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1976-10-19 第78回国会 参議院 建設委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十一年十月十九日(火曜日) 午前十時七分開会
—————————————
委員
の異動 十月十二日
辞任
補欠選任
遠藤
要君
川野辺
静君 十月十三日
辞任
補欠選任
川野辺
静君
遠藤
要君 十月十四日
辞任
補欠選任
矢原
秀男
君
鈴木
一弘
君 十月十五日
辞任
補欠選任
鈴木
一弘
君
矢原
秀男
君 十月十六日
辞任
補欠選任
中村
波男
君
前川
旦君 十月十八日
辞任
補欠選任
前川
旦君
中村
波男
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
竹田
四郎
君 理 事
坂野
重信
君 沢田 政治君 委 員
遠藤
要君 上條 勝久君 堀内 俊夫君 望月 邦夫君
中村
波男
君 二宮
文造
君
矢原
秀男
君
上田耕一郎
君
春日
正一君
三治
重信
君 国務大臣 建 設 大 臣 中馬 辰猪君 国 務 大 臣 (
国土庁長官
) 天野 光晴君
政府委員
国土庁長官官房
長 河野 正三君
国土庁長官官房
審議官
紀埜
孝典君
国土庁計画
・調
整局長
下河辺 淳君
国土庁土地局長
松本 作衛君
国土庁水資源局
長 飯塚 敏夫君
建設政務次官
梶山 静六君
建設大臣官房長
粟屋 敏信君
建設省計画局長
大富 宏君
建設省都市局長
中村
清君
建設省河川局長
栂野 康行君
建設省道路局長
浅井新一郎
君
建設省住宅局長
山岡 一男君
建設省住宅局参
事官
救仁郷 斉君
消防庁長官
林 忠雄君
事務局側
常任委員会専門
員 森 一衞君
説明員
行政管理庁行政
管理局管理官
山本 貞雄君
科学技術庁長官
官房参事官
佐伯
宗治
君
建設省国土地理
院地殻調査部長
原田
健久
君
建設省国土地理
院地殻調査課長
佐藤 裕君
参考人
地震予知連絡会
会長
萩原
尊礼君
日本
道路
公団総 裁
前田
光嘉
君
日本道路公団理
事
吉田
喜市
君
—————————————
本日の
会議
に付した
案件
○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
建設事業
並びに
建設
諸
計画
に関する
調査
(
派遣委員
の
報告
) (
地震予知
及び
地震対策
に関する件) (
長良川
の
災害対策
に関する件) (
河川事業
及び
河川管理
に関する件) (
内水排除
及びゼロメートル
地帯対策
に関する 件) (
建設行政
の
基本姿勢
に関する件) (信濃川の廃川敷の処分に関する件) (
国土総合開発計画
と
防災対策
に関する件) (
宅地開発
と
中小河川対策
に関する件) ○
建築基準法
の一部を改正する
法律案
(第七十二
回国会内閣提出
、第七十七回
国会衆議院送付
) (
継続案件
)
—————————————
竹田四郎
1
○
委員長
(
竹田四郎
君) ただいまから
建設委員会
を開会いたします。 まず、
参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
建設事業
並びに
建設
諸
計画
に関する
調査
のため、本日、
参考人
として
地震予知連絡会会長萩原尊礼
君、
日本道路公団総裁前田光嘉
君及び同
公団理事吉田喜市
君の
出席
を求めることに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
竹田四郎
2
○
委員長
(
竹田四郎
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定をいたします。
—————————————
竹田四郎
3
○
委員長
(
竹田四郎
君)
建設事業
並びに
建設
諸
計画
に関する
調査
を議題とし、まず先般当
委員会
が行いました
台風
第十七号による
長良川
などの
被災状況
及び
河川事業等
の
実情調査
につきまして、
派遣委員
から
報告
を聴取いたします。
坂野
君。
坂野重信
4
○
坂野重信
君 御
報告
いたします。 十月十二日から十三日までの二日間、
竹田委員長
、
中村委員
、
矢原委員
、
春日委員
、
三治委員
及び私
坂野
は、
台風
十七号による
豪雨災害
からちょうど一ヵ月を
経過
した
長良
・
揖斐両川
の
被災状況等
をつぶさに見て、これからの
河川行政
の審査に資するため
調査
してまいりました。以下その
調査
の概要につき御
報告
いたします。 まず、
岐阜
県下に異常な
豪雨
をもたらした
気象状況
でありますが、
九州南西海上
に
発生
した
台風
十七号は
日本列島
に上陸する以前、九月八日から
九州南海
上に数日間停滞し、
各地
に厚い雨雲をもたらすとともに、
日本海西部
から
九州
にまで延びていた寒冷前線を刺激し
各地
に驚異的な雨を降らせたのであります。九月八日から十二日までの五日間、ほとんど間断なく降り続いた雨は、
岐阜
県下において猛威の限りを尽くしたのであります。県内いたるところで一時間当たりの
雨量
が七十から八十ミリにも達し、特に
長良川水系
では
連続降雨量
千ミリを超える歴史的な記録となったのであります。
長良川忠節地点
より
上流
の
流域平均
においても総
雨量
八百五十五ミリに達しているのであリます。ちなみに、
昭和
三十四年九月の
伊勢湾台風
当時の同
地点
での
雨量
は二百七十三ミリ、
昭和
三十六年六月の
梅雨前線豪雨
の
雨量
は五百八十八ミリでありました。 このため県内の
河川
、
道路
を
中心
にして
随所
ではんらんやがけ崩れ、
交通遮断
などの
災害
の
発生
が相次いだのであります。その
被害状況
は、九月三十日午後三時現在、死者、行方不明七名、家屋の全半壊及び
床上浸水等被災世帯
七万六千百二十五
世帯
、
被災人員
は実に二十八万六百四十四人にも達したのであります。これは県全体の人口の一五%に当たる大変な数でありまして、その
被害総額
は約千四十二億円に達する未
曽有
の
被害
となったのであります。このうち
住家等
の
個人財産
の
被害
が約三百二億円と
被害
全体の三分の一を占めているのが今次
災害
の大きな特色であります。県においては、九日夜半いち早く
災害対策本部
を設置し、
岐阜
市を初めとして四市十二町一村に
災害救助法
を適用し、
県当局
、
地元水防団
、
消防団
、
県警機動隊
及び自衛隊が一丸となり、夜を徹して
被災住民
の
救出保護
と
救援物資
の
輸送等応急対策
に万全を期しておりましたが、九日の未明から
警戒水位
の二メートルを超えていた
長良川
では、
岐阜
市
忠節地点
において
最高水位
五・五メートルにも達し、
警戒水位
を超えていた
継続
時間も七十八時間に及び、
伊勢湾台風
時の十二時間をはるかにしのぐ流量や
水位
を記録したのであります。 その中で、
関係者
の懸命な
補強活動
にもかかわらず、九月十二日午前十時二十八分、ついに
安八
郡
安八
町
大森地
内の
右岸堤防
が五十メートルにわたり一瞬のうちに破れ、毎秒二千トンの濁流が
同町一帯
へ
流れ
込むという大惨事を招いたのであります。堤内に流入した水量は約四千数百万トンに達し、
安八
町と墨俣町のほぼ
全域
にわたって
最大水深
四メートル余りという
湛水状況
を生じたのであります。この破
堤現場
は
東海道新幹線橋梁下流
約三百メートルのところであり、破堤時には長さ約五十メートルであったのが、
最大
八十メートルの破堤に達し、
森部輪中内約
四平方キロメートルの
湛水
に続き、北川は旧国道二十一号線から
犀川
の
右岸堤
まで、南側は
安八
町と輪之内町の境界、東側は
長良川堤防
、西側は
牧輪中堤
にまで
湛水
し、その
被害状況
は
床上浸水
三千六百四十三戸、
床下浸水
四百六十六戸にも達したのであります。 その
復旧対策
としましては、早速現地に
対策本部
を設置し、破
堤個所
の
調査
を初めとして早速
復旧作業
に取りかかりました。
応急
仮
締め切り工事
として、破
堤個所
を
盛り土高
八・五メートルで
締め切り
、前面にコンクリートブロックを据えつけました。さらにこの
応急
仮
締め切り工
に並行して、仮本堤として
鋼矢板
による二重
締め切り
を行い、九月二十六日に完成したのであります。さらに本
堤防
についてもすでに入札を終え、今月中にも
着工
の
予定
であるとのことであります。一方、
湛水
の
排水
についても
既存
の
排水樋門
四門よりの
自然排水
、破
堤口
よりの
自然排水
の
促進
、
既存排水機場
の
ポンプ
による
強制排水
、
移動式ポンプ
による
強制排水等総力
を挙げることにより、九月十七日にはほぼ
湛水状況
から脱することができたのであります。 今度の
決壊個所
の
復旧
については、
原形復旧
はもとより、
激甚災害対策特別緊急事業
を適用して
補強工事
を施し、二度とこの悲劇を繰り返さないことが肝要であります。さらに
原因調査
についても
建設省
の
土木研究所
を
中心
にしてその究明が進められているとのことでありますが、その成果がこれからの
治水対策
に生かされることを切望いたします。 次に、視察しました主な
被災地
の
状況
と今後の
対策
について順次
報告
します。
岐阜県庁
での
概況説明聴取
を終え、
長良川
の支流である
伊自良川
の石谷破
堤現場
に参りました。この
伊自良川
は
堤防
が軟弱なところが多く、破堤一ヵ所と
堤防
の
のり崩れ
が
随所
に見られました。これらについては
緊急復旧
を急ぐとともに、一連の区間については
激特事業
の採択が強く
要望
されました。 次に、高富町のしびり川破堤及び
斧田洞
の
砂防現場
を視察しました。当町では千六十七ミリの
集中豪雨
により、
町道
及び
河川
の
決壊
、山林の崩壊、耕地の埋没流失等甚大な
被害
をこうむっており、
被害総額
は十月八日現在約四十八億円とのことでありました。これは
被害
を受けた各市町村とも共通なことでありますが、ただでさえ逼迫している
地方財政
の中で今回の
災害復旧費
は相当な額に上るものと思われます。県、国による手厚い
財政援助
の措置が望まれるところであります。
斧田洞
では、十二キロメートルの
砂防河川
のうち八キロにわたり大量の
土砂
の堆積が見られました。
河底
の
土砂
の
排除
はもちろんのこと、秋の
取り入れ期
を控え、橋の架設を急いでほしいとのことでありました。また、五十一年度から
緊急砂防事業
として着手の
砂防ダム
の
早期完成
が望まれるところであります。
同町柏野
の東川の
災害関連現場
では、
土地改良
により従来あった遊水地がなくなり、水が一時に
流れ
て
災害
を引き起こしたとの
説明
がありました。
土地改良
を含めた
土地利用計画
と
河川改修
の
適確
な
整合性
が強く望まれると痛感いたしました。
岐阜
市においては末洞川及び武儀川の
護岸決壊現場
、
長良川
の世保、芥見の
護岸災害現場
を
調査
し、生々しい
災害現場
に触れて今回の
洪水
のすさまじさがまざまざとうかがわれました。これらの
現場
については五十一年度中に
復旧
を完了する
予定
であるとのことであります。 翌日は、まず穂積町に参りました。当町は
長良川
と
揖斐
川にはさまれた狭隘の低地であり、本巣郡
全域
の雨水が
天王
川、
糸貫
川、中川、新堤川、
犀川
に集まり、それが当町に流入し、
全域
にわたって溢水、
湛水
するという多大な
被害
をこうむったのであります。
罹災者
は町内の七〇%余に当たる一万四千六百六十人にも及び、
商工業生産物
は言うに及ばず、
農畜産物
についてもちょうど水稲の
出穂期
に当たっていましたので冠水による
被害
は甚大なものがありました。頼みの
排水機
は
糸貫
、
天王両川
において
計画台数
七台のうち三台しか完成しておらず、
犀川排水機
の増設の
早期着工
、
犀川水系中小河川
の
河道
の
改修
、築堤の増強、
排水機
の
管理運転技術者
の
適正配置等
の強い
要望
が出されました。 次いで、
安八
町
大森
のは
堤現場
に参りました。
決壊
した
個所
は
長良川
の
流れ
が緩く右へカーブしている
盛り土堤
で、
流れ
が最も強く当たる
最深部
から崩れたとのことであります。
地元
からは
危険個所
の
早期完全補強
、
長良川
本堤の
コンクリート護岸
、
漏水
、
通称ガマ
についての
調査研究
と、それに対する
対策
の
確立等
が強く
要望
されました。なお、
県道一の宮
−
大垣線
に架橋されている羽島、
大垣
両大橋について、救済の一部として
無料期間
を延期してもらいたい旨の
要望
もありました。
杭瀬川
、
牧田川等
の
河川改修状況
、根古地の
のり崩れ現場
の
状況
を視察し、次いで
揖斐
・
長良両川
を下り、水資源開発公団が
建設
を
予定
している
河口
ぜ
きの建設現場
に参りました。途中、海津町、平田町においては六万三千俵もの土俵で、
町じゅう全員
の協力による
水防活動
により
堤防
を死守し破堤を免れたとのことであります。長期にわたる
洪水
のために
堤防
はほとんどうみ、さらに
水位
が高ければ数十ヵ所にわたり破堤したであろうとのことには慄然とさせられ、
堤防強化
の
必要性
が痛感させられたのであります。
長良川河口
ぜき
建設事業
は
昭和
四十八年に
事業実施計画
が認可されましたが、同年に
事業差し
と
め請求訴訟
が提起され、その後
漏水対策工事
、
ブランケット工等
を
実施
し、
しゅんせつ
その他の本来
工事
は中止しております。今回の類を見ない異常な
出水
による
災害
にかんがみましても、
関係機関
の慎重な態度、判断のもとで有効な
治水対策
が
推進
されることを期待します。 次に、今回の
災害現場
の視察を終え、感じました所見を幾つか申し上げます。 まず、今次
災害
の速やかな
完全復旧
と
長良川
を含む
大小河川
の
危険個所
の総点検を行い、その
危険個所
の
早期補強
を図ることが急務であると痛感いたしました。また、今次
災害
を契機として
災害
の
因果関係
を究明し、再度
災害
の
発生防止
、とりわけ
人的被害発生防止
に最善を尽くし、
地域住民
が安心して生活できるよう、
治水計画
の全面的な
見直し等
を含め抜本的な
災害対策
を講ずるとともに、必要な施策を強力に
推進
すべきであります。 次に、
長良川
の
治水事業
の
促進
を図ることであります。
昭和
三十四年の
伊勢湾台風
、三十六年の
梅雨前線豪雨
の相次ぐ大
出水
から十数年を経て、この間
上流狭窄部
の
引き堤
を初め
弱小堤
の
補強等
を
実施
してきましたが、今回の
豪雨
により
安八
町
大森地先
で破堤したほか、全川にわたって
のり崩れ
、
のり亀裂
、
堤防
根固め洗掘、
漏水
などの
被害
を生じました。このため
災害復旧
はもとより、今回規模の
洪水
を安全に流下させるために早急に
緊急計画
を策定し、
漏水対策
及び
弱小堤
の
補強
、
伊自良川
を初めとした
支川
の
全面改修
、
内水対策
を強力に
実施
するとともに、
中流部
では
狭窄部
の
大幅引き堤
、
河道掘削
による
河積
の増大、これらに対応した大きな
支川
の
改修
、
下流部
での
大幅しゅんせつ
による
所要河積
の
確保等
を
促進
する必要があります。これらの
事業
の円滑な
推進
が望まれるのでありますが、今年度の
予算
はおよそ六十億円前後でありまして、来年度からの第五次
治水
五カ年
計画
においては
事業
の円滑な
推進
のため重点的な配分が期待されるところであります。 以上が
調査
の概略でありますが、
最後
に今回の
災害
により
被害
を受けられました
方々
に心からお見舞いを申し上げますとともに、今回の
調査
に御協力いただきました
県当局
及び
地元関係者
の
方々
に深く感謝いたしまして、
報告
を終わります。
竹田四郎
5
○
委員長
(
竹田四郎
君) 以上で
派遣委員
の
報告
は終わりました。 これより
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言を願います。
中村波男
6
○
中村波男
君 本日は、
政府
に対しまして
地震
の
予知
及び
防災対策
、並びに先般当
委員会
から
岐阜
県下の水害の
災害調査
に派遣された一員といたしまして、
木曽三川
の今後の
治水対策等
について質問を申し上げる
予定
を立てておるところでありますが、その前に、本日は
萩原地震予知連絡会長
さんが時間のやりくりをしていただきまして、私の求めに応じていただきましたことをまずもってお礼を申し上げたいと思います。 そういう
関係
もございまして、最初に
萩原参考人
にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、申し上げますまでもなく、
地震予知連絡会
というのは
研究者レベル
で構成をされております
地震連絡会
でございまして、その
連絡会
なるものは権限も責任も明確ではない。しかも
予算
も全くないに等しいとお聞きをしておるわけであります。で、
会長
以下パートタイマーというような中で、いろいろと苦労をしながら
研究
を続けておっていただくことを多といたすものでありますが、その中で
東海地方
を
地震観測強化地域
に一昨年指定をされまして、この
地震予知連絡会
がいろいろと今日まで
予知等
について
研究
を続けておっていただくのであります。その
経過
といいますか、
研究
の
状況等
についてまずもって御
報告
を承れば幸いだと存じます。
萩原尊礼
7
○
参考人
(
萩原尊礼
君)
東海地方
は
安政元年
、一八五四年に非常に大きな
被害
を受けた
地震
が起こっております。そういうことと、それからまた、こういう大きい
地震
は太平洋の沿岸に起こるわけでございますが、かなり規則正しい
繰り返し
の
周期
を持っている。まあ百年ないし百五十年といったような
周期
でございますが、そういう過去の経験に基づきまして、
東海地方
を
昭和
四十四年だと思いますが、
連絡会
が発足いたしましたときに
特定地域
の一つといたしたわけでございます。そのときも、御
承知
のように
昭和
十九年に
東南海地震
というのがございまして、これは戦争の真っ最中でございましたので余り御存じない方も多いかと思いますが、
名古屋地方
に非常に大きな
被害
をもたらした
地震
でございます。この
東南海地震
によって
御前崎方面
のひずみが解消したからもういいのではないかというような
考え
もございましたが、
東海地方
の
重要性
にかんがみて
特定地域
にいたして、他の
地域
に比べて重点的に
測量
の
繰り返し等
を行うことに決めたわけでございます。ところが、その後のいろいろの
調査
によりまして、どうもやはりこの辺はひずみの蓄積が進行しているということがわかりましたので、
昭和
四十九年の二月にあの辺を
観測強化地域
といたしたのでございます。これは特にこの
地震
の
発生
が迫ったというようなデータがあらわれたわけではありませんが、
東海地域
の
重要性
にかんがみても加味いたしまして、あの
地域
を
強化地域
といたしたのでございます。そして今日に及んでおるわけでございます。
中村波男
8
○
中村波男
君 全くこういう問題に対する知識がないに等しい私でありますだけに、質問することも適当を欠くかもわかりませんが、
地震
国と言われておるわが国が、
地震
の
予知体制
、ましてや
防災対策等
が大変立ちおくれておるということは否定できない事実であろうと思うわけであります。したがって、
予知体制
を早急に確立せよという声は、各界は言うまでもなく多くの国民の中から強く望まれ、その声が最近とみに活発に出てきておることは御
承知
のとおりでありますし、
政府
もそれにこたえようといまいろいろと検討中であることも
承知
をいたしておるのでありますが、
体制
を整えて、それにはもちろん人的な整備、
機構
を整えることももちろんでありますが、裏づけとしての
予算
、そういうものが両々相またなければならぬと存じまするけれ
ども
、そういう
体制
がもろもろの面で整えば精度の高い
予知
というのはできるものだと、こういうふうに理解をいたしてよろしいかと思うのでありますが、それらの点について御見解を承りたいと思います。
萩原尊礼
9
○
参考人
(
萩原尊礼
君)
地震
の
予知
はまず長期的な
予報
が必要だと思います。これは
実用
という見地からいたしまして、数年前にこの
地域
にこのくらいの大きさの
地震
が起こる
可能性
が強いといったような
予報
でございます。まずこういう長期的な
予報
に成功いたしますと、この
地域
に今度はいろいろな
観測
を集中いたしまして、さらに差し迫った
予報
、数カ月前あるいは数日前、あるいは、できれば数時間前といったような短期的な
予報
が可能になってくるものと思います。ただ、長期的な
予報
だけではどうしても
実用
的とは言えないのでありまして、五年先に起こるかもしれないし、またあす起こるかもしれないというようなことではやはり人心の不安を起こすことになるわけでございますので、どうしても短期的な
予報
が約束されなければならないわけで、もう少し差し迫ったらさらに詳しい情報を伝えることができるであろうというような前提がないと、長期的な
予報
もいたずらに社会的な不安を起こすおそれがあるわけでございます。 このように長期的な
予報
と短期的な
予報
と両方必要なわけでございますが、現在のところ長期的な
予報
につきましては大体の
見通し
がついておりまして、これは
日本全国
の
測量
を頻繁に行って、
地殻
に蓄えられつつあるひずみを検知していく。一方また
地震観測——
これは
微小地震
と称します非常に小さい
地震
までも含めた
地震観測
の
経過
を絶えず監視していく。こういったようなことで長期的な
予報
は可能であるという
見通し
と申しますか、めどが立っているということができるわけでございます。ただ、それだけではいま現在十分なそういう
測量繰り返し等
が行われているかというと、それは残念ながらまだ十分というわけにはまいらないのでございます。 短期的な
予報
につきましてはいろいろな
可能性
が
考え
られます。こういう
観測
をしておけばこういう
前兆
があらわれるであろうと。これは
日本
ばかりではありませんし、アメリカ、ソ連、それから
中国等
においてもいろいろと
研究
が続けられておりますけれ
ども
、どうも
万能薬
といいますか、これだけをしっかり見詰めていればいいというものはまだ見つかっていないのでございまして、ある場合にはこういうものが、こういうような
前兆
があらわれた、ある
地域
ではこういう
前兆
があらわれたというようなことで、やはり
ケース
・バイ・
ケース
に違ってくるのだと思います。したがって、長期的な
予報
が出た場所にいろいろな種類の
観測
を行って
短期的予報
の成功に持っていくべきであろう。こういうのが現在私
ども
のとっている方策でございます。
中村波男
10
○
中村波男
君 そこで問題は、
予知体制
はどうあるべきかということでありますが、申し上げますまでもなく、
地震予知
の
研究
の結果を
行政面
で
実施
に移す
機構
として今日ありますのは、
地震予知研究推進連絡会議
があるわけでありますが、これも各省庁の
縦割り行政組織
を反映いたしまして、
研究
、
計画
などの
立案実施
が
総合性
を欠いておることは否定できない現実だと思うのであります。たとえ重大な
地震
の
前兆現象
をつかんでいただいても、効果的な
予防対策
をとるということは、今日の
体制
ではできないのではないかという批判が強く出ていることも否定できない今日の
状況
であります。したがいまして、
地震予知体制
を早急に確立する最も重要な
政策課題
が今日あるわけでありまして、そこで
政府
にこの
対策
をお尋ねするわけでありますが、その前に、
専門家
としての
萩原地震予知連絡会長
さんに、常時
集中監視体制確立
のためには、
参考人
は、気象台に見合うような
国土庁
に
地震台
といったような
専門組織
をつくったらいいのじゃないかということを強調なすったというようなことも新聞で伺っておるわけであります。また、東大の
石橋助手
は
地震学会
で、
東海地区地震予知防災センター
の設置を提唱されたとも聞くわけであります。したがって、
体制
と申しますか、
組織
としてそういうものが必要だとお
考え
になっておると思うのでありますが、いかがでしょうか。
萩原尊礼
11
○
参考人
(
萩原尊礼
君) この
地震予知
というものは、いま
研究
の
段階
から
実用
の
段階
に一歩足を踏み入れたか、あるいは入れようとしているか、そういう非常に微妙な状態でございます。で、私
ども最後
の究極としては、
地震台
とかあるいは
地震庁
、つまり全くいま別個の
機関
が行っておりますことの一元化、こういうものの
考え
を持っておるわけでございますが、これは一つのビジョンでございまして、いま直ちに一元化した場合に果たして現在よりも効果的であるかということにおいては疑問でございまして、いま申し上げましたように
研究
と
実用
の境にありますもので、いますぐ一元化ということではなく、その間に一
段階
か二
段階
というものを置くべきであるかもしれません。それは私
ども
研究
者にははっきりしたことを申し上げる力もございませんで、行政に携わる皆様にいろいろと御検討を願って、積極的な前向きな姿勢でいいものをつくっていただきたいと、そう
考え
ておる次第でございます。
中村波男
12
○
中村波男
君 いまのお話を聞きますと、基本的には一元化の方向というものが望ましいけれ
ども
、いま直ちにそういういわゆる
予知
機関
というのを統合することについては問題があるのじゃないかという御発言でございますが、ある時期を置いてというそのお
考え
の中に、具体的には時期を置かなければならぬということの内容についてお聞かせいただけるならば幸いだと思います。
萩原尊礼
13
○
参考人
(
萩原尊礼
君) それはつまり
地震予知
というものが、こういうことをすればもういいんだ、これで
予知
が、長期
予報
も短期
予報
もできるのだと決まってしまえば、これは官庁の業務として行えるのでありまして、つまり気象、気象庁の天気
予報
のために
予報
官というのがおりまして、その人がどんどんやる、そういうような非常にかなりはっきりしたことがわかるようになった
段階
では、これはもう業務として一元化して行えるわけでございますが、まだ
研究
すべきことが非常に多いということでございまして、いまたとえばそういう
地震
の
予報
官というものができましても、なかなか現在の気象
予報
官のように事は簡単に判断もできません。そういうことを申し上げておるわけであります。
中村波男
14
○
中村波男
君
萩原参考人
には次のお仕事といいますか、時間が切迫しておるようでありますので、また別な機会にいろいろとお教えを受ける機会もあろうかと思いますが、本日はお忙しいところありがとうございました。 それでは、
政府
にお尋ねをいたしたいと思うんでありますが、
地震
の
予知
の
体制
、
組織
と申しますか、そういうものをどのように
考え
ておられるかという質問の前に、
昭和
五十年の十月に土地法学会は国及び地方公共団体に対しまして、「本格的な震災
対策
実行のための立法措置を急げ」「住民の安全権確立のために震災
対策
をすべてに優先する公益
事業
として位置づけよ」等のアピールを行っておることは御
承知
のところであります。震災
対策
に関する国、自治体の責任、責務を明確にいたしまして、その具体策について住民の協力を得るためにも震災基本法のような立法措置を講じて、そのもとに諸施策を一元的、効率的に整備する
体制
づくりが必要と私は
考え
るのでありますが、これに対して
国土庁
は関心を持ってこういう問題に前向きで検討をしておられるのかどうか、まずお伺いをいたしたいと思います。
天野光晴
15
○国務大臣(天野光晴君) なわ張り的に言うと、私の方は
予知
以後の措置をする事務を扱っているようでございます。そういう点で、
予知
の問題で最近非常に問題がクローズアップされてまいりまして、けさも閣議の席上で
科学技術庁長官
から、
予知
に対する措置を講ずるために中央防災
会議
の中に特別
委員会
を一つつくって、これを常時活動できるようにしてほしいという、どうだろうという話があったんでございますが、これについては、常置するということについてはいまの
段階
でちょっとまだ問題ではないかと。ただ、形だけの問題でなしに、
予知
よりもその
地震
そのものが起きた以後の措置というものの方がこれはもう何といっても一番大切なことでございまして、これは
予知
できたからこれを事前に解消するとか抑えてしまうことができるなんていうものではなくて、あくまでも問題はその
地震
が起きた以後の措置の問題でございますから、それを私の役所で扱っているとすれば、いまの
段階
ではとても人数的にいっても、そう言っては失礼ですが、いまの状態ではどうにもなりません。 それで、ちょうど
予算
編成要求の時期でもございます
関係
から、私の方の
国土庁
といたしましては
災害対策
部という部をつくりまして、
地震対策
課という課を一つつくって、この措置を講じたいという
考え
方で、
予知
は科学技術庁の方で全力を尽くしてやるとけさも言っておりましたから、その
対策
については私の方で始末をしょう。それについてはきょう科学技術庁の長官のところに各
関係
の官房長等皆招集されまして、一応事後
対策
についての話し合いをきょう行っておるところでございまして、私たちといたしましても、この
予知
以後の
対策
につきましては十二分に国民の期待に沿えるような措置を講ずる
体制
をまず整えたいと
考え
ております。
中村波男
16
○
中村波男
君 その具体的な
予知体制
、あるいは
予知体制
が確立されてそれを受けて防災
体制
防災と言いましてもこれは私は限界がまずないのではないかとさえ思うわけであります。
地震
の起きたときの人間の心理
状況
とか、あるいはいろいろな想定される問題があるわけでありますから、これは大変な作業量であり、またあらゆる知能を集めた
対策
を行わないと、よきものは生まれてこないのではないかと思うわけでありますが、その前に、いまお尋ねしたのは、いわゆる基本法とも言うべき震災に関する法律を、基本法をつくりまして、それからいろいろ具体的な
対策
というのを何と申しまするか肉づけをしていくと、こういうことが必要でないかという、御
承知
のように土地法学会等からアピールが行われているわけでありますから、これについては全く
政府
はわれ関せず、そういう
考え
は全くないということなのか、検討に値するということなのか、まだ検討はしておらぬが耳を傾けて一遍検討してみたいということなのか、その点を明らかにされたいと思います。
天野光晴
17
○国務大臣(天野光晴君) それは検討中だそうです。というのは、そうですって、私もどうも申しわけございませんですが、私が命じたわけではございませんから。
災害対策
基本法との関連性をにらみながら、その措置を講ずる法律が必要だというので現在検討中だそうでございますから、これはこの機会に前向きでひとつ進めてまいりたいと
考え
ております。
中村波男
18
○
中村波男
君 震災基本法をいま検討中だということででありますので、できるだけ早い時期に結論を出し、これが立法をされることを強く要求をし、またその結果に期待をいたすものであります。 そこで、去る四日の本院の
予算
委員会
におきまして、
参考人
として
出席
をされました浅田敏東大教授は
研究
者の立場から、東海
地震
はあす起こっても不思議ではないと、こういうようなショッキングな見解を明らかにされまして、また、去る七日から三日間開かれました福岡市での
地震学会
におきましても深刻な論議を呼んだとお聞きいたしておるのであります。 そこで、
地震
研究
者たちの指摘を待つまでもなく、行政の側に
地震対策
と総合的に取り組む
体制
が整っていないだけに 去る四日の参議院
予算
委員会
における三木総理の、
予知
の
研究
を行政にのせる仕組みを
考え
たいと述べられた。それを受けて荒舩行政管理庁長官並びに
前田
科学技術庁長官
が検討を約束されたことに対しまして国民の多くが期待を寄せ、
政府
の今後の取り組みを見守っておると思うんであります。今度は珍しく——そういう言い方は失礼でありますが、これに対する対応の動きはいろいろあるようであります。十月八日付の新聞によりますと、
前田
科学技術庁長官
は、来週にも総合
計画
をいわゆる決定したいという意味の発言があるわけであります。したがって、来週というのはこの今日でありますが、その後これを受けて科学技術庁あるいは
国土庁
等々でどのような検討、またどういう方向で結論を出そうとされておるのか、具体的に御
報告
をいただきたいと思います。
佐伯宗治
19
○
説明員
(佐伯
宗治
君)
地震予知
につきましては、先ほど先生御指摘の総理府に設置されました
地震予知研究推進連絡会議
におきまして、
関係
各省庁密接な連携と協力によりまして
予知
研究
の
推進
を図ってまいりました。幾つかの実績も上げてまいりましたが、
前田
長官の御指示もあり、これをさらに強力に
推進
するための具体策につきまして、現在
関係
省庁で協議を重ねながら早急にまとめるように検討を進めておる
段階
でございます。
中村波男
20
○
中村波男
君 検討しておられることは
承知
しておるのであって、その程度の御答弁ならば何もお尋ねしなくとも
承知
しておるわけでありますが、もう少し具体的に、新聞等によれば一定の方向というのを長官は打ち出しておられるのでありますから、長官に御
出席
を要請したのでありますが、御都合が悪いということで、その長官の意を体してそういう点まで御答弁いただけるということで参
事官
に御
出席
をいただいておると思いますので、もう少し内容のある御答弁はできないものでしょうか。
佐伯宗治
21
○
説明員
(佐伯
宗治
君) ただいまの
研究
推進
連絡会
議のメンバーと言いますのは、科学技術庁事務次官の主宰のもとで各省局長クラスの
方々
にお集まりいただいて
実施
しておるものでございますけれ
ども
、現在検討しておりますのは、
科学技術庁長官
を本部長とする、各
関係
省庁事務次官をメンバーとする
推進
本部構想で進めております。それで、各省庁の協議が一致いたしますならば、今週の閣議ででも決定していただきたいということで進めてまいっております。
中村波男
22
○
中村波男
君 そこで、今度
国土庁
の長官にお尋ねをしたいんでありますが、私、先般の水害のときにつくづくと感じたわけでありますが、
国土庁
のいわゆる
災害対策
室というのは人員から言いましても全く弱い
組織
であり、十七号
台風
に伴う大
災害
が起きますと、すべてがそちらに、
対策
