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1976-10-27 第78回国会 参議院 災害対策特別委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和五十一年十月二十七日(水曜日) 午前十時四十分開会 ――
―――――――――――
出席者
は左のとおり。
委員長
工藤
良平
君 理 事 上條 勝久君
藤原
房雄
君
神谷信之助
君 委 員 上田 稔君 川野辺 静君 佐藤 隆君 園田
清充
君 高田
浩運
君 前川 旦君 原田 立君
柄谷
道一君 国務大臣 国 務 大 臣 (
国土庁長官
) 天野 光晴君
政府委員
国土庁長官官房
長 河野 正三君
国土庁長官官房
審議官
紀埜
孝典君
国土庁計画調整
局長
下河辺 淳君
農林政務次官
片山 正英君
農林大臣官房技
術審議官
川田 則雄君
農林大臣官房審
議官
杉山
克己君
農林省構造改善
局次長
福澤 達一君
建設政務次官
梶山 静六君
建設省河川局長
栂野 康行君
事務局側
常任委員会専門
員 森 一衞君
説明員
経済企画庁総合
計画局計画官
広田 孝夫君
文部省初等中等
教育局財務課長
西崎
清久
君
厚生省社会局施
設
課長
水田 努君
農林省農林経済
局金融課長
若林 正俊君
農林省農林経済
局保険管理課長
船曳
哲郎君
農林省農林水産
技術会議事務局
研究総務官
川嶋 良一君
食糧庁業務部長
戸塚
金郎
君
林野庁業務部長
須藤 徹男君
中小企業庁計画
部金融課長
松尾 成美君
気象庁予報部長
期予報課長
青田 孝義君
建設省都市局
都
市政策課長
松原
青美
君
建設省河川局治
水課長
小坂 忠君
建設省河川局砂
防部傾斜地保全
課長
大工原
潮君
自治省財政局指
導課長
関根
則之
君 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
災害対策樹立
に関する
調査
(
冷害対策
に関する件) (
台風
第十七号による
災害
に関する件) ――
―――――――――――
工藤良平
1
○
委員長
(
工藤良平
君) ただいまから
災害対策特別委員会
を開会いたします。
参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
災害対策樹立
に関する
調査
中、
地震対策
に関する件について、来る二十九日の
委員会
に
地震予知連絡会会長萩原尊礼
君、
東京工業大学教授力武常次
君及び
文部省緯度観測所所長
兼
東京大学教授坪川家恒
君を
参考人
として
出席
を求め、その
意見
を聴取することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
工藤良平
2
○
委員長
(
工藤良平
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ――
―――――――――――
工藤良平
3
○
委員長
(
工藤良平
君)
災害対策樹立
に関する
調査
を議題とし、
冷害対策
に関する件及び
台風
第十七号による
災害
に関する件について
調査
を行います。 この際、
冷害
及び
水害
に対する
農林省
の
対策措置
について
政府
から
報告
を聴取いたします。
杉山審議官
。
杉山克巳
4
○
政府委員
(
杉山克巳
君)
農林省
の
災害対策
の概要について御
説明
申し上げます。お手元に
資料
をお配りしてあるかと存じますが、
農林省災害対策本部
の名をもって十月十五日に明らかにしたものでございます。 前書きをごらんいただきますと、八月以来
北日本
の
冷害
及び西日本の
水害
に対しいろいろ
検討
してきた結果、現在までにとった
措置
、それから今後
措置
したいと
考え
ている
事項
を整理してみたのがこの表でございます。今後
関係省等
との
調整
を要する点もございますが、
農林省
としてはこのすべてについてぜひ実現を図りたいというように
考え
ております。 初めに、
冷害被害
に対する
対策
の
検討
でございます。
項目
として、第一に
天災融資法
の
発動
がございます。右の
説明
の欄に十一月中
発動
というふうに書いてございます。十月十五日現在の作況を十一月二日、来週に発表いたします。その際、
被害調査
も取りまとめることにしておりますので、それに基づきまして手続を進め、十一月中に
天災融資法
を
発動
するということにいたしております。
個人
八十万、そのほか金額それから一番右に
金利
が書いてございますが、これは
天災融資法
が
発動
になった場合の
経営資金
の
貸し付け
の
条件
でございます。 それから二番目に、
激甚災害法
の
発動
というのがございます。これも
天災融資法
の
発動
と同時に
発動
するということを予定いたしております。
貸し付け
の
条件
は、それぞれ
限度額
が引き上げられる等の内容があるわけでございます。 それから三番目に、
自作農維持資金
の
融資枠
の
確保
というのがございます。これにつきましては、まず総体としての
融資枠
を
確保
すること、今回の
冷害
大変大きゅうございますので、当然、当初予定した
所要額
では足りなくなる、したがって全体としての
融資枠
を
確保
する必要がまずあるわけでございます。それから
個人個人
の借り受け者、これもいろいろありまして、何遍も過去に
災害
をこうむっておる、すでに借り入れておって、
限度額
いっぱいあるいはそれに近く借りていて、新しく借りる余地がそのままでは少ないという人に対しては、これは
特例
を設けて
限度額
の引き上げをするということを
検討
いたしております。 それから四番目に、
既存借入金
の
条件緩和
及び
応急つなぎ融資
というのがございます。まず第一に、
公庫資金
、
近代化資金等
について
償還期限等
につき
条件緩和
を図る。「
近代化資金等
」とありますが、「等」ば
改良資金
そのほかでございます。それから二番目に、
応急つなぎ融資
。各種の
制度
上の
融資手当て
はどうしても若干の時日を要する、それまで待てないという
向き
に対してはとりあえずの
応急つなぎ融資
の
措置
をとる。これらのことにつきましては、右にありますように、
農林経済局長
それから
農蚕園芸局長名
をもってそれぞれ十月五日、十月七日に
関係機関
に通達を出しております。対象といたしまして
融資機関
それから道、県、そのほか
農業団体等
でございます。なお、二番目の
応急つなぎ融資
の件につきましては道、県に対し
指導
と、それから
援助
をお願いいたしております。 五番目に、
共済金
の
早期支払い
でございます。これは
年内支払い
を行う。それから
年内支払い
は必ず末端の
農家
に本
払い
が行われるようにするということでございますが、それまでの間におきましても必要に応じ
共済金
の
仮渡し
――
仮渡し
というのは
個々
の
単位共済組合
から
農家
に対する
支払い
でございます。それから再
保険金
の
概算払い
。これは国が
共済連
に対する
支払い
でございます。これらを行っていく。 それから六番目に
損害評価
の
特例措置
というのがございます。
共済
の
損害評価
に当たりましては減収をどう見るかというのがなかなか大きな問題でございます。ことしの
被害
の
実情
をできるだけ反映するという
考え方
に立ちまして、ふるい目の上に残った、
通常
なら
収量
と見られるものについても、そのうち
被害
のある分、
程度
の著しいものについてはこれを
収量
と見ないというような
損害評価
の
特例措置
を行うことといたしております。 それから七番目に
損害評価
の
事務費
。
共済金
の
評価事務
、きわめて大量に今回は発生することになります。それに伴って
事務費
も増加する。そういう
事務費
の
増加部分
につきましては、国に若干
保留分
の
予算枠
も残っておりますので、これを重点的に
追加
配分
する。それから二番目に、
共済団体等
の
特別積立金
がございますので、従来これは
事務費等
に使ってはいけない、
使用規制
をしておったわけでございますが、近年事故が少ないためこの
積立金
が相当多額に上っております。これについてはそういう
規制
を緩和して積極的に
使用
をさせることを認めるということにいたしたいと思っております。この額はきわめて大きゅうございまして、
共済連
、
共済
組合合計しますと百八十億円以上に上ります。 それから八番目に
被災地帯
の
雇用確保
の問題がございます。いわゆる
救農土木事業
でございます。これは
労務比率
の高い
土地改良
、
治山
、
林道
、
造林等小規模事業
を
実施
するということにいたしております。
趣旨
は地元における
現金収入
の機会を
確保
するということでございます。これにつきましては、すでに
予算等
もおおむねの枠が決まりまして、目下各県にその内訳を
配分
するよう
事務
を取り進めている
段階
でございます。 九番目に
規格外玄米
の
買い入れ措置
。これは二つに分けまして、食糧として配給可能な米穀、これにつきましては、まず有利な
規格
で売れるものはできるだけそうしていただくということで、
自主流通米
として
販売
していただくということを
考え
ております。しかし、まあそういうふうに、ことしのような場合
自主流通米
として売れるものは限られる、売れないものについては
政府買い入れ
をするということで
考え
ておるわけでございます。これにつきましては、すでに二十五日に、一昨日でございます、
買い入れ
の
規格
及び
買い入れ
の価格も決めまして、
北海道
、
東北
に対しては告示をいたしております。それから
主食不適
のもの、
主食
として適さないくず米が相当量出回る、これが大量に出回れば
農家
としては買いたたかれるおそれがある。そこでそういうものが円滑に
販売
されるよう
関係団体
を
指導
する。
農業団体
に一元的に集荷させ、
需要者側
、これは
原材料用等
に使われるわけでありますが、みそでありますとかあるいは
菓子用
の
加工等
に使われるわけでございますが、そういう
需要家側
の
団体
との
団体取引
について円滑に流れるように国としても
指導
するということでございます。 それから
予約概算金
の
利子
の
減免等
。
被害
の著しい
地域
の
激甚被害者
、こういうものについてはその
利子
の
減免措置
が現在の
制度
でもとられることになっております。その
制度
に基づきまして
減免
を図る。それから元金の
延納
についても
要望
が強いのでございますが、これはその法律的な
性格等
からいたしましても直接に
延納
させるということは困難でございますので、現在ある
集荷業者
の
代位弁済
の
仕組み
、これを活用するということを
考え
ております。 それから十一番目に
自家飯米
の
確保
。
収穫皆無等
で
自家飯米
にも事欠くという
農家
がございます。そういう
農家
に対しては、まず第一に
政府米
を
通常配給
の
ルート
によって配給するということ。それから特に
被害
が著しいような場合は、現在の
仕組み
におきましても
都道府県知事
それから
市町村長
を通じて直接売却する。
通常
の
販売ルート
でなく、そういう
公共団体
を通じての直接
販売
があると、その代金については一年間の
延納
を認めているということがございます。
利子
は無
利子
でございます。こういう
措置
もとるということを予定いたしております。 それから十二番目に次
季作用種子
の
確保
。一に、
水稲
の
種子
の
確保
について
指導
。今回の
災害
の
実情
を見ますというと、どうも来年の
種もみ
の
手当て
は県内だけでの調達は困難なところが多い。そういうものにつきましては
県間調整
を図る必要がある。国はそのため、各
地域
の
種もみ
の
需給
の
状況
について現在
調査
をしております。できるだけ早く対応できるように
種々指導
を図っているところでございます。それから二番目に、その場合、単に
需給
の
調査指導
ということだけでなく、実際に売買される
水稲
の
種代
、その一部についても助成するということを
考え
ております。これについては前例もありますので、それらも
参考
にして
被害数量等
をにらんでこれから決めてまいりたいというふうに
考え
ております。 それから十三番目に
飼料
の
確保
でございます。特に
北海道等
におきまして粗
飼料
が思うようにとれなかった。この冬の
越冬飼料
に事欠くというような
畜産農家
もございます。そういった
向き
に対しては、ほかの融通のきくような
地域
から粗
飼料
を回すというような
需給調整
を図るということ。それから、どうしても足りないという
向き
、しかも
政府
のお
手持ち
を
払い
下げてほしいという
向き
には、
手持ち
の大麦もございますのでこれを
払い
下げるということも
考え
ております。 十四番目に、
防除
に対する
措置
でございます。本年は
病害虫
の発生が非常に早い時期から懸念されましたので、いつもの年に比べて
病害虫防除事業
を相当活発に行っているということがございます。そのため
経費
もかかっております。
農薬等
についても見てほしいという
要望
がございましたが、消耗的な
経費
につきましては、先ほど申し上げました一番再
生産
の基本となる
種子
の
確保
を重点に
考え
るということで、
防除
に対する費用につきましては、
団体等
の
指導経費
、この掛かり
増し分
について
既定予算
を重点
配分
するということで対応したいと
考え
ております。 それから十五番目に、
試験研究
の
充実
、
技術指導
の
徹底
でございます。
項目
が四つ掲げてございますが、これはことしだけの
対策
というよりはむしろ今後の
恒久策
という
性格
が強いものでございます。まず第一に、
冷害
に関する
緊急調査
の
実施
。これはすでにたび重なる
調査団
の派遣、さらには現在
関係者
、
専門家
の
意見等
を聞いてそういう
調査
をやっているところでございます。二番目に、
異常気象対応技術
の
確立
に関する
総合研究
の
実施
。これは本
年度
から五カ年間のプロジェクトをもって
実施
することを予定しておったものでございます。今回の
冷害
を非常に貴重な教訓としてさらにその
総合研究
の
充実実施
を図るということ。三番目に、
耐冷性品種
の育成、四番目に
技術指導
の
徹底
、こういったことを
考え
ているわけでございます。 それから、次の二枚目に移りまして、
台風
第十七
号災害
に関する
対策検討事項
でございます。
項目
として、1に農地、水路、農道、
林道
、
治山
、
漁港等
の
早期復旧
というのがございます。
対策
といたしましては、第一に
早期復旧
を図る。そのために
復旧計画
の
作成指導
、
応援体制
の
確立
、
早期査定
ということを基本的な
考え方
として
対策
を講じているところでございます。それから
査定
を待っていられない再度
災害防止
、人命にかかわるようなことから緊急を要するものにつきましては、
応急工事
を認める、それから
査定
前着工も認めるということで
早期復旧
を実現しつつあるところでございます。それから二番目に、積極的な
改良復旧
の
実施
。原則は従来から
原形復旧
ということになっておりますが、しかしそれでは再度
災害
の危険も大きいというようなところもありますので、できる限り積極的に
改良復旧
を
実施
してまいるという
考え方
でございます。三番目に、
査定設計書作成委託費補助
の
検討
。
事務量
が多く
市町村
にとってもかなりの負担になっております。これらについては
補助
を
考え
るということでございます。 それから、
項目
の二番目といたしまして、
個人施設
、
共同利用施設
、
災害融資
。これは
農林漁業金融公庫資金
の
融資
として
金利
六・二%の
災害融資
の
制度
がございます。これが
激甚災
の
被害者
に対しては三年間は三%というような
特例
も受けられるということになっております。これを活用する。 それから、十七号につきましては
激甚災害法
の
発動
。これは十月十二日政令第二百七十五号ですでに出しておるわけでございます。それから、この
資料
をつくりました十五日現在ではまだ出ておりませんでしたが、2の
農作物等
につきましても、十月の二十一日、同様、これは四番目の
天災融資法
の
発動
と同じ日付でございますが、
発動
をいたしております。 それから、
農作物被害
につきましては、これは
冷害
の場合に御
説明
しましたこととほぼ似たような話でございますので、
説明
省略いたします。 ただ一つ、その十六番目に、
家畜衛生対策
。
被害地域
に対して
都道府県
が行った
家畜伝染病予防対策
に要した
経費
の助成というのが、
水害
の
特殊性
にかんがみまして一つあるわけでございます。 なお、この
資料
は、私
ども
まだ
政府
として正式に
最終決定
を見ない
段階
ではございましたが、関係する各方面、道県、
市町村
、
団体
、
個々
の農民、そういった
方々
に、やはり
政府
がどういうことを
考え
ているか、
農林省
としてどんなことをいま
検討
しているかということをよく知っていただき御安心いただきたいという気持ちから、やや粗漏ではございますが早急に取りまとめたものでございます。 以上をもって
説明
を終わります。
工藤良平
5
○
委員長
(
工藤良平
君) これより
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言願います。
藤原房雄
6
○
藤原房雄
君 いま
冷害対策
につきまして
農林省
から
報告
があったわけでありますが、十五
項目
にわたります
検討事項
につきまして詳細な御
説明
がありました。まあほぼ、
関係団体
の方やまた
農家
の
方々
の
要望
が盛られているようであります。詳細のことについてはまた後ほどお聞きしたいと思うんでありますが、八月に入りましてからの
日照不足
とか長雨ということのために今回のこういう五十年来、六十年来と言われる
冷害
に見舞われたわけでありますが、それに対して、
東北
では、
山間地
ではもう雪が降っておるという
条件
もございます。
農林省
でも一生懸命御努力なさって今日のこの取りまとめができたんだろうと思います。その点については心から敬意を表するとともに、いまお話がありましたように、来年の再
生産
、または
農家
の
方々
が後継者問題とかいろんな問題を抱えておるわけでありますが、それにくじけずに営農にいそしむことのできるようなきめ細かな配慮、この
実施
、こういうことにもぜひひとつ御努力いただきたいと、こう思うんであります。
農林省関係
についてはいま
報告
がありましたんですが、これに伴いまして、
自治省
に対しましても、当然、
農業県
であります
東北
六県につきましては、この
冷害
のために各
地方団体
から大変な
財政
上いろんな
要望
が出されておることはよくご存知だと思います。
地方財政
に対する
対策
、また具体的な問題としましては、
国民健康保険税
の
減免
とか、また
落ち込み等
についての
特別調整交付金
、こういうものについても配慮してもらいたいと、いろんな問題について陳情があったろうと思うんでありますが、
自治省
として、このたびの
冷害
に対してとられた
措置
、ちょっと御
説明
をいただきたいと思うんですが。
関根則之
7
○
説明員
(
関根則之
君)
自治省
といたしましては、御承知のとおり、現在
地方財政
が非常に苦しい局面を迎えている中で十七号による
災害
が発生した後から追いかけるような形で
冷害被害
を受けまして、特に、もともと
財政力
の弱い
東北
各県におきまして
財政
的に苦慮をいたしておるような状態でございます。それに対しましては、今
年度
のとりあえずの
災害対策
につきましては、例年やっております
特別交付税
の枠の中で具体的な
都道府県
なり
市町村
の
財政需要
に応じていきたいというふうに
考え
ておる次第でございます。 今
年度
は、この春に法律の改正がございまして、
特別交付税
の
配分
時期を十二月に繰り上げまして
災害
その他の
財政需要
には対応するという
仕組み
になっておりますので、現在各
地方公共団体
から
冷害
に伴います
財政需要等
につきまして
資料
の取り寄せを行っている
段階
でございます。十二月の時点で
特別交付税
の
配分
によりまして
地方団体
が
財政
上支障のないように
措置
をしてまいりたいと、かように
考え
ておる次第でございます。
藤原房雄
8
○
藤原房雄
君 これはよく掌握なさっていらっしゃることだと思いますが、
地方
自治体といたしましては、
財政
の非常に逼迫した中で早急に
対策
を講じなきゃならぬという、特に
東北
、
北海道
は間もなく雪がやってくるわけでありますから、施策が非常に急がれるという、こういうことで十分な
自治省
との間のお話し合いは適切に、また
起債等
についても早急にしなければならない諸問題があるわけです。時間がありませんから一つ一つ申し上げる時間がないわけでありますが、ひとつ
地方
から参ります問題については真剣にお取り組みいただいて
対策
を講じていただきたいと思います。 それから、
文部省
も、今回の問題については
冷害
に見舞われた
方々
の
子供
の、子弟の問題ですね。また
学校給食費
とかそのほかについては
市町村
である
程度
財政援助
をしなきゃなんないだろうというふうなことも
検討
していらっしゃいますし、来年進学する
子供たち
に対しての
高校進学
に対しましての
育英奨学資金
の弾力的な
取り扱い等
に、
採用条件
の弾力的な
取り扱い
、こういうことをある
程度
見ていただきませんとやっぱり断念せざるを得ないという
子供
さんが多いとか、そのほか
特殊学校
に就学していらっしゃるこういう
方々
の、それでなくても大変な
経費
がかかって大変なところへこのたびの
冷害
ということで、出かせぎにつきましてもなかなか思うようにいかない。そういう点で、これはもう人数とすればそんな何千、何万という数じゃないかもしれませんが、特に
