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1976-11-11 第78回国会 参議院 災害対策特別委員会、地方行政委員会連合審査会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十一年十一月十一日(木曜日)    午後一時十六分開会     ————————————— 委員氏名  災害対策特別委員    委員長           工藤 良平君   理 事           上條 勝久君   理 事           古賀雷四郎君   理 事           宮之原貞光君   理 事           藤原 房雄君   理 事           神谷信之助君                 上田  稔君                 川野辺 静君                 園田 清充君                 高田 浩運君                 寺本 広作君                 桧垣徳太郎君                 八木 一郎君                 辻  一彦君                 中村 英男君                 前川  旦君                 原田  立君                 春日 正一君                 柄谷 道一君    地方行政委員     委員長         上田  稔君     理 事         安孫子藤吉君     理 事         金井 元彦君     理 事         小山 一平君     理 事         神谷信之助君                 井上 吉夫君                 大谷藤之助君                 片山 正英君                 後藤 正夫君                 夏目 忠雄君                 鍋島 直紹君                 細川 護煕君                 安田 隆明君                 秋山 長造君                 赤桐  操君                 野口 忠夫君                 山崎  昇君                 阿部 憲一君                 多田 省吾君                 市川 房枝君     —————————————   出席者は左のとおり。    災害対策特別委員     委員長         工藤 良平君     理 事                 上條 勝久君                 藤原 房雄君                 神谷信之助君     委 員                 高田 浩運君                 八木 一郎君                 原田  立君                 柄谷 道一君    地方行政委員     委員長         上田  稔君     理 事                 安孫子藤吉君                 金井 元彦君                 小山 一平君     委 員                 井上 吉夫君                 後藤 正夫君                 夏目 忠雄君                 安田 隆明君                 阿部 憲一君                 多田 省吾君                 市川 房枝君    国務大臣        自 治 大 臣  天野 公義君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  天野 光晴君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        防衛庁防衛局運        用課長      長谷川 宏君        国土庁長官官房        審議官      紀埜 孝典君        大蔵省主計局主        計官       保田  博君        大蔵省主計局主        計官       西垣  昭君        厚生省環境衛生        局企画課長    新津 博典君        厚生省環境衛生        局水道環境部長  国川 建二君        厚生省環境衛生        局環境整備課長  森下 忠幸君        厚生省医務局総        務課長      此村 友一君        厚生省社会局施        設課長      水田  努君        厚生省児童家庭        局母子福祉課長  長尾 立子君        林野庁林政部木        材需給対策室長  松延 洋平君        中小企業庁計画        部長       児玉 清隆君        建設省都市局長  中村  清君        建設省住宅局長  山岡 一男君        自治大臣官房審        議官       石原 信雄君        自治省財政局長  首藤  堯君        消防庁長官    林  忠雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○山形酒田市の大火災に関する件     —————————————   〔災害対策特別委員長工藤良平委員長席に着く〕
  2. 工藤良平

    委員長工藤良平君) ただいまから災害対策特別委員会地方行政委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が連合審査会会議を主宰いたします。  山形酒田市の大火災に関する件を議題といたします。  まず本件につきまして政府側から報告を聴取いたします。林消防庁長官
  3. 林忠雄

    説明員林忠雄君) 十一月一日に、先ほど知事の御報告にもございましたように、私が一応団長となりまして、自治省建設省国土庁、それから通産省、厚生省といった政府関係調査団現地調査をいたしましたので、この調査の結果報告を含めて、この酒田大火に関する概況について御報告申し上げます。  このたびの火災は、十月二十九日十七時——午後五時五十分ごろ酒田市の繁華街中心地である中町二丁目の映画館グリーンハウスから出火延焼し、十七時五十三分に火災を覚知した酒田地区消防組合消防本部は直ちに消防ポンプ自動車を出動させましたのでありますが、折から西南西平均風速二十メートル、瞬間風速三十メートルを超えるという強風にあおられまして、この消火がうまくいかず、隣接建物に延焼し、さらにその後、東方の中町一丁目、二番町、一番町、新井田町に延焼を続け、出火後約十一時間を経過した翌朝午前五時ごろ鎮火したものでございます。  本火災による被害は、その後の地元調査によりますと、死者一名、これ当初行方不明二名ということになっておりましたが、この亡くなった方は地元の市の消防長さんでございまして、これ殉職になったわけでございますけれども、私たちの調査団現地へ到着したその直前に、つまり火災後三日目に初めて発見されたと、非常に痛ましい殉職でございましたわけでございます。亡くなった方はこの方一名でございまして、それから負傷者が九百六十四名、これも当時の調査では九十名前後、百名という程度の数字がつかまれておりましたけれども、その後精細な調査をいたしましたところ、この結果非常に多くなりまして、結局九百六十四名、入院を要する者が二十九名と比較的軽傷が多かったわけでございますが、とにかく千名近い負傷者というのを出しております。この特色といたしましては、目を痛めて眼科の診療を受けたという方が非常に多く、この九百人のうちの半数近い方が目の関係だそうでございます。恐らく調査に行かれました先生方もそのことをお聞きになったと思いますけれども、これは煙あるいは新建材によるある程度その刺激臭刺激の強い煙というものが最近の火災の特徴であるというのをここで裏づけておるわけでございます。罹災世帯千十七世帯罹災人員三千三百一名、焼損家屋一千七百七十四むね、焼損面積二十二・五ヘクタールと、先ほど知事の御報告どおりでございます。この規模は戦後の大火としては、焼損面積——焼けた面積で言えば四番目、鳥取、飯田、北海道の岩内に次いで四番目の規模でございます。それから焼損棟数、これでいって五番目になるわけでございます。  火災原因につきましては、目下当局調査中でございます。一時ボイラーの過熱ではないかという説が大分伝えられたんでございますが、どうもその後の調査ではボイラーには異常がなかったようであるということで、最近は漏電ではないかという疑いが強まっているそうでございます。なお、この点確定しておりません。これが大火になりました原因は、結局繁華街中心という、建物が非常に密集しておりました地域であり、かつ当日の気象条件風速二十メートル以上という強風下であったということが大きな原因でございました。火災覚知してから初期出動態勢は非常に早かったわけでございますけれども、この初期消火でこれを鎮圧することができなかった結果、この強風にあおられてこれだけの大火になったと存じております。実際の火災原因につきまして私の方、消防庁としても四日から四日間にわたり、その専門技術者現地に派遣して調査を行っておりますが、いまだにはっきりとした結果が出ておりません。さらに引き続いて専門的立場調査検討を加えて今後の災害対策に資したいと存じております。  消火活動としては地元消防本部消防団初め、県内及び隣接市町村等からの応援も含めて、消防ポンプ自動車等二百二十八台、このうちで消防ポンプ自動車は約九十台強と聞いております。あと小型の可搬式のポンプその他合わせましてポンプ全部で二百二十八台、消防職員、団員が二千七百名出動して消火活動に当たりました。それから警察官四百七十名の応援も得まして避難誘導交通整理等も行い、そのほかさらに自衛隊からも山形県からの要請で二千五百名が出動して、その後の災害復旧その他にも当たっておるわけでございます。酒田市と山形県では火災の拡大に対応して災害対策本部を設置し、応急対策に万全を期すことといたしましたが、山形県としては、先ほど知事の御報告にもありました当日の二十二時二十分——午後十時二十分に災害救助法酒田市に適用して被災者の収容、生活必需品支給等救援活動を行ったわけでございます。今回の災害につきまして、政府調査団としては山形県と酒田市からいろいろの御要望事項現地で聴取いたしましたが、その内容はただいまに形県知事さんの方から皆様のお手元に届いております要望書そっくりそのままでございますので、これは省略さしていただきたいと思います。これらの要望事項一つ一つにつきましては、それぞれ関係省庁がございますので、十分検討をし、従来の前例その他も参酌した上で、でき得る最高限度の御援助をいたすよう考えておる次第でございます。  以上で、簡単でございますが、御報告を終わります。
  4. 工藤良平

    委員長工藤良平君) 以上で報告を終わりました。  質疑に入る前に一言申し上げます。  先ほどの連合理事会におきまして質疑者の順序及び質疑時間の割り当てを決定をいたしましたが、質疑の時間につきましては、特に厳守をしていただくようお願いをいたします。  なお、政府側お願いをいたしますが、質疑者の持ち時間は答弁時間を含めた時間でありますし、全体的に非常に短い時間でございますので、簡潔適切な御答弁お願いをいたします。  それでは本件につきまして質疑を行います。
  5. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 時間の制約がありますから、質問も御承知の方が多いわけでありますので省略をいたし、端的に御質問いたします。したがって、ただいま委員長からも御指摘ありましたとおり、単刀直入にお答えお願いしたいと存じます。  第一に激甚災害の指定でございますが、天野大臣わざわざ御出席をいただきましてありがとう存じます。これをひとつ早急にやってもらいたいということでございますが、この点をひとつお答えを願いたいと思います。
  6. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) きょうは二人どっちも天野ですからよろしくお願いいたします。実は明日の閣議あたりまでに決着をつけたいと思っていたのですが、事務的にもうちょっと作業がかかるということで、その次の閣議、来週は火曜日閣議ございませんので、金曜日になります。ですから十九日になりますか、十九日の閣議には決定をいたすよう努力いたします。
  7. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 ありがとうございました。ぜひさようお願い申し上げます。  次は、災害融資特利限度引き上げの問題でございますが、これは現在御承知のとおり、政府関係金融機関特別融資限度額が四百万円になっておりますが、これを八百万円に引き上げてくれという強い要望がございまするが、この点についてのお答えお願いしたいと思います。
  8. 児玉清隆

    説明員児玉清隆君) ただいま御要望のございました四百万円の引き上げにつきましては、実は実際問題としては大変むずかしい問題だと考えております。と申しますのは、昨年の年末に従来二百万円でございましたが、それを倍額の四百万円に引き上げたところでございまして、なお前向きに検討はいたしておりますけれども、実際問題として大変むずかしかろうと思います。
  9. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 昨年末二百万円引き上げた事情から考えますと、困難なこともわからぬわけではございませんが、今後ひとつ十分検討してもらいたい、こういうふうに思います。  次に、政府系金融機関既往貸し付け延伸措置を講じてもらいたいという要望であります。この点については言うまでもございませんが、中小企業金融公庫並びに国民金融公庫におきましては大体閣議決定等によって措置をされるし、商工中金閣議決定に連動して措置を講ずることができるよう承知をいたしております。相当弾力的に考え余地があるように存じますが、これを現地実情に即して、この延伸措置を講ずるよう配慮をしてもらいたい、こういうことでございますが、この点についてひとつ所見を伺います。
  10. 児玉清隆

    説明員児玉清隆君) 御指摘の点は最大限特別な配慮を加えたいと思っております。
  11. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 次は、少し厄介な問題でございますが、いま知事からも要望がございましたが、仮店舗建設についての低利融資制度を創設してもらいたいという要望があるわけであります。言うまでもございませんが、今回の被災地につきましては、直ちにその敷地内に住宅店舗建設することを抑えまして、そうしてほかに店舗を設け、暫時の間生計の維持を図り、そうして焼け跡につきましては都市の再開発と申しますか、新しい町づくりをするという措置を講じようと、こういう段取りになっておるわけでございます。したがって、生計の方から申しますと、どうしてもほかで仮店舗を開いてやっていかなくちゃならぬわけでございます。この点についての低利融資制度というものの制度は現在ないわけであります。したがって、この創設を希望することはわかるわけでございまするが、これをすぐに法制化するということもなかなか問題はあるだろうと存じます。したがって、既設制度を活用することによってこの問題に対処せざるを得なかろうと、こう存じます。そこで既設制度をどういうふうに活用するかと申しますと、一つ住宅公庫災害復興住宅建設資金、これの活用の問題があるわけであります。この資金限度額が現在は木造で五百四十万円ということでございますが、これをある程度引き上げること、こういうことが一つ方法であろうと存じます。またこの建設につきまして、現在店舗部分が主であってはいかぬということでございます。端的に申しますと、五〇%を超えますとそれは住宅金融公庫は出せぬと、こういう運用になっておるわけであります。法制的にはそれは「主として」という言葉に表現をされておるわけでございますが、その「主として」という考えが常識的には半分だと、こういうことだろうと存じます。しかし、今回の災害ようにその場所には建てさせない、そしてしばらくの間ほかでがまんしておれ、都市開発したならばそっちの方へ移させる、こういうことでありますから半年や一年は仮店舗でやらざるを得ない、同時にまたそこに住まいもしなくちゃいかぬ、そういうときに住宅金融公庫融資限度の問題もございまするが、融資条件といたしまして半分でなければこれは融資はできないんだということはいかにも機械的じゃなかろうか。「主として」という言葉がございまするが、実情、今回の場合なんかそう多い例ではなかろうと思うのでありますが、そういう場合には「主として」ということを弾力的に考えまして、五〇であろうが、あるいは五〇を若干超えて五五であるとか、あるいは六〇近いということであってもそれは融資の対象にするというようなことが生きた運用じゃなかろうかと、こう思うのでございまするが、この点についての所見をひとつ伺いたいということ、同時に、これの方法といたしましては、今度店舗の方でございまするが、これは中小企業金融公庫あるいは国金あるいは商工中金等におきましてもこの面を活用してその問題を解決する余地はあるだろうと思うのでございます。この点は被災者の選択の問題になると存じます。また現地指導方針の問題もあると存じます。そこで両者を統合しましてその事態に即応した、また被災者希望に応じてそれを措置するよう両者連携措置というものがきわめて重要じゃなかろうか。その連携政府機関においても十分とってもらうと同時に、住宅金融公庫資金でもってやりたいという場合には五〇%を若干超えるにいたしましてもこれには対応していくというようなことがきわめて実際的じゃなかろうかと存じます。さような点についての関係省所見を承り、またそうしたことに対応していただきたいということを強く申し上げておきたいのであります。
  12. 山岡一男

    説明員山岡一男君) 住宅災害復興貸し付けにつきましては、額の引き上げはことしの八月二十日に政令を改正いたしまして五百四十万に引き上げたばかりでございます。問題はいろいろあろうかと思いますけれども、直ちにまた引き上げは困難であろうと思っております。ただ先生おっしゃいますとおり、主として居住の用に供する家屋というのが法律にございますが、五〇%、五五%にこだわらず実情に応じて判断をしていきたいと思います。それから中小公庫等との関係につきましても十分、いろんなケースがあろうと思いますが、よく協議をしてみたいと思います。それからなお今回は土地区画整理等も行われるというふうになっておりますが、その後の耐火建築物等建築につきまして、たとえば中高層耐火建築物融資、市街地再開発融資等につきましては店舗部分に対しましても相当の融資ができるという制度がございます。そういうものを大いに活用してまいりたいと考えておる次第でございます。
  13. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 いまお答えありましたとおりに、住宅金融公庫災害復興住宅建設資金につきましては、とかく末端におきましては非常に機械的に処置される、それをその実情に応じて処置をするということについては十分ひとつ御答弁がありましたが配慮していただきたい。それからそのほかの金融措置との連携でございますが、これも両者相緊密な連携をとってそれで処置をしていただくことを重ねて希望いたし、いまその点は弾力的に十分配慮するということでございまするので、この点は了承をして、この質問を終わります。  次に罹災者公営住宅建設でございますが、これは若干無理かと思いまするが、起債充当率が現在八五%でございます。もちろんそのほかに通常補助で三分の二、激甚補助で四分の三の補助がございます。その残についての八五%の起債充当率でございますが、これをもう少し引き上げてくれと、こういう要望があるわけであります。現在の地方財政というものは非常に窮迫をしておりまするので、単独財源に事を欠く、さような点から申しますと八五%を若干でも引き上げてくれという要望も無理からぬことでもあろうかと思うのでございまするが、この点についてぜひ考慮をしてもらいたいという意味で質問いたすわけでございます。どうかひとつお答えを願います。
  14. 首藤堯

    説明員首藤堯君) ただいま御指摘をいただきましたように、公営住宅地方負担に対して従来地方債八五%の充当率でございますが、今回の大火特殊性ないしは財政状況問題等指摘のとおりにございますので、できるだけこれを引き上げますような方向で検討さしていただきたいと考えております。
  15. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 ありがとう存じました。ぜひさようにお取り計らいを願います。  次に、先ほども話が出ましたが、被災地復旧のための土地区画整理事業に関連してでございますが、これは被災者焼け跡には建てられないと、当分。そこで都市開発をやる。そうすると四十坪ぐらいの敷地を持っている者が減歩でもってたとえば三十とか三十五になる。そうしますと、どうしてもそこには住みにくいと。そこで区域外転出をしたいという者が相当出てまいるのでございます。したがって、そうした人に対しては土地を買ってそしてほかに転出するための資金を与えてやるということが重要でございます。すなわち、公共用地に充てるために区域外転出者ができた場合に、その区域外転出者用地取得買収を行うために当面さしあたり金が要るわけでございます。五十一年度は大体見当つけますと九億の事業費を必要とするだろう、これが現状でございます。これをぜひ建設当局並びに大蔵当局も認めてもらいたい、これは切実な問題でございます。五十二年度は整地あるいは道路の築造あるいは換地計画を進めるためにいまの見込みでは約十億の資金を必要とするだろう、こういう予定でございます。当面九億を五十一年度において措置をしてもらい、来年度におきましては約十億の予算措置を講じてもらいたい、これが焼け跡復興について理想的なまた時代に即応した都市建設をやるための最低限のさしあたり必要資金だということを認識をしていただきまして、この要望に沿うてもらいたいわけでありまするが、この点についてのお答えを願いたいわけであります。
  16. 中村清

    説明員中村清君) お答えを申し上げます。  今年度大体区画整理事業として必要な経費約九億円という要望を私ども承っております。さしあたり換地計画作成諸費とかあるいは事業計画を作成する経費、それからいま御指摘がございました用地買収経費等々を全部含めまして復興計画進捗支障のないようにしたいというふうに考えております。なお来年度のお話が出ましたが、来年度につきましては事業進捗状況それから執行体制執行能力、こういった面を十分勘案いたしましてこれも復興計画支障のないようにしたいと考えております。
  17. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 それでは、ぜひこの九億の問題については実現するように特別の努力をしていただきたい。  この復興都市計画についてひとつ私なりの希望と申しますか研究をしてもらいたい問題は、現在の復興計画におきましては共同溝構想が実はないよう承知をいたしております。そこで、せっかくこれだけのことをやる以上は、まあ大都市における共同溝に準じたような簡易な共同溝というものが設けられないものかどうか。もちろん、これは受益者負担がございまするので、問題はそう簡単ではないと思いますけれども、せっかくやるわけでございますから、共同溝考え方をこの都市計画の中に取り入れるべきじゃないかという私は考えを持っておるんですが、この点についての所見を承りたいと思います。
  18. 中村清