に振り向けなければならない。したがって、本来の仕事であったと思うんでありますが、震災
対策
などというのはお預けだと、これではいけない。したがって、震災だけは専門に当たれる相当数の人員というのを
機構
的にも
組織
的にも確立する必要がある。こういうことを痛切に感じまして、機会があれば提起いたしたいと
考え
ていたのでありますが、私の提起する前に五十二年度の
組織
改正要求としていわゆる今度は
災害対策
部というのを新設する。その
対策
部には防災企画課と震災
対策
課を新設すると、こういうことが要求になっておるようでありますが、その内容をお聞きしますと、ご
承知
のように防災企画課は定員十二人、しかし新規の増はわずか二人である。それから震災
対策
課は定員十一人、新規増は六人である、合計八人が要求されておるわけであります。これは事実問題として総定員法に縛られて、いまいわゆる定員削減が行われておる中でありますから、要求してもとても認められないであろうというこういう現実的な面から、こういう要求になったのではないかと思いますが、これでは部に昇格をしましても体をあらわさないのではないか。名前だけ部になって課が二つになりまするけれ
ども
、いまの
機構
に毛が生えた程度で、本来のいわゆる機能を発揮するには余りにも貧弱な人員構成ではないか、こう思うのでありますが、この間のいきさつをひとつ具体的に御
説明
賜りたいと思います。
天野光晴
23
○国務大臣(天野光晴君) それは
中村
先生のおっしゃるとおりであろうと思います。これは実は私の企画ではございませんで、前長官の引き継ぎを受けたものでございます。これだけを実現するのにも恐らく並み尋常の手段では困難ではないかという予測すらしているわけでございますが、先ほど来お話のあったように、いざ鎌倉というときに何の役にも立たない
機構
であってはどうにもなりませんので、一応は形だけというお説にもなるかもしれませんが、これだけのものを一応は獲得することが先ではないか。そうして客観的な情勢、いま
予知
関係
その他
対策
関係
等を
中心
に一挙に充実するということは非常に困難でしょうから、一応これだけの形をつくり上げれば何とか二、三年の間には一人前のものには持っていけるのではないかという感じがいたしますし、私のところでは一応強力に
予算
の折衝になれば折衝をいたしまして、これ以上のものを要求するつもりでございます。それまでの
段階
には、いま先ほど来お話のあったように、
地震
をどうしても
予知
しなければいけないということになる。その
対策
はとても膨大なものでございますから、それをいま各省庁と連絡をとりまして、どうしてもこれではだめだということで増員をするように、いまここで
予算
の書きかえは困難でありますから、その
段階
でどのようにできますか、総理の
予算
委員会
の答弁等もございますのですから、それを基本にして鋭意努力をいたしたいと、こう申し上げる以外何ともいまのところはございませんので御了承願いたいと思います。
中村波男
24
○
中村波男
君 行管から御
出席
いただいておりますか。これは行管にも強く要請を申し上げておきたいと思うのであります。いまいろいろ議論をいたしました内容は御
承知
いただいたと思うのでありますが、大変な不安と、また一たん震災に見舞われますならば大変なことになることは明らかであります。 きょうの朝日新聞の「天声人語」にもこの問題が取り上げられておるのでありますが、東大の浅田教授が静岡で講演された中に、「
地震
の長期
予知
はむずかしいが、直前の
前兆
なら
観測
網を整備すれば十分とらえられる、それもカネをかければかけるほどいい、という。だが、わが国の
地震予知
に関する行政はお寒い限りで、責任
体制
の一本化すら満足にできていない」。こういうことを書きまして、さらに東大の
石橋助手
の話として、百億円もあれば一応の
観測
体制
は整備できるという。したがって、ロッキード事件で騒がれておる次期対潜しょう戒機PXL一機ほどの額にすぎないではないか、こういうことを書きまして、したがって、敵潜水艦と大
地震
とどっちがやってくる確率が高いのだろうか、潜水艦がどんなに攻撃をしかけても大
地震
のもたらす
被害
には及ばぬであろうと、こう書いているわけです。私が言いたいのは、ただ
国土庁
が今回五十二年度に要求しております
災害対策
部の人員増を満たすばかりでなく、やはり総合的な
体制
をつくるためには、つくるということになれば、それに伴う人員を配置されなければ機能はしないわけであります。また、それを裏づける
予算
も当然配当されなければならないわけであります。これは大蔵省はきょう
出席
いただいておりませんけれ
ども
、行管としては、そういう面における人的配置というのは
最大
なひとつ関心と重点主義を貫いてもらいたい。こういう立場で、これも行管の長官に御
出席
をいただきたかったんでありますが、御都合悪いということでありますから、ひとつ私の申し上げたことを長官にもぜひ伝えていただきたいし、今日の行管の立場を御
説明
いただきたいと存じます。
山本貞雄
25
○
説明員
(山本貞雄君) お答えいたします。
地震
の
予知
、
防災対策
の
重要性
については十分認識しておりまして、また常日ごろから関心を抱いているところでございます。
地震
の
予知
、
防災対策
に関連した
組織
、定員につきましては、各省庁の要求に基づきまして現在鋭意作業を進めているところでございまして、具体的な意見を申し上上げる
段階
には至っておりませんが、先生の御趣旨は十分検討してまいりたいと思っております。
中村波男
26
○
中村波男
君 今度の
災害対策
部の人員は長官のこれは腕の見せどころだと思いますから、ひとつ閣僚
会議
その他で強調されまして、完全な人的配置と
予算
の裏づけをされますように強く
要望
を申し上げたいと思います。 この機会に、国土地理院の
調査
部長さんに御
出席
をいただいておると思うのでありますが、お尋ねをいたしておきたいと思いますのは、十三日から岩手県の水沢市で開かれました
日本
測地学会のシンポジュウムで佐藤裕
地殻
調査
部
調査
課長さんが、さきに福岡市で開かれた
地震学会
で東大理学部の石橋克彦助手が発表して関心を呼びました駿河湾
地震
説の根拠の一つとなる測定結果を発表されたようであります。これについて新聞には短い記事でありますから、もう少し詳しく御
説明
をいただきたいと思います。
原田健久
27
○
説明員
(原田
健久
君) ここに現実に発表いたしました佐藤
調査
課長が参っておりますので、佐藤
調査
課長から答弁させたいと思います。
佐藤裕
28
○
説明員
(佐藤裕君) お答えいたします。 国土地理院では、明治二十八年ごろから駿河湾のみならず全国一帯について
測量
しているわけでございますが、駿河湾一帯については五回ないし六回の
測量
がございます。その結果を解析しますと、興津から御前崎にかけての駿河湾西岸は、大体最近八十年間に四十センチぐらい沈降しているということが判明いたしました。それから一等三角
測量
というのがございまして、それが明治と戦後に改測されているわけでございますが、その
測量
結果を解析しますと、伊豆半島と駿河湾の距離約四十キロないし五十キロの距離でございますが、その間の距離が六十センチから七十センチぐらいの縮みを示しているということに結果が得られております。この変動はかなり
日本
の他の
地域
と比較しまして大きいということは言えると思います。ただ、この変動は最近になって生じたものではなくて、明治時代から
測量
の結果を見る限りにおいてはほぼ一様に進行しているというものと判断されます。 以上が、私が水沢の測地学会で講演した内容でございます。
中村波男
29
○
中村波男
君 そういう問題について知識の乏しい私にはわからない点がたくさんあるわけでありますが、御前崎での非常なひずみに対して、
地震学会
で気象庁から
報告
が行われたことに対しまして、先刻
参考人
として御
出席
をいただきました
萩原
地震予知連絡会
の
関係
では、計器を新設すると当初はぼけたデータを示すものと慎重な態度で、たとえ機械は狂っていないにしても埋め込んだ場所の問題があるとも
考え
られるので、御前崎周辺に別の
地震
計を埋めてデータを比較すべきだ、こういうようなことも言っているわけでございます。したがって、あたら不安をまき散らす結果になってはいけないと思いますから、疑問があれば徹底的にやはり
調査
を繰り返す、また、ありとあらゆる
研究
者、学者を集めて検討する、そういうまとめの仕事をしていただくといいますか、そういうことをどこかでやらなければ、それぞれが見解を述べ合っておっては、これまたどちらを信用したらいいのかということになって国民は迷うのでありますから、そういう問題について
政府
機関
における見解の相違等もあるわけでありますので、こういう点をひとつ調整するといいますか、さらに掘り下げる必要を痛感いたすものであります。これについて
国土庁長官
からお
考え
を明らかにしていただけたらと思います。
天野光晴
30
○国務大臣(天野光晴君) これはいろいろ問題があるようでございまして、各方面とも相当の権威のある方たちばかりのようでございますから、それを、
科学技術庁長官
の
前田
君のけさの話では、そういう
関係者
の意見を、起きた場合には取りまとめをするというような処置を講ずることが必要ではないかという意見を、けさ私お聞きしております。そういう点でそのことには私も賛成だから、それはどこにつくるか。これはいま言った中央防災
会議
の中につくるべきものか、それとも
国土庁
の私の方の役所の中にそうした連絡協議会的なものをつくった方がいいのか、科学技術庁につくった方が
予知
ですからいいのかという問題については、よく話し合いをして、そのグループ——グループと申し上げるとはなはだ恐縮ですが、たとえば学者なら学者
関係
、地理院なら地理院
関係
で出したものを独自に出すことによっていろいろな問題が起きてくるということが
予知
されますので、そういう点ではそれを全部でコントロールできるような場所をつくりたいと
考え
ております。これは前向きで検討いたしたいと思います。
中村波男
31
○
中村波男
君
最後
に、
地震
問題に対する
最後
でありますが、
建設省
にお伺いしておきたいと思いますのは、大都市震災
対策
推進
要綱に基づきまして、
建設省
においても所管施設の耐震点検を行われてきたと思うんでありますが、現在までに完了しております施設の範囲、点検の方法、点検の結果等について、この機会に
説明
を求めておきたいと思います。
栂野康行
32
○
政府委員
(栂野康行君)
建設省
におきましては、
昭和
四十六年に都市施設、
河川
、
道路
、公営住宅、それから官庁建物につきまして耐震性に関する点検を
実施
したわけでございます。その方法でございますけれ
ども
、これは対象施設によりましてもいろいろ異なっております。それで、
最大
的な公約数で言いますと、そういう施設の亀裂、それから傾斜、あるいは老朽度、そういうものの
調査
を現地におきまして
実施
したわけでございます。そのほか官庁の建物などにおきましては、図面による検査をあわせ
実施
しました。その点検しました総数は約三万八千ヵ所でございまして、そのうち
対策
を要すると認定された施設は約四千八百ヵ所でございます。 大体以上でございます。
中村波男
33
○
中村波男
君 まだいろいろお尋ねしたい問題があるわけでありますが、時間が参りましたのでまた別の機会にお尋ねをいたすことにいたしまして、
長良川
の
決壊
に伴いまする問題について若干お尋ねをいたしておきたいと存じます。 御
承知
のように、
決壊
場所の
岐阜
県
安八
郡
安八
町、その
上流
の
被害
を大きく受けました墨俣町では、今度の
決壊
に伴う
災害
というのはこれは人災である。したがって、国に
被害
補償を要求するというこういう動きが活発にいま出てきておるのであります。したがいまして、この二つの町におきまして、なぜ人災だときめつけておるかと言いますと、大きく分けますと四つぐらいにその理由を挙げておるようであります。
堤防
の草刈りなど日常管理に手落ちがあった。それから四十五年度から五カ年
計画
の
長良川堤防
補強工事
がおくれていた。それから
決壊
現場
には
建設省
の職員がいたにもかかわらず適切な指示がなかった。それから以前から指摘をいたしてまいったが、ガマの問題が放置したままであったと。こういう欠陥から
決壊
という大
災害
か起きたんだと、こういうふうに言っておるのでありますが、これについて
建設省
の態度といいますか、お
考え
といいますか、今後どう対応されるかについてこの機会にお聞きをしておきたいと存じます。
栂野康行
34
○
政府委員
(栂野康行君) 今回の水害というものは非常に異常な
豪雨
によって破堤したというふうに私たちは
考え
てございます。その点本当に
地元
の方にはお気の毒でございますけれ
ども
、天災によるものというふうに
考え
てございます。 先ほど先生おっしゃいましたいろいろな問題点でございますけれ
ども
、草刈りの問題につきましては、現在も二回刈りあるいは一回刈りというふうに定期的にやってございまして、今後ともそういうふうに日常の管理に遺憾のないように期してまいりたいというふうに
考え
てございます。その他
堤防
工事
の問題あるいは水防の問題等いろいろとございますけれ
ども
、いわゆる水防の問題にしましても、やはり
地元
の水防管理者と一体となって
堤防
を守っていくということでございます。ガマの問題にしましても、今後ともそういうことをさらに
調査
し検討してまいりたいというふうに
考え
てございます。
中村波男
35
○
中村波男
君 草刈りの問題ですが、これはなかなか
予算
が不足をしておるのかと思いますが、実際には年に一回刈り、二回刈りとおっしゃいますけれ
ども
、そのようには実行されておらない。したがって、
決壊
場所等は実に草が長く伸びほうだいに伸びましていわゆる亀裂が起きた、あるいは水が漏れかけたというのに発見が困難であった。この実態というのは、これは現実の問題でありますから無視されては困りますし、否定をされてはいけないと思うのであります。したがって、私も二、三日後に現地に行ったわけでありますが、事実大変な草が生い茂っておったわけであります。 それからもう一つこの機会にお尋ねしておきたいと思いますのは、堤外地におけるいわゆる雑木が生い茂っておるという実態であります。これは
地域
の住民の皆さんが、どこへ参りましても、こういう状態に放置してあるから、それがいわゆる水を阻んで
決壊
の一つの原因になるのだと、だからもっともっと堤外にあります雑木等は切り払うべきだ、こういう点に管理の手抜きがある。私も
各地
を回ってその感を強くするのでありますが、もちろん堤外地の民有地については、その規制等について一定の制約があることはよくわかります。以前でありますならば、養蚕のために桑を植えていたのでありますから、毎年一回ずつ桑を切りますので、そんなに五メートルも八メートルもという桑の木にはならないわけでありますが、今日ではもう桑を採取しませんから、放置してありますから、いわゆる桑の木と言っていいような状態が何ヘクタールと続いておる実態があるわけであります。こういうこと。また、柳等が生い茂っておると、こういう点について全く手をつけない。これはまあこれを切ったらどれだけ流水をよくするかということは議論のあるところであろうと思いますが、しかし、切れば切っただけは水が速く
流れ
て流下しやすくなるということは否定できぬと思うのであります。そういう点について
建設省
のお
考え
はどうなっておるのか、お尋ねします。
栂野康行
36
○
政府委員
(栂野康行君) まず、堤外地に生えております柳あるいは桑の木ということでございますけれ
ども
、まず官地におきますそういう雑木でございますが、流心部に近いものにつきましてはすでに除去したりしておりますが、なお今後とも
治水
上支障のあるものにつきましては伐採を
促進
していきたいというふうに
考え
てございます。それから先生おっしゃいました民有地にあるものでございますけれ
ども
、これは所有者の了解を得ること、さらに伐採にはやはり補償を含めまして多くの費用が要るということで、いままでもいろいろ検討してきたところでございますけれ
ども
、今後影響の程度が非常に大きいところから、積極的に地主さんともいろいろ協議しながら、その伐採について努力していきたいというふうに
考え
ます。
中村波男
37
○
中村波男
君 私、ちょっと勉強してみたんですが、
河川
法の八条で、そういう
河川
内の何といいますか障害になるようなものについて除去する道はあると思いますが、しかし、実際問題これは運用されておらない。したがって、川には県の管理の川もあるわけでありますから、
河川
法の改正を行うなり、あるいは私が
考え
ますのに、県の条例等において、たとえば桑なら桑というのは、そんな八メートルも五メートルも大きくすることはあり得ないわけでありますから、いわゆる作物として使うという場合はそういうことはでき得ないわけでありますから、したがって、そういうものについてはみずからが切らなければならぬというような、そういうことを義務づけるようなことも一つの方法ではないかというふうにもまあ
考え
るのでありまして、時間もありませんから、検討をいただきたいと思います。 それから無数にあるガマですね、これはまあ大変な不安動揺を与えておりますし、危険限りないことだと思うわけであります。したがって、これを当然今度の
災害復旧
の中に入れまして、完全にこれをひとつ科学的な究明を行いますと同時に、ガマの
被害
を食いとめるようないわゆる措置をぜひ
考え
なければいけないのじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。
栂野康行
38
○
政府委員
(栂野康行君) なかなかガマにつきましては、昔から、故老の話によりましても、
方々
でふえておったという事実がございまして、
改修
に伴いまして
水位
の低下に伴ってガマが減ってきたという事実はございます。しかしながら、ガマの問題につきましては学問的にも非常にむずかしい問題でございますけれ
ども
、大きなガマが
発生
する地区からまずいろいろ重点的に手当てしてまいりたい、いろいろ勉強して手当てしてまいりたいというふうに
考え
ます。
坂野重信
39
○
坂野重信
君 本日は、
治水対策
にしぼりまして、
建設省
と
国土庁
にお願いいたしたいと思うんです。
災害
以来、両大臣初め
建設省
の皆さん、それから出先の皆さん、県庁の皆さん、非常に日夜苦労されて、先般も
岐阜
県に
災害
視察に行きましたときも、土木部の皆さん等本当に日夜苦労されているという姿をよく拝見したわけであります。 まず
河川
局長に、今度の
災害
の経験にかんがみて点検をやるということですが、点検の要領、いつごろまでにこれを終わるのか、まずそれをお聞きしたい。
栂野康行
40
○
政府委員
(栂野康行君) 今回の
洪水
にかんがみまして、直轄
河川
の
堤防
の総点検を行いたいということでございます。その点検の
実施
要領、どういうふうに点検をやっていくかということにつきましては、現在その内容を検討中でございます。しかし、これは
土木研究所
などともいろいろ話し合っておりますが、早急にまとめていきたいというふうに
考え
ます。点検の時限といいますか時点、いつまでに点検を完了するかという問題でございますが、明年の
出水
期までに一応の取りまとめを行いたい。それからさらに
調査
検討を要する事項、たとえば
堤防
の設計基準に関する問題とか、そういう基本的な問題につきましては、一、二年のうちにできるだけ早く取りまとめを行いたいというふうに
考え
てございます。
坂野重信
41
○
坂野重信
君 できるだけ早くひとつがんばっていただいて、そこで点検の結果は一体公表するのかしないのか。それをお伺いしたいのと、点検の結果をどういうぐあいにこう反映していくのか、その辺の
考え
方を御
説明
願いたいと思います。
栂野康行
42
○
政府委員
(栂野康行君) 点検の結果につきましては、毎年県が水防
計画
書をつくってございます。その中に反映させていきたいというふうに
考え
てございます。 それから、どのようにその点検結果を生かすかという問題でございますが、早急に
対策
を必要とする
個所
につきましては来年度からでも着手いたしたいと。その他
対策
を必要とする
個所
につきましては、第五次五カ年
計画
で必要に応じて
実施
してまいりたいというふうに
考え
てございます。
坂野重信
43
○
坂野重信
君 公表はどういうぐあいな方法でやるのですか。
栂野康行
44
○
政府委員
(栂野康行君) 公に公表するということじゃなくて、水防
計画
書ですね、各県で水防
計画
書をつくると義務づけられておりますので、水防
計画
書の中にそれを反映さして明らかにしていくと、そういうふうにしていきたいというふうに
考え
てございます。
坂野重信
45
○
坂野重信
君 次に、
堤防
の設計基準の問題なんですが、今度の
出水
で、いままでに経験しないような非常に長い
洪水
が続いた。しかも雨が長期的にわたって降り続いたということで、いままでの
堤防
のつくり方ではどうも不安じゃないかという声が非常に大きくなっているけれ
ども
、その辺についてこの際やっぱり見直しを行うべきじゃないか。 先般現地を見たときに、牧田川の養老の根古地地先ですか、改良
復旧
で、裏護岸に、
道路
兼用だと思いますが舗装をして、その水抜きをうまく
堤防
に
流れ
ないようにやっているというようなこと。今後、いままでは
堤防
というのは、どうも余り舗装しては悪いというような観念があって、神様ということで、
堤防
の上は
道路
まかりならぬという思想が長い間続いたわけですけれ
ども
、その辺の問題等についても、今度の経験にかんがみてやはり
考え
直す時期に来たんじゃないかと思いますけれ
ども
、その辺をどういうぐあいに
考え
ておるのか。
栂野康行
46
○
政府委員
(栂野康行君) 今回の
長良川
の
災害
でございますけれ
ども
、いわゆる長時間の連続降雨と、長時間の高い
水位
が続いたという異常な外的条件が重なったわけでございます。それで、全川にわたりまして
堤防
が、いま先生おっしゃいましたように、
のり崩れ
等その他いろいろ危険な状態になったということでございます。したがいまして、そういう場合にもどういうふうな
堤防
の構造にすれば安全であるかという問題、あるいは
堤防
を大きくしない場合にはどういう
対策
があるかとか、そういう面につきまして現在
土木研究所
を
中心
に
建設省
の総力を挙げて
実施
中でございます。 それから先ほど、
堤防
と
道路
との関連でございますけれ
ども
、やはり裏護岸を
道路
に使うとか、いわゆる
堤防
の効用とあわせまして
道路
の利用ということも
考え
てまいりたいというふうに
考え
ます。
坂野重信
47
○
坂野重信
君 現地を私
ども
各党の皆さんと一緒に見たわけですけれ
ども
、いろんなことを
地元
の皆さんはおっしゃっております。ガマを放置しておったじゃないかとか、
堤防
のどうも管理が悪いじゃないかと、いろいろございますけれ
ども
、総合的な観点から言うと
治水
施設のやっぱり立ちおくれだということは指摘せざるを得ないと思います。そこら辺が私は一番の根本じゃないかと思っております。歴代の
建設
大臣初め事務当局、非常に苦労して
予算
の獲得をしているにもかかわらず、やはり
治水
予算
というものが伸び悩んでいるというために
治水
施設が不十分だと。水防の話を聞いてみましても、自衛隊を初め県の皆様が不眠不休になって水防作業をやっておる。しかし、とうとう幾つかのピークを過ぎた後に
堤防
が持ち切れないで
決壊
したと、非常に残念でございますけれ
ども
。特に中小
河川
や砂防に至りますと、もうずたずたにやられている。直轄でさえも
決壊
したというようなことでございますから、やはり根本的にはひとつ治山
治水事業
というものを
推進
する以外にはないということを痛感したわけでございます。 いろいろ批判はあろうかと思いますし、
長良川
の
決壊
の問題についても、責任論があるいは出てくるかと思いますけれ
ども
、何といっても
治水
治山
事業
というものを抜本的にひとつ
推進
するしかないと思うわけでございますが、その辺についての
建設
大臣の所見をお願いいたしたいと思います。
中馬辰猪
48
○国務大臣(中馬辰猪君) ただいまの
坂野
委員
の御質問、御
要望
は、私も実はしばしば
委員会
等において言明をいたしておるわけでありますが、あなたも御
承知
のとおり、従来
治水計画
についてはなかなか
予算
が取れないという悩みをあなた自身が痛感されたと思うんですよ。そこで、三木総理も、思い切ってひとつ
治水計画
を練り直して抜本的な
対策
を講じてほしい、こういう強い指示が私にもありまして、いま当局と鋭意詰めておる
段階
でございまして、なかなか容易ではないと思いますけれ
ども
、決死の覚悟でひとつ大蔵省と当たりたい、こういう気持ちですから、ぜひひとつ御協力を願いたいと思っております。
坂野重信
49
○
坂野重信
君 きょうはちょっと大蔵省の都合が悪いようで、大蔵省にはまた改めてこういう問題いろいろ追及したいと思うんですが……。 そこで、前々からこれは言われておりますし、非常にむずかしい問題だと思いますけれ
ども
、財源問題。受益者負担、ダム等はそういうことが行われておるわけですけれ
ども
、もう一遍この辺で
治水事業
についても受益者負担原則といいますか、そういうものによって財源、特定財源というものをやはりもう確保するようなことをこの際検討すべきじゃないか。新聞紙上等でも
河川
局で水利用税というような構想もあるようですし、また先般の
予算
委員会
でも佐藤隆
委員
から
治水
公債、防災公債というような話も出てまいりましたし、
河川
の使用料の問題等についてもこの際やはり特定できるものについては、
河川
をやっぱり使用する、下水道は下水管を使うように、
河川
についても何かそういうようなものを特定し得るものについては、この際ひとつ
考え
てみる必要があるんじゃないか。いろんな障害はあろうかと思いますけれ
ども
、ひとつその辺をこの際検討すべき時期に来たんじゃないかと思うわけでございますが、
建設
大臣と
河川
局長のひとつ見解をお願いいたしたいと思います。
栂野康行
50
○
政府委員
(栂野康行君)
治水事業
というのは、その性格上受益者負担というのがなかなかなじみがたい性格を持ってございます。しかしながら、今回の
災害
とかにかんがみますと、やはりどうしても
治水事業
の飛躍的な発展が必要でございます。そのためにはどうしても新しい何らかの財源が必要になってまいります。それで、現在
建設省
におきましてはいろいろプロジェクトチームをつくりましてその財源問題につきまして検討中でございます。ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
竹田四郎
51
○
委員長
(
竹田四郎
君) 大臣、何かありますか。
中馬辰猪
52
○国務大臣(中馬辰猪君) この間の
予算
委員会
で天野長官からも、
治水事業
については特に特別の公債を発行したらどうだという御意見が出まして、いま二人で相談をいたしておる最中でございまして、極力財政当局ともこの点で折衝してみたい、こう
考え
ております。
坂野重信
53
○
坂野重信
君 官房長になるのか総務
審議官
になるのか担当はよくわかりませんが、
建設省
は
治水
に限らず公共
事業
全般についてひとつこの際財源問題を見直していく必要があるんじゃないか。たとえば
道路
につきましても、いま天野大臣初め非常に苦労されまして
道路
財源をつくって、つくったはいいけれ
ども
、
道路
に使うべきものをほかの一般の公共
事業
以外のものまで持っていくという、まことにこれは不可解な話でございまして、各
事業
ごとにできるだけそういう特定財源というものを
考え
て、それでそれに該当する
事業
に原則として振り向ける、それで多少余裕でもあるという場合には、少なくとも公共
事業
の中にこれを流用するとか持っていくというようなことを
考え
るべきだと思うわけでございます。下水道等その他についても、もう少し特定財源というものをこの際大蔵省と一緒になってひとつ御検討願って、できるだけそういうことによって一般財源を浮かす、浮いた一般財源を、
治水
なんていうのはなかなかむずかしいと思います、そういうむずかしいような
事業
に持っていく。たとえば
道路
の問題にしても、
道路
に
関係
の深い公共
事業
なら話がわかるわけですけれ
ども
、
関係
のないところへ持っていくなんてとんでもない、これは国民から不信を買うような問題でございますから、そういうことを含めてひとつこの際やっぱり洗い直して検討し直す必要があるんじゃないかと思いますけれ
ども
、その辺のひとつお
考え
方を聞きたいと思います。
粟屋敏信
54
○
政府委員
(粟屋敏信君) 先生御指摘のように、今後安定成長に向かうにつれまして財源の制約ということが問題になってまいります。その中で立ちおくれた社会資本施設の整備を進めるためには、一般財源のほかあらゆる手段を講じて特定財源について検討することは当然であろうと
考え
ております。
道路
整備につきましては、おかげさまで
道路
特定財源によりましていままで進捗を図ってきたわけでございますが、五十一年度
予算
につきましては、その一部を他の用途に振り向けたことは財政一般の問題とのかね合いでなされたことでございまして、そういう点ではきわめて遺憾に思っております。今後は一般財源につきまして、一般会計の
予算
につきまして
予算
編成を通じまして強力に大蔵省と折衝をいたしますほか、特定財源についても検討を進めたいと
考え
ておる次第でございます。 先ほど来御議論になっております受益者負担金につきましては、現在下水道で総
事業
費の約一・二%を受益者負担金で徴収をしております。また、有料
道路
につきまして料金を徴収をしておる、これもある種の受益者負担金でございますが、その受益者負担金、公債その他の問題を含めまして今後財源確保に努力をいたしてまいりたいと
考え
ておる次第でございます。
坂野重信
55
○
坂野重信
君 これは非常に重要な問題でございますし、非常に困難な問題と思いますけれ
ども
、
建設省
の大方針として
建設
大臣もぜひがんばっていただきたいと思います。 そこで、
治水
の五ヵ年
計画
の問題でございます。総理も本
会議
で答弁されて、
治水
の五カ年
計画
はぜひ策定したいとおっしゃっていますが、八兆円という要求が出されておりますし、果たしてこれで十分であるかどうかと、これでもって一体
治水
に責任が持てるというぐあいに思っておられるかどうか、この辺をひとつまずお伺いしたいと思います。
中馬辰猪
56
○国務大臣(中馬辰猪君) 一応八兆円ということで内部の意見を調整いたしておりますが、まだ最終的に決まったわけじゃございません。まだ現在個々別の問題もありますから内容を詰めておる
段階
でございます。
坂野重信
57
○
坂野重信
君 八兆円で十分かどうか問題あろうかと思いますけれ
ども
、ぜひひとつ
建設
大臣がんばっていただきたい。 もう一つの問題は、予備費でもってよくかっこうつけられるわけですよ、
道路
にしてもその他の
予算
にしても予備費でもって。あとこの問題は大蔵省に機会改めて追及したいと思っていますけれ
ども
、予備費を多くして上げ底のような
計画
をつくったんでは全く意味がないわけでございまして、その辺が簡単に納得されないようにひとつぜひ責任者としてがんばっていただきたいと思うわけでございます。早くこの
治水
が八兆円でいいかどうか中身等についても検討されなければならぬと思いますけれ
ども
、ぜひひとつこれはがんばっていただきたいと思います。 それから次は、時間の
関係
もありますので余り長く質問できませんが、流域開発と
治水
とのバランスの問題、これは先般
災害
視察団が参りましたときに大分この話が出てまいりました。現地の皆さんからも出ましたのは、
土地改良
が先行しておって全部
河川
にしわ寄せがきている、そのために今度の
災害
が起きたのだということを住民の皆さんからも強い指摘があったわけでございます。従来はそういった農業の問題だけじゃなくて、都市周辺の土地開発、
宅地開発
等によってとかく
治水
施設に重圧がかかってくるという傾向が非常に多くなっておりまして、そういう問題のために、また開発自体が進めようと思っても難航している。住宅団地等もそういう傾向が
随所
に見られるわけでございますけれ
ども
、
国土庁
が非常に苦労されて調整費もだんだんふえてまいりましてやっているわけですけれ
ども
、あるいはまた個別的に開発者に一部負担させるというようなこともやっているのですが、どうもやはり流域開発と
治水
とのバランスという問題が、先般も望月
委員
からも質問ございましたけれ
ども
、非常にこれは重要な問題でございますし、制度的にこの辺でひとつ思い切って総合的な施策を
考え
るべきじゃないか。これは一
建設省
だけではできないと思いますし、
国土庁
が
中心
になられて、その辺のやはり開発問題と保全、特に
治水
というような問題とのバランスというものをひとつ制度的にこの際
考え
ていただく必要が出てきたのじゃないかと思いますけれ
ども
、その辺のお
考え
方を
国土庁
の方から、長官なり局長からお願いいたしたいと思います。
天野光晴
58
○国務大臣(天野光晴君)
予算
の需要供給のバランスの問題、いまどうなっているのか、その調整について、具体的なことばよく
承知
しておりません。それは局長が見えておりますから答弁させますが、十二分にいまの状態で賄い得るものとすれば、
河川
とたとえば
土地改良
、あるいは基盤整備と
道路
というような関連性の一方手おくれになる方に対して調整費を用いて同時に完工、仕上げをするというやり方でございますが、それだけのいままでの経験からいって、そうした何といいますか独立したものを、
機関
をつくってやらなければいけないかどうかという問題、いままでの経緯について局長から答弁させます。
下河辺淳
59
○
政府委員
(下河辺淳君) いまお話がございました
事業
調整費でございますけれ
ども
、昨今では御指摘のように、
事業
調整費の主要な課題は、
土地改良
と
治水事業
との調整という課題が非常に多くなってきておりますから、御指摘のような実態が非常にふえてきているということは、われわれとしても非常に憂慮しているところでございますから、
事業
調整費の運用に当たってそういった方向をさらに強化してまいりたいと思いますが、御指摘のとおりに、それだけではどうも十分ではないのではないかという御指摘をいただいたわけでありますが、一方で
河川
の流域の開発が野放しでは困るということがございますから、それにつきましては
建設省
の都市
計画
法あるいは農林省の農振法、森林法などで開発行為の規制の取り締まりを実は始めたわけでございまして、開発の側から
治水
に対する十分な配慮ということで仕事を始めておりますけれ
ども
、昨今では
建設省