山間高冷地
に
被害
が大きいわけでありますので、ただでさえも大変なところにこのたびのこういう
被害
ということで何らかの御処置をしなきゃなんない。
市町村
でもいろいろ苦慮していらっしゃるようでありますが、
文部省
としてこれらの
義務教育
、さらにまた
高校進学
とか、こういうものに対してどういう
冷害
を
中心
としまして
指導
なさっていらっしゃるか、またはお
考え
でいらっしゃるか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。
西崎清久
9
○
説明員
(
西崎清久
君) 私
ども
の方では、
先生
いまお話しのとおり、
学用品費
でありますとか
通学費
、
給食費
にかかりましての、
市町村
が準要
保護家庭
に給与する場合の
補助
を二分の一で行っております。この点
通常
の場合ですと、三月に
認定
をいたしまして年末までに給与するわけでございますが、
年度
途中に
冷害
を含めまして
災害等
が起きた場合には、やはり
年度
途中で
追加
の
認定
ができるような
仕組み
をとっております。そこで、私
ども
もこの
北海道
を
中心
とします
冷害
について九月の末からいろいろ
計数
の
調査
をし、そして
都道府県
を通じまして実態の
追加
の
認定
、
状況
の
調査
をいたしまして、現在のところ
北海道
ほか
東北
各県で約一万八千人
程度
の
該当者
が出るのではないかというふうな
計数
をつかんでおります。ただ、今後もこの点については、まだ
収穫
が全部終わったというわけでございませんので、なお若干の
追加
が出るのではないかというふうなことで、もう少し
計数
の締まりぐあいを見ましてから
予算
の範囲内でできる限り
追加
で
援助
できるようにこれを持っていきたいというふうに思っております。 それから、
育英奨学
の方はちょっと私
担当課
でございませんが、やはりこれは
日本育英会
とかいろいろな
団体
ございましてやっておりますので、
先生
の御
趣旨
はよく伝えるようにいたしたいというふうに思っております。 以上でございます。
藤原房雄
10
○
藤原房雄
君 さっき
農林省
からお話あったんですが、実際その現地へ行きますと、いろんな
要望
があったけれ
ども
、それはどうなっているのかということについて非常に一まあ
周知徹底
ということはなかなかむずかしいことです。
農林省
でいろいろ
検討
して、まあその
地域地域
でみんな
特殊性
がありますから、そういう点も配慮するということになりますと、いろんな画一的にいかない面もあるかもしれません。そういうことから今回のようにそれぞれの
要望
についての
考え
をまとめるということは非常にいいことだと思いますし、そういう点で
文部省
、
自治省
それぞれいろんなことについて御
検討
なさっている。まあ何もこれ
中間発表
ということじゃ決してありませんけれ
ども
、やっぱり
考え
をまとめられて、地元の
方々
にその
考え
をまとまり次第いち早く知らせるということは、これはもう三月になれば当然進学の問題、いまからそのためにどうするかということも出てくるわけでありますし、お役所としてはなかなか大変な作業かもしれませんけれ
ども
、当人にとりましては、
被害
を受けた
方々
につきましては早急に決断を迫られる、そういうことであるということをひとつ念頭に置いてこれからの配慮をしていただきたいと思うのですね。時間ありませんので、
個々
の問題についてはいろいろお聞きしたいことはあるんですが、大綱的なことをお話しいただきましたので、次に移りたいと思います。
冷害
問題につきましては、私も何度か現地を視察をしましたし、またいろんな
方々
とお会いして一いろんなことを議論しなきゃならぬと思うんですが、きょうは、与えられたわずかの時間ですから余り幅広い、広範にわたることはできませんので、何点かにしぼってお聞きするわけでありますが、やはり今回の
冷害
というのは、確かに異常な気象だということは、これは言えると思います。しかし、その異常な気象の中でやはり技術革新、技術の進歩によりまして確かに最小限度に
被害
を食いとめたという
方々
もいらっしゃるわけであります。そういうことを
考え
ますと、異常気象のためにどうしようもなかったということではない。やはり事前の準備なり
対策
なりというものは一つの効果をあらわしておるという実証も私
ども
はしばしば話を聞いておるわけでありますが、そこで大事なのは、気象観測または年間の――年の初めといいますか、一年間の気象予測ですね、これが非常に大事になってくると思うのです。気象庁のこの年間の気象についての予報というものが、まあこれはいろんな
条件
がありますから大変なことだと思いますけれ
ども
、現在年間予報というものはいつごろどういう形で出されるかということをちょっとお聞きしたいと思うのですけれ
ども
。
青田孝義
11
○
説明員
(青田孝義君) お答えします。 気象庁では現在ルーチンには、一番長い予報で半年間の予報。これは夏の予報に対しましては三月十日に、それから冬の予報に対しましては十月二十日に出しております。そのほかに毎月一回三カ月予報と、月二回一カ月予報をそれぞれ出しております。 で、いま
先生
がおっしゃいましたような問題、一年間にわたってどうのこうのという問題になりますと非常にむずかしい問題でありまして、一カ月以上の予報を出している国は、日本を除いてはほんの一部の国々しかありません。そういうふうに非常にむずかしい問題でありますので、気象庁としましても、いろいろ何とかその予報を先に延ばせないかということで、ふだんから研究
調査
あるいは開発をしている現状であります。
藤原房雄
12
○
藤原房雄
君 まあ私
ども
もこの農業気象観測ということと気象庁のこの観測のあり方ということについていろいろお話は聞いておるわけですけれ
ども
、確かにこの気象観測というのはむずかしい面はあると思うんです。ことしにつきましても、やはり年の初めからことしは危ないぞというようなことはいろいろ聞かされておりました。それは公式な発表ではないかもしれません。そういうことは耳にするわけでありますが、あるいは気象庁というのは農業のために気象観測があるんじゃないと言えばそれまでですけれ
ども
、やはりこの観測なりまた予報というもの、予測というものが国家社会に大きな貢献をなすんでなければ、何たる予報かということになるわけでありまして、その国家社会のための一つとして、農業の気象観測というものも当然これは
考え
の中に大きく入れなきゃならぬ。この観測のむずかしさとか、他国にはもう一カ月以上ないんだという、そういうむずかしさというものはわれわれもよく知っているわけですが、ただ役所として公式の発表をした以上、それには責任を持たなきゃならぬということで、責任ある発表するためには、どうしてもこれだけの期間が必要であり、そんな長期のものはできないという、こういうことになりますと、どうしてもこれは萎縮するといいますか、大胆な発表はできなくなる。これは農業気象とタイアップして
考え
ますと、夏の半年、夏についての発表が三月十日ということだと、これは相当自信をお持ちになって発表なさるのかもしれませんが、実際
農家
の
方々
としまして、三月十日ごろの発表ですと、もう農作業も始まっておりますし、ことしはどういう品種をどうするかということについては、もう大体判断をした後ということになるわけですね。こういうことで、三月十日というのは、いろんな今日までの歴史的な中で気象庁の観測の発表があるのかもしれませんが、やっぱり農業気象観測という、日本の
特殊性
から言いまして、そういう点についてもひとつ十分配慮を払った観測というものができないのかどうか。気象庁ベースでの予測、それを農業
関係者
が利用するという、そういう行き方ではなくして、やはり
農林省
は
農林省
としての一つの体験も持っておることはわれわれもよく知っておるわけですが、やはり気象庁としましても、この農業気象というものについて十分配慮を払った、すぐにこういうものが公で発表できないとすれば、何か連絡機関等を設けてやっぱりこれを
調整
をし、そういう方向に持っていくという、こういう努力、そういうことが必要でないかと思うんですが、そういう形はある
程度
あるようですけれ
ども
、もっとこういう大きな
冷害
があったときに、やっぱり真剣になって取り組んでいただいて、早くそういう体制を
確立
するという、予測の外れるのを恐れるのじゃなくして、やっぱり大胆な第一歩が必要じゃないかと私は思うんですけれ
ども
、どうでしょう。
青田孝義
13
○
説明員
(青田孝義君) そういう意味で日夜開発に苦心しておるわけでございますが、たとえば現在気象庁で開発について苦労している点は、一つは、
資料
が現在までは北半球だけの
資料
を使って予報をしておったわけですが、これはどうしても北半球だけでは足りないということで、本
年度
から南半球の
資料
も使っての予報技術の開発という点でいま進めております。それでも御承知のように、全球的に見ますと地球表面の三分の二は海であります。陸の方でも砂漠もありますし、あるいは高い山もあります。そういうところでは
資料
が入ってこないわけです。そういうことで、これは国際連合の下部機関である世界気象機関というのがありまして、それが
中心
になりまして、現在地球大気開発計画というものを進めております。そこで日本の気象庁としましても、これに対応して来年の七月に静止気象衛星を打ち上げまして、その
資料
を収集し、あるいはそれを処理するといった方向で、とにかく大気大循環の理解を深めよう、それが一番基礎的な問題であるというふうに
考え
ておりまして、その方向で鋭意研究開発を進めております。
藤原房雄
14
○
藤原房雄
君 まあその土地その土地のきめ細かな問題になりますと、いろいろ責任ある立場として、気象データとかいろいろなものをもとにしなければならぬと、それはぼくらもよくわかりますけれ
ども
ね。まあいま言われておりますように、氷河期が来るんじゃないかとかいろいろなこと言われておるわけですが、長期的な、地球の全体的な観点に立ちまして、まあそういう大きなことは別としましても、大体の方向性というのはおわかりになるだろうと思いますし、特に半年以上先になると大変なことかもしれませんけれ
ども
、さっき申し上げたように、三月に
種もみ
の選定を終わって苗代に入るということからいたしまして、そういう農業の環境
条件
というものを勘案して、やはりそれに資するような観測予報というものができないかどうか、そういう農業とのタイアップの上に立って予測、これは夏まではいかない、春先ということになるかもしれませんが、いずれにしましても、そういう日本の農業国の中で気象ということが非常に大きなウエートを占めるその予測、それが何に資するか、どの時期であればどうなるかという、そういうことを配慮して、農業気象という上にもそれが大きく貢献するような予報の発表時期その他について
検討
してはどうかということを私は申し上げているわけですけれ
ども
、それはある
程度
今日まで
検討
してきておることは私も聞いているわけですけれ
ども
ね、さらにひとつ今回のこういう大きな
災害
があったことを
中心
として、さっきお話ありましたこと等も
考え
あわせて、ひとつ積極的に進めていただきたい、こう思うんです。 それで、こういう異常気象も、予報ができたからといって、ことしは
冷害
が来ます――手をこまねいていたんではしようがないので、いろいろな技術開発、品種の改良等についても今日まで進まれてきたのでありますが、今回のこの
被害
で、私
ども
、いろいろなことがあるんですが、一つ申し上げたいことは、省力化、機械化ということがどんどんどんどん進んできたわけでありますが、ことしは機械植えした、機械で田植えをした、田植え機械を使った
農家
については
被害
が大きい。それは種苗のあり方等について、育苗センターが今後どういう形であるべきかという一つの大きな問題を投げかけていると思うんです。この問題は、
考え
ますと、結局、悪い見方かもしれませんが、農機具メーカーに行政
指導
が追いつかぬというか、そこまで目が届かなかったといいますか、農機具メーカーの言いなりにこの機械化が進んできたという、一つは行政面の怠慢と言いますか、それがもたらした一つのこのたびの問題だったろうということも言えなくもないと私は思うんです。やはり新しい機械化という方向に進む、それにはそれ相応の
農林省
としての行政
指導
なり、またいろんな研究を踏まえての対処の仕方というのはあるんじゃないか。
農林省
でもこの点については十分御
検討
していらっしゃることだし、今後またいままでの種苗ではならぬということで、いろいろ
検討
していらっしゃることはわれわれよく聞いておるわけなんですけれ
ども
、この点の今後について機械が先行して、どんどん、どんどん、これ進む、そこから、ことしは異常気象だと言えばそれまでですけれ
ども
、その中にあって、やはり行政当局のなすべきことがあったろうと思うんですが、この点どういうふうに
検討
していらっしゃるのか。機械化が非常に進んでおります。これに対して
農林省
も、相当今後のあり方については決断をしていただきませんとならぬではないかと思うんですが、どうでしょう。
杉山克巳
15
○
政府委員
(
杉山克巳
君)
先生
御指摘のように、機械化、特に田植え機の進展、これは最近はなはだしいものがございます。一昨年が田植え機の普及率が三一%、昨年が六二%、ことしは恐らく七〇%台、
東北
のようなところでは八〇%台にも達している県があるというふうに承知いたしております。そういう機械化の進展に伴って栽培技術全体がどういうふうにこれを受けとめてきたかということになりますと、ことしの
災害
の態様を見ますというと、そこはいろいろ反省させられる面もあるわけでございます。ただ、機械化が、一般に機械化自体がいけないんだというようなことではなくて、機械化に対応するような、いわばソフトウエアといいますか、それを受けとめる側の全体の体制に今後も
検討
すべき問題がたくさんあると思います。たとえば、機械化に伴って、田植え機の普及に伴って、それに適するような苗が、きちんと健康なものが供給されているかどうか。機械化ということになりますというと、機械に田植え、そのほかの時期等も振り回されるようなことも出てまいるわけでございますが、そういう時期の問題、田植えの時期の問題な
ども
どう対応していくかというようなこと、私、全体としてのこういう機械化の傾向をいけないとか、これをもとへ戻すということはできない問題だとは思いますが、そういう機械化が進展する中で、これを受けとめる
個々
の栽培技術、それに対するまた国の
指導
のあり方ということについては、今回の
冷害
の要因分析の中で、一つの重要な
項目
として
検討
を進めているところでもございますし、十分今後慎重に対応してまいりたいというふうに
考え
ております。
藤原房雄
16
○
藤原房雄
君 先ほど
冷害対策
については、十五
項目
についての御
説明
がありました。まあ非常に
要望
についてきめ細かにいろいろ
検討
したようでありますが、しかし、これで
農家
が全部救われるわけではございませんで、やっぱりさらに現場の声を聞きますと、いろいろ問題があるようです。農林大臣は現行法で十分に対処できるという、こういうお話があったわけでありますが、これも現行法の中で最大限努力なさった結果がここに盛られておることだと思います。私
ども
考え
るのに、今回の
冷害
というものについて、どういう認識をするかという、これ認識にもよるんではないか、これが非常に大きいんじゃないかと思うんです。十七号
台風
では確かに五十人近くの方が亡くなった。
冷害
で自殺なさった方が二、三人いらっしゃったようでありますけれ
ども
、それは
冷害
ということが主な原因であるかどうかということは私
ども
定かではございませんけれ
ども
、いずれにしても、非常に悲惨だという、そういう一つの象徴的なことだろうと私
ども
思うわけですが、しかし、この
冷害
は確かに
台風
のように多くの方を一時に死に至らしめるということじゃないかもしれませんが、実際これから多くの
方々
が大変な苦しい生活を強いられるわけであります。それだけに、きめ細かな
対策
が必要になってくるだろうと思うんですが、やっぱり
農林省
当局として、今回の
冷害
に対してどういう認識を持つか、これは農林水産
委員会
でも十分討議があったことだと思いますけれ
ども
、
水稲
の作況指数という、この作況指数のとり方にもいろいろ県でとったのと、それから
農林省
と余りにも差が開き過ぎるということについての地元民の批判といいますか、
農林省
では深刻に受けとめていないという見方をしている。岩手県等では指数が一〇から違うわけですから、そういう気持ちを抱くのは当然かもしれません。これはまた十月のやつが間もなく発表になるだろうと思います。この指数のことについては私、多くを論じようとは思いませんが、とにかくこの
冷害
の現状というものを正しく認識し、深刻に受けとめて、さらにひとつきめ細かな
対策
を講じていただきたいと思うんです。 それと、この
冷害
の評価という問題についてなんですが、現行法で足りるんだという大臣のお話ですが、現在の
共済
制度
のあり方、まあ三割足切り方式ということが
農家
の
方々
に現実どういう問題をもたらすかということと、それから
共済金
の対象の四〇%減収と判定されても、
収穫
できたお米も青米とかくず米ばかり、品質が非常に低下しておるという、こういう現状からしましてね、
共済金
がわずかであるとともに、実際
政府
に
買い入れ
てもらう、買ってもらうお米が幾らもないという、こういうことで、この
共済
の
制度
そのものについて、やっぱり今回のことを一つの教訓として
検討
しなければならない。これは
共済
というのは、自分で
共済
掛金を出すわけでありますから、本人、
農家
自身の問題でもありますし、そういう点については
農家
の
方々
もいろいろなことで反省をしている面もあるんですけれ
ども
、それとともに
制度
自体についての
検討
というものも、これは農林水産
委員会
でもずいぶん議論になったことだと思うんですけれ
ども
、現行法で事足りるという大臣大みえを切ったような言い方をするんで、私、ちょっと頭にきて言うんですけれ
ども
ね、これはぜひひとつ現行法で事足りるということだけではなくして、今回この
冷害
を通しましていろいろな問題点が提起されております、ぜひひとつ御
検討
いただきまして、そして対処していただきたい、こう思うんです。ちょっとひとつ、所見がございましたらおっしゃっていただきたい。
杉山克巳
17
○
政府委員
(
杉山克巳
君)
農林省
としては、今回の
冷害被害
はきわめて深刻なものだというふうに重大に
考え
ております。そういう
考え方
のもとにもろもろの
対策
を
検討
し、精いっぱい努めているところでございます。 なお、大臣が現行法で足りると申し上げたのは、何も一切要らないというような意味ではなくて、できるだけの
手当て
を現行法の体制内でもとれば、それで
農家
に対してまあ万全といいますか、とにかく対応できるような
措置
は講じられるんだということを申し上げたわけでございます。現行法の問題についてはなお今後
検討
する問題何がしかあるかとは思いますが、
先生
がいま御指摘になられました農業
災害
補償法の足切りの問題につきましても、先般の国会におきまして法律改正を行って、足切り全相殺農単方式というものについては一〇%までという方式を採用することにいたしております。これは五十二
年度
からということになるわけでございますが、さらには実損てん補率を引き上げるというようなことで、かなり現在でもその
共済
方式の改善も図ってまいっているわけでございます。 それから、
損害評価
の問題につきましても、指数について、これは実際に
被害
をこうむった側とそれを客観的にどう見るかという側とのギャップは確かにありますが、これは私
ども
公平に実態を正確に把握するという前提でもって
考え
ておりますし、さらに
共済
の
損害評価
の問題につきましては、先ほ
ども
御
説明
申し上げましたように、
被害
粒も、今回の場合は一定の
程度
以上のものは
収穫
に見ないような
特例措置
を講ずるというようなことでの
実情
に対する
調整
を図っているところでございます。
藤原房雄
18
○
藤原房雄
君 確かに
農林省
のこの評価というのはまあ坪刈り等で非常に統計的になさっているわけですけれ
ども
、部落とかそれから
関係団体
では全般的に見てやるわけですから、このサンプルの取り方とか統計のとり方とか、そういう点に違いがあるわけであります。それ、きちっと一致するなんということはこれはなかなかむずかしいことだということはわれわれよくわかるわけですが、いずれにしましても、部落評価とかそれから
関係団体
の評価とか、連合会の評価とか
農業団体
と、こうずっとやってきまして、それで
農林省
の統計局でおとりになる数値、最終的にはそこで修正される、こういうことを
考え
ますと、
農林省
の統計部の評価というのは非常な権限といいますか、ウエートが置かれているという、そういう点からしまして、やはり現実と余りかけ離れている、余りというのはどのくらいの数値かわかりませんが、非常にそこの数値が違い過ぎると現実に合わないんじゃないかという、農民感情としてそういう危機感を抱く。そしてまたその
農林省
の評価というものは非常に大きな権限といいますか、ウエートを持たれておる。そういうところからくるだろうと思うのですね。その点について、
共済
制度
の一部改正になったこともわれわれよく承知しているわけでありますけれ
ども
、今回のこの
冷害
等を
中心
としまして、これはひとつ事足れりとしないで、御
検討
をぜひひとついただきたいと思います。また評価等についても引き続き今回のこの大
冷害
を
中心
として
検討
いただきたいと思うのです。 次に、もう時間ありませんので次に移りますが、就労の機会をぜひということで、これはもう
市町村
それぞれ
関係団体
で、出稼ぎの先とかいろんなことをやっているわけでありますが、何といいましても今回の
冷害
は
