の御支援を懇請する次第でございます。  なお、不足資金百三十億円の調達につきましても、これはもとより自己努力を尽くす所存ではございますが、このうち三十億円程度幌内出炭開始後の一部操業に起因するものであります。  つきましては、政府におかれましても、保証等何らかの方法によりまして御支援を賜りたくお願い申し上げたいと思っております。先生方のお力添えお願いいたしたいと存じます。  ありがとうございました。
  9. 竹田現照

    ○小委員長竹田現照君) 次に里谷参考人
  10. 里谷和夫

    参考人里谷和夫君) 日本炭鉱労働組合里谷でございます。  本日、幌内炭鉱完全復旧意見を申し述べる会にお招きにあずかりましてありがとうございました。また昨年の十一月二十七日に起きました幌内炭鉱重大災害時には、当委員会から現地に派遣をしていただきまして、適切な指導をいただきましたことを心から感謝申し上げる次第でございます。  私どもは、この重大災害が勃発をいたしましたので、当委員会の御指示等もいただきながら、本年政府で設けられました保安懇談会等で、いろいろ労使で具体的な協議を行いまして、本年はなはだしい重大災害を起こしていない成果をおさめております。この辺の御指導についても心から感謝を申し上げる次第であります。  こういう炭鉱からの災害を撲滅をする、そういう戦いを通じながら、幌内炭鉱完全復旧実現すべく、本日まで約十一カ月間、通産大臣を初めといたしまして各界幌内炭鉱存在価値を訴え、労働者労働条件と生活安定をいかにして確保するか、こういう意味で訴え続けてまいりました。このことは、昨年の七月に答申をされました新政策に基づき、私どもは二千万トンの出炭を確保する、労働者労働条件維持向上生活環境整備を図る、国内炭完全開発を行う、こういう三つの柱に基づく要求として進めてまいったのでございます。  今年の三月時点までは、幌内炭鉱完全復旧につきまして、復旧のお約束をいただいてまいったわけでありますが、四月以降になりまして、北炭の全体の経営実情の問題が提起をされてまいりまして、北炭再建幌内炭鉱完全復旧という問題がテーマになりまして、いろいろ紆余曲折を経てまいったのでございます。この間にありまして、四月上旬でございますが、幌内炭鉱完全復旧を行うという意味で、坑内員千九百名の中から、夕張炭鉱清水沢炭鉱真谷地炭鉱等に約四百八十名の組合員を単身で出向させまして、北炭再建のために、あるいは幌内炭鉱完全復旧のために努力を続けてまいったのでございます。今年の七月の十六日は北炭再建の問題につきまして災害復旧計画をいかに実現をするかということで労使協議をいたしまして、今年の十一月、十三遺体収容、来年三月の出炭開始、こういう決定を見て私ども努力をしてまいったのでありますが、残念ながら取り明け作業その他の当初の蹉跌が影響いたしまして、この計画が六カ月おくれる、こういう最悪事態を迎えざるを得ませんでした。  そういう中で北炭再建幌内炭鉱完全復旧が果たして実現をするのか、こういう問題でいろいろこの私ども闘いについて、批判なり、あるいは会社が施行いたします再建計画内容等について、一時混乱期がございました。八月の初めに私どもが非公式に入手した情報によりますと、幌内炭鉱常盤区域中心にしてこの開発を行い、十三遺体を立て坑から救出を図る、そういう一連の情報に基づきまして、この案は昨年十一月以降、幌内炭鉱完全復旧のために努力をしてまいりました、あるいは御協力をいただいてまいりました各種の意見と反すると、こういう意味で、まことに残念ではございますが、この案が労働組合に示される場合は、新政策のもとではございますけれども石炭産業全体のいろいろの影響はございますけれども幌内炭鉱及び北炭全体が閉山になってもやむを得ない、こういう決意をしながら、ぜひとも北炭再建幌内炭鉱完全復旧要求実現すべく闘いを続けてまいりました。この間、春闘でございますが、大手五社の闘いを組織しておりますが、本年の賃金は一万四百二十円になっていますが、北炭労働者は、北炭再建幌内炭鉱完全復旧の前提で、約その四割で妥結をせざるを得ない、こういう条件になりましたし、上期の期末手当におきましては、大手四社が三十三万一千円でございましたが、十三万五千円、こういう提示を受けて、私ども妥結をしていない状態でございました。もちろん、会社経営実態がございますので、賃金支払いあるいは期末手当支払いの問題につきましても、労働組合労働金庫から借用して組合員に支払う、こういう困難を乗り越えてまいりました。  これらの困難を克服してまいりましたのは、新政策をどうしても実現をしてもらわなければならぬ、先ほど申しました三点の新政策の骨子を生かしてもらわなければならぬ、そういう労働者の強い要望と熱意で、今日まで闘いを続けてまいったのでございます。しかし九月の九日の労使交渉におきまして、八月初旬非公式に入手をした最悪事態提案路線変更する、こういう提案を受けまして、私ども労使合意をすべく今日まで努力を続けてまいりました。  十月の七日、組合員並びに家族、そして幌内夕張市の市民の大方の皆さんの御協力協議を重ねていただきまして、政府に対して、北炭資本に対して炭労の対置要求決定をいたした次第でございます。この対置要求決定し、要求を提出して以来、自来団体交渉を続けてまいりまして、今朝三時四十分に労使妥結をいたしましたし、労使合意に達し、けさ九時三十分に調印をした実情でございます。中身につきましては、幌内炭鉱復旧について、資金繰りその他の問題につきましては、萩原会長斎藤社長、私、北炭労連会長橋本四名の連名で、資金繰りの困難はいろいろあっても、幌内炭鉱災害費及び全面復旧再建資金総額について責任を持つ、もちろん政府の御協力も願う、こういう意味了解事項の確認をいたしました。自後夕張新鉱の五千トン体制について、夕張新二鉱炭量調査の問題について、真谷地炭鉱再建について、清水沢炭鉱について、労働条件決定について協議をいたしまして、ただいま申し上げましたように、今朝三時四十分に妥結をいたした次第でございます。  私ども調印に当たりまして会社にも申し入れをいたしましたし、私どもも今後の問題解決のための二点の決定をいたしました。その一つは、労使合意決定をしたわけでありますから、合意が成立をしたわけでありますから、この内容実現のために、各界により一層の御協力お願いをしていく。特に会社は不退転の決意で、労使合意実現をすることを強く要求をいたしました。なお、この労使合意に基づきまして、各現場では協定事項遵守監視活動や、労使交渉も積極的に続けまして、この合意案実現をするために今後も闘いを続けていく次第でございます。  どうぞ当委員会の今後の強力な御指導と御協力お願いをいたしまして、陳述にかえる次第でございます。ありがとうございました。
  11. 竹田現照

    ○小委員長竹田現照君) 次に佐々木参考人
  12. 佐々木仁三郎

    参考人佐々木仁三郎君) 北海道炭礦汽船職員組合佐々木でございます。  ふだん先生方には、石炭対策につきまして御尽力を賜り、また幌内炭鉱災害発生以来、その復旧に対しまして特段の御配慮をいただき、厚く御礼を申し上げる次第でございます。  幌内炭鉱復旧北炭再建の問題に対しまして、九月の中旬に会社の方から提案がございました。その後会社との協議を重ねてまいりましたが、その結果、先ほど萩原会長が申されましたように、職員組合としてはきょうの午前三時半に双方で合意を見たところであります。  北炭財務状況は、借入金あるいは累積赤字実態を見ますと、非常にそれが膨大な額に達しておりまして、もはや企業の常識を超える実態にあるのではないかというように私ども見ておるところでございます。この結果、社内では非常に資金事情が悪くて、まさに危機に瀕している状態に置かれているというように言えると思います。  このような状況のもとで、私たち職員組合としては今年度賃金の引き上げに当たりましては、将来への復元を期待をいたしまして、同業各社平均を大幅に下回る額で協定をせざるを得ず、またこの協定をした中の一部につきましては、その支払いが来年度に持ち越されるという状態にございます。また、夏の期末手当では、盆前にその解決を見ることができませんで、職員組合責任におきまして、労働金庫から一人当たり十万円の融資を受けまして内払いをしたところであります。また、非常に社内の資金事情が逼迫している状況の中で、われわれ組合員の給料の支払いにつきましても、職員組合責任で、労働金庫の方から二月分の融資を現在受けておる状態でございます。また災害後、幌内炭鉱の私ども組合員は二百五十名おりますけれども、そのうち三十八名の者がよその炭鉱に派遣をしまして、それぞれ坑内作業に勤務をいたしておる状態でございます。  したがって、私たちとしましては、このような状態から早く切り抜けるために、再建を強く願っておりますけれども、今後再建を進めるに際しまして、現在のような、このような経営危機を招くに至った要因は一体どこにあったのかということを、冷厳にやはり振り返ってみる必要があるんじゃないかというように考えておるところでございます。  その要因の主な点といたしましては、まずこれまでの石炭産業の縮小、撤退を基本としていました石炭政策のあり方によるところがもちろんあったと思いますけれども北炭だけの大きなものとして考えられるのは、その第一は重大災害の続発にあったと思われるわけであります。過去十数年来の間に発生しました大災害だけを見ましても、昭和三十五年には旧夕張二礦、並びに四十年には旧夕張一瞬でガス爆発がございましたし、四十三年には旧平和鉱で坑内火災がございました。また今回の幌内炭鉱のガス爆発による坑内火災というように、数年おきに大災害が連続発生いたしまして、その上、このいま申し上げました四回の災害だけで百数十名に及ぶとうとい人命を失っておるのであります。また人災はありませんでしたけれども、昨年関連会社の万字炭礦で出水事故がございまして、本年の三月に閉山を余儀なくされたわけでございますけれども、この影響も少なくないのであります。このほかにもいろいろ数々の重大災害が発生をしておりまして、その被害は非常に甚大に及ぶものがございます。  その要因の第二は、連続した災害の後遺症による影響や、数年来夕張旧二礦、夕張旧一礦、旧平和鉱の閉山が行われたのと、夕張炭鉱出炭不振が慢性化いたしまして、北炭生産能率は、長期にわたりまして全国水準を大幅に下回った結果によるものと考えております。したがって、今後再建に当たっては、保安の強化によりまして重大災害の絶滅を図るとともに、炭鉱部門の体質強化が重要な課題であると考えております。  北炭再建の具体的課題の第一は、幌内炭鉱復旧でございます。幌内炭鉱は、災害前の生産規模年産百四十万トンでございまして、北炭生産量の約四〇%を占めておりました。したがって企業内部では中核的な存在でございますし、道内の生産量の約一二%を出炭しておりますから、道内でも中堅炭鉱の一つでございます。このように幌内炭鉱が果たしてきましたこれまでの役割りからいたしまして、この復旧は、夕張炭鉱体制づくりとともに北炭にとって非常に重要であり、北炭職員組合として、まだ坑底に眠っておられます十三名の遺体の早期収容を前提として、全面復旧を強く求めているところでございます。また、全面復旧は、石炭政策の趣旨から見ましても、従業員と家族の雇用と生活の安定と、二千万トン体制の確保、さらには地域社会を守るために、非常に重要であると考えているからであります。幸いにいたしまして、幌内炭鉱の地域は良質の炭量が豊富でございます。しかも、道内では最も自然条件の安定しているところでもございます。したがいまして幌内炭鉱の全面復旧実現につきまして、先生方の一層の御尽力をお願いする次第でございます。  次は夕張炭鉱日産五千トン体制づくりの問題でございます。当面、経営危機のもとで幌内炭鉱復旧を図るためには、資金面から見ましても、夕張炭鉱体制整備が急務であることを踏まえまして、われわれ職員組合としては積極的に協力をしていく考えを持っておりますけれども、ただ私ども重要視しておりますのは、地圧、ガス、高温など、自然条件が既存の炭鉱よりも非常にむずかしい状況にある点でございます。それで会社に対しましては、今度の労使交渉におきましても、坑内骨格構造の整備や、保安管理体制の強化など、保安の強化について強く求めたところであります。  深部移行に伴いまして、各炭鉱はともに自然条件がますます厳しくなることが予想されますので、今度の労使交渉では、社内における深部対策の検討と、その実施方法について協議をいたしましてまとめたところでございますが、国といたしましても、深部対策の検討と、技術開発に関しまして一層の促進方をお願いする次第でございます。  次に、今次労使交渉の中での大きな問題の一つといたしまして、夕張新第二炭鉱の終掘の問題がございます。埋蔵炭量の把握であるとか終掘の時期などにつきましては、今後の労使協議に持ち越されていますが、今後の経過をたどった結果、終掘を認めざるを得ない場合には、われわれ職員組合としては、これを吸収をする受けざらの確保を強く求めておるところであります。今後、この問題の措置に関しましては、政府並びに諸先生方の特段の御配慮をお願い申し上げる次第でございます。  再建計画実現に対しましては、今後、政府、大口債権者、需要家等各方面の御協力をいただかねばなりませんが、ことに幌内炭鉱復旧資金が非常に膨大に必要でございます。この確保が今後非常にむずかしいものと考えております。したがって、政府におかれましては特別に資金融資や、重大災害に対する特別融資制度を創設していただくなどの御配慮を特にお願いを申し上げます。  幌内復旧問題と北炭再建は、私たちみずからの重要な課題でございますので、私たち職員組合としては組合員協力のもとに、今後全力を注いでいく所存でございます。  終わりに、重ねまして先生方の一層の御尽力をお願いを申し上げまして、私の陳述を終わらしていただきます。どうもありがとうございます。
  13. 竹田現照

    ○小委員長竹田現照君) 以上で参考人意見聴取は終わりました。     —————————————
  14. 竹田現照

    ○小委員長竹田現照君) 小委員異動について御報告いたします。  加藤進君が小委員を辞任され、補欠として小笠原貞子君が選任されました。     —————————————
  15. 竹田現照

    ○小委員長竹田現照君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  16. 対馬孝且

    対馬孝且君 本日の四人の参考人の方の、幌内再建北炭再建の問題で努力をされております方々に対しまして敬意を表したいと思います。  また本朝、労使合意に達したということにつきましてそれなりに多といたしますが、問題は、かなりこれからが本当の幌内再建北炭再建実現できるかどうかという課題が今後にかかっておると私は思うのであります。そういう意味で、端的にひとつ御質問申し上げますから、だらだらした答弁はお断りをいたします。ずばりそのものでひとつお答えを願いたい、こう思います。  そこで、まず何といっても、いま坑内に遺体が十三名、われわれの仲間が眠っておるわけでございまして、一刻も早く遺家族の手に遺体を返さなければならない、これが当面のわれわれは与えられた使命であり、そうしてこの幌内北炭再建を一刻も早くせねばならぬと、こう思っておるわけでございます。  そこで、冒頭ひとつ斎藤社長にお伺いをしますが、あなたを北炭株式会社の最高責任者として、社長としての経営全般に対する総括責任者として理解していいですか。この点、お伺いします。
  17. 斎藤公

