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1976-10-28 第78回国会 参議院 建設委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十一年十月二十八日(木曜日) 午前十時二十二分開会
—————————————
委員
の
異動
十月二十七日
辞任
補欠選任
赤桐
操君
小谷
守君
川村
清一
君
中村
波男
君 十月二十八日
辞任
補欠選任
古賀雷四郎
君
青井
政美
君 増田 盛君
森下
泰君 望月 邦夫君 初
村滝一郎
君
神田
博君
稲嶺
一郎
君
二宮
文造
君
宮崎
正義
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
竹田
四郎
君 理 事 坂野
重信
君
中村
禎二君 沢田 政治君 委 員
青井
政美
君
稲嶺
一郎
君 遠藤 要君 上條 勝久君
神田
博君 寺下 岩蔵君 初
村滝一郎
君 堀内 俊夫君
森下
泰君
小谷
守君
中村
波男
君 松本 英一君
宮崎
正義
君
矢原
秀男
君
上田耕一郎
君 三治
重信
君
国務大臣
建 設 大 臣
中馬
辰猪
君
政府委員
建設大臣官房長
粟屋 敏信君
建設省計画局長
大富 宏君
建設省都市局長
中村
清君
建設省住宅局長
山岡
一男
君
建設省住宅局参
事官
救仁郷 斉君
事務局側
常任委員会専門
員 森 一衞君
説明員
郵政省電波監理
局企画課長
永野 明君
消防庁予防救急
課長
持永
堯民君
—————————————
本日の会議に付した
案件
○
建築基準法
の一部を
改正
する
法律案
(第七十二
回国会内閣提出
、第七十七回
国会衆議院送付
) (
継続案件
)
—————————————
竹田四郎
1
○
委員長
(
竹田四郎
君) ただいまから
建設委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告申し上げます。 去る十月二十六日、
片山甚市君
が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
川村清一
君が、また十月二十七日、
赤桐操
君及び
川村清一
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
小谷守
君及び
中村波男
君がそれぞれ選任されました。
—————————————
竹田四郎
2
○
委員長
(
竹田四郎
君)
建築基準法
の一部を
改正
する
法律案
を議題とし、
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言を願います。
矢原秀男
3
○
矢原秀男
君
建築基準法
の一部
改正
について
質疑
を重ねたいと思います。 まず
最初
に、
遡及適用
の件について御
当局
にお
伺い
をしたいと思います。
一つ
は、二十七日、きのうですね、
大火
の
大洋デパート倒産
とい
う報道もされたわけでございますが、やはり事前に手を打てば、
公害
のときもそうでございますが、企業もやはり
公害
には
お金
がかかるから
とい
うことで手が打てなかった。
被害
が出る、そうして実際にはかえって多額な
お金
がかかった
とい
うふうな実態があるわけでございますが、やはり
人命
の
立場
であるそういう
観点
から
考え
ると、予防的な
予算措置
とい
うものが最善の最少の経費にかえってなるんではないか
とい
う
教訓
をここに持っていると思うわけでございます。 この
遡及適用
の前に、私も生々しい一まず、なぜ
建築基準法
の一部
改正
であるとか、そうして
遡及適用
の問題が
国会
で取り上げられたか
とい
うことについて思い起こしてみたいと思うわけでございますが、やはり
大洋デパート
の
火災
の問題、それから
大阪
におきます
千日前
の
ビル
の
火災
、それから兵庫県の私の方でございましたら、
昭和
四十三年のいわゆる
有馬温泉
の
満月城
の
火災
、そういうふうに全国的にも大きな
被害
が出ているわけでございます。私も
満月城
のときには
警察委員
として
現地
に赴いて、そうして
専門家
の方以外に
現場
を私は私の
立場
から見て、これは大変だな
とい
う幾多の
教訓
を得たものでございます。また、
千日前
の
火災
の場合におきましても、そこで御商売をされておられた
方々
が
国会
や
県会
、
大阪府会
、いろんな
関係方面
に陳情されるときに真っ先に私がそこへ御相談にお
伺い
をさしていただいた。そういうふうなことで、今度のこの問題については非常に私も大きな
期待
を持っておったわけでございます。そうして国民の
方々
も、出入りが非常に多いそういうふうな
病院
、
ホテル
、
旅館
、
劇場
、
百貨店
、まあそんなことで大きな
期待
をされておりましたけれども非常に後退をした、こういうことで心配をされておられるわけでございます。 まず、
防災施設
の
遡及適用
について
伺い
たいのでございますが、
一つ
は、
衆議院
での
修正
をどう
考え
、どのように対処されるのか。それから二番目には、
災害
の
未然防止
の上から、もし
火災事故
が起こり
被害
が生じた場合に、
建設省案
による
政府原案
が成立して
遡及適用
になる
防災設備
が施されていれば
被害
が減少していたとなると、これはどのような
見解
に立てばいいのか。
修正
されなければよかった
とい
うことになるのではないか。そういう私は
懸念
を持つわけでございますが、まずこの点についてお
伺い
をしたいと思います。
山岡一男
4
○
政府委員
(
山岡一男
君)
建築基準法
の一部
改正案
を七十二
国会
に
提出
いたしまして、いま
先生
のお話の通り、
特殊建築物等
に対する
防災規定
の
遡及適用
につきましては、いまだ問題の解明に不十分な点がある
とい
う御
指摘
を受けまして
削除
されております。われわれ
とい
たしましては、これに関しまして、当
委員会
におきまして
審議
の
最初
に
大臣
から申しましたとおり、この
改正案
の中に盛られております工事中のいろいろな
防災対策
を含めまして
現行基準法
を十分活用し、
消防当局
とも
協議
をしながら
十分防災体制
の
確保
に努めてまいりたい。なお、
指摘
をされましたいろいろな点につきましては、
十分検討
を加えまして
次期国会
にはりっぱな
法案
として
提出
をさしていただきたいと
考え
ておる次第でございます。 なお、
最初
に御
答弁
をさしていただく
機会
を得ましたので、
先生
のお許しを得まして
一言
先日の
答弁
につきましてつけ加えさしていただきたいと存じます。よろしいでしょうか。
——
先日の
二宮議員
の
政府原案
についての御質問に対する
答弁
中、一部
舌足らず
の点があったように存じますので補足して
答弁
さしていただきます。
政府
は、第七十二
国会
におきまして
建築基準法
の一部を
改正
する
法律案
を
提案
いたしましたが、その
内容
は
さき
の
通常国会
において
建設大臣
の方から
提案理由
の
説明
により御
説明
したとおりであります。
政府原案
は
衆議院
において一部
修正
され、その
内容
は
さき
の
通常国会
において
衆議院
の方から
修正部分
についての
説明
として御
説明
があったとおりであります。なお、本件のように
衆議院
において
修正
された議案については、
送付案
を
原案
として審査される
とい
うのが参議院の
先例
になっておると聞いておりますので、その
先例
に従って御
審議
をいただけるものと
考え
ております。 先日の
二宮議員
に対する御
答弁
のうち、やや
舌足らず
の点につきまして、この席をかりまして補足をさしていただきました。
矢原秀男
5
○
矢原秀男
君
災害
の
未然防止
については、言うまでもなく、先ほども申し上げましたが、熊本の
大洋デパート
、
大阪
の
千日前
の
ビル
の
火災
によって、
消防庁等
とも十分に
協議
の上、
法改正
をそれぞれの
関係省庁
で行うようにと、このようになったと私は
考え
ているわけでございますが、この点についてはどうなのか。 もう一点は、その場合に、四十九年に
改正
された
消防法
と当然関連された上での
建築基準法
の
改正
であると思いますが、
消防法
の
適用猶予
が五十二年三月で終了することを
考え
ますと、
防災施設
の
遡及
が外されたとなると、
災害
の
未然防止
が
とい
うことですね、これひとつ心配するんですが、どのような弊害が
考え
られるか、この二点についてお
伺い
します。
山岡一男
6
○
政府委員
(
山岡一男
君) 今後この
衆議院
におきます
削除
、
遡及適用
の
規定
の
削除
を
機会
とい
たしまして、いままでの
問題点
を早急に詰めまして、
関係省
とも討議をいたしまして、来るべき
国会
に
提案
をいたしたい
とい
う
考え
に立っておるわけでございます。 それから
遡及適用
の点につきまして、
消防法
の方と、実は
対象
の
施設等
につきましては、大体径庭を取って決めたわけでございます。
消防法
につきましてはすでに施行になっておりまして、
スプリンクラー
の
設置等
がどんどん進んでおります。われわれ
スプリンクラー
の
設置
も非常に
効果
があると思っておりますので大変喜んでおるわけでございますけれども、同時に
スプリンクラー
だけでは完全じゃないと思っておりまして、追っかけて次のような、次の
国会
に
法案
提案
したいと、そのための技術的な問題についてはただいまも鋭意詰めておるわけでございますが、その際私どもが
考え
ておりますことは、同時にまあ
消防法
の
規定等
そういうような改修が実施されます場合にはもっと効率が上がっただろう
とい
うことは、そのとおりでございますけれども、
中身
とい
たしまして、今後の
改善案
の中には
構造方法
によらないものも含めてまいろうと思っておりますので、
十分消防法
の
効果
と
建築基準法
の
効果
と今後においても上げていくことはできるだろうと
考え
ておる次第でございます。
矢原秀男
7
○
矢原秀男
君 ここで、
大臣
の御所見を
伺い
たいわけでございますが、
衆議院
において
参考人
として意見を述べられた東京大学の
名誉教授星野
さんの主張によりますと、
スプリンクラー
と
竪穴
は車の
両輪
の
ごと
きものであって、相助け合って初めて有効であると言われております。私も同感でございますけれども、そこで車の片方だけが回っている変則的な
防災対策
が今回の
衆議院
の
修正
によってしばらく続くことになりかねない状態にあるわけでございます。こういう点について
大臣
はどういうふうなお
考え
を持っていらっしゃるのか。
中馬辰猪
8
○
国務大臣
(
中馬辰猪
君) おっしゃるとおりでございますから、次の
改正案
では車の
両輪
が動くように
とい
うことで
考え
ております。
矢原秀男
9
○
矢原秀男
君 まあ私も先ほど申し上げたいろいろな
大火
の中で、やはりせっかくこれだけの
遡及適用
のものが、
避難施設
、
防火区画
、非
常用
の
進入口
、非
常用
の
照明装置
等々、非常に全精力を挙げてきちっとされたわけですので、今
国会
で本当に有終の美を得なくてはならない
とい
うふうに私は思うわけです。細かい点になりますが、
消防法
の
改正
で
設置
が
遡及適用
になった
スプリンクラー
について
伺い
たいわけでございますが、この
スプリンクラー
はどの
程度
に
火災
を抑えることができるのか。特に
稼動温度
と実際の
火災
の状況、
給水
、配管上からどの
程度
の
稼動能力
があるのか、ちょっと技術的な数字を挙げてお答えを願いたいと思います。
持永堯民
10
○
説明員
(
持永堯民君
)
スプリンクラー設備
でございますけれども、現在の
スプリンクラー
の
性能
からいたしますと、
管熱部
の
温度
が七十度以上になった場合に、六十秒以内に自動的に
消火
を行う
とい
う規格が決まっておりまして、そのような
性能
の
設備
をつけるように指導しているわけでございます。
スプリンクラー
の
効果
につきましては、いままで具体的に表面化していない場合もございますけれども、
スプリンクラー
を
設置
した
建物等
におきましてはかなり、ぼやと申しましょうか、若干火が出た場合に直ちに
消火
ができた
とい
う事例もあるわけでございまして、
消火
上は非常な有効な
性能
を持っておると私ども
考え
ておる次第でございます。
矢原秀男
11
○
矢原秀男
君 いろいろ死角のいろんな
問題等
もございますし大変だと思うわけですが、とにかくさらに万全の
対応策
とい
うものを私技術的に
考え
にゃいかぬと思うわけです。また、今回の
政府原案
によりますと、
遡及適用
を受ける
規定
は、
遡及適用
でき得る
規定
の一部であり、せめてこれだけは
とい
う最低限必要と見られるものでしょう。たとえば
百貨店等
では、
避難施設
の各
規定
が十五
項目
挙げられているうち
——
十五
項目
ではないですね、
避難施設
だけで二十四まで挙がっておりますね。そういうふうに挙げられているうち、予定されていた
遡及適用
は
特別避難階段
の
設置
・
構造
のみの一
項目
である。最低限必要であるものが削られたことに
防災
上どのような影響を生ずるかですね、具体的にお
伺い
をしたいと思います。
山岡一男
12
○
政府委員
(
山岡一男
君)
政府原案
で
考え
ておりました
遡及適用
の
中身
とい
たしましては、
避難施設
、それから非
常用
の
照明装置
、非
常用
の
進入口
、
防火区画
、この四点にしぼりまして、その中でも
人命
の
保護
に特に
関係
の深い
規定
にしぼって
遡及
をいたしたいと
考え
ておったわけでございます。
建築基準法
は
目的
にございますとおり、
生命財産
の
保護
とい
うことが法の
目的
でございますけれども、したがいまして、いろいろな
防災規定
の中には
財産
を守る
とい
うようなことの
観点
から相当入っているものもございます。この際は、人がとにかく助かる、火事になったら人が逃げられる
とい
うことを
最小限
の目標にしよう
とい
うことで相当しぼって、特に
遡及適用
とい
うものが、いままでは
法律
上
既得権
として認められておりましたものにさかのぼって適用する
とい
う大変なことでもございますので、そういうふうな
人命
の
安全確保
にきわめて有効であって、まあぜひともやっていただきたい
とい
う点にしぼりまして
考え
たわけでございます。恐らくこれらの点が実施されますと、
既存建築物
の
防災性
は飛躍的に向上するだろうと
考え
たわけでございます。
矢原秀男
13
○
矢原秀男
君 まず、
病院
、
ホテル
、
旅館
、
劇場
、
百貨店
、
物品販売業
を含む
店舗——地下街
をちょっと外しておきますけれども、二十四
項目
は、
避難施設
、
防火区画
、非
常用
の
進入口
、非
常用
の
照明装置
、この二十四の
項目
とい
うものはすべて連動されて初めて効力を発揮するものなんです。そこに
特別避難階段
の
設置
・
構造——
八番目のですね、それだけを次回の
国会
ではいわゆる取り上げていくと、こういうように言われておりますけれども、その
そば
に寝ていたり、そこでお
買い物
をされたりしているわけじゃないんですね。やはりたとえば、
ホテル
や
温泉街
の
ホテル
、
旅館等
においては、また
温泉街
ではなくてもいわゆる駅前の
高層ビル等
の
宿泊機関——ホテル
ですね、そういうような場合でもやはり起きている場合であればいい。起きている場合でもやはり
階段
が狭いとか、
廊下
の幅であるとか、段階への
歩行距離
であるとか、そういう
建設省
でお挙げになっていらっしゃる
政府案
ですね。たとえば客席からの出口の戸の
構造
、必要なんです。
廊下
の幅も必要、
階段
への
歩行距離
、二人以上の
直通階段
の
設置
、
階段
及び踊り場の幅、
屋外階段
の
構造
、
避難階段
の
設置
・
構造
、そうして八番目に初めて
特別避難階段
の
設置
・
構造
とい
うものが
改正
されて生きてくるんです。 それは私が先ほど申し上げた
有馬温泉
の
池之坊
の
満月城
ですね、通称。三十、いわゆる焼死が十八名、
一酸化炭素
の
中毒
で十二名がやっぱりいろいろと
事故
を受けられた。そういう場合でもやはり夜の
火災
でございますから
用意ドン
でさあ逃げなさい
とい
うわけじゃないんです。そういうふうになってくる
とい
わゆる
政府
で、いま
大臣
もおっしゃいましたし、
政府
の方もおっしゃいましたが、八番の
特別避難階段
の
設置
・
構造
とい
うものは、
事故
が起きた、はい、ここですよ
とい
うわけじゃないんです。不特定多数の人々の中で、思わぬときに
火災
とい
うものがやってくるから
事故
が起きてくる。だから、いま申し上げた八番まで
——
一、二、三、四、五、六、七、八の
項目
が大事であるから、すばらしい
政府
の
皆さん方
が
英知
を集めて、今度こそは
人命
を
救助
するのにこれだけは
最小限
間違いないと、こうなった
政府案
なんですよ。それを八番だけと、こういうふうに
避難施設
の中で
次国会
に上げる
とい
うことは、やはりそこまでくる過程の
人命救助
とい
うものの
手段方法
とい
うものが全部削られておるんですから、これもし
被害
出てきたら、いままでも申し上げておりますが、大変なことになりますよ。 このときに助かった人を見たら、
廊下
に出た人は
煙道
、全部毒ガスですから皆やられてしまっている。助かった人は何か
とい
ったら、五階から助かった人はガラスを割って、
とい
を伝って逃げているわけです。ですから、寝ている場合とかそういうときは、ああ
廊下
から何メーター行ったら
避難
する場所がございますよと言ったって、
廊下
が
煙道
なんですから、ですからかえって
廊下
へ出ていく人は素人なんだと
専門家
が言っているんです。われわれは
建物
の中で
廊下
へ誘導されて、そこに
避難口
とい
うものがある
とい
ってわれわれはそこへ行くんですけれども、
ホテル
の場合でも。それは
火災
が起きて煙が巻いたら、
廊下
へ出たら死にに行くようなものだと言われているわけです。ところが、
高層
ですから窓を割って外に出ようとしても出れない。 ですから、私は単純な
考え方
ですけれども、何階からも、なわばしごのはしご段
とい
うものを
一室ごと
に置きなさい
とい
うふうな簡単なものまでここへ入れるのが本当なんですよ。
建築基準法
と言えば何か高尚なもので、
人命
と全然かけ離れた、現実と
——
そういう項すら何もないんです。
専門家
が
英知
を集めたそういう
建築
の中にあったって、
廊下
に出ようとして皆死んでいる。助かったのは原始的な
考え方
の中から、いきなり窓を割って、
とい
を下がって奥さんを背負って出ている。たまたまその人が大工さんであったからそういうふうな非常に冷静な判断ができた。そういう助かった事実があるんです。だから私は、
建築基準法
とい
うものの中に、じゃ、なわばしごや何かがお家の部屋の中から
一つ
一つ
用意されている、こういうことは余りにも単純であって原始的であるから、そういうものは
建築基準法
の範疇に入らない
とい
うふうに言われるのかわかりませんけれども、そのようにして助かっている。 ですから、この八番の
特別避難階段
の
設置
・
構造
、ここだけをやったって、
そば
に人はおるわけではないんですから、すべての中にばらまかれている、真夜中だったら眠っていらっしゃるわけですよ。ですから私は、
避難施設
の中でこの一
項目
だけは取り上げられておる
とい
うことは、これは専門的に見ても、どの学者の方が来ても、また
建設省
がもちろん世界で一番の技術を持っていらっしゃいますけれども、見たってこれは不自然ですよ。もし
皆さん
が家族を連れて、夜休んでいらっしゃるときに
火災
が起きて、これだけできて助かるか、
距離
が離れておったら大変ですよ。なぜ、理論的な技術的なものも大事でございますが、現実的にそこにもし人がいらっしゃる場合に、
人命
の
救助
とい
うものに万全であるかどうか
とい
うきめの細かいことができないのかな
とい
う私は
懸念
を持っておるわけです。
大洋デパート
でもそうですわね。窒息二十三名、
一酸化炭素
の
中毒
七十三名、あと五名、二名と、こういうふうに百三名の
犠牲者
が出ていらっしゃいますが、
千日前
の
デパート
だってそうですね。
一酸化炭素中毒
九十三名、圧死三名、
墜落死
が二十二名。この
墜落死
の二十二名でも、なわばしごさえここにありますよ
とい
うふうにかかってあれば、きちっとして、皆、窓はたたいて割ったけれども、後ろからはもう本当に言われない熱、そういうもので追われている。だから、どうしても飛び込んでいって死んでしまう。まあそういうふうなことで
建築基準法改正
の
遡及適用
とい
うものがいわゆる羅列をされたんです。 ところが、八番だけを次の
国会
でやりましょう、
防火区画
の場合は、
国会
にもございますわね、
竪穴区画
、
国会
みたいなきちっとしたところは幅のスペース、
竪穴区画
もきちんとされています。しかし、こういうふうに
避難施設
の中で、八番の
特別避難階段
の
設置
・
構造
と、
防火区画
の場合でありますと、
面積区画
、
高層区画
、
竪穴区画
でしょう、
異種用途
の
区画
、層間の
区画
、ダンパーの
設置
・
構造
、
給水管等
の
防火区画貫通部
の
防火措置
ですね。これらを皆合わせて初めて多角的な
人命救助
とい
うものの
最小限
ができるのに、十四の
竪穴区画
だけを
次国会
にと。また非
常用
の
進入口
の十九、
進入口
の
設置
・
構造
、非
常用
の
照明装置
。これらはやはり今度の
台風
十七号の
災害
のときでも、
現地
に行っても食糧がなかった
とい
うのは、冷蔵庫にみんな
買い物
をした、電気がストップになっているわけです。ですから、
火災
やいろいろな問題についても非
常用
の
照明装置
の
設置
・
構造
、これは一番大事なんですから、
次国会
ではなしに、
火災
が起きてから、
大洋デパート
も四十八年、千日
デパート
も四十七年、
有馬温泉
では四十三年、こういうふうなことで、いままでいろいろの都合があって延びたのが不思議であって、予防的な
措置
がこれは全部きちっとされなくてはならない。ですから私は、本当に
皆様方
が、
事故
が起きたときに、
大洋デパート
の
火災
があったときに、
現地
からすぐ行かれたのか、これは一週間ぐらいぶすぶすぶすくすぶっていますからね。千日
デパート
の場合だってすぐ
専門家
が
火災——テレビ
や
情報化
ですから、そのときにすぐ飛んで行ったのか。
有馬温泉
だってそうですけれども、そうなると、やはりどうしても
現地
の
行政官
に任しておく、
台風災害
だってそうですよね。どうしても
災害
が落ち着いたころから皆視察に行くわけです。 ですから、私は、本当に
人命尊重
の
立場
で
政府案
とい
うものがすばらしい、きめの細かい
最小限
がこれでございますよと二十四
項目
、
地下街
については十二
項目
、ですからもう当然どんなに遅くても今
国会
では
人命保障
の
立場
で
皆さん方
が技術的に検討されて、これがベターですとなったものが全部だめになっているのですから、そして
次国会
にかける、
次国会
にはたった
——避難施設
だけでも十一全部そろって初めてこの八の
特別避難階段
の
設置
・
構造
が生きてくるのに、八番だけをぱっと出そうとされる。こういう点について
当局
の
一言
御
見解
をお願いしたいと思います。
山岡一男
14
○
政府委員
(
山岡一男
君) ただいままでに
先生
がお挙げになりましたたとえば
大洋デパート
、それから
千日前等
の
火災
の際には、
火災
直後、
現場検証
と歩を一にするくらいのことで、
大臣
、
局長
、
担当者
、
現地
へ出かけて実情の調査はいたしております。 それから
先生
がおっしゃいますように、ここにございますいろんな
避難施設
、
防火区画等
におきます数々の
規定
が全部そろう
とい
うのは確かに一番いいことだと思っております。ただ、
提案
いたしました
法案
の仕組み
とい
たしましては、
遡及項目
とい
たしまして
避難施設
、
防火区画
、非
常用
の
進入口
、非
常用
の
照明装置
を挙げましたけれども、その中から
政令
で定めるものを除く
とい
うスタイルでございました。ただし、今回の
遡及適用
につきましては、たびたび申しますとおり、
既存
のものへ対しまして
遡及
をするわけでございまして、新たな負担をもたらす
とい
う点もございます。したがいまして、
特別避難階段
だけではなくて、
特別避難階段
と
竪穴区画
、それから
進入口
の
設置
、非
常用照明装置
、この四点がやはり
避難
のために一番重要じゃないか
とい
う点に着目をして、
政令
で
規定
する場合にはそういうものが
対象
になるような決め方をしたいと
考え
たわけでございます。なお、同時に
改正
されました
消防法
の
スプリンクラー
の
設置等
とも兼ね合わして
考え
たことは当然でございます。なお、
先生
がおっしゃいましたように、やはり煙の問題が今後の
火災
の中で一番
防災
上の重点になってまいります。
竪穴区画
をぜひともやりたい
とい
うことを願っておりますのはそのためでございます。 それからさらに、
先生先
ほどおっしゃいました
避難
ばし
ごと
か、なわばし
ごと
か、いろんなものがございましたけれども、
消防法
の範囲内で相当なものが準備されておる
とい
うのが実情でございます。われわれ
とい
たしましても、さらに
提案
ししました基準法の中でも一たんでき上がっているものに対する改造でございますので、やはり代替
構造
とい
いますか、代替的なものも認めるような
規定
が入っておったわけでございます。ところが、やはり基準法でございますので、代替のためではございましても
構造方法
とい
うものに限定をすることを
考え
ておりまして、したがいまして、その他の適当な
避難
のための
措置
等につきまして、
提案
いたした法の中では、そういうふうなものが認められないではないか
とい
うのも
衆議院
で問題になりました点の一点でございます。そういう点も加味いたしまして、今後の立法に当たりましては
十分検討
さしていただきたいと
考え
ております。 なお、
原案
の中には今度の
大洋デパート
等のように工事中のものにおける
被害
があった
とい
う点に着目いたしまして、検査済み証の交付前の
建築
物の使用制限、それから工事中の
特殊建築物等
の使用制限、工事中の
建築
物の安全上の
措置
等に関する計画の届け出等、工事中の
災害
防止に関する
規定
も盛り込んで
原案
を
提出
いたした次第でございまして、その点に関しましては
衆議院
でもお認めをいただきまして、
修正
削除
されておらない
とい
うことでございます。したがいまして、そういうものを今後は大いに活用してまいりたいと
考え
ておる次第でございます。
矢原秀男
15
○
矢原秀男
君 こういう
火災
の中から、私がいま申し上げているように、客席からの出口の戸の
構造
についても、やはり令百十八条をあなたたちは
改正
をして、戸を
避難
方向に開かれる
構造
とすることによって円滑な
避難
行動を
確保
したい
とい
うのがあなた方の御意見であり令百十九条では、
廊下
の幅もその
避難
が迅速に行えるだけの幅員を
確保
したい、これは皆死亡者やいろんな
被害
の中からあなたたちが最高のやはり検討をされた段階だったんです。
階段
へのその途中の
歩行距離
については、令百二十条を変えて
法律
的な強味を持たして、
災害
発生後、短時間に安全な
階段
に到達できるようにされたわけでしょう、それでそれが移動されると。四番目には、やっぱり二以上の
直通階段
の
設置
も令百二十一条を変えて、そうして二方向への
避難
を可能ならしめないと大変なんだと。そうなってくると、五番目の
階段
及び踊り場の幅等の令二十三条を変えて、
階段
内における円滑な
避難
の流れ
とい
うものを
確保
していく。そこまでではまだ不十分だから、六番目には
屋外階段
の
構造
、百二十一条の二項をどうしても変えて、地方自治体やいろんなところへ任すのでなしに、耐久性、不燃性によっておる木造
とい
うものの禁止もしようと。それはやはり途中で
特別避難階段
のところまで行くまでに煙に巻かれて死んでしまう、そういうような
懸念
が出てきているからそういうことになっている。また、
避難階段
の
設置
・
構造
についても、百二十三条や百二十二条を変えて、そうして一定階数以上の
建物
については防火、防煙性の有する安全な
階段
を
確保
する。そういう人の流れが客室やその中心から来て、初めていまあなた方が言われている八番目の
特別避難階段
の
設置
・
構造
が令百二十二条や百二十三条で変えられて、十五階以上、地下三階以下の階についてはバルコニーまたは付属の施設を有する安全性がきわめて高い
階段
の
確保
で、最大限の初めて国として技術的にも万全の対策が打てた
とい
う八番までの過程が来るんですよ。 それを一番から七番までさあっと減って、そうして八番だけやればいいんだ
とい
う
考え方
、この
そば
に人間だけを置かしておいて、はい、さいなら、行きなさい
——
。
現場
を見られたあなた方が安易にこういうことを
考え
られる
とい
うことは、本当に
人命
のことを
考え
ていらっしゃるのか。それは恐らく多数決で採決されることでございましょうから、民主的国家の中ではどうしようもございませんが、本当にその残された家族や
——
いまだって
百貨店
や何かはお客さんがいっぱいです。不景気だ
とい
ったって温泉の
高層
ホテル
の中にはいっぱいなんです。そうしたら継ぎ足し、継ぎ足しで建って、どこに
避難階段
があるのか、出口がどうなのか、寝ているときにもし
火災
があったらどうなるのか。しかし、これだけを
次国会
で成立したとしても、もし別な過程の中で、人の流れの中で
事故
が起きた場合にだれが責任を負うのか
とい
うことになると、私心配するんです。ずっと十何年
現場
見ておりまして、
皆さん方
だって一緒だと思うのですよ。 それは、これの該当されるところも大変だと思いますが、いまの
大洋デパート
の例を、そうしてまた
公害
企業の例を見ても、予防
措置
は金がかかるようでも、
政府
のいろんな手当てと、そういうものがあれば、一番の軽減の最大の手段であっていいことなんですね。だから、いままで
政府
の
方々
とお会いをしても、本当にこれ以上はない、最高のものだったんだ
とい
うように漏れ承っているわけです。ですから、
当局
としては
次国会
に八の問題、そうして十四、十九、二十だけでは
病院
、
ホテル
、
旅館
、
劇場
、
百貨店等
々の該当の中から見て、本当は不如意なんでしょう。
当局
のきょうお見えになっている技術者のメンバーから見れば、世界で一番の技術を持っていらっしゃる
皆さん
から見れば、それは実際は不如意なんでしょう。もう一度御