山間高冷地
に
被害
が大きいわけです。
山間高冷地
の
農家
の方というのは、いままでどちらかというと国有林等林業に携わった
方々
が多い。そういうことから私
ども
調査
に行きましても、ぜひひとつ林業関係の仕事をひとつしていただきたい。それから各
地方
自治
団体
でもいろいろ
対策
を講じておりますし、就労の機会を、できるだけ遠くへ行かぬで地元で仕事のできるようにということで配慮が払われているようでありますが、それに伴いまして、やはり林野庁としましても今度の救農土木費として、
農林省
、今回二百十億ですか、しましたけれ
ども
、この二百十億の中には林野庁の就労の機会をつくろうというやつは恐らく入っていないと思うのですけれ
ども
、どうですか。
杉山克巳
19
○
政府委員
(
杉山克巳
君) 二百十億円は事業費の総額でございます。そのうち国費負担額が百十億円、
農林省関係
分が九十八億円でございます。その九十八億円のうちには林野庁関係が十一億円入ってございます。で、これはいわば
追加
的な財源
措置
、国費として
措置
する分だけでございまして、このほかに既定の国有林の
予算
の中で
措置
する事業、さらには公有林とか、森林組合が委託を受けて行いますところの造林、間伐等の事業、これに対する
融資
をもって
救農土木事業
と同じような効果を持つ、それ自体土木事業と言えるのかどうかという問題がありますが、雇用に役立つような事業を総体的に
実施
することにいたしております。
藤原房雄
20
○
藤原房雄
君 まあ
東北
の方へ行きますと、村の面積の半分ぐらい国有地というところがたくさんありまして、どうしても国有林に依存するといいますか、そこでお仕事いただかなければならぬということが非常に多いわけなんで、詳しいことを申し上げる時間もありませんが、ぜひひとつその機会をつくっていただくということと、それから間伐、枝打ちといういろんな仕事があるわけですが、林業改善資金とかそれから公庫
融資
、こういうことでぜひ地元に仕事をつくるような手だてをひとつやっていただきたいというのが地元の大きな
要望
です。それは当然
農林省
、林野庁の方にも吸い上がっていらっしゃるだろうと思うんですけれ
ども
、これは自分で山を持っていてやるならいざ知らず、自分は山持っていない方が就労するということになるわけですから、森林組合とかそれからまた町村林、公有林、こういうもの、また林野庁の国有林、こういうものが当然主体になるだろうと思うのです。そういうことで、この事業費、この復旧の土木ということと、それから山村地が非常に多い、高冷地が多いということで、林業に関するお仕事をぜひという、これはもう十分配慮していらっしゃると思いますけれ
ども
、もう少しこれは早くにやっていただきませんと、もう雪が降り出すということで、それからまた積雪の多いところではできない仕事もあるかもしれませんが、早くに手だてをしていただきたいものだと思うんです。 これはもう時間がなくてはしょって申しわけないんですが、国有林野の活用法というものができているわけでありますが、この活用法ができましても、現実は活用されてない。いろんな問題になるということは、これは農林水産
委員会
等においてもいろいろ指摘されておることですが、これをやり出すとちょっと時間がなくなって申し上げないのでありますが、この活用法がなぜ活用されないかというところにいろんな隘路があって、それはもう農係省当局としても十分に知っていることだと思うのであります。やはり
東北
の方へ行きますと、三頭、四頭という牛を飼っていらっしゃる小さい、そういうわずかな飼育頭数しかない方がいらっしゃるわけです。十頭以上たくさん飼っている方ももちろんいらっしゃいますけれ
ども
、この国有林を使わさしていただくときに、部落でお借りするときに、伐採をして、そして放牧できるような形にするために相当お金がかかり、そのために負担金というものを納めにゃならぬ。ところが頭数の少ない人はその負担金を払う能力がない。頭数の多い人はそれを払ってもある
程度
の採算ベースに乗る、こういうことで、現場へ行きますと、現実的でないいろんな面があるんで、林野庁としまして、ぜひひとつこういう山間部において酪農、また酪農振興というのは
農林省
の一つの大きな柱でもあるわけでありますけれ
ども
、これがたとえいま飼育頭数が少ないとしましても、ある
程度
それが酪農というものに力を入れることが農業、
農家
の安定収入につながるということになれば、だんだん頭数をふやしていくわけでありますから、畜産振興、酪農振興という柱を推し進めるためには、やっぱりいまのこの国有林野の活用法というのは現実的にちょっと改善が必要ではないか、手だてが必要ではないか、こういうふうに思うんですけれ
ども
ね。この点は本当はもう少しあれしたいところですが、時間がありませんからこれで終わりますけれ
ども
、いずれにせよ、林野庁の方で、これはいままでもいろんな角度から問題も出ておることでありますから、ぜひ
検討
していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
杉山克巳
21
○
政府委員
(
杉山克巳
君) 前の方のことについて若干まだ答弁不足のところがあったと思いますので一言申し上げますが、
先生
御指摘のような
考え方
で、
救農土木事業
は全くその方向に沿って私
ども
も
検討
いたしているところでございます。それから時期的に急がにゃならぬということ、すでに国有林などは
既定予算
の中で
措置
できるものは一部その
対策
用にということで営林局に
予算
を
追加
配賦して
実施
を指示しているというようなことまで努めているところでございます。それから国有林の活用につきましては、いろいろ現場の
実情
等もあって実際に活用が必ずしもうまくいってないという話、それからその問題点、原因の分析等についても私
ども
も勉強をいろいろいたしております。せっかく確かに活用法という法律があり、その
趣旨
もあることでございますから、できるだけその本来の
趣旨
にかなうような
検討
を今後十分進めてまいりたいと思います。
須藤徹男
22
○
説明員
(須藤徹男君) ただいま
審議官
からお答えいたしましたように、前段の問題につきましては、すでに既定
経費
の一部を配賦いたしまして、
実施
を指示しております。さらに
治山
等を主体といたします救済事業につきましては、現在鋭意
検討
をしておりまして、時期を失しないようにきめ細かく対処していきたいと思っております。民有林につきましても、先ほど
先生
からもお話がございましたように、林業改善資金あるいは農林漁業金融公庫造林資金、造林
補助
事業等の活用によりまして、公有林、公社造林あるいは森林組合が事業を受託する森林などにおきまして間伐、除伐あるいは枝打ち等の
実施
を図ることについて
被害
の実態、救農事業としての緊急性等を考慮しながら必要な
措置
を講ずる方向で
検討
を急いでおるところでございます。
工藤良平
23
○
委員長
(
工藤良平
君) 最後に農林大臣のひとつ代理として片山政務次官の決意を。
片山正英
24
○
政府委員
(片山正英君) 今回の
災害
に対しましては、先ほど
審議官
が
説明
しましたように、十五
項目
にわたりまして万全の
対策
をとってまいりたいと思います。 それから、国有林の活用の問題がいま
先生
御指摘がございましたが、活用法もすでに
実施
されております。なぜ円滑にいかないんだろうという、そういう御疑問でございましたが、私も一、二しか
調査
をしておりませんが、土地の合理化、最もよく使う、そしてそのことによって山村民が安定をする。こういう政策に対して、かつて解放した土地が必ずしもうまく利用されていない、むしろ放置されている。そういう点はまずいわけでございますから、そういうものと相まって土地の有効利用、そして山村民の安定、こういう線での協議が多少停滞しているところがあるというふうに思います。今後
農林省
としましても農林一体という政策の中で山村民の安定を図るべく大方針を立てているわけでございますが、
先生
のおっしゃる点を十分心に入れまして対処してまいりたいと、こう思っております。
藤原房雄
25
○
藤原房雄
君
趣旨
は、もう本当に法律の
趣旨
はいいんですけれ
ども
、具体的な問題になりますといろいろ問題ありますんで、それは政務次官も
専門家
だからよく御存じと思うんですが、これはもう本当に現地へ参りますと諸問題がある。ぜひ一つ一つ御
検討
いただいてせっかくの法律が有効にひとつ働くようにやっていただきたいと思います。 最後に、これで本当に最後になりますが、これは二十一日の強風でリンゴが大分
被害
を受けて、
東北
六県じゃ六十億超している。これは
東北
六県だけじゃなくて、日本全体といいますか、
北日本
、東日本ですかね、異常な強風に見舞われたんですが、果樹
共済
というものもあって、いろんなあれがあるんですが、そういうむずかしいことは別にして、今回の
被害
の場合六十億を超すということになると
天災融資法
の適用になるんじゃないかというふうに私
ども
は認識するわけでありますが、これは先のことになっていろいろ御
検討
になるのかもしれませんが、そこらあたりの見通しというか
農林省
の
考え方
と、それから
冷害
と果樹
農家
が必ずしも稲作どれだけやっているかということになりますといろいろ問題があるかもしれませんが、
地域
が
冷害
で打ちひしがれている、そこにこのたびのリンゴの
被害
ということでありますから、これは十分な配慮がなけりゃならぬと、こう思うんですけれ
ども
、どうでしょう。
杉山克巳
26
○
政府委員
(
杉山克巳
君)
冷害
を受けている
地域
でまた重ねてリンゴの
被害
を受ける、そういうような
実情
は総合的に勘案して十分
対策
を
検討
しなければいけないと思っております。おっしゃられるように、十月の十一日と二十一日、二回にわたりまして突風
被害
があり、その
被害
の額につきましては青森のほかにも
北海道
、岩手あるいは秋田といったようなところから連絡ございます。ただ現在の
段階
では道なり県なりの数字、
被害
額が出ているだけでございまして、私
ども
としてはまだ
調査
これからするところでございます。まあ国の数字とそういう道県の数字必ずしも一致しないというようなことがしばしばあるわけでございますので、今後十分
実情
を把握して
被害
結果を待って
対策
を
検討
するということにしております。
原田立
27
○原田立君 去る九月十二日未明から十三日にかけて有明海北部沿岸一帯を襲った
台風
十七号によるまず塩
水害
について質問いたします。 塩害による
水稲
被害
は福岡、佐賀、熊本三県干拓地に広がっており、中でも福岡県山門郡大和町で大和干拓の二百ヘクタールの
水稲
が全滅したのを初め、隣接の谷垣、永田地区を含め
被害
総額約六億四千万円にも及び同町
予算
の三分の一という額に達しておるのが現状であります。ところで大和町役場の塩塚助役の話によりますと、
激甚災
害の指定と
天災融資法
の適用はほぼ確実であろうということであるが、大変心配をしているわけでありますが、この点どういうふうになっているか、まずお伺いしたい。
紀埜孝典
28
○
政府委員
(
紀埜
孝典君) 十七号
台風
関係とお聞きいたしましたが、十七号
台風
関係でございますか。
原田立
29
○原田立君 九月十二日、十三日のものと
台風
十七号と両方、合計。
杉山克巳
30
○
政府委員
(
杉山克巳
君)
台風
十七号の
被害
は施設関係と農作物両方にわたっておりますが、
先生
お尋ねの件は農作物関係だと思います。この
農作物被害
につきましては去る二十一日に
天災融資法
の適用政令を公布、施行いたしております。そしてその政令の中で特別
被害地域
を指定することができる
都道府県
として福岡県、佐賀県、長崎県等十六府県を指定したところでございます。ですから県としては
天災融資法
の適用対象になる、そして同時に激甚の対象にもなるわけでございますが、ただ特別
被害地域
、県の中でのその
地域
の具体的な指定は、これは
都道府県知事
が農林大臣の承認を得て行うということになっております。知事からまだ承認申請が参っておりませんが、
先生
おっしゃる大和干拓の
地域
がそれに知事の申請として入ってくるかどうか、申請がありますればそれに基づきまして速やかに
措置
するようにいたしたいと
考え
ております。
原田立
31
○原田立君 申請があれば
措置
をしたいということなんですけれ
ども
、
農林省
として現場を視察したり
調査
したりしたことありますか。
若林正俊
32
○
説明員
(若林正俊君) 特別
被害地域
の指定は法律で要件が定められておりまして、当該
災害
によって
被害
を受けた農業者の中で特別
被害
農業者、当該
被害
による減収が平常の農業収入の二分の一以上という農業者でございますが、それが一〇%あるような
地域
を
都道府県知事
が指定する、指定に当たって農林大臣の承認を受ける、こういう
仕組み
になっております。具体的に当該
地域
の
被害
農業者の
認定
及び特別
被害者
の
認定
は
市町村長
に任されておりますので、特別
農林省
として当該
地域
を視察した上で指定するというような
仕組み
をとっておりません。すべて
市町村長
の個別
認定
資料
を知事に提出し、それを
農林省
として確認をした上で承認をするという
仕組み
にしておりますので、自治体の責任において
調査
が行われ、申請が出てきますれば速やかに承認する所存でございます。
原田立
33
○原田立君 どうも返事を聞いているとまどろっこしい話なんですが、実はこれは大和干拓の稲なんですけれ
ども
、
収穫
一〇〇%ゼロです。このことはテレビでも十分報道されました。新聞にも出ました。非常に重要な問題なんです。もちろん県から申請がなければ
取り扱い
しないんだという、まあそれは法律上そうなっているんだろうとは思うけれ
ども
、もう少し血の通った施策を講ずるならば現地だって局があるんですからね、当然
調査
さしたっていいじゃないですか。一遍ひとつ東京にばっかりいないで現物よく見て、それで答弁してもらいたいと思う。
杉山克巳
34
○
政府委員
(
杉山克巳
君) 現物拝見いたしました。確かにこれは実のなってない空もみでございます。ただ、
制度
の
仕組み
はやはり
市町村長
の判断を前提としてということになっておりますので、それを飛び越えて
農林省
が直接ここの
地域
を指定すべきだとか指定すべきでないというふうには直ちにはまいりません。
先生
がおっしゃられるような、そういう激甚なところであれば、私は当然
市町村長
が
都道府県
を通じて申請してくるということになると思っております。
被害
の実態を当然反映するような
措置
を地元
市町村
なりあるいは
都道府県
はとるべきであり、私の方でも別段それを頭から辛くしぼろうとかなんとかということではございませんから、そういう
指導
もふだんからしておるわけでございまして、当然そういう対象として上がってくるのではないかというふうに
考え
ます。
原田立
35
○原田立君 それでは県の方から申請が出てくる、それを承認するということを期待して質問を次へ進めます。 この県の方でありますけれ
ども
、これを前提に資金需要額の取りまとめを急いでいるようでありますが、実際
農家
に金が渡るのはいつごろになるかお伺いしたい。
杉山克巳
36
○
政府委員
(
杉山克巳
君)
天災融資法
の
発動
は
水害
の場合と
冷害
の場合とで異なりますが、
冷害
の場合につきましては若干先になるということは先ほど申し上げたとおりでございます。塩害につきましては現在
融資枠
はすでに九十三億円を政令に基づいて
確保
しております。この額でもって
被害
農業者の資金需要は十分対応し得るものと
考え
ております。
利子
補給にかかる国庫
補助
についても、
予算
上の
措置
は十分これについては行うということで、すでにそういう資金枠なり
予算
上の
手当て
はできておるわけでございますから、これについて
事務
的な手続だけの問題ということになるわけでございます。できるだけ早くということで
考え
ておりますが、先ほど申し上げましたような申請がいつどういう形で出てくるかということに伴って、できるだけ早く処理するということで対応したいと
考え
ております。
原田立
37
○原田立君 ことしは十七号
台風
による
被害
は全国的であり、各県とも
融資枠
の
確保
に血眼になっているようでありますが、各県とも十分
確保
できるようにすべきであると、こう
考え
るんですが、具体的にはどうなっていますか。
杉山克巳
38
○
政府委員
(
杉山克巳
君)
冷害
の方につきましては、まだ
被害
額、したがって
融資
所要額
の確認というのはこれからの話でございます。十分当然
確保
できるように私
ども
も努力いたします。塩害の方、塩害といいますか、十七号
台風
関係の方につきましてはいま御答弁申し上げましたように、九十三億円ということで
融資枠
としては十分対処し得るものというふうに
考え
ております。
原田立
39
○原田立君 大和干拓では二百ヘクタールのほとんどの
水稲
が白っぽく枯れ、堤防近くの雑草セイタカアワダチソウまで立ち枯れの状態で、改めて塩害の恐ろしさを知ったのでありますが、聞くところによりますと、今度の塩害は干拓地の堤防にも少なからず問題があるようであります。堤防関係どうなんですか。その一つは、干拓堤防前面に干がたがほとんどなかった。また堤防のつくり方でありますが、堤防の上部に波返しが取りつけられていない等いろんなことを現地の人は言っております。パラペット方式といいますか、波返しがついている堤防を採用しているところがわが国でも若干、瀬戸内海沿岸地帯にもあるわけでありますが、このような堤防は一体どのぐらい採用されているのか、また、今度の大和干拓地帯の堤防などは、それはなぜ取りつけられなかったのか、
考え
られなかったのか、その点をお伺いしたい。
福澤達一
40
○
政府委員
(福澤達一君) 今回の大和干拓の稲作の塩害に対する
被害
について、堤防の構造上の問題についての御質問と受けとめておりますが、干拓堤防の歴史を見ますと、過去におきましては直立パラペット方式という干拓堤防を私
ども
はやってきたわけでございます。しかし、その後干拓堤防の技術というものが進みまして、八郎潟の干拓とか、あるいは伊勢湾
台風
の干拓堤防とかというものの復旧を契機といたしまして、従来の直立型から傾斜型の堤防にしたわけでございます。これは干拓地特有の軟弱地盤というものを支える上におきましては、傾斜型の幅広い堤防というのがより安定性があると、こういう観点から新しい堤防は傾斜方式にかえてきたわけでございます。したがいまして、大和干拓は昭和三十三年から発足した干拓でございますので、新しい方式をとっております。それ以前の有明関係の干拓地は二十カ所
程度
ありますけれ
ども
、ほとんど直立型のものが多くてパラペット方式をとっておるわけでございます。したがいまして、今回の塩害の問題につきましては、私
ども
は必ずしも堤防のタイプが悪かったからああいう大きな塩害を受けたというふうには受けとめておらないわけでございます。大和干拓のすぐ隣に昭代という干拓がございますが、ここでも二メートル
程度
のパラペットを上につけておりますけれ
ども
、これもやはり相当の塩害を受けておるわけでございます。したがいまして、今回の十七号
台風
による塩害と申しますのは、異常な風による
台風
、しかも瞬間風速三十五メートルというような、そういう風だけの
台風
であるという特色がございまして、いままでにそういう例は余りなかったわけでございます。そのためにああいう異常な大きな
被害
を生じたというふうに受けとめておるわけでございます。したがいまして、この干拓の堤防のタイプということだけではなしに、こういう大きな
被害
を契機といたしまして、もっと広範的にそれを防ぐ道は一体どういうところであるかと、そういうことを今後とも
検討
をして、少しでもそういう
被害
を少なくするように努めていきたいと思っておるわけでございます。
原田立
41
○原田立君 まあ直立型のが多かったということで、またその波返しがついているような
地域
でも
被害
はありますよと、だからそんなの余り関係ありませんというのがあなたのいまの答弁の仕方だけれ
ども
、ちょっとひどいんじゃないですかね。現地の農民の人たち、あるいは関係
市町村
の人たちの異口同音に言われることは、もう少し波返しがあれば海水は堤防で戻され、そのような
被害
はなかったじゃないかと、こういうことを異口同音に言っておりますよ。だからあなた、そんなの余り関係ないんだなんて、そんな姿勢ではなしに、こういう
要望
は強いんですから、もう少しきちっと研究してその姿勢を改めてもらいたい。これは強く
要望
しておきたい。今後潮風害から
水稲
を守るためにも、さらに万全な施設を
考え
るべきだと思うのです。この点どのような見解ですか。
福澤達一
42
○
政府委員
(福澤達一君) 先ほ
ども
申し上げましたように、三十五メートルというような非常に強い風が直立型の堤防に激突いたしますと、そうするとそれによる非常に強いエネルギーが作用いたします。そのために一部は飛沫となりまして、二十メートルあるいはそれを超すかもしれませんけれ
ども
、非常に強い潮しぶきというようなものになると思われておるわけでございます。で、傾斜型の堤防と申しますのはそういう強い衝撃というものをできるだけ避けまして、そしてそういう潮しぶきというものが余り強い作用をしないようにエネルギーを減殺するというような点も考慮しておるわけでございます。ただ、今回の
台風
の実態を見ますと、たとえば大和干拓におきましては、二メーター五十の満潮位、これは九月の十二日でございますが、それが最高の潮位でございました。で、堤防の高さは七メーター二十でございます。したがいまして、約三倍近い堤防の高さがございましたけれ
ども
、その堤防の高さをものともせず非常に強いしぶきができ上がったということでございます。一方、たとえば昭代の干拓を取り上げてみますと、昭代の方は、やはり堤防の高さといたしましては七メーター六十でございますから、七メーター二十と余り違わないような構造の堤防の高さを持っておりますけれ