    参考人斎藤公君) 総括責任者——ちょっと言葉が聞き取れなかったんですが、何でございましょうか。
  18. 対馬孝且

    対馬孝且君 総括責任者として理解していいかと、こういうことです。
  19. 斎藤公

    参考人斎藤公君) そうお考えいただいて結構でございます。
  20. 対馬孝且

    対馬孝且君 それでは、あなたは八月の十三日に北炭重役会で、最高責任者という立場で幌内炭鉱再建案について取りまとめをされました。そこで、私がこれを調べた限り、当時幌内炭鉱再建復旧につきまして四つの課題が提起をされました。四案が出されております。  一つは坑道取り明けによる現区域の復旧案、二つ目は二片地並より新規坑道による現区域の復旧、そうして常盤区域の単独操業案、さらに第四としましては七片展開による北部開発、こういう四つの案を基礎にして討議をされたようであります。  そこで答えとして出されましたのは、幌内炭鉱のつまり全面再開という基本に立った採掘方式を行った場合については日産四千トン体制で、つまり能率が六十八・六トン、これによる採算が、結果として復旧費は二百四億が必要である、そこで、これによる採算赤字としては百三十億、炭量を年数に換算をいたしまして九・二カ年、こういうものと対照いたしまして種々検討した結果、結果的には常盤坑以外の幌内再建の道はないということで、常盤坑につきまして方針が重役会決定をされたという事実をこの際明らかにしてもらいたいと、こう思います。いかがですか。
  21. 斎藤公

    参考人斎藤公君) お答えいたします。  最初、まず幌内が大災害を起こしまして水を一番上まで入れなきゃならぬ。しかも、それを抜いて復旧しなきゃならぬ。その費用最初百六十七億円程度と算定したのでありますが、その後いろいろ検討しました結果、予定よりも六カ月おくれる、要するに二百四億円になる、そういう結論が出ました。そこで、これは容易ならぬことだ。この資金調達することは、当時いろいろ考えましたが、なかなかむずかしい。しかも、それを投入した場合に採算に非常に疑問があったわけです。さっき先生がおっしゃいましたように、二百四億投入をして百三十億の赤字、これは私どもで百十億の赤字ですが、百十億の赤字が出るということで、これはこの資金を仮に——自己資金ないんですから、銀行なり政府お願いするにしても、赤字資金を投入するのではこれは話にならぬということで、一時それを撤回して、しからば、ほかの方法はないか——閉山はしかしできない、鉱区はまだあるんだから、それを将来の準備に備えて、とりあえず何かして生きなきゃならぬということで、やむを得ず常盤案というものを一応取り出したわけであります。  ところが、その後いろいろ組合の方々とも会い、やってみますと、とてもそれじゃいかぬ、常盤案というのは、非常に立樋で立っておる、そこへ行くような人間はほとんどいないとか、あるいはこれで推し進めるときは、従来幌内から休業中の人員を、新鉱の五千トン体制のために出しておるその人員を引き揚げる、あるいは追加の人員も出さぬということになりますと、これは北炭全体として一大危機になります。そういう判断を私がいたしましたのが一つ。  もう一つは、その段階において萩原会長とも相談したんですが、一体赤字ということはどういうことかということで、もう一遍データを見直そうじゃないか。この点、私どもも多少うかつでございましたが、最初いろいろそういう作業をしておりました数字を一応信用しておったんですが、その時点においてもう一遍検討しようということになりまして、しからば日産四千トンが果たして妥当かどうか。と申しますのは、事故が起こる直前の一年半の平均実績は四千九百トン出しておる。したがって、これを四千五百トンまで見込めばよろしいではないか。それからもう一つ、金利をその当時は八%見ておりました。手前どもの平均金利は四・八%でございますので、八%は多いじゃないか、三%は何だと聞きましたら、それはいろいろのリスクを見ておるのだ。しかし、リスクはもう生産調整見てあるから二重に見る必要もなかろうということで、それを五%。それからもう一つ、来年度以降、これは通産省の大体御内諾を得たと思いますが、千六百円炭価アップが予定されております。そういたしますと、ベースアップその他の諸経費を差し引いても六百円のメリットが出る。そういうものを勘案しますと二百四億円投入しても大体年間三十億円程度の、百三十万トンになったときは年間三十億円程度の利益は見込める。そうすると二百四億投入しても当然それは回収できる。そういう採算性の問題、次は地域社会の問題、それから従業員の方のことを考えてそこで路線を変更したわけでございまして、その点ひとつお含み願いたいと思います。
  22. 対馬孝且

    対馬孝且君 いまの問題に対する答えを得ましたが、これは社長、ずばり申し上げますけれども、これはあなたの会社にはエンジニアもおるだろうし、経理屋もおるだろうし、これは重役もおるだろうし、これは重役会で検討されてるわけですから、これは素人に話するなら別ですよ、私も炭鉱マン三十年やってるわけですからね。  先ほどあなたの答弁の中に、八月十三日に常盤坑というのが一応決定をされている、これは間違いありませんね。そうして二十日足らずの九月七日の日ですよ、これは萩原会長がお入りになって、結果としてこのときに、いま言った幌内鉱の全面再開案、こういうことで出てるわけです。いまあなたもお答えになりましたが、変わっているところは日産四千トンが四千五百トンに五百トンふえるということでしょう、案として変わったことは。それから、もう一つ変わったのは何かといいますと、炭価アップを見込んでなかったということと、いまもお話に出ましたけれども、つまり利子払いが、利率が八%が五%に変わったというだけで、これ以外にないんですよ。これが常識的に言って、炭鉱扱っている経営者が炭価アップが見込めない、出炭量が見込めない、利率が八%から五%に後から修正されねばならぬと、こんなことをわからないようなあなた炭鉱経営やってるんですか。これは常識じゃないですか。炭鉱経営している者であれば、当然炭価アップが見込まれ、出炭増が見込まれ、そうして利率は何%になるかということは常識ですよ。これはあなた、再建案をつくる上のいろはのいの原点じゃないですか、あなた。それが二十日足らずの間に百八十度転換をする。これ自体私はあなたの経営姿勢というものについて信頼をおくことはできないんですよ。こういう問題について、間違いがあったら間違った、それが見込むことができなかったらできなかった、この時点において謙虚にやっぱり反省するものはして、答弁してくださいよ。だめですよ、そんなあいまいなことを言うんじゃ。
  23. 斎藤公

    参考人斎藤公君) そのデータをとりましたにつきまして、私どもいろいろと各界皆様方と御相談しまして、生産量はこれぐらいがよかろう、あるいは炭価アップは見込まぬでやってくれとか、いろいろ注文がありましたので、それを一応参考にしてやったわけでございますが、その点私どもは自主的にもう少しやればよかったと考えております。
  24. 対馬孝且

    対馬孝且君 いや、自主的にやればよかったというような安易な、何か人ごとみたいなことをあなた言っていますが、なぜ私は、北炭株式会社の総括経営責任者はあなたですねと冒頭念を押したのは、その意味で私はお聞きしたんですよ、冒頭念を押したんですよ。あなたが責任者とおっしゃるから、それであれば九月七日にこの案にこれまた重役会が満場一致決定されたと、これはどういうことなんでしょうか。九月七日に全く百八十度、これ満場一致、萩原会長がお入りになって全会一致で決定をされた、この点のかわりばえが一つと、それから数字が、あるときには百六十七億、あるときには二百四億、あるときには百八十二億とか、またこの数字もネコの目のように毎日、ほとんど私聞くたびに、あなた方からときたま報告を受けましたが、数字が変わっておるわけです。一体どこを信頼をして、どの数字が本当に信憑性のある数字なのかということは、全く私は北炭という会社はおかしな会社だなと、こういう感じがしましたよ、私は何回もあなたにも申し上げたことありますけれども。  したがって、この九月七日の時点で、こういう態度に変わらざるを得なかったという点の根本的な経営態度にやっぱり問題があったんじゃないか。私は、言うなれば計画がずさんに過ぎたんではないのかと。そのことがあったら、それはずさんだったということを素直に認めればいいんですよ。われわれわからぬことは、たった二十日間の間にどうして百八十度こういうふうに——われわれ最初から全面復旧案が正しい、あなたにも言ったでしょう、われわれが。現地へ行ったときも主張していますよ、われわれは。しかし、それは不可能だといって常盤坑案が出された。しかし、後から二十日足らずでこれが全面復旧案に変わった。この変わり方について、経営の最高責任者として全く責任ある態度かどうかということについて、疑問を投げかけざるを得ないというのが私の質問なんですよ。
  25. 斎藤公

    参考人斎藤公君) 先ほども申し上げましたように、やはりデータの私どもの考え方を変えたわけでありまして、変えたというのも、私ども必ずしも、いろいろそのデータをとるについて作業をしておりまして、その間において前のようなデータをとらざるを得ない状況にありまして、しかしながら私がいろいろ組合の人にも会って話しましたところが、データだけではいけないんだと、常盤坑というのはとにかく立樋である、人が入らないと、それでは計画を立てても意味がないんじゃないかという話も聞きまして、それでは常盤案というものはこれはなかなか実行できないんじゃないかということになると、前のデータをもう一遍見直す——これは私ども多少不手際であったと思いますが、前のデータをもう一遍再検討いたしました結果、できるという確信ができましたので、私が路線の変更を決意しまして萩原会長に相談したわけでございまして、その点、データのとり方がまずかったという点については自分ながら反省しております。
  26. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこでね、問題は、新鉱の五千トン体制の問題についても私は疑問があります。なぜかといいますと、新鉱五千トン体制としては、先ほどもあなたの陳述の中にもございましたけどね、五千トン体制を、最大な条件がなぜできなかったかという問題ですよ。つまり、これをもっと新鉱着工の体制を早める、こういう必要性が一つはやっぱりあったのではないかという問題と、現実に五千トン体制がなってないということにはそれだけのやっぱり理由がある。  私も現地へ行って聞いてきましたよ、現地の責任者——私二回行きましたから。今日新鉱の坑道体制というのは盤ぶくれで、盤ぶくれは大きいですよ。坑道は全く狭くなっちゃって、むしろ炭を出すような条件になっていない。いっそのことによって保安上の問題が起きるか、二度と保障はないという組合は非常に心配をしておる、私が行ったときに。こういう状態にありながら——今日いまこういう状態ができ上がったんではないんですよ、これ。すでに一昨年の体制から、もっとさかのぼれば、その体制からこの五千トン体制をつくるような坑内の歩行条件、坑内の保安上の条件、坑内の整備条件がなされていないではないですか、この問題について。いまあなた、たまたま結果として、これがすぐ、これから先は何とか五千トン体制になるようにでき上がりつつありますと、こういうお答え自体だって現実にマッチしてない、これは。現実の、現場に合った答えではないです。この点どうなんですか。
  27. 斎藤公

    参考人斎藤公君) その点につきましては私も、まあこっちの技術者の言うことを信用してやっておりましたが、最近になりましてその点非常に不安を覚えましたので、いろいろ調査をさせました結果、坑内が荒れておると、そういうことで、最近は出炭を抑えまして、もう出炭は少し減ってもいい、相当減ってもいいから、とにかく坑内整備を着実にやれということで、それをやらしておりまして、しかも最近は、まあ今度妥結しましたことによりまして幌内からも人が入るということになりますと、さっき申し上げ予定は私できると思っておりますが。
  28. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこで萩原会長、ちょっとお伺いしますがね。先ほどまあ総括責任者が斎藤社長だということでお答え願っておるわけですが、九月七日に萩原さんがお入りになってこの全面復旧案に急遽変わった、こういう態度について、そのときの萩原会長としての考え方についてちょっとお伺いしたいんですがね。
  29. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) お答えいたします。  本来、災害後におきまして、全面復旧会社の基本線であると私は了解しております。先ほども申したとおり、まあなるべく出ないようにはしておりましたが、その点については間違いないと確信しておりました。それで五月十三日、札幌の記者会見でも全面復旧はするんだということを発表したような次第でございます。  それが八月十三日、常盤坑を開発しようという。まことに私としては意外だった。常盤坑と申しますと、これは戦前にも私覚えておりますが、計画したところでございます。一部上部の方で採炭いたしまして、これはいかぬというので取りやめた個所、それはきわめて、五十度ないし六十度の傾斜であるということで、これは戦前ですでにやめたところです。あんな浅いところでよければとうに掘っておる、それが何でああいうところへ行ったか。実は、私としてはまあ世上伝えられたように、自分はきわめて注意していたにもかかわらず、会長社長意見の対立があると報道されまして、そのことを警戒しておりました。しかし九月に入りまして、これはどうも理解できないということで、九月の七日の役員会の招集を提言したわけです。  なぜあの五月十三日、私が記者会見で発表したというのから常盤坑を開発するよう転換したか。これはいまさらどちらがいいかということは、申し上げることもないことと思います。よくおわかりだと思うから省略いたしますが、なぜこのように変わったのか。私は考えるんでございます。いま斎藤社長が言われましたが、いろいろの間違いもあったというけれども、これはまず斎藤社長としては、就任後日が浅いので無理はないと思いますが、私としてはもうすでに、こういうことがあってはならないと自分では思っていたのでございます。  きょうは率直に後でおしかりを受けるのを覚悟で申し上げると、冒頭お断りいたしたのでございますが、経営者の責任とは何かという点から考えてみても、これはどういうことかと言うと、まあ斎藤社長もつらいところで、いろいろの御意見が八方から出ます。しかし、どういうことであっても、納得いかないことははねのけていかなくちゃならない。違ったら態度を改める、これが基本条件だと思うのでございます。私は、それからいってなぜこうなったのかということを調べた結果によりますと、余りに船頭が多過ぎて、いろいろな意見を聞いて、しかも北炭がかかる状態にあって非常に弱い、そういう中において私は役員会で、これは君たちの考えたこととは思わない、五月十三日に私は記者会見にまで発表した。一つのこれはお仕着せじゃないか、なぜ黙ってこのお仕着せを着ているのかと、こう申した次第でございます。斎藤社長ともそうなった事情について当日話をしたのでございますが、まあ五月十三日のころまでは決定していたんだから、恐らくそういう点も中には意見があったと思うんでございます。私は、技術部長、経理部長を呼んでこの点がおかしい、いま御指摘ありましたけれども——おかしいじゃないか、これを取り上げましたのが九月の五日でございます。ちょうど旧曜日になります、呼んで一々指摘すると、わかっているのでございます、まずいという点は。わかっているのになぜそういうふうにいったかということは、私としては経営の姿勢として遺憾であると同時に、全く不可解な案であったと、こう理解しております。  それで実は、急に変わったと言いますけれども、これは了解を得て、もう一度これに参画していただいたエネルギー庁なり、それから石炭鉱業審議会先生方にもこれはおかしいじゃないかということを言って、意見を改めて開陳して論議を願うのが常道でございます。その暇はありませんでした。というのは、炭労が再建案をすでに、先ほど里谷委員長が言いましたとおり八月の初めに入手している。これも私としてはまことに遺憾に思います。いやしくもその案の是非は別としても、交渉をするに先立って炭労側がすでに入手していた。八月の初めからということを聞いて、私はいまびっくりしたんです。私があの案を初めて説明聞いたのは、八月十三日です。この点についてもまたまことに私としては不可解に改めて感じているのでございます、が——。その暇がないけれども、これは正しいという方へ行こうじゃないか、それでみんなに忌憚ない意見を言わせると、役員連中もわかっているんです。そうしてそのいろいろな欠陥の点の指摘も皆役員からも出てくる。それで、それなれば百八十度転換しようということで突然発表した次第でございます。
  30. 対馬孝且