でもうすでに始められておると伺っておりますが、
治水
の側から
河川
の流域の開発についてしかるべき措置を講ずる必要があるのではないか。両者からの規制が総合化することによって
河川
というものの適正な維持ができるということが言えるだろうと思いますので、そういった意味で、いま御指摘いただきました総合的な施策を講ずる必要があると
考え
ておりますが、果たしてどういう制度になるか、あるいは大臣からお答えいたしましたように、必ずしも機械的に全部統合してしまうことがいいのか、あるいはそれぞれの部局において
治水
との
関係
を明確に規制していただく、あるいは
事業
を
推進
していただくのがよろしいのかというところは、もう少し検討させていただきます。
坂野重信
60
○
坂野重信
君 新聞報道に先般出ておりましたが、
建設省
では総合
治水
というようなことで
計画
されているようでございますが、その辺をひとつ簡単に御
説明
願いたいと思います。
栂野康行
61
○
政府委員
(栂野康行君)
災害
を防ぐには
治水
施設を整備するということが第一でございますけれ
ども
、それとあわせて、流域と川との関連がどうあるべきかということを検討するいわゆる総合
治水対策
といいますか、総合
河川
対策
といいますか、そういう
計画
が必要だということで、
建設
大臣の指示によりまして現在
建設省
で検討中でございます。 その内容につきましては、まず一つは、降った雨ができるだけゆっくり川に入ってくるにはどうあるべきか。これにはいわゆる土地の利用
計画
も関連してまいります。それから第二点としまして、土地の適正な利用あるいは水に強い建築様式あるいは町づくりとかこういう問題、さらにはいわゆる
洪水
がはんらんする区域、あるいは土石流による危険区域と、そういうものを
調査
して、各住民によく自分の土地がどういう土地であるか知ってもらって避難
体制
に万全を期してもらうと。あるいは、そういうものがまた土地利用の規制あるいは適正な土地利用に役に立つとか、そういうふうに総合的な面、流域を踏まえた
河川改修
、あるいは
河川改修
を見詰めた流域開発のあり方と、そういうものを検討してまいりたいということで、現在
河川
審議会の中に小
委員会
を設けて検討するべく準備中でございます。 それから、ちょっと話は前に戻りますが、先ほど先生が八兆円の中に予備費の上げ底じゃ困るというお話ありましたけれ
ども
、
建設省
としましては今回の
災害
にかんがみまして、八兆円というのはネットの八兆円でございまして、予備費は八兆円の枠外であるということでございますので、絶対にネット八兆円を確保すると、最低八兆円を確保するということでございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
坂野重信
62
○
坂野重信
君 そこで、そういう流域等の問題をやるためには、やっぱり
地域
の住民の皆さんやら
関係者
の皆さんにこの
治水
施設の実情というものを十分認識させるような方法を
考え
ておきませんと、いたずらに
災害
起きた後、何でもかんでも
治水
当局の全責任だというぐあいにされましても、これまあ非常にむずかしい問題でございますし、そうかといって、そういうものを十分
予知
するような方途をとっても責任論は免れないかもしれませんけれ
ども
、やはり後手後手で、一生懸命やっておいて、
災害
起きたら、これ責任だということになってきますと、幾ら体があっても足らぬわけでございます。そういうことでございますから、そういうことを十分考慮して、やはりそういう
治水
施設の実情というものをアピールするような方法を検討すべきだと思いますけれ
ども
、その辺どうでしょうか。
栂野康行
63
○
政府委員
(栂野康行君) 現在の
建設省
では各
地域
の安全度といいますか、いわゆる
洪水
はんらんの予想区域、あるいは山津波といいますか土石流の危険区域、そういうものを現在
調査
中でございます。また一方、現在大
河川
におきましては、既往の
洪水
でここまで浸水したというものを町に表示したりやってございます。今後そういう自分の
地域
の安全度というものを
地域住民
に十分知ってもらっていきたいというふうに
考え
てございます。それで現在、
昭和
五十一年度、本年度からでございますが、いわゆる
洪水
はんらん予想区域あるいは土石流危険区域の
調査
を行っております。これらの成果を待ちまして
地域住民
と一体となって
治水対策
に向かってまいりたいというふうに
考え
てございます。
坂野重信
64
○
坂野重信
君 さっきの下河辺局長の答弁に関連したことですが、先般現地を見た中で、牧田川水系の
杭瀬川
支川
の大谷川がやっぱり水害の常襲地帯というようなことで、少し雨が降るとすぐ浸水する。いまのうちならば家がまだ立て込んでない。しかし、将来開発の
可能性
が非常に強いというようなところ、こういうところを住宅行政の立場ではっきり遊水区域であるとか、あるいは制限区域というようなものを設けて、その中ではもう一般の住宅は制限する、あるいは建てる場合に構造設計という面で制限を加える、一定の注文をつけるというようなことをこの際
考え
るべきだと思うんですけれ
ども
、その辺はどうでしょうか、住宅局長、
河川
局長。
栂野康行
65
○
政府委員
(栂野康行君) まあ自然遊水地的な
地域
でございます、現在内水がたまっておると、そういう
地域
でございますけれ
ども
、そういうところにつきましては、
湛水
による
災害
の
発生
が当然予想されます。したがいまして、都市
計画
の定めがある場合には市街化調整区域としまして、市街化が抑制されておるところでございます。しかし、都市
計画
の定めがない場合でございますけれ
ども
、今後適正な土地利用の充実が必要であろうかということでございます。したがいまして、先ほどの総合
治水対策
の中におきましても
考え
てまいりたい。と同時に、
治水対策
上
計画
的な遊水地をつくっていく。たとえば都市付近におきましては多目的遊水地とかそういうものをつくっていく、そうしまして水害を防いでまいりたいというふうに、
上流
におきましてはダム、中流あるいは下流におきますそういう
湛水
地域
におきましては、いわゆる
洪水
調節池と遊水地を活用する、あわせまして
河川
の
改修
の万全を期してまいりたいというふうに
考え
ます。
山岡一男
66
○
政府委員
(山岡一男君) 基本的にはただいま
河川
局長から御答弁あったとおりでございますが、特に土地利用の問題といたしまして、先生御指摘の場所は現在調整区域ということになっておると思います。そういう調整区域の開発許可制度の活用によりまして当面いろんな建築の制限等行われると思いますけれ
ども
、なお
建築基準法
には三十九条というのがございまして、
災害
危険区域を定めております。「地方公共団体は条例で、津波、高潮、
出水
等による危険の著しい区域を
災害
危険区域として指定することができる。」というのがございまして、
災害
危険区域に指定をいたしますと、建築物の建築の禁止、その他家をつくる場合にはこういう構造にしなければならないというふうな必要な規制ができることになっております。現地の
状況等
によりまして、そういう必要があれば
災害
危険区域の指定等もできるというふうに
考え
ておる次第でございます。
坂野重信
67
○
坂野重信
君 余り例はないと思いますけれ
ども
、そういう制度的に現行制度を活用できるものはひとつ勇気を持ってやっていただきたい。 それで、
長良
河口
ぜきの話が先ほ
ども
出ましたが、
地元
の事情でちょっと本格的な
着工
がおくれているようでございますが、ちょうど公団事務所に行きましたら、PRの映画がりっぱなのができ上がっておりまして、参議院の視察団がきょう来るためにやっと間に合ったのだというようなことで、りっぱなPR映画をつくっておりました。なぜ
長良
の
河口
ぜきが
治水
上必要であるか、非常にりっぱな映画ができておりまして、非常に敬意を表したわけですか、こういうPRを——
長良
の
河口
ぜきができれば川底も掘削、
しゅんせつ
できる、そうすれば
水位
も相当上まで下がってくれるのだというようなことをもう少し思い切ってPRされて、私も
岐阜
の知事さんに会ったら、この水害を契機として
長良
の
河口
ぜきに対するムードがかなり変わってきたというようなことも知事さん言っておられましたので、この機を逸せずひとつ徹底的なPR努力というものをお願いいたしたい。 もう一つは、下流の地盤沈下の問題もあるわけでございますし、これまた地盤沈下したために今度の降雨によって水害が、内水が相当ふえておると思いますし、そういう意味においてもひとつこの際格段の努力をぜひ望みたいわけでございます。
建設
大臣あるいは
国土庁
の水資源局長から御答弁願いたいと思います。
中馬辰猪
68
○国務大臣(中馬辰猪君)
長良川
の
河口
ぜきについては、私も
現場
で知事と会見をしたわけでありますが、知事の話次第で私としてはいつでも本体
工事
に
着工
したいということを強く言明をいたしておるし、知事自体も、一人反対があったからもう絶対にしないとかというのじゃなくて、県内の大勢を見て大体これでいけるというときは
建設省
に対して上申したいと、こう言っておりますから、知事だけに責任をかぶしたようで恐縮なんですけれ
ども
、知事が腹を決めればこっちは間髪を入れずサインを出すということは、もう当地でも言明いたしておるわけであります。今回の
災害
で県内のムードが大分変わって積極的な勢いが出てきたということは私もしばしば聞いておりますから、そのムードがもっと高まるようにひとつ具体的に私
ども
としても手を打ってみたいと、こう
考え
ております。
飯塚敏夫
69
○
政府委員
(飯塚敏夫君)
長良川
の
河口
ぜきでございますが、先ほど先生御指摘のとおり
治水
、利水の両目的がございますが、その
河口
ぜきを設置することによりまして、河床の低下を図りまして流下能力を大いに増大できる施設でございますので、私
ども
といたしましては、今回の
出水
にかんがみまして一刻も早く
治水対策
が緊急に
推進
できますように、この
河口
ぜきの
建設
に一生懸命で邁進してまいりたいと思います。御指摘のとおり、
地元関係者
のいろいろな諸問題があるようでございますので、私
ども
といたしましては大いに
関係者
の理解と協力を得るように努力してまいりまして、早急に
実施
をしてまいりたいと思っております。 それから地盤沈下の問題がございましたが、全国的にも地下水のくみ上げによりましていろいろ地盤沈下が進行していますが、これらにつきましては
災害対策
上放置できない
状況
でございます。このため、地盤沈下を防止するために適切な地下水採取の規制措置を講じますとともに、代替水の
確保等
を
推進
する必要がございます。これに対しまして
国土庁
といたしましては、現在議員立法として御検討なさっております地下水の保全及び地盤沈下の防止に関する
法律案
というものがございますが、これらの早期成立が図られますように私
ども
といたしましても協力してまいりたいと思っておる次第でございます。 なお、当
長良川
下流
地域
につきましては、その代替水につきましては一刻も早く木曽川水系水資源開発基本
計画
に基づきます水資源開発
事業
の
推進
を図りまして、その代替水の確保に努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
坂野重信
70
○
坂野重信
君 私は、先般参りましたときに、
岐阜
の市長さんも来ておられましたから、
長良
の問題はこれは
岐阜
市にも
関係
あることだ、市長さんひとつ先頭に立って
促進
の方向に向かいなさいということを強く主張したわけです。それで、
長良
の
河口
ぜきができた場合に、この
水位
の低下が一体どの辺まで及ぶのか、PRをされておると思いますけれ
ども
、その辺をひとつ計算されて、相当かなり上の方まで
水位
が下がってくると、その辺のところがもう少し的確にPRされて、私はこれは
岐阜
市長の責任じゃないかということを言ったわけです。上の方で反対反対と言っていたんじゃどうにもこれしょうがないじゃないか、
地域
の直接の皆さんのいろいろ意見があるようですけれ
ども
、
上流
側から自分の方のやっぱり
洪水
の疎通に
関係
あることですから、ひとつがんばってもらいたいということを市長にも
要望
しておきました。
最後
に、もう時間ございませんから、三全総の関連でお伺いいたしたいと思いますが、いま
国土庁
で三全総
計画
を鋭意策定中のようでございますが、この中で国土保全に一体どの程度力点を置いておられるのか、まずその辺をお伺いいたしたいと思います。
下河辺淳
71
○
政府委員
(下河辺淳君) 第三次全国総合開発
計画
は現在作業中でございますから、結論的に申し上げるわけにまいりませんけれ
ども
、過密過疎を解消するという基本的な課題に対応しまして、その過密過疎を解消するための基本的な前提としては、生活の基盤である国土が安定的でなければならないことは当然でありますから、その意味で、第三次全国総合開発
計画
の中で国土全体というものに非常に大きな力点を置いて策定したいと
考え
ております。
坂野重信
72
○
坂野重信
君 それで、そういうことによって三全総がまだ固まっていないようですが、これから最終的に長官の方で固めると思いますが、固まり方の内容いかんによっては、先般策定されたこの新経済
計画
の中にも百兆円、シェアまである程度決めておられるようでございますが、場合によっては、三全総のまとまり方いかんによっては経済
計画
の見直しといいますか、あるいはさらにその中身のシェアの問題も果たしてあのとおりでいいかどうかというような問題まで入っていくんじゃないかと思いますが、その辺のお
考え
がどうなっていますか。まず新経済
計画
を大体策定するときに、むしろ三全総の方が先に策定されて、それに乗っかって経済
計画
というものはやるべきなんで、経済の方が先行しまして、とかく私
ども
公共
事業
というものを経済に引き回されて、景気のいいときにはスローダウンして、景気が悪くなったらまた公共
事業
伸ばす、千五百億の問題にしてもせっかく当てにしておったものが、今度大分景気がよくなったから、
災害
が起きたからあれはちょっと
考え
直しましょうというようなことはまことに不可解なことでございまして、これは
国土庁長官
なり
国土庁
の皆さんは、やはりこういうことはまことに不都合なことだと思います。やはり三全総というものが先行したその上で、経済
計画
とマッチしてすべての
計画
というものが私は行われてしかるべきだと思います。その辺の
考え
方を含めてひとつ局長から御答弁願って
最後
に
国土庁長官
のこの辺の所信をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
下河辺淳
73
○
政府委員
(下河辺淳君) 第三次全国総合開発
計画
をできるだけ早く策定したいと
考え
て現在鋭意努力しているところでございますが、その検討につきましては現在
昭和
六十年度を目標にして十カ年
計画
として作業をしておりますが、御
承知
のように経済
計画
の
昭和
五十年代前期経済
計画
は五十五年までの五ヵ年
計画
でございますから、十年
計画
と五年
計画
の相違はございます。そして私
ども
の十年
計画
ができました際には、経済企画庁の方でこの十年
計画
に沿って経済の運営をしていただくということは当然ではないかというふうに
考え
ておりますので、私
ども
の
計画
の決定を待って、しかるべく経済企画庁ともよく連絡をしたいと
考え
ておるところでございますが、現在経済企画庁としては、現在の
段階
では先ほど閣議決定いたしました
昭和
五十年代前期経済
計画
を変えるという
予定
はしておりません。ただし、この経済
計画
については社会資本だけの問題ではなくて、経済あるいは物価、エネルギーその他総合的な観点で絶えずフォローアップといいますか、ローリングをしようということになっておりまして、企画庁におきまして、審議会を通じて絶えずフォローアップをしておりますので、必要に応じてはやはり社会資本についても再検討していただくという必要が出てくるのではないだろうかというふうに
考え
ております。
天野光晴
74
○国務大臣(天野光晴君) これは
国土庁
ができたために二つの役所で扱うことになったものでございます。そうですから、経済企画庁で両方やっておりゃ大変都合よくいったんだろうと思いますが、別々になったというところで相前後する問題が起きてきたようでございます。で、いま一番指摘されている重大問題は、経済
計画
のために公共
事業
が制約されまして、いま当面せるこの治山
治水
の大きな問題を期待どおりに仕上げるのには、とても前期五カ年
計画
の五兆五千億というようなものではどうにもならないのではないかという私もこれ心配をしておるわけでございまして、幸いこちらは十年
計画
でございますし、向こうは五年
計画
、ちょうど行ったり来たりというようなかっこうになるわけでございますが、この当面せる
災害復旧
に関連いたします、いわゆる全国の治山
治水計画
というものの新五カ年
計画
を発足する来年度の
予算
に当たりまして、まあ変則的な形の上で処理をできるような措置を講ずるように努力をいたしたいと
考え
ております。調整はなるたけ、ソ連とアメリカでありませんから、
日本
の内閣の一つのもとでありますから、よく調整がとれて、こういうでこぼこのかっこうの起きないように自後するように注意はいたしたいと思います。
竹田四郎
75
○
委員長
(
竹田四郎
君) 午前の
質疑
はこの程度とし、午後零時四十五分まで休憩いたします。 午後零時三分休憩 —————・————— 午後零時五十八分開会
竹田四郎
76
○
委員長
(
竹田四郎
君) これより
委員会
を再開いたします。 休憩前に引き続き
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言を願います。
矢原秀男
77
○
矢原
秀男
君 私も
委員会
の一員といたしまして、十二日から十三日までの二日間、
長良
、
揖斐両川
の
被災状況
を視察をして帰ったところでございます。ただいまも御
報告
があったように、私も十何年間にわたって
災害現場
を走り回ったことがあるわけでございますが、
長良
に行きまして一番びっくりしましたことは、木曽川を含めて
木曽三川
と言われるそうでございますが、これだけ巨大な川が、平素のときは結構でございますけれ
ども
、もし
洪水
時になれば本当にふん土のような
河川
になっていく。恐らく
日本
でも
洪水
状態になれば一番恐ろしいところではないかということを私は感じ得たわけでございますが、それを
考え
るたびに、非常にここだけは何とかして多くの
予算
をつぎ込んで
河川改修
等とにかく
復旧
をしていかないことには大変なことになる。こういうふうにしていまなお私の命の中に刻まれておるわけでございますが、そういう意味から見ておりましても、一時間当たりの
雨量
が七十から八十ミリにも達し、特に
長良川水系
では
連続降雨量
千ミリを超える歴史的な記録となっております。 そういう中で、三十四年九月の
伊勢湾台風
当時の同
地点
での
雨量
というものは二百七十三ミリ、
昭和
三十六年六月の
梅雨前線豪雨
の
雨量
は五百八十八ミリであった。こういうふうなことですから、県内の
河川
や
道路
を
中心
にして
随所
ではんらんやがけ崩れ、交通 断などの
災害
というものが相次いだわけでございます。
被害状況
も、九月三十日午後三時現在では死者・行方不明七名、家屋の全半壊及び
床上浸水等被災世帯
が七万六千百二十五
世帯
、
被災人員
は実に二十八万六百四十四人にも達しているわけでございます。これは県全体の人口の一五%に当たる大変な数でございます。被災総額も約千四十二億円に達する未
曽有
の
被害
になっております。こういう中で
住家等
の
個人財産
の
被害
が約三百二億円と
被害
全体の三分の一を占めているのが大きな特色でございます。いま私が重複しながらこれを申し述べましたのは、最初に申し上げましたように、全国で私はこれは第一だと思いますけれ
ども
、
木曽三川
の巨大なこの流域を見たときに、やはり相当力を入れて対処していかなくてはいけない、こういうことを非常に感じております。 この
木曽三川
は、すでに御
承知
のとおりでございますが、木曽川、
長良川
、
揖斐
川の主要幹川から成る木曽川水系でございまして、長野県、
岐阜
県、滋賀県、愛知県及び三重県の五県にわたって、その流域面積は九千百キロ平米、関連区域の人口は名古屋市を初めとして約五百万人で、わが国でも有数の大
河川
であることはこれは当然のことでございます。 そういうことでございますので、まず大臣にお伺いをいたしたいわけでございますが、先ほどからも何回も申し上げておりますけれ
ども
、この
木曽三川
は
洪水
時には全国有数というよりも、私は第一級の本当に、どう表現をいたしますか、
洪水
が出るともう大変な状態になってくるところである。こういう
木曽三川
についての基本的な
治水
に対する御見解というものをまずお伺いいたしたいと思います。
中馬辰猪
78
○国務大臣(中馬辰猪君) 全くおっしゃるとおりでございまして、三つの川は
日本
でも最も大きな川でもあるし、また今回の
災害
を見ても危険な状態があると思います。そこで、
建設省
におきましても、以前からも心配いたしておりましたが、今回の
災害
にかんがみ、いろいろ工夫して、いま検討を加えておる最中でございまして、たとえばダムをつくるとか、遊水地をつくるとか、あるいは
堤防
を築くとか、また
河口
ぜきの問題もありまして、
河口
ぜきがもし完成すればかなりの
水位
の低下が現実に
計画
されておるわけでありまして、総合的な問題でないとなかなか解決がむずかしいというので、そういうものを含めて一体となって解決を図りたい、こういうふうに
考え
ております。
矢原秀男
79
○
矢原
秀男
君 そこで、
木曽三川
は先ほど申し上げました流域面積が九千百キロ平米、総延長にいたしますと二千七百キロメートル、総流出量といたしましては百八十六億トン、灌漑面積も七万七千百ヘクタール、こういうことでございますけれ
ども
、いずれにいたしましても、関連区域の人口が五百万人と言われておりますし、流域内の人口にいたしましても百三十万人になんなんとするわけでございます。 ですから、私はここでまず第一の質問申し上げたいのは、こういう大きな
被害
の中で、
被害
後一ヵ月過ぎるんですけれ
ども
、私たちが行きましても、またいつ雨になって
洪水
になるか、そうすれば必ずわれわれのところは
被害
を受けるということで非常に毎日が安心できない。ということは、逆に
考え
ますと、
行政面
でどうしても力を入れていただきたいということになるわけでございますが、まず第一の質問は、
予算
面についてお伺いをしたいと思うのでございますが、私はここは特殊な
河川
の
地域
でございますという意味で、
日本全国
平均的な
考え
方である
河川
と
道路
における
予算
面のそういうふうなパーセンテージはここでは通用したらいけない。逆に
河川
の方を重要にして、
道路
の負担分というものを小さくしていくか、それとも逆転をしていくか、こういうことは過去何百年前からの
治水
関係
の歴史を見ても明らかでございますけれ
ども
、そういう観点の中でお伺いをしたいわけです。四十七年のときのこの
関係
における
河川
の
予算
、そうして
道路
の
予算
との対比、四十八年、四十九年、五十年、五十一年という最近五カ年の
河川
と
道路
のこの面に関するまず
予算
面というものを明らかにしていただきたいと思います。
粟屋敏信
80
○
政府委員
(粟屋敏信君) 手元には全体の
治水事業
費と
道路
整備
事業
費の表を持っておりますが、木曽
関係
については持っておりませんので、全体のことを申し上げまして御判断をお願いいたしたいと思っております。 四十七年は、
治水事業
費が二千六百九十五億五千四百万円でございます、それに対しまして
道路
が八千五百七億三千四百万円。四十八年、
治水
が三千三百九十一億三千七百万円、
道路
が一兆三百八十五億七千万円。四十九年、
治水事業
が三千三百九十五億九千七百万円、
道路
が一兆三百億七千六百万円。五十年が、
治水
が三千四百九十億九千七百万円、
道路
が九千五百六十八億。五十一年は、
治水
が四千二百五十一億三千七百万円、
道路
が一兆九百五十八億四千八百万円。最近の趨勢はそういうことでございます。
矢原秀男
81
○
矢原
秀男
君 それは全国的な趨勢でよくわかったわけでございますが、私がいま質問を申し上げております一つは
木曽三川
に対するいわゆる中部地方
建設
局管内について五カ年間の
河川
と
道路
の
関係
、それはいまわかりますか。
粟屋敏信
82
○
政府委員
(粟屋敏信君) ちょっと手元に持っておりませんので、後ほど調製をいたしまして御
報告
申し上げたいと思います。
矢原秀男
83
○
矢原
秀男
君 私も何百万円というところの端数まではいま把握をしていないわけでございますが、私の手元にある
関係
から見てまいりますと、四十七年が大体百八十億程度の
河川
ですね、
河川
の
予算
。そうしてそのときには
道路
関係
は四百億を少し超えておりますね。四十八年度の
河川
に対する
予算
というものが二百億ちょっと出ておりますが、
道路
関係
では約五百億円になっております。四十九年のときにも
河川
関係
が二百億少しでございますが、
道路
関係
が五百億ちょっとオーバーしておりますね、四十億ぐらいですか。それから五十年度が、
河川
関係
については大体二百億、そうして
道路
関係
が四百八十億近くでございます。五十一年度が
河川
関係
が二百五十億、約ですね、
道路
関係
が六百億に近い。まあこういう最近五カ年の中部地方
建設
局管内の
予算
の状態でございますが、私はもう先ほどから申し上げておりますように、ここにあれだけの巨大な川が三つも、あるところでは
堤防
一つだけを隔てて大河が続いておる。それに全国的な平均ベースの中で
予算
配分が
道路
と
河川
でなされておる。
災害
になっていつも泣いているのは
被害
住民である。なぜこういうところに
ケース
・バイ・
ケース
というのか、思い切った斬新的な
予算
配分というものが
建設省
でできないのか。そうしない限りこれは毎年
洪水
時には大
被害
を受けて、そうして
被害
の
方々
が御苦労されていかなくちゃならない。この点について私いま質問いたしておりますように、ここのところだけは全国的なそういういまお話がございましたように、
道路
と
河川
の平均的な
予算
配分という
流れ
からではなしに逆にしていくのか、それとももっと
道路
と
河川
の
予算
というものをつけていくのか。いま私がここで申し上げておりますのは、
災害
といえ
ども
何といえ
ども
お金がついて回るからいままでのような全国的な同じような例ではここはいけない。これは私が十数年の経験の上から深刻な立場でやっているわけなんですが、そういう
予算
面の
考え
方を御答弁いただきたいと思います。
粟屋敏信
84
○
政府委員
(粟屋敏信君) 先ほど申し上げましたように、全体といたしまして
治水事業
費と
道路
事業
費では絶対的な差があるわけでございます。それで、
河川事業
の範囲内においては、この
木曽三川
を初めとして、
被害
を受けやすい大
河川
につきましては重点的に配分をしておると思うわけでございますが、何分全体的な
道路
事業
費が多いものでございますから、中部地建をとりましても
道路
事業
費の方が上回っていることはやむを得ないのではないかと
考え
るわけでございます。ただ、先生ご指摘のとおりに
治水事業
費全体をやはり伸ばす必要があると
考え
まして、
治水事業
五カ年
計画
につきましては従来の五カ年
計画
の倍に達する額を要求いたしまして、
治水事業
全体を伸ばし、ひいては
木曽三川
の
治水事業
に今後重点を入れていきたいと
考え
ておるところでございます。
矢原秀男
85
○
矢原
秀男
君
建設
大臣、中部地方
建設
局管内だけは
道路
の
予算
と同じぐらいにまで
河川
のそういう
予算
面での配慮ができないかということを私希望したいわけなんですが、大臣、どういうようにお
考え
でございますか。
中馬辰猪
86
○国務大臣(中馬辰猪君) 具体的なことのお答えはなかなか困難でございますけれ
ども
、木曽川が重大な川であることばよくわかっておりますから、その方向でひとつ検討さしてください。
矢原秀男
87
○
矢原
秀男
君 ひとつその面で力を入れていただきたいと思います。
台風
十七号水害から約一ヵ月以上もたったわけでございますが、これは
長良
周辺だけではなしに全国的に
被害
を受けられた被災者の
方々
は復興に非常に懸命な努力を続けていらっしゃるわけでございます。いずれにいたしましても、非常にかなりの時間と多額の資金を必要とすることは言を待たないわけでございますが、どうしてもここで問題になりますのは、前の
災害
委員会
と
建設委員会
でも議題になっているわけでございますが、不十分な
災害
救済制度というものが非常に問題になっております。現地を訪れましても中小、特に零細企業の
方々
の機械設備やいろんなものが水につかってもうすでに使用不能である。そういうふうなことで行政の手厚い救済というものを被災者の
方々
が多く望んでいらっしゃるわけでございます。 それからまた、現行の個人
災害
制度もまだまだ、先般も一部は改正をされましたけれ
ども
、十分に被災者の切実な声が生かされておらない。こういうことでございますけれ
ども
、これら個人の
災害
救済制度の抜本的な改善というものは今後とももっと大きく窓口を広げてやはり改正をしていかなくちゃいけない。そうしてまた、零細企業等のそういう設備等の
被害
につきましても、あわせてやはりもっと大きく手厚いものにしていかなくちゃいけない、こういうふうに感じるわけでございます。こういうふうな不十分な
災害
救済制度の抜本的な改善というものが、先般の国会で一部だけは大きく上げ幅が上がったわけでございますけれ
ども
、そうではなくして、もっともっとすべてにおいて見直しをしていかなくちゃいけない、そういうめどをいつにつけていくかということを具体的にお願いをいたしたいと思います。
粟屋敏信
88
○
政府委員
(粟屋敏信君) いま先生からお話ございました個人に対する救済を含む
災害対策
諸制度の再検討につきましては、これは本来
国土庁
が窓口となりまして
関係
各省と相談をしてやっているわけでございます。先般
国土庁長官
もきわめて前向きの姿勢で答弁をされましたので、そういうことで御検討になると思っております。なお、
国土庁
いまおりませんが、先生の御質問の趣旨は
国土庁
にもよく伝えることといたします。
矢原秀男
89
○
矢原
秀男
君
災害
についてはどうしても
建設省
中心
になりますから、
国土庁
並びに厚生省へも十分常に働きかけをして、抜本的な改正、そういう面に努力をしていただきたいと思います。いずれにいたしましても、被災者の救済に全力を挙げていかないことにはどうしようもない、こういうことになります。 次に、
現場
を視察いたしまして、現在仮
堤防
ができて二重の矢板でがっちりとできているわけでございます。そのときに私は
堤防
の断面を
安八
町でじっと見ておりましたのですけれ
ども
、
堤防
の断面を見ておりますと砂になっているわけですね。一番やわらかい砂になっているわけです。ですから私、
堤防
断面を見ておりまして、果たしてこれでいいのかどうか、技術的な問題としてこれは本当に検討されなくちゃいけないというふうなことを非常に感じて帰ったわけでございます。さっきも
堤防
断面についての御質問もあったわけでございますが、そういう意味で技術的に、
堤防
断面が
長良川
、そうして
揖斐
川、木曽川と明示されておりますけれ
ども
、こういう断面の中の土壌というものは技術的にどうなくてはならないかということをまずお伺いしたいと思います。
栂野康行
90
○
政府委員
(栂野康行君)
堤防
をつくる場合に大量の土を使うものですから、できるだけ手近な場所から土を採取して
堤防
をつくるというのがいままでの
堤防
をつくる実態でございました。それで、中には近くに砂が多い場合には砂を利用するということで、既往の高
水位
を経験しながらいろいろ断面を検討してきた次第でございます。それで、土としましては砂とか粘土とかそういうものが総合的にうまくミックスしているというのが一番ようございますけれ
ども
、川としましては非常に多く大量の土を使うということで、それは断面でカバーしてきたということでございます。 それで、今度の
洪水
にかんがみまして、あれだけの大量の雨がいわゆる
堤防
があるところでも降った。また、
上流
におきましても千ミリ以上の雨が降って長時間非常に高い
水位
が続いたという経験を踏まえまして、だから、ああいう場合に
堤防
断面がどうあるべきかというものを、土質とあわせまして
土木研究所
が
中心
となってこれから鋭意
研究
を進めてまいりたい。そうしまして早期に結論を得たいというふうに
考え
てございます。
矢原秀男
91
○
矢原
秀男
君 いま私が質問をいたしておりますのは、
現場
決壊
の断面を見まして身ぶるいをしたわけでございますが、
堤防
の定規断面が木曽川の場合も天端で七メーター、それからのり面で内水
関係
の方で八メーター、勾配が一対二になっているわけでございますね。そして五メーターの高水敷等があって、いわゆるハイウォーターレベルと低水面と、こういうふうになっておりますけれ
ども
、
長良川
も七メーター、
揖斐
川も七メーターになっていますね。しかし、下流にいきますともう
堤防
一つで支えている、そうして高水敷すらも十分でない。そうしてまた中流の
地点
に行きましても、いわゆるそういう高水敷等もえぐられた形で最初から全然ない、まともに
堤防
に当たってきている。こういうふうなことがあるわけでございますが、やはりそうなってくると、
堤防
の質というものが懸念されるわけです、技術的には。いまもお話を伺ったわけでございますが、そういうふうに昔からの
土砂
を
中心
とする粘土面、粘土というのは非常に少ないわけですけれ
ども
、そういうふうなことになってくると、相当これ力を入れていかないと、この
木曽三川
においては大変な様相が来るんではないかということで、いま
安八
の破壊
現場
を見ながら心配をして質問したわけでございますが、
堤防
断面も現地の
方々
にお伺いをしますと、その周辺のヘドロというか、砂が
中心
でございますけれ
ども
、とにかくそういうことで昔につくった、そういうふうな
説明
も聞いたわけですけれ
ども
、この
堤防
の再診断というものが、技術的な面から流量
関係
とか力の
関係
とかいろんなことを含めてやはり再検討されなくちゃいけない、こういうように思うわけです。そういう点で
堤防
の断面、強度の総点検をこの
関係
でするかどうか、そういう面をもし
計画
があれば、いまから
計画
するのであればそういう面をお伺いしたいと思います。