ども
、それにつきましても、やはり相当のしぶきがこれは上がりまして、むしろ
考え
られるより以上に相当強いエネルギーがそこに作用したのじゃないかというふうに
考え
ておるわけでございます。したがいまして、私
ども
こういう実態というものをよく踏まえまして、ただ堤防のタイプということだけにこの問題をしぼるべきじゃなしに、もっと広範にいろいろの角度からこういう塩害を防止する対応策というものを
考え
ていくべきではないかと、こういうように受けとめておりまして、今後こういう塩害の大きな
被害
というものを契機といたしまして、少しでもそれを軽減するような各般の
検討
というものを総合的に
考え
るべきだというふうに思っておるわけでございます。
原田立
43
○原田立君 総合的に判断研究をしていきたいということだけれ
ども
、じゃ具体的にいま現在直立型のところ、そこのところを何か手を打つようなことを御研究はございますか。
福澤達一
44
○
政府委員
(福澤達一君) 堤防のタイプということだけではなしに、たとえば潮しぶきというものを消すという方法、と申しますのは、仮にこれが風だけではなしに雨も加わっておった場合には、こういう大きな塩害という
被害
がなかったというふうに受けとめております。したがいまして、その干拓地のある場所におきましては、有明海のこれはある干拓地でございますけれ
ども
、場所におきましては、幸いそこに水があったところは早速その水を稲にかけることによりまして塩害をある
程度
防止することができたというようなことも聞いております。したがいまして、適切なそういう水をうまく散水するというようなことが可能なようなことが果たしてああいう地帯においては行われるかどうかということもこれは基本的に
考え
てみなきゃなりませんけれ
ども
、そういう、とにかく稲に付着しておる塩分というものをどうやってぬぐい去るかというようなことも含めて総合的に
検討
したいと、こう思っておるわけでございます。
原田立
45
○原田立君 今度は雨が少なかったと、そのために塩害がひどかったと、それからまた風が強かったと、そのために塩害がまたひどかったと、そういう
条件
よくわかるんですよ。だけれ
ども
、またその一つの悪化した
条件
として堤防の取りつけ方、これなんかも一つの問題点であろうと思うんです。それについてはどう
考え
ていますかと。いま古いのは全部直立型で、ぶつかってくればもうみんなはね返るところばっかりなんですから、そうじゃなくて、そこのところを何か改修するとかね、というような手だては
考え
ておられるのかどうか。
福澤達一
46
○
政府委員
(福澤達一君) 今回のこういう
被害
を契機にいたしまして、二つのタイプがあるわけでございますけれ
ども
、そのタイプのいずれがよりよい成果が上がるかということと、それから今後その足らなかったものを一体どういうふうにしたらいいかというようなことを
検討
するというのも総合的な
検討
の中に含めての私のお答えと理解していただきたいと思うわけでございます。
原田立
47
○原田立君 大和干拓は昭和四十五年に入植者二十五戸によって作付が開始され、ことしで六年目。毎年反当たり七、八俵の
収穫
があったが、ことしは全滅で
収穫
がゼロ。五十一年産米の予約金百万円はほとんどの
農家
が使い果たしており、また国から受けた土地代金も
農家
二月当たり七千二百万円の借金で、その返済に困っている
実情
であります。さらに、増反者の中には毎日の飯米にも事欠く状態で、生活資金の
確保
に苦しんでいるようでありますが、これら被災
農家
に対しては
現金収入
の道を開く必要があると思うんであります。先ほど
藤原
委員からも救農
対策
を行えという、そういう
意見
がありました。私も同じように救農
対策
特別事業を新たに起こすことが必要なのではないかと、そういう用意があるのかどうか。また、これがむずかしいようであれば、これにかわる何らかの方法で就労機会のあっせん等、ぜひ温かい
対策
を講じてやるべきだと、こう
考え
るんでありますけれ
ども
、この点はいかがですか。
片山正英
48
○
政府委員
(片山正英君) 今回の
冷害
を
中心
としまして非常に
現金収入
がない、したがって
救農土木事業
というのを
冷害
を
中心
として一応われわれは対処したわけでございますけれ
ども
、
先生
御指摘の有明沿岸地帯の被災
地域
においても大体同様の
趣旨
であろうと私拝察をいたします。したがいまして、
救農土木事業
の要請、十分
調査
の上善処してまいりたいと、こう思っております。 それから、お金の方は、先ほど言いましたように、国費で百十億で
農林省関係
が九十八億でございますが、それによって対処してまいりたいと、こう思っております。
原田立
49
○原田立君
水稲
の塩害
被害
額は被災後日増しに拡大し、予想外の規模になったようでありますが、被災地では
被害
の評価が遅々として進まず、稲は腐ったまま放置されているが、刈り取り時期がおくれれば裏作への影響も出てくるため、
農家
の
方々
は困っているのが
実情
であります。早急に
被害
の評価を終わらしてほしいと、こういう声が強いんでありますが、いつごろになったらばこれが終わるのか、それをお伺いしたいのが一点。 また、裏作物の作付等を
指導
して、少しでも被災による所得減を補てんできるよう早急な手だてを講ずべきだと思いますが、その見解はどうか。また、実際に
指導
は一体どうなっているか、その点お伺いしたい。
杉山克巳
50
○
政府委員
(
杉山克巳
君) 大和干拓
地域
における損害につきましては、この
評価事務
はすでに終了いたしております。手続にかかっているところでございますから、間違いなく年内できるだけ早い時期にお
支払い
いたすようにいたします。 それからもう一つ、
現金収入
の機会云々というお尋ねでございますが、これにつきましては救農土木がそれに対する一つの答えでございます。先ほど政務次官から御答弁申し上げましたとおりでございますが、なおそのほかにも全般的に当然手を打つ必要があり、これは
農林省
直接というわけではございませんが、労働省それから関係の
都道府県
等にもお願いして、そういう
向き
に対する就労あっせん等には特段の努力をしていただきたいということをお願いをいたしております。
原田立
51
○原田立君 塩害による
水稲
被害
は予想外に大きく、特に有明海沿岸の福岡県大和干拓、佐賀県川副町の大詫間、平和搦の潮風害による
被害
が甚大であり、
収穫
無収、未熟粒あるいは
被害
粒、この多発が予想されているわけでありますが、そこで
規格外玄米
及び等外米全量について
政府
の
買い入れ措置
を講ずるよう強い要請が出されております。これら
規格外玄米
、等外米はどのように処理されるつもりでいるのか、その
取り扱い
について具体的な
対策
をお伺いしたい。
戸塚金郎
52
○
説明員
(戸塚
金郎
君) いい
規格
外米の問題につきましては、御承知の先般
北海道
、
東北
につきましては二十五日付で
買い入れ措置
を講じたわけでございますが、それ以外の
冷害
の
地域
、あるいは西日本等の
台風
十七号の
被害
のひどい
地域
で発生をいたしました
規格
外米につきましては、特に西日本の
水害
地域
の方は現在、遅場地帯でもございますので、大部分がまだ立毛中でございます。したがいまして、どういうような
規格
外の米がどの
程度
出てくるかということの把握がまだ十分でございませんが、それをなるべく急ぎまして、その出回り量の著しい、
被害
の著しい
地域
の米につきましては、
主食
用充当のものにつきまして
買い入れ措置
を講ずると、
被害
農家
の立場も十分
考え
まして、時期を失することのないようにそういう
措置
を講じてまいりたいというふうに
考え
ております。
原田立
53
○原田立君 米の
予約概算金
の返納延期及び利息の
減免
についてお伺いします。米の
生産
農家
は事前売り渡し申し込み数量により、六十キロ当たり三千円の概算金を受領し、これが返納については米代金から返納充当することになっているわけでありますが、期限までに返納できない
農家
が今回たくさんあるのではないかと、こう思うわけでありますが、どのような対処をするのか。
戸塚金郎
54
○
説明員
(戸塚
金郎
君) 米の
予約概算金
は、いま一俵三千円の概算ということでございますので、米代金から見ますれば約二割弱でございますので、十俵の予約をされた方が二俵出していただければ、一応概算金の返納ができるわけでございますが、仮に二俵でも売り渡しができないという
農家
のものにつきましては一応現金でお返しをいただく。それは米の納入期限でございます――五月末が期限になっておりますので、来年の五月末までにお返しをいただくということになっております。ただ、いま
先生
おっしゃいましたように、なかなか資金的に困難な
農家
で返済もできないような場合には、指定
集荷業者
、実際には農協等が
代位弁済
をするという
仕組み
になっておるわけでございます。
原田立
55
○原田立君 その
仕組み
になっているのはいいけれ
ども
、これはあれでしょう、聞くところによると、年八・二五%の利率により計算した
延納
金を国に納付しなければならないと、こうなっているわけでしょう。それから
災害
を受けた場合ば、減
収量
が平年
収穫
量の百分の二十以上である郡または市として
地域
指定を受け、一定の
条件
のもとに概算金の
利子
の
減免
を行うことに法律ではなっているはずでありますけれ
ども
、一定の
条件
のもとに
利子
の
減免
を行うとあるが、これをもう少し詳しく御
説明
願いたい。以上二つ聞いているわけです。八・二五%の利率により計算した
延納
金を国に納付しなければならない、これは政務次官、八・二五じゃなくてもっとこれは
利子
補給をしてやる気持ちはありませんか。
片山正英
56
○
政府委員
(片山正英君) ただいま
被害
農家
に対する
予約概算金
の
支払い
の困難な場合の
利子
の問題については
被害
の
程度
によってゼロもしくは三・二ですか、そういういろいろの
制度
がございます。したがって、その具体的な
被害
の内容によっての適用がございますから、それは
事務
当局から御
説明
を申し上げます。そういう
制度
になっております。
戸塚金郎
57
○
説明員
(戸塚
金郎
君) 返納に付帯をしていただきます
利子
は、いま
先生
おっしゃいましたように八・二五%ということでございますが、
被害
の著しい
農家
につきましては一定の基準で
利子
を
減免
することになっております。いまおっしゃいましたように、
被害
率が平年
収穫
量に対しまして百分の二十以上の郡または市、その中で知事が農林大臣の承認を受けて減収額が百分の三十以上であるという
市町村
ということで
条件
をつけまして、その中の
生産
者は
条件
別にございますが、ゼロ、三・五%、六・五%という三
段階
で
減免
ができることになっております。
原田立
58
○原田立君 それで有明海沿岸の塩害による減収のところ、
収穫
ゼロのところ、これなんかもそのところに当てはまる、適用されると、こう理解していいですか。
戸塚金郎
59
○
説明員
(戸塚
金郎
君) 先ほどから
先生
御指摘の大和干拓は、郡全体として百分の二十という
条件
を適用するかどうかはまだはっきりいたしません。なお隣接する柳川市等の市がたとえば百分の二十以上であり、それからその大和干拓の所属する町村が百分の三十以上というようなことに
認定
をされますれば
条件
に適合するということもあろうと思いますが、まだその辺の柳川市等の
被害
状況
、明細は判明をしておりませんので、もう少し時間がかからないと的確なお答えができないということでございます。
原田立
60
○原田立君 また郡、市の
地域
指定要件を町村単位で指定できるよう緩和をする
考え
はないかどうか。それから今度の塩害により稲の
収穫
が望めない
農家
がかなりあるが、概算金の返納期限を米の
生産
が見込まれる時期まで延期してほしいとの切実な
要望
が出ているのでありますが、どのような救済
対策
を講ずるつもりか、見解をお伺いしたい。
戸塚金郎
61
○
説明員
(戸塚
金郎
君) 郡または市が百分の二十以上というのがいまの
条件
でございまして、こういう
条件
で実ば五十一年産米の予約を
実施
いたしました関係で、今年産米につきましては残念ながらそういうことで、
条件
適用いたしませんと
条件
ができないということでございます。将来の問題としてさらに
検討
せよということでございますれば、私
ども
としても
先生
のお気持ちをくんで
検討
するのにやぶさかではないということでございます。
原田立
62
○原田立君 もう一つ、おしまいの方。返納期限を米の
生産
が見込まれる時期まで延期してほしいということ。
戸塚金郎
63
○
説明員
(戸塚
金郎
君) 返納の期限は先ほど申し上げましたように一応五月末ということになっておりますので、その時点でお返しを願う、
農家
がお返しがまだできない
状況
でございますれば、
集荷業者
であります農協等で
代位弁済
をしていただくという
仕組み
でございます。
原田立
64
○原田立君 そうすると延期はしないというわけですね。
戸塚金郎
65
○
説明員
(戸塚
金郎
君)
代位弁済
制度
の適切な運用で対処していきたいということでございます。
原田立
66
○原田立君 政務次官、延期してほしいという声が非常に強いのですよ。法律上からいけば違法になるだろうと思いますがね。これ十分
考え
、
検討
してもらえませんか。
片山正英
67
○
政府委員
(片山正英君)
利子
の点については先ほど申しましたとおりですが、お金そのものにつきましては御承知のとおり、いま御
説明
いたしましたとおり、
集荷業者
農協等の
代位弁済
制度
が実はあるわけでございますから、それの活用によってやる、そのほかの資金問題については
天災融資法
等いろいろな資金
援助
がございますから、それによって対処していただきたいということでございます。
先生
のおっしゃる点は今後十分
検討
してまいりたいと思っております。
原田立
68
○原田立君 先ほどからの
説明
があるように、郡または市の指定ですね。だからたとえば七町、八町あるところは、その郡全体で言うとその単位までいかないけれ
ども
、その二つないし三町はもう激甚にもやられちゃっていると、こういう場合があるということも現実問題としてあるから、町村ごとに指定をするというふうな緩和の
考え
はないかどうか、こういうことを聞いているわけです。この点、政務次官から答弁もらうことになっているのだけれ
ども
、全然ないから答弁してほしい。
片山正英
69
○
政府委員
(片山正英君) 突然の実は御質問でございましたので、ことしの米についてはなかなか困難でございますが、今後十分
検討
してまいりたい、こう思っております。
原田立
70
○原田立君 鹿児島県川内川上流の湯之尾流域は県下一の
水害
常襲地帯でありますが、大雨や
台風
のたびごとに洪水のため温泉街が水浸しになり、国道も途絶するありさまであり、降雨量によっては軒端まで、それも年に数回繰り返し浸水するといった状態であります。そのため、地元からは湯之尾放水路並びに湯之尾分水路工事の早期着工を望んでいるのでありますが、湯之尾分水路工事については一体どういうふうなことになっているのか。聞くところによると、本
年度
から向こう八カ年間の工期で完了する予定になっているとか、あるいはまた八億円の
予算
がついているとか、こういうふうなことを聞いておりますけれ
ども
、現地の
意見
としては、
予算
をさらに
追加
して計画期間を短縮してほしいと、せめて五十五年ぐらいまでにはぜひやってもらいたいと、こういう強い
要望
があるのですが、それについてのお
考え
をお聞きしたい。
小坂忠
71
○
説明員
(小坂忠君) ただいまお話のございました川内川上流部分でございます、湯之尾を主にしました
地域
でございますが、まず、あの湯之尾の下流の方から菱刈のショートカットという大事業をずうっとやっておりまして、その一連の工事を進めてまいりまして、下流の方からやってまいりませんと、上流からやりますと下流に直ちに害が及ぶということで下流から順次大規模の工事をいままでやっておったわけでございます。それで、いまお話しの湯之尾付近の仕事でございますが、これは全体事業費が十八億
程度
かかるという大変お金のかかる仕事でございますが、五十一
年度
から始めまして用地買収に着手いたしたいというふうに
考え
ております。ただ、非常にお金が莫大でございますので極力工期を詰めてやりたいとは思っておりますが、短期間に完成というわけにはちょっとまいらないかと思います。また、この湯之尾の滝、現在湯之尾の滝というのがございますが、その付近が環境的にも非常に価値のあると申しますか、何か「ちすじのり」とかいう天然記念物もございまして環境的にも非常に尊重されねばならぬというような
意見
もございますので、そういったことも含めて、その本川掘削の御
要望
も地元にあるわけでございますが、そういったことも勘案しながら実は計画――本川掘削が適当であるかどうかというような計画も実は
検討
中でございます。しかしながら、原則としては、私
ども
やはり放水路工事によってその付近の抜本治水を図りたいというふうに
考え
ておりますので、ただいまお話ししました十八億ぐらいの
経費
を投じましてなるべく早く完工したいというふうに
考え
ております。
原田立
72
○原田立君 十八億ですか。
小坂忠
73
○
説明員
(小坂忠君) はい。
原田立
74
○原田立君 私聞いているのは、八年間の工期で
予算
八億で何かやるというふうなことを聞いているんですけれ
ども
、いつの間にか十八億。十億ふえたんですか。私は湯之尾放水路、湯之尾分水路、このことに限って聞いているわけですよ。
小坂忠
75
○
説明員
(小坂忠君) 私いまお答えしましたのも湯之尾放水路付近の一連工事でございまして、十八億でございます。
原田立
76
○原田立君 五十五年ごろにはでき上がるようなふうに計画は詰められますか。
小坂忠
77
○
説明員
(小坂忠君) ただいま申し上げましたように、ことし五十一
年度
から用地買収にかかりますので、五十五
年度
までにはまあ大変むずかしいかと思います。
通常
、私
ども
現在の河川事業費の
予算
ベースでまいりますと、少なくとも五十八、九年ぐらいまでかかりそうだというのを何とか詰めて一年でも早く通水したいというふうに
考え
ております。
原田立
78
○原田立君 一年でも二年でも早く詰めると、でき上がるようにすると、こういうふうに期待しておきましょう。 もう時間がありませんので最後これ一問にしたいと思うんですが、同じ川内川の羽月川の問題でありますが、この締め切り工事は洪水の
調整
遊水池として今日まで着工が引き延ばされてきた。したがって、洪水のたびに川内川羽月川からの逆流水により約百三十戸、二百ヘクタールの水田が長時間冠水する。本年六月の大雨、七月の九号、九月の十七号
台風
でそれぞれ洪水を起こし、冠水した
水稲
はもう全滅状態。建設省はこの地区を
調整
遊水池として指定しているようだが、本年の
被害
はもとより、何らかの補償を
考え
るべきだと思うんでありますが、その点についてはどう
考え
ているか。あるいはまた、地元住民は締め切り工事を一日も早く
実施
するよう強く
要望
しているわけでありますが、これがだめならば訴訟しかないと、このように言っておりますが、
実施
する計画は一体どのように立てられているのかどうか、お伺いしたい。
小坂忠
79
○
説明員
(小坂忠君) ただいま御指摘の点でございますが、川内川の羽月川との合流点の川内川本川右岸部分だろうと思いますが、
先生
いまお話しの、
調整
遊水池として建設省が計画しておるというお話でございますが、われわれはそれは実は一年堤防として上流から完全に締める計画にいたしております。ただ、いまちょっとさっき触れましたが菱刈ショートカットと通称称しておりますが、一連の非常に長い区間にわたりまして大ショートカットを従来やってまいりまして、それの上流端が全部締まった暁でございませんと下流が締められないという事情もありまして現在まであいておったわけでございますが、本
年度
-来
年度
にかけまして上流端を極力急いで締めるというような処置によりまして下流端もなるべく早く締めたいというふうに
考え
ております。
原田立
80
○原田立君 と、ここのところ、いま私指摘したところですね、これは早急に締め切られるということでよろしいですか、理解は。
小坂忠
81
○
説明員
(小坂忠君) そういう御理解で結構だと思います。
原田立
82
○原田立君 時間がないのでこれで終わりにしますけれ
ども
、実は、佐賀県鹿島市のことについて質問したいと思って通告しておりましたけれ
ども
、ちょっと時間がもうありませんので、また次の機会にさしてもらいたいと思います。 以上でございます。
工藤良平
83
○
委員長
(
工藤良平
君) 午前中の
質疑
はこの
程度
にとどめ、午後一時三十分に再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時二十七分休憩 ―――――・――――― 午後一時三十七分開会
工藤良平
84
○
委員長
(
工藤良平
君) ただいまから
災害対策特別委員会
を再開いたします。
災害対策樹立
に関する
調査
を議題とし、
冷害対策
に関する件及び
台風
第十七号による
災害
に関する件について
調査
を行います。 休憩前に引き続き
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言願います。
神谷信之助
85
○
神谷信之助
君 まず、農業
共済
の問題についてお伺いしたいと思います。 農業
共済
の建物
共済
に火災と総合とがあるんですが、それぞれの加入者数、これが大体どのぐらいになりますか。
船曳哲郎
86
○
説明員
(
船曳
哲郎君) お答え申し上げます。 五十
年度
で申し上げますと、建物火災
共済
は全国で五百七十八万四千棟、それから建物総合
共済
は全国で三十四万棟ということに相なっております。