答弁
をお願いしたいと思います。
山岡一男
16
○
政府委員
(
山岡一男
君) 先ほども申し上げましたとおり、
原案
とい
たしましては、
政令
で定める
とい
うことにしておりましたので、
遡及
しようと思えば全部の
規定
の
遡及
も可能なわけでございます。今後の立法につきましてどう
考え
るかにつきましては、まだ素案の段階でございまして御
説明
の段階でないと思いますけれども、そういうような点も十分考慮いたしまして、本当に
人命
の安全上当然に
避難
できると、とにかく逃げることが第一だ
とい
う点にしぼって運用できるようなことを
考え
てまいりたいと思っておる次第でございます。
矢原秀男
17
○
矢原秀男
君 では、
遡及適用
の件については
建設大臣
、最後でございますが、今後の
建設省
の
避難
防火施設の建設に対しての対策ですね、法制化及び行政上いろいろの諸問題が皆様からもいろいろと討議をされたわけでございますが、まとめて、こういう
避難
防火等施設の法制化や行政上、先ほどの御
答弁
と重複するかとも思いますけれども、重ねてこれら対処のことについて御意見をお
伺い
したいと思います。
中馬辰猪
18
○
国務大臣
(
中馬辰猪
君) 事は
人命
に関するきわめて重大な問題でありますから、私どもも非常に心配し、注意いたしております。必ず次の
国会
には御趣旨を全面的に取り入れて
提案
をして御
審議
を仰ぎたい、こういうふうに
考え
ております。
矢原秀男
19
○
矢原秀男
君 じゃ、次に日照権についてお
伺い
をいたします。 日本の国も狭い国土の上でございますし、平野部がきわめて限られておりまして、地理的状況も加味して、国土利用については行政各省庁は十分の対策を講じていかなければならないところでございます。特に人家が密集せねばならない土地利用の状況を
考え
れば、当然やはり日照権の問題が起こり得ることは明らかでございます。今日までも非常にそういうことで裁判等も多く出ておりまして、解決したものもしないものもあるわけでございますが、今日まで
政府
とい
たしまして、事日照権に関してどのように取り組んでこられたか、まずお
伺い
をしたいわけです。
山岡一男
20
○
政府委員
(
山岡一男
君)
昭和
四十五年の
建築基準法
の一部
改正
におきまして、ある
程度
の日照が
確保
できる
とい
うことも念頭に置きまして、そういう趣旨で第一種住居専用地域及び第二種住居専用地域につきまして北側斜線制限の制度を設けております。さらに、従来からございます高度地区の制度の積極的な活用を同時に併用いたしまして日照の
確保
を図ってきたところでございます。しかし、近年におきまして日照
問題等
が住環境問題の中で相当のウエートを占めてまいっております。したがいまして、この際は住居系のところにつきましてはやはり公法的な規制が必要じゃないかと
考え
て本
改正案
を
提出
したものでございます。その他におきましても、再開発事業の施行、不良住宅地区改良事業の施行、最近進めております転がし事業等の市街地再開発等がやはりそういうものに対する対策の一助になろうかと
考え
ております。
矢原秀男
21
○
矢原秀男
君 いずれにいたしましても、日照
保護
を、確認制度をとる
建築基準法
で
規定
することが果たして妥当かどうか。またこれにより、先日の
参考人
の御意見の中にも、梶原弁護士さんでございましたか、主張にあったと思うんですけれども、今後行政抗告として日影基準を争うようになるのではないか、こういうお話も確かに耳にしたと思うんですけれども、日照紛争の多様化、それから長期化を
懸念
する、ちょっとそういう
懸念
もするわけでございますけれども、これらについては
政府
の見通しと対応、どういうふうにお
考え
なのか、お
伺い
したいと思います。
山岡一男
22
○
政府委員
(
山岡一男
君) 今回の
法律
改正
によりまして、
建築
確認申請に際しまして、
建築
主事は当該申請に係る
建築
物が、今回決められました日影に関する基準に適合するか否かを審査の
対象
とすることになります。その場合に、社会的に確立されたルールである
とい
う前提でございますので、基準にかなう申請に対しましては確認を進める
とい
うことになりますし、そのために、まあいままでのように確認段階でいろいろと問題になっておりました点が、社会的ルールができる
とい
う点につきまして、相当大幅に紛争は減るだろうとむしろ
考え
ております。なお、当該確認に係る
建築
物の
建築
に反対される
とい
うようなことがありました場合には、確認処分を争う行政訴訟が今後提起し得ることになる
とい
うことだと思います。 さらに、行政訴訟におきましても、日影に関する基準は、その行政訴訟が行われる場合の、判断をされる場合の有力な基準の
一つ
になるだろう
とい
うことは十分想像されますので、ケース・バイ・ケースで決められるものであるとは申しながら、そういうふうな基準がある
程度
設定される
とい
う点におきまして審理の十分な迅速化が図られるのじゃないか。そういうような点におきましては、いままでの紛争の長期化よりもむしろ迅速化の方へ向くのじゃないかとわれわれは
考え
ておる次第でございます。
矢原秀男
23
○
矢原秀男
君 全国でも日照紛争については、まあ軽微を除いて、
建設省
の資料によりましても、四十六年が九百九十六件、四十七年が三千二百二十五件、四十八年が六千八百六十八件、四十九年が一万一千八百九十三件、五十年が八千百五件ですか、こういうふうに資料には明記をされておるわけなんですね。今回の
法改正
でその多くが法的解決を生むことは十分
考え
られるわけでございますが、その反面、私
懸念
をいたしておりますのは、
法律
によって個々のつながりや協調、逆に亀裂を残すようなこともあるのではないか。まあ一〇〇%どうしても解決できないいろいろな問題もございますので、そういう点で
政府
の行政上の細やかな配慮
とい
うものがさらに一歩深く進められなくてはならない、そういうふうに思うわけでございます。それについての
見解
ですね、もう一度お
伺い
したいと思います。
山岡一男
24
○
政府委員
(
山岡一男
君) 今回の
改正
は、市街地におきまして一定
程度
の日照を
確保
するために良好な町づくりのルールとして公法的規制を行う
とい
うものでございまして、直接的に私人間の相隣
関係
に介入しよう
とい
う問題ではございません。したがいまして、民事上の紛争につきまして今後もやはりいろいろな問題が起こると思っております。しかしながら、従来のように金銭的解決等によりまして長期の人間的つながりに対する亀裂等が生ずることよりは、ルールに従って行われる
とい
う意味でむしろ明朗になるのではないか
とい
うふうに
考え
ておる次第でございます。
矢原秀男
25
○
矢原秀男
君 都市における日照問題の解決を図りながら、環境の良好な町づくりを進めていくためには、
改正案
の日影規制だけでは不十分だと私は思うわけです。現行の
建築
確認の制度を根本から見直して、全面的な
建築
許可の制度の採用に踏み切るべきではないかと思うわけです。また、西ドイツで実施されております街区
ごと
の
建築
詳細計画の導入、これも検討すべきではないか。こういうふうに思うわけですけれども、ただいま申し上げた二点についてお
伺い
をしたいと思います。
山岡一男
26
○
政府委員
(
山岡一男
君) 住宅地におきます日照、通風、プライバシー等のいろいろな問題がございます。確かに今回の町づくりルールの中では、日照に重点を置きまして日影の規制を
考え
た
とい
うのが実情でございます。そういうものをやはり基本的に解決するためには、
建築
を従来の確認制度から許可制度へ持っていったらどうか
とい
うことにつきましては、実はわれわれどものところにございます
建築
審議
会の答申の中にも明記をされております。 今回の日影の規制につきまして受けました答申は、第一次の答申と銘が打ってございます。その第一次の答申の終わりの方に、今後至急
とい
いますか早急に検討を要すべき問題の中の第一に挙がっているのが
建築
許可制度の問題でございます。しかし、
建築
許可制度につきましても、これは現在の
建築
主事制度の根幹にかかわる問題でもございますし、いろいろな他の法令との
関係
等検討すべき問題が非常に多うございます。引き続き
建築
審議
会におきまして御検討いただいておりますが、そういうふうな方向を目指しながら検討を続けたいと
考え
ておることは事実でございます。 それから詳細計画につきましても、これはやはり同じその答申の中の今後検討すべき事項の中に明記をされておるわけでございます。われわれもつい先ごろも西ドイツから
専門家
を呼びましていろいろな勉強会等も行っておりますけれども、これも引き続き検討を続けまして、なるべく早い
機会
にそういうものについても成果を得たいと
考え
ている次第でございます。
矢原秀男
27
○
矢原秀男
君 過密都市において日照問題の解決を図るためには、日影規制等の
建築
の形態規制が必要だと思いますが、これだけでは根本的な解決は
期待
できないと思います。基本的には、今日高地価を背景にますます激化している宅地の細分化防止の
措置
がとられなければならないと思います。宅地の細分化を防止しながら住宅問題の解決を図る方策をとる必要もあると思いますけれども、そのための有効な施策
とい
うものは用意をされていらっしゃるのかどうか、お
伺い
したいと思います。
山岡一男
28
○
政府委員
(
山岡一男
君)
先生
おっしゃいますように、敷地の規模が過小である
とい
う場合の日照問題は非常に問題だと思っております。現在まで再開発事業の実施もしくは転がし事業の実施、その他いろいろな事業の実施等についてそういうものに対処してきたわけでございますけれども、最近
建築
協定の制度、それから総合設計等によります容積の割り増しの制度、特定街区によります土地の有効利用の制度等々、敷地を大きく活用する人につきましてはいろいろなおまけと申しますか、有利な規制がだんだんできてまいっております。さらに、そういうものにつきまして融資、減税等の応援も行っております。それらのものを通じまして、敷地の規模ができるだけまとまるような誘導援助の方法は現在も
考え
ておるわけでございます。ただ、敷地規模をこれ以下にしてはならない
とい
うふうな規制の問題につきましてはまだございません。そういうものにつきましては、これも先ほど申し上げました
建築
審議
会答申の中の今後検討すべき課題の中に詳細計画の確立とあわせて提言されておりまして、引き続き検討を続けております。なるべく早く具体的な結論を得たいと思っておる問題でございます。
矢原秀男
29
○
矢原秀男
君 次に、今回の
改正
で商業地域が
規定
から外されていることについて
伺い
たいわけでございます。 これはすべての
方々
からもいろいろ
とい
ろんな面から御質問ございましたし、
一つ
は、
政府
の基本的
考え方
の中に、住居系とそれ以外の地域ではおのずと日照規制は異なるものであるとのように受け取れるわけですが、もしそうであるならば、それぞれの地域における日照保障についての基本的な
考え方
、これを
伺い
たいと思います。
山岡一男
30
○
政府委員
(
山岡一男
君) これもたびたび
答弁
してまいりましたけれども、住居系のところにつきましては、住居地としての環境を保全すべきところだ
とい
うことで定められた用途地域でございます。たとえば、商業地域でございますと、商業の利便を増進するために定める地域
とい
うことになっております。したがいまして、容積率、建蔽率等につきましてもおのずから差がございます。当面非常に問題が多くて、やはり早期に公的介入をしていかなければ将来の町づくりとして不適当であろうと思われます住居系の地域、特に住居の安寧を守らなければいけない地域
とい
うものを今回公的規制の
対象
にした
とい
うことでございまして、決してその他の地域につきまして日照が不要だ
とい
うふうに
考え
ておるものではございません。したがいまして、それらの地域につきましては、やはりまだ民法の相隣
関係
が確立されておりませんけれども、そういうふうなものが今後判例の蓄積によりまして逐次つくられていくだろうと思っておりますが、そういうものを、やはり判例の積み重ねによるそういうルールのでき上り
とい
うのをわれわれ
期待
いたしておるわけでございます。なお、その間におきまして、そういうふうな社会的な通念
とい
うようなものがだんだん生まれる機運が生じましたときに、そういうものをまた取り入れる
とい
うことは将来の方向として
十分検討
に値すると
考え
ておる次第でございます。
矢原秀男
31
○
矢原秀男
君 もう一点。では、商業地域における日照基準が設定されない
とい
うことが、行政上のある
目的
を有しているのではないか
とい
う心配もあるわけでございます。つまり、都市計画上の行政運営の
効果
的手段として、商業用地域からの住居の締め出しにつながることをお
考え
ではないのかなと非常に先の先を読んで
懸念
しているわけなんですけれども、そういう点ではどうなんですか。
山岡一男
32
○
政府委員
(
山岡一男
君) 商業地域は、商業の利便を増進する、したがいまして、都市計画上もその都市の中でそういうことが予想される地域を指定されておる
とい
うのが現状でございます。また、そういう方向で指定さるべきものと
考え
ております。そういたしますと、商業地域はその利便性等から容積率等の要素も他よりも大きくなっておりまして、したがいまして、全体として相乗作用
とい
たしましては価格も自然に高くなっておる
とい
うのが実情であろうかと思います。そこで、日影規制のいかんによりまして、そういうふうなときに商業地域から住宅を締め出す
とい
うようなことを企図している
とい
うようなことではないわけでございます。ただ、長い目で見まして、やはり商業の利便のため
とい
うことで指定される地域でございますので、それなりにふさわしい地域になっていく
とい
うことが
期待
されるわけでございます。そういう場合に、土地利用上、商業地域では
建築
物を立体化いたしまして、下層部を商業的に利用しながら上層部を住宅に利用する
とい
うふうな利用の仕方の方がむしろ今後望ましいとわれわれは
考え
ておるわけでございます。
矢原秀男
33
○
矢原秀男
君 以上に関連して、具体的な事例をひとつ挙げてお
伺い
したいわけでございますが、私も先般ちょっと気になったのは、
参考人
の方、あれはたしかどちらかの大学教授の方でございましたでしょうか、いろんな地域指定については行政体の方が悪いのであって
とい
うふうなちょっとお話もあったと思うんですけれども、たまったものでないのは住民の
方々
であって、市であろうとも、県であろうと、国であろうとも、やはり国民の居住に対して責任を持たなくちゃいけないことであって、日照とか日影の問題がいろいろと非常に不公上平なものになってはいかぬと思うわけです。 いま質問いたしますのは、
政府
は商業地域における住居の日照規制はあくまで相隣
関係
の問題として解決すべきお
考え
のように承るわけでございますが、
昭和
五十一年九月二日の読売新聞に、都内の新宿二丁目での
高層
ビル
建設をめぐる
建築
主と住民との紛争に、新宿区の方が、商業地域だからがまんせよとの趣旨を住民側に宣告したと報道されたことがあるんでございますが、この件の事実
関係
と、
法律
が施行された場合の同様の紛争に対する影響は
建築
主に有利となると思うわけでございますが、そうなれば
既存
の住居に対する
保護
を
政府
はどういうふうに
考え
るのか。いろいろ
とい
ままでお述べでございますが、ちょっと明確に、端的に答えていただきたいと思います。
山岡一男
34
○
政府委員
(
山岡一男
君)
先生
御
指摘
の新宿二丁目の件につきましては、新聞で拝見をいたしまして、実は私、直接区を呼んで聞いておりません。ただ、新聞で理解した
程度
でございますが、今回の
改正案
につきましては、商業地域内において日照が必要ではないと判断したものではございませんで、先ほど来その点については申し上げたわけでございますが、特に今度のような場合も私法上の相隣
関係
の問題として解決されるべき問題ではないか
とい
までも思っております。ただ本法の
改正案
は、私法上の相隣
関係
まで商業地域を指定をしなかったから否定をした
とい
うものとは
考え
ておりません。したがいまして、今後そういうふうな私法上の積み上げによりましていろんな部分が定まってくると思うわけでございまして、決して個人を犠牲にする
とい
う御
指摘
には当たらないものと
考え
ております。ただ、区がこの新聞にございますような態度で言った
とい
うことは、私もちょっと心外でございまして、やはりいろんな意味のPRなり、あっせんなり、指導なりには当然努めるべきだ
とい
うふうに思っておる次第でございます。
矢原秀男
35
○
矢原秀男
君 四十八年の十月に実施された住宅統計調査の結果によりますと、日照時間が三時間未満の住宅が三百六十万戸、全戸数の一二%に上っていることが明らかにされております。また、その大部分が大都市の密集地に存在をする木賃アパートでございます。しかるに今回の
改正
による日影規制が十メートル以上の高さの中
高層
建築
物を
対象
に実施されることになっておるわけでございますが、これらの密集市街地に存在する低い層の住宅間の日照阻害に対しては何らの
措置
がとられていないと私は解釈をしているわけでございます。これでは都市における日照問題の解決につながらないのではないか。こういう
懸念
と、そうして木賃アパートに代表される密集市街地における低層住宅の日照の
確保
については、どのようなきめ細やかな対策を講じようとされていらっしゃるのか、その方針を明らかにしていただきたいと思います。
山岡一男
36
○
政府委員
(
山岡一男
君)
先生
のいまお話しになりましたとおり、
昭和
四十八年の住宅統計調査に当たりましては、われわれもこういうふうな日照
関係
のことについて何とか解決をしたい
とい
うこともございましたので、特別に
項目
を加えて全国調査を行ったわけでございます。その際の調査結果は、
先生
のおっしゃいますとおり、大体一時間から三時間までの日照しかないもの
とい
うのが三百六十万戸あったわけでございます。三時間から五時間までのものが六百十三万戸、五時間以上のものが千九百万戸
とい
うふうなのが当時の数字でございます。低層の地域におきまして、低層でしかも住宅が密集している
とい
う地域におきます現在の日照の状況はどうであろうか
とい
うふうなことも別途今度は住宅統計調査を離れて調査をいたしております。今回の基準はいろいろな
審議
会の小
委員会
等において検討されたわけでございますが、現在の大部分の住宅の受けておる日照のおおむね三分の二
程度
が享受しているものは
最小限
確保
したい
とい
うのがルールづくりの基礎になった
とい
うことでございます。 そういうものに対するそういう場合の対策はどうか
とい
うことでございましたけれども、従来の基準法の中に、たとえば道路幅からする斜線制限、それから建蔽率等のいろんな
規定
ございまして、個々の確認等の際にそういうものを励行してまいったわけでございますが、そういうものも一種の日照、通風等を
考え
た
規定
の制度でございます。ただ、
既存
のところはどうするんだ
とい
う点につきましては、これは
既存
のところにおきまして、そういうふうな日照の改善を図りたい
とい
う地区につきましては、やはり転がし事業、再開発事業、不良住宅地区改良事業等の再開発事業を地域単位で積極的に進めていく
とい
うことによらざるを得ないと
考え
ておる次第でございます。
矢原秀男
37
○
矢原秀男
君 まあ
法律
ができますと、なかなかそれを遵守していろいろと心配されてもうまくいかない
とい
う問題があるんですが、先般の
参考人
に来ていただきましたときに、東京理科大学教授の大河原さんの主張を引用させていただきまして東京都の方に質問したわけでございますが、東京のこの三時間から六時間を太陽シ
ビル
ミニマムで数値として出している。一方、規制の際は、この基準を敷地境界線五メートルの高さにおいて
確保
されていらっしゃると。東京の冬至においては日影が
建築
物の高さの一・六倍伸びるから、少なくとも自分の敷地内に八メートル以上の空き地がないと、隣地に二階建てが建つことによる日照阻害を受忍の限度であることを認めていること、そういうふうなことでいろいろと疑問が投げかけられておられました。その問題とあわせて、日影による中
高層
の
建築
物の制限の中で、敷地外五メートル以内の範囲におさめなければならない日影、午前八時から午後四時の間ですね、制限を受ける区域は。その場合に日影図をつくる水平面の高さが一・五メートル
とい
う図表が出ているわけでございます。
とい
うことになると、あれですか、一・五メートル以下、ゼロメーターから一・五メートルの間は日陰になってもやむを得ない
とい
う解釈なのか、その点ちょっとお
伺い
したいと存じます。
山岡一男
38
○
政府委員
(
山岡一男
君) 今度の日影規制の際に、測点を第一種住専地域で一・五メートル、一応一・五メートル
とい
たしておりますのは、一階の窓
とい
うことを意識して定めておるものでございます。その場合あくまで排出する日影の基準でございまして、日影
とい
うのは朝から晩までずっとこう回っていくわけでございます。したがいまして、一日じゅう当たらない
とい
う趣旨ではなくて、何時間そういうものが複合して当たらない
とい
うことを基準の中で取り入れているわけでございます。したがいまして、一・五メートルのところで測点をいたしましても、その日の一日のうちには下の方にも日が当たる場合がある
とい
うことでございます。
矢原秀男
39
○
矢原秀男
君 いま私、数字を申し上げたわけでございますが、日陰世帯の。しかし、太陽が回るから
とい
って当たる場合もあるでは、私
法律
をつくる場合ちょっと問題ではないかと思うんですね。これは
政府
のいま図を私持っております。ここにあるんですけれども、図表のそのままを私見て心配をしておるわけでございまして、私この立法権の問題でいろいろあるわけです。アメリカのように民主党や共和党を中心とする議員さんたちが当選をすれば、十七名の
専門家
が国からすべてその議員につくわけですから、立法府としての
国会
とい
うものは成り立っているわけです。議員同士で
委員会
でやって、
当局
はもうその決まった段階のものを実施すればいいわけですから。しかし、日本の場合は、立法機関である
国会
とい
っても、実際は行政の
政府
の力をかりて、そうして
皆さん
に出ていただいていろいろと検討している、こういう日本の
国会
のあり方でございますけれども、私はいま
政府
の日照に対する日影の図表
とい
うものを見て、一・五メートル
とい
えばやっぱり一階屋根なんです、屋根なんですわ。太陽がぐるぐるぐるぐる回っても、現在の一階だけのお家であるとか二階建てであるとかの軒並みを見ておりますと、いま日本の
建築
様式では大体一・五
とい
えばやっぱり屋根に当たりますよ、大体。軒が出ているのですから、その際に。すぱっと図面どおりでなしに、屋根が出てるんですから、ここで一・五であっても軒先が出てますから、ですからまるまる一階は日が当たらないと解釈をしてもいいんではないかと思います。
とい
うことになると、私は、これ素人
考え
でございますけれども、一階は日が当たらなくてもいいのか
とい
う、そういう率直な感じを持つわけです。いま
局長
がおっしゃいますのは、そうではないんだと、太陽の自転の中で当たるときもあるのだ、当たるときもあるのだと言う。いま商層化のそういうふうな中で、そこまで日照権
とい
うものを制限をされて、まじめな国民生活をされていらっしゃる、営々として。土地が高くなってるんですから家も求められない。そうしてやっと土地を求めてせっかく一階建てか二階建てを建てても、はたには大きな資本で中
高層
が建ってしまう。自然の恩恵を浴さなくちゃいけない太陽の日照に対して、健康の
立場
からでもそこまで制限を極度に受けなくてはならないのか。これは日本の国土の状況もありますけれども、そういうふうなことになると、私はいま日照の問題申し上げておりますのは、もっと拡大を、庶民のために、国民生活のためにすべきである
とい
う
立場
から質問を私はしているわけでございますが、
政府
の
皆さん
の図表を見られてもそういうふうにきちっと出てるんですよ。その点、もう一度御
答弁
をお願いしたいと思います。
山岡一男
40
○
政府委員
(
山岡一男
君) 冬至の場合に太陽の位置を定めまして、それで一・五メートルの測点をする
とい
うふうな図表をつくることになっております。その辺の場合の日本におきます傾斜角度から見まして、われわれ普通
考え
まして、投影の角度はやはり一階の窓ぐらい
とい
うふうにいまでも
考え
るわけでございます。 それから、やはり下のところには日が当たらないのではないか
とい
うことでございますが、実は一種住専についての試算を私きょう持っておりませんが、いまの二種住専につきましても同じような問題があるわけでございます。四メートルで二階の窓のところを基準にしております。そうしますと、一階は要らないのか
とい
う問題が直ちに出るわけでございます。したがいまして、その辺につきましての試算等を実は私もちょっと手に持っておりますので、同じような
考え方
でございますからその数字を申し上げさしていただきますと、たとえば二種住居専用地域で今回の中の基準が適用されている場合に、南側に五階建てのポイント型が立っています。その場合三つの基準がありまして、真ん中の基準を採用したとして検討してみますと、
建築
物が
建築
された場合に北側の敷地が得ることができる日照、これにつきましては南庭の幅に応じて差があるわけでございます。南側の庭が三メートルしかない
とい
う場合には二階は二時間半になります。その場合にもやはり一階も二時間半日が当たる
とい
うことになります。南庭が五メートルある場合には二階が四時間当たります。一階が約三時間
とい
うことになります。それから南庭が七メートルの場合には二階は七時間半当たり、一階は約三時間半当たる
とい
うことでございまして、いずれも二階を基準に規制をいたしましても一階にも全部日が当たる
とい
うことになるわけでございますが、基準としてとらえるのにとらえやすい二種住専の場合には、二階の窓の辺を使った
とい
うことでございます。したがいまして、その測定の基準にいろいろ一・五メートル、四メートル等使っておりますけれども、決してそれ以下のところは日が当たらなくてよい
とい
う判断ではなくて、当たるんだけれども、やはり基準として決めやすいところをポイントに置いて基準をつくった
とい
うのが実情でございます。
矢原秀男
41
○
矢原秀男
君 関連して、自治体における制限の強化または緩和については前の
委員会
でも
答弁
ございましたけど、もう一度、私、御
答弁
をお願いしたいんですけれども、自治体における制限の強化または緩和について、これは条例、規制でいろいろつくってあるでしょう、地方でね。
法律
が制定されますと厳しい面が逆戻りをする場合があるのと、そして緩い場合はもちろん引き上げているわけですけれども、そういうような
懸念
性あるでしょう。そういうふうな場合で、自治体においての制限の強化または緩和について、これは
局長
、専門的にどうですか。
山岡一男
42
○
政府委員
(
山岡一男
君) 今回の
修正
をいただきました案では、メニューを示しまして、その中で地方公共団体が条例で定める
とい
うことのスタイルになっておるわけでございます。したがいまして、いままでの自治体が条例等で定めておられるものもあるじゃないか
とい
うお話でございますが、われわれもいろんな例について検討はいたしております。おおむね、いままでのいろんな基準について見ますと、日影の問題に関する限り大同小異である
とい
うことが言えると思います。まあどちらかと申しますと、いままでの基準の中で、高い家が建つ場合には今回の規制の方が厳しいものが多い、低いときにはどうも従前のものが厳しい場合があるやに見受けられます。しかしながら、そういう点につきまして今回全体の中でメニューが示されますので、その中の選択
とい
うことで、たとえば一種住専でございますと三つの基準がございます。その中で一番厳しいものも選べる、それから一番緩いものも選べる
とい
うわけでございまして、十分自治体のお
考え
にマッチをした条例の制定ができる
とい
うふうにわれわれ
考え
ておるわけでございます。
矢原秀男
43
○
矢原秀男
君 いま私がこの面で問題提起をいたしておりますのは、確かにこの
改正案
によれば、地方自治体は気候、風土の特殊性または土地利用の状況によって必要がある場合は条例で規制
内容
の一部を手直しすることができると、こうなっているわけです。だから、質問されても皆そういうようになっておりますと言われているわけですが、私が心配しておりますのは、それには注文がついているわけなんですね。「日影による中
高層
の
建築
物の制限」には(い)、(ろ)、(は)、(に)、(ほ)と制限を受ける区域、第一種、第二種住居地域
とい
う枠があるわけなんですが、(に)の欄及び(ほ)の欄の時間についてのみ手直しが可能と、こうなっているんです。ですから、地方自治体における非常に特殊性を生かされているのかと言えば、(に)と(ほ)の段階だけにおいてのみ許されているのであって、肝心の日影図をつくる水平面の高さの日影の高さ等、そういうふうなところには手をかけてはいかぬ
とい
うようになっているんです、逆に言えば。 だから、これは地方自治体のいろんな第一線における非常に条例や規制
内容
とい
うものが生かされているように見えるけれども、肝心のところはびしっと枠がかかっているんですよ、枠が。ぼくはそれを問題にしたいんです。(に)については、制限を受ける区域で地方自治体がよろしいよと、
改正
をしてもいいんですよ
とい
うのは、敷地外五メートル以内の範囲におさめなければならない日影。午前八時から午後四時までの間の、第一種の場合であれば四時間の日影。(ほ)の場合であれば敷地外十メートル以内の範囲におさめなければならない日影。午前八時から午後四時の間、二・五時間の日影。これは第一種ですね。二種の場合は二・五時間の日影。こういうふうに、この(に)と(ほ)だけを地方自治体での自由裁量に任している。しかし、肝心の
政府
がつくった日影図をつくる水平面の高さには問題があるんですわ。しかし、これが第一線の平均が全部全国に網をかぶされる。これを地方自治体の方ではいろいろケース・バイ・ケースで変えたいな
とい
う問題もやっぱり出てくるんですけれども、これは一切いじったらいかぬと、こうなっているんですよ。しかし、これで万全なのかどうか
とい
うことなんですけれども、
一言
お
伺い
いたします。
山岡一男
44
○
政府委員
(
山岡一男
君) 確かにいろんな条例を決めていらっしゃる中にも、一・五メートル
とい
うのを採用しておられるところもございますし、五メートル
とい
うのもございますし、いろいろと差があることは事実でございます。しかしながら、やはり最後になりまして
確保
しなければならない日影の限度
とい