    説明員中村清君) 共同溝についてのお尋ねでございますが、罹災都市復興に際しまして、都市の美観とかあるいは将来の防災体制、こういった面を考えますと、共同溝整備をするということは、これは有効であることはもちろん言うまでもございません。ただ、事業化に当たりましては、共同溝整備路線の指定をまずやりますとか、あるいは関係の公益事業者との協議、こういったことが法律で必要でございます。したがいまして、私どもとしましては路線の指定なりあるいは関係事業者との協議といった問題について県市の方にどういう準備を進められるか、その辺を前向きの方向で御指導申し上げたいというふうに考えております。
  19. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 それじゃ、積極的にひとつこの問題を取り上げて、計画の中に織り込むよう希望しておきます。  それから、もう一つの私の考えでありますが、現在の都市計画と申しますか、これは一般的に申しまして非常に大都市的感覚じゃなかろうか、こういうふうに思っておるものでございます。そこで、酒田なんというところは、周辺が庄内平野のほとんど店に来る連中は農民でございます。そういうところの都市店舗その他計画、こういうものは大都市の場合と感覚的に相当違うはずのものだろうと思うのであります。そこで、いまの都市計画というものは、ともすれば大都市的な感覚に基づく都市計画都市改造、そういうものであると思うのであります。一般的に申しまするならば、日本の都市計画というようなものも大都市を主体とした都市計画と、それから地方都市の場合はその地方の地方色を織り込んだ実情に即した都市計画というものがあってしかるべきじゃなかろうか、そういう疑問を持つものでございます。いつでも都市計画ということになりますと、大都市的発想から出た都市構想だけが日本全国に散らばるということは必ずしも適当なものじゃないんじゃなかろうかと、この点についての研究が一体どこまで進んでおるものか。それからまた、今回これを、都市計画をやるにつきまして、やはり地方には地方なりのいろいろな要望があります。そういうものを集計することによって初めて地方色の豊かな都市計画というものが可能になってくるんだろうと思うのであります。さような点について十分にひとつ意見を聴取し、または官庁におきましてその研究があるならば、その研究をもととして大都市中心としたよう都市計画というものに限らないで、そしてもっと特色のある地方的な都市計画というものを——あるいは建物なんかも含むわけでございます。店舗の構成もまた変わってくるだろうと思うんでありますが、その辺のことについて十分配慮をしてもらいたいというのが私の考えでありますが、この点についての所見を承っておきたいと思います。
  20. 中村清

    説明員中村清君) 都市計画は御存じのように都道府県知事なり、まあ市町村が決めるということで、作成に際しましては、もちろん知事さんなりあるいは市町村の方で具体の事情に即してふさわしい都市計画をつくっておられるというふうに私ども理解しています。先ほど御指摘がございましたのは、大都市の方に偏重しておるではないかというお話でございますが、大都市、地方都市それから市町村、別に私ども差異を設けておるつもりはございません。いずれもひとしくその地域に適した都市計画が行われておるというふうに考えておりますし、将来ともそういうふうに進めてまいりたいと思っております。
  21. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 いかにもその計画の立案が地方の責任者でありまするから、いま私が言ったようなことが必ずしも実情に当てはまらないかもしれませんが、また地方にはそれだけのスタッフもなかなかない、そして、まあ建設省に相談をする、そうすると建設省の方はそうした構想でもって、これはどうだと。そうしますと、地方はじゃあそれでいきましょうかと、こういうことで、まあ責任は中央だけじゃなくて地方にもあるということには私もそう思います。そこはひとつ中央の方もいろいろと見解が広いわけでございまするし、全国の例も承知しておるわけでございまするから、そういう注意も与えながら、ひとつりっぱな後の町づくりができるように、地方の実態に即したよう町づくりができるように、ひとつ十分な配慮を願いたい、こういうふうに希望しておきます。  次は厚生省関係でございますが、医療金融公庫、それから環境衛生金融公庫でございますけれども、これについていろいろな配慮をしてもらいたいということが先ほども知事の方から要望が出ておりましたが、この点は詳細を省略いたしまするが、実情に即しまして、やはり厚生当局も善処してもらいたいという希望を申し述べて答弁を得たいと思います。
  22. 此村友一

    説明員(此村友一君) 医療金融公庫の融資につきましては、現在災害復旧資金につきましては、災害救助法の適用を受けた場合には、借り入れ申し込みがあれば特に優先的に貸し付けることにいたしているわけでございます。また既往貸し付けの償還につきましては、六カ月以内で元金の繰り延べをいたすと、かようになっております。それからまた激甚災害の指定を受けた地域につきましては、六・二%ないし三%の特別低利で貸し付けることになっているわけでございます。そういう意味で、私ども今回の災害に当たりましても現行の制度を十分活用して努力をしてまいりたい、かよう考えております。
  23. 新津博典

    説明員(新津博典君) 環境衛生金融公庫の関係でございますが、災害の場合の優先貸し付け、既往の償還の猶予、償還期限の延長等、いずれも既存の制度で十分対処いたすつもりでございますが、さらに窓口で不親切があったり取り違えがあったりしてもいけませんので、現在環衛公庫から調査役を現地に派遣しておりまして、きのう県庁で打ち合わせて、きょう酒田の窓口の金融機関の方に行って十分対処するように努力をさせております。
  24. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 それから廃棄物の処理でございますが、今回は非常に廃棄物が多い、大体その廃棄物処理費として一億かかると、こういうことでございます。これは現在地方団体においてとても負担し切れる金額ではございません。これに対しては天災の場合には二分の一国庫補助するということになっておる、ところが火災は天災じゃないからそれはだめだと、まあいうんだと、これもなかなか私には理解できないんですが、焼け跡地の処置というようなことは天災であろうが人災であろうが同じだろうと思うんですが、天災だけは認めると、天災でないものは認められないと、火事なんというのは大体天災じゃないと、人災だと、そんなものは認められぬと、こういうのが大体大蔵省あたりの考えらしい。まあ、そういうことになりますと、落雷なんというのはどういうことになるのか、これは火災起こしますが。まあ、そういうこともあるんで、どうもそういう限界を決めていることは理解に苦しむところでありますが、これは厚生省の所管でございまするが、この廃棄物の処理について天災に限られていることでなく、まあ今回の場合も二分の一の助成をしてもらいたいという強い要望があるわけであります。これは厚生省はそうすべきだろうと言うのだけれども、大蔵省は絶対これはだめだと、こう言っておるというわけでありますが、両省の、この際ひとつ話を聞いておきたいと思います。
  25. 国川建二

    説明員(国川建二君) ただいま先生からお話でございました、いわゆる火災による廃棄物でございますが、先生の御説明にもございましたように、従来からいわゆる地震とか風水害と、そういう天然現象に基づく災害に限りまして実はその災害の復旧事業というものを国庫補助という形で対処してきたところでございまして、御指摘のお話承りまして私どもとしてもいろいろ検討はいたしたわけでございますが、現在のところまだこれは困難な問題でないかというふうに考えております。
  26. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 これは困難な問題だと言いますが、どうして火災だと——焼け跡の始末はこれはどっちだって同じなんですね。区別する根拠というのはどういうことなんですか。厚生省もそれに同調しておるようなお話でありますが。私の承知しているのじゃ、厚生省としてはぜひこれは処置してもらいたいという要望をしようと。しかし、大蔵省がこれはとてもいかぬのだと、こう言って、もんでいるんだというふうに開いているんですが、いまのお話ですと、厚生省ももうこれはとても見込みがないというような感じなんですが、一体どういうことなんですかね。その辺をひとつ聞かしてもらいたい。
  27. 国川建二

    説明員(国川建二君) 今回の災害と申しますか、今回の廃棄物の事業量負担、大変量も膨大だというふうに承知いたしております。これに対する対策はどうも私どもといたしましても十分考えなければいけない問題だというぐあいに思っておりますが、ただいま申し上げましたように、いわゆる災害復旧というような形での扱いは困難ではないかというふうにいま考えておるわけでございます。
  28. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 時間がありませんから、余り詰める時間もないと思いますが、今度の災害復旧についてはどうもむずかしいということがよく理解できないのですが、理解できる程度に少しひとつ答弁を願いたいと思います。
  29. 国川建二

    説明員(国川建二君) 災害復旧といたしまして挙げております事業の内容といたしまして、先ほど申し上げましたように、豪雨とか地震とか津波とか高潮とか、そういうような現象によります異常な事態によりまして起こりましたものを災害という形で私ども従来取り扱ってまいったわけでございます。そういう意味から困難だというふうに思っているわけでございます。
  30. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 どうもよくわからないのですけれども、たとえばそれじゃ風速三十メートルのときに落雷があったと、そして火事になったと。これは天災みたいなものですね、雷がおっこっちゃったんだから。そういうときに、それで非常に膨大な面積が焼失したと、これもやっぱり天災じゃないですかね。そういう場合どうなるんです、一体。そのときはだめなんですか。どうもその辺が余り頭がよ過ぎて素人にはよくわからない理屈になっていると、こう思うんですがね。——ひとつ天野国土庁長官から、国務大臣としてその辺をひとつ御所見を……。
  31. 工藤良平

    委員長工藤良平君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  32. 工藤良平

    委員長工藤良平君) 速記を起こして。
  33. 保田博

    説明員(保田博君) お尋ねの点でございますけれども、現在の政府の考え方は先ほど来水道環境部長の方からお答えをしたとおりでございますが、じゃなぜ現在天然現象に基づく廃棄物の処理に補助を限定しておるのかということでございますけれども、まあ厚生省の本来の仕事というものは、社会福祉とか社会保障その他公衆衛生の見地、この三つが大きな仕事でございます。廃棄物の処理及び清掃に関する法律というものも、そういう観点から天然現象、したがって、たとえば暴風雨とか豪雨とか、そういうことによって汚物が市内にはんらんするというようなことでは、ある種の伝染病というようなことを起こしかねないものですから、早急にそういう場合の廃棄物は処理する必要があるということから特別の補助をいたしておる。で、今回の火災による場合にはやはりその点が違うのでございまして、もちろんその処理というものは大きな問題だとは思いますけれども、国民の健康を守るという見地から仕事をいたします厚生省の仕事ではないと、こういうふうに理解をしております。したがいまして、今回の廃棄物の処理は地方住民の福祉を担当いたしております地方公共団体が一義的にこれを行う、さらにそれによって伴います財政問題というものにつきましては、私担当者じゃございませんから確定的なことを申し上げるわけにはまいりませんけれども、一般論とすれば特別交付税というよう措置によってその財政的な処置が講ぜられるべきものではないか、こういうふうに理解をしておるわけでございます。
  34. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 議論しますと長い時間がかかりますが、特交というのはすぐこれは逃げられる道ですが、特交というのはもう限度が決まっておるんですね。そして、ことしのよう災害が非常に多いときに、一つの町村に一億近いものを特交で処置するということは、これはほかの災害市町村を圧迫することにもなるわけなんです。大蔵省としては特交に逃げればいいじゃないか、それは一つの理屈だろうと思うんですけれども、実情はそういう性質のものじゃない、その辺は認識を改めてもらわなければならぬと。したがって、せっかく保健衛生上の観点から天災の場合には焼け跡に対してその処理のための助成をしておるという以上は、住民の保健衛生の立場から言えば、火災であろうと何であろうと同じなんですから、これはこれに準じた措置を講ずるのが常識的で最も妥当するものじゃなかろうか、こういうふうに思うんです。この点は時間もありませんので、ひとつ十分関係者において相談をして処置をするようにしてもらいたい。この点は自治大臣の方も特交にみんなおっかぶせられたんじゃこれはたまったものじゃないだろうと私は思うんです。そこで、両天野大臣にはこの問題をひとつ処置されるように政治的な御配慮をぜひお願いをいたしたいということで、この問題は終わらしていただきます。  厚生省関係で、母子寡婦世帯住宅及び厚生資金の貸し付け枠の拡大とか、あるいは保育所の災害復旧事業についての措置と、こういうようなものについて、これは県から要望が出ておりましたが、具体的なものでありまするので、厚生省現地と相談をして、しかるべく適当に処置をしてもらいたいということを私からも希望を申し上げておきます。  最後に防衛庁の問題でございますが、防衛庁の器具、機材ですね、特に民生の場合には、いろいろな器具、機材を活用することによって民生の安定を図ってもらってるわけでございまするが、これが大変老朽化しておるというふうに、今回現地に参りまして、その話を聞きました。したがって、防衛庁の予算において今後、ジェットでございますとか艦船というものも重要ではございまするけれども、装備の器具、機材、こういうものの更新について特にひとつ考えてもらいたい、また大蔵省もこの点については十分な理解を持ってもらいたい、こういうふうに希望するものでありますが、きょう防衛庁が見えておりましたら、この点、実情と今後の考え方をひとつ聞かしてもらいたい。
  35. 長谷川宏

    説明員(長谷川宏君) 御説明申し上げます。  このたびは災害派遣隊御視察くださいまして、いろいろ隊員ともお話しいただきましてありがとうございました。その際に既設機材の近代化あるいは大型化のお話があったことを承知しておりますが、確かに大都市火災現場の跡片づけ等には、民間の土建会社が持っておりますような大型の最新式の機材が効率がよい場面が多いわけでございますけれども、自衛隊の災害派遣の問題といたしましては、都市部だけでございませんで、山間僻地とか、どこにでも出かけなければならないということがございます。それと、その場合にわが国の道路事情を考慮いたしまして、小回りがきくものを装備する必要があるということで、大型化という点では、したがいまして、おのずから制限があるわけでございます。また近代化の方でございますが、現在ダンプは千数百両ございますけれども、これを二カ二分の一トンから三カニ分の一トンというものに換装更新中でございまして、今後ともそういう努力を積み重ねていきたいと考えております。ただ、使用頻度が民間の水準から比べますと非常に低いわけでございまして、まあ耐用命数が、大ざっぱに申し上げますと民間の三倍ぐらいになるということから、古い型のものがふえるわけでございます。そうでございますけれども、修理や整備を徹底いたしまして使用しておるということでございます。御存じのとおり、四次防では施設作業能力を強化するということで、四次防の主要項目にも掲げられた方針に従いまして私ども整備に努めてまいりました。四次防期間中に計画したものを全部終了しておりますが、五十二年度予算におきましても、たとえば施設大隊に新たに油圧ショベルを充足するとか、ブルドーザーあるいはセミトレーラー等の所要の装備品について損耗更新を行うよう要求中でございます。  以上でございます。
  36. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 それじゃ、私の質問はこれで終わります。
  37. 小山一平

    小山一平君 このよう大火の場合には、その事後対策に私は二つのことが大切だと思います。その一つは、大火に至った要因を科学的に検討して、その復興再建に当たっては防災を踏まえた基本構想が必要であるばかりでなしに、古い都市では、従来公園だとか、緑地だとか、道路、水利などを含む総合的な都市改造というものがきわめて困難であることにかんがみまして、この機会に禍を転じて福となし得るような理想的な町づくりの計画を立てまして、市も国も県もその実現のために最大限の努力を惜しんではならないということであります。また、消防体制とか建築物の構造等等、反省するべき点は謙虚に反省して、その改善に努むるべきである。もう一つの問題は、罹災者に対する適切にして親切な救済措置を機を失せずに実施をすることでございまして、特に酒田市のように、厳寒と年末を迎えようとする時期でありますので、この罹災者に対する救済措置はきわめて緊急を要すると思います。まあ私は大変短い時間でございますが、この二つの問題についてそれぞれ御質問をしてまいりたい、こういうふうに思います。  今度の大火は不幸にも最悪の強風であったということもございますが、この大火となったその他の人的な要因、こういうようなものを今日までの調査の中でどんなふうにとらえていらっしゃるか、重要なことだけで結構ですから簡単にお答え願いたいと思います。
  38. 林忠雄

    説明員林忠雄君) 人的な要因、各方面でいろいろあると思います。さしあたり消火に当たりました消防の方で、私たち調査にも参りまして感じたことをお答え申し上げます。  まず、酒田市が持っていた消防力が十分であったかどうかというのを真っ先に反省しなければならないと思いまして、その点、検討いたしましたけれども、この点につきましては一応消防庁の方で消防力の基準という、大体人口とか地勢とか気候に合わせてそれぞれの市町村で算定できるよう一つの公式と申しますか、算定式をつくっておりますけれども、ポンプの台数にいたしますと、その基準に当てはめた場合に、七台ほど必要であろうというものに対して六台充足しておったということで、充足率が八十何%という数字になっております、これは全国の同規模の市町村に比べて別に劣っておるとも言えないということでございます。現実には初期消火が失敗いたしましてあれだけの延焼を起こしたわけでございますから、当然そこについてさらに反省を加えなければいけない点もあるかと思いますが、まずポンプの台数というものについては今回の場合仕方がなかったのではないかという気もいたしておりまして、そこで、あとはそれに関する運用の問題でございます。御承知のとおり、酒田は単独の市ではなくて一市六町でございましたか、消防組合をつくっております。この消防組合の総合的な運用という面におきまして果たしてどうだったかということ、これについてさらに突っ込んだ検討をしてまいろうと実は存じております。  それから人員につきましては、まず一つには、基準となる台数が決まりますと、そのポンプ一台について大体何人要るということが機械的に出てくるわけでございますけれども、これにつきましては、火災の発生件数その他から考えました場合に、ある範囲では乗りかえ、兼務というようなことも考えるのが合理的な面でございます。たとえば化学消防車のようなものがあれば、出動頻度が非常に少ないので、それに完全に専任を張りつけるということは通常の人員あるいは財政管理上必ずしも合理的でない。そういう面である程度の兼務というものを考える場合に、酒田市の場合は、現在あるポンプ車を十分動かせるだけのものは配置しておったようでございますが、交付税その他で算定する人数にはやや達していなかったという面が一部あったようでございます。そういうものにつきましてもさらに今後検討を続けてまいりたいと思っております。したがって総合的な結論として言えば、酒田市におけるポンプの台数、あるいは人的配置については完全であったとは言いがたいまでも、まあ同規模の市に比べて決して劣ったとは言えないし、ことに消防団員及び消防団の持っているポンプの台数については、私どもの方で決めております基準を超えて整備をしておったという点からは、それについて責められるものは多くはないと考えておりますので、今後運用その他について、特に気象が非常に風が強かったのにもかかわらず、雨が降っておりましたために湿度がそれほど低くなかったという点もあって、実は火災警報も発令されていなかったという状況もございますので、そういう風の場合には湿度の問題をも含めて、火災警報をどういう時期に発し、あるいはどういう体制をあらかじめ整備しておくかというようなことについて、さらに反省を加え、今後整備してまいりたい、現在はこういうふうに受けとめております。
  39. 小山一平

