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参考人(
佐々木学君)
中小企業振興事業団におきましては、従来から
中小企業の
指導の参考に資するために、各方面から資料を収集いたしましてこれを
分析、整理をいたしております。なお、これ以外にも
中小企業振興事業団独自に各種の需要動向調査であるとか、あるいは
中小企業の成長条件の調査であるとか、各種の調査を
実施いたしまして、これを
指導団体である都道府県の商工部あるいは都道府県の総合
指導所、商工会議所、商工会、中央会等のネットワークを通じまして
中小企業者に間接的にこれを提供しているような
状況でございます。
で、今回特にデータバンクということで
内容を充実するわけでございますが、
一つには、従来のデータのとり方が比較的マクロに調査しておったというふうなことでございますけれども、だんだん問題となっております
事業転換の
指導の資料にするには、もう少し細かな資料でないと不便を感ずる面もございますので、産業分類の四けたまで落としまして、大体製造業、建設業、運輸業、卸小売業、通信業、サービス業等を網羅いたします四けた分類、約千の
業種がございますけれども、千の
業種のうち三百
業種について細かなデータを三年間で収集しようというものでございます。
とりあえず五十一年度につきましては、その準備のために
業種別情報の所在調査を、約千八百五十機関から情報を収集して所在調査をいたします。次に収集いたしました資料を
業種別、項目別等にあるいは地域別等に四けたでさらに分類してこれを再編成いたしましてファイル化するのでございます。
次に、三百
業種のうち五十一年度は約四十
業種について細かなデータファイルをつくるということにしております。このデータファイルの中身は大変詳細な中身にする予定でございまして、たとえば
企業の特徴といたしましては、その
業種がどういう立地要因を必要とするか、あるいは業界の構造としてはどういう規模別の分布になっておるか、その業界についてはどういう都道府県なり国の施策があるか、
制度があるか、あるいは生産構造について生産工程はどういうふうな工程になっておる、製造設備の主要なものはこういうものである。あるいは商品知識としてこの程度のことは知っておかなければいけない。さらに、経済動向としては当該
業種の原価の指標であるとか、あるいは取引条件、たとえば、ほとんど注文生産が主であるとか、あるいは見込み生産であるとか、あるいは問屋にほとんどの人が依存しているとか、あるいは問屋でなくて商社に依存しておるとか、そういったような
状況。それから、海外
関係では
輸出入の
状況とか、あるいは
発展途上国が当該
業種についてはどういう状態になっておるのか。あるいは先進国における
市場はどういう
状況であるか。それから、原料の入手
状況はどういうふうになっているかといったような細かいデータをつくっておきます。そしてこれを
事業団にファイルいたして、これをストックいたしまして、
指導機関の問い合わせに応じまして、これを差し上げるということにしておるわけでございます。
なお、この資料の数が数万件に上る非常に莫大なものでございますから、これをすべて
指導機関に提供するということは事実上困難でございますので、
事業団で各種の情報紙を発行いたしております。たとえば「
中小企業情報」といったような、月三回に情報を発行いたしておりますけれども、こういうものを利用して緊急なものから逐次提供してまいりまして、その提供できないものにつきましてはリストを別途
指導機関に送っておりますので、その
事態に応じましてそのリストを見ていただいて問い合わしていただくと、こういうふうなことを考えておるわけでございます。
対象業種として選ばれる三百
業種は主として
近代化促進法指定
業種であるとか、あるいは機電法の指定
業種、その他
中小企業性の高い
業種を
中心に選んでまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
で、なお、私どもの方でやっております情報提供
事業につきまして
指導機関から約百六名のモニターを依頼いたしまして、その情報提供の方式であるとか、中身であるとか、そういったことについて客観的に批判していただきまして、それに基づいて情報提供の進め方を逐次充実、整備、改善していきたいと、こういうふうに考えております。
次に、技術提供の問題でございますけれども、これは先ほども長官からの
説明もあったかと思うんでありますけれども、技術問題が
中小企業の今後の付加価値生産を高めていく上で非常に大きな柱となりますので、
事業団におきましても各種の技術
対策事業を行っておりますが、そのうちの主要な
一環といたしまして技術移転の促進を考えておるわけでございます。これはすでに五十年度から
開始いたしておりまして、五十年度は主として関東
地区、関西
地区の技術提供希望と技術導入希望両方を調査いたします。と同時に、
中小企業者に対しましては技術導入についてどういうふうな問題点があったのかといったような意識調査もいたしております。その結果によりますと、
中小企業においては過去において技術導入を全然行ったことがないというのが大体七〇%ぐらい占めております。しかしながら、今後できるだけ早くあるいは近い将来において技術導入を行いたいという方が約五〇%を占めております。
それから、技術導入についてのいろいろなむずかしさ、問題点、どういうところにあるかといいますと、一番多くの集中した項目はやはり情報不足ということが第一でございます。それから第二には、その技術を導入した場合の成功するか不成功かの不安が残るという、あるいは
資金面の欠如といったようないろいろな欠点が、いろいろな問題点が意識としてあるようでございます。そこで、五十一年度におきましては、関東、関西
地区以外の全地域につきまして技術の提供希望、技術導入希望、全部を調査いたしまして、そしてこれを、都道府県の総合
指導所に配布いたしまして、それから、当
事業団におきまして三十人の
登録専門
指導員を置きまして、これをもって技術移転業務を促進しようということでございます。