うことになりますと、おおむね大同小異であろうかと思っております。したがいまして、今回のようなやはり選択の範囲内で十分自主的に実情に合った規制がお願いできる
とい
うふうに信じておる次第でございます。
矢原秀男
45
○
矢原秀男
君 じゃ、日照権の件については
大臣
に最後に御質問いたしますが、日照に関する世論調査では、大都市の居住環境に関する世論調査、これは内閣総理
大臣
官房広報室で四十八年の三月やっていらっしゃるわけですが、日照時間の希望等についてもやはり四時間以上二二%、五時間以上二八%、合わせるともう五〇%ですね、四時間から五時間以上は必要としているのが。まあ六時間以上、七時間以上を合わせるとやっぱり二五%以上もある。やはりどうしても中京圏では六時間以上から七時間以上三五%ですね。東京都の区部においては四時間から五時間以上五八%、横浜から川崎が四時間から五時間以上五四%ですね。まあこういうふうに日照に関する世論調査
とい
うものを見ておりますと、日照権をどのようにして守るのか
とい
う問題が今後も出ると思います。 もう
一つ
は、自然の恩恵である太陽のエネルギー、すなわち日照の人体に与える影響
とい
うものを
高層
建築
による環境破壊の実態の中からいかに守っていくべきであるか
とい
うことになると、一口に申し上げますと環境権としての日照権、まあこういうものを憲法体系上の位置づけの中からどうすべきか
とい
うことは今後大きな問題になると思います。こういう点について、環境権としての日照権はいかにあるべきか、
大臣
としての所見をお
伺い
したいと思います。
中馬辰猪
46
○
国務大臣
(
中馬辰猪
君) 最近の判例を見てもまだ固まっていないように思います。ずいぶん日照権
とい
うものについての解釈や範囲等が裁判の中においてもまだずれている
とい
いますか、固まっていない。しかし、方向としてはやはり日照に当たる時間が多い
とい
うことは人類にとっては非常に幸福なことでありますから、
法律
上の定義は別としても、そっちの方向に行政を進める
とい
うことは当然であると、こう
考え
ております。
矢原秀男
47
○
矢原秀男
君 非常に重要な課題だと思いますので、
大臣
を初めよく、まあ私たちもそうでございますが、やはり検討していかなくてはいけないと思います。 次に、時間がございませんのでちょっと飛ばしますけれども、私非常に気になっておりますのは、
建築基準法改正
案に対する
参考人
の
方々
に来ていただきましたときに、
法律
の
専門家
、弁護士の
方々
、東京都の行政担当の
方々
よりもどうしても気になりましたのは、後藤市長さんのお述べになりました意見の要旨でございます。これは住民生活の中から切実な声
とい
うものが出てきた発言だと思うわけなんです。ですから、私たち市民相談を常に受ける紛争処理の
立場
から見ても、こういう非常に目に見えないきめの細かい
問題点
についてやはり
政府
に対して一応尋ねておく必要がある
とい
うのが私の非常に気になっているところでございますので、お
伺い
をしたいと思います。 市長の話の中にも、この
改正案
は、全国三百有余の市町村が条例または要綱を制定して対処してきた各種の問題のうちのごく一部分である。すなわち、日照問題のみを解決しようとするものであるが、その意味では
改正案
は不十分ではないのかと。日照問題に限定して
考え
たとしても、この日影基準のみをもっていわゆる日照問題の全側面を解決することはとうてい不可能ではないのか
とい
う
懸念
性を表示されておられました。そういう中で、御意見を述べられておりました
一つ
の中に、要綱行政は総合的な行政にしてほしい。その
一つ
は、全国三百有余の市町村が制定している条例または宅地開発指導要綱の
一つ
は、開発業者に対して公共公益施設負担を要請し、都市
構造
に関するシ
ビル
ミニマムを
確保
すること。また、ロについては、相隣紛争を円満に解決すること。ハは、団地、マンション等に入居してくる新しい住民に良好な住環境を保障すること
とい
った多方面のねらいを持っている。それは都市計画法上の開発許可制度でも十分に解決できず、
建築基準法
上の
建築
確認制度でも十分に解決できない諸問題に総合的に対処しようとするものであると。こういう前提の中でまず
一つ
御質問いたしますのは、仮に相隣紛争に限って
考え
てみても、問題は日照問題だけではなく、中
高層
建築
物が周辺住民に及ぼす生活侵害は、日照侵害に加えて電波障害、風害、通風阻害、プライバシー侵害、照り返し、威圧感等々、工事騒音等工事中の生活侵害もある。要するに問題は、
建築
物が周辺の地域の状況と適合しているかどうか
とい
う総合的な問題であると、こういうふうに提起をされている。こういうふうな中で、今回の
改正案
の日影基準
とい
うものは、これらの総合的な問題のうちの相隣紛争の側面しか取り上げず、しかも相隣紛争問題のうちの日照問題しか取り上げていないと、だから市町村
当局
者としては、要綱をもって対処してきた総合的な問題の全般の中から明確な法的根拠を与えることを強く要望している。立法については、自治体の苦難の試行錯誤を踏まえたものであってほしいと、こういう切実な御要望があったわけでございますが、
当局
としては、これについてはどういう
見解
を持っていらっしゃるか。
山岡一男
48
○
政府委員
(
山岡一男
君) いま
先生
がおっしゃいましたような電波障害、それから風害等々、市長さんがおっしゃいましたとおり、そういうものがやはり住居の環境の安全のために非常に必要だ
とい
うことをわれわれも痛感いたしております。そのためにいろいろな勉強も当然続けていたしております。しかし、この市長さんが
提出
されました要綱に対する市の答申の中にも書いてございますとおり、やはりそういうものについて直ちに現在いろんな結論が得られているわけではない
とい
うふうに書いてございますけれども、そういうようなものの因果
関係
がきわめて不明確な時代に、やはり私権の制限
とい
うことにもつながるわけでございますので、非常に慎重に検討すべきだ
とい
うことでございまして、直ちにそういうものにつきまして、まだ立法化の段階には至っていない
とい
うのが現状でございます。今後もそういう点につきましては十分な検討を進めながら検討してまいりたいと思っております。 それから市長さんのおっしゃいます
考え方
の細目の中には、従来の
構造
についてはやはり確認のような制度がいいわけでございますが、用途制とか地域地区制に関するいろんな問題につきましては、確認よりもむしろ許可制度の方へ移行すべきじゃないか
とい
う点の示唆もあった
とい
うふうに私受け取っております。その点につきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、
建築
審議
会の中におきましても、都市計画で行っております開発許可
とい
う制度ともあわせ
考え
ながら、将来確認を許可に切りかえる方向に模索をすべきだ
とい
う
提案
をいただいておりまして、今後引き続き検討を続け、なるべく早い
機会
に結論を得たいと思っておる次第でございます。
矢原秀男
49
○
矢原秀男
君 この点については、理事会においても附帯決議等のあれが
委員長
からも明示をされたように思っておりますので安心しておりますが、どうか
当局
も、こういう問題についてはやはり
現場
主義
とい
うそういう形の中でどういうふうに日照問題が起きているのか。で、電波障害の問題だって先般もNHKや郵政
関係
にお尋ねしましたけれども、本当は日本の
高層
化やいろんなものからの電波障害に対するこの解決
とい
うのは、技術者
関係
はわかっていらしゃいますけれども、それをすべてやっていけば膨大な金額がかかるから国としても一〇〇%の対処はされないようにいまなっております、残念だけれども。そのぐらい電波障害の
一つ
にしましても大変な問題を抱えているわけです。 それはさておきまして、次に福祉対策の促進との
関係
について
伺い
たいわけでございます。 本年四月に京都市においては、
デパート
、映画館、図書館、
病院
、
ホテル
、駅などいわゆる公共性の強い不特定多数の市民が利用する
建築
物について、身体障害者、高齢者、病弱者などお体の悪い、不自由な人たちがひとしくこれを利用することができるようにする
とい
う
立場
から、それらの新築、増改築の
建築
主は設計の段階で市と
協議
をする
とい
う、いわば福祉の
建築
基準とも言うべき福祉の町づくりのための
建築
物環境整備要綱を策定をして実施をされたわけでございます。また反面、東京都では都立施設の障害者向けの整備要綱を、これはまた東京の町田市でもそうでございますが、
建築
物などに関する福祉環境整備要綱を策定されて実施されております。さらに、横浜でも同趣旨の要綱の策定準備を進めているようでございますが、そこでこうした地方公共団体独自のいわゆる福祉の
建築
基準とも言える要綱の策定実施についてどういうふうに評価をしているのか、これは
大臣
の所見を
伺い
たいと思います。 また、こうした
考え方
が現行
建築基準法
はもとよりのことでございますけれども、今回の
改正案
の中にも盛り込まれていないわけでございます。国としてもこうした施策を導入すべきではないかと思うわけでございますが、もしそれが法制上
建築基準法
で無理ならば特別立法と、こういうものも
考え
てよいのではないかと思うわけでございますが、これらもあわせて
大臣
の所見をお
伺い
したいと思います。
山岡一男
50
○
政府委員
(
山岡一男
君) まだ
大臣
に福祉の基準お目にかけたことございませんので、
最初
に私から状況を報告さしていただいて、
大臣
の御所見を述べさしていただきたいと思います。
建築
物が生活と最も密接な
関係
を有します施設でございますので、特に
デパート
、
病院
等の公共性が強い
建物等
につきまして、身体障害者等の体の不自由な人がこれが利用できるようにしたい
とい
うふうなことでいろんな福祉の
規定等
がきまっておるようでございます。これは当然に望ましいことだと
考え
ております。ただ、その実現につきまして、第一には、公共性が強い
建築
物の
建築
主、それから設計者等が
建築
と福祉とのかかわり合いにつきまして大いに認識を深める必要がある
とい
うふうに
考え
ております。そのために地方公共団体の要綱は非常に有効な役割りを果たしておられる
とい
うふうに
考え
ております。 さらに、公共性の強い
建築
物につきまして、福祉
とい
う
観点
からそういうことは非常に望ましいことだと、かように申し上げましたけれども、現時点におきまして直ちに
建築基準法
に導入することはやや困難ではないかと
考え
ております。なぜかと申しますと、
建築
物の安全、衛生、防火、
避難
等に関し、最低の基準を決める
とい
う規制的性格が多いのが
建築基準法
でございますので、その中で一律に全国的な
建物
にそういうものを決める
とい
う点については、ややちゅうちょする点がございます。 また、たとえば立法は特別立法によってやったらどうか
とい
うお話もございましたけれども、やはり身体の不自由な
方々
の住んでおられる地域、あるいは用途に対応した利用頻度の究明、それから各種施設
設備
等の技術上の基準の整備等々まだまだ検討すべき問題が多いように思います。したがいまして、現在では試行的な段階としてとらえまして、要綱にも事例がございますように、公共
建築
物を主体として試行を試み、それを積み重ねていく
とい
うことによって対策をとっていくのが当面は必要ではないかと
考え
ております。したがいまして、
建設省
におきましても、福祉
とい
う
観点
を
建築
物の設計に反映させる
とい
う意味で、身体障害者の利用を考慮した設計資料
とい
うようなものの作成を行って地方公共団体等について指導しておる
とい
うのが現状でございます。
中馬辰猪
51
○
国務大臣
(
中馬辰猪
君) 最近各地でそういう問題が多く要望が出ておりまして、一部いわゆる進歩的な市長さん
とい
いますか、そういうところでは実行しておるところもあるようでございまして、公共物については大変これは結構なことでありますから、そういうことが実現できるように私どもも勉強して、具体的に可能であるような方向で行政を指導してまいりたいと、こう
考え
ております。
矢原秀男
52
○
矢原秀男
君 ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。 最後に、確認許可等の執行体制について御質問申し上げたいと思います。 今回の
改正案
では、
建築
確認を要する特殊
建築
物の拡大を初めとして、幾つかの点に
改正
の手が加えられております。それはそれで了とするわけでございますが、ただ問題は、そのための執行体制が果たして整っているのかどうか
とい
う点でございます。そこで、最近年次の、全国の年間確認数、
建築
主事の人数、一人当たりの確認数がどのようになっているか、お
伺い
をしたいと思います。
山岡一男
53
○
政府委員
(
山岡一男
君) 確認件数でございますが、
昭和
四十七年度におきましては、
建築
確認件数が百三十八万七千九百四十三件、
建築
主事の数は九百六十七名、
建築
主事一人当たりの確認件数は千四百三十五件。それから
昭和
四十八年度が、確認件数が百二十八万百三十九件、主事の数が千十三人、一人当たりの確認件数が千二百六十四件。
昭和
四十九年度は、確認件数が百二十一万九百二十件、
建築
主事の数は千五十六人、一人当たりの確認件数は千百四十七件
とい
うのが実情でございます。
矢原秀男
54
○
矢原秀男
君 現行法の第十二条の特殊
建築
物についての定期検査の実績が余り芳しくないと漏れ聞くわけでございますが、その実情はどうなのか
とい
うのが一点と、もう一点は、現行法の
規定
、さらに今回の
改正案
の
規定
が完全に実施されるためには相当数の
建築
主事の増員、ただいま御報告いただきましたけれども、
建築
主事の増員などの執行体制の強化拡充が必要だと私は思うわけなんですけれども、予算面ではどのように配慮されておられるのか、お
伺い
したいと思います。
山岡一男
55
○
政府委員
(
山岡一男
君)
先生
から御
指摘
ございました現行法の十二条第一項の
規定
に基づきます定期検査報告の
対象
とする特殊
建築
物の報告状況でございますが、都道府県別に見ました場合には、現在準備中の山梨県を除きまして全国で指定済みでございます。法十二条第二項の
規定
に基づきまして定期検査の報告の
対象
としております昇降機及び
建築
設備
の指定状況は、やはり昇降機につきましては準備中の山梨県を除く全国で、また
建築
設備
につきましては東京、
大阪
を初めとするほぼ半数の都道府県が指定済みでございます。これの調査及び検査の報告状況は、東京都について見ますと、特殊
建築
物につきましては、
昭和
四十八年度から五十年度までの実績では、
防災
上重要な
建築
物であります
百貨店
につきまして約七割、集会場、映画館につきまして約六割の報告を得ております。昇降機につきましては、
昭和
五十年度の実績では
設置
されておりますエレベーターの件数約八割に当たる三万四千件の報告を得ております。しかしながら、いずれも六割とか八割
とい
うことでございまして芳しくない実情だと思っております。聞いてみますと、中小規模の
建築
物の報告状況が悪いため
とい
うようなことで御報告があるわけでございますけれども、まことに遺憾に思っております。さらに特定行政庁等を指導しまして徹底を期したいと思っておる次第でございます。 それからさらに、いろいろと今後につきましても執行体制の整備が必要であると思っております。実はこの
法案
を
提案
いたしますと同時に、そういうふうな執行体制の整備が必要である
とい
うことで、自治省に対しましてもそういうふうな執行体制の拡充の要望をいたしました。
昭和
五十年度のときからすでに一部の実現を見つつあります。たとえば人口百七十万の県につきましては四名、人口百五十万の大都市につきましては三名、人口二十五万の都市につきましては一名、それぞれこういう事務のための行政事務のものが
対象
とい
たしましてふやされております。実際の実績等を見ましても、府県、大都市、その他の市におきましても、実情を見ますと、いずれもそれらの基準を上回る
程度
の人員を配置いたしております。ただ、おっしゃいますように、執行体制を整備をいたしまして励行をいたすことが今後の重要な点でございますので、十分この点の充実につきましても今後も努めてまいりたいと思っておる次第でございます。
矢原秀男
56
○
矢原秀男
君 今回の
改正
で新たにキャバレー、ナイトクラブ、遊技場等が
建築
確認を要する特殊
建築
物になったことは、これらの
建築
物の
火災事故
が比較的多い現状に照らして適切な
改正
だと思うわけでございます。 一方、キャバレー、ナイトクラブ等は客寄せのために短期間で内部の改装、こういうのを行うのを通例としておりますので、そのたびに確認検査等が必要となるわけでございます。ただでさえ業務量の増加に追われている
建築
主事の業務量の大幅な増加
とい
うものを来すことと、したがって、今回の
改正
を実効あらしめるためには事務量に対応した
建築
主事の増員等の執行体制
とい
うものは当然必要でございます。こういう面につきましても強化をしていただきたいと思います。 これに関連しまして、
建築
協定になるわけでございますけれども、
建築
協定の制度が地域の住民の合意によって環境のよい町づくりを進める制度であり、都市づくりの面からも大いに活用される必要があるわけでございますが、現在この協定締結の前提となる条例がどの
程度
の地方公共団体で制定され、またどの
程度
の地区で締結をされているのか、その普及の状況
とい
うものがおわかりでございましたら
説明
を願いたいと思います。
山岡一男
57
○
政府委員
(
山岡一男
君) 締結年次別の
建築
協定の数を調べてみますと、
昭和
四十年以前が四、
昭和
四十年以降が二百二十、比較的最近のものが多うございますが、トータルで二百二十四の
建築
協定が現在結ばれておるわけでございます。
矢原秀男
58
○
矢原秀男
君 いま御報告あったわけでございますが、
建築
協定の制度は、市街地における良好な環境づくりに有効な制度として
建築基準法
制定当初、二十六年から
法律
上認められているものでございますけれども、御報告のように現在は余り普及をしておりません。
一つ
は、その原因は何か。二番目には、制度的な欠陥があるのではないか。三番目には、今回の
改正
でどの
程度
の改善が図られているのか。またあわせて、国民に対するこの制度のPRに欠けていたのではないか
とい
う心配があるわけなんですが、この諸点について簡単でいいですから
見解
を述べてください。
山岡一男
59
○
政府委員
(
山岡一男
君) やはり
建築
協定の制度は制度的には非常にすぐれた制度でございますが、あくまで私法上の契約
とい
うことで観念されておりますので、いままでは全体の同意
とい
う中で一人でも反対がありますとできなかった。特にどうしてもやろう
とい
う場合にも真ん中あたりが残りましてゲリマンダーのようなかっこうになってなかなか認可の
対象
にならなかった
とい
うようなことが非常にあったわけでございます。全員同意
とい
うのがやはりなかなか進まなかった原因の
一つ
であろうかと思います。しかし、今回の
改正
におきましてやはり一人制
とい
うのもつくりましたし、それから底地の所有権者ではなくて借地権者もできるようにいたしましたし、共同処理の場合には過半の者が参加すれば結構だ
とい
うふうに直しましたし、非常に協定が、従来の全員同意の壁の中でも、従来よりは相当協定が結びやすくなった
とい
うふうに
考え
ております。したがいまして、今後そういうものにつきまして新制度の
内容
を十分
関係方面
のPRに努めまして、その御活用をお願いしたいと思う次第でございます。
矢原秀男
60
○
矢原秀男
君 いずれにしましても、この制度が一向に普及をしない原因の
一つ
には協定の性格のあいまいさが
指摘
されていると思います。すなわち、この協定の性格が私法的なものに限られているために制定の
効果
に限界があるのではないかと思うわけです。この際、
建築
協定を町づくりに対する住民参加の一形式と性格づけ、公法的な性格を与えて、協定
内容
を
建築
確認の
対象
とすること、及び協定違反に対しては特定行政庁が是正
措置
等を命ずることができるようにすることを真剣に検討すべきではないかと私は思うわけでございますが、そういう点はいかがでございましょうか。
山岡一男
61
○
政府委員
(
山岡一男
君) 今回の
改正案
提案
に当たりましても、実はわれわれもいろんな意味でそういう検討をしたわけでございます。たとえば、全員同意制
とい
うことよりも、やはり三分の二以上の多数決による協定の締結ができないか、そういう場合に定められた協定につきまして私法的契約以上の
効果
を与えられないか、いろいろ議論をいたしたわけでございますけれども、もしそういう性格のものであるならば、やはり
建築
協定
とい
うことよりは一般の公的規制にすべきである
とい
うことが議論のもとになりまして、従前のものを使いやすくする
とい
う
改正
に今回はとどまっているわけでございます。しかしながら、そういうことでございましてもわれわれは相当
効果
を上げられると
考え
ておる次第でございます。 さらに、私法的契約である
とい
う点から、その違反につきましてやはり公法上の
措置
がとれない
とい
う点がございます。いろいろな
建築
協定ではその
建築
協定自体の中に違反をした場合の
措置
等についてお決めになっておりますけれども、それに背くような場合がございましても公法的
措置
はとれないわけでございます。しかしながら、そういうふうな地域の実情が非常によくなる
とい
うことが前提でございますので、特定行政庁、
建築
主事等は十分そういう面につきましては指導なり、あっせんなりは努めてまいるべきだ
とい
うふうに
考え
ております。
竹田四郎
62
○
委員長
(
竹田四郎
君) 午前の
質疑
はこの
程度
とし、午後一時まで休憩いたします。 午後零時十分休憩 —
——
——
・—
——
——
午後一時十一分開会
竹田四郎
63
○
委員長
(
竹田四郎
君) これより
委員会
を再開いたします。 休憩前に引き続き
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言を願います。
上田耕一郎
64
○
上田耕一郎
君
建築基準法
の一部
改正
法律案
に関して質問したいと思います。
遡及適用
問題、それから日照問題、それから電波障害、風害問題などについてお聞きしたいと思います。 まず、
既存建築物
の
遡及適用
の
削除
問題でありますが、この問題はやっぱり
ビル
火災
とい
う都市
災害
から
人命
をどう守るか
とい
うことが中心問題であって、この
遡及適用
については、
政府
の当初の
原案
では、
人命
の安全を
目的
として、施設についても
特別避難階段
、
竪穴区画
、非
常用照明装置
及び
進入口
の四種の施設に限定し、不可欠なものだけに限ると、そして猶予期間を三年から五年と設け、改修工事費に対する助成
措置
、これはもちろん十分とは言えませんけれども、そういうものも講じた
とい
うことでした。ところが、これが
削除
とい
うことになったわけですが、この
削除
された場合、
人命
の安全そのものに重大な問題が生ずる危険がないのかどうか。当初
提案
では、
人命
安全のために必要不可欠、緊急のものだけに限った
とい
うことでしたが、それが
削除
されたわけですから、そういう危険はないかどうか、それに対してどういう
対応策
を講ずるつもりか、これをまず冒頭お
伺い
します。
山岡一男
65
○
政府委員
(
山岡一男
君)
先生
御案内のとおり、
改正
原案
では、
避難施設
、
防火区画
、非
常用
の
進入口
、非
常用
の
照明装置
の中から特に緊急なもの
とい
うものを選んで
遡及
する
とい
う
提案
をいたしたわけでございます。実際問題
とい
たしまして、普通、現在ございますいろんな
既存
の不適格の
建築
物等につきまして、その実態等についても調べておりますけれども、特にそういう点に重点を置く方が
人命
安全上必要だ
とい
うふうにわれわれ
考え
たわけでございます。現実の問題
とい
たしまして、
建築基準法
の性格は状態
規定
でございますので、
既存
不適格のままが現在では適法と認められている
とい
う状況でございます。したがいまして、本当に人が早く逃げる
とい
うために、今回われわれ
考え
ましたような
遡及
措置
はわれわれは一時も早くできることが望ましいと思っております。 ただ、それにつきましては
遡及
をしてやる
とい
うような非常に重要な問題でございますので、
衆議院
の
審議
のさなかにおいて出ましたいろいろな問題を踏まえて、新しい立法を講じたい
とい
うのが現状でございまして、たまたま今回の
提案
いたしました
改正案
の中にも、工事中のそういうような特殊
建築
物に対しましていろいろな対策を
考え
ておったわけでございますが、その点は今回の
改正案
の中でも残されております。したがいまして、その点も踏まえまして現行の
建築基準法
の活用によりまして、十分当面の対策には遺漏のないように進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
上田耕一郎
66
○
上田耕一郎
君 今度の
衆議院
で行われたこの
修正
ですけれども、われわれこれ反対いたしました。これがたとえば
百貨店
協会などの意見の関連があったのではないか
とい
うことを私は恐れておりますが、たとえばここに日本
百貨店
協会の
建築基準法
の一部
改正
についての
防災
に関する要望書
とい
うのがあります。議員にも届けられたものですけれども、この冒頭には、この「
建築基準法
の
改正案
の
内容
は、
防災
思想を必ずしも明確にすることもなく、いたずらに技術的規制の細目を義務づけようとするもの」だと、「甚だしく現実と遊離した細目を要求している。」と、そう述べられている。「全国的にも、歴史的にも極めて稀な
防災
上殆んど無防備に近い「熊本・大洋」の不幸なケースをもって、
防災
体制を整えた
建物
にも一様にあてはめて、実施しようとしている」と、こういうことが冒頭述べられているんですね。こういう
百貨店
協会の批判、きわめてまれなものを全部に押しつけようとしていて、「いたずらに技術的規制の細目を義務づけ」「甚だしく現実と遊離」している
とい
う批判について、
建設省
側はどうお
考え
ですか。
山岡一男
67
○
政府委員
(
山岡一男
君) われわれ
衆議院
の方で
遡及適用
につきまして
削除
されましたいろいろな点がございますが、そのうちの非常に重要な点は、
遡及
を
建築基準法
の本法の中に取り込みますと、やはり将来におきましても日進月歩のいろんな技術がございますので、また将来
規定
が変わる場合が予想されます。その場合に、その新しい
規定
を従前の新しく
既存
不適格になったものに対してさらに
遡及
をするのか
とい
う問題が提起をされました。それにつきましてわれわれが法的に準備いたしましたのは、そういう
政令
を定める際に、その
政令
の中で
遡及
するかどうかを決定する
とい
う
提案
をしたわけでございますが、そういうふうな現行法上適法であるものについて
遡及
をする
とい
うものについて、
政令
段階でそういうことを決定するのはおかしいと、もう少し
遡及
の
規定
が何年何月何日施行の
規定
とい
うふうに明瞭に示し、それを
遡及
する場合にはさらに
法律
によるべきだ
とい
うような有力な意見が出ておりました。 そのほか、
建築基準法
の本法に取り込みますので、やはり代替
施設等
についても認めよう
とい
う
規定
がございましたけれども、そういう場合にも
構造方法
による
とい
うような認め方をしたいと、同等以上と、現行
規定
と同等以上の
構造方法
によらなければ代替は認めない
とい
うふうな
規定
になっておったわけでございます。例を挙げて申しますと、たとえば
ビル
と
ビル
がある場合に、
避難階段
をつくるのをやめまして、隣の
ビル
の方に逃げられる空中横断の橋をつくる
とい
うような場合には、
構造
上同等以上と認める代替施設であるとわれわれ御
説明
をしたわけでございますけれども、最近も例がございましたが、ブリジストンの
ビル
の屋上におきまして、
ビル
の
火災
の際に、四百人ばかりの人が屋上に逃げました。たまたまふだんからそこに
設置
をしてありました隣の
ビル
にかけられるような横断のための橋を引っ張り出して渡しまして、四百人全部が助かった
とい
う例もございます。ところが、そういうものがわれわれの準備しました答案の中では、代替施設としてどうも認められない
とい
うような点もございました。 それからさらに、第三点
とい
たしまして、たまたま
デパート
協会等も主張されましたけれども、技術的な問題の中に、まだ
遡及
をしてまでやる
とい
うことについては、こういう点についての
改正
をひとつ必要ではないのか
とい
うふうな具体的、技術的な
提案
もありまして、それらのものを含めまして今回の
削除
が行われた
とい
うふうに
考え
ております。したがいまして、決して
デパート
の
皆さん方
のおっしゃったために
削除
されたものだとは思っておりません。 それからさらに、
デパート
の
皆さん
が技術的にきわめて
防災
のことは決まっていないのにとおっしゃる裏には、
スプリンクラー
の
設置
が全部義務づけられて、
デパート
側では
設置
義務がない
階段
だとか便所にもすでに
スプリンクラー
を
設置
している、したがって、そういうことの
効果
を見てからやったらどうだと、こういう御
提案
は確かにございました。しかし、われわれ全体の
百貨店
の状況を見ますと、確かにピンからキリまであるようでございます。したがいまして、大どころの
百貨店等
につきましては相当うまくいっていると思いますけれども、まだまだ
遡及
をした方がいいと思うところがたくさんあるわけでございまして、そういうものも踏まえまして
次期国会
には新しい
提案
をいたしたいと
考え
ておる次第でございます。
上田耕一郎
68
○
上田耕一郎
君 どうも私の質問に正面から答えていらっしゃらないと思いますけれども、たとえばこの中の熊本大洋のケースですね。歴史的にもきわめてまれだと、ほとんど無防備に近いケースで、これはもう本当に例外的なケースだと、こう主張しているんですけれども、そう思っておりますか。
山岡一男
69
○
政府委員
(
山岡一男
君)
大洋デパート
の場合は、実は
スプリンクラー
の
設置
もしてありました。それからいろいろな増段等につきましてもある
程度
の
避難
の施設は備えておりました。ただ、あの場合の
災害
のありましたときには、まだ工事中でございますのに使用を始めまして、特に
スプリンクラー
等は作動しない状況になっておりまして、したがいまして、
大洋デパート
につきましても
スプリンクラー
等の
設置