神谷信之助
87
○
神谷信之助
君 火災
共済
の方が圧倒的に多いわけですが、この点、総合
共済
の方がおくれているからだろうと思いますが、総合
共済
とのずれ、この辺の原因についてはどういうように把握されていますか。
船曳哲郎
88
○
説明員
(
船曳
哲郎君) 原因はいろいろあろうかと思いますが、私
ども
とすれば、やはり
農家
に対する積極的なPRといった点に欠ける点があるんではないか、このように
考え
ておるところでございます。
神谷信之助
89
○
神谷信之助
君 補償給付ではどういう
状況
になりますか、火災
共済
と総合
共済
どちらが有利なんですか。
船曳哲郎
90
○
説明員
(
船曳
哲郎君) 御案内のとおり、建物総合
共済
では、火災等の事故のほかに風
水害
等の事故も
共済
事故と相なっております。それに対しまして、火災
共済
では火災等だけが
共済
事故と相なっております。したがいまして、
共済金
が出る場合は総合
共済
の方が多いわけでございます。
神谷信之助
91
○
神谷信之助
君 総合
共済
の方が
支払い
共済金
は多いわけですか、風
水害
が含まれるから。
船曳哲郎
92
○
説明員
(
船曳
哲郎君) 私、ただいまお答え申し上げましたのは、
共済金
が出るチャンスのことを申し上げたわけでございます。
神谷信之助
93
○
神谷信之助
君 金額の方はどうですか。
船曳哲郎
94
○
説明員
(
船曳
哲郎君) 金額的には、建物火災
共済
の最高限度は一千万円、それから建物総合
共済
の最高限度は二百万と、こういうことになっておったかと思います。
神谷信之助
95
○
神谷信之助
君 だから、総合
共済
の方はチャンスは多いけれ
ども
、
共済金
の支給でいくと二百万が最高限度になると、火災
共済
の場合は火災だけだという面でチャンスは少ないわけですが、最高限度一千万円、この点がどちらも一利一害がありますから、どちらがいいとか悪いとかいうことにはならぬかと思いますが、しかし実際にはなかなか総合
共済
に入っている人が少ないという
状況
が現実にあるわけです。今度の十七号
台風
の
災害
で、家屋の流失その他の
災害
を受けられた方が非常に多いわけなんですが、こういった問題について当
委員会
でもこの
個人
災害
に対する救済
措置
を
考え
る必要があるということで、すでに小
委員会
が設置をされて
検討
することになっています。しかし、小
委員会
で
検討
されて
個人
災害
に対する救済の
制度
を樹立をするまではこういった現実の
制度
を十分活用せざるを得ない、こういうことになろうかと思うんです。 そこで、具体的に一つ問題を提起をしますと、兵庫県の一宮町ですがね、これは御承知のように福地部落での山崩れ、山津波ですね、これで四十数戸が一瞬にして全部崩壊をする非常に大きい
災害
を受けたわけであります。埋没、流失、崩壊等罹災建物が百四十棟で一万一千四百九十一平米余り、それからそのうち建物火災
共済
加入が四十二世帯、七十三棟、六千二百九平米になっておるわけです。したがって、四十二世帯が建物火災
共済
の方に入っている。罹災者の九〇%が火災
共済
の方に入っている、総合
共済
に入っていないわけですね。ところが、今度の
災害
で罹災、火災で全焼したと同じようなあるいはそれ以上の
被害
を受けたわけです。火災の場合ですと、家が全焼しても家だけがやられるわけですが、今度の場合は山津波で土砂がずっと出てきていますから、したがって、建物のみならず土地自身が
確保
できるかどうかというのが非常に――これは後でもちょっと尋ねたいと思いますが、心配になっていますね。そこに住むことが、定住することが許されるかどうかという問題があるわけです。そうしますと、自分の持っている土地までもなくなってしまう、そういう事態になろうかとしているわけです。したがって、町もそれからまた町議会も、ひとつ総合
共済
には入っていないけれ
ども
、火災
共済
には入っているんだし、しかもこの
共済
制度
は任意の
共済
ですから、加入者の
保険金
で運用しているわけですから、そういう点では見舞い金という形ででもそれに見合うような形での補償を出してもらいたいという要求が非常に強いわけです。そういうことで、県にも国にもそういう要請をしておりますが、この点についてそういう方法があるかどうか、ひとつ先に
農林省
の方からお答え願いたいと思います。
船曳哲郎
96
○
説明員
(
船曳
哲郎君)
先生
のお話のとおり、農業
共済
団体
の行っております建物火災
共済
の場合には
水害
を
共済
事故としておりませんので、
共済金
は支払われないわけでございます。ところで、このような場合におきまして、農業
共済
団体
がその自主的な判断のもとに
災害
に遭った
農家
に対しましてお見舞いといたしまして若干の金品を交付することもあるようでございますので、私
ども
とすればこのような実態も踏まえながら、あくまで
共済
団体
の自主的判断によるものではございますけれ
ども
、現地の実態の把握等には努めてまいりたいと、このように
考え
ておるところでございます。
神谷信之助
97
○
神谷信之助
君 こういう異常な
災害
で、しかも家、建物のみならず土地まで
被害
をこうむるという
状況
ですから、したがって見舞い金の額もできるだけそれにふさわしい、十分とまではいかなくてもできるだけのことはしなければいかぬということなんです。そうすると、
積立金
の取り崩しということも当然
考え
なければいけない。この点になりますと、これは単位
共済
から県の連合会を経てそういうことをやるということになれば農林大臣の許可が必要になりますね。これは私の聞いたのでは耕地その他でもそういうことで許可をして、そして見舞い金という形でできるだけの
援助
をすると、相互扶助ですから、そういうことが了承されるならばやると、自主的にその機関がそのことを承認するならば、農林大臣としても積極的にそれを認めてこられたように聞いているのですが、この点はいかがですか。
船曳哲郎
98
○
説明員
(
船曳
哲郎君) いまお話のございました任意
共済
の
特別積立金
でございますが、これは損害防止事業の費用など連合会の行う保険事業に関し必要な費用の
支払い
に充てることができると定められておりまして、その取り崩し
使用
は連合会の自主的判断の問題であると
考え
ますが、その取り崩し
使用
する場合には県知事から副申を付しまして、承認申請書が
農林省
の方に申達されてくることとなっておりますので、私
ども
といたしますれば、その県知事の
意見等
をも勘案いたしまして判断してまいりたいと、このように
考え
ております。
神谷信之助
99
○
神谷信之助
君 そういうことですから、兵庫県の連合会及び兵庫県知事の副申が要るわけですね。そういう点で、ひとつ地元の方はそういう点を非常に強く
要望
しているのですが、どうも何かいろいろまだいきさつがあるようですけれ
ども
、ひとつこの点では過去の前例もあることですから、そういう申請が出れば積極的にそういう要求にこたえるという角度でこの問題の処理をしていただきたいと、こういうように思うのですが、その点はよろしいですか。
船曳哲郎
100
○
説明員
(
船曳
哲郎君) 連合会の自主的判断のもとに県を経由して申請書が上がってまいりますれば、私
ども
は過去の例等もございますので、具体的に判断をしてまいりたい、このように
考え
ております。
神谷信之助
101
○
神谷信之助
君 現実の問題はそういう形で、これは兵庫県だけでなしに、恐らく各地でも起こると思いますが、とりあえずそういう処理をしなければならぬという
状況
です。この問題を総合
共済
、火災
共済
、これらがお互いにもう少し有無相通じ合えるような
仕組み
なり何なりという点についても、われわれの方も
検討
する必要はあるだろうと思いますが、長官の方もこの点ひとつ問題として、
検討
課題としておいていただきたいと思います。 次の問題は中小企業の金融問題です。
政府
機関の中小企業金融公庫あるいは国金あるいは商工中金、こういう三つの中小企業関係の金融機関が
災害
の場合
特例
の
措置
をとっていることは私
ども
存じておりますが、特に中小企業金融公庫ですね、これと国民金融公庫との関係であります。で、中小企業金融公庫の方は十年返済、三年据え置きで六・二%の特利を適用する、
貸し付け
限度額
も一千万円ということになっています。しかし、これは資本金一億円以下または従業員三百人以下の企業ということになっていますけれ
ども
、実際には零細企業の方はこの対象にはならないと、そちらの方は国金の方を使うということになっています。国金の方を調べてみると、これは貸し出し
限度額
が昨年この
災害
の
委員会
でも問題になりまして引き上げられました。ところが、これは二百万から四百万に上がったんですね。したがって、非常に貸し出しの
限度額
が低いんです。昨年上げたばかりだとはいえ、今日の事態になかなかこたえられるような
状況
ではないわけです。 で、先ほ
ども
申し上げました兵庫県の一宮町ですが、このがけ崩れ、山津波に遭ったところの
地域
というのは、町の
中心
といいますか、罹災者の六割が零細業者といいますか、工場が一つあるぐらいで、それも数十人
程度
の工場ですね。あとはいろんな小さい商店といいますか、そういうところなんですよ。そこで、今度土地がどうなるかというこの問題、まだ先行きがありませんが、仮にそこへもう一遍戻ってやるとしますと、家は建てなきゃならぬ、商売始めるのに設備資金から運転資金が必要です。しかし、
貸し付け
限度額
が四百万円ですからね、こうなると、なかなかこれ、どうにもこうにもならぬという――利率を下げるという点では、そういう全財産といいますか、資産が流失をしているわけですから、特別の三分の利息、
金利
になるだろうと思いますが、しかし、いま
限度額
が四百万ぐらいではどうにもならない。だから、中小企業金融公庫の方が
限度額
一千万円、そして三年据え置き、十年返済になっている。だから、こちらの方も
限度額
をひとつ引き上げてもらう。まあ去年上げたばかりでなんだということになりますが、この引き上げるということ、同時に、これについての弾力的なひとつ運用の方法という点を
考え
てもらわないと、いまの状態では立ち直るということは非常に困難ではないかと思いますから、この辺について――中小企業関係見えていますか、ひとつお答え願いたいと思います。
松尾成美
102
○
説明員
(松尾成美君) ただいまのお尋ねの点でございますが、
先生
おっしゃるとおり、中小企業金融公庫が二千万円、これに対して国民金融公庫の場合は別枠千二百万というふうになっておりますけれ
ども
、実はこれ、もともとの根っこの方の
融資
が御存じのとおり、中小公庫が一億円まで、国民公庫は一千万円となっていることからこういう
考え方
をとったわけでございますが、ただいまお尋ねの、別枠にこれだけではどうにもならないという点につきましては、実は
災害融資
の場合にもこの国民公庫の根っこの方の一千万円、この額もお使いいただけるということになっております。ですから、全体として見ますと、直接に国民金融公庫の支店に参りますと、千二百万円まで
融資
対象になりますが、まあおおむねそういう比較的小さな企業の方の場合、
融資
額としてはこれで対応していけるんです。で、中小企業金融公庫の方はやはりこの根っこの方まで使いますと一億二千万円、これは御指摘のとおり、ある
程度
大きな企業の場合になじむかと思いますけれ
ども
、別に小さなものに貸さないというんじゃございませんが、御利用の便利というようなことからしますと、そういうことになろうかと思います。そういうことでございますので、確かに特利の三%はこれは激災法で去年上げていただいて四百万ということでございまして、これまあ法律
事項
でございますので、ちょっと運用ではどうにもなりませんが、その四百万の三%なり六・二%のお金と、それから千二百万のうち四百万除いた部分でございます八百万については八・九%という、これはまあやはり特利――
政府
系の無
利子
の金とかあるいは資金運用部のお金でございますから比較的長いお金としては
金利
は割り安になってると思いますが、これと全体薄めてお使いいただくということで、資金量としては対応していけるんではなかろうかというふうに
考え
ております。
神谷信之助
103
○
神谷信之助
君 まあ町の
中心
部にそういう業者、零細業者が集まってるのがごっそりいかれましたからね、で、まあどうやってこれからの生活設計を立てるかというのがいま重大問題になってるんですがね。仮にそこで一軒なり二軒なりが次次に店を開いてみたところで、購買力が、昔のように集まってるところと違いますから、そういう点では金を借りてやりましてもなかなかいろいろな問題起こってくるんですね、すぐ返済をするどうのこうのという。したがって、この点では私はこの三分の特別被災者としての
措置
ですね、この点をできるだけ運用の面でも拡大をしてもらうということと同時に、据え置きの期間というのを相当長期に
考え
る方法を講じてもらわないと、実際問題としてこの利用ができないという
状況
になると思うんです。この辺は一つ実際上の運用の問題も絡まりますから、そういう
趣旨
は十分生かしてひとつ
指導
してもらうようにお願いしておきたいんですが、よろしいでしょうか。
松尾成美
104
○
説明員
(松尾成美君) 極力そういうことで御
趣旨
に沿うように
指導
はしてまいりたいと思います。
神谷信之助
105
○
神谷信之助
君 その次は建設省の方ですが、あの一宮の
災害
について、国土問題研究会と日本科学者
会議
の兵庫支部が合同で
災害
の研究グループをつくって現地
調査
をいたしました。京都教育大学の木村教授が責任者として行われたんですが、その
報告
を見ますと、これの二次
災害防止
のための当面の
措置
の緊急なことと、それから向こうの特殊なそういう地質、弱い地質の
状況
、こういったものについての科学的な
調査
ですね。当面の
対策
としては、雨水とか地表水が崩壊面あるいはその周辺に浸透するのを防ぐための集排水溝、これをつくるなどの
措置
が必要だろう。それから恒久的な
措置
をとるためには、当面すぐ早急に表層地質の
調査
、それから電気探査、ボーリング等、それを細かく
実施
をして、地下水脈や破砕帯あるいは風化帯の分布、これらを調べて残存部分の崩壊をとりあえず防ぐという、こういうことをやる必要がある。その次には恒久
対策
として、あれが流れ出て川の流れがぐっと西の方に寄ってきてるんですかね、だから、その川をもとのとおりに戻してしまうのか、あるいは、そこいま盛り土がしたようになってる、そういう状態をならしていくのか、それともそこをもとのように土を全部除去するのか、いろんなことを
考え
なきゃならぬ。で、しかも危険――将来の安全問題がありますから、そこに定着ができるかどうか、定着ができないとすれば四十数戸をどこへ移すのかというような問題が今後の恒久
対策
として
考え
られる。こういう非常にむづかしい問題が山積をしておりますが、この点について建設省の方で今日まで
調査
をし、あるいはそれについて当面の緊急
措置
あるいは応急
措置
、あるいは恒久
対策
、これらについて
検討
されてる点があればまず
報告
をしてもらいたいというふうに思います。 〔
委員長
退席、理事上條勝久君着席〕
大工原潮
106
○
説明員
(
大工原
潮君)
先生
御指摘のように、一宮町の地すべりの問題につきましては、非常に範囲が広範であって、それからさらに地質の問題もいろいろ特殊
条件
ございます。したがって、現在までに建設省といたしましての
調査
は、土木研究所の砂防部長あるいは地すべり研究室長その他、順次現地を見さしまして、
調査
のあり方、
調査
の計画につきまして現在
検討
中でございます。で、
先生
御承知のようにあの
災害
につきましては、流出した土砂の二次
災害防止
という意味で、流出土砂に対する対処の仕方といたしましては建設省所管でやる、それから新規崩壊を起こすという上流のいわゆる崩壊斜面でございますけれ
ども
、それにつきましては林野庁所管ということで基本的には
調整
をいたしております。しかしながら、地すべりといたしましてとらえる場合には全体を含めて一連のものとして
対策
を
検討
しなければいけないということで、
調査
計画等につきましても土木研究所あるいは林野庁の方の試験所等と合わせまして合同
調査
、その結果に基づいて
調査
計画をいままとめ中でございます。その結果が出た
段階
で恒久
対策
を決めていくわけでございますが、いま御指摘のように河川の土砂、排除いたす土砂量にいたしましてもかなりの量がございますし、それから上流の不安定土塊がまだございます。それらの処理につきましてもかなりの量が発生する予想がございます。あの
地域
、果たしてそれだけの土砂量がもとのように復旧するために処理する場所があるかどうかという点につきましては、ちょっといまのところ困難ではないかというふうに予想がされております。したがって、一応二次
災害
を起こさないような手法はどういう方法が一番いいかというふうなことで、河川
災害
あるいは道路
災害
それから住宅の復旧のあり方がどうあるべきかというようなことを地元の意向を踏まえまして、一応それらと切り離しては
対策
そのものは、恒久
対策
は
検討
するわけですけれ
ども
、やはり跡地の利用その他も一応それらの
条件
を踏まえまして現在
検討
中でございます。
神谷信之助
107
○
神谷信之助
君 まあいまのお話のように、建設省とそれから林野庁にまたがることになりますから、これ、どちらもやって、どちらも連絡
調整
をしてやると言うんだけれ
ども
、やはりまたがりますとなかなか責任の所在が明確にならぬ。主としてはどっち、建設省がやるんですか、林野庁、どっちでやるんですか。どっちがやっぱり主になってがんばってやるかというやつ、あるいは国土庁の方でそれを
災害対策
室でまとめてやるのか、その辺はどのようになっていますか。
大工原潮
108
○
説明員
(
大工原
潮君) 現在のところ、県を通じまして土木研究所の地すべりを担当いたします研究室、それが
中心
になりまして
調査
の計画を樹立しておるところでございまして、それにつきましては林野庁とは
調整
を図っておるところでございます。
神谷信之助
109
○
神谷信之助
君 そうすると
対策
といいますか、恒久的な――当面の二次
災害防止
のための計画とそれから恒久的な
対策
、これらを含めては建設省の土木研究所がその
調査
立案、企画はやると、林野庁と
調整
をしながらやっていくと、そこが責任を持ってそこまではやるということですか。
大工原潮
110
○
説明員
(
大工原
潮君) 当面の
実施
主体は県でございますので、一応県の土木部、それから林野庁の関係の農林部でございますが、それらを両方合わせました出先を現地につくったというふうに
報告
を聞いております。で、直接的にはそこが
中心
になって現地の
検討
をいたしておりますが、技術的な手法あるいは
調査
の計画等につきましては建設省が一応われわれといたしましては
中心
になってやらざるを得ないというふうにして、いまのところそういった情報は林野庁と相互交換しながら万全の
措置
をとっていきたいというふうに
考え
ております。
神谷信之助
111
○
神谷信之助
君 これは将来は地権問題、いわゆる土地の権利問題も出てくる可能性もありますし、集団、集落移転の問題も出てくるであろうし、それから実際にやると相当膨大な
財政
負担を必要とする、こういうことになってくるんで、この点はひとつ、県は県としてやらにゃいかぬわけですが、町自身は向こうは非常に小さい自治体ですから町の力でどうにもこうにもならぬ。したがって、県が主になりながら建設省や林野庁が、
政府
の方がそれについての技術的
指導
と
財政
的な
援助
、こういった点を十分にやらないとなかなか大変なことになる。とりあえず応急仮設住宅でやっていますが、いずれにしてもあれは二年以内の仮設住宅ですから、したがって少なくともこの一、二年の間には恒久的な
対策
を立てなきゃならぬ。それについての一番障害になってくるのは、そういう恒久的な防災体制の方途が見つかるかどうかということと
財政
措置
が可能なのかどうかという問題が当然起こってきますので、これはひとつ十分その点建設省の方も腹を据えて
援助
をするようにしてもらいたいと思いますが、その点よろしいでしょうか。
大工原潮
112
○
説明員
(
大工原
潮君)
先生
御指摘のようにかなり規模といたしましても、建設省所管分でも十数億というふうに
報告
は聞いておりますが、各省庁ともそういった数字になろうかと思います。現在のところ
財政
当局に対しましては激特
制度
にのせるべく、林野庁もそうでございますが、建設省所管の分につきましても激特
制度
にのせてできるだけ事業も促進と、それから
財政
的な面につきましても考慮してまいりたいと
考え
ております。
神谷信之助
113
○
神谷信之助
君 それじゃそれはひとつよろしくお願いしたいと思います。 次に、前回の
委員会
で余り時間がありませんでしたので、私の方から一方的に問題の提起だけをしておきました
災害
救助法の改善の問題、それから開発計画の見直し並びに
規制
の問題、こういった問題についてお伺いしたいと思います。 前回のときにも指摘をしたんですが、各県で
対策
本部を設置をした被災市区町村というのは九百五あるんですね。ところが、その九百五のうち実際
災害
救助法の
発動
された
市町村
というのはその六分の一に実質すぎないわけです。罹災世帯数で見ますと十二万世帯が罹災世帯になったわけですが、救助法の適用された
地域
の罹災世帯というのはわずか四割であった。したがって、
災害
救助法の第一条に「
災害
に際して、国が
地方公共団体
、日本赤十字社その他の
団体
及び国民の協力の下に、応急的に、必要な救助を行い」と、国が責任を持って
災害
にかかった人たちの保護、そうして社会秩序の保全を図ることを目的としてできているんですが、救助法が実際にはこういうわずかのところしか適用されないという
実情
にある、この点は非常に私は合理性を欠くと思うんです。