    対馬孝且君 もう、いま萩原会長から聞けば聞くほど全く不可解な会社だということを感じますね。あなたが五月十三日の記者会見で全面再建案が正しいといういまだに一貫した方針を持っておられて今日ここまで到達した。こう言っておるのであれば、これはここに斎藤社長おりますけれども、私はどうも北炭という会社社長二人いるんじゃないかと、社長の上にまた社長がいるのかと、こういう感じがしてならないんですよ、はっきり申し上げるけれども。われわれは一貫して全面再建を主張している。斎藤社長にも申し上げた。ところが、それができないといって常盤坑案が出されてきた。全くだれを一体信頼すればいいのかというのが、いま率直なわれわれの気持ちですよ。萩原会長なのか、斎藤社長なのか、一体どこなんだという、この北炭会社というのは一体どこが、だれが一体責任者なんだいと、こういう気持ちを率直に、もうこれは私だけじゃないですよ、そんなことを、私も同じ仲間だから言いたくないんだけれども、いま北炭を取り巻いているユーザー、あるいは私らに入ってくる率直な関係機関等でも非常に疑問を持っております。  私はこの点について申し上げますけれども、じゃこれは斎藤社長にお伺いしましょう。そういう考えがあるとしたならば、われわれの主張は取り入れることはできなかったと、あなたは再々言っていますがね、また、ここではっきり私申し上げますが、十月の八日の衆議院石炭特別委員会萩原会長から、この問題については石鉱審の専門部会で誘導もしくはアドバイスを受けてこの案になったというあなたの陳述がございました。私はこの間の十月十四日の商工委員会でこのことを石炭部長に、確認をいたしました。通産省としては、会社が出された、先ほど私冒頭申し上げました四つの案に対して、一応こういうものであるという試算はしたことはあるけれども、この常盤坑案でいくべきだとか、常盤坑にすべきだということは、毛頭行政指導したこともなければ、誘導いたしたこともございません。これが十月十四日の商工委員会における私への答弁があります。あなた自身が十月八日の石特委で陳述したことは、これはうそ言ったのかなと、真実を言っているのかどうかなということ、石炭部長の答弁を聞く限りでは、事実そういうことは行政指導いたした覚えはございません、みじんもございませんという明快な答弁でございます。したがって、この点をひとついまもう一度確認したいんですが、あくまでも会社側の経営体制と基本姿勢の中で、この常盤坑案というものは出されたものである、このことは間違いないという私は確信しているのでありますが、その点を含めて明快な回答を願います。
  31. 阿具根登

    ○阿具根登君 ちょっと関連して御質問申し上げますが、萩原会長は八月の十三日の重役会に出ておられましたか、出ておられませんでしたか。私の知る範囲内では、あなたはその重役会に出ておられる。出ておって、この常盤坑の案に賛成されておる。それがその後に、二十日足らずの間に百八十度転回している。あなたも重役会に出ておられたはずです、八月の十三日。そうであったかどうであったか、あわせてお答え願います。
  32. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) 出席いたしております。
  33. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうでしょう。で、そのときは一つも全然発言されずに、あなたは、いま対馬君が言ったように、どちらが社長かわからぬぐらい実力のある方がそこでは全然発言されておらない。とするなら、あなたまで含めて重役会で決まったこれは案なんです。あなたまでそのときは常盤坑でいかざるを得ぬと、こういうような考えだったんです。そうでしょう。そうじゃなかったら、その後で、決まったやつをあなたは二十日後に一遍でひっくり返すだけの力を持っておられる。そのときにあなたが発言されておったならばあの案はできておらない。いま時分にこんな論争しなくて、もうすでに一カ月も前にこういう論争ができておるんですね。赤字をどんどん続けておるんです。今月もどうするかという、資金面で大変苦労されておると思うんです。私たちも苦労しております。それをあなたは八月の十三日は出て何も言わずにおいて、そしてそれに賛成されておるんですね。そうしておいて二十日後にはこれをひっくり返された。そこに私たちは何をお考えになっておるかわからないわけです。
  34. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) 確かに八月十三日、九月七日、突然な変化のようにお見えになると思います。と申しますのは、私は、そこで責任を果たしていないじゃないかと言われればお叱りは受けます。しかし、この案の経過を聞きまして、十分各方面との御指導、御指示をいただいて決定したものと思っておりました。したがいまして、私会長としては、どうも納得いたしかねる点がありましたが、すでに四年間引いているようにしていて、せっかく外部の方々とつくって、ここででき上がって報告して、役員も全部参加してつくったものを、ここでひっくり返すべきでないというふうなことを考えまして、そのときは一切発言を差し控えたんですが、そうは言ってもやはり日がたつに従って、どうしてもこれは何としても納得いたしかねるし、一つには、もしあのままでいくならばどろ沼闘争に入るということも一つの大きな動機となりまして、それで、そのときも申しました。自分はこう考えると、あれをここで自分の意見で覆そうとは毛頭思わないと。これは会社の重大な問題だから、もう一度諸君が一人一人忌揮ない意見を述べてもらいたい。それで諸君がやはりそれでいくというなら、自分とすればもう半分引いたようなものだから何も言わぬけれども、しかし、この機会に自分の意見も述べるといって述べたような経過でございまして、確かに阿具根委員のおっしゃるとおり、あの時点において自分の考えを率直に述べればこれは早かっただろうと、ごもっともな御詰問でございますけれども、私としては、もう社長がいて、みんながやっているところへ、実は一貫して、もう余りいろいろなことにくちばしを入れないでいようということの方針をとってきたのに、この重大問題に、それにこだわり過ぎたということを考えております。
  35. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま萩原会長からありましたが、私はやっぱり、お答え願えば願うほど全く疑惑が積み重なるというか、疑惑を感ぜざるを得ない答えばっかりですよ、率直に申し上げて。私は全くあなたの会社というのは、率直に申し上げるんですが、これはこの間の九月十六日の労使団交の席上で、会社の不統一があるかないかということが団体交渉事項になっているというあたりは、これは全く残念なことですね、率直に申し上げるけれども団体交渉事項に、会社の不統一があるかないかなんて課題になるくらいこういった問題がきているということは、それだけに再建案をつくる経営者の姿勢というのは一体どこにあるんだと、これが一体信頼できるかということが私は一番ポイントです、率直に申し上げて。  そこで次の問題を申し上げますが、率直に申し上げて、私も四十四年から今日までの北炭財務状況、おたくが出した財務状況を検討させていただきました。これによりますと、四十四年度末には五十一億の赤字でございますと。ところが、五十年度末における赤字は四百六十九億にふえているわけであります。約九倍ですよ。四十四年度から九倍ですよ、五十一億から。あなたが出した資料ですから間違いないと思うんですが、四百六十九億であります。約九倍、四百十八億が増加をしている。これに対して、経営者としてどういう手を一体打ってきたのか、どういう対策がとられてきたのか。これは全く常識では考えられないんです。この点はいかがですか。
  36. 竹田現照

    ○小委員長竹田現照君) どなたがお答えになりますか。
  37. 斎藤公

    参考人斎藤公君) いまおっしゃいましたように、私も大変遺憾に思っておりますわけです。しかしながら、さっき申し上げましたように、北炭は四十三、四年ごろからとにかく従来の山が非常に貧化しておるということを考えまして、何とか早く新鉱の手を打たなければならぬということを考えておったんですが、新鉱に着手するのは私多少おくれたかと思います。それでようやく四十五年からかかったのですが、それが異常出水その他によってこれも予定から一年八カ月もおくれると。そういうようなことが続きました上に、とにかく新鉱が一年八カ月おくれますと、その新鉱に来る人員を確保しなければならぬ。それには平和炭鉱なり夕張一鉱の人員はそれを予定しなければならぬ。ところが、その両鉱はもう山の命脈は尽きている。しかしながら、尽きているにもかかわらず、人員を存置するために赤字を覚悟で一年半も二年も投入した。その間のロスが大変なものです。七、八十億以上あると思います。それから後は、そういうことをやった結果、また閉山するという損も八、九十億以上ある。その後残念ながら幌内災害を起こした。そういうことで四百億ふくらんだということは私は言えると思うんです。これはそういう事実といったって、けしからぬことばかりじゃないかと言われればまことに申しわけないんですが、そういう事実の連続で現在の四百何十億の赤字になったということは率直に認めるわけであります。
  38. 対馬孝且

    対馬孝且君 それは社長、理屈にならないんです、はっきり申し上げるけれども。これは当然あなた、いま言った四十四年からたった五年間の間に九倍の、先ほど言った四百六十九億の赤字になっているわけだ。あなたは幌内鉱災害があったからこうなったと、先ほど未曾有の今回の危機に見舞われましたというけれども、そんなことないでしょう。現実に幌内は二百四億で、あとの二百数十億というのは、既存の五山の炭鉱における収支の結果による赤字じゃないですか。そういうごまかしを言ってもだめですよ。幌内炭鉱で未曾有の今日の結果になったと、奈落の底に落ちたようなことを言っているけれども、実際、幌内炭鉱災害がないとしても、今日の赤字の累増というのは現実にあるわけですよ、このあなた方が出した数字のデータの中で。それ自体私は問題だと、こう言っているんですよ。そのことに対してどうして手を打たなかったかといったら、いま一年八カ月そういう準備がおくれてきた。生産体制をつくる、準備体制を早めるというのは常識じゃないですか、こんなことは。炭鉱をやっておれば坑道の取り明け、坑道の整備、やがて切り羽をつくる、坑道をつくったら切り羽ができ上がるというのは常識じゃないですか、こんなことは。そんなことを現実になされていなかったということ自体に問題があるし、新鉱新鉱とおっしゃるが、新鉱というのは借入金ですよ。去年からじゃないですか、現実に営業実績が出てきたのは。去年までは借入金なんだから、何もこれが営業の収支に出るわけじゃないんです。そのことが赤字の理由になる主要なものではないんだ、これははっきり申し上げて。三百億というものは別にはっきりあるんだから。そういう点から言っても、私は一貫性を欠いている。手を打てなかったというけれども、手を打てなかったんではなくて、打つ気がなかったんだろうと私は言わざるを得ないんですよ、この点について。
  39. 斎藤公

    参考人斎藤公君) 私がさっき四百六十億の赤字が出ておると申し上げましたのは、数字は申し上げぬでしたけれども、さっきは要するに夕張一鉱、平和炭鉱さらには万字炭鉱の損失、そこへ最後のとどめとして幌内災害があったというふうに申し上げたんですが、私の申し上げ方が悪かったら改めさせていただきます。  それから私、ここで言いわけじゃないんですけれども、私が社長になったのは、まだ一年そこそこでございまして、四十三、四年のことは実際私はわからないんです、実際どうやってこられたか。これは数字の上から申し上げておるんでございまして。しかし、責任をとらぬというわけじゃございませんけれども、その点、どうやってこられたかという実情は私にはわかりません。
  40. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは萩原会長にお伺いしますが、会長も相談役になっておったから知りませんなんて言うかしらぬけれども、相談役であろうとなかろうと、やっぱり北炭の今日までの実績をつくった実力者ですし、また、今日携わっておるわけですから、こういった状態に対してどうして抜本的な手を打つことができなかったのかという問題ですよ。これはお聞きしますと、私も調べてみましたが、当時の金谷社長が辞表を取りまとめをしてあなたに出している、現実にそのことでやめている、こういう実績がありますよ。それだから私は知らぬということに私はならないと思いますよ、この問題は。あなたが相談役としておられるんだから、当然このことについて五年間こういうものについて抜本的なやっぱり対策は立てられていなかったというところに問題があり、もう一つ私は率直に申し上げますが、二百三十七億という当時の借入金があった。五十年末には九百九億になっている。つまり、安易にとにかく資金さえ借りればいいんだという、こういう安易方式がやっぱり今日の借入金契約が増大するに至った私は理由だろうと思うんです。この問題についてどうお考えになるか、ちょっと明確にしてもらいたいですね。
  41. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) まことに確かにその間というものは相談役でありまして、もっと指導し、意見を言って相談に乗ってやるべきであったかもしれません。この点はいまちょっと考えておるところでございます、やり方として。  いま非常に負債がふえてきた、負債の方は安易に借りたということはないと思います。というのは、いろいろ言ってますけれども、私は借入金の主なものとしては新鉱の開発、これは新鉱の開発でもってフル操業がいいと、こう思っている。新鉱の開発を発起いたしまして、これをやるために戻ったようなものでございます。その結果として、そういうふうな大きな負債を負わせた、そのために非常な苦境に陥らしたということ。しかし、私はこれはこれでいいんだとその点は考えております。その他の負債の増加につきましては、確かに負債が非常に増加しちゃった。私が戻りましてすぐやめたのが四十四年か五年でした。その間にそういう状態になったということについて、さて、その内容を私は安易に借りたんじゃなくて、どうにもしようがなくて借り尽くしたんだと思っているのでございますけれども、いまどういうときにどういうふうに借りたかと言われますと、まことに申しわけないけれども、即答いたしかねますけれども、言い得ることは、決して前金谷社長も安易に借金をふやしていけばいいというつもりじゃなかったと思うんです。事故もあったでしょうし、それからそのために出炭も減ってきた、そのために借入金が増大していった、そういうことが一番大きな原因だったんじゃないかといま考えておりますが。
  42. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま萩原さんの、借入金の主なる理由は新鉱だと、こうウエートを置かれていますが、新鉱は三百億ですよ。ところが四十四年が基礎になった借入金が二百三十七億、これが七百億ふえているわけだ。仮に新鉱に三百億の借入金をしたとしても、あとの四百億というのは一体どういう要因を持っているんだ、どういう理由のもとになったんだということが私は問題だと思うんですよ。それは私は理由にならないと思うんですよ、いまのお答えをお聞きしますと。  それからもう一つはっきり申し上げなきゃならぬことは、北炭の石炭は他社に比較して品質がいいんですよ。これは事実でなければ否定してもらって結構ですが、山元手取りが非常に多いわけです。私現在資料持っていますが、たとえば例を言うと三井の場合で言うと、五十年の山元手取りが一万八十円です。五十一年は九千九百十八円です。三菱は原料炭ですからこれを省きましょう。次は住友へいきますと、五十年が一万五百八十四円、五十一年は一万一千二百二十六円、太平洋のごときに至っては、はっきり申し上げますが、五十年は八千三百六円、五十一年度は八千九百九十一円ですよ。それに対して北炭の方は一体どうなっているかと言えば、五十年の山元手取りが一万七百二十九円、五十一年に至っては一万一千八百七十九円という最高の数字になっているんです、山元手取りが。こういう山元手取りが他社に比較して非常にいい条件でありながら、今日こういう状態を生んでいるということは、これは一般的な石炭景気を見た場合に納得できますか。この数字はうそなら別ですよ。私は現に通産省から明確に五十年度、五十一年度山元原価をとったんです。これを見ると、北炭の山元原価というのは最高いいのです。そういう良質な炭であり、原価が、山元手取りが多いにかかわらず、現実にこういう経営状態が出てきている。この点について私は、経営者として本当にいかにこの段階で対処すべきなのかということをお考えになっているのかどうか。そういうものを含めてどうあるべきなのかということを考えたことがあるのかどうかということが一つ。  それから私はやっぱりここから来ていると思うのですよ。私は率直に忌憚なく申し上げますと、萩原会長は石炭にとってはとにかく怪物であると世間では言っている。当時公社、公営、国営化のときに一社案というものをあなたが出されました。これは私は一面評価していますよ。ところが、問題はここから来ていると私は思うのですよ。石炭というものは、いずれにしてもとにかく私企業という限界ではもうできないのだ。特にやるだけやって出た赤字は全部国に後始末をしてもらえばいいのだ、そういった物の考え方の安易感が、今日北炭におけるこういう異常な事態を招いた私は原因だろうと思っているんです。そういう結果がなければ、先ほど言った山元の手取り炭価が非常にいい、しかし、ほかの他社はそういう状況にはなっていない。災害とおっしゃるでしょう。災害を言うなら三井だって砂川だってこの二、三年間大きな災害を起こしているじゃございませんか。理由になりませんよ、そんなことを言ったって。ただ、そういう物の安易感から来る結果が、今日の北炭経営実態というものがここに到達をしたんじゃないかということを、私は率直に指摘をしなければなりません。その点いかがですか。
  43. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) 私は全国一社案でやりたいというのが思想の根底にあるから、私企業としての限界に来ているのだから、最後はしりを政府に持っていく、そうは考えておりませんでした。そういうことはなく、ただ、対馬委員もそう考えていたろうとはおっしゃらないし、そういうことが暗に思想的に影響を及ぼしてこういうことになったんじゃないか、こうおっしゃるのだと思いますけれども、私自身としてはそういうふうな安易な考えは持っておらずに、また一社案唱えたときもほかの理由で言っておったのでございます。  まことに御指摘のとおりでございますけれども、資料十分手元にありませんけれども、そういった原因は、やはり原因なくしてそれは起こらない。いろいろなことが重なってきましたけれども、なぜ各期各期の赤字がどうなったとか、また出炭がどうであったか、確かに炭価は高かったけれども、そういう点の資料をいま手元に持ち合わせておりませんのでお答えできませんが、いずれにしても、理由のいかんを問わず、非常な赤字を出したということについては、経営者として、もし出炭が少ないなら出炭をもっとどうして出すようにしたらいいか、いろいろなことを考えるべきであったと思っております。これは人ごとに言うんじゃなくて、私自身が、もし社長として考えても十分の手をもっと打つべきであった、こう思っております。
  44. 対馬孝且