がなかったわけではないし、いろんなことにつきまして全然例外的だと言われるほどではなかったと思います。しかしながら、工事中にありながら特殊な使用をした
とい
う点は非常に問題でございます。その点を加味して今回の
改正案
の中にも工事中の一時使用、それから工事中の使用に当たっての計画の届け出等々三
項目
にわたりまして新しい
規定
を追加させていただいておる
とい
うことでございます。
上田耕一郎
70
○
上田耕一郎
君 熊本大洋の例は決して例外的でないと、いろいろ工事中
とい
うことはあっても例外的ではない
とい
う
答弁
だったと思うんです。
デパート
協会の方はこの熊本大洋の例だけをここに挙げてありますけれども、
原案
の中での
説明
にもありましたように、今度の
遡及適用
問題、熊本
大洋デパート
だけでなくて
大阪
千日
デパート
ビル
、これからの
教訓
とい
うことが大きく取り上げられる。
デパート
協会はこれに触れておりませんけれども、千日
デパート
ビル
の場合には、特に雑居
ビル
とい
うことがこの
災害
の大きな原因であったと思いますけれども、いかがでしょうか。
山岡一男
71
○
政府委員
(
山岡一男
君) お説のとおりでございます。いろんな人が使用しておりまして、管理問題などについて明確に行われていなかった
とい
うような点が非常に問題だったと思います。
上田耕一郎
72
○
上田耕一郎
君 この
デパート
その他に対する
遡及適用
問題が大きな問題になってきたのは、私はやはり
大阪
の千日
デパート
ビル
の際に社会的にも大きな問題になった雑居
ビル
の危険性、ここからであったと思います。あの千日
デパート
ビル
の
災害
はもうすでに広く知られておりますように、何と死者百十八人で、重軽傷も数十人出たわけですが、あの惨事の舞台となったこの
ビル
ディングは一階から五階が店舗で、六階が遊技場で、七階がアルサロですね。アルサロ
とい
う典型的な雑居
ビル
、複合
ビル
だったわけで、この七階にあるアルサロの「プレイタウン」には
火災
が発生したときホステスとお客が百七十八人いた。ところが、アルサロ
とい
うのは余り出入が自由だと
お金
を払わないでお客さんがいなくなってしまうこともあるので、出入はなるべく不自由にしてあると、特定の出入り口しか通れない
とい
うようになっているわけで、そういう点で、だから
階段
が二つ、非常
階段
が
一つ
あったわけですけれども、南
階段
の方はかぎがかかっていて出られない。非常
階段
の方は行ってみたけれども、物が置いてあってふさがっている
とい
うことで非常に惨事を大きくしたわけです。こういう雑居
ビル
とい
うことが百人以上の死者
とい
うことになったわけで、当時の新聞にも、この千日
ビル
火災
の
教訓
から
昭和
四十七年五月十六日の閣議で野放しの雑居
ビル
について総点検することが決まり、
建設省
、自治省、
消防
庁が協力して不良
ビル
の改善を推進していく
とい
う方針が決まったと報ぜられております。当時行われたこういう雑居
ビル
の総点検の結果を報告してほしいと思います。
山岡一男
73
○
政府委員
(
山岡一男
君)
昭和
四十八年の三月に総点検を実施いたしておりますが、そのときの複合用途
建築
物につきましては全国で六百四の査察を行っております。そのうち四百二十五件に対しまして改善指導を行い、それらのうちから四十九件に対し改善命令を出しております。その結果、四十八年のものにつきましては現在までにその改善報告が来ておりますが、全体で三百四十三件が改善された
とい
う報告を受けております。その後も毎年春秋二回、
建築
物の
防災
指導週間
とい
うのをつくりまして、
関係方面
の御協力を得まして特定行政庁がこの期間内に複合
建築
物を含めまして特殊
建築
物に対する
防災
査察を行っております。本年も三月に行っておりますが、複合用途
建築
物につきましては全国で三百三十件を査察いたしまして、そのうち二百六十八件に対しまして改善の指導を行っております。その改善が終わったかどうかの報告はまだ受けておらないわけでございます。
上田耕一郎
74
○
上田耕一郎
君 いまの報告と重なると思いますけれども、私が
建設省
側からいただいた、このとき行われた
特殊建築物等
防災
点検の結果報告概要
とい
うものによりますと、特殊
建築
物、複合用途
建築
物と
地下街
、渓流沿いの
旅館
、
ホテル
など、これについて点検を行ったと。四十七年、四十八年、二回の点検の総計は、点検実施
建物
数が一万六千六百八件
とい
うことになっており、そのうち欠陥があった
とい
う
建物
は六八%、一万一千三百二十八件
とい
うことになっております。つまり、この点検の際に約七割が欠陥
ビル
であった
とい
うことで、いわゆるこの雑居
ビル
については六八%
とい
うこと、二千七百七十九のうち千九百四、欠陥がある
とい
うことであります。この雑居
ビル
がこれだけ大きな欠陥がある
とい
うことが当時の調査からもわかっているわけですが、この雑居
ビル
かどうか
とい
うことは、たとえば
建築
確認の段階あるいは
建築
完了の検査の段階でわかるのかどうか、その点いかがですか。
救仁郷斉
75
○
政府委員
(救仁郷斉君) 確認申請の段階では、その
建物
を実際にだれがどういうふうに使うか
とい
うところまでチェックができておりません。ただ、
構造
上明らかに別な
区画
で使いそうだとかいうようなそういった物理的な判定はある
程度
はできますが、確実にそれではこれが雑居
ビル
かどうか
とい
うようなことは、ある
程度
使用状況まで入らないとできない
とい
うのが現状でございます。
上田耕一郎
76
○
上田耕一郎
君 これだけ問題になる雑居
ビル
について、
建築
確認段階などでは
建築
の
構造
ですからなかなかわからない。その
ビル
ができ上がった後で、キャバレーその他が入るときに
——
キャバレーが入ると、これをたとえば
消防
庁が、危ないところができたと、別に入る
とい
うようなことで、いろいろ後追いをしてつかんでいる
とい
う状況になっていると思います。
消防
庁の方にお
伺い
いたしますが、
消防
庁としてつかんでいる全国の雑居
ビル
の数及び雑居
ビル
で起きた
火災
件数などについて報告していただきたいと思います。
持永堯民
77
○
説明員
(
持永堯民君
) 雑居
ビル
の数でございますけれども、いわゆる
消防法
の施行令で決めております複合用途防火
対象
物でございますけれども、これはそれぞれ
消防
設備
の
設置
義務が面積等によって異なりましていろいろな数字があるわけでございますけれども、たとえば
スプリンクラー
を
設置
しなければならないような雑居
ビル
の件数は二千百六十、あるいは屋内
消火
栓を
設置
しなければならないようなものは一万一千四百十四
とい
うような数になっております。 それから
火災
の件数でございますけれども、実は全国的な
火災
統計、私の方でやっております
火災
統計の上では、
火災
がどこから出たか、雑居
ビル
の中でもキャバレーもございますし、住宅もございますし、いろいろなものがあるわけでございまして、どこから出たか
とい
う意味での統計をとっておりまして、雑居
ビル
が何件あったか
とい
う数字は実は掌握していないわけでございますけれども、東京
消防
庁の管内について申し上げてみたいと思いますが、東京
消防
庁の管内におきましては、
昭和
五十年、昨年でございますけれども、申し上げますと、
建物
火災
が全体で四千七百九十七件でございまして、その中でいわゆる雑居
ビル
——
キャバレー等が含まれております雑居
ビル
とい
うものが八百三十六件あったわけでございます。
上田耕一郎
78
○
上田耕一郎
君 いまのお話で、全国でつかんでいるのが約一万三千雑居
ビル
がある
とい
うことで、
火災
件数については東京
消防
庁の例しかない
とい
う報告でした。四千七百九十七件のうち八百三十六件、
昭和
五十年で雑居
ビル
で起きているとすると、これはもう相当な数で、つまり約二割近くですね、雑居
ビル
のうち二割近くが火事を起こしている。これは私は大変な数だと思うのですね。当時の新聞に出たものでもやはり同様のことが書かれていて、東京
消防
庁の例で言いますと、いわゆる四階以上の
高層
ビル
の平均出火率
とい
うのは一%だと。ところが、雑居
ビル
の場合は
昭和
四十年でその十倍起きている
とい
うデータがあるのですね。
昭和
四十年で普通の四階以上の
高層
ビル
の平均出火率の十倍雑居
ビル
は起きていると。いまのお話では
昭和
五十年で四千七百九十七件中八百三十六件、つまり雑居
ビル
がその中で二割占めている
とい
うので、この雑居
ビル
が
火災
を生み出す率が、非常に危険だ
とい
うことがやはり証明されていると思うのですけれども、これは当然で、店舗の上の方にキャバレーだとかなんとかがある
とい
うことになると、どうしても防火体制が非常に不安で、出火率も多い
とい
うことであります。 もう
一つ
消防
庁にお
伺い
しますけれども、やはり
昭和
四十七年当時ですけれども、東京
消防
庁が、東京の
ビル
の九割以上が防火上の問題がある
とい
うことで、四十七年六月二十四日査察結果を発表しておりますけれども、東京の
ビル
の九割以上が危ない
とい
う四年前の結果はその後どう改善されているでしょうか。
持永堯民
79
○
説明員
(
持永堯民君
) 当時のデータを持ち合わしておりませんので、どういう分析されておられますかわかりませんが、恐らく九割以上と言いますのは、いろんな
消防
用の
設備
を
設置
しなければならない、あるいは防火管理者を置かなければならない
とい
うような
法律
上の義務がいろいろあるわけでございますけれども、そのうちのごく一部のものを欠いておっても恐らくまだ不十分である
とい
う含みでの統計であろうと思います。 その後の状況でございますけれども、その後の状況につきましても、いま手元に資料持ち合わせておりませんが、現在いずれにいたしましても御承知のように
消防法
の
遡及適用
の期限も迫ってまいっておりまして、お話の雑居
ビル
を中心にして
デパート
、
地下街
等について相当精力的に査察を行い、あるいは指導を行っておる次第でございまして、いずれにしても改善の方向に向かっていると思っております。 〔
委員長
退席、理事沢田政治君着席〕
上田耕一郎
80
○
上田耕一郎
君 ですから、当時
大阪
の千日
デパート
ビル
の
火災
で雑居
ビル
問題が大きくクローズアップされて、その当時もうすでに今回
政府原案
にあったような
遡及適用
問題ですね、これが世論の中でも出てきたわけであります。たとえば当時の朝日新聞、四十七年五月十六日の社説では、四十六年一月に施行した
建築基準法改正
による
防災
基準、これは
既存
の
ビル
を含めてすべての
ビル
ディングに適用すべきで、「そのための
法改正
も検討されて当然」だ
とい
うことを社説も主張しております。で、今度の
法改正
の中で、たとえば第六条一項一号に、新たにキャバレー、ナイトクラブ、遊技場ですね、これを加えた
とい
うことは、こういう雑居
ビル
の危険性を広く
指摘
されてきた事態に照らして行われたものだと理解しておりますが、いかがでしょうか。
山岡一男
81
○
政府委員
(
山岡一男
君) 当然そういう点も配慮いたしまして
規定
いたしたものでございます。
上田耕一郎
82
○
上田耕一郎
君 こういうことで、今度の第六条一項一号に新たにキャバレー、ナイトクラブ、遊技場が入った。だから、今後は
建築
確認の段階でも、
最初
から雑居
ビル
でキャバレーが入りそうな雑居
ビル
については、
建築
確認の段階でもきちんと確認できる
とい
うことになったわけで、これは大変積極的な改善だと思います。せっかくいままで
消防
庁がつかんでいたのが、
建築
確認の段階で、これから建てられるものについては、雑居
ビル
についても見ていく
とい
うことができ、
建築基準法
による雑居
ビル
の規制に道が開かれたにもかかわらず、今回の
遡及適用
の
削除
によってこれまでのものについては結局手が及ばない
とい
う状況が生まれたわけで、これはやっぱり仏つくって魂入れず
とい
うことになってしまっていると思います。先ほどの東京
消防
庁の数字からいっても、
火災
発生率が非常に高いこの雑居
ビル
について、万一起きた場合にはまた再び貴重な
人命
が実際に多数失われる現実的危険を持っている雑居
ビル
問題ですね、この
防災
とい
うのは放置していくことができないと思いますけれども、この
削除
後の段階でどうするおつもりでしょうか。
山岡一男
83
○
政府委員
(
山岡一男
君) 全くお話のとおりでございまして、雑居
ビル
は管理者が複数おりますし、しかも営業時間がまちまちだ等のこともございまして、
防災
上特に考慮が必要だと思っております。したがいまして、
消防当局
とも連絡協調いたしまして、管理面を含めて十分現行法の範囲内で指導をしてまいりたいと思っております。現在パトロールの制度を持っておりますが、そういうものを励行すること、それからいまおるものにつきましても、今後用途変更に当たりましては確認が出てまいります。したがいまして、そういうものについても十分目を光らせること等によりまして、現行法の活用の範囲内で十分取り締まってまいりたいと思っております。
上田耕一郎
84
○
上田耕一郎
君 これもやはり当時の新聞なんですが、先ほどの
建設省
の行った総点検ですね、これを四十八年六月十八日
建築
審議
会に報告したと出ていて、新聞の報道によりますと、この雑居
ビル
などを、六八%欠陥があったんだけれども、具体的な欠陥個所としては煙の上階への侵入を防ぐ
階段
、エレベーターですね、こういう空調ダクトなどの閉鎖部分が不完全なケースが圧倒的に多い
とい
うことが報告されていると書かれております。つまり、今回の
原案
にあった四つの中の
一つ
の
竪穴区画
ですね、このやっぱり欠陥が一番多いんだ
とい
うことになっているわけで、いまそういう危険なところについてはいろいろ現行法を活用しておやりになると言われたけれども、このたとえば
竪穴区画
がちゃんとしていない欠陥がもう圧倒的に大きい
とい
うのですけれども、少なくともたとえば雑居
ビル
などで
竪穴区画
もしっかりしていないと、そういう点で万一
火災
が発生した場合には非常に危険だ
とい
うようなところについては、たとえば
建築基準法
の十条の著しく保安の点で危険がある
とい
うところについてはきちんと命令を出して、改善命令を出せる
とい
う
項目
がありますが、こういう
項目
も活用して、たとえば
竪穴区画
などを改善させていくと、特別立法を待たずにですよ。そういうことができると思いますけれども、その用意はありますか。
山岡一男
85
○
政府委員
(
山岡一男
君) 十分に現行法活用と申します中には、十条の適用も活用してまいりたい
とい
うことは当然含めて
考え
ておるわけでございます。
上田耕一郎
86
○
上田耕一郎
君 いまの点ですね、この
遡及適用
削除
が、参議院では
提案
されてまだもちろん成立しておりませんけれども、万一こういう
遡及項目
が
削除
されたままこれが成立する
とい
うようになった場合、しかもそれが、私が冒頭に述べましたような
百貨店
協会などのこういうまことに営利本位の、逆に言えばやっぱり
人命
の安全に対しての責任感を欠如した意見書だと、要望書だと私思いますけれども、こういうものの圧力で、もしこういう重大な危険をはらむ事態が進行し、このまま
法律
が成立するとしたら非常に重大な問題だと思います。まあ特別立法が成立するまでの間に万一雑居
ビル
その他で大
災害
が発生したら、それこそ重大な
国会
の並びに
政府
の責任問題にもなりかねない、そういうことを
指摘
しておきたいと思います。 次に、
地下街
問題ですね、これについて若干お
伺い
しておきたいと思います。
衆議院
での
審議
記録を読みますと、いま
地下街
は道路占用
とい
うことで、特に地下道ですね、あの中の地下道は道路占用
とい
うことで
法律
的には処理されている
とい
うことであります。この
地下街
はいわゆる道路法による道路
とい
うんじゃなくて、公道
とい
うんじゃなくて道路占用
とい
うことだ
とい
うんですけれども、そうなると
地下街
の
防災
問題ですね、これの主たる責任は道路占用者になることになると思いますけれども、多くの
地下街
、特に地下道が広く公道的に利用されている面が非常に多いんですけれども、ここでも万一
火災
その他が発生した場合にはかなり重大な危険が生まれるであろう。その際の道路占用者に
防災
上の責任を一応負わせている
とい
う現行体制で十分なのかどうか、この点不安を持ちますけれども、いかがでしょう。
山岡一男
87
○
政府委員
(
山岡一男
君)
地下街
につきましては、特別にもし
災害
が起こった場合には非常に大きな
災害
が予想されるところでございます。したがいまして、
建築基準法
の
規定
の上でも特段に
地下街
のための特別の
規定
をいろいろ設けております。したがいまして、それらの
規定
を十分励行する
とい
うことをやりましたならば、われわれは
地下街
におきましても安全が
確保
できると
考え
ておるわけでございます。ただ、今後
地下街
のあり方につきまして、やはりいろんな問題が多うございますので、
建設省
のみではなかなか全体の監督が行き届きません。そこで、
地下街
中央連絡
協議
会
とい
うものをつくっておりまして、これには
建設省
では都市局、道路局、住宅局、それから
消防
庁、警察庁、警察庁では交通局と警備局、運輸省では鉄道監督局、それから日本国有鉄道等が入りまして中央連絡
協議
会
とい
うのを設けておりまして、いろいろな点につきまして厳しい基準を示しております。今後どこか
一つ
がそれに反対をしてもなかなか認可にならない
とい
うふうな運用をしてまいる
とい
うことで、厳しく取り締まってまいりたいと思っております。なお、
既存
のものにつきましては、やはり早急に改善をする要がある
とい
うところもあると思いますので、次期の
法律
の立案に当たりましては特別に十分な配慮を加えて、
地下街
にも十分な
措置
ができるようなことを
考え
てまいりたいと思っておるわけでございます。
上田耕一郎
88
○
上田耕一郎
君 昨年の六月十八日の
衆議院
の
建設委員会
での井上道路
局長
の
答弁
で、ちょっとこういうことを言われています。「しかしながら、利用の実態から見て公道として管理するにふさわしい
とい
うものにつきましては、管理のあり方についてこれから検討を加えたい
とい
うふうに思っております。」と、これが意味するところですね、いままで地上の道の
——
道
とい
うのはかなり地面の下まで行くと、地球のどこまで行くのか
とい
うような議論があったそうですけれども、どこまで行くかは別にして、とにかく道が下まで行くと、その道路占用だ
とい
うことで処理していたんだが、公道として管理するのにふさわしいものについては管理のあり方について検討を加えたい
とい
う検討の
内容
ですね。これはたとえば地下にも必要なものには、市町村道とかそういうふうに公道とする
とい
うことをも検討しているのか、それともそういうことじゃなくて、公道としての管理の仕方について何らかの具体的
措置
を検討しているのか、それに伴って今後何らかの
法改正
が必要だと思われているのかどうか、その点お
伺い
します。
中村清
89
○
政府委員
(
中村
清君) 私からお答えするのはあるいは適当でないかもしれませんが、つい最近まで道路局次長をやっておりましたので、過去の記憶で申し上げたいと思います。 当時の井上
局長
が申し上げましたのは、最近たとえば横断歩道橋
とい
うのがあります。これは雪国あたりでは冬になりますと実際はかさをさしてなかなか渡れない。むしろ地下道にしてほしい
とい
うふうな要望がいろいろございまして、これまでは、私の記憶に間違いがなければ、上の横断歩道橋をつくる
お金
と同等の
お金
を地下道をつくる場合に補助
対象
とする、その差額はたとえば地元あたりに持っていただく、こういうふうなことにしておったわけでございます。したがいまして、道路
局長
が申し上げたのも、そういうことを将来制度化するかどうか
とい
うことについて検討する、こういうことであろうかと思います。 それからいま
一つ
は、地下道について特に問題になりますのは、
先生
御存じだと思いますが、実は保安上の問題ございます。それとたとえば電灯代をどうするか、こういった問題がいろいろ派生して出てまいります。そういうことも含めて広く検討していく、こういう趣旨ではなかろうかと推測しております。
上田耕一郎
90
○
上田耕一郎
君
地下街
、地下道は今後も大都市でいよいよ広がっていくと思いますので、この
防災
上、保安上の問題
とい
うのは非常に大きな問題なので、法的処理も、法的
措置
も、対応もまだまだ十分でない点があるかと思いますので、今後ともそういう点での積極的な改善を要望して、重大な
災害
が発生しないよう対応していただきたい。この点の希望を申し述べておきます。 この
遡及適用
の
削除
問題に戻りますが、
建築基準法改正
に盛り込む
とい
う
政府原案
で提起されていた方法と、今回の
修正
によって行われようとしている特別立法、この方法との違いですね。どういう点が大きな違いになりますか。
山岡一男
91
○
政府委員
(
山岡一男
君) まだ部内で検討の段階でございますし、
衆議院
の
防災対策
の小
委員会
の中で今後議論が詰められて骨子等も固められていく問題であろう
とい
うことでございますが、
建築基準法
の
衆議院
におきます
審議
におきまして問題となった点
とい
うのを先ほど二、三申し上げましたけれども、やはり
一つ
は
建築基準法
の法体系の中から抜き出しまして、一回限りの
遡及適用
とい
うことにせざるを得ないのではないかと
考え
ております。 〔理事沢田政治君退席、
委員長
着席〕 それから代替方法につきまして、従来の
構造方法
のみの代替ではなくて、有効に
避難
できる代替
措置
とい
うような場合につきましては、それも認めるような方向にすべきではないかと
考え
ております。それから
建築基準法
の中に軽くしか入れられませんでしたけれども、やはり応援のことにつきましてもやや詳しく書くべきではないかと
考え
ております。 それからさらにもう一点、現在私どもが検討いたしておりますのは、たとえば全国のいろんな
デパート
等の中から、北の方、南の方、三十ばかり選びまして、
一つ
一つ
を例にいたしまして点検をいたしまして、そこでどうやったら一番早く
避難
できるような方法があるか
とい
うことについて、現在もそういうふうな勉強をわれわれ続けておりますけれども、そういうことをやってみますと、たとえば隣の
ビル
と空中横断の橋でつなぐ
とい
うようなことになりますと、従前の
既存
不適格であるものはさらに容積率がまた違反になる
とい
うふうな問題が出てまいります。それからさらに、たとえば吹き抜けの部分をどうも埋めてしまった方がやはり
竪穴区画
等の点からいっても非常にぐあいがいい、さらに
避難
上も便利だ
とい
うような点がありまして、吹き抜けをやっぱりつぶすべきだ
とい
うようなことが出てまいりました場合、これはやはり容積率の増加につながります。それからやはり敷地形状等から見まして、
階段
を屋外につくる
とい
うようなことにいたしました場合、これが道路の上に出てまいります。そういたしますと、道路の占用の問題が起こってまいります。それらの点につきまして、いずれも
建築基準法
の現行
規定
によりますと、主要
構造
部等に関する大規模な模様がえ等につきましては現行法にぴったり合わせる
とい
うのが
規定
になっております。それを今回一部の
遡及
とい
うことで、
避難
に重点を置いた
遡及
とい
うことをやらせよう
とい
うわけでございますから、そういうものにつきましては、いま申し上げましたような諸点につきましても、やはり
既存
不適格のままでもできるようにしてやった方がいいではないか
とい
うような点が議論の
対象
になってまいると思います。それらのものを含めまして新しい法体系をつくってまいりたいと
考え
ておるわけでございます。
上田耕一郎
92
○
上田耕一郎
君 どうも
説明
を聞いていると妙なことになってくると思うのですけれども、特別立法の方がやっぱり合理的なんだ
とい
うことを
局長
が
説明
すればするほど、当初の
政府原案
、
建築基準法
の
改正
によって
遡及適用
してこの問題を重大不可欠な
最小限
の問題として解決したい
とい
う
提案
にはやっぱり無理があった
とい
うことを
政府
自身が認めている
とい
う結果になると思うのですが、当初の基準
法改正
による方法はやっぱり無理があったと、いまの段階では認めているのですか。
山岡一男
93
○
政府委員
(
山岡一男
君) それはそういうことではございませんで、われわれ
提案
いたしました案でも十分に活用できると思っております。思っておりますけれども、いま申し上げましたようなことは運用の点につきましていろいろと相談をし、もしくは特定行政庁等が審査会に諮って特別許可をする
とい
うような
問題等
でございますが、こういうふうな別途法にすることを
機会
に、そういうようなことを加味していったらなおよかろうと思っている点を申し上げた次第でございます。
上田耕一郎
94
○
上田耕一郎
君 結局、そこの姿勢にやっぱり一番問題があると思うんですよ。冒頭申しましたように、
最初
の
政府原案
の
提案
では、本当に
人命
を守る以上必要不可欠だと、そのために非常に限定もしたと、猶余期間も設けたと、それで金融、資金上のいろいろの
措置
もやったと、それで
説明
書の最後の方には
百貨店
業界にも反対はない
とい
うことまで書いてあるんです。ところが、
衆議院
でああいう
修正
案が出ると、それが通過して特別立法で
とい
うことになりますと、今度は必要不可欠でどうしてもこれやらなきゃいかぬ
とい
う形で
提案
していったにもかかわらず、いやこういう問題がある、こういう問題もあると言って、
建築基準法改正
によらないで特別立法にゆだねる方法、つまりこれは
遡及適用
そのものをやっぱりおくらせることになると思うんですけれども、それを合理化する
説明
を行っていると、そう受け取らざるを得ないですね。これだと、結局先ほど
指摘
したようなやっぱり
百貨店
業界のああいう圧力に屈し、解釈もそれに合わせて合理化している
とい
うようなことになってしまうのではないかと。そうなりますと、
人命
の安全上非常に重大な関連のある、国民の命を守ることにつながるこの仕事に対して、その点の過小評価が忍び込んでくる危険があると思うんです。 ひとつ具体的にお
伺い
したい。
山岡
さんが
衆議院
の小
委員会
で
説明
した
内容
がありますね。これでもいろんな理由をつけているわけですけれども、たとえば四番目に挙げてあるのに、技術的問題がございましたと。一点、二点、第三点とずっと挙げてきて、四番目には技術的
問題点
がございますと。この第一は煙感知器の非
火災
対策でございます
とい
うことで、煙感知器の非
火災
報についてはいろいろ問題が生じていると
指摘
があった、それで煙感知器非
火災
報対策研究会を
設置
いたしまして、実態調査、分析を行うと。なるべく早い
機会
に結論を得たいと思っております
とい
うことで、技術問題まで
遡及適用
条項の
削除
の理由に持ち出しているわけであります。この煙感知器の
性能
問題について、対策についての研究、じゃいまどのように進んでいて、どこまで到達していて、一体いつごろめどがつくのか、この点はっきりお答えください。
救仁郷斉
95
○
政府委員
(救仁郷斉君) 煙感知器は、ある一定濃度の煙がまいりましたときにそれを感知しまして、電気的にリレーしてシャッターを閉めたりドアを閉めたりするような機構になっております。煙感知器は、そのように煙を感知する
とい
うことでございますが、これは火事の煙だけでなくて、いろんなたとえばたばこの煙だとか、あるいは
百貨店
の地下等で煙の試験をやって、そして魚を焼いた煙とか、そういったものにも当然感知いたします。事実私どもがいろんな調査をいたしましたところ、大体三千分の一ぐらいの確率で、
火災
でないのにいろんなそういった作動をしている
とい
うような例があるようでございます。ただ、その中を十分調べてみますと、もちろんそういった部屋を閉め切ったままでたくさんの人間がたばこを吸っていたとか、あるいはそこの煙感知器の下で魚を焼いていたとか、そういった管理上と申しますか、そういった
問題点
が非常にあるようでございます。もちろん機械そのものの故障的なものもこれは絶無ではございませんが、それよりもむしろ管理的なものの方が大きいようでございます。ただ問題は、そういった管理上の問題だから管理をよくしろ
とい
うだけでなくて、やはりそういった少々の管理上の問題があっても、これは十分に
火災
だけを作動するような方法はないのか、その方がいろんな面からいいわけでございますので、そういった研究を重ねている
とい
うことでございます。と同時に、現在ではむしろそういった
一つ
の感知器だけでなくて、そいつを二つ以上の感知器と連動さして、確実に
火災
的な煙が来た場合にとらえられるんじゃないかと、またそういった検討を進めてきておりまして、私どもとしましては年内には十分結論を出し得る
とい
うように
考え
ております。
上田耕一郎
96
○
上田耕一郎
君 それじゃ、この煙感知器問題は
次期国会
に必ず
提案
する特別立法ですね、それまでに必ず技術的結論が出ると、年内に、そう受け取っていいですか。
救仁郷斉
97
○
政府委員
(救仁郷斉君) そのように
考え
ております。
上田耕一郎
98
○
上田耕一郎
君 今度の
遡及適用
とい
うのは、先ほども話題になりましたけれども、
消防法
改正
による
遡及適用
ですね、これとやっぱり本当は一緒に行う
とい
うたてまえで出発したはずです。
消防
庁の方にお
伺い
しますが、
消防法
改正
による
遡及適用
の実施状況はどんな状況でしたか。
持永堯民
99
○
説明員
(
持永堯民君
)
消防法
の
改正
によります
遡及
の状況でございますけれども、いろいろな種類の
建物
がございまして、またいろいろな
設備
がございますので、代表的なものについて申し上げたいと思いますが、五十二年の三月までに
設置
をしなければならなくなっております
百貨店
、それから先ほどお話のいわゆる雑居
ビル
、
地下街
でございますけれども、これについて申し上げますと、
スプリンクラー設備
につきましては、
百貨店
の場合は大体七〇%、それから雑居
ビル
の場合が五三%、
地下街
の場合が五五%、これは
建物
の件数で申し上げておりますけれども、そういった割合の進捗になっております。なお、日にちは昨年の四月現在でございますけれども、そういう状況でございます。それからこれを
設置
の面積で申し上げますともう少し広がるわけでございますけれども、ただいま申し上げた率は件数でございますので、そういうふうにお含み願いたいと思います。 次に、屋内
消火
栓
設備
について申し上げますと、
百貨店
につきましては約七二%、複合用途防火
対象
物につきましては約八五%、