栂野康行
92
○
政府委員
(栂野康行君)
堤防
の診断といいますか、総点検といいますか、それにつきましては、うちの
建設
大臣からそういう点検を命令されております、指示されておりますし、現在
土木研究所
を
中心
といたしまして、どういう
堤防
断面であったらいいかという問題が一つと、それからもう一つは、そういうふうに非常に大きな断面になった場合に、じゃそれにかわるものはどうすればいいかとか、そういう面を含めまして
堤防
を診断すると同時に、また
堤防
のあるべき姿というものを現在鋭意検討中でございます。したがいまして、これにはやはりいろいろ実験をしたり、あるいは土と水との
関係
、いろいろ複雑な要素がございますので、できるだけ早急に結論を得たいと思っておりますが、やはりこの一、二年ぐらいはかかるんじゃなかろうかというふうに
考え
ております。
中馬辰猪
93
○国務大臣(中馬辰猪君) いまと関連いたしますけれ
ども
、私も就任早々直ちに、あり余った金があるわけじゃないものですから、限定された
予算
を全国の川に重点的に配分しなきゃいかぬ。しかし、その中でもちょっとした工夫があれば
災害
は多少防げるという地区があるような気がするものですから、直ちに総点検を命じまして、限定された
予算
を重点的、かつ効率的に使うにはどうすればいいかということで、いま局長が申したとおり総点検を命じたわけであります。
矢原秀男
94
○
矢原
秀男
君 じゃ、その点よろしくお願いをいたします。 それから伊勢湾に
流れ
ていくわけでございますが、流量配分については基本の高水流量と合流量というものが秒間に何トンというそういう流量計算の中から出てくると思うのですが、
建設省
で、現在の
木曽三川
についての流量配分というものは大体
計画
どおりでいいのかどうか、その点お伺いします。
栂野康行
95
○
政府委員
(栂野康行君)
木曽三川
とも現在の流量配分で一応いまのところいいと思っております。しかしながら、
揖斐
川につきましては去年の大きな
洪水
、またことしも
揖斐
川につきましても
計画
水位
以上の水が出ております。また、
長良川
につきましても今般の大
洪水
ということで、現在一応はいいと思っておりますが、今後十分見直していきたいというふうに
考え
てございます。
矢原秀男
96
○
矢原
秀男
君 じゃ、次に
木曽三川
の
改修
関係
について具体的に質問いたしますけれ
ども
、一つは、
伊自良川
の
全面改修
の進行
状況
がいまどういうようになっているかということが一つ。第二点目は、
杭瀬川
の
引き堤
については大体進行
状況
が何%であるか。続いて、牧田川の
狭窄部
の
対策
についてはどうなっているか。第四点は、高須輪中の
内水対策
は大体もう完全なのか、それともパーセント的にはどの程度であるか。新堤川の
内水対策
ですね、この点についてはどの程度進んでおるか。それから
堤防
の
補強
についてでございますけれ
ども
、これは大体
木曽三川
として重点的にどういう進捗伏見であるかをお伺いしたいと思います。
栂野康行
97
○
政府委員
(栂野康行君) いま手元に詳しいデータがございませんので、まことに恐れ入りますが概括的なことでお答えいたしたいと思います。 まず、
伊自良川
の
改修
のテンポでございますけれ
ども
、これは中小
河川
で現在やってございまして、今般の水害におきましては非常な
被害
を受けた川でございます。したがいまして、いろいろな
事業
を活用しまして今後積極的にこの
改修
を
促進
していきたいというふうに
考え
てございます。 それから
杭瀬川
の
引き堤
の問題でございますけれ
ども
、これはいわゆる
上流
からの大谷川とかそういう辺の、
大垣
市周辺の
洪水
が入ってくる上におきまして一番ネックになっておる
地点
でございます。これは一度前の
計画
では
改修
が済んだところでございますけれ
ども
、今般のこういう大
洪水
、あるいは現在の
計画
におきましても
引き堤
計画
でございますのでできるだけ早急にやりたいということで、ことしあたりからそういう
引き堤
の用地買収の話に入っていきたいというふうに
考え
てございます。 それから牧田川の
引き堤
でございますけれ
ども
、ここ牧田川は
杭瀬川
と一緒に
流れ
ておる区間でございまして非常にネックになっている地区でございます。また、今般の水害におきまして非常に裏が崩れて、水防によって辛うじて破堤を免れたという
地域
でございまして、この
引き堤
につきましてもできるだけ早急に
着工
したいというふうに
考え
てございます。 それから高須輪中の内水の問題でございますけれ
ども
、これは現在本格的な
ポンプ
場を
着工
してございまして、もう少しこれは今後の様子を見まして、さらに
補強
すべきかどうかというものを検討してまいりたいというふうに
考え
ます。 それから新堤川の
内水対策
でございますけれ
ども
、この付近は
河川
の
改修
が第一義でございまして、まず川からあふれることを防ぐということで、いわゆる
伊自良川
などの
改修
を急いでおるわけでございますが、それでこの新堤川の
内水対策
につきましては現在
着工
しておりまして、現在の
計画
をできるだけ早く竣工させたいというふうに
考え
てございます。 それから
木曽三川
の
堤防
の
補強
の問題でございますけれ
ども
、先ほどの健康診断、
堤防
の健康診断または
堤防
のあるべき姿の決定というものによりまして、今後できれば五ヵ年内にそういう特に危険な
個所
につきましては手当てをしてまいりたいと、そういうふうに努力していきたいというふうに
考え
てございます。
矢原秀男
98
○
矢原
秀男
君 いま一部だけ名前を挙げたわけでございますけれ
ども
、全面的に万全の
対策
を早急に進めていただきたいと思います。 私、ここでちょっとひとつお伺いしたいわけでございますが、明治のときに大
改修
が行われたわけでございます。そのときに
長良川
の場合であれば桑原輪中から高須輪中にはみ込んでくるそういうふうな
河川
の湾曲を
河川改修
されてストレートにされている。高須輪中についても今度は逆に湾曲を木曽川立田輪中の方にするのをストレートに
河川改修
をされている。立田輪中の方はまた下流の方でストレートな
改修
が明治にされているわけですね。そういうふうに長島輪中から、よしがす輪中、そういうふうに下流について明治時代に
改修
がされているわけでございますけれ
ども
、こういうときの流量計算とかそういうふうなあれは、現時点の皆さんの非常に最高の技術面の計算から見て百点満点であったのか、それとも自然の流量の
流れ
に対して
河川改修
がストレートであったがために、ストレートで当たってくるそういう下流面の
堤防
等が逆に
補強
されてないために最近の降雨時に
被害
を受けたのか。そういう点のいろいろな問題点というものを私も疑点を持つわけでございますけれ
ども
、現在の最高の皆さんの技術で百点満点の
改修
であったのか。だから、いままで余り手がつけられてなかったのか。手は少しずつつけていらっしゃるようでございますけれ
ども
、そういう立場から私お伺いをしたいんでございますが、明治
改修
はそれは行われなかったよりも私はよかったと思うんですけれ
ども
、現時点から見て百点満点であったのかどうか、そういうことをお伺いしたいと思います。
栂野康行
99
○
政府委員
(栂野康行君) 明治
改修
のときのいわゆる流量の決め方、あるいは
河川改修
計画
の決め方の問題でございますけれ
ども
、当時におきましてはやはりベストを尽くしておったというふうに
考え
ます。それで、特にこの
木曽三川
につきましては、明治の初期にオランダからデレーケという人が来まして、いわゆる水源から
河口
に至るまで十分歩きまして、いろいろの英知を尽くしてつくったわけでございます。現時点におきましては、当時としてはやはりベストを尽くしておった
計画
だというふうに
考え
ます。
矢原秀男
100
○
矢原
秀男
君 しかし、あれでしょうか、
伊勢湾台風
であるとかいろんな
台風
災害
が来て、では明治
改修
時のような物すごいエネルギーと
予算
というものをそこへ傾注したかどうかということが、現時点の土木工学でやはり問題になる点だと思うわけです。そういう点については、現時点においては明治
改修
にまさるとも劣らないだけの
木曽三川
にはずっと力を入れてきたというのかどうか。私はその点では少し欠けているんではないかと思うわけなんですけれ
ども
、皆さんのこれに、いわゆる
復旧
に対する度合いですね、力の度合い、明治
改修
に負けないだけいま入れているのかどうか。
栂野康行
101
○
政府委員
(栂野康行君) この
木曽三川
につきましては、いわゆる先ほど先生おっしゃいましたように特に
長良川
でございますが、三十四年の
伊勢湾台風
、それから三十五年、これは
長良川
の
計画
を改定した大
洪水
でございましたけれ
ども
、三十五年の大水害、また三十六年の大水害というふうに三ヵ年連続して大きな
洪水
があったわけでございます。また、
揖斐
川につきましても四十年あるいは最近というふうに連続して非常に危険な状態であったわけでございます。したがいまして、そういう
洪水
にかんがみまして
建設省
としましても、
木曽三川
につきましては全国の中におきましても非常に重点を置いて
予算
をつぎ込んで
改修
した川でございます。ちなみに本年度について言いますと、これは木曽川
上流
の管内でございますけれ
ども
、三十五億何がしの
予算
を盛ってございますけれ
ども
、これはいわゆる淀川、利根川に次ぐ三番目の
予算
でございます。こういう連年起きました大
洪水
、また
木曽三川
の流域の開発
状況
、その
重要性
等見まして、今後ともこの
木曽三川
につきましては鋭意重点的に
改修
を
促進
してまいりたいというふうに
考え
ます。
矢原秀男
102
○
矢原
秀男
君 ちょうど
現場
へ参りましたときに、当日の
地元
新聞でも、
長良川
の
決壊
については「住民が国家賠償訴訟へ」という大きな見出しの中で、これは明らかに人災であると、墨俣被災者同盟の
方々
が
委員
の私たちのところで陳情もされたわけでございます。そういう中で、輪中の
締め切り
で
上流
のわれわれは
被害
を受けた、こういうことでお話をされたわけでございますが、この墨俣町が十二日の
長良川
決壊
で全戸数千四百六十一戸のうち千三百四十六戸が床上、
床下浸水
、総額五十五億円の大体
被害
を受けておられるわけでございます。 この問題について、
安八
町より
上流
にある同町が浸水したのは、下流の同郡輪之内町の福束輪中堤を自衛隊が出動して締め切ったために水が逆流したのが原因であると、こういうふうなことで、平野県知事とか県議会の議長とか
建設省
、自衛隊
関係者
の
出席
を求められて、いろいろ住民大会を開くことにされておられるそうでございますが、その中で墨俣町の被災者の
方々
が言われております一つは、墨俣町水害の原因究明と責任の所在、二番目には当面の補償、三番目は将来
対策
の三点にしぼられて、国や県の責任を追及すると言われているわけでございますが、ここでお見えになった奥村さんという
委員長
になられている方ですが、やはりどの
調査
をしても福束輪中堤を締め切ったのが自衛隊であることは明らかであるけれ
ども
、その自衛隊さんにだれが命じたのか
建設省
や県に問い合わせてもはっきりしない、こういうふうなことで実は困っているんだというお話があったわけでございます。私もお話を聞きながら、こういう天災に近い非常に大きな降
雨量
のときでございましたので、上から下までもう大変な指揮系統も乱れがちになったり、もういろいろな状態でとにかく大変であったなということは、私たちも被災
現場
に走っていっておりまして
方々
へ行っておりましたが、わかっているわけでございますが、こういうふうに国家賠償訴訟へというような形のものが出て、そうして
委員長
からわれわれに陳情されているというふうなことになっておりますと、やはりどういう形の中で輪中の
締め切り
が行われたのかということだけ、きょうは一点だけをお伺いしたいと思うんです。
栂野康行
103
○
政府委員
(栂野康行君) この輪中を一体だれが命令して、だれが締め切ったかということでございまして、
建設省
としましてもその辺の
経過
をつかみたくていろいろ
調査
しておる次第でございます。まだはっきりしないものでございますので、また地建の方にもっと何かその真実がわからないかということで、現在またその
調査
を命令しておる次第でございます。
矢原秀男
104
○
矢原
秀男
君 まあこの問題も、今度の
災害
では実際に自衛隊や何かは
方々
で非常に出動して一生懸命隊員の人たちゃっておりました。しかし、こういう問題が出るとですね、自衛隊に指揮をしたのは
建設省
であるのか県であるのかという問題点が出てくるのはやはり当然だと思うんですね、指揮系統の問題ね。まあそういう意味で、とにかく被災者の
方々
というのは、訴訟にして勝った負けたというよりも、やはり二度と
被害
を受けてはいけない、そういうためには原因というものを究明してきちっとしていきたい、そういう非常に心配心からいろいろとこういう一つのものが出てきたと思うわけです。ですから、そういう点については
建設省
もまたよく実態等を把握して、そしてやはり善処をしていただきたいと思います。 それから
木曽三川
についてでございますが、
水防活動
の
個所
ですね、ここはまあ特異でございまして、
水防活動
の
個所
というところは必ず、午前中も質問が出ましたけれ
ども
、
漏水
とかいろんな面の非常にこういうところは多いわけで、
水防活動
個所
即手を打たなくてはいけない、まあこういうことになるわけです。
水防活動
個所
はこの木曽幹川では大体何カ所
建設省
としては把握をされていらっしゃいますか。
栂野康行
105
○
政府委員
(栂野康行君)
木曽三川
全体でございませんけれ
ども
、
長良川
につきましては大体百ヵ所をちょっと超えているというふうに記憶しております。
揖斐
川につきましても
長良川
と同様に各所で
堤防
がすべりまして、水防やってございますので、やはりその程度は水防
個所
をやっておるのじゃなかろうかと思います。それはいずれまた十分
調査
しまして先生のお手元に資料を提出いたしたいと思います。
矢原秀男
106
○
矢原
秀男
君
水防活動
個所
、まあ
長良川
百カ所、
揖斐
川もそのぐらいではないかという御
説明
があったわけですが、この点につきましても防災の立場からきちっと具体的な
対策
というものを立てていただきたいと思います。こういう面についてはどういう具体的な現在までは手を打たれたのか、それをお願いします。
栂野康行
107
○
政府委員
(栂野康行君) まず、一番の破
堤個所
でございますけれ
ども
、あれは直ちに
緊急復旧
やりまして、すでに本
復旧
に
着工
し、来年の二月末には全部を完成さしたいというふうに
考え
てございます。その他の水防をやりまして、のりが崩れたとか、そういう
個所
でございますけれ
ども
、特に緊急なものはすでに
緊急復旧
といいますか
応急
復旧
で手当をしてございまして、本
復旧
につきましては、特に急ぐものにつきましては本年度じゅうに、来年の
出水
期前には完成さしたいというふうに
考え
てございます。全体で
災害
につきましては二ヵ年でそれを
復旧
するということでございますので、特に緊急なやつにつきましては本年度じゅうぐらいに、あるいは遅くとも来年の水前には完成さしたいというふうに
考え
てございます。
矢原秀男
108
○
矢原
秀男
君
湛水
の
排水
計画
でございますけれ
ども
、当局では
最大
の
湛水
量というものが四千二現在
既存
の
排水
門が四門というふうに伺っているわけでございますが、そういう
自然排水
はもちろんでございますけれ
ども
、
長良川
筋の森部の
排水
、中の
排水
、それから
揖斐
川筋では中須川の
排水
、そして牧の
排水
ですね、そういう
関係
は今回の
状況
においてはどういう活躍がなされたのか。それに準ずる
排水
の——これはちょっとあと具体的に質問しますけれ
ども
。
竹田四郎
109
○
委員長
(
竹田四郎
君) 早く答弁してください。
栂野康行
110
○
政府委員
(栂野康行君) この
排水
門につきましては、本川の
水位
が下がると同時にオープン、開きまして、
内水排除
に努めたわけでございます。中には
ポンプ
場な
ども
ございますけれ
ども
、これらにつきましては水没して動かなかったというのが実情でございます。
矢原秀男
111
○
矢原
秀男
君 内水
排水
で
各地
で問題になりますのは、兵庫県の赤穂でもそうでございましたが、浸水で
ポンプ
が稼働できないわけです。今度の視察に行っても、
現場
で一時間近くでございますが、電気設備の不備で稼働できなかったということで非常に水害が多くなったということはこれは通例でございますけれ
ども
、ここで問題になりますのは、電力を送るところ、そうして
排水
ポンプ
を設置するところ、そういうところはせめて
伊勢湾台風
よりも、これは
長良川
の場合ですが、そうして全国
各地
でも最高の危険水域よりも
排水
ポンプ
だけ高くするのではなしに、電気を送るところも、やはり何か東京であれば東京電力でしょう、関西でいえば関西電力、中部であれば中部電力でしょうけれ
ども
、そういう
排水
ポンプ
に連係をするこういう電気
関係
というのは、そういう浸水が来ても何とか十分安全であるというふうなことをしないと、一基五億円でしょう、いま
排水
ポンプ
の設備が、値が上がっていますから。そんなのが全部四基や五基を据えつけなくちゃいけない、お金はかけるけれ
ども
十分動かない。そういうことで逆に
被害
が起きるということになるわけですが、一連の
排水
ポンプ
作動までにおける、そういう安全というのか、そういう面の具体策というものは行政官庁からそういう企業に対してもどういう連係プレーをされていらっしゃるのか。今回の
台風
十七号でもどういう手を打たれたのかということをお伺いしたい。
栂野康行
112
○
政府委員
(栂野康行君)
木曽三川
におきまして直轄で大きな
ポンプ
場をつくっております。その
ポンプ
場につきましては、いわゆる
ポンプ
は浸水しないように非常に床を高くして
ポンプ
を備えつけております。と同時に、電源につきましては、いわゆる電気系統と、それから電気が故障した場合に備えましてディーゼルという二重の系統で、直轄の
ポンプ
につきましては万全を期しておる次第でございます。しかしながら、こういう先生おっしゃいましたいわゆる電気を送るところもできるだけ高いところにということでございますので、この点につきましては、やはりできればそういうことであった方が望ましいと思います。したがいまして、こういう
関係
省庁と十分協議していきたいというふうに
考え
ております。
矢原秀男
113
○
矢原
秀男
君 その点を特によろしくお願いしたいと思います。 じゃあ時間がございませんので、あと一点だけを質問をいたしますが、現地へ参りまして私心配をいたしておりますのは地盤沈下の問題でございます。午前中も質問があったわけでございますが、それを申し上げますのは、私も尼崎でございますので、年に一メートル以上も地盤沈下をしていく、防潮堤の
堤防
すらも一メーターも一年間に下がっていく。工場やなんかでも一メーター近くも下がってまいりますから起重機やなんかもすぐに使いものにならない。そういうふうな中でいろいろな
対策
に従事しました一人といたしまして、
木曽三川
という非常に巨大な
河川
を持っているこの
長良
の周辺が、地盤沈下で追い打ちを受けていく
可能性
が逆に高潮の場合にあるわけでございます。 五十年十一月現在の
状況
を見ておりますと、木曽川の左岸で平均一メーター四十一沈下をしている、右岸で一メーター二十六。
最大
が一メーター九十二、右岸が一メートル七十二。
揖斐
川と
長良川
では左岸で平均的に一メートル八、右岸で一メートル四十七。
最大
で左岸で二メートル八、右岸で二メートル二十二。こういうふうに三十七年から五十年の累計というものが出ているわけでございます。こういうふうになりますと、
伊勢湾台風
ではございませんけれ
ども
、
堤防
がやはり低くなってくれば、ゼロメーター地帯が非常に多いわけでございますから、これはもう大変なことになるなと私も思うわけです。これに対する緊急的な沈下
対策
というものがどうしても必要になってくる。 最近の四十九年の十一月から五十年十一月の地盤沈下の概況を見ておりますと、非常に沈下は少なくなりまして、伊勢湾の近くでは十センチ、六センチ、八センチ、一宮とか
岐阜
の方では二センチと、こういうふうに少なくなっているので喜んでいるわけでございますが、いずれにいたしましても、地盤沈下の
地域
が九百キロ平米に及んでおりますし、ゼロメートル以下の
地域
が二百四十キロ平米もあるわけでございます。そういうふうな中で、地盤沈下によって高潮
堤防
の
治水
の機能の低下、内水の
自然排水
の不能、構造物の破損等の問題が深刻化することは明らかでございます。そこへこういうふうな
台風
等の雨を伴う
災害
が来れば、現在の
河川
の改良の状態においては、私は二度打ちのもう物すごい
被害
というものが今後もたらされると思うわけでございます。ですから、そういうふうな面で当局の具体的な
対策
はどうされているのか、そういうふうなことをまずお伺いしたいと思います。
栂野康行
114
○
政府委員
(栂野康行君) 直轄
河川
の木曽川の
下流部
の地盤沈下に対しましては、あそこはかって伊勢湾高潮に際して冠水した地区でございますが、
昭和
五十年度より
緊急計画
を樹立しまして
堤防
をかさ上げる
工事
を
促進
してございます。また、木曽川左岸の日光川水系、ここも非常に地盤沈下の大きい
地域
でございますけれ
ども
、ここにつきましては
昭和
四十八年度から地盤沈下
対策
事業
というものをやってございます。そうしまして蟹江川の
排水機
場に着手した次第でございます。それからまた
昭和
四十九年の七月の
豪雨
を契機としまして、
昭和
五十年度から高潮
対策
事業
というものを新しく起こしまして、日光川の
ポンプ
場、
排水機
場に着手したわけでございます。また、日光川水系は
堤防
が全川的にやっぱり下がってございますので、日光川
下流部
につきましては中小
河川改修
で緊急的にその
堤防
の
補強
を進めてきたわけでございます。それで、
昭和
五十一年度には、この日光川
下流部
につきましては
激特事業
の対象としまして、その
促進
を図っておる次第でございます。また、木曽川左岸の鍋田川流域につきましては、
昭和
五十一年度から地盤沈下
対策
事業
、補助でございますけれ
ども
、で
排水機
場の新設等の
事業
を進めておる次第でございます。
矢原秀男
115
○
矢原
秀男
君 時間ございませんので、あと一言。 どうか地盤沈下に対する
対策
、手を打っていただきたいと思うのです。私がこれで一番懸念をしておりますのは、
長良川
の
下流部
の土層図というものが、地下十五メーターから五十五メーターぐらいまで沖積層と言いますけれ
ども
、よく言えば粘土です、悪く言えばヘドロです。ですから、地下水のくみ上げが問題になるわけです。ですから、地下水のくみ上げの規制というものについて、それとか上水の問題とかいろいろありますが、きょうは時間がございませんので私も質問はしませんけれ
ども
、こういうものを含めてやはりきめの細かい
対策
、これを早急にさらに追い打ちをかけてやらないといけないと思います。
栂野康行
116
○
政府委員
(栂野康行君) 全く先生のおっしゃるとおりでございまして、幾ら施設をかさ上げしたり、あるいは
ポンプ
をつくりましても、地盤沈下が進行すれば、またもとのもくあみということでございまして、結局地盤沈下をとめるというのがまず必要じゃなかろうかと思います。そのために地下水の過剰くみ上げというものが関連してきます。
建設省
としましては地下水法案というものを提案しておる次第でございます。現在におきましては、
国土庁
が
中心
となりまして、こういう地盤沈下のための地下水関連の法案というものを検討中でございまして、
建設省
としましてはこれに協力しまして、地下水、表流水を含めたいわゆる水の管理というものに向かってまいりたいと
考え
ております。 それから
木曽三川
のこの地帯におきます地盤沈下でございますけれ
ども
、地下水の過剰くみ上げをやめるためには、どうしても表流水との代替用水の転換が必要になってまいります。これにつきましては、
長良川
の
河口
ぜき、あれが
長良川
の
改修
と相待って、いわゆる
しゅんせつ
をするのと相まって
河口
ぜきをつくるわけでございますけれ
ども
、あれが
木曽三川
下流部
における代替用水としまして大きな役目を果たすようになるのではなかろうかというふうに
考え
てございます。 それから先ほどの
水防活動
状況
の資料が手元に参りましたので御
報告
いたしたいと思います。木曽川が、水防
個所
が五十一ヵ所でございます。
長良川
が、先ほど百ヵ所少しと申し上げましたけれ
ども
百二十八ヵ所、それから
揖斐
川が八十八ヵ所、計二百六十七カ所が
台風
十七号によります
木曽三川
の水防
個所
でございます。
矢原秀男
117
○
矢原
秀男
君 もう時間でやめるつもりにしておったんですが、ちょっと答弁の中でありましたので一言だけ。 地盤沈下と表流水のいろいろな問題等の中から、解決として、
しゅんせつ
の問題と
河口
ぜきの問題がございましたが、この点については次回に私も申し述べるつもりでございますけれ
ども
、技術的に私の立場でいろいろとただしていきたい点もございますので、その点だけをつけ加えておきます。
上田耕一郎
118
○
上田耕一郎
君 中馬さんが
建設
大臣になられて一般質問の機会、最初ですので、まず
建設
大臣の政治姿勢の問題についてお伺いしたいと思います。 ロッキード疑獄、それから金権政治、田中前首相の逮捕、起訴などで
建設行政
にも世論の批判が向けられています。
建設省
は
昭和
四十六年七月以来五カ年にわたって、西村英一、木村武雄、金丸信、亀岡高夫、小沢辰男、仮谷忠男、竹下登と七代にわたって田中派に大臣が独占されてきている。官僚も田中派だというふうに言われて多くの疑惑が新聞、雑誌で指摘されております。自民党の大橋武夫代議士は、
建設省
の田中派の行政まる抱えについて、「上から政治献金を入れると、下から利権が出てくる自動販売機のような仕組みが出来上がっていた」と、そう東京新聞で書いているところであります。大臣は、こういう批判や疑惑にどういう姿勢と方針でおこたえになるつもりか、それをまずお聞かせ願いたい。
中馬辰猪
119
○国務大臣(中馬辰猪君) 私は、
建設省
のことは全くいままで
関係
ありませんでしたので、実は任命されたときはそういう感じは持っておりませんでした。翌朝の新聞見たら一斉にそういう記事が載っておるものだから、ああそうかなと、私も実は元佐藤派だったものですから、別段そう田中派とか佐藤派とかそういう感じは持っておりませんでした。そう言えばみんなそうだったなという、新聞見てからの感じでございまして、特に就任直後はそういうことは全然感じておりませんでした。ただ、その後本省の人たちとの接触をしてみて勉強したわけですが、そういう感じは全くありません。十分私の言うことを聞いてもらって、私も事務当局を信頼しているし、事務当局もまた私のことを全面的に協力してくれるということで、現在は全くそういうことは感じておりません。ただ、非常に投書がたくさん来ます。末端といいますか、本省でないことですけれ
ども
、第一線のいろんな事務所等についてかなりないろんな投書が来ておりますが、本省については全く私は何派だとかそういうことは全然感じたことはありません。
上田耕一郎
120
○
上田耕一郎
君 サンデー毎日の十月二十四日号で、大臣は、いろんな指摘がある、この事例について
調査
と
報告
させているところだ、省内は敵中横断三百里だという感じだと、ちょっと穏やかでない言葉ですよね。局長さんや課長さん、聞いてください。敵中横断三百里、本省はともかく、出先は相当ひどいようだ、証拠のある事例も出始めているので断固処置する、必ずやります、という強い決意をサンデー毎日では述べられておりますが、その後、現状
調査
した結果、どうですか。出先も含めて
報告
してください。
中馬辰猪
121
○国務大臣(中馬辰猪君) 敵中横断というのは、私は言った覚えはありません。いま全く安住しているわけですから、それは全くありません。ただ、末端の方からはいろんな具体的な投書その他が来ておるものですから、私としてはできるだけ調べております。
上田耕一郎
122
○
上田耕一郎
君 まだ事例は出ませんか。
中馬辰猪
123
○国務大臣(中馬辰猪君) それは、いま軽々にじゃなくて、もうちょっと待ってください。
上田耕一郎
124
○
上田耕一郎
君 はい。その事実ははっきりしたら、やっぱり本
委員会
でも
報告
してほしいと思うんです。 それから同じサンデー毎日でも、
建設省
は三年ごとに参議院全国区に二人ずつOBを立てているが、よく
考え
てみるとおかしな話だと、そう書いてある。東京新聞も、
建設省
出身の国
会議
員が八人いるけれ
ども
、うち六人が田中派だと書いてある。退職された増岡前
河川
局長も来年度の参議院選挙に全国区、恐らく田中派からだろうと報道されておりますが、立候補されるということです。私は、四十九年十二月二十三日の
予算
委員会
の総括質問で、
建設省
の官庁ぐるみ選挙の疑惑をただしたことがあります。今度のこの立候補について、直接間接を問わず、
建設省
が官庁ぐるみの選挙と疑われるような行為は一切しないということを、ここで改めて明確にお約束願いたいと思います。
中馬辰猪
125
○国務大臣(中馬辰猪君) 立候補者のことは党の問題でございますから、役所の方で私があれこれ言うことはちょっとないと思います。みんな良識を持った
日本
人でありますから、良識の線で進んでおるものだというふうに思います。
上田耕一郎
126
○
上田耕一郎
君 われわれも国民とともにこの問題、さらに監視をしていきたいと思います。 もう一つ、いろいろ
建設行政
の中で疑惑が生まれるのに入札問題がある。五十年の二月に、亡くなられた仮谷
建設
相が、疑惑を生みやすい指名入札制度を根本的に見直したい、省内に検討
機関
を設置すると述べられた。新聞報道によりますと、
予定
価格を公表するかどうかということも検討しているし、また、大きな
事業
を細分化して中小企業、地方企業にも契約チャンスを与えたい、また、ランクづけを緩めて中小企業にも受注範囲を広げたいということを検討したいというふうに述べられておりましたが、その後この入札制度の改善問題についてどういう経緯が、また結論が出ておりますか。
粟屋敏信
127
○
政府委員
(粟屋敏信君) いま先生お話しのように、仮谷大臣の指示を受けまして、省内に事務次官を長といたします公共
工事
契約業務改善
委員会
を設置をいたしまして、契約業務の改善策の検討を行っておるわけでございます。 その中で、基本的な制度に触れる問題と、それから運用の問題とあるわけでございますけれ
ども
、当面直ちに措置すべき運用上の問題といたしましては、第一番に
予定
価格の作成に関与した職員が
建設省
を退職し、
建設
業者に再就職した場合には、その関与した
工事
については絶対指名を行わない。二番目に、指名業者の選定に当たりましては、その公正を確保するため、地方
建設
局の中に指名運営
委員会
を設けましてチェックシステムをとって審査を行うというようなこと。さらに、発注
工事
に関連する
予定
価格書等の秘密文書の管理の厳正を図り、かつ機密保持に必要な限度で、部外者の設計積算の執務室への出入りを制限する等、職場における規律の保持を図る。この三点につきましては当面直ちに措置できる事項でございますので、その趣旨を管下職員に令達をいたしております。 なお、基本的な問題といたしましては、
予定
価格の漏洩の疑惑がないように、また
建設
業者の談合等についてもいろいろ御批判がありますので、
予定
価格の事前公表制度の問題でございますとか、談合の問題でございますとか、そういう点につきまして当
委員会
でもアメリカの事前公表制度を検討してはどうかという御意見もございましたので、それをも含めて根本的な制度についてはいま勉強しておる
段階
でございます。
上田耕一郎
128
○
上田耕一郎
君 私の質問の第二点の、中小企業への受注範囲の問題ですね。官公需の五〇%目標ということを首相も言われましたので、この点どうですか。
粟屋敏信
129
○
政府委員
(粟屋敏信君) いまの中小企業の受注範囲の拡大につきましては、本年の初頭に事務次官通達を出しまして、地方
建設
局長に対して指示をいたしております。で、優秀な業者に対してはランクづけを二
段階
上げることができますとか、あるいは分割発注を
推進
するとか、そういうことで、できる限り中小企業に対する受注範囲の拡大を図る措置をとっておるところでございます。
上田耕一郎
130
○
上田耕一郎
君 その問題、さらに前進させていただきたいと思います。 次に、私は
建設行政
の中で、この田中角榮と越山会による新潟三区の公共
事業
の幾つかの具体的な問題をお伺いをしたいと思います。 新潟の公共
事業
については、もう無数に新聞で報道されておりますけれ
ども
、たとえば朝日新聞に「灰色の土壌」という連載が七月二十日から九月十五日に載りましたが、その中で、たとえば新潟三区の市町村の公共
事業
予算
は目白の田中邸で決められ、また発表されているということが九月四日の四十一回目に報道されております。この目白の田中さんの屋敷に、新潟三区の市町村長、議会の役員、県の土木事務所長を初め、県の出先
機関
、県の
機関
、越山会の支部長、土建業者などが、田中、山田泰司秘書などと集まる。そこでいろいろな問題を決めてしまう。国の補助金な
ども
山田秘書が
建設省
その他に行って取ってきて、これは一〇〇%成功しているということです。それで最終案を田中角榮案としてプリントができている。そして新潟三区の市町村の公共
事業
については、田中角榮案というプリントまでできて、これで決まってしまうという驚くべき事実が報道されております。こういうプリントがもし存在していたとしたら、
建設省
としても無関心でいられないと思いますけれ
ども
、調べたでしょうか。大臣どうですか、官房長でもいいです。
粟屋敏信
131
○
政府委員
(粟屋敏信君) 新聞記事は私も読みましたけれ
ども
、省内においてそういうプリントがあるということは存じておりません。
上田耕一郎
132
○
上田耕一郎
君 もう一つ、朝日新聞、九月八日に、これも驚くべきことが報道されている。いまの問題に
関係
しています。「公共
事業
の元締めである
建設省
は七日、これまで毎年、新潟県内の公共
事業
予算
の配分(
個所
づけ)は、同省幹部が山田氏と相談して決めていた、という事実を明らかにした」、これはフィクサーによる舞台裏の取引だと、そう述べられている。わが国の最も大きな新聞の一つである朝日新聞に、