    対馬孝且君 謙虚にそういうふうに申されておりますから、私は何も追及をしておるんじゃないのですよ。これからの再建をするために、いままでのなぜ借入金がふえ、赤字がふえたかということを、根本をやはりただしていかなければ、これは再建再建という言葉を言ったってならないと思うのですよ。そのことを懸念する余り私は申し上げているのでありまして、私は特にこのことを萩原会長に申し上げたいのですがね。私もやっぱり政府の金を使っているわけですから、国民の税金ですから、それなりに使途というものは明確でなければならないと思うのです。ところが石炭の経営者の流れには二つあります、やっぱり。あるいは三井、三菱、他社のように、ある程度セメントと炭鉱とかあるときには分離独立したり、あるときには合併をして石炭を補ったりセメントを補ったりする、こういうやり方でもってやっぱり石炭を盛り返していこうではないかと、これは萩原会長もお認めになると思います。  ところが北炭の場合は、おたくの場合違うのは、これは私の判断ですが、どうせ石炭というのは、萩原会長に言わせればもうこれは撤退産業だ、撤退産業なんだからもうどうせこの際北炭の石炭から上がった資産というものはひとつ三井観光なり北炭系列に投資をしちゃって、そうして北炭KKの方にだけ赤字を残したってしようがないじゃないか、やがて政府は肩がわり政策で見てくれるだろう、どうもそういうところに問題が、今日の答えがあったんではないのか。実はやり方を見ますと、私は三井、三菱、住友の例をちょっと挙げましたが、これはいいとか悪いとか言っているんじゃないですよ、私は。そういうことも考えられるんじゃないかと。もしいままで何回かそういう、これだけの赤字がふえてきたとするならば、あるときには北炭の観光を系列会社と合併をする、そこで石炭を助けるのなら助けていく。これも一案だと思うんですよ、やっぱり。そういうことは一向に今日北炭経営実態ではないわけだ。この前石特で私聞きました、傍聴で。いやそれなりに実は観光の方から抵当も検討して北炭の方に回しておりますし、あるいは長期資金の方も実は永久みたいになっておりますとお聞きしましたが、どうもそこらあたりが私は納得できないのです。そういう点については時間もありませんから簡単でいいですから、私はそういう点にやっぱり問題があるというふうに見ているんですが、いかがですか。
  45. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) 石炭に見切りをつけてひとつ観光事業を——それはそういうことではありません。当時私が社長就任した昭和三十年、これは大きく新聞に出ております。社長就任の事業として一つは石炭化学をやる。これは川口に置きまして、それからいま一つは、北炭はかつて多角経営会社だった。北海道の開発に役立ったわけです。しかし、いまはもうこの状態では何もできないから、豊富にある北海道の資源を開発しよう、そういう方向に向けて自分の北炭としての社長就任の記念事業としたい、これが就任のとき発表したわけなんです。当時において石炭がもう見込みがないからなんとまでは言えた状態ではありません。  それからいま一つ、第二点には、北炭の方からどんどん運んでいるんじゃないか。これは大変な誤解というと何ですけれども、世間でもそういうふうに言われております。これはすでにこの前もどなただったか衆議院で説明しまして、対馬議員もお見えになっていたと思いますから簡単に申し述べます。実際、いま北炭からということでおっしゃいますけれども、あの創立したとき北炭から向こうへ資金として持っていって借りて興したときは二千万円でございました。そうして全部三井信託、北拓をメーンバンクとして当時の金十六億の資金調達し、そうして事業を興していった。
  46. 対馬孝且

    対馬孝且君 簡単でいいですよ、会長、簡単でいいですから。
  47. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) それで私も分析して、三井の行き方いろいろあった。また三井が二つに分かれたり、いろいろな方式をいろいろ研究いたしましたけれども、自分としてはこれがやがててこになろうと考えました。そして自分としては、今日ではあの借入金について非常な役に立った。それから現金四十億円等も出せるようになった。実際中身を言いますというと、三井観光というのはもうかるどころではない、非常な赤字でございました。もし、もうけが続いているならいいんですが、決してもうかっている事業ではございません。これは石炭と違いますから。ある点で華やかに見えるけれども、実はこの事業もなかなかむずかしいなと痛感しておった。そう担保というものも、自分で借り入れる担保というものもあらかたのものは出ていって現有の三千四百万のうち三千万というのは全部北炭の金だ、こういう状態になっております。北炭というものを足場にしてわきへもうかる会社をつくったというふうに——ちょっと地元は華やかにホテルなんて見えますが、そういうことは毛頭ございません。
  48. 対馬孝且

    対馬孝且君 時間もありませんから、私いまお答え願いましたけれども、率直に言って私なりにやっぱりこれはあなたの、俗に言う萩原さんというのは政商屋であり、かなり実力者だとこれは世論でもマスコミでも言っておりますしね。ところがそれはもうからないときもあったろうけれども会長、もうかったときも相当あることも私知っていますよ。たとえば千歳空港の当時の土地が、北海道庁がやっぱり買い上げた土地だって十倍近くで当時の単価からいくと買い上げをしてもらって、大沼公園における三井観光の方の所有物の問題だって私全部知っていますよ。沼田問題からいろいろなこと全部私調べていますよ。それはもうからないときもあったけれども、そのことにおいてかなり三井観光が潤った時代もあることは事実なんだから、それはまことに悪いけれども、まるっきり素人に言うなら別として、私らはそれなりに経営実態というものも調べたつもりですから、これはその認識について、私らはむしろそういう点ではあるときにはやっぱりそういう経営のあり方を考えてみても、たとえば他社のような経営再建ということを考えていいのではないか、どうして北炭はそれを考えられないのか。こういう気持ちがあったものですから私は率直に申し上げました。  そこで時間的な問題ですから率直に申し上げますが、この段階で労使合意に達しました。一体どうしたらその再建が実るという、経営者として、最高責任者として、一体どうしたらこの再建を実らせることができるかということについての経営の基本姿勢をちょっとお伺いしたい。簡単でいいです。
  49. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) 簡単に申し上げますと、合意事項第一点としては、二本の柱があるから、どうしても新鉱、幌内、これはフル操業に入るように持っていきたい、それを除いては北炭というものはこれを回復するてことなるものはない、こう考えておりまして、この二つの柱に全力を注いでいきたい、こう考えております。
  50. 対馬孝且

    対馬孝且君 私は非常に残念ですな、いま会長から意見を聞きまして。この再建案が実るということはいま一番大事なことは、私なりにずいぶん政府にも働きかけもしましたし、いろいろやりましたよ。ところが率直に申し上げますけれども、これ先ほど私言ったように、北炭という会社社長二人おって、どちらを信用してどちらに走って歩けばいいのだ、これは率直に言いますけれども信用ございませんよ、社長、悪いけれども。これは会長にも申し上げますがね。もう北炭、これは世論で言う萩原さんも怪物だけれども、もう萩原怪物さんもずいぶん神通力失ったなと、もうおかに上がったかっぱみたいになったのだなと私思います、率直に申し上げますけれども。  今日の段階で一番必要なことは何かといったら、北炭会社経営責任ですよ。経営のあり方に対して、どうしたら信頼を受けることができるか、信頼を持つことができるかということです。もっとずばり言うと、どれだけ自己資金でもって北炭会社資金計画を立ててくるかということです。水に映る月の影みたいに、握ってみたら何もないなんという金ではなくて、実際に握って手に残る金というものをどれだけ目の前につくってくるか、この姿勢がいま再建の一つにかかっているのですよ。私あなたのことばを聞いておったけれども、せめて私の私財を投げ打っても、私の私財を抵当に入れても、この北炭再建だけは私はやってみます、どうか皆さんひとつ協力してもらいたいのだ、この言葉を聞けなかったというのは残念ですね。どうですか。少くともいま大事なことは、北炭が、どれだけ世間から信頼を求められるか、その経営責任体制をどう確立をするかということがこれからの再建が実るか実らぬかへのかぎであります。炭鉱労働者がいま願い、また家族が願っていることは、すべて萩原会長責任を負ってくれるんだろうな、政府はやってくれるんだろうな、そういう一念があるのに、遺憾ながらその言葉が出なかったということは非常に私は残念です、いかがですか。この段階で大事なことは、私の言っておることが間違っておれば間違っておるという指摘があっていいんですが、少なくとも北炭会社の信頼を回復すること、経営責任体制を確立すること、そして、自分の私財をなげうってもこの際、再建のために体を張るというこの姿勢があるかどうかを最後にお伺いします。
  51. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) 実は対馬委員が御質問になったとき、そういう趣旨でお聞きになっておるなということはすぐに直感いたしました。それは、衆議院で多賀谷委員からも御質問がありました。多賀谷委員のときは私も軽々にお答えできません、こう申し上げました。  それは、まず申し上げたいのは、これが姿勢としてたとえわずかでも、そういう姿勢がありますということは、言うのはやすいのでございます。私が考えますのに、自分の経営者としての基準をどう考えるかという一つの思想を持っております。そして、そういうことは、まあ御質問があったときに、こういう場でかれこれ言うべきことでないと、こう考えてあえてそれを避けたのでございますが、それで、まあ何百億でも持っていればこれは別であります。そうでもないのに、いかにも役に立たないことをそういう姿勢があるというようなことは言うべきでないと思います。というのは、一言だけ申し添えます。これはすでに私の屋敷は抵当に入っております。そうしてその返済に私は、もう何年になりますか、非常に苦労しております。これは決してそういうことを言いたくないのでございます。経営者として私財をなげうってとかなんとかと言うときは、もうこれは経営者としてはいわば落第生、落後者になったような、いやしくも常道を歩んで正式な経営でもって、姿勢でもってやっていくのが本当だ、そうしたお話の点はよくわかるのであります。決して会社に熱意をささげないでも何でもありません。七十三になってまた舞い戻ってくれで、その才能あるなしは別で——ございませんけれども、そういうことで多賀谷先生には失礼でございましたけれども、軽々にお答えできないと言ったのはそういう意味でございます。
  52. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは最後ですから。私はいま率直に経営姿勢を、あなたの責任ある態度をお伺いしたんですが、私は、なぜそれを言うかということは、これはその姿勢がなければ、萩原さん、あなたは最大の実力者ながら、自分は相当な日本では大物なんだから、政界を牛耳るだけの力あるんだから、自分が号令かければ大臣は動くだろう、あるいは政治家が動くだろうと、こういうまだあれがあるとしたら間違いですよ、私は率直に申し上げますが。いま大事なことは、北炭としてどれだけ信頼を回復して、本当に国民のためにこたえる、あるいは労働者組合員のためにこたえてやるか、あるいは亡くなった方にこたえてやるか、こういうことが私はいま一番大事なことだと思うんです。それで私は聞いておるんですよ。何もそんな個人にわたることを私は聞きたいとは思いませんよ、そんなことを。私だって常識持ってますよ。  しかし、そこまで来ているんだということ、そこまで来ているんだから、あなたの経営姿勢というものがそこに出てこなければならないんじゃないか。まあ、抵当に入っておるとおっしゃいますが、あえて言うならこの抵当がそれじゃ北炭のために入っておるのか、三井観光のために入っておるのか、どこへ入っておるのかと言って、私はわかりませんよ、聞いておりませんから。しかし、やっぱりそういうことだってこれはあるわけでしょう。私の言いたいのは、そのことを問うつもりはありませんけれども、少なくともこの段階でこれを言い切るということに、これはなるほど責任体制を持って言っているなというところにやっぱりよりどころがあるということが一つであります。  もう一つは、端的に申します。労働条件の問題です。きのう合意に達していられたので労使が自主的にまあ解決をされたということは結構なことですが、何といっても労働力確保という、労働条件という問題が炭鉱労働者の魅力なんですよ。この労働者の魅力である労働条件が一番労働者を泣かすわけだ。まあ一定の時期まで耐え忍んでくれと、こういうことですから。そうすると、これは一日も早く他産業並みに、他社並みの労働条件保証してやる。このことが私はこれからのあなたの能力、経営責任、態度の一番これからの基本条件ではないか、このことを二つだけ申し上げておきたいと思います。
  53. 阿具根登

