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国務大臣(
前田正男君)
大変科学技術、
原子力について御
理解ある御
意見、御
説明でありまして大変心強く、また
同感の意でございます。ぜひひとつ
科学技術の
発展のために、また
原子力のためにもいろいろと御指導を願いたいと思うんでございますが、その中で
最初に具体的な
お話がありました
啓蒙の問題につきましては、これは
国民の方に十分な
理解と
協力を得ることがぜひ必要でありまして、できるだけわれわれも
努力しておるところでございますけれども、御説のとおり必要があればまた
外国の方も来てもらって、ぜひひとつこの
啓蒙宣伝には十分な
対策を講じていかなければならぬと思っております。ちょうどこの二十六日が
原子力の日でありまして、
政府も
新聞その他に広告も出しましたり、いろいろな
対策を講じて御
理解を願っておるわけでございますけれども、さらにひとつ
努力をしたいと思いますし、
お話のように必要があれば
外国の方にもひとつぜひ来てもらって、
原子力についても御
理解を得たいと思っておるわけです。
二番目の
アタッシェの
成果につきましては、これはもう大変な
成果でございまして、私
たちが一番初め
原子力の問題で
基本法の制定のために
超党派で参りましたときにも、いまの
向坊東大教授が
アメリカの大使館の
アタッシェにおりまして世話になったんですけれども、その当時からもうこの方が一番
アタッシェの初めじゃないかと思いますが、
わが国の
原子力、
科学技術の
発展には非常に効果があったと思います。これは
科学技術の性格上
各国と十分な
協力をして、また
各国の情勢をよく認識して進めなきゃならぬ性質のものでありますので、十分にこの
アタッシェの
活動は
期待しなきゃならぬと思います。毎年一人ずつぐらいでありますけれども、いまふやしておるわけでありまして、できるだけひとつ来年も二人の増員の要望をお願いしておりますけれども、できるだけひとつこれはふやしていきたいと思うんですけれども、ただ
科学技術庁だけじゃなしに、一応外務省との問題もございますし、また
大蔵省の問題もありまして、そう急速にやりにくいと。おっしゃるとおりまことに残念でございますけれども、しかし、着実にひとつふやしていって、この
アタッシェの非常に有効な
活動というものをぜひ
期待し、また
アタッシェに行きました人がこちらに帰りまして、われわれの
科学技術庁の中を初め、
各省においても大変その経験を生かして、現在の
わが国の
科学技術政策の
推進に大いに活躍していただいております。そういう点から言っても、
人材養成という
意味から見ましても、ぜひひとつまた
人材の活用という
意味から見ましても、
アタッシェはなるべくひとつふやしていきたい、これは私も
同感でございます。
それから最後の
エネルギー対策全体といたしまして、今後の不足していきます部分を補っていきますものとしては、当面
原子力がその
主力であることは御承知のとおりでございます。そのほかに
サンシャイン計画等いろいろとございますけれども、何といいましても、やっぱり
原子力がその
主力であることはやむを得ません。また現在の事情から見まして、
石油産出国が
世界各国の
エネルギーの
需要量に見合うだけの増産をするという
可能性は非常に少ないわけでございますから、
石油の値段もだんだんと上がっていきますし、
石油自身も
需要に見合うだけは十分に手に入りにくくなってくるわけでございますので、何としても
原子力でこれを補っていくということが、
国民の生活の安定を確保する上におきましても必要なことだと私
たちは思っておるわけでございます。しかしながら、この
原子力の問題については
わが国はいろいろと特別な
立場にもおりまして、まず何といたしましても
国民の
皆さんに
安全性を
理解してもらうということが一番大事でございまして、
原子力はいろいろと問題ございますから、二重三重の
安全装置をしておりますし、また
安全審査その他にも多数の手間をかけておりますし、またいろいろの
緊急措置だとか、あるいは警報だとか、いろんなものをつくって、安全は万全を期しておるわけでありますけれども、しかし、やはりこれが御
理解を得なきゃならぬわけでございます。したがいまして、
政府といたしましてもこの点については「
むつ」の問題を初めいろいろな問題がございましたので、
国会の
皆さんの御
協力を得まして、
科学技術庁にいままでの
原子力局から
安全局ということしの一月に新しい局ができました。従来
政府の官庁で新しい局をつくるというのは大変むずかしいんでありますけれども、
国会の
皆さん方初め、
国民の世論を受けまして御支持を得て新しい局ができたわけでございます。これに伴いまして私
たちも
安全研究の
予算を従来からだんだんふやしておりますけれども、四十七年ごろから比べますと、すでに約六倍くらいの
予算をふやして百五十億ぐらいの
予算をことしはつけておりまして、
安全研究には力を入れておるわけでございます。しかしながら、さらにこの
エネルギーの問題をこの際大きく取り上げるというために、どうしても
国民の
皆さんの安全について御
協力を得るためには、基本的に
原子力政策、