地下街
につきましては約六五%
とい
うような数字に相なっております。
上田耕一郎
100
○
上田耕一郎
君 そうすると目標の、
百貨店
、
地下街
は五十二年三月まで、
スプリンクラー
その他が五十四年三月まで、この目標どおりいっているでしょうか、若干目標よりもおくれる見通しでしょうか。
持永堯民
101
○
説明員
(
持永堯民君
) 私ども
とい
たしましては、なかなかむずかしい面もございますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたが、全国の
消防
機関を十分指導いたしまして、各
消防
機関においても現在この問題、もっぱら精力的に
建物
のオーナーに対して指導しておる
とい
う状況でございます。しかしながら、多分に不況
とい
う点もございますし、また先ほど来お話の雑居
ビル
の
問題等
におきましては、なかなか権利
関係
が複雑になっておる
とい
うようなこともございまして困難を来しておる面はございますが、目標の五十二年あるいは五十四年までにとにかく十分な体制をとるように徹底した指導をしてまいりたいと思っております。なお、あわせまして、民間につきましては開銀なりあるいは中小企業金融公庫なり、そういった面の融資
措置
を開いておりますし、それから地方公共団体が持っております
建物
もございますが、それにつきましては地方債等の財源
措置
を行って実現を図りたい
とい
うふうに思っております。
上田耕一郎
102
○
上田耕一郎
君 やっていきたいと言うけれども、いろいろむずかしい問題もある
とい
うことで、
消防法
改正
による
スプリンクラー
その他の
設置
も若干おくれている状況にある、本来これと重ねてやるはずであったこの
建築基準法改正
による
遡及適用
の
措置
も、これが
削除
されることによってさらにおくれると、二重三重のおくれの重なりが生まれ得るわけで、こういうことのないように、事
人命
にかかわることなので厳重に
建設省
の努力を要請したいと思います。私ども
遡及適用
条項の
削除
には反対ですけれども、特別立法で行うようなケースになる場合にも特別立法を早急に実施することですね。それまでにも
人命
にかかわる問題なので、先ほども
答弁
がありましたように、たとえば
建築基準法
十条に基づく改善命令、こういうものを使って雑居
ビル
その他危険なところについては万全の
措置
をとっていただくようお願いしたいと思います。
大臣
、最後に、この
遡及適用
問題について、やはりちょっと三木さんと似ている点があるようですけれども、ひとつ
遡及適用
問題についての決意をお
伺い
したいと思います。
中馬辰猪
103
○
国務大臣
(
中馬辰猪
君) 私の在任中に必ずまとめて次の
国会
に出す準備をいたします。これはお約束いたします。
上田耕一郎
104
○
上田耕一郎
君 それでは次に、日照問題についてお
伺い
したいと思います。 今度の
建築基準法改正
、日照問題の部分は、これまでたとえば高度制限だとか北側斜線など日照問題についても若干の法的
措置
が行われてまいりましたが、それをかなり詳しく具体的に日影の基準まで設けて
法律
的
措置
をとる
とい
う点についてはわれわれも評価できるものだと思います。しかし同時に、やっぱり多くの問題が含まれております。先日
参考人
の意見陳述もありましたが、あの際、意見陳述の中にもこの日照問題とどう取り組むか、この取り組む
立場
ですね、これがやっぱり基本問題として横たわっている
とい
うことが浮き彫りになったと思います。日照問題
とい
うのは、過密都市における
高層
化あるいはマンションブームなどによって都市環境が悪化し、住民の日照権が侵害される、これに対して住民が立ち上がって環境権を守る運動を展開してきて、いわゆる日照権紛争
とい
うのが全国的な問題になってきた、裁判にも持ち込まれる
とい
うところから生まれたものであります。これに対してどのように法制化するか
とい
うことが今回の
改正案
になっているわけですが、その際、住民の環境を守る
とい
うことに重点を置く
立場
と、都市計画の
立場
、土地の高度利用の
立場
、これに重点を置くと。まあ二つの問題が絡まっているわけですけれども、重点の置き方の違いがやはりあらわれていると思います。私はこの問題でもやはり住民本位の町づくり
とい
うことが基本であって、現在あるよい環境は守っていく、悪い環境は改善していく
とい
うことが住民の利益を守るためにも、またこの都市計画、住民本位の住みよい都市をつくる上でもやっぱり出発点だと思います。そういう点で、この日照問題の取り扱いもあくまでやっぱり住民本位の町づくり
とい
う
観点
で行うべき必要があると思いますが、そういう
観点
から幾つかの問題を取り上げてまいりたいと思います。 東京都の専門
委員会
の報告に「太陽のシ
ビル
ミニマム」
とい
うものがあります。日照問題についてもシ
ビル
ミニマムを設定していこう
とい
う
考え方
そのものについてはどうお
考え
でしょうか。
山岡一男
105
○
政府委員
(
山岡一男
君) シ
ビル
ミニマムの設定は、日照に限らず今後できるものであればつくっていくべきだ
とい
うふうに
考え
ております。
上田耕一郎
106
○
上田耕一郎
君 大体シ
ビル
ミニマムでやっていこう
とい
うふうに受け取ります。東京都のシ
ビル
ミニマム、「太陽のシ
ビル
ミニマム」ですね、これの報告にはこう書いてあるんですね。平均的に言うと、よい環境の地区で五時間、中級の地区で二時間から三時間、悪い地区では〇・五から一時間ほどだと。これは現状ですね。これは平均の値だと。その地区の半数はこの値に満たない
とい
うこと。で、
考え
るのは、平均値をとる
とい
う
考え方
もあるけれども、シ
ビル
ミニマム
とい
うのは本来現状を改革するための市民的政策公準
とい
う性格を持つ。そこで太陽のシ
ビル
ミニマムの数値として三時間から六時間を提言する。この数値そのものは別としまして、現状の平均値をとると、平均以下の人が半分いるんだと。だから、平均値をシ
ビル
ミニマムにするんじゃなくて、現状をもっと改革していくと。で、市民の政策公準、つまり政策的
目的
ですね、こういう
考え方
でシ
ビル
ミニマムを設定する
とい
う
考え方
が述べられておりますけれども、この
考え方
についてはどうでしょうか。
山岡一男
107
○
政府委員
(
山岡一男
君) 東京都のシ
ビル
ミニマムは、
建設省
が
考え
ておりました基準とは多少違う点がございます。これはまあ基準となります日が大寒日でございますとか、日影の複合の問題に関して盛られていないとかいろいろございますけれども、規制をねらった
内容
は余り変わって、おりません。ただ、われわれ
とい
たしましても、平均値をねらう
とい
うことではなくて、実態調査の結果等を
建築
審議
会の小
委員会
にいろいろと
提出
をいたしまして、二年半を煩わしまして御検討いただいたわけでございますが、そのときに実態調査の結果、大体東京、
大阪
等の大都市におきまして現在の守られている日当たりの時間につきましておおむね三分の二
程度
の人は現在享受している
とい
うふうなところを目標に基準を設定したらどうか
とい
うことが基本になったと私は聞いております。
上田耕一郎
108
○
上田耕一郎
君
局長
は平均値をねらうのではないと、そのことは言われました。それで、いま、現在住んでいる人の三分の二ですか。その三分の二
とい
う点をちょっともう少しお
伺い
したい。何の三分の二ですか。いまの、現状の享受している日照時間の三分の二を保障しようとしているんですか、それとも住民の三分の二の人が受容している日照時間を基準としているんですか。
山岡一男
109
○
政府委員
(
山岡一男
君) いま
先生
おっしゃいました、後の方でございます。
上田耕一郎
110
○
上田耕一郎
君 それは一応聞いて、次にひとつ具体的にお聞きしたい。 今度の
改正案
では、敷地の境界線からの日影のはみ出し許容
距離
を五メートルとした。この五メートルとした根拠は何ですか。
救仁郷斉
111
○
政府委員
(救仁郷斉君) 一応いろんな住宅地におきます平均的な敷地を
考え
まして、その敷地に平均的な住宅が建った
とい
たしました場合に、おおむね五メートルぐらいの南庭がとれるであろう
とい
うようなことを想定いたしました。これは測定の基準として一応五メートル
とい
うものをとったわけでございます。
上田耕一郎
112
○
上田耕一郎
君 ここで問題が起きるんですね。救仁郷さんは
衆議院
の去年の十二月三日の
答弁
で、
昭和
四十八年の住宅統計調査によると、全国の市部で一戸建て、長屋建ての住宅の平均の敷地面積
とい
うものが二百六平米、したがって、そういった二百六平米の住宅敷地に平均的規模の九十平米、亘平米の住宅が建った場合にどうなるか
とい
うので五メートルをとった
とい
うふうに言っていますが、そうなると、住宅平均の敷地面積と、平均面積ですね、これを基準にして五メートルをとった
とい
うことになりますね。そうすると、先ほどの
局長
の平均をとるんじゃないんだ
とい
う
考え方
と大きな食い違いがあると思いますが、いかがですか。
救仁郷斉
113
○
政府委員
(救仁郷斉君) 敷地面積の方はむしろ平均でとりました。日照享受時間の方は、その三分の二の
方々
が享受していられる日照時間
とい
うことでございます。
上田耕一郎
114
○
上田耕一郎
君 日照時間は三分の二と、敷地の方は平均でとった
とい
う
答弁
。救仁郷さんにお
伺い
しますが、全国の市部で、つまり二百六平米
とい
うと大体六十坪ですな、大体六十坪
とい
うこういうのが平均だと言われるけれども、六十坪以下の住宅が市部で何割ぐらいあるかお答えいただきます。
救仁郷斉
115
○
政府委員
(救仁郷斉君) 正確には、統計ここへ持ってきておりませんが、統計から調べますと、恐らく六割以上ぐらいが平均以下ではないか
とい
うように
考え
ております。
上田耕一郎
116
○
上田耕一郎
君 ここに
昭和
四十八年の住宅統計調査報告の大都市圏があります。私これで計算してみました。そうしますと、京浜大都市圏、これは平均が全国の都市部のさっきの二百六平米と大体同じで二百三平米、二百三平米が京浜の大都市圏、ここで百九十九平米以下、これのパーセンテージでは、いま六割以上と言われましたけれども七二・五三%、つまり七割以上が二百平米以下なんですね。京阪神を調べてみますともっとひどい。ここは平均が百五十一平米で全国の市部の平均よりももっと狭い。そのために百九十九平米以下の住宅は七八・三三%、八割に達するんですね。そうすると、いま五メートルで平均と、平均の住宅の広さからいって五メートル
とい
うのを割り出したと言われたけれども、五メートル以上を日影規制するわけだから、五メートル以内の狭い庭しか持っていない住宅の場合には、この基準だと切り捨てられるんですよ。切り捨てられる
とい
うのが京浜の大都市圏で七二・五三%、これは三分の二になっちゃうんですね。京阪神では約八割、七八%、五分の四近くの住宅があなたの言う平均
とい
う五メートル
とい
うところからは落ちてしまうんですね。この点いかがですか。
救仁郷斉
117
○
政府委員
(救仁郷斉君) 確かにこの基準から見ますと、基準を設定いたしましたときはそういうことが言えるかと思います。ただ、この基準を設定いたしましたときは、目標とする、何と申しますか目標時間のそのある地域で三通りぐらいあるわけでございますが、その中の中間値としてこの基準を設定しております。したがって、そういう小さい
区画
の多いようなところ、そういうところでは厳しい
一つ
の上の、三段階各地区であるわけでございますが、基準を採用する、そういうことにより対応できるんじゃないか
とい
うように
考え
ております。
上田耕一郎
118
○
上田耕一郎
君 これは全く言い抜けですよ。あなたは先ほど、平均をとっていると、それで大体六割ぐらいあるだろうと思ったけれども
——
御存じない。京阪神では八割の住宅が五メートルに入っちゃうんです、五メートル以内に。それから京浜でも七割以上の住宅が入っちゃう。しかもあなた、いまそのために三段階ちゃんととってあると言われたけれども、三段階とったのは日照時間であって、この五メートル
とい
うのはどこでも同じですよ、一種住専だろうが、二種住専だろうが。この五メートルを、じゃ条件に応じて、たとえば京阪神については四メートルにするとか
とい
うことが可能なら、いまの言い抜けもありますけれども、全くそうなってないんですから、五メートルは全部一律じゃありませんか。住宅
局長
いかがですか。
山岡一男
119
○
政府委員
(
山岡一男
君) いろんな数値が検討されたわけでございますけれども、五メートルは、
先生
おっしゃるとおり、いずこの場合でも同じでございます。同じでございますけれども、五メートルのところの南庭がない場合に、それではそのところは全部真っ暗になってしまって日が当たらないか
とい
うと、そういうことではございません。ちょうど隣がむしろ空き地であっても、五メートルのところに三時間以上の影を出さない
とい
うふうな規制をするわけでございますから、当然、基準の
一つ
として五メートルの時点をとらえた、複合の場合は十メートルの時点をとらえた
とい
うことでございまして、その五メートルの中でも、たとえば三時間以内の日影ができるかもわかりませんが、さらにもっと近いところでも全然真っ暗
とい
うことはない。必ず日は当たるわけでございます。
上田耕一郎
120
○
上田耕一郎
君 ですから、私は
最初
から、太陽のシ
ビル
ミニマム
とい
うところから議論を述べていったんです。現状をただ守るんじゃなくて、現状を改革すると、ミニマムですから。日本の国民の日照の問題についてのミニマムを政策的目標として設定しようと、現状よりもよくしよう
とい
う
考え方
で進んでいる
とい
うふうに
局長
も先ほど答えたでしょう。ところが、実際どうですか。現状をよくするどころか、現状で京阪神の場合には八割の人が、それから京浜の場合には七割の人がこの五メートルの基準では守られない、そうしたら現状よりも悪くなるじゃないですか。これはやっぱり私は切り捨てだと思うんです。結局、平均平均
とい
う形で
——
平均
とい
うのは、これはぼくは数字の魔術だと思うんです。やっぱり全部の土地を合わせて、それを戸数で割ると、こういう二百平米なん
とい
うのが出ますけれども、実際には大多数の人は、七割、八割の人がこれより低いんですよ。これはちょうど貯金の計算で、何か全国の勤労世帯が三百万円平均で貯金を持っているなんて数字が出て、あれ、おれのところはないな
とい
う、思う国民の方がはるかに多い
とい
うのがありますけれども、こういう機械的な平均
とい
う数字を使うところに実態から離れるところがある。あなた方の計算も、住宅統計調査の平均値をとった、平均値をとったと言って、実は実態の七割、八割の人が入らないところを平均値
とい
う形で基準として持ってきている。それで五メートル
とい
うところを設定している。これでは私は日照を本当に守る
とい
うことはむずかしい、それから紛争を少なくすることもむずかしいと思う。 なぜなら、日照紛争で一番起きているのは、こういう過密都市の宅地が細分化されて、六十坪もないところ、一種住専じゃなくて、二種住専とかそれから住宅地域とか、あるいは近隣の商業地区とかあるいは商業地区とか、そういうところで日照権の紛争が起きているわけで、そんな六十坪以上、百坪とか、そういう家を持っている人よりも、二十坪、三十坪のそういうところに住んでいる人々が日照問題で大変なことになる。
お金
があれば別のところに移っていけるけれども、移っていけない。その過密のところに住んでいる人々、やっぱり貧しい人々が多いでしょう。そういうところでこの日照権の紛争で苦しみ、そして闘っている人が非常に多いわけです。そういうところを含んで、これを全部結局切り捨てて、平均平均
とい
うことで切り捨ててしまって、基準だと、これがシ
ビル
ミニマムだ
とい
う
考え方
では、これは実態に合わないですよ。本当に住宅の実態がどうなっているか
とい
う庶民の生活の実態をよく見て、それを改善する
とい
う方向で日照問題
とい
うのは提起していかないと、本当に国民的なシ
ビル
ミニマムをつくる
とい
うことにならないと思う。 それで、一種住専の場合には大体恐らくこの六十坪ぐらいの家も多いでしょうし、大体十メートル以上の
建物
は建たないわけですから、まあわりに問題が少ないとしても、やっぱり二種住専となると、このいまの
考え方
は非常に私は大問題になってくると思います。これは細分化された住宅が多いし、二種住専ではマンションが建ってくる。二種住専では今度の基準では、先ほども議論になったように、大体一階でなくて二階の窓からなっているわけですね。そうすると、一階は
考え方
としては切り捨てられている。しかも五メートルあるわけでしょう。この五メートルよりも中に入った家はさらに切り捨てられる。それで、住宅
局長
ね、五メートル以内でもまるっきり日が当たらぬことはないと言われたけれども、それはそうでしょう。まるっきり日が当たらぬ
とい
うんじゃなくて、だからこそ基準を
考え
ているわけじゃないですか。そうすると、二種住専でも一階平家は切り捨てられた。二階も、五メートルより中のつまり庭の狭い家は、今度は二階も危なくなる
とい
うことになると思います。 それからもう
一つ
、今度は建てる側の、影を出す方ですね、出す方についても一種住専では七メートル以下、二種住専では十メートル以下のいわゆる低層
建築
物による日照阻害
とい
うのも現実には生まれているわけです。そうすると、私は今度の基準
とい
うのは、まあ
修正
案で三種類になって地方自治体がどちらかを選べる
とい
うことになったのは確かに改善点ですけれども、基準そのものが私が
指摘
したような非常に多くの部分の切り捨てになっている
とい
うことで、この基準を機械的に押しつけていくと、やっぱり
被害
を受ける切り捨てられた住民が多くなるし、日照権紛争も絶えないと思うんですけれども、こういうケースについて具体的にどういうふうに解決していくつもりですか。
山岡一男
121
○
政府委員
(
山岡一男
君) いま
先生
が切り捨てとおっしゃいましたけれども、実はわれわれは切り捨てとは思っておりません。たとえば基準を、一種住専でございますと、五メートルの地点で地上から一・五メートルのところに三時間以上の影を出すようなものはセットパックをしてつくれ
とい
うのが法の
規定
の趣旨でございます。したがいまして、その五メートル以内のところも当然日は当たりますし、二種住専の場合の四メートルと五メートル、両方が切り捨てだとおっしゃいますけれども、それもいずれもやはり日は当たるわけでございます。そういう場合に、そういうところにもどこに基準を求めるか
とい
うことでございまして、四メートルのところを三メートルにしたり、五メートルのところを三メートルにしたり、いろんな手があると思います。それぞれで全体の排出の基準を決めますから、守ろうとする日が当たる時間
とい
うものが基準になりますと、どこかを
一つ
接点を決めてまあ基準を決める
とい
うことになるわけでございます。たまたま測定の時点をそういうところに決めた
とい
うことでございまして、まあ第一種住専では三時間を、第二種住専では二階の居室で三時間
程度
以上の日照は
確保
したい
とい
うのがこの基準のねらいでございます。
上田耕一郎
122
○
上田耕一郎
君 そうすると、それは基準であって、たとえば時間については二種住専で三時間、四時間、五時間とまあ三種類あるけれども、五メートル
とい
うところも実情に応じて、たとえば地方自治体があるいは四メートル、三メートル
とい
うふうに実際にはそうなるように、それでそういうところの住宅にも日照が
確保
されるようなそういう運用の仕方は可能だと、そう言われるわけですか。
山岡一男
123
○
政府委員
(
山岡一男
君)
修正
法案
ではそうなっておりません。一応いま申し上げましたように、そういうふうな計算をする基準の原点はそういうふうに決めた
とい
うことでございますが、その結果のはね返りとして守られる日の当たる時間
とい
うのを想定してその点を決めておりますので、それをもし変えた
とい
たしますと、逆な方の日当たりの方の時間、もしくは日影の時間を変えていかなければならない
とい
うことになります。
一つ
建物
ができまして、できる影は絶えず同じでございます。それをどこまでいけないか
とい
うことの決める決め方の中にそういう基準を決めた
とい
うことでございまして、まあいまの一・五メートルの高さで五メートル
とい
う基準で
考え
ればいまの時間が出てくる、その中で選んでいただく
とい
う趣旨でございます。
上田耕一郎
124
○
上田耕一郎
君 じゃあ、まあ条例を地方自治体がつくる場合に、この五メートル
とい
うのは動かせないけれども、この日影時間の規制の時間を運用することによって、実際にはたとえば時間は四時間だけれども、この五メートル
とい
うのを動かしたと同じ
効果
を生むことができると、しかし、条例で決める場合には、この五メートルを動かさないで時間の選択しかないんだ
とい
うことですね。
山岡一男
125
○
政府委員
(
山岡一男
君) さようでございます。
上田耕一郎
126
○
上田耕一郎
君 私は、こういう問題を実際の運用上、地方自治体がどう運用していくか
とい
うことで、私が
指摘
したような、私いま切り捨て
とい
う言葉を使いましたけれども、この基準に含まれない
とい
うかな、その限界以下の住宅ですね。この住宅が、先ほども申しましたように、何遍も繰り返しますけれども、京阪神では八割近くあると、京浜地区でも七割以上あるわけですから、そういうところの日照を守るように、実際に運用の点でも行政指導を適確にやっていただきたい
とい
うことを要望したいと思います。 次に、商業地域の除外問題ですね。これはまさに私は切り捨て
とい
う言葉を使い得る顕著な実例であると思います。調査室からいただいた資料を見ましても、たとえばこの中に載っている三十一自治体の指導要綱その他を持っておるところですね、そのうち二十八の自治体が商業地域を含めてやっておりますけれども、なぜ今度の
改正
で商業地域を除外したのでしょうか。
山岡一男
127
○
政府委員
(
山岡一男
君) これもたびたび申し上げておりますけれども、商業地域はやはり商業の利便を増進する
とい
うことを念頭に置きまして指定される地域でございます。したがいまして、建蔽率、容積率等も高く定められております。で、公法上の日影規制を今回及ぼそうと
考え
ましたのは、やはり住居系の地域の中におきまして、住居系の地域では住居の安寧を
確保
すべきところ
とい
うことになっております。その住居の安寧の
確保
の中に一番大きな要素の
一つ
としてやはり日影のことも
考え
た町づくりのルールが必要であろう
とい
うことで、公法的介入をいたしますのは当面住居系に限るべきじゃなかろうかと
考え
たわけでございます。決して、こういうことが片やできましたので、商業地域の方は反対解釈でそんなものは要らないんだ
とい
うことだとはわれわれは思っておりません。そうではなくて、むしろ商業地域内のものにつきましては、実はわれわれの持っております公団その他につきましても、商業地域内に日照紛争を起こして裁判に係属中のものもございます。そういうもののやっぱりケース・バイ・ケースの判例の積み重ねによりまして、判例的な合意が行われた場合に、われわれとしてはそういうものは公法のルールに乗ってくるだろう、それまでの間はそういう判例の積み重ねを待ちたい
とい
うのがただいまの
考え方
でございます。
上田耕一郎
128
○
上田耕一郎
君 いまの判例の積み重ねを待つ
とい
うことですね、これが非常に問題になります。先日の
参考人
の意見聴取の際にも私質問したんです、梶原
参考人
ですね、弁護士の方の。あの方に対して、この商業地域が除外された
とい
うことになると、判例に対してどういう影響があるだろうか
とい
うことを私質問しました。言葉どおりじゃないかもしれませんけれども、梶原
参考人
の言われたことは、つまり今回の日影規制には合致していると、しかし、日照阻害を引き起こすケースが起きた場合、裁判の場合に、損害賠償には恐らく余り影響しないかもしれないけれども、
建築
差しとめとか設計変更とか
とい
う判決については、これは出すことが恐らくむずかしくなるであろう
とい
うことを梶原
参考人
は述べている。だから、商業地域についてはそういうことにやっぱりなる
とい
う意味のことですね。そうすると、
山岡
局長
は商業地域については判例の積み重ねを待つと言うんだけれども、積み重ねられる判例が今度の
法改正
から商業地域が除外されることによって後退する危険が強いわけです。これまでも商業地域
とい
うのは非常に紛争が多くて、たとえば東京の場合、東京は日照運動が一番多いと、全国一だと。全国一で、
昭和
四十九年一月から五十年三月までに五千百三十一件起きている。この中で住宅関連ですね、近隣商業地域まで含めて、これが六〇%、商業地域は千四百四十三で二八%。すると、一種住専、二種住専住宅ですね、そういうところ全部比べてみても、この用途地域指定の中で商業地域の発生率が東京では最も多いですね。 これは
山岡
局長
も
答弁
で述べておられますけれども、そういう商業地域の紛争の中で、たとえばこれまでは恵比寿駅前の事件、世田谷の三軒茶屋の事件、あるいは港区の六本木事件、これは商業地域ですね。ここではやっぱり差しとめ判決が実際には出ているわけです。地域の用途指定よりもやっぱり住民の
被害
を重視する
とい
うことでそういう判決が出てきているわけですね。ところが、もし梶原
参考人
の意見のように、今度の
改正
によって
建築
差しとめあるいは設計変更
とい
う判決はむずかしくなるのではないか
とい
う御意見が述べられたのですけれども、こうなると判例の積み重ね
とい
うのは悪くなるばかりじゃないかと、そう思いますけれども、いかがでしょうか。
山岡一男
129
○
政府委員
(
山岡一男
君)
先生
おっしゃいますとおり、商業地域におきましても日照紛争件数は相当ございます。四十五年以降の東京都におきます例を見ますと、一種住専が七百五十一、二種住専が八百四、住居地域が九百三十二、トータルで二千四百八十七件、それから近隣商業が五百七十三件、商業地域が千四百四十三件
とい
うふうなのを最近の手元の資料で持っております。ただ、この間の梶原
先生
がおっしゃいましたのは、商業地域において
とい
うことでございますと、商業地域には今回の
建築基準法
の
改正案
では何ら基準を示しておりません。したがいまして、そういうふうな基準に縛られることなく、やはり公正な裁判がケース・バイ・ケースで行われていくと、そのうちにたとえばそういうふうな商業地域においても何時間
程度
の日照は
確保
されるべきだ
とい
うようなことが社会規範としていわば相隣
関係
の中で確立されることを願っておると申しておるわけでございまして、ただ、商業系以外の住居系の地域の中では今回最低基準
とい
うことでございますけれども、一応の基準を示したわけでございます。そういうことになりますと、これも当然公法上の町づくりのルールとして示したものでございますので、直ちに私人間の日照紛争の裁判上の規範になるかどうかは私も断言できないと思います。特に基準法は最低基準
とい
うことでございますので、この基準には適合していながらなおかつ紛争が起こる
とい
うようなケースもあろうかと思います。しかし、そういう場合に、やはり住宅地におきます日照享受の状態をまあある
程度
想定をいたしまして、土地の高度利用と日照の
確保
の要請の調整を図った
とい
うつもりで新しいルールをおつくりいただく
とい
うつもりでおりますが、そういうものが社会的合意を得られるものとして示されました暁に、裁判上住居系の地域の中におきましてそういうものが
一つ
の指標に使われる
とい
うことはあろうかと思います。ただし、商業地域につきましては一切そういうふうな基準を示しておりませんので、ケース・バイ・ケースの判決が今後も行われていくだろうと
期待
しておるわけでございます。
上田耕一郎
130
○
上田耕一郎
君 なるほど、商業地域については一切基準がないから、裁判にはプラスマイナスは影響なくて、まるっきりないかどうかわからぬけれども、大体なくて、ケース・バイ・ケースで積み重ねられていくであろう
とい
うことですね。で、基準の示されているところにおいては若干の影響があると、しかし、最低基準なので恐らく実際の
被害
については考慮されるであろう
とい
うお
考え
ですね。
山岡一男
131
○
政府委員
(
山岡一男
君) さようでございます。
上田耕一郎
132
○
上田耕一郎
君 それでは、商業地域でもう
一つ
の問題は、やっぱりこれも先日の
参考人
の意見陳述のときにも私質問しましたけれども、たとえば東京二十三区の場合、非常に商業地域が多いわけです。台東区などでは、ここにありますが、上野公園とそれから東北の近隣商業地域を除いて約六七%が全部商業地域に指定されている。これは台東区の
建築
部がつくった「わたしたちの日照を
考え
る」
とい
うパンフレットですけれども、これを見ますと、全部商業地域だけれども、この中で日照問題
とい
うのは非常に多くて、特に過密なところであればあるほど現在の日照をさらにふやしてあげなければどうにもならぬ
とい
うことですね。そういう商業地域の中で日照を
確保
するために非常に大きな努力も必要だし、住民がもう切実に望んでいる
とい
う実情がかなり詳しく述べられている。 それで、こういうたとえば台東区などのような商業地域で今回これが除外された
とい
うことで、これはどうなるのか
とい
うこと。この間
参考人
として陳述をされた東京都の
建築
局の方に質問したところが、これまでの用途地域の指定
とい
うのは日照問題を
考え
ているんじゃないのだと、今度の
建築基準法改正
による地域指定はつまり見直さなければならなくなるのだ
とい
う趣旨の
答弁
がありました。他の
参考人
の方の中にも、先ほど
矢原
委員
が
指摘
しましたが、地域指定そのものを変えていく
とい
うことが必要なんだ
とい
うことを述べた人もあります。こういう点ですね、特に商業地域、台東区のようなほとんど全部が商業地域、これをいわゆる純化をもっと徹底させていく
とい
うことになるでしょうけれども、用途指定を見直して今度の日影規制ですね、これが適用されるような見直しを行政指導の面でおやりになる用意があるのかどうか、この点をお
伺い
します。
中村清
133
○
政府委員
(
中村
清君) お答え申し上げます。 用途地域に関します都市計画は、
先生
御存じのように都市活動の機動性ですね、それから都市生活の安全性、快適性、利便性、そういったことの増進
とい
う意味合いを
考え
まして、土地利用の総合的な計画としていまつくっております。手続としましては、御存じのように都道府県知事なりあるいは市町村が公聴会あるいは都市計画の案の縦覧
とい
う手続を通じてやって、その間民意を反映する
とい
うことにしております。したがいまして、前段で申し上げましたように、安全性、快適性
とい
うことも配慮をいたしまして計画をつくっておるわけでございますから、住環境の