建設省
の幹部がこの事実を認めたと、こう報道されております。いまの問題とも
関係
ありますが、いかがでしょうか。
粟屋敏信
133
○
政府委員
(粟屋敏信君) その記事も拝見いたしましたけれ
ども
、山田氏が
地元
市町村長を集めて、市町村の
要望
を聞く会合を持たれておることは、そのようなことがあるということは聞いておりますが、いま先生御指摘の
建設省
幹部が山田氏と相談をして
予算
の配分額を決めるということは絶対にないと思います。
上田耕一郎
134
○
上田耕一郎
君 大臣、こういうのが敵中横断三百里なんですよ。なかなか報道され、私はいま挙げませんけれ
ども
、毎年こういうことをやっているんだ。それをもう恬として否定するじゃありませんか。こういうところを徹底的に
調査
しなきゃならぬ。 もう一つ、「灰色の土壌」にはさらにこういうことも書かれておる。九月七日の四十三回に、
河川改修
で新潟の人が——町長です——目白に頼んだ。
建設省
の幹部が料亭で会うという、行ってみたら
河川
局長以下担当課の課長補佐まで来ておるという、で、田中角榮と並んで、芸者まで来た、二次会まで行くと。この結果ちゃんと
予算
がついたというんです。料亭は「千代新」「木村屋」「永福」などがおなじみだと。
建設省
の
河川
局長、担当課長、田中角榮と並んで酒飲んで、芸者呼んで、それで
予算
が出たというんです。事実調べましたか。どうですか、
建設
大臣、こういう問題。
中馬辰猪
135
○国務大臣(中馬辰猪君) いま初めて実は聞きました。
上田耕一郎
136
○
上田耕一郎
君 もう少し新聞を読んでほしいですね。これは事実なんだから、少なくともこう報道されている。こういうことはやっぱり氷山の一角だと思うんですね。大臣は非常な抱負を持って
建設省
に乗り込んで、五年間七代、田中派の大臣がずっと独占してきたところに乗り込んで、多くの疑惑が集中しておるところで、これから国民のための公共
事業
をやろうという決意をお持ちだと思う。こういう無数の疑惑を持たれている事実についてやっぱり明確に
調査
し、国会にも
報告
を求めたいと思います。決意をお伺いしたい。
中馬辰猪
137
○国務大臣(中馬辰猪君) 実は本当に知りません、その新聞というのは。前のやつは見ました。山田秘書が何回も会ったというのは、後のやつは全然……。
上田耕一郎
138
○
上田耕一郎
君 だれが、この
河川
局長だれか、これも調べてください。
中馬辰猪
139
○国務大臣(中馬辰猪君) はい。
上田耕一郎
140
○
上田耕一郎
君 やはり私は腐り切っていると思うんですね。こういうことが平気で行われている、長年にわたって。これを直さないと国民のための
建設行政
できないですよ。 私はさらにこういうことの一つの例として、さらに具体的な例として北陸自動車道の問題を取り上げたい。北陸自動車道、長岡−柏崎ルートが決定されまして、いま
工事
中ですけれ
ども
、まずこの北陸自動車道のルート図がここにありますけれ
ども
、この中で最も湾曲しているところが一カ所ある。大体自動車
道路
ですから真っすぐ行くんですよ。一番湾曲している。どこで湾曲しているかというと、田中角榮の御殿のところです。そこにぐうっと湾曲して、西山部落のところのそばを通りまして、インターチェンジが田中角榮の御殿からわずか一キロのところにできている。何でこういうことになるのか。このルートはよく目白邸で決められるという話さえ言われているんですけれ
ども
。私はこの田中角榮の家の一キロのところにインターチェンジができ、こういうふうに湾曲するというふうなことは、これはとやかく言われるわけだから、絶対遠くを真っすぐ通んなきゃいかぬと思うんですけれ
ども
、
道路
公団総裁いかがですか。
前田光嘉
141
○
参考人
(
前田
光嘉
君) 高速
道路
のルートにつきましては、整備
計画
に基づきまして、地形、地質、用地等を
考え
まして、高速
道路
の基準に合うように、最も技術的に可能であり、最適のルートを選んでおりまして、特別のことで曲げることはございません。
上田耕一郎
142
○
上田耕一郎
君 偶然なんですか、田中角榮宅の一キロのところにインターチェンジができて、大きく湾曲したのは。
前田光嘉
143
○
参考人
(
前田
光嘉
君) 田中氏のところに近いということにつきましては、私も別に偶然といいますか、ただ、たまたまそこに田中氏の家があったということでございまして、技術的に最適のルートを選んだわけでございます。
上田耕一郎
144
○
上田耕一郎
君 そんなことはないですよ。たまたまそこに田中角榮宅があったと、新潟三区のところへ通るのに。いままで新幹線のルートでも、長距離高速
道路
のルートでも、常にこういうことが政治家の間で問題になっているのですから。これを決定されたのは四十八年四月ルート決定で、田中角榮総理大臣のときでしょう。こういう問題についても、総裁なかなか認めやしないでしょうけれ
ども
、非常に大きな疑惑があるということを国民は疑うということを指摘しておきたい。平然とこういうことをやって、もうすでに終わっちゃったと、ルートはできて
工事
は進んでいると。損害を受けるのは国民ですよ。 この
建設
工事
でも、長岡では田中の側近グループの田中ファミリーのいろいろな土建業者がある。長鉄工業、中越興業、大石組、植木組、吉原組、山崎組、こういうところがずっと
工事
を独占するわけであります。この北陸自動車道でも付帯
工事
二件、たとえば柏崎の
工事
事務所の新築、これも大石組が取っている。大石社長というのは長岡越山会の
会長
であります。それから油田の
道路
工事
、これも大石組、長鉄工業、この二つがやっぱり取っている。業者はもう入札に行きますと、五人ぐらいの業者が言うそうです。天の声が聞こえてくると、そういう感触があるというのですね。押しつけられはしないけれ
ども
、目白の声が聞こえてくるのでどうしてもここへ落ちちゃうというんですね。
道路
公団の
中村
新潟
建設
局長が、大石、長鉄にやらせるよう天の声があったと、そう漏らしているという話もあるのですね。
地元
の
建設
業界の間では言われているのであります。こういうことの中で、私は信濃川
河川
敷と同じような、農民をだまして、田中ファミリーの一つの企業がやはり大もうけをしているという疑惑のある一つの問題を取り上げたいと思います。
道路
公団にお伺いしますけれ
ども
、こういう場合の
土砂
採取で、業者が介入して不当な利益を得ることを防止し、公正なやり方を保障するために、公団が責任を持って
土砂
を取る山を選定し、地主と直接契約するようにしていると聞いているが、方針はどうですか。
前田光嘉
145
○
参考人
(
前田
光嘉
君) 高速
道路
に多量の
土砂
が必要な場合がございますが、そういう場合にはなるべく良質で必要な
土砂
の、しかもそれが経済的に最も有利に採取、購入できるような措置をとっておりまして、個々の場合にはいろいろ差がございますが、地主と直接契約を結んでいる場合もございますし、また一団の土地で、土地の分量から申しまして多数の所有者あるいは
土砂
採掘権者がおる場合がございます。そういう場合には個々の所有者等と契約するよりも一括して契約した方が、土地の境界あるいは
土砂
の分量等の計算等もございまして便利な点もございますので、あるいは組合等をつくって、そこでその組合と契約しているという場合がございます。それは必要な
土砂
の分量と、それに関連する土地所有者等の人数の問題でございます。
上田耕一郎
146
○
上田耕一郎
君 業者が不当に介入して、不正だとか、あるいは虚偽に等しい内容のいろいろな契約その他を結んでいる場合、それがわかったら公団としてどういう責任をとり、どういう方針で臨んでおりますか。
前田光嘉
147
○
参考人
(
前田
光嘉
君) われわれは最も公正な方法で仕事をするのは当然でございまして、組合の代表の方と契約いたしますけれ
ども
、その場合に、その当該組合はもちろん有効に、合法的に、円滑に運営しておるということで、その組合と契約しているということでございます。
上田耕一郎
148
○
上田耕一郎
君 それに不正があった場合、それが判明したらどういうふうにするかということであります。どう責任をとるか。
前田光嘉
149
○
参考人
(
前田
光嘉
君) 不正という言葉でございますが、違法なことがあれば、もちろんわれわれは違法のもとにした組合とは契約できませんけれ
ども
、内部
関係
の問題につきましては、組合の中でいろいろ御意見のあることは間々あるように聞いております。
上田耕一郎
150
○
上田耕一郎
君 長岡市の大積土取り場の場合、どうなっていますか。相手の組合、それからこの組合との契約内容、これについて御
説明
ください。
前田光嘉
151
○
参考人
(
前田
光嘉
君) 当該地区の
土砂
につきましては、土地所有者と
土砂
の採掘権を持っておる者とが合計たしか十一人おりまして、それらが組合をつくっております。われわれのところでは、その組合も有効であり、内部について特別に問題がないと思っておりましたが、先般新聞で若干
地元
の中で意見があるように聞いておりますが、まだわれわれの
調査
では違法であるとか、あるいは不正であるというふうには
承知
しておりません。
上田耕一郎
152
○
上田耕一郎
君 契約高、それから
土砂
の採取量、言ってください。
前田光嘉
153
○
参考人
(
前田
光嘉
君)
土砂
は百六十万立方メートルを契約いたしましたが、その価格は一億六千八百万円でございます。
上田耕一郎
154
○
上田耕一郎
君 組合長はどういう方ですか。
前田光嘉
155
○
参考人
(
前田
光嘉
君) 組合長は細川一という人でございまして、中越興業の社長と聞いております。
上田耕一郎
156
○
上田耕一郎
君 組合長は細川一氏で、長岡市の越山会の副
会長
、中越興業、田中ファミリーの社長であります。この組合は、先ほど十一人組合員がいると言われましたけれ
ども
、この十一人の組合員は実は名前だけで、すべてこの中越興業に山あるいは
土砂
をすべて売り渡している農民、地主ばかりであるというふうに思いますが、事実、御存じですか。
前田光嘉
157
○
参考人
(
前田
光嘉
君) われわれのところで知っている限りにおきましては、土地の売り渡しはしておりません。ただ、内部の組合の
関係
でしょうか、土地の、
土砂
の売買等について委任をしておるように聞いております。
上田耕一郎
158
○
上田耕一郎
君 それは違います。この組合員の委任状十二通、ここにあります。公団から私
ども
いただきました。これは土地の売買その他契約交渉、契約締結に関する一切の件、請求及び受領に関する一切の件、跡地整備その他一切の件、その他
土砂
採取に関する一切の件を中越の社長の細川一さんに十二人の地主が委任したものです。しかし、この十二人の地主はすでに中越興業に全部土地あるいは
土砂
をもう売っちゃっているんです。 ここに十二人の一人、この中の幹部である太田文善氏の
土砂
売買契約書、私
ども
これ持っております。これは本人の太田さんから見せてもらいました。これによりますと、この太田さんは七千二十六平方メートルの山を七十万二千六百円で
土砂
採取料、全部売っちゃっているんです、
土砂
を。だから、全部これ売り渡している人ばかりなんです。そうすると、十二人組合員がいても、すべての委任状をもらって、しかし委任状を渡す人は何の権利もないんですから、
土砂
をこの中越興業に売っちゃっている。結局、この細川一氏一人であるという事実が明白であります。この細川一中越興業が、この
地域
の当該のところを一体どのぐらいで
土砂
あるいは土地を買っているか御存じですか。
前田光嘉
159
○
参考人
(
前田
光嘉
君) それはわれわれ
承知
しておりません。
上田耕一郎
160
○
上田耕一郎
君 この太田さんの契約でも明白なんですが、山を一平方メートル当たり百円で買っている。山を面積で買うわけですね。大体これ十ヘクタールから十三ヘクタールぐらいありますから、約一千万円で彼は買った。先ほど申しましたように、公団は約一千万円で中越興業が買ったところに一億六千八百万円払う契約を結んでいるのであります。差額は、たとえ銀行から一千万円借りるのの金利その他数えたとしても十五倍、十六倍で中越興業が買ってしまったと、物すごい暴利をここで彼らが得ようとしている。こういう事実、御存じですか。
前田光嘉
161
○
参考人
(
前田
光嘉
君) 一千万円という額は私初めて聞きましたが、われわれといたしましては組合の内部のことはよく
承知
いたしませんでして、ただ、当該
土砂
でございますが、わが高速
道路
のために使う場合に妥当な価格として一億六千八百万円支払ったわけでございます。
上田耕一郎
162
○
上田耕一郎
君 いや、あなた方の価格が高過ぎるということを言っているのじゃないのです。いつ、この土取り場大積の場所を決めましたか。
吉田喜市
163
○
参考人
(
吉田
喜市
君) 最終的に決定いたしましたのは五十年の三月でございます。
上田耕一郎
164
○
上田耕一郎
君 最終的にそうでしょうが、現地の柏崎の
建設
局が大体ここに決めたのはいつごろですか。
吉田喜市
165
○
参考人
(
吉田
喜市
君) 土取り場を決めましたのは五十年三月でございまして、その前に私たちは長岡−柏崎間の必要土量のための土質
調査
を行っております。客土のための土質
調査
を行っております。この間、長岡−柏崎間で約二十六カ所について候補地を探す。そのうちさらにそれを厳選して約七ヶ所の土質
調査
、それでさらにそこで土質
調査
、いわゆるボーリングを行っている。全部で二十六本ばかりボーリングを行っている。その中にたまたまいま先生御指摘の大積という
個所
がございます。ここでは六本のボーリング。ボーリングをやった時点は四十九年の十月から五十年の一月、こういう時点にボーリングをやった。そのときにはいまの七ヵ所のものを同時に
調査
をした。その土質
調査
の結果に基づきまして、やはり一番適当であろうと思われるのがこの大積だということで、大積を大体私たちが決めましたのは五十年の二月の末から三月の初めにかけてでございます。その時点で土地の
関係者
の
方々
にお集まり願って、これは町内
会長
あるいは農家組合長、こういうふうな
方々
、それからその中にもいま一部、その中で中越興業がかなりの土地を持っております。選定した中の約四一%程度というものが中越興業すでに地主でございまして、それで地主も集まっていただいて、そこで土取りの
計画
を
説明
した、それが三月でございます。
上田耕一郎
166
○
上田耕一郎
君 四十九年の八月末にこの中越興業の佐藤常務が先ほど挙げた太田さんのところへ飛び込んできた。三島谷がだめになったと、大積頼むと言って土地の買い占めを始めた。中越興業は最初三島谷というところでそこを買い占めた、そこが当たるだろうと。それが違って大積になるということになって、だめだと、大積頼むといってここへ来て、八月末から九月、十月、翌年の五月に
最後
の一人が売りましたけれ
ども
、この間に約二十人の地主から、公団が土を要るのだ、だから全部売ってくれということで、まるで公団の代表者のような顔をして山の面積、平米当たり百円で買っていったわけです。ですから、いま四一%と言われましたけれ
ども
、実際にこの契約書を全部そろえてごらんなさいよ。全部中越興業の物になっているのです。農民はこれもやっぱり
河川
敷の場合と同じなんですが、本当に純朴でこういうふうにだまされると毛頭思っていないのです。公団が要るんだから、じゃ公団の代表なんだろうというので、恐らく。で、先ほどの
説明
会、これは三月に三ッ郷屋という温泉場でやったのですね。この温泉でやはり中越興業の人も公団の人も来て
説明
会があるというので、大体そう思って売っちゃうわけですね。 それで、山の値段としても一平方メートル百円というのは非常に安いのです。いま長岡ニュータウンであの近くの山が買われておりますけれ
ども
、これ大体六百三十円なんですね、最低のところで。山の面積で買って、実際には公団は
土砂
で買うのだから、それで一平方メートル百円で買ってもそこから
土砂
が物すごく取られるし、一億六千八百万円という値段がつくわけです。いまやはり農民は非常にだまされたと口々に言い始めている。これは驚くべき事実だと私は思うのですね。それでこれは、こういう方法は、たとえば同じ北陸自動車道でも油田の場合ね、この場合にはこういう業者の介入がなくて、ちゃんと土地利用組合で地主がみんな公団に売って、三百万立方メートルの
土砂
を売って三億八千万円の契約で進んでるわけですね。その三億八千万円を、過疎の自分たちのふるさとをよくするために
道路
を引いたりいろんなことをやっている。ところが、同じ公団が、この土取り場で大積の場合には農民は何の権利もない。あなた方が払う一億六千八百万円はそっくり田中ファミリーのこの中越興業のふところに入ってしまう、
土砂
運搬も全部この中越興業がやっているんですよ。これは全く私はとんでもないやり方だと、そう思わざるを得ませんが、そういう問題についてはっきり再
調査
されますか。
吉田喜市
167
○
参考人
(
吉田
喜市
君) ただいま先生から御指摘がありました、いまの大積の土取りの問題でございますが、ここでは百六十万の土を使うと、こういうふうな
予定
でわれわれは土取り場として選定をしたわけでございます。現在までそのうちの約三十三万という土を使っておりますが、その単価の、いま一億六千八百万というのは全部の百六十万の土を搬出したときの値段でございまして、その中には当然単価としまして、
土砂
代それから地山の物件の上物の補償代、それから将来いわゆる何といいましょうか、一切の損失補償と申しましょうか、そういうもの。あるいは将来の整地した、土取りの跡の整地、それからのり面の始末あるいは
排水
溝、こういうものが全部その単価の中に含まれております。そういうものをいま大積馬平地区土地利用組合というものをつくって、その組合長がたまたま御指摘の細川一さんでございますが、そこでその利用組合があとは全部そういうものを整正をするという姿でございまして、いま油田の場合でも全く同じ姿になっております。
上田耕一郎
168
○
上田耕一郎
君 ですから、そういうことを言われているんだからだめだと私は言うんです。現地の農民に行って聞いてごらんなさい。この土地利用組合を結成したというけれ
ども
、いつつくられたのかも知りません。だれも。組合長がだれかも知りません。組合の規約、私ここに持ってきておりますけれ
ども
、いまだに一度も総会も開かれていない。会計
報告
も行われていない。全部判をついて、十二枚の委任状を取っている。取っちゃったわけです。だから、法律上あなた方に委任状がありますといって出すでしょうけれ
ども
、実体は何もないんですよ。これは中越興業の細川さんが組合長で、たった一人でしょう。中越興業がやっているんです。事務所も中越興業に置かれている。この中越興業という会社は、例の室町産業と大体ほぼ同じメンバーでやっている田中ファミリーの一社であります。重役風祭康彦、田中角榮氏の義弟です。片岡甚松、越後交通の社長であります。先ほどの大石組の大石三男次氏ですね、これがやっぱり長岡の越山会の副
会長
。そういうメンバーが中越興業というのをやっていて、それで公団が大積に決めそうだと。これは私も地位利用で大体これもおかしいと思うなあ。早くニュースを聞くわけですよ。それで、さっと行ってそこを全部買い占めるわけです、農民、地主をだまして。それで、みんな買ったと、みんな売ってくれたと、おまえだけ残っているという形で、札束を見せて追い詰めていくわけです。
最後
までがんばった一人の人は翌年の五月にとうとう売ってしまった。約二十人の農民が全部土地あるいは
土砂
を売らされる。 そして、あなた方公団に対してはこういう委任状を出して、あたかも土地利用組合があるかのような顔をして約一千万円で買って、それで上物のようなことや何かおっしゃいますけれ
ども
、そういうものを全部入れても恐らく一千万円足らぬでしょう。そうすると、少なくとも一億円以上の金、暴利がこの手に入るということになっておる。これはあなた方が本当に土地利用組合をつくって、その
地元
のためにもなるようにというふうな方式をつくっても、決定のニュースが早く田中派のルートを通じて業者に行き、それで全く信濃川
河川
敷と同じように、ほとんど詐欺同然のやり方で農民や地主をだまして莫大な利権を入れるということになっているんですね。私は、きょうの御答弁はどうも事態をよく御存じない、現地へ入って
調査
してくれることを求めたいと思う。 現地を調べて、私たち共産党、これは現地を徹底的に調べて、その根拠に基づいてきょう質問しているんですけ
ども
、私たちの言ったとおりの事実があった場合には、これについてやっぱり
地元
にたとえば
道路
をつくってあげるとかいうことを中越興業にやらせるとか、こういう不正な不公正なやり方を責任をとらせる責任が
道路
公団にもあると思いますけ
ども
、この点再
調査
、事実が明らかになった場合、そういう措置をとらせるという決意、方針をぜひお伺いしたいと思います。これは総裁にお願いします。
前田光嘉
169
○
参考人
(
前田
光嘉
君) われわれは土地利用組合と話を進めてまいりましたが、ただいまお話しのように利用組合の内部
関係
で問題があるといたしますならば、今後さらに
調査
を進めまして、適切な措置をとるように組合に対しましても指導したいと思います。
上田耕一郎
170
○
上田耕一郎
君
建設
大臣、お聞きのとおりです。この土地利用組合は全く幽霊組合です。田中金脈問題で幽霊会社いっぱい出てきましたけ
ども
、今度また幽霊組合が出てくる。これは
関係
農民二十名ぐらいで総額も一億数千万ですから、意外にいわゆる田中金脈の中では小さいものかもしれませんけれ
ども
、新潟三区での公共
事業
建設事業
での彼らのやり方の私は氷山の一角がここに示されていると思います。私は監督官庁として
建設省
がいまのような具体的な事例に対して、やっぱり公団に対しても適切な指導をなされるよう監視も怠らないようお願いしたいと思います。
中馬辰猪
171
○国務大臣(中馬辰猪君) 聞くところでは、不正な行為ではないけれ
ども
、もし事実であれば多少行き過ぎであるという感じがいたしますから、直ちに公団に対しましては
調査
を要求します。
上田耕一郎
172
○
上田耕一郎
君 それでは、厳重な
調査
をしていただいて、この
委員会
で
報告
していただきたいと思います。 次に、私は
最後
に、先ほ
ども
触れました信濃川
河川
敷問題、これを取り上げてお伺いしたいと思います。私自身、一昨年の十一月八日に決算
委員会
でこの問題を取り上げ、同僚議員も取り上げて、その後田中金脈の中でも
最大
の問題として国会でもずっと問題になってまいりました。その中にはたとえば
堤防
建設
をめぐる疑惑、長岡大橋や国道八号線バイパスの
建設
計画
を前もって田中角榮が知っていて、あの土地を買い占めたという疑惑、それから当時の橋本登美三郎
建設
大臣が国会で、あれはかすみ堤で本堤にしないという、後でうそになった答弁をしたという疑惑の問題、さらに
建設省
の
計画
変更をめぐる
経過
だとか文書の決裁、保管、こういう問題についての疑惑が生まれ、いま衆議院の
予算
委員会
の小
委員会
がつくられて問題を追及していることは御存じのとおりであります。これはやはり
建設省
の姿勢が問われている大きな問題だと思いますが、私はこれまで国会で取り上げられていなかったもう一つの新しい疑惑として、
河川
法改正をめぐる問題をお伺いしたいと思います。 まず、
河川
局長にお伺いしますが、
河川
法の改正作業はいつごろから始まったでしょうか。
栂野康行
173
○
政府委員
(栂野康行君) はっきり記憶しておりませんけれ
ども
、大体三十七年ごろから改正の検討が始まったというふうに思います。
上田耕一郎
174
○
上田耕一郎
君 三十七年の九月末ごろ改正作業が始まったと言われております。田中角榮が大蔵大臣に就任したのは同じ三十七年の七月であります。大体彼が大蔵大臣になったころ
河川
法の改正作業が始まった。
河川
法は三十九年六月に改正成立いたしますけれ
ども
、御存じのように抜本的な大改正でした。この改正作業に当たって
政府
部内でもかなりいろんな論議が行われた。大蔵省、自治省、
建設省
の間で国の管理権、廃川敷地の処分権限、帰属問題などについていろいろ論議があったと言われております。そこで、廃川敷の処分権限、廃川敷地の帰属などについて旧
河川
法と新
河川
法の相違点、それからまたこの中で自治省、大蔵省、
建設省
の間で論議があったか、どういう論議があったか、こういうことについてお伺いします。
栂野康行
175
○
政府委員
(栂野康行君) 廃川処分の権限につきましては、旧
河川
法におきましてはすべて都道府県知事でございましたけれ
ども
、新
河川
法におきましてはいわゆる
河川管理
者というふうになったわけでございます。旧
河川
法におきましては、いわゆる
河川
敷地は私権の対象とされていなかったわけでございます。したがいまして、廃川処分をするに当たりましても敷地の権利の帰属を定める必要があったわけでございます。
河川
の管理は原則としまして都道府県知事が行っていたというところから、廃川敷地の帰属は原則として都道府県というふうにされていたわけでございます。ただ私人に下付すべき場合、あるいは御料地、国有地とする必要がある場合を除いておりますが、一般的に都道府県というふうに廃川敷地の帰属はなっていたわけでございます。それが現在の
河川
法におきましては、
河川
敷も私権の対象とされているところから、いわゆる国有地である廃川敷地、これは私人に下付する場合を除きますけれ
ども
、国有地である廃川敷地につきましては国に帰属するということにされたわけでございます。しかしながら、都道府県知事が
河川管理
者である二級
河川
につきましては、原則として都道府県知事に譲渡することができるというふうにされております。一級
河川
におきましても、都道府県が維持保存の費用を負担している場合におきましては、いわゆる国有財産法の規定により都道府県に贈与されることがあるわけでございます。それで、この
河川
法の改正におきまして、いわゆる廃川敷地の帰属を旧
河川
法と同様にすべて原則として都道府県とすべきであるという意見もあったわけでございますけれ
ども
、一、二級
河川
の区分による
河川
の性格づけ、すなわち一級
河川
は国で管理すると、二級
河川
は都道府県が管理するという
河川
の性格づけ等の関連性もありまして、いわゆる現状のように定められたわけでございます。
上田耕一郎
176
○
上田耕一郎
君 御存じのように、信濃川
河川
敷問題というのは、民有地、九条地を停止条件つきの契約で室町産業が農民から買い占めると。
堤防
ができ、ああいうふうになって廃川敷処分が行われると、停止条件つきが解除されて自動的に室町産業の手に入るという事件であったことは御存じと思いますけれ
ども
、旧
河川
法のままだったらこういうやり方は不可能であったと思いますが、いかがでしょうか。
栂野康行
177
○
政府委員
(栂野康行君) 旧
河川
法におきましても、あるいは九条地の場合につきましては、現在と同じようにいわゆる旧地主に廃川処分されるということでございます。
上田耕一郎
178
○
上田耕一郎
君 先ほど
河川
局長言われたように、私権の設定が旧
河川
法においては第三条で流水並びに
河川
敷でできないということになった。今度は新
河川
法で流水の部分だけ私権設定できないということになって、
河川
敷について民有地——大蔵省のこれは強い要求で私権の設定かできるようになったということですから、九条地以外の民有地のああいう買収ですね、そういうことば旧
河川
法のままではそれを室町産業が取り入れるということはできなかっただろうと思いますが、いかがですか。
栂野康行
179
○
政府委員
(栂野康行君) 旧
河川
法におきましては、九条地と、いわゆる国に帰属した
河川
敷地の認定ですね、これは民有地の場合を認定した場合の九条地になって、その九条地がいわゆる廃川処分になった場合には旧地主に返るということでございまして、
河川
敷地内における民有地というものは
河川
敷認定してなかったということでございます、それは。
上田耕一郎
180
○
上田耕一郎
君 つまり、この新
河川
法への改正で、まず第一に廃川敷処分の権限が知事から国に移ったわけですね、
建設
大臣に一級
河川
として移った。それから国有地の払い下げも可能になり、また民有地の買収が可能になった。また、九条地もこれは前と引き続き同じようだ。で、もとの所有者への処分ということは認められるということになった。そういうことで、新
河川
法の改正によって室町産業のあの膨大な農地を買い占め、しかもうまくいけば国有地の払い下げ処分までねらうというようなプランが可能になったということは私は法律上もう明白だと思う。この新
河川
法が三十九年六月に成立しました。衆議院を通ったのがたしか四月であります。この新
河川
法の成立が大体
見通し
のついたころ、三十九年の夏ごろから室町産業の土地買い占めが始まるのであります。こういう点を見ても、この室町産業、またそのバックにある田中角榮の信濃川
河川
敷の買い占めについての大蔵大臣としての地位利用、私は新たに疑惑が加わったということをここに指摘せざるを得ません。 もう時間がなくなりましたので、
建設
大臣にあと二点この問題に関連してお伺いしておきたいと思います。信濃川
河川
敷問題について仮谷
建設
大臣は、小林長岡市長、入内島室町産業取締役、田中角榮の三者で公共利用について合意した、その方向に沿って行政指導してきたという答弁をしたことがあります。 〔
委員長
退席、理事沢田政治君着席〕
建設
大臣にお聞きをしますけれ
ども
、この行政指導について、その後仮谷
建設
大臣以後の、あるいは竹下大臣から引き継ぎを受けているかどうかお伺いいたします。
中馬辰猪
181
○国務大臣(中馬辰猪君) 全く引き継ぎもないし、聞いておりません。
上田耕一郎
182
○
上田耕一郎
君 御存じと思いますけれ
ども
、この衆議院の小
委員会
の答弁で、あの膨大な土地を公共利用するというけれ
ども
、長岡市に渡してもいいと言っているのは、長岡市が必要な土地ということになっていて、竹下
建設
大臣も、全部じゃないんだ、だから残りは室町産業が普通の民事上の手続で処理できるという答弁をされております。そうなりますと、問題の廃川敷処分をもし
建設省
が行ったならば、そのうちの一部は公共利用になるかもしれないけれ
ども
、残りの部分については室町産業の手にそのまま渡ってしまうと。それで、国民があれだけ大きな疑惑を持ったこの信濃川
河川
敷の膨大な土地とその利権が、田中ファミリーの一つである室町産業の手に移ってしまう疑惑があるわけであります。大臣はいま何らの引き継ぎも受けてないと言われましたけれ
ども
、この問題について新しい
建設
大臣としてどういう処置をお
考え
になっておりますか、お伺いしたい。
中馬辰猪
183
○国務大臣(中馬辰猪君) 私は、就任以来
災害
その件非常に多忙なものですから、まだこの問題については検討したことありません。ただ、こういう感じは持っております。本来行政庁が専決処分すべき問題、また専決処分できる問題を衆議院の
予算
委員会
にわざわざ小
委員会
を設けられた、また参議院におきましても、決算
委員会
が満場一致、新
建設
大臣に対して慎重に対処せられたいという文書による申し込みを受けておるわけであります。でありますから、事はきわめて重大でありますから、軽々にはなかなか処理はしないという気持ちを持っております。
上田耕一郎
184
○
上田耕一郎
君 軽々に処理をされないという方針を聞いて、私はそれを評価したいと思いますが、大臣御存じと思いますけれ
ども
、この問題については二人の農民が室町産業にだまされたということで、越山会のあらゆる圧力に抗してですね、あの契約はやはり詐欺に基づくものだ、公序良俗に反するものだ、あの土地は私たち農民の手に返してほしいというので行政裁判を起こしております。まあかなり長い訴状がありますけれ
ども
、この中にもこの問題の
経過
のすべてが書かれておりますので、大臣はこの問題を検討されるとき、この二人の農民が起こした行政訴訟の訴状そのものもぜひ検討していただきたい、こうお願いしたいと思います。
中馬辰猪
185
○国務大臣(中馬辰猪君) いまの
治水
五カ年
計画
災害復旧
がありまして、検討する時間が果たしてあるかどうかという気持ちでございます。時間的になかなか多忙でございます。
上田耕一郎
186
○
上田耕一郎
君 いま軽々に取り上げるつもりもないし、時間的に非常に多忙だとおっしゃいますけれ
ども
、だからそういう時間的な余裕ができて、この問題を訴状も含めて新しい立場でよく
調査
して、その上で
建設省
の方針を決めていただきたい、世論に沿って決めていただきたい、そういう
要望
であります。
中馬辰猪
187
○国務大臣(中馬辰猪君) 私もそういたします。
上田耕一郎
188
○
上田耕一郎
君 この問題は、大臣よく御存じのように国会でも決算
委員会
、
建設委員会
、
予算
委員会
などで何回も取り上げられた問題であり、三木首相が御自分の決裁の形でこれを処理するという答弁があった問題であります。そのために衆議院
予算
委員会
の小
委員会
が持たれまして、その論議もいまだに続いているわけであります。さらに当参議院においても、参議院決算
委員会
でこの問題の疑惑を解明すべきだという全党一致の要求があります。そこで、昨年六月の参議院本
会議
における警告にもこの問題が入っていることもよく御存じだと思います。そういう点を踏まえて、院の決議、そういうものを踏まえ、それから国民がこの信濃川
河川
敷に対して持っている大きな疑惑と批判の世論、こういうものをよく受けとめて処理することが私は大前提だと思います。 これだけ大きな問題になった金脈事件なので、この問題について悔いを千載に残すような処理をもし
建設省
が行うとすると大問題になる。これは一度新聞で報道されまして、その後国会で追及されて、竹下前
建設
大臣は取り消しましたけれ
ども
、 〔理事沢田政治君退席、
委員長
着席〕 竹下氏はことしの中ごろ、専決処分で廃川敷処分を行おうとするという報道が新聞に載ったことさえあるわけであります。これまで
建設省
は、この室町産業の買い占め問題が取り上げられると、民間の売買問題で
建設省
は関知しないというような態度をとったこともありました。しかし、この公共利用問題になりますと、先ほどの、仮谷大臣のように、行政指導だというようなことを言い、非常に矛盾した、あるグループに都合のいいような答弁が行われておりました。私は、こういう疑惑を絶対起こさずに、この問題を、すべての疑惑が解明された後に廃川敷処分に手をつけるべきだ、それまでには悔いを千載に残すような処分は絶対すべきでないということを
考え
ておりますが、
最後
に
建設
大臣のこの問題についての決意を重ねてお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
中馬辰猪
189
○国務大臣(中馬辰猪君) 私もたまたま選ばれて
建設