災害
を受けた
市町村
が国の
援助
を受けられる
市町村
がある、片一方では受けられない
市町村
がある。しかし罹災を受けた方は、これはたとえ一軒であろうと十軒であろうと同じやっぱり大きな
被害
を受けるわけですね。だから当面の応急のそういういろんな救助
措置
が、そういうように国の直接の
援助
の手が伸びるところと伸びないところとあるというのは、私はこれは非常に法のもとにおける平等の原則からいっても、この点では大いに矛盾があるんじゃないかと思うんです。したがって、これを私は、すぐにといってもなかなか無理でしょうが、
災害
救助法の
発動
を
災害
の
程度
にかかわらず
都道府県知事
が市区町村長の申請に基づいてやれるようにして、そうしてそういう不平等が起こらないようにするという
措置
に改めるべきではないかと思うんですが、この点についてのひとつ担当の厚生省の方の見解、さらに今度は、厚生省の方はきわめてそう簡単に政治的な判断をするわけにいかぬだろうと思うんですが、その答弁の上に立って
災害
についての政治的な政策立案の責任を持つ長官の見解をお伺いしたいと、こういうふうに思います。
水田努
114
○
説明員
(水田努君) お答え申し上げます。 神谷
先生
の御
意見
は前々から承っているわけでございますが、
災害
救助法に基づく応急救助、特にこれはいわゆる
地方
自治体を
中心
に国民の協力を得て総力を挙げて救済するという一つの一定の規模を想定して行うものというふうに私
ども
考え
ておりまして、御承知のとおりに
災害
救助法に限らず、
災害
時における各種の
制度
が一つの一定の線を持っていることは
激甚災
の指定その他を見ても明らかなとおりではないかと思うわけでございます。で、
災害
救助法の
発動
を全部知事に任したらどうだというのも一つの私確かに御
意見
かと思いますが、やはり
地方
自治体側としましては判断が恣意にわたっては逆にまた新たな不公平問題が生ずるので、やはり国が一つの明確な基準を持ってほしいというのは恐らく、われわれもそういう声を聞いておりますし、大多数の
地方
自治体がそういうことを恐らくは聞けば率直にそう申すのではないかと思っている次第でございます。
先生
御承知のとおりに政令で定めました一般基準以外に弾力条項がございますが、やはりこれにつきましても厚生大臣に協議して
発動
するという仕掛けにいたしておりますゆえんのものは、全国的に見て
災害
の
取り扱い
に不均衡、不公平がないということを担保しよう、こういう
趣旨
のものと解しております。なお現在の基準は一切政令に書いてあるわけでございますが、これが私
ども
は一応適切なものだと
考え
ておりますが、いわゆる必ずしもそうではないという御批判もあるわけでございますので、いかなる場合が不都合であるか、いかなる場合が妥当であるかというようにこれはいろいろ論議の分かれてまいるところではないかと思いますので、当
委員会
に設けられております小
委員会
等を通じまして、やはりここらあたりの問題の処在なり、あるいはわれわれ行政側の運用上その他の問題について改善すべき点があるならば私
ども
改善をさしていただきたい、このように
考え
ておりますが、いずれにいたしましても私
ども
一応今日の
災害
救助法の
発動
の運用についてはおおよその妥当性を持っていて、そう著しく不公正があるというふうには
考え
なくていいんではないかと思っておりますが、また小
委員会
等で具体的にお決めになられます際には私
ども
協力してまいりたいと、このように
考え
ている次第でございます。
神谷信之助
115
○
神谷信之助
君 歯切れが悪い。長官、もうちょっと歯切れよくやってください。
天野光晴
116
○国務大臣(天野光晴君) これは私の方の所管ではございませんので言い過ぎますと責任問題が起きますからいまの
程度
の発言きり役所側としてはできないと思います。これは当然救助法は洗い直しをすべきところに来ているのじゃないかと私は
個人
的にそう
考え
ております。私もずいぶん長い間、十数年間
災害
専門にやってきておりますものですから、そういう点でいろんなポイントも承知はしておるつもりでありますが、いま
課長
の方から話があったように、これは小
委員会
でひとつ詰めていただいて結論を出していただくということが過去のしきたりからいって大変いいんじゃないかと私思います。そういう点で衆議院の方の
災害対策
委員会
にも今度の
災害
を契機としていろんな反省
事項
があるからそれをまとめてひとつ何とかしてほしいというふうに私の方から申し入れをしまして、いま小
委員会
で
検討
中でございます。ひとつこちらも小
委員会
できておるはずでございますから、そういう点取りまとめて出していただきますれば、私の所管ではございませんが、できるだけ協力を申し上げて始末をしたいと
考え
ております。
神谷信之助
117
○
神谷信之助
君 所管は厚生省ですからなんですが、しかし国土庁は
災害
問題についての関係各省の連絡
調整
もやってもらわにゃいかぬし、われわれは次の
委員会
では地震問題では国土庁をもっと強化をして権限も付与するぐらいやらにゃいかぬというふうに
考え
ているぐらいですから、そういう点ではひとつ積極的にやってもらいたいと思うのですがね。きょうはそのほか救助の種類対象も、たとえばこの
委員会
でもしばしば問題になっておる屎尿のくみ取りとか清掃消毒ですね、あるいは畳とか家具なんかの取り除きとか、あるいは乳幼児の保育なんかも適用対象を広げるとかそういったいろんな問題を
検討
する必要があるだろう。実際に役に立つようにしてもらうということと、それからもう一つは、それだけに今度は救助法の適用いかんが
激甚災
の適用とも関連をしてくる。一県で一
市町村
が救助法
発動
していればそれで全県広がるというやつありますけれ
ども
、ただ一つのところしかないところもありますからね。だからそういったいろんな点が
激甚災
とも連動しますから、そういう意味で救助法の
発動
というのはもっと弾力的に、私
ども
はもう
災害
のいかんを問わず大体
発動
できると、一県とか二県とかそんな問題とは別ですから、いわゆる
災害
というものについては適用ができるような方途、それは当然
考え
ないといろんなまた問題が起こってくるのじゃないかというように思うのです。この点はひとついま長官積極的に当
委員会
とも小
委員会
とも協力してがんばってもらえるようですから、ともに協力してやっていきたいというふうに思います。 その次の問題に入りますが、そこで最近の
災害
がいわゆる自然――たとえば前回のように年間の降雨量が短時日に集中的に降るというような自然的な原因もありますが、各委員からも指摘されましたように、開発による
災害
の激化ですね、こういうことも指摘をされておるところであります。その開発というのも宅地開発あるいは造成あるいはゴルフ場の問題、道路の問題それから農業構造改善事業による開発、そのほか非常に自然をいらうことによって変化する問題、それから人口が過密集中することによって変化する問題、遊水地帯がなくなって保水機能を喪失して起こる問題、いろいろ出てきます。したがって、いずれにしても開発の問題については十分
検討
し直さなければならぬところへ来ておると思うのです。 そこで、いま国土庁の方で新全総の総点検をやっておられる。これはこの間も指摘はしておいたのですが、八
項目
の点検
項目
が開発審議会で規定をされて、すでに六
項目
については点検が終了しております。この
項目
内容を見ますと、巨大都市問題、
地方
都市問題、それから計画のフレーム、土地問題、農林水産業問題、自然環境の保全、これが点検が済んだ
項目
であります。あと二つが工業基地問題と開発に関する法
制度
ということになっています。ところが国土総合開発法を見ますと、第一条には、国土の自然的
条件
を考慮して、いろいろ総合的見地からこの計画をつくれという、これが目的だということが出ていますし、第二条の国土総合開発計画の第一項の二号には「
水害
、風害その他の
災害
の
防除
に関する
事項
」、これも国土総合開発計画の中に加えるべき重要な
項目
になっていますね。したがって、そういう点から
考え
ますと、こういう開発が
災害
に非常に大きな影響を与えているということが最近の
災害
の事例で明らかになっているにもかかわらず、この新全総における点検
項目
に再開発と
災害
との関係ですね、この問題についての点検
項目
を加えてないということは、先ほど言いました法の一条、二条の規定からいっても、それから現実に開発によって
災害
が続発し、またひどくなっている、そういう現実からいっても、これは私は重大な問題があるんじゃないかと、こういうふうに思うんです。この
項目
は、この間の話では、開発審議会でお決めになったということですけれ
ども
、この点はひとつ国土庁の方でもこれは実質的にこの問題で研究もし、点検もすると同時に、開発審議会にも提起をして点検
項目
をふやしてもらう。そういう角度から見直しをしないと、そういう
災害
による教訓というものをわれわれくみ出さないと、これからの開発計画というものは立てられないというところまで来ているんじゃないかと、こういうふうに思うんで、この点についてひとつ見解をお聞きをしたいと思う。
下河辺淳
118
○
政府委員
(下河辺淳君) ただいま御指摘いただいた問題でございますけれ
ども
、昭和四十四年に閣議決定しました新全国総合開発計画は御指摘のとおりに総点検をしておりまして、六
項目
終わりまして、間もなくあとの二
項目
も終わる段取りで作業しております。ただ、その八
項目
に審議会で分けていただきます際の
考え方
といたしましては、その新全総の総点検の角度は、公害問題と防災問題の角度からもう一度洗い直したらどうかということが主要テーマでありまして、それを大都市の場合、
地方
都市の場合、あるいは農林水産業の場合ということで八
項目
に分けて、その公害と防災について点検するようにと仰せつかって、それで一応やってきたわけでございますけれ
ども
、最近の風
水害
の経験にかんがみまして、八
項目
の点検は八
項目
として早急に終わらせたいと思いますけれ
ども
、第三次全国総合開発計画をつくる前提といたしまして、国土に関する
条件
につきまして関係各省の
調査
も進んでまいりましたから、それらの
調査
を集めまして一度整理をいたしました上で、審議会等々にも御
説明
をした上で御指摘の点を
考え
てまいりたいというふうに
考え
ております。
神谷信之助
119
○
神谷信之助
君 私、これは非常に大事なことだと思いますから、ひとついま
局長
のおっしゃったように早急に点検はやってもらうと、われわれも、そういうところからひとついろいろまた勉強しなきゃならぬと思いますから、よろしくお願いしたいと思います。 それから、その次の問題は国土利用計画ですが、これは
政府
の方の案ができて、そしていま各県でそれに基づいて各県の計画を樹立をするという、そういう
段階
に入っているようですが、この点、私、ずっと内容も見せてもらったんですが、言葉の上では、
災害
、防災の面も言葉としては入っているんですけれ
ども
、具体的にいま計画をつくる、その利用計画の中で、そういったものを、たとえば防災の観点から、どういう土地あるいは山林、これらを保有しなきゃいかぬのかと、そういう点についての計画を具体化をするとか、そういった点は余りないように思うんですね。その点では、やっぱり防災上の観点からの国土利用計画という点での、入っていると言えば入っているけれ
ども
、実際具体化はない、具体性はない。この辺もひとつもう一度見直す必要があるんじゃないか。特に国の方からこうやって方針が出ていますから、府県は大体それに準拠してやりますから、その辺について改めてつくり直すか、あるいはそういう見地をもう一遍強調して、そういう角度から、こういう点について特に留意をするようにというような
指導
をするか、そうしないと、私は、現在の国土利用計画案では、防災上の見地から言うと、きわめて不十分じゃないかと思うんですが、この辺はいかがですか。
下河辺淳
120
○
政府委員
(下河辺淳君) 御指摘のように、国土利用計画は、全国計画と
都道府県
計画と
市町村
計画という三つで成り立っておりまして、今回初めてつくりましたから、御指摘のように基本方針的な計画にとどまっておりまして、私
ども
といたしましては、防災の観点というのは、かなり具体的な
地域
性をもって
考え
なければ実現しないだろうと
考え
ますので、一応国の方針を今回示しまして、県の計画の際に、またいろいろと防災上の観点を
考え
ていただいて、またそれを上へ上げていただきまして、全国計画は、その
都道府県
計画ができた
段階
でもう一度見直すことを閣議決定をしておりまして、見直しを
条件
に方針として示しておりますから、各県等から出てまいりました場合に、その点でさらに補強する点があれば、補強改正をさせていただきたいというふうに見ております。
市町村
計画にいきますのは、
都道府県
の方針が定まりました上で固めたいというふうに
考え
ております。
神谷信之助
121
○
神谷信之助
君 その点では、いま日本列島は危険列島といいますか、
災害
列島の状態になっておると前回も
報告
がありましたが、たとえば建設省の危険個所というのは六万カ所ある、林野庁の方は十二万カ所、農地の危険個所は二千七十件、土石流の危険個所は三万五千カ所、地すべりの危険個所は五千カ所、老朽ため池は一万カ所以上というようになっているわけですね。しかも最近の
災害
を見ると、そういう危険個所と指定をしていないところでどんどん起こっておりますから、だからこれ以上ということですね。だから国土利用計画をつくる場合に、そういう意味で、こういう
災害
の面からの危険の
状況
、これを科学的にもう一遍点検をし直す、そういう点も
指導
して、
市町村
計画をつくる場合に十分そこも踏まえてやらせる。溜水、遊水地帯になっておったところにどんどん家をつくれば、これはしょっちゅう浸水してしまう。それを土盛りしたらそれで済むのかどうか、いろいろな問題が起こってくるでしょう。だからそういう点まで含めた
指導
なり
援助
なりをしないと、これは計画を幾ら絵にかいてみても、実際住んでみたら水はつくし、
災害
が起こる。これでは役に立たぬわけですね。この辺まで含めた、少しこうきめの細かい一いまは県
段階
でやっているんですが、実際にやるのは、
市町村
でぴちっと一番
実情
に沿ったものができるわけですから、そういうのに間に合うようなこういう実態の
調査
、あるいはそれに基づく留意すべき
事項
なんかの
指導
ですね、こういう点きめ細かくやる必要があるんじゃないかと思うのですが、この辺いかがですか。
下河辺淳
122
○
政府委員
(下河辺淳君) ただいまは国土利用計画法に基づく計画の手続だけ御
説明
いたしましたが、いま御指摘いただいた点では、国土庁発足をいたします際にそういう問題がありまして、国土情報整備事業という事業を興しまして、ようやく
政府
で一貫して航空写真を撮り始めるという事態になりまして、それから国土の
条件
についても、一キロメッシュで全国の事情
調査
をして各県の作業に供することができるようにという作業を始めておりますが、遺憾ながら、これがまだ数年かからないと完成しないという
実情
にありますが、極力急ぎまして各県の作業に使っていただくように
指導
したいと思います。
神谷信之助
123
○
神谷信之助
君 それで長官、私は、だからそういう精密な航空写真も撮ったりいろいろやらなければいかぬと、だからそういう点では民間にいろいろな研究機関もあるわけですからね、そういうのもいろいろ動員もし、協力もしてもらう。それから一番地元の、現場のそこに住んでいる人たちには、いままでのそこの
地域
における人間社会の生活の変遷なんかがわかっているわけですから、これは自然の
条件
と切り離してそういう生活が存在していないわけですからね。こういったものを踏まえながらやっていくということで、全部大きくやっぱり動員をして協力をしてもらってやる。こういう協力を国民的な規模でやれば、やっぱり危険
地域
だということが理解されれば、そこはのくとか、そういう問題が起こってくる。それをそういうなにに理解をして一緒に協力をしてもらうという道程を抜きに、言うなればお役所仕事で権威主義的にやっていきますと、それはなかなかそう簡単に先祖伝来の土地が立ち退けるかとかいったいろいろな問題が起きる。だから、この辺を私はよっぽど腹を据えて、民主的に国民の、その
地域
住民の
意見
を聞きながらやれるような、そういう計画立案作業、これを同時にやらないと大変だろう。 それから同時に、もう一つは、いま話を聞くと大分時間がかかるわけですね、全体のは。これは
災害
は、最近は毎年じゃんじゃん起こってきて、ことしのような大変な
災害
になってくるわけですから、その
被害
総額を
考え
ると、それだけの
被害
総額、損失をし、日本の国民の富がそれだけ損失をしているわけですから、このことを
考え
れば、相当の投資を
考え
てやるということをやらないと、大体後追い後追いになるわけですから、この辺なかなか大変なことではあるけれ
ども
、長官もひとつ腹を据えてやってもらいたいと思うのですが、この辺いかがですか。大体いつまでどうなるか知りませんが、いずれにしても来
年度
予算
に向けての問題が大きく出てくるのだし、そういうことですからね。
天野光晴
124
○国務大臣(天野光晴君) 日本の国土をよりよく利用していくためには、狭い国土を守る以外方法はないわけですから、そういう点では、新しい役所で
予算
もなかなか取りにくい点もありまして、なかなか進みにくいと思うのですが、理解を求めて基本線をがっしりつかめるようにして、時間を短縮してやれるように積極的に努力いたします。
神谷信之助
125
○
神谷信之助
君 もう時間がありませんから、あと一括してお伺いしたいと思います。 一つは、これも前に指摘をして、前の金丸
国土庁長官
が、実は中央防災
会議
の
事務
局にそのための専門の専門部といいますか、つくってひとつ
検討
するということを約束されているのですが、たとえば都市計画法あるいは都市再開発法ですね、事例を挙げたのはこの二つの法律、とりあえずは二つを挙げるのですが、防災上の見地から見ると適合性がないではないかという問題があると思うのです。都市計画法の第十三条は都市計画の基準を決めております。それを見ますと、「都市計画は、全国総合開発計画」、三大都市圏の整備計画、
北海道
総合開発計画、
地方
総合開発計画等々に適合するよう定めなければならない、「この場合において、」「公害防止計画が定められているときは、」それに適合したものでなければならない、こうなっています。だから、都市計画の立案は、そういう開発計画と適合すること、それから公害問題がやかましくなりまして、さらに公害防止計画がある場合にはそれに適合しなさいと、こうなっている。それから防災基本計画、これともやっぱり適合して都市計画が
考え
られていくことが必要ではないか。この点に法の不備があるのじゃないか。同時にもう一つ、二十三条に、「(他の行政機関等との
調整
等)」というところで、建設大臣が「都市計画を定め、若しくは認可しようとするとき」は、あらかじめ農林大臣、環境庁長官、通産大臣、運輸大臣の「
意見
をきかなければならない。」となっている。厚生大臣は必要があるときは「建設大臣に
意見
を述べることができる。」と、こうなっています。しかし、防災について総合的な責任を持っている
国土庁長官
とか、あるいは消防庁長官とか、あるいは場合によれば自治大臣ということですが、こういう人の
意見
は聞く必要がないことになっているのです。だから、この法自身がそういう防災の見地抜きに開発重点で、そして後公害問題が起こりましたから、そういう意味で公害防止計画、厚生大臣の
意見
を聞くと、こういうことになっているのですね。この点が一つですよね。 もう一つの問題は、都市再開発法であります。これは空間の高度利用が目的になっている。したがって、防災都市づくりのための再開発法ではないわけです。しかし、たとえば関東震災のようなのが東京周辺で起これば大変なことになる。とにかくあの石油コンビナートという危険物と住居とが隣接をしているわけですから、こういう状態は至るところに出てきますね。で、したがって、あるいは空間の高度利用も、いわゆる防災の見地からの問題というのが非常に重要になってくるわけですね。きのうですか、京大で行われている防災の学者の
会議
でも、例の大分の地震で問題になった、一階の空間の広い、壁面の少ない、そういう建築が地震には弱いというやつがイタリアの例を挙げて
報告
されていますけれ
ども
、そういう問題も含めて、この都市再開発という場合、単に空間の高度利用だけではなしに、防災都市づくりという見地からの再開発、これが当然含まれる必要がある。こういうようにこの法も
検討
し直す必要がないか。したがって、三条は、市街地開発の区域が「都市計画法第八条第一項第三号の高度利用地区内にあること。」というようになっていますが、これに都市計画法のたとえば「防火
地域
又は準防火
地域
」、この部分も加えてやっていく。それから防火
地域
に指定をしたら、それが不燃化物を
中心
にしてちゃんとそういう防火の役割りが果たせるような
地域
、都市再開発をする場合でも、そういう方向に向けてやらなければならぬだろうというように、防災基本計画あるいは防災との関係、これらとの適合性ですね、建築基準法の問題もそうでありますが、こういった関係を、いわゆる開発関係の法律というのは、そういうのはいまもう一度根本的に点検をする必要があるだろう。こういうことで、前金丸長官時代に指摘をしたわけです。で、当時長官は、金丸さんは、中央防災
会議
の
事務
局の中にその専門機関を設けて、ひとつそういう見直しの根本的な
検討
をやるようにしますということだったのですが、おかわりになりましたけれ
ども
ね。長官がかわられても、行政は一貫性を持っているのだから、具体的にそれはそういう点で作業が進み出しているのかどうか、そういう問題意識を持ってその中央防災
会議
の
事務
局の中でそういう作業を進め出してきているのか、この辺についてひとつ
報告