    ○阿具根登君 時間が私は少ないので簡単に申し上げますが、四人の方々、昨夜も徹夜されてそして交渉をされて非常にお疲れと思いますが、努力に対しまして感謝申し上げます。  そこで、対馬君の質問には余り重複しないように質問したいと思うんですけれども萩原会長が衆議院で述べられたこと、またこちらで述べられたことにも、いま対馬君の意見の中にも十分ありましたが、会長社長が対立しておると誤り伝えられておるということが冒頭言われておる。先ほども言われた。そうすると、私ども懸念しておることも十分社長会長も御承知の上だと、こう思うんです。  しかし、この百八十度転換に入りますけれども、それでも私はそれはそれなりりっぱだと思うんです。ただ私が心配いたしますのは、「六月末から北炭は、通産省また石炭鉱業審議会経営部会の北炭問題専門委員会指導のもとに再建案を作成してまいりまして、」こういうことがあるわけです。そうすると、その指導のもとによっていままで対馬君とやられました、たとえば利子が八分を五分だとか、炭価が千六百円上がるかというのは、これは対馬君の言うとおり常識で決まっておるのです。そういうことをお知りにならなかったわけではないんです。お知りになった上でこれをわざとこういうことをして、百十億の赤字になりました。二百四億つぎ込んで、十二年間石炭掘って、百十億赤字になりますから、これは縮小する以外にありません。縮小ということは遺体があるから緒小であって、遺体がなかったら閉山ということです。そういううその数字までつくって公表しなければならなかった、そこに大きな疑問が一つあるわけなんです。そして先ほど申し上げましたように、会長も十三日に出ておられる。もしも組合の反対がなかったならばいま時分は常盤坑に向かって進んでおるわけです。そして四千万トン近くの石炭は永久に掘られないようなかっこうになってまいります。そういうことまでして、なぜ数字のうそまでやって閉山に持っていかねばならなかったか。もしもそれだけ強い経営部会なり、通産省なりの意見があるとするなら、皆さんの今度の問題も非常な暗礁に乗り上げる、私はそう思うんです。  夕べ徹夜されて、きょう九時何十分に再建案を出されたと聞いております。その再建案を私どもはまだいただいておりませんが、その再建案を経営部会の専門委員会が見るわけなんです。それを土台にして、これでいけるかいけないかという結論を出す。これを通産省が受け取って、今後の対策を立てるんです。ところが、皆さんが数字わかっておりながら、百十億もの赤字だと言って出さねばならないほど、その人たちが強い意見を持っておったとするならば、私たちもここで考えを新たにしてやらなければ、せっかく労使調印されてもなかなか今後危ない。しかし、会長まで入っておられて、常盤案に示された百十億赤字になりますというやつが、一遍で今度は二十四億黒字になります、プラスマイナスで百三十四億ですよ、こんな膨大な、百三十四億というようなやつが一遍に引っくり返る。これはユーザーも、あるいは経営部会——まあ経営部会は別としましても、通産省もそういうことは了解の上でやられたんでしょうかどうか、お尋ねいたします。どちらからでも結構です。
  54. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) まあ、確かに八月の十三日です。大体きょうはこれで決定するかというわけで、実を言うともう自分としてはそのときに、先ほど申しましたとおり、各方面の御意見、御指導も十分勘案してこれは作成したものであるという前提のもとにおいて、ここでもって自分がかれこれ言うんでもないというふうなところで、むしろ意見も述べなかったんです。ところが、そうでありましても、まず第一の動機となったのは、これが事前に漏れておってどろ沼闘争に入っては困るなと、まあそういうふうなことが一点。私としてはそれでもなお黙っておったんでございます。炭労との下交渉のうちで、会社でも修正の意思があるということを言ったということがわかりまして、それなれば自分も言おうということでありまして、責任を回避したというんじゃないんですけれども、なるべく自分はもう経営上のことについて、かれこれ余りくちばしを入れまいという心境であったのが、世間のこういう御批判を仰ぐ原因となったと思っております。
  55. 阿具根登

    ○阿具根登君 そこで、会長陳述を見てみましても、「常盤坑で日産九百トン採掘することとしていますが、六十度の傾斜の同区域は、能率が悪いばかりか、労働者を充足することは困難であると思います。これに要する開発費百二十六億円はとうてい返済し得ないでありましょう。」こう言っておられるんです。まことに正しいと思うんです。そこまではっきりしておられるのを、何で社長はそれでは進められたか、これは会長が言われておるんですよ。労働者も集まらぬ、六十度の立樋全然経験もない、保安上も危ない、採算もとれない、百二十何億が返されないとはっきり言っているんです。それをどうしてやるということに決められたか、今度は社長の御意見をお伺いします。
  56. 斎藤公

    参考人斎藤公君) 百二十六億投入しまして、とにかく収益はそんなに上がらぬけれども赤字は年間に二、三億ぐらいに確保すればやっていけると、そうすればとにかく閉山というわけにはいかぬけれども、二、三年持ちこたえていって、そのうちには石炭政策も変わってきてあれを開発し得る余地が出てくるんじゃないか、そのときまでに最悪の場合に二、三億の赤字、よければ二、三億の黒字と、そういうような採算を立てましたんですが、その程度なら少し持ちこたえてやっていって将来を屋望しようかと、そういう考えでおったわけであります。
  57. 阿具根登

    ○阿具根登君 それが会長が言われるように、これはとうていだめなんだと、それを実施しなければならないという圧力がかかっておったのを、これ圧力という言葉になりませんかしれませんけれども経営委員会も通産省もそう言って、その指導のもとにそうしかつくれなかったんだということの前置きがあるわけですよ、そうですね。そういうことが実際あったのかどうか、ここで対馬君も質問しております。衆議院でもわが党が質問しております。通産省はそういう指導は一切しておりませんと、こう言っております。そうすると、経営委員会からそういう強い案が出て、これでなければ資金は出ませんよと、こういう圧力があったのかどうかお聞かせ願います。
  58. 斎藤公

    参考人斎藤公君) そういう圧力が直接あったとは私考えておりません。しかしながら、いろいろな御意見は聞きました。しかし、やはり全面復旧するだけの金はとても出ないということなれば、次善策としてそれをやっていくしかないと私は考えております。
  59. 阿具根登

    ○阿具根登君 そういうお考えをお持ちならいまの案をどうして出しましたか。そういう懸念があって、いまのままでやっていかれるならば逃げ腰じゃありませんか。
  60. 斎藤公

    参考人斎藤公君) いや、そのときに私のデータの、さっき慎重さを欠いたというのはその点でございますけれども、データをどうとっているんだということをもう一遍検討したんです。そうしましたら、四千九百トン出ておるのを四千トンにしたと、これは私どもだけで決めた数字でもないと思いますが、いろいろそういう数字がありまして、それから値上げも見ない方がいいとか、いろいろ検討した結果だと思いますが、そういうようでやると百十億の赤字が出る、しかしながら値段は決まったことだからこれは認めてもらってもいいじゃないかと。それからたとえば四千九百トンも、出た実績だから四千五百トンを認めていただくように一遍話したらどうだということを、いろいろな方面にお願いしまして折衝した結果、そういうことならばそれもやむを得ぬということをお認めいただきましたんで、変更いたしたわけでございます。
  61. 阿具根登

    ○阿具根登君 そういうことを何回も聞いておりますから。私が言っている真意はそうじやないんです。そういうことは何回も聞いております。しかしそれは皆さんそれを知らなくてやられたわけじゃないのです。承知の上やられておるのです。だからこういう質問になってくる。なぜそう言うかというと、ユーザー関係その他が信用しないんです。一カ月前は百十億の赤字が出るから掘れませんと、こう言明された、それが二十日もたたぬうちに二十四億黒字になりますと、これは他から見れば、一体人をばかにするなということになるわけですよ。だから、ここで萩原会長が言っておられるのですから、実際はいまのやつがわれわれの案だったんだと、これが圧力があるからこんなになったんだと、そうなると、圧力があったから数字までうそごまかさねばならなかったんだと、こうならばわかるのです。しかしそうじゃなかったとおっしゃると、閉山でもよかった、あるいは全面再開でもやむを得ぬ、そんなあやふやな態度だから人が信用しないんです。  それからもう一つ会長にお尋ねいたしますが、「復旧費二百四億円のうち、揚水完了、遺体収容までに一年七カ月の日子と四分の三の経費を使ってしまいます。そうして、あと三カ月の日子と四分の一の経費で出炭できるのに、なぜ閉山決定しなければならないのでしょうか。」こうあるんですな。そうすると、これは取り明けまでに百五十億かかる、そういうことでしょう。五十億が出炭準備にかかる、こういうことですな。そうすると、これをもうひとつ砕いて言えば、十三の遺体収容するために百五十億の金がかかります、こういうことに衆議院ではとられたわけです。そういう発言をされたわけです。そうして遺体だけ出してこれを閉山にするならば百五十億は捨て金になるじゃないか、こうおっしゃったんですが、それはいかがですか。
  62. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) どうも陳述が、あるいはそういう御質問が出るような言い方したかしれませんが。あれは、もし遺体収容だけなればそんなにはかかりません。ところが、われわれとしては斜坑を取り進んでいくというところで全面再開を裏に含んでいればこそ百五億、私はそれは百五十億をかけても全面復旧をすべきだと思うからこれはやったということでございまして、遺体収容のために百五十億かかると言っているんじゃないんでございます。発言が悪かったかしれませんけれども遺体収容は立坑からの揚げ方もありますし、いろいろそんなに金かかりません。先日衆議院でやったあとで、原稿離れてしゃべって、数字の間違いがほかにもありまして、その点についての百五十億と言ったのは間違いない。そうしてそれは遺体収容が目的であって、だからというのであったれば、斜坑の取り明けに進まなくても済んだ、しかしもし仮にもう進んでいったなれば、そこまで行ったんなら全面復旧してもいいじゃないかと、実は初めから全面復旧をねらいとしたそういう発言だったんでございます。
  63. 阿具根登

    ○阿具根登君 そこにちょっとおわかりになっておって、発言がおかしくなってくるわけなんです。この百五十億かけるということは、全面復旧だから斜坑二本の取り明けをやるということなんです。これは常盤坑をやるというなら、これやる必要ないんです。そうしたら百五十億なんて金要らないんです、いまおっしゃった立て坑でいけば。おたくの会社から聞いておるんだから、間違いないと思うんです。それを混同されて言われるのです。百五十億もかけてそして閉山するよりも、百二十五億かけて常盤を掘った方がいいというのは筋が通らぬじゃないか、百五十億もかけて取り明けしたならば、あと五十億かければ中央全部掘れるんだと、これが萩原さんの論旨なんです。だから人が聞けば取り明けして死体出すのに百五十億も要るだろうかと。そうじゃないのです。取り明けするということは出炭するからやるんです。これは二百四億のうちの百五十億です。それを間違えないようにしておいてくださいよ。そうしませんと、衆議院なんかでも傍聴者の方々がたいしたもんだと、こういう非常な誤解を受けるわけです。そういうことじゃなくて、百五十億は二百四億の中の取り明けの費用だと、こうなるわけです。  それからもう一つお聞きしたいのですが、この中で今度の事故の原因は山でなくって人だ、人の不注意によるこれは事故である、こういうことをはっきり言っておられるわけですね。水を取り明けてみてどういう事故であったろうかと、私たちはその原因を知りたくてしようがないんです。一部では千メートルの下だから山はねじゃなかろうかとか、いろんな意見が出ておるわけなんです。それに会長がこれは山の実情じゃなくて、人がマイトをかけるときの不注意からなったんだと、こういうふうに断定されておるが、これはこれでいいんですか、お尋ねします。
  64. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) 人がと言うと責任を問うようなあれで、非常に不穏当な発言だったとは思いますけれども、私はあの事故は、言いたいのは深部なるがゆえに、深いから発生したというもんじゃなく見ている。と申しますのは、この問題を取り進めるに当たってまず考えなくちゃならぬのは保安上どうだったか、そうしてそれから調べたんでございます、全面復旧を主張するに当たって。幌内というところは比較的表彰されたほど安定した、無事故の、ガスも少ない。ところが養老断層の近くへいくとガスの突出が多いんです。それで二片当たりのときでもそれが出ている、ガスの突出があった。だから人が悪いと言ったのが、余り端的な表現使ったために、ちょっと穏当な言葉じゃなかったと思うんです。山が悪くて起こったんじゃなくて、あのガス突出のときに、いま少しガスに対して用心して、しかもそこからたまったガスの量もそう多くはない。そうしてそのときに、もしもいまやっている噴霧式発破法をやっていたら、それからもう少しガス抜きを十分やっていたら断層、の手前で。いままでやっていてそれでやってきたんですから、だから人が悪いというのは行き過ぎかしらないけれども、もう一歩深部に行ったんだから、さらに慎重にしてガス抜きをやってくれればよかった。それからどうも原因が、取り明けなければ断定できないということを前提にしながら、思い切ったことを言っておりますけれども、自分の考えのままだからお聞き願いたいのでございますけれども、あれは燃焼ダイがあったんじゃないか、発破をかけてその発破が爆破しないで、ちょっと燃えたようなのがあって、そこへガスが出てきてたまって。それはガス突出があってから爆発の起こったのは十五分後だということから考えて、残っていてガスがたまって、そこで起こったんじゃないか。そうして多くの亡くなった方は、突出の圧力でそこまで行ったんで、果たして爆発によったものであるかどうか、これは明けて見なくちゃわかりませんけれども。その事前にそういうことがあった。  それからもう一つは、いろいろ自分も首を突っ込み出しましてから聞いてみて、どういうふうだったと言うと、防毒面も何にもつけないで、爆発の起こる前にもう中へ入って調べているんでございますね。こっちは何にもないということをすっかり調べてやっている。こういうことで人が悪いと言いましたけれど、人がもしもっと注意して、ガス抜きをもっとやったらいいんじゃないか、深部に来たんだから。安心だと思って。それから発破かけるについても、もしその燃焼しているようなダイが残ったなら、それが防げるように、これはすでに各国もやっていたから、この方法をとっといたらそれは防げたんじゃないか。それで深部だから起こった、こうとられるけれども最初事故は小さなものであった。それがこういうことになったというのは、いま一つ私が考えましたのは、注水の方法に慎重さを欠いたんじゃないかなと。技術屋でもない私が素人考えで思いますのに、どうももしその爆発があっても、それだけで済んで、注水によってそこで消えれば何でもない。なぜ飛び越えて上の方まで火がいったんだろうか。これが新たにそこで火災が発生したんでも何でもありません。注水のときに、まあ私なりの考えで言いますというと、注水の入り口が排気からやった。それがために風上が風下になったんじゃないか。火は風下に走っていきますから、そのためについに上まで火災が起きて、あれだけ火が上までおおって、そうして注水しなきゃならない。  まあ非常にいわば結論をはっきりさせるために、山が悪いのでない、人が悪いというような表現をしたのは、はなはだ自分も不穏当なことを言っちゃったなと思っておりますけれども、原因は深いところから起こったんじゃない、防げれば防げたんじゃないかということを言いたいために申し上げました。
  65. 阿具根登

