○沓脱タケ子君 いずれにしても、そういうことが言われるような
姿勢というのは、厳に慎むべきだと思うのです。といいますのは、それだけではなくて、海運業界というのは外航海運
企業によって進められている、これは従来から言われております便宜置籍船の問題、あるいは仕組み船の問題、マルシップなどというふうな問題が出てきて、いわゆる脱日本
船員という方針が非常に急速に広がってきているわけですね。そういう点で
船員の雇用不安を非常に強くしているし、社会不安にまで発展していっているわけですね。ですから、当然該当の労働組合である海員組合では、これは最大の問題だというふうに言って
取り組んでおられるわけでございますが、これに対して私ごとしの五月にも一遍御意見をお伺いしたことがあるんですが、特にこのマルシップ問題というのはこれお聞きしたことがあるんですが、大変な問題だと思うんですね。これはもう皆さん御
承知だと思いますけれ
ども、マルシップというような形で横行している中身というのは、日本国籍の船に外国の低賃金
労働者を乗せて走っておるという、一口に言ったらそういうものなんですよね。ですからずいぶんひどいことになっていますね。日本の船主が所有権を外国の海運
企業に貸し渡して、それで外国海運
企業はその国の
労働者を乗せて、その船をまるごとまた日本のオペレーターにチャーターバックするんですね。だから結局その船籍は日本国籍であっても貸し渡しているということで、法的
責任は貸し渡した相手の外国の船主にあるわけですね。だから全然法的
責任は要らない。手続は簡単に官庁に届け出したらいいだけで、実質的には外国の海運
企業から
船員だけを提供してもらっているというかっこうになっておるんですね、姿としては。こういうことというのは、これは
船員職業安定法五十三条から見ても
違反するんじゃないかと私は思うんですがね。この問題、きょう特に突っ込んで触れようとは思っていませんけれ
ども、だから当然形式的に届け出出したら、それで外国の船主に船を貸して、それでその船主の名前で外国の
船員乗せて、それで日章旗立てて、日本の国旗立てて、それで日本の海運業界にチャーターバックして走らせているわけだから、船は日本国籍でそれで日の丸の旗立てて走っておるけれ
ども、中身は全部外国の
労働者。しかし、外国の船主だから法的な
責任というのは日本では負わなくてもいいような状況に置かれている。そのことはきわめて大変なことになっていますね。
私余り海のことはよう知らぬので、いろんなものをちょっと読んでみて驚いたんですがね。たとえばわからへんでしょう、やっと見つけて、これ海員組合の元の執行
委員の人が書いておるんですけれ
ども、こない言うているんですね。
船員手帳もないし、だから
船員法
違反だと。通信士も韓国人では電波法
違反の疑いがある。それで海上保安庁へ通告に行ったら——これは広島丸という船のことですが、海上保安庁の警備救難係長はこう言うたというんです。これはよう知っていると。この船が浦賀水道を通航行中、海上交通法に
違反した危険な航行をしているということの連絡があったので、
指導を兼ねて行ってみた。行ってみると、船長は全く海上交通法は知らない。定員には五名の欠員がある。その中には操舵手も欠員している。操舵手いうたらかじ
取りですね。これも欠員で、やむを得ず航海士が操舵手がわりにかじをとっていた。しかも、航行警報や航行上の情報はオペレーターが本航に提供すべきなのに全く提供されてないと。
だから私は、この船は
船員法
違反と電波法
違反の疑いがある。だからすぐに出港をとめて検査してくれと言うたら、海上保安庁こない言うたというのですね。
船員法と電波法の
違反。しかし本船は韓国に裸用船で貸し渡して、韓国船主が日本の岡田海運に定期用船しているので、日本の岡田海運もそれから船主の生国海運も直接の
責任はなく、韓国の船主が法的
責任を負うわけだ。しかし日本の官庁としては、外国の船主まで
取り締まるわけにはいきませんとこう言うているのですね。それで、これもし浦賀水道でまた万一大型タンカーとでも衝突して油の流出起こしたら、えらいことになるという問題はもう十分わかっている。だけれ
ども、どないもできませんとこう言うているのですね。
片や日
本人の
船員を失業にほうり出して、低賃金
労働者を乗せて、しかも国内法も
違反しているのわかっているけどどないもできませんと、こういう状態になっているというのがマルシップの正体だというわけですね。実に驚いた限りなのですがね。
そこで、私は全日本海員組合の組合長村上行示氏から四月の二十日付で運輸
大臣に対して、海員組合でもこの問題を非常に重視して、海員の雇用対策の強化という点で質問状が出されているのですね。これは当然あたりまえの要求だと思うんですね。外国人どんどん乗せて
自分たち日本の
船員が働き場所がなくなっているのだから、この辺ははっきりせよと、してもらいたいということで要求を出しておられるのですが、運輸省回答しましたか。