確保
とい
った点につきましては、当然その計画の中に織り込まれている
とい
うふうに私どもは
考え
ております。したがいまして、今般日影規制の制限が行われまして、即用途地域の見直し
とい
うことにはつながらないのじゃないか
とい
うふうに
考え
ております。
上田耕一郎
134
○
上田耕一郎
君 見直しにはつながらないと、じゃ台東区なんかの場合どうなりますか、こういうケースですね。
中村清
135
○
政府委員
(
中村
清君) 台東区のお話が出ましたが、いま御
指摘
がございましたように、確かに台東区、大部分が商業業務施設が立地し、したがいまして商業業務施設の立地を許容すると同時に、ある地域におきましては、台東区の中のある地域においてはそういう集中立地をさらに助長すると、こういった意味合いで商業地域の指定をしております。商業地域の指定
とい
うのは、これは用途地域全般について言えることでございますけれども、現状それからその地域の将来の発展の動向、それをどういうふうに持っていくか。そういった意味合いから、現在の状況等を将来どういうふうに持っていくか
とい
うことをにらみ合わせてつくっておる問題でございますから、いまの日照の問題が出ましたけれども、日照
確保
とい
う
観点
、これは私どもが前段で申し上げましたように、計画の中にも相当織り込まれておると思っておりますので、日照
確保
の
観点
から直ちにこの商業地域をほかのものに変更する
とい
うことについてはどうかな
とい
う気がいたしますし、商業地域をすぐほかの地域の方へ変更いたしますと、そこでまた建蔽率の問題であるとか、あるいは許容されざる業態がほかの地域に入り込む
とい
うことになりましていろんな問題が出てまいります。現在そういうことでございます。
上田耕一郎
136
○
上田耕一郎
君 どうも都市
局長
は、商業地域、台東区についても何もおやりになるつもりはなさそうですが、住宅
局長
はいかがですか、こういう台東区なんかのケースについて。
山岡一男
137
○
政府委員
(
山岡一男
君) 都市計画
とい
うのは、やはり台東区だけを
考え
ておるものではないと私は思います。東京都全体を
考え
まして、その中で商業系のところはあちらへ集まっております。工業系の方はもう少し南の方に集まっております。それで、それらのことを加味いたしまして、都市全体の問題としての問題だろうと思いますので、私もやはりたとえば住居の安寧を図るべきところ
とい
う住民の
皆さん
の同意によりまして、公聴会等による結論を経まして決まっている地域地区制、たてまえ論
とい
たしましてはやはりそちらが先行して、その中でやはりいろんなものが追っかけていく
とい
うふうにまず
考え
るべきであろうと思います。しかし、全体の問題
とい
たしまして、容積率設定等の際に若干そういう配慮の足らなかった点もある
とい
うような
参考人
のお話もございました。それらの点は今後地方公共団体におきまして十分御検討なさる問題であろうかと思います。
上田耕一郎
138
○
上田耕一郎
君 結局、いまのお話のように、地方公共団体がこの商業地域の日照を守る、日照紛争の解決
とい
うことについては責任を持つ以外にないと、商業地域は除外されていくわけですからね。もちろん台東区だけが問題じゃないけれども、これは
一つ
の典型例で、大都市の場合、都心の地域には商業地域が非常に多い。そこでやっぱり日照紛争が先ほども
山岡
局長
挙げられたように一番多いんですから、そこをどうするか
とい
うことは、結局地方公共団体の指導要綱その他による解決の努力ですね、これがやっぱり非常に大きな役割りを果たさざるを得ないし、やっぱり果たすであろう
とい
う点ですね。この地方公共団体のそういう問題についての積極的な住民の日照を守る努力、これをよく尊重していただきたい、この点を要望をしておきたいと思います。 それから、もう
一つ
日照問題で、やっぱり
衆議院
で
中村
富雄
参考人
が
指摘
した問題ですが、今回の
改正案
の五十六条の3で、たとえば公園だとか児童遊園地、これに接する場合、
建物
の高さ制限を緩和できる
とい
う
項目
があって、これが住民サイドの場合やっぱり問題だと、
中村
さんは中野の江古田の公園の例を引いて、せっかくの公園が大きなマンションが建って日影ができると、これに対する反対運動をやった体験などを述べておりますけれども、この点について見直してほしい
とい
う要望が出ておりますけれども、私もこの問題は大きな公園ばかりじゃないわけですから、特に都市の公園の場合、子供たちが大事にしている、子供たちだけじゃなくて、都市の場合、公園が日照を享受する場合に大事な役割りを果たしますので、住民のサイドから見直したらどうかと思うんですけれども、この点どうお
考え
でしょうか。
救仁郷斉
139
○
政府委員
(救仁郷斉君) 私どもも同意見でございまして、公園は道路とか川とかそういうものとは基本的に性格を異にしている
とい
うように
考え
ております。したがって、
法案
の中にございますように、道路とか川とか鉄道敷きがございましたら、ある
程度
その取り扱いは
政令
で指定するように
考え
てございますが、公園につきましては一般の住宅の敷地と同じように日影の規制の
対象
にする
とい
うように
考え
ております。
上田耕一郎
140
○
上田耕一郎
君 いまの
答弁
、確認しておきたいと思うんです。 以上のように、私、今度の日影規制を評価しながらも、その中にまだまだ
考え
なければならぬ
問題点
、住民の日照権を守るためにはいろいろ
考え
なければならぬ
問題点
がたくさんあることを列挙をしました。たとえば境界線から五メートル以内のところに建っている小住宅の場合だとか、二種住専の低層住宅の場合だとか、あるいは一種住専で七メートル以下、二種住専で十メートル以下の
建物
による日影ができた場合の問題だとか、あるいは商業地域の問題などを挙げました。こういう問題を解決する場合、やっぱり少しでも切り捨てないようにしていく場合は、どうしてもこの地方自治体の自主的な行政の余地を残して、これを尊重して大きな役割りを果たしていただく
とい
うことが非常に重要で欠くことのできない問題であると思います。
衆議院
の
審議
でもこの点がやっぱり最も問題になった
一つ
でありますし、先日も武蔵野市長の後藤さんがこの点をかなり体系的に、また御自分の体験を通じて非常に力説されました。この点、これまでの地方自治体の多くが運用してきた条例だとかあるいは指導要綱と、今回の
改正
法との相互
関係
がかなり問題になります。
山岡
局長
は、
衆議院
段階また参議院での
答弁
などで、条例に関して今度の法に抵触するものは廃止される
とい
うことを述べながらも、
建築
確認その他にリンクしない限りそういうものも直ちに廃止にはならない
とい
う点を言われたんですね。指導要綱や条例には、
矢原
委員
も述べましたように、日照問題だけでなくていろいろ多面的な要素を考慮して、これで実際の運用が行われているわけなんで、その
山岡
局長
の言われた
建築
確認にリンクしない、そういうものでない限り、地方公共団体の行っている指導要綱その他ですね、こういうものはやっぱり十分に生かしていく
とい
う姿勢が大事だと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
山岡一男
141
○
政府委員
(
山岡一男
君) 私どもの基本的な
考え方
は、やはり
財産
権の行使
とい
うものが
建築
の実施に当たります。したがいまして、憲法で定めておりますように、
財産
権の行使の
内容
につきましてはこれは
法律
で定めると決められております。さらに、条例の根拠でございます地方自治法等見ましても、固有の事務のほかに列挙しておるものがございます。固有の事務でも
法律
もしくは
政令
ができた場合にはこの限りでない
とい
うのがついております。特に列挙の二条の十八号がこういうものを決める根拠になると思います。それはやはり
法律
の定めるところによりそういうふうなものの制限ができる
とい
う
規定
がございます。したがいまして、その他の何もない、
法律
の根拠がなくてもできる列挙事務と異なりまして、やはりこういうものを公法で決めまして、その下を受けてやはり条例ができるべきだ
とい
うふうにかたく思っております。したがいまして、今回こういう基本ができますので、それに基づいて条例がつくられるだろうと思います。そういう場合に、
法律
の範囲内と違うようなことがもしできました場合には、その当該部分におきましてはネグる
とい
うことになると思います。しかし、先ほども
先生
おっしゃいましたように、指導要綱の
中身
とい
たしましては、やはりその他のものもいろいろ決められておる例が多うございます。その中で、自治法の二条十八号に定める、
法律
によらないで
建物
の制限をする
とい
うことにリンクをするようなものにつきましては私は元来違法であろうと、もしくは不適当であろうと思っておるわけでございます。したがいまして、それ以外に、そういうものについて大いに努めなさいとか、努めた方が望ましいとか、そういうふうな指導要綱的なものにつきましては、やはり直ちに違法と言えるものでもないし、物によりましては非常に有効なものもあろう
とい
うのがわれわれの
考え
でございます。
上田耕一郎
142
○
上田耕一郎
君 リンクしないものである限り、何々しなければならない、努めなければならない
とい
う努力の方向でつくられている指導要綱
とい
うものについては生かしていける
とい
うことであると思います。この指導要綱の中で、やっぱり住民の同意方式
とい
うのがこれまでも役割りをかなり果たしてまいりました。指導要綱を持っている地方公共団体数が二百四十九あって、そのうち百六十一、つまり三分の二が住民同意制を
内容
とする
とい
うようになっております。われわれもこの住民同意制
とい
うのは、いわゆる完全同意
とい
って一人でも反対したら何もできない
とい
うのはもちろん非現実的だと思いますし、いま行われている住民同意方式
とい
うのは、そういう完全同意制
とい
うのでなしに、やっぱり事前公示をやると、事前
協議
もやると、
説明
会も開いて、そして住民に納得をしてもらって、それでいくと。それでも解決しない場合には、調停だとか、あっせんだとか、そういうものにかけて、その調停に基づいてこれを解決していく
とい
うやり方であると思います。この点、武蔵野の後藤市長は、相隣紛争の円満解決には開発業者と周辺住民との
協議
の場を保障することが不可欠だと、そう述べているわけで、これは確かに問題を解決していく上で大事な原則であろうとわれわれも思います。そういう意味で、
建築
確認にリンクしない指導要綱、これが問題の解決に役割りを果たさせていくと。 そのためには、一方で今回のような基準を示しながら、地方自治体のその基準の範囲内での自主的な選択を尊重しながら、やっぱり住民と開発業者とが円満な
協議
の場をつくって、それで解決していく
とい
うことのために、たとえば事前公示制、事業
協議
制、
説明
会開催、こういうものを含めたまあ住民同意方式ですね、いわゆる完全同意
とい
うことと区別された経験則からいっても有効性が証明されているこういう住民同意方式、多くの自治体がこれまで採用してきて
効果
を発揮している方向ですが、こういうものをやっぱり前向きに生かしていくことが非常に大事だと思うんです。それが住民の
立場
に立った行政となるかどうか
とい
うことの
一つ
のかぎだと思いますし、この点を誤ると、今回せっかくできたこの日影規制の基準が実は大きな禍根を残して、日照紛争の解決どころか、さらに困難な問題まで残していく
とい
うことになりかねないので、日照問題の最後に
建設大臣
から、そういう地方公共団体がいままで運用してきた事前公示制、事前
協議
制などを含めた住民同意方式、こういうものを前向きに生かしていく用意がある
とい
う問題について、その用意についてお
伺い
したいと思います。
中馬辰猪
143
○
国務大臣
(
中馬辰猪
君) 従来、各自治体で積極的な環境
保護
のために行われたよい慣例
とい
うものは、なるべくこれを盛り込んでいきたいと、こう
考え
ております。
上田耕一郎
144
○
上田耕一郎
君 よい慣例を盛り込んでいきたい
とい
う
大臣
の方針をお
伺い
しましたが、それを言葉だけに終わらせないようにぜひお願いしたいと思います。 最後に、私、この日照問題と並んで非常に大きな新しい
建築
公害
として問題になっております電波障害問題ですね、これについてお
伺い
したいと思います。 この電波障害、いま各地に発生して大問題になっております。御存じのように、特にこの超
高層
ビル
による影響が最大の問題。ここにテレビジョン放送難視聴対策調査会
とい
うところの報告書が去年の八月に出ておりますが、この報告書を見ましても、この受信障害が
昭和
四十九年の末で全国で四十四万世帯。これが
昭和
五十五年には九十万世帯になるであろう
とい
うことが予測されております。
建設省
は
建築
物の側面からこの電波障害問題にどういう対策を立てているのか、電波障害を
最小限
に防止する研究はどういうふうになっているのか。この点お
伺い
します。
救仁郷斉
145
○
政府委員
(救仁郷斉君) 確かに最近の都市におきまして
建築
物の立体
高層
化に従いましてそういった電波障害問題
とい
うものが起こっております。一番典型的な例としては、例の新宿副都心の超
高層
ビル
街における約二万世帯ぐらいの電波障害が起こっております。これにつきましては、ただいま
先生
から御
指摘
ございましたような調査会、これは郵政省の中に設けられておりますが、それに参加いたしまして、私どもも私どもなりの御意見を申し上げ、この対策に取っ組んでいるところでございます。ただ問題は、こういった今後都市では当然
高層
立体化
とい
うことが避けられない事態である
とい
うことは、これはもう御承知のとおりでございます。そういった中で、いわゆる今後のそういった放送のあり方
とい
うものがどうすべきなのか、そういったビジョンのもとにやはり大きなビジョンをつくるべきではないだろうか
とい
うのが私どもの
考え
でございます。ただ、現実にはそういった障害が起こっておりますので、現実に現在起こっている障害そのものは、私どものいろんな事業体の方でそれぞれの共同視聴アンテナをつくるとか、そういったいろんな方法をもちましてそれぞれ解決しておりますが、私どもとしては、やはり基本的には将来の都市におけるテレビ放送のあり方、方法を一体どうすればいいのか
とい
うことを検討していくべきではないか
とい
うように
考え
ております。
上田耕一郎
146
○
上田耕一郎
君 この電波障害
とい
うのはやっぱり
建築基準法
の
改正
の結果生まれたものなんですね。例の特定街区
とい
うものができて、これは都市計画で高さその他決められるようになって、そこでああいう超
高層
ビル
とい
うものが続々と建ち始めたわけであります。二百メートル級の超
高層
建築
物が出現した結果こういうものが生まれているわけで、だからまさに
建築
基準
改正
が生み出した
一つ
の
公害
だ。ところが、この
改正
をして二百メートルの
建物
ができたらどうなるか
とい
うことについて当時どのくらい研究しただろうか
とい
うことがいま改めて問題になっているわけです。新聞報道などによりますと、たとえば新宿の副都心の場合ですね、当初電波障害が起きる地域は
ビル
の高さの五倍ぐらいだろうと、そう思われた。中
高層
ビル
の場合、五倍だったんですね。だから、超
高層
でもやっぱり五倍で済むだろうと思ったところが、なんと十五倍の地域に達したわけですね。私、先日、中野のこの一番問題になっているところを視察してまいりましたけれども、中野駅のところまでいっているわけですね、新宿副都心の電波障害地域が。こういう状況です。そうすると、
建築基準法
を
改正
したときにどの
程度
研究したかわかりませんが、どうも当時五倍ぐらいのところ
とい
うのが十五倍
とい
うんですね。思いもかけないことになっているんですけれども、当時二百メートルぐらいの
建物
を建てた場合、電波障害の影響ですね、どのくらい研究していたんですか。
救仁郷斉
147
○
政府委員
(救仁郷斉君) 確かに御
指摘
のように、現在のあれほどの広範囲なあれになるとは、当然起こるとは
考え
ておりましたが、従来の延長線上で起こるだろう
とい
うことが、現実には御
指摘
のように思ったよりも広範囲になった
とい
うことは事実でございます。
上田耕一郎
148
○
上田耕一郎
君 だから、予測しなかったほどの非常に大きな
被害
が及んでいる。新宿副都心の場合はいま五むね建っておる。京王プラザ、国際電電、住友、三井、安田と。ところが、これが将来計画では十三むね建つことになっておる。西武新宿駅
ビル
を含めると十四むねになる。あの地域に
ビル
群の壁ができてしまうわけですね。いまこの五むねで、有線ケーブルで合意した分だけで、五棟プラス西武新宿駅
ビル
含めて六棟ですが、これで有線ケーブルで合意した分だけでも約三万四千世帯
とい
うところであります。非常に膨大なものです。これはまあ新宿副都心が日本最大の電波障害の起きた場所ですが、これは直接の電波障害であって、反射波
とい
うのはまだもっとあるわけです。反射波
とい
うのは三方向に出ておりまして、東の方は銚子に向かっている、幅一・五キロです。東北の方は埼玉の草加の方に向かっている。それから南西の方は茅ケ崎、藤沢、こちらの方向に向かって反射波による電波妨害が問題になっていて、この埼玉、千葉、神奈川の反射波は、三方向の
被害
世帯を含めますと、郵政省の調査では十七万世帯に及んでいる。だから、あそこに五つの
ビル
が建って十七万世帯が電波障害をいま受けている。このうち反射波についても全くその解決がつきません。これは新宿の副都心の
ビル
群のSKKの方も、そこまでわれわれもめんどう見切れない、銚子の方まで持っちゃうとどうにもならぬので
とい
うので、まるでお手上げの状況です。中野の方向でも、直接の壁の部分に東西に大体百メートルぐらいで補償が成り立っているようですけれども、その百メートルの外側はやっぱり反射波だ
とい
うので、ぼくも見ましたが、テレビはもうゴーストが出ちゃってNHKなんかだれも見ない。だから「雲のじゅうたん」
とい
うのも、あそこら辺の人は見たこともない
とい
う話ですけれども、そういうふうなところでも解決しないんですね、反射波だから
とい
うことで、そういう大変な状況です。 それで、私、すでに起きたものは、これは
建設省
の責任、遠く言えば研究しなかった
とい
う責任はありますけれども、これは補償の問題は
建設省
の
関係
じゃありませんけども、こういう
被害
を少なくする
とい
うことではやっぱりいろいろ
考え
なきゃならぬ
問題点
が御存じのようにたくさん出ている。たとえば新宿副都心の場合でも、いままあ六棟建っておるけれども、さらに十四棟までふえるわけですね。これが全部建っちゃって、中野方面に全部壁にならないように真ん中に少しすき間があくような配置ができればかなり違うとかいう配置の問題もある。それから
建物
の
構造
などの問題もあるわけで、こういう今後の問題について、特に
建築
基準
とい
うことの
関係
で
考え
るべき点が多々あると思うのです。特に超
高層
ビル
については
構造
上の基準が全くありません。
建築基準法
の三十八条ですか、あれに基づく認可
とい
うことになっているわけですけれども、今後
構造
だとか
建築
物、超
高層
ビル
の配置その他について、電波障害を
最小限
に防止するための方策はどのようなものがあるか
とい
う点を御質問します。
救仁郷斉
149
○
政府委員
(救仁郷斉君) 御
指摘
の点、非常にむずかしい問題でございます。果たして超
高層
ビル
群の配置をどうすれば、どの地域にどういうふうなあれが、反射波とか、あるいは壁にならないか
とい
うような問題これは私どもも専門ではございませんが、恐らく相当複雑な問題ではないか
とい
うように
考え
られます。もちろんそういった方向の調査研究
とい
うような、指導
とい
うふうなことも必要だと思います。しかし、基本的には先ほど冒頭に私申し上げましたが、都市におけるそういったテレビ放送の技術そのものを一体どうしていくのか。たとえば大都市ではこれからどうしても立体
高層
化していく、そこの中でやはり大都市のテレビ放送のあり方
とい
うものが全部有線でいくべきなのか、あるいは最近いろいろ研究が進められております人工衛星によるテレビの受信を行うような方法にするのか、そういったビジョンの中で将来の都市における
建物
のあり方、それからテレビ放送のあり方
とい
うものを
考え
ていくべきではないか
とい
うように
考え
ております。
上田耕一郎
150
○
上田耕一郎
君 どうもテレビの方に責任をかぶせちゃったようなお話ですけれども、それではやっぱりいかぬと思うのです。これはテレビの方でも有線だとか人工衛星だとか、それは研究する必要もあるでしょう。しかし、たとえば有線にしたら、有線ケーブルを引く上でこれはまた莫大な金がかかるわけで、放送局側にもかかるし、また受信者もそれぞれそういう点でやっぱり負担をしなきゃならぬ
とい
う大問題が起きるわけで、そういうもので解決していくだろう
とい
うことで放置しておられたのでは非常に困ると思うし、責任を回避することになりかねないと思います。大成建設と東工大とNHKの共同研究グループでこの問題についての研究を行っております。日本経済新聞、五十一年二月五日の報道によりますと、その実験結果を見ると、
ビル
の壁面に傾斜だとか曲面の工法を採用すると障害の影響を数分の一に減らせる
とい
うことであります。茨城県竜ケ崎市で
建物
をつくって実際に実験した結果、壁面を湾曲させた
建物
は従来の平面に比べて反射波の強さが正面方向で十分の一になる。
ホテル
ニューオータニのあの湾曲壁面ですね、電波の反射波を減らすために採用された
とい
うことですけれども、こういう
建物
構造
ですね、これを湾曲壁面を使うことで十分の一になる
とい
うデータが出ている。十階建て百三十五メートルを湾曲させれば三分の一から三分の二
程度
に影響を縮められる
とい
うことも出ております。また、先ほど引用しました郵政省の調査会の報告の中でも六十四ページに「反射障害を防止する方策として、
建築
物の壁面に電波吸収材をとりつけたり、電波を上空に反射させるよう金属網を
設置
し、あるいは
建物
の形状、配列を考慮するなどの方策も
考え
られる。」
とい
うことが述べられているわけです。そういう点でテレビの方に問題をそらさないで、こういう
問題点
、
建設省
として検討しているのかどうか、検討していなかったら検討すべきだと思いますが。
救仁郷斉
151
○
政府委員
(救仁郷斉君) 確かに技術的には
先生
のおっしゃいました
建物
に湾曲をつける、あるいは傾斜をつける、あるいは
建物
の表面の材料を電波を吸収するような材料を使う、いろんな技術が開発されている
とい
うことは事実でございます。ただ問題は、そういった方法、もちろんこういった研究も進めなければならないと思いますが、ただ、とにかく東京じゅうの
建物
を全部曲がった壁面にする
とい
うことと、それから、それにはそれなりのコストがかかります。それと別に、テレビの放送のあり方の方で解決したら、どっちがトータルのコストとして、あるいは生活のあり方として正しいのか
とい
うような検討もまたしなければならないんじゃないか。私どもは
先生
が御
指摘
になりましたように、決して
建物
の方の責任を逃れているのではなくて、それがいい方法であれば当然私どもも
建物
の方で費用の負担なり何なりすべきである
とい
うようには
考え
ております。ただ、それを国民経済的に
考え
まして、あるいは都市の生活環境
とい
うことから
考え
て、どういう方法が一番いい方法なのか
とい
うことをあわせて研究しなければならないんではないか
とい
うように
考え
ております。
上田耕一郎
152
○
上田耕一郎
君 私は東京じゅうの
建物
を全部湾曲させろと言っているのではなくて、超
高層
ビル
を問題にしているのです、一番大きいから。そう話を湾曲さしてはならない。この点で郵政省の方ですね、どういうふうに
考え
ているか。どうも郵政省の方の責任に大分
建設省
の方は押しやりたいようですが、お
考え
をお
伺い
いたしたい。
永野明
153
○
説明員
(永野明君) 先ほど来テレビの受信障害につきまして非常な複雑な問題が生じておる
とい
う御
指摘
をいただいておりますが、私どももまさにそのとおり
とい
うふうに
考え
ております。さような次第で、先ほど御
指摘
いただきましたテレビジョン放送難視聴対策調査会の報告書につきましても、昨年まで二年間
関係
の皆様と、学識経験者あるいは
関係
者の
皆様方
の御参加を得まして検討をいただきました結果でございます。私どもはこの報告書を受けまして、今日のテレビ受信の国民生活に占めます重要なことを
考え
まして、これをどのように実施していくか
とい
うことを総合的に検討していくために、省内に事務次官を長
とい
たしまして難視聴対策
委員会
を
設置
して今日まで鋭意検討を行っています。 この報告書にはいろいろな技術的な提言が先ほど御
指摘
のように書いてございます。そういったものを全体検討はいたしておりますが、やはりさしむき一番有効な方法はテレビの共同受信施設の
設置
でございます。これを新宿の例に見られるように、当事者間の
協議
で
設置
をしていただく
とい
うことが一番有効と
考え
ます。そういった際に費用の負担等につきましていろいろと紛争がございますので、先般三月、そういった際の当面の基準的な
考え方
を示す指導要領を策定をいたしております。 それからもう
一つ
は、報告書の中で無線を使って解消する方法はないものか
とい
う点もございます。現在は使用いたしておりませんが、将来、衛星放送に利用するSHF
とい
う非常に高い周波数でございますが、これをこういった際に使えば有効に働くのではないか
とい
うことで、SHF帯を使います放送局をただいま実験的にNHKに免許をして実験を進めております。こういった実験の結果を待ちまして、できるだけ有効にテレビの難視聴を解消していくことで実用化を図っていきたい、かように
考え
ております。
上田耕一郎
154
○
上田耕一郎
君 いま
ビル
の陰になる受信障害については、補償は原因者補償の原則に基づいてほぼ例ができつつあり、解決しておりますけれども、この方向望ましいと思いますが、反対波ですね、反対波の方はまだ手がついていない。これについてはどのように解決するつもりでしょうか。
永野明
155
○
説明員
(永野明君) 反射波につきましては非常に広範囲でございまして、確かに御
指摘
のように経済的な負担も非常に大きくなる
とい
うことで、なかなか解決のむずかしい問題でございます。私どもも、報告書に
指摘
がやはりしてございますが、
建物
の壁面を、支障がなければ金網等で空へ向けて妨害波を乱反射させる
とい
うような方法もNHK等がこれは検討をしておりますし、現に工場等で余り美観を
考え
ないようなところにつきましては実施して、そういったものを
措置
する例もございます。それから、先ほどからお話の出ております
建物
の形状等につきましても、将来の検討課題である
とい
うふうに受け取っております。それからもう
一つ
は、受信サイドのアンテナなりあるいはテレビの受像機なり、こういったものにつきましてやはり反射波と正当の放送波とこの辺を区別して受ける方策はないものか
とい
うような検討も現在しておるわけでございまして、そういった技術的な研究開発を将来進めていく必要がある
とい
うふうに思います。それからもう
一つ
、現在のテレビの受信の条件そのままでは解消できないにしましても、反射波の場合、比較的アンテナの位置を高くするとかあるいは方向を変えるとか、そういったことによっても解消する場合がございます。これは
専門家
の目で指導いたしませんと実際はできませんので、NHK等のサービス等の
立場
でそういったことの御指導もいたす
とい
うような方向をとってまいります。先ほどお話の出ました衛星放送が終局的にはこういった問題を解決する方法でございますけれども、ただいま申し上げましたようなことを総合的に検討を進めてまいりたい、かように思っています。
上田耕一郎
156
○
上田耕一郎
君 ちょっと
大臣
、これやっぱりお聞きのように、郵政省の方は実際に何万世帯も何十万世帯も問題が起きているので、調査会もつくり、対策
委員会
もつくってやっておると、
建築
関係
に対する要望もいま述べられたんですね。ところが
建設省
の方は、先ほどからお
伺い
しても、どうも検討している様子がないんですな。対策
委員会
も
一つ
もできていないように思うんですね。これまでも研究中だとか、検討するとか、
山岡
さんも何回も言われているけれども、実際に対策
委員会
なんかできていないとしたら、対策
委員会
もつくって、電波障害あるいは風害ですね。こういう超
高層
ビル
に基づく新しい
建築
公害
について、これの研究を進めるべきだと思うんですが。
中馬辰猪
157
○
国務大臣
(
中馬辰猪
君) よくわかりました。郵政省と
協議
し得る機関を設けて
協議
したいと思っております。研究いたします。
上田耕一郎
158
○
上田耕一郎
君 私、あと風害問題もやろうと思ったんですが、そろそろもう時間が参りました。で、この風害問題もちょっと簡単に言っておきますと、やっぱり新宿副都心ではかなりの風が巻き起こっていると言います。たとえば鹿島技研での実験結果ですと、地上で秒速八メートルの風が出ておる、それが超
高層
ビル
の横では二倍の秒速十六メートル。それから三井、住友
ビル
の間の高架道路では瞬間的に二十二・四メートルの風が吹くことがある。二十二メートル、大変な風ですね。新聞の中では、一トントラックの車輪が風でちょっと浮いた
とい
うのを実際に見た
とい
うニュースまで載っているんですね。非常に大きな風がやっぱり出るわけで、これが次々建っていきますと、風害問題もまた新しい問題になりかねない問題であります。 これはやっぱり風害問題なんかになると風洞実験なども必要ですし、これもかなり問題になりましたが、目黒区の指導要綱では、六階以上かつ延べ面積三千平方メートル以上の
建物
は風洞実験の結果報告書を
提出
する
とい
う指導要綱ができて、これもかなり話題になっているわけです。電波障害にしろ、風害にせよ、やっぱり環境アセスメント、事前影響の評価、事前影響のやっぱり評価制度
とい
うものを確立していかなければならないわけで、何もそういうものを研究しないで、アセスメントもやらずにぽんと建ててしまったら、五倍ぐらいの高さの地域が影響するかと思ったら、何と十五倍になったとか、風害も驚くべきことになったと、後で困ることが出るわけなんで、こういう電波障害、風害の防止のための
構造
上の問題ですね。こういうものをやっぱり研究すると同時に、環境アセスメント的なやり方も、目黒におけるような指導要綱、こういうものもやっぱり評価すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょう。
山岡一男
159
○
政府委員
(
山岡一男
君)