    小山一平君 時間がありませんから、本当は都市局あたりから都市の実態などの中で幾つかの問題があったはずだと思うし、そういう点も聞きたいんですが、これは時間がないから、また何かの機会にお尋ねしたいと思います。  なお、今回の災害建設省がきわめて敏速に現地に駆けつけて復興対策にいろいろと努力を払われたと、こういうことを聞きまして、とかく何事にもスローモーで有名な行政としてはきわめて適切な対処の仕方であったと私は敬意をまず表しておきたいと思います。  そこで、今後の都市の再開発復興計画という青写真がだんだんできていると思いますけれども、もちろんこの内容を詳細に聞いたり御意見を聞いたりしている時間もありませんが、今回の火災の教訓に基づいて、建物の構造だとか、あるいは道路のとり方とか緑地のとり方とか、文化的な面あるいは環境的な面、あるいは商店街としての位置づけというようなものを総合的に配慮をされて今後の計画が恐らくなされたものと思いますね。それでよろしゅうございますね。
  40. 中村清

    説明員中村清君) お答えを申し上げます。  御存じのように、今回焼失しました面積は約二十二・五ヘクタールでございます。現在、私どもが考えておりますのは、焼失面積二十二・五ヘクタールを含めまして、周辺の土地を若干取り込みまして、約三十二ヘクタールにつきまして土地区画整理事業を実施していきたいと。これは御存じのように、公園とか緑地のようなオープンスペースを従来よりもたくさんとりますとか、あるいは従前、木の植わっておりました街路の幅員をさらに広い幅員にして、防災といった観点あるいは生活環境の改善といった観点から遺憾のことのないようにというふうに考えております。
  41. 小山一平

    小山一平君 先ほども安孫子先生からも御意見がございましたが、建設省の助言、指導を基本にして、地域の意見も十分尊重してやっていただきたいというふうに思います。  それから、先ほど消防庁報告の中に、火災原因が漏電ではないかということがだんだん出てきているように聞きました。これ、漏電であったとしたら、その責任は一体どこなんでしょうか。
  42. 林忠雄

    説明員林忠雄君) その電気関係について、ちょっと詳しい法制は私はいま存じておりませんけれども、大体そういう設備をつくる場合の建築基準の確認の関係その他では、それぞれの所管で安全性を確かめておるはずでございますし、消防は消防でそれに同意を与えるためにその点の検査は十分しておるはずでございます。したがって、あの建物の建った時点でのそういうものの検査その他については、改めて記録を調べてみようと思いますが、この間調査に参った段階では、その前の何年間かのそういう防火上の立場からの地元の消防署の査察においては大体良好の成績をとっておりますので、結局火事が起こったのがもし漏電であれば、あるいは査察に問題があったかとも存じますが、現在そこに欠陥があったということはつかんでおる次第ではございません。
  43. 小山一平

    小山一平君 先ほど消防体制のお話がございました。いずれの都市を見ても大体装備においては基準に近いものを持っております。しかし、自治省が人件費、人件費と責め立てるせいかどうか知りませんけれども、人員配置がきわめて低いというのが通例だと私は見ているのですが、今後消防庁として、ただ装備ばかり近代化してもそれを動かす人間が足りない、たくさんの器具、機械がそろっていてもこれが一斉に行動するということになると人員が足りなくて動かせないということを私も経験をしております。こういう点は今後の指導の中で人員を重視をするということを消防庁はもう少し考えるべきではないかと思いますが、いかがですか。
  44. 林忠雄

    説明員林忠雄君) 機械がそろっておってもそれを動かす人がなければ何にも役に立たないと、まさにおっしゃるとおりでございます。ただ私の方としては、そのポンプ自体の装備については、私の方で決めた基準に対して全国で八〇%を超えるだけの装備になってきておる、人員についても先生おっしゃるほど現在不足であるとは実は思っておらない。というのは、大体それらのポンプに全部専任が張りついて動かせるだけの人員を計上すればそれは膨大になりますけれども、またあのよう大火の場合にそれが一斉に動くという必要はもちろんございますけれども、そういう場合に、たとえば非番の者をいつでも呼び出せる体制にあれば必ずしも専任を一人ずつ置く必要もないとか、そういうような合理的な算定方法で一応交付税上算定しておりますが、その算定につきまして、たとえば人口十万の市の平均の例で申し上げますと、ほぼ百十人ほど必要であると、それに対して現在交付税措置は百数人——十人までちょっとまだ達しなかったと思いますけれども、ほぼその充足どおりできるだけの算定措置は確かにしてございます。そして、実情はそれに対して九割ぐらいの充足率——八九%ぐらいの充足率になっておりますので、人口十万の平均をいま一つの例として申し上げましたけれども、大体その程度になっておる。したがって、なお完全とは言いがたいにいたしましても非常に不足しているという気は実はしておらないのでございますが、できるだけ完全に近づけるように今後も努力をしてまいることについては異存ございません。
  45. 小山一平

    小山一平君 酒田の消防署の担当者が言うには、いま持っている装備を一〇〇%動かしていくとすれば人員は現在三七%にしか充当されておらないと、もう少し人員配置というものが充足できるよう措置を講じてほしいということを切々と言っていましたから、人員の問題についてはもう少し消防庁検討をしてほしいということだけ申し上げておきます。  それから、あの大火の後行ってみると、耐火建築が全部耐火でなくて木造と同じに被害を受けておる、これはやはり耐火建築の構造そのものに問題があると思うのですよ。燃えないはずの建築物がみんな燃えてしまったということではこれは大変な問題点だと思いますね。私は、あの構造について検討をして、建築基準法を改正をして、外からの火は絶対に耐火建築物には被害を及ぼさない、こういう構造に改める必要があるんじゃないかということを強く感じましたが、いかがですか。
  46. 山岡一男

    説明員山岡一男君) 今回の酒田大火の際の被災地域は大部分が準防火地域に指定をされております。これは昭和二十五年から二十七年にかけて指定されたようでございます。建築基準法では、準防火地域内の建築物に対しましては、たとえば三階以上または延べ面積が五百平方メートルを超える建築物は耐火建築——基準法上の耐火建築物でごさいます——または簡易耐火建築物としなければならないと。それからその他の木造の建築物につきましては、延焼のおそれのあります外壁とか軒裏を防火構造にしなければならない。さらに、建築物の窓等の開口部で延焼のおそれのある部分には、防火戸、例を挙げて申しますと鉄製サッシュに網入りガラスというような構造でございますが、を設けなければならないというふうなことを規定いたしております。ただ、これらの規定は準防火地域に当該地域が指定されました後において整備されたものが大分ございます。建築基準法のたてまえでございますと、ある法令の規定の改正がございましたときに、それ以前に適法であったものについては既存不適格建築物と、そうしまして、新しい新法上は適法であるという取り扱いをすることになっております。したがいまして、今度の場合の地域には、そういう準防火地域に指定はしてございましたけれども、大半がこれらの規定に適合していないものが多かったというふうに考えております。  それからなお、こういうふうな場合におきまして、特に酒田などはいろんな気候、風土等の問題もございます。フェーン現象などもよく起きるところだと聞いておりますけれども、そういうようなものにつきましては、建築基準法の中にも第四十条というものをつくっておりまして、その地域の気候、風土、特殊性等によりまして条例で制限の付加ということをつけることにはなっております。ただ、建築基準法は全国適用の最低基準を定めるという法律でございますので、現行の規定の中で現在その規定に従ったものについてはわれわれ十分な防火性能を持っていると思っておりますので、直ちに建築基準法を改正することは考えておりません。
  47. 小山一平

    小山一平君 それはまことに役人的な考え方で、現に酒田においては、せっかく鉄筋コンクリートの耐火建築物をつくりながら今回の大火で被害を免れることができなかった。そうであるとしたら、今後は万が一火災があっても耐火建築建物は被害に遭わないで済むよう措置を講ずるのが行政としての当然の責任じゃないですか。
  48. 山岡一男

    説明員山岡一男君) 先生おっしゃいましたように、中にはただいま申し上げました三階建て以上の、六階のデパートもございました。これについては、ただいまの現行規定では、耐火構造にしなきゃならない、内部についてはスプリンクラーを設けなきゃならない、立て穴区画をつくらなきゃならないというふうに、いろいろと耐火性能向上のための耐火構造物としての規定がございます。ところが、これもやはり規定の改正が四十五年ごろでございまして、実際建ったのが古うございますので、現行規定には合っておらないわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、そういうものにつきましては将来、現在の規定にございます既存不適格というものに対しましても必要最小限の規定につきましては遡及適用すべきではないかという提案を前国会にいたしておりましたけれども、まだ内容に問題がございまして検討が残されております。次期国会を目標といたしまして、そういうものの防災性向上のための特別立法を提案するということを国会に大臣から明言をいたしておるところでございます。
  49. 小山一平

    小山一平君 それでは酒田大火ような事故を反省をして、これに学んで、次の国会には、大火があった場合には今度のようなことにならないような方途を考えていくと、こういうお考えだと了解しておいてよろしゅうございますか。
  50. 山岡一男

    説明員山岡一男君) むしろ、今後新しく建設される物につきましては全部新しい規定に従って建つわけでございます。当面の仮設物は別といたしまして、都市計画の結果土地区画整理等が済みまして建設される物は新法の適用がなる物でございます。それはもう十分耐火性能等を備えた物になると思います。私どもが今回提案しようと思いますのは、そういう物の中で相当規模の大きくていざという場合に被害が大きそうな物という物を対象に遡及適用をやりたいということを考えておるわけでございます。
  51. 小山一平

    小山一平君 とにかく最初申し上げたように、こういう事故があって大災害が出た、そうしたらそこにいろいろ欠陥があって学ぶべき問題が明らかになった、そうしたらそれには謙虚に対応するという姿勢で臨むべきであると、こういうことを強く申し上げておきます。時間がありませんから、こんなことを聞いてかかり合っているわけにはいきません。  それから、先ほどもお話がございましたけれども、この焼けた跡地の区画整理事業、それからまた再開発事業、あるいは商店街の近代化構想というようなものが進められていくわけですけれども、いままで通常の場合には、予算がこれになかなか年度がかかって非常に完成までに日時を要するという問題がございました。今度の場合はそんなわけにはいかないわけでございますが、早速にも、都市計画審議会の審議が終わってこの事業が確定すれば工事に着工してもらわなくちゃならぬわけですけれども、早急にこの事業が進め得るような予算は大丈夫ですか。
  52. 中村清

    説明員中村清君) 今年度は土地区画整理事業としまして大体あと九億ぐらい要るであろうということでございますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、復興計画の達成に支障のないようにいろいろな手を考えてみたいと考えております、ちょっと御指摘がございましたけれども、この種の区画整理事業はずいぶん時間がかかるじゃないかというお話でございますが、過去の例を調べてみますと相当かかっているのもございます。ただ、弁解になるかもしれませんが、相当期間がかかっておるといいますのは、最終的な換地が終わるまでというその初めから終わりまでを考えますと相当かかっておりますけれども、中間に、御承知ように仮換地の指定という制度がございます。仮換地指定がございますと、営業活動なり普通の活動が従来どおり進められるという段取りになるわけでございますが、その期間をとってみますと必ずしもそんなに長い期間はかかっていないんじゃないかと思いますが、いずれにいたしましても、こういう大事故と申しますか大きい火災でございますから、後の土地区画整理事業につきましてもできるだけ早く終わるように努力をしたいと思っております。
  53. 小山一平

    小山一平君 九億円の当面の金については対応されるようですが、都市局で現在手持ちの予算で対応できますか。特に大蔵省などから特別の措置を講じなくてもできますか。
  54. 中村清

    説明員中村清君) 九億円の予算措置につきまして、いま中でいろいろ検討しております。できるだけやりくりをしまして、いずれにしましても復興計画支障のないようにということで考えております。
  55. 小山一平

    小山一平君 当然新しい商店街が造成されていくわけですけれども、まだそこまで検討されているかどうかわかりませんが、共同店舗方式をとるとか、あるいはまた商店街全体で振興組合などをつくって全体計画を商店街全体の共同責任で進めてりっぱなものを完成させるとか、いろいろな方式があると思いますが、それらの点についての検討は進んでおりますか。
  56. 児玉清隆

    説明員児玉清隆君) 店舗が主として被災者中心になっておりますので、一日も早い復旧ということで、現在は復旧に全勢力を傾けているわけでございますが、それとあわせまして、将来の構想図といたしまして、いま御指摘ような商店街の再開発ということ、あるいは商店街の近代化という線を都市の再開発のプランの中に十分組み込みますようにいま建設省その他の関係機関と鋭意打ち合わせをいたしておりまして、まず将来あるべきビジョンを描く、それと、先ほど来お話出ておりましたよう都市区画整理事業との関連その他を検討いたしておるわけでございます。したがいまして、そういったビジョンに基づきまして計画が具体化してまいりますと、それに対する諸般の助成制度がございますので、そういったたとえば中小企業振興事業団の高度化事業、これで全面的な応援をするとか、あるいは政府系の中小三機関の協調融資、こういった点を最大限に活用いたしまして、できるだけ新しい商店街として生き返るように努力してまいりたいと、このよう考えております。
  57. 小山一平

    小山一平君 先ほどの御質問の中で大体わかったのですが、店舗住宅の併用建造物の場合に、たとえば中小企業金融公庫店舗分七〇%を対象にして融資をするという場合に、住宅金融公庫は残りの三〇%を対象にして、両金融公庫で共同で全額融資をしていただくことができると、こういうふうに確認しておいていいですか。
  58. 山岡一男

    説明員山岡一男君) 住宅金融公庫、名称にございますように、住宅融資をするということが主眼でございますので、先ほど安孫子先生の御質問にもございましたけれども、主として住宅というのが法律に定められております。普通の場合、一般の個人住宅店舗併用住宅の場合でございますと、店舗併用の場合でも、金融公庫からでは普通の場合は住宅しか貸しておりません。今回のよう災害復興融資の貸し付けの場合には店舗部分も含めてお貸しをするということにいたしております。ただ、先ほどのときにもお話出ましたけれども、「主として」が五〇%が少しふえたぐらいでどうだという話につきまして、それは運用上当然そういうふうな指導をしてまいりたいと思います。ただ、全体といたしまして、店舗部分住宅部分について著しく差があるという場合には公庫法の運用上問題点はございます。ただ、これにつきましては、たとえば店舗部分と別に住宅部分に対する入り口を別途つけるという等の措置によりまして、別々の系統の融資ができるであろうというようなこと等につきまして関係金融機関の間で相談をするようにいたしたいと考えております。
  59. 小山一平

    小山一平君 それから復興のための木材として林野庁の備蓄材の放出をしてほしいと、こういう意見がありますが、林野庁いかがですか。
  60. 松延洋平

    説明員(松延洋平君) 災害等によりまして被災しました住宅等の復旧用材としまして、従来から林野庁におきまして各営林局署の段階で備蓄材を保有しているところでございまして、またそのための減額譲渡とか、あるいは代金延納等の規定も設けられているところでございます。今回の酒田市におきます緊急復旧用材として国有林材の売り払いについての御質問でございますけれども、現在県の段階で、全体の復旧計画とか、またそのための必要な木材製品の総量であるとかというようなことを県の段階で鋭意詰めておられる段階というふうに私ども承っておるわけでございますけれども、山形県等からそういった国有林の備蓄材の売り払いの要望がなされました段階でこれに対して直ちに適切な措置を講じていきたいと思っておるところでございます。また酒田市並びに周辺の山形市とかあるいは新潟市、秋田市、ここら辺は大きな木材産地でございまして、これらの周辺市で現在製材、合板等の在庫量も十分あるものと見られておりますので、今後の住宅復旧に伴って価格が高騰する事態は生じないものというふうに思われておるわけでございますけれども、なおこのような異常に価格が高騰する事態が生ずるおそれがある場合におきましては、昭和四十九年度から日本木材備蓄機構というものが発足しておるわけでございます。ここでも備蓄材を保有してございます。これにつきましても、地元の要請があった段階でこれに対して検討してまいる所存としておるわけでございます。
  61. 小山一平

    小山一平君 先ほどの質疑応答の中で何としても納得のできないのは、廃棄物処理に対する補助の問題ですけれども、三十メートルの強風にあおられて大火になって激甚災害という指定を受けても、なおかつ災害としての廃棄物処理の補助対象にならないというのは、これはどう考えても納得のできないことですね。もう一度その点について御答弁を願いたいと思います。
  62. 森下忠幸

    説明員(森下忠幸君) 災害廃棄物の対策につきましていろいろ歴史的なことを考えてまいりますと、最初は風水害等によりまして水がかぶった、そういうことで便所が詰まってしまうわけですね、便所がいっぱいになってしまう、これを始末するのに保健衛生上の見地から補助をお出しするということでやってきたと思います。先ほど安孫子先生の方からもお話ございましたので、確かに今回大変大規模火災でもございまして、市町村の御負担も大変なことだと思いますので、御指摘になりましたよう関係の省庁と今後御相談いたしたいと思っております。
  63. 小山一平

    小山一平君 大体廃棄物は厚生省の所管だというので、鉄筋コンクリートから、焼けた鉄材から、これがみんな厚生省の所管でなければならないなんて言っているところに私は問題があると思うのですよ。これは建設省でもなんでもこういう場合の物を扱うようにしたらいいと思うのですね。どうですか、これどんな方法を講じるかは別として、こういう廃棄物の場合には補助対象にするということで国務大臣としてお約束できますか。
  64. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 先ほどからこの問題をお伺いいたしまして、非常に不合理な面が出てきたということを感じている次第でございます。したがいまして、廃棄物の処理につきまして関係各省とよく連絡をとりまして適切な処置ができるように至急検討をすることにいたします。
  65. 小山一平