を求め、そして今後のひとつ決意を長官からもらいたいと思います。
松原青美
126
○
説明員
(松原
青美
君)
先生
御指摘の都市計画法等に防災の観点が入っているのかという御質問でございますが、都市計画は、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るための土地利用、都市施設の整備等に関する総合的な計画でございます。したがいまして、都市防災の観点からも、たとえば防火
地域
等の
地域
地区の指定、広幅員の道路、大規模な公園等の都市施設の計画、あるいは御指摘ございました市街地再開発事業によります建築物の不燃化の計画等を定めることができることになっています。で、
地域
防災計画等によりまして都市施設の整備計画が決まりました場合には、それは直ちに都市計画として決定いたしまして、事業の進捗を図るという方向で
指導
しておりますし、再開発事業につきましても、たとえば江東の再開発事業は、防災拠点づくりの都市計画の再開発事業でございまして、あの中にあの付近の住民の人が安全に避難できる場所を
確保
する、こういうような計画になってございます。そういう点から見まして、現在の都市計画法あるいは再開発法におきましても、防災上の観点を十分入れた都市計画は必要に応じて決定されておりますし、それに基づいて事業の
実施
も進められておりまして、現在の都市計画法等で十分対応できるのではないか、かように
考え
ております。
天野光晴
127
○国務大臣(天野光晴君) これは私の持論ですが、ちょっと土地に関する法律が多過ぎるんではないか、それが各役所的にセクト的な形になっておることが狭い日本の国土を利用するのに非常に障壁になっているのではないかというような
考え方
で、実はこの国土利用計画法を創設するときに、それも織り込みたかったんでありますが、なかなかそこがむずかしくなりまして、
事務
的にこっちも時間もなくなりまして仕上げたわけでございますが、そういう観点から、金丸前長官からは正直言ってまだ正式には
事務
の引き継ぎは受けておりませんが、金丸君の
趣旨
を体しまして、私の方の――とりあえず都市計画は私の関係ではございませんが、建設大臣とも連携をとりまして、御
趣旨
に沿って私の方の国土利用計画法の中で始末ができるものとすれば、これはまたこれでこれから進めて
考え
てみたい。いずれにしろ、法律改正をしない限りこれはどうにもならないと思いますから、前
向き
で
検討
してみたいと思います。
神谷信之助
128
○
神谷信之助
君 先ほど建設省のちょっと答弁は、そういうことはわかっています。私が指摘をした十三条や二十三条については、いま言ったような点が抜けておるという問題を指摘しております。具体的にそれは個別のところには入っているところもありますよね、都市再開発の問題。だからそれはわかっているんですが、大体、
国土庁長官
や消防庁長官の
意見
は聞かぬでもいいという都市計画づくりですからね、それはちょっとおかしいよというのを言っておるんです。この辺はここでもう時間がありませんから論争はしませんが、いま長官がおっしゃったように、ひとつそういう点で土地問題それから開発問題、これらの諸法について、本当にたくさんありますからね、だから整備もしながら特に防災の見地をどう貫くかという点をひとつ十分配慮して
検討
せられることを
要望
して、私の質問を終わります。
柄谷道一
129
○
柄谷
道一君 十七号
台風
及び
冷害対策
につきましては、去る十月八日の本
委員会
と十月十四日、農林水産
委員会
で質問を行いましたが、その質問の
趣旨
をくんで現行
制度
をフルに活用して
対策
を講じ、また今後も引き続き
対策
を講じられようとしております姿勢につきましては、国土庁、建設省、
農林省
に、私は野党ではございますが、率直に敬意を表したいと思います。本日は、その
災害
を今後いかに防ぐかというその視点に立って若干の質問を行いたい、こう思うわけであります。 まず、
農林省
に
冷害
関係でお伺いをいたしたいと思いますが、本
年度
の
冷害
はもちろん記録的な低温そして
日照不足
という異常天候によることは当然でございます。しかし、単にこれを天の責任に期するわけにもいくまいと思います。私は、この今回の
冷害
の
被害
を大きくした第一の問題点は
政府
の銘柄米の奨励にあるのではないか、こう思うわけであります。農林
委員会
でも私はネコの目農政ということで大臣に対し御質問をしたところでございますが、食管法をなし崩しにいたしまして
自主流通米
制度
を設けられました。最近においては米価決定に当たって大きな銘柄格差を設けられたわけでございます。こうしたことが背景となって、私は、
政府
の稲作研究において近年優良耐冷品種の開発普及がややおろそかにされたのではないか、こういう感じを持つのでございますが、まずその点をお伺いをいたします。
川田則雄
130
○
政府委員
(川田則雄君)
先生
の研究の話に入る前に、いまお話がございました今年の
冷害
の実態について若干触れたいと思います。と申しますのは、今年の
冷害
を見ますと、
北海道
では高緯度の地帯あるいは太平洋岸の冷風が吹き込む十勝南部地帯、そういうところが
被害
を大きくしております。それから青森につきましては、やませが吹きます下北半島、また、やませが下北半島を越えて陸奥湾に吹き込む津軽半島の東側、それから同時に
山間地
の冷水のかかるところがひどくなっております。それから青森以南について申し上げますと、非常に特徴的なことが出ておりまして、たとえば秋田県の北でございますと百五十メートル以上のところが
被害
が多い。秋田県の南にいきますと二百五十メートル以上のところに
被害
が大きくなる。それから岩手県にいきますと大体二百メートル。山形県にいきますと三百メートル。そういうような実態でございまして、よく見てみますと、そういう
地域
によって特徴的な
冷害
があらわれておるというのが一つと、もう一つは、同じ
地域
でも、気象
条件
は同じでありながら、
農家
の栽培の仕方その他によってまた
被害
のあらわれ方が違うというのが特徴的に出ておると思います。 それで私たち、この前も
先生
から御指摘がございましたけれ
ども
、これについてどういうことがやはり
地域
により
個人
により差が出ているかということについて
検討
いたしておりますけれ
ども
、一つはやはり品種の問題だと思います。この品種につきましては、
北海道
と青森は
耐冷性品種
がほとんどでございますから、栽培法の問題が大きくクローズアップしてくると思います。それから青森以南につきましては、先ほど申し上げましたように、高緯度地帯、緯度の高いところの
被害
が大きいということでございますが、これにつきましてはやはり多収品種、たくさんとれる品種ですね、多収品種というのは御承知のように生育期間が若干長い品種でございます。そういう品種がやはりひとつ高冷地において問題があったのではないかということが一つ
考え
られます。それから、もう一つの問題は、やはり苗のつくり方でございます。苗のつくり方というのは非常に最近変わっておりまして、いまから三十年前ぐらいは平均温度が十五度にならないと植えられないような苗でございました。それから順次発達しまして、いまは十三度で植えれるというような状態になってきております。さらに十三度から十一度ぐらいの間隔で植えれる苗をやはり正確につくるという技術を今後定着させていかなければいけないのではないか。それから同時に、植えつけがおくれたところは
被害
が大きく出ておりますから、植えつけをおくらさないということも必要ではないかと思っております。それからもう一つは肥料の問題でございますけれ
ども
、御承知のように、今年は初めから終わりまで気象が非常に悪く推移いたしましたけれ
ども
、七月の下旬にちょっと天候が回復したことがございます。そのときにやはり追肥をやった。ふだんでも生育がおくれるような天候の状態のところに窒素追肥が入ったというようなことも一つは大きな問題ではないかと思います。それからもう一つは、これも御承知ですけれ
ども
、ことしは出穂がおくれまして、普通穂が出るのは三、四日でもって穂ぞろいになるのですけれ
ども
、その期間が長かったということで
病害虫
の
防除
というものの
徹底
に相当苦労した。そういうことがことしの
冷害
の場所的、内容的な特徴ではないかと
考え
ております。
柄谷道一
131
○
柄谷
道一君 十月四日に大臣官房技
術審議官
室が中間
報告
をされております。その中で品種、特に銘柄米と
冷害
の関係につきましては、四つほど理由を挙げまして「本年の作柄における品種差を現時点で一概に論ずることは難しく、更に、詳細な分析が必要である。」、こう結んでおられるわけでございますが、この詳細な分析――これ
冷害
は来年また襲ってくるかもしれないわけですね。のんべんだらりと時間をかけて
検討
すべき問題ではないと思うんですが、特にこの品種、特に銘柄米と
冷害
の関係、これに対する再
検討
の目途を大体どの辺に置いていま省としてはお
考え
を進めておられますか。
川田則雄
132
○
政府委員
(川田則雄君) ただいま
冷害
の実態の
調査
を
試験研究
機関がもうすでに開始いたしております。それで先ほど申し上げましたように
地域
により
個人
により差があるというようなことも含めまして詳細に
検討
いたしまして、そして稲作問題
検討
会というようなことでその締めくくりをやりたいと
考え
ております。そして
調査
は最低、出穂期や
収穫
期が非常におくれておる関係もありますので若干おくれますけれ
ども
、一月にはその
検討
会を開きたいと思っております。
柄谷道一
133
○
柄谷
道一君 同じくこの
農林省
の中間
報告
では、「ここ数年、
冷害
に遭遇した経験が乏しく、更に、昨年の史上最高の大豊作の翌年ということも影響したため、適品種の選定、健苗の育成、適期移植、施肥等の肥培管理、水管理等の基本的な技術の励行が現場で必ずしも十分に行われなかったきらいもあり、」それがまた
冷害
の
被害
を一層大きくしたのではないかと指摘されているわけでございます。今後当然これらの点につきましては
指導
の強化とその
徹底
ということがきわめて必要なことになろうと思うんですが、ただいまの本年一月と言われます研究
検討
の中に、当然、これらの技術面における
指導
とその
指導
の
徹底
のあり方というものについても議論が行われ、明
年度
にはこれが的確に
実施
されるような施策が講ぜられるものと信じてよろしゅうございますか。
川田則雄
134
○
政府委員
(川田則雄君)
農林省
では、稲作につきましては毎年春夏作の
指導
要領というものを、暖候期の気象予報というのが三月の二十日に気象庁から出ます、そしてそれを受けまして、その年どのような
指導
方針でやるかということを次官通達で詳細なものを出しております。今年も先ほど申し上げました一月の末までにその
検討
を終えるということは、それと三月の二十日に暖候期の気象予報が気象庁から出てまいりますから、その二つを合わせて春夏作の
指導
要領ということで安全な稲作を指向した
指導
要領を出したいと思っております。
柄谷道一
135
○
柄谷
道一君 幸い米につきましては昭和四十三年以降の過剰傾向にあった、そのため今回の
冷害
が大きなパニックまでは発展しなかったと思います。しかし、今後こういた
冷害
が再発される、そしてこれが続くということになりますと、私は
生産
者のみならず消費者にも大きな不安を与える結果になると思うのであります。そういたしますと、当然
政府
は今後適地適作主義の
徹底
という政策が強く求められてくると思います。そのためには耐冷品種の開発普及はもちろんでございますけれ
ども
、この適地適作主義というものを普及さしていくための奨励、助成もしくはその価格政策というものがこれに伴ってこなければ適地適作主義の普及
徹底
ということがむずかしくなってくると、こう
考え
るものでございます。これらに対する方針をお伺いいたしたい。
杉山克巳
136
○
政府委員
(
杉山克巳
君) 御指摘のように今回の
冷害
をいろいろ反省いたしてみますと、その限界的な能力を超えたところに米を入れておったんじゃないかということも見受けられる、あるいはその品種の選択においても必ずしもその
地域
に適しないいわゆる銘柄米、価格あるいは
収量
の点においてだけ有利な品種を入れたというようなことも見受けられます。でありますから、そういった
地域
に適した作目を入れるということ、さらには米なら米で
地域
に適した品種を選択させるということはきわめて重要な
指導
の方針というかあり方だというふうに思います。ほかの農産物の問題につきましては、
先生
御指摘のように米に比べて収益性等において若干劣る点があるわけでございます。そこらを
生産
性を上げ価格の面でも配慮する等、総合的な
対策
を講じて米から転換を図るというようなことで、目下水田の総合利用というような形での
対策
を進めているところでございます。今後はそういった
農林省
の政策一般の中にことしの
冷害
による結果、問題の所在というものも含めて
検討
してまいりたい、推し進めるようにしてまいりたいというふうに
考え
ております。
柄谷道一
137
○
柄谷
道一君 次官、これお願いをいたしておきたいんですけれ
ども
、私はやはり今回の
冷害
を一つの契機として今日までの農業政策についても、いま御答弁がございましたように適地適作主義というものを今後
徹底
せしめて国民の総合的な食糧を
確保
する、これはきわめて重要な課題であろうと思うのであります。前回の農水
委員会
でも強く大臣に御
要望
申し上げておったところでございますけれ
ども
、ひとつ次官としてもこの
冷害
を契機にして今日までの農業政策の及ばざる点を補完しつつ新しい農政が展開されるようにこれはぜひお願いをいたしたい、こう思います。次官、いかがですか。
片山正英
138
○
政府委員
(片山正英君) 私も実は今回の
冷害
に大臣の命令で
北海道
から裏日本、約一週間農民の
方々
の実態の
調査
をしてまいりました。その中で、先ほど川田
審議官
が御
説明
いたしましたとおり、ことしはあの地帯何か伺いますと六十三年ぶりの異常気象だと、しかし
北海道
ではまあ五年ほど前に一遍経験がある、それから
東北
地方
は二十年ぐらい前にやはり同じような経験があるということはございましたが、何せ六十三年ぶりの本当の異常気象であるわけです。その中でやはり
取り扱い
品種の問題、それから肥料の問題、それから植えつけ時期の問題等、いろいろ技術の解明をすべきところが非常にございました。したがって、これらはいま
検討
をしまして、
冷害
要因分析
検討
会というのをつくりまして、少なくとも
先生
おっしゃるように一月末ぐらいまでには結論を出しまして、来
年度
の稲作等については不便のないように支障のないように
指導
してまいりたい。そしてその中で、やはり銘柄米とかいろいろありますが、先ほど
審議官
がおっしゃいました総合食糧政策、そういう中で
先生
のおっしゃることを十分拝聴しながら対処してまいることをいたしたい、こう思っております。
柄谷道一
139
○
柄谷
道一君 ぜひそのように御努力をお願いをしたいと思います。 私は
冷害
を大きくした第二の原因として、田植え機の問題があると思うのであります。
政府
は稲作
生産
の合理化を図るという視点に立ちまして従来からその機械化を推し進めてこられました。で、最近におきましては売らんかなのメーカーのコマーシャリズムに押し流されて、その機械が稲作
生産
の安定
確保
にどのように機能し得るかということに対する研究が私は十分尽くされていないのではないか、こういう感を持つわけでございます。特に今回の
冷害
について見ますと、稚苗田植え機の
使用
によりまして田植え時期がおくれたことが
冷害
を大きくした一つの原因であると御答弁になっているところでございます。私はそのような視点に立ちますと、この機械化という問題についても、もちろん私は機械化のすべてを否定するものではございませんけれ
ども
、この技術の
検討
と相まって田植え機のあり方というものにつきましてもこの
冷害
を今後防いでいくという視点からもやっぱり研究が行われ、メーカーに対する適切な
指導
、そして農民に対する適切な
指導
というものが必要になってくると、こう思うわけでございます。御所見をお伺いします。
川田則雄
140
○
政府委員
(川田則雄君) いま田植え機のことがございましたですけれ
ども
、田植え機を使う稲作というのは、労働力が非常に減少した中で、普通であれば栽植密度が非常に減るところを栽植密度が減らないで済ましたということは、これは増収にとって非常に大きな効果を及ぼしていると思います。 〔理事上條勝久君退席、
委員長
着席〕 それで、御承知のように田植え機が出ましたのは四十五年でございます。その四十五年の当時、田植え機を使う稲作というのはこういうような形でやるんだというようなことを詳細に研究結果をまとめて通達もいたしておりますけれ
ども
、その後何しろ、御承知のように四十五年からいままでに七〇%、現在は七〇%が田植え機で植えられておるというような実態でございます。で、機械はただ植えるだけでございますから、たとえば苗をきちんとつくるだとか植えつけ時期をきちんとするということはこれは
指導
と技術でございます。そういう点で、
先生
御指摘のとおり、今後伸び切った田植え機の稲作というものを安全な稲作の方向に向けていくということについては最善の努力を
払い
たいと思います。現に私たち、稚苗でありますとどうしてもそれだけ生育期間が長くなりますから早植えをしなければいけないということがございます。ところが実際は、寒冷地等においてはそれだけの早植えが可能かどうかという問題もございます。そういうときにはもう少し大きな苗、いま中苗と言っておりますが、中苗を植えれるような形にいたしたいと。それからさらに、その中苗でも寒冷地の高いところ等では問題がある場合には、技術の開発を若干待ってでもいまのうちは従来の成苗植えして、そういうところの稲作というものをしっかりした形にいたしたいと、そのように
考え
ております。
柄谷道一
141
○
柄谷
道一君 御答弁にございましたように、来年遅くても一月、これ二月に入りますとちょっと時期がおくれますので一月じゅうにと言われたんですが、なるべく早くいま私の指摘しましたような諸問題について
農林省
が的確な方針を樹立されることを強く求めておきたいと思います。 私、前回も御質問したんでありますが、そのような当面の
対策
とあわせて異常気象の対応技術の
確立
ということが大きく取り上げられております。
農林省
では、現行技術の
検討
と対応技術の開発というものをテーマにいたしまして、五十一
年度
から五カ年計画でこの研究開発が進められていると承知いたしております。五十一
年度
の
予算
は一億五千万円であったと思うんでありますが、私は、この
冷害
の経験に徴しまして、この中期的な研究とその結論を得るということは、これは国家の立場からいたしましても非常に重要な問題として今回の
冷害
はその必要性を再認識せしめたと思うわけでございます。まだ初
年度
だけでございまして、あと四カ年この計画が残っているわけでございますが、さらに
予算
額を増額をし、この五カ年計画をたとえば三カ年計画というふうに期間も縮小し、さらにそのスタッフも増員するなどいたしまして、気象庁が発表いたしております長期異常気象という予報に対応する
対策
の樹立を急ぐべき時期ではなかろうか、こう思うのでございますが、そういうお
考え
はお持ちでございますか。
川嶋良一
142
○
説明員
(川嶋良一君) ただいま
先生
が御指摘のように、異常気象の対応技術の研究につきましては本
年度
から
実施
をいたしておりますが、実はこの研究を計画いたしましたのが、先年来の世界的な異常気象を踏まえまして、恐らくこういうことに対しましての研究というのは短時日になかなかまいりませんので早目にこういうことについては取り上げて
対策
的な研究をしていこうということで、かねて
検討
を進めまして、幸いにして今
年度
から研究を
実施
したわけでございます。で、本
年度
、実はこういうような研究でございますので研究室の中だけで研究をいたしますととかく実態と離れる点がありますので、早速
北海道
で現地
検討
会を開催するような計画を立てておったわけでございますが、たまたまこういうような事態になりまして、長期的なつもりでやっておりましたものが、実際に現実的な対応とマッチいたしまして、研究というものは常に心がけておらなければいけないということを痛感をしたわけでございますが、ことしのようなことを踏まえまして、これからますます異常気象が続くであろうというような警告がございますので、私
ども
といたしましては全機関を挙げまして鋭意努力したいと思っております。
柄谷道一
143
○
柄谷
道一君 これは次官お願いをしたいんですが、この中間
報告
の締めくくりにも、基本に忠実な技術の励行によって悪
条件
の天候下でもある
程度
被害
を軽減し得ると、こう結んでおられるわけです。この技術の開発なり忠実な技術の履行という問題は、来年一月までを目途とする応急の
検討
、これが一つですね。それからもう一つは、やはりこの異常気象に対応する中期的な方針の
確立
、この二本がこれから相並行しつつ強力に進んでいかなければならない。私は技術的なことは余りわかりませんけれ
ども
、この中期的な五カ年計画につきましてももう一度洗い直していただいて、これから異常気象が毎年数多く続いていくであろうという気象庁の警報も出ておる時代でございますから、洗い直しを行ってこの期間の短縮ができないものか、もし短縮を行うためにはどういう隘路の解決を図らなければならないのか、こういう点はひとつ政治家として次官十分に御
検討
の上農民に与える不安というものを一刻も早く解決するような施策を強力に推進していただきたい、こう思うわけでありますが、この御答弁を聞きまして
農林省関係
の質問は終わりたいと思います。
片山正英
144
○
政府委員
(片山正英君) 先ほど
先生
のおっしゃったとおり、短期的な当面の問題、それから今後の問題、確かに短期的な問題が、私は現地でいろいろ見せていただきますと、
個人