大臣という重職を仰せつかっておりますから、悔いを千載に残すことはしないと、こういう決意を持っております。
春日正一
190
○
春日
正一君 今度の水害、非常に大規模で、根本的に議論しなければならぬ問題たくさんあるわけですけれ
ども
、限られた時間の中で、この間、
長良川
も見てきましたから、そういうものを主にしながら幾つか質問をしたいと思います。 最初に
長良川
の
治水対策
の問題ですけれ
ども
、一級
河川
で、その中でも特に安全と見られておった
長良川
の本川の
堤防
が
計画
高
水位
以下で切れたということで、これについての批判というものは非常に強いものがあります。だから、それについて
建設省
はどう
考え
ておいでか、ここを聞かしていただきたいと思うのですが。
栂野康行
191
○
政府委員
(栂野康行君) 今回の
長良川
の破堤でございますけれ
ども
、いわゆる水源、
上流
域に千ミリ以上の雨が降った。そのためにいわゆる
計画
高
水位
に近い高い
水位
が三回にわたって長時間続いたということが一つあります。それからもう一つは、
岐阜
地先におきましてやっぱり八百ミリ以上の雨が降った。そういうふうな異常な気象現象が重なりまして、
長良川
全川が、
揖斐
川も含めまして、非常に危険な状態になったわけでございます。そしてたまたま、本当に気の毒なことでございますけれ
ども
、
安八
地先が破堤したということでございまして、これは
洪水
の大きさからすれば、
計画
高
水位
よりか小さい
洪水
でございましたけれ
ども
、いわゆるそういう
洪水
のパターンといいますか、雨の降り方、あるいは
洪水
の
継続
のパターンでございます。そういうものを含めますと、やはり数百年に一回の
洪水
のパターンになるのじゃなかろうかというふうに
考え
られます。
春日正一
192
○
春日
正一君 それで、数百年に一遍の
洪水
だからということで、外的要因でだけ片づけていいものかどうか。私、一つ問題を出したいと思うのですけれ
ども
、
河川改修
の基本
計画
の中で
計画
流量とか
計画
高
水位
とかいうようなものがきちっと決められますね。高
水位
が決められたら、そこまでは水が来るもの、水が来ても
堤防
はもつものと、これが前提でしょうが。ところが、それ以下の水で切れたということになると、一体どういうことになるのか。長い時間、たとえばいままでかってない七十八時間ですか、長い時間水が続いたという。しかし、そういうことは基本
計画
には書いてないですね。八十時間続こうが、百時間続こうが、とにかくここまではもつのだというのがたてまえでしょう。そこに盲点があったのじゃないですか。
栂野康行
193
○
政府委員
(栂野康行君) いわゆる
堤防
の強さというものは、普通の正常な
洪水
の
流れ
におきまして、いわゆるハイウォーターまでは確保するということでございます。しかもそれは
堤防
が完成した場合におきます——
堤防
か完成と言いますのは、護岸もでき、すべてできた場合におきます一つのめどでございます。それで、今回のような
洪水
のパターンというものは特に異常な現象でございまして、また新しくこういう実例を踏まえまして、また
堤防
の断面がどうあるべきであるか、その点もまた検討してまいりたいというふうに
考え
ております。
春日正一
194
○
春日
正一君 この
堤防
が護岸もしていない、それから高さはあったけれ
ども
、厚さが五メーターほど足りなかったというような不十分な
堤防
だったという面が一つあります。 この問題は後で私は問題にしますけれ
ども
、その前にもう一つ、やはり先ほど来ほかの
委員
からも意見が出ていますけれ
ども
、砂の
堤防
であって、もろかったのじゃないかとか、いろいろ言われておるのですね。そうしますと、やはりこれから基本
計画
をつくっていきます場合、単に
堤防
断面がどれだけで、高さがどれだけというだけではなくて、やはり水が何時間続いてももつというような、あるいは何時間——せめて予想し得る時間ですね、今度の場合みたいに、そのくらい続いてももつ程度の施工をしなければならぬというような、やはり水にもつ時間の規定もきちっと
計画
に入れて、それに沿うようなものをつくらせなければ、高さだけできたって、水が百時間つきましたから崩れましたというようなことを言っておったら切りがないです。だから、そういう点をやはり改善していく
考え
があるのかどうか、ぼくは必要だと思うのだけれ
ども
ね。
栂野康行
195
○
政府委員
(栂野康行君) 先生がおっしゃいましたように、ああいうふうなパターンの
洪水
におきましても
堤防
がもつようにいろいろ検討してまいりたい。その場合に、
堤防
のもつ大きさから言えば、土堰堤みたいな物すごい、いまの
堤防
の何倍もの
堤防
をつくらなければならなくなるおそれもあるわけです。ですから、そういう場合、また別の方策でそれに対応できるかどうか、その辺も含めまして、水と土の関連というのは非常にむずかしい問題でございますので、
土木研究所
を主体としまして、また実験な
ども
踏まえて、慎重に鋭意検討を進めてまいりたいというふうに
考え
ます。
春日正一
196
○
春日
正一君 私が言いたいのは、そこがいま一つの盲点になっているし、議論の重点になっているわけですな。
建設省
の方では、確かに水は
計画
水位
までいかなかったけれ
ども
、しかし長い時間、しかも三波も四波もピークのあるような出方をしたから崩れたんだと言っているけれ
ども
、そうすると、そういうものに耐え得るというような
堤防
の強度、構造自体について
考え
てなかったのか、高さだけあればよかったのかという批判が出ておるわけです、現に。だから私は、そういうものにこたえるためにも、基本
計画
をつくるときに、やはり
堤防
の、その
河川
に予想される
出水
なり
状況
なりについて、今度のような新しいタイプが出たわけですから、耐えられるようなものをつくるというようなものを入れませんと、やはりそこが盲点になる。規定どおりつくっても壊れたということになるわけですから、それを言っているわけです。その点は十分検討して、そういう盲点をなくすようにしてほしい、これを希望しておきたいと思います。 それからもう一つは、
治水対策
のおくれという問題ですね、さっき出た。確かに
安八
の
決壊個所
は、先ほど来も指摘があったように、暫定
堤防
でもって毎秒七千五百トンに耐える
堤防
よりも五メートル厚さが薄かったという問題があるわけですね。ですから、五メートル厚くしておけばもったんじゃないかという意見もあるわけですよ。確かに、もったかもたぬか別として、そうなってないんだから、あるべきものが——そういう批判がある。そこへもってきて護岸がしてないという問題があるんですね。だから、これは護岸をしなきゃならぬし、厚くしなきゃならぬということはもうわかっておってできなかったということは、結局あれでしょう、
長良川
の直轄
河川
計画
が遅々として進んでないということの証明でしょう。 たとえば明治以来の投資額三百億、戦後
最大
洪水
対応として残高が千二百四十億、年間
事業
費が五十一年度で二十四億、これで割っていくと五十年かかるんですね。五十年の間には
河川
の流況また変わりますから、それじゃ追っつかないということになるというようなことになると、見込みがつかぬというほど実際おくれておる、整備率一九%、護岸の率が三十数%というような。そうすると、一番大事な問題だけれ
ども
、やはり
事業
費を思い切ってつける、
予算
をふやすということをやらなければ、いろいろ議論してみてもそれを生かしていくということにならないんじゃないか。そういう問題があるんですけれ
ども
、その点、今度の
災害
を踏まえて、本当はこれ大臣に聞きたいんですがね、一体
建設省
としてどう
考え
ておるのか。特に来年度
予算
に対してどうするのか。その辺をはっきりさしていただきたいんですがね。
栂野康行
197
○
政府委員
(栂野康行君)
長良川
につきましては、いわゆる三十四年、三十五年あるいは
昭和
三十六年と三年続きまして大きな水害があって
被害
を受けたわけでございます。したがいまして、
建設省
としましても、この
長良川
につきましては
予算
を集中してつけておった次第でございます。しかしながら、今回の水害でああいうふうに本堤が切れたということにかんがみまして、さらに
長良川
の——
揖斐
川も含めまして、この
改修
促進
を図ってまいりたいと、鋭意努力してまいりたいというふうに
考え
ます。
春日正一
198
○
春日
正一君 この問題、後でまた
国土庁長官
にもお聞きしますけれ
ども
、次に、あの破堤した
個所
の外側というか、あれは内側になるわけですね、
堤防
の。内側でもって例のガマというのがたくさん出るというので、私
現場
を見てきましたけれ
ども
、
水位
が上がったときに噴き出す一つの
漏水
現象だと思うんですけれ
ども
、ああいうものについて、
地元
の新聞なんかでは、ああいうガマがずっと下から浸透していって、そういう結果、一定の限界に来ると
堤防
をゆすぶるようなそういう変化も起こすんじゃないかという議論もしておる。 そこで、ガマというものが一体どういう現象なのか、あるいはどういうふうにしてそれを防ぐことができるのか、あるいは
堤防
との
関係
でどういうものなのかというような点、
建設省
いままでのところどういうふうに理解しておいでですか。
栂野康行
199
○
政府委員
(栂野康行君) ガマの現象でございますけれ
ども
、これは
長良川水系
の非常に多い現象でございます。この現象につきましては、
堤防
基礎地盤の
漏水
というものが原因と
考え
られます。それで、いままでもその
機構
につきましていろいろ
調査
を行ってきたわけでございますけれ
ども
、そのガマの現象がいわゆる地下で生じておるということ、また地形、地質、地下水等関連する要素が非常に多いため、現在のところ完全にその現象を把握することがなかなか困難でございます。しかし、今後ともこのガマの現象につきましてさらに
調査
を進めていきたいというふうに
考え
ます。それで、
漏水
のこういう
機構
、ガマの
機構
につきましてまだ完全には把握されておりませんけれ
ども
、
漏水
を減少させる
対策
でございますが、いままでに高水敷の造成とか、あるいは矢板の打ち込み、
堤防
裏側の押さえ盛り土というもので対処してきた次第でございます。
春日正一
200
○
春日
正一君 この間行ってみた時点でも、まだ原因とかその仕組みははっきりしていないというようなことで、
地元
では何とかしてくれという
要望
が非常に強い。あそこへ
鋼矢板
を打ち込んでみようというような話もあったけれ
ども
、しかし、とにかくこの仕組みがわかって、それと
堤防
との
関係
がはっきりしませんと、いま締め切って、また本堤
工事
をやると言っているけれ
ども
、やはりそこにそういう弱点が残ってしまう。そういう意味では、これはやはり早急に解明して、
堤防
との
関係
をはっきりさせて解決していくという努力をしてほしいと思います。 そこで、もう一つ感じた問題ですが、一つは、木曽川の維持管理問題というのですか、この点にかなり問題があるのじゃないかという感じをしてきたわけです。たとえば今度の
決壊
でも、あそこの切れた
個所
というのはA、B、Cという危険度の順位のCというところですね。やや危険な
個所
ということで、
建設省
の
報告
を見ても、中部地建の。もっと
上流
の方に自衛隊も警察も行っておって、下流は民間の防衛でやっておった。まさかここが切れるとは思わなんだというような
状況
のところが切れたというのですね。それについて、やはりもっと除草をきちんとやって、冬になる前に除草をして根を張らせる、で、
堤防
を強くする。それからまた
出水
期前に除草をして、亀裂とか
漏水
とかいうものを早くわかるようにするというようなことをやっておけばという声が
地元
で非常に強いわけです。
安八
町の助役なんかは土地の新聞でこう言っていますね。
建設省
は、
土砂
を取るな、ごみを捨てるなということは盛んにうるさく言うけれ
ども
、しかし、
堤防
の草刈りやのり面を芝生で張るというような大切なことを忘れておる。
出水
のときにも連絡しなければ職員が来ない、これでは不安だというようなことを、あそこの助役さんは
地元
の新聞に意見を発表しているのですね。だから、そういう意味でも、やはり本当にちょっと
考え
れば常識的な
堤防
の草を刈り、そして
堤防
を監視して、そしてそういう欠陥があるかどうかを絶えず見て回るというようなことがやられていないという点で、これは一体どういうことなのかというふうに疑問に思うわけです。何でそれがやられていないのか、一体
予算
がないのか、そこらの辺を聞かしてほしいのですが。
栂野康行
201
○
政府委員
(栂野康行君)
堤防
の草刈りにつきましては、
建設省
におきましても重点を置いてやっておるところでございます。それで、直轄
河川
におきましては年に二回あるいは年に一回というふうにできるだけ
出水
期の前に一回刈るということで、
堤防
の管理につきまして手当てしておるわけでございます。それでまた
出水
期直前におきましては、いわゆる
堤防
の問題とか、あるいは水門とか、そういうふうな点検をやはり県と一体となってやっておりまして、
河川管理
施設の維持管理の万全に努めておるという次第でございます。
春日正一
202
○
春日
正一君 まあその点が、草刈りという問題でも現地の人はよく見ておるのですから、一番そこをやはり問題にしておる、非常にできていないということで。私はあそこを見せてもらった限りで、そのほかにもやはり管理上絶えず巡回し、見て、手直ししていく必要があるというものが幾つかあるという感じがしてきたわけです。たとえば武儀川と
長良川
の合流点で
堤防
の基礎がえぐられておりますけれ
ども
、ああいうところとか、もっと下流になりますか、芥見というところでやはり
堤防
の基礎かえぐられて——えぐられる寸前までいっている。ああいうところへ行って土地の人に聞きますと、やはり
流れ
がこう変わってきているんですね、だんだん。変わってきておっかない、おっかないと思っておったら、大水が来てがっとえぐられたと、そう言うんですよ。だから、ああいう
河川
ですから、当然まあ大水出なくても、ある程度水が出れば
土砂
が流されて流路が変わってくる。少しずつ変わっていくのを事前に、早期に気がついて、そういうところの
しゅんせつ
でもやって、流路を一番安全なところにしておけば、大水が出たときにやはり一定の防護の役割りは果たすと思うんですね。ところが、それが自然に任せておいて、流路がもうずっとこっちへ来ておったところへ大水が出たものだから、えぐられるというようなそういうことが起こっておるわけでして、そのほかにもまあ
河川
敷内に木が茂ったりなんかして、それがやはり
流れ
をせきとめるような役割りをするというような面もある。だから、そういう意味で言えば、さっきの草刈りの問題もありますし、同時に
河川
のそういう流況を絶えず見ているとか、それからそういう木が大きくなっているようなところは、私は全部切れとは言いませんよ、切らないでおいた方がいいところもあるから。しかし、
治水
上必要なところは切るとか、そういうような手当てをどうしてもする必要があるんじゃないかというふうに思うんですけどね、そこらの点どうなんですか。
栂野康行
203
○
政府委員
(栂野康行君) まず、急流
河川
におきますいわゆる水当たりの問題でございますけれ
ども
、これは非常に
洪水
によって水当たりの
個所
が変わったり、非常にむずかしい問題でございます。しいしながら、先生おっしゃいますように、いわゆる
出水
期前にはその点も十分見て、手当てできるところは手当てするというふうに今後とも持っていきたいと思います。また、いわゆる高水敷の中の立木の問題でございますけれ
ども
、いわゆる官地などにおきましては、流心ぶといいますか、特に必要な
個所
から切っていきたいと、民地におきましてはいわゆる補償の問題とかまたいろいろのことが絡んできます。しかしながら、今後はやはり水上の特に急ぐところにつきましては、できるだけ地主さんと一体となってそういうものに対処してまいりたいというふうに
考え
ます。
春日正一
204
○
春日
正一君 いろいろ具体的には問題はあると思いますがね。たとえば民地でも、行ってみたところで、
河川
敷の中に桑畑があって、養蚕やらなくなったせいか桑の木がぱっと大きくなっていますよ。こんなものは養蚕に使ってないに決まっているんだから、それはよく話せば切るということに同意するだろうと思うし、そういう問題あると思うんです。 そこで問題は、さっき
安八
町の助役が言ったように連絡しなきゃ来てくれぬと、なかなか回ってくれぬという問題ですね。これはやはり監視の人員が足りないんじゃないかなと。一体
建設省
としては、その一定キロについて監視の巡回の人間が何人というようなことは決めておいでなんですか。
栂野康行
205
○
政府委員
(栂野康行君) まあ何キロに何人と、巡視員が何人ということは決めておりませんけれ
ども
、出張所が川筋に——まあそうですね、事務所によって違いますけれ
ども
、二十キロあるいは十キロ置きに出張所というものはできておるわけでございます。それで、出張所の職員が絶えず日常巡視しておりますので、そうしまして
堤防
の管理の、あるいは
河川管理
の万全を期しておるという次第でございます。
春日正一
206
○
春日
正一君 その点で、いまの出張所の問題ですけれ
ども
、
長良川
の第二出張所というところの例をとってみますと、四十二年には十九人いたんですよ、職員が。ところが、四十六年には十六人になり、五十一年は十三人なんですね。それで、所長とか運転手とか、そういう人たちを引いてしまいますと、実際に巡回できるのは二、三人しかないと。だから、とてもじゃないけれ
ども
、きめ細かく回ってなんかおれないというのが実情だというふうに聞いております。 それから全国的に見ても、
建設省
関係
の職員定数を削減ずっとしていくわけですけれ
ども
、その中で
治水
関係
の削減が圧倒的に多いのですね。これは
考え
てほしいと思うのですけれ
ども
、たとえば
予算
定員の十年間の対比で見ますと、
道路
特会の方は四十一年の一方三千一人から一万一千三百九十四人、千六百七人減ということで、これは一二%の減なんですよ。ところが、
治水
の方は一万六千十人が一万二千四百七人、三千六百三人、これは二二%の減なんです。全体の減は一七%ですから、
河川
関係
の人員の減というのは特に著しいということが数字上明らかなんですね。こういう状態にしておいて、それで
河川
の巡回、そうして監視というようなことが不十分だったということになれば、これは
建設省
の責任問題じゃないですか。やはりこれはもっと私は——人間でなければできないことですから、これは。それで本当に気をつけて、親切に見ていかなければ、なかなか亀裂だとか
漏水
だとかというようなことを見つけることはできないわけですから、だからこれはもっと人員をふやして、やはり十分に回ると。その方か職員の給料よりも——一つ
災害
が十年に一度でも起きたときの
被害
の額よりもはるかに少なくて済むわけですから、そういう点について、どうですか、少なくとも
河川
の維持管理に関する人員をふやすという方向をお
考え
になれませんか。その点、大臣どうですか。
中馬辰猪
207
○国務大臣(中馬辰猪君) 人員の問題は内閣全体の問題ですので、ちょっと御勘弁くださいませ。
春日正一
208
○
春日
正一君 これね、内閣全体の問題ですけれ
ども
、これだけ水害が起こって、総理大臣も水害
対策
しっかりやれと言っているときですから、これは
国土庁長官
も口を添えていただいて、何としてもこの
災害
を防ぐためにはそういう人間が必要なんだと。これを下請しているところがあるんですね。そうすると、まるで下請の
報告
書をまるのみにして
建設省
は責任をとっていくということになってしまう。そういうことじゃなくて、やっぱり
建設省
が責任を持って、自分が直轄
河川
ぐらいは見るという
体制
はぜひとってほしいし、とらなけりゃやっぱり後で裁判でも起こされますよ、これは。ぜひそうしてほしいと思います。これは大臣にもお願いしておきます。 そこで、その次に当面の
改修
問題ですけれ
ども
、まああの
安八
だけではなくて、
長良川
、
揖斐
川の
支川
も含めて、今度の場合非常にたくさんの
個所
で
堤防
の
決壊
とか、それからがけ崩れとかいろいろあったわけですけれ
ども
、それを早急に
復旧
するために、やはり自治体あたりから出ておる陳情書を見ても、一致して言っていることは、
復旧
に当たって改良
復旧
、それから
激特事業
の採択をぜひやってほしいと、一致して出てきておるのですね。 そこで、お聞きしたいのですけれ
ども
、
建設省
として、いままでのところ
災害復旧
地に対して、
災害
関連が一対一というような形でやってこられたのですけれ
ども
、こういう地方自治体の
要望
を入れていくということになれば、やはり
災害
関連の改良というものをもっとたくさん認めるということにならざるを得ないだろうと思うのですけれ
ども
、その辺はどういうふうに
考え
ておいでですか。
栂野康行
209
○
政府委員
(栂野康行君)
災害
関連の原則は先生おっしゃいます一対一だということでございます。しかしながら、
建設省
といたしましては、いわゆる
災害
の実態、あるいは荒廃地の問題というものをよく見まして、一対一を一対四とか、そういうふうにできるだけ
災害
の実態に応じまして上げていくというふうにいままでもやっておりますし、今後ともその線に沿って努力していきたいというふうに
考え
ます。
春日正一
210
○
春日
正一君 ぜひそういうふうにして、
災害
の早急な
復旧
、復興のためにひとつ力を入れていただきたいというふうに思います。 それから具体的な問題でお聞きしますけれ
ども
、この
伊自良川
、板屋川、岩戸川、それから先ほ
ども
話に出ました
杭瀬川
と大谷川の問題ですけれ
ども
、この
伊自良川
の場合ですね、県は高富町の北洞というところから
岐阜
市の上城田寺までこれ
改修
をやっておる、それから上城田寺から大臣の管理区間までの間が
改修
されてない、こういう
状況
があるのですね。それで、この城田寺一帯はいつでも
災害
の常襲地帯で、今回も県の公社の分譲団地が浸水しておるというような
状況
があるわけです。だから、
改修
してないその
地域
で絶えず水が出ておる。ところが、国の方は未
改修
でも、その
地域
は
河積
が広いからといってほうってあるし、県の方へいけば、そのうち国がやってくれるでしょうというようなことで、おっつけっこみたいになっているんですね。やっぱりこれじゃぐあいが悪い。やっぱり上が直って、下が直って、間があいておって、そこから水が出るということになるとぐあいが悪いわけです。それから板屋川の場合も同じで、県は秋沢というところから黒野まで
改修
、黒野から
伊自良川
合流点は未
改修
、ここまで大臣の管理区間。これから下ですね、その区間が黒野、古市場というところで浸水している。
岐阜
大の用地、相当水のつくところだそうですけれ
ども
、三メーター半、住宅が一メーター八、このくらい水がついているんですね、そういうところ。だから、これも前と同じ
ケース
です。真ん中が抜けている。それから岩戸川の場合には、都市小
河川事業
として採択して一部
着工
しておるようですけれ
ども
、
予算
が少なくていつまでかかるかわからぬというような状態になっている、何とかしてもらえないかというあれがあるんですね。 それから大谷川、
杭瀬川
の方は先ほ
ども
質問がありましたけれ
ども
、私、去年行ってあそこ見てきまして、それであそこは洗いぜきができて、水がいっぱいになったら右岸の方へ流して遊水地にするような
計画
になっておったところへ、だんだん家ができたり事務所ができたりというような形で出てきて、問題が大分うるさくなっているところで、私、去年
建設省
の方へもどうしてここうまく解決つくかというような話も、相談もしてみたんですけれ
ども
、結局
杭瀬川
の
改修
をやって、そして下流の水はけをよくするということが先決だろうということで、それに期待をしておったわけですけれ
ども
、今度この水でまたえらいいっぱいになっちゃったわけですね。そこで、これを
促進
してもらえないかということが
地元
での希望ですね。そういうことになっているわけですけれ
ども
、
杭瀬川
の
改修
、あれを
促進
してもらえないか、この四つについてまとめてお答え願いたいと思います。
栂野康行
211
○
政府委員
(栂野康行君) まず、
伊自良川
と板屋川も同じような
ケース
でございまして、上が
改修
やっておって下が直轄でその間が抜けておるということでございます。それで、この抜けておる区間につきましては、これは現在
河積
、川幅が広いということで、
建設省
としましてはいわゆる直轄補助ということでなしに水系と見まして同じような安全度に持っていくというのを基本にいたしております。したがいまして、いわゆるこの安全度が、現在
上流
に比べて安全度が多いというということで抜けておるような次第でございます。 岩戸川につきましては、これは都市小
河川
で
岐阜
市内の川でございます。それでなかなか金は集中的に、去年に比べてことしも大いに投じておりますけれ
ども
、さらにその
促進
を図ってまいりたいと思います。 それから大谷川でございますけれ
ども
、これはいわゆる右の方に溢流堤がございまして
洪水
があふれるというふうな
状況
でございまして、現在調整区域になっておるわけでございます。それで
河川改修
としましては、
上流
でダムをつくってできるだけ川に入ってくるのを抑える、一方川底を掘ってできるだけ速く流すと。同時に、こういう
中流部
あるいは
下流部
におきましては、こういうのは遊水地としましてやっぱり有効に使って下流の負担を軽くするとか、そういうこともあわせてこの大谷川につきましては多目的遊水地とかそういうものを含めましてどうあるべきかと、どういうふうに
改修
すべきかということを今後検討してまいりたいと思います。
杭瀬川
につきましては、やはり一番直轄区域におきましては非常に川幅の狭いところ、ネックがございますので、その点の用地、まあ
引き堤
といいますか、ことしも三億程度ここにつぎ込んでございますけれ
ども
、重点的に今後とも
推進
していきたいというふうに
考え
てございます。
春日正一
212
○
春日
正一君 もうこれ以上細かく言いませんけれ
ども
、あそこの問題は、あの川の両側の何か意見が違って非常にむずかしい問題になっている。私は両方の自治
会長
から話を聞かされたのですけれ
ども
、やはり深刻な問題になっていますから、ぜひ早く解決するようにしていただきたいと思います。 そこで、木曽川の
長良川
、あの水系の
治水
の問題ですけれ
ども
、今度行ってみて、やはり未
曽有
の大雨が降ったと、そのわりに
河川
の
水位
が上がらなんだということですね、
計画
高
水位
を超していないのだから。しかし、
岐阜
県の平野の約二分の一近いものが水浸しになっている。あれをいまわれわれがいろいろやってほしいと言ってお願いしたように、中小
河川
を全部きちっと護岸して、よそへ出ないようにして全部
長良川
にあれ入れちゃったらどうなるか。あの
長良川
はもたぬと思いますよ。
揖斐
川だって、あれまさに壊れようとするところで、
安八
が切れたからだと言われているけれ
ども
、
水位
が引いたからあれ助かった、あの根古地のところですね。そういう
状況
ですから、あの水が出なかったらまだ
方々
で破れているということになる。ということになると、いままでのようにとにかく
堤防
を高くして
河川
に入れて、早く海に流すという方式はもう
考え
直さなきゃならぬ。だから、あそこの
治水
の問題もそういう意味でもっと新しい立場で見直して、そしてそういう方向づけの上に立って、いま求められておる問題から着手していくというようなふうにしていく、そのことが必要じゃないかというふうに感じるわけです。 そこで、流況がずいぶん変わっているんですね。ゴルフ場がたくさんできて、
岐阜
の県内で既設のゴルフ場三十二カ所、造成中のもの十一カ所、申請中のもの八ヵ所というような形ですね。そうしてその中でも
岐阜
の北カントリークラブというのは、去年十二月に造成が始まって百三十二・八ヘクタールというかなりなものですけれ
ども
、本巣、木知原から
岐阜
市の伊洞へかけて山林を切った。そして今回は
土砂
が一万五千立米流出、それで農地を十何ヘクタールか埋めているというようなことが出ておるのですね、これ一つの例ですけれ
ども
。それで砂防堰堤をつくらしたけれ
ども
、それを乗り越えて
流れ
てしまった。こういうふうなものがいまたくさんできてきておるわけです。そして全体として見てみますと、
長良川
の流域の企業でもって取得した土地というのが総面積が四千百九十二ヘクタール、ゴルフ場用地が千八百八十九ヘクタール、住宅用地が千四十一、レジャー観光用が六百八十五ヘクタール、工場用地が三百三十一ヘクタールというような形ですね。しかも取得した地目は山林が三千二百九十九で一番多い。そういうふうな形で用地が取得されて開発されるものですから、流出係数といいますか、とにかく水の
流れ
がどんどん速くなって一気に川へ出てくる。だから、中小
河川
でも破堤するという状態にあるわけですね。 そこで、全体の問題は後として、このゴルフ場の問題ですけれ
ども
、こういう場合、やはりゴルフ場だとか何だとか水の当然出ることが予想されるようなかなりの規模の仕事をやるという場合には、当然そこで新たにつくり出される水についてはセーブするようなたとえば貯水施設といいますか遊水施設といいますか、そういうものを企業に設置することを義務づけるというようなことを、これは
河川
法でやればできることになっているんですね。だから、義務づけるというふうにして、事前に一応、新しくこういうものができたから思わぬ水がふえたというのじゃなくて、できてもふえない仕組みになっておるというようなことを、まずやるべきじゃないだろうかと思うんですけれ
ども
、そこらはどうですか。
栂野康行
213
○
政府委員
(栂野康行君) いま先生がゴルフ場をたとえてお話しされました。
上流
のたとえばゴルフ場でございますけれ
ども
、ゴルフ場をつくることによっていわゆるいままでよりも
洪水
といいますか流出が多くなるという問題でございます。これにつきましては、
建設省
の所管の
地域
におきましては、いわゆる防災調整池といいまして池でございますけれ
ども
、貯水池をつくらして多く出てくるのを防ぐということを現在やらしております。それで、こういう開発の問題でございますけれ
ども
、総合
治水対策
ということで適正な土地利用の問題、あるいは流域の水に強い町づくりとか国づくりとかそういう問題、あるいは流域に降った雨をゆっくり川に持ってくるとか、そういうことをあわせました総合的なソフトな面の
治水対策
というものを
建設
大臣の指示を受けまして、現在それを検討すべく準備中でございます。 それから
長良川
について一言だけ申し上げますと、ああいうふうに内水問題が非常に多うございます。あれは結局
河川
の
水位
が高くて、はけないわけでございますけれ
ども
、どうしても
長良川
に対しまして、いわゆる八千とかいうふうな
洪水
を流すには
しゅんせつ
しかほかにないと思います。したがいまして、今後ともそういう面につきましても鋭意努力してまいりたいというふうに
考え
ます。
春日正一
214
○
春日
正一君 そういう意味で必要なことは、防災を重視した土地利用の方向、だから当然防災を無視した開発は規制する。それから遊水的な機能をこれを開発すると。もちろんこれは大きなものを平地にたくさんつくるわけにはいきませんから、やはり地形を利用して小さなものでも
随所
につくって水がたまるようにするというようなこと。それから浸透性の舗装というような方式ですね。そういうような点をやるとか、特に治山
治水
の
事業
ですね。これは
岐阜
県のあれを聞いてみましても、切るのはたくさん切っているんだけれ
ども
、植林
計画
というのは二〇%しか進んでないんですね。これは機械で切り、手で植えるんですから無理はないと思うけれ
ども
、これはやっぱり治山
治水
の方をもっと……。
建設省
のこれはあれじゃないと思いますけれ
ども
、
国土庁長官
、ぜひ聞いていただきたいと思うんですけれ
ども
、治山
治水
の方に力を入れていただきたいというように思います。 それからついでに、これは一言だけ言っておきますけれ
ども
、ここでも問題になったようですから、
河道
を掘削して
河積
を広くするということは私
ども
も反対じゃないし、必要と地形に応じてやるべきだというふうに思いますけれ
ども
、それをイコール
河口
ぜきにくっつけて、掘るから
河口
ぜきだという形に持っていくのは早計だと。
地元
の新聞見ても、被災者の中から
河口
せきを
促進
という声は一言も出てこないということをはっきり書いていますから、だからそういう点では裁判も起こっていることですし、十分住民の意見も聞き、いろいろさっきから言ったガマの問題その他の問題も検討して、住民が納得できるという
状況
ならおやりになるのもいいけれ
ども
、これは慎重にやるべきものだということだけをこの際指摘しておきたいと思います。 そこで、
国土庁長官
の方ですけれ
ども
、こういうことで全国的に大きな
被害
を出しましたけれ
ども
、一級
河川
のはんらん、都市
河川
のはんらん、山崩れ、地すべり、がけ崩れ、あらゆる形の
災害
が全国的に出そろったような形になっておるわけです。だから、この際こういう
災害
のメカニズムを科学的に解明して、具体的な
対策
を立てることが大事だと思います。だから、そういう意味で全国的な
危険個所
の総点検というようなものをおやりになる必要があると思うんですけれ
ども
、その点どうですか。
天野光晴
215
○国務大臣(天野光晴君) もちろんそれは必要ですし、いまの
段階
、私の方で直接やるのではなくて、
河川
あるいは治山等については、一部は農林省、また一部は
建設省
ということでやっております。それで今度の場合、たびたび
委員会
等でも大臣並びに局長からの答弁で、一級
河川
の総点検、これはやる、新たに追加してやるわけでございます。それから山崩れといいますか、いわゆる
危険個所
、地崩れしやすいという
個所
、
建設省
で調べたのでは大体六万カ所ぐらい、林野庁で調べた方が十二万カ所ぐらいあると言う。ところが、その
個所
に入っていないところに今度兵庫県のあの大崩壊があったということでございますから、言うなれば
日本全国
皆一応これ対象にして
調査
を進めなきゃいけないと思います。この問題は今度の
災害
を契機として、反省材料といたしまして
関係
各省に呼びかけまして、できるだけの処置は講じたいと思っておりますが、問題は
予算
です。 それで、この機会に、どうせあれですから、もうちょっと
予算
の問題について、所管事項は
建設
大臣ですが、私の方でも協力しているたてまえから、私の
考え
ていることを申し上げたいと思うんですが、いわゆる治山
治水対策