    小山一平君 これまた私は考えようによっては、今度のような場合にはこれから建設省が行っていく区画整理事業の中でも、あるいは街路事業の中ででも、幾らでもこの程度のことを配慮をして、そして酒田市に迷惑をかけないよう方法というものが私は幾らでもあるはずだと思います。大臣、ぜひこれは、こんな不合理なことは、これはいつまでも検討しているんでなしに、この機会に、この時点でこの問題が対象として処理されるようにぜひとも対処をしていただきたい、強くこのことを申し上げておきたいと思います。  それから、さっきも特別交付税の話がございました。ことしは大変な災害で、あっちでもこっちでも大変な災害でございまして、これは一様に特別交付税で措置すると、こういうことになるわけでございますけれども、枠の決まっている特別交付税にことしのように山のように出てきた災害をみんな特交だ特交だと言って優先にして分配をすれば、従来特交というものを一つの水準で分配を受けていた地方自治体の分が大きく減額される以外につじつまが合わなくなると思うんですけれども、特交でこの災害に対する措置、特交配分の全体計画の中で一体これでつじつまが合うのか、賄い得るのか、何らかほかの財源措置というものをここに加味しなければならないのではないかと私は思うんですけれども、どうですか。
  66. 首藤堯

    説明員首藤堯君) ただいま御指摘がございましたように、災害復旧ないし災害対策に対しましては、地方債そのほかの財源措置を考慮いたしますとともに、あわせて特別交付税でもろもろにわたります諸経費処置をしていくと、こういうつもりでおるわけでございます。ことしの特別交付税は御案内のように約三千百億余りの総額がございまして、去年が二千六百億余りでございましたので二八%程度増加をいたしております。去年の二千六百億程度のうち約五百億程度が災害に回ったのでございますが、ことしは大変災害の額が多うございますので、いろいろそれについての配分を強化をしていかなければならぬと考えておりますけれども、このような総額の状況でございますので、災害優先で特別交付税を配分をいたしました場合、残りの額につきましても地方団体の需要にはそこそこには対応し得ると、このよう考えておるわけでございます。
  67. 小山一平

    小山一平君 どうもその理屈はどう考えてもつじつまが合わぬと思うんですが、もうあと残り時間一分ほどになったから、これはまた今後の地行の中ででもいろいろお願いしたいと思いますが、最後に、先ほどの、都市局の方で早速この土地買収等の作業に入れる九億円の金の措置は心配ないと、こういうことですから、いつごろから土地買収の折衝ができ、金の支払いに準備が整うか、年内どころではない、もう一日も早くこれ手当てしないと土地問題というのはだめですから、この事業の成功するかしないかはこの土地買収が成功するかしないかということにかかっています。一日も早くなきゃならぬと思いますが、いつからそれに取り組むことができるかという見込みだけをお聞かせ願いたいと思います。
  68. 中村清

    説明員中村清君) お答え申し上げます。  先ほどちょっと申し上げましたように、九億円の中には当面すぐ必要な換地計画を作成する経費でございますとか、あるいは事業計画を作成する経費、そのほかに、いま御指摘がございましたその大きい仕事でございます用地買収の費用、これがあるわけでございます。そこで先ほど申し上げましたように、私どもこういうことしも相当押し迫っての話でございますから、予算の上で決して楽であるとは申せません。私どもの方でできるだけのことはまた考えなきゃいかぬと思いますが、どうしても私どもの所管しておる予算では不足するといった事態があるいは出てくるかもしれません。そういった場合には大蔵省の御当局とも御相談をして、いずれにしましても早急に用地買収に着手できますようにしたいと思っております。
  69. 小山一平

    小山一平君 もう時間が来ましたからこれで最後です。いま大蔵省に相談しなければならない事態もあると、こういうことでした。大蔵省はそういう場合には快く建設省の要請にこたえると、こういう姿勢であることを明らかにまずしていただいて、私の質問を終わります。
  70. 西垣昭

    説明員(西垣昭君) お答え申し上げます。  私どもその事業の計画が進んでいるということは十分承知しておりますが、計画の詳細、それから手順の詳細等についてはまだ伺っておりません。建設省検討が進みましたときに私どもの方に協議があると思いますが、御協議がありましたときには、さっきから言われておりますよう事業進捗が図られるように私どもとしても検討してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  71. 藤原房雄

    藤原房雄君 このたびの酒田市の大火に際しましては最近にない大変な被害を受けたわけであります。罹災者に対しまして心からお見舞い申し上げるとともに、関係省庁はもういち早く現場に急行されましてそれぞれの立場で対策を講じられた、こういうことで関係者に対しましては心から敬意を表する次第であります。  私ども現地へ参りまして現状をつぶさに視察し、また状況等を調査をいたしてまいりましたが、やっぱりこの災害のよって来る原因といいますか、発生原因の究明ということと、二度と再び同じことを繰り返してはならないという、こういう観点からの究明、そしてまた改善、それと、それから罹災者に対してこれからりっぱに立ち直っていただき、この都市の復旧と各個人の一日も早い措置が講じられるようにという、こういう観点で本日は御質問を申し上げるわけであります。そういう観点から考えますと、やっぱり地元で非常に大事な問題については検討を重ねて、先ほど知事さんからお話ございました十四項目についての要望事項というのがございますが、ここに集約されることだろうと思います。先ほど来同僚議員からもいろいろ質疑がございまして、快くこの問題についての検討をなされた点と、非常に困難視されるような問題もあるようでございますが、やはり地元復興のためには現在の法律の中でこれだけはぜひやってもらいたいという、こういう熱列なる要望事項であるということをひとつ念頭に置いて、関係の方々も現地へ行ったわけでありますから積極的な御努力をいただきたいと思うんです。  私は同じことを一項目ずつ重ねて問う、そういうことはいたしませんが、概括的にまず考えまして、こういう大火というのは珍しいといいますか、数年来なかったわけであります。近くは石川県の加賀、また秋田県の能代、大館、こういうことだろうと思いますが、こういう大きな火災に遭って、そしてまた今日こういう火災復興するためにどういう法律の裏づけ、手だてがあるのかという、こういうふうに考えてみますと、先ほど来もいろいろ論議ありましたが、災害復旧に対しましての、火災に対して、こういう大きな火災があったときにどうするかということについては非常に十分な措置——たまにしかないといいますか、そういうこともあろうかと思いますけれども、非常に手薄になっているという感じがするんです。こういうことで災害については造詣の深い国土庁長官にまずしっかり頭にたたき込んでいただいて、所信を伺うつもりだったんだけれども、いなくなっちゃって、審議官ひとつしっかりその点は御理解いただいていると思いますけれども、何せ災害に非常に御造詣の深い、今日までも数々の実績を積み上げられたと言われておる天野国土庁長官でありますから、その点よくお話ししていただきまして、私どもはこういう大火のあることはこれはもう全力を尽くして防がなきゃなりません。しかし一たびこういう大火に遭ったときの悲惨な状況というのは、現地ごらんになれば御存じのとおりです。そういう点で非常に大火に対する措置がおくれておるということを私は痛感いたしましたので、まずその点申し上げたわけであります。  その具体的なこととしまして、いろんなことが挙げられると思います。先ほどの廃棄物の処理のことにつきましても、その一つのあらわれだろうと思いますし、それから局地激甚の指定は十九日ですか、閣議激甚災害の指定はするぞという大臣のお話でありましたから、それはそれでよろしいんでありますが、それにさらに中小企業、商店街が多いわけでありますから、これらの方々に対しての融資ということが何といっても大事な問題になってくるわけであります。激甚災の指定を受けて、商工中金国金からお金を借りることになりまして、さらに特別被害者という制度があるわけでありますけれども、この特別被害者の被害者というふうに指定するためには、それ相応の県なり市なり、商工会議所等の調査が必要である。その規定の中に建物土地、機械設備、仕入れ品、在庫品、事業用資産の七〇%を焼失した場合というふうになっているわけですけれども、この中に土地というのが入っているわけだけれども、これは災害、普通の風水害や何かの場合には土地が流失するということもあるかもしれませんが、火災の場合は建物、地上のものはみんな焼失するわけですけれども、土地はなくならぬという、この土地の評価というものが非常に大きなウエートを占めるという、こういうことを考えますと、損失額が年間所得の一〇%云々といろいろあるわけですけれども、この特別被害者ということに該当するかとうかという——今度は激甚災害の指定は受けてもさらにもう無一物になったわけでありますから、その中から年末年始を控えこれからの事業を営むという、商店を経営しようというわけですから、本当に低利な長期な資金が必要になってくる。そういったことで特別被害者の認定を受けようとするのはだれしも同じだと思います。こういうことになりますと、一般的には風水害というようなことを想定してこの災害関係の立法あるんだろうと思いますが、こういう大きな火災ということは恐らくこれらの立法のときには念頭にはなかったのではないか。そしてまた今日のよう土地評価が非常に高い現在になりますと、この被害損失額を算定するに当たりまして土地価格というものが相当大きなウエートを占めるということになると、事業用資産の七〇%を焼失した場合ということに非常に微妙な影響力を持つのではないだろうか。こういうことをつぶさに考えてみますと、今日のよう大火に対しての法的な措置というものは、めったにないだけに手だてがないし、非常に微妙に弾力的に運用しなければならぬ、してもらわなければ罹災者が立ち上がることができないという、こういうところが先ほど来の要望事項を聞いても、このこと一つ考えてみましても、あっちこっちに山積しているというふうに私は思うのですけれども、この点どうですか。だれにするかな…三。まあ待てよ、これは災害全般ということで国土庁でどうですか。融資がどうだこうだということになればあれですけれども、親方いないから困っちゃうな、いてくれというのに……。
  72. 児玉清隆

    説明員児玉清隆君) いま御指摘ような状況、私どもも既存の制度を適用するに当たりまして必ずしも現状が十分であるというふうにはもちろん言えないわけでございますけれども、政府全体といたしまして、特に相手が中小企業者の場合、いま御指摘のたとえば特別被害者というようなものの認定に当たりましても、それが実情に即するような形でということで、現在は百分の七十ということで資産ベースの基準を一応決めておりまして、それとあわせまして収入の百分の十ということで——年間収入でごさいますけれども、そのいずれかということに広げておりますので、まあ今回の場合は三%適用というものも実情に即して相当程度できるのではなかろうかというふうに考えております。それは一例でございますが、中小企業の災害復旧に当たりましての融資全般の問題といたしましても、たとえば償還猶予の問題等も、これはその時期時期それから災害の場所及びその個人の実情あるいは組合、団体の共有の場合等いろいろございますので、それぞれにつきましてきめの細かい適用を考えていきたいというふうに考えております。
  73. 藤原房雄

    藤原房雄君 事務的な答弁ということになるといまおっしゃったことだろうと思いますけれども、被害の状況が四百億ちょっとオーバーした、これからもまたふえるだろうということのようでありますが、実際保険にかかっている方もおよそ罹災者の六割程度ということで、やはり政府の現行法で、これが新しい法律をつくってどうこうというわけにはいきませんから、現行法でやっぱり最大限手だてをしなければならぬということはこれははっきり言えることだろうと思います。まあ三%の適用がどのぐらいになるか、これはまだ被害総額がきちっといたしませんとそういう算定等についてはできないことだろうと思いますけれども、いまの法律の中でこういう大きな火災に対してのことを念頭に置いての今日の法体系でないということの上から本当に罹災者が立ち上がっていくための手だてを弾力的に考えていただきたい。そういう配慮の上に立って一つ一つ要望事項というものを検討しなければならぬということを私は申し上げているわけですが、具体的なことについてはこれから数値的なものがきちっと出た上で検討されることだろうと思います。私ども実際参議院の特別委員会で視察に行きまして、新聞記者の方との記者会見のときに言われたことは、馬に食わせるほどたくさんの資料を出してもまだ激甚災害の指定が決まらぬとか何がどうだとかと、そういうことを言っておるけれども、一体どうなるかという、そういう話がありました。まあ地元では相当な人手をかけて、またお金をかけていろいろな書類をつくりながら、現実なかなか指定一つ考えてみましても、それは法律の枠の中でやるわけでありますから、きょう災害があって次の日というわけにはいかないことは事実ですけれども、やっぱり地元では商店街が多いだけに、ことしこれからのことと、それから来年の見通し、こういうことについては非常に商人の方々は心配をし、自分の事業計画というものについてお考えになっていらっしゃるわけですから、こういう決定というものを一日千秋で待っていることは当然のことだと思います。さらに都市計画決定というものがなされませんと、どんどん仮店舗等が建てられたりいたしますと、これまた今後の計画に大きな支障を来す、こういうことで市も非常に苦慮いたしまして共同の仮店舗を建てようという、こういう考え方を一生懸命やっておるわけですけれども、これに対しても弾力的に考えてやりませんと地元では計画は何一つ進まないということになるのではないか、こういうことでぜひひとつ、現在の法律は法律といたしまして、大火に対しての配慮というものは非常に今日までこういう法律の中には薄いということを頭に置いて、その運用面については弾力的にやってもらいたい。これはひとつ国土庁長官また中小企業庁、厚生省、それぞれの立場でしっかり御検討をいただきたい。先ほど一つ一つのことについて何は検討する、何はどうするというお話がありましたから、総括的に申し上げておくわけであります。  それから何といいましても火災に当たりましては初期消火ですか、いままでの消防力とか消火に対する考え方というのは、特殊なコンビナートとか、それから特殊なものについて化学消防車とか、こういうものについての考え方というのは非常に皆の眼がそちらの方に向いていたきらいがあると思います。だからといって一般的な消火力、消防力についてうとんじてきたということでは決してないだろうと思いますけれども、しかし今回の酒田火災中心として、やっぱり私どもは消火というもの、一般住宅火災というものについてこれは真剣に考えなきゃならない一つの教訓がここにあるのではないかというふうにも考えるわけであります。今回の火災は映画館ということで人の集まるところでありますから、当然そういうところについては消防法上いろんな規制があるだろうと思いますし、今日までもいろんな査察等で検討されてきているんだろうと思いますけれども、ボイラーの過熱かという、こういう説が一つありまして、また最近は何か漏電説というふうになっているようでありますが、ボイラーにいたしましても漏電——配線にいたしましても、それぞれこれは年に一遍恐らくちゃんと査察をするといいますか、検査をすることになっているはずだと思うんですが、さっきの消防庁のお話ですと、そういうことについて何かまだお調べになってないようなお話だったと思いますが、これはたしかきちっと電力会社、また事業所が大きければ事業所で年一遍検査をすることになっているはずだと思うんです。ボイラーの容量が小さければ、そういう監督官庁の検査がなければ自分のところで何らかの形でしなければならないことだと思います。消防法上はやっぱりこういうものについてきちっとすることが義務づけられていると思うんです、が、この点どうでしょうか。
  74. 林忠雄

    説明員林忠雄君) ボイラーは一定規模以上ですと労働安全の関係からの規制がございますし、それから電気の配線は電気の配線でそれぞれ電力関係の規制があると思いますが、そちらの方は実は私ちょっとつまびらかでございませんが、消防に関しましてはそれらも含めてずっと毎年査察を続けておりまして、くだんの、そのグリーンハウスという映画館につきましては四十年ごろから二、三改善をいろいろ勧告されたのを、勧告されたとおり改善をしまして、たしか四十七年ぐらいからは毎年の査察でほぼ良好という成績を得ていたということを聞いております。したがって、その査察上何らか手落ちがあったかどうかというのは、さらに調べてみないとわかりませんけれども、一応消防関係の査察ということは行われ、かつ、さしたる欠陥がなかったということを聞いておりますので、さらにどこに原因があったかというのをもっと突っ込んで調査してみなければわからないと現在考えております。
  75. 藤原房雄

    藤原房雄君 何といっても火を出さないということが大事なことだろうと思いますので、これらのことにつきましてもぜひひとつ十分な調査をいたした上で、自後の対策といいますか、こういうものについてもひとつ検討いただきたいと思います。  当時のいろいろな状況説明やなんかありまして、こういうことを一々やっておりますと時間がありませんですが、映画の画面の方から煙が出たとか、また部屋へ入ろうと思ったら火が一面だったとか、いろいろなことを言われるわけてすが、やっぱりそういう人の集まるところ、しかもそういう危険性のあるところについてはそれ相応の消火のための装置というものは置かなければならないことになっているはずですけれども、こういうものも十分にあったかどうかということも、これは査察のときに当然検査なさるんだと思いますけれども、これからやはりこういう危険なところについては十分な査察をするようにしなければならぬということと、それからもう一つは、一般家庭につきましても石油、プロパン、こういうものが使用されている現今でありますので、やはり火を出さないための対策というものについては消防庁は相当しっかりやっていただかなければならぬのではないか、こう思うわけであります。  さらに最近、車社会といいますか、車がだんだん多くなって、大型のポンプ車が通るということがなかなかむずかしい。それから小路が非常に狭い。こういうことに対しても可搬式の小型動力ポンプ、こういうようなもので対応する道、初期消火のためのいろいろな対策をやっぱりこれから消防庁で御検討いただいて対応していただきたい。  それからもう一つは、これは建設省になるのかもしれませんが、あの大沼デパート——火災のあった映画館の方は窓は案外少ないんですけれども、西側の方になりますが、反対側の方は窓が多いという、さっきもいろいろお話がございましたけれども、今日まで建築基準法でいろいろな規制はあるのかもしれませんが、デパート等につきましてはやはり装飾的な物の考え方というのがあるわけで、窓の数が、裏側は比較的少ないんですけれども、表側はやっぱり多いというのが通例のように私どもは感ずるわけです。窓から火が入り、そしてまた、その窓からの火が商店街に移ったという、こういうことを考えますと、どんなりっぱな耐火構造物を建てましても、やっぱり窓が弱いということは自分自身も焼けることであり、他へ延焼をもたらすもとになる、こういうことから、窓の構造ということは非常に大事なことだろうと思います。今日までもそういうことについてはいろいろ検討もされてきているようでありますけれども、今回のこの火災一つの教訓として、建設省関係の方もその点はいろいろ御検討なさったと思うんですが、この点どうでしょうか。
  76. 山岡一男

