○沓脱タケ子君 増員をというのは、まあ
厚生省の言う増員というのは実にちゃちだと思うんですよ。泉北病院の救急告示病院になるときにふえた人数といったら、四人かな、四人ぐらいですよ。四人ぐらいふやしてこれはできるはずないんですよ。だから、五%ほど受け持ったら関の山なんです。これは中がサボっているんじゃないと思うんです。病院の従業員がサボっているんではなくて、能力を越す仕事になっているわけですから、本当に国民の期待にこたえ得る体制をつくるためには別枠で人員の体制を整える。それから不採算部門だというのはこれは百も天下周知のことですから、この部分についての財政的な補償というふうなもの、これをやらないと、国立
医療機関でさえもまともにやれないということが明らかになっている。しかも、いま
局長おっしゃったその初期診療ですね、初期診療が非常に大事だ、確かにそのとおり。初期診療どこがやっているのか、全部民間
医療機関じゃないですか。全国の六〇%の医師会が、単位医師会がすでに在宅輪番制というかっこうで、不十分であっても協力している。そうでしょう。しかも初期診療で、たとえば休日救急センターという形で
厚生省も若干のお金をお出しになって、大体府県とその当該市町村が大部分の負担を持って運営をしておる救急センターですね、休日救急センターというんですか、そこだってこれは全部民間
医療機関の医師が、
医療機関あるいは
医療担当者が協力をしてやっているわけでしょう、実際には。そこが一体それじゃまともにやられているのか。たとえば、私は
医療関係者の一人なので非常によくわかるんですが、たとえば在宅輪番制ということで社会的使命を感じて医師会が、日曜日は夜間を返上して輪番制をやるとしますよね。十年やっておろうが十五年やっておろうが、御苦労さんの一言もないかわりに、
厚生省からびた一銭の援助も補助もないわけでしょう、実際。本当にいま急に幾ら緊急に体制を整備するとおっしゃっても、人的資源あるいは物的資源というのを一遍にできないわけでしょう。今度の
厚生省の御計画では、五万人単位で休日救急センターをつくるということだけど、それつくろうと思ったら四百八十四ぐらいつくらにゃならぬでしょう三年間に——四百六十四か。いま百四十くらいしかないんですね。それは簡単にできないわけですよ。簡単にできない間は、依然としてやはり在宅輪番制で初期診療については受け持ってもらわなきやならない。こういうところに対して、本当に協力のしやすい形で
厚生行政として財政援助なりあるいはその他の必要な援助をやっていくおつもりがあるのかどうか。特に、その初期診療を担当している
医療担当者はどう言っているかと言ったら、これは二次、三次の引き受けてもらえる病院がないから、それが最大の悩みだと言っているんですよ。そのしかも二次引き受け病院というのが、大部分、八割近くは民間の告示病院がやっているといういまの
状態でしょう。この民間の告示病院に対して、これはもう不採算
医療だということは、もう天下周知なんですが、国からびた一銭の援助もなくて、ベッドをあけておいて必要な人員を確保して待っておらなければならない。
だから、どんなことが起こっておるかといいますと、たとえば救急車から眼球破裂の患者を送りますと、こういうて電話がかかった。あわてて深夜に眼科の
先生を呼び出し、麻酔医師を呼び出し手術の準備をして、看護婦の段取りをしてちゃんとして待ってた。連れてきた患者を見たら、眼瞼裂傷で、まぶたが裂傷だったという。一針縫うたら終わりというふうな
治療で終わったと。それは、患者さんが重傷でなくて結構だということはありますけれ
ども、その眼球破裂の手術をする態勢をつくるための段取り、準備、その経費といったら四、五万円かかるわけですよね。それで、診療報酬というのは千円か千五百円だ。こういうことの連続を民間
医療機関に押しつけて、そうして民間
医療機関にこれをやらない方が悪いんだみたいなことを言って
厚生省が責任を負わないという態度は、これは国民
医療の最高責任を負わなければならない
厚生大臣としては、こんなものを放置できませんはずでしょう。明確にしてもらわなければいかぬと思うんですよ。
特に、告示病院がどんどん減ってきているという現状は、そういうことに耐え切れなくてやめていっているわけです。これは、たまたま九州の実例を見ますと、西日本新聞の報道によりますと、福岡県では三年間に二八%、四十五施設が告示病院やめた。それで、糸島郡というところは全く空白地帯になったというふうなことまで起こっているわけです。国民の
医療要求とは逆に、
医療機関というのは逆行するというふうな状況になってきているんですが、こういうふうに従来まさに犠牲と忍従でそういった告示病院の任務を果たさせてきた民間の告示病院、二次引き受け等を含めての告示病院、あるいは在宅輪番等でいわゆる初期診療を分担してきておる民間
医療機関に対して、
政府は財政的な補助あるいは財政的な大幅な援助、そういったものをやっていくお
考えがあるかどうか、その点をお伺いしたい。