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田中寿美子君
厚生大臣御
承知かと思いますけれ
ども、七十七国会の終わりに野党の婦人議員が共同発議者になりまして、そして各野党全体が提案になって、
粕谷照美議員が提案者となりまして、
公衆浴場法の一部
改正法案というのを出しました。これはいわゆるトルコ風呂に関してこれを許可することを
公衆浴場法でやめなさいという
法律でございます。実はきょう日程の都合で、総務
長官の御都合、それから私
自身の都合もありまして、
粕谷議員と私と分担し合いまして、順序は先に
粕谷議員がその法案の
内容に触れながら、実態を少し
厚生省、警察庁あるいは労働省あるいはそれに
関係したところから、実態を説明を受けながらいろいろと問題点を
指摘するということを先にして、そして私がその後を引き継ぐことになっておったんですけれ
ども、ですから順序が逆になりますし、間でとぎれるというような順序らしいので大変その点遺憾でございますけれ
ども、私の分担した部分で
お尋ねしたいと思います。
この
公衆浴場法の一部
改正案というのは、いまも申し上げましたように、
公衆浴場法で許可している浴場で個室を設けて、その個室で異性の客に接触する役務を提供することをさせない、
禁止する。それから、そういう異性の客に接触する役務を提供する者にその個室を使わせてはいけないと、こういう
法律案でございます。それに付属して風俗営業法の四条の四を削除するということと、それから経過
措置として一年間、既存の業者に対してはこの
禁止条項を猶予するという簡単な法案でございます。ですけれ
ども、大変これは長い経緯がございまして、もう数年にわたって私
どもは野党の議員
たち、それから売春問題と取り組む会という婦人団体、二十一団体が参加しておりますし個人も入っております団体で、絶えず検討してきたものでございます。これは
大臣は御存じであるはずだと思いますが、トルコぶろというのが事実上売春防止法があるにもかかわらず、売春の温床になってしまっている。売春防止法がもうできて二十年たつんですけれ
ども、あれは赤線地域を閉鎖してしまった、つまり売春をしてはならないという
法律なんでございますね。そしてそれを業としてやる者、あるいはあっせんする者、あるいはそれによって女性を搾取する者、そういった者をみんな処罰するというのが売春防止法なんでございますけれ
ども、それがなくなって赤線が消えたかと思いましたら、その後いろんな形で売春が行われる場所があり、そしてそれの場所を提供したり、やっぱり業者として女性にそういうことをさせるという業態がいろいろ起こってきております。特にトルコぶろというのがそういうものになってきたという事実の上に立って、これをほっておいたら、売春防止法があるにもかかわらず赤線が復活しているような状況になってしまっている。売春の温床になっているから、だからこれは
禁止すべきではないかということで、長い間議論をしてまいりました。いろいろ議論の末、
公衆浴場法の一部
改正案というのが比較的一番やれるやり方ではないかという結論になって、七十七国会の終わりに出したんでございます。大変抵抗のあることもよく
承知しております。これ決して理想案では私
たちから言えばないのでございます。いろいろ議論しておりますと、あるときは風俗営業法を
改正して強化するべきではないかという案もつくってみました。それから、
公衆浴場法を
改正して、許可する段階でとめるべきではないかという考え方にも立ったり、あるいはいずれにしても両方とも本当になかなか簡単に売春をなくすということはできない、業としての売春をなくすことはできないから、むしろ単独立法でトルコぶろを
禁止するという
法律案の方がすっきりと、売春そのものが行われているんだから、売防法に照らしてもそうすべきではないかと、こういうふうなことで、そういう法案もつくってみました。参議院の法制局と話し合いながら幾つも法案をつくってみたんです。
しかし、単独の
禁止立法というのは、営業権の自由ということを盾にする
人たちと正面からぶつかっていく。それで非常に困難ではないか。で、自民党さんにも
協力していただけるように非常にいろいろと私
ども努力をしたわけです。衆参の婦人議員懇談会でもたびたび議論をしてきて、その結果一番妥当な方法というのは
公衆浴場法の一部を
改正して——
公衆浴場というのは
公衆の浴場なんですからね。ですから、その定義でもありますように、「温湯、潮湯又は温泉その他を
使用して、
公衆を入浴させる
施設」というのが
公衆浴場なのに、個室を設けてそこで異性へのサービスをさせるという、そこから売春が起こってくることはもう必然的な状況であり、また実態としてそうである。こういうことがある以上は、その入り口のところで許可しないということにしてもらえば、だんだんこれをなくしていくことができるんではないかということで、この法案の提案に至ったわけでございます。
ところが、いままで私
たちが議論してきました過程では、警察と
厚生省とがまるでボールの投げっこをしている。
厚生省は、
公衆浴場法というのは衛生立法なんだから、そんなものなじまない一点張り。それから警察の方は、売防法で取り締まるということは非常に困難だ、立証がむずかしいと。これは想像していただいたらわかると思うんですが、警察官がトルコぶろの中で売春が行われているということを立証するためにはどんなことをしなければならないか、私はいま時間がないから説明しませんし、説明もしたくないようないやらしいことをしなければならないわけですね。ですから、非常に困難であるということから、入り口で締めてもらう、許可する段階で押さえてもらうということをまずやってほしいというのですが、だから大変私は徹底しない法案だと思うんですね。
こういうことを
大臣はお聞きになって知っていらっしゃいますかどうですか。つまり、トルコぶろというところが売春の温床になって、事実上調べてみたならばほとんどが売春の場になっているということを御存じでございますか。売春あるいは売春類似行為ですね。
大臣御存じですか。