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茜ケ久保重光君 それに関連して、これは今月六日の朝日新聞の夕刊の記事でありますが、「オロッコの北川さん 恩給法適用は絶望」これは厚生省は
軍人とはいえぬということを言っておりますね。これは一応恩給ですから、厚生省が
軍人とは言えぬと言っておりますが、この人なんかは何か樺太で、現地で軍隊に徴用されて戦争に協力をし、しまいにはソ連に抑留されて八年間も刑を受けた、そして帰国して何か恩給をもらいたいということで申請をしたら、おまえは
軍人ではないし、また、
日本人ではあったけれ
ども戸籍がなかった、いろんなことで恩給は出しません、こういう決定をしたという新聞記事がございます。
これは特に、いわゆる大和民族に属しない
日本人のようでありますが、こういったことはほかにもたくさんあろうかと思うんであります。小野田さんや横井さんは二十年も三十年もジャングルにおられて、帰ってきてえらい英雄になられたようでありますが、それはそれとして、いわゆる戦争の中で自分の意思ではなくて国の権力によって徴用され、あるいは引っ張り出され、そして長い間戦争に協力させられて、そしてその果てはもう何ら何もなくてほうり出される、これは私はやはり許せない事態だと思うんです。
したがって、これは恩給法という
一つの法律に照らせばいろいろ問題はありましょうが、しかしそれはそれとして、たとえばいま従軍看護婦の件もそうでありますが、特にこういった特異なケースというものは、国が当然何らかの形でかつての戦争犠牲者
——戦争犠牲といえばいろいろあります、内地において戦災を受けた、あるいは学生が徴用されていろいろした、例はたくさんあります。しかし、このように
日本人ではあったが
日本の戸籍を持たなかった、いわゆる
日本の何といいますか、民族の中における少数民族でありますね、こういう
人たちに対してはやはり国が何らかの形で適切な処置をすることが必要だと思うんであります。恩給法によってできなければあるいは厚生省
関係で。厚生省にお尋ねしたら、厚生省では、けがをしたとか病気になったとか、そういうことでなければ援護の
対象にならぬという
お話、そうなりますとこんな
人たちはもう全然、国によって束縛をされ強制をされた、そしてしかも長い間苦労した、
軍人ならば
軍人恩給があるというのに何もない。これはやはり私は、政治としてはほうってはおけぬ問題だと思うんであります。
総理府総務長官お見えになりましたから、ひとつ、これはここであなたから、直ちにどういう処置をしますというお答えは私はもちろん期待しませんけれ
ども、こういうことに対する適切な、温かい処置というものは絶対必要だと思うんです。今後これは私はそう数がたくさんあるものじゃないと思うんです。まあ何らかの予算措置をするとしても、決して膨大なものじゃないと思うんでありますが、ひとつこういう、今後もこれはいろんな形で出てくるだろうケースに対して、国として温かい処置をするような方途で検討していただく。いま八百万円という
調査費用もありますが、八百万が多いか少ないか別として、こういうことも含めて検討していただきたいと思うんでありますが、いかがでございましょうか。