    説明員山岡一男君) 大沼百貨店の延焼につきましては、われわれも至急に原因を究明したいということで、建築研究所の方から火災の日の翌日、火災専門家を含めまして現地調査を派遣いたしております。で、まだ詳しい報告報告書作成中と聞いておりますけれども、延焼の経路がわれわれ一番問題であったと思いまして、その点の報告を聞いておりますが、グリーンハウスから出火した火がすぐに大沼デパート酒田店の東南側に付属します木造二階建て——デパートの管理部門及び従業員食堂であったと思われますけれども−がございまして、木造の二階建ての方へ、風下にございまして、まず燃え移りました。ところが大沼デパートの中では一階、二階、三階、四階、五階とそれぞれの階段部の開口部に甲種防火戸がついておるわけでありますけれども、ちょうど三階と五階の防火戸につきまして閉まっていなかったということでございまして、三階の防火戸からまず中へ入った、それから階段等を上りまして五階の開口部から中へ入ったというのがどうも燃えた原因じゃあるまいかというふうな原因の推測を報告を受けております。これはなおさらに現地につきまして詳しく検討を要するわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、最近におきますいろいろな耐火構造の中身につきまして特に防火上の見地から数々の政令で規定を設けておりますけれども、それがいずれも最近におきます、最近十年間ぐらいの間におきます改正でございます。で、当該地域のものにつきましては既存不適格のものが非常に多いということでございますので、今後新しく新規定を適用して新しくおつくりいただきます場合には、適法な耐火性の強い準防火地域にふさわしいものにしていただきたいと思っておるわけでございます。
  77. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあ私ども地方行政におりましてこの火災の問題いろいろ論議しましたとき、やっぱり確かにこれから新しくつくるものについては厳しい規制をするという、これはまあ当然のことだと思いますが、既存のものについても、これは一遍にはできないかもしれませんし、また、人が集まるとか、危険性のあるとか、そういうところを重点的にやらなきゃならないと思いますけれども、やっぱり段階的に再び同じことを繰り返さないように手だてをしませんと、古いものはいつまでも危険をはらんでおるという、そのままで来ておる、まあそういうところに今回のこの火災原因もあるわけでありますから、それは既存のものについてしないというのはいろんな理由のあることもわれわれはよく承知しておりますけれども、しかし、こういう一たび大きな火災になってしまいますと悔いても悔い切れないということであります。そういう点ひとつ既存のものにつきましても火災の起きない最小限度の手だてはすべきではないかという、私どもそういうふうに強く感ずるのですけれども、どうでしょう。
  78. 山岡一男

    説明員山岡一男君) 耐火構造建築物の中で多数の人が、不特定多数の人が主として集まるようなものにつきましては、今回も実はこの国会に遡及適用の法案を提案いたしました。いろんな問題がございまして次期国会に改めて特別立法で提案ということでおさまりを見ております。これにつきましては十分前向きに検討したいと思います。それ以外の一般の既存不適格の建物につきましても、大規模の模様がえ、修繕等が行われます場合には新法に適合するように直していただくということが法律の規定上も決まっております。それからさらに、そういうものにつきまして一遍にはなかなかできないと先生もおっしゃったわけでございますが、やはり再開発事業を進めるとか、それからやはり耐火構造になさる場合の融資を促進するとか、そういうふうな援助、応援というような手だてを通じましてそういうものにつきましての改善を行ってまいりたい。特に危険の著しいものにつきましては既存不適格のものにつきましてもやはり是正命令というのは出せることになっております。そういう点につきましても十分前向きな検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  79. 藤原房雄

    藤原房雄君 いままで都市の再開発ということを唱えながらなかなか土地に執着する人たち、また長く住みなれた方々、そういう方々の心情的なものもあり、まあいろんなことがありましてなかなか拡幅したり再開発ができないで今日まで来たわけでありますが、今度はひとつ思い切った都市計画を立てようということで積極的に取り組んでおるというのは私どもも現地へ行っていろいろお話聞きました。で、今回の火災はたまたま二十メートル、三十メートルというこういう強風と一緒になったということで今日のこの悲劇を生んだわけでありますが、まあしかし、裏日本というのはどっちかというとフェーン現象に見られるようにこういう強風というのはしばしばあるわけであります。特に酒田は十メートル以上の強風が年平均しますと相当の日数吹いているという、こういうデータもありますし、また、秋田の能代や大館や石川県の加賀、こういうところでの大火考えますと、やはり裏日本については、こういう特殊性、こういうものも加味した——この酒田についての都市計画というものをきちっとすることは、耐火建築をするのは当然といたしまして、やっぱり酒田だけに限らずこういうフェーン現象等の影響を受けやすい地域についての都市構造というものについては、これはやっぱり考えなければならぬということを私どもは痛感するわけであります。たまたま酒田ではこういう異常な状態にぶつかったんだと、そう言えばそれまでのことかもしれませんが、しかし、いつもそういう悲劇が裏表になっておるという、こういう現実も現実だと思うのですね。そういう点で、まあ表日本の方に火事がないか、大きな火事がなかったかというとそういうことじゃないかもしれませんけれども、こういう地域性、特殊性ということを十分に加味して今度の都市計画は立てられるだろうと思いしますけれども、こういうことを中心として今度の都市計画決定等につきましては建設省も相当お考えになっていらっしゃるんだろうと思いますが、どうでしょうか。
  80. 中村清

    説明員中村清君) お答えを申し上げます。  一番大きいのは土地区画整理事業さしあたりスタートさせようということでございまして、先ほどもちょっと安孫子先生の御質問に対してお答えしたかと思いますが、罹災地区の面積が二十二・五ヘクタールでございますが、周辺の地区を取り込みまして約三十二ヘクタールを施行地区ということにしまして、中に大きい街路を取り込みますとか、あるいは公園とか緑地といった環境の向上に資すると、こういったものを組み合わせまして土地区画整理事業を行いたいと思っております。そこで、具体的なスケジュールでございますけれども、土地区画整理事業都市計画決定という手続をいまやっておる最中でございまして、現在土地区画整理事業都市計画決定の案を縦覧中でございます。そういたしまして、十一月中には土地区画整理事業都市計画決定を終えたいというふうに考えております。  いま申し上げましたのは都市計画法上の手続でございますが、もう一つ事業に入りますと、土地区画整理法、こちらの方の手続が要るわけでございますが、そちらの手続につきましては、まず仕事をスタートさせるのが土地区画整理事業の認可ということから始まるわけでございますが、先ほど申し上げました土地区画整理事業都市計画決定を受けまして、年内に土地区画整理事業の認可ができるように現在県市と話を進めている最中でございます。
  81. 藤原房雄

    藤原房雄君 ちょっとこれは話がまたもとに戻って申しわけないのですが、消防庁では、消防庁の消防力の基準というのがあるわけですけれども、これは昭和何年かな、三十何年かに長官通達で出されて、それからもう社会構造や何かというのはずいぶん変わってまいりまして、地元でも確かに、これは無線化とかいろんなものが進んだから人員を減らしていいだろうという、こういう言い方しますけれども、現実的にはこれは大都市並みにはいかないというのが消防関係者の方々のお話でした。また、この消防庁の基準も、平均風速四メートル前後、以上と以下とに分けて二段階にしてのいろんな基準ですね。こういうことを一つ考えましても、こういう裏日本のようなフェーン現象の影響を受けるようなところ等につきましては、それはいろんな算定のときには特殊事情等を勘案していることはわれわれもよく承知はいたしているわけですが、消防力、これは必ずしも大都市またはその周辺都市等で考えているものとは違って、やはり異常な状況の中にあるものについては、近代化で必ずしも人員削減ができるかどうかというのは一つの大きな問題だろうと私どもはそう感ずるわけであります。そういう点で今日まで大過なく来たかもしれませんけれども、今日この酒田の大きな火事に出くわした、これを契機にしまして、やはり地域の特殊性というもの等を勘案しまして消防力の基準というものについてはこれちょっと検討しなければならないのじゃないかと私は思うのですけれども、どうですか。
  82. 林忠雄

    説明員林忠雄君) 御指摘ような点を勘案して、実は絶え間なく検討しておるわけでございまして、いまは一応三十六年に出しました消防庁告示第二号というので基準を決めておりますが、これを逐次改正いたしまして、近くは実は昭和五十一年、ことしの七月五日に手直ししております。もっともこれは小湊関係のことを考えたわけでございますけれども、そのほかにも手直しが非常に始終行われておりまして、逐次その基準を高めてまいるように努力しておりますし、市町村でもその基準が改まりますとそれに対して充足しようという努力が払われまして基準が高くなる、それを追っかけてまた整備する、また高くなるということを実は繰り返してきております。しかし、これで完全だというわけにはもちろんまいりませんし、それから一般の風速その他を考えた基準でもこういう強風のときには十分とは言いがたいのは今回も初期消火に失敗したという点もございますので、常にそういうものの反省は加えておるつもりでございますが、非常に頻繁に手直ししていることは御記憶いただきたいと思います。
  83. 藤原房雄

    藤原房雄君 それで手直しというのは実際どちらかというと、近代化を進めるということや、それから特殊火災といいますか、コンビナートのようなものに対しての対処の仕方、こういう方向に向かっているのであって、本来の一般火災といいますか、こういうもの、それから初期消火、こういうことに対しての改正といいますか、体制を整えるということではないというようにわれわれは感ずるんですけれども、どうですか。
  84. 林忠雄

    説明員林忠雄君) それは必ずしもそうじゃございませんので、特殊火災なり、地下街なり、ビルなりという社会経済の変化に基づきまして、起きたものに対する対応は常に考えておりますが、しかし、何といってもやはり一般の木造家屋に対する一般の火災というのがいまだに件数におきましても損害額におきましても最大でございますので、一方の特殊の方を強めるがためにそちらの方をおろそかにし、さらには近代化を考えて手を抜くということは実は余り考えておらないわけでございます。その意味では、御指摘ような御心配は余りないとお考えいただいて結構だと存じます。
  85. 藤原房雄

    藤原房雄君 もちろん、手を抜くということは考えてないんだろうと思う、そんなことを考えたら大変なことですけれども、しかしどちらかというと、そういう特殊な方に心が引かれるといいますか、そっちの方の体制強化というふうに重点が移りつつあるということは私どもも感ずるわけです。七月十四日に酒田も特別防災地域に指定になって、今度は科学消防とか何か四十名増強になるというお話聞きました。確かにそういう体制は必要なんですけれども、そのことのためにこっちがおろそかになったとは、そういう因果関係で私ども申し上げるつもりはないんですけれども、とかくに無線を使う、また近代化する、そういうことで人員削減ということで非常に初期消火ということについておろそかになりがちだという現場の声もあったわけでありますから、そういう点ひとつしっかりしていただきませんと、やっぱりまた同じようなことを繰り返してはならぬという心配から私申し上げているんですけれども、十分ひとつそういう点御検討いただいて、ただ人数が多いから多ければいいということでは決してないわけでありますが、常備の消防の方とともに消防団とか、いろんな市民的な組織というものも相まっていかなきゃならないでしょうし、また学校のプールや貯水槽、こういうものの充実とか、いろんなものもそれに伴わなければならないわけでありますけれども、何といっても初期消火というのは非常に重要であり、特殊なもののためにこういうことが、とかく大都市とか大工業地帯ではないところでそういうものが影が薄くなるといいますか、力が抜かれるようなことのないよう配慮を十分にしていただきたいと私は申し上げているわけであります。  大蔵省の方いらっしゃいますか。——さっき自衛隊の問題についてもいろいろ話があったんですけれども、自衛隊の方は自衛隊の施設機械というものについては、産業機械は、施設機械は耐用年数が普通の建設会社よりも長いのだというようなことでどうしても古くなりがちだという自衛隊は自衛隊なりのそういうお話でございましたが、やっぱり耐用年数、使用頻度ということから言えば、業者よりは使い道は少ないのかもしれませんが、やっぱり新しいものができたら新しいものができたものに順応して作業能率なり、また、社会に適応するような機械装備というのは自衛隊にも必要ではないんでしょうか。飛行機とか艦船とかというものについてはどんどん新しいものを入れなければならないのは当然としましても、当然自衛隊の施設機械につきましても耐用年数との関係もあるかもしれませんが、新しい時代に即応したやっぱり新しい施設機械の整備ということも自衛隊に与えられたまた重要な責務であろうとけです、自衛隊法からいきましても。やっぱりなかなか大蔵省ではこの点認めていただけないということのようなんで、これは一遍に全部変えるなんということはでき得ないかもしれませんが、時代におくれない、そういう施設機械というものについて十分に大蔵省も考えていかなきゃならぬ。非常に何か見ていますと故障が多いというか、能率が上がらぬ、こういうことを私どもは現場でよく話を聞きましたんですけれども、大蔵省どうですか、この問題。
  86. 西垣昭

    説明員(西垣昭君) 担当ではございませんので、具体の問題にお答えするわけにはまいりませんけれども、われわれといたしましては、財源の制約がございますので、その財源の制約という与えられた条件のもとでいかにして内容を充実させるかということは当然考えなくちゃならないものだと思っております。
  87. 藤原房雄

    藤原房雄君 もう時間ありませんから、長い話できませんけれども、財源の範囲内なんというと、財源の範囲内で何もできませんなんというそんなことじゃ困っちゃうのですけれども、あるいは、ことしの災害で自衛隊がどんな活躍をしたかということは大蔵省もよくおわかりのことだと思います。そこでやっぱり施設機械というものも非常に新しいものが出ていますし、そういうものとの比較、いろいろなことが言われているわけでありますから、十分ひとつ配慮していただきたいと思います。  話が前後するのですが、やっぱりいま焼失しましたところで都市計画決定、いろいろ計画されているわけです。これからいろいろな手続を踏むわけでありますが、やっぱりそこにお住まいになっていた方々で借家とか、下宿人とか、借地、こういう関係の方々は焼失と同時に自分たちのいままでの権利はどうなるのかという、こういう不安もあり、そういうことから早く建物を建てた方がいいとか、いろいろな思惑があり、これがまた都市計画に大きな支障を来す、こういうことも地元では大変に心配されているわけであります。地元では罹災者に対する借家、借地の臨時措置法ですか、こういうことについての申請をしたということも言われておりますけれども、建設省やっぱりよく現場も見てそういうことに対しての対応というものは速やかでなければならないというふうに御認識いただいているとは思うのですけれども、これらのことについてどういうふうにお考えですか。
  88. 山岡一男

    説明員山岡一男君) 昨日県の方から申請をいただきました。至急処置をしたいと思います。
  89. 藤原房雄

    藤原房雄君 どういうふうに処置するか。
  90. 山岡一男

    説明員山岡一男君) 借地借家臨時処理法の適用を政令で決めるということでございます。
  91. 藤原房雄

    藤原房雄君 じゃ、以上で終わります。
  92. 神谷信之助

    神谷信之助君 今回の酒田大火は非常に大きな被害をもたらしまして、先ほど知事報告では現在で四百五億に上ると、今後さらに被害総額はふえるだろうということであります。したがいまして、これに対する、特に罹災者の皆さん方に一日も早く生活の不安あるいは自分たちの持っている土地その他がどうなるのか、こういった問題について早く方向を明確にして、そしてできるだけの救援の措置を講ずるのは当然のことであります。そういう意味からも、先般参議院の調査団現地へ行きまして、視察をして、多くの要望事項がありました。これらについては、すでに同僚委員の方から個々に質問がされ、明らかになっておりますから、ひとつ重複を避けまして、私は特にまず最初にこれからの防災都市づくりをどう進めていくかという問題を中心にまずいろいろお聞きをしたいと思うのです。  まあ二度とああいう災害を繰り返さないための防災都市をつくろう、こういう希望はこれは災害を受けなかった方々及び罹災をされた方々も皆一様にそのことが要求をされています。私もこの間の調査が終わりましてから一日残りまして、罹災者の数十人の方々にいろいろ御意見を聞きましたが、二度とああいう災害を繰り返さない、そういう都市つくりをやる必要があるというのは共通の認識になっています。したがいまして、建設省が急遽現地に飛んで行って、まあそれについていろいろ県や市を指導し、あるいは援助するという努力をなさったことについては敬意を表したいと思うのです。  先ほど、この都市づくりの問題ですが、都市計画法に基づく都市計画地域の決定といいますか、これは十一月中にやって、そして区画整理法に基づく認可は年内に終えたいというお答えでしたが、そして後、換地計画は大体いつごろになり、そして具体的に事業がいつごろから開始をされて、そして早い人たちはいつごろから住宅なり店舗建設できるか、最終的に完了はいつごろを目標にしているのか、こういった点についての建設省の見通しについてまずお聞かせいただきたいと思います。
  93. 中村清

    説明員中村清君) 最終的な換地計画のところまではまだ現段階では詰めておりませんが、こういう大火災の直後に行われます土地区画整理事業でございますから、中間に仮換地の指定という制度がございます。仮換地の指定をできるだけ急ぎたいということで、大体来年の二月ないし三月ごろに仮換地の指定をしたいなということでいま進めております。
  94. 神谷信之助

    神谷信之助君 そしてあとどうなりますか。
  95. 中村清

    説明員中村清君) あとのやつは、ちょっといまのところはっきりまだ詰めておりませんですが。
  96. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまそういう罹災をされた方がこの土地区画整理をやる地域について、自分の土地があってもそこに住宅を建てたり店舗をつくったりするのが制限をされているわけですよね。だからいつごろになったらできるのか、そういう見通しがないということが非常に大きな不安になっているのですよ。だから仮換地を二月末ごろにやりたいと、それは二万四千平米の面積を市が買うことができれば、大体そのころにはうまくいくんだということで市長名のビラも出されていますね。だから二月末には仮換地ができ、本建築が着工できると予想しておりますというのが市長の見通しのようですよね。こういうことになっていくんでしょうか。
  97. 中村清

    説明員中村清君) 仮換地指定、二月末と申し上げましたが、場合によっては三月にあるいはずれ込むかもしれませんが、仮換地の指定がございますと、一応建築なり何なりが始められるということになります。
  98. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、そこへいくまで、これは私権にいろいろかかわり合いを持ちますから、あっちこっちでやられている都市計画事業というのは難航しているのが多いですね。それで仮換地のところまでいけば、いよいよそれぞれが本建築にかかれるということなんですが、そこへいくまでに予想される困難というか、問題点、こういうのはそれはどういう点が予想されますか。
  99. 中村清

    説明員中村清君) 土地区画整理事業でございますから、これは現在考えておりますのは、大体公共団体施行ということになろうかと思いますが、事業の施行に際しましては、地区住民の意向をできるだけ反映させるという意味合いで、仮換地の指定でございますとか、あるいは土地建物の評価をしていただく評価員の選任等につきまして、地区内の権利者の方々から選ばれました土地区画整理審議会というのがございますが、そこの意見を聞いたり、あるいはその同意を得るということで、地元の方々との調整といいますか、事が私権に関することでございますから、その辺が一番大きい問題であろうかと思います。
  100. 神谷信之助