で五十年度上期五ヵ年
計画
で百兆円に公共
事業
がしほられまして、御
承知
のように
河川
が五兆五千億です。そうして山の方は、治山の方は八千億でございます。とてもそんな程度で、これ五ヵ年ですから、八千億の
予算
で一体いま
危険個所
と言われる十八万カ所の始末をどうしますか、どうにもなりません。そこで、いま一応何らかの措置を講じて、今度の
災害
を契機としてこれを上げたいというので、
治水
の方は八兆五百億ぐらいにしたい。それから治山の方は一兆四千億ぐらいにして、とりあえずこれぐらいふやして、とりあえずの処置を講じたいという
考え
方で努力をしておりますが、これは与野党を通してこれ問題のあることではございません。要するに挙党一致でございますから、それを踏まえて十二分に期待に沿えるように責任ある立場の者として努力をいたします。
春日正一
216
○
春日
正一君
予算
は後で聞くつもりでいたんですが、そこで国土
計画
における防災問題について、
政府
は現在第三次全国総合開発
計画
というのを策定しておいでになるんですけれ
ども
、その前提として作業中の新全総の総点検ということをやっておいでになる。だが、この項目の中には防災問題が欠けているんですね。現在やられておるのを見ますと、一が経済
計画
との調整問題、二が自然環境の保全問題、三が巨大都市問題、四が工業基地問題、五が農林水産業問題、六が地方都市問題、七が土地問題、八が開発法制問題と、こういうことになっているわけですね。もう発表されたのがありますけれ
ども
、これの中にどうしても防災問題一本入れませんと、仏つくって魂入れずになっちまうんじゃないか、その点どうですか。
天野光晴
217
○国務大臣(天野光晴君) 実は、先生から質問があるというんで、けさ私にわか勉強してきたのでございますから、具体的なものは局長から答弁させますが、先生おっしゃるとおり、八項目の中にこの重要な
災害
関係
の柱を一本入れるべきでないかという主張を私したんですが、何か全部の項目の中に皆含んでいて差し支えないような事務当局の
説明
でございますから、私、旧大臣と引き継ぎをやるとき、あなたのやったとおりにやりますという引き継ぎをしておいたものですから、一応事務当局から答弁をさせていただいて、私あとできるようでしたら処置をいたしたいと
考え
ております。まだ時間は相当あるつもりですから、その始末はいたすつもりでおります。
下河辺淳
218
○
政府委員
(下河辺淳君) 新全総の総点検は八項目ございますけれ
ども
、なぜ総点検するかということを御議論いただきました際に、公害問題と防災問題の観点から新全総全体を総点検すべきであるという御意見をいただきまして、公害問題と総点検に焦点を合わせて総点検をすることになりまして、そのときに項目としてどうしようかというときに八つに分けましたので、私
ども
といたしましては、大都市問題の中でも、あるいは地方都市問題の中でも、防災の問題と公害の問題についてはできるだけ触れたつもりでおりまして、項目としては、そういう意味で八項目通じて防災、公害問題と絡んでいるということを大臣に申し上げたわけでございますが、ただそれだけで十分であるというふうに思っているわけではありませんで、第三次全国総合開発
計画
をつくります際に基礎的な作業として二つの系列で作業しておりますが、その一つはやはり人口の
関係
の作業であって、もう一つの
関係
は国土の
関係
で、人口と国土のかかわり合いをつくることが第三次全国総合開発
計画
の
中心
でございますから、その国土問題の中でいま数々先生から御指摘いただいた点については、
建設省
等の
各地
の点検作業も入れながら一つの作業
報告
をまとめて、第三次全国総合開発
計画
の策定の基礎にしたいというふうに
考え
ております。
春日正一
219
○
春日
正一君 締めくくりに一言だけ。 もう時間切れましたからこれ以上の質問にはしませんけれど、先ほどの財政問題ですね、八兆一千億ということですけれ
ども
、それでも改定できる整備率というのは五二%から六三%に進むだけということで、だからこれは私
ども
うんと応援しますから、うんとがんばって、この
治水
治山の
予算
というものはぜひ取っていただきたいということ。 それからもう一つは、全部に入っていますと言うけれ
ども
、全部に入っているから影が薄くなる、全部に入っているものをやっぱりまとめてどかっと出すようにぜひしてほしいと、これだけ申し上げて私の質問を終わります。
竹田四郎
220
○
委員長
(
竹田四郎
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
竹田四郎
221
○
委員長
(
竹田四郎
君) では、速記をつけてください。
建設
大臣が暫時退席されるので、この際
建築基準法
の一部を改正する
法律案
に関連して、
既存
の特殊建築物等の
防災対策
について
建設
大臣の所見を承りたいと思います。 今回の
政府
提案による改正法案の主要点の一つは、
既存
不適格の特殊建築物等に対する防災規定の遡及適用であったと思いますが、衆議院において当該既定は修正削除されております。しかしながら、最近のデパート火災の例に見るように、一たん火災が
発生
した場合の
被害
は大きく、人命尊重の見地からの
既存
不適格建築物に対する防災避難
対策
の強化は焦眉の急だと
考え
られますが、
政府
としては次期国会に必要な
法律案
について提案する用意があるのか。また、当面どのような
対策
を講ずるつもりか。決意のほどを承りたいと思います。
中馬辰猪
222
○国務大臣(中馬辰猪君) ただいまの
委員長
の御発言でございますが、すでに
経過
については皆さん御
承知
のとおりであります。遡及適用の条項が前回削除されましたので、新たにまたこれを基準法に入れるのか入れないのかという議論がございましたが、私
ども
としては、この際修正削除を機にさらに内容に検討を加えまして、
建築基準法
とは別に
既存
特殊建築物等の避難施設等の強化のための
法律案
をまとめまして、次の国会に必ず提案いたしたいと
考え
ております。 なお、それまでの間における建築物の
防災対策
については、人命尊重という立場から
防災対策
を一日もゆるがせにできませんので、消防当局とも連絡協調して、改正法案に盛り込まれている建築
工事
中の
災害
の防止措置等を含め、現行法を十分活用して
災害
が未然に防止できますように努力いたしたいと
考え
ております。
三治重信
223
○
三治
重信
君 三つの問題点をきょうは質問したいと思います。 まず最初は、先日の
災害
とも関連いたしますが、最近の中小
河川
のはんらんによる
災害
が、公共
事業
としての
災害
の
被害
はそれほどでないかもしれませんけれ
ども
、やはり住民に及ぼす、住民の個々の
被害
がだんだんひどくなる。しかもそれが一回だけでなくして、
集中豪雨
が来るたびに毎年歳々と言ってもいいぐらい何回となく個人が
被害
を受ける。まあこういう状態が強くなっているわけなんです。一昨年の
災害
においても、愛知や三重や
岐阜
なんかにおいても、都市の開発の周辺における
河川
のはんらんによってたくさんの人々が
被害
を受けているわけです。 そこで、ひとつ御質問するわけなんですが、こういう都市の近辺の開発が進んでいったときに、いままでの中小
河川
といいますか、本当の小川をそのままにして都市が開発される、いわゆる家屋や工場がたくさんできる、そこへ従来にもましての
集中豪雨
が出る。ここが当然従来山林や田畑であったときはまだ山林や田畑で水が吸収されるためにその
河川
がもったわけなんです。今度はそういうのを伐採したり、農地を
宅地開発
して住宅を建てる。それが
集中豪雨
によって
流れ
れば直接にこの
河川
に注入する。したがって、すべてそれがはんらんに導くと、こういうことなんですが、今度のこういう問題は見に行っても
岐阜
市郊外、周辺、あるいは入垣市の周辺でも皆それが同じパターンだと思うんです。こういう問題について、単に中小
河川
のはんらんということでなくして、新しくこの都市の開発をやる、そういったときの
河川
対策
、いわゆる水の
排水
対策
というものを都市
計画
の中に新しく入れないことには、これは同じことを
繰り返し
、さらに
被害
が大きくなっていくと思うんですが、そういうことについての検討が進んでいるのかどうか。
栂野康行
224
○
政府委員
(栂野康行君) 都市におきますいわゆる
中小河川対策
でございますけれ
ども
、現在におきましてもいわゆる都市
計画
区域内に設定いたしまして
改修
をやっておるわけでございます。それで、先生おっしゃいますいわゆる流域が開発されて流量がふえてくると、その
対策
はどうあるべきかという問題でございますけれ
ども
、できれば川幅を広げる、それから川底を掘るということでできるだけ対処してまいりたい。しかしながら、それでもまだ十分でございませんので、いわゆる低湿地におきましては遊水地を活用して
洪水
調節池にしまして、あるいは都市におきましては多目的遊水地ということで都市施設との併用を図っていきたい。また、あるいは
ポンプ
による
内水排除
対策
と、そういうものを含めまして総合的に
河川
の
改修
を
促進
していきたいと
考え
てございます。と同時に、もう一つやはり川に入ってくる
洪水
の量をできるだけ少なくするという
対策
もあわせて、ソフトの面におきましてあわせてやっていきたいというふうに
考え
てございます。
三治重信
225
○
三治
重信
君 いまおっしゃるその
対策
はそのとおりなんですが、ぼくが聞いているのは、そういうことが現実の都市の開発
計画
、いわゆる都市開発といいますか都市
計画
の中に、そういう
河川
、
道路
ばっかしじゃなくて、川も広げたり遊水地をつくるという
計画
が、
建設省
の中で、基準として、そういう都市の開発の中に十分
河川
局が発言して入れられているのかどうか、こういうことです。
栂野康行
226
○
政府委員
(栂野康行君)
河川
局としましては、その必要な
個所
につきましてはどしどし発言しまして、その都市
計画
の中に組み込んでもらっております。
三治重信
227
○
三治
重信
君 いま
河川
局の方からそういう答弁がありましたのですが、ひとつ都市
計画
の中にぜひ——団地やそのほか見に行っても、団地の中はきちんと整備されて
排水
溝もできているけれ
ども
、その
排水
溝から出たところの
河川
やそれから遊水地とかいうようなものについての
計画
というのは、私がいままで団地やそのほか見に行ったときには余りないし、現に今度
災害
が起きたときでも、そういう問題に手がつかないために
災害
が起きているのが非常にあると思う。ことにそれ一つを見ても、一つの例を申し上げますと、たとえばそこに団地ができる、そこから
排水
溝ができていても、その付近を
流れ
ている川は非常な狭い天井川になっている。従来のままだったらそれでもつのだけれ
ども
、今度は非常に団地ができて一度に水が
流れ
るために、そういう団地の
排水
が
流れ
る天井川の方なんかは一遍で今度は溢水をしたり、三重県の四日市では一昨年はずたずたに切られて大
洪水
になった。今度は
岐阜
の方へ、
大垣
市の方へ見に行ったときには、やっとは助かったけれどと、これは全面的に
堤防
から何から全部それをやり直さぬことには、もうその付近はこの次は完全な
災害
が起きる。やっと助かったものの、大
改修
といいますか、やらなくちゃならぬ、こういうことになるわけです。 そうならば、そういうふうに郊外に団地開発、都市
計画
をやる場合に、そういう
道路
だけでなくして、
河川
も天井川なら直す、それから新しい放水路をつくる、こういう
計画
を取り込んでその団地の開発をやっていく。その団地の開発というのは、そこまで
計画
の設計の中へ入れていくということをぜひやってもらいたいと思うのですが、現実においてそういうことを余り行われてないのじゃないかと思うのでございますが、どこか具体的にそういうことが行われているモデルのところがあるのか、実際こういうふうにしてやっているところがあるかどうか。
大富宏
228
○
政府委員
(大富宏君)
河川
流域に関する市街地の開発というのは、ただいま
河川
局長が基本的にお答えしましたとおりでございますが、都市
計画
法の中では、
湛水
とか溢水とかいうおそれのあるところは、本来御
承知
のように都市
計画
区域は市街化区域、調整区域に分けるわけでございますが、その市街化区域の中には含めない、溢水とか
湛水
のおそれのあるところは含めないという基本の制度の仕組みになっているわけでございます。 それから流域を今度はいよいよ団地開発なりしようという場合には、現在原則といたしまして千平方メートル以上につきましては開発許可という制度があるわけでございますが、この開発許可の申請を出す前に団地の開発施行者は
河川管理
者と事前に協議をする必要があるわけでございます。その場合に協議なり同意なりというのが必要になるわけでございますが、その場合に、団地内から
排水
します量というものが
既存
の
排水
施設の基準に合わないという場合には、その団地の中に緊急の調整池等をつくって下流に
湛水
が生じないような処置もとられる。こういうのが開発許可を申請する事前の
段階
で
河川管理
者と協議して同意がなった際に、初めて開発許可権者がそういう
河川管理
者の同意があるかどうかを見て開発許可をする、こういう仕組みになってございます。
三治重信
229
○
三治
重信
君 その仕組みで、都市局ではその開発区域の中の設計だけしか見ていない。私の言っているのは、そこから出て——そのときには事前に
河川
局なり
河川管理
者にちゃんと協議をして、それでオーケーをとって許可をする、法体系はそういうぐあいになっているだろうと思うのだけれ
ども
、したがって、そこで
河川
の方にひとつぜひ注意していただきたいと思うのは、この
災害
の最近の
集中豪雨
の実例からいけば、これは従来よりかよけいたくさん
集中豪雨
が降る。
集中豪雨
がなぜこういうふうに毎年歳々一定のところへ、従来その
地域
に降ったことのないような五〇%も一〇〇%増も——今度の
岐阜
の近くや、私のところの半田とかいうところでは二倍以上も一定時間にバーッと降る。だから、それは自然
災害
だということもあるけれ
ども
、しかし、現実にこういう
集中豪雨
というのですか、短時間に集中的に降る雨が、所構わずあっちこっち動いて降り出すわけですから、今度はひとつ
河川
局の方も、その協議する、オーケーする
河川
の流量についての見当を高めぬことには、これは同じ従来の基準でいくというと、もうみんな出先や県や市ではオーケー、
河川
の
関係
の当事者はオーケーしちゃうのじゃないか。そこに従来からそういう
集中豪雨
のことを
考え
て、今後
河川
の流量を計算する場合には、そこへ団地をつくり、そこに都市
計画
をした場合には、そこへ
集中豪雨
が来たときにはそれだけのいままでの流量では足らぬから、
河川
の
洪水
量をもっと増加するような
計画
をもって同時に開発
計画
を進める、その基準を高めるという作業をぜひやってもらいたいと思います。 それをしないと、従来の降
雨量
からいって、
河川
の
洪水
に対する見解からいけば、それだけ開発されても
河川
のいわゆる許容量は大丈夫だというオーケーであれば、これは
災害
がこれからも同じように繰り返すと思うのです。たとえそれがすぐ
工事
ができなくても、そういうおそれがある、またそういうふうにここを開発すると、そこには
洪水
が出ますよ、またそういうことについて、
工事
がそこへ行われるまでにはどういう
洪水
対策
をしなくちゃならぬかということについて、やはり
河川
担当者が十分、その
地域
にいざ雨が降った場合にはその先に避難命令を出すとか、そういうものについての基準というものをよほどしっかりつくってもらわないと、同じ
災害
を起こすことになる。ここ三年ほど私回って見てつくずくそういうふうに——一方は開発されてりっぱな家か建つ、
道路
がつく。しかしながら、一たん雨が降れば、その付近はがっちゃがちゃになってしまう。それで従来の部落や住民が
被害
を受ける。したがって、ますます新開発地と従来の部落や町というものは非常な疎外感、
被害
感を受けると、こういうことになるわけなんです。そこで、順序をもって、そういう問題について、いわゆる防水
対策
といいますか、について
河川
担当者は、やはり都市
計画
区域外に行ういろいろな関連の施設についてのオーケーをもっとしっかりしてもらいたい、再検討して基準を高めてもらいたいと思うのですが、どうですか。
栂野康行
230
○
政府委員
(栂野康行君) 先生のおっしゃる意味はよくわかります。 それで、先ほどの
説明
をちょっと補足さしていただきたいと思います。先ほどは、
治水
の方では、必要な遊水地とか川幅とかいうのは都市
計画
に入れてもらっておるとお答えいたしましたけれ
ども
、実際いろいろ問題になっておるのは、そういう土地の開発に対して
河川改修
のおくれ、実際面のおくれ、
事業
のおくれでございますね、これがいろいろ下流に
被害
を与えておる。特に先ほど半田につきましてお話ありましたけれ
ども
、あそこにおきましても丘陵の開発、そういうものがこういうふうないろいろな水害を起こしておるのじゃなかろうかと思います。それで、先生おっしゃいましたような基準を高める作業とか、こういうものも今後進めていきたいというふうに
考え
ます。 また、それでもやはりどうしても
改修
はおくれがちでございます。その場合の避難
体制
の問題でございますけれ
ども
、現在
建設省
としましては、いわゆる中小
河川
などにつきまして、その安全度の点検を現在やっております。すなわち、各住民が住んでいる土地が
出水
に対してどの程度の危険度があるか。たとえば五十ミリ降ったらこの川があふれてどの程度つかるか、そういうものを現在鋭意検討中でございまして、いまのところ、ことしを含めまして三カ年ぐらいで主要都市は終わらしたいというふうに
考え
てございます。そうしまして、いわゆる
地域住民
の
方々
と一緒になって避難
体制
の問題、そういう面をやりまして、一般
被害
をできるだけ少なくしていく。と同時に、またそういう土地というものを地方自治団体によく知ってもらって、いわゆる土地利用の適正化にも使ってもらえれば非常にありがたいというふうに
考え
てございます。 以上でございます。
三治重信
231
○
三治
重信
君 その点ひとつぜひ、やはりできないからやるように努力するとか、そうなっているというだけじゃなくて、そういう今度の水害、
災害
になった場合を見ますと、予防的に付近の住民の人にいつでも警告できるようなやはり当局として出先が準備をしてやっていただくと、
災害
に対するああいう避難とか、非常な
災害
の程度ももっと事前に——現実に
災害
が起きても個人の
被害
かもっと少なくなるんじゃないかと思うんです。ひとつお願いいたします。 それから、それと関連してちょうど今度の
災害
視察に行ったところの
長良川
の
地域
におきましても、また愛知県の方の濃尾平野の中におきましても、いわゆるゼロメートル地帯による、これは
集中豪雨
による水害とは別個にひとつ
考え
ていただかなければならぬと思うんですけれ
ども
、またそういう
集中豪雨
になればゼロメートル地帯だから、またさらに同じように水をかぶるわけなんです。これに対して従来ゼロメートル地帯、いわゆる地盤沈下を防ぐ方法として地下水のくみ上げを非常に規制しなくちゃならぬ。ところが、現実に地下水をくみ上げている、飲料水はとにかくとして工業用水はどうにもならぬ。こういうことによって、ある程度の地下水の規制はやったものの、一番
中心
となる工業用水についてのやつはいまもってどうもなかなか結論ができていないようなんですが、この
長良川
の
河口
せきをやって二十二・五トンの水が取れていけば、濃尾平野のいわゆるゼロメートル地帯のくみ上げ
対策
としての工業用水なり飲料水なり、そういうものの水がないからあそこ仕方がないということのやつが、完全に解消するような量なんですか。また、そういうことができるように、この
河口
ぜきをつくるからには一面
計画
をされているわけなんですか。
栂野康行
232
○
政府委員
(栂野康行君) 濃尾平野を含めまして、あの付近のゼロメートル地帯の地下水の現在の利用
状況
でございますけれ
ども
、これにつきまして現在ちょっと手持ちがございませんけれ
ども
、
長良川河口
ぜきにおきまして二十二トン何がしの水を生み出せば十分それに対応できるというふうに
考え
ております。と同時に、いわゆる地下水を利用しております工業用水にしましても農業用水にしましても、やはりその使い方を合理的な使い方、いわゆるむだのない使い方をすれば、現在便っておる量にしましても三分の二程度には減っていくんじゃなかろうかという
見通し
も持ってございます。そういうふうにしまして、総合的に地下水の代替用水の確保と同時に、いわゆる現在使っておる水の合理的な利用というふうな多面的なことで、あの地盤沈下なんかもできるだけ抑えていきたいというふうに
考え
ます。
三治重信
233
○
三治
重信
君 従来、
河口
ぜきの場合に反対——いま裁判までになっている、重大問題になっているんですけれ
ども
、これがやはり、ここからの取り水が単に工業用水あるいは企業の利益のためだけに水を無理して取るんだ、こういうような認識も一部に確かにあるんじゃないかと思うんですが、ここはもう一つゼロメートル
対策
としてこういうことをやれば、地盤沈下が本当にこれだけ毎年十センチ以上になるやつがとまるんだと。また、そうすれば
木曽三川
の下流域のいわゆる水
対策
もゼロメートル
対策
も
工事
のめどがつくのだとか、まあそういうものについての
説明
がわりあいに少ないのじゃないか。むしろいろいろ裁判の問題になってから、そういう工業用水の問題のやつがかえってまた今度は、一番初めの
河口
ぜきの目的から逆転したみたいなかっこうになっているのですけれ
ども
、そこを全体の——また後で
河口
せきの問題で
洪水
防止の問題をちょっとお聞きしますけれ
ども
、そういう何というのですか、
建設省
の一
河川
局ということだけでなくして、あの
地域
、
木曽三川
の
洪水
も防ぐ、それからあそこのゼロメートル地帯をどうして防ぐ、そうしてまたゼロメートル地帯のいわゆる内水の
排水
やそういう問題を総合的にどういうぐあいにするか、その中の
河口
ぜきの地位というものをもう少しはっきり
説明
してほしいと思う。 私もあそこの地帯なものですから、今度の
河口
ぜきのやつは若干は聞いていたのですが、現実に行ってスライドを見せていただき、資料をたくさんいただいて一応検討してみたのですけれ
ども
、何かそこの間に——住民の側からいろいろの問題を言われるとそれに対する対応策だけ一応案を出す。また事態が変わると、また新しい問題になってくると、またそれを強調していく。そこに何かどうも役所側の方の重点の主義主張が、初めは工業用水の水を取るのだ、それが今度は
洪水
になってくると急に
洪水
対策
だ、こういうふうなことになったりということは、まあ当局の方では知らないと言われるかもしれないけれ
ども
、若干そこにそういう問題があるし、一応全般的なことが見られているみたいなんだけれ
ども
、さらに地盤沈下
対策
になるという問題に、さらに
内水対策
をどうしていくかという問題もこの
河口
ぜきとの関連でやはりはっきりしていく必要があるのじゃないか、こう思います。 それで、ことにゼロメートル
対策
として、ひとつ大体どれぐらい、いまから目標を立てて、ゼロメートルの地盤沈下を停止させるのをどれぐらいのめどを置いていま
計画
を立てておられるのか、そういうようなゼロメートル地帯の
対策
として今度の
治水
五ヵ年
計画
の案の中にどの程度は入っているのですか。
栂野康行
234
○
政府委員
(栂野康行君) ゼロメートル地帯におきます
治水
施設の
補強
、いわゆる
堤防
を高くしたり、あるいは
ポンプ
排水
をしたり、そういうことの
治水事業
費でございますけれ
ども
、五ヵ年
計画
にどの程度入っているか、現在ちょっと手持ちがないのでわかりません。しかしながら、やはりどうしても
建設省
としましては、いわゆる地盤沈下を防ぐことがまず先決じゃなかろうか、地盤沈下を防ぐことが、あわせて
考え
てございます。 そこで、先ほ
ども
ちょっと御
説明
いたしましたけれ
ども
、いわゆる地下水法案的なものによりまして地下水の過剰くみ上げをできるだけ防いでいく。現在におきましても愛知県あるいは名古屋市におきまして条例でいろいろやってございまして、それなりに効果は上がっておりますけれ
ども
、いわゆる国が法律的なものをつくりまして、現在
国土庁
が
中心
になってそれをまとめておりますけれ
ども
、そういうものにおきまして地盤沈下
地域
の地盤沈下を防ぐということをやっていきたいというふうに
考え
てございます。
三治重信
235
○
三治
重信
君 だから、地盤沈下
対策
のゼロメートル地帯がいまどんどん下がっているわけでしょう。それを下がらないようにするのに、どれぐらいの年月をかけて地盤沈下がなくなるようなふうにやるという
計画
は、まだできるだけ地盤沈下を下げるという目標は別にないのだということなのか。いや、もうゼロメートル
地帯対策
をいまから今度の五カ年
計画
で、大体において五カ年
計画
の中でゼロメートル地帯というものを、もう地盤沈下というものはなくなるように
対策
は盛り込んであるというのか、まあ細かい数字はとにかくとして。しかし、そこでは何も自信がないのだ、やはり改めてどれぐらい、まだ何年ぐらいかかるか、一遍やってみなければわからぬというのか。
栂野康行
236
○
政府委員
(栂野康行君)
治水事業
におきましては、いわゆる地盤沈下をとめるという面におきまして、五カ年
計画
に組み入れている問題としましては、いわゆる地下水の代替用水を確保するという意味におきまして
治水事業
はそれに参加できるということでございます。それで、この
長良川
の
河口
ぜきでございますけれ
ども
、できれば早急に着手しまして、五年ではちょっと無理かと思いますけれ
ども
、できるだけ早い機会にこの地下水の代替用水を確保していきたいというふうに
考え
ます。全体的ないわゆる地盤沈下をとめるめどにつきまして、やはりその法律をできるだけ早くつくって、いわゆるそれに基づいて地下水の代替の
計画
を立ててやっていく必要があるんじゃなかろうかと思います。これにつきましては
国土庁
の主管となろうかと思いますけれ
ども
、
建設省
としましては、焦眉の急だと思いますので、できるだけ協力していきたいと思います。
三治重信
237
○
三治
重信
君 そこで、
河口
ぜきをつくる効用として非常にたくさんの効用が書いてあるわけなんですが、その中で非常に川床を掘り下げることによっていわゆる
洪水
の
計画
水量を倍増させることができると、こう書いてあるわけですが、これができれば、従来
河川
は私も
洪水
対策
というと、いわゆる
堤防
つくることだというふうな感情を一般に持っているんだけれ
ども
、まあ
現場
に行ってみても、あれだけ高い
堤防
をつくってやってみても、あれ以上かさ上げしてもこれはまあ確かに雨が降ればまた土手が崩れるとか、川が非常に流量が上がれば、
堤防
に対する、川の
流れ
の変わることによって
堤防
に
流れ
がぶち当たれば、どんなりっぱな
堤防
でも高さが高ければそれはぶっ倒れる。したがって、川の底を掘れということは、これはもう原理だと思うのだがね、天然原理だと思う。
河口
ぜきのところに、これさえやれば
洪水
は防げますと書いてあるわけなんだが、これはもう昔の中国の一番初めの禹の時代から川は掘れ掘れと書いてあるわけなんで、
日本
でどうしてそういうことをやらぬかと思ってぼくは思っていたんだが、この
河口
ぜきの
説明
を見ると詳細に書いてあるんだが、ほかの
河川
についても、
河口
ぜきまでいかなくても、
洪水
を防ぐ
対策
として、いわゆる河床を掘って、ことに私はこれ見た上の中で、いわゆるブランケットつくって、そうして川床を真ん中へ持っていくと、
河川
が
流れ
てきて、
洪水
が起きた場合でも
堤防
で非常に防げる。それからいわゆる下流地だとかも防げるというようなことが——いままで
堤防
ばっかしに注意をしておったんですが、ほかの
河川
もこういうふうないわゆる
洪水
防止のため、ことに私が先ほど言った中小
河川
の都市近くの
河川
でも、みんないわゆる天井川であるために
洪水
が非常に倍加される。水が
流れ
、その上に砂が
流れ
る。これは川床を掘っていけば、それだけでもやはり川の
流れ
る、
洪水
時に
流れ
る水の量が倍加されるし、そうして
土砂
の
流れ
も少なくなるしと、こういうことになれば、やはり
河川
の
洪水
対策
の第一は、まず川の河床を掘って、そうして
堤防
の真ん中へ、こう川の
流れ
を、
中心
の
流れ
を置くようにまあ護岸
工事
を、ブランケットをつくっていくことだと思うのだが、こういうことについて、これ
河口
ぜきだけ書いてあるんだけれ
ども
、ほかの
河川
もみんなそういう
洪水
対策
としてやっているのか、今度の
治水
五カ年
計画
でそういう
河川
を、いわゆる
河口
ぜきをつくる
河川
だけそういうことやるのかどうなのか。
栂野康行
238
○
政府委員
(栂野康行君) 中小
河川
の
対策
としまして、できるだけ
建設省
としましては掘削方式、いわゆる
堤防
を余りつくらないで、掘ることによって
洪水
を流すという掘削方式を主体としてやってございます。それで、掘削方式ですと、たとえ川の水があふれましても、じわっとあふれるということで一般
被害
も少ない、その他いろんなメリットございます。それから天井川につきましても、現在
建設省
の方針としましては、できるだけ天井川を解消して——解消というと語弊ありますけれ
ども
、まあ天井川じゃなく普通の
河川
に持っていく
改修
を現在天井川についてやってございます。それから大
河川
におきましても、
長良川
だけじゃなくて利根川におきましても、
しゅんせつ
によって、いわゆる川底を掘ることによって大きな流量を流すということで昔からやってございまして、ところが利根川におきましては、それがいわゆる塩害につながってきて利根川の
河口
ぜきなどが出てきたといういきさつもございます。今後とも、大
河川
におきましてもできるだけ掘削、下を掘ることによって
洪水
を流すという方向で進んでいきたいと思いますし、また中小
河川
においても、その立地条件によって違いますけれ
ども
、できるだけ掘削方式をとっていきたいというふうに
考え
てございます。
三治重信
239
○
三治
重信
君 わかりました。ぜひ何と申しますか、やはり川は
堤防
をかさ上げするよりか川床を、川の
土砂
の堆積を掘る方向の方が、どちらが金が余分にかかるかわかりませんけれ
ども
、そちらの方が非常にああいう
洪水
の
現場
を見に行くと合理的だなと、こういうふうに感ずる次第でございます。 それから、このゼロメートル地帯の問題、また返りますけれ
ども
、揚水機の
計画
があちこち非常にたくさん出て、今度の新しく
災害
の
排水
やなんかだと、そういう施設をやるのにまあ新しい水量で計算をしてやっていくと、ここ二十年も三十年も
建設省
の
予算
ではかかるし、そういうふうな
計画
でもそうだというふうなことで、何とかならなければ、また同じような雨が降れば同じように水がつかるんだと。まあこういうことを今度の
災害
地の
各地
で聞いたわけなんですが、こういう
排水機
の設備をするのは、やはりいままでのやり方からいくとそういうぐあいになるかもしれないけれ
ども
、
洪水
対策
としてやったらもっと早くできるような
計画
はお持ちでないですか。揚水機の
要望
に対して、二十分の一とか三十分の一ですか、二十年もかかるとか三十年もかかるというようなことでなくて、揚水機の設置を、もっと安心できるような設置
計画
を各市町村に示すような方法、方策。
栂野康行
240
○
政府委員
(栂野康行君)
河川
の水を
排水
する、たとえば小さな
河川
の水を日光川に注ぐと、
排水
するというふうな
ポンプ
につきましては、現在
建設省
でやっているわけでございます。それで、いわゆる低地部のおきましては最近内水
被害
というものが大きくなってございますので、
建設省
としては現在
内水対策
、いわゆる
ポンプ
排水
につきましても重点を置いておる次第でございます。しかしながら、やはりどうしても第一義的には
河川
から
洪水
のはんらんを防ぐというのが基本でございまして、それとの進捗
状況
との見合いにおきまして、
排水機
につきましても重点を置いてまいりたいというふうに
考え
てございます。
竹田四郎
241
○
委員長
(
竹田四郎
君) 本件に対する
質疑
は本日はこの程度にとどめます。
—————————————
竹田四郎
242
○
委員長
(
竹田四郎
君)
建築基準法
の一部を改正する
法律案
を議題といたします。 本案は、すでに第七十七回国会において趣旨
説明
及び衆議院の修正点の
説明
をそれぞれ聴取しておりますので、これより
質疑
に入ります。
質疑
のある方は順次御発言を願います。
遠藤要
243
○
遠藤
要君
建築基準法
の一部を改正する法案の審議を始めるに当たって、先ほど
建設
大臣から、次期国会に危険の多い施設のデパート、地下街等に対する
既存
特殊建築物等の避難施設等の強化のための
法律案
を必ず提案する、建築物の防災強化に努めるとの強い決意の表明がございましたので、これに私は御期待を申し上げ、それを前提として質問いたしたいと思うのでございます。 まず最初に、私は住宅局長にお尋ねしたいのですが、この改正案を提案するに当たって、消防庁と十分緊密な連絡をとって提案されたかどうかという点をお尋ねしたいと思います。
山岡一男
244
○
政府委員
(山岡一男君) 原案の
段階
から十分打ち合わせをいたしたつもりでございます。
遠藤要
245
○
遠藤
要君 それでは、
消防庁長官
にお尋ねしたいと思うのですが、ただいま住宅局長から十分連絡をして提案したというお話でございますが、私はきょうは五十分の持ち時間でございますけれ
ども
、できる限り短縮して
委員
各位に余り苦労をかけたくない、こう思いますので、簡明率直にひとつお答え願いたいと思うのです。私が長官にお尋ねしたいことは、きょうこの
委員会
で長官に質問いたしたいと言ったところ、長官は
出席
をできるならば回避したいというような姿勢をとっておられる、そういうふうな点で私は、本改正案に対して何か積極的な姿勢をとっておらないのではないかと、こういうふうな点があるのですが、その点についてお尋ねしておきたいと思います。
林忠雄
246
○
政府委員
(林忠雄君) そのようなことは毛頭ございません。私、この六月に消防庁に参りましたのですが、この提案はそれ以前の
段階
でございますので、私は詳しくは折衝の
段階
その他からはタッチしておりませんけれ
ども
、少なくとも
建設省
と消防庁の間ではいろいろな意見の交換はあったように聞いておりますけれ
ども