行政をもう少し検討した方がいいじゃないかという、こういう御
意見がございまして、
総理大臣のところに
原子力に対します
行政の
懇談会が
私的諮問機関ではございますが、できまして、いろいろとこれはまた各
方面の方に御
協力願いまして、いろいろ貴重な
意見をいただきまして、それをいろいろの御討議の結果集約されてまいりました。そうして、それはことしの七月に一応の
提言がなされておりまして、これを受けまして
政府はこれを尊重するという
方針のもとに、まず第一に
原子力委員会を二つに分けまして
原子力委員会と
原子力安全委員会、こういうものにいたしまして
安全審査を十分にやろうということを考えておるわけでございまして、すでにこれは五十二年度の
予算に
科学技術庁から
要求をいたしておる次第でございます。いずれまた
国会の
皆さん方の御審議を受けまして、これはぜひひとつ実現するようにお願いをいたしたいと思っておる次第でございます。
さらに、そのほかに安全の
行政の
一貫性でありますとか、あるいは
ダブルチェックの問題であるとか、いろいろの御
提言がありまして、これらを実現していくということについて、
政府部内でこれがための
行政の
連絡機関を設けまして、いまこれを
各省以下どういうふうに実現するかということで
努力しておるわけでございます。しかし、私が就任いたしましてからさらに考えますことは、この
安全性を確保していくためには、実は
使用済み燃料以後の
問題等が、いわゆる
核燃料サイクル全体といたしまして多少おくれております
使用済み燃料以後の問題も促進しなきゃならぬ。あるいは
先ほどお話がございましたとおり、各
電力会社等がいろいろと住民の
方たちの御
理解を得て
発電その他をやっていこうとしておりますけれども、なかなか困難な問題もございます。すでに電源三
法等ができまして
地域開発に
協力することになっておりますけれども、まだ十分な点が進んでおりません。それからまた、将来にわたりましての新しい
新型炉あるいは
増殖炉等の問題の
研究等も相当進んでおりますけれども、これも次々と
対策を講じていかなきゃならぬ。こういういろいろの問題がございます。そこで、
原子力の
安全委員会を設ける
機会に
原子力全体の
構想についてもひとつ基本的に安全を重視して、また、その安全の
立場からおくれていると言われております部門も促進して、そして全体の
原子力政策が必要な
エネルギー政策にも対応できるようにひとつ進めていかなきゃならぬのじゃないかと、こういうことで、一応
安全委員会の
予算を
要求いたしました
科学技術庁がそれに伴いますいろいろの
原子力政策についての
構想をまとめる必要があるんじゃないか。そしてそれを
政府の
各省とか、あるいは
政府の幹部でありますとか、あるいは与党とか、その他各党の方にも御
理解を得なきゃならぬわけでございますが、そういうふうな
構想をまとめる必要があるんじゃないかということで、
総理大臣その他の御了解を得まして、実は
予算要求をいたしております
科学技術庁の
大臣の
立場で
原子力関係の
権威者の
方たちに基本的な
構想の
方針を承る場をつくりたいということをお願い申し上げましたところ、各界の方とも皆非常に気持ちよく御賛同賜わりまして、第一回の会合を二十一日に開きました。次回は十一月六日の予定をしておりますけれども、基本的な
構想の大綱をお聞きいたしまして、この
安全委員会が実現し、それに伴います
原子力行政、あるいはまた
原子力の
推進の仕方、あるいは安全上からも問題があると言われております
使用済み燃料以下がおくれている点を促進すると、こういうようなことで、
国民の
皆さんに安全に対しまして
政府が力を入れているということを
理解を得るためにもそういう
原子力政策全体の
構想をまとめていきたい。そうしまして、これらをできたならば今年末か、あるいは来年正月に少しかかるかもわかりませんけれども、五十二年度
予算の決定する
機会にできるだけひとつ反映していきたい。もちろん五十二年度
予算だけで解決できる問題でありません問題も残りますから、それはまたそれで次の
政策にひとつ反映していかなきゃならぬかと思うんでございますけれども、五十二年度
予算の決定のときにも、そういう基本的な
意見をもとにいたしまして、
政府として
国民の
理解を受けるために
安全性を
中心にいたしました強力な
政策をひとつ進めていかなければならぬのじゃないかと。また、それに続きましていろいろの
原子力政策を進めていくし、
福井先生から
お話がございました各
電力会社等がやっております
開発の困難な問題についても電源三法だけじゃなしに、それはもちろんでございますが、電源三法を今度は大分と内容をもっと地方の方に役に立つように運用を改めることに五十二年度はいたしておりますけれども、しかし、さらにこの
開発の困難な問題については
政府もできるだけひとつ、どういう点で
協力できるかというようなことも含めまして基本的に
構想を練っていく。そして将来にわたりまして、ひとつ
日本の国家として必要な
エネルギー対策についても
原子力が十分に対応できるようにしていかなければならないのじゃないかと、こういうふうな考え方でおるような次第でございますので、どうかひとつよろしく御指導、御鞭撻をお願いしたいと思っておるわけであります。