    神谷信之助君 私もそこがかぎだと思うのですよね。罹災者の理解と納得を得られるかどうかというのが、この事業を早く進めて、そして罹災をされた方が生活をし、あるいはまた営業を続けられると、再開できるという状態に到達ができるんだと思うんです。ところが、まだ日がたってすぐわずかですから、ばたばたしている最中ですから、いろいろ不十分さもあろうかと思うんですが、都市計画審議会で一応都市計画のなにを決めて、そして十一月の八日と九日に二日間にわたって地元罹災者の方々に対する説明会がやられました。この状況を聞いてみますと、これは日中にやられているわけですね。十時からとそれから一時半という午前と午後に分けて日中にやられています。ところが、実際の罹災者のいまの状況はどうかといいますと、皆、親戚なり友人知己のところに分散をしているわけですね。で、大きいところは三世帯、四世帯が同居しているという状況になっていますね。そしてこの人たちが、しかもきのう段階、きのうの報告を聞きますと、まだ行方不明者が五十戸ないし百戸ぐらいある。その告知版ということで市の方も説明会の通知をなさっておりますが、これは新聞の折り込みなんですね。だから、同居しているわけですから、必ずそれを見ているとは限らない。知らない人も多いという状況です。早くやらにゃいかぬということはわかるんですが、そういう点では非常にまだ不徹底な状況でやられています。市の方のスケジュールも、早く区画整理事業をやらにゃいかぬということで、そういう気持ちはわかるんですが、非常に急ピッチでやられる。初めの段階でこれがそういう形で十分な手当てをしておかないと、この罹災者の皆さんの理解と納得を、あるいは協力を得るということがもう最初のところで食い違いますと、後々いろいろな問題が起こるという点を私は非常に心配をしているわけです。水害の場合ですと根拠地がありますから、家を仮にどこへかわられてもすぐわかりますけれども、今度の大火の場合は、それともう根本的に違って、罹災をされた方が分散をしている。したがって、その方々に連絡をし、そして十分説明をし、納得をしてもらうというのには非常に大きな私は努力をする必要があるだろうと。それから区画整理法ですか、あれにも公聴会などの規定もありますが、公聴会なんかも開いて十分そういう点での努力をする必要があるだろうというように思うんです。これは回り道のようだけれども、実はこれをちゃんとしておかないと、私は後でいろいろ問題が起こって、実際はおくれてしまうというように思うんですね。この点ひとつ、建設省の方でそういう点は十分注意をして指導されていると思うんですが、ちょっと見解を聞いておきたいと思うんです。
  101. 中村清

    説明員中村清君) まず都市計画法の方のことをちょっと申し上げますと、今度土地区画整理事業都市計画決定は十一月中に済ませたいということを先ほど申し上げましたが、都市計画決定の手続の段階におきましては、結局いろんな方法で民意を反映させようという手段が都市計画法上講ぜられております。一例を申し上げますと、たとえば都市計画法の十六条でございますけれども、都道府県知事なり市町村が都市計画の案をつくろうという場合にはまず公聴会を開きますとか、あるいはその他の方法がいろいろあろうかと思いますが、要するに民意を反映させるよう措置を講じなければいけないということになっております。なお、同法の十七条におきましても都市計画の案の縦覧というのを義務づけておりまして、これは縦覧期間、大体二週間でございますが、その期間内に意見があれば、関係住民なり利害関係人が意見書の提出ができるということになっておりますし、さらに十八条でございますが……
  102. 神谷信之助

    神谷信之助君 時間がないから。——わかっているんです、それは。
  103. 中村清

    説明員中村清君) したがいまして、具体の問題につきまして県なりあるいは市の方でいろいろ遺憾のないようにしておられると思いますが、私どももその辺は十分御指導申し上げたいというふうに考えております。
  104. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまもうすでに八日から二十一日の間の縦覧期間が始まっています。だから、いろいろ罹災者自身はそれぞれ集まってはいろいろ議論をしたり相談をしたりやっているようです。ただ、先ほどちょっと言いましたが、公聴会も開くことができるんだけれども、これはまだそういう市の方では計画がないようですね。そういった点もひとつ、あらゆる手だてをやはり尽くす必要があるだろうということが一つです。  それから、私は非常にこれ今後重大な問題になり、この計画を進める上で支障になるのではないかという心配をしているのは、実は自衛隊が整地作業をやりました。ところが、これが基礎を取り除かなければいかぬということになりますから、約八十センチぐらい掘り下げますね、どうしても。で、整地作業をやったと。ところが地権者にそれが無断でやられておりまして、境界がもうわからぬようになっているのが約半分余りあるわけです。市の方は登記されている帳簿面積でやると、台帳で処理するから大丈夫だと、こう言うんですね。ところが実際は、実測の面積と台帳面積というのは普通常識で一・五倍ぐらいの差がありますから、平均して一割五分ぐらいは台帳面積の方が小さいですね、そういう問題。で、しかもその台帳面積の表示は酒田の場合は三種類あるんですよね。いまの現行のメートル法のやっとクジラのやっと酒田自身の旧来から使っているクジラ尺ですね。大体三種類の表示、まあ古い土地ですからそういう状況も残っている。そういうところで地権者の立ち会いも経ずに境界線を無視をして整地をしてしまう。こうなりますと、あとで具体的に換地問題が起こったときに、これはなかなか大変なことになってくる。私これを非常に心配をしているんですが、この辺については事実を把握されているのかどうか、あるいはこの問題の解決が可能なのかどうか、こういった点いかがですか。
  105. 中村清

    説明員中村清君) ただいまのお話につきましては、土地区画整理事業の実施の段階に入りますと施行規程をつくるという段階がございますが、その段階で調整をしたいというふうに考えております。
  106. 神谷信之助

    神谷信之助君 調整したいという、それはどうせ調整しなければいかぬわけですからね。ただ問題は、地権者の方からいうと、自分のところの境界線は一体どこだというのがはっきりしない、実測もしてもらわなければいかぬ、ところが実測のしょうがない、そうすると台帳面積しか根拠がないと。それで今度は、土地の台帳面積はべらぼうに低いのだ、少ないのだというような問題が出てきたときにはどうにもこうにも調整のしょうがない問題が起こってくるんですね。こういった問題が、実は早くこの事業を進めていって防災都市づくりをやらなきやならぬわけですが、この辺を私は非常に心配をしているわけです。  だから現に八日、九日の説明会でも、どの説明会場でも、やり方が一方的だ、あるいはわれわれに一言の相談もなしにおれの土地に三十二メーター道路をつくるというような、そんな勝手なことを決めてもらったら困るやないかとかというような意見が大分出て、どうにもこうにもならぬというのが、第一回目の、先般の説明会です。だから、こういった問題を私はひとつ考えなきゃならぬのじゃないかと思うんですが、そういう意味からも、いま出されている市の方から出した計画案というのは、道路計画とそれから公園の予定地ですね。これを中心にしたやつでしょう。だから、これだけじゃなしに、基本計画といいますか、マスタープランをつくって、そしてこういう道路がなぜ必要なのか。それで、ここには歩道、歩行者専用道路をこうつくるんだとか、三十二メートル道路をここへこうつくるとか、こう出てますよね。それで、どこにどう商店街をつくろうとするのか、どの辺は居住地域にするのかとかいうようないろんなマスタープランが出て来ぬことには、これだけですと、ちょうどおれの地所は三十二メートル道路で取られるんやと、こうなってます。だから、なぜそれが必要なのかということが説明をされないとお互いに防災都市づくりのために協力をしようということにならない。あるいはそういう計画が出てくれば、その罹災者の人々も、その地域はこうしたらいいじゃないかとか、どうとかこうとかいう問題が出る。だから三十二メートル道路に商店街をつくるんだって、三十二メートル道路でそんな広いところ商店街をつくってもらったって商売にならへんというような不満も出てきたりして、一体どこに商店街がつくられるのかというのももう一つはっきりしない。  それから、こうやって歩行者専用道路をつくりますと、今度サービス地域、サービスエリアやサービス道路をつくらなきゃいけませんね。だから、それは一体どうなるのか、駐車場は一体どうするのかというような問題になると、それはまだ決まってませんと、こうなってきますね。だから、いろんな御意見を出してもらいながら、そして議論をして納得のできるそういう計画ができ、そしてそれに皆が協力しようという気持ちになれるような、もう少し何といいますか、今度新しい町はこういう町になるという、そういう構図をお互いに描きながら、そしてそれについて意見を出し合いながらつくれるようなそういうものをやらないと、いまのところではなかなか全体の合意を得るのはむずかしいんじゃないかということを私はつくづく痛感をしているんですが、この点についてはいかがですか。
  107. 中村清

    説明員中村清君) こういった大火災の直後でございますから現地にもいろいろな混乱があったかもしれません。しかし、それにしても、ずいぶん山形県内、酒田市の御当局ごりっぱにやっていただいているというように私ども感謝しておりますが、先ほど御指摘がございましたいろいろな問題につきましては、県なり市の方で、今後ともその辺は抜かりのないようにやっていただけるというふうに思っておりますし、私どももそういうふうに指導申し上げたいというふうに考えております。
  108. 神谷信之助

    神谷信之助君 全国的に都市計画問題というのは、関係者の合意を得るというのがなかなか困難で、特に区画整理事業の場合は十年もかかってなかなか進まぬというようなところがたくさんあるわけですから、私はそういうところは現実にそこで生活もされてますから、そんなところは何年かかってもいいでしょう。しかし、ここの場合はそうじゃないんで、火災によって皆被害をこうむっているわけですね。そして、それが決まらなかったらそこへ家を建てることもできぬし、店舗もできぬと、こうなっているんですから、そうなると、やっぱり早いとこその事業が合意がされて進められるようにしなきゃならぬ。そのためには、いま言ったような問題なんかを、いままでいろんな困難に逢着してこの事業、特に区画整理事業がスムーズにいってない、そういういってない原因について十分に検討して、これらを踏まえて特に罹災者の納得と協力を得る努力をする必要があるという点を強調しておきたいと思うんです。  そこで、そうしますと、まあとりあえず応急の仮設住宅に入る人、それからしばらくはまだ親戚や知人のところに生活をしている人、こういう人がおりますが、特に営業をなさっている方、これが非常に多いんですね。千百五十九むね、約千世帯近くのところで店舗が四百三十店余りになっております。ですから、この四百三十店余りの商店、業者という方々の生活から言いますと、これはもう生活を支える収入を得る手段がいま奪われている状況であります。  したがって、先ほどの都市計画、区画整理が決定をして、そして本建築にかかって、ちゃんと店舗を営まれるというまでを考えますと、少なくとも一年以上、場合によったら金融その他の都合で二年もかかる可能性もあるわけですね。そうしますと、その間の仮店舗ですね、仮店舗というのも、これ相当のものがやっぱりちゃんとせにゃいかぬ。そして、仮店舗やって、とりあえず細々とでも営業しながら、そして資力を蓄えて本建築にかかると。だから、そういう意味で言いますと、すぐいまから本建築にかかるならそういう仮店舗をつくるむだは省けるんですけれども、そういう意味では仮店舗というのはまさに、何というか、むだな事業になるわけでしょう、個人にとっては。ところが、これについて非常に不安を皆さん持っておられるわけです。  で、これについてはひとつ、先ほどからも議論が出ておりますが、特別の措置というのは、これは加えることはできないんだろうかという問題ですね。この辺ひとつ中小企業庁の方、お答えいただきたいと思います。
  109. 児玉清隆

    説明員児玉清隆君) いま仮設店舗の問題が現地で非常に議論されておりまして、県当局の方でも大変心配をされておるというふうに聞いております。で、今回のように、商店街全体としまして火災に見舞われておりますので、共同の仮設店舗をつくったらどうだろうかというようなことで、県の方でも鋭意検討を進めておられるようでございますけれども、あるいは酒田市自身についても、それをどういう形で、それから将来の都市計画の区域のどの辺にあらかじめあれするかと、地点設定等についていまやっておられます。で、一店舗どのくらいの金額に当たるかということも一応の試算はしておられるようでございまして、さしずめ県の方でも、それをできるだけ仮設店舗については低利になるようにということでやっておられるようでございますが、私どもといたしましても、先ほど安孫子先生の御質問にもあったわけでございますが、これをぜひ政府三機関のいわゆる低利融資の対象にということでお話がございました。で、私どもも、この仮設店舗も、やはり復旧資金の適用の範囲の中ということでやりたいと思っておりますけれども、これを別途の特別の低利融資制度ということにつきましては相当研究はしてみましたんですが、現段階で実際問題として非常にむずかしいということでございます。したがいまして、低利の政府三機関の適用対象の中に含めて、そして資金量としては三機関の十分な手当を補完的につけるというようなことで対処してまいりたいと、このよう考えております。
  110. 神谷信之助

    神谷信之助君 これはなかなか大問題になっています。それで、特に集団の仮設店舗をつくるという計画ですね、まあ七カ所に分散をするという計画がいま出されていますが、罹災者の皆さんからの要求では、焼けたあの地域から一キロメートル以内ぐらいのところにつくりたいと、得意先その他の関係から言いましてもね。そういう意見が非常に強いんですね。ところが、実際いまやられているところでは、ひどいところではバイパスの近く、たんぼの中につくるとか、それから少し離れた日枝神社ですね、あのところへつくるとかいう話が七カ所の中にはあるわけですね。そこで共同店舗をつくったって客が来ぬと、商売にならぬじゃないかという問題も起こっているわけです。だから、これはそういう融資の問題と、大体どこに集団的な共同店舗をつくらせるかと。その地域についても十分に私は中小企業庁の方も意見を聞き、援助をしてやる必要があると思うんですね。で、酒田の商店街の場合は非常に小さい商店会が分散をしていますから、あの地域だけでもね。だから、そういう意味では、そういう大体七カ所くらいに分散をするのが適当であろうとは思います。その地域設定については十分にその意見をくみ上げるという点を十分配慮してもらいたいと、こういうように思います。  それから現在三世帯、四世帯が親戚に間借りをして、そのために家主が過労で倒れたり、それからもうだんだんそうなってきますと矛盾が起こってきますから、そういう点では応急仮設住宅を早く建てろという要求は非常に強まっています。現在そういうことで建てられているのですが、ところが学校の、たとえば浜田小学校の校庭に、校庭を三分の一ほどつぶして二十五戸建設をするとか、光ケ丘小学校の校庭もそうですね、二十七戸建設とかいうような計画でもうすでに始まっています。これはちょっと、教育上は学校の校庭をつぶして、そして住宅をつくるというのは非常に教育上問題があると。新潟の大火のとき同じようなことが起こって、そうして教育上の問題として後で大きな問題になった例もあるんですね。だから、この点まあできるだけ近所にということで、ほかにないからということで、そこに設定をされたんだろうと思うんだけれども、これはひとつ早く災害用の公営住宅か、あるいは改良住宅か、何らかの方法でそういう人たちをちゃんと早く吸収する手段をつくらないと、これが延び延びになりますと、私は大変なことになるんじゃないかと思いますが、そういう点でいいますと、向こうの方、酒田市は区画整理組合の事業というのは比較的よう進んでおるところですね。その中でまだ土地のあいているところもあるようですから、そういう点を市が買い上げて、そして先ほど言ったよう公営住宅なり改良住宅なりを建設すると、こういう点もひとつ促進をしていく必要があるんじゃないだろうかと。ある程度そういうことでこの罹災者の方間引かないと、この新しい防災都市づくりで全部収容するわけにいかぬわけですから、そういうことは当然必要になるので、これもひとつ同時に促進をするということをやらないと、片一方の区画整理自身も進まないだろうと、こういうふうに思うんですが、この辺はどうお考えですか。
  111. 山岡一男

    説明員山岡一男君) 罹災者の方々のための災害公営住宅建設につきましては、われわれも大いに建てていただきたいと思っております。ただ、いままでのところ御要望出てまいっておりますのは、山形の県営公営住宅四十八戸、それから酒田の市営公営住宅二十四戸、七十二戸の御要望がございました。これは直ちに採択することにいたしておりますが、まだ適地等ございましたらお勧めいたしまして、できるだけ進めるようにいたしたいと思っております。
  112. 神谷信之助

    神谷信之助君 その次の問題は、今度は計画ができれば換地の段階ですが、換地の段階になりますと、特に商店街のところは再開発事業でやられるだろうと思いますが、この権利返還の問題ですね。この場合、従前の土地建物の評価額、これを基礎として再開発のビルの中に入っていくということになりますが、これは今度の場合は、やはり建物の上物は全部焼けてしまいますから、この辺の評価はどうなるのかという問題が起こるわけです。だから、これについてどうお考えになり、それはどういうよう措置がとられるのか。これは金融の場合も担保能力がもうないと。これは罹災者の肉屋さんとか洋服屋さんなんか集まっておられて、それでいろいろ話を聞いたら、もう一切合財全部焼けてしまって、さて営業するという金を借りる、利子が安いとかどうとかおっしゃっても、担保能力がないと。だから、それはいままでの営業実績なり何なりを評価をして、それで信用保証するのか、一体どうなるのかという心配もされていました。似たようなことですが、ひとつ建設省の方と中小企業庁の方、この問題について、それぞれちょっとお答えいただきたいと思います。
  113. 山岡一男

    説明員山岡一男君) 区画整理実施上等の場合の権利返還のことにつきましては、どうも私の所管でございませんが、いまの、たとえば災害復興住宅融資等につきましては、これは県、市の証明ということで、直ちに貸せるようにしております。なお担保につきましても当該、新しく建てられる家を担保にとるということでございまして、もう問題ないと思っております。
  114. 神谷信之助

    神谷信之助君 仮店舗みたいなんやったら担保能力はないで。
  115. 児玉清隆

    説明員児玉清隆君) 共同の仮設店舗の場合、一番理想的に申しますと、県からの特別預託を見返りといたしまして低利融資というような形がとられると思いますが、特に保証協会の保証でもって普通の担保ないし保証人の普通果たしますところの信用補完機能を代替するというようなことも考えておるわけでございます。  で、一般の場合につきましても、災害の場合の担保の扱いにつきましては特に弾力的に考慮するようにというような指導を現在やっておりまして、これは一律の担保についての原則を申し上げるわけにまいりませんけれども、個々の案件につきまして実情に即した取り扱いということでやっております。特にいまおっしゃいましたよう土地の地上物件全部焼失いたしておりますので、その際の物的担保能力というのは余り期待できませんので、あるいは先ほどお話のございましたような仕上がり担保、あるいは保証人、あるいは保証協会、あるいは公的機関の預託金を見返りにした特別融資というよう方法、あらゆる手段を使いましてその担保の補完に充てていきたいと、このよう考えております。
  116. 神谷信之助