的の差が非常に多い。それはまあ無理もない点もあると思ったのは、前年はまさしく史上まれに見る豊作の年であったわけです。それと、今回がまたまれに見る異常気象のさなかにぶつかったものですから、そこに
個人
差がどうしても出ざるを得なかった原因があったようです。したがって、そういうものは今後の短期的の
調査
の中で解明をして、来年からそれに間に合わせていく。それから長期の問題につきましては、五カ年計画もまさしく
考え
ていかなくちゃなりませんが、やはり技術問題を総合した研究、いろいろな角度からそれぞれの分野でやっておりますから、そういうもののいろいろな角度の総合したものでやはり対処していかなければならない。ただ五カ年計画というだけの問題ではない。そういう広い意味のひとつ
検討
をさせていただいて善処させていただきたい、こう思っております。
柄谷道一
145
○
柄谷
道一君 では次に、第五次治水事業五カ年計画につきまして御質問をいたしたいと思います。 一九四五年から五四年には、公共事業費の約二〇%が治水事業費でございました。それが、五五年から六四年になりますと、四ないし五%にまでその比率が長期継続的に低落をいたしております。その反面、高速自動車道、鉄道新幹線などの開発投資が大きくなりまして、それがいま公共事業の
中心
に座っているわけでございます。新経済五カ年計画をながめてみましても、七六年から八〇
年度
に道路建設のためには十九兆五千億円が予定されておりますが、これに対しまして国土保全関係の投資は六兆九千億円でありまして、約三分の一にしかすぎません。しかも、公共投資全体の伸び率よりこれはやや下回っているのではないかと思うわけでございます。このことは、国土保全よりも開発
中心
、産業
中心
の政策というものが依然として継続的にいま続けられようとしている、そのことが
災害
の多発、大規模化の原因にもまたつながってきていると思うわけであります。この公共投資の姿勢について、私はこの際
政府
全体としての洗い直しということがいま求められていると、こう思いますが、いかがでございますか。
天野光晴
146
○国務大臣(天野光晴君)
柄谷
先生
の御
意見
に賛成です。そのとおりです。私、十数年になるんですが、建設行政一本やりでやってきた者としていつどこで、こういうことを申し上げては失礼ですけれ
ども
、
治山
治水問題がこんなにおくれてしまったのかといま反省をしているわけです。いま御指摘のあったように、治水に関する新五カ年計画、来
年度
発足いたしますが、それに五十年代前期経済五カ年計画によりますと五兆五千億きり予定しておりません。ところが、後から出てきた下水道というのはいつの間にか七兆何千億になるというような状態でございます。ことに、
治山
問題については先ほど神谷
先生
から御
意見
のあったように、日本危険列島というほど
農林省
と建設省で
調査
した以外のところに今
年度
とんでもない
災害
が起きたというような状態、日本国土全部が
災害
地帯でないかと言われておるにもかかわらず
治山
関係は八千億というような微々たる金で一体何ができるかということを、いまごろ反省していては手おくれだと思うんですが、非常におくれていることは事実でありますが、この新五カ年計画、
治山
治水は来
年度
ですから、これは建設省所管でございますが、私たちの方でこれは何らかの
措置
を講じて建設省が要求している限り以上にひとつ持っていくように努力しようと思いまして、現在今
年度
の反省、
台風
の
災害
を受けたその
状況
の始末をするのに反省をいたしまして各関係閣僚と話し合いをいたしておるところでございまして、
先生
の御指摘そのとおりでございます。何ともいままでの行政のやり方申しわけなかったと申し上げる以外に方法はないと思います。
柄谷道一
147
○
柄谷
道一君 いま非常に心強い御答弁をいただいたんですが、私は、昨年建設省がつくり上げました第五次計画の試案は総事業費八兆五千二百億円、内訳は治水投資五兆九百九十億円、水資源開発施設一兆六千二百二十億円、砂防関係一兆五千三百三十億円ということになろうかと思います。ところが、この八兆五千億という五カ年計画に対して経済企画庁でつくりました新経済計画によりますと、治水と利水、これを合わせた投資
配分
は五兆五千億でございます。いま長官のおっしゃったとおりです。ということになりますと、仮にこの新経済五カ年計画というものに枠が縛られるとするならば約三〇%のカットをしなければならぬという結果が出てくるわけであります。しかも、私は、
災害
を防止するために五十年から採用されました激甚
災害対策
の特別緊急事業、これからの施行が期持されております都市河川における多目的遊水池事業、準用河川
補助
の拡大、急傾斜地事業の拡大等を
考え
ますと三割もカットされていますね。十分な
対策
が講ぜられないことは火を見るよりも明らかであります。いま長官は、こういう実態を踏まえて全力を挙げて建設省要求プラスアルファのものを持っていきたい、こういう御答弁をいただいたわけでございますが、そういたしますと、当然新経済五カ年計画の見直しというものが、経企庁のこれは問題でございますけれ
ども
、行われるというふうに私は思うわけです。行われなければそれができないわけでございますから、その点、経企庁はただいまの長官の意向をくんでこれを見直し、練り直すお
考え
はあるのかどうか。きょうは大臣が来ておられませんので、申しわけありませんがひとつお尋ねいたします。
広田孝夫
148
○
説明員
(広田孝夫君) いま
先生
おっしゃったように、過去の公共投資におきましては
治山
治水、国土保全関係の投資が次第に下がってまいりまして、特に昭和四十年代に入りましてから非常に公共投資総額の五%そこそこになるというところまで落ち込んだわけでございます。そういうことを
考え
まして私
ども
経済計画を昨年つくりました場合に、かなりこれから――いままでは
災害等
が終戦直後に比べますとだんだん減ってまいったわけでございますが、最近またいろいろとその問題出てまいりましたことを十分認識いたしまして、今度は、新計画では
先生
御指摘のとおり全体の六・九%を
配分
する、これは従来の実績、昭和四十五年から四十九年までの過去五カ年の実績に比べましても、そこの間では六%にすぎなかったわけでございまして、これを六・九%まで上げるという計画にいたしたのでございます。で、これは経済計画の中での五兆五千億が非常に少ないではないかとさっき
先生
がおっしゃいましたけれ
ども
、この六兆九千億という数字は、全体の百兆の中で、全体の公共投資の伸び率は五カ年で約七%ぐらいの伸びを予定しておりますので、この
治山
治水関係では一三・三%強の伸び率を予定しておるわけでございまして、私
ども
も精いっぱい
配分
について努力したつもりでございます。なお、経済計画の初
年度
でもございますし、これを決めるに当たりましても各部門、特に道路なんかは、さっきおっしゃいましたが、全体の中でいままでのシェアよりもずっと
配分
を落としておりますし、そういうような関係がございまして、なかなかいますぐにこれをつくったばかりで全面的に改定するというところまではまだ
考え
ておりません。
天野光晴
149
○国務大臣(天野光晴君) 私の発言でそういう答弁になったんですから――それはちょっと
事務
当局では無理ですよ。そうですから、この問題やっぱり政治的に始末しなきゃいけないと思います。伸び率六%のやつを十何%にしたんだなんて言ったって、現実にそぐわない状態であればそれは一〇〇%でも二〇〇%でもするのがこれは常識ですから、そういう点ではどう
考え
てみても問題にならない数字であると、私自身そう、私の
個人
的な
意見
ですが承知いたしております。そういう観点で何らかの
措置
を講じて、百兆という公共事業の枠はそれ以上一銭も伸ばせないのかどうか、伸ばせばどうなるのかという問題も私まだ議論しておりません。そういう点で経済企画庁長官ともよく懇談をいたしまして、この
災害
を十二分反省すればこれは協力できる問題であろうと思います。何らかの
措置
を講じて予定どおりの数字だけを持っていきたいと
考え
ておりますので、その点ひとつ御了承願いたいと思います。
柄谷道一
150
○
柄谷
道一君 ぜひそのようにお願いをしたいと思います。私は、いま治水のことを申し上げましたけれ
ども
、第五次計画の水開発計画では、一応五十五年の水需要を百二十三億トンから百五十六億トンと想定をしておられますけれ
ども
、これに対応する事業見通しはきわめて暗いわけです。供給能力を見てみましても既着工の百七十一ダムのうち八十七のダムの完成が見込まれる。こうしておりますが、これによる年間供給量は五十一億トン
程度
でございます。これは新規需要の半分にも満たないということになります。いまのところそれではこの不足分を補充する何らかの計画があるかということになりますと、まだ建設省ではその具体的計画が立っていないやに私は承知するのであります。そうなりますと、五十五年ごろの水不足というものは、これは避けられない事態が出てくるとも
考え
られます。私は、いま長官が申されましたけれ
ども
、この治水、そして利水、この両方の視点に立ってやはりわが国は今後いかにあるべきか、これは行政官庁ではなかなか答えられないことはいま長官の指摘されたところでございまして、これは本当に政治家がやはり国の将来を見通して新しい施策を今回の
台風
を契機として樹立していくのが、これはお互いの責任であると思います。ぜひ長官のいまの御答弁に沿った最大限の御努力をこれは強く期待を申し上げておきたいと思います。 次に、公共投資に占める治水投資の割合が相対的に低下している。これを回復する必要があることはいま指摘したところでありますけれ
ども
、私は、特定財源のない治水事業を今後どのようにして財源調達を図っていくか、この
財政
問題はこれまたきわめてうらはらになる重要な問題だろうと思うのであります。建設省では河川水利用税の創設についてこれは
検討
するとかいろいろ特定財源
制度
というものが
検討
されているやに漏れ聞くわけでございますが、その時間もありませんので、現状と、いつごろこういうものに対して結論をつけようとしておられるのか、簡潔にその方針をお伺いしたいと思います。
栂野康行
151
○
政府委員
(栂野康行君)
先生
おっしゃいますように、いわゆる治水事業を飛躍的に伸ばすにはどうしても私たちとしましては特定財源が欲しいということでいろいろ
検討
しておる
段階
でございます。それでいまおっしゃいましたように、水利用税とかそういう名前につきましてもいろいろ
検討
しておりまして、しかしながらこの問題につきましてはまた反響が非常に多うございまして、早速いろんな方面からいろんなことが耳に入ってくるといったような状態でございます。しかしながら、やはり基本的にこういう税金というものを水を使った場合原因者負担といいますか、原因者が汚した場合とか、あるいはそういうふうな観点において
考え
てみた場合に、どういうふうな財源があるだろうかということは現在のところ勉強しておるという
段階
でございます。 以上でございます。
柄谷道一
152
○
柄谷
道一君 いや、誤解ないように、私は河川水利用税がいいという意味での質問ではございませんで、現状とその
検討
の将来の展望をお伺いしたわけでございまして、これらはゆるがせにできない問題でございますから、その適、不適は大いに政治の場で議論されるとしても、やはり
検討
は真剣に私は進められるべきであろうと、こう思います。 次に、都市河川の整備の立ちおくれが著しいことは多く指摘されているところであります。たとえば利根、淀、木曽などにつきましても、戦後最大の洪水が来ても大丈夫だという区間は延長にしてその半分
程度
だと、こう言われております。さらに中小河川になりますとその整備率は一二%
程度
、つまり時間当たり五十ミリの降雨ですぐにはんらんしてしまうところは幾らもある、こういう指摘が前回もされたわけでございます。で、しかもこの中小河川のうち三分の二は都市河川です。都市河川の定義は非常にむずかしゅうございますけれ
ども
、大まかに言うならば、市街地及び市街化した
地域
を流れている河川だと、それは名前どおり都市の川でございますから、流域には当然これは市街化がされていることが前提でございます。ということは、断面を拡張する工事をしようとすれば土地を買収しなければならない、当然用地費は膨大な額を必要とする、こういう壁に今度はぶつかってまいります。したがって、都市河川の私は改修という視点に立ちますと、それは河川改修という単独目的のためには非常に金がかかり過ぎるとすれば、市街地改造もしくは街路造成といった他の都市計画事業とあわせてこれを
実施
していくという視点をとり、かつ実行していかなければ、きわめて危険度の高い中小河川の改修を行うということは、言うはやすくしてその実行は非常にむずかしいと思うわけでございます。今後の都市河川
対策
について建設省の御
意見
をお伺いしたいと思います。
栂野康行
153
○
政府委員
(栂野康行君) 都市河川におきます
水害
というものは年々激化しておるということで、現在建設省におきましてもいわゆる都市河川の整備につきまして非常に努力しておるという実態でございます。それで、都市河川の整備といいますと、改修はいかにあるべきかという問題でございますが、ああいうふうに人家が密集した中を走る河川ということでございますので、まず川幅を広げるのが非常にむずかしいというふうに
考え
られます。したがいまして、川底を深く掘るということも
考え
ると同時に、あわせまして、いわゆる遊水池を――上流部あるいは中流部におきます低湿地を利用しました遊水池というものを活用して洪水を調節するというふうに持っていきたいというふうに
考え
てございます。しかも、いわゆる遊水池にしましても単目的、いわゆる河川というか、治水だけの一つの目的じゃなくて、いま
先生
おっしゃいましたように、いわゆる多目的遊水池、高層の住宅団地をつくるとかあるいはその中に公園をつくるとか、あるいは流通団地とかそういうふうにいわゆる洪水調節を損わないで都市目的にマッチする施設をつくっていきたいと、一緒になってそういうふうな遊水池を整備していきたいと、そういうふうに
考え
てございます。
柄谷道一
154
○
柄谷
道一君 これは建設省、特に
国土庁長官
とされましても――いまもちろん建設省直轄の一級河川が必ずしも安全であるとは言えない。まだまだこれは改修が必要でございますが、特に
災害
になりますと、都市河川が非常に大きな
災害
をもたらすわけでございまして、いま御答弁にもございましたように、これは多面的に現行
制度
を組み合わせて一日も早く都市河川の改修が行われるように、一工夫も二工夫もこれは加えるべき必要があるのではないかと思いますから、ぜひ真剣な
検討
を求めておきたいと思います。 それから次に、私は、河川行政はいま大きな転換期に直面しているのではないかと思います。今日までの行政は常に治水と利水の絡みの中で推進されてまいりました。しかも戦後は、利水のウエートが逐次高まりながら今日に至ったと思うのであります。今日、私は、現在の局面は治水と利水を一体化したいわゆる水の循環サイクルというものが求められている、そういう視点に立った新しい水行政の展開がいま要求されているのではないだろうかと、こう思います。しかも、この水サイクル行政の主役の位置を占めるものは私は治水であり、そしてそれが河川行政の
中心
に座るべきだと、こう思うのであります。で、ある雑誌によりますと、河川当局者の中には、河川事業は新しい水サイクル、都市
対策
の一分野として機能を果たせばよいというような意味のことを言われておるわけでございますが、これは私は補完的な姿勢に立っていると、こう思うわけです。この点、私は
災害
の総束ねをされております長官として、やはりこれからの河川行政の基本的姿勢はいかにあるべきか、これは真剣に建設省と国土庁との間で話し合いが詰められて、それこそ確たる方針に基づく治水五カ年計画を遂行していかなければならない、このように思うわけでございます。問題はきわめて抽象的に私申し上げましたけれ
ども
、それらの点に関する長官の御所見、いかがでございますか。
天野光晴
155
○国務大臣(天野光晴君) 縄張り争いするわけではないですが、どうも私、御期待に沿えるだけの答弁できるかどうか問題だと思います。私
個人
としてはいろんな
意見
持っております。私も国会に出てきて約二十年近くになりますが、
災害
と建設以外はどこにも行かないで一本やりでやってまいりましたから、私自身は相当
個人
的見解は持っておりますが、非常に問題が重要でございますし、ことに河川行政も国土行政も国土行政の中の一環でありますから、そういう点で私の方に責任がないとは申せません。十二分に責任もあります。そういう観点から新しい国土をよりよく利用するために河川行政はどうあるべきかという問題を十二分に建設大臣と相談をいたしまして、新しい知恵をしぼって善処するようにいたしたいと思います。
柄谷道一
156
○
柄谷
道一君 私は非常に生意気なことを申し上げましたけれ
ども
、今回の
台風
十七号が教えた教訓というものは、いま長官も申されましたように、これからの河川行政の基本姿勢がいかにあるべきかという問題について、私は政治に大きな課題を投げかけたものだと、こう思うわけでございます。まあそういう視点から、これは基本的な問題でございますけれ
ども
、建設大臣とも十分に腹を割って、これからわが国のあるべき河川行政のあり方、それは一つは防災上の視点から、一つは利水の視点から深く掘り下げられまして、国民が信頼でき得る河川行政がぜひ強力に推進されるようにせっかくの御努力をお願いしたい。 時間が参りましたので、私は最後に長官にお願いなり
意見
を求めたいわけでありますが、私ずっと
資料
を探してみますと、まあ敗戦の年から十年間、これはわが国の敗戦に追い打ちをかけるように毎年大きな
台風
が十年連続で日本を襲ってまいりました。四七年のキャスリン
台風
、四八年にはアイオン
台風
、四九年にはキティー
台風
、五〇年にはジェーン
台風
、五一年にはルース
台風
、五二年にはダイナ
台風
、これはアメリカがつけた名前でございますが、例年
台風
が日本を襲ってきたわけでございます。で、引き続きまして五三年には十三号
台風
、五八年には狩野川
台風
、そして五九年の伊勢湾
台風
、六一年の第二室戸
台風
、こう続いてきたわけですね。ところがその後、確かに六四年には二十号
台風
、六五年には二十四、二十五号
台風
は来ましたけれ
ども
、六〇年代後半から七〇年代前半で目立つのは羽越豪雨とか、全国を水浸しにいたしました梅雨前線豪雨などの記録が残る
程度
でございまして、私は、六六年から八年間記録に残るほどの
台風
が一度もなかったということは、むしろこれは異例に属することではないかと思うのであります。しかし、七四年から事情が再び変わりまして、その後毎年
台風
が襲ってきております。私は注目しなければならないのは、この六〇年代
台風
が平穏であったということ以上に、東京を
中心
とした首都圏がルース
台風
を最後に二十五年間も大型
台風
に直撃されていない。この八年間のわが国を襲った
台風
が八年間比較的軽微であったということと、非常に世論が沸き立つ首都圏に二十五年間
台風
の直撃がないということが私はどうも安心感といいますか、その
災害対策
に対する必要性というものに対して関心を弱めたということが否めない事実ではないかと、こう思うのであります。決してそうでなければ幸いでございますけれ
ども
、しかもこのような時代にちょうど高度経済成長時代がぶつかったものですから、安心感と開発ということが重なって、いま長官が申されましたように、わが国の公共投資事業のあり方がやはり、長官はいつの間にかと言われたんですが、大きく変貌していった。私はそういう背景があるということをお互いにこれは見落としてはならぬと思うのであります。しかし、
冷害
の際にも申し上げましたように、今後十年間異常気象が続き、わが国にはいろんな異常気象現象が起きてくるであろう。ここで私は改めて過去のわが国の
災害
史をひもときながら、本腰を入れた
災害対策
、特に
災害
の際に大きな
被害
を与える河川
対策
というものが真剣に見直されなければならない、こう思うわけでございます。いままでも非常に前
向き
の長官の御答弁をいただいておりますが、最後にひとつきわめて前
向き
の長官の御答弁を期待をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
天野光晴
157
○国務大臣(天野光晴君) いろいろ
災害
の
対策
には手段があると思います。まあ全部河川を改良して山が地崩れがないようにすれば、これは一番いいわけですが、なかなかそういうわけにはまいりません。いままでの
予算
の出し方からいって、そう簡単に一挙に解決できるものではございません。そうですから、できるだけ小さな
災害
に持っていくように防災体制を整えていく以外に方法はないんではないか。ことに、先ほ
ども
ちょっと申し上げましたように、全然地崩れはしないだろうというその
地域
がとんでもない大きな地崩れをしたという実態、今度の長良川の問題も、危険水位でないのに堤防が決壊したというふうな、今度の
災害
ではいろんな過去かつてなかった体験を得たわけでございますから、いままでの常識的な
考え方
ではこれからの
台風
に対処するのは非常にむずかしいんじゃないか。そういう点で、私は先ほど新しい知恵をという言葉はそういう意味で使っておるのでありますが、それぞれの研究機関でいま建設省は
検討
しているという、建設大臣から同席している者が聞いているのでありますが、どのような
検討
ができるのか、私素人ですからわかりませんが、私たちの常識で可能な範囲内の点をこれにプラスいたしまして、できるだけ最小限度に食いとめられるような処置を講ずるように努力をいたしたいと思います。
柄谷道一
158
○
柄谷
道一君 終わります。
工藤良平
159
○
委員長
(
工藤良平
君) 他に御発言もないようですから、本件に対する
質疑
は本日はこの
程度
にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十九分散会