高層
建築
物の建設に伴います
ビル
の風の問題につきましては、
建設省
も非常に関心を持っておりまして、
方々
の諸文献等につきましても十分勉強も続けておりますが、なお住宅公団と共同で現在もそういうものの検討を進めております。 ただ、
先生
おっしゃいますように、いろいろ風洞実験等を行いましても自然風等の
関係
等が問題でございまして、直ちにまだ因果
関係
についてはどうもはっきりしない
とい
うのが現状でございます。したがいまして、直ちにそういうものを
規定
の中に取り込む
とい
うまでにまだ踏み切るわけにはまいらないと思っておりますけれども、目黒区の要綱につきましても、先ほど実は私拝見してみました。ところが、
中身
を見ますと、やはりそういうものを出しなさい
とい
うことが書いてあるだけで、だからどう
とい
うことは何も決まっていないようでございます。したがいまして、恐らくそういうものが出ましても、目黒の区役所で、だからこうすべきだ
とい
う判断ができる方はまだいないのではないかと思っております。したがいまして、やはりそういうふうなアセスメントの一環としてそういうものを将来積み重ねまして、大いに別な分野で活用する
とい
うことは望ましいことでございますが、それをもって直ちにこの
建物
はどうこう
とい
うところまではまだやはり、いつも申します
法律
もしくは条例に基づく制限の中になければならない
とい
うような気がいたしますので、直ちにそれを
建築
の制限とリンクさせる
とい
う点についてはいかがなものかと思います。そういう意味の指導をしてまいりたいと思っております。
上田耕一郎
160
○
上田耕一郎
君 私は、電波障害と風害問題はさらに突っ込んでいくと、
建築基準法
の第六十条の特定街区そのものですね、これのやっぱり根本的な再検討までいかなければならないのではないか、そう思うんです。全国でも特定街区を採用した地域がかなりの数に達しているわけですね。先ほど都市
とい
うものは結局
高層
化される
とい
う見通しを言われましたけれども、この二百メートル以上の超
高層
ビル
が大都市にどんどんどんどん林立していくのが望ましいのかどうかですね。新宿副都心に続いて東京でも池袋で物すごいものがつくられ始めておりますけれども、これは電波障害だとか風害だとか恐るべき新しい
建築
公害
を発生させるだけでなくて、都市問題としても非常に大きな問題を生み出すわけです。水の問題にしても、下水道問題にしても、ごみの問題にしてもそうです。で、あれはほとんど事務所
ビル
ですね。事務所
ビル
をああいう都心に持ってきて、物すごい高いものを建てて、膨大な人口を発生させる。これはやっぱりゆがんだ都市集中の典型なんですね。だから、この特定街区による超
高層
ビル
、これの林立が東京の新しい姿だ
とい
うようにもし思っているとしたら、これは東京だけでなくて日本における都市計画の上で大きな問題を含んでいるんじゃないか。こういう点で私はやっぱり根本的な再検討が必要だと思いますけれども、そういう点、
建設省
はどうお
考え
になっていますか。
救仁郷斉
161
○
政府委員
(救仁郷斉君) 私自身の
考え
でございますが、そういった二百メートル級のいわゆる超
高層
とい
うものが、東京あるいは
大阪
に今後ともどんどんどんどんまだ建っていく、あるいは建つことが望ましいんだ
とい
うようには
考え
ておりません。ただ、特定街区は何も超
高層
を、二百メートル級の超
高層
化する
とい
うことでなくて、むしろ現在ございます特定街区の中のほんの一部でございます、超
高層
は。もっと大部分のやつはせいぜい四十メーター、五十メーター級の
ビル
で、周辺に空地をとって都市環境をよくしよう
とい
う
目的
のものでございますので、特定街区そのものの見直し
とい
うことにはつながらないんじゃないか
とい
うように
考え
ております。
竹田四郎
162
○
委員長
(
竹田四郎
君) 時間が参りましたので、おまとめいただきたいと思います。
上田耕一郎
163
○
上田耕一郎
君 はい。 以上で、この電波障害と風害問題についての質を終わりますけれども、
建設省
側の
答弁
の中にもまだまだ未解決の問題がたくさんありますし、
大臣
も今後こういう問題、研究していきたいと、そのための体制もつくる
とい
うお話がありました。
建築基準法
の
改正
問題
とい
うのは、日照問題にあらわれたように、また電波障害問題にあらわれたように、都市に住む住民の一人一人の生活に非常に深い
関係
がありますし、同時にどういう住みよい都市を今後つくっていくか
とい
う問題とも深くかかわっておりますし、多くの新しい問題がたくさんありますので、こういう問題を
建設省
が深く研究して、住みよい都市をつくっていく上で一層努力をしていただくことを最後に要望しまして、質問を終わります。
—————————————
竹田四郎
164
○
委員長
(
竹田四郎
君) この際、
委員
の
異動
について御報告いたします。 本日、
古賀雷四郎
君、増田盛君、望月邦夫君、
二宮
文造
君及び
神田
博君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
青井
政美
君、
森下
泰君、初
村滝一郎
君、
宮崎
正義
君及び
稲嶺
一郎
君がそれぞれ選任されました。
—————————————
三治重信
165
○三治
重信
君 まず第一に、
衆議院
で
改正
された部門について御質問いたしますが、その第一が
遡及適用
の問題でございます。 いままでの
建築基準法
の
改正
の経過から見ますと、三十四年と三十六年にこの防火施設や
避難施設
の
関係
のことについて、適用範囲の拡大や特殊
建築
物としての適用
とい
うようなことで
規定
をされているわけですが、その場合にはこういう
遡及適用
の問題は余り議論にならなかったのですか。
山岡一男
166
○
政府委員
(
山岡一男
君)
建築基準法
がやはり
構造
、用途、
設備
、地域地区等に関する基本の最低基準を決める
とい
う
規定
でございまして、状態
規定
でございますので、やはり基準法は設定当初から不適格のもの
とい
いますか、
既存
のものにつきましては不適格
既存建築物
とい
うことで、それ自体は新しい
規定
の適用については適法であるべきだ
とい
う思想をむしろとっておりましたので、その当時
遡及
の話は一切起こりませんでした。
三治重信
167
○三治
重信
君 いま、そういう発言だと、結局
規定
されると、
既存
の
建物
も全部新しいその基準を、新しく定めた基準は不適格ないままでの
建物
にも全部適用されると、施行されたら適用されると、こういう解釈だったわけですか。
山岡一男
168
○
政府委員
(
山岡一男
君) そうではございませんで、ただ、ある
規定
の
改正
が行われますと、その日以後のものについてはそれが当然に適用されます。その日以前に建っておるものには
遡及
して適用はされない。ただし、その
建物
が大規模な模様がえ、修繕、それから大改築等を行います場合には新しい
規定
の適用がある、そのままでおる限りは新しい
規定
はさかのぼって適用はならない
とい
うのが従前の制度でございます。
三治重信
169
○三治
重信
君 そうであるのがいままでの
法律
の
改正
のときの処理の仕方だと思うんですが、今度この
遡及適用
しようじゃないかと、しなければまた
人命尊重
やこういう大
災害
についての処理ができないと、こういうことで
建築
審議
会の答申にもそれが盛り込まれているようなんですが、それを、この
規定
を入れられたのは、そういう非常に重大な
災害
が発生したと、また類似の
建物
も、またそういう施設も相当あると、こういう判断から踏み切られたことだと思うんですが、それについて、
一つ
は代替
措置
をとることができると、こういうことがあるんですが、それが非常に抽象的な
規定
のために
衆議院
で
削除
された。この代替の規制の
質疑
で、どうもはっきりしないじゃないかと、どの
程度
までその基準から、いわゆる実際の
既存
の
建物
は
遡及適用
するけれども、これから新しく建てる
建物
と同じようには敷地の上から、
建物
の
構造
上からもいかぬが、その代替の
措置
とい
うものはどの
程度
までできるんだと、こういうことの議論が十分にできないために、やはりもう少し再検討してほしい
とい
うことが
削除
の
一つ
の大きな理由じゃないかと思うんです。また私も、もしもこれが
改正
されなくて、
政府
の
措置
に一任と、こういうことだったらば、もう少しその具体的な
内容
について、
政府
の代替
措置
とい
うものは、
政令
で定めるもの
とい
うものは、具体的
内容
はどんなものか
とい
うことは、十分
質疑
したかったわけなんですが、それについての案はできているのか。 また、先日の
委員長
の質問に対して、何と申しますか、この
削除
についての
当局
の態度について、きちんと
答弁
書が出ておるわけなんでありますが、この中を見ると、相当具体的に、成案
とい
うのですか、ある
程度
までの見当がつけられているんじゃないかと、こう思うわけなんですが、そういうことについてのいまのところの何
とい
いますか状況について概略御
説明
していただきたいと思います。
山岡一男
170
○
政府委員
(
山岡一男
君) 代替施設として
考え
ておりましたのは、これはやはり
建築基準法
の現行
規定
の
構造方法
と同等以上の効力がある代替施設
とい
うのが決められておりました
内容
でございます。当時
考え
ておりましたのは、例を挙げて申しますと、たとえば
避難階段
、
特別避難階段
等にかえまして、隣の
ビル
と橋でつなぐ、これは
構造方法
上
一つ
の
避難
の方法になる
とい
うようなもの、それからたとえば
防火区画等
におきまして、やはり常時閉鎖のガラス戸と
スプリンクラー
を併用して一般の防煙シャッターと同様の
効果
を上げるもの、そういうようなものを実際の具体的なものとしてイメージしておったわけでございます。まあ
建物
によりましてケース・バイ・ケースでいろんな例がございますので、姿勢
とい
たしましては、そういうふうなものが、新しいものが出た場合に、
構造方法
上同等以上と認める点については大いに活用してまいりたい
とい
う姿勢で御
説明
をしてまいったのが実情でございます。
三治重信
171
○三治
重信
君 それで、別に何ですか
避難施設
等の強化のための
法律案
を
次期国会
で
提出
される
とい
う御
答弁
は、非常に私もこれで安心しているわけなんですが、その代替施設の
中身
をできるだけ何と申しますか、
避難施設
強化等のための新しく出される
法律案
の中に例示的と申しますか、予想される、
既存
の
建築
物で非常にそれをやると問題になりそうだ、いわゆる今度の新しい新法から見ればちょっと問題になる、しかし、これはまあ
法律
で、その特殊便法として、この
程度
までは
既存
の
建物
としては便法として認めざるを得ない
とい
うようなところを、重要なものについてはひとつぜひ新しい
法律案
に盛り込んでもらいたいと思うんですが、それはあくまでやはりケース・バイ・ケースだ
とい
うことの
法律案
になりそうなんですか。
山岡一男
172
○
政府委員
(
山岡一男
君) やはり代替の
措置
でございますので、たてまえはケース・バイ・ケースであろうと思います。しかし、
中身
とい
たしましては、同等以上の
構造方法
のみではなくて、同等以上の
効果
を上げる
措置
とい
うようなところまで
考え
てケース・バイ・ケースの方向づけをしたらいかがであろうかと現在内部で議論しておるところでございます。
三治重信
173
○三治
重信
君 やはり
既存
の
建物
を持っておられるところは、具体的に自分のところではそういうこの新しい
規定
によってどれくらい何
とい
いますか経費やそれからそういう設計、
建物
変更しなくちゃならぬか
とい
うこと、それが一々具体的にもう最後まで、何
とい
うんですか、いわゆる
建築
主事さん
とい
うんですか、特定行政庁の最終的な判断を得るまで見当がつかぬ
とい
うことでは、また今度みたいにどうも大変な
改正
だから反対反対と、こういうふうなことにならぬとも限らぬ。こういうふうなときには、これぐらいの
改正
——
この範囲を示すことによって行政指導や、いろいろいまこの場で反対された
デパート
とかそれから
地下街
とか、こういうような団体にやはり第一線なり事務
当局
が
説明
されるのにある
程度
の幅を設ける対策をぜひひとつ設けて、それを
法律案
の中に入れてもらいたい、こういうようなことを希望いたします。 それから第二に、これは主に売り場面積だとか雑居
ビル
とか、こういうようなところの問題だと思うんですが、その
建物
はもう大きくできない。しかし、
避難施設
やそういう
防災施設
をつくることによって、それは必要だけれども、そうすると、今度はいま利用している面積を減らさなくちゃならぬ、相当。まあ何割かよくわかりませんけれども。そうすると、だれがその売り場面積なり利用面積を減らす
犠牲者
になるか。こういうことについても雑居
ビル
なり
デパート
だとなかなか利害調整がつきにくい。こういうことを聞いておるわけですが、大体これを
既存
の
建物
によって、ケース・バイ・ケースで相当違うんだろうと思うけれども、そういう
避難施設
や防火施設をやることによってそういう利用面積、いま現に使っている利用面積はどれくらい制限されるのか。一割以上なのか、いや、ほんの二、三%で、そんなことは少しわがまま過ぎる
とい
う問題なのか。あるいはそういう一割以上も制限される場合もあるのか、どうですか。
山岡一男
174
○
政府委員
(
山岡一男
君) 現在いろいろな
建物
につきましてケーススタディもやっております。
対象
が大体おおむねどういうものだ
とい
うことがわかっておりますのでケーススタディを行っておるわけでございます。その中で、やはりケーススタディの中におきましては売り場面積が減るものもございますけれども、むしろ吹き抜きを埋めるためにふえるものも出てまいります。いろんなケースがございまして一概にはやはり言えないような気がいたします。ケース・バイ・ケースでございますが、やはり全体としてそういうふうな見通しがなかなか立てがたい
とい
うことだと困りますので、そういうふうなケーススタディをいたしましたところのモデル的なものにつきましては、こういうふうなときにはこういう改造をした例があるぞ、こういうふうな改造をする方が望ましいぞ
とい
うようなものにつきましては、十分例を挙げまして
方々
にPRしていきたいと思っております。
三治重信
175
○三治
重信
君 それをひとつこの
改正案
をつくられてやる場合に、やはり入っている人は一定の利用している
建物
で利用面積を持っている、それがどれだけ制限されるかによって、その調整に対して大変なことになると予想せざる
被害
盲想
とい
うのがもしもあるとすれば、これはそれを事前に解消する
措置
はぜひとってもらいたい。そういう意味において、この利用面積が非常に削減されるんだ
とい
う、その削減されるものをどこへしわ寄せするか
とい
う問題について相当心配している人がある、また実際の取り扱いに困っているところがある。こういうことを申し上げておきます。 それから次に、この費用の問題なんですが、私が一、二聞いている中で、ことに名古屋の
地下街
の問題だと、この
遡及適用
によって、栄の
地下街
では一
建築
専門家
に聞くと十億かかる、駅前の
地下街
では
遡及適用
によって二十億かかる、そのほかに各店舗
ごと
のいわゆる防火とびらに対する負担が約一千万円だと、こういうことなんですね。これは
専門家
に見積もってもらったんだと言うけれども、少し膨大かもしれません。しかし、もしもこれが適用されるとそれだけの負担がくるんだ、そうすると、
地下街
の非常に狭い一店舗でも一千万円も負担がくるんだ、その上十億、二十億
とい
っても、
地下街
でもみんな権利金で建てているみたいなもので、まだうんと借金はしょっているんだ、その上さらにこの
改正
によって、確かに
避難施設
とい
うものは必要なんだろうけれども、そこへ新たに加えられる
とい
うことは、これは商売上、何
とい
うか、実質上そこでせっかく入っていま商売している者が商売できなくなると申しますか、とてもじゃないがそれだけの負担をすれば赤字になる。こういうことを言っているわけなんですが、しかし、まあその必要なものについてやらなくちゃならぬことについては、それはもうそんなことは絶対必要ないと、こう言うつもりはございません。したがって、そういうことができるように、われわれ中小企業者やそういう金のない会社ができるような
措置
を、こういうことをやれとおっしゃるからには、こういうことができるような
措置
を
政府
にぜひとってもらいたい。しかし、現在の金融制度じゃとてもじゃないがちょっと無理ですと。それについて、そういう工事や改善ができると、それが長期間かかって、その負担で
——
やはり
政府
の配慮で、負担が消化できるような配慮をぜひしてもらわないと、こういう問題はなかなか、はい、やりましょう
とい
うことには
規定
ができてもならぬじゃないか。こういうものはやはり今度の
改正案
の中へ十分取り入れてもらえるものですか。
山岡一男
176
○
政府委員
(
山岡一男
君)
提出
いたしました
政府
の
原案
の中にも、附則の六項に「資金のあっせん等」
とい
うのを設けておりまして、「国及び地方公共団体は、」「必要な資金のあっせん、技術的な助言その他の
措置
を講ずるよう努めるものとする。」
とい
うふうに
規定
をしておりまして、さらに猶予期間を設けたり代替
措置
を認めることにしたりしておりまして、実行しやすいような手だては十分
考え
たつもりでございます。ただし、ある
程度
の費用、ある
程度
の面積の減等は
人命救助
のためでございますので、やはりある
程度
は負担していただく
とい
うのがわれわれのお願いでございまして、しかし、そういうものにつきましてやはり応援もしなきゃならない
とい
うことで、予算上の
措置
とい
たしまして、たとえば本年度でも
法案
が施行になることを予定いたしまして、約四億八千万ばかりでございますけれども、そういうものにつきまして応援をなさる都道府県に対して国が二分の一を補助する
とい
う出店者対策、それから改修計画書の作成の補助等につきましての補助金を準備いたしております。金融上の
措置
とい
たしましても、開発銀行、中小企業金融公庫、国民金融公庫、環境衛生金融公庫、医療金融公庫、沖繩振興開発金融公庫等におきまして相当額の融資額を準備しておりまして、税制上の
措置
とい
たしましても、一定の防火
避難施設
の
設置
に対しまして、その
設置
年度におきまして所要経費の三分の一の特別償却を認める
とい
うような法人税、所得税における特別償却の制度、それから一定の防火
避難施設
の
設置
にかかわる不動産取得税についての課税標準の算定に当たりまして、当該防火
避難施設
の価格を控除する
とい
う不動産取得税の課税標準の特例等につきまして、
関係方面
と十分
協議
を済ましておった次第でございます。当然新しい
法案
を
考え
ます場合にも、そういう方向は十分継承するとともに、
内容
をもっとよく検討いたしまして充実さしていくように努力いたしたいと思います。
三治重信
177
○三治
重信
君 金融の
措置
を十分配慮をしている
とい
うお話ですが、いままでの普通の融資
とい
う金額ならいいわけですが、これは非常にたくさんかかる場合には、金額が非常にのす場合には、ぜひひとつ特別な長期なり低利の
措置
を新しい
法案
の中に組んでいただきたいと思うわけです。 それと関連して、ついでにお聞きしておきますが、これは新しくやるために相当膨大な費用がかかるから特別融資とかこういうことをやると、こういうことなんですが、
建設省
の方でもこれはまあ
建築基準法
とい
うのは最低基準なわけなので、最低基準をいろいろやって違反
建築
やそういうものが見つかった場合なんかについての処置を、実際是正
措置
なんかの裏づけについてはどういうことをおやりになっているのか、実行を
確保
する方法ですね。
山岡一男
178
○
政府委員
(
山岡一男
君) 現在でも十条命令等によります改修につきましては、開発銀行等の融資ができるように道を開いてございます。そういう点につきましても今後もふやすように努力してまいりたいと思います。
三治重信
179
○三治
重信
君 これは何と申しますか、本来から言えばきちんと
法律
どおりに施行しておって、そしてその是正命令を悪い場合にはする、あるいはそれを直せと、こう言えばいいわけなんですけれども、現実にこの費用が非常にかかる
とい
う場合には、なかなか中小企業や個人の場合にその裏づけとなる費用が出せない。それで結局、監督やそういう検査をしてもそれの実行、是正の実行
確保
ができにくいと、こういうことで、この点はまあ
建設省
の方の
建築基準法
は
建築
物なんですけれども、労働省の労働基準法なんかでいきますと、やはり労働者の安全衛生を守らすためにいろいろ監督官が監督をして回る。しかし、これは現実に非常に環境が悪い、施設が悪い、これを是正命令出す。しかし、現実に中小企業の中で金がありません。これをそれだけやると、もうとてもじゃないが自分のところがつぶれちゃうからなかなかできにくいと、こういうことですったもんだ長年やっていたわけなんですが、それに対して最近そういうどうしても
人命
や環境改善上必要だと認めるものは、監督機関が是正命令を出したそのものについての裏づけは、もう中小企業の方でどうしても資金上無理だ
とい
う場合には、その証明によって特別の融資の制度をつくってそれで是正さすと、こういう制度をつくっているわけなんですが、そういうものを今後少ない人員でこの
建築基準法
を維持していくために
——
なかなか現実にこの
建築
設計、
建築
計画どおりに実行されない場合が相当あると思います。そういう違反のものについて、そういう何
とい
いますか、一部ほかのところではそういう不正、そういうことをやっているところが、不正機関があるわけです。
建築基準法
のそういう違反の是正のために、現在どの
程度
そういう処置について、どういうふうにまた将来もっと改善される気があるのか。 先ほど私も
建築
主事なんかの数や違反をどれくらいやっているのか
とい
うことを聞こうと思っていたんですが、ほかの人が聞いたものですからそれは繰り返して聞きませんけれども、この問題は本当にやはり真剣に
考え
ていただかないと。なぜ言うか
とい
うと、
法律
そのものはそのときどきによって逐次改善のステップをとっていくわけなんですが、その裏づけとなる
建築
主事が、それを実行できるようにやっていかないと、もしもそれが実行されない場合には是正される強行手段
とい
うか是正される手段をきちっととらないと、いわゆるざる法になってしまう。つくったものはりっぱだけれども、現実の一般の人が、どこへ行っても、いやこんなものをつくっても守られてないじゃないかと、あれでもできるならおれもと、こうなって結局一種の具体的に見えることが、違反があるところでは非常にきつく言われたけれども、自分がいざ建てるとなると、ほかのところはもうそういう違反のものが幾らでも建っていれば、おれのところも違反でやってもあと何とも言われぬじゃないかと、こういうことで事実上違反
建築
がまた新しく建っていくと、こういうのが現実に相当あるのじゃないかと思うんです。それについてひとつぜひ……。
山岡一男
180
○
政府委員
(
山岡一男
君)
先生
おっしゃいますとおり、
建築
主事が現在一年間に取り扱います件数は千二百件ないし千三百件
とい
うのが一人当たりの量でございまして、月に直しても百件を超す
とい
うのが実情でございます。しかしながら、それも最近のいろんな情勢を加味いたしまして、自治省等にもお願いいたしまして、地方の公共団体におきますそういうふうな人員の増につきましては相当の配慮をされてまいっております。今後もさらに努力いたすつもりでございます。なおかつ、そういうふうな是正命令を受けた者の是正の実行
とい
う点につきまして、細部のものまで全部がめんどう見れる
とい
うことでないかと思いますけれども、大きいようなものにつきまして、従前のいろいろな融資制度のあっせん等につきましては、現行の道も開かれておりますが、そういうものの活用のみならず、今後におきましても十分予算の要求等におきましても反映をさせまして努力してまいりたいと思っております。
三治重信
181
○三治
重信
君 日影の問題については、
衆議院
の方で地方自治体が弾力的に運用できるように
修正
されておりますが、この点については、地方自治体の自主性を尊重する
とい
いますか、現実の日本における北海道から沖繩までの日照を一律に制限
規定
する
とい
うことも問題がある
とい
うことで、幅を持たした
改正
が行われております。これについて私も賛成するものでございますが、ただ、実施上このものについて、地方の条例や今後日照の規制についての問題が相当出てくるのじゃないかと思うんですが、これについて
建設省
の方はもう地方に
——
非常に弾力的に相当幅を持って、
法律
で、その広い幅の中で地方自治体が勝手に決められるようになったのだから、もうそれで地方自治体適当にやってくれと、こういうことでは余りにも何と申しますか、またかえってこの困難
とい
いますかが起きる可能性もなきにしもあらずだと思うのです。ことにそれが問題になりますのは、それは北海道とか沖繩とかいう地域が相当離れている
とい
うことによって事情が違う
とい
うことについては同意できるわけです。隣の町村とか余り離れていない同一県内とか、また県の名が違っても隣の市、郡
とい
うようなところで、この幅がまあ決められているから自由だ
とい
うことで、A
とい
う市では非常にきつい、その隣のB
とい
うところでは非常に緩い、
法律案
の中の一番緩い案でいく
とい
うふうになると、また大きなトラブルが起きると思うのですが、そういう問題についてやはりどう
考え
ておられますか。
山岡一男
182
○
政府委員
(
山岡一男
君)
先生
おっしゃいますとおり、指定がばらばらになる
とい
うことも
規定
上は予想されるわけでございます。ただ、従来の例にもございますように、たとえば都市計画法等に、いずれも用途地域にリンクをいたしましていろいろ都市計画で選択をする問題がたくさん残っております。建蔽率、容積率等々でございます。そういうものの設定の際に地方公共団体の間で十分横の連絡、
協議
等されまして、やはりそういう点につきまして道路一本越えればがらりと変わる
とい
うようなことがないようにとられております。また、そういうふうにわれわれもお願いしたいと思っております。ただ、その場合、今回の日影の規制等につきましてはすぐれて容積率等に非常な
関係
があると思います。したがいまして、そういうふうなものを、定まっております基準値の中で、こういうときにはこの
程度
のものをしたらこういうふうな日影になりますよ
とい
うふうな指定のメルクマールと申しますか、標準みたいなものを設定をいたしまして、こういうものを参考にしていただきたい
とい
うのを行政指導したいと
考え
ております。さらに、いろいろと条例制定等につきまして
協議
会、相談等ございましたときには十分われわれも意見の交換を行いまして、
先生
が御心配のことがないような、そのかわり相当自主性も尊重されるようなりっぱな運用をしてまいりたいと
考え
ておるわけでございます。
三治重信
183
○三治
重信
君 その日照規制の問題とも関連するかと思うんですけれども、先ほどの質問でも、何
とい
いますか、最近地方公共団体が条例や指導要綱等を定めて、
建築
計画の事前の公開とか事前
協議
について相当行われている、こういうふうなことが討議されておりますが、この
建築
計画
とい
うものは、何と申しますか、
法律
で事前の確認
とい
いますか、承認を得る特殊
建築
物についてこういう問題があるのか。それとも、もう個人の
建築
物、いわゆる設計ですね、設計書が全部こういうふうないろいろ条例、指導要綱で現在相当規制されているわけですか。
山岡一男
184
○
政府委員
(
山岡一男
君) やはり特定な
対象
を選んで、指導要綱の
対象
にされておる
とい
う例が多いと思います。
三治重信
185
○三治
重信
君 そうすると、これは個人の、自分の住宅、自分が住む住宅、個人住宅については、これはほとんどまあ何
とい
うか、地方公共団体の条例や指導要綱で
建築
計画の事前公開とか事前
協議
とい
うものは除外されておると
考え
ていいのですか。
山岡一男
186
○
政府委員
(
山岡一男
君) これは
建築基準法
の中に「確認の申請書に関する図書の閲覧」の
規定
がございます、九十三条の二でございますが。それから家を建てる場合には、工事
現場
におきまして、確認を受けた旨の表示、設計図書の備えつけの義務等が現行法の中でございます。そういうものによりまして、十分にそういうふうなことにつきまして他の
方々
でも御承知できるようなシステムができておる
とい
うふうに
考え
ております。
三治重信
187
○三治
重信
君 だから、そういう
建築基準法
に
規定
されている問題
とい
いますか、その適用のある
建物
についての
建築
計画と、こう理解しているんですが、その範囲が相当広げられている、地方公共団体はこの指導要綱とか何かで範囲を
建築基準法
以外に広げているところが相当あるんですか、何カ所ぐらいあるんですか。
山岡一男
188
○
政府委員
(
山岡一男
君) その点はむしろ
建築基準法
の確認の範囲の方が広うございまして、地方公共団体の方が対処なさっているところの方が少ないわけでございます。ほとんどがそういうことでございます。
三治重信
189
○三治
重信
君 わかりました。それで
建築
計画
とい
うのは、むしろ私は何と申しますか、個々の問題よりか、その都市計画からいって、その地域全体の
建築
なり美観と申しますか、そういう均斉
とい
うものを全体的にどう決めると、こういうことかと思っておったら、この
建築
計画
とい
うのはどうも個々の
建築
物の
建築
計画だと、こういうことのようですが、しかし、何と申しますか、答申に出ている、四十九年の一月二十八日の「市街地環境の整備の促進のための方策に関する答申」の中にある「良好な
建築
計画に対する助成誘導」と、こういうところの
建築
計画
とい
うのは、もっと何と申しますか、市街地全体の均衡
とい
うんですか、また全体の計画
とい
うところじゃないんですか。個々のやはり会社なり個人の
建築
計画のことなんですか、これ。
山岡一男
190
○
政府委員
(
山岡一男
君) その節で述べられている
中身
は、いわば詳細計画のことだろうかと思います。これは現在西ドイツ等ですでに施行されているところがございますけれども、街区単位もしくはもう少し広い範囲におきまして
建物
の大きさ、高さ、空き地の大きさ等まで
規定
をする、事前にそういうものを細目の都市計画として決めておく、それに従って個々の家が建っていく
とい
うような制度が現在できております。そういうものが日本の現状のような非常に権利
関係
の細切れになっているところに適用できるかどうか