    神谷信之助君 では、一般の金融機関の場合、なかなかそういう点では担保能力ありませんから非常にむずかしくなると、したがって政府系の金融機関、その他の制度融資、これをやらにゃいかぬ。最高限度額までそれぞれがやりながらいかないと、住宅店舗、そして商品の仕入れ、その他まで含めまして、これはまあ大変な資金を必要としますから、こういう点では、県なり公共機関が預託をして、それを担保にといいましても、その預託量がどれだけ確保できるかということが非常に大きいわけですね。三倍ぐらいにしてもその三分の一は何とか預託しなきゃいかぬでしょうから、そういう点をひとつ中小企業庁の方も十分細かくめんどうを見てもらわないと——その点特に強調しておきたいと思うのです。  で、業者は四百三十店余りと言いましたが、非常に小さい業者が多いのですね、商店といいましても。だから、そういう点では非常に不安を持っている方が多いわけです。こういう点についての援助を十分措置していただきたいと思うのです。  それからもう一つ、時間がありませんから次急ぎますが、焼け出された人たちがみずからの住宅や、あるいは店舗を本建築をするという場合、特に区画整理事業でその地域が入ってくるという場合、これ私、なんかこういう焼けてしまわれて、全部取られてしもうて、しかもいま言ったように全部もう一遍一からやる、それは全部借金でいかにゃいかぬと、こうなるのですから、こういう状況に対して何といいますか、立ち上がり資金的なものが助成措置としてできないかどうかという点をひとつ考えてもらいたいと思うのです。  たとえば一戸当たり百万円当たりとしますと、一千戸で十億円ですね。だから仮に五百万円一戸当たり出すとしたら五十億円です。そしたら、大体少なくとも二十坪ないし二十五坪ぐらいの家は建てられると、こういうことになります。さらに、それは営業せにゃいかぬから、いま言ったいろんな資金を借りにゃいかぬわけですが、そういう措置が、現行の制度をいろいろ調べてみましたが、ないわけですね。ただ、そこで私考えてみたんだけれども、たとえばこれ、既設の商店街というか、住んでいるところですね、市街化地域、そこでこの区画整理事業をやろうとしますと、何といいますか、建築物の移転及び除去の費用というのが必要になりますね。それから整地工事の費用も必要になる。これらは土地区画整理法によれば二分の一の国庫負担の対象になっているわけでしょう。ところが、今度は不幸にも皆さん罹災をされて焼けてしまいましたから、建築物の移転とか、あるいは除去の工事費用あるいは整地工事も大体ブルで自衛隊がやっていますから、この費用というのは大体この土地区画整理による事業では膨大な金なんです。大体五分の四ぐらい占めるぐらいの費用でしょう、現在では。だから、その分今度は国庫負担をせぬで済んでいるんだから、こういつた分を活用して、これらの罹災者の方々の再起に当たっての特別のひとつ手当てをするというそういうことを研究してみてもらってはどうかと、こういうよう考えるのですが、この辺ひとつ建設省いかがですか。
  117. 中村清

    説明員中村清君) 所管が各省庁にずいぶんまたがっておる問題がございますので、私がお答えするのはどうかと思いますが、土地区画整理に関する部分について申し上げますと、御存じのように、区画整理の前後で、当然減歩という話が出てまいります。私どもとしましては、本件の場合につきましては、できるだけ減歩が少なくなるように、したがいまして、そういう意味合いから、地区外に転出をしたいという方の土地を先行買収をいたしまして、公共施設用地に充当するということを考えたいと思っておりますが、いま御指摘がありましたような問題、これはなかなかむずかしいんじゃないかと、現行法制のたてまえではちょっとむずかしいんじゃないかという感じがいたします。
  118. 神谷信之助

    神谷信之助君 現行法制上はむずかしいですよね。そうなっていないんですよ。しかし、現地罹災者の皆さん方は、一面では防災都市づくりを早くやって、そして新しいそういう環境の中で営業もし、生活もしたいと、そういう希望を持っていると同時に、余りにもどんどん一方的に青写真が出て、三十二メートルの道路がここで、十五メートル道路はここじゃ、公園はここじゃと言って勝手につくられると、なんやもう建設省は焼けたのを幸いに区画整理のモデル事業で、モデルケースだと、そういうつもりじゃないかと、モルモットがわりに使われたらたまったもんじゃないという意見も出ているんですよ。これは一面では、いまの非常に困難に直面をして、そして展望がまだまだ明らかにできない、そういう状況にある罹災者の方々の、一つの私は当然の気持ちでもあるというように思います。したがって、まあそういう点を具体的に、もう少しいまの制度運用すると同時に、それ以上にこういう場合、焼けてしまって、そして被害を受けられた、普通ならそこにちゃんと営業されておれば、そちらへ、よそへ出ていくとすれば、ちゃんとそれの補償もある、それについての国庫負担も二分の一が負担をされるというのが土地区画整理法で規定をされてますからね——公共団体のやる区画整理事業についてはですよ。だから今度は県で大体施行されようというわけですから、本来なら、その費用が国としても必要であるわけです。今度は不幸なそういう大火という、そういうことによって少なくとも国としての国庫負担分は少なくて済むわけですから、これらがそのまま全部というわけじゃありませんが、こういう罹災者の方々に特別の措置——先ほどからいろんな形で他の同僚議員からも提起をされていますが、そういったこともひとつ勘案をして、最善の措置を、研究をし、とってもらうということがどうしても必要だろうというように思うんです。  最後に、もう時間がありませんから、あと消防の問題を少しお聞きをする予定でしたが、これはまた後の機会にしたいと思うんですが、自治大臣、国務大臣として、こういう大火でこれだけの大規模の被害というのはそうざらにあるわけじゃない。それを機会に、政府としてもなかなか進まない防災都市づくりというのをひとつモデル的にやろうという意欲も、特に建設省の方もお持ちになって、非常に積極的に取り組んでおられるわけですが、しかしそれをやるにしても、いま言ったように、いろんな私権とのかかわり合いの問題があるし、しかも当該の人たち、関係者の大部分罹災者であって一切の財産が消滅をしたと、そういう状況にある方々の理解と協力を得なければこの事業は進まないわけです。こういう点について、国務大臣として、政府として、いろんな問題が出されましたが、どの問題についてもひとつ積極的に罹災者の皆さんによく、なるほど、それほど政府が協力をし、やろうというのならわれわれもひとつ考えようじゃないか、あるいは積極的に協力しようじゃないかという立場に立てるように、大胆なひとつ対策を考えてもらうことが必要だと思いますが、この点についての大臣の見解を承って終わりたいと思います。
  119. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 今回の酒田大火は非常な不幸な大災害でございまして、罹災者の方々はさぞかし困っておられますし、また、あすをどうするかということで御苦労されておられるものと思います。関係各省から御答弁を申し上げておりましたように、それぞれの立場で、現行制度、あるいは慣行等の範囲内で、できるだけのことを各関係省庁やろうとして努力をいたしているところでございますが、私ども政府といたしましても、罹災者の方々の立場をよく了解をし、この方方にあすへの希望が開けていくように一生懸命努力をしなければならないと思っておりますし、またこの貴重な体験を生かして、これからの都市における防災の問題、あるいは都市づくりの問題というものにつきまして、よく勉強もし、将来の大きな課題として研究をしてまいりたいと、かように思う次第でございます。
  120. 神谷信之助

    神谷信之助君 じゃあ終わります。
  121. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間の関係もありますので重複する質問は避けたいと思います。しかし、各委員からも指摘されたところでありますけれども、中小企業被災者に対する長期低利金融と、政府系金融機関資金量確保及び担保補完制度の弾力的運用、また政府系三行の既貸付金の償還猶予、被害医療機関に対する医療金融公庫よりの融資、環境衛生金融公庫よりの融資住宅金融公庫住宅建設資金の貸し付け、さらには廃棄物処理経費に対する国庫補助等の問題につきましては、県市の要望、陳情を十分その意を体されまして、被害者の心を心とした手厚い措置が早急に講ぜられるように、冒頭強く求めておきたいと思います。  一つ確認したいんでありますが、県及び市に対する財政措置でございますが、普通交付税につきましては、すでに十一月二日、酒田市に対し二億九千万円の繰り上げ交付が行われたと聞いておりますが、特別交付税の交付につきましては、台風十七号及び冷害に対する地方特別交付税の交付と併用して十二月中にこれが行われるものと確認をし、また起債につきましても、県市の要望を踏んで今後善処されるものと確認してよろしゅうございますか。簡単で結構です。
  122. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 御指摘ような方向で努力させていただきたいと思っております。
  123. 柄谷道一

    柄谷道一君 消防庁長官にお伺いいたしたいと思うのであります。  長官は、ただいままでの御答弁で、特殊災害に力を入れたために一般火災対策の手を抜いたというようなことはない。今回、酒田市の場合、消防基準に照らし、台数は約八〇%以上、人的配置もおおむねその基準に達しておる。この点において問題はなく、今後運営の整備について配慮をしていきたいと、こういう答弁をされたわけであります。  私は、昭和五十年度に消防庁が出されました消防白書、これを詳しく読んでみました。ところが、この白書の中には「焼損面積三万三千平方メートル(一万坪)以上の大火は、昭和四十四年五月石川県加賀市の大火以後今日まで発生をみていない。また、建物火災一件当たりの焼損面積は、昭和四十五年の六十八平方メートルが、昭和四十九年には五十八平方メートルと逐年減少してきている。このように一般建物火災については、今日では甚しく大きな延焼は見られなくなったが、このことは、消防の常備体制の整備消防ポンプ自動車等の装備の増強など消防力の充実に負うところが多い。」、このような非常に自負をされまして、そうしてこの白書を一貫して流れて強調しておられますことは、大震火災、石油コンビナート災害、高層ビル火災などの特殊災害に対する消防力の不備を非常に強調されているわけでございます。  私は、このことは、今回の酒田大火というものが、この白書を見る限りにおいては、消防庁の姿勢として一般建築火災に対する防災のための行政投資というものがやっぱり不十分であったということを物語っているのではないかと、こう思います。私は、もし万が一にも、一般火災に対する消庁防長官としての認識が甘くて、その過信というものが今回の大火を招いたとするならば、行政姿勢について深い反省が加えられてしかるべきであると、こう思うのであります。私は決して御努力されていることを無視するものではありませんが、どうもこの消防白書は読めば読むほど気になりますので、ひとつ長官としての率直な見解をお伺いいたしたい。
  124. 林忠雄

    説明員林忠雄君) 確かに、その昭和五十年度の消防白書には御指摘ようなことが書いてございますが、また昭和四十四年から一万坪以上の火災がなかったことも事実でございますし、それ以前に比べ、確かに非常に減少したわけでございます。  今回、酒田の火事をもってやはりこれは一つの反省の契機としなければならないと、これは個人的には当然思うべきものであろうと存じます。ただし、三菱の石油事故とか、新潟の地震に伴う石油タンクの火災とか、そういったいささかジャーナリズム的に取り上げるべきものが非常に最近そちらの方に多くなってまいりましたし、国の予算等においても、そちらに大変、何と申しますか、重点を置いた要求及び予算編成がなされてきたことも事実だと思いますが、先ほども御答弁したとおり、何と申しましても、そういうものは非常に特殊であり、しかも非常に例が少ない。一般の火災は、やはり木造家屋の多いわが国におきまして、木造の家屋が燃えたのにホースで水をかけて火を消す、これが主体でなければならないことは当然でございますので、もし気持ちの上でそういう方向に重点を置く余りこちらの方がおろそかになるということがあれば、それはもう厳正に改めなければならない。これは率直に申し上げてしかるべきことだと存じます。ただ、実際には、現実に減ってきておりましたのも事実でございますし、これがありましたので、これ未来永劫減るというわけではない、やはりそこにも注意すべきだということで、さらに今後精神面でも注意を喚起してまいりたいと考える次第でございます。
  125. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は特殊火災に対する重要性というものは十分承知しているわけであります。しかし、いま長官言われましたように、得てしてこういう消防白書というものに貫かれている思想が、やはり地方自治体その他に対する姿勢にも敏感に伝わっていくものでございますから、その点は十分配慮をする必要があるんではないか。特に加賀大火の場合も十メートルないし二十メートルのいわゆる強風下に起きた火災でございます。今回の酒田大火も二十メートルないし三十メートルという強風下に発生をいたしております。私は、この強風下という異常気象現象の中での防災体制の不備というものが露呈されたと言うべきであろうと思います。消防力の増強のための投資は、私が改めて言うまでもなく、これば国民の生命と財産を守るために欠かすことのできない安全投資でございます。私は、悪条件下の防災投資というものについては、これを軽視すれば甚大なる大災害を招くということを如実に教えたのが今回の酒田大火ではなかったかと思います。この点に対して近く五十一年度の消防白書が出されるそうでありますから、その内容を刮目して待つわけでございますが、私は、「治に居て乱を忘れず」、これはまさに政治のあるべき姿でございまして、長官としての姿勢を、一般大火に対して、より重点を向けられるようにこれは強く求めておきたい。  あわせまして、この消防力の基準につきましては、今日まで何回も改善が図られてきたことは承知いたしておるわけでございますが、今回の災害と関連して、この消防力の基準について洗い直しを行われるお考えがあるのかどうか、お伺いいたします。
  126. 林忠雄

    説明員林忠雄君) 今回の大火が、もちろんその消防力の基準が果たしてこれでいいかということを反省する大きな材料であることは間違いないと存じます。ただ、それのみをもってと申しますか、むしろそういうあらゆる材料を常時その反省の材料にし、しかるべきときに基準を改定してまいったのは確かだと存じますし、それから今回の火災があれだけの大火になったのが、一つの基準と申しますか、現在の現有勢力が十分でなかったということもあるいは言えるかも存じませんけれども、実は実際問題として今回のあれだけの強い風になりますと、ポンプから出た水がすぐその場で霧になってしまって全然届かないと。そういう意味では、端的に言えば、仮にあれの二倍の消防力を持っておっても、果たして防ぎ得たかどうかがわかからないというような点もございまして、ただ基準というよりも、それらも含めた運用全体の問題、さらにはたとえば相当強い風が吹くということは今年初めてではなくて、毎年のように恐らく日本海側の都市にはフェーン現象その他で今回のようなむずかしい気象条件が毎年何十遍、何百遍とあったはずでございますが、それが四十四年から大火を起こしていなかったというのは、むしろそういうときに非常に何と申しますか、防火精神というものがよく注意をして火元を出さないと、それも徹底していたということもこの七、八年間あれだけの火災がなかった一つ原因ではなかろうか。そこで、消防力、機械設備、人員の整備のみならず、運用の問題、さらに防火意識の問題、そういうことについて、また強い反省の一石を投じたんではないかと考えておりますので、それらも全部他山の石といたしまして、今後再びこういうことがないよう基準の見直しももちろんでございますけれども、特にああいうときには火を出さないという防火思想の普及ということにも力を入れてまいりたいと存じております。
  127. 柄谷道一

    柄谷道一君 自治大臣に国務大臣として御質問したいんでありますが、これも消防白書、これ読みますとりっぱなことが書かれてあるんですね。「消防としては、その制度、組織、人員、装備等全般にわたって近代的な体制の整備を図る必要がある」と、こう強調されております。また、「何よりも「安全の確保」を優先させるという意識に徹して、一体的総合的な防災体制を形づくらなければならない。」。そのためには「国、地方公共団体の防災関係機関の緊密な連携、防災に関する企業の社会的責務の遂行、地域住民の防災への積極的参加等国をあげて災害に備え、災害を防ぐ体制を作り上げる必要がある。」、まことにその言たるやよしであります。しかし、これに比べてそれでは消防庁の予算は、この一体的な全般にわたる近代的体制を図るに足る予算内容であるかどうかということになりますと、不備な面が多く見られます。きょう時間がありませんので、消防庁関係の予算内容を一々指摘することはやめたいと思いますが、また行政機関としての一体的総合的な防災体制という面におきましても、必ずしもまだ総合体制が整備、完備されているかどうかということになりますと、不備な面が見当たるわけでございます。まあ、治山治水問題、地震問題等、この災害問題に関しましては、絶えず行政機構の一元化、総合的運営というものが指摘されるわけでございますけれども、このような消防白書に基づいて、ひとつこれは国務大臣としても、災害が起きてから後でどうこうと言うよりも、さらにその事前対策というものを、より政府として積極的に推進すべきだと思うんであります。ひとつ高邁なる、そして具体的なる決意をお示し願いたい。
  128. 天野公義

    国務大臣天野公義君) 常に政府の方はあるべき理想的な姿というものをいつでも研究しなければならないと思います。そういう姿が、そういう完璧な言葉なり考え方に出ているのではないかと思います。しかし、現実はなかなかそこまではいきませんし、現実が満点、完璧になるということはあり得ないわけでございまして、いつでも現実の上に立って一歩前進、二歩前進、理想に向かって進んでいくというのが現実の姿ではないかと思います。そして、いまの消防のいろいろな体制とか、あるいは関係官庁の連絡とか、総合体制とか、そういうものは決して私は万全ではないと思いますし、都市そのものにも大きな欠陥が各所にあるわけでありまして、それらを考え合わせますと、現在の防災という面を考えますと、穴だらけではないかと思います。穴だらけであるということを現実に踏まえて、あるべき問題が起こったときにはどうするかという処置の仕方もあわせて研究していかなければならないと思います。予算の面につきましても不備な点はあろうかと思いますけれども、この予算を効率的に使い、またどうしても増額していかなければならない面につきましては、来年度の予算におきましても増額をお願いをし、一歩前進、二歩前進で進ましていただきたいと思っておる次第であります。
  129. 柄谷道一