    ○阿具根登君 おっしゃったように、山が悪いのではなくて人が悪いのだ、こうおっしゃっておられると、働いておった人の責任になってくるわけですよ。だから、これは山が悪いのじゃないと言うなら、会社が悪いんだと言い直してもらいたいんです。そうしませんと、せっかく働いている人が、自分の命を捨てながら、お前たちが悪いんだというようにとられたら大変です。山が悪いのでなくて会社が悪いんだと言い直してもらいます。  それからもう時間がありませんので最後にいきますが、会社の考え方はこの復旧に二百四億要る。それでその六割百二十億を、国から出してもらいたい。その裏では、そればかりでも足らないのだ。できればもう少しふやしてもらいたい。あるいは七割にしてもらいたい、あるいは八割にしてもらいたい、こういう要望があるようですが、そうしますと、この復旧費のほかに債権者に元利返済について御協力を得ても、いまユーザーにお願いしてやっておられると聞いております。六年間たな上げするということも聞いております。五百五十億たな上げになるんだということも聞いております。しかし、それにしてもことしの下期に五十二億円要る。そうして五十二年には五十七億の金が要る。そうすると二百四億のほかに百十億近い金が要ります、こういうことなんですね。幌内復旧には二百四億要ります。しかし、その他の北炭自体の赤字をいまから埋めていくために、企業を続けるためには百十億近く金が要ります、こういうことになると思うです。それはどういうようにお考えになっておるか。百二十億から百四十億は国につくってくださいと言っておられる。そんならその後の百十億からの金はどうお考えになっておるか。それから五十三年には私の聞いたところでは百五十億さらに要ると、こういうことも聞いております。そういう金策はどういうふうに考えておられるか、これをお聞きいたします。
  66. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) まあ復旧費についてはお説のとおりでございます。しかし、こういう不慮の災害であるとか、これから新鉱を開くというのなら政府にもぜひともお願いしたいと、こう思っております。  片っ方は、先ほど対馬議員から御指摘のように、まあ経営の悪化というか、悪さからこういう負債が出た、これを政府お願いするというのは筋が立たないと、それで、それならおまえどうするんだと言われると、これが一番いま頭を痛めているところです。そしていま私がお願いしているのはこれはどういうことかというと、一つは、まあこういう席で言うのはどうか知らないけれども政府にいろいろ御協力を願う、何でわれわれが、いかに関係があっても民間だけがこれだけの協力をしなくちゃならぬかと、まあその債権者の方からいうと、政府は何もしてないじゃないか、やっぱりわれわれ民間としても協力に限度がある、一般経営の上だからそれは助けもしよう、するけれども、まず政府があの復旧についてどのようなことをやってくれるのか、それのないうちはわれわれ民間としても協力するのに限度がある、金が惜しいんじゃない、まあはばかりますけれど、そういうふうなことで、まず第一にはあの復旧についてだけでも、これこれのものはまあ融資して助けてやろうと、早く復旧しろというのが決まりますと、この借り入れに対する調整というものは、全部とはとてもいきませんが、しかし、まあ、関係のあるところはこれに変わってくるというふうに考えておりますし、またそういう言葉も聞いておるんでございます。それでまず、早くあの復旧に対する救済案というか救済額を決定してお願いしたいと、これが第一でございます。  それからもう一つ大きなことは、北炭にすでに担保はありません。これは担保なしで金を借りるということは非常に困難であります。貸してくれる意思があっても、これは条件がなかなか整わないということで、何とかそれに対して政府に、われわれもむろん研究しなくちゃならぬけれども、それに対して御協力を願って、担保はないけれども、これが借りられるような条件を整えるとか、何らかの方法はないだろうかということをお願いしているようなわけでございます。  さてここで幾ら借りるんだと、ここから幾ら持ってきたいんだという実情においては、指摘することができない状態でございます。しかし、私とすればあの救済制度で決まれば、そうすればここでこうしてもらえるなという目算は立てております、まあ公表ははばかりますけれども。しかし、もしこの復旧についても政府で——いつまでも片づかないというと、今度は片っ方の百三十億の金繰りに同時に大きく響いてきちゃう、これが本当の裏の姿でございます。それで、ことに当面今月三十億足りない、これはまあきのうまで組合でかかっておりますけれども、これはまあ三十億でございますから、大変であるけれど、どういうふうにこれの資金繰りをつけるかということは、早急に立てようと思います。  まあ私も大分先ほどから、いろんな問題についてもまずさというものが、全然引退しちゃっていればよかったんですけれども、いやしくも相談役であろうと会長であろうと、それでまあ後の人がやりいい方がいいというような考えで、役員会も金谷君のときなんか一回も遂に出なかった。それがいいんだと自分で一つに最初から決めて、本人にも断って、おれはこういう方針で相談役いくぞ、相談がかかれば相談に応ずるが、それ以外はおれは一切発言しないぞ、だから経営に参画しないぞ、その方針で、まず自分で自分の行動を規制しちゃって決めてかかってきたというところが非常にまずくて、これからそんなことについても、社長と力を合わしてやっていかなくちゃならぬなといま考えております。
  67. 阿具根登

    ○阿具根登君 これで終わりますが、まあ対馬君、私も、ずいぶん思い切った質問もいたしましたが、これは私どもは何としてでも幌内再建させねばならない、そして三笠地域の方々、あるいは一般の方々に安心をしてもらわねばならぬ、そのためには言いたいことも言う、こういう考えで皆さんに申し上げたわけです。  そして通産省に対してもこれから話をしていきますけれども、皆さんの方でも、いま言われましたように国がどれだけ加勢してくれるかとこうおっしやるけれども、今度国の方では、あなた方はどれだけできるんだと、どれだけできるということがわかればその後は考えましょう、こういうことで、卵が先か鶏が先かと言うけれども、国から言わせれば、この責任は国にももちろんあるけれども責任会社じゃないか、会社がまず真っ裸になってもらいたい、もっと信用あるような行動をとってもらいたい、これが通産省の考え方だろうと私はいままで接触して聞いております。そういう点でひとつ全力を尽くしていただきたい、かように思います。終わります。
  68. 相沢武彦

    相沢武彦君 四人の参考人の方、大変どうも御苦労さまでございます。与えられた時間がわずかなので、端的に個条的になるべく御質問をしていきたいと思います。  いまも幌内炭鉱事故の問題で萩原会長に対して御質問がありましたけれども、自然条件が悪いんじゃなくて人為的なミスだったと、非常に働いている労働者の方に対して冷や水かけるみたいな発言をされましたが、確かに深部へ移行して——この深部対策というものは今後の日本の石炭産業界が二千万トン体制を維持していけるかいけないかの大きな問題点であります。当然日常の経営、採炭に当たって会社側も、また働く労働者の人たちも、この保安ということに一番力を入れていると思うんです。もし人為的なミスがあったとして、その責任は、やはり経営の最高責任者である会社責任者が、ふだんにおける保安対策の不備というものについて一番責任を痛感し、それを宣言しなければならないし、また今後への体制に対して万全な措置をとるということを示さなければならないと思います。そういう点で、この席上でもう一回、さきの発言に対する萩原会長としての正式な発言を求めておきたいと思います。
  69. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) 先ほど阿具根委員から御指摘があって、なるほど自分で先ほど用語は気をつけるべきものだと言いながら、確かに人と言うと働いている人も人なんだから、あの意味はいま指摘しましたが、もし指示を誤ったり、勝手にいろんなことをやって、今度おれはここではボーリングよけいやるんだとか言ってやるんじゃないので、そういう意味で申しましたので、人という用語はまずかったなと、こういま思っております。あれは確かに言うならば山が悪かったんじゃない、会社の指示が悪かったとでも言った方がよかったかなと、こう思っております。  それはそれといたしまして、さて、そういうことになってまいりまして、もしそれが、はっきり申し上げますと、それが溝を取り明けて事実そういうことであると、深部などが落ちたものじゃない、こういう理由だとなれば、当然冒頭申し上げたこれは責任者向けだし、また最高責任者に対してもこれは責任がある。ただ現実には深部なるがゆえに掘れないためだと、そうでないと思うのに、そのままで言っちゃならぬから、非常に危険な発言でありましたけれども、あえてこれは言わなくちゃならぬので申したのですが、その結果によっては責任ははっきりとしなければならぬと、こう考えております。
  70. 相沢武彦

    相沢武彦君 災害の場所が取り明けされて、再度政府あるいは関係者による災害の真相究明の調査が行われた上で、この問題に対する結論というものが出ると思いますけれども、やはりあくまでも保安に対する責任会社の監督にあるわけでありますから、その点ははっきりしておいていただきたいと思うわけであります。  さて、従来から私どもこの石炭関係に携わる委員として訴えておりますけれども保安対策を十分になさずして、重大な事故というものがよく引き起こされるわけでありますけれども、その事故を契機に再建不能ということになり、また閉山やむなしということで、これまでスクラップ・アンド・ビルドといいながら、スクラップ・アンド・スクラップでどんどん閉山されてきた。いま二千万トン体制を維持するのに、この北海道の重要産業の一つである石炭産業を存続できるかどうか、これは一にかかって幌内炭鉱再建がなるかならないかにかかっていると思うんですけれども、そういったことでこれまでと同じような事故を起こし、それが即閉山やむなしというパターンであっては絶対ならない、また認められない。こういうことで関係者の方たちが一様にこの幌内炭鉱復旧、そして北炭再建ということに対して衆知を集め、御心配をされている、そしてきょうこの委員会でも、また論議がされているわけでありますが、一番やはりここで決意を新たに、真剣に取り組んでいただかなきやならないのは責任者の萩原会長さんだと思うんです。一部報道されているように、萩原会長としては、今回のこの再建案が失敗すれば石炭業界から身を引くようなことも伝えられておりますけれども、本日出されました再建案の確実性、また今後石炭業界へ取り組む決意、信念、こういうものを端的に表明していただきたいと思います。
  71. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) 実は先ほどもありましたとおり、いろんな回り回った説明をしましたけれども、端的に言ってしまえば、百八十度の路線変更の責任は何といっても私にあるわけでございます。だから、この結果が悪いことについては、自分はすでにそのとき九日の記者会見では、これで失敗していけば自分としてはもはや敗残の老兵として去るばかりだと申したように、私は、どうしてもこの幌内復旧並びに北炭については、これはあと七年で七十、いままで三十年働いてきた。もしこの幌内復旧の、私が言っていることが外れたなれば、これは自分は一生懸命だからと言ってもこれは去るべきだ。非常にいろいろ責任はありますが、去るべきだと思うわけです。自分としてはそういうことはどうしたって自分の生存中に北炭が——いろいろ対馬先生や阿具根先生に御指摘をいただきましたけれども、実を言いますと、昔は北炭のことは当局でも財政的に見ないでいいだろうと、余り補助金やなんか気にかけられないできたのが、最初社長をやめるころまではそうだった。それがまことに今昔の感にたえないようなことがわずか十年後にあらわれたと、さっきも御指摘のあったとおりでございますから、何としてもこの点について老躯にむち打って、どうしてももう一度安定したところに持っていきたい。しかもこれは長くなくちゃならぬですけれども、成果はともかくとしても、軌道に乗ってその方向に走って流れるようにいくなという見通しのつくところまではやりたいと思っております。
  72. 相沢武彦

    相沢武彦君 済みません。ちょっと聞き取れないので、もう少し大きな声で御返答いただきたいと思いますが、今日までいろいろと石炭企業の建設のために御労苦されて功績もあり、また実力者としての立場で、また北炭にあっての経営責任という面で、いろいろと責任のなさ、あるいはとかくのいろんな追及をされている立場でございますし、今回のこの仕事を、本当に自分の終生かけての最後の責任をとるという立場での決心でお当たりいただきたいということだけ申し上げておきます。  さて、ユーザーである新日鉄やH鋼等の鉄鋼メーカー、その他大口需要家から、特に今回のことに対しましては、路線の変更があったり、また一連の再建案について事前の説明がなされてなかったりして、非常に不満、憤慨があるわけなんですが、そこで資金的な援助もこういう状態ではできないというようなことまで取りざたされているわけですが、この北炭再建に対する萩原会長資金調達に対する考え方、これはまた政府に対しても、その他ユーザー側に対しても非常に見通しが甘いんじゃないのか、こういうふうに感じられるんですが、非常にみんなが、周りで最後は何とかしてくれるというような甘えた気持ちがやはりあるんではないかというように思われてなりませんが、その点に対する考えと、それから今回提出の再建案、ユーザー側の人たちに支持をされるという、そういう見通しなり何なりをいまここではっきりと自信を持って述べることができるかどうか。
  73. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) ユーザーの話が出ましたが、実はあれを発表いたしました直後に、ユーザーとしてもこういう百八十度の転換、全面復旧はおかしいという、こういう復旧では自分の方は過去の融資ももう——というのは、炭代の前払いというのがありますから、打ち切ればもうどんどん払ってくれるようになっている、そういうのもあるし、炭代の前払いと融資があれしている。できないということが新聞に発表になって、その日のうちに電話で真意は確かめました。そしてその後、ガスでいえば安西君や村上君にも確かめましたし、一番古い取引先、それから先般、田坂さんにも会ったし、また村上君と会って種々懇談いたしましたが、この点については十分理解していただいております。  それから決して何とかしてくれるだろうというような考えではおりませんし、自分としては炭代の実は前払いが三十億円にも達しているということも実は全然知らなかった。あるということは聞いたけれども、私が借りたのは新鉱開発のときの四十億、これは確かであります。それが合計七十億になっているという。しかし、これについても十分頼んでわかってもらっております。これは銀行やなんかと違いまして六カ年たな上げなんということはできませんけれども。また、いま一つは、転がしということになるだろうと思いますが、その上にまたさらにユーザーに御依頼するということは、今度の場合は私はすべきでないと思っております。これ以上の御依頼はすべきでないと考えております。
  74. 相沢武彦

    相沢武彦君 先ほども委員からの質問出ていましたように、北炭再建に対して私財を投げうってもという決心、これは萩原さんに必要である、こういうお話があり、個人的なことを言えば屋敷もすでに抵当に入っているんだというお話でありましたけれども、屋敷以外には抵当はなくって、全く今回の再建に対して一切の私財を投げうってやるという自主的な面はおありになれないのか、あるいは幾分なりともその再建に対する自分の真剣な取り組みを示す証拠として、何らかの私財を投げうつ道がまだ残されているのかどうか、その点いかがですか。
  75. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) もうどうも何でございますね、発言が最初悪かったばっかりに、その衆議院での多賀谷さんの方に、そういうことは軽々に発言できませんと言った発言が悪かったので、どうもあの一言が尾を引いて困っているんでございますけれども、私としては、一つの自分の考え方は考え方、これは理念というか、理論的なものである。それはそれとして、感情的に見て、それじゃおれは知らぬよと言っているのか——決してそうじゃありません、これは。ただ非常に、長らえば恥多しという感じいたしております。というのは、おおよそそういう御質問を受けるときは、いかにもそれにそうだと言えば、非常に責任があり、会社に愛情を持っているように聞かれますけれども、それは経営者としては、自分の経営の無能を証明するという一面にも通ずる。まあ私の考えとしてそうです。しないとかなんとかということでなく、そういうことで、非常に実は抵抗を感じまして、この間、軽々に発言はできませんというようなことを言ったんです。  まあ先ほども申しました抵当に入って云々のことですけれども、これはまさに北炭のためである、しかもその返済は個人で当たる、それからそれについて、ことの成り行きによって見ていって、その意思がないかというと、今日私あるのは——まあ最近こそずうっと四十年から給料も何ももらっていませんけれども、しかし今日の私あるのは、北炭社長となりましたから今日あるということを感じておる。これはまあどうも、どうやら申し上げたくないことを言わなくちゃなりませんけれども、第一、私がこうやってやっていることについても、私に対して、父さん、こうやってともかくも北炭の萩原と言われるのは北炭のおかげじゃないかということで、まあ何があったところで北炭と一緒に栄え、つぶれるならまあ食ってはいけるだろうというようなことを家内に言っております。こういうことを言うといかにもいやだから申しませんでした、それで私もその覚悟でおります。おるけれども、どうも何か経営者の資格というか、熱情のバロメーターのようにされたのが、どうも最初いきなりひょっと聞かれたときは抵抗を感じましてね、ああいう発言をいたしましたけれども、たってみればわかるし、やるときは黙ってするし、そうしてその意のあるところをおくみ願えれば幸せだと思います。これは決して逃げているわけでも何でもありません。
  76. 相沢武彦

    相沢武彦君 じゃ黙ってじっと見詰めたいと思います。  それでは斎藤社長さんにちょっとお尋ねしますが、本年いっぱいで約百二十一億その資金が必要だという先ほど御説明があったんですが、それから最後に不足資金の百三十億に対しては自己努力する、こうおっしゃられました。それから萩原会長さんのお話では、今月末にも三十億はどうしても必要なんだと、こういうお話なんですね。それですでに北炭独自では自己調達する能力がないんだ、それでぜひ政府の方としての救済策を打ち出していただきたい、その救済策も時期がずれたんじゃ役立たなくなるんだと、まあ聞きようによっては政府に対する強迫めいたお話なんですけれども、それと社長さんのおっしゃる百三十億円自己努力するというお話と、その辺どうかみ合ってきますか。
  77. 斎藤公