とい
うような点について問題はございますけれども、そういうふうなものは
先生
おっしゃいますように、やはり地域としてもしくは街区としてりっぱなな計画が立てられる
とい
うことは非常にいいことでございますので、そういうものの採用を慫慂された
とい
うのがその答申でございます。したがいまして、これにつきましては現在も小
委員会
等つくりまして検討を続けておるわけでございます。
三治重信
191
○三治
重信
君 そうしますと、この答申による
建築
計画
とい
うような問題を、地方公共団体が何
とい
うんですか条例や指導要綱をつくって、事前公開とか事前
協議
をやる
とい
う、そういう答申による
建築
計画
とい
うことではない、一般の言われる
建築
計画
とい
う場合には、この答申の
建築
計画
とい
うような概念で
——
地方公共団体が事前
協議
とか何かやっているのは違うわけですね。
山岡一男
192
○
政府委員
(
山岡一男
君) いま申し上げましたような計画の
中身
とは違うわけでございます。あくまで個々の
建物
の
建築
の計画でございます。
三治重信
193
○三治
重信
君 そんならわかりましたんですが、私はそういう個々の
建物
や何かについてのいろいろ事前
協議
とか事前公開
とい
うものも非常に重要なことだと思うのですけれども、むしろ事前
協議
とか事前公開
とい
うのは、これは地域の住民の利害
関係
に非常に
関係
するものは、むしろ答申計画
——
答申の中に出ている、素直に読んだ
建築
計画。
建築
計画
とい
うとどうも地域的な、一定の地域についての全体の計画、
建築
物に対する計画
とい
うふうに理解されるわけですが、そういう方向を私もやはり
建築基準法
の中にぜひひとつ入れてもらいたい、また検討してもらいたいと、こう思う問題があるわけなんです。 それは何
とい
いますか、これは
大臣
にもちょっとよく聞いておいてもらいたいんですが、この前も一度前
大臣
に質問したことがあったのですけれども、地価の非常な急騰によって土地がますます細分化されていくわけなんです。細分化されていく
とい
うことは、結局その上に建てられる
建物
とい
うものが非常に細分化される
とい
うことになる。したがって、その環境を改善しようと思っていろいろ
建築基準法
を改善していっても、もとになる土地がどんどん細分される。ことに最近東京の例をとると、二十三区内の中では十三坪とか、十五坪とか、そういうような建て売り住宅が売れていく。こういうことをどんどんやっていけば、これは
建築基準法
で一生懸命基準を直していっても、現実に不動産業者がどんどんいわゆる逆の
建物
や町並みをつくっていくかっこうになっていくのではないかと思います。これもまた都市再開発だなんだ
とい
っていろいろ計画をしていく
とい
うと、それにまた利害
関係
やなんかで大変な補償から何かえらい問題が出てくる。国、地方公共団体が大変な費用をかけることはもう火を見るよりも明らかだと思いますが、こういう問題をひとつ本当に地域の全体の住宅なり、その生活環境、こういうものを改善していくために、その地域には最低こういうふうなこの基準の
建築
物なり高さなり、そういうものは最低はこういうもの以上でなければならぬと、そのときに余り細分化されることを防御するようなことが必要だ。それは何
とい
いますか、今度の
改正案
の中でそういうものを防ぐ、つまり細分化なんかを防ぐために新しい
規定
として住宅協定
とい
うものが入って、これは非常にいいアイデアであると思うんですが、やはり都市の密集地の中においては、特にそういうものを単に民間の協定
とい
うことでなくて、やはりきちんとした
建築基準法
で、こういう利用価値の高い高度に利用しなくちゃならぬ土地については、こういう計画以上のものでなければいかぬ
とい
うふうにしない
とい
うと、もうとにかく何と申しますか、どんな小さいものを建ててもいいし、こういうようなことがいつまででも許される
とい
うことはおかしいと思うのですが、どうですか。
山岡一男
194
○
政府委員
(
山岡一男
君) 過小の宅地がたくさんありますところで再開発事業を推し進める
とい
うことは
一つ
の方向であろうかと思います。それから
先生
が先ほどおっしゃいました
建築
審議
会の答申の中にも最後の方でございますが、
最小限
宅地
とい
いますか、過小宅地の制限を
考え
る必要がある
とい
う提言もなされております。これにつきましても将来の問題として
十分検討
しなきゃならないと
考え
ております。現在のところでは余り小さい家につきましては減税の
対象
にしないとか、大きい家をおつくりになった場合には融資の
対象
にするとか、そういう意味の誘導的な
措置
を講じておるわけでございます。ただ、今回の
改正
におきましては、ただいま
先生
がおっしゃいましたような
建築
協定につきまして、一人協定の制度を設けまして、全員の合意による
建築
協定の一人協定の制度を設けますとともに、全員の合意による
建築
協定の締結を促進するための
措置
をいろいろとりまして、所要の
改正
を行いましたことによりまして、敷地の細分化防止のための
建築
協定が一層できやすくなった
とい
う点がございます。また、第二種住居専用地域におきます建蔽率、容積率制限を強化したことによりまして、過小宅地の利用を実質的に困難にしております。さらに、第一棟住居専用地域におきまして十メートルの絶対高さの制限を、敷地の規模が一定以上でありまして、敷地内に一定以上の空地を有する
建築
物につきましては十二メートルまで緩和する
とい
う制度を設けまして、敷地規模の拡大を誘導する
とい
うこともできるようになっております。さらに、敷地規模が一定以上でございまして、敷地内に一定以上の空地を有する
建築
物につきましては容積率制限、第一種住居専用地域における絶対高さ制限、斜線制限の一般規制、それを解除する
とい
ういわゆる総合設計制度を定めておりまして、法第五十九条にまとめて一本にしておりますが、こういうものの活用によりまして、やはり敷地の有効なまとまった活用
とい
うことを奨励しよう
とい
う施策もこの基準法の活用によりましてはできると
考え
ておるわけでございます。
三治重信
195
○三治
重信
君 いまの協定を単に民間なりそれをつくった人だけでなくて、地方の自治体が何と申しますか、ひとつ中へ入ってこういうことを広めていくような手段
とい
うものは
考え
られませんか。この協定の相手方に、協定の保障にひとつ
——
この一人協定
とい
うものは地主なり
一つ
のその土地に何か権利を持った人だけですね。そういうものを、やはり地方自治体もそういう協定の主になれると。
山岡一男
196
○
政府委員
(
山岡一男
君)
建築
協定制度は、いわば民間におきます土地所有者の
皆さん
がみずからの手で
建築
環境を守る
とい
うルールづくりのための
規定
でございまして、それを地方公共団体が認可をいたしまして、その実行を担保していこう
とい
う制度でございます。したがいまして、そういう
建築
協定の協定を結ばれるに当たりまして、技術的援助もしくは御相談に十分乗る、もしくは指導する
とい
うような点につきましては地方公共団体は大いに努めてまいると思います。そういうふうなことで今後も運用してまいりたいと
考え
ております。
三治重信
197
○三治
重信
君 地方公共団体も指導していくだろう
とい
うことなんですけれども、私も確信はございませんが、ひとつ一人協定ができるならば、一定の地域、あるところをデベロッパーによって開発して、この開発した住居地域について、これよりかよくなることがあっても悪くなることにならぬような、いろいろいわゆる住宅協定を結ぶため、そういうふうなときにも、それをやらぬ
とい
う場合に、市町村長が、この地域は非常にいい計画で、せっかくつくったんだからひとつぜひ地方公共団体もこの地域のやつはもうこれを維持して、これよりかよくなることはあっても悪くならぬように、地方自治体も指導だけでなくして責任を持って当事者の一人になって
——
協定の当事者になれる
とい
う問題ができそうな感じがしますが、ぜひそういうものをやって自主的に、お互いに協定
とい
うのは約束なんだから、約束をした人がおる限りによってはそれは守られる。それからまた、新しく入ってきた人はその協定を守ると、こういうことによってその環境が維持される。そういうものに、やはり単に民間のやつ
とい
うのは
一つ
の型のものだけれども、もう
一つ
地方自治体もその
一つ
の協定の当事者として、それが周りの環境について道路やいろいろの環境政策もありますし、市町村は当然責任を持つわけですから、当事者になれるようなことをひとつぜひ
考え
ていっていただきたいと思います。 それで、要するに
建築基準法
はいわゆる単体
規定
とそれから地域
規定
とい
うふうに
皆さん方
理解されておるわけですが、この単体
規定
についてはわりあいにわかりいいと思っていますが、
皆さん
わりあいに実行されると思うのですが、この地域
規定
については存外何
とい
うんですか、特別な
専門家
以外にはなかなかわかりにくいし、これを守る
とい
うことは非常にむずかしい問題なんです。これを守っていくために、また地域
規定
がしっかり守られていくことによってのみ、この生活環境なり生活水準を向上さしていく上に、この
建築基準法
が果たす役割り
とい
うものは非常に強いんじゃないかと思う。ことに日本の人口の七五%から都市生活をする、都市生活するところにまた農村のように一人一住宅と、個別住宅でなくちゃ
とい
うことでは、やはり
建築基準法
の単体
規定
だけでそれが生活水準が維持される
とい
うことはぼくは不可能だと思うんです。どうしても地域
規定
をやり、そうしてその中で、都会においてはやはり共同住宅
とい
うものの中においてそういう住居の水準が上げられる方向へ、国民がもう個体の一世帯一住宅を
とい
っても、別個の独立住宅を望んでいるんだからそれがいいんだ
とい
うことではなくして、また共同住宅についての利用や、またその中においての生活の環境をよくするのはどうしたらよくできるのか
とい
うふうなやはり共同住宅方式について
——
また土地も細分化される
とい
うことはだれも貸してくれないからそういうことになる。しかし、
建物
を持っている者は、人の土地の上にちゃんと土地を借りて
建物
が建てられる
とい
うことになると地価の高騰も相当防げる。まあ地主は地主として置いておいて、そして利用を制限していく。こういうことをやらぬと、この
建築基準法
の改善
とい
うものはやってみてもなかなか現実にそれができない。だから、したがってこの地域
規定
の方で土地の所有者とは別個に土地の利用を単体的に
規定
していくと、こういう方向に
建築基準法
をひとつ検討をしていただくことを特にお願いして、私の質問を終わります。
竹田四郎
198
○
委員長
(
竹田四郎
君) 他に御発言もなければ、
質疑
は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
竹田四郎
199
○
委員長
(
竹田四郎
君) 御異議ないと認めます。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
竹田四郎
200
○
委員長
(
竹田四郎
君) 速記を起こして。
矢原
君から
委員長
の手元に
修正
案が
提出
されております。
修正
案の
内容
はお手元に配付のとおりでございます。 この際、本
修正
案を議題
とい
たします。
矢原
君から
修正
案の趣旨
説明
を聴取します。
矢原秀男
君。
矢原秀男
201
○
矢原秀男
君 ただいま議題となりました
建築基準法
の一部を
改正
する
法律案
に対する
修正
案についてでございますが、
提案
の理由及び要旨を御
説明
申し上げます。 案文はお手元に配付してございます。 御承知のように、今回の
改正案
の大きな柱となっておりました
既存
の
特殊建築物等
に対する防火、
避難施設
の
設置等
の義務づけに関する
改正
規定
は、
衆議院
において、なお検討の余地があるとの理由で
削除
されましたが、この
規定
は、多数の死傷者を出しました
大阪
千日
ビル
火災
や熊本
大洋デパート
火災
の
事故
調査報告を基礎にし、
建築
審議
会の答申を受けて
提案
されたものであり、また
建築
物の
防災対策
の強化
とい
う、
人命
の安全に直接かかわりのある重要かつ緊急を要する事項に関するものであり、これを
削除
することは、悲しい
教訓
を一日も早く生かしてほしい
とい
う被災遺族の切実な声を無視し、また国民の
期待
を大きく裏切るものであります。 このような
観点
から、私は
既存
の
建築
物に対する制限の特例に関する
規定
を
削除
する
衆議院
の
修正
に反対する
立場
を明確にし、また、
人命尊重
の
立場
から一日もゆるがせにできない
建築
物の
防災対策
を強化するためには、
提案
された
政府案
を復活させ、その早期成立を期すべきであり、その上でさらに検討すべきものについては必要な
措置
を講ずることが真に国民の要望にこたえる態度であると
考え
、あえて
修正
案を
提出
した次第であります。 次にその要旨を申し上げます。 第一は、
政令
で定める用途に供する
既存
の
特殊建築物等
で一定規模以上のものに対して
避難
、防火等に関する
規定
を原則として
遡及適用
することとし、特別の事情がある場合には
建設大臣
が認める
構造
等によることができることとしております。 第二は、これらの
避難
、防火等に関する
規定
の
遡及適用
について三年または五年の猶予期間を設けることとしております。 第三は、
遡及適用
により必要となる改修工事等について、国、地方公共団体は必要な資金のあっせん等に努めることとしております。 以上が本
修正
案の
提案
の理由及び要旨でありますが、
委員
各位の御賛同をお願い申し上げる次第でございます。
竹田四郎
202
○
委員長
(
竹田四郎
君) それでは、ただいまの
修正
案に対して
質疑
のある方は順次御発言を願います。
——
別に御発言もなければ、これより
原案
並びに
修正
案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
沢田政治
203
○沢田政治君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました
建築基準法
の一部を
改正
する
法律案
について、
衆議院
送付案
及び
矢原
君
提出
の
修正
案に反対の意見を述べるものであります。 御承知のように、今回の
改正案
は、
建築
行政上緊要の課題となっております一定規模以上の特殊
建築
物の
防災対策
の強化と、都市における日照問題の解決を図ろうとするものでありますが、その主たる柱の
一つ
であります
既存
の特殊
建築
物に対する
防災規定
の
遡及適用
に関する
改正
規定
が、
衆議院
においてわが党の反対にもかかわらず与党の意思により
削除
されたことは、安全より採算を重視する企業経営者側の論理に立ち、
建築
物の安全対策を著しく軽視するものと言わざるを得ません。つまり、いかなる理由をつけても、二つの柱である
一つ
の柱が欠落したことは否定できない事実として
指摘
いたしたいと思います。 次に、
改正案
のもう
一つ
の柱であります日影による中
高層
建築
物の高さ制限については、商業地域等が
対象
外とされていること、低層
建築
物間の日照問題が切り捨てにされていること、風害、電波障害等の防止対策が講じられていない等不満の点が多くあります。ただし、
衆議院
の
修正
で、地方公共団体の自主的判断が尊重されることになった点は多少評価いたします。今後の円滑な運用を
期待
いたしたいと思います。 その他、
改正案
では、工事中の
建築
物の安全上の
措置
、第二種住居専用地域内における用途規制の強化、
建築
協定に関する
規定
の整備等が行われており、これらについても一応評価はいたします。
衆議院
送付案
全体としては、国民が最も
期待
しております
建築
物の
防災対策
の強化が骨抜きにされており、
人命尊重
を最優先させるべきであるとする
立場
からはこれに賛成することができないのであります。 次に、
矢原
君
提出
の
修正
案につきましては、
衆議院
送付の
改正案
の
質疑
に入るに当たり、
竹田
委員長
の
委員会
を代表した質問に
中馬
建設大臣
から、
既存
の
特殊建築物等
の
避難施設
等の強化のための
法律案
を
次期国会
に必ず
提出
すると確約を得たところであります。したがって、現時点では
国会
に
提案
されて以来二年半余を経た
政府案
の復活を求めることよりも、その後の諸事情を勘案して、より充実した
内容
の新規立法を
政府
に要求していくことが適当であると
考え
ます。以上、
矢原
君
提出
の
修正
案については、その
内容
については異論はありませんし、同感でありますが、その取り扱いについて意見を異にするものであります。 これで私の討論を終わります。
中村禎二
204
○
中村
禎二君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております
建築基準法
の一部を
改正
する
法律案
に関し、
修正
案に反対、
原案
に賛成の討論を行うものであります。 都市における土地の高度利用の進展に伴い、日照紛争その他の都市環境を阻害する事態が随所で発生しております。
原案
は、このような事態に対処するため、
建築
物による日影に関する基準の設定、第二種住居専用地域内における用途規制の強化、
建築
協定に関する
規定
の整備等の
措置
を行おうとするもので、まさに時代の要請にかなった適切な
措置
と思うのであります。 次に、
既存建築物
に対する制限の特例に関する
修正
案につきまして申し上げたいと思います。
既存建築物
の
防災対策
は、熊本
大洋デパート
や
大阪
千日
デパート
の
火災
の例にかんがみ、重要な問題であるとは存じますが、
既存建築物
に対する
防災規定
の
遡及適用
につきましては、諸般の事情を考慮した結果、いまだ解明されざる
問題点
も残されておると
考え
、早期にその
問題点
の解明に努めることが先決であると
考え
ます。 私は、こうした理由に基づいて、本
法律案
の
措置
により良好な居住環境の
確保
が大きく前進することを
期待
し、また、
建築
物の
防災対策
については
次期国会
に特別立法が
提案
されることを
期待
して、
原案
に賛成し、
修正
案に反対するものであります。 以上で討論を終わります。
宮崎正義
205
○
宮崎
正義
君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております
建築基準法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
矢原秀男
君
提出
の、
修正
案に賛成し、
衆議院
送付案
に反対の意見を表明するものであります。 申すまでもなく、
建築
物の
防災
を促進し、利用者の安全を
確保
することは、
建築
行政に課せられた最も重要な課題であり、
昭和
四十五年の
建築基準法
の大
改正
による
特殊建築物等
に対する防火
避難施設
等の諸
規定
の整備強化は、それに沿ったものであります。 しかし、
既存
の
建築
物には原則として
改正
規定
が適用されないことが隘路ともなって、その後も
大阪
千日
デパート
、熊本
大洋デパート
等の悲惨な
ビル
災害
が後を絶たない状況にあります。こうした状況にかんがみ、
政府
提出
原案
には、
既存
の
特殊建築物等
に対する
避難施設
等の
設置
を義務づける、いわゆる
遡及適用
の
規定
が盛り込まれていたのであります。 この
規定
は、
対象
建築
物の
既存
不適格の部分にすべて現行
規定
を
遡及適用
するのではなく、
建築
物利用者の安全な
避難
を絶対に
確保
するために不可欠な
避難施設
、
防火区画
、非
常用
の
照明装置
及び非
常用
の
進入口
の四種の施設に限定しており、しかも、やむを得ない事情がある場合は代替
措置
を認める、施行のための猶予期間を設ける、資金のあっせん等の助成
措置
を図る
とい
うもので、悲しい
教訓
を生かして適切な
措置
を一日でも早く講じてほしい
とい
う
被害
遺族の切なる叫びと国民の
期待
にまさにこたえたものであったのであります。にもかかわらず、
衆議院
において、なお検討の余地がある
とい
う名目のもとに
遡及適用
の
規定
を
削除
する
修正
が行われたことは、はなはだ遺憾であります。 したがって、
遡及適用
の
規定
について、
政府案
の復活を求める
修正
案に賛成し、これを
削除
した
衆議院
送付案
に反対するものであります。 なお、日照問題については、
衆議院
送付案
で、
政府案
の一律化を排して地方公共団体の自主性を尊重し、
対象
区域、日照時間について、
法律
で定める基準のうちから地方公共団体が条例で定めることができるように、その選択の幅を広くしておりますが、しかし、商業地域における日照問題、あるいは風害や電波障害等をめぐる問題についての解決策は依然として残されたままなのであります。これらの点についてなお検討が加えられるべきことを
政府
に要望し、私の討論を終わります。
上田耕一郎
206
○
上田耕一郎
君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっております
建築基準法
の一部を
改正
する
法律案
及び
建築
防災
関係
の
遡及適用
復活の
修正
案に対する賛成の討論を行うものであります。 まず、
衆議院
で
削除
された
百貨店
、
地下街
等の
既存建築物
にも防火
避難施設
などの
設置
を義務づける
遡及適用
の復活は、
デパート
、雑居
ビル
、
ホテル
の
火災
などで今日まで多くの
人命
が失われてきた事実にかんがみ、その防止対策上、欠くことのできない
措置
を定めるものであり、技術上その他若干の問題は残るにしても、まず
人命
安全最優先の見地から、この
修正
案には賛成すべきものであります。 次は、
建築基準法改正
案の主要な
改正
点である日影規制の問題であります。 今日の深刻な日照問題が、歴代自民党
政府
の高度成長政策のもとで、人口と産業を急激に大都市圏に集中したことに伴う中
高層
建築
物の激増と、それにもかかわらず、都市住民の生活環境の悪化を防ぎ改善するための具体的な施策を欠如してきたことに起因するものであることは、すでに明白であります。 したがって、都市住民がみずからの生活環境、都市環境を守るために日照
確保
の運動を展開し、多くの地方自治体が条例や指導要綱を定めて、中
高層
建築
に対する一定の規制を行ってきたのは当然であります。わが党もまた、大企業本位の都市政策を改め住民本位の町づくりに転換すべきこと、
建築基準法
についても日照の
確保
を明確に
規定
すべきことを一貫して主張してまいりました。 今回の
改正案
による日影規制は、このような住民運動や地方自治体の日照問題に対する到達点から見れば、決して十分なものではありません。日影規制時間、平家の日影を無視した地盤高の問題や敷地境界線から五メートル以内の日照の切り捨て、商業地域に対する日影規制の除外等々多くの
問題点
を残していることは事実であります。 しかし、それにもかかわらず、わが党が本
改正案
に賛成する理由は、第一に、
衆議院
における
修正
で、地方公共団体に日影規制を適用するか否かの選択をゆだねたこと、日影基準についても選択の幅を認めたこと、これによって地方公共団体の指導要綱を生かす道が開かれたことであり、第二に、用途地域制、高度制限、容積率等の制度を日影規制に加えて総合的に活用すれば、従来の法的規制よりは規制を強化し得る
とい
う点にあります。 したがって、この日影規制等の運用に当たり、
政府
が、特に地方公共団体の事前公示制、事前
協議
制、住民同意方式等を
内容
とする指導要綱を尊重し、用途地域の見直し、その他総合的な制度の活用を図るなど、少なくともこれが日影の許容基準となることのないように、日照
確保
に努めることを条件として賛成するものであることを明確にして、討論を終わります。
三治重信
207
○三治
重信
君 私は、民社党を代表して、
衆議院
において
修正
された
建築基準法
の一部を
改正
する
法律案
に賛成をし、同
法律案
に対する
矢原秀男
君
提出
の
修正
案に反対するものであります。
政府
提出
の
建築基準法
の一部を
改正
する
法律案
に対して、
衆議院
において、
既存
の特殊
建築
物に対する制限の特例に対する
修正
は、
建築
物の
高層
化及びその用途の複合化に伴う
防災
的見地から、
既存
の
特殊建築物等
で一定の規模以上のものに対し、
避難施設
等の
規定
を全面的に
遡及適用
することとした
規定
を
削除
しましたことは、この
規定
によって、
一つ
は
建築
面積に対して利用面積が相当制限されること、
一つ
は膨大な
建築
費を要すること、これが費用負担についてその負担能力が問題とされることであります。 また、代替
措置
が特別な事情があるときは
政令
で
構造方法
を定めることになっておりますが、その特殊
建築
物の敷地、
構造
等に関してやむを得ない事例について対処方法の具体的
措置
がとられなければ
効果
がないと思われます。来
国会
で
提出
される特別立法の際には、このような
効果
的な対処の方法を十分盛り込んで
提案
されることを希望いたします。 また、日影による中
高層
建築
物の高さの制限に対する
衆議院
の
修正
は、日影基準の適用に当たって、
建築
基準行政を執行する地方公共団体の自主的判断を尊重しようとするもので妥当な
措置
と
考え
るものであります。さらに、
衆議院
の
修正
以外の
政府
提出
原案
は、おおむね妥当なものであると認め賛成いたします。
矢原秀男
君の
修正
案は、
衆議院
において
削除
された特殊
建築
物の
遡及適用
を復活されようとするものでありますので反対をいたします。
建築基準法
は
建築
物等に対する最低基準を定めたものであります。
政府
は、最近の都市の巨大化、住生活の向上及び生活環境の複雑化等に伴って、その基準の取り扱う範囲の拡大と水準の向上に対し努力を払われんことを希望いたしまして、討論を終わります。
竹田四郎
208
○
委員長
(
竹田四郎
君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
竹田四郎
209
○
委員長
(
竹田四郎
君) 御異議ないと認めます。 これより
建築基準法
の一部を
改正
する
法律案
の採決に入ります。 まず、
矢原
君
提出
の
修正
案を問題に供します。
矢原
君
提出
の
修正
案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
竹田四郎
210
○
委員長
(
竹田四郎
君) 少数と認めます。よって、
矢原
君
提出
の
修正
案は否決されました。 それでは、次に
原案
全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
竹田四郎
211
○
委員長
(
竹田四郎
君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって
原案
どおり可決すべきものと決定いたしました。
坂野重信
212
○坂野
重信
君 私は、ただいま可決されました
建築基準法
の一部を
改正
する
法律案
に対して、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党の各派共同
提案
による附帯決議案を
提出
いたします。 その案文を朗読いたします。
建築基準法
の一部を
改正
する
法律案
に対する附帯決議(案)
政府
は、本法の施行にあたり、次の事項について、所要の
措置
を講ずべきである。 一、本法の適正な運用を
確保
するため、必要な執行体制の整備拡充に努めること。 一、大規模な
特殊建築物等
のみならず、小規模な
特殊建築物等
についても、その
防災対策
の重要性にかんがみ、今後とも行政指導の強化に努めること。 一、日影規制実施のための条例の制定にあたっては、都道府県と市町村が十分
協議
し、その円滑な実施が図られるよう指導すること。 一、地方公共団体が条例又は指導要綱等で定める
建築
計画の事前公開、事前
協議
等については、当該地方公共団体の自主性に十分配慮すること。 一、日照紛争解決のため、相談、あっせん等に努めるよう地方公共団体を指導すること。 一、
建築
協定の積極的活用を図るため、その普及に努めるとともに過密地帯における日照
確保
のため、用途地域・地区、容積率、建ぺい率等の総合的な活用を図るよう指導すること。 一、風害、騒音、電波障害等についても有効な防止策の検討をすすめるとともに、日影規制と
関係
のある用途地域の検討を行う等、都市における良好な居住環境を
確保
するため、諸般の施策を強力に推進すること。 右決議する。 以上であります。何とぞ
委員
各位の御賛同をお願いいたします。
竹田四郎
213
○
委員長
(
竹田四郎
君) ただいま坂野君から
提出
されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
竹田四郎
214
○
委員長
(
竹田四郎
君) 全会一致と認めます。よって、坂野君
提出
の附帯決議案は全会一致をもって本
委員会
の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、
中馬
建設大臣
から発言を求められておりますので、これを許します。
中馬
建設大臣
。
中馬辰猪
215
○
国務大臣
(
中馬辰猪
君) ごあいさつ申し上げます。 本
法案
の御
審議
をお願いして以来、本
委員会
におかれましては熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。
審議
中における
委員
各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま全会一致をもって議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に体して努力する所存でございます。 ここに本
法案
の
審議
を終わるに際し、
委員長
初め
委員
各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつ
とい
たします。ありがとうございました。
竹田四郎
216
○
委員長
(
竹田四郎
君) なお審査報告書の作成につきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
竹田四郎
217
○
委員長
(
竹田四郎
君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十八分散会 —
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