、十分打ち合わせ済みで提案をしているということでございますし、したがって、私がこれに対して消極的な気持ちを持つということは毛頭ございませんので、その点は御安心いただきたいと思います。
遠藤要
247
○
遠藤
要君 そのお話を聞いて私も当然だと思うんです。特に今度の改正法案の中においては、一部修正されておりますけれ
ども
、住民の人命尊重、日照権問題、いろいろの問題が消防庁としても非常に
関係
の深い法案だと、こう思うのでありますが、それにしては、私はこの法案を一日も早く成立させたいというのが消防庁のやはり願いでもなければならないのではないかと。それにはやはり長官自身が当
委員会
にも積極的に出向いて
説明
をするというような姿勢をとるのが私は正しいあり方でないかとこう思うので、かような点をお尋ねしたわけでございます。 ところで、先ほど
建設
大臣から、次期国会には先ほど申し上げたとおり
既存
の特殊建築物等の避難施設の強化のための
法律案
を必ず提案するということを言明されておりますが、
消防庁長官
としては、この
建設
大臣の言明に対していかようなお
考え
を持っておられますか。
林忠雄
248
○
政府委員
(林忠雄君)
建設
大臣がそのような御決意であれば、いずれその詳しい法案の内容について御協議があるはずだと存じております。それに対しては消防、防災の立場から十分に意見を述べ、それを反映さしていただくようお願いするつもりでございます。
遠藤要
249
○
遠藤
要君 続いて、住宅局長にお尋ねいたしますが、本改正案はあえて私から申し上げるまでもなく、四十九年の三月に国会に提出されて、二年余にわたって衆議院で慎重審議を重ねられ、そして前国会の会期末になって大幅な修正がされました。そして本院に送付されたのでございますが、衆議院におけるその間の審議の
経過
の概要をひとつお聞かせ願いたいと思います。
山岡一男
250
○
政府委員
(山岡一男君) まず、
委員会
の審議の
状況
、回数等について申し上げてみますと、その間におきまして正規の
委員会
が六回開かれております。そのうち一回は
参考人
による意見の聴取とそれに対する
質疑
でございました。それから大部分は遡及適用
関係
のものでございますが、現地視察を五回やっております。たとえば大阪の地下街、東京のデパート等でございます。それから理事懇談会を八回開いておられます。その中の二回は業界からの意見聴取の機会がつくられておりました。 以上が審議の回数等における
経過
でございますが、内容といたしましては、御案内のとおり、
建築基準法
の今回提案いたしました改正法案の中には、基本的な事項といたしまして、従来の特定行政庁、建築主事等の多年の問題としておりました点の解明というグループと、それから建物の
防災対策
の強化というグループと、それから日影を
考え
ました新しい都市づくりという意味の日照の規定と、いわば三つの主な点がございました。そのうちの基本的な事項につきまして、これは全会一致で可決をされております。 それから二番目の建築物のうち防災
関係
につきましては、
工事
中の取り扱い等につきます二、三の点につきましては可決されておりますけれ
ども
、遡及の適用につきましては、いまだ究明する問題があるということで修正の上削除されております。ただ、その後建築
防災対策
少
委員会
というのが衆議院の
建設委員会
の中に設けられておりまして、引き続き検討が行われておりますが、いままでに三回開かれております。 それから日影の規制の問題につきましては、これにつきましては、原案では、全国に、ある日法案が通りますと、真ん中の基準が一律に適用になりまして、条例でその前後上げ下げできるというような規定でございましたけれ
ども
、地方公共団体の自主性尊重という意味から、そういうふうなものを設ける、法律で定める基準の中からどれを選ぶか、または定めるか否かということまで地方公共団体にゆだねるという意味の修正が行われておりまして、この点につきましても、この修正案は全会一致ということで修正可決をされております。 以上が審議の
経過
でございます。
遠藤要
251
○
遠藤
要君 この改正案の主たる改正点の一つである、建築物の防災強化のための
既存
不適格建築物に対する防火避難に関する規定の遡及適用
関係
の規定が衆議院において全面的に削除されておりますが、この主たる理由が何であるかということを明らかにしてほしいと思います。なお、今後とも検討しなければならない技術上の問題が残されていると聞きますが、どのような問題が残されておりますか。また、この技術的な解決が急速に可能であるかどうかというその
見通し
等もお聞かせ願いたいと思います。
山岡一男
252
○
政府委員
(山岡一男君)
建築基準法
はその目的に、「建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資する」ということを目的として掲げております。いわばオールジャパンにわたります状態を最低の基準として決めまして守ろうという法律でございます。 今回提案いたしました建築物の
防災対策
は、そのうち特に人命尊重の立場から非常に重要な問題であるという見地から、その中のうちから特に規模の大きいもの、不特定多数の方が常時多数集合されるもの等を選びまして、特に二千二百棟ぐらいが対象になると思いますが、そういうものを抜き出してやるということが一点でございます。そのためには多大の
工事
費を負担させることにもなるので、その制限内容については十二分に検討をすべきだというのが基本的立場でございます。 遡及適用に関する法案の中で特に問題になりました点は、将来の政令改正によりましてまた基準が変わることがございます。その場合に何回となく
改修
工事
の遡及が義務づけられるのではないかという問題でございます。この点は、現行の提案いたしました法案の中では、新しく政令で基準を決めます際に遡及するかどうかを政令で定めるという趣旨になっておりましたので、その点が非常に問題になっております。 それからさらに、代替措置の適用範囲ということが問題になっております。こういうものにつきましては
既存
のものの
改修
でございますので、やはりいろんな代替措置が必要だということでございますけれ
ども
、提案いたしました現行法案では構造上同等というふうに言っておりまして、構造上の問題でなければ代替が認められないという厳しい規定になっておりまして、その点がひとつ問題だということになっております。 さらに、
改修
工事
の結果、
道路
内の建築制限等の規定に抵触することとなるものが出るわけでございますが、そういうものに対する
対策
をもっと明らかにすべきだ。 さらに、防災のために今回遡及適用しようとします防火避難施設と、消防法によりその措置がすでに義務づけられましたスプリンクラーの効用との
関係
をもっと明らかにすべきだ。 さらに、煙感知器の非火災報の問題これは煙感知器が鋭敏でございまして、火事でないときにもいろいろと非常ベルを鳴らしたり、シャッターをおろすというような問題が最近ございますけれ
ども
、そういうものについての技術的な解明をさらに進める必要があるんじゃないか。さらにシャッターの改正の問題等につきまして技術的に検討する必要があるんじゃないかというような点が非常に問題になったわけでございます。 特に、
最後
におっしゃいました技術的に進めなきゃならない問題といたしましては、煙感知器の先ほど申し上げました非火災報の
対策
、それから
既存
の防火シャッターの
改修
方法の開発が特に技術的に大きな問題になっておりますけれ
ども
、煙感知器の非火災報
対策
につきましては、現在学識経験者、それから
関係
業界、
関係
省庁から成る煙感知器非火災報
研究
会というのをつくりまして、間もなく結論を出し得るものと
考え
ております。 それからシャッターでございますけれ
ども
、これも
既存
のシャッターは乙種から甲種、それから防火というふうにだんだん進んでまいりまして、最近では煙を遮断する防煙シャッターというのが大規模の特殊建築物には使われております。
既存
の防火シャッターを防煙シャッターに
改修
いたします方法につきまして、すでに相当の
実用
といいますか
改修
方法が適用されておりますけれ
ども
、なお多様化するいろんな
要望
にこたえまして、もっと安くて現実的な技術を開発する必要があるのではないかということで、これにつきましても財団法人
日本
特殊建築安全センターに学識経験者等から成ります
委員会
を設置して、鋭意
継続
的に検討しておるところでございます。
遠藤要
253
○
遠藤
要君 次に、
建設省
並びに
消防庁長官
にお尋ねしておきたいんですが、建築物の防災
関係
の施設や設備は、建築技術の進歩による大型化や複雑化に対応して絶えず改善される必要がございます。これと同時に、これらの防災
関係
の施設が非常の場合に直ちに有効適切に稼働するような整備が必要であります。御
承知
のとおり、大洋デパートの火災では階段に商品が積まれていたためにシャッターがおりなかったというような点で
被害
を大きくいたしており、かつまた千日デパート火災でも避難口がふさがれていたので多くの死者を出したという結果になっております。 そこで、
消防庁長官
にお伺いをいたしたいのですが、不特定多数の出入りするデパート、地下街、雑居ビル等の特殊建物に対する防火査察はどの程度
実施
されておりますか。また、査察結果に基づき指示がどの程度実行されておるかという点をお尋ねしておきたいと思います。
林忠雄
254
○
政府委員
(林忠雄君) 現在、五十年中の実績が数字となって手元に来ておりますが、これを申し上げますと、百貨店等に対して五十年中に査察を行ったのが五万二千四百二十七件。それから特定の雑居ビル、いろいろなものが入っているこの雑居ビルに対して八万五百二十三件。それから地下街に対しては、これは地下街等の数がまだ少ないもので、百五十九件でございます。それから、これらを全部ひっくるめまして、おおよそすべての予防査察が九十六万七千七百十件、これだけが五十年中の査察の実績でございます。 そして、この査察の結果に基づきまして、消防法五条の規定により
改修
命令を出したのが五百九十一件。このうち是正されたものが三百十四件。半分ちょっとが命令に従って一応
改修
済みでございます。いずれ残りも当然これは
改修
してもらうことになると思います。それから、消防用設備等がたとえば不備だということで、もっとそろえろというような意味の消防法の十七条の四の規定による措置命令、これは一万二千六百七十七件でございます。そしてこの措置命令によって是正されたものが五千三百三十四件と、これは半分ちょっとまだ欠けております。五十年中の数字は大体そのようでございますから、十分な数字とは思いませんけれ
ども
、現在数字をとった
段階
でまだ是正されていないもの、あるいは
改修
されていないものも逐次
改修
されておると思いますので、いずれはこの命令ないしは
改修
命令は
実施
していただくようさらに強い指導をしてまいりたいと思います。
遠藤要
255
○
遠藤
要君
建設省
にお伺いいたしたいんですが、特殊建築物に関する
建築基準法
第十二条の建築設備等に対する定期検査及び定期
報告
の
状況
はどのようになっておりますか。また、その結果どのような改善指導、指示をされているか。その指示が実行されているかどうかを、十分認識されているかどうかをお伺いいたしたいと思います。
山岡一男
256
○
政府委員
(山岡一男君) 定期
調査
報告
の対象といたします特殊建築物につきましては、都道府県別に見ますと、現在準備中というのが山梨県一県でございますが、それ以外の、全国で指定済みでございます。法第十二条第二項の規定に基づき定期検査
報告
の対象とします昇降機、それから建築設備の指定
状況
は、都道府県別に見た場合には、昇降機につきましてはやはり準備中の山梨県を除く全国で指定済みでございます。また、建築設備につきましては東京、大阪を初めとしますほぼ半数の都道府県について指定済みでございます。 ただ、これらの
調査
及び検査の
報告
状況
でございますが、東京都について見ますと、特殊建築物につきましては、
昭和
四十八年度から五十年度の実績では、防災上特に重要だと思います建築物でございます百貨店につきましても約七割、集会場、映画館については約六割の
報告
ということになっております。昇降機につきましては、
昭和
五十年度の実績では設置されている昇降機の約八割に当たります三万四千件の
報告
を得ております。この
報告
の
状況
が余り芳しくないというのは大変遺憾に思っておりますけれ
ども
、中小規模の建築物の
報告
状況
が悪いということでございます。したがいまして、この
報告
の徹底を図るということが
災害
防止にもつながるものでございますので、特定行政庁を指導しまして、自主
体制
の整備、建築物の所有者、管理者に対する制度の認識の徹底等に努め実効を上げたいと
考え
ております。この
報告
の結果、改善を必要とするものが発見された場合には、軽微なものにつきましては行政指導を行いますし、重大なものにつきましては
建築基準法
の九条または十条の措置をとるということにいたしております。 さらに、これらの指示による改善措置の
実施
状況
について確認をしておるかというお問いがございましたけれ
ども
、当然それぞれの担当者が事ごとに当たりまして確認をするというのが一点でございますが、それと同時に、春秋二回、建築物防災指導週間というのを行っておりますが、その際に特にそういうものを重点に置きまして確認をするというようなことを現在行っておる次第でございます。
遠藤要
257
○
遠藤
要君 まあ確認され、そうして十分効果が上がっているというお話でございますので、それは信用しておきたいと思いますが、たまたまいろいろの事故があったときに、未確認だというような事件か時たま——新聞が間違っておるかどうかわかりませんけれ
ども
、そういうふうな点が出ているので特段のひとつ強化をしていただきたいということを要請しておきたいと思います。 さらに、私は消防庁にお尋ねしておきたいと思うんですが、今回の
建築基準法
改正と同時に提出され、すでに施行されている四十九年の消防法の改正でデパート、地下街、ホテル、病院等の特殊建築物について、
既存
のものにもスプリンクラー等の消防設備の設置が義務づけられております。デパート等については五十二年の三月末までに、またホテル等については五十四年の三月末までに設置を完了することになっておりますが、意外にこれは金がかかるようです。また、御
承知
のような経済不況の影響を受けて消防施設の設置がはかどっていないと聞いておりますが、現在までの設置の
状況
及び今後の
見通し
等について明らかにしていただきたい。 また、今後さらに強力に消防施設の設置を
推進
していくためには、開発銀行等
政府
関係
金融
機関
にも強力に呼びかけていただき、低利の防災
改修
融資をひとつ拡充する必要があると
考え
ておりますけれ
ども
、消防施設の設置に関連する
政府
関係機関
の融資の概要等について御
承知
ならばお聞かせ願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
林忠雄
258
○
政府委員
(林忠雄君) 御説のように、すでに義務づけられておりながら、経済界の不況と申しますか、こういう防災設備はなかなか利潤を生まないために、設備、それに金をかける意欲というのがどうもいまひとつ上がらないという事実はそのとおりでございます。これ、数字を申し上げますと、五十一年の四月一日、ことしの四月一日現在で十大都市、この十大都市における設備の設置
状況
が一応手元に上がってきておりますが、それによりますと、屋内消火栓設備はわりあいと進んでおりまして、デパートが八八・四%、九割近く、それから特定複合雑居ビルみたいなものですが、これは九六・一%、地下街が九五・八%、これは延べ面積にいたしましてここまで進んできておりますが、ただ、さっきの御指摘のスプリンクラー、これは後からつけるのが大変手間がかかるということで、これがややおくれております。デパートで、延べ面積で言いまして七七・六%。ところが、複合雑居ビルごときは六三・五と、やはりおくれております。地下街は、これはわりと進んでおりまして、できましたのが、
工事
が最近だということもありまして九二・六%進んでおります。それから水噴霧消化設備等はデパートで七〇%、雑居ビルで八九・九%、地下街八八・五%という数字になっております。いま申し上げたのは大体五十二年の、来年の三月いっぱいでございますか、これまでしか猶予期間がないので、法的な意味で言えばこれは来年の四月一日には一〇〇%になっていなければいけない数字でございますが、その進行度合いについては私たちも憂慮しておりますけれ
ども
、これはちゃんと成立いたしました法律でございますし、いろいろな事情はあろうけれ
ども
、できるだけ法規どおりにやっていただきたいという態度で今後も各消防
機関
を通じて督促をしてまいりたいと思っております。 それから、そのためにはいまも先生御指摘になりました低利の融資ということでございますが、これは相当程度やっておりまして、五十年度の融資実績を申し上げますと、開発銀行が八十億、中小企業金融公庫二十三億、国民金融公庫二億、環境衛生金融公庫二十一億、百二十六億という実績が出ております。まあこのほかに医療金融公庫からの融資も別にございます。五十一年度については、さらに開発銀行の国民生活改善資金というような資金の中にその安全
対策
の枠を別に新設してもらうようお願いをしておりまして、その充実を図っていこうと、さらに五十二年度以降についても一層の充実を図るということに努力を引き続き傾けたいと思っております。
遠藤要
259
○
遠藤
要君 さらには、衆議院で御
承知
のように防災規定の遡及適用に関する規定が全面的に削除された結果、これらの防災
改修
の融資にどのような影響を与えているかという点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
山岡一男
260
○
政府委員
(山岡一男君) 防災
改修
融資につきましては、消防
関係
の分と別に、
建築基準法
関係
につきましても各行におきまして
予定
をしていただいておるわけでございますが、
建築基準法
の第十条の規定に基づきます是正命令、
改修
命令に基づきます
改修
工事
の本年度分の融資につきましては、
日本
開発銀行の融資につきましては、消防法に基づく
改修
とあわせて行うものに対してその融資が行われるということになっており、まあいまの消防法に基づく
改修
とあわせないものには貸さないというふうなことになっております。ただ、その他の
政府
関係
金融
機関
による融資につきましては、遡及適用に関する規定の削除に
関係
なく、従来どおり行われることとなっております。
遠藤要
261
○
遠藤
要君 本年度
予算
に約五億円に上る特殊建築物等の防災
改修
事業
に対する国庫補助金が計上されております。その制度の概要をひとつ御
説明
願いたい。また、国庫補助金が、衆議院修正の結果、使用不能になったと聞きますが、いかなる理由で使用不能になったのか
説明
をされたいということを、お尋ねしておきたいと思います。
山岡一男
262
○
政府委員
(山岡一男君)
昭和
五十一年度
予算
に計上しております特殊建築物等防災
改修
促進
事業
の金でございますが、五億四千五百七十一万九千円を計上いたしております。この補助
事業
の内容といたしましては、特殊建築物等の台帳整備などにつきまして——などと申しますのは、防災診断、
改修
計画
書の作成等でございますが、を含めまして、都道府県に対しまして二分の一の補助を行うということでございます。その金はそのうちで六千九百三十万円でございます。それ以外には、防火避難施設の緊急整備を行います際に、
建築基準法
の改正法案の成立に伴いまして、猶予期間内にそういうふうな義務づけられた
既存
の特殊建築物等の
改修
工事
を行う場合には、
改修
設計費及び出店者等
対策
費につきまして補助金を交付する都道府県及び政令指定都市に対しまして二分の一の補助を行うということにいたしておりまして、その金額が四億七千六百四十一万九千円でございます。ただ、この経費につきましては、五十年度
予算
から措置されておりますけれ
ども
、これは遡及適用が
実施
された場合には一定期間内に大量の
改修
工事
が
発生
しまして、工期的にも短期間に完成することが要求されるということ等から、
改修
工事
を義務づけられた者に対しまして適切な助成が行われなければ円滑な
改修
の
実施
が期しがたいという点にかんがみて
予算
を計上されたものでございます。これは財政当局に対する
予算
要求から決定に至る経緯や積算の根拠を示した歳出
予算
説明
書等にも載っておる点でございまして、遡及適用を前提として財政当局も合意しまして
予算
措置をされたものと理解しております。
予算
のいろいろな処理の中には、改正法案等を含めます場合には、何々法に基づくということは書かないというのが前例になっております。したがいまして、
予算
書には書いてございませんが、
予算
計上の含み等から申しまして、義務づけられた者に対する応援という趣旨でございますので、本年度も
予算
的にも若干無理があろうと思いますし、なお遡及適用に関する規定が削除されたことに伴いまして、今年度内に大量の
改修
工事
が
発生
されるというようなことにつきまして、若干予想されない点もございますので、現在のところ経費の執行はしなくてもいいんじゃないかというふうに
考え
ておる次第でございます。
遠藤要
263
○
遠藤
要君 私は、ここで、本来なら大臣ですが、大臣以上に政務次官が、地位も力もあるという政務次官でございますので、その政務次官にひとつぜひお願いを申し上げたいと思うのですが、この補助金というのは、改正法による防災規定の遡及適用の規定が存在しなければ使用できないというものでは私はないと思います。それに先ほど大臣が、次の国会では必ず提案すると、こう決意を披瀝されて、そういうふうな点で私はこの
予算
減額、使用不能であるというようなことでなく、この補助金が有効に使えるように政務次官として大蔵省なり何かと強くひとつ折衝されて、これにこの補助金が円滑に動くというような方法に努力を願いたいと思いますが、政務次官のひとつ所見を伺いたい。
梶山静六
264
○
政府委員
(梶山静六君) 補助金の性格は、この法案が遡及適用がなされた場合に使用できるという前提になっておりますので、この遡及適用の部門の成立を見ませんと事務的には大変むずかしい問題だと思います。ただ、そういう
状況
もありますので、よく大蔵当局とも打ち合わせをして、できるだけ御期待にこたえられるようなことをこれから検討してみたいと思います。
遠藤要
265
○
遠藤
要君 大変政務次官慎重な御答弁ですが、私
ども
建設委員会
には遡及適用の問題を
説明
されて
予算
を審議したのではないのです。これはあなた方が財政当局との話の中でそういうふうな問題に触れたということだけであって、われわれの審議にはそういうふうな点が全然
説明
されておらない。そういうふうな点で私
ども
はこの
予算
補助金が使用不能だということはとうてい
考え
られないと、こう思うのであります。そういうふうな点でひとつ政務次官に大いに奮起していただきたいということと、このような修正案が、政務次官も衆議院でございますが、衆議院で修正されたのでございますけれ
ども
、その責任の一半も大きくある、こういうことでございますので、その点をひとつ十分御配慮願い、そしてまた先ほどの、
繰り返し
て申し上げるようだが、大臣からもあのような決意があったので、とにかくあなたの努力をひとつ要請しておきたいと重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。
梶山静六
266
○
政府委員
(梶山静六君) 微力でございますが、大臣とよく打ち合わせをし、御
報告
を申し上げ、御期待にこたえるように精いっぱいの努力を払ってまいりたいと思います。
遠藤要
267
○
遠藤
要君 それから、大きな社会問題となっている日照問題の解決のために建築行政がいかに対応する、対処するかは、今日の日照問題の内容が複雑多岐にわたっているためにきわめてむずかしい問題である。いろいろの方策が検討されるべきでありますが、今回日影規制を
実施
するに当たって、都市
計画
の用途
地域
制度にリンクさせた理由は何かを御
説明
願いたいと思います。 また、今回の日影規制が都市
計画
による用途
地域
制度にリンクして
実施
される結果、現在の用途
地域
の指定が合理的になされているかどうかが問題となります。
建設省
は、この日影規制の
実施
を機会に、現在の用途
地域
の指定
状況
を総点検して見直しするような指導をする用意がありますかどうかという点をお尋ねしておきたいと思います。
山岡一男
268
○
政府委員
(山岡一男君) 建築物の規制にはいろいろな規制がございます。用途の規制、高さ等に対する規制等もございますけれ
ども
、土地利用のあるべき姿を確保しようとする良好な町づくりのルールでございますので、これは現行法上もすべて用途
地域
とリンクして定めております。これは用途
地域
制が都市におきます生活空間のあるべき姿を示す最も基本的な制度であるということからきておるものでございまして、しかも用途
地域
の指定には、地方公共団体が、都市
計画
の決定手続にのっとりまして、民意を反映させつつ行うものであるというようなことでございます。本改正法案は良好な居住環境を備えた町づくりのルールを定めようとするものでございますから、住居系の用途
地域
を対象といたしまして、その基準は、このような性格を持った用途
地域
とリンクさせることが一番いいと
考え
た次第でございます。 後段につきましては、都市局長から答弁させます。
中村清
269
○
政府委員
(
中村
清君) お答え申し上げます。 先生御存じのように、用途
地域
に関します都市
計画
、これは都市の快適性とかあるいは利便性、あるいは機動性、こういったことを総合的に考慮いたしました土地利用の
計画
といたしまして、都道府県知事なりあるいは市町村長が、公聴会とかあるいは案の縦覧、あるいはそれに基づく意見書の提出、こういったいろいろな手続を経まして、要するに住民の意見を十分反映するようにしてつくった
計画
でございます。したがいまして、ただいま問題になっております住生活の環境、その確保、こういった点につきましては、住民の意向が十分反映されておるというふうに私
ども
理解しておりまして、日影規制の
実施
に伴って、特に用途
地域
の変更をする必要はなかろうというふうに
考え
ております。
遠藤要
270
○
遠藤
要君 日照問題を解決する方法として、一定時間の日照を直接保障するという方法をとらずに、当該建築物によって生じる日影時間を規制することによって、結果的に日照の確保を図るという方法をとった理由はどうかという点について御
説明
を願いたいと思います。一般に今回の改正案による日影時間を基準とする建築規制は、相隣
関係
の調整基準としての性格もありますが、長期的な市街地形成上の指標としての要素が強いと言われておりますが、一定量の日照量を直接確保する方法と、日影を規制することによって日照を反射的に保障する方法との相違を明らかにしていただきたいと思います。 また、日影規制の前提となる日影図の作成を簡単に行うための技術開発はどのようになっているかという点を御
説明
願いたいと思います。
山岡一男
271
○
政府委員
(山岡一男君) 今回のこの規制につきましては、建築審議会におきまして特別の専門
委員会
を設けまして約二年の検討を経て決定したものでございますが、周囲の建築物に一定時間の日照を直接保障するという方法は、
既存
建築物との相互
関係
によって左右されるものでございます。新たに建てようとする個々の建築物に対する公法上の規制といたしましては、基準が定めにくいという点がございます。また、先に建築した方が後から建築するものよりも有利となるという不公平がございます。それらの点を勘案いたしまして、公法による公平な規制にいたしますには、今回のような自分の敷地から出す日影の規制をするのが適当だと
考え
た次第でございます。 日影規制の前提となる日影図の作成等につきまして、簡便に行う方法があるのかという御質問であったと思いますが、現在は日影チャートというようなのが考案されております。(図表を示す)こういうふうな何か非常に簡単ななものでございまして、実は私も事務屋でございますけれ
ども
、早速これを応用して自分でやってみましたけれ
ども
、私でも十分いろいろなことの検討ができるという程度のものが現在できております。したがいまして、そういうふうな日影の問題を規制いたしましても、どなたでもこれを実行できるというふうに私
考え
ております。
遠藤要
272
○
遠藤
要君 次に、商業
地域
について日影規制を
実施
しない理由は何かということについて御
説明
を願いたいと思います。 商業
地域
内での日照問題の訴訟事件が比較的多いと言われておりますが、このことは商業
地域
でもやはり日照問題が深刻であるということを意味しているものである、こう思いますが、この日照問題の解決に今回の改正案は悪い影響を与えるのではないかと心配されている向きもありますが、そのようなことはどうかという点についてお尋ねしておきたいと思います。
山岡一男
273
○
政府委員
(山岡一男君) 日照保護の対象
地域
に商業
地域
を加えていないがどうかという点でございますが、これは商業
地域
が「主として商業その他の業務の利便を増進するため定める
地域
」というふうに都市
計画
法上なっておりまして、
建築基準法
におきましても、住居系の用途
地域
に比べまして、高い建蔽率、高い容積率等を認めている
地域
でございます。むしろ日照保護のための公法上の規制を直ちに行うことは現在まだ適当ではないという判断をしたものでございます。 今回の対象といたしました住居系の
地域
は、主として良好な「住居の環境を保護するため定める
地域
」というふうに都市
計画
法上定める
地域
でございます。当面一番問題の多いこういうところに公法上の規制をまず行うということに決心をしたわけでございますが、しかし、このことにつきましては、商業
地域
におきまして日照
関係
が必要でないという判断をしたこととは違いまして、この
地域
におきます日照の確保は個々の
ケース
に応じた私法上の相隣
関係
の問題として、最終的には判例の積み重ねということによりまして解決されるべき問題であると現在
考え
ておる次第でございます。
遠藤要
274
○
遠藤
要君 今回の改正による日影規制は、第一種住居専用
地域
で七メートル以上、その他の住居系の用途
地域
で十メートル以上の中高層建築物を対象に
実施
されることになっておりますが、都市における宅地の細分化が進んだ今日、七メートルまたは十メートル以下の低層建築物による日照阻害が多く
発生
しており、日照問題の解決のためには今回の日照規制の対象とならない低層建築物による日照問題の解決策が講じられる必要があると
考え
ますが、これについて
建設省
はどのような解決策を用意しておられますか、お聞かせ願いたいと思います。 これらの低層建築物による日照問題の解決は、私法上の相隣
関係
にまつとの態度では都市の日照問題は解決いたしません。建築行政上からも宅地細分化の防止、街区ごとの建築詳細
計画
の導入、高さを制限する高度地区制度の活用等、各種の方策が検討されなければならないと
考え
ますけれ
ども
、その御検討の用意がありますかどうかをお伺いいたしたいと思います。
山岡一男
275
○
政府委員
(山岡一男君) 低層建築物にかかわります日照阻害の
対策
といたしましては、現行の制度といたしまして
道路
の幅員による斜線制限による規制、北側斜線制限による規制、高度地区建築協定の活用等々の方策を基準法上も準備いたしております。これらによりましてある程度対処できるものと
考え
ておりますが、今回の改正によります日影規制の対象を中高層建築物にいたしましたのは、住宅地における中高層建築物による日照阻害はその影響範囲が非常に大きいこと等によりまして、その
地域
全体の住環境として重大な問題でございますので、特に公法上の規制を加える必要があると判断したからでございます。これに対しまして、低層建築物にかかわります日照阻害につきましては、その影響範囲から見まして、
地域
全体の住環境に中高層建築物ほど大きな影響を与えないものでございます。また、現在の市街地形成の
状況
から判断いたしますと、低層建築物を従来の規制以上にことさら厳しく規制するということになりますと、実質的には低層建築物も建築禁止につながりかねないというようなおそれも出てまいります。そのために今回は公法的な規制からは新しく規制することをやめまして、従来の制度の活用で対処したいと
考え
た次第でございます。 なお、低層建築物にかかわります環境阻害の問題は、主として宅地規模が過小であるというようなことに起因しておると
考え
られます。この解決のためには長期的視野に立った
対策
が必要であると
考え
ております。先生からもそういう検討の用意があるかという御質問でございましたけれ
ども
、
昭和
四十九年の一月に、この
建築基準法
の改正案の答申と同時に、今後の検討課題ということで、建築審議会からも答申をいただいております。その中には、ただいま御指摘になりました建築詳細
計画
制度等が挙げられておりまして、宅地細分化
対策
等とあわせまして今後早急に検討を続けてまいりたいと
考え
ておるのが現状でございます。
遠藤要
276
○
遠藤
要君
最後
に、
建設
大臣にお伺いし、かつまた
要望
しておきたいと思います。 先ほ
ども
政務次官に要請いたした次第でございますけれ
ども
、このたびの衆議院の修正の結果、五億円余の
予算
補助金が使用不能だと、このような感じを与えておりますけれ
ども
、私
ども
議会において執行部からの
説明
には、この方途に使う金だというような
説明
はなかったわけです。そういうふうな点で私はこの補助金は当然活用されるものだ、こう確信しておりますけれ
ども
、いろいろだだいま住宅局長のお話を聞いておりますと、多少疑義があるような御
説明
でございますけれ
ども
、私は大臣に特にお願いを申し上げておきたいのは、特に先ほ
ども
大臣から、とうとい生命、人間尊重という立場から次期国会には必ず成立させる、提案するという決意もあったことでございますので、その成立してからは問題がありませんけれ
ども
、暫定的にもその成立前も使用ができるように財政当局と十分ひとつお話し合いをお願い申し上げておきたいと、こう思います。そして大臣の
考え
られているような、本法案が成立して人命が尊重され、よき環境、町づくりができるような点を期待いたしておりますけれ
ども
、大臣のひとつ決意を重ねてお尋ねいたしておきます。
中馬辰猪
277
○国務大臣(中馬辰猪君) ただいまの五億円の御要求につきましては、その趣旨が実現できますように事務当局に検討させるつもりであります。
竹田四郎
278
○
委員長
(
竹田四郎
君) 本案に対する
質疑
は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後五時五分散会