    参考人斎藤公君) 申し上げます。  さっき申し上げましたように、五十一年度資金不足は、いろいろ銀行筋——銀行筋と申しましても、それは元利のたな上げその他ですね、それからわれわれの自己努力や、というようなことをやりまして、結果、五十一年度が百億の資金が要る、五十二年度が百五十億の資金が要る、合計両年度が二百五十億の資金が要る。この資金不足のよって来るところは、まあ大部分のものは、そのうち百二十億ぐらいは、結局幌内災害費の二百四億のこれから払わなければならぬ資金が百二十億ある。これは今年度、来年度、申し上げますと、大体四分六の割合かと思いますが、これから十月から払わなけりゃならぬ資金が百二十億。これは幌内災害復旧費。それからこれから十月から五十二年度いっぱいのその他の不足資金と申しますか、これが百三十億、合計二百五十億。そして私どもお恥ずかしいことでございますが、八月から九月は非常なピンチになりまして、ようやくいろんなことで切り抜けましたが、十月はなかなかそれができない、そこでとりあえず本年度百億、今年度十月からの資金不足百億のうち、十月がとりあえず三十億必要だと、こう申し上げているわけです。それでまあ先ほど申し上げましたように、その百二十億につきましては、ひとつ政府の御協力をいただきたい。百三十億につきましては、私ども努力をいたしますんですが、残念ながらいま担保力その他で全然余力がございませんので、これは非常に申し上げにくいことですが、政府から何らかの保証と申しますか、そういう何らかの御援助をいただきたい、それを力にして百三十億の金融をつけたい、こう考えておるわけでございます。
  78. 相沢武彦

    相沢武彦君 そうすると、政府から百二十億の救済措置、それからさらに百三十億についても政府からの何らかの保証という形で出してもらいたい、二百五十億なければ乗り切れない、こういう結論ですね。それで、もしそれができれば、これだけの復旧費をかけても十年間で回収できる、この見通しは、今度の再建案の中できちっと回収具体策というものは明示されているんですか。
  79. 斎藤公

    参考人斎藤公君) 百三十億につきましては、全面的に全部政府保証お願いしているわけじゃございません、できるだけひとつ多くお願いしたいということを申し上げております。  それから二百四億かけて復旧すれば、幌内は現在の炭量千三百万トンですか、それを掘り尽くす段階において二百四億の投資は回収できると、そう申し上げております。
  80. 相沢武彦

    相沢武彦君 せっかく里谷参考人佐々木参考人来ていただいておりますので、簡単に御質問いたしますのでお答えいただきたいんですが、労組側から見て、十三人の方の遺体収容にこぎつけるまでの実際的な費用として、労組としては、どれぐらいあればできると、こういう見通し立てていらっしゃいますか。
  81. 里谷和夫

    参考人里谷和夫君) 労使でいろいろ協議をいたしていますが、公式的な議論の場所がございます。経営部会あるいは専門委員会等で会社が出している資料に基づいて私ども協議をいたしています。したがって、七月の十八日に、幌内復旧計画では百六十七億。で、これは先ほど申し上げましたように、本年の十一月十三日に遺体収容、三月出炭開始、こういう計画でございましたが、六カ月おくれるという現状でございます。現状、いま二カ月でございますけれども、いまの想定では六カ月を短縮しようということでがんばっているところでございますが、一応の計画として労使協議をいたしましたのは六カ月おくれという前提でございます。そういう意味で二百四億という資金が必要であると、こういうことで今朝妥結をいたしました。
  82. 相沢武彦

    相沢武彦君 それからもう一つは夕張新鉱の日産五千トン体制についてなんですが、会社側等からの要求によって配置転換も行われるということですが、家族構成や学童の心配等あっていろいろ組合でも論議されたと思うんですが、家族の不安や心配を解消するために、どういうふうな方法を図っていこうとされるのか、またこの機会に今後の要望点ありましたらお述べいただきたい。
  83. 里谷和夫

    参考人里谷和夫君) 先ほど陳述で申し上げましたように、四月の十六日から四百八十七人と思いますが出向をさせています。これは単身赴任でございますから、幌内炭鉱の出向者は家族あるいは子供さん方は三笠に残っていますので、そういう実情にございます。で、学校その他の問題についてはそういう実情にございますので、いまのところ問題点が提起をされていないと、こう思っています。なお出向者の、単身で参るものですから、福利施設その他の問題については当時トラブルもございましたが、逐次改善をする、なお今朝妥結をした内容では、より誠意をもって福利施設その他の対策に当たるという合意に達しております。
  84. 相沢武彦

    相沢武彦君 それから佐々木さんにお尋ねいたしますが、先ほど陳述の中にもありましたように夕張新鉱五千トン体制ですね、協力はするけれども重圧ガス、高圧など非常に既存鉱よりも危険度が高いところで、坑内の骨格構造の整備等、いろいろ今後保安対策について十分会社側に配慮するように申し入れたということなんですが、今後、職員組合として保安上心配なしとされる体制が整えられるようになるまで、坑内の保安体制を整えるために新たな資金の投入というものは必要なんでしょうか。必要とすればどれくらいの額を必要としているのか。それができない間は減産やむなしということで、かたい決意保安第一ということに徹してやっていこうとされておるのかどうか、その辺の事情についてお聞きしたい。
  85. 佐々木仁三郎

    参考人佐々木仁三郎君) 夕張の新炭鉱の五千トンの体制につきましては、当初、この十月以降そういう体制にするという、そういう予定がございました。しかし、その後の坑道整備その他の人員確保が予定どおりいかなかったということで、現在は大体二千トン前後の生産に落としまして、坑道の整備重点的に作業が進められておるというのが実態でございます。  それで今度の労使交渉の中に提案をされましたのは、五千トンの体制については先ほど申し上げましたように十月以降ということであったのを、いま申し上げましたような実態から来年の二月以降に繰り延べをするというような提案になっております。で、そのことで基本的には私ども了承いたしました。ただ、そのためにはさらに幌内炭鉱からの新炭鉱に対しての派遣の増員をしなければならないという具体的な人員の数その他を含めた提案がございましたので、今後はその実情に沿いまして、具体的に協議を進めていきたいというように考えております。  それからなお、それにどの程度資金を要するかという問題なんですけれども、ただ、まあこれは一般的な問題ですけれども、やはり坑内の保安を確保するには、やはり大前提として坑内の骨格整備をするということが、まず保安確保の基本であるというように言われておりますし、私どももそのとおりに認識をいたしております。したがって、そういう考え方に基づいて今後の具体的な協議あるいは進め方等、具体的に取り組んでいきたいというように考えております。  なお、資金の面の質問ございましたけれども、そのことだけ抜き出して幾ら必要かということにつきましては、私どもまだ具体的に把握をしておりません。
  86. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 御遺族にとりましては、またことしのお正月も水没の下でというような大変悲しい事情というものがあるわけでございますけれども、御遺族にとりましても、またこれから働こうとする労働者にとっても、この事故というものは非常に大変な問題で、これを契機として反省すべき点、また反省して、今後への善処をしていただかなければならないと思いますし、また、傍聴にいらっしゃった方たちも、各関係自治体の方、いろいろな意味で国家的なエネルギー資源という立場から考えても、これは非常に大きな問題だと思うわけなんです。  いろいろこの間、衆議院でのやりとりやまたきょうずっとのやりとりを聞いていまして、私ちょうどロッキード事件のときの丸紅の証人の言葉を思い出したわけです。つまりあのとき、ピーナツとかピーシズとかユニットとか、わけのわからないのに判を押していた。わけわからないのに判を押したんですかと言ったら、全然知らないで判を押しました。全くこれ聞いていれば、だれが考えたって、子供じゃあるまいし、大きな大商社の専務とかそういう方たちが、ピーナツの中身も知らないで判を押したなんというのは、これはどんなにごまかせると思ったってごまかし切れないわけですよね。事実それが全く偽証だったというようなことで今日になったわけなんです。  なぜそれを私がいま思い出したかといいますと、先ほどから萩原参考人斎藤参考人の話を聞いていて、全くこれと同じ形だなと、そう思ったわけなんです。全面復旧すべきだと会長はおっしゃっていながら、まあ重役会議に出ていながら、みんながそう考えたんだからここで言うこともあれだなんといって黙っていたと、こんなことで済まないですよね。自分が北炭という会社責任を持つ会長であり、そしてまたそこに働いている多くの労働者その他たくさんの関係のことを考えれば、そこのところで自分がわかっていたのに、みんながそういうふうに言ったから、だから黙っていたなんて、これ大体問題だと思うのですね、そういうことが平気で行われてきたということが。これからそれじゃ、またそういうことがいつひっくり返るかわからない、まさにその基本的な姿勢というものが。実にこれは大変な問題だ、これでは片づかない、これから何なさるかわからないという、大変心配なんです。  で、新聞見まして、この間のが道新聞に出ていましたんですけれども、こう書いてあります。「〃事情聴取〃なのだが、委員が何度も「簡単にと」お願いするほどの雄弁ぶり。だが、最も聞きたい点については、「軽々に論じるべきでない」とスルリと逃げるなど〃したたかぶり〃を発揮、おかげで委員会の成果はゼロに近く、空振りに終わった」なんというので新聞が書いているわけですね。私も昔から萩原会長というのはいろいろの意味で大変有名なので、きょうどういう顔をしてどうお答えになるかと思って先ほどからずっと伺っておりましたけれども、きょうはちょっと声が小さかっただけで、やっぱり基本的にはこの前と同じような問題が残されているなあと、そう思ったわけですよ。つまり自分が責任を持っている立場であれば、その重役会議のとき出ていて、みんなが言ったから、だから黙っていたなんということではどうしようもないと思うんです。その辺のところ本当に心からそのとき自分の立場は間違っていたと、あのときはっきりさして、こういう問題を起こさないようにすべきだったとはっきりと反省をしていただく、そのお答えをいただきたいと思うし、また水没の処理の問題についても、水没の処理というのには問題があると発言なさいました。そしていまもまた、そういうふうにあの水没でいろいろと問題がある、自分としてはこうだというふうに考えられている。じゃそのときに、水没の問題が起きたときに、あなたは会長としてどういう態度をおとりになっていたのですか。
  87. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) 二点あったと思います。  第一点は、先ほどからありましたとおり、八月十三日の役員会に出ていながら……
  88. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 済みません、お疲れでしょうけれども、少し声を大きくしていただけませんか。
  89. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) はい。  そして、そのときなぜ、知っているのに——確かに常盤坑なんというのは戦前から私は知っている。どうもあそこを開くというのは無理じゃないか。なぜ黙っていたか、まことに責任のない発言だと、ごもっともであります。まあもし、繰り返して言いますけれども、そのとき役員同士での討議であるならば、自分はこう思うとやったんでございます。すでにそのときには成案に到達している。実はそのとき初めて見た。それは怠慢だと言われればそれまでですけれども、そういう行動をとってまいりました。その八月十三日のときに初めてそれを見た。まあ正確の中身というのはわかりません、筋しかわかりませんけれども、それでまあ責任回避と言えば回避だけれども、そこまでいろいろ各方面の御意見も伺いながらつくり上げたものを、四年も引っ込んでいたのが言うでもないなと、責任回避というよりは何と言うか、私とすれば怠慢だったと思います。  しかし、九月七日でなぜ変わったか、実はどうしても納得いたしかねますし、それから実は、うちへ経理部長、技術部長呼んで検討した結果、もろもろの点でこれは採算と合わないなんて言っているけど、おかしいじゃないか、いや、私たちもそう思っております、こういう発言で、まことに不可解だ、こう言うのです。それでまた役員会を招集して、集まってもらいたい、こういうことを言ったわけなんです。まあ私としてもやることが違うというのは一つから言うと、まあ自分の行動の方針というか、切りかえましたので、急に突然出たようになってまいりました。突然出てそういうことを言ったら、出ると同時に真正面の表面に立たなくっちゃならない、これはまあそれだけに自分の百八十度路線変更につきましては、現在では、変えてよかったなと、こう思っております。  それからいま一つは、水没について注水の方法云々ということ、ああいうことも実はきょうは忌憚なく申し上げますが、まあ技術屋でない私がこれを発言するのは非常に疑問点があるだろうと思いますけれども、私としては、素人の考え方も経験によって当たることもあるんではないのかと、そしてこれは非常に重大な問題でございますけれども、もしあのときに人気の方からパイプを入れてやっていたらどうだろう、結果論でございますけれども。そうするというと風向きは変わらなかったろう。それから、もっともその結果論だと、後から批判するのですから、そういうふうなときに、私はそのことに全然タッチしておりませんし、技術屋じゃないからなんで、むろん御指導を得ながらやったんだと思いますけれども、さて後になって、後から言えば何とも言えるじゃないかと言うけれども、実際いかなる方法でやるべきかということは全然参画しておりませんし、しかしどうも後から考えてみて研究するとどうだ、しかしこれも、あるいはそうじゃなく人気からやったら、またどういう結果が起こったかはわかりませんけれども、少なくとも人気から入れていけば一週間以上かかる、排気の方からやれば一日半で入っちゃう、だから火があるので急いだのかとも思います。まあ、そういうふうには考えますけれども、いずれにしても私の申したいのは、あの山がもう採掘できない、再開できないような悪い状態じゃないということを主張したいばっかりに、いろんななまはんかな知識に基づいて申し上げたようなわけで、しかし、そうは言っても、先ほども御質問がありましたが、そういう処置を誤まったことが判明したらどうする、責任をとるのはちっともいとうことじゃなし、回避しておりません。実を申しますと、もうこの辺で、ここまで区切りがついたからやめてもいいだろうと思うと、何だか知らないが出てこなくちゃならないような羽目に何度も陥って出てきているのですから、責任をとるということは、そういうふうなかっこうを見ていても、決して回避するものじゃありませんけれども、いずれにしても私の申し上げたいのは、幌内という山は、これはわかりませんですがね、実は三月排水して水あげてみませんと。誤解されると困りますけれども、決してそうじゃなくして、もう路線変更なんて意味じゃありません。一応将来の参考のためにも、まあ三月から、たとえ半月かそこらおくれても、多くの人命がこれ入っていくんでございますから、これはその原因の調査というものはその時点でやらなくちゃならないと、こう思っております。
  90. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 会長が頭丸められても、財産投げ出してくだすっても、それは問題は別でございましてね、そんなことでこの問題解決をしないわけですよ。いま聞いてみたら会長会長だけれども会長に言われたら、なるほどそうだったなんて、ぱっと切りかえるような、会長以下社長ですね、重役というのは一体何やっていたんだと、まさにそういう重役や会長社長で、これから、言っていることをどこまで信用したらいいかということで大変疑問なんですよ。やっぱりこれからの再建というのは、先ほどからも言われているように、もちろん国として考えてほしいというのはわかるけれども、やはり本来は北炭会社自体の責任においてどうするということをお出しにならなければ、国としてもやっていけないわけですからね。そういう意味で、以後、いままでみたいに会長の一言でぱっと変わるような重役だったら考えてもらいたい。そして重役会議でも、後もう慎重に考えるというようなきちっとした体制をとってもらいたいと思います。その点一言でいいですから、しっかりしてくれますか。
  91. 斎藤公

    参考人斎藤公君) おっしゃるとおりにいたします。  ただし、あのとき会長に一言言われたから私が変貌したわけじゃないんです。それはいろいろそのときの事情がございまして、さっき申し上げました。くどくは申し上げませんけれども、いわゆる組合の動き方、それからいろいろデータの取り方、その点について私自身もそれではいかぬと反省したから、会長にも話して、私は会長が変貌したから私が変貌したと、そんなことは絶対申し上げません。私もそのとき自分自身から変貌したわけでありますから。
  92. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だからなお問題になるのですよ。自分で考えて変更しなきゃならないようなそんな、ずさんなので初めやっているから問題だ、それはもうやめます。それは先ほどから言われているけれども、どんなにおっしゃったって、責任ある立場として非常に不安定ですよ。そしてまた、信頼できないというところで、これからしっかりしてやっていただきたいと思うんです。まあこういう事故についても、いま会長も、これは山でなくて人だと言われた。人だということは、労働者ではなくて、これを本当に保安を確保するという会社の立場としての、保安の手抜かりということに結論的にはなっていくと思うんですよ。  これは私がちょっとわからないから聞きたいんですけれども、いま北炭夕張の第二鉱で左三片、下部三片の採炭予定現場の作業を九月二十日に一方的に中止して以来坑道の悪化がひどい、そして第五ロングはドイツ製のミニシールド枠を採用して採炭していたが、これも現在採炭中止、坑道がどんどんどんどんつぶれていって大変だ、山はぎしぎし鳴っている、これが大変心配だということが報道されていたんですけれども、こういうように、この事故が起こる前でも、実際入っている労働者というのは、もう理屈じゃなくてはだで感じますよね、それは経験として。これは非常に尊重すべきだと思うんですよ。そういうものが尊重されていなかったから、そういう意見を大事にして保安というものをきちっとしていなかったから、人による災害だと言わざるを得ないような事故につながった。いまこの北炭新二鉱でここのところで山鳴りがしている。そして問題なのは、鉱山保安監督局の監督官が定期検査九月二十四日に来た前日二十三日に、突然作業を中止させたことと、そして検査が済んだ後十月四日からまた採炭をやらせたことというように、非常に相変わらずちょっと目をごまかしてはやっている。この現場についても、その後どういうふうに保安というものをきちっとやっていらっしゃるか、それも簡単にお願いします。
  93. 斎藤公

    参考人斎藤公君) 私はその現場について、実際自分で見たわけじゃないからよくお答えできませんが、しかしそういうことをこの前鉱山長に聞きましたら、その保安の現場は十分人を入れて最近修復したので最近はそういうことはないと、そういう報告を受けております。
  94. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 あなたは社長なんですよ。見ていませんがというのじゃなくて、もしいま見ていなかったら、帰ったらすぐ調べてくださいね、こういうところでまた事故が起きないように。  労働者はこう言っているんですよ、大切なロング坑道が悪く、十日以上も採炭作業を中止しているのに、早く直そうともしない、会社はやる気があるのか、毎日毎日いらいらして働いているんだ、ネズミも出てくるんだけれども、このごろ坑道の入り口をのぞいて帰るようになったといって笑い話になっているんですよ。こういうような問題を次々と挙げていけばきりがありませんけれども、ここでやっぱり一番きちっとしていただきたいことは、どんな小さいことであろうとも、労働者が心配だと、こういう不安があると言ったときに本当にそれを取り上げてきちっと保安というものを確保するということを責任を持ってお答えをいただきたいと思います。
  95. 斎藤公

    参考人斎藤公君) 十分気をつけてやるつもりでおります。  それからいま御指摘がありましたように、いろいろございましたので、実はこの前から担当の技術の常務をやりまして中を調べさしまして、最近非常にその点は改善されたという報告を受けております。今後もなお指導したいと思っております。
  96. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それからいろいろ先ほどから、再建のための資金の問題が出ているんですけれども、たとえば先ほど社長さんおっしゃったんですけれども、百三十億を自力で何とか努力しなければならないとおっしゃいましたね。その自力で努力しなければならないと言って、だけれども担保の能力はないんだと、こう言われた。そしてその後また、何ぼかはできそうだというような話なんですね。だから、時間がないんで申しわけありませんけれども、けさ方妥協された中で、その再建案というので、資金面について、整理してちょっと言ってください。どれくらい資金面で必要なのか。そのうち、政府にはどれくらいやってほしいと要請を出されているのか。自力でどれくらいやれるか、そのどれくらいやれるかというものを具体的に、いつごろまでにどういう手立てで、どういうめどが立つのかというところを整理して、具体的におっしゃってください。
  97. 斎藤公

    参考人斎藤公君) 申し上げます。先ほど申し上げました最終的に五十一年度、五十二年度二百五十億足らぬと申し上げましたが、その前に努力を申し上げます。その前にまず自分で努力しなきゃならぬという点はいろいろございます。それから銀行面に努力お願いしましたのは。取引銀行の主なところに対して、現在ある借入金ですね、これを五十一年から五十六年まで向こう六年間元金のたな上げをしてくれと、これに対してお願いした総額が二百七十八億でございます。そのうち三井系各社と申しますか、六社から大体よかろうという御返事をいただいた額が百八十七億ございます。それから金利の、これまあ非常に虫のいい話でございますが、六年間たな上げをしてくれぬかとお願いをした金額が総額で二百三十六億ございます。これに対して大体よかろうという御返事をいただいたのが、さっき申し上げた三井系各社の百七十四億。つまり五百十四億のお願いに対して三百六十一億の大体御返答をいただいております。残りのそれじゃ金はどれくらいかと申しますと、大体ほかの銀行さんその他で約九十億の元金の残りと六十億のたな上げ金利の要請が残っております。これにつきましては政府のいろいろ御援助も見て検討したい、そういうお話でありますので、これについては目下せっかくお願い中でございまして、ある程度見通しは立つと思います。  そういうものをやりまして、さっき申し上げた五十一年度に百億、五十二年度に百五十億足りない、この主な原因は幌内復旧費が百二十億、一般復旧不足資金が百三十億、そう申し上げておるわけです。百三十億につきましては担保もございませんところから、できるだけ政府保証でもいただければ大変しあわせだとこう申しておるわけです。
  98. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういう計画の中で、先ほど里谷参考人の方からお話がありましたが、ほかの山に比べて賃金が、ほかが一方四百二十円なのに北炭は四割にしかすぎない。それから期末手当ども炭労が借金して出しているというような形になっていますね。そういう再建案の中に、労働者に対するいままでの非常な格差、この問題についてはどういうふうに組み込んで考えていらっしゃるのですか。
  99. 斎藤公

    参考人斎藤公君) いままでの格差については、これは会社の実力がつき次第、できるだけ回復しようと考えております。しかしいまの段階ではなかなか回復まではいかないと思います。これは早急に全力を挙げてやりたいと思っております。
  100. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうしますと具体的には、労働者に非常にしわ寄せがいって、他の山に比べてもうすごい低さだ、しかしそれは再建のめどがつくまでその低さのままで労働者にがんばってくれ、こういうことですか。
  101. 斎藤公

    参考人斎藤公君) いや非常に低いと申し上げたわけじゃございません。私ども賃金はそんなにほかに比べて低いとは考えておりません。ただ多少低い面もあったらそれは考えたい。  それから今度幌内復旧、五十一年、二年まではベースアップ、ボーナスについてほかの会社並みにはいかぬので、格差を認めてくれという申し出はいたしまして、これは組合の方でも了承してもらっています。ただ額その他についてはその都度協議しよう、こういうことになっております。
  102. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ、里谷参考人とそれから佐々木参考人にお伺いしますけれども、先ほどのお話では大変労働者賃金が低いというふうに私は聞けたわけなんですけれども、それがどうなのか。いまそんなに低くないというふうなお話があったのですけれども、そんなに低くない、労働者はがまんしていられるというものなのか。それから、そのままずっと再建できて、具体的に賃上げでも何でもできるというまでの間は、やっぱりちょっと具体的にいまめどがないわけですね。そういう点で、けさ方妥結されたという内容について、働く人たちを代表する立場として、これで満足とまではおっしゃれないでしょうけれども、どういうふうに考えていらっしゃるか、お二方からお答えいただきたいと思います。
  103. 里谷和夫

    参考人里谷和夫君) 総体賃金が低いと申し上げたのではございません。妥結金額について四社と格差がつきました。それは四百二十円のうちの四割で妥結をいたしました。それから期末手当は三十三万一千円のうちの十三万五千円、昨晩いろいろ協議をいたしまして、十八万二千円ということでございます。これらの問題の復旧についてはいま社長からもございましたが、私どもとしては一日も早くこの差額について、いわゆる格差賃金について、会社とその都度協議をして精算をする、こういう考え方でございます。
  104. 佐々木仁三郎

    参考人佐々木仁三郎君) 職員給与について申し上げますけれども、去年までは大手各社並みに賃金期末手当合わせまして、ほぼ同額で、上積みをしてまいっておりますので、よそと比較して絶対額で低いという状態にはございません。ただ、私ども職員組合の場合には、今年度の賃上げの際には、先ほど申し上げましたような私ども組合員の了解をもらって、職員組合なりの判断の中から、五十年度の賃上げについて大手四社との間で幾らか格差がつく分についてはやむを得なかろうということで妥結をいたしましたけれども、具体的に額を申し上げますと、大手四社につきましては、約一万二千円から一万五、六千円程度の中でそれぞれ解決をしておりますけれども、私どもの場合はそれを大幅に下回る八千円で実は解決をいたしました。それでしたがって、低いというのはことしの積み上げ部分がそれだけ少なかったということでございます。
  105. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 労働組合職員組合としていままで会社側といろいろ折衝なさっていたと思うんですけれども、私はどうしても不安なんですね。里谷さん北炭でしたっけか、御出身——言いにくいかもしれないけれども、ずうっと炭労の委員長をしていらして、今後会社と折衝していって労働者の生活を守るという立場に立ってやっていける、会社側にそういう誠意があるというふうに見られますか。
  106. 里谷和夫

    参考人里谷和夫君) そうさせなければだめだと、こういうふうに思います。
  107. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ぜひそうさせるように、本当に労働者一人一人と会って、家族一人一人と会ってみれば、やっぱり力にするのは組合ですからね。やっぱりそういう意味で、会社と毅然とした態度で、その生活を守り、命を守るという立場で今後再建に御努力をいただきたいと思います。  次の問題ですけれども、たとえば新夕張なんかでも、どんどん開発していく、でまあ、五千トン体制というようなことに、ちょっとずれても移行していくというようなときに、萩原会長斎藤社長にお伺いしたいんだけれども、そういう労働力の確保ですね、こういう問題についてどういうふうに考えていらっしゃるか。
  108. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) 夕張新鉱でございますが、千八百何十人というのが計画になっております。これはきのうも組合の人にも言ったんですけれども、何としても、これを組夫やなんかばかりではなくて、新規採用を含めてやっていく。どうしても保安というものを充実するためには、もう二百人ぐらいほしい。ところでただいま小笠原さんから、一番心配しているのは炭鉱で働く者がないんじゃないかということがございますけれども、実は幸い過去を見ますと、ことに幌内を見ますと、採用する人員よりも応募する人員の方が多いんでございます。しかも、また一つの特徴は、その新規のあれが縁故者が多いのが特徴になっておりまして、資料もございますけれども、大体三百人とすると五百人ぐらいのオーバーになるというようなぐあいで、そのうちの半分近くが縁故者である。ですから、新鉱についての新規募集によっての補充は可能であると信じております。
  109. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 応募が多いとおっしゃっているわけですけれども、それは方々で閉山になってくるし、またこういう不況のときだから、だからそういう危険が少々あっても食べるためには働きたいというようなことに一つの大きな原因があろうと、そういうふうに私考えられるし、また一般的にはそうだろうと思うんですね。そういう立場に立って、働く人たちが安心して働けるような、そういうやっぱり何といっても保安を大事にしていただきたいと思います。それから幌内から出向している労働者なんかにいろいろ聞きましたら、やっぱり新鉱に行っても幌内から出向したよそ者だと、そしてまたそこで働く現場なんかを見ても、非常に危険なところに自分たちはやらされるというようなそういう危惧というものも非常に出ていたわけなんですね。私はやっぱり同じ北炭の中で、もう本当に心ならずも再建を一生懸命にやろうというような気持ちで出向していく方々が、よそ者扱いだとか、危険な場所に入れられるというようなことは絶対にあってはならないと思うんです。  先ほど環境の整備どもするとおっしゃっていましたけれども、やっぱり男一人で出向していって、実に本当に人間としての暮らしといえるかどうかと、そういう点も実際に皆さんがそういう実情をごらんになったことがあるかどうか、私は非常に労働者に対して、会社のやっているということはひどい、まさにひどい、こういうことでは労働者は浮かばれないと、怒りを覚えて帰ってきたわけですね。そういう点について出向している者たちが、よそ者扱いだとか、危険な場に入らない、危険な場所に特別入れられるというような心配をなくしていただきたいということと、それから環境の整備についても、鋭意積極的に前向きに努力——というのは、これは政府答弁でいつでも出てくるのですよ。一体具体的にその環境を整備するために、具体的な策としてどういう点についてどれぐらいのお金をかけて、どういうふうにやろうという具体的なものがあるかないか、これがなかったら何にもなりませんから、それをお聞きしたいと思います。  それからもう時間だから続けてお伺いしますけれども北炭として持っていらっしゃる鉱区で、これは有望だと、有望で掘れる鉱区だけれども、いまの北炭の力では掘れないというような、たとえば磐の沢とか桜沢とか穂別とかいろいろと伺ったんですけれども、こういうところについては、この間北炭の力では開発できないから、政府に献上してもいいというようなことをおっしゃっていましたけれども、この点についてきちっとお答えをいただいて終わりにしたいと思います。
  110. 萩原吉太郎

    参考人萩原吉太郎君) ただいま第一点の御質問については、当然昨晩組合とこれは触れてまいりました。それで、どういうふうに直してこれに予算をどうつぎ込んでいくか、その数字その他明確に各組合側に示しまして了解を得ました。  それから第二点の四つの鉱区、これはまあ、昨年私こんな事故起ころうとも思わないで言ったんであって、私がそう申し上げたのは会社の財産でございます。しかしながらどうやらほかの財産とは私は違うと思うのです。そうして将来を考えますと、必ずこれから五年六年たったころになりますと、終掘する山が出るはずです、これは。あるいは十年たったら大きなところにも出るかもわからない。どろを掘るわけじゃない。そうするといまから鉱区を開いておかなければ——四年、五年かかります。そうすると、自分の会社の財産だからといってこれを眠らせているのはまことに申しわけないという意味と、それからもしそういう終掘するところがあったときに、その労務者の行くところがあるじやないか。ことに地域とも、経済社会とも関係しておりますので、そういう意味でこうやって幌内復旧にさえこれだけお願いしているのに、とても北炭で開けるようになるのは十年先になると、こう見た。そうなればこれは十年前からあの新鉱の開発をやったのだ。夕張新鉱でも経験がございます。あれほどむずかしくないにしても、これは大変だから、もし国が即刻これは開発しようと、ただ取り上げてもっていてやるというのじゃ困る。開発するというならば、これは国に出して、国でもって開発して、石炭産業のためにしていただくよりこれはしようがない、こう思って先般申したのです。私は顧みますと、昭和二十八年、同じ事情でした。エネルギーの不足というのを迎えて、いまそれを開いてください、奉納いたしますと、二十八年、九年のころは炭主油従の時代です。遊休炭田で、そのころ石炭が遊んでいた。そこで実はそのとき政府でお開きくださいと、北炭にはこれだけの鉱区もありますといって、それを名付けて石炭奉還論といってやったことがあった。今日も事情は違いますけれども、この不足時代を迎えるに当たって、どうしてもそういうふうにした方がいいじゃないかと思って、これは私の意見として思うままに申したので、これは株式会社でございますから、いろいろな思考ででき上がったが、私はそうあるべきだと思っております。
  111. 竹田現照

    ○小委員長竹田現照君) 他に御発言もなければ、参考人に対する質疑はこれにて終了いたします。  参考人の方々に一言お礼を申し上げます。  本日はお忙しいところ長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見を拝聴させていただきましてまことにありがとうございました。委員一同を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十九分散会