    柄谷道一君 私はもうすでに消防庁は概算要求を大蔵にされていると思うんでありますけれども、この貴重な酒田大火の教訓があったわけでございますから、概算要求につきましても、もう一遍練り直して、やはり要求すべきは要求する。いま私も一遍に、大臣、完全なものになるとはだれも思っておりません。しかし、その意欲を、たとえば明年度予算編成に当たっても十分配慮し、予算上の確保を行っていくということが私は必要であろうと思いますので、国務大臣としてもせっかくの御努力をお願いいたしておきます。  私は、新聞によりますと、酒田市が全滅を免れたのは、町の中央を流れる川が防火帯になったということ、神社、仏閣等の緑地が多くて樹木が風走距離を切断する効果があったということであろうと聞いております。熱風はいわゆるアーケードのような炎道を走り抜けまして、グラウンドや広場や川や池という水面さえも猛スピードで走ります。消防力が弱ければ、その速さにとうてい追い着けるものではないということは、これ明らかであります。地上を走るそうした火勢と数百メートルにも及ぶ飛び火に押されて防火帯を逐次後退させながら今回の大火に至ったというのが私は実相であろうと思うんです。また今回は、むしろ強風が死のたつまきをかえって防いだとも言われておりますけれども、熱せられた空気と冷たい空気が交わればそこに旋風を巻き起こすことはこれは明らかごでざいまして、川という天然の防火帯と風走距離を少しでも切断する樹木というものがなければ災害はさらに拡大したであろうと、こう指摘されているところであります。私は、もしこれが首都圏であったら一体どうなったのか、まさに慄然たる思いでございます。で、消防庁は今回の大火を経験として、ただいまも触れられましたけれども、防災都市建設のためにいろんな経験と教訓を得られたと、こう思うんでございますが、イギリスでは一六六六年の大火を契機といたしまして不燃化都市建設に成功したと、その後は大火の発生がないと言われております。日本の建造物を木造都市から一挙に不燃都市へ脱皮させることは、これは大変なことではございますけれども、各省庁協力して不燃都市都市不燃化のやはり具体的長期計画というものを設定する時期ではなかろうかと、こう思うんでありますが、そうした御計画をお持ちでございますか。
  130. 林忠雄

    説明員林忠雄君) 現実にその不燃都市建設するというのは、やはり非常に不幸なことでございますけれども、今度のような場合、あるいは日本の場合は、かつて関東大震災あるいは昭和十九、二十年のあの空襲にして都市が一面焼け野原になっている、ああいう機会をとらえない限り、なかなか困難であろうことはおわかりいただけることと存じます。しかも、あの戦争における焼失の後でも、たとえば名古屋あるいは広島というのは相当思い切った道路幅その他をとった災害に強い都市計画の実施に成功しておりますが、おひざ元の東京の場合は必ずしもそうはいきませんで、旧来、家の建ったところにまた一面木造の家屋が建ったというような現象もございます。そこで、これらを長期計画でもって不燃都市建設するという仮に計画を立てましても、そういった機会を得られない限りはなかなかまいらぬと思いますので、むしろもちろんその防災上必要な諸官庁が常に連絡を取り合うことは必要でございますけれども、現に行われている都市計画をそういう方向でさらに強めていくという手段をとってやってまいるほかは仕方がないのではないかという気がいたします次第でございまして、年次計画で家を一つ一つ壊してということは、なかなかこの際困難であろうという気がいたす次第でございます。
  131. 柄谷道一

    柄谷道一君 そう言われるのでありますが、財団法人建設業協会、これは建設委員会の調査室から借りまして読みますと、五十年の六月に「地震と都市防災」でございますけれども、この中で、強風下の飛び火による順次多発型大火大火幅射熱延焼と火流による延焼の現象というものを詳細に分析をいたしておりまして、不燃化の効果とその対策というものをこれ具体的に提言いたしております。また、首都圏整備委員会は、このほど三木総理大臣に対しまして、昭和六十年度を目標に今後十年間の首都圏整備基本計画を答申したとも聞いております。で、私は今回の酒田大火ようなケースはいつどこで起きるかわからないわけでございます。いま長官のお話によりますと、長期計画を立て、これを実施していくのは非常にむずかしいというようなお話でございますが、そういう話だとするならば、三木総理大臣に答申されましたこの首都圏整備計画はただ出されっぱなし、何らの意味を持たない答申になるということになります。ひとつこれは国土庁長官がおられればと思ったんでございますが、こうした都市不燃化対策というものについて、災害の束ねである国土庁、一体どうお考えなんですか。
  132. 中村清

    説明員中村清君) お答えいたします。  先ほど御指摘ございましたように、都市防災につきましては、たとえば中間に川がありますとそこで一つ火災がちょん切れるというようなことがありまして、私どもとしましては都市防災の基本としましていま考えておりますのは、公共の空間を一つはとる——公共の空地でございますね。それからいま一つ建築物の不燃化を図る、この二つが都市防災の基本であろうかと思っております。  そこで、まず公共空地の確保につきましては、これはたとえば街路事業を行います、街路といえどもこれはりっぱな公共の空間でございますから。それから、公園なり緑地を整備してオープンスペースをとる、あるいは土地区画整備事業によりまして街路とか、あるいは公園緑地を生み出すと、こういったことでオープンスペースの整備を図るということにしておりますが、御存じのように、街路なりあるいはその公園、これにつきましてはそれぞれ五カ年計画がございます。街路につきましては、道路整備五カ年計画の中に街路事業が含まれておりまして、道路整備五カ年計画は、第七次で、現在四十八年度から五十二年までの計画でございます。そういう長期計画がございますし、それから公園につきましては、これは第二次の公園の五カ年計画がございまして、これは五十一年度からスタートしたばかりでございます。そういった意味合いで、公園なり街路事業整備に当たりましては長期的な観点からそういったものを整備したいというふうに考えております。  それから、いま一つ建築物の不燃化でございますけれども、これは残念ながら私が知っている限りでは実は長期計画というのはございません。ただ、一般的対策としましては、中心の市街地、これは防火地域とか、あるいは準防火地域に指定をいたします。あるいは市街地再開発事業をやる、あるいは住宅地区改良事業をやるということによりまして、木造のやつをかなりかたい建物に切りかえるというふうなことを逐次行っていって建築物の不燃化を図り、両々相まって、それが長い目で見ますと都市防災に資すると、こういうことになろうかと思っております。
  133. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、建設省建設省で計画を持っておられることは承知しておるわけです。ところが消防庁長官は、なかなかこれはむずかしいというただいまのお答えでございました。私は、そういう実態に照らしましても、やっぱり都市防災という問題について、これは建設省一省ではできるわけではないわけでございまして、やっぱり国土庁中心として関係各省がもう一度今日までの政策を見直して、まあ一挙に完成することはこれ無理なことはだれも承知しておるわけでございますから、たとえば指定地域に対する木造建築から耐火建築への一般住宅の改造に対する融資助成の制度についてさらに拡充するとか、まあ考えれば、私は、日本に冠たる官僚機構でございますから、知恵があると思うんですね。それをやはり国務大臣が積極的に推進されて、私は、本当に改めての都市づくりというものについて大いに見直し、かつ前へ進んでいただきたいと、こう思うわけでございます。  それに関連いたしまして、これはこのように確認していいんでございますね。酒田市の被災地復興のための土地区画整理事業その他関連事業等の採択という問題につきましては、十一月中に都市計画決定を行いたい。年内にその認可を行いたい。それから、二月を目標に仮換地決定を行いまして、なるべく早く本建築が行われるように行政上促進をしていきたい。土地買収については建設省予算をフルに活用するが、それで不足の場合は大蔵省とも積極的に折衝し、枠の確保に努める。大蔵省の答弁でも、これに対しては十分打ち合わせ、前向きに大蔵省としても検討したい。このようなやりとりが今日まで行われた、そのとおりであると確認してよろしいですか。
  134. 中村清

    説明員中村清君) そのとおりでございます。
  135. 柄谷道一

    柄谷道一君 ぜひ、その計画を積極的に推進されまして、一日も早く本建築が行われ、被災者が新しい住居で安んじて仕事に励めるような体制をとっていただきたいと思います。  消防庁長官にお伺いしたいわけでございますが、今回の大火酒田消防本部消防長の上林銀一郎さんが不幸にして殉職をされました。遺族補償等の面について当然手厚い措置がとられることと思いますが、どのようにお進めになっておりますか。
  136. 林忠雄

    説明員林忠雄君) 今回の上林さんに対しては、当然地方公務員としての公務災害補償によって、しかもこれは公務による死亡ということで、それ相応の取り扱いがなされるはずでございます。そのほかに、消防関係としての賞じゅつ金というものがございまして、これは県、市、国から大体同じ額ということで、それぞれの事例に応じて、いままでも災害のときに身を挺して人命を救助し、自分はけがをされた、亡くなられたという方に対して支給されているものがございますので、この賞じゅつ金の方も、いずれ県と市とよく打ち合わせしまして、近く支払われることになると思いますので、その点では遺憾のないように期してまいりたいと思います。
  137. 柄谷道一

    柄谷道一君 ぜひそのようお願いをしたいと思います。  私はそれと関連して、近年消防団員が減少し続けている。昭和四十九年には前年に比べて約一万七千人減少した。これも消防白書に書かれているわけでございます。しかも、その年齢構成は逐次高齢化しつつある。私は、危険度が伴いまして奉仕精神を高く持つ人々の消防というものに対しましては、それ相応の待遇が与えられてしかるべきだと思います。それなくして若者の使命感は強まるはずがないと思うのであります。   〔委員長退席、地方行政委員上田稔君着席〕 この対策としては、自主消防精神を学校教育、社会教育等、あらゆる機会をとらえて積極的に振興いたしまして、住民や企業の認識を深めるなど、消防への参加を容易にする環境づくりがまず必要だと思います。さらに、報酬、出動手当等の増額、公務災害補償、退職報償等の改善など、処遇の改善を行うこと。表彰制度の充実、消防団の運営に創意工夫をさらに加えること。また、団員の育成、資質の向上、装備の近代化など、消防団の内容充実に努めること。こういった総合施策というものが必要だと思うのであります。長官として消防団の今後の強化についてどのような対策を今後お進めになろうとしておるのか、お伺いいたします。
  138. 林忠雄

    説明員林忠雄君) 消防団の数が減少していること及びその年齢が高齢化し、新しい血を入れると申しますか、充足に困難を感じていること、確かに御指摘のとおりでございます。それについては、消防庁としては非常に大きな関心を持ち、重点の施策の一つとして考えておりますし、具体的にはいま先生御指摘になったような待遇面とか、あるいは教育面とか、そういうことで逐次じみちにやっていくしか仕方がないものと考えておりますが、ただ団の減少そのものが、一つには常備消防が強化され、いままで常備化されていなかったところが常備化されていくということにも原因があるわけでございまして、   〔委員長代理上田稔君退席、委員長着席〕 このこと自体はそれほど憂うることではございませんけれども、しかし仮に常備化されたとしましても、たとえば今回の大火とか、あるいは地震でもって火元が非常にたくさん、大きい、かつ消防車が道路が渋滞したり、地割れがしたりして通れないとかいうようなときの消防団の役割りというのはこれは大変重要なものでございますので、常備化されたといって減るのをほったらかしておいていいものではございませんので、当然常備化は進めつつ、消防団というものも確保しなければならない、それに重点を置いてまいりたいと思っております。ただ、いまのような権利のみ主張して、自分の義務なり公の奉仕というものを忘れがちな世の中で、もう金の問題じゃない、自分はもうただでも何でも身命を賭してといういわゆる消防精神というのは、私は個人的には非常に高く、何と申しますか評価しますといいますか、こういうことがいまの日本の社会にも必要だということを強く感じておりますけれども、それは消防庁としてはそれでほったらかしておくわけにまいりませんので、いま先生の御指摘になりました出勤手当の改善とか、あるいは退職慰労金的なものの改善とかいうことを、毎年の予算ないしは交付税の毎年の算定を通じて逐次改善を図っていくということで確保に努めてまいるよう、今後も努力してまいりたいと思っております。
  139. 柄谷道一

    柄谷道一君 私も金のみでのことを言っているわけではないわけでありまして、やっぱりそういう社会的な認識というものも必要でございますし、また消防団員の方のやはり使命感というのも必要でございますけれども、それの裏打ちとしてのやはり諸待遇の改善、これ三位一体になって初めて消防団の強化というものはできるのではないかと、こう思いますから、今日まで御努力をされていることは私知っておりますけれども、学校教育にしても、それではどこまで取り上げられているか、一向に文部省もこの姿勢についてはまだまだの感がございますから、これは一庁だけの、消防庁だけの問題ではありません。これもひとつ自治大臣、各省庁連携をとって、いまの長官の意図が生かされるような政府としての対策を求めておきたいと思います。  それからもう一つは、いま長官も言われたのでありますけれども、酒田市は一年のうち三分の二は十メートル以上の強風のある地域、この酒田には「風のある日は火事が起きない」ということわざがあるそうであります。それは、地域の住民がきわめて防火というものに対する認識が高くて、風の強い日はそれだけ用心するという意味の私はことわざであろうと思うのであります。これだけの大火にかかわらず、焼死者がわずか一名であったということも、市民の防火認識、災害意識というものが高かったことに私は一因があると思います。しかし私は、今後その消防体制の強化とあわせて必要なことは、その地域防災に対する民間エネルギーをどのように適切に誘導していくかという視点が日常から必要であり、これに対する対策が強化されてしかるべきだと思うのであります。住民の防災意識高揚をどう図っていくかということに対する長官としての何らかのお考えがあればお伺いをいたしたいと思います。
  140. 林忠雄

    説明員林忠雄君) 酒田市自体は、確かに先生の御指摘のとおり、非常に防火意識は高いと言われておった地域でございまして、これは江戸時代に一遍大火があったこと以後、明治二十七年に地震に伴う大火がやはりございましたので、それ以来防火意識は非常に高いところでもあったということでございます。今回は何か本当にその一瞬のすきをつかれたという感じがいたしてなりません。おっしゃいますとおり、住民の自主防災体制と言いますか、自主防災意識とそれに伴うことが起こったときの組織的に動く動き方についての訓練と申しますか、そういうものが大切なことはそのとおりでございまして、消防庁としても、いまそこには相当重点を置いた考え方でやっておりますが、むしろいま東京とかそういうところの地震対策に関連して実はそこに相当重点が置かれておる、むしろ中小地方都市についてはまだその都市の自主的なものに任しているということが今日までの実情でございます。  東京あたりは、地震が起きまして、たとえば石油ストーブがひっくり返ったなどということで、火元が多発いたしましたときに、常備消防は道路の交通の状態その他もございまして力になりませんので、東京あたりでは東京消防庁と協力いたしまして、特に危険と言われている江東とかああいう下町方面における自主防災組織の育成にここ数年力を入れてきておるわけでございます。  今回は、酒田のものも契機にいたしまして、そういう地方都市においても、地震も東京とは限りませんし、こういう風の強い、ふとした油断で大火になる危険のあるようなところでは、さらにそれについてもう一遍見直しをするということも必要であるかとも存じます。よくその点について検討を深めたいと存じております。
  141. 柄谷道一

    柄谷道一君 激甚災害の指定については十一月十九日の閣議決定すると、こう理解して間違いございませんね。
  142. 紀埜孝典

    説明員紀埜孝典君) そのとおりさしていただきたいと思います。
  143. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間が余りありませんので、厚生省に二つお伺いいたします。  一つは、災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律は、議員立法として法制定を行いましたときに、不可抗力の天災に限ったという経緯がございますし、また参議院法制局の見解も、一般火災に適用することとは読めないと、こう言っております。したがって、この法の発動ができないわけでございます。とするならば、私は現行制度の中にある世帯更生資金、母子福祉資金、寡婦福祉資金というこの制度を活用いたしまして、被災者の中のいわゆる社会的弱者と言われる方々に手厚い措置を講ずるというのが、私は次善の策としてこれは当然なさなければならぬ対策であろうと、こう思います。  聞くところによりますと、母子福祉資金、寡婦福祉資金等につきましては枠が窮屈だとか何か聞いておるのでありますけれども、これらは被災者の実態に応じ、十分の配慮がなされるべきだと思いますが、いかがでございますか。  第二は、災害救助法によります応急仮設住宅につきましては、その規格が二十三・一平方メートル——七坪と定められておりますし、限度額も六十二万八千円、これは本年七月に改正されたものでありますが、金額はそうなっております。私は、最近の住宅建設資材の高騰というものも考え、またこの額で寒冷地酒田被災者が、これから厳しい冬を迎えて、応急仮設住宅で年を越さなければならぬと、こういう実態からするならば、寒さを防ぐ応急仮設住宅というものの確保が、この金額で果たしてできるのであろうかという考えを持つものであります。この限度額引き上げ等について検討されるお考えはないのか、この二点をお伺いいたします。
  144. 水田努

    説明員(水田努君) お答え申し上げます。  まず最初に、災害救助法に基づきますところの応急仮設の点についてでございますが、私ども六十二万八千円の価格は一応全国平均で見て、そういうものであるというふうに考えておりまして、先生の御指摘にもありますように、積雪寒冷地帯はそれなりの住居の手当てが必要に相なってまいるわけでございますので、その点につきましては、私ども極力配慮を加えたいと、このよう考えております。  それから、第二点目の世帯更生資金につきましては、その資金枠の確保については、行政当局としても当然の努力をしなきゃならぬと、このよう考えております。  なお、先生の御質問のありました母子及び寡婦の資金につきましては、母子福祉課長からお答えをさしていただきたいと思います。
  145. 長尾立子

    説明員(長尾立子君) お答えを申し上げます。  母子家庭につきましては三十七世帯、寡婦家庭につきましては三十四世帯の罹災があったというふうに伺っておるところでございます。  母子の福祉資金の貸し付けにつきましては、事業開始資金住宅資金等につきまして御要望があるというふうに承っておりまして、県当局と貸し付けの計画等を十分に伺いまして、でき得る限り必要な措置をとりたいというふうに、かよう考えております。
  146. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間がまいりましたので、これで質問をやめますが、私の質問の趣旨を十分に体されまして、政府として万全の対策と今後の防災のための施策が強力に推進されることを期待をいたしまして、私の質問を終わります。
  147. 工藤良平

    委員長工藤良平君) 他に御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 工藤良平

    委員長工藤良平君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定をいたしました。  なお、委員長といたしまして、大変御多忙のところ終始熱心に御審議をいただきましたことを厚くお礼を申し上げたいと思います。  なお、大臣には、いまお話しのように、風雨波浪注意報下の、風速三十メートルを超すという状況のもとにおける火災でございまして、この点につきましては、いろいろと問題もあろうと思いますけれども、各委員の御質問にもありましたように、ぜひ閣議におきまして前向きに議論をしていただきたいと、こういうことを申し上げまして、本委員会を終了